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2015-08-05 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年八月五日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      森屋  宏君     上月 良祐君      金子 洋一君     白  眞勲君      櫻井  充君     小川 敏夫君      杉  久武君     平木 大作君      真山 勇一君     寺田 典城君      仁比 聡平君     大門実紀史君      井上 義行君     山口 和之君      福島みずほ君     又市 征治君  八月五日     辞任         補欠選任      二之湯武史君     大沼みずほ君      那谷屋正義君     藤末 健三君      山口 和之君   アントニオ猪木君      江口 克彦君     浜田 和幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 小野 次郎君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大沼みずほ君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 広田  一君                 藤末 健三君                 蓮   舫君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 寺田 典城君                 井上 哲士君                 大門実紀史君               アントニオ猪木君                 山口 和之君                 浜田 和幸君                 水野 賢一君                 又市 征治君                 主濱  了君                 荒井 広幸君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣   下村 博文君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        経済産業大臣   宮沢 洋一君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣     山谷えり子君    大臣政務官        防衛大臣政務官  石川 博崇君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       山本 条太君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        外務大臣官房参        事官       滝崎 成樹君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        部長       丸山 則夫君        外務省国際法局        長        秋葉 剛男君        外務省領事局長  三好 真理君        外務省国際情報        統括官      岡   浩君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省経理装備        局長       三村  亨君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨四日、森屋宏君、井上義行君、杉久武君、真山勇一君、福島みずほ君、金子洋一君、櫻井充君及び仁比聡平君が委員辞任され、その補欠として上月良祐君、山口和之君、平木大作君、寺田典城君、又市征治君、白眞勲君、小川敏夫君及び大門実紀史君が選任されました。  また、本日、二之湯武史君及び江口克彦君が委員辞任され、その補欠として大沼みずほ君及び浜田和幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 北村経夫

    北村経夫君 自由民主党北村経夫でございます。中谷大臣岸田大臣、連日お疲れさまでございます。  今日質問させていただくわけでございますけれども、今朝の新聞を見ましてちょっと驚いたことがございます。今朝の東京新聞でございますけれども、その一面によりますと、安倍総理が、アメリカイージス艦単独で来ることはないと発言した、答弁したわけでありますね。そして、自衛隊集団的自衛権に基づき米艦への攻撃に反撃できるようにする法案必要性に疑問が強まった、こういう記事が載っておりました。  昨日もこの質疑の中で、日本防衛する米国艦艇単独行動することはあり得ない、米艦艇日本艦艇防護してもらうといった状況はあり得ないという主張がございました。私は、あり得るというふうに思っております。その辺、大臣見解を伺います。  もう一点、世界最強であるアメリカ艦艇攻撃を受けたら、そもそもほかの米艦艇が反撃するものである、また、仮に米艦艇自衛隊防護しても、自衛隊敵基地能力を有していない、したがって米国日本防護を要請することはあり得ない、又はその蓋然性は極めて低いという、そういう主張もなされたわけであります。米国日本防護を要請することはあり得るのではないかと私は思っております。  昭和五十年でございますけれども、丸山昂防衛局長米艦防衛について質疑の中でこう答えております。我が国防衛のために必要であるなら出ていく、あり得るという答弁を行っているわけでございます。昭和五十年というのは圧倒的にアメリカの力が強かったときであります。それでも日本自衛隊はあり得るというふうに答弁しているわけであります。  そういうこともあるわけでございますが、大臣の明快な見解を伺います。
  5. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 艦艇運用につきましては状況に応じて異なるために、個別具体的な運用状況を網羅的に申し上げることはできませんが、その上で申し上げれば、警戒監視等に当たっては、その任務の内容、また海域における状況によりまして、単独で航行することもあれば複数で行動することもあり得るものでありまして、米艦艇単独行動することはあり得ないとは言えないものと考えます。  また、例えば米国が既に武力攻撃を受けている状況におきまして米軍が自らの防護に万全を期すること、これは当然でありますが、多くの艦艇がその攻撃の排除に集中をしている状況におきまして、警戒監視に当たっているイージス艦等艦艇防護につきましては同盟国である我が国に依頼するといったケースも考えられます。さらに、日米は従来から我が国武力攻撃事態において海上作戦共同で行うことも想定をしておりまして、日米艦艇相互防護する状況現行法制下におきましても想定し得るものと考えております。また、先般公表いたしました日米ガイドラインにおきましても、自衛隊米軍は、適切な場合に、アセット、これの防護において協力することを明記をいたしております。  したがいまして、自衛艦米艦艇防護する状況はあり得ない、その蓋然性は極めて低いとの御指摘は当たらないものだと考えております。  また、日米は従来から我が国武力攻撃におきまして海上作戦共同で行うということも想定をしておりまして、日米艦艇相互防護する状況現行法制下においても想定をするということでございまして、存立危機事態における米艦艇防護につきましても、公海上における米艦艇に対する存立危機武力攻撃を排除することを念頭に置いているわけでございまして、具体的に例えれば、米艦艇に対して飛来するミサイルを撃ち落としたり、公海上で米艦攻撃する潜水艦からの魚雷に対処するなどの行動があり得ますが、陸上から攻撃を行う相手方のアセットを直接的に攻撃することを念頭に置いているものではありません。  したがいまして、存立危機事態において自衛隊敵基地攻撃能力を有していなければ米艦艇防護ができないわけではないということでございます。
  6. 北村経夫

    北村経夫君 おっしゃるとおり、潜水艦から弾道ミサイルが飛んできたり、戦闘機からの攻撃もあるわけであります。そういう意味で、米艦防護というのはあり得るというふうに私も思うわけであります。  それと、もう一点確認をしたいことがございます。昨日の質疑の中で、日本に対して直接の武力攻撃をしていない国に対して日本武力行使を行うことはまさに先制攻撃であり、今後、我が国先制攻撃が可能となる国になろうとしているという指摘がありました。  これは誤解に基づいた主張ではないかというふうに思いますけれども、この点についても大臣見解を伺います。
  7. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先制攻撃というのは、何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、ある国が自衛権、これを援用して武力行使するという国際法上違法とされる行為をいうものでございます。  限定的な集団的自衛権行使は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生、これが大前提となっておりまして、先制攻撃ではありません。確かに、我が国に対する攻撃は発生しておりませんが、このような自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃実力をもって阻止することが正当化される、これが集団的自衛権でありまして、これは国際法上確立した権利でございます。  このことを国際法上違法とされている先制攻撃と呼ぶということは誤りでありまして、例えば米国が、我が国がある国に攻撃をされた場合には、日米安保条約第五条に基づいて集団的自衛権行使をして、我が国に対する武力攻撃を行った国に対して武力行使を行うことになりますが、これを先制攻撃だとして非難をするとしたら、日米安保条約及びそれを中核とする日米安保体制、これを完全に否定をすることになると考えられます。  したがいまして、国際社会の平和及び安全の維持のために国連憲章において認められる権利行使につきまして、違法な行為を行っているようなことを言うべきではないということを強調したいと申し上げます。
  8. 北村経夫

    北村経夫君 ありがとうございます。  次に、外務大臣にお伺いいたします。諸外国反応についてでございます。  日本国民皆さんは、この平和安全法制について外国は厳しく見ているのではないか、批判しているのではないかというふうに思っている方が多いと私は感じております。しかし、私自身、外国政府が正式にこの平和安全法制について批判しているということを私は聞いたことがないわけであります。  日本の方は外国反応というのは日本のメディアを通して聞くわけでございますけれども、それは、外国識者あるいは日本専門家、あるいは社の論として、社説として批判している、そういうのが喧伝されて日本マスコミで報じられるわけでありますけれども、マスコミというのは産経新聞もあれば朝日新聞もあるわけであります。二社だけ言えば申し訳ないので、読売新聞も毎日新聞も日経新聞も、全国五大紙というのがあり、地方紙というものがあるわけであります。それぞれが論説、社の論を持ち、編集権も持っているわけであります。これは民主国家として当たり前のことであり、守らなきゃいけないと私も思っているわけでございます。  とかく出てくるのは、そういった外国識者、あるいは社説を伝えているわけでありますけれども、大体目にすると批判的な記事が多いのは、これは事実であろうかというふうに思うわけであります。  そこで、外務大臣に、外国政府反応というものをお聞かせいただきたい。これまでどのようにこの平和安全法制について理解を求めてこられたか、そして具体的にどういう反応があったか、その辺を説明お願いいたします。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国平和安全法制、そして国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方につきましては、総理外務大臣防衛大臣等中心に、各国を訪問した際、さらには各国要人我が国を訪問した際に丁寧に説明をしてきております。  そして、その反応ですが、米国はもとより、豪州ASEAN、ヨーロッパ、アフリカ中東、中南米、こういった地域の圧倒的多数の諸国から、我が国地域国際社会の平和と安定により一層貢献していくものとして大きな支持が表明されていると受け止めています。  最近の具体的な例だけ申し上げても、例えば今年六月ですか、フィリピンアキノ大統領我が国衆参合同会議で演説を行われました。その際に、本国会で行われる審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持って注目している、こういった発言がありました。豪州ビショップ外相からも歓迎する発言があったと記憶していますし、最近私が会談した外務大臣、スリランカのサマラウィーラ外務大臣からも日本平和維持・貢献への積極的な取組への期待が示されております。このように、多くの国から支持や歓迎の意が表されていると思っております。  そして、それ以外の反応、例えば中国韓国、こういった反応について御指摘があります。中国政府報道官あるいは韓国政府報道官からそれぞれ発言は行われておりますが、これは両国とも特に法案内容反対する旨の発言は行ってはいないと承知をしております。  引き続き、各国に対しまして丁寧に説明をしていく所存であります。
  10. 北村経夫

    北村経夫君 まあ、日本国民皆さんは、中国韓国、この二つの国から大きな批判の声が上がっているというふうに受け止めておられるんだろうと思いますけれども、今外務大臣がおっしゃったように、韓国中国政府が明示的に反対はしていないということでありました。  民主党岡田代表が、三日、韓国を訪れられまして、朴槿恵大統領と会談されました。これは報道によりますが、会談の中で岡田代表は、この平和安全法制民主党としては反対しているということを述べられたというふうに報道されております。これに対して大統領は、韓国でも大きな関心を持って見ている、議論が平和と安定に寄与する形で進むことを望んでいるというふうに述べられておるわけであります。ここでも、わざわざ民主党岡田代表反対の意向を示したのに対して、韓国大統領反対ということははっきり言っていないということでございます。  先ほど外務大臣が言われました、フィリピンアキノ大統領が国会演説されました。先ほどの前に、大統領は、日本平和維持のために国際社会に対して自らの責任を果たす上でより積極的に立場を取っているというふうに前置きがあったわけでございます。  このように、明確な外国政府からの反対がないということは、やはり平和安全法制を含む日本安全保障地域の安定に貢献するものとしてほとんどの国から支持を受けているというふうに言えるのではないかと私は思うわけであります。政府は、こうした外国政府の声をもっと国民説明する必要があろうかというふうに思うわけであります。  岸田外務大臣、今晩からASEAN地域フォーラム閣僚会議に出席されるわけでありますけれども、更に理解が進むように一層の努力、そして各国反応国民皆さんにもっともっと説明される必要があろうかというふうに思っておりますが、お願い申し上げます。  さて、次に、私どもは、いろいろなところで様々な人にこの平和安全法制について説明をいたします。その中で、集団的自衛権個別的自衛権あるいは集団安全保障ということを話しますと、ほとんどの人がそれは何なのかというふうに反応が返ってくるわけであります。こういった安全保障という高度で抽象的な概念を一般の人が理解するのは、私は難しいんだろうというふうに思いますけれども。  そこで、そもそも論でありますけれども、集団的自衛権あるいは個別的自衛権、どういう概念なのか、そして全く別の概念である集団安全保障、そういったものを、歴史的背景を含めて、かみ砕いて説明を願いたいと思います。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 集団的自衛権、そして個別的自衛権、そして集団安全保障について、歴史的背景も含めて説明するようにという御質問をいただきました。  歴史的な背景を申し上げますと、まず、かつて戦争が一般的に合法であった時代がありました。二十世紀初頭までは国際法戦争が合法であった時代が続いていたと承知していますが、その時代においては、あえてこの自衛権などによって武力行使を正当化する必要はありませんでした。  しかし、その後、国際連盟が設立され、そして不戦条約によって戦争違法化が進められる、こうした動きがありました。こうした戦争違法化が進められるのと同時並行的に自衛権概念についても議論が行われた、こういった経緯をたどりました。  その上で、戦後、国連憲章国際関係における武力行使が原則として禁止され、国連安保理中心とした集団安全保障措置が定められる。その一方で、安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的、集団的自衛権に基づく武力行使が認められた。これがこの集団的自衛権個別的自衛権集団安全保障の歴史的な経緯であります。  そして、それはそれぞれどういうものかという質問もございましたが、個別的自衛権とは自国に対する武力攻撃実力をもって阻止する権利といい、集団的自衛権とは自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利をいう、このように解されており、また、集団安全保障につきましては、国連憲章第七章において、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵害行為が行われた場合に、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため安保理が取ることのできる一連行動について定めているわけですが、これらの一連行動を総称して、講学上、集団安全保障措置と呼ぶとされております。  それぞれの説明については以上であります。
  12. 北村経夫

    北村経夫君 国連憲章を読みますと、五十条までは集団安全保障の手続が述べられて、五十一条に突然、個別的、集団的自衛権といった全く違った概念が述べられているわけであります。  これはそもそも、今説明がございましたけれども、どういうふうな過程で起きたか。これは、安保理安全保障理事会常任理事国、大国でございますけれども、その拒否権によって機能不全に陥る場合に備えて、中小の国が相互援助行動が取れる制度的仕組みを取り入れたと言われているわけでございます。つまり、集団的自衛権は、集団安全保障体制機能麻痺を補完そして代替するものと言えるのではないだろうかと思っております。  次に、安全保障法制質疑が続いているわけでございますけれども、日本は長年にわたって集団的自衛権は持っているが行使できないとしてまいりました。言い換えれば、こうした制約の中で、この見解に抵触しないような安保法制の下で安全保障法制あるいは自衛隊の編成、装備、そういうものを整備してきたわけでございます。このことは、複雑なこの安保法制の下でも日本防衛は成立してきたということにほかならないのではないかというふうに思うわけであります。  これは、戦後の東西冷戦下における日米安保条約によって米国に守られてきた、そういう事実がございます。だから、集団的自衛権行使しなくても不利益が生じるというようなものではないとした昭和五十六年、一九八一年の政府見解を受け入れてきた。資料二にその見解が書いてございます。  しかし、現在においてもそうした制約を課したまま日本不利益を被らないと言えるのかどうか。鈴木内閣不利益を生じるというようなものではないとする見解を示したのは一九八一年でございます。東西冷戦が崩壊したのが一九八九年、その八年前にこの見解が出されているわけであります。冷戦下における見解でございます。ちょうどその頃は、米ソによる核開発競争が続けられてきた。日本アメリカの核の傘の下にあり、当時のソ連が日本に対し何か事を起こすならアメリカ核戦略がちらつく、そういった当時の日本を取り巻く安全保障環境だったわけであります。  そうした状況でありますから、集団的自衛権行使しなくても不利益を被らないとの見解妥当性もあったかというふうに思うわけでございますけれども、しかし、東西冷戦の崩壊によって、世界は政治的にも経済的にも軍事的にも劇的に構造的な変化を起こしたわけであります。  構造的変化、すなわち、中国やインドといった新興国が台頭し、グローバルなパワーバランス変化アメリカの相対的な力の低下、弾道ミサイルなどの軍事科学技術変化高度化、そして九・一一やISILのような国際テロ、さらにサイバーテロの脅威が高まってきた、こうした劇的な変化が今、今日起きているわけであります。新たな脅威が増し、日本を取り巻く状況が大きく変わった、このことを踏まえて議論をしなければ、観念的な安全保障議論に陥ってしまうと私は思うわけであります。  新たな脅威にどう備えるか。既存の防衛政策、防衛策が新たな脅威に対して通用しないとなれば、抑止というものは成立しないと言えるわけであります。そこでは新たな防衛政策が必要になる、このことが今の日本に突き付けられている課題ではないかと私は思っているわけであります。平和安全法制は、まさに新たな脅威から国民の生命、平和な暮らしを守る、そのための法制だと私は確信しております。  そこで、質問いたします。この鈴木内閣が示した八一年の答弁書、集団的自衛権行使は憲法上許されないことによって不利益が生じるというようなものではないとしております。日本への軍事的脅威が高まっているただいま現在、この不利益を被らないと果たして言えるのか、その辺の見解を求めます。
  13. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国を取り巻く安全保障環境、これはパワーバランス変化、また技術革新の急速な進展によります兵器の能力の向上、また大量破壊兵器などの脅威、近年では海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びそれを妨げるリスク、これが拡散、深刻化をしていることなどによりまして、根本的に変容をするとともに一層厳しさを増しております。脅威は容易に国境を越えてやってきますし、もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできない、そういう時代になってきております。  このような厳しさを増す安全保障環境に照らせば、新三要件、これを満たす場合における限定的な集団的自衛権行使が許されないということは、我が国の存立を全うし国民を守ることができないということでありまして、不利益、これが生じることになると考えております。
  14. 北村経夫

    北村経夫君 ありがとうございました。その不利益を被らない、それは時代とともに変わってきたという見解を示されました。  国民の皆様の理解を深める、この法制について理解を深めるには、やはり脅威というものをもう一度認識していただくことが第一であろうというふうに思うわけでございますけれども、特に私は今日は軍事的脅威の具体的な説明をしていただきたい、質問いたしたいというふうに思っております。  これまでも安全保障環境変化というのは政府は繰り返し述べてきておられますけれども、軍事科学技術の発達についてより詳しい説明が必要ではないかというふうに思うわけであります。昨日も、公明党の矢倉委員が北朝鮮の弾道ミサイル質問しておられました。そして、我が党の佐藤委員も、ほかの同僚委員も北朝鮮について詳しく質問してこられましたけれども、私は今日は中国について伺いたいと思います。  中国は特に軍事技術の向上というのは著しいわけでございまして、まず中国の海空戦力の近代化について概略を説明していただきたいと思います。
  15. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 中国の軍事力に関します御質問でございますけれども、特に中国は継続的に高い水準で国防費を増加させておると、これを受けまして、核・ミサイル戦力あるいは御指摘の海空軍の戦力、これらを中心としまして軍事力を広範かつ急速に強化をしておるということでございます。  まず、海上戦力について申し上げますと、艦隊防空能力あるいは対艦攻撃能力の高い駆逐艦、フリゲートの増強、洋上補給艦など後方支援機能の整備、陸上兵力の洋上機動展開のための揚陸艦等の増強、中国初の空母遼寧の就役、通常動力、あと原子力双方でございますが、潜水艦の増強等によりまして、より遠方の海域において作戦を遂行する能力の構築を目指しているというふうに我々は考えております。  また、航空戦力につきましては、現在の主力でございます第四世代の近代的戦闘機の着実な増加、また次世代の戦闘機と見られますJ20等の開発、空中給油機あるいは早期警戒管制機といった近代的な航空戦力の運用によりまして必要な能力を向上させるといったことで、空軍戦力につきましても、より遠方での制空戦闘及び対地・対艦攻撃が可能な能力等の向上を目指しておると、このように認識をいたしております。
  16. 北村経夫

    北村経夫君 そこで、今も触れられましたけれども、戦闘機、第四世代の戦闘機、これは日本中国それぞれの保有機数、どのくらいあるか。そして、在日米軍と第七艦隊の合わせた保有機数はどのくらいになるんでしょうか。
  17. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 御質問の第四世代戦闘機の機数でございますけれども、まず我が国が保有する第四世代の戦闘機につきましては、F15及びF2でございますが、その総数は二百九十三機でございます。これに対しまして、中国のいわゆる第四世代戦闘機としまして、J10、SU27、J11、SU30といった機種でございますが、その総数は七百三十一機でございます。また、日本自衛隊の保有します第四世代戦闘機と在日米軍及び第七艦隊に所属します同種の戦闘機、これを合わせますと、米軍につきましては約百九十機でございますので、自衛隊と合わせますと合計で約四百八十機という状況でございます。
  18. 北村経夫

    北村経夫君 今説明があったように、日本アメリカ軍の合計機数、第四世代の戦闘機に対して、中国は圧倒的な数を勝っているという事実があるわけでございます。  実際の戦闘では、パイロットの練度あるいはレーダーの性能、そして基地の位置、様々な要素を考えなければならないのでありますけれども、数は質を補う性能を持っているというふうに言われるわけであります。これは補うどころか、戦力は数の二乗に比例するとも言われているわけでございます。こうした戦闘機脅威というのは現実にあるということであります。  次に、中国弾道ミサイル、巡航ミサイル、これの保有、配備状況について説明をいただきたいんですけれども、そのうち、日本を射程内に収める弾道ミサイルはどれほど保有されているのか、そして弾道ミサイル、巡航ミサイル、この弾頭には何が積まれるのか、答えられる範囲で説明をお願いいたします。
  19. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 中国が保有いたしております弾道ミサイル、巡航ミサイル状況でございますが、公刊情報によりますと、射程の長いものから申し上げますと、大陸間弾道ミサイルにつきましては五十基ないし六十基、中距離の弾道ミサイルにつきましては八十ないし百二十基、短距離の弾道ミサイルについては千二百基以上、また、射程千五百キロメートル以上の巡航ミサイルにつきましては二百基から五百基というところで保有しているという形であるということでございます。  また、それらの弾道ミサイルの弾頭に何が搭載可能かということでございますけれども、中距離あるいは大陸間の弾道ミサイルといったものにつきましては核の搭載ということが可能であると、そういう状況でございます。
  20. 北村経夫

    北村経夫君 弾道ミサイル、巡航ミサイルによって、我が国攻撃される脅威にさらされている。今の数字を見ても、大変な数の弾道ミサイル我が国が射程内に入っているということが言えるわけであります。特に中国、あるいは、今お聞きしませんでしたけれども、ロシアも弾道・巡航ミサイルに核兵器が搭載され得るという状況がある。そして、北朝鮮もこの弾道ミサイルに積む核弾頭の小型化を急いでいると。昨日もこの委員質疑の中でそういうことが述べられておりました。  こうした脅威に対して、日本においては弾道ミサイルを迎撃する弾道ミサイル防衛、これが今や整備されるようになってきているわけであります。そして米国米国は効果的な巡航ミサイル防衛システム、NIFC—CAというようなものがございますけれども、それを構築しようとしているわけであります。  私は、最新鋭の装備の導入、そして効果的な運用によって随分脅威に対して対処ができるというふうに思っておりますけれども、平和安全法制によりどのような抑止力が高まっていくのか、その辺を明確にお答えいただきたいと思います。
  21. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 外交を通じて平和を守るというのが重要なことであるということは言うまでもございませんが、今後とも積極的な平和外交、これは展開していく必要がございます。  その一方で、万が一への備え、これも怠ってはならないわけでございまして、今回の平和安全法制、これが実現をいたしますと、国民の命と平和な暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまであらゆる事態に対して切れ目のない対応を行うことが可能となるわけでございまして、日本が危険にさらされたときに日米同盟、これは完全に機能するようになるわけでございます。  さらに、それを世界に発信をすることによって紛争を未然に防止をする力、すなわち抑止力、これは更に高まって、日本攻撃を受けるリスク、これは更に下がっていくと考えられます。  また、日本が更に国際社会と連携して、地域そして世界平和維持、発展のために協力をしていくことが可能になりまして、それによって世界平和が実現される、そういったことに貢献できるようになるというふうに考えております。
  22. 北村経夫

    北村経夫君 次に、中国の海洋進出、無法な振る舞いであるように見えますけれども、海洋進出によって、その現状どうなっているかをお聞きしたいわけであります。  この中国の近代化、日本に対する安全保障の大変な脅威になっている。そして、中国は、いわゆるA2AD、接近阻止、領域拒否、そういう戦略を追求していると言われております。これが進められることによって、我が国に具体的な影響、どういうものがあるか、大臣にお伺いいたします。
  23. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中国は、非常に透明性を欠いた中で軍事力を広範かつ急速に強化をしておりまして、その一環でいわゆるA2AD能力、これの強化に取り組んでいると見られます。  これはどういうことかといいますと、中国にとって、周辺地域への他国の軍事力の接近、展開、これを阻止をし、また、当該地域での他国の軍事活動を阻止するための能力の向上につながるものであると考えられまして、我が国周辺を含めて、海洋における活動も質、量共に急速に拡大をしており、これらの活動には、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない非常に危険なものも見られるわけでありまして、例えば、二〇一二年以降、中国公船による尖閣諸島周辺海域における領海侵入の動きは著しく活発化をしまして、既に百回以上の領海侵入、これがされております。  二〇一三年以降、この年末に、尖閣諸島をあたかも中国の領土であるかのような形で独自の主張に基づく東シナ海防空識別区、これを設定。そして、近年、中国機に対する緊急発進、スクランブルの回数も、五年前、二〇〇九年度と比較しまして十倍以上の水準となっている。  また、二〇一三年には海上自衛隊の護衛艦に対する火器管制レーダーの照射事案が、二〇一四年には海上自衛隊、航空自衛隊の航空機に対する異常接近、この事案も発生をいたしておりまして、このような中国による軍事力の強化及び海洋進出を含む軍事動向等につきましては、その不透明性と相まって、我が国を含む地域国際社会安全保障上の懸念になっているものだというふうに認識しております。
  24. 北村経夫

    北村経夫君 そういうふうに、東シナ海に極めて厳しい現実があるということだろうというふうに思います。  ここの委員会でも質疑がございましたけれども、中国は東シナ海に十二基のプラットホームを建設している、更に建設が進められていると言われております。これを軍事転用、このプラットホームを軍事転用すれば、今言われた東シナ海上空に設定した防空識別圏、これが本当に機能することになり得る。そうなれば、自衛隊あるいは米軍の展開というものに大きな影響を与えるわけでございます。そうしたことを踏まえてこの平和安全法制議論し、さらにその法整備、切れ目のない法整備をしていかなければならないというふうに思っているわけであります。  最後に、もう一問質問をさせていただきます。  武器等防護アセット防護についてでございますけれども、日本防衛のために米軍は平素から情報収集そして警戒監視というものを行っております。これらの米軍艦船を日本防護しなくてもよいのかという議論もあり、そのための自衛隊法九十五条の二の改正と考えるわけであります。  これまでどのような支障があり、この自衛隊法を改正することによってどのような意義があるのか、改めて説明をお願いいたします。
  25. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほどお話ししたように、我が国を取り巻く安全保障環境、これは厳しさを増しておりまして、やはり平素から自衛隊米軍等が連携をして様々な活動を行う機会が増加をいたしておりまして、その重要性も一層高まっていると。  そういう中で、自衛隊米軍等の部隊が連携をして我が国防衛に資する活動、これに従事をしている際に米軍等に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に、緊密に連携をして対応することが我が国の安全にとって非常に重要でもあるし、その対応に隙があっては我が国脅威が及ぶことを防止できないというおそれがありまして、この度、自衛隊法第九十五条の二、これによりまして、自衛隊米軍アセット装備品等の防護、これを行うことは平時における日米防衛協力の重要な要素といたしまして改正をお願いをしているところでございます。  これによりまして、自衛隊米軍の連携した警戒態勢等の強化につながり、日米同盟の抑止力、対処力、これが一層強化されることになるものと考えております。
  26. 北村経夫

    北村経夫君 まだちょっと時間がございますので質問をもう一つしたいと思いますけれども、中谷大臣、先ほどもちょっと触れました米国イージス艦に最新鋭のレーダーシステム、NIFC—CAの導入ということでございますけれども、このことについて説明できる範囲で御説明いただきたいと思います。
  27. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日々刻々、科学技術というものは進歩をいたしておりまして、いかにこういう点におきまして情報を収集をし、処理をし、対応する、スピードにおきましても精度においてもこれは求められることでございまして、米国もこのような新しいミサイル防衛システム、これを研究をいたしておるわけでございますので、我が国安全保障にも非常にこれは密接に関係するものであるという見地で、我が国といたしましても米国等の対応を見守りながら検討を行っているというところでございます。
  28. 北村経夫

    北村経夫君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  29. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。  質問の機会をいただきまして、鴻池委員長を始め理事、委員の皆様、また答弁のためにお集まりを賜りました大臣、法制局長官の皆様、心より御礼を申し上げます。  これまでの審議で明らかになったこと、安全保障環境が悪化する中で何らかの自衛のための措置は必要だということの理解は進んでいるわけでございますけれども、本法案に対してはなかなか理解が進んでいないということでございます。  どうしてなんだろうかとずっと考えてきたわけでございます。北朝鮮、ミサイル・核開発でございます。薄気味悪いと感じる人が多いと思います。中国、膨大な軍事予算を重ねております。尖閣をうかがい、南シナ海では岩礁を埋め立てたわけでございます。一党独裁、膨張主義国家でございます。不気味で怖いというふうに、国民、思っている方は多いと思います。だから抑止力の向上が必要だということも分かっている方は増えてきていると思います。しかし、法案にはなぜか反対だという声が耳に届いてくるわけでございます。  脚本家の倉本聰さんという方がいらっしゃいます。八月一日付けの日経新聞、「私の履歴書」でこのように述べておられます。「国を愛する気持ちはひと一倍だが、愛国心を強調すると右と批評される。国を守るのは大事なことだ。しかし、衆院を通過した安保法制には反対戦争の臭いがするからだ。」と倉本さんは書いておられます。  私には本法案戦争のにおいは全くいたしません。ただ、やはり、私の四国香川の地元に戻りまして有権者の方とお話をしますと、倉本さんと同じような意見をおっしゃる方も一部にはいらっしゃるわけでございます。この法案は、国の独立と国際社会の中で日本の名誉と信頼に関わる重要なものでございます。やはり、そのことを国民理解していただいて、スムーズに成立させることが必要だと考えます。  国民支持を受けて法案を成立させるための二つの条件があると私は思います。  まず第一、国民の間で戦争への漠然とした大きな懸念、更に言えば、この懸念の背景には過去の軍国主義による大戦で味わった苦しみの記憶とその再発への不安があるように私には思えてなりません。だとすれば、本法案戦争リスクを下げるものであること、そして戦争、軍国主義再発の懸念がないことを国民理解すれば、国民が広く支持する形でこの法案を成立させることができると考えます。  もちろん、憲法の話が難しく、政府説明国民の五臓六腑になかなかすとんと落ちていないのも、本法案が不人気の理由だと思います。分かりやすい憲法の話も必要であります。本日の質疑では、戦争リスクが高まる法案ではないこと、また、本法案が合憲であることを確かめたいと思っているわけでございます。  まず第一の戦争への漠然とした大きな懸念、軍国主義再発への不安が不必要であることについて議論したいと思います。  さきの大戦、評価はいろいろございます。例えば、一九五九年の砂川事件大法廷判決、十五人の裁判官が全員一致で下した評価はこうでございます。「わが国の誤つて犯すに至つた軍国主義的行動」と、こういうふうに最高裁大法廷は全員一致で述べております。自衛のために開戦したわけでございますけれども、終戦の決断が余りに遅過ぎたというのは、私は明らかだと思います。  振り返れば、七十年前の明日、八月六日午前八時過ぎ、広島に原爆が投下されました。続いて、九日には長崎でも無辜の尊い命が失われました。二つの都市での犠牲者数二十万人以上とされております。空襲でも東京だけで十万人など、各地の空襲でもおびただしい数の人命が失われました。沖縄の地上戦では約二十万人もが亡くなったとされております。そしてまた、本土を遠く離れたアジア太平洋地域でも多数の軍人が戦死されました。銃弾ではなく、餓死、病死した人の数も数え切れません。その数、百万人前後とも言われております。  日本は、刀折れ矢尽き、また補給路も早々と断たれたのに、なぜ戦争を継続したのか。早期に戦争を終えておけば、国内での空襲、沖縄地上戦の被害者、そして外地での餓死者、病死者数はかなり減ったはずでございます。なぜ早期終戦ができなかったのか、疑問は尽きないわけでございます。  六月一日の衆議院の平安特の委員会におきまして、安倍総理、このように述べておられます。「大戦の結果、日本は敗戦を迎え、多くの人々が貴重な人命を失ったわけでありますし、アジアの人々にも多くの被害を及ぼした」、「そうした結果を生み出した日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のこと」と、このように総理は述べたわけでございます。  歴史を振り返れば、様々な疑問が浮かびます。なぜ新聞戦争をあおったのか、そして、なぜ新聞の論調に一部を除く政治家は迎合したのか、行け行けどんどんの空気が支配する状況にあってもノーと言える国家リーダーが必要だったわけです。しかし、そんな空気に支配されてからでは、実は手遅れかもしれません。ノーと言うリーダーは抹殺され、竹やりでB29に立ち向かえというような空気に拍車を掛ける新リーダーが喝采を浴びて登場する可能性も大だったのかもしれません。  さきの大戦では、戦争相手国の惨状にも胸が痛みます。私たち一人一人が歴史を前に考えなければなりません。戦後七十年、政治社会システムは大きく変貌しましたけれども、日本は過去の過ちを繰り返さないほどに立派になったのか、そして、周辺諸国の状況はどうなのか、全てを総合判断し、国民の平和な暮らしと国の独立を守るために、憲法の枠内で必要なことは断行しなければならないと考えます。  そこで、中谷防衛大臣にお聞きをいたします。  戦前には、中国大陸などで軍部の暴走がありました。このため、過去の誤った軍国主義が再発しないかと心配している人も少なくないわけであります。私は、さきの大戦での失敗を繰り返さないために、戦後、我が国は何重もの制度的歯止めをつくり込んできたと考えます。過剰な自衛権の発動を防ぐ制度的な仕組みは今回の法案を含めきちんと整備されているのか、このことにつき、民主的統制の観点から、旧日本軍と自衛隊を取り巻く環境の違いなどを含め、国民が安心でき、政府に全幅の信頼を寄せられるような中谷大臣の深い歴史観に基づく答弁を求めたいと思います。
  30. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 旧憲法下におきましては、まず統帥権の独立としまして、軍の作戦などに関する事項について内閣とか議会の統制の及び得ない範囲が広く認められていたということでありまして、一時期を除きまして、軍部大臣現役武官制として、陸海軍の大臣、これは現役軍人でなければならなかったために、事実上、軍の意向に沿う内閣でなければ成立しなかった、軍の賛成がなかったら国策を立てたりこれを遂行することができなかったというようなことから、軍が不当に国政に影響を与えていたということが考えられるわけでございます。  そこで、戦後におきましては、終戦までの経緯に対する反省もありまして、自衛隊国民の意思によって整備、運用されること、これを確保するために、例えば国民を代表する国会、ここが自衛官の定数、主要装備などを法律、予算の形で議決をし、また防衛出動などの承認を行うということ、国の防衛に関する事務、これは一般行政事務といたしまして内閣の行政権に完全に属し、その最高責任者である内閣総理大臣その他の国務大臣は憲法上文民でなければならないということ、そして、防衛省におきまして防衛大臣自衛隊を管理、運営をして統制するなど、旧憲法下の体制とは全く異なり、各レベルで厳格な文民統制、この制度を採用をしてきているわけであります。  現在、参議院におきまして御審議をいただいている平和安全法制が整備された後におきましても、こうした我が国の文民統制の考え方は揺るぎがないものであり、自衛権行使について国会承認などの厳格な制度の下に慎重に判断をされていくことにつきましては何ら変わりがないわけでございまして、しっかりとこのシビリアンコントロール、この体制を維持してまいりたいと考えております。
  31. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 ありがとうございました。  少し、今から百年ほど前の話をしたいと思います。  第一次世界大戦の際、日英同盟が結ばれておりました。地中海のドイツ巡洋艦に対抗するため、一九一四年の開戦直後、イギリスから日本に対し艦船の派遣要請がございました。当初、加藤高明外務大臣は、余裕がないと断りました。しかし、その後、ドイツの潜水艦などによって連合国側の被害が増大しますと、再びイギリスから艦隊派遣の要請がありました。今度は日本政府は断り切れず、一九一七年になりまして、旧式ではございますけれども、巡洋艦「明石」を指揮艦として、駆逐艦を含めて十数隻の艦船を地中海まで派遣し、マルタとマルセイユの間などで船団を護衛しました。最新鋭の艦艇ではなかったけれども、それでも日本海軍の貢献は高い評価を受けたとされております。  実は当時、イギリス、フランスなどから欧州大陸に日本陸軍の派遣要請もありました。日本政府はこれを拒否しております。欧州大陸への日本陸軍の派遣の拒否は、対華二十一か条の要求などもあってイギリスの失望を招き、日英同盟の破棄の一因になったとの指摘がなされております。  今回の法案反対論の一つに、米国日本がより協力せざるを得なくなり、日本米国の紛争に巻き込まれやすくなるとの批判がございます。しかし、集団的自衛権行使に関する三要件を読みますと、かなり、かなり限定を掛けております。世界で一番厳しい制約ともされ、他国の紛争に巻き込まれるリスクは高まらないと私は考えております。  もう一つ大事なことがございますので、岸田外務大臣にお聞きをしたいと思います。これは極めて大事なことだと思います。  私は、米国世界の警察官をやめるという引きぎみの状況の中で、日米関係を通じて抑止力を維持強化するためにも、今回の法案は絶対に必要だと考えます。この点につきまして、岸田外務大臣はどのように考えているのか、御答弁をお願いいたします。
  32. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、前半部分、日本米国の紛争に巻き込まれるのではないかという不安があるという部分につきましては、そういったことは決してないということを申し上げたいと思います。  我が国武力行使を行うのは、あくまでも新三要件に該当した場合のみであります。そして、この新三要件は、国際的に見てもこれは極めて厳しい基準であり、憲法上も歯止めになっていると考えています。そして、我が国武力行使を認められる、新三要件に該当した場合認められる、そしてその一部が国際法上は限定的な集団的自衛権説明されるわけでありますが、この三要件は、我が国の法律の中に三要件全てが明確に規定されています。世界の主要国、米国、英国あるいは豪州等、主要国の中で自らの集団的自衛権を国内法で明確に規定している国はないと私は承知をしています。  そういった比較を考えましても、我が国のこうした基準は厳格なものであると思いますし、この基準に基づいて、我が国は、あくまでも我が国の存立、そして我が国国民の命や暮らしのために必要かどうか、こういった点から主体的に判断するわけであります。そして、その上、国会の承認を求められているという仕掛けになっています。こういったことから、これ、極めて厳格な運用が行われると思っております。  そして、米国との関係について御指摘がありました。  新三要件につきましては、まず、米国に対しましてはこれまでも丁寧に説明を続けてきました。新たな日米ガイドラインの中において、日本武力行使をするのは日本国民を守るためだと、これはっきり書き込んでおります。これ、日米の共通の認識であると認識をしております。  そして、米国はこれまで様々な機会において、アジア太平洋重視政策を継続する、これを繰り返し強調しております。こうした地域への米国の関与については我が国として歓迎しているところでありますし、今回の平和安全法制によって日米の信頼はより強固なものになると思いますし、日米同盟の抑止力は一層強化されることにつながると考えております。
  33. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 岸田大臣、ありがとうございました。  本法案国民理解を得て成立するためのもう一つの大事な条件でございます、憲法の議論に移りたいと思います。  憲法九条と自衛権関係に関しまして、憲法の制定論議の当時から今日に至るまでの政府見解の大まかな流れを御説明いただけますか、内閣法制局長官。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
  34. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 長い経緯、歴史のある事柄でございますが、概要のみ御説明いたします。憲法制定時、自衛隊発足時の答弁、昭和四十七年の政府見解、そして昨年七月の閣議決定、その順で御説明したいと思います。  昭和二十一年六月二十六日の衆議院本会議において、吉田総理は、憲法第九条について、戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定してはおりませぬが、第九条第二項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄したものでありますなどと答弁しております。  もっとも、これについて吉田総理は、昭和二十六年十月十八日の衆議院平和安保条約特別委員会において、私の当時言ったと記憶しているのは、しばしば自衛権の名前でもって戦争が行われたということを申したと思いますが、自衛権を否認したというような非常識なことではないと思いますなどと答弁しており、政府として我が国自衛権そのものを否定したことはないと理解しております。  その後、我が国をめぐる国際情勢の大きな変化背景に、昭和二十五年には警察予備隊が組織され、昭和二十七年の保安隊への改組を経て、昭和二十九年に自衛隊が発足しております。  自衛隊発足当初、自衛隊と憲法第九条の関係が大きな議論となっておりますが、大村防衛庁長官は、昭和二十九年十二月二十二日の衆議院予算委員会において、もとより我が国に対する武力攻撃が発生している場合を前提としているわけでございますけれども、答弁として、憲法第九条は、独立国として我が国自衛権を持つことを認めている、したがって自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではないなどと説明しております。  一方、集団的自衛権につきましては、国連憲章において初めて登場した概念であり、昭和三十年代におきましては、その内容等についてなお議論があったことから、他国への基地の提供なども集団的自衛権と呼べないことはないのではないかといったような答弁もございます。  その後、集団的自衛権個別的自衛権といいますのは、武力行使に係る概念、すなわち武力行使する場合の要件であるという理解が定着しております。  その上で、昭和四十七年の政府見解は、憲法の前文及び十三条の規定を踏まえ、外国武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合に限って憲法第九条の下で例外的に自衛の措置としての武力行使が許されるという基本的な論理を述べた上で、その基本的な論理に当てはまるのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみであるという当時の事実認識を前提として、結論として、憲法第九条の下で自衛の措置としての武力行使が許容されるのは我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られる、すなわち、いわゆる集団的自衛権行使は許されないということを述べております。  昨年七月の閣議決定では新三要件をお示ししておりますけれども、安全保障環境の大きな更なる変化を踏まえまして、昭和四十七年の政府見解の基本的な論理、すなわち憲法第九条の下でも例外的に武力行使が許されると考えられるその理由、根拠ということでございますけれども、これを維持した上で、それを前提として、これに当てはまる極限的な場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまると判断するに至ったところであり、その結果として昭和四十七年見解の結論の一部が変更されたところでございます。新三要件を満たす場合の限定的な集団的自衛権行使は憲法上許容されるという考え方に至っているわけでございます。
  35. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 ありがとうございました。  ただ、憲法の文言は制定時から全く変わっていないのに、国の方針が変わってきたかのように一見見えるわけでございます。そこで、国民の中で、一体どうなっているのかという疑問を持っている方もいるわけであります。話が難しくなってくれば、これはやはり原点に戻るしかないわけであります。憲法の規定の最終解釈権を持つ最高裁の判断に戻るほかないと思います。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  砂川事件大法廷判決、憲法の番人の九条に関する唯一の判断でございますけれども、大法廷全員一致でこのように述べております。国家固有の権能の行使として当然のこと、この当然のことというのは必要な自衛のための措置でございます。  しかし、残念ながら、この最高裁判決、必要な自衛のための措置は可能としか述べておらず、必要な措置の具体的な内容、程度については絶対的な基準を示していないわけであります。  ただ、現実の国防はよく分からないといって済む話ではないわけです。政府は、国民の平和な暮らしと国の独立を守る責務があります。分からないでは無責任であります。最高裁が沈黙している部分を政府は真摯に憲法を解釈し埋める作業をしていかなければ、国を守るため適切に自衛隊を動かせないわけでございます。  その一つの作業の例が一九七二年の政府見解だと思います。その見解で、必要最小限度の範囲にとどまるべきだと、このように述べております。つまり、最高裁は必要な自衛のための措置は可能だとし、政府はその措置は必要最小限度の範囲にとどまるべきだとしてきたわけであります。  この枠組み、基本ルールについては、私の理解では、少なくとも、自衛隊を保持して以降、政権に参画した政党に所属する多くの国会議員、それなりの数の憲法の研究者もお認めになるのではないかと思います。  この一九七二年の政府見解が出た当時、中国に近年のような軍事膨張主義は見られず、北朝鮮に弾道ミサイル、核もない状況でした。当時の安全保障環境では、米国の相対的軍事力は圧倒的に強大で、集団的自衛権行使必要性我が国側には全くなく、集団的自衛権行使は必要最小限の措置を超えていると政府は判断したため、一九七二年見解では集団的自衛権行使は憲法上許されないと述べたと私は理解をしております。  しかし、その後、四十年以上が経過をしたわけであります。安全保障環境は悪い方に激変をしてまいりました。その結果、限定的な集団的自衛権行使が必要最小限の措置の枠内に入ってきた、現れてきたのではないかと私は考えます。  つまり、物騒になってくれば、ならず者、無法者が日本の周りにもし出てくるようになれば、必要最小限の措置レベルを高めなければならないと政府は考えたのではないでしょうか。自衛のための措置は必要最小限度の範囲という基本ルールは変わっておりません。この意味で、法的安定性は保たれているというのが政府見解ではないのか。  ただ、新三要件の枠にとどまらない、いわゆるフルスペックの集団的自衛権行使は基本ルール違反、つまり憲法違反だというふうに政府が考えていると私は思うわけでございますけれども、内閣法制局長官、いかがでございましょうか。
  36. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘のとおりでございます。  必要最小限度という御指摘もあったわけですけれども、まさに先ほどお答えしたとおり、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態というまさに究極の場合のみに武力行使ができるという、そういう意味でありまして、何か裁量的あるいは数量的に集団的自衛権行使ができるんだという意味での必要最小限という、そういう言葉の使い方ではありません。省略してそのように言うこともございますけれども、その意味で新三要件というのは、まさに憲法の規範性を明らかにすると、そういう意味での厳格、明確な要件として定めているものでありまして、それによって限定された集団的自衛権行使というものは憲法に適合するものであります。  ただし、それから外れるもの、国際法上、他国防衛する権利として観念される集団的自衛権行使集団的自衛権一般、それを行使するということは憲法に違反すると、もしそれをやるのであるならば憲法の改正が必要であるという考え方は変わっておりません。
  37. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 ありがとうございました。  最後に、砂川事件最高裁大法廷判決に記載されました田中耕太郎長官の補足意見の一部を御紹介申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。  自衛は国家の最も本源的な任務と機能の一つである、防衛力の規模及び充実の程度やいかなる方策を選ぶかの判断は、これ一つにその時々の世界情勢その他の事情を考慮に入れた、政府の裁量に係る純然たる政治的性質の問題である。  以上、終わります。
  38. 白眞勲

    白眞勲君 おはようございます。民主党白眞勲でございます。  まず、冒頭、法的安定性は関係ないという発言をしました礒崎首相補佐官について御質問をしたいと思います。  大変恐縮ですけれども、この件、質問通告はしていませんので、思った限りのことで結構でございますので、御回答いただければというふうに思います。  まず、防衛大臣にお聞きいたします。礒崎さんは総理にとってどんな人なんでしょうか。
  39. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 補佐官でございまして、特に安全保障担当ということでございますので、総理を助け、また総理に対していろんなアドバイスをされる立場にあるべき方だと思っております。
  40. 白眞勲

    白眞勲君 中谷大臣、どうですか、礒崎さんは、感想、いい人なんでしょうかね。
  41. 中谷元

    国務大臣中谷元君) もう十数年前に武力攻撃事態法、いわゆる有事法制、これを作成したときに内閣官房に勤めておりまして、こういう作業もされておりまして、非常に有能な、事法律や安全保障に対しましては非常によく勉強された立派な方だと認識しております。
  42. 白眞勲

    白眞勲君 いや、そうなんですね。非常によく勉強された、つまりその安全保障に関するエキスパートであるということを今防衛大臣がおっしゃった。それが法的安定性は関係ないとおっしゃったということは、これはどういうことなんだろうなと思うんですが。  山谷大臣、いらっしゃっています。参議院の仲間として、山谷大臣、どうでしょう、仲はよろしいんでしょうか。
  43. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 一昨日、礒崎補佐官、この国会の場で、誤解を招くような発言があって申し訳なかったというようなことで、その真意を説明されたと承知しております。
  44. 白眞勲

    白眞勲君 何か余り仲がいいのかどうかをお答えにならないということは、言いにくいのかなというふうに私は今思ったんですけれども。  そこで、山谷大臣は誤解を招くということを今おっしゃいました。確かに、法的安定性は関係ないという表現を使ったことによる大きな誤解を与えた、発言を取り消し、深くおわびを申し上げますということを礒崎さんはおっしゃっているんですけれども、これ、誤解というのは誤った解釈を誰かに与えたということなんですけれども、例えばナチスの手口をまねたらいいとか、そういう話を誰かがやったとしますよ、例えば。そのときに、誤解を招きました、済みませんというのは私は分かるんです。しかし、今回は法的安定性は関係ないと、これ直球ど真ん中なんですよ。直球ど真ん中の話をしておいて誤解を与えるということはよく分からないんですね。  つまり、憲法違反をしてもいいんだということなんですね。憲法違反をしてもいいんだということを、まさに安全保障のエキスパートであられると今、中谷大臣がお認めになった方が、九十九条には、憲法には遵守義務があるわけですよ、その遵守義務を担う人が憲法違反していいんですよと。誤解なんか、これどうにもならないんです。まさにそのものなんです。  私が申し上げたいのは、こうやって直球ど真ん中の話をしてしまったら、周囲、国民は、今この法案が憲法違反なんじゃないかという、そういうふうに思っていらっしゃる方いっぱいいらっしゃいますから、そういう中でこういう話が出てくると、ああ、やっぱり内閣はこの人をずっとこのまま使うのであるならば、憲法違反してもいいんだということを幾ら誤解だ誤解だと言っても、言っている以上はもうしようがないんですね、これ。早く辞めさせた方がいいと思いますよ、私は。  ちょっとこれは、じゃ外務大臣にお聞きしたいんですけど、こうやって一生懸命我々は今議論しているわけですよ。後ろからどんどん鉄砲を撃ってきているわけですね、こういう方々が。どう思われますか。
  45. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 礒崎補佐官においては、自らの発言、法的安定性は関係ないという発言は撤回し、謝罪をされたと承知をしています。  法的安定性あるいは論理的な整合性、これが重要であるということはこれは言うまでもないことであります。我々はそれを大前提にしながら議論をしているわけでありますので、この政府の方針につきましてこれからも丁寧にしっかりと説明を続けていきたいと考えています。
  46. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、撤回をしたといっても、撤回しようがないんですよ、一回言ってしまった言葉というのは。私もそれは注意しなきゃいけないなと思っているんです。これは別に、何というんですか、こういう席だけじゃなくていろいろな席でも、一回言葉が出ちゃうと引っ込めることはできないわけなんですね。  であるならば、そういうふうに言ってしまった、総理の周辺の安全保障のエキスパートの人がそうおっしゃっているならば、これはもうやっぱり辞めていただく。別に、僕は礒崎さんとエレベーターの中でも会ったりしますけれども、普通に話しますよ、いい方だとは思いますよ。だけど、こういう発言をしてしまった以上は、内閣の意思表示として辞めさせるのが私は筋だと、辞めていただくのが筋である、そういうふうに私は思っております。  それから、先ほど、自民党の質問東京新聞についての言及がありました。今、防衛大臣がお答えいただいたんですけれども。東京新聞記事の中の当てはまるところというのは、安倍総理が昨日の発言で、一隻で単独で来ることはございませんが、これはいわゆる存立危機事態においてはですよね、どういうフォーメーションかということについては、これは運用に関することでございますから答弁を控えさせていただきますと。いずれにせよ、それがあったとしても、もちろんアメリカ側は自己完結型でありますから、できる限り防護を固めてまいりますが、であったとしても、言わば北朝鮮有事のような状況の中においてはできる限りの防備を図るのは当然のことでありますというふうに言っています。  この答弁と先ほどの中谷大臣の答弁とはどういう違いがあるんでしょうか。そこの総理の答弁はそのままでよろしゅうございますか。これはいわゆる存立危機事態においてということでお聞きしたいと思います。
  47. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日の御質問日本防衛の、北朝鮮の有事についてであったということで、その前提で総理はお答えをしております。総理アメリカイージス艦単独で来ることはないと述べた趣旨は、米軍日本防衛我が国の近隣の事態等に対処する場合には、通常は単独で行うことはないということでございます。  その上で申し上げれば、米軍武力攻撃を受けているような状況で、警戒監視等のその後の個別の活動において、その任務の内容や海域における状況により、単独で航行することもあれば複数で行動することもあり得るというのは当然でありまして、昨日の質疑において、総理は、米国イージス艦を多数保有しているが、様々な事態が同時に生起することもあって、我が国の高い能力を持ったイージス艦部隊等が協力をして米艦を守るということは十分にあり得るとも述べております。
  48. 白眞勲

    白眞勲君 全然答弁が、これ、何かあやふやなんですよ。  私が聞いているのは、昨日の総理の答弁を維持するのかどうか、このイエスかノーかについてお聞きしたいんです。それだけお答えください。
  49. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 維持をいたします。御質問が……(発言する者あり)はい、じゃ、維持をいたします。
  50. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございました。  それでは、続きまして、後方支援について防衛大臣に確認したいと思いますけれども、この安保法制の中で、重要影響事態安全確保法そして国際平和支援法においては武器と弾薬の輸送は可能であるということでよろしいですね。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしましては、武器と弾薬の後方支援等につきまして可能であるという認識でございます。
  52. 白眞勲

    白眞勲君 では、もう一つ確認なんですけれども、七月二十九日の防衛大臣の御答弁で、米軍ミサイルは輸送できるのかという質問に対しまして、大臣は、法律では除外をした規定はございませんとされていますから、運べるということでよろしゅうございますね。これも確認でございます。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ミサイルは弾薬に分類しておりますが、ただし、日米間のACSAによりましてミサイルは除くということになっておりますので、ミサイルを輸送するということは想定はしてないということでございます。
  54. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私が聞いているのは想定ではございません。条約というのは変わります。それでなくて、法文上は可能かどうかを聞いているんですけれども。
  55. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法文上は可能でございますが、ACSAにおきましても条約でございます。
  56. 白眞勲

    白眞勲君 法文上はミサイルは可能だということは分かりました。  それでは、日本自衛隊が核弾頭付きのミサイルを運ぶことは法文上可能ということになりますね。──早く答えてください。
  57. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、輸送については可能であり、提供においては法律上はしないということでございます。それは一般論であります。  それから、核につきましては、我が国は当然核兵器は保有をしていないわけでございますし、米国もその存在を明らかにしてないわけでございまして、核兵器を輸送するということは想定もしておりません。
  58. 白眞勲

    白眞勲君 これからは、そうすると、日本自衛隊は核兵器を運ぶことがこの法文上可能になるということでございますね。法文上です、私が聞いているのは。──早くしてください。ミサイル可能なんだから、可能でしょう。
  59. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法文上は排除しておりませんが、ただし、ACSAにおきまして、ミサイル、これは含まないということになっております。また、それ以上に非核三原則というのが我が国はございますので、この原則は維持するということでございます。
  60. 白眞勲

    白眞勲君 これは、ACSAは条約なんです。我々今法文の審査をしていて、そうやって別の条約をあちこち持ってこないでいただきたいんですね。  それから、非核三原則というのも、これは日本国内においてという話なのであって、公海上とかあるいは外国においては関係ないわけなんですよ。だから、これ大変なことなんですよ。  つまり、法律をよく見たら……(発言する者あり)もう一回確認しろということですから、じゃ、もう一回確認しましょう。  じゃ、日本自衛隊は核兵器を運べるということでよろしいですね。
  61. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど、武器の輸送について法律上運ぶことができないとされているということでございましたが、これは法律上は特定の物品の輸送を排除する規定はないということでございます。  ただし、核兵器につきましては非核三原則もございますし、また、米国自身もそういうことは表明をしていないわけでございますので、全く我が国としてはそういう核兵器の運搬につきましては想定をしてないということでございます。
  62. 白眞勲

    白眞勲君 法文上は可能かどうかだけを私は聞いているんです。想定はしてないとかそんな話じゃないんです、私は。  法文上可能かどうか、イエスかノーかだけお答えいただきたいと思います。この法律によって、もう一回聞きますよ、この安保法制、十一本の安保法制によって、これからは日本自衛隊が核兵器を運ぶことが可能になるかどうか、イエスかノーかだけでお答えいただきたい。
  63. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法文上は排除はしておりませんが、ただし、そういうことは全く想定もしておりませんし、非核三原則がございますのであり得ないということでございます。
  64. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、これ大変なことです。大変なことなんですね。法律をよく見たら核兵器も運べることになっているということですよね。これ、とんでもない話ですよ。  安倍総理はこう言っていますよ。日本は七十年前、長崎そして広島において、それぞれ一発の爆弾、原爆によって多くの命が失われ、そして人生も将来も失われたわけであります、生き残った方々も辛酸をなめながら塗炭の苦しみの中で人生を送ってこられたわけでございまして、我が国世界で唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて国際社会の取組を主導していく決意でありますと言っておきながら、片や自衛隊が戦後初めて核兵器の輸送を行える法案を通そうとしている。これ、めちゃくちゃですよ。  岸田大臣にお伺いいたします。  大臣は、地元が広島でいらっしゃいます。あした、まさに広島に原爆が落とされた七十年目の日に当たるわけですね。私も、あした、広島の平和祈念式に参加するつもりなんですけれども。大臣、びっくりしたような顔されているんですけれども、知らなかったのかなと思うんです、これ。知っていましたか、この話、つまり核兵器を持っていけるということ。これ、知っていたかどうか聞きたいんですけれども、核兵器を日本自衛隊が輸送できる法案だということです。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 知っていたかという御質問ですが、法律の解釈についてはただいま防衛大臣から説明があったとおりであります。そうした説明について、この法律の現状について、今私自身も承知をしたところであります。
  66. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、外務大臣、今承知をしたということですよね。知らなかったということなんですね。  私は、やっぱり被爆地出身の大臣として、当然これは議員となって被爆地の思いを胸に、また外務大臣は国連でもNPT運用会議において演説されているわけですよね、この前。もうこの法案、広島出身の大臣としては国民に謝罪して白紙撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。大臣、お答えください。
  67. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 法律の解釈については防衛大臣からの説明のとおりだと理解いたしますが、これはあくまでも法律に基づいて我が国が主体的に判断し、そして対応するものであると承知をしております。我が国が主体的に判断する際に、非核三原則を始め、我が国の今日までの核に対する政策、姿勢を考えた場合に、我が国として、そうした核等を運搬するということはあり得ないと私は思っております。それは決してあり得ないということだけはしっかり申し上げたいと思っています。
  68. 白眞勲

    白眞勲君 今外務大臣、あり得ないと言うけど、今知ったばかりの方があり得ないかどうかというのはどこかで確認されたんですか。  じゃ、もう一回防衛大臣にちょっと確認したいんですけど、先ほど、提供することは法文上できませんと言ったかどうか、核兵器を提供することは法文上できませんと言ったかどうか、これちょっともう一回答えていただけませんか。
  69. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本は核兵器を持っておりません。したがいまして、提供できないということでございます。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 いや、持っていないから提供できないんじゃなくて、法文上提供できるかどうかなんです、私が聞いているのは。それはどうなんでしょうか。
  71. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 核兵器は三原則がありまして、持たず、作らず、持ち込ませず。事実、日本は保有をいたしておりませんので、それを提供することはあり得ないと、ないということです。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 核兵器は消耗品なんでしょうか。核兵器は消耗品なんでしょうか。
  73. 鴻池祥肇

  74. 白眞勲

    白眞勲君 核兵器は消耗品ですか。核兵器は消耗品ですかと聞いているんです。  後ろからぺらぺらしゃべるから駄目なんだ。もう一回よろしいですか、委員長
  75. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 白君。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 大変、委員長にちょっと申し上げたいんですけれども、後ろからぺらぺらしゃべっているから私の質問聞けなくなっているんですよ、大臣が。ちょっとこれは御注意願いたいと思います。
  77. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 核兵器は、核弾頭を持っております。これは、我が国は保有をしていないということでございます。分類につきましては、弾薬に当たるということでございます。
  78. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、法制局長官にちょっとお聞きしたいと思います。  憲法上核兵器は持つことは可能かどうか、これを聞きたいんですけれども。
  79. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 憲法上核兵器を保有してはならないということではないというふうにこれまで答弁しております。
  80. 白眞勲

    白眞勲君 もう本当に、今日は私もちょっと驚き驚きの大変な状況になってきているんですけれども。  ちょっとここで、私もこの法文いろいろと眺めていて、すごく、あれ、どうなっているんだろうなというのがあったんですよ、私自身が。それで、原爆投下から七十年ですよね。それから、今日も暑いですよ、毎日暑い中で、私最近気になっているのは、電力不足という言葉が余り報道で私自身は聞いたことないんです、最近。だけれども、政府は原発の再稼働をやっぱりやろうとしているわけですよね。  ということは、安倍政権は、もしかしたら核抑止力を、我が国の独自の核抑止力、そういったことで持ちたいのかなというふうにも思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
  81. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、国内において非核三原則を始め様々な原則を持つと同時に、国際社会においてNPT条約、核兵器不拡散条約の締約国であります。この条約を誠実に履行するために、我が国として核兵器を持つことは決してないということは明確に申し上げておきたいと存じます。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 いや、もちろんこれは今までの政府の公式な見解ですけれども、今法制局長官も憲法上は持てるんだとか、あるいはこの法律でも輸送ができるんだということを確認したわけなんですね。  もう一回ちょっと聞きたいと思いますが、防衛大臣、毒ガスは運べるんでしょうか。
  83. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本は、毒ガスは持っておりませんし、またそういうこともしたことはございません。
  84. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私が聞きたいのは、法文上、この法文上です。私たちは、この今法案を審議しているんです。この法文上、毒ガスは運べることになっているのかどうか、輸送ができるかどうかです。
  85. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法文上は除外はしておりませんが、現在ある周辺事態法、これの輸送、この中には、そういった除外規定というのは毒ガスに関してはないということでございます。
  86. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、大量破壊兵器はというか核兵器、毒ガスなどの化学兵器を含む、これ、この世にある全ての兵器、弾薬はこの法律で運べるということでよろしゅうございますね。
  87. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現実に持っておりませんので、運ぶことは想定していない。また、NPT条約とか化学兵器条約につきましては、日本はこれに加盟をいたしておりますので、我が国が保有をするということはあり得ないわけでありまして、それを運ぶということは全くあり得ないということでございます。
  88. 白眞勲

    白眞勲君 いや、防衛大臣は分かっていておっしゃっていると思うんだけれども、頼まれて運ぶわけですよ。だから、そういう面で法文上運べるかどうかを──済みませんが、後ろからぺらぺらしゃべらないでもらいたいんですよ。私早口なんだからちゃんと聞いてくれないと、後ろからぺらぺらしゃべられると、幾ら中谷大臣がいろいろな耳があったとしてもなかなか難しいと思うんです。  これ、大量破壊兵器、私は、法文上、全てのこの世にある兵器、弾薬はこの法律で運べるわけですねと聞いているんです。
  89. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 確かに、法律上は特定の物品の輸送を排除するという規定はございません。ただし、実際の輸送に対しては、いつ、どこへ、どのような物品を輸送するかなどにつきましては、支援対象国からの具体的な輸送の要請内容、これがございます。  この地域の情勢、また自衛隊の部隊の運用状況等を踏まえまして、輸送を安全に行うことができるかについて評価をして、個々の輸送の都度、自衛隊として主体的に実施の可否を判断することでございますが、我が国は国是といたしまして非核三原則がありますし、生物化学兵器、これは保有しないという条約を結んでおりますので、それはあり得ないし、そういう場合におきましては拒否をするということでございます。
  90. 白眞勲

    白眞勲君 中谷大臣、それは政策上の判断、今おっしゃった中のただしから以降は、これは政策上の判断なんですね。  だから、もしそういうことであるならば、最初からこの法案に、せめて大量兵器は除くとか非人道兵器は除くとか書いておくべきじゃなかったんでしょうか。それ、どうなんでしょうか。
  91. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 個々具体的にそういう要請に基づいて自衛隊は主体的に判断をしていくわけでございますので、我が国は非核三原則もありますし、NPT条約にも入っておりますし、生物化学兵器は保有しないという条約もありますので、そういうことはあり得ないし、また、そういうことがあっても断固拒否をするということでございます。
  92. 白眞勲

    白眞勲君 私、もう同じ言葉ばっかり繰り返しているので次に行きたいと思うんですけれども、ただし、要は、簡単に言えば、大量破壊兵器、この世にある全ての兵器、弾薬はこの法文上運べるということはもうお認めになっているわけなんですよ。  そういう中で、もう一つ聞きます。補給についてお聞きします。核ミサイルや核爆弾を積んだ戦闘機や爆撃機に給油はできますね。
  93. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律上、現に戦闘行為が行われていない現場でありましたら、一体化をしないということで給油はできるということでございます。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 空中給油もできますね。
  95. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律上は、現に戦闘行為が行われていない現場でなければ実施はできるということですが、これはやはり、いろんな要請があって現場の状況をよく判断をする、いわゆる政策判断として実施をするということでございます。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 今、中谷大臣は政策判断なんだと言ったんです。法文上は書いていないです。  じゃ、もう一つ。核ミサイルを積んだ原子力潜水艦に補給はできますね。法文上だけお聞かせください。イエスかノーかだけです。法文上。
  97. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほどお答えをしたとおりでございまして、我が国は非核三原則もございますし、核に関しては、全く運ぶという選択肢はない、補給をするという選択肢もないということでございます。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 いや、大臣、私、法文上を聞いているんです。何度も私に言わせないでいただきたいんですけれども、原子力潜水艦、核ミサイルを積んだ原子力潜水艦に補給はできますね。
  99. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、一つ前提といたしまして、現行の周安法におきましても、武器弾薬ごとに、提供が想定されないというものについては法律上除外する規定は設けていましたが、これらの項目に含まれる個別の物品のうち、提供や輸送が想定されないものについて、法律上一つ一つ明示的に除外をするという規定もありませんし、その必要があるとは考えていないということでございます。
  100. 白眞勲

    白眞勲君 要は全部できるんですよ。要は何でもできるんですね。  じゃ、これで、ちょっとまた別の輸送中の話を聞きたいと思います。自衛隊がトラックで何らかの物を輸送中、これ、危なくないところで運ぶというんでしょうか。今までの話ではそうですよね。危険じゃない、危なくないところで運ぶということですよね。だったら、私思うんですね、危なくないところで何で自衛隊が運ぶのと。だったら自衛隊が行かなくていいじゃないですか。民間の輸送会社が行けばいいんですよ。日本通運みたいなところが行けばいいじゃないですか。何でこれは自衛隊が行かなきゃいけないんですか。
  101. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一つは、憲法上、武力行使の一体化がされないように、戦闘が行われている現場でないところということにいたします。もう一つは、やはり安全かつ円滑に活動を実施し得るところということで実施区域を指定をいたします。その範囲で実施をする。  実際、過去、PKOにおきましても物資輸送の任務を実施をいたしましたが、しっかりと安全に実施ができる区域ということを大臣が指定をしてその中で行ってきたということでございますので、安全というのは非常に大事なファクターとして、そういったところが確保できるところを指定をするということでございます。
  102. 白眞勲

    白眞勲君 だから、今私が聞いているのは、安全だったら別に自衛隊が運ばなくていいじゃないですかということを言ったんですね。そしたら今、イラクに行かれた議員さんから、安全といったって安全じゃないときもあるんだよみたいなことも言っているわけですね。だから、私は思うんですよ……(発言する者あり)いや、こういうふうに言ったんですから……(発言する者あり)ちょっと、ちょっと、まあいいや、これは後でまた議論しましょう。  それで、現地の私は運送屋さんに頼んだっていいと思っているんですよ、それだったら。現地の運送屋さんに頼めば、土地カンもあるわけだから、その方が。自衛隊が行くよりよっぽどいいんじゃないでしょうか。  もう一つ、自衛隊が行くとして、危なくなったら輸送を中止するわけですよね。逆に、私が敵だったら、輸送するということがはっきりしている、危なくなったら帰るんだというんだったらば、そこを狙いますよ、帰らせるために。逆に日本自衛隊は危ない目に遭うんじゃないんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
  103. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それは、これまでも経験がございますが、しっかりと情報収集をし、そして計画を立て、そして相手に狙われないような対策、措置を講じ、また装備も構え、そういう安全に関する考慮をした上で実施をするということでございます。
  104. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、全然私の質問に答えていないんですよ。私は、安全だったら行く必要ないじゃないか、民間でいいじゃないですかと言っているのに対しても全然答えない。いや、安全なところを探して情報を得るんです、それじゃ答えになっていないんですよ。  もう一つ聞きましょう、リスクが高まるという中で……(発言する者あり)いや、もうこれ幾ら聞いても同じことしか答えてくれそうもないから、ちょっと先へ進みたいの、私。  リュックに例えば、安全じゃないと言ったって、今度は武器弾薬を入れるわけですよ、武器弾薬を持っていくわけですね。そうすると、例えばリュックの中に水と食料を入れているときとは違って、今度は爆弾を背負っているということですよ。これ、リスク高まることになりませんか。
  105. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在も自衛隊は武器弾薬を輸送しておりまして、そういった対応につきましては日頃から備え、心構えをしております。  民間がやればいいじゃないかということですが、これは軍事的なオペレーションの中の活動の一環ということでありますので、自衛隊はしっかり装備を構えております。また、そういった不測の事態に対する訓練も重ねております。そして、情報も持ちながら現地で判断をして危険を回避するというような能力も持っておりますので、やはり民間ではできない、こういった訓練をした自衛隊、これが実施するということですし、それが安全を確認しながらやっていくということでございます。
  106. 白眞勲

    白眞勲君 今防衛大臣はまたおっしゃったんです、軍事オペレーションだって。ということは、これは武力行使の一体化じゃないですかと私は思いますよ。  それから、別に攻撃を受けなくたって、弾薬を運んでいる、あるいは毒ガスも運べるようになっているわけですよ。そうすると、これ、トラックが事故を起こす可能性だってあるわけですよ。ですから、これ、今まで以上にリスクは絶対に高まるんじゃないんでしょうか。水、食料と比べてリスクは高まらないんですか。これをお聞きしているんです、私は。お答えください。
  107. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の法律には、武力行使の一体化にならないような規定もありますし、安全に関しては、それを回避をし中断をするような規定もございます。また、実施区域の指定もございます。  何よりも、実際にいつ、どこへ、どのような物品を運ぶか等につきましては、相手側の具体的な要請、これに基づいて、自衛隊が本当にそれを安全にできるかどうか、そういうことも判断をしまして、その都度都度、自衛隊として判断をして主体的に行動していく。その際には、こういった戦闘行為になるような地域に入らないとか、また、現場で、そういった地域にならないような、活動においても的確な状況判断をいたしまして、しっかりとリスクを管理をして実施をするということでございます。
  108. 白眞勲

    白眞勲君 今、リスクはある、リスクを管理するんだ。当然、これは自衛隊員が負傷する可能性というのはあるわけですよね。  ですから、私、ここで厚生労働大臣にお聞きします。  これ、負傷した場合の件なんですけど、まずちょっとその前に、厚生労働大臣として、国内で医療行為ができるのはお医者さんだけですよね。海外では医師法は通じるんでしょうか。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、国内法の医師法が通じるかと、海外で、これについてでございますけれども、管轄権の及ぶ領域の範囲に効力が限られていることが国際的に広く認められておりまして、日本の法律である医師法やあるいは麻薬及び向精神薬取締法、こういったものにつきましては日本の領域内で運用がなされることになるということでございまして、このため、今御指摘の海外で仮に医療行為が行われるというようなときや、モルヒネを投与するといったことについては、これらの法律の適用はないと考えております。
  110. 白眞勲

    白眞勲君 要は、海外ではできないということ。  そういう中で、防衛大臣にお聞きします。いわゆる衛生兵っていらっしゃいますよね。衛生兵は医師免許や看護師の資格は持っているんですか。衛生兵、いわゆる衛生兵。
  111. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 医師である者もいますし、また、救護士ということで医師免許を持っていない者もいますし、看護婦の資格を持っている者もおります。
  112. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと委員長、何かこれはっきりしてもらいたいので、後ろの方でこれはちょっとアドバイスをいただいてもいい。ちょっと止めていただいて、きちっと答えていただきたいと思うんですが、もしよろしければお願いします。
  113. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 白君、質問を続けてください。
  114. 白眞勲

    白眞勲君 それでは、質問を続けるようにということですので質問しますけれども。  つまり、私の方から言いますと、医官というのがいらっしゃいますね。医官の方は、これは医師免許を持っていらっしゃる。しかし、衛生兵の方の中には、まあ衛生兵とは言わないらしいですが、いわゆる衛生兵と言った場合には、看護師の資格を持っていらっしゃる方もいらっしゃると私は聞いています。でも、私は思うんです。今、国内では、じゃ、このいわゆる衛生兵の方は、注射を打ったりモルヒネを打ったりしている訓練はしていますか。
  115. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 救急救命士の資格を持った者はおりますが、国内においてそういった医療行為を実施はしておりません。
  116. 白眞勲

    白眞勲君 そうなんですね。  そういう中で一つ私がお聞きしたいのは、今度、これでリスクがあって負傷する可能性がある、負傷する。医官はそんなに多くないですね、私、話を聞いたら、連隊レベルでいらっしゃるかどうか。コンボイをつくっているトラック部隊がもし何かの形でIED、いわゆる仕掛け爆弾とかなんとかで、あるいは交通事故かもしれない、そういう誘爆を起こした。大きな負傷者が出た。そのときに、じゃ応急手当てをしなきゃいけません。  その応急セットで私が聞きたいのは、陸上自衛隊の応急セットはアメリカ軍と比べてどっちが、数だけ教えてください、何品目入っているか、数だけで結構、中身言い出すとこれもうずっと時間掛かっちゃうから。アメリカ軍と比べて何品目なのか、日本の。それを教えてください。
  117. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平成二十三年以前は一点でありました。そして、二十三年より三か年掛けて、個人携帯救急品として、常時装備が三品目及び海外派遣の任務に応じた追加装備品が五品目、合計八品目、これを整備したところでございます。
  118. 白眞勲

    白眞勲君 アメリカはどうでしょうか。
  119. 中谷元

    国務大臣中谷元君) アメリカの部隊につきましては、陸上自衛隊と同様の構成品で、包帯等が複数あると、また、アイカップという目の保護具ですね、こういうのが追加されているということでございます。
  120. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、どういうことかといいますと、いわゆる東日本大震災までは包帯ぐらいしかなかったんですね。はさみも付けていなかったんですよ。それでいて、今度はやっと三品とか五品とか八品になったけれども、いまだもってアメリカの部隊に比べたら、今、アイカップというのは非常に重要でして、目を、何というのか、防護するという非常に重要なものなんですが、そういったものもないわけですよね。  つまり、どういうことかというと、もう一回ちょっと整理しますと、まず、衛生兵は医療行為ができないから、もしそこで何かあったとしても、本当に救えないんですよ。そして、負傷者が出た場合には、何というんですかね、医療セットもまだまだ不十分ですね、そういうふうな状況の中で。  じゃ、もう一つ聞きます。いわゆる装甲救急自動車、つまり装甲の施された救急自動車は、自衛隊は持っていますか。
  121. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊は、負傷した隊員、これを後送するための救急車、これは保有をいたしておりますが、装甲された救急車、これは保有をいたしてないということでございます。
  122. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、一台も保有されていない。一台も保有されていなくて、負傷した兵士、兵士というか自衛隊員が、本当にそういう面で自衛隊、これ私、防衛大臣、やっぱりそういったところをきちっと法整備をして、衛生兵が救急対応できるようにして、それからじゃないと、自衛隊海外に出すなんて、私はとんでもないというふうに思っているわけなんですね。  ですから、そこの部分、もう少しきちっとされないと、装備もできていない、法律も整備されていない、私は、自衛隊をこれで派遣するなんて、とんでもないんですよ。だから、要するに、今までの答弁というのは、安全ですから、安全ですから、考えなくていいんですよと、安全なんだから考える必要ない。それでは派遣される自衛隊員が余りにも私は気の毒だと思うんですよ。  ちょっとここで、ホルムズ海峡の機雷掃海についてお聞きします。時間も十分ぐらいしかなくなった。  それで、外務大臣にお聞きいたします。これ事前レクしていません、事前レクしていないので、知らないなら知らないということで結構でございますが、六月十五日に第十回日本・イラン局長級協議が外務省で開催されたことを報告受けていらっしゃいますか、あるいは御存じでいらっしゃいますか。
  123. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日本とイランの間においては様々なレベルで意思疎通を図っていること、これは承知をしておりますが、御指摘会議の中身、具体的なものについては今承知はしておりません。
  124. 白眞勲

    白眞勲君 中東アフリカ局長、今日来ていらっしゃいますね。六月十五日の月曜日に東京の外務省で、先方がモハージェル・イラン外務省東アジア大洋州局長で、第十回日本・イラン局長級協議が開かれましたね。確認です。
  125. 上村司

    政府参考人(上村司君) そのとおりでございます。
  126. 白眞勲

    白眞勲君 その席上、中東局長にお聞きします、先方からホルムズ海峡の問題をめぐり抗議と遺憾の意が伝えられませんでしたでしょうか。
  127. 上村司

    政府参考人(上村司君) ホルムズ海峡の問題について協議はしたことは事実でございますが、そういう抗議、遺憾の意ということではございませんでした。
  128. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、それは、ちょっと確認しますけれども、私が聞いている範囲内では、抗議と遺憾の意が伝えられたというふうに聞いているんですね。  これは、もう一回、本当にきちっとしないと、これ、議事録をじゃ理事会に、そのときの議事録を提出いただきたい、理事会でお計らい願いたいと思います。
  129. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましては、後の理事会においてお諮りをすることといたします。
  130. 白眞勲

    白眞勲君 もしこれが真実だったら、私、国家間で大変なことだと思うんですね。つまり、日本はイランに対して歴史上、友好国なんですよ。向こうが親日国です。これ、ちょっと前まで、皆さん御存じのように、NHKの朝の連続ドラマの「おしん」というのがはやっていて、最近は「カーネーション」なんだそうですよ。それがはやっていると。とても友好国。  全く戦争する向こうは気がないのに、こちらからけんかを仕掛けているとなったら大変なことですよ、これは。私は、何が積極的平和主義なのかという感じになっちゃうし、日本とイラン、昔のペルシャですね、正倉院にも保管されているんですよ。つまり、千二百年以上の友人、これを、安倍内閣は先人たちの友好関係をぶち壊していることになるんではないだろうかと私は思うんですね。  そういう中で、私は、日本がやるべきことは、例えば、今まで何かイランが機雷をまいたら大変だみたいなことでやっているわけですよ、海外派兵を。ですから、この日本集団的自衛権行使というのは、日本とイランの友好関係を破壊することになるんではないかと私は憂慮しているんですね。  日本がやるべきことは、もし仮に、アメリカという同盟国、そしてイランという友好国が仮に争うことになったとしても、止めに入るのが我々日本の役割じゃありませんか。それを、海外派兵の唯一の例外がホルムズ海峡というのは、ちょっと私はおかしいというふうに思うわけであります。これは私の意見です。  そういう中で、拉致問題について外務大臣にお聞きします。今夜からマレーシアに行かれるようですけれども、北朝鮮の外務大臣と会うんでしょうか。
  131. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 時間も限られておるので、その前半部分、ちょっといろいろ申し上げたいことはありますが、後半部分にだけ答えさせていただきます。  本日夜から、ASEAN関連外相会議に出席するためにマレーシアに向かおうと思っております。その際に、ASEANプラス3あるいはEAS、ARF、こうしたマルチの会議に出席は確定しております。その隙間を縫ってできるだけ多くのバイ会談を行いたいと思っておりますが、具体的なバイ会談の相手については今現在まだ確定はしておりません。
  132. 白眞勲

    白眞勲君 山谷大臣、何で外務大臣と一緒に行かないんですか、今回。行ってちゃんと話付けなきゃいけないんじゃないですか、拉致担当大臣としては。何で行かないんでしょうか、お答えください。
  133. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 外交関係でありますので、外務大臣の担当だと思います。
  134. 白眞勲

    白眞勲君 いや、何かやけにあっさりしていますね。外交関係だって何だって、拉致問題というのは拉致担当としてしっかりと、二人の大臣が行ったって三人の大臣が行ったって私はいいと思いますよ。それぐらいの私は重要な話だというふうに思うんですね。  これ、山谷大臣にお聞きます。この法案では拉致被害者の救出はできないことは、これは過去の答弁で明らかになっているわけなんですね。では、具体的にどの法案をいじれば拉致被害者は救出できるんでしょうか。
  135. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) お答えの前に、総理からは先般、北朝鮮側から調査に関していましばらく時間が掛かる旨の連絡がございまして、岸田外務大臣と私の方に、具体的な動きを北朝鮮から早急に引き出すべく働きかけを強めるよう指示があったところでございます。外務大臣の方からは、先ほどのこともございましたが、私の方も、国際社会、また国連に働きかけを強めながら、かつてないほど解決に向けての機運は強まっているというふうに考えます。  また、現在の安全保障法案をどのように見ているかということでございますが、御審議いただいている平和安全法制においては、海外におられる邦人の命を守ることについても考慮されておりまして、そのような邦人の中には当然のことながら拉致被害者の方々が含まれると考えております。
  136. 白眞勲

    白眞勲君 全然答えていないですね。私、申し訳ないですけど、拉致担当としてもう少し拉致問題に対してしっかりと、やっぱりこういう席を通じて、こうやっていますよということを言ってもらいたかったんですね。今何か一年間とか、これも官房長官もよく御存じのように、ずっと延びているわけですよ。もうこれについてはまた、塚田さんが私と筆頭同士ですから、拉致特できっちりやりたいと思っていますので。  それで、ちょっと戦後七十年談話について官房長官にお聞きしたいと思います。閣議決定するんですか。
  137. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) この談話でありますけれども、二十一世紀構想懇話会において現在最終的な意見を取りまとめをいただいており、今後報告書が総理の元に提出をされる予定であります。そして、その提出書を踏まえて総理が適切に判断をされるんだろうというふうに思っています。閣議決定するしないも含めて、そこは総理の判断であります。
  138. 白眞勲

    白眞勲君 これは、八月十五日までもうすぐですよね。いまだに決まっていない。そして、何とか懇話会というところで今待っているんだということですけれども、これ、一昨年の四月の二十二日に予算委員会で私が聞いたやつなんですね。私が聞いた質問に対して総理は、安倍内閣として、言わば村山談話をそのまま継承しているというわけではありませんというお話をされました。  ということは、どこが継承されていないんでしょうか、どこを継承するつもりはないんでしょうか、それをお聞きしたいと思うんです。私の答弁に対してそうお答えになっているんですから、それについてお答えいただきたいというふうに思います。
  139. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私は、総理答弁の中で、全体として受け継ぐという答弁だというふうに理解をしております。
  140. 白眞勲

    白眞勲君 いや、全体として引き継ぐというのはその後なんです、その後なんです。その前なんです、四月の二十二日、一昨年の。そのときに、安倍内閣としては、言わば村山談話をそのまま継承しているというわけではありませんと言っている以上は、要は村山談話全部を継承するわけではない。そしてその後に、全体としては継承しますということになったら、全体としては継承するけれども、そのまま継承するわけではないということになるんですよ、これは。  だから、その中のどの部分が継承しないのかをしっかりとお話しいただきたいというふうに思います。以上。
  141. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私、今申し上げましたように、全体として引き継ぐ、国会の答弁書の中にそういう趣旨のことで書いていたというふうに記憶しています。
  142. 白眞勲

    白眞勲君 いや、だから、答えていないんですよ。だから、私の問いに答えてください。私に対して安倍総理がそう言っているんです。村山談話をそのまま継承しているわけではないんだと言っていながら、全体としては引き継ぐとその後言ったのは分かっています。しかし、私の答弁に対してどうなんですかということを聞いているんです。それをちゃんとお答えいただきたいというふうに思います。
  143. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私の立場で答える立場にはないというふうに思っています。
  144. 白眞勲

    白眞勲君 いや、今のちょっと問題ですよね。だって、官房長官というのは、これ内閣としてですよね。  どういうことなんですか、これ。ちょっと私は、それはよく分からないんですが、そういう、ごまかしちゃ駄目ですよ、笑いながら。ともかくもう一回答えてください、これ、ちゃんと答えてください。どこの部分が継承しないのか、お答えください。
  145. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私たち、内閣としての答弁書の中に、全体として引き継ぐという、そういうことを答えたという記憶がありますので、全てそれに私は尽きるというふうに思います。
  146. 白眞勲

    白眞勲君 いや、内閣総理大臣が答えているんですから、当然これについてだって皆さんの責任あるんじゃないでしょうか。お答えください。
  147. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今、そういう総理が答弁されたということを、私、今初めて、実は今日聞きまして、ただ、答弁書の中で、内閣として全体として引き継ぐということを申し上げておりますので、私が今答える立場にはないというふうに思います。(発言する者あり)
  148. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  149. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  150. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今、拝見をさせていただきました。その文書の中でも、やはり私は全体として引き継ぐというふうに解釈をいたしております。
  151. 白眞勲

    白眞勲君 いや、全然お答えになっていないんですね。ですから、やっぱりここは政府の統一見解というのをきちっと求めたいと思います。  委員長、これ、よろしくお願いいたします。理事会で御協議願いたいと思います。
  152. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会に協議をいたします。
  153. 白眞勲

    白眞勲君 今までのずっと御答弁を聞いていて、この安保法制がいかに危ない法律かということ、もうこれは私、本当戦慄を覚えるんですね。  戦後七十年、そして、まさにあした、広島の原爆投下から七十年という日にこういうことが明らかになったということ、こんな危険な法案というのは、私は絶対これは国民と一緒になって廃案にしていかなきゃいけない、そういうふうに思って、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  154. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時まで休憩といたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  155. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、那谷屋正義君及び山口和之君が委員辞任され、その補欠として藤末健三君及びアントニオ猪木君が選任されました。     ─────────────
  156. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  157. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  本日、私は、この安保法制が違憲であることを、大きく二つの点で指摘させていただこうと準備しました。  一つは、弾薬武器の提供、戦闘地域に発進する航空機への給油などを行う、これはもう他国武力行使との一体化とみなされるものではないかというのが一つ。そしてもう一つは、ホルムズ海峡における機雷の掃海、これは海外での武力行使の許容範囲を超えていて違憲ではないかと。この二点を御質問したいと思って用意しております。  そして、特にこの武力行使との一体化という点につきましては、実は午前中にこの武器の輸送ということにつきまして、核兵器も輸送できるという、そういう答弁をいただいたわけでございますが、明日は広島の被爆七十周年という中に、この核兵器の問題、より一層深くここでたださせていただきたいと思っております。  まずは、午前中の質疑の確認でございますが、中谷大臣、核兵器、化学兵器、毒ガス兵器や生物兵器、そのような兵器は法理上輸送可能でしょうか、お答えください。
  158. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、輸送、補給といった後方支援に関する法律の規定の仕方につきましては、現行の周辺事態法、また米軍関連措置法と変わっておりません。したがいまして、法律上は排除していないということでございます。
  159. 藤末健三

    ○藤末健三君 武器弾薬も、公海上も、今までなかったのが変わったんじゃないですか、その御答弁は。お答えください。
  160. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 核兵器、また劣化ウラン、クラスター弾についてのお尋ねでございましたので、今の答弁でございます。
  161. 藤末健三

    ○藤末健三君 答えていただいていないんですけど、核兵器、化学兵器、生物兵器は武器として輸送可能なんですかどうかというのをお聞きしているんですけど。提供の話は聞いていません。
  162. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、核兵器が輸送できるかということでございます。  核兵器の特殊性、また水上艦艇等からの戦術核兵器の撤去、また太平洋地域に核兵器を前方配備しないといったこれまで公表されてきた米国の核政策を踏まえれば、米国我が国に核兵器の輸送を依頼してくることはそもそも想定されません。また、我が国の非核三原則の立場からも、輸送すること、これは考えていないということでございます。
  163. 藤末健三

    ○藤末健三君 法理上どうかとお聞きしていまして、運用上どうかとか政策判断でどうかというのはお聞きしていません。  よろしいですか。もう一回確認させてください。法理上できるかどうか、輸送が可能かどうかということを明確にお答えください。
  164. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律上は特定の物品の輸送を排除する規定はありませんが、午前お答えしたとおり、いつ、どこへ、どのように輸送するか、これは自衛隊としましても、主体的に実施の可否、これは判断していくということでございます。
  165. 藤末健三

    ○藤末健三君 分かりました。  よろしいですか。そうしますと、ちょっとまたほかのところも確認させていただきますけれど、核兵器を搭載した空母や原子力潜水艦防護することはできますかどうか。そして同時に、確認ですけれど、核兵器を搭載した戦闘機が核兵器を投下するために飛び立ちます。そこに給油することはできますでしょうか。  この二つを明確にしてください。法理上ですから。よろしくお願いします。
  166. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法理上は要件を満たせば実施可能でありますが、先ほどお話ししたとおり、米国自身が、核兵器の特殊性や、また戦術核兵器は撤去したと、また太平洋地域に核兵器を前方配備しないとこれまで米国が核政策を発表しておりますので、そういうことを考えたら、我が国に核兵器の船舶の護衛とか輸送、これを要請してくるということは想定をされませんし、また、非核三原則、我が国もこれを保持している立場から、そういったことは考えられないということでございます。
  167. 藤末健三

    ○藤末健三君 法律に書いていないことをおっしゃらないでくださいよ。ここで幾ら中谷大臣がそういうことをおっしゃっても、法律に書いていない以上はできるわけじゃないですか。その点、いかがですか。
  168. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律上はそうでありますが、現実的には、核の存在というものは、米国我が国に対して何も言及をしてこないわけでございますし、また、米国の核政策の公表上、こういった太平洋地域に核兵器を前方配備しないともう公言をいたしておりますので、そういうことはあり得ないということでございます。
  169. 藤末健三

    ○藤末健三君 まず、ちょっと全体的に何ができるかどうかを法理上の問題として精査してください。よろしいですか。  今お聞きしたのは、核兵器を搭載した空母や原子力潜水艦防護できるか、そして核兵器を搭載した戦闘機が核兵器を投下する場合にも給油はできるか。これは今までの答弁でイエスと答えられているんです、大臣。イエスと答えていただければ終わったんですよ、これは。  そして、もう一つ追加でお聞きします。  核兵器の輸送のみならず、修理及び整備、そして保管、施設の利用、そして訓練業務、これらも法理上可能となるでしょうか。核兵器に関する輸送のみならず、核兵器に関する修理、整備、核兵器の保管、核兵器に関する施設の利用、核兵器を利用した訓練業務も法理上可能となるかどうかをお教えください。
  170. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法理上は排除する規定はありませんが、この非核三原則におきましては我が国の国是でございまして、持たず、作らず、持ち込ませず、それはしっかり国として守っていかなければなりません。また、安全性の観点から、米国がこのような核兵器に関する輸送や護衛、これを他国に依頼するはずもないということでございます。  また、もう一点、空母につきましては、自国の他の艦艇より十分な警護体制が取られているということが通常でありまして、重要影響事態に際しても、自衛隊による警護を更に必要とする状況が発生をし得るということは想定されない、また、空母から戦闘機が発進する際も、空母は高速度で航行するために、空母がそのような状態にある場合に自衛隊の部隊が補給、輸送等の支援活動を行うことは通常想定をされないということで、本条によって警護を行うということはないということでございます。
  171. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に御都合主義だと思うんですよ。全く法律で制限されていませんと、アメリカがこう言っているからですよと、私たちはしないようにしますよと。そして、非核三原則、これは国会決議じゃないですか、多分。法律じゃありませんからね。そして国内の話であると。  そのように、何の縛りもないけど、いや、海外を信用します、私たちはやりませんという形で本当にこの暴走を止めることができるか。法律できちんと制限しなければならないからこそ私たちは法律を議論しているんではないですか。今の中谷大臣の御発言ですと、法理上はできますよと、ただ、私たちはやりませんよと、外国も信用するしという話に聞こえますけど、いかがですか。  法理上どうか、是非よろしくお願いします。明確にお答えください。
  172. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、事実として、この周辺事態法とか米軍行動関連法、これまでは、今ある法律でございますが、これにおいて、法律上一つ一つ輸送の対象から除外をいたしていないということは申し上げていきたいと思います。  あと、核兵器の保管についても、やはり我が国は核兵器、当然保有をしておりませんし、保有する計画もないということでございまして、米国我が国に核兵器の保管を依頼をしてくることはそもそも想定はされません。なぜなら、米国はそのことをもう既に公表しております。そういう意味で、加えて我が国は非核三原則を取っておりますから、こういったことを保管をしたり警護をしたり輸送したりすることはないということでございます。
  173. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、大臣、お聞きしますよ。  法律や条約上、大臣がおっしゃったことはどれか担保されていますか、明確に答えてください。  委員長にお願いですけれど、無関係な答弁止めてください、時間がないんで。お願いします。
  174. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 何度も申し上げますが、我が国は非核三原則、これは国是として堅持をいたしておりますので、そういう立場から、輸送をしたり、また保管をしたり警護したり、そういうことはないということでございます。
  175. 藤末健三

    ○藤末健三君 答えになっていない。(発言する者あり)
  176. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  177. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  178. 藤末健三

    ○藤末健三君 中谷大臣にお聞きします。  よろしいでしょうか。法文上でですよ、法文上において核兵器、化学兵器、生物兵器が武器として輸送可能かという話、そしてまた、核兵器を搭載した空母や原子力潜水艦防護できるかという話、また、核兵器を搭載した戦闘機が核兵器を投下するために飛び立つとき、そこに給油ができるのか、また、核兵器の輸送のみならず、核兵器の修理、整備、核兵器の保管、核兵器施設の利用、核兵器に関する訓練業務なども可能となるのかということを法文上できるかどうか、それだけお答えください。
  179. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法文上はございません。ただ、核不拡散条約、また生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約等を批准をいたしております。また、大量破壊兵器の拡散防止にも積極的に取り組んでおりますし、非核三原則、これを堅持をしておりますので、核兵器を始めとする大量破壊兵器の輸送は行わないというのは当然でございます。  明文上あるかどうかということにつきましては、明文上はございません。
  180. 藤末健三

    ○藤末健三君 明文上ないということだと、もう一つは、国内法上、国際法上できないということにならないと思うんですよ。  NPTは、核不拡散、核は新しく持ちませんということで、核兵器の使用については言及していません。核兵器の使用について制限する条約はない、これがまず一つ。また、非核三原則は国内に対してやっているものでございまして、かつ国会の決議なんですね、法律じゃございません。そのことは是非理解していただきたい。ですから、法律上縛るものはないんですよ。  そこでまた追加の質問でございますけれど、この核兵器というものは消耗品に当たるかどうかというのをお答えいただけますでしょうか。
  181. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国は核兵器を保有をしておらず、また核兵器を保有する計画も有していないために、核兵器の性質については評価すべき立場にはございませんが、同様の理由から、核兵器は、我が国が重要影響事態法等に基づいて他国に提供可能となる弾薬、これには該当しないということでございます。
  182. 藤末健三

    ○藤末健三君 いいですか。法文上核兵器は消耗品かどうかをお聞きしているんですよ。明確にイエスかノーかでお答えください。
  183. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 核兵器という部分において、核弾頭などがありますが、弾頭ということでありまして、これは弾ということで、弾薬と私は分類すると思います。
  184. 藤末健三

    ○藤末健三君 したがって、消耗品になるわけですね。明確に答えてください。消耗品かどうかを明確にお答えください。
  185. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 分類をあえてするとするならば弾薬に分類をされますし、そうなりますと火薬の消耗品ということでございます。
  186. 藤末健三

    ○藤末健三君 消耗品ということでよろしいですね。  また追加の質問でございますけれど、法文上にこの消耗品である核兵器は提供できるかどうかということ、それをちょっと明確に教えてください。これは通告していますので。
  187. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 核弾頭ということにおきましては消耗品ということで、弾薬ということでございます。
  188. 藤末健三

    ○藤末健三君 ということは、これは核兵器もこの法文上提供できるわけですよね、日本が持つとしたら、万が一。万が一のことです。この法律の中でお願いします。
  189. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国は保有をしておりませんので、提供はできないと、あり得ないということでございます。
  190. 藤末健三

    ○藤末健三君 よろしいですか。これも復習でございますけれど、大臣、よろしいですか、確認させてください。  先ほど申し上げました核兵器の輸送や、あとはその核兵器を保管している空母や船舶の防護、あとはその核兵器を投下しようとしている戦闘機に給油すること、あとはその核兵器の修理、整備、核兵器の保管とかそういうものは法文上できるということでよろしいですか。もう一回確認させてください。
  191. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これも、現行の周辺事態法や米軍行動法においても、これらの兵器を含む個別の武器弾薬等について法律上一つ一つ輸送の対象からは除外をいたしておりませんが、この法律制定時には現在野党の方も賛成をしておられるほか、民主党の政権下におきましても、この法律、これは適用されて、改正するようなことは行われておりませんでした。  基本原則として非核三原則、これは日本は堅持をいたしております。また、核不拡散条約とか生物化学兵器とか、そういった条約も結んでおりまして、日本は保有をしないということを宣言をし、また保持も一切しておりませんので、こういった点におきまして、こういった協力をするということはまさにあり得ないことでございます。
  192. 藤末健三

    ○藤末健三君 法文上はできるわけじゃないですか。そして、それを制限するものは今法律上はないということでよろしいですか。
  193. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 明文上は規定がないんですけれども、日本は条約を結んで、条約を遵守する義務がございます。こういった核不拡散条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約等を批准をして、そして大量破壊兵器の拡散防止にも積極的に取り組んでいる我が国が、核兵器を始めとする大量破壊兵器の輸送、これは行わないことは当然でありますし、また安全性の観点から、米国がこのような兵器の輸送を他国に依頼をするはずもございません。  このようにして、我が国として実施することは今までも全く考えてもありませんし、今後も、こういったことを想定をしたり、また実施をするということはあり得ないということでございます。
  194. 藤末健三

    ○藤末健三君 繰り返しですけど、NPTとかいろんな条約においては、核兵器の使用を禁止しているものはないんですよ。これは事実でございます。核兵器禁止条約は今議論がされている状況ですからそれは御理解いただきたいし、あと非核三原則は国内だけを対象としている。  それで、是非大臣、これは、明確にこのいろんな疑念を抑えるためには僕は条文を変えなきゃいけないと思うんですよ。(発言する者あり)まず廃案ですね、こんなものは。まず廃案。少なくとも周辺事態法には、そのニーズがないから「武器(弾薬を含む。)」を提供しないと書いてあるわけじゃないですか。ですから、本当にこの問題は非常に大きい問題で、こういう問題が解決しない限りはどんどんどんどん疑念が深まる。当然廃案しかないじゃないですか、そういうことは。何の制限も付いていないような状況でこの法律が進むことについては全く賛同できないということを申し上げておきます。  次に質問申し上げたいのは、我が国武力攻撃を受けた場合、侵害を受けた場合に、例えば後方で武器や弾薬を輸送する組織があったとします、その組織に対して我が国攻撃をするかどうか。我々が侵略をされる、侵害をされるとき、攻撃を受けたときに、その相手の組織の後ろで武器や弾薬を輸送しているところがある。そこを我々が攻撃するかどうかについてお答えいただけますでしょうか。お願いします。日本国に対する攻撃です。
  195. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その侵略というのは、武力攻撃事態若しくは存立危機事態ということでございますか。それにつきましては、それをもたらしている武力攻撃、これを排除をする、いわゆる三要件ですね、今の三要件とまた新しく三要件がありますが、それに適合した場合におきまして、その存立危機の場合はそれをもたらしている武力攻撃、これを排除して存立危機事態を終わらせる範囲の中で対応を考えるということでございます。
  196. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、具体的に、公海上で例えば先ほど申し上げたようにいろんな武器や弾薬を運んでいる、日本攻撃している組織、その輸送している者を我々は国を守るために攻撃するかどうかをお答えいただけますでしょうか。お願いします。
  197. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本有事ですね。それは、我が国武力攻撃が発生していないという場合には、それはできないということでございます。
  198. 藤末健三

    ○藤末健三君 有事の際に、日本有事の際に公海上で武器とか弾薬を運んでいる者については、日本自国防衛するために攻撃するということでよろしいですね。もう一回確認させてください。
  199. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力攻撃事態存立危機事態がございます。それで、武力攻撃事態におきましては、現在のことでございますが、我が国武力攻撃をする国がありましたら、こういった武力攻撃を排除する範囲で三要件に基づいて武力攻撃を排除するための武力行使をすると。そして、存立危機事態におきましても、新三要件に基づいた存立危機事態、これをもたらしている武力攻撃、これを排除する限りにおいて、三要件に基づいて対応を実施するということでございます。
  200. 藤末健三

    ○藤末健三君 ですから、これは、例えば立場を逆にしまして、ある国を攻撃している、A国をB国が攻撃するというパターンってありますよね。そのときに、我々がそのB国に対してきちんとこの法律に基づいて後方支援をしますと。そうしますと、攻撃されているAという国から見ると、我々、Bに対する後方支援している我々は当然攻撃の対象になるわけですよね。Aという国から見れば、自分を攻撃しているBという国に対して後方で弾薬や武器を運んでいる、そうすると、それは攻撃する対象になるというお答えだったわけですよ。  そうしますと、この武器や弾薬の輸送というのは武力行使の一体化にはつながらないという見解をずっと述べておられますけれども、自分たちが攻撃された場合からすると、武力行使の一体化に見えてしまうんじゃないかという。攻撃の対象になるわけじゃないですか。その点についていかがですか。
  201. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、我が国に対して武力攻撃を行っているのはA国であって、B国は後方支援をしているということでございますね。A国に対しては個別的自衛権に基づいて武力攻撃を行うことができるが、B国にはできないということです。  もう一点、いわゆる武力行使の一体化の考え方は、我が国武力行使を行うことが許されない場合において、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力行使を行う活動ではありませんが、他の者を行う武力行使への関与の密接性から、我が国武力行使等をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものでありまして、そのような武力行使と評価される活動を我が国が行うことは憲法九条により許されないという考え方でありますが、これは、言わば憲法の判断に関する当然の事理を述べたということで、国際法上の概念ではございません。  したがいまして、一体化の考え方は我が国の活動について判断するためのものであって、他国の活動、これを判断するためのものではないということでございます。
  202. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、私の質問が悪いのかもしれませんけど、全く答えていただいていないし、お答えがちょっと矛盾しています、さっきのことは。  いいですか。質問をさせていただきます、もう一回。日本が有事の際ですよ、日本他国から攻撃されているときに、その攻撃している他国に対して、公海上で武器や弾薬を運ぶ者があったとする。そうすると、その武器や弾薬を運ぶ者を、日本は自分を守るために、防衛するために攻撃しますよねという話をさせていただいたら、大臣はそれはするということをおっしゃったんですよ、有事の場合に三要件や新三要件を当てた場合は。  よろしいですか。それで、もう一つあるのは、立場を変えて、ある国、日本じゃないですよ、ある国が攻撃をされている場合、その攻撃をしている国の後ろで弾薬や武器を運ぶ組織があれば、攻撃を受けている側、よろしいですか、先ほどの例えですと日本ですね、攻撃を受けている側から見れば攻撃の対象になるんではないですかということを申し上げたんですよ。いかがですか、それについてお答えください。
  203. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは先ほどお答えをしたと思いますが、我が国に対して武力攻撃を行っているのはA国ですよね、A国が日本武力攻撃を行っている。そして、それを、後方支援がB国が行っているとしましたら、A国に対しては我が国としては個別的自衛権等に基づいて武力行使を行うことはできますが、B国に対してはできないということでございます。
  204. 藤末健三

    ○藤末健三君 それができない理由を教えてください、法上の。理由を教えてください、理由を。なぜできないかというのを教えてください。
  205. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 三要件を満たしているかどうかということで、三要件をA国に対して満たしたということでございます。ところが、B国は後方支援を行っているということでございまして、B国に対してはできないということでございます。
  206. 藤末健三

    ○藤末健三君 どのようにその三要件を満たしていないか教えていただけますでしょうか。
  207. 中谷元

    国務大臣中谷元君) B国は我が国に対して武力行使武力攻撃をしていないということでございます。
  208. 藤末健三

    ○藤末健三君 議論がかみ合っていないんですけれど、本当に、よろしいですか、大臣、実際の問題をじゃお聞きしますよ。実際の問題として、ある国から我が国攻撃を受けていると、そのときに海上で輸送するわけですよ、武器とか弾薬を。それに対して、じゃ、私たちは座して見ているということになるわけですか。それお答えいただいていいですか、お願いします。
  209. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国武力行使をするかどうか、これは大事な話でございまして、それに対しては新三要件に基づいて政府として決定をするわけでございます。  ところが、それ以外にB国というものがありまして、例えば後方支援をしているというようなことにつきましては、A国に対しては我が国自衛権に基づき武力行使を行うことができますけれども、B国については我が国に対して武力攻撃をしていないわけでございますので、B国に対してはできないということでございます。
  210. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、先ほどの議論、これ本当に重要な話なので、ちょっとじっくりお話しさせていただきたいんですけれど。  A国が我が国に対して攻撃している、B国がいろんなものを運んでいますと。さっき大臣おっしゃったように、例えば化学兵器とか生物兵器とかいろいろ運べるという話になっているじゃないですか、まあちょっと場合はいろいろありますけれど。  そういう武器や弾薬、我が国に使われるものを運んでいる者に対する攻撃はしないということで整理されているわけですか。全ての、新三要件においてもですか。それをちょっと明確にしてください。
  211. 中谷元

    国務大臣中谷元君) A国に対して新三要件ということで武力行使をするということでございますが、これに対してB国に対しては、我が国に対して武力行使をしていなくて後方支援をしているということでございますが、この場合につきましては、A国には我が国として自衛権に基づいて武力行使を行うことができますけれども、B国に対してはできないということでございます。
  212. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、それは武力攻撃の着手という形で対象になるんじゃないですか、そういうふうにみなされるわけじゃないんですか、武器弾薬を運ぶわけですから。いや、これ現実の問題、大臣、現実問題として本当にされないんですか。  私たちの国が攻撃をされているときに、後ろの方で、公海上とかで武器と弾薬を運んでいる国がありますと。それはもう攻撃しないということになれば、私たちの防衛はどうなるんですか。大臣、本当にそれちょっと真面目に答えてくださいよ、言い逃れじゃなくて。
  213. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御質問は後方支援ということでございまして、我が国として後方支援というふうに考えますと、これは、戦闘が行われていない地域において武力行使と一体化をしないという後方支援ということでございまして、そういう場合におきましては、A国につきましてはまさにその攻撃があるわけでございますので自衛権に基づいて武力行使を行うということですが、B国に対しては、武力行使をしていない後方支援ということでございますので、B国に対してはできないというふうに思います。
  214. 藤末健三

    ○藤末健三君 これ、つまり、日本への武力攻撃の着手とその武器の輸送、弾薬の輸送をみなせば、日本個別的自衛権行使であるということでよろしいんですか。着手とみなせるんであればですね。
  215. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 着手というと、日本に対する武力攻撃の発生のことでございます。そういう日本に対する武力攻撃がなければ、それに対して自衛権をもって武力行使ができないということでございます。
  216. 藤末健三

    ○藤末健三君 ですから、武力攻撃の着手とみなせれば日本個別的自衛権行使できるということでよろしいですね、理解は。当たり前の話です、それは。
  217. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまで政府が答弁をいたしました何をもって武力攻撃の着手があったと認められるかにつきましては、例えば我が国攻撃するということを明示して、攻撃のためのミサイルに燃料の注入その他の準備を始めた場合、また、東京を火の海にしてやる、灰じんに化してやるといったような表明をして、かつ弾道ミサイルに燃料注入を開始し、又は屹立をさせた場合という場合が考えられると説明をしてきておりまして、かなりこれ限定的に認めているということでございまして、一般的に着手の概念につきましてはこのような状況に至った場合ということで認めているということで、単に後方支援をしたり輸送をしたりする程度におきましては着手というふうに判断をするということはなかなか難しいのではないかと思います。
  218. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、ちょっとお聞きしたいんですけど、この武器輸送は、これ兵たんに当たるわけですよね、専門的に言うと。国際法上は、これは武力行使の一環になると。  ちょっと事実関係を確認させてください。そうすると、日本への武力攻撃の着手とみなすことにできるんではないかと。(発言する者あり)そうですね、武力行使ですね、そのものですね。武力行使そのものではないか。それをちょっとお答えいただけますでしょうか。
  219. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 国際法上、後方支援は戦闘行為とみなされるかどうかということでございますが、一般に戦闘行為というのは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいいます。支援活動というのはそのような戦闘行為に当たるものではなくて、後方支援と言われるものは、支援活動それ自体は武力行使に当たるものではないということで、そのような支援活動を行う者に対して武力行使を行うということは国際法的には違法な武力行使であって、正当化をされないということでございます。
  220. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほど兵たんの話を申し上げましたけれども、ずっと答弁の繰り返しになりますのでやめますけど、ただ、大臣に申し上げたいのは、二つ申し上げてよろしいですか。  一つは、我が国攻撃されているときに公海上で武器とか弾薬を運んでいる者は、A国、B国かって、B国は攻撃の対象じゃないですよとここでおっしゃることの危険性は私はあると思いますよ。いや、本当にこれはきちんと止めなきゃいけないと思いますし、また、同様に申し上げたいのは、武器や弾薬を日本人が運ぶ、それを使って海外の人たちの命が奪われたりした場合、恐らく日本も同じように武器弾薬を提供した者だというふうにみなされ、運んだ人間として、国として私はいろんな恨みを買うというふうに考えます。それは申し上げておきたいと思います。  まだほかにも質問ございますが、一つ資料をお配りしていますので、ちょっと資料の方を見ていただいてよろしいでしょうか。  これは、衆議院議員の自民党の武藤貴也議員のツイッターというソーシャルネットワークでございまして、この中に何を書いておられるかということでございます。  この下の方にございますように、SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説しているが、彼ら彼女らの主張は、だって戦争に行きたくないじゃんという自分中心、極端な利己的考えに基づく、利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だということを公の場で書いておられるわけでありますけれど。  両大臣、いや、中谷大臣にちょっとお聞きしますが、これは御意見をいただきたいし、実際にこのツイッターは御覧になられましたでしょうか。いかがでしょうか。
  221. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ツイッターは拝見いたしました。
  222. 藤末健三

    ○藤末健三君 自民党の先輩議員として、また、今こういう安保法制議論している担当の大臣として、このツイッターはどのようにお思いでしょうか。
  223. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私もちょうど大学生の息子がいるわけでございますが、結構今の学生や若い人は、真剣に国のこととか、また将来のことも考えているわけでございまして、そういったことを思ったり言ったりするということは、誰にもこれは止められないことでございますので、大いにそういうことを深く考えていただいて、それは自ら学びながら真実のものを見付けてほしいなというふうに思っております。
  224. 藤末健三

    ○藤末健三君 これは武藤議員の発言について聞いておりまして、これ私は三つ大きな問題があると思います。  一つは、十八歳以上の参政権が来年の参議院選挙から与えられるということで、若い方々に政治への関心を持っていただかなきゃいけない中、若い方々の活動に対して、国権の最高機関に所属する人間がこのような発言をしたということ。  そして二つ目にあるのは、武藤議員は、だって戦争に行きたくないじゃんという自分中心、極端な利己的な考えだとつぶやいていますけれど、政府は、集団的自衛権行使戦争ではないと、戦争には参加することないと説明したにもかかわらず、その与党自民党の議員が、自分たちが今やっているこの法制に基づく自衛隊の活動を戦争を前提として発言しているように見えるという。で、集団的自衛権行使戦争でないという政府説明がまさにむちゃくちゃずれているんじゃないかと、感覚がというのが二つ目です。  そして三つ目にございますのは、政府は徴兵制度は憲法上認められないものとしているわけでございます。ここに対して、戦争に行きたくないとの考えが自己中心、極端な利己的な考えに基づくというものであれば、戦争に行くことを否定することは望ましくないということになるんじゃないですかね。国の命令で兵役に服することを拒否できなくなり、徴兵制度を認めることにつながるんではないでしょうか。自民党の議員がそのような発言をしているということをどのように考えるか、是非教えてください。
  225. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府の人間ですから余り逐一コメントすることは差し控えたいと思いますが、政府におきましては、この平和安全法制につきまして国民の皆様方の御理解を得るべく説明に努めているところでございます。  与党といたしましても、国民の皆様方へ説明に御尽力をいただいているものと思いますけれども、引き続き丁寧な説明を行っていただいて、その真意が御理解をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
  226. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、中谷大臣、これ非常に大きい問題だと思うんですよ。政府・与党の議員がこういう発言を公の場に流しているわけですよ、ネットでどおっと。どれだけ拡散しているか。  そしてもう一つあるのは、昨日ですけれど、この武藤議員、自民党の武藤議員は記者会見を行いまして、この私の考えは撤回しないということをわざわざマスコミの前でおっしゃっている。是非ちゃんと話を聞いて、自民党の先輩としても、防衛大臣としても話を聞いて注意してくださいよ、絶対。お願いします。
  227. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 報道については承知をいたしておりますけれども、政府の立場でございますので、自由民主党の議員の個人的な発言について逐一コメントすることは差し控えたいと思います。
  228. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、彼は衆議院の安保の委員のメンバーでもあるし、それで、この撤回をするという話についてどういう声があるかというと、多分これは大学生の方のコメントは、戦争に行きたくないと考えていることは利己主義なのでしょうか、安倍総理大臣法案について戦争しないためのものだと説明しているが、このような投稿があるとやはり戦争をするための法案なのではないかと思ってしまいますとか、また、これも大学四年生の方ですけれど、自分のことだけではなく私たちの友人、その背後にある何百万人という人たちのことを考えて行動し、多くの共感を呼んでいるのに、利己主義と言われては怒りを通り越しあきれてしまいます、発言力がある国会議員から個人や憲法を軽んじる発言が相次ぎ、個人を尊重する社会は認めたくないという考え方がかいま見えるようですというコメントがありますが。  いかがですか。きちんとこういうものについては撤回するように指導していただけませんでしょうか。
  229. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 政府の立場からこの議員の発言についてコメントは控えますが、今、国会に御審議をお願いしております平和安全法制は、しっかりとした外交を進めた上で、万が一の場合に切れ目のない体制をつくる、そして、あわせて我が国として国際社会の平和や安定にしっかり貢献する、そして、ひいてはそのことが我が国の平和や安定に資することになる、こうした考え方に基づいて法案を用意し、そして御審議をお願いしております。この切れ目のない体制をつくることによって抑止力を高め、紛争を未然に防止する、これがこの法案の大きな目標であると考えています。  こういった趣旨をしっかりと徹底するように、しっかりと説明責任を果たしていきたいと考えます。
  230. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、岸田大臣がおっしゃっていることと武藤議員が言っていることは全く違うわけじゃないですか。それはもう武藤議員にきちんと伝えるということをおっしゃっているわけですか。(発言する者あり)もう辞めろということなんですけどね、本当に。議員辞めていただきたいぐらいですよ。  この話は多分水掛け論になりますのでこれで終わりますけれど、もう一つ追加でございますのは、やはり礒崎議員、礒崎議員のやっぱり参考人招聘は引き続き求めさせていただきたいと思いますが、委員長、理事会で検討いただきたいと思います。
  231. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この件に関しては協議中ですので、協議の行く末に任せていただきたいと思います。
  232. 藤末健三

    ○藤末健三君 それでは、辺野古のことをお話しさせていただきたいと思います。  昨日、政府が辺野古の作業を一時中止、一か月ほど中止するということでございましたけれど、これにつきまして、一か月という理由は何でしょうか。防衛大臣、お願いいたします。
  233. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、官房長官が沖縄の基地問題担当ということで、沖縄県の皆様方とは協議もし、調整もいたしまして、一か月間という期間を通じて、この期間は協議のために全ての作業、これを中止をするということを決めたというふうに私は認識をいたしております。
  234. 藤末健三

    ○藤末健三君 新聞には、一か月のタイミングというのは最高のタイミングだと、ちょうど予算の議論がありますし、安保法制議論を外しているというふうにもある政府高官が言ったと書いてございます。  それで、ちょっとお聞きしたいんですが、これは撤回というのはあり得るんでしょうか、一か月後に。
  235. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、官房長官がおっしゃったとおり、辺野古移設に関する作業を一時中断をし、改めて辺野古移設に関する政府の考え方を沖縄県に説明をするとともに、問題解決について集中的に協議を行うと。当然、沖縄の皆様方の御意見も聞かせていただくということでございます。
  236. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、聞くのは分かっていますけれど。  よろしいですか。この発表があったときに、沖縄県知事が記者会見で、対話の道が開けて工事がストップしたことは前進だ、政府が中断する重みは大きい、そしてまた、普天間飛行場の辺野古移設は不可能であることを改めて申し上げたいと、中止を期待するということも書いてあるわけですけど、この沖縄の方々の声については大臣はどのようにお答えをなさいますか。
  237. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 沖縄県からは、第三者委員会の報告書を受けて検討中の事項も含めてお考えをお伺いできるものだと承知をしておりますが、政府としては、この普天間の危険性の除去、辺野古移設に関する政府の考え方、また沖縄の負担軽減、これを目に見える形で実現するという取組について、改めて丁寧に説明をしていくという方針でございます。
  238. 藤末健三

    ○藤末健三君 改めて丁寧に説明していくということは、中止を前提じゃなくて説得するということじゃないですか、それは。声は聞かれないんですか、沖縄の方々の。
  239. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これ、まさに官房長官や総理が知事とこれから協議を行っていくということでございまして、昨日の官房長官の会見によりますと、沖縄県からも、第三者委員会の報告書を受けて検討中の事項も含めてお考えを伺っていきたいということでございます。
  240. 藤末健三

    ○藤末健三君 もう、ちょっと時間がなくなっていますので一つ質問ができないんですけれど、是非、中谷大臣、ちょっともう一回確認で質問させていただきたいんですけれど。  この武器弾薬の輸送という話でございますけれど、私はやはり武力行使の一体化にみなされると思っております、輸送の部分も。なぜかと申しますと、弾薬が運ばれます、そして使われると。じゃ、誰がこの弾薬を運んだかというのが明確になれば、やはりその弾薬を運んだ者たちも、攻撃を受けた方は、その方々、そちらの弾薬を運んだ人間も当然武力行使に参加したというふうにみなされるんじゃないですか、感情的には。それがまず一つございます。  そしてもう一つございますのは、今日の答弁で中谷大臣が、日本攻撃されているときも公海上などで武器や弾薬を運んでいる者は攻撃の対象ではないということをおっしゃったということは、非常に私は我が国防衛上大きな問題だと思います。  この話をここでされたということは、じゃ、我が国が複数の国から例えば侵害を受けるとき、戦闘を行っている国以外でいろんな後方で支援している国はもう攻撃しないということをおっしゃったわけじゃないですか。その点、確認させてください、最後に。
  241. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど後方支援の定義も申し上げましたけれども、これは武力行使ではありません。武力行使にならないように、わざわざ戦闘行為が行われている場所には活動をしませんし、そういった一体化をするようなことがないように法律でいろんな規定をいたしておりますので、この点につきましては武力行使ではない。  また、他国行為につきましても、先ほど申し上げましたとおり、我が国としての武力行使の前提は三要件でございまして、我が国に対する対応等につきまして、武力行使をしているかどうかということで判断をしていくということでございます。
  242. 藤末健三

    ○藤末健三君 もう最後でございますので、本当に質疑が食い違って非常に残念ではございますが、私は、我が国は、やはり憲法の前文にありますように、全世界国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和に生存する権利を有する、そして最後に、これを日本国民は全力をもって達成すると書いてございます。私は、やはり武力による平和ではなく、本当に恐怖から免れる、欠乏から免れるように世界中の方々を変えていくことが我々日本の行うべき平和貢献だということを述べまして、質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  243. 平木大作

    平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日、私の方からは、少し各論に入りまして、自衛隊法九十五条の二で新設をされます米軍等の部隊の武器等防護についてまずお伺いしていきたいというふうに思っております。  このテーマにつきましては、もう既に衆議院でも、そして参議院のこの委員会におきましても少し議論が始まったところでございますけれども、ちょっと残念なことに、集団的自衛権行使と混同したような議論というのはやっぱりあるなと、このまま議論を続けてもなかなか理解が進まないなということを感じた次第でございます。やはり、この武器等防護、いまだ武力行使に至らない段階での対処を規定したものでありますから、武力行使とそもそも武器の使用といったものはしっかり立て分けて議論しなければいけませんし、また、武器等防護とはそもそも何をどこまでやるのか、こういった実際のオペレーションを確認しないまま侵害が発生して、反撃して即交戦状態に一緒に入っていくと、こういうちょっとイメージだけで語られているところが多々あるなと。  そういう意味では、ちょっと基本的なところかもしれませんが、しっかりとこの議論、基本的なところを押さえながら質疑を進めさせていただきたいというふうに思っております。  改めて申すまでもないんですけれども、自衛隊法九十五条、元々あった条文も、自衛隊の武器等防護というのは、憲法が禁じる武力行使に至らないように極めて抑制的に武器を使用する、こういう非常に抑制的な武器の使用が定められてきたわけでございます。  今日、委員各位に配付をさせていただきましたけれども、平成十一年四月二十三日付けのこの政府統一見解、九十五条に規定する武器の使用についてと、こういうところを改めて見ていただくと、「武器等の退避によってもその防護が不可能である場合等、他に手段のないやむを得ない場合でなければ武器は使用できない」、こういうことを定めており、また、「防護対象の武器等が破壊された場合や、相手方が襲撃を中止し、又は逃走した場合には、武器の使用ができなくなる」、こういう形で極めて限定的に武器の使用を認めているわけであります。また、まさに、よく降りかかった火の粉を振り払うと、こういう形で表現を、比喩をされている対処しかできないということなわけであります。  今回、武器等防護の対象を他国の軍隊の装備品にまで広げるこの九十五条の二というのは、基本的に従来からの自衛隊の武器等防護の在り方は変えずにその対象を広げていく、つまり、今回御紹介させていただきました政府統一見解もしっかりと継承した上でこの対象を広げたという理解に立っておるわけでありますけれども、まずここで防衛大臣にお伺いしたいんですが、この自衛隊法九十五条の二で新設をされます米軍等の部隊の武器等防護について、武力行使ですとかあるいは集団的自衛権行使に当たらないということを明快に御答弁いただければと思います。
  244. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力行使に至ることはありません。  これは、そもそも、改正後の自衛隊法九十五の二におきましては、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除くと規定をすることによりまして、自衛官の行為米軍等による武力行使と一体化をしないということを担保するとともに、国又は国に準じる組織による戦闘行為に対処して武器を使用することがないようにいたしております。これによりまして、本条によって自衛隊武力行使に及ぶことがなく、また本条による武器の使用を契機に戦闘行為に発展することがないというようにいたしております。これで違憲の武力行使に至ることはないということでございます。  次に、武器使用の要件について米軍等の理解を得ることが前提であるということにつきましては、これは現行の九十五条によるものと同様でありまして、武器等の退避によってその防護が不可能である場合等、他に手段のないやむを得ない場合でなければ武器を使用することはできないということ、防護対象の武器等が破壊された場合や、相手方が襲撃を中止し、又は逃走した場合に武器の使用ができなくなるということ、そして正当防衛又は緊急避難に当たる場合でなければ人に危害を与えてはならないなどの要件が満たされなければならないということでございます。  このため、本条による警護を要請する米軍等に対しては、これらの武器使用の要件等を事前に十分に説明をいたしまして、これらに合致しない場合に自衛隊が武器を使用することはないということについて理解を得ることになりますし、そのような理解が得られていることが警護の実施の前提となるわけでございます。  そして、実際に、警護に当たっては、自衛隊と連携して活動を行っている警護対象の部隊と相互に緊密に連携を取るということとなるため、警護対象の部隊が置かれている状況等から武器使用の要件が満たされているかどうかを主体的かつ適切に判断することが可能でありまして、要件を満たさない場合には武器を使用することはないということをもちまして米軍等の理解を得るということが武器使用要件になっているということでございます。
  245. 平木大作

    平木大作君 今大臣の方から極めて明快にこの武器使用の要件あるいはこの前提条件といったものも含めて御説明いただきまして、決して武力行使には至らない形での使用なんだということを御答弁いただいたわけであります。  では、この九十五条の二でやはり一つ論点として上がりますのは、それは対象をどこまで広げるのかということであります。  米軍部隊の一部が我が国防衛に資する活動をしている、恐らくこれについては事実認識として論をまたないんじゃないかなと。日米安全保障条約によりまして、米国日本防衛義務を負っておりますので、その部隊の装備品が我が国防衛力の一部を構成している、ここについてはあえてここで議論するまでもないのかなというふうに思っているわけであります。  しかし、問題は、更に先に広げて米軍等と今回したわけでありますので、米国以外の外国軍隊の装備品、これも防護の対象として含み得るとした点であるわけであります。大きな論点のために、このことのちょっと背景についてお伺いしていきたいと思います。  まず、日本防衛という観点だけから考えていけば、これ、同盟国である米国だけを対象としていく、そことだけ連携していけばいいんじゃないかと、こういう考え方も、立場もあるわけでありますけれども、一方で、近年、自衛隊の例えば共同訓練に関しましても、米国との二国間のみならず、三国間ですとかあるいは多国間のものが非常に増えているということをお聞きしているわけであります。  これは一体いかなる理由で増えてきているのか、まずその説明を御説明いただきまして、あわせて、米軍以外の他国軍隊の装備品を警護対象とすることで一体どのような効果が期待できるのか、併せてお答えいただければと思います。
  246. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 近年、自衛隊外国軍隊との間の共同訓練や協力が増加をいたしておりますが、これは、我が国にとって、国際協調主義、これに基づく積極的平和主義の立場から二国間また多国間の安全保障協力を強化することが一層重要となっていることを踏まえまして、防衛計画の大綱におきまして、アジア太平洋における二国間、多国間による共同訓練・演習を推進をする、近年はこういうことを増加をさせているということで、例えば、海上自衛隊フィリピンとの間で初めての共同訓練、また三国間の訓練におきましては、インド、アメリカ日本共同訓練、マラバール、これを積極的に実施するなど、多国間の共同訓練の機会を増やしております。    〔委員長退席、理事石井準一君着席〕  また、ASEANの災害援助実動演習等の非伝統安全保障分野におきましての訓練を中心に積極的に実施をいたしておりまして、昨年度には約二十件の多国間の共同訓練、これに参加をいたしました。  こういった共同訓練への参加というのは、自衛隊の技量、これを向上させると同時に、関係国間の調整、意見交換を通じまして、各国との協力の基盤をつくる上で非常に重要であると認識をいたしております。  このように、我が国の周辺の安全保障環境変化等、そして、米国のみならず域内外のパートナーとの信頼及び協力関係、これを深めていくということが非常に重要でありまして、我が国米国以外の他国との防衛協力の進展、これを踏まえれば、我が国防衛に資する活動に現に従事する国、これは米国のみに限られないということでございまして、我が国防衛に資する活動に現に従事する米軍等の部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合において、万が一その対応に隙があっては我が国脅威が及ぶことも防止できないということでございますので、このような認識の下で、米軍以外の外国軍隊等の部隊であっても、自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に現に従事するものの武器等であれば、九十五の二の対象にするといたしたところでございます。
  247. 平木大作

    平木大作君 米軍に限らず、我が国防衛に資する活動というのは行い得るんだという今御答弁いただきました。  これ、じゃ、無制限に広がるかというと、やっぱりそうじゃないんだろうということが次に問われるわけであります。  どの国のどの部隊の装備品をこの防護の対象とするか、ここ極めて重いテーマでありまして、ここについては衆議院でも、またこの参議院でも再三問われまして、基本的には今、これまでの答弁というのは三つの事例を通して御紹介いただいています。  どういう活動かというと、一つ目に重要影響事態における人員、物資の輸送、補給、二つ目に情報収集活動又は警戒監視活動、そして三つ目に共同訓練と、これが繰り返し答弁でも出てきているわけでありますけれども、私、やや説明不足なんじゃないかなという気がいたしております。単純に共同訓練といっても恐らくいろんな訓練があるはずでありまして、ここがなかなか我が国防衛に資するというところと結び付かないのではないかと。  これ、可能な範囲で結構なんですけれども、大臣の方から、この三事例で挙げられているような内容というものが具体的にどのような活動であるのか、御説明いただけますでしょうか。
  248. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 三つの事例を挙げていただきましたが、例えば共同訓練、先ほど多国間の共同訓練が増えてきたという御説明をいたしましたけれども、この共同訓練について申し上げれば、防衛大臣は、要請があった場合に、当該の共同訓練の目的、内容、周囲の情勢等を踏まえて、自衛官が警護を行う必要性について個別具体的に判断をするということになります。  例えば、自衛隊日米共同訓練のための共同対処を行う訓練を行っている米軍の部隊の武器等については、まさに自衛隊が当該訓練を通じて我が国防衛するために必要な能力を維持向上させるというものであることから、我が国防衛力を構成する重要な物的手段に該当するものと評価をできますので、本条による防護の対象になり得ると考えております。  他方、災害の対処のための訓練も実施をされておりますが、これは一般論として申し上げれば、災害対処自体が我が国防衛に資する活動には該当しないということも踏まえまして、本条による警護、これは行わないことになるというふうに考えておりまして、それぞれの共同訓練等の内容や目的等を見まして判断をするということでございます。
  249. 平木大作

    平木大作君 今、例を通してお答えいただきました。この三つというのは例示である以上、この三つに限定する必要はないわけでありますけれども、一方で、こういう一つ一つの例示について、より、じゃ、どうして日本防衛に資するのかというところ、ここも含めて是非今後御説明いただくと、またこれは法案の中身に関する理解にも非常につながりますし、また、行く行くはこの事例をしっかり説明を重ねていくことによって、単なる事例ではなくてやっぱり一つの目安みたいなものになっていくんじゃないかなというふうに思いますので、この点、是非、大臣に今後ともお願いいたしたいというふうに思っております。  今御説明いただいたような我が国防衛に資する活動、こういう基準で判断を行っていくとすると、対象国は防衛分野において我が国と密接な協力関係にある外国の部隊におのずから限られていくんだと、これも再三答弁で出てきたフレーズでございます。  おのずから限られる、じゃ、どこなんだというところについては、政府の方からどことどこですということを言うのは、やっぱり限定するのは難しいかと思うわけですけれども、ちょっと議論の中で出てきましたのは、可能性のある国としてよく言及されるのはやっぱりオーストラリアかなと。この点についてちょっとお伺いしていきたいというふうに思っています。  オーストラリアがやはりよく言及される。例えば、日本との間では、ACSAの枠組みによりまして物品ですとか役務の相互提供があるというわけでありますし、また日豪情報保護協定、こういったものもある。形式的にも、何となくオーストラリアはほかの国とは違うのかなというところまでは分かるわけでありますけれども、その先、結局、こういった協定も結んでいる日本とオーストラリアの防衛分野における協力関係、一体どういうものであるのか、御説明をいただけますでしょうか。
  250. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先日も、オーストラリアの首相また国防大臣、来日をされましたけれども、我が国とオーストラリアは、共に米国同盟国といたしまして、基本的価値と地域における戦略的利益、これを共有をし、その関係を二十一世紀のための特別な戦略的パートナーシップと位置付けまして、平素から国際社会の様々な問題に対して緊密に連携協力をいたしております。  とりわけ、防衛分野における実質的な協力強化をすることは、我が国の安全及び地域の平和と安定のために極めて重要でありまして、これまで、委員のお話もありましたとおり、ACSA、また情報保護協定、これを締結をしたほか、昨年の七月の日豪首脳会談におきましては、日豪防衛装備品技術移転協定、これに署名をするなど、協力の基盤を整備をいたしております。  また、運用の面につきましては、イラク人道復興支援活動、東日本大震災の際の支援、国連PKO活動など、様々な分野におきまして協力をしてきているほか、本年七月の米豪共同演習、タリスマン・セーバーに自衛隊が初めて参加をいたしました。さらに、キャパシティービルディングの分野におきましての連携、両国の防衛当局間の人材派遣など、近年、各種取組を通じまして、二国間の安全保障防衛関係の協力をいたしております。  さらに、加えまして、現在、オーストラリアの将来潜水艦プログラムへの協力を始めとした防衛装備協力、また共同運用及び共同訓練を円滑に実施するための協定案の作成などにも取り組んでおりまして、今後、日豪間の防衛協力を深化させていくことは我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に資するものでございまして、今後とも一層この日豪の関係、推進をしてまいる所存でございます。
  251. 平木大作

    平木大作君 今、様々御説明をいただきました。やはり、こういったACSAですとか情報保護協定結んでいる、当然協定を結ぶに至るにはお互いとしてそれぞれ支援し合った方がいいような状況がありますし、また、協定を結ぶことによって、改めて日常のオペレーションが、共に共同行動等を行うことによって信頼関係を醸成することができる、そういう一つ一つの積み重ねの上でやはりオーストラリアという名前が出てきているということだと今理解をさせていただきました。  逆に、オーストラリアぐらいしか名前が挙がらないということでありますので、結果として、我が国防衛に資する活動というのは、無限定に何か広がるようなものではなくて、しっかりとおのずからやっぱり限られてくるものなんだろうなということも確認をさせていただきました。  ここまでの質疑を通じて、この防護対象というのは基本的には極めて限定されている、また、日本の武器等防護において極めて抑制的にしか武器は使用されないんだということを今まで確認させていただいたわけですが、最後、この武器の防護をするかどうかということに関してはやはり判断が入るわけでございます。  ここ、ちょっと時間がありませんので質問はもう行いませんけれども、最終的にはこれは防衛大臣がやっぱり判断をされるわけでございまして、この点につきましては、これまでの質疑を通じて、特に実際に警護を行うか否かの判断、ここについては、より慎重な判断をしっかり確保しなければいけない、内閣の関与の仕方も含めてこれから検討されるという御答弁もございました。是非これは早急に検討を進めていただきたいということをお願いをしたいというふうに思っております。  続きまして、今度は自衛隊法八十四条の三、在外邦人等の保護措置についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。  このテーマもこの参院の委員会におきまして質疑があったところでありますけれども、在外邦人等の保護措置に関しましては、既に議論のあったところでは、条件がちょっと厳し過ぎるんじゃないか、こういう指摘もあったところでございます。  実際に、この法文上で極めて厳しい要件課されているわけでありますけれども、自衛隊員の安全を確保しながら邦人保護、この任務を遂行するためにはどのような条件や環境が必要と考えるのか、具体的に想定される任務ですとかされない任務、どういったものがあるのかについて御説明をいただけますでしょうか。
  252. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) 私からお答え申し上げます。  今般、新たに規定されます自衛隊法第八十四条の三、今御指摘の在外邦人等の保護措置でございますが、これは、自衛隊が保護措置を行う場所において以下の三点を法律上の実施の要件とさせていただいております。  まず第一に、領域国の当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められること、そして第二に、武器の使用を含む保護措置の実施について領域国の同意があること、さらに第三といたしまして、予想される危険に対応して保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うため、自衛隊と領域国の当局との連携及び協力の確保が見込まれること、これらを法律上の要件としております。  このような法律上の要件を満たした上で保護措置を実施する具体的な場面といたしましては、次のようなケースを想定しております。  例えば、災害時に、被災者救助のために領域国の当局が外国人の保護に振り向ける要員が手薄になっているような場合、また、あるいは特定の対応につきましては領域国の政府よりも我が国自衛隊の方が対応能力が高いといった場合、こうした場合に領域国政府自衛隊による対応を受け入れる場面が想定されると考えているところでございます。  このうち前者、すなわち領域国の当局の対応が手薄になっているような場合につきまして更に具体的に申し上げさせていただきますと、邦人の集合場所に向けて陸上自衛隊が移動しているようなときに状況変化して、例えば、唯一の輸送経路でありますその経路がバリケード等で通行妨害に遭ってしまったようなとき、あるいは邦人が集合している場所が暴徒等に取り囲まれてしまったようなとき、こうしたときに在外邦人等の生命又は身体を保護するために警護や救出といった措置を行うことを想定しているところでございます。  一方で、御質問にありました想定されないケースといたしましては、冒頭に申し上げました法律上の要件を満たさない場合となると思われます。例えば、在外邦人等を保護するために地域一帯の武装勢力の制圧を行う必要があるような場合については、一般的に領域国の当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっているという法律の要件を満たしているとは考えられないなど、先ほど御説明しました法律上の要件を満たしていないと考えられることから、保護措置を行うことはできないと考えております。
  253. 平木大作

    平木大作君 今、様々御説明いただきまして、やっぱり、できることできないこと、実施のためのあるいは前提条件のようなものをしっかり明示していくことによって、ある意味、期待値と申しますか、そういったものも影響されるわけでありますので、やはりこういった具体的な事例を通して御説明をいただくことが大事かなというふうに思いました。  結局、在外邦人等の保護措置、この任務の性格を考えますと、邦人の安全を確保できる見込みがないまま任務に飛び込んでいって、結果として邦人に危害が及んでしまう、こういったことが絶対あってはいけませんし、また、救出、保護に当たる自衛官が大きなリスクにさらされる、こういったことがあってもいけないわけでございます。  結局、現地の情報をいかに的確につかんで関係各所でしっかりと共有をして意思決定に生かすことができるかどうか、ここが本当に大きなポイントだというふうに思っております。  先般のISILによる人質事件、あの後の政府の検証報告書においても、情報の収集・集約・分析能力の強化が必要だと、こういう見解も示されていたわけでありますけれども、今後政府として、こうした情報収集・分析能力の向上、あるいは情報共有体制の構築、どのように取り組んでいらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。
  254. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年一月に官邸でNSC、内閣の安全保障局ができまして、時々関係大臣が集まって協議をいたしておりますが、まさにこの情報の調整、集約、また意思決定、これが非常にスピーディーに円滑に実施されるようになったような気がするわけでございますが、まさに官邸、外務省、現地対策本部、また緊密に連携をしつつ、活動に必要な各種の情報を従来以上に迅速、正確に収集して分析そして活用するということが必要だと思います。    〔理事石井準一君退席、委員長着席〕  防衛省としましては、従来から、艦艇、航空機に搭載された各種センサーによる情報収集、防衛駐在官による情報収集、公刊の一般の情報収集、整理、さらには米国を含む各国の情報機関等を通じた情報を収集をいたしておりまして、これらの情報は防衛省の中央情報機関である情報本部に集約をされ、分析、そして防衛省の幹部、自衛隊の各部隊、さらには官邸、外務省、関係省庁にも報告をするなど、今後、在外邦人の保護措置を円滑、安全に実施するために、防衛駐在官の増員、情報本部における地域専門家の育成等によりまして、我が国独自の情報収集能力、分析能力、活用能力、こういうことに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  255. 平木大作

    平木大作君 今御説明いただいたように、やはり最後は、これは防衛省としてもしっかり体制を整えていただかなければいけないんですが、省庁の壁を越えて、官邸と現地対策本部、あるいはその事件が起きている現場、あるいは大使館、また防衛省、外務省等、とにかく省庁の壁を越えていかに共有できる、あるいは意思決定に生かせる体制をつくれるかどうかというところが一つ大きなチャレンジであるというふうに思いますので、是非そういったところもお取り組みいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。  この、ちょっと情報収集、分析に関連してなんですが、今般の法整備後、実際にこれ人質救出みたいなことに当たろうと思ったときに、やはり例えば情報の収集ですとか、あるいは領域国政府からの協力や同意の取付け、また関係国との調整、はたまた犯人グループとの交渉ですとか、様々なことが、現地大使館が負う任務というのは本当に大きくなってくるんじゃないかなというふうに思っております。  実際にアルジェリアでのあの悲惨なテロ事件を踏まえて、外務省においては、海外緊急展開チーム、ERTと、もう既に設置をされて、緊急時の対応能力というのは大変強化に取り組まれているというふうに私も認識をしているんですが、今般の法整備後、大使館におけるやはり平素からの準備や対応能力強化にも更に取り組むべきだというふうに考えるんですが、この点、外務省にお伺いしたいと思います。
  256. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 改正後の自衛隊法八十四条の三の在外邦人等の保護措置、これを実施するに当たりまして、在外公館として想定される取組としましては、緊急事態の発生状況、現地における治安情勢、第三国による自国民保護活動の実施状況等を含む関連諸情報の収集ですとか、あるいは在外邦人の所在地、安否確認、あるいは保護措置の対象者の特定、それらの方々への連絡、案内や退避のための各種支援、さらには保護措置を行うことについての領域国からの同意取付け、領域国政府との連携及び協力を確保するための申入れ、調整、こうした業務を行うことが想定をされます。  こうした業務に加えて、平素から在外公館としましては、在外邦人との連絡体制の確保ですとか、情報収集と発信の強化、さらには在外公館の人的体制、警備体制の強化といったこの対応能力の強化、こういった努力、取組が求められると考えております。  こうした体制をしっかり取ることによって、大切な課題であります在外邦人の安全対策、しっかりと果たしていきたいと考えます。
  257. 平木大作

    平木大作君 少し急ぎ過ぎまして、最後の質問になるんですけれども、お伺いしたいというふうに思っています。  今回、これまでもそもそも在外邦人等の輸送ということはできたわけでありますけれども、そこに今回は保護措置というのが新しく新設をされたわけでございます。この在外邦人の輸送については、基本、これまでですと閣議決定で示されたガイドラインにのっとって、これは防衛大臣外務大臣に相談の上、基本的には実行するかどうかということを判断を行っていたわけでございます。  今般、いわゆる在外邦人等の保護措置に関しましては、これは、外務大臣そして防衛大臣に加えて、総理大臣の承認まで必要という形で今回定めているわけでありますが、このことの意義について最後にお伺いしたいと思います。
  258. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これ、現在の邦人輸送の法律でございますが、これは、アルジェリアのイナメナスというところで日揮の邦人企業の施設がテロリストに襲撃に遭って、たくさんの邦人関係者、これが拘束をされた際に、この救出の手段といたしまして陸上で彼らを輸送をするという規定がございませんでした。  これは、当時の与党で協議をし、また政府としてこの邦人の輸送、これを陸上輸送も可能にするべきであるということで改正をされたわけでございますが、この際に、防衛大臣、これが外務大臣と協議をした上で実施を命じるということで、新たに設ける今回は在外邦人の保護措置でございまして、これは更に防衛大臣が内閣総理大臣、これの承認、すなわち閣議決定、これを得て実施を命じるということになります。  これは、保護措置を実施する案件のうち、いわゆる任務遂行型の武器使用権限、これを認める前提となる要件につきまして、国家安全保障会議、NSCにおける審議等に基づいて内閣として判断をする必要があるということ、第二に、在外邦人等の保護措置については、人質の救出に際しての情報の収集、反抗勢力との交渉など、防衛省・自衛隊の対応のみに限らず、特に外務省、政府全体としての対応が求められるということ、そして第三に、在外邦人等の保護措置は、武器の使用を含めた実力行使、また自衛隊の部隊等の安全の確保、これが前提でありまして、領域国との関係も含めて政府全体として慎重に判断する必要があることというような理由があるということで、今回、邦人の救出の手段を新たに法律の中に規定をしてお願いをしているところでございます。
  259. 平木大作

    平木大作君 今大臣から大変大事な御答弁をいただいたというふうに思っております。これまでこの在外邦人等の輸送に関しては、基本的にはガイドラインに大分細かく規定がございました。その時々、改正を行うたびに閣議決定しているわけでありますけれども、例えば、もうこういうときにはやらないということですとか、戦闘機は絶対に使わない、武器は小銃、機関銃に限るとか、様々細かく、ある意味これは防衛大臣に御判断いただいていたわけでありますけれども、そこの判断にはこの閣議決定によるガイドラインによる縛りが非常に細かく利いていた、これが一つ輸送の特徴であったというふうに思っております。  恐らく、総理の許可が必要としていたのはこの事前準備として現地に向かわせるというときだけであったというふうに理解しているわけですけれども、今般この在外邦人等の保護に至りましては、今御答弁の中にもございましたけれども、閣議決定を経て、内閣として意思決定をしていくということでございましたので、そもそも法律の条文の中でしっかりと厳格な、厳しい縛りが掛かっているわけでありますけれども、それに加えて、一つ一つこの条文に合っているかどうかということを閣議決定で決めていくということ、これは大変慎重でかつ公正な判断をしていく上で大事な進め方であるなというふうに思っております。  是非とも、こういう形で一つ一つ論点たどってまいりますと、今回のこの平和安全法制についても大分また理解も、そしてこの内容の深化というか、より具体的にどういうことを指しているのか、国民理解にも資する議論ができていけるんじゃないかなというふうに思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。  少し時間が余りましたが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  260. 寺田典城

    寺田典城君 維新の党の寺田典城でございます。よろしくお願いいたします。  質問に入る前に、礒崎首相補佐官は八月の三日の当委員会で、問題となった発言について謝罪を通り越して撤回されました。政治家たる者は自分の言葉に責任を持つべきであり、信念を持ってなされた発言を撤回するのであれば、私は職を辞するべきだと思っております。冒頭、一言申し上げます。  それでは質問に入らせていただきますが、内閣は、法案を提出するときは、必ず内閣法制局が内容をチェックしているわけなんです。法の番人とか、私は、地方自治体でさえ条例を出すとき、法とそれから憲法に抵触しないかとかそういうことも、それぐらい権威もあるわけなんですね。  違憲の疑いのある法律をなぜ止めることができなかったのか。それこそ、法制局長官に、今回の一連法案の提出は憲法九十九条を遵守していると言えるんでしょうかと、それをお聞きしたいと思います。
  261. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御意見はいろいろございますけれども、今回の一連法案は、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力行使が許される場合があるという昭和四十七年の政府見解の基本的な論理を維持した上で、我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、新三要件の下、一部限定された場合において他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする武力行使を認めるにとどまるものでございまして、これまでの政府の憲法解釈との論理的整合性及び法的安定性は保たれていると考えております。  したがいまして、憲法に適合するものであって、憲法第九十九条の憲法尊重擁護義務との関係でも問題はないものと考えております。
  262. 寺田典城

    寺田典城君 本当に立派な答弁でした。  内閣法制局長官は、今回の法案が違憲であると認識しながら、最高裁でもまだ判断できないんですから、へ理屈をこねているんじゃないかなと思うんです。  で、思うんですけれども、この戦争ができない国から、今日は八月五日ですからもう十日するとポツダム宣言、それ以来日本の国は戦争を放棄している国ですね。長官は、のこのこ出てきて、今度戦争をできる国に法律を変えようとしているんですよ。そういう解釈しているんですよ。恥ずかしくないですか。ちょっとその辺をお聞きしたいです。
  263. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 戦争をできるようにする法案でもございませんし、戦争をできる国にしようとしているわけでもございません。  繰り返しこの場でもお答えしているとおりでございまして、今般の法案において認めようとする新三要件の下での限定された集団的自衛権行使と申しますのは、まさに我が国防衛するための必要やむを得ない自衛の措置として認めるものでございまして、憲法に抵触するものではございません。
  264. 寺田典城

    寺田典城君 のこのこしゃべられたんじゃ困るんだね。  今回の法案の提出によって国民の信頼も失ったし、法の番人という権威も失いました。国民の約八割がこの法案理解できないと言っているんですよ。その辺、どう思いますか、長官。
  265. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御理解をいただけていない部分があるということは大変残念ではございますけれども、内容につきましては憲法に適合しているものでございます。
  266. 寺田典城

    寺田典城君 いや、国民の八割が、それから賛成する人、三割もいないという状況なんですよ。これ、異常じゃないですか。法律が、これは合法性がないから、憲法に抵触するからそうなっていると思うんですよ。だから、国民理解しようといったってできないでいるんですよ。例えば、曇りガラスを手で拭いたって何も見えないですよ。一生懸命国民は見ようとしているんですよ。その辺、どう思いますか。もう一回答えてください。素直に答えてね。
  267. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 我々といたしましては、今回の法案が憲法に抵触するものとは考えておりません。これまでの憲法の解釈の範囲内、基本的な論理は維持しております。法的安定性も保持しております。  新三要件は関係ないと先ほど委員指摘になりましたけれども、まさに新三要件こそ重要なポイントでございますので、そこを見ていただきたいと思います。
  268. 寺田典城

    寺田典城君 我々としてはという、あと新三要件と、何か念仏を唱えているような感じで、国民をないがしろにしているんですよ。八割近い方々が理解できないというんですよ。法律は多数決で決めますけれども、国民理解できないという法律を通すことはできないと思いますよ。これが一番の課題だと思いますよ。これは自民党の方々とか与党の方々にもよく聞いてもらいたいんですけれども、そうなんですよ。  私は、三期十二年、自民党と選挙を戦いながらオン・ザ・テーブルで県行政をやってきました。それは、結果は必ず採決されますから賛成か反対に決まるんです。多数の中じゃない少数派でやってきましたけれども、だけれども、国民理解できるからいろんなことができるんですよ。理解できないことを、これを通そうというのは、それは横暴じゃないですか。  法制局長官、その辺、謙虚になってください。どう思いますか。
  269. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 内閣法制局といたしましては、内閣の補佐機関という立場におきまして、今回の法案については憲法に適合するものであるという審査をしております。  国民理解を得るということが大変重要であるということは理解いたしておりますけれども、私から申し上げるのもなんでございますけれども、それは政府・与党の立場においてそれぞれ努力されることであろうかと思います。
  270. 寺田典城

    寺田典城君 私は内閣法制局はもう崩壊しているんじゃないかなと思うんですよ。  それで、例えばこの法案が通ります。そうすると、今度、何というんですか、この法律の下で運用されるわけなんですが、裁判所が判断を下せるようになるわけなんですね。例えば、自衛官の家族が訴えの利益として、うちの息子は今の職務、海外に派遣された場合とか後方支援は嫌ですと言うことだってできると思う。それは、要するに裁判になれば違憲と判断される可能性が強いでしょう。だから、分かっておって私は内閣法制局がしゃべっているんじゃないかと、認識ある過失とも言えるんですが、その辺、どうなんですかね。
  271. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 裁判において、裁判所において違憲であるという判断がされるということは考えておりません。合憲性は十二分に説明できるものと考えております。
  272. 寺田典城

    寺田典城君 長官、即刻、長官の職を辞した方がいいと思います。辞めた方がいいと思いますよ。そうすると、お盆休みだって取れるし、日本の国も正常になりますから。本当に耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで今一生懸命やっているんでしょうけれども、もう普通じゃないということだけ言っておかせていただきます。  次に移ります。  同じようなことを中谷大臣にお聞きしますけれども、中谷大臣の著書の中で「右でも左でもない政治 リベラルの旗」ということで、平成十九年、幻冬舎で書いているんですけれども、憲法を改正するかどうか、改正しなくても解釈の変更を行うべきだとの議論があるが、私は現在の憲法の解釈変更はすべきでないと考えていると。解釈の変更はもう限界に来ており、これ以上解釈の幅を広げてしまうと、これまでの国会での議論は何だったのかということになると。憲法の信頼性が問われることになるということで、非常に良識的な書き方だと思って敬意を表させていただきます。  また、答弁でももうぼこぼこたたかれていることも気の毒だなと思っているときもあるんですが、憲法九十九条を遵守していると言えるか、大臣、ひとつお聞きしたいと思います、同じことを。
  273. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も政治家として安全保障問題に非常に活動してまいったわけでありますが、御紹介いただきました本は十年前に記述をしたものでございまして、やはり我が国安全保障を考えますと現状において対応しなければならないという思いでございましたが、その当時考えていた集団的自衛権というのは一般的な集団的自衛権ということでございました。  昨年の七月に、与党におきましても、今後の安全保障についてどのように考えるかというような協議会がございまして、政府と与党の中で緻密な議論と考察を経て慎重に検討をいたしました。  そして、昭和四十七年の政府見解、これも読み直してみまして、この中から、あくまでも我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に限って限定的な集団的自衛権行使、これは容認できるという結論に至りました。  これは、やはり我が国安全保障環境、これが大きく変化をしたと、そして従来の憲法解釈、これはしっかりと論理的な整合性と法的安定性、これを十分理解した上で、四十七年の見解を読みまして、合理的に当てはめをした結果、このような結論に至ったわけでございまして、それに基づいて法律を作って現在参議院の審議でお願いをしているということでございまして、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  274. 寺田典城

    寺田典城君 理解せよといったって無理なんですよ。  いろんな、もう発言がぶれています。その中でちょっと看過できないことが、一つだけ聞きたいと思いますが、立憲主義の認識ということなんですが、現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばよいのかという議論を踏まえて閣議決定を行ったと、六月の五日に大臣はお答えになっています。  法律に憲法を合わせるということは、私は本末転倒だと思うんですよ。その辺はどうなんですか。
  275. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その文章の捉え方、読み方でございますが、私としましては憲法を基に法律を作ったと言ったつもりでございますが、読み方によっては全く逆に取られることもできるわけでございまして、その点につきましては、誤解を招くということで撤回をいたしまして、新たに憲法を基に法律を作ったということで釈明をさせていただいたということでございます。
  276. 寺田典城

    寺田典城君 撤回国会ということになるのか分からないんですけど、こんなにぐらぐらする国会というのは。私も今年から認知症の年で、免許証を取るとき認知症の試験受けてきました。それこそ、何というか、この年になると何が心配かというと、やっぱり国の行く末ですよ、簡単な言い方すると。今まで平和主義でやってきた日本が、集団的自衛権も後方支援も認めようというような形で走っていったらどうなるのか。だったら、憲法改正でもして、PKOならPKO、そのような形で正々堂々と行くべきなんですよ。それをテクニカルなやり方で進めていく自体が、やっぱり撤回国会というか、おかしいなと。  だから、この法律も撤回した方がいいんですよ、これだけ間違って何回も修正しているんですから。いかがですか。
  277. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も真剣にもう一度憲法を考え、そして、この四十七年に作られた基本的論理、これが何を意味するのか、そういうことを検討して、私なりに理解をし、そして納得した上で閣議決定に至ったわけでございまして、その上で法案を作成したということでございますので、私なりには現行の憲法の範囲内であるという信念を持って今説明をさせていただいているということでございます。
  278. 寺田典城

    寺田典城君 四十七年の政府見解と砂川判決を頼りにしているというのは、全くプアな考え方だと思うんですがね。  それで、なぜこんなに法案の成立を急ぐのかというのは私、理解できないんですよ。こんなのちょっとありました。アーミテージさんとナイさんのレポートなんですが、ジャパン・ミッシング、ジャパン・ナッシング、日米関係の漂流ということなんですが、日本は、国連平和維持活動、PKOにおける活動範囲を、軍事力の行使を含め、市民や国連平和維持部隊の保護に至るまで拡大すべきであると、イランがホルムズ海峡封鎖の意図を示した場合には、日本単独でも掃海艇を派遣すべきであるというふうなこと、これ全く沿っているような今回の法案なんですが、これは相当影響しているのかしていないのか、外務大臣に。  それと、不思議でしようがないのは、四月二十九日、何も、国会にも法律内容説明していないのに、安倍総理米国議会で格好付けて、夏までに成立させると言っているんですよ。その辺、どう思いますか。
  279. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、政府として、自国国民の命や暮らしを守るということ、これは極めて大きな責任であります。国際的な安全保障環境が大きく変化する中にあって、今、国際社会においては、一国のみでは自らの平和や安定を守ることができない、これが国際的な常識になりつつあります。  その中にあって、我が国としてしっかりとした外交を進めた上で、万が一の場合に切れ目のない体制をつくっておく、安全保障体制をつくっておく、そのことによって抑止力を高め紛争の発生を未然に防ぐ、こうした取組は大変重要な取組であり、なぜ急ぐのか、あるいは、今御指摘発言に沿っているのではないかという御指摘でありましたが、政府として、この責任をしっかり果たしていく、今現在も厳しい安全保障環境の中にあるわけですから、それに備えて対応していく、これは大変重要な役割であると思っています。  そして、四月二十九日、総理米国議会で発言したことについて御指摘がありました。この平和安全法制の整備については、これまでも総理として、あるいは自民党としてこの整備の必要性を訴えてきたところであり、この国会において総理としてこの平和安全法制を成立させる、その意欲をこの議会で示したものだと理解しています。
  280. 寺田典城

    寺田典城君 一国では自国の安全は守れない、平和情勢が厳しい、中国が台頭しているのでどうだとかこうだとかと言うんですけれども。  日本の国は一九四五年に敗戦を迎え、八月十五日ですか、そのとき国連に入っている国が五十一か国だったそうなんですが、現在は国連に百九十三か国になっている。日本はその当時は帝国主義で、いろんな侵略とかしておったんですが、ほかの列強も植民地獲得競争もしておったんですね。  ところが、私たちは平和を望む国民だということで、そういう行動をずっと戦後七十年してきているんですから、国際平和安全情勢は厳しいとかとあおる必要はないと思うんですよ。平和を希求することが私たち日本国民が一番優れているところじゃないかと思うんですよ。それをなぜ、私から言わせると、安倍さんは子供の戦争ごっこみたいなことを考えているんじゃないかと思うんです、申し訳ないですけれども。情けない話なんですよ。  例えば、後方支援なんかは、大丈夫だ、安全だとよく言うんですけれども、日本は三百万人だか亡くなって、そのうちの百何十万人はあれでしょう、餓死とか何かしているでしょう、三割、四割近くは。そうでしょう。それは兵たんが届かなかったからです。あれが届かなかったからですよ。  私は、高校時代は山岳部だったものですから山登りもしましたけれども、登攀隊っているんですよ。山が大きくなるほどやっぱりたくさん荷物を持っていかなきゃならぬですけど、冬山なんかは特にですね。それこそ凍死したりする可能性あるし、雪崩あるし。ところが、私は歩荷隊で荷物担ぎの係をやっておって、これ、届けられなければ登攀隊は山登りできないんですよ。エベレストだってそうなんですよ。  戦争というのは、みんな武器持っていて前線でこうやっている人方だけが戦争じゃないですよ。後ろに付いている人も同じなんですよ。だから、安倍さんの、私分からないのは、武器持っていて戦っている人が戦争だと思っていると思うんだな。後方支援というか兵たんというのを理解していないんじゃないのかなと思うんです。  そこ辺り、中谷大臣、安倍さんに説明する気ありますか。
  281. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この委員会の議論におきまして、一九九一年、これが我が国安全保障において、世界にとっても転機じゃないかという御発言をされた方もございました。私もそう思います。これは、冷戦が崩壊をし、また湾岸戦争が起こりまして、世界でどのようにすればこの世界が平和で安定するのか、これが問われるようになった年でございまして、我が国もやはり国際的に国家として貢献をし、そして日本人としての能力、使命、こういったものを発揮しなければならないようになったその節目ではないかと思います。  その後、二〇〇一年の九・一一のテロ事件、近年におきましては北朝鮮のミサイルの能力の向上やパワーバランス変化などがありまして、やはりもう私も、防衛大臣といたしまして、一国のみでこの国を本当に守っていけるのか、やはりどの国もそうですけれども、国の安全を守るためにこういった協力をしながら安全保障維持するということをしなければならないということを思っておりまして、今回この法案を提出したというのも、あらゆる事態に切れ目のない対応をすることによって、日本の平和と安全、そして地域の、世界の安定を守っていく、そのためには、やはり我が国にとりましては、日米同盟、これを強化するとともに、地域とか世界のパートナーとの信頼、協力関係、こういうことを深めて対応することができるように、それは法律がないと、いざというとき対応できません。そういう意味で、しっかりとした法律を制定しておくということが今の時期必要だということで、現在そういうような考え方を持っているということでございます。
  282. 寺田典城

    寺田典城君 だから、今の安保の委員会というのは理解進まないんですね。皆さん寄り道ばっかりして、ああでもないこうでもないという話をしているんですよ。本当に情けないと思わないですか、それは。  それで、あの二〇〇一年のアルカイダの貿易センタービルなんか、みんなが見ておった前で、テロの問題とかあるんですけれども、アメリカの領土とか本土とかに爆弾を落としたのは日本の国の真珠湾攻撃と今の九・一一だけでしょう。アメリカというのはもう、一回ロケット飛んできたら百発も返ってきますよ。アメリカに弾を撃つ人なんかいないですよ、今。それを、一々こじつけて物しようという。そんなにアメリカというのは弱い国なんですか。だから、そういう点を含めて、今までのとおり安保関係を信頼関係の下で進めていくと、で、日本の国はできることはしようということでいけば自然体でいくことだと思うんですよ。  今現在、世界の中で紛争が起きているというのは民族の対立と宗教間の対立、そんなところでしょう。何あとありますか。そんな程度ですよ。たまにソ連がちょっと荒けて何だかんだといったときもあったんですけど、まずそうないですよ。  だから、そういう点で、なぜこんなに危機をあおってこういう今の法案を通さなきゃならぬのか、私はそこ辺りが、今の内閣はどこでこんなに行き違いになってきたのか、ノーマルじゃないんですよ、国民から見ると。だから支持率がどんどんどんどん下がっていくんです。  だから、両大臣、あなた方が首を懸けて、これじゃやっていけないと、法制局長官も、やっていけないと、安倍さん、これはもう降りると、この法律に対しては。そういう勇気を持つことが自民党を救うことでもあるし、日本の国を救うことでもあるし、そうですよ。その辺を考えてみたらいかがですか。まだ遅くないですよ。
  283. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今、なぜあおるのかという御質問がありました。  今現在の国際社会安全保障環境につきましては、これは明らかに変化しております。この委員会の中でも度々出てきたグローバルバランスの変化ですとか、あるいはミサイルの配備の状況ですとか、大量破壊兵器等、それはあります。それに加えて、近年、宇宙ですとかサイバーですとかテロですとか、こうしたリスク、これは明らかに量だけではなくして質も変化しているということであります。  加えて、今こうした紛争の原因について、宗教を始め余りないのではないかということがありましたが、今、国際社会の様々な紛争の火種は、この宗教のみならず格差、社会的な対立、あるいはアラブの春を始めとする様々な政権の不安定など、このリスクの要素はたくさんあるわけですので、こうした現実はしっかりと受け止めなければならないと思っています。  それに向けて、今現在政府として現実的にどう対応するべきなのか、是非真剣に考えたいと思っています。
  284. 寺田典城

    寺田典城君 私、本会議でだったですか、安倍さんに、決算の委員会だったか、こう言ったんですよ。ISILに対峙するところに二億ドル出しますと、あの二人の方が拉致されているとき。あなた、そんなにとんがっている必要ないでしょうと、人道的に二億出すと言ったら、だったら話分かるけどと。そうしたら、私とんがっていると言われたのは生まれて初めてだなんて言っておったんですけどね。なぜこんなに今回のあれは、自民党はとんがっていて、こういう変なブログ書いたりなんかしたりするのかなと心配しています。それで、私、三十歳から五十歳まで自民党員でしたから、申し訳ないですけれども。それで……(発言する者あり)いやいや、どうも。  それで、今、日本の国は一千兆円借金があります。高齢化率二五%。二〇二〇年になれば高齢化率三〇%、そうなります。三〇%のうちの六割が七十五歳以上なんですよ、率として。七十五歳以上になると、医療費なんというのは皆八十万円ぐらい掛かる、介護も掛かる。大体、健康寿命というのは七十一、二なんです、男で。女で七十三、四なんですね。そういう時代を迎えているのに、もう少しそれに沿ったような、社会保障費だってこれから考えていかなきゃならぬときに片意地張って、まず、大体、内閣法制局なんか、そういう法制局なら潰してしまった方がいいし、そういうのを含めて皆さん良識的に考えてくださいよ。  どうなんですか、お二方、一言ずつ御意見聞きたい。まともに答えてくださいね。
  285. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回は法律の改正をお願いしておりますが、これによって防衛費の大幅な増額、これが必要になることではない。つまり、今の体制をいかにしっかり使っていくかということでございますので、引き続き、中期防の下、厳しい財政事情を勘案をいたしまして、防衛省としては、一層合理化、効率化、これを徹底をいたしまして我が国防衛の任を果たしていきたいと思っております。
  286. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、国内においては高齢化を始めとする大きな課題があります。一方、国外においてもこうした外交・安全保障の大きな課題があります。こうした課題に対してより現実的に、具体的にしっかり対応するのが政府の責任だと思います。そういった思いでしっかり努力をしたいと考えます。
  287. 寺田典城

    寺田典城君 どうも遅くなって済みません。ありがとうございました。
  288. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  安倍内閣は、今までの自民党政権が取ってきた憲法上の立場、すなわち集団的自衛権行使はできないということをできるというふうに百八十度逆転させたわけであります。その唯一の根拠が、今日も何度も出ておりますけれども、日本を取り巻く安全保障環境の根本的変化ということでありまして、そして、この安全保障環境の根本的変化の具体例として、日本の近隣、特に中国脅威が盛んに宣伝されております。この間、もうこの数日、この委員会でも、与党の質問はもうそればっかりですよね。ほかに言うことないのかと思うぐらい、もうそのことのみに終始されていると。  確かに、中国日本の間、あるいは中国と東南アジアの国々との間には、領土、領海問題があります。現在開催されておりますASEAN会議でも、中国の南シナ海での一方的な行動各国から懸念が示されておりますし、我が党は、この中国の南シナ海での一方的な行動に対して批判的な立場を表明してまいりましたし、尖閣なんかは、もう我が党が先駆的に日本の領土であるということを歴史的に解明して、その上で、何といいますか、挑発的な行動に対しても直接中国政府に批判する、見解を伝えるということまでやってまいりました。ですから、批判すべきときははっきり批判して、きちっと道理に基づいて交渉して態度を改めてもらうということは大変重要だと思っております。  ただ、こうした問題が、だからといって安保法制戦争法案、だからといって集団的自衛権、そういう話なのか、騒ぎ立てる話なのかと。むしろ、そういうふうに対応しますと最も危険な軍事対軍事の対応になってしまう、エスカレートしてしまうと、その危険性が一番あるのではないかということを危惧しているわけであります。  この間、この委員会で、特にテレビ放映のときに、自民党とかこの法案賛成会派の議員が、あたかも日本中国戦争前夜であるかのような質問をされております。  例えばある自民党議員は、ある自民党議員というのは佐藤さんなんですけれども、こういう発言をされました。今中国が、南シナ海の埋立てを含めてそこを聖域化して、潜水艦からミサイルを発射する動きも出てきていると。そういう動きがある中で、我々は南西諸島を含めた国民の命を守っていかなければならないと。本当に今南シナ海で中国日本を含む周辺国に潜水艦からミサイルを発射する動きがあったら、これは大変なことでございまして、今やっているASEAN会議、ぶっ飛びますよね。  これはもう冷静に事実関係だけ確認したいんですけれども、アメリカ国防省の中国に関する年次報告があります。これはかなり中国のことを分析しておりますけれども、それによりますと、発射する動きも何も、まず南シナ海、海南島なんですけれども、弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦SSBNは二〇一五年中に配備する可能性があると言っているだけで、ましてや運用開始は確認されていないんではないでしょうか。  大臣、事実関係だけ教えてください。
  289. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中国潜水艦の発射弾道ミサイルSLBMにつきましては、現在開発が進む射程約八千キロメートルと見られているJL2を搭載するためのジン級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦SSBNの配備が進んでいると見られておりまして、JL2が実用化に至れば、中国の戦略核戦力、これは大幅に向上するものと考えられます。  御指摘アメリカの国防省が発表した中国の軍事及び安全保障の進展に関する年次報告におきましては、JL2搭載のジン級SSBNが二〇一五年に核抑止パトロールを実施する見込みである旨の記載があると承知をいたしております。
  290. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、運用開始されてもいないときに発射する動きなどあり得ないわけでございます。こういうことがテレビで簡単に流されていると、国民皆さん、不安に思いますよね。この前なんか、びっくりしたんですけれども、賛成会派のある議員なんかは、日本が巡航ミサイルのトマホークを持てと。そんな、憲法を知らないのか、荒唐無稽なことまでテレビで流されると。その中で国民皆さんは、まだ賛成の方が少しいらっしゃいますけれども、二割、三割いらっしゃいますけれども、そういうことに不安を抱いてこの法案必要かと。そういうためにする話といいますか、事実に基づかない話を、ましてや与党がテレビの前でおっしゃるべきではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。  冒頭申し上げたように、中国の一方的な行動は問題であります。強硬的な姿勢は問題だと、それは私たちも思っておりますけれども、国と国との関係というのは、やはり事実に基づいて冷静に慎重に判断する必要があると。ましてや政治家が意図的に国民をあおるようなことは決してあってはならないと、それが歴史の教訓だと申し上げておきたいと思います。  一方、アメリカの、資料をお配りいたしましたけれども、元太平洋軍司令官は、この南シナ海を含むアジア地域に軍事的対立、危険性はないということで、政府・与党とは全然違うことをおっしゃっております。デニス・ブレアさんという元アメリカ太平洋軍司令官が外国特派員協会での講演された資料でございます。  結局、何をおっしゃっているかというと、この地域での軍事紛争の可能性はないと。私は決してそうは思わない、アイ・ドント・シンク・ソー、アイ・ドント・シンク・ソー、二回も言われていますね。その根拠として、ほとんど領土問題というのは島だと。この島を軍事的に占拠して支配するというのはもう大規模な軍事作戦が必要で、大体そんなことを中国がやる可能性はベリー・ベリー・スモールと。ですから、ここの地域の話は、軍事的対立じゃなくて統治権の及ぶ区域をめぐる紛争であり、軍事対立よりもはるかにはるかに低い水準の問題だと。中国であれ他の国であれ、どの国も軍事対立へのエスカレートを望んでいない、だから、この地域で紛争が起きつつあるという現実的危険性はないということをおっしゃっておられるわけであります。大事なことはということで、東アジアの将来は、中国日本米国という三つの主要国全て必要とされている経済的変化の結果によって決定されるだろうと。  私は大変客観的なことを言われていると思いますけれども、中谷防衛大臣、このデニス・ブレアさんの見解についていかがお考えですか。
  291. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その発言等は承知しておりますが、一方で、米国の各種の戦略文書において、アジア太平洋地域における緊張の拡大、また安全保障上の懸念事項、こういうものも認識をされておりまして、特に本年二月に発表された米国安全保障戦略におきましては、東シナ海、南シナ海における緊張は深刻化のリスクとなる様相を呈している、先月発表された米国家軍事戦略におきましては、中国行動によりアジア太平洋地域における緊張が増している旨が記述をされております。  また、米国政府及び軍の高官の発言におきましても、例えばシアー国防次官補、これが、中国行動の範囲や性質は地域安全保障を破壊する可能性がある旨、次期統合参謀本部長に指名されているダンフォード海軍海兵隊司令官が、中国安全保障上の懸念分野と見るべきである旨発言されるなど、各種戦略文書において示される認識と同様の認識が示されておりまして、非常に、東シナ海、南シナ海における攻撃的な姿勢を始め、中国行動がもたらしている地域の緊張の拡大、不安定化に対する懸念、これは現在の米国政府内においても広く共有をされているものと認識をいたしております。
  292. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が申し上げているのは、それは承知しております。それは、軍事的対立に発展するかどうかという見方をこのブレアさんはしておられて、そういうマターではないと。  アメリカ政府高官というのは、民間人になってから結構生のいろんなことを言う傾向があるんですね。逆に言うと、政府の代わりにコメントする、アーミテージさんもそうですけれども、そういうことがありますので、両面を見る必要がありますし、いずれにせよ、軍事的対決に今にも発展するようなこの委員会での議論、これは全然違うということであります。  今日ちょっと気になったんですけれども、午前中のやり取りの中で、中谷防衛大臣は、与党は中国脅威という言い方をするんですけれども、決して脅威という言葉は使われないで、懸念、懸念というふうにおっしゃっています。  防衛省の今のこの捉え方は、中国の諸問題は脅威でなくて懸念という捉え方でよろしいんでしょうか。
  293. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国防衛政策は、中国を含めて特定の国を脅威とみなし、またこれに軍事的に対抗していくという発想には立っておりません。  ただ、中国の最近の国防費の増加、また軍事的な活動の拡大、東シナ海、南シナ海を始めとする海空域における活動を急速に拡大、活発化させているということについては十分関心を持って見ているということでございます。
  294. 大門実紀史

    大門実紀史君 私たちも決して、中国の軍事費の急拡大についていかがなものかと思っておりますし、スクランブルにしろ海洋進出に前のめりなことにしろ、懸念を抱いてはおります。それがあおるような脅威なのか、それとも懸念なのかですね。懸念は払拭できます。脅威は払拭できません、脅威というものはですね。だから、どういう立場で捉えるかということが大変重要ではないかと思っておりますし、いずれにせよ、国と国のことはもっとトータルに、軍事面だけではなくて、外交面だけではなくて、経済、文化、トータルに捉えて、その中で今起きている問題を見ないと、尖閣だけ見て、南シナ海だけを見て全てを判断する、中国を判断する、これは大変な間違いを起こすのではないかと思います。  そういう点で、もう少し落ち着いた中国に関しての議論をしたいと思いますので、今日はわざわざ経済産業大臣にお越しいただきました。  私は、ふだん経済のことをやっておりますから、いろんなことを見ておりますけれども、この委員会の方々はもう軍事のことばっかりの方が多いのでお聞きしたいんですけれども、やっぱり日中の経済関係の深さですね。昨日、実は財政金融委員会で財務大臣麻生さんと日中経済問題を話し合いまして、もう重要さも発展方向も一致をするわけです。  宮沢大臣に改めてといいますか、経産相としての、日中経済をどう捉えて、今後の発展方向をどうお考えになっているか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  295. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 委員指摘のとおり、中国につきましては、現在四万社を超える我が国企業が進出をしております。また、貿易面におきましても、輸出先といたしましては米国に次いで二番目、輸入先といたしましては一位ということでありまして、貿易総額におきましても米国をはるかに抜いて一位ということで、大変重要な市場と認識をしております。  昨年の十一月及び本年四月に安倍総理が習近平国家主席と首脳会談を実施されました。私自身も昨年十一月に北京におきまして高虎城商務部長らと会談をいたしまして、双方向の貿易投資の拡大や様々なチャンネルの交流、協力の強化で一致したところでありまして、その方向で進めてまいりたいと考えております。
  296. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  お手元に資料を作りましたけれども、このグラフは日中、日米日本ASEANの経済的な依存度のボリュームの大きさを示すものでありまして、貿易でいえば輸出と輸入の両方の合計です。投資もそうです、受取、支払、両方の合計です。差引きしてしまいますと、大きさが、ボリュームが分からないので、よく国際収支の統計で使われるものであります。  これの最新版を作ってみましたけれども、貿易ではもう既に日米間よりも日中間の方が増えております。これから、今、金融の問題で日中間でやっていますけれども、そういうものが改善していけば、当然、証券投資、あるいはASEANとのいろんな問題ありますけれども、解決していけば、直接投資も日中間でもっと増えてくるであろうというふうに思います。ちなみに、ASEAN十か国よりも日中の方がこれだけ大きいわけですけれども、このASEANとの直接投資というのは、実はASEANから輸出する相手が中国ということがありまして、非常に密接な関係にあるわけであります。  さらに、これからどうなるかというところは、もう大体皆さん御存じだと思いますけれども、中国が生産から消費マーケットに変わると、日本の最大のマーケットになってくると。中国自身も依存度を強めていくということで、これから両国の経済的な利益は一致していくわけですよね。経済論理が強いだけだと、かつて第一次世界大戦のときにイギリスとドイツ戦争したじゃないかという話がありますが、あれは将来の利害が違ったからですね。日中の場合は将来の利害は一致します。  こういう国が戦争状態に入るということは、歴史から見ても経済の常識からしても私は考えられない話だというふうに思いますけれども、宮沢大臣、いかがお考えですか。
  297. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 将来戦争状態に入るかどうかという判断は経産大臣の立場としてはなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、今の経済の結び付きの強さというもの、そして将来更に強くなるということを考えますと、まさに大事な市場であるという位置付けは変わらないと思っております。
  298. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう国とは、どういうふうにいろんなことを対応していかなきゃいけないかということなんですが、当たり前のことですけれども、外交的、平和的手段で問題の解決を追求するというのは両方の国益に沿うわけですね。  それで、改めて資料を、次のページからちょっとボリューム多いですけれども、用意しました。要するに、今からというよりも、今まで日中間の紛争解決のルールというのはどういうものであったのかと、何を確認されてきたのかということを資料をまとめてみました。  日中国交回復以来、あの戦争の教訓を踏まえて二度と戦争をしないということで、両国の間でいろんな紛争があったとしても、平和的手段により解決して、武力又は武力による威嚇に訴えないということを繰り返し繰り返し、国交回復以来、確認してきたというのがこのお付けした文章であります。もう時間の関係で全て紹介する時間はありません。  改めて振り返ると、何が貫かれているかといいますと、私は原則二つあるんじゃないかと思います、日中間の紛争の解決手段。一つは、今申し上げたように、とにかく平和的手段により解決する、武力又は武力による威嚇にも訴えないと。二つ目は、これ大事なんだと思うんですけれども、戦略的互恵関係、二〇〇八年以降大変強調されているのが、疑心暗鬼に陥らないように、経済、文化交流はもちろんなんですけれども、防衛分野においても対話、交流を強化して、連絡体制を整備して不測の事態の発生を防止すると。情報不足でぶつかり合うとか、そういうことがないようにするということでありまして、これは大変重要なことを日中間で確認してきたんじゃないかと思うんですよね。  これが日中間のいろんなことの問題解決の原則だと思うんですけれども、これは外務大臣に改めて認識を伺いたいというふうに思います。
  299. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今御議論いただいている平和安全法制は特定の国や地域を対象としたものではありません。そして、その上で、中国について申し上げるならば、我が国政府中国脅威とみなしてはおりません。そして、中国が平和的に発展するならば、これは我が国にとってもチャンスであるということを申し上げてきております。日中両国が戦略的互恵関係に基づいて安定的な友好関係を発展させる、これは大変重要なことであると認識をしています。  その中にあって、委員も御指摘になられましたように、南シナ海等の動きですとか不透明な軍事費のありよう等があり、このことは国際社会の懸念事項となっているのは事実ですが、我が国としましては、昨年の十一月、そして今年の四月、二回にわたりまして日中首脳会談を行いました。私も、これまで日中の外相間で四度意見交換を行っております。そして今日、夜にはミャンマーに向かいたいと思います。もし調整が付けば、王毅外交部長ともしっかり意見交換をしていきたいと思っております。  こうした中国との関係においては、日本中国世界第二と第三の経済大国です。地域に責任も担っております。是非しっかりと関係改善に向けて外交努力は続けていかなければならないと考えております。  あっ、失礼しました、済みません、今、失言であります。今晩、マレーシアへ向かいます。失礼いたしました。
  300. 大門実紀史

    大門実紀史君 今おっしゃったように、政府としては中国脅威とはみなしていないということなので、与党の皆さんはよく聞いておいてもらいたいなと思います。  その上で、具体的な話でいきますと、南シナ海ですけれども、今おっしゃっていただいたように、ASEAN会議が開かれておりまして、簡単に言いますと、中国といろいろもめているといいますか、中国の対応良くないんですけれども、東南アジア諸国はあくまで話合いで南シナ海の問題も解決しようということで、南シナ海のまず行動宣言、DOCというものを出して、さらにそれを行動宣言から規範に、強いものに変えていきたいと。そういう仕組みをつくって、中国にも自制を促して、いろいろ一緒に、一緒にというか、武力とかいろんなことに訴えるんじゃなくて、話合いで解決していく道筋を探ろうとしているわけですね。  これは大変重要な取組だと思いますし、あした、もしそういう日中の外相会談が開かれるということならば、日本としても話合いの枠組みを、きちっと中国もテーブルに着くようにと、そういう中で解決していくようにと。今後も、やっぱり日本はアジアの中でリーダーの役割を果たしてきたわけですから、こういう問題も自らもっと、平和的な問題ですから、乗り出して、テーブルメーカーといいますか、そういう積極的な役割も果たしていくべきではないかなというふうに思います。  特に、DOCからCOCに発展させる、行動宣言から規範に発展させるという点で日本も汗をかいていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  301. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のCOCにつきましては、我が国として早期合意を重視する立場に立っております。南シナ海の状況については注視するとともに、現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的な行動を懸念しています。  その中にあって、我が国としましては、昨年のシャングリラ・ダイアローグで安倍総理が打ち出しました海における法の支配の三原則、これが貫徹されることを重視しております。国際法を重視する、あるいは力による解決を目指さない、そして平和的な解決を目指す、この三原則を重視しております。是非、ASEAN関連外相会議におきましても、この法の支配を重視すること、そして、行動宣言、DOCを完全履行すること、そしてあわせて、このCOCの早期妥結をするということに対する期待、これを是非発言していきたいと考えます。
  302. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、そういう点で日本は頑張るべきなんですよ。もっともっと努力することが必要だと思います。  時間の関係で、ちょっと資料を配って説明する時間ありませんけど、資料四の、これは現職の米国国務次官補、ダニエル・ラッセルさんですけれど、大変重要なことをおっしゃっていまして、米中は戦略対話、経済対話をやってきて、経済といってもこれは実は経済だけじゃないんですよね、非常に高度なレベルの対話をやってきて、非常に強固な関係を築いて、少々いろんなことがあっても基盤は崩れないと、話合いでできる、そういう関係を築いているということを言われております。先ほど言いました防衛当局同士の対話が非常に重要だと、その点ではですね。  米中は、もちろん緊張感はありますよね、いろんなことで、緊迫していますよね、ある意味では。しかし、疑心暗鬼によるあらぬ不可抗力による衝突とか、そんなことがないようにちゃんと対話を続けているということで、この点、非常に重要だと思うんですよね。それこそやるべきことであって、戦争のシミュレーションみたいなことじゃなくて、やっぱり対話をきちっとやっていくことが重要だと思うのに、一番最後に配りました資料ですけれども、まだこんなことを防衛省はやっているのかということでありますけれど。  これは防衛省の統合幕僚監部の防衛計画部の内部資料でございます。取扱注意というようなものでありますけれども、その中の資料の一ページなんですけれど、簡単に言いますと、この図を見てもらって、何をシミュレーションしているかというと、抑止(平時)と対処(有事)に分けて、どう中国軍に対応するかが書かれております。  特に、平時がなぜこういうシミュレーションになるのかと思いますけれど、通常、抑止とは相手が攻撃してこない状況をつくることなんですけれども、この解説だと、中国の海洋権益拡大を阻止するために平時から様々な手段を取ると。矢印、中国側の矢印ですね、これに対し日本の矢印がぶつけるわけですけど。つまり、抑止というよりも、これ平時ですから、平時から攻勢的な抑え込み戦術というようなことをシミュレーションしているわけですね。  私は、先ほども冒頭申し上げましたけど、一方が物理的、軍事的な対応をやってきたらこちらもやると、そういうふうなことが一番今危険な軍事対軍事のエスカレーションになるということを指摘しているわけですけど、対話が大事だと言いながらこういうシミュレーションを防衛省がやっているということは、何を考えているのかと言いたいんですけれど、いかがですか、大臣
  303. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊は、我が国防衛を始めとする各種事態に適切に対応するために、自衛隊の統合演習、また日米共同の統合演習等の様々な訓練、演習を実施をいたしまして、自衛隊の能力の維持向上、また日米相互運用性の維持向上等に努めております。  他方、これらの訓練、演習は、特定の国や地域への対処を目的としたものではなくて、対中国の軍事シミュレーション等を行っているわけでもございません。  なお、これらの訓練、演習の想定の細目につきましては、部隊運用等に係るものでありまして、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  304. 大門実紀史

    大門実紀史君 これ、だって対中と書いてあるじゃないですか。中国シミュレーションですよね。  二〇一三年の一月三日に、ウォール・ストリート・ジャーナルで、アメリカの保守系シンクタンクのマイケル・オースリンさんが大変いいことをおっしゃっていまして、東アジアにおける最も不穏な流れは、領土問題、北朝鮮問題、どれ一つを取ってもその解決に向けた前進が全くないことと。外交的なイニシアチブが発揮されないで、より幅広い合意のための基盤となる二国間の問題も解決されていないと。逆に、政治家たちが更にナショナリズムをあおり、その政治的立場を硬化させていると。この指摘は、一年半たっても何も変わらないどころか、この安保法制戦争法案をめぐってかえってエスカレートしているというふうに思います。  大変危険な状況に入っていると思いますし、今日御紹介したように、いかなる紛争も平和的、外交的手段で解決をというのが東南アジア諸国が目指している方向なんですよね。日中の共同声明でもずっと確認してきた方向なんですよね。我が党もずっと主張してきた方向でありまして、にもかかわらず、こういう、今度は北朝鮮の問題も触れたいと思いますけれど、こういう近隣の脅威ばっかりあおられて、この法案がなければいけない、なければいけないと。こういう議論をしているのは本当に世界でも恥ずかしいといいますか、世界でも日本の国会だけだと。もっとグローバルな議論世界の国会はしているというふうに思います。  とにかく、外交的な解決手段を取るということが一番大事だということを申し上げて、この憲法違反の法案は即座に撤回されるよう求めて、質問を終わります。
  305. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 今日はお許しをいただきました。元気ですか。元気があれば何でもできると。でも、ちょっとこの暑さでは元気が萎えてくるような感じがしますが。熱中症も、一万何千人が搬送されたと、また二十五人以上の方が亡くなられたという。この間、外交防衛でも言いました、私の熱中症は去りました、御安心くださいと。どういうことかというと、恋の熱中症でしたということで。  本当に、毎日、各テレビ局が七十周年ということで、戦争中のフィルムを放映されて、それぞれ見て感動し涙をすることもありますが。特に、硫黄島であったり、原爆もそうだし、サイパン、そのようなあれを見て。  今日、本当に、衆議院の話を聞き、また参議院で同僚の皆さんからも話を聞き、私なりにいろいろ勉強させてもらいました。その中で、違憲か合憲かという議論で、私自身、本も読みながらも、いろいろ言い回しを見ながらも、ずばり言うと非常に分かりにくいということが、今日の議論にもそのようなことが言われていましたが、どんなにすばらしい法律であったとしても、違憲では意味がないと私は思います。今日は総理はおられませんが、間違いなく合憲だと言い切っておられますが、憲法解釈が間違っているのか、私、何度も検証してみましたが、やはり違憲に思えてくるような感じがいたします。  総理は合憲の根拠としてよく砂川最高裁判決を挙げられますが、私なりに調べを進めていく中で興味深いリポートを見付けました。砂川事件最高裁判所判決をめぐる機密文書がアメリカ国立公文書館から開示されました。  当時の状況としては、日本が対等でないというのも、いろんな時代背景が読み取れますが、米軍が違憲破棄圧力、砂川事件公文書判明という、当時のマッカーサー駐日アメリカ大使が、米軍の旧立川基地の拡張計画に絡む砂川事件をめぐり、一九五九年三月の米軍駐留違憲、憲法違反との東京地裁判決に衝撃を受け、この判決の破棄を狙って藤山愛一郎外務大臣に高等裁判所を飛び越え最高裁に上告するような外交圧力を掛けたり、最高裁判所と密談するなど露骨な介入を行っていたというものです。  このリポートを読み終えたときに、今回、平和安全法案が合憲だという根拠も明白じゃないのではと思わざるを得ません。  多分この質問に対してお答えがもらえないのかなと思いますが、外務大臣あるいは法制局長官にお聞きをしたいと思います。アメリカが開示したこの公文書の内容は重く受け止められるべきです。どのようなお考えをお持ちですか。
  306. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、砂川事件に関しまして、その審理過程で審理の取り進め方あるいは判決内容等について日米間で交渉した事実はないと考えています。そして、米国も公開した文書につきましてコメントは行わないものと承知をしております。  我が国としてもコメントすることは適切でないと考えていますが、この御指摘のあった一九五九年三月三十一日の文書については、本年六月十日の衆議院平和安全特委において理事会協議事項となったことを受け、外務省において改めて確認作業を行いました。しかしながら、当該文書の保有は確認されておりません。
  307. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 法制局長官にもお聞きしていますが。
  308. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘報道は承知しておりますけれども、その内容につきましてコメントする立場にはございません。
  309. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 必ず、その立場じゃありませんとか控えさせてくださいと。ここが一番我々は知りたいところなのに、一番、この委員会でも皆さんが言われているように、かみ合わないという部分だと思うんですが。先ほども言いましたように、時代背景を見れば、いろんなこと、やはり無理が通ったのかなということも理解できないわけではありませんが。  次に、先ほど外務大臣ASEAN外相会議に行かれるということで、非常に新聞報道でも出ております。先ほど白先生からも質問がありましたが、この時期に岸田大臣が行かれる、北朝鮮の李洙ヨン外相との日朝外相の会談が目的だと一部報道されましたが、今まで拉致担当大臣の方も含めて直接北朝鮮とその問題について話合いを、まあ一部、去年いろいろ話があったというのは聞いておりますが。  かねてより私は、対話なくして問題の解決はなしということを言い続けました。また、外交に勝利なしという、お互いの立場に立って物事を考えなきゃいけない。北朝鮮に対する今までの日本の外交は、対話と圧力、そして対話の部分が足りなかったという、先ほども同僚議員からも、いかに対話、平和というものが大事かということを述べられておりましたので。  昨年、私も、十九年ぶりに平壌平和の祭典ということで開催しましたが、これもNHKも、いろんな放送局が報道してくれましたが、大変そういう人の流れが、向こうは歓迎してくれます。日本と北朝鮮の対話の扉が閉じないようにということでこの何十年間努めてきましたが、何とか去年せっかく扉が開きかかったのに、また扉が閉まってしまった。今回の扉の閉まり方はきつい、今までみたいなわけにいかないということで、是非早い時期に北朝鮮との対話を、前向きな話合いをしていただきたいと思います。  またもう一つ、先日、これは中谷防衛大臣にお聞きしましたが、北朝鮮がアメリカに向けてミサイル攻撃を行った場合、北朝鮮のミサイル基地を攻撃できるという見解防衛大臣が示されました。私に入ってきた情報で、北朝鮮はこの件で大変不快感をあらわにしているという情報が来ましたが、そもそも拉致問題と集団的自衛権は別ということになるでしょうが、外交上の駆け引きやしたたかな采配も時には必要でしょう。  そこで、岸田外務大臣にお聞きします。北朝鮮の外相との会談が実現すると思いますが、拉致問題が全く進んでいない現状、どのような話をされ、また今後の話合いをどう進めていくお考えがあるか、お聞かせください。
  310. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、拉致問題は、我が国の主権、そして我が国国民の命と安全に関わる重大な問題であり、安倍政権にとりましても最重要課題であります。そして、特別調査委員会の調査が始まって一年以上たつわけですが、今も拉致被害者の帰国が実現できていないこと、誠に遺憾に思っております。  そして、マレーシアにおけるASEAN関連外相会議に今日の夜から出発したいと思いますが、三つのマルチの国際会議の合間を縫って、できるだけ多くの外相とバイ会談を実現したいと思います。  今、北朝鮮の李洙ヨン外相との間の外相会談、まだ具体的に確定はしておりませんが、是非外相会談を実現することによって、北朝鮮から具体的な動きを早急に引き出すべく、できるだけ速やかに直接働きかけを行いたいと思っています。そして、この会談が実現したならば、是非、日朝合意に基づく迅速な調査を通じて、全ての拉致被害者の帰国、これを強く求めていきたいと考えております。  おっしゃるように、対話と圧力、行動行動の原則に基づいてしっかりと取り組んでいきたいと考えます。
  311. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、オリンピックについてちょっと質問をさせていただきますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについてお聞きします。  オリンピックは、大勢の選手や観光客、さらに各国首脳や要人が一堂に集まる機会で、テロの標的となる可能性も指摘されていますが、首都東京がテロ攻撃を受ければ甚大な被害を被ります。是非万全の体制で安全を確保していただきたいと思います。  ところで、二〇二〇年の開催日程ですが、これは誰が決めたんでしょうか。先ほども挨拶は元気じゃなくて暑いですねという、まさに毎日三十五度を超える中で、一番大事なことは、今回は建物もそうだし、経費のこともそうだし、そこでパフォーマンスを行う選手たちが一番環境の良い、オリンピックの基本は、より早く、より高く、より強くとありますが、こんなコンディション、暑さの中でオリンピックを開催して、そのようなパフォーマンスと、人によって違うと思いますが、いい記録が出ると思われますかね。  そしてまた、この炎天下で、まずは一番はマラソン選手なんかどうなるのかな。競歩の選手、ましてや車椅子に乗る選手たちは、焼けたアスファルトの中で照り返しが、三十五度だと四十度を超えますからね。また、観客の方も、毎日熱中症が先ほど言ったように出ています。こんな条件でオリンピックを開催する時期というのは、元々は東京は十月十日、体育の日になっていますが、今回の大会のメーン会場の計画が白紙になったことです、いっそのこと日程も再考するのはいかがでしょうか。  開催期間は二〇二〇年の七月十五日から八月三十一日までで選択するとありますが、IOCの先ほど、何ですかね、見たときに、コンセプトという部分で、IOCの理事会がこの他の日程に合意した場合を除くともあります。このIOC理事会がこの他の日程に合意した場合を除くと、変えることは可能だということが書いてありますが、変える可能性について、是非私からも変えていただければというお願いを込めて質問させていただきます。
  312. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 確かに、五年後、ちょうどこの時期にオリンピック・パラリンピックが開催されるということを考えると、本当に熱中症の問題が出てくるのではないかと思います。  この二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催日程については、御指摘ありましたが、IOC理事会が他の国際競技大会のスケジュール等を総合的に勘案して七月から八月の間での開催を決めているものでございますので、その変更は困難であるというふうに承知をしております。  一方で、七月から九月、本当に今日のような大変な暑さが厳しい時期、大会として開催されるということになると、アスリートそれから観客、過ごしやすいような環境をどう整備するかということ、これは極めて重要なことであるというふうに思います。  そのため、今年五月に内閣官房オリパラ推進本部を中心として、暑さ対策に係る関係府省庁等連絡会議が設置され、道路の暑さ対策を始め、関係省庁、組織委員会及び東京都等が取り組むべき対策について幅広く検討を今行っているところでございます。例えば、マラソンや競歩などの競技に関しては、路面温度の上昇を抑制する道路舗装技術の活用、それからドライ型ミスト施設の設置など、取組が検討されているところでございます。  文科省としても、暑さ対策について引き続き必要な協力をしっかり行ってまいりたいと思います。
  313. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間がなくなりました。ネットに寄せられた質問も随分来ているんですが、今日の憲法九条に関する問題とか、時間が来ましたので、まずは今回のオリンピックの、今説明がありましたが、アメリカとの関係で先ほどいろんな、憲法もそうですが、アメリカの影響力が強いということを一言申し上げて、終わります。  ありがとうございます。
  314. 浜田和幸

    浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  今日は、主として中谷防衛大臣、少しだけ岸田外務大臣質問をと思って参りました。  防衛予算、来年度五兆円を突破するということですよね。やっぱり国民の税金を最大限有効に活用するということは欠かせない視点だと思っています。そういう意味で、今、日本を取り巻く環境の中で、先ほども議論になりました北朝鮮からのノドンミサイル、そういうものに対する対抗策としてパトリオットミサイル、この防衛システムですね、これが整備進んでいるわけですけれども、このパトリオットミサイルの精度、北朝鮮から飛んでくるミサイルをどれくらいの精度で撃ち落とすことができるのか、この問題、とても重要だと思うんですね。  さきの湾岸戦争のときにはこのパトリオットミサイルがどんどん飛びましたけれども、データによると、当時のヒット率、百発撃たれたものの九発だけ、九%。イスラエルの国防軍に言わせると、実際はもっと低くて命中率は二%しかなかったと。ビル・コーエン元アメリカの国防長官に言わせると、パトリオットは使い物にならなかったということを二〇〇一年に発言されています。  そういったことを考えますと、もちろんレイセオン社が毎年毎年精度向上に努めていることはよく承知をしていますが、果たして本当に今配備されているパトリオットミサイルで北朝鮮から飛んでくるノドンをどれだけ確実に撃ち落とすことができるのか、自前の日本防衛省による精度実験、テストといったものは本当に行われているのかどうか、この辺りについて中谷防衛大臣の、これまでどのような発射実験を行ってきたのか、本当に日本をこのパトリオットミサイルで守れるのかどうか、これについてまずお考えをお聞かせください。
  315. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) 恐れ入ります。私からお答え申し上げたいと思います。  先生御指摘の湾岸戦争当時の話でございますが、確かに、米国会計検査院が二十年以上前に報告した中に、湾岸戦争当時、パトリオットPAC2によるスカッドミサイルに対する破壊確率が九%程度であった旨報告していることは承知しておりますが、当時使われておりましたこのPAC2は極めて限定的な弾道ミサイル対処能力しか有していないものでございます。  他方、現在我が国が導入しております弾道ミサイル防衛システムの仮想での迎撃に使われます弾道ミサイル対処能力を有するペトリオットはPAC3でございまして、その技術的な実証につきましては、我が国の航空自衛隊による迎撃試験を平成二十年、そして平成二十一年の二回実施しておりまして、いずれも標的の迎撃に成功しているところでございます。  またさらに、平成十五年のイラク戦争の際には、米軍が迎撃範囲の全ての短距離弾道ミサイルの迎撃に成功したということを米政府より発表がなされたと承知しておりまして、これら過去の試験の結果等に鑑みれば、我が国のペトリオットPAC3の技術的信頼性は高いものと考えているところでございます。
  316. 浜田和幸

    浜田和幸君 今PAC3のお話がありましたけれども、製造元のレイセオンが自前で行ったベストコンディションでの発射・迎撃実験によると、一番環境が攻撃しやすい、撃ち落としやすいところでもフィフティー・フィフティー、五〇%ぐらいしか迎撃には成功していないということを公表しています。  今、石川政務官は、日本が自前でやったときにはきちんと迎撃できたとおっしゃいましたけれども、その命中率は何%ぐらいだったのでしょうか。
  317. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) 今お答え申し上げましたけれども、平成二十年、そして平成二十一年の二回の実施におきまして、いずれも標的の迎撃に成功しているところでございます。
  318. 浜田和幸

    浜田和幸君 それは極めてベストな環境の下で、全ての条件が整って標的の攻撃に成功したと思うんですね。しかし、現実には、どういう環境の下で北朝鮮なり第三国が日本に対する攻撃を仕掛けてくるか分からないわけですから、その辺りの自前の発射実験というのはもっと頻繁に行っておく必要があると思います。  関連して、今防衛省・自衛隊が導入を計画しているF35、ステルス戦闘機、これは一九七〇年代に導入が進められたF16の後継機種と言われています。ロッキード・マーチン、ここが史上最高額の開発費、日本円にして百兆円を超える資金を投入して開発した史上最強の兵器と言われてはいるんですが、一方で、このF35はハンガークイーンという名前でアメリカでは呼ばれています。要するに、ハンガー、ここにいつも駐留していると。なぜかというと、飛び立つたびに修理、故障が発生して、その修理のために予定している飛行訓練時間の五五%しか実際には飛べないと。実際、パイロットたちの間でも、こんなに接近戦で操縦が難しい戦闘機は今までないと。不正確で不安定なソフトウエア、なかなかドッグファイトには不向きであると。しかも、装着できるミサイルはたった四発しかないというんですね。  こういうようなF35を本当に日本自衛隊が導入して、まさかのときに効果があるんでしょうか。また、アメリカでは一機一億ドル、百億円を超えるこのF35なんですけれども、日本はどれくらいの金額で何機導入する予定なんでしょうか。
  319. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) お答え申し上げます。  我が国は、F4戦闘機の減勢に適切に対応していくために、現在の戦闘機数約二百六十機体制に欠陥が生じないよう、その後継機としてF35Aを想定しているところでございます。  このF35Aの選定に当たりましては、周辺地域の軍事力の近代化の進展、具体的には、ステルス性の優れた高性能戦闘機の出現、あるいは戦闘機、早期警戒管制機及び対空ミサイル等が一体となって行われるネットワーク型戦闘の進展、さらには兵器システムのマルチロール化の進展などを踏まえまして、次期戦闘機といたしまして、制空戦闘能力に優れることに加え、空対地攻撃能力等を備えたマルチロール機であります任務を遂行できることが求められると考え、F35Aの評価が最も高かったことから、同機を次期戦闘機としたところでございます。  先生御指摘の中で、例えば搭載可能なミサイル数が四発にすぎないという御指摘がございましたが、我が国に配備を予定しておりますF35A配備開始時には、最大数として、空対空ミサイル、中距離のミサイルが四発、短距離のミサイルが二発の予定でございまして、他の戦闘機と比べても特に遜色はないと私どもとして考えているところでございます。多くのミサイルを搭載できることは、もちろん制空戦の戦闘任務においてメリットの一つではございますが、機体重量が増加すること、あるいは機動性、加速性の低下、航続距離の縮減、ステルス性の低下といったデメリットも生じることになるわけでございます。  こうしたことを総合的に評価をいたしまして、搭載ミサイルの数のみならず、ステルス性、レーダー探知性能等も考慮に入れた分析を行って、バランスよく高得点を獲得したF35Aを次期戦闘機として選定をさせていただいたところでございます。
  320. 浜田和幸

    浜田和幸君 金額についての御説明がなかったんですけれども、もし御紹介いただけるのであればお聞かせいただきたいと思います。  また、このF35は、今年一月十四日に、アメリカ・カリフォルニアのエドワーズ空軍基地周辺での性能テスト中に人身事故を起こしているんですね。そういった意味で、飛行パイロットの間では大変リスクの高いということが言われております。そういうことの、安全性についての自前の検証というものがどこまで行われているのか。  ちょうど今から五十年前のベトナム戦争のときにも、当時アメリカの最新鋭のF4ファントム、これが大量に導入されましたけれども、結局、旧ソ連軍のミグ戦闘機に歯が立たなかったと。幾らアメリカが最新鋭で百兆円も掛けて開発したといいながら、本当に日本を守る、そういう戦闘機、ステルス戦闘機なのかどうか、やはり自前の検証も必要だと思うんですけれども、金額のことを含めて御紹介をいただければと思います。
  321. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) 中期防衛力整備計画、平成二十六年度から平成三十年度におきましては、計画期間中に二十八機を整備することとされておりまして、平成二十七年度の予算には六機分の取得に係る経費を計上しております。この平成二十七年度の単価といたしましては、一機当たり百七十二億円を見積もっているところでございます。  また、安全性に関しまして一部ブログなどでF35Aの格闘戦の訓練で非常に能力が低いというような指摘があったやに承知しておりますが、これに対しまして、米国防省は、当該試験の際のF35Aは飛行試験や飛行の品質確認のためのものであって、各種装備品やミッションシステムのためのソフトウエアを搭載していなかったものであること、あるいはステルスコーティングもしていなかったこと、さらにはこれまでのF35とF16による多くの戦闘シナリオにおいて、F35はその全てに勝利をしているといったことを反論していると承知をしているところでございます。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、F35Aは最も先進的な機体を実現すべく現在開発中でもございますが、引き続き開発状況を把握するなど、米国との間で緊密に連携、協議しつつ、着実な整備に努めてまいりたいと考えております。
  322. 浜田和幸

    浜田和幸君 是非コストに見合う、一機二百億円近いお金を掛けて買うわけですから、本当に日本の安全を確保できるような、そういう性能のある戦闘機にしていただかねばならないと思っています。  そういう意味では、最近は無人偵察機、ドローンの活用といったことも視野に入ってきていると思うんですね。十年前で世界の戦場でドローンが情報収集に使われていた比率はたった五%でしたけれども、今や三五%まで拡大しています。我が国にとっても、F35を大量に導入するよりかは、優秀な、性能の高いドローンをもっとたくさん飛ばすことによって防衛力を高めるという選択肢もあるのではないかと思うんですね。  そこで問題なのは、今アメリカでも大量のドローンを使ったテロ対策ですとか危険な動きの情報収集をしていますが、そのデータが余りにも膨大で、アメリカの国防総省のスタッフだけではせっかく集めたデータの分析、解析ができない。結局、民間にドローン情報の解析を任せているという状況なんですね。ですから、今後日本でもドローンの導入ということを考えたときには、自前の情報の分析官、自衛隊の中にそういう部隊が必要だと思うんですけれども、そういうことに対する準備体制、また、ドローンの活用についての基本的なお考えを防衛大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  323. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘のように、米国では、グローバルホークを始め無人機、これを活用をいたしまして、各国で情報収集を行っていると承知をいたしております。  我が国におきましても、今中期防期間中にグローバルホークを三機導入を決定をいたしているほか、各種の無人機、これの更なる活用について検討を行っているところでございます。  せんだっても防衛省でドローンを使った実験もいたしたわけでございますが、日米間ではかねてより様々な情報共有、これを行っておりまして、本年四月に策定した新ガイドラインにおきましても、日米両国で共通の情勢認識を構築、維持し、情報を共有をしていくというところにしておるところでございますので、御指摘も踏まえまして、無人機において収集した情報につきましても日米間の情報の共有、活用を考えてまいります。  また、処理について御指摘等もございましたので、しっかりと、この情報をどう処理していくのか、分析していくのか、こういうことにも対応してまいりたいと思っております。
  324. 浜田和幸

    浜田和幸君 次に、ロボット兵士の導入等に関して、日米の技術協力ということについてお伺いしたいと思います。  新しい防衛装備庁の計画の中にも、二〇二〇年を目途にそういったロボット技術の開発、これを日本安全保障のために活用するということが述べられていますが、この間、大阪大学が、世界最強のレーザー、二千兆ワット、この実験に成功しました。これは、レーザーで二キロ先のドローンを瞬時に破壊するということで、アメリカからも世界からも、こんなすごいレーザー技術があるのであれば是非とも共同開発ということで提案が来ているようです。  また、アメリカのDARPAとの間のロボット戦士の開発について、二〇五〇年はロボットが戦場の主役になるということも言われているぐらいですけれども、日本の持っているロボット技術、そしてまたさきのレーザー技術、そういったもので日米の技術協力についての見通しについて、大臣のお考えをお聞かせください。
  325. 石川博崇

    大臣政務官(石川博崇君) ロボットや無人機の自律性に関する技術につきましては、米国も大変高い関心、注視している技術であると認識しているところでございます。こうした無人装備、ロボットといったものは、今後の軍事戦略あるいは戦力バランスに大きな影響を与えるものでございますので、先生御指摘のとおり、世界的にも開発が進んでいるところでございます。我が国においても、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要がある分野だと考えております。  具体的には、防衛省・自衛隊におきましても、これまで、例えば爆発物処理など危険な任務あるいは警戒監視といった長期間単調な任務におきまして、隊員の安全確保あるいは負担軽減を目的として無人装備の研究開発を実施してきているところでございますが、今後とも、統合運用の観点に留意しつつ、積極的な研究、技術基盤の向上に努めてまいりたいと考えております。
  326. 浜田和幸

    浜田和幸君 時間が参りましたので終わります。是非、日米の技術協力、防衛力を向上させるためにも進化させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  327. 水野賢一

    ○水野賢一君 水野賢一です。  今回、十本束ねて提出した法案の中に、自衛隊法の改正がありますよね。その中で、海外で自衛隊が邦人救出作戦をできるようにという、そういう部分がありますよね。改正法案でいうと自衛隊法八十四条の三になりますけれども、今日はその部分を中心にお伺いをいたします。  ISILによる邦人拘束とか殺害事件などを見ると、自衛隊は何かできないのかと、こういう場合にはという思いは多くの人が持って当然だと思うんですが、しかし、実際にこれを実行するためには詰めておくべき点がたくさんあるのにもかかわらず全く煮詰まっていないというふうに思うので、お伺いをいたします。  政府説明を聞くと、じゃ、実際にどういう場面で自衛隊が邦人救出のために向かうのかというと、一つには、日本の大使館とか領事館とかが占拠されたりとか日本の飛行機がハイジャックされたときのことを挙げていますよね。  もう一つの例として、邦人の集合場所が暴徒などに取り囲まれてしまった場合などを挙げているんですが、確かに、ペルーの日本大使公邸占拠事件のように何か月も続いているようなときは、これは特殊部隊が駆け付けて救出作戦に当たるということも可能なんでしょうけど、まずちょっと素朴な疑問なんですけれども、暴徒に囲まれているというようなときに自衛隊を送り込んで、これ間に合うんでしょうか。
  328. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、実際実施するときにおきましては、邦人保護の観点で外務省又は外務大臣の方から要請があって、内閣総理大臣の許可の下、実施をするわけでございますが、法律的に申し上げますと、昨年の閣議決定でお示しをしたように、領域国の同意に基づく武力行使を伴わない警察的な活動として行うものでありまして、領域国の同意がある場合に、その同意が及ぶ範囲、すなわち、その領域において権力が維持されている範囲で活動することを当然の前提としていると。  法案におきましても、自衛隊が保護措置を行う場所において、領域国の当局が公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められることを保護措置を実施する要件といたしておりまして、仮にその場所で戦闘行為が行われるおそれがあるならば保護措置を実施する要件が満たされないため、そもそも自衛隊を派遣することができないということでございまして、この在外邦人等の保護措置、これはあくまでも緊急事態に際して危害が加えられるおそれのある邦人の生命又は身体を保護することを目的とする措置であり、邦人を安全な地域、例えば本邦、安全な隣国、あるいは当該国内の安全な地域に移すことができればその目的は達成されると考えておりまして、邦人が多く住む外国の町や場所、これを外部からの攻撃を、守るといったこと、また、住む町の治安の維持を図るといったことを行うということは念頭にしていないということでございます。
  329. 水野賢一

    ○水野賢一君 町の治安の維持の話なんかは全く聞いていなくて、私は、日本人が暴徒に囲まれたりしたようなときに送り込んで、自衛隊をね、間に合うんですかという質問なんですが、ちょっとピント外れの答えだと思いますが。  今答弁にもあったように、自衛隊による在外邦人の救出、法律用語では保護措置という言い方ですけれども、これは武力行使じゃないわけですよね。要するに警察的な活動だというふうにおっしゃいましたけれども。そうすると、今までの政府見解からすると、これは暴徒とかに囲まれた人たちを救出することはできるけど、国に準ずるような組織、いわゆる国準ですね、国準によって邦人が囲まれているようなときは、これは救出はできないというわけですね。
  330. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 要件を申し上げましたけれども、改めて三つの要件がありまして、この場所において、外国の権限のある当局が現に公共の安定と秩序の維持に当たっており、戦闘行為が行われることがないと認められること。また、自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該外国又は国連決議に従って当該外国において施政を行う機関の同意がある。そして三番目に、予想される危険に対して保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うため、自衛隊の部隊等と当該外国の権限のある当局との間の連携及び協力が確保されることが見込まれるということに限りということでございまして、政権の崩壊、武力の紛争の発生といった緊急事態又は重要影響事態に至る前の段階からこういった場合において行うことはできないと。  つまり、武力行使、これを行うことにならないように、国又は国準、これが相手ではないということは前提条件でございます。
  331. 水野賢一

    ○水野賢一君 余り関係ない法律の法文を全部読まれても、法律に書いてありますから、法律を読まなくたって分かっているわけであって、結論を言っていただきたいと思うんですが。  こうした任務を行えば、相手を拘束するということもあり得るわけですね。例えば、ハイジャックであればハイジャック犯を捕まえるということもあり得るでしょうけど、これは捕まえても捕虜取扱法の捕虜には該当しませんよね。捕虜じゃないですよね。
  332. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 拘束につきまして、これは、自衛隊員の権限としては自己等を保護するため事実行為として外国人の身柄を一時拘束することはあり得るということでございますが、一時的に身体を拘束した外国人の身柄につきましては、個別具体的な状況によると考えられますけれども、一般的には当該他国の権限ある当局に速やかに引き渡すものと考えられます。  いずれにしましても、当該他国の同意の範囲内において当該他国の法令、これを遵守して行うということでございまして、これは速やかに身柄は、一時的には拘束できますけれども、引き渡すということでございます。
  333. 水野賢一

    ○水野賢一君 質問は捕虜なのかどうなのかということだけれども、そこは答えていないんですけど、要するに、それは捕虜じゃないから、捕虜取扱法で収容所に入れるとかそういうことはせずに引き渡すという、そういう理解でいいですか。
  334. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのとおりでございます。捕虜ではないということでございます。
  335. 水野賢一

    ○水野賢一君 そうすると、その他国のというのは、当該国の警察とか司法機関に引き渡すということなんでしょうけれども、これ、例えば、でも、ハイジャック犯とかそういうようなのが、テロリストとかが日本人を殺していれば日本の国内法でも裁けるんですよね。なぜならば、日本の国内法では殺人犯とかに対しては国外犯処罰規定がありますから、自衛隊法と違って国外犯処罰規定がちゃんとあるんですよ、刑法には。  そうすると、日本でも裁けるんだけれども、これはもう当該国に引き渡すということで決めているという理解でいいですか。
  336. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そういうことでございます。在外邦人等の保護措置我が国の法執行としての警察活動とは別のものでありまして、本来、当該領域国が行うべき在外邦人等の生命又は身体の保護を、当該領域国の同意を得て当該領域国の統治権の一部である警察権を補完、代行するものとして自衛隊の部隊が事実行為として行うものでありまして、犯罪者の逮捕、犯罪の取締りを行うような措置は含まれておりません。  また、拘束等につきましては、先ほどお話ししたように、一時拘束をし、速やかに当局に引き渡すということでございます。
  337. 水野賢一

    ○水野賢一君 そうすると、ここの法律で言っているのは在外邦人等の救出だとか若しくは生命、身体の保護のための措置ということですから、そのためには活動するけれども、自衛隊は基本的に司法機関じゃないわけだから司法権限は行使しないというのは分かるんだけれども、じゃ、ちょっと確認しておきたいのは、これ邦人が拘束されているとかという場合は救出に乗り出すことは可能であっても、極めて残念なことながら殺害をされてしまったとかという場合は、これは殺害された場合はもう救出とか生命、身体の保護ということには当たらないから、殺害されちゃった後に犯人を捕まえる権限はないという理解でいいですか。
  338. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それはないということでございます。
  339. 水野賢一

    ○水野賢一君 細かなことを聞いてきましたけれども、私は、この邦人救出問題での最大の問題というのは、邦人保護を理由に海外に自衛隊を派遣するときには国会なんかの歯止めが全くないことだというふうに思うんですね。  ハイジャック犯の制圧みたいな話だったら、多分派遣される部隊も数十人とか百人とかという単位でしょうけれども、しかし邦人救出というのは極めて幅広い概念ですから、いろんなことがあり得るわけですから、これ法文上は、派遣される人数に何か上限とかというのはありますか。
  340. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 人数の制限の記述、制約、これはございません。
  341. 水野賢一

    ○水野賢一君 歴史を見ると、戦前の海外出兵というのも、その端緒としては保護だとか救出というのを挙げているものが多かったんですよね。シベリア出兵なんかだと、これは邦人というよりはチェコ軍団の救出ということでしたけれども、シベリア出兵なんかでもやっぱりそういう救出ということが最初に挙げられていたわけですし、田中義一内閣のときの山東出兵なんかの場合は日本人居留民の保護が目的とされていたわけですよね。その結果、シベリア出兵は七万人も送り込んでいるわけですよね。  こういうような、つまり、さっきからのちょっと議論もあったけれども、法文上というのでいえば、政策判断は別として、法文上では万の単位の自衛隊外国にこの条項で送り込むことは可能なわけですね。
  342. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 制限がないので可能でございますが、あくまでも在外邦人の保護ということで、まず領域国の同意、武力行使を伴わない警察活動として行うものであるとか、また、自衛隊が、当地において領域国の当局の公共の安全と秩序に当たっているということで戦闘行為が行われることがないと認められる保護措置を要する要件、またいろいろな国の当局に従うというようなこともございますので、御指摘のような武力行使を目的とした海外出兵の端緒となるようなことにならないというふうに思います。
  343. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、だから武力行使を目的としない限りは、しかし、武力行使を目的としなくたって万の単位の人間が動くということはあり得るんじゃないですか。例えば、国内だって治安出動なんかで、これは別に武力行使をするわけじゃないけど万の単位が動くなんということはあり得るんじゃないですか。あり得ないんですか、それとも。
  344. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律の要件に相手国の同意というものがございますので、そういった万単位の隊員が派遣されるということは恐らく考えにくいことでございますが、要件としては、相手国の同意、これが必要であるということでございます。
  345. 水野賢一

    ○水野賢一君 要は、しかし法文上は何の制限もないんですよね。  その中で、国会の承認ということが全くないこともちょっと問題だと思うんですけれども、これ事前もなきゃ事後もないんですけど、この場合には武器使用権限は広がるんですよね。  これは違反しても罰則がないという別の問題があるんだけど、これはちょっとおいておいても、任務遂行型にも広がりますよね。PKOの方では、任務遂行型の武器使用をするときは国会承認がありますか。
  346. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 安全確保活動においては国会の承認が必要でございます。
  347. 水野賢一

    ○水野賢一君 要するに、安全確保活動というのはいわゆる任務遂行型武器使用のことですよね。  その場合、PKOでは国会承認が必要だけれども、こちらの邦人救出というか、法律で言うと保護措置、この場合には、同じように任務遂行型の武器使用、つまり、自己防衛だけじゃない武器使用をする場合でも国会承認とかは一切作ってない、規定ないですよね。その根拠は何ですか。
  348. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 厳格な法律には従いますけれども、こういった在外邦人の保護、救出のオペレーションは、一般的に安全かつ速やかに確保するという迅速性、そしてPKOとは異なりまして短期間のオペレーションでありまして、相手国の領域に駐留をすることがない、一時性の性質がある。また、特に在外邦人が人質として拘束されている場合には、当該邦人を救出、奪還しようとするときに、犯人グループに自衛隊の突入が悟られないようにする必要がある秘匿性といった特性を有するということでございまして、こういった迅速性、秘匿性に照らせば、法律上、国会の関与等について特段の規定を設けるというふうにしていないということでございます。
  349. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、それは、秘匿性とかの話は、事前承認を求めればその問題は出てくるでしょうけど、事後承認にすれば何ら問題はないんじゃないかというふうに思いますが。  最後の質問にしますけれども、自衛隊は海外に派遣されるとき、今まで地位協定的なものをその国と結んでいたわけですよね、地位協定と言うかどうかは別ですけれども。要は、自衛隊がその国に派遣されて法律を犯したとしても、その国の法律で罰せられないようにという担保を取ってから行かないと、向こうの国の法律で罰せられちゃ困るという、そういう判断なんでしょうけれども、こういうようなものは、結んでから必ず邦人救出、つまり、邦人救出で行くときというのは急に行く場合が多いわけだから、そういうときはその担保というのを確実に取ってから伺うのか、私はこれを最後の質問といたします。
  350. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 一般国際法上、御指摘の点、外国に派遣された軍隊の構成員に対する裁判権の具体的振り分けについては、必ずしも確立した原則があるものではありません。必要に応じて、派遣国と受入れ国との協議等を通じて具体的取扱いが決定されるとされています。  自衛隊を海外に派遣する場合には、任務を円滑かつ適切に実施するため、受入れ国の裁判管轄権からの免除等を含め、自衛隊の法的地位を確保することが重要であると考えておりますが、その確保については、必ずしも地位協定といった形式だけではなく、口上書であったり、あるいは交換公文であったり、様々な形を取っています。実際には、受入れ国との協議等を踏まえて、事案の切迫性も勘案しながら、個々の派遣ごとに自衛隊員の法的地位を適切な形で確保していく、このように考えられております。
  351. 水野賢一

    ○水野賢一君 時間ですので、今日は終わります。
  352. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  政府は、今回、歴代政権が積み重ねてきた憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認する法制を制定をしようということの理由に安全保障環境変化を挙げられるわけですが、本当にこの憲法解釈を変更しなきゃならぬほどの変化なのか、改めて簡潔にこの理由を、大臣、お聞かせをいただきたいと思います。
  353. 中谷元

    国務大臣中谷元君) もう科学技術の進歩、発展は驚異的なものでありまして、もう北朝鮮につきましては、日本の大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイル、これを配備して、発射されれば僅か十分で到達をすると。加えて、三回の核実験を繰り返しておりますので、ミサイルに搭載できる核開発が進んでいる。  中国におきましても、公船による領海侵犯、繰り返しておりまして、東シナ海、また南シナ海の状況、非常に南シナ海におきましては大規模かつ急速な埋立て、施設の建設が進んでいるということで、国防費だけ見ましても、ほぼ二桁の伸びを二十五年間、そして二十七年間で約四十一倍になっておりまして、日本防衛予算の三・三倍になっているというようなパワーバランス変化、そしてスクランブルの回数の急増。  そして、国際テロ状況などを見まして、もはや一国のみで我が国を守っていくという状況はなかなか厳しくなってきた、また脅威というのは容易に国境を越えてくる時代となったということで、国際的な安全、平和を保っていくという意味におきまして、やはり我が国の平和と安全な暮らしを守っていくためにはこのような法律が必要であるということでございます。
  354. 又市征治

    又市征治君 今の話を聞いていますと、日本だって、それは経済成長期には二十一倍、二十五年ぐらいで防衛費伸ばしたんですよね。中国の場合、今一生懸命おっしゃったけれども、やはり九〇年代から成長してきたからそういう格好だと。  問題はそんなことじゃなくて、今の話だと、じゃ軍拡競争をやりましょうという話になってくるんじゃないですか、そういう話は。問題は、従前想定されなかったようなこういう事態がある、そうすると、どうもいろんなことが起こり得る可能性、蓋然性があるから、だから今度は具体的な立法事実もないのに集団的自衛権行使がどうしても必要だと。  まるでイソップ物語のオオカミが来るぞ、オオカミが来るぞという話をしているのと同じで、危機をあおっているだけ、こういう格好じゃないですか。本当にそういう意味で、憲法が元々求めてきたそうしたことの安定性や規範性というものを全く私は損なうこういうやり方は愚策だと、こういうふうに言わざるを得ぬと思うんです。  そこで、政府安全保障環境変化しているからこういう集団的自衛権が必要だというふうにおっしゃるが、その前に、日本国憲法そのものが世界平和のためにどのような外交政策を取るべきだと、そういう方向性を示しているのか、これは外務大臣からお伺いします。
  355. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 憲法におきましては恒久平和への日本国民の念願を明らかにしており、我が国は、日本国憲法に基づき、平和国家としての選択を行いました。憲法前文には、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とうたわれており、一国平和主義ではなく、日本の地位と国力にふさわしい貢献を行うこと、このように求められております。  憲法における平和主義、これからも守り抜いてまいります。国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定、そして繁栄の確保にしっかりと貢献していかなければならないと考えております。
  356. 又市征治

    又市征治君 憲法前文や憲法九条の精神、規定に沿って、じゃ、政府はその努力を本当にやってきたのか、私は甚だ疑問に思えてなりません。  例えば、さっきも出ましたけれども、事実上棚上げされていた尖閣諸島の領有権問題を突如国有化をして中国を挑発をした、そういう意味で日中関係を悪化させたということ、原因が日本にある、これははっきりしていますし、また、日中、日韓関係、ここまで悪化させた発端というのは安倍総理の二〇一三年の靖国参拝であって、そしてまた、二十年間継承されてきた村山談話の歴史的な認識というものをどうも変更するのではないかというふうに思われるような言動を安倍さんは何回もやっている、こういうことがあるんじゃないですか。  そうした、言ってみれば、安倍政権は憲法前文と真逆の姿勢をどうも取ってきているように思えてなりません。もっと言うならば、安倍政権は、自分で火種をまいて、その火種を根拠に戦争法案の法制化を目指して、それによって火事を大きくしようとしている、こんな格好に見えてしようがない。まさに軍拡路線を取ろうとしているということになるんじゃないですか。
  357. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国は、平和国家としての歩みを大事にしてきましたし、これからも平和国家としての歩みは変わることはありません。そして、我が国の外交・安全保障政策の要諦は、まずは外交政策であると思っております。一昨年十二月に策定されました我が国初の国家安全保障戦略の中にも、外交を通じて好ましい国際環境をつくっていく、これがまず基本であるという趣旨が盛り込まれております。  そして、今御指摘のように、近隣諸国との間においては、隣国であるがゆえに大変難しい問題が存在する、これは御指摘のとおりであります。だからこそ、我が国としましては対話が重要であるという姿勢を大事にしてきております。  中国との間においても、昨今、二度の首脳会談を通じまして関係改善をするということにおいて首脳間で一致をし、そして具体的な対話が今積み重なっております。韓国との間においても、今年、日韓国交正常化五十周年という節目を是非実りある年にしようということで対話を積み重ねております。  是非、引き続きこうした外交努力、続けていかなければならないと考えております。
  358. 又市征治

    又市征治君 我が党は、二〇〇一年に北東アジア総合安全保障機構構想というものを提唱しました。政権側にも提唱いたしました。日本中国韓国、朝鮮、モンゴル、ロシア、カナダ、アメリカ、この八か国の域内、広い意味でいうと北東アジア、地球上でいうとそうだと。もしここで紛争が起きても、決して武力行使はせず、話合いで解決をする。信頼に基づく安定した地域秩序を築くことを掲げて、中国韓国、モンゴル、ロシア政府とも会談をし、この構想については賛意を得てまいりました。  私は、今日的にはこれをASEANやオーストラリアまで広げて緊張緩和を図っていく外交こそが必要なんだろうと思うんです。ここは外務大臣と認識はそう変わらないと思うんですが。  そもそも安全保障の要諦というのは、敵をつくらず、敵対している国があるならば、これをどう友好国化を図るか、そうした積極的な外交努力が必要なんでしょうけれども、私は、安倍さんのやっているのは、世界中あちこち回って積極的平和主義なんというけれども、軍事力を背景にしたような積極的平和主義なんというのは、言葉の意味でこれは間違っている。もっと言うならば、そのことを言うのならば、中国韓国、朝鮮とまず最もやらなきゃならぬのじゃないですか。そこのところが全く抜け落ちている。こういうふうに言わざるを得ません。  そこで、次に移りますが、中谷防衛大臣は、今回の法案による自衛隊員のリスクについて、戦闘地域で活動しないからリスクは高まらないなどなど答弁されているわけですけれども、そこで、テロ特措法やイラク特措法のときには、自衛隊の活動を非戦闘地域と、活動を後方支援、捜索、救援、船舶検査などを行うことによって武力行使はしないんだと、こういうふうに、つまりは簡単に、非戦闘地域と、それから武力行使はしないということをこの二つの法律では確認してきたと思う、決めてきたと思うんです。  しかし、今度の法案では、自衛隊他国軍の支援活動を行う場所は非戦闘地域から現に戦闘行為が行われている現場以外に広げられたということだと。つまりは、より戦闘現場に近づいたことになる。複雑に展開する戦場で、今は戦闘行為が行われていなくても、いつ戦線が広がってくるか予想も付かないというのが現状だろうと思うんですね。  戦闘地域とそうでない区域というのはどのように、安全な場所でやらせるとおっしゃるが、どのように区分けするのか、その点、御説明いただきたいと思います。
  359. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の重要影響事態法、また国際平和支援法に従って実施する後方支援、これは武力行使に当たらない活動であり、また他国による武力行使との一体化にならないこと、これを確保して行う活動であります。  まず、後方支援というのは、性質上、そもそも戦闘が行われているような場所で行うものではないと。危険を回避して活動の安全を確保した上で実施をするものでありまして、新たな法制の仕組みにおきましても、まず法律上、防衛大臣自衛隊の部隊等が実際に円滑かつ安全に活動できるように実施区域、これを指定をする旨規定をいたしております。この規定を受けて、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所、これを指定をいたします。  したがいまして、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは、いわゆる非戦闘地域や後方地域といった要件を設けていた従来、これと変更はございません。  また、軍事技術の発展によりまして、攻撃能力だけではなくて情報収集能力、これも大幅に向上いたしておりますので、情報の分析、評価、これの技術も非常に進展をいたしております。  したがって、あらゆるところから情報収集、これを十分に行うということで、安全を確保した上で後方支援を行うということが可能でありますし、派遣をする際に、昨日も議論になりましたけれども、十分な装備、訓練、また地元の状況対策等を行った上で派遣をするということで、安全が確保されない限りは自衛隊による後方支援を行うということは実施をいたしません。したがいまして、リスクが高まるということにはならないと考えております。
  360. 又市征治

    又市征治君 イラク特措法の質疑で小泉さんが、どこが戦闘地域でどこが非戦闘地域か私に分かる方がおかしい、自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だと、迷答弁をされました。メイは迷う方の答弁だったと思うんだが。つまり、その区分けはできないということを雄弁に物語っていると思うんですね。  そして、それは、非戦闘地域だったはずのサマーワ、行っておいでになりましたが、この自衛隊宿営地が十三回、計二十二発にわたる迫撃砲やロケット弾の攻撃を受けたことで証明をされた。奇跡的に死傷者が出なかったことは大変幸いだったと思いますけれども、そのとき以上に自衛隊の活動を戦闘現場に近づけておいてリスクは高まらないというのは、それは理屈を言っているにすぎないのであって、全くの欺瞞、あなた方の単なる願望を述べているだけだと、こんなふうに私は思わざるを得ません。  そこで、次に、政府は、集団的自衛権行使の前提条件として三要件を挙げられるわけですが、集団的自衛権行使できるようにするということは、相手国にとってはこれまで交戦国でなかった我が国が交戦国になる。つまり、我が国攻撃の対象国になるということでありますね。  とすると、敵対国から在日米軍基地や自衛隊の主要基地、そして、場合によれば原発が密集する福井県や新潟県の現場もミサイル攻撃を受ける可能性がある、国民はそのことも覚悟すべきだ、こういうことなんですか。
  361. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、まさに目の前のリスク、これに対応するものでありまして、我が国が限定的な集団的自衛権行使できるのは、まず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をした、それだけではなくて、あくまでこれによって我が国の存立が脅かされて、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることを始め、新三要件、これが満たされた場合でございます。  つまり、存立危機事態に該当している時点で、その状況は、武力を用いた対処をしなければ我が国国民に対して我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるわけでありますので、既に国民の平和な暮らし、これが深刻なリスク、これにさらされているわけでございますので、このような状況を放置して国の存立と国民の平和な暮らしを危険にさらすわけにはいかない。このような事態に際して、我が国防衛するため必要最小限度の自衛の措置をとるといったことは、こういうリスクに対処すべき国としての責務であると思います。  なお、付け加えますと、国連憲章の下での武力行使というのは、個別的自衛権集団的自衛権、そして国連安保理決議に基づく集団的安全保障の三つのみでございますので、これらの国連憲章の下で違法とされる戦争、これは明確に区別をされると。つまり、新三要件に基づく限定的な集団的自衛権行使、これはあくまでも我が国の自衛の措置であるということでございます。
  362. 又市征治

    又市征治君 本当に長々と変な答弁されるものだから時間がなくなってしまって、あと三問ほど時間内に予定していたんですが、今の私は聞いたのは、日本がそういう格好で攻撃される、そうしたリスクは高まるんじゃないですかということを聞いたことに対してまともにお答えになっていない。  かつてアメリカが、アメリカのブッシュ政権が、イラクとイランと朝鮮は悪の枢軸だ、だから先制攻撃をする権利を持つと、こう言った。それによってイランや朝鮮が歴史的には核武装を始めた。イラクには全くその事実がなかったのに間違って攻撃を掛けた。こういうことだったわけですよね。そうしたアメリカは事実誤認に基づいて戦争をおっ始めて、十何万人の人を殺したわけですよ。  そういうことが相手側に起こらないとは言えない。集団的自衛権日本アメリカと一緒に集団的自衛権を持つということは、何かの拍子に、日本もそういう意味では敵対国だからというわけで、さっき申し上げたような日本の様々なところを攻撃を掛けてくる、そういう可能性を持っているのかと聞いているんです。そのことについて、まともに答えていないじゃないですか。そのことだけお答えいただいて、あとの部分は次回にやりたいと思います。
  363. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国武力行使の対応等につきましては、最後にお話ししたとおり、国連で認められた三つの武力行使の範囲の中でございますので、当然国際法の範囲の中で対応していくということでございます。
  364. 又市征治

    又市征治君 終わります。答えになっていないことは分かりました。
  365. 主濱了

    ○主濱了君 生活の党と山本太郎となかまたちの主濱了であります。  早速質問に入ります。  これ、昨日も関連した質問をさせていただいたんですが、武力行使新三要件を前提にしたこの度の安全保障法案は憲法の明文の規定に明らかに違反をしている、これはもう一目瞭然であります。これに関連して伺いたいと思います。  自衛権の発動としての武力行使につきましては、政府と国会が半世紀にもわたってやり取りをした結果、憲法第九条で許される自衛権発動としての武力行使については現在の三要件に限られる、こういうことで定着をしているわけであります。政府の考えだけで決めたものではないと、こういうことであります。  したがいまして、自衛権行使あるいは武力行使の要件を変えるに当たっては、ここに至るまでの経過、これを経る必要があるのではないか、あるいは憲法そのものを改正することによって変えなければならないのではないか、このように考えております。そして、一時の内閣が都合のいいように閣議決定で軽々に変えることはできないと、このように考えておりますが、いかがでしょうか。
  366. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年七月に閣議決定をしたわけでございますが、その前から、この憲法につきまして、政府といたしましてもいろんな形で意見聴取をし、また、与党といたしましても時間を掛けて真剣に憲法の内容を熟議をいたしまして、昨年の七月の閣議決定に至りました。  この閣議決定におきましては、昭和四十七年の政府見解で示した憲法九条解釈の基本的な論理、これの枠内で行ったものであるというふうに認識をしているわけでございます。
  367. 主濱了

    ○主濱了君 まず、反論の第一であります。昭和四十七年の見解に従ってというふうにおっしゃいましたけれども、この昭和四十七年の見解というのは、集団的自衛権については明確に否定をしているのであります。これをちょっと読み上げますと、我が憲法下で武力行使を行うことが許されるのは、我が国に対する急迫不正の侵害に対する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権行使は、憲法上許されないと言わなければならない、こういうふうにはっきり言っているわけですよ。今の理由は全く当たらない、こういうふうにまず第一点、指摘しておきたいと思います。  次は、関連して、昨日も安倍総理質問したわけですけれども、憲法第九条下で許される自衛権発動としての武力行使と、それから武力行使新三要件とでは、日本に対する武力攻撃があるかないか、これで大きく隔たりがあると、こういうふうに思うわけであります。すなわち、この二つを見ると法的安定性を大きく欠いていると言わざるを得ないというふうに考えます。これは昨日、安倍総理に申し上げたとおりであります。  結局、この度の安保法案は法的安定性を欠いた欠陥法案であると、こういうふうに言うことができると思います。この面からも即座に取り下げるべきであると、このように思いますが、いかがでしょうか。
  368. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまで政府は、憲法上許容される武力行使我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した場合に限られるとしてまいりました。  今回、この四十七年の当時から、我が国を取り巻く安全保障環境、想像も付かないほど変化をしたことを踏まえまして、非常に脅威というものは容易に国境を越えてやってくる時代になりまして、今や、他国に対して発生する武力攻撃があったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るというような問題意識の下に、この憲法九条の解釈の基本的な論理、これを検討いたしました。  実際の状況に当てはめた結果、新三要件を満たす場合には、我が国防衛するための必要最小限の自衛の措置として限定的な集団的自衛権行使についても憲法上容認されるといたしました。この限定的な集団的自衛権行使が、憲法上、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置であることについて、我々も今後とも丁寧に説明をさせていただいて、御理解を得たいと思っております。
  369. 主濱了

    ○主濱了君 昭和四十七年見解を前提にしているのであれば、先ほど御説明申し上げましたとおり、この集団的自衛権は完全に明確に否定をされている、こういうふうに申し上げておきたいと思います。  次の問題に移ります。  日本国憲法は、日本のこれまでの戦争、特にさきの太平洋戦争で多くの犠牲を出しました。日本三百十万人、あるいはアジアでは二千万人と、こういうふうに大きな犠牲を払ったわけであります。この上に立った多くの反省の下に平和憲法として制定されたものと私は思っております。まさに戦後、日本の進むべき方向を示したのが今の日本国憲法であるというふうに思っております。少なくともこの憲法第九条の、国権の発動たる戦争とそれから武力行使は、国際紛争解決の手段としては永久にこれを放棄する、この規定は是が非でも守らなければならないと思っておりますが、いかがでしょうか。
  370. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本国憲法は、さきの大戦における戦争の惨禍を再び繰り返すことがないように、その反省も踏まえて、三大原則の一つに平和主義、これを挙げているものと認識をいたしております。  御指摘の憲法九条第一項、これは平和主義を体現するものであります。また同時に、一九二九年、パリの不戦条約以来の戦争違法化という考え方も踏まえて規定をされたものだと理解をいたしておりますが、この憲法九条に表現されている平和主義の理念、これは私も今後とも守られるべきだと考えております。
  371. 主濱了

    ○主濱了君 では、ちょっと順番を変えまして、先を急ぎたいと思います。  専守防衛について質問をさせていただきたいと思います。  この専守防衛は、自衛権の発動と同様、武力攻撃をしてきた勢力を自国の領域において阻止をする受動的な防衛であると。まさに日本国憲法の精神にのっとった防衛政策であると私は思っております。  一方、日本と密接な他国への攻撃に対する反撃、これも日本に対する武力攻撃がなくても専守防衛に含まれると、こういう政府見解が示されたところであります。  日本への攻撃がないにもかかわらず、他国への攻撃に、他国、はっきり言いますと例えば米国でありますが、米国への攻撃に反撃することは集団的自衛権行使と同様で、憲法第九条下で認められる自衛権の発動の範囲を逸脱しており、憲法違反であると考えますが、いかがでしょうか。
  372. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 専守防衛というのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使をし、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また、保持する防衛力、これも自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございます。  限定的な集団的自衛権行使も含めまして、新三要件の下で許容されるのは、あくまでも自衛の措置としての武力行使に限られております。我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生が前提でもありますし、また、他国防衛すること自体を目的とするものでもございません。  このような考え方の下に行われる今般の法整備につきましては、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛について、その定義、また、それが我が国防衛の基本方針であるということにはいささかも変更がないと考えております。
  373. 主濱了

    ○主濱了君 現在の日本の国防につきましては、日本国憲法、それから日米同盟、自衛隊法、その他防衛関係法、さらには国連憲章を含む国際法、これらが全て有効に機能しておって、専守防衛を旨とした自衛隊の使命感を持った目に見える活動、あるいは私どもの目に見えない活動もあるというふうに思うわけですが、目に見えない活動も含めて、日本の独立あるいは平和が保たれているというふうに思っているところであります。  この度の安保法案は、この専守防衛から、日本攻撃をされていないにもかかわらず、日本と密接な関係がある国とはいえ、他国攻撃を機に、憲法九条下で認められている自衛権発動の範囲を逸脱して、先制攻撃とも思われる武力行使を行うことができる内容になっております。これは明らかに平和を目指す日本国憲法に反する、このように思うわけでございます。  大臣の御答弁にもありましたけれども、平和を目指すとの大臣の答弁、その逆を行く法案なわけであります。即座に取り下げるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  374. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 集団的自衛権自体は国連憲章にもございます。これは国際的にも認められる権利でございます。  そこで、新三要件に該当するこの武力行使、これは、国際上は集団的自衛権が根拠となる場合であっても、憲法上は我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置として許容されるものでありまして、他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権行使までは憲法上認められることはないもので、限定された集団的自衛権という言葉を用いて定義をしているものでございますので、我が国の憲法の容認する範囲における自国防衛のための必要最小限度の権利である、措置であるということでございます。
  375. 主濱了

    ○主濱了君 今のところ、いろいろ反論あるんですけれども、これについては後ほどまたお話をさせていただきたいというふうに思いますが、まだ専守防衛ということで続けたいと思います。  専守防衛ということで、これまでの防衛力というのは自衛権のための必要最小限のものに限ってきたわけであります。今後は、攻撃用の装備、長距離爆撃機とか、それから攻撃型航空母艦とか、あるいは大陸間弾道弾とか、こういったようなことを進めるんですか、進めないんでしょうか、伺います。
  376. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日も委員の御質問に答えさせていただきましたけれども、これは基本的に我が国防衛の体制、大綱で今整備をいたしておりますけれども、今回の法律が成立したことによって、全く新しい装備が必要になったり、装備、自衛官の定員、また防衛費の大増強、これが必要になるということではございません。これまでの大綱、中期防、これに従って自衛隊の体制の充実強化を行っていくわけでございます。  確かに法律の整備をいたしますが、これは全て実施するということではございません。あくまでも我が国防衛国際社会の要請に基づいて必要な範囲で行っていくということでございまして、そのためには、まず我が国防衛の任務をしっかりきちんとできる実力、能力を持った体制を維持しつつ、そのような対応をしていくということでございます。
  377. 主濱了

    ○主濱了君 法案を取り下げてください、ただいまの法案を取り下げてくださいと、私はそういうお願いをしているわけですが、それとともに次のようなことも実は考えております。  米軍と紛争をしている第三国、この第三国に対して日本が、米軍攻撃をされたことをもって防衛の名の下に武力行使をした場合、この第三国を支援するため、集団的自衛権の名の下に第四の国あるいは第五の国が、要するに第三国の仲間の国ですよね、第四の国、第五の国、こういったような、もちろん第三国も含めてでありますが、日本武力攻撃を仕掛けてくる可能性があるわけですよ。日本攻撃をしました。それを受けた第三国がもちろん日本攻撃をしてくる。そして、その第三国の仲間の国、第四の国あるいは第五の国、ここは集団的自衛権があるわけです。この第四の国、第五の国が日本に向かって攻撃をしてくる可能性があるわけであります。要するに戦争へ突入するおそれがあると。  こういったような事態を受け入れるか、そのような覚悟があるか、こういうことについて伺いたいと思います。
  378. 中谷元

    国務大臣中谷元君) あくまでも我が国国民の命と平和な暮らしを守るために実施するわけでありまして、こういった武力行使の発揮におきましては、武力攻撃事態もそうでありますが、今回の存立危機事態、これにおいても三要件という厳格な条件の下に発動するわけでありますし、また、その範囲も、この三要件が満たされなくなった時点でそれが終了になるわけでございますので、それを対応する際におきましては、対処基本計画を作りまして、閣議決定をし、国会にもお諮りをして、その上で実施をするということでございます。あくまでも我が国を守るための措置ということでございます。
  379. 主濱了

    ○主濱了君 すぐ終わります。  日本武力攻撃を受けていないにもかかわらず日本が相手に対して武力攻撃をする、この点につきましては今後も追及をさせていただきたい、このように思います。
  380. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 荒井です。  早速でございますが、防衛省の事務方にお尋ねいたします。  ドイツには、軍隊を派遣する場合に国会の関与を求めた議会関与法というのがあります。我が国と同じように過ちを犯したドイツではこういう対応をしております。  そこで、お尋ねします。存立危機事態のケースで対処基本方針を作るとなっていますが、どのような中身でしょうか。
  381. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  対処基本方針についてのお尋ねでございますが、存立危機事態の場合ということでございますが、対処基本方針は事態対処法に基づいて定めるものでございます。これは対処に関する基本的な方針をいうわけでございまして、この対処基本方針には、事態の経緯、それから事態の認定、その認定の前提となった事実、あるいは対処措置に関する重要事項、こういったことを記載をすることといたしてございます。
  382. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 経緯、認定、そして認定の前提となった事実、それから我が国の存立を全うするためにから始まる三要件、そういったものに当てはまるというようなことの理由を明記するということだろうと思いますが、この対処基本方針の下にといいますか、それを受けて、さらに、例えば、これも事務方にお尋ねしますが、基本計画などのそうした策定はあるんでしょうか。これは大臣に聞きましょうか。
  383. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきましては、対処基本方針に基づき作成されるものとして法律上規定されるものにつきましては、必要に応じて定める米軍等に対するいわゆる後方支援についての具体的な指針もございます。このほか、存立危機事態において防衛出動を命じた場合には、出動を命じた旨及び行動地域その他必要な事項を告示をするというようなことになっているわけでございます。
  384. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうしますと、もう一つ分かりづらいのが、重要影響事態のケースでは、これは事務方にお尋ねしますが、対処基本方針に当たるものは作らずに、別途基本計画というものが一番の大本の計画になるという解釈でよろしいでしょうか。
  385. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) お尋ねの重要影響事態法における基本計画の位置付けでございますが、先生御指摘のように、存立危機事態におきます対処基本方針と軌を一にするものでございまして、具体的な中身としましては、活動の基本的な事項でありますとか、実施する区域の範囲及び区域の指定に関する事項、さらには、なぜこれが重要影響事態なのか、そういう認定をするのかということを説明する事項といたしまして、事態の経緯、それが我が国の平和及び安全に与える影響、我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由、これらを基本計画に記載をするという、そういう規定になってございます。
  386. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 存立危機事態のケースではこれは対処基本方針、これが大本になる、そして、重要影響事態のケースでは基本方針という形になると、こういうことだと思いますが、なかなかそれぞれ難しいなというふうに思うんですが。思うというのは、それぞれ名前一緒にしたらいいんじゃないかなということがあるんですが、それの根拠がそれぞれあるからやむを得ないところであるんだろうと思います。  こういうことでまいりますと、NSCを通じて、そして閣議決定に持っていって、そして国会承認にかけていくわけですね。この原則国会承認にかけるまでの事態ごとの、今の二つのケースでいいです、存立危機、重要影響事態、どういう手続、内容になるんでしょうか。事務方、お願いします。
  387. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  二つのケースということでございますので、まず存立危機事態のケースでございますが、改正事態対処法におきましては、事態の認定を含む対処基本方針、これを閣議決定をまずいたします。その上で、直ちに対処基本方針そのものを国会承認を求めるということとされてございます。ただし、その際、防衛出動につきましては原則事前の国会承認を得なければならない、このように規定をされてございます。  また、重要影響事態法につきましては、先ほど御説明をいたしました基本計画、これは、やはり閣議決定をした上で、この場合には対応措置を実施をすることにつきまして原則事前の国会承認を得なければならない、このような規定になってございます。
  388. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 通告はしておりませんが、NSCとの絡みはどのようになるんでしょうか。
  389. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  今回、NSCの設置法を改正をいたしまして、新たに設けましたこれらの事態につきまして、その事態に関する重要事項等々について審議事項に加えさせていただいておりますので、これらの手続を踏む際にNSCでも審議をいたすと、このようなことになってございます。
  390. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうしますと、NSCで、同じ内容を事前に議論する、そして決定を下しておく、そして閣議でかけると、こういう解釈でよろしいでしょうか。
  391. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  NSCで審議をいたしますのは、閣議決定の前提といたしまして法律に基づいて必要な審議をするということになりますので、先生お申し越しのとおりかと存じます。
  392. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 こうした手続を含めまして、国会の事前承認がどのような形でできるか。急を要していとまがないなどと様々なことが言われますが、こうした手続を十分踏まえながら、こうしたことの国民の監視の目を入れていく。そして、政策判断でもありますが、政府も出さない場合もあるでしょう、そして国会がノーという場合もあるでしょう。あるいは、派遣する場合には政府と国会が共に判断し、共に国民と自衛官に責任を負っていく、こういう姿勢が根本ルールでなければならないと両大臣に重ねて申し上げたいというふうに思います。  手続を見ながら、この事前承認について更に議論をさせていただきます。  今日は二つ目でございますが、国際貢献の観点からお尋ねをしたいと思います。  今、南スーダン国連平和維持活動に自衛隊皆さんは本当に献身的に活動していただいております。感謝を申し上げます。では、陸上自衛隊はどんな貢献、活動を現在までしてきたのか、事務方で御説明願います。
  393. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  国際連合南スーダン共和国ミッション、UNMISSと申しておりますけれども、これは、二〇一一年七月八日に採択された国連決議一九九六号によって、同月、七月の九日に設立されました。我が国は、この決議の採択を受けて、国連から要員の派遣に関する要請があり、同年十一月十五日に閣議決定を行いまして、十一月二十九日以降、司令部要員を派遣するとともに、翌年、二〇一二年一月十四日から施設部隊を派遣しました。  活動内容でございますけれども、陸上自衛隊を派遣している司令部要員は、UNMISSの司令部、ジュバ所在でございますが、におきまして、兵たん、情報、施設及び航空運用の分野で企画及び調整の業務を実施しております。施設部隊の方でございますが、これは首都のジュバにおいて、国連施設内の宿営地、敷地等の整備、国連施設外の道路補修、国際機関施設の敷地造成等の施設活動や避難民への医療、給水等の業務を実施してきたところでございます。  評価でございますけれども、このような南スーダンにおける自衛隊の活動は、国連や南スーダン政府から高い評価を受けておると認識しております。具体的に申し上げますと、本年一月に中谷大臣が南スーダンを訪問した際には、マニャン国防大臣及びテスファマリアムUNMISS軍事部門司令官から、自衛隊の活動について謝意と継続的な活動への期待が表明されました。また、本年五月に石川政務官が南スーダンを訪問した際には、イッガ副大統領及びロイUNMISS国連事務総長特別代表から、自衛隊の施設部隊の活動に対する高い評価と謝意の表明があったところでございます。
  394. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 高い評価をいただいているところまでのお話をいただいているんですが、では、今回の法律ができますと、今述べられたような活動のほかにどんな貢献、あるいは任務といったらいいんでしょうか、これが付け加えられるのかを重ねてお尋ねします。
  395. 山本条太

    政府参考人山本条太君) PKO協力についての新たな任務についてのお尋ねでございます。  今般の法案中、PKO法一部改正の部分におきまして、安全確保や駆け付け警護業務等の追加、国づくりへの支援や司令部業務等の規定の整備といったPKO協力の拡充を可能とする新たな法的根拠を盛り込んだところでございます。  ただ、まさにこの法案、現在この委員会で御審議を仰いでいるところでございまして、これらの改正規定を実際にどのように適用していくかにつきましては、法案の成立の後に政府として検討すべき事柄であると心得ておるところでございます。  したがいまして、南スーダン国際平和協力隊への適用をどうするかにつきましても、法案の成立後に、国会での御審議の内容も踏まえ、検討を開始していくべき事柄と考えておりますので、御了解を賜ればと思います。
  396. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 確認を含めてお尋ねしますが、大臣にお尋ねした方がいいと思うんですが、いわゆる部隊行動基準、これは国際的な標準では交戦規定でROEと言っているようですが、我が国では部隊行動基準と、こういう形でございます。これは、行動できる地理的範囲や使用できる武器や武器の使用方法等々を含めて、先ほど、追加される新たな安全確保業務、駆け付け警護、いろんなものが加わってまいります。それらについての策定業務というのをしていかなければならないんですが、この法案が通ってから策定していくということでよろしいんでしょうか、確認をさせてください。
  397. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法案の成立の後ということでございます。  現在、南スーダンにおけるPKO活動に従事している隊員については、あくまで現行法令の範囲内で必要な措置を講じておりますが、PKO法の改正におきましては、受入れ同意が安定的に維持されると認められる場合において、新たに規定する国連PKO等の活動関係者また地域住民の保護といった業務を行う場合は、従来の自己保存のための武器使用権限に加えて、いわゆる駆け付け警護、また任務遂行のための武器使用権限、これを付与することといたしておりますが、法改正によって新たな武器使用権限を付与された場合には、武器使用を含む隊員の個々の行動の基準について教育、これを行うなど必要な措置を講じることによりまして、隊員がいかなる状況においても落ち着いて適切かつ安全に行動できるように万全を期してまいるということで、相当準備をし、また訓練をし、検討した上で実施をするということで、全て法律が成立した後実施をするということでございます。
  398. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ひげの隊長もいますし、また北澤元防衛大臣もいらっしゃいますが、大勢の自衛官の方に聞きますと、先ほどの武器使用のところが特に重要だと思うんですが、やっぱり即断即決できるようにしてもらいたい、それから柔軟性を持ってもらいたいということで、これはあくまでも、戦争をするわけじゃないんですね、守るための手段ですよ。その最低限のところの、身を守るところの範囲の部分ですから、駆け付けも、全て、安全確保業務も。  そういうものの作業の中で、任務の中で、やっぱり万が一、命に関わる場合も出てくるかもしれない。大臣がおっしゃったように、自衛官に訓練を十分しなくちゃいけない。その訓練の中でも、結局は、これだけはしてはならないというネガティブリストの方がはるかに身を守れるし、任務遂行のために効果があるというんです。これとこれとこれはやっていいみたいなことじゃなくて、これだけは駄目だと。あとは、自衛隊員、もちろん指揮官の指令で行動するわけですが、これらの徹底した中身、これはネガティブリスト方式がいいんじゃないかという声があるんですが、大臣はどのようにお考えになるでしょう。
  399. 中谷元

    国務大臣中谷元君) お尋ねの武器使用に関する規定につきましては、現在のようなポジティブリストではなくてネガティブリストにすべきという御意見があることは承知をいたしておりますが、現行の自衛隊法等における自衛隊行動、権限の規定の在り方につきましては、安全保障環境変化に応じて適時改正が行われてきたものでありまして、言わば自衛隊発足約六十年にわたる国会等における議論の積み重ね、これを経てきたものと認識しております。  その上で申し上げますと、法律上、自衛隊行動とそのために必要な権限が法文に明記されるということは当然必要でありまして、特に武器使用権限については、武器使用権限と危害許容要件、これを明確な形で条文に規定をしているというところでございます。  さらに、実際の派遣に際しては、自衛隊員に対するリスクを極小化するためにも、条文で示された武器使用権限に基づいて隊員の行動の基準を策定するなど、何ができるかだけではなくて、何ができないかをあらかじめ明らかにした上でしっかりと教育を行い、いかなる状況においても落ち着いて適切かつ安全に行動できるように準備をするということが重要であると考えております。
  400. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 是非前向きに御検討願いたいと思います。  終わります。
  401. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後五時十分散会