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2015-07-28 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年七月二十八日(火曜日)    午前九時二分開会     ─────────────    委員異動  七月二十七日     辞任         補欠選任      広田  一君     藤本 祐司君      福島みずほ君     吉田 忠智君  七月二十八日     辞任         補欠選任      藤本 祐司君     足立 信也君      和田 政宗君     浜田 和幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 小野 次郎君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大沼みずほ君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 足立 信也君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 片山虎之助君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 山口 和之君                 浜田 和幸君                 和田 政宗君                 水野 賢一君                 吉田 忠智君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        法務大臣     上川 陽子君        外務大臣     岸田 文雄君        国土交通大臣   太田 昭宏君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        議事部長     岡村 隆司君        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       山本 条太君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        外務大臣官房審        議官       鈴木  哲君        外務省総合外交        政策局長     平松 賢司君        外務省領事局長  三好 真理君        海上保安庁長官  佐藤 雄二君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、広田一君及び福島みずほ君が委員辞任され、その補欠として藤本祐司君及び吉田忠智君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 おはようございます。自由民主党の佐藤正久です。  いよいよ参議院のこの特別委員会におきまして平和安全法制審議がスタートいたします。この委員会質疑を通じまして、なぜこの法案が必要なのか、なぜ今成立させる必要があるのか、そして、この法案自体戦争抑止する法案であって、国民リスク自衛隊員リスクを下げる法案であるかということを国民皆様に理解していただけるような審議をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  今この瞬間も、自衛隊方々は、陸に海に空に、そして国内、国外で、日本の平和あるいは世界の平和のために汗を流しておられます。私自身も、自衛隊の方で約二十五年間お世話になり、国会議員にならせていただいてもうすぐ八年が過ぎようとしております。今回の法案というものは非常に危機管理上大事な法案だというふうに思っておりますが、私自身国会議員にならせていただいて、危機管理で本当に政治が命を救わないといけないと思った場面が、やはりあの東日本大震災でした。  危機管理というのは、想定内、想定外とあれば、想定内をいかに広げて想定外を小さくしていくかということが基本でございますが、あの東日本大震災においては、安倍総理自ら、私のふるさとの福島の方、相馬の方にも足を運んでいただき、激励やあるいは視察等をしていただきました。あのときに私もいろいろ現場を見て、やっぱり多くの方々が反省したのは、備えあれば憂いなしが、憂いなければ備えなしだったと。あれほど地震が来る、津波が来ると言われていたにもかかわらず、備えが十分ではなかったという感じがいたしております。  私自身も、三月に石巻の大川小学校のあの現場に立ったとき、涙が止まりませんでした。百八名の子供のうち、あの現場で、七十二名のまさに地域の宝、国の宝の子供が一瞬にして亡くなる、若い先生含めて十名の方々があの現場で亡くなる。行ったら、目の前に山があるんです。道もある。なぜこの山に登らなかったのか、わざわざ北上川の堤防沿いをなぜ逃げてしまったのか。聞いたら、その一年前にチリ沖地震があって津波の警報が出た、だけど津波が大したことなかった、それに基づいて避難計画を作ってしまった。大いなる反省を、あったというふうに聞いております。  さらに、やはり自衛隊も、動こうと思ってもやっぱり緊急事態に対する法制が十分でなかったために現場でいろんな無理があったという話を聞きました。ただ、あのとき自衛隊がなぜ動けたか。やっぱり事前に備えというものをやっていた部分があったということも事実であります。  まさに、この日本を取り巻く環境が厳しくなったという認識は多くの政党が共有しております。であれば、その厳しくなった環境からいかに日本国民リスクを下げるために自衛隊には動いてもらうということが必要になります。であれば、そのための法律整備する、これは政府だけの責任ではなく、国民代表である我々国会議員にとっても、国民を守るための法整備、これは必要だと思います。  我々は国会議員です。国民代表として、まさに与野党関係なく、いかにして国民リスク、これを下げるか、そのために自衛隊にいかに動いてもらうかという法案を出すべきだと思います。プラカードを掲げるのではなく、法案を掲げてしっかり議論すべきだと思いますが、総理のお考えを聞きたいと思います。
  7. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国民の命、そして平和な暮らしを守り抜いていくことは、私たち政治家にとって最も大切な責務であります。これは政府に課せられた重要な責務であり、政治家に課せられた使命であります。本来、与党もない、野党もないんだろうと、こう思います。  我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しているわけでありまして、情勢をしっかりと分析、評価し、国民の命と平和な暮らし、そして領土、領海、領空を守り抜いていくために、砂川判決の言う必要な自衛の措置とは何かをとことん考え抜いていく責任が私たちにはあるわけであります。  衆議院においては、維新の党の皆様法案提出をしていただき、議論がかみ合ったところもあったと、このように思います。このように、野党においても対案や独自案提出をしていただき、安全保障に関わる法律についてはできる限り一致点を見出す努力を重ねていくことが、国民の負託を受けた私たち政治家に課せられた、これ与野党を問わず責務であると、このように考えております。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、実は法律がなければ自衛隊って動けないんです。自衛隊法律の中で動く、でなければ訓練もできないんです。法律ができたからといって、すぐ結果を出せるというわけではない。自衛隊はスーパーマンではありません。やはり、まさにこういう厳しい環境の中で国民の命を守るためには、しっかり法に基づいて自衛隊に動いてもらわないといけない場合があります。であれば、やはり我々は、そういう自衛隊方々にしっかり結果を出してもらうためにも、しっかりリードタイムを取って法律整備し、しっかり形を整えるということも大事な仕事だと思います。  特に、今総理がおっしゃいましたように、環境が変わった、例えば北朝鮮の場合、日本を射程にミサイルを数百発保有している。それから、日本を守るためには、やっぱりどうしても法的な隙間があるのであれば、その隙間をしっかり埋めることによって国民リスクを下げる、そういうことも大事だし、そのためにも、さらにそれを行うためにも自衛隊訓練をしてもらう、場合によっては同盟国アメリカと一緒になって訓練をしてもらう、そういうためにもこの法案というのは大事だと。  だからこそ、危機管理上、備えあれば憂いなしの体制をつくる。憂いなければ備えなしではなくて、憂えても備えない、これでは駄目だと思います。よって、しっかり法律を作り、隊員方々訓練をしていただき、それによって隊員リスクも下がるし、国民リスクを下げる。そのためにも、まさに今この法律というのは早めに成立をさせる、これが大事だと思いますが、その隊員訓練という観点から、この法案についての成立必要性総理から改めて御答弁を求めたいと思います。
  9. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になったように、まさに自衛隊活動においては、訓練も含めて、法的根拠をあらかじめ明確にしておくことが必要であります。法的根拠を明確にしていくことによって、平素より各国とも連携した訓練演習等を可能とすることができ、これは極めて重要であります。つまり、法的根拠をしっかりと定めておくことが極めて重要だということであります。  例えば、日本の近隣で武力攻撃が発生し、我が国に対する武力攻撃が発生したとは認定されないものの、公海上で米国の艦艇がミサイル攻撃を受けた場合に日本艦船がその米国艦船を守ることができるということになれば、日頃からそのような事態想定してその状況に応じた訓練運用上の協力をすることができるようになるわけであります。  しかし、日米間といえども、新たな運用協力について現場での相互協力を深め、そのための訓練を重ね、十分な連携体制を取ることは一朝一夕にできることではありません。  したがって、訓練を含めた対応体制を早急に整備し、あらゆる事態に対処するための十分な準備を行うためにも、一日も早い平和安全法制整備が不可欠であり、そのことによって切れ目のない対応を可能としていくことができると、このように考えております。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 私自身自衛官時代日米共同訓練担当主務者、あるいは国内訓練担当訓練班長を経験をさせていただきました。やっぱり法律がなければ、日米で調整をしていても、できる訓練とできない訓練、これが明確に分かれます。それによって、まさに今回この法整備をすることによって、まさに国民リスクを下げるために今までよりも活動できる範囲が広がる部分があります。それは、まさに日頃から、日本アメリカあるいはオーストラリア等々と、まさに国際社会が連携してそういう脅威に立ち向かう、そのための訓練をさせる体制整備する、これも政治責任だと思います。  私も国会議員で八年になりますけれども、思うことは、政治家にとって大事なことの一つは、自衛隊方々自衛のための戦争、これをしなくてもよい国際環境をつくるために徹底した平和外交を努力する、これが一番です。その一方で、やっぱりいざというときに備えて、抑止力対処力観点から、自衛隊方々がしっかり動ける、そのための法的な基盤と人員、装備、予算、そういう体制整備をする、これも政治責任だと思います。厳しい環境備えて、安倍政権になり三年続けて、実際の実員、予算も少しですが増えることが続いております。まさにいろんな面でいかにその体制整備をするか、これは政治責任だと私も強く思います。  じゃ、今言われたこの環境がどれだけ厳しくなったのか、これはやはりまだまだ国民方々に、我々が持っているこの日本を取り巻く周辺安全環境認識国民方々が抱いている認識、まだギャップがあるような感じを私自身は持っております。よって、どういうことが日本周りあるいは世界で起きているかということについてこれから議論を進めていきたいと思います。  まず、ロシアでありますが、昨年、ロシアクリミア半島を併合いたしました。ある意味で、力による現状変更と言っても過言ではないかもしれませんが、今この現代社会においてクリミアを併合した、大きなインパクトがあったと思います。  外務大臣にお伺いします。  ウクライナクリミアを当然施政下に置いておりました。それがロシアの方に編入される形になりました。ウクライナNATOの一員でございますか。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ウクライナNATOには加盟しておりません。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 加盟していないということによって、現実問題としてアメリカやイギリス、フランス集団的自衛権対象ではない。じゃ、国連が動けるか。ロシア常任理事国の一か国ですから、国連も実際に動くということはできなかった。要は、ウクライナは、国連からの支援も得られることなく、集団的自衛権対象国もないということで、結果的にロシアクリミア編入されてしまいました。  やっぱりなかなか、総理がいつも言われるように、一か国だけでは自国の平和は守ることが難しいという環境にあろうかと思います。  では、そういうまさにロシアクリミア編入に動いているときに、中国何をやっていたか。まさにベトナムの沖で石油の探査をやっていました。その掘削機周りに漁船とか巡視船等々、かなり警備をし、一部は軍艦も出たという報道もありましたが、ベトナムがこれを抗議をして突っかかっていってもはね返される、力が違う。  ベトナムの場合、じゃ、国連が動けるか。相手が中国です。国連も動くことはできなかった。ベトナムが助けてほしいといっても、なかなか集団的自衛権対象国がいない、こういう現実がありました。  また、その中国、まさに中国というのはそういう形で、実はあのときの様子を見た結果として、今、南シナ海での岩礁埋立ても、ベトナム沖での石油掘削のあの対応を見てから始まったという見方をする専門家もいます。  その中国ですが、中国には一つ考え方として、戦略辺疆という考え方があります。国力に応じて国境は変わるものだと。まさに、第二次世界大戦が終わった後、中国は西の方に行き、チベット、ここに武力侵攻し、自治区にしました。西北に行き、ウイグル、これも自治区にしました。北に行き、内蒙古、これも自治区にしました。全部陸続きです。ところが、今度やっと海軍力が付いたということもあってか、今度は南と東、南シナ海、東シナ海の方にまた進出の今動きがございます。  資料の第一、これを御覧ください。(資料提示)  これは防衛省資料ですが、中国南シナ海における進出、一九五〇年代から逐次拡大をしている。まさに、当初フランス軍ベトナムにいました。ベトナムからフランスがいなくなったら、中国は、今度は西沙諸島の方に武力侵攻し、西沙諸島の半分を占領しました。次に、アメリカベトナムから撤退をしたら、今度は残りの西沙諸島の半分に武力侵攻して、そこを押さえました。  さらに、今度は、カムラン湾からソ連等がいなくなったら、今度はベトナムが領有していた南シナ海の六つの岩礁、これを占領し、さらに、フィリピンからアメリカがいなくなったら、南沙諸島ミスチーフを取ったと。まさに力の空白に応じてどんどん逐次侵攻していった。  残念ながら、ベトナム集団的自衛権対象としてベトナムを守るという国はなかった。フィリピン、同じように、アメリカが撤退した後、二つの基地がなくなった後、フィリピン集団的自衛権として、この進出を守るための対象国、これ、なかなか実質的に動ける国はなかった。なかなかアメリカ抑止も効かないということもあって、どんどんどんどん今、中国南シナ海に力による現状変更を試みています。  さらに、中国は、さきの防衛白書方針転換を表明しています。陸軍偏重から海軍重視海軍近海から遠洋を含む複合型へ、空軍領空防護型から攻撃兼ねて防御型へと方針転換をしております。  防衛大臣、これらの中国の最近の動きを見て、御見解をお伺いしたいと思います。
  13. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 佐藤委員は力の空白背景にという言葉を使われましたけれども、まさに中国は、一九五〇年代から七〇年代にかけまして西沙諸島へ、また八〇年代以降は南沙諸島へ、力の空白をつく形で南シナ海全域進出をしてきておりまして、特に近年では、南沙諸島における急速かつ大規模な埋立活動、これを強行するなど、海洋進出をより一層拡大活発化をさせております。  こうした動きに符合するように、本年五月に中国が発表した中国軍事戦略によりますと、陸重視海軽視伝統的思想を突破をして近代的な海上軍事力体系建設をするとした上で、海軍戦略近海防御型から近海防御及び遠海護衛型へ、また空軍戦略国土防空型から攻防兼備型へ、それぞれシフトをしているとしております。  こうした中国軍事的動向背景には、自国防衛のほか、自国領有権主張の強化、海洋権益の獲得、海上輸送路の保護などの目標があると考えられまして、中国は、より遠方の海空域における作戦遂行能力の構築に努めつつ、今後とも海洋における活動のより一層の拡大活発化、これを進めていくものと考えております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  中国はまさに海洋進出、この動きを今後とも継続する可能性があるというふうに言われました。これはやっぱり人ごとじゃないんです。  次に、資料二、これをお願いします。  まさに今大臣が指摘されました南シナ海の今七つの岩礁、これを埋め立てております。そのファイアリークロス礁というものについては、ここにあるように、三千メーター級滑走路、これが見て取れますように、もうほとんど滑走路あるいは誘導路についてはでき上がっております。また、建物がまだありませんが、十分、まさにこういう形で南シナ海岩礁に三千メーター級滑走路、これを中国が持つ。また、近くの別の岩礁もこれを埋立てをして、既にもう軍艦も寄港するという動きがございます。さらに、今までも、ここにもレーダー施設もある。今後、中国が前から標榜しておりました南シナ海防空識別圏、こういうものも設定する可能性も否定できないという状況です。  今後、更にこの南シナ海における中国の航空優勢あるいは海上優勢が、これが図られた場合、これは日本安全保障にも大きな影響が及ぶと考えますが、どのような影響があるか、防衛大臣から御説明願います。
  15. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 写真にございますように、中国は、現在埋立て中の地形について軍事利用を認めると公言をしておりまして、今後、港湾、滑走路レーダー等軍事施設建設していく可能性があります。こうした軍事施設建設をされた場合に、一般論として申し上げれば、海警のほか、海軍空軍南シナ海におけるプレゼンス、これを増大させる可能性があり、南シナ海安定的利用に対するリスクが増大しかねないなど、我が国への安全保障影響は否定できないと認識をいたしております。  また、南シナ海全域における中国のA2ADと申し上げますが、これは接近拒否接続拒否と言いますけれども、これはどういうことかというと、マラッカ海峡などのチョークポイントを経由した米軍等南シナ海への接近を阻止をする効果、また、南シナ海における米軍等の行動の自由を制限をすることによって中国海空軍による南シナ海から西太平洋への進出を容易にする効果、つまり接続拒否、こういったことが生ずる可能性があると考えております。  防衛省といたしましては、この南シナ海情勢我が国安全保障に与える影響を注視をしつつ、防衛省としていかなる対応を取っていくか、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございました。  今明確な御答弁はありませんでしたけれども、ここ南シナ海というのは、実は日本の大事なシーレーン、これは油もそうですけれども、それ以外の貨物も含めてここを通っています。これが潜水艦がばっこする海になってしまったら、我々のタンカーとかいろんな貨物船の航行というものに非常に影響が出る可能性は否定できないと。中国潜水艦というのは物すごくやっぱり怖い存在ですから、そういうものについて、またしっかりと対応願いたいと思います。  次に、南シナ海で起きたことは東シナ海でも起きないとは言えないと思います。資料三の方、お願いします。  南シナ海ではいろんな活動が起きておりますが、実は東シナ海でもやはり起きないとは言えませんし、これ、近年いろんな動きがあります。尖閣には領海侵犯、あるいは尖閣諸島には領空侵犯、海上自衛隊の護衛艦へのレーダー照射、東シナ海の防空識別区の一方的な設定、あるいは、ここにありますような東シナ海におけるガス田も、この一年の間に倍増するというような、このような大きな海洋ステーションが、あるいは海洋基地のようなものが乱立をしている。これは日本の、本当に沖縄の目の前です。九州の目の前です。こういう動きがあります。  防衛大臣、まさに東シナ海における中国のこれらの動き、これについての見解をお伺いします。
  17. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 近年、中国は、透明性を欠く中で、軍事力、これを広範かつ急速に強化をしております。我が国を含めて海洋におけるこの周辺において、中国活動の質、量共に急速に拡大をしておりまして、これらの活動は東シナ海における現状を一方的に変更し、そして事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない非常に危険なものも見られるわけでございます。  具体的に申し上げますと、中国の公表している国防費、これ、一九八九年以降、ほぼ一貫して二桁の伸び率を記録して、何と二十七年間に四十一倍に拡大をいたしております。そして、二〇一二年以降、中国の公船による尖閣諸島周辺海域における領海侵入の動きは著しく活発化をしておりまして、既に百回以上の領海侵入、これがされております。そして、二〇一三年末、尖閣諸島をあたかも中国の領土であるかのような形で、独自の主張に基づく東シナ海防空識別区、これを設定をしております。  また、近年、中国機に対する緊急発進、スクランブルの回数も急激に増加をいたしまして、五年前と比較して十倍以上の水準となっておりますし、二〇一三年には海上自衛隊護衛艦に対する火器管制レーダーの照射事案が、そして二〇一四年には海上自衛隊と航空自衛隊の航空機に対する異常接近、こういった事案が発生をしておりまして、こういった中国海洋進出を含む軍事的動向等については、非常に不安、不透明性と相まって、我が国を含む地域、国際社会安全保障上の懸念となっているものと認識をいたしております。  我が国におきましても、こういった尖閣諸島を含めて、我が国の領土、領海、領空、これを確実に守り抜いていくためには、平素からの情報収集、そして、警戒監視を始め、グレーゾーン事態を含む様々な事態へのシームレスかつ機動的な対応を行うということを通じて、我が国防衛警備体制に決して間隙を生じさせることがないように万全を期することが重要だと認識をいたしております。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、東シナ海でも南シナ海に匹敵するほどの、どんどんどんどんこの中国の不当な活動というのが広がっていると。  次に、まさに今言われた中で、東シナ海のガス田の話。  これ、この資料を見ていただきたいんですけれども、これが中国の防空識別区、これは赤線です。これは、中国は公海上に設定をしておりますが、これに、自分の、中国の防空識別区に入ってくるときは事前に通報しなさい、通報がなければ軍事的措置も辞さないと、あたかも領空のような主張もされている。ただし、今まで中国本土から遠いためになかなかレーダーが届かなかった。ところが、今回のガス田の、これは防空識別区のど真ん中に、まさに日中中間線をうまく逆利用するような形で西側の方に乱立しています。  まさに、このことも含めまして、このガス田の海洋ステーション、軍事利用可能性、これについて防衛大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  19. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中国は、海洋権益、これの獲得等を目的といたしまして、東シナ海において海洋プラットホームの設置など石油や天然ガスの採掘に関する活動を継続しているものと認識をいたしております。  その上で、御指摘のこの海洋プラットホームにつきましては、中国側がその軍事利用について表明をしているわけではありませんけれども、白紙的な可能性についてあくまでも一般論として申し上げれば、レーダー配備の可能性、またヘリパッドをヘリ等の展開のために利用する可能性が考えられるわけでございまして、いずれにしましても、政府といたしましては、東シナ海ガス田周辺を含む我が国周辺における警戒監視活動に万全を期するとともに、今後の情報収集等に支障を来さないような範囲で、公表できるものについては公表していく所存でございます。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、日本の目の前でこういう活動が行われていると。資源エネルギー庁の説明だと、この辺りにはそれほど多くの埋蔵量があるとは思えないという説明もあります。埋蔵量がそれほど多くないのに、これだけの海洋基地をこの数年で増やしている。これは非常に、我々としても軍事利用可能性を含めてこれをしっかり注視をしていく。我々が見ているということがこの動きを止めるということにもつながります。しっかりと対応をしていただきたいと思います。  この資料にあるように、実は尖閣に一番近いヘリポートはこのガス田なんです。三百キロしかない。嘉手納基地、那覇までも三百六十キロしかないんです。佐世保にも五百八十キロしかないと。非常に近いところにこういうステーションが、海洋基地がどんどんできていると。この現実は、我々は人ごとではなく自分のこととして考えないといけないというふうに思います。  それでは、次の資料をお願いします。  先ほど大臣からも、A2AD、接近拒否、領域拒否について話がありました。なぜ、中国がどんどん南西諸島、沖縄を含めてプレッシャーを掛けているか。この一例について説明をしたいと思います。  これは大陸の方から見た地図です。見ると、やっぱり日本列島は非常に邪魔な存在に見えます。確かに、ロシアの太平洋艦隊、ウラジオストクの艦隊が太平洋に出るためには、宗谷、津軽、対馬、三つの海峡を抜けないと、日本列島が覆っているために行けない。さらに、中国の北海艦隊あるいは東海艦隊が青島とか寧波から太平洋に出るときには、やはり南西諸島が邪魔になってなかなかすぐ行けない。南西諸島を抜ける場合は、一番使っているのは沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡、ここを抜けてどんどん行っています。  これはやはり中国のA2AD戦略、これに影響があると言われています。まさに、この南西諸島、台湾、フィリピン、これを第一列島線とよく言われます。伊豆諸島、小笠原、マリアナ、これを第二列島線と言った場合、第一列島線の内側、南シナ海、東シナ海にはアメリカの艦艇等を入れない、第一と第二列島線の間で迎え撃つという方針の下に接近を拒否するという下に、今どんどん南西諸島にプレッシャーを掛けながらも、沖縄を抜けて太平洋での訓練、これは年々増加しているという傾向がございます。  特に一番怖いのが、やっぱり潜水艦でございます。今の潜水艦は、実際に船にぶち当てるのではなくて、船の下で魚雷を爆発させて広がった後船体がたわむ、その反動で、ひゅうっと空気が小さくなったときの反動で、これが逆に折れて船体を真っ二つにすると。今から五年前の韓国の哨戒艦、天安がまさに潜水艇の魚雷一発で真っ二つにされて四十六名が亡くなったと。  非常に、そういう面で、潜水艦、水上艦艇あるいは航空機の進出が、南西諸島を抜けてあるいは台湾の南のバシー海峡を抜けてどんどん活動活発化している。さらに、今、南シナ海、あの埋立てを含めてそこを聖域化として、潜水艦の聖域化として潜水艦からミサイルを発射する動きも出てきていると。まさにそういう動きがある中で、我々は南西諸島を含めた国民の命をこういう状況の中で守っていかないといけないという話があります。  実際に、まさにこういう環境下に置かれている、一番その現場に近い石垣市、尖閣諸島をその行政区に持っている石垣市、石垣市の市議会がこの七月十四日に決議をしました。主要な部分だけ読み上げます。  近年、アジア太平洋地域をめぐる諸情勢を始め、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、私たちの住む石垣市の行政区域の尖閣諸島においても中国公船の領海侵犯が日常茶飯事の状態にあり、漁業者のみならず一般市民も大きな不安を感じている。こうした状況から、国民の生命と安全、平和な暮らしを守るのは、国、政府の最も重要な責務となっている。平時からあらゆる事態に対処できる切れ目のない法制整備する必要がある。よって、国におかれては、我が国の安全と国民の生命、そして国際社会の安全を確保するための平和安全法制について徹底した議論を進め、平和安全法制の今国会での成立を図るように要望する。  こういう決議がなされております。これがまさに、一番日本の最前線でこういう中国等の領海侵犯等を受けている石垣市の議会の意見です。今までの議論を通じまして、まさに沖縄のこの石垣市の方々の思いを含めまして、総理のこの決議、意見書に対する御所見をお伺いしたいと思います。
  21. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま佐藤委員中谷大臣とのやり取りにおいて、多くの国民皆様も、我が国をめぐる海の状況が大きく変化をしているということは御理解をいただいたのではないかと思います。  残念ながら、南シナ海において中国は大規模な埋立てを行っているわけでございます。また、東シナ海におけるガス田の問題につきましても、二〇〇八年の合意が守られていないという状況もあるわけであります。そして同時に、尖閣の領海に公船が侵入を何回も行っているという状況の中にあって、石垣市の皆さんは、まさに我が国の最も南西に位置している市でありますから、その地理的な性質上、市民の方々は、我が国安全保障環境の変化を日々、言わば肌で感じておられるんだろうと思います。このような石垣市の御意見、我々、真摯に受け止める必要があるだろうと、言わばこの永田町では感じ得ないその肌感覚の危機感を彼らは持っているんだろうと思います。  こうした安全保障環境の大きな変化の中で、同時に、日本我が国のみで日本を守り切ることはできない。もちろん、我が国独自に守っていくという気持ちは必要でありますが、しかし、しっかりとした同盟関係を更により機能させることによって抑止力を強化し、事前に戦争を防いでいく。つまり、こうした力による現状変更は行うことはできないんだということを相手方に理解させつつ、平和的な発展をお互いにこれは進めていくことが重要ではないか、つまり、平和的な発展の道に方針を変更するよう促していくことも大切ではないかと、このように思います。  そのためにも、しっかりと備えをしていく、切れ目のない平和安全法制整備をしていく、そして、日米同盟が揺るぎないものであるということを内外に示していくことによって、この海域も含めて我が国の平和と安全を守り抜いていくことができると、このように確信をいたしております。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 非常に大事な御答弁、ありがとうございます。  やはりこの海域を守り、まさに南西諸島にも我々と同じ日本人の方が住んでいます。その方々の安全と心の安らぎ、安心を担保するためにも、やはり自衛隊による、あるいは海上保安庁、警察、消防におけるこういう自助努力とともに、やっぱり同盟国アメリカとうまく連携をしながら、この抑止力対処力を図っていくということが大事だと思います。  実際に、南西諸島というのは、鹿児島の薩南諸島、沖縄本島、先島を含めると、ちょうど本州がすっぽり入るぐらいの大きさです。南西諸島一つ言っても、沖縄本島から最西端の与那国島、これは六百五十キロあります。東京から姫路までの距離です。そこが一つの沖縄県です。  ただ、陸上自衛隊一つ取っても、現時点としては沖縄本島にしかいません。六百五十キロの間にゼロです。航空自衛隊のレーダーサイト、これも一番西にあるのが宮古島、そこから更に与那国島、これは三百キロ以上離れており、尖閣諸島も二百二十キロ離れている。なかなか全部は目が届かない。よって、上空から監視するしかない。航空自衛隊のスクランブル発進、これは那覇ですから、そこから与那国島へ行くと六百五十キロ、どう考えても中国からの距離の方が圧倒的に近い。そういう中で、我々は国民の命を守らないといけない。さらに、海上自衛隊の一番護衛艦がいる基地は佐世保、尖閣から千二百キロ離れています。  そういう中で、今こういういろんなプレッシャーから国民を守るためには、まさに平時からグレーゾーン、重要影響事態、有事まで、日米がお互い守り合う体制を、平時の共同訓練あるいは警戒監視、これを一緒にやる、あるいはいろんな形での計画検討、共同作業をする、そういう切れ目のない対応日米お互いにずっとやる体制を取ることがまさに今回の法案の一番のポイントであり、別に集団的自衛権だけが今回の法案ではありません。平時あるいは重要影響事態、有事と、まさに切れ目なく、どういう形に日米が連携をして体制を取るか、これが抑止力だと思いますが、総理、もう一度、沖縄県民を守るという観点での今回の法整備に懸ける思い、これを述べていただければと思います。
  23. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日米同盟は、我が国安全保障の基軸であります。また、我が国に駐留する米軍のプレゼンスは、地域における不測の事態の発生に対する抑止力としても機能しています。他方、我が国を取り巻く安全保障環境につきましては、先ほどのやり取りで、一層厳しさを増しているということも御理解いただいたのではないかと思います。  こうした中で、我が国の平和と安全を確保をしていくためには、平時からグレーゾーン、集団的自衛権に関するものも含めて、あらゆる事態に切れ目なく日米が一層協力して対応できるようにしておく必要があります。  平和安全法制整備されれば、例えば平素から米軍の艦艇等の防護を行うことが可能となり、自衛隊と米軍の連携した警戒態勢等の強化につながってまいります。また、重要影響事態においては、米軍に対してより充実した支援を行うことが可能となりまして、存立危機事態においては、自衛隊と米軍の一層緊密な協力が可能となります。さらに、これらの新たな活動効果的に遂行するため、平素より幅広い種類の訓練や演習を実施できるようになります。  こうしたことによって、これらにより様々な危機に対する日米の共同対処能力は飛躍的に向上し、もし日本が危険にさらされたときには、日米同盟は完全に機能するようになると言ってもいいと思います。また、そのことを世界に発信することによって、紛争を未然に防止をする力、すなわち抑止力は更に高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく、こう考えるわけであります。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  まさに、平時から一緒に日米が連携をする、お互いに守り合うという体制をいかに取るか、まさに演習や警戒監視を今までできなかったことまでお互いにやり合うという体制が非常に大事だと私も思います。  やはり、なぜこの法案が必要か。法案がなければ自衛隊も動けないんです。最初に言いました。まさに今までできなかった部分をできるようにする。今までもやっています。でも、それでもできない部分がある。環境が変わったのであれば、その環境に変わった分、その部分をしっかり自衛隊が動けるようにして沖縄含めた日本人の命を守る、これが我々に課せられた私は責務だと思います。  もう一つ、次は、お隣の朝鮮半島、これもかなりこの数年で環境が変わったというふうに言われています。  朝鮮戦争、これはまだ終わっていません。朝鮮戦争はまだ終わっていません。終戦ではなくて休戦です。今、休戦状態のまま、正規兵だけで北朝鮮が約百四十五万、韓国が約六十五万、これがにらみ合っている状態で、その間に朝鮮戦争国連軍が割って入っているという状態であります。朝鮮戦争国連軍の後方司令部は横田基地にあり、日本の七つの米軍基地に後方基地としての機能というものがあるために、国連旗が日本の国旗とアメリカの国旗とともに立っています。これが現実です。実際、日本政府の朝鮮戦争国連軍との地位協定がございます。朝鮮国連軍が立ち上がった場合は、それに対して便宜を図る協定がございます。  外務大臣日本の地位協定上含めまして、現在、朝鮮戦争国連軍は何か国でどのような国々か、御紹介願いたいと思います。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、朝鮮国連軍ですが、一九五〇年に朝鮮戦争勃発時に創設され、一九五三年休戦協定発効後、各部隊は逐次撤退を行いましたが、現在でも朝鮮半島の平和と安全の保持のために韓国にその司令部等を、また我が国にその後方司令部を配置しております。  そして、御質問のこの国連軍、地位協定の締約国ですが、現在十二か国あります。我が国のほか、米国、豪州、英国、カナダ、フランス、イタリア、トルコ、ニュージーランド、フィリピン、タイ及び南アフリカの以上十二か国でございます。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 今まさに、そういう朝鮮戦争国連軍が存在しており、何か朝鮮国連軍がまた動くという場合には、地位協定に基づいて我が国政府もいろんな便宜を図らないといけませんし、当然、彼らも朝鮮半島に来るまた義務も責務もあるものと考えます。そういう状態を考えながらも今回の法整備をやらないといけない。  まさに、今韓国には我々の同胞もかなり多くの方がいます。在留届出をされている方々、旅行者の方々、あるいはビジネスで行かれている方、いろんな方がおられると思います。外務大臣、ざくっとで結構ですけれども、今大体どのぐらいの邦人が韓国の方におられるのか、お聞かせください。
  27. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、長期的に滞在している在留邦人の数ですが、約三万七千人であると承知をしています。また、旅行者や出張者等の短期渡航者数、これは時期によって変動はありますが、平均的に考えますと約一万九千人程度であると認識をしております。これら合計いたしますと、約五万六千人程度と見積もられると考えます。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 約五万六千人の邦人がおられると。  実は、邦人以上にフィリピンの方やベトナムの方はもっといるんです。アメリカの方もいます。これは、何かあったときには民間人を含めた第三国の方々が避難をされる、これは私も演習に参加しておりましたが、ほとんどがやっぱり日本ですよ。数十万の方が日本の方に来られる。そういうことを前提に、我々はその中で邦人の安全を確保する、場合によっては国連軍の方々と連携してその危機に対応するということが求められるということをまず我々は理解しないといけないと思います。  他方、北朝鮮の指導者、これはこれまでとはかなり違った方です。儒教社会において叔父さんを公開処刑するとか、それはあり得ませんし、また、日本を射程に入れる数百発の弾道ミサイル、ノドンミサイルあるいはムスダンと言われていますが、これは射程からいって、そのミサイルは千三百キロと考えると韓国用ではなく日本用という見方をする方もおられます。韓国用であればもっと射程の短いスカッドで十分だという話もあります。  私も驚いたんですが、昨年の三月、北朝鮮は初めて日本を射程に入れるノドンミサイルを西海岸から東海岸方面に射撃をしました。今までは、自信がないのか、東海岸から日本海東か、西海岸から南の方に撃っていたやつを、今度は西から東、自分の頭の上を飛ばす、これは初めてです。それを二回、三月に行いました。間違いなく精度と自信が向上しています。そういうミサイルを北朝鮮が持っている、こういう事実があります。  では、そのミサイルから日本人をいかに守るかということを考えた場合、一番そういう有事のときに望ましいのは、ミサイルが発射される前にそれをたたけばいいんです。でも、実際にテポドンのような発射台に乗っかっているようなミサイルであればそれは可能かもしれません。でも、日本を射程に入れる、このようなノドンミサイルは車載なんです。車が動いてミサイルを立てて撃ちますから、事前にこれをたたくことは、発射前にたたくことはかなり難しい。山岳地帯もあれば森林もあります。かなり難しい。であれば、日本国民を守るためには、撃たれてからそのミサイルをぱんぱんぱんとたたくしかない。そういう場合、一番有効なのがイージス艦と言われています。  日本を全て守るためのイージス艦、迎撃用のやつは、現在、海上自衛隊は四隻しかありません。第七艦隊は五隻あります。でも、日本の四隻のうち大体一隻か二隻は整備に入っておりますから、三隻ないとカバーできないときは、やっぱり日米で連携していく、更にそれを二重三重の盾にするのが望ましいと、これは当然の話です。  そういう中で、やはり日本日本アメリカアメリカではなく、まさに日本アメリカが連携した形で平時から、グレーゾーンも重要影響事態もまさに存立危機事態もお互いに、ミサイル含めてお互いに守り合うという体制を取ることがやっぱり抑止力につながるというふうに思います。  ただし、日本ミサイルが着弾する前、日本国民の命を守るためには、国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ない場合もある。その部分は、しっかり我々は、国際法にのっとって日本国民の命を守るために、ミサイル防衛一つ取っても、やっぱり今までの隙間を埋めて、しっかりそういう隙間を埋めるための法律を作り、日米が日頃からその隙間を埋めるための訓練をお互いにやる。平時から切れ目なくずっとお互いに連携することがこのミサイル防衛についても非常に大事で、そうできるようにしているのが今回の法制です。別に集団的自衛権だけではなくて、まさに平時からずっとグレーゾーン、これが今回のこのミサイル防衛でも大事なポイントだと思います。  まさに国民の命を守るために今回切れ目ない法制を作った、これがポイントだと思いますが、改めて総理から、このミサイル防衛についての今回の法制、これに懸ける思い、これを述べていただきたいと思います。
  29. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府がいわゆる四十七年の見解を出した、つまり、必要な自衛のための措置の中には集団的自衛権は含まれないという政府考え方を示したあの時代には、まだ北朝鮮は弾道ミサイルを保持をしていない、そしてまた同時に、核開発も行っていなかったわけでございます。  そして、その中で、今委員が例として挙げられたミサイル防衛であります。例えば北朝鮮がミサイルを発射して、それを海上あるいは陸上で落とす、海上においてはイージス艦からSM3というミサイルを発射して、かなりの上空でそれを撃ち落とすという仕組みになっております。  これは、米国の衛星からの情報を基にイージス艦がデータリンクをしながら落としていく。その中で、今まで北朝鮮がテポドン等を発射したときもそうでございますが、日本のイージス艦も日本海そして太平洋側にも配備をされますが、当然、米側も情報収集等も含めて配備をしているわけでございまして、そして、米側と日本のイージス艦はデータリンクを行うことができ、そして共同で情報を収集、分析、軌道を計算しながら対処できるということになっているわけでございまして、その一角が崩される、それは例えばアメリカの艦が攻撃を受けることによって、日本はその防備、ミサイル防衛に対しての穴が空いていくということにもなっていくわけでございます。  それはつまり、言わば我が国を守るためのこれは集団的自衛権、その船を守るということは、に当たるということでございまして、これはまさにかつての解釈を行った四十年前のときにはなかった状況が出現している、そしてその必要性にも我々は直面をしているということではないかと、このように思います。  今回の平和安全法制は、他国の防衛を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものではなくて、あくまでも、厳格な三要件によって我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国防衛するためのやむを得ない必要最小限の自衛の措置として極めて限定的な集団的自衛権を行使していくということになるわけでございます。  その中におきまして、まさに日本米国がきっちりと連携をしながら、日米同盟が間違いなく機能を発揮をするということを示していくことによってそういう試みを事前に阻止をする、つまり紛争や戦争を事前に未然に防いでいく力、それこそ抑止力であろうと、このように思います。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今回の新たな存立危機事態というものも入れて、平時から全部切れ目なく有事までと。まさにこの存立危機事態というのに基づく集団的自衛権は、例えば自衛隊アメリカまで行ってアメリカを守るための集団的自衛権ではなく、そのまま放置をしていたら日本国の国民の命が守れない、そういう場合に限っての集団的自衛権。まさに今総理が言われたように、やっぱりミサイルが落ちて日本人に被害が出るまで本当に何もしなくていいのかと。それは違うと思います。やっぱりそうであれば、その法的隙間を埋める、これが政治責任だと私は思います。  それでは、次のパネルをお願いします。  今回の法案、これは私なりにざくっとまとめたものですけれども、今回の法案の目的は大きく二つあります。この上段部分の赤い部分、これは日本の平和と安全に関する部分、下の部分、これは国際社会の平和と安全に関する部分です。色が濃くなるに従って烈度が高くなる。まさに今回は、別に集団的自衛権だけではなくて、平時からグレーゾーン、重要影響事態、存立危機事態武力攻撃事態と、まさに全般にわたるような形である。それは、危機管理というのはいきなりドンだけではなく、まさに抑止を、平時からどんどん抑えていく、エスカレーションを抑えていくということがポイントですから、そういう面で今回の法案というのはまさに切れ目なくそういう形で日本の安全の方もやっておりますし、国際社会の平和と安全についてもそれぞれの法案をやっている、そういう法案の作りにしております。  これについてはまた機会を改めてこの一つ一つについてはやっていきたいと思いますが、その中で、特に今ありました日本を取り巻く環境が厳しくなった朝鮮半島の例を一例として我が国の平和と安全のことについて事例的に説明をし、あるいは議論をしていきたいと思います。  じゃ、パネルをお願いします。  まず、朝鮮半島の具体例で邦人輸送。  邦人輸送を平素、重要影響事態、存立危機事態、こういう三つのパターンに分けまして、事態の進行ごとに、どういうふうなことができて今まで何ができなかったのか、今回の法案によって何ができるようになるのかということを議論をしていきたいと思います。  先ほど言いましたように、日本人だけではなく数十万の民間人を日本の方に輸送するという場合もあります。これは、日本だけではなくいろんな国々が協力をしてやる、当然、民間の輸送力も使いますし、軍事的な手段も使う。数十万ですから、本当大変な輸送オペレーションになります。  まず、邦人輸送、平時。  まずは状況としまして、A国とB国の間で緊張がどんどん高まっていく、不明の爆弾テロがB国の方でどんどん起きる、相互の非難というものが起き、緊張がどんどん高まっていく。当然、邦人を含めた民間の方々がどんどん日本等に避難をされてきます。このときはやはりまだ民間の輸送力、これが主体だと思います。一部要請があれば自衛隊や米軍の輸送機や艦船動きますが、ただ、最初は民間輸送力がほとんどだと思います。  そういうときに、防衛大臣、今回の法律ができることによって、従来と違い何がよりやりやすくなるのか、これについて分かりやすく説明を願います。
  31. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 佐藤委員が作られた表の一番左でございますが、平時におきまして、現行の自衛隊法によりますと、自衛隊の航空機、船舶、車両、これを用いて在外邦人等の輸送、これを行うことが可能でありますが、これはあくまで輸送に限られておりまして、武器使用権限も自己保存型の武器使用に限定をされております。  この点、今回の法案の改正によりまして在外邦人等の保護措置、これを新たに設けまして、任務遂行型の武器使用権限を付与することといたしております。これによりまして、一定の場合には、従来の輸送のみならず邦人の警護、そして救出までをも可能となり、邦人保護の体制の充実につながるものではないかと考えております。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、今までの訓練等いろんなシミュレーションのやっぱり結果としてその法的な隙間を埋めたと、平時でもいろんなやることがあったと。  次に、状況が進展しまして重要影響事態。  まさにA国からB国への武力攻撃が切迫をしていると。このB国の中で何者かによる爆弾テロが更に頻発をする。一部、A国からB国に対しての休戦協定違反のような銃撃とかあるいは砲撃がある。邦人を含む民間輸送というものについても、やはりだんだん民間では輸送が難しくなる。  実際に、イランにおける大使館から館員を運ぶ際にもなかなか日本の民航機が飛ぶのが難しかったということがございました。私がイラクに派遣されたときも、残念ながら日本の航空会社は組合等の反対もあって我々は使うこともできませんでした。  やっぱり、いろんな要素があって、緊張が高まれば高まるほど民間の輸送力というのは運用が難しくなりますというときに、まさに、朝鮮戦争国連軍ではありませんが、多くの国々が連携をして民間人を輸送するというオペレーションが始まります。そういうときに、今回の法改正によってどういう部分が従来と違ってできるようになるのか、防衛大臣に分かりやすく説明をお願いします。
  33. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事態が更に進んだということで、佐藤委員の表によりますと真ん中の重要影響事態というところであります。  今般の周辺事態法の改正におきましては、我が国の平和と安全を確かなものにしていくという観点から、米軍以外の外国軍隊等に対しても後方支援活動を行うことができるようにいたしております。また、重要影響事態に際して自衛隊活動する地域をあらかじめ我が国領域等に限ることとはいたしておりません。  このため、例えば、民間人を輸送する他国軍の艦艇等が重要影響事態に対処していると言える場合には、公海上における補給等の支援活動を行うことが可能になります。また、重要影響事態に際して行われる当該活動が、我が国防衛に資する活動に該当するなど改正後の自衛隊法第九十五条二の要件を満たす場合には、自衛隊と連携して当該活動に従事している米軍等の部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するということも可能になります。また、在外邦人等の輸送、また在外邦人等の保護措置、これは実施の要件を満たす場合には重要影響事態においても行うことが可能になるということでございます。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに民間人、邦人の民間人を守るために国際社会が連携している、そういうときに、今まで以上にまさに邦人を守るためにお互い動きやすくすると。  今、補給、整備の話がありましたけれども、例えば、海上自衛隊の「いせ」とか「ひゅうが」という船があります。それに、アメリカのヘリコプターがB国から邦人を乗せて海上自衛隊の船の甲板に降りる、当然邦人をそこで自衛隊は保護します。その際に、今までできなかったアメリカのヘリコプターに対して海上自衛隊の船の上で油の給油とか、まさに発進準備中のそういうヘリコプター、航空機に対する油の補給とか整備支援もできる。  これは、まさに邦人の命を守るために今回法改正をして、発進準備中のそういうヘリコプター等への給油や整備もできる、これは場所もまさに戦闘が起きていない現場ということでやる。まさに、今までのいろんな訓練、演習の教訓を、今回この法案改正で、いかにして国民を守り抜くか、大きな意思の下に今回、周辺事態法を改正をして重要影響事態の中でいろいろ活動している。まさにこの法律があることによって、抑止力上も対処力上も、この重要影響事態、緊迫化した段階でも今までよりもやりやすくなるということが言えると思います。  じゃ、更に事態が進みました存立危機事態。  A国からB国への武力攻撃が発生をし、それが我が国にとっても非常に影響が出るというような場合です。当然、休戦協定を破棄をされ、在韓米軍への攻撃もなされた、そういう場合における、やっぱり残された民間人、邦人等の輸送は、この段階では軍用機や軍艦でしか多分もう難しいという状況だと思います。  その際、今度はどういう形で今までできなかったことがどういう部分ができるようになるか、防衛大臣から分かりやすく説明をお願いします。
  35. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その表の一番の右の事態でありますが、重要影響事態として認定されていた状況から更に状況が悪化して、存立危機事態、これが認定をされることもあり得るということでありまして、このような場合には、例えば取り残された邦人を運んでくれている米艦艇を始め、事態拡大防止、また早期収拾のために活動している米艦艇の防護などの措置についても新三要件に該当すると判断する場合には実施することが可能になるということでございます。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  まさにこれは一番の、今、平時も重要影響事態も存立危機事態隙間があったんです。隙間は別に集団的自衛権部分だけではなくて、今説明があったように、平素も重要影響事態も存立危機事態もこの邦人を輸送するという一つ事例取ってもやっぱり隙間があった。  今回の法律は、まさに国民の皆さん、集団的自衛権だけの法律じゃないんです。まさに平時から切れ目なくあらゆる事態日本国民の命を守るために法整備をしています。まさに今まで、これは今説明があったように、そういう部分は非常に大事だということをまず御理解をいただきたいと思います。  これによってまさに、何回も言いますが、自衛隊方々がいろんな国々と訓練ができるんです。訓練ができることによって本当に国民リスクが、実際の形としてリスクが下がりますし、自衛官のリスクも下がるということが言えると思います。  では、続いて、同じような事例というものを用いまして、やっぱり日本国民影響がある、邦人輸送とともに弾道ミサイル対処、これについても事例研究、これについて議論をしていきたいと思います。  これは、今度は米艦防護。  弾道ミサイルを警戒中の米軍の艦艇、まさにこれに対するもの、これが平素、重要影響事態、存立危機事態でどういう形が、今までできなかったことができるようになるか、これについて議論を進めていきたいと思います。  まず、平時。  同じようにどんどん緊張状態が高まり、船への爆弾テロとか相互非難、緊張が高まってくる、そういう段階において、今まで何ができなかった部分が今度できるようになるのか、これについて防衛大臣、分かりやすく御説明願います。
  37. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、平時の場合で、表で申しますと左の表でございますが、今までは丸としているところは警戒監視、これの強化しかできなかったわけでございますが、平時において緊張感が高まっている状況において、弾道ミサイルへの警戒を含む情報収集・警戒監視活動自衛隊が米軍と連携して行うということが想定をされますが、今回の法律改正によりまして、自衛隊法九十五条の二に基づいて、米軍等からの要請を受けて防衛大臣が必要と認めた場合には、自衛隊と連携して当該活動に従事している米軍部隊と米軍部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護すること、また平素における米軍に対する物品、役務の提供、これを実施することが可能になりまして、これらの措置によりまして、自衛隊米軍等との連携した警戒監視体制の強化につながり、状況に応じたより実効的な対応が可能となっていくというふうに考えております。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  まさに、今まで警戒監視を航空機やあるいは艦艇でやっているというときに、自衛隊は自分たちの部隊は守れる、だけど米軍の部隊は守ることができなかった、でも米軍は我々の部隊を守るということもできたかもしれない。今度は、まさにお互いが守り合う形で警戒監視をするということができるようになると。まさに助け合いながら警戒監視をする、これは抑止力上も非常に大事です。  実際に日米の航空機に対してA国が戦闘機を発進するというときにおいても、今度はお互いにそういうスクランブルも法的な根拠を持って守れるということでも大きく変わりますし、さらに、ACSA、米軍に対する物品提供という部分も今度は今までと違ってこれができるようになるという法改正もなされると思います。  続きまして、重要影響事態。  まさに更に緊張が高まったときに、じゃ、どういうことが今までと違ってミサイル防衛ができるようになるか、これについても分かりやすく説明願います。
  39. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 表の真ん中の部分の重要影響事態ということで、これは、従来は米軍以外の他国軍への物品、役務の提供、これもできない、そして米艦等の防護もできないということでございましたが、今般の周辺事態法の改正によりまして、例えば弾道ミサイルの警戒監視等を行う他国軍の艦艇等が重要影響事態に対処していると言える場合には、公海上における補給等の支援活動を行うことが可能になります。  また、改正後の自衛隊法九十五条の二の要件を満たす場合には、いわゆる平素から引き続き自衛隊と連携して弾道ミサイル警戒を含む情報収集・警戒監視活動に従事している米軍等の部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護することも可能になってくるということでございます。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今、ミサイル警戒に当たっている米軍のイージス艦があります。今まではそのミサイル警戒に当たっているイージス艦に油の補給、これを海上自衛隊がやる場合は、一々このミサイル警戒を解いて、日本の領海へ戻ってきてもらわないと給油ができませんでした。それでは穴が空いてしまいます。今度は、ミサイル警戒を公海中でやっているイージス艦に対して海上自衛隊が公海での給油もできるということも今回の法改正でできるようになります。  いろんな面で、やっぱり実際的にいかにして日米等が連携して脅威に国際社会の一員として対応していくかという部分においては、今回はかなりの連携強化ができるようになるというふうには思います。  さらに、更に事態が進んで存立危機事態。  こうなったときに今までと違って何ができるのか、分かりやすく御説明願います。
  41. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これはまさに、我が国ミサイルから防護するために、日米の措置におきまして、現在におきましては個別的自衛権しか認められていないために、この表に書いているような形で協力ができないわけでございますが、これが状況が悪化をして存立危機事態、こういう事態が認定をされる場合におきましては、例えば弾道ミサイルの警戒に当たっている米艦艇を始め、事態拡大防止、また早期の収拾のために活動している米艦艇の防護などについて、新三要件に該当すると判断する場合には実施することが可能になるということでございます。
  42. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今までこのミサイル防衛ということについても、平素あるいは重要影響事態、存立危機事態、やっぱり今までできなかったことができるようにして、要は、これは日本人の命を守るためなんです。そのために、今までできなかったことをできるようにするということに今回法改正をしました。  ただ、本当に今回こういう法制がなければ、現実問題としてミサイルが発射された場合、日本人の命が守れない場合があるという危機感が我々にはあります。だからこそ、今回この法整備を行ってそういう体制を取る、これが抑止力につながると思います。抑止力というのは、やっぱり相手にとって、やったらもっと自分がやられるか、やっても意味がないというように思わないと抑止って効かないんです。そういう意味におきまして、まさに平素からそういう抑止の壁を高くすることによってこの抑止力を上げていくという上でも、この法整備、まさに切れ目なくやるということが大事だと思います。  他方、一方でこのような朝鮮半島などの近隣有事で集団的自衛権の行使は必要なく、周辺事態法に基づいて日本の領海内での補給支援だけでいいとか、あるいは警察権に基づく権限で米艦防護をやればいいという意見も一部にはあるようですけれども、実際に、先ほど総理が言われましたように、弾道ミサイル防衛も、アメリカとシステムで衛星とか何かの一環でこうやっているわけです。そういうときに向こうの武力行使に警察権で対応するというのは、まさにミサイルにピストルで立ち向かうというような感じだと思います。  これは極めて非現実的な考えだと思いますけれども、やはり今回はしっかり、武力行使には武力行使で対応できるような枠組みまで含めて、平素から最終的には武力には武力という部分まで含めてやらなければいけないと思いますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  43. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国の近隣で武力紛争が発生し、米国武力攻撃を受けている状況、既に武力攻撃を受けているという、武力攻撃武力攻撃という状況が発生している状況でありますが、その状況下において警察活動において米国の艦艇の防護を行うことは、まさに今委員が御指摘になったように、ピストルでミサイルに立ち向かうようなものであります。現実的には実施困難と言えます。  国家間の武力紛争が発生している状況を考えれば、事態拡大防止や早期収拾のために活動している米艦艇を防護するということは、武力攻撃から船舶を守るということを意味するわけであります。これに対して、海上警備行動といった警察活動は、警察官職務執行法に基づく権限しか行使できないわけであります。あくまでも、犯罪など不法行為への対応を主な目的とした仕組みであります。  自衛隊員は十分な権限を与えられずに不法な武力攻撃に身をさらすことになり、隊員の生命を不必要にリスクにさらすことになります。それにもかかわらず日本人の命を守るという目的を達成することは困難であります。このように、合理性のある適切な対応とは考えられません。また、そもそも米国が武力紛争の当事者となっている場合に米国艦船を防護することは、その外形上、武力の行使と評価されるおそれがあります。  政府としては、新三要件に該当すると判断する場合には、あくまでも我が国が、国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置として極めて限定的な集団的自衛権の行使を行うことができるようにすることが適切であると考え、今回法案提出し、御審議いただいているところでございます。
  44. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  まさにそれぞれの事態に応じて適切な権限に基づいて対応する、当然だと思います。武力事態になれば、やっぱり警察権ではなく自衛権というものを行使をして、しっかりと国民の命を守るために自衛隊が動ける、そういう形を取るのが私は当然だと思います。  次に、よく、なかなか事態がいっぱい乱立をして分かりにくいという議論があります。そこについて若干議論をしていきたいと思います。  今、パネルを使いまして、重要影響事態あるいは存立危機事態に至る例を挙げてメリット等を説明しましたが、この重要影響事態、存立危機事態、共に法的評価は違いますが、共に日本への武力攻撃はまだ発生していないものの、両方とも日本影響がある事態という観点では同じです。日本への影響度がより大きいものが存立危機事態という見方も可能であり、存立危機事態は重要影響事態に包含されるというふうにも言われますが、防衛大臣、この理解でよろしいでしょうか。
  45. 中谷元

    国務大臣中谷元君) はい、そのとおりでございます。  重要影響事態というのは、我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼす事態であり、一方、存立危機事態といいますと、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態ということでありまして、存立危機事態というのは概念上は重要影響事態に包含をされるものでありまして、また、存立危機事態というと重要影響事態との比較においてより重大かつ深刻な事態であるということは言うまでもないということでございます。
  46. 佐藤正久

    佐藤正久君 両方とも、重要影響事態も存立危機事態日本への影響がある事態には変わりはない。ただ、その中でやっぱりより日本に大きな影響を及ぼすという場合が存立危機事態ということだと思います。ただ、重要影響事態はまだ日本への影響度が存立危機事態に比べると低いということから、今まで周辺事態法という中で後方支援にとどめていた。だけど、日本にはまだ武力攻撃がなされていないものの、このまま放置をしたら日本国民の命が守れない、そういう場合は存立危機事態というものを設定をして、そこで自衛権というものを発動して、今まで隙間だった、穴だったというところを埋めるというのが今回の考え方だと思います。  次に、存立危機事態武力攻撃事態等。  武力攻撃事態等は、日本に対する武力攻撃の切迫の度合いから、予測事態あるいは切迫事態武力攻撃の発生と区分されますが、密接な関係にある国が攻撃される存立危機事態とはやっぱり評価観点が違います。一方、国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるという根本においては共通する概念であります。  よって、日本を取り巻く安全保障環境を考えれば、存立危機事態と重要影響事態、これは重なる場合が多い。要は、両方に該当する場合が多いというふうに今までは説明されておりますが、この考え方で間違いないでしょうか。防衛大臣、お願いします。
  47. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態ですか、武力攻撃事態
  48. 佐藤正久

    佐藤正久君 いや、武力攻撃事態と存立危機事態について。
  49. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力攻撃事態でございますが、この武力攻撃事態におきましては、存立危機事態とそれぞれ異なる観点から評価される概念であるために、ある状況においてそれぞれの観点から評価をした結果におきまして、存立危機事態武力攻撃事態等のいずれの事態にも該当するということがあり得るわけでございます。  この現実の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられます。一方、存立危機事態に認定されるような場合が同時に我が国に対する武力攻撃が予測あるいは切迫しているとは認められないこともあります。  もう一つ分かりやすく言いますと、存立危機事態といいますと、武力を用いた対処をしなければ国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況でございまして、委員の作られた表の左の部分、まさにこのような整理ができるのではないかということでございます。
  50. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、やっぱり重なる場合が多いと。  特に、このはみ出る場合というのは、例えばその一つの例がホルムズ海峡における機雷掃海という場合があり得るという理解でよろしいでしょうか。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 実際にどのような場合があり得るかにつきましては、発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府としては、全ての情報を総合的に判断をいたしまして客観的、合理的に判断をするものでありまして、一概にお答えすることはできませんが、あえて申し上げれば、ホルムズ海峡で機雷が敷設をされる事例は存立危機事態に該当しても武力攻撃事態等には該当しない場合として想定をされる、こういうケースでございます。
  52. 佐藤正久

    佐藤正久君 さらに、先ほど武力攻撃事態と存立危機事態、共に日本の存立とか国民の生命、自由、幸福追求を根底から覆されるという評価観点については同じだと、ただその評価軸が違うという話がありました。  この表でいうと、まさに武力攻撃事態等というのは予測事態、切迫事態、攻撃発生等、日本に対する攻撃の緊迫の度合いに応じて分かれています。一方で、存立危機事態というのは、日本の周辺で起きた場合、予測と切迫事態の間で起きるようなケース一の場合、あるいは切迫事態と攻撃発生の間で起きるケース二という場合があろうかと思います。  例えば、ケース一、ケース二というのはどういう場合が該当するか、防衛大臣、可能な範囲で御説明願いたいと思います。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現実の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられまして、ケースに当たって一概にお答えすることは困難でございますが、まず、これまで政府が繰り返し説明をしてきたケース二、すなわち、存立危機事態に該当し、同時に我が国に対する武力攻撃が切迫していると認められるが発生したとは認められない場合についてあえて申し上げれば、我が国が、近隣で武力紛争、これが発生をして米国武力攻撃を受けている、その時点ではまだ我が国に対する武力攻撃が発生したとは認定されないものの、攻撃国は我が国をも射程に捉える相当数の弾道ミサイル、これを保有をしており、東京を火の海にするなど攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃の発生が差し迫っている状況にある、こうした場合は、我が国に対する武力攻撃が発生する明白な危険が切迫をしていると客観的に認められるような場合になっていることもあり得ると考えます。  同時に、弾道ミサイル発射の兆候がある中で米艦艇が警戒に当たっており、米艦艇を防護しなければならないような場合は、こうした状況を総合的に勘案して存立危機事態を認定する場合、これもあり得るわけでございます。  一方で、今申し上げた米艦防護の事例について、その時点における状況を総合的に判断した結果、例えば、東京を火の海にするなど攻撃国の言動はないなど、我が国に対する武力攻撃が切迫しているとまでは認められないものの、攻撃国が我が国を攻撃するためと見られる軍事施設の新たな構築を行っていることなどから見て武力攻撃の意図が推測され、我が国に対して武力攻撃を行う可能性が高いと客観的に判断をされるような場合となっていることもあり得ると考えられ、これは御指摘のケース一、この事例に該当するものと考えられます。
  54. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  なかなかこの概念については分かりにくいんですけれども、実際、今回、日本の周辺環境を考えた場合、まさに日本に対する武力攻撃が発生するという評価軸の武力攻撃事態等と、日本には武力攻撃は発生していないもののこのまま放置をしていたら日本国民の命が守れないという場合における存立危機事態、これは重なる場合があると、具体的なケースで説明ありがとうございます。  次に、今、武力攻撃事態等と存立危機事態、これが重ならない場合の一例としてホルムズ海峡の話がありました。ホルムズ海峡についてちょっと議論を進めていきたいと思います。  これは、ホルムズ海峡を含めた日本のオイルシーレーン、油の道です。日本の油の八割、天然ガスの約二五%がペルシャ湾から日本に来ています。この赤い線、ペルシャ湾と日本を結ぶ赤い線が、これが日本のオイルシーレーンです。実は韓国も台湾も、そのほぼ同じぐらいの割合がこのペルシャ湾からそれぞれの国に行っているという状況がございます。  実際、この赤い線上、これを衛星写真等で撮ると、約九十隻のタンカー、大型タンカーが日本とペルシャ湾を結んでいる。一日約六十万トンの油が来なければ、日本の工業製品も生活もなかなか維持できないというふうに言われております。このぐらい、実は日本の油、生活含めてこのペルシャ湾に依存をしていると。そこで一番狭い部分がこのホルムズ海峡の出入口、このホルムズ海峡、一番狭いところでは三十三キロです。日本関連の船舶だけでも、年間これは三千六百から四千隻がここを通っていると。実は、一番ホルムズ海峡を使っているのは何と日本なんです。日本が一番ホルムズ海峡を使っているという現実があります。    〔委員長退席、理事石井準一君着席〕  ただ、イランは二〇一二年にEU制裁に対抗してホルムズ海峡を機雷封鎖するという法案提出しております。仮にこのホルムズ海峡が機雷で封鎖されたら、一番影響を受けるのは日本とも言われております。恐らく株価は大幅に下がり、物価にも深刻な影響が出て、特に冬場は灯油の高騰も予想されます。日本に備蓄があるといっても約半年分だけで、液化天然ガスは備蓄も困難です。仮に備蓄を放出するという動きが出れば、株価は更に暴落し、状況によっては経済や国民生活に深刻かつ死活的な影響が出ることも予想されます。  他方、日本の機雷掃海技術は世界トップクラスと言われています。防衛大臣、湾岸戦争終了後のペルシャ湾での掃海実績、評価を紹介願います。
  55. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 申し上げます。  平成三年、防衛庁は、機雷除去のために、自衛隊法の第九十九条の規定に基づき、海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣をいたしました。海上自衛隊の掃海艇等は、平成三年四月に出港した後、六月五日から九月十一日までの間にペルシャ湾において活動し、計三十四個の機雷を処分をし、同年十月に帰国をいたしました。  海上自衛隊活動は、ペルシャ湾における船舶航行の安全確保等に寄与することで、国際社会における我が国の平和的、人道的な貢献策の一つとして大きな意義があったものであり、湾岸諸国、欧米諸国を始めとする国際社会の高い評価を得たものであると承知をいたしております。
  56. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  非常に、海上自衛隊の掃海能力、これは世界でもトップクラス、高い評価を得ているということを私もいろんな場所で聞いております。  ただ、私がイラクに派遣されておりました二〇〇四年の四月に、このペルシャ湾でタンカー高鈴が被弾をしました。日本関連の船舶です。そのとき、タンカーは被弾をし、若干へこみましたが、乗組員は全員無事でした。それを守ってくれたのはアメリカ海軍でした。日本のタンカーを守るために、結果としてアメリカ海軍の若者二名とコーストガード一名の方が命を落としました。彼らにも奥さんや小さな子供がおられました。だけど、そのときアメリカ日本に言ってくれた言葉は、同じ活動をやっている仲間を助けるのは当たり前だ、同じ活動をやっている仲間を助けるのは当たり前だと言っていただきました。海上自衛隊がインド洋で給油支援をやり、陸上自衛隊や航空自衛隊がイラク、クウェートで汗を流していたことを指して言ってくれました。  ただし、その際に、残念ながら今から八年前の選挙で衆参のねじれが発生をし、法案の継続ができなくなり、海上自衛隊は一時中断をして日本に帰ってきました。その途端、現場ではいろんなことを言われました。なぜアメリカの若者が日本人の暮らしの油を守るために、日本の油を守るために命を落とさないといけないんだと。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、これは武士道ではない、日本は臆病者だと、一面広告もありました。  当時、小沢民主党代表は、このインド洋での給油支援は憲法違反だということで、法律の延長が認められませんでした。で、新たな法律を出し直して、衆議院の三分の二の可決を得て、再び海上自衛隊にインド洋の方で給油支援をやってもらいました。  その際に、私も横須賀の方に出港の見送りに行きました。多くの政治家やマスコミ、御父兄の方もおられました。その際に派遣される司令官が言われたことは、憲法違反と言われた我々にも意地と誇りがあります、日本国民代表としてしっかり汗を流してまいりますという趣旨の発言をされました。実は、そこには与野党多くの議員がおられました。その司令官の言葉に涙をした議員も与野党関係なくいました。  やはり、危機をいかにして共有するかという部分現場は非常に大事です。そういう状況の中で、いかに我々はこの国際社会の平和を守るために自衛隊という組織を使いながら貢献をしていくか、まさにそういうときに、まさに日本が一番このホルムズ海峡を使っている、世界のトップクラスの掃海技術がある、そういうときに、日本は、国際社会がまさに共同して掃海をしようとするときに本当に何もしなくていいのか。    〔理事石井準一君退席、委員長着席〕  私は、日本も汗をかく必要があると思いますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  57. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、ホルムズ海峡ですが、我が国が輸入する原油の約八割、そして輸入する天然ガスの約三割が通過する、我が国のエネルギー安全保障上、大変重要な輸送経路であります。  そのホルムズ海峡に関しまして、今回のこの平和安全法制における新三要件の第一要件が満たされる場合、すなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の一環としてホルムズ海峡に機雷が敷設され、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合であれば、当然我が国は、その事態に対処するため、あらゆる努力を行うことになります。  そして、機雷掃海ですが、この機雷掃海は広い海域を各国が協力して実施する、これが通例であります。かつてあの湾岸戦争の際にも、ペルシャ湾に敷設された機雷に対して、各国が協力し、ピーク時で約三十隻の掃海艇が約七か月掛かって掃海作業を行いました。そして、海上自衛隊が、御指摘のとおり、機雷処理に関する高い能力及び実績を有しておりますので、そもそも我が国の存立が脅かされる事態が生起している以上、我が国が各国と協力して機雷掃海へ当たること、これは当然考えられると考えます。  いずれにしましても、機雷掃海を行うかどうか、これにつきましては新三要件に合致するかどうか、これをしっかり判断した上で行うことになると考えます。
  58. 佐藤正久

    佐藤正久君 御答弁ありがとうございました。  やはり日本国際社会の一員です。そういうときに、国際社会が共同でこういう危機に対処しようというときに、日本も、できないことはそれは無理ですけれども、できるのであれば、それは汗をかくのは、それは一般論からいっても当然だと思います。ただ、一方で、機雷掃海はやっぱり危険も伴います。当然、砲弾が落ちているという状況では、これは通常、機雷掃海は行いません。ただ、停戦前といえども、そこが安全が確保されている状況であれば機雷掃海をすることはあろうかと思います。  例えば日本では、仮に北海道や東北の方で散発的に、日本有事の場合、散発的に戦闘が起きていても、関門海峡の方に砲弾が落ちないという状況であれば、機雷がそこにあれば掃海することがあるように、例えばイランの北部の方で散発的に戦闘が起きていて、まだ停戦前であってもそのホルムズ海峡の機雷が敷設している辺りに砲弾が飛んでこない状況であれば、機雷掃海するということは自衛隊の能力上も可能だと思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
  59. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 機雷掃海というのは非常に外部からの攻撃には脆弱でありまして、戦闘が現に継続しているような現場におきましては掃海を行うことは困難でございます。  また、実際に掃海活動が行われるか否かにつきましては個別具体的な状況に即して判断する必要がございますが、その上で、防衛省自衛隊は、現在、敷設機雷などの排除を行うための掃海艇計二十七隻から構成される世界有数規模の掃海部隊を有しております。また、平成三年に機雷の掃海を行いましたが、私も現場へ参りましたが、日本は非常に浅瀬の、そして流れの速い、非常に掃海が困難な残された機雷を除去したということで、世界各国から大変技術的にも高い評価を得ておりまして、この後も平成二十三年よりペルシャ湾において開催される多国間の掃海訓練、これに掃海艇の艦艇が参加をしているということでございます。  そもそも、海上自衛隊の掃海部隊は、我が国に対する武力攻撃が発生している状況で敷設された機雷を除去するために整備をしているものでありまして、一般的に敵から大きな損害を受けることなく作戦を遂行できる状態であれば、掃海活動を実施すること、これは可能であるということでございます。
  60. 佐藤正久

    佐藤正久君 いろいろと御説明ありがとうございました。  総理、今までの議論を聞かれて、やっぱりホルムズ海峡は日本にとっても非常に重要な海峡であり、国際社会が仮にその危機に対して共同で機雷を掃海するという場合に、新三要件に合致すれば、隊員の安全性にも留意しつつ、これは機雷掃海できるようにしておくことが必要だと思いますが、総理の御見解をお伺いします。
  61. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ホルムズ海峡は、我が国が輸入する原油の八割、天然ガスの三割が通過をする、エネルギー安全保障観点から極めて重要な輸送経路でございます。  例えば、我が国周辺に、周囲にですね、我が国の周囲に機雷が敷設されれば、物資の輸入がストップをします。国民生活に死活的な影響が出ると考えられるわけでありますが、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合には、その特性に鑑みて、これとかなり近い死活的な影響が及ぶことがあり得るわけでございます。そして、その中におきまして、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生を前提としまして、例えば石油などのエネルギー源の供給が滞ることによって、単なる経済的な影響にとどまらず、生活物資の不足や電力不足によるライフラインの途絶が起こる。国民生活に死活的な影響、すなわち冬場等でそうした石油、ガスが途絶えるという状況が発生すれば、国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じるか否かをこれは見ていく、その可能性も全く否定するわけにはいかないわけでありまして、そうしたことを総合的に評価をし、ホルムズ海峡での機雷敷設を契機として状況によっては存立危機事態に該当する場合もあり得る、これはまさに三要件に当てはまる場合もあり得るということでございます。  その場合には、自衛隊の安全性に十分留意しつつ機雷の掃海を行うことができるようにしておく必要があると、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、機雷の掃海というのは、その事柄の性格上、言わば戦闘行為が行われている海域そのものにおいてそれを行うのは困難であるわけでありますから、そういう点を十分に考慮しながら行っていくということになるのだろうと、このように思います。
  62. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  やはり、これ、こういうのは危機管理の話ですから、想定外ではなく想定内をいかに広げていくかと、まさに国民暮らしと命を守る責任が我々は与野党関係なくあります。やっぱり、こういうことが想定されるのであれば、その隙間を埋めておくということが私は大事だと思います。  今回の法案によって、自衛隊活動領域が増えます。新たな任務も増えます。ということによって、やっぱり今、隊員方々が、衆議院議論を聞いていて自衛隊リスク論というものについてはいろいろ懸念を持っているという方が一部におられます。ただ、自衛隊の任務でリスクを伴わないものは、これはありません。これは警察も消防も海上保安庁も同じです。  ただ、リスクがあるからといって自衛隊が何もしなくていいということではやっぱりない。そして、国家国民リスクを下げるために自衛隊方々リスクを背負ってもらうという場合があるのであれば、我々政治はそのリスクをいかに小さくするか、同時に、そのリスクを背負ってもらう自衛隊方々に名誉と処遇、これを与えるのも政治責任だと思いますが、最高指揮官として総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  63. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 自衛隊員の使命は、国民の命、そして平和な暮らしを守ることであり、国民リスクを下げることであります。そのためにこそ、自衛隊員は自らリスクを負うことになります。このため、自衛隊員の任務はこれまでも常にリスクを伴うものであります。我が国有事における任務は文字どおり命懸けのものとなります。隊員にとっては極限に近いリスクの中で国を守ることになります。平素における災害派遣も、警察や消防だけでは手に負えなくなったから自衛隊員が出動するわけであり、危険をはらむものであります。  平和安全法制整備によって新たに付与される任務にもこれまで同様リスクがあるわけでありまして、我々は、このようなリスクについて従来から一貫して深刻に受け止めており、あらゆる手段でリスクの低減を図っています。今後も、法制、教育訓練、実際の派遣に至るあらゆる面でリスクを低減する取組を行います。  それでも自衛隊員リスクは残ります。しかし、それは国民の命と平和な暮らしを守るためであり、自衛隊員に負ってもらうリスクであります。彼らが高い士気と誇りを持って任務を遂行することができるように、安倍政権で新たに策定した防衛大綱及び中期防においては、「栄典・礼遇に関する施策を推進する。」と明記をしております。実際、昨年は、元統合幕僚会議議長に対してその職責を踏まえて瑞宝大綬章が授与されたところであり、叙勲に関しても適切な運用に努めているところであります。  また、安心して職務に従事するためにも処遇に係る施策は重要であり、これまでも万が一隊員が死亡した際の災害補償や賞じゅつ金などの制度を充実してきたところでありまして、今後とも、自衛隊員に対しその任務にふさわしい名誉や処遇が与えられるよう不断に検討していく考えでございます。
  64. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  自衛隊員は、リスクはある程度あるというのはもう承知の上で訓練もしておりますし、入隊もしております。ただ、リスクを背負う以上はやっぱり一番名誉という部分にこだわる、そういうDNAを持っていると思います。  この生存叙勲に関する課題、これは予算委員会などでもちょっと取り上げさせていただきましたが、実は一番の課題というのが春秋叙勲のB幹部と言われるところで、これは実は自衛隊の幹部の主力が、このB幹部と言われる、部内からたたき上げで幹部になった方であります。C幹部とB幹部、入隊したときは同じです。努力をして幹部登用の試験を受けて早く幹部になった方がB幹部です。ただ、B幹部の方々の叙勲というのは実は二%しかいません。この対象者が非常に限定されています。その一方で、C幹部の方々は九五%という受章率になっています。このB幹部に対する叙勲というものは、やはり今まで非常に課題がありました。  今回、多くのやっぱりOBの方も現役の方も、B幹部に対するこの部分を含めて、叙勲に対する名誉という部分についても議論を国会の場で深めてほしいという要望がありますが、最高指揮官として総理、これはどのようなお考えか、あるいは防衛大臣でも結構ですが、お答え願いたいと思います。
  65. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も自衛隊に勤務いたしましたが、自衛隊員というのは本当に士気、意識が高く、また規律を厳正にしておりまして、常に国を守る、そういった使命感の下に訓練を積んでまいっております。  そういう中で、部内を通じて幹部になられた方、非常にこの意識の面におきましては強固なものを持っておられますし、部隊任務遂行上、大変貢献をされておられますので、こういったB級幹部の方々の処遇におきましても、これからも心掛けて取り組んでまいりたいと思っております。
  66. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常に大事な問題ですので、よろしくお願いしたいと思います。  では、続いて、処遇の関係で、自衛隊員の賞じゅつ金の話をちょっとさせていただきたいと思います。  これが、これまでのカンボジア、あるいはルワンダ、ゴラン高原、東ティモール、イラク、ソマリア沖等での仮に隊員が死亡した場合の賞じゅつ金です。私が派遣されたゴラン高原のときは六千万円、同じようにイラクの場合は九千万というふうに実は金額が異なります。今現在派遣されている南スーダンのジュバ、これは六千万円です。一方で、消防隊員の方が殉職された場合、これは九千万円です。  やはり、公のために犠牲になるという場合、不慮のこういう公務での死亡という場合に、これは任務に応じて、危険度において違うのは分かりますが、やはりこの辺りについては、イラクの場合は九千万で、南スーダンの場合は六千万というのはどうかと思いますし、消防と同じぐらいのレベルに私は上げるべきではないかと思いますが、これは総理でも防衛大臣でもどちらでも結構ですので、お答え願えればというふうに思います。
  67. 中谷元

    国務大臣中谷元君) やはり自衛隊が高い士気、誇り、これを持って任務を遂行できるように、平成二十五年に策定した防衛大綱及び中期防において、「栄典・礼遇に関する施策を推進する。」と明記をいたしております。防衛省といたしましては、これを受けて関係機関と協議を行ってまいりました。  B級幹部の話は先ほどいたしましたが、賞じゅつ金につきましては、地方公務員である消防官や警察官の賞じゅつ金の最高授与額が、国からの賞じゅつ金のほか、都道府県及び市町村が規定をしている賞じゅつ金が授与され、最高授与額が九千万になる例があると承知をいたしております。自衛隊員の賞じゅつ金の最高授与額は原則として六千万でありまして、個々の職務の困難性、危険性などを踏まえて、海賊対処行動及び原子力災害派遣につきましては、最高授与額を九千万円に増額する措置を行っているわけでございます。  今後とも、自衛隊員に対しましては、その任務にふさわしい名誉そして処遇が与えられるように不断に検討してまいりたいと考えております。
  68. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは是非ともよろしくお願いしたいと思います。これ以上はこの場では言いませんが、非常に大事な問題だと、これは政治責任だと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、続きまして、この自衛隊員リスクの話もありますけれども、実際に後方支援、このイメージを使って議論を進めていきたいと思います。  この後方支援のイメージですが、よくリスク論に言われるときに、非戦闘地域という概念をやめたからリスクが高まるとか、現に戦闘行為が行われている現場以外でやるからリスクが高まるとかいう議論が一部でなされましたが、大事なことは、自衛隊がどこで何をやるか、これによってその評価は全く異なります。大事なことは、自衛隊がどこで何をやるか、これによってリスクは変わってくると思います。  実際に、この非戦闘地域あるいは戦闘地域、これは憲法九条で禁止されている武力の行使との一体化を避けるためにつくった法律上の整理の概念でありまして、まさに活動の開始から終了までの間戦闘が起きないと言われる場所が非戦闘地域と、そういう中から実際に自衛隊活動する実施区域というものを設定するというのが従来の考え方でした。今回はそうではなくて、現に戦闘が起きている現場、これではやらない。それ以外の地域から実施区域を選ぶ。  要は、現に戦闘が起きている現場の横とか真後ろでやれって誰も言っていないんです。現に戦闘行為が行われている現場でやらないと、これは同じように、憲法上の整理として、非戦闘地域概念は私ども現場の感覚からいっても非常に分かりにくいと。最初から最後まで、活動期間を通じてこれが起きないというのは、多分派遣される前、政治家現場指揮官も分かりません。  実際、私が派遣されたイラク・サマワでも、宿営地に砲弾が落ちたり、活動しているサマワの町中で自動車爆弾が近くであったり、オランダ兵も殺されたり、いろいろありました。言われたときは、じゃ、もうサマワは非戦闘地域ではなくなったんですか、どこからが戦闘地域、どこから非戦闘地域ですかと聞かれました。なかなか答えるのが難しかった。その線引きが非常に難しい。  よって、新たな今回の法的な整理、憲法九条との整理の関係で、もっと分かりやすく、現に戦闘が起きている現場ではやらない、これは分かります。現に戦闘が起きている現場はどこか、これはやらない、それ以外の地域から選ぶ、そういうふうに今回法的整理をしただけであって、大事なことは、どこで自衛隊が何をするか、まさに実施区域をどこで選ぶかということが、これがリスク議論するときの一番根本だと思います。まさに、総理は何回も言われていますけれども、現に戦闘が起きている現場の、このDの脇とかCの後ろでやるとは言っていなくて、まさに活動の円滑さとか任務遂行の容易性、安全性を考えながら実施区域を選ぶと言っている。  これについて、総理、もう一度、国民の中で間違った考え方を持っておる方がおられる、こういうふうに現に戦闘が起きている現場のすぐそばでやると言う人がいますけれども、それについて、しっかり法案に書いてあるような安全性、円滑さというものを考えて選ぶと、もう一度説明をお願いしたいと思います。
  69. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今までの非戦闘地域という区分の仕方、これは武力行使と一体化しないという憲法の要請による概念でありますが、この非戦闘地域という概念の中で、委員が実際に活動を行われたサマワについては、これは非戦闘地域という指定をしたところでございますが、これ半年間にわたって、自衛隊がいる間はこれは戦闘が行われない地域という考え方であったわけでありますが、しかし実際に、佐藤委員がお話をされたように、実は、その期間においても実際に危険なところもあれば、ずっとそうでないところもあると。実際に戦闘が行われていない現場、つまり、例えば二週間自衛隊がそこで活動をするということであれば、そこは二週間の期間、戦闘現場にならないという判断をする方がより現実的であるという今回の言わば整理の仕方をしたところであります。これは、まさに実際に活動をしてきた佐藤委員のような方々の意見を踏まえた上で概念を整理し直したということでございます。  実際に、今申し上げましたように、現在戦闘行為が行われていないということと同時に、活動をしている例えば二週間であれば二週間は戦闘行為が行われることは見込まれないという場所で実際は行っていくということでありまして、まさに現実的にしっかりと整理をし直したものであるということは申し上げておきたいと思います。
  70. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにそのとおりなんです。現実的に整理をし直したと。大事なポイントは、どこに実施区域を設定するか、これが一番のポイントなんです。  ここに、自衛隊、セカンドライン、米軍、ファーストラインという形にしましたけれども、後方支援の一例、私もゴラン高原での輸送支援やイラクでもいろいろ活動させてもらいました。自衛隊活動する地域は実施区域の範囲内なんです。実施区域の外での自衛隊活動は認められておりません。  例えば、イラクで航空自衛隊が輸送支援をしました。それは、例えばAというクウェートの空港からBというイラクの空港までは運ぶ、例えばそれはタリル空港まで運ぶ。そこから先はアメリカが自分の兵たん部隊でC、D、Eという地域に運ぶ。  一般論からいって、それぞれの部隊が責任地域をオーバーラップする、重なることはありません。指揮統制の問題がありますから、そこは、バンダレー、責任区域を明確に区切ります。自衛隊が米軍の活動地域まで入って支援するということは通常あり得ません、指揮が混乱しますから。そこはしっかり境界を区切って、自衛隊はここまで運びます、ここから先は、BからC、D、Eというのは実際にこれまでも、これからもやっぱり自分の兵たんがやるんです。自隊兵たん、これはファーストラインと言います。自分の部隊の兵たん、まさに、あるポイントから自分のその現場までは自分の部隊が運ぶんです。これは自衛隊日本有事での作戦も全く同じです。  まさにそういう意味におきまして、今回、兵たんだから危ないとかいうのは余りにも乱暴な議論であって、そういうのは特性ごとによってみんな違う。まさに基本は、実施区域をどこに設定するか、これが大事なポイントであって、あたかもその我々の実施区域をこのCとかD、戦闘が行われる現場のすぐ後ろでやるような、これは非常に乱暴な議論だと思います。  防衛大臣、今後とも、この実施区域というものをしっかりとした観点で設定する、もう一度、実施区域の設定の考え方、これについて御答弁を願いたいと思います。
  71. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 実施区域につきましては、法律防衛大臣が円滑かつ安全に活動し得る場所を指定するとなっております。  実際、自衛隊活動を実施する区域の指定に当たりましては、今現在、戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を指定をするということでございまして、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことについては、いわゆる非戦闘地域等の概念を設けていた従来と変更はありませんが、どこが違うかというと、常にその場所を確認をして、安全な区域であるかどうか、これを判断をして区域を指定するというところでより厳密に安全に対する配慮がされるというところでございます。
  72. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにこれは現場の声なんですよ。現場の声として、今までの非戦闘地域概念で整理するというのは非常に分かりにくい。もっと、現に戦闘が行われている現場は、これは分かります。それ以外の地域から、まさに安全性を考えて、活動の円滑さを考えて実施区域を設定する、その考え方だと思います。  最後に、一つ誤解として日本アメリカ戦争に巻き込まれるという話があります。この資料を見てください。これは日米防衛協力の新ガイドラインについてしっかりと実は明記をしてあるんです。日米の合意事項としてしっかりと、新三要件の集団的自衛権を使うときはこういう条件ですよ、国際協力のときは日本が主権国家として主体的に判断しますと。アメリカではなくて、まさに集団的自衛権を使うときも日本はこういう条件ですよ、国際協力もこういう場合ですよというふうに厳密にしっかりと日米でもう既に合意をしているんです。日米ガイドラインにこれは明記されています。  これは多くの国民も知らない点かもしれませんが、しっかりアメリカとも合意の上で、今回の集団的自衛権も、しかも限定的なものしか日本はやりませんよ、アメリカまで行ってアメリカを守る集団的自衛権はやりませんよと実は合意をしているんです。よって、アメリカ戦争に巻き込まれるということはないと思います。  総理、最後に、この件について、日本アメリカ戦争に巻き込まれることはないということを明言をしていただきたいと思います。
  73. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさにこの新ガイドラインに書いてありますように、日本の存立を全うし、日本国民を守るためと、このように書いてあるわけでございまして、これはまさに日米の合同の、共通の認識と言っていいと、このように思います。  日本が武力行使をするのは日本国民を守るためと、こう書き込んであります。このことはまさに共通の認識であり、また、政府の判断に加えて、実際に武力の行使を行うため自衛隊防衛出動を命ずるに際しては、事態対処法第九条の定めるところにより、国権の最高機関である国会の承認を求めることになります。また、国際平和支援法においても、自衛隊を派遣するに当たっては、我が国として法律で定められた要件や手続に従って、自らの国益に照らして主体的に判断することとなるとともに、例外なき国会の事前承認が必要となっているわけでありまして、このように、平和安全法制成立後も、行政府及び立法府が法に基づき主体的に判断を行うこととなるため、米国戦争に巻き込まれるということは決してない。  繰り返しになりますが、まさにここに書いてあるように、日本の存立を全うし、国民を守るために日本は武力行使をする、あるいは、先ほど申し上げましたように、この平和支援法においても国会がこれは全く例外なき関与をしていくということで主体性が完全に確立されているということは申し上げておきたいと、このように思うところでございます。
  74. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今回の法案というのは、日本を取り巻く環境が変わった、これに対していかに国民の命と暮らしを守るために自衛隊に動いてもらう、そのための備え法律だと、戦争抑止をして、そして国民暮らしと命を守る、そういう法案であるということを訴えまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  75. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自民党の愛知治郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。  いよいよ平和安全法制、この参議院の審議の場にやってまいりました。そこで、最初なんですけれども、まずこの審議に当たっての総理の姿勢についてお伺いをしたいと思います。  衆議院でこの法案、百十六時間もの審議がなされております。政府案の内容については既に相当様々な点について審議がなされているとは思いますが、しかしこれは何度でも忍耐強く丁寧な説明、特に国民の皆さん一人でも多くの方に理解をいただけるようにしっかりと審議をしていかなければいけないと思いますが、その点についての総理認識についてまずお伺いをしたいと思います。
  76. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国の安全保障に関わる法案につきましては、先ほど佐藤委員との間の議論も行いましたが、基本的には安全保障環境が大きく変化をしている中において、その必要において法制を変えていくところでございますが、なかなか肌感覚でそれが果たして必要なのかどうかということを感じにくい場合もあるわけでございますから、我々もその点をしっかりと留意しながら、分かりやすく、どのような変化が起こっている、それは国民の命にどのような関係を及ぼす、平和な暮らしにどう影響してくるのかということをしっかりと御説明してまいりたいと、こう思うところでございます。  また、この法案につきましては、憲法との関係あるいは国際法との関係、そしてまた安全保障政策という観点もございます。そういう複雑性を帯びているわけでございますが、まさに国民の命を守るための大切な必要な、そして今やらなければいけない法律でございます。その点も含めてしっかりと分かりやすくこの参議院の審議を通じて御説明をしていきたいと、このように思っております。
  77. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 是非よろしくお願いをいたします。いろんな考え方の方がいらっしゃいますので、相当いろんな意見、また質問でも厳しいことを言われるかもしれないですけれども、そこはどうか冷静に忍耐強くやっていただきたいというふうに思います。  実は、これは議論をしたところで、どっちにしろ結論は変わらないんじゃないか、反対の人はずっと反対じゃないかと思うかもしれませんけれども、これは結論を決め付けないで、反対だと言っている方でも、いや、待てよ、ここの部分についてはやっぱり国にとって必要なんじゃないか、ああ、なるほど、危惧していたところはそうでもなかったな、そういうふうに理解をしてもらえるように頑張っていただきたい。私も、一生懸命それは取り組んでいきたいと思います。  その結論について決め付けないでいただきたいということに関連して、一つお尋ねをします。六十日ルールであります。  実は、今期の国会が九十五日間という最大の延長をされたことを受けまして、一部の、特に野党方々から、与党が六十日ルールを適用し、参議院での議論のいかんにかかわらず、衆議院で再可決をすることをもって法案成立させるのではないかというような批判が出ているんですが、私も絶対このようなことはしてはいけないと思います。これは参議院の意義を失わせる自殺行為だと思っておりますので、絶対にいけないと思っているんですが、ちなみに、これは憲法上のルールなんですけれども、これまで衆議院においてみなし否決がされたという例について事務局にお尋ねをいたします。
  78. 岡村隆司

    ○参事(岡村隆司君) お答え申し上げます。  衆議院において憲法第五十九条第四項の規定に基づきみなし否決が行われた最初の例は、昭和二十七年の七月三十日の国立病院資産譲渡特別措置法案、国家公務員法改正案及び保安庁職員給与法案の三法案でございます。これらは、いずれも様々な事情から会期終了日直前に至っても参議院では委員会での審査が終了せず、衆議院において送付後六十一日目ないし六十三日目にみなし否決を行ったものでございます。  その後、平成二十年四月三十日には国税、地方税関連五法案について送付後六十二日目に、平成二十五年六月二十四日には衆議院議員選挙区画定審議会設置法改正案について送付後六十三日目に、それぞれみなし否決が行われております。  以上でございます。
  79. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  最初のみなし否決、これは昭和二十七年のことでございますが、新憲法の下で戦後まだ試行錯誤しているときの状況で、私の生まれる前の話ですからよく分かりませんけれども、そういった状況、いろんな状況があったんだと思います。平成二十五年の法案について、これは衆議院の選挙についての法案、私、詳細は分からないんですけれども、これについても参議院の意思が示されなかった。いろんな事情があったんだと思います、理解できないわけではないんですが。  一番問題で、私がどうしても言いたかったのは平成二十年のみなし否決についてであります。国税、地方税関連五法案、いわゆるガソリン国会当時の法案でありました。その当時、私は財政金融委員会の自民党の筆頭理事を務めておりました。  これは是非、与野党問わずに、特に若手の方に聞いてほしいんですが、その当時、委員会の審査、そして採決云々以前に、財政金融委員会はただの一度も開催されずにそのままガソリン税が失効してしまった。そして、衆議院でみなし否決を適用して再可決をした。ガソリン税はそのときに一回下がって増えたという、覚えておられる方々も大勢いらっしゃると思うんですけれども。あの時点で、参議院は良識の府から政局の府へ完全に変わってしまった。その歴史的な瞬間、私は本当にじくじたる思いで経験をしたんですが、二度とこういうことをやらせてはならない、まさに政局の府から良識の府としての参議院らしい審議をしていかなければいけない、そう考えております。是非、与野党共にこれは是々非々でしっかりとした議論をしていただきたいというふうに思います。  改めて、この点について、総理、もう見たくない顔というのもいっぱいいるかもしれないですけれども、それは丁寧に忍耐強く、常に後ろに国民の皆さんがいるということを頭に浮かべながら審議に応じていただきたい、そのことを改めてお伺いしたいと思います。
  80. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 衆議院において百時間以上の時間を掛けまして、PKO法以上、あるいはまた有事法制以上の時間を掛けて審議を行ったわけでございます。そして、衆議院において、審議は熟したとの観点から、決めるときは決めるということで採決がなされたと、こう承知をしているところでございます。  当然、良識の府たるこの参議院においてもしっかりと建設的な議論が行われることを期待をしております。
  81. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  では、本題のこの法案の内容について質問をしたいというふうに思います。  まず、一番大事なところ、これは繰り返しになると思うんですけれども、やっぱり国民の皆さんが一番知りたがっているのは、なぜ今なのか、どうしてこの法案が必要なんですか、安全保障環境の変化と言われているけれども一体どういうことなのか、ここをしっかりと国民の皆さんにも伝えていかなければいけません。  先ほど、佐藤正久議員の質疑の中でも出てきましたけれども、改めてちょっと視点を変えて私も質問をしたいというふうに思います。  まずは、この安全保障環境の変化について、北朝鮮について改めて伺いたいと思います。  実は、十年ほど前に私も防衛政務官をさせていただいて、そのときいろんな経験をしました。夜中、朝方というんですかね、三時半頃にテポドン2が撃たれて、もう何日も寝れなかったという状況を経験をしました。その当時から長距離弾道ミサイルの開発はしていましたし、また、核実験も以後繰り返しております。短距離ミサイルもしょっちゅう飛ばしていますし、一番大きなのはその当時からノドンミサイルですね、日本を射程に収めているノドンミサイルは二百基以上保有していた、そういう状況でありました。  いきなりこの状況が、もう悪化しているのは間違いないと思いますけれども、いきなり状況が変わったのか、なかなか理解ができないところではあるんですけれども、実は、一点だけ最も大きな変化を感じている部分があります。それは、政権の変化であります。当時、金正日政権でしたけれども、今、金正恩政権になっております。そこの変化というのは非常に大きいものだと私は感じております。特に、私、報道でしか聞いていないんですけれども、金正恩政権になってから大変残酷な、そして公然とした粛清が行われている。ああいう政権の在り方を見て、ちょっと怖いなというふうに思っているんですが、そういう情勢の変化についてどのような把握をされているのか、まずお伺いしたいと思います。
  82. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、北朝鮮は、日本の大半を射程内に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備しています。発射されれば一千キロメートルを約十分で到達できる、こういった状況にあります。そして北朝鮮は、二〇〇六年以降三回の核実験を繰り返し、ミサイルに搭載できる核兵器の開発を進めるなど、地域の安全保障に与える脅威は深刻化しています。  そして、御指摘のように、今、金正恩体制に移行しているわけですが、この金正恩体制においても核抑止力強化のための核実験も排除されないとの姿勢を示しておりますし、また、弾道ミサイルの発射を繰り返し、本年五月には戦略潜水艦弾道弾の実験を発表するなど、国連安保理決議に明白に違反しながらこうした核・ミサイル開発を継続しております。  さらには、御指摘のように、本年五月の玄永哲人民武力部長等の粛清情報を始め、政府、軍幹部の粛清や人事異動が繰り返されております。こうした北朝鮮内部の動向については、現時点において情勢が不安定化しているとの具体的な情報に接しているわけではありませんが、様々な見方があると承知をしております。
  83. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  引き続き注視をしていってほしいと思いますが、いずれにせよ、安全保障環境の変化として私は捉えておりますし、武器は、同じものを持っていたとしても、扱う者によってそれは身を守る手段にもなるし凶器にもなる。やはりその運用について、今の政権に関して私は非常に危惧を抱いているというところであります。だからこそ……(発言する者あり)北朝鮮の金正恩政権です、失礼しました、について危機感を抱いておりますので、法案等、平和安全法制整備がだから必要なんではないかというふうに考えております。こういった状況ですから、朝鮮有事ですね、これも現実の問題として考えていかなければならないんじゃないかと思います。  ここでお伺いしたかったんですが、邦人の救出についてであります。  まず、一番最初、この法案が出てきたときに総理が繰り返し言っていたのが、米艦の防護という話をしておりましたけれども、まずその前に、一般国民として普通の正直な感想からすると、米艦の防護云々言う前に、まず邦人の救出は一義的に自衛隊がやるべきものだろうというふうに思います。  今回の法案成立前、今現在と、それから成立した後、自衛隊活動、邦人救出のための活動というのはどのように変化するのか、これを分かりやすく国民の皆さんに説明していただきたいと思います。
  84. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今の法案は、自衛隊法におきまして、邦人の輸送のみしかできないということでございます。  今回、平和安全法制において海外の邦人を守るために必要な法制を充実をしておりまして、まず、具体的には、外国における緊急事態に際して、生命又は身体に危害が加えられるおそれのある邦人について、領域国の同意がある場合には在外邦人の警護また救出ができるということでございます。  そして、これは実際にあった話でありますが、国連PKO等に参加している自衛隊の部隊等が、近隣で活動する我が国のNGO、これから緊急の要請を受けた場合に、これを防護するいわゆる駆け付け警護、これができるようになります。  そしてもう一点、我が国近隣で武力攻撃が発生した場合において、取り残されている多数の残留邦人、これを我が国に輸送する米国の船舶が武力攻撃、これを受ける明白な危険があり、これが存立危機事態に当たる場合におきましては、この米国船舶の防護、これができるということでありまして、海外において邦人が危機にさらされたときに、あらゆる手段を尽くしてもその命を守り抜くということが政府責務でありまして、そのためにも今般の平和安全法制整備、これは大変意義が大きいものであると認識しております。
  85. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。この点、大事な点ですから、より分かりやすく何度でも説明してください。  まず、自衛隊がより邦人救出に対して活動の幅を広げて、その活動範囲を充実させる、これが大事だと思います。そこでもまだ全てできるわけじゃないですから、足りない部分を米軍にも協力してもらう、だからこそ米艦の防護も必要なんだという理解でよろしいんでしょうか。
  86. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 海外には約百五十万人、さらに年間千八百万人の日本人が海外に出かけております。百五十万人というのは海外に住んでおられる日本人の方でありますが、こういった邦人が危機にさらされたときにやはり救出をする手段を持つというのは政府としてこれは当然の責務でございますので、これの法整備をするわけでございますが、先ほど申しましたとおり、米艦護衛の例も挙げて説明をいたしましたけれども、今回、そういった事態であるという認定をしますと可能になってくるということでございますし、また、一般的にも、領域国の同意がある場合、その同意及び範囲で在外邦人を救出できるような在外邦人の保護措置を設けたということ、そして、従来は輸送のみでございましたが、邦人の警護そして救出までも可能になりまして、そういった在外の邦人の安全保護についての体制の充実につながっていく法律でございます。
  87. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 分かりました。やはり必要な法律だということをしっかりとお話しされたのと、また私自身も今の話を受けて、国民の皆さんにもお話をしたいというふうに思います。  次に、もう一点お伺いしたい、その安全保障環境の変化についてお伺いをしたいんですが、中国についてであります。  まず、これは全体の話で結構なんですけれども、これも繰り返し答弁されているとは思うんですけれども、もう一度お伺いします。ここ十年で自衛隊のスクランブルの回数、どのように変化しているのか、教えてください。
  88. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊による緊急発進回数ですね、これは増加傾向にありまして、平成二十六年度、これの緊急発進回数の合計は、国・地域ごとの緊急発進回数の公表を開始した平成十三年度以降最多となりまして、九百四十三回でありました。これは、十年前の平成十六年度の百四十一回、平成十六年度は百四十一回と比較して約七倍となっております。  中国機に対する緊急発進も増加傾向にありまして、平成二十六年度における中国機に対する緊急発進の回数の合計は、これは平成十三年度以降最多となる四百六十四回でありました。これは、十年前の十三回と比べて約三十六倍、これに増加をいたしておりまして、非常にこの緊急発進の回数、急激に増加の傾向にございます。
  89. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 先ほど、私が政務官をやっていた十年ほど前から比べて三十六倍ですか、相当増えていますね。そのときには、当時はもうほとんど気にしていなかったんですが、随分状況が変化したんだなというふうに思います。  ちなみに、このスクランブルというのは戦闘機が緊急発進をして牽制をするということでありますから、この戦闘機についてお伺いしたいと思います。戦闘機の性能ですね。  私は、この戦闘機というのは、ただ何機あるというのが大事なのではなくて、その性能こそが重要な問題だと認識をしております。戦闘機自体はいろんな種類があって、第一世代から第五世代まであると思うんですけれども、その性能によって随分戦力というか状況が変わってくるということは聞いているんですが、これを国民の皆さんにも分かりやすく説明をしていただきたいと思います。
  90. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 戦闘機の世代区分におきましては明確な基準というものはございませんが、その特徴的な性能等からあくまで一般的な分類として申し上げますと、第一世代の戦闘機、これは一九五〇年代に登場しまして、最高速度はマッハ一未満の亜音速で、主な武装は機銃のみでした。第二世代戦闘機は一九六〇年代に登場しまして、アフターバーナーの採用によりまして最高速度は音速を突破、機関銃のほか赤外線誘導ミサイル運用が可能となりました。第三世代戦闘機は一九七〇年代に登場しまして、視界外の目標も攻撃可能なレーダー誘導ミサイル、これの運用が可能となりました。第四世代の戦闘機は一九八〇年代に登場しまして、エンジン出力の向上による高い運動性能の獲得、火器管制レーダー等の性能向上による目標識別能力、これの向上が図られ、現在の近代的戦闘機の主力となっております。そして、二〇〇〇年代に入りますと、ステルス性、これを考慮して更に高度な火器管制装置を採用するなど、最新技術を結合させた第五世代戦闘機が登場しつつあります。  米国の議会報告書によりますと、湾岸戦争時の米国の第四世代の戦闘機は、一切損害を受けることなしにイラク空軍の第二、第三世代の戦闘機を二十七機、空中戦闘で撃墜したと承知をいたしておりまして、この近代化、航空優勢、これ非常に大事な要素となっているわけでございます。
  91. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 分かりやすく教えていただきまして、ありがとうございました。  湾岸戦争当時、イラク空軍二十七機落として、多国籍軍一切被害がなかった、これだけその世代間、世代が違うだけで性能の違いがあるってびっくりしちゃうんですが、今この状況を見なくちゃいけない上で重要なのは、やはり最新鋭機をどれぐらい持っているか、それが大事だと思うんですが、第四世代以降の最新鋭機、中国は今どれぐらい持っているんでしょうか。
  92. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中国が保有しているいわゆる第四世代の戦闘機はJ10、SU27、J11、SU30でありまして、米国の国際戦略問題研究所、IISSが公表したミリタリー・バランスによりますと、二〇一五年版、その総数は七百三十一機とされております。また、我が国が保有している同種の戦闘機はF15、F2でありまして、その総数は二百九十三機となっております。
  93. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 十年前は百機にも満たない、ほとんどなかったぐらいの台数だったのが、七百三十一機ですか、ちょっと驚きましたけれども。しかも日本が保有しているのは二百九十三という機数ですから、一番バランスとしてはよろしくないなと思います。大体均衡していて向こうがちょっと強いという状況に、暴発しやすいというか挑戦的になりやすいという状況が生まれますから、いい状況じゃないなというふうに思います。  でも、だからこそ、下手に紛争というか、そういった偶発的なことも、また挑戦的な行動もさせないように、米軍との協力、圧倒的な兵力を持つ米軍との協力が不可欠なんだなというふうに思います。こういった米軍との協力があるおかげで、向こうも下手に手出しができない、これが抑止力だと思うんですけれども、この点についての認識、米軍との連携が不可欠だという認識について、これは総理に伺いたいと思います。
  94. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この数十年間、あるいはまたこの三十年、四十年の変化でございますが、言わば四十七年見解をお示しをした四十年前と比べますと、米軍は現在も圧倒的な軍事力、最強の軍事力を持っておりますが、しかし、兵隊の数あるいは艦船の数、そして航空機の数もこれはそれぞれみんな半分になっているわけでございます。他方、中国は急速な軍拡を進めている、二十七年間で四十一倍に軍事費を増やしているということでありまして、先ほど中谷大臣とのやり取りにおいても、第四世代の戦闘機において中国日本の彼我の差はあるわけでございますが、だからこそ、これは日米間においての同盟関係をしっかりと強化していくことによって抑止力確保していくということであります。  と同時に、国際社会全体で連携をしていく、そして法の支配を尊ぶ世界をつくっていくべく私も外交努力をしているわけでございますが、世界の各国と連携もしていきたいと、こう思うわけであります。  国際社会における外交努力と連携と同時に、こうしたグローバルなパワーの変化の中において対応していくために、法整備も進めながら日米のきずなを強くしていく、機能を強化していくことによって未然に、先ほど愛知委員が御指摘されたように、未然にそうした出来事が起こらないように防いでいくことが求められているんだろうと、このように思っております。
  95. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。大変頼もしい御答弁をいただきました。是非、国際社会で連携して、こういった紛争が起きないように、また、日米の信頼関係、これは何より重要ですから、是非総理のリーダーシップの下、信頼関係等をつくっていってほしいというふうに思います。  ただ、危惧している部分もちょっとあります。というのは、米国の理解についてであります。今回の平和安全法制でより緊密な連携ができるようにはなると思うんですけれども、調べれば調べるほど、今回の法案については極めて、例えば集団的自衛権に関しても限定的なんですね。ひょっとするとアメリカはもっともっと多くのことを期待して、蓋を開けてみると、あれ、意外と日本ができること少ないな、何するにも国会の承認が必要であるとか、歯止めが余りにも多過ぎて、期待していたとおりじゃないんじゃないか、そういう誤解があると困りますので、米国の理解というのは非常に重要だと思うんですが、その点について、これは外務大臣に伺いますが、しっかりと理解が進んでいるのか、お伺いしたいと思います。
  96. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、同盟国であります米国との間においては、この安全保障に関する問題について様々なレベルで常に緊密な連携を行っております。平和安全法制についても、米国我が国の意図を正確に理解していると考えています。  平和安全法制整備に向けた政府の取組につきましては、本年四月の2プラス2の際など、累次の機会を活用して米側に説明しております。そして、米側からも、我が国のかかる取組に対する歓迎と支持が表明されております。  そして、これは今年四月の日米ガイドラインの中に明記されていることですが、これは、自衛隊活動がいかなる場合であっても憲法及び関係する法令に従う必要があるということ、このことにつきましては日米政府におきまして共通の理解であると考えます。  加えて、この新ガイドラインにおきましては、日米いずれの政府にも立法上、予算上、行政上その他の措置を義務付けるものではなく、また、法的権利又は義務を生じさせることはない、これが明記されております。  このような日米政府間の理解に基づいて、この平和安全法制によって日米の信頼のきずな、一層強固なものとなり、これによって日米同盟の抑止力が一層強化されるものであると考えております。  また、この新たなガイドラインの下で、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で日本の平和及び安全を確保するため、日米協力をしっかりと推進していきたいと考えます。
  97. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 よろしくお願いいたします。  これは、日本国民にもそうですけれども、米国の関係者にも正確にこの法案の概要について説明する努力、これを惜しまないでください。継続的にやっていってほしいと思います。  この点について、最後、総理に改めてお伺いしますけれども、総理とオバマ大統領との信頼関係、私は全く疑っておりません。すばらしい信頼関係を築いているんだと思います。それはやはり、国のリーダー同士がそういったきずなを持つことが何よりも大事なんですが、そのお二人の関係を、これは政府の関係者、米国の人たち全てにもやはり伝えていかなければいけない、その点について総理考え方をお伺いしたいと思います。
  98. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日米同盟関係は揺るぎない同盟関係を確立をすることができたと、このように思っております。  オバマ大統領との間におきましても、昨年は四月に国賓として訪日をされました。一昨年は訪米をいたしまして、TPPについて交渉に参加することについて議論をしたところでございますが、昨年はオバマ大統領が来日をいたしまして、アメリカの大統領としては初めて尖閣を安保条約の第五条の対象とするということを明確にしたところでございます。  そして、今般は上下両院の合同会議において演説をいたしまして、日米同盟の重要性、日米関係がいかに両国に、そして地域や世界に大きな利益を与えているかという共通の認識について述べさせていただいたところでございます。  また、新しいガイドラインについても日米で一致したところでございまして、先ほどガイドラインの中身につきましては岸田大臣からも御紹介をさせていただきましたが、日本は、まさに日本を守る、国民を守る上においてこの集団的自衛権の行使も含め新たな法制を進めていくということを書き込んでいるわけでございますが、こうしたガイドラインについてもしっかりと新たに書き込み、そして新たなガイドラインの下に協力が始まっていくわけでございます。  これは、単に国防省と防衛省、あるいは外務省、国務省同士だけではなくて、今後更に人的な交流も深めていきたい、経済、政治だけではなくて、文化、そして人材育成等、更に様々な分野で日米が交流を深めていく、連携をしていくことによって日米の関係はより緊密なものとなり、そしてそれは世界に貢献する日米同盟となっていくと、このように確信をいたしておるところでございます。
  99. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  この日米の信頼関係構築に関する総理のリーダーシップ、大変期待をしておりますので、是非今後とも頑張っていただきたいと思います。  先ほど歯止めということを申し上げたんですけれども、今回の法案、様々な分野においてその歯止めがあると思うんですが、国会承認についてちょっと整理をしてみたいと思いますので、お伺いをします。  今回のこの国会承認について、その概要についてお聞かせいただきたいと思います。
  100. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平和安全法制において、国会承認につきましては、まず存立危機事態における防衛出動及び重要影響事態における自衛隊対応措置の実施には原則事前の国会承認が必要でございます。そして、国際平和支援法に基づく対応措置の実施には例外なく事前の国会承認、そしてPKO法に基づく自衛隊の部隊等が行う停戦監視業務及び安全確保業務について原則事前の国会承認とすることといたしております。  事前の国会承認により難い場合に事後承認も認められているものもありますが、そのような手続が認められているものにつきましても、原則はあくまで事前承認ということでありますので、政府としては可能な限り国会の事前承認を追求していく考えでございます。
  101. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  幅広く国会承認が必要だということで、特に事前承認、例外なき事前承認を求めている分野もあります。  ちなみにこれ、この承認について衆参の違いはあるんでしょうか。
  102. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今般の平和安全法制の国会承認につきましては、参議院による緊急集会を求める場合を除きまして、衆議院と参議院で制度上の違いはございません。
  103. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっと違う視点で、具体例でお話をしたいと思います。  先ほど佐藤正久議員も質疑で取り上げておりましたけれども、自衛隊のインド洋での給油活動ですね、これについては、私は国際社会から大変高い評価を得ていると認識をしております。この給油等の支援をしたときのその制度上の担保というのは、テロ特措法、それから補給支援特措法等の特別法案でした。これは失効してしまったということでありますけれども、今回こういった支援についての一般法を審議していると、私はそういう認識であります。  ただ、その一般法については先ほどあったように事前承認が必要ということだと思うんですけれども、この認識についてそれでよろしいか、お伺いしたいと思います。
  104. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一般法におきましては、事前承認が必要だということでございます。
  105. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  ちょっとここで頭の整理というか、私もふと、あれっと思ったんですが、先ほど事前承認については衆参同様に必要だということですよね。事前承認がなければこういった協力活動をできないということだと思うんです。  ところが、インド洋で給油やっていたときというのは、テロ特措法と補給支援特措法という特別法を作ったんですけれども、特別法、法律ですから、これに関して言うと、極端な話でいうと、衆議院で三分の二あれば参議院必要ないんですよね。法律成立させるため、形式上だけですけれども、衆議院で三分の二があれば参議院で否決されても法律自体は通るわけですから、その法律に基づいて自衛隊というのは活動できますよね。  ところが、今回に関して、一般法ですと、事前承認、衆参共に必要ですから、つまり参議院で否決されたら行けないということですよね。単純な形式上の要件からすると、これ、実は特別法を作っている方が簡単なんじゃないか、両方事前承認を確実に取らなくちゃいけない方がハードル高いんじゃないか、より強い歯止めになっているんじゃないかと思うんですが、これについて見解を伺いたいと思います。
  106. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘のように、国際平和支援法における国会承認につきましては、衆議院が優越をするものではございません。その上では、特措法よりも一般法による対応とすることにはメリットがあるというふうに言えると思います。
  107. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 具体的なメリットについてちゃんとお伺いしたい。  私は、多分、形式上は、ちょっとこれも二院制との関連で参議院の在り方にも関わることではありますけれども、条約については衆議院が優越していますよね。法案についても今のような衆議院の優越規定はあるんですけれども、この事前承認については全くそれがなくて、全く同等だ。我々は政府との関係でもちょっと整理をしなくちゃいけないとは思うんですけれども、ただ、物理的には、特措法を一々作るとなると、これはもう役所の膨大な手続が必要だと思うので、承認だけについてはその国際状況を見た上で政治的な判断で済む。物理的にはやはり圧倒的に承認の方が速やかに対応、機動的に対応できるとは思うんですけれども、そういった事情についてもちょっと教えていただきたいと思います。
  108. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 実質的なメリットにつきましては、必要性が発生してから改めて立法措置を行うよりも、自衛隊活動法的根拠、これをあらかじめ定めておく方が、平素から各国とも連携した情報収集また教育訓練が可能となりまして、その成果を基本的な体制整備に反映することができるようになります。  また、活動の内容、派遣規模といったニーズを確定するために、現地の調査、各国との調整、これが迅速に実施できるようになるということで、これによって自衛隊が得意とする業務をよりいい場所で実施できる可能性が高まり、また、入手した情報等から安全対策を含む訓練、これをより充実をした形で行うことができるようになりまして、自衛隊活動がより安全に行うこと、またリスクの極小化、これにも資するというようなことが考えられます。
  109. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  この点について二点。まずは、歯止めについては、世の中で危惧されているように全く掛かっていなくてではなくて、より強い歯止めが国会として掛けられている、衆参共にこれは承認が必要だというのは、これは大きいことですから、是非それを国民の皆さんにもちゃんと伝えていただきたいというふうに思います。  もう一点は、やはり参議院の在り方、先ほど良識の府というお話をさせていただきましたけれども、参議院の在り方もしっかりと見直さなくちゃいけない、考え直さなくちゃいけないというふうに思います。私、自民党で、政策審議会の下にある参議院あり方検討プロジェクトチームというところの座長をしているんですけれども、これは、様々な分野において、法案だけじゃなくて、法案審議もありますけれども、権限についても衆参の役割しっかりと見直しておこうということで今勉強をしているところでありますけれども、この点についてもしっかりと考えていきたいというふうに思います。  ちょっと話題を変えて、個別具体的な話をしたかったんですけれども、今の承認にも関わる話ですけれども、国際連携平和安全活動について、その具体的な内容についてお伺いしたいというふうに思います。
  110. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 最近、国際的な平和協力活動、これにおける取組は国連のPKO以外の枠組みによっても実施をされるようになってきております。  こういった背景を踏まえまして、我が国として、このような国連が統括をしない枠組みの下で国際平和及び安全を維持するために行われる国際連携平和安全活動、これを追加することといたしました。この枠組みの下に、PKO参加五原則と同様の厳格な原則に該当する場合に、自衛隊の部隊は、国連PKOと同じく、人道復興支援、またいわゆる安全確保業務などの業務を行うことができるようになります。  この業務の実施に当たりましては、隊員の安全の確保に配慮しなければならないとしているほか、実施要領において隊員の安全を確保するための措置を定めることとしておりまして、これら各種の措置によって隊員の安全確保に万全を期してまいります。
  111. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 言葉で今説明されてもなかなかやっぱりつかみづらいところなんですけれども、この国際連携平和安全活動については、これは国会の承認というのはどういう形になっていますか。
  112. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは内容次第でございまして、先ほど申し上げました安全確保業務などの業務を行うということにつきましては、国会の承認が必要ということでございます。
  113. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっと戻ります。例外なき事前承認に関しては、国際平和支援法ですよね。国際平和共同対処事態における協力支援活動等ということですから、この点について正確にやっぱり分かりやすく説明していただきたいんですが、国際平和共同対処事態における協力支援活動と国際連携平和安全活動、名前は似ているんですが、この違い、どういうものなのか、ちょっと説明をしていただきたいと思っております。
  114. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 国際支援法案によりますこの事態におきましては、例外なくこれは国会の承認が必要でございます。  先ほど質問にありました国際連携平和安全活動、これはPKOに準ずるような活動でありまして、PKO自体は国連のPKO、これが主宰をする活動でございますが、これに準じて、こういった国際組織とか地域が主宰をするこういった国際平和を目的とする活動、これにおいてPKO参加五原則、これと同格な原則に該当する場合に自衛隊が人道復興支援や安全確保業務などの業務を行うことができるということでございますが、こういったPKO活動に類するものといたしまして、安全確保業務、これを伴ったり、停戦監視業務、これはPKOでありますけれども、こういった業務を行う場合におきましては国会の事前承認が必要であるというふうに規定をしたわけでございます。
  115. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 こういった活動を実際にやるときに、やはり国会では、どういった活動なのか、また国際状況等々、この事前承認で判断をするということになると思うんですが、やはり個別具体的な例、細かく規定をされておりますし、現場等でも、これは実際本当にこれがいいのかな、どういう任務なのかな、把握しづらいことがあるかもしれないので、ここであえて伺いたいと思います。  今回の、今の法案、我々でもなかなか把握しづらい部分があるんですけれども、国民に全て理解してもらおうと思ってもこれは難しいかもしれません。そこは信頼関係でお願いするというところは大きいとは思うんですが、実際、自衛隊現場活動する自衛官の皆さん、この皆さんは正確に事態を把握しなければいけないというふうに思います。  その点でなんですが、今国会で、昔から言われているような制服と背広組、この関係について明示をしたわけでありますけれども、車の両輪として対等な形で協力関係にあるという法案成立したわけでありますけれども、元々どっちが偉いということはないと思うんですけれども、まさにこれから、こういった法案、それから活動の内容について、いろんな事態に正確に対処するために、また理解をすぐに迅速にできるように背広組がしっかりとその政策面や法律面でサポートをしていかなければいけないと、そう考えておるんですが、現状どうなっているか、それとまた今後どうしていくべきかについて、お伺いをしたいと思います。
  116. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 愛知委員防衛政務次官ですか、防衛省の政務をつかさどっていただきましたが、やはり防衛省といたしましては、制服組の補佐も受けますし、背広組、これの政策的な補佐も受けまして、両者相まって車の両輪のごとく政策を遂行いたしております。  PKOに関しましても、これまでも自衛隊の部隊が国連のPKO等の海外で活動するに際しまして、特に政策面、また法律面を中心として現場の部隊長補佐を充実させる必要がある場合は、防衛省の文民要員を部隊の一員として派遣をしてまいりました。  例えば、イラクの特措法に基づいて自衛隊がサマーワで活動をした場合におきましては、内部部局の業務経験を積んだ文民要員を部隊の一員として派遣をいたしました。  また、現在、南スーダンにおきましてPKO活動中でありますが、派遣当初から文民要員、これを部隊の一員、政策補佐官として派遣をしておりまして、これらの要員は、隊員と寝食を共にしながら、政策面や法制面を中心として現場部隊長の補佐を行っておりまして、新たな法制におきましても、自衛隊の部隊が海外で活動を行う際には、活動の内容等を考慮しつつ、文民要員の派遣を含めて、現場の部隊長が適切な判断を行うことができるように部隊の派遣を行っていく考えでございます。
  117. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 基本的に部隊で一名、これは何と言うんでしたっけ、どういう役割でしたっけ、名称。
  118. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政策補佐官。
  119. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 政策補佐官ですね。  今までもやっていたということだったんですけれども、これからもしっかりとこれは充実させて、日頃から常に部隊で自衛官の皆さんに、今その法制どうなっているのか、君たちの役割はこれからこういう役割があるよと、正確に伝えなくちゃいけないと思うんです。より一層、海外に行ったときはもちろん、それはもう自衛隊だけではなくて海外の軍関係者に対しても、自衛隊の役割はこうですよ、できる活動範囲はこうですよ、今回はこういう派遣で来ていますよと、それを伝えなくちゃいけない。国内外共に必要だと思うんですけれども、やはり体制整備充実していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  120. 中谷元

    国務大臣中谷元君) おっしゃるように、安全で円滑な活動、さらに国際的な評価を得るということにつきましては、こういった文民要員の活用が必要でありまして、単に防衛省のみならず、外務省とか内閣府とか他府省庁からもこういった活動におきましては現在も協力をいただいておりますけれども、今後とも政府といたしまして、幅広く支援ができる体制、こういったことを講じてまいりたいと考えております。
  121. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 時間があと一分少々なので、最後に総理に今の点について重ねてお伺いをしたかったんですけれども、自衛隊隊員の皆さんが活動する上で、やはり正確な認識、自分の任務について迷いがあってはいけないですから、そういった情報提供、連携をしていくためにも必要ではないか。その情報を提供する、理解を深めるための自衛隊体制整備、これが必要だと思うんですけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  122. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安倍政権ができまして、国家の安全保障戦略を定めたところでございます。これはまさに日本安全保障の基本方針を示したものでございますが、まずこの基本方針を徹底的に理解をしていただくということと同時に、その上において、国民の命と幸せな暮らしを守るためにどのような任務を遂行していくのか、そして、それぞれが与えられた任務、また現在の情勢等について、そうした現状の認識を共有していく、そして自分に与えられた任務を正しく理解していく、これは当然必要なことであり、防衛省においてそうした観点から隊員認識をしっかりと引き上げていく、そして士気を高めていくことが大切だろうと思います。
  123. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  時間が参りましたので、午前の質疑、これで終了させていただきます。
  124. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時まで休憩といたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  125. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、和田政宗君が委員辞任され、その補欠として浜田和幸君が選任されました。     ─────────────
  126. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  127. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 午前に引き続き、よろしくお願いを申し上げます。  当該平和安全法制の目的は切れ目のない安全保障体系の整備ということなんですけれども、私の質問は昼休みで切れてしまいましたので、午後、気を取り直してまた質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  午前中の質疑で質問をさせていただいたことについて、一つ、まず確認から始めさせていただきたいと思います。国会の承認についてであります。  先ほど問題提起をしたんですけれども、今回の国会承認については衆参共に必要だということが前提となっております。法律については、衆議院で可決されて仮に参議院で否決されたとしても、衆議院で三分の二で再議決をされると法律として成立をします。条約に関しては、これは予算と同じように、衆参異なる結論が出たとき、例えば参議院で否決されたとしても最終的には衆議院の結論が予算案として承認をされる、条約もそれに倣うということですから、明確に衆議院の優越の規定があるんですけれども、今回の事前承認については衆参全く同権であるということが前提となっております。  一番最初に、私自身、良識の府という話をさせていただきました。当時、ねじれ国会のときに、政局優先になって全ての政策止まってしまったという経緯があるんですが、改めて今回のことについて考えてみると、衆参共に承認が必要、国際社会の中で日本政府協力をしなくちゃいけない、そういった事態に、政局優先で仮にねじれとなったときに参議院がこれを否決してしまえば承認しないということになってしまうと、全く国際的な協力活動ができなくなってしまうのではないか、それを私は危惧をしております。  だからこそ、参議院は、政局に振り回されることなく、良識を持って、天下国家、そして国際情勢国民のことを考えて我々の意思決定をしていかなければいけない、そのことをまずもって申し上げさせていただきたいと思います。  その上でなんですけれども、防衛大臣に改めて整理という意味で質問したいと思います。  まずは、国際平和共同対処事態における協力支援活動等ですね、国際平和支援法について、それと国際連携平和安全活動なんですが、これは国際平和協力法についてなんですけれども、両法案の違いというのを分かりやすく説明をしていただきたいと思います。
  128. 中谷元

    国務大臣中谷元君) お尋ねの国際平和支援法によります国際平和共同対処事態における協力支援活動となりますが、これはいわゆる後方支援でございまして、国連の決議等で活動している他国の軍隊の後方支援を行う場合でございます。これにつきましては、例外なき事前の承認が必要でございます。この理由は、この平和支援法における国会の関与につきましては、この法律が国際の平和及び安全に寄与する目的で自衛隊を海外に派遣するための一般法であることに鑑みて、国民の理解を十分に得つつ、民主的統制を確保する観点から、例外なく国会の事前承認、これを必要としているからでございます。  一方、国際連携平和安全活動、これは国際平和協力法に基づくわけでございまして、この国際平和協力法、現在のPKO法案でございますが、これまではいわゆる国連のPKO等に限って実施をしてまいりましたけれども、これを更に枠を広げた活動にも参加するわけでございますが、これにつきましては、国連PKO法と準じるということで、基本的には一般的なPKO活動におきましては国会承認は必要ございません。  しかしながら、そのPKO等の中でも、停戦監視活動及びいわゆる安全確保活動のみのことにつきましては事前の承認を必要とするということでありまして、この国際連携平和安全活動におきましては、停戦監視及び安全確保活動部分におきましては国会承認の事前承認が必要ということでございます。
  129. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっと私が質問の仕方が下手だと思うので、なかなかうまく答弁を引き出せていないのかもしれないですが、まずは国際平和支援法と国際平和協力法、これの基本的な違い、それについてちょっと御説明をいただいた後、国会承認についてはまた別建てで、なぜそうなっているのかという質問をしたかったので、再度、国際平和支援法と国際平和協力法そのものの違いについて教えていただきたいと。簡単にで結構ですので、お願いします。
  130. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 国際平和共同対処事態、これは国際平和支援法でございますが、これは、国連の総会又は国連安全保障理事会、これが決議が存在する場合、まず国際社会の平和及び安全を脅かす事態に対処するための活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、又は認める決議、そしてもう一点、一に掲げるもののほかは、事態が平和に対する脅威又は平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国際連合加盟国の取組を求める決議、これがあることが大前提の協議でございまして、いわゆる他国軍に対する後方支援、これを行うわけであります。  一方、国際連携平和安全活動、これはPKO活動に準ずるものでございまして、この条件といたしましては、国際連合の総会、安保理事会又は経済社会理事会が行う決議、そして、次の国際機関が行う要請として、国際連合又は国連の総会によって設立された機関、その他専門機関などの要請があるということでございまして、いわゆるこれはPKO型の活動に準じた活動でございます。この違いがございます。
  131. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  今の御説明を前提に、国会承認については、少し両法案についての対応、これが異なっておるんですけれども、その概要についてと、また、なぜこうなっているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  132. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 前者の国際平和支援法の問題につきましては、これは、やはり国民の理解を十分に得つつ民主的統制を確保するという観点から、例外なく国会の事前承認、これを必要といたしております。  後者におきましては、PKO活動国民の理解を得てきて実施をいたしておりますけれども、これに加えて、こういった人道的なものについては行っていこうとするものでございまして、このPKOの国会承認の考え方は、いわゆる停戦監視業務において、この業務の内容が軍事的な仕事であって、それに当たる者がいわゆる歩兵部隊が主であるから、シビリアンコントロールで歯止めを掛けるという考え方の下に、事前の国会承認でございます。  そういうことで、このPKOに類する活動においても、そういう軍事的なものに関することについては国会承認を必要とするというふうにしたわけでございます。
  133. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  いずれにせよ、両案、ケース多少違うところがあったとしても、国会がしっかり責任を持ってこの活動について審査をした上で承認を与える、それが要件だということで、よく分かりました。我々もその自覚を持ってこれからも国会審議に当たっていきたいというふうに思います。  さて、今日はNHK中継でありますので、そろそろ私の持ち時間も限られてきておりますので、最後の質問をさせていただきたいと思います。総理に質問をしたいと思います。  戦後七十年を迎えて、七十年談話についていろんな話が出てきておりますが、この詳細については事細かにお伺いするつもりはありませんけれども、やはり戦争について我々は多くのことを学び、反省し、また、それを何よりも、ただ反省して、失敗した、良くなかったと後悔するだけではなくて、今そして未来にその教訓を全て一〇〇%生かし切る、これが大事だと思うんですけれども、未来に向けて、談話を含めて、戦争をどの点で反省をし、どうやって生かしていくのか、この経験をどう生かしていくのか、総理の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
  134. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 七十年前、日本は敗戦を迎え、二度と戦争の惨禍を引き起こしてはならない、この決意の下に、戦後、平和国家としての歩みを進めてきたわけでございます。その中におきまして、自由で民主的な国をつくり、基本的人権、そして法の支配を尊んできたわけでございます。  同時にまた、まだ日本が貧しい時代から、地域、アジアの発展のために貢献もしてきたところでございます。まさに、七十年前の痛切な反省の上に日本自国そして地域の平和維持のためにしっかりと貢献をしなければならない、それを実践してきたと言えるのではないかと思います。  今後、さらに地域や世界の平和と安定のためにより一層貢献をしていくという国際協調主義の下の積極的平和主義の旗を掲げながら、より良き世界をつくっていくために貢献をしていく、そういうメッセージを発信していきたいと、このように思っております。
  135. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 分かりました。私も、総理のそういう考え方、賛同しますし、しっかりと協力できることを協力していきたいというふうに思います。  ちょっと、これは私の完全な個人的な見解でありますけれども、一点申し上げさせていただきます。  あの戦争についてなんですけれども、戦争そのものが良くない、それはもう当然のことですし、二度とそういった戦争を起こしてはならない、それは肝に銘じながらなんですけれども、一方で、あの当時いろんなことが言われました。いろいろな国際情勢の中で追い込まれたんじゃないかとか、やはり自衛のためだったんじゃないかと言う方もいますけれども、その是非についてはあえて申し上げませんけれども、私は、戦争の中で、もうこれは是の部分がなくて全て間違いだと、絶対におかしかったなと思う点が、これは私の考え方なんですけれども、あります。  それは、敗戦濃厚だったときに、それを認めて引く勇気を持たず、結局何をしたかというと、大変優秀な国を憂う若者たちに特攻を命じたり、また玉砕を命じたりしてしまった。間違ったときに引くことができなくて最後まで突っ込んでいってしまったんですね。その点は、私は、やはり過ちては改むるにはばかることなかれ、しっかりと見直すべきときは見直さなくちゃいけないと考えています。  これは質問ではないんですが、ちょっと違う点で私の考え方を申し上げたいと思います。  新国立競技場についてでありますが、実はこれを見直しをするという決断をされました、総理が。必ず何か一つのことを進めていて見直すということになると批判が出るんです。だからこそ、何か一つの政策を進めていくときに、それを見直そうということはほとんど今までされてこなかったんですね。だけれども、今回は、私は、個人的な見解ですよ、国民の皆さんからもいろいろ言われていたんですけど、あれは見直すべきだということでずっと言われていました。実際にそれが見直されるかどうかは疑心暗鬼だったんですが、今回の決断について私は大変な英断だと思っております。(発言する者あり)こういった批判がどうしても出てくるんです。それを前提の上でもできたという、これは大変な勇気だと思います。私は、総理が、いざというときには、間違いだと思ったらしっかりとそれを正す勇気を持っている方だと、これは高く評価をさせていただきます。そして逆に、そういう総理だからこそなんですよ、正しいと思ったことは、これは迷わずに信じて進んでいってほしいと思います。  今回の法案については、絶対に国際社会にとっても日本にとっても必要な法案だということを私も信じております。是非迷うことなくしっかりと進んでいただきますようにエールをお送りしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  136. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。総理大臣、どうぞよろしくお願いします。  昨日から、参議院の本会議、そして今日の委員会と、参議院で安全保障法案審議が始まりました。衆議院での強行採決は甚だ遺憾でございます。この本質は、国民の反対という大きな声を無視して違憲法案を数の力で無理やり採決をしたということです。若者や全世代の女性を始め、全国で廃案という声と行動が文字どおり燎原の火のごとく広がっています。  一昨年の特定秘密保護法案は、総理は、国民の理解を得るために分かりやすく説明し丁寧な審議に努めると言いながら、参議院の審議衆議院の半分で、全ての委員会の開催を強行でやるという暴挙に出て、結果として強行採決をしました。まさに言っていることとやっていることと違うと。  今回も、丁寧に国民の理解を求めたいと何度も本会議も含めテレビでも言われていますが、この参議院ではその言葉にたがうことなく、しっかりと総理自身がこの参議院の委員会にどんどん出てきていただいて質疑をしたいと思っておりますが、総理のまずそのことに対する国民に向かってのお約束をお願いします。
  137. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この平和安全法制が、この良識の府である参議院において、しっかりとした、また建設的な議論を行うことによって国民の理解が進んでいくことを期待したいと思いますし、私も、院から求められればもちろん出て説明をするという責任を負っていると、このように思っております。
  138. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、院から求められれば責任を持って出てくるというお言葉をいただきました。そのことを本当によろしくお願いしたいと思います。  実は、昨年、閣議決定の直後に私は総理審議をしまして、残念ながら全く総理にお答えをいただけなかったことをもう一度伺います。(資料提示)  日本は、これまで集団的自衛権の行使はできませんと、日本に攻撃がある場合のみ個別的自衛権で最小限の範囲で武力行使ができるということを四十年以上、圧倒的な部分を自民党政権の中で維持してきました。これが法規範性、法的安定性を維持してきた解釈でございます。一方で、今回、閣議決定で解釈を変更するという暴挙に出られまして、こういったことがこの法案が通ると可能になります。私どもは廃案を目指しておりますが、御覧をいただきたいと思います。私は、基本的には政府の言っていることをたがわずに図表にしました。  A国からB国に攻撃があります。我が国と密接な関係にあるB国から要請を受けて、日本は存立危機事態の場合に武力行使ができる。しかしながら、我が国には攻撃はありません。A国とB国は紛争ないし戦争状態です。要請を受けて日本が武力行使をしに行くということは、これは総理戦争に参加をすることですよね。  私は、実は、自分のホームページその他も含めて、戦争法案とか戦争国家とかいうことは、表現は使ったことはありません。冷静に議論をしたいと思っているからです。しかし、集団的自衛権の行使をするということは、自衛のためであれ他衛のためであれ戦争に参加をすることだと、このことは、総理、お認めいただけますね。
  139. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回我々が容認をした集団的自衛権、これは言わば一般に言われる集団的自衛権の全てではなくて、まさに三要件に当てはまるものに限るわけでございます。  それはすなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、これを排除し、我が国の存立、これは他の国ではありません、我が国の存立を全うし、国民を守る、まさに日本国民を守るために他に適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、この三要件に当てはまる場合、言わば集団的自衛権の中におきましてもこの三要件に当てはまる場合があるとの考え方の下に、四十七年の見解、必要な自衛の措置の中にこの当てはめを行ったところでございます。
  140. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私の質問には全く答えていただけません。私は、総理が今言われたことはこれで十分説明をしました。だから答えてくださいと申し上げた。  A国とB国は紛争しているんです、戦争中なんです。B国から要請を受けて、同意ということも政府は言っていますが、武力行使をするということは、このA国とB国の紛争ないし戦争に参加をすることですねと聞いています。説明をしてくださいと申し上げているわけではありません。それが、戦争に参加するかどうか答えられないんだったら、答えられない理由をお答えください。
  141. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、福山委員がおっしゃっているのは、いわゆる集団的自衛権をフルに認めているときの例として私に質問をしているわけでございまして、まさに密接な関係にある他国に対する攻撃に対してこちらが言わば攻撃をするということでございますが、まさにそれに対しては我々は三要件が当てはまっているということを従来から申し上げているわけでございまして、その三要件が当てはまっている中において、言わば武力攻撃、この存立事態における武力攻撃に対して我々はそれを排除する行動を行うわけでございます。  ですから、例えばA国とB国がこれ紛争状態になっている中において我が国の存立に関わりがない場合は、例えばB国から要請があったとしても、それは我々はこの戦いに参加することはないわけでございます。ここを明確に言わなければいけないわけでありまして、まさに我が国の存立に関わり、国民の生命、自由、そして幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるという認識を取ったときにまさに我々は武力行使を行う、ここのところが一番肝腎なところではないかと、このように思っているところでございます。
  142. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私はここで最初に存立危機事態のことを、総理の言った、今三回答弁されましたけど、言ったことをちゃんと説明しました。そのことを説明してくれなどと言っていません。そして、日本の存立に関係ないときに戦争に行くのかなんて一言も聞いていません。集団的自衛権を、限定であれ何であれ、ここにちゃんと限定的な集団的自衛権と書いてあります。A国とB国が紛争中で、武力行使をしに行くというのは、戦争に参加をすることですねと、A国とB国の紛争に参加をすることですねと聞いています。なぜ答えられないのかという理由も答えていただいていません。時間がもったいないです。  委員長、この答弁の姿勢は私は非常に不誠実だと考えております。
  143. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、まさに今ポイントについて説明をさせていただいているわけでありまして、ここが、ここが大切なところでありますが、A国とB国がこれ紛争状態にあって、このB国がA国から攻撃を受けたときに言わばB国から依頼を受けた。そこで、今、福山委員が示している、そこに三要件が当てはまるということを前提という質問でございますね。ということであったときに、しかし、そのときに、A国とB国の紛争のもとそのものを、これはこのそのものに対して我々が撃滅に行くということではないわけでございまして、そこが、そこが問題であります。  これは今までも、今までもこれ説明をしているとおり、A国とB国が戦っていて、言わばA国に対して我々がそのA国の領土に上がっていってそれを撃滅をするということではないわけでありまして、我が国でも、我が国の存立に関わる事態対応するためであります。ここのところはどうか御理解をいただきたい。これがまさに私たちの解釈であるということであります。(発言する者あり)
  144. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  145. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。  安倍内閣総理大臣、もう一度答弁を。
  146. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) つまり、三要件についてお話をしましたが、つまり……(発言する者あり)
  147. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 指名をしました。
  148. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) はい。委員長の……(発言する者あり)
  149. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 指名はしております。
  150. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) そこで、言わば我が国の存立自体が脅かされている、これを、この危機を排除するための武力行使を行うということでありまして、ですから、その違いは何かといえば、例えば近隣諸国においてA国がB国を攻撃をしたと、これに関わって、言わば我が国に対する存立を脅かす危機が発生した場合、近隣で発生した場合はそれを排除する攻撃を行うということでありまして、これがまさにお答えでございます。
  151. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 福山哲郎君。(発言する者あり)  速記を止めて。    〔速記中止〕
  152. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  153. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 委員長、先ほど、済みません、こちら側に音が聞こえなかったので、委員長の速記を止めてくださいと、それと総理大臣への指名の声はこちら側に聞こえていなかったので、失礼があったことはおわび申し上げます。
  154. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 続けて質問してください。
  155. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 済みません、総理、単純なんです。これは戦争に参加をすることかどうか、一言で答えてください。
  156. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それはまさに三要件にある必要な言わば自衛の措置を、必要最小限度の実力行使を取ると。そして、それはまさに、我が国の存立に関わる脅威に対してそれを排除するために取るということであって、その国に乗り込んでいって撃滅をするというのとは違う。  つまり、そのB国とともに、B国とともにそこに言わば大規模な空爆等を行うということではなくて、まさにそれは、我が国に対する存立、そして国民の生命や自由や、そして幸福追求の権利を脅かす脅威に対してそれは排除していくということで、それを、その必要なための自衛の措置をとるということであります。
  157. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 全くお答えをいただいていないし、さっきから同じ答えを何度も言われていて、私の時間が本当に消化されることを遺憾に思います。  法制局長官、この図でいう集団的自衛権の行使は、戦争に参加することですよね。法制局長官、お答えください。真摯にお答えください。
  158. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 戦争はもう国際法上禁止されております。  我が国に対する武力攻撃が発生した場合のこれまでの個別的自衛権の発動、それによって我が国が武力を行使するということはこれまでも認められておりました。それは、我が国戦争をするのかと言われると、それは戦争をするのではないと、あくまでも我が国を守るための自衛の措置としての実力の行使をするものであると説明をしてきております。  今般の新三要件の下での限定された集団的自衛権の行使は、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、一部限定された場合において他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする武力の行使を認めるにとどまるものでございまして、国際法上集団的自衛権の行使として認められる他国を防衛するための武力の行使それ自体を認めるものではないということでございまして、個別的自衛権を行使する場合と同様に戦争をするものではございません。あくまでも我が国防衛するための自衛の措置にとどまるものでございます。
  159. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 戦争というのは全部自衛戦争なんじゃないんですか。戦争は全部自衛戦争なんじゃないんですか。そうじゃなければ、国際法の違反なんじゃないんですか、長官。
  160. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 現在の国際法の理解といたしましては、戦争は禁止されていると理解しております。
  161. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だから、違法性を阻却される戦争自衛のための戦争なんじゃないんですか。
  162. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 国連憲章上、その武力の行使が正当化される事由としては、安保理決議に基づく場合のほかに五十一条による個別的、集団的自衛権の行使の三通りがございます。
  163. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 要は、国民の皆さん、お聞きいただいたら分かるように、これ、限定的な集団的自衛権といったって戦場に行くんです。  先ほどからお言葉ありますように、武力行使はするということを明確にされています。しかし、それを戦争と言わないところにこの安倍政権の欺瞞性があります。なぜ戦争するということを答えられないのか。だから国民は余計理解が深まらないし不信感が高まります。  戦争に参加することになるのに、自衛隊リスクは高まらないと言ったり、専守防衛は変わらないと言ったり、今も戦争に参加するということを認めないところに、国民はもう安倍政権のこの姿勢について気が付いています。だから理解が深まれば深まるほど反対が増えるんだと思います。  自民党の支持者の中でも六四%、公明党の支持者の中でも九四%が説明不足だと言っています。要は、与野党を超えて国民全体が、政権の国民の声に真摯に向き合わずに今のような答弁を繰り返していることに対して怒りが広がっているというふうに私は考えています。  そんな中、礒崎総理補佐官が不届きな発言をしました。聞いてください。集団的自衛権でも我が国を守るためのものだったらいいんじゃないかという御提案をしているんです。そうしたら、何を考えないといかぬかと、法的安定性は関係ないですよと。  法的安定性は関係ないですよということは、総理の補佐官です、政府の人間です。これはイコール、我々は法的安定性を放棄して集団的自衛権をやるんだということを政府の内部の人間が認めていることじゃないですか。自分ら自身が法的安定性は気にしない、関係ないですよと言っているじゃないですか。これ、どういうことですか、総理。  ましてや、参議院の審議が始まる前の日に、九月中旬までに上げていただきたいと。政府が何で国会に向かって法案の上げる日にちを前の日に、審議も始まっていないのに言うんですか。行政権と立法権の区別も分からないんですか、この補佐官は。  総理、こんなけしからぬ、法的安定性をどうでもいいと思うような補佐官は更迭すべきだと思いますよ。だって、総理は、閣議決定の中で法的安定性をちゃんと守ること、書いてあるじゃないですか、閣議決定に。これ、閣議決定違反じゃないですか。  総理、この補佐官、更迭するべきでしょう。どうですか。それは、この法的安定性は関係ないですよという発言とともに、この立法府をまさにないがしろにした発言として、行政府責任者として総理が、これは行政府の人間としては資格がないといって更迭すべきだと思いますが、いかがですか。
  164. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 礒崎補佐官の発言は、平和安全法制議論していく上で、憲法との関係とともに、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言と承知をしております。  法的安定性を確保することはもとより当然のことでありまして、私も従来から申し上げているとおりでございまして、そこに疑念を持たれるような発言は慎まなければならないと考えております。  また、参議院における審議はまさにこれから始まるところでありまして、その進め方につきましては参議院の御判断に従うべきものであると、これが安倍政権政府としての考え方でございます。
  165. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の総理のお話とは全く真逆のことを言われたんですよ。  総理、礒崎補佐官の言われた全文読まれましたか。報告聞かれましたか。全文読んだかどうか、お答えください。
  166. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 中身については秘書官から報告を受けているところでございますが、まさに今申し上げましたように、法的安定性につきましては、我々、今回閣議決定をする際にもこの法的安定性の重要性について申し上げているとおりでありまして、それに誤解を与えるような発言は当然慎むべきであると、このように思います。
  167. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の答弁で、総理は久しぶりに正直に答えられました。読んでいないんです。秘書官から報告を聞いただけです。それでこんな法的安定性は関係ないんですよという発言を看過するんですか、総理は、読みもしないで。看過できないでしょう、こんなの。総理が読まれていないということは、総理は事実関係を分からないで国会で答弁したということですよ。  これ、総理、読まれたらどうですか、休憩して。それで、先ほどの答弁が、本当に礒崎補佐官の発言が総理答弁のとおりかどうか、秘書官の書いた答弁かどうか確認されたらどうですか、総理。いかがですか。
  168. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど申し上げたように、礒崎補佐官の発言について、こういう趣旨の発言であったということについて秘書官から報告を受けておりますし、同時に、そのテキストに、彼が発言したもの、文字に起こしたものについても、もちろん私は、全て詳細には見ておりませんが、基本的にはその言わば発言の部分に、問題となった発言のセンテンス等についてはもちろんこれは読んでいるわけでございまして、当然、官房長官からも注意をしたところでございます。
  169. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 つまり、総理は全文読んでいないから、秘書官の聞いたとおり、要は、先ほどの実は御答弁でも、この補佐官の発言について謝罪も何もなかったんですね。何か誤解を与えるような発言をしたのは良くないみたいな話で、何か人ごとなんですね。  これは補佐官に、ちょっとこの場に出てきて、何を言ったのか、やっぱりこれは出てきてもらわなきゃいけないし、そうでなければ、官邸の責任として事実関係をただして何らかの処置をするべきではないですか、総理
  170. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほどもお話をさせていただきましたが、礒崎補佐官の発言は、平和安全法制議論していく上において、憲法との関係とともに、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言であると承知をしているわけでございまして、こうした誤解を、今申し上げましたように、法的安定性を確保することは当然であります。そのことに対しまして疑念を持たれるような発言は厳に慎まなければならないと、こう思っております。
  171. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、法的安定性を損なってはいけないという総理の御答弁の真逆なんです。本当にそうなんです。集団的自衛権でも我が国を守るためのものだったらいいんじゃないかという御提案をしているんです。そうしたら、何を考えないといかぬかと、法的安定性は関係ないんですよと。これ、疑念じゃないんです、言われているんです。  総理、これ、やっぱり事実関係を調べて、総理として何らかの対応をしていただけるとお約束いただけませんか。
  172. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほども申し上げましたように、官房長官から、官房長官が礒崎補佐官から状況を聞き、そして注意をしているところでございます。
  173. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 分かりました。官房長官に報告ができるなら、国会でも報告ができるはずです。  委員長、礒崎補佐官を参考人として呼んでいただいて、国会で彼のいろんな言動について確認ができる機会をいただきたいと思いますが、よろしく御配慮のほど、お願いします。
  174. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件は後の理事会において協議をいたします。
  175. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 実はこの礒崎補佐官というのはとんでもない発言をしておりまして、ある雑誌の六月号ですが、新たな解釈が現行憲法に外れているのであれば、それは当然議論しなければならないわけですが、そういう主張をしている人は余り見当たりませんと言っているんです。これ六月号です、見当たりませんと言っているんです。これ、私ちょっとびっくりしたんですよね。  先ほども言ったように憲法違反なのかどうかをはっきり言ってほしいです。それを言わない人が多い。集団的自衛権が行使できるという新しい政府の解釈は憲法違反だとおっしゃっているのか、いや、憲法違反かどうかは分からないが、手続的に憲法解釈の変更には問題があるということなのか、どちらを言っているのかということは明確に議論しないと、この話はきれいに整理できないと思います。何となくけしからぬと言っているのでは分かりません。  どこに何となくけしからぬと言っているんですか、国民は。憲法違反だと、三人の憲法学者がみんなそろって憲法違反だと言って、圧倒的に憲法違反だとみんなが思っているから、今これだけ反対の声が上がっているんじゃないんですか。何ですか、この、そういう主張をしている人は余り見当たりませんって。どこ向いて政治やっているんですか、この人は。  この方は、明確に議論しないと、この話はきれいに整理できないと思いますと言っているんだから、議論をして整理していただきましょう。是非国会に出てきていただきますように、先ほど委員長が検討いただけるということだったので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  続いて行きます。  総理総理が三要件も含めて今回の限定的集団的自衛権の行使の問題で依拠している昭和四十七年見解でございますが、この四十七年見解はどの法制局長官が作られたか御存じですか。別に私は、野党時代の自民党みたいに細かい質問をして、これでおかしいじゃないかと言うつもりはありません。四十七年見解の当時の法制局長官がどなたか、存じ上げないんだったら存じ上げないと言っていただいて結構です。
  176. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 当時、田中内閣でございまして、吉國さんだったんですかね。
  177. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ実は、その四十七年見解を作った吉國長官の四十七年九月十四日の答弁です。済みません、テレビを御覧の皆さん、細かい字で申し訳ありません。是非NHKさん、考慮して、ゆっくり映してください。  これ、見てください。これ、四十七年見解を作った法制局長官です。「少なくとも最高裁の砂川判決において自衛権が承認をされております。」。これ、まさに砂川判決に吉國長官は言及をされています。「その自衛権を持っているというところまでは最高裁の判決において支持をされておりますが、(中略)国が、国土が侵略された場合には国土を守るため、国土、国民防衛するために必要な措置をとることまでは認められるのだという説明のしかたをしております。その意味で、いわばインディビデュアル・セルフディフェンスの作用しか認められてないという説明のしかたでございます。仰せのとおり、憲法第九条に自衛権があるとも、あるいは集団的自衛権がないとも書いてございません」。ここまで丁寧に議論しています。「憲法第九条のよって来たるゆえんのところを考えまして、そういう説明をいたしますと、おのずからこの論理の帰結として、いわゆる集団的自衛の権利は行使できないということになるというのが私どもの考え方でございます。」。  実はこれは、総理や今の横畠長官が依拠している四十七年見解を作った長官が、これまた、根拠なのか軌を一にしているのか、よく答弁がぶれた砂川判決まで引いて、今の政府が言われている砂川判決自衛権があるということまで認めた上で、更に言えば、集団的自衛権がちゃんと個別的自衛権で憲法九条には明記がないということまで述べた上で、集団的自衛の権利は行使できないというふうに述べられています。  これ、この吉國長官の答弁を見て、総理、なぜ今回集団的自衛権の行使が認められるのか、お答えください。これ、砂川判決は理由になりません。
  178. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、もう従来から答弁をしておりますように、言わば四十七年のときの政府の解釈においては、これは砂川判決と軌を一にするものでありますが、必要な自衛の措置について自衛権を、これは発動することについては認められるけれども、個別的自衛権については認められるけれども、言わば結論において、集団的自衛権については、これは行使ができないという結論が導き出されているわけでございますが、我々は、その必要な自衛の措置のための当てはめとして、状況が変わる中におきまして、言わば我が国の存立が脅かされ、国民の生命や自由や幸福追求の権利が根底から覆される危険がある場合に行使でき得る集団的自衛権の行使という言わば概念があると、このように判断をしたところでございます。言わば四十七年見解の当てはめを変えたと、こういうことでございます。
  179. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 砂川判決が根拠になって、集団的自衛権が憲法に記載がないこともちゃんと言及をして、結果として集団的自衛権の権利は行使できないという昭和四十七年見解を作った長官の答弁をもってして、当てはめを変えれば集団的自衛権の行使が容認できるというのはどういう理由ですか、総理総理、どういう理由ですか。
  180. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) つまり、当時の田中内閣のときに出した、これは内閣法制局の言わば参議院に提出したもので、参考の解釈の提出であったわけでありますが、そこで、言わば今ここにお示しをしていただいている基本的な論理としては、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることを禁じているとは到底解されないという考え方があるわけであります。そして、その上において、外国武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に対して、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためにとられるべき必要最小限度の範囲内に、範囲にとどまるべきものであると、こう導き、そうだとすれば、我が憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、我が国に対する急迫不正の侵害に対する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと言わざるを得ないと。  この今言った、そうだとすれば以下が、これが当てはめでございまして、これを今回、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることについては、これをまさに結論として今回は当てはめたものでありまして、基本的な論理は維持しながら、維持しつつ、この集団的自衛権考え方に対する結論は状況の変化に対応して当てはめたわけでございます。
  181. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 四十七年見解を読み上げなくても、これが四十七年見解を作った人の答弁ですから。作った方が、集団的自衛権をちゃんと言及をした上で行使できないと言っているわけですよ。それで、何かこの政権が、当てはめて、集団的自衛権は行使できますと。先ほど言われた根底から覆される危険も、これ、吉國長官が作られた文章です。だから、それで結論が、わざわざ砂川判決まで引いて駄目だとおっしゃっているんです。  これ、何で当てはめで集団的自衛権の権利が行使できるようになるのか、私はさっぱり分からない。これが法的安定性を損なうということなんじゃないんですか。こんな御都合主義の当てはめの論理なんて、どうやって通じるんですか。  総理、もうそれ読まないでいいです、これ、分かっていますから、ここに書いてありますから。お答えください、簡潔に。  じゃ、もう一個、総理、この吉國長官の答弁は御存じでしたか。
  182. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、まさにこの答弁の後に、これは言わば政府に解釈として出された、提出をされたものだというふうに承知をしております。そして、いずれにいたしましても、吉國長官は、まさに集団的自衛権は行使できないと、そのときの状況から、国際状況等から鑑みてもこの集団的自衛権は言わば必要最小限度を超えると、このように判断をした御本人でありますから、当然御本人はそれはまさに認められないという判断をしておられるんだろうなと、こう思うわけであります。  そこで、先ほども申し上げましたように、これは当てはめの部分において、外国武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態は、まさにこれが、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによる我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることに、これはまさにここに当たると、こういうことでございます。
  183. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 まさに総理が言われたように、作られた本人が集団的自衛権の行使はできないと言っている、否定しているんですよ。それを当てはめの論理でできるって、何でできるんですか。あれですか、衆参で過半数持っていれば、これを変えてもいいんですか。  総理、やっぱり納得できないんですよ。だって、作った方が砂川判決まで引いているんですよ。そして、集団的自衛権までわざわざ引用して、集団的自衛権は行使できないという帰結になっているのを、何で最後のところだけ、いやいや、我々はできるんですという話になるのか、全く分からない。  横畠長官、あなたは衆議院で何度もこの類いの答弁をされていますが、間違いありませんね。イエスかノーでお答えください。  次の、これも、済みません、字で申し訳ありません。  「昨年七月一日以前におきましての国会の答弁あるいは主意書における答弁書での記述等でございますけれども、いずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったわけでございまして、全てフルスペックの集団的自衛権についてお答えしているものでございます。」。  これ、横畠長官、衆議院で何度も答弁しておりますが、間違いありませんね。もうイエスかノーかでいいですよ。余計なこと言わないでください。
  184. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 新三要件について、限定的な集団的自衛権の行使が認められるということについてそのような説明をしてございます。
  185. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 新三要件についてなんて答弁で言っていないじゃないか、一言も。付け加えないでください、答弁で。  もう一回。この衆議院答弁は間違いないですね。
  186. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 限定的な集団的自衛権という観念は、この新三要件を満たす場合における集団的自衛権の行使のことでございます。
  187. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、これは衆議院委員会の議事録からそのまま引いてきています。私は、これ、何にも手を加えていません。  この答弁をそのままあなたは言いましたね。イエスかイエスではないか答えなさい。新三要件が付いているとか付いていないとか関係ないんだ。あなたは何回もこの答弁衆議院でしているんだ。どうぞ。
  188. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 答弁、引用されているものはそのとおりかと存じますが、限定的な集団的自衛権というものは……(発言する者あり)
  189. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 福山君。
  190. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 新三要件を満たす場合の集団的自衛権のことでございます。
  191. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。委員長の御英断に本当に感謝します。今指名していただきました。ありがとうございます。  次のパネル見てください。これ、平成十六年の質問主意書です。間違いなく政府側の答弁です。細かくて、本当にテレビを御覧の国民の皆さん、申し訳ありません。  赤字を見てください。これ、実は、今政府が言っている集団的自衛権、存立危機事態に非常に近いところです。「例えば我が国が攻撃されてはいないが、同盟国の軍隊が我が国領域外のこれに接着した水域で」、非常に近いところです、「攻撃され、(中略)、同国を防衛しなければその直後には我が国への武力行使が確実と見込まれるようなとき、」、次です、「すなわち個別的自衛権に接着しているものともいえる形態の集団的自衛権に限って、その行使を認めるというような場合を限局して集団的自衛権の行使を認めるという解釈をとることはできないか。このような解釈を含め、集団的自衛権に関する憲法解釈について政府として変更の余地は一切ないのか。」。これに対する政府答弁。「憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難く、政府としては、その行使は憲法上許されないと解してきたところである。」。  横畠長官のもう一度答弁言います。  「昨年七月一日以前におきましての国会の答弁あるいは主意書における答弁書での記述等でございますけれども、いずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったわけでございまして、全てフルスペックの集団的自衛権についてお答えしているものでございます。」。  先ほどの質問主意書は、限定的な集団的自衛権ではないんですか。長官。
  192. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) もう一つ資料だと思いますけれども、先ほどお示しのありました答弁書でございますけれども、答弁二について、前略とされている部分がございましたけれども、そこをお読みになっていただくとお分かりいただけると思いますけれども、そこの部分にはこのように書かれております。  「集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されており、これは、我が国に対する武力攻撃に対処するものではなく、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるので、国民の生命等が危険に直面している状況下で実力を行使する場合とは異なり、憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難く」と、そうつながっているところでございまして、今回申し上げている新三要件の下での限定された集団的自衛権といいますのは、まさにその国民の生命等が危険に直面している状況下で認められるものであるというところがポイントでございます。
  193. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 この質問主意書は限りなく自国防衛です。何言っているんですか。これ、自国防衛以外何があるんですか。我が国に接着している水域で攻撃されている状況です。接着している状況だから、我が国自衛のために集団的自衛権部分的な行使はできないのかという質問に対して、できないと答えられているじゃないですか。  あなたはさっきも答弁変えましたよ。新三要件における限定の問題について書いていないなんて、言っていないなんて、あなたは全然言っていないじゃないですか。だって、新三要件って昨年の七月の一日から出てきているんですよ。前にそんなことは、議論が出てくるわけないじゃないですか。そうでしょう、何勝手に出しているんですか。いいですか。これ、どう考えたって限定的な集団的自衛権の行使なんです。  限定的な集団的自衛権の観念は持ち合わせていなかった。持ち合わせていなかったんじゃなくて、そういう質問があっても、集団的自衛権は全部が駄目だから限定的なものも含めて全部駄目だという答弁なんじゃないんですか、横畠長官。
  194. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 衆議院におきまして、フルスペックであるとかフルセットの集団的自衛権というのはやはり認められないとお答えしておりますが、それはまさに新三要件によって限定されない集団的自衛権一般のことでございまして、先ほど御指摘の答弁書で、私が読み上げたとおり、これは国際法上認められる集団的自衛権一般を前提としてお答えしているものでございまして、それは認められないというふうに述べているわけでございます。  すなわち、その当時におきましては、その集団的自衛権というものについて一般を行使するかどうかという議論しかございませんで、具体的にその限定して行使するという考え方が固まっていなかったという、そういう前提でのやり取りであろうと理解しております。
  195. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 やり取りであろうって、推測でどうするんですか。法制局長官が推測で話してどうするんですか。それと、あなたのこの衆議院での答弁は、これずうっとあなたは言い続けているんですよ。  これ、意図的に、じゃ、あなたは限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったという、過去の法制局の、長官を始めとした法制局のメンバー全てが限定的な集団的自衛権の観念は持ち合わせていなかったという、あなたは観念を持ち合わせて偉くて、過去の法制局長官は持っていなかったんだと。あなたはそこまで言い切れるんですか。
  196. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 過去におきましても、例えば我が国防衛するためだったら、役に立つのであれば、その集団的自衛権を認めても、一部認めてもいいのではないかと、言ってみれば、裁量的、数量的な集団的自衛権を認めてもいいのではないかという議論があったのは事実でございますが、それはやはり認められないというふうに解してきたわけです。それは、やはり数量的あるいは裁量的なものでは駄目だということでございます。  これに対しまして、新三要件でお示ししておりますのは、まさに規範として、まさにその状況、場面を限定いたしまして、我が国に対するまさに究極の危機の状態であるという、そういうことを前提にし、かつ我が国国民を守るためにやむを得ない、他に手段がない場合であるという要件も付け加えまして、さらに必要最小限度というこれまでどおりの限定も付けた、そういう憲法の規範性を具体化した、そういうその限定を付けた上でぎりぎりの集団的自衛権を行使できる場合もあるということをお示ししたのが新三要件でございまして、そのような限定があるものについては、これまで我が国に対する武力攻撃が発生した場合と同様の武力の行使も可能であるという考えでございます。
  197. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ問題ありますよ。今苦しい答弁だったんですよ。部分的なことはどうだという議論があって、それはあったと認めたんですよ。なおかつ新三要件に基づくものはなかった。当たり前じゃないですか、新三要件って七月一日から出てきたんだから、過去にあるわけないじゃないですか。ところが、あなたは衆議院審議で「いずれも限定的な」と、「いずれも」と書いてあるんですよ。でも、限定的な集団的自衛権の容認ができるかどうかという、行使ができるかどうかという議論は何回もありました。  私、読み上げてもいいですよ、まだありますから。これはパネル用意しておりませんが、昭和五十六年六月三日。「私の言う意味はわかりますか。」。これ質問者です。「集団的自衛権というものを一つのものとしてではなくて、その中を幾つかに分けるわけです。分けてきて、それがきわめて個別的自衛権のものと近いものについては、」、これはまさにあなたが言った自衛権だ。「個別的自衛権のものと近いものについては、それを個別的自衛権の範囲の中にだんだん含ませていこう、」、まさに今政府がやろうとしていることじゃないですか。「こういうふうなオーバーラップをしてそれを広げていこうという解釈をしていく、集団的自衛権の行使というものの態様をいろいろ分けて研究をする、」。これに対して政府側の答弁。これは法制局長官ではありませんが、法制局長官が横にいる場面です、防衛庁が、官房長が。「わが国が持っている自衛権というのはあくまでも個別的自衛権である、厳格に守っておりまして、」と。限定的な議論をしているじゃないですか。  何がいずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかった。これ虚偽答弁でしょう。
  198. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさにその議論として、裁量的、数量的な限定でいいのではないかという議論政府議論ではありませんよ、法制局の議論でもございません、という議論は事実としてあったことはそのとおりでございますが、今般お示ししている新三要件とは、裁量的、数量的な切り分けではなくて、まさに規範として明確に一定の場合を切り分けたというところで、そのような考え方は従前なかったということでございます。
  199. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ごめんなさい、もう完全に崩れているんです。新三要件なんかあるわけないじゃないですか、この政権で新たにつくったんだから。無理やりつくったんだから。そして、あなたはここに、新三要件に基づくなんて何にも書いていないじゃないですか。これ、衆議院答弁どうするんですか。  これ総理衆議院答弁、全部無効ですよ。この答弁をずっと横畠長官はし続けた。歴史に対して全く不誠実な態度でし続けた。これ虚偽答弁ですよ。  これ総理衆議院答弁やり直しじゃないですか。どう思われますか。
  200. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま法制局長官が答弁したとおり、まさに法制局としては、言わば数量的概念等々については議論をしていないと。今般、三要件において、規範として新たに認められる集団的自衛権の行使があり得ると、このように答弁をしているわけでございますから、私は一貫しているだろうと、こう思うわけでございます。  まさに昨年の閣議決定において三要件を付した上で、その三要件の下においては、この規範の下においては、三要件の下においては行使し得る、あるいは、これはまさに国の存立が危うくなる、あるいは国民の生命そして自由、幸福追求の権利が危うくなる、この明白な危機があるときに行使し得る集団的自衛権はあると、このように政府として判断をしたと、こういうことでございます。これはもう従来より説明をしてきているとおりでございます。
  201. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 済みません、今この新三要件に基づく限定的な集団的自衛権が、法的にしっかりと過去の憲法規範にのっとっているかどうかを審議しているんです。それを、新三要件に基づく限定的な集団的自衛権は過去において議論していませんって、当たり前じゃないですか、当たり前じゃないですか。ところが、あなたは過去の法制局の答弁がいずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったと言っているから。持ち合わせていなかったんじゃないですよ。過去の法制局は、持ち合わせて全部否定してきたんじゃないですか。  総理もさっき、今おかしなことを言ったんですよ。その議論はあったけれども数量的な議論はなかったみたいな、矛盾しているんですね。  この答弁衆議院でやってきた答弁ですから、これが衆議院答弁だとしたら、これ無効ですよ、衆議院審議は。差戻しですよ、こんなの。ほっておけないですよ。衆議院の議員が百何時間やったことが、全部この虚偽答弁になっていますよ。  この答弁について決着をまず付けてもらわないと、審議進められないじゃないですか、総理
  202. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  203. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  204. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) お示しの答弁にございます、「全てフルスペックの集団的自衛権についてお答えしているものでございます。」とお答えしています。  そのフルスペックの集団的自衛権とは何かということにつきましては、これは小西先生からの質問主意書に対して六月にお答えしておりますけれども、「御指摘の横畠内閣法制局長官答弁にいう「フルセットの集団的自衛権」も、これと同じ集団的自衛権一般を指すものである。」。ここに言う、ちょっと全部読んだ方がよかったかもしれませんけど、後先になりますけれども、御指摘の資料におけるいわゆる集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利、すなわち、御指摘の閣議決定でお示しした武力行使の三要件による限定がされていない集団的自衛権一般を指すものであると、そのようにお答えしているところでございます。(発言する者あり)
  205. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  206. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  207. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘の答弁にございます限定的な集団的自衛権という観念につきましては、政府として持ち合わせていなかったということでございます。
  208. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それは何を根拠に言っているんですか、何を根拠に言っているんですか。  だって、限定的な集団的自衛権について否定しているんですよ。否定をしているのに観念を持っていないってどういうことですか。
  209. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 限定的な集団的自衛権という観念を持ち合わせていなかった、政府として持っていなかったので、限定されていないもの、すなわちフルスペックの集団的自衛権というものしか集団的自衛権については考えていなかったということで、それについてお答えしてきているということでございます。(発言する者あり)
  210. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  211. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  212. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昨年七月以前の政府、歴代政府でございますけれども、内閣法制局も含めてでございますけれども、限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったわけでございますので、したがいまして、その当時、集団的自衛権と申し上げていたのは、全てフルスペックの集団的自衛権のことを指していたということでございます。(発言する者あり)
  213. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  214. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  215. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これまでずっと限定的な集団的自衛権議論はあったわけです。それに対して法制局は、歴代法制局が限定的な集団的自衛権の行使はできないと答えていたんです。それにもかかわらず、この横畠長官は、「いずれも限定的な集団的自衛権という観念は持ち合わせていなかったわけでございまして、」と言っているわけです。いいですか。  新三要件に基づく集団的自衛権などというのは新しくつくったものだから、そんなものあるわけないんです、過去には。いいですか。そこが法的安定性を損なうということなんです。何で歴代やってきたのに急に新しいのが出てきて、それが基本的な理念が一緒なのか。あなたはずっと衆議院でこう言って逃げてきたんです。いいですか。限定的集団的自衛権は認められてないんです。いいですか。そして、あなたは、新三要件に基づくと、基づく新三要件については観念はなかったと最初言って、次の先ほどの観念は新三要件に基づくというのは外しました。またこれ答弁変わったんです。いいですか。首ひねらないの、分かってるのに。  とにかく、これ統一見解を、この長官の衆議院答弁次第によっては衆議院審議全部やり直しですからね。  委員長、統一見解を求めたいと、政府に統一見解を求めたいと思いますが、よろしくお願いします。
  216. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの福山委員からのお申出につきましては、後の理事会におきましてお諮りをしたいと思います。  質問を続けてください。
  217. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 本当は質問を続けたくないんですけど、委員長のあれなので、しようがない、続けます。  済みません。実はパネル用意していませんが、こういうこともあります。  昭和五十六年六月三日。「外国が侵害を受けている、それが結局日本に対する直接の攻撃とみなされるというような場合は全然ないですか。その結果として日本の国家の存立や何かに関係するという場合でも、日本は何もできないということですか。そんなことはないのじゃないですか。そこら辺のところをはっきりしてもらいたい。」。  まさに今出ている存立という言葉を使って、日本の国家の存立や何かに関係する場合でも日本は何もできないという質問に対して、角田当時の法制局長官は、「直接であろうが間接であろうがわが国に対する武力攻撃がなくて、ただ平和と安全が脅かされるおそれがあるとか影響があるとか、そういうことではだめだということを申し上げたわけで、直接の影響があるから自衛権が発動できるというようなことは申し上げたつもりはございません。」と、これはっきり言っているんですよ。これ、今まさに存立の問題じゃないですか。これ、完全に今の政府議論を否定しているんです。  これは昭和六十一年三月六日です、これ細かい字で本当に視聴者の皆さん、ごめんなさい、三月五日です。いいですか。一番最初のところを見てください。「今後、必要最小限度の範囲内であれば集団的自衛権の行使も可能だというような、そうした」、いいですか、「ひっくり返した解釈は将来できるのかどうかですね。必要最小限度であろうとなかろうと集団的自衛権の行使は全くできないんだという明確なものなのか、必要最小限度の範囲内であれば集団的自衛権の行使も可能だという解釈も成り立ってしまうのかどうか、この点はどうでしょうか。」。  必要最小限度の範囲内の集団的自衛権の行使、まさに今、総理が何度も何度も委員会でも本会議でも言った、必要最小限度の範囲の集団的自衛権の行使なら可能だと言っている論理に対して、一番最後のところで、見てください。その論理的な帰結としては、「他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止するということを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」、これ実は、細かくはもう読みませんが、こういう今総理がまさにやろうとしていることの議論まで出ているんです。いいですか。  これ、正直申し上げます。砂川判決は先ほどの吉國長官の答弁で否定されています。そして、必要最小限は今の話です。存立危機も先ほどの答弁で出ています。限定的な集団的自衛権も先ほどの話でいうと否定をされています。  実は、国会というのは本当にいろいろな観点議論されていると私は実は感心しました。やっぱり先人はいろんなことを考えてこられた。そして、一定期間のうちに日本政治家集団的自衛権を行使したいと誘惑に駆られている傾向もよく分かりました。だって、昭和四十七年、昭和五十六年、昭和六十一年、平成十六年、ほかにもいろんな場面でこの議論があります。その間、一貫して集団的自衛権の行使はできないと言ってきたのが内閣法制局です。これが歴史に基づいた法的安定性と規範性です。これを一内閣が解釈を変えるごときで、変えていいのかどうかというのが今の問題です。  横畠長官、あなたの衆議院の虚偽答弁も含めて、そしてこれだけ今の議論を覆すような答弁が歴代並んでいることをあなたは知っているにもかかわらず、新三要件がどうのこうの言ってこの解釈を変更を許したことは、あなた、万死に値しますよ。あなた、辞任した方がいい。あなたが正気に返って、法制局長官の矜持を持って辞めた方がいい。東京大学を出て検察に入庁し、法制局のエースとしてやってきたあなたが、日本の憲法の法的規範性や安定性をまさに根底から覆す片棒をあなたが担ぐ必要ないんですよ。戦後の歴史の中でただ一瞬にすぎない安倍政権と心中しないでください。ここであなたが辞めれば、歴史はあなたを喝采しますよ。そうじゃなければ、いいですか、日本は憲法裁判所がないんです、憲法裁判所がないからこそ内閣法制局が政府の有権解釈を担う最後のとりでとしてやってきたんです。  先ほど申し上げたように、徹底的に政治家は、毎年、何年かに一遍、集団的自衛権部分行使はできないのかということをこうやって国会で議論しているんです。そのたびに法制局が壁になったんです。なぜあなたは矜持を捨てて戦後七十年の日本の法的安定性を崩すことをしようとしているんですか。  これ、安倍政権のやろうとしていることは、本当に大問題だと僕は思いますよ。これ、やりたいんだったら、総理、憲法改正でやればいいじゃないですか。国民に堂々と国際環境の変化を訴えて、憲法を変えて、そしてそのときにはフルスペックか限定かは国民的な議論をすりゃいいじゃないですか。集団的自衛権を認めたくない人もいてもいい、認める人もいてもいい、限定的な人もいい。それこそ国際環境の変化を国民全体で共有しなければいけないのに、戦争には参加はしない、平和主義は守る、専守防衛は守る、そんなことを言い募ってやっているから国民の理解が広がらないんだと私は思っていますよ。  これ、法的にはもう駄目なんですよ、違憲なんですよ。違憲なんですよ。先ほど申し上げたように、砂川判決も崩れている、限定容認も崩れている、必要最小限度も崩れている。総理、反論があればおっしゃってください。
  218. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさにこの砂川判決において、必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと、このように判断を下しているわけであります。つまり、ここでは自衛権、必要な自衛のための措置をとり得ることは国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと、こう認めているわけであります。  しかし、ここにおいては、集団的自衛権あるいは個別的自衛権には、ここにおいては、言わばこの判決全体の中においては言及はしておりますが、ここではこの自衛権について明確に示しているわけではございません。  そこで、四十七年の見解におきまして、果たして必要な自衛のための措置とは何かということについて四十七年の見解を示しているわけでございますが、そこにおきましては、必要な自衛の措置はとり得るけれども、しかし同時に、集団的自衛権の行使、これは必要最小限度を上回ると、こう考えたわけでございます。  つまり、この段階においては、言わば密接な関係のある他国が攻撃を受けたときには、言わば自国に対する攻撃と同じように攻撃をすることができると、自衛の措置をとることができるという集団的自衛権の措置、これは先ほど来横畠長官が答弁をしているように、これは言わばフルスペックの考え方であります。  そして、ずっと従来から、昨年七月の一日閣議決定をするまでは、まさにフルスペックのみについてずっと法制局は考えて、様々な質問に対して法制局としてはフルスペックしかあり得ないという考え方の下に答弁をしているわけでありまして、一部だけを認めることはできないというのが今までの法制局の答弁であったわけでございます。  しかし、私たちは、必要な自衛のための措置とは何か、もう四十年が経過している中において、大きく国際環境が変わっている中において私たちはその責任を果たさなければならない、こう考えたわけであります。この必要な自衛のための措置の中において、先ほど来説明をしているような具体的な例にこれを当てはめてみても、まさに我が国の存立を脅かし、そして国民の生命や自由や幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険のある集団的自衛権の行使もあり得ると、こう考えたわけでありまして、そこで三要件を付し、これに合致するものについては憲法上も集団的自衛権の行使をし得る、このように当てはめたわけでありまして、まさに四十七年の見解というのは砂川判決と軌を一にするものでありますが、この基本的な論理は変えずに、当てはめにおいて、国民を守るために今回こういう解釈の変更を行ったところでありまして、まさに憲法の範囲内であると我々は完全に自信を持っているところでございます。
  219. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これは我が党の議員が言われたことなんですけど、何を言っても憲法に合憲だと。何を言っても合憲だと言ったら合憲になるんだったら苦労しません。それが傲慢な態度であり、それが法的安定性を損なうということです。  先ほどの礒崎補佐官の問題な発言だというのは、先ほどから私がずっと申し上げてきた、長年の法制局が最後のとりでだった、この集団的自衛権の限定容認は駄目だと言ってきたことの法的安定性を関係ないと言ったんです。そして、あのみっともない法制局長官の答弁も含めて、みっともない答弁も含めて全く説得力がない。いいですか。そして、総理の話はいつも同じことを繰り返す。本当に私はこういう不誠実な審議はおかしいと思いますよ。  総理総理、今の答弁で……(発言する者あり)分かりました。みっともないという言葉が悪いんだったら謝ります。しかし、衆議院でのあなたの答弁が全く事実と違うことをし続けたことについては反省を求めます。  総理、これで国民は理解し、納得していただけるとお思いですか。御答弁ください。
  220. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど横畠長官が答弁いたしましたのは、旧来、言わば昨年の七月の一日に閣議決定をし、そして三要件の下において行使し得る集団的自衛権の行使は容認したわけでございますが、それ以前は、これはまさに福山委員が指摘されたとおり、この三要件という概念がないわけでありますから、その前においては当然これフルスペックしかあり得ないという観念の下に答弁をしてきた、それはまさにその観点から横畠長官は答弁をしているわけでございますし、そう御説明をしているわけでございますから、御理解をいただきたいと、このように思います。
  221. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私、実は今日、もっと質疑をしたかったこと、たくさんありました。安全保障環境の問題についても具体的にやりたかったんですが、本当に納得できない答弁が続いたので非常に遺憾に思っております。  参議院の審議はこれからも続きます。とにかく、国民の怒りと国民のおかしいという声を総理にも少しは耳を傾けていただきますようにお願いをしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。     ─────────────
  222. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藤本祐司君が委員辞任され、その補欠として足立信也君が選任されました。     ─────────────
  223. 小川敏夫

    小川敏夫君 小川敏夫でございます。  今回の法案国民の理解が進まないということで、総理は、何かここに来て急に自民党の動画に出たり、フジテレビでいろいろ説明しているようでありますが、しかし、その中身のひどいこと。  フジテレビでのお話の件から行きましょうか。何かアメリカの母屋が火を付けられて、離れに火が移って、その火が日本に来そうだ、日本はその火を消しに行く、これを集団的自衛権の例として挙げておられました。(資料提示)  総理、建物の火を消火するのが武力の行使に当たるんでしょうか。
  224. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは例え話で概念整理を行ったところでありまして、言わば先ほど来議論になっておりますフルスペックの集団的自衛権の行使と我々三要件における集団的自衛権の行使を分かりやすく説明しようとしたところでございまして、見ていた方も、当然これは言わば武力の行使とは違うということは理解した上において概念整理をしていただこうと、こう思ったところでございます。
  225. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理、例え話といっても、武力の行使というのは、戦争に行くんですよ。国際法上の戦争という概念がどうのこうのという議論が先ほどありましたけど、要するに、戦いに行くんですよ。場合によっては撃たれて殺されてしまう、反対に相手を殺すかもしれない、それが武力の行使ですよ。その武力の行使をするその法案の説明で、武力の行使じゃない、まさに建物の火を消火する。例えになっていないじゃないですか。こんな危険な業務を危険ではないように、まさに国民の理解を間違った方に誘導するように説明しているんじゃないですか。
  226. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、言わば消火活動ということにおいても、例えば消防士の方々もそれは危険が伴う仕事であります。言わば危険が伴う仕事を例として挙げまして、言わばアメリカの敷地内に入っていくかどうかということも含めて分かりやすく説明をさせていただいたところでありまして、言わばフルスペックにおいては、アメリカの母屋の火を消しに行くという例として出させていただいた。そして、明白な危険が果たしてあるかないかということについては、言わば自分の家に近いところの離れが燃えて、しかも火を含んだ煙がこちらにやってくる、こちらにも火が移ってくるという、そういう状況を説明をすればより分かりやすくなるんだろうと思ってこれは説明をさせていただいた次第でございますし、これは結構分かりやすかったという方もたくさんいらっしゃったと思います。
  227. 小川敏夫

    小川敏夫君 燃えている建物をさあ消火しましょうといったら、私も反対しません。武力の行使じゃないんですから、戦争じゃないんですから。でも、今審議しているこの法案は、武力の行使、武力で戦うんですよ。  消防士さんも確かに危険な業務です。それは分かります。感謝していますけれども、でも、それは戦争じゃないんです。消防士さんを鉄砲で殺そうとしてくるような敵はいません。消防士さんも誰かを殺すようなことはしません。危険の中身が違いますよ。  戦争の例え、集団的自衛権の例えで武力の行使を云々というときに、武力の行使じゃない例を挙げて、フジテレビを九十分も使ってそれで説明するのは、余りにも一国の総理大臣の姿勢としておかしいと思いますよ。  それで、この説明ですと、大変に重要なことがありました。総理の説明の中ですと、アメリカの家のその敷地の中には入らないで、この敷地の外の公道のところで消火活動をするんだと、こういうふうに言っておられました。  これが集団的自衛権の例えですと、要するに、他国の領域には入らないで、公海上でしか集団的自衛権の行使、自衛隊は武力の行使をしないんだと、こういうふうに総理は説明しているふうに理解できるんですが、そういう説明なんでしょうか。
  228. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 他国の領海、領土、領空に入って武力の行使をする、武力の行使を目的に他国の領土、領海に入っていく、一般にこの海外派兵は必要最小限度を超えると、憲法によって禁じられているということは今まで申し上げているとおりでございます。
  229. 小川敏夫

    小川敏夫君 ですから、総理がこの示された絵の中で、家の中に入らないで公道でというのは、このアメリカさんの家に、他国の領土に、他国の領域内に入るということは憲法に違反するから入らないと、だから公道で消火活動するんだと。この法案に例えれば、武力の行使はこの公海上でしかできないと、こういう説明だと。それは憲法上できないというお話でした。  まず、法律ですからね、総理は他国の領域に入って武力の行使はできないというのがこの法律の中身だというふうにおっしゃりましたけれども、その総理のおっしゃられた趣旨は今回の法律のどこの条文に書いてありますか。
  230. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは従来から答弁をさせていただいておりますように、必要最小限度を超えると、一般に海外派兵は禁じられていると、こう答弁をしているとおりでございまして、その例外として、ホルムズ海峡に敷設された機雷をこれ掃海することについては限定的、受動的であるということをもって例外としてお話をさせていただいておりますが、一般にはこれは憲法に反するということをもう既に申し上げているとおりでございます。
  231. 小川敏夫

    小川敏夫君 つまり、武力の行使は他国の領域ではできないと、憲法違反になるからできないというふうにおっしゃられますけれども、そのことはこの今回の法律案の中の条文に規定してありますかと聞いているわけです。規定していませんよね。
  232. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、憲法上海外派兵は一般に禁じられているということはもう既に申し上げておりますから、この条文の中にはないということでございます。
  233. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理、憲法上禁止されているから、だから当然書く必要ないと。まあ言っている言葉の意味は分かりました。でも、憲法上禁止されている、もう法律に書くまでもないんだということは、これは大変に重い事実ですよ。憲法に違反なんだから。憲法に違反することだから、当然できないんだから法律の条文に書くまでもなく禁止されているんだと。  でも、総理おっしゃりますね、その割には、ホルムズ海峡、他国の領域に入ります、例外があると言っていますね。憲法違反というのはそんなに安易なものなんですか。憲法違反というのは絶対的なことですよ。それが破られてはいけないことなんですよ。だけど、例外があると言うんですから。  これについて、他国の領域に入ることは憲法違反だと、そういうふうにおっしゃる総理大臣が、しかし、ホルムズ海峡に当たっては他国の領域に入る、そのことを例外としてあるんだと言っている。すなわち、憲法違反の例外があると言っているわけです。それは、どうして憲法違反なのに例外が許されるんですか。
  234. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 個別的自衛権においても集団的自衛権においてもこれは変わらないわけでありますが、武力行使を目的として他国の領土に入っていくこと、これは憲法違反であると、こう申し上げているわけでございます。同時に、ホルムズ海峡における機雷の掃海というのは受動的、限定的であることから、必要最小限度の範囲内だということであります。  ちなみに、今度の新たなこの法律案ではございませんが、自衛隊法の防衛出動について規定をしている八十八条には、「前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」と、このように書いてあります。  そして、武力攻撃においては、「武力攻撃の発生に備えるとともに、武力攻撃が発生した場合には、これを排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。ただし、武力攻撃が発生した場合においてこれを排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と。  そして、存立事態においては、「存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と、こう書いてあるわけでありまして、この限度というのは、まさに先ほども申し上げました、これ必要最小限度ということであります。
  235. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理のお話は論理がおかしいですよ。憲法違反ならもう違反でできないんですよ。法律でそれをできると言ったら、その法律が憲法違反なんですよ。そうでしょう。そうですよね。えっ、聞いていなかった。  要するに、憲法違反だと言うんですから憲法違反なんですよ。その憲法違反なことを法律ができますよと言ったって、それは法律が憲法違反に当たるんで、憲法違反のことはできないから、もう憲法違反なんだからできないんですよ、法律でいいと言おうと何言おうと。  法律で何かごたごた今いろんなことを説明されましたけど、憲法違反だから他国の領域に入れないとおっしゃったでしょう、総理が。憲法違反で他国の領域に入れないと言っているのに、なぜホルムズ海峡の、他国の領海に入れちゃうのか聞いているわけです。
  236. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、ずっと従来より申し上げておりますように、一般に海外派兵は禁じられているということでありまして、まさにこの一般における例外としてホルムズについて挙げているわけでありますが、これは受動的、限定的であることから必要最小限度の範囲内であるということを申し上げているとおりであります。  今読み上げました条文については、まさにこの条文の中で判断される限度においてなさなければならないと。これはまさに必要最小限度ということを、これはまさに憲法で禁止されているもの、言わば必要最小限度にとどまらければならないということについて法文上も示しているということを申し上げているわけでございます。
  237. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、憲法を総理は分かっていらっしゃらないんじゃないかと。分かっていらっしゃらないから、こんな憲法違反の集団的自衛権が、そもそも憲法違反だというものをころりと解釈で変えちゃうわけで。  ところで、防衛大臣にお尋ねしますけれども、六月十日の衆議院での答弁で、今回の新三要件、これを充足していれば、武力の行使、他国の領域の中に入ってもやれることがあるんだと、こういうふうに答弁しておりました。そういうことでよろしいわけですね。
  238. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 新三要件というものが条件になっております。先ほど総理答弁されましたが、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しておりまして、このような従来の考え方は、新三要件の下、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらず、新三要件から論理的、必然的に導かれるものでございます。  したがいまして、新三要件を満たしている場合、この場合におきましてはそういう法理論上あり得るわけでございますが、その三要件に従って実施するということでございます。
  239. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理、だって防衛大臣は、新三要件に合致すれば他国の領域に入ることもあり得ると言っておるわけですよ。総理は、他国の領域に入って武力行使することは憲法違反だと言っていらっしゃる。違うじゃないですか。
  240. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この論理は、その新三要件を満たすものがあれば、憲法上の理論としては許されないわけではないと。これは今までの個別的自衛権による三要件と同じでありまして、現在、現時点におきましても、個別的自衛権をもって他国の領海、領土内で武力の行使をするということはできる、法理論的にはできるということでございまして、同じ理屈でございます。
  241. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、できるといったって、だって総理大臣は、この集団的自衛権の行使の、武力の行使をする、他国の領域に入って武力の行使はできないと、憲法でできないと言っているんですよ。憲法違反だからできないと言っているんです。  憲法で違反だからできないと言っていることが、何でこの法律の要件に合致すればできることになっちゃって、合憲になっちゃうんですか。憲法よりも法律の方が上なんですか。
  242. 中谷元

    国務大臣中谷元君) いずれの国におきましても、自衛の措置として自衛権というものは持っているわけでございまして、我が国の憲法におきましても、自衛権という名で容認をされる部分がございます。  そこで、我が国自衛権の武力の行使につきましては、これまでは三要件によって認められたわけでございますし、この度におきましては新三要件というものを設けまして、従来の憲法の基本的な論理に基づいて、我が国自衛をする範囲において行動が許されるということでございます。  そこで、他国の領土、領海、領空内におきましては、まさに一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解されているわけでございますが、この三要件の論理に必然的に導かれて、従来と同様の範囲で認められるということでございます。
  243. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、言葉のごまかしがありますよね。憲法違反というのは、今度は一般にという修飾語が付いちゃって、何か憲法違反なんだけど、例外がざくざくあるような、一般は憲法違反なんだけど、しかし例外が続々あるような、そんなふうな、一般にという修飾語が付いちゃって、憲法違反だというニュアンスが変わっちゃった答弁をしている。  でも、総理、一番最初にはっきりおっしゃられましたよね。この今回の法案で、武力行使、集団的自衛権の武力行使では、他国の領域に入ることはこれは海外派兵に当たるから、憲法に違反するからできないと、法律の条文に書くまでもなく憲法違反で禁止されていると言っている。だけど、防衛大臣は、新三要件に合致すれば行くこともあるんだと。説明が食い違っているから、じゃ、統一見解を出してくださいよ。
  244. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、個別的自衛権においてもそうなんですが、言わば海外派兵というのは、武力行使を目的として、例えば、かつての湾岸戦争での戦闘、大規模な空爆や砲撃を加えたり敵地に攻め入るような行為に参加することは必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって、憲法上認められるものではないということは従来から答弁をしているとおりでございますが、これは個別的自衛権においてもそうでございますが、他方、個別的自衛権におきましても、ミサイルを撃たれているときにその策源地を攻撃することについては、座して死を待つべきではないと、こういう答弁もあるわけでございます。  そこで、必要最小限度の範囲内に収まるものについては、これは論理的にはあるわけでありますが、一般には、これは個別的自衛権を行使する上においても、集団的自衛権を行使する上においても、一般に海外派兵は禁じられている、これは同じ論理でございます。  そして、その中で中谷大臣が三要件について当てはまればと言ったのは、三要件の第三要件には「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」と、こう書いてあるわけでありまして、この中に当てはまるかどうかということでありますが、それは、しかし、今申し上げましたように、一般には禁じられているわけでございまして、ホルムズの例として挙げましたのは、これは極めて受動的、制限的であるということについて、それは例外として申し上げているわけでございまして、その点、私の答弁中谷大臣答弁も同じことを言っているということでございます。
  245. 小川敏夫

    小川敏夫君 ちょっと総理、先ほどのフジテレビでの説明ですけれども、ここでははっきりアメリカ家に入れないと言っているんですよ。アメリカ家に入れないから公道でしか消火活動できませんと言っているんですよ。だけど、新三要件に合致すれば入れるんじゃないですか。しかも、この法律は、新三要件が合致した場合のそのケースについて聞いているわけですよね。じゃ、テレビで総理は、入れるものを入れない、そうやって全国民に対してでたらめな説明したことになるじゃないですか。
  246. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ですから、一般に海外派兵は禁じられている、つまり、武力行使を目的として大規模な砲撃を加えたり、兵隊を派遣してせん滅を目的に相手の国に入っていくことはできないというのが、これは一般にそうですから、そしてそれ以外に念頭にあるのはホルムズだけでありますから、まさに一般にという中におきましてそうした説明を行わさせていただいたところでございます。
  247. 小川敏夫

    小川敏夫君 大体テレビで、アメリカ家に入ることもあるし入らないこともあるなんて言っていないんですよ。入れない、公道から消火活動する、これが集団的自衛権だと言っているわけです。国民にうそを言っているじゃないですか。それは、公海でしかやらないケースもありますよ。だけど、公海じゃない他国の領域に入ることもあるんだから。  総理は、はっきりアメリカ家の中に入ることはできませんと、こうやってテレビで国民皆様に説明したんですよ。これ訂正ですね。実際にはアメリカ家の中に入って、公道からしかできないというのは、じゃ、これは間違いで、訂正しますね。
  248. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、まさにずっと従来から一貫して申し上げておりますように、一般に海外派兵は禁じられているということでありますから、そのように説明をしたわけでありまして、例外としては、念頭にあるのはホルムズにおける機雷掃海だけであるということはもう何回も申し上げているわけでありまして、まさに例外的に挙げたものについては、これはそこでは説明をしなかったのでございますが、しかし、今までは、従来、何回もこれはホルムズの例については御説明をしているとおりでございまして、その上において我々が説明をさせていただいていたのは、私たちが行使をする集団的自衛権というのはフルスペックの集団的自衛権とは違うということを分かりやすく説明させていただいたと、こういうことでございます。
  249. 小川敏夫

    小川敏夫君 しかし、総理、分かりやすくといったって、そもそも安保法案って何だ、集団的自衛権は何だといったら、そうしたら説明で、この法案は、武力の行使、すなわち殺したり殺されたりするという戦いに行くということを火を消すだけの消火活動になぞらえていると。しかも、戦いが行われているその国の領域に入って武力の行使をするのに、その領域には入らないで公道だけで、火が近づいてきたら消すだけですよと。  これは、法案の説明としてやはり余りにも法案の正しい説明とは懸け離れている、私はそういうふうに思いますし、今テレビで両方を、私の今日の質問とこのフジテレビでの総理の説明を聞いた方は、ああ、何てひどい説明だろうと思われると思うんですが、どうでしょう。
  250. 中谷元

    国務大臣中谷元君) もう一度申し上げますが、現在も自衛権の発動の三要件がございまして、その中の一つに必要最小限の実力行使にとどまることとあります。それに基づいて、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないとしておりまして、この必要最小限度というのは今回も新三要件の中に記述をされておりますので、従来と同じことを言っているということでございます。
  251. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 質問にお答えをいたします。  この例として説明したかったことは、まさにフルスペックと我々が認めるもの、集団的自衛権についての典型例として説明をしたわけでありまして、まさに母屋が燃えているけれども、この母屋を消しに行く、先ほどの委員とのやり取りにおいてはまさに母屋を消しに行くのかどうか。しかし、それは母屋を消火に行くのではなくて、離れにおいては、これは我が国の存立が脅かされる、まさにこちらの家にも火が飛び移ってくる危険性のあるところを消しに行くという事態について説明する上において私は分かりやすいと思ったわけでありまして、つまり、相手の母屋には入り込んではいけないけれども、離れについてはこれは消す、つまり、離れが第一要件に当たり得ると、こう説明をする上においては分かりやすかったのかなと、今でもそう思っておりますが、小川委員はそうは思わないということであればこれはやむを得ないことでありますが、理解をしていただいた方々もおられるのではないかと思うところでございます。
  252. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理、またおかしなことを言いましたね。離れはいいけど母屋は入れないと。離れだって母屋だって他国の領域じゃないですか。  防衛大臣、離れだって母屋だって他国の領域ですよ。新三要件に合致すれば、離れだって母屋だって行けるでしょう。そうじゃないですか。
  253. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 三要件の中の必要最小限度でございます。  先ほどお話をいたしましたけれども、個別的自衛権であっても、他国の領域における武力行動であって自衛権の発動の三要件を満たすものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないということでありまして、その海外派兵については、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであってということで、そういう考え方でございます。  この考え方は新三要件でも引き継いでおりますが、総理が累次にわたって答弁されているとおり、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷の掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いていないということでこの点については想定はされておりまして、こういう場合に限って、そこに自衛権の行使としての機雷の掃海、そういうことはあり得るということでございます。
  254. 小川敏夫

    小川敏夫君 この図を基に法律論を闘わすことが何かむなしい気もするんですけどね。  だけど、いいですか、何で離れの消火ができるのに母屋の消火ができないのか。新三要件に合致すれば、他国の領域にまで入ることができると防衛大臣おっしゃっているわけですよ。じゃ、他国の領域、アメリカ家の中に入れるんだったら、離れだって母屋だって新三要件に合致するんなら行けるじゃないですか。新三要件に合致しなきゃ行かれないですよ。新三要件に合致すれば行ける、それが防衛大臣の御説明ですよね。  だったら、母屋だって行けるんだから、じゃ、もっと分かりやすく、どうして、新三要件に合致するのに、他国の領域にも行けるのに、離れなら行けるけど母屋なら行けないんですか、論理的に説明してくださいよ。
  255. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、フルスペックとの違いにおいては、母屋が燃えている、けれどもこの母屋が燃えている火はこちらには届いてこないということであります。しかし、その母屋の火が離れに移った段階で、ここでもまだこちらには移ってこないんですが、ここから風向き等でこちらに移ってくるという段階においては明白な危険になるわけであります。つまり、存立が脅かされ、明白な危険になる。  そして、明白な危険になる、それを排除するわけでありますから、明白な危険に対する排除としては、これはまさに離れの消火であって、母屋の消火は、これは我が国の存立や国民の生命、自由、幸福追求の権利を脅かす明白な危険ではないわけでありますから、そこの火は消さないという例で示したところでございます。  ですから、そこがまさに説明のポイントであったということでありまして、限定というのはそういう限定でございまして、我々が集団的自衛権を行使するといっても、紛争のまさにもとに対する攻撃ではなくて、あくまでも、その中における我が国の存立に関わるものに対するその排除、自衛のためのこれは排除でございます。その上において必要最小限度の実力行使にとどまるべきものという中においては、念頭にあるのはホルムズだけでありますから、それ以外は今念頭にないということでございますから、言わば、それ以外については念頭にないということでありますから、例え話としても援用しようがないと、こういうことでございます。
  256. 小川敏夫

    小川敏夫君 何か、全然かみ合っていませんよね。私は、新三要件に合致すれば他国に行けるんだから、新三要件に合致すれば離れも母屋も行けるでしょうと言っている。総理は、母屋は新三要件に合致しない場合のことを答えているから、全然話がかみ合っていないわけで。  ただ、法案の例えとしても余りにも的を外して、何か今度の法案って危険性が何にもない、本当にいいことばかりの法案法律なのねと国民を誤解させるような誤った説明がされているんで指摘させていただきましたけど。  自民党テレビで、また総理も面白いことを言っていましたね。お友達のスガ君の家に強盗が入ったと。助けてくれという電話があったんだけど、それは助けには行かれない。すなわち、自分のところに、自分の家の存立に関わることじゃないから、だから助けに行かれないんだと。こういう例をお話ししていました。  だけど、ケースとしては行けることもあり得るんじゃないですか。すなわち、スガ君の家が強盗に入られて襲われてしまうことが実はアベ君の家の存立や生命に関わることがケースとしてはあり得るんじゃないですか。例えば、スガ君の次はアベ君を襲ってやるぞと。あるいは、大事な後継ぎのアベ君の一人息子がたまたまスガ君の家にいて、スガ君もろともアベ君の後継ぎまで殺されちゃったら、アベ家は途絶えちゃうじゃないですか。  すなわち、一つの例を出すけれども、例にはいろんなケースがあるわけですよ。新三要件に当たる場合もあるし、当たらない場合もあると。それを全部当たらないと言うのは、やはり間違っていますよね。ケースによっては当たることもあるけれども、当たらないケースもあるから、だからケースに当たらないときにはスガ君を助けには行けません、憲法に違反するから。でも、この法律の三要件に合致する事情があれば、スガ君を助けに武力の行使で駆け付けますと。これが正しい説明じゃないですか。  その新三要件に合致すればという、そういうことを全く抜きにして、全部の場合に当たらないという説明をするから、これは説明としてはおかしいと思うんです。どうですか、総理
  257. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この新三要件に当てはまるもので念頭にあるのは、言わばホルムズ海峡における機雷の掃海のみでございます。これは従来から申し上げているとおりでありまして、これは、形式上は、機雷の掃海についても停戦合意がなされていなければ、日本にだけ向けられたというものが極めて明確にならない限り、これは事実上あり得ないわけでありますから、集団的自衛権の行使にこれは国際法上なるということでございますが、実際は極めて受動的、限定的に行うものでございますし、かつ機雷の掃海を行うというときには、事実上のこれは停戦合意がなされているのに近い平穏な状況でなければなかなかそう簡単には機雷の掃海というのは、この掃海艇はプラスチックや木でできている船でございますから、それはできないわけでありますが。  しかし、とはいえ、先ほども議論の中でお話をさせていただきましたように、石油の八割、そしてガスの多くもあのホルムズ海峡を通ってくる中において、冬、そういう状況になれば人の命にも関わる状況になって三要件にこれは当てはまるという可能性もあるという言わば例外例としてお示しをしているわけでございますから、例外例がこれはまさに全て代表例ではないわけでございますから、そこについては別途御説明をさせていただいているということでございます。
  258. 小川敏夫

    小川敏夫君 今の例で、スガさんを助けることはできないんですと、これは憲法の制約があって今度の改正でもそれはできないと断定していらっしゃる。だけど、新三要件に合致すればできるんですよ。  じゃ、これ、スガ君じゃなくて、ある国にしましょう。ある国に強盗というか、ある国が武力で襲われたと。だけど、それが我が国の存立に関係なければ助けに行くことはできないわけです。これはそうですね。じゃ、その攻撃を受けた国が我が国と密接な関係があって、我が国の存立に関係する事態、すなわちこの新三要件に合致する事態があれば行けるんじゃないですか。行けるでしょう、だって。国の例に例えれば。どうですか。
  259. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 他国のですね、武力行使を目的に言わば自衛隊を派遣をする、これは、武力行使を目的として戦闘をし、そしてせん滅を図る、あるいは空爆、砲撃を行うということは、これは必要最小限度を超えるということはもう何回も申し上げているとおりでありますから、よって第三要件にこれは当てはまるということはないと、こう考えているわけであります。  そして同時に、中谷大臣が申し上げているのは、これは純粋に法理的には三要件に当てはまればあるということでございますが、しかし、第三要件の要件というのは厳しい要件として従来から、個別的自衛権においてもそうでございますが、その中において一般に海外派兵は禁じられている、これは個別的自衛権においても集団的自衛権においても同じことであります。
  260. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理が言われた例、スガ君、スガ家と言わないで、じゃスガ民主共和国と言っておきましょうか、そのスガ民主共和国が外国の武力で武力攻撃を受けたと、それが我が国の存立に関わるような密接な関係があって、そういう事態だったとした場合、行けるんですよね。  すなわち、総理は憲法の制約があるから行けないと断定していらっしゃるけど、これは違うんで、憲法の制約は関係なくて、この法律の新三要件に合致すれば行けます、新三要件に合致しなければ、法律も認めていないし憲法にも違反するから行かれませんというのが正しい説明なんですよ。だけど、行かれませんと、スガ君の家に強盗が入っても助けに行くことはできません、これが今度の法案ですというのは正しい説明じゃないです。  このアメリカ国の話も全く同じですよ。場合によってはアメリカ国の領域の中に入って武力行使をすることがある、それもできる。だけど、安倍総理は、テレビの中では、憲法の制約があるから他国の領域の中には入れませんという説明している。  まさにテレビで、自民党テレビとフジテレビで、国民にうそか、あるいは限りなくうそに近いように、国民が誤解するように、都合のいい例をあたかも全てであるかのように間違った説明をしている。やはりきちんと正しくこの法案の中身を国民に説明しなければ、国民は誤った判断をしてしまうんじゃないですか。どうでしょう、総理
  261. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、小川委員は、我が国の存立に関わる場合ということをおっしゃった。これはまさに第一要件でありますが、必要最小限度を超えるというのは、まさに第三要件の「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」と、こう書いてあるわけであります。そして、これは、旧三要件におきましても必要最小限度という制約が掛かっているわけでございます。そこで、そこの中におきまして、個別的自衛権におきましても我々は一般に海外派兵は禁じられているという答弁をしてきているわけでございます。  しかし同時に、個別的自衛権におきましても、これは旧三要件になりますが、旧三要件に当てはまればこれは武力行使できるということを答弁をしているわけでございまして、今回の論理とこれは同じでございまして、今回も三要件に当てはまれば武力行使はできますが、当てはまらなければ武力行使はできないということでございまして、一般に海外派兵は禁じられているわけでありますから、この一般に禁じられている海外派兵にほとんどがこれは当てはまるということでありますから、これは今まで申し上げているとおり、一般に海外派兵は禁じられている以上、他国の領土、領海に入っていって武力行使を目的に砲撃を加えたり、あるいは他国の部隊をせん滅をする、大規模な空爆を加えるということはできないということでございます。
  262. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理の説明の中で軽々しく、憲法違反だから行けない、できないと言うけれども、何か随分軽々しく例外が出てきて、あるいは今度の法律に適合すれば云々かんぬんになっちゃって、憲法というものをすごく軽く考えていらっしゃるように思うんですけどね。  まさにそれが先ほどの福山委員議論にもあった法的安定性というもの、これを実は礒崎補佐官だけじゃなくて、総理自身が、法的安定性ということを保つという言葉では言っているけれども、実際の行動としては法的安定性は全く考慮していない。だから、上が上だから、それを補佐する人も法的安定性なんか考えていないと、こういう発言が出てくるんじゃないですか。どうですか、総理
  263. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、そうは考えておりません。法的安定性において、言わば四十七年の見解の基本的な論理は維持したものであると、このように思っております。
  264. 小川敏夫

    小川敏夫君 総理が法的安定性をしっかりとわきまえ尊重すると言うのであれば、法的安定性なんかどうでもいいような発言をされた補佐官はやはり更迭して、その姿勢を示すべきではないですか。いかがでしょうか。
  265. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど答弁をいたしましたように、法的安定性について、これはしっかりと我々は維持をしていかなければいけないと、そうではないような発言をしていると誤解を与えることは厳に慎まなければならないと、官房長官から本人に注意をしているところでございます。
  266. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、法的安定性をないがしろにする人をかばうようでは、総理はやっぱり法的安定性を総理そのものがそんなに重要視していないように思えてしようがないんですがね。  何か随分時間がたつのが早いので、まだ一つの質問しかしていないんですけれども。  防衛大臣、今回のこの集団的自衛権ですけれども、新三要件に適合すれば自衛隊が出動して武力の行使をするわけですけれども、これまでの例ですと、攻撃を受けた国、フジテレビの例でいえばアメリカ国、自民党テレビでいえばスガ君の家でしたけれども、そこには、そこの国の領域に入って武力行使をでき得ると、できることがあるということは答弁でお伺いしました。  では、今度は聞き方を変えて、攻撃を加えている国に対して、アメリカ国なりスガ君を守るために、そこの攻撃を加えられた国に対して攻撃を加えている国に対して我が国は武力行使をすることができるんですか、今回の法案では。
  267. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきまして容認をされる武力の行使というのは、あくまでも存立危機事態をもたらしている武力攻撃を排除する限りでございまして、これを存立危機武力攻撃と申しますけれども、それを排除する限りでございます。
  268. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、それを排除するために、アメリカ国ではなくてアメリカ国に攻撃を加えている国に対して、排除するために必要だからという状況があれば攻撃をすることができるんですか。
  269. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本的には、先ほど総理がお話をされましたけれども、いわゆる海外派兵というのは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものでありまして、憲法上許されないと解しているわけでございます。これは、新しく三要件を満たす場合にあっても、この新三要件の下の集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらずに、新三要件から論理必然的に導かれるものでございます。  特に、第三要件でございます必要最小限度、これは非常に我が国としても重視をしなければならないわけでございます。
  270. 小川敏夫

    小川敏夫君 質問に全然答えていないですよね。  だから、アメリカ国であれスガ家であれ、自衛隊が出動して武力の行使をするその際に、その攻撃を受けている国、これを排除するために、その攻撃を排除するために必要だということがあれば攻撃をしている国に対して自衛隊は武力行使をすることができるんですかと聞いているわけです。全く新しい質問をしているんですけれども、全然答えてくれないですよね。
  271. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の法律であります武力攻撃、これに関しましても、他国の領域における武力行動であって、自衛権発動の三要件、これを満たすものがあるとすれば、憲法の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと解しておりまして、これは、新三要件の下も集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらず、新三要件から論理必然的に導かれるというものでございます。ただし、先ほどお話をしたように、存立危機事態に対する武力攻撃、これを排除するにとどまるという範囲でございます。
  272. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、今の防衛大臣答弁をまとめますと、存立危機事態を排除するために必要であれば、必要最小限度の中で必要であれば攻撃国の領域にも入って武力行使をすることができると、こういうことですね。
  273. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法理論的には今申したとおりでございますが、一般原則といたしまして、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しておりまして、こういう状況で実施をするということでございます。
  274. 小川敏夫

    小川敏夫君 何かちょっと答弁が違うんじゃないですか。今の答弁は何かできないみたいで、その前の答弁は何かできるみたいでした。どっちですか。  だから、もう新三要件の要件には合致していると、でも、必要最小限で存立危機事態を排除するために必要だという要件があれば、攻撃をしている国の領域内にも入って武力の行使をすることが法理論上できるんですねと。できるかできないのか、法理論上、法律の解釈を聞いているわけです。
  275. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の個別的自衛権であります武力攻撃事態、これも自衛権として武力攻撃を排除する、そのために、他国の領域における武力行動であって自衛権の発動の三要件を満たすものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと解しておりまして、新しく三要件の集団的自衛権を行使する場合であってもこれは全く変わらずに、この新三要件から論理必然的に導かれるということでございます。
  276. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、まとめますと、存立危機事態の場合に、その存立危機を排除するために、必要最小限度の範囲で排除するために必要であれば、攻撃を受けている国だけじゃなくて攻撃をしている国の領域に入ることもこの法理論上可能なんですねと。だから、可能なのか、法理論上できないのか、そのことだけをもう端的にお答えください。
  277. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の個別的自衛権でも法理論的にはできるわけでございます。  今回の事態におきましても、憲法の理論といたしましてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと解しておりますが、総理が累次申し上げているとおり、外国の領域における武力行使につきましては、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているというわけではございません。
  278. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は、やるかやらないかという政策論を聞いているんじゃないんです。大臣は、できないわけではないがということを言いましたから、できるんでしょう。だから、もうはっきり答えてくださいよ。  まず初めに、攻撃国の領域に入って武力行使を法理論上できるんですか、できないんですか。まず最初にできるかできないかを答えてからいろいろお話しください。
  279. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、第三要件に「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」と書いてあります。つまり、最小限度を一般には超えるわけでありますから、これを超えないという前提自体は基本的にないわけでありまして、ですから、三要件において、言わば一般にこれは超えるというのが政府の一貫した立場であります。しかし、例外的にホルムズ海峡の機雷掃海というのは受動的かつ限定的であるからこれはあり得ると。  しかし、今、小川委員が出してきている、他国の領土、領海に自衛隊を派遣をする、武力行使を目的として派遣をする、言わば相手の軍隊をせん滅をするために砲撃や何かを加える、これは典型的、これはまさに一般に禁じられている海外派兵でありますから、これはできないということははっきりと申し上げておきたいと思います。
  280. 小川敏夫

    小川敏夫君 一般にできないとか、修飾語を付けられると困るんですよ。一般にはできないけどこういう場合にはできると言われても困るから。  だから、今回政府が出されたこの法律案では、新三要件に合致して、必要最小限度という要件も全て満たした上で、存立危機事態を排除するために必要な場合には攻撃国の領域に入って武力の行使をすることが法律上可能なんですかどうか。できるかできないかしかないです、答えは。どちらでしょうか。
  281. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに法的に、これは一般に海外派兵は必要最小限度を超えるわけでありますから、つまり、できないというのは、これはもう政府の一貫した立場であります。これは、先ほど防衛大臣答弁しているように、個別的自衛権においても同じであります。  なぜ一般にということを申し上げたかといえば、ホルムズ海峡の機雷掃海の例については、受動的であり、そして限定的であるから、これは必要最小限度の中にとどまると。この必要最小限度においてはそうですよ。第一要件に当たるかどうかというのは、これはまさにそのときの状況を見なければ分からないわけでありますが、まさに、その意味におきましては、申し上げておりますように、今、小川委員がおっしゃっているような、海外に、そういう事態において、敵に攻撃を加えるために武力行使を目的として自衛隊を送るということは、この一般に禁じられている海外派兵に明確に当たると、こう考えているところでございます。
  282. 小川敏夫

    小川敏夫君 全く総理は私の質問に答えていないですよ。だって、総理は今、最後の結論で言いましたよね、一般に海外派兵することはできないと。だけど、一般に海外派兵することはできないけど、この法律で、この法律の要件を満たせば、自衛隊は海外に行って、他国の領域に入って、少なくとも攻撃を受けている国に入って武力の行使をすることができるんでしょう、この法律は。この法律の要件を満たせば。それで私は聞いているわけですよ。何回も何回も同じことを言って。  防衛大臣は先ほど言ったじゃないですか、法理論上できないことではないと。できないことではないのなら、できるということじゃないですか。総理はできないと言う。食い違っているじゃないですか。
  283. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 何度も答えさせていただいていますが、現在も、他国の領域における武力行動であって自衛権の発動の三要件を満たすものであれば、法理論、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと解しておりますが、しかし同時に、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しておりまして、これは、新三要件の下で集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わりません。新三要件から論理必然的に導かれるものでございまして、総理が累次答弁をされているとおり、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているわけではないということでございます。
  284. 小川敏夫

    小川敏夫君 防衛大臣、いいかげんにしてくださいよ。武力行使の目的を持って派兵することなんて聞いていないですよ。この法律に従って存立危機事態の要件を全部満たした場合のことについて聞いているんですよ。  その場合に、ですから、攻撃を受けている国、ここの領域に入る、この領域に入って、存立危機事態を排除するための武力の行使することはできるということまで先ほど明確に答えられました。私は更に続けて聞いているわけです。では、攻撃をしている国の領域に入ることができるんですかと聞いているわけです。防衛大臣は、憲法上できないわけではないと言うから、じゃ、できるんですよね。だけど、総理はもう今首を振っていて、できないと言っているから、これ閣内、全く違うじゃないですか。
  285. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは、我々が答弁しているのは、満たせば行けるわけですよ、満たさなければ行けない。そして、第三要件については、武力行使を目的として言わば攻撃をしているわけでありますから、当然、自衛隊を送る以上、武力行使を目的としてその国に対して攻撃を加えるわけでありますから、砲撃とか爆撃を加えるわけでありますから、それは必要最小限度を超えていると、これは明確に答えているとおりであります。
  286. 小川敏夫

    小川敏夫君 別に武力の行使って空爆とかそんなものだけじゃないですよ。向こうから小銃を撃ってくれば、こっちで小銃で撃ち返すのだって武力の行使ですよね。別に、空爆のことを想定して、あり得ないという話じゃないじゃないですか。  いや、本当に私も質問をたくさん用意してきたんだけど、余りに私の質問について何にも答えないし、あるいは食い違った話をしているし、結局一つのことしかできなかったですよ。  安倍総理が説明した事例がいかにいいかげんだということは国民の皆さんに理解していただいたと思うので、質問の効果はあったと思いますけれども、やはり法案審議についてはもっと真摯に的確にしっかりと答弁していただきたい、そのことを述べて、今日の私の質問は終わらせていただきます。
  287. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。委員長、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回のこの法案は、武力を行使する、理由はどうであれ、戦争をするかしないかということを議論している法案でありますので、日本に正当性が仮にあろうとも、武力行使をすればその相手国で民間人にも被害が出るかもしれない、あるいは、それに対する反撃を受ければ日本でも民間の方も被害を受けるかもしれない。そういう議論をしているわけでありますので、私は、火事に例えたり、友達のけんかの仲裁に例えたり、フグに例えてこういう議論をするのは不謹慎だと思います。  是非この後もしっかりと会期末まで十分時間を掛けて、できれば廃案、ないしは、どうしても議論をしたいとおっしゃるなら継続審議ということになろうかと思いますが、しっかりと具体的な法案の中身に沿って議論をさせていただきたいと思います。重ねて、委員長にはよろしく御指導をいただきたいと思います。  今日は皆さんのお手元に資料を配らせていただきました。(資料提示)どうも総理中谷大臣の御答弁聞いておりますと大分時間が掛かりそうですので、三枚目のパネルから入らせていただきたいと思います。  衆議院の議事録は全部読ませていただきましたので、どういう御議論をしておられたかというのは十分理解をしております。そこで、国民の皆さんにも、是非、今から申し上げる三つの答弁、既に政府答弁しているということを御理解いただきたいと思います。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  私も一昨年の秋から、安倍総理あるいは小野寺前防衛大臣中谷大臣外務大臣岸田さんですから、ずっと議論を重ねさせていただいておりますが、例えば私の、二月二日の参議院の予算委員会で、他国が受ける武力攻撃というのは、その他国、例えば米国が先制攻撃をしたことに対する反撃であってもそれを助けに行くことがあるのかというふうに聞きましたら、この青いところは中谷大臣総理自身答弁です、今も随分新三要件という話が出ていましたが、「新三要件を満たす場合でございます」、つまり満たせばそうだということを認めているんです。「新三要件を満たすか否かの中において判断する」、これは安倍総理も認めておられます。  そのとき、メディアもこの点はびっくりしたようで報道をしておりましたけれども、この件は、衆議院では例えば我が党の岡田代表が五月二十七日に質問もさせていただいておりますし、大串議員も同じ五月二十七日、共産党の志位委員長もたしか同様の質問をされました。理由はどうであれ、他国の先制攻撃を追認することが場合によってはあり得るということをまず認めているわけですね。これは、私はそのときも驚きだと申し上げましたが、引き続き衆議院でこの法案審議の過程で答弁を変えておられないのにはびっくりしました。  しかし、更にびっくりすることは、私は議事録からこれ正確に持ってきておりますので文章をよく読んでいただきたいと思います。我が国に対して直接の武力攻撃をしていない国に対して、防衛出動、武力行使をすることは法理上可能かという、我が党の寺田議員の質問に対して、中谷大臣は、「はい、可能になります」と、こうお答えになっております。  もっとびっくりするのは、我が国に対する攻撃の意思がない国に対して、新三要件が当てはまれば我が国から攻撃する可能性を排除しないのかと聞いたのに対して、中谷大臣は、「排除しません」と。議事録はここにありますので、もし確認をしたければどうぞ御覧をいただきたいと思います。  国民の皆さん、テレビを御覧になっている国民の皆さん、一体日本という国は、いつから他国の先制攻撃を追認したり、あるいは我が国に対して直接の武力攻撃をしていない国に対して武力行使をしたり、いわんや、我が国に対する攻撃の意思がないと言っている国に対して、場合によっては我が国から攻撃する可能性を排除しない、そういう国を目指すようになったんでしょうか。  私は、理由はどうであれ、これらの三つは先制攻撃、特に下の二つですね、先制攻撃に該当すると思いますが、これは先制攻撃という言葉で表現していいかどうかを中谷大臣にお伺いいたします。
  288. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その答弁につきましては、憲法上武力の行使が許されるのはあくまでも新三要件を満たす場合に限られ、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことを前提としております。  国連憲章上、武力攻撃の発生が自衛権の発動の前提となることから、仮にある国家が何ら武力攻撃を受けていないにもかかわらず違法な武力の行使を行うことなどは国際法上認められない行為を行っていることとなるものであり、我が国がそのような国を支援することはございません。  そこで、昨年七月の閣議決定にも明記されているように、我が国が新三要件に基づき武力の行使を行うに当たっては国際法を遵守するのは当然でございます。その上で、具体的には、自衛隊法の第八十八条二項におきまして、武力行使に際しては国際法の法規及び慣例によるべき場合であってこれを遵守しと規定をされておりまして、国際の法規、慣例は、違法な武力の行使を禁じた憲法、武力行使を禁じた国連憲章についても含まれておりまして、これを我が国として遵守することが法律上も十分担保されているということでございます。
  289. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の答弁をテレビを御覧になっている皆さんにお分かりいただけるように簡単に申し上げますと、条件さえ整えば、我が国は、我が国を攻撃していない国に対しても、攻撃の意思がないと言っている国に対しても、攻撃をすることがあるということを遠回しに答弁しておられるんです。──いやいや、そういうことです。そうじゃなければこの答弁を取り消すということになります。遠回しに御説明されましたけれども、これはだってもう議事録に残っているんですから。
  290. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 三要件に合う場合ということでありまして、この三要件は全て法律に明記をされております。  お話をいたしましたとおり、自衛隊法第八十八条二項において、武力行使に際しては、国際法規の慣例によるべき場合であってこれを遵守しと規定をされておりまして、これの実施する要件というのは法律に書かれているということでございます。
  291. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 こういうやり取りになるので繰り返しません。要するに、条件が整えば、要件を満たせば、我が国武力攻撃していない国や我が国に対する攻撃の意思のない国に対しても我が国は武力行使することがあり得るという、そういう法案なんです。  おまけに、今委員長席に座っておられる佐藤理事にちょっと御了解をいただきたいんですが、今日午前中に大変いい資料をお使いになって御議論しておられました。少しこれを使わせていただいてよろしいですか。
  292. 佐藤正久

    ○理事(佐藤正久君) はい、認めます。
  293. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理中谷大臣、今日午前中に佐藤理事が、この武力攻撃事態と存立危機事態のこのベン図の関係、こういうのをお示しになりました、テレビでもし御覧になれれば。(資料提示武力攻撃事態等から少し存立危機事態がはみ出した形で、これは正しいというふうにおっしゃって議論が成り立っていたわけですよ。  武力攻撃事態等というのはどういう内容でしたでしょうか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  294. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力攻撃事態等というのは、まず武力攻撃事態、これは武力攻撃が発生した事態、そして武力攻撃事態の切迫ですね、武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態、この二つのことを言うということでございます。
  295. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それはちょっと違うと思います。予測事態も入っていますでしょう。ちょっと答弁し直してください。
  296. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ちょっと等が見えませんでしたが、予測事態も入っております。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
  297. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは佐藤理事にも聞いていただきたいので、是非よろしくお願いします。  つまり、この赤いところは、現に武力攻撃を受ける、あるいは切迫している、予測をされる事態まで含んでいるわけです。存立危機事態はそれをはみ出ているということは、予測もされない事態でも存立危機に該当するということです。そういうベン図が正しいという御議論をされたわけです。  さっきのパネルちょっと出していただけますか。いや、だから、私は、今日このパネルを用意していたんですけど、びっくりしました。四番目があるんです。  まず、これまでの答弁で明らかになっているのは、米国の先制攻撃を追認、米国というか、密接な他国の先制攻撃を追認して助けに行くことがある。我が国に対して直接の武力攻撃をしていない国に対しても武力行使をすることがある。我が国に対する攻撃の意思がない国に対しても武力行使をすることがある。そういうことが予測もできない国に対しても存立危機事態というふうに我が国が裁量で認定すれば武力行使をすることがある。これは、岸田大臣にお伺いしますが、先制攻撃と言うんじゃないんですか。
  298. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ちょっと待ってください、済みません。  質問の趣旨をちょっと把握しかねておりますが、先制攻撃に当たるのか、要は、他国から武力攻撃を受けていない段階で自ら武力の行使を行えば、これは国際法上は先制攻撃に当たることになります。
  299. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、素直に答弁していただきました。  だから、理由はどうであれ、外形上、この二番目とか三番目、一番目もそうですけれども、それから今日の午前中の審議で大変参考になったこの武力攻撃事態等と存立危機事態のベン図からすると、さらに、我が国に対する攻撃の意思がない国、そして先々も予測もできないような状態に対して、これ四番目です、それに対しても場合によっては武力行使をすることがあるという議論を含んだ法案なんです、これは。だから、だからいろいろ例え話でやるのは不謹慎で、ここはきちっと議論をしましょうということを申し上げているわけであります。  五月二十七日に、岸田大臣ですが、我が党の岡田代表に対して、「国際法上は、予防攻撃も先制攻撃も認められておりません。」と御答弁されました。それは今も同じような御答弁されました。念のため確認ですが、ここは変わりはありませんね。
  300. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、結論から言いますと、答弁は変わりありません。  国際法においては様々な議論が行われたということはありましたが、例えば二〇〇五年の国連世界サミットにおいてもそういった議論が行われました。しかしながら、それに反対する意見が強く最終文書には盛り込まれなかった、こういった経緯もあります。  このように、そういったことから考えましても、答弁は変わっておりません。
  301. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、総理、この二番目や三番目、あるいは先ほどの佐藤理事の資料から推測できる、我が国が、理由はどうであれ新三要件に該当したといって武力攻撃もしていない国に対して、我が国にですよ、あるいは攻撃の意思がないと言っている国に対して、あるいはそういうことも予測すらできない国に対して日本が先に武力行使をするというのは、外務大臣の今の御答弁からすると矛盾していませんか。国際法違反ですよ。
  302. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず初めに、先制攻撃を追認するのかという質問がございました。私は追認したかのごときの答弁をしているようでありますが、私が答弁をいたしましたのは、憲法上、武力の行使が許されるのはあくまでも新三要件を満たす場合に限られ、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことを前提としていると。そして続きまして、また、国連憲章上、武力攻撃の発生が集団的自衛権の発動の前提となることから、仮にある国が何ら武力攻撃を受けていないにもかかわらず違法な武力の行使を行うことは国際法上認められず、我が国集団的自衛権を行使することはないということでございますから、典型的な先制攻撃をした国に対して我が国集団的自衛権を発動することはないということは、これは従来から答弁をしているところでございます。  そこで、この図のここのところは果たしてどこかということでございますが、これについては、先ほど来議論になっております言わばホルムズ海峡における機雷の掃海でございまして、そこはまさに我が国に対するというか国際社会に対してその海域を通さないという行為になるわけでございまして、そしてこれが武力攻撃事態に発展する、武力攻撃事態等に発展するという可能性がそこではないわけでございますから、ここのところはそうであるということでございますので、そのように理解をいただきたいと思います。
  303. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 先ほども申し上げましたが、衆議院の議事録全部読ませていただきましたので、総理の今の国連憲章云々のくだりも何度も拝読しました。つまり、他国の先制攻撃を追認することはないというそこのくだりは、その先制攻撃に何らかの正当性があれば、それは先制攻撃に該当しないという前提で今の答弁を繰り返しておられるんです。  だけど、外形上は、例えば米国を攻撃したある国は、日本に対しては現に武力攻撃もしていない、日本を攻撃する意思もない、先々そういうことも予測すらされない、その国に対して何らかの理由で正当性を主張して日本が先に攻撃すると、外形上は先制攻撃なんです、我が国による。そして、そのことは外務大臣がこれも繰り返し答弁しておられますので、その答弁内容と矛盾しますねということだけを今聞いたんです。
  304. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国に攻撃が発生していないにもかかわらず、他国に対する攻撃が発生し、そして密接な関係にある他国であって三要件に関わった場合は、これは先制攻撃ではなくて集団的自衛権の行使、日本は一部行使を容認している中において三要件に当てはまればその行使を行うわけでありまして、先制攻撃ではございませんが、そこで、では果たして意思があるかどうかということでございますが……
  305. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこは聞いていません。
  306. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、しかし、意思が全くないかどうかということでありますが……
  307. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 推測しなきゃいけない。
  308. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ええ、推測をしなければいけないわけでありますが、この三要件について、これ該当するか否かについて、攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移など要素を総合的に判断するわけでございますが、当然意思についても、この意思の推測というのは、これは形式上日本を攻撃する意図がないと公言をしながらその意図を隠しているということもありますから、なかなかそれは一概にはそう簡単には言えないわけでありますし、素直にいつも意思を表明しているとはこれは限らないわけでございます。  そこで、しかし、その中で意思を類推することは全くできないというわけではもちろんございませんが、意思についても、これ総合判断の一つの要素でございます。
  309. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民の皆さんも御理解いただけるものと期待をいたしたいと思います。つまり、意思がないと言っている国でも、意思があるかもしれないと日本政府が、今推測ですよねと言いましたら、そうですと総理おっしゃいましたが、日本政府が推測をして、国民にそのエビデンスを、証拠を示していただけるかどうかも分からない中で、場合によってはとにかく先制攻撃をする可能性があるということを、でも今、割と素直に認めていただいていると思いますよ。こういう議論をした方が国民の皆さんの理解は深まると思いますよ、反対も広まると思いますけど。  もう一回申し上げますよ。このパネルに書いてあることはもう既に議事録に残っている発言なんです。我が国に対して直接の武力攻撃をしていない国に対して、我が国が先に防衛出動、武力行使をすることは法理上可能か、「はい、可能になります」、我が国に対する攻撃の意思がない国に対して、新三要件が当てはまれば、つまり時の総理大臣我が国政府の推測によって、どうもあの国は危ないなというふうに思えば、我が国から攻撃する可能性を排除しないのか、「排除しません」。これはすごいことだと私は思っております。──いや、今、答弁求めません。  そこで、時間限られていますので、次のパネルに行きます  それから次に、違う角度から、皆さんがお考えになっていることの論理矛盾、国民の皆さんに対して場合によっては不誠実かもしれないという部分議論をさせていただきたいと思います。  集団的自衛権を行使できるようにするために自衛隊法を何か所か改正をするわけであります。自衛隊法第三条、自衛隊の任務、自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し行動すると、こう書かれているこの「直接侵略及び間接侵略に対し」ということを今回削るんですね。これはなぜ削るんでしょうか。その目的を中谷大臣に御答弁いただきたいと思います。
  310. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、今回、他国に対する武力攻撃の発生を契機とする存立危機事態における自衛隊の行動もあくまでも我が国防衛を目的とするものであることですから、現行の武力攻撃事態における自衛隊の行動と同様に、自衛隊の主たる任務として位置付けることが適当と考えております。  このため、自衛隊法第三条第一項を改正をいたしまして、我が国に対する武力攻撃を意味する「直接侵略及び間接侵略に対し」という文言を削除して、自衛隊の主たる任務を端的に「我が国防衛すること」と規定をすることによりまして、存立危機事態における行動も主たる任務に含まれることを明らかにすることといたしております。  以上です。
  311. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理が今ちょっと席を外されておられますが、お戻りになったときにすぐ議論に入れるように中谷大臣に更問いをしておきますが、つまり、「直接侵略及び間接侵略に対し」というのを削ったのは、これが残っていると直接侵略、間接侵略以外のことに対応できないからこれを削ったわけですよね。
  312. 中谷元

    国務大臣中谷元君) いや、これは我が国に対する武力攻撃を意味するという言葉でございまして、今回、存立事態という任務を設けるわけでございますので、自衛隊の主たる任務を端的に「我が国防衛すること」と規定することによって、存立危機事態における行動も主たる任務に含まれるということを明らかにするためでございます。
  313. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、だから、そういう御答弁されていると、テレビを見ていらっしゃる皆さんはなかなか御理解が進まないと思うんですよ。  だって、これは中学生の皆さんに恐縮ですが、中学生の皆さんの国語力があれば理解できると思いますよ。つまり、「直接侵略及び間接侵略に対し」というこの文言をわざわざ削ったということは、これが残っていると今回やろうとしていることができないから削ったわけですよ。だから、今、存立危機事態とかおっしゃいましたけれども、まさしく存立危機事態対応したいからこれを削るんだけど、つまり、存立危機事態というのは直接侵略でも間接侵略でもないということですね。
  314. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中学生等が見て分かりやすくということでいきますと、自衛隊の主たる任務、これを端的に「我が国防衛すること」と規定したということで分かりよくしたわけでございます。
  315. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理にお伺いします。  今議論していたのは、直接侵略、間接侵略をわざわざ削ったというのは、それ以外のことにも対応するためだというところまでは、今、中谷大臣がお認めいただきました。そして、今回の法律で入ってきているのは存立危機事態とか様々な新たな事態が入ってきているんですが、つまり、そうすると、それらは直接侵略でも間接侵略でもないということですねということをお伺いしているんです。総理にお伺いします。
  316. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、もう既に大臣答弁をしておりますが、自衛隊法の第三条第一項を改正して、我が国に対する武力攻撃を意味する「直接侵略及び間接侵略」、これは我が国に対する武力攻撃を意味する表現として使われているわけでありますが、この文言を削除いたしまして、自衛隊の主たる任務を端的に「我が国防衛すること」と規定することによって、存立危機事態における行動も主たる任務に含まれることを明らかにすることとしているわけでございまして、それ以上のものでもそれ以下のものでもないと、こういうことでございます。
  317. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そんなに私は論理矛盾したことをお伺いしていないと思うんですが。  それでは、少し議論を深めるために、従来の間接侵略の定義は何だったんですか、中谷大臣にお伺いします。
  318. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 間接侵略といいますと、一つ又は二つ以上の外国の教唆又は干渉によって引き起こされた大規模な内乱又は騒乱でありまして、外国からの干渉が不正規軍の侵入のような形態を取り、我が国に対する外部からの武力攻撃に該当するもの、これを間接侵略と申します。
  319. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 昭和四十八年の当時の山中防衛庁長官の御答弁以来、そういう内容になっています。つまり、内乱、騒乱を想定しているわけですね、間接侵略、まあ外国の教唆があった場合ですけれども。直接侵略、間接侵略、それらに該当しないケースに今回対応したいとお思いになっているからこれを削っているわけです。そうであれば、その当時の間接侵略というのはまさしく、まさしく総理国際環境が変わってきたと繰り返しおっしゃっておられるように、そういう事態想定される我が国状況にあったので、間接侵略が今、中谷大臣がおっしゃったような定義で入ったわけです。  しかし、今日、状況は変わっているわけですから、間接侵略の定義、これを拡充することによって、実は皆さんがおやりになりたいと思っていることを国民の皆さんの不安のない範囲にとどめながら何がしか工夫することも私は可能だったと思っていますし、そのことは以前の予算委員会でもそのような発言をさせていただいたことがあります。  それを、これを削って、新たな事態、そして新三要件に該当すればという魔法の言葉を使い、そして、今日の福山議員の質問の中にもありましたように、過去において政府が否定していた限定的な集団的自衛権の行使も含めて集団的自衛権というのは認められないというところのその開かずの扉の鍵を外したわけですね、今回。  その結果、どういう答弁衆議院で登場したかというと、さっきの三枚目をもう一回国民の皆さんに見ていただきたいんですが、何と、我が国に対して直接武力攻撃をしていない国に対して、あるいは我が国に対する攻撃の意思がないと言っている国に対して、いやいや、あなた方はそう言っているけど、日本国は諸般の状況を総合的に判断すると信用できませんといって問答無用で攻撃を仕掛けるというところまで踏み込もうとしているんですよ、今。いや、それは是非思いとどまっていただきたいと思います。そんな国にしてほしいなどと国民の皆さんの大多数の方は思っていないと思いますよ。  その上で、四枚目にもう一回戻っていただきたいんですが……(発言する者あり)新三要件に合致すればという条件付だということは分かった上で全て御質問をしております。  その上で、この法案、目指す方向が極めて問題があるということだけじゃなくて、法律としても条文の整合性にそごがあると思います。第三条で「直接侵略及び間接侵略に対し」というものを削り、これまでと違う事態に対処しようとしているのに対して、実際に防衛出動するときの武力行使の規定である第八十八条は変えないんですよ。集団的自衛権は、ここが皆さんと私たちの意見の違うところですが、集団的自衛権というのは、国際法上は他国の防衛のために武力を行使することなんです。だから、我が国防衛するためということであれば、それはできないんですね。できないんですが、皆さんは、その集団的自衛権我が国防衛するためだからといって第八十八条を変えなかったんですけれども、しかし、限定的な集団的自衛権で皆さんが想定しておられることも含めて、目的、任務が変わるわけですから、武力行使のこの第八十八条も何らかの調整をしないと条文としてそごがあり、論理不整合だと思いますので、この法案、我々は、憲法違反ですからそもそも反対ですけれども、審議する上で出し直しが必要だと思いますよ、そもそも。  ここ、中谷大臣、何か御答弁があればお伺いします。
  320. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、個別的自衛権も集団的自衛権自衛権の行使でありまして、我が国を守るためという考え方の下に自衛権を行使するわけでございますから、この考え方の下に我が国防衛するために自衛権を発動するということでありますから、何ら問題はないんだろうと思います。  また、中谷大臣答弁を先ほど来引用しておられるわけでありますが、言わば我が国に対する武力攻撃は発生しておりませんが、我が国と密接にある他国に対する武力攻撃が発生し、かつ我が国の存立が脅かされるという段階において我が国は武力行使をするということでございますから、いきなり武力行使をしていない国に、しかも、我が国の存立にも関わらないし、国民の生命や自由、幸福追求の権利にも関わらない国をいきなり攻撃をするわけではありませんし、かつ、先ほど来御説明をしておりますように、言わば我々が排除するのは我が国の存立に関わる攻撃に対する排除でありますから、A国とB国の紛争そのものの根本に我々が参加をするということではなくて、あくまでもその中において我が国に対しての存立が脅かされるということに対する排除ということであります。それに対する排除のために集団的自衛権を行使するということでありますから、いきなり我が国がどこかの国に襲いかかっていくというような印象を与えることは間違っているだろうと、このように思うわけでございます。
  321. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 目的はどうであれ、先ほどの三枚目をちょっともう一回出していただいて、外形上、我が国が先制攻撃をするようなことを追認する、そういうことを含んでいる内容だからこそ、皆様方がお考えのことは憲法九条で鍵を掛けられていたわけですが、その鍵を今回は、通常の鍵、鍵穴に鍵を差して開けるという、これ、憲法改正おやりになりたければ、それに堂々とチャレンジして鍵を開けるということをされればいいと思うんですが、何と裏口からその鍵を言わば壊さないで中に入り込む方法とか、あるいは鍵を壊すというようなことをしてこういう事態に陥っているということを国民の皆さんには御理解いただきたいと思います。  今日はあとまだ七分ぐらいありますので、もうこの話はこれから何度も何度も議論させていただきますので……(発言する者あり)いやいや、中谷大臣にはちょっと次の質問を是非させてください。  防衛省自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会というのが開催されております。これはどのような経緯で開催され、今まで何回開かれたか、簡単に御答弁いただければと思います。
  322. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 集団的自衛権につきましては、三要件の前提が、我が国と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生をしというのが大前提でございまして、これは国際法的には集団的自衛権ということで、いずれの国も認められた権利でございます。  お尋ねのこの救命に関する検討会につきまして申し上げます。  防衛省といたしましては、従来、武力攻撃事態対処時において自衛隊員の生命を最大限に守ることが重要と認識しており、防衛大綱、中期防において事態対処時における第一線の救護能力の向上を図るといたしております。  そこで、第一線の救護能力につきましては、これまでも省内において各種の検討を行ってきたところでありますが、大綱を受け、防衛大臣政務官を長とする衛生機能の強化に関する検討委員会を設置をいたしまして、その検討項目の一つとして、第一線の救護能力の向上について更なる検討を進めているところでございます。  この検討に当たりまして、部外の有識者による専門的観点からの意見を聴取することを目的といたしまして、防衛省自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会を設置し、四月以降三回の検討会を開催、議論をしていただいているわけでありまして、今後、九月に開催する第四回検討会におきまして報告書を取りまとめ、提言をいただく予定でございます。
  323. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういう検討がなされること自体はもちろん否定はしません。しかし、総理国民の皆さんの理解が進まない理由は、今日何度もほかの委員もおっしゃっておられましたが、もっと率直に、正直にいろんなことをお認めになられた方が議論も深まるし、反対の人も増えるでしょうけれども、中には賛成の人も増えるかもしれません。自衛隊の皆さんのリスク、あるいは国のリスクについてもそうなんです。  今おっしゃった検討会、防衛省から議事録をいただきました。その中を見ると、もちろん委員の方は真面目に議論をしておられますけれども、結構この委員会で皆さんが御発言になっていることとはそごのある表現が出てきます。  弾が飛び交う中で処置が困難な場合、裂傷が激しい、厳しい場合など、セーフティーネットも含めてどこまで許容するかという議論だと。これ、セーフティーネットというのは、場合によっては処置を見切ることを言っているわけですね。つまり、処置を見切って、戦闘の方に重点を移さなければいけないこともあるだろうということをここの中で議論しておられます。戦場ではモルヒネを注射できないので、経口のフェンタニルを含めて検討すべきではないか。ここでも、セーフティーネットとしてどこまで認めるかを議論することが必要である。さらには、第一線においては医療が優先する場合と戦闘が優先する場合があると理解していると。こういう議事録ですよ、これ。  その検討会の資料、今日、パネルにするとちょっとテレビで御覧になる方々にはきついのでパネルにしませんでしたけれども、顔面が破壊されている写真、それから両足がもぎ取られている写真、こういう資料を基に医療関係者が第一線における医療行為の検討をしておられるわけです。  これ、委員長にも是非お聞き届けいただきたいんですが、そしてその文章の中には、今申し上げましたように、弾が飛び交う中でとか、戦場ではとか、そして戦闘行為が優先するとか、今まで衆議院で、そういうことにはならないから安心してください、自衛隊の皆さんのリスクはむしろ小さくなるんですというようなことを答弁されていた議事録も読みましたけれども、そういうやや国民の皆さんに不誠実な御答弁をしておられるから理解が進まないということだと思いますが、中谷大臣にこういう議論をしているということは今お認めいただきましたので、この検討会の資料委員会の今後の審議のために委員会に全て御提供いただいて、審議の参考にしていただきたいということを委員長にお願いしますし、中谷大臣にお願いを申し上げたいと思います。
  324. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、従前から自衛隊の衛生機能の強化に関する検討は行っておりますけれども、これは武力攻撃事態対処時において自衛隊員の生命を最大限に守ることが重要だと認識をしておりまして、これまでの検討、大綱、中期防の記述を踏まえて所要の検討を行っているということでございます。
  325. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、つまり、今回の法案は、場合によっては、諸条件に合致すれば、新三要件に合致すれば、ただし、その新三要件は総合的判断とかいろいろおっしゃるので、さっぱり分かりませんけれども、それらに該当すれば、つまり、弾が飛び交う戦場や戦闘行為に自衛隊の皆さんにも参加をしていただく必要が出てくるかもしれないという前提だからこういう検討をしているんですよ。  だから、自衛隊の皆さんのリスクは高まるかもしれないということについて、総理の所感を、そして国民の皆さんと自衛隊の皆さんへのメッセージをお伝えいただきたいと思います。
  326. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま中谷大臣答弁をいたしましたように、まさに武力攻撃事態におけるその言わば戦闘下における医療行為、これは普通の病院で行う医療行為とは違うわけでございますし、優先順位も違うわけでありますから、そこでどう判断するかということを当然検討していくのは当たり前のことでありますし、それをしっかりと検討していくことによってできるだけ多くの自衛隊員の命を救うことができます。  そこで今般、一部、集団的自衛権の容認を認めたわけでございます。そういう任務は確かに増えていくわけでございますし、PKOにおいてもそうですし、また、後方支援等についても恒久法を作ったところでございます。そういう中におきまして、確かに任務は増えていくわけでございますが、個々のこの任務においてできる限りリスクが低減されるよう我々も努力をしていきたいと、こう思うところでございます。  また、私がリスクが下がるかもしれないと言ったことは、一つの例として、PKO等において他国の部隊と一緒に基地を守ることができるようになるので、あらかじめ他国と協力して基地を守ることになれば今までよりもより効果的に基地を守ることもできるのではないかという例として挙げたわけでございます。  そういうものも含めながら、全体としてリスクが高まっていくかどうかということについては、我々は今でもこれはかなり高いリスクを負っているわけでございますが、それぞれリスクを低減させていくように努力をしていきたいと、こう思っているところでございます。
  327. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私の勘違いで、質問時間がまだ十分ありましたので、続けさせていただきたいと思います。  私は、冒頭申し上げましたように、こういう検討が行われるのはそれは当然だと思いますよと申し上げました。それから、与党席の皆さんからも、佐藤理事からも、それは戦闘なんだから当然だろうというお声がありました。だから、それは最初に、こういう検討が行われるのは当然だと思いますよと僕も申し上げています。分かっているんです。  問題は、今回皆さんがおやりになろうとしていることは、さっきパネルで御覧いただいたように、外形上は我が国が先制攻撃をするというようなことになるわけですから、そうすると、相手は、いかなる理由があるいは非が相手にあっても、それは普通は反撃しますよ。そうなると、まさしく戦闘行為に巻き込まれたり、戦場、弾の飛び交う中で自衛隊の皆さんに働いてもらわなきゃいけない、そういうことがあり得る法案議論しているのに、自衛隊の皆さんのリスクは高まらないように努力するという答弁は何度も読んでいます。それは当然だと思います。  しかし、戦闘行為には参加しないようにするとか、これは存立危機事態だけじゃないです、重要影響事態の後方支援も含めて、PKOの場合でも戦闘現場に近いところでやるという今回改正をするわけですから、そういう蓋然性が高まる法律の変更をしようとしているわけなので、そうすると、今まで衆議院答弁していたリスクに対する説明は少しミスリードではないですか。それを総理にもう一回お伺いします。  参議院の質疑、これを充実させるためにはやはり正直に御答弁いただかないと、これは一向に前に進まないと思います。やっぱり今回のような歴史的転換を皆さんがすると言っている。私たちは、違憲ですから反対ですけれども、もしした場合には、国民の皆さん御自身も被害を受ける可能性もあるし、自衛隊の皆さんのリスクというものの蓋然性は高まるということをお認めになりますね。
  328. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) このリスクにおいては、なぜ平和安全法制整備するかといえば、これは我が国を取り巻く安全保障環境が厳しくなっているわけであります。その中において、国民リスクを低減させていく上において、この法制整備をしていく、当然、国民リスクを低減させていく上において、自衛隊の皆さんにはリスクを取っていただくわけでございます。そして、確かにこの任務は増えることになるわけでございますが、これは単純に一足す一足す一が三ということになるわけではないわけでありまして、言わばまさに事前に戦争を防ぐという意味における抑止力効果を発揮をしていく、あるいは恒久法を作ることによって事前にこれは訓練も進んでいくということになるわけでありますし、他国との共同訓練もより実質的なものになっていき、実効性が高まっていき、抑止力も上がっていくということにもなるわけでございます。  先ほど例として挙げましたPKOにおいて、他国部隊と協力することがより深まっていくわけでございますから、あらかじめ他国の部隊と共同で訓練をしながら基地を効果的に守っていくことも可能になっていくということもあるわけでございます。もちろん、任務も増えていく、そういう増えていく任務においてリスクを低減させていく努力を行わなければいけないと。単純に減っていくか増えていくかということではなくて、こうした新しい法制の下で自衛隊の皆さんがリスクを低減させていくべく、我々も、この法制においても運用においても努力をしていきたいと、このように思っているところでございます。
  329. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 リスクは高まる、衆議院での説明はミスリードかもしれないということはお認めいただけませんでしたが、やはりリスクは高まるというふうに私たち認識をしておりますので、その認識を前提に今後の議論を深めさせていただきたいと思います。  最後の質問ですが、外務大臣にお伺いします。  海外メディアが我が国の安保法制の見直しの議論をどう報じているかということなんですが、私も結構調べました。二つサンプルをお示しをしておりますので、中身はともかく、アメリカの二つのメディアが報じたこのタイトルを訳して、ちょっとここで外務大臣の口から御説明いただけませんか。タイトルだけで結構です。
  330. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 事前にお示しいただいている二つの海外メディアの記事ですが、一点目は、これ五月十八日のインターナショナル・ビジネス・タイムズの記事であります。これは、北朝鮮がミサイル攻撃をした場合に関する中谷防衛大臣の発言について報じたものであります。二点目は、これは四月二十七日、CNNの記事でありますが、新たな日米防衛協力のための指針の意義について報じている記事だと承知をしております。
  331. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これ、タイトルは、ミサイル攻撃があった後はアメリカ防衛のために日本は北朝鮮を攻撃すると、これはインターナショナル・ビジネス・ニュースのタイトルです。それからCNNは、日米の新しいガイドラインはアメリカ及びその他の国を防衛することを日本に許容すると。  なぜ今日これを御質問したかというと、せんだって、ある日本の財界の方がアメリカに行ってびっくりしたと。アメリカでこの問題に関心のある人たちは、日本の今度の法案が通ると、アメリカが攻撃されたら一緒に戦ってくれるというふうに、そういうふうに素直に受け止めていると。多分そうだと思います。そして、この間私のところに知人のアメリカの財務省の官僚が訪ねてきてくれたものですから、そのことを聞きました。いや、そういうふうに言われているそうだけど、そういう認識なのかなと聞きましたら、やっぱり一般の人は多分そう思っているというふうに言っていました。  その結果、例えば今申し上げました、サンプルとして二つお示ししただけですが、アメリカ防衛のために、あるいはアメリカと他国を守るために日本は行動するというふうに捉えられている。それはそうです、集団的自衛権というのはそういう定義ですから。  皆さんは、自国のための集団的自衛権なので、これは憲法九条の範囲を逸脱しないと言っておられて、かつ、例えば六月十日の中谷大臣答弁外務大臣総理もずっとおっしゃっておられますけれども、「国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある」と、こう言っておられるんですね。もう一回申し上げますよ。「国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある」と。  これを区別していいという根拠は国際法上どこにあるんですか、総理にお伺いします。総理にお伺いします。いつから区別してよくなったんですか。
  332. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど来、海外メディアについての御指摘がありました。具体的に二つ御指摘いただきましたので、それについて直接論評することは控えたいと思いますが、海外メディアの中を見てみますと、これは様々な論評があります。こうした論評がある中にあって、やはり我が国の立場というのはしっかり説明していかなければなりません。  アメリカに対しましても、先日の日米新ガイドラインの中で、あくまでもこのガイドラインは、そのときの憲法、そして適用される法律、こういった範囲内で行われるというものは明記されているわけでありますし、日米の両政府におきましてこの理解はしっかりしたものであると考えています。  そして、国際法とそして憲法との関係を区別するということですが、今御議論をお願いしております平和安全法制ですが、これはあくまでも憲法との関係において我が国が許される武力の行使というものはどこまで認められるのか、これが議論をされているわけであります。そして、新三要件というものを示し、それに当てはまるものについて武力の行使は憲法との関係において認められるのではないか、こういった議論をお願いし、その中の一部が国際法上、限定された集団的自衛権と説明される部分がある、このような説明をさせていただいております。  国際法と憲法の関係については、今申し上げたような議論をさせていただいていると考えています。
  333. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この発言で最後にしますが、国際法と憲法解釈を区別して理解する必要がある、そう主張する根拠は何かと聞いたら、全くお答えいただけませんでした。  この話は今後もずっと聞き続けますが、例えば日米安保条約ですら、日米安保条約はこれは国際法です。国際法の一部を形成しています。第三条には、両国とも憲法上の規定に従うことを条件としてと、つまり、これは整合性を求めているわけであります。  したがって、この両者を区別して理解するということをやっているから、自国のための集団的自衛権という不思議な、国際法にはない概念が出てきているということを申し上げ、総理に最後お願いをしておきますが、昨日の本会議でも、我が国の取組について各国に対して丁寧に説明していく所存でありますと。これも衆議院でも繰り返しおっしゃっておられます。丁寧に説明して正しく理解されていれば、先ほどの報道のように、フルスペックの集団的自衛権を行使するかのごとくの報道が行われるのは多分心外でしょうから、日本のメディアに注文付けるだけじゃなくて、外国のメディアにも正しく報道をしてもらうようにしっかりコンタクトを取っていただくことをお願い申し上げて、替わらせていただきます。  ありがとうございました。
  334. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  現在議題となっております安保法制につきましては、特別委員会が設置され、また国会の期間も長期間延長されました。そういった意味では、しっかりと実のある議論をさせていただきたいと、このように思っております。  冒頭、まず総理にお伺いしたいんですけれども、この安保法制につきましては衆議院で長い時間を費やした議論も行われました。しかしながら、それにもかかわらず、ほとんどの世論調査等によれば、国民の八割以上が、審議が尽くされていない、あるいは十分に説明が行われていない、このような感想をお持ちのようです。  総理自身国民の理解が進んでいないこともお認めになっておられますけれども、その理由はどこにあるか、どうお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  335. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の法制につきましては、言わばグレーゾーンから集団的自衛権の行使に至るまで切れ目のない対応を可能とするものでございます。  その中におきまして、集団的自衛権の行使に関わるもの、あるいは後方支援に関わるもの、あるいはまたPKO活動等に関わるもの等々の法律が幾つかある中において、これは憲法との特に関わり、そしてまた国際法との関係、そしてまた国際情勢等、そうしたものについて、これはなかなか複雑に絡み合っているということもありまして、我々もなるべく分かりやすく丁寧に説明をしてきたつもりでございますが、まだまだ御理解を十分にいただいていない、また誤解されている点も多々あるわけでございまして、これから良識の府でありますこの参議院の委員会におきまして説明を尽くしていきたいと考えております。
  336. 大野元裕

    ○大野元裕君 分かりやすく丁寧に、そしてこの委員会でしっかりとやると、これは全く同感でございます。  ただ、総理、そもそも理解が得られていないということを総理自身そういう御認識を持ちながら、衆議院においては強行採決を行い、そしてその上で丁寧な御説明とは笑止千万だと私は思わざるを得ません。  しかも、あの強行採決の後、私は画面でしか見ておりませんけれども、総理が、あれはにやにやというんでしょうか、へらへらというんでしょうか、よく私には分かりませんけれども、笑顔を示されておられて、これ、なかなか国民の目から見ても、命が懸かる大変重要な法案ですから、そこはやはりどういうふうに国民感じているかということも併せてお考えになられた方が私はよろしいかと思っております。  本法が十一本の法律を束ねて提出されている、あるいは国際法、安全保障環境、憲法、こういったものの複雑に絡み合っている、そこは確かにあると思います。しかしながら、本当にそれだけが理解の進まない理由なんでしょうか。長時間審議をされる中で、国民の理解に結び付かなかった。それだけじゃないんです。長時間、時間を重ねれば重ねるほど、世論調査を見ていると、分からない、こういう声が大きくなってきた。これ、先ほど何人かのこの委員会で立たれた委員方々もおっしゃっておられましたけれども、これ、どうでしょうか、政府の説明の仕方が悪いのか、あるいは法律の筋が悪いのか、いずれかのお考えには至ることは果たしてないんでしょうかね。  もちろん、我が国を取り巻く安全保障環境の変化、どの国も一国では安全を保障できない、これ何度も何十度も繰り返された主張ですよね。ここは我々、実は同感なんです。確かに昔と一緒だとは全く思っていません。これ、国民も聞いたと思いますよ。それでも理解ができない。  ということは、これ繰り返されても、結局は同じなんじゃないでしょうか。あるいは、総理が御自身の露出を高める、これだけで国民が仮に納得するとお思いになっておられるのであれば、それは国民をばかにしていると私には思えてなりません。  要するに、国民代表たる者で構成されるこの国会の場において、その質問に、先ほどもありました、真摯にお答えになる、それがまず国民の理解を得る第一歩ではないかというふうに思います。  改めて、場が変わって参議院になりました。総理、是非そこについての御見解を賜りたいと思います。
  337. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 衆議院におきましても、御党、またあるいは維新の党から対案も出されたわけでございます。米艦を防護するための法律についても維新の党から対案が出された。これは、長い時間を掛けて議論した中において、論点がかなり整理された上において出された対案でもあったんだろうと、このように思うわけでございます。その中におきまして議論は大分かみ合い、深まったのではないかと、こう思うところでございます。  安全保障環境が変わっているということにおいて共通認識があるのであれば、そのためには何をすべきかということについて政策的な議論も深めていく必要があるんだろうと。言わば政策的な議論を深めていくことによって、国民的なこの法案に対する御理解も深まっていくのではないかと、こう期待をしているところでございます。
  338. 大野元裕

    ○大野元裕君 今のお話を聞いていると、維新の党、あるいは民主党のこともおっしゃられましたが、対案を出すということでかみ合ってきた、あるいは細かいところまで議論がされた、このように御評価をされているということは、つまり、御自身のお出しになられた法案の説明よりも、我々が対案を、若しくは維新の党さんが出したこと、若しくは出さなかったこと、これが国民の理解につながらなかった若しくはつながった、こういう御議論でございましょうか。これは、私、閣法を国会で審議をしていただく政府の立場としては、私は若干違うんじゃないかなというふうに思えてなりません。  確かに、具体的な議論というのは僕は必要だと思います。抽象的な議論を繰り返されたのは私は総理だと思いますが、しかし、これは今後しっかり私も、今日も実は後半部でしっかりと具体的な話させていただこうと思っておりますけれども、ただ、そのときにも、いま一つ申し上げれば、これ、この法案に関して、法律必要性だとかあるいは正当性だとか、それを説明する社会的、経済的、文化的な事実を指し示すいわゆる立法事実、これはやっぱり丁寧に説明されなきゃならない。ところが、ここの部分で正直分からないというのが多かったのではないでしょうか。  今日も実はそんな議論がたくさんありました。具体的に集団的自衛権の行使が例えば必要な例を示してくれ、その場合にはこうなのかと、こういう話をしても、とどのつまりが、いや、その時々の政府の総合的判断に委ねられるとか、いや、手のうちを明かしてしまってはとか、こんな議論に収束してしまっては、私は納得できないし、国民皆様も、納得できるような立法事実が重ねられて、なるほど、確かに自衛隊の任務はこれだけ広がる、リスクも広がるかもしれない、しかしながら、なるほどそうだと、こういう実は具体的な事実、立法的事実というものが示されていない、これも国民の理解を得られない大きな理由の一つではないかと思うので、決して野党が対案を出さないことが国民の理解が進まない、そういう理由ではないと私は思いますが、いかがでございましょうか。
  339. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私は、野党が出さないから理解が進まないということを申し上げたわけではなくて、むしろ出していただいて理解が進む一助になったのではないかという評価をさせていただいたところでございまして、言葉どおり受け取っていただきたいと、こう思うところでございます。  まさに、四十年前、四十七年の見解を示したときとは大きく状況が変わってきているわけでございまして、北朝鮮は当時は弾道弾ミサイルは持っていなかったわけでございますし、核の開発も進んでいなかったという状況がございました。同時にまた、ミサイル防衛によってミサイルを撃ち落とすことができるという能力も存在をしなかったのでございますし、今はその能力が日本にあると。  そして、その能力を生かしていく上においては、まさに米国日本の共同作業によってその能力を生かしていく。その中において、このミサイル防衛の一翼を担う米国の例えばイージス艦に対する攻撃は、まさに我が国の存立にこれは関わるわけであるという認定も十分になり得ると。これは四十七年当時にはなかった状況であります。そこはつまり、集団的自衛権の行使には当たるけれども日本の存立に関わるという理解は十分に成り立つ、新たな三要件の対象となり得るという、そういう事態にも直面するかもしれないというのは事実であろうと思います。  万が一に備えるのがまさに安全保障政策であるわけでありますし、そのための平和安全法制でございます。万が一、国の存立が危うくならないように事前にこうした法整備をしておく必要はあると。そして、そういう状況は既に国際社会において生起していると、このように考えておるところでございます。
  340. 大野元裕

    ○大野元裕君 様々な実は総理は立法事実とされるようなことを言っているんです。今おっしゃったのもその一つかもしれません。  いろいろ議事録を精査してくると、たくさん言っていることがあります。例えば、総理は、昨年三月の本会議においては、「我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、」、これはよくお使いになるお言葉ですよね、「領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。」、こういったことをおっしゃっています。今日は、ちょっとまずこのグレーゾーンの方から取り上げさせていただきたいと思っています。  法制を必要とする具体的な事実、立法事実、これが分からなければ国民は納得しないという話を先ほど申し上げました。それについての直接の総理のお答えはいただけませんでしたけれども、しかし法律を必要とする事実がある、そしてその法律を必要とする事実が確かにそのとおりである、説得力がある、そしてそれに対して法案が出てくる、これがやはり我々にとっては立法をする上でも極めて重要なことであろうというふうに思います。  先ほどその総理がおっしゃった、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にある、これ、同意です。総理がおっしゃるように、グレーゾーンから集団的自衛権の行使に至るまでシームレスに切れ目のない対応と、そうおっしゃっておられますけれども、このグレーゾーンについて、我が国を取り巻く安全保障環境の変化に、例えば尖閣諸島を含めた島嶼部の対処があろうかと思っています、いわゆるグレーゾーンの一部だと思いますけれども、いわゆる武力攻撃に至る前ですね。これは我が国が直面する喫緊の課題の一つだと私は思っております。  こういった新たな法制、お出しになられました。尖閣諸島等の島嶼部における武力攻撃に至らない、いわゆるグレーゾーン事態への対処はこの法制でどのように可能になるのか、教えていただきたいと思います。
  341. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の平和安全法制が実現すれば、国民の命と平和な暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまで、あらゆる事態に切れ目のない対応を行うということが可能になります。やはり、日本が危険にさらされたときに、日米同盟、これは完全に機能するようにすると、そしてそれを世界に発信することによって抑止力は更に高まり、我が国が侵害を受けるリスクは一層下がっていくということでございます。  そして、グレーゾーンにつきましても、法案も検討いたしましたけれども、五月の十四日に、武力攻撃に至らない侵害に際して、離島等に武装集団が上陸、不法占拠する事案等に対して切れ目のない十分な対応確保するために、海上警備行動、治安出動等の発令に係る手続の迅速化のための閣議決定を行ったところでございます。  これは、やはり様々な不法行為に対処するために、警察、海上保安庁などの関係機関がそれぞれの対応能力を向上させ、情報共有を含む連携を強化、そして各種訓練、これを充実させるということで各般の分野における必要な取組を一層強化をいたしまして、こういった事態協力をして、政府を挙げて対応する体制を整えたというところでございまして、新たな法整備が必要であるというふうなことは現時点においては考えていないということでございます。
  342. 大野元裕

    ○大野元裕君 よく分からないんですが。今回の法案法制整備されるとグレーゾーン事態への対処はどのように可能になるのでしょうかということを私は聞いているわけでございますけれども、どのように可能になったんでしょうか。閣議決定は法制と関係が決して直接ないと思います。私どもは法制議論させていただいています。法制でどのように可能になるんでしょうか。
  343. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、今大臣から答弁をさせていただいたように、我々は五月十四日の、武力攻撃に至らない侵害に際し、離島等に武装集団が不法上陸する事案等に対しては、切れ目のない十分な対応確保するため、海上警備行動、治安出動の発令に係る手続の迅速化のための閣議決定を行いました。  我々は、このことによって十分に今までの経験からいって迅速に対応することができると、こう考えております。それは、私もかつて官房副長官として北朝鮮の工作船に対応したことがございます。これは、いかに早くスムーズな判断をしていくかということであろうと、こう思うわけでございます。つまり、今回、閣議決定において、電話において瞬時に行うことができるわけでございます。それによって十分に対応は可能であろうと、このように思うところでございます。
  344. 大野元裕

    ○大野元裕君 対応の経験を伺っていません。私、法制でどのように対処が可能になるのかだけ聞いているんです。どのようになるんでしょうか。
  345. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、グレーゾーンにおいては、ですから、閣議決定を行うことによってスムーズな対応が既に可能になっているということについて新たに法制を行う必要はないと、このように考えているところでございます。
  346. 大野元裕

    ○大野元裕君 法制を改めてしていない、少なくともこの法制ではそれに対応していないという、そういう理解だと私は理解をさせていただきたいと思っております。  ちょっと済みません、その議論に入る前に、少し気になったんですが、防衛大臣日米同盟が強固になることで抑止力が高まりという話がございました。これ、実は抑止力については、いろんな国際政治の中でも議論があります。核抑止については恐らくそんなに議論はない。しかしながら、通常兵器の抑止についてはまだまだ議論があるところです。  さらに、このグレーゾーンについて、島嶼部においてという話がございました。先ほど総理も、武装した漁民等がという話は、実は明快ないわゆる武力行使や武力攻撃を構成しない、つまり抑止の網の目をかいくぐってくるような状況を我々は想定しているんです。  そうだとすると、これ日米同盟の話についても、かつて前原大臣でしたっけ、が最初にアメリカの方から尖閣諸島に関して、また総理がオバマ大統領からそういった発言もいただきましたが、これは武力攻撃がなされたときの話だと私は理解をしていて、これ、グレーゾーン、武力攻撃に至らない、しかも相手が軍隊かどうかも分からない、偽装もしてくる、こういうときの対応を言っているんですね。  これ、防衛大臣、もう一度御説明いただきたいんですが、日米同盟があると抑止力が高まる、これ私も、それは全く異存はありません。ただ、その抑止力が高まったところ、これ適用されないような形だから、彼らは巧妙に、漁民の格好をするのかどうか分かりませんけれども、かいくぐってくるんじゃないかと思うんですが、これ、防衛大臣アメリカとの間で抑止力が高まるから、構成されたものが高まるから、だから万全であるんだと、その言い方というのはちょっと違うんじゃないんですか。ちょっと御訂正いただけないでしょうか。
  347. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回も日米間でガイドラインの協議もいたしましたが、これは平時から有事に至るまでの切れ目のない対応日米間で更に協力していこうということで、やはりシームレス、切れ目のない、そしてグローバル、より広範囲に宇宙、海洋も、そしてメカニズム、こういった機能のできる、そういう要素を考えて各種事態対応するような協議をいたしました。  これは、やはり情報の共有とか、また共同訓練とか警戒監視とか、こういった面で日米協力をすることによって、こういった各種事態にしっかりとした抑止力対処力、こういうものを日米間で共有できるということでありまして、私は安全保障全般において日米同盟の果たすべき機能強化につながっている、またグレーゾーンにも対応できるのではないかと認識しております。
  348. 大野元裕

    ○大野元裕君 先ほどから、私、済みません、まだこの質問をもっと本当はいろいろやりたいんですが、全然話違う方へ行っちゃっていると思います。要するに、私、この法律でいかに対処できるかということをまずお伺いしました。総理はいろいろおっしゃいましたけれども、この法律では対処できるわけではない、そうですよね。この法律でグレーゾーン対処するんですか、これ。違いますよね。そういうことをおっしゃったわけですよね。  今大臣がおっしゃったのはガイドラインやあるいは訓練とか運用、こういった話ですから、この法律自体の日米同盟の強化が尖閣諸島を含む島嶼部に対処するわけではないじゃないですか。大臣、それちょっと私、随分話広げ過ぎで、国民が、我々は今法制議論をしていますからね、この法制について議論をしているときに、要するにこの法制は対処していないんだと、それで私は十分なお答えで次に進みたかったんですけれども。  もっと言うと、今海洋とか宇宙とかサイバーとかとおっしゃいましたけれども、じゃ、お伺いしますけど、こんな話、実はこれ今日聞こうと思っていなかったんですが、ガイドラインの話をされて、宇宙の話もしましたが、ガイドラインを締結するまでに宇宙のワーキンググループは何回開催されていますか。これ、一度外防でやりましたから、もし覚えていなければ私の方からまた言いますけれども、いかがですか。
  349. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 宇宙の協力におきましても、日米間で数度議論はいたしております。
  350. 大野元裕

    ○大野元裕君 ちょっと待ってください。ワーキンググループ、ゼロです。ゼロのはずですよ。前回そういう回答でしたが、違いましたか。お忘れならもちろんこれ通告していませんから結構ですが、ゼロだと私は思いますけど、それでよろしいでしょうか。
  351. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回議題に上りまして、これから議論するということになっております。
  352. 大野元裕

    ○大野元裕君 要するに、一回もワーキンググループもしないで合意だけ至った、これをもってガイドライン等で日米のきちんとした運用ができますよと。これ、大臣、きついですよ。法制議論しているときに、運用って広げておいて、よくよく見てみたらゼロ回、ワーキンググループの開催が。これ、サイバー三回やっているはずなんですけれども、私の記憶では。  そういった意味では、余り大臣、広げ過ぎてそうやって繕おうとするとどんどんどんどん綻び広がっちゃいますから、私、これから参議院で議論するときには、衆議院がどうかは分かりません、しかし、我々はきちんとファクトの上に、そして議論をさせていただきたいと思うので、是非適当なお答えだけはお控えいただきたいと思っております。  やっと戻れますけれども、総理、この法案では対処がなかなかできないという話が今あって、しかしそれは御経験の中から運用だと、そういう御選択をされたと、こういうふうにおっしゃったと思います。  ところが、これは国民から見て、蓋然性が低そうな事例だとか、我が国から極めて遠い地域での危機だとか、いや、そんなところまで我々は自衛隊を派遣してやらなければいけないのか、そういう国民に想像力を強要するような事例よりも、我々、私もよく分からないものですから、最近の例えば尖閣諸島をめぐる問題だとか、昨年大きく取り上げられたサンゴ礁の問題だとか、中国漁船の密漁ですね、こういった問題の方が恐らく、私が考えるに、国民にとっては身近な危機と感じられるかもしれないし、あるいは蓋然性が高い、そういうふうに私は、より説得力のある事例になるのではないかと、私個人はそう思っています。  このことについては、実は今月の十九日に総理自身が、これ記者会見だったでしょうか、述べられておられます。特に、例えば、中国漁船が尖閣諸島に押し寄せるとか、軍に所属しない警察機関が同諸島に上陸を試みるとか、武力攻撃に至らないような事態で、かつ既存の警察権だけでは間に合わないとか、あるいは飽和状態に至るような軍によらない攻撃があるとか、こういったものの対応と言われる場合には、私は国民にとっては説得力、よりあると思います。  喫緊の課題のように聞こえると思いますけれども、そこは総理は共有していただけますでしょうか。
  353. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この尖閣に対する、先ほど申し上げましたように、不法漁民の上陸等について対応していく必要はもちろんあるわけでございますが、そのためにも、現在、警察や海上保安庁などの関係機関が各々の対応能力を向上させ、情報共有を含む連携を強化するほか、各種の訓練を充実をさせているところでございまして、これ、海保と海自の共同の訓練等も含めて取組を一層強化しているところでございまして、こうした安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に対して、かかる不法行為に対して切れ目のない対応確保するための体制を我々は整備をしているところでございまして、つまり、そうした状況につきましては、基本的にはこれは、一義的には海上保安庁、そしてまた上陸に対しては警察で対応する、またこの共同の対処をしていくわけでありますが、しかし、海保、警察の能力を超える場合は速やかにこれは海上警備行動等において自衛隊も対処する、このスムーズな切れ目のない対応ができるようになっていると、このように思うところでございます。それは、今までの経験からそういう対応が可能になっていると、このように考えております。
  354. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、私、申し上げているのは、立法事実として国民に説明する、そういったことが必要ですねという議論をしました。そして、よりこういったものが喫緊で説得力のある身近な危機として国民には本来受け入れやすいものではないのかと思うかというふうに問うたわけですけれども、まあ結構でございます、そこについてお答えはいただけないわけですが。  ただ、総理、こういった、私は喫緊の課題だと思いますけれども、これにつきましては、実は昨日の本会議あるいは今日の総理の御発言の中でも対案についての言及がございました。ところが、これ、対案どころか、民主党は、昨年の十一月十七日、与党が安保法制を出す前にこの領域警備法について法制化し、法律として提出をさせていただいています。それは極めて喫緊の課題で、遠くにいたずらに自衛隊を送るようなことではなくて、まず自分たちの近くをしっかりと、日本人の命を守る、日本の領土を守る、これを法制として出そうではないかと、こういうまず御提案をさせていただいておりますが、残念ながら、それは一切審議もされず、廃案になりました。  そして、維新の党さんと議論をさせていただいて、それをベースにして、維新の党さんの御意見も入れさせていただいたものを衆議院にも提出をさせていただいて、これは一部議論をしていただいたところでございますが、この領域警備法については、私は、総理、お出しになるべきではないか。自民党としても御検討されたということですけれども、あくまでも、なぜこれを出さなかったという、あるいは、ごめんなさい、その前にまず、十一月十七日に我々が提出させていただいた領域警備法については、なぜ御審議をいただけなかったのかということについてまず教えていただけませんでしょうか。
  355. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々も、法整備が必要であるかどうかということについては党において検討をしていたところでございますが、その結果、言わば先ほど申し上げましたように閣議決定を行ったところでございまして、五月十四日に、武力攻撃に至らない侵害に対して、離島等に武装集団が不法上陸する事案等に対して切れ目のない十分な対応確保するための海上警備行動、治安出動等の発令に係る手続の迅速化を進めたわけでございます。  御党より提出をしていただいたこの法案についても検討をさせていただいているわけでございますが、御党の案は、言わば自衛隊が平時から海保とともに警察権を行使するというものでありまして、そうしますと、日本の側が事態をミリタリーのレベルにエスカレートさせたとの口実を与えるおそれがあると考えるわけであります。あくまでも他国の警察組織や民間の船舶などに対しては警察機関がまずは対応して、そしてそれが無理であれば自衛隊対応すると、この速やかな移行が可能になることが大切であると思っておりまして、現時点ではこのような領域警備法を制定する必要はないと、このように考えております。
  356. 大野元裕

    ○大野元裕君 総理、誤っています、御認識が。我々がまず十一月十七日に出したものは平時での警察権は認めていません、自衛隊に対して。そして、その後、維新の党さんとお話をさせていただいたものについては、これは確かに変わっています。まず御認識が違うということであります。(発言する者あり)十一月十七日に我々が出させていただいて、御党が運用でやることをお決めになったものにつきましては、我々は、この日本の領土、領海、そして人の命を守るということが大事なので、まずしっかりと自分たち周りを守るということで、与党が出す前に出させていただいたものにつきましては、これは平時の自衛隊に対して警察権を付与するということは、実は日本の領土内において一般に認めておりません。  そこは改めて申し上げさせていただくので、ちょっとそこは御認識が違うと思いますので、御訂正いただきたいと思います。十一月十七日に提出させていただいたものです。
  357. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) もう既に廃案になっておりますので言及をしなかったのでございますが、言わば衆議院で御党が維新の会とともに出したものについて今お話をさせていただいたところでございます。
  358. 大野元裕

    ○大野元裕君 後者については、実は維新の党さんと、私、ちょっと後ほどこれは議論をさせていただきたいと思っています。  ところで、この安全保障の見直しについては、切れ目のないという下に確かに進められてこられました。他方で、昨日、北澤我が方の委員が言及をされましたけれども、国政選挙において自民党が争点としたもの、前面に掲げてきた政策は復興や経済であった、そして集団的自衛権の行使を含む安全保障については小さく触れられたにすぎないのではないかということが昨日も議論になりました。  政権公約の隅に小さく書いた、その選挙で大勝したのだから国民から全権委任されたんだ、だから安保法制を取りまとめ、そしてその上に、国会審議においても聞かれたことにまともに答弁しなくてもいい、こういう態度であっては私は決してならないと思いますけれども、あのときの選挙で信任を受けたということで、もはや安倍政権はこの安保法制に取り組むことが言わば国民に対する約束、そしてやらなければならない、国会審議においてもこれを、衆議院においてもそうでしたけれども、強行採決をしても構わない、こういうスタンスだということで、御理解でよろしいでしょうか。
  359. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々自民党、また与党は、選挙に際し、政権を取れば何をするかということをお約束をします。それがまさに選挙における公約であります。この公約について、公約でお約束をした以上、もし政権を取ったらその公約を実現するために努力をするのはこれ当然のことであろうと、こう思うわけでございます。  様々な公約を私ども行っているわけでございますが、また、さきの総選挙におきましても、数々の私もテレビ番組、討論番組に選挙中に出演をしたのでございますが、大体毎回この集団的自衛権の行使については議論になったことは間違いのない事実でございます。そういうことも含めて、我々、選挙において多くの議席をいただき、そして政権を維持することができたわけでございます。  しかし、だからといって乱暴なことをやっていいということは全く思っていないわけでありまして、言わば公約を実現するためには、当然国会において御審議をいただき多数の賛成を得なければ、そして衆参において成立をしなければこれは法にならないわけでございまして、そしてしっかりとこの法案を御審議をいただき、その中におきまして国民皆様の御理解が進んでいくように更に努力を謙虚に重ねていきたいと思っているところでございます。
  360. 大野元裕

    ○大野元裕君 謙虚に重ねて努力をしていく、衆議院審議にもかかわらず、参議院においては是非、そのお言葉、しっかりと受け止めさせていただいて、今日のところまだまだ危なっかしいような気もいたしますけれども、これから実り多い議論にしたいと思っています。  また、総理、選挙公約で掲げてこれを努力してやっていくのは当然のことだと、これ私もすばらしいお言葉だなと思って、そこは尊敬をさせていただきたいと思っています。  その意味で振り返りますと、自民党の二〇一二年の選挙公約の中には領海警備法を整備しますと書いてあります。これは行わないんでしょうか。ほかの安保法制集団的自衛権とどこが違うのか教えていただきたいんですけれども。
  361. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは先ほど答弁をさせていただきました。確かに、我が党の中においても議論を行いました。そして、公約の中にそうした趣旨のことを書いたこともございましたが、しかし、議論を重ねた結果、むしろこれは、大切なことは、しっかりと日頃から連携を密にしていくこと、情報を共有していくこと、あらかじめ訓練をしっかりとしていくことと同時に、先ほど申し上げましたように、スムーズなこれは海上警備行動等に移行できる体制ができていればいいという観点から、我々は法制化の必要はないと、こう判断したところでございます。
  362. 大野元裕

    ○大野元裕君 総理、二〇一二年の総裁は総理でございますですよね。そうですよね。そして、そのときのマニフェストに領海警備法を整備しますと書かれました。総理は、それ以前の官邸における御経験もあり、これは必要がないと。これ、時系列でいくと、先に経験があるんですね。にもかかわらず、公約で国民皆様に領海警備法をやりますと書かれたんですね。先ほどの御説明だと、しかし、そのまた先に遡って、その前の経験を考えると、運用でできる、電話連絡でやればいい。これはちょっと不誠実じゃないですか。  これ、違う理由がおありになるような気も私はしますけれども、ちょっと私には総理の御説明、少なくとも分からないし、国民もそれでは納得しないと思いますけれども。なぜ、本当に喫緊の課題で、本当に近くを守らなければいけない、こういった領海警備法について、その前の理由はあったにもかかわらず、その後、総裁として責任あるときにお書きになったものには領海警備法をやりますといって、また見直すと、これ、どういうことなんでしょうか、教えていただけませんでしょうか。
  363. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 言わば、かつての経験からいえば、つまり海上保安庁、そして警察、そして防衛省があるわけでありますが、それぞれの役所間のある種のセクショナリズムが常にこれは伴うわけでございます。その中におきましての権限をある種守ろうとするという本能のようなものがあって、結果として情報の共有がスムーズに行われないと。これはある意味、分を越えたところまで頑張ってしまって、これは能力を超えたら次に手渡さなければならないものを手渡さない危険性があると。こういうことも含めまして、それを法制化した方がいいと、このように自民党の中でも議論をしてきたところでございますが。  しかし、これは議論に時間を掛けていく中におきまして、これは、各、海上保安庁、そしてまた警察や防衛省も、経験を重ねていく上においてしっかりとふだんから密接な連携を取っていく、あるいは共同の訓練も行っていく。そしてまた、例えば島にそういう不法漁民であるとか、どういう実態か分からない人々が上陸をする際に、上陸した後はこれは自衛隊対応しなければならないわけでございますが、かつては必ずしもその対応に資する部隊の訓練も十分でなかったということもございました。  しかし、それに対して、今はかなりその対応というものが進んで、そのための訓練も進んできているわけでございまして、そして、その中におきまして、スムーズな連携、連絡の中において、海上保安庁であればこれは直ちに海自の例えば海上警備行動で対応していくということについて、かつてはこれ閣議でありますから、一人一人の閣僚をこれは集めなければいけなかったのでございますが、電話でスムーズに行っていく。そしてまた、当然、この警察力で十分かどうかということについて、防衛大臣のみでこれを判断できるわけではないわけでございますから、当然、これはやはり閣議を経て行っていく必要もあるんだろうということでございます。  そうした経験も含めまして、近年の変化も含めまして、このように判断をしたところでございます。
  364. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう少し整理してからお話しいただけませんか。  先ほど総理がおっしゃったのは、かつて官房副長官時代に経験があった、だから運用していいとおっしゃったんですよ。  ところが、今は、政権取った、公約を作って、その後に密接にこうやってできることが分かってきた。よく分からないですよね、時間を掛けていく中で。  要するに、官僚の縦割り行政の話、先ほどおっしゃいましたけれども、官僚の縦割り行政の中での抵抗に遭ってできなかったと、こういうことなんじゃないんですか。  私は、まさにそういった中で、役所の権限争いの中で、確かにあります、それは一生懸命頑張り過ぎる、それは役所の方々を全部責めるわけにはいきません。しかしながら、その中で、結果としておっこってしまう、密接な連絡が付かない。海上保安庁と警察庁、自衛隊の中でのうまく連携ができない。そういうことじゃないんですか、教えてください。
  365. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この数年間、尖閣の領海、接続水域に公船が何回も侵入をしてきているわけでございます。そこで海上保安庁が対応しているという状況が事実あるわけでございます。  そこで、現在は、その間においても海上保安庁と自衛隊においては緊密な連携を取っております。この二年半においてその連携はより密になっていると言ってもいいんだろうと、こう思うわけでございます。  かつてはそういう連携がなかなか取りにくかったのは事実でございますから、そういう法制化による、私が先ほど官房副長官のときの経験を申し上げましたのは、工作船が重武装であったわけでございますが、そうした情報について十分に、言わば情報本部が取った情報が海上保安庁に伝わっていたかどうかという問題点も、私は問題意識も持ったわけであります。つまり、重武装しているという情報を、情報本部は取っているけれども、これは海上保安庁には伝わっていないということになれば大きな問題であったわけであります。  ですから、そうした法制の必要も考えていたところでございますが、しかし、今回、閣議決定によってそれはスムーズに海警行動を行うことができるようになったわけでございますし、さらには日々の連携等は飛躍的に向上しているというのが事実でございますから、その観点から今回は閣議決定によって行うことがふさわしい、そして、先ほど申し上げましたように、言わば海上保安庁が対応するところをいきなりこれは海自が海警行動によって出てくるということは、まさにいきなりミリタリーに引き上げたということを相手に口実として与える危険性は非常に高いわけでございまして、そういう観点からも、我々、今の対応の中でスムーズに移行する、こうした体制がいいと、こう考えているところでございます。
  366. 大野元裕

    ○大野元裕君 委員長、ほとんど私の質問に対する関係のない話を延々とずっとお話をされている。是非こういった、私、委員会は、実り多い委員会にしようと最初から言っているわけですから、やはりキャッチボールをしっかりさせていただいて、我々も謙虚になりますし、政府側もしっかり謙虚になってお答えいただきたい。委員長、是非そこはお願いさせていただきたいと思います。
  367. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問を続けてください。
  368. 大野元裕

    ○大野元裕君 今の話の中でも話がありました、総理、さっきおっしゃったのは、官房副長官としての経験があったから法制化しなかったんだとおっしゃったんですよ。その後、政権公約の話があって、またやらない。これ、国民には納得できないし、私も納得できません。  また、法制化するということ、自衛隊がすぐに出ると、そんなことは法律には一切書いてありません。維新の党の、御一緒のもそうですけれども、我々は警察権を前面に出して、そしてその手続を法制化をしているんです。電話連絡じゃないんです。運用でやるよりもきちんと法制化で制度化した方が、当然の話ですけれども、総理の大好きなその時々の政府の御判断や運用に委ねるよりも私はいいと思いますよ。しかも、閣内で様々な御意見がある中でも、そこは法制化することによって縦割り行政だって乗り越えることができる、これが我々のアイデアでございます。  その上で、この話繰り返していると、時間、済みません、次の回まで取られそうなので、太田大臣に、まさに閣内の話でございますので是非お伺いをさせていただきたいんですけれども、今回の安全保障法制につきましては、法案にサインされた閣僚の皆様に、実はお一人お一人御見解を問いたいと思っています。しかしながら、それもなかなか時間的にかないません。  そこで、連立与党を組む公明党出身の閣僚としてお伺いをさせていただきたいんですけれども、これらの法案にはしっかりと賛成であって、そして、衆議院議論をお聞きになっていて、公明党として、公明党の支持者の皆様、支持団体の皆様にもしっかりと御理解をいただいているというふうにお考えかどうかをお聞かせいただけないでしょうか。
  369. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 私は、申し訳ありませんが、現在は公明党を代表する立場にはございません。法案につきましては、内閣の一員として閣議で署名をさせていただいたものでございます。  あえて申し上げますと、自公の与党協議を経て、そこで合意が形成をされて今回の法案提出されたものと、このように承知をしています。この理解ということについて言えば、これは常に、誰人であろうとも引き続き国民皆様に丁寧に分かりやすく、党員も含めて説明に努めていくということが我々の責務であろうというふうに思っております。
  370. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、確かにそういう与党協議の中で出されてきた。ところが、今日の新聞を読んでみますと、いろいろあるんですが、日を追って国民の批判が高まる中、自民と足並みをそろえる公明党の足下で、地方議員や支持団体の創価学会員たちの反発や離反が起きている。そして、九四%とも言われる、毎日新聞のたしか世論調査だったと思いますけれども、公明党の支持者の皆さんの中で、安保法制に対する審議は不十分、九四%ですって。民主党支持者より高いんですね。  このような状況大臣はいかにお受け止めでいらっしゃいますでしょうか。
  371. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 私は、先ほど申し上げましたように、党の今代表する立場にはありませんが、公明党の山口代表を中心にして説明を今しているという状況だと思います。  先ほど私が申し上げましたように、何%というような世論というのは承知をしておりませんけれども、常に国民皆様に、党員も含めてしっかりと丁寧に御説明申し上げるということが最も大事なことだと思っております。
  372. 大野元裕

    ○大野元裕君 その一方で、公明党の支持団体、これは公明党のホームページ見ると創価学会と書いてございまして、池田名誉会長、実は、私も国会議員になる前に、いろいろ実は地域情勢等で御著書もいただいたり、そして私も、まさに平和を支持する、あるいは多様な文明、文化を支持されるという意味で、その意味では、実は創価学会の雑誌等にも幾つか寄稿させていただいたこともございます。  その池田名誉会長からも幾つか御本もいただいたことございますけれども、その名誉会長御自身が第十六回SGIの日記念提言ということで書いてございまして、そこに、国連安全保障理事会常任理事国になるには無理がある、その理由として、法制局見解によると日本国憲法はその集団的自衛権を禁じ自衛隊の海外派兵を違憲としているからですと述べておられるようでございます。  支持団体の指導者の方が、集団的自衛権は憲法で禁じられている、自衛隊の海外派兵は違憲とする、こういう御理解のようでございますけれども、太田大臣、我々は政治家として、当然、国民の意見、先ほどおっしゃられたとおり、何人であろうともしっかり聞かなければならない。しかしながら、お膝元の支持団体の指導者の方がこのような書き方でございますけれども、この辺については、当然、整合性が取れて太田大臣も閣僚としてサインをした、そして安保法制を進めているということでよろしいんですよね。お聞かせください。
  373. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 自らの判断で閣議決定に署名をさせていただき、先ほど申し上げましたように、自公の与党協議を十分経てこの法案提出されたものだと承知しています。
  374. 大野元裕

    ○大野元裕君 総理、先ほどから、国民に対する、国民の理解がなかなか進んでいないというところから、これ、今日の質問入らせていただきました。これ、太田大臣にもちょっとお伺いを先ほどさせていただきましたけれども、実は、与党協議を経て法案提出した、それだけではないんです。この法案がなかなか分かりにくい、私は出来が悪いと思っていますよ。あるいは、衆議院答弁等では真摯な答弁ができていなかった、だからこそ国民の理解が深まっていない。そんな中、我々は、閣僚の一員として進めていくだけではやはり済まないと思います。  この参議院の議論を通じて、今日は二つのトピックしかできなかったですし、総理相当お疲れのようですからこれで私もやめておきますけれども、今後まさに参議院においては衆議院以上にしっかりと深まった議論というものをさせていただかなければ、国会議員としての務めが果たせない、責任が果たせないと思っておりますので、我々は、命を大切にする、近くは現実的に、遠くは抑制的にという立場から改めてこの安全保障を考えていくということをお誓いをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  375. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後五時十六分散会