○柿沢未途君 維新の党を
代表して
質問いたします。(
拍手)
昨年十二月の
衆議院選挙で、維新の党は、小
選挙区十一、比例三十の計四十一議席を獲得し、引き続き
野党第二党の重責を担うこととなりました。過去最低の五二%の低
投票率の中、議席半減との当初の予想を覆して、これだけ多くの御支持を全国でいただいたのですから、今後の国会論戦でその御期待に応えてまいりたいと
考えております。徹底論戦と建設的提案で改革の実行を迫ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、いわゆる
イスラム国、
ISILと称する過激派勢力による
日本人人質に対する凶行についてです。
二人の
人質のうち、
湯川さんが
殺害されたと推認できる映像がインターネットで公開され、手錠をかせられた姿の
後藤さんからは、
ISIL側からの新たな要求が語られています。
暴力による脅迫に屈することは、さらなる
テロを呼び寄せることとなり、絶対に認めることはできません。その一方で、
人質の救出を最優先として、事態の好転に向けたあらゆる策を講じていかなければなりません。極めて難しいかじ取りですが、与
野党の別なく、事態打開に向けた
政府の
取り組みに協力をしてまいりたいと思っております。
非常に気になっているのは、
ISILの支配
地域内に入った
日本人がこの二人だけなのかという点であります。昨年末には、
政府関係者の話として、都内に住んでいた、いずれも二十代の
日本人女性とフランス人男性のイスラム教徒の夫妻が、十一月に、
ISIL支配
地域に向かうと言ってトルコへ向かって出国し、以来、連絡がとれなくなっている、このように報じられています。
国連安保理は、昨年九月、加盟国に対して、自
国民が
ISIL初め過激派武装組織に参加するために海外に渡航することを禁止し、その処罰を求める決議を採択しておりますが、戦闘目的でないと言われると、憲法が保障する海外渡航の自由の関係から出国の差しとめは難しいとも言われています。
ISIL支配
地域に入った
日本人がこのほかにいるのかどうか。他に
人質となっていると推認される
日本人の
情報を
政府が把握していないかどうか。今後そのような
可能性の芽をどうやって摘んでいくのか。
政府の見解と方針をお伺いいたしたいと思います。
さて、
補正予算です。
補正と翌年度
予算を一体化させて十五カ月
予算と称している、そうした手法がこのところ常態化しており、
安倍政権になってからも、両
予算の合計は、三年連続で百兆円
規模となっております。
そもそも、リーマン・ショック後の麻生
政権による
補正予算で、それまで八十兆円台だった歳出
規模が一気に百兆円の大台を突破し、非常事態への
対応だったはずの歳出膨張が延々と続けられています。
五十兆円の税収しかないのに百兆円の
予算をばらまく、このような赤字国債漬けの財政が長く続けられるはずがありません。これだけの歳入歳出のギャップを
増税だけで埋めるならば、
消費税率三〇%にもなってしまいかねません。これでは
経済が本当におかしくなってしまいます。
百兆円
規模に膨らんだ歳出の側にメスを入れる、歳出
削減が避けられないと
考えますが、
安倍政権が歳出
削減に真剣に取り組む姿勢を持っているようには、補正からも来年度
予算からも見てとることができません。
財政収支の均衡を目指していく上での歳出
削減の
必要性についての
安倍総理の見解を伺います。
一方、わざわざ
景気条項を削除してまで二〇一七年四月の
消費税率一〇%への
増税を実行しようとするのは、あくまで
増税先行で財政再建を目指す
安倍政権の意思のあらわれのようにも感じられますが、財務省はそのような
考えなんでしょうか。
麻生財務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
安倍総理は、ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授が唱えるアレシナの黄金律をお聞きになったことがおありかと思います。OECD加盟二十カ国について、財政再建に成功した国と失敗した国の要因を分析したところ、成功した国では、財政再建が歳出
削減七、
増税三の割合で行われており、反対に、まず
増税先行で始めた国は、
経済の悪化を招き、必ず財政再建に失敗していると
指摘されています。
そして、
経済を悪化させずに財政再建を果たした国では、歳出
削減として、公務員人件費、公共
事業費、
社会保障費の
削減が行われていたということであります。公務員人件費を含む歳出
削減に力を入れた国で財政再建が成功したのは、公の
仕事をする者がみずから身を切る姿勢を示したことで、
国民にも痛みを求める厳しい
政策に信頼と理解が得られたからではないでしょうか。
我が国では、それとは真逆のことが行われています。昨年四月に
消費税が八%に上がりましたが、翌月五月に何を上げられたかといえば、
国会議員の歳費が月二十五万円、年額四百二十万円も上がっています。震災後の特例的な二割カットが期間満了したためと説明されていますが、震災
復興が終わったわけでも、財政事情が劇的に好転したわけでもありません。これでは、
増税したそばから上がってきた税金で自分
たちのお給料を上げていると言われても仕方がないではありませんか。
秋には
国家公務員給与も七年ぶりの
引き上げ、冬のボーナスは二一%もの増額が決まりました。国に倣って
地方も、議員と公務員の給与、ボーナスのアップが決められています。
アベノミクスでもなかなか実現しない賃上げを、議員と公務員が真っ先に享受している格好ではありませんか。
民間の常識では、巨額の赤字を出し続けている会社が給与やボーナスをふやすのは
考えられません。赤字を出した会社なら、まず
経営者がみずからの役員報酬をカットするのが当たり前です。シャープを見てください。役員報酬五〇%カットです。第三・四半期に三百八十四億円の赤字を出した住友商事では、社長の四〇%以下、全役員の報酬をカットしています。なぜ、こんな中で
国会議員のお給料をふやせるんですか。
維新の党は、
衆議院選挙のマニフェストで、身を切る改革として、
国会議員の定数三割、歳費三割の
削減、領収書不要となっている月百万円の文書通信交通滞在費の使途公開を訴えました。そのための議員立法も国会に
提出をいたしております。現在、継続審議になっておりますので、今国会で一歩でも二歩でも前進させたいと思っております。
安倍総理、
国会議員の身を切る改革は、財政再建の第一歩です。まずは
各党会派で御
議論いただいてと、いつもの紋切り型を繰り返すのではなく、
政府・
与党の最高指導者として
決意を示していただきたいと思います。御
答弁を求めます。
その上で、公務員人件費の二割
削減を実行したいと思います。
民主党も、二〇〇九年の
衆議院選挙のマニフェストで公務員総人件費二割
削減を掲げており、党派を超えた幅広い合意が可能と
考えております。
単純な給与カットを言っているつもりはありません。公務員給与の決定に当たっての人事院による官民給与比較の調査対象が大
企業に偏っていて、従業員一人以上の
中小零細を含めた全
企業を比較的満遍なく対象にした国税庁の民間給与実態調査と比べると、人事院調査では年収換算で六百六十万円、国税庁調査は四百十四万円、二百万円以上の開きがあります。民間準拠というなら、給与の高い一部の大
企業だけを調べて公務員と比較するのはおかしいのではないでしょうか。
国家公務員の昇給のベースとなる能力・業績評価もゆがんでいます。年功序列を排するといいながら、一般職の能力・業績評価は、特に優秀のS評価、優秀のA評価、通常のB評価の五段階の上三つで九九・四%を占めており、やや劣る、劣るのC、D評価は、たったの〇・六%しかありません。結果、年功序列で仲よく昇進、給与も上がっていく仕組みが守られています。
こうした公務員給与の決定構造や公務員制度そのものの改革を通じて、公務員人件費の二割
削減を行い、国、
地方合わせて五兆円
規模の歳出を
削減する、これが私
たちの
政策であります。
衆議院選挙のテレビ討論で橋下市長がこれを語ったとき、
安倍総理も理解を示す、そうした場面があった記憶を持っておりますが、アレシナ教授の研究
成果でも有意性が実証されている公務員人件費の
削減について、
安倍総理の
取り組みを伺います。
こうした人件費の
削減を公務員の皆さんにお願いする上でも、繰り返しになりますが、お願いする側の私
たち国会議員、
政治家が、まず、みずからに厳しい身を切る改革を断行するのでなければ、みずからの身を守るだけの、自分勝手のそしりを免れません。
橋下大阪市長は、みずからの市長報酬四割カット、四年の任期ごとにもらえる約四千万円の退職金を八割カットし、ついには、次回から退職金ゼロにすると言っています。このようなみずからに厳しい身を切る改革をまず行うからこそ、知事時代には一般職職員給与の最大一四%もの
削減を実行できたんだと思います。
私
たち国会議員も、ぜひ本気で、歳出
削減の第一歩としての身を切る改革を負けずに実行、取り組もうではありませんか。
いわゆる大阪都構想について
質問します。
安倍総理は、大阪維新の会並びに維新の党が進める大阪府市統合によるいわゆる大阪都構想について、二重行政をなくし、住民自治を
拡大していく
意義はあると評価されています。その上で、住民
投票で賛成多数となれば、必要な手続は粛々と行っていきたいと話しておられます。
大阪都構想の実現は、これまで幾度も掲げられながら一度も実現してこなかった統治機構改革を
地方自治体の発意で進めていくものとして、画期的かつ歴史的
意義を有する
取り組みです。
人、物、金の移動が広域化している中、都市間競争、
地方と
地方の競争により
日本全体の活力を取り戻していくために、広域
地方政府である道州制への移行が必要と私
たちは
考えており、大阪都構想の実現はその一歩ともなると
考えております。
安倍政権も道州制を掲げていたはずですが、道州制推進基本法案の
国会提出が何度も何度も先送りにされているうちに、
自民党の道州制推進本部長から、法案は棚上げする、県は残す、究極の後ろ向き
発言が飛び出すありさまであります。
大阪都構想の
意義とともに、
東京と大阪という二極による
経済成長を目指し、さらには道州制の実現を進めていく、こうした意思があるのかどうか、
安倍総理にお伺いをいたしたいと思います。
このような大改革を
安倍政権として断行する意思があるのでしょうか。
いわゆる第三の矢についてはどうでしょうか。
安倍総理は、昨年のまさに今ごろ、一月のダボス
会議で、こう高らかに宣言しておられます。今後二年間であらゆる岩盤規制を打ち砕く、いかなる既得権益といえども私のドリルからは無傷でいられない。
一年
たちました。どうなっているでしょうか。
農業改革、農協改革は、佐賀県知事
選挙の敗戦によって、出だしからにわかに暗雲が立ち込めています。
二〇二〇年には完全に競争的な電力市場になると宣言した電力自由化は、肝心かなめの発送電分離の先送りを求める声が電事連会長から早くも上がっています。
かつて郵政改革の象徴でもあったクロネコヤマトのメール便は、郵便で送るのは許されても、メールで送ると信書とみなされ、利用者が罪に問われかねないケースが相次いでいると、ついにヤマトはメール便のサービス廃止に追い込まれる
状況になりました。
農業改革、電力改革、こうした改革について、新規参入と競争の推進によって既得権益を打破する改革をやり抜く
決意かどうか、所管の
大臣に伺いたいと思います。
その上で、第三の矢の岩盤規制の改革について、既得権益の岩盤を打ち破るドリルの刃になる、
安倍総理のこの
決意が変わっておられないのかどうか、改めてお伺いをいたしまして、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕