○重徳
委員 後退することにはならないという今御発言がありましたけれども、幾らでも、効果、課題、カメラが大き過ぎるとか、視察に行った
委員は全員感じたような課題も既にあるわけであります。
そういったこともどんどん解消していって、
捜査当局側としては、これはもう
現場の声として、それは今までのやり方が変わっていきますから、供述が引き出しにくいとか、
検察官の
取り調べのスキルが、果たして
調書作成能力が維持できるかどうか、いろいろな懸念はあると
思いますけれども、やはり、難しいから次はちょっと縮小、後退させるというようなことは、あってはならない
方向性だというふうに
思います。
これまでの
質疑の中でも、
裁判所においても、
録音、
録画というものを前提とした裁判というものが既に行われつつある、
裁判所の証拠の採用としてもそういう傾向があるというような
指摘もありますし、前にとにかく向かっていくという決意は、
大臣今おっしゃったとおりでありますし、我々もきちんと前に向かっての課題の
指摘などをしていきたいと思っております。
ところで、同様の趣旨の
質問を
山谷国家公安委員長に申し上げたいんですけれども、先般から、視察のときに、
警察官、警視庁の方が、心のキャッチボールということをおっしゃっていました。心のキャッチボールがカメラの前ではやりにくくなるというような趣旨だったとは思うんですね。
ただ、そのときに、私は、両面においてあれっと気がついたことがあるんですけれども、
一つは、キャッチボールと言うけれども、そもそも
取り調べ官と
被疑者というのは対等な
関係でキャッチボールをやるわけではないですから、信頼
関係、友情
関係が生まれるような
関係にはないと思うんですね。それは、巨大な国家権力をしょった個人、そして組織に対して、ずっと一人で拘束状態にある
被疑者でありますから、対等なわけがない。
そして、長期間孤独に身柄拘束をされれば、早くその状態から解放されたい、できるだけ罪は免れたい、こういう
思いに置かれている
被疑者が、
警察官、
取り調べ官の示唆することに対して、この人の言うとおりにすれば罪が軽くなるかもしれない、早く解放されるかもしれない、そういう期待を持って、ある
意味すがるような
思いになってくるというのは、これは想像がつくところだと思うんです。まして、早く自白をすれば楽になるよなんというふうに言われたら、自白した方がいいのかなというふうに思う。
これは、だから、決して、友情
関係、信頼
関係というよりは、中にはそういう
関係を構築するような
取り調べ官もいらっしゃるかもしれませんけれども、基本的にやはりベースが違うと思うんです。
そういう
意味でのキャッチボールという
言葉に対する若干違和感があったという一方で、やはり、犯罪者、真の
犯人であることも当然多い
被疑者でありますし、再犯を繰り返すような人物もいるわけですから、そういう
被疑者に対して、そう生易しいことでは十分な供述が引き出せないことも、これは一方で容易に想像がつく。時に
言葉が厳しくなったり、あるいは、どうなんでしょう、
取り調べ官も少し
被疑者に対して歩み寄るというか、同調する、あなたの言うこともわかるよ、その気持ちもわかるよというようなこと、厳しく当たる、あるいは少し同調するような
言葉、こういったことも恐らくキャッチボールの中の
一つだと思うんです。
だけれども、それは非常にカメラの前ではやりづらい、こういう心理というのは
取り調べ官には必ずあると思うんです。そういったことも含めて心のキャッチボールと言われていたんだろうな、こう想像するわけなんです。
私は、仮に、少し乱暴な
言葉で追及するとか、あるいは、俺もあんたの気持ちはわかるよ、こんな犯罪者の気持ちがわかるようでは
被害者が浮かばれない、そういう見られ方もするでしょうけれども、しかし、そういったことも含めて、可視化が当たり前になってくれば、見る側にとっても、それはわかる、
取り調べというのはこういうものだというふうにわかると思うんです。そういう段階に至るぐらいまでに、本当の
意味で
被疑者側も
取り調べ側も萎縮しないような、そんな可視化の将来像というのを描くべきではなかろうか。
そういうことも含めて、やはり、この可視化というものがどんどん
制度化し、そして、今、任意でなされている部分も必ず拡大していく方向でやっていくんだ、こういうふうに捉えてよろしいでしょうか。