○
桜井参考人 皆さん、おはようございます。
布川
事件という
冤罪を体験しました
桜井昌司と申します。
私は
法制審議会の方に俺を呼べと何度も言っていたんですけれども、無視されまして、とうとう
法律になってしまいましたけれども、きょうここにお招きいただきまして、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
参考人として呼ばれることが確定して以来、私、
冤罪の仲間
たちと何度も話しました。こんな
法律、どうしよう、誰一人として賛成しないんですね。俺
たちが入っていないのにどうするんだよと志布志の仲間は言っていますね。痴漢
冤罪が入っていないじゃないかと言うんですよ。
冤罪の苦しみは、強盗殺人だけが苦しいわけじゃないですからね。痴漢
冤罪も同じように生活が暴かれて、苦しいんですよね。俺
たち無視されて、どうするんだと怒っているんですよね。
それに、最も核心的なことは、私
たちは、
警察と
検察は信用できないものだと体験として知っているから、このような中途半端な
法律でいいと思えないんですよ。
話をした仲間に、大阪地裁所長襲撃
事件と呼ばれるものがあります。お定まりのとおりに、不良少年が逮捕されまして、最終的には、三人の少年と二人の成人が起訴されて、
裁判になりました。少年の一人が彼女にメールをしていまして、そのメールを彼女がたまたま保存していたらしいんですね。それが調べの中で明らかになって、アリバイが成立して、おかげさまで無罪になりました。
私、国賠
裁判を傍聴に行ったんですよ。
捜査責任者の福積さんという方が証言に来ました。そうしたら、この方が、私は今でも犯人と確信していますと言うんですよね。さすがに
弁護士があきれまして、この少年
たちはアリバイが成立して無罪になったんですよと言ったら、何と言うかと思ったら、私はそんなアリバイを認めませんと言うんですよ。では、あなたはこの少年
たちをなぜ犯人と思うんですかと言ったら、
裁判所の逮捕状がありますと言うんですね。その
裁判所がアリバイを認めたんです。私はそんなのを信じませんという方が今でも現職の大阪の
警察官をやっておられるんですね。
私はこういう
警察官について悪党
警察と言いますけれども、こんな
警察を信用できるんでしょうか。
検察も同じですね。残念ながら、
検察が反省したなんていう反省会見をした大林さん、断腸の思いとやめましたけれども、多分、自分がおやめになるのが断腸だったんじゃないんでしょうかね、あのときは。何も反省していないじゃないですか。
私は、死刑、無期
事件では、戦後七件目の再審無罪
事件になったんですけれども、今でも
検察庁そして法務省は、
桜井昌司と杉山卓男を犯人だと断言していますね。たまたま、
自白という判断が難しい部分が
裁判所で左右されたにすぎないんだ、
桜井と杉山は犯人だ、何も変わらないと公言しているんですね。
それはそれで、私は何を言われても構いません、いいですけれども、袴田
事件は、昨年三月、
裁判所が
証拠の捏造を
指摘して、しかも、これ以上拘置することは耐えがたいほど正義に反するという決定を出しているのに、いまだに
検察庁は新聞記者に、袴田巌を死刑台に連れ戻すと言っているそうですね。腐っていますよね、人間が。こんな人
たちのどこを信用できるんでしょうか。
私
たちは、それぞれ違う理由で
冤罪で捕らわれて、犯人にされていったんですけれども、最初に
冤罪をつくるのは
警察なんですよね。私は、長く刑務所にいまして、仲間ですからいろいろな
犯罪者と仲よくしてきましたけれども、反省しない人は再犯するんですよ。反省して、自分はこの
犯罪をやってしまって悪かったと思う人は再犯しませんけれども、
警察も
検察も何も反省しないのに、
冤罪をつくらないなんてあり得ないじゃないですか。
例外規定というのがたくさんありますよね。何か、司法
関係者は、すごく善意の方がいっぱいいらして、これで大丈夫だとおっしゃっていますけれども、機械の故障というのは何なんですかね。何か、真面目に
議論していると思えないんですよ。
記録したらば十分
供述が得られないときというのは、どういう状態なんでしょうか。要するに、やったと言わせられないときじゃないんですか。やったと言わせられないときは
録画をとめて何をやるんでしょうか。昔と同じように、殴ったり蹴ったりしたり、おどしたりするんじゃないんですかね。それをやらないという保証はどこにあるんでしょうか。
こんな中途半端といいますか、信用できない、抜け道を用意しておいて
可視化して、それが
冤罪を防ぐ手段だなんて、私は到底思えないんですよ。この
委員会でも何か、井出先生でしたか、御質問された方がいらっしゃると思うんですけれども。
そもそも、
冤罪をつくっているのは
警察と
検察ですよね。その
警察と
検察がなぜ、今まで過度に調書、
取り調べに依存したところがあってまずいということで
法律を
改正する
審議会の
委員になるんですか。不思議でしようがないんですよ。泥棒に鍵を与えるとまでは言いませんけれども、そもそも
冤罪をつくった人
たちが
審議会に来て、新しい
法律なんかできるんですか。できっこないじゃないですか。だから、こんな中途半端な
法律になったと私は思うんですよね。
足利
事件の
菅家さんはこう言いましたね。俺が
自白しちゃったのは逮捕される前だったんだよ、おっかなくてさと言っていましたよね。
柳原浩は、きのうもちょっと電話で話をしたんですけれども、彼の国賠
裁判を傍聴に行きまして、国や県が何を言ったかというと、
自白した柳原浩が悪いと言うんですよ。そもそも柳原は自分で進んで
自白して刑務所に行ったんじゃないか、俺
たちには
責任がないと言うんですね。柳原さんは、真犯人が出まして、無実であることがはっきりしました。真犯人が出た
事件で、その方が刑務所に行ってまでやったと認めた痛みというのがわからないんですかね、
検察官も
警察官も。それは三年ぐらいの大した
事件じゃないかもしれないんですけれども、彼は本当に刑務所の中にいても怖くて、やっていないと言えなかったんですよ。その人に対して国や県は、やったと言ったおまえが悪いんだ、自分から進んで刑務所に行ったんじゃないかと。この言いぐさは何なんだというんですよね。
こんな
警察や
検察をそのまま許しておいて、
例外事項をつくって、果たして
冤罪が防げるのか、そんな一部
可視化で。私は、絶対あり得ないと思いますね。そもそも、こういう柳原さんのような
事件も
可視化にならない、あるいは
菅家さんのケースも
可視化にならない。
参考人で調べられる
状況を
警察は
可視化しないじゃないですか。これで
冤罪なんか防げませんよ。
どなたが言ったか忘れましたけれども、今、ICレコーダーというのは三千円か四千円であるじゃないですか。本当に真剣に
冤罪を反省して、非道な調べをしないという思いがあるんだったら、全
警察官に持たせればいいじゃないですか。先ほども、何かリスクが、
可視化すると認めなくなるとかあるいは弊害があるとおっしゃった方もいますし、何か
警察もそう言っているそうですけれども、弊害というのは何なんでしょうか。私はそれも理解できないんですよ。
そもそも公務員ですよね、
警察官の方も。公務員が自分の仕事を
録画されるというのになぜ反対するんでしょうか。我々
一般人は、通行していても、常に監視されているじゃないですか。今、何か
事件があるときに、
警察の
取り調べというのは街頭カメラがなかったら成り立たない
状況じゃないですか。我々を丸裸にしておいて、自分
たちは
可視化されるのは嫌だなんて、こんなのはあり得ませんよ、大体。もしもそれで嫌だったら、そういう方は
警察官をおやめになればいいだけだと思うんですね。それでもいいという方に
警察官になっていただけばいいじゃないですか。
日本の治安は
警察が守っているなんとおっしゃっているけれども、私はそう思っていません。今、
犯罪検挙率というのは何%なんでしょうか。百件
犯罪があったら、三十数%ですね。それは野球だったら非常に優秀な選手でしょうけれども、
犯罪でたかだか三十何%しか逮捕できない
警察が、我々が治安を守っているとどこから言えるんでしょうかね。
日本の治安なんというのは、日本人の規範性、規律性が守っているんですよ。もしあした全国各県で
警察を廃止してALSOKやセコムにしたって、治安は変わらないと思いますね。確信しています。
本当に真面目な
警察官、司法試験に合格して正義の
検察官になろうという人
たちはきっと同じ思いだと私は思うんですよ。本当に小さな
冤罪事件も全て含めて、
冤罪がなくなるような
可視化にしていただきたいと思います。
可視化についての
議論はそういう思いです。
あと、
証拠開示の問題ですけれども、なぜ
証拠物が
検察の独占物なんでしょうか。信じられません。
法曹界の常識が信じられません。
国民の税金で集めた、我々の税金で集めた
証拠が
検察官の独占物で、開示する法的根拠がないなんておっしゃいますよね。開示しなくていいという根拠はあるんでしょうか、
法律が。ないはずなんですよ。
運用として
検察官の独占物だとやっているだけじゃないですか。
氷見
事件では真っ黒な
証拠しか出てこないんですよね、真面目に対応しません。今、私は国賠
裁判をやっていますけれども、私の国賠でも同じですね。
やはり、
冤罪を防ぐには、
検察官が見られた
証拠というのは、当然、
法曹三者である
弁護人も見られるべきだと私は確信を持っています。ですから、
証拠開示については、リストなんかでは不十分ですね。何が書いてあるかもわからないリストで果たして正しい
運用ができるか、私
たちは疑問に思っています。これは反対します。
もう
一つ、盗聴法なんて論外ですね。
共産党の国際部長だった緒方さん宅盗聴で、神奈川県警は
個人的な
犯罪なんて言いましたけれども、そんなはずないじゃないですか、誰が考えたって。そんな子供だましを言っていたらだめですよ、うそを言っちゃ。共産党だからいいんでしょうか。何か、公明党のどなたかが、秘密のことをささやかれたとありましたよね、先生。たしかあったはずなんですよ。
私、刑務所の中で、面会はのぞかれ、手紙は見られという本当に嫌な思いを味わったんですよ。真面目に
警察がやってくれるのならいいですけれども、本当に不届きな人がいて、自由に盗聴できるようになったら怖いですね。しかも、
可視化はたかだか数%なのに、窃盗を含めて膨大な量の盗聴を立会人なしでやるなんて気持ち悪いですね。こんな気持ち悪い社会を、皆さん、許せるんでしょうか。
あと、最後にもう
一つは、司法取引。私は密告取引法と言っていますけれども。
今までも
冤罪事件はたくさんありました。他人の
犯罪を申し立てて自分が助かるということがたくさんありましたね。
西松建設
事件というのはどうなったんでしょうか。あれは小沢さんを狙い撃ちした
冤罪じゃないんですかね。つい先日の美濃加茂市の市長
事件はどうだったんでしょうか。
もし
検察あるいは
警察がどなたかを狙い撃ちして、こいつの足を引っ張るよとやったら、誰でもできるんですよ。これは、先生方は恐怖を感じないんですかね。若狭先生あたりは大丈夫かもしれません、自分が
検察官だったし、もしくは問題ないかもしれないですけれども。誰だってやられるじゃないですか。これは本当に、こういうものを何の怖さも感じずに平然と皆さんが立法を許すとしたら、本当に、私、信じられないような思いでいっぱいです。
余り時間がないので、最後にちょっと
一つ申し上げますけれども、一九八〇年代に死刑四
事件が再審で無罪になりました。
検察官合同と称する首脳
会議で、
検察官は反省したそうですね。死刑四
事件がなぜ無罪になったんだ、
証拠を出し過ぎちゃったという
議論をしたんだそうです。信じられませんよね。そういう
議論をした人はもう全部退官していますけれども、何か、一遍死刑囚にしてやりたいですね、どんな痛みを感じるか。
カナダでは、あのマーシャル
事件という
冤罪をきっかけに、マーシャル法というのができました。なぜ
冤罪が起きたんだということで、できましたよね。日本では、死刑四
事件があっても、足利
事件があっても、布川
事件があっても、そして東電OL殺人
事件があっても、何で何の究明
委員会もできないんでしょうか。それが不思議でしようがないんですよ。これは本当に、私、国
会議員の皆さんの
責任じゃないかと思うんですよね。
ぜひ本当に
冤罪の痛みを御自身の痛みと感じて、それは公共の福祉も大事かもしれないですけれども、やはり本当に一人の痛みに同調して、
冤罪のない社会、そして
冤罪の苦しみに悩む人がいない
法律にしていただくために、ぜひ真剣に考えていただきたいと本当に
冤罪者一同は思っています。
そして、このような中途半端な
可視化や
証拠リスト開示を含む
法案は絶対通していただきたくないと思いますので、ぜひぜひ深く
検討していただいた上で決議していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
きょうはありがとうございました。(拍手)