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國重委員 おはようございます。公明党の
國重徹でございます。
本日は、
刑事訴訟法等の一部を改正する
法律案について
質疑をさせていただきますが、先ほど、
若狭委員の方から、主として
合意制度の導入に関してるる
質疑がございましたので、私は、
若狭委員の半分の持ち時間、三十分という限られた時間でありますので、
取り調べの可視化、また適正な
取り調べに絞って、この基本的事項に関して質問させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
刑事司法の目的は、適正
手続の保障を全うしつつ、
事案の真相を明らかにして、適切な処罰を実現することにありますが、密室における不当な
取り調べによって
虚偽の自白がなされ、
冤罪が発生してきたことも事実でございます。
先日、私、弁護士事務所に戻りまして、過去にやった刑事記録を読み返してまいりました。
私が
弁護人となった否認
事件におきましても、
被疑者が、この調書に書いてあることは僕がやったことと違うことが書かれているので訂正してくださいと言ったにもかかわらず、
取り調べ担当の警察官から、おまえがやった
事件はこの
内容で間違いないからこれでいいんじゃとどなられて、それでも
被疑者が、私は毎日接見していましたので、事実と異なるので訂正してくださいと食い下がったんですけれども、おまえの言っていることは後で別の調書にして書いてやるから、とりあえずこの調書にサインしておけと。嫁や子供に会いたかったら早く認めろ、認めへんかったらずっと会われへんぞなどと警察官から大声でどなられて、恐怖感や不安感にさいなまれて、事実と異なる
内容が書かれている調書に署名押印したケースもございます。
その件に関しては、すぐに私も、警察署、また担当
検察官に厳重抗議しまして、担当
検察官から謝罪の言葉がありまして、
取り調べ担当の警察官もかえてもらいました。また、その自白調書に関しては、
公判で
証拠としても使われませんでした。
ただ、このような不当な
取り調べは、
録音、
録画がなされていたら、されていなかっただろうと思います。
それで、次は、このことを話すかどうか迷いましたけれども、話します。
先ほど、
若狭委員は、
検察官ということでさまざま
取り調べに立ち会ったこともあるとおっしゃいましたけれども、私は、
検察官でも警察官でもありませんけれども、警察官の
取り調べを面前で目撃したことがございます。
これはどういうことかといいますと、はしょって話します、大幅に短縮して話をしますけれども、今から八年前の七月、深夜に、一時四十分ごろでしたけれども、女性の悲鳴が聞こえて、外に出ますと、女性が襲われていました。男性が逃げて、私は追走して、取り押さえて、現行犯逮捕して、家から一緒に出てきた弟も後で追いついて、一緒に脇を抱えて交番に連行したことがございます。
深夜の一時四十分で、私もお風呂から出て、特に携帯電話も何も持たず、女性の悲鳴が聞こえて一目散に出ていったので、交番に行くまで携帯電話から一一〇番通報もできなかったんですけれども、交番に着いたら誰もいない。だから、そこから一一〇番通報をしました。
そうすると、警察署からパトカーに乗って
複数の警察官が来まして、入ってくるなり、おまえかということで、声は実際よりもかなり抑えていますけれども、おまえがやったんか、何をやろうと思ったんじゃということで、持っていた書類のようなものをばんとたたきつけて、顔面を
被疑者の十センチぐらい近くに近づけて、何をやろうと思ったんじゃということを繰り返し言っていた。
私、彼を交番に連行するときに、やはりこれは職業病なのかどうかわかりませんけれども、捕まえて、反省せなあかんと言いつつも、黙秘権の告知をしていたんです。君には黙秘権があるということも言っていました。公園の中にある交番だったので、そこにやじ馬がたくさん来ていたんですけれども、その中で、彼が私の方を向きながら、いや、最悪なこととか考えていませんよと言ったら、その警察官が最悪なことって何じゃこらとかいうことを言いまして、彼がずっと横を向いて黙ったということで、その後も、これからしっかり
取り調べしてやるからなというようなことでありました。
そういう一連のやりとりがなされた後に、この中で現行犯逮捕された方はどなたですかと言われまして、やじ馬が、ちょっと正確な人数は忘れましたけれども、多分、七人か八人ぐらいいたと思います。私がはいということで手を挙げまして、名前とか生年月日を聞かれました。るるそういったことを聞かれた後に、最後に職業はと聞かれまして、弁護士ですと言った瞬間に交番内がしいんとなりまして、警察官が何人か交番の外に出て、何か
会議のようなものが始まった。
その後、私もパトカーに乗って警察署に行きまして、
取り調べに協力もしました、調書も作成しました。その件に関しては後に立件されましたけれども、ただ、そのときに、さまざまな警察官が、警察署に着いた後に入れかわり立ちかわり来て、いや、今
取り調べの可視化ということが言われていましてということで言っておりました。
そういったことがあって、私は、主観をとるためにはこのような
取り調べもやらざるを得ない現状があるのかなとか、また、一般人の目の前でこのような、先ほど言ったようなことがなされているのであれば、密室においてはより不当なことがなされているんじゃないかなというふうにそのとき思いました。
今ちょっとこういった体験を話しましたけれども、自白強要等による
冤罪の発生を防止するためには、
取り調べの
適正化を担保する
手段として、
取り調べの可視化が必要である。このことは我が党も長年主張し続けてまいりました。今回の改正法が成立すれば、我が国で初めて、法
制度としての
取り調べの
録音、
録画制度がスタートすることになります。そういった
意味におきまして、今回の法制化は非常に意義のあることだと思っております。
他方で、
録音、
録画の
対象事件は
裁判員裁判対象事件、
検察官独自捜査事件に限定されていて、これらは
捜査段階の全
刑事事件のうちわずか三%にすぎません。
そこで、改めて、本改正法案で可視化の
対象事件を限定した趣旨について、
刑事局長に伺います。