○重徳
委員 供給側というんでしょうか、
体制をつくる、準備をする、人員を増強する、そういう面では司法アクセス障害は少し解消されてきたという御認識かもしれませんが、きょうは、前回も少しテーマにさせていただきましたけれども、その二割司法の最たるものは、恐らく、泣き寝入りをしてしまっているケースで、特に、性犯罪、児童虐待といったものについては、司法の世界で本当は裁かれなきゃいけない加害者がそこらじゅうにいるのではないか、こういう認識でおります。
私、皆さんにも
資料を配付しておりますが、最近、ある映画を見ました。水井真希さんというモデルさんなんですが、その方が
監督をした「ら」という映画であります。連続少女暴行拉致
事件、水井
監督みずからの体験をもとにした映画で、小さな映画館で短
期間やっている、全国でロードショーをやっておりますので、東京渋谷でも三月に十日間ほどやっていたので、私も見に行きました。来週あたりは名古屋で数日間、その後は大阪とか松山とかでも上映するようです。
本当に陰惨な
内容の映画でありまして、実際にあった性犯罪で、三人の
女性の方が被害者であります。その映画に登場する一人目の方は、アルバイトからの帰りがけの夜道で、目や口をガムテープで塞がれて、手足をぐるぐる巻きにされて、車で拉致をされるという
事件。そして、同一犯人なんですけれども、二人目は女子高生、顔面を殴打して車の中で犯行に及ぶ。それから、三人目の方は、駅から自転車に乗って、アパートの前でおりて、アパートに入ろうとしたところをナイフで顔面を切りつけられる、こういうような
事件。
これを描写した映画でありまして、かつ、主人公のPTSDの
状況を描写した場面もあります。森の中で被害
女性が倒れ込んでいるんですけれども、足にガラスの破片のようなものがたくさん埋め込まれている、それを取り出そうとして非常に痛むとか、リストカットをする場面とか、そういうものが出てくる、本当に陰惨、陰うつな気分になるような映画であります。
男性にとっての性犯罪に対する受けとめ方とそれから
女性にとっての受けとめ方、これは全然違うと思うんですね。だから、私は
男性ですから、PTSDを描写した場面なんというのも、そういう映画を見て、性犯罪の被害を受けた
女性というのはこんな思いになるんだなということを感じるわけであります。
男ですから、別に夜道を一人で歩いていても怖くないんですよね。
女性の方は怖い。鍵をあけっ放しで家の中にいて、風呂に入ろうと何しようと、男は平気なんですけれども、
女性はそうではないと思います。本当に感覚がやはり男と女では違いますので、水井
監督は、
男性の方にもぜひ見てもらいたいという思いでこの映画をつくったというようなことでございます。
そして、
資料には、水井真希さんのインタビュー記事なんですけれども、その中には、御
本人が実際に被害を受けた、その後警察に連絡をしたら、住んでいる市の警察署から
事件があった市の警察署の方に回された、そっちでもまた細かく話をしたら、今度は
刑事課の方でその話はしてくれとそちらにたらい回しになりまして、そして話をしたら、今度は親と相談してからまた来てくれと言われて、また来たということ。今は、県によってはワンストップセンターというものが警察にも設置されているところもあって、ですから、同じ話を四回も五回もしなければいけないということも、その回数を極力減らしていけるように支援をしてくれる、そういう仕組みも少しずつできているので、性犯罪被害者はワンストップセンターを
利用してほしいというようなことが書いてあるわけなんですね。
そして、水井さんは、とにかく、被害に遭った方に、あなたは何も悪くないんだということを伝えたいんだということをおっしゃっています。被害者が悪いのではない、全ては性犯罪を犯した加害者側が悪いんだということ、これをまさに
社会が認めること、これが
裁判での有罪判決だと思うんです。
ですけれども、実際には、そんなプロセス、司法プロセスに入るまでに、この間申し上げましたように、
子供の場合は児童相談所もかかわる、そして警察の捜査、取り調べもあり、そしてさらに検察、そして
裁判という、何度も何度も、繰り返し繰り返し供述を求められ、それでもあなたは何も悪くないんだなんという気分にはならないと思うんですね。そして、最後、判決が出たら、それはそれでもちろん
社会によって裁かれたということになると思うんですが、そこに至るまでが余りに長く、また負担が大きいということだと思います。
そういう意味で、性犯罪被害者の
手続上の負担の軽減、これに全力を挙げるべきではないかと思うんですけれども、上川
大臣、いかがでしょうか。
〔
委員長退席、柴山
委員長代理着席〕