○福島
委員 民主党の福島
伸享でございます。久しぶりに
質問に立たせていただきます。
まず最初に、今回、
水産総合研究センターが
統合されるということで、マグロ関係のことについて
質問させていただきたいと思っております。
先日、全国沿岸漁民連絡協議会という
方々がいらっしゃいまして、零細な沿岸
漁業の経営維持を考慮したクロマグロの漁獲規制をという
要望を持っていらっしゃいました。
聞くところによると、沿岸で家族経営でやっているような、特に対馬やあるいは
日本海側のマグロ漁師さんたちが、本当にマグロがとれなくて困っている、
水産政策というと、大手から零細までありますけれども、どうしても大手の
水産会社の意見が
水産業界の声のようになって、もっと自分たちの声を聞いてほしいという悲痛な声を持っていらっしゃいました。
私自身、地元の茨城の大洗の沖で釣りをやって、トローリングなんかもやるんですけれども、聞くと、やはり最近釣れるマグロはちっちゃなものばかりで、しかも数が減ってきたよなんということを漁師と情報交換をやっていると聞きますし、私の後輩には遠洋でマグロをとっている会社を経営している人間もいますけれども、この数年のマグロの資源の減りぐあいはかなりひどいということも私は聞いております。
最近ですと、ウェッジという東海道新幹線に乗っているとある雑誌の五月号とか九月号でも特集がありますし、NHKの「クローズアップ現代」などでもマグロ資源の枯渇について特集がされているということです。
記事によりますと、六月十日には、対馬の沿岸
漁業者の漁船百二隻が、次の日には七十四隻が、まき網漁船があるので、これはちょっと後で説明させていただきます、それを取り囲んでクロマグロの産卵をする魚をとるなと抗議に出たりとか、八月には、
水産庁に、まき網をやめろ、産卵魚のクロマグロをとるなというデモ隊が訪れているというニュースがありまして、さまざまな意見が起きているというふうに認識をしております。
ちょっとどういう経緯かを御説明したいんですが、資料の方の二ページ目をごらんになっていただきまして、資料の二ですけれども、この青い線が太平洋クロマグロの資源
状況ということで、一九六〇年のピークの十四万トン、十五万トンぐらいに比べると、二〇一二年では二万六千三百二十四トンということで、五分の一ぐらいに劇的に減っているということがごらんになっていただけるかと思っております。
次の資料三が、小型魚、これから大きくなって卵を産んで繁殖に生かされる魚ですけれども、それも近年特に減っているというふうに言われております。
その要因は幾つかあるということが国際機関で
研究をされているわけでありますが、次の資料四を見ていただきますと、太平洋のマグロの産卵場所というのは世界で数少ないところに固まっておりまして、ほとんどが
日本の近海です。
一つは沖縄の沖、そしてもう
一つは中国地方の
日本海側、ここに偏っておりまして、主にこの中国地方の沖の赤いところには三歳から五歳のマグロがやってきて、ここで産卵をする、それからもうちょっと大きくなった六歳以上になると沖縄寄りのところに行って産卵をするというふうに今言われているということです。
ここの
日本海側の赤いところ、産卵時期になると、まき網の漁船が出てきて、産卵に来たマグロの親の魚を根こそぎとってしまうということを先ほどの零細な漁民の
皆さん方は言っておりまして、この下の「危機的な壱岐のクロマグロ
漁業」という資料がありますけれども、二〇〇五年には三百五十トンだった漁獲量が二〇一四年には五十トンを切るぐらいになっているわけですから、まさにこれはもう生活ができない、自分たちが漁を続けられないという悲痛な叫びをしている方もいらっしゃるからこそ、先ほど申し上げたように、まき網漁船を漁船が取り囲んだりというデモが行われているということであります。
こうしたことに対して科学的にはいろいろな見地があるようであります。ただ、私は昔ヨットをやっていたんですけれども、漁師の人の直観というのは当たるんですね。天気も、何か風のにおいが変わったな、風が変わるぞと言うと変わるし、潮の流れが変わったからちょっと魚が来るんじゃないかみたいなのが結構当たると思っておりまして、私は漁師の直観というのは、科学というのは未知の部分がありますから、それでわからない部分も証明するものがあると思っていて、これには真摯に耳を傾けなければならないんじゃないかというふうに思っております。
漁師の
皆さん方は、産卵に集まってくる、まさに産卵する魚をとっちゃうから、卵が少なくなって資源が枯渇しているんだということをおっしゃっております。産卵する魚をとっちゃうと、マグロというのは何年も生きますから、三歳で卵を産んだ後、四歳、五歳、六歳、七歳となって卵を産む親の魚が減ってしまうんだと言うんですけれども、この問題は参議院でも五月、七月と
農林水産委員会で取り上げられております。
水産庁は、
日本海で捕獲される親の魚、さっきの赤いところです、それはたった六%にしかすぎないんだから、それをとったって資源減少に
影響はないんだとか、クロマグロの幼魚が減ったのは親の魚をとったからではなくて海洋環境の変化が要因だとか、クロマグロの幼魚の増減は親魚の資源量とは無関係とか、よって、親の魚ではなくてちっちゃな魚の漁獲を制限することが重要だと国際機関が言っていると言って、まき網漁を制限することには非常にネガティブな
答弁をずっとしております。
本川
水産庁長官、
佐藤長官の前でございますけれども、御就任おめでとうございます、本川長官は五月二十一日の
委員会で、鳥取県選出の自民党の舞立議員の問いに答えて、ウェッジの記事でまさにまき網が問題だということを特集しているんですけれども、それについては、「率直に言って公平性や科学的根拠を欠くものではないかというふうに考えている」というふうに
答弁していらっしゃいます。
また、七月七日の参議院の
農林水産委員会では、
北海道選出の我々の同僚議員の徳永議員の問いに答えて、「国際機関の合意なく、あるいは科学的な根拠なく対応するということになりますれば、規制の効果、これが十分に発現されないということになると思いますし、資源管理について
漁業者の理解が得られなくなる、」「最悪の場合、訴訟等にも発展する可能性がある」とまで、ある意味たんかを切っております。
このウェッジの記事を書いているのは東京海洋大学の勝川
先生という私の大学の同級生なんですけれども、別に、同級生だから頼まれてきょう
質問しているわけじゃなくて、私は読んでいるだけなんです。勝川
先生という方でありますし、あるいは、学習院大学の阪口さんという
先生なども専門紙で科学的な観点から訴えていることに対して、科学的根拠なんて一切ないんだというふうに本川長官はたんかを切り、科学的根拠のないことに基づいて規制をしたら、最悪、訴訟になると言っているんですけれども、本当にそうなのだろうかというふうに思うわけです。
本川長官は、中西部太平洋まぐろ類
委員会、WCPFCというのがありますけれども、そこのもとにある国際科学
委員会で、ちっちゃな魚をとるのを制限しさえすれば資源はもつんだというふうに言っているんだからそれでいいんだと
答弁しているんですけれども、果たして、このISCは、
日本海で産卵魚、親の魚をとることはこの資源量について何にも関係ないと科学的に明言をしているのかどうか、この点について
水産庁の御見解を伺いたいと思います。