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佐藤(ゆ)
委員 大臣には、ありがとうございました。
それでは、
質疑を続けさせていただきたいと存じますが、今話をし始めておりました、地方交付税のいわゆる流用問題でございます。
地方分権が進みますと、
自治体に権限が進む。そうしますと、やはり
自治体の、都道府県の独自の判断基準で政策の可否も判断をする。
国の政策で基本的な政策、いわゆる地方交付税というのはそもそも何かといいますと、ある程度全国で国が守るべき、ある意味ナショナルミニマムのような、社会保障の最低水準ですとか最低の賃金レベルですとか、さまざまなそういうナショナルミニマムというものが
自治体間でばらつきのないように、まずは国が税というものを徴収して、それを
自治体に再配分していくというのが地方交付税のそもそもの位置づけになるわけであります。
その国としてのナショナルミニマムの提供である地方交付税が、基準財政需要ではきちっと要求をされていながら、決算額の段階になると、その要求額どおり支出がされていない、いわゆる
目的外使用をされている部分があるという問題がございます。
例えば、具体的には、幾つかありますけれ
ども、まず、小規模
事業者向けの経営改善普及
事業というのがございます。
これは、小規模
事業者支援促進法の第四条第一項で
規定されておりまして、商工会もしくは商工
会議所が実施する経営改善普及
事業に必要な経費というものを都道府県が補助し、その場合には都道府県に対して国が補助することができるという
法律になっております。これは、基準財政需要額の商工
行政費に国から地方への補助の金額というのを算入して予算要求がなされているものでございます。
実際に配付
資料をごらんいただきたいんですが、一番最初のもの、これは大阪府における交付の要領でございまして、大阪府の場合の実施は、いわゆる経営指導に当たる経営指導員の人件費というものを人件費として計上しない形に変えております。ですから、これらの
事業区分で、
事業費の中に経営指導員の給与も全て込み込みで入れて、結果としてトータルで人件費を浮かしているという形になっております。
一方で、おめくりいただきまして、これは福岡県からも
資料をいただいたんですが、福岡県の同じ交付金の要綱ですけれ
ども、これは人件費をそのまま支払う形式をとっておりまして、俸給ですとか扶養手当、調整手当、通勤手当というように、さまざま人件費を網羅する形式になっております。
私は、優秀な経営指導員をこれから
自治体間競争で各地から集めるときに、やはり人件費をしっかり見るという福岡県モデルの方が有能な人材を獲得しやすいのではないかというふうに思います。
自治体間でこういうやりとりの要領に違い、ばらつきが出るということは、少々国の政策としては問題ではなかろうかというふうに考えております。
実際に、この基準財政需要額で商工費に計上された大阪府の予算でございますけれ
ども、要求額としては、この五、六年間、大体、小規模
事業経営支援
事業費として、三十九億円から、年々下がっても、最近は三十二億円あたりで推移しております。一方で、同じ
事業費の決算額ですけれ
ども、同じこの五、六年間で二十億円前後で推移しております。
要するに、要求額に対して決算額が二分の一から三分の二程度にとどまっている、その残りの額というのは使途
目的外に使用されているということでございます。ですから、国の政策がきっちりと
自治体によって実施に移されていないという問題がある。
もう一つ事例があります。それは、運輸
事業振興助成交付金。
営業用のトラックやバスというのは公共性が高い交通
機関や輸送
機関であるので、輸送コストの上昇を抑制する観点から営業用自動車と自家用車で営自格差を税率に設けたい、そういう議論が昔からありまして、そのかわりに交付金で戻そうという
制度として始まったものであります。これも、地方交付税の基準財政需要額の商工
行政費に予算が算入されているわけであります。
配付
資料の最後のページをごらんいただきますと、これも、私地元が大阪なものですから大阪の事例が多いわけでございますが、最近の「運輸
事業振興助成交付金の削減状況について」という全国都道府県の一覧表でございます。
これは、
地方分権が始まって、一時
地方自治体が反発をしたことがありまして、大幅削減に遭いました。例えば大阪府でございますと、中段ですけれ
ども、平成二十三年に一〇〇%削減。要するに、基準財政需要の商工
行政費でもらっている予算を一〇〇%ほかの使途
目的に使っている、ゼロ円をこの交付金として出したということでございます。
いよいよ、そういうすったもんだがあったものですから、打開のために、平成二十三年には運輸
事業の振興の助成に関する
法律というものを正式に制定しまして、そして九月に施行したことによって、これは努力義務として、都道府県というものは交付金を交付するように努めなければならないというふうに法的な根拠を与えた経緯があります。
それ以来、大阪府についても、今年度、二十七年度の動きとしては四一・六%まで削減率が減ってきた、半分以上使うようになりましたということでございまして、ほかの都道府県ではほとんど今年度は基準財政需要額の算定基準どおりの交付になるであろうというふうに改善をしてきているわけでございます。
そこで、きょうは国交省の方が陪席をしておられると思うんですが、手短に確認したいと思いますが、こうしたてんまつは、やはりこの
法律を制定したことによって、交付金に法的根拠を与えることによって事態が改善したというふうに捉えてよろしいのでしょうか。