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高橋参考人 おはようございます。
本日、発言をさせていただくに当たりまして、
意見陳述の要旨をお配りさせていただきました。これに基づいて
お話をさせていただきますので、ごらんいただければと思います。
また、あわせて、私どもNPO法人Rightsが発行している誌面、冊子なんですけれども、十六歳
選挙権のEUの最新
状況を報告したレポートもおつけしました。きょうの
参考人もここから随分引用して資料をつくっていただいていたりしますので、お時間があるときにでも御
参考いただければと思います。
それでは、私の方から
意見陳述をさせていただきたいと思います。
本日
お話をさせていただきたいのは、大きく三点でございます。
一つは、今
議論をいただいております
選挙権の
年齢引き下げにつきまして、その背景について御説明をさせていただきたいと思います。
二つ目は、
選挙権の
年齢引き下げだけでは、世代間格差等さまざまな世代をまたぐ問題が生じておりますけれども、こうした背景には、
シルバーデモクラシーと言われている
状況があって、必ずしもこの法改正だけでは改善され切れないという
状況の中で、
二つ目の柱として、
被選挙権年齢についても引き下げを検討していくべきではないかということを
お話しさせていただきたいと思っています。
三つ目につきましては、こうした
選挙制度による間接的な
政治参加だけでなく、
若者の
参加を促進させていくためには、直接的な
政治参画であったりとか、また、そうした能力を養成するための
政治教育の環境整備が必要だという話。
以上、三点について、本日は
意見陳述をさせていただきたいと思います。
まず初めに、
選挙権の
年齢引き下げの背景についてでございますけれども、既に
皆様御承知のとおり、世界の八〇%以上の国と
地域では、十八歳までに
選挙権を保障しております。G8では
日本以外全ての国が十八歳から、OECDの国におきましても
日本と韓国以外は全て十八歳から保障しているということは、既に
皆さんも御承知のところであるかと思います。
しかし、既に欧州を中心とした世界各国では、さらに十八歳から十六歳へ引き下げるという世界的な
流れが始まってきているということを本日は御紹介させていただきたいと思います。
オーストリアでは、地方
選挙が先行しまして、二〇〇〇年に
選挙権を十六歳に引き下げまして、この成功に基づきまして、二〇〇七年からは国政
選挙においても十六歳からの
選挙権が
実施をされております。
ドイツにおいては一九九六年から、ノルウェーにおいても二〇〇八年から、スイスなども含めて、これは国政
選挙ではないんですけれども、特定の州や市町村
選挙において
選挙権を十六歳に引き下げるという実践が既に世界各国では始まっております。
これ以外にも、英国、
スウェーデン、デンマーク等、
選挙権を十六歳に引き下げるという
議論が始まっておりまして、国内においても、十八歳にすることでとどまらず、さらに十六歳への引き下げなどの検討も今後進めていただきたいというふうに思っているところでございます。
それから、
二つ目、成長戦略としての
若者の参画を考えていただきたいというふうに思っています。
現在の政府も、成長戦略としてダイバーシティーが必要だということで、女性や
若者の力の活用、こういったものが
政策課題として捉えられてきているような気がします。しかし、経済だけではなく、
政治分野においても、こうした
若者の参画というのが非常に重要だということを
皆様にも御理解いただきたいと思います。
一昨年、政府が国家戦略特区を公募した際に、私は、有識者であります田原総一朗ジャーナリストを初めとした三名で、国家戦略特区として、
若者の
政治参加を通じた
地域活性化に係る特区提案というものをさせていただきました。
これは、国政においての
選挙権、または国が一括して
選挙権年齢を決めるというだけではなく、地方が独自に
選挙権や被
選挙権の
年齢を決められる、例えば市議
会議員
選挙であれば、市の中で十六歳から
選挙を
実施するとか、二十歳から立候補できるようにするとか、こういった地方独自の
選挙制度の
実現ができるような特区制度を提案させていただきましたところ、ヒアリングの中で非常に高い評価をいただきました。
残念ながら、
最後の選定の中で、リストに加えていただくところまでいかずに
最後の
一つとして外れてしまいましたけれども、こういった検討についても
皆様には考えていただきたいというふうに思っているところでございます。
三番目が、「一人当たり約九千万円もの世代間格差と、シルバー・デモクラシーの現実」というふうに書きました。
ここについては、もう既に
皆さん御承知おきだと思いますけれども、世代間格差を是正するために、若い人の
意見を直接聞く、当事者として扱っていくということをぜひ
皆様にも
意識していただきたいというふうに思うところでございます。
大きく
二つ目の御提案をさせていただきます。
被選挙権年齢引き下げの必要性についてです。
今回の
選挙権年齢の引き下げについては、私ども、二〇〇〇年に私が
大学生だったときにNPO法人Rightsを立ち上げて以来、十五年来の悲願でありまして、こうしたことがまさに成立の
実現味を帯びてきたということで感慨無量な部分もあるんですけれども、一方で、この
選挙権年齢の引き下げによって、これまで
選挙権と被
選挙権を得るまでの差が五歳だった
年齢差が七歳まで拡大してしまうことになります。
若年の低
投票率などが指摘をされている昨今ではございますけれども、
若者の
政治に対する
意識を高めていくためには、同世代の
候補者をふやしていくこともまた非常に大きな要素だというふうに考えられています。
先ほど、地方において
被選挙権年齢を引き下げるということも御提案をさせていただきましたけれども、あわせて、国政も含めて、
被選挙権年齢の引き下げについても検討を始めていただきたいというふうに考えているところでございます。
御存じのとおり、
日本国憲法十五条三項では、成年者に普通
選挙を保障するということが明記されているわけでございます。これによって二十には
投票権を与えないといけないということは広く認知されていますけれども、この普通
選挙というのを、
投票権だけではなく立候補する権利もあわせて与えることが普通
選挙を保障しているのではないかというふうに考えると、むしろ、憲法で言っている成年者に普通
選挙を保障するということについて言えば、少なくとも成年者には
被選挙権年齢についても保障するということを検討しなければいけないと考えられるのではないかと思います。
また、
被選挙権年齢については、世界の約四分の一の国々で十八歳までに保障をしています。半数以上の国では、二十一歳までに保障しているという
状況です。G8でいいますと、アメリカとイタリアとロシアが十八歳までに保障していないんですけれども、これ以外の国々は、
被選挙権年齢についても十八歳までに保障しています。
ただ、
被選挙権年齢と
選挙権年齢の関係性については、国ごとに考え方がさまざまでございます。
例えば、
スウェーデンでは、一九七六年に
選挙権年齢が十八歳に引き下げられたんですけれども、そのときに、
選挙権年齢と
被選挙権年齢は同じ
年齢であるべきだという考え方から、
被選挙権年齢も一緒に十八歳に引き下げられました。
一方で、イギリスでは、
選挙権年齢が先に一九六九年に十八歳に下げられたんですけれども、
被選挙権年齢が十八歳に引き下げられたのは二〇〇六年と、随分たってから下げられるということになっています。
こうした中で、きょうは
一つ、
ドイツの例が今後の
日本に
参考になるのではないかということで御紹介をさせていただきたいんです。
ドイツでは、一九七〇年に
選挙権年齢が十八歳に引き下げられました。その際に、当時は成人
年齢と
被選挙権年齢が
ドイツでは異なっていたんですけれども、
日本もそうですけれども、
ドイツでは、
被選挙権年齢と成人
年齢を重ねるべきだとしまして、一九七〇年に
被選挙権年齢を成人
年齢に引き下げをしました。その後、成人
年齢をさらに十八歳に引き下げようということが行われまして、現在は、
選挙権、成人
年齢、
被選挙権年齢ともに十八歳に引き下がっているんです。
ドイツでは、成人
年齢は
選挙権と合わせるべきではなくて、成人
年齢は被
選挙権と合わせるべきだというふうな考えから引き下げをしたという
事例がございます。
日本においても、今まさに成人
年齢の引き下げがもう
一つの宿題として残されているわけでございますけれども、この成人
年齢の引き下げの
議論とあわせて、またそれに先立って
被選挙権年齢を成人
年齢まで引き下げるということを御検討いただきたいというふうに思っています。
時間が余りありませんので、三つ目は短くまとめていきたいと思いますけれども、先ほど御紹介されましたように、我が国の
教育基本法第十四条では、良識ある公民として必要な
政治的教養を
教育において養っていくことが求められています。
特に、文部科学省のホームページでは、現実の
政治の理解または公正な批判力を養っていかなければいけないというふうに位置づけられているんですけれども、なかなかそうなっていない現実があるという中で、例えば、
ドイツでは
政治教育センターみたいなものをつくって実践をしているわけです。
今後、
日本においても
政治教育センターを設置して、さまざまな時事問題であるとか
政治的動向を扱った教材づくりを実践していったり、また、現在
高校生の
政治活動を禁止している通達なども見直しながら、
政治現場にかかわれる、また
政治現場が
学校教育現場に入っていける、そういった環境整備を行っていくべきではないかと思います。
また、
政治教育の必要性が問われる昨今ではございますけれども、具体的な
政治教育のプログラムとして、
生徒会活動の実践をもう一度見直していく、活発化させていく、こういったことが必要なのではないかと思っています。
こうしたこともあわせて
皆様には御検討をいただきたいと思います。
どうもありがとうございます。(拍手)