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穀田委員 JALがそう言っているのは、前から、前半の部分の話は何回も
質疑でやってきたことで、さして目新しいものではありません。
問題は、墜落
事故の大きな背景として指摘されたのは、安全を二の次にする利益優先の日航の体質とそれを助長した国の
航空行政のゆがみでありました。
事故後に一新された経営陣は、絶対安全の確立、現場第一主義、労使
関係の安定、融和など、最高経営
会議方針を発表しました。
しかし、この
内容が安全の原点、こういうものが日航内部で深められ、体質の改善が図られたとは到底私は思えません。なぜなら、
事故後の日航は、一九九九年、二〇〇五年の二度にわたって、運輸省、当時ですね、それから
国交省の
事業改善命令を受けたように、極めて重大な安全上のトラブルを続発させました。その結果、日航は最も危険な
航空会社として
国民の信頼を失い、今日の経営破綻につながる原因の
一つにもなりました。
日航の再建策は、先に人員削減ありきで、安全と公共性の視点を置き去りにしたものでありました。安全運航のかなめであるベテラン労働者を一律に肩たたきし、事実上、組合役員を狙い撃ちにして整
理解雇を行い、
航空の現場に欠かせない熟練、熟達、
技術の伝承も困難な
状況を生んだやり方だったと言わなければなりません。
そういう中で、絶対安全を担ってきたのは現場の労働者であり、チェックしてきた労働組合でありました。会社更生法適用直前の二〇〇九年十二月、日本
航空安全アドバイザリーグループのまとめた報告書、「守れ、安全の砦」と題した提言書では、「安全への投資や各種取り組みは、財務状態に左右されてはならない」、「財務状態が悪化した時こそ、安全への取り組みを強化するくらいの意識を持って、「安全の層」を厚くすることに精力を注がなければならないのである。決して安全の層を薄くすることで、コスト削減を図ってはならない。薄氷を踏みながら
航空機を運航するエアラインを、誰が選択するだろうか。」こういう提言を出したことは、何度も私は提起してまいりました。
ところが、稲盛会長は、利益なくして安全なし、一年前は安全が第一で、利益は二の次だった、今後は数字に強い人材の育成につなげると。管財人は、京セラのように一兆円の内部留保を築いてから安全を語れということを社内教育で述べるなど、利益第一のJALの再建方向を繰り返し述べていました。御巣鷹山の
事故に至っては、これを稲盛さんはトラウマとまで言って否定をしていたわけであります。
そして、実際、人減らし先にありきという整
理解雇を強行した。その後、JALの現場では、労働者のモチベーションが低下し、コミュニケーション不足で安全性を脅かす事態が起こっている、現場は深刻な状態にあると私は告発しました。
これに対して、当時、大畠
大臣は、整
理解雇がベテランのパイロットやベテランの
整備士にも及んでいて、安全性をどうやって担保できるか確認したいということで私の
質問に答え、社長、会長にも話を伺うということで立入
調査を実施しました。三カ月後の五月十三日、大畠
大臣は立入
調査について報告し、「各職員の業務
内容の変化に起因すると考えられるトラブルも発生している」と述べ、整
理解雇を初め、リストラ、人員削減が安全を脅かしていることを事実上認めました。
この点は当時の
会議録で確認できると思うが、改めて確認したいと思います。いかがですか。