○富田
委員 ありがとうございます。
今
大臣も言われましたけれ
ども、
固定価格買い取り制度にやはり問題点もある。そういった
意味で、
一つ、ちょっと
ドイツの事例を御紹介したいんです。
公明党の総合エネルギー対策本部と
経済産業部会で、三月二十五日、東京大学生産技術研究所エネルギー工学
連携研究センター副センター長の金子祥三特任教授に、「
ドイツから何を学ぶか 望ましい電源構成に向けて」と題して講演をしていただきました。お手元に資料を八枚お配りさせていただいておりますが、ぜひ後で見ていただきたいと思うんです。
この金子
先生は、
日本の立ち位置として、まず、異常に低いエネルギー自給率で四%、また、貿易収支のうち最大の輸入は燃料である、そして、製品の輸出によって得た収入で燃料を購入し国が成り立っている、この燃料をいかに確保し安定して、しかも安く購入できるかが
日本経済存立の鍵である、エネルギー問題は
日本国内の閉じた論理だけでは解決できない、国際的視野が重要だ、広く世界を見て世界に学び世界への打ち手が必要というふうに御
指摘をいただきました。
その上で、欧州は
日本に条件が近く、かつ温暖化対策など
日本に先行しており参考になる、中でも
ドイツは理念先行型で試行錯誤の状態にあり
日本の将来を暗示している、しかし
ドイツは二〇一四年に
再生可能エネルギーの
発電電力量比が二五%に達し致命的な問題が発生しているというふうに教えていただきました。
資料一をごらんいただきたいと思います。
ドイツの
再生可能エネルギーの増加
状況を示す図ですが、二〇一四年に二五%、二〇二〇年目標値として三五%というふうに明示をされております。
そして、資料二ですが、これは
ドイツの
再生可能エネルギーの構成を示しております。見ていただきますと、石炭二〇%、褐炭二六%というふうになっておりますので、約半分が石炭に頼っている。また、
日本と異なり地形がフラットであるため、水力は三%にとどまっています。風力の八%は北部地域に集中している。こういった特徴が
ドイツの
再生可能エネルギーにはございます。
そして、資料三は欧州各国の
発電の割合を示していますが、ポーランドが示唆に富んでいるというふうな御
指摘をいただきました。原子力ゼロです。そして、エネルギー自給率がポーランドは七〇%だそうです、この図には書いておりませんが。そういった
意味で、今後ポーランドが参考になるのではないかというふうに
先生はおっしゃっておりました。
再生可能エネルギーは、その出力が自然任せであり、
電力需要と全く無関係に
発電する、このギャップを埋めるのがバックアップ火力だ、そういう問題点があるということを示していただいているのが資料の四であります。火力が変動
対応しているという
状況を示しております。
資料の五は、
ドイツの
再生可能エネルギーの負荷変動の例を示しておりますけれ
ども、左の図の二〇〇八年三月の負荷変動幅千四百万キロワットは東北
電力の総
電力に相当し、右の図の二〇一二年一月の負荷変動幅二千四百万キロワットは関西
電力の総
電力に相当します。変動幅がどれほど大きいものかは、この図でよく理解できるというふうに思います。
そして、資料六は、風力、太陽光の優先利用は石炭火力の犠牲の上に成り立っていることを示しております。
ベースロード電源である九基の原発がフル稼働し、木目が残っている、水分五〇%を含む若い石炭である褐炭火力がこれを支えています。
石炭火力はずうたいが大きいので、本来は負荷変動に向かないというふうに
先生は
指摘されていました。寿命を承知して稼働している状態なので、老朽化が著しく進んでいる、そういうような御
指摘もございました。
資料七が、
再生可能エネルギーと火力、原子力の関係を示しております。見ていただいてわかりますように、メリットオーダーというふうに書いておりますが、単価の安い燃料からマーケットに入ってくる。褐炭は露天掘りのために非常に単価が安いので、石炭よりも先に
市場に入ってくるということがこの図でわかります。
そして、
再生可能エネルギー大幅増加後に、
再生可能エネルギーが一番左側に入っておりますが、これは、
再生可能エネルギーはただという前提で、こういうふうなメリットオーダーになっているということを御
指摘いただきました。
この結果、
ドイツではどういうふうなことが起きたかというと、石炭火力、
天然ガス火力の運転時間は大幅に
低下して、ついには最新鋭の高
効率天然ガスコンバインドサイクルが運転停止に至ってしまった。
そういう結果、
ドイツの
電力業界では、石炭、
天然ガスの既設
発電所が運転できず、売電収入が減り、大変な赤字となって、人員削減などの縮減対策をとらざるを得なくなった。新設火力は採算が合わないので建設ができず、採算が合うのは風力
発電のみなので、
大手電力もこぞって風力
発電設備を建設するようになった。火力の新設がないので、製造メーカーも疲弊し、二〇一四年には、ついには
ドイツのボイラーメーカーが消滅するに至ったというような御
指摘をいただきました。
先ほど、自民党の
佐藤先生が
ドイツの例を言われていましたが、
電力自由化の後に下がったというのは、実はこういう背景もあって影響したんじゃないかなというふうに、
佐藤先生の
質問を伺っていて私は思いました。
こういった
ドイツの現状から
日本は何を学んで、エネルギーミックスの策定にどのように生かしていくべきというふうに考えていますでしょうか。長官で結構ですので、御意見をお願いします。