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富田委員 今、長官の方からNUMOとともにとありましたけれども、二〇〇〇年に法律ができて、なかなか、十五年かけても全く進んでいないというような
状況です。
一昨年、昨年と、
世界の最終処分場を
幾つか視察させてもらいました。
昨年は民主党の篠原先生とも御一緒させていただいたんですけれども、一昨年、九月の十七日にスウェーデンのストックホルムに参りまして、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社、SKBというふうに略称で呼ばれていますが、そこと、放射線安全機関、これは監視機関ですけれども、SSMというふうに呼ばれていますが、それぞれ意見交換をしてまいりました。その次の日に、ストックホルムからオスカーシャムに移動しまして、使用済み核燃料中間貯蔵
施設、CLABと、エスポ岩盤研究所も、地下四百五十メートルから五百メートル、ずっと回らせていただきまして、全部見せていただきました。
委員長また
理事の御理解をいただいて資料配付させていただいていますが、このスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社社長クリストファー・エッカーバーグさんという方が昨年の五月に来日されまして、五月二十二日に、高レベル放射性廃棄物等の最終処分に関する議員連盟の第三回総会で講演をしてくださいました。その際の資料が、お手元に配付させていただいた資料でございます。
最終処分場というと、すぐフィンランドのオンカロの話が出てきて、小泉元総理がオンカロを見て反
原発に突然かじを切ったというのは有名な話ですが、私もオンカロも見せていただきましたが、このエスポ岩盤研究所の方が、さまざまな実証実験をやっていまして、
日本にとっても一番参考になるのではないかなというふうに思っておりましたら、
国際会議の
機会にエッカーバーグさんが、国会の方でも話をしていいということで、こういう資料を自分でつくってきてくれました。現地では英語のプレゼンテーションだったものですから、なかなかよく理解できない部分もあったんですけれども、
日本語をこういうふうにきちんと書いてきてくれました。
これは非常に役に立つなと思うんですが、ちょっと二ページを見ていただきますと、処分場建設予定地フォルスマルクというふうに書いてあります。そして、下にキャニスター封入
施設建設予定地オスカーシャム、ここにエスポ岩盤研究所があるんですが、これはそれぞれ、処分場予定地はストックホルムから北に約百二十キロ、エスポ岩盤研究所はストックホルムから南に三百キロぐらいのところでありまして、これがどういうふうにできてきたかを丁寧に、三ページ、スウェーデンの原子力事情から始まりまして、直接処分
技術、五ページに研究開発と処分地選定とありますが、四十年かけてこれだけのことをやってきている。これからまた、実際に開始するまでまだ十四、五年かかるということで、五十年単位のスケジュールを組んでいかないと、なかなか
日本も大変だろうなというふうに思います。
七ページを見ていただきますと、真ん中に、地下にちょっと白い線が入っていますが、これがエスポ岩盤研究所の地下坑道をあらわす図でありまして、こういうふうにずっと入り組んで、このそれぞれのところでいろいろな実証実験をやっていました。
ちょっと八ページをごらんいただきたいんですが、八ページは、使用済み核燃料最終処分場の用地選定の進め方ということで、具体的な絵も描いてありまして、地質
調査から始まって建設まで。残念ながら、
日本は、この地質
調査の前段階の文献
調査もまだオープンにはできていないという段階ですので、これから全部これをやっていかなきゃならない。
二〇〇九年にフォルスマルクに決定というふうに八ページに書いてありますが、実は、フォルスマルクは
原発が三基稼働している
地域なんですね。住民に住民投票をしたら、七五%が最終処分場をつくっていいというふうに賛成したということを社長さんからお伺いしました。良質な花崗岩の地質で、水が一切出てこない岩盤だということで、本来、エスポ研究所の方でもできるんですが、それよりもさらにいい
地域が見つかったということで、このフォルスマルクに決まったというふうな
お話でした。
その後に、九ページ以降、国民の関与
促進と会話、用地選定プロセス成功の鍵というふうにありますけれども、九ページの右側にちょっと船が写っているんですが、この船は広報用の船なんですね。最終処分場がどうして必要なのか、また、どういったところがいいのかというのを、この船に乗ることによっていろいろ国民が見られる。こんなものまで準備して、そこに書いてありますが、有望候補地自治体との集中的な会話実施とか、
地元自治体自前の専門知識取得のための特定用途資金供与、こういうことまでやってきた。これは、自治体は原子力の専門家はいませんので、原子力の専門家を自治体に雇ってもらうための資金を国の方で提供している、こういうことまでやったんだということで説明をいただきました。そしてやっとこういうふうにできてきたと。
次の十ページでは用地選定での重要要件というふうに書いてありますが、この中でも社長さんが強調していたのは、信頼できる規制機関の存在だと。スウェーデンは、
先ほどお話ししました放射線安全庁、SSMがありまして、高いレベルできちんとこういうことを理解して、安全性を追求できるような機関があったと。
また、
地元自治体との緊密な連携というのは、スウェーデンの法律では、
地方自治体が最終的に、処分地を国の方が決めても、自治体などで拒否権を持っているというような
制度になっているようです。それでも自治体がちゃんと了解してくれたと。そのために、
地元の
地方の政治家が大変こういうことを理解してくれて、やってくれたんだというような御説明がありました。
こういったことも、ぜひ、
政府の方で今後基本方針の改定をしていく中で検討していただきたいというふうに思います。
SKBやエスポで、実はこういう
お話も聞きました。SKBで
地域合意形成に向けてどんな取り組みをしているんだというふうに尋ねましたら、最終的に決まったエストハンマルでは、当初は現地
調査を行うことも難しかった、でも、机上検討をきちんと六年間やって、その後に実地
調査を六年間やった、
地元のペースに合わせて取り組みを進めることが大切であり、
地元出身者が事業に取り組むことが重要だと。
SKBでは、原子力と
関係のない仕事をしていた三名の
地元出身者を
雇用して、プロのコミュニケーターとして育成し、取り組んでもらった、
技術スタッフがおり、サポートすることもあったが、大抵のことは
地元スタッフが行ってきた、現地事務所で待っているのではなく、みずから出かけていって説明を行ってきたと。
先ほどお話しした輸送船を使ったイベントとか、オスカーシャムの見学ツアーも行っており、エストハンマルの十八歳以上人口約三千二百名のうち二割程度がオスカーシャム見学ツアーに参加している。四百二十キロ離れたところまで見に来ているわけですね。そういう努力を重ねてきてこうなったんだというような話がありました。
また、エスポ岩盤研究所では、
地域とどういうコミュニケーションをとっているんだというふうに
質問しましたら、エスポ岩盤研究所の建設に向けてボーリング
調査を行った際、
調査対象
地域の所有者は五十名、周辺住民は二千七百名ほどだった、住民とのコミュニケーションには研究者も参加し、住民に来てもらうのではなく、自分たちの側から出かけていった、コミュニケーションに当たっては、特に中学生くらいの子供さんたちとの対話を重視して取り組んだと。長いスパンですから、そういうところから理解を広げようとしたんだと思うんです。
そして、最終処分場を建設するフォルスマルク周辺の住民によるエスポ岩盤研究所の見学ツアーも行ってきた、見学ツアーは、飛行機などでばらばらに移動するのではなく、バスで行動をともにしながらいろいろな話をすることも大事だ、
地元の人たちに対して、教えてあげるというスタンスではなく、同じ立場に立つことが必要だ、信頼をかち取るために必要なことはスウェーデンと
日本でも共通するのではないか、そういう指摘までいただきました。
こういうふうに、SKBやエスポ岩盤研究所でこれまで積み重ねてきたいろいろな知見があるわけですけれども、こういった知見を今後
日本ではどのように
活用していくべきだというふうにお考えになりますか。