○大串(博)
委員 形式に関してはこれまで決めていなかったということですけれ
ども、並々ならぬ
総理の意欲から、六十年談話、五十年談話に匹敵するものをつくっていきたいというような意欲があられるやに私
たちは感じる。近隣諸国も感じる。その中で、六十年談話、五十年談話にあらわれていたような歴史認識がきちっとあらわせるか非常に注目が集まる。どういう形式になるのか、七十年談話として出されるのであれば。
いろいろな見方もあるんですね。
総理の談話というステータスの違ったものになるのであれば、そこは自由だということで、より
安倍総理色が出るのではないか。未来志向はいいと思うんですよ。未来志向はいいと思うんですけれ
ども、例えば歴史認識等々についてもより
安倍総理色が出るんじゃないかというふうに、いろいろな見方をする国あるいは人もいるんじゃないかと思うんですね。そういう懸念があること自体がやはり不安を呼びます。不安定を呼びます。そういう意味で、私
たちとしてはやはり、どういう形式であろうとも、先ほど
岡田委員が述べたように、国として近隣諸国との
関係をしっかりと紡いでいけるようなもの、これを出していただきたいということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
集団的自衛権を含む
安保法制の問題ですけれ
ども、
憲法との
関係の問題が非常に大きく
議論をされてきました。自民党が呼ばれた
憲法学者の方も含めて、
憲法審査会の審議において違憲だという声が相次いだ。それを契機として、全国の
憲法学者の
皆さんの中でも声を上げられた方が非常に多くなった。今や何百人という方々が、今回の
集団的自衛権を含む法案は違憲だというふうな意見になっている。
しかも、先般月曜日にはこの
委員会において参考人質疑も行われました。元
内閣法制局長官の方々お二人にも参加していただいて、いろいろな論点が整理されてきたんじゃないかというふうに思います。これを少し整理すると、今回の
集団的自衛権はなぜ
憲法違反かということ、幾つか
政府の方でこれだから
合憲なんだというふうに言われている論拠がことごとく否定されてきているというふうに私は思うんですね。
一つは
砂川判決。これに関しては、宮崎元
長官もおっしゃいました。
日本の
防衛力の不足をどう補うかということが論点、すなわち駐留
米軍の
合憲性が問題だったわけであって、そこに
集団的自衛権の
議論が入り込む余地なんかなかったはずだと。
自衛権というものが認められた、それはそのとおりです。しかし、
集団的自衛権あるいは
個別的自衛権、それを区別して論じているところはない。実際、
中谷大臣も六月十五日の当
委員会での審議において、直接の
根拠ではないということは明らかにおっしゃっています。したがって、これが
合憲の判断につながるものではないということも明らかになっていると思います。
さらに、
昭和四十七年
政府見解の基本的な
論理。これが
合憲の基準なんだ、つまりこの基本的な
論理を踏襲しているから
合憲なんだというふうにも言われます。しかし、この中に、
外国からの
武力攻撃を含むと。
外国からの
武力攻撃という
言葉がこの基本的な
論理の中にあります。それを、
我が国に対する
武力攻撃のみならず
他国への
武力攻撃も当時から含んでいたんだと、勝手に
解釈することによって
合憲だと言い募る。これについては宮崎元
法制局
長官も、前後の圧倒的な経緯からしてこれはあり得ない、黒を白と言いくるめる類いの話だというふうにおっしゃっていらっしゃいました。よって、これもバツ。
三番目に、歯どめ。新三要件で厳格な歯どめがあるというふうに言われています。しかし、先ほどの
岡田委員との
議論でもありましたように、一体どこが歯どめなのかはっきりしない。ましていわんや、そういうことは言えないんだという言辞すらある。そういう中で、これは阪田元
法制局
長官ですけれ
ども、ホルムズ海峡での機雷掃海の事案に触れて、ホルムズ海峡に機雷が据えられた、よって石油がなくなった、この石油がなくなったことをもって
日本の国が大変になった、だから
集団的自衛権を
行使して
外国に
武力の
行使を及ばせていくんだというようなことは満州事変のときの
自衛と同じことになってしまうというふうに言われています。これもバツ。
こういった形で
政府がこれまで論拠としてきたものを
一つ一つ検証していくと、それぞれが論拠たり得ないものであることが非常によくわかります。これだけ
国民の中でも違憲だという意見がある。
すなわち、先般、ある通信社が世論調査を行っていました。私非常に驚いたのは、この法案が適切でないという意見ではなくて、この法案が違憲であるという世論調査が五六%。半分以上の方が違憲だと、そこまでおっしゃっている。この
委員会室の中では、
政府を初め
与党の
皆さんはこれは
合憲だという立場で
議論されています。しかし、この国
会議事堂の中を一歩出れば、外においては違憲だ、
憲法違反だという意見が大半だ。
この現状を踏まえると、やはりこの法案は一度撤回して、もう一回
考え直して出し直してくるべきだと思いますが、
総理、いかがでしょうか。