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2015-01-14 第188回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年一月十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  一月十三日     辞任         補欠選任      山口那津男君     新妻 秀規君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 新妻 秀規君                 平木 大作君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   西川 公也君    副大臣        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     佐野  太君        農林水産省消費        ・安全局長    小林 裕幸君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   斎藤信一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として新妻秀規君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房審議官佐野太君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 馬場成志

    馬場成志君 おはようございます。自由民主党の馬場成志でございます。  今年も農林水産委員会課題の多い年となりそうでありますけれども皆さん一緒に日本の食を守るために尽くしていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  この連休、十、十一、十二の三日間、自民党畜産酪農対策小委員会で、衆議院議員の坂本小委員長の下、熊本北海道の牧場を視察し、多くの関係者皆様方意見交換をさせていただきました。私も堀井委員一緒に同行させていただいたわけでありますけれども熊本北海道、それぞれに地域によっての違いもありましたけれども皆さん必死に努力をしておられる姿が印象に残る現地調査でありました。  意見交換では、どんなに頑張っても赤字なんだと、もうけをコストが追い越していくといった、そういった声が相次ぎ、経営安定対策の拡充を強く訴えかけられた次第であります。また、先進的な取組をして内容がいい農家であっても、仲間が減っていくと何もできなくなる、つらいといった言葉や、内容のいい自分たちでもこれから先の心配は同じことで、努力では克服できないことが次から次へと出てくるといった訴えもたくさん頂戴した次第であります。改めて厳しい現状を実感してまいりました。  乳用牛飼養農家の数は全国で年率四%ほど減少し続けており、平成二十二年の二万一千九百戸から平成二十六年は一万八千六百戸と、四年間で一五%減少しています。北海道で約一〇%、熊本で約一三%の減少です。生乳生産量全国で二十五年度は二・一%の減、二十六年度も更に二%以上の減少が続いておるということです。最近は落ち着いたと聞いていますが、生乳生産減少により、年末にはバター供給不足がマスコミをにぎわせたところであります。  肉用牛経営におきましても、飼養農家数平成二十二年の七万四千四百戸から平成二十六年は五万七千五百戸と、この四年間での減少率はおよそ二三%に達しています。同じく、北海道、約一二%、熊本、約二〇%の減少であります。畜酪共に、両道県、特に北海道全国より減少率が少ないのは相当の努力をしていただいているということが推察できるというふうに思っております。  飼養頭数もここ五年間減少が続いており、繁殖用雌牛が六十万頭を切る水準まで減少しています。こうした農家戸数減少飼養頭数減少を一刻も早く食い止めることが重要な課題と言えます。そのためにも、政府農林水産省におかれては、加工原料乳生産者補給金や新マル緊を始めとした指定食肉安定価格肉用子牛生産者補給金といった畜産物価格については生産者意欲向上のためにも生産現場の実態をしっかりと反映して決定していただきたいと思います。  この中で、特に加工原料乳生産者補給金単価についてはどのような水準で諮問しているか、お尋ねしたいと思います。
  7. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 答える前に、まず、熊本県そして北海道大変強行軍現地調査をし、農家皆さんと話合いをしてきてくれたことを伺っております。この御労苦に対して感謝を申し上げます。  そして、今、二十七年度の加工原料乳生産者補給金単価についてでありますけれども配合飼料価格あるいは光熱動力費等生産コスト上昇がありまして、これらをどう反映させるかということを私どもは、この数字決定に当たりまして反映をさせていただきました。その結果、脱脂粉乳バター等向け生乳につきましては十二円九十銭、キログラム当たりでありますが、前年より十銭高ということになります。それから、チーズ向け生乳につきましては十五円五十三銭でありまして、十二銭高になるということにしまして、本日、間もなく始まりますけれど、十時半から始まります食料・農業農村政策審議会において諮問することにしております。  また、二十七年度の交付対象数量につきましてでありますが、脱脂粉乳バター等向け生乳につきましては二十六年度見通しが百五十六万程度になるだろうと、こう見ておりますけれど、生産者生産意欲に応えるため百七十八万トン、前年より二万トン減でありますが、高い目標にさせていただきました。それから、チーズ向け生乳については五十二万トン、やはり同様の考え方で決定をさせまして、同じく審議会に諮問をするということに私どもは方針として決定をしたところであります。
  8. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。もう直前ということで、今御提示いただいたというふうに思いますが、十銭上げというのは力をいただいたというふうに思うわけであります。これはほかの支援策についても期待をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  ただ、加工乳に関しては、これまでALICの関連事業とかあっておりますので、そこら辺も含めて是非とも推進お願いしたいというふうに思っておりますので、そういった希望をつないでいくというような中で本日の質問に入らせていただきたいというふうに思いますが、その前段として、まずは、先ほども触れましたが、我が国酪農畜産からの離脱の現状やその分析、必要な対応などについて農林水産省から答弁お願いします。
  9. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 御質問にお答えをいたします。  委員指摘のとおり、過去四年間で畜産農家戸数につきましては、酪農経営におきましては約一五%、肉用牛経営では約二三%減少しているところであります。畜産酪農から離脱した農家につきましては、その要因を当省で調査をさせていただいたところ、高齢化後継者問題が最も多く、次いで経営者事故等、将来への不安等となっております。こうしたことから、畜産経営減少を防ぐためには、後継者新規就農者への円滑な経営継承意欲の高い農業者による畜産経営継続が図られることが重要と考えております。  農林水産省としては、畜産経営収益性向上により、経営の円滑な継承継続にも資するような畜産クラスター事業等活用して地域の中核的な畜産経営に対する施設機械整備支援することとしているところであります。  これらの対策に必要な経費として、二十七年度当初予算額につきましては、先般閣議決定した二十六年度補正予算と合わせて対二十六年度当初予算比で五百億円を超える増額を確保したところでございます。
  10. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。この状況を打破するためにこれからどういった施策を打っていくのかということでありますから、政府からの支援策について具体的にお尋ねをしていきたいというふうに思います。  畜産酪農関係予算については、昨年夏の段階で、財政状況の厳しい中、平成二十七年度概算要求として、先ほどお話があったかと思いますが、前年度と比べて五百億以上の大幅な増額要求がなされております。  その中でも、特に、地域計画を立て地域ぐるみ収益性向上させる畜産クラスター事業については関心が高いものとなっております。畜産クラスター計画に位置付けられた経営体には、規模拡大等収益性向上などのために必要な機械リース整備施設整備等支援も可能と聞いております。意欲ある経営体、若者にとっては、今申し上げました収益性向上生産基盤強化を図る上でも大きな効果のあるものとなってもらわなくてはなりません。  二十七年度予算政府案は本日中にも閣議決定されることと聞いておりますけれども、先日決定された二十六年度補正予算と併せて、畜産クラスター事業事業規模や具体的な内容について御答弁を願います。
  11. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 御質問をいただきました畜産クラスター事業でございますけれども、これにつきましては、平成二十六年度補正予算と、それから二十七年度当初予算政府原案におきまして、新規に二百七十九億円を計上させていただきたいと考えているところでございます。  その事業内容につきましては、今委員から御指摘ございましたような、地域協議会の運営など畜産クラスターの構築に対する支援と、それから畜産クラスター計画に位置付けられました中心的な経営体に対します畜舎などの施設整備、それから搾乳ロボットなど機械リースといったものに支援してまいりたいと考えてございます。  この事業につきましては、従来、機械リース補助率は三分の一でございましたけれども、これを二分の一に引き上げると。また、施設整備につきましては、従来は共同利用要件がございましたけれども、今回は法人化計画すれば個別経営対象とすると、こういった要件の見直しも行っておりまして、意欲ある畜産経営体にとって使い勝手が良く、また効果的な支援策になるものと考えておるところでございます。
  12. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。  先ほど申し上げました自民党畜酪小委現地調査においても、今回のクラスター事業への期待は大きかったというふうに思っております。この事業活用した畜産酪農生産基盤強化について、ここで改めて西川大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私ども補正予算、それから二十七年度予算編成に当たりまして、農林水産省予算総額、どうしても二兆三千億を超えていくと、これ、一つこだわりました。  それから、二兆三千億の中で畜産予算が千八百五十三億円しかありません。ところが、生産額からいうと畜産は二兆七千八百億とも言われまして二兆八千億近い、こういう額を生産をしていると。あっ、失礼しました、二兆七千億を生産していると。一方、米は一兆八千億弱と、こういう状況の中なんです。  そういう中で、二兆三千億の予算の中で畜産が千八百五十三億円の状況にあるものでありますから、どうしても畜産の今の状況を考えると大幅増をしてほしいと、こういうことを財務当局と折衝を続けてきました。そういうことで、補正と二十七年度の当初を合わせて五百十五億円が増額になったということで、畜産にとっては最近こういう状況予算増はなかったかと思いますが、私どもはそれを確保できたというところでございます。  そして、畜産クラスター事業でありますけれど、この予算の中でしっかり地元の農業者の要請に応えながら、今、飼養頭数あるいは酪農家等減少が続いておりますけれども、私どもはしっかり対応していきたいと、こう考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  14. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。  後ほどまたクラスターについても詳しく聞かせていただきたいと思いますが、飼料関係について伺わせていただきます。  最近の畜産物価格を見ますと、牛肉豚肉も鶏肉も鶏卵も高い価格で推移をしております。牛肉については、東日本大震災等影響で低下していた枝肉上昇に転じて、直近では震災以前の価格を上回っております。豚肉についても、昨年の猛暑影響外国豚肉価格上昇などにより枝肉価格はここ数年来の高値で推移しております。しかし、その反面、配合飼料価格上昇素牛価格生産資材上昇などにより生産コスト上昇も懸念されているところであります。コストが高ければ収益は出ません。その生産コストのうち、飼料費は大きな割合を占めております。牛で四割から五割、豚で六割から七割、鶏で六割から七割とされています。  しかしながら、近年、輸入飼料については、現地価格上昇円安進展等により配合飼料輸入飼料価格とも上昇しており、畜産経営に大変な悪影響を及ぼしております。その上、最近では、アメリカの西海岸における港湾労働ストによりアメリカ産粗飼料輸入にも影響を与えているとのニュースも報じられているところであります。  このため、国内でできるだけ飼料を自給することで、自給飼料生産による飼料費削減とともに、外国穀物価格高騰為替等による経営悪影響をなくし、輸入飼料に依存しない低コストで安定的な畜産経営を図っていくことが重要と考えますが、政府として国産飼料生産拡大に対しどのような支援策を講じているか、伺います。
  15. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 馬場先生指摘のとおりでございまして、我が国畜産経営の安定を図るために何をすべきかと、穀物国際価格為替変動等影響を受ける輸入飼料への依存体質をこれから改め、脱却しなければいけない、こういうふうに考えておりまして、飼料生産基盤に立脚した足腰の強い畜産経営を実現させることが極めて重要でございます。  このため、平成二十六年度補正予算及び二十七年度予算におきまして、草地改良草地整備推進二つ目には、飼料用米稲発酵飼料生産利用拡大三つ目に、コントラクター育成等を通じた自給飼料生産拡大コントラクター、餌の請負組織でございますけれども、これらの活用と、それから四番目には、イアコーンやエコフィード国産飼料利用促進、これが挙げられるわけでありまして、続いて、肉用繁殖牛乳用牛放牧推進等支援によりまして自給飼料生産拡大に努めてまいりたい、このように考えております。
  16. 馬場成志

    馬場成志君 国産飼料生産拡大に対する支援について今回答をいただきましたが、この中で具体的なお話も伺いたいというふうに思います。  肉用繁殖牛乳用牛放牧推進するということもありましたが、放牧を行うに当たっては地域状況に応じた展開をしていかなくてはならないというふうに思っています。熊本でも阿蘇や天草で放牧が行われておりますが、自給飼料生産拡大する中で、放牧は、生産コストの低減とともに、飼料を給餌することやふん尿の世話をする労働時間の削減にも寄与することが考えられます。しかし、こうした放牧効果生産者にしっかり届いているのか不安なところもあります。  そこで、放牧推進するためにも、放牧の具体的な効果支援策についてお尋ねしたいと思います。
  17. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 放牧効果ということでございますが、委員指摘のとおりコスト削減効果は非常に高うございまして、例えば経営全体の四割から五割を占める飼料費や、それから牛の餌を給餌、それからふん尿処理に係る管理経費労働費でございますが、そういったものの削減効果が大変大きいと考えてございます。試算によりますと、全体として見ますと、繁殖雌牛経営では三割から四割程度酪農経営では二割程度コスト削減が可能であるというふうに考えてございます。また、放牧については、これに加えまして耕作放棄地活用といった農地の保全にも効果があるというふうに認識してございます。  この放牧推進するために、二十七年度予算におきましては総額十三億円の放牧推進総合対策を講じたいと考えてございまして、この中で、放牧牛導入や、それから電気牧柵などの整備支援、こういったものを新たに実施すると、そういったことを通じましてレンタカウ放牧推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。  こういった支援によりまして、放牧推進を通じた畜産農家コスト削減収益向上を図っていきたいと考えてございます。
  18. 馬場成志

    馬場成志君 よろしくお願いします。  先日、熊本北海道を見てきたときに、これは自然現象でありますから何があるか分からないわけでありますけれども阿蘇放牧地については火山灰の影響がこれから出てくるかもしれぬというようなこと、あるいは今度は、北海道に行きましたら、釧路の方でしたけれども、私は余り雪はたくさん見たことはないんですが、雪がぴかぴか光っていて、これ何ですかという話をしたら、数日前に雨が降って、雪が溶けて凍っているということで、その下は草が生えにくくなるんだというような話で、随分心配もされておりました。そういった思わぬこともいろいろと出てくるというふうに思いますので大変でありますけれども、しっかりと御指導いただきますようによろしくお願い申し上げます。  次に、生産コストのうち飼料に次いで大きな割合を占める素牛価格についてお尋ねをします。  いわゆる和牛の子牛価格は、近年の繁殖雌牛頭数減少による子牛供給頭数減少を受け、高騰。十二月二十五日付けの日本農業新聞によれば、十二月の和子牛一頭の平均価格前月比一%高の五十九万八千円と、過去最高だった前月を再び更新ということであります。この相場は、子牛を出荷する繁殖経営にとってはいいことでもありますが、子牛を購入する立場の肥育経営にとっては大変な負担となっております。  牛は一年一産でありますので、この状況を根本的に解決するためには、地道に繁殖雌牛増頭し、子牛を供給することで子牛相場を冷ますことよりほかには方法はないというふうに思いますが、今後この状況を少しでも早く改善するための方策について答弁お願いしたいと思います。
  19. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 肉用専用種の子牛価格の点でございますけれども委員指摘のとおり、平成二十一年度は約三十六万円だったものが二十五年には平均で五十万円で、直近では先ほど委員が御指摘されたような数字になっているという状況でございます。  この背景といたしまして、やっぱり繁殖雌牛頭数が急速に減少しているということでございまして、平成二十一年度が六十八万頭いたものが二十五年度では五十九万頭というふうな減少となっているわけでございます。  この繁殖雌牛をやっぱり増頭しなくちゃいけないということで、平成二十五年度、六年度、繁殖雌牛導入のための奨励金などを交付してまいりましたけれども、今回政府決定いたしました平成二十六年度補正予算、それから二十七年度当初予算におきましては、例えば先ほど来議論になってございます畜産クラスター事業におきましても、肉用牛繁殖経営対象といたしまして、収益性向上に必要な機械リース施設整備を行うといったことに加えまして、受精卵移植技術活用した乳用雌牛由来和牛の子牛を生産拡大していくとか、またICT技術ども活用しながら繁殖率向上を図ると、こういった支援をさせていただきたいと考えてございます。
  20. 馬場成志

    馬場成志君 次に、酪農関係について伺います。  酪農家戸数は年々減少し、乳牛頭数減少しており、猛暑等影響もあって、生乳生産減少から昨年にはバター不足も顕在化したところであります。このため、酪農生産基盤強化が急務であり、生産基盤維持拡大のために政府として酪農を総合的に支援すべきと考えていますが、見解を伺います。
  21. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 酪農につきまして、飼養戸数乳牛頭数減少に対応いたしまして生産基盤強化が求められるわけでありますが、一つには、経営規模拡大新規参入促進を図るための畜産クラスター事業を通じた施設機械等整備が必要でありますし、二つには、生産コスト削減するため自給飼料生産利用拡大促進する、そして三つ目には、優良後継牛増頭のため性判別精液等活用等様々な支援を行うことといたしておるところでございまして、これらの対策を実施するためには、二十七年度当初予算額について、先般閣議決定をいたしました二十六年度補正予算と合わせて、対二十六年度当初予算比で五百億円を超える増額を確保したところでございます。酪農生産基盤強化に一層強力に取り組んでまいりたいと考えております。
  22. 馬場成志

    馬場成志君 今いろいろとお話をいただきました。  続きまして、後継牛確保について、今も少しお話があったかというふうに思いますけれども乳用牛から生まれる和子牛は、和牛ですね、先ほど和牛後継後継というか繁殖の話もありましたけれども繁殖雌牛増頭するよりも即効性があり効果的だと見られる反面に、酪農経営では和牛に偏った生産が行われると後継牛となる乳用種雌牛が不足するというようなことが心配されます。生乳生産量にも悪影響を及ぼす面もあります。  本事業をどのように進めていくか、今も少し話があったかと思いますが、お願いします。
  23. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 酪農経営につきまして、今大変和牛の子牛の価格が高いということがございまして、受精卵移植和牛の子牛の生産を行いますと、短期的には高い副収入が得られるという面がございますが、ただ中長期的には乳用雌牛、いわゆる後継牛生産減少しまして、生乳生産減少をもたらすこととなるということが懸念されるわけでございます。  したがいまして、先ほどお話ししました受精卵移植に関する国の事業につきましては、まずは酪農家には乳用種性判別精液受精卵を用いていただきまして優良な乳用種後継牛を確保していただくと。その上で、後継牛生産に向かない乳用牛生産能力の低い乳用牛などにつきまして、その空いた腹を活用して和牛受精卵を移植すると、こういったことを基本としていまして、受精卵移植生乳生産悪影響を及ぼさないような事業運営を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  24. 馬場成志

    馬場成志君 今話のあった性判別精液については期待もするところでありますけれども、当然普通の精液よりも高いわけでありますし、加えて、受胎率の心配をされている農家もおられるようでありますが、どうでしょうか。
  25. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 性判別精液の受胎率でございますけれども、ちょっと古いデータでございますが、平成二十一年の団体調べで、未経産牛に人工授精を行った場合の受胎率ということで、通常の精液が大体六〇%弱に対しまして、性判別精液は五〇%弱ということで、一〇%差があるという実態にございます。  こういった状況に対処して、性判別精液の受胎率を向上させることを目的としまして、現在、民間におきましては、性判別精液を製造する過程で精子の活力が低下しないような精液ストローの製造技術が実用化されているということもございますし、国といたしましては、二十七年度当初予算におきまして、高い受精能力を有する精子の判別技術の改良といったものを通じました受胎率の向上のための研究開発を行いたいと考えてございます。  こうした技術の活用と併せまして、酪農家におきましてその乳用牛の発情確認をしっかりしていただくとか、また適期授精の励行をしていただくといったことを通じまして、通常の精液にも劣らない水準性判別精液の受胎率になりますよう、飼養管理も含めて受胎率の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  26. 馬場成志

    馬場成志君 研究開発、しっかりとやっていただくとともに、農家の方から信頼を得られるようにしなければ広がっていきませんので、その辺を徹底していただきますようにお願いを申し上げます。  また、新規就農については、これからはちょっとまた違う後継者の育成のことについてお尋ねをしますけれども新規就農については様々に施策を打って、まだまだこれから意欲のある方々には増えてもらいたいと思いますが、ここで改めて畜産農家後継者対策、跡取りのことでありますけれども質問したいと思います。  新規参入や他産業からの参入は地域に新たな息吹を吹き込んでくれることになりますけれども、一方では、その土地土地には文化そして人のきずながあって、継承しなければならないものがあると思います。農村地域では親、子、孫と、二代、三代で農家を継ぐ人たちがいて地域が成り立っているという面もあるというふうに思います。畜産経営についていえば、生き物を扱うことでありますから、地域ならではの、個別農家ならではの伝統的な飼養方法や経験があって、こうしたものを大切にすることも重要なことだというふうに思います。また、後継者の流出を防ぎ、それぞれの地域において一人でも多く就農させることは地域対策としても大切なことです。  これまでも対策は講じられてきておりますが、親が現役のうちに後継者を就農させて定着できるような、これまでに加えての支援策が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 馬場先生指摘のとおりでございまして、後継者対策は極めて重要だと思っております。畜産の担い手を確保するためには、新規就農者の参入を促進すること、これも大事でございますが、御指摘のとおり、畜産農家の子弟に経営が円滑に継承されることが極めて重要だと考えております。  申し上げるまでもなく、三百六十五日対応しなきゃいけない仕事でございますから、農林水産省といたしましても、これらを支援する後継者対策を実施しているところでもございますが、農家後継者に対する支援策といたしまして、後継者同士の交流ネットワークの構築、これは極めて大事だと思うんですね。それと初妊牛の導入、畜舎の増改築等の経営基盤を強化する取組に対する助成、これも行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。  これに加えまして、畜産クラスター事業でございますけれども新規参入者や後継者を中心的に経営体として地域ぐるみ支援する計画を定めた場合には、後継者等が行う機械施設整備への支援を行う、こういうこととしております。なお、この畜産クラスター事業におきまして施設整備については法人化計画を有する個別経営体も支援対象とすることとしているところでございまして、独立する前の経営者の子弟も支援を受けやすい仕組みとしていると考えております。
  28. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。  先日、やはり現地調査熊本の荒牧牧場というところに行ってまいりました。親子で肥育と繁殖と両方やっておられるところでありますけれども、おやじさんの代は繁殖も肥育も両方やっておったということでありますが、農協の役員とかしなきゃいかぬようになって繁殖をやめたんだということでありました。しかし、そこで息子が入ってくれたことによって繁殖もまた始めることができたということですが、その息子さんの言葉が、やっぱりおやじがいるから繁殖まで広げることができましたというようなことであります。  そういったことがやっぱり一つ一つあらゆる地域であっているというふうに思いますので、強く推進していただきますようにお願いを申し上げて、また次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。  衛生管理でありますとか、いろんなことでやっぱり獣医さんにお世話にならなきゃいかぬことがたくさんあります。これもやっぱり続けていく上でとても大事なことでありますが、大動物の獣医師確保と育成についてお尋ねをいたします。  一昨年も同様の質問をさせていただきました。文科省からは、獣医学教育の改善、充実、産業動物医の臨床実習の促進支援に努めるとの答弁をいただいております。また、農水省からは、獣医師の確保は大きな課題であり、獣医学系大学の学生に対する支援や関係機関との協力をしていくという答弁をいただいております。  ここで改めて申し上げますが、本日、今までのやり取りの中でもそうでありますけれども、家畜伝染病に対する防疫対応や食品の安全確保などの観点から、家畜衛生や公衆衛生に関わる獣医師を確保することは大きな課題になっておるというふうに思います。このような中、獣医学分野の学生が産業動物分野に目を向けるために大学教育の中で関係機関における現場での実習の機会の拡充が重要であります。  文部科学省では、今年度から大学における公共獣医事教育推進委託事業をスタートさせたと承知しておりますが、どのような状況か、お尋ねしたいというふうに思います。
  29. 佐野太

    政府参考人佐野太君) お答え申し上げます。  獣医学分野の学生に家畜衛生等の現場を体験させることは、獣医学教育の質的向上とともに、先生御指摘の産業動物分野への関心を高める観点からも重要であると認識しているところでございます。  文科省におきましては、全国の獣医学分野の学生が家畜衛生等の現場におきまして実践的な臨床実習に参加できるよう、平成二十六年度予算におきまして大学における公共獣医事教育推進委託費を新規に計上いたしまして、事業の実施機関の公募を行い、東京大学と岐阜大学を選定したところでございます。現在、東京大学では、岩手大学、東京農工大学、宮崎大学と協力し屠畜場、食鳥処理場等の諸機関におきまして、また岐阜大学におきましては、酪農学園大学、北里大学、鹿児島大学と協力いたしまして農業共済家畜診療所、家畜保健衛生所等の諸機関におきまして、それぞれ実践的な現場実習プログラムの策定、教材開発、受入れ機関との調整などの準備を現在進めているところでございます。  実際の学生の現場実習につきましては、平成二十六年度中に一部施行を行いまして、平成二十七年度には本格的に実施する予定でございます。  文科省といたしましては、今後ともこのような支援に努め、獣医学分野の学生の現場実習の着実な実施を図ってまいりたいと考えてございます。  以上です。
  30. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。  今日からでも増やしていただきたいぐらいですから、ちょっともどかしい部分もありますけれども、まあ仕方ないというふうに思います。今年度からスタートして、来年度から本格実施というようなこと、これが実態につながっていきますように、またこれからもよろしくお願いしたいと思います。  文科省の方は、済みません、ありがとうございました。  次に、ハラール牛肉についてお尋ねをいたします。  農林水産省は、二〇一三年実績で五十八億円であった牛肉の輸出額を二〇二〇年までに二百五十億円まで拡大するという目標を立てて輸出の拡大に取り組んでいると伺っております。この輸出のターゲットとしては、牛肉の消費量が多いアメリカやEUに加えて、近年人口増加と経済成長が著しいイスラム諸国の食市場を獲得することも重要であるということです。  昨年十一月時点でイスラム圏向けにハラール牛肉を輸出できる国内の屠畜場は、UAE、アラブ首長国連邦向けの一か所しかありませんでしたが、昨年末に私の地元の熊本県の施設で新たなインドネシア向け輸出施設の認定を受けたところがありまして、全国初となるインドネシアへの牛肉輸出が開始されました。  ハラール牛肉の輸出の現状農林水産省としての取組、これについてお尋ねをしたいというふうに思います。
  31. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 佐野審議官、御退室いただいて結構でございます。
  32. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) ハラール輸出の現状ということでございますけれども委員指摘のとおり、牛肉は世界的に大変評価されている高品質の牛肉でございまして、輸出倍増計画の中で非常に大事な品目でございます。平成二十六年、牛肉全体で十一月までで七十一億円、一千トンを超えるという過去最高を記録しましたが、ハラール牛肉についても同様でございまして、過去最高の一千八百万円、二・五トンがUAEに輸出されているという状況にございます。  こういったハラール牛肉の輸出促進を図るために、まずマレーシアですとかサウジアラビアといった、こういったイスラム圏に対する輸出解禁に向けた働きかけ、これが大事だろうと思っています。さらに、イスラム圏で開催される食品見本市などへの出展や商談会の開催にも積極的に参画してございます。さらに、今委員からお話がございましたハラールに対応した食肉加工施設、これは非常に整備が大事でございまして、農水省でも強い農業づくり交付金というものを用意いたしまして産地における整備支援しているわけでございまして、その中で、今委員からお話がございました熊本県の球磨郡錦町にございます人吉食肉センター、今全国で二か所ございますけれども、そのうちの一か所と、さらに兵庫県神戸市の三田食肉センターが現在この事業活用して整備中ということでございます。  こういった様々な支援活用していただきまして、今後ともハラール牛肉を含む国産牛肉の輸出拡大に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  33. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。今後は、またオリンピックやパラリンピックに向けても訪日観光客も増えるというふうに思いますし、また国内に在住するイスラム教徒向けについてもまだまだ需要が伸びる部分はあるという、またそれで観光客を呼び込むというようなことにつながっていくというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、先ほど申し上げましたけれども熊本の屠畜場の地元の人吉市では、内閣府の地域再生計画の認定を受けて、ハラール対応セントラルキッチンの形成を核とした先駆的な取組が展開されております。このようなハラール先進県に向けた取組は、これは地方創生の取組としてまた期待をしているところでありますので、また、いろんな意味での御支援をよろしくお願い申し上げさせていただいて、また次の質問に入らせていただきます。  まち・ひと・しごと創生本部においては省庁の縦割りを廃止してワンストップで政策展開をするとされておりますが、省庁の縦割りを超えた農業支援というようなことでやっていただいております。  実は、私の地元でも経産省や総務省の支援策活用して業績を上げているところがあります。例えば熊本農業高校のOBなどで組織した農家や漁業者の協同組合は香港のデパートを拠点にテスト販売などに取り組んで、国際産直とも言える新しい販売を実践しております。これはJAPANブランド育成支援事業支援を受けております。補助率三分の二の上限二千万円、三年間なので、国からの補助額は最大で六千万円です。  また、総務省の事業で八代市の鏡町漁協がカキ小屋を造っておりますが、連日の大行列で、その地域では特産品ではなかったカキがどんどん売れるようになって高値で売り切れたということで、ここで交付された額は千八百万だそうです。総務省の地域経済循環創造交付金ということでありますけれども、これは償還期間はもっと長かったと思いますけれども、たしか一年か二年で返してしまったというような話であります。  さらにまた、同じ交付金が熊本県の合志市のフレッシュ工房というところに交付されておりますけれども、ここでは百名の従業員を生むというような計画で、これについては五千万円の交付額ということであります。  要は、農林水産業には、数千万という額でも、海外への販路開拓や新たな顧客の獲得などを通じて地域の雇用創造などにつながる費用対効果の高い補助金の出し方があるのだというふうに認識を新たにしたところであります。こういう政策をもっと展開していくために、これから農林水産省の役割は、これまで以上にやっていただかなきゃいかぬというふうに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  34. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、馬場委員から経済産業省との連携事業あるいは総務省との連携の事業が御紹介ありました。私ども農林水産省としてもしっかり、この農林漁業家の所得の増大を図って地域のにぎわいを取り戻すと、こういうことで最大限努力をしていこうと、こういうことをやっています。  そういう中で、農林水産省の話も当然しっかり頑張りますけれども、今お話も出ました地方創生の話でありますが、予算額が四千二百億円、これを三月までにどういう形かで市町村等からの申請に基づいて決定されると、こういうことでありますので、実は昨日、地方農政局長、それから地方の森林管理局長を集めまして会議をやりました。その中で、非常に成功した事例等も全部御紹介をいただきました。一つだけ申し上げますと、石川県で作ったルビーロマンというブドウでありますけれど、初値幾らだと聞いたら、五十五万円だったそうですね、一房。そういう例が各局長から全部出されまして、やっぱりこれ、農林水産業というのは成長産業になるためにはこの努力を続けていけばなれると、こう私は確信をいたしました。  それで、地方局長皆さんお願いしたのは、この四千二百億の、これから手挙げ方式でどういう形になるか決めていくわけでありますが、直接は私どもは手を挙げられませんけれども、是非、農林水産業がこれから発展していくと、こういうことに手を挙げてもらえるように、最大限地方農政局あるいは森林管理局がお手伝いをするようにと、こういうことを申し上げたところでありまして、昨日は非常に、コンテストになりましたけれど、すばらしい商品ができて、販路の開拓等もやっていると、こういう報告を受けました。  ただ、政策は、農家皆さんあるいは地方に住む方々によく制度を分かってもらわなければなりませんので、分かりやすい言葉で、よく我々も政策を進めていきながら、理解してもらえるような資料等でも説明を続けていくと、こういうことを昨日確認したところでございまして、御指摘があったように、経済産業省、総務省に頼ることもありますけれど、それに増して農林水産省として地方創生の中でいかに所得の向上を図れるかと、これに努力を重ねていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
  35. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございます。様々な新たな動きもしていただいておるということで感謝を申し上げます。  本当に農林水産省で力強くやっていただく、またそれに付随して、いろんな省でやることを、やっぱり情報が入らないまま知らないで利用できないというようなことは本当に残念なことであったと思います。そういったことがないように、また徹底していただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。  時間がなくなってまいりましたので、もう質問については割愛させていただきますけれども、鳥インフルエンザについては、御承知のように、昨年、熊本県で出た後、昨年の暮れに宮崎県、そして宮崎県の延岡市、そして宮崎市、そして山口県の長門市というように、本当にもう今からどこで起きるか分からないというような状況であります。  既に防疫措置は完了して、清浄性の確認や制限区域解除になる日を待っているというような状況かというふうに思いますけれども、この三つ、それから熊本県、本当に迅速な対応ができたというふうに思いますが、起きないことが一番いいんですけれども、どこで起きても迅速な対応をしてもらわなければいけないというふうに思っておりますので、この辺もまた徹底してよろしくお願い申し上げさせていただきます。  それから、阿蘇については今、火山灰が降っておるというような状況であります。本当にいろいろな苦労があります。今は葉物とかなんとかはもう大体終わっているというような状況で、個別には被害はありますが、総体的には大きくはないというふうに聞いておりますけれども、それでもやっぱりビニールのハウスの上に積もった灰というのを、これを落とすことで本当に皆さんもう疲弊してしまっています。一気に水で洗い流せばいいということでもなくて、そう簡単にも取れません。そして、水でそのまま流せばもうべたついて逆にくっついてしまいますので、ブロワーで一回払い落としてしまって、そしてそれから流すといっても、やっぱり重いですから、そう簡単には流れません。そして、それがもしかしたら毎日やらなきゃいかぬかもしれぬというようなことであります。そういったことについて、これからまた農林水産省の力をいただくこと、もう既に御指導もいただいておりますけれども、最近では新燃あるいは長野、いろんなところでの経験もお持ちだというふうに思いますので、しっかりとサポートしていただきますようによろしくお願い申し上げさせていただきたいというふうに思います。  そして、もう最後に、畜産価格のことに関しましては冒頭にお話をいただいて、希望が出てくる金額というようなことで決定していただくことを本当に願っておりますけれども、今の状況は幾らであっても十分ということはないということもお分かりだというふうに思っております。そのことを踏まえた上での最終決定ということをよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  36. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆さん、お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  今年初めての、閉会中ではありますけれども農林水産委員会でございます。今年は農協法の改正あるいは農業に関する様々な規制改革、そして企業の参入の促進といいますか、それから小規模、家族経営農家がどうなるのか、あるいはコミュニティーがしっかり守っていけるのか、多くの課題がたくさんありますので、しっかりこの委員会皆さんとともに議論をしてまいりたいというふうに思っております。  さて、先日、北海道の二十七年度のプール乳価が三円六十銭上がりました。生産コスト上昇によって所得が減少している中、年間乳量五百九十二トンの北海道平均的規模の酪農家は乳代収入が二百十三万円ほど増えることになりますが、まだまだ生産コストが上がっている中で、そのコストを吸収できるというところまでは至っておりません。  本日決まります酪農畜産価格で加工原料乳の補給金単価が引き上げられれば、プール乳価は更に上昇することになります。酪農家皆さん経営意欲につながりますので、しっかりと引き上げていただきたいということを期待したいと思いますが、先ほど加工原料乳補給金単価十二円九十銭というお話がありました。二十六年度では十二円八十銭で、そこに単年度の加工原料乳供給緊急対策事業分として合わせて十三円ということでしたが、これ、この緊急対策分が付かなければ、十二円九十銭ということは二十六年度より下がるということになりますが、この点大丈夫でしょうか。
  37. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のように、二十七年度の加工原料乳生産者補給金単価につきましてはキログラム当たり十二円九十銭で、対前年度十銭上げということで今畜産部会に諮問しているところでございます。  この単価につきましては、現行算定ルールの中で配合飼料価格が一月から三月にかけて引き上げられるといったことや、北海道で電気料金が引き上げられると、こういったことも勘案いたしまして、直近の物価水準を反映させた水準で適切に算定させていただいているというふうに考えてございます。  今委員からお話がございました緊急対策ということがございましたが、これにつきましては昨年限りということでキロ当たり二十銭の特別対策を実施しましたが、これは昨年限りということでございますので、今年は実施されないということでございます。
  38. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それでは実際には下がるということになりますよね。確認します。
  39. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) その二十銭対策につきましては廃止といいますか昨年限りにさせていただきましたが、今年度、この畜産物価格決定する過程におきまして生産者の方々や与党との意見交換を緊密に行いました。その結果、生産者の収入を確保するという観点から、最近乳房炎によって生乳生産量の一%から二%程度廃棄されている、これが非常に酪農家の収入の損失になっているということで、乳房炎対策を充実しようというようなこととか、また集送乳経費、これは北海道は比較的効率的に行われていますが、都府県ではまだまだ効率化が必要な部分もございます。そういったものに対しまして、指定団体に集送乳の合理化計画を作っていただきまして、そういったところに対して大型のタンクローリーを助成すると、こういった対策も打ちまして、全体としましては酪農家の所得が確保されるよう十分に配慮した対応にさせていただきたいと考えているところでございます。
  40. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今、北海道酪農家がどれだけ厳しい状況にあるかということは大臣もよく御存じだと思います。実質手取りが上がらなければ生産意欲にはつながりません。ですから、ここはしっかりと二十六年度と同じようにこういった供給緊急対策、しっかり上積みをしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  41. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今与党と調整中でありますが、昨年のように乳価そのものだけではなくて事業支援できるかどうかと、こういうことを私ども検討しております。そして、これは北海道だけではなくてほかの都府県等にも対応できるようにやろうと、こういうことでやっておりまして、昨年以上の支援策が打ち出せるだろうということで最終の詰めをやっておりますので、結果が決まり次第報告をさせていただくということにさせていただきたいと思います。
  42. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 北海道は、いろんな意味でハンディキャップを背負いながら酪農家の方々が一生懸命頑張っているんですね。ですから、こういう厳しい状況の中ではやはりその手取り所得が上がるということが非常に重要ですので、しっかりと北海道状況を考えながら、府県と同じようにではなく、逆に北海道だからこうしなければいけないという部分もありますので、御対応いただきたいと思いますが、もう一度大臣お願いいたします。
  43. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 先ほどの乳価の話、これは機械的にはじいていったと、こういうことで十二円九十銭になりましたが、ほかの対策等は昨年も緊急にやりました。今年は今年でまた考えて今おりまして、調整中なんです。北海道は当然、私どもこの困窮している状況をよく分かっておりますので、それと併せて、都府県でもやはり困っておると、こういうことでありますから、併せて対策を、今最終詰めをやっておるということを報告させていただきます。
  44. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今大臣から調整中という御答弁がありましたので、しっかりと調整をしていただきまして、二十六年度と同じように単年度で結構でございますから、加工原料乳供給緊急対策事業分、上乗せしていただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。  さて、今日、まずは私が大変今不安を感じております越境性動物疾病について伺いたいと思います。先ほどお話がありましたけれども、今海外からの渡航者が大変に増えております。家畜伝染病の侵入リスクが高まっているわけです。  そこで、まずは高病原性鳥インフルエンザについて伺いますが、昨年十二月に宮崎県と山口県で高病原性鳥インフルエンザが発生しました。現状とこれまでの防疫体制について御説明いただきたいと思います。
  45. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 先生御指摘のとおり、高病原性鳥インフルエンザが昨年末に宮崎県の延岡市と宮崎市、それから山口県の長門市の三事例が発生をしております。これらにつきましては、農林水産省としましては、直ちに農林水産省鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催して防疫方針を決定し、この防疫方針に基づきまして、農林水産大臣を現地に派遣するなど関係県や関係府省庁と連携して対応してきたところでございます。  これらの三事例の現状でございますけれども、まず一例目の宮崎県延岡市の事例につきましては、既に今月七日、移動制限区域が解除されておりますので、元の未発生の状態に戻っております。他の二つの事例につきましても現在順調に推移しております。このまま順調に推移すればという前提ではございますが、二例目の宮崎県宮崎市の事例は一月二十日に移動制限区域が解除されます。山口県長門市の事例につきましては、同じく一月二十三日に移動制限区域が解除されるというふうに見込んでいるところでございます。
  46. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 高病原性の鳥インフルエンザは、韓国で発生すると日本でも発生するという状況になっています。私の地元北海道は、平成二十五年度は韓国から十四万人の方々が観光で訪れております。今も毎日のように直行便が入っているわけですね。  お手元にお配りした資料の二枚目を御覧いただきたいと思いますが、昨年の十二月に韓国で高病原性鳥インフルエンザ、二百五十三件も発生しております。これ、今までになかった数字ですよね。この原因と日本への影響についてどのように考えておられるのか、また、更なる防疫体制をどのようにしていくのか、御説明いただきたいと思います。
  47. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 先生御指摘のとおり、鳥インフルエンザは韓国で発生をしております。今お話ありましたように、二百五十三件に加えて、また最近一件出ておりまして、二百五十四件というふうになっております。また、口蹄疫も韓国では発生しているというふうなことでございます。  こういった家畜伝染病が我が国に入ってくるのをどうやって防ぐかということでございますが、一つは病原体が付着するおそれのある靴などの物品、こういったものをどうやって消毒するか、それから不法に持ち込まれる肉、生肉ですね、こういったものへの対応というのは非常に重要であります。  このため、農林水産省としましては、昨年の韓国での発生以降、これまで空港で実施してきたことではございますけれども、消毒マットによる靴底消毒、あるいは検疫探知犬といいまして、こういう違法持込みの肉を調べる特別な犬がおりまして、こういった犬による検査を行います。また、これらに加えまして、先生の御地元の新千歳空港も含めて、全国で旅客向けに韓国語のポスターを作りまして、分かりやすい注意喚起を実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、口蹄疫、鳥インフルエンザが代表ですけれども、大変重い病気が日本に持ち込まれないようにというふうなことで、しっかりと体制を整えて対応していきたいというふうに考えております。
  48. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 千歳空港に確認しましたところ、国内線に関してはポスターも貼ってあって、消毒マットも置いてあると。ところが、直行便がどんどん入ってきている国際線の方で全く対応ができていないんですね。  これ、農水省なり道から指示がありましたかと聞きましたら、平成二十二年に宮崎県で口蹄疫が発生したときに、道の判断で水際対策を講じるように指示があって、それが継続しているということで、改めて、今韓国でこういった鳥インフルエンザが発生していますよとか、あるいは口蹄疫が発生していますよというような、そういった指示が全くないということでありますので、水際対策、これ重要でありますから、改めて農林水産省からきちっと空港なり港湾なりに指示をしていただきたい、そして旅行者に対しても注意喚起をしていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私ども、国際線にもこれは周知徹底ができているかと、こういう報告を受けておったんですが、今、徳永委員からの御指摘もありましたので、早速国際線を飛ばす空港に連絡を取り、あるいは生肉が来るのが心配だということでありましたので、川崎市にあります国際郵便局等も含めて、韓国語等での説明ができるように徹底を図ってまいりたいと思います。
  50. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非ともよろしくお願いいたします。  続いて、一昨年から流行しているPEDについて伺います。  北海道から沖縄まで全国的にPEDが発生し、いまだにその原因や感染経路が明らかになっていません。養豚農家では、PEDに感染すると数百万円もの被害が出るケースがあるのにもかかわらず救済措置や防疫の決め手がなく、離農する農家もありました。今年も流行が心配される冬を迎えました。昨年は四月がピークでしたから、まさにこれからが心配といったところですが、PEDへの対応、対策について伺います。
  51. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) PEDについて御説明申し上げます。  まず、現在の発生状況でございますけれども、PEDは、今お話がありましたように、実は夏が一番底になります。というので、そこからもう一度カウントをし直したということで、九月以降の数字で申し上げますと、昨年九月以降、現在までに、十七都県で六十八戸の農家で発生をしております。ちょうど、それの一年前のシーズンと比較いたしますと、発生件数自体はほぼ同数でございます。  しかし、今度は飼養頭数に占める死亡頭数、百頭飼っていて何頭死んだかという意味でございますけれども、それが、前のシーズンは約九%でございました。現在は三%弱というふうな数値になっているところでございます。  このPEDにつきましては、先生御指摘のように、これぞという決定的な決め手の対策というのはございません。地道な対策を、二つございまして、一つは衛生管理の徹底です、もう一つはワクチンの適切な接種、こういうことでございます。昨年来、こういったことを徹底をしてきておりまして、農林水産省としても、新たな防疫マニュアルというものを作りまして、各都道府県、農家、獣医さんなどに徹底を図ってまいりました。その中では、こういった地道な対策、さらに特別防疫対策地域というふうなものの制度もつくっております。今回、死亡率が九%と三%、現在の数値ですけれども、少し低下しているというか下がってきておりますのも、こういったことについて農家が真摯に対応してきてくれているおかげではないかというように考えているところであります。  引き続き、農家等しっかりと指導をして、県とも連携もし、また疫学的なところも更に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  52. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 原因も感染経路も分かっていないわけですから、ワクチン接種を徹底していただいて、被害が大きくならないように対応していただきたいというふうに思います。  それから、資料の三枚目を御覧いただきたいと思いますが、先ほどお話がありましたけれども、口蹄疫の発生も報告されています。日本は、二十八万八千六百四十三頭の家畜を犠牲にして、平成二十二年三月に宮崎県で発生した口蹄疫を八月二十七日には終息させ、翌年の一月にはOIEから口蹄疫清浄国と認定されましたが、油断はできないと思っております。韓国では、この資料にありますように、昨年の七月二十三日に三年三か月ぶりに口蹄疫が発生した後、御覧のように次々と発生しています。  この状況、今、越境性動物疾病と呼ばれる家畜の病気を防ぐには非常に限界があって、ウイルスは国を越えて入ってしまいます。その結果、犠牲になるのは家畜の命であり、畜産農家皆さん心配し、病気が発生すると被害も大きく、経営が困難になる場合もある。これからますますこの越境性の動物疾病には警戒を強めなければならないと考えますが、この口蹄疫に対してはどのような対策を立てておられるのか、お伺いしたいと思います。
  53. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 先生御指摘のとおり、韓国では口蹄疫が発生をしておりまして、豚にも、それからさらには牛にも発生をしている現状になっております。  御存じのとおり、口蹄疫、大変警戒を要する、一旦侵入すれば大きな被害をもたらす病気でございます。私ども農家も大変警戒心を持って対応しているところでございます。そのためには、先ほどお話ありましたように、まず一つは水際対策、それから各農家の衛生管理の遵守、それからもし万が一異常があった場合の通報、こういったものを地道に重ねていくというふうなことが重要でございます。  こういったことから、今月下旬にも各都道府県の家畜防疫の担当者を東京に集めまして、再度、何度も今までやっておるんですけれども、再度注意喚起をして、緩むことのないように引き締めていきたいというふうに考えております。
  54. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほどお話しいたしましたけれども北海道には年間十四万人もの方々が韓国から訪れております。今非常に酪農畜産農家皆さんが厳しい状況にある中で、万が一にも口蹄疫が入ってきて発生などということになりましたら、これはもう大変なことになりますので、非常にこれ緊急事態だというふうに捉えて、水際対策、防疫対策を徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、続きまして日豪EPAについてお伺いいたします。  明日一月十五日、日豪EPAが発効いたします。協定では、焦点の牛肉は、現行税率三八・五%を、冷凍は十八年で約五割の一九・五%に、冷蔵は十五年で約四割の二三・五%に削減することになりました。段階的に関税削減を行うわけですが、発効と同時に牛肉の関税は、冷凍で三〇・五%、そして二年目には二八・五%、冷蔵では三二・五%で、二年目には三一・五%まで下がります。EPAの規定上、二年目が四月一日から始まるということで、協定発効と同時に下げた関税を僅か三か月でまた再び引き下げなければなりません。本来、国内生産への影響をできるだけ小さくするために長期間を掛けて引き下げる仕組みのはずが、発効三年目までの引下げ幅が大きいために国産牛肉への影響が大変心配されます。  改めて、日豪EPAによる国産牛肉への影響について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  55. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 一月十五日から発効するわけでありますが、特に牛肉は、現行関税率三八・五が、今御指摘がありましたように、冷蔵物と冷凍物で、冷凍物は最初に八%下げると、で、更に二%下げるということで、下げ幅が前の方にきつくしたと、こういうことであります。  これは、交渉が、私はTPPの党の委員長でありましたので、この日豪EPAについてもいろいろ状況報告等がありました。豪州のロブ貿易大臣との話の中では、当初、冷蔵肉と冷凍と分けないというのがオーストラリアの主張でありました。私は、それでは国内の委員会が通らないと、どうしても冷蔵物をしっかり守れと、この意見があることも強いということで、冷蔵と冷凍を分けていただくことになったんでありますが、下げ方としては、最終二三・五でとどまるんだから、向こうの言い方はですね、前の方でとにかく下げてくれと、こういうことで、二年目からは非常に下げ率低くなるわけですけれど、そこで両者が合意をしたと、こういう状況であります。  問題は、影響が、発効する前に出るわけありませんが、あした発効した後どう出るかと、これは我々もよく対応を見ながら考えていきたいと思います。  そこで、ただ、セーフガードの措置が、これすぐ発動できるようになっておりますので、今オーストラリアの牛肉が日本の牛肉を攻めるよりも、アメリカと競合している部分については対アメリカとの関係で相当このシェアの動きがあることも想定されますけれど、いずれにしましても、税率が下がった後どういう影響が出るか見ながら私どもは対応を考えていきたいと、こう考えております。
  56. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 十一月の外交防衛委員会との合同審査でも、影響試算や国内への影響について求める声が出ました。これ、多分、交渉するときにはある程度の試算をして、それで、この程度までだったら譲れるとか、これは駄目だとかということをやってきたと思うんですね。  ですから、どういう影響が出るかというやっぱり試算と懸念している部分をきちんと明らかにした方がいいと思いますよ。それに対して、もしそのようなことが起きたときにはどう対応していくのかということをきちんと言っていかないと、このお手元にお配りした資料の一枚目にもありますけれども、二〇〇六年には農林水産省はこの日豪EPA、ここに合意することに対して大変な懸念を抱いていたわけですね。このイメージが生産者の中に非常に残っていますから、一体これからどうなるのかと不安で不安で仕方がない方がたくさんいると思うんです。  ですから、なるべく早く、もう関税の引下げ率も分かっているわけですから、試算をして対策を示していくと、そのことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 西川公也

    国務大臣西川公也君) あした以降どう影響が出るかと、こういうことをよく見極めたいと思います。  それで、一番心配なのは冷蔵牛肉でありまして、オージービーフと日本の和牛、ここへの影響等をよく見ていきたいと思います。  一方、冷凍肉の方は、どちらかといえばハンバーグとかそういう加工のほかのものに変わっていくわけでありますから、またアメリカからの輸入のものもありますし、これはアメリカと豪州との関係でシェアがどう動くかと、こういうことも想定されます。  私どもは、冷蔵牛肉で日本の牛肉にどう影響が出るかと。セーフガードもありますけれども、これは、よく見ながらすぐ対応できるように、しっかり私どもも見極めながら行動してまいりたいと考えております。
  58. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 しっかりとよろしくお願いしたいと思います。  さて、北海道において酪農家の離農戸数が、二十年で半減して、今も年間約二百戸の酪農家が様々な理由で離農していることはよく御存じだと思います。  ただ、これ、牛舎が古くなって更新期を迎えたと。更新しようかな、しかし億単位の借金を抱えて更新するんだったら、先も見えないし、ここでやめてしまおうかなと。あるいは、後継者がいる人も、今資材費も上がっているし、ちょっと先が見えないと不安だなということで、更新期を境に離農するという方が結構おられるんですね。  そこで、地域が策定する畜産クラスター計画に位置付けられる家族経営を含む地域の中心的な経営体に対して国が施設機械整備の両面で支援するというのは、これかつてない事業で、大変に酪農家皆さん期待をしております。意欲的な担い手が安心して酪農を続けられるように、まず一般予算概算要求総額をしっかりと確保していただいて、また、単年度ではなくて少し長いスパンでこの事業継続していただきたいと思います。  それで、この事業を使うためには規模拡大が条件だというふうに聞いておりますけれども、メガファームや大規模の経営体を優先するんではなくて、やはり小規模、家族経営酪農家の方々も経営継続していけるように、こういう方々もしっかりと支えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 今委員から御指摘がございました畜産クラスター事業でございます。これにつきましては、先ほど馬場委員からお話がございました北海道意見交換などにおきましても、現地から大変期待が高い事業だというふうに考えてございます。  これまで畜産関係の事業につきましてはALIC、農畜産振興機構、こういったものの事業もございましたが、ここは、今回は一般会計予算にしっかり位置付けまして、継続的にこの事業推進していきたいということでございまして、このクラスター事業は全体で、二十六年度補正で二百一億円、それから二十七年度当初で七十五億円、合計二百七十六億円の新規事業として実施していきたいと、こういうふうに考えているところでございます。  それから、事業の実施に当たりまして小規模農家対象とすべきではないかというお話がございました。これは、先ほど委員からもお話がございましたように、やはり地域関係者が相談した上で畜産クラスター計画を作っていただく、その中で地域の中心的な畜産経営体というものを位置付けていただくということでございますので、私どもとしましては、規模要件に、規模の大小にかかわらず、そういった地域クラスター計画の中で位置付けられた経営体に対しては支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  60. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 決して小規模、家族経営農家が後回しにならないように、しっかりと経営が続けられるようにお支えいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、乳用牛飼養頭数が頭打ちになっているというお話がありますけれども、この頭数を増やしていくことを考えなければいけない。そういう中で、牛舎が空いている酪農家の方が結構いるんですね。牛を導入したいんだけれども、それこそ、初産のはらみですか、一頭五十万以上するわけですよね、今。だから、何頭か導入しようと思っても結構なお金が掛かるので、今生産コストが上がっている中で新たに牛を導入するのも大変に厳しいというお話がありまして、空いている牛舎を埋めていくということを考えても、この牛の導入支援ということもお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 西川公也

    国務大臣西川公也君) こういう状況の中で優良の乳用牛をどう確保するかと、これは大きな問題だと思います。そういう中で、農水省で、酪農生産強化対策事業ということで二十六年度の補正予算により措置をしようと、こういうことを決定しました。  そこで、乳用牛導入でありますけれど、従来は都府県向けに行ってきました。そして、酪農家後継者が初妊牛を導入する際の助成五万円、一頭当たりですね。さらに、経営中止又は規模を縮小する酪農家乳用牛、非常にこれは大切なものですから、それを地域酪農家継承する、こういう際は三万二千円と、こういうことで仕事をしてきましたが、都府県向けだけではなくて、二十七年からは新たに北海道対象にいたします。全国において実施しますけれども、新しく入ると、こういうことを決めました。  さらに、この導入のために資金面でも、スーパーL資金、あるいは農業近代化資金、この近代化資金は特別補填をして安くしておりますので非常に利率の低い資金になっておりますし、これらが十分措置されるようにやってまいりたいと、こう考えております。それを報告させていただきます。
  62. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非ともしっかりと導入できるようにお支えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  時間がなくなりましたので、最後になります。  最近、ちょっと牛が弱くなってきているという声を聞きます。それで、酪農家の方々が、コストが上がっているので餌代を抑えていると、牧草地を更新したくてもなかなかお金がなくてできないので、栄養価の高い良質な牧草を食べさせられないということももしかしたら原因なんじゃないだろうかというような声が聞こえてきています。  牧草地の更新率は、北海道では僅か三%です。牧草地の平均面積が一戸当たり六十ヘクタールの北海道では、一ヘクタール当たり三十万掛かる草地更新をするとなると一千八百万も掛かるわけです。補正予算でも草地難防除雑草対策事業を二十億円付けていただきましたけれども、二分の一補助でも負担は個人的には非常に大きいですし、幾つかまとまってという話でありますが、これもなかなか容易ではないわけであります。ましてや補正となりますと、北海道は今、牧草地、雪の下ですから、これを少し中長期的な対応というふうにしていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 委員指摘のとおり、飼料生産基盤に立脚した畜産経営の持続的な発展のためには、生産性の低下した草地の単収向上を図ることが喫緊の課題となっております。  このため、平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度予算におきまして、新たに、繁殖が旺盛で除草剤が効きにくく、従来の手法による防除が困難な雑草の駆除の取組について、補助率を二分の一以内に引き上げますとともに、土壌分析に基づく優良品種牧草等の導入の取組につきましても引き続き支援をしてまいりたいと考えております。これらの支援により、草地の生産性の向上を強力に推進してまいる決意でございます。
  64. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 更新率が上がっていくように、しっかりとお取組、よろしくお願いしたいと思います。  まだ幾つか質問がありますけれども、時間になりましたので終わらせていただきたいと思います。経営意欲が高まるように、いろんな面でしっかりとお取組、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  65. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党、北海道選出の参議院議員の小川勝也でございます。  会派も選挙区も同じですので、徳永委員と主張はほぼ同じでありますが、今日は、私はちょっと大掛かりな話を大臣に提案をしてみたいというふうに思っています。  酪農がやはり大変な危機感であります。私は今日、たまたまでありますけれども、家内が買ってくれました中札内牛乳というのを飲んでまいりました。百八十ミリリットルで五百円したと。これは私、低温殺菌牛乳というのが実は好きなんですけれども、それを敷衍して、買ってきたのが無殺菌牛乳というやつです。いろんな意味で規制緩和をしていただいて、様々な酪農の在り方、あるいはチーズ生産、あるいはそれを観光と結び付けるなどという様々な地域が元気になる方法をいろいろな方が提案をしたり手を挙げたりしたときに、農林水産省もそれを後押しする官庁であってほしいと、冒頭お願いをさせていただきたいと思います。  今日、質問するに当たってこの日本農業新聞を見ましたら、日豪EPA発効、大変な危機感だということと同時に、二〇一五年度畜産酪農対策農業団体は国内の畜産は過去にない危機的状況となっている、大変大きな書きぶりで、まさに共感する次第であります。  先ほど来御紹介がございましたように、酪農王国北海道六千九百戸、毎年二百戸、二百戸減っているというふうな計算になります。このままでいくと、いつかなくなるということになりやしないかと心配であります。  今、農林水産省の関係各所の方と当然議論をする、グラフと法律を見るわけであります。やはり酪農というのは、人間が生きていく上でまさに生活そのものでありますので、なるべくグラフと文章ではないところで政策をつくっていただきたいという私の要望であります。  たまたま自由民主党の同志が北海道にも行っていただきました。堀井さんが釧路市阿寒町からオホーツク管内の津別町まで車で走ってくれたということであります。私たちは二百戸減りましたというふうに、例えば農林水産省の官僚の方がグラフを見るのと同時に、私たちは津別で何戸、興部で何戸、羊蹄山麓で何戸、宗谷で何戸、それぞれの集落を思い浮かべるんです。これは紙さんも徳永さんも佐藤務官も同じです。さっき馬場さんがいいことを言ってくれました。一戸仲間がいなくなるということが既存の酪農家にとってどれだけ影響が大きいことか。二十軒の集落はありません。十軒の集落もありません。ほぼ酪農家の集落というのは五軒とか三軒の集落です。二軒の集落のうち一軒離農したらどうなりますか。こういうところに思いをはせていただく農林水産行政であってほしいと思います。  そんな中で様々な情報が年末寄せられました。一つは小中学校の統廃合の話であります。今、人口減少社会、特に農村集落が大変でありますし、一番大変なのは北海道だと私は認識をしておりますし、田があって畑があって酪農があるという意味でいうと、酪農地帯は一番大変。一番大変な北海道で一番大変なのは酪農地帯であります。しかし、残念ながら、昨今の農政改革を見ますと、農業者人口はどんどんどんどん減っていきます。  私はこの委員会でも申し上げましたとおり、かつて戦後の農村は長男だから仕方なく農村に残って、家に残って役場や農協や信金やその他の会社に勤めるという兼業農家が私たちの国の集落を維持してまいりました。そこに目を付けた企業は、良質な労働力を当てにして製造業等の企業を、工場をそこに置いてくれました。ですから、農村の人口は本州でも維持できているわけであります。今のいわゆる担い手に集積をさせる農政をどんどん進めていけば、まさに農業地帯の人口は激減するでありましょう。  今内閣でまさに新しい試みをやっていただいているのはよく存じ上げておりますけれども、相当な危機感を共有させていただく中で、とりわけ農林水産大臣として、いわゆる地域集落の要である学校の存在、統廃合、そして農家の方々といえども生きていくために必要な医療や介護、こういった分野にしっかりと思いをはせながら、内閣の中にあってしっかり発言をしていただきたいということをまずお願いをさせていただきたいと思います。  人口減少社会においての農村の生活基盤を守るという意味での農林水産大臣の御意向を伺っておきたいと思います。
  66. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、北海道酪農が減ることと、人口が減ってきて集落が維持できなくなるぞと、こういうお話であったと思います。特に、先生が御関心のある北海道酪農地帯でありますけれど、根釧地域、これ農業産出額が七割を占めていますね。それから、農家戸数の八割が酪農だと、こういうことでありまして、やっぱり酪農減少していくと地域社会がこれは維持できないと、こういう危機感があると思います。  私どもも、どうやって集落を維持しながら農業が栄えていくかと、こういう議論はいつもやっています。戸数が減る、戸数が減ったときに減った分をほかの農家経営拡大してくれればいいんですけれど、いつまでもこの状況が続かないと、こういう状況があると思います。  それから、離農された方が働く場所がなけりゃどうしようもないと、こういうことでありまして、私は就任してからすぐ、農村地域工業導入促進法ですね、農工法です、これは昭和四十六年に作りましたけれど、法律は幸い生きていました。それで、四十七年にできた工業再配置促進法、これ経済産業省ですが、これは途中で制度が変わって、企業立地法に変わっています。こういう状況の中で、この二つとも非常に効果は上げましたけれども、まだ土地がたくさん残っています。  私は、農業の周辺産業、四割が周辺産業の皆さんが食の関わりがあるということで、ここと農業者が組めないかと、こういうことを検討して今おりますし、さらに、地方へ来てくれれば、農工法と企業立地法を両方合わせ技にすれば、片方は地方税の課税免除になっているし、片方は国税の課税免除になっておりますので、これを将来に向かっては必ず有効に使えるように検討を始めようねと、こういうことで、取りあえず私どもの省内では農工法だけは検討を始めました。余っている土地もあります。そこで是非、こういう状況の中で企業の皆さんの理解をもらわなきゃなりませんので、就業機会の確保、これも併せてやっていきたいと、こう思います。  ただ、人口減少の中で、学校の統廃合等の新聞記事も読ませてもらいました。私も文部科学大臣に、あえて合理性だけで小中学校の統廃合を続けていいのかどうか、私どもの農村社会を考えながら対応していただくように、私の方からも話をしておきたいと思います。
  67. 小川勝也

    ○小川勝也君 ちょっと質問に沿った答弁でない部分もありましたけれども、最後、御答弁をいただきました。  私たちはこの酪農家の方々に何を期待をされているのかといいますと、規模拡大皆さんもう疲れ果てているんですね。ここ二十年で乳量を倍にしているんです。ですから、いつまでたってもゴールのないランナーにさせられている。その間、どんどんどんどん、北海道だけでいうと、みんなで走っていてランナーが二百人ずついなくなっていくというのが北海道酪農です。ゴールがないということは、持続可能な安定した経営というゴールにいつまでたっても政策、制度が到達させてくれないということであります。  私たちは、農業者戸別所得補償制度を議論するときに、ある極端な事例を参考にいたしました。これは山田農林水産大臣がスイスで勉強された事例であります。スイスのいわゆる国境近くの急傾斜地で牛を五、六頭放牧している農家が受け取る所得補償が五、六百万円になるということであります。これは、御案内のとおり、国境地帯に、そこに酪農家がいるということは、国防の一端、それから傾斜地加算、あるいは多面的機能の環境支払、それに景観支払ということをプラスしてそうなるということだそうであります。そして、その農家は、自分の傾斜地で牛がノンストレスで生活したそのおいしい牛乳を自分の家でチーズに加工して観光客の皆さんに販売すると、こういう経営形態だというふうに聞きました。  これは理想ではありますけれども、私たちは、あしたも来年も同じ経営ができる酪農というのを私は提案できないだろうかというふうに思って何度となく発言をしてまいりました。頭数要件、あるいは草地の規模、今のやり取りでいきますと、いわゆる規模拡大をするところ、あるいは法人、新しい取組をするところがより効率的な酪農経営をできるようになる、そうすると相対的に、努力をしなかったとは言わないけれども同じ経営を続けていた家族経営酪農家が相対的に非合理的な経営をしているということになって、その方々が脱落をしていく。  ですから、酪農というのは最低五千万、一億掛かる産業でありますので、欠けたところに新しい参入はほぼ望めないわけであります。ですから、戦後入植を含めてせっかくつくり上げてきた酪農地帯と良質ないわゆる生乳生産できるシステムは私は様々な食料安全保障や景観維持を含めて宝物だと思いますので、国としてできるだけ持続可能な酪農経営にシフトする、このことを今つくり上げていく時期だというふうに御提案をさせていただきたいと思います。  私たちは農業者戸別所得補償制度をベースに理想的な持続可能な酪農経営というスタイルを模索いたしましたけれども大臣におかれましては、今、徳永委員から説明のあった例のクラスターを変化させていただいて、家族経営の方々が持続可能な経営をやりやすくするというメッセージを出していただく、これを膨らませていっていただければ有り難いというふうに思ってございます。  ある先輩が、農業経営というのは石垣だというふうに言ってくれました。これは、大きな石だけじゃ安定しないんだと、大きな石、小さな石、小さな石、これが組み合わさってしっかりとした石垣になると。今北海道で、小さいからいいだろうと思って一戸一戸、二百戸を失う酪農家が、やがてその石垣全体を崩壊させる今まさに危機的な状況にあろうかというふうに思っています。  それから、補給金単価です。これは高ければ高いほどいいです。しかし、これは安倍総理に言わせると、我々はずっと長いデフレ基調の中にありました。経済や景気、あるいは金利や為替が、物価が安定していた状況に、その三年度の変化を取ってして微調整するのがいわゆる補給金単価の制度でありました。  今、いわゆるところのアベノミクスで、円安誘導で為替が八十円から百二十円になり、電力料金がこれだけ上がり、そして原油価格がたまたま抑えられているのは産油国の思惑という偶然であります。それから、餌の価格も国際的に乱高下する状況の中で、補給金単価だけで酪農家皆さんのいわゆる見通しが付くわけではありません。EPAがあって、子牛高があって、そして先ほど申し上げましたような諸条件の変化があって、まさに酪農経営者にとっては全く先が見通せない状況であります。  ですから、様々な施策を充当していただいているのはよく分かりますけれども、家族経営皆さんが、そういう大きな社会的な、世界的な状況の変化にもまれつつも、とにかく来年度も営農ができるんだというシステムを西川大臣の手でつくり上げていただきたい。そのことを御提案をさせていただいて、御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  68. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 畜産をめぐる大変経営に困難度を増すような状況が今発生していることはよく承知しております。  特に、飼料価格高騰、あるいは電力料金が上昇してきたと、こういうことで、ただでさえきついのにこの酪農経営大変だということはよく私どもも受け止めておりまして、今回も予算を増やしたのは、何としても畜産継続性を私どもはしっかり持っていくんだと、こういう意味でやったつもりでおりますが、更なる努力を続けていくことをここでお約束して、答弁にさせていただきます。
  69. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方からは、まず、慢性化しつつあるバター供給不足に対する対応と、そして酪農家への支援策についてお伺いをしたいというふうに思っております。  昨年末、店頭に出回るバターが大変不足をして大きな話題となりました。これに対して、政府としても二度にわたって緊急輸入をされまして、合計で一万トン、大体年間の需要量の一五%、あるいは生産量の二割ぐらいということですから、かなり大規模に手は打っていただいた。そして、その後、乳業メーカーに対しても増産要請をしたという形で、矢継ぎ早に対応を取っていただいたんですけれども、やはり店頭からは年末ぎりぎりのときまでバターが消えてしまったという事態がございました。  まず、この原因、これだけ手を打っても不足してしまった原因を一体どう考えておられるのかということ、そして、今後もバター継続的に不足するんじゃないかと、こういう指摘もあるわけですが、この指摘に対してどう対応するのか、御答弁お願いいたします。
  70. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 御指摘のとおり、バターの問題、大変大きな問題で、市場もにぎわしました。昨年秋以降、スーパー等で家庭用バターが品薄となった要因といたしまして、バターの在庫量が減少している中で生乳生産減少を背景にバター生産量が減少したことと、もう一点は供給不安等を背景として販売量が増加したこと等があると考えております。これは、スーパー等で一点限りとか様々なことがあったようでございます。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  このため、昨年十一月、農林水産省から乳業界に対しまして、需要期における家庭用バターの最大限の供給を依頼をいたしました。この結果、バター製造大手四社を中心に供給増に取り組んでいただきまして、小売店での販売状況も改善されたと認識をいたしております。また、今年度は本年三月までに合計一万三千トンの国によるバター輸入が行われることとなっておりまして、これにより業務用を含めた年度内のバターの供給量は需要量を上回る見込みと考えております。  農林水産省といたしましては、地域の中心的な畜産経営体が行う収益性向上の取組を支援する畜産クラスター事業など、生乳生産基盤を強化する対策を着実に進めることと加えまして、今年度のバター不足の要因を精査し、乳業各社、需要者と引き続き緊密に情報交換や協議を行った上で、二十七年度の輸入の時期や方法等の改善、消費者への適切な情報提供の実施に努め、これらのことによりバターの安定供給に努めてまいりたい、このように考えております。
  71. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁にもございましたが、生乳のそもそも生産基盤が弱くなってきてしまっている、生乳の量自体が減ってきている、これが大きな前提にある中でのバターの不足ということでありましたので、これは当然、まず生産基盤をしっかりもう一度立て直すというところを取り組んでいただきたいわけでありますけれども、いかんせん時間が掛かります。そうする上において、やはりバターというのはもしかすると今年もまた年末にかけて不足してしまう可能性があると。これに対して、消えてから、あるいは消えそうになってから手を打つということではなくて、やはり事前にどれだけ手を打てるかということが今問われているんだというふうに思っております。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  今回も、例えば生産者の方たちというのは農林水産省として常にコンタクトを取っているわけでありますけれども、メーカーとの距離ってどうだったのかなと改めて思っております。十一月末に農水省から出ました増産への依頼、これを受けて、生産者も三三%増産しますよと回答をすぐ返してきているわけですけれども、一方で、今、例えば冷蔵バター輸入しても、余った原料を、需要が今大変大きくなっている例えば生クリーム、こういったところに使ってしまったんじゃないかと、こんな指摘もされています。私もコンビニに行くと、最近はどら焼きの中に生クリームが挟んであったり、本当にこの生クリームの量が増えていたりする、こういうところにおいてメーカーとしてそちらに回してしまうという経営判断もあったんじゃないかと実際に思っております。  そういう意味では、大臣、年末の記者会見の中でもう少し前に対応できたかもしれないという御発言もありましたけれども、是非ともこれ、今年一気にいわゆる生乳生産基盤自体を一年で強固にするということはできないわけでありますから、このバターがなくならないように、メーカーとも引き続き意見交換あるいは対応策、検討を是非いただきたいということをお願いしたいと思っております。  そして、この生産基盤強化、やはり一番大きな課題になっているわけでありますけれども、今日最終決定を見ますこの加工原料乳生産者補給金制度、これ、制度の目的というのはやはり酪農家経営をしっかり安定させることというふうにうたわれているわけでありますけれども経営を安定させようといったときに、この制度でそもそもいいのかということをやっぱり常に問い続けなきゃいけないというふうに私思っております。  補給金の制度に関して言えば、前年の単価に対して生乳一キロ当たりの生産費、この三年間の平均を、生産費の変動率、これを掛けて今年の分を基本的に算出するということでありますけれども先ほど他の委員からも御指摘ありましたが、結局、これだけ生産費の半分ぐらいを占めている飼料費高騰しているですとか、為替が大きく動いている、こういう費用の変動の余りにも大きいときに果たしてこのやり方でそもそも生産費カバーしっかりできるのか、経営の安定に寄与するのか、こういう視点がまず必要かなというふうに思っております。  また、この補給金で見ているところは結局この生産費のコストの変動のところだけなわけですけれども経営を見ようと思ったら、入ってくる部分、売上げがどうなるのかというところも当然見ないといけないわけでありまして、これ、別の制度で生産者経営安定対策事業というのがありますけれども、こちらは今度、売上げ、加工原料乳価格が過去三年間の平均価格に対してどうかというところでやっぱり取られると、そうすると、これ、下がり続けている基調の中でやっぱり余り機能しない制度になってしまうと。一つ一つの制度が今のこの価格の変動あるいは生産費の変動が大きいところにちゃんとフィットしていないんじゃないかと。こういう懸念を私持っております。  これに対して、そもそも支援の枠組み、この仕組み自体をもう一度見直すときだと思うんですが、御答弁いただけますでしょうか。
  72. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員から加工原料乳補給金の仕組みについて見直すべきではないかという御指摘がございました。  まず、事実関係を申し上げますと、加工原料乳補給金の毎年の単価につきましては、委員指摘のとおり、三年の移動平均の変動率を見ながら前年の単価に掛け合わせて算定しているわけでございますけれども、その際、その生産コストのそれぞれの要素につきましては直近の物価水準を反映させてございまして、例えば餌代につきましては今年一月から三月にかけての餌代の上昇というのをしっかり反映させた数字になっているというところでございます。  それから、その上で、こういった加工原料乳補給金制度の運用につきましては、これまで様々な状況の変化を踏まえて見直しも行ってきておりまして、例えば二十六年度からはチーズを新たに対象とするといったことまで改善策も講じているわけでございます。  さらに、長期的に、じゃ、これが本当に酪農家経営安定につながるのかどうかという御指摘につきましては、それは現在、二十七年三月の末に酪肉近代化方針というものの見直しを議論していただいております。これは、食料・農業・農村審議会畜産部会で昨年の春先から集中的に議論をしていますけれども、そういった中で酪農家に対する経営安定の在り方につきましても幅広く議論をしていただいているという状況にあるということでございます。
  73. 平木大作

    ○平木大作君 今、この二十七年三月めどに議論をしていただいているということでございました。是非、例えば同じ畜産酪農という枠組みの中でも新マル緊みたいなものについてはこの収支の部分を基準にして基本的に支援をしているわけでありまして、こういう枠組み自体ももう一度見直しながら、改めて為替の変動、あるいは飼料価格の変動、こういったものに酪農家経営をさらさない、そういう形で是非見直し、また改善の検討を引き続きお願いしたいというふうに思っております。  こういった事態、やっぱり根底にありますのは、そもそも今この加工用原料乳を生産する酪農家の数が減ってしまっているということ、そして、そこだけではなくて、結局のところ酪農家の数が減るのに従って牛の数自体も今減ってきている、大変大きな問題だと思っております。この十年間で見ても百六十五万頭から百三十九万頭、一六%ぐらい減っているということでありまして、これだけ牛の数自体が減ってくると当然どんどんどんどん生乳の量が限られてきてしまう、こういう中での先ほどバターの不足であり、また酪農家の困窮であるというふうに思っております。  これ、なぜかと。先ほど来、規模の拡大ですとか収益性を高めるための様々な施策というのも議論されてきたわけでありますけれども、一つは、規模を拡大していってもやっぱり牛の頭数が増やせない、これって非常に大きな問題だと思うんですね。規模拡大していれば、本来であればどんどん事業主として牛の数も増やしたい、事業もどんどん多角化したい、あるいは高収益性に移行していきたいということが酪農家の本来の志向であるはずだと思うんですけれども、そうなっていない。実際には牛の数をむしろ減らしてしまっているという現実があるわけであります。  これ、何なのか。いろいろあると思うんですけれども、一つは、やはり今、現在進行形でもありますこのTPPの交渉等を踏まえて、結局、酪農家の現場の皆さんが将来が見通せない、このまま本当に牛を増やして大丈夫なのかというところの不安が拭えていないというのがやっぱり一番大きな問題であるんじゃないかなというふうに思っております。  私も、昨年もこの農水委員会の中で再三指摘させていただいているんですが、一番こういう将来が見通せないとき大事なポイントというのは、やはり政府とそして現場の酪農家皆さんとのコミュニケーションであるというふうに思っております。  今政府からどういうメッセージが果たして現場の酪農家皆さんに発せられているのか。TPPの委員会質疑の中で、西川大臣は再三にわたって答弁されています。こういうことを例えば昨年の十月におっしゃっています。重要五品目を我々は守りながら、そして衆参両院の農水委員会の国会決議を守り抜いたと、こういう評価をいただけると、こういう目標に向かって今活動しているんだと、こういう答弁を、幾つか取ってみたんですけれども、大体同じトーンで答弁をされています。これはこのとおりだと思うんですね。  ただ、いかんせん、このまさに重要五品目を作られている酪農家皆さんにとっては、しっかり我々が守り抜くというメッセージとしては伝わっていないんじゃないかなというふうに思っております。これ、もう前林農水大臣のときからもそうなんですけれども、やはりこの同じトーンのある意味公式な見解、これを同じように繰り返しているだけでは、現場の皆さんにはしっかり酪農を守り抜いていくんだというメッセージとしてなっていないんであれば、是非これ、委員会の場で改めて酪農家皆さんに対して、政府、どういうスタンスで今後進行されていくのか、あるいは守っていくのか、これ答弁いただければ、私も現場に行ったときによく否定的なことを言われるんですけれども、今度この議事録のコピーを持って皆さんに配りながら現場の皆さんとも対話をさせていただきたいと思うので、是非これ、大臣のメッセージをいただきたいというふうに思います。
  74. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今の酪農経営が非常に厳しいと、これはよく承知をしております。  先ほど来申し上げてきておりますが、畜産に対する予算増額、私ども努力をしてきました。そして、何度か申し上げましたが、今、畜産予算、千八百五十三億しかないんですね、二兆三千億のうち。これ、どうしても増やそうということで、私ども、五百億を超えると、こういうことを狙って財政当局とやってきました。結果、二十六年度の補正と二十七年の増額分を足すと五百十五億増えたと、こういうことになりますが、今の状況からすればもっとなければならないと、こういう御意見もあるかと思います。  我々は、その酪農の問題が、安心してこれからも経営が続けられると、こういうメッセージを出さなきゃなりません。そういう中で、本年の三月に予定しておりますけれど、新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、ここで酪農畜産経営の目指すべき方向をしっかり打ち出していきたいと思いますし、生産局でも、今の畜産課題は何だと、そしてあるべき姿はどう考えていると、そしてそのための政策はあなた方はどうやりたいかということを今作ってもらっていまして、なるべく早く私どもも役所として、農林水産省として方向性をしっかり打ち出していきたいと考えています。  それから、TPPの問題は、平木委員がおっしゃられるとおり、本当は中身を国民の皆さんにお知らせをして議論した方がいい面もたくさんあるのかと思いますが、これは秘密保持契約が入っておりまして、決定してから四年間公表しないと、こういう約束でちょっと異次元の交渉になっているんですね。そういう中でありますから、私はお伝えできる問題についてはしっかりお伝えしていこうと考えております。  それで、重要五品目の中で、まだこれが合意点、アメリカと合意ができていない面が幾つかあります。そこは、私どもとしては、衆参の農林水産委員会の決議がありますから、決議を守り抜いたと、こういう評価をいただけなければ、このTPPの交渉は幾ら合意をしても効力を発しないと、こういうことでありますので、最後の詰めも、農林水産省としては、日本側としてはアメリカに対して譲るつもりはありません。どうぞ向こうで下りてきてもらうまでは、これは期限も切らずにしっかり待ち続けながら交渉をして、日本の農林水産業に悪影響を及ぼさないと、こういう判断をいただけるような形になるまで私どもは交渉をしっかりやっていきたいと、こう思っております。  早く合意ができれば、それを酪農家を始め農家皆さんにお示しをして、対策が必要となればそれらについて議論が始められるのでありますけれども、まだそこまで行っていないと、こういう状況でありますので、御了解をいただければと思います。
  75. 平木大作

    ○平木大作君 御答弁の中でも、この予算についても大幅に拡充をしていく意向であるということ、そして、現場の皆さんに対しても、経営の在り方ですとか様々今検討してまたメッセージを出そうとされているということでありました。  私の質問の趣旨としても別に交渉の手足を縛りたいということではありませんので、もうこれは鋭意、今おっしゃっていただきました、力強く、譲るつもりはないということもおっしゃっていただきました。交渉をしっかり進めていただきながら、是非現場の皆さんには、将来が見通せる、またこれなら何とかやっていけると思っていただけるようなメッセージとそして施策、次々に、それこそ矢継ぎ早に打っていただきたいということをお願いしたいと思います。  時間が限られてまいりましたので、最後の質問になるかと思います。  今御答弁いただいたことと実は関連するんですが、今年度から地域ぐるみ収益力を向上させる取組が始まっております。先ほど来何度も畜産クラスターという言葉が繰り返し出てきているわけでありますけれども、これ、私、お話伺っていてもいまいちぴんとこないところが正直あります。  地域ぐるみで何かやることで本当に収益力が上がるのかとか、そもそもこれどういう経営を目指しているのか、今はまだ検討中のところもあるというふうにおっしゃっていただきましたが、また、もしこの経営力、収益力を上げるのであれば一体どういう指標を改善するのかと、こういったところを含めて、よりちょっと具体的にまずこの施策について御紹介いただけないでしょうか。
  76. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) お話のございました畜産クラスターにつきましては、畜産農家を始めとする地域畜産関係者の連携、結集により、地域全体でその収益性向上させようという取組でございます。  委員指摘のとおり、畜産経営におきましては、家族経営から企業経営に至るまで多様な経営があり、それぞれの特徴を生かしつつ収益性向上に取り組むことが重要であると考えております。このため、畜産クラスター事業におきましては、規模の大小にかかわらず、地域の中心的な経営体に位置付けられれば支援対象としているところであります。  今後は、各地域でそれぞれの実情に応じて具体的にどのような取組が行われているかについてもしっかりと情報を取りまとめて、優良事例をホームページなどでも是非紹介をしてまいりたいと思っております。
  77. 平木大作

    ○平木大作君 御答弁の中に、まだ検討中のところもあるのかなという感じでお伺いしましたが、先ほどもございました、これ紹介いただくと、割と大規模化でコスト三割削減ですみたいな話だったりするんですね。やっぱりこれ、そういう話を、特に私のよくお伺いする関東圏の比較的規模の小さな事業者の皆さんのところにお伺いすると、あれは大きいところの話だとか北海道の話なんだみたいなことで受け止められているようでございまして、今答弁の中にも少しありましたけれども、小さなところでも、家族経営のようなところでもしっかりといわゆる強くできる、営農が続けられるというような施策、これも是非、またこれ、地域ごとにやっぱり打っていく手って当然違ってくると思いますので、こういったところ、大規模化でコスト削減が全てだみたいな形で伝わらないように是非今後とも施策を展開していただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  78. 儀間光男

    ○儀間光男君 通告に従って質問をさせていただきますが、その前に一言御礼とお祝いを申し上げたいと思います。  お祝いはもちろん新年でありますが、なかんずく、西川大臣におかれましては、十二月十四日の厳しい選挙をかいくぐられて大臣の職、ポストにお戻りになったこと、おめでとうとお祝いを申し上げます。  もう一つは、去った八日だったと思いますが、平成二十七年度産のサトウキビ、それからでん粉原料カンショに係る生産者交付金の単価決定について、昨年度を維持していただきました。なかんずく、サトウキビは、二十三年度産が台風、干ばつ、塩害で全体の三割から四割ぐらいの生産量の落ち込みでありましたが、このことによって再生産意欲をとどめて農家経営に従事してくれるものだと思っております。さらに、甘味資源は一トン当たり一万六千四百二十円、でん粉は二万六千円、その他に二万三千四百十円、それぞれ前年度並みを維持してくださったことに感謝をしたいと思います。  さて、今日は畜産物価格等に関する件がメーンテーマでありますから、それを中心にやっていきたいと思いますが、特に豚肉牛肉生産とその消費を少し追っかけてみたいと思います。  私も、これ、資料を見て驚きであったんですが、感覚的には豚肉の消費は西日本の方が多いと思っていたんです。私が豚肉消費社会の中におったせいだと思うんですが、結論を言うと逆に東日本が多かったわけですね。  豚肉牛肉の消費分布図を見てみましたら、明らかに豚肉は東日本、牛肉が西日本なんですね。この場合、東日本というのは、甲信越から北陸、関東、東北、北海道の五ブロックに分けてあります。それから、西日本というのは、近畿、中国、四国、九州、沖縄、この五ブロック。十ブロックに分けて、豚肉牛肉生産とその消費をずっと追っかけてみたんですが、面白いというよりはあっと驚くのがいろいろ出てまいりまして、こういう統計を参考にいろいろ政策が打てるんだろうなと、こういうふうな思いでありましたから、いろいろとお尋ねさせていただきたいと思います。  私にとっては非常に珍しい現象でありましたが、日本列島は東西斜めに縦長になっておりまして、その地域地域で食文化やあるいは農産物の生産等の違いは多く見られると思うんですが、この食肉、豚肉牛肉の消費が、東日本で豚肉が圧倒的に多くて西日本が少なくて、逆に西日本が牛肉の消費量が多くてという現象をどうお捉えになるか、少し所見をあらかじめいただきたいと思います。
  79. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のとおり、食肉の消費につきましては地域的にいろいろな特色がございます。  総務省の家計調査を見ますと、例えば牛肉で見てみますと、関東圏が、年間一世帯当たりでございます、五・六キロ、それから近畿圏が九・九キロ、沖縄県はその真ん中で六・六キロということでございます。  また、豚肉で見ますと、一世帯当たり、関東圏が二十・四キロ、近畿圏が十七・九キロ、また沖縄県がその真ん中の十八・四キロという形で、相当、二割三割ほど地域的な特色がございます。  これ、理由は何かという御指摘でございますけれども、恐らく、食肉の習慣が定着しましたのは明治維新以降でございまして、その以降の様々な、江戸時代からのいろんな食生活の基盤の上に立ちまして、例えば畜産導入されたのがどの地域であったかとか、また外国の方々の居住した歴史があるとか、様々な理由があるかと思っていますが、大変浅学でございまして十分な知識を持ち合わせていないというところでございます。
  80. 儀間光男

    ○儀間光男君 これは御答弁のとおりだと思うんですね。思わずそういうのを見付けてみていろいろ調べてみたら、なかなかない。ただ、地産地消が生きたのか、つまり消費が良くて生産高が上がったのか、生産高があって消費が拡大したのか、その辺はよく分かりませんが。  今御答弁ありましたが、今答弁は各地域、ポイントを捉えておっしゃっていましたが、豚肉全国の年間平均が一万九千七十五グラムなんですよ。それからいきますというと、毎月一千五百九十グラムがそれぞれ消費されているということで。豚肉の消費量が最も多いのは北海道なんです、二万三千八百八十二グラム、年平均になっている。二位以下は新潟県、青森県、秋田県、静岡県というふうに東日本が上位なんですね。後で屠畜頭数も見てみたいと思うんですが。一方で、豚肉の消費量が一番少ないのは徳島県の一万五千百二十九グラム、続いて高知県、香川県、山口県、三重県など、西日本が消費量少ないんですね。そんな図を見ていると、これは後で飼料輸入関係にもちょっと関連していこうと思っておるんですが。  一方、牛を見るというと、消費量は全国平均で六千八百十グラム、毎月五百六十七・五グラムと、豚よりはるかに少ないですね。その牛肉を食べている、そういうふうな計算になりますが、一番消費量が多いのが堀井委員のところの奈良県なんですね。堀井さん、相当食べている。幾らかというと一万六百十七グラム。二位以下は京都府、大阪府、和歌山県、広島県と続いて、関西は全県トップテンに入るんです、牛肉の消費量が。そういうことで入っておりまして、そのうち牛肉消費量が一番少ない県はどこかというと、新潟県で二千九百九十五グラム、最高の三分の一ぐらいの消費であるということが見て取れる。  ただ、特徴的に、私がさっき消費が先か生産が先かと言った特徴が出ているのが山形県なんです。東日本の豚肉消費地にありながら、ここだけは牛肉が高いんですよ。恐らく山形牛というブランドを持って、それが高いんだろうと思うんですが、そういうこと等をトータルで見ますと、地産地消という思想が食文化にも入ってきて伝統的にあるんではないだろうか、そんなような思いをしますが、科学的データはないと思うんですが、感想をひとつ。
  81. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 生産局といたしまして、牛、豚の生産状況のデータはよく見まして、いろいろ様々な政策の基礎資料にしているわけでございますけれども委員からお話がございました消費の量とは関連させて考えたことが余りございませんでした。大変勉強になりました。ありがとうございました。
  82. 儀間光男

    ○儀間光男君 是非とも、そういうことで政策づくりをしていただきたいと思うからなんです。  それでは次に、実際に何頭屠畜しているか、牛と豚で見てみたいと思います。これも五つのブロックに分けてみたら、東日本ブロックでは一千万四十六頭が屠殺されている、豚ですね、これ圧倒的に多いんですが。じゃ西日本は幾らかというと六百三十六万九千九百三十二頭。一千万頭は東日本になるんですね、これ豚です。  細かく少し見ますというと、東日本のうちで見てみますというと、北海道で百万頭余り、東北で二百六十二万頭余り、関東で四百七十四万頭、それから甲信越で百三十九万四千頭、北陸で五十五万七千頭でトータル一千万余りということになります。近畿以西で豚を見ますというと、一番生産量の多いのが九州で、鹿児島が二百九十万頭ぐらい、あと宮崎が百万頭ぐらいで、合わせて約五百万頭あるんですね。あと近畿で十九万八千、中国で二十六万八千、四国で六十四万六千、沖縄で三十五万三千というふうにして六百三十六万九千九百三十二頭というふうになっていまして、これで見ますというと、畜産業は西より東がはるかに大きい、特に豚はですね、というようなことが見て取れます。  牛を見ますというと、牛は東日本で六十六万頭です、トータルで。そのうち大きいのが北海道の二十二万四千、関東の二十四万二千ということで、トータルで六十六万頭余りですね。それから、西を見ますというと、五十二万九千頭余りで、近畿が十四万五千頭、九州が二十九万四千頭で多いということで、トータルで五十二万九千頭余り。この豚と牛の二つの屠殺、つまり生産と消費を見ると、東日本が圧倒的にその畜産圏域であるということが言えるんですね。  さて、これを見ながら、次、生産コストに一番大きいウエートを占めているのが餌代だというふうに認識していますね。餌は輸入もありますから、あるいは陸上輸送等もあって、餌代に反映これがされていかなければならないと思うんですが。今アメリカから非GM米、これを輸入しておりますね。なぜGM米作らないのかよく分かりませんが、後で聞くといたしまして、この豚も牛も餌が必要として、それを、主にアメリカ、太平洋を渡ってきて、太平洋側にその陸揚げ港が集中するわけですね。そうしますというと、日本海側の各県においては、輸送上、飼料コストもさることながら、輸送コストもかなり重たいようなコストが乗っかってくると思うんですね。その辺、その陸揚げされる餌がサイロに入って分配されていくわけですが、その状況を少しお答えいただけませんか。
  83. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) お答えいたします。  この点につきましては、事前に質問通告をいただきましたので、ちょっと勉強してまいりました。  まず、屠殺の場所につきまして委員から詳しく御指摘がございましたけれども、これにつきましては、むしろその屠殺する場所というのは産地に近いところで屠殺される傾向があるというふうに考えてございます。  といいますのは、やはり生体で輸送しますと輸送コストが非常に掛かるということで、例えば牛肉で申し上げますと、一頭当たり、例えば鹿児島から東京まで輸送しますと二万円掛かります。これを鹿児島で屠殺しまして枝肉にして流通する場合には約その半分になると。さらに、その骨を取りまして部分肉にしますと、枝肉よりもまた三割ぐらい減るということがございますので、傾向としてそういう産地の近くで屠殺される傾向があるということだろうというふうに理解しているところでございます。  それから、もう一点委員から、我が国の濃厚飼料、ほとんどがアメリカ大陸からの輸入でございますけれども、その配合飼料工場の立地について御指摘がございました。  これは、やはり畜産農家に対しまして効率的に配送することによってその輸送コストを抑える必要があるということが非常に大きな立地の背景としてあると思います。したがいまして、現状の多くを依存しています北米などの受入れが容易であるということから太平洋岸に多く立地しておりまして、とりわけ畜産産地に近い志布志、鹿島、苫小牧、八戸と、こういったところに大きな配合飼料工場が立地しているということでございます。
  84. 儀間光男

    ○儀間光男君 今御答弁あったように、畜産飼料アメリカから多く輸入されております。  昨年十月七日の日本農業新聞を拾い上げてみました。ここに、JA全農が一六年から五年間にわたって非GMトウモロコシをアメリカで発注するんですね。これ、今までもそうなんですが、これから少し議論したいのは、こういう現状を踏まえて、我が国でなぜ自給率を高めるような施策が展開されていかないんでしょうかと。そう言えば、きっと皆さん、主食米から餌米に切り替えて自給率を高めようとしておりますというお答えになると思うんですが。  この実態を見ますと、非GM、つまり非遺伝子組換え、遺伝子を触っていないものが日本で好まれて、アメリカ生産地はGM、つまり遺伝子組換えしたトウモロコシが主なんですね。全生産の九三%も占めている。アメリカはそのことによって病害虫や薬剤の散布を低減してきた、そして経営の圧迫を少し緩やかにしてきたというふうな言い方もされておるんですが、なぜアメリカで通るGMトウモロコシが日本では通らないか。大体答弁は予想できますが、お答えいただけますか。
  85. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のように、遺伝子組換え農産物につきましては、いわゆる耐病性が強いということで農薬の投与を節減できるということや、また干ばつに強い作物といったことで干ばつ下にあっても収量が上がるということで、生産向上については大変効果がある作物だろうというふうに考えてございます。  しかしながら、我が国で遺伝子組換え作物を栽培、使用する場合には生物多様性への影響を配慮する必要があると、カルタヘナ法と言っていますが、それから飼料としての安全性、飼料安全法といったものもございます。そういった法律に基づきまして、それぞれ科学的に安全性の評価を行いまして、問題のないもののみが栽培、使用できる仕組みとなっているところでございます。  現状では、GM作物というのはトウモロコシが主体でございまして、我が国は気象条件から必ずしもトウモロコシの栽培に適してはございませんけれども、粗飼料も含めて、いまだに我が国の国内におきましては遺伝子組換えの飼料作物の生産は行われていないという実態にあるところでございます。やはりここは消費者の意識といったものが大きく作用しているんではないかというふうに理解してございます。
  86. 儀間光男

    ○儀間光男君 今説明にありましたとおり、日本はトウモロコシの生産が非常に少ないということで、アメリカが主であるからアメリカに発注して五年スパンで契約してやっていらっしゃる。  問題は、餌米も含めてそうなんですが、国内でコストダウンを図る意味で、生産コストを下げる意味で、国内で飼料の自給率を高めないといけないのは当然の話なんですね。それは当然の話なんですが、なぜそういうような事実を知りながら手配よく打っていけないのか。あるいは、アメリカはGMが主体ならGMでやった方が農家コストが、生産コストが下がると思うんですね。そういうことをして、生産を圧迫している大きな要因が餌代であるならば、そういう餌の確保をより安くできるような施策があっていいように思えるんですが、その点、どうなんですかね。日本の餌の自給率の今後の見通しは。
  87. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のとおり、やっぱり我が国の土地資源を活用しながら餌の自給率を高めていくということは、これからも様々な形で推進する必要があると考えてございますけれども、遺伝子組換え農作物を使うということにつきましてはまだまだ消費者の理解が得られていないということだと思っています。ただ、遺伝子組換えというのは大変、将来発展性のある革新的な技術だと思っておりまして、試験研究機関におきましては市場、外に流出しないということを十分留意しながら様々な研究は現在実施しているというふうに理解してございます。
  88. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう時間がありませんからまとめますが、大臣、こういうことで飼料生産コストに占める比重が大変大きいんですから、そのサイロ工場とか飼料工場をもう少しやはり地方に分散させる、促進するということによって地方創生に農林水産が仕事づくりに参加できるというようなこと等もあっていいと思うんですが、御見解を。
  89. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 御指摘のように、新潟市を除いては日本海側には飼料工場はない、これはそのとおりでございます。  それで、なぜ太平洋側に集中しているのかということを私も職員の皆さんから聞きましたが、元々は平地あるいは飼養している地域のすぐそばで餌工場を造ったというんですね、山側へ。しかし、それは余りにも非効率だということでまた海の船が着くところへ戻ったと、こういうことでありますが、いずれにしても、全部太平洋側に集中しておりますので、今度餌米を作るときも、餌として使うときも、これは非常に効率が悪いと、これはもうそのとおりだと思いますので、よく日本海側に工場を移動できないかどうかも含めて検討していきたいと思いますが、特にTMRセンター、粗飼料を含めた餌の、人間でいえば給食センターだと、こういうことのようでありますから、これらの整備等も図るときに、規模も余り大きくないものですから、日本海側にこういう建設ができるかどうか、前向きで検討してまいりたいと、こう考えております。
  90. 儀間光男

    ○儀間光男君 TMR、混合飼料生産だと認識します。  どうもありがとうございました。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、総選挙が終わって報道されていることなんですけれども、一月の六日に沖縄の翁長雄志知事がサトウキビ交付金関係の政府要請で上京した際に、大臣は、JAの沖縄の幹部とは面談したけれども知事の出席を認めなかったということが言われているわけですけれども、これ、昨年までは知事とお会いされていたのに、なぜ今回、知事に会わないのか、甚だ遺憾だと思うんですね。  やっぱり誠実に対応すべきだし、次回はちゃんとお会いするべきだと思いますけれども、何かあれば一言。
  92. 西川公也

    国務大臣西川公也君) この一月の初旬、年明け以降、予算編成等でスケジュールが立て込んでおりました。そういう中で沖縄県知事から面会の要請をいただいたということを知ったわけですが、残念ながら七日に時間を取ることはできなかったと、こういうことであります。  今回は、知事との面会はかなわなかったのでありますが、県の要請内容については大臣室にお届けをいただきました。担当部局に検討を指示し、今回の価格決定に際してはこれを十分踏まえたものであると、こう考えております。  今後、面会の要請をいただき、日程の調整が付くということであればお会いをしてお話合いをさせていただくと、こういう考え方でございます。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 サトウキビというのは本当に沖縄にとっては生命産業ともいうものですよね。その問題で来ているわけですから、やっぱり農水大臣としてちゃんと受け止めて対応するべきだということを申し上げて、本題に入りたいと思います。  畜産物の価格についてですけれども、一月九日に私たち日本共産党議員団として畜産酪農問題で申入れをいたしました。そのうち、加工原料乳の生産者補給金についてお聞きをしたいと思います。  実搾乳量のキロ当たりの所得推移をJA北海道中央会が調査をしています。十年前、二〇〇三年度ですね、ここまで生乳を一キロ搾ると農家の所得は三十円程度になっていたけれども、現在は二十円以下と。下がっているときでは大体十四円とか十六円とか、そういうときもありました。年間二百戸を超えて離農していると。JA北海道の飛田会長は、酪農家の離農に歯止めが掛からない、懸念するのは中堅層が将来に見切りを付けて経営中止をしていることだと実情を訴えています。  二〇一三年の北海道の牛乳生産費は一頭当たりで見ると六十七万千百七十八円で、前年度に比べて一・一%増加しています。生産費は増加していると。アベノミクスの円安誘導政策で飼料代で九・二%、電力会社の相次ぐ値上げで電気代などの光熱費などで八・一%増加していると。ところが一方、労働費はというと、約八百円減っているわけですよ。つまり、生産コスト上昇分を酪農家の賃下げで対応しているという状態になっていると思うんですね。  先ほど大臣は、十二円九十銭ということで、交付対象についてこれも諮問をされたという話をされていて、まだ参議院の審議が終わっていないのにもう諮問したのかなというふうに思ったわけですよ。何のために前倒しで委員会やろうとしているかというと、審議会の前にちゃんと議論を踏まえて反映させようということでやっているわけで、これはいかがなものかというふうに思って聞いていましたけれども、それに加えて対象の数量も百七十八万トンということで諮問しているということですから、これ減っているわけですよね。これも納得できないというふうに思って聞いていたわけです。  安倍内閣の農政政策の目玉というのは、これ所得倍増じゃないですか。総選挙でも、もうさんざん皆さん訴えられてきたと思うんです。所得倍増のためなんだと言っておられたと思うんですけれども、現実は所得が減っているわけです。所得を倍増するためには、やっぱり加工原料乳の生産者補給金は大幅に引き上げるべきじゃないでしょうか。いかがですか、大臣
  94. 西川公也

    国務大臣西川公也君) この問題でありますけれども、毎年同じですけれど、加工原料乳生産者補給金単価は法律に基づいて計算をすると、こういうことになっております。そういう中で、配合飼料価格あるいは光熱動力費、また副産物である子牛価格等の直近の動向をよく見ると、こういうことになっております。餌は確かに上がっている、電気代も上がっている、一方で、取った子牛は値上がりしてこれは所得増につながると、こういう状況を全部勘案をしまして、算定ルールにのっとり、食料・農業農村政策審議会での意見を聴いた上です、聴いた上でこれから私どもも適切に決定してまいりたいと、こう考えております。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 所得倍増ということですからね、そのことで是非やっていただきたいと思うんです。  それで、JA北海道では、生乳一キロ当たりですけれども、所得が前年比で〇・二%マイナスで、十年間振り返ってみても全部ずっとマイナスなんですよ。ずっとマイナスで来ているから四・七%マイナスで、今のやり方だったら決してこれ増えないと。所得倍増なんて誰も思っていないですよ、はっきり言って。  次に、加工原料乳の生産者補給金の交付対象数量と実績について、二〇一三年度、それから二〇一四年度について説明していただきたいと。それから、未消化になっている予算額が幾らになるかも併せて端的にお答えください。
  96. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 平成二十五年度の交付対象数量は百八十一万トンに対しまして交付実績は百六十万トン、予算額につきましては二百二十七億円を計上いたしましたが実績は二百一億円でございました。また、二十六年度でございます、これはまだ年度途中でございますけれども交付対象数量は百八十万トンに対しまして百五十六万トン程度と見込んでいるところでございます。また、百五十六万トンであった場合には、予算額二百三十億円に対しまして約二百億円の実績の見通しとなっているところでございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 未消化の予算でいうと、大体今の話だと二十六億円くらいですかね。
  98. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 二十六年度につきましては約三十億円の差額の見通しがあるということでございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 生乳生産量が不足するために、この交付対象数量を満たしていないということですよね。数量で二十万トンを残して、予算も二十六億、次は二十六年度は三十億円ということなんですけれども、未消化だと。  そこで、ちょっとお配りした資料を見ていただきたいんですけれども北海道JA中央会の資料です。  乳製品の用途というのは、加工用、これは脱脂粉乳とかバター向けですね、それからチーズ向け、生クリーム向けがあるわけですけれども北海道の牛乳生産費は一キロ当たり七十四円四十銭です。取引乳価というのは、バター、生クリーム向けが七十二円四十六銭、チーズ向けが六十三円と。取引乳価は生産費を割っているので、これは赤字なわけですね。バターなどの加工用は補給金が付くので生産費をカバーしているけれども、生クリーム向けというのは支援策がないと。これは売れば売るほど赤字になるわけですね。しかし、生ものですし、いろいろケーキだとかを作るとかいうことで優先的にこれが仕向けられると。そうすると、量は決まっていますから、結局、加工用のところが不足してくると。それがバター不足ということにも結び付いたわけですよね。  ところが、そういう状況があるわけですけれども、加工原料乳の予算は未消化だと。未消化だから予算を減らしますよというんじゃ、これは困るわけですよ、生産者は。ですから、乳製品全体を見て予算を有効に使える仕組みにこれ考えなきゃいけないんじゃないかということなんですけれども、いかがでしょうか。
  100. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 今委員の御質問の趣旨は、加工原料乳の補給金につきまして未消化分があるので、その未消化分を活用して他の支援策活用すべきではないかという御趣旨だと思います。  これは、加工原料乳生産者補給金につきましては国から農畜産業振興機構に対する予算でございまして、法律上、脱脂粉乳バター、それから二十六年度からはチーズも加わっておりますけれども、特定乳製品に対する補給金の交付に限定されてございます。したがいまして、未消化であるということをもって直ちにほかの用途の生乳に対する支援策として使えるということではございません。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 法外だと、生クリームなんかは法律以外だから使えないということでもあると思うんだけれども、要は、せっかく付けているわけですから、予算を、それをちゃんと有効的に使えるようにすべきだと。そうじゃなかったら生産者は困るんですよ。減るんですよ、結局。それで、使っていないからということでまた限度数量を減らすということになってきちゃうと本当に大変なことになるわけで、そういう有効に使う仕組みを検討すべきだし、あくまでもこれは、やっぱり根本は生乳生産量が不足していることがその原因ですから、しっかりとした対応を求めておきたいと思います。  次に、日豪EPAが明日十五日から発効します。関税が引き下げられると。農水大臣は、十二月十六日の記者会見で、これ、冷蔵は十五年掛けて二三・五%まで下がると、冷凍は十八年掛けて一九・五%まで下がると説明されたんだけれども、現実には、もう今年の四月一日からは二年目に入りますから、この冷凍牛肉の関税は一気に一〇%下がるということですよね。  輸入量が急増した場合には緊急輸入制限でいわゆるセーフガードが適用されるんだというんですけれども、内臓、くず肉の扱いというのはこれセーフガードから対象外じゃないかと、適用されるのかということですけれども、いかがですか。
  102. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員指摘のとおり、内臓肉、例えば牛タンですとかハラミ等、こういったものについては、セーフガードではなくて関税割当てという仕組みを導入しているところでございます。  これは、セーフガード、数量セーフガードも関税割当ても同様の仕組みでございますけれども、関税割当てにつきましては、事前に枠を配分いたしまして、その枠を持っている方が輸入したときに低税率が適用される、その枠の配分の量を制限することによって輸入量の急増を防ぐという仕組みでございます。他方、数量セーフガードにつきましては、我が国の国境で毎日毎日の輸入量を把握しておりまして、その輸入量が一定量を超えた場合に自動的に関税率を元に戻すという仕組みでございまして、低税率の輸入量を制限していくという点については関税割当てもセーフガードも同等の効果を持っているというふうに考えているところでございます。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろ説明されたんだけれども、セーフガードの対象外なんですよね、くず肉なんかは。それで、そうじゃない部分と併せてやるということになっても、結局、合わせて二倍入ってくることになったら影響してくるんじゃないか、防げないんじゃないかと。  二〇一二年のオーストラリアからの輸入実績というのは一万八千トンですよね。その全量に近い一万七千トンが協定発効の初年度から関税率としては四〇から四一%削減されて輸入されてくると。そうすると、内臓、くず肉というのは牛タン、ハラミ、頬肉などで、成形肉にも加工されている、ですから牛丼の材料にもなるわけで、日本の畜産酪農経営にも影響が出てくるんじゃないかと。  内臓、くず肉と同時に、これやっぱり日豪EPAが日本の農業に与える影響評価というのは速やかにやるべきじゃありませんか、大臣
  104. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今生産局長の方で答えましたけれども、冷蔵肉についてはセーフガードが掛かる、これは御了解いただいたと思います。それで、あとの内臓等については関税の枠を作って私どもは数量を決めてその枠しか輸入しないと、こういうことでありますから、そう影響は出ないと、こう思います。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 そう影響は出ないと言うんですけど、出ないんだったらそれなりの根拠を示してほしいんですよ。余り影響を受けませんと言うんだけれども、根拠が出されないで言われても信用できないということになりますから、これは是非、調査について限定的と言うんだったら出していただきたいというふうに思います。  それから次に、酪農畜産政策の見直しについてなんですけれども、これもJA北海道中央会が昨年三月に、二〇一二年度に生乳の出荷をやめた二百五戸の酪農家調査をしていて、聞き取り調査をやっていて、離脱した理由としては、後継者がいるのに将来不安から継がないとか、二十代から四十代の働き盛りだけれども、設備投資に踏み切れないので離農するとかなっていると。従来は離脱した農家の受皿がほかの農家が規模拡大することでやっていたんだけど、今はもう間に合わなくなっているわけですよ。どんどん離農してきていると。カバーできなくなっていて、やっぱり、さらに今度、地域のコミュニティーが危機的状態になっているというふうに見ているわけですよね。これは本当に深刻な事態だと。  私、道東で聞いたところで、酪農家の一経営体当たりの労働時間が約八千時間だと。一人一日十時間労働。家族二世帯で、女性労働を〇・五とすると四人働いて所得で一千五百万円。そうすると、借金の返済があるから五百万円そこから引いて、可処分所得を入れると四人で一千万円だと。一人二百五十万と。これでもまだいい方だということなんですけどね。これが実情ですよ。だから離農に歯止めが掛からないし、生乳生産も減っていると。まさにこれ生産基盤弱体化ということなんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。大臣に聞いたんです、弱体化ということについて。
  106. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 事実関係だけお答えさせていただきたいと思いますけれども委員から御指摘がございましたように、離農した後にカバーするような形で規模を拡大することがないということが全体としての生乳生産量減少につながっているというのは事実だろうと思っております。ただ、そのときに、やはり北海道、大変酪農の規模拡大が進んでおりまして、資本装備、機械装備、非常に多額にわたっているということで、それがやはり後継者の方や新規参入者の方のハードルになっているということがございますので、今回、先ほど委員会でも御議論ございますが、クラスター事業といったものを導入することによってそういった面の負担を軽減していこうと。  それから、労働力の問題につきましても、そのクラスター事業の中で、例えば搾乳ロボット導入するとか、そういったことにつきましても積極的に支援をいたしまして酪農家労働負荷の軽減に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 弱体化の認識を大臣に聞いたんです。
  108. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私、時間当たりの賃金等の話をよく申し上げますけれど、建設業の平均賃金、今千八百五十円超えて千九百円ぐらい行っていると思うんですね。国内の最低賃金がこの間上がったので、七百八十円になっているかと思うんです。  そういう中で、農業の時間当たりの賃金幾らだということになると、やっぱり三百三十円前後であるということで非常に低いと、こういう認識を持っておりまして、これを上げていく、こういうことのためにどうすればいいかと、こういうことを議論をしながらやっておりますが、これは全農作業を平均した賃金でございますが、これを上げていくように努力をしてまいりたいと、こう考えています。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしても、非常に弱体化していると。本当に再生しなきゃいけないということが求められているわけですけれども、食料・農業・農村審議会で議論されているこの新たな酪肉近の基本方針ですね、この議論している方向性として出されているのは、収益性向上させるための取組として飼養規模の拡大を強調しているわけですよ、飼養規模の拡大と。しかし、規模拡大だけでいいのかという話はさっきもありましたけれども。  そこでなんですけれども、根室の生産連、JA中央会の根釧支所、それから道の総研根釧農業試験場、ここで調査をして、二〇一二年の酪農経営分析の結果をまとめているわけですね。そこで、乳量の階層別で調べた所得率、これは五百トン未満が一八・四二%で一番高いんですよ。生産規模が八百トンから千五百トン未満、それから千五百トン以上の搾っている階層というのは物財費がその分高くなっていって一〇%を下回る所得率になったという結果も出ているわけです。  だから、増やせばいいというものじゃないというか、そういうやっぱり所得率の問題は、これは結局乳量五百トン未満が最高という調査なんだけれども、こういった調査を農水省としてもやるべきじゃないかと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  110. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 農水省としても、農林統計、毎年やっているわけでありますが、私のところへも、参考になって全体の生産額が分かることに結び付く、そういう調査が欲しいということでやっておるんですけれども、なかなか私が満足するような資料がまだ出てきておりませんので、これらも含めて、これは全体の話、先ほど私申し上げました、八兆五千億の売上げのとき農家に残る金が一兆幾らになるかと、こういう中から総労働時間で割った額を申し上げましたが、畜産ではどうかというのをこの間も計算はしてみたのでありますが、まだ私が納得できませんので、早く納得のできる数字を見極めていきたいと思います。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 是非取り寄せて、よく勉強してほしいなというふうに思うんです。  それで、やっぱり規模も、適正規模ということが今本当議論されてきていて、混合飼料を使って乳量が六千から九千に増えたんだけれども、半年たったら病気になる牛が続出したと。七十頭中四十頭も手術して、結局経営悪化して離農しなきゃいけなくなったと。牛も生き物だから、やっぱりストレスを意識した体調管理できるような規模というのがあるんだということも言われているわけですね。  ですから、これとやっぱり価格政策についても今の算定ルール、さっきもお話ありましたけれども生産コストの変動率で決めるやり方では結局毎年何銭何銭という、この世界から出られないと。生産意欲が働かない仕組みになっているので、価格制度についても現行の制度を検証する時期に来ているということは、是非そのことも併せて考えていただきたいということで、最後一言だけ答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
  112. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 農林水産業に携わる人たちの所得を上げていく、これは紙委員も私も共通の認識だろうと思います。私も所得増に向けて最大限の努力を続けてまいります。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  114. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。最初に一言、委員会の皆様に御挨拶を申し上げます。  今回、年末、新会派日本を元気にする会を立ち上げました。会派としてもこの質問委員会、国会で一番最初の質問という記念すべきものになりますので、頑張ってやっていきたい、そう思っております。また、まだまだ日本、全国的に元気がないと。日本を元気にするべく提案型政党としてこれからやっていきたい、こういうふうにも思っておりますので、よろしくお願いします。  さて、まず、最後、トリでもありますので、ちょっとこんな話からいきたいと思いますが、大臣、この「銀の匙」という漫画御存じないでしょうか。読まれたことがあるかどうかお聞きしたかったんですけれども、これは実は荒川弘さんが原作の漫画でありまして、大変人気になりまして、映画化もされました。これの影響によって非常に若者たちが酪農に目を向けるきっかけにもなったすばらしい漫画でございます。  これは、実際、北海道の十勝にある帯広農業高校がモデルになったというふうにも言われておりますが、特にこの題名、ちょっとネタばれにはなってしまうんですが、なぜ「銀の匙」かといいますと、酪農は頑張って始めて維持さえすれば一生食いっぱぐれないと、酪農家の家で生まれて、それは銀のさじを一生持っているに等しいと、こういう思いで名前が付いてあるんですが、果たして、残念ながら日本の酪農はそういった銀のさじなのかどうか、これが今日問われている内容ではないかな、そんな思いを寄せて、今日いろいろ質疑させていただきたいというふうに思っております。  特に今日は、生乳に関して中心に少し議論を深めていきたいと思いますが、多くの質問、多くの委員の先生方に先にいろいろ聞かれちゃったものですから、いろいろすっ飛ばして、日豪EPA、明日から発効でございますので、この生乳産業に対する懸念点、大臣の認識、何人かの議員も聞いておりましたが、非常に重要なことだと思っておりますので、どんな影響が考えられるのか、それに対して具体的な対策、本年度の特に取組ですね、その辺り、簡単で結構ですからお聞かせいただけますでしょうか。
  115. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 日豪EPA、あしたから効力が出るわけでありますけれども、そこで、牛肉の話は先ほど議論をいたしました。それから米は除外になっておりますし、主要なものとしてはやっぱり乳業になるかと思うんですね。  そこで、私どもは、抱き合わせと、こういうことで、生産について、日本が利用するものは日本の生乳を使っていただいたときにオーストラリアの製品を認めますと、こういう方式を取ってきました。そういう中で、関税が下がってきたときにどういう影響が出るかというのは、あした以降でありますが、これを見極めながらよく分析して対応を考えていきたいと、こう思います。
  116. 山田太郎

    山田太郎君 ただ、先ほどからいろんな議員からも指摘ありましたが、私は、それだとやっぱり生乳をやっていこうという非常にリスクが大きい、生乳業の場合には基本的になかなか付加価値を出しにくいというんですかね、メーカーがそのまま買取りということになりますから、メーカー自身の意思によって、生乳業者はどんなに頑張ってもいわゆるその変動を吸収できないという、いろんな農業ある中でも非常に弱い産業構造にある。  そんな中で、非常に経営環境が厳しい中で政府がこれから状況を見ながら手を打っていくということでは、確かに、離農、それから私も実は沖縄等を含めて生乳の現場をいろいろ回らせていただいたんですが、やっぱり、正直、銀のさじとはいっても子に継がせたくないという本音の意見をたくさん聞きまして、駄目なんじゃないかなと、こういうふうに思っているわけであります。  そんな中で、提案型政党ではありますので、余り政府を批判してばかりもいけないので、ちょっとこんなことで検討はしていただけないものかということなんですが、品質基準の検討というのを少し生乳に対しても見直したり考えてもいいんじゃないかな、こんなちょっと提案を少し今日はしてみたいと思っています。  EUの方は、生乳については、御存じのとおり、二十七か国で既に関税が撤廃されています。オランダのような国際競争力を持って効率化を図ったところもありますが、フィンランドなんかは非常に生乳に対して力を入れておりまして、細菌数とか細胞数が世界でも最も厳格な品質基準を取ることによって、完全に自由化された中でも高い生乳業の地位を占めていると、こういうことだと思います。  今日の議論の中でも、たしか平木議員の方からもありました。要は、コストの面を見ても、やっぱり生産の構造の部分をしっかりもう見直していかないと、何か効率化ということだけでは難しいんではないかなと。私もそう思っておりまして、製品そのものが国際競争力を持つような形、もしかしたら生乳がそのまま出せるような仕組みづくりがもうちょっとあってもいいんではないかな、こんなふうに思うわけでありますが、そういった意味で、消費者目線で新たな品質基準の見直しが必要だと、こういうふうにも考えておるんですが、その辺り、少し大臣、どんな御感想と方向感を持っていらっしゃいますでしょうか。
  117. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、品質を高める、それと同時に価格向上すると、こういうことを両方求めていったらどうかと、こういうふうに受け止めました。しかし、世の中の経済原理からして、品質が高くなって、これで安ければ購買力、競争力、高いと思うんですね。しかし、価格が高くなった場合、本当に両立するかというのは非常に難しいと、こう私は思っています。  それで、先ほども、細菌数でいえば三十万、ミリリッター当たり三十万の細菌数、未満という乳質基準を設定しておりますが、これを高くして、国際的にも非常に安全性だというセールスポイントができると思いますけれども、そのとき価格が高くなってしまう、そのときに本当に競争力持てるのかということを私どもも今検討しようと、こういうことにいたしましたということを申し上げておきます。
  118. 山田太郎

    山田太郎君 全ての牛乳がそういうことではないと思っておりまして、これ六次産業の議論にもつながると思うんですが、一次生産者である生乳業がどうやっていわゆる流通に振り回されないで付加価値を付けられるか、これはもう実は生乳業が生きていくためにはもしかしたら必要なことではないかなと。  現実的に、フィンランド、今大臣お話ありましたように、日本は細菌数の話でいくとミリリットル当たり三十万以下ということですが、フィンランドは十万未満、EU基準でも二十万以下なんですね。こういうものに比べて、もし日本の牛乳が品質上それほどでもないとなれば、いつまでたっても原材料であると、こういう位置付けには変わらないわけでありまして、その先にはなかなかこの生乳業が国際的にも、特に日豪EPA以降、要は国際的な流通が盛んになる中では生き残れないんじゃないかなと、私はそんなふうにも考えております。  さて、先に進めていきたいと思いますが、もう一つ、生乳の需要拡大といったところも重要だという問題認識を持っておりまして、今回お金を入れるということではあるんですが、それ以前に平成二十四年度の畜産経営向上緊急支援リース事業、二百五十億もお金を突っ込んだと。やっぱり、政府、我々は国民の血税を使って生乳事業等を、あるいは畜産事業を応援しているわけでありますから、これの効果がどうだったのか、こういったこともしっかり反省しながら次の政策につなげていく必要があるんではないかなというふうに思っております。  さんざんこの話は私は実は前党におったときに林大臣とやり取りをさせていただいておりまして、牛乳の需要が減っている中で生産量を上げても、それは価格が下がっちゃうだけなのでどうなのか、むしろ需要を上げるというところに対してお金を付けるべきなんじゃないかなと、こんな話をさんざんやらせていただいたわけであります。  そんな中でまずお聞きしたいんですが、大臣新たに替わられまして、数字も詳しい西川大臣だというふうに聞いておりますから、この畜産経営向上緊急支援リース事業というものが果たしてどれぐらいの効果があったというふうに大臣考えていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
  119. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私ども、二百五十億の予算で結局、民間リース会社十八社を対象になりましたが、機械の購入経費に対する補助として二百四十四億一千三百万円をこの補助事業で実施しました。農協等に対しては、導入した機械の検収費用等に対する補助、こういうことをやりましたが、畜産事業たくさんある中で、非常にこれ機動性があってしっかり対応ができたと、こういうふうに受け止めております。
  120. 山田太郎

    山田太郎君 その場合、参考になるのが、この平成二十五年の行政事業レビューシートというものだと思います。今回取り寄せて拝見させていただいたんですが、結局、二百五十億円の中身というのは、実は今大臣がお答えした以上には書いておりませんで、ほぼ多くが農畜産振興機構、いわゆるALICに流れたと。その後、どういうふうに具体的にそれが使われ、どんなものになって、本当にこの日本の畜産業が良くなったのかということは、これだと全く分からないんですね。  そういう意味で、是非お願いしたいと思うんですが、やっぱりこれからいろんなお金を使っていって、特にお金を使うだけではありません、先ほども申し上げたように、日本の政策がきちっと農畜産業に効果があるんだと、こういうことであれば、ああ、じゃ、続けていこうかと、そういうふうにも思うわけでありまして、こんなちょっとざっくりしたような事業レビュー書では、これを見た途端に、何だ、機構にお金を渡しているだけで、その先は農水省さんとしては知らんぷりなのかと、こういうふうにもなりかねません。  中身をもうちょっと、今後この委員会でも結構ですし、私どもの方の事務所にも教えていただいて、幅広く国民に、こういったものがどういう効果があって、だから我々日本国としても畜産業を物すごく頑張って応援しているよと、こういうふうに力強く言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  121. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 確かにこれ、ALICの方へ行って、そこから畜産業者に、畜産関係の関連業界にこれが補助をすると、こういうことでありますが、確かに、私どもとしてはこのレビューシートでも途中まで行きましたと、ここまでの報告しかしておりませんので、これを精査して委員皆さんにお届けをしたいと、こう考えております。
  122. 山田太郎

    山田太郎君 是非よろしくお願いします。  先日、農水省さんの現場からレビューもいただいて、私自身、二百五十億、どういう効果があったんですかということに関しては、いや、人件費等云々というふうに言っていましたが、私も元々経営者やっておりまして、数字を見ていくと、この委員会でも先ほどから議論あったように、実は、特に畜産であれば、もう半分が飼料費というか餌代なんですよね。そこに対して効果がないとなかなか、人件費等の部分に関して効いてきたとしても、やっぱり全体の経営としてはプラスにはならないのかなと、そんな単純な視点から疑問に思っておりまして質疑させていただきました。大臣の方からは詳しく教えていただけるということですので、期待していますので、よろしくお願いします。  さて次は、今回ちょっと生乳にこだわって、こういうときですから少し需要拡大という辺りを見ていきたいと思いますが、実はちょっと、配るまでもないと思ったので、こんなパネルを作ってきたので御覧いただきたいんですけれども、(資料提示)これは何かというと、酪農大国であるニュージーランドが、実は生乳の自動販売機というのがありまして、日本だと考えられないというか、生乳というのは殺菌をしていないものでありますから、そんなものを自動販売機で売っちゃって大丈夫なのかということなんですが、これが先ほどちょっと大臣質疑させていただきました、要は質を上げていく現場の工夫ということでありまして、他国でもこうやって頑張っていると。  生乳は非常に、本来持つビタミンですとか酵素ですとかプロバイオティクスとかが加熱で失われないために非常に栄養価も高いということ、動脈硬化や心臓発作にも影響が、そういうのに心配がないということでありまして、つまり工夫次第によっては、他国では一生懸命、生乳業、いろんな基準を変えたり、いろんな工夫をしたりしてやっぱりやっているんですよね。  先ほどもありましたけれども北海道では一社だけが特別牛乳としてこういう形で生乳を販売しているというのは小川委員の方からも少しあったと思います。高くても好きだから買ってくると、こうおっしゃっていましたけれども、やっぱりそういうファンを増やしていくことによって生産拡大、付加価値の工夫、これ全部の生乳業者がやることは無理だと思いますけれども、そこに産業の光というものは見えてくるというふうに思うんですね。  私は、やっぱりそうやって産業が自立しながら強くなっていくこと、もちろんこういう緊急事態においては補給金を出していくということは産業の根底を壊さないためにも重要だと思いますが、逆に、貿易の自由化の背景にある我々の畜産業の生き残りということを考えるのであれば、強い畜産業にやっぱりなっていかなければいけない。しかも、欧米と違ってなかなか、特にアメリカと違って、大規模な畜産業では我が国はない、家庭中心。先ほどのニュージーランドのこの自動販売機の発想も、家族中心の小さな農家が始めながらこうやって成功したパターンだと、こういうふうに伺っております。  是非この辺り、今後、政策の何か視点の違いというか、価値観というか、今までの官僚の方々にあるような観点じゃないところでのこの産業に対する見方、その辺り、是非大臣お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  123. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私、就任しましてから、農林水産省、良質なものを作るのは非常にうまい省だと思うんですね。しかし、販売にかけてどうだろうかと。これは、売って産業というのは成り立つわけでありますが、決して販売がうまいという省ではないと、こういうことを職員の皆さんの訓示の中でも申し上げました。  それで、目指すはどうすると。目指すは、九州と同じ面積しかないあのオランダが、結局輸出では世界第二位の国なんですね。ここを徹底的に勉強しようよと、こういうことでやっておりまして、オランダを、モデルにありますので、それらを学びながら、本当に競争力のある日本の農林水産業にしたいと、こう考えております。  ニュージーランドの例はLL牛乳だと思うんですね。日本人がLLを飲んでくれるかどうかも含めて、これは業界の皆さんにお伝えをしていきたいと、こう思います。
  124. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  そうしたら、残された時間、ちょっとALICについて少しやりたいと思っています。  今回、ALIC、農畜産振興機構、非常に大事な役割を果たすというふうに思っております。ただ、経年、私も前の党から引き続き、埋蔵金というか、やっぱりこの団体にたくさんのお金がたまっていると。平成二十二年度が一千八百九十四億を始めとして、二十三年度が二千六百十七億、二十四年度が三千三百二十五億で、二十五年度末でも三千四百五十億と、だんだん増えているんですね。  会計検査院の方は、平成二十二年八月の調査に、報告に基づいて、支出額と比較して多額の資金を長期保有している状況となっていると。調整資金及び畜産業振興基金の資金保有が適正な水準を超えることがないように留意するという、こういう意見を付けているわけであります。  会計検査院にお伺いしたいんですが、二十四、二十五の調査、追跡はその後どうなっているのか。膨れ上がった入口は牛関基金というふうにも言われていますけれども、その辺り御説明いただけますでしょうか。
  125. 斎藤信一郎

    説明員斎藤信一郎君) お答えいたします。  会計検査院では、ただいま先生おっしゃった報告の後も、機構が保有する調整資金及び畜産業振興資金について、資金の規模や必要性等の見直しが事業の進捗状況や社会経済情勢の変化に応じて適時適切に実施されているかなどに着眼をして検査を行ってまいりました。  そして、平成二十五年度決算検査報告では、国からの交付金を財源とした畜産業振興資金について、使途に制限があり有効に活用できない交付金の未使用額等を速やかに国庫に納付させていない事態について指摘し、農林水産省は、会計検査院の指摘に基づき、これらの未使用額等を国庫に納付させる等の措置を講じたところでございます。  本件については、国会での御議論も踏まえて、今後も適切に検査を実施してまいります。
  126. 山田太郎

    山田太郎君 最後の質問になっちゃうかもしれませんので、大臣にお答えいただきたいんですが、私はこのお金、三千四百億円の基金、できれば国庫にできるだけ返していただきたいなと、こう思っています。実は、財務省の金利が〇・七で、ALICさんが運用していて〇・二なので、金利差だけで〇・五ありまして、三千四百億を丸々返すと一年間十七億円というお金が浮くんですね。仮に、じゃ幾ら返すかという話で、実はこれも、前回相当、林大臣とはやり取りをしまして、緊急対策費用としてBSE対策で過去八百億円の支出が一気に最大だったとおっしゃっていたので、じゃ、まあ八百億から一千億円ぐらいあったらいいんじゃないのというようなことを言いまして、一応その段においては七百三十一億円を平成二十六年四月までに国庫に返していただいた、こういった経緯もあります。  これも、数字に詳しい西川大臣でございますので、私は、国民のお金がうまく使われていないとよろしくないですし、提案型としても、別にALICを責めるわけじゃないんですが、多分彼らも心配だからこそため込んじゃうと思うんですけれども、これは、前回財務省も呼んできて、予備費の中からも緊急であれば一日、二日で出すことができるんだと、こういう答弁もいただきながらやった経緯もあります。  是非、この辺り、一つ一つの独法の見直しということもこれから安倍政権としての行革の在り方だと、こういうふうに信じておりますので、この辺り、西川大臣に、どのようにお考えになって今後対処されていくのか、できればお金を返していただいて金利分だけでも稼げれば、私の議員の給与等、それからいろいろ批判等もあります政党助成金の問題に関してもしっかり国民に説明が付くかなと思っておりますので、よろしく答弁いただけないでしょうか。
  127. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 御指摘をいただきましたALICの資金でありますけれど、私どもが措置をしてもらった額があるわけでありますが、これ申し上げておきますけど、平成十三年度、BSEの発生時、措置額千五百三十二億でした。うち保有資金から一千八十五億出したと、こういう状況でありまして、これが一番大きかったのでありますけれど、いつこの法定伝染病といいますか、家畜伝染病が来るか分かりません。そういう中で、全くなくなるというのは不安でならないと、こう思いますし、ただでさえ畜産振興のお金が足りない時期でありますので、過度の保有は避けて、できる限り政策的な支援策に使えるように、私はそういう方針でやっていきたいと、こう考えております。
  128. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりました。  初めての会派の質疑ということになりました。  是非、そういった意味で効率的に使っていただく。決して、ただ国庫に返せということではありません。そうなれば、ほかにも使えるということになるわけですから、そんな観点で是非考えていただければいいと思います。  今日はありがとうございました。
  129. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。
  130. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党及び日本共産党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国畜産酪農は、高齢化や離農の増加による生産基盤の弱体化に歯止めがかからず、子牛価格高騰による肥育経営への影響や、国内乳製品需給のひっ迫のため乳製品の追加輸入を余儀なくされるなど危機的な状況にある。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十七年度の畜産物価格及び関連対策決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 我が国畜産酪農生産基盤の維持・拡大を図るため、地域農業地域社会を支える多様な畜産酪農経営類型ごとの指標を示し、生産物の付加価値の向上飼料費等の生産削減、効率化等の取組を通じて、将来に向けて魅力ある持続可能な経営が実現できるよう、十分な所得を確保できる実効ある制度を含め、中・長期的な畜産酪農の基本政策を確立すること。  二 加工原料乳生産者補給金単価及び交付対象数量については、飼料価格高騰等を踏まえ、酪農家経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。    また、需要の拡大期待できる国産チーズの生産拡大のための対策を充実・強化するとともに、担い手の労働負担を軽減する搾乳ロボット等の設備・技術の導入酪農ヘルパー・育成センター等の地域営農支援組織への支援を充実すること。  三 牛肉豚肉安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。    また、肉用牛繁殖基盤の拡大等に一定の期間を要する中で、肥育経営の安定を図るため、肉用牛肥育経営安定特別対策(新マルキン)事業等については、必要な財源を確保し、その充実を図ること。  四 高収益型の畜産を実現するため、関係事業者が連携・結集した地域ぐるみ畜産クラスターの構築を推進するとともに、施設整備機械リース整備への支援を充実・強化すること。また、和牛受精卵移植活用した和子牛生産繁殖雌牛増頭支援酪農後継牛確保のための性判別精液受精卵活用への支援を一層強化すること。  五 配合飼料価格安定制度については、畜産酪農経営の安定に寄与するよう、必要な財源を確保するとともに、制度の拡充を図ること。  六 輸入飼料依存から脱却し、国産飼料の一層の生産利用促進するため、コントラクター・TMRセンターの育成・活用や高栄養粗飼料の増産、草地改良の実施、放牧推進等への支援を充実・強化すること。特に、飼料用米活用促進を図るため、多収性専用品種の種子の確保・普及や改良を進めるとともに、流通や製造体制の整備支援すること。  七 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大推進すること。また、家畜疾病や原発事故等を要因とする各国の輸入規制の撤廃・緩和に向けた働きかけを強化するとともに、食肉センターの輸出拡大に向けた整備促進や、ジャパンブランドとして一元的な輸出に資する取組への支援等輸出促進対策を一層進めること。  八 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を強力に推進するとともに、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。  九 畜産経営に大きな被害を及ぼす家畜疾病については、適切な飼養管理の徹底や予防対策が重要であり、ワクチンの供給や予防に必要な消毒資材に対する支援を充実すること。  十 日豪EPAの発効に伴う畜産酪農経営及び地域経済への影響を注視し、必要と認められる場合は速やかに適切かつ十全な対策を講ずること。  十一 TPP交渉については、我が国畜産酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成二十五年四月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する決議」を遵守し、確固たる決意をもって臨むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  131. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまの徳永君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、西川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。西川農林水産大臣
  133. 西川公也

    国務大臣西川公也君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  134. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会