○有田芳生君 その
事件についてはテレビあるいは新聞でも大きく報じられました。しかし、全く報道に出ていないことがあります。つまり、在特会の
関係者が二人の
日本人男性を取り囲んで肋骨を折るというような暴行を働いた、そのとき彼らがどんな
言葉を吐いて暴行に及んだか。その場には大体百人ぐらいいた。それに対して、
日本人二人の男性に対して、直接的には七、八人の男性が殴る蹴るの暴行を働きました。そのときに在特会
関係者は彼らに対して何と叫んだか。当事者から話を詳しく聞きました。朝鮮人は出ていけ、朝鮮人は死ね、朝鮮人は殺す、チョンコというような侮蔑的な
言葉を吐いたんです。
つまり、何が言いたいかというと、被害を被ったのは
日本人ですけれ
ども、在特会
関係者がそこで吐いていた
言葉というのはまさしくヘイトスピーチ、差別扇動表現なんですね。つまり、ヘイトスピーチというのは、ヘイトクライム、差別犯罪に結び付くんだということがこの
事件でも明らかになったというふうに私は
考えております。
お手元に資料を配付しましたけれ
ども、実は、十月二十五日、第三十七回日韓・韓日
議員連盟合同総会がソウルで行われました。日韓議連の会長は、
皆さん御承知のように、自民党の額賀福志郎
先生でいらっしゃいますけれ
ども、その共同声明の中で、その前の段階で、朴槿恵大統領との会談でも
日本のヘイトスピーチが話題になりました。それを受けてこの共同声明の五項目めに、
皆さんにお配りした資料にも引用しましたように、こう書かれております。日韓両国の
国会議員は
日本内の一部地域におけるヘイトスピーチが両国の友好増進と在日韓国人の生存権に悪影響を及ぼすことに留意し、こうした街宣やデモを防止できる方策を模索していくこととしたと。
これ、
言葉ではこう表現されておりますけれ
ども、さっきヘイトスピーチがヘイトクライムに結び付いているんだということをお伝えをしましたけれ
ども、実は今でも毎週どこかで、この間の日曜日には新宿で在特会系のデモが行われていた。そこでは同じようにヘイトスピーチが行われているんですよね。これは全国各地で毎週やっているんです。一年間にすると三百六十回以上、昨年は行われております。
そういう状況の下で、例えば去年大きな問題になった大阪の鶴橋や東京の新大久保にしても、在日コリアンの集住地域で、朝鮮人は出ていけというような、殺す、ホロコーストだ、新大久保を更地にしてガス室を造れ、そういうことをずっと年中繰り返している団体がいまだ存在しているんです。ですから、そういう攻撃を受けた人たちは、本当に自分たちが直接的な危害を加えられるんではないかと日々恐れているのが現実なんです。今日は時間の
関係もありますので、インターネット上で個人がどれだけひどい仕打ちを受けているかということはまた改めて行いたいと
思いますけれ
ども、本当に深刻に
皆さんが心配しているんです、差別されている人たちは。
お手元に配付した資料の右側、カラー刷りですけれ
ども、見てください。
私は、国連の人種差別撤廃
委員会の
日本審査、スイスのジュネーブの傍聴をして、その足でポーランドのクラクフという古都に行きました。ポーランドは一九三九年の九月にナチス・ドイツが侵略を行って、クラクフにもハーケンクロイツの旗が中央公園という一番きれいな公園にもざあっと掲示をされた。その実物のハーケンクロイツの旗がシンドラー博物館にも展示をされております。
このシンドラー博物館というのは、
皆さん御承知のように、「シンドラーのリスト」、この人はナチス党員だったんだけれ
ども、自分の会社で働く約千二百人のユダヤ人を救うために
努力をされた方で、今でもそのクラクフにシンドラーさんの会社が残っているんです。だけど、その中身は実際は戦争博物館なんです。
ナチス・ドイツがポーランドを侵略したときにハーケンクロイツの旗がずっと掲げられただけではなく、今
皆さんにお示ししたポスターが貼り巡らされました。これ何と書いてあるかというと、ユダヤ人はシラミだというんです。ユダヤ人はシラミだ。この数年間、
日本でずっと吹き荒れているヘイトスピーチ、朝鮮人はゴキブリだ、いい韓国人も悪い韓国人も皆殺せ、そういうヘイトスピーチがナチス・ドイツが侵略したポーランドのクラクフにも貼り巡らされた。その後何が起きたかというと、これも展示がありましたけれ
ども、市電にユダヤ人お断り、きれいな公園にもユダヤ人お断りという掲示がされた。
去年の
法務委員会でも
質問させていただきましたけれ
ども、
日本でもサッカーの会場で、ジャパニーズオンリー、
日本人だけだよと。それはサッカー会場だけではなくていろんな飲食店、理髪店、風呂屋などでも、今、北海道から沖縄までジャパニーズオンリーというのが掲げられている。そういうことがやはり、このシンドラー博物館に行って、
日本も大丈夫かなというふうに
思いました。
その行き着く果てが、ユダヤ人のゲットーへの囲い込み、そして
皆さん御承知のようにアウシュビッツへと続いていったんですよね。だからこそ、ヘイトスピーチというのは双葉の段階で摘み取らなければならない。そういう恐怖感を、多くの在日コリアン、中国人、フィリピン人、そして、さらには在特会などの攻撃が向けられている生活保護を受けている人たちにも向いている、そういう
日本に今いるということを私たちは切実に
認識しなければいけないだろうというふうに思っております。その上で、具体的な問題に入っていきたいと
思います。
人種差別撤廃条約が国連で採択されたのは一九六五年です。
日本が加入したのはそれから三十年。私は、撤廃
委員会の
日本審査を傍聴していて、ああ、やっぱり
日本は国際基準から本当に遅れているんだなということを痛感いたしました。そのことを今から具体的にお伺いしたいと
思います。
まず、外務省に伺いたいんですが、人種差別撤廃
委員会の総括所見、八月二十九日に発表されましたが、そのパラグラフ十一、ヘイトスピーチとヘイトクライム、これはどういう
内容が示されているでしょうか。