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2014-11-13 第187回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年十一月十三日(木曜日)    午前十時十一分開会     ─────────────    委員異動  十一月七日     辞任         補欠選任      井原  巧君     小坂 憲次君      酒井 庸行君     吉田 博美君      滝波 宏文君     宇都 隆史君      長峯  誠君     松山 政司君      宮本 周司君     末松 信介君      野田 国義君     福山 哲郎君      紙  智子君     井上 哲士君  十一月十二日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     白  眞勲君  十一月十三日     辞任         補欠選任      吉田 博美君     江島  潔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 江島  潔君                 小坂 憲次君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 松山 政司君                 吉田 博美君                 小川 敏夫君                 小西 洋之君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君                 田中  茂君                 小野 次郎君                 井上 哲士君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     江渡 聡徳君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        文部科学大臣  丹羽 秀樹君        防衛大臣    左藤  章君    大臣政務官        外務大臣政務官  宇都 隆史君        経済産業大臣政        務官       関  芳弘君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣人        事局人事政策統        括官       笹島 誉行君        総務省自治行政        局選挙部長    稲山 博司君        法務大臣官房訟        務総括審議官   都築 政則君        法務大臣官房審        議官       金子  修君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        尾池 厚之君        外務大臣官房審        議官       中村 吉利君        外務大臣官房審        議官       森  健良君        外務大臣官房参        事官       滝崎 成樹君        外務省国際法局        長        秋葉 剛男君        海上保安庁警備        救難部長     中島  敏君        環境省水・大気        環境局長     三好 信俊君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省防衛政策        局次長      鈴木 敦夫君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (自衛隊員手当に関する件)  (我が国通商交渉及び国際訴訟に関する件)  (防衛大臣政治資金に関する件)  (日中関係に関する件)  (日朝関係に関する件)  (持続可能な開発のための教育(ESD)に関  する件)  (拡散に対する安全保障構想(PSI)に関す  る件)  (日米防衛協力のための指針の見直しに関する  中間報告に関する件) ○原子力損害の補完的な補償に関する条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、紙智子君、野田国義君、滝波宏文君、井原巧君、宮本周司君、長峯誠君、酒井庸行君及び北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として井上哲士君、福山哲郎君、宇都隆史君、小坂憲次君、末松信介君、松山政司君、吉田博美君及び白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  今日は、西方普通科連隊特殊作戦任務手当、この一点について質問をいたします。  まず、内閣人事局にお伺いします。この手当査定基本姿勢でありますけれども、これは役所の前例主義を重視するのか、あるいは国益を守るという観点を重視するのか、どちらの方をより重視するか、お答え願いたいと思います。
  7. 笹島誉行

    政府参考人笹島誉行君) お答え申し上げます。  西部方面普通科連隊関係する御質問であると思いますが、私どももいろいろな要求を受けております。その中で、やはりどういった任務があるのか、どういった重要性があるのかということを十分踏まえた上で、それから、具体的にはその任務中身訓練中身、あるいは全体のバランス、そういったものを総合的に判断しながら我々としても検討させていただいているということでございまして、単純な前例主義というわけではございません。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、前例主義ではないという答弁をいただきました。  自衛隊員は、一般の公務員と違って組合は存在しません。しかも、自己犠牲宣誓をして入隊をするという特殊性がございます。  統括官、この自衛隊の方々の入隊宣誓、これを説明は受けておられますか。
  9. 笹島誉行

    政府参考人笹島誉行君) 直接的説明は受けておりませんけれども、危険を顧みずとか、そういった自衛隊員の重い任務というのは私なりに承知しているつもりです。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、憲法で国民の権利として生存権とかいろんな幸福追求権利は認められておりますが、自衛隊の場合、その個人権利を上回る、国益を守るために自己犠牲のそういう義務と責任、これを重視するということの宣誓です。  そういう意味で、今回、西方普通科連隊というのは、政府決定の新たな防衛計画大綱において、尖閣を含む島嶼防衛島嶼奪還の中核を成す部隊です。これは、国益を守るため命を賭して危険な任務を行う部隊だというふうに私は思いますが、統括官の、人事局認識をお伺いいたします。
  11. 笹島誉行

    政府参考人笹島誉行君) ただいま御指摘の点でございますけれども、現行の防衛大綱あるいは中期防等に基づきまして、島嶼への侵攻があった場合に、速やかに上陸奪還、確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備するため、西部方面普通科連隊部隊とした水陸機動団を新編するということを承知しておりまして、その役割重要性認識しているところでございます。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 ただ、私が漏れ聞いている感じとしては、なかなかそこが伝わっていないような感じがします。  統括官島嶼奪還するイメージ湧きますか。陸上と違うんですよ。海の中から島に上陸すると。非常に機動性、自由がなかなかないという中で、しかも相手が待ち構えている中で突っ込んでいく。大きな海岸に上陸するというわけではなくて、まさに尖閣のようなああいう島嶼をイメージして厳しい訓練をやっているというふうに私も承知しておりますし、実際、見てもいます。  一般に、このような致死率が高いということが想定される任務、これを果たすためにはやっぱり厳しい訓練をやらないと、これは任務は達成できない。そういう意味において、今回の西方普通科連隊のこの手当というものは、やっぱりそれなりの私は対象だというふうに考えております。  統括官に伺います。同じような離島奪還あるいは離島防衛任務を有している空挺部隊にも今、配置手当が付いています。空挺部隊とこの西方普通科連隊、どちらの方が訓練任務、これは困難だというふうに説明を受け、あるいは統括官は考えておられますか。
  13. 笹島誉行

    政府参考人笹島誉行君) 私個人もどれだけ具体的なリアリティーを持った認識ができているかというところはあろうかと思います。私も夏の総合火力演習等でやはりその離島奪還演習等を拝見させていただいて、その重要性、あるいは任務困難性というのは認識しておるところであります。その中で、当然空からの落下傘隊員というのも重要な役割を担うということでありますし、それから、水陸機動団として上陸作戦をするといったものの重要性認識しているところでございます。  それぞれの重要性というのは当然前提になるわけでございますけれども、やはりその訓練の強度、内容といったことを我々も十分聞かせていただいて、全体のバランス等を考えながら、我々としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛省にお伺いします。今回のこの西方普通科連隊特殊作戦任務手当、これは二十七要求における手当分野では重点項目というふうに伺っておりますが、それでよろしいでしょうか。
  15. 真部朗

    政府参考人真部朗君) 防衛省といたしましては、現下の安全保障環境を踏まえますと、今、先ほど御議論ありましたけれども、島嶼部に対する攻撃への対応に万全を期すことが必要であると考えております。  かかる観点から、西部方面普通科連隊、これを母体として新編される水陸機動団役割は極めて重要であるというふうに認識をいたしております。このような部隊に所属しまして、平素から著しい危険性困難性などを伴う過酷な訓練に従事する隊員に対する処遇の確保は非常に重要であると考えております。  こういった観点から、防衛省といたしましては、隊員が安心してこのような任務に就く、従事する隊員が安心して任務を遂行するため、これら自衛官処遇改善については重要な要求一つであるというふうに考えております。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 お配りした資料、これを見ていただきたいんですが、この例えば陸と海上自衛隊を比べた場合、同じ特殊部隊であってもこのぐらい差があり、今回拡大要求している。空挺隊員も三三パーの手当が付いていますけれども、西方普通科連隊レンジャー小隊以外はゼロという状況になっていると。  防衛大臣にお伺いします。同じ島嶼奪還任務防衛大臣空挺隊員にも、あるいは西方普通科連隊、これはレンジャー隊員関係なく任務を命ずる場合があろうかと思います。そういう上におきまして、防衛大臣認識として、空挺隊員とこの西方普通科連隊隊員、これはやっぱり両方とも大事な任務を行う上でこれは差を付けるべきではないと私は思いますが、防衛大臣の御見解をお伺いします。
  17. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この西部方面普通科連隊に所属いたしましている隊員というのは、平素から大変著しい危険性あるいは困難性を伴う過酷な訓練というものに従事しているものと承知しているところでございます。  それゆえに、隊員処遇を考えるに当たりましては、他の特殊な任務に従事する隊員に対する手当とのバランス、そういうものを様々な要素についても考慮する必要があろうと、そのように考えているわけであります。  いずれにいたしましても、これらの自衛官任務特殊性をしっかりと考慮し、これに見合った適切な処遇となるように引き続き努力してまいる所存でございます。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 最後の質問です。  これは統括官にお願いと要望なのですが、やっぱり現場を見ていただきたいんですよ。今まで何回お願いしても、人事局の方は現場を見に来てくれないと。相浦の方に行って現場訓練を実際見ていただきたいと何回お願いしても、これは見に来てくれないというふうに聞いておりますけれども、見に行っていただけますか、いかがでしょうか。
  19. 笹島誉行

    政府参考人笹島誉行君) 自衛隊、全国に展開しておりますので、いろんな現場現場全て回るというのはなかなか困難なところはありますけれども、我々もそういう中で努力はしておるつもりでございますけれども、ただいま御指摘相浦駐屯地等も含めて、より現場を知るよう我々としても努めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも行っていただきたい、生の状況を見て、しっかりと査定をしていただきたいということを要望し、質問を終わります。
  21. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  今日は、南極海の調査捕鯨差止め訴訟日本が全面敗訴した件から始めたいと思います。  今年の三月三十一日に、国際司法裁判所オーストラリアが提訴した第二期南極調査捕鯨、いわゆるJARPAⅡですけれども、この訴訟調査捕鯨差止め判決が言い渡され、日本完全敗訴となりました。一方で、実は今年の四月、要するにこの完全敗訴から一月以内の出来事ですが、同じオーストラリアに対して日豪EPA協定交渉日本は当時行っておりましたけれども、この日豪EPA協定はこの四月に大筋合意に達しております。南極海の調査捕鯨敗訴確定から一月以内のことでありました。  そこで、岸田大臣へお伺いしたいと思いますが、日豪EPAオーストラリアから勝ち取る代わりに調査捕鯨の方は敗訴を認めるよとか、そういったオーストラリアとの内々のバーターといいますか、あるいはそういう方向にオーストラリアを誘導するような日本側戦略といいますか、そういったものが、交渉戦略があったかどうか、確認させてください。
  22. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日豪EPA交渉につきましては、七年余りにわたりまして、我が国は、国益にかなう最善の道を追求すべく、政府一体となって取り組んでまいりました。結果、国益にかない、我が国として利益になる協定を実現することができた、成果を得たと考えております。  捕鯨について日豪間で立場の相違があることは事実ですが、日豪EPAにつきましては、両国間におきまして、貿易、投資を促進させる、あるいは関係を強化する、そして地域のルール作りに資するといった意義があることから、締結をいたしました。  そして一方、この捕鯨問題に関する我が国基本方針については、これまで豪州に対して度々説明してきているところでもあり、今後も国際社会の理解を求めていく考えであります。  このように、それぞれにつきまして、我が国としましては政府一丸となって全力で努力をしてきた次第であります。
  23. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 そうしますと、日本政府の目的として、この調査捕鯨訴訟及び日豪EPA交渉の双方において勝つことを目指していたということだと御答弁いただいたと思います。  そこでお伺いしたいんですが、ちょっと具体的になりますけれども、この調査捕鯨訴訟で昨年六月から七月の間に口頭弁論国際司法裁判所で実施されました。日本側専門家証人、そして政府弁護人として登用したのがオスロ大学名誉教授ラース・ワロー氏、及び弁護人の一人としてエジンバラ大学教授アランボイル氏を任命しております。  このお二方の任命理由というのは何だったでしょうか。事務方にお願いします。
  24. 秋葉剛男

    政府参考人秋葉剛男君) ICJの場における証人につきましては、近年のICJ判決におきまして、当事国補佐人ないし弁護団一員としての専門家による証言有用性疑義が呈されました。すなわち、科学者科学的見地に従って意見を述べる場合は、弁護団としてよりも、鑑定人ないし証人としてICJの場に出てくることが望ましいという判決がございました。  そうした事情があることから、我が国として、欧州における学術団体会長を務め、長年にわたって国際捕鯨委員会科学委員会へ参加してきたワロー教授から、ノルウェーの捕鯨国としての立場を踏まえ、科学委員会における我が国に有利な議論を独立した立場から御提起をいただくべく紹介させていただいたということがございます。  それからボイル教授につきましては、この方は弁護団一員として我々が任命させていただきました。この方は、国際法としての海洋法及び環境法分野に精通しておられ、またICJにおける訴訟弁護人として参加して業績を積んでこられた方でございます。そうした理由から、顧問団弁護団一員として任命させていただいたという経緯でございます。
  25. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 そうしますと、このJARPAⅡの訴訟争点一つ、今おっしゃられましたように、その科学的根拠で、日本調査捕鯨というものがいかに調査捕鯨として統計的に大規模な展開が必要であるかということを科学的に立証するということが争点一つであったわけであります。ともすれば、調査捕鯨という名目の下で商業捕鯨ではなかろうかというような疑義も一部の国から言われている中で、どうやって科学的にそうではないということを立証するかということが一つ争点でありました。  そこで、この日本調査計画にある最大年間捕獲枠ですね、JARPAⅡで日本が提出している計画では、実際のところ、ミンククジラ年間九百三十五頭、ザトウクジラ五十頭、ナガスクジラ五十頭の規模計画を提出しておりまして、これが規模的に大き過ぎる、商業捕鯨ではないかということが言われておりまして、こうしたことに対する科学的立証が必要であったと。  それに対して、日本側で登用したこの専門家証人、まずオスロ大学ラース・ワロー名誉教授が昨年口頭弁論陳述をされた一部引用しますと、ザトウクジラナガスクジラ調査捕鯨対象に含まれるべきではない、また、ミンククジラ捕獲枠がなぜこの頭数に設定されたのか本当のところ分からないという、JARPAⅡに疑義をあたかも投じているかのごとくの想定外のコメントを陳述をしております。また、日本政府弁護人エジンバラ大学アランボイル教授も、この規模の統計的な妥当性については日本捕獲頭数が何を意味するのか私はまるで分からないと批判めいた陳述をしているわけであります。  ですから、JARPAⅡのこの捕獲規模ですとか捕獲方法疑義が上がったわけでありますが、日本側が任命した証人弁護人口頭弁論で疑問を唱えるという、むしろこの訴訟戦術上不手際とも見られることが致命傷になったという指摘をする専門家もあるわけでありますが、この対応についてまずかったというふうに、事務方、思いませんでしょうか。
  26. 秋葉剛男

    政府参考人秋葉剛男君) そもそも、先ほど申し上げましたように、証人という方は独立した立場で御意見を述べる、そして宣誓の上、意見を述べられる、御自身の真実と思うところを述べるという制度でございます。その人に対して、裁判官あるいは相手方から、いわゆるクロスエグザミネーションということも可能になるということでございます。現にオーストラリア側証人も、オーストラリアの主張に反することを証言されたという経緯もございます。例えば、鯨を殺さなければ得られないデータもあるというような証言もしております。  いずれにしましても、独立した立場から証言していただくということが本旨でございます。そして、その上で、我々が依頼したラーズ・ワロー教授は、ミンククジラ、最も重要な鯨、我々の捕鯨にとって最も重要な鯨、頭数の多い鯨ですが、その数については妥当であるという証言をしていただいたわけでございます。  それから、佐藤先生の御指摘発言もあったのは事実だと思います。その点につきましては、裁判所が判示した七つ理由国際捕鯨条約八条一項の調査捕鯨特別許可に関する条件、発給の条件として七つの基準ということを言いましたけれども、ワロー教授指摘した点はそのうちの一部。さらに、その一部についても、裁判所は独自の意見で、ワロー教授意見プラス独自の意見で判示をしたということでございますので、このワロー教授発言があったから結果がどうなったということはなかなか確定的なことは言えないということだと考えております。
  27. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 法廷闘争というのはやはり闘いでありますから、どのように闘争を進めていくかという戦略というのは極めて大事であるという意味で、少し今回の対応には問題があったのではないかという指摘が多いとおりであります。  実際、外務省はもう訴訟から通商交渉から全て外交案件を多数抱えて大変忙しい省でありまして、そういう意味では、外交関係窓口として、ある意味多数の案件を抱えた言わば私はジェネラリストだというふうに考えるわけでございます。  そういう意味で、今回、捕鯨調査に対する訴訟案件ジェネラリストである外務省窓口になったということについて少し、それで本当に体制としてよかったのかということが疑問に思われるわけでありますが、実際のところ、この調査捕鯨訴訟提訴国オーストラリアがどうであったかと申しますと、オーストラリア政府代理人は法の番人である司法長官が務めました。そして、弁護人団も、司法長官司法省司法参与等政府代理人弁護人七人中四人が司法畑で固めております。一方、日本はどうであったかというと、政府代理人外務審議官でした。そして、弁護人代理人合わせた八人中六人が大学教授、そして司法専門家の登用は全くゼロであったということでございます。  そこで、法務省にお伺いしたいんですけれども、司法省が前面に出たオーストラリアに対して、ジェネラリスト外務省法廷闘争に当たる日本体制一つの敗因ではなかったかと私は考えるわけでありますが、国際法上の訴訟事案が増えると今後想定しますと、こうした国際司法裁判所法務大臣が関われるような体制が必要ではないかと思いますが、現体制では法務大臣権限法でこうした関わりはできるのでしょうか。
  28. 都築政則

    政府参考人都築政則君) 国を当事者とする訴訟につきましては、今御指摘のいわゆる法務大臣権限法に基づきまして法務大臣が国を代表するということになっております。  海外の裁判所我が国当事者とする訴訟等が提起された場合にも、ただいま申し上げました法務大臣権限法によりまして法務省対応することは可能でありますが、我が国では慣行的に外務省が直接の窓口となっておりまして、法務省においてはこれまでそれを尊重してきたところであります。  他方、国際司法裁判所等の国際法上の司法手続は、先ほど申し上げました法務大臣権限法が適用される訴訟ではないというふうに解されておりまして、現行法の下では法務省国際法上の司法手続に直接関与することとなってはおりません。  ただし、国際司法手続におきましても、国内の訴訟における事実認定や証拠の評価における知見やノウハウを活用できると思われる場面も多々あろうかと思います。今後は、法務省としましても、広角的に国際訴訟等へ関与していくことが必要であるというふうに考えているところでありまして、その前提といたしまして訟務体制を強化することは不可欠であるというふうに考えておりまして、予算概算要求におきまして訟務局の新設や訟務体制の強化の充実を要求させていただいているところであります。
  29. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ちょっと時間がないので御答弁を短くしていただきたいと思いますが、国際司法裁判所では法務大臣が出ていく法的根拠がないという御答弁でありました。是非、岸田大臣、こういった外交関係、これから国際司法裁判所を使った訴訟事案というのは増えるということも想定しますと、外務省法務省との連携強化という意味法務大臣権限法を改正する部分というのがあろうかと思われるんですが、その辺りは検討をお願いしたいというふうに思います。  次に、武器輸出新三原則の方に移りたいと思いますが、今年の四月に政府は武器輸出新三原則を閣議決定いたしました。ここで、実は武器の輸出、輸入については、諸外国では、オフセットといって、例えば、あなたの国から飛行機を購入するから代わりにうちの国でその一部を現地生産させてくれとか、あるいは、あなたの飛行機を買うからうちの米を買ってくれとか、そういったいわゆる見返りの条件を提示するオフセットというものがよく行われております。日本にはオフセットの概念というのはないわけでありまして、飛行機を買えばそのまま買ったまま。日本通商交渉にそれをてことして反映できていないわけでありますけれども。  例えばインドなどですと、今、国防調達では最低限三〇%のオフセットが義務付けされております。インドの場合には、三〇%を現地で製造を移管してくださいという義務付けでありまして、日本の製造メーカーで、例えば救難飛行艇のUS2などを対インド輸出を目掛けているんですけれども、十分なこういうオフセットを満たすような現地製造能力というものが見込まれない中で、このオフセットの達成というのはなかなかハードルとして高いという課題もあります。  そこで、この武器輸出新三原則と並行して、これから、やはりオフセットの規模や内容について相手国が求めたときにそれを政府間で交渉するような枠組み、あるいは日本がオフセットを設定することができるような法整備、こういった枠組みが必要ではないかと思われますが、江渡大臣、いかがでしょうか。
  30. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  オフセットの取引とは、防衛関係の物品あるいは役務の取引の際に購買国への見返りといたしまして供給国側が何らかの代償を与える取引でありまして、購買国の防衛生産あるいは技術基盤の維持、育成などの観点から行われる例があるというふうに承知しているところでございます。  そして、御指摘のインドとの間でありますけれども、インドとの間でのこのUS2に関する協力の在り方につきましては次官級の合同作業部会等で議論が行われているところでございます。また、ASEAN諸国など他の国々とも現時点で具体的な協力案件の議論というものは至っておりませんけれども、装備・技術協力に関する意見交換というものを実施しているところでございます。  こうした意見交換の場というものを利用しながら、委員指摘の点につきましても必要に応じまして政府間でも意見交換するとともに、防衛装備あるいは技術移転に係る諸課題について幅広く検討してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  31. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 これから、やはり通商交渉とこういう安全保障上の取引とが密接に絡む時代だと思いますので、そういう意味では、防衛省外務省も経産省も連携しながらうまく進めていただきたいというふうに思います。  そこで、経産省、政務官一つお伺いしたいのは、この武器輸出新三原則で、武器の輸出のルールがより明確化して透明性が増したということで前進だったと思いますが、しかしながら、例えばアメリカの場合には、武器輸出は武器輸出管理法という法律があります。その下で国際武器取引規制というITARという、規制があって、きちっと厳重管理をしているという観点があります。  例えば、日本から武器を輸出した輸出先で目的外に使用をしたり、あるいはその輸出先から更に第三国へ武器を移転したりする場合のその最終需要者の使途ですとかその辺りの管理、これをやはり厳重にしていかなければいけないと思いますが、閣議決定のみならず、やはりITARに類似するような国内法を整備する必要があるかと思われますが、政府の見解を教えてください。
  32. 関芳弘

    大臣政務官(関芳弘君) 防衛装備移転三原則におきましては、防衛装備の海外移転に際しまして、原則といたしまして、国際約束によりまして目的外使用及び第三国移転につきまして我が国の事前同意を移転先の政府に義務付けることといたしております。  また、移転の場合におきましては、仕向け先の管理体制の確認をもちまして事前の同意の義務付けに代えることといたしております。その場合の仕向け先の管理体制の確認におきましては、目的外使用や第三国移転につきまして輸出者経由で最終需要者から最終用途誓約書、これはエンドユース認証でございますが、の提出を求めるなど、書面によって明確に確認するということとしておりまして、現行の外為法に基づきまして適切に対応いたしております。  なおまた、必要な場合には、外為法に基づきまして移転先におけます適正管理の状況について移転者等から報告の聴取を行いまして、万が一適正な管理が行われていないことが判明いたしました場合におきましては、同法に基づきまして、移転者等に対しまして罰則やまた行政の制裁を科すなど厳正に対処することといたしております。
  33. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 外為法ですとやはり所管が財務省になりますので、その辺の連携ということも含めると、今回、やはり国内法整備をもう一度考えるということはひとつ検討に値するのではないかと思います。  最後になりますが、こうした、今日は調査捕鯨に始まりまして、この日本交渉体制の問題、指摘させていただきました。また、EPAの交渉などでも、省庁間のいろんな利害調整にはやはり政治的な司令塔の機能というものをもう少し強化する必要がなかろうかと思われる部分もありますし、こうしたオフセットの一例のように、安全保障と通商交渉がもう少し密接に絡み合った網羅的な通商交渉体制という新しいアプローチが必要になってきているのではないかという問題認識もございます。  長年外務省窓口として日本の国際交渉をつかさどってきたわけでありますが、こうした昨今の状況から考えると、やはり時代の要請として再構築が必要な部分もあるのではないかというふうに思われるわけであります。  そこで岸田大臣、お伺いしたいんですが、政治的な力、主導権として、今現在内閣官房にあるTPP政府対策本部がありますけれども、こうしたようなものをモデルに少し拡大をして総理に直結するような通商戦略本部というようなものをつくり、そこに担当大臣を常設化して、新しい政治的司令塔をきちっと設けて、その下で、今現在は交渉が各省庁で様々行われている……
  34. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 質疑時間が終了しておりますので、おまとめください。
  35. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 はい。  その各省庁で散在している交渉ノウハウの知見を一元化してまとめてそこできちっと政治主導的に交渉ができるような、そういう体制整備についていかがお考えでしょうか。第一次安倍政権時には、日本版USTR創設ということで、こういう提言を政府で取り上げておりますが、お考えをお聞かせください。
  36. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 時間が過ぎていますので、御答弁、簡潔にお願いします。
  37. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現在、対外経済関係を含む外交につきましては外務大臣が担当しております。その交渉に当たりましては、総理の指示を受けながら、外務大臣関係大臣と連携しながら対処しております。そして、課題によりましては、TPPのような本部をつくり、担当大臣が設けられる、こういったこともありますし、またEPA交渉によっては官房長官が連携を指示する、束ねる、こういった対応も行っています。
  38. 片山さつき

    委員長片山さつき君) おまとめください。
  39. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員指摘のように、省庁横断的な政治判断ですとか連携、もちろん重要でありますが、現状においては、今申し上げましたような体制の中で、より柔軟性を持って機動的に運用していきたいと考えております。
  40. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございました。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  まず、世耕長官にお聞きする前に、ちょっとこの質問に先立ちまして、先ほど何か私の事務所に、世耕長官が五十分までには帰らなきゃいけないので、もしそれ以降になった場合には政府参考人になりますのでよろしくなんという通告があったんですけれども、これちょっとおかしいんじゃないんでしょうか。  世耕長官、どういうことですか、これ。
  42. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 私も先ほど聞いた話でございますが、私、今日、実は十一時から議院運営委員会の理事会の方へ出席することになっておりまして、担当がその辺を、今回この委員会が開会が遅れたことを受けて担当が独自に考えて先生のところへ御連絡をしたということだと思います。  当然、理事にお諮りをして、その上で理事に御判断をいただいて委員の方へ連絡すべき案件だったと思っておりますので、内閣官房の担当に対しては私の方からも厳重に注意をさせていただきました。  いろいろとお騒がせして申し訳なかったと思っております。
  43. 白眞勲

    白眞勲君 まさにそうでして、これは私の事務所でよろしくで済む話じゃなくて、これは理事会マターになるわけでして、委員会をはっきり言えば愚弄しているような形になるわけなんですね。  これは委員長にちょっとお聞きしたいんですけれども、こういったことっていいんでしょうかね。
  44. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 後刻理事会でも協議させていただきたいと思います。(発言する者あり)  一般論としては、理事会での審議を優先していただきたいと考えております。(発言する者あり)理事会での協議が絶対だと思います。(発言する者あり)  速記止めてください。    〔速記中止〕
  45. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  私が今御指摘の件を取り間違えておりましたが、これはもう理事間で設定したルールでございますので、ルールをきっちり守るというのは当然でございます。  以上でございます。
  46. 白眞勲

    白眞勲君 それでは質問させていただきたいと思います。  じゃ、世耕長官、お願い申し上げますけれども、総連本部ビルの入札に関しましてお聞きいたします。  先日、最高裁から特別抗告の棄却で落札業者が決定いたしましたけれども、これに関しまして、日本政府がこの物件や落札業者に対して何らかの意思表示や働きかけを過去にしたことや、今後するおつもりというのはあるんでしょうか。
  47. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 白委員指摘の朝鮮総連中央本部の土地建物の競売事件というものは、これはもう裁判所に係属をしている個別の事件ということになりますので、これについて所見を述べる立場にはありませんが、裁判所において、今後も法律に基づいて適切に処理されていくものだというふうに考えています。  なお、今、政府がというお尋ねでありましたが、現在、政府が司法手続中の個別の事件について何ら関与することはないというふうに考えております。
  48. 白眞勲

    白眞勲君 いや、現在ではなくて、これからということも含めて聞いているんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  49. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 司法手続中のものに関して政府が関与することはない、これからもないというふうに思っております。
  50. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、世耕長官は結構です。ありがとうございました。
  51. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 世耕官房副長官におかれては御退席をいただいて結構でございます。
  52. 白眞勲

    白眞勲君 それで、私は、質問通告では江渡大臣は今日はいいよと思っていたんですけれども、さっき理事会でちょっと江渡大臣に対していろいろあったようでして、ちょっとこれ質問させていただかなきゃならないので、御了承いただきたいと思うんですけれども。  どうも理事会の要求の資料に対して、江渡大臣は出す旨で検討をしているというふうに前回理事会で防衛省側で言ったようなんですけれども、今朝もそのスタンスに変更はないという説明があった上で、大野理事から出してくださいと、資料をですね、というふうに言ったところ、今度は出す必要がないと。これちょっと違うんじゃないですか、これ話が。  この辺について、江渡大臣、どうなんでしょうか。
  53. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 求められていた分は私は出させていただいたというふうに思っておりますけれども。その後の理事会等でどのようなやり取りがなされていたかは私はよく分かりませんけれども、一応出させていただいたと思っておりますけれども。(発言する者あり)
  54. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  55. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  江渡防衛大臣
  56. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 御指摘の部分、これ、今、佐藤理事の方からお聞きいたしましたけれども、平成二十一年分の収支報告書のコピーにつきましては、政治資金規正法上の保存及び閲覧又は写しの交付の期限が過ぎているものですけれども、過去公開されてあるものであることや、これらの議論になっている点を踏まえまして、人件費を寄附と誤記した部分及び人件費の支出が分かる部分については提出させていただいたというところでございます。  これ以外の部分につきましては、本件の収支報告書の訂正と直接関係ないことから、提出というのは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。(発言する者あり)
  57. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  58. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午前十時五十一分休憩      ─────・─────    午前十一時二十分開会
  59. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉田博美君が委員辞任され、その補欠として江島潔君が選任されました。     ─────────────
  60. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  江渡大臣より御発言をお願いします。江渡防衛大臣
  61. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 先ほど私の答弁の方が舌足らずのところがあったところ、まずおわびさせていただきたいと思っております。  まず、官房長の方から、理事懇あるいは理事会での要求状況等につきましては御報告はいただいているところでございます。その中におきまして、先ほども答弁させていただいたわけでありますけれども、二十一年分の収支報告書のコピーというところにおきまして、人件費を寄附と誤記した部分及び人件費の支出が分かる部分については提出させていただいたわけでございます。  その後、要求等のことを官房長からも聞いておりますけれども、私自身あるいは事務所等々で検討した結果、現時点においては、人件費を寄附と誤記した部分及び人件費の支出した部分以外の部分につきましては本件の収支報告書の訂正と直接関係ないということですから、提出は差し控えさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  62. 白眞勲

    白眞勲君 この問題につきましてはまた同僚議員に少しやっていただくことにしまして、外務大臣の方に質問をさせていただきたいと思います。  まず、例のAPEC、先日行われましたAPECについて御質問したいと思うんですけれども。大変恐縮なんですが、今朝質問の通告もしたやつがありまして大変恐縮なんですが、答えられる範囲内でそれは答えていただければ結構ですけれども。  このAPECにおいて、外務大臣はアメリカの外務大臣と会談はされたと聞いておるんですけれども、日米首脳会談は行われていませんよね。この理由は何なんでしょうか。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米間におきましては常にあらゆるレベルで意思疎通を図っているところですが、今回のAPEC首脳会談の際には、安倍総理とオバマ大統領、立ち話という形で、エボラ出血熱対応を始め外交上の課題について意見交換は行いました。  ただ、今後、ネピドーにおきましてEAS、また、ブリスベンにおきましてG20、首脳会談が連続して続くことになります。その間、まだ何も決まってはおりませんが、是非適切な形で意思疎通を図るべく努力をしたいと考えております。
  64. 白眞勲

    白眞勲君 米中は、今回、まあもちろん中国でやったということもあるにせよ、予定を二時間上回る約五時間もやっておるんですよ。韓国とアメリカの首脳会談も行われているんですね。にもかかわらず、日本は全く、立ち話程度というのは、安倍総理は、この通常国会の施政方針でも、基本的な価値を共有する国々と連携、その基軸が日米同盟であると。こういう基軸である日米同盟の日米間が会っていないというのは、私非常にこれは残念ですね。  次会うからいいんだじゃ私は済まされないと思うんですけれども、その辺、外務大臣、どうでしょうか。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米間においては、絶えず様々なレベルで意思疎通は続けております。  今回の首脳会談に当たりましては、APEC、EAS、そしてG20、首脳会談が連続して行われます。その中で、是非適切な形で意思疎通を図りたいと存じます。具体的な形については現状ではまだ決まっておりませんので、申し上げることは控えたいと存じます。
  66. 白眞勲

    白眞勲君 是非、この日米関係が基軸であるならば、じっくりと議論をしてもらいたいということを私の方からもお願いをしたいというふうに思うんです。  このAPECにおいて、その前の十一月七日に日本側と中国側が発表した合意した文書、お手元の資料一ページ目ですね、「日中関係の改善に向けた話合い」についてお聞きしたいと思いますが。そもそもこの文書というのは谷内局長と楊潔チ国務委員が合意した文書で、外務大臣同士がサインしたものでもないし、首脳同士がサインしたものでもないということで、先ほど私もちょっと驚いたんですけれども、民主党の外務・防衛部門会議で、外務省の担当者から、この文書の位置付けについては何なんだというふうに私が聞いたところ、これは正式な文書ではなくて、法的拘束力がない文書ですと、こういうお答え方があったんですね。  この文書の位置付けについて、ちょっと確認なんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  67. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日中両国の間においては、これまで関係改善に向けて様々なレベルで静かな意思疎通を図ってまいりました。そして、その結果として、今回、日中関係につきまして両国の間で一致できるものにつきましてまとめることとなり、それを発表しましたのが今回の四項目の発表ということでございます。
  68. 白眞勲

    白眞勲君 答えてないですね。私が言っているのは、正式な文書ではなくて法的拘束力がない文書だということについての事実関係なんですね。  もう一つ言いますと、国際約束を伴った法的拘束力がない文書であるともお答えになっているんですね、外務省の担当者は。これについて、もう一度お答えください。
  69. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の法的拘束力につきましては、御指摘のとおり法的拘束力のない文書であります。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 国際約束を伴った文書でもないということでございますね。
  71. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申しましたように、日中間で現状一致できているものをまとめただけでありますので、国際約束等を伴うというものではないと認識をしております。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 これは二人はサインしたんですか、谷内さんと楊潔チさんは。
  73. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日中間で一致できているものをまとめたものでありますので、サイン等は行ってはおりません。
  74. 白眞勲

    白眞勲君 これちょっとまた、ちょっといろいろ今驚きの発言だらけで、頭の中が混乱するぐらいびっくりしている私は驚きなんですけれども。  その話合いで、サインもしていない文書が首脳同士の話合いで出てきているというのはどういう意味合いがあるのかというのは、外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  75. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この発表につきましては、今まで意思疎通を図ってまいりましたが、その結果として、現状において日中間の関係改善に向けたものの中で一致できるものについてまとめたというものでございます。  こうした発表を行い、外相会談を行い、首脳会談を行ったということでございますので、こうした発表自体は首脳会談の開催とは直接関係があるものではないと認識をしております。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 いや、別に私そこまで聞いているわけではございませんけれども。  要は、私が思うのは、正式な文書ではない、国際約束は伴っているわけではないと今はっきりおっしゃったわけですから、ということは約束破ってもいいということですね、これは。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今の段階で日中間で一致できるものをまとめたわけですので、それをこういった形で発表を行った、それが今回の発表であります。
  78. 白眞勲

    白眞勲君 いや、ですから、一致した部分が、一致しているけど、そのうちに、約束伴っていないんですから、約束伴っていないということは、これ違反してもいいということでしょう、この文書があっても。それを聞いているんです、私は。当たり前の話じゃないですか。
  79. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回は日中間で現状一致できるものをまとめたものです。法的拘束力はありませんが、これは日中間で協議した結果、発表したものであります。それは日中間で尊重されるべきものであると認識をいたします。
  80. 白眞勲

    白眞勲君 この三項目めですね、お配りした文書の、こう書いてあるわけですよね。「双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、」となっていますが、このままこの文章を、外務大臣、読みますと、尖閣諸島等、緊張状態があって、その緊張状態について日中は異なる見解を有しているということなんですね。だから、話し合いましょうとしているわけなんですね。  つまり、これは、尖閣は問題ありということを日本政府自らが認めたことになりませんか。
  81. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この箇所につきましては、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていること、これについて異なる見解を有している、こうした認識を示したものであります。  この東シナ海海域におきましては、中国公船の領海侵犯等もありますが、東シナ海防空識別区の設定ですとか、あるいは海底油田の掘削ですとか、様々な課題があります。こうしたものについて緊張状態が生じている、この文章はそういう意味だと理解しております。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと確認なんですけど、外務大臣我が国尖閣について棚上げとか現状維持を合意した事実はないわけですよね。ですから、これは、中国は独自の主張をしているということですから、とても日本は受け入れることではないわけですよね。ですから、これは当然、外交上の問題もないということでよろしゅうございますね。
  83. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この箇所につきましては、今申し上げました様々な状況を抱える東シナ海において緊張した状況が生じている、このことについて異なる見解があるというこの認識を示したものでありますので、我が国として、従来の立場、全く変わっていないと考えております。
  84. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、確認なんですけれども、我が国は、尖閣については外交上の問題もないということでよろしゅうございますね。
  85. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 尖閣につきましても、我が国立場、全く変わっておりません。
  86. 白眞勲

    白眞勲君 もう一回確認です。外交上の問題はないのかどうかです。
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国立場は領土問題が存在しないという立場でありましたが、その立場は変わっていないと申し上げております。
  88. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、もう一度お聞きします。外交上の問題があるかないかを聞いているんです。
  89. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、この文書につきましては、緊張状態が存在する、そのことについて異なる見解があるという文書であります。そもそも我が国立場、あるいは尖閣諸島に対する立場、こういったものを述べたものではありません。よって、我が国立場は全く変わっていないということであります。
  90. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私は、この文書についてというよりも、今までの外務省立場についてお聞きしているわけなんですね。つまり、尖閣については、もう一回言いますと、我が国尖閣について棚上げとか現状維持を合意をした事実はないわけですから、当然、外交上の問題もないということでよろしゅうございますねというふうに聞いているんですけど、お答えください。
  91. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のような立場は変わっておりません。
  92. 白眞勲

    白眞勲君 ということになると、前にアジア局長の杉山さんが、この尖閣について外交上の問題があるということを平成二十五年五月十五日の予算委員会で言っているんですよね。これと矛盾しませんかということを私は聞きたいんですけれども、その辺、どうなんでしょうか。
  93. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国立場は、この領有権についての問題は存在しないという立場であります。その点について変わりはないということを申し上げております。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、私は、この杉山アジア大洋州局長が、「そこに外交上の問題があるので、」とおっしゃっているんですよ。大臣もその後、尖閣の問題とおっしゃっている。私は別に言葉狩りをするつもりはありません、言葉狩りをね。でも、問題の所在、私も尖閣の話をするときには、尖閣問題と言おうとして止めるんですよ。非常に微妙な問題だということなんですね。  じゃ、ちょっと話聞きますけれども、何で今回尖閣という文言を入れたんでしょうか、海洋における程度でよかったんじゃないんでしょうか、この文書の中に。何でですか、これは。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この文書につきましては、先ほど申し上げましたように、日中間で、日中の関係改善に向けて、現状において一致できるものを発表したものであります。中国側とのやり取りの中でこうした発表が行われたわけであります。この文言についての作成過程については控えさせていただきます。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと確認ですけど、外務省さんに。日中間で作られた文書の中で、尖閣という文字が入った文書はあるでしょうか。
  97. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) 今般公表された内容は、日中関係の改善に向けてこれまで両国政府の間で静かな話合いを続けてきた結果がこの四つの一致点ということです。  これまでの日中間で交わされた合意文書の中では、委員指摘のような尖閣諸島に触れたものはないというふうに承知しております。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、問題がないんだから、当然、こんな文書の中に、こういった合意した文書の中に尖閣なんて今まで入れる必要はなかったんですよ。だから、非常にこれは僕は問題のある文書だというふうに思います。  続きまして、日朝協議についてお聞きいたします。  総理は、十一月四日の参議院予算委員会で、小野次郎委員質問に対して、そこで今回は、徐大河という言わば政権の中枢に声が届く可能性がある立場であり、調査委員会の責任者に、直接拉致問題が最優先課題であるということを伝えることができるということであったわけでございますと書いてありますが。  ちょっと皆様のお手元の三ページ目、御覧ください。三ページ目、これは日朝のストックホルム合意といわゆる言われているものでございますけれども、その北朝鮮側からの項目の第二に、「調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野について、同時並行的に行うこと」としているんですよね。  そうすると、これはどういうことなんですか。このように、この文書のように合意しているにもかかわらず、急にまた最優先って言ったんですけど、この部分、どういうふうに違うんですか、これ。
  99. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回、特別調査委員会における調査が行われることになったわけですが、その調査につきましては、全ての日本人の問題について、様々な課題について同時並行的に行う、こういったことを明らかにしたものですが、我が国としましては拉致問題が最重要課題であるということを今までも再三先方に伝えてきましたし、これからもしっかり伝えていかなければならないと考えています。
  100. 白眞勲

    白眞勲君 いや、答えていませんね。  拉致問題は最優先ですということを言いに行ったんですって言っているわけですよ。だけど、合意文書の中には、一部の調査のみを優先するのではないって言っているんですよ。これ、調査のために話しに行ったんじゃないんですか。  それでいて、こちらからは最優先だって言っているけれども、合意文の中には一部の調査のみを優先するのではないと言っている。これは矛盾しているんじゃないですかということを聞いているんです。どうなんでしょうか。
  101. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この合意文書は五月に合意されたものであります。その中で、全ての日本人の問題について同時並行的に進めていく、これが明記されたわけでありますが、その以前からも、そしてその後も拉致問題が最重要課題であるという我が国立場は北朝鮮に伝え続けております。  十月に政府の方から平壌に代表団を送り出した際にも、このことをしっかり伝えるべくこの代表団を送り出した次第であります。(発言する者あり)
  102. 片山さつき

    委員長片山さつき君) この際、申し上げます。  答弁は、質疑者の質問の御趣旨を体して簡潔明瞭にお願いいたします。
  103. 白眞勲

    白眞勲君 私が聞いているのは、官房長官も言っているんです、総理も言っているんです、最優先って。優先だって言っているんですよ。でも、ここでは優先じゃないって言っているんですよ。一部を優先するものではないって言っているんですよ。  拉致問題が最重要課題であるということは、ここにいる委員の皆さんあるいは日本国民みんな知っていますよ。だけれども、ここにこう書いちゃったじゃないですか、ストックホルムの合意で。それはどうなんですかっていうことを言っているんです。  ちょっと参考人の方が横でしゃべっているんだったら、参考人の人答えてくださいよ。それでいいですよ。
  104. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 文書は御指摘のように全ての日本人の問題、同時並行的に進めるということであります。そして、口頭で拉致問題最重要だということを伝え続けています。結果として、こうした様々な調査において、拉致問題が他の調査と比較して遅れることが決してないということを我が国としましてもしっかりと強調していきたいと考えています。
  105. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、ちょっと、あれですよ、良くないですよ、その今の答弁。遅れることはないというのはまずいですよ、それは。答弁、私は修正された方がいいと思いますね。拉致は最優先なんですよ。それにもかかわらず、今、遅れることはないという意味でございますでは、それはまずいと思いますよ。もう一回、ちょっと答弁した方がいいですよ、それ。
  106. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 拉致問題が最優先ということはもう再三、総理ほか政府関係者、強調しているところであります。  ですから、その調査を同時並行的に進めるという合意文書になっておりますので、その中において絶えず拉致問題は最優先で報告等においても扱われるべきである、そういった趣旨のことを申し上げております。
  107. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと、非常に答弁が私が感じるにはあやふやだなと思っているんですけれども、もう時間がないので先にちょっと進めたいと思いますよ。  まず、五ページ目見てください。  この行方不明者についてちょっと私は聞きたいんですけれども。日本側からの資料等を参照しつつ、人民保安部の住民登録台帳の精査を含め、北朝鮮への入境のいかん、行方不明者の現状等についてと書いてあるんだけど、元々行方不明者というのは私の認識では特定失踪者だというふうに感じているんですけれども、それが人民保安部の住民登録台帳に記載されているんですか。  私、これすごく不思議でしようがないんだけれども、これについてお答えください。
  108. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) 今委員の御指摘のありました点については、ありとあらゆる資料、それから証人といったものに当たって調査をするという趣旨だというふうに御理解いただければというふうに思います。
  109. 白眞勲

    白眞勲君 それだったら、その五ページ目の一番下に、今度は、残留日本人・日本人配偶者の場合には、人民保安部及び人民政権機関、この人民政権機関って何だろうなと思ったら、これ翻訳間違えているんですけれども、人民政権機関が持っている住民登録台帳と書いてあるんですよ。  つまり、これ、住民登録台帳というのはこの人民保安部と人民政権機関が持っているものなんですか。それとも、人民保安部だけが持っているものなんですか。どうなんですか、これは。
  110. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) これらの資料につきましては、北朝鮮側の持っている文書ですので、私の方から一々御説明するのは適切ではないとは思いますけれども、いずれにせよ、この特別調査委員会の全ての調査においては、あらゆる客観的なかつ科学的な資料、それから証人証言に従って行うということだというふうに御理解いただければと思います。
  111. 白眞勲

    白眞勲君 いや、それは違いますよ。これ、違うんですよ。行方不明者のところは人民保安部の住民登録台帳になっていて、残留日本人・日本人配偶者の場合には住民登録台帳は人民保安部と人民政権機関が持っているとなっている。  何で別にしたんですか、これ。それについてお聞きしたいんですよ、私は。
  112. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) 今委員の方から御指摘のあったこの文書というか、紙に書いてあるものについては、これは合意文書ではなくて、先方の説明についてこれ書き取ったものなんですね。  委員のお配りになっているもののうち、二ページ目と三ページ目はいわゆる合意文書で、それで、まさにこの四ページ目の頭のところに書いてありますように、「特別調査委員会に関する北朝鮮側からの説明概要」というのがこの四ページ目それから五ページ目になっているということで、そういったまず性格の文書だというふうに御理解いただければというふうに思いますけれども。  その上で、また繰り返しになりますけれども、どういう資料に当たって調査をするかということについては、それは北朝鮮側の文書なので我々の方から御説明することはできませんけれども、いずれにせよ、客観的かつ科学的な調査を進める上で必要な資料、それから証人に当たるというのが北朝鮮側の説明でございます。
  113. 白眞勲

    白眞勲君 これ、問題ですよ、今、合意文書でなければ、これで制裁解除しているんですよ、皆さん。それと、朝鮮中央通信にも同じ文書載っていますよ、ちょっと翻訳違って、これ間違えているけれどもね。どっちが間違えたかは知りませんけれども。それで制裁解除しているのは、これどういうことですか。  じゃ、外務大臣、これどういうことですか、これ。これで制裁解除しちゃっている、合意文がないにもかかわらず。
  114. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の資料については、この五月の合意文書に基づいて調査を行うこととなり、そしてそれについて北朝鮮側が説明をした、それがこの四ページ、五ページの資料になると認識をしております。あくまでも、この五月の合意文書に基づいて、我が国として全体を判断して我が国の措置を決定した、こういった次第であります。
  115. 白眞勲

    白眞勲君 全く理解が私は不能なんですけれども、これはもう時間があれなんで、私最後にちょっと聞きたいんですけれども、これ、調査の中に、妄動主義者と英雄主義者でこの人たちは処罰されたということを金正日氏は当時の小泉総理に言っているんですよね。この処罰された人たちの真相究明というのはどうなっているのかとかというのをちょっと一点聞きたいんですね。それを聞いたのかどうかですよ。  それともう一点は、これから徐大河氏、宋日昊氏、宋日昊氏はもう当てにならないという内容の趣旨のことを総理は言っていますよね。これからの交渉はどっちを対象にしてやるのか、これは外務大臣、お答えください。
  116. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 特別調査委員会の責任者は徐大河氏であると認識をしております。調査につきましては徐大河氏が責任を持っておられるわけですから、我が国としましても徐大河氏との交渉を重視する、当然のことだと思います。そして、宋日昊氏はまた別の立場におられますので、これは場面によって、状況によって意思疎通を図る、これは当然あることではないかと考えます。
  117. 白眞勲

    白眞勲君 これは安倍総理が言っているんですよ。残念ながら宋日昊大使自体がこの委員会の責任者でもないわけでありますし、最高首脳に果たしてその場で私たちが主張したことが届くかどうかも明らかでなかったと言っているんですね。  そういう人とこれからも会うんですか。ここら辺、どうなんですか。
  118. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 調査につきましての我が国立場を伝える、あるいは調査について現状をしっかり把握をする、そういったことに関しましては、この特別調査委員会委員長であります、最高責任者であります徐大河氏と直接やり取りするのは重要だ、これは当然のことだと思います。そういった点を総理としても指摘をしたのではないかと考えます。その発言の趣旨、真意について、ちょっと私自身、それ以上説明する材料がございません。
  119. 白眞勲

    白眞勲君 そもそも説明を聞くのであるならば、これは日本に呼んで聞くべきですよ、徐大河氏に。当たり前じゃないですか、それは。これは、拉致問題というのは、私は犯罪行為だと思いますよ。その犯罪行為に対して、向こうからちゃんと説明に来るべきであって、何で我々が行かなきゃいけないのか。  今後、これは徐大河氏を日本に呼ぶつもりはあるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今後のやり方につきましてはまだ何も決まってはおりませんが、我が国としましては、最もそのテーマにおいて、その時点において効果的な対応がどうあるべきなのか、それを考えていかなければなりません。その時点で最も効果的な適切な方向を政府全体として決定をしたいと考えています。
  121. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、適切な方法であるならば当然日本に呼ぶことも可能性としてあるということでよろしいですね。確認ですが。
  122. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今後の具体的な動きや状況について今予断することはできませんが、機動的に、そしてしっかりと適切に判断をしたいと考えています。
  123. 白眞勲

    白眞勲君 終わります。
  124. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 外務大臣にお尋ねいたします。  今月七日の日中関係の四項目の合意立てでありますけれども、先ほど、今ほど大臣の答弁で、この緊張関係一つの例として尖閣諸島の我が国領海内に中国公船が入ってくるということを取り上げられました。その状態について、当然、我が国我が国の領土、領海だから入るなという主張をしているわけで、中国の方は中国の領土、領海だから当然自ら入ると主張しているわけで、つまり、緊張状態と言うけれども、その緊張状態そのものがまさに尖閣の、この領有関係によって生じている問題じゃないですか。
  125. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この四項目の発表について申し上げるならば、この発表における三項目めの記述につきましては、先ほど申し上げましたように、東シナ海海域において、近年、そうした緊張状態が生じている、こういったことについて異なる見解を有している、こういった認識を示したものであります。  よって、この文言自体、領有権問題、領土問題等について何ら触れたものではないということは確認したいと存じます。
  126. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 質問に答えていないじゃないですか。  抽象論じゃなくて、大臣は、緊張状態ということで三つ挙げられた。中国公船の問題、それから防空識別圏の問題、ガス田のことを言われた。まあガス田は尖閣諸島とは直接関係ないけれども、今、公船のことについて聞いているわけで。ですから、公船が我が国領海に入ってくるということが緊張状態だと言われた。その緊張状態は、まさに我が国我が国の領海だと、中国は中国の領海だといってこの緊張が生じているわけですよ。  ですから、緊張状態そのものは、まさに尖閣の領土問題によって生じている緊張問題じゃないですか。そういうことじゃないですか。明らかですよ、これは。
  127. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ここで申し上げているのは、この緊張状態について記述しているわけです。我が国立場は全く変わっておりませんし、それについて、ここの発表の中で述べている、触れているというものではないと認識をしています。
  128. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 触れてないじゃなくて、そのものじゃないですか。  大臣は、だから、我が国のこれまでの立場、すなわち尖閣の問題について領土問題は存在しないというのが我が国立場ですよ。しかし、三項のこの文言を見ると、まさに尖閣について、この領有権に関して日本と中国の間で意見、主張が違いますよと、そのことを認めて協議する、まさに領土問題があるということを認めた文章に読めるわけですよ。だから私は聞いているわけで。  だから、そうじゃないと言うなら、じゃ、緊張状態が生じていることについてというけれども、その緊張状態はまさに中国の公船が中国の領海だといって入ってくる、そのことによって生じている、まさに領土問題によって生じている緊張状態じゃないですかと聞いているわけです。
  129. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この発表につきましては、日中間の関係につきまして、現時点で日中間で一致しているものについてまとめたものであります。  そして、この御指摘の箇所につきましては、二〇〇八年十二月以降の中国公船による我が国領海への侵入もありますが、二〇一三年十一月の中国によるいわゆる東シナ海防空識別区の設定もありますし、また東シナ海における中国の一方的なガス田開発、こういったものもあります。こうした事柄全体の緊張状態について異なる認識があるということをここで触れているわけでありまして、我が国立場についてここで全く触れているものではありません。  ですから、ここで、この発表が行われたからといって、我が国の領土に関する立場、考え方、全く影響は受けるものではないと考えております。そういった整理を我々はしているところでございます。
  130. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そういった整理と言うけど、そういった整理の下では読めないから聞いているわけですよ。緊張状態が生じているということの、それは領土問題と全く関係ない、無関係だとおっしゃるけれども。  だって、領土問題によってその公船が我が国の領海に入ってくる、中国は自分の領土、領海だといって入ってくる。そのことによって緊張状態が生じているんだから、この緊張状態が領土、領海と無関係ということはあり得ないじゃないですか。  当然、領土問題の上に立って、その領土問題に対する、主権に対する見解が違うから、入ってくる公船について緊張問題が生じているわけでしょう。まさに緊張問題というのは領土、領海問題と無関係ということはあり得ないですよ。どうですか。
  131. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現時点で日中間で一致できるものをこの発表の中で述べております。  この緊張状態について、近年という文言がありますが、近年、先ほど申し上げました様々な課題におきまして緊張状態が生じている、このことについて日中間で異なる見解がある。これをこの文書の中で記しております。  このことと我が国が領土に関して示してきた従来の立場、これは全く異なるものでありますし、それについてこの中で全く触れているというものではございません。
  132. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、その緊張状態の一つの例である中国の公船が尖閣諸島の沖の我が国の領海に入ってくるということについて異なる見解ですから、中国はどういう見解を言っているんですか、そのことについて。
  133. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国我が国立場、考え方に基づいて対応しております。中国側のこの立場、考え方について説明する立場に私はないと思っております。
  134. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 異なる見解を有していると認識しているんでしょう。認識している事実は何ですか。答えなさいよ、ちゃんと。
  135. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 異なる見解があるのは、緊張状態があることについてであります。
  136. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 緊張状態があることについて異なる見解があるという意味は、その言っている言葉の意味は、ある人は緊張状態があると思っているけど相手は緊張状態じゃないということについて異なる見解があると言っているんですか。そうじゃないですよね。だから、大臣の答弁は全く見当外れですよ。  それで、いいですか、緊張状態が生じていることについては異なる見解を有していると認識しているんだから、ですから、じゃ、この尖閣の沖に、我が国領海に中国の公船が入っていることについて、我が国認識はいいですよ、当然分かっているから、我が国の領海に、公船が勝手に領海に入ってくるという認識だから、それと異なる中国の認識はどういう認識なんですか。
  137. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国のこの認識立場について説明する立場にありませんが、我が国我が国立場対応している。それに対して、領海に公船が侵入している。こういった緊張状態が生じているわけです。こうした緊張状態について異なる見解を有している、こういった内容をこの発表の中で示しております。
  138. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、我が国の領海に中国の公船が侵入していると今大臣は言われました。それは日本の、我が国の見解ですよ。  それと異なる見解を中国は有していると。異なる見解があるから対話と協議をしましょうと言っているわけで、つまり、我が国の領海に中国の公船が侵入するという我が国立場がある、見解がある、中国はそれと異なる見解があるから、そのことについて協議しましょうと言っているわけで、これはまさに、今まで領土問題はないと言っていたのをかなぐり捨てて、領土問題があると、まさに土下座外交したようなものじゃないですか。  じゃ、もう一度聞きますが、ですから、異なる見解があると言った、だから、日本の見解はもう何回も聞いているからいいですよ。ただ、これまでのこの日本の見解をこの合意によって事実上撤回して、領土問題はないと言ってきた、しかし今度は領土問題があるから協議しましょうと、このように読めるから確認し、聞いているわけです。で、私は聞いているわけですよ。  ですから、この緊張状態の一つ尖閣の公船が侵入する問題だと。それについて中国と日本で異なる見解があるんだと。じゃ、中国の公船が日本の領海に入ってくることについて中国はどういう見解があると我が国政府は認識しているんですか、この文書を書く上において。
  139. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この中国の公船の領海侵入、この緊張した状況については、我が国として我が国立場でしっかり対応しています。こうした緊張状態はあってはならないと思っています。  しかし、この緊張状態が今存在いたします。この緊張状態に対して日中間で異なる見解があるからだと思います。これにつきまして、今回の発表において、日中間でこの発表の中に盛り込んだ、今の時点で一致できる内容として盛り込んだ、こういった次第であります。
  140. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だからね、大臣大臣は、異なる見解があるからと今大臣はおっしゃられましたよ。だから、異なる見解は、日本の見解はいいですから、日本の見解と異なる中国の見解はどういう見解ですかと聞いているんですよ。
  141. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ここで述べておりますのは、この緊張状態が生じていることについてであります。我が国としましては、この状況につきまして、緊張状態を生じさせるべきではないと考えています。しかし、現状、緊張状態が生じています。これに対して日中間で見解が異なっている、このことを述べております。
  142. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この三項の部分について、中国の方では、我が国尖閣諸島の領有権問題について、領有権問題があると認めたことだと、このように公表している向きがありますが、この点についてはどう思いますか。
  143. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国側において報道等で様々な意見が伝えられていることは承知をしております。報道について一々申し上げませんが、我が国のこの文書に対する考え方、理解は先ほど来御説明しているとおりでございます。
  144. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 報道だけではなくて、中国大使館報道官が十二日に、岸田大臣が今のように領土問題には関係しないと、岸田外相が尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しないとの立場を表明したことについて重大な関心と不満を表明する談話を発表したということで、中国は公の立場で、この領土問題は存在しないという外務大臣発言は十一月七日の四項目の合意の三項の趣旨に反しているんではないかという前提で、意見を表明しているわけですよ、報道ではなくて。  そういう事実はないですか、じゃ。中国大使館の報道官がそのような事実を述べたことはないですか。
  145. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国側の発言の意図は承知しておりませんが、私としましては、我が国立場、領土問題は存在しないという立場を申し上げただけでありまして、我が国としての従来の立場を重ねて申し上げた次第であります。
  146. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 幾ら大臣がそのように言おうと、ここに書かれている文書を読めば、緊張状態が生じている、その緊張状態が生じている根本原因は領土問題ですから、その領土問題について異なる見解があるんだと、そして対話と協議をしましょうということは、これは領土問題が存在するということを認めたと読めますよ。  いかに、大臣我が国政府がそういうふうに言おうと、国際社会がそのように評価するんではないですか。そういうような危険は感じませんか。
  147. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国立場、そして我が国のこの発表に対する考え方は先ほど来申し上げてきたとおりであります。そして、そのことにつきましては、是非国際社会からもしっかりと理解をしてもらわなければなりません。丁寧に説明はしたいと思いますし、実際、理解していただいていると認識をしております。
  148. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 理解していただけると認識しているというのは大変甘い話であって、私は大変な外交的失態だと思いますよ。この領土問題に関して我が国立場を言わば中国側に有利に持っていかれた、領土紛争があるように国際社会からも受け入れられる、大変な失態だというふうに思います。ただ、失態だとは言葉では認めないでしょうから、もうこれ以上の質問はしません。  江渡大臣にお尋ねします。  江渡大臣政治資金、資金管理団体の政治資金でキャバクラに行ったことはございませんか。
  149. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) キャバクラ等には行ったときはございません。
  150. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 二十四年の支出に、キャバクラに四万円と二万円の支出があるんですが、これはどういうことでしょうか。
  151. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) キャバクラには、ですから、行ったときはございません。
  152. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 二十四年の五月九日、ボンド、bond、ボンド、二万円。二十四年の四月十九日、ボンド四万円。  このボンドという店はキャバクラですが、大臣は行かれたんじゃないですか。
  153. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 御指摘のボンドですけれども、きちんと確認したところ、クラブやラウンジ等となっております。
  154. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 インターネットで、求人の、このボンドのを見ましたら、キャバクラ求人と書いてありますよ。これキャバクラじゃないんですか。  この店に行かれたことはないですか。
  155. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思いますけれども、その中、全部よく読んでみてください、一番下の方まで。確かにその広告の、ネットではそのような形で出ていますけれども、このボンドというものはキャバクラではございません、クラブであります。
  156. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このボンドには、じゃ、大臣は行ったんですね。
  157. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私も行きましたけれども、五分か十分ぐらいでこれは私は帰っております。なぜかといいますと、このボンドというお店、私の地元の県会議員の娘婿さんがやっているお店でございまして、そしてここは、ちゃんとそのお店の方にも確認いたしましたけれども、うちはクラブであってキャバクラではありませんと言っておりました。
  158. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ、キャバクラというのは一般通称語ですから、別にクラブとキャバクラが法的に明確な区別があるわけではありません。  私は、大臣、それは、行かれること自体が別に違法だとか不道徳だとは言いませんよ。ただ、政治資金で行くことを問題にしているんですよ。
  159. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 政治資金で行かれることが問題だということは私はよく理解できないわけでありますけれども、私及びあるいは事務所の者等々が様々な情報収集とかあるいは意見交換とかそのような重要な政治活動の一つであるという形で、政治資金規正法においても、政治上の主義あるいは施策の推進等の政治活動を行っていくための政治活動としてこの渉外費とか交際費というのが認められているというふうに私は存じておりますけれども、そこで、それが問題だというふうには私は考えておりません。
  160. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 違法ではありませんけれども、適切ではないと思いますが。  その次に、また本来の、高橋さんの、平成二十四年に大臣が寄附金で受け取ったと報告しているものについて、高橋さんの給料だということがございました。二十四年の十二月の分は大分事実関係聞いたんですが、二十四年の五月の分について、どういう状況でそれをお渡ししたのかちょっと聞いていないんですが、この二十四年の五月の百万円について、どういう経過であなたが受け取った百万円を高橋さんに渡したのか、ちょっと概略短く説明していただけますか。
  161. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 今、急に委員からそういう御指摘されていまして、細かいような形というものをここできちんとお答えするというのはちょっと難しい部分もありますけれども、私は、あの当時、地元の方においても事務所のスタッフ等が体調等が壊したり云々等もあったものですから、Tさんに対しまして、悪いけれども地元の方も一緒に見ていただきたいと、そして、地元の方の事務所の業務も併せて見てもらうというような形になるからと、そして、あなたにも特別に負担掛けるから頼むよという形でお渡しさせていただいたというふうに記憶しているところでございます。
  162. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私が聞いていることに全然答えてないんですけれども。  この五月二十五日、まずあなたが百万円を受け取ったことは間違いないんですね。
  163. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 事務所の者で用意してもらって、私が受け取ったと。そして、受け取ったときに、金額が高額だからこそということで、仮の領収書を書いてほしいということで私はサインをさせていただきました。その後、Tさんに対して……(発言する者あり)
  164. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 挙手の上お願いします。答弁中ですが、どうしますか。(発言する者あり)  委員会ですから、整理させてください。江渡大臣、お答えください。
  165. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 申し訳ございません。  そういう形で、私が仮の領収書にサインをいたしましてお渡ししたと。その後、T氏を呼んで、特別に負担を掛けるから、地元の方もよろしく見ていただきたいということでお渡ししました。
  166. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その百万円は誰から受け取ったんですか。
  167. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 事務所の事務の者だと思っております。
  168. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 受け取った場所はどこですか。
  169. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 詳しいことは私は覚えておりませんけれども、多分、議員会館ではなかったのかなというふうに思っております。
  170. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その受け取った百万円は銀行預金から下ろしたものですか。
  171. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) そうだと思っております。
  172. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 下ろすように、下ろして持ってくるように指示したのはどなたですか。
  173. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) まず、Tさんの方にお金を用意してくれというふうに私はお願いいたしました。そして、その後、Tさんから指示を受けた事務の者がお金を下ろしたというふうに私は記憶しております。
  174. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それを指示したとき、高橋さんはどこにいたんですか。
  175. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私は携帯で電話をいたしましたものですから、そのときに事務所にいたかどうかというのは、私は記憶の中にはございません。
  176. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そのお金を、百万円をあなたは高橋さんに渡したと言っている。それを渡した日にちと場所は、いつどこでですか。
  177. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 急にそれを言われても詳しい日時というのは分かりませんけれども、お金を受け取ってからそんなにたってない日にちだと思っております。
  178. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 場所はどこですか。
  179. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 多分、議員会館ではないのかなというふうに思っておりますけれども。
  180. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まず一つ、あなたが高橋さんに百万円を渡したときに、高橋さんから領収書はもらわなかったんですか。
  181. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私自身がですか。
  182. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 はい。
  183. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 直接ですか。
  184. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 はい。
  185. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) それはありません。
  186. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、あなた自身じゃなくても、直接じゃなくても、間接的な意味でも、高橋さんに渡した百万円について領収書はもらわなかったんですか。
  187. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) そこは、私は今確認等々をさせていただいているわけでありますけれども、私自身はあくまでも人件費という頭でありましたから、特別に負担掛けるからと言ってお金を渡したわけです。そして、後でその部分できちんと会計処理すればそれで済むというふうに私は思っておりましたから。
  188. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、お金の授受を明確にするために領収書が必要なんですよ。  百万円を渡したなら、つまり、これはあなたのポケットマネーを渡したんじゃなくてこの資金管理団体のお金を渡したわけでしょう。であれば、高橋さんから資金管理団体宛てに百万円をもらいましたという領収書をもらわなくてはいけないので、そういう領収書はもらっていないんですかと聞いているわけです。
  189. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) このことに関しましては、委員会等におきましても私は何度もお答えさせていただいておりますけれども、領収書の有無というのは今現在も事務所において確認中でありますけれども、私自身もきちんとTさんに対して受領ということを確認しておりますし、事務所の者もTさんに対して確実に支払ったということを確認しているところでございます。
  190. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私が聞いているのは領収書を高橋さんからもらったかどうかですよ。答えは、もらったかもらっていないかのどちらかしかないんですよ。余計なことをしゃべらないでください。
  191. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私自身は、ですからそこは確認しておりませんと言っているわけです。  先ほどから私委員にお話ししているとおり、私が事務員からお金を受け取ったときにおいてはちゃんと仮の領収書で出した、そして後で渡す、そして事務員の方にTさんからきちんと領収書を発行していれば、それで私の仮の領収書は御破算になるからいいわけであります。普通の流れというのはこういうものだと思っております。  ですから、そこの部分で、受け取っていたかどうかというところ、ですから、徴取すべきこの領収書の有無というところは私もここの委員会で何度も何度もお話しさせていただいておりますけれども、しっかりと今事務所で確認中でございます。
  192. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 領収書をあなたはもらったんですかと聞いているわけですよ。  あなたはあなたの自分のポケットマネーを、自分のお金を高橋さんに渡したんじゃないでしょう。あくまでも、あなたの言い分ですよ、事実かどうか分からないけど、あなたの言い分だとすれば、この聡友会のお金をあなたが預かって、聡友会のお金を高橋さんに人件費として渡したわけでしょう。であるなら、渡したあなたがそこで領収書をもらうのが普通なんですよ。だけど、あなた自身はそこではもらっていないんですね。
  193. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私自身はその場ではもらっておりません。それは先ほどもお答えさせていただきました。
  194. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それから、その領収書が仮に聡友会に提出されていれば、こういうあなたが言うところの記載の間違いなんか起きないですね。ということは、高橋さんが百万円をもらったという領収書は、聡友会にも、大臣を経由しないで高橋さんが直接聡友会に提出したということもないと思うんですが、ないからあなたの仮の領収書が残ったままだと、まあ仮というのは大臣の言い分でしかないですけれどもね。  要するに、この高橋さんが人件費として百万円をもらいましたという領収書は大臣自身は受け取っていないと、それから論理的にはこの聡友会にも提出されていないと、こういうことになると思うんですが、どうですか。
  195. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 確かに今の段階で領収書が見付かっていないということも事実であります。ただ、これはきちんと私も、それからうちの事務所の者も確認させていただいているわけであります。と同時に、この委員会においてもほかの委員会においても私は何度もお話しさせていただいておりますけれども、実際に政治資金規正法上で選挙のとき以外で寄附として受け取るというのはこれ違法であるというのは私自身も分かっております。最初から分かっていることをこういう形で載せるということは普通はあり得ないことなわけです。だから、これは事務的なミスであったということで御理解していただきたいということで私は何度もここでもお話しさせていただいておりますし、ほかの委員会等々でもお話しさせていただいているわけであります。  少し、済みません、ここだけお話しさせてください。(発言する者あり)いやいや、ちゃんと聞いてください。お願いしたいと思います。御理解ありがとうございます。  そしてまた、訂正するときにおいてもこのように確認できる書類というのはある意味なかったわけでありますけれども、人件費の支払の経緯につきまして、会計責任者を含む関係者への確認を通じまして、登録政治資金監査人の監査を経まして人件費と認められたと。それゆえに私は適正に訂正の受理がなされたというふうにも理解しているところでございます。
  196. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ違法なことだからやるわけないという大臣説明はもう繰り返し何回も聞きましたが、しかし違う見方もできるんですよ。違法だとは知らないでやってしまったという考え方もできるし、あるいはこれをごまかすのを忘れる、抜かってしまったと、こういう見方だってできるわけですから。ですから、違法だからやるわけないじゃないかと、でも現実に違法な状態が収支報告ではされているわけですから、こういうことになっているわけですから。  それで大臣、これは先日小野委員からも指摘がありましたけれども、この資金管理団体のお金を渡すときには必ず領収書をもらわなくてはいけないと。領収書をもらわないとこれは処罰されるんですよ。だけれども、大臣、あなたは聡友会の代表者ですからね、聡友会の代表者として高橋さんに百万円の人件費を渡したと。しかし、そこで領収書をもらっていない。そのことがもう政治資金規正法違反なんですよ。本当に渡したかどうかは大臣がいろいろ言っているだけで、客観的事実かどうかは別にしてですよ。  大臣は、百万円の人件費をその聡友会の代表者として、職員の高橋さんに人件費として、特別人件費として渡したと言っている。人件費であったとしても渡したお金については領収書をもらわなくてはいけない。それをもらわなかったら政治資金規正法上処罰されることになっているんです。そのことは大臣認識していますか。
  197. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 先ほどからお話しさせていただいているように、事務的にきちんとTさんから事務員の方に領収書を渡せば私の仮の領収書は御破算になるわけですから、それで私は手続上全然問題ないというふうに認識しておりましたから、そういう形でお渡ししました。  そのときにTさんに対しましても交通費等々、あるいは宿泊費等も全て含めたという形で、まとめた形でお金を渡しますよということもちゃんと伝えてありますから、私はそれでできると思っておりました。
  198. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それは、百万円は大臣が高橋さんに手渡したんでしょう。だから、大臣が渡した、渡したあなたが高橋さんから領収書をもらわなくちゃいけない。  何か領収書をもらえないような特別な事情があったんですか。
  199. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 特別の事情も何もございません。先ほどからお話ししているとおり、その後事務的に手続すれば全部済むはずですから、私はそれで事務的に手続されているものだと信じて疑わなかったわけであります。
  200. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 あなたは代表者として払ったんだから、あなたはこの聡友会の代表者として人件費を百万円払った本人ですから、領収書をもらわなくてはいけないという政治資金規正法違反なんですよ。あなたの弁解の話にしてもね。  話を、ちょっと別なことに聞きますけれども。大臣は、このお金の出入りを明確にするために百万円あるいは五十万円を、二十四年の話ですけれども、受け取ったときに領収書を入れたと。領収書はあなたが受け取ったことになっているけれども、大臣は仮の領収書だと言っていると。  そこでお尋ねするんですが、その五月の百万円、十二月の五十万円について、会計帳簿は、これはどういうふうに記入してあるんですか。
  201. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 今急に会計帳簿と言われましたので、詳しいところは私も今ここで確認のしようがないわけでありますけれども、多分同じような形でそのままの寄附の領収書で書かれていたからそういう状況になっていたのではないでしょうか。
  202. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣、お金の出入り、資金の出入りはきちんとしなくてはいけないからということで領収書を入れたと言っているわけで、同じようにこの出納帳と呼ぶのか帳簿と呼ぶのか、まあ呼び方はいろいろあるけれども、当然そういった日々の収入、支出については記帳されているんでしょう。それだけお金の出入りについて厳格にやっていると言うんだから、当然、日々の出入りについてもそれを記帳しているでしょう。どうですか。
  203. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私が書いたときには、事務員の方からきちんと私にお金を渡したということでの記録が欲しいということで私が書きました。  その後、私自身が今回のこういう問題等になってからいろいろ事務の者に確認しましたけれども、日々のお金の出入りの方においても、ある程度領収書等々がまとまった段階でいろいろ書いていたというふうに報告を受けているわけでありまして、ですからこそ、そういう状況下の中があったればこそ私はこのような誤記というものが生じたのではないのかなと思いまして、私自身、事務所の者に、必ず一円でも何だろうがお金の出入りがあった段階できちんと記載して、きちんと対応できるようにしなさいというふうに再度私は指示をしたところでございます。
  204. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ですから、私が聞いているのは、出納帳か帳簿か、そういう帳面の名前の付け方はいいけれども、日々の収入、支出をちゃんと日々記録していたんじゃないですかと、それだけきちんとした処理をされていると言うんだから。私はそれを聞いているんですよ。
  205. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) ですから、先ほども私は言ったように、事務員から言われたものですから書いて渡したと。ただ、記載等々においてはある程度まとまった段階で全部記帳していたというような言い方をしておったものですから。ですから、今、小川委員から言われたように、日々出た段階できちんと書いていればこういうような形はなかったのではないのかなと思っていますし、また、その後において、もしその段階で寄附だから寄附として載せたとしても、その後でちゃんとTさんの方からこれは私が人件費でもらったものだからということで領収書を書いて渡せば、前のやつは仮領収書ですから破棄されてきちんとした形のものに私はなるだろうというふうに思っているところでございます。
  206. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その収入、支出をある程度まとめて書いたという、ある程度というのはどのくらいですか、二、三日ですか、三、四日ですか。
  207. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) そこは私は分かりません。事務の者が、ある程度まとまった段階で書いていましたというような言い方をしておりました。
  208. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、そのある程度を聞いているんですよ。  じゃ、この収支報告をする際に、それまで全然帳簿を付けていなくて、ただ収支報告をする際に領収書を全部集めて、それで後から帳簿を作ったんですか。
  209. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 詳しいことは私も分かりません。収支報告書を作るときは、事務所の者が総出で全部掛かって、そして対応しておるところでございます。  特にこの収支報告書の方につきましては、事務所の者が適宜分担して作成して、最後に会計責任者でありますTさんが最終的にチェックして作成していたというふうに私は認識しているところでございます。
  210. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、事務員が適宜分担して収支報告を作成するけれども、その作成する前に日々の会計処理を記入したものがあるでしょうと。実際、この収支報告書というか、この資金管理団体の事務としてそうした会計処理がなくちゃいけないと書いてあるわけで。  だから、当然、それは毎日毎日その日克明にというわけじゃなくて多少何日分かためて書くということは通常あることですよ。大臣は、ある程度まとめてと言われるから、だからある程度まとめてってどのくらいですかと、一年分まとめてやっているんですか、それとも毎日じゃなくても二、三日ですか、どのくらいなんですかと聞いているわけで、それを答えないから何回も聞いているわけです。
  211. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 急に今委員から何日ですか何日ですかと言われても、その時々においてお金の出入りというのは毎日毎日違うわけでありますから、全然出ないときもあるし、出るときもありますし、そうすると、その時々において、ある一定の期間取りまとまった段階において会計帳簿というのを付けていたようなところがあったというふうに私は聞いています。  ですから、二、三日後なのか一週間ごとなのか、あるいは全然出入りがなくて二週間に一遍付けたのか、それは私も分かりません。
  212. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ、結論からいえば、この収支報告書で、当然会計帳簿にあるものはなくちゃいけない、それから領収書もなくちゃいけない。そして、領収書と会計帳簿を突合して作成する、更にこれを登録監査人が監査するわけで、だから、会計帳簿と領収書の記載が食い違っていれば当然その過程で間違いがはっきりするわけだから、間違いがあればそこで間違いが分かるわけです。  ところで、大臣の場合には、会計帳簿においても、結局は大臣の寄附金と書いてある。そして、大臣が出した領収書も、大臣は仮のと言うけど、それは大臣が言葉で言っているだけであって、領収書への記載は、大臣御自身がそのお金を領収したと、こういう記載になっているわけで、預かりとも書いていないし、仮とも書いていない。  ですから、大臣がもらったという形の領収書と、それから、日々か、あるいは日々じゃなくても多少のある程度まとめた帳簿でもいいんですけれども、そういう帳簿への記載も、やはり大臣に渡したお金だと、こういうふうに領収書と帳簿の記載が合っているから、収支報告書においても、あるいはその前段階の会計監査においても大臣への寄附だと、このように処理されたと、こういう筋道になるんですけれども。  ですから、日々記録する帳簿、それから会計帳簿には、やはり大臣への寄附という趣旨の記載がなされているんじゃないですか。
  213. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) ですから、私は委員の方にもお答えさせていただいたわけでありまして、だからミスであったと、だからミスを認めて、そして訂正をさせていただいたということであります。  そして、その訂正の際においても、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、確認できる書類等が存在しなかったわけでありますけれども、人件費の支払の経緯とか、あるいは会計責任者を含む関係者への確認等を通じまして、登録政治資金の監査人の監査を経まして、人件費と認められて適正に訂正の受理がされたものというふうに私自身は理解しておるところであります。
  214. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 何を言っているんですか、大臣。何回も何回も繰り返し間違いだ間違いだと言って、御理解いただきたいという大臣の言葉は何回も聞きましたよ。だけど、幾らそういうふうに言っても、これは事実経過も、この経理処理の在り方、領収書の記載、全てを見ても、やはり大臣が聡友会のお金の寄附を受けた、大臣個人的にこれを使ったと、寄附を受けたものだというふうにしか見れないわけですよ。  であると、大臣が言っている領収書、大臣がもらったということになっている領収書を仮だ仮だと言っても、それが仮だという何の具体的根拠もないわけですよ。結局それは、政治資金管理団体から政治家が寄附を受ければ、渡した聡友会の方も、もらった政治家の方も、これは刑事罰で処罰されるんですよ。  ですから、大臣は、本来処罰されるべき人が、しかし、そのような違法行為を認めれば大臣の職を失わなければならない、当然辞めなければならない。ですから、そういう違法事実を隠蔽するために架空の弁解を言っているんではないか、私はそういう視点から何回もお尋ねしているわけです。  しかし、それについて、やはり、大臣は理解してくれ理解してくれ、理解してもらったものだと繰り返し言うけれども、到底理解できるような客観状況がないわけです。  私は、別に江渡大臣個人に何の恨みもありませんよ、何の気持ちもありませんです。ただ私は、一人の、国民から選ばれたこの政治家の立場において、やはり大臣にそういう違法事実の濃厚な疑惑があれば、それを指摘しなければならないという立場で聞いておるわけですが。  それで、時間ですから、そこまで客観的に、大臣が違法な寄附を自ら支払い自ら受けたという立場にあるんではないかということが指摘されているときに、せめて大臣の弁解を裏付けるものが何かあるとすれば、この受け取った人件費について高橋さんが本当にその翌年三月までにこれは人件費でしたと申告していれば、ああ、そういうことだったのかなとも思える向きもある。  だけど、高橋さんの申告も、政治資金収支報告書を訂正した今年の九月頃、慌てて高橋さんも確定申告したと見れる節もある。だから、そのことをはっきりさせてくださいと。高橋さんが、いや、三月にちゃんと確定申告していましたよと言えば、大臣の弁解も多少うなずける向きも出てくるわけですけれども。  こんな大事なときに、大臣の私設秘書もやっていた方が、ただ見せればいいものをプライバシーだからといって見せない、大臣もそれを求めない、だからここの委員会に提出しないというんじゃ、結局、大臣、あなたが違法な寄附を自ら行い自ら受けたというこのことについて……
  215. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
  216. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 疑惑を解明する努力をしていないじゃないですか。それはすなわち、大臣、あなたはもうこの違法行為について正当な弁解ができない、責任を持つべき人だと、こういう立場にあるんですよ。そういうことを理解しませんか。  それを聞いて私の質問を終わります。
  217. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 江渡防衛大臣、時間が来ております。
  218. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 簡単にお答えさせていただきたいと思いますけれども。  私自身もすっきりさせたいんです。ですからこそ、何度も何度もTさんの方にお願いの電話もしていますし、連絡も取っておりますし、また、うちの事務所の方からも連絡をさせていただいているということも御理解していただければ有り難いなと思っております。
  219. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ─────・─────    午後一時四十五分開会
  220. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  221. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。今日は機会を与えていただき、ありがとうございます。  まずは、江渡防衛大臣にお伺いをさせていただきます。  午前中の質疑の中で小川委員からも指摘がございました。大臣の政治と金の問題というのは、その原資が税金である可能性も高い、そういった意味からもゆゆしき問題であると考えています。それにもかかわらず、江渡大臣は、資金管理あるいは人件費を受領した当事者であるT氏の税務申告の日付すら明らかにしない、こういったゼロ回答に徹し、国会に対し真摯に臨んでいないばかりか、自らの身の潔白を証明しようともせず、私は法案審議に臨もうとしないようにすら見えております。  その一方で、この委員会の全ての野党は、今国会において当初からしっかりと法案を審議するべきであると合意をいたしまして、大臣の政治と金の問題や、あるいは国会軽視の対応にもかかわらず、例えば前回の委員会では夜の七時二十分まで対応させていただきました。また、この一般質疑の後も、本来であれば私ども異論を挟んでもいいんですが、この後の条約について趣旨説明をお受けすると、こういう態度で臨ませていただき、しっかりと協力をさせていただいているものと我々も考えています。  しかしながら、この防衛省が提出いたしました法案の中には、二十四万人余の自衛隊員の身分にも関わり、彼らに大きな影響を及ぼすであろう職員の給与等に関する法律の改正案も含まれているというふうに理解をしています。大臣は閣法を提出者として審議するつもりがおありになるのか、私には甚だ疑問でございます。  野党側は、この法案を審議しよう、だからこそ大臣の身の潔白を証明する証拠の書類を提出していただく、そして江渡大臣に存分に自衛隊員に対する責任を果たしていただこう、このように主張をしております。しかしながら、大臣は全くそれに応えず、自衛隊員の身分に関する法律の審議を犠牲にしているようにしか見えません。  大臣は、この給与法改正案について本当に重要と考えておられるのか。まずは、改めてお伺いしておきたいと思います。
  222. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 大変委員からも有り難いお言葉いただいたなというふうに私自身は思っているところでございます。  私といたしましては、今回のこの政治資金収支報告書の訂正につきましては、御理解いただけますようにるる説明するとともに、提出を求められた資料につきましては、可能なものは提出し、事務所においてその有無を確認させるなど、誠実に対応してきているつもりでございます。  また、御指摘のとおり、人件費として支払われたことを客観的に示す資料の提出に関しましては、これまで各委員の御要望に十分お応えできていないかもしれません。特に、元秘書の税務申告の提出につきましては個人的なものであるため、現時点で本人から提出の了解が得られていないという状況下であります。  それでも、これまでは平成二十四年度仮の領収書というものを提出させていただきましたし、また、本人たち、私の親族と元秘書に対しましてですけれども、人件費の受領というのを改めて確認し、実際に支払われている旨の回答も得ました。当時、当該二人がいかなる仕事をしていたかということに対しましても説明などしてまいったわけであります。  このように、本件が単なる事務的ミスであるとの説明責任を果たすべく、私なりに誠意を持って対応し、繰り返して丁寧に説明してきているつもりであります。  また、今回、国会に提出されました給与法案、また長期契約法案は非常に重要なものであります。特に、一般職の給与法の改正案につきましては昨日成立しておりますので、残された審議日程というものは大変僅かになっておりますので、できれば速やかな御審議を切にお願いするものでございます。  また、特にこの給与法案につきましては、本法案というものは、人事院勧告に基づく一般職の国家公務員の給与改定に準じて、平成二十六年度及び平成二十七年度以降の防衛職の給与の改定というものを行うものでございます。一般職の国家公務員との均衡を基本としつつ、広域異動手当や単身赴任手当の大幅な引上げ等が図られることで、隊員処遇改善にも配慮されたものと考えております。特に、一般職に準じて防衛省の職員の給与改定を実施することは、国家公務員全体での公正性を確保する上で重要なものであるわけであります。  事務官等の俸給引上げにつきましては、一般職の給与法改正によりまして自動的に引き上げられるわけでありますけれども、自衛官の俸給引上げについては引き上げられません。自衛官の給与引上げが同時に行われないということは、国家公務員全体での一体性、公平性を欠くものであると思いますし、またさらに、防衛省自衛隊の同一組織の中で給与引上げの有無が生じるということは、組織運営上大きな問題であるとも考えております。また、自衛官の士気にも影響が生じるおそれがあると思います。  それゆえに、是非とも今国会で成立させていただきたいと、そのように考えているところでございます。
  223. 大野元裕

    ○大野元裕君 そのとおりです。私も大変重要な法案だと思っています。  大臣、御自身の身の潔白を証明する証拠書類をお出しくださいと我々は求めてきました。大臣に辞めていただきたいとかそういうことを、少なくとも私は言ったことはありません。御自分の身の潔白を証明する書類を出さない、まあ意地になっているようにも私には見えるんですけれども、しかし、それを逆に、二十四万人余の自衛隊員の給与を犠牲にしてもいい、それで私は大臣としての務めを果たしているとは思えません。しっかりと大臣として、御説明は伺いました、御説明は私何度も聞いているのでそらんじられるほどです、しかし証明を出してください、その一点だけなんです。  そこについて、もう一度御説明を求めたいと思います。
  224. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私も可能な限り、元秘書のTさんの方にも連絡をさせていただいたり、努力はしているつもりでございますけれども、現段階におきましてはまだ本人からの了承を得られていないというところでございますけれども、引き続き、私自身もこのことは早くすっきりさせておきたいという、願っているものでございますので、努力は続けさせていただきたいと思っておるところでございます。
  225. 大野元裕

    ○大野元裕君 御自身のいわゆる寄附のことについては、Tさんだけの話ではないと私は思います。しかし、大臣の態度というのはよくこれで分かった気がいたします。  そこで、給与法案について少しだけお伺いをしておきたいんですけれども。と申しますのも、大臣自衛隊員自衛官を守るというお立場を改めて確認させていただきたいんですが。  先ほど、一般職に準じて、若しくは国家公務員全体の均衡の観点からも重要だと、このように御指摘をなさいました。その一方で、給与法案が採決されると地域手当の割合は拡大をいたします。地域手当の拡大が行われるとどうなるかというと、都市部に在勤している、そういう役所の方には有利なんです。ところが、その一方で、地方部に在勤する者と都市部に在勤する者との格差がますます拡大をすることになります。  一般論で言って、自衛隊員は、ほかの省庁と比較してその多くが地方部に在勤しています。したがって、一般公務員と比較して、比較した場合ですよ、その格差がより大きくなるという、額ではなくて人数の割合で掛けてみると不利になってしまうのではないか。つまり、他の省庁と比較して地方勤務が多いので、大臣のお立場としては、本来、自衛官を守るときに別な措置を講じるとか、そういった形で自衛官を守っていくというのが本筋だと私は思うんです。  ですから、この法案を提出されているのは、防衛大臣、あなたですから、この地方で頑張っておられる自衛隊員の給与格差、これが拡大するということについてどうお考えなのか、教えてください。
  226. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今回のこの給与改定におきましては、地方の物価水準とかあるいは所得水準とか、それら全てのものを勘案しまして、今般の地域手当の見直しによりまして、確かに委員の御指摘のように、地域の地場賃金に見合った手当の支給によりまして最大で一八%から二〇%に格差というものが広がるわけであります。  しかし、今回の見直しにおいては、同時に、広域的な異動を行う隊員に対する広域異動手当や、あるいは単身赴任手当の大幅な改善というものを図ることとしておりまして、現場で頑張っている隊員処遇というものが現実として低下しないように配慮というものもさせていただいているわけであります。  これらの措置によりまして、隊員の給与処遇の改善というものが図られるとともに、地方への円滑な人事異動や適切な人材配置の確保ということが期待されることから、自衛隊の組織活力に寄与するものであろうというふうにも考えております。  また、防衛省といたしましては、昨年の人事院の地域間の給与配分の見直しを検討するとの報告を受けまして、第一線部隊自衛隊員が地方に多く勤務する状況を踏まえつつ、これら自衛隊員処遇を検討するとともに、関係機関との意見交換というところも進めてきたところでございます。
  227. 大野元裕

    ○大野元裕君 過酷な環境で勤務をされている、特に昨今のように、これはもう政府全体として、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わっているという中で、本当に粉骨砕身頑張っておられる隊員に対するお言葉とは思えません。  確かに、異動手当等はおっしゃるとおりです。しかしながら、地域にずっといるような、特に中堅幹部以下の方々に対してのやはり配慮というものが要ると思うし、先ほど地域とおっしゃいました。私、配付させていただいたモデルケース、平成二十六年度で三十五歳のケースで、上は春日、つまり福岡なんです。これは大都市ですけれども、東京から見れば地方でございます。この方々も異動のときには当然異動するときの手当が付きます。そして、その下のケース、これは大臣よく御存じだと思います、御自身の選挙区、三沢基地でございます。この三沢基地と春日の場合には、確かに物価等を考慮して、今差額として現行年収で三十六万百円があります。これが平成二十七年度には四十二万六千六百円の差額になり、平成三十年度には六十四万三千三百円になります。春日基地の方も異動されるときはその手当が付くんです。単身赴任手当も付くんです。この格差は埋まらないんです。  大臣、三沢基地にまさに在勤されているような隊員、福岡県の春日基地に在勤されている隊員、どちらも頑張っておられます。その方々の格差が広がるということ、物価のこと分かります、しかしこれが広がるということに対して大臣は逆に、大臣として無抵抗で法案を出してこられたとしか見えないんですよ。こういうことで全く差し支えないと、大臣のまさに選挙区ですからね、三沢の方々の給料、これでいいと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  228. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 確かに、委員の御指摘、このような形になろうかと思っておりますけれども、ただ、そこの地域にずっといるという方々はそう多いわけでございません。それなりに数年ごとでの異動等もあるわけでありまして、ですからこそ、全体の枠の流れの中というその枠を見ていった段階において、より良い形のものにするようにと。  そして、そのために今回同時に、先ほどお話しさせていただいたように、広域的な異動に伴うための広域異動手当やあるいは単身赴任手当の改善を行ったりとか様々なことを考えながら、より良い形のものにしていこうという形の流れの中においてこのような形を取らせていただいたということも御理解していただければ有り難いなと思っておりますし、確かにこの格差が広がるという部分あろうかと思っておりますけれども、ただ、私の地元のこの地域におきまして平均年齢三十五歳でこれだけもらえるという方はそう多くはないというふうにも思っておるところでございます。  とにかく、私自身は、できるだけより良い形になるためにということでこれからも努力をしていきたいと思いますし、また、この格差もこれだけ広がらないような形というものを努力させていただければ有り難いなというふうに思っているところでございます。
  229. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、細かいコメントは私挟みません。インターネットの向こうで見ている三沢の皆さん、自衛官の皆さん、今の話が大臣の御答弁です。皆さんはなかなかもらえないだけの給料をもらっていて、格差が広がっても構わない、これが大臣の御答弁でございまして……(発言する者あり)そうでしょう。そんなのおかしいよ。  大臣、あなたは、民主党政権時代の平成二十二年十一月、国家公務員の給与改定に関する国会の質問で何とおっしゃったか覚えていらっしゃいますか。  私のところの選挙区においてもそうなんですけれども、陸海空自衛隊があります。そして、この自衛隊隊員の方々が、それなりに町の中に出ていっていただいていろいろお金を使ってくれるということが、ある意味地方の経済の活性化にもつながっています、景気の下支えにもなっていますとおっしゃっています。  それだけではないんです。三沢基地の隊員の方々の給与が不利になっても構わないということだけじゃない、これ、一般公務員と比較しても、大臣はこうおっしゃっています。  公務員の方々の中でも、「宣誓までして国の防衛を預かる自衛官あるいは防衛省職員の任務特殊性ということを考えますと、一般職の国家公務員と同じような形で改定するのは果たして本当に妥当性があるのかなと、どうしても疑問に思ってしまいます。」。  これはあなたのお言葉ですよ。大臣、あなたしか今自衛官を守れないんですよ。そのような中でそのような御答弁をされるのは、私には極めて情けない。  確かに、それであれば、御自身の領収書等の証明書を出さなくても、その引換えに自衛官が給与法が改正されなくてもいい、こういうお立場にしか私は取れなくなってしまうのではないかと思っています。  しかも、御答弁の中で広域異動の話をされました。多くの方々が三年ごとに変わる、二年、三年で変わる。よく行って見てきてください、聞いてきてください。特に下の方々、どこの出身ですか聞いてください。北海道の方は北海道にずっとおられる方も多い、特に中堅以下の方々。それ、大臣、本当にお聞きになった上で御答弁されていますか。全く二十四万人余の自衛隊員を守るお立場であるかどうかというのは、非常に私は疑問です。  是非、そこのところは、大臣、お考えを改めていただきたいと思います。
  230. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私は今この地域手当のことについてのお話をさせていただいたわけでありますけれども、地域手当が支給されない地方勤務の隊員の影響も考慮しまして、俸給の引下げ等に対しましての激変緩和措置というものもとらせていただいております。これは、三年間の現給保障措置を講じるというような形でとらせていただいているわけであります。  ですからこそ、現場で頑張っている隊員処遇というものが低下しないように配慮させていただいていると私は考えておりますので、御理解のほどよろしくお願いしたいと思っております。
  231. 大野元裕

    ○大野元裕君 理解できません。あなたの地元の三沢基地で日々精進されている隊員自衛隊員の待遇、それがあなたのお言葉でどのようにお感じかというのは是非皆さんに直接お聞きをなさるといいと私は思います。正直、もう結構です。  質問を若干変えさせていただいて、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。これも午前中に質疑の中で、審議の中で出てきた問題ですが、APECのサイドラインで行われた日中の首脳会談についてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、大臣、率直な御感想をお伺いしたいんですが、首脳会議では、これ、ホスト国は中国でございます。このホスト国の中国側の国家主席がゲストたる我が国の総理を迎えられた。そのような中で、報道を見る限りでは、安倍総理が歩み寄り、お声掛けになり、握手を求めました。これに対して習主席は、そっぽを向いてほぼ無言であったように私には見えました。また、報道によると、他国の首脳会談の場合はそうではなかったんだけれども、日本の場合には我が国の国旗すら据えられていなかったそうであります。  いかに中国側が我が国を下に見ているのか、そこは分かりません。安倍総理に対して不快感を抱いているかもしれません。しかし、外交儀礼上、このような我が国の行政の長、総理に対する態度は礼を失していると私は強く感じているんですけれども、大臣の御感想を賜りたいと思います。
  232. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 私自身は首脳会談の場にはおりませんでしたが、映像で見る限り、その映像に対しまして様々な意見がある、見方があるということは承知しております。  安倍総理自身は、このインタビューの中で、それぞれの国にはそれぞれの国の事情があるのだろうなということは、私も認識しています、このように述べています。  いずれにしましても、この世界第二と第三の経済大国のトップ同士がカメラの前で、そして国際社会の前で握手する姿を見せるということは大きなシグナルであったと感じています。そして、会議におきまして、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を改善に向けて前進させていく、このことで一致したこと、大変大きな意義があったと感じております。
  233. 大野元裕

    ○大野元裕君 おっしゃるとおり、カメラの前で世界第二の経済大国と第三の経済大国の首脳が会談をする、握手をする、大変重要なことです。だからこそ、外交儀礼上に従って粛々と行われることが大事だし、大臣はこのことに対する直接のコメントを私避けられたようにしか見えないんですけれども、そこは黙認したというふうに取られても仕方がないと私は思いますよ。  そこはやはり、しっかりとした発信をしていただくことが私は重要だと思いますし、もちろん厚遇せいという話じゃないんです。外交儀礼上、失礼なところについては指摘をしていただくことが大事だと思いますが、他方で、これを外交ルートで抗議せいとか、そこまで大人げない態度を取れと、そこまでは言っていません。しかし、大臣はやはりそこは外交を預かる責任者でございますので、是非お考えをいただきたいと思っています。  他方、我が国国益に直接関わる問題については抗議しなくていいという話でもないような気がします。先ほどの午前中の議論でもありましたけれども、例えば先ほど話題となった四項目が書かれている「日中関係の改善に向けた話合い」についてと題される文書です。これについては、私どもが承っていたのは、我が国としては、日中間の協議は無条件で行われるべきである、このように話されていたと理解をしています。  しかしながら、これ、条件なのかどうか。日中関係の改善に向けた云々という文書、事前に発表されました。私も注目して見ておりましたら、安倍総理がBSの民放番組におきまして、条件整備を進めていく中で四項目を合意できた、無条件だったはずなんですが、条件整備を進めていく中で四項目が合意できたというふうに、明確に条件という言葉を使っておられます。  無条件を主張してきた我が国は、なぜ首脳会談に向けた環境整備としてこのような異例の文書の発出を条件一つとして受け入れたのでしょうか、教えてください。
  234. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の発表につきましては、日中関係大変厳しい状況にある、こういった認識の下で、日中関係改善に向けて日中両国政府間で静かな話合いを続けてまいりました。そして、日中双方の意見が一致するところをまとめた、これが今回の発表でありました。この内容は、首脳会談あるいは外相会談を実現するためにまとめたものではありませんが、結果として首脳会談の実現に向けた環境整備の一環として大きな意味があったと考えています。  総理のこの発言、御指摘発言につきましては、そういった趣旨で述べられたと理解しております。そして、このBSの番組の発言の記録を見ますと、総理自身もこの条件整備という言葉を環境整備という形で二度言い換えておられます。そういったことからしましても、今申し上げましたような趣旨が総理の発言の趣旨であったと理解をしております。
  235. 大野元裕

    ○大野元裕君 なるほど、分かりました。環境整備する中で二国間で合意できるところについて書いた、これ、条件と一緒だと、そういうことでよろしいんですね。つまり、条件整備、無条件、環境整備、この条件というのは一緒だろうということでよろしいんですね。
  236. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の発表は、今現在、日中間で一致していることについてまとめたものであります。前提条件として何かを譲ったとか何かを容認したとか、そういったことは全くございません。今の現状をまとめただけであります。我が国立場についても全く変化がない、当然のことであると考えています。
  237. 大野元裕

    ○大野元裕君 ところが、中国はそう言っていない。この話は後ほどお伺いしますけれども。  ちなみにこれ、何語で本合意は合意されたんでしょうか。
  238. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日中双方で意見の一致した内容を、それぞれが日本語と中国語で発表したものであります。
  239. 大野元裕

    ○大野元裕君 通常の外交文書であれば、これ、すり合わせ、中国語と日本語の確認しますけれども、それは的確になされたということでよろしいんでしょうか。
  240. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、この発表した内容につきましては、法的拘束力のある国際約束ではありません。厳密な意味日本語と中国語全て一致させるということまではしておらず、その内容において、意味において同じであるという範囲内で異なる文言が使われている、これがこの現状であります。  日中間でしかるべくすり合わせを行ったというのは当然のことであります。
  241. 大野元裕

    ○大野元裕君 すり合わせは行った、法的な拘束措置はない、大体一緒だから、きちんとすり合わせはしたけれども同じ言葉を使っているわけではない。これ、要するに、書きっ放し、言いっ放し。だったら、こんなもの合意する必要ないじゃないですか。  ちょっとこれを皆さんのお手元に、日本語と中国語、中国語、これ報道なのでもしかすると間違っているかもしれませんが、中国語の分かる人にも私、話を聞きながら読んでみました。日本語はそのままですので御説明はいたしません。  中国語の方を見ると、「双方は釣魚島」、これは尖閣諸島の中国側の名前ですけれども、「等東シナ海をめぐって近年来出現している緊張した局面に関して異なる主張」、見解と主張、これは午前中ありましたのでやりませんが、「が存在することを認識するに到り、」と書いてあります。これがもし正しいとした場合ですけれども、中国側の発表しているものと。至ったと書いてあるんです、「到り、」と書いてあるんです。  つまり、東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて、それぞれの、秘密裏の二国間の会談の中で至った、我が国認識を変えることになったというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  242. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の箇所につきましては、まず、東シナ海海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有しているという認識に至った、こういった内容が示されております。あくまでも緊張状態が生じていることについて異なる見解がある、これを示したものであります。
  243. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、質問違います。あることを聞いているんじゃないんです。至ったと書いてあるから、それは、認識に至ったということは変わったということじゃないんですか、それを聞いているんです。
  244. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 緊張状態が生じているという見解に至った、こういったことであります。
  245. 大野元裕

    ○大野元裕君 答えていません。  至ったというのは何かの状態や認識が変わった、つまり、これらの協議の中で、認識を有するではないんです、これ。これ日本側は、有していると認識し、これは現状のまさにそのままを言っているのかもしれません。至ったと書いてあるんです、だから聞いているんです。
  246. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 緊張状態が生じることについて異なる見解がある、こういったことについて日中間において確認した、そういったことで一致をした、このことを述べております。
  247. 大野元裕

    ○大野元裕君 これは中国語私分からないので余り突っ込みませんけれども、認識があるというのと認識に至るというのは全く同じ意味であると、したがって変わったわけではないと、こういうことですか。
  248. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そういった異なる見解があるということを改めて確認し、ここに表したということであります。
  249. 大野元裕

    ○大野元裕君 ならば、中国語でも同じだということは我が国は確認をしているということで、中国側に疑問の余地はないということで、外務大臣として明確な御答弁をいただきたいと思います。
  250. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども答弁しましたように、この発表につきましては、今日まで、日中双方において、日中関係を改善するために様々な努力を行ってきました。そして、静かな議論を行ってきたわけですが、その上で今日まで日中間において一致している事柄をまとめたものであります。これを日中間で協議をし発表したわけでありますので、この文言につきましても日中間でしっかりとすり合わせを行って発表に至った次第であります。
  251. 大野元裕

    ○大野元裕君 要するに、確認してあって、お互いにそのすり合わせをきちんとしたと。これは、至ったというのは現状を変更するものではない、至ったというのはまさに日本語で言うところの至ったではないということなんですよね。  そうすると、済みません、ちょっと次の質問と次の次の質問は午前中の質問とかぶるので飛ばさせていただきますけれども、異なる見解を有するとすれば、私はそこに解決するべき問題が存在することを認めたことになるのではないかという懸念を有していますが、ここは午前中議論したのでやりません。  そうすると、領土問題そのものでないとしても、その一方で、これまでも実は日本と中国の間には尖閣諸島あるいは東シナ海の海域をめぐる地域で緊張状態は見られてきました。そのときには、我が方は幾度にもわたって中国側の一方的な見解を否定してまいりました。しかし、ここで双方で異なる見解を有することを認めたということはやはり立場の変更にはならないんでしょうか、教えてください。
  252. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これも先ほども答弁させていただきましたが、この部分については、緊張状態が生じていることについて異なる見解がある、日中で考え方が違うということについて示したわけであります。そもそもの立場、見解についてこの部分において直接触れたものではありません。我が国立場は今までどおり全く変わらないということであります。
  253. 大野元裕

    ○大野元裕君 伺っていることが違います。  領土問題について異なる見解があるというのは、安倍総理のお父様がかつて国会で述べられています。しかしながら、緊張状態に関する見解を私は聞いています。ですから、大臣とおっしゃっていることは私は一緒だと思います。  しかし、そのときに、例えばですけれども、例を申し上げると、平成二十四年、中国による大陸棚の延長申請に関して我が方とのいろんな問題があったときには、我が方は国連に対する口上書で中国の主張は全く受け入れられないと言下に否定します。あるいは、同年の十二月に尖閣に邦人が上陸した、魚釣島にですね、上陸したときには、これ中国が抗議したときにも、中国の独自の主張及びその対応我が国として一切受け入れられない、こう言っています。要するに、領土問題ではなくて、それをめぐっての緊張、これについても我が方は言下に否定してきているんです。  これ、民主党政権下だけではありません。自民党政権になっても、平成二十五年の一月、中国の公船が領海に侵入して長時間いたときにも、中国独自の主張は受け入れられない、在京大使に抗議しているんです。  異なる見解があることに対して我々は受け入れられないと明確に否定し、それを拒否している。それが我が国のこれまでの態度だったんじゃないんですか。だからこそ、これは立場が変わったんじゃないんですかと聞いているんです。
  254. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国立場、考え方は全く変わっておりません。ここで、この発表の中で示しているのは、現に緊張状態が存在する、このことについて考え方が違う、これをここで示しております。従来の立場、考え方とはここで示している内容は異なることであります。
  255. 大野元裕

    ○大野元裕君 しかし、中国側はそういうふうに言っていないんです。先ほどの午前中の話にもありました。例えば、十一月八日付けの人民日報では、尖閣問題を日中間で文書化することを初めて合意したとまで言っているんです。これは、彼らの確かに言いっ放しの、法的拘束力ないかもしれませんけれども、これを基にして、そもそもこんな文書による合意などはやるべきではなかったと思いますけれども、こういった言質を与えてしまったということになるんではないんですか。  この報道に対してはどういうふうにお考えになるんですか。
  256. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 海外の報道一つ一つについて申し上げることは控えますが、我が国の考え方は先ほど申し上げたとおりでありますし、この発表につきましても、先ほど申し上げました、日中間で様々なすり合わせを行って発表に至った次第であります。中国側においても我々の考え方は認識していると考えています。
  257. 大野元裕

    ○大野元裕君 認識しているんでしょうか。今、一々のその報道にはコメントしないという、これは中国の一つのマスコミに、人民日報、共産党機関紙といえども、すぎないので一々相手にすることもないと、そういう趣旨でございましょうか。教えてください。
  258. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 従来から様々な国において様々な報道がなされますが、報道一つ一つに私の立場から申し上げるのは控えてきました。御指摘の点についても控えたいと思います。  何よりも我が国の考え方をしっかりと明らかにし、そして説明することが大切だと思っています。
  259. 大野元裕

    ○大野元裕君 様々な国々の様々な報道機関による報道にはというお話がございました。  ならばお伺いしますけれども、外務省のホームページを開くと、尖閣諸島が我が国固有の領土である、これを示すための様々な証拠文書が示されている、御存じですよね。その中に人民日報の一九五三年一月八日付けの記事が掲載されていて、その記事を証拠として琉球諸島を構成する島の中に尖閣諸島が含まれている、こう指摘をしています。そして、その上で、中国側も歴史的に尖閣諸島を我が国のものと認めてきたうちの証拠として、実はこの大臣がおっしゃった外国のマスコミの一機関紙ですけれども、報道を取り上げて言っているんです。  もしも人民日報が単なる我が国における自由なマスコミと同じような一マスコミであるのであればこういった問題は生じないと思いますけれども、これは、外務省は、人民日報をある意味での中国のスポークスマン、あるいは政府の意見を反映している、そういうふうに考えているからここに掲示しているんではないんですか。  首尾一貫していないように思いますけれども、いかがでございますか。
  260. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外務省として様々な事柄を国民に対しあるいは国際社会に対し説明するに当たっては、様々な情況証拠、様々な材料を用意すること、これは当然やらなければならないことだと思っています。それと、今私がその報道そのものについて何かコメントするというのは、少し異なることなのではないかと思っております。
  261. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうでしょうか。人民日報自体の位置付けを考えたときに、情況証拠として有力であるから載っけておられるのではないかと私は思います。単に、例えば誰か個人が、中国人の方がインターネットで書き込みをして、尖閣諸島は日本のものであると書いてもそんなに説得力がないんだと思います。しかし、人民日報をわざわざ取り上げられているというのは、まさにそういう共産党、中国政府との関係が深いからだと私は理解しています。  だとすれば、その人民日報が、初めて文書化して、日本側が、先ほどちょっと申し上げた、まあ朝貢外交とまで言うのはちょっと失礼かもしれませんが、非常にひどい態度で日本に対して向かってきて、そしてその結果、途中の文書の中でも、日本側の歴史修正主義についてただしたとか、そんな中身があって、そしてこの挙げ句に初めて日本が文書としてこれを認めたと、こういう書き方をしているのは、私は大変我が国立場とすればゆゆしきものだと思っています。  正直、人民日報に対して、中国政府に直接抗議するわけにいかないかもしれませんけれども、抗議をするなり、中国に対していま一度この中身について照会をするなりということをやる必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  262. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 人民日報についての我が国外務省のホームページでの取扱いについて様々な御指摘をいただきましたが、様々な事柄を材料として情況証拠として提供すること、これは大切なことだと思いますが、いずれにしましても、私の立場からその記事そのものについて何かコメントするのは控えたいと存じます。  そして、今回の発表につきましては、我が国の考え方は先ほど申し上げましたようにはっきりとしています。そして、その発表に至るまでの過程で日中間でしっかりとすり合わせを行ってきました。是非、こうしたすり合わせの結果、中国側にもこれは当然理解してもらっていると思いますが、引き続きまして、国際社会等に対しましてはしっかりと説明を、説明努力を続けていきたいと考えております。
  263. 大野元裕

    ○大野元裕君 そもそも、中国との関係が悪化した多くの理由はあると思いますけれども、安倍政権の私は外交上の失政というものが、中国とわざわざこのような形で関係修復をしなければならないようなことに陥らせた大きな背景、理由があろうかと思っています。その失政の後でも、なおかつ、何か取ることなく、正直、会ったことだけですから、今のところ、第一歩だそうですから、そこで私はこのような形になるというのは、非常に相手に言質を与えてしまう、あるいは勝手に向こうでそういったものが広がってしまうようなことは放置するべきではないと思っています。  時間がないので、最後の質問にいたします。  防衛大臣、私ども民主党は領域警備法というものを取りまとめさせていただき、実は昨日、平場で全会一致でこれを了承いただきました。  領域警備法については私いろんな形で必要だと思っていますが、昨日の御答弁を、衆議院でしたか、で伺っておりましたらば、必ずしも現在の法制を変えることを考えてはいないと左藤大臣が答弁をされておられましたけれども、自民党の衆議院選挙の公約を見ますと、領海警備法の検討を進めますと書いてあるんです。ところが、検討していない。今必要ではないとお考えなようでございます。検討していないとすれば、私はこれは公約違反だと思いますけれども。  本来、この臨時国会は安保法制を私、議論するものだと思っていました。しかしながら、七月一日の閣議決定を行って、ろくに国会で審議もせずに、領海警備法という公約に書かれているものもせずに、統一地方選挙への影響なんだかよく分かりません、しかしながら、そういった形でここに出してこないというのは、私は大変深刻な国民に対する裏切りだと思わざるを得ないんですけれども。  領域警備法、おやりになるんですか、やらないんですか。そこを最後、お伺いしたいと思います。
  264. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  政府といたしましては、このグレーゾーンですけれども、武力攻撃に至らない侵害としての想定される様々な不法行為に対処するためには、治安出動あるいは海上警備行動等の発令手続を迅速化することも含め、各般の分野におきまして必要なあるいは具体的措置を講ずるなどの一層の取組の強化というものが必要であろうというふうに考えております。  まずは、領土、領海の治安の維持につきましては、警察や海上保安庁が第一義的な対応の責任を有しているわけであります。自衛隊は、これら警察機関では対応が不可能又は著しく困難である場合に、治安出動や海上警備行動の発令を受けまして、警察機関と連携しつつ対処することになるわけであります。  このような基本的な役割分担というものを前提とすれば、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合の対応につきましては、現時点において法整備を行う必要があるとの認識には今の段階では至っておりません。治安出動あるいは海上警備行動の発令手続を経ている間に不法行為による被害が拡大することのないよう、状況に応じた早期の下令やあるいは手続の迅速化のための方策といった運用の改善ということを具体的に検討することとしているわけであります。  他方、今般閣議決定されました政府方針を踏まえ検討を行った結果、政府といたしましても法整備が必要であるという認識に至れば、与党において改めて議論していただくことになろうかと、そのように考えているところでございます。
  265. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。  本日の質疑を通じて、自衛隊を守らない防衛大臣の姿勢、中国に朝貢のごとき外交を広げてしまった安倍政権の外向的稚拙さ、そして公約を踏みにじって平然とされている安倍政権の姿というものがよく分かりましたので、私はこれで質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  266. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今般、第二次安倍内閣で初めて日中首脳会談が行われたことは評価しますし、また、その中で戦略的互恵関係の原点を確認できたことは大変意義が大きい、このように考えております。  午前中から、この十一月七日の合意文書についてかなり議論が行われました。これが法的拘束力のない文書であることはもう当然でありますけれども、ただ、普通は首脳会談をやってこの種の文書というか宣言なりを発表するというのが普通だと思いますけれども、あえてその前にこの合意文書で四項目を確認し、その後、首脳会談に至ったということでありますので、この首脳会談に先駆けてこういう合意文書を交わした意義といいますか、その狙いについて、外務大臣から御答弁を願います。
  267. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の四項目の発表ですが、まず日中両国におきましては、日中関係が大変厳しい状況にあるという認識の下に、関係改善に向けて静かな努力を積み重ねてきました。そして、今回、この日中両国で関係改善に向けて今現在一致していることについてまとめた、これが今回の方針であります。今回のこの四項目の発表は決して外相会談や首脳会談のために発表したものではありませんが、結果としてこの発表が環境整備につながった、意味があったということは感じるところであります。  こうした四項目の発表と、そして首脳会談、外相会談との関係については、以上申し上げたとおりだと考えております。
  268. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の四項目の確認と首脳会談については、様々、評価をする意見、また批判をする意見もありまして、どちらが正当であるかということは今後の展開に懸かっているわけであります。  午前中のお話から聞いておりまして、この四項目の確認については何ら日本として従前の主張を譲ったものではないということは私は理解をいたしました。ただし、批判的な見地からの意見の中では、いろいろあります。この文書には、日中双方が歴史を直視し未来に向かうという項目がある一方で、日中双方が尖閣諸島等東シナ海の海域に近年緊張関係が生じていることについて異なる見解を有していると認識という表現、記述がなされております。  そこで、このことについて批判的な見解からは、尖閣問題については日本が譲って、逆に靖国参拝については中国が譲ったんだと、こういう読みもあるわけでございますけれども、改めて今私が読み上げたこの二つの項目の意味することについて、大臣から見解を求めます。
  269. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 四項目のうちのこの二項目めですが、この部分につきましては、歴史を始め両国の間には様々な政治的困難が存在する、その中で若干の認識の一致を見た、これをそのまま述べた項目であります。具体的な事柄を述べているのではなくして、基本的な考え方を述べた部分であります。  そして三項目めですが、これは先ほど来何度か説明をさせていただきましたが、東シナ海において近年緊張状態が生じていること、このことについて日中の間で異なる考え方がある、異なる見解を有している、これを示しているところであります。  いずれにしましても、この発表は今現在日中間で一致している事柄をまとめた文書であります。ですから、従来の我が国立場、考え方が変わったとか、譲ったとか、容認した、そういった変化は全く含まれておりません。
  270. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 安倍総理は、これまでも歴代内閣の歴史認識を引き継ぐということは表明されていたわけでありますから、何もこの政府としての方針が変わったわけではありませんし、しかし、そのことがきちんと直接、習近平主席に伝わったということは私は非常に大きいと、このように思っております。  そこで次に、この首脳会談の中で安倍総理は、中国の平和的発展は国際社会日本にとって好機である、このように発言をされまして、これに応じて習主席は、今般の首脳会談を関係改善に向けた第一歩であるとし、今後様々なレベルで徐々に関係改善を進めていきたいと、このように述べておられまして、この点も私は大きいと、意義があると思っております。  そこで、今回の首脳会談を実質的な改善に実際につなげていく上で、日中外相による頻繁な会談はもとより、二〇一〇年八月以降途絶しております日中ハイレベル経済対話を始めとする日中間の様々な対話の場を活用していくべきであると考えておりますけれども、大臣の見解をお尋ねいたします。
  271. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先般の日中外相会談におきましては、私の方からこの日中関係改善を確実にするため、御指摘の日中ハイレベル経済対話、さらに日中外務次官級戦略対話、そして日中安保対話、さらには日中省エネルギー・環境総合フォーラム等の早期再開が重要であることを提案させていただきました。王毅外交部長からは今の提案に対しまして、一連の提案は積極的なものであると理解する旨の反応がありました。  今回の首脳会談、そして外相会談の成果を踏まえまして、御指摘の日中ハイレベル経済対話を含めて、できるだけ早期に日中間の様々なレベルでの対話、協力、再開し、積み重ねていきたいと考えております。  特にその中で、防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期開始、これにつきましては、首脳間でのやり取りも踏まえまして一日も早い運用開始が必要だと認識をしております。是非、事務方にしっかりと指示を出していかなければならないと考えています。
  272. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 日中の不測の事態を避ける意味でも海上連絡メカニズムの構築というのはもう最優先事項であると思いますので、是非、外務大臣もしっかりと後押しをしていただきたいと思っております。  次に、APEC閣僚会議、首脳会議とアジア太平洋の経済連携に関してお尋ねをいたします。  今般の閣僚会議では、APEC域内の自由貿易協定、FTAAPについて共同の戦略的研究が合意され、二〇一六年末までに報告書をまとめることになりました。TPP交渉やRCEP交渉がそれぞれ進んでいる中でFTAAPに新たな動きが出たことについて、どのような評価をしているのでしょうか。  その一方で、閣僚会議の議長声明にはFTAAPの早期実現を目指すとは記されましたけれども、具体的な目標年は明記が先送りされました。したがって、これを考えると、まずTPPを妥結して、そこでルールをきちんと日米を含めて作って、それからFTAAPに行くのかと、このようにも思うわけでありますけれども、この点についての政府の認識と今後の取組についてお尋ねをいたします。
  273. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) お答え申し上げます。  今回のAPECにおけるFTAAPに関する発言の評価に関してですが、元々この取組に関しては、我々日本側が横浜首脳会議以降進められているFTAAPの実現に向けたAPECの貢献として、また、これが今回のAPECにおいて更なる一歩を確実に踏み出したものであるというふうに非常に高く評価をしております。  また、我が国としましては、委員がおっしゃるとおり、引き続き我が国国益に沿うような広域経済連携、例えばTPPでありますとかRCEP等、これをしっかりと積極的に推進し、それを積み上げた上に各戦略的研究への積極的な参画を通じてFTAAPへの実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  274. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、ポスト二〇一五年国際開発目標とESDにつきまして、今日は丹羽文科副大臣にも来ていただいておりまして恐縮でございます。ミレニアム開発目標、MDGsに続く新たな国際開発目標は、二〇一二年六月の国連環境開発会議の決定により、持続可能な開発目標、SDGsを統合する形で二〇一五年九月の首脳級サミットで策定されることになっております。  そこで、SDGsを取り込んだポスト二〇一五年開発目標が策定される場合、各国の国内で理解と支持を得ていく上で、新たな目標に是非ESD、持続可能な開発のための教育を明記をすることが不可欠である、昨日愛知県名古屋市でユネスコ会議が終わったばかりでございまして、是非日本が中心となって進めてきたこのESDをポスト二〇一五年開発目標に盛り込んでいただきたい、このように強く考えますが、外務省の見解をお尋ねします。
  275. 尾池厚之

    政府参考人尾池厚之君) お答えを申し上げます。  ポスト二〇一五年開発アジェンダの策定は、今後の国際協力の在り方に影響を与える大きな議論でございます。我が国といたしましては、その策定に向けた国際的な議論に積極的に関与していく所存でございます。  ポスト二〇一五年開発アジェンダの目指す貧困撲滅や持続可能な開発の実現のためには、それらに対する理解促進が不可欠な要素でございます。その手段となるESDの視点は、ポスト二〇一五年開発アジェンダに貢献するものでございます。七月にまとめられましたSDGs、持続可能な開発目標報告書におきまして、ESDに関するターゲットが含まれてございます。  引き続き、ESDの重要性我が国としても主張してまいりたいと考えております。
  276. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 バックアップをしますので、どうぞよろしくお願いします。  昨日まで開かれたユネスコ世界会議の議論、私は新聞報道でしかまだ接しておりませんけれども、その中では、途上国側から、そういうESD、持続可能な開発のための教育も進めたいんだけれども、資金面もなかなか大変だ、こういう率直な話も、表明もあったと承知をしております。  そこで、今度、現行のODA大綱を改めまして開発協力大綱になるわけでございますけれども、その中に、新たなこの開発協力大綱の中に、途上国におけるESDの推進ということを是非盛り込んでもらいたい、盛り込むべきである、このように考えておりますけれども、外務省の見解を尋ねます。
  277. 尾池厚之

    政府参考人尾池厚之君) 開発協力大綱案におきましては、開発課題の解決に向けた取組に参加する力を養うための開発教育の推進に加えまして、開発における持続可能かつ強靱な社会構築の重要性に言及してございます。  国際社会におけるESDの推進を先導してきている我が国といたしましては、これらの点も踏まえて、開発協力大綱の下におきましても開発教育におけるESDの実施に引き続き取り組んでいく所存でございます。
  278. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ESDに関するユネスコ世界会議が昨日終わりました。丹羽副大臣には大変御苦労さまでございました。この会議では、これまでの国連ESDの十年を振り返るとともに、来年以降のESDの更なる推進方策について議論がされたわけであります。  そこで、この本会議でどのような成果があったのか、外務省、文科省それぞれにお尋ねをいたします。
  279. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) ありがとうございます。  荒木委員にもESDの会議の方に御参加いただきまして、本当にありがとうございました。当日会場でお見かけしまして、非常にうれしく思います。  この世界会議において、世界百五十か国から七十六名の閣僚級含め、千名以上の出席の方々がお越しいただきました。この国際社会のハイレベルかつ主要な関係者に対して持続可能な開発のための教育、つまりESDの重要性及び我が国の取組をしっかりと発信することができたかというふうに考えております。  その中で、その成果として、あいち・なごや宣言というのを昨日私が採択させていただきました。この国連ESDの十年の後継プログラムでもございまして、二〇一五年、来年以降のESDの推進の枠組みであるグローバル・アクション・プログラムの開始が改めて正式に発表されたというところでございます。  今後も、文部科学省といたしまして、このあいち・なごや宣言をしっかりと踏まえ、ESDの取組を喚起し、世界へのESD教育がしっかりと普及するよう頑張っていきたいと思います。
  280. 尾池厚之

    政府参考人尾池厚之君) ただいま丹羽副大臣から御答弁があったとおり、百五十か国と地域から七十六名の閣僚級が参加をし、あいち・なごや宣言が発出されたことは極めて有意義であったと考えております。  また、外務省、文科省共催のサイドイベントにおきましては、国際的な発信力のあるアフガニスタンの女性教育指導者を招聘し、このサイドイベントや学生との対話につきましてはメディアにおいても多数取り上げられたところでございます。
  281. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後の質問であります。  ESDは、環境、貧困、人権等、多方面にわたる課題でありますし、かつ世界的な取組であります。政府としても、各省単独で取り組むのではなく、積極的に連携をしていく必要があります。今日は環境省は呼んでおりませんけれども、今後、政府、各省庁が連携をして、国内外のESDをどのように推進をしていく決意なのか、このことを外務、文科、両省にお尋ねをいたします。
  282. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 私も、この会議の会議場に何度も出席させていただきまして、またその会議の実際に開かれている現場にも参加させていただきました。  そういったとき、やはり文部科学省だけではなくて、外務省、また環境省、さらに内閣官房まで含めて、本当に様々な省庁が連携して会議が、また特に愛知県や名古屋市とも、その前は岡山市でも開催されましたが、様々な自治体とも連携しながらこういったすばらしい会議を開かせていただくことはとても有り難いことだと思っております。  これまでも内閣官房長官を議長として、外務省文部科学省、環境省の局長級の方々を構成員とする国連ESDの十年関係省庁連絡会議におきまして、国内実施計画の決定等の重要事項を議論、決定させていただきました。  政府全体でこのESDをより一層強力に推進していくために、新たな国内実施計画を策定の上、関係省庁でまた今後もしっかりと頑張っていきたいと思います。
  283. 尾池厚之

    政府参考人尾池厚之君) ESDが環境、開発、人権等、多分野横断的な課題に取り組むものでございまして、関係省庁が連携する必要があるとの御指摘は全くそのとおりであると考えております。  ただいま丹羽副大臣より御答弁のありましたとおり、今回の世界会議の開催に当たりましては、文科省、環境省、内閣官房等と連携をして実施したところでございます。  外務省といたしましても、今後とも、関係省庁と連携をし、ESDに積極的に取り組むとともに、国外にも十分発信してまいりたいと思います。
  284. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  285. 田中茂

    ○田中茂君 みんなの党の田中茂です。  今回の日中首脳会談は、二〇一一年の野田首相、まあ首脳会談といいましても国家主席ですね、二〇一一年の野田首相との会談以来であり、安倍政権になってから初めてでありました。この三年、冷え込んでいて打開のめどが立たなかった日中関係、固く閉ざされていた貝を開くような一つのきっかけになったことは理解しております。  どんな場合でも、まず相手とフェース・ツー・フェース、顔を突き合わせて話をすることが相互理解やコミュニケーションの第一歩であると私も考えております。がしかし、幾つかの深刻な問題点を残したのではないかと私自身思っておりますので、その点について質問をさせていただきます。  まず第一点ですが、この十一月七日に発表された日中関係の改善に向けた話合い、いわゆる四点合意と十日に行われた日中首脳会談との関連性について質問させていただきます。  本文書の位置付けについては先ほど来お話がありましたように、基本的な認識としては、国際法上の履行義務の生じる国際約束、すなわち狭義の外交文書ではないと思いますが、本合意文書には日中双方で発表されている和文、先ほどおっしゃった中国文と、さらに英文の表現にそれぞれ微妙な違いがあります。その解釈ないし解釈に基づく行動の是非を巡って後々新たな問題が生じると私自身強く懸念しております。  そこで第一に、本合意文書の外交上、日中関係上の位置付けについて御説明をいただけませんでしょうか。また、こうした合意事項は、普通は外相会談や首脳会談後のファクトシート、合意文書として公表されるのが定例でありますが、なぜあえて日中首脳会談以前に発表されたのかについて御説明もお願いいたします。
  286. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、これまでも繰り返し述べてまいりましたが、日中間においては隣国であるがゆえに様々な問題が存在いたします。そして、こうした問題があるからこそ直接対話が重要であると申し上げてきました。そして、世界第二と第三の経済大国がしっかり対話をするということ、関係が安定するということ、これは両国の国民にとって利益であるのみならず、地域や国際社会にとって大きな利益であるという考えにも立ってきました。  こうした認識に立って、両国の外交当局間で静かな話合いを続けてきた結果、この日中双方の意見の一致できるものについてまとめて公表するということに至った次第であります。  タイミングについては、この四項目としてまとめることができたので、その御指摘のタイミング、十一月七日のタイミングで発表することといたしました。これは決して首脳会談、外相会談のために発表したというものではありませんが、環境整備という意味においては大きな意義があったのではないか、このように考えているところであります。
  287. 田中茂

    ○田中茂君 この会談前に公表されたというのはある意味意義があったのではとおっしゃっていますが、これ、朝日新聞がちょっとこの件について書いておりますので、この件は後で私質問させていただきます。  次の質問なんですが、七日の岸田外務大臣の会見及び同日の植野中国課長の記者ブリーフでは、本合意は首脳会談を実施するための条件ではなく、APECのために合意を急いだわけではないと説明されていることは承知しております。がしかし、中国は以前から、日本側が、主要閣僚が靖国参拝しないこと、そしてもう一点が尖閣諸島における領土問題の存在を認めること、この二点を首脳会談の条件として執拗に主張してまいりました。そういう経緯があります。  にもかかわらず、今回中国側が首脳会談に応じたということは、中国側が条件につき譲歩したという解釈でよろしいのでしょうか。それとも、合意文書内にあえて解釈の幅を残すことで中国側の条件日本側がのんだということなのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
  288. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の四項目の発表につきましては、日中両国の間で関係改善に向けて現時点で一致していることについてまとめ、そしてそれを発表したというものであります。  よって、我が国立場、考え方、従来から全く変わっておりませんし、その部分についてこの公表の中で何か触れているというものではありません。これは、今回、この発表において、この会談の前提として何かを譲ったとか立場を変えた、こういったことは全くないということは確認しておきたいと存じます。
  289. 田中茂

    ○田中茂君 この点でまた執拗に質問しても同じような回答が来ると思いますので、この辺でやめておきますが、四点合意の第一項にある「四つの基本文書」に関する確認をさせていただきたいと思います。これは単なる確認ですので。  基本的な確認として、この第一項でうたわれている「四つの基本文書」というのは、一九七二年の日中共同声明、一九七八年の日中平和友好条約、一九九八年の日中共同宣言、さらに二〇〇八年の戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明の四つを指すということでよろしいんでしょうか。
  290. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) 事実ベースでそのとおりでございます。  なお、この四つのうち唯一法的な規律として国際約束の法的拘束力があるのが、二つ目の平和友好条約のみでございます。
  291. 田中茂

    ○田中茂君 ありがとうございます。  次の質問として、四点合意の第二項、「双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。」とあります。この四点合意の第二項には気になる記述が私としては二点ありますので、その点についてお聞かせいただきたいと思います。  一つ目は、「両国関係に影響する政治的困難」という記述であります。言うまでもなく、現在の日中関係には、尖閣諸島の問題、靖国問題やアカサンゴを狙った違法漁民の複数の問題等あります。これらの諸問題のうち、「両国関係に影響する政治的困難」とは具体的に何を指すのか、お聞かせいただきたいと思います。あるいは、意図的に具体的問題を列挙、表記するのを避けたのだとすれば、その意味するところはどこなのか、御説明をお願いいたします。
  292. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) この四点合意の二項目めにございます「政治的困難」という意味、具体的なということをおっしゃいましたが、これは特定のテーマ、問題を指しているのではなく、日中間における全ての政治問題を意味しているものと理解をしております。
  293. 田中茂

    ○田中茂君 この件もある程度は想像は付くと思うんですが、二つ目の若干の意識の一致を見たという表現でありますが、ここで単に認識の一致とするのではなく、あえて「若干の」という一言を加えた意図はどこにあるんでしょうか。言い換えれば、若干の認識の一致があるならば認識の一致がないところはどこなのか、教えてください。
  294. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) この若干の一致を見たというところの御説明をさせていただきますが、日中間には、先ほど委員もおっしゃいましたように、様々な政治的な困難が横たわっております。それを克服すること、お互いの考えも違うところで容易ではないということは認識しているんですが、あくまで、それにお互いに取り組んでいく上で基本的方向性や姿勢、例えばお互いに戦略的な互恵関係の原点を見据えた上で対話を通じながら解決をしていくといった、そういう姿勢については一致しているところもあるという意味でございます。
  295. 田中茂

    ○田中茂君 四点合意の第三項なんですが、双方は、尖閣諸島、東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致を見たとなっております。  今年は第一次世界大戦勃発から百周年を迎えます。それもあってか、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張状態が依然として継続する中で、アジアの地域各国はもとより世界中の国々が、日中両国のにらみ合いが偶発的に衝突する、そのエスカレートすることを強く懸念していたと私思っております。  そうした中で、四点合意の第三項において危機管理メカニズムの構築を明記し、さらにその推進を首脳会談で確認したことは、これに関しては大きな意義はあったと思っております。しかし、その一方で、合意文書の第三項は、その解釈につき議論の余地がある書きぶりがなされているのは、今日午前、午後と皆さんの質問で言われているとおりであります。  植野中国課長は七日の記者ブリーフにおいて、第三項にある異なる見解とは、その前文である尖閣諸島、東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについての異なる見解であって、領有権問題についてではない、尖閣諸島に対する日本立場に変わりはないと説明されております。  十一日には岸田外務大臣も、領土問題は一切存在しないという認識は変わらないと。先ほど来、同じことをずっと繰り返されていると思います。しかし、異なる見解とは、中国が昨年十一月に尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定した問題などを挙げて、そうした課題において緊張状態があるとも述べられております。それに関しては理解できますが、中国側は同じようには理解していないと、私はそう思っております。  現に、在日本中国大使館大使の程大使、ホームページによると、岸田外務大臣発言に対して早速、日本側の関連発言に対して、厳重な関心と不満を表しますと、そのように述べておられます。  確かに、我が国外務省が発表している合意文書は、素直に読み解けばそのような解釈になるのは理解しております。外務省の発表の英文の表現なんですが、これは、「recognized that they had different views」であります。和文とほとんどこれは相違ありません。  しかし、中国外交部が発表している合意文書の英文は、「acknowledged that different positions exist between them regarding the tensions」となっております。  日本側が使っているレコグナイズは単なる認識を表していると思いますが、中国側が用いているアクノリッジは認めるという意味であります。すなわち、中国側の英文表記では、中国側が主張している立場の違いを認めたと読めるようになっております。これは単なるニュアンスの違いではありません。今後の文言解釈に関わる大きな不一致ではないかとも思いますが、いかがでございますか。
  296. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これ先ほど申し上げましたように、今回の発表については、日中それぞれが日本語とそして中国語によって発表しています。英訳についてはそれぞれ仮訳を行ったということでありますので、英文については何らすり合わせはしておりませんが、今回のこの発表、第三項目めの内容につきましては、東シナ海のこの海域において近年緊張状態が生じている、このことについて異なる見解を有している、こういった認識を示したものであります。このことについては、日中間ですり合わせを行って、こうした発表を行った次第であります。  そして、御指摘の中で、中国大使館の反応について御指摘がありましたが、これは、私が記者会見の中で改めて我が国立場についてと発言をいたしました。領土問題が存在しないという、その我が国立場を改めて確認したことについて発言されたのではないかと受け止めております。ですから、この文書そのものに対する反応ではないと認識をしております。
  297. 田中茂

    ○田中茂君 中国大使館の程大使のホームページはその後の文書もありまして、主権に対する我が国の強い不満だと、そういうふうにおっしゃっておりました。  先ほど大臣おっしゃったんですが、英文については余り関心がなかったように思われますが、これは極めて大事なポイントでありまして、この英文を通してアメリカも各国もその文書を見ているわけであります。その点についても後で私、御質問しますので、次に質問させていただきたいと思います。  先ほどのこの件についても質問なんですが、今回の四点合意は狭義の外交文書ではないということで、法的拘束力もなければ、双方に共通する英文、正文も作成されておりません。ゆえに、本合意文書には、日本外務省が作成した和文、英文と、中国外交部が作成した中国語と英文の四つが存在し、双方の英文表記は統一していないわけであります。そのため、日中双方の英文表記の不統一を原因として、文書解釈の余地、曖昧性が残されており、それを基に中国側は今後不当な領有権主張を行ってくることが懸念されますし、当然だと、そう思っております。  このような懸念が容易に想像できるにもかかわらず、なぜ当局間で正文を詰めるという作業をしなかったのか、お聞かせください。
  298. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の発表そのものについては、日中間でしっかりすり合わせを行った上で日本語と中国語で発表をいたしました。内容についての理解は、先ほど御説明申し上げたとおりであります。  ただ、この英文について、それぞれが仮訳を行っているということについて御指摘をいただきました。その点につきましても、国際社会に対しまして引き続きしっかりと誤解のないよう説明はしていきたいと思います。
  299. 田中茂

    ○田中茂君 ありがとうございます。  ただ、今、国際社会にしっかりと説明していくとおっしゃっていますが、現に国際社会はほとんど中国側の言い分を載せております。まあ、それは後でまた説明しますが。  くしくも十一月十一日付けの朝日新聞によれば、首脳会談に先行して事前合意文書をまとめているというアイデアは中国側から提起されたものと報道されています。これが事実であれば、文書解釈の曖昧性を残すという中国側の戦略日本側が乗せられたのではないかと、そう思うんですが、あるいは、あえて文書解釈の曖昧性を残すことで意義があるとすれば、それによって日本側にもたらされるメリットとは何であったか、お聞かせいただきたいと思います。
  300. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、今回のこの発表につきましては、日中両国において、まず現状が大変厳しい状況にあるという認識の下で、関係改善に向けて努力を続けてまいりました。そして、静かな努力を積み重ねてきたわけですが、その結果として、今現在、日中間で合意できる、一致できる点についてまとめた、これが今回の発表の意味であります。  この発表のタイミングにつきましては、先ほど申し上げましたように、両国間ですり合わせを行い確認ができた、そのタイミングで発表したということであります。首脳会談、外相会談のために行ったというものではないということは確認しておきたいと存じます。  ただ、全体の環境整備という意味で大きな意味があったということは事実だと理解しています。
  301. 田中茂

    ○田中茂君 中国メディアでは、今回の首脳会談について、日本側の求めに応じてやったと、そういうニュアンスの報道が多く、四点合意についても、日本はこれまで中国との釣魚島問題に関する話合いを一貫して拒絶し、主権に関する争いは存在しないと公言してきたが、四点合意によって新たな現実が形成されたと宣告するに等しいと表現されております。これは一つの中国側のメディアであります。  多くの中国人民がこうした報道に触れて自らの領有権主張の正しさを、彼ら自身の正しさですね、正しさを再認識し、今後、尖閣周辺での領有権主張が一層激化する可能性が私は出てくると思っております。  さらに、海外メディアも、中国国営メディアの報道を多く取り上げております。例えば、チャンネル・ニュース・エイジアという、これはインターネットでかなり多くのアジアの人に読まれておりますが、そこのメディアを通しても、中国の国営メディアは北京の勝利を主張したと報道しております。  外交なので、日本国内ではなく、他国を含め海外がどう見ているのか、極めて重要な視点であります。海外メディアへの対応も極めて大切なので、この点で、先ほど来大臣おっしゃっていますが、日本の主張を広めるように徹底的に広報活動を行っていただきたいと思っております。  次の質問ですが、先ほど新たな現実があると中国のメディアでは言っておりましたが、尖閣周辺において中国船の侵入が常態化する、そのような新たな現実が継続するとするならば、APECに合わせ無理に首脳会談をすることはなかったのではありませんか、お聞かせください。
  302. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、従来から、隣国であるがゆえに日中間には難しい問題が存在いたしますが、問題があるからこそ直接対話が重要である、特に高い政治のレベルでの対話が重要である、こういったことを伝え続けてきました。こうした我が国の考え方に立った場合に、今回、日中両国それぞれの政権ができてから初めてのトップ同士の会談ができたこと、これは歓迎すべきことであると認識をしています。  ただ、これはスタートであってゴールではありません。そして、事実、おっしゃるように緊張状態は現実に存在するわけでありますので、これから今回の対話をスタートとして具体的な協力や対話の実績を積み重ねていかなければなりません。そのことを一つ一つ積み重ねることによって両国関係を安定させる、こういった状況をつくり出していかなければならないと思います。あくまでもスタートでありゴールではないということ、しっかり肝に銘じながらこれから引き続き努力をしていきたいと考えています。
  303. 田中茂

    ○田中茂君 首脳同士が何度も何度も会うというのは極めて大事で、私もこの委員会でもその点については何回かお話しさせていただいたこともあります。  ただ、今回のこの件については若干ニュアンスが異なってきております。というのはまた、日本政府側には今回、外的というか、米国ですね、あと内的には経済界、また今回総選挙を急に打ち出すことになられましたが、その件も含めて、APEC期間中に何としても日中首脳会談を実現させたいという思惑があり、四点合意はそうした時間的制約の中で急ぎ足でまとめられたものではないかと、そのように勘ぐることもできますが、いかがでしょうか。
  304. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、我が国としましては、難しい問題があるからこそ、高い政治のレベルでの話合い、直接対話、意思疎通が重要だということを訴え続けてきました。そして、この首脳会談のタイミングについて中国側と協議を行ってきたところであります。  話合いの過程で、首脳会談実現のタイミングとして北京でAPEC首脳会議があるということ、このことについては日中双方の念頭にあったということは否定いたしませんが、しかし、APECに合わせて無理に会談を実施したということは当たらない、そういった御指摘は当たらないのではないかと考えます。
  305. 田中茂

    ○田中茂君 要するに、今回の四点合意と形式的な首脳会談は、日中双方が外交的勝利を宣言し得る曖昧性を残すよう意図されたものではないかと、私自身、そう考えざるを得ません。  無論、政策当事者らが、習近平さん、軍部、対日強硬派の圧力を受けておられます、そういう体制の中で若干巧みに双方の主張を織り込む、そういう解釈の余地を残す合意文書の作成に苦心したであろうということは想像に難くないと思っております。しかし、そのような配慮によって中国側に更なる強硬的主張のための根拠を与えた可能性があることも否定できません。  その事実を謙虚に捉え、そうしたリスクを国民に対してきちんと説明しておくべきだと、私はそう考えております。このようなリスクを真摯に説明しなければ、国民は、今回の首脳会談が、アベノミクスが必ずしも目に見える成果となっていない中で、中国との経済関係を回復したい日本経済界からの圧力と、先ほども言いましたように、今回の解散・総選挙を見据えた政治戦略ではないかと、そういうふうに思うのではないかと、そう思っております。  そこで、この首脳会談のタイミングにつき、与党内でどのような議論が行われたのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
  306. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こうした日中間の対話の重要性については、従来から政府としましても、度々、中国側、そして国内に対しても説明をしてきたところであります。そして、日中の対話、こうした首脳会談の開催等について様々な努力を行ってきた、その経過につきましては与党に対して機会を捉えて説明をしてきた、これは当然のことであります。こうした説明を行い、そして様々な関係者には議員外交を始め様々な切り口で御協力をいただいてまいりました。民間交流など様々な形での交流を通じましても御協力をいただき、環境醸成につなげていただいたと感じております。  そうした多くの皆様方に御理解をいただきながら、今回、政府としまして、首脳会談、外相会談を実施した、こういった結果につながった次第であります。
  307. 田中茂

    ○田中茂君 時間がないので、あと一点お聞きしたいと思います。  そもそもこの問題、北東アジアの戦略関係を踏まえれば、四点合意の作成と日中首脳会談の実現には、米国を説得し、目に見える形で関与させるべきではなかったかと、私そう思っておりますが、その辺、お聞かせください。
  308. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) 最大の同盟国である米国に関してもこのアジアの安定というのは最大限の関心を払っているわけでありますが、恐らく委員の御指摘は、今回のこの四点合意あるいは日中首脳会談だけでなく、ちゃんと米国との歩調が合わせられているのかというような質問かとも受け取っておりますが、米国との間では日頃から様々な外交課題について緊密に連携をしているところであります。  また、先日、七日に行われました日米の外相会談におきましても、岸田大臣の方からケリー国務長官に対して、最近の日中関係状況、これを詳しく説明いたしまして、ケリー長官からは前向きなものとして評価する旨の発言があったところであります。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、国際社会及び地域の安定と平和のため、引き続き、日米同盟を基軸といたしまして、その強化に努めるとともに、中国との間では大局的観点から戦略的互恵関係を進めていく考えでございます。
  309. 田中茂

    ○田中茂君 今まさに御答弁いただきましたが、この問題は、中国側は領土問題が存在すると認めたと解釈しているわけです。その合意文書を、今おっしゃったように、ケリー国務長官は歓迎すると言っているわけです。お互いの主張は言い合っていいです、お互いの解釈でいいです。しかし、その合意文書、中国側は中国側の解釈も含めてのこの合意文書を米国は歓迎すると言っているわけです。  この合意文書に関しても、より戦略的に米国と詰める必要があったと私は考えております。尖閣防衛のためにも米国を関与させるべきであったと強く主張して、私の質問は終わりにします。
  310. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  今日はPSIについて質問させていただきます。これは二〇〇三年以降新しい多国間協力の枠組みとして存在しているわけですが、余り議論されたことがない問題ですので、是非今日はしっかりと質問させていただきたいと思っています。  まず、外務大臣にお伺いしますが、このPSI、イニシャルで言ってしまっていますけれども、これどういう協力の枠組みなのか、内容を御説明いただきたいと思います。
  311. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) PSI、拡散に対する安全保障構想というものですが、国際社会の平和と安全に対する脅威である大量破壊兵器、ミサイル及び関連物資の拡散を阻止するためのグローバルな取組であると認識をしております。
  312. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、大量破壊兵器というのは、核兵器とか、具体的には例示するとどういうものですか。
  313. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、核兵器、化学兵器、生物兵器といったものが大量破壊兵器というように認識されていると承知しております。
  314. 小野次郎

    ○小野次郎君 二〇〇三年以降、我が国がこのPSI多国間訓練、主催した状況並びにこれまでの自衛隊部隊の参加実績、よその国が主催した場合の参加も含めて、その実績を両方お伺いしたいと思います。
  315. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) PSIにつきましては、我が国の安全保障向上に資する取組であり、その発足以来、我が国は共同訓練やオペレーション専門家会合を主催するなど本構想の活動に積極的に参加してきております。  具体的には、我が国は二〇〇四年以降三回の共同訓練及び一回のオペレーション専門家会合を我が国において主催しております。共同訓練に際しては、自衛隊の艦艇や航空機等も参加してきています。また、我が国は、他国が主催した共同訓練に際し、過去六度にわたって海上自衛隊の護衛艦や哨戒機等を派遣しております。  現在のところの取組については以上のような状況でございます。
  316. 小野次郎

    ○小野次郎君 外務大臣、率直にというか、さりげなく自衛隊の話をされましたけど、元々これ、二〇〇三年にこの問題が、このテーマがアメリカから投げかけられたときに、日本の官邸においては、この訓練へ海上保安庁からの参加は強く求められるけれども、海上自衛隊の参加は困難であろうという認識を示されたと思うんですけれども、その経緯、御存じでしょうか。
  317. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ちょっとその具体的な詳細な経緯については、済みません、私自身承知しておりませんが、最初の段階では海上保安庁の参加であったという経緯があったということは承知をしております。
  318. 小野次郎

    ○小野次郎君 別の形で質問しますけれども、これは防衛省の参考人にお伺いしますが、このPSI合同阻止訓練自衛隊にとっては本格的で実質的オペレーションを伴う多国間訓練説明されているわけです。自衛隊部隊の具体的な活動内容をお伺いしたいと思います。
  319. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  自衛隊部隊が参加しておりますPSIの阻止訓練の実動訓練の内容としては、これまで海上阻止訓練と航空阻止訓練、こういうものに参加しております。  まず、海上阻止訓練でございますが、大量破壊兵器関連物資の積載が疑われる船舶の捜索、追尾に係る活動要領、あるいは乗船、立入検査に係る活動要領、こうしたものを演練しております。  また、航空阻止訓練におきましては、大量破壊兵器の開発につながるような物資の積載が疑われる航空機が領空を侵犯した場合等における対処要領、そういったものを演練してきているところでございます。
  320. 小野次郎

    ○小野次郎君 今度また外務大臣にお伺いしますが、このPSIの国際法上の法的根拠、お伺いしたいと思います。これは国際法上の根拠を持たない、いわゆる有志連合と考えるべきなのかなと私は思いますが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  321. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このPSIですが、二〇〇三年に米国により提唱された構想です。国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器の拡散を国際法及び各国国内法の範囲内で阻止するためのグローバルな取組だと承知をしています。  本構想の目的や阻止活動の基本原則は、法的拘束力を有しない政治的文書である阻止原則宣言に定められております。参加各国はこの阻止原則宣言に対する支持を表明することによって本構想に基づく活動に参加してきております。
  322. 小野次郎

    ○小野次郎君 これは外務省防衛省かどちらか分かりませんが、これまで、じゃ、PSIで海上阻止行動が実際発動された事実というのはあるんですか、防衛省
  323. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  実際の訓練でなく、実際にその阻止活動が、ある船舶の阻止活動を行ったという例があったかというお尋ねだと思いますが、そうしたことはこれまで行っておりません。
  324. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、防衛大臣にお伺いしますが、このPSIに我が国自衛隊が参加決定するに当たってどのような国内手続を経るおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  325. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  まずは、先ほども外務大臣の方から御答弁させていただいたわけでありますけれども、このPSIというのは、国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器及びそれらの関連物資等の拡散を阻止するために国際法、各国国内法の範囲内でとり得る措置を検討、実践するグローバルな取組でありまして、我が国はその発足当初から参加しておるわけであります。  そして、このPSIについては政府全体として取り組んできておりまして、防衛大綱におきましても、大量破壊兵器等の拡散等のグローバルな安全保障上の課題等に対応するため、不拡散等に関する各種取組を強化するとされているほか、中期防衛力整備計画におきましてもPSIへの参加等を推進するとされているところでございます。  また、海上自衛艦等による警戒監視や立入検査等はあくまでも防衛省の所掌事務の遂行として実施されるものであることから、自衛隊は所掌事務の遂行に必要な教育訓練に関することを定めました防衛省設置法第四条第九号の規定に基づきましてPSIに係る各訓練に参加しておりまして、関係省庁等とも調整、協議を行った上で、私自身、防衛大臣が命令を発出し、自衛隊部隊訓練に参加させているというところでございます。
  326. 小野次郎

    ○小野次郎君 阻止行動とそれを想定した訓練と分けて考えなきゃいけませんが、私は、このPSIイニシアティブに日本が加わった以上、この阻止行動に加わることも想定しているから訓練に参加しているんだと思うんですが、もう一遍防衛大臣に聞きますが、自衛隊がこのPSIの合同阻止行動に参加する際にはどのような国内手続を想定しているのか、お伺いしたいと思います。
  327. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 法的な、具体的な手続に関わるお答えといいますか御質問だと思いますので、簡単に申し上げますけれども、仮に自衛隊の艦艇がそういった海上における捜索、捜索といいますか、船舶に対する検査といったようなものを行うということであるとすれば、その場合には、いわゆる海上における警備行動といったものを発令した上で、それに従いまして行動するということになろうと思います。  ですので、その際の手続といたしましては、内閣総理大臣の承認を得た上で防衛大臣が命令を下すという、そういう手続になろうかと思います。
  328. 小野次郎

    ○小野次郎君 しかし、このPSIというのは、多国間で合同で阻止の活動をしようというわけですから、海上警備行動を東南アジアだとか何かそういうところでも取ることがあるということですか。
  329. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) これも一般論でお答えをいたしますけれども、海上における警備行動につきまして、これは我が国の領海とともに公海でも行われ得るということだと理解をいたしております。
  330. 小野次郎

    ○小野次郎君 このPSIは公海上での活動も想定しているということですね。
  331. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) そのような場合も排除はされていないと考えてございます。
  332. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、他国の領海とか他国のEEZ内の活動も想定しているんですか。
  333. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 自衛隊の行動に関して申し上げますと、海上における警備行動ということでございますので、これは一般的に他国の領海内で行われるということは想定されないと考えております。
  334. 小野次郎

    ○小野次郎君 それはおかしいでしょう。だって、日本の領海、あるいは日本の領海の外の公海だけを想定しているのであれば、どうして多国間で合同で阻止するという構想になるんですか。私が聞いている質問は難しくないと思うんですよ。  東南アジアの国々十一か国が参加しているわけですが、合同でアクションを取ろう、アクティビティーをしようというのは、お互いのEEZなり領海内でもお互いに行動し合うということを想定しているから合同阻止行動になるんじゃないですか。
  335. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) PSIの全体の活動状況につきましては、もし後から補足があれば外務省さんから補足をいただきたいと思いますが、我々が理解しておりますのは、合同で活動するといった形態であっても、我々がそれぞれの国内法に基づいて活動するというのがこの行動の原則であるというふうに理解をいたしておりますので、我が国について言いますと、自衛隊が行動するとすれば、我が国の国内法に基づいて海上警備行動の下で行われると。それであるとすれば、そこで得られました情報といったものを多国間で共有をし合うということで、仮にその他国の領海内で行動が必要になる場合があるとすれば、その当該国がそれに対して対応するという、そういう考え方だと考えております。
  336. 小野次郎

    ○小野次郎君 それだとどこまで行っても合同阻止行動にならないんじゃないですか。  日本のことをやるだけだとおっしゃっていますけど、これはもう構想自体が、多国間で、このアジア太平洋地域で、広域で共同で阻止行動を取ろうという構想でしょう。ちょっと説明が矛盾しているように思うんですけど。
  337. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) また全体の枠組みにつきましてはこれは外務省さんからのお答えがあろうかと思いますけれども、元々このイニシアティブというのは、国際法と各国の国内法に従って行動するという、そういう考え方の下で行われているというふうに理解をいたしております。
  338. 小野次郎

    ○小野次郎君 このPSIは当初から我が国の政府においては法執行の取組と理解してきたと思うんですけれども、その理解は今でも変わらないと考えてよろしいですか。外務省にお伺いします。
  339. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  法執行の枠組みであるということに関しましては、委員指摘のとおりでございます。  なお、PSIの趣旨といたしましては、大量破壊兵器の拡散を阻止するために、各国の関係機関による拡散阻止に関する能力の向上ですとか、関係機関の連携の強化、さらにはアウトリーチの効果といったようなところが挙げられているところでございます。
  340. 小野次郎

    ○小野次郎君 一緒に勉強して実力を上げましょうという話ではないでしょう、これ。だって、同じ海域で合同で阻止訓練を行って、いざというときには合同で阻止行動を取ろうというのがPSIなんじゃないんですか、外務省
  341. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) 先ほど申し上げましたとおり、PSIにつきましては、各国の関係機関の能力の向上ですとか連携の強化といったところを趣旨としておりまして、あくまでも、実際の行動に関しましては国際法あるいは各国の国内法に基づいて行動するというのが原則になってございます。
  342. 小野次郎

    ○小野次郎君 外務省にお伺いしますが、じゃ、海上における取締り活動は我が国国内法ではいかなる犯罪に対する取締りなのか、お伺いしたいと思います。
  343. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) 今委員指摘のありました、いかなる国内法で取り締まるかということでございますけれども、本件に関しましては、特定の国内法が対象となっているというものではございませんで、具体的な措置につきましては様々な個別の国内法に基づいて実施をされることになります。  その上であえて申し上げますと、例えば、必要な許可がなく我が国から貨物が輸出をされていたといったような場合には外為法ですとか、貨物検査特措法に基づく貨物の提出命令に従わなかったといった場合にはこの法に抵触をするといったようなことは考えられます。
  344. 小野次郎

    ○小野次郎君 その点は後でまたお伺いしますが、もう一遍原点に戻ってお聞きしますけれども、海上での法執行は自衛隊任務、権限なのか、お伺いしたいと思います。
  345. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 防衛省設置法の第四条第一号に、「防衛及び警備に関すること。」というものがございまして、防衛省の所掌事務としてはこういったものがございます。ここで言っております警備という中には、仮に警察機関における能力が足りない場合といったときにこれを補完するという役割が含まれてございますので、そういった意味での法執行といったものは我々の任務になってございます。
  346. 小野次郎

    ○小野次郎君 それはおかしいんじゃないですか。いわゆる講学上の警察権の行使というのは自衛隊も法で認められた範囲で分担しているのは分かりますけれども、私の言っている法執行というのは、刑事訴訟法に基づくような差押えとか捜索とか、そういったものを自衛隊任務として持っているのかということをお伺いしているんです。
  347. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) これは、海上における警備行動が発令された場合におきましては、自衛隊法に基づきまして海上保安庁が行使する権限といったものを準用されてございますので、その範囲内において任務を遂行するということだと思います。
  348. 小野次郎

    ○小野次郎君 PSIは、この二〇〇三年の阻止宣言においても主たる対象をそもそも拡散懸念主体と言って、国又はいわゆる国準だと言っているんですね。国や国準を念頭に置いているものがどうして法執行の取組だというふうに説明できるんですか。  補足しますけれども、PSIはそういうものなんです。じゃ、我が国の阻止活動の対象も国又は国に準ずる組織を対象としているのか、認識外務大臣にお伺いしたいと思います。
  349. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) PSIにおいては、拡散懸念国家及び非国家主体への大量破壊兵器等の移転及び輸送並びにこれらの国家等からの移転及び輸送を阻止するため、各国が単独又は他国と協調して効果的な措置をとることを想定されております。したがって、本構想を踏まえて我が国が行う阻止活動の対象も、大量破壊兵器等の拡散懸念国家及び非国家主体を含むものであります。  いずれにしましても、我が国が行う阻止活動、これは国際法及び我が国国内法の範囲内で行うものであるということ、これは言うまでもないところであります。
  350. 小野次郎

    ○小野次郎君 私が問題を指摘しているのは、最初、二〇〇三年から、国内では、法執行、つまり刑事司法の国際協力だという説明をして海上保安庁あるいは警察庁にも参加するようにと言っておきながら、元々アメリカから言ってきていること自体が相手が国又は国準ということで、しかも大量破壊兵器の拡散防止構想なんですね。つまり、だから各国の軍隊が中心になって取り組んでいるわけです。そこのところで、国内向けと外国向けというか、国際的な理解と国内での一方的な説明とが食い違っているんじゃないのかというのが私の問題意識でございます。  公海上での阻止活動については、今話題になっています集団的自衛権なんかの議論でいえば、公海上の臨検として武力の行使に当たる場合があるんじゃないですか、外務大臣
  351. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、このPSIは、国際法及び各国国内法の範囲内で阻止するためのグローバルな取組です。この取組の一環として、公海上において自国船籍でない船舶に対する乗船検査が必要となる場合には、かかる措置は国際法及び各国国内法の範囲内でとられるものである以上、基本的には当該船舶の旗国の同意を得た上で行うとの対応一般的であると承知をしております。  いずれにしましても、こうした行為は国際法上何の問題もない法執行的な活動であり、国連憲章第二条四で禁じられた武力の行使には当たらないと考えます。
  352. 小野次郎

    ○小野次郎君 この合同阻止活動の対象が国などであるのに、旗国主義と言っていますけれども、その船というか、その国自身がまさにこの大量破壊兵器の拡散に手を染めているという場合に合同で阻止しようという活動が、どうしてその旗国主義で抑止できるんですか。
  353. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) 先ほども申し上げましたとおり、PSIにつきましては、そうした状況を想定をいたしまして、各国の能力ですとか連携を強化をするというものでございます。あくまでも実際の阻止活動につきましては、国際法及び各国の国内法に基づいて行われるものであるというように認識をしてございます。
  354. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと質問の向きを変えますが、これは防衛省にお聞きしたらいいんでしょうかね、外国の領海とかEEZ内で我が国自衛隊は何の活動を想定しているんですか。
  355. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) ちょっと済みません、私、今先生の御質問の意図を正確に把握しておるかどうか分かりませんけれども、外国の領海……
  356. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう一遍質問しましょうか。
  357. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 恐縮です。
  358. 片山さつき

    委員長片山さつき君) それでは、小野次郎君、再質問をお願いします。
  359. 小野次郎

    ○小野次郎君 二〇〇三年から十一年にわたって各地で、各国というかな、各国が主催して訓練、想定してやっていますよね。そうすると、日本の領海の周りだけでやっているわけじゃないわけで、これ元々合同で阻止しようという活動ですから。そうすると、外国の領海や外国の周辺のEEZで我が国自衛隊は何の活動を分担するつもりなんですか。
  360. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 実態として申し上げますけれども、先ほど御紹介ありました自衛隊が参加しております海上阻止の訓練の中では、船舶の捜索、追尾でありますとか、あるいは乗船でありますとか立入検査に係る活動といったものを演練をしておるということでございます。
  361. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、それを外国の領海や外国のEEZ内で自衛隊はやるということですか。
  362. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) ちょっと先ほどの黒江局長の答弁を補足いたしますが、この訓練を行う例といたしましては、確かにそれぞれの場所で、訓練が開催された場所で行っているわけですけれども、例えば我が国で行ったときの例でいいますと、海上阻止活動を演練すると、そうした際に、その乗船、立入りに関する技量等を相互に展示するという目的がございます。したがいまして、そうした相互に技量を上げる、こうした活動を広めるという観点では、そうしたものをお互いに見せ合って技量を測るという必要も、そうしたこともあるわけでございます。  したがいまして、必ずしもそういう他国において実施するということが、他国の領海内とかそうしたところで我が国もそうした活動を行うのだということを意味しているわけではなく、それぞれの国内法、国際法に準拠して行うということであると考えております。
  363. 小野次郎

    ○小野次郎君 そこが、最初から言っているとおり、何か図書館の勉強室でみんなお互いに勉強して力を付けようというものではないでしょうと言っているわけですよ。合同で阻止するんじゃないんですか。その合同でやるのを、アジア太平洋地域の広域で十一年間訓練も積んできている。いざとなれば実際にやろうというわけですから、私のような質問が当然、出て当たり前だと思うんです。  逆に聞きますけれども、我が国の領海やEEZ内で他国の海軍に何かの活動を期待しているんですか。
  364. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 必ずしも防衛省からお答えすべきではないかもしれませんけれども、仮定の問題でありますが、もし我が国対応が必要な場合であれば、先生の御指摘の、例えば領海内で対応が必要な場合であれば、当然我が国防衛省も必要に応じて行うことになると思いますが、我が国の法執行機関が当然その任に当たることになると思います。
  365. 小野次郎

    ○小野次郎君 これは岸田外務大臣にお伺いしますけれども、この当該大量破壊兵器の拡散が、我が国からとか我が国に向かってとかそういう我が国関係しない、A国とB国みたいな関係の拡散の場合に、この阻止活動に我が国自衛隊が参加することは集団的自衛権の行使に当たるんじゃないですか。
  366. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、集団的自衛権につきましては、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されています。  一方、このPSIですが、これは先ほど来申し上げておりますように、国際法及び各国国内法の範囲内で阻止するためのグローバルな取組です。国際法及び各国国内法の範囲内で行うものでありますので、先ほど申しましたように、基本的な当該船舶の旗国の同意を得た上で行う対応一般的であると承知をしております。これ以上のことはPSIで行うということは想定しておりません。  ですから、こうした行為はそもそも国連憲章第二条四で禁じられた武力の行使には当たりません。よって、集団的自衛権の援用によって正当化する必要もないと考えています。
  367. 小野次郎

    ○小野次郎君 自衛隊が警戒監視活動で収集した大量破壊兵器拡散に関するレーダーの情報であったり、あるいは何か聞き取った情報などを多国間のオペレーションに提供して活用させるということは、武力行使との一体化の心配があるんじゃないですか。法制局なのか、防衛大臣なのか、どちらからでもお答えいただきたいと思います。
  368. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 先ほど来から外務大臣等々からお答えがありますように、このPSIというのは、国際社会の平和及び安定に対する脅威でありまして、大量破壊兵器等の拡散を阻止するために国際法及び各国の国内法の範囲内で参加国が共同としてとり得る措置というのを検討及び実践する取組であります。  こうした取組の一環といたしまして、公海上においては自国船籍でない船舶に対する乗船検査が必要になる場合には、かかる措置は国際法及び各国の国内法の範囲内でとられるものである以上、基本的には当該船舶の旗国の同意を得た上で行うとの対応一般的であると思っております。  したがって、例えば武力の、こういうあくまでも当該船舶の旗国の同意等々を得るわけでありますから武力の行使に当たらない情報の提供であるわけでありますから、武力の行使との一体化にはならないものというふうに考えております。そしてまた、国連憲章法上第二条四で禁じられた武力の行使に当たらず、武力の行使の一体化との問題も生じないとも考えております。
  369. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうですかね。  余り特定の国の名前を挙げてはいけませんが、大量破壊兵器を拡散目的で運搬しているという船を見付けたと。その情報を日本自衛隊が自らそれを阻止行動に出るということもあるでしょうし、またアメリカ海軍などに連絡してそういった同じ構想に参加している他の加盟国の行動によってそれを阻止するというのは武力の行使と一体化する心配があるんじゃないですか。
  370. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほどもちょっと説明いたしましたが、PSIというものは国際法及び各国国内法の範囲内で阻止するための取組であります。よって、国際法及び各国国内法の範囲を超えて何かやるということはそもそも想定しておりません。ですから、先ほど申し上げましたように、この集団的自衛権の援用により正当化する必要も生じてきませんし、様々な御質問につきましても、御指摘は当たらないと考えているところでございます。
  371. 小野次郎

    ○小野次郎君 僕は、だから、まだこのPSI、実際に発動されたことはないと聞いているので、それが実際に起きる前に、まあアメリカでしょうかね、よその国から期待されているところと日本国内での説明が違うんであれば、そこはしっかりと詰めておいた方がいいということを今日は申し上げたいと思って取り上げました。  というのは、何度も言っているとおり、勉強室でみんなそれぞれの実力に合わせて問題集をやって実力を上げればいいという話じゃないんですよ。同じ現場で合同で阻止活動を取ろうというのがこのPSIですから、それをいざとなって我々は国内法の範囲内でできませんなんて言うのでは、このPSIに参加しているというふうに言えるかどうか、非常に私は国際的にも問題だと思うし、国内的に、またその付き合いの方を重視して、実際上、実務において現場で協力してしまえば、さっきから申し上げている武力行使と一体化してしまったり、特に阻止行動自体に参加すれば武力の行使に当たる場合もあり得ると思うので、是非そういった法的側面についてはしっかりと詰めていただきたい。  元々、二〇〇三年にこの構想ができたときから、外務省内、そして内閣官房、官邸の中にも極めて慎重な意見があったんです。私は情報公開で私のスタッフが得た情報の中でも、官邸から、海上保安庁の参加は求められるが海上自衛隊の参加は困難であろうとの認識が示されていると。これ、公文書に載っているんですからね。  是非、外務大臣防衛大臣ももう一度、これを部下任せにしないで、しっかり検討し直していただくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  372. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、江渡防衛大臣政治資金の問題についてお聞きいたします。  大臣の地元の政経福祉懇話会の問題です。大臣のホームページでは、この懇話会について、大臣の支援企業の会だと繰り返し述べられております。同会が大臣が代表を務める自民党青森県第二選挙区支部に対して、毎年三百万円の寄附を行っており、二〇〇二年からの累計でいいますと三千二百八十五万円に上ります。にもかかわらず、この懇話会が政治団体の届出をしていないということが、この間、当委員会でも問題になってまいりました。  政治資金規正法は、政治団体に当たる団体は、「都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならない。」としております。そして、届出をしないで寄附をした場合には、「五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。」というふうになっております。  政治団体の届けのない団体から毎年三百万円の寄附を受けていると、このことを大臣は適切とお考えでしょうか。
  373. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この政経福祉懇話会は、その規約によりますれば、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体であるというふうに承知しているわけであります。  また、政治資金規正法におきましては、このような任意団体から政党への寄附が認められておりまして、同懇話会から自民党の青森県第二選挙区支部への寄附は問題がないものと考えておるところでございます。
  374. 井上哲士

    井上哲士君 政治団体の実質がある場合には届け出なければならないと、それをしないまま寄附をしているということが問題だと指摘をしているわけでありますが。  総務省に来ていただいておりますが、規正法の第三条は政治団体の定義を定めております。特定の公職の候補者の推薦、支持を本来の目的とする団体だけではなくて、一項の三号のロで特定の公職の候補者の推薦、支持の活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体も政治団体だと、こうしておりますが、この特定の候補の推薦、支持の活動というのは、具体的にはどういうことなんでしょうか。
  375. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) お答えをいたします。  お尋ねの政治資金規正法第三条一項におきまして、政治資金規正法の適用対象となります政治団体について定義をする規定でございます。政治団体とは、御説明がございましたように、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、あるいは特定の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること、この二つのいずれかを本来の目的とする団体、又はこれらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体をいうと、こういうふうに定義をされているところでございます。  この条文にございます推薦とは、候補者を公認したり推薦状を発行するなど、広く特定の候補者、これは現職にある方も含みますけれども、直接援助することをいうと解されているところでございます。  また、支持とは、これは推薦と区別する実際上の利益は余りないところでございますけれども、特定の候補者の当選を期して、これを側面から援助することをいうと従来より解されているところでございます。
  376. 井上哲士

    井上哲士君 政治家なら誰でも多額の寄附をしていただく方は極めて大きな支持を受けていると、こういうことは分かることだと思いますが。  二〇一二年の官報を調べますと、この懇話会は、大臣以外の青森県の自民党国会議員に献金をしている報告はございません。自民党青森第二選挙区支部の事務所と同じ場所に事務所を置き、江渡衆議院議員という特定の候補に毎年三百万円、十年にもわたって寄附を行っていると。これ、まさに特定の候補を支持する活動を組織的かつ継続的に行っているということになりませんか。  大臣、いかがでしょうか。
  377. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) これも何度も御質問されてお答えさせていただいているわけでありますけれども、この会というのは、規約にも明記されてありますように、あくまでも青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、実際、当該規約にあるように様々な勉強会や懇話会などを開催しているというふうにも聞いているところでございます。  このようなことを踏まえますと、同会は政治資金規正法が規定する政治団体とは私は考えておりません。  また、私の方の事務所に同じ住所があるということですけれども、これは企業間等の関係もあるから、特定の会社等に住所を置くといろいろ問題があるために便宜的に連絡先となってくれというふうに私は聞いているところでございまして、私の後援会とこの政経福祉懇話会は全く別個のものであります。
  378. 井上哲士

    井上哲士君 先ほど総務省から定義について答弁いただきましたけれども、その団体の規約などの目的とは違っていても、実際に主たる活動として特定の候補を支持することを組織的、継続的に行ったら政治団体だということなんですね。それが、届出がされていないと。  総務省にお聞きしますけれども、この政治資金規正法が政治団体に当たる団体が届出なしに寄附をすることを禁じている、このことの立法趣旨はどういうことなんでしょうか。
  379. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) お答えいたします。  政治資金規正法第六条の規定によりまして、政治団体は、一定の事項を都道府県選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならないということになっておるわけでございまして、そして、第八条におきまして、この届出義務対象となる政治団体につきましては、その届出がなされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができないとされているところでございます。  この規定は、規正法におきまして届出義務の対象となっております政治団体が、政治団体の届出をする前に政治資金が授受されることを禁ずることによりまして政治活動の公明と公正を期すると、こういうことを目的として設けられたというふうに認識をしているところでございます。
  380. 井上哲士

    井上哲士君 まさに、政治資金規正法の目的そのものが、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする、そのためにそうした政治資金なども報告をして、まさにありましたように公明と公正を確保すると、これが目的なわけですね。  そうしますと、こういう懇話会を通じて寄附をするということがどういうことになるのか。  政治団体は収支報告書の提出が義務付けられます。政治団体でなくても、企業や労働組合等が政党支部に年間五万円以上寄附をいたしますと、受けた側の政党支部の収支報告書に記載をされるわけですね。それを見て国民は、ああ、どういう企業がこの政治家が代表している支部に献金しているのかと、大型開発に熱心だなと思ったら随分建設業者から献金もらっているなとか、この人は個人献金に依拠してやっているんだなとか、そういう政治姿勢をその報告書を見て有権者が判断をすることができると。これがまさに国民の監視と批判の下に行われる公明、公正を確保するというこの法律の目的なわけですね。  ところが、こういう懇話会のような任意団体は収支報告書の提出は必要ありません。そして、その団体にどういう企業が寄附しているか分からないわけですね。そうしますと、この懇話会を通じて政党支部に企業が献金をしてもこれは全く表に出ないということになるわけですね。  これ、結局こういうやり方はまさに懇話会を隠れみのにした企業献金が行われているということじゃないんですか。これは政治資金規正法の透明化という法の趣旨に反すると考えますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
  381. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 繰り返しの答弁になって申し訳ございませんけれども、この上十三政経福祉懇話会のあくまでもこの規約、そこの目的にも書いてあるとおりで、あくまでもこれは、上十三地域の政治、経済、福祉等に対しての勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、実際この規約にあるように様々な勉強会とか懇話会を開催していると思っていまして、ですからこそ、これは政治資金規正法が規定する政治団体ではないというふうに私は考えております。  また、本当に有り難いことに、私はこういう形で得たものを適正にきちんと政治活動にも活動させていただいているわけでありますし、また、この団体の中には私の支持者もそれなりの方々がおられますから、そういうことはありますけれども、具体的に全ての方々が、どれだけの会員数があるかというのは私も詳しく分かりませんけれども、百数十社の方々がこの会員の中にあって、そしていただいているということでありまして、先生がおっしゃられるようなことはないというふうに私は考えております。
  382. 井上哲士

    井上哲士君 質問にお答えいただいていないんですけれども。  結果として、この懇話会を通じることによって報告書に出てこない、言わば脱法的な企業献金が行われることになるんじゃないかと、そういう透明性がないことについてどうお考えなのかということを聞いているんです。
  383. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 私はそのように考えておりません。ですから、うちの方でも、きちんといただいている部分の数字も出させていただいているわけであります。
  384. 井上哲士

    井上哲士君 大臣が考えようが考えまいが、現実の問題として出てこないんですよ、全然報告書には。  じゃ、百数十の会員がいるというお話でありますが、この懇話会の会員の状況についてお聞きします。例えば、国から補助金を受けている会社、三年連続して赤字の企業、それから外国法人は会員の中にいますか。
  385. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) この団体、私が関与しているわけではありませんので詳しいことは分かりませんけれども、国から補助金を得ているような団体等は入っていないというふうに私は思っているところでございます。
  386. 井上哲士

    井上哲士君 分からないけどそれはないというのは、どうも全くよく分からぬ答弁でありますが。  国から補助金を受けている会社、それから三年連続赤字の企業、外国法人というのはこれは企業献金禁止されています。ところが、この任意団体である懇話会に寄附をしてそこから政党支部に寄附をすると、会社名は出てこないわけですね。そうしたらこういう事実上の違法献金をしても分からない、こういうことが問題じゃないかということを指摘しているんですが、いかがですか。
  387. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) この団体のメンバー全てのことを私はつまびらかに存じているわけではありませんけれども、多くの会社の方々が赤字であるというふうなこととか、そういうことは私はないというふうに思っているところでございます。
  388. 井上哲士

    井上哲士君 別に多くじゃなくてもいいんですよ。一社だって三年連続赤字の企業があれば、そこは企業献金できないんです。  つまり、そういうことが大臣にも分からない、そしたら有権者にも全然分からないわけですよ。そういうものが事実上この懇話会を通じて行われる、これが脱法ではないかと。こんなことをやっていたら、まさに国民の不断の監視と批判の下に行われるというこの規正法の趣旨が全く損なわれると。  だから、こんなことはほかの方もやっていないんですね。私、自民党議員の何人かの議員からも年間三百万円もの寄附するような任意団体聞いたことがないと、こういう話を聞きました。余りにも法に反する行為じゃないか。  青森県の選挙管理委員会に出ている報告を見ますと、年間百万円以上政党支部に寄附したのは、二〇一二年の場合、二十一件しかありません。そのうち、政治団体が十一、企業が九、それ以外の任意団体では政経福祉懇話会の三百万円だけなんですよ。大臣の代表の政党支部だけがこういうことをやっていると。そして、こういう任意団体から十年間で三千万円以上も寄附を受けていると。  大臣、これ、異様だと思いませんか。なぜこういうことになっているんですか。
  389. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) なぜこういうふうになっているかというよりも、我々は政治活動をするために多くの方々から浄財を得ているわけでありますけれども、そういう流れの中でいただけるということで大変有り難いことだと思っておりますし、それをしっかりとより良い形の政治活動に使わせていただいているというところでございます。
  390. 井上哲士

    井上哲士君 それは有り難いでしょう。しかし、それを国民の前に誰がどこにどれだけの寄附をしているかということを明らかにすることが民主主義にとって大事だと、それがこの規正法なんですね。それに反するようなことだから多くの方はやっていないんです。  今、青森のことを言いましたけれども、私、東北六県でも調べてみましたけれども、政党支部に対して年間百万円以上の寄附をしている団体は百二十八ありました。そのうち、政治団体が五十、企業等が七十五、政経福祉懇話会のような任意団体は三つしかありません。他の二つは、一つが自民党秋田県第三選挙区支部に対する横手英信会の百二十五万円、太陽の党秋田第一支部に対する由利建設技術懇話会の三百万円と、この二つでありますが、いずれもその前の年には寄附をしておりません。ですから、政治団体でもない、企業でもない任意団体で、年間三百万円を十年以上にわたって特定の政治家に寄附しているというのはここしかないんですよ。例がないんですよ。  そして、この大臣の青森県第二選挙区支部は、二〇一二年の届出を見ますと、企業等献金が四百五十万です。この政経懇話会が三百万なんですね。ですから、あれこれの一つの団体じゃないんですよ。相当部分を占めるところが、こういう国民の前には一体誰が寄附をしているのか分からない状況になっていると。  これは余りにも、大臣、法に照らして不透明だとお考えになりませんか。
  391. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 確かに、委員のお考えというのもそれはそれなりにあろうかと思っておりますけれども、政治資金規正法におきましては、今委員から御指摘のこの政経福祉懇話会のようなこういう任意団体から政党への寄附というものが認められておるわけでありまして、ですからこそ、同懇話会から青森県の第二選挙区支部への寄附というものは私は問題はないというふうに思っております。
  392. 井上哲士

    井上哲士君 私の考えじゃないんです、これは。政治資金規正法の基本的な考え方なんですよ。それに反するような脱法行為のようなことがこれだけ広く行われていると。  この問題だけではなくて、今日も議論になってきましたように、大臣政治資金には私は余りにも不透明なことが多過ぎると思うんです。この問題も含めて、もっとしっかり疑惑について自ら明らかにして国民の疑念を晴らすべきだと考えますけれども、そのお考えはありませんか。
  393. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) 前回も委員からも御指摘ありましたけれども、確かに、いろんな形として客観的にきちんとお示しできる資料ということに関しましては、十分お応えできていないというところもあろうかと思っております。特に私の方の元秘書の方の税務申告等々、あるいは個人的なものでありますから現時点で本人からの了承というのは得られていない状況であるわけでありますけれども、それでも平成二十四年の仮の領収書というものを提出させていただきましたし、また親族や元秘書に対しましても人件費の受領というのは改めて確認させていただいたわけでありますし、また実際に支払われている旨の回答も得たわけであります。また、当時、当該二人がいかなる仕事をしていたかということも説明させていただいたようなところでございます。  このように、本件が単なる事務的なミスであるとの説明責任を果たすべく、私なりにはきちんとお答えしているつもりでありますけれども、これからも丁寧に繰り返し説明していきたいというふうに思っているところでございます。  また、本来、秘書や親族から徴取すべき領収書等につきましては、現在事務所の方でも探しておりますけれども、現時点で見付かっておりません。それゆえに、引き続き探してまいりたいというふうにも考えております。  また他方、政治資金規正法上、自身の政治資金管理団体から選挙運動に関するもの以外で寄附を受けるということは禁止されているわけでありますからこそ、私もそれは政治家といたしまして十二分に認識しているところでございます。仮に同法で禁じられているというこのような寄附行為を意図的に隠蔽しようとするならば、最初からわざわざ収支報告書に寄附というふうに記載するはずがないというふうに私は思っておりますし、また、記載するはずがありません。  これらのことからも、本件は、本来人件費の欄に記載するべきものを寄附の欄に記載してしまったというようなことで、単なる事務的なミスでありまして、何の意図もないということを御理解いただけるのではないのかなというふうに思っているところでございます。  いずれにいたしましても、今回の政治資金収支報告書の訂正等におきましては各所に御迷惑をお掛けしてしまっておりますので、いまだ御納得いただけない点につきましては今後とも御理解を得られるように丁寧に説明をさせていただきたいと、そのように考えております。
  394. 井上哲士

    井上哲士君 長々と述べられましたが、結局この間の様々な指摘に対して、自ら具体的に疑惑を晴らすということにはなっていないわけでありますし、今、政経懇話会のことについても質問をいたしました。他の様々な国会議員と比べましても余りにも不透明なんですよ、中身が。国民の前に何か隠したいことがあるのか、不都合があるのかと。こういうことは、疑念が出てくるからこそ、これは政治家として晴らすべきだと、このことを繰り返し申し上げておりますけれども、そういう姿勢がないことは極めて残念であります。  是非、国民の前に明らかにしていただきたいということを強く申し上げまして、次にガイドラインの問題でお聞きをいたします。  ガイドラインの中間報告が発表されまして、年内にも最終報告ということが言われてまいりました。この間、外務大臣も繰り返し、そういう合意になっていると、こういう話があったわけでありますが、既に十二月目前となり、そして大臣の答弁以降も、報道などでは、もう今年度は先送りすると、こういう日米間が合意をしたというような報道すら行われております。  大臣は年内でやるんだとこの間から答弁をされておりますが、それでは、具体的にそれに向けて、日米間はどういう協議を今されているんでしょうか。
  395. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ガイドラインの見直し作業につきましては、昨年十月の日米2プラス2において本年末までに完了することで日米で合意をしています。  そして、日米のこのやり取りの詳細については控えさせていただきますが、現在もこの日米の合意に基づいて、合意したスケジュールに基づいて、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿ってガイドラインの見直しの作業を続けているところであります。そして、その際に、このガイドラインの見直しとそして国内法整備についてしっかりと整合させていく、このことは重要だという認識の下で作業を続けているところであります。
  396. 井上哲士

    井上哲士君 国内法整備との整合性というお話がありました。  与党間の自公の協議ということもあるんだと思いますが、七月以降には政府・与党の公式な協議が開かれていないと、こういう報道もありますが、実際いかがなんでしょうか。
  397. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 閣議決定前には与党協議ということが行われたところでございます。与党のプロセスについて我々述べるべき立場ではないかとは思いますけれども、いわゆるその閣議決定前に行われたような形でのプロセスがその後行われたというふうには承知してございません。
  398. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、年末のガイドラインの最終報告にもう間に合わせるということで極めて乱暴なやり方で閣議決定が拙速に行われたわけでありますが、その後こういう事態になっているということなわけですね。  もう一点お聞きしますが、前回のガイドラインから十七年たっております。この間、様々な法改正も行われ、また新たな日米協力に踏み込んだ分野があるわけですが、それを踏まえて今回の中間報告に盛り込まれた内容というのは具体的にはどういうことなんでしょうか。
  399. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今般のこの中間報告におきましては、局長級の防衛協力小委員会、SDCにおけるこれまでの作業を要約しまして見直し後のガイドラインについての枠組みの目的を示したものであるために、現行のガイドラインそのものと一概に比較するということは困難であることをまず御理解いただきたいというふうに思っております。  その上で、あえて申し上げれば、日米両政府は、例えば次の事項の重要性につきまして共通認識に達しております。すなわち、我が国の平和と安全の確保に関しまして平時から緊急事態までのいかなる段階におきましても切れ目のない形で日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとること、また、地域の及びグローバルな平和と安全のための協力に関しましてはより平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するために様々な分野において協力を強化すること、そして、新たな戦略的領域であります宇宙及びサイバー空間における協力を進めていくことであります。  いずれにいたしましても、中間報告の段階でありまして、引き続き今回の中間報告で示されました枠組みと目的に沿いましてガイドラインの見直し作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  400. 井上哲士

    井上哲士君 現行指針にあった周辺事態という言葉が中間報告にはなくなりました。これ、従来は地理的概念ではなくて事態の性質に着目したものと説明がありましたけれども、おのずと日本周辺という限界があったわけでありますが、これがなくなった結果、今の中間報告の中に地理的制約や限界を示す記述というのは一体あるんでしょうか。
  401. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今回の中間報告におきましては、この周辺事態という用語というのは用いられていません。他方、まだ現在中間報告の段階でありまして、これをもって見直し後のガイドラインにおけます周辺事態概念の扱いというのが決定されたということでもございません。  また、今回の中間報告におきましては日米協力の地理的制約を示す文言というものは記載しておりませんけれども、いずれにいたしましても、自衛隊の派遣というものにつきましては、我が国といたしまして自らの国益に照らして主体的に判断するものでありまして、また、我が国の平和及び安全の確保や国際社会の平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣するということはあり得ないことだと思っております。
  402. 井上哲士

    井上哲士君 現段階の中間報告には地理的制約の記述がないということでありましたが、そうしますと、まだ検討中ということでありますが、中間報告なので、最終報告では何らかの地理的な限定などを盛り込むという方向はあるんでしょうか。
  403. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 先ほど来大臣からお答え申し上げておりますように、今回中間報告ということでございますので、最終報告がどのような形になるかというのは日米間の今後の検討によるということでございますので、現時点で特定の方向性を予断するということは差し控えるのが適当かと思っております。
  404. 井上哲士

    井上哲士君 まさに地理的限定を盛り込むという方向は示されませんでした。  アセット防護についてもここに盛り込まれておりますが、このアセット防護については地理的限定はあるんでしょうか。
  405. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) アセット、装備品等の防護でございますけれども、この点につきましては、安保法制に係る先般の閣議決定におきましても、自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に現に従事している米軍部隊、これに対しまして武力攻撃に至らない侵害が発生した場合のこういった部隊の武器等の防護ということで言及があるわけでございます。この点につきましては、我が国の平和及び安全の確保にとって極めて重要な協力分野であると考えておるところでございます。  他方、この点につきましても、現在のところ中間報告という段階でございますので、今後、アセット防護に関します日米協力の在り方についても、御指摘の点も念頭に置きながら更に検討してまいるということでございます。
  406. 井上哲士

    井上哲士君 これについても、地理的限定を付すという明言はありませんでした。  もう一点お聞きしますけれども、この中間報告に盛り込まれた日米協力の拡大に伴って自衛隊の装備がどうなっていくのか。中期防で出されている内容でこの対応が可能だと、こういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  407. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  見直し後のガイドラインの下におきまして自衛隊に求められる具体的な役割とか任務、これにつきましては、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿って、今後のガイドラインの見直し作業の中において検討していくことになってまいります。  他方、見直し後のガイドラインは、主として運用面における日米両国の役割及び任務並びに調整及び協力の一般的な大枠及び政策的な方向性というものを更新するものであります。そのために、見直し後のガイドラインの下での日米防衛協力についても、基本的にこれまでと同様、自衛のための必要最小限の防衛力をどのように活用していくかということが問題であるというふうに考えているところでございます。  したがいまして、現時点におきましては、ガイドラインの見直しによって中期防衛力整備計画の見直しが必要になるとの認識には至っておりません。
  408. 井上哲士

    井上哲士君 中期防自身が従来の専守防衛の枠を超えるような、水陸両用車などが盛り込まれているということは指摘をしておきたいと思います。  この中間報告、七月一日の閣議決定を踏まえて、やっぱり地理的制限なく地球上どこでも、戦闘地域まで行って米軍支援を行うと、こういう枠組みの方向になっている非常に危険なものだと思います。改定作業は中止するべきだということを申し上げまして、時間ですので質問を終わります。
  409. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  私は、キャンプ・シュワブのアスベストの工事についてお伺いをしたいと思います。  まず、キャンプ・シュワブのゲートの前におきましては、基地内のこのアスベストを含む建物の解体工事について、説明を求めて住民らが連日抗議行動を行っております。説明を求めている住民らは、このアスベスト被害の懸念が払拭できないというふうに主張しておりまして、健康被害に関わる重大な問題であり、このアスベストの問題について政府の説明を求めています。  まず、解体される建物について、用途、棟数、面積、建築されたその時期についてお伺いをしたいと思います。
  410. 中島明彦

    政府参考人中島明彦君) お答え申し上げます。  普天間飛行場代替施設の建設事業に関しまして、現在、沖縄防衛局が契約を締結しております既設建物の解体工事、この解体工事におきまして、石綿を含有する部材の使用が確認されているもの、現在六棟ございます。隊舎が三棟、庁舎が一棟、診療所が一棟、工場が一棟でございます。全て鉄筋コンクリート造りの平屋建てであります。  隊舎は一棟当たり延べ面積が約五百八十平方メートル、これは昭和三十四年に建設されたものでございます。庁舎については延べ面積が約三百七十平方メートル、これも昭和三十四年に建設されております。診療所は延べ面積約三百七十平方メートル、昭和三十九年に建設されたものでございます。工場、これは延べ面積約二千七百五十平方メートル、平成七年に建設されたものでございます。
  411. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 御存じのとおり、このアスベストの飛散を防止する対策の更なる強化を図り、人の健康に係るその被害を防止するために大気汚染防止法等が改正され、本年六月から施行されております。大気汚染防止法では、この解体工事に係る事前調査の結果について、これは当該解体等工事のその場所において公衆に見やすいように掲示しなければならないというふうにされております。  去る十月の二十八日、沖縄防衛局が実施した事前調査の結果についてでありますが、沖縄防衛局はキャンプ・シュワブ基地内でのみ掲示して、周辺住民が見ることのできない状況になっていることが明らかになりました。今回の防衛局の対応は、公衆である周辺住民を全く無視したものであり、このことについても断固抗議をしたいと思います。  こうした掲示ですが、やはりアスベスト飛散による被害を受ける可能性があり、付近住民に対して、今、大変不安を感じている方々が多い状況の中で、情報を提供することを趣旨としており、そして、閉鎖された基地内での掲示だけではなくて周辺住民が見やすい場所に掲示されなければならないと考えますが、この点に関しては環境省の見解を伺います。
  412. 三好信俊

    政府参考人(三好信俊君) 大気汚染防止法に関するお尋ねでございます。  先生御指摘のとおり、石綿使用の有無の事前調査の結果につきましては、大気汚染防止法の規定に基づきまして、調査を実施した工事の受注者が、解体等工事の場所において公衆に見やすいように掲示することが義務付けられているところでございます。  この規定を踏まえて対応していただくことになるわけでございますが、一般論といたしましては、周辺状況等を勘案して適切な場所に掲示していただくということでございまして、具体的には、この大気汚染防止法の石綿に関する規制が都道府県等の自治事務でございますので、本件につきましては沖縄県の見解を踏まえて対応されるものというふうに承知をいたしているところでございます。
  413. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 それでは、環境省として沖縄県にこの件に関してきちんと対応するようにおっしゃったことはございますか。
  414. 三好信俊

    政府参考人(三好信俊君) 私ども、沖縄県に対しまして、今回のケースにつきまして大気汚染防止法との関係につきまして問合せをしたところでございますけれども、沖縄県によれば、基地内の公衆に見やすいように適切な掲示をしているという見解を私どもの方にお示しをいただいているところでございます。
  415. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 一般的に、解体工事によって石綿、アスベストが飛散した場合、周辺の住民への被害の可能性も想定されるわけです。こうした周辺住民の強い不安を解消するためにも、米軍基地とそして周辺地域の調和、そして環境保全のための業務を行っている防衛局は積極的に調査結果を周辺住民に掲示して、そして公表すべきだというふうに考えますが、防衛大臣の御見解を伺います。
  416. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この普天間飛行場の代替施設建設事業に関しまして、現在、沖縄防衛局が契約を締結しております既設建物解体工事の実施に当たっては、使用する部材にアスベストの含有が確認されたことから、大気汚染防止法の第十八条の十七に基づきまして、工事現場の見やすい場所におきまして調査結果を含む所定の事項を掲示しているところでございます。  また、これに加えまして、沖縄防衛局は、地元の皆様方に積極的に情報を提供するとの観点から、当該の調査結果や除去方法等につきましては当局のホームページでお知らせをするとともに、また、地元区の区長に御説明をしているところでございます。  防衛省といたしましては、本工事の施工に当たりましては、引き続き関係法令に従いつつ適切に実施をしてまいりたいというふうに思っております。
  417. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 付近住民の中にはホームページを見られない方々もいらっしゃいます。また、地域の区長さんだけに伝えただけではこの工事の中身きちっとしたのが分かりませんので、基地の中に掲示するのではなくて、本当にこのことを知りたがっている、不安に今駆られている住民に対してもきちんと分かるように掲示をすることを改めて求めたいと思います。  次に、ガイドラインの中間報告についてお伺いをいたします。  十月二十八日の外交防衛委員会でも私は伺いました。日米安保体制を支えている最大の柱である沖縄の米軍基地の在り方についてこのガイドラインの見直しで触れていない理由をただしましたところ、防衛大臣の方から、見直し後のガイドラインは、運用面における日米両国の役割任務、調整、協力の一般的な大枠及び政策的な方向性を更新するもの、沖縄の基地の整理、縮小等の具体的な在り方について論ずることは必ずしも適当ではないという、その趣旨の答弁をいただきました。  しかし、日米間で様々な防衛協力を求めていくためには、国民の理解と支持、そして活動の基盤となる在日米軍基地は不可欠なものであります。今、日米間の様々な場面での沖縄の米軍基地の負担軽減が議論されているわけでございますが、やはりこの見直し後のガイドラインにおいて触れるべきであるというふうに考えますが、改めて防衛大臣外務大臣の見解をお伺いいたします。
  418. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今委員から御指摘がありましたとおり、日米両政府は様々な分野の安全保障及び防衛協力を強化いたしまして発展させ続けることにしておりまして、その協力分野中間報告で例示されたものに限定されるわけではございません。  他方、見直し後のガイドラインは、従来と同様、主といたしまして運用面における日米両国の役割及び任務並びに調整及び協力の一般的な大枠及び政策的な方向性というものを更新するものでありまして、沖縄の米軍の基地の整理、統合、縮小の具体的な在り方について論じるということは、これは必ずしも適切ではないというふうに考えております。  しかし、いずれにいたしましても、政府といたしましては、抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減に向けましては全力で取り組んでいく考えでございます。
  419. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米両政府におきましては、様々な幅広い分野において協力を進めています。そして、その協力分野につきましてはこの中間報告に例示したものに限られるものではないと考えています。  他方、今防衛大臣からもありましたように、この見直し後のガイドラインにつきましては、主として運用面における大枠や方向性を更新するものであるからして、米軍の施設・区域の再編といった問題を扱うこと、必ずしもなじまないというようにも考えています。  しかし、いずれにしましても、政府としましては、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減についてできることは全て行う、この方針で全力で取り組んでいかなければならないと考えています。
  420. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 中間報告では、平時から緊急事態までのいかなる段階においても切れ目のない形で日本の安全保障が損なわれることを防ぐその措置として、十二項目が列挙されています。  その中に施設・区域の使用というのがあります。これは、米軍に新たな施設・区域を提供し使用させたり、自衛隊との共同使用を拡大するということなんでしょうか。そうなれば、沖縄は負担軽減どころか更に基地負担が増えることになるわけですが、新たな施設・区域の使用提供の対象に沖縄は含まれるのかどうか、含まないのか、お答えを願います。
  421. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この施設・区域の使用に関しましては、一般に、日米の共同使用の拡大によりまして、日米共同の訓練あるいは演習の多様性、効率性を高めまして、情報収集、警戒監視、偵察活動の範囲や活動量を増やすことに寄与するといった意義があるというふうに考えておるところでございますが、中間報告の段階でありまして、この施設・区域の使用に関する日米協力の在り方については今後更に検討していくこととなります。  また、見直し後のガイドラインについては、日米両国の役割及び任務並びに協力及び調整の在り方についての一般的な大枠及び政策的な方向性を更新するものでありまして、今回の中間報告とか見直し後のガイドラインに基づきまして、沖縄を始めとする特定の施設・区域が新たに提供されるといった性質のものではございません。  ただ、先ほどもお答えさせていただいたように、政府といたしましては、この抑止力というものを維持しつつ、沖縄を始めとする地元負担の軽減に対しましては、やれることは全てやるというこの基本的な考え方の下において全力で取り組んでいく考えでございます。
  422. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この十二項目の中に施設・区域の防護というのがあるわけですが、日本が提供した施設・区域を武力で守らなければならない事態を想定しているのでしょうか。それはどのような場合と考えているのでしょうか。伺います。
  423. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきます。  今回のこの中間報告におきましては、日米が日本の平和及び安全の切れ目のない確保のために措置をとる分野といたしまして、委員指摘の施設・区域の防護というものを挙げております。この施設・区域の防護に関しましては、例えば、現行のガイドラインの策定後におきまして、平成十三年に警護出動というものが新設されたほか、各種事態において自衛隊と米軍が適切に協力できるように平素から様々な検討や訓練というものを実施してきているところでございます。  施設・区域の防護に関する日米協力の在り方につきましては、こうした点も踏まえながら、今後のガイドラインの見直し作業において更に検討してまいりたいと思っております。
  424. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今後、自衛隊によるこの対米軍事協力が際限なく行われるようになれば、周辺事態法にあるような自治体やそして民間に対して協力を求めることも増えるというふうに考えているのでしょうか。それは自治体や民間に軍事協力を要求することになり、自治体や住民、企業とそれからその労働者などに有形無形の被害や重圧を強いることになります。  そのような方向と政策には強く反対しますが、両大臣の御見解を伺います。
  425. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この中間報告におきましては、変化する安全保障環境を踏まえまして、より平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するために、様々な分野において二国間協力というものを強化するということにしておりますけれども、あらゆる状況におきまして、常に自衛隊が米軍に協力するということを意味するものではございません。自衛隊の活動につきましては、我が国といたしまして、自らの国益に照らして主体的に判断するものであるということはもう言うまでもございません。自衛隊の活動が米軍とともに際限なく拡大するといった今委員からの御指摘というものは当たらないと思っております。  いずれにいたしましても、日米ガイドラインの見直しと国内法整備につきましては、両者を整合させて進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、先ほど自治体、民間による協力の求め方というようなことのお話があったわけでありますけれども、具体的な法制の在り方とか法整備の内容というのは現在検討中でございます。  いずれにいたしましても、閣議決定で示されました基本方針の下において、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする観点ということから政府として検討を進めてまいります。
  426. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中間報告におきましては二国間協力を強化していくということを明記しているわけですが、我が国としまして、この自衛隊の活動につきましては、あくまでも我が国が自らの国益に照らして主体的に判断するものであるということ、これはもう言うまでもないことでありまして、御指摘のように際限なく拡大するというものではないと認識をしております。
  427. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 特に民間の協力につきましては、七月一日の閣議決定で見られますように、現に戦闘行為を行っている現場の近くでも後方支援ができるとなれば、輸送や補給、そして整備などに民間も動員される、動員できるということになるのでしょうか。そうなれば、民間人にも犠牲者が出るおそれが非常に大きくなります。このようなケースは朝鮮戦争でもベトナム戦争でも見られました。  このことについて明確な御答弁をお伺いいたします。
  428. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今委員から御指摘の、いわゆる後方支援についての支援活動につきましては、いわゆる武力の行使との一体化論、それ自体を前提とした上で、その議論の積み重ねも踏まえつつ、これまでの自衛隊の活動の実経験、あるいは国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案いたしまして、従来の後方地域あるいはいわゆる非戦闘地域といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切るという枠組みではなくて、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動につきましては、当該他国の武力の行使と一体化するものではないというふうな判断に至ったものでございます。  どちらにいたしましても、具体的な法制の在り方とか法整備の内容というものは現在検討中でございますが、いずれにいたしましても、閣議決定で示されました基本方針の下において、国民の命と平和な暮らしというものを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応というものを可能とする観点から政府として検討を進めてまいります。
  429. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、安保条約とこのガイドラインの関係についてお伺いをしたいと思います。  中間報告では、基本的な前提及び考え方として、日米安保条約その他の基本的枠組みは変更されないというふうにあります。その日米安保条約では、日本が武力攻撃を受けた際の米軍による支援と、日本から施設・区域の提供を受けた米軍が極東の平和と安全のために行動することが定められていますが、安保条約の規定はそこまでであります。  ところが、中間報告では日米同盟のグローバルな性質が強調され、協力の範囲を拡大するとされ、さらに、そのため地域の同盟国やパートナーとの三か国間及び多国間の安保・防衛協力を推進するというふうにされております。また、七月一日の閣議決定の内容を反映すると明記され、日本による集団的自衛権行使の場合の日米協力もうたわれております。これは安保条約の範囲をはるかに超えていると言わざるを得ません。  そこで、条約の批准は国会の承認が必要と憲法七十三条三号がちゃんと定められておりますが、国会の承認もなく条約の内容を変更するという約束をするのは憲法の規定を無視するものではないでしょうか、お尋ねいたします。
  430. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、中間報告の中にも明記されておりますように、見直し後のガイドラインにつきましては、日米安保条約及びその関連取決めに基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは変更されない、この基本的な前提及び考え方に従うということになります。  そして、我が国としましては、取り巻く安全保障環境、一層厳しさを増しています。我が国のみでは我が国の平和を守ることはできない、こうした認識の下に、我が国としましては、地域や世界の平和と安定を確保していくために貢献しなければならない、この国際協調主義に基づく積極的平和主義を掲げている次第です。  我が国のガイドラインの見直しは、一つ我が国の領域と国民を守るための取組であり、もう一つはこの国際協調主義に基づく積極的平和主義に対応するものであります。  こうした基本的な考え方に立つガイドラインの見直しですが、これまでも日米それぞれの主体的な政策判断の下で日米協力はグローバルな分野において行われてきております。ハイチの地震ですとか、フィリピンの台風被害ですとか、ソマリア沖のアデン湾での海賊対策など、こうした協力の実績は既に積み上げられております。  こうした従来の取組を踏まえて、先ほど申し上げましたような考え方に基づいてガイドラインの見直しは進められるものであると考えております。
  431. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 また、日米協力のための実効的な態勢の構築が指針の取組の目標というふうにされております。両政府が各々の具体的な政策や措置を反映することが期待されるというふうにもありますが、その期待という言葉は曖昧にしているというふうに思いますが、指針で合意したことを実行するのが政府の政治的義務になるという、そのような意味なのでしょうか。
  432. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これも、中間報告の基本的な前提及び考え方、この三章の中で明記しておりますが、「指針及びその下で行われる取組は、いずれの政府にも立法上、予算上又は行政上の措置をとることを義務付けるものではなく、また、指針は、いずれの政府にも法的権利又は義務を生じさせるものではない。しかしながら、日米協力のための実効的な態勢の構築が指針及びその下で行われる取組の目標であることから、日米両政府が、各々の判断に従い、このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される。」、このように明記しているところであります。  お尋ねの趣旨は、済みません、必ずしも明らかではありませんが、我が国の政府の取組は、いずれにいたしましても、政府自身の判断に従って行うことになると認識をしております。
  433. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 私がお伺いいたしましたのは、両政府が各々の具体的な政策や措置に反映することが期待されるというふうにありますので、期待というその言葉は曖昧にされていますけれども、その指針で合意したことを実行するのが政府の政治的義務になるのでしょうかというふうに伺いました。  それで、大臣はそれぞれの政府の努力目標が掲げられているだけで法的権利それから義務ではないという意味の御答弁されましたけれども、それでは、日本側がその指針の内容を実行しなくても日米関係には何の影響もないということなんでしょうか。
  434. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、このガイドラインは日米間の協力の在り方について一般的な大枠及び政策的な方向性を示すものであり、日米両政府の意思を表明するものです。  こうしたガイドラインの性格を踏まえて、また今般のガイドライン見直し作業は日米間で緊密に連携しつつ進めているものである、こういったことを鑑みるならば、中間報告で示されたとおり、見直し後のガイドラインについて、日米両政府が各々の判断に従い、各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される、これはもう当然のことであると考えています。  何の影響もないのかという御質問でございましたが、こうしたガイドラインの性格や連携の作業の進め方等を考えますときに、こうしたガイドラインの中身について、政策や措置において適切な形で反映されることが期待されるのは当然であると考えているところであります。
  435. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 政府間で合意することなので着実に実行していくということなんでしょうが、それは事実上義務と同じではないかというふうに思います。  条約の枠組みは変更されないといいながら、条約の内容を超えてその条約を事実上変更するようなそういう合意を認めるわけにはいきませんが、現行ガイドラインでは周辺事態対処がその大きな柱になっていますけれども、中間報告では周辺事態の言葉が全く消えています。  周辺をはるかに超えた日米の軍事協力に進むためなんでしょうか、お伺いいたします。
  436. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今回のこの中間報告におきましては、周辺事態という用語というものは用いられていません。他方、中間報告の段階でありまして、これをもって見直し後の指針における周辺事態概念の扱いが決定されたということでもございません。  また、例えば第六章では、地域・グローバルな協力について記述しておりますけれども、これは、日米両政府がより平和で安定した国際的な安全保障環境というものを醸成するために様々な分野で二国間協力を強化するといった考え方に基づきまして日米両国の協力分野に含まれ得るものを挙げたものでありまして、挙げられた分野についてあらゆる状況において常に協力するということを意味するものではございません。  また、いずれにいたしましても、この自衛隊の派遣ということにつきましては、我が国といたしましては自らの国益に照らしまして主体的に判断するものでありまして、自衛隊の活動が際限なく拡大するということもございません。
  437. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この中間報告は、先月の八日に取りまとめられ公表されました。最終的な見直し時期については、本委員会でも年末までにその作業を完了するような、そのような答弁がございましたが、具体的に協議を行っているとの報道にはいまだ接しておりません。  政府・与党内の検討や日米間の協議は進んでいるのでしょうか。具体的な内容は結構ですから、中間報告以降、それぞれの開催回数などを教えていただきたいと思います。防衛大臣にお伺いします。
  438. 江渡聡徳

    国務大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきます。  ガイドラインの見直しにつきましては、先ほど外務大臣の方からお答えがありましたとおり、昨年の十月の2プラス2におきまして、局長級の防衛協力小委員会に対しまして二〇一四年末までに作業を完了するということが指示されているわけでございます。先月の八日に、これまでのSDCの下で行ってきました作業というものを要約させていただきまして、中間報告というものを公表させていただきました。  中間報告公表後も、引き続き、日米で合意いたしましたこのスケジュールの下、先般閣議決定を踏まえました法制の整備との整合性にも十分留意しつつ、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿ってガイドラインの見直し作業というのを進めているところでございます。  他方、政府内の検討とか、あるいは日米間の協議の具体的な実施状況につきましては、依然検討中の段階でありまして、また相手国との関係もあることから、お答えというものは差し控えさせていただきたいと存じます。  そしてまた、委員からの御質問の与党内の検討状況ですけれども、そのことについては私自身お答えする立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  439. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 糸数慶子君、時間過ぎております。
  440. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 私は、安保条約の勝手な拡大やそのためのガイドラインの改定で日米の軍事一体化を進め日本が海外で武力行使をすることに強く反対をする立場であり、これは、グローバルな日米軍事協力のためには憲法も安保条約も無視するという軍事優先主義の、そういう状況の今のガイドラインの見直しではないかというふうに強く指摘をいたしまして、時間になりましたので、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  441. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  442. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 次に、原子力損害の補完的な補償に関する条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  443. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました原子力損害の補完的な補償に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成九年九月に国際原子力機関において開催された外交会議において採択されたものであります。  この条約は、原子力損害の賠償額を増加するために締約国間で補完的な資金調達の制度を設けること、原子力事故による原子力損害に関する訴えの管轄権等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結し、その早期発効に寄与することは、原子力損害についての世界的な責任制度の構築に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  なお、この条約中の原子力施設及び少量の核物質についての適用除外に関する規定並びに原子力施設から搬出され、原子力施設に由来し、又は原子力施設に送付される核物質に係る原子力事故により生ずる原子力損害及び原子力施設と同一の敷地にある財産に生ずる原子力損害についての事業者の責任に関する規定については、その内容に鑑み、留保を付することが適当であると認められます。  よって、ここに、この条約を所要の留保を付して締結することについて御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  444. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会