○浅尾慶一郎君 みんなの党代表の浅尾慶一郎です。(
拍手)
御嶽山の
噴火は、有史以来まれに見る火山
災害となっています。
被害に遭われた
皆様に心より哀悼の意を表します。また、依然安否が定かでない方の御
家族や、有毒ガスが発生する中、必死の
救助活動に取り組んでいる
方々に、心からお見舞いを申し上げます。
みんなの党も
災害対策本部を設置いたしましたけれども、今後、
農業被害等も想定される中、
政府には十分な対応を求めてまいります。
二〇五〇年、今から三十六年後には、皆さんは何歳でしょうか。もちろん、現役でこの議場で活躍されている方もいらっしゃるでしょう。
総理大臣になっている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、恐らく、多くは、私たちの子供や孫が活躍する、そういう
社会となっているのではないでしょうか。
現在、みんなの党では、二〇五〇年のあるべき
日本の
社会を、みんなの
日本二〇五〇とし、
皆様にお示しをすべく
議論を重ねています。
我々
政治家の本来の役目は、理想を熱く語り、それを
実現するための政策を冷静に考えることです。今を生きる私たちには、この国をよりよくし、未来を生きる世代に受け継いでいく
責任があります。そのためには、国家として目指す方向を示していく必要があります。
総理は、二〇五〇年、これからの未来をどうあるべきとお考えでしょうか。
総理のビジョンをお伺いいたします。
夢のある未来を語るためには、見たくない現実であっても、きちんと見きわめることが必要です。
総理、
経済の実態はどうなっているでしょうか。
確かに、株価は高値で推移しております。しかし、これは、
円安により外貨ベースで見て割安となった
日本資産を海外勢が買っているからではありませんか。
また、
日本の大
企業の多くが、今では、海外で
生産して海外で売るという構図になっています。このことで、海外での利益も、
円安でかさ上げされて計上しているからではないでしょうか。
だから、東証一部の一日の売買代金は本年四月以降およそ二兆円弱で横ばいとなり、過熱感のない株高と言われているのではないでしょうか。
総理、株価は、もはや国内の実体
経済をあらわしません。見たくなくても、現実をきちんと見るべきです。
実際に、四月から六月期の名目給与は前年に比べて〇・八%増にとどまり、三%の増税に追いついていません。給与が上がらないのに税金が上がれば、
国民は財布のひもを締めざるを得ません。
四月から六月期の実質消費は昨年に比べて五・二%減少、また、昨日発表された家計調査では、八月の消費は前年同期比四・七%減少。これは、
消費税が上がった四月から数えて五カ月間の移動平均で見ますと、過去三十年で最悪の結果であります。
失業率は低下しましたけれども、遅行指標である
雇用は、実は昨年の
経済状況を反映しているにすぎません。
また、
総理は、有効求人倍率の
改善をアベノミクスの
成果として挙げられましたが、これも、団塊の世代の方の引退等、労働力人口の年齢構造の変化や非
正規雇用の増加によるものではないでしょうか。
もはや
我が国の
経済は、増税前の
駆け込み需要に伴う反動減では説明のつかない悪化を続けています。
総理、このような景気の
現状をどう認識されていますか。
景気
対策として、公共
事業の上積みが
議論されることがあります。しかし、現下の状況を見ると、さらなる上積みをしても、景気
対策の効果は薄いと考えております。
今
国会では、
地方が一つのテーマです。全四十七都道府県、約千七百の市区町村の公共
事業の昨年度からの繰越分と本年度の予算の計上額の総額は二十二兆円ですが、ことしの六月末までにそのうちで支出済みとなった額は、たったの六・九%、一兆五千億強です。
総理、このような公共
事業の施行状況をどのように考えていらっしゃいますか。公共
事業を積み増しても、昔のようにお金がすぐには回らない状況なのではないでしょうか。
景気
対策には、みんなの党がかねてより主張している
消費増税凍結しかありません。
総理の御見解を伺います。
日本郵政が来年秋の株式上場に向けて
事業基盤の見直しに着手するという報道がありました。具体的には、国営時代から背負っていた七千億円の年金債務を処理し、将来にわたる支払い負担をなくすことで、
投資家への関心を高めようとしています。また、ほかにも、
日本郵便の
事業整備に六千億円を投じるとされています。
菅官房長官に
提言書をお持ちいたしましたが、みんなの党は、ゆうちょ銀行の資本額は過大であると、かねて指摘をしております。具体的には、現在十一兆円あります資本を七兆円
程度まで減資しても、ダブルA水準の優良
企業としての信用度を十分に
確保できると私どもは考えております。
みんなの党の指摘に対して、
日本郵政は何度も、現在の資本額は適正です、減資できませんという説明を繰り返してきました。しかし、先ほどの報道にあります資本の見直しが本当なら、十一兆円の資本から一兆三千億円を
日本郵政グループ内に用いるということではありませんか。
総理、ゆうちょ銀行の資本額十一兆円は適切ですか。ゆうちょ銀行の株主が間接的に
日本国一者である今のうちに、適正な資本規模に向けた減資を行い、
復興財源に充てることで、
所得税や住民税の増税を前倒し廃止する方がよいと思いませんか。お考えを伺います。
総理、冨山和彦さんのゾンビ
企業という言葉を御存じだと思います。グローバルの
経済圏で諸外国と一位を争うような
企業ではなく、ローカルの
経済圏で、既に役目は終わったのに、補助金や税制で命を長らえているような
企業のことです。不完全競争
市場であるローカルの
経済圏では、これらの
企業が生き残っていることで、労働力が固定化し、
生産性の低下につながっています。
私たちは、これからの
社会には新陳代謝が必要だと考えております。新しい
産業や
企業、
事業に予算をつぎ込む新陳は、これまでの
政府や
与党が得意としてきた政策かもしれません。しかしながら、
生産性の低いゾンビ
企業の
市場からの退出など、痛みを伴う代謝は、これまで見て見ぬふりをしてこられたのではないですか。
総理は、
所信表明演説の中で、個人保証偏重の慣行を断ち切りますと御発言をされました。これは今までの新陳の政策であります。代謝にも目を向け、転廃業の際の
経営者負担を軽減し、早期
再生・再編
促進型への倒産法制の見直しも必要です。
例えば、みんなの党が主張するように、公的
金融機関においても、私的整理ガイドラインの民間
金融機関と同じ基準で個人保証を入れた債務者に対応する考えはありませんか。
経営者が個人保証を入れている場合に、公的
金融機関でもその人に一定
程度の留保資産を残すことが代謝につなげることになります。
さて、今
国会の目玉政策の一つである
地方創生についてであります。
九月に公表された基準地価を見ると、三大都市圏では地価の
上昇が住宅地にも波及する一方で、
地方圏で約八割で地価が下落するなど、大都市圏への
経済と人口の集中が如実にわかる結果となりました。
みんなの党は、
地方創生には思い切った政策転換こそが必要だと考えています。これからも
日本全国一律に、さまざまな行政資産を建設、構築する必要があるでしょうか。それよりも、
地方の拠点都市へ政策のある種の集中を行うことで、魅力的な、暮らしやすい
まちづくりを目指すべきではないでしょうか。
例えば、
災害対策の
観点からこのことも重要であります。大規模な
土砂災害対策として、予算をつぎ込んで山肌をべたべたとコンクリートで固めてしまう選択肢と、
中心市街地へ移住を
促進し、その際の費用を大幅に公的に負担するといった選択肢を比較考量することはできないでしょうか。
個人の
財産を公的資金で拡充することの是非にかかわることですが、際限なくコンクリートで固めるよりもトータルの費用は少なくて済みます。
地方創生はばらまきになってはなりません。このような思い切った政策の転換を行う決意がおありか、お伺いをいたします。
人口減少社会において国力を維持する鍵は
生産性の
向上であります。そのためには、長期的に大切なことは人への
投資であります。
教育の重要性は誰もが認めるところです。その割には、
我が国の
教育面への予算の配分は余りにお粗末であります。
財源の制約があるというなら、思い切って
社会保障の伸びをゼロとし、その五〇%を
教育予算の拡充に振りかえるといった、将来世代を重視した考え方へと大胆な発想の転換はとれないでしょうか。
総理は、今回の
所信表明演説で、水素の
活用を阻んできた規制を昨年
改革しましたと御発言されました。これで岩盤規制
改革は終わりですか。
みんなの党は、電力、
農業、
医療の三分野で、闘う
改革を進めます。すなわち、電力自由化や、
農協の
経済事業と金融
事業の分離、
農業への株式会社の参入
拡大、混合診療
治療の解禁など、既得権益と闘う
改革です。
六月の
成長戦略では、
農協改革についても触れられました。ところが、
農協中央会
制度の見直し後の姿がいまだに不明確です。
加えて、
企業の
農地所有についても、
農業生産法人の出資の過半は
農業関係者というラインは死守した上で、さらなる
農業生産法人の要件の緩和は五年後見直しとしています。これは、さらなる要件緩和は今後五年間行わないということでしょうか。
総理が、向こう二年間、いかなる既得権益といえども私のドリルからは無傷でいられないと強くおっしゃった際、みんなの党は応援する姿勢を示しました。
改めて、
総理の岩盤規制打破に向けた覚悟をお伺いいたします。
総理は、去る九月二十五日、国連総会で、
日本の安保理常任理事国入りの決意を示されました。
そもそも、現在の国連が必ずしも機能していない部分もあるという認識は、私も共有いたします。安保理
改革は必要です。また、
我が国は、長らく、米国に次いで
世界第二位の国連分担金の負担国でした。もっと発言の機会を求めたいという考えもわかります。
では、そのために、どのような国連全体の
改革が必要とお考えでしょうか。
総理は、安保法制懇の報告書が出された本年五月十五日の記者会見で、
自衛隊が武力行使を目的として集団
安全保障に参加することは決してないと御発言をされました。仮に常任理事国入りした場合、自国も、すなわち
日本も、常任理事国として賛成した活動に参加しないということでしょうか。
集団
安全保障の活動は、拒否権が行使されず安保理において決した活動ですので、一般的に言えば、集団的自衛権行使の活動よりも広く国際的な
理解が得られるものです。
仮に
我が国が常任理事国になった場合、
総理は、集団
安全保障活動にどのように対応されますか。
また、集団的自衛権は限定的に行使するが集団
安全保障活動には参加しないという姿勢を、
我が国周辺諸国も含めて、他国にどのように説明し、常任理事国入りの支持を集めていく予定か、
総理のお考えを伺います。
原子力は、国が
責任を持って管理すべきです。
原発再稼働に際しても、その計画や
地元自治体への説明を電力会社に任せ、原子力規制委員会が審査するという体制のままでよいのでしょうか。
川内原発について、原子力規制委の審査が進み、来年にも再稼働の方向と報道されています。
仮に川内原発において重大な事故が発生したとき、避難をしなければならないのは
地元の住民です。
地元の皆さんに避難計画は共有されていますか。
もとより、みんなの党は、
世界標準の新基準に適合しない限り原発の再稼働を認めないという姿勢を明確にしておりますけれども、住民への十分な説明や避難計画の周知も、最低条件の一つです。事故が起こってからでは遅いのです。
総理の御見解を伺います。
八月二十一日に
経済産業省から、原発電力の固定買い取り
制度が提案されました。使用済み核燃料の処理や
廃炉費用などを電力料金に加算し、電力会社の収入を保証するものです。
経済産業省は、これで
事業者の
廃炉が
促進されると説明していますが、そもそも、
廃炉費用が発生することは、原発建設が始まったころからわかり切っていることです。なぜ、この期に及んで、
廃炉を
促進するために
国民の負担をふやすのでしょうか。
稼働できない原発は、電力会社にとっては大きな不良資産です。
企業は全て、不良資産を処理したいはずです。
みんなの党は、電力会社の
経営を圧迫し続ける原発を優良資産である送電網とともに国に売り渡すことができる原発国有化法案を
さきの
国会に提出いたしました。
原発
廃炉の費用は、利用者ではなく、原発政策を
推進してきた国がその一端を担うべきです。みんなの党の原発国有化法案が成立すれば、
廃炉に係る費用は、国が送電網の
運用利益で賄います。こうすれば、発送電分離と原発の国による管理が一挙に可能となります。
原子力を国が
責任を持って管理すれば、民意を踏まえて原発の将来を決めることも容易になります。
総理はどのようにお考えになりますか。
一九六一年五月二十五日、ケネディ大統領は、米国連邦議会での
演説で、今後十年以内に人を月に着陸させるとアポロ計画の
支援を表明しました。それから八年後の一九六九年の七月二十日、アポロ十一号が月面に着陸いたしました。
夢のあるビジョンを描く、それも指導者の大きな使命の一つです。
日本企業が、太陽光のみを使って二酸化炭素を植物以上の効率で固定化することに成功いたしました。こうした基礎技術をさらに
発展させて、植物の十倍、百倍の効率で二酸化炭素を固定化し、例えばエタノールがつくれるようになれば、大変な技術革新であります。これは、まさに
我が国が産油国となるような夢のある話であります。実は、人工光合成の
推進は、みんなの党の結党以来の政策でもあります。
ケネディ大統領がこのアポロ
演説をした際には、地球の周回軌道にすら人間を送り出せなかった、そうした時代でありました。
今、
日本が持っておりますこの基礎技術を使うことによって、例えば
日本が産油国になるような、そうした計画を国家の意思として打ち出していくということが
日本に大きな夢を与えることになるのではないか、このように考えております。
みんなの党は、
総理を初め、与野党を問わず皆さんと、理想を熱く語り、それを
実現するための政策を冷静に考えてまいります。
皆さんの御
協力をお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕