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飯泉嘉門君
徳島県知事の
飯泉嘉門でございます。
本日は、
鳩山委員長さんを初め、
地方創生に関する特別
委員会の先生方、ようこそ
徳島にお越しをいただきました。そして、このような場をおつくりいただきまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げたいと存じます。
それでは、
徳島県、私からの
資料で、「「
課題解決先進県」 〜
徳島の挑戦〜」、こちらをお開きいただきたいと存じます。
まず、一ページをごらんいただきたいと存じます。
我々
徳島を初めとする
地方というところは、全国に先駆けた
課題にまず直面をいたします。いわゆる
課題先進県であります。例えば、過疎化、人口減少、限界集落という言葉が出たとき、全国平均は一五・五、しかし、
徳島県の平均は、何と三五・五でありました。
また、急速に進行する高齢化、
日本全体では二〇二五年問題とよく言われますが、
徳島県では、二〇二〇年に六十五歳、つまり、
高齢者の皆さん方の人口のピークが訪れてまいります。
また、テレビが双方向になって便利になる地デジ化。しかし、四十六都道府県は便利になっても、
徳島県は、アナログ時で十チャンネル見えていたものが、何と放送法上の三チャンネルになる、大きなピンチとなるところであります。
また、南海トラフの巨大地震、これにつきましては、死者は三万一千三百、人口の四%にも及ぶこととなります。
そこで、二ページをごらんいただきます。
このたび、
日本創成
会議の方からシミュレーションが示されました。左側にありますように、今後、
地方の
高齢者が減少
局面を迎える、これに伴い、
地方は介護の職場から女性がいなくなってしまうんだ、特に三十九歳以下の女性の人口が都市部へ流出をする、この人口減少については、想定以上のスピードで減少を迎えるということで一覧表が出されまして、
徳島県の那賀町あるいは神山町に至っては、減少率が八〇を超えるであろう。ちなみに、四国で那賀町が一番、神山町は三番の減少率となります。
では、個別に見た場合はどうなっているのか。神山町の例を右の方に示させていただいております。
神山町は、既に
高齢者人口は減少
局面に入っております。しかし、介護従事者に占める若い女性の皆さん方の比率は、この十年変わっておりません。また、人口の流出、あえて言うと、東京圏からの入超となっているところであります。という形で、個別をやはりごらんいただく必要があるということであります。
三ページをごらんいただきます。
今、
日本全体の
課題となりました人口減少問題にチャレンジをしていく。この処方箋を出すことによって、
課題解決先進県を
徳島は目指そうと考えております。
今、政府の掲げる
日本再興戦略、ここでは、やはり
地域の強みを生かして
課題解決の処方箋を出す、そして、
徳島発の施策を
日本の標準、ジャパン・スタンダードへ。かけ声はいいわけでありますが、やはり国の強力な
支援あってこそということでありまして、金太郎あめではなく、あくまでも
地域ならではの
取り組みに着眼をして応援をしていただきたい。また、今もずっとお話がありましたように、単年度の
支援ではなく、基金などを活用した
継続性のある
支援をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、
日本の目指す世界最高水準IT利活用社会の実現。これからは、地デジ、マイナンバーと、新しい制度がどんどん入ってくるところであります。
また、二番目にありますように、今、生涯現役社会を目指そう。百歳以上の人口、何と五万八千八百二十名、これまでで最高の
日本となっております。
高齢者、障害者の皆さんは
地域に支えられる存在とよく言われますが、そうではなくて、これからはまさに、
地域に貢献をする、
地域を支える存在へ持っていくのが大きな方向ではないかと考えております。
三番目、女性が輝く
日本ということで、女性ならではの、また、子育てなども考えた上での、やはりテレワークを導入してはどうであろうか。インターネット全盛期、これを大いに活用しようということであります。
また、
地方というところの基幹産業は、何といっても農林水産業であります。国が六次産業化を掲げる、二〇二〇年までに十倍の市場規模ということであれば、そのための人材育成の
体制をしっかりと、そして、農林水産業にこそ若者の雇用の場をつくるべきと考えております。
そこで、以下、
徳島の具体的な施策を、この四点について申し上げたいと存じます。
四ページをごらんいただきます。
IT利活用社会についてであります。
徳島県では、今申し上げましたように、地デジを、ピンチをチャンスに切りかえる、光王国
徳島となりました。これによって、地デジ対応はもとより、ブロードバンド基盤ができ上がる。また、IP電話、同じエリアでは電話代がただであります。また、ローカル放送としてのCATV多チャンネルの活用ということで、三年連続でケーブルテレビの世帯普及率は
日本第一位、しかも、後発の利ということで、各家庭は光ファイバーで結ばれております。
また、
東日本大震災発災以降、東京、大阪のITの企業の皆さん方は、クライアントから危険分散をすべきではないかと言われました。しかし、彼らにとってみますと、東京、大阪以上のブロードバンド
環境はどこにあるんだと。そこで、
徳島の方から、ぜひ
徳島へということを申し上げたところ、左下にありますように、企業の皆さんにとってのリスク分散、また、社員の皆さんにとっては、あの通勤地獄から解放され、そして、効率よく
仕事をすれば、その後、サーフィンであろうと山登りであろうと釣りであろうと、すぐそばでそうした余暇を楽しむことができるようになります。また、
地域にとってみますと、若い皆さん方がその
地域に来ていただける、
地元雇用はもとより、
地域の活性化につながることとなります。
右側に、神山町の事例を載せさせていただいております。
このサテライトオフィスの結果、神山町の人口は、昭和四十五年、過疎法制定以来初めて社会増が社会減を上回ることとなりました。今、既に神山町には十一社、そして美波町には六社、三好市に四社という形で、続々とICTの企業がサテライトオフィス、場合によっては本社にしてしまうところも美波町では出ております。
また、このバックボーンネットワークを活用して、4K、次世代のスーパーハイビジョン、このイベントなどについても、昨年そしてことしと、
徳島県で行われております。
次に、五ページをごらんいただきます。
生涯現役社会の実現ということで、アクティブシニアの状況です。
葉っぱビジネスいろどり、今、
横石さんからもお話がございました。上勝町は、実は、高齢化比率は県内最高の五四・三%です。今、
日本は、最新のデータが出まして、二五・九%であります。これを見てもおわかりのように、では、医療費なども高いのではないかとお思いかもしれませんが、実は、医療費は、県内市町村で少ない方から三番目であります。それもそのはず、四世代の皆さん方が、九十歳などのお母さん方のもとで働くという形、そして、タブレット型端末を持って、このお母さんたちがまさに受発注を行うところでありまして、上勝町におきましては、既に過去十年間で五回も社会増が社会減を上回っております。
では、どうして
高齢者がICTを利活用できるのか。ICT弱者は
高齢者、これが
日本の常識であります。しかし、
徳島では逆に、
高齢者こそICTを利活用していただいております。
県のシルバー大学校あるいはシルバー大学院の方では、一番倍率が高いのがICT講座であります。特に、大学院におきましては、卒業の要件として、シニアITアドバイザーの一級から三級をお取りいただいておりまして、結果として、卒業すると、シルバー大学校の講師を、また、場合によっては、小学校に行って子供さんたちに教える
立場となっているところであります。
次の六ページをごらんいただきます。
女性が輝く
日本の実現、
徳島版のウーマノミクスであります。
徳島県におきましては、まず、県における審議会の女性
委員の割合は、六年連続で第一位、四八・六%であります。まさに行政におきましても、女性の皆様方のいろいろな英知と、そして感性を取り込ませていただいております。また、民間におきましてもどんどん進んでおりまして、会社役員の割合も全国第一位、全国平均の約一・五倍となっております。
そういうことで、この情報通信関連産業を集積するに当たり、女性の雇用をどんどんということで、コールセンター、データセンター、今では、
平成十五年四月ゼロ社であったものが、十一社十五
事業所、女性を
中心に千名を超える雇用が生まれております。
しかも、コールセンター業務の特色というのは、より年を重ねるごとにベテランとなるということで、産休、育休からの復帰率が何と一〇〇%の会社も出てきております。
どちらかというと、
徳島市内が
中心でありますが、昨今では、逆に、美波町であるとか東みよし町という、いわゆる
中山間
地域にも、サテライト型の小規模コールセンターが展開をするようになりました。
そういう形で、新たな働き方のこのテレワーク、時間、場所、これを超えた柔軟な働き方、子育てをしている間でも十分に対応が可能と。であれば、率先垂範、県庁におきましても、ことしは試行を行っているところであります。
また、これらをバックアップするためのテレワーク活用ネットワーク
会議、こちらも、企業、NPO法人の皆様方との協力
体制を既につくり上げているところであります。
そして、今後、また女性の登用において大きな
課題となる女性管理職の皆様方の介護離職問題、これについても、テレワーク、モバイル化というのが大きな光明となると考えております。
七ページ、攻めの農林水産業の実現であります。
まず、県土の七五%が山林である。
日本も同様でありまして、そうした点を考えると、やはり
林業をもう一度
日本の成長産業に据える必要があります。
そこで、地球温暖化に着眼をし、なかなか
林業は難しいと全国では言われておりましたが、
徳島県では、
平成十七年から
林業再生、十九年度からは
林業飛躍と、山に高性能
林業機械を入れることで、間伐そして主伐へと。今では、
平成二十三年度から、次世代
林業プロジェクト、十年計画を進めているところであります。
当然、川上、川中、川下、それぞれのてこ入れが必要となるわけであります。まず、川下としては、県産材の利活用をどんどん進めていくポイント制度なども国に提言し、既に国の制度となっております。また、川中では、合板など、A材、B材、C材、それぞれを加工できる
日本を代表する企業を誘致して、おいでをいただいております。
こうすることによって、あとは生産
体制、川上となるところでありまして、この高性能
林業機械の活用によりまして、特に若い世代の皆さん方が、どんどん
林業に入っていただいております。那賀町におります三十歳代までの山武者という若い皆さんだけで三十四名もおり、Uターン、そして大阪などからのIターンの皆さん方が多くおります。
最後、八ページとなります。
今回、国におきましては、東京一極集中を何とかしなければ人口減少問題の解決は難しいと言われております。しかし、これまで四全総、新全総など、国の多くの全総計画、今ではそれもなくなったところでありますが、この中で東京一極集中の打破を掲げましたけれども、逆に東京一極集中はどんどん加速するばかりとなりました。これによって多くの人々が東京へと、そして東京に行った皆さん方は、人、物、金、情報も含め、これが全て東京に集中をいたしますので、東京を出るという考えがなかなかないところであります。
そこで、
地方のよさをしっかりと知っていただくため、今回、若手のタスクフォースを
徳島県、一月から築き上げました。また、東京に業を構え、そして神山の方にサテライトオフィスとして来ていただきましたドローイングマニュアル、ちょうどNHKの「八重の桜」、あのタイトルバックを行った会社でありますが、その菱川氏たちと共同
作業で、県の施策の共通コンセプト「VS東京」を出させていただきました。
これによって、東京にいる皆様方に気づきを与え、そして、
徳島を初めとする
地方への回帰を促していく。これによって、さらに
地方が元気となり、人、物、金をさらに東京に送ることによって、いい循環をつくれればと。ちなみに、ユーチューブに流し、約一カ月で十三万回の
再生となっております。
結びとなりますが、今回は、まさに
日本にとって、
日本の国全体の創生の最終の機会ではないかと我々は考えております。国の本気度と我々
地方の覚悟が試される。今回、ぜひ、異次元の、また大胆な、一国二制度なども踏まえた制度の創設を先生方によろしくお願い申し上げたいと存じます。
どうもありがとうございました。(拍手)