○宮沢(隆)
委員 次世代の党、宮沢
隆仁です。よろしくお願いします。
私、
派遣法については、正直言いますと全く素人でしたが、それなりにいろいろ勉強しまして、それから、本日の今までの
審議を聞きまして、大分勉強にもなりましたし、いろいろな疑問点がある程度明確になってきました。
その内容を
お話しする前に、私自身の
労働環境を、多様性の
一つという
意味で簡単に御紹介しますと、私が医者であることはここで何回も申し上げましたが、私が研修医のころは、大学病院で月給三万円で働いていました。働く内容というのは、一週間ぶっ続けで病院に泊まったこともありますし、それこそ、今思うと
労働環境としては無法地帯ですね。
ただ、では、何が働くエネルギーになっていたかといいますと、やはり一人前の外科医になりたい、もうその一心だけです。だから、仕事の内容がどんなにつらかろうが何だろうが、それをやらなきゃ外科医になれないんだったらもうやるしかないという、それしか考えていませんでした。今考えると、それでは本来いけないんだろうと思うんですが。
ただ、その中でも、やはりいわゆるスクリーニングされていくんですね。やる気のある人、ない人、スキルの高い人、低い人、それからコミュニケーション能力のある人、ない人という形で、若い外科医たちの中から少しずつ減っていくんです。最終的に、それなりの技量に至った人たちが一人前の外科医となって、三十年、四十年とやっていくわけです。ということは、その中に、能力の差、やる気の差、それからモチベーションの差等、さまざま個人差というのが当然出てきます。
それから、ちょっと報酬の
お話をしますと、日本では、外科医だろうが何科の医者だろうが、どこの病院でも報酬はそう大差ないです。ところが、アメリカへ行きますと、心臓外科医、脳外科医というのは億万長者が結構います。そのかわり、リスクも高いので、保険料を何百万も払っている医者もいますね。訴訟も、どんな神の手でも訴訟はありますから、結局、訴訟に負ければそれを払うという形になります。
それからもう
一つ、さっき非
正規で高報酬でもいいんじゃないかという
お話が井坂先生の方からありましたが、本当にゴッドハンドと言われているような医者は、それこそ非
正規で、世界じゅうを飛び回っています。私が知っているF先生なんかは、僕も一週間ぐらい一緒に仕事をしたことがありますけれども、本当に上手で、それこそ、結果もいいということでそれを評価されて、いろいろな病院から引っ張られるわけですね。そうすると、日本では余り高額の報酬はなかったみたいですけれども、アメリカでは普通に物すごく高い報酬を一回の手術だけでもらえるという世界だそうです。
だから、そういう
意味でいくと、アメリカと日本を比較した場合に、いわゆる
労働に対する価値観も全く違うし、
労働の流動性という
意味では、それも全く違いますね。やはりアメリカの方がずっと高いですね。恐らく、今までの
議論は、いわゆる日本の
労働環境の特性を念頭に置いた上で、この
労働者派遣法改正案をどうするかという
議論だろうと思うんですが、世界にはそういう国もあるということは知っていてもいいかなと思います。
先ほど、実は長妻議員とか山井議員の資料を見てこれはすごいと思って、やはり勉強量ではちょっと負けたなと思ったんですけれども、私がきょうの
議論をずっと聞いていて感じたことをそのまま述べます。私は現在、この
法案については全くフラットな立場で、別に今の時点で個人的には賛成も反対もどっちもちょっと表明できないなというぐらいの感じですね。
それで、
一つは、自由主義をとるのかとらないのか、自己責任でいくのかいかないのかという
議論が余りたくさんないなと思いました。すなわち、これは
労働者のやる気とか、今
お話が出たモチベーション、能力に応じて、当然その中身は差が出てくるはずですね。それがそのまま自立に向かうと思うんですけれども、余り
保護し過ぎたら、かえってそれはマイナスかなと感じました。
なぜかといいますと、今、外国人、特に英語なんか普通にぺらぺら話せるような中国人、韓国人が日本にどんどん入ってきていますので、普通に並列で並べられたら、日本の
企業は、恐らく外国人の能力のある人を採ろうとしますよね。だから、そういう
意味で、日本人の
労働者ばかり
保護するというのもちょっと違う方向かなと
一つ感じました。
それから、
法案のいわゆる明確性というキーワードで見ると、民主党の先生方おっしゃるように、明確でない面が結構あるなと。そこを今後省令とか政令で補っていこうという意図があるんだろうと思うんですが、公明党の先生方から
理事会に出されたもの、これを後でもう一回
見直したんですが、結構いいことを言っているなと私は思いました。ただ、ちょっと出すタイミングをしくじったのかなと思いましたけれども。公明党の先生方がこういうのを出すぐらいですので、それはやはり厚労省側も与党の先生方ももうちょっと念頭に置いてもいいんじゃないかな、明確性という
意味で。
それから、
実効性というキーワードも盛んに出てきました。これも、先ほどの、職務内容を評価するとか、それからスキルアップの内容とかというのに関しても
実効性が本当にあるのかないのかという
意味で、私もちょっと首をかしげたところがあります。
それから、先ほどから
正社員、
正社員と、
正社員は理想郷のような
お話が出ていましたが、本当にそうなのかなと。医者の立場でいいますと、
正社員になってメンタルストレスで潰れている人というのは結構いるんですね、責任が重いとかいろいろな
意味で。だから、もうちょっとフレキシブルに考えて、
大臣も先ほどから
派遣を望む人もいるとおっしゃっていますけれども、まさにそのとおりだろうと思うんです。だから、余り
正社員を理想郷のように考えて
議論するのは、ちょっとどうかなというのが私の印象です。
先ほどアメリカの話をしましたが、あとは、日本人はこれから
労働に対する価値観をどこに置くのだろうというところが、いろいろな
意見が出ましたけれども、結局定まっていないですよね。だから、そこら辺を今後どうするかというのを先にやって、それで
労働者派遣法をどうするかという
議論の方が私はわかりやすいかなと思いました。
細かいことはこれからお聞きしようと思うんですが、今の私の感想を
大臣はどのようにお感じになりますか。そこをちょっと、私の今感じたままをそのまま述べましたけれども、コメントをいただければありがたいです。