○椎名
委員 椎名毅でございます。
本日、二十八分間という若干中途半端な時間ですけれ
ども、質疑時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
冒頭、質疑に入ります前に、自民党の
鈴木先生それから民主党の菅
先生から、それぞれ
国会事故調について御
指摘いただきましたので、ちょっとそれについて言及をさせていただきます。
まず、
鈴木先生から御
指摘いただいた、
東京電力福島原子力発電所事故の
分析中間報告書案というものに対してという話なんですけれ
ども、これに対して、私は黒川さんとこの間お会いしまして、
規制庁の方から黒川さんに対して、元
国会事故調委員がコメントを求められているということで、コメントを求めたということがあるそうですけれ
ども、では、それは法的性格はどういう性格なのかと言われると、それは私的文書ですという扱いだったそうです。それに対する理屈の
説明としては、一応、
国会事故調は既に解散しておって法的組織ではないということだということで、私的文書としてお願いをすると。
それに対して黒川さんから
説明を求め、たかだか一カ月ぐらいでその
報告書に対する回答を
検証して出すことはできない。というようなことをすると、いろいろルール、手続があって、結局、元
国会事故調のメンバーの
方々から
意見を聞かずに今回の
報告書案が公表されているという事態が起きているという話は私も聞いております。
国会事故調という組織は、出した
報告書の中身に実は意味があるわけではなくて、出した
報告書ではなくて、
国会事故調という組織そのものに実は意味があるんですね。これは何なのかというと、民主主義的な意味なんです。
それは何かというと、
日本は議院
内閣制なので、特に自民党の皆様方、公明党の皆様方が与党として政権に入られているので、何となく
国会、立法府と行
政府は分離していないように見えるわけですけれ
ども、一応役割は別なんですね。立法府は、行
政府に対する監視、監督と、それから法律という形で枠組みを設定することが立法府の枠組みなわけですね。行
政府に対する監視、監督をするというのが、それはすなわち国政
調査権なわけです。今まさに私、我々がここで質疑をしているのも、国政
調査権の発露なわけですね。
そういう立法府の役割をより充実させるという意味において、
国会事故調という組織を立法府の下に諮問
機関として設けたということそのものにすごい意味があるわけですね。
今まで、議院
内閣制という制度の中で、さらには五五年体制が続いている中で、政権交代がない中で、立法府と行
政府が事実上一致してきたわけですね。そういう中で、立法府による行
政府に対する監視、監督というのが、
国会の外、要は自民党の中で行われてきたわけですけれ
ども、そういう構図とは違う構図をつくることに意味があったわけです。定期的に政権交代がもしかしたら起きるだろうという事態の中で、立法府の機能を改めて新しく提示をすることに
国会事故調の意義があったわけですね。
そうだとすると、元
国会事故調の
委員というのは、確かに、もう既に解散していて
委員ではないので、要するに一市民なわけですね、何の意味もない一市民なんですけれ
ども、一応、
国会の議長の名前で委嘱状をいただいて、
国会から立法府の諮問
機関としてこの
委員会を
設置したわけですね。そうだとすると、プロセスとしては、やはり、これは、民主主義の中で、
国会による行
政府の監視という機能を持っていた
機関であるということに対する尊重が必要だと思うんですね。
だから、
規制庁から、この
東京電力福島原子力発電所事故の
分析中間報告書案を元
国会事故調の
委員に対して見てもらうということであれば、
国会を通した、立法府を通したプロセスを通じて委嘱をして、それでチェックをしてもらうという手続が必要だと思うんですね。
さらには、これは科学的な
報告書かと言われると、確かにそうではないんですけれ
ども、一応、
アメリカの科学アカデミーが同じように
福島の
原子力発電所の
事故についてレポートを出しているわけですけれ
ども、それも、
委員長は科学者ですからよくおわかりだと思いますけれ
ども、論文を書くときに、科学的な論文を一流の雑誌に出すときに、ピアレビューを経るわけですよね。当然だと思います。これと同じ手続をやはり経るということが必要であって、
透明性、
公開性に対してそれなりに疑義が生じかねないという、先ほど
鈴木先生から御
指摘いただいた話というのは、それなりにやはり意味のあることだと思って、
規制庁の方はぜひちょっと頭に置いてほしいんですね。
もし仮に元
国会事故調の
委員の
方々から
意見を聴取するのであれば、やはり立法府を通じてやるというのが正しいプロセスなんじゃないかなと私は思います。それが立法府と行
政府の役割分担という意味そのものであり、それが
国会事故調を
設置したという意義なんだろうというふうに思っております。
先ほど菅
委員から、
国会事故調が提示した
提言の話がありましたけれ
ども、それも全くそのとおりで、特に、この
委員会に常設の、一般人というか科学者から成る諮問
機関をつくるという
提言そのものは何かというと、我々はしょせんやはり
原子力に対する素人ですが、この
委員会は、
原子力規制の
あり方と
原子力規制のプロセスそのものについて、
国会が国政
調査権を行使する役割を持った
委員会であるということなので、我々はしょせん素人ですから、
原子力のテクニカルなことはわからないので、それに対して参考になる組織をつくるべきであるという問題意識から、諮問
機関をつくってほしいという
提言を出したんです。
それは、やはり、議運の申し合わせにもあったとおりですけれ
ども、これはぜひとも真摯に受け取ってほしいというのが、私、
国会事故調の元
事務方ですけれ
ども、先ほど菅
委員が出した
提言書とかも事実上、下書きとかをしている、そういうメンバーだった人間からの、私からもお願いをさせていただきたいというふうに思います。
さて、本題に入ります。
川内
原発の再稼働に関して、菅
委員から、私が従前から
指摘をしてきたいわゆる政治的無
責任の構図というものを今の質疑であぶり出していただいたので、そこから入ろうかと一瞬思ったんですけれ
ども、一応やはり質疑通告どおりにいきます。
IAEAの五層の防護というのがございまして、
事故発生の防止に関する一層目から三層目、それから、シビアアクシデント対策、
事故影響の緩和という四層目から五層目ということで、従前、
事故前から、特に
事故前は三層目までしか定められていなかったということで、今回の新
規制基準で四層目についても一応対応するという形になっていることについては、非常にそれは
評価できることですけれ
ども、五層目の、放射性物質の放出を想定して放射線の影響、周辺住民に対する影響緩和というところについては、非常に重要であるにもかかわらず、これは、法律の名宛て人が違うとかいろいろな理屈に基づいて、炉等
規制法とその施行規則の中には基本的には定められていないということなんですね。しかし、一応、この五層目については、
原子力防災訓練と避難計画の整備、この二つが基本的には非常に重要だと思っています。
何が言いたいかというと、
原子力防災訓練について伺います。
さきの週末、十一月の二日、三日、石川県の志賀
原発で
原子力総合防災訓練というのが行われております。私も、志賀
原発に行きまして、そのテレビ
会議の様子等を含めてですけれ
ども見てまいりました。
田中委員長は官邸からということで御参加をされていて、現地対策本部長という形で小里副
大臣が参加をされていらっしゃいました。
できれば、やはり参加をされた小里副
大臣に来ていただきたかったんですけれ
ども、環境
委員会が参議院でやられているということで、きょうは福山政務官にいらっしゃっていただいております。本当にありがとうございます、お忙しい中。
やはり、防災訓練というのは非常に重要だと思うんですね。今回参加をした中で一点疑問があったのが、今回の防災訓練の想定というのが、これは本当に最も過酷な
事故を想定して、それで避難をするということを、リアリティーを持って想定したものなのかというのは、やはりすごい疑問があったわけです。その点について福山政務官にお答えいただければと思います。
〔
委員長退席、齋藤(健)
委員長代理着席〕