○林(宙)委員 そうしますと、今後こういった自由貿易
協定を進めていくに当たって、ほかの国とも、ほかの国といっても、食料という
意味でいくと、現実的にはアメリカですとかEUですとか、そういったところになっていくのかもしれませんが、こういった食料供給章といったものを積極的に入れていくのかどうかというところは、ぜひ、今の段階でどうお
考えなのかというのはちょっとお聞きしたいなと思っています。
というのは、多くの国とこういった
協定を結んでいくと、やはり
日本の食料資源というのはある種限定的というか、全てを
日本国内だけで賄えているという現実にはなっておりませんので、有事のときに食料安全保障上でも非常に大きな
意味を持ってくる。
食料安全保障という観点で
議論をすると、大体、立場というのは
二つに分かれると思うんです。一つは、
できる限り
日本の国内で食料を賄いましょう、海外からの輸入はある種補完的に
考えていきましょうというふうに寄っていく極、一つの極。もう一つは、もちろん国内でつくらないというわけではないんですけれ
ども、
できる限り海外で食料を確保
できる場所を確保していって、どこかの国がことしはちょっとなかなか輸出が難しいとなればほかの国から融通していただく、ある種、ポートフォリオを分散的に
考えていく、そういう
二つの大きなポジションがあると思うんです。
やはり農業の話をしていくと、今のところは、食料自給率を向上させる、まあ、最近は自給力というものも出てきましたが。そういう流れの中で、基本的にはその
議論を補完する後ろ盾として今まで言われてきたことは、海外からの食料の供給が途絶えたときのことを
考えて、国内の農業を、ある種、補助金をつけてでも振興していくんですという立場になってくるわけですね。これが主流だったと思うんです。
ところが、今後多くの国と食料供給章というようなもの、もしかしたら将来的にはもっと強い内容に
できるかもしれません、そういったものを結んでいったときに、何か、余りにも全世界的に飢餓に陥るような状態なんていうのがあればまた話は別ですけれ
ども、そのときは
日本だってそうなるわけで、どこかの国がちょっと今回は輸出が余り
できないよというようなことになったときに、いろいろなところから食料を確保
できるような状態がもしつくれるとすれば、むしろ、国内で自給率をそんなに一生懸命財源を使って高めていかなくてもいいんじゃないのという
議論も、声が大きくなってくる可能性というのはあると思うんですよ。
そういう
意味で、今までやってきたこの食料自給力向上という
政策とちょっと逆の方向に進んでいく可能性も、もしかすると登場するのかなと思っているんですが、そのあたりについてはどのようにお
考えになっていますか。