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2014-03-10 第186回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年三月十日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月七日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     直嶋 正行君      牧山ひろえ君     増子 輝彦君      吉良よし子君     井上 哲士君      浜田 和幸君     平野 達男君  三月十日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     福山 哲郎君      増子 輝彦君     野田 国義君     佐々木さやか君     河野 義博君      谷合 正明君     若松 謙維君      山田 太郎君     松田 公太君      東   徹君     室井 邦彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  力君     理 事                 青木 一彦君                 宇都 隆史君                 大家 敏志君                 片山さつき君                北川イッセイ君                 大塚 耕平君                 那谷屋正義君                 秋野 公造君                 中西 健治君     委 員                 石井 正弘君                 猪口 邦子君                 大野 泰正君                 古賀友一郎君                 佐藤 正久君                 佐藤ゆかり君                 中西 祐介君                 二之湯 智君                 堀井  巌君                 丸川 珠代君                 三木  亨君                三原じゅん子君                 三宅 伸吾君                 山下 雄平君                 山田 俊男君                 渡辺 猛之君                 石上 俊雄君                 石橋 通宏君                 大野 元裕君                 金子 洋一君                 田中 直紀君                 直嶋 正行君                 野田 国義君                 福山 哲郎君                 増子 輝彦君                 安井美沙子君                 河野 義博君                佐々木さやか君                 新妻 秀規君                 若松 謙維君                 松沢 成文君                 松田 公太君                 井上 哲士君                 大門実紀史君                 片山虎之助君                 室井 邦彦君                 福島みずほ君                 平野 達男君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域、地        方分権改革))  新藤 義孝君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣   下村 博文君        厚生労働大臣   田村 憲久君        農林水産大臣   林  芳正君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      茂木 敏充君        国土交通大臣   太田 昭宏君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     石原 伸晃君        国務大臣        (復興大臣)   根本  匠君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣防災)        )        古屋 圭司君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、科        学技術政策、宇        宙政策))    山本 一太君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君    副大臣        財務大臣        復興大臣    愛知 治郎君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 亮治君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       由木 文彦君        内閣原子力災        害対策担当室長  黒木 慶英君        外務大臣官房国        際文化交流審議        官        齋木 尚子君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        香川 剛廣君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   北野  充君        文部科学省初等        中等教育局長   前川 喜平君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    蒲原 基道君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      加藤 洋一君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁廃炉汚染水        特別対策監    糟谷 敏秀君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      高橋 泰三君        環境大臣官房審        議官       三好 信俊君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    梶原 成元君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房審議官  山本 哲也君    参考人        東京電力株式会        社代表執行役社        長        廣瀬 直己君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十六年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十六年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十六年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山崎力

    委員長山崎力君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十六年度総予算案審査のため、本日の委員会東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎力

    委員長山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山崎力

    委員長山崎力君) 平成二十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、災害復興エネルギーに関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十四分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党百四分、民主党・新緑風会百九分、公明党四十六分、みんなの党四十五分、日本共産党三十五分、日本維新の会三十五分、社会民主党・護憲連合二十分、新党改革・無所属の会二十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりであります。     ─────────────
  5. 山崎力

    委員長山崎力君) 平成二十六年度一般会計予算平成二十六年度特別会計予算平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、災害復興エネルギーに関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。片山さつき君。
  6. 片山さつき

    片山さつき君 明日で東日本大震災から三年目に当たりますので、まず冒頭、改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、また御遺族に心よりお悔やみを申し上げます。  私はこの三年間で五十八回被災地に入りまして、津波地震で人生でこつこつつくり上げてきたお店や工場や船を失ったけれども、それでもやり直そうという皆様の御相談に乗らせていただいてまいりました。その過程で、自民党の責任者の一人として数本の立法にも関与してまいりました。  安倍総理総理自身、超過密日程を縫って度々被災地を勇気付けていらっしゃいます。土曜日もいわきに行かれて、何か総理がイカを召し上がったとか、それから、やまかくという女性の関係者がよく行かれるお店でみんなと御飯食べてくださったという喜びの電話やメールが入ってまいりました。  マスコミは確かに、遅いことばかり強調します。今日もそういう議論になると思いますが、進んでおることもございまして、その発信が余りにも少な過ぎますので、まず冒頭総理から、安倍政権でここまでやれたという点を前向きにお答え願いたいと思います。
  7. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私も、片山委員にはかなわないわけでありますが、内閣発足後一年と二か月の間、合計十三回にわたりまして被災地を訪問をしてまいりました。一昨日も福島を訪問したわけでございますが、福島を六回、宮城五回、岩手三回ということでございますが、そうした中で絶えず現場の声に耳を傾けながら取り組んでまいりました。  昨年の春の段階では、用地確保が難しいといった切実な声を伺うことが多かったわけでございます。いつ、どこに、そして何戸の住宅が再建されるのかの見通しも立っていなかったわけでございます。このため、昨年の三月に、地震津波被害被災地について、被災者方々にこうした住まい見通しを持っていただくために住まい復興工程表策定をいたしました。まさに、どのように生活が再建されていくかを見えるようにしたところであります。  また、人材や資材不足への対応策被災自治体における人員の確保、そして用地取得迅速化など、現場課題にきめ細やかに対応するため、加速化措置を打ち出してきたところであります。  現在、高台移転計画は全地区法定手続を完了いたしました。高台移転災害公営住宅の建設は約七割以上で事業が始まっています。被災地は、計画策定段階からいよいよ工事段階に入ってきたと言ってもいいと思います。来年三月末までには二百地区に及ぶ高台移転と一万戸を超える災害公営住宅工事が完了する見込みであります。震災で発生した膨大な瓦れきについても、宮城県と岩手県ではこの三月中に全てが処理を完了する予定でもあります。  また、大切ななりわいでありますが、産業なりわい再生につきましては、中小企業グループ補助金による施設復旧仮設店舗工場整備支援することなどによって鉱工業生産はおおむね震災前の水準に戻っています。被災した農地についても、七割で営農が再開できる見込みとなっています。  さらに、原発事故災害からの福島再生に当たっては、昨年八月に避難指示区域の見直しを完了いたしました。住民早期帰還に必要な環境整備のため、復興再生事業工程表策定や、長期避難者コミュニティー確保に向けて復興公営住宅整備、そして中通りなどの定住対策として子供運動機会確保のための施設の設置などを行っています。  このように、この一年で復興は大きく動き出したと、このように考えておりますが、ただ、いまだになお二十七万人の方々避難生活をされている。復興はまだ道半ばでございますが、明日三月十一日を迎えるわけでありまして、復興はいよいよ四年目に入るわけであります。今年は被災地皆様復興をより実感していただけるようにしていきたいと思います。復興ステージが上がるたびに見えてくる課題があります。現場の声を伺いながらそうした課題にきめ細かに対応していきたいと、このように新たに決意をしているところでございます。
  8. 片山さつき

    片山さつき君 ありがとうございました。  何か次に根本大臣に伺おうとしたことのお答えもほとんど入ってしまったんですが、根本大臣には、以前からお願いしておりました農業、田植が始まる前のため池除染、昨日、国費でため池除染もやっていただけるというお話を聞いて非常に感謝しております。  ただ、今から工事が始まるという、総理のおっしゃったとおりで、やはり現地からの声、資料一枚目見ていただきますと、被災地の十五の商工会議所が今回話をまとめて大臣に持ってきていただいているんですね。北は八戸から岩手宮城福島、茨城、そして千葉の銚子までですが、最大の不安は人手不足資材不足。ダンプカー一日五万三千円まで上がったことがあるんです。もうこういう状態で、かつ、お仕事が欲しいという方とは労働ミスマッチが行われているんですね。  この辺りの対策をどうされるのか、根本大臣、お願いいたします。
  9. 根本匠

    国務大臣根本匠君) 片山委員の御指摘は、産業における人手不足あるいは販路の減少、風評被害、こういう問題も含めてということでよろしいですね、私がお答えするのは。  御指摘のとおり、被災地沿岸地域産業復興に当たって、人手不足販路開拓風評被害対策、これが大きな課題になっております。復興も、ステージが上がってくるにつれて新たな課題が出てくる、我々的確に対応したいと思います。  この観点から、被災地雇用対策、これにつきましては、人を雇った場合にその人件費の一部を補助する制度を設けております。具体的には、事業復興型雇用創出事業、これは一人当たり三年間で、被災求職者を雇い入れた場合に三年間で二百二十五万円を補助すると、こういう仕組みであります。  さらに、沿岸地域のハローワーク、例えば水産加工業工場見学会を実施するなど、再開した工場安全性快適性あるいは魅力、こういうものをアピールして働き手の確保につなげる、こういう取組も行っております。  さらに、被災販路を失われた、様々な課題を私も聞いております。販路開拓についても様々な取組を行っております。例えば、地域復興マッチング「結の場」というのがあります。これは、被災地復興支援しようという大手企業技術情報販路、こういう経営資源被災地域中小企業経営課題、これをマッチングさせる取組、これはお見合いの場なんですが、単なるお見合いではなくて、具体的に内容を聞いて、こんな商品を開発したら売れる、あるいはこういう販路を提供しましょう、具体的な取組をやる場であります。  例えば、サメ街気仙沼構想推進協議会、これに参加している水産加工事業者八社とそして大手企業五社が連携して、例えばサメの肉を用いた食品開発販路開拓、こういうものも取り組んでいます。その意味では、販路開拓についての企業連携プロジェクト支援、あるいは「結の場」、あるいは専門家アドバイザー派遣、あらゆる対策を考えて、とにかく販路開拓、新商品開発、こういうものをしっかりと取り組んでいきたいと思います。  そして、風評被害対策としては、放射線モニタリングの継続と消費者への分かりやすい情報提供、あるいは政府が主体的に被災地産品消費促進を図る「食べて応援しよう」、これは、今週各省庁の食堂被災地から要望のあった農林水産物、これを提供してもらいます。今日のお昼も農林省で私と農林大臣行ってまいりますが、さらに社内マルシェ民間企業社内食堂で食べてもらう、こういう民間企業への働きかけの強化、こういう対策を総合的に取り組んで、被災地なりわい産業再生に強力に後押しをしていきたいと思います。
  10. 片山さつき

    片山さつき君 ありがとうございました。  なりわい始まりますとローンが必要になるんですが、私が筆頭提出者としてこの参議院の法律としてできたのが東日本大震災事業者再生支援機構で、丸二年たったんですが、四百件の中小企業再生を行って、ある意味曽有の領域に入っているんです。それは、四割の債権カット、返済は十五年でいいといういまだかつてなかった条件です。  今この予算委員会では、日銀が異次元の大規模金融緩和をやってベースマネーを二年間で二倍に伸ばしても、中小企業貸出しは率直に言って余り伸びないという話が大議論の論点になっておりますが、この東日本震災現場での経験は、長年日本が悩んできた中小企業向け融資のリスクを金融機関が全然取っていないという、その問題の大きなきっかけになるんですね。  麻生大臣、例えばバーゼル2という国際基準が東北の小さな信用金庫の手足縛っているんですよ。だから、バーゼル2があるから、あなたに貸すのは、あなたの個人保証も取って、あなたの家も新しくできる工場もみんな担保に取っていても、七割引き当てしなきゃいけないんですよといったら、貸せないですよ。気仙沼の床屋さんや総理も行かれた大熊町の自動車整備に対して、バーゼル2があるから貸せませんと言えるでしょうか。言えないですよ。  是非、日本ローンは特殊なんだということをG7で説明して、特例を作っていただけないでしょうか。麻生金融大臣、お願いします。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この東日本災害というか、震災被災者に対する金融支援については、これはもう片山先生なんかのいろいろな御指導の下もあって東日本大震災事業者再生支援機構というものに、これは、被災事業者再生支援というのを目的として、個人債務者私的整理に関するガイドラインの活用による個人債務者生活再建支援など、いろいろ施策をこれまで推進してきたところなんですが、震災の影響を受けた債務者債務者区分が、貸倒引当金算定方法について、金融機関がより今の表現を借りれば柔軟な取扱いが行えるよう、金融検査マニュアル監督指針において所要の処置を今講じているところであります。  加えて、これは被災企業に限られているものではありませんが、昨年の九月でしたか、公表した金融モニタリング基本方針におきまして、金融機関全体の健全性観点から見て重大ではないというようなものにつきましては、小口の資産査定については金融機関判断を極力尊重しますということにさせておりますので、政府としては、被災した中小企業などに対する金融円滑化経営改善支援など、これを最大限に行っていくことは、これは引き続き大変重要な課題だと思っておりますので、今後とも金融機関に対するきめ細かな対応をやってまいりたいと思っておりますので、御質問の内容にはそれでお答えできていると思います。
  12. 片山さつき

    片山さつき君 これは日本全体の問題だと思いますので、引き続き、金融当局として、日本融資特殊性、特に中小金融機関というのは地域中小にしか貸していませんから、バーゼル2に入れる危険性はないんですね。そういうことも是非考えていただきたいと思います。  下村大臣に伺います。  羽生結弦選手被災をばねに金メダルを取ったとみんなに夢を与えましたけれども、仮設住宅で三年を迎えるお子さんがいるんですよ。夢諦めていないでしょうか、そしてPTSDは大丈夫でしょうか。お答えいただきたいと思います。
  13. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 私も、被災地に行ったとき、必ず学校現場を回っております。依然としてしかし仮設校舎間借り校舎等で学習を余儀なくされている子供たちがたくさんいるわけでありまして、教育現場復興途上にあり、子供たちが以前と同様落ち着いた環境の中で安心して学べるための支援が必要であります。平成二十六年度の予算案においても、被災地からの要望を踏まえつつ、学校施設等復旧、また就学機会確保のための経済的支援や心のケアの充実、被災地教育活動への支援など、教育環境整備に努めているところでございます。  子供たちの学びたいという思い、これは現場に行くと本当にそういう思いを持っていると、それに対してきちっと応えることによって、そしてそのためにも落ち着いた環境で安心して学べると、被災地教育環境整備に一層努めてまいりたいと思います。
  14. 片山さつき

    片山さつき君 ありがとうございます。御自身、塾もやっていらっしゃった優しい下村大臣ですから、是非お願いいたします。  このパネルを御覧になりながらお話しいたしたいと思いますが、(資料提示)私自身巨大防潮堤の見直し問題というのは、地域から、これだけ巨額の予算を掛けても海際に住む人がどんどん減っているんで、そういうお金があったらなりわいに役立つ町づくりに使ってほしいと言われて気が付いたんですが、それとは別に、美しい海を守る団体の代表としてこの問題を長らく追っかけていらっしゃった安倍昭恵さんにも環境部会で来ていただいて取り上げさせていただきました。そのことは二枚目の資料の二つの新聞に出ております。  そして、政府が二十六年度の予算編成方針に、いろいろ議論があるし、月日がたつと住民の気持ちというのは変わることがあるから、変わって、計画を変更しても柔軟な執行ができる、つまり繰越し、再繰越しができるから、時間に追われて焦って決定したものをそのままやる必要はないということになれるように、二〇一六年で全て終わりじゃないよと言えるようにしてあるんです。これ、閣議決定なんですよ。  そして、今、三十四か所の防潮堤が見直されておりまして、私も以前訪問させていただいた、この記事にある大槌町もそうなんです。この大槌町でまとめた方は、御自身が家族を津波で犠牲になっているんですよ。それでも、逃げるときにかえって見えないような高い巨大防潮堤だと危ないという判断で全員をまとめて、大幅にスリムダウンしたんですね。  このパネルを見ていただきたいんです。右側の気仙沼中島海岸合計二百三十億円のコンクリート、これ赤いところが全部コンクリートで埋め尽くされるプランです。高さは当初十四・七メートル、長さ七百メートルの防潮堤で、最近十三メートルに下げたそうですが、二百三十億円。そして、ここに津谷川という川があって、河口の護岸工事、これはもうテレビなんかで有名で全国から注目が集まっていますが、これ、国はもちろん復興予算復旧予算で全部お金を出しますが、宮城県の管理事業で、宮城県の方は、たとえこの防潮堤の内側に家は建たなくて人はみんな上に移転しても、農地利用先がまだ決まっていなくてもやりたいという強い御希望ですから、これはもうこれ以上言えないんですね、県にも県のいろんな御事情があるんでしょうから。これは実施される可能性が高いんです。高いんですが、左側を見てください。  これは、浜松の私の静岡事務所から一キロのところでもう工事が始まった緑の防潮堤なんです。私も、この防潮堤なかったら死亡推定の十万人の静岡の一人ですよ。だから本当に防潮堤には感謝しているんですけれども、特に七分で十四メートルの高さの津波が来ると言われているのが静岡県ですから、これ長さ十七・五キロ分全部やるんですよ。内側に数万人住んでいるんですよ。小さい子供の学校もたくさんあるんですが、お金がないんです。南海トラフ予算の、南海トラフの法律、我々も議員立法で古屋大臣と一生懸命相談して作りましたが、財政事情があって、お金の特例がないので、仕方がないから地元の一条工務店が三百億円ぽんと出して、それで十七・五キロ造るんですよ。三百億円で十七・五キロ、七百メートルで七十億円。単価が六倍から十七倍違います。でも、地元の土を使ってコンクリを固めてやれば強度は大丈夫だという説明を私たちは静岡の住人として受けて、それでみんなやって、子供たちも、ああ、やっと片山さん、流されなくて済むんだねと、そういう状態で三百億でやっているんです。しかも、何回も何回も説明会を開いて、上にはクロマツ、ここには針葉樹、ウミガメの海岸も、うるさいくらい説明会やって、私たちもアンケートを出しましたよ。  古屋大臣、南海トラフの被害想定海岸は九百キロ以上あるんです。この中島海岸のパターンもそれはそれでいいかもしれないけれども、このパターンでやると、少なくとも数兆、河口まで中島海岸パターンで固めると二十兆円掛かるんですが、どういう南海トラフ防御プランをお考えなんでしょうか。
  15. 古屋圭司

    国務大臣(古屋圭司君) 今、南海トラフの対策のことについて御質問ございましたけど、やはり明日で三月十一日三周年ですよね、今御指摘いただいた例えば防潮堤とか防波堤、こういったものは、当初、被災直後の被災者の皆さんは速やかに造ってくれという声が非常に多かったですよね。それが少しずつお考えが変わってきたということだと思います。  南海トラフ巨大地震は何しろ範囲が大きいですから、そういったことも含めてやっぱり私たちは多様なメニューをしっかり作り上げていく、そして地域の皆さんが、あるいは被災者、あるいはその地域の皆さんが合意形成をしながら、どういった選択肢を取っていくかということが非常に必要だというふうに思います。  今、緑の防潮堤のお話もございましたので、実は、昨年の国土強靱化基本法、いわゆる国土強靱化基本法の九条の三項でも、あるいは国土強靱化大綱でも、地域の特性に応じて、自然との共生、環境との調和及び景観の維持に配意すること、もうこれはっきり記されたんですね。  これはどういうことかというと、基本的に、平時にもしっかり活用できて、いざ有事の際にはこの機能を発揮すること、それから国土強靱化の基本的な考え方である致命傷を絶対避ける、そして人の命を守る、もちろん、あとはできるだけ被害を食い止めると、速やかな復旧ということがございますけど。  そういった視点から考えていくと、委員もよく研究会で御参加をされておられました、宮脇昭横浜国大名誉教授がもう何十年にもわたって緑の防潮堤の実証をしていますね、そして研究発表もしています。現実にそういった取組もしているところもあります。広葉樹を使って、二十年で成木になる、しっかり下の方に根が早く生えて、シイとかタモとかトチのような木を活用していく、そしてそのことが景観にもすごくいいこと。  ENAに御留学されていたということですけど、フランス、南フランスなんかのあの海岸沿いで木がずっと見事な景観、やっぱりああいうものは観光資源の開発にもつながりますし、いざ災害が、津波が来たときもそれによって致命傷を避けられる、勢いを相当止めることができるというのが論理的にも技術的にもこれはほぼ立証されていますので、そういった取組をしていくことも私は一つの考えかなというふうに思います。  もちろん、そのためには地域の皆さんのやはり御理解と御納得というのが大前提ですけど、今年は国土強靱化基本法、あるいは大綱の中身に反映をしまして、例えば農林省でも補正と来年度予算で約七百億円、こういった取組ができるようなプログラムを考えさせていただいております。  いずれにしても、しっかり国土強靱化の基本的な考え方に立って、我々は強い地域をつくり上げていくこと、政府としても積極的に頑張っていきたいと思います。
  16. 片山さつき

    片山さつき君 既に工事費は高騰するんですね。阪神大震災のときは入札不調はほとんどなかったんです。これは小里さんが、私も現場いましたけれども、平時の見積りじゃなくてばんと見積り上げたんですよ、倍ぐらいに、随分たたかれたけど。そのぐらいしなきゃいけないということは、二百三十億は二百三十億じゃ済まないんですね。  その上に、メンテナンス費用というのは、麻生大臣、これは国の復興財源からもう出ませんよね。どうなんでしょうか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは基本的には、建設費までというのが基本であって、メンテナンスにつきましては地域で負担をしていただくというのが基本であります。
  18. 片山さつき

    片山さつき君 そういったいろんな問題が山積しているんですが、総理、もう一度、今の議論を聞かれて、今後の第三ステージに上がっていく復興についてのビジョンと御決意をお聞かせ願えないでしょうか。
  19. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま御議論を伺っておりまして、今後、次のステージに入っていかなければならないわけでありまして、今、委員防潮堤についてでありますか。  防潮堤については、発災直後の気持ちと、だんだん落ち着いてきて、普通そこで生活をしていて、果たして、景観も重要であるし、そしてあるいはまた様々な選択肢を提示をされる中で住民皆様の意識も相当変わってきたのではないかと、このように思いますし、自治体の負担についても今大臣からお答えをさせていただいたとおりでございます。今後、こうしたことの見直しも国としても自治体とよく相談しながら考えていく必要もあるんだろうと、このように考えております。
  20. 片山さつき

    片山さつき君 福島第一をこの予算委員会として視察いたしました。そのとき私が実際に首に掛けていた線量計とGPSで測ったのが資料四、このパネルの白地の数字でございまして、五時間中にいたんですが、タイベックスですね、左側下がタイベックス着た写真ですが、タイベックスを着て私が浴びた個人の放射線量は二十二マイクロシーベルトにすぎないんです。胸のエックス線の一回分の半分以下なんです。  原発事故発災当時から去年の十一月の時点までで一号機、二号機、三号機の毎時のシーベルトは一ミリシーベルト以下になったと報告されているんですが、今三月で幾らなのと聞いたら答えられないんですね。これもっと開示した方がいいです。というのは、南米の有名な学者が、あそこはもうチャイナ・シンドローム状態だと書いちゃっているんですね。つまり、そういう全く不知識なことが国際社会で流布しちゃっているので、ますます日本の食品の輸出を妨げたりするんです。  それから、二月十七日にオペレーションルームで山崎予算委員長がみんなに、よくやっていただいている、頑張ってくださいと訓示されて、東京に戻ったら、翌日に汚染水が漏れたんですよ。私は二月二十六日に規制庁を呼んで原因の説明をしてもらったら、タンクのうち、閉まるべきバルブが開いていて、開いているべきバルブが閉まっていて、百人以上の方が関与していて誰がどうしたのか分からないから調査中と聞いたんですね。これ、まだ調査中なんですか。原因究明、あれから二週間、もうできていますよね、廣瀬社長。
  21. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) お答え申し上げます。  本当に度重なるミスが続いておりまして、本当に申し訳ございませんです。現在、委員の御指摘のとおり、調査している対象、聞き取り調査を進めて、調査が引き続き継続しておりますけれども、調査の対象も聞き取りに応じて絞って、今まだ継続中というところでございます。
  22. 片山さつき

    片山さつき君 敷地内の線量が下がっているということはもちろんいいことなんですよ。マスクをかぶって靴下二枚はいてタイベックスはけば、この中で数時間私でもいられたということですよね。宇宙服着る必要はないということですよ。  そうすると、何が起きるかというと、四千人から四千五百人の作業員を現場に入れていると当日私は聞いたんですよ。一応運転免許証等で身元確認しているけれども、それ以上のことまでは無理だとおっしゃっていました。何が起きるかというと、狂信的な反原発の方とか、あるいは反日的な行動を取る方がもし入っていたら、事故を起こさせるまでは無理でも、物を拡散することはできますよね。そういったことも含めて、福島第一を管理するということは単なる民間企業のプラント管理とは全然違いますよ。これは核セキュリティーの管理なんですよ。  これ、テレビを見ている皆さんの前で、廣瀬社長、おっしゃってください。あなたは一月のインタビューで、東電は完全にグッドとバッドと分けるのではなくて、実態的に分社して責任を取ってやって、全部で回した方が被曝量も管理できていいんだと言い切っておられるんだから、トップのあなたがやるしかないんですよ。だから、この場でおっしゃってください、二度と汚染水漏れは起こさないと。
  23. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) まさに度重なるそうしたミスが出て本当に申し訳なく思っているところでございますが、一つ一つしっかり対策を取って、今後、こうしたことの起こらないように万全を尽くす所存でございます。
  24. 片山さつき

    片山さつき君 福島方々から本当に言われるのは、汚染水や事件が起きるたびに、戻ろうと思った気持ちが萎えて、風評被害が復活しちゃうんですね。だから、これが一番ポイントの一つです。  茂木大臣エネルギー問題について伺います。  エネルギー計画政府案が与党に示され、先週の金曜日から私も与党ワーキングチームメンバーとして正式に検討に入らせていただいておりますが、再生可能エネルギーについて何らかの数値目標が示せるかどうかというのが一つの大きな焦点になっております。  自民党は二〇一三年から三年間で最大限の再エネ導入を公約いたしておりますが、二〇一二年ではまだ水力を除くと一・六%、水力を足しても一〇%にすぎないんで、その先の数字がないんです。でも、FIT、固定買取り制度で認定を受けた案件は相当たまっていて、その中には、実は売り買いが行われているんじゃないか、やる気がないんじゃないかというのもあって、今資源エネルギー庁が整理していただいていますが、茂木大臣、仮にこのたまっている案件が全部稼働できるとすると、日本の電力の再生エネルギーの比率は水力除きと水力入りで各々どこまで上げられるんでしょうか。
  25. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 現在、水力が一〇%ぐらいであります。そして、おっしゃったように、水力を除きました再生可能エネルギーが一・六%ということになります。水力を除いた分で申し上げますと、現在認定をされております設備、これが仮に全て運転を開始した場合の総発電量に占める割合は昨年度末より三%強増加をするということになると思っています。ただ、現実には全ての設備が予定どおり稼働するのはかなり困難でありまして、実際の発電比率はこの試算よりも下振れすると考えております。  実際、経済産業省として、昨年の九月からこういった既に認可をした設備につきまして報告徴収しているところでありますけれど、その中に、まだ例えば土地であったりとか設備が決定をしていない、そういった案件が存在しますことから、これらの案件については、すぐできるんだったらいいんですけれど、そうでないものは順次取消しも検討したいと思っております。
  26. 片山さつき

    片山さつき君 今の数字をパネルに直させていただいているんです、早々と。済みません。それで、資源エネルギー庁、そして大臣からお答えいただいたとおり、一番左が、全部うまくいって今やりたいという人が電力化できた場合に、再生エネルギーが、この黄色のところが五・二まで来るんですね。そのすぐ右が今の状態で一・六、これが五・二に来て、大体水力は余り変わらないから、これだけ上がって一三・七と。麻生政権のときに立てた目標で一三・五というのはありますが。一番右側のアメリカは今再エネが五・六なんですよ。これと比べると、ああ五・六、五・二、おっ日本もなかなか来たなという雰囲気もあるかと思うんですが、ここまで行くのに非常に大変だという議論をこれからも与党ワーキングでしなきゃいけないと思います。  いわゆる系統の制約という、まあ電力の用語は非常に難しいですけれども、タンクとタンクをつなぐ導管が余りにも細いとそこで駄目だとか、あるいは変圧器が足りないとか、そういう問題が山のようにあって、一説には、これを全部実現するためだけに一兆円以上の設備投資が掛かる可能性もあると、送電線も含めてですね、という話も聞いておりますが。  五・二、五・六、これが二〇二〇年になるのかもうちょっと早いのか分かりませんが、隣のイギリスは再生エネルギー一〇%あるんですよね。狭い島国です、いろんな条件全て違いますが。どのぐらいなのかというと、ちょっと今のアメリカだけで止まるんであると、友党である公明党さんからは与党ワーキングチームの最初に紙をいただきました、三〇という数字を出しておられると。自民党の中でも調査会によってはそういうところもあります、いつどうやるかは別ですが。相場観というものが、これは政治的メッセージもあるんですが、これをどうするかということをこれから真剣に、与党ですから責任のある検討を行っていかなければいけないなと考えておりますが。  再生可能エネルギーを目指すという意味の一番大きなことの一つは、CO2を出さないということですよね。前回の臨時国会で私、石原大臣と何回もやり取りさせていただいて、結局、日本としてCO2削減の目標値は何とか示せたんですよ。  ただ、その後、異常気象の問題は後を絶たず、やはりそれは温暖化が関係しているだろうという可能性が非常に高い。三月には国際会議も開かれる中で、再生可能エネルギーはもちろん三年で最大限、公約しておりますが、それと同じかそれ以上に将来有望じゃないかと言われているのは、作り方によってはCO2を全く出さない、ゼロエミッションになり得るかもしれない水素なんですね。これに期待が集まっています。  この分野は今はまだ日本が先行しているんですが、いつものようにうかうかしていると追い付かれる可能性があるので、何か国策を打ち出すなら今でしょうという状態なんですよ。既に九州とか各地では水素社会のモデルタウンができていて、エネファームは百四十万台を見据える勢いはあります。そして、来年からついに、ついに夢の次世代車だと思われていた水素燃料電池自動車、FCVが商業的にトヨタ、ホンダから売り出されます。そして、来年以降、千代田化工は大型の水素発電所を建て、もっとあるんですよ。ガソリンスタンドは、そうすると、どんどんどんどん水素ステーションに変えなきゃいけない。これも設備投資。さらに、川崎重工が一般用の水素発電用の炉も売り出すと。非常にこれ需要喚起が大きいんですね。  ただ、先に政府の方針がどうなるか分からないから投資できないという声も多いんです。だから、ここでやはり、水素社会は国策なのかと、そこを是非総理から今日この場で高らかに御宣言いただけないでしょうか。
  27. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、結論から言いますと、この水素をしっかりと活用していく、これは国策と言ってもいいと思います。  水素は様々なものから作り出すことができますし、利用していく段階でCO2を出さないという意味においてはエネルギー安全保障やCO2削減に大きく寄与するわけでありまして、今後のエネルギーの有力な一つと考えています。  そして、水素の利用用途としては、今委員がおっしゃっておられたように、自動車に活用していく、燃料電池として自動車に活用していくわけでありますが、政府として作りました日本再興戦略におきましても燃料電池自動車の世界最速の普及を目指しているわけでありまして、そのために今から水素ステーションの整備を進めております。私自身もこの整備を円滑に進めるために昨年五月に規制の一挙見直しを表明をいたしまして、鋭意取り組んでいるところでございます。  こうした燃料電池自動車の技術を始めとして水素エネルギーの利用は我が国産業が強みを持つ分野でありまして、新たな市場の創出による成長戦略の実現に向けて、まさに官民一体となって必要な取組を加速してまいります。
  28. 片山さつき

    片山さつき君 これで、今日この御発言を聞いて、またあしたから水素関連産業が非常に元気付くと思います。ありがとうございます。  さて、六ページ目の資料をちょっと御覧いただきたいと思います。この資料、この十四か月で安倍総理が資源外交でどのぐらい取りまとめられたかを官邸と外務省の方からお聞きして、私の方でまとめさせていただきました。  ロシアとかダブっておりますので、国数は何と十五か国なんですね。オイルショックのときの田中外交とかなんとかいろいろ言われましたけれども、それをはるかにしのぐ、すごい飛び回るトップ外交なんですけれども、北米からのシェールガスが今非常に注目されております。  私もつい最近ブリティッシュ・コロンビア州の関係者と話しまして、カナダだと太平洋側にパイプラインがもうあるというお話を聞いたんですね。今、北米、アメリカの方でシェールガスはバブルが崩壊したと、大阪ガスさんは投資された分がもう完全に損失償却を出さなければいけなくなったとかいろいろあるんです、値段が下がり過ぎたとか。  ただ、値段は安いわけですね。経産省に聞きましたら、十六ドルぐらいで買わされているものが十一ドルぐらいまでは下がる可能性があるということは、これはこの国会で一番議論をされているアベノミクスの最大の弱みかもしれない、円が安くなれば燃料は上がっちゃいますよね。それで苦しんでいるところがたくさんある。国富の流出が三・六兆円、民主党の方が計算したら二兆円台という話がありますが、どっちにしたってもったいないわけですよ。  この部分を何とか、商社御出身である茂木大臣、経済産業省がこの十五か国の総理のトップ外交を生かして、アメリカ、カナダ、うまくこれ両てんびん掛けられますし、ロシアも実はウラジオストクの方から日本海へこういうものを輸出してもいいという話を言ってきているんですが、今のクリミア情勢を見るとロシアはちょっとおいておかなきゃいけないかもしれませんが、二〇一七年と言わずに、一年でも早く前倒せば、そのこと自体がバーゲニングパワーになりますよね。  そして、メタンハイドレートです。古屋大臣、我々の夢ですよね。資源確保戦略議連も、古屋さん会長に、私事務局やっているんですが、百人いるんですよ。この夢のメタンハイドレートを商業的にいついつまでにやると言えば、言うだけでバーゲニングパワーになります。何とかこれらを生かして、日本は長年安全保障で化石エネルギーがなくて泣いてきたんです。国際価格の言いなりで高く買わされてきたんです。  何とか戦略的に、国富の流出を止めるために、新たな資源獲得戦略を、茂木大臣、書いていただけないでしょうか。
  29. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 現在、安倍政権として、総理を先頭に資源外交を積極的に進めております。片山委員の方からも総理の外遊日程お示しをいただきましたけれど、かなりの部分、資源関係の、これは既存の中東の国もありますし、新しい国も入っているわけであります。  特にLNG、今、日本はかなり高い値段で調達をしているということでありまして、これを低減させていくということ、極めて重要だと考えておりまして、その一つがシェールガスということでありまして、かなり北米におきましては、二〇〇六年ぐらいからこの生産始まって、国内価格も低下をしておりまして、これを液化をして日本に輸入する、かなり有望であると思っております。  同時に、日本企業が様々な地域で、総理も訪問されているロシア、カナダ、モザンビーク等々で資源開発進めておりまして、そういったことをJOGMEC等々が応援することによりまして権益の確保も行っていく、さらにはLNGの消費国間で連携を取ることによりましてこのバーゲニングパワーを強めていくということが必要だと思っております。  北米に関しましては、四つのプロジェクト全て輸出承認が出ております。液化施設について、若干時間が掛かりますが、二〇一七年からこれも順次入ってきて、最終的には日本の総輸入量の二割まで行くだろうと考えております。さらにはメタンハイドレート、第二のシェールガスにする、こういう思いで全力で取り組んでまいります。
  30. 片山さつき

    片山さつき君 ありがとうございます。
  31. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で片山さつき君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  32. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、猪口邦子君の質疑を行います。猪口邦子君。
  33. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございます。  明日で東日本大震災から三年になります。冒頭、改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、また、御遺族の皆様に哀悼の意を表しますとともに、今なお被災が続く皆様にお見舞いを申し上げます。  我が国観測史上最大規模の地震であり、世界的にも一九〇〇年以降四番目の規模の地震でした。福島第一原発の事故の衝撃は今なお続いています。日本の今後の政策選択に大きな課題を投げかけています。  そこで、私は本日、大震災から三年という節目に三つの視点から議論をいたしたく存じます。  まず第一に、防災という政策課題、これを国連や世界各地で主流化していく、メーンストリーム化していくという観点です。日本がまさに防災外交の旗手となって、大震災で犠牲となった方々への鎮魂の思いも込めて世界に防災体制の重要性を伝え、被害の未然防止に寄与していくという、こういうことです。  そして第二に、今度は原子力災害についてですけれども、日本は事故の反省と教訓を世界と共有する必要があります。ですから、事故への対処に関する国際法の発展、こういうことに寄与すべきではないかという観点でございます。  そして第三に、アベノミクスの果実を日本の国産電源であります再生可能エネルギー、今、片山議員も御議論されましたけれども、そのようなことのまさに異次元的強化に活用すべきではないかという観点でございます。  それでは、まず最初なんですけれども、防災の主流化について総理にお伺いいたします。  日本では非常に防災の意識というのは強いですね。成長と防災は未来への両輪と、私たちはそういうふうに考えますけれども、総理は首脳外交、非常に積極的にやってこられて、広く世界を見ていらっしゃいますけれども、いまだそういうことでは必ずしもないところも多いんではないかなと懸念するんですが、いかがですか。是非お願いいたします。
  34. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 三年前の三月十一日に、私たちは忘れることのできない災害を経験したわけでございます。  しかし、その際、世界の国々から、発展途上国を含めて多くの国々からたくさんの支援をいただいたわけでございますが、今我々、東日本大震災からの復旧復興に当たる上において、防災の必要性、改めて実感をしているところでございますが、この防災の必要性について、そしてまた、その防災を進めていく上における私たちの知見を世界にしっかりと広めていくことは多くの国々から支援の手を差し伸べられた日本の責務であろうと、このように思うわけでございまして、委員の御指摘のとおり、自然災害等からの人々の生命や生活、長年の開発成果を守るためには、世界レベルでも防災を重要課題として認識することが必要であると、このように思います。特にアジアあるいはアフリカ途上国においては、大変それぞれ自然災害による大きな被害を受けながら、その中で苦しんでいるのも事実であります。  我が国としては、東日本大震災を始めとする幾多の災害を通じて得た貴重な経験や知見を世界と共有し、ミレニアム開発目標の後継枠組みの策定を主導するほか、本年十一月に名古屋市及び岡山市で開催予定の持続可能な開発のための教育に関するユネスコ世界会議や、明年三月に仙台市で開催する第三回国連防災世界会議など、多国間の枠組みを活用いたしまして、国際社会において防災の主流化を積極的に推進していく考えでありますし、また、先般訪問いたしましたアフリカの国々においてもその重要性を訴えてきたところでございます。
  35. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 総理、ありがとうございます。大変に前向きなお答えをいただきました。  そこで、外務大臣にフォローアップでお伺いしたいと思いますけれども、私が世界レベルで必ずしも防災という概念が主流化していないんではないかと思う一つの根拠は、大臣よく御存じのとおり、二〇〇〇年に国連でミレニアム開発目標というものが策定されているわけですけれども、その中にこの防災の概念がなくて、今総理おっしゃいましたとおり、二〇一五年には、今度、この次の国連の開発目標、ポストMDGが策定される。そして、今まさに交渉のさなかではないかと思うんですけれども、まさに、この中にきちっと防災が入っていくことがメーンストリーム化の一つの重要なインジケーターにもなると思います。そして、二〇一五年の国連の首脳会議でそれが決定されると思いますので、安倍総理、その首脳会議にも出席した際に、まさに日本のこの大震災の無念な思いと、そしてついにこれを世界のメーンストリーム化、みんなと一緒にするんだという思い、そんなことを伝えていただきたいと思うんですが、外務大臣は今精力的にその主流化する準備に取りかかってくれていると思いますが、この次期ミレニアム開発目標、この中に防災、ちゃんと入りますでしょうか。
  36. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 自然災害というもの、人々の生命や生活を脅かすのみならず、この長年の開発成果を水泡に帰させかねないものです。よって、全ての開発政策あるいは計画防災観点を導入する、開発と防災、この二つの観点をしっかりと主流化させる、こういった考え方、これはもう欠くことができないと考えております。  御指摘のポスト二〇一五年開発アジェンダ、ポストMDGsですが、これは貧困撲滅あるいは持続可能な開発等の国際協力の重要課題の在り方に影響を与える大きな議論であります。この議論の中に防災を位置付けるということ、これは是非、今この議論が進んでいますが、我が国としましても防災の主流化はしっかりと明示し、そして議論を主導して、この開発防災協力における防災主流化の流れ、これ確実なものにしていかなければならないと考えています。  御指摘の点、大変重要だと考え、引き続き努力をしていきたいと思っています。
  37. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 外務大臣、ありがとうございます。  総理、今、ESDですね、持続可能な開発教育のユネスコ世界会議、これが名古屋市と岡山市でこの十一月にございます。総理は、こういう次世代の教育の中においても防災を主流化していく。そして、この成果物が、来年のちょうど今頃、第三回国連防災世界会議が仙台で開催されます、そこにインプットしていく。  そして、いずれのこの世界会議にも、総理はこの主催国の総理でいらっしゃいますので、もう絶対に出席していただきたい。そういう重さを掛けて世界のレベルで防災をメーンストリーム化すると、こういうことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 本年十一月に、先ほど申し上げました持続可能な開発のための教育、ESDに関するユネスコ世界会議が名古屋市及び岡山市で開催されるわけでありますが、防災教育はこの会議の主要なテーマの一つでありまして、我が国のこれまでの取組を世界に発信していく重要な機会であるというふうに認識をしています。  また、明年三月に、第三回国連防災世界会議被災地である仙台で開催されます。東日本大震災被災地復興の現状を世界に発信するとともに、防災に関する我が国の知識とそして貴重な経験を国際社会と共有し、国際貢献を行う重要な機会であると認識をしています。  まず初めのESD、持続可能な開発のための教育に関するユネスコ世界会議についてでございますが、私としても、ホスト国として当然この会議を成功させ有意義なものにしていきたいと、こう考えておりますが、ちょうどAPEC首脳会合との関係がございまして、現時点で出席できるかどうかということは申し上げられませんが、一方、第三回国連防災会議については、ホスト国の首脳として私も出席をいたしまして、会議が成功するよう尽力をしていく決意でございます。
  39. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 総理、ありがとうございます。非常に力強い言葉をいただきまして、質問したかいがございます。  それで、外務大臣に私ちょっと言葉をプレゼントしたいと思うんですけれども、日本は、外交の力点、特別の思い、これを上手に世界に伝えるために、外務大臣は軍縮のことも非常に熱心にやってくださっています。D、英語のDから始まる三つの言葉ですね。まず防災外交、これはディザスター・プリベンションですね、そのDです。それで、軍縮はディスアーマメントです。それで、日本はまた開発援助、やはり開発があっての防災という、両輪という話ししてきましたので、開発はディベロップメントですね、ディベロップメント・アシスタンス。この三つのD、日本はこういうところを一生懸命やるんですよと。やはり世界にはたくさんの国がありますので、日本の特質、思い、こういうのを効果的に伝える。  こんなことは一つのアイデアですけれども、まだほかにもいろんな言い方があるかもしれませんが、私として大臣にちょっとお伝えしたいと思いまして、御感想を伺えればと思います。
  40. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ありがとうございます。スリーDということでアイデアをいただきました。  人間の安全保障ですとか、先ほどの防災の主流化、これからの国連や国際協力の議論の中で大変重要な考え方ですが、その中にありまして、我が国としての考え方あるいは立場を効果的に発信していくこと、大変重要だと考えます。  スリーDということで、防災、軍縮、開発、こういった御指摘もいただきました。それぞれ我が国の国際社会における立場において重要な観点でございます。こういった立場や考え方を分かりやすく示す一つのアイデアとして参考にさせていただきたいと存じます。是非、防災の主流化、そして軍縮外交の推進、そして開発援助、こうした日本にとって強みのある外交課題ですね、しっかりと進め、そして効果的に発信をしていきたいと考えています。
  41. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 それでは、原子力災害のことに移ります。その分野におきまして、我が国の経験などを何とか国際法の発展に生かすことができないのかという観点の質問でございます。  御存じのとおり、原子力事故早期通報条約というのがあります。それから、原子力事故援助条約というのがあります。私は、事故の直後、やはり予算委員会で、この二つの条約の運用の不備が多く、日本としても、ではどうやって早期通報するのか、それはIAEAにファクスを送り続けるのか、そういうやり方についてのもちろんマニュアルも非常に不十分で問題が多い。この二つの条約は、旧ソ連邦が、チェルノブイリの事故直後、このときに国際法として確立するよう主導したものです。私は、そのとき、日本も、福島第一原発の事故を経て、何らかの国際法の発展に、今後の未然防止や万が一のときの被害の最小化のための国際法の発展に寄与するような働きをすべきではないかという質問をいたしたんですけれども。  その後、外務大臣に是非お伺いしたいんですけれども、なかなか新しい国際法そのものを作るというのは、既にこういう条約があるから難しいと思います。また、改定するには意見をまとめるのもまた何年も掛かる可能性もあると。ですから、せめて運用改善が必要だと思うんですけれども、これは進んだんでしょうか。
  42. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 福島第一原発事故の経験と教訓を国際社会と共有して、国際的な原子力安全を向上すべく、国際的なルール、枠組みの強化に貢献していくこと、これは重要であるということ、これは十分認識をしております。  そして、御指摘のこうした条約の運用の改善について進んでいるのかという御指摘ですが、我が国としましては、この原子力事故援助条約につきましては、運用上の手段であります緊急時対応援助ネットワーク、RANETを強化すべく、昨年五月、福島県に国際原子力機関、IAEAの研修センターを指定し、研修を実施しております。また、我が国は、このRANETの運用マニュアルをより事故の実情に即したものとすべく改定提案を行い、昨年九月、これを実現をいたしました。また、原子力事故早期通報条約につきましても、我が国が共有した福島第一原発事故の経験と教訓を踏まえ、より積極的な情報提供を行うよう二〇一二年六月にマニュアルの改定が行われております。  こうした取組、IAEAの原子力安全行動計画の実施にも資するものであり、是非引き続きまして、我が国としましても国際的なルール、枠組みの強化に積極的に貢献をしていきたいと考えております。
  43. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございます。  日本は原発の安全性ということに非常に注力今しているわけです。しかし、結局、原子力の問題というものに一国安全主義というのはないと思うんですね。ですから、どの国も、こういう国際法の恩恵を受けながら、国際法をツールとして使って安全性を高めなければいけないし、万が一のときの被害の最小化、こういうことができるようになるのがやはり文明的な国際社会の方向性だと思いますので、今後、外務大臣、是非より積極的に国際法の発展に、現場は一生懸命努力するでしょうから、そういう部局、激励していただきまして、国際法の発展に私たちの事故の教訓と反省を踏まえて貢献していくことをお願いしておきます。お願いします。  それでは次なんですけれども、私は、電源構成比、これのリバランスということについてお話し申し上げ、またお願い申し上げたいと思うんです。それは、構成比をリバランスする、これは再生可能エネルギーを強化するということにもつながります。経産大臣に通告させていただきました。麻生大臣にも後で感想を伺いたく思うんですけれども、私はこういうふうに考えるんですね。  先週、この本予算委員会におきまして、石井正弘先生の御質問に対する小泉内閣大臣政務官の御答弁の中に、小学生からアベノミクスというのに会ったことあるという質問があったということがありました。なるほど、浸透度がまだ不十分というようなこともあるかもしれないけれども、私がここで議論したいのは、肝腎なのは、アベノミクスと出会った企業、その人たちがその果実をどこにどう投資していくのか、この問題だと思います。  アベノミクスというのは国の政策ですから、その結果、何らかの経済的余力を得ることができた企業や人は、この国の根本的な困難、これに寄り添っていただきたいと思うんですね。この国にはたくさんの困難なことがあります。少子化問題、高齢化問題、雇用格差の問題、多くありますけれども、私は、歴史を通じてこの国の国難とも言える本当に悲しき真実は、国産電源が著しく不足しているということです。世界史の中を見ても、資源エネルギー欠乏国、それが世界の三大経済に入ったことは歴史的に日本以外にないわけです。一位と二位はアメリカと中国、資源大国なんです。  ですから、私たちのこの国というのは、普通の世界の観念からすればあり得ない成長、成功をしていて、これは本当に奇跡。ですから、この奇跡もついに終えんするのかなと思われたんですけれども、今アベノミクスで息を吹き返しているんですから、私は、このアベノミクスというものは、決して、何か人が金持ちになったり、たくさんの物を買えるようになったり、こういうことが目的ではない。アベノミクスというのは手段なんですね。デフレ脱却も手段なんですよ。だから、手段は目的があって初めて生きるから、この目的をやはり政治としてしっかり示す必要があるんですね。  それで、一人一人や自治体それぞれ、それぞれの目的があるかもしれないけれども、私は、国としては目的は、どうでしょうね、やはり子々孫々に至る持続的な成長、これではないかと思うんです。そのためには、電源の海外依存度は減らさなきゃならない。ですから、国産電源の拡大が絶対必要であると。電源こそがこの国の本当の弱さ、史上最大の悲劇の戦争はエネルギーの不足と極端なその対外依存度がきっかけの一つだったわけですから、やはり私は、このアベノミクスの果実というものは、官民共にその経済余力を獲得できたんだったら、資源制約というこの我が国の根本困難を解決するために使うべきではないかなと、こういうふうに議論をさせていただきたいんです。  元々、原子力エネルギーというものは、当初は純国産エネルギーになることが期待されたんですね。でも、今その原発の増設というのは非常に難しい。そもそも、ウラン燃料は輸入のものです。それから、エネルギー基本計画、これはこの間、四次が出ましたけれども、増殖炉の表現が消えている今、原子力発電用の燃料を自己完結的に再生産し続ける道ということについてはちょっと疑問符が付くようになったんです。  それで、そもそも原発への依存度を減らすということなんであれば、結局、我が国の貿易収支を悪化させずに供給を拡大する唯一の方法というのが、これは国産電源としての再生エネルギーを、もう抜本的な、もう異次元の強化をもって投資、研究開発投資をもってこれを実現していく、これは新日の丸電源にほかならないと私は議論したいんですね。  それで、この再生エネルギーという言葉ですけれども、これは英語でリニューアブルエナジー、これは直訳なので、その語彙としても何か言霊が伝わってこないんですよ。私たちの国は、今申し上げたような、本当の根本的な困難を抱えているので、この新日の丸電源と位置付けて、本当に異次元投資をやっていただきたい。金融の異次元緩和はそういうために一つはあるんじゃないかなと。  それで、この日の丸電源という言葉なんですけれども、ちょっと懐かしい言葉と思う世代もあるんですけれども、日本は昔、中東油田権益を求めまして、日の丸電源と称して壮絶な経済外交、油田開発を行ったんです。その時期は、日本として安価な原油がもう安定的に無制限に調達できた。だから、油田そのものは日本になくても、もうそれは日の丸電源だと言えたんですね。  ところが今後は、世界のエネルギー事情は、経済はグローバル化して、途上国も発展し、人口も増大する、不確実になるわけだから、そうなればやっぱり新日の丸電源をつくっていかなきゃならず、そういう、あのとき日の丸電源を獲得しようとした、それは政治も官僚たちも産業界も、この国の国難に立ち向かうあの情熱を呼び戻さなきゃならないんじゃないですかという観点なんですよ。  是非、茂木大臣に御意見を伺いたく思いますし、副総理にも感想、御意見を伺いたく思います。
  44. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 私は、小学生からアベノミクスに会ったことあるかと聞かれたら、君も必ず近いうち会えるからと、こういうふうに申し上げます。  今、主要企業の昨年三分の二以上が増収増益と、中小企業・小規模企業においても、製造業では六年ぶり、そして非製造業では二十一年ぶりに業況が改善という形でありまして、こういった景気回復の実感、これを経済の好循環により全国にお届けする、これが何よりも重要な役割だと思っております。そこの中で三・一一以来のエネルギー制約にどう応えていくかと、そこの中で再生可能エネルギー、言葉、リニューアブルを再生可能エネルギーでいいかどうかと、またいろいろ御指導いただきたいと思うんですが、大きな意味があると思っています。  一つは、先生おっしゃるように、これが国産電源であるということであります。同時に、これは、地域でも活用できる、太陽光でも風力でも、さらには木質バイオマスといった形で、分散型電源であると。さらには、国際的に見てもCO2を出さない、環境負荷が少ない、さらには関連分野での産業であったりとか雇用を生む、成長戦略の観点からも極めて重要だと、こんなふうに考えておりまして、我々、政権として、また与党として、今後三年間最大限の導入を図るということにしてまいりましたけれど、今回、エネルギー基本計画政府の原案を作るに当たりまして、総理とも御相談をして、三年だけでなくて、その先も見据えて更なる導入の拡大を図っていきたいと、こう考えております。  そのためには当然、送電網の整備、こういったものが必要でありまして、例えば風力は適地、東北の一部とか北海道に限られている、これを消費地に持ってこなきゃなりません。さらには、太陽光、風力、電源としての安定性を保つ必要がありますから、系統内に大型の蓄電池を入れる、こういったことが重要になってまいります。さらには、地熱等々を考えたときに、環境アセスメントの迅速化と規制の見直し、こういったことも進めていかなきゃならないと考えております。  こういった環境整備をすることによってしっかりと再生可能エネルギー、最大限の導入を図ってまいりたいと考えております。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に、エネルギーの輸入というか、この国にとっての最大の、経済的な上で、国家が成り立っていく上でも最大の弱点はエネルギーという点に関しましては、これは、何となく電気は当たり前みたいになっていますけれども、これは非常に極めて質の高い電気でもあり、他国に比べて、電圧全く下がりませんし、ほとんど停電なんというものはもう、病院でも非常電源を持っているところもないぐらい極めて電気の事情がいいという国に慣れ親しんでかれこれ数十年来ましたので、計画停電みたいな話は聞いたこともないという、我々のように戦争前に育った世代とは全く違っているんだと、それはもうはっきり今回のことでしたんだと思っております。  したがいまして、このエネルギーを安定的にということに関しましては、これは確実に輸入するということをするためには、まずコストがほとんど、今回は三兆五千億ぐらいの新たな支出を対外に伴っておりますけれども、これは本来はそんなものではなかったはずなんで、そういった意味では日本の貿易収支を極めて悪化させた大きな原因の一つだと思いますので、できるだけ低コストで輸入できるようにすることが望ましいということでこの間の二月の二十五日のエネルギーの基本計画の原案にもまとめられているんだと思いますので、私どもとしては、これが、今、横浜の磯子にあります石炭火力の新しいCO2の物すごく少ないのとか、いろんなものが今ありますので、そういったようなものを大いに使うというんで、何となく、一時期のに合わせて何となく再生エネルギー再生エネルギーと言うけど、パーセンテージからいったらエネルギー消費量の中に占めるパーセントは極めて低い、極めてしかもコストが高いということになりますと、これは、国際競争の面からもこれはとてもやっていける話ではありませんので、その分の間、我々としては、メタンハイドレートが出てくるとかいろんなものが出てくるとは思いますが、それまでの間どうするかという話を考えないと、貿易収支の赤字がうわあっと増えていくと、とてもじゃないけど国としてはやっていけませんので、そういった意味では、我々はどういったことを考えねばならぬかというのが今与えられている一番大きな問題なんだと、私はそう思っております。
  46. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございました。今お話がありましたとおり、やっぱり再生エネルギーの場合は出力が不安定とか価格が高いとか大きな問題がたくさんあるので、これを打開する、これがアベノミクスの果実としてできれば有り難いなという指摘と、また御意見をいただきました。ありがとうございました。  それで、もう時間も少なくなりましたので、私は、外務大臣に御答弁をいただきたいとも思いましたが、私の考えをここでしっかりとちょっとお伝え申し上げたいと思っております。  それはNPTとこのエネルギーの関係のことなんですけれども、まず、日本は原発依存度を減らします。しかし、日米の強い連帯の中で、原発の安全性あるいは核物質拡散をしないようにする、これを強化しなければならず、NPT体制というのを維持しなきゃならないということなんですね。まず、アメリカはトモダチ作戦で物すごく大きな貢献を、そして原子力災害に対しても貢献をしてくれている。そして、アメリカ自身、原発事故を経験している。恐らく、その後、耐え難い原発事業再編成のプロセスをアメリカ自身が経ているわけです。  それで、NPTとの関係では、御存じのとおり、原発技術の移転ということは権利に、その非核兵器国にはなっていますから、結局、原発は今後どんどん増えることになります、各国において。ですから、アジア太平洋地域原子力発電はIAEAの予測では非常に大きく伸びるし、世界全体でも二倍近くまで伸びるということになりますので、先ほど申し上げましたように、一国安全主義というのが原発にないので、ここはやはり日米の基軸で、しっかりと長期的な視野で、この地域の原発の安全と不拡散、NPT体制の堅持、こういうことにコミットする必要が私はあると思います。ですから、安倍政権はやはりこういうことにきちっとコミットしている政権であるということで、外務大臣に強くお願いしておきたいと思います。  総理の御意見も伺いたいと思うんですけれども、もう時間もちょっとなくなりましたので、この議論を聞いていただきまして感謝申し上げます。  最後に、私は大学の出身者なので、私は被災地の生徒さん、学生さんにちょっと思うことがあるんですね。三年前、世界中から救援に来てくれたんですね。その人たち、きっと被災地の生徒さん、学生さんのことを覚えていると思うんです。ですから、あれを乗り越えて歩み続ける、世界から見れば、その皆さんこそ本当の英雄だと思うんです。ですから、その生徒さんや学生さんが今後努力して、いろいろと世界に発信する、場合によっては世界を訪問、留学もする、そういうときに、いつでもどこでも政府には強く手伝ってあげてほしいという願いなんですね。でも、急いだり焦ったりしなくてもいいと思うんです。私、世界はずっと待っていると思うんですね。ですから、被災した生徒さん、学生さんは長生きをして、それで、あのとき自分は子供だった、そして世界に助けてもらって、世界に愛されてしっかりと歩み続けたと、そういうメッセージをいつかきちっと送れるよう、政府も我々も協力しますので、みんなでそういう方向を助けて支援申し上げたいなと思っております。  私の意見を述べまして、おしまいといたします。ありがとうございます。
  47. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で猪口邦子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  48. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、佐藤ゆかり君の質疑を行います。佐藤ゆかり君。
  49. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  本日、機会をいただきましたことを感謝申し上げますと同時に、明日、三月十一日、震災発災から三年目をちょうど迎えます。命を落とされた犠牲者の方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、生活再建でまだ御努力を続けておられます被災者皆様方に心を寄せて、これからも一日も早い復興に向けて私自身も努力をしてまいりたいというふうに存じます。  さて、先日、私はテレビの報道を見ておりまして、宮城県のカキの養殖業者の話が特集でございました。カキの養殖の売上高が震災前比でようやく二割まで回復したと。まあ回復したのは喜ばしいのですが、まだ二割までの回復であるというようなニュースがございました。景況感はアベノミクスの効果も出て各地で上がってきているところでありますけれども、やはり宮城県のこうした一部の業者の方々のまだ立ち上がりの遅れ、こういったものは、実は東北地域というのは東北地域域内の取引がかなり多うございまして、そういう意味では、例えば宮城県の隣の山形県の取引、これもいろいろなお菓子の業者ですとかメーカーさん、取引がまだまだ震災前まで水準が回復をしていないというような現状でございます。要するに、この東北地方全体のそれぞれの経済の相互依存がどれだけ強いかということが、こうした宮城県や山形県や秋田県の現状から東北地方全体としての復興の問題であるということが如実に表れている一つの話ではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、今日は、復興で三年近くたちましたので、そろそろ次のフェーズということで、この日本経済再興、いわゆるアベノミクスで進めている成長戦略の中でこの復興というものをどのように取り組んでいくか。  さらに、東北地域といいますと、かつてはこの日本海側は中国やロシアという環日本海経済圏というような構想もありましたように、対岸貿易で今所得が増え、需要が拡大しているのが対岸側でございます。この対岸の需要というものを東北の復興にどのように積極的に取り組んでいくかということも、実はこれからの経済再興プランの中に一つ、極めて重要な柱の一つになるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、パネルを御覧いただきたいと思いますが、(資料提示)このパネル一、資料で一でございますけれども、環日本海経済圏といいますと、日本から大陸側、特にこの東北地方の対岸になりますと、やはりロシア、ウラジオストクが距離的には一番近いわけでございます。このウラジオストクでは非常に最近は需要が拡大しておりまして、ロシア連邦政府もウラジオストクにカジノの開設を許可を下ろしております。そして、このカジノの開設で世界級の豪華施設を、娯楽施設を建設する計画ですとか、世界的なホテルチェーンが入ってくる話ですとか、まあウラジオストクというのは今その話題になっているわけでございますけれども。  そこで、総理にまずお伺いをしたいと存じます。  かつて、中国がWTOに入りました二〇〇一年以降、中国が活況になりましたときに、九州の福岡ですとかそういった方々のビジネスマンは、もはや東京、東を向いたビジネスをやめようと、西側を向いてビジネスをやろうというようなことで景気が回復したようなエピソードもありましたけれども、これからの東北地方の復興におきまして、もはや北東アジアを向いて、ロシアを向いて経済を復興させようという一つの柱というのがあり得るのかどうか。総理は、私の記憶では、第二次安倍内閣就任なされましてロシアに三回既に精力的に訪問されているというふうに認識しておりますが、御感想も含めて東北地方への経済効果を、御見解をお伺いしたいと思います。
  50. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今後、ロシアがその眠れる資源を生かして更に発展をしていく中におきまして、今委員が示していただいたこの地図を見ますと、まさに環日本海において、日本海側の東北の各県とロシアとの関係がより深くなっていくことによってこの地域が繁栄をしていく、まさにこの環日本海の発展を、この東北地域がしっかりとそれを生かしていくことも十分に可能なんだなと改めて再認識をさせていただいたところでございますが、東北地方とロシアの貿易はまだいまだ大きなものではありません。しかし、広大な国土と豊かな資源を持つロシアと高い技術そして経営ノウハウを持つ日本との関係は最も可能性に富んだ二国間関係の一つでありまして、大きな潜在的可能性があると、このように思います。  ロシアを含む世界経済の成長力を日本経済の成長力として取り組んでいくことによって、成長の果実を地域に波及させ、新たな創造と可能性の地として東北をつくり上げていきたいと。その中において、今後発展が期待されるこのロシアとの関係をいかに生かしていくか、東北地域の皆さん方とともにしっかりと考えていきたいと、このように思います。
  51. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます。大変心強いお言葉を総理から頂戴しました。  そこで、甘利大臣にもお伺いしたいと存じますが、実は、この東北地方といいますと、やはり対ロシアですと、秋田港ですとか酒田港ですとか、あるいはちょっと下がって新潟港ですとかございますけれども、酒田港ですと、宮城県のちょうど隣になりますので、石巻港、被災地の石巻からちょうど横のラインで直結する港になってまいるわけでありますが、かつても、酒田港ですと高度成長期の六〇年代はロシアから北洋材などを輸入した港として栄えた一時期もございまして、また、最近でも自動車ですとか中古車は日本から輸出がかなり酒田港からロシアに向けて出ているようなところでありますが、こうしたロシアからの天然ガスの輸入ですとか日本からの輸出、特にウラジオストクでカジノなどの産業をこれから興すというような話も出ている中で、観光関連に対するサービス輸出ですとか、そういうようなものも含めまして、対ロシア貿易の将来的な受皿として東北地方の産業をどう生かすことができるか、もし具体的なイメージが甘利大臣の元でおありになれば少しお伺いしたいというふうに考えております。
  52. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 現状ではまだ大きな金額になっていませんけれども、総理から御答弁させていただきましたとおり、ポテンシャルはかなりあるというふうに思っております。  現状でいいますと、東北地方全体のロシアとの貿易でありますけれども、東北地域の総輸出額のうちの〇・八%、これは主にタイヤ等のゴム製品が主でありますけれども、それから東北地方の総輸入額に占める対ロシア貿易のシェアですが、これは二・一%、これは石炭等エネルギーの輸入が主のようであります。しかし、地の利を生かすということもありまして、ポテンシャルは高いというふうに思っております。  具体的に東北の自治体におきましては、例えば山形でありますけれども、極東ロシアでの商談会、これはハバロフスクとウラジオストクでそれぞれ山形県内の企業は六社ぐらい参加しているようでありますけれども、こういう取組は進んでいるわけであります。  日本経済の発展のためには、国内経済を良くするということと、それから近隣の成長を取り込むという二点があります。極めて近い距離にあるロシアの成長を取り込む、地の利を生かして東北地方がその先導役をするということは極めて可能性に富んでいるところだというふうに思っております。
  53. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 東北地方と対岸貿易の可能性を更に将来的に発展させるために、私は二つ課題があるのではないかというふうに思っております。  今、総理そして甘利大臣から力強いお言葉を頂戴したのですが、要は、復興に資するための対岸貿易の需要の取り込みという観点で考えますと、やはり地元産業がいかにこの対岸貿易の中に取り組んでいくことができるかという観点でございます。  そうしますと、その地域で作るいい産品あるいは部品、製品、こういったものをやはり地域の事情に精通をした地元の専門商社をまず育成をしていかなければいけない。大手商社には大手商社なりの活躍の場があるわけでありますけれども、地域産業再生し、そして貿易として輸出をしていく、あるいは輸入をしていく、こういう相互関係においては、地域の農産物を知り、あるいは地域のこういった林業の特質を知り、あるいは産品を知り、こういった地域特性の専門の中堅の商社をいかに育成していくかと、これが一つの課題ではないかというふうに思うわけであります。  それからもう一つは、やはり物流の点でございます。  今、国土強靱化ということで、震災を受けまして日本海側にバックアップ機能をつくろうということは機運として上がってきているわけでございますが、こうした対ロ貿易、対岸貿易を念頭に入れますと、やはり東北地方の横断的な交通網の整備、東西に横断をする交通網の整備、これも極めてそういった視野からなりますと重要性が上がってくるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、私は少し気になりますのは、この震災発災直後の反省点として、当時復旧が、直後で非常に物流が遅れた問題がありました。当時は、やはり物流といいますと、太平洋側にも京浜地域から物を運んで東北自動車道で延々と渋滞の中を当時物資を運んだわけでありまして、非常に陸送の距離が長かったという反省点があります。  ですから、バックアップ機能としても、海運を使いながら短距離で陸送ですぐに移動ができる、そういった代替施設を東北地域内で造っていくこと、これは極めて大事であるというふうに思うわけでありますが、物流と申しますと、道路だけでなくて、やはりサプライチェーンのバックアップ機能、要するに、部品生産拠点をここでやられたならば代替でこちらの工業団地からきちっとサプライができるような体制の工業団地のバックアップ機能をきちっと確保していくということも極めて大事であるというふうに思います。  実は、東北には宮城県の大衡村というところにトヨタ自動車の東日本工場、東北の生産拠点があるわけでありまして、これは非常に東北自動車道を降りてすぐのところにありますので、利便性の高い立地でございます。  ところが、トヨタ自動車始め多くの企業で、今やジャスト・イン・タイム生産方式、大体、かんばん生産方式で、部品納入業者の方々にも、仕入れが必要になれば一時間ぐらいで納品をしてくださいというぐらい近場で生産をしてください、ジャスト・イン・タイムですというような生産方式が広がっているわけでありますが、そうなりますと、既存の、既に震災前から立地をしている工業団地、これが震災発災後、これから新たに復興のための道路や強靱化で新たな道路を造るときに、その既存の工業団地の立地を意識した形で、それらをうまく生かして、彼らを、この工業団地をいかに二次的なサプライチェーンのバックアップ機能として使っていくかという視野でやはりその物流網というものを考えていかないと、この既存の工業団地がむしろ過疎化してしまうようなおそれもあるのではないかというふうに思うわけであります。  例えば、具体的な例ですけれども、宮城県のこの大衡村のトヨタに納品するためには、真横の距離で考えますと約百キロメートルのところに山形県新庄市の工業団地があります。これ、トヨタにも納品している工場が幾つか入っております。ただし、ここは高速道路がありませんので、納品まで車で二時間十五分ぐらい掛かると。百キロで二時間十五分掛かります。ところが、東北自動車道を使って同じ百キロの位置にある工業団地から一時間で納品ができるというわけであります。  ですから、これから強靱化で道路整備をするときに、こういったことを考えながらやりませんと工業団地が形骸化するおそれがありまして、このサプライチェーンの代替機能としての域内の工業団地の生かし方という観点で、茂木大臣、自治体は工業団地を立地した以上は自己責任を収益性において負っているわけでありまして、国の補助は出なくなるわけでありますが、そういう意味で工業団地の生かし方としてこの物流とのアクセスの絡み、いかにお考えでしょうか。
  54. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 午前中の質疑片山先生、猪口先生、佐藤先生と連続で質問に立たれると、自民党もまさに女性が活躍する社会、地でいっているなと、こういう思いもいたしますが。  恐らく、サプライチェーン、佐藤先生もそうでありますが、専門家の間では相当以前から使われていたわけでありますけど、一般の国民の皆さんが聞くようになったのは、恐らくその三・一一の東日本大震災が発災をいたしまして、例えばマイコンの供給が滞って自動車の生産がままならない、こういった中からサプライチェーンという言葉がよく使われるようになったのではないかなと、こんなふうに考えておりますが。  委員指摘のとおり、工業団地につながります道路の整備であったりとかバックアップの生産拠点、これは企業の物流コストの低減であったりとか納期短縮などにつながるものでありまして、まさに我が国の競争力強化の観点からも重要だと考えておりまして、こういったサプライチェーンが寸断をされる、そしてまた、道路が損壊すると、これは我が国全体にとっても商品の生産であったりとか物流に大きく影響が出るものでありまして、国土強靱化の上からも極めて重要だと思っておりまして、道路整備も必要でありますが、御指摘のように、今ある工業団地をもう少し有効に活用できないか、こういう視点も極めて重要だと考えておりまして、政府としては、昨年の秋から全国九つの地域ブロックごとに地方産業競争力協議会、こういったものを開催をいたしておりまして、そこの中で、企業立地の視点を踏まえた物流インフラの整備、こういった議論を行っております。  また、経済産業省といたしましても、企業立地促進法に基づきまして自治体が策定をいたします地域産業集積に係る基本計画を踏まえた企業立地に対する税制面また金融面での支援を行っているところでありまして、その際は道路などの整備計画との整合性を取ったり、またバックアップを考えたときにサプライチェーンとしてどう強靱化していくか、こういう視点も極めて重要だと、そのように考えております。
  55. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます。  強靱化といいますと、道路、交通網の整備の話が先に出やすいわけでありますが、それも極めて大事でありますが、やはりサプライチェーンという、工業団地、ものづくりの観点も強靱化の中に是非織り込んでいっていただきたいというふうに思います。  そこで、被災地、やはり宮城県、被災三県、岩手県、福島県ありますけれども、特に宮城県からこの横のラインで、先ほど来申していますウラジオストク向けのロシア貿易というふうになりますと、地図にもございます、図表二の「東北経済の国土軸」にもございますが、丸でぽつぽつとウエストラインの計画なしという道路でございますが、酒田から石巻まで、実はこれ一番ウエストのように細い東北地方の横断道路でありまして、これが今、高規格化になっていない道路がございます。  太田国交大臣にお伺いしたいと思いますが、対ロ貿易、これは国交省も経済効果をかつて試算した結果がございますけれども、こうした対ロ貿易を通じた需要の拡大、東北地方の復興につなげるということになりますと、港と港を右から左へ結ぶ、そういったインフラ整備も必要ではないかと思われますが、ウエストラインの計画についていかがお考えでしょうか。
  56. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 世界の物流は大きく変わるという認識をしておりまして、来年、二〇一五年には、パナマ運河の拡張というのは世界の物流を相当変えると思います。そして、一昨年来、北極海航路というのが具体的に動き出したということも大きく、ロシアとの関係というものは極めてこれから重要になってくるというふうに思い、その中で日本海側の港、実は、太平洋側の港とそして日本海側の港を比較しますと、この物流におきましてはコンテナを中心にしてかなり日本海側の港の方が太平洋側より多いというのがデータとして出ています。対ロシアの貿易量はこの十年で七倍になっているという状況もあります。  今、サプライチェーンの話がありましたが、道路ができますと、逆にそこに工場が立地するということがございます。そういう意味では、またこの震災等では新潟や酒田や秋田側から様々な物資が太平洋側に送られたという例もございまして、この東西というものを結ぶのは極めて重要だという認識をしています。  御指摘のウエストライン、山形県の酒田市から石巻、ここに至る道路でありますけれども、ここは余目酒田道路の二十七年度、二十九年度と順次開通させるとともに、日本海側の強化及び日本海側と太平洋側との連携を図ることは極めて重要であるというふうに認識をして、強化に取り組んでいこうというふうに思っているところでございます。  こうした点も踏まえまして、国際競争力の強化、災害時におけるリダンダンシーの確保に役立つ、そうしたネットワークの強化に取り組んでいきたいと思っております。
  57. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 是非、このウエストラインも被災地までつなげていただくということで、石巻までつなげるということが極めて重要であろうかと思いますので、引き続き御検討をお願いしたいというふうに存じます。  さて、残りの時間、少し再生可能エネルギー、特に木質バイオマスについてお伺いをしてみたいというふうに思います。  震災以降、当然ながら日本は原発が停止をして、そして石油、石炭等の燃料の輸入コストがかなり増え、今現在でも三・六兆円程度はこの輸入の費用が増加をしている現状にあるわけであります。言わば、この震災直後から日本の富がこの分、流出をしているということになっているわけでありまして、その一方で、日本は資源が乏しいと言われている国でありますけれども、森林資源を見ますと、実は非常に、世界第三位とも言われるほどの森林大国であるのが日本であります。フィンランド、スウェーデンに次ぐ第三位でありまして、日本の国土に占める森林割合は七割でございます。そして、特に東北地方でこの森林比率が高いわけでございまして、岩手県、秋田県、山形県、福島県、ここの森林、県土に対する森林比率はいずれも七割を超えている県でございます。  こういったものを有効利用して木質バイオマスを通じた再生可能エネルギーの普及拡大を図り、それを復興の一つの産業として活躍をさせていただくという概念があるわけでありますが、木質バイオマスのメリットとしては、一つには、先ほど申しました富の国外流出を防ぎ富を国内所得として国内還流させるメリットがある、国内雇用や国内所得につながるという点であります。そして同時に、再生可能エネルギーの太陽光パネルや風力発電と違いまして、木質バイオマスの場合には絶えず安定的な供給に依存できるというメリットがあります。そして三つ目には、木を切って伐採をして、CO2を吸収させてそしてそれを燃やすわけでありますので、カーボンニュートラル、いわゆるCO2を吸って排出するということで、カーボンニュートラルで環境にも非常に優しいと、この三つのメリットがあるわけでございますが、そういう意味で、これから木質バイオマスを導入するにつけて課題として上がっていますのは、この木質バイオマスの安定的な獲得でございます。  バイオマス、木質バイオマスには三つのルートがありまして、一つは山林で横たわっている間伐材を収集して持ってくるという作業でありますが、これは運搬費用も掛かるので一番コストが掛かるパターン。二つ目は製材所で残った残材の利用であります。そして三つ目は建設廃材の利用であります。これらは既に町中にありますのでコストは安いと。しかしながら、この建設廃材と建材所の残材についてはほぼ利用率が上限まで近くなっていまして、今後、木質バイオマスの利用促進のためには、山間部から林道を経てこの間伐材を持ってこなければいけない、そこの利用促進をどうするかということになってきているわけであります。  そこで、林大臣にお伺いしたいと思いますが、実は経産省の方では、木質バイオマスの導入促進で例えばボイラーの設置費用についての補助制度ですとか既に導入済みでありますが、もっと根元のところの、このバイオマス、木材の供給のところで、林道整備、作業道の整備、この辺りをもう少し被災地に向けて、被災地の地元の雇用、そして地元の所得につながるという復興メリットも鑑みながら、更に積極的な支援策を行っていくお考えはございますでしょうか。
  58. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) まさに今、佐藤委員が御指摘いただいたように、この未利用間伐材ほとんど使われておられないと。製材工場はもう九五%、それから建設現場ではもう九〇%が利用されているということで、これをどうやってカーボンニュートラルなエネルギー源として利用していくか、これは雇用創出等による地域経済の活性化や森林の整備にも寄与すると認識しております。  農林水産省としても、未利用木質バイオマスの安定的、効率的な収集に必要な路網整備、それから森林施業、林業の集約化に対する支援ということをやっておりますのに加えて、木質バイオマス関連施設整備への支援、それからこの木質バイオマス発電等に取り組もうとする事業者に対する相談等のサポート体制の構築、それから効率の良い木質バイオマス発電等に関する技術開発への支援、こういうことを総合的に行ってきているところであります。  被災地においても、こうした支援措置を活用しまして、岩手県の宮古市旧川井村ですが、未利用間伐材等を主燃料とする五千キロワット級の発電施設が建設されまして、今月に運転開始予定と、こういうことになっておるところでございますので、今後ともこういう支援措置を活用して木質バイオマスの利用を推進してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  59. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます。  是非進めていただきたいと思いますが、総理、通告はしておりませんが、もしこの件で御感想があれば、木質バイオマス、これは国外に富が流出しないと、そして国内所得につながると、そしてカーボンニュートラルであると。要するに、木質バイオマスはアベノミクスの強くしなやかなエネルギー源ではないかと思われるのですが、もし御感想があれば一言。
  60. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この木質バイオマスでありますが、いわゆるバイオマスは、食料資源においては食料の資源が高騰するという課題があったわけでありますが、木質であればそういう問題もないわけでございます。何といっても、委員が御指摘になったように日本は豊かな森林があるわけであります。この美しい森林を守っていく上においても、この森林を活用していくことが大変大切であろうと、こんなように思いますので、しっかりと政府としても取り組んでいきたいと、このように思います。
  61. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 心強いお答え、ありがとうございました。  さて、時間も限られていますので、あともう一問お伺いさせていただきたいと思いますが、この再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、ちょうど今年、二十六年の買取り制度が、固定価格買取り制度の算定をする経産省の審議会から答申が出たばかりでございます。  実は、少し問題意識が私ありますのは、固定価格買取り制度の下で一定の利幅というのは確保するという前提で買取り価格を改定をするという制度に立て付け上なっているわけでありますが、実際にそのパネルの設置ですとか建設費用、建設従事者の労務費用ですとか電気事業工事者の労務費等を考えますと、こちらの方が上がってきておりまして、固定価格買取り制度で年一回の改定に対して、実は公共事業の場合の労務費は、同じ労務者であっても、公共事業の場合には今労務単価が上がっておりまして年二回見直し、そして必要とあらば改定をしている。そこの見直しの格差によって、実は再生可能エネルギーの改定が年一回で、このまま進みますと普及に遅れが出るのではないかというふうに思われます。  エネルギー基本計画が発表されておりますので、もし閣議決定がなされれば、一応この再生可能エネルギー特措法によりますと、このエネルギー基本計画発表後に買取り制度を見直しをする、そしてその後、見直し後も三年毎にまた見直しを続けていく。そしてさらに、第三条の一項では、必要が認められるときには半期ごとに調達価格及び調達期間を定めることができるというふうに法律上はなっておりますが、茂木大臣、この点についていかがお考えでしょうか。
  62. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) おっしゃるように、法律的には毎年度、その年度が開始する前に買取り価格を見直すこと、これを基本といたしまして、委員指摘のように例外的に大きな事情変更がある場合には半期ごとの見直しもできると、こういう規定となっております。  その上で、固定価格買取り制度、これは再生可能エネルギーを今後拡大していくためにもしっかりと維持運営をしていきたいと考えておりますが、このコストの中には、発電設備自体の費用のほかにも、委員指摘のように建設作業員の人件費を含みます工事費などのコスト全体を売電収入によりしっかりカバーできるような制度と、こういう形にしております。  ただ、例えば太陽光パネル付けるにしましてもそれほど大きな人件費というのは掛からないわけでありまして、人件費の割合は固定的になってくる。また、半年ごとに人件費を評価して買取り価格を見直すにしましても、実際にこれは認可を受けてから工事をするまでに若干のタイムラグがあるために、当初の評価との間でずれが生じるということも考えられます。  そして、ある意味、この固定価格買取り制度、様々な事業者に対して将来に対して投資をしてもらうという意味合いもあるわけでありまして、これが半年ごとに値段が変わっているということになりますと、投資意欲減退という懸念も持たれるのではないかな、こんなふうに考えておりまして、この固定価格買取り制度の在り方、今後、例えば認可の在り方も含めて検討しなければいけないと思っておりますけれど、人件費を含みます様々なコストをしっかり反映をさせる、こういう観点から議論をしてまいりたいと考えております。
  63. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございました。  固定価格買取り制度の調達価格の改定は、ヨーロッパの国などでは毎月改定している国もあるわけでございまして、ですから、その辺りも踏まえて日本としてどうしていくかということを長期的に考えていっていただきたいと存じます。  ちょっと時間が、あと一問、財務大臣にあったんですが、時間切れということですので、申し訳ありません、財務大臣には失礼いたしましたが、ここで私の質問を終わらさせていただきます。
  64. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で佐藤ゆかり君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  65. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  66. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日で、東日本大震災、そしてあの東京電力福島原発の事故から丸三年ということになります。私の方からも、改めて、お亡くなりになった皆さんに御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお厳しい状況に置かれております被災者皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  福島は必ず復興させなければいけない、私どももこの決意で取り組んでまいりたいと思っておりますし、事故は二度と起こさせない、そして、そのためにも常に最悪の事態を想定した対策を考えておく、このことが必要だと思っておりますし、福島原発の事故を受けて、国民の皆さんのお気持ちを率直に申し上げれば、できるだけ早く原発はなくしてほしいというところにあるのではないかというふうに私は今受け止めております。  当時は民主党政権でございました。我々は、事故対策復旧復興対策を進める一方で、党内でけんけんごうごうの議論をいたしましてまとめましたのが革新的エネルギー環境戦略でございます。その骨格の部分は、総理のところにも資料としてお配りをさせていただいていると思います。  このエネルギー環境戦略について、総理は昨年一月の参議院本会議でこのように評価されております。前政権が掲げた二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという方針は、具体的な根拠を伴わないものであり、これまで国のエネルギー政策に対して協力をしてきた原発立地自治体、国際社会や産業界、ひいては国民に対して不安や不信を与えました、このように評価をされておりまして、このエネルギー環境戦略はゼロベースで見直されました。  そして、その結果出てきたのが今回の新しいエネルギー基本計画であります。きっと総理の言葉どおり、国際社会や国民の皆さんが安心をできるものになっているだろうと思って拝見をいたしましたが、率直に言ってがっかりいたしました。我々のエネルギー環境戦略よりずっと具体的根拠のないものだったからであります。  まず、総理にお伺いをいたしたいと思います。  事故から三年もたって四年目に入ろうとしているわけであります。しかし、この国のエネルギー計画はいまだにきちんとしたものが何もないという状況でございます。今後必要となるエネルギーの量や、あるいは省エネルギーをどう進めるか、再生可能エネルギー、コジェネ、全く目標が、いや、計画が示されておりません。この基本計画見ますと、LEDの目標は書いていますが、省エネルギーについては全く目標を書いておりません。本当にこんなことでよろしいんでしょうか。総理のお受け止めをお伺いしたいと思います。
  67. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 詳細については経産大臣の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、エネルギー政策につきましては、まずは国民生活や経済活動に支障がないように、そして責任あるエネルギー政策を構築をしていくことがまず何よりも重要であると、このように思います。  エネルギー基本計画については、先日、政府の原案をお示しをしたところであります。与党とも調整した上で決定をいたします。省エネルギー再生可能エネルギーなどの目標を含む日本の将来のエネルギーミックスに関しましては、新たなエネルギー基本計画を踏まえまして、再生可能エネルギーの導入状況、原発再稼働の状況などを見極めまして、できるだけ早くエネルギーのベストミックスの目標を設定していきたいと、このように考えております。
  68. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今パネルでお示ししていますが、(資料提示)このパネルでは、私どもの当時作りました省エネルギー目標を書かせていただいています。二〇三〇年に節電量一〇%、エネルギー消費量は約二〇%削減するというものが目標でございます。  総理のお手元には、縦書きで、その下に再生可能エネルギー、コジェネ、簡単に言いますと、再生可能エネルギーの導入目標は約三〇%であります。コジェネは約一五%を導入目標にいたしております。これが私どものエネルギー環境戦略の目標数値でございます。その資料の二枚目に入っています。  それで、私ども今、実は党内でもエネルギー調査会を持ちまして様々な、このエネルギー環境戦略も含めて議論をいたしているところでございまして、その議論の途中のやや感触的でございますが申し上げますと、例えば省エネルギーについては、この目標は約一〇%の節電、二〇%の消費量削減ということでありますが、もっともっと深掘りできる、これが私どもの感触でございます。  また、ちょっと付言申し上げますと、コジェネが今申し上げたように約一五%、この紙の一番下で、縦書きのところの一番下に入っていますが、発電容量にして約二千五百万キロワットという数字を挙げておりますが、先日、業界の方がこれから取り組んでいく数字についてまとめておられるのを拝見いたしましたら、約二割アップの三千万キロワットは可能ということでございます。したがいまして、コジェネは実は私どものその計画よりも更に深掘りが可能だと、こういう見解もいただいています。  再生可能エネルギーについては、さっき三〇%と申し上げましたが、先ほど来御議論がありましたように、自民党さんの方の調査会の発表で一〇%の節電とセットで三五%可能だと、こういう数字が報道されているところであります。これは私は詳細は分かりません。しかし、こういった皆さん方の様々な現時点での努力を積み上げますと、そこにお示ししている私どものエネルギー環境戦略の目標数値、省エネの数字それから再生エネ、コジェネ、全て達成可能であるということを、実は自民党の皆さんも含めてそういうふうに申されているわけであります。  そういう意味で、総理、是非お伺いしたいんですが、私どもできるだけこれを深掘りしたいと思っておりますが、自民党の皆さんも含めて業界の方も十分これはやれるんだ、もっとやれると、こういうふうにおっしゃっておられるんです。ですから、是非私は総理の御認識も改めていただきたいなと。これ、根拠あるんです。しっかり根拠が付いてきているということを、是非お考えを改めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、総理
  69. 山崎力

    委員長山崎力君) 茂木経産大臣。(発言する者あり)
  70. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、事実関係、簡単に御説明申し上げた上で、総理の方から大きな方向性についてお話しいただけるかと思うんですけれど。  今回、我々、エネルギー基本計画、第四次になるわけでありますが、今、政府の原案を取りまとめをいたしまして閣議決定いたします。  今お示しをいただきました民主党の革新的エネルギー環境戦略、これは残念ながら閣議決定をされていないものでありまして、二〇一〇年に三次のエネルギー基本計画、民主党政権として作られたと。そのときはたしか、それを踏まえて原発の依存度五〇%ということだったと思います。当然、見直し作業を進められて、エネルギー基本計画について民主党として相当な議論重ねられましたけど、結局取りまとめには至らなかったと、そのように認識をいたしております。  そこの中で、我々としても省エネルギーしっかり進めると。単に省エネルギー全体を進めるだけではなくて、これからはディマンドリスポンスの形の省エネというのが極めて重要になってまいりまして、そのための電力システム改革、これも第二弾まで進めるところにしております。  さらには、再生可能エネルギー、コジェネにつきましても、具体的な手段も詰めておりますが……(発言する者あり)はい、それでは結構ですけれど、申し上げたいのは、一つだけのことについて、エネルギーは全体のミックスでありますから、全体としてどういったことを決めるというのが極めて重要だと考えております。
  71. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) こうしたエネルギーのベストミックスをどう考えていくかということについては、これは与党も野党もなく我々も建設的な議論をしていきたいと、このように思いますし、直嶋経産大臣時代の御努力も我々も評価をしているところでございまして、我々といたしましてもより現実的、具体的に安定したものを作っていきたいと、こう思っているところでございます。
  72. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 二枚目のパネルをちょっと出してください。それで、今、茂木大臣がちょっとお触れになった部分も含めて省エネルギーの方を少し吟味をさせていただきたいと思っています。この総理にお配りをしました資料の二枚目に、こういう絵でございます。  私は、これからのエネルギー政策を考えていく上で省エネルギーが一番重要だと思っています。今も貿易収支の赤字が議論されていますが、やはり使わないということが最もバーゲニングパワーを強くする一つの方策だと思っています。  それで、日本は実は省エネルギーについては世界ナンバーワンだと、こういうふうに言われ続けてきたんです。私も、さっき総理がお話しになった大臣時代はそういうふうに言っていました。これは決して間違いじゃないと思います。ただ、そのグラフをよく見ていただきたいんですが、これは一九九〇年を一とした、それ以前とそれ以降のエネルギーの消費効率です。  もう一目瞭然でございます。実は、一九七三年の第一次石油ショック以降、日本エネルギー消費の削減に物すごく力を入れて取り組んできました。そして、今GDP単位当たりでは世界一位だと思います。しかし、このプロセスをよくよく見ると、九〇年を境にして変わってきています。一九九〇年以降は我が国のエネルギー消費は、ほかの外国、例えば米国とかドイツとかあるいはOECD平均に比べても、決して改善されていないんですね。  簡単に言いますと、この二十年間ぐらい、余り日本エネルギー消費の改善は進んでいないというふうに申し上げても過言ではないと思うんです。エネ庁の資料はいつも一九七三年の石油ショックからデータが出てまいりますから、確かに今までのところを積み上げれば世界で一番いい数字かもしれませんが、実は途中で変わってきているということでございます。  そういう意味で、さっきお話にありましたが、エネルギーミックスとは関係なく省エネルギーの目標は示せるはずなんです。それはもうやる気次第だと思うんです。そして、先ほど来自民党の方々からもいろいろ議論がありましたが、いろんな手だてはこの基本計画の中にも書かれています。しかし、あえて申し上げますけど、目標のない計画はないと思うんです。これは基本計画ですから、マスタープランです。このマスタープランに目標やプランニングが入っていないものというのは、これはマスタープランと言えないと思うんです。大変恐縮ですけど、そういうふうに申し上げざるを得ないんです。  したがいまして、是非総理には早く目標設定をしていただきたいと思いますし、むしろ、ここで省エネルギーの目標が出ていないこと自体は政府の方の怠慢ではないかというふうに考える次第でありますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  73. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 省エネルギーの推進につきましては、エネルギーの供給の安定化に大きく貢献するとともに、事業者のエネルギーコスト削減や生産性の向上にも直結をしておりまして、我が国の成長の観点からも極めて重要であると、このように私も思っております。  産業構造や気候等が異なる欧州とは単純な比較は難しいわけでございますが、日本は、先ほど御指摘のあったように、一九七〇年代の石油ショック以来の省エネ努力によりまして、欧州主要国と比べても遜色のない世界トップレベルのエネルギー効率を維持していると認識をしております。  そのお示しをいただきました表のように、七〇年から九〇年にかけて日本は急速に言わば省エネを進めてきたわけでございます。であるからこそ、日本は相当のレベルにその段階で達していたわけでございまして、だからこそCO2の削減におきましても、世界は九〇年を起点としてそれ以降の努力ということを主張しているわけでございますが、日本はなかなか難しいのは、九〇年の段階で単位当たりのエネルギー消費の主要国比較におきましては、例えば日本はその段階で〇・一〇四というものを達成しておりまして、欧州、OECDにおきましては〇・二二四と倍になっているわけでありますし、そして米国は〇・二七一になっていると。  しかし、その後も、その後各国が確かに更に三〇%前後の削減を進めてきた中におきまして、日本は残念ながらもう絞っておりますのでなかなか出ないということもありまして、日本は六%台にとどまっているところでございますが、しかし、その中で六%にした結果、日本は〇・〇九八でございまして、OECDは〇・一七八でございまして、それに比べれば日本の方がまだまだこれは数値におきましてはトップレベルは守っているわけでございます。  しかし、今までのような産業の分野だけにおいて省エネを進めてきた、ここは相当なレベルに達していますが、まだまだ確かに委員がおっしゃったように余地はあるわけでございまして、これまで省エネ努力が行われてきた産業部門だけではなくて、家庭やビルなどの民生部門には大きな省エネ余地があると認識をしております。省エネ型の家電や高性能な建築材料の導入を促進するなどの省エネルギー対策を進めていく必要がありますし、また、もちろん産業部門におきましても更なる、更なる努力を重ね、そしてイノベーションを目指していくというのは当然のことであろうと、このように思います。  そうした中におきまして、徹底した省エネルギー社会の実現を図っていきたいと、こう考えているところでございます。
  74. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理、本当に丁寧に答弁していただいたんですが、私は、総理ですからもう是非大きなところでちょっと今日は議論したいと思って、あえて各論には入らないようにしているんですが。  このグラフを御覧になったとおりです。世界一というのは、それは事実なんです。事実だと思いますが、この二十年間、本当に停滞しているんです。ですから、家庭部門、業務部門、しかし産業部門も私は努力の余地がまだまだ大きいと思っておりまして、これはまた改めて御議論させていただきたいと思っています。  むしろ、僕、今回のエネルギー基本計画策定でも気になったのは、電力について、我々も過去そうしてきたんですが、需要を一応前提にして、それに対してどういう供給をしていくかということで、エネルギーミックス、それを安定的に供給するためにということで、エネルギーミックスという考え方でその供給の電源構成なんかを議論をして様々な政策を打ってきたわけです。しかし、私は今、特に昨今、もちろん福島の事故ということもありますが、状況はかなり変わってきているんじゃないかなというふうに思っています。そのやり方だけではやはり本当に時代の先を見た取組にはならないんじゃないかと。  つまり、さっきも申し上げたように、省エネは徹底的にやるということであれば、省エネだけきちっとまず計画は作ることができるはずなんです。さっき茂木さんもちょっとおっしゃったように、電力の需要を前提にするんじゃなくて、今度は需要サイドもいろいろ抑制可能なんです。これは経産省で実証モデル実験というのを四地区でやっていまして、もうかなり成果は上がってきているんです。細かいことを抜きにして結論的に申し上げれば、しっかりやっていけば、大体電力の二割ピークカットができるという結論が出てきています。  ですから、そういうものをしっかり取り入れていけば、おのずからこのエネルギー基本計画の作り方そのものも変わってきて当然だと私は受け止めていまして、是非、これはまだ正式決定じゃないと、これから目標を作るとおっしゃっていますから、そういう視点も入れてお作りをいただくことをお願いしておきたいと思います。  それからもう一点申し上げますと、我が国の火力発電、これも高効率火力発電の技術はすばらしいものがある、これも事実なんです。しかし、じゃ、そういうところはどこにあるのか、どこの発電所でそのすばらしい日本技術が実際に活用されているのかということで聞きますと、大体石炭出てくるのはあそこの磯子の火力発電、それからLNGだと川崎にあるコンバインドサイクルの火力発電。しかし、実はそれ以外に余り、まだあると思いますが、たくさんはないんです。僅か幾つかあるだけなんです。今、それをインフラ輸出で世界に輸出しようと、こういうことで考えておられるわけですけど、私は、例えばこの火力発電も同時に効率化を、コンバインドサイクルで効率化していけば、今大体効率四割のものが六〇%近いものが可能になるわけですから、それは積極的に更新すべきだと思うんです。  特に、石油火力は一番新しいもので一九七八年にできたものです。ですから、もうこの四十年近く石油火力は一基もできていませんから、すごく効率が悪いんです。こういうものを是非早くリプレースされますと、省エネルギーも、さっき総理がお触れになったCO2対策も画期的に進んでまいりますので、是非そういう観点でこれから基本計画を作っていただきたいと思うんですが、もう御所見だけお伺いします。
  75. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに今、政府と与党におきまして議論を、最終的な議論を詰めておりまして、その結論を得た上において閣議決定を行うところでございますが、今、直嶋委員から御指摘のあった従来の設備、火力発電の設備をこれは言わばまさに高効率なものに変えていくべきだ、私も当然そのように思います。  このリプレースを行っていく上において、今、発電所そのものにおいてこれは建て替える敷地があるかどうかという、そういう問題もありますが、今は全てこの火力発電を燃やしながら維持をしているという点もありますが、しかし、方向性としては当然今委員の御指摘のあったような高効率なものにリプレースをしていく、その方向をしっかりと目指していきたいと、このように思います。
  76. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと次のパネルを出させていただきます。  恐縮ですが、総理もそのお手元の次の資料を御覧いただきたいんですが、これは今お話し申し上げた省エネルギーを進めていく上で重要なポイントが二つあるということで私ども結論を出して、これから更に具体的に詰めていきたいと思っています。  一つは、実は住宅とか建物なんですが、これはこの予算委員会で既に私どもの同僚議員が、前田さんとか小川さんが御質問させていただいていますので、今日はその部分は触れません。今日申し上げたいのは、いわゆる熱利用なんです。今、この表を見ていただければ分かるんですが、上の方は、これは大規模な系統発電機です。LNGや石油で発電しています。百万キロワット級の発電をするんですが、投入エネルギーで見ますと、一〇〇投入したものが実は電気に変わって各家庭に、需要家に送られるのは四〇しか使われていません。廃熱と送電ロスで六割が消えてしまうという、これが残念ながら今の状況でございます。  それでもう一つが、やはり熱をうまく使おうじゃないかと、いわゆる分散型発電と言われていますが、これは水素の燃料電池を使ったケースでございます。これ、総理も御承知だと思いますが、JXの渡さんの著書から私がこれ引用させていただきました。これで燃料電池をうまく使って、電気だけではなくて熱も使ってお湯を供給すると、これはマックスですけど八五%の効率になると。つまり、エネルギーのロスは一五%で済むと。大規模発電は六割ロスであるということでございまして、この熱をうまく電気と併せて使っていく、こういう観点が非常に重要だというふうに思っています。  これは、先ほど来御議論ありました例えばバイオマスを考える場合も、発電だけ考えたケースと熱利用を併せて考えた場合には、全然コスト等も変わってまいります。これは地熱も全く同じでございます。  したがいまして、こういったバイオマスや地熱、それからもう一つはガスコジェネといいますか、先ほどちょっと申し上げたもの、そしてこういう燃料電池、こういうものをできるだけ拡大をしていく。それによって、熱と併せて上手に使うことによってエネルギー全体の効率を高めていく。  もちろん、こういうふうに申し上げて大規模発電が要らないと申し上げているわけじゃなくて、これはこれで、例えば産業等のことを考えますと当然重要な電源で、メーンはこういうメガインフラで発電をするということは必要かもしれませんが、そのうち全体の中でできるだけ分散型で熱をうまく使っていく。地域の例えば冷暖房なんかも併用しながら使っていくことによってもう画期的に省エネ効果が出てくるというふうに思っていまして、これから具体的なことを様々に私どもとしても御提案も申し上げたいと思っていますが、まずこの熱をうまく使うということについて、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  77. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今委員が御指摘になったように、お示しになったように、我が国におけるエネルギーの多くは最終的には給湯用や暖房用など熱の形態で消費されることから、熱エネルギーを有効利用することは重要な課題であると考えております。そのため、太陽熱、地中熱等の再生可能エネルギー熱や工場廃熱などのこれまで利用されてこなかった熱エネルギーの有効活用や、熱と電気を同時に発生させ、エネルギーを最も効率的に活用することができる分散型のコージェネレーションの導入拡大などを推進する必要があると、このように認識をしております。  私も渡さんの著書を拝読をさせていただいたところでございますが、まさにそうした形でエネルギーロスを減らしていくことこそ、これは省エネへの道にもつながっていくわけでございますし、CO2排出を削減するという意味においても大変大きな効果があると、このように思います。  こうした未利用熱の有効利用やコージェネレーションシステムの導入拡大は、我が国が直面しているエネルギー制約を克服するために有効な取組であり、政府としても必要な支援を行っていきたいと思います。
  78. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  是非この辺は、私は、もうエネルギーというのはこの国の最大の課題でございますから、それを考えていく上で与党も野党もないと思っております。したがって、私どもも今、政権の経験も踏まえて様々な政策を議論しているところでございますが、是非これからも積極的に御提案もしてまいりたいというふうに思っておりまして、今の御答弁いただいたことで、総理もこういう分散型含めてしっかりやっていこうという御決意のようですから、これからそういう面でも切磋琢磨させていただきたいというふうに申し上げたいと思います。  こういう部分をできるだけしっかりやっていくと、先ほど申し上げたコジェネでいきますと一五%と言っていたのが、実は業界の方ももうちょっといけるんじゃないかと、こういうことをおっしゃっておられます。今ここでお話ししたような燃料電池や地熱やバイオをうまく熱も含めて供給していくともっとそれが可能になるんじゃないかと。いわゆる電力、電気のうちカバーできる部分が大きくなってくるんじゃないかと。それにさっき議論ありました再生可能エネルギーをしっかり織り込んでいけば、相当な部分はこれらで賄えるということになってくるというふうに思っています。しかし、もう一つ、やはりいわゆる系統電源を含めた議論もしっかりこれからやっていかなきゃいけないと思っています。  それでまず、私どものエネルギー環境戦略で議論をしてきましたときに、一応原子力発電については、前提条件を置いて二〇三〇年代のゼロを可能にすべくあらゆる資源を投入すると、こういう方針を出させていただきました。そのときの実は原則は三つございまして、一つは四十年廃炉、これを徹底すると。ですから、今ある原子力発電所は四十年までは使うと、しかしそれ以降は使わない。二つ目に原子力規制委員会が安全を確認したもののみ再稼働をさせる。三点目が原発の新増設は行わない、仕掛かり中のものは別にしまして新増設は行わない。これが三つの原則で、そして目標を立てて、さっき申し上げたようなことをやってきたわけであります。  まず、原子力について総理にお伺いしたいんですが、まず、この四十年廃炉についてはこだわらないのかどうか。それから、今申し上げた原則でいいますと、新増設についてはどうお考えなのか。多分、規制委員会が安全確認をしたものを再稼働するという点についてはそういうおつもりだと思うんですが、四十年廃炉と新増設について、総理の現時点での御見解をお伺いいたします。
  79. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 四十年運転制限制につきましては、原子炉等規制法におきまして、原子炉を運転することができる期間を原則四十年としているわけでございますが、それ以降の運転を行う場合は原子力規制委員会による認可が必要となるわけでありまして、原子力規制委員会において専門的な見地に基づきまして本制度が適切に運用されることが私も重要であると考えております。  そして、再稼働につきましては、先ほど委員が既に御指摘にあったとおり、福島の事故の教訓を踏まえまして、安全を確保することが大前提でございます。その前提の下、独立をした原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な検査を行いまして、これに適合すると認められた原発につきまして再稼働を進めていくこととしたいと思います。  また、原発の新増設については現在のところ想定をしておりません。まずは、エネルギー源の多様化と既存の原発の再稼働の判断に集中していく考えでございます。
  80. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、ちょっとここの場で総理にお願いがございまして、実は原発の再稼働なんですが、私はさっき申し上げた民主党の方針どおりやるべきだと思っていまして、再稼働に反対はしておりません。安全をちゃんと確認されたものは動かさざるを得ないと思っています。  しかし、私の支持者も含めて、国民の皆さんはなかなか理解してくれません。今、原発なしで電気ちゃんと供給されているじゃないかと、まず返事が、これが返ってきます。いやいや、そうじゃないんです、今老朽火力発電所をだましだましに使ったりいろいろしていましてなんて説明をしても、特に原発嫌だと思っている人は、もう全然聞く耳も持ってくれません。  実は、民主党政権時代、野田総理がやはり夏の電力供給が非常に厳しいということであの大飯原発の再稼働を決断されました。今度どうなるか分かりませんが、総理も安全確認されたものは動かすという前提でお考えだと思っておりますので、じゃなぜ動かさなければいけないのかということを、国民の皆さん、長い話聞いてくれませんので、手短にひとつよろしく、私の支持者も見ていると思いますので、総理からよろしく御説明をお願いいたします。
  81. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘をされた点は大変重要だと思っております。現時点でゼロなんだから大丈夫じゃないかという意見があるのは私も重々承知をしておりまして、そういう御意見も随分伺っております。  しかし、もう今既に委員が述べられたように、この電力の需給につきましても、電力不足は何とか回避はできているわけでございますが、これは発電所の定期検査の繰延べや老朽化を既にしている火力発電所をフル稼働をさせている結果でございまして、引き続き実際には予断を許さない状況がずっと続いているわけでございます。  と同時に、原発が停止をしている中におきまして、海外からの化石燃料、その依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実があるわけでございますし、ガスそして石油の多くは中東地域から日本に入ってくるという地政学的な不安定要素も我々抱え込んでいる中において何とか維持をしているわけでございます。  当然、この価格につきましても、海外に三兆円以上のお金が出ていっているという状況も続いているわけでございまして、これは将来への国民負担にも跳ね返ってくるわけでございまして、そうした観点から、我々は安全を確保した上において、これは原子力規制委員会が、これは安全第一でありますから、厳しい厳しい基準におきまして安全と認めたものにつきましては地元の御理解をいただいた上で再稼働していきたいと、このように考えているところでございます。
  82. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもありがとうございました。  そういう意味で、持続可能ではないと、今の状況は、そういうことだというふうに理解をいたしております。  それで、もう一点原子力についてお伺いしたいんですが、特に今、原発の再稼働といいますか安全審査を、今十か所の原発、それから十七基の原子炉について原子力規制委員会に電力会社の方から申請が出されていまして、規制委員会の方でこの審査をするということになっているわけでありますが、実は、このそれぞれ十七基の原発を拝見いたしますと、非常に多額の経費を掛けた追加工事をいたしています。私も、先日改めて浜岡を見てまいりました。浜岡に行きましたら、もう御承知のとおり、二十二メーターの防潮堤始め、あそこは何か三千億円掛けて追加工事をしていると、こういう御説明でございました。  浜岡の中部電力だけではなくて、今申請をしているところはそれぞれ追加対策をした上で申請、安全審査の申請を出しているわけであります。それを全て合算しますと、約一・七兆円追加工事をしているといいますか、費用が掛かっているということでございます。非常に巨額の費用が掛かっていると思うんです。  よくよく見ると、この今申請が出ている原発で三十年以上経過しているものは一つもございません。これは偶然かどうか分かりませんが、現時点では全て三十年未満の原発でございます。こういった状況を考えますと、やはりさっき総理がおっしゃったように、世界一厳しいと、こう言われています安全基準に適合していくわけでありますから、非常にたくさん対策を打たなきゃいけない。当然、費用も掛かる。これを考えますと、やはり実際に今ございます原発のどれを動かしてどれを、じゃやめるのかという、こういう選別がこれからやはり始まってくるんじゃないかと思うんです。  実は、ここからが大事なところでして、そういうもし状況にあるとすれば、政府がやはり率先して、これからどれぐらい、いつまで使うということをちゃんと計画の中で御提案される方が電力会社も対応がしやすいんじゃないかと思うんです。先ほど申し上げた火力発電のリプレースとか、そういうことを考えていきますと、どっちにしても投資が要るわけですから、投資資金が要るわけですから、じゃ原子力に掛けるのか、火力に掛けるのか、あるいはほかの地熱とかそういうものに掛けるのかということを電力会社が早く判断できると思うんです。したがって、私は早く示すべきだと、こう思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。
  83. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに今、我々、新たなエネルギー基本計画策定をしているわけでございますが、同時にその基本計画を基に三年間でエネルギーのベストミックスをつくっていくわけでございますが、再生可能エネルギーの導入状況も含めまして、様々なこれはエネルギーミックスの中におきまして原発再稼働の状況というのも見ていく必要はあるわけでありますが、その中で判断をしていきたいと、このように思うわけでありますが、我々はこの三年間の中でベストのエネルギーミックスをしっかりと構成をしていくということを申し上げているわけでございますが、その中におきまして基本的な方向性というものは示していきたいと、このように考えております。
  84. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が今実は申し上げたのは、政府の方は三年間よく状況を見てと、こういうお話をされていることは承知をいたしております。実は、三年待たない方がいいんじゃないかと。これから二〇三〇年に向けて、特にこの今回の基本計画というもの、二〇二〇年までに必要な施策は打っていくと、こういうふうに中でうたわれております。そういったことを、あるいは電力システム改革の状況とか考えますと、できるだけ早くお出しいただいた方が電力会社の皆さんもいろいろ判断をできるし、もちろん国民にとってもプラスになると、こういうふうに思っておりまして、是非そういう観点からも、まだこれから正式決定のようでございますから、御検討いただければ有り難いというふうに思っています。  それからあと一点、原発に関して、ちょっとこれは定かでないので恐縮なんですけど、ちょっと茂木大臣にお伺いしたいと思うんですが、実は今、世界中で、あちこちで原発についていろいろ問題が起きておりまして、一つは、今建設中の原発ということでいいますと、今も巨額の費用が掛かると、こう言いましたが、実はフィンランドとかフランスで今新しい原発を造っていますが、例えばフィンランドのオルキルオト三号機というのは、当初の建設費用が四千三百億円ぐらいだったのが、今一兆一千五百億円ぐらいまで費用が積み上がっています。で、まだ完成していない、こういうことなんです。フランスの原発も同様でして、四、五千億の見積りのものが一兆八千億円ぐらい掛かっている。いずれも費用がすごく膨らんでいます。もちろん、これはそれぞれの固有の問題が結構大きいと思うんですが、かなり見込みに比べると費用が増加していると、こういう状況であります。  それから米国ですが、米国は去年原発を四か所閉めました。これはいずれも、シェールガスなんか出てきていますから、コスト的に、経済的に合わない理由が強いようであります。実は、規制当局に申請をしていた原発建設の申請が九件、十八件のうち九件も取り下げられたという情報を聞いております。  何が言いたいかといいますと、恐らく今後日本でも新しい建設を考えていくとこういう問題が出てくるんじゃないか。費用が増加する、あるいは工事が長期化する、こういう問題が出てきて、こういうアメリカとかヨーロッパの状況を見ていますと、やはり原発建設そのものはなかなか割に合わなくなってきているのかなと、これはもう率直に申し上げざるを得ないのですが、こういった点について、今状況なんかいろいろ整理されたりして検討されておられたら、ちょっと政府の御所見の方をお聞かせいただきたいと思います。
  85. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、御指摘いただきましたフィンランドの原発でありますが、コスト上昇の見積りということですが、御指摘のように、その要因としては、一部のプラントの不具合、溶接の不備等によりまして建設期間の長期化等々がコスト上昇の要因ということでありまして、個々の原発の事情による部分が非常に大きいんだろうと、こんなふうに考えております。  原発を含めましたエネルギー源ごとのコストにつきましては、日本でも民主党政権下、あの事故の後にその結果も踏まえて試算をされまして、その当時、キロワットアワー当たり八・九円以上と、こういう試算であったと思います。以上という試算は、結局、事故対応コストがどれくらいになるかということで、それを五・八兆円として試算をされたわけでありますけれども、それによりますと、キロワットアワー当たり〇・五円。ただ、一兆円増えますと、それに伴って〇・一円ずつ増えていくということですけれど、事故対応費用が。ということは、仮に五・八兆円の倍、十兆円を超えるとしましても九・四円ということですから、石炭の発電コスト九・五円よりも安いということになってまいります。  一方で、アメリカ、御指摘のようにシェールガスが出ることによりまして、これは百万BTUという単位になってまいりますけれど、相当天然ガスの値段、安くなっております。そういった意味日本とはかなり事情が違う。日本の場合、天然資源価格、これが今上がる中で、どうしても石油、石炭等々の火力発電のコスト、これも上昇していると、このように考えているところであります。  ただ、先ほどお話ありましたように、老朽化している火力、日本はすばらしい高効率の技術を持っておるわけでありますから、しっかりとリプレースを進めていきたい。そのために環境省とも調整をいたしまして、これまで環境アセス、三年掛かっていたものを、リプレースに関しては一年強ということで短縮をさせていただきました。
  86. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 更に詳しいことはまた経産委員会大臣議論させていただきたいと思っていますが、僕が申し上げたいのは、やはり日本もそうですが、安全対策がすごく強化されています。したがって、当然、さっき民主党政権時代の見積りのお話もございました。ああいう見積りがあったことは事実でございますが、少し状況が変わりつつあるのではないかというふうに思っておりまして、特に新増設についてそういう状況をやはり踏まえて判断すべきじゃないかという思いで先ほど申し上げさせていただいた次第であります。  それじゃ、あと、ちょっと話が変わりますが、経常収支の問題について、お手元の方に資料をお配りさせていただいています。  日本の経常収支、こちらに出ていますが、リーマン・ショックの前ですね、ピークのときは約二十五兆円の経常収支黒字がございました、日本は。昨年はたしか三・三兆円ですから、とりわけ、この表にございますように、貿易赤字、貿易収支赤字がこの二、三年続いておりまして、急速に経常収支も悪化をしていると。去年の暮れで三・三兆円の黒字でございます、まだ。しかし、貿易赤字の赤字がすごく大きいものですから、これいつ赤字に転落するんだろうということで、いろんな皆さんが心配されているわけでございます。  実は今朝、財務省から国際収支の統計が発表されています。これは一月の数字だと思うんですが、経常収支は一兆六千億円弱の赤字になっております。前年に比べますと一兆二千億強の赤字の増加ということで、一月は多分季節的な要因があるんだろうというふうに思いますが、いずれにしても、非常に貿易収支が悪化をして、主たる要因は、先ほど来御議論がありますように、燃料油あるいはLNGの輸入増加ということでございます。これからどうなるのかと、もし経常収支が赤字になるようなことになれば大変だというふうに思っております。  それで、まず総理にお尋ねをしたいんですが、これを見て、このトレンドでいくとどうなるのかなと、下手すると私なんかは今年ぐらい赤字になっちゃうんじゃないかと心配しているんですけど、いや、そうでもないと、いずれ回復すると、こういうふうに思っておられるのか、ちょっと先の見通しを含めて御所見をお伺いしたいと思うんです。
  87. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) その表からもお分かりのとおり、まさに二〇一一年に東日本大震災が発災をしたわけでございますが、その発災を契機としまして燃料等の輸入量が増加をいたしました。我が国の貿易収支がそのことによって赤字に転じ、経常収支の黒字幅がずっと減少傾向で推移をしてきたわけでございますが、この足下の数か月について申し上げますと貿易収支赤字の拡大によって経常収支赤字が続いております。  その背景には、円安方向への動きなどから輸出価格と比べて輸入価格の上昇が大きかったということと、新興国、資源国の需要が減速したことや、あるいは、円安にはなったんですが、日本企業が現地価格を下げて、価格を下げてシェアを増やすというよりも、言わばある程度の収益を確保するためにこの価格を下げなかったということによって輸出数量が弱めの動きとなっているということがございます。  そして同時に、現在、経済におきましては、景気が回復をしている中におきまして内需が大変好調になっているという、そういう状況を反映をいたしまして輸入数量が持ち直しているということもあるというふうに承知をしております。  貿易収支や経常収支は、世界経済の動向その他様々な要因によって影響を受けるものでありまして、動向についてはその背景を含めて慎重に見極めていく必要があると思いますが、こうした中におきまして、政府として、日本産業競争力を強化をし、そしてアジアを始めとする国際マーケットの成長力を取り込むこととしております。これらの取組によって貿易収支や経常収支の改善につながっていくものと考えております。  また、経常収支の急速な変化を回避する観点からも、経済再生を進め、強い経済を実現することが重要であり、デフレ脱却、経済再生に向けた取組を着実に進めていく考えでございます。
  88. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  足下の経常収支も赤字だというお話がございました。これ、経常収支赤字になりますと、いわゆる双子の赤字ということになります。アメリカの場合は基軸通貨国ですから、双子の赤字でも何ともないのかもしれませんが、やはり日本の場合はこれまで貿易で稼いでその黒字によって国内を回してきたわけでございまして、そういう意味では、まだ軽々には言えないかもしれませんが、さっき総理がおっしゃったようないわゆる産業力をしっかり付けていくと。恐らくこれは外国の成長を取り込むという意味で輸出の拡大等も含めてお考えだというふうに思うんですけれども、一体これは何で飯を食っていくかみたいな話に、改めて日本、我々がですね、こういう状況になったらこれから本当に何で飯を食っていくのかということが問われ始めているんではないかというふうに今思っております。  そういう意味で、本当にこれからどうするのかというところを、もし今お考えのことがございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  89. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、その表でもお示しをいただいておりますが、所得収支が頑張っておりまして、貿易収支は先ほど申し上げましたような事情で厳しい状況になってきているんですが、所得収支においては頑張っている。これはまさに日本のパテントの力、あるいは投資、既に海外に投資をしていたこの果実等においてはしっかりと収益を上げているわけでございまして、これが車の両輪になっていくんだろうと。貿易収支と所得収支、この二つ、日本の言わば知財、そして世界にしっかりと投資をしていく力とともに、日本で優れた競争力を持ち、産業力を持って、優れた言わば輸出力を持っていく、この両輪になっていくんだろうと思います。  同時に、しっかりとこの内需も喚起をしていくということではないだろうかと、こう思うわけでありますが、その中におきましても、長らく続いていた行き過ぎた円高の中におきまして企業が生産拠点をかなり海外に移してしまっていたということもあるわけでございますが、今後はコアの部分はしっかりと日本に残していただいて更に収益力を上げていただけるような、言わば中進国等々との競争においては別の次元で日本が勝ち抜いていくということも視野に入れながら、日本の将来をしっかりと形作っていきたいと、このように考えております。
  90. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  もう時間がなくなりましたのでこれで終わりたいと思いますが、最後の点について、やはり、総理から今るるお話承りました。私の出身の自動車なんかも、もう輸出がゼロになったという会社も出ていますし、恐らく産業構造がすっかり変わってしまったんではないかというふうに思っています。そういう意味で、新しいそういう担い手も含めて、やはりこれからしっかり御検討いただくと、我々も努力をしていく必要があるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  91. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  92. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、増子輝彦君の質疑を行います。増子輝彦君。
  93. 増子輝彦

    増子輝彦君 民主党の増子輝彦でございます。  早いもので、あの大震災、東京電力第一原発の事故からもう明日で三年になります。この間、被災を受けられた皆さん、そして特に福島の原発事故で苦しんでいる皆さん、改めて、お亡くなりになった方々に心から御冥福を申し上げると同時に、今なおかつ二十六万人近くの方々避難生活を強いられているということ、大変残念であり、申し訳ない気持ちでいっぱいであります。お見舞いを申し上げたいと思います。  それに加えて、先般の豪雪、これについても、今になると大変被害が出てまいりました。こういう豪雪や集中豪雨、本当に自然災害が多いなという中で、私たちがしっかりやらなければいけない、そのことを私たちは思いながら、一日も早いこの東日本大震災復興福島原発事故のやっぱり収束というものをやっていかなければいけない。福島復興なくして日本再生なし、これは私ども民主党政権のときにもはっきりと申し上げましたが、安倍総理もこのことはしっかり言っていただいているということ、是非総理にも、そのことを更に強く思いをはせながら復興のために取り組んでいただきたいと思っております。  土曜日も御苦労さまでした。福島に入っていただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。そういう状況の中で、今パネルを出していただきたいと思いますが、(資料提示)各種マスコミでほぼこの三年に合わせて様々なアンケート調査がされております。もうこれは皆さん御承知のとおりだと思います。しかし、国民の皆さんにも改めてこのパネルをしっかりと御覧になっていただいて、今の東日本大震災やあるいは福島の事故のこの対応がどういう状況かということを見届けていただきたいと思っております。  また、国内はもとより、世界各地からこの東日本大震災福島原発事故についても大変なる御支援をいただいたわけであります。  一つだけ、一つ例を御紹介申し上げたいと思います。先般、先月の二十一日、サウジアラビアのサルマン皇太子殿下が国賓として来日をされました。私もお会いをさせていただきました。そのときに、実は浪江町の中学生五人にサルマン殿下に会っていただきました。御案内のとおり、サウジは十六億円相当のLPガスをこの仮設住宅に供給をしていただきました。子供たち、実は五人、福島県浪江中学校三年生でありますが、来ていただきました。  そのときに、初めまして、私たち福島県立浪江中学校の三年生です。東日本大震災の際には、サウジアラビア王国より、サウジアラムコを通じて二千万ドル相当の液化石油ガスを御寄附いただきました。地震津波、放射能から逃げ惑い、先の見えない避難生活が始まったとき、いち早く私たち仮設住宅の避難五万世帯にプロパンガスを供給していただきました。二万三千トンのプロパンガスは五月にはもう日本に届いて、私たち被災者の危機を救っていただきました。プロパンガスの熱は私たちの心に届き、私たちの心は温かくなりました。この温かくなった心をサウジアラビアの人々に届けたいと思います。本当に御支援ありがとうございました。  これを、中学生の三年生の勝山颯斗君が殿下の前でこのお礼を申し上げたところであります。  こういう状況の中で、国挙げて震災復興しなければいけません。しかしながら、全てのアンケート、共通していることは、なかなか復旧復興が進まない、これはもう細かく申し上げませんが、やっぱり岩手福島宮城三県、この四十二市町村のうち震災や原発事故の風化を感じるという思いを持っている方々が九割を超えているわけであります。復旧復興は進んでいるかの質問に対しては二極化が進んでいるんですね。  そういう状況の中で、様々な復旧復興を妨げている要因については、自治体職員の不足や、資材の不足や高騰、業者や作業員の不足、特に福島県は原発事故であります。特に遅れている取組住まい、道路・鉄道インフラ、あるいは商工業、雇用、福島県は除染や賠償が目立っているわけであります。また、東京オリンピックがどのような影響があるかというと、復興には逆風だという方々が二十五人もこの四十二市町村の市町村長さんの中におられるわけであります。風化が怖い、東京オリンピックに本当にみんなが熱中してしまうんではないか、そういう中でのこの復旧復興であります。  総理、三年経過した今、福島復興なくして日本再生なし、東日本大震災復興なくして日本再生なし、その気持ちには変わりはないと思いますが、改めて、この三年過ぎる今、総理の決意と御所見を伺いたいと思います。
  94. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 一昨年、安倍政権が誕生したわけでございますが、昨年の春の段階におきましては、被災地において用地確保が難しいという声があふれていたわけでございます。どこに、いつ、何戸の住宅が再建されるかの見通しも立っていなかったわけでございまして、こうした中で、安倍内閣としては復興を最重要課題の一つといたしまして、現場主義を徹底し、省庁の縦割りを排しながら政府一丸となって復興をめぐる諸課題を一つ一つ解決をしてまいりました。  地震津波からの復興におきましては、高台移転災害公営住宅の建設の約七割で事業が始まり、来年三月末までには二百地区に及ぶ高台移転や一万戸を超える災害公営住宅工事が完了する見込みであります。震災で発生した膨大な瓦れきにつきましても、宮城県と岩手県ではこの三月中に全て処理が完了する予定であります。被災した農地につきましても、七割で営農が再開できる見込みとなっております。  また、原発事故災害からの福島再生に当たっては、地震津波に加えまして原発事故にも起因する複合災害であることを踏まえまして、その対策も複合的に取り組んでいく必要があります。このため、昨年の八月に避難指示区域の見直しを完了いたしました。そして、住民早期帰還に必要な環境整備のための復興再生事業工程表策定や、長期避難者コミュニティー確保に向けた復興公営住宅整備、そして中通りなどの定住対策として、子供運動機会確保のための施設の設置などの必要な措置を行ってきています。  営農が再開された水田や災害公営住宅に入居された御家族の表情などを拝見いたしますと、復興が一歩一歩進んでいるということを実感をいたしております。しかしながら、今もなお二十七万人の方々避難生活をされておられまして、原発事故のためにいまだにふるさとに戻れない方々も数多くおられるわけでありまして、まさに復興は道半ばであります。これまでも、人材や資材不足への対応策被災自治体における人員確保、そして用地取得迅速化など加速化対策を打ち出してまいりましたが、今後とも現場主義で被災自治体にしっかりと寄り添いながら、復興ステージが上がるたびに見えてくる様々な課題をきめ細やかに解決をし、復興を更に加速していかなければならないと思います。  四月から避難指示が解除される、おととい行ってまいりましたが、田村市におきまして、住民方々から不安はあるが前進あるのみだと、こういうお話を伺いました。しかし、避難指示の解除、帰還は、これは復興が終わったわけでは全くないわけでありまして、新たなステージがスタートすると、このように考えておりますので、そうした帰還をされた方々のお気持ちに寄り添いながら、健康等での相談もしっかりと行いながら、そうした方々への支援も行っていきたいと、このように思うところでございます。  明日、三月十一日を迎えるわけでありますが、復興はいよいよ四年目に入るわけでありまして、今後とも震災の記憶を風化させることなく、お年寄りの孤立防止や子供たちの心のケアなど、福島を始めとする被災地復興を加速していく考えでありますし、増子委員がおっしゃったように、安倍政権としても、福島復興なくして日本再生はない、被災地復興なくして日本再生はないと、この考え方の下にしっかりと復興再生に取り組んでまいります。
  95. 増子輝彦

    増子輝彦君 総理、都路に入られた後のぶら下がりで、住まいについて非常に大きな課題があるという中で五千戸の実は用地確保をするということを表明されたと、おっしゃっております。これは、原発避難者向けの実は復興公営住宅の用地だと思いますが、今現在、この用地確保についてはなかなか厳しい状況にあります。本当に今月中にこの五千戸の用地確保できるんでしょうか。何を根拠に総理はそのことを八日の日に表明されたのでしょうか。お答え願いたいと思います。
  96. 山崎力

    委員長山崎力君) 根本復興大臣。(発言する者あり)
  97. 根本匠

    国務大臣根本匠君) まず、私からお答えをさせていただきます。  復興公営住宅長期避難者のための復興公営住宅については、昨年の六月に福島県の要請も受けて三千七百戸の復興公営住宅を造ることにいたしました。そして、これについては、用地については年度内に用地の見通しを付ける。さらに、昨年の十二月に福島県から更なる要望があって、トータルで四千八百九十戸の復興公営住宅を造りますよと。これについては、用地確保を含めて三千七百戸については年度内に見通しを付ける、そしてその追加的なことについても、用地確保内容も含めて具体的な方針を示したいと思います。
  98. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 福島の原発避難者の方々についても、できるだけ早く良好な居住環境に移っていただくことが重要であるというふうに考えております。  原発避難者向けの復興公営住宅につきましては、安倍内閣発足後の平成二十五年度予算において、長期避難先の市町村において整備できるように新たな交付金、これはコミュニティ復活交付金でありますが、を措置をいたしました。  こうした枠組みを活用しながら、昨年六月に全体で約三千七百戸を整備する計画策定し、この一次計画については年度内に交付金の申請ができるよう取り組んでいるところでありまして、昨年十二月には最新の住民意向調査の結果を基に整備計画を改定いたしまして、千百九十戸を追加整備することといたしましたが、これについては年度内に一定の方向性を示せるように取り組んでいるところでございまして、このように、現時点において要望いただいている五千戸程度の復興公営住宅について、福島県、受入れ市町村等とも協力しつつ、早期の整備に努めていく考えであります。
  99. 山崎力

    委員長山崎力君) 時間です。
  100. 増子輝彦

    増子輝彦君 午後の質問に譲りたいと思います。
  101. 山崎力

    委員長山崎力君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  102. 山崎力

    委員長山崎力君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二十六年度総予算三案を一括して議題とし、災害復興エネルギーに関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き質疑を行います。増子輝彦君。
  103. 増子輝彦

    増子輝彦君 休憩前に引き続き、民主党の増子輝彦ですが、質問させていただきます。  先ほど復興公営住宅の件について御質問させていただきましたが、それに先立って、先ほどのアンケートの中で様々なものがございました。やはりこの住まいというものが大変復興に、復旧に対して遅れているということは先ほど御紹介したとおりでございました。あわせて、やはりこの住まいの関係、仮設住宅等が極めて被災者にとっては深刻な状況であるということ。  二を出していただけますか、要介護認定者が急激に増えているということ、あるいは関連死も大変大きく増えているということ、特に高齢者にとっては大変厳しい実は仮設住宅での生活、併せて転々と避難をしなければいけないということがあります。こういう状況の中で、やはり住まい支援というのが極めて大事だと思います。そういう状況の中でこの住まいをどうしていくかということ。  そこで、実は先ほど総理に、八日の日に福島に行かれて、総理がぶら下がりの中で五千戸の復興公営住宅の用地を確保するということを表明されたということ、これは大変いいことなんですね。やはり住まいに苦しんでいる方々にとっては総理の言葉は重いです。そしてまた、ある意味では、総理の言葉が実行されるということは、こういういわゆる苦しんでいる方々にとっては大変大事なことなんですね。  それで、総理に実は確認をさせていただいたわけです。あの田村市都路での視察の後、しっかりと五千戸の用地を確保するということをお話をされましたが、きっちりと確保できるという、それも月内、もう間もなくですが、そこのところを、総理、明確にしていただきたいということの質問ですので、もう一度お尋ねいたします。
  104. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この住まいについては大変要望が強かったわけでありますが、二十四年度はゼロ、ゼロだったんです、全くゼロ。それがこの一年間で、先ほど申し上げましたような、希望の中におきましては、希望を集めれば約五千戸あるわけでありますが、この中で約八割の三千七百戸につきましては言わば年度内に用地の取得のめどが立っているわけでありまして、そしてさらに残りの千九十戸の追加整備することと既にしているわけでございますが、現時点において御要望をいただいている五千戸程度の復興公営住宅について、福島県、受入れ市町村等とも協力をしつつ早期の整備に努めていきたいと、こういうことでございます。
  105. 増子輝彦

    増子輝彦君 総理、月内ということで間違いないんですか。総理はたしか月内に用地の確保のめどを付けたいというふうにおっしゃっていますが、これ月内というと、もう三月、間もなく終わりますよね。  ですから、ここが大事なんです、総理総理の言葉は重いということを申し上げました。総理の言葉はある意味では希望なんです。是非、被災者にとって、特に高齢者の皆さんや、いわゆる震災関連死が多くなっている現状の中で、本当に月内ということでできるんでしょうか。できなければできないで逆に私は早く改めた方がいいと思うんですが、ここのところをもう一度確認します。月内のめどは付くんでしょうか。
  106. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今申し上げましたように、この八割については先ほど申し上げたとおりでありまして、もう一度答弁させていただきますと、八割については月内、まさに年度内に用地の取得についてめどを立てると。そして残りの、八割はそういうことではっきりと申し上げます、これは先般、記者のぶら下がりですか、そのときに申し上げたとおりでありまして、そして残りの千十戸ですか、いや千九十戸か……(発言する者あり)あっ、千百九十戸の追加整備については、これについても年度内に一定の方向性を示せるように今取り組んでいるところであります。
  107. 増子輝彦

    増子輝彦君 総理、すごく大事なところなんです。何度も申し上げたとおり、この住まいという問題がこの要介護認定の増加や関連死増加ということの非常に大きな原因になっているんですね。ですから、もう、繰り返して申し訳ありませんが、総理の言葉は重いんです。総理の言葉は希望の光なんです。月内に千百九十戸のこのまだ用地が確定していない復興公営住宅の用地のめどを付けるということ、すごく重要なんです。──ちょっと待ってください。そこのところを、総理、是非、用地の確保をめどを付けるということは、これできるかできないか、すごく大事なんです。是非このところは、総理、もう一度だけお尋ねします。めどは付くんでしょうか。
  108. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ですから、千百九十だけのことを言っているんではなくて、五千なんですよ。五千が一年前はゼロだったじゃないですか。全くゼロですよ。(発言する者あり)ゼロについて、ゼロだったんですよ。何回も申し上げますけれども、何回も申し上げますけれども、ゼロだったんですよ。後ろの人、ちょっと黙って聞いてくださいよ、大切なところなんですから。(発言する者あり)いや、ずっと言っておられると私も答えられないから。いや、後ろがうるさくて私の答えが通じないんじゃないかと思って。
  109. 山崎力

    委員長山崎力君) この際、委員長より申し上げます。  予算以外の議員の方が傍聴されることは結構ですが、質疑の妨げとなるので、もし後ろの方で、後ろの方で……(発言する者あり)委員長の差配に御不満の方は、起立の上、御発言願います。  それでは、傍聴されることは結構ですが、質疑の妨げとなりますので、予算以外の議員の方は御静粛にお願いいたします。
  110. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) つまり、これは一年前はゼロだったわけでありますが、そのゼロのうち、五千戸について言わばこうした形の住宅整備要望されてきたわけであります。この要望について、八割、八割について、私が申し上げたように、八割について、申し上げましたように、三千七百戸についてはこの四月までに、言わば三月中にですね、月内に言わば用地のめどを立てます。これはお約束を、先ほど来何回もお約束をしているとおりでありまして、その残りの千百九十戸については追加整備することとしておりますが、これについても年度内に一定の方向性を示せるように取り組んでいるということでありまして、これは二本立てになっているということであります。
  111. 増子輝彦

    増子輝彦君 総理、それはもう前から決まっていることなんです。四千八百九十戸を造るということは決まっているんです。ただ、用地の確保がなかなかめどが付かないと。(発言する者あり)いやいや、それはもう造ることは決まっているんですよ。ただ、用地が決まっていないということですので、これは是非そこは御理解を、もうこの話はこれ以上いたしません、是非、総理、めどを付けてくださいね。速やかに、千百九十戸のまだ用地が確保されていないところについては是非お願いいたします。  それから、厚労大臣、一つお聞きします。ここのいわゆる高齢者の皆さんの様々な健康上の問題、介護認定が増えている、要介護が増えている、様々な課題がこれから更に長く続くと思います。これらについての厚労大臣としての、様々な今までの対策があると思いますが、これからどういう形でしっかりここのところを解決していくのか、厚労大臣の考え方、お伺いしたいと思います。
  112. 田村憲久

    国務大臣(田村憲久君) 長期間に仮設住宅での御生活になられておられますので、日々の生活、健康管理、大変であろうというふうに考えております。  今までも、地域支え合い体制づくり事業というもので、仮設住宅へサポート拠点を併設して、総合的な相談でありますとか居宅介護サービス、また生活支援サービス、さらにはサロンをつくって閉じこもりぎみの方々に出てきていただく、こういうことをやっておりますが、あわせて、被災地健康支援事業というのがございまして、これは各戸、それこそ必要な方は個別訪問をして、巡回健康相談やったりでありますとか、あと歯科の検診や指導、さらには栄養管理、こういうこともやっております。こういうものを通じてしっかりと健康管理の方進められるように努力してまいりたい、このように考えております。
  113. 増子輝彦

    増子輝彦君 厚労大臣、よろしくお願いいたします。  これだけ長期にわたっての避難生活が続くということ、本当に深刻なんですね。我々もしょっちゅう、被災地に参りますと、仮設住宅に行きますと、あなたたち一度仮設住宅生活してみたらどうだと、大変厳しい言葉を受けます。本当にそういう気持ちを我々も重く受け止めながら被災者の皆さんに寄り添ってしっかりやっていきたいと思っていますから、厚労大臣、引き続きの対応をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  新藤総務大臣、一つお伺いをさせていただきたいと思います。  平成二十七年に予定されている国勢調査があると思いますが、この中で、現在国による避難指示を受けた双葉郡の町村の中で、現住人口が、場合によっては、いわゆる帰宅困難区域、居住制限区域等々出てまいりますよね。そうしますと、やはり一時的にそこに人が住めないという状況になってくる。ゼロという言葉が果たしていいのか分かりませんが、ゼロになる自治体が出てくる可能性があります。この自治体に対して地方交付税の措置をしっかりと引き続きやっていただくということは極めて大事な私は問題だと思っています。やはり、自分の何か間違ったことでそこに住めないんではなくて、原発事故という大変なやはり災害によってふるさとを追われた方々の自治体ですから、是非ここのところは、双葉郡の町村に対して今後特別の配慮がなされるかどうか。  過去に三宅島村のあの三宅島噴火のときの措置があったと思います。この件について、是非、そういう措置ができるかどうか、新藤総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  114. 新藤義孝

    国務大臣(新藤義孝君) これは、この関係自治体の皆さん御心配のことだと思いますから、私も十分に意を用いてまいりたいと、このように思っております。  そして、現実にそういったことが起きるのは、二十七年度の国勢調査の人口を二十八年度の普通交付税の算定から使いますから、そういうときに人口が激減している地域があるかもしれないと、こういう可能性であります。ですから、過去の例も、今三宅島の例を挙げていただきましたけれども、いろんなことを参考にしながら、いずれにしても、どのような地域でありましても一定水準の行政を確保するために交付税というのはあるわけですから、その制度の趣旨に沿ってきちんと対応はさせていきたいと、このように考えます。
  115. 増子輝彦

    増子輝彦君 よろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは、パネル三を出していただけますか。これは、福島県の朝日新聞支局と地元のテレビ局福島放送が共同世論調査をした結果でございます。ここに書いてあるとおり、示してあるとおり、福島復興が進まない最大の原因は原発事故ということに対して、本当に非常に皆さん大きな要因として考えているわけであります。そういう状況の中で、原発のこの問題について不安を持っている人もたくさんおられるわけであります。原発事故に対するこれまでの政府対応を評価するかということについても極めて厳しい結果が出ているわけであります。  こういう状況の中で、やはり何といっても福島復興再生のために最も必要なことはやっぱり除染ということになってまいります。除染ということになってまいりますと、いわゆるそこから出る様々ないわゆる廃棄物の問題が当然出てくるわけであります。  いわゆる仮置場がなかなか設置できない。なぜできないか。中間貯蔵施設というものがめどが立たないという状況の中で、中間貯蔵施設が、本当に仮置場がその代わりになってしまうのではないか。そして、その先に続く最終処分場、最終処分場を三十年後に法制化をするということの考え方の中で、最終的な処分場になってしまうのではないかという不安、恐れ、心配が非常に県民の中に多いんですね。そのことが一つ一つ、除染も進まない、除染がしっかり進んでいったとしても、そのいわゆる土壌など、あるいは指定廃棄物の処分をする場所がまだ定まらない、これは極めて大きな実は課題になっていることは言うまでもありません。  先般、環境省の方から、双葉町、大熊町、そして楢葉町にその中間貯蔵施設の設置のお願いということで、環境大臣、要請されましたけれども、福島県知事はその間に入って、これを二つに集約をしてほしい、楢葉は外してほしい、そういう実は話を環境大臣復興大臣にされました。このことについて、今どのような状況になっているのか。  福島県の知事の要望、地元の要望をしっかり受け止めながら、中間貯蔵施設というものをどのように今後していくかということ、極めて、除染を進めていく上でも、福島復興という中で原発事故の様々な問題を収れんしていくためにも重要な課題であります。福島県知事の要請について、どのように今なっているのか。一部の報道では、水面下で二つに集約をするということをもう既に示したと、国有化は譲れないということも報道されておりますが、現時点でどういう状況なのか、石原環境大臣、お考えをお願い申し上げます。
  116. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま増子委員が、除染除染を行うための仮置場、仮置場から中間貯蔵施設に運ぶ、そして中間貯蔵施設が最終処分場にならない、あの一連の流れはまさに委員の御指摘のとおりだと思います。  そして、今委員が御指摘をされました問題でございますが、先月でございますけれども、私と根本大臣のところに知事がおいでになりまして、双葉郡八町村全ての総意として、これまで国がお示しをさせていただいた三町村についての問題を二町、大熊、双葉に集約するようにと、そういうお話をいただきました。  御存じのとおり、昨年の十二月に私ども、前政権の考え方と同じく三町村という形でお願いをさせていただいてまいりまして、二月になりましてこういうお話をいただきましたので、これはしっかりと受け止めていかなければならない。そして、委員が今御指摘になりましたとおり、残念なことではございますけれども、まだ、といいますのは、面積を広げてはならないという縛りが実は付いております。そこの部分の計算、これはまさに減容化がどれだけできるのか、あるいはバッファーとして持っているところに食い込むことなくその部分を減らすことができるのか、これを今鋭意検討をしているところでございまして、私にそういう事実の報告がない以上は、まだ県の方に対して役所としてこの問題に対しての回答はしていないということでございます。
  117. 増子輝彦

    増子輝彦君 民主党政権時代もそうでした。今の自公政権になってもそうなんですが、この福島復興に関わる特に除染の問題やこういった中間貯蔵施設、最終処分場の問題、どうしてもマスコミの情報が先行するということがあります。水面下でという話の書き方になります。まあそれはそれとしていいのかもしれませんが、いわゆる当該自治体の長、県知事もそうなんでしょうけれども、ここでマスコミが先にその情報を流すと、地域住民の皆さんから、我々は何も聞いていない、知らされていない、一体どうなっているんだという大変なお叱りをいただくということになっていくわけであります。是非、ここのところは慎重に、かつ、やはりそれぞれの当該自治体の皆さんにしっかりと話合いをしていくというような形を私はしていただきたいと思っています。  そこで、中間貯蔵施設福島県から提示された三つ考え方があると思います。二つに集約をするということ、面積を広げないということがあります。そして、最終処分場については三十年内に県外に設置をする、このことも民主党政権から現政権下に引き継がれた事実であります。これは前の予算委員会で私も確認をさせていただきました。併せて法制化、法制化を三十年以内に県外に移すということをするということ、これ大変重いんですね。  環境大臣の方、国の方としては中間貯蔵施設の受入れの環境が整えば法制化をするというような考え方だということが依然として表明されておりますが、福島県民からすれば、あるいは当該自治体からすれば、法制化を先にして、それから中間貯蔵施設の正式な話合いということになるんではないかという強い実は考えがあるんです。当然知事もそうされていると思います。この法制化の問題、非常に重要だと思います。  これについて、総理、どうでしょうか。法制化をすることが先ではないでしょうか。その後に中間貯蔵施設についての様々な条件整備をしながら当該自治体にこのことを要請するということが私は順序だと思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  118. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 受入れをお願いをしている段階で設置を前提とした法案を提出することは適当ではないのではないかと、このように考えています。  具体的な法制化の在り方については、現在政府部内で検討を進めているところでありまして、地元において受け入れていただけるような環境が整った際には速やかに法制化の手続に着手できるようにしていく考えであります。
  119. 増子輝彦

    増子輝彦君 ここは非常にデリケートであり重要なんですね。やっぱり受け入れる状況が整ったら法制化では、なかなかこれは前に進まないと思います。極めて深刻な状況であります。  是非このことについては、総理総理の決断で、これだけの事故で、今十三万五千人を超える方々が依然として避難生活を強いられている、ふるさとに戻れない方々が長期にわたって出てくる。中間貯蔵施設を造らなければならないという状況であるならば、やはり法制化をきちっとするということを先に言明されて、それからこれは具体的に法制化に着手して、その後に中間貯蔵施設の正式な交渉に入るということが大事だと思います。  環境大臣、どういうふうに考えますか。
  120. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま総理が御答弁されましたとおり、国が中間貯蔵施設をもう造るんだと、問答、何も言わせずにそこに造るということは、私はこれはなじまない問題だと思います。  やはり、どういうものをどういう形で、特に今回は三つの町にまたがるものを二つに集約するという御希望をいただいております。その取りまとめをできる限り急がせておりますので、そのできたものを持って、県の皆さん方あるいは町の皆様方にこれでどうでしょうかと。そして、じゃ、いいですよ、これでいいですよと言っていただいて初めて最終処分場の問題になるというのが物の私は流れだと思いますし、もうこれも民主党政権、また現安倍政権になりまして、閣議決定をして中間貯蔵施設で最終処分場を造るんだということも、閣議決定も前内閣でも行い今内閣でも行っているということで、御理解をいただける問題だと認識しております。
  121. 増子輝彦

    増子輝彦君 これは私は、やはり現実に双葉郡、大熊そして双葉町に要請をしているわけですから、現実に、受けるか受けないか、私は、各首長、苦渋の選択をするんだろう、決断をするんだろうと思っています。  ですから、それはそれとして、その上で、いずれにしてもこれが完成するまでかなり時間掛かりますよね。予定としては来年の一月、二十七年の一月に搬入をするという時間軸を考えても、現実に今この状況ではなかなか難しいと思います。ですから、早くここの部分を乗り越えていかないと中間貯蔵施設もできません。是非、法制化ということについて具体的に着手するということを含めて、私はある意味では同時進行形の中で、やはり当該自治体の皆さん、福島県民の皆さん、そしてそれに当然値する自治体の住民の皆さんの思いもはせながら、是非そういうふうにすべきだというふうに思っています。  そして、最終処分場の問題、これがまた深刻なんですね。これ是非国民の皆さんにもお分かりをいただきたい。国会議員の皆さんの中にも実は誤解されている方がたくさんいらっしゃるんですが、この最終処分場というのは、小泉総理が今盛んに言っていますトイレなきマンションのそのトイレではない。福島県から出る土壌や指定廃棄物、これは高レベルの放射性廃棄物とは違いますから、全く違うということになるんです。ここのところを誤解されている方が非常に多い。最終処分場だというと、実は高レベル放射性廃棄物の最終処分場だと思っている方がほとんどだと思います。  実は、指定廃棄物、除染廃棄物の最終処分、これについて、対象廃棄物は、この中間から最終という福島県のものを考えたら、放射性セシウムが十万ベクレル以下、を超える指定廃棄物、除染廃棄物、焼却が可能なものは十万ベクレルを超えるものとなっていますが、高レベルはこのいわゆるレベルの十一億倍の濃度になっているんです。全くこれ中身が違うんですね。処分方法も、いわゆる高レベル放射性廃棄物は地層処分といって、現時点で三百メートル以下の深いところに掘っていかなければいけない。私もオンカロやスウェーデンのエスポ、今年の一月にもフランスのビュールに行って四百メートル以上の地下に入ってこの研究所を視察してまいりましたけれども、これは高レベルであって、福島県の指定廃棄物や土壌等が出るものは浅い地中のピットのトレンチ処分ということで、地下数メートルでこれは済むんです。  そして、処分に求められる要件及び必要な調査というのは、高レベルは大変難しいものがあります。地上からのボーリング調査等のみならず、地下に調査施設を設置し計二十年程度の調査を実施するとか、あるいは地下の水管理等を含めて大変熱環境なども考えていかなければいけない。しかし、福島県の原発事故に伴って出るものについては、地上からのボーリング調査等により地盤の浸水性等を調査をするとか、火山断層活動等の自然災害の影響を考慮する、比較的高レベルに比べれば早めにこの調査を終えて最終処分場というものを造ることが可能なんですね。  例えば、これだけの今福島原発事故の中で、最終処分場、それぞれの自治体に、県に同じように福島原発事故によって出る放射性廃棄物というのがあるんです。経産大臣、経産大臣のお地元栃木県にもこのものが出まして、実は民主党政権下時代に最終処分場の設置のお願いをしました。残念ながら今のところ受け入れられません。自公政権においても、実は宮城県にこの最終処分場、宮城県から出る放射性廃棄物、指定廃棄物、まさにこの設置のお願いをしたけど、これもまだオーケーの返事がもらえない。様々な形の中でこの最終処分場を受け入れられない。自分のお膝元の栃木県やあるいは宮城県、今お願いをしている茨城県、福島の関係の廃棄物だというと、結構です、受け入れられません、みんなそういうふうになってしまうんですね。一体どこで受け入れてくれるのか、極めて重要な課題だと思います。  環境大臣福島のこの最終処分場についての設置というもの、中間貯蔵施設が決まらないうちはそれはできないということであるんでしょうけれども、いずれにしても、三十年以内に最終処分場を造らなければいけないということを法制化をしたときに、どこかでは受けていただかなければならないことになっているんです。そうすると、今、福島の中間貯蔵施設のことについては、国有化をして土地を実は確保するということになるんです。そうすると、福島県民の皆さん、ほとんどが最終処分場になってしまうだろうという心配を持っているんです。ですから、この国有化という問題についても、知事からも当該自治体からも話があると思います。やはり自治体が所有し管理をするという形の中で、国がこれを賃貸借するという要望が出ています。  これについて、環境大臣、そういうふうに国が借り受けるという形の中で、今後、福島県に、あるいは今要請している大熊町や双葉町にそういう回答をするということを是非考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 御質問にお答えさせていただく前に、実は今、増子委員が前段に言われたことが大変重要なことでございまして、第一サイトのデブリみたいな核廃棄物みたいなものと、福島県の除染によって出た放射性廃棄物は全然違うんですけれども、これが一緒に考えられているから、ふるさとを追われた皆さん方もそんなのとんでもないというお声が私はあるんだと思うんです。しかし、これは全くそうではないですし、ましてや前内閣、そして現安倍内閣閣議決定をして、この除染によって出た、また減容化によって縮小されたものも最終処分場にしないんだということを約束させていただいているわけであります。  なぜ約束しているかというと、それができもしないことを二つの内閣にわたって約束したら、それは両方の内閣が非難をされることになりますけれども、これは三十年間という長きにわたって中間貯蔵施設として、双葉町、大熊町、今は集約化しろというお話でございますので、そういうふうな方になったならばそこにしっかりと三十年間置かせていただく。  ここで何が大きく変わってくるかというと、時間軸なんですね。三十年間そこで中間貯蔵をさせていただきますと、委員が御指摘されました放射性物質の放射線量というものは間違いなく減衰してまいります。減衰してきたら一体何ができるのかというと、例えば土壌であるならば、普通の土壌と混ぜることによって公共事業に使うということも十分可能になってくるわけでございます。羽田空港の四本目の滑走路を造るときは、実は千葉の方から採掘、採土をしてまいりました。これがおよそ二千二百万立米、山を切り崩してきたわけであります。三十年後にそれと同じような公共事業があれば、間違いなくその土を合わせることによりましてこの残土みたいなものは公共用地への土砂として使用することが可能になるからこそ、私どもも前政権も最終処分場ではないんだというお約束をさせていただいているというふうに、是非多くの国民の皆様方に御理解、また福島県民の皆様方にも御理解いただきたいと思っております。  ですから、置かせていただくその後は、それをそのまままたどこかに埋めるみたいなことには私はならないのではないか。もちろんこれは様々な分析がございますので確定的なことを申すことはできませんけれども、そういう性質の放射線を含むものであるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
  123. 増子輝彦

    増子輝彦君 環境大臣、そのことはもう私も先ほど申し上げたようによく承知しています。ですから、国有化ということについて是非、国有化ではなくて自治体が所有、管理する形で国が賃貸借をするということにしていただけませんかという福島県の要望や当該自治体の要望、これについて受け入れられませんかということを今お聞きしているんです。検討していただけますか。一言だけでいいです。
  124. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) そのことも含めまして御答弁をさせていただいたつもりなんですが、すなわち、あの土壌は第一サイトから出てくるような高放射線のものではないわけですね。ですから、それをあそこで三十年間、国が責任を持って放射線が減衰していくまで管理をさせていただくものであります。その間は国が責任を持って中間貯蔵施設として管理をしていかなければなりませんから、これは借地というものは私はなじまない、このことはもう再三再四御答弁をさせていただいていることで、これに変更する考えは持ち合わせておりません。
  125. 増子輝彦

    増子輝彦君 ここは極めて重要なハードルになると思います。やはり福島県民からすれば、やっぱりこれは最終処分になってしまうだろうという本当に心配、危惧があるんですね。  根本大臣復興大臣として環境大臣と一緒に福島県に要請に行き、福島県知事のまたそれに対しての回答を受けて提案がありました。環境大臣は今答えておられますが、根本大臣は、この国有化の問題、そして最終処分場を先に法制化をすることが先であり、それと合わせて中間貯蔵施設の受入れをするという形がいいという、福島県民を代表する知事や当該自治体の長がそういうお話をされていますが、これについての見解をひとつお願い申し上げます。
  126. 根本匠

    国務大臣根本匠君) 私も復興大臣になって一年二か月になりました。やっぱり物事は前に、現実的に進めなければいけない。  例えば、中間貯蔵施設の問題がありました。私が復興大臣になってからは、中間貯蔵施設、どういう検討状況になっているんだろう、聞きました。実はポンチ絵しか描いていなかったんですよ。ポンチ絵ですよ。何でこんなに遅れているんだろう、これが私の第一印象でした。ですから、環境大臣とともに、中間貯蔵施設の具体的な在り方をどうデザインしていくか、そして受け入れていただくか、これを一年間掛かってやってまいりました。単なるポンチ絵から中身を入れて具体的な提案をさせていただいたということであります。  そして、県外については、前政権からも閣議で決定しております。ですから、我々も閣議で県外処分というのを決定いたしました。  そして、中間貯蔵施設と最終処分場の関係については、既に総理そして石原大臣から答えたと私も全く同様の考え方に立っております。  そして、借地の問題にしても、環境大臣からお話がありましたように、国が責任を持って管理させていただくということでは、やはり安定的な契約関係がなければならない。自治体が取得してそれを国に貸し出す、そこは私も具体的な設計はどうされるのかなという感じもありますけど、少なくとも、私は環境大臣とともに福島県に申入れをさせていただきました。その意味では、全く同じ意見、同じ立場に立っております。
  127. 増子輝彦

    増子輝彦君 復興大臣福島県の選出であります。福島県民の思いは多分よく御存じだと思います。建前としてはよく分かります、今政府の立場におられますから。県民に寄り添って、是非、環境大臣と、そして総理ともよく相談をされて、福島県知事や双葉町や大熊町の皆さんがこういうことを要望されているんだということを重く受け止めながら、是非その調整役も担いながら、ここのことについてはどうぞ復興大臣としての力量を発揮していただきたいと思います。お願いを申し上げておきたいと思います。  そして、総理、結局三十年後なんですね。ここにいる我々、何人かの方はお若いので多分まだ政治の現場におられるかもしれませんけれども、これは分かりません。最終処分場、放射性、これは非常に低い濃度のものだといいながら、三十年後、本当にどうなってしまうのか、皆さん不安なんですね。  先ほど申し上げたとおり、茂木大臣の栃木県だって、もう栃木県から出たものについて自分のところで処分してくれというものを今のところ受け入れられないと。そして、宮城県も茨城県も実はこのことについてなかなかオーケーが出ないんですね。ですから、このことについてはやっぱり総理が一歩でも二歩でも前に出て、少なくとも四十六都道府県の中で、高レベル放射性廃棄物とは全く違う性質のもの、私も申し上げました、環境大臣も話をしました。その違いを国民の皆さんによく理解をいただきながら、あの三陸の瓦れきもなかなか実は全国で受け入れてくれなかった。細野大臣は自ら率先して静岡県に多くその瓦れきを受け入れるんだという努力をされて、静岡県ではしっかりとそれを他県に比較して早く受けてくれました。  どうぞ、総理、しっかりとそこのところを、福島復興なくして日本再生なしというこのことを考えて、我々も一緒にオールジャパン体制で協力をしていきたいと思っていますので、長い期間にわたっての福島復興再生であります。どうぞ、最終処分場の問題、福島県以外の皆さんの、全国の、全国津々浦々の、アベノミクスと同じように多くの国民の皆さんに御理解をいただいて、それぞれの県の中で、福島の中間貯蔵施設から最終処分場に至るまでの、この最終処分場については是非受け入れるような環境をつくろうではないかと。  そして、その調査も、うちの県では、私たちの県ではそういうものを受け入れるだけの地盤や水の問題が大丈夫なのかという調査も率先してするというぐらいのリーダーシップを総理に是非発揮していただき、福島県が今要望している、国有化ではなくてやはり国の賃貸借だと、そういうことを含め、法制化を早くしてほしいという要望、このことも含め、さらに地域支援ということ、これらのことについて、今日は本当はいっぱいいろんなことを聞きたかったんですが、規制委員長あるいは東電の廣瀬社長、申し訳ありませんでした、時間がなくて。また次の機会にさせていただきますが。  最後に、総理の、今申し上げた私の、福島県のこの仮置き、そして中間、最終処分場という最も今福島復興が進まない最大の原因のここの部分を受け止めていただいて、是非一歩でも二歩でも総理のリーダーシップによって、この最終処分場を含めた福島県の要望をお聞きいただきますようお願いを申し上げて、総理の御決意を最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。総理、お願いします。
  128. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど石原大臣から答弁をさせていただきましたように、この中間貯蔵施設から最終処分場へという中におきまして、言わば高レベル放射性廃棄物との混同がまだ相当あるのも事実でありますし、報道等の中においても、これをきっちりと残念ながら説明をしていない報道もあります。その中において、それとかなり混同して、それと同程度の危険性を持つものという誤解がかなり存在をしているのも事実でございますから、そうした誤解を解くべく我々更に努力をしていきたいと、このように思います。  除染に伴い発生するこの汚染土壌などの最終処分については、福島復興再生基本方針等において、中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる旨明らかにしているところでございまして、このような方針に基づいて、昨年十二月十四日の中間貯蔵施設受入れの要請では、石原大臣から県知事、四町長への、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図ることとしたいと、これはもう明言をしているわけでございまして、我々もこの方針に従ってしっかりと進めていきたいと、このように思います。
  129. 増子輝彦

    増子輝彦君 時間が終わりましたので、終わります。なお、国交大臣、申し訳ありませんでした、時間がなくて、お答えいただかなくて。  ありがとうございました。
  130. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で増子輝彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  131. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、新妻秀規君の質疑を行います。新妻秀規君。
  132. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 公明党の新妻秀規と申します。本日は私にとって初めての予算委員会の質問となります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  さて、明日で震災三周年になります。改めまして、犠牲になられた方々に心から哀悼の意をささげたいと思います。また、今も困難な状況と闘ってみえる被災者方々にお見舞いを申し上げます。  私は、亡き父のふるさとが福島県のいわき市でございまして、今でも多くの親戚が被災地におります。これまでも被災地に幾たびか足を運ばせていただきまして、様々なお悩みの声を頂戴をしてまいりました。公明党といたしましても、震災三周年を迎えるに当たり、本年を本格復興年と位置付けて、復興加速への決意を新たにしたところでございます。本日は被災地復興に役立つ質疑としていきたい、このように思っております。  まず、心のケアについて触れたいと思います。  今、卒業式の季節でございます。被災した学校は全部で二千三百十校、このうち百五十校弱で復旧が終わっておりません。今でも生徒が元々の校舎に通えていないところもございます。住み慣れた場所で友達と一緒に学ぶはずだった三年間がそうならなかった、その寂しさを思うと胸が詰まる、こうした思いがいたします。  総理はこの土曜日も福島を訪問されてみえましたが、改めて、今回卒業を迎える生徒を始め被災地子供たちに激励のお言葉をいただけないでしょうか。
  133. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) もうすぐ四月でございまして、いよいよ新学期が始まるわけでありますが、発災直後、宮城県の避難所で小学生の小野望美ちゃんという少女と会いました。津波でお母さんを失ったわけでございますが、被災から二か月後にお母さんが二年前に書いた手紙が望美ちゃん宛てに届いたわけでありまして、そこには、元気に学校に行ってくれるだけでとても安心していましたと、この手紙をみんなで読んでいるところを楽しみにしてこれからお母さんは頑張っていきますよという趣旨が書かれていたわけでございまして、望美ちゃんもこの手紙を読んで改めて、失ったお母さん、お母さんがいかに自分のことを思っていてくれるんだということを認識したんだろうと、こう思うわけでございますが、このまさに望美ちゃんを天国から見守っているお母さんが、復興がちゃんと進んだなと、望美ちゃんも幸せに暮らしているなと思っていただけるような復興を進めていきたいと、このように思っています。  そして、昨年一月に望美ちゃんと再会をしたのでございますが、その際、望美ちゃんから、亘理町を前よりもっと良い町にして幸せになるという夢を語っていたわけでありまして、まさに彼女も、自分だけが幸せではなくて、町全体が幸せになって自分も幸せになりたいと、もう本当にすばらしいなと、こう感じたわけでございますが、政府としても、ハード面だけではなくて心の復興にも更に力を入れていかなければならないと、このように決意をしているところでございまして、被災地子供たちが将来に夢を持ってその実現に向けて頑張ることができるように、東北の復興の加速化に全力を尽くしてまいります。
  134. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 総理、温かいお言葉、そして心温まるエピソードの紹介、ありがとうございます。  さて、岩手県の教育委員会が今年度行った調査によりますと、心の面でサポートが必要だとされた小中学生の割合が沿岸部で増加をしております。また、兵庫県の教育委員会の調査によりますと、阪神・淡路大震災では心理面で配慮が必要とされました小中学生の人数は震災後三年から四年でピークを迎える、こうした結果が出ております。  また、子供たちだけではなく、大人でも心のケアが必要な状況は変わりません。特に高齢者で深刻です。一昨年行われました日本医師会の調査によりますと、被災三県で心のケアを最も必要としているのは高齢者であると医師の八〇%近くが回答をしております。  いわき市沿岸部に住む私の親戚もその一人かもしれません。つい最近まで私の親戚は仮設住宅避難生活をしていたわけでございますが、そのときから度々夜中に起きてしまうことがありました。最近、海に近い元の住まいに戻りましたが、そうすると、症状がひどくなったと言います。海が怖いと言うのです。こうした身近なところからも心のケアが必要だと感じてまいりました。  それでは、質問に移らせていただきます。  厚生労働省の所管である被災者の心のケア支援事業、これについて、過去三年間の予算及び執行実績はいかがでしょうか。
  135. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  今お話がございました被災者の心のケア支援事業につきましては、平成二十三年度の第三次補正予算に二十八億円を計上いたしまして、二十三年度及び二十四年度で十四億円を執行いたしております。また、平成二十五年度には、当初予算に十八億円を計上いたしまして、十七億円を交付をしているところでございます。  こうした予算措置によりまして、被災三県に設けられてございます心のケアセンターの体制については、実は、開設当初は専門職員五十四名で事業を開始したところでございますが、平成二十五年度当初には専門職員百六十五名ということで体制を充実させております。  また、具体的な支援につきましても、例えば福島県においては平成二十五年度から県外の避難者への支援事業を開始するなど、その支援内容についても充実を図っていると、こういうところでございます。
  136. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 事業が着実に推進されているということが分かりました。引き続きしっかりとした取組をお願いを申し上げます。  次に、文部科学省所管の緊急スクールカウンセラー等派遣事業についてはいかがでしょうか。
  137. 前川喜平

    政府参考人(前川喜平君) 被災した幼児、児童生徒等の心のケアの充実を図るために緊急スクールカウンセラー等派遣事業を行っているわけでございますが、この事業におきまして、被災地の学校等にスクールカウンセラー等を派遣するために必要な経費といたしましては、平成二十三年度の補正予算で約三十三・七億円、平成二十四年度予算では約四十七億円、平成二十五年度予算で約三十九・一億円を措置しているところでございます。平成二十六年度予算案におきましては約三十七・一億円を計上しております。  また、この事業における執行の実績といたしましては、平成二十三年度は約十六億円、平成二十四年度は約二十九・四億円、平成二十五年度における契約額でございますが、これは約三十七・五億円となっております。  なお、平成二十五年度計画におきましては、岩手県、宮城県、福島県の要望を踏まえまして、三県に対して全国から二百十一名のスクールカウンセラーを派遣しているところでございます。また、この事業におきましては、心のケアに資する取組といたしまして、スクールカウンセラーのほかに学校や福祉機関などと連携いたしまして活動するスクールソーシャルワーカーの派遣なども行っておりまして、地域のニーズを踏まえた弾力的な支援を行っているところでございます。  引き続き心のケアのための支援に取り組んでまいりたいと考えております。
  138. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 執行率、また執行された額共に増加していることが分かりましたので、引き続き着実な取組をお願いを申し上げます。  先ほど触れました阪神・淡路大震災の例から、これから要ケアの子供たちは増える可能性がある、このように認識をしてございます。こうした状況にも対応できるようにお願いをしたいと思いますが、復興大臣、いかがでしょうか。
  139. 根本匠

    国務大臣根本匠君) 新妻委員が御指摘のように、被災地における子供たちの心のケア、本当に私も重要だと思います。その意味で、復興大臣になってから、住宅再建・まちづくり、最優先で取り組んでまいりました。そして、産業なりわい再生。そして、私はやはり、我々、具体的な現実に起こってくる課題、これを先取りして先手先手を打って対応をする必要がある、こういう思いで、委員と全く私は同じ認識に立っております。  私の下に関係府省の局長級から成る生活・健康支援に関するタスクフォース、これを昨年の十一月に立ち上げて、そして昨年の十二月にはトータルの健康・生活支援に関する施策パッケージ、施策の体系化、これをやりました。その中で、一つの柱として、二番目の柱に据えましたが、子供に対する支援の強化、これを挙げております。  今いろいろお話がありましたが、具体的には、平成二十六年度予算において新たに次のような取組をしたいと思います。一つは、仮設住宅の空き部屋、これが、空き部屋が出てきますから、これを活用した遊び場や学習スペースの確保子供たちが安心して過ごすことができる環境づくりをやる。そして、子育て世帯に対しての心身の健康に関する相談支援を行う新たな訪問事業、これも新たに取り組みたいと思います。  一方で、教育サイドからのアプローチとしては、学校などへのスクールカウンセラーの派遣のほか、子供の学習支援あるいは地域住民の学習・交流活動の促進、これらも新たにやっていきたいと思います。  引き続き、現状、具体的な課題、問題点をきちんと整理して、そして的確に子供たち支援政府を挙げて委員とも協力しながら取り組んでいきたいと思います。
  140. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 御答弁ありがとうございます。引き続き着実な取組をお願いを申し上げます。  復興庁から入手いたしました資料によれば、心のケアセンターの業務として、被災者の自宅、仮設住宅等の訪問による支援が挙げられております。借り上げの仮設住宅や親類の家に身を寄せている方も含め、きめ細かく支援をしていただきたいと思います。  また、避難先から元の住まいに戻ったり、また新居に移ったりして環境が大きく変わって、それによって要ケアとなる方も少なくないかと思います。こうした方々への配慮もしっかりとお願いしたいと思いますが、復興大臣取組状況はいかがでしょうか。
  141. 根本匠

    国務大臣根本匠君) 委員のまさに御指摘のように、被災者の避難の長期化が見込まれる中で、仮設住宅入居者だけではなくて、借り上げ住宅やあるいは親類の家にお住まい方々、あるいは災害公営住宅に入居した方々、心の健康面への影響が懸念されると思います。  その意味で、先ほど示しました生活・健康に関する支援パッケージ、その中で、これも第一の柱に掲げました仮設住宅入居者などの避難者に対する健康支援、これを一つの柱立てをいたしました。そこでは、心の健康対策として心のケアセンターを設置して、借り上げ住宅などにお住まいの方に加えて、親類の家に身を寄せておられる方、この方々も含めて訪問、来所など、各種相談をきめ細かに実施しております。  また、本パッケージでは、仮設住宅などから移転した後の新たな生活の定着に向けた対応策、これもまとめております。  具体的には、住民のニーズの把握、総合的な相談への対応、交流場所の提供とともに、見守り体制の構築を支援する、地域おこし活動の支援などを行う復興支援員の配置、学習、スポーツやレクリエーションなど学びを通じた地域住民の交流促進への支援、包括的な、体系的な支援策を講じておりますので、委員のお話のように、これからも復興庁としても現状と課題をしっかり把握して、関係府省と一体となって、自治体の皆さんあるいはNPOの皆様とともにきめ細かく地域の実情に応じた施策に努めていきたいと思います。
  142. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 御答弁ありがとうございます。これからも具体的な対策をきめ細やかにお願いを申し上げます。  これまで心のケアについて触れてまいりましたが、対象を広げまして、医師、看護師、介護従事者の不足について触れたいと思います。  厚生労働省から入手したデータによりますと、医療機関の復旧状況は、震災前に比べて岩手県では九〇%で診療を再開、宮城県では、場所によりますが、気仙沼近辺では七三%、石巻では八九%、福島においては、浜通り北部の相双地域の緊急時避難準備区域だったところで八〇%、浜通り南部のいわき市では、医師の数は震災前と同じではございますが、二万三千人に上る避難者の方が移ってこられたため外来患者が増加をしているとのことでございます。  福島県は元々医師の数が少ないところです。先ほどの親戚も、今いわき市内の病院は待ち時間がとても長い、このように漏らしておりました。被災地では、このように医療分野の復旧はまだ道半ばでございます。とりわけ福島県の浜通り、ここでの状況は深刻でございます。田村厚生労働大臣、国としての支援を検討いただけないでしょうか。
  143. 田村憲久

    国務大臣(田村憲久君) 被災地では、医師、看護職員、また介護職員、まだまだマンパワーが不足されているというような、そんなお声をお聞きするわけであります。  今までも、被災者健康支援連絡協議会、これ当初から立ち上がっていただきまして、今まで医師等の派遣、大変に御尽力をいただいてきたわけでありますけれども、そのほかにも、地域医療再生基金、これを使いまして、例えば医師の確保でありますとか寄附講座の開催、さらには、看護師にいたしましては、例えば復帰される看護職の方々、こういう方々の支度金でありますとか、都市部から看護職来られるときにどうしても給与の差がございますので、それを補填するような、そのような支給、こういうことも実施してきたわけであります。それから、地域医療支援センター、これは医師の派遣をするセンターでありますけれども、これに対しても運営費の助成をしてまいりました。  さらには、この相双地域、非常に医師等々、看護師も含めて足らないということでございますので、厚生労働省といたしまして、医師、また福祉の復興センターというもの、これをつくりまして、この中において医師の派遣等々、これもやってきたわけであります。  現状でありますけれども、平成二十六年、この一月の数字でありますが、緊急時避難準備区域に関しましては、医師は震災前と同じになりましたが、まだ看護師が七九%、こういう状況であります。今言われましたいわきの方でございますけど、ここでは、医師はやはり同数に戻りましたけれども、看護師は一〇四%と、以前よりか増えております。ただ一方で、今委員おっしゃられましたとおり、元から医師も看護師も少ないところでございますし、それにまたいろんな方々が避難されてこられているという現状もございますので、これからも必要な対応をしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。  あわせて、介護職の方でございますが、これは、福祉・介護人材確保支援事業というこういう事業ございまして、被災地に関しましてもこういう事業対応をさせていただくと同時に、一方で、この地域の介護施設、こういう介護施設で二年間従事していただければ返還を免除する、こういうような奨学金制度ございます。これも二十六年度予算確保しつつ、やはり住まいが問題なものでありますから、住まい確保支援もしっかりさせていただこうと思っております。  あわせて、福島県と共同で、全国から、この地域の特養、相双地域の特養、人手が不足しておりますので、そういうところに支援をいただけるような、そんな事業もしておりまして、必要な対応をこれからもしっかりと取ってまいりたい、このように考えております。
  144. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 御答弁ありがとうございます。これからもできる限りの手を尽くしていただけるようお願いを申し上げます。  次に、住まいについての被災者の声を紹介をいたします。このテーマについては先ほども触れられておりましたが、改めて取り上げたいと思います。  仮設住宅に住む方から、仮設の入居期限が一年延長になり来年の三月の末までになって有り難いのだが、その後の住まいがどうなるか不安だ、また、復興公営住宅に入居を希望される方から、いつ完成するのか、いつ入居できるのか分からない、このような声が現実にございます。また、復興公営住宅の入居希望者には高齢の方々も多いことから、工程表、また進捗状況、丁寧に情報を届ける必要もあるかと思います。  この点も含めて、国の住まいの安心に向けた取組について、復興大臣、御答弁をお願いします。
  145. 根本匠

    国務大臣根本匠君) ただいまの応急仮設住宅の供与期間、これについては原則二年、これは内閣府所管の災害救助法に基づいてされております。そして、東日本大震災で設置したものについては、特定非常災害特別措置法、これに基づいて一年を超えない期間ごとに延長を行うことが可能となっております。そして、当時、今所管変わりましたけど、内閣府に。当時の厚労省においては二年から三年への期間の延長、これについては復興状況などに鑑みて一律に延長を行いました。そして、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の四県、この四県については、災害公営住宅などの恒久住宅整備状況などを踏まえながら、更に三年から四年への延長を行うこととされております。  更なる期間延長、これについては、今後、災害公営住宅などが整備確保されるなど地域の実情を踏まえて被災自治体ごとに判断していくことになると聞いておりますが、内閣府においては被災自治体の状況に応じて適切な対応をお願いしたいと考えております。  もう一つ、今の委員の御指摘になった、まさにいつ災害公営住宅復興公営住宅ができるのか、仮設住宅のお住まいの方が先が見えない、私も様々な意見を聞いてまいりました。その意味で、現政権になってから、昨年の三月以降、四半期ごとに住まい復興工程表、これを公表しております。これは、市町村ごと、地区ごとに具体的な、いつ何戸できるか、あるいは何戸分用地が供給できるか、この供給目標、これを全体、一覧ができるように復興工程表も作って、暮らしの再建についての将来の見通しを持っていただくように対応しております。  そして、ただ、こういう情報被災者方々にしっかりと伝わるかどうか、これが非常に重要だと思います。復興庁としても各自治体についても工程表の公表を依頼してまいりました。自治体では、災害公営住宅整備の進捗状況や入居者募集のお知らせを広報紙に掲載して全戸に配付する、こういう取組もやっておりますし、きめ細かい取組が必要だろうと私も思います。ただ、対応に差があることも事実だと思います。  復興庁としては、仮設住宅における避難生活を余儀なくされている多くの被災者方々の不安感を払拭できるように、自治体に対して改めて丁寧な、情報発信している例、これなども紹介しながらきめ細かな情報提供に努めていきたいと思います。
  146. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 御答弁ありがとうございました。かゆいところに手が届くような細やかな対応がされるよう、国のリーダーシップを引き続きお願いをいたします。  それでは、防災のための宇宙の利用について触れたいと思います。  さて、今から十日前、二月の二十八日の未明、世界中に降る雨を宇宙から観測する衛星、これが種子島の宇宙センターから打ち上げられました。これは、天気予報、台風の進路の予測の精度向上に役立ち、また洪水の予測にも活用されると聞いております。また、三年前の大震災、このときには、地上を観測する人工衛星「だいち」が津波による浸水状況などを撮影し、被害状況の把握に大変役立ったと聞いております。これがその写真です。(資料提示)上が発災前、下が発災直後、三月十四日の状況です。浸水したエリア、これが黄色の線で囲まれたところですが、また瓦れきの流出状況、ピンクの線で囲まれたところ、これが一目で分かると思います。この「だいち」の後継機が今年中にも打ち上げられると聞いており、「だいち」以上の防災への役割が期待をされております。  今、日本の宇宙開発は内閣府の宇宙戦略室が司令塔の役割を果たしております。しかし、昨年、宇宙戦略室が提案をしました広域災害監視衛星ネットワークという、防災のためにアジア諸国とも連携をして人工衛星のネットワークをつくろうというプロジェクトは、行政事業レビューで余り高い評価を受けられませんでした。この原因として、この衛星ネットワークを利用する可能性がある他の府省との連携が、ニーズが十分生かし切れていなかったのではないか、こういう声もございます。戦略室は、この反省を生かし、関係する府省とより緊密に連携を取り、また民間とも連携を取って司令塔機能を強化すべきと考えます。  ここで、山本大臣に対し、宇宙の司令塔機能をどのように発揮していくのか、御答弁をお願いします。
  147. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 新妻委員には日頃から宇宙政策について様々有益な御提案をいただいていることを宇宙担当大臣として感謝を申し上げます。  御指摘のあった広域災害監視衛星ネットワークについては、御指摘も踏まえて、しっかり関係省庁と調整連絡、連携を取りながら検討してまいりたいと思います。  宇宙開発利用は、民生、安全保障など多様な分野に関係しておりまして、政府が一丸となって国家戦略としての宇宙政策を推進することが必要だと考えています。内閣府の宇宙戦略室としては、宇宙基本計画に基づいて、宇宙利用の拡大と自律性の確保、こうした観点から司令塔機能を発揮してまいりたいと思います。  具体的に言うと、戦略的予算配分方針、これは重要事項を調査審議する宇宙政策委員会の審議に基づいて私の方から発出をするわけですが、この方針を通じて各府省が重点すべき政策を提示するとともに、準天頂衛星、新たな基幹ロケット、宇宙状況監視、SSA、これらの各プロジェクトにおいて関係府省との連携体制を構築しながら今事業を進めております。  今後とも、司令塔機能の一層の強化に努め、宇宙政策を総合的、計画的に推進してまいりたいと思います。
  148. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 御答弁ありがとうございます。  これからも、国民のためになり、また国際社会の信頼を勝ち取る宇宙開発、オールジャパンの総力を引き出す体制づくりをお願いを申し上げます。  次に、今開発が進められている、今大臣もおっしゃいました準天頂衛星について取り上げさせていただきます。  この衛星は、カーナビ、またスマートフォンのマップ機能などにも使われるGPSの精度向上にも役立ちます。しかし、それだけではなく、このパネルのように、通信機能を持ちまして、これが大きな災害が発生したときに情報をやり取りする、そうしたことが期待をされております。  このうち、この上が緊急時、大災害時にその緊急情報、避難情報、災害情報などを送るような機能であり、下が誰かが遭難をした、そんなときに遭難情報を、救難信号を受け取って、また捜索機関から遭難者にメッセージを送信をする、そうした機能でございますが、このうちパネルの下側の双方向の通信機能について、この開発状況、また関連する府省や民間との調整状況、さらには準天頂衛星の防災に向けた活用に向けての山本大臣の決意をお伺いいたします。
  149. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 新妻委員が準天頂衛星の戦略的重要性について御認識をいただいている、大変心強く思います。  準天頂衛星システムは、メッセージ機能として大震災のような広域災害発生時に携帯電話等の所有者の居場所、位置に応じ、災害情報や避難情報をきめ細かく提供するということができます。さらには、地上の通信回線がダウンしても、携帯端末から衛星にメッセージを送信し安否が確認できる、こういう機能も具備する予定にしておりまして、こうした機能は災害対応能力の向上に資するものと認識をしています。現在、地上システム、衛星システムを合わせた総合システム設計を行っている最中です。  内閣府としては、関係府省や産業界等との取組とも十分に連携し、平成三十年度からの運用開始、これは委員御存じのとおり四機体制を二〇一〇年代後半にしっかりと整備をするという閣議決定もしておりますので、是非実現をさせなければいけないと思いますが、この平成三十年度、二〇一八年からの運用開始を目指して着実にその整備を進めてまいりたいと思います。
  150. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  国民の命を守る大切な取組ですので、一つ一つ着実に推進をしていただきますようお願いを申し上げます。  ここで、宇宙開発戦略本部の本部長である総理に、防災に向けた宇宙利用に対する思い、あわせて、昨日、国際宇宙ステーションの船長に就任をされた若田光一宇宙飛行士、これは日本人としてのみならずアジア人として初めての快挙です。また、これまで被災地子供たちとも交流をし、昨日の船長就任会見でも被災地方々への思いを語っておりました。日本人の誇り、被災地方々にも希望を与える若田光一宇宙飛行士に、昨日の首相官邸のホームページに総理のコメントが載っておりましたが、改めて総理よりテレビを御覧の全国の皆様に、若田光一宇宙飛行士の船長就任についての御所感をお願いを申し上げます。
  151. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、防災に向けた宇宙利用でありますが、人工衛星等の宇宙システムは、震災津波など地上の被害に影響を受けずにサービスを継続できる耐災害性や広範な地域にサービスができる広域性等、防災、災害対応に有効な特性を備えていると思います。このため、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模な自然災害への備えの一環として宇宙の利用は有効であると、このように思います。  政府としては、今後とも、防災や災害対応に有効な宇宙システムの整備、活用を推進していきたいと、このように思います。  そして、若田光一さんが次のミッションにおいてキャプテンになったということであります。これは、NASAあるいはロシアの連邦宇宙局以外からほとんどキャプテンというのは出ていないわけでございますが、欧州、そしてカナダに次いで三番目、まさにアジア人としては初めてでありますが、このキャプテンの判断に全クルーの命が懸かっているわけでありますし、このミッションの成否も判断力に懸かっているわけでございまして、私もかつて「アポロ13」という映画を見ましたが、ああいう過酷な状況での判断、それができる若田さんに是非頑張っていただきたいと思いますし、若田さんは何回も被災地にも足を運んでいただいています。被災地の若い人たち、あるいは子供たちにとってもまさに夢なんだろうなと、この夢を乗せて頑張っていただきたいと、このように思います。
  152. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 時間が来てしまったので、最後に一点だけ。三月……(発言する者あり)それでは終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  153. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で新妻秀規君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  154. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、秋野公造君の質疑を行います。秋野公造君。
  155. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立てますように質疑をさせていただきたいと思います。  三・一一を前に、改めまして被災された全ての皆様方にお見舞いの言葉、申し上げますとともに、お亡くなりになられた方、お悔やみの言葉を申し上げたいと思います。  私は、一月の十四日から十八日まで、同僚議員であります河野義博参議院議員とともに、フィリピン台風被害支援調査のために、被害の大きかったレイテ島そしてサマール島を訪ねました。緊急援助隊が撤収をしてインフラが整備をされていない状況で、フィリピンにとっては今が一番大変な状況であります。そして、台風が勢力を保ったまま北上してくることがあり得る我が国においては、離島の防災・減災などを考える上で共有すべき内容だと思います。  風速九十メートルを超える台風はまるで竜巻が通った後のようでありまして、見渡す限りの屋根が吹き飛んでいる状態でありました。屋根がない暮らしというものは大変に気の毒な状況でありまして、中でもその影響は弱者を襲いました。  まずは医療であります。国立病院も州立病院も町立病院も屋根が吹き飛ばされた状況でありまして、今なお雨漏りが続き、そういった状況で医療が崩壊をしており、中でも深刻な影響を受けているのはお産ということであります。  フィリピンは出生率が三を超えて、日中韓の二倍から三倍の、そういう割合で子供が生まれてくることは被災地においても変わりがありません。へその緒を切ってくださいといって訪ねてこられるお母様の姿は大変に気の毒であります。  中でも帝王切開は困難でありまして、これも被災地であっても同じ割合で起きてまいります。確認ですが、帝王切開はおなかを開けて、そして子宮も開けて赤ちゃんを取り出す手法であります。物すごく荒っぽい言い方をしますが、赤ちゃんは取り出してから洗うことができますが、母体はそういうわけにはいきません。  WHOのホール代表によりますと、清潔な環境で行われた出産は一〇%程度ということでありまして、母子の命を守るために日本のやるべきことは明確であります。医療が崩壊をしており、出産さえままならない状況を踏まえ、平成二十五年度補正予算は成立をいたしました。そして、二十六年度でもフィリピンの支援を行うということは決まっております。まずは、搬送さえすれば何とか安心して安全に出産をすることを確保するために、医療の拠点である国立病院の支援日本は積極的に行うことを提案をいたしますが、外務大臣の見解を求めます。
  156. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、秋野委員のこの一月のフィリピンの御視察に当たりましては、先方の保健大臣ですとか公共事業道路大臣にもお会いいただくなど、大変意義ある御視察をいただいたと報告を受けております。  そしてその上で、我が国の支援のありようですが、我が国は、今回のフィリピンの台風被害、災害発生直後から、フィリピン政府の要請に基づきまして、人的、そして資金、物資の両面で可能な限りの緊急人道支援、取り組んでまいりました。御指摘のこの保健医療の分野につきましても、我が国が被災地に派遣しました国際緊急援助隊の医療チーム、そして自衛隊の部隊が合わせて六千人の方々を診察し、約一万二千人に対して予防接種を行うなど、大きな成果を上げました。  今後、復旧復興段階におきましても、補正予算を有効に活用して被災地の再建に取り組んでいく考えでありまして、その際にもこの保健医療の分野、これはもう重点分野であると認識をしております。  具体的には、国際機関を通じて感染症対策あるいは妊産婦への支援を行うほか、二国間の無償資金協力による医療施設復旧あるいは機材の供与、こうしたものを検討しております。補正の中でも六十六億円を用意して取り組んでいきたいと考えています。  そして、国立の医療施設への支援ですが、東ビサヤ地域医療センター、これはレイテ島のタクロバン市に位置し、今次被災地域における中核病院として再建が急務であると承知をしております。フィリピン政府と最終的な手続を経る必要はありますが、是非我が国としましては、この東ビサヤ地域医療センター、再建をしっかり支援していきたいと考えております。
  157. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、ありがとうございます。大きな方向性が示されました。安心してフィリピンのお母様がお子さんを産むことができればと思います。  今大臣が御答弁されましたとおり、日本の貢献というのは非常に大きなものでありました。当初懸念をされた感染症をブロックすることができたということであります。意地悪な人は、何もしなくても感染症はそもそも起きなかったのではないかという指摘をする方もいるのかもしれませんが、私が大きな貢献を外務省そして防衛省されたと申し上げるその理由は、ワクチンそして消毒などの防疫、そして治療などを行った、感染症が起こるのではないかと懸念された被災地で感染症は起こらず、そういった治療やワクチンを打たないままに避難をされたマニラで感染症が発生をしてしまったということでありました。具体的には、麻疹が七十六倍、前年度比で発生をしているという状況であります。  今日は資料を準備をさせていただきました。そのフィリピンのマニラで七十六倍発生した麻疹が日本に入ってきているというデータであります。  これは、先週の金曜日に国立感染症研究所が出しました週報と言われるものであります。これを見ていただきますと、前年と比較をしまして日本の麻疹の発生は三・三倍というのが今現状でありまして、下から三行目見ていただきますと、その多くをフィリピンからの輸入例が占めており、そしてフィリピンからの感染が国内で新たな感染を生み出しているという状況がこのグラフから見て取れるということになります。  グラフを御覧ください。ピンク色が海外から入ってきた麻疹の数であります。紫色が国内で感染が起きたと思われる麻疹の数であります。十一月に台風が起き、十二月から日本に麻疹が多く入ってきており、それに引きずられるような形で国内の麻疹の感染が起きているという状況でありまして、麻疹がフィリピンを経由して日本に入ってきているということを考えると、フィリピンの公衆衛生に貢献をするということは、それは最終的に日本人の健康を、命を守るということにつながるというデータであると思います。  その意味で心配なのが結核であります。結核は、そもそもフィリピンは中流行国でありまして、町立病院がその治療を担っておりました。しかしながら、冒頭申し上げたように、そのカルテは全て失われ、薬はあるそうでありますが、どんな治療を受けていたのかということが全く分からないような状況になってしまいました。このままでは結核の蔓延が起き得る可能性があります。  しかしながら、検査はなかなか困難な状況でありますので、喀たん、たんを顕微鏡で検査をすれば、排たん、たんを、結核菌を出しているかどうかがすぐ分かるような状況になりますので、結核の蔓延防止のために日本は顕微鏡などの供与を貢献として行うべきであると、そういったことも新たに提案をしたいと思いますが、改めて外務大臣の見解を求めたいと思います。
  158. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 被災地における感染症対策の重要性、これは十分認識をしなければならないと考えています。結核も含めた感染症予防のための支援につきましては、国際機関とも連携しつつ、この地域の保健施設の再建、あるいはワクチン接種等に引き続き取り組む考えでおります。  そして、特に御指摘の結核予防のための支援につきましては、被災地において、感染症予防を担う地域の保健施設に対し、顕微鏡の供与あるいは専門家の派遣を実施する予定にしております。既に三月十日には顕微鏡の引渡しなどもこの結核対策向上プロジェクトのフォローアップの一環としまして実施をしております。  引き続きまして、被災地あるいは関連地域において重大な感染症が蔓延することがないように、日本政府としましても可能な限り努力をしていきたいと考えております。
  159. 秋野公造

    ○秋野公造君 国立病院を、命のとりでである国立病院を支援し、そして結核の蔓延を防ぐために、日本にしかできない、そういう顕微鏡の供与を行う、日本の顔が見える支援がフィリピンとの友好を更に深めていくということを信じるわけであります。  冒頭申し上げたように、屋根が吹き飛ばされている状況であり、日本政府はそれに対して屋根の建材を提供することによって、これは大変喜ばれておりました。雨漏りがない状況で夜を過ごせることがどれだけ有り難いかというお声も直接伺ったわけであります。河野議員とともにどこに行っても歓迎をしていただき、日本とフィリピンとの仲はこんなにも仲がいいのかと思ったときに、そんなときに私が感じたこと。それは、私たちが日本の戦没者の慰霊碑に手を合わせたときのフィリピンの皆様方の何となく複雑そうな印象でありました。御存じのとおり、レイテ島はさきの大戦でレイテ沖海戦など大規模な戦闘が行われた地域であり、私たちが宿泊したホテルには日本の兵隊の方々の写真も数多く展示をされており、忘れない努力と、逆にフィリピンの皆様方の真心というものも感じました。  結果として五十二万人もの尊い日本人の戦没者の命を失い、それに倍するフィリピンの国民の尊い命を失わせてしまった戦争の歴史に思いを致すとき、中国と異なり戦後の賠償交渉に何年も掛かってしまった当時のフィリピンの皆様の思いを考えるときに、フィリピンの皆様の心の奥底に残る小さな痛みというものを感じながら友好を深めていかなくてはならないということを改めて認識しますし、そういったところから日本は適切な支援を行いながら、親日的と言われるまでに対日感情を改善させてきたこれまでの努力を大切にする必要があると思います。  レイテ島とサマール島の間には、四十年前に日本のODAで建設をしたサンファニコ橋という今なおフィリピンで最長の橋が架かります。海峡を通る高潮にびくともせずその橋が残ったおかげで、フィリピンの復興は陸路を使って物資を運び、患者さんを運ぶことができました。かつては水牛しか通らないとやゆされた橋であっても、こういうときに本当に役に立つ、本当に必要な支援を続けてくればこそ日本とフィリピンの今の関係があると信じます。これまで取り組んできたODAを始めとする隣国との今回の成功例を踏まえ、災害対応の備えを日頃から行うことこそが安全保障の強化につながるということをもう一回確認をしたいと思います。  フィリピンの支援を通じて、日頃からの災害へ備える隣国との連携、今回のようないざというときの初動をしっかり取れる関係というものを平時から築いていくことが安全保障の重要な観点であると訴えたいと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
  160. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国は、今委員がるるお話しになったように、フィリピン台風災害発生直後から速やかに千二百人規模の自衛隊及び医療チームを含む国際緊急援助隊を現地に派遣をいたしまして、医療活動や救援物資等の輸送などの緊急支援を実施をいたしました。現在も復旧復興に向けた支援を実施をしておりまして、かかる取組日本とフィリピンの信頼関係を大きく前進させたと、このように確信をいたしております。  自然災害の多いアジア地域におきまして災害対処を含む防災分野においてODAを通じた連携協力に平素から取り組むことは、近隣諸国の我が国に対する信頼向上に資するという意味におきまして、おっしゃるように、我が国安全保障政策上大変重要であると、このように思います。  昨年も、日本で開催をされましたASEANとの特別首脳会議におきましても、私の方から、かつて我々が経験した東日本大震災からの教訓から防災の重要性、そしてまたフィリピンにおける日本のオペレーションから日頃からASEANの国々と協力してそうした対応を検討しておくことが大切であると、また今回、日本は米国とも共同でオペレーションを展開をしたわけでございますが、そうした形で他の国とも協力をしながら、特にASEAN、またあるいはアジアの地域においてしっかりと防災あるいは復旧復興に平素から力を入れていきたいと、このように思います。
  161. 秋野公造

    ○秋野公造君 時間が来てしまいました。  安全保障の強化には心を入れることが重要であると思います。様々な支援を通じて日本の進める防災・減災に強い、そういう国づくりを海外とともに共有することを求めて、質問を終わりたいと思います。  太田大臣、申し訳ありませんでした。
  162. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で秋野公造君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  163. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、松田公太君の質疑を行います。松田公太君。
  164. 松田公太

    松田公太君 多くの尊い命を奪った東日本大震災、あしたで三年になるわけです。本当に愛される方を亡くされた御遺族の皆様に改めて心からお悔やみを申し上げたいと思います。そして、今もなお本当に厳しい生活をされている被災者や被害者の皆様、大変心から申し訳なく思うとともに、私も微力ながらそういった方々が一日でも早く元の生活に戻れるように尽力をしていきたいと、このように思っております。  今日はエネルギー震災復興ということですので、私は、原発の質問を中心にさせていただきたいと思っております。  早速ですが、安倍総理安倍総理は映画がお好きだという話を伺ったことがありますが、「一〇〇〇〇〇年後の安全」という映画、これは御覧になられたことがありますか。
  165. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 残念ながら、まだ見ておりません。
  166. 松田公太

    松田公太君 私は、あの映画は本当に説得力あったなというふうに思っております。  総理、十万年後というと千年後の百回、それが十万年ですよね。千年というのも我々は多分想像が付かないんじゃないかなというふうに思います。その十万年後に向けて我々は、例えば地震があっても、マグマが噴火しても崩れないような構造物を造らなくちゃいけませんし、また十万年後といったら言葉も違うかもしれない。その記録媒体なんかも全然違うと思いますよ。そういった方々に向けて法律を作らなくちゃいけない。そして、いろんなルールを作って、ここに入ってはいけませんと、そのような標識も立てなくちゃいけない。そういうことを考えると、本当に我々は、今便利だからといって、とんでもないことを、責任を負えないようなことをしようとしているんだなと、このように感じてしまうわけでございます。是非総理にも、時間がありましたら、「一〇〇〇〇〇年後の安全」、見ていただきたいと思いますが。  安倍総理はよく外遊に出ていらっしゃいます。これは大変いいことだと思いますし、日本のプレゼンスをどんどん高めていただきたいというふうに思います。  そこでちょっとお聞きしたいんですが、安倍総理は、フィンランド、フィンランドに行ってオンカロ、これを御覧になられたことがございますか。
  167. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 小泉元総理がオンカロを訪問されたということは存じ上げておりますが、まだ残念ながらその機会はございません。
  168. 松田公太

    松田公太君 総理御存じのとおり、オンカロというのは世界で唯一建設が始まっている最終処分場でございます。数多くの課題総理が取り組まなくてはいけない、大変難しい、これは重々分かっておりますけれども、是非オンカロは視察していただきたいなというふうに思いますね。これはもう、脱原発派なのか原発推進派なのか、これはもう関係ないことだと思いますね。原発政策の中ではもうこれは非常に重要な、最重要課題だと私は言っても過言ではないと、このように思っております。  安倍総理、先ほど小泉元総理のお話が出ましたが、最近、小泉元総理にはお会いになられましたか。
  169. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 東京都知事選挙の前にたまたま機会がございましてゆっくりお話をする機会がございましたが、最近は残念ながらその機会がないので。息子さんとはよく会っておりますが。
  170. 松田公太

    松田公太君 それでは、総理、是非、今申し上げたオンカロであったり、またその「一〇〇〇〇〇年後の安全」、こういった映画の批評なんかをネタに、コーヒーでも飲みながら、是非お会いいただければなというふうに思います。最近気になっているのは、安倍総理はアフタヌーンティーのタンブラー使っていらっしゃいますので、もしかしたらコーヒーじゃなくて紅茶派なのかなというふうに思っておりますが、是非、紅茶でも飲みながら小泉総理とお会いいただきたいと。  これは、総理、多くの国民が望んでいることなんじゃないかなと私は思うんですね。是非、小泉総理とお会いになって、その原発政策について話し合っていただきたい。是非これ、お願いできないでしょうか。
  171. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々、三年前に福島第一原発の過酷事故を経験をしております。そして、あの経験から我々は、まずは原子力発電に対する依存度を減らしていく、できる限り減らしていくということにおいては、我々その政策を進めていく、そういう決定をしているわけでございまして、その方向性においては小泉総理と変わりがないわけでございます。  その中において、我々はまだそれをゼロと言えるそういう自信はないわけでありまして、そういう自信がない中において、ゼロを前提として言わばエネルギー政策を、あるいは電力政策を立てることはできないということでございまして、そういう観点も含めまして、もちろん機会があればよくお話をしたいと、こんなようにも思うところでございますが、いずれにいたしましても、私たちは、安全第一ということについてはこれはもうあの過酷事故の経験から学んだことでありまして、あるいはまた安全神話には決して寄りかかってはならないということもこの教訓を生かしていきたいと、こう考えているところでございます。
  172. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございます。  二月二十五日、経済産業省が、エネルギー基本計画、これを発表されたわけです。同じく、安倍総理が第一次内閣のとき、二〇〇七年、このときもエネルギー基本計画、これが発表されたわけですね。そのときには、高レベル放射性廃棄物については、平成四十年代後半の最終処分の開始を目標としと、明確にこう書かれているわけです。  総理、なぜ今回はこのような目標が入らなかったんでしょうか。
  173. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 高レベル放射性廃棄物、御案内のとおり、世界各国もこの処分の問題、非常に三十年にわたって悩んでおりまして、処分地が決まっておりますのは、先ほど御指摘いただいたフィンランドのオンカロ、向こうの言葉で言うと洞窟ということでありますけれども、それとスウェーデンと二か国だけであります。  我が国におきましても、これまで十年間最終処分場が決まらないと、こういう状況が続いてまいりました。どうしてそうなってしまったのかと。いろんな要因があると思うんですが、一つには、やはり応募プロセス、これは手挙げ方式で地元がやるということで、地元の非常に責任負担、こういうものが重いと、こんなことがございまして、昨年の五月から資源エネルギー総合調査会、こちらにおきまして検討を重ねて、昨年の十二月には最終処分の関係閣僚会議、基本的な取組の方向も決めたところでありまして、まずその方向性といたしましては、現時点で最も有望であります地層処分でありますが、将来の世代が最良の方法を選べると。これは、最終処分するにしても直接処分するにしても、これから技術というものは当然進むわけでありますから、可逆性、回収可能性確保する、こういったオプションも考えなきゃならないと。同時に、手挙げ方式ではなくて、国の方から科学的データに基づいて候補地となり得るところを御提示をさせていただいて、そういったところと話合いを持つと、こういったプロセスも必要だと思っておりまして、そういった方向でこれ今検討を進めているところであります。
  174. 松田公太

    松田公太君 おっしゃることはよく分かりますけれども、ただ、目標というものは私はある程度作らないと何事も進まないんじゃないかなと、このように思うわけですね。ですから、今のままでは七年前のエネルギー基本計画よりも後退してしまっている、そういう印象を受けてしまうんです。  総理エネルギー基本計画、これを閣議決定される前に、四十年代例えば半ばでもいいですし、前回と同じようなざっくりとした目標でもいいんですけれども、是非その気概も含めて入れていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  175. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この基本計画につきましては様々な要素を勘案をしながら今現在与党と議論を積み重ねている中でございまして、いずれにいたしましても、我々は、国民の皆様に対して責任あるエネルギー政策をお示しをしていきたいと、このように思っております。
  176. 松田公太

    松田公太君 みんなの党は、原発を最終的にゼロにしたいと、このように思っております。原発事故の発生直後から、我々は、市場原理をしっかりと導入すればおのずと原発がゼロになっていく、そのようなロードマップを作成して提言をしております。しかし、それまでの間、例えばこの四十年ルール、これをしっかり守る、若しくは、本当に世界最高の安全基準、これを満たすことができれば、一時的に一部の原発の再稼働は私は仕方がないと、このように思っております。  そこで、再稼働に向けた安全基準などについてお聞きしたいと思います。  今年は、日本中が大変な雪害に見舞われた年でもあったと思います。現在、新基準の審査合格へ比較的順調に進んでいるというふうに言われる原発が幾つかありますが、そのうちの一つが福井の大飯原発です。しかし、この半島にある大飯原発に向かう途中、道はもう皆さん御存じだと思いますが一本しかないんですね。県道一本しかないんです、二百四十一号線。つまり、何か事故があったとき、避難経路というものがその一本しかないという状況になってしまうわけです。大雪が降って道路が完全に遮断されて使用不可能になった、これ実際今年たくさんあったわけですけれども、このような場合のケース、どうその避難を想定しているのかというのを、これは是非田中委員長に私お聞きしたいと思うんですね。  田中委員長、これ、敷地内の話だけではなくて、敷地外の話も含めてお答えいただければと思います。
  177. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 避難計画については、私どもの所掌事項ではなくて、地域住民あるいはその地勢の今御指摘のような状況を踏まえて、地元自治体が最も適切な方法を、計画を立てるべきだと思っています。状況によりましては、一本しかない道の場合にはそれなりの工夫を、対策を立てるということも必要かと思いますが、今私の方からこうすべきであるということは、ちょっと今申し上げられない状況にあります。
  178. 松田公太

    松田公太君 それが私はおかしいんじゃないかなとずっと思っているんですね。防災の指針、これをまとめたのは規制委員会ですよね。これを原発から三十キロ圏の指針としてくださいということで発表して、それを自治体が一つ一つ自分たちでその計画を練っているということなんですけれども、でも今のお話をお伺いすると、それに対してチェックはしていないということですよね、その指針は出したけれども。つまり、言いっ放しで責任を負っていないと、こういう状況じゃないかなというふうに私は思ってしまいます。  少なくとも、例えばその五キロ圏内、このいわゆるPAZというんですか、これを規制委員会の認可条件に私はするべきなんじゃないかなというふうに思うんです。これについては田中委員長はどのように思われるでしょうか。
  179. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 防災・避難計画についての指針については私どもの方で策定して御提示してあります。その中で、いわゆる緊急事態が生じたときには、PAZ内五キロについては速やかにその対策を、避難等の対策を取るということにしてありまして、実際にそれを具体的にどういうふうにすべきかということについては、先ほどの繰り返しになりますけれども、地域がまずきちっと検討していただくことが大事だと思っています。  ただし、今回の規制基準は、福島第一の事故を踏まえまして、ああいう事故を二度と起こさないと、そういうことで、いわゆるもう最大限でもこれ以上は駄目だというような安全目標というのも定めまして、具体的に申し上げると、福島の放射能放出の百分の一以下、実際には今いろんな適合性審査の中ではもっとそれよりもずっと下になりますけれども、そういった状況にありますので、そういったことについての基礎的なデータについては今後我々としてもお出しして、その避難計画策定に参考にしていただくように図っていきたいと、そういうふうに思っています。
  180. 松田公太

    松田公太君 繰り返しになりますが、やっぱり私はそこはちゃんと、分けて考えるべきじゃないというふうに思っているんですね。やはりこれは規制委員会の認可条件の私一つに絶対するべきなんだなというふうに思います。  例えば、私が少なくとも知る限り、現在、大飯原発周り、大雪に対する対策というのは取れていないわけですよね。そんな状況でこの再稼働、これがされてしまったらどうなるんでしょうか。これは安倍総理にお聞きしたかったんですがちょっと立たれてしまいましたので、大臣、よろしくお願いします。
  181. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 大まかについては規制委員長からお話があったんですが、なぜその地域がということをちょっと整理させてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、地域防災計画、その下に避難計画があります。どの地域ごとに避難を行うかといったような避難の実施単位や、どこに逃げるのか、あるいはどういう経路を取って逃げるのかといったものがまさにそういうものであります。ですから、当然地域の様々な事情を踏まえて作成されることが適当でありますので、今の委員長の答弁のようになるわけでございます。  このために、地域防災計画、その下にある避難計画は、災害対策基本法において住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的として県や市町村が作成するということになっております。各自治体の防災会議において内容の検討を行って、国としてはそういうものをしっかりと支援していく、そういう観点に立って田中委員長が答弁をしたと御理解いただきたいと思います。
  182. 松田公太

    松田公太君 いや、おっしゃっている手続上の話とかはよく分かるんですけれども、私が繰り返し申し上げているのは、これは規制委員会の認可にするべきだということを言っているんですね。例えば米国のNRCであったり、またフランスのASN、こういったところはより防災計画に深く関与しているわけです。認可基準、これをしっかりと私は入れるべきじゃないかなと。そうしなければ私は、再稼働、これを許すべきじゃないと、このように思っております。  安倍総理、ちょうどお戻りになられましたんでちょっとお聞きしたいんですけれども、もし安倍総理が今、タイムスリップしたと想定してお考えいただきたいんですけれども、ちょうど今日が二〇一四年の三月十日ですが、そうじゃなくて、二〇一一年の三月の十一日だったとします。震災がまさしく起こる直前です。今ちょうどその時間になったわけですけれども、二時四十六分。安倍総理が一つだけ福島県の原発の周辺住民方々に指示を出すことができるとしたら、何を出されますか。どのような指示を出されますか。
  183. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この発災の瞬間においては、まず現場の状況等を把握する必要がありますから、直ちにはどういう指示を出すということは、これはかえって間違った指示を出しては余計な混乱を引き起こすことだろうと思いますが、しかし、当然、東北地方においては、福島第一原発もそうでありますが、第二原発も女川もあるわけでありますから、そうした原発の安全が確保されているかどうかということについては、当然それは指示をしなければならないと、このように思います。その中において、果たして事故が起こっているか、あるいはしっかりと対応できているかどうかという中においてその地域の人たちに適切な指示を出さなければならないと、このように思います。
  184. 松田公太

    松田公太君 私のちょっと質問の仕方が下手だったかもしれませんが、この原発事故が起こるという前提での質問だったわけですけれども、そういう話であれば、総理もまずは避難をさせるということだと思うんですね、周辺住民方々を。これをまず、命を守るということで、被曝をさせないということで避難命令を出されるんじゃないかなと、このように思っております。  世界最高水準の、最高基準の安全性、これは、国民は技術上の原発の中だけの話を期待しているんじゃなくて、外の防災も含めて期待しているわけです。福島第一原発の事故では、残念ながらSPEEDI、これの情報が伝わらずに、むしろ放射線量が高い方向に住民が避難してしまうと、こういうことも発生したわけです。このようなことは二度と起こしてはいけないというふうに思うんです。  シビアアクシデントというものは必ずまた起こるわけです。その際の避難対策、そして各地域での徹底した避難訓練、これもしっかり講じて、それも認可基準の一つにして前に進むと、これが私は甚大な犠牲を払った我々が得た教訓なんじゃないかなと、このように思っております。是非そこを安倍総理に引き続きお考えいただければと思います。  それでは、皆さんに資料の一枚目を御覧になっていただきたいと思います。(資料提示)  私は、地下水の、汚染水のこの問題が発覚してから二回福島原発に視察に行っております。そして、残念ながら、今の方策では汚染水を完全に止めることができないんじゃないかな、厳しいんじゃないかなというふうに危惧をしております。特に、現在の山側から流れてくる地下水、これを止めるために凍土壁を造るということを政府は考えてやっているわけですけれども、技術的に非常に問題が多くて、結局はコストと時間の無駄、こういったことになってしまうのではないかなというふうに思っております。こちら、資料は、その凍土壁に対する対案として、元GEの原子力技術者のコンサルタントが作られた概念図なんですね。そして、多くの外部の有識者がこの方式にも賛同していただいております。  総理、私は是非、このプランも凍土壁のプランと同様に実証試験、検討していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  185. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 福島第一原発におきましては、毎日増大しております地下水、つまり建屋に入ってきます地下水が四百トンあると。これをどういう形で制御をしてこれ以上汚染水を増やさないかと、極めて重要な課題でありまして、松田先生の方からお示しをいただきました方式を含めて、あらゆる方式を排除するものではありません。ただ、御案内のとおり、この福島第一原発の地下水、その大半は雨水由来のものと言われておりまして、結局は余り外側にブロックするものを造ったにしましても、雨水由来ですから、その敷地内に入ってきた水を制御するというのは難しいと、そのように考えております。  ですから、今我々としては、昨年の九月の三日にまとめました三つの基本方針に基づいて、九月の十日に関係閣僚でアクションプランを作りました。その下で、凍土方式によります遮水壁を造る、同時に地下水のドレーン、こういったものもきちんと進めていきたい。  さらには、昨年末に、潜在的なリスクにも備え、そして対策が十分に機能しない場合のバックアップも含めた予防的、また重層的な対策を取るということで対策を進めておりまして、この汚染水対策、検討については、どこで終わりということではなく、様々なアイデアについて取り入れていきたい、こんなふうに思っておるところであります。
  186. 松田公太

    松田公太君 茂木大臣とはこの件について何回も、違う委員会でもお話をさせていただいておりますけれども、やはり私は、今の汚染水の問題、例えば貯蔵タンクですね、ここから漏れがあるとか、今それを防ぐためにバイパスを造ろうとか、いろんな話がありますけれども、やはりこういう形で堀を造る、キャナルを造る、そうすれば、ある意味ここはドライ・アイランド化することもできるということで、二重にこれは効果があるプランじゃないかなというふうに思っております。  御存じだと思いますけれども、現在、福島第一原発では、縦横十メーターの凍土壁の実証試験、これが行われているわけですね。それを私もこの前拝見させていただきました。是非これは安倍総理、本当、お願いなんですけれども、この汚染水対策、これをまず完璧に処理するように、これができなかったら私は廃炉だって完璧にできないんじゃないかなというふうに思うんです。このレベルでまずスタートしてやらなければ、これを世界に証明しなくちゃいけないわけでもあるんですね。安倍総理がもうまさしくレット・ミー・アシュア・ユーと言ったわけですけれども、そのとおりでございまして、これをしっかりと食い止めるというのが重要だなと。  そのためには、いろんな労力、実験を私は惜しむべきではないというふうに思っておりまして、凍土壁の実証試験以外にこういったキャナル、これ全部を造ってくれという話じゃありません、これを是非加えていただきたいなと、このように思っているわけですが、いかがでしょうか。
  187. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほども茂木大臣から答弁をいたしましたように、この汚染水対策、そしてまた廃炉もそうでありますが、これはもう今まで前例のない大変なこれは難事を我々は克服をしなければならないわけでございまして、その観点から、世界の英知を集めてこうした問題に対処していきたいと、こう考えておりまして、廃炉、汚染水対策に関する技術情報の公募を国内外に広く行って、多くの技術情報の今御提供もいただいているわけでございます。  そういう中におきまして、今、松田委員が示していただいた案自体が、そうした中において公募をしていただいているかどうかというのも私も承知はしておりませんが、そうした中におきまして、私も専門家ではございませんが、しっかりとそうしたものも含めて、より効率のいいものを採用するということも含めて検討をしているということではないかと思います。
  188. 松田公太

    松田公太君 是非、しつこいですけれども、このキャナルの実証試験もお願いしたいなと思います。  総理がおっしゃったのは、その公募というのは、IRIDというものだと思いますけれども、たしか七百五十件ぐらい公募したものが……(発言する者あり)七百八十件ですか、失礼しました、集まったというふうに聞いております。  その中にはいいものもあるんじゃないかなと、私も一覧ざっと見させていただきましたが、是非このプロセスももう開示していただいて、どうしてこれが駄目なんだ、どうしてこれがいいんだということまでしっかりと発表していただきたいと。そうしないと、世界からもせっかくいろんな情報が集まってきても、何だ、せっかく情報出したのにということになりかねないと思いますので、これは大臣、よろしくお願いできればと思っております。  それでは、次の話に移らせていただきますが、これは清水社長にお聞きしたいと思います。二〇一一年四月、あっ、失礼しました、廣瀬社長ですね、失礼しました。  二〇一一年四月に、当時の清水社長が原子力損害賠償紛争審査会で、今回の事故は原賠法の第三条第一項ただし書、つまり異常に巨大な天災地変に当たるというような見解を一時示されました。  これ、廣瀬社長にはちょっと私お聞きしたことなかったものですから、直接お聞きしたいんです。あの地震津波は、第三条一項ただし書に該当していなかったと思われますか。
  189. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) お答え申し上げます。  法律的な解釈は私専門ではございませんのでお譲りするとして、私どもは今、それ以降、原子力損害賠償支援機構法という法律の下で原子力損害の賠償に、いろいろお叱りはございますし、なかなか一〇〇%うまくできているとは到底思っておりませんけれども、とにかく最後のお一人までしっかり貫徹して賠償をしっかり行うよう最大限の努力をしてまいっておるところでございます。
  190. 松田公太

    松田公太君 法律的な解釈はということで今お答えいただけなかったわけですけれども、そこが出発点になっているわけですから、そこの意識、見解というのは東電の社長として私はしっかり持っていただきたいと、このように思うわけですけれども。  今、損害賠償支援機構が動き出しているんだと、だからそれにのっとってやるしかないというお話をされたわけですけれども、ということは、その第三条一項の部分、これは該当しないというお答えじゃないかなというふうに思います。つまり、国に十六条に基づいて支援を要請しているということになるわけですね、東電が。  しかし、普通に考えたら、民間企業であるわけです。もう賠償ができません、もうお金が払えませんとなった瞬間に、普通であれば破綻しているんですね。債務超過なんですよ。そんな会社が私はやはり生き残っているというのは本当に不思議な状況じゃないかなというふうに思っております。  二枚目の資料お願いしたいんですが、これ、福島原発の事故処理に際し、賠償と除染汚染水、この三つの問題で発生した問題を一部取り上げております。なぜこのような問題が、廣瀬社長、多発すると思いますか。
  191. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) お答え申し上げます。  先生のお配りいただいた資料にもございますように、本当にたくさんのトラブルがこの三年間にも発生しておりまして、そのたびに大変な御心配をお掛けしておりますことをまずは本当におわびを申し上げたいと思います。  その中で、本当に一つ一つのトラブルなりミスなりについては原因がございます。したがいまして、その原因についてはしっかりと究明をし、対策を取っていかなければいけないと思っておりますが、ただ、その全般的な状況として、先生も二度にわたって福島第一原子力発電所を御視察いただいたので、もうよくお分かりと思いますが、確かに現場は大変厳しい状況にありまして、そうした中で、協力会社の方々を含めて作業員は本当によく頑張っていただいていると思っておりますので、とにかく、まずはその環境を良くして作業をしやすい形にして、それがまた、ひいてはミスを低減することにもつながると思いますので、そうした体制は是非つくっていきたいなというふうに思っております。  また、いわゆる安全文化であるとか、そうしたものの醸成、あるいはその徹底というんでしょうか、そうしたものも必要だなというふうには考えております。やはり、我々はいかに危険なもの、大変皆さんに御心配をお掛けするようなものを扱っているのかということを、作業員の方々は毎日毎日それをやっておりますのでなかなか難しいところはございますけれども、とにかく安全サイドに安全サイドに、先日のトラブルも、警報が鳴って現場に行って、そこまで行ってチェックしているわけですが、その蓋を開けてタンクの中の水位を見るところまで行かなかったというところからあふれ出してしまったということで、そうしたその文化の徹底といいますか、安全意識の徹底みたいなものもしっかりやっていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  192. 松田公太

    松田公太君 私も現場に行って、本当に現場で働かれている作業員の方々には頭が下がる思いです。  今いろいろ話されましたけれども、私は、個別のいろんな理由はありますよ、これ全部違いますから、ケースが。ただ、根底にあるのは何かというと、私は責任の所在の曖昧さじゃないかなというふうに思っているんですね。しかも、ある意味、今現在は国がちょっと東電を盾にしているような、そんな感じがするわけです。何か問題があると前面に出ますとは言いますけれども、実際に問題が発生すると、国は東電を盾にしながら責任回避をしてしまう、このような状況が私は繰り返されているのかなというふうにも見えます。  今、賠償、除染汚染水、そして廃炉、これ、誰が責任者で誰がお金を負担しているのと聞かれても、多分答えられる人ってほとんどいないと思うんですね。  例えば、賠償は東電が事業主体ですよね。しかし、お金は賠償支援機構が入れている、その後ろからは国が出しているという形になるわけです。除染に関しては国や自治体が実施主体ですけれども、最終的には東電に請求をしているということになっているわけです。しかし、これも昨年の十二月に政府が方針を変えて、東電のキャピタルゲイン、株を売却することによって賄うんだ、そのような話も出てきているわけです。汚染水対策も、さっき話がありましたが、一部国、一部東電、もう非常にごちゃごちゃしてしまって、あやふやな状況になっているんですね。  一つだけぶれていないことがありまして、この一つだけぶれていないのは、結局、東電や株主、金融機関が責任を取らないままで、国民だけが電気料金の値上げとか税金によってなぜか責任を取らされている、こういう状況なんです。  廣瀬社長、これ、今あやふやな状況だと思いませんか。一つ一つの話はいいですから、あやふやかどうかと思うことだけお答えいただければと思います。
  193. 廣瀬直己

    参考人廣瀬直己君) これはまさに先生の最初の御質問に戻りますけれども、原子力損害賠償法十六条というのが国が必要な措置をとるということでございますので、まさにこうした形がそれを今具現化しているものだというふうに考えています。
  194. 松田公太

    松田公太君 私は、私の目から見ると十六条というのは、東電が破綻処理する、これが前提の話なんじゃないかなというふうに思いますよ。  資料の三枚目をちょっと御覧いただきたいと思うんですけれども、今申し上げたそのあやふやさ、それを解消して責任の所在を明確にする、そのためにもこのスキーム、これは東電の再編と原発と送電網の一時国有化になるという話ですが、このスキームを御覧いただいているわけです。  簡潔に申し上げますと、このスキームの流れは、まず原発事故発生によって電力再生委員会がトリガーされて動き出し、特別公的管理の下で東京電力は小売部門と原発部門以外の発電部門を売却し、送配電部門と原発は国が一時管理し、そして一般担保付社債は満額弁済し、被害者への賠償、除染汚染水対策含めた廃炉、これは国が完全にテークオーバーする、こういうスキームなんです。それが実現されれば、大きく分けて実は五つの目的が私は達成されるようになると思っています。  今のスキームによって何が達成されるかというと、まずこの五つですが、第一に、先ほどから申し上げている、根本的な問題と私は感じているんですが、このあやふやさ、この解消なんですね。つまり、責任主体の明確化による賠償や除染など、それによって被害者の救済も促進されると私は思っております。  そして第二に、原発の国有化による汚染水、廃炉の国による徹底した処理。これは、国民だけではなくて、もう全世界、又は六年後のオリンピアンたちも私は願っていることだと思います。  第三に、東電、株主、銀行がしっかりと応分の責任を取ることにより、実質的に原発事故の処理負担をさせられている国民の理解がこれで得られるようになると思っております。  第四に、東電社員、特に中堅から若手社員、そういった方々の私は希望が生まれるんじゃないかなと思うんですね。今は借金返済のためだけに生かされているゾンビ会社だと思うんです。資本は別になるかもしれませんが、東電のノウハウを引き継いで成長を目指す新たな会社に私は生まれ変わることができるのかなと。そしてまた、機構内に入る廃炉部門の社員は国のためにやるんだと、そのような気概を持って対策に当たっていただけるようになる。  そして第五、ここは是非安倍総理にもお話ししたいところですが、ここが大きなポイントなんですけれども、これによって所有権分離、これの実現ができるようになるんですね。つまり、真の電力自由化への道筋がここで開くことになるというふうに思っております。  総理、ナベノミクス、アベノミクスじゃありません、ナベノミクスの方ですね、こちらは徹底した規制改革による新規参入、これが柱なんですね。先ほどのこのスキームによって所有権分離による本当に真の電力自由化、これを実現する道筋ができるんだと思うんです。これについて、総理、どのように思われるでしょうか。
  195. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、私の方から事実関係等々について御説明申し上げたいと思いますが、先ほど委員の方から我々が東電を盾にして責任を取らない、全くそんなことはありません。我々が政権に就いてから、汚染水対策、申し訳ありませんけれども前政権ではやっておりませんでした、これを相当国が前に出て進める。特に難しい分野については、廃炉、これはもう平成二十四年度予算で補正予算を付けているわけであります。技術的な課題等々につきまして国も前面に出る。福島復興を進めなきゃならない、そのためには汚染水・廃炉対策、極めて重要だと、こういう思いで総理を先頭に今取組をしているところであります。  そこの中で、図表にお示しをいただいて、今後の東電の在り方、いろいろスキームをお考えいただいたと、御尽力まず多としたいと、このように考えておるところでありますけれども、これでいいますと、恐らく廃炉会社を完全に別会社にして国有化していくということでありますから、ここで当然、特別立法というのが必要になってくるんだろうと。そこで電力再生委員会の方がある意味ある程度強制的に処理をすると、そういう特別立法をやるとしますと、財産権の侵害等々違憲訴訟、これが起こる可能性が極めて大きいと、このように考えております。  さらに、その前に、じゃ債権者と調整、これを行うとなりますと、会社法の実務上の課題、より具体的に申し上げますと善管注意義務の観点、こういうことからなかなか債権者はそれに応じないと思います。実際に、じゃ応じることになった場合は、松田委員も企業を経営されたからよくお分かりだと思いますけれども、不十分な回収しかできないと、そういう段階で応じましたら確実に株主代表訴訟と、こういうことに私はなるんだろうと考えております。  一方で、債権者の合意を得るために十分な負担を国が求めなかったという場合は、廃炉事業、これを国が全て丸抱えということになってしまいまして、結果的に費用負担が大きくなるんではないかなと。  こんなことから、一つの考え方としては分かりますが、東電につきましては、この四月から社内分社化、こういったものを通じて廃炉、汚染水対策に優先的に取り組む適切な意思決定がなされると、こういう体制を確保をしたところであります。  なお、電力システム改革につきましては、もちろん我々としてきちんと進めてまいりたいと、こんなふうに考えておりますが、我々としてはなかなか所有権分離、これも御案内のとおり財産権の問題で、いわゆる株主なりその企業としてやることについてはそれを妨げるものでありませんけれども、法的にそれを担保するというのは極めて難しいと考えております。  最後に一点だけ。原発の公的管理機構、おつくりになるということでありますけれども、みんなの党が常々御主張されている行政の肥大化という観点から若干問題があるんではないかなと思っております。
  196. 松田公太

    松田公太君 本当にたくさんのことを御指摘いただきまして、これ三日前に提出していますので、しっかり研究していただいたんだなということで、逆に感謝申し上げます。  今お話しいただいたこと全部反論したいんですけれども、ちょっと時間の関係があって、是非これ経済産業委員会でまたじっくりとお話しできればと思っておりますが、財産権の問題であったり債権者の問題であったり、また、先ほどお話があった廃炉の部分、賠償支援機構の部分。これ、賠償支援機構というのは私どものスキームでは残すという形ですから、これは今までと余り変わらないようなスキームになっているんですけれども、最後にお話をされていた国有化ですね。これは、ここに書いてありますとおり、一時国有化なんですね。今非常事態のような状況ですから、一旦国がそういう状況であれば国有化しようじゃないかと、そしてしっかりと処理をして、それでまた何年かたった先には民営化すると、売却するということを考えているわけでございます。  この話をし出すと、多分このスキームの話だけでもう一時間、二時間掛かってしまうと思いますので、また違う機会に是非できればと思っておりますが、これは是非安倍総理にお願いなんですけれども、多くの法律の専門家とか有識者が、これと全く一緒ではないですけれども、類似のスキームを提案されたりとかいろんなこういう提言があるわけですけれども、今は残念ながら見直しが進められていますね、賠償支援機構法の方も。私の目から見ると、ちょっと自分が想像したのと逆の方向に進んでいるのかなという気がするんですね。賠償だけじゃなくて、除染も入って、そして今度は汚染水とか廃炉まで一部入ってきてしまう、将来的にはそこからまた廃炉のお金も入るかもしれないということですね、今すぐには入りませんけれども、そういう危機感を私は持っている。つまり、焼け太りしちゃうんじゃないかなという危機感も私は持っているわけです。  ですから、是非そういった外部の有識者を集めて、一旦、これは最終的には国民に負担をお願いするわけですから、このスキームの、その賠償支援機構の今後の在り方などについて、ちょうどその法律ができて二年半たっていますね、ちょうどその見直しの時期に来ているわけですから、これをプロジェクトチーム的に検証する機会、これをつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  197. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 松田委員から御提案いただいた案については、我が党の中におきましてもこのスキームと似た提案というのもあったわけでございまして、しかし、そうした提案等々を我々よく検討した結果、課題としては、現在東電という会社があって、そしてこの東電が基本的に賠償も行っていかなければいけませんし、汚染水対策もしなければならない、そして廃炉も進めていかなければならないという中におきまして、現場でこの危険な仕事をしている人たちもいるわけでありますし、同時に、今この福島第一以外の発電所たくさんあるわけでありますから、そうしたものを維持をしながらそれを運転していく、そして当然、ガス、石油等々の燃料代も負担をしていく、その信用性も維持をしなければならないと。  こういう中におきまして、走りながらどのような対応ができるかということにおいても様々な課題があるわけでございますし、また法的な側面については今、茂木大臣が答弁したとおりでございますが、いずれにいたしましても、我々といたしましては、東電もしっかりと責任を持っていただきながら、現在のこの汚染水対策にもしっかりと責任を持って対応していただきながら、同時に国も、東電任せにすることなく、前面に立って国もやるべきことをやっていきたいと、このように考えているところでございます。
  198. 松田公太

    松田公太君 今大変丁寧に御説明いただきましたが、話を聞いていますと、やはり東電はもう絶対に法的整理にしないんだと、そういう意味だったわけですね。  安倍総理、繰り返しになりますけど、やはりこれ一方的に国民に負担を私は強いているような今話になってしまっていると思うんですね。ですから、だからこそオープンに検証される例えばプロジェクトチームみたいなものが必要なんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非これは引き続き御検討いただければと思います。  それでは、エネルギー基本計画についてお聞きしたいと思います。  五枚目の資料、御覧いただけますか。こちらは、政府、コスト等検証委員会ですね、先ほども話が出ておりましたが、が出している数字と自然エネルギー財団が出している数字の比較表です。もう時間がありませんので注目していただきたいポイントを一つだけ御説明しますと、事故リスク対策費の違いですね。ここ、政府は五・八兆円と試算したものを今でも使っておりますが、皆さん御存じのように、今の段階で既にもう九兆円が見込まれているんですね。  私は、個人的にはまだそれでも足りないなというふうに思っておりますが、汚染水対策とかデブリの回収、そういったものを入れると、エネルギー財団が出している数字の方がかなり説得力があるなという気がしております。つまり、原発のコストは一キロワットアワー当たり十四・三円から十七・四円だと思うんですね。  総理、八・九円以上という話で今ずっと進んでいますが、その以上の意味もちょっといまいち私分からないんですね。普通だったらキャップを付けなくちゃいけないんですが、ミニマムで今八・九円という話になっているわけですけれども、そもそもその低廉という言葉、このエネルギー基本計画の中に入っている低廉という言葉、重要なベースロード電源なんという話もありましたが、私はそこも問題だと思いますけれども、その低廉という言葉が非常に引っかかるんですが、これは正しくないと思うんですが、いかがでしょうか。
  199. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 時間の関係で細かい説明につきましては割愛をしたいと思っておりますけれど、この事故対応費用、これ福島第一原発の費用を基に、五・八兆円というところからこの値段出されておるわけでありますけれど、それが仮に倍になったにしましても九・四円ということですから、石炭火力よりも安いということになると思います。  それから、事故リスク対策につきましては、この自然エネルギー財団の試算について私が正しい間違っていると言う立場にはございませんけれど、現在、世界で最も厳しい新規制基準に基づいて規制委員会において安全性が確認された原発しか稼働できないということになるわけでありまして、規制委員会の安全目標、これは百万炉年に一回の事故以下ということでありまして、これに照らしても、事故の発生確率、この政府ケース、これが二〇一一年の試算になるわけですけれど、五十基で四十年に一回、すなわち二千炉年に一回と比べると相当低くなると、このように考えております。  一方で、この三年間考えますと、石油、LNG等々の化石燃料の国際価格、値上がりをしております。全体の状況を考えたときに、この原発コストについて低廉であると、基本的な考え方は変わっておりません。
  200. 山崎力

    委員長山崎力君) 松田公太君、時間ですのでおまとめ願います。
  201. 松田公太

    松田公太君 私は決して低廉ではないと思っております。  このコストの見直しも含めて、私はこれから政府に要求をしていきたいと思いますが、これからも引き続き、みんなの党は電力システム改革を推進していきたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  202. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で松田公太君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  203. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  204. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  三年目の三・一一を前に、改めて犠牲者の皆さんにお悔やみを申し上げ、被害者の皆さんへお見舞いを申し上げるとともに、生活なりわいの再建のために全力を尽くすことをお誓いをしたいと思います。  総理は八日の日に福島を訪問をされて、福島でも復興が前に進み始めたことを実感できたと述べられました。一方、これ四日に報道されました朝日新聞と福島放送による福島の県民の世論調査です。(資料提示)原発事故の被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思うかという問いに、風化しつつあるというのが七七%。なぜ福島県の皆さんがこのようにお感じになっていると思われるでしょうか。
  205. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 記憶というのは時とともにだんだん薄れていくものでございますが、しかし、この三年前の出来事は我々決して忘れてはならないと、このように強く思っているわけでございます。  その中にありまして、やはり地元の方々福島方々は風化していってしまうのではないかというおそれを強く持っておられると、その気持ちがこうした数字に出ているんだろうと、このように思うわけでございますが、しかし、我々安倍政権としては、福島復興なくして日本再生はなし、これが基本的な姿勢でございます。  その考え方の下に、私も度々被災地に足を運んでおりますし、この一年二か月で六回福島を訪問した次第でございまして、先般は、いわき市におきまして、これは市が主体となった災害公営住宅でございますが、これがいよいよ四月から入居が可能になったということでございますし、そしてまた、いよいよ一部は避難指示の指定が解除されていくということになったわけでございまして、待ちに待った御帰還が始まる、田村市においてはそうでございますが、そういう意味におきましては、着実に復興に向けて歩みは進んでいると、このように思います。
  206. 井上哲士

    井上哲士君 今なお十三万五千人の方が避難をされております。実は、これと同じ世論調査の中で、福島復興への道筋が付いていないと答えた県民は実に八二%なんですね。総理の認識とは随分違うんです。  先日、原子力問題の特別委員会福島第一原発の視察にも行きました。現場の懸命な努力にもかかわらず事故収束とは程遠い状況ですし、汚染水問題はむしろ収束どころか拡大をしているという状況があります。そういう中で政府エネルギー基本計画案を出したわけでありますが、その中では、原発依存を可能な限り低減するとしつつ、重要なベースロード電源としております。これ、ベースロードとはどういうことなのか、どの水準からどこまで低減をさせるというんでしょうか。
  207. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) ベースロード電源、これは基準の問題ではございません。今回のエネルギー基本計画政府原案におきましては、各エネルギー源の特徴、これを踏まえてその性格を明確にし、それらを電源として使用するときの特徴を整理しております。  具体的には、エネルギー源ごとに、一つはベースロード電源、それからLNGなんかのミドル電源……(発言する者あり)ちょっと待ってください、もうすぐ終わりますから。石油などのコストが高いものの出力変動が容易なピーク電源、これを明確にしておりまして、一般的にベースロード電源とは、低廉で安定的に発電することができ、昼夜問わず継続的に稼働できる電源のことでありまして、我が国では原子力、石炭、一般水力、地熱、これがベースロード電源でありまして、これは量の問題、それから優先順位の問題、これを示す言葉ではございません。
  208. 井上哲士

    井上哲士君 結局、ベースで一定の割合を使い続けるという方向が示されているわけですね。  この計画案の下で原発の建て替えとか新増設はないのか。午前中の質疑では、現時点では考えていないという答弁がありましたが、経団連の会長などは新増設の必要性について発言をされております。将来にわたってないと、こういうことが言えますか。
  209. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 原発につきましては、まずは既存の原発の安全性の確認、これが最優先の課題だと思っておりまして、リプレース、さらには新増設につきましてはその次のステップということであります。現段階におきまして、新たな新増設、これを想定しているものではございません。
  210. 井上哲士

    井上哲士君 現段階では想定していないが、新たなステップという言葉もありました。ですから、低減するといっても何の保証もないし、一方、建て替えやそして新増設も否定をされないと。道を開く中身でありますから、事実上の私は原発永久使用宣言になっていると思うんですね。  福島県の浪江町の馬場有町長は、浪江町民、双葉郡住民が全員避難で苦渋を味わっており、事故原因究明もされていない中、原発の再稼働は信じられません、言うべきでないし、やるべきでないと言われております。私は、もうまるで原発事故などなかったかのように再稼働を進めようとするその政府の姿勢が、福島県民の皆さんがこの原発事故が国民の中で風化しつつあると思わせる一番の要因になっていると思います。  そこで、この再稼働と規制基準の問題についてお聞きします。  まず規制委員長、お聞きしますが、原子力規制委員会は原発について規制基準への適合審査を行っておりますが、この基準に適合と認めた原発は安全だと、こういう判断をされるんですか。
  211. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私ども、その安全だという意味はいろいろあると思いますので、それについてはコメントを差し控えますけれども、私どもが行っていますのは、福島原発事故の反省を踏まえた新規制基準を作りまして、それの基準に適合しているかどうかという判断をしています。これは純粋に科学的に判断しています。その結果として稼働するかどうかということについては私どもの所掌ではないし、これはまさに、以前から申し上げていますように、地元、それから事業者、それから政府とか、そういったステークホルダーの判断によるものというふうに考えております。
  212. 井上哲士

    井上哲士君 いろいろなところで規制委員長は安全の判断をするわけではないんだということを言われております。  総理にお聞きしますが、三月三日のこの当委員会の場でも、世界で最も厳しい規制の中において原子力規制委員会が判断をし、安全だと判断されたものについて再稼働していくと答弁をするなど、総理は規制委員会が安全を判断するかのような答弁を何度も繰り返されておりますが、今規制委員長の答弁もありましたように、安全を判断するわけではないんですね。だったら誰がするんですか。政府が安全だと判断をして再稼働をするということですか。総理
  213. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々は、三年前の教訓から、原発については安全を確保することが大前提でありまして、原子力規制委員会においては各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえまして、海外の規制基準も確認しながら世界で最も厳しいレベルの新規制基準の策定を行い、現在、厳正な審査を進めているところでありまして、原発の再稼働についても、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていくということになっているわけでございます。  そこで、避難との関係でございますが、併せて……(発言する者あり)いいですか。じゃ、ここで終わらせていただきます。
  214. 井上哲士

    井上哲士君 全然答えていないんですよ。総理が繰り返し安全だと判断されたものについて再稼働していくと答弁されているから私聞いているんですね。安全だと判断をされるんですか。
  215. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 言わばその安全を、安全ということにつきましては、まさに基準、これはある一定の基準を超えれば我々は安全だという判断がなされたというふうに考えているわけでございますが、その意味におきまして、最も厳しいレベルでの規制基準に基づいて徹底的な審査を行って、これに適合すると認められた原発については再稼働を進めていくということにしております。
  216. 井上哲士

    井上哲士君 いや、規制委員会は安全という判断はしないということを繰り返し言われているんですよ。だから、おかしいと私は言っているんですね。だから、安全と誰も責任を持って言わないのに再稼働だけは進んでいくと、こういう仕組みになっているわけですね。  そして、総理、今も世界で最も厳しい規制基準でこれをクリアすれば大丈夫かのようなことも繰り返して言われておりますが、日本はあれだけの事故を起こして、しかも世界一の地震国なんですね、地震大国ですよ。そこで厳しい基準になるのは当たり前でありますし、福島原発事故の教訓というのは、どんなにやっても事故ゼロの原発はあり得ないということだと思うんです。しかも、今の基準が、じゃ、あの教訓を酌み尽くしたものになっているのかということも問われます。  規制委員会は昨年の五月に福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会を立ち上げております。田中委員長にまず確認いたしますが、第一回目の会合で規制委員会の更田委員がこう言われています。福島第一原発事故の反省を踏まえて、それを規制に反映させていくということがこの規制委員会、規制庁の非常に大きな責任となっておりますと、こう言われていますが、同じ認識でよろしいでしょうか。
  217. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) そのとおりでございます。  それで、これまで様々な調査の結果等を踏まえ、また引き続き調査をしながら、その規制を反映させながら新たな規制基準を策定し、それでそれの適合性の審査を進めているということでございます。
  218. 井上哲士

    井上哲士君 この検討会は、国会の事故調や政府の事故調で引き続き検証が必要とされている項目について検討するとしております。  これは第一回の会合で出されました主な論点でありますけれども、地震動による安全上重要な設備等への影響であるとか、格納容器の破損箇所の特定、放射性物質の漏えい経路及び放出量の評価などなど、事故分析にとって極めて重要なことがここで示されております。  この間、五回会合が行われたと聞いておりますけれども、この問題についての検討状況はどうなっているんでしょうか。
  219. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 御指摘のように、会合は五回、それから現地調査も四回出向いております。  それで、御承知のように、原子炉の内部に入るというのは今のところ放射線量率が高いものですからある程度限界がありますが、非常に、政府事故調等、国会事故調等でも論点のありましたICという非常用の復水器の水漏れの問題、それから四号機の爆発について、それは水素爆発なのか核的な爆発なのかという議論がありましたけれども、それについてはきちっと整理しまして、ICについては地震による水漏れというか破損ではないということを確認しましたし、四号機の方については、三号機の方から水素が移動して、そこで爆発を起こしたというところまで確認しております。  今後、中の状況を見ながら随時そういった問題点を解明していきたいと、そのように考えています。
  220. 井上哲士

    井上哲士君 今言われた一部論点についての報告が出るんでしょうが、それは必要な検証がされるべきだと思います。  一方、今言われたのは大体この一番上の丸に関わる問題でありまして、格納容器の破損箇所の特定など、この問題についてはおよそまだ検討ができていないという状況だと思います。  第一回目の会合でやはり更田委員は、事故分析は十年、二十年続けるものになるだろうと述べられております。分析は緒に就いたばかりだと思いますが、この格納容器の破損箇所の特定など、これでいいますと二つ目の丸以降の問題というのはどういう検討が今後されていくんでしょうか。
  221. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 格納容器について全面的な調査は今のところまだできていません。一部ロボット等を使って水の漏えい箇所とかの特定ができるようになってきております。  新しい規制基準では、格納容器というのは最終的に放射能を閉じ込める最終的なとりでというふうに私どもは認識しておりまして、この格納容器の、どんなシビアアクシデントが起こっても格納容器の健全性を保つということを最大の目標にしまして、フィルターベントとか水素爆発防止とか、そういった技術的な要件を課しております。
  222. 井上哲士

    井上哲士君 先ほどもありましたように、非常に放射線量が高いわけですから、格納容器については直接見ることができないということのわけですね。  今、最後のとりでだと言われましたけれども、これがどういうふうに破損をしているかということは、この設計そのものにも関わるような問題になってくるわけでありますけれども、これはまさにこれからの課題であって、十年、二十年続けるものになるだろうという更田さんが言うような状況なわけですよ。  つまり、今後も高い放射線量は相当長期に続きますから、現場検証のめどもないわけですね。事実関係の確認ができていないということですよ。にもかかわらず、既に作られているのが今の規制基準なわけですね。  総理、お聞きしますけれども、こういう事実関係の検証も途中の下で作られた基準がどうして世界一の安全基準ということが言えるんですか。総理
  223. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 事実確認全くできていないわけではなくて、田中委員長の方からも答弁ありましたように、かなりな部分については分かっているところがあります。ただ、格納容器の中等々放射能レベルが高く、中に入れない部分について事実関係は今後という部分も出てまいります。  ただ、全体の状況を考えて、これまでのシビアアクシデントに対する備え等々が不十分であった、また、海外の事例等々も参考にしながら世界で最も厳しい新規制基準、委員会において設定をされたと。この安全性につきましては、まさに独立しました原子力規制委員会において作ったものでありますので、政府としてはコメントを差し控えたいと思います。
  224. 井上哲士

    井上哲士君 更田委員は、やはり第一回目の会合でこういうふうに言っています。十分に反省するためには、何が起きたのか、そして、どのような対処がなされて、その結果、あのような事態に至ったのかということをきちんと可能な限り踏まえる必要がある、事実関係を明らかにした上で、その中から規制に反映すべきことがあれば規制に反映させていきたいと、こういうふうに言っているんですね。  ですから、まだこれ半ばなんですよ。規制に反映させるべきものは今後もあるということですよね。その下で作られた私は基準の下で再稼働などはあり得ないと、それは新たな安全神話だと思いますよ。  もう一つこの基準の問題についてお聞きしますが、避難計画の問題です。  アメリカでは、スリーマイル島原発の事故の反省から、避難計画策定を原発運転の条件にしておりますが、日本の新しい規制基準ではそうなっておりません。なぜ、しなかったんでしょうか。
  225. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先ほども私の方からと石原環境大臣の方からお答え申し上げましたけれども、いわゆる防災計画原子力発電所の事故に限らず、防災計画は地方の状況を非常によく把握している地方公共団体が策定するということが原則になっております。その中で、原子力災害に対してもそういう対応をするということであります。ただし、原子力災害という特殊事情を踏まえて、その策定に係る指針については、私ども大きな指針については検討して出させていただいていますし、実際の策定に当たっては、内閣防災の方を中心にして私どもも協力しながら策定、できるだけ良い避難計画が作れるようにサポートしているところでありますし、予算的にも、それに必要な予算についても政府の方でかなり相当額手当てしていただいているというふうに承知しております。
  226. 井上哲士

    井上哲士君 現場を知った地方自治体が作るのは必要かもしれません。しかし、それをちゃんと稼働の基準にするべきだということを言っているんですね。  現場はどうなっているかといいますと、避難計画策定が求められる原発三十キロ圏内の百三十五の市町村のうち、作ったのはまだ、避難計画できたのは四三%にすぎません。浜岡原発や柏崎刈羽原発の地域ではゼロなんですね。なぜかと。  これは民間の団体である環境経済研究所が原発ごとの避難時間についてシミュレーションをしております。車両登録されているバスの三割、マイカーの五割が避難時に使われると想定をして、全住民が三十キロ圏外に出るのにどうなるか、渋滞の発生などを交通工学の手法で分析をしたものですが、それによりますと、全国で一番時間が掛かる浜岡原発の場合、地震と一緒になって、国道のみが使用できるという想定でいいますと百四十二時間半、約六日掛かるんです。高速や主要道路が使える場合でも六十三時間も掛かると。  石原大臣、こういう地域で自治体作れと言われて、実効ある避難計画ができるんでしょうか。
  227. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 基本的に民間の試算について防災担当の大臣がコメントするのは差し控えさせていただきますが、やはり今委員は前提を二つぐらいおっしゃられたわけですけれども、車をどれだけ使う、あるいは集合的なものをどれを使う、道路事情がどうであるのか、そこの道路が繁忙期、繁忙期じゃないときにどのように混むのか、そういう細かい試算をしっかりしていかない限りは、その数字というものはいろんなふうな数字が出てくるものだと認識しております。
  228. 井上哲士

    井上哲士君 大体、地方自治体がやったシミュレーションともそう大きな違いはないということをこの会の方がおっしゃっておりました。  既に作られている避難計画についても、基本は天気がいい昼間に原発の事故だけが起きたというものなんですね。実際には複合災害の危険が高いわけです。浜岡原発でいいますと、東海大地震の震源域の上にある世界一危険な原発であって、これはもう直ちに廃炉すべきだと思います。それを再稼働の申請をしてきたわけですね。  静岡県民が一番恐れているのは、地震によって原発事故が起きるということです。静岡地域防災計画地震対策の巻を見ますと、避難対策基本方針として、避難対象地区住民等が避難地まで避難するための方法については、徒歩によるものとすると書かれております。道も損壊していますし、緊急車両の道も空けなくちゃいけないと、こういうことだと思うんですね。一方、原子力災害に係る静岡県広域避難計画のたたき台を見ますと、避難に当たっては多くの住民が自家用車により避難することを想定をすると、こうなっているんですね。片や徒歩、片や自家用車と、全く逆の想定がされているんですね。  大臣地震と原発事故が同時に起きた場合には住民はどういうふうに避難をするんですか。
  229. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員の御指摘は、複合的な災害が起こったときにどうするのかということでございますが、避難計画にしても全て複合的なものを含んでおります。  そして、先ほどのお答えに若干関連することでございますけれども、委員指摘のとおり、やはりより短時間で避難できるためのどういう経路がいいのか、あるいは輸送手段についてもいろいろな今試算を出されましたけれども、そういう設定。あるいはもう、調べますと、道路というのはボトルネックがどこに交通量が絶対的に多くなることによって発生するかというものは大体分かっておりますので、そういうボトルネックみたいなところを交通を緩和するような手だてを設ける。  国としても、地域ごとに、これも規制委員会委員長からお話をさせていただきましたけれども、地域ごとにワーキングチームを設けまして、関係する省庁が協力してこの避難計画が、委員指摘されるように、長時間あるいは混乱のないように絶えずブラッシュアップをさせていただいているというのが現状でございます。
  230. 井上哲士

    井上哲士君 一時間、二時間の話じゃないんですね。地震で道が困難になった場合には六日間も掛かるだろうという、こういうシミュレーションが出ているわけですよ。そういう地域の実態にあるわけです。  しかも、例えばこのシミュレーションでは、柏崎刈羽ですね、国道のみ使用の場合では六十六・五時間、国道と高速等も使用できる場合が二十九・五時間と、こういうふうになっておりますが、これも天気が良いという条件だけなんです。柏崎刈羽の場合は十日町市など大変な豪雪地域を三十キロ圏内に含んでおりますね。先日のあの山梨など雪でもう広範囲に孤立をするという状況を見たときに、こういうときに原発事故が起きたらどうなるのかとぞっとしたわけですよね。動くことができないわけですよ。  こういう複合災害の場合には、幾らブラッシュアップするといっても、そもそも避難できないんじゃないですか、いかがですか。
  231. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 委員が御指摘されているケースは、こちら側の、というのは、国の側からの避難指示が出ていない方々もこれは大変だともう一斉にばっと避難されるようなケースにおいては、多分委員指摘されるような事態も発生することは私も否定はできないんだと思っております。  我々の経験からどうすればいいかということになるわけでございますけれども、やはり避難を開始する方、避難指示が出ている地域住民方々の避難の完了をまず最優先に行う、そういうことをやはり啓蒙していくということ、すなわち住民の方によく理解いただくことが非常に重要であるということを委員の今の御指摘は示唆しているんではないか。  なぜこういう考えにのっとって我々がこういう避難計画等々を作っているかといいますと、IAEAの考え方で、東電のあの事故が起こって、みんな一斉にばっとSPEEDIも使わないで放射線が風に乗っていく方向に避難をしたというような教訓を踏まえて、やはりどこにどういう順番で避難をするのかということが重要であると。一斉にばっと逃げるようなことはいけない、やはり状況に応じて段階的に避難を実施し、混乱を回避する、こういう基本にのっとって、私ども、現在は自治体から御相談があるときにそういうことをお話しさせていただいて、そういうことが起こらないような避難策というものを作るように努力をさせていただいているところでございます。
  232. 井上哲士

    井上哲士君 五キロ圏内にだけまず避難指示を出したら、その人たちが逃げていくのに、五キロより以遠の人が自分たちはじっと待っているかと、そんなことにならないんですね。ならなかったんですよ、福島でも。だから、私はそういうのは本当に机上の空論だと思うんですね。  二日に発表されました共同通信社のアンケートでは、本当に地方自治体は苦労されています。事故時の住民避難を尋ねたところ、三十キロ圏にある道府県も含めた百五十六の自治体のうち、半数近い七十二の自治体が困難だとしております。ですから、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を容認すると答えたのは、条件付でもたったの二割の三十七自治体にとどまっているんですね。元々、安全神話を基に過酷事故は起きないという前提で立地をされているんですから、後からやっぱり過酷事故を想定して計画作れといっても不可能なんですよ。客観的に無理なんですよ。だから、地方自治体はこういう悲鳴を上げているわけですね。  総理、お聞きしますけれども、アメリカのニューヨーク州のショーラム原発は、避難計画を州知事が承認しなかったために運転開始ができずに八九年に廃炉になっております。総理が世界一厳しい基準だと言うのであるならば、アメリカのように避難計画ができない場合、作ってもそれに実効性がないと判断される場合は再稼働させないと、そういうことでよろしいですか。
  233. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず最初に、これ判断するのは、これは避難計画ではなくて、原子力規制委員会が世界で最も厳しい基準にのっとって審査を進め、安全であると、こう判断した段階において我々は再稼働を進めていくことになるわけでございますが、同時に、再稼働に当たっては地元の理解を得ることが重要であります。地域防災避難計画地域の状況に精通した自治体が策定するものでありまして、住民の安全、安心を高めるためにも継続的に改善充実を図っていくべきものであろうと、このように思います。できないという後ろ向きの発想ではなくて、どうすれば地元の理解を得られるより良いものができるかということが重要ではないかと、このように思います。  国といたしましても、これを全面的に支援をしているところでありまして、その進捗状況などについて原子力防災会議において確認をする方針であります。また、万が一の事故の場合には、自衛隊の車両、船舶の活用を始めまして住民の避難への対応に総力を挙げて取り組んでいく考えであります。政府としては、自治体を力強く支えて、地域防災避難計画の充実に向けて取り組んでいく考えであります。
  234. 井上哲士

    井上哲士君 みんな自治体は後ろ向きで言っているんじゃないんです。どう考えてもこれは避難できないと、だから、今避難計画ができてきていないわけですね。だから、そういうときはもう動かさないということをはっきり言うべきだと言ったんですね。  アメリカでやっている規制もやらないんなら、世界一厳しい基準などとはもう二度と言わないでほしいんですね、私は。そんな下で動かすというのは、まさに福島の教訓はどこに行ったのかという話になるんです。  しかも、これ、動かしますと核のごみが出てまいります。今各原発で使用済みの核燃料プールなどで保管されているのは、全国的に約二万トンに対して一万四千トンが貯蔵されておりまして、再稼働しますと玄海では三年、柏崎刈羽は三・一年で満杯になります。  この対策のために核燃料サイクルということが言われてきたわけでありますが、「もんじゅ」はトラブル続き、事実上破綻しているにもかかわらず、今度の計画ではこれを進めるということが再び盛り込まれました。しかし、ここの核燃サイクルで再処理をすれば、発生する高レベル放射性廃棄物の処分については何の展望もないわけですね。  政府は二〇〇〇年に我が国でも地層処分ができると評価をして法律も作りましたけれども、ちっとも進んでおりません。一体なぜ進んでいないんですか。
  235. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、この高レベル放射性廃棄物の問題でありますけれど、量につきましては一万七千トン分、そしてガラス固化体にしますと大体二万五千本分ということでありまして、これやはり我々の世代の、現世代の責任として、再稼働するしないにかかわらず、きちんと解決をしなければいけない問題だと思っております。  諸外国もこの問題、三十年近く悩んでおりまして、御指摘のように我が国でも十年間これが進んできませんでした。幾つかの背景ありますが、一つ大きな背景としては、やはり手挙げ方式で地元から応募をしてもらうと、こういうことになりますと、東洋町も最終的にはうまくいかなかったという例もあるわけでありますけど、地元の説明責任等々が余りにも大きくなり過ぎる、こういうことで、現在、総合資源エネルギー調査会におきまして検討を進めておりますが、国が科学的な根拠、こういったものを示しながら候補地、幾つかの数になると思いますけど、こういったものをお示しをする。さらには、技術も進んでまいりますから、この技術の進展に合わせて、一旦埋めたらそのままにするということではなくて、将来の世代が選択肢を持ち得る、可逆性、こういうものを持った処分の方法と、こういったことも検討してまいりたいと考えております。
  236. 井上哲士

    井上哲士君 そもそも、地層処分が可能とした二〇〇〇年の評価自体が東日本大震災の前の話なんですね。私は、三・一一の前の古い知見によるもので、これ自体が通用しないと思っております。  なぜ進まないのか。これ、プロセスで必ず知事や市町村の意見を聴くことになっております。福島であれだけの取り返しの付かない被害を目の当たりにして、そしてその安全神話をばらまいてきた国に対する不信は大きいわけですよ。国がここは大丈夫だと言っても住民は信用しないと。国が前面に出たからといって私は進まないと思いますけれども、茂木大臣、いかがでしょうか。
  237. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) もちろんこれまでの反省は踏まえなきゃなりません。そして、世界の英知も結集をしなければいけない問題だと思っております。その上で、進まない、できない、思考停止に陥ってはいけないんだと思います。  先ほど申し上げたように、現にもうあるわけです。一万七千トンの高レベル放射性廃棄物というのは存在するわけです。日本原子力を全く今までやっていなくて、これから高レベル放射性廃棄物が出始めるということだったら委員議論というのもあるかと思いますけれど、この大量に残っている放射性廃棄物、この処分をしなければいけない、解決をしなければいけない問題だと、こんなふうに思っております。
  238. 井上哲士

    井上哲士君 解決もしないのに再稼働して再処分をして、どんどん増やすのが無責任だと言っているんですよ。将来にどんどんツケ回すだけじゃないですか。  世界の知見と言われましたけれども、原子力委員会の依頼を受けて日本学術会議震災後の二〇一二年に報告書を出しております。こう書いています。日本は火山活動が活発な地域であるとともに、活断層の存在など地層の安定には不安要素がある。さらに、万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要があるというんですね。私は、これを真摯に受け止めて、どんどん核のごみを増やして将来にツケを回す再稼働にしても核燃サイクルにしても中止をするべきだと、こう思います。  このことを強く求めまして、質問を終わります。
  239. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  240. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、室井邦彦君の質疑を行います。室井邦彦君。
  241. 室井邦彦

    室井邦彦君 日本維新の会の室井でございます。  まず、質問に入る前に、明日で三年目を迎えます。お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表し、また、いまだに約二十七万人の人たちが、避難生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げ、しっかりと我々も責務を果たし、一日でも早い、またふだんに近い生活ができるように、この場をお借りいたしまして頑張ってまいりますことをお誓いを申し上げる次第であります。  今日は集中審議ということで、災害復興そしてエネルギーということでありますが、その前に、どうしても私なりに思いがございます。その災害復興の前に、災害が起きても減災のできる国づくり、これを重きに置き、そしてそういう方面から私なりの持論でまずお話を進めさせていただきながら質問をさせていただきたい、このように思っております。    〔委員長退席、理事北川イッセイ君着席〕  特に、私はこのような場をいただくごとに、もう耳にたこができている方もいらっしゃるかも分かりませんが、阪神・淡路大震災被災者でありまして、自然の力の恐ろしさというものを十分にわきまえておるつもりであります。  そしてまた、自然災害ばかりじゃなく人災、あの福知山脱線事故、これは尼崎市内で起きました。私が、月曜日でありましたから東京に登庁する前に、えらい騒ぎがあるな、どうしたんだということから現地に行きますと、七両編成の車両が一両ないんだと、六両しかないという大騒ぎをしているときに、私が現場に駆け付けました。その日は登庁できなくなり、朝から深夜まで立ち会っておりました。  そして、この福島県、東日本大震災でありますが、ここも私の父親が生まれたところであります。  この三つは、いずれにしましても、私の身内、また私の目の前でそういうことが起きたということに対して、私も団塊の世代ではございますけれども、この教訓を次の次世代にしっかりと言い伝え、引き継いでいかなくてはいけない、このような責務を感じているところであります。  そういう意味から、私は、少し長くなりますけれども、私の私見を少しお話をさせていただきます。  我が国の近代史において、まず人災、戦争ということで、日清、日露、第一次、第二次世界大戦で尊い三百二十三万人の国民がこのことにより犠牲になりました。また、明治初期から自然災害で犠牲になった方々が二十三万人。この誤った政治判断、また見通しの甘さによってこれだけの尊い命が亡くなった、犠牲になったということであります。  首都機能移転をめぐる動きは、明治初年に東京が我が国の首都としての地位を得て、近代国家の首都として機能し始めた明治の中頃からこのような話が出てきたようであります。  ただ、東京を首都として直接定義した現行法はございません。首都圏を東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域と定めるという都市圏整備法があります。そういう状況であり、東京圏には国会、内閣、中央官庁といった日本の全てが集中をしており、日本のGDPの三一・九%が東京で生み出され、そして日本の総人口二七・八%が東京に集中をしております。さらに、メディア、出版、情報、全てが東京が中心であります。  一九六四年の東京オリンピックが開会されたときは、東京の人口は一千万人超ということであります。五十年後、現在、東京の人口は一千三百万人を超えております。またさらに、二〇二〇年にはオリンピックの開催までに更に東京の一極集中、そして人口の増加が考えられております。  この首都機能の分散について、これまでは議論をさんざん過去終始したことがございますが、実行に至っていないのが現状であります。一九八〇年を境に大都市、特に東京への人口集中や地価高騰が非常に社会問題となって、首都機能を分散させる、この均衡ある国土の形成をつくり上げなくちゃいけないというこのような熱い思いが出てきましたが、これもまた頓挫をいたしました。  一九八〇年後半から首都機能の移転問題が国民的なまた更に関心を集めました。一九九〇年、百十九回の臨時国会において、衆参両院で国会等の移転に関する決議が可決をいたしました。一九九二年、第百二十五回臨時国会において、国会等の移転に関する法律が制定をされ、国会に設置された国会等移転調査会、また国会等移転審査会における様々な議論を経て、移転に関するビジョンや移転先の絞り込みを取りまとめたということであります。しかしながら、実行に移されることはなかった。  国家財政の逼迫や公共事業の抑制といった、そのときのそれなりの社会経済状況があったんでしょう。いずれにしましても、そのときの新都市の試算として十二兆三千億円というふうに試算をされていることが、またこれがぜいたくだという更に問題となり、これも頓挫をいたしたようであります。  しかし、こういう経緯があり、三年前の東日本大震災を契機により過酷な状況を想定したときに、首都直下地震の被害想定の見直しが御承知のとおり行われました。我が国は約三千近い活断層が走り、まれに見る地震大国、火山大国であります。さらには、多くの台風、また自然現象に襲われております。三十年以内に七〇%の確率で発生すると言われている首都直下地震では、これももう先生方、皆さん方御承知のとおり、死者・不明者が二万三千人、建物倒壊・焼失が六十一万棟、避難者七百二十万人、そしてその経済損失は九十五・三兆円と、このような計算で報告されております。  もう一点だけ申し上げます。南海トラフ巨大地震では、津波による浸水被害は東日本大震災の一・八倍、死者・行方不明者は東日本大震災の約十七倍、三十二万人、建物被害は東日本大震災の十八倍、二百八十三万棟、そしてその経済損失は東日本大震災の十四倍、二百三十七兆円という驚くべき数字が内閣府より発表されております。  ちょっとパネルをそこでお願いできますか。(資料提示)このパネルを用意いたしました。  恐ろしい、自慢できない第一位であります。ドイツ・ミュンヘン再保険会社が二〇〇三年に公表した、世界大都市の自然災害リスクの指数を発表し、五十都市の中で危険度が一番高いのは東京・横浜、こういうことであります。この指数の計算の仕方は、ハザード、危険度、そして脆弱性、そして経済的な損失を掛け合わせたものがこの指数で七一〇。最高リスク指数は一〇〇〇であります。こういうことから先生方に御判断をしていただき、二番の一番高い危険度のサンフランシスコが一六七ということであります。こういう状況であります。  そこで、長々申し上げましたけれども、質問に入らせていただきます。  一極集中を是正させ、その首都機能をまず分散させる、そして東京に代わるもう一つの副都市あるいは国家危機管理都市を建設しておく必要がある、このように私は思っております。巨大地震から国民の命を救うための減災につながります。そういう意味を持って、この問題を先送りする時間的余裕がないと思います。将来にわたり持続可能な発展をもたらし、国家の壊滅的な被害に至らせないために、今実行に移す最後のチャンスではないかと思いますが、安倍総理の御所見をお聞かせをください。
  242. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今御指摘の首都直下地震など大規模な災害が発生した際に、政府がその業務を継続することができる体制を確保することは極めて重要であります。そのため、あらかじめ業務継続計画策定するとともに、災害時における職員の参集体制や電力の確保等の執務環境整備を進めるなど、喫緊の課題に取り組んでいるところであります。  加えて、今委員が御指摘になったように、過度な一極集中を避け、地域が機能を分担するという視点を持つことは、防災・減災の観点から重要であるというふうに思います。東京圏外を含むその他の代替拠点については、既存施設の活用等も念頭に置きながら検討を行っていきたいというふうに思います。
  243. 室井邦彦

    室井邦彦君 もう一つのパネルを入れ替えさせていただきまして御説明いたしますと、フジテレビ、日本世論調査会、そして読売新聞の世論調査、総理大臣官邸及び中央省庁の庁舎が壊滅的な被害を受け、首都中枢機能が著しく低下する事態を想定し、首都東京とは別に副首都を建設しておくべきという世論調査の結果であります。フジテレビでは、答えが必要と言った国民の皆さん方が九一%、そして日本世論調査会では、賛成、どちらかといえば賛成との答えが八五%、読売新聞では、そう思うと答えた方が八七%。このように、副首都を建設しておくべきだというふうに国民の声があるということを、総理、頭に入れておいていただきたいと思います。国民の願いは、安心して暮らすことのできる安心な国づくりを希望しているということであります。  次の質問に移らせていただきます。  次は、内閣法九条についてお尋ねをしたいと思います。  実は、最悪の事態を免れる手だてを一番考えておかなくちゃいけないのは政府だと、このように思っております。テロの危機にさらされているアメリカでは、大統領が命を落とすことがあってもすぐに代わりの誰かが指揮を執る、ここまではどの国もそうでありましょう。  アメリカでは、十八番目まで継承順位が定めております。日常の危機管理体制も徹底していて、例えば、テロの対象と狙われ、その十八名全員が一度に命を落とす、このようなことも考えているようであります。したがいまして、重要会議にはその指名された十八名が全員そろって会合を開くということはないようであります。このように聞いております。  我が国の職務代行について、内閣総理大臣に事故があるとき、又は欠けたときは、内閣法第九条の規定に基づき、指定された国務大臣が代行するということになっております。そこで、内閣総理大臣の職務代理を行う国務大臣日本ではなぜか五人までと指定されておるようでありますけれども、その意味といいますか、御説明をいただきたいと思います。    〔理事北川イッセイ君退席、委員長着席〕  そして、そこで、大規模自然災害や、今は感染症というものがあります。こういうことを考えたときに、過酷な状況に見舞われた場合においても万全の体制が取れるように、内閣法九条の運用に当たり、内閣総理大臣の職務代行を行う国務大臣の指定を増員、増やしてもよいのではないかと思っております。お答えをいただきたいと思います。
  244. 由木文彦

    政府参考人(由木文彦君) お答えいたします。  内閣法第九条の規定に基づきます内閣総理大臣の臨時代理につきましては、従前、これは平成十二年まででございますが、その時々の総理の御判断によりまして、内閣の成立時におきましては、一人が置かれたり、あるいはそもそもあらかじめの指定がなされなかったりということになっておりました。  平成十二年四月に、当時の小渕総理の入院を踏まえまして内閣としての危機管理体制について様々な検討が行われた結果、第一次森内閣におきまして、より一層の危機管理の徹底を図るという観点から、あらかじめ第五順位までの臨時代理の指定が行われることになったものでございます。  これ以降の内閣における臨時代理の指定につきましては、その時々の総理の御判断によりましてこの第一次森内閣の例が順次踏襲されておりまして、内閣の発足の都度、あらかじめ第五順位までの指定が行われてきているものと承知をいたしております。  また、万が一の事態が発生をいたしまして、総理に加え、あらかじめ指定をされました閣僚五人全員が欠けるというような事態になりましたときには、残された国務大臣の協議によりまして臨時代理を決めて対応するということができると解されておりますことから、あらかじめ一定の五人という人数の指定がなされていることと併せて、内閣といたしましては必要な対応が図られるものというふうに考えております。
  245. 室井邦彦

    室井邦彦君 よく分かりました。  こんなことはあってはならないことでありますけれども、想定外のこと、考えますと、残りの、残りのって失礼でありますけれども、方々でそれを決定するということでありますけれども、スムーズに、もめないように決定をして、もめることはないでしょうけれども、是非スムーズに決定をしていただくことをお願いを申し上げたいと思います。  次に進ませていただきます。次に、BCPに対する質問であります。  東日本大震災以降、民間企業等においては、東京本社に代わって業務を継続する体制づくりが特に力強くといいますか、進んでおるということを聞いております。  また、日本銀行は、本店機能と電算センターの被害状況を四パターンに分類して、バックアップ機能を大阪に確保し、総裁が指揮を執れない状況となったとき、大阪支店長が最低限の職務を代行する、このように聞いております。震災発生によって交通機関が寸断した場合に備え、常時責任者や担当技術者が歩いて本店まで駆け付けることのできるところに居住をさせる、緊急に備えている、このように報告を聞いております。また、一年に一回はBCPの訓練を実施している、このように報告を受けております。  さらに、日本放送協会では、東京の本部が機能停止した場合、大阪放送局から衛星放送を通じて各放送局へ必要なニュースを出すことになっております。同時に、定期的なBCPの訓練を実施している、このように聞いております。  そこで、この三・一一の東日本大震災の教訓を忘れることなく災害に対する心構えをしっかりと持つため、また、津波からの避難呼びかけを続け亡くなった消防団員や町職員の尊い命を無駄にしないためにも、あえてこのような質問をさせていただきますが、昨年の十二月に策定された政府の中枢機能、いわゆるBCPに対する教育、訓練及び評価並びに計画の見直し、PDCAでありますが、政府内でどのように実施しているのか、また、各省庁でどのように対応しているのか、具体的にお示しをください。大臣防災大臣、お願いします。
  246. 古屋圭司

    国務大臣(古屋圭司君) お答えさせていただきます。  昨年末に、政府業務継続計画、BCPですね、決定をさせていただきまして、まず訓練とかその面と、あとは、万が一首都圏が被災をした場合どこにその拠点を置くかというようなことも併せ規定をしております。  今度、今は五号館というのがありますけれども、今度新しく、すぐ二号館の隣ですね、総理官邸のお向かいに今新しい庁舎造って、八号館、これは一番の最新の、耐震性、免震性含めて、通信機器も最新鋭が入っていますので、ここをまず指定をする。あるいは防衛省、あるいは、今、立川に総合の基地がございますので、この中いずれかで対応するということがルールで決まっております。  また、昨年の年末にも防災対策実行会議がございまして、ここで専門委員から、ある一定の距離を置いたところにそういうものが必要なんではないかという御提案もいただいておりますが、国土強靱化の視点からしたら、平時も活用できて有事にはその機能を発揮すると、そういう視点もやはり当然必要でございますので、そういったことを考えていく必要があるだろう。  一方、その職員等々の訓練でございますけれども、これは総合防災訓練大綱がございまして、ここに安否確認訓練、非常参集訓練、災害対策本部の設置・運営訓練など計画をされておりまして、また、それだけにとどまらず、首都直下地震対策特別措置法に基づく計画閣議決定をして、そういう業務計画を作るだけではなくて、今御指摘のPDCAサイクルを通じた業務継続計画の不断の見直しをしていくという取組をさせていただいているところでございます。
  247. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  今防災大臣に御説明いただきました。ちょっと私が気になるところがございまして、それは、総理大臣官邸、中央合同庁舎第五号館、それが駄目なら防衛省、そして立川広域防災基地、このような順序で代替拠点を移転すると、このような大臣のお答えであります。確かに、これだけやれば結構慎重な事の進め方だなと、このようにも思っておりますが、ただ、一つ気になるのは、全て東京圏内にあるということが一番私の気になるところで、震災経験者から申し上げますと、道路の状況とか、人が泣き叫び、そしてガス管は噴き出ている、水道管は破裂をしている、火災が起きている、そして車が横転して、そして道路が寸断されていると、そういう状況が阪神・淡路大震災でありました。もう一寸先が闇で前に進むことができない。  こういうことがありましたから、経験者としては、全てが東京圏内にこういう代替拠点基地があるということが非常にちょっと私にとっては気掛かりなところでありまして、ここにもあらゆる事態を想定する必要があると、こういうことが書いておられますので、これ以外に、何か防災大臣として東京圏以外に考えておられるのか、これは、その辺がちょっと私は気になるところでありまして、お答えしていただけるなら、お考えを聞かせていただければ有り難いです。
  248. 古屋圭司

    国務大臣(古屋圭司君) 先ほどにも若干触れさせていただきましたけれども、やはり一部の専門家からは、ある一定の距離は離れたところにそういう拠点施設も持っておく必要があるんではないか、言わばバックアップ機能としての体制は必要なんではないかと、こういう提言もいただいてはおります。じゃ、現実にそれをどこに進めていくかということについては、まだ実際にそういう具体的な検討には入っていません。  今委員も、十五年ほど前に議論のあった首都機能の移転の話触れましたので、私もある意味でそのときの当事者の一人でございましたので、反省を込めて申し上げますと、あれはやはり、首都機能というのは、四百年に一遍首都は移転するわけですよね。だから国家的な事業なんですね。ですから、そういう視点で取り組まなきゃいけないのに、畿央高原あるいは中部地域、そして北東地域、要するに北関東ですね、この三地域関係者はもう猛烈に盛り上がっていましたけど、正直言ってほかの地域は極めて冷静、白けていましたよ。なぜか。それはやはり、その首都機能を移転するのは何なのか、国家のためにどういうことなのかというようなことがなかったからなんですね。  だから、今のおっしゃるように、百キロとか五百キロとか、いろんなありますよ。だけども、現実に、じゃ本当に何のためにそういったことをしておく必要があるのか、その必然性があるのかということをやっぱり国家的見地からしっかりこういったものは議論していかないと国民の理解はなかなか得られないから、だから現実的に今はその三か所ということで我々は対応させていただいているということでございます。
  249. 室井邦彦

    室井邦彦君 次に移ります。  少し懸け離れた質問かも分かりませんが、一極集中から打開するためのこれは一つの考え方でありますので、述べさせていただきたいと思います。  一九六四年の東京オリンピックに間に合わせるために開業にこぎ着けた東海道新幹線、東京圏、中部圏、そして大阪圏を短時間で結ぶネットワークとして整備され、この太平洋ベルト地帯が日本の経済の牽引車となって我が国を高度成長に導きました。目覚ましい経済発展を遂げることになりました。  そこで、リニアの開業によって、東京—大阪間の所要時間は格段に短縮され、アクセス面においてははるかに利便性が向上すると期待されております。東京—大阪間、六十七分で結ばれるようであります。リニア中央新幹線の開業は防災・減災の観点より過度な東京一極集中の是正にもつながる、私はそのように思っております。また、東京以外でインフラが整っているのは大阪であり、リスクを分散する点でも二大都市である東京と大阪が常に継ぎ目なく結び付いている必要がある、このように思います。  そこで、国土交通大臣に質問させていただきますが、リニア中央幹線の整備国家戦略として位置付け、国が率先して取り組むための支援体制を是非創設していただければどうかということ、そして、リニア中央新幹線の大阪までの開業を二〇二七年の名古屋と同時期に合わせることは、西日本一帯に大きな経済効果をもたらし、日本全体にとっても重要な意味がある、このように考えます。国土交通大臣の御所見をお聞かせをお願いします。
  250. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 御指摘のように、リニア中央新幹線は、最速で東京—名古屋間を四十分、東京—大阪間を一時間強で結ぶことによりまして、三大都市圏の間の人の流れを劇的に変える。そして、国民生活や経済活動にも大きなインパクトを及ぼす。そしてまた、今先生おっしゃいましたように、首都直下地震を始めとして、東西の分断をされるというような大規模地震ということに対しても極めて重要な事業であるという認識をしています。  この事業につきましては、JR東海が民間企業としての経営の自由や投資の自主性の確保が大原則であるという前提の下に全額自己負担で整備する意向を示したことを受けまして、平成二十三年でありますけれども、建設の指示を行ったところでございます。  JR東海は、このような前提に基づいて、同社の財務現場工事見通しを踏まえて、東京—名古屋間の開業目標を今御指摘のありましたように二〇二七年ということを定めて、大阪まではその後というように設定をしているところでございます。早急に開業すべきという要望非常に強く、また、これは単なる関西ということを言っているんではないんだと、国全体のことなんだという御指摘もいただいているところであり、私も十分承知しているところでありますが、こうした経過というものもございます。建設主体であるJR東海の考え方もよく踏まえていく必要があるというふうに思っております。  このリニア新幹線に関しましては、来年度税制改正において税制上の優遇措置を講ずるというようなことをやっているわけですが、それらも含めて、どういう支援ができるかということを更にこれから詰めていくという作業をさせていただきたいというふうに思っているところです。
  251. 室井邦彦

    室井邦彦君 大臣、是非その詰めた作業を進めていただき、もちろん関西圏、また九州、また四国、中国、こういう地域方々もそのことを希望、期待をしておりますので、是非また強力な御指導を賜りまして進めていただきたい、このことをお願いを更に申し上げておきたいと思います。  復興関連に、あと二分でございますが、質問をさせていただきます。  この質問は、福島県出身の増子議員も鋭く御質問をしておられたようでありますし、多少重複するかも分かりませんが、私の父親も福島県出身でございますので、しっかりとこの点はお尋ねしておかないけないという思いで、重複をお許しいただいて、最後の質問をさせていただきます。  この東日本大震災からもちろん明日で三年を迎えるわけでありますが、被災者に対するアンケート、よく先生方から何度も耳にしました。このアンケートで約八〇%以上が復興は進んでいない、このように感じているという数字が出ております。また、津波に襲われた三県の沿岸自治体と原発事故で避難区域が設けられた福島県の自治体の首長、これも重複しますが、三月三日のこれは朝日新聞のアンケート調査でありますが、復興が進んでいるかという質問に対し、四十二市町村の中、進んでいると答えている市町村長は三人だけということであります。  私は、政府がこれまで被災地の声に耳を傾け、復興対策に取り組んでこられたことは、私は高く評価をさせていただいております。担当大臣、この結果を率直にどのように感じておられるか、御所見をお聞かせください。
  252. 根本匠

    国務大臣根本匠君) 復興には確かに時間が掛かります。その意味では、進んでいると回答された首長が少ない、それはそうだと思います。ただ、強いて言えば、どちらかといえば進んでいると回答した首長と合わせると五割ということで私も読ませていただきました。  我々がやってきたこと、これはとにかく復興日本経済再生、危機管理と並んで最重要課題に位置付けました。そして、全ての大臣復興大臣のつもりでやる。大事なのは、先生も体験されておられますが、いかにして迅速化するか、速く進めるかだと思います。その意味で、我々は加速化措置を講じてまいりました。  例えば住宅再建・まちづくり、用地取得に時間が掛かる、あるいは施工に時間が掛かる。用地取得については抜本的な改革をやりました。例えば防災集団移転事業では、一昨年十二月で一二%を着工、今八七%まで伸びています。用地取得についても、昨年の九月が四八%、十二月、三か月で六九%まで伸びました。  福島についても、福島に対する施策が私は薄いと感じていましたから、すぐに福島復活プロジェクトを予算で組みました。そして、例えば長期避難者のための公営住宅整備、あるいは子供の運動不足を解消する屋内運動場、屋内運動場、そして昨年の八月には区域再編見直しも終了しました。そして、この四月から田村市で避難指示区域が初めて解除されることになります。
  253. 山崎力

    委員長山崎力君) 根本大臣、時間が超過しておりますので、そろそろおまとめ願います。
  254. 根本匠

    国務大臣根本匠君) はい。  さらに、福島復興加速化交付金も創設するなど、津波被災地では今年は復興が実感できる年、福島は大きく動く年だと思います。大事なのは、復興の、被災地と連携して、知恵と工夫、そして実行力が大事だと思いますから、しっかり取り組んでいきたいと思います。
  255. 室井邦彦

    室井邦彦君 終わります。  十五問質問を用意しておったんですけれども、半分でありまして、あとは特別災害委員会でまた質問をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  256. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で室井邦彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  257. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  二〇一一年三月十一日あるいはそれ以降亡くなられた皆さんに心から追悼の思いを表し、また、被害に遭われた全ての皆さんに心からお見舞いを申し上げます。  二〇一一年三月十一日に時計が止まってしまった、ふるさとには帰れない、全てを失ってしまった、あるいは避難を全国でされている皆さんもたくさんいらっしゃいます。どれだけあの災害が人々に与えたのか、政治は全力で救援をしなければならない、やらなければならないというふうに思っております。また、あの福島原発事故を経験した私たちは、原発ゼロを目指して、原発再稼働させない、そんな政治を実現しなければならないというふうに考えております。  まず、原発再稼働について、防災計画、避難計画についてお聞きをいたします。  田中委員長、新規制基準と防災は車の両輪と発言をされています。住民が安心できる防災計画、避難計画がなければ原発の安全はないということでよろしいですね。
  259. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) おっしゃるとおり、私自身は車の両輪だと認識しております。  まず、新しい規制基準に適合するということについては、私どもの所掌事務としてきちっとやっていきます。それから、防災指針は、私ども責任持って出させていただきました。それに基づく防災・避難計画策定するのは、これは国でいえば内閣防災の方が所掌ですし、具体的にそれを実行するのは地方自治体であるというふうなことで、そのことによって住民の方が安心できなければなかなかその稼働には結び付かないだろうという意味で車の両輪であるというふうに申し上げております。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 納得できなければ再稼働できないということであれば、避難計画の実効性や問題は指摘されるんですか。
  261. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私から実効性があるかどうかということを申し上げる立場ではありませんけれども、一つだけ申し上げておきたいのは、新しい規制基準は、福島の事故を踏まえ、また我が国の自然災害の特徴等を踏まえまして、ああいった事故を起こさないという、起こさないというか、絶対安全だということを申し上げたんじゃなくて、安全目標を非常に厳しく設定しまして、そういうふうな状況です。  現在、適合性審査をやっていますが、そこでのシビアアクシデントというものもその安全目標よりもはるかに小さいような状況ということも確認させていただいていますので、そういったことを踏まえて是非実効性のある避難計画を作っていただくよう、私どもとしても最大限の御協力をさせていただこうということでございます。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 福島原発事故の事故原因は究明をされておりません。にもかかわらず規制庁は、これは安全基準ではないと、規制の一つの基準にしかすぎないとおっしゃっていますが、その基準そのものも問題ですが、今日は防災計画についてとりわけお聞きします。  自治体がやるんだと、自治体が防災計画、避難計画を作るんだって自治体任せなんですね。でも、自治体ができるんでしょうか。あるいは、それが実効性あるという判断は誰がやるんですか。総理
  263. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 地域防災計画や避難計画は、例えばどの地域ごとに避難を行うかといった避難の実施単位や避難先、避難経路などを定めるものでありまして、地域の様々な事情を踏まえて作成されることが適当であると考えています。このため、地域防災計画や避難計画は、災害対策基本法において、住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的といたしまして県や市町村が作成等をすることとなっております。各自治体の防災会議において内容の検討を行っています。  政府としては、地域ごとに国のワーキングチームを設けまして、各省庁を挙げて自治体の取組への支援を行っておりまして、原子力防災会議において各地域の進捗状況を確認してまいります。避難計画ができていない地域に対しては、策定支援とそのフォローアップをしっかりと進めてまいります。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、自治体任せなんですよ。自治体任せ。でも、福島東電原発事故は、自治体任せに避難やったらもうめちゃくちゃになってしまった。全然手が届かない。バスは来ない、待っていても来ない。これがまさに起きたわけです。にもかかわらず、防災計画は自治体がやると、国はそれを支援するだけだというのは全く無責任ですよ。原発再稼働して、事故が起きて、防災計画、避難がきちっとできないということであれば、住民は安心できないですよ。  防災計画、避難計画は、地震津波を必ず念頭に置いたものになっているでしょうか。
  265. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 複合災害を念頭に置いているものでございます。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 平成二十四年の防災計画の修正案では、複合災害も念頭に置けと書いてあります。  しかし、実際、避難計画、これはほんの一部です、各自治体の避難計画を読みました。入っている、複合災害を念頭に置くと一行書いてあるところもあるけれども、入っていない自治体が圧倒的に多いですよ。地震津波で原発事故が起きて、道路が遮断され、そして近寄れない、すさまじい事態で福島の人たちは、福島以外もそうですが、苦労したわけです。  複合災害は、地震津波、これは避難計画の要件になっていないですよ。どこにそんなものがあるのか。ないですよ。地震津波が起きたら、日本は本当に逃げられないんですよ。入っていません。それは要件になっていないんですよ。環境大臣、どうですか。
  267. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 複合災害の発生も含めまして、実際に災害時にはそれ以外にも様々なことが起こり得ると思います。例えば先般の大雪等々が一つの例だと思います。  入っていないと委員は御指摘でございますけれども、自治体の避難計画は原発事故時に臨機応変に対応するための基本として実は活用できるように作られております。これは見ていただければ確かだと思います。  今、雪の例を一つ出させていただきましたけれども、地域固有の気象条件、あるいは委員が今御指摘をされております地震津波、自然災害下での対応については、これ各自治体ごとに訓練等々も行っておりますし、訓練等々でどんな問題があるかを検証し、必要に応じて改善策を講じると。そして、地域防災計画や避難計画を、私はこれ何度も申しているんですけれども、終わりというものはないわけで、先ほどはブラッシュアップという言葉を使いましたが、絶えず改善、充実していくことが重要であると、こんなふうに認識しております。
  268. 福島みずほ

    福島みずほ君 避難計画の中にどれだけ地震があり、どれだけ津波があり、どれだけになるのかというシミュレーションはされてないですよ。見てくださいよ。  茨城県では、というか、避難計画は今四割ぐらいしか作られていません。作れないんですよ。さっきもありましたが、共同通信社、自治体のアンケート百五十六自治体、事故時の住民避難を尋ねたところ、どちらかといえば難しいも含め、半数近くの自治体が避難準備が整わない実態が明らかになっています。  そうですよ。何々町に避難せよと言われて、どれだけ、何ができるんですか。できないですよ。浜岡で地震が起きてどうするんですか。茨城県では九十三万人、静岡、浜岡の三十キロ圏内は七十四万人です。これは茨城県のシミュレーションで、三十キロ圏内の人九十三万人が全部出るのに、一斉に出るのに三十二・五時間というシミュレーションです。三十二・五時間で九十三万人が出ることができるかというふうにも思いますが、静岡県七十四万人のシミュレーションはどうなっていますか。
  269. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) 静岡県のシミュレーションの結果についてはまだ出ておりません。今まさに作業中と聞いております。
  270. 福島みずほ

    福島みずほ君 まだ出ていないんですよね。いろんなところが出ていないんですよ。出せないんですよ。  それで、防災訓練という話がありました。お手元の資料にそれぞれ防災訓練をした例が載っています。でも、参加者、やっていないところもありますし、少ないんですね。宮城県三十人、静岡県百七十三人、青森県二百人、鹿児島県三百七十人。少ない。少ないから駄目ということではありませんが、少ないんですね。  愛媛県、伊方原発があるところ、十月二十二日、防災訓練をやりました。天候は良好だったけれども、しけで海が荒れていて医療船が出せなかったというふうに聞いております。それは事実でしょうか。実際、各地の防災訓練の報告書をきっちり把握していらっしゃいますか、どうですか。
  271. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) 愛媛県の例につきましては、御指摘のとおり、天候は良かったんですけれども、大変波が高いということで、訓練としては中止いたしております。  もし現実にそういう場合が生じた場合には、当然のことながら自衛隊の出動もございますし、もっと言えば、それでも難しい場合については、当然その地域については屋内退避をお願いができるような形の体制を整えていくといった形で対応いたします。
  272. 福島みずほ

    福島みずほ君 天候は良好だったけれども、しけで船が出なかったんですよ。防災訓練になるんですか。どこも厳しい環境のところに原発は建っています。どうやって逃げるのか。そういうことが、いや、中止になりましたって、そういう状況で。  その報告書、私は各自治体が行った防災の訓練の報告書は半年後ぐらいに出てくると聞きましたが、そうですか。
  273. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) 報告書自体は、当然のことながら各自治体におけるいろいろな反省、教訓もありますので、訓練をすれば直ちに出てくるというものではございません。ただし、我々の担当官の方が必ず現地に赴いてその訓練の状況についてはしっかりと把握しているところでございます。
  274. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、どういう訓練でしたかといったら分かりませんと、半年後に報告書が出る予定ですということで、防災計画も、避難計画も、防災訓練も自治体任せじゃないですか。聞いたって分からないんですよ。報告書が出るのが半年後で、そんな状況で原発再稼働なんてできないですよ。  ちょっと天候が良くても、しけったら、船が出れないんだったら佐田岬の人はどうするんですか。どこに逃げればいいんですか。どこだって原発は一本道のところ多いですよ。遮断されたらどこに逃げたらいいんですか。大飯だって一本道の端ですよ。どこも本当に厳しい環境のところで、事故が起きたら逃げられないですよ。住民が不安になるのは当たり前じゃないですか。しかも、問題は、国がそのことをきっちり把握していないということです。  避難についてお聞きします。要養護者、例えば寝たきりの人やハンディキャップがある人、そういう人たちはどうするんですか。
  275. 黒木慶英

    政府参考人(黒木慶英君) いろいろな状況はあろうかと思います。五キロメーター圏内の場合もありましょうし、あるいは三十キロぎりぎりの場合があるかもしれません。具体的な放射性物質の飛散の状況もあります。  様々な状況を踏まえまして、今進めている対策としては、第一に、そういった動かせない方々が、要するに、いわゆるシェルターとして使えるように、例えば病院であるとか施設についてフィルターを付ける、そういった形でしばらくの間そこでしのいでいただいて、しかるべく準備ができた段階で搬送を行うといったようなことが一つ。  二つ目は、当然のことながら、そういった病院の手配という問題が、これが非常に大きな問題が出ます。当然のことながら、ベッドを確保しなきゃいけない、そういった場合の搬送手段、あるいはベッドの確保、こういったものというのは非常に調整を要する事項ではありますが、なかなか事前の契約では書きにくい面があります。それについて、緊急にそういった調整ができるような仕組みを設定するような形で今取組をしているところでございます。
  276. 福島みずほ

    福島みずほ君 九州の原発三十キロ圏内には、病院や福祉施設四百五十か所、一万七千人います。島根原発は松江市の県庁所在地にありますから、すぐ近くに、本当に目と鼻の先に老人施設があります。どうやるんですか。さっきも言ったように、いや、しばらくそこにとどまってもらって屋内退避という話を事前にもレクで聞きました。冗談じゃないですよ。だって、いわゆる寝たきりの人たちを介護する人たちもいるわけじゃないですか。病院や老人施設の人たちは、あと二日、三日たったらというか、しばらくたったら迎えに来るから待っておれというんでしょうか。その点もできていないんです。でも、私は、避難計画をつくづくそれぞれ読みながら、これはやっぱり机上の空論だと思いました。地震津波のことに対応なんかできないですよ。  現に、例えば、福島第一原発から五キロ離れた福島県富岡町、事故で避難を始めたとき、登録されたバス約百台の大半がほかの町に出払い、確保できたのは数台だった。浪江町だってバスは本当に確保ができなかったわけです。これが実態です。避難計画は作るにこしたことはないが、机上の空論です。この狭い日本で多くの人口を大量に動かすことなどできないんです。  ですから、原発再稼働などできる状況ではないと。本当に人を被曝させないでやろうとしたら、それはできないですよ。総理、どうですか。
  277. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この再稼働のプロセスにつきましては、先ほど来、田中委員長、また石原大臣からも御説明をさせていただいておりますが、まずは原子力規制委員会におきまして、大変厳しい、世界で最も厳しい基準において審査を行い、そしてそこの基準をクリアしたところについて再稼働を検討していくわけでございますが、同時に、地元の住民皆様の同意が必要であります。そして、この同意を得る上において、地域防災・避難計画地域の状況に精通した自治体が策定するものでありまして、住民の安全、安心を高めるためにも継続的に改善充実を図っていくべきものであります。  できないという考え方ではなくて、後ろ向きの発想ではなくて、どうすれば地元の理解を得ることができるかと、より良いものにできるかということが重要ではないかというふうな考えを持っております。その中におきまして、国としてもこれを全面的に支援をしているところでありまして、その進捗状況などについて原子力防災会議において確認する方針であります。  また、万が一の事故の場合には、先ほど来、交通が遮断した場合という状況を予測しているわけでございますが、そういう場合においては、自衛隊の車両、船舶の活用を始め住民の避難への対応に総力を挙げて取り組んでいくところであります。政府を挙げて自治体を力強く支え、そして地域防災・避難計画の充実に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思います。  政府支援策としては、地域ごとに設置をいたしました国のワーキングチームが地域のニーズに応えまして、避難計画の骨格となる避難の実施単位や避難先、避難経路など基本的事項を指示をいたしまして、また県を超えて避難を行う場合の自治体間の広域調整、あるいはバス会社など民間輸送機関への協力要請、そして住民避難における輸送手段確保のための自衛隊など、多様な国の機関と自治体の具体的連携体制などの支援を行っております。  そしてまた、入院患者やお年寄りなど要援護者の方等々の避難でございますが、それは三年前のあの大震災の際の福島第一原発事故の際の住民避難における様々な出来事を十分に参考、反省しながら、無理な避難をせず屋内退避できるよう、病院や福祉施設の建物に換気用エアフィルターなどを設置する放射線防護対策平成二十五年度補正予算、二百億円支援をしているところでございます。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 だから、病院やいろんなところはコンクリートでフィルター付けるからいなさいよということなんですが、福島原発事故のように建屋がぶっ壊れるようなすさまじい核事故の場合に残っておれなんて言えないですよ。それは、その病気の人だけではなくて介護している人もいるわけじゃないですか。若い介護者の人だって被曝するということですよ。それはもう見直してくださいというふうに思います。  それから、地元の同意が必要だと総理はおっしゃいました。今回、原子力防災対策特別措置法を改正をして、原発から三十キロ圏内まで原子力防災計画が義務付けられています。三十キロ圏内、少なくとも三十キロ圏内、大間原発が動くときは、二十四キロ圏内の例えば函館、同意が必要ということでよろしいですね。
  279. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 大体年齢とともに滑舌悪くなるんですけれど、福島先生は学生時代よりどんどん滑舌が良くなる、驚異だと思っておりますけれど。  原発の再稼働、これは立地自治体等の御理解を得るところが極めて重要だと考えております。ただ、地域の事情、それぞれに異なっておりますので、一律に何キロという形で規定するのは適切ではないと、そのように考えております。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、自治体の同意が必要だったら、だって、防災計画と避難計画義務付けられて、多大なる精神的、財政的、経済的、社会的負担をその自治体は持つんですよ。にもかかわらず、その同意は取らないというのはおかしいですよ。大間原発見て、フェリーで函館に渡ったら、函館から大間原発見えますよ。海以外に遮るものはなく、二十三キロですよ。同意なくして動かしたら駄目ですよ。自治体の同意は、最低三十キロ圏内の自治体の同意を得るべきだ。避難計画作らされている自治体の本当に負担考えてください。  トルコの原発輸出について、これは地震大国トルコに、地元の市長は反対、デモも起きています。武器と原発を輸出して金もうけなんて倫理観がないですよ。日本はこんな倫理観のない国であってはならない。福島原発事故を本当に教訓として日本は脱原発に向かい、避難計画ができない、こんな状況の下で原発再稼働はあり得ない、そのことを強く申し上げ、私の質問を終わります。
  281. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  282. 山崎力

    委員長山崎力君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
  283. 平野達男

    平野達男君 改革・無所属の会の平野達男でございます。  今日は、あした、東日本大震災発災と、三年ということでございまして、復興に関しまして、まず何点か質問若しくは御要望をさせていただきたいというふうに思います。  まず、一口に三年ですけれども、私にとっては三年というのはあっという間でした。あっという間でしたけれども、被災地被災者方々あるいは避難をされている方々にとっては、もう本当に長い長い三年ではないかというふうに思います。  そんな中で、津波地域でありますけれども、ここは、今日総理もおっしゃいましたけれども、計画段階からまず実施の段階には入ってきたということだと思います。その実施の段階に入ってきたという中で様々な課題があるわけでありますけれども、これは一つ一つこれからも的確に把握しながら対応していくということは、これは当然のことかと思います。その実施の段階に入っていく中で本当に困難だと思われた高台移転ということにつきましても、大体多くの地区で基盤造成工事が今着工していると、あるいは基盤造成工事が終わっているという、そういう段階であります。  しかし、さはさりながら、これから住宅建設をやるにしても、まだ三年、四年掛かる場合もあります。阪神・淡路は仮設住宅の解消に五年掛かったと言われておりますけれども、津波地域仮設住宅の解消にはまだまだ時間が掛かるということもございまして、そういう中で、心のケアという問題も今日はいろいろ様々な観点から議論がございましたけれども、最重点課題としてやっぱり取り組んでいただきたいというふうに思います。  そういう中で、今日、特に私が一点だけ申し上げたいのは、人口の流出に、特に津波地域にはなかなか歯止めが掛からないということであります。これは、被災地域はもう御案内のとおり元々高齢化が非常に進んでいた、高齢化率が三五%というところもございました。そして、産業が、どちらかというとあの地域は海沿いに産業があります。そして、ちょっと離れますとすぐ山です。そして、そういう中で、あの津波が襲ってきたという中で働く場と住む場が一遍になくなってしまったということですね。  これも何回も申し上げましたけれども、阪神・淡路と違うのは、阪神・淡路は周りに働く場があったんです。だから、働く場の確保を、働きながら復興ができた。ところが、津波地域の本当のつらさというのは、仮設店舗とか仮設工場をいろんな形で準備して、それを使いながら被災地では一生懸命になって働く場を確保しておりますけれども、なかなかいわゆる物づくりの場というのは復活できない。もちろん、水産は頑張っています。水産はかなりの割合でそれは復活しました。三陸は海がありますから必ず復活します。必ず復活しますけれども、前のような規模にはならない、なりづらいということだと思います。それを何とか人口の減少に歯止めを掛けなくちゃなりませんけれども、これから様々な措置を講じて掛けなければならない。しかし、人口減少は残念ながらそのいろんな政策を上回る勢いでやっぱり進むのではないかということですし、高齢化も進みます。  私は、復興大臣のときに、全体の復興計画を作るときに様々な議論をしました。将来の人口見通しをどう立てるかということについてはかなり議論をしまして、被災の自治体の首長さんとは半ば口論になりかけたときもありました。被災直後は、もうとにかく今はいい計画を作って、元どおりにする、人口も戻さないかぬ、みんなそう思うんです。学者先生もみんなそれに拍車を掛けました。掛けたんだけれども、あの地域の中で起こった災害というのはやっぱりもう本当に千年に一遍の大災害なんです。そして、繰り返しますけれども、既に人口減少が始まっている中での被災だった。  だから、私が復興庁の職員に言ったのは、できることは何でもやれ、地域の立場に立って押せることはどんどんやれ、だけど、首長さんとか地域にとって非常につらい現実ということもとにかく言っていかなくちゃならない。  三年たちましたね。私の感触というよりも、私の予想を上回る勢いで若い人たちが被災地を離れている。だから、繰り返しますけれども、何とかしなくちゃならない。何とかしなくちゃならないんですが、それを踏まえた上での団地造成、そして高齢化を踏まえた地域社会の構築、こういったものを、これは復興庁の職員が現地を何回も何回も歩きながらのアドバイスをしていくということが必要だと思います。  特に、繰り返しますけれども、被災地方々にとっては、特に首長さんにとっては、自分の作った計画をある程度スケールダウンするなんというのは絶対嫌です。自分からは絶対に言い出せない。言い出せないんですけれども、造った後のメンテナンスをどうするか。それから一番つらいのは、造成した後に建物が建てなかったら、後で全体の地域の活性化にも物すごい影響が出てきます。だから、コンパクトなものにしなくちゃならない。だけど、一回作った計画を見直すというのは大変だし、また作業も大変になります。それを後押ししてやるというのが復興庁の職員だと思います。  うんと怒られるかもしれない。また査定庁だと言われるかもしれない。だけど、復興庁の職員に課されているのは、いろんなことを言われていることを押すと同時に、その現実もやっぱり踏まえた対応だということは、是非根本大臣、これはもう何回か話しさせていただきましたけれども、そのことをこの震災を機に徹底を、徹底というか、もう一回復興庁の職員に、やれることは最大限やる、だけど現実的な側面も大事だよねという、そういうことで是非ハッパを掛けてやっていただきたいと思いますし、何よりも現地をとにかく回って、そして現地を把握する。そうすると実情がどうなっているかというのがよく分かりますから、そういう観点復興を進めていただきたいというのがまず一点目であります。  私は、被災地の特に津波地域復興は今年と来年が一つの大きなピークになると思います。腹固めてやってもらいたいと思います。私も被災地の国会議員でありますけれども、取り組みたいと思いますが、ちょっとその点だけまず冒頭根本大臣に、簡単で結構ですからお願いします。
  284. 根本匠

    国務大臣根本匠君) じゃ、ちょっとポイントだけ申し上げたいと思います。  住宅再建・まちづくり、最優先でやってまいりました。そして一方で、産業なりわい再生。これも、例えば産業立地補助金を津波被災地まで拡充する。あるいは、グループ化補助金で随分立ち上がっていますけれども、復興交付金というのはかなり使い勝手のいい予算ですから、販路の拡大等々も含めて効果促進事業でしっかり取り組んでもらう。  それともう一つ、私も、おっしゃるとおりで、いかにして定着してもらうか、若手に。その意味では、これからやっぱり民の力をどんどん被災地で活用しなければいけない。その意味で、官民推進連携協議会、これもつくりました。そして、「新しい東北」。委員おっしゃるとおり、東北は人口減少あるいは過疎化、二〇年の先に来るであろう課題が今直面していますから、まさにこれからの日本のモデルのような取組もしなければいけないということで「新しい東北」にも取り組んでおります、被災地のマッチングシステム。  それともう一つ、おっしゃるとおり、最初の計画ありました。最近、私も復興庁の職員とも話をして、ある市では、区画整理と例えば防災集団移転事業、かなり膨大な規模の事業になっていましたから、将来の人口見通しも本当にこれでいいんだろうかと、そういうことも踏まえて実は計画を見直しました。これはやっぱり自治体と我々としっかりスクラムを組んで、これからのしっかりとした被災地復興、取り組んでいきたいと思います。
  285. 平野達男

    平野達男君 是非そういう形で、なかなかいろんな調整の中であつれきもあるかと思いますけれども、やっていただきたいというふうに思います。  そして、福島です。  特に福島については、原発サイト周辺の浪江、双葉、大熊、富岡、この辺りを中心とした復興なんですけれども、この地域津波地域と違いまして、被災者だけじゃなくて自治体もろとも全部出てしまいました。で、ばらばらです。しかも、国の指示で出ました。そして、御案内のとおり、もうこれは根本大臣も一番詳しいんですけれども、あの辺りは福島の東京電力第一発電所というものを一つのピークにして経済が成り立っていましたけれども、それも根底から崩れています。  そして、あの地域復興計画は市町村なんかは立てられません。それから土地利用計画も必要だと思います。  これは、何回も根本大臣に、何回かお尋ねしましたけれども、あの原発の周辺の地域に戻ってもいいと言えますかという話なんです。仮に放射線が下がったとしても戻ってもいいと言えるかという話なんですね。  生活環境が全く変わっています。そういう中での土地利用計画、そして全体の復興計画、そして帰還計画ももちろんあります。この計画はやっぱり国が作ると。総理が言っている国が前面に出るのの一つの中にその計画も国が作るということを是非これは明確に打ち出していきたいと思うんですけれども、総理、どうですか。
  286. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この福島復興において、双葉郡に加えまして、中通り等の他の地域と一体となった広域的な取組が必要でありまして、避難解除等区域復興再生計画においてその具体的取組を示し、着実な推進を図ってきたところであります。また、避難解除等区域の見直し等を踏まえまして、現在、避難解除等区域復興再生計画の改定に向けた検討を進めております。双葉郡全体の復興計画については、今後、福島県及び地元市町村とも丁寧に相談をさせていただきながら、改定計画の中で示し、公表していくこととしたいと思います。  こうした取組を着実に推進することによって双葉郡の復興再生を加速をし、被災者方々が一日も早く原子力災害以前の生活を取り戻すことができるよう引き続き取り組んでまいりたいと思います。  なお、土地利用計画については、町が主体的に策定するものではありますが、国としても検討の場に参画するなど積極的に協力をしていく考えであります。
  287. 平野達男

    平野達男君 私は、市町村が、土地利用計画なんか作成させるというのは酷だと思います。  一つだけ、私が体験して本当に答えられなかったことだけ紹介しておきますけれども、これは大熊町の方ですけれども、これは、一時帰宅している方が、私がたまたま原発のサイトの近くに行ったときにあった話です。  平野さん、私があそこに戻れないというのは分かっているのだろう、私があそこに戻るか戻らないかの決断を、戻れないという決断を私にやらせないでくれと言われたんです。自分がふるさとのやつを決断を求められて、戻れないという決断を自分でするというのはつらいんだと。  だから、私は、あるエリアのところは帰れないというところをやっぱり設定したらいいんです。設定をして、そこで、どうしても帰りたいという人についてどうするかという逆転の発想をするという場所がこれはあってもいいと思うんです。こういった考え方の土地利用計画というのは、市町村がどうのこうのの話じゃないですよ。これは国がやるしかないです。原発の事故をやって、一斉退去して、出ていってくださいと、自治体も、皆、被災者も出ていってください。産業構造もばらばら。どうするか。私は、復興庁の職員には、これはうちらが、そのために復興庁あるんだということを何回も言った。言ったんですけど、それは是非やっていただきたい、これは要望として申し上げておきたいというふうに思います。  それから、ちょっと時間がなくなりましたけれども、復興についてはまだまだ言いたいんですが、復興特別委員会等々でまた根本大臣といろいろ議論をさせていただきたいというふうに思います。  使用済核燃料についてお尋ねをいたします。  エネルギー基本計画でありますけれども、これは、茂木大臣、使用済核燃料は全部再処理するというふうに、私この基本計画、しか読めないんですけれども、そういうことになっているんでしょうか。
  288. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 平成十七年の十月に決定をいたしました原子力政策大綱のとおり、基本的な方針、変わっておりません。
  289. 平野達男

    平野達男君 お手元に二枚の資料を用意させていただきました。  もうざっと簡単に言わせていただきますけれども、この使用済核燃料の処理というのは、御案内のとおり、プルトニウムを分離するということであります。プルトニウムを分離してそれを発電に利用するということなんですが、ちょっと若干申し上げておきますと、御案内のとおり、ウランというのは燃えるウランと燃えないウランがあります。燃えるウランは235でありまして、全体の構成比は〇・七%ですね。九九・七%はウラン238ということで燃えません。というよりは、核分裂起こしません。この235を濃縮してウラン燃料にするんですが、この238に中性子を取り込みますと転換が起こりましてプルトニウムになります。このプルトニウムを使うことができれば、日本は燃料がないから、このウランを効率的に効率的に使ってエネルギーの自給ができるんじゃないかという発想が一九五〇年代に出てきたんです。  それで、原子力開発長期計画が一九五六年でありますけれども、ここはやはり日本は増殖型動力炉が我が国の国情に最も適合する、つまり、これはプルトニウムを使うということを意味しております。こういうのが基本の計画でした。  そして、一九六七年度も高速増殖炉及び新型転換炉を国のプロジェクトとして強力に推進するというふうに位置付けております。ところが、後で言いますけど、これがうまくいかなくなってきた。  そこで、一九八二年に、高速増殖炉の実用化まで、プルトニウムの蓄積が予想される中での軽水炉での利用ということが入ってきます。ここで、どうやら高速炉の問題についてやっと気が付き始めてきて、プルトニウムをどうするかということで、プルトニウムがあるから使うという発想がここに出てきているように思います。  そして、二〇〇〇年に、プルサーマルは計画を着実に実施ということで、二〇〇五年には当面プルサーマルは着実に推進するということで、プルサーマルという言葉が入ってきます。プルサーマルは、これは軽水炉でMOX燃料を使うという発電でありますね。  じゃ、実際にその原発関連施設の推移がどうなったかといいますと、これももう時間がありませんから言いますけれども、急ぎますけれども、高速炉等々につきましては一番下、「もんじゅ」がございますけれども、ナトリウムの扱い方がどうしてもこれはできないということでまだめど立っておりません。そして、使用済核燃料の再処理施設については東海再処理施設ができまして、今これは運転中止中でありますね。そして、あわせて、六ケ所村の再処理工場が間もなくこれ竣工ということでありますが、元々はこの高速炉と再処理工場というのはセットになって進むはずだったんです。ところが、高速炉が途中で駄目になっちゃっているんですね。代わって、再処理工場だけは動き出しました。動いて、プルトニウムの処理を、今分離をやっています。一部は英国とかフランスとかにもお願いして、今国内には四十四トンのプルトニウムがあります。  言いたいのは、プルトニウムを必要だから、使うからプルトニウムということではなくて、再処理工場だけが今動き始めて、プルトニウムをどうやら分離するということになる。今、プルトニウムがあるから何とか使わなくちゃならないという状況になってきているんじゃないか、それがこのプルサーマルということなんです。  プルサーマルはまだまだこれやるという、原発の実施のどこに入れるかということについてもまだまだめど立っておりません。もっと面倒なのは、MOX燃料をどうするかということについては、このエネルギー基本計画にはどこにも書いていませんね。こういったことも問題点としてあるんです。  私は、当初の高速炉と再処理というのがセットで来たものが、これがずれてきている。だけど再処理だけ走る。だけどそこからプルトニウムができる。だからそれはプルサーマルに使う。当初の発想のところから、発想というか思ったことからすると、順序が逆になっているような気がします。  それから、再処理自体は物すごい危険な再処理作業だと思います。私は、ここで一回立ち止まったらいいんじゃないかと思います。再稼働そのものに対しては、私は全部が全部反対ではありません。ただ、使用済核燃料をどうするかということについては、この経過を踏まえたら、今一旦立ち止まってどうするかということを考えた方がいいのではないかというふうに思っています。  茂木大臣、簡単な問題じゃありません。物すごいこれは、本当に使用済核燃料は今資産として位置付けられていますし、六ケ所村との約束もあります。簡単に結論出せません。出せないんだけど、だからといって分離をしていいという話ではない。一万七千トンの再処理をしたら百六十トンのプルトニウムができます。これをどうするかとなりましたら、今度はプルトニウムプレッシャーといって、何かをしなくちゃならない、何かを使わなくちゃならないという話になってくると思います。  そんなことで、根本大臣に若干のコメントだけをちょっとお願いをしたいと思います。
  290. 山崎力

    委員長山崎力君) どちら。
  291. 平野達男

    平野達男君 失礼しました、茂木大臣です。
  292. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) たくさんのことをおっしゃいまして、答弁していると時間完全に過ぎてしまうんですけれど、基本的には全量処理ということでありますけれど、そこの中で、中長期的な対応の柔軟性を持たせる、こういう表現を今回のエネルギー基本計画政府の原案の中に入れさせていただいたということでありまして、プルトニウムについては、これは余剰プルトニウムを持たない、こういう原則を堅持しながらプルトニウムの透明性の向上を図っていく、そのために事業者が果たす役割、そして原子力委員会が果たす役割、こういったこともきちんと決めさせていただいております。  使用済みのMOX燃料につきましては、御案内のとおり、これ既にフランスで実績もございますし、我が国においても実験的な取組実績もあるわけでありまして、処理技術、しっかりと確立をしていきたいと思っております。
  293. 平野達男

    平野達男君 時間になりましたからこれでやめますけど、いずれ、このエネルギー基本計画の中では使用済核燃料の中でのMOX燃料の位置付けは極めて曖昧ですよね。  それからあと一点だけ、ちょっと一つだけ申し上げておきます。今日は時間になりましたのであれなんですけど、避難計画の話が出ました。福島の原発事故が起こったときの避難の実証というのはまだまだ不十分です。実は、今内閣府がやっと取り組むところです。是非茂木大臣、あの原発のあった後にどうやって人が、福島の避難者の方が逃げたのか、何があったのか、これは内閣府の防災の担当の方も今調査やっていますけど、これを急ぐように指示をお願いを、是非経産大臣からもやってくれることをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  294. 山崎力

    委員長山崎力君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて災害復興エネルギーに関する集中審議は終了いたしました。  次回は明十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会