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政府特別補佐人(小松
一郎君) これは昨日も申し上げたところでございますが、まず憲法解釈につきまして、
内閣が憲法解釈を行うことというのは憲法上どう位置付けられるかという法制上の問題がございます。
それは、繰り返しになりますが、憲法第八十一条において、憲法の最終的な解釈は最高裁判所において示されるものでございます。これはもう明らかなところでございます。しかし、この権限は司法権の作用でございますことから、ドイツとかフランスにございますような憲法裁判所、これがあれば抽象的な形で憲法裁判所に解釈を問うということが可能なわけでございますが、現行
日本国憲法下においては、これは憲法の改正以外、せずにですね、この憲法裁判所を設けることはできないという見解でございまして、現行
日本国憲法下においては、最高裁判所の判断が示されるためには具体的な訴訟事案が提起されることが必要でございまして、また、仮に裁判所の判断が示された場合でも、その判断は当該個別の訴訟のみについて効力を有すると。これは最高裁判所の判例もございます。
その上で、憲法第九十九条は公務員の憲法尊重擁護義務を定めております。行政府が日々その行政府の権限の行使を行って行政を行っております。その行政を行う前提として、憲法を適切に解釈をして日々の行政が憲法に違背しないように進めなければならない。これは当然のことでございまして、したがいまして、このような観点から、憲法の解釈については、第一義的には、憲法六十五条において「行政権は、
内閣に属する。」と規定されているとおり、
内閣がその責任において行うべきであるというのは当然であると思うわけでございます。
他方、これも
総理も何遍も
答弁されておりますけれ
ども、
内閣が憲法解釈の仮に変更を行ったといたしましても、それが自衛隊の行動を伴うようなものであるとすれば、それをそのまま行政に反映させることができるのかというと、それはできないと。それは、そのためには必要な立法措置を国会に
お願いしなければならないであろうということを
総理は繰り返しおっしゃっているわけでございます。
そこで、まず、そもそも
総理がお答えになっているとおり、解釈を変更するとすると、その解釈を変更したのはどういうふうに変更したんだということが、まさに、単にふわふわとした口頭におけるものではなくて、きちっと議論のベースになるようなものにならなければ、それに基づいてこの国会の御議論をいただくということも生産的ではないということだろうと思います。
そこで、
内閣による解釈の変更と必要な立法措置との間にどういう手順で物事をつないでいくのかという方法、これは幾つか法制的にはあり得るであろうと、したがって、どの方法でなければならないということはないということを私は昨日も申し上げました。
以上を申し上げた上で、まさに今御
指摘がございますように、憲法九条の解釈に関わるような重要な問題について
内閣が決定を、立場を改めるということであれば、憲法上、国民の代表であり国の唯一の立法機関である国会に対し具体的な法案をお
示しをして、その背景になる憲法解釈、こうでございますよという前に、まずコンセプトをお
示しをして御議論をいただくということはむしろ当然のことではないかと。
総理はそういうことを申し上げていると私は理解しておりまして、このお考えは、なるべく丁寧なやり方で物事を進めていきたいというお考えに基づくものというふうに理解してございます。