○江崎孝君
民主党・新緑風会の江崎孝です。
私は、会派を代表し、ただいま
議題となりました
政府提出の
地方税法等改正案、
地方交付税法等改正案に対し、
反対の
立場で
討論を行います。
本年四月一日から
消費税率が八%に引き上げられることから、
税制改正は
国民生活や
経済への
影響を緩和するための
対策を講じることが不可欠でありました。
そこで、この度の
税制改正において
議論の焦点となった車体課税について、我が党は、
消費税率の
引上げと併せ、簡素化、
負担の軽減、グリーン化の観点から、自動車取得税を
廃止し、車体課税を抜本的に見直すことを主張していたところであります。
しかし、
消費税率の
引上げ幅が三%であるにもかかわらず、今回の改正案において、本年四月以降の取得分に係る自動車取得税の
税率の引下げ幅は、軽自動車を除く自家用自動車の場合で二%、営業用自動車及び軽自動車の場合は一%とされており、
負担の軽減につながっていないことをまず指摘しなければなりません。
現在の車体課税は、車がぜいたく品とされていた昭和の時代に設計されたものであり、時代にそぐわないことは明らかであります。直ちに
負担を軽減すべきものです。
しかも、改正案には、軽自動車税と原付及び二百五十㏄以下の軽二輪車の標準課税の
税率引上げが盛り込まれています。現行の軽自動車税こそが国際的に見て適正な
税負担の水準と言われているにもかかわらず、なぜ軽自動車税を
増税するのでしょうか。これでは、車体課税の抜本的見直しからは程遠く、減収分を軽自動車や原付、軽二輪車に押し付ける単なるパッチワーク的
税制改革と断ぜざるを得ません。
加えて、軽自動車は地方ほどシェア率が高く、九州、四国、中国のほとんどの県では、二台に一台が軽自動車と言っても過言ではありません。欠かせない重要な生活の足であり、農家や
中小企業者にとっても重要な輸送
手段となっている軽自動車に重課税するのは、まさに地方に
増税を押し付けるものであり、決して許容はできません。
安倍総理は、施政方針演説において、「今年は地方の活性化が
安倍内閣にとって最重要のテーマです。」と述べられました。しかし、軽自動車税の
税率を引き上げれば、購入を控える動きが出てくることや駆け込み購入による反動減も予想されます。販売台数が減少した場合、自動車関連産業は裾野が広いことから、その
影響は非常に広範に及ぶことになるでしょう。
特に、軽自動車の部品メーカーには
中小企業が多く、販売店の規模も小さいとされており、関係者の生活に対する悪
影響が懸念されます。地方
経済に大きな
マイナスの
影響を与えることは想像に難くありません。まさに、地方に
増税と疲弊の二重苦を押し付けることとなりましょう。
アベノミクスの成果を全国津々浦々に波及させると言いながら、地方の
経済を冷え込ませるような
施策を導入することは矛盾しており、
安倍内閣の
政治姿勢そのものに対して疑問の念を抱かざるを得ないのであります。
このように、
国民生活の実態を無視し、
消費税率引上げに伴う痛みに配慮する
姿勢が全く見られない
地方税法等改正案は言語道断であります。
政府は、昨年、地方公務員給与について、
国家公務員給与の七・八%減額に準ずる措置をとるよう地方公共団体に要請し、これを強要するために、地方
財政計画において、
平成二十五年七月からの地方公務員給与費を
削減をするという暴挙を強行しました。私
たちは、地方自治
制度や地方交付税
制度を否定するものであり、給与
削減は更に地方
経済を冷え込ませるものとして、断固
反対しました。
結果はどうでしょう。
内閣府の月例
経済報告にある一人当たりの全国
平均現金給与総額では、所定内給与月額の
マイナス幅が、地方公務員給与
削減が始まった昨年七月から大きく下振れを続けています。懸念したとおり、給与
削減が著しく
経済に
影響したことは明らかであり、それは地方ほど大きいであろうことは言をまちません。
政府は、
アベノミクスに逆行するようなこの愚策を反省することなく、昨年の地方公務員の給与
削減要請に応じた地方公共団体と応じなかった地方公共団体との間で交付税の算定に差を付ける、
地域の元気創造
事業費を今年の普通交付税の新たな算定項目として導入するとしています。問題とされた昨年の
地域の元気づくり
推進費に続く、行ってはならない地方に対する
政策誘導策と言えます。
昨年の
国会審議の中で、給与
削減要請に応じなかった地方公共団体に対し、ペナルティーなどの制裁措置はあってはならないと何回もただされ、これに対し、新藤総務大臣は、ペナルティーなどは考えてはいないと再三答弁されました。その答弁と今回の措置とは全く整合性が取れておらず、虚偽答弁と指摘せざるを得ないのであります。
昨年損なったばかりの地方公共団体との信頼関係は、
回復するどころか、これによってより一層の悪化を招くことになりましょう。
このように、国の
政策目的を果たすための
手段として地方交付税を用いることは、国と地方を対等、協力の関係とし、地方に自主的な判断、決定の権限を委ねようと長年にわたり努力されてきた地方分権
改革の
取組に逆行することになり、断じて認めるわけにはいきません。
また、今回の法案には、地方交付税の別枠加算を
削減する
内容が盛り込まれました。地方
財政計画の概要では、昨年度の九千九百億円から六千百億円に減額するとされており、
削減額は三千八百億円となります。しかし、これは事実ではありません。
平成二十三年度の地方
財政計画の概要では、
税制の抜本
改革まで続ける地方の財源不足の
状況等を踏まえた別枠加算一兆五百億円と併せて、三年間同額で継続される
地域活性化・
雇用対策費の上乗せ分に
対応した別枠加算が明記されており、その額は二千百五十億円です。しかし、この額は、昨年度の地方
財政計画では別枠加算ではなく、別項目の一般会計における加算措置の八千二百三十一億円の中に紛れ込まされています。
したがって、実際の
平成二十五年度の別枠加算額は九千九百億円ではなく、二千百五十億円足した額の一兆二千五十億円となり、今回の
削減額は五千四百五十億円、およそ半減させられたことになります。地方の反発を和らげるためのこそくなごまかしとしか言いようがありません。
景気回復の実感は、
地域経済にいまだ十分浸透していない
状況にあります。
地域経済の活性化を実現し、
日本経済全体の
再生につなげるためには、地方公共団体が住民サービスを安定的に提供し、
地域経済活性化に取り組めるよう、必要な歳出総額及び一般財源総額を安定的に確保することが絶対の条件です。
そうした中、例年一兆円を超える額が計上されてきた別枠加算は、毎年度発生している巨額の地方財源不足に対し、国の
財政状況も厳しく、法定率の
引上げで
対応できないために講じられてきた措置であります。
法定率を引き上げられない以上、別枠加算の継続を前提として一般財源総額の確保に努めるのが本来のあるべき
対応です。
安倍内閣が
国土強靱化の名の下に
公共事業をばらまく一方で、
国民生活に大きく
影響する地方
財政の安定を顧みずに別枠加算の大幅縮減を強行しようとしていることは、到底見過ごせるものではありません。
加えて、創設する地方
法人税は、実態として、都道府県間、市町村間において
税収を取られる側と取る側の利害関係を顕在化させるものであり、
地域の元気創造
事業費のような、やった分だけもらえる算定構造が定着すれば、自治体に国の努力
目標に乗じる意識が芽生え、自治体間の
競争をもたらすことでしょう。自治体間に無用な
競争や亀裂を生む
税制改正や
施策は、将来に禍根を残す大きな問題と言えます。
以上、今回の改正案では、地方公共団体の自主性、自立性が損なわれ、
国民生活に重大な
影響が及ぶことを懸念し、地方自治の根幹を守り、
国民生活を守る
立場から、両
法律案に
反対する
意見を申し述べました。
満場の御賛同をお願いし、私の
反対討論を終わらせていただきます。(
拍手)