○藤巻健史君 私自身は今回の法案の改正というのは賛成なんですけれども、
社会というのはシステムを変えればいいというものじゃなくて、そのシステムを構成する人がどう動くかということで決まると思うんですよね。この法案は私は絶対必要だと思うんですけれども、これが通ったから
日本の
教育が果たして本当に良くなるかというと、私はそうでもないと思う。
それはなぜかというと、やっぱり先ほどちょっと申し上げましたけど、
大学間に競争がないんで、
大学の向上
意識が
日本では少ない。
アメリカはランキングを上げるために一生懸命競争する。
それから、
学生ですけれども、私先ほど申しましたように一橋で十三年教えていましたけれども、一橋の
学生って、私の
学生のときよりも物すごく
勉強するようになったし、それから授業中に私語を交わす人も携帯電話を鳴らす人もなくて非常に
勉強するようになったし、
出席率も昔に比べればかなり上がっていると思うんですけれども、でも、やっぱり
アメリカの
学生に比べると
勉強量は雲泥の差なんですよね。
それはなぜそんなに差があるかというと、
アメリカのビジネススクールを卒業した人は、成績によってどこの
会社に入れるかが決まるわけです。私がいた頃は、当時は、インベストメントバンクか若しくはコンサルティングファームに入ると。でも、初任給は段違いで、生涯年俸にしたらもう雲泥の差になるわけで、みんな必死で
勉強するわけです。要するに、
勉強が、いい成績を取ることが、将来を、リターンに物すごく違うということで、だから
勉強をしていたと思うんですよね。
日本の場合、一橋もそれなりにほとんど大体行きたい
会社入れるんですけれども、それでも、入ったところで初任給は余り変わらないし、生涯年俸といってもそんなに変わらないわけですよ。これじゃやっぱり
勉強しようという気にならないだろうなというふうに私は思っています。要するに、
大学も競争がないし、
日本は
社会にも競争がないんで、
勉強するモチベーションがどうしても欠けちゃう、あめがないですから欠けちゃうなというふうに私は思っています。
先ほど矢倉
委員が、
アメリカ人は友人にはノートを見せてくれなかったという
お話ありましたけれども、それはそうなんで、友達がいい成績を取って生涯年俸ぼおんと上がっちゃったら、それはたまったものじゃないですから、それはもう見せるわけがないなと思いながら私は聞いておりました。
それから、やっぱりモチベーションというのは非常に重要であって、例えばこの前、「ビートたけしのTVタックル」で、ある回にアンケートを取ったら、十一人中十人の理系の
学生が海外で
勉強したくないと言っているわけですよ。
日本でずっと研究続けたいと。まあ草食系に変わっちゃったというふうにも言えるんですけれども、これも、リターンが変われば話変わってくると私は思っているんです。
例えば、これ一回申し上げたかもしれませんけれども、例えば四万ドル年俸もらえるんだとすると、今は一ドル百円ですから約四百万円。
日本で働けば三百万円だけれども、四百万円と三百万円じゃ、それは海外行こうとは思わないかもしれないけれども、一ドル千円の時代が来れば、これは四万ドルもらえれば四千万円ですから、二年働けば
日本で帰ってきて家が建つということで、そういうモチベーションがあれば、きっとみんな海外行って、みんなとは言いませんけれども、かなりの
人間が海外行って研究すると思うんですね。
要するに、あめがないとみんなチャレンジしないということで、なかなかシステムを変えただけでは難しくて、やはり競争心をもっと、競争のある
社会をつくっていかないと根本的には
教育の程度は上がらないかなというふうに私は思っています。
もう
一つ、
大学だけの問題、それから生徒の問題もそうなんですけど、もう
一つは教師もそうなんですね。
アメリカの教師ってむちゃくちゃに熱心に教えます。私も、私の
大学の先生の岡本先生なんて物すごい熱血教師で、私はもう物すごく尊敬しているんですけれども、なかなかああいう熱血教師は
日本では見られない。
アメリカの授業、本当に教師は真面目なんです。それはなぜかというと、別に研究だけじゃなくて
教育にも
評価が与えられて、あそこは終身雇用じゃないですから、七年か何かで首切られちゃうわけですよね。だから、競争があって、みんな一生懸命やる。
日本の教師もやっぱりもう競争がなくて、これじゃやっぱりいい
教育も限度があるなと思ってしまうんですが、いかがでしょうか。