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2014-04-22 第186回国会 参議院 文教科学委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年四月二十二日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
四月十七日
辞任
補欠選任
礒崎
哲史
君
櫻井
充君
新妻
秀規
君
山口那津男
君
中山
恭子
君
藤巻
健史
君 四月十八日
辞任
補欠選任
山口那津男
君
新妻
秀規
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
丸山
和也
君 理 事 石井
浩郎
君
二之湯武史
君
大島九州男
君 松沢 成文君 委 員 上野 通子君 衛藤 晟一君
中曽根弘文
君 橋本 聖子君 堀内 恒夫君 水落 敏栄君 石橋
通宏
君 斎藤 嘉隆君
櫻井
充君
那谷屋正義
君
新妻
秀規
君 矢倉 克夫君 田村 智子君
藤巻
健史
君 柴田 巧君
事務局側
常任委員会専門
員
美濃部寿彦
君
参考人
一般社団法人日
本
出版者協議会
会長
株式会社緑風出
版代表取締役
高須
次郎
君
公益社団法人日
本
漫画家協会
著
作権部員
幸森
軍也君
専修大学文学部
教授
株式会社出版
デ
ジタル機構取締
役会長
植村
八潮
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
丸山和也
1
○
委員長
(
丸山和也
君) ただいまから
文教科学委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る十七日、
礒崎哲史
君及び
中山恭子
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
櫻井充
君及び
藤巻健史
君が選任されました。 ─────────────
丸山和也
2
○
委員長
(
丸山和也
君)
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 本日は、
本案
の
審査
のため、
参考人
として
一般社団法人日本出版者協議会会長
・
株式会社緑風出版代表取締役高須次郎
君、
公益社団法人日本漫画家協会著作権部員幸森軍也君及び専修大学文学部教授
・
株式会社出版デジタル機構取締役会長植村八潮
君の三名の方に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本
委員会
に御
出席
いただき、誠にありがとうございます。
参考人
の皆様には忌憚のない御
意見
をお述べいただきまして、
本案
の
審査
の
参考
にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 本日の
会議
の進め方でございますが、まず、
高須参考人
、
幸森参考人
、
植村参考人
の順でお一人十五分程度で御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、
参考人
、
委員
とも御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
高須参考人
から御
意見
をお述べいただきます。
高須参考人
。
高須次郎
3
○
参考人
(
高須次郎
君)
一般社団法人日本出版者協議会
の
高須
でございます。
一般社団法人日本出版者協議会
は、
著作物
の
再販制度
や
言論
、
出版
の自由の擁護、
取引条件
の改善などを
目的
に、一九七八年に結成された
出版流通対策協議会
を前身とする
出版業界団体
です。専ら
人文社会科学
、
自然科学
などの
学術専門書
、
教養書
など、少量
出版物
を発行する
中小零細出版社
九十五社で構成されております。
出版者
への
権利付与
につきましては、紙と
電子
の一体的な
総合出版権
を提言している
超党派
の
電子書籍
と
出版文化
の
振興
に関する
議員連盟
の
議連案
を支持してまいりました。
出版者
への
権利付与
は、
電子出版
への
対応
と
海賊版対策
を
目的
に、
著作権分科会出版関連小委員会
で検討されてきましたが、現在審議されている
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
は、
出版者
の
電子出版
への
対応
を可能とし、紙の
出版物
にも再
許諾
が認められるなどの
歴史的側面
の一方で、後で述べますような不十分な点があると考えております。
出版協
が二〇一〇年に行った
電子書籍会員アンケート
によりますと、DTPで
自社
製作している社が六五%、
最終組み版データ
を
自社
で所有している社が八五%となっております。
中小零細出版社
においては、
電子出版
の環境は基本的に整っていると言えます。 実は、
電子出版
をちゅうちょさせている
理由
は別のところにあります。 第一は、
出版者
への
電子出版権
の
付与
などの
著作権法
の未
整備
でしたが、これにつきましては、今回の
改正
で
問題点
を含みながら実現しようとしております。 第二に、
電子書籍
の
価格
の問題があります。
公正取引委員会
は、紙の
出版物
は
再販商品
、
オンライン系電子書籍
は非
再販商品
、
パッケージ系電子書籍
も非
再販商品
であるという見解で、
行政指導
を行っております。同一
出版物
を
パッケージ系電子書籍
で発行すると非
再販商品
とされ、買いたたかれ値引き販売されるので、
出版社
は積極的に
出版
しようとはしません。また、
電子配信業者
が
電子書籍
の安売りをすると紙の
出版物
の売行きに大きく影響いたします。したがって、
出版者
としては、
電子出版物
についても何らかの
価格決定権
を自ら保持しないと
出版経営
が成り立たなくなる
現実
があり、この点への懸念が
電子出版
へのブレーキとなっております。早急に
文化政策
の観点から、
フランス
で成立した
電子書籍
の
価格維持法
のような
法整備
が求められていると思います。 今回の
法改正
の
契機
ともなった二〇〇九年のグーグルブック
検索
和解問題の際には、
日本
で市販されている
出版物
の九〇%以上がリスト化され、一〇%以上が
無断
でデジタル化されていたと言われております。今はもっと進んでおります。
電子出版物
は、紙の
校了データ
のない場合でも、紙の
出版物
からの
スキャニング
によって作ることができます。また、例えばアマゾンは「なか見!
検索
」サービスに協力している
出版者
の
出版物
をデジタル化し、さらには紙の
出版
の
データ
を提出するよう
出版社
に求めるなど、
電子配信
の
加速化
を整えています。
公衆送信目的
の
複製
は既に合法、非合法の形で進行しています。 こうした
現実
があるにもかかわらず、
改正案
は、
公衆送信目的
の
複製
に対する
出版権者
の専有が盛り込まれておりません。
出版者
は、
企画
から多大の労力と経費を掛け
出版
した紙の本を、
初期投資
をせずに紙の
出版データ
の
スキャニング
や二次加工するだけの
巨大電子配信業者
に奪われるのではないかと恐れています。大
部分
が
中小零細企業
である
出版者
が、
印税等
の
経済面
での
条件
で
巨大電子配信業者
と競争することは極めて困難と言えます。 しかも、紙の
書籍
が
再販商品
で
電子書籍
が非
再販
という
現実
の中では、
出版者
が紙と
電子
の
出版権
を保持できない場合、
価格決定権
を失い、
値引き競争
に巻き込まれ、紙の
出版
もままならず、
経営危機
に陥るのは火を見るよりも明らかです。 以上の
理由
から、
出版者
が一体的に紙と
電子
の
出版権
を得、再
許諾
を通じて
電子配信業者
に
配信
してもらうことが
出版者
としては不可欠です。
改正案
は、
著作物
の
複製物
を用いて
公衆送信行為
を行うことを引き受ける者に対し
出版権
を
設定
できることになっています。これは単に、
公衆送信行為
を引き受ける者が誰でも第二
号出版権者
になれることを
条文
上は
意味
し、
出版者
への
権利付与
という本来の
趣旨
とは異なります。
電子配信業者
が
企画
から
編集制作
、
広告販売
に至るまでを担う
出版者
として登場、参入してくることは歓迎いたします。しかし、
出版者
は外国の
巨大配信業者
がこの規定を用いて紙の
出版物
の
刈取り
をすることを恐れております。 したがって、
改正案
の
出版権
の
設定
は、紙の
出版
並びに
電子出版
を引き受ける
出版者
に対して一体的に
出版権
を
設定
するよう
修正
するよう要望をいたします。 「
出版ニュース
」の二〇一二年十月上旬号で、前
文化庁次長
の
吉田大輔
氏は、
現行
とほぼ同じ
出版権制度
は一九三四年に法制化されたが、
立法
当時、
無断出版
や
競合出版
に対して
先行出版者
の利益をどのように確保するかという
議論
が高まっており、
制度導入
時の
立法作業担当者
も、その
趣旨
をどのような
方法
で実現するかについて様々な案を検討をしたようであると指摘しております。この
設定出版権
の理念に沿って、紙の
出版物
を初めて世に出した
出版者
には、
電子出版権
についての
一定
の
優先権
を
付与
するなどの措置を講じていただきたいと思います。 次に、
海賊版対策
のために
出版者
への
権利付与
が急務となったのは、先に触れましたグーグルブック
検索
問題が
契機
ですが、このとき、
日本
の
出版者
は、
現行法
では
和解案
の法的な
当事者
になれないという問題が発生し、
組織的対応
に苦慮いたしました。今回の
法案
で、再
許諾
を含めて
改正
が行われることは評価いたします。 しかし、
日本
においてグーグルブック
検索
問題のようなことが起きた場合、第一
号出版権
のみの
出版者
は
当事者
となれません。
海賊版対策
は、
出版者
が第一
号出版権並び
に第二
号出版権
の
両方
を持たない限り
差止め請求
などができず、
海賊版対策
としては不十分です。
海賊版
のほとんどが紙の
出版物
からの
デジタル海賊版
であり、紙の
版面
には
版面権
もない
現状
を踏まえますと、紙の
権利
のみでも
違法デジタルスキャン
に対抗できなければ、
法改正
の
目的
である
海賊版対策
に不備があると言わざるを得ません。第一
号出版権
のみの
出版者
も
海賊版対策
が可能となるよう、この点の
法案
の
修正
を求めます。
出版社
の大
部分
は
従業員
が五十人以下の
出版社
であり、
新刊書籍
の
大半
を発行しており、とりわけ
学術専門書
にその傾向が顕著です。
先見性
と
専門知識
を持った優秀かつ職人的な
編集者
がそうした
出版活動
を担っており、知の
伝達
と継承が行われております。ところが、そうした
出版社
が長期にわたる
出版不況
の中で我慢の限界を超え、倒産、廃業が続いております。 参議院におかれましては、今申し上げました
法案
の
修正点
、
疑問点
、私
ども出版協
が三月に出しました
改正案
の
修正
を求める
声明等
を御検討いただき、今回の
法改正
が、真に
出版
のルネサンスのエンジンとなることを願い、私の
意見
といたします。 以上でございます。
丸山和也
4
○
委員長
(
丸山和也
君) ありがとうございました。 次に、
幸森参考人
、お願いいたします。
幸森参考人
。
幸森軍也
5
○
参考人
(
幸森軍也君
)
日本漫画家協会著作権部員
の
幸森軍也
でございます。よろしくお願いいたします。 この度は、
日本漫画家協会
に
発言
の
機会
を与えていただき
大変感謝
をいたします。 過去において、
漫画
は読み捨てるべき低俗なものとの認識で一顧だにされてまいりませんでした。
現行著作権法
の
条文
の中にも
漫画
という単語は全く書かれておりません。しかし、現在、
漫画雑誌
の
タイトル数
は年間約三百
タイトル
、約五億部出ております。
漫画単行本
は約一万三千
作品
、約四億部という膨大な
作品
が毎年のように生み出されております。現在、
国内
の
雑誌
、単行本などの
出版物
の約四分の一が
漫画
でございます。
海外
におきましても、
漫画
やアニメは
日本
の
文化
を紹介する重要なコンテンツであり、近隣の東南アジアはもちろん、
フランス
、イタリア、スペインなどの欧州、そしてメキシコやブラジルなど地球の裏側にまで広がって、多くの
人々
に受け入れられております。 まあ、これを嘆かわしい
事態
と感じるか、すばらしいと感じるかはそれぞれでございましょうが、
漫画
は
日本
の
文化
の一部であり、
世界
に
日本
の
文化
を発信しているのは事実と言えましょう。これほどまでに
漫画
が大量に発行されて、
国民
に愛されている国は
世界
にも類はございません。 先ほど申し上げた、全
出版物
の中に
漫画
が占める
割合
が約四分の一であるということは紙の
出版物
のことでございまして、
電子出版
となると更に
割合
は増えるものと存じます。このように、現在
流通
しているだけで
漫画
の
出版
は膨大な数に上ります。過去からの
蓄積分
も含めるとどれほどの量となりましょうか。本来はこれを集中管理する機関の設立も急がれております。 絵と
文字
から成る
漫画表現
は、
大変理解
がしやすく、紙の本と同様に
電子書籍
でも多くの人に受け入れられると同時に、
電子化
による
流通
の簡便さのために
海外
でもいち早く広まってまいりました。 ところが、
海外
で
流通
する
漫画
の大
部分
は
著作者
の
許諾
がない、いわゆる
海賊版
でございます。
海賊版
の取締りを行わなければならない、それは間違いございません。この点について、これまで
文化審議会
などを通じてどのように
対策
をしていくのかが
議論
されてまいりました。けれども、
国内
の
現行著作権法
を
改正
して、
出版者
に何らかの
権利
を
付与
しても、
世界
に対して有効かどうか。また、侵害を発見するたびに
国際裁判
を何件も起こすのは、
訴訟
のための手間や費用や
実態調査
や
損害額認定
、そして
スピード面
などでも大変困難なことと存じます。 今回の
法整備
によっても全ての
海賊版
を撲滅することは難しいですが、今回の
法整備
を
契機
として、新たに
出版者
が可能となる
インターネット
上の
海賊版対策
はもちろんのこと、
海外
での
海賊版対策
についても前向きな取組が行われるようになることを期待しております。
漫画
の場合は、
一つ
の
作品
が、
出版
のみならず
映像化
や
キャラクター商品
、そして本件のような
電子化
、
海外
に対して
翻訳出版
など、マルチに展開してまいります。 従来の
出版社
は紙の本を
日本全国
にあまねく頒布することを
目的
に特化しており、そのおかげで廉価で高品質な
雑誌
、
書籍
を容易に手に入れることができました。そういう
意味
では、
出版社
にとって紙の本を
印刷
、頒布すること以外は本質的な
業務
でないのかもしれません。けれども、
契約
上は、その本質的でない
業務
、すなわち
映像化
や
商品化
、
海外出版許諾
、
電子化
までもを
著作者
に対して
権利
を預けるよう
契約
を迫ります。
日本
には、御案内のとおり大小三千七百社もの
出版社
があり、
自社
で
電子配信
をしない、できない、
配信
するつもりもない
出版者
もたくさんございます。それらが一様に
著作者
に対して
電子出版権
を排他独占的に預けるように迫ることというのは、
著作者
としては到底
理解
ができません。
漫画家
は
著作者
であり、創作した
著作物
の掲載する
権利
を
出版者
に
許諾
することが
著作権法
の考え方でございますけれども、実際はそんなに偉そうなことはありません。
漫画家
は
小説家
などと比べて若い年齢でデビューする例も多く、甚だしい場合には中学生や高校生の
プロ
の
漫画家
というのもおります。一般的な
社会経験
や
社会常識
がないまま
プロ
の
漫画家
になることもまれなことではございません。この場合、
社会
に対する唯一の窓口が
出版社
でございます。このような新人の
漫画家
や売れていない
漫画家
が
出版者
に対して
著作者
然としてもし振る舞うようなことがあれば、
仕事
の依頼がたちまち途切れ、収入が絶たれてしまいます。つまり、どのような
契約内容
であろうと、
出版社
の言いなりで
署名捺印
をするほかございません。
著作権
の保護があっても、多くの
漫画家
は
出版者
から
仕事
をもらう下請に近い状態でございます。 今回の
法整備
において今以上の
権利
を
出版者
が得たときに、著しく
公平性
を欠くことになったり、弱い立場の
漫画家
が更に弱くなることを正直大変危惧しております。
漫画
という
日本文化
を
世界
に紹介し、より広く
流通
させるためには、
漫画
の
利用方法
を熟知しているそれぞれの
流通
に関わる
企業
が分担して行うことが必要だと考えます。
既存
の
出版者
に
著作者
の持つ全ての
権利
を委託することで実現できるわけではないと思います。 これは
電子書籍
の
配信
も同じでございます。自ら
電子書籍
の
配信
を行うつもりがない
出版者
に
権利
を預けることは、
著作物
を死蔵させることにほかなりません。しかし、もし
権利
を預けるべく
契約
を結ばねばならないのならば、
契約内容
に沿った
業務
を
出版者
が
一定期間
内に必ず遂行するよう義務付けることが公平な
契約
と存じます。 ただ、そうは申しましても、
漫画
はこれまで
出版者
と二人三脚で
発展
してまいりました。
漫画家
にとって
出版者
はなくてはならないパートナーだと考えております。
既存
の
出版者
が
電子書籍
の
配信
を積極的に進めるならば、
漫画家
と
出版者
はお互いそれぞれ力を合わせて、より良い
文化発展
のために尽くすことが可能となるでしょう。 このことから、今回の
法整備
をきっかけとして、
著作者
と
出版者
のどちらかにとって一方的ではない公平な
契約
を結ぶ慣行を構築できるよう双方が努力し、
日本
の
出版文化
の
発展
と
電子書籍
の促進に役立つことができるようになることを切に望んでおります。 以上、
日本漫画家協会
から申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
丸山和也
6
○
委員長
(
丸山和也
君) ありがとうございました。 では次に、
植村参考人
、お願いいたします。
植村参考人
。
植村八潮
7
○
参考人
(
植村八潮
君) 御紹介にあずかりました
植村八潮
です。 八〇年代から
電子出版
、
電子書籍
に興味を持って研究しておりまして、その縁もありまして、現在は
専修大学文学部人文
・
ジャーナリズム学科
の
教授
であるとともに、
株式会社出版デジタル機構
の
取締役会長
も務めております。
印刷文化
・
電子文化
の
基盤整備
に関する
勉強会
、いわゆる
中川勉強会
にも参加させていただいております。このような
関係
から、
電子書籍市場
の
現状
や
法改正
が
目的
とします健全な
市場形成
についてどのように考えるのか、御質問を承るべくお呼びいただいたのかと思っております。このような
機会
をいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。 さて、健全な
電子書籍市場
の
形成
と
インターネット
上の
海賊版対策
を
趣旨
として、このほどこの
出版権
の
整備等
を
目的
とした
著作権法
の
改正
が行われる見通しとなりましたことは、ここに至る経緯も含めて
大変意義
深いことと考えております。とりわけ、実際の
法案作成
に際しまして、
文化審議会著作権分科会出版関連小委員会
におかれましては、多岐にわたる
利害関係人
の
意見
を調整いただき、このような成案に集約いただきました。このことのすばらしい成果に、まず
関係者
の御尽力に感謝申し上げたいと思います。 また、
平成
二十四年からは、
超党派
の
国会議員
、作家、
出版関係者
などから成る
印刷文化
・
電子文化
の
基盤整備
に関する
勉強会
、
中川勉強会
が
出版者
への
権利付与
について
問題提起
を行い、
電子書籍
と
出版文化
の
振興
に関する
議員連盟
に引き継ぎながら論議をリードし、
世論形成
や
合意形成
を図っていただきました。これがもう
一つ
の複線となりまして、ともすればなかなか見えにくい
法改正
の
プロ
セスが大変分かりやすい形で進んだと受け取っております。
超党派
の
国会議員
により
著作権者
や
出版事業者
、
関係者
という
国民
の声を拾い上げる形で
法改正
が進んだということは、まさに
議会制民主主義
における
立法
の大変理想的な形によって成し得たことと考えております。ここに改めて敬意を表させていただきます。 これからは、紙の
書籍出版
に加えて
電子出版
が普及する
時代
になります。それは、
電子書籍
という新たな
市場創出
ということだけではなく、従来の紙の
書籍
の価値を増す形での
電子
の
役割
や、
両方
が合わさることでの
読者
にとっての
利便性
の向上などが図られるわけです。
出版メディア産業
の新しい形がより一層魅力を増す
時代
になるのだと思います。その魅力ある
分野
に対して、若い
人たち
を始めとして新しい人材が参加されてくると、そういうような
分野
に向かって新たな道を切ったのかなと思っています。 このような
時代
をすぐにでもつくるためにも
法改正
の
意義
はとても大きく、それを受けて
出版関係者
の果たすべき
役割
も大きいと考えています。そこには
当事者
間の
信頼関係
に基づく
契約
がとても重要になります。
法改正
の
議論
を進める中で、様々な課題や
問題点
も明らかになったと思います。
一つ
には、
著作権者
と
出版者
の間におけるある種の
意見対立
とも受け取れる点もありました。確かに三千七百社とも言われる数多くの
出版社
があり、多くの人が働く中で、ともすれば
不信感
を募らせる
行為
もあったかとは思います。しかし、私は、
著作権者
と
出版者
には基本的には、そして今もまた揺るぎない
信頼関係
があると思っています。そして、その変わらぬ
信頼関係
があるからこそ
議論
の
積み重ね
ができたと信じております。その上で、潜在化していた個々の
取引
における問題が
議論
の
積み重ね
の中で顕在化し、話し合われたことがとても重要なことだと思っています。 今や
出版者
は、
海外事業者
を中心とした
企業
との間で極めて細部にわたり規定した
契約
が存在する
時代
です。当然
出版者
も
著作者
と
契約
をしていく
時代
です。口頭で済んだある
意味
牧歌的とも言えるよき
時代
は終わりを遂げつつあるわけで、
信頼関係
に基づく
契約
が重要と先ほど申しましたが、それは取りも直さず
契約
に基づく
信頼関係
の構築が求められるということも
意味
しております。 そこで、
法改正
が注目されたそもそもという点に、述べておきたいと思います。
出版
は、
各国
の母語に依存した
文字表現メディア
です。当然
各国
の
文化
や
歴史
に依拠します。そして、最も長い間この
文化
を支える
産業
として
出版
があります。グーテンベルクの
印刷技術
の発明以来という
意味
では、六百年にわたり
技術革新
や
産業改革
や
知識
や知恵の
伝達
を果たしてきました。 当然、この
日本文化風土
を
背景
に数多くの
出版社
が多様な
活動
をし、
全国
に多くの
書店
が
小売業
を営み、
著作者
の自由で多様な
言論活動
を支えるという、この著者と
読者
をつなげてまいるという
日本
の
文化風土
を
背景
とした営みが長く行われてきているわけです。 これまでは創作から
出版
、
流通
、
小売
、そして
読者
による購読、
読書活動
まで、全てがと言っていいほど
日本
人により構築され、その
大半
が
読者
の購入によって支えられているという大変幸せな
システム
でした。毎年
国立国会図書館
に納本される本はおよそ十一万点と聞いておりますが、そのうちの八万点は
出版活動
によって生み出されています。残りの三万点はおよそ
行政資料
と
自費出版
と聞いておりますが、つまりはほとんど、ほとんどの本が、実は私
たち国民
、
読者
が買ったお金によって
出版
されています。
書店
の
経営
も、取次ぎにおける
流通
も、そして
出版活動
も、そして
著作権者
への
印税
という形での支払も含めて、それは全て
読者
の
投資
によって支えられているわけです。これは本当にすばらしい
システム
だと私は思っています。 ただ、このような
母国語
に守られた、つまりある種、言語の壁というのが存在して長くわたってきましたが、他の
産業
を見れば、既に
グローバル化
の
時代
を迎える中で様々な
産業育成策
というのが必要になる
時代
を迎えていたわけですが、実は
出版産業
に限って言えば、ある
意味
、国による特段の
産業育成策
がなくても、
日本語
という壁の存在で
日本自国
内での
国民
による
事業
が成立してきたわけです。 まさに
インターネット
はこの壁を壊しました。
日本語
の
出版
も
グローバル化
の波に洗われる
時代
になったのです。このことを明確にしましたのが二〇〇九年におけるグーグルブックサーチの
和解訴訟
だったと思います。このことが明らかになり、まさに一私
企業
によって
世界中
の本が
検索対象
となり、場合によっては中身がのぞけるようになるというようなことは、それは
世界中
の
著作権者並び
に
出版者
、
出版業
を営む
人々
に震撼とさせた
事態
となりました。 これを受けてヨーロッパではヨーロピアーナという、ある
種パブリ
ックセクターによる
事業
が始まっております。一方、もちろんアメリカ
国内
でもこれに対する反対がプライベートセクターから大きな声が上がり、結果的にこの
和解訴訟
そのものは認められなかったという形にはなっていますが、まさにこれを機に
日本
の
出版活動
も国際化を迎えました。 私は、よく二〇一〇年を
電子書籍
元年といいますが、私自身はそれよりはるかに重要なのがこの二〇〇九年、まさに
日本
の
出版
の国際化元年、このことの方がはるかに今日の
出版
に多大なる影響を与えた年だったんではないでしょうか。これを受けまして、総務省、経済
産業
省、文部科学省三省によるデジタル・ネットワーク
社会
における
出版物
の利活用の推進に関する懇談会、いわゆる三省デジタル懇談会が翌年始まったということは、まさにこの
背景
の下にあったというのが私の
理解
です。
日本
の
出版産業
の特徴、繰り返しますが、大手から中小、多様な
出版活動
が水平分業的に行われている、決して一私
企業
の垂直統合ではなく、多様な
人々
の参加により営まれていた、まさにこれは三省デジタル懇の報告書の中にある
日本
型
出版産業
の大変すばらしい点だったという指摘があります。そして、これを今後デジタルネットワークの
時代
にどのようにつないでいくのか、これを受けまして経済
産業
省、総務省、文部科学省はそれぞれの
事業
をしていただき、その
一つ
が
文化
庁による
電子書籍
の
流通
と利用の円滑化に関する検討
会議
、まさに今日に至る
著作権法
改正
の論議の始まりだったわけです。 また、私自身は、経済
産業
省、総務省の関わりの中で、まさに
日本
的な
電子書籍
流通
基盤がまだまだでき上がっていない、脆弱である、
出版活動
ができ上がる中で
電子書籍
流通
基盤をいかにつくるかというアイデアの
一つ
として、結果として、まさに
株式会社出版デジタル機構
を
関係者
の御尽力でつくり出したことに、そのことにも関わらさせていただきました。 その
意味
で、まさに、もう一度、元、返りますと、今回の新たな制度設計、その制度設計に基づきまして、今後は
関係者
の手により運用が重要な
役割
を果たす段階になったと思っております。先ほど申しましたように、いろんな御
意見
もありますが、基本は、今回の
改正
は紙と
電子
の一体
設定
を想定していただいたということは、まさにそこに
出版者
と
著作者
の
信頼関係
を基礎に、あるいは
出版者
の今後の
活動
にも期待をいただいたというふうに考えております。 私ども、ここで
出版
デジタル機構の立場で申し上げれば、
出版者
と
著作者
の
信頼関係
を基礎にして、積極的に期待に応えるべく
活動
をしていきたいと。まさに各
著作権者
と
出版者
の
契約
の在り方、実効性の上で、
電子書籍
事業
の活性化と新しい読書
文化
の構築に向けて、まさに
出版社
を始めとする
関係
各社の皆様の御協力があってこそですので、その協力の下に全力を尽くしていきたいと思います。 さて、もう少しの時間で、もう
一つ
の肩書というんでしょうか、
電子書籍
の研究者ということで、少し未来の絵というか、大きな絵をやはりもう一度確認しておきたいと思います。 この二〇一〇年代以降の論議の中で常に問われているのは、まさに未来にどのような大きな絵を描くかということで、度々キーワードとしているのがナショナルアーカイブであり、そのナショナルアーカイブをどうつくるかということの方策として、例えばオーファンワークスへの
対策
が考えられました。
契約
をしっかりやるということは、今後オーファンワークスを生み出していかないということですが、既にあるオーファンワークスをどのようにまさに市場に投入できるのか、あるいは
文化発展
に寄与するかということも今後考えていただきたいことだとは思っています。
インターネット
時代
に代表されるデジタルネットワークと
出版活動
のデジタル化、まさに急速に拡大する中で、まさに
日本
が
世界
に誇るべき豊かで多様な
出版
・活字
文化
を守り育て、新しい
時代
にふさわしい
発展
をさせていく、その未来に向けた
一つ
のこれからの
仕事
というのが、まさに国家のお力もいただきながら、
関係者
、民間が働いていくという、このより良い
関係
というのを今後とも継続できればと思っています。 まさに今回の
著作権法
改正
、間もなくこれが決まっていくかとは思うのですが、これはゴールではなくスタートだと私は
理解
しています。まさにここから始めなくてはいけません。今回がファーストステップであるならば、まさにセカンドステップ、サードステップの次のステップに向けてナショナルアーカイブス、そして、場合によっては
電子書籍
のアクセシビリティーとか様々な可能性が問われています。この実現に向けまして、今後とも御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。 以上です。ありがとうございました。
丸山和也
8
○
委員長
(
丸山和也
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
の皆様からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御
発言
願います。
二之湯武史
9
○
二之湯武史
君 自民党の二之湯でございます。 今日は、三人の
参考人
の先生方、お忙しい中、この参議院の文教
委員会
にお越しをいただきましてどうもありがとうございます。 時間が限られていますので、早速質問させていただきたいんですけれども。 今回の
法改正
の大きな柱といいますか、
一つ
は
電子書籍
、こういったものをどういうふうに
国内
に更に育成していくか、そのときにおける制度設計並びにやはり昨今大きな問題となっている
海賊版対策
の問題、その二つに集約されるかというふうに考えるんですが。
植村参考人
にお伺いしたいんですけれども、今のお話、非常に大枠として私も大変賛同するお話ですし、そういった業界全体の今までの経緯とかあるべき姿、そしてこれからの未来への展望等々、いろいろお話しいただいたんですが、非常に個別的な話ですけれども、紙と
電子
が一体的に運用されなければ、現在の、要は紙をスキャンした
データ
による
海賊版対策
に実効性がないんじゃないかというような業界からのお話等々あるんですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
植村八潮
10
○
参考人
(
植村八潮
君) 御質問ありがとうございます。 まさに、
出版
を引き受け、
企画
、編集等を通じて
出版物
を作成し、世に伝播する、まさにこれが
出版者
の
役割
だとしますと、実は、もちろん
著作権法
の中で
出版
というのを限定的に定義しているというのは、これは法の在り方として
理解
できるんですが、そもそもメディアの
発展
を考えれば、メディア概念は常に変わり続けています。一例を挙げれば、私どもは携帯と言いますが、これは何も、今の若い人にとってはほとんど会話しない機械であって、それは世の中につながって、多量の
文字
を読み、情報を発信し、エンターテインメントを使うものとして携帯と言っています。決して電話ではないです。 同じように、何かパブリッシュするという
役割
は今後広く広まっていきまして、それは紙か
電子
かとかではなく、紙も
電子
もという構造で実は
産業
構造ができ上がるのは当然の流れだと思います。それを
両方
併せ持つから強い力になるんであって、ここは紙だけだよ、これは
電子
だけだよというような分け方そのものは、そもそも民間とか
読者
とかユーザーと言われる
人たち
が受け入れるわけがないですね。全て決めるのは、別に上から決めるわけではなくて、実はそれを利用する
人々
があっての
世界
ですから、私はそういう区別は一切必要ないと思っています。
二之湯武史
11
○
二之湯武史
君 もう一回ちょっと分かりやすくお伺いしたいんですけど、例えば政策的な観点でいいますと、今例えばクール・ジャパンとか等々で
日本
のコンテンツをある種
産業
として捉えたときに、例えば
海外
における
海賊版
の被害、これはいろんな査定の額があると思いますけれども、やはりそれなりの被害総額というものが出ていると。そういったものを今回の
法改正
においてしっかり取締りができる、実効的な取締りができるということが恐らく業界の中での
一つ
の大きな主眼だったと思うんですね。 そういった
意味
で、実効性を持って、今おっしゃったようなメディア
文化
の育成であるとか
時代
の変化、それはもう私も大きな
意味
では当然そういうふうになっていくんだろうというのはよく
理解
はできるんですが、そこで
事業
を営む一
事業
者という観点に立てば、そういった大きな中で実際どういうふうに実効性を上げていってそれぞれの
出版文化
なりというものを守っていくかという観点でいいますと、やはりどのようにしていわゆる
海賊版
を取り締まっていくか、その実効性を上げていくかということが私はこの
法改正
での大きな
目的
の
一つ
なんじゃないかなというふうに考えているんです。 そういった
意味
で、今回の
法改正
において、
植村
さんが御覧になって問題はないのか、実効性をしっかり上げていけるのかと、その辺についてちょっともう一度お伺いしたいと思います。
植村八潮
12
○
参考人
(
植村八潮
君) 私も当初は
出版者
における著作隣接権という
議論
から入りましたが、やはり多くの
著作権者
の方との
議論
の中で、そうではなく、
出版権
ともう
一つ
電子出版権
と一体型の法制度をつくっていただいたということで、結構だと思っています。 そして、これはもう
出版者
はちゃんと
契約
をして、今後
海賊版
を取り締まるというまさにツールを得たわけですから、その道具をもってまさに
海賊版
を退治していただかなきゃいけないと思います。そのためには、ちゃんとした
契約
があってその道具が生かされるわけですから。ただ、一
出版者
だけがやれるかという問題ではありませんので、これに関しましてはやはり国の何らかの
対策
、これは
著作権法
以外の制度設計もまた求められるかとは思います。まず、まさに第一歩として道具を手にした、これから戦いに臨むにおいては大いなる援軍が欲しいというふうに思っています。
二之湯武史
13
○
二之湯武史
君 ありがとうございます。 それと、これは皆さんにお伺いをしたいと思っているんですけれども、要は
再販制度
の問題で、紙と
電子
が今ばらばらであるということでいうと、紙メディアが値段が崩れない、一方で
電子
メディアの方が崩れる可能性があると、こういうふうになったときに、これも紙対
電子
という、そういうような話にはしたくはないんですけれども、やはりそういった
意味
で
産業
の基盤として不公平感が出てくるんじゃないかというような、そういうようなお話もありますけれども、この辺についてそれぞれ簡潔にお話をいただければと思います。
丸山和也
14
○
委員長
(
丸山和也
君) じゃ、
高須参考人
から。
高須次郎
15
○
参考人
(
高須次郎
君) ありがとうございます。 この問題は、基本的には、今の
出版社
は、先ほど中小
出版社
は非常にDTP化率が非常に高いと。今はほとんど九〇%ぐらいまでやっているわけですね。つまり、私の机とか隣の机のデスクトップのところで、もう全部、紙用の
データ
と今度はそれを
電子化
する
データ
は
データ
作成の
方法
を変えれば、PDF版なんかはその場ですぐできるわけです。 そういうふうな今状態がありますので、同じ
出版物
について、片方が仮に千円だとしますね、
電子
の方については、これを
出版社
としては紙に余り影響しないような形でどう安く
価格
設定
をしていくかと、こういうことで
両方
のニーズに
対応
していこうというふうに考えているわけです。 ところが、この
価格決定権
が非
再販
ということで奪われてしまうと、とんでもないディスカウントが始まるわけですね。そうすると、同一
出版物
についての紙の方の売行きが全然落ちてきちゃうと。そうすると、
出版社
としては、基本的に編集から、
企画
、依頼から
印刷
、製本までの全体の工程をやってきたその
部分
の売行きができなくなって、再生産が不可能になって
経営危機
になるんだと、そういうことで
両方
のコントロール権をいただきたいと、こういうふうに申し上げているわけです。
幸森軍也
16
○
参考人
(
幸森軍也君
)
再販制度
というのが
電子
に適用しやすいものなのかどうなのかという、著者の収入面で考えますと、これまで紙のものというのは、要するに定価掛ける発行部数掛ける
印税
率というような形で
書籍
に関してはいただいていたわけですけれども、
電子
の場合は、実売、ダウンロード数に応じてになってくるわけです。 〔
委員長
退席、理事石井
浩郎
君着席〕 例えば、一年間掛けて書いた
作品
が一ダウンロードしかされなかったということであれば、要するに非常に生活が安定しないわけですから、そういう形ではなくてもっと違う形の計算
方法
というのを考える中においては、それほど
再販制度
にこだわるということではなくて、もう少し考えた方がいいのかなというふうには思います。 以上です。
植村八潮
17
○
参考人
(
植村八潮
君) 御指摘のとおり、紙の
再販制度
があり、
電子
の非
再販
になっているということに関する
問題点
は、
現状
においては確かに内在されていると思います。 ただ、ビジネスをやる場合におきましては、その枠組みの中でむしろできることもあるというふうに取りあえず私は考えています。現に新聞はその両者をセット販売することによってサービスという展開も考えていますが、私は、ビジネスの場として考えるならば、それは今ある枠組みの中で戦っていくというふうに思っています。 ただ、そのことにおける
問題点
は、既に指摘されたように、巨大なプラットフォーマーこそが値引きをやるということが許されていることは非常に多々の問題を含んでいるとは思います。
二之湯武史
18
○
二之湯武史
君 ありがとうございます。 いずれにしても、
電子化
というこの大きな流れというものは当然止まることはないわけですから、今まで、どなたかおっしゃっていましたが、非常に牧歌的な、本当にドラマになるような
編集者
と作家のほのぼのとした、そういった
漫画
のまさに「まんが道」、私好きでしたけれども、ああいった
世界
というものが、シンパシーは確かにそんなふうに感じるのはこれは
日本
人的に当然なんですが、今までそういった慣行があったがゆえに、一方でいわゆる西洋的なシビアな
契約
社会
というか、そういうような慣行が育ってこなかったというような指摘もございます。 是非、この新しい
時代
、まさに
電子化
という流れの中で、一方でやはり
日本
の本当に隅々にまで浸透している
出版文化
というものが消えないように、皆さんおっしゃっておられたように、本当に信頼のある
契約
関係
に基づいた新しい商慣行というか、そういったものがこの法律を機にできるように、是非またこの論点をあぶり出していただいて、またこの法律審議ありますので、そこに生かしていけるようにというふうに思っております。 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。終わります。
石橋通宏
19
○石橋
通宏
君 民主党の石橋
通宏
でございます。 今日は、三人の
参考人
の皆様、貴重な御
意見
を本当にありがとうございます。また、この場をお借りして、ほぼこの一年間にわたりますが、私ども
超党派
の
議員連盟
の
活動
に対しても様々に御助言、御指導いただきましたことを改めて感謝を申し上げたいと思います。 そこで、今日、早速ですが、質問に入らせていただきたいと思いますけれども、まず
高須参考人
にお伺いしたいのは、衆議院の方でも質疑がございましたけれども、私、個人的に今回一番違和感を感じているのは、政府の説明で、いわゆる
出版
というのは有体物を
複製
して頒布する
行為
なんだと。つまり、
著作物
を
電子
で
配信
することは
出版
ではないというような説明をされております。それで、今回こういう制度設計になっているわけですけれども。
高須
さん、この点についてどうお考えですか。今御説明あったように、ほぼ、もう中小の
出版社
の皆さんもかなりの
割合
で
電子
の形で進めておられる。最終的に出てくるものが紙になろうが
電子
になろうが、
出版
に係る皆さんの御努力、
プロ
セスというのはこれは同じであって、出てきたときに、いや、デジタルで出てきたら
出版
じゃないんだというのは、これは実態にそぐわない話ではないかと思いますが、御
意見
をお聞かせいただければと思います。
高須次郎
20
○
参考人
(
高須次郎
君) 全くそのとおりだと思うんです。
出版
というのは、何というんですか、
企画
を立てて、それで先生に依頼して原稿をいただいた後、また何度も何度も校正しながら直していくわけですよね。そういう長い時間を使ってようやく、昔でしたら木の版に活字でこうやっていくということですけれども、今のは
電子
データ
で、もう私の机の前でできると、こういう状態になっておるわけですね。 ですから、それを
電子出版
ってやった場合にはどういう
意味
になるかというと、もう既にできている最終
データ
の版を、今は
印刷
はCTPというそのまま刷版で刷っちゃうわけですね。その間にフィルムなんかなくて、CTPでやるわけです。今度は
電子
の方はどうするかというと、EPUBであるとか様々な形式に合わせるようにそこで加工を加えてやるわけです。ただ、これは私どもから言わせますと、コピー、一種の、まあ
複製
自体コピーですけれども、もう非常にコピーだけなんですよね。ですから、そういうふうなことで言いますと釈然としないと。その
部分
はほかに取られていっちゃうと。 ですから、昨日の朝日新聞に、国会図書館の近代デジタルライブラリーのあれがアマゾンによって
スキャニング
されて、それを売りに出すというふうなことが新聞に出ていましたよね。あれは結局、
国民
の予算、血税というかそういうものを使って、それで一生懸命ああいうふうなものをつくった。つくって、利用者に提供するというんじゃなくて、それをそのままコピーして売ると。これは
著作権法
、期限切れのものですから、要するに止めることができないわけですよね。 我々もそういうふうに考えれば、御質問の最初に戻れば、やはり紙の本作りと
電子出版
の作り方というのは全く概念が違うので、それを同じ並列に置いていくというのは
出版社
の人間としてはやはり納得ができないというふうに思います。 ちょっと長くなりましたが。
石橋通宏
21
○石橋
通宏
君 ありがとうございます。 その上で、
高須
さんからもお話ありましたけれども、今回、要は一号、二号を併せて
契約
をしないと、
出版者
側は有効な対抗をデジタルの
海賊版
に対してできないと。実態的にこれ中小零細の
出版社
の皆さんにとってどういうことになると思われますか。皆さん問題なく、
著作者
の皆さんとの
信頼関係
に基づいて、一号、二号併せて
出版
契約
を勝ち取ることができる、そういう
世界
になっていくのか。むしろ、中小零細の皆さんにとっては、
著作者
の皆さんにそこのところを、なかなか二号併せて
出版
契約
を勝ち取ることができなくて、二号だけはプラットフォーマーに流れてしまうようなこと、むしろそうなってしまうのか。今のところの率直のお考えを簡潔にお伺いさせてください。
高須次郎
22
○
参考人
(
高須次郎
君) かなり厳しいんじゃないかなと思います。 私どもの場合は、著者の皆様との
関係
はどちらかといいますと弱い立場ですから、著者の方の意向に沿っていくという傾向がやはりありますので、
契約
ということだけですと、必ずしもうまくいくというふうには思っておりません。
石橋通宏
23
○石橋
通宏
君 ありがとうございます。 そこで
幸森参考人
にお伺いをしたいんですが、今、
高須参考人
からそのようなお話がありました。
漫画家
の皆さんにとって、今回、この
法案
成立した暁に、まさに一号、二号併せて
契約
を結んでいく、促進をしていくという方向に、
漫画家
の皆さん、なっていくのか。いや、むしろ、いろんなお考えの
漫画家
さんもおられるでしょうから、いや、取りあえず一号だけにしておこう、二号はやっぱりプラットフォーマーの方が売れるだろうからそっちに行こうというような
現実
的選択をされる
漫画家
さんも
現実
的には多いのではないかなということを懸念する。そうなると、有効な
海賊版対策
という観点からも、
日本
の
出版文化
を守るという観点からもなかなか難しい状況がひょっとして生まれてしまうのではないかと思いますが、現在のところ、
漫画家協会
としての立場で結構ですので、お考えをお聞かせください。
幸森軍也
24
○
参考人
(
幸森軍也君
) 二種類に考える必要があると思うんですけれども、現在
出版社
さんで刊行中のもの、例えば
雑誌
連載中のもの、これに関しては多分一号、二号とも一体化で
契約
することはそれほど
漫画家
にとって不自然なことではないだろうと思います。ただ、過去のものを再版するということが
漫画
の場合はたくさんあるわけですけれども、もう要するに
出版社
さんから出て十年か二十年たっているんだけれども、でも埋もれてしまっている
作品
をプラットフォーマーさんがこれを出したいと言ってきたときに、えっ、
出版社
に聞かないとちょっと分からないですけどという、もう十年以上お付き合いないんですけれどもという場合と分かれるんだろうと思います。 後者の場合は多分一体化の
契約
というのは成立しないんだろうと思いますけれども、現在刊行中のものというのは多分一体化というのが比較的容易にできるだろうと思います。 〔理事石井
浩郎
君退席、
委員長
着席〕
石橋通宏
25
○石橋
通宏
君 ありがとうございます。 あわせて、
幸森参考人
に、ちょっと触れられていたと思いますが、塩漬けの懸念について。 今回、
海賊版対策
するためにも、仮に今現在、若しくは将来的にも
電子出版
する気がない
漫画家
さんでも、二号も併せて
契約
をしておかないと
出版者
側に対抗してもらえないということで、ある種意にそぐわない
契約
を当初結ぶ必要が出てくるということだと思いますが、逆にそれによって将来
契約
がこじれるか何かして塩漬けにされてしまうという懸念があるというのがあの
幸森参考人
のお話だったと思いますが、そうすると、むしろ、一号、二号併せて
契約
するんだけれども、そのときにはもう確実にその
出版者
が
出版
する義務を負う形で
契約
を結ぶんだと、そういう形の
契約
を
漫画家
さんたちとしては志向していくだろうという
理解
でよろしいんでしょうか。
幸森軍也
26
○
参考人
(
幸森軍也君
) はい、そのとおりだと思います。
石橋通宏
27
○石橋
通宏
君 ありがとうございます。 それでは、
植村参考人
にお伺いしたいと思いますが、端的に、今回の法律成立の暁、施行されてから
電子書籍
が爆発的に
流通
促進をされていくという確信を持っておられるかどうか、そのことについてまず端的にお伺いしたいと思います。
植村八潮
28
○
参考人
(
植村八潮
君) 爆発的にという形容ではなくて、確実に伸びていくと私は思っています。それは、一歩一歩確実に行けば戻ることがない
歴史
だと思います。それは、他国は確かに急速に伸びたかもしれませんが、もう既に
一定
のところでとどまっているという話も聞きます、まあアメリカの例ですが。ヨーロッパはずっと遅く堅実に進んでいます。
日本
は
日本
型な確実な進み方を、今回の制度設計を利用しながらも、ただ、明確に制度設計が応援になったとは思っております。
石橋通宏
29
○石橋
通宏
君 ありがとうございます。 それと裏表の
関係
で
一つ
大切なことをお伺いしたいんですが、
植村参考人
に。 町の
書店
はどうなるでしょうか。
電子書籍
の
流通
促進、
時代
の趨勢でこれから確実に増加していくだろうと。一方で、私たち、
全国
の
日本
の
国民
の皆さん、豊かな
書籍
・
出版文化
に触れていただく、今、町の
書店
がどんどんどんどんなくなっていっています。これは、今後、町の
書店
、更になくなっていく方向に行ってしまうのか、若しくは
電子書籍
の
流通
促進に合わせて、逆にそのリアルな
書店
とそしてこの
電子書籍
とマッチングしながら、それぞれの地方の町の
書店
もこれから新たな展開が望めるのか、また望む方向に行くべきなのか、その点について、最後にお考えをお聞かせください。
植村八潮
30
○
参考人
(
植村八潮
君) 業態変化していかざるを得なければ、つまり紙の本だけを売るのを
書店
と定義するのか、あるいは、そこにおける豊かな
文字
文化
を支える
小売業
が
書店
なのかという定義によるんだと思います。そして、
小売業
の業態というのは確実に変わり続けているわけですので、変わることによって、
全国
津々浦々、
文字
文化
の豊かなハブというんでしょうか、そのアウトプットする機関としての
役割
は非常に大きいと思っています。 ちょっとだけ例えると、私はよく、私が子供の頃、牛乳は専門の配達人が瓶に入れて持ってきました。そういう
流通
チャネルも瓶というパッケージもほとんどなくなりましたが、私たちは牛乳というのを大切な栄養素であり飲物として味わっています。そういう
意味
において、私たちが
文字
文化
というのを味わうための
役割
というのは、そこにおける
小売業
、今後とも大いなるその応援も是非お願いしたいと思っています。
石橋通宏
31
○石橋
通宏
君 ありがとうございました。終わります。
新妻秀規
32
○
新妻
秀規
君 公明党の
新妻
秀規
と申します。 早速質問に入ります。 これ、お三方に最初、
著作権者
と
出版権者
の
契約
の在り方についてお尋ねをしたいと思います。この点については、二之湯先生からも今お尋ねがありました。 まず、
幸森
先生からお尋ねしたいと思うんですけれども、
幸森
先生は先ほどの
意見
陳述の中で、
出版権者
と
漫画家
との間で一方的でない
契約
を結べるような双方の努力をという話をされました。 また、
漫画家協会
としても、昨年の五月の御提言の中で、デジタルへの
出版権
拡大を見据えて、標準
契約
書、
契約
書のひな形のようなものについて早急に
設定
すべきと御提言をされております。そうした御提言の中では、新たに発生する
権利
については全て特約にすべきというふうにされておりまして、また、同じ月に行われたヒアリングの中でも、
漫画家
は法律家ではないので、複雑な内容の
契約
書というのは
出版社
から提案されてもなかなか
理解
できるものではないと。先ほども、
社会経験
がなかなかない若い年齢でデビューされる方もいらっしゃる、そんなお話もありました。そうした中で、
漫画家
を始めとした
著作権者
の
権利
の保護のためにこうした標準
契約
書の
整備
、これは私も極めて重要な問題だと、課題だと認識しております。 ここで、そういう標準
契約
書の在り方、誰が作って、どんなような項目が含まれるのが望ましいか、御所見をまず
幸森
先生、お願いをいたします。
幸森軍也
33
○
参考人
(
幸森軍也君
) 質問をありがとうございます。 現在、
日本漫画家協会
内部で標準
契約
書的なものを作っております。これをコミック
出版
をされている
出版社
さんたちと打合せをしながら、より良いものにしていこうというふうに現在考えているところでございます。こちらの要望だけではなく、あるいは
出版社
さんの要望だけではなく、どちらか一方ではなくて双方が納得できる形のものというのが一番いいのかなというふうに現在は考えております。
新妻秀規
34
○
新妻
秀規
君 ありがとうございます。 それじゃ、同じ質問を
高須
先生、お願いいたします。
高須次郎
35
○
参考人
(
高須次郎
君) お答えします。 先ほど申し上げました私ども会員アンケートしましたときに、
出版
契約
書を取り交わしている会員社は五割でした。最近は増えてきて、大体六割から七割ではないかと思っています。 それで、標準
契約
書を私ども作っております。これは、
日本
ユニ
著作権
センターと私ども
著作権
管理団体が協力して、これは
設定出版権
ではないいわゆる独占型の
契約
書、それを作ってやっております。ただ、書協さんなんかの標準
契約
書を使っている社が半分ぐらいで、そうでないものが、いろいろ変形したものとか入れまして、まあ半々ぐらいの使用状況になっています。 今、経産省、あちらの方で
出版
契約
についての検討
会議
されていますので、私は、非常に著者の方が分からない、そういうことが質問でも出ておりますので、やはり分かりやすくちゃんと説明をするとか、そういうふうな
契約
書をやっぱり作っていく方が望ましいのではないかというふうに思っております。
新妻秀規
36
○
新妻
秀規
君 ありがとうございます。 最後に、
植村
先生、先ほども
契約
に基づく
信頼関係
とおっしゃっていました。御所見をお願いを申し上げます。
植村八潮
37
○
参考人
(
植村八潮
君) 好むと好まざるにかかわらず
契約
の
時代
になったんだということは、それは
出版者
もまた個人
事業
主である
著作権者
の方もやはり
理解
して、その枠組みの中で生きていかなきゃいけない
時代
になったということだと思います。 その
契約
でうまくいかないことは、既に経済
産業
省を中心とした枠組みの中でのガイドラインの作成とか、あるいは
出版者
自ら
著作権者
との話合いの中でのADRの設立とか、その外側に二重、三重にもそこをうまく運用する仕組みづくりというのが求められるんだと思います。
契約
は第一歩ですが、そしてそれが担保されないときにやはりそれは
著作権者
を守る形というのも、ガイドライン、ADRという枠組みの中で構築されていく必要があると思います。
新妻秀規
38
○
新妻
秀規
君 それでは、続いて
植村
先生にお伺いをします。ナショナルアーカイブについてです。 先生はこれまで
中川勉強会
や様々な場でこのナショナルアーカイブの課題、検討されていらっしゃると承知をしております。また、先生御自身としても専門誌の「ず・ぼん 図書館とメディアの本」の昨年の二月号にも寄稿されておると認識をしております。そこで先生は、公共図書館では
電子書籍
を扱う必要はない、民間の運営に委ねるべきと主張される一方で、国会図書館でのナショナルアーカイブは
電子書籍
の納本も含めて推進をすべきと訴えていらっしゃいます。先生がそのようにお考えになる
理由
について御教示をお願いをいたします。
植村八潮
39
○
参考人
(
植村八潮
君)
一つ
の持論の
世界
になってしまいますが、公共図書館の果たす
役割
というのは、私たちの
国民
の知る
権利
を担保するということで、とても重要だと思います。何の対価も求めず
知識
にアクセスできるということだと思います。ただ、もう一方において、先ほど述べましたように、
読者
のお金によって
出版物
が生み出されるというのは
言論
表現の自由を担保するために非常に重要だと思いますので、このお金の回る仕組みを考えたときに、それは公共図書館でやはり全て自宅で読めていくということは、うまいこの仕組みづくりを壊してしまう可能性がある。 ただし、
日本
の
出版物
というのを、生み出されたものが国家の資金によってちゃんと保存されているのは重要です。それは
国立国会図書館
の中にアーカイブとして収まるべきだと思います。ナショナルアーカイブといいますと、どうしてもデジタル
文化
財全てを含んでしまいますが、その中核にあるのはやはり
出版物
だと思います。一番長い、長いってもちろん博物館のものはもっと古いですけれども、私たちが知恵、
知識
の枠組みの中として保存してきた
出版物
というものをこのアーカイブスの中核に置いて、国がずっと保存するということは大事なことだと思っています。
新妻秀規
40
○
新妻
秀規
君 同じくナショナルアーカイブについて、今度は
漫画
のナショナルアーカイブについて
幸森
先生にお尋ねをします。 先生、先ほど
意見
陳述の中で、
漫画
を、集中管理機関みたいなものをつくろうとおっしゃっていました。また、昨年の五月の御提言の中では、
漫画家協会
はナショナルアーカイブの必要性は認めつつも、
漫画
についてはハードルが高いとおっしゃっております。その
理由
としては、
漫画
はJASRACのような報酬請求権で成り立っているのではないと。多くの場合で監修作業が行われて、作者の人格権侵害が起こらないようにすることが必要なことがよくある、また、使用金額についても度々交渉が行われて
一定
ではない、こんなようなことが挙げられております。 私が思うのは、やはり
漫画
は
日本
が誇るべき
文化
であって、こうした
文化
がナショナルアーカイブに含まれるのが望ましいのではないか、このように考えておるのですが、どのような
条件
が満たされればナショナルアーカイブに
漫画
を組み込むことが可能になるのか、検討の余地の有無も含めて御所見をお願いを申し上げます。
幸森軍也
41
○
参考人
(
幸森軍也君
) ありがとうございます。 難しいといえば難しいですけれども、まず、多分
漫画家
というのは、先ほど申し上げましたように、中学生の女の子とか高校生の女の子がデビューして
プロ
でやっていたりして、非常に幅が広い
分野
だと思います。 ナショナルアーカイブとか集中管理というのはしていく必要がとてもあると思いますし、マストだと思っておりますけれども、そういう
意味
では、やはり、今個人情報の問題もありますけれども、
出版社
さんとかそういういろんな周辺の
企業
さんの協力を得てでないとなかなかつくっていくことができないと思います。 現在、
漫画家協会
の会員が六百人ぐらいだと思うんですけれども、
漫画
で確定申告をしている人はもっと、多分その十倍ぐらいはいるのかもしれません。そういう中でどこまでを
漫画家
と言うのか。
日本
のクリエーティブというのはハイアマチュアと
プロ
というものの境というのが非常に曖昧な
部分
がありますので、そういう
意味
では、どこまでを
漫画家
として登録するのかというのが、現在、
日本漫画家協会
でも会員資格という
意味
で非常に悩んでいるところでございます。 それから、もう一点付け加えさせていただきたいのは、現在、
国立国会図書館
におきまして、先ほど申し上げましたように、
日本
の
漫画
が
海外
で発売されていますけれども、多分、
漫画
だけではなくて文芸もそうだと思うんですけれども、
海外
で発売された
日本
の
作品
というものは
国立国会図書館
にほとんど保存されておりません。これは、
国立国会図書館
法を改定しないと保存ができないそうです。
許諾
は
日本
で出しているわけですから、サンプルは
日本
に一冊、二冊ではなくて十冊、二十冊レベルで来ていますので、そこを改定していただければ
国立国会図書館
に納本することは多分できると思うんですけれども、今はできないそうです。 ということで、現在、
日本
の
漫画
が
海外
でどれぐらい出ているのかという
データ
はどこにもございません。 以上です。
新妻秀規
42
○
新妻
秀規
君 ということは、じゃ、やはりそうした調査も含めて、また
法整備
も含めて、また
漫画家協会
の中で御検討があって初めてナショナルアーカイブに
漫画
が組み込むことができるかということが、ようやくその検討の舞台ができ上がる、そういうふうに
理解
してよろしいでしょうか。
幸森軍也
43
○
参考人
(
幸森軍也君
) はい、そうだと思います。先ほど
植村
先生がおっしゃったように、これからがスタートなんだろうと思います。 ありがとうございます。
新妻秀規
44
○
新妻
秀規
君 御三方、先生方、本当にありがとうございました。 以上で質問を終わります。
松沢成文
45
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文と申します。今日は三人の
参考人
の先生方、お忙しい中ありがとうございました。 まず、私は、ちょっと今までの質問とは違った角度で、今回の
法改正
に絡んでの消費者
対策
についてお伺いをしたいと思うんです。 今回の
法改正
のポイントというのは、今までの
議論
ありましたけれども、
インターネット
上の
海賊版対策
と健全な
電子書籍市場
の
形成
ということが
目的
だと思います。ただ、これまでの
文化審議会
の小
委員会
とかあるいは各関連
事業
団体の検討経過というのを見てみると、作家などの
著作権者
とまあ
出版社
ですね、それから経済団体とか、主に供給者側の視点から
議論
が進められてきたというふうに思えてならないんですね。
出版者
への
権利付与
の在り方という、供給者側の
権利
規定を
整備
することが本来の
趣旨
であるということは私も分かりますけれども、健全な
電子
市場が
形成
されるためには、もう一方の受給者側、消費者であるユーザー側との
理解
と適切な
権利
行使というのが欠かすことができないというふうに考えています。 そこで、一月三十日の朝日新聞の朝刊に面白い記事載っていたんですね。面白いと言っては失礼かな。「
電子書籍
消える蔵書
企業
撤退で読めなくなる例も」という大きな見出しが付いておりました。これ、
電子出版
事業
から
企業
が撤退してしまうことで
電子書籍
を読めなくなるケースが発生していると、こう書いてあります。 そもそも紙媒体の
書籍
と違って、
電子書籍
を購入しても、それは自分のものにはならないわけですね。
電子書籍
というのは、物ではなくて
データ
であると。つまり、所有権がないわけなんです。最大手のこれ、アマゾン・キンドルストアというのの利用規約には、「コンテンツは、コンテンツ
プロ
バイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。」と、確かにこういうふうに書かれているらしいんです。 しかし、たとえこの規約を読んだとしても、素人が正確にその
意味
を把握するというのはなかなか難しいし、実際にはこうした細かい規約に目を通してから購入する人も少ないというふうに思うんですね。多くの購入者は、購入した
データ
が自分のものではないということすら分からないで、買ったんですから、自分のものだと思って購入してしまう人が多いと思うんです。 こうしてせっかく買ったのに、
事業
者が
配信
から撤退してしまって読めなくなってしまうというような消費者に不利益を与える
事態
にはどのような
対応
が考えられると思いますか。また、消費者にこうした
電子書籍
の実態を知らせることの必要性についてどのように考えるか。これ、それぞれ皆様からこの消費者
対策
についての御
意見
をいただきたいというふうに思います。
丸山和也
46
○
委員長
(
丸山和也
君) まず、じゃ
高須参考人
、よろしいですか。
高須次郎
47
○
参考人
(
高須次郎
君) 大変難しいお話だと思うんですけれども、これはこれから起きてくるということは当然考えられますね。その場合の
対応
をどうするかということですけれども、
出版者
の考え方で申しますと、それなりに
出版者
がそういうふうな
データ
をまたお渡しするとか、そういうふうな
対応
をしていくということぐらいしか考えられないんですね。それ以上のものはもう少し大きな法律的な
対策
をしていただく以外にないんではないでしょうか。余りこの点については正直考えておりませんでしたので、こんなところでお許しください。
幸森軍也
48
○
参考人
(
幸森軍也君
) 非常に難しい問題かつ重要な問題だというふうに認識しておりますけれども、既に
時代
がそういうふうに動いてきておりますので、
利便性
とか選択肢の中の
一つ
というふうに考えるべきなんでしょうけれども、教育の問題なのかもしれないですけれども、例えばウィンドウズのソフト、OSですよね、それを買ってバージョンアップ、XPのサポート期間が終わってしまって、みんな変えなきゃ、バージョンアップしなきゃいけない、それも同じ
理由
のような気がするんですよね。それに対してやっぱり文句言う人ってそんなには、もちろん腹の底では文句はあるでしょうけれども、マイクロソフトに対して文句を言う人というのはなかなかいないわけでありまして、
電子書籍
も多分そういう
意味
では閲覧権を期間限定で買っているというふうな認識をするべきなんだろうと思います。ハードウエアとかソフトウエアというものがバージョンアップしてしまうと、サイトが生きていてもそれは多分読めなくなるんだろうなというふうに今私は思っております。 そういう
意味
では、その
電子書籍
、
国立国会図書館
で
電子書籍
のアーカイブというのも含めて長く読めるようになるというのが一番いいんでしょうし、そういうものであるべきなんでしょうけれども、それは逆に
海賊版
が出やすくなるということにもなるということで、非常に難しい問題なんだろうと思っております。 以上です。
植村八潮
49
○
参考人
(
植村八潮
君) 今ほどありましたように、
幸森参考人
も御指摘されたように、パソコンに関しては結構
理解
されているけど、
電子書籍
に関しては、えっ、所有していないのと思うって、これがまさに
電子書籍
というのが全く新しいメディアだということで、ですから、多分時間の経過の中で
理解
は進むかとは思います。 ただ、私どもは、どうしても新しいメディアを古いメディアの延長で捉えがちです。つまり、
書籍
と同じように
電子書籍
を捉えているという
読者
の方がいるならば、それに沿ったことをするのがビジネスの、あるいは提供する側の責任だと思っています。それは、単に告知しろとかリテラシーを上げろという話ではなくて、まさにそれこそチャンスなんですから、それをうまく利用するビジネスというのは当然考えるべきだと思います。 現にアメリカでは、ソニーがリーダーの提供をやめるというときにコボが引き受けるということがあるように、これこそまさに私はビジネスのチャンスで、今できていないという不満があるならば、不満に応えるように我々は、我々というんでしょうか、業界も考えていくということだと思います。
松沢成文
50
○松沢成文君 今回の
法改正
、
海賊版対策
というのが
一つ
の最大の問題であると思うんですけれども、もう一度お三方にお聞きしたいんですが、少し問題を整理するという
意味
で、先ほど
植村参考人
の方からも、まだまだ今回の改革はスタートだと、これから
著作権
の問題、
海賊版
の問題を含めてしっかりと内容を詰めて新しい
時代
に
対応
できるものにしていかなきゃいけないというのがありました。 で、具体的に、それでは、今回の
法案
のどこの
部分
がまだまだ問題であって、それに対してどういう更なる改革を望むのか、これを各団体、端的に教えていただければ今後の私たちの
議論
に
参考
になりますので、よろしくお願いいたします。
丸山和也
51
○
委員長
(
丸山和也
君) じゃ、今度は逆に
植村参考人
から各お三方、端的に時間の
関係
でお願いしたいと思います。
植村八潮
52
○
参考人
(
植村八潮
君)
一つ
は、
著作権
制度、今回の
法改正
の中の話ではなくて、そのもう
一つ
の制度としてはやはり登録制度、
著作権
の所在を明らかにするということだと思います。それは必ずしもコンテンツだけではなくて、いわゆるメタ
データ
とか書誌情報とかをちゃんと登録するということでオーファンワークスをなくすような制度設計が求められると思います。 以上です。
幸森軍也
53
○
参考人
(
幸森軍也君
) 今回、これまでは
著作者
のみが
海賊版対策
、要するに
訴訟
権を持っていたというところでございますが、今後
出版者
も持てるようになったということで、これをいかに、
現状
は持てるようになっただけで、いかに実効性を持たせていくかというところが一番難しいところなんだろうなと思っております。 以上です。
高須次郎
54
○
参考人
(
高須次郎
君) これは最初
意見
陳述で申し上げましたとおり、一体的にしていただきたいと、
出版
を引き受ける者に対して
出版権
を
設定
していただきたいと、それが
一つ
です。 もう
一つ
は、一
号出版権者
であっても
海賊版対策
について何らかの措置がとれるような
対応
をしていただきたいというのは、みなし侵害規定の
議論
もありました。一番最初には特定
版面権
がありました。私的には、特定
版面権
といいますか、特定
出版物
権というような形でそういうふうな違法なデジタルスキャンを止められるような
対策
をしていただきたいというふうに思います。 以上です。
松沢成文
55
○松沢成文君 以上です。ありがとうございました。
田村智子
56
○田村智子君 よろしくお願いいたします。
日本
共産党の田村智子です。 まず、
高須参考人
にお聞きをいたします。 やはり御主張の中心点が、
出版権
の一号と二号を一体的にということが御主張の中心点だったかと思いますので、その件に関してなんですけれども、やはり一号のみで
契約
になってしまって二号の
出版権
を
契約
上得ることが困難というケースを、もう少し具体的に考えられるケースとして、先ほど過去の
著作物
というのは
幸森参考人
からの御指摘でなるほどと思ったんですけれども、これから発売するような、これから
出版
するようなものについて、一号は取得できるけれども二号はなかなか
契約
上結ぶことが難しいと考えられるような具体のケースというのがどのようなものになるのか、考えられましたらちょっとお聞かせいただきたいと思います。
高須次郎
57
○
参考人
(
高須次郎
君) 一番簡単なのは、著者の方が、一号については
高須
君のところでやるよ、だけど二号についてはこういうふうな、例えば外国のそういう
配信
業者から言われたからこっちでやりたいというふうに分けてこられたら、こちらとしては、ああ、そうですかということにならざるを得ないと。 ですから、本来はコンテンツというのをつくるのに時間を掛けて
投資
をしてきているわけですね。ですけれども、それができた段階で分けられちゃうということになってしまうと、紙の方の
出版物
の再生産が利かなくなるということを恐れているわけです、私どもは。ですから、一体的に欲しいんだと。少なくとも最初はやらせてくださいというふうなのが私どもの主張です。 以上です。
田村智子
58
○田村智子君 やはり大手のプラットフォーマーなどに対してどう対抗していくかということが
一つ
大きな問題になっていくんだろうということは私も
理解
をいたします。 その問題では、先ほど
フランス
などでは、
電子書籍
の
価格
についても
一定
の
価格
の値崩れを防ぐような
価格維持法
のような
法整備
が
フランス
では成立しているというふうに御指摘があったんですけれども、
日本
において
電子書籍
の
価格
の在り方について、
フランス
の事例などももう少し詳しくお聞かせいただければと思うんですが、お願いいたします。
高須次郎
59
○
参考人
(
高須次郎
君)
フランス
の場合は、紙の方は
再販
制でラング法というので保護されて、五%程度の値幅
再販
ということなんですが、
電子
の方は一昨年か何かにできたんですけれども、そのきっかけが
海外
の巨大プラットフォーマーの本についての値引き販売だったんですね、
電子書籍
についての。猛烈な値引き販売をしてお客を集めて、それで周りのほかの商品も売っていくと、こういうややおとり販売的なやり方をしたために、いわゆる町のリアルな
書店
さん、そういったところとかが売行きが悪くなってきた。そういうことで、リアル
書店
さんを基本的に守らなきゃいけないということで、これは
価格
を
出版社
側に作ってやらないとまずいと、そういうことから法律ができたと。そういう
意味
では、統一的なやり方をして、
出版
、
書店
を守るというやり方を
フランス
はやっている、やはり
文化
国家だな、やっていないと
文化
国家じゃないと言うと問題になりますけれども。 やはり私としてはそういうふうな
両方
をやっていっていただきたいと思うんですよ、統一的に。でないと、
出版社
には優秀な
編集者
がいっぱいいるわけですよ。そういう方たちが
時代
を見ながらこういう本を作っていくということで、
日本
の全体的な知の継承とか創造をやってきた、
伝達
をやってきたということで、その
部分
が壊れてしまうと
著作者
の方も当然困っていくということになると思うんですね。 ですから、そういう
意味
で、何も
出版社
だけの利害を言っているんじゃなくて、
書店
さんなんかを含めた全体をどうやって守っていくのかという
意味
で、その
両方
を是非いただきたいと、こういうことなんです。
田村智子
60
○田村智子君 同じ質問を
植村参考人
にもお聞きをしたいんですけれども、やはり
電子書籍
は購入ではなく閲覧や使用だと、基本的には。そういうことも含めて、じゃ、
価格
の
一定
のルールというのはやっぱり国境がないのでなかなか難しいところはあるかもしれないのですが、何か
一定
のルールというものが求められてくるかと思うんですけれども、御所見をお願いいたします。
植村八潮
61
○
参考人
(
植村八潮
君)
価格
はどうやって決まるかと、それは結局、消費者、
読者
と売手とのバランスの中で決まっていくものです。これは、本もその例外ではないと私は思っています。 ですから、別にそれが、
出版社
は別に勝手に値段を決めているのではなくて、どの程度の
価格
設定
をするとよりよく売れるのかということを考えながら値付けされていますし、その結果として、
日本
の
書籍
は大変安い、いろんな
理由
がありますが、安いという形が生まれています。だから、
電子書籍
も、別に必ずしも安いとは限らなくて、高くなることも考えられます。現に学術情報は、全てが
電子
ジャーナルといってほぼ全部
電子化
、
世界中
の最先端の学術情報は
電子化
が終わっていますが、これはむしろ高くなりました。というか、もっと高くなって大変な
事態
になっていますが、まさにそれは市場との枠組みの中で決まっていく問題だと思います。
田村智子
62
○田村智子君
幸森参考人
にお聞きをしたいんですけれども、
幸森参考人
は、一号、二号の一体的というのは余りに
出版者
側の
権利
として強大になり過ぎるのではないかというお話だったんですけれども、その
出版者
と
著作者
の
契約
の在り方、先ほどもお話がありましたが、やはりこれ改善をしていく上で具体にもし御提案がありましたら、こういうルールがあればとか、あるいは
プロ
野球なんかは直接
契約
でなく代理人が
契約
をするような方も生まれてきていますけれども、まあ十代の若い方もいらっしゃるというのでなかなか一律のルール化というのは難しいかとは思いますが、何らかの具体の改善の方向というのがありましたらお聞かせいただきたいんですけれども。
幸森軍也
63
○
参考人
(
幸森軍也君
) ちゃんと話合いをするということだと思いますけれどもね。そういう
意味
では、今まで、これが標準の
契約
書だから黙って判こをつけみたいな、まあ極端な言い方をすればそういう形で、受け取る側も読んでもよく分からないから黙って判こをつきますというような、どちらが悪いということではなくてそういうのが慣行だったわけですけれども。 その中に、今回も含めてですが、どんどんどんどん
著作権法
が
改正
されていって、もう訳が分からないものに
署名捺印
しているということではなくて、ここはこういう
意味
なんですよと。例えば、おうちを借りるときには重要事項説明みたいなことがありますよね。そういう形で、ここはこういう
意味
ですよ、ここはこういう
意味
ですよということを
理解
した上でやっぱり判こ、
署名捺印
をするというような慣行をしていくのが一番大切なことなんだろうなと思っておりますけれども。
田村智子
64
○田村智子君 もう
一つ
、先ほどの御
意見
の中でも塩漬けの問題というのもあったかと思います。
著作権法
上は八十四条で、六か月を過ぎても
出版
がされない、今回は
インターネット
でも
配信
されないが加わりますけど、その場合には、義務に違反をしたということで
出版権
を消滅させることができる。それは
理解
している
著作者
がどれだけいるかということにはなってくるかと思いますが、この条項が本来機能すればその塩漬けの問題というのはもっと解決していくということなんでしょうか。
幸森軍也
65
○
参考人
(
幸森軍也君
) おっしゃるとおり、多分、
出版者
側も著者側もそんなことは誰も知らないというのが実際だとは思いますし、例えば現在の
出版
契約
書、書協さんが出している標準
契約
書の中には、紙の
出版
だけではなくて、翻訳権とか
映像化
権とか
商品化
権とか、いろんな支分権を含めた形で
契約
をしているわけですけれども、例えば、
出版
は六か月以内にしますよ、映像も六か月以内にしますよ、翻訳も、そんなことはあり得ないわけで、
出版
はしていますけれどもほかのものはしていないものに対して削除要求をしたときに、それだけはできないというのが多分実態なんだろうなと思いますけれども。
田村智子
66
○田村智子君 ありがとうございます。 もう一点なんですけれども、
高須参考人
と
幸森参考人
にお聞きをしたいんですけれども、
現行法
上、
雑誌
を丸々
一つ
の単位として
出版権
を
設定
できるか否かというところが明確にはなっていないというふうに思います。それで、今回の
出版権
を
電子書籍
にも拡張したことで、丸ごと出されちゃうということが、発売日の前にもう「ジャンプ」とかそのまま出されちゃう、そういうやり方に対して今回の
法改正
が有効に働くのかどうかということについて御所見をお聞かせいただきたいと思うんですけれども。
高須次郎
67
○
参考人
(
高須次郎
君) 現在のあれでは違法ですよね、それは。今回のことで止められるのかというと、違法
行為
であればそれは止められるんじゃないかなと思うんですけれども。
幸森軍也
68
○
参考人
(
幸森軍也君
)
契約
の内容によると思うんですけれども、
雑誌
に執筆するときというのは基本的には
契約
書はないんですね、
雑誌
の場合は。ですから、その大前提となるときに期間限定で一部譲渡するとか、そういうことも含めてですけれども、今回の
改正
でかなり有効な方向に動くようには思います。
田村智子
69
○田村智子君 最後に、私もちょっと
電子
図書館の問題で
植村参考人
にお聞きをしたいんですけれども、先ほども質問にお答えいただいているんですけれども、図書館に行かずに得ることができるということで使用料、サービス料が発生する。ただ、公立図書館の場合はやはり無料で閲覧ができるということが大原則になっている。その下で
電子
図書館のそのサービス料を有料な、ビジネスモデルにしていくようなということも検討されていると思うんですけれども、そこをどう考えたらいいかということについてお願いします。
植村八潮
70
○
参考人
(
植村八潮
君) 私たちにとって、より良いサービスが無料だからとは限らないんです。むしろ、有料だからより良いサービスが実現できる。 一番いい例を挙げますと、ビデオって実は当初、公共図書館も貸出しするし、今でも貸出ししているんです。でも、私たちが豊かなビデオに触れるのはなぜか。それは、民間によるレンタルビデオというのが大きな市場を
形成
して、そしてそのことによって、実はハリウッド映画は映画館での売上げよりもレンタルビデオからの売上げが既に多いんですね。つまり、どれほどすばらしい映画が生まれるかというのは実はレンタルビデオがつくり出したんです。 この
関係
があると考えたら、
電子書籍
という、レンタルという、それを
電子
図書館といっては何ですか、有料
電子
図書館的にいえば貸出しというんでしょうか、そういう有料貸出しというビジネスがあってしかるべきじゃないでしょうか。何でもかんでも無料だからいいんではなく、有料によってより良いビジネス、二十四時間、にこやかな
対応
、いや、いつも、あっ、ごめんなさい、図書館もにこやかな
対応
をしていただいていますが、そういうような枠組みが、考えていくのが実は市場の
形成
だと思います。
田村智子
71
○田村智子君 ありがとうございました。終わります。
藤巻健史
72
○
藤巻健史
君
日本
維新の会、
藤巻
です。お願いします。 今日は、お三方どうもありがとうございます。 お話を聞いているうちにちょっとコンフューズしてきたことがあるので、基礎的なあほらしい質問というか、ばかにされちゃうかもしれないような質問をさせていただきますけれども。
高須参考人
が、第一
号出版権
と第二
号出版権
を一緒にしていただかないと、一生懸命そのコンテンツを作るためにいろんなことをしたのに、何か簡単に第二
出版権
を持った人に持っていかれちゃうというお話をされていたと思うんですけれども、
漫画
の場合にはその原作者が書いたものがそのままきっと
出版
されていっちゃうんだろうと思うんですけど、私が書いたような本、私自身は全部、一〇〇%自分の本だというふうに、原稿だと思っていますけど、聞くところによると、多くの方はゴーストライターが書いたり、それから
編集者
がどんどん直していったりして出しますよね。そのときに、その第一
号出版権
で出したものを、いろんな人の手が掛かっているものを第二
号出版権
の方がそのまま使えるんですか。 私、ちょっと考えていたのは、今まで思っていたのは、その第二
号出版権
を持った人というのは第一
号出版権
を持っている人にかなりのお金を払わないと第二
号出版権
というのは得られないかなと思ったんですけど、いかがでしょうか。
高須次郎
73
○
参考人
(
高須次郎
君) お金を払う必要はないんです。
藤巻健史
74
○
藤巻健史
君 ということは、
著作権
じゃないから、ないということですか。そうですか。分かりました。ちょっと後で考えてみます。 次の質問ですけれども、
幸森参考人
にお聞きしますけれども、
漫画
って、
雑誌
の場合、一枚幾らで書いていると思うんですけれども、それを本にした場合、本を書く場合は、ちょっと人の懐を聞くようで恐縮ですけれども、
印税
って何%なんでしょうか。
幸森軍也
75
○
参考人
(
幸森軍也君
) ケース・バイ・ケースですけど、おおむね一〇%だと思います。
藤巻健史
76
○
藤巻健史
君 じゃ、
植村参考人
にお聞きしますけれども、
漫画
以外の本って私は全部一〇%と
理解
していたんですけれども、一〇%以外のケースってありますですか。
植村八潮
77
○
参考人
(
植村八潮
君) それはもちろん
著作権者
と
出版者
の
契約
と、コンテンツの例えば販売力とか、あるいはそれにおける
読者
の存在によって様々ですので、いわゆる買取りもありますし、私がかつて関わった学術
出版
で、そもそも論文の投稿に
著作権者
がお金を払わないと学会が載せてくれない
世界
があるわけですから、真逆ですよね。 これはまさにニーズとの
関係
の中で様々な
取引
形態はあると思いますが、ただ、上の方は大体一〇%で、ある枠になるのかなというところはあるかとは思います。
藤巻健史
78
○
藤巻健史
君 上の方って、何が上の方ですか。
植村八潮
79
○
参考人
(
植村八潮
君) ごめんなさい、言葉が足りませんでした。例えば二〇とか三〇はないですねということです。それは、どうしても本の原価から考えまして、大体一〇%というのが業界的にでき上がった約束事かなと思います。ただ、翻訳しますとこれと別な経費が原
著作者
にも掛かりますので、どうしてもトータルすると一六とかいうことにはなります。
藤巻健史
80
○
藤巻健史
君 今ちょっと翻訳の話が出てきたんですけれども、例えばこれも基本的な質問なんですけれども、
日本語
で出している本を例えば私が英語に直した場合というのは、これ、別な本になるんですか、それとも同じ本なんでしょうか、
植村参考人
。
植村八潮
81
○
参考人
(
植村八潮
君) それは
著作権
における二次的利用と言われていまして、あくまでも基の本をベースにして、ただし、その翻訳という新たな作業が二次的な創作として認められていますので、原著に新たな二次的な
著作権
が乗るという形にはなります。
藤巻健史
82
○
藤巻健史
君 ちょっと今、本題とずれてきちゃったんですけど、その場合にはお金は払う必要はあるわけですね。
植村八潮
83
○
参考人
(
植村八潮
君) 創作的な
行為
に対して対価が払われるというのは普通の資本主義の美徳だと思います。
藤巻健史
84
○
藤巻健史
君 ちょっと
印税
の話に戻りまして、一〇%だとしまして、それで、昔ですと、
著作権者
って、大体、判こを押していましたですよね、本に
一つ
ずつ、それで何部売れたか大体
理解
していたんですけれども、最近、
出版社
が本の部数をごまかしているというニュース、どこか、何か出ていましたですね。それでも、普通の本というのは第一版とか二版とか出ているので、それなりの
信頼関係
もありますし、ある程度その数分かるかと思うんですけれども、
電子出版
になっちゃった場合、
著作権者
を守る
方法
というか、要するに部数、アクセス数が幾らとか、そういうチェックというのは
著作権者
はできるんでしょうかね。
植村参考人
にお願いします。
植村八潮
85
○
参考人
(
植村八潮
君) まさに、
契約
には
信頼関係
があるということが大前提ですし、その上ででき上がった
契約
に沿わないで、それは部数の報告義務というものがあるわけですから、それはやっぱり
社会
的に罰せられる、そのような組織、仮に
出版社
であれば信用失墜するというわけですから。今まで以上にそのことが明らかになった
時代
であるし、その
一つ
の流れとして、
著作権法
改正
の
文化
庁の今までの御尽力の結果として、ありようの形として
著作権者
と
出版者
が
契約
に基づくという枠組みをつくっていただいて、明らかになったことが非常にすばらしい成果だと私は思っています。 ですから、
契約
社会
である以上、もし
出版者
に、今までの
編集者
って確かに文芸作家と銀座でお酒飲んじゃうだけみたいなことがなかったわけではないですが、やっぱり全ての人が現場教育をするというのは、これは
出版社
であり、
出版
界の義務だと思いますし、一方において、個人
事業
主である作家の先生方もやはり勉強する
時代
になったと私は
理解
しています。
藤巻健史
86
○
藤巻健史
君 今、
印税
の方は一〇%からそれなりに掛かってくるというお話だったんですけれども、
電子出版
の場合の著者に対する支払というのは、先ほどのお話、アクセス数掛ける単価というお話だったと思うんですけど、その単価って大体、一般書ですけれども、集約してきているんでしょうか、それともまだかなり開いているんでしょうか。かなり開いているということは、もし開いているのであれば、二次
出版権
に関してA
出版
よりもB
出版
の方にするというインセンティブが、モチベーションが働く可能性もあるかなと思うんですけれども、
現状
としてはどうなんでしょうかね。
植村八潮
87
○
参考人
(
植村八潮
君) 私の知る限りですけれども、
電子出版
の
印税
というのがほぼほぼ固まりつつありますが、掛ける部数が固まっているかという、点数というんですが、ダウンロード数が固まっているかというと、まだまだ非常に未熟な市場で、期待は大きいですが、実態としては非常に売れていない、紙のようには。オーダーが二桁も三桁も違うと御
理解
していただいていいと思います。
藤巻健史
88
○
藤巻健史
君 いや、私も、確かに紙の方はそれなりにいただいていますけど、
データ
の方は百円単位で、年間、ぐらいしか来ないものですから、それはよく分かりますけれども。 最後に、図書館のお話出ていたんですけど、図書館で、時々私も自分の本が図書館でどのくらい読まれているかチェックするんですけど、私は、実際、本で生活しようと思っていないので、別にそれは図書館で読まれているとうれしいなと思うんですけど、逆に、話聞いたある方では、図書館で読まれるとその分売上げが減ってがっくりするという話をしていた方がいらっしゃるわけですね。 かなり図書館って今使われていて、これいいことなんですけど、逆に言うと、著者にとってみると収益減ということもあるんですけれども、図書館で、やっぱり
著作権
というか、そこからお金を取るというのは、やっぱり
社会
通念上かなりまずいんでしょうか。それは
幸森参考人
と
植村参考人
の
両方
にお聞きしたいと思いますが。
幸森軍也
89
○
参考人
(
幸森軍也君
) ありがとうございます。 現在、一年間で、図書館で貸出件数が七億件だそうでございます。
漫画
はそれほど置かれていないんだろうと思っておりますけれども、特に多いのが児童書、絵本でございます。 これは同じく絵本とか児童書の
著作者
団体さんから伺った話でございますが、今、少子化になっておりますので、三歳向けの絵本というのは四歳になったら読まないんですよ。昔だったら兄弟がたくさんいるので、下の子に読ませるために買って家に置いておくということがあったんですけれども、少子化ですから、三歳の子が四歳になったら読まないものは買わないので、図書館に行ってしまう。図書館も、一冊ずつ保管のために置いているわけじゃなくて、貸し出すために十冊、二十冊と買って、要するに近所の
書店
なりを圧迫するようなことというのも当然起こっておりまして、それは明らかに著者の収入には影響しております。
植村八潮
90
○
参考人
(
植村八潮
君) まず、公共図書館には図書館法による無料原則というのがありますが、これはまさに法律の制度の問題ですので、それは所蔵物、資料等を無料にするというのは法律によって決められているわけですので。 ただ、そのもう一歩だけ先を行けば、それに加わるサービスとして、今でも例えばコピーは大体一回十円で提供されているとか、あるいは今後、アメリカなどを見ると予約したときには有料にしましょうとか、つまり、図書館法における所蔵物は無料の外側として何かのサービスを有料にしていくというのはないわけじゃないとは思います。 もっと言うと、
データ
ベースは所有していませんので有料化ということもあるかもしれませんが、
現状
の公共図書館でそういうコンテンツを利用するのに何か有料になるというのは、今の
国民
の感覚からするとそぐわないと思います。
藤巻健史
91
○
藤巻健史
君 ありがとうございました。
柴田巧
92
○柴田巧君 結いの党の柴田巧です。 今日はお忙しい中、御
出席
をいただきまして、それぞれに貴重なお話を賜りましたことに私からも感謝を申し上げたいと思います。 まず最初に、
植村参考人
にお聞きをしたいと思いますが、先ほども、この
著作権法
の
改正
が第一ステージで、これから第二、第三ステージもあるというお話でしたが、その中でいわゆるオーファン、孤児
著作権
といいますか、
著作物
の取扱いも今後の課題になるだろうということに言及をされましたが、現時点でどういうふうな取組といいますか、やっていけばいいかとお考えなのか、まずこの点からお聞きをしたいと思います。
植村八潮
93
○
参考人
(
植村八潮
君) ありがとうございます。 整理しますと、オーファンというのは誰も利用できないわけですね。つまり、明確に
著作権者
の死後五十年でパブリックドメインになったというものは、当然それはパブリックドメインということで利用できるわけですが、切れたか、切れたかも分からないというのは誰もそれをできない。その結果として、
文化
庁における裁定というのはありますが、実態としてはなかなか運用が難しい。 ということを考えますと、今、ヨーロッパ、EUを中心として動いていますように、まず利用してしまって、ただし、そのときに明らかに
著作権者
が分かり、そうだったときにそれに対する対価を支払っていくというような形で、利用というのは結局、
国民
に資するわけですので、そういう埋蔵された
作品
を単なる市場とか
産業
という切り口ではなく、やっぱりそれが利用できるようになるということをまず念頭に置いておいていただいて制度設計していただきたいと思います。
柴田巧
94
○柴田巧君 ありがとうございます。 次に、
幸森参考人
にお聞きをしたいと思いますが、先ほどもお話があったかと思いますし、先般も読売新聞か何かに大きく出ておりましたが、発売前の
漫画
が
海外
で
海賊版
ですぐ出回ってしまうということで、いろんな国としても取組を相手国などともしていると思うわけですけれども、
幸森参考人
から御覧になって、どういう防止策がまず必要だとお考えになっていらっしゃるか、この
海外
での
海賊版
の取締りというか、特にどういうところに力を入れてほしいというお考えがあれば、お聞きをしたいと思います。
幸森軍也
95
○
参考人
(
幸森軍也君
) ありがとうございます。
雑誌
という単位あるいは単行本という単位で、どうしても実際に
訴訟
を起こすとなると莫大なお金が掛かるわけですけれども、それを例えば
漫画家
あるいは作家あるいは
出版者
というような単位で実際に払い切れるのか。あるいは、費用対効果ですね。例えば、二万円の
著作権
使用料が
海賊版
で侵害されているというのに、弁護士に二十万円払っていたのでは話にならないわけですから、そういう
部分
でやっぱり費用対効果を考えてなかなか
訴訟
に踏み切れないということがありますので、やっぱり国とかそういう大きなところで支援していただかなければなかなか
海賊版対策
というのは進んでいかないんだろうなというふうに思っております。
柴田巧
96
○柴田巧君 その中でも、特に優先順位としてというか、まずこれをやってほしいという何か特にございますか。
幸森軍也
97
○
参考人
(
幸森軍也君
) 優先順位と言われると困るんですけれども、多分どれも同時進行的にやらなければ
海賊版対策
というのはできないと思います。
柴田巧
98
○柴田巧君 ありがとうございました。 次に、お三方にそれぞれお聞きをしたいと思いますが、これまでのものとちょっと重なる
部分
も一部あると思いますけれども、今回の
法改正
も、いわゆる
書籍
文化
というか活字
文化
、
出版文化
、
日本
の豊かなそれぞれの
文化
をデジタル化やネットワーク化に
対応
すべく
改正
をしようということではありますが、この
法改正
以外に皆さんのそれぞれのお立場から、そういう
文化
をしっかり次世代に継承して、更に言えば
海外
にも強く発信をしていくためにどういう支援策が足りない、施策が
海外
などと比較して足りないと、もっとこういうバックアップが、サポートがあればいいなと思っていらっしゃることがあれば、それぞれお三方にお聞きをしたいと思います。 私はこれが最後の質問になると思いますので、言い足りなかったことも含めて、もしあれば御
参考
のためにおっしゃっていただければ幸いです。
高須次郎
99
○
参考人
(
高須次郎
君) 多少繰り返しになりますが、
出版物
、本につきましては、紙の方と
電子
の方が共に
発展
していくような形で、
フランス
のような
価格
拘束法のようなものを是非作っていただきたいということが
一つ
ございます。 それから、やはり
海賊版
の
対策
では、一
号出版権
で
海賊版対策
ができないということでは非常に困りますし、ほとんどは、九五%以上は紙の本からの
海賊版
であると、デジタル
スキャニング
みたいなもの、そういうことを考えますと、やはりこれはこの
法改正
をステップにして早急にまた見直しを含めた検討をしていただきたいというふうに思います。 それから、
電子出版物
等の概念です。国会図書館の方の考え方は、
電子書籍
というのはパッケージ系の
電子書籍
とオンライン系の
電子書籍
というふうに考え方を分けております。そういう考え方を取っております。ところが、この
著作権法
では、第二号はオンラインで、パッケージ系は有体物ということで一号に入れちゃっているということになっているわけで、その辺のことも含めて整理をしていただきたい。特に、
公正取引委員会
の方がパッケージ系は非
再販
であるということでやっていますと、逆に有体物なのに何でそれを
再販
指定できないのかという問題、いろいろあります。 そういうことを含めてやっていただいて、特に
海外
、巨大なメガプラットフォーマーが入ってきます。それにやはり十分に
対応
できて、かつ
出版社
から
書店
さん、そういった皆様が共に今後も
発展
できるような、そういうふうな制度設計を
著作権法
の方においてももう少し考えていただけないかというふうに思います。 以上でございます。
幸森軍也
100
○
参考人
(
幸森軍也君
) ありがとうございます。 冒頭申し上げましたとおり、
漫画
というのは
著作権法
の中に一回も書かれていないので、せめて
漫画
の
著作物
というような形で
著作権法
の中に入れていただきたいなということが
一つ
ございます。 それから、今の中でもさんざん出てまいりましたけれども、JASRACとはちょっと違う形になるかもしれないんですけれども、
権利
の集中処理機構、JASRACは一部譲渡している形になりますけれども、なかなか
漫画
ではそこがハードルが高いんだろうと思いますけれども、
権利
の集中処理機構的なものをつくることが最も急がれるんだろうなと思います。それがオーファンワークスを減らす形でありますし、ナショナルアーカイブにつながっていくものなんだろうなと思います。 それから、冒頭申し上げましたとおり、
海外
で
日本
の
漫画
あるいはアニメというものは受け入れられているんですけれども、実は
日本
の
漫画
の本というのは、最も広く
海外
に広がったのが「ドラゴンボール」で三十か国です。三十か国なんです。物すごく少ない。これはなぜかというと、具体名出すとまずいのかもしれないですけど、タイとか東南アジアで一部百円ぐらいなのが三千部で八%の
印税
というような非常に、著者に入ってくるのは二万四千円、これビジネスじゃないんですよね。なので、一生懸命やっていられない。
日本
の
漫画
だったら、四百円ぐらいのものが四百万部出たりするんですけれども、
海外
はそんな事情ではありませんので、いまだにやっぱり子供が読み捨てる低俗なものという認識で、百円以下で売られているというのが多い形になっていますので、そういう
海外
に広げていくような支援というのがしていただければと思います。 以上です。
植村八潮
101
○
参考人
(
植村八潮
君) 言い足りなかったことをということをお伺いいただきましたが、まず、冒頭の繰り返しになりますが、私どもはグローバル
時代
の中に何らかの
出版
政策あるいは
産業育成策
として国のお力をいただかなきゃいけない
事態
になったということだと思います。そのために、今回、まず
著作権
制度の
改正
ということで、当初、私も度々申し上げましたように、
出版者
への
権利付与
という枠組みの中では、古くから
出版
界は、第八小
委員会
ですか、あれからほぼ四半世紀このテーマを願望してまいりましたし、二〇一〇年の三省デジタル懇からも五年という
議論
があったわけですが、でも、何よりもここでまとめていただいたという
文化
庁の御尽力に本当感謝していまして、なぜなら、我々は今まで持っていなかった道具を手にしたわけですから、まずこの道具を我々はそれぞれの立場で使い切ってみるということが問われていると思います。 その上で、要望になるわけですが、
海外
海賊版対策
、実は一番有効な
対策
はやはり正規品をちゃんと売れるようにするということで、
海賊版
があるからけしからぬという前にちゃんと売っていく。これが先ほどあった
価格
の問題とか様々な、やっぱりできにくい。でも、あらゆる
産業
で、例えば特許における違反とか技術的なものに関して、あるいは商標とかパテントにおける
海賊版
行為
を見ると、やっぱりちゃんと売り始めるとそれは市場として消えていくわけですね。という
意味
において、やはり
日本
の
出版物
を
海外
に展開していく、この方策に関しての御支援をお願いしたい。 もう
一つ
は、グローバル
社会
ですから、我々が出ていくだけでなく、当然、私は
海外
企業
が
日本
で活躍するのは当然のことだと思っています。その結果、
読者
にとってより良いサービスが生み出されるということも、それは歓迎すべき
事態
だと私は思っているんです。
海外
だからいけない、
国内
事業
だからいけないという区分けは私にはありません。 ただ、一点非常に懸念があるとしたら、それはプラットフォーマーによる独占だけは許せないです。なぜか。それはというと、メーカーが独占したとしても、それは多様なメーカーがあるから結構ですが、プラットフォーマーというのは私たちの
言論
表現におけるアクセスそのものの最初の入口が独占されてしまうわけです。これはほかの商品とまた違って、まさに
出版物
におけるプラットフォーマーの独占というのは
言論
表現の自由ということが脅かされる、その可能性を懸念せざるを得ないと思っています。 ということにおいて、まさにプラットフォーマーの独占に関しまして、やはり次なる方策というのは、これは民間の努力と国の政策というその組合せの中で、今後
問題点
が浮上するやに思っています。 そのためにも、長年、議員の皆様、特にまた議連の皆様方とか、様々な形でこのことを論議して注目いただいていますが、今後とも是非注目していただきたいというふうに思っています。 以上です。
柴田巧
102
○柴田巧君 どうもありがとうございました。終わります。
丸山和也
103
○
委員長
(
丸山和也
君) 以上で
参考人
に対する質疑は終わりました。
参考人
の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十五分散会