○小川勝也君 民主党の小川勝也です。
五月十四日、本会議からスタートしたこの二法ですけれども、重要広範議案ということで、与党の
山田筆頭にも御協力をいただいて、今日で政府
質疑四回目ということであります。途中、参考人
質疑も入れさせていただきましたし、出雲の方に視察に行かせていただいて、大変貴重な勉強もさせていただきました。地方公聴会では、地方の皆さんの率直な御意見も伺ってまいりました。いよいよ今日が政府の
質疑ということでは最後になるのかなというふうに思っています。
私は、いろいろなことを林
大臣が
農林水産大臣になってから生意気言わせていただいてまいりました。その中には、自分の原体験に基づいた意見も多数あったかと思います。
そんな中で、いよいよこの
担い手二法も成立する
可能性が非常に高いわけでありますけれども、やはり懸念を表明をし、そして、もし数の力、多数決で
法律案が成立するとするならば、私が懸念をする内容を払拭するために、すぐさま次の行動に出なければいけない、次の法案を一緒に
考えていかなければならないと、そういった立場で
質問をさせていただきたいと思っています。
今、徳永
委員は、JA北海道グループの緊急集会に
出席をして今戻ってまいりました。私は、朝九時半、冒頭顔だけ出して戻ってきました。
農業に対して、あるいは
農業政策に意識の高い
方々が
全国の
農業者の中でどのぐらいおられて、
割合がどのくらいかは分かりません。しかし、北海道は主業農家の比率が圧倒的に高いところでありますので、JAグループの役員の
方々は当然でありますけれども、個々の
農業者も非常に関心が高い。あるいは、先日参考人に来ていただいた山居書記長を先頭とする北海道農民連盟という、いろいろな勉強を共に情報交換をしながらやっているグループも非常に関心が高い
方々であります。
その
方々が、この法案の審議をどのように見守っているのかということを私なりに少し代弁をいたしますと、まずは法案、戸別所得補償なくなるんだよな、一万五千円どうなるんだと。我々畑作の者にとって、麦やてん菜はどう変わっていくのかな、心配です。酪農の
方々は、まあEPAが豪州との間で成立して、関税が最終的に一九・五%になるけれども、TPPではもっと過激な
数字が躍っているな、心配でいっぱいだと思います。
そして、御案内のように、今日、北海道のJAの役員の
方々がお越しになったのは、いわゆるところの
規制改革会議のあの案であります。中央会は要らない、
農業委員会も要らない、企業や法人が入りたければどんどん入ったらいいじゃないかと言わんばかりの流れであります。このことは、誰がどのように仕組んだのかは私は分かりませんけれども、資本主義とか競争とか、企業の立場が色濃く反映されて、
農業政策を論じているさなかに今この法案の審議が行われているのだなというのが私の率直な感想です。
そして、よく車の両輪というふうにおっしゃっていただいています。産業
政策大事です。公正、公平な中で競争をしていただいて、アイデアをしっかり持っている方、努力した方、資本主義社会ですので、どんどん所得を上げていただければいい。しかし、そのもう
一つの両輪である
地域政策あるいは社会
政策は本当に駄目な
政策なのか、そのことをまず確認をさせていただきたいと思います。
前回の議論のときに、特に私はこの法案が成立した後も、
人口問題、特に農村
集落の崩壊に大変心を痛めています。
大臣もしっかり
答弁していただきました。中山間を含め、全部とは言えないけれども、しっかりとした農村コミュニティーは守っていきたいんだ、農村コミュニティーは守っていきたいんだ、こうおっしゃっていただきました。
そう
考えますと、平地で、特に
消費地に近いところで
野菜を作る、これはアイデア次第で
幾らでも稼げます。逆に言うと、平地の大きな区画の固まった
水田は二十ヘクタール、四十ヘクタール、六十ヘクタールあっても、家族の
経営で大型機械で何とかなります。しかし、この間見させていただいた中山間、のり面の草刈りだけでも大変だということを改めて見させていただきました。ということは、農村
集落、中山間、ここを守るためには人が必要だということを私は改めて勉強させていただいて帰ってきたところであります。
また、
質問せずに話ばかりして恐縮ですけれども、北海道は
農業専業地帯です。ですから、林
大臣と同じ年に当選をした私は専業農家の代表として様々
質問を繰り返してまいりました。そして、少ない耕地、少ない農地
面積にしがみついて、余り広くないところにこちゃこちゃとしがみついている本州の農村
集落については深い
理解を持っていなかったのも正直告白をさせていただきたいと思います。もっともっと効率的な
農業をしないと駄目だな、こう思っていたのは事実です。
しかし、今改めて
反省をさせていただくと、
日本の農村社会を支えてきた兼業農家というシステムは
世界遺産に匹敵するすばらしいシステムだったということを今改めて気付いているんです。少ない耕地
面積にもかかわらず、
補助金や
政策の投入は最小限でありながら、その
集落や
地域を守ってこれた
日本の兼業農家のシステムはまさにすばらしいと
考えています。役場に勤め、消防に勤め、信金や農協に勤め、あるいは、それでもなおかつ長男ふるさと主義、長男は、狭い農地
面積でも本家の長男はここに残らなきゃいけない、豊富な労働力を当てに
輸出産業の関連である様々な部品産業が
全国の兼業地帯に立地したんです。そして、
農業所得とその勤労所得の合算によってその
地域の生活が成り立ってきたわけであります。
このシステムが一たび壊れると、北海道のように七十ヘクタールもまとまれば、工夫をすれば、あるいは三十ヘクタールあればいろんな形で
農業所得だけで収入を得ることは可能です。しかし、一たびその兼業のシステムが壊れてしまった後の中山間は、私は取り返しが付かない結果を招くおそれをはらんでいると思っています。ですから、離農
促進法だ、こういう反対意見もこの法案にはありました。私は農村
集落崩壊法案と後世に呼ばれるかもしれないという危惧も持っているところであります。
そして、この法案が、
担い手、それは非常にいい
言葉です。チャレンジ精神を持ってやる気満々で、未来にきちっと希望を持ってやっている人が
中心となってやってくれればいい。しかし、その陰で、農地中間管理法案からこの
担い手法案まで流れで見ますと、
集落の中で後継者が少ない、その少ない後継者に農地を集めてその人にしっかり頑張ってもらおう、こう
考えたときに、その出し手となった
方々や、今のところ後継者がいない、しかし長男、次男、長女、次女、戻ってきたかったかもしれない、そういう
方々の戻りを今回の法案で阻害してしまうんじゃないか、大変心配している次第であります。
私
たちは、衆議院の議論を通じて、
農業者戸別所得補償、いろいろな批判も受けました、しかし、いい点があったというふうに主張させていただきました。
一つは、緩やかな農地集積を、その役割を果たしてきたということ、そして区別と差別をしなかったということで、戸別所得補償という岩盤があるので、リタイアをした、定年退職をした
人たちが、じゃ、おやじ、おふくろのところに戻ろうか、生まれ故郷に戻ってやろうかというインセンティブを強めたと思っています。
そして逆に、これは世間話になるかもしれませんけれども、男性と女性の力
関係でいいますと、昔は男性の力が強かった
時代がありました。お父さんは長男だから、都会の会社を定年退職をしたらお父さんのふるさとに私も付いていきます、こういう女性はこれからは減ってくるように思います。ですから、逆に言うと、あんた、うち、おふくろ一人になったんだから一緒に来てよねという強い女性が男性を引っ張る
時代になってきているんです。
ですから、どんな人でも私はふるさとや農村
集落に戻ってくれればいい、その門戸は広ければ広いほどいいと思っています。
だから、そういった
意味において、この農村
集落を維持するというその
方向性をこの二法案が少し傷つけているのではないかという私の指摘に林
大臣はどう
答弁されますでしょうか。