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2014-06-03 第186回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年六月三日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      野田 国義君     柳田  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        内閣府副大臣   後藤田正純君        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣規制改革        推進室長     滝本 純生君        外務大臣官房参        事官       森  健良君        農林水産大臣官        房総括審議官   松島 浩道君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業担い手に対する経営安定のための交付金  の交付に関する法律の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○農業の有する多面的機能発揮促進に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十九日、野田国義君が委員を辞任され、その補欠として柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣規制改革推進室長滝本純生君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 郡司彰

    郡司彰君 民主党の郡司彰でございます。前回に引き続きまして、新しい農業農村政策について質疑をいたしたいと思っております。  前回、いろいろなやり取りをさせていただく中で、時間の配分関係で詰め切れないような部分が相当ございました。その中の幾つかについて今日もまた質問をさせていただきたいと思いますが、それ以外に、例えば人口減少自給率関係について、答弁では、生産量が一定だといたしましても需要が落ちていけば結果的にそこは消費に回らないという形で、自給率にどういう影響があるかというのをアプリオリに上がる、下がるということを申し上げるのはなかなか難しい、こういうような答弁もございました。  私は、これ前提を置かないと多分出しづらいとかいろんなことは分かるんでありますが、ただ、人口が下がっていけば今の生産量幾らになるかというのは、これは出せるはずでありますので、そういうものを基に、例えば攻めていくという中には輸出もするということも含まれるわけでありますから、自給率が一〇〇%以上の国はないような答弁の内容というのは、ちょっとおかしなことになってくるんではないかなと、こういうふうにも思っております。  それから、日豪のEPAの関係についての試算も結局は出されないということでございましたけれども、これもいろいろの理由は分かりますが、該当する生産者地域にとっては、やはり不誠実というそしりを免れないんではないか、私は、この辺のところについては、これからでもしっかり出すことによって間違いのないような対策というものを取っていくということをやらなければいけないんではないか、このようにも思っております。  それ以外に、今日お尋ねをさせていただきたいのは、ナラシ対策についてでありまして、前回私は、例えば対象者について、認定農業者、それから集落営農、そして認定就農者に限定しているような国というようなところはあるのかという問いをいたしましたけれども、答弁の方は、直接支払面積足切りといいますか、下限といいますか、こういう答弁がありまして、それはそれであり得る話ではありますけれども、私の質問意図とはちょっと違っているような答弁ではなかったかと、そのように思っております。  そこで、今日お配りをさせていただいた表を御覧になっていただきたいと思いますけれども、一枚目の紙は、これ作っていただきました。認定農業者、総数で今のところ、二十二年、二十二万八千九百というような数。それから、稲作がほとんどだというようなところが五万八千八百七十七。半分近くかそれ以下か、比率はともかく稲作も行っているというのが二万五千九百六十七。この二つを足しますと八万四千八百四十四、約八万五千というような数字になりまして、この前段の、では稲作全体をやっている農家数というのはどのぐらいなんだというと、これちょっといろいろな数字があるんですね。百二十万とか、それから集落営農によってカウントをその部分をまとめるというかそういうような形で出てきた、私が目に付いた少ない数字で言うと八十八万。それから見ても、この認定農業者の八万五千というのは九・六%ぐらいにしか該当しないのではないかというようなことをまずちょっと頭の中に入れておいていただきまして、その次の二枚目のものを見ていただきたいんでありますけれども、これは交付金経営規模別加入状況であります。  上の段のナラシ対策及び米の所得補償交付金主食用米作付け規模別に見た加入率でありますが、ナラシ加入者生産予定面積、これがその下の水稲共済加入面積が百四十三万ヘクタールに対して四十三・一万ヘクタール、率で言うと三〇%ちょうどという数字になります。さらに、その下の米の所得補償交付金支払対象面積水稲加入は、同じく百四十三万平方メートル、そしてそのうちの対象が百十三・四万平方メートルでありますから、この時点では七九%。これは、自家飯米の十アールがどちらに入っているのか外れているのか、ちょっと私の方では判断しかねますけれども、いずれにしても八割が三割になるというような形の対象になってくるというようなのが、今の今度の法律の組立てなんであります。  そういう意味において、まずお聞きをしたいのは、今年の稲作申込みの人数、面積、どの程度になる見込みなのか。それから、来年度からは法による施行ということになりますので、限られた人たちの下での政策ということになるわけでありますけれども、いろんなことをおやりになって相当数増やすという努力はするんだろうというふうに思いますが、二十七年度の加入予測、見込んでいらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  7. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) まず、二十六年産ナラシ対策についてでございますけれども、この加入申請期限が本年の六月三十日ということになっておりまして、現時点では正確な加入状況を見込むことは難しいということでございますが、二十四年産と大きな変動はないというふうに考えております。  そこで、二十四年産の米の加入状況について見ますと、加入件数は五万八千件、対象面積は四十三万ヘクタール、加入率は、二十四年産水稲共済と比較をいたしますと、加入件数ベースで約四%、加入面積ベースで約三〇%となっているところでございます。
  8. 郡司彰

    郡司彰君 この後、生産調整見直しということが目前に迫ってきているようなことになりました。  まず、大臣にお聞きをしたいなというふうに思いますけれども、今回、生産調整見直しを行うということにしたその必要性、そして、これまでの何を反省をして見直しを行うということになさったのでありましょうか。
  9. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まず、食生活変化がございまして、一人当たりの主食用米消費量、昭和三十七年が百十八キロでピークでございましたが、直近二十四年で五十六・三キロと、半分でございます。主食用米消費量の大幅な減少傾向が続く中で、一方で、生産装置として水田は非常に貴重でございますので、この有効活用を図るということで、加工用米飼料用米といった多様な米の生産振興を図るということと、さらに、小麦、大豆、固定的な国産需要がありながら多くを海外から輸入に依存している品目について作付け拡大を行う政策が必要である、こういうことでございます。  生産調整は実質的には選択制となっているわけですが、米の生産、販売に関わっていない行政によって生産数量目標配分が行われておりますので、例えば中食とか外食の皆さんから、そういった取引先からの生産拡大要請に応えられない等、担い手農家にとって経営発展がそこで阻害をされる面があったということでございます。  したがって、今回の見直しに当たって、農業者の方がマーケットを見ながら自らの経営判断というもので作物を作れるようにするということ、そして、先ほど申し上げました需要のある麦、大豆あるいは餌米等生産振興を図るということで、農地、水田フル活用を図って食料自給率自給力の向上を図っていこうと、こういうことにいたしました。  生産数量目標につきましては、五年後を目途に、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえながら、生産者集荷業者団体中心となって円滑に需要に応じた生産を行える状況となるように各般環境整備を進めていきたいと、こういうふうに思っております。みんながこの五年後を目途という時期的なイメージを共有してこうした状況になるように、毎年毎年、需要に応じた生産定着状況を見ながら、行政生産者団体現場一体となって取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  10. 郡司彰

    郡司彰君 私は、今の大臣の御答弁理解ができる部分はたくさんあります。しかし、私は、今までのところの、間違っていたところの肝腎な部分が抜けているんじゃないかというふうに思っています。  といいますのは、これまでの日本生産調整、減反という言い方をする時期もございましたけれども、ほかの国のやり方とまるっきり違うのは、ほかの国は、例えば乳製品なら乳製品という作物だけに限定をしていたと思うんですね。ところが日本の場合には、例えば認定農業者をどうのこうのということも含めて、いろんな意味でのペナルティーを科した。逆な意味で、そういうものに参加をしていなければ、融資も受けられないし、基盤整備も行わないというような形を取ってきたんだと思うんです。そのために、結果としては、日本農政からもう関係なしに外れて自分でやりますよという人が最大四割まで出てきた。だから日本農政は、幾ら生産調整をやってももう意味がなくなってしまったんですよ。  それをどうやれば変えることができるかというのが、私どもの苦心をしたやり方も含めてあったというふうに思っておりますけれども、まず、そのペナルティーを科すというような、何というんでしょう、互助組織というものを逆な意味でみんなで縛って、このうちの多数の人たち参加をしなければ土地改良もやりませんよ、そういうようなことをやってきたということに対する反省というものがないのではないかなというふうに思っておりまして、そのことについて、もしお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、既に実質的に選択制になっていると申し上げましたけれども、その選択制になる前、委員がおっしゃったように、いろんないわゆるペナルティー的なものがあってやってきたということであります。結果としてこれはうまくいっていたかどうかと言えば、その今委員が出されたような数字、この外にそういう方がおられたと、こういうことでございますが、その時々に応じて施策を打ってきたと、こういうことであろうかと、こういうふうに思いますので、何か悪い意図を持ってやろうということではなかったと、こういうふうに思っておりますけれども、現場とのキャッチボールと私常に申し上げておりますけれども、不断の見直しをしながらいろんな変遷を経てきてここに至っているのではないか、こういうふうに考えております。
  12. 郡司彰

    郡司彰君 先ほど一問目のところでお聞きをしたのは、私はそこにつながるような要素があるとすれば、それはきちんと考え方として排除をしていただきたいと思っているんです。つまり、認定農業者とか集落営農とか認定就農者という方々に対してはこれからも、そうは言わないけれども、いろいろな融資の道やその他が優先的に受けられる、それ以外の人は受けづらくなるような形になる。例えば、中間管理機構のところで簡単な基盤整備を行うと言うけれども、これはいろんな形の枠の中にとどまっていなければやらないというようなことは、これはないというふうにお約束をいただきたいなというふうに思っておりますけれども。  それに加えて、この生産調整見直しということに関しましては、今現在はこれはお米ということでお話がほとんどされていると思うんです。しかし、日本農水省の中の管轄でいえば、生産調整野菜その他でも行っているわけでありまして、多分、数がちょっと不確かですが、二十六か七品目について自主的な生産調整を行っていて、いろんな地域のものが市場のところに間断なく出回るような、そういう配慮もされているというふうに思いますけれども、この米以外の生産調整というものについても見直しをするということなんでしょうか。
  13. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 言葉の定義の問題ということもあるかもしれませんが、今般の米政策の方の見直しは、正確に言いますと生産数量目標配分というものをやっておったということでございますが、これを、先ほど申し上げましたように、行政による配分に頼らなくても、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、生産者集荷業者団体中心となって円滑に需要に応じた生産を行えるように各般環境整備を進める、こういうふうに申し上げたところでございます。  こういう需給見通し等も含めて、広義、広い意味生産調整というふうに考えますと、そういう意味で、今委員がおっしゃったように米以外の品目でも、野菜については主要品目ごとに国が毎年全国作付面積目安等を示した指定野菜需給ガイドライン、こういうものを作成して、また、果樹についても国が生産量の多いミカンとリンゴについては予想生産量出荷量を示した生産出荷見通し、こういうものを作成して、全国出荷団体に示しているところでございます。  したがって、こういう品目については、今後も、こういうような見通しの作成、公表を通じて、引き続き生産者が自主的な経営判断に基づいて作物ごと需要に応じた生産に取り組めるような支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  14. 郡司彰

    郡司彰君 もう一つお聞きをしておきます。これは、先ほど大臣の御答弁の中で、外食中食生産拡大要請に応えられないような事態も出てきているというお話がございました。  これは、取りようによっては、そのような需要に応えるような生産をこれから行っていくという方向であれば、これまで農水省の方で規制をしてきた新しく田んぼをつくる開田ということの規制については、取り払うということも視野のうちに入っているというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  15. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 食生活変化等によりまして主食用米消費量減少をいたしておりまして、供給力需要量を超えていることから、現在、様々な新規開田抑制措置を講じているところでございます。  さらに、五年後を目途各般環境整備を進めることといたしておりまして、新規開田の扱いにつきましては、その中で需要に応じた生産定着状況を踏まえつつ、現場声等にも留意しながら検討をしてまいりたいと思っております。
  16. 郡司彰

    郡司彰君 これからは開田可能性もあるということをお伺いをした上で、改めてそのことの是非についてこれからまた議論をする機会があるというふうに思いますけれども、繰り返しになりますけれども、前回のようにペナルティーを科す、簡単に言うと、いじめを行って、それに反発する人たちの方が何くそということで、結果として自主流通米が当たり前のような形になったような経験を私たちの国は持っているわけでありますから、そこのところをきちんと農水という枠の中にグリップができるような政策、つまり、多くの生産者人たちがこの国の農政というものの中でやっていけるというような方向でこれから進めていただきたいということを御要望したいというふうに思っております。  次に、もう一つ別な観点からの質問をさせていただきたいと思いますが、経済連携その他のことと今回のことは関係ないとはいえ、時代はまさにそのような時代に入ってきています。  そういう中で、人によって、例えば安い食料品が外国から入る、またそのことによって国産のものも安くなるということは、これは消費者にとって利益ではないか、国にとっても良いことではないかというようなお考えがありますが、このことについてお考えがありましたらばお聞かせいただきたいと思います。
  17. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 食生活、安ければいいのではないかと、こういうようなお話がございましたけれども、いいものが安く手に入るというのはいいことでございましょうが、安くするためにものが悪くなるということでは困るわけでございまして、我が国の食生活野菜摂取不足等の栄養の偏りや、朝御飯の欠食に代表されるような食習慣の乱れ、肥満生活習慣病増加、なかなか答弁していて身が細る思いでございますが、経済連携協定進展等とは今別個の問題だと、まさにおっしゃっていただいたとおりでございますが、様々な課題があると認識しております。  平成十七年に食育基本法が制定されましたが、ここにも国民が食に関する適切な判断力を養って健全な食生活を実現するということが極めて重要だと考えておりまして、米を中心日本各地の地場の農林水産物、これ多彩に盛り込んでおります日本型食生活農水省としても促進していこうということにしております。  食育推進リーダーの育成やフードチェーンを通じた食や農林水産業理解を深めるための体験活動、こういったものへの支援、それから優良な食育活動への大臣表彰と、こういった食育推進を通じて健全な食生活の実践を促すとともに、食や農林水産業そのものへの理解の醸成に向けてしっかりと今後も取り組んでいきたいと思っております。
  18. 郡司彰

    郡司彰君 たまたまでありますけれども、先週の新聞記事日米の大学が調査をしたものが出ておりまして、該当する人がいないところで余り興味がないかもしれませんが、肥満の方が世界に二十一億人なんだそうであります。これ、一九八〇年の八億六千万から大幅に増加をして、成人の場合は割合が三割増えた。肥満度を見るBMIという指数があるんだそうでありますけれども、二五を超える太り過ぎの割合が、世界全体で成人男性三七%、成人女性が三八%に増えたと。一九八〇年に比べると成人で二八%、二十歳未満の子供では四七%増えているんだそうでありまして、三〇を超えている治療が必要な肥満症アメリカ、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの十か国で世界全体の肥満の方の半数以上を占めている。日本では、成人男性が二九%、成人女性が一八%、肥満症はそれぞれ五%、三%。実は、その後の記事がやっぱり気になったのは、今まで肥満を、何というんでしょうね、肥満症ということをなくそうと思った国で成功した国はないというのがこれの結論なんですよ。  つまり、食料品が、アメリカその他の生産が膨大に増えて、それらを輸出補助金を付けて世界中にばらまく。しかも、そのやり方からすれば、ある国の主食に当たるはずのトウモロコシが家畜の餌やなんかでもってお金がある国にどんどん供給をされて、一方は家畜がどんどん食えるような国になるけれども、一方では主食が足らなくて餓死をするようなところが出てきている。  こういう中で、いわゆるジャンクフードとかファストフード、必ずしも悪いことではないけれども、私は、何でも大量に小さいときから好きなものをどんどん食べていいんですよということに、大臣もおっしゃっていて、ここら辺は同じだと思いますけれども、日本の場合には、まだ世界に比べると数値が低い段階でしっかりこのことに取り組むということが必要なのではないかなということを申し上げたいと思いますし、必ずその裏側で、肥満の問題というのは飢餓の問題なんだということをやはり日本全体としてもいろいろなところでアピールをしていただければなと、そのように思っております。  それから、時間の関係で最後になるかもしれませんけれども、人口減少をする集落について、先日も委員会で視察に行ってまいりました。そこでいろんなことが出されましたけれども、結論めいた話をすれば、農水省だけで取り組むようなことじゃないんじゃないか。それは総務省やいろんなところと連携をしながらやらなければいけないということ、このことは分かるんですが、それだけでは私はなくて、逆な面からのアプローチをしていいんじゃないかと思っているんです。  例えば、六次化に寄与するというようなことも含めて、COOPの中には幾つかの形態がありますけれども、同業労働者生産組合というような形があります。これは大臣よく御存じかもしれませんが、昔はサンディカリズムとかアナルコ・サンディカリズムなんという言葉がありましたように、その当時は労働組合が街頭に出て主導権を握って社会変革まで行うんだというような側面まで行って、これは世界的には衰退をしてきました。でも、今その発展形態で、イタリアなんかではレガコープなどというような形でもって非常に見直されるような部分が出てきている。  どういうことかというと、例えば高齢の方、障害を持つ方、あるいは教育者、それからお医者さん、健康診断なんかを行うとか、それから住民の方々環境調査や、もちろん農業とか建設とか清掃とか、製造業等も含めて参加をする人がみんな雇用をされている、働く人なんですよ、こういうような協同組合というものの在り方というものをつくるということは、私は一つ考え方ではないかなというふうに思っております。  各省が集まっていろんなことを出すということだけではなくて、私は、農協改革というようなことがあれば、今の法律で不備があれば、それを補っても、地域でもってこういうような協同組合的な組織というものを立ち上げることによって組織を再生するというような考え方があってもいいんではないか、このように思っておりますけれども、お考えがありましたらお聞かせください。
  19. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさにおっしゃるとおりでございまして、やはり、よく昔から官と民、それから公と私と、この公の仕事を官だけが担うのかというと、民も公の部分を担っていこうという考え方はあるわけでございまして、我々が十二月に取りまとめた活力創造プランでも、人口減少、特に農村の人口減少等に対応した地域コミュニティーの活性化の推進のために、この多面的機能発揮促進法律もそうでございますが、地域資源を活用した地場産業の振興とか、日常生活機能や定住環境の確保、それから基幹集落への集約とか周辺集落とのアクセス手段の確保、ほかの省庁と連携するということが書かれておりますが。  こういう中で、一部の自治体の例として、加工品販売の六次産業化、都市農村交流、それから高齢者への配食サービス、日用品販売、こういう活動に取り組んで集落の維持を図っていく組織ができまして、これを支援する動きが出てきておりますし、それからこういう活動に取り組む農協もあると、こういうふうに承知をしております。  基本的に、やはり地域の皆さんが自分たちでやろうと、そういう発意に基づいて実施されるということが基本であると、こういうふうに思いますが、こういう動きを我々としてもしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思っております。
  20. 郡司彰

    郡司彰君 できれば、このようなことをこの委員会でも具体的に進められるように議論ができればなというふうに思っております。  それから、多分最後の質問になろうかと思いますが、冊子をいただいた中の十八ページに、先ほどの大臣の話と重なりますが、中食外食等のニーズに応じた生産と安定取引を一層推進します、細かい字のところには、複数年契約による安定的な取引を促進をするというような文言がございますけれども。  これを簡単に時間の関係で申し上げたいというふうに思いますが、例えば今の相対の比率というものは相当高くなっていると思います。それから、お米の価格などもどこで決まるんだというと、形の上はともかく、外食産業その他のチェーン店が一括買上げをするような価格というものが卸というところにも跳ね返るような結果にはなってきているのではないかというふうに思っておりまして、この複数年契約で中食外食のところと安定的な取引をするというのがどういう結果をもたらすんだろうか、市場の活性化ということに対してどういう影響があるんだろうか。  それから、場合によっては生産者は買いたたかれるというような立場に置かれるという可能性は非常に高いというふうに思いますけれども、このことについてのお考えをお聞きをしたいと思います。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 二十三年産米ですと、八百四十万トン程度の生産の中で六百万トンがJA等の出荷事業者経由、生産者の直接販売で消費者需要者へ販売されていると。六割の三百七十万トン程度が出荷事業者を通じて卸業者とのいわゆる相対取引と、こういうことでございます。  基本的には、やはり民間取引の中で、当事者それぞれのニーズに対応して行われているということでございますが、米について、やはり単一のコモディティー的に一つの値段だということでは今後なくて、御家庭用にブランド米を買われることもあるし、今お触れいただいた中食外食、ボリュームも大事だと、これ今需要の三割になってきておりますので、こういうふうに需要に応じて生産、流通を進めるということ。そして、複数年契約とか事前契約というのは、ある意味では、価格をどう決めるかによりますけれども、生産者のリスクも取っていくと、こういう側面もあろうかというふうに思いまして、安定的な生産、流通の実現という意味でも重要だと、こういうふうに考えております。  この生産者、出荷業者の販売戦略が需要に対応して的確に行われるように、市場の動向等についてきめ細かい情報提供を行うことによって適切に対応してまいりたいと思っております。
  22. 郡司彰

    郡司彰君 終わります。
  23. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党の小川勝也です。  五月十四日、本会議からスタートしたこの二法ですけれども、重要広範議案ということで、与党の山田筆頭にも御協力をいただいて、今日で政府質疑四回目ということであります。途中、参考人質疑も入れさせていただきましたし、出雲の方に視察に行かせていただいて、大変貴重な勉強もさせていただきました。地方公聴会では、地方の皆さんの率直な御意見も伺ってまいりました。いよいよ今日が政府の質疑ということでは最後になるのかなというふうに思っています。  私は、いろいろなことを林大臣農林水産大臣になってから生意気言わせていただいてまいりました。その中には、自分の原体験に基づいた意見も多数あったかと思います。  そんな中で、いよいよこの担い手二法も成立する可能性が非常に高いわけでありますけれども、やはり懸念を表明をし、そして、もし数の力、多数決で法律案が成立するとするならば、私が懸念をする内容を払拭するために、すぐさま次の行動に出なければいけない、次の法案を一緒に考えていかなければならないと、そういった立場で質問をさせていただきたいと思っています。  今、徳永委員は、JA北海道グループの緊急集会に出席をして今戻ってまいりました。私は、朝九時半、冒頭顔だけ出して戻ってきました。  農業に対して、あるいは農業政策に意識の高い方々全国農業者の中でどのぐらいおられて、割合がどのくらいかは分かりません。しかし、北海道は主業農家の比率が圧倒的に高いところでありますので、JAグループの役員の方々は当然でありますけれども、個々の農業者も非常に関心が高い。あるいは、先日参考人に来ていただいた山居書記長を先頭とする北海道農民連盟という、いろいろな勉強を共に情報交換をしながらやっているグループも非常に関心が高い方々であります。  その方々が、この法案の審議をどのように見守っているのかということを私なりに少し代弁をいたしますと、まずは法案、戸別所得補償なくなるんだよな、一万五千円どうなるんだと。我々畑作の者にとって、麦やてん菜はどう変わっていくのかな、心配です。酪農の方々は、まあEPAが豪州との間で成立して、関税が最終的に一九・五%になるけれども、TPPではもっと過激な数字が躍っているな、心配でいっぱいだと思います。  そして、御案内のように、今日、北海道のJAの役員の方々がお越しになったのは、いわゆるところの規制改革会議のあの案であります。中央会は要らない、農業委員会も要らない、企業や法人が入りたければどんどん入ったらいいじゃないかと言わんばかりの流れであります。このことは、誰がどのように仕組んだのかは私は分かりませんけれども、資本主義とか競争とか、企業の立場が色濃く反映されて、農業政策を論じているさなかに今この法案の審議が行われているのだなというのが私の率直な感想です。  そして、よく車の両輪というふうにおっしゃっていただいています。産業政策大事です。公正、公平な中で競争をしていただいて、アイデアをしっかり持っている方、努力した方、資本主義社会ですので、どんどん所得を上げていただければいい。しかし、そのもう一つの両輪である地域政策あるいは社会政策は本当に駄目な政策なのか、そのことをまず確認をさせていただきたいと思います。  前回の議論のときに、特に私はこの法案が成立した後も、人口問題、特に農村集落の崩壊に大変心を痛めています。大臣もしっかり答弁していただきました。中山間を含め、全部とは言えないけれども、しっかりとした農村コミュニティーは守っていきたいんだ、農村コミュニティーは守っていきたいんだ、こうおっしゃっていただきました。  そう考えますと、平地で、特に消費地に近いところで野菜を作る、これはアイデア次第で幾らでも稼げます。逆に言うと、平地の大きな区画の固まった水田は二十ヘクタール、四十ヘクタール、六十ヘクタールあっても、家族の経営で大型機械で何とかなります。しかし、この間見させていただいた中山間、のり面の草刈りだけでも大変だということを改めて見させていただきました。ということは、農村集落、中山間、ここを守るためには人が必要だということを私は改めて勉強させていただいて帰ってきたところであります。  また、質問せずに話ばかりして恐縮ですけれども、北海道は農業専業地帯です。ですから、林大臣と同じ年に当選をした私は専業農家の代表として様々質問を繰り返してまいりました。そして、少ない耕地、少ない農地面積にしがみついて、余り広くないところにこちゃこちゃとしがみついている本州の農村集落については深い理解を持っていなかったのも正直告白をさせていただきたいと思います。もっともっと効率的な農業をしないと駄目だな、こう思っていたのは事実です。  しかし、今改めて反省をさせていただくと、日本の農村社会を支えてきた兼業農家というシステムは世界遺産に匹敵するすばらしいシステムだったということを今改めて気付いているんです。少ない耕地面積にもかかわらず、補助金政策の投入は最小限でありながら、その集落地域を守ってこれた日本の兼業農家のシステムはまさにすばらしいと考えています。役場に勤め、消防に勤め、信金や農協に勤め、あるいは、それでもなおかつ長男ふるさと主義、長男は、狭い農地面積でも本家の長男はここに残らなきゃいけない、豊富な労働力を当てに輸出産業の関連である様々な部品産業が全国の兼業地帯に立地したんです。そして、農業所得とその勤労所得の合算によってその地域の生活が成り立ってきたわけであります。  このシステムが一たび壊れると、北海道のように七十ヘクタールもまとまれば、工夫をすれば、あるいは三十ヘクタールあればいろんな形で農業所得だけで収入を得ることは可能です。しかし、一たびその兼業のシステムが壊れてしまった後の中山間は、私は取り返しが付かない結果を招くおそれをはらんでいると思っています。ですから、離農促進法だ、こういう反対意見もこの法案にはありました。私は農村集落崩壊法案と後世に呼ばれるかもしれないという危惧も持っているところであります。  そして、この法案が、担い手、それは非常にいい言葉です。チャレンジ精神を持ってやる気満々で、未来にきちっと希望を持ってやっている人が中心となってやってくれればいい。しかし、その陰で、農地中間管理法案からこの担い手法案まで流れで見ますと、集落の中で後継者が少ない、その少ない後継者に農地を集めてその人にしっかり頑張ってもらおう、こう考えたときに、その出し手となった方々や、今のところ後継者がいない、しかし長男、次男、長女、次女、戻ってきたかったかもしれない、そういう方々の戻りを今回の法案で阻害してしまうんじゃないか、大変心配している次第であります。  私たちは、衆議院の議論を通じて、農業者戸別所得補償、いろいろな批判も受けました、しかし、いい点があったというふうに主張させていただきました。一つは、緩やかな農地集積を、その役割を果たしてきたということ、そして区別と差別をしなかったということで、戸別所得補償という岩盤があるので、リタイアをした、定年退職をした人たちが、じゃ、おやじ、おふくろのところに戻ろうか、生まれ故郷に戻ってやろうかというインセンティブを強めたと思っています。  そして逆に、これは世間話になるかもしれませんけれども、男性と女性の力関係でいいますと、昔は男性の力が強かった時代がありました。お父さんは長男だから、都会の会社を定年退職をしたらお父さんのふるさとに私も付いていきます、こういう女性はこれからは減ってくるように思います。ですから、逆に言うと、あんた、うち、おふくろ一人になったんだから一緒に来てよねという強い女性が男性を引っ張る時代になってきているんです。  ですから、どんな人でも私はふるさとや農村集落に戻ってくれればいい、その門戸は広ければ広いほどいいと思っています。  だから、そういった意味において、この農村集落を維持するというその方向性をこの二法案が少し傷つけているのではないかという私の指摘に林大臣はどう答弁されますでしょうか。
  24. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 我々も、男性と女性のところまで詳細に検討したわけではございませんが、やはり、御長男であれ御長女であれ、次男であれ次女であれ、帰ってきていただきたいという思いは常に持っておるわけでございまして、民主党時代に始まった人と農地プランの中でいろんなお話をしていただく中で、何とかそういう中で、まだ帰ってきていない人も含めて皆さんが話合いに入っていただいて、次の担い手ということでやっていこうと。  実は、中間管理機構みたいなものもそういうところの話の中からこういうものがあればいいなということで出てきたというところも実はあるわけでございます。したがって、我々、今回の法案も、この担い手というものの新規就農者も加えましたし、それから規模要件も外しております。したがって、大きな人が一人で全部やると、こういうことだけが正解だと、こういうことでは必ずしもないんであろうと。いろんな方が担い手になって、今までどおり次の人が入ってきていただいてやっていただくということも、この人・農地プランの話合いの中でそれでいこうということであれば当然そういうこともあり得ますし、ただ、足下の数字を見ますと、高齢化が進んで六十六歳と、こういうことでありますし、特に中山間地見ますと耕作放棄地が進んでいるという現状もございます。  したがって、何とかこれを今の段階で、まだやれるうちにやらなきゃいけないことをやっていこうという意味で、この多面的機能法案、基本的には、共同活動を支援することによって多面的機能促進を図って、国民の皆さんにこの効果を均てんするということですが、その一方で、この担い手が全部泥上げや水路の管理等々をやっていくということになりますと非常に負担が大きくなるということもあって、これを集落で引き続きやっていただくということでコミュニティーの維持ということにも寄与するのではないかと。こういうふうに考えてやってきたわけでございますので、目指すべきところというのは、小川委員が今おっしゃっていただいたところとそれほど我々も違わないところを目指しているのではないかなというふうに考えております。
  25. 小川勝也

    ○小川勝也君 目指している世界は同じだと思います。  新規就農者って五万六千人、平成二十四年いるというふうに書いてあります。しかし、何度か御答弁もいただきましたけれども、例えば北海道で畑作農家に新規就農するということはもう不可能です。酪農も不可能です。水田も不可能です。それは、たくさんの耕地そして農業機械を用意することが不可能だからです。  おおむね新規就農の方々は、勉強をして、例えば野菜とか花卉、すぐさま換金できるものから導入される方が多いんじゃないかと思っています。別に北海道は酪農ヘルパーという酪農家の登竜門もありますので、これは別の機会にもしっかりお願いをしたいと思うんですけれども、その修業の間のステータスが大事だと思っています。これだけ新規就農者が必要となってくるわけでありますので、政策として、やはり厚遇、いい待遇で新規就農者及び予備軍を迎え入れないと、私は予定どおりの農村集落に人が張り付くような状況ではないと思います。  今、基幹農業従事者の平均年齢、これは政府も与党関係者もよく口にする年齢です、六十六・五歳、これが農業従事者の平均年齢です。ですから、後継者が戻りにくくて、その方々が一歳ずつ年を取っていくと、どんどん農村人口は減っていくわけであります。  先ほど申し上げましたように、首都圏に近いところで、才覚があって野菜や花卉でもうける方の農業は当然その方向性で振興してください。しかし、中山間の手当ては急務だと思います。ですので、先日、徳永委員がこの法案の事後をしっかり調査をしてくれと、こういう指摘をいたしました。私も同じことをお願いしたいと思います。しっかりと、この法案の後、農村集落人口構成や、あるいは人手不足がどういうふうになっているのか。  私は、先ほど来申し上げているとおり、産業的な支援ではない部分が中山間地には必要だと思っています。泥上げも地域集落に人がいなくなれば何らかの形の勤め人がやらなければなりません。ですから、耕作放棄地をどう耕作していくのか、あるいは人手が足りなくなった集落をどう助けていくのか、こういった形でいわゆるサラリーマン的な農業者やあるいは農作業従事者が必ず必要になってくるというふうに思っています。ですから、新たな制度、仕組みを、これからは人材不足になっていきますので、他分野との人材の奪い合いだと思います。ですから、今まさにしっかりといい人材を中山間地保全のために確保することが急務だと思います。  あわせて、サラリーマン的な農家という言い方をさせていただきました。先日来も質問させていただいたこともあります。自己資本がなくても農業ができる、きちっと社会保障にアクセスできる、休みのある農業、あるいは将来独立も可能であるという、新規就農者にとっては有り難い制度になろうかと思いますけれども、そのくらい政府が制度として用意をしなければ必要な人材確保はままならないと思います。  中山間の人材確保、要員確保についてどういった御所見をお持ちでしょうか。
  26. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 青年就農者の四割、五千三百人でございますが、雇用の形態で就農、いわゆる就職をするということでございまして、特に自分のうちが農家じゃない方にとっては非常に重要な就農ルートとなっておるということでございます。我々としても、この法人等に雇われる方も含めて、四十代以下の農業従事者の数を現在の二十万人から十年後を目指して倍増したいと、こういうふうに思っております。  農の雇用事業というのが御案内のようにございまして、法人等に就職した青年に対する研修経費、年間最大百二十万円でございますが、これを最長二年間助成すると、こういう支援をしているところでございます。雇用形態という就業になりますと、法人等における就業環境の整備、これが非常に大事だと、こういうふうに思っておりますので、我々として厚生労働省とも連携して、労働条件、労働時間、休日、賃金に関する制度、基準、それから労働保険ですね、雇用保険や労災保険の制度等整理しまして、啓発パンフレットを作って、こういうものを作って配って周知徹底をするということと、それから農の雇用事業、先ほど申し上げた事業においても、こういう雇用保険とか労災保険等に加入している法人等を支援すると、こういうことにしておりまして、何とかこういう新しい担い手の確保に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。  先ほど五千三百人と申し上げましたのは五万三千人の誤りでございます。済みません、失礼しました。
  27. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど申し上げました、酪農ヘルパーを含めて、いわゆる農の雇用、いわゆるサラリーマン的という、就職先に農業及び法人を選んだ方々にしっかりとしたワークルールそして待遇が保障されるように、今大臣からお話がありましたように、厚生労働省と適時適切にすり合わせをしながら、時代にマッチングしたルールづくりに御努力をいただければと思います。  そして、私のその人口減少に対するおそれというのは、原体験からきているものであります。私が生まれた町は上川管内の和寒町という小さな町ですが、最盛期の人口は一万二千八百人いました。私が小学校へ入るときに八千六百人、今三千七百人です。小学校は一番多いときで十三校、あっという間に今一校です。これが北海道の農村と呼ばれるところのほぼ平均事例です。どんどんどんどん競争が歴代激烈行われるに従って離農をどんどんどんどん出して、現在に至っています。特に農業だけでいわゆる食っていけなくなる人に途中はそれでも歯止めの産業がありました。それは御案内のように、木材産業あるいは土建業、こういったものが兼業で一時期人口を支えていましたけれども、今は支えようがなくなって人口がどんどん減少していきます。  再三申し上げているとおり、人口問題研究所の推計、国土交通省の国土のグランドデザイン、そして日本創成会議のあの統計、まさに音を立てて農村から人口がいなくなっていきます。女性がいなくなっていきます。そして、介護の担い手の不足が大変大きな問題になっていきます。その流れの中で中間管理機構の法案からこの二法があります。  先ほど郡司さんからも質問がありましたとおり、農林水産省の政策だけで農村の人口を守ることは不可能です。ですから、私は先ほど申し上げました兼業スタイル、戦後敗戦から立ち直るときにすばらしいシステムが機能して、まさに人材輩出のすばらしいふるさとだった。  今これからは本当に人口がいなくなるというときに、農林水産省だけでなく国土交通省や総務省とやはりしっかりと議論を構成する土台をつくって、医療やあるいは教育や生活や産業や収入全て併せて、それは私どもの北海道でも幾つもの集落が無人になりました、本州の集落もこれから全て守れるとは思いません。ですけれども、ここの集落だけはしっかり守っていくべきだという社会政策地域政策が必要だと思います。再三の質問になろうかと思いますが、林大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  28. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど訂正をしました。もう一度訂正させていただきたいと思いますが、一年当たりの数字で申し上げましたので、最初に申し上げました五千三百人が毎年の一万五千人の四割ということでございます。  それから、今お話がありましたこの社会政策の重要性というものは大変に大事なところで、私も常々、車の両輪というふうに申し上げておるところでございます。  多面的機能の説明をするときに、これがある意味でそもそもは多面的機能のためにやるんですが、この担い手のところの負担を緩和することによって構造改革も促進するということを申し上げ過ぎたのかなと、こう思って、これはそもそもは多面的機能のために地域政策としてやると、こういうことがあって、それをやることによって構造改革も、担い手が集中しやすくなるということもあると、こういうことを申し上げているわけでございますが、ある意味でその多面的機能のところにとどまらずに、我が省でもいろいろな地域政策、都市農村交流等々も含めてやっておりますが、先ほど小川委員がおっしゃられたように、我々だけで、農水省だけでとどまらずに厚労省、介護ですとか医療ですとか、それから交通インフラという意味では国土交通省、それから地方の自治体という意味総務省、こういうところとしっかり連携して、結局この地元の方はどこの政策でも、国でも都道府県でも市町村でもいいわけでございますので、しっかりと現場目線に立ってこの地域政策というのを車の両輪の一つとして推進していきたいと思っております。
  29. 小川勝也

    ○小川勝也君 私たちは、農業者戸別所得補償政策で、いわゆる農業の未来に少しでも希望を多く持っていただいて、自分でやり続ける人、次の世代が戻ってくる、あるいは新しい人、農業に従事してもらう人が増えればいいな、こう思っておりました。そして、後継者がいないところがどんどん離農するに当たっては、後継者が戻るところから戻ればいいし、新規就農者もどんどん迎えなきゃならないという思いで、次の手だてが必要だと思っていました。これは冒頭申し上げたとおりであります。改革も不要だとは思っていません。  しかし、今回の急激な制度、政策の変更の中で一番影響を受けるのは北海道の主業農家です。先日、徳永委員質問をいたしましたけれども、てん菜を作付けするインセンティブが弱まってまいりますので、大変心配です。しかし、一番問題なのは、水田をベースとした北海道の主業農家です。例えば、二十ヘクタール水田作付けいたしますと、いわゆる自家用の十アールの控除の部分数字に入れないとして、おおむね十アール一万五千円といたしますと三百万円収入の補填がありました。これが百五十万円になり、その次の年はゼロになる。どこから収入が補填されるのか。そして、米価は政府がコントロールする筋合いではありません。もし米価も下落して収入も下がったらどうするんだと、この不安にはどうお答えになるんでしょうか。
  30. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の改革で米の直接支払交付金が一万五千円から七千五百円に減額するということでございますが、一方で、飼料用米、米粉用米等の新規需要米に転換して単収を上げていただく努力をしていただく、若しくは不作付け地を解消して水田フル活用をする等やっていただく場合には所得が上がる仕組みにもしたところでございます。  また、先ほど触れさせていただいた直接支払日本型直接支払でございますが、地域の共同活動に充当されるということで農家自身が負担していた負担が軽減される、それから、共同活動に参加した農家に日当として支払われるということで農家の実質的な手取りの向上にもつながるということでございまして、農地中間管理機構も活用していただきますと集約化が進んでコスト削減できると、こういうこともございますので、こういう取組をしっかりとまずしていただく、またそれをしっかりと支援していただくことによって農家の所得を確保するということだと、こういうふうに考えております。  また、加工、販売、それから輸出、先ほどちょっと観光、医療の話も出ましたが、もう少し産業としても連携をする、六次産業化を進めるということで、農業、農村の所得という意味でもしっかりと増大していきたいと、こういうふうに思っております。
  31. 小川勝也

    ○小川勝也君 ひきょうにも時間の関係で私が最後言いっ放しで終わるタイミングになります。  今大臣が言われたところは、議事録をコピーして徳永さんと私は農家に持ってまいります。いかに事情を分かっていないか。北海道は餌米の好適米がありません。ですから、餌米を作ると思っていない人はまだたくさんいます。それから、再三議論させていただいたとおり、餌を作っても誰が、どこの人が買ってくれるのか全く見当が付かない。これを勝手にやれというのが今の政策です。加工するにも、加工する場所は海の近くにしかない、米どころにはないんです。  ですから、今回の飼料用米政策全てを否定するわけではありませんけれども、準備に少なくとも三年必要だったんです、これは。そして、販路の確認や工場、加工現場、しっかり取引のルールづくり、農林水産省や農政局がしっかり土台をつくってやらないと失敗しますよ、これ。  私は、その主業農家の所得減少、そして今回の餌米政策の混乱、そして農村集落の崩壊につながりかねないということで、民主党会派はこの法案に反対することになります。  以上です。
  32. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  この農政改革関連二法案もいよいよ大詰めになってまいりました。私も今日までいろいろ御議論させていただいて、改めて、ここで一区切りということでありますので、包括的な意味での質問と、そしてこれまでの質疑の中で少し積み残してしまった部分もありますので、それも併せて今日は短い時間ではありますけれどもお伺いしたいというふうに考えております。  本法案の議論を始めるに当たりまして、私は、農業・農村基本計画、また農林水産業地域の活力創造プラン、これと今回のこの二法案についての関係性について問うところから議論をスタートさせていただきました。この答弁の中では、本法案は今後の農政改革を具現化するための法案であり、そして今後の基本計画の見直しに当たってもこの二法案を踏まえた上で議論を行っていくと、このような答弁をいただきました。  食料農業・農村基本法三十条二項においては、「国は、農産物の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるものとする。」と、こう規定しております。これにダイレクトに対応するところというのは主に担い手経営安定法の方になるかとは思うんですけれども、今回、度重なる様々な角度からの議論を通じまして、本法案の中で、これ一つ大きな前進ではあるとは思うんですけれども、同時に、農業経営に及ぼす影響を一体どの程度緩和できるのか、また必要な施策とはこれで十分なのかどうか、これを突き詰めて考えさせられた、そんな経験をさせていただきました。まだまだやるべきことは残っているな、このような思いもこの議論を通じていたします。  そこで、これまでの当委員会での議論を踏まえまして、改めて今般の農政改革関連法案、この意義について大臣にお伺いしたいと思います。
  33. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、平木委員から御指摘がございました食料農業・農村基本法の三十条二項には、農産物の価格の変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるということが規定をされております。担い手経営安定法に基づく収入減少影響緩和交付金、これがこれに該当する、こういうふうに考えておりますが、今回この法律を改正するに当たっては、対象農業者見直しを行いまして、認定農業者集落営農に加えて認定新規就農者を追加するということと、それから規模要件を設けないということにいたしまして、食料農業・農村基本法第三十条二項に定める育成すべき農業経営に対する施策の充実を図っていこうと、こういうことでございます。  この同条同項に関連しては、衆議院においても、担い手経営安定法改正案について収入変動に対する総合的な施策の検討を行う旨の修正も行われておりまして、このことも踏まえて収入保険制度の調査検討も進めているところでございます。
  34. 平木大作

    ○平木大作君 今大臣の方から図らずも御答弁いただきましたが、まさにこの担い手経営安定法の改正において一番の主眼というのは、やはり対象農業者の要件変更であるというふうに思っております。  今御紹介いただきましたけれども、面積規模要件を廃止したということ、そして認定農業者及び集落営農組織に加えて認定新規就農者を追加したと、こうすることでやる気と能力のある農家に対して大きく広く門戸を開いた、ここが本当に主眼であるというふうに思っております。  この議論の中で、やる気と能力というところに着眼していただくのであれば、やはり是非とも忘れていただきたくないのは、またしっかりと光を当てていただきたいと思いますのは、単純に営利目的だけで動くわけではない一般法人企業といったものもたくさんあるということであります。地域貢献をしたい、あるいは社会貢献をするためにあえて農業に参入したい、こういった企業も多々あるわけでありまして、ここについてしっかりと新たな担い手として今後位置付けて、また検討していただきたいというふうに思っております。  先般の農地法改正後、一般法人のリース方式による農業参入というものが実際に加速しております。これ、実は以前の委員会においてもお伺いしたんですが、あえて今日、もう一度確認の意味でお伺いします。  現時点でのこの参入法人数とこの借入農地面積は一体幾らなのか、そして、そのうち土地利用型農業、特に本法案の対象農産物であります米や麦が占める割合というのは一体現状で幾らあるのか、お答えいただけますでしょうか。
  35. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 一般企業の農業の参入につきましては、平成二十一年の農地法の改正でリース方式での参入は全面的に自由化をされたところでございます。  この二十一年の農地法改正後の約四年間で改正前の約五倍のペースで参入が進んでおりまして、千三百九十二法人、これが参入をして農業経営を続けております。  この中の内訳を見てみますと、野菜のみを生産する法人が約四五%、六百三十二法人ということで、これが一番多くなっておりますけれども、御指摘のございました米麦等の土地利用型作物生産する法人、これは約三六%に相当いたします四百九十八法人ということになっております。  以上が法人の数でございますが、面積の方を見てみますと、この千三百九十二法人、これが借りております面積全体で約三千三百ヘクタール、一法人の平均でいいますと約二・三ヘクタールということになります。この中で、先ほどの土地利用型作物生産に取り組んでいる法人の面積、これは約千八百ヘクタールということでございまして、一法人の平均でいいますと約三・六ヘクタールという状況でございます。
  36. 平木大作

    ○平木大作君 今、米麦に取り組むのが大体三六%ぐらいの法人であるとお答えをいただきました。想定していたものよりは多いのかなというふうに思うわけでありますけれども、同時にまだまだこれ実は伸び代があるんじゃないかなということも感じております。  そこで、この質問に重ねて改めてお伺いしたいわけですけれども、地域の中においてまずは担い手というのは地域から出ていただく、これが大原則であるというふうに思っていますが、その中でなかなか次の担い手が見当たらない、そういったところも今多く出てきているわけでありまして、この米や麦、こういった土地利用型の農業に関しましても一般企業法人、有力な担い手の候補としてしっかり位置付けるべきであるというふうに私は考えております。  そして、そうである場合、これらの新規参入しつつある一般法人企業に対して、土地利用型農業、特に米や麦についてもっともっと営農をある意味政府の方から促す、こういったことも必要であるというふうに考えておりますが、この点、御見解いただけますでしょうか。
  37. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) リース方式での企業参入につきましては、参入前は農業者の皆様方の半分以上が反対だったわけでありますが、実際導入してみるとそのような見方は一割以下に減っているという状況でございまして、農業界、産業界が連携して前向きに推進していける状況になっているというふうに考えております。今後、農地中間管理機構を活用することで更にこれを加速をしていきたいというふうに考えております。  先ほど委員が御指摘されましたように、営利目的だけではないそういう企業はたくさんあるわけでございまして、参入企業は地域農業担い手になり得る存在であるというふうに考えております。今後も、この担い手が不足する地域におきましては、企業がリース方式で参入してもらうことを期待をしております。  現在、リース方式で参入している企業のうち米麦等の土地利用型作物生産する法人は野菜のみを生産する法人よりも少ない状況にございます。これは、米などの土地利用型作物は収益が小さいということでございまして、企業などが新規参入する際にはまず作付け規模が小さくとも利益を上げることが可能な野菜で参入しようとすることが原因の一つというふうに考えております。
  38. 平木大作

    ○平木大作君 今、横山務官からもお答えいただきましたけれども、やはり米や麦、そういった土地利用型農業に取り組む法人が少ない、端的に言えばやはりもうからないからであるというふうに思っております。多くが、やはりまずは収益が見込みやすい野菜ですとか施設型の園芸に行ってしまう。  今日、ここで一つ問題提起だけしたいわけでありますけれども、経済合理的な判断をして企業が参入してこない、つまりもうからない米や麦を作るそういったまだ農業であるにもかかわらず、既存の農業者の皆様には支援するから頑張りましょうといって一生懸命今訴えかけているという状況があるというふうに思っております。少なくとも、やはりもうかる農業というのは一体どんなもので、そしてこうすればしっかりもうかるようになるんだと、この道筋を現場の農家の皆様に示してあげる、これがまず第一に何よりも必要であるというふうに思っております。  これ、鶏と卵の議論のような気もするわけでありますけれども、企業が米や麦をやりたがらないのはもうからないから、こうも言えるわけでありますけれども、同時に、逆に、従来の農業者とは違う強みを持った、ある意味イノベーションの種を持った企業がいないために、参入してこない、新規参入が続かないためにいつまでももうからない状況農業が続いている、こんなことも言えるんじゃないかなというふうに私は考えております。  今日は時間の関係で問題提起だけにとどめさせていただきますけれども、基本的に、異質なものあるいは多様なものが試行錯誤することでイノベーションが生まれるというふうに私は考えておりますので、また是非この議論については引き続き継続させていただきたいというふうに思っております。  次の質問に移らせていただきます。  この一連の議論の中で度々御答弁の中にございましたのが、効率的、安定的な農業経営農業生産の相当部分を担う農業構造をつくらなければいけないんだ、こういう御答弁でございました。私もそのとおりであるというふうに思いますし、また、その中心施策、いろいろあるわけでありますけれども、やはり中心的な施策というのは大規模経営と農地の集積であるというふうに思います。  そこで、これも確認の意味でお伺いをしたいんですが、これまでの取組の中から、一経営体当たりの農地面積拡大生産コストの低減、一体どのような関係が見受けられるのか教えていただけますでしょうか。
  39. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。  平成二十四年産の米生産費統計におきまして、米の六十キログラム当たりの生産コストをこれを作付け規模別に見てみますと、平均的な規模、これが一・五ヘクタールでございますが、この層では一万五千九百五十七円となっております。これが五—七ヘクタール層になりますと一万二千百十五円、十五ヘクタール以上になりますと一万一千四百四十四円となっております。  これにつきまして、平均的な規模一・五から五—七ヘクタールになりますと生産コストは三千八百四十二円の減、五—七ヘクタール層から十五ヘクタール以上層になりますと六百七十一円の減となっておりまして、生産コストの低減幅は作付け規模の拡大につれて小さくなる傾向にあるところでございます。
  40. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁にもいただきましたけれども、やはり単純に集積を進めれば即コストが比例的に下がっていくわけではない、なかなか大きくなればなるに従ってその効果が出づらくなるというお話をいただきました。  これ、実際に参考人質疑の中でも、また現地の視察においても、度々こういったいわゆる現場経営規模を拡大されながら試行錯誤されている皆様のコメントというのをいただきました。例えば、農地の集積を進めて、大体十五ヘクタールぐらいまで行くとそれ以上はコストが下がらなくなる、今御紹介いただいた例にも近い話かなというふうに思っておりますし、また、どんなに頑張っても四十から五十ヘクタールくらいまでが家族経営でできる限界だと、それ以上は人を雇って組織的営農をしないと全く回らなくなってしまうと、こういう形で声幾つもいただいたわけでありまして、やはり、この大規模化、集約を進める上でステージごとの現場の皆さんが直面する壁というのがあるというふうに思っておりますし、また、それぞれのステージにおいて必要な支援というのはやっぱり変わってくるんだというふうに思っております。今、日本全国で同じような取組を進めているわけでありますけれども、その各地域ごとに、今どんな状況にいてどのステージにいてどんな支援が必要であるのか、ここを是非見極めてまたきちんとフォローしていくことをお願いしたいというふうに思います。  そして、今回現地視察ですとかそういったところでもまた度々拝見したわけでありますけれども、農業経営を何とか安定させなければいけないということで現地の皆様も大変苦労されているわけでありまして、その一つの取組として、例えば農閑期などを利用した経営の多角化に挑戦をする担い手の方というのはたくさんいらっしゃいます。今、私はあえて多角化と、六次産業化という言葉は使わなかったわけでありますけれども、国の農政としては六次産業化、つまり、生産、加工、流通、小売と、この一つのバリューチェーンの中での多角化ということに関しては非常に今支援の施策が整ってきている、整備されてきているというふうに思っております。この補助事業ですとかあるいはファンドを通じた出資、こういったものも連日今報道でも紹介されておりまして、大変活況です。  ところが、もう一方の、今申し上げましたけれども、より広範な概念である多角化、農業経営を安定させるために他に取り組んでいる事業、これについての支援状況、今一体どうなっているのか御紹介いただけますでしょうか。
  41. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 農家にとりまして、農閑期なども通じて安定的に所得を得られるようにすることは、委員御指摘のとおり非常に重要でございます。  そういう中で六次化が位置付けられてきたところでございまして、この六次化の流れの中には、農山漁村の地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入でありますとか、バイオマス産業都市の構築、あるいはまた都市と農山漁村の交流の拡大、医福食農連携等の多様な事業者との連携ということがございまして、いわゆる農林水産省の事業だけではなく、経済産業省や国土交通省等の関係府省との連携の中でつくり上げていく、そうした流れがございます。こうした幅広い六次産業化の取組を今後も推進をしてまいりたいと考えております。
  42. 平木大作

    ○平木大作君 今回、視察ですとか参考人の皆様からいろいろお話をお伺いする中で得た一つの発見というのは、今御紹介もいただきましたけれども、営農者の経営安定策、これは農水省ですとかあるいは農林水産委員会という立場から見るとやはり六次産業化という話になりがちなわけですけれども、一方で、現場経営を担う皆様からすれば、これはもうどうやって自分たちのリソースあるいは強み、そういったものを生かして事業を多角化するのか、安定化させるのかというところが主眼でありますので、組み合わせる事業というのは別に福祉事業でも構わないわけでありますし、また農閑期に毛糸を編むニッティングみたいなもの、そういったものでも構わないわけであります。今やっているのがイチゴ農家であるからジャムを作って、そしてそれを売らなければいけないと、そういう話では決してないわけであります。  今、横山務官の方からも御紹介いただきましたけれども、やはりこれ農水省の枠組みの中だけでやろうとすると、どうしても現場の意向、あるいは、より強みを発揮できる事業形態といったものとずれが生じてくるところがあると思いますので、他省庁とも連携してここは是非力を入れて取り組んでいただきたいということを切にお願いをいたします。  最後の質問をさせていただきます。  今回、担い手経営安定法というのは主に産業政策である、そして多面的機能促進法というのは地域政策、こういう一つの整理のされ方をされていたわけでありますけれども、一方で、条件不利地域とそして平地との生産コスト差を支援する中山間地域支払、これについては多面的機能促進法の中に位置付けられているわけでありますけれども、同時に産業政策的な側面も強いというふうに思っております。  今、とにかく中山間地域の皆様にお話を伺うと、一番いただく声というのは、平地、条件のいいところではどんどんどんどん産業政策が進んでいって生産コストも下がっていく、私たちはそこからある意味取り残されていくのか、こういった本当に大きな不安の声というのをいただいております。  そういった意味でも、今後、平地農業、さらに農地の集積ですとか様々な産業政策行われて生産コスト進んでいくということを考えますと、やはり現行の支援制度の中で位置付けられている当該制度の単価、随時これは生産コストの差が開いたのに応じてしっかりと見直していくべきと考えるわけですが、この点、いかがでしょうか。
  43. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答えいたします。  先生のお話のとおり、中山間地域等直接支払制度は、多面的機能の低下が特に懸念されます中山間地域等につきまして、農地の傾斜等の地理的条件から生じる平地との生産コストの格差を補正するものでございます。この制度につきましては、平成十二年度の創設以来、耕作放棄地の発生防止等の効果を上げますとともに、多くの市町村や集落から制度の継続を求められているという状況であると認識しております。  制度の見直しにつきましては、本制度は五年間を一つ対策期間と設定しておりますことから、基本的には対策期間が切り替わる際に現場での活用実績等を踏まえた見直しを行ってきたところでございます。  なお、データ的なことで恐縮でございますけれども、農林業センサスで中山間地域と平地との農業経営規模を比較いたしますと、平成十二年から平成二十二年の間で一戸当たりの経営耕地面積の比率を取ってみますと、中山間地域は平地の約〇・七程度となっておりまして、この比率は、今申し上げました期間の限りではほぼ一定というような状況が見て取れるわけでございますけれども、お話しのとおり、今後の動向については十分注視する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、本制度につきましては、今年度が第三期対策の最終年度でございます。現在、今期対策の評価等の作業を行っているところでございまして、現場の実態もよく踏まえながら次期対策の検討を進めてまいりたいと考えております。
  44. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。是非とも、これはもう五年と言わずに、しっかり毎年毎年、また地域ごとに今何が問題なのか見極めて施策を打っていただきたいということをお願いします。  時間が参りましたので、質問は以上となります。ありがとうございました。
  45. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会・結いの党の儀間でございます。  二法案については私も今日で四回目、同法案についての質問をさせていただきますが、今回は恐らく政府に対する質問は最後となるであろうということから、これまで行ったこの二法案の質問のおさらいをしながら、今日で集大成をして次からは別の質問をしたいと、こういうふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  政府は、我が国の農業生産性の向上を目指して、この二法案で産業政策地域政策、つまりゲタとナラシも含めまして、農業改革を促進する政策一つとして農地の集積化を進めてまいりました。平地などにおいては、この資料を見ても一定の成果を収めておることがよく分かります。私はこれからも農地の集積化に積極的に取り組むことは極めて重要であるということも認識をしております。  ただ、農業従事者の高齢化が進む現状にあって、農地の所有者が自ら耕作できない、つまり土地持ち非農家が増加しておる中で、また農家そのものが世代交代により農業に従事しない次の人たちがおったりして、農業への関心が薄れ、耕作が困難になった農地などがたくさんあるのであります。このような状況の中、次の担い手に円滑に引き継ぎ、渡していくのが大きな課題となっておると思うんです。  農地の集積化を進める上で、もちろんやっていることですが、留意しなければならぬのは農地の分散化であると思います。これをいかに解消していくか。お分かりのように、農地の集積化目的は生産性向上にありますが、農地が分散化していますというと圃場間の移動などに時間が費やされますし、また機械化の効率的な利用の妨げになるし、経営規模の拡大に伴うスケールメリットを生かすことになりません。  かかる観点から経営規模を拡大する場合の課題はもう明らかでありますが、政府は、農地集約に際し、面的集約を図るためにいかなる施策を進めてこられたか、度々お尋ねいたしますが、おさらいですので、もう一度お聞かせいただきたいと思います。  また、現在、農地の集積と集約を進めておられますが、具体的にその成果と、進める上での問題点にどういうふうな対策を講じていこうとするのか、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の集積の問題でございます。これにつきましては、昨年の臨時国会で通していただきました農地中間管理機構、これがそれについての一つの解答だというふうに思っておりますが。  この十年間で担い手が利用する農地面積、十年前は三割でございましたが、これが既に五割のところまでは来ております。これを今後十年間で更に八割のところまで増やしていきたいというふうに思っておりますが、そのときに大事なことは、今御指摘ございましたように、単に担い手の方の経営している面積が大きくなる、規模を拡大するというだけではなくて、この分散錯圃の状態を解消して、担い手の方がまとまった面積を効率的に使うことができるようにする、こういうことだというふうに思っております。  そこで、農地の中間管理機構は、この出し手の方、所有者の方から農地をまず借りまして、これをまとまった形にして使えるようにして担い手の方に転貸をする、必要があれば基盤整備も行うという仕組みとしてつくったわけでございまして、この農地の中間管理機構をうまく活用いたしまして、規模拡大、それから農地の面的な集約化、これを進めていきたいというふうに考えております。
  47. 儀間光男

    ○儀間光男君 ただいま確認しましたように、農地の中間管理機構の果たす役割は大きいものと思っておりまして、このことについてはまた後で出てまいりますからもう一度質問をさせていただきたいと思います。  農地の集約化は、おっしゃったようにその大きな目標は生産性の向上とコストの削減にあるわけです。現在、農地の集積は進められてきておりますが、ある程度の経営規模の拡大によって生産物当たりのコストが低下し、収益は上昇してまいります。  ところが、不思議なことが資料によってかいま見ることができます。経営形態や内容、面積等々、様々な要因から、一定の面積に達するとコストが逆に上昇傾向を示すんです。収益が減少傾向を示す。これは一体どうしたんだろうということでありますが、これについてどうお思いか、お聞かせください。
  48. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) これは、例えば稲作を例に取ってみますと、規模を拡大していきますと、あるところまではコストが下がってまいります。ですが、それよりも面積を増やした場合にコストの下がり方が減少する、あるいはコストが若干上がるというケースも中には見られます。これは、例えば稲作の場合にワンセットの機械を用意をして、ワンセットで例えば十ヘクタールやるという場合に、この十ヘクタールを超えた場合に、十一、十二、三ヘクタールの場合にはもう一そろえ機械を買うということになります。したがって、機械はある意味二倍になりますが、生産の方はそれだけ拡大するわけじゃありませんので、そういう意味でコスト的に不利になるということがございます。  ですが、例えば機械を二セット持てるように規模を拡大する、今まで十ヘクタールワンセットでやっていたものを二セットの機械で二十ヘクタールやるという形にすれば当然コストは下がっていくわけでして、そこのところまで見た上できちんと規模拡大を施設の面も含めて適切に段階的に引き上げていくということが重要な要素ではないかなというふうに思っております。
  49. 儀間光男

    ○儀間光男君 確かに一人当たりの耕作面積が広がっていくと、今言ったような現象で収益は減ってきますし、コストも高くなってまいりますね。したがって、現在、そういう農家や農業法人がありますが、そこでの状況等はどうなっているか、現況をお示しください。
  50. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) コストの状況でございますけれども、家族経営とそれから法人経営にちょっと分けて、あるデータでもって調査をしてみましたけれども、まず、家族経営の販売農家の方を見てみますと、これは二十四年産の六十キロ当たりの生産コストでございますが、平均的な規模、一・五ヘクタールですと六十キロ当たり一万五千九百五十七円、それから五ヘクタールから十ヘクタールという規模の大きい方の階層を取ってみますと、これが一万二千百五十二円ということで大分下がります。さらに、十五ヘクタール以上層、もっと大きな層になりますと一万一千四百四十四円ということで、これ家族経営を見てみますと、規模が大きくなるに従って基本的には低下する傾向にございます。  一方で、法人経営の方、ちょっとデータが限られておりまして、これは二十三年産のしかも平均的な規模でのデータしかございませんが、法人経営で平均で二十七ヘクタール、この階層でのデータということになりますが、この平均値で一万七百八十二円、こういう形になっておりまして、このデータでいいますと、いわゆる規模が大きくなる、法人経営の場合更に大きいわけですが、これですとコストが下がると、こういう状況にはなっております。
  51. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  私も農家でいろいろ聞いてみたら、ちょうどその分岐点で、次へ進むか止まるか、決断がなかなかしづらいと。止まっても大した意味ないし、進むときに余り勇気が出ない。農政支援が、果たして補助金も含めて支援がスムースに来るかどうか極めて不安で次の段階へ踏み込めない。しかも機械も増やさぬといかぬし、人手だって増やさなきゃならぬということで、ますますコストが上がっていって収益を落として赤字決済するんじゃないかというような心配があってなかなか行けないんですというようなことを話している農家がおりましたので、参考にひとつしていただきたいと思います。  次に、我が国の農業の特徴の一つとして、農地の耕作者が同一、つまり家族経営でありましたから、農業関連の水利用というんですか、水利施設の維持管理に対する共同作業、つまり中山間でやる多面的な部分ですが、非常に安定的にやってこられたんですね、今までの農業、棚田の管理等も含めて。安定的に共同作業をやってきたんですが、昨今は、農地の大規模化によって、農地を借りて農業を行っている場合は農地が複数の集落にまたがったり、あるいは複数の水系で農業をする、耕作をするというようなことがかなり出てまいりまして、水利施設での共同作業が困難になる、つまり、共同作業をする人的労働力ですね、人的出役が非常に困難なんだというような状況であります。  それに対応したのが今回の多面的機能であって、よく分かるんですが、このため、新たな仕組みや工夫が私は求められていると思いますね。言葉を換えて言いますと、現状のままでは共同作業の実施がいずれ困難になる。いつかの質問でも言いましたが、これは短期的な手法であって、中長期、つまり白書に出るような三十年後にとっては非常に不安定なものになってくるから、それに対する対応をしなければならないと思うんですね。  いわゆる維持管理作業は完全にこれはゼロになることがありませんので、ここで将来を見越して、三十年後の農業などを見越して、農村の原風景や親水機能を維持しながら、出役労務が確保できない場合において用水路の地中化、あるいはパイプライン化等が可能なのかどうか、そういう施策の展開が今あるのかどうか、今後そういうことをやろうという計画があるのかどうか、その辺を講じておられるんだったらお聞かせいただきたいと思います。
  52. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 農業水利施設の維持管理についてでございます。  基本的に、農業水利施設の維持管理主体につきましては、基幹的な施設は土地改良区、末端の集落周りについては農家が基本ということでございまして、公共性が高い大規模な施設は地方公共団体が管理するというような形態になっております。  その中で、先生のお話にもありましたように、特に集落周りの農業水利施設の管理につきまして、農業者の高齢化やリタイア等によって地域の共同活動で支えられていた維持管理に困難を来すようになりつつあるということでございます。他方、担い手にとりまして規模拡大をしようとする場合にこうした施設の維持管理が負担となることも懸念されるという状況でございます。  こうした状況を踏まえまして、本年度から多面的機能支払を創設いたしまして、地域全体で農業水利施設等を適切に維持管理していくための共同活動への支援措置を拡充強化することとしたということでございます。  それで、来年度からはこれを法律に基づく安定的な制度としていただくべく今法案の御審議をいただいているという、そういうことでございまして、そういった制度によりまして将来にわたって農業水利施設の機能の適切な維持が図られるように努めてまいりたいと考えております。
  53. 儀間光男

    ○儀間光男君 それはよく分かるんですが、先ほどから言いますように、短期的なもの、特に規模拡大化して機械化しオートメーション化していくというと、その集落は衰退していくんですね。人手が要らなくなる。農業従事者が、充実して、大型化、機械化、オートメーション化、省力化、同じ意味ですけれども、やっていくというと、その地域から人々が減っていく、過疎化をしていくという逆転現象があって、私が今言う提案をするんですが、五月二十八日の農業白書、これを見ますと、三十年後に農林水産就業者の割合が多い自治体ほど人口減少が多くなるとの推計が紹介されておって、農村の振興が必要となる。ついては、今からそれに向けて、三十年後に向けて対策を必要とするわけですが、そのことを聞いているんでありますが、いま一度、御答弁いただきたいと思います。
  54. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 先生のおっしゃる、農村の人口減少という状況の下で農業水利施設の維持管理をどうしていくのかということが課題であるということだろうと思います。  そういった観点で、今まさに予算措置で講じてまいりました、農村の集落における農業水利施設等の維持管理を支援するというそういう仕組みを、制度を今回の法律によりまして法律に基づく安定的な措置とするということによって、地域の皆様の御理解もいただきながら継続的に実施していけるようにするということがまず基本的なところでございます。  そして、それだけでは農村の集落というのは維持できるというものではございませんので、この多面的機能支払だけで農村集落の維持を図っていくということはそれは難しいことでございますので、担い手に農地を集積するということで、それ以外の農業者の方は農地の出し手となるということでございますけれども、それに伴って、例えば地域で特産物を活用した六次産業化を進める際のそのお取組に参加をするとかいうことも考えられますし、地域で話し合っていただいて、集落をどのように維持していくのかということを方向を定めていただいて、そういった取組によってその集落の維持を図っていくということがございます。  それから、人口が更に減少していくという状況では、一つ集落ではなかなかそれが、様々な機能を全部維持することができないということであれば、周辺の集落連携をすることによって広域的な取組で様々な機能の維持を図っていくというようなことも考えられますし、農林水産省の施策だけではなく、その際には他省庁の施策ということも総合的に講じまして、人口減少に対応した農村集落の維持を図る中で農業水利施設の維持管理も図っていくということであろうと考えております。
  55. 儀間光男

    ○儀間光男君 是非、将来へ向けての準備をそろそろやっていただきたいと、こう思います。  証言のもう一つとしては、ある大規模農業法人、農業者雇用もやっている法人でしたが、五十ヘクタールの広大な畑、田んぼへ行くと人が二、三名しか見えないと。自分が行くと、自分と自分の従業員二、三名と。だだっ広いところにそれだけしか人はいないと。そのことは、私が集落を壊した張本人であるという自覚もあるというんですね。そのとき、僕は言いましたよ、それじゃ、隣の集落、コミュニティーにあなたは移って、あっちからこっちに通ったらどうかと、そして、向こうのコミュニティーを大事にして、共にやったらどうだろうという話で笑い話になりましたが、事ほどさように、そういう状況が訪れるということを今から準備をしていただきたいと、こう思います。  次に、所有者不明の農地が多くなっていきますね。担い手に、いわゆる土地の中間管理機構が果たさなければならない役割、あるいは農業委員会がしなければならないお仕事になると思いますが、この農地の集約や借り手への調整作業を行う上で困難を来す状況があるんですね。農業の振興を図る上で大きな問題の一つとされておりますが、もう一つの側面としては、我が国では、土地に関しては不動産登記簿や固定資産課税台帳などが完備をされております。したがって、土地の所有者は行政によって正確に把握していると、こう思ってきたんですね、統計大国ですから、先進国ですから。  そう思ったんですが、ある資料をチェックしてみると、土地の境界や所有者等の確定調査である地籍調査の進捗率が僅かの五〇%というんですね。驚きですよ。もうびっくりしたんですが、この情報は、たしか農業委員会が所有する農地基本台帳があり、あるいは自治体が持つ資料としては個別に管理されたデータがあるわけですが、必ずしもその照合がされていないように思います。この頃、所有者不明地の増大や所有者への連絡不能などの現象を解消していくには、やはり土地の中間管理機構、あるいは市町村の農業委員会、都道府県の農業会議、農協、こういうものが、こういうことに特化されて力を出さなければならないと思います。  農地の効率的活用を図る意味でも、農地に対する情報の一元化あるいはソフト面での改善が必要と認識をしているんでありますが、政府は農地に関する情報の一元化に対しどのような対応を取ろうとしていらっしゃるのかお示しをいただきたいと思います。
  56. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の流動化あるいは耕作放棄地の解消、これを進めるためには、各地域の農地の利用状況、これをデータベース化をして誰でも見られる状態にするということが極めて重要であるというふうに考えております。  このため、昨年秋の臨時国会で成立をいたしました農地中間管理機構の関連法案の中で、農地法も改正をいたしまして、農業委員会が農地台帳とそれから農地に関する電子地図、これを整備をしてインターネットで公表することを法律上義務付けるということをしたところでございます。農地法の第五十二条の三というところでございます。  この農地台帳に記録をされます所有者等の情報につきまして、常に最新の情報にしておくということが非常に重要でございます。従来は、地方公共団体の中で情報の相互の交流というのはできない仕掛けになっておりましたので、ここが相互に情報の照会ができるような体制もこのときに法整備をやっておりまして、例えば住居等の移動情報につきましては、市町村の住民課で管理をしております住民基本台帳、これがございます。あるいは、農地の所有者ですとか地番等の移動情報については、市町村の課税部局で管理をしております固定資産課税台帳、こういったものがございますが、こういったものにきちんと照会を掛けることによって正確な情報をこの農地台帳に記載することができるという仕組みもこのときに整えているところでございます。  それから、今御指摘ございました地籍調査、これは国土調査法に基づいて地方公共団体がやっている調査でございますが、全体では五割という進捗状況ですけれども、農地の関係の地籍の調査は約七割のところで現在終了しているというふうに承知をしております。  この地籍調査につきましては、土地の境界確定をすることがその主たる目的でやっている調査でございますけれども、この調査の結果は、登記簿ですとかそれから固定資産税の課税台帳、これに反映をされることになります。そうしますと、先ほど申し上げましたように、このデータベースをつくります農業委員会の方から固定資産税の課税台帳を管理をしております市町村の課税部局の方に照会を掛けて、これの最新の情報で補正をするということが当然できるようになってまいります。こういう意味で、データベースはきちんと整備をされるということになってまいります。  それから、所有者の不明の農地の話の御指摘がございましたけれども、これも昨年の秋の臨時国会で改正をされました農地法の中で、その所有者、権利者の過半が分からない、不明である場合には、公示を行いまして、最終的には都道府県知事の裁定によりまして農地中間管理機構に利用権を設定できるという制度もつくったところでございます。  このように、昨年の中間管理機構の関連法案の整備によりまして、農地情報の管理体制が一新をされ、データの一元化が進んだことによりまして、これまでの課題については順次解消していくことができるというふうに考えておるところでございます。
  57. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。もう少し言いたいんですが、時間の関係で、中もはしょって、六次産業について伺っていきたいと思います。  農業の六次産業化を視野に入れ現在政策推進していると理解をいたしております。農業の分野における生産から加工、流通、販売を通じた効率的な経営管理体制の構築を容易にするには、最近取組が進められている情報通信技術の活用が不可欠だと受け止めております。  例として、農業従事者の高齢化への対応あるいは後継者の育成、消費者ニーズを把握し生産に反映させる様々な課題の解決を目指し、情報技術やセンサー技術などの活用によって、生産効率の向上や平準化、販売データの活用など等による生産計画への反映、計画栽培への反映などなど、公共の持つオープンデータやビックデータビジネスを活用し、気象情報や、特に農林水産業は気象情報が大事ですから、気象情報やあるいは青果卸売市場の調査あるいはその相場の調査、主要生産、出荷団体作付けの現況調査など、出荷計画や計画生産状況等の情報を活用した野菜生産その他出荷計画の策定などを始め、医療や観光などの関連情報とも連携させた新しいビジネスやサービスを生み出していくのも六次産業では可能だと思いますね。平木議員がおっしゃったけれども、何経営と言った……(発言する者あり)多角経営です。  これらの事業環境の整備を進めていると思いますが、平成二十四年十一月三十日に閣議決定された日本再生加速プログラムに盛り込まれたオープンデータの一層の推進、二十五年に結論を出したものと理解いたしておりますが、個人を特定できない状態にした情報の自由化を積極的に進めるべきだと、こう思っておりますけれども、この情報開示に触れ、政府はどのようなことを用意されているのか、お聞かせをいただければ有り難いと思います。
  58. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 農業の情報化推進についてのお尋ねだと思います。  農業者が意欲と能力を存分に発揮をするために、近年注目されている、ただいま御指摘がございましたビッグデータなどを含めてITの農業分野への活用が最も今重要となっているのではないかと存じております。  このために、当省といたしましては、関連産業界等の協力もいただきながら、気象や土壌のデータの活用、さらには実需者等のニーズや生産情報の幅広い提供、そしてまた熟練農家の技術のデータ化など、今後の推進方向性について本年の三月にこれらを取りまとめたところでございまして、ビッグデータにつきましては現在政府全体としてその活用の可能性が議論をされているところでもありまして、こうした状況も踏まえつつ、農林水産省におきましては、関係省庁や企業と連携をいたしましてITの農業分野への活用に取り組んでまいりたいと存じます。
  59. 儀間光男

    ○儀間光男君 特に農林水産業というのは自然との関わりが強いし、自然の状況、気象の状況によってはなかなかうまくいかない。ハウスの中であっても雪害が出たり風害が出たり、あるいは洪水の害が出たりということで、なかなか、自然相手の産業ですからなかなかうまくいかない。  したがって、そのマーケットを担当する部分は相当のデータを駆使していかなきゃならぬ。その中で、マーケット側と生産者側の間で計画生産、あるいは面積も含めてですね、計画生産あるいは契約生産、そういうものが安定して確保できるのであれば、農家は安心して多種多様の作物を手掛けることができると思うんですね。そういう意味での情報産業との連携を強く求めたいと思います。  私事で恐縮ですが、三、四十年前、IT化されることは予想しませんでしたが、これからの農業はいわゆるエレクトロニクス、電気でやりますよと、工場から農林水産物が出てまいりますと。したがって、これは、農業は一次産業、工業は二次産業ですが、農産物が工場から出ますから、産業統計の中で一・五次産業をつくるべきであるというようなことを主張した経緯があって、鮮明に私は覚えているんですよ。  あれから三、四十年がたちましたが、今になって契約栽培あるいは計画栽培、農家の安定的な発展とマーケットとのマッチング、これには、電気でありITであり、そういうものが不可欠な要件となってきているのが近代農業だと思うんですね。そういう意味でも、いま一度これの強化について御答弁いただけませんか。お願いいたします。
  60. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 先ほども答弁の中で若干お答えを申し上げましたけれども、御指摘をいただきました気象や土壌のデータの活用により多収高品質生産の実現など、このITの活用は極めて有効だと思っておりますので、しっかりと進めてまいりたいと存じておりますが、スマート農業というのは、もう儀間委員も御存じのとおりかと思いますが、これにおきましては、超省力、大規模生産を実現をするとか、あるいは作物の能力を最大限に発揮をする、さらに、きつい作業、危険な作業から解放する、四番目に、誰もが取り組みやすい農業を実現をする、さらには、消費者、実需者に安心と信頼を提供するというようなこともこれから最も大切な分野でもあろうかと思いますので、しっかりとIT、農業の情報化を進めてまいりたいと存じております。
  61. 儀間光男

    ○儀間光男君 今、最近、野菜工場とか果物工場とか果菜工場とか、コンテナボックスの中でいろいろやっている時代ですね。私は、実は水耕栽培も相当やってきて、その成果も見ました。  大阪万博、花博がありましたが、その前年、直前に私は水耕栽培の果菜栽培を成功させたんですよ。三百坪の畑に七十坪の苗畑を据えて、ハウスの中ですね、それ全部電気で管理したんです。水耕ですから、ずっと水与えていっても木は精力を失います。その中で、電気で、センサーで操作をして、例えば一時間水をトマトにやるとすると、そのうち、センサーでもって調整をして落水をしまして、四十五分ぐらいはほっておくんですよ。そうしますと、いよいよ苗が疲れぎみに、葉っぱが疲れてくるのが分かりますから、その中に十五分ぐらい液肥を含めた水を入れるとずっと水につけていた作物よりは活性化が非常にあるんですよ。茎を顕微鏡でのぞいたら、この活性力というのはすごいものがありますね。したがって、指一本、人間が触るのは作付けと摘心、摘芽、あるいは着果調整、そういうものだけで、全部電気一つでできるんですよ。そういう時代の、これは根菜とかそういうのには効きませんが、そういう果菜類、葉菜類ですね、そういうものに大いに活用できる技術ですから、そういうのを含めてうんとやっていただきたいと思います。  さて、六次産業を成功させるには、今政府がやっているファンドですが、農林水産業の成長産業に向けてのファンドの創設がありましたが、それについて少し伺いたいと思います。  政府は、農林漁業を成長産業化として、それに向けてファンドを創設しております。まさに時宜を得た政策だと思いますが、同ファンドに産投出資二百億円、産投貸付け百億円など国費が投じられております。同ファンドが有効に機能し、農林水産業の成長産業化に効果をもたらしていくだろうと、こう思いますが、どのような効果がもたらされる予定なのか、予想なのか。あるいは、導入するときにどういうプロセスを経てこれがスムースに導入されていくのか。あるいは、提供資金としてこれを超えていく場合どうしていかれるのか。このファンドの政策についてお聞かせいただきたいと思います。大臣にお願いします。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員からお話をいただきましたこの農林漁業成長産業化ファンド、略称でA—FIVEと、こういうふうに称しておりますが、農林水産物等を活用して加工、流通等の事業を行う六次産業化の取組に対して出資等の支援をするということで、農林漁業者の所得の確保、農山漁村の雇用機会の創出、こういうものを図るためのツールとして大変重要な役割を担っております。  昨年の二月にこのA—FIVEが開業いたしまして、まずは、現場での出資等の業務を行うサブファンドを設立しようということで、今までに地域金融機関を中心といたしまして四十三ほどサブファンドが設立をされました。このサブファンドから事業体へ出資をすると、こういうふうになるわけでございますが、やはり案件の組成、それからその案件に対する審査等に相応の時間が必要になりますので、今のところ二十三件、出資総額、これはサブファンドの出資総額ですが、十六億円ということでございます。今年の三月末は八件、四億円でございましたので、だんだんこの勢いは付いてきているかなと、こういうふうに思っております。各サブファンドがこの案件を作っていく、それから出資決定を行っていく過程で、実際にこのノウハウが高まっていくと、こういうふうに考えておりますので、A—FIVEにおいては、まず各サブファンドで一つ出資決定をやろうと。一つできますと二つ目というのが非常にスムーズにいくというのが先行しているサブファンドでの例でございます。  産業競争力会議でも意見をいただいておりまして、出資案件の増大を図る観点から、農業参入した企業等によるファンド活用の推進や、サブファンドの出資割合の引上げを可能とすること等を通じた事業体の資金調達の確保、それから今先生から植物工場の話もございましたが、植物工場も含めた六次産業化に必要な農業生産の出資を対象にすると、こういうことも行うことにしておるところでございまして、まさにこのファンドの積極的な活用を推進するということによりまして、農林漁業の成長産業化に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  63. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  最後の質問になりますが、このファンドは、先ほど申し上げた、農家があるいは六次産業側があらゆるデータを取るわけですけれども、その際その情報関係への融資も可能かどうかをお示しいただきたいと思います。
  64. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 申し上げましたように、これは六次産業化の取組に対して出資をするということで法律をもってこのファンドを作らせていただきましたので、今委員がおっしゃったようなICT等の技術も、当然、その六次産業化の取組の中で加わっているということであれば、これ出資でございます、したがって、法人に出資をした後、その法人の目的によってこの出資金が生かされていくということでございますので、そういったケースではこのICTを活用したケースにも当然六次産業化として出資があり得ると、こういうことでございます。
  65. 儀間光男

    ○儀間光男君 終わります。ありがとうございました。
  66. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  67. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、内閣官房内閣審議官澁谷和久君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  69. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  70. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。よろしくお願いします。  今日も西村副大臣、後藤田副大臣には来ていただきまして、毎度毎度、どこまで答えが出てくるか分からないんですけれども、TPPの話と、それから規制ワーキングチームの話も少しさせていただきます。もちろん、林大臣にもたくさん質疑させていただくことはありますので、午後の時間でありますけれども、よろしくお願いします。  さて、まず法案関連ということで、TPPについて少しお伺いしたいと思っております。  先週の二十九日、三十日ですが、ワシントンでTPPの日米事務レベル協議が行われたと伺っています。新聞にはいろいろ出ているんですけれども、協議の状況とか評価について公式見解を是非内閣府さんの方からお願いしたいと思います。
  71. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、二十九日、三十日、アメリカ時間でありますけれども、ワシントンDCで我が方の大江首席交渉官代理とカトラー代表代行との間で事務折衝、かなり詰めて二日間行ったわけであります。八合目ぐらいまで来ているという御本人の発言もありましたけれども、残り、間を、間合いを狭めるということで、かなり激しくやり取り、一進一退という表現もしておりますけれども、やりながら、少しずつ前を向いて進み出るところと、ある程度の進展はあったというふうに伺っております。  この状況を受けて、七月には首席交渉官会議をやることになっておりますので、その前にもう一度、今月下旬をめどに二人の間で更に交渉をやるという予定にしておりまして、引き続き、最後のところがやっぱり一番難しいわけでありますけれども、粘り強く交渉を進めていきたいというふうに思っております。
  72. 山田太郎

    山田太郎君 今副大臣の方から話もありましたけれども、本当に七、八合目なのかということで、絶望的な瞬間があったと、まさに崖崩れというか、転落しちゃうんじゃないかなんというような話も報道では出ていたかと思います。  さて、この東京での日米の首席交渉官会議、これ、合意は難しいのかどうか、この辺りもお答えいただけますでしょうか。
  73. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 七月に首席交渉官会合をやろうということで、前回のシンガポール、五月十九日、二十日の会合で決まったわけでありますので、そこに向けて今、日程も調整をしているところでありますけれども、これまでの何度か御答弁もさせていただきましたけれども、先に閣僚会議を決めると、いつも難しい問題をどんどんどんどん閣僚会議に上げて事務的にはなかなか詰まらないという状況が昨年の年末来続いてきておりますので、閣僚会議やるたびごとにそのことを確認しておりますので、今回は首席交渉官会合である程度の時間を取って、日数も取って、そこでしっかりと詰めて、前回シンガポール、五月十九日、二十日で整理されたものを更に論点を狭めて、閣僚会合にどれを上げるか、これをかなり絞ってやれれば、その次が、閣僚会合が見えてくるわけでありますけれども、この首席交渉官会合で日米の、それまでの日米のこの六月下旬で更に間合いが詰まれば、それをベースに各国にもいわゆるマーケットアクセスの議論を行い、さらに、ルール、知的財産とか投資の保護とか、こうしたところも議論を行って、論点が狭まってくれば次が見えてくるということですので、これはなかなか、最後の部分になればなるほどみんな難しいところが残ってきますので、非常に厳しい交渉がまだ続きますから、まだ合意が見えているというところではありませんけれども、だんだんだんだん絞られてきている状況でありますので、是非この首席交渉官会合でかなりの部分を論点を詰めてもらって、それで次の閣僚会合が見えるように是非期待をしたいというふうに思います。
  74. 山田太郎

    山田太郎君 富士山登りも九合目が一番きついということでありますので、我が党としてはTPP推進の立場でありますから、是非頑張って登り切っていただきたいと思います。  そういう関連で、TPP、割とこの農林水産委員会では厳しい意見も出ますが、逆に日本農業にとってプラスの面というのはないのか。この辺り、農林水産大臣にも今回はいい機会ですからお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  75. 林芳正

    国務大臣林芳正君) TPPを通じてアジア太平洋地域の活力を取り込んで力強い経済成長を実現すると、これは我が国の国益になると、こういうふうに考えておりますが、農業分野について申し上げますと、関税撤廃による国内生産への影響を懸念する声が強いということで、衆参の農林水産委員会で重要五品目など聖域の確保を最優先することが決議をされております。  今やっておる農政改革、これは農業従事者の減少、高齢化が進展する中で活性化待ったなしの課題であると、こういうふうに考えておりまして、TPPいかんにかかわらず取り組むべきものと、こういうふうに考えております。
  76. 山田太郎

    山田太郎君 TPPと農業改革関係質問したわけじゃなかったんですが、大臣の方から個別でもやるんだという話を聞いたので、どうも思惑としてはやっぱりTPPと農業改革という関係もあるのかなというような思惑も感じました。  西村副大臣には、ここまでが関連質問ですので退席していただいて結構でございますが、委員長の方で。
  77. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 西村副大臣は御退席いただいて結構でございます。
  78. 山田太郎

    山田太郎君 それでは、両案のちょっと質疑に入っていきたいと思いますが、この前提になっております生産調整、減反見直しという辺りについてお伺いしたいと思っています。  主食用米に関しては今後も引き続き政府が生産数量目標を示していくと聞いていますが、飼料用米などの転作作物については、これどうなっていくのか。この辺り、教えていただけますでしょうか。
  79. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この米政策見直しでございますが、五年後を目途に、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、生産者集荷業者団体中心となって円滑に需要に応じた生産が行えるように各般環境整備を進めると、これを決めておるところでございます。  主食用米については、今まで全国ベースの需給見通しの策定、やっておりました。これに加えて、より細かい県レベルでの販売進捗、在庫情報、価格情報、こういうものを毎月提供するということにしております。  餌米でございますが、米粉用米、大豆等、餌米と並んで主食用米以外の作物、これまでも実需者との契約で取り組まれてきたものでございますので、主食用米と同様の形での情報提供というものは行っておりませんが、例えば餌米では畜産農家から新たに七万三千トンの供給希望がありまして、生産要望のある耕種農家とのマッチング活動を行うと、こういうようなことをやったりしておるところでございます。こういう情報提供を進めまして、餌米、また大豆等々の需要に応じた生産拡大というのを図っていきたいと思っております。
  80. 山田太郎

    山田太郎君 今回の見直しというのは、それぞれ農業者が転作含めて何を選んでいくかは個別に考える、ただし、その情報はきちっと農水省さんが出しましょうと、こういう改革だと思いますが、ちょっと餌米に関してはこの委員会の中でもかなり質疑続いていると思うんですけれども、どうもその需給というのが、見通しが怪しいというかよく分からぬと。これも質疑通じて繰り返しになりますが、カントリーエレベーターの問題、流通の問題、そもそも餌米を使う畜産者がどれぐらい需要があるのか。そこをマッチングすると言っているんですが、既に政策は実行されているわけでございまして、平成三十二年には七十万トン、でも、残念ながら今は十八万トンぐらいしか扱われていないと。  こんな中で、来年、再来年、どういう見通しなのか。今これが分からない中で実際にそういったもう政策転換がされて、現場は非常に不安というか混乱というか、このままではなかなか飼料用米を作るのに至れない、これは現地のいろんな現場を見てきた声だったと思います。  その辺り、もう一度しっかり、重要な局面にあると思っていますので、政府の方から見解、特に具体的数量、見通しがあればいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、七万三千トンというものが供給希望があるということでございまして、このマッチング活動を行っておるということは申し上げたとおりですが、さらに日本飼料工業会からも、価格等の条件が合えば当面四十一万トン、中長期的には約二百万トンの使用が可能だと、こういう発表があるということでございまして、これらのマッチング活動を推進していきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  これは、餌米は今までも水田フル活用という観点から八万円の補助をやっておったわけでございまして、今十八万トンというお話がございましたけれども、平成二十一年には二・三万トンであったわけでございますが、それが二・三、八・一、十八・三と、こういうふうに伸びてきておりますので、今後もこのマッチングと、それから耕種農家側の対策、それから畜産の方のいろんな支援、こういうことを通じましてしっかりとこの数字を伸ばしていきたいと、こういうふうに思っております。
  82. 山田太郎

    山田太郎君 今大臣の方からは期待されるような数字とかをおっしゃっていたんですけれども、もしこの需給のいわゆる見通しが間違っていた場合はどうなってしまうのかと。  それから、もう一つお伺いしたいのは、飼料用米についてはナラシ対策をされるのかされないのか、この辺り、需要見通しに対する政府が発表した数字に対する責務、それから米はナラシをやるというふうに書いてあるんですけれども、飼料用米等に関してはどうなのか、その辺りを教えていただけますでしょうか。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど二百万トンと申し上げましたが、さらに、これも常々御答弁しているところでございますが、例えば鶏に対してどれぐらいが置き換われるか、豚に対してどれぐらいか、牛に対してどれぐらいかと、こういうもの、現行の技術水準ということを勘案しますと、大体四百万トンを超える潜在的な需要があると、こういうことでございまして、先ほどの二百万トンというのも、そういう状況の中で工業会さんが発表されたと、こういう経緯だと、こういうふうに思っておりますので、この潜在的な需要をしっかりと実需に結び付けていく必要があるということでございます。  それから、ナラシお話ですが、餌米は対象にされておらないということでございます。
  84. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、飼料用米で作ったお米、割と政策的に今すごく魅力的な多分トン数、数字。それで、これも現場見てくると、やっぱり設備投資が非常に必要なんですよね。そんな中で、また投資をして外れた場合、政府の農政見通しの甘さというのが、本当に大丈夫なんだろうか、今後それすらやっぱり現場の農家が全て責任を負わなきゃいけないものなのかどうか、この辺り、今回の政策転換、非常に重要な局面であります。  厳しいことは厳しいことを言っていただいた方が現場の混乱にはつながらないと思いますので、その辺りをもう一度大臣から答弁いただけますでしょうか。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは畜産側の課題としても、やはり輸入の飼料に頼っているというところがよく言われておりますように、畜産では規模の拡大はかなりの、もう各国と比べても遜色ないところまで進んでいると。ただ、やはり餌というものが輸入に頼っているという意味で、畜産からとっても非常に大事なことだと、こういうふうに思っております。  流通体制の構築のために二十五年度の補正で攻めの農業実践緊急対策、畜産収益力向上緊急支援リース事業、それから二十五年度補正、二十六年度引き続き、強い農業づくり交付金、こういうもので、先ほど申し上げました耕種側の乾燥調製貯蔵施設の整備、畜産側で必要となる加工保管施設の整備、粉砕機、こういう支援を行うと、こういうふうにしておるところでございます。  それで、まさにこのマッチングをして、需要というものが先ほどの工業会からも発表されたように現実化してくるという中でこういう設備投資の判断が行われるということでございまして、かつてのように政府が生産の数量を決めてそれを配分してそれに基づいて設備投資をするということではなくて、しっかりとした需要に基づいてこういうものが行われていくということは基本になければならないと、こういうふうに考えております。
  86. 山田太郎

    山田太郎君 現場は結構大変厳しい状況なのかなというふうにも思っております。  さて、ちょっと担い手に関しても少し、時間がどんどん過ぎていますので、お伺いしていきたいと思いますが。  今回の経営所得安定対策なんですけれども、我々としては、経営の規模拡大につながるということを念頭に制度設計をするべきじゃないかと、こういうふうにも思っておりまして、そういう意味では、緩やかな改革という意味における戸別所得補償政策、意外と、民主党の案、理にかなったものだったなと改めて実は実感しているところもあるのでありますけれども、ただ、今回の自民党さんというか政府が出された対策は、規模要件の撤廃という事項があります。これだと小規模経営の温存につながるおそれがあるんじゃないかと、こんなふうにも思っているわけです。  そこでお伺いしたいんですが、認定農業者の基準に規模要件や年齢要件など独自要件を設定している市町村に対して、実は今年の四月一日からなんですが、それを是正するように地方へ通達を出しています。農業経営基盤強化促進法に関するものということで出しておるんですが、どんな指導を具体的にされているか、お答えいただけますでしょうか。
  87. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 認定農業者制度の運用に当たりましては、これまでも、農業経営改善計画の目標の達成が見込めるのに、例えば年齢等の独自基準を定めて、これを満たさない者は一切認定しないと、こういった画一的な運用を行っている市町村については、そういった独自基準を廃止して適切な運用を行うように指導を行ってきたところでございます。  昨年の臨時国会で、今お話ししていただきましたように、農業経営基盤強化促進法を改正いたしました。この周知に当たって、認定農業者制度についても、独自基準を設けて、これに基づいて画一的な運用を行うことがないように改めて都道府県を通じて市町村に対する運用の徹底、これを図らせていただいたところでございます。  市町村から個別の問合せがある場合に対しても、具体的な内容を十分に伺った上で、その都度アドバイスを行っているところでございまして、今後とも認定農業者制度の適切な運用を徹底してまいりたいと思っております。
  88. 山田太郎

    山田太郎君 ただ、日本は非常に広くて、北海道から沖縄、それから平地だとか中山間地域、いろいろあると思うんですね。そういう意味では、市町村の判断で例えば大規模な担い手を増やしたいとか又は若手を増やしたいとか、そういう判断もあるかと思っています。認定農業者の基準に独自要件を例えば設定してもそれ自身は法律違反にはならないということなので、もうちょっと市町村を信じてその意向を尊重するべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  89. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業経営基盤強化促進法に基づきまして、認定農業者の認定に当たっては、農業者自らが農業経営改善計画、これを作っていただくと、こういうことになっております。これを、市町村が作成した目標、基本構想に照らして適切なものであるということ、それから計画の達成される見込みが確実であるということ、こういうことに照らして市町村が判断すると、こういう仕組みになっておりまして、申請時の例えば年齢等をもって認定の可否を判断すると、こういうふうにはなっていないわけでございます。  したがって、市町村が認定農業者の認定の可否を判断するに当たって、例えば若い担い手を育成したいんだということで独自基準で年齢等の基準を設けますと画一的な運用になりがちになってしまいまして、例えば一定の年齢は超えているんですけれども、ほかの産業での御経験があって、将来に向けて農業でやっていく、生計を立てていく意欲と能力がある、こういう方がこういう形式的な基準で入口で排除されるということにつながりかねないということでございますので、画一的な運用になりがちな独自基準というものは適当でないと、こういうふうに考えております。
  90. 山田太郎

    山田太郎君 余り、ちょっと言葉遊びはしたくないので。ただ、市町村の考え地域政策というのもあるでしょうから、逆に国の方が画一的な基準でもって排除しないということもあるでしょうから、是非その辺は、指導の件、よろしく留意していただければと思っております。  さて、今、担い手というのを増やさなきゃいけないということでこの法案も議論されているわけですけれども、いまいちその担い手というのがどうなのかということに関しても、どうあるべきなのかということに関してもきちっとしておかなければいけないのかなというふうに思っています。そういった意味で、その担い手を増やすということも目的として多面的機能支払というものもあるということなわけでありますけれども、私の方は、これは面積当たりで配るのはどちらかというともうばらまきではないかと、こんなような実は質疑もさせていただきました。  そういう点で、ちょっとその担い手多面的機能支払というところでお伺いしていきたいんですが、例えば水路とか農道の管理も御自身でできない方が、これは例えば対象としては、前回ちょっと質疑の方をさせていただきましたが、全体の農地の七〇%の方が対象者となるわけなんですけれども、そんなにたくさんいるのかどうかということなんですけれども、いかがなんでしょうかね。
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この七割という数字が多分中山間地域支払等も含めてという、こういうことだと、こういうふうに思いますが、いずれにしても、水田中心農業というのが土地、水のつながりで地域ぐるみで営まれております。水路、農道等がやはりそこの箇所だけではなくて全体として適切に管理されておりませんと機能が発揮できないと、こういう性格がございますので、こういう水路、農道等の維持管理が地域の共同活動を通じて地域全体で行われていたところでございます。  農業の高齢化、リタイア等によって地域の共同活動で支えられていたこういった水路や農道等の維持管理が困難を来すようになっておりまして、担い手にとっては施設を単独で維持管理する負担の増大、こういうところがネックとなって規模拡大を進めることが阻害される、こういうことも懸念をされるということでございまして、そういった意味で、担い手の規模拡大ということを進めるためにも施設の維持管理に係る担い手の負担の軽減というものを図って、規模拡大推進しやすい環境というものは整備をする必要があるだろうと、こういうことでございます。  したがって、施設の維持管理について、地域の住民、地域の実情に応じて、農業者のみに限らず、地域住民等も含めて地域全体で取り組む共同活動で支えていくと、これが重要であるというふうに考えておるところでございます。
  92. 山田太郎

    山田太郎君 ますます担い手というのが何だか分からなくなってきちゃったので、ちょっとその定義ももう一度ひもときたいなというふうに思うんですが、質疑の中でも、やる気と能力がある農業者というんですけど、それが半分だというんですね。そうすると、やる気と能力がない農業者が今半分なのかという議論をちょっとはっきりさせなきゃいけないことと、面積当たり七割というのが何か数字的に合わない感じがしております。  それからもう一つは、じゃ、やる気と能力がない農業者は逆に担い手じゃないので、対象じゃないから排除するという考え方なのかどうか。どうもちょっと、担い手とは何なのか、どういうふうに増やしていくのか、この多面的機能法案によって本当に担い手をサポートできるのか、何となく最後に来て申し訳ないんですけど分からなくなってきてしまったので、是非その辺り、大臣の方からお答えいただけないでしょうか。
  93. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど七割という数字、少し申し上げましたけれども、私が答弁をいたしましたのは、新たに創設する農地維持支払について、約二百五十万ヘクタールから最大約三百万ヘクタールの農用地で取り組むことができる予算額を確保したと、この面積対象となり得る農用地面積約四百九十万ヘクタールに対し五〇から六〇%程度に相当すると、こういう御説明をしたわけでございますが、それに中山間地域とか環境保全型の面積を加えて差引きすると七〇%というふうに委員がおっしゃっていると、こういうことだと思います。  認定農業者につきましては、農業経営基盤強化促進法で、先ほど申し上げましたように、市町村がこの地域の実情に即して効率的、安定的な農業経営の目標を内容とする基本構想、これを策定をします。この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する、こういう仕組みになっております。さらに、その市町村の基本構想は、都道府県で基本方針、こういうものを作っていただく、こういうことになっております。  大本は、平成四年の新政策と言われています、新しい食料農業農村政策方向というのがございますが、そこにおいて、他産業並みの年間労働時間と生涯所得を実現する効率的、安定的な経営体、これが生産の大宗を担うような農業構造を確立しようと、これが農業政策の目標として提示をされました。したがって、この認定農業者制度というのは、こういう農業構造を実現するために、今議論になっています農業経営基盤強化促進法、これによってこの制度がつくられたと、こういうことでございます。
  94. 山田太郎

    山田太郎君 他産業的な自立した農業者というふうに最終的に定義をしてしまうと、今回、中山間地域等々も含めて、正直、産業として難しいんじゃないかという議論も、我々、農水委員会、見てきたわけで、何となくうまく当てはまらないような気がしておりまして、これはまたちょっと大事な話だと思いますので、ずっと続くものだと思いますから、次回、この法案もあるでしょうけれども、続けていきたいと思います。  もう一つ大事なことに、多面的機能支払の中に農地維持支払と別に資源向上支払がありまして、これは農村の環境保全活動を行うということが要件になっているわけですね。この保全活動なんですが、水田の生き物の調査ですとか花の植栽ですとかそういうものが活動内容とされているんですけれども、年に何回ぐらいやるとそういった活動に交付金がもらえるのか。あるいは、例えば年に一回とかそこらで水田の生き物調査とか花の植栽を行うとどうしてそれが担い手の事業拡大につながるのか。何となくその辺もよく分からなくて、是非教えていただきたいと思います。
  95. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) この資源向上支払の農村環境保全活動についてでございますが、年に何回行うとということでございますけれども、この活動、例えば景観形成のための農道の植栽でありますとか、それから水路の生物の生息状況の把握をしたりするわけでありますけれども、これらの活動について地域の実情に応じて現場で活用しやすい仕組みとなるよう、支援対象となる活動の実施回数については特に定めていないという状況でございます。
  96. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、何か、何でも申請すればもらえちゃうのかなという、ちょっと不思議な、これ根本的に、よく考えたんですけれども、面積に対して払おうという元々の考え方に無理があるのかなと。元々背景はこれコミュニティーの形成とかという議論をしていたので、であれば、活動に対して支払う、人に対して支払うというんですかね。もう一つは、現場のいわゆる農地が生産性が高まったり向上するということに対してダイレクトにやっぱりこういった支払を付けていくというのが本来の考え方なんじゃないかなと、本当に多面的機能を守っていくことになるんじゃないかなということも思いまして、ちょっと制度設計上、何となく理解できないというか、無理があるんじゃないかなというちょっと指摘をさせていただいて、次に行きたいと思っています。  今日は後藤田副大臣の方にも来ていただいていますので、規制改革会議、シリーズで少し質疑させていただいているんですが、今日は農業委員会について少し進めていきたいと思います。  前回のこの委員会でもこの農業委員会に関しては大変厳しい意見が出たんですが、我が党的にはこのタイミングを捉えて是非農業委員会改革していただきたいという、どちらかというと肯定的な意見も少し言わせていただきながら、中身は皆さんと質疑していきたいので、是非よろしくお願いしたいというふうに思っております。  まず、お手元に今日、資料を配付させていただいたんですが、これ、農水省さんが平成二十四年一月から二月にかけて調査をした結果であります。元々、農水省さん、平成二十年農地改革プランに基づきまして農業委員会の改革にも踏み込んでおられて、その関係調査されたということだというふうに聞いております。  それで、見ていただきたいんですが、やっぱり農業委員会に対して、特に現場農業者、それから農地保有合理化法人さんはかなり不満を持っていらっしゃるというのは事実なのかなというふうに思うんですね。  それともう一つ、ちょっと資料では付けていないんですが、この背景にあります回収率というのがありまして、実は農業委員会事務局さんとか市町村さんは八〇とか六〇%という回収率なんですが、農業者さんは僅か一八%ということで答える気もないと、こういうふうにも読み取れるわけでありまして、こういうことを受け止めて今回の農業委員会の改革に着手すべきではないかと、こんなふうにも至ったんだと思っています。  そういった意味で、まずちょっと大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、何も規制改革会議に頼らずとも、農水省を含めて、このプランが出たときに改革が農林水産省の方でも一緒にできなかったのかどうか、ちょっとこの辺り、経緯というか、少し大臣の方からも御答弁いただければと思っています。
  97. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業委員会については、今のアンケートはお示しいただいたとおりでございますが、農業者から評価を必ずしもされていないというのはこのアンケートでも明らかでございます。  それで、改革の経緯ということですが、累次、農業委員会については制度の見直しを行ってきたということでございますし、ここでも御答弁申し上げたことがあると思いますが、昨年の十二月に農業それから地域活力創造プランというものを決めて、いろんな、農地中間管理機構ですとか、経営所得安定対策見直し米政策見直し等決めたときに、あわせて農協や農業委員会については規制改革会議等の意見も踏まえながら六月にこのプランの改定という形でやると、それが十二月に決まっておりましたので、我々としても全く何もせずに見ていたと、こういうことではなくて、今までもやってまいりましたし、今後も必要な改革はやるということは十二月のプランにも書いてあったところでございますので、それに従って今、改革案を検討中と、こういうことでございます。
  98. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、この資料を見ていただきたいんですが、例えばJAさんなんかも約半分ぐらいが、活動しているが内容には不満があるというような形で、半分ぐらいがちょっとネガティブな意見なんかもされているということだと思うんですね。  今日はもう資料多過ぎるといけないのでお出ししなかったのですが、その不満の中で、何で活動に不満かというと、農家への働きかけが形骸化していると。これJAさんが、八〇%弱の方が答えていらっしゃる。それから、活動が低調な理由としては、この委員会が名誉職になっていると。これJAさんが、不満の中で六二%の方がそうおっしゃっていると。指摘に対する考え方として、もっと役割を変えるべきだという意見も非常にJAさんを始めとして国の機関の方もたくさん言っているというのが現実的にこれ農林水産省さんが調べた調査だと思うんですね。  こんなことも踏まえながら、是非、今日は後藤田副大臣に来ていただいていますので、今回の背景とか趣旨、少し簡単に御案内していただければと思います。
  99. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 委員御案内のように、先ほどの農水省さんの作られたアンケートも私どもも参考にさせていただいておりまして、農業委員の名誉職の問題だとか、また一方では農業委員会事務局の人手が不足しているだとか、様々な観点がございます。  先ほど農林大臣もおっしゃったように、これはもう農林省さんももう釈迦に説法のことだと思いまして、平成十六年の農業委員会法の改正、また二十一年の農地法改正というのはまさに、いわゆる個別の申請など受け身の業務が中心だったものから、これを積極的に関与する能動的な業務を追加するという大きな変換をされたわけでございますが、しかしながら、我々の規制改革会議では、先ほどの委員おっしゃったアンケート結果の中での背景だとか、また様々な現地視察、ヒアリングも含めて、また一方で耕作放棄地がそうはいっても二十一年改正後も増加をしている現状、そしてまた既存の農業者のみならず、またこれから多様な担い手の参入をしていただかなければ農地を保全できない、またそういう方々のためにしっかりと農地を保全するという、こういう取組の一層の強化をするために、農業委員会のいわゆる機能強化という切り口での観点で規制改革会議では意見を出させていただいたところでございます。
  100. 山田太郎

    山田太郎君 この農業委員会の選挙制度ということに関しても廃止の提言ですとか、これは実際、私が質疑した中でも、実は九割が無投票で決まっているということ、全国千七百の農業委員会のうち九割が無投票だというようなことも調べていただいたんですが、また農業団体からの推薦制度の廃止も打ち出されているということであります。  確かに結構大きな改革でありまして、選挙制度の廃止と農業団体からの推薦廃止という重要な提言もされていますが、これ、大臣の受け止め方、是非聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この規制改革会議の御提言に対する受け止めと、こういうことで今選挙制度とそれから団体推薦制度についてお話があったところであります。  まず、選挙制度でございますが、歴史を遡りますと、昭和二十六年の農地解放で農地の売渡しを行った農地委員会、それから食料の供出を行った農業調整委員会、技術指導を行った農業改良委員会、これ三つが一緒になってできたのが農業委員会でございますが、当時どの農民もおおよそ同じ経営規模であったということと農地委員会農業調整委員会が選挙制ということがあって、選出に当たっては選挙制を採用したと、こういうことであります。  農業委員会は、市町村の独立行政委員会という位置付けでありまして、担い手への農地利用の集積、集約化、新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、解消と、こういうものを積極的に進めていくというのが何よりも重要だと、こういうふうに思っておりまして、選出の在り方については、農業委員の、このような観点から考えていく必要があると考えておりまして、与党と協議しながら最終的な結論を導いていきたいと、こういうふうに思っております。  それから、団体推薦制度でございますが、この選任委員は、法律で、農協、共済組合、土地改良区が各一名、その組合員等が推薦する団体推薦委員、それから市町村議会が四名以内の学識経験者を推薦する議会推薦委員、こういう人から構成されると、こういうふうにされております。地域農業関係団体や幅広い分野の学識経験者の参画を得て農業委員会の事務の円滑な遂行を図ると、こういうことで設けられているわけであります。  先ほど申し上げましたように、この農業委員会の役割というのは先ほど申し上げたとおりでありますので、そういう観点に照らしてこの選任委員の在り方も考えていく必要があると、こういうふうに考えております。
  102. 山田太郎

    山田太郎君 もちろん、規制改革会議が出してきたものを全て我々も、だからいいんだというわけにはいかないんで、ちょっと逆にその案の中でも見ていきたいんですが、規制改革会議の案における農業委員会の目的として遊休地対策、転用違反対策、重点置きましょうということなんですね。今回、改組しまして農地利用推進員の新設ということをする。そうすると、逆に、じゃ、どうしてそれがうまくいくのか、遊休地がなくなって本当に転用違反が減るのかどうか、その辺り、どういう仕組みでそういうことができるのか、是非そこはお聞かせいただけますでしょうか。
  103. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 先ほどもお話ししましたが、今委員御指摘の部分ですが、やはり農業委員会の機能の強化ということで、先ほどは農業委員会の構成として、平均的な農業委員会というのは大体二十一人ぐらいで、選挙委員が十六名、また選任委員が五名、このような平均的な形になっていますが、それに事務局が職員五名と、これがいわゆる一般的な農業委員会の形でございます。  その中で、先ほど来の農家の方々、また、いわゆる多様な担い手方々のいろんなお声といいますか不満といいますか、それに対応するためにはなかなか現体制では難しいのではなかろうかという議論がございました。実際、耕作放棄地の調査とか改善ということも二十一年農地法改正の中にもございますけれども、なかなか人員の確保、例えば市町村の事務局も市町村内部部局との兼任している職員が半数いるとか、こういった現状を踏まえますと、新たに農業委員会の下に専門的に、いわゆる中間管理機構が今度できるわけでございますが、それに伴っての利用意向調査だとか、また転用違反の対応だとか、こういった体制を実務面でしっかりと整備するべきではなかろうかなということ。  加えて、また、新規就農を希望する者が容易にコンタクトできるワンストップサービス、こういったものも実現すべきじゃないかというような意見もございまして、そういう対応に対しても、今度の、仮称でございますが、農地利用推進員の中から一、二名を新規参入サポーターとして、またその連絡先を公表して、しっかりと農業、またいわゆる農地利用を活性化させていくという体制を整えたらいかがかという意見でございました。
  104. 山田太郎

    山田太郎君 もちろん、問題があるからということで改善、改革することはいいんですけど、ただ壊せばいいというものじゃないので、そこは確かに新しい仕組みで、新しい仕組みをちょっと拝見させていただくと、まだまだ詰められていないところがあります。そういったものを含めてどう変えていくかということがこれからの議論では極めて重要だと思いますので、ワーキングチームは多分ここまでの提言で終わりということであれば、農林水産省さんの方がこれを受けてどういうふうな設計をするのか。それで本当に農業委員会こう変えていくべきだということがまとまれば、それはもちろんいい改革案ということで賛同できると思いますが……
  105. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 山田委員、時間が来ておりますので、おまとめください。
  106. 山田太郎

    山田太郎君 はい。  是非、そういう形で、これしっかり、今改革が必要だということは事実だと思いますので、進めていただければと思います。  時間になりました。本日の質疑、これぐらいにしたいと思います。ありがとうございました。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず初めに、TPP問題について質問いたします。  五月二十九日から三十日に開かれました日米TPP事務レベル協議が終わったわけですけれども、まず、その結果について明らかにしていただきたいと思います。
  108. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。  二十九日から三十日、アメリカのワシントンDCにおきまして、大江首席交渉官代理とカトラー次席代表代行との間で事務折衝を行いました。二日間にわたり延べ九時間ほど協議を行ったわけでございます。  具体的には、四月の時点で、方程式合意と呼んでいる、その方程式を構成する様々なパラメーターがあるわけですけれども、その中身をどうするか、そしてそれをどう組み合わせていくかと、そういう議論をしたわけでございます。一つだけ例を挙げますと、例えばセーフガードの在り方のような、そうした個々の構成要素について細かい詰めの議論を行ったわけでございます。  ただ、こういう議論の中身に入りますと、お互いの立場の違いが非常に鮮明になりますのでなかなか難しいということは、これは五月二十日のシンガポールであったときにもお互いにそういう話をしていたわけでございまして、予想どおりと申しますか、一進一退、厳しい協議であったわけでございますが、少しは前進をしたということでございます。  次回は、七月の首席交渉官会合の前に、恐らく東京ということになろうかと思いますが、再度事務折衝を行う予定でございます。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 一進一退とか少しは前進したという話ありましたけど、引き続き協議ということですよね。  それで、甘利大臣は五月二十七日に、この日米事務レベル協議というのは閣僚会合に上げる懸案項目が具体的に絞り込めるかどうかの大事な会議なんだというふうに記者会見で言及するほどの位置付けをされていたわけです。それが結局、引き続き協議ということになっていたということでは、今後のスケジュールが大きく狂ってくることになるんじゃないですか。いかがですか。
  110. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 日米の協議は八合目まで来ているということを甘利大臣が申し上げているところだと思いますが、八合目に来ますとだんだん空気も薄くなってくるということで、これ今朝の甘利大臣の記者会見で、かなり高いところに来ているのでお互いに高山病にならないように、まず八合目の環境に慣れるということが必要なんじゃないかと。そういうことで、多少踊り場的な現象が今あるんじゃないかと。  正直申しまして、アメリカのステークホルダーの様々なリアクションでありますとか、あるいは、まさに私ども、日々先生方とこうやって御議論させていただく中で大変厳しい御意見も頂戴していると。お互いにそういう環境にある中で、これから更に残りの二合を詰めるということはお互いにとって大変厳しいことでございますので、そこはやはり多少時間が掛かるということではないかというふうに思います。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 厳しい厳しいという話があるわけですけど、当初のスケジュールでは、この日米事務レベル協議で話をまとめて、七月の十二か国の首席交渉官の会合で確認をして、それを受けて閣僚会合を開催して大筋合意というスケジュールだったんじゃないかと思うんですね。今回の日米事務レベル協議というのは七月の首席交渉官会合の成否を左右するというふうにされていたわけで、それが、厳しいか空気が薄いか知りませんけれども、継続協議ということになると、甘利担当大臣が極めて大きな山場なんだというふうに言ってきた七月の首席交渉官会合も、これ困難になっているんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  112. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 五月の十九、二十日で開催されましたシンガポールの閣僚会合におきましては、各閣僚の共通認識といたしまして、七月、まだこれ日にちとか場所は決まっておりませんが、首席交渉官会合を開く前に市場アクセスについてのバイの協議、これは日米だけではなくてほかの国同士も含めますけれども、さらに、ルールの分野についても事務方による交渉を加速させて、できるだけ間合いを詰めるということを七月の首席交渉官会合の前までできるだけ努力をするということでございます。  今回、一進一退ということで、甘利大臣の言う踊り場現象ということでありますけれども、引き続き協議を行う。今回の先週の木、金の協議を踏まえて、お互いにこれから次の協議に向けてどういう対応をするかということを持ち帰っておりますので、そうしたことを踏まえて、次の会合、さらにはまた、首席交渉官会合の間もいろんな協議は続くと思います。そうしたことを通じて、なるべく間合いを狭める努力をするということだと思います。  七月の首席交渉官会合の後、閣僚会合を開く開かないについては、これはまだ首席交渉官会合の結果を見てということになっているところでございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 間合いを狭めてということなんですけれども、日本政府が今回の日米事務レベル協議について長い日程を提案していたわけですけれども、それに対して米国政府からは二日で十分だという返事があったと、報道でそういうふうに書いてありましたけれども。日本政府関係者からは、そういうアメリカの態度に対して、本気で懸案を解決する気があるのかという声が漏れているということも報道されているわけですけれども。  実際は、米国から見ると、関税ゼロではなくて、いつまでも例外を維持しようということでやっている日本にしびれを切らせて、もういいかげんにしてほしいという感覚になっているんじゃないのかと思うんですけれども、いかがですか。
  114. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) シンガポールの閣僚会議の二日目、五月の二十日だったと思いますけれども、甘利大臣が、物品の市場アクセス、さらにはルールも含めて、各国どうしても譲れないという点があるんだと、そうした点お互いに認め合わないとまとめモードには入らないじゃないかということを甘利大臣が発言をされて、かなりの国の賛同を得たわけでございます。アメリカからも甘利大臣の意見に対して特段の異議は出なかったということでございまして、現時点、我々は日米の協議も含めて、そうした日本の立場、十分理解を求めながら進めているというふうに理解をしております。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 米国政府の交渉姿勢に影響をこの間与えてきているのが、米国の畜産団体を筆頭とする農業団体だというふうにされているわけです。  五月二十八日には、全米豚肉生産者協議会、それから国際乳製品協会、米国米連合、全米小麦生産者協会、それから米国小麦連盟、この五団体が、日本が十分な農産物の市場開放をしなければ、日本抜きでTPP交渉の妥結を求めるという共同声明を発表したということも報道されているわけですけれども、その点について、その声明内容などをちょっと明らかにしていただきたいと思います。外務省ですね。
  116. 森健良

    政府参考人(森健良君) お答えいたします。  五月二十八日、御指摘の五つの農業団体が声明を発表いたしまして、内容を少々はしょって申し上げます。  まず第一点目は、甘利大臣は、シンガポールにおいて、日本はセンシティブな農産品についてはいずれも完全な自由化はしないと発言したと。それで、日本はTPP交渉に参加した際には、二〇一一年のTPP貿易閣僚による報告書にあるとおり、全ての分野で包括的かつ野心的であり、関税及び貿易や投資の障壁を撤廃する協定を追求する、そういうことに合意した。にもかかわらず、甘利大臣は、他の交渉参加国に対して、日本は聖域と考えている五品目については関税を撤廃しないと述べたとされていると。日本が要求しているような広範な例外は、ほかの国にもセンシティブな分野の自由化を差し控えることを促すことになるであろうと。米国の交渉官には日本意味のある農産品の市場アクセスを提供するよう働きかける機会がまだあると。それに失敗する場合には、代わる代替案としては、日本との交渉を当面中断し、当初考えられていた野心の水準を満たす意思がある国との間で真に包括的な協定を妥結することができると。  概要は、以上の声明が発出されました。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 今のが上がった決議、声明の中身だということなんですけれども。  それで、報道によりますと、二〇一二年の米国の畜産業界の政治献金が約一千百万ドルに上っていると。それで、貿易政策を扱っている下院の歳入委員会では、牛・豚肉生産で上位五位の州から選出された議員が四割に上っているんですね。農業団体の支持なしにTPPを議会で通すのは不可能だというふうにされているわけです。  現に、五月八日に開催された米国上院の財政委員会では、共和党のハッチ上院議員が、日本は農産物の関税を維持しようとしているが論外だという発言をしている。それから、民主党のワイデン上院財政委員会委員長は、対日交渉では米国の農家が期待する結果を求めると、厳しく追及されていると。そして、最も政治力が強いとされている全米の豚肉生産者協議会の会長であるハワード・ヒル氏は、日本は特別扱いを求めているが、我々は日本の豚肉の関税撤廃を要求するんだということを声明で言って、その要求を明らかにしているわけです。  ここで林大臣にお聞きしますけれども、こういう状況で四月に日米首脳会議で合意したと言われる方程式が成立すると考えておられるのかどうか。既に米国政府はこの方程式の一つになっているセーフガードの導入も拒否をしているということも報道されているわけですけれども、いかがですか。
  118. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このアメリカ農業団体日本意味のある市場アクセスを提供しない限り日本抜きで交渉を妥結させることを求める声明、今外務省から御紹介があったとおりで、発表されているということは承知をしております。  実は、同じような声明が同じ団体から、昨年秋から今年にかけて何度か出ております。この間も我が方は米国政府との間に粘り強く衆参両院の農林水産委員会決議を踏まえて交渉を行ってきたところでございますので、今後も同じようにしっかりと決議を踏まえて、国益を守り抜くように粘り強く交渉に取り組んでいきたいと思っております。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 私今聞いたのは、方程式と言われていた、甘利大臣が言われていた、まあだから関税の撤廃を段階を踏んでとか、あるいはこのセーフガードも一緒にというパッケージという形で方程式という話があったわけだけれども、その方程式の一つのセーフガードの導入の問題をめぐってもいろいろ出されている中では、これ成立するのかどうかということですよね。そのことに対しての御認識をお聞きしたんですけど。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) セーフガードは重要な一つの要素であると、こういうふうに思っておりまして、今回の日米協議でも、このセーフガードも含めて、日米間に残された課題について議論が行われたと、こういうふうに承知をしております。  関税というものを議論するときには、削減幅ですとか、削減の期間ですとか、セーフガード、こういう複数の要素を併せて議論をすべきものだと考えておりまして、そういった意味で、しっかりと決議を踏まえて、国内農業の再生産を確保し得るように交渉を行ってまいりたいと思っております。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 何となく額面どおりの答弁だなという感じなんですけれども、実際上は、今紹介したように、アメリカの議会の中でいうと四割を超える議員が牛や豚肉生産で相当影響力を持ってこういう発言もしているというやっぱり現実があるということですよね。  七月の首席交渉官会合で合意が形成されなければ閣僚会合にも進まないわけですよね。そうすると、米国議会は八月に入ると夏季休暇に入る、その後は中間選挙になだれ込んでいくわけですよね。TPP交渉どころではないということになっちゃうわけです。  TPPは、やっぱり今、日本政府の表現を使えば、漂流を始めているということでもあるわけですね。米国の農業団体日本抜きのTPP交渉の妥結とまで言われて、それでもまだ、農水省、あなた方は交渉を進めようというのかなと思うんです。  やっぱり、これまでも何度も提起してきているように、真剣にやっぱり、国会決議を踏まえてと言われるんだけれども、そこに明記されている撤退の検討を今本当に真剣にすべきじゃないですか。いかがですか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この農業団体農業団体のお立場で声明を発表されておられますし、これ、今までも同様の声明も発表されておるところでございます。昨年の秋から、発出されたその間も我々は米国との間で交渉をやってきたところでございます。七月の首席交渉官会合の前に、先ほど西村副大臣から答弁があったように、また米国との協議も予定しておるところでございます。  これ、何度も申し上げていることですが、特定の期限を切って、いつまでに交渉するということを申し上げますと、相手がそこに足下を見てくると、こういうことでございますから、やはり我が国の国益を実現するということが最優先であるということも併せて申し上げておきたいと思います。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 今の現状から見ても、どう見てもやっぱり日本が優勢に回っているとは思えないわけで、決議そのものも、守るというふうに言われていたところからも大幅に日本は譲歩しているように見えますし、そういう意味では追い詰められていく一方じゃないかと、そういう交渉からはやっぱり撤退すべきだということを改めてまた言わせていただきたいと思います。  さて、TPPのように、経済連携協定の名の下に各国の貿易障壁を外して多国籍企業の利益のために貿易拡大を進めるという流れがある一方で、それとは別に、貧困や飢餓の撲滅や世界食料の安全保障という視点からの国際的な大きな流れも前進しているというふうに思います。  FAO、国際連合食糧農業機関などで議論をされて、国連は今年、二〇一四年を家族農業年に設定したと。この国際家族農業年にした目的について御説明をお願いします。
  124. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 御質問ございました国際家族農業年でございますけれども、これは、家族農業が持続可能な食料生産の基盤として食料安全保障と貧困の撲滅に大きな役割を果たすことを広く世界に周知させることや、また各国のそれぞれの取組を奨励することを目的としまして設定されたものと認識しております。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 それで、国連決議についてもお聞きします。  決議には、家族農業や小規模農業食料安全保障を達成することを目的とする持続的な食料生産にとって重要な基礎であることを確認しとあります。これ、どういう意味なのかということ、それから、家族農業と小規模農業は、食料安全保障を提供すること及びミレニアム開発目標を含む、国際的に合意された開発目標の達成における貧困を撲滅することに役割を果たし得る重要な貢献を認識しとありますけれども、これについてどういうことかということで、御説明をお願いします。
  126. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 国際家族農業年につきましては、二〇一一年十二月に国連決議が行われておりまして、そこで決定されているということでございます。  その国連決議には前文がございまして、そこにはこの国際家族農業年を設定した背景が記述されているわけでございますけれども、その第五パラグラフにおきまして、引用いたしますと、家族農家や小規模農家が食料安全保障の達成を目的とした持続可能な食料生産の基本であることを確認すると。また、その第六パラグラフにおきましては、家族農家や小規模農家が食料安全保障や貧困削減を通じて国連のミレニアム開発目標などの国際合意された目標の達成に貢献することを認識すると記載されているところでございます。  我が国としましては、この国連決議を支持しているところでございます。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 国連のミレニアムサミットは、飢餓に苦しむ人口の比率を二〇一五年までに一九九〇年の対比で半減することを決定しています。  国際機関は、市場競争によって非効率な経営、つまり小規模、家族経営が淘汰をされ、効率的と言われる経営をもてはやしてきたという経過について、これについても議論されて、しかし、二〇〇八年の食料危機を経て、市場原理モデルでは世界的な食料危機に対応できないという認識に達したと。同時に、家族農業の有する自然的、文化的、社会的、様々な価値への再評価がされて、国際家族農業年を設定することになったと言われています。  それからまた、日本では、食料を輸入に依存する在り方を変えて日本自給率を上げることは国際的にも重要なんだと、日本においても家族農業の役割が私は非常に大事だというふうに思うわけですけれども、その価値や役割について農水大臣にお聞きをしたいと思います。
  128. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 度々この委員会でも取り上げていただいておりますが、農村地域での高齢化や人口減少、これは都市に先駆けて進行しております。したがって、集落機能が低下するというような厳しい問題に直面をしておるわけでございます。  こういう状況に対応して、国民に対する食料の安定供給、それから多面的機能発揮を図るために農地や農業担い手を確保するということと、農業生産活動が継続して行われるよう集落の共同活動を維持していく、これが重要であると思っております。多面的機能支払は、このため、担い手以外の農業者や、農業者以外の住民も含む活動組織等が取り組む地域の共同活動を支援するということにしておるわけでございます。  こうした中で、今お話のあった家族農業それから小規模農業、こういったものに取り組む方々については、地域の実情に応じて担い手への農地集積を行いながら、地域の共同活動、六次産業化等の取組に参画していただく。また、担い手の規模拡大が当面難しい地域、こういうところでは、農業生産の継続、農地等の保全、こういうものに一定の役割を果たしていただくということが期待をされているところでございます。  こうした取組を通じて、家族農業、小規模農業に取り組む方々も含めて地域住民が役割分担をしながら、共同活動、六次産業化、こういったことに取り組む環境、これを整備することによって農村コミュニティーに配慮した農業の振興に努めてまいりたいと思っております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 この間、何度か私、政府に対しても、国際家族農業年という、そういう取組についても積極的に予算も付けてキャンペーンも張って取り組むべきじゃないかということを提案をしているわけです。農水省はようやっと四月にホームページで紹介しているというふうに言われているわけです。それで、国連決議が世界に求めた注意喚起、認知度を高めると、そういうことで取組を提起しているわけだけれども、余りそういうふうになっていないなというふうに率直に言って思います。  それで、ちょっと今日お見せしようと思って持ってきたポスターがあるんですけれども、これは十年前の二〇〇四年のときの国際コメ年のときのポスターなんですよね。(資料提示)これはTOKIOが出ていますけれども、かなり貼ってあるとインパクトはあるんですけれども、こういうポスターも作って、当時キャンペーンを張っていたわけですよ。  それで、今回、政府の国際家族農業年の取組でいうと、こういうことすらもやっていなくて、やっていいんじゃないかと、もっと。もっとちゃんとキャンペーンを張って熱心に取り組むべきじゃないかというふうに思うんですよね。今からでも遅くないので、是非ちょっと強めていただきたいということを一言申し上げておきたいと思います。  それから、日本において、この後はちょっと飼料米の話に移りますけれども、その前に、今のことについて一言ちょっと、大臣
  130. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今のポスターはなかなかすてきなポスターだなと、こういうふうに思いましたけれども。  今回、ホームページ、これはIT環境の発展も踏まえてポスターに劣らぬ認知効果もあると、こういうふうに思っておりますのと、それからもう一つ、国際会議でもこの家族農業年、こういうものが出てきておりまして、私もいろんな国際会議の場でそれを踏まえた対応をしていくことの重要性ということにも触れさせていただいておるところでございます。また、この間ヨーロッパに出張いたしましたときに、フランスの大臣とも会談をいたしました。その場でもこの国際家族農業年ということの重要性について認識一致をいたしまして、先方から何だか宣言をするんでサインをしろと、こう言われまして、その場で即断いたしましてサインもしてきたところでございますので、せっかくの今年は国際家族農業年ということですので、いろんな取組に努めてまいりたいと思っております。
  131. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 紙委員、澁谷参考人、森参考人に御質問ありますか。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 いや、この後は結構です。  どうもありがとうございました。
  133. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、お二人は御退席いただいて結構です。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 さて、日本において低廉な輸入飼料に依存する現状を変えて食料自給率を高める上では、飼料米の生産拡大を本格的に進めるというのが重要だというふうに思います。そこで、飼料米なんですけれども、農水省として五年後を目途生産調整を廃止して、麦、大豆飼料用米などの需要がある作物生産を振興するというふうにしています。そして、主食用米からの転作作物として飼料米の生産を振興する、その潜在的な利用可能量は四百五十万トン程度あるというふうに言っています。飼料米の振興を本当に定着させるためには、何人もの方も質問されていますけれども、栽培技術の問題、コンタミ問題、それから耕種農家と畜産農家の連携の問題、流通体制の構築など幾つか課題があると。  そこで、稲のコンタミの問題ですね、コンタミネーションですけれども、主食用米飼料用米が混ざり合って区別できなくなってしまう、これをどう防ぐのかということが課題でもあるわけです。前年作った飼料用米の後に主食用米を栽培したり、同じ刈取り機械で使ってやるとこれ簡単に混入すると。相当徹底しないと大きな被害になるということから、県によってはしばらくはちょっと主食用を作付けをして、飼料用米については様子を見るというところもありました。こういう問題をどう対策を取っているのか、伺いたいと思います。
  135. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 今の紙先生の御質問は、以前、大臣の方からお答えしたことがあるかと思いますが、やはりこの問題については現場での取組といったものが非常に大事かと思っておりまして、私どもといたしましても、現場で具体的にどのようなコンタミの方法が取られているかといったようなことも事例を幾つか調べてきております。  まず生産段階、圃場、生産段階のコンタミ防止でございますが、ある県の例でいきますと、やはり作付けする前に集落内の飼料用米生産者の皆さんが集まりまして話合いを行いまして、多収性専用品種の作付け圃場といったものを団地化する、一つのまとまりにするといったような、そうした話合い活動によってそうした団地化が形成されたような事例。またその際には、収穫する品種の切替え時にコンバインの清掃を徹底するといったような取組が行われているといったような事例が一つございます。また、違う県では、コンタミ防止のために多収性専用品種と主食用米とで苗箱の置場を区分しておくということで、うっかりした間違いがないようにするといったようなこと。それと、農家は田植から収穫前の肥培管理までを行いますが、稲刈り以降は、収穫以降はもう特定の受託組織が行うことで収穫時のコンタミのリスクを低減するといったような取組をしているところでございます。  また、乾燥調製施設のコンタミ防止策といたしましては、主食用米品種より熟期が早い多収性専用品種を導入しましてカントリーエレベーターへの受入れ時期をずらしていると、こういったような取組がなされておりまして、私どもといたしましては、こうした取組を参考にしまして、飼料米の基本的な栽培方法、あるいはコンタミ防止対策を記載した飼料用米栽培マニュアルと、こういったものを作成しまして、各県の普及組織、関係機関と連携してその周知に努めているところでございます。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 この問題と併せて、作った飼料米がどれだけ売れるのか。これは何人の方も質問されていましたけれども、それほどの需要が見込めないんじゃないかという不安は依然として大きいと思います。  富山県に行ったときには、既に今までも鶏農家と連携してやってきたので、県内でこれ以上受皿が増えるとは思えないから作らないというのもありました。それから岡山県でも、しばらくは様子を見て判断するというように言われていました。北海道も、質問で出ていましたけれども、反すう動物の牛には米は食べさせられないと。需要は養豚農家と鶏の農家ぐらいで、牛はやっぱり草を食べるようにできているので、少数だったらいいけれども大量に与えると体調を壊すという獣医さんの話もありまして、初めからそういう意味では牛は余り対象にしていないというところもあると。それで、需要がないところに飼料米を作れないという声もあったわけです。  そんな話を聞いていましたものですから、先日、島根県に行ったときに驚いたんですよね。島根県では、まい米牛だということで、米を食べさせているのをブランドにしてやっている、売りにしているということで、思わずその生産者の方に大丈夫なんでしょうかというふうにお聞きをしたら、大体二〇%から二五%ぐらいに限定していると、量をですね。余りたくさん食べさせていないわけですよね。  やっぱり輸入飼料が高いので、本当はもっと切り替えた方が安く付くという話はされていたんですけれども、大丈夫なのかどうかということも含めて、やっぱり耕種農業と畜産農業連携を図る上での飼料米の与え方、どういう給餌水準をするのが適切なのかということについてはどうなんでしょうか。
  137. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 以前、餌米の潜在需要ということで四百五十万トンといった数字を御紹介したことがあるかと思います。このときは、試験研究機関のこれまでの知見等を踏まえまして、今先生の方からお話ございましたように、畜産物の品質あるいは健康状態への配慮と、こういったことで広く安定して利用できる配合可能割合といったものを出したところでございまして、その際、肉用牛では三%程度、乳牛では一〇%程度と見込んでいたところでございまして、この餌の切替えによります肉質や乳質等への影響について心配する畜産農家が多うございますので、こうした皆さんの心配、懸念を払拭する意味での数字といったものを出させていただいたところでございます。  先ほど、先生の方からお話ございましたように、この飼料米については家畜にとってトウモロコシと同等の栄養価を持つ優良な飼料穀物でございますが、牛の場合につきましては、加工した飼料米は消化の速度が速いということから、飼料米を、これ多給といいますか、多く給餌いたしますと、消化器の障害、いわゆるルーメンアシドーシスといった消化器障害を起こす可能性がございまして、飼料の切替えをゆっくりと行って、粗飼料を十分給与するなどの注意が必要といったものでございます。  試験研究機関の報告によりますと、牛の場合、先ほど肉牛三%と申し上げましたが、注意してやれば、二割から三割程度の配合割合であれば畜産物や家畜の健康等に影響を及ぼさないというふうにされておりまして、実際、肉質等への影響を及ぼさずに配合飼料の一、二割を飼料米に置き換えて給与し、差別化を図っている事例も見受けられるところでございます。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 なお研究も必要だというふうに思います。  それから、助成単価の問題なんですけれども、飼料米の交付単価は、収量に応じて十アール当たり五万五千円から十万五千円と、かなり開きがあります。それで、十万五千円が独り歩きしてしまっていて、そういうちょっと問題もあるんですけれども。  富山県でお聞きしたときに、中山間地にお住まいの農業者の方と懇談したんですけれども、減反がなくなるかと思ったら、町から今度は飼料米を作ってほしいと言われたと。中山間地域は米でも収量が少ないのに、飼料米の収量を六百八十キロまで増やすということはできないと。飼料米の助成単価が少な過ぎると。戸別所得補償がなくなって、一万五千円が半減しショックを受けているのに、飼料米の単価がこれでは大変だと、もっと上げてほしいという話だったわけです。  飼料米を戦略作物として位置付けるのであれば、元々収量が取れない地域もあるわけで、地域の実情に応じた単価設定をしてもいいのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  139. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回のこの見直し水田活用の直接支払交付金について行うに当たって、餌米については単収向上の取組へのインセンティブということで数量払いを導入して、八万円プラスマイナス二・五万円と、こういうことにいたしたわけでございます。さらに、地域の実情に応じて独自の支援を行える産地交付金、これを平成二十五年の五百三十九億円から平成二十六年八百四億円まで充実をさせると、こういう見直しを行っております。  数量払いについては、標準単収から収量が上がるほど助成額が増える仕組みということで、インセンティブ、先ほど申し上げたことをやっておりますが、この標準単収ですけれども、各地域における主食用米の平年の単収に基づき設定するということにしておりますので、地域差が反映されると、こういうことでございます。それから、単収が低い地域でも、その地域内の増収を図れば高い水準の助成が得られる仕組みにそういうことでなっているということでございます。  さらに、先ほど申し上げました産地交付金の活用によって、団地化と生産性の向上に取り組む場合には地域独自で上乗せの支援を行うということができるようになっておりまして、五月十九日現在で十九道府県で独自の上乗せ支援を行っておられると、こういうことでございます。  こういった仕組みによって、やはり各地域地域でその地域の実情に合った十分なインセンティブ、飼料用米の増産に向けて実行していっていただきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 飼料米の販売価格というのはおよそ一キロ当たり三十円なんですよね。それで交付金が出ていると。交付金が出ても実は主食用米の販売価格には及ばないということもありますから、やっぱり、今地域ごとにという話もありましたけれども、この問題は引き続き追求する必要があると思います。  それから、飼料米の位置付けについてなんですけれども、飼料米の潜在的な利用可能量は四百五十万トンと言われるわけですけれども、この飼料米、輸入されている飼料用トウモロコシと置き換わることになっていくわけですよね。輸入トウモロコシのキログラム当たりの価格と輸入量についてちょっと簡潔に説明をいただきたいと思います。
  141. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 五月二十九日に公表されました財務省の貿易統計によりますと、平成二十五年度における輸入トウモロコシの輸入量は約一千三万トンでございまして、キログラム当たり単価は二十九・六円となっております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 それで、飼料用の輸入トウモロコシ、今一千三万トンということですけれども、この中の中身としては圧倒的に輸入国はアメリカなんですけれども、日本で飼料米を振興するとすれば、やっぱり輸入量を減らしていくしかないと思うんですね。つまり、アメリカに対してもそのことをはっきりと認識してもらわなきゃいけないわけですけれども、大臣、そのことをきちっと認識させるということではそういうお考えでしょうか。
  143. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、畜産の体制強化という意味でも大事なことであろうかと、こういうふうに思っておるところでございますが、一方で、うちで餌米を普及させたいのでおたくは輸出してくれるなと、こういうことはなかなかこういう自由貿易体制の中では難しいんではないかということでございまして、したがって、遜色のない価格で餌米を供給すると、そのために今の仕組みをやっていこうと、こういうことであるというふうに思っております。  委員もおっしゃっていただきましたように、いろんな課題を解決しながら、この四百五十万トンの潜在的需要というものがあるわけでございますし、ただ、水田フル活用という意味に加えて、まさに今委員が御指摘いただいたように、畜産のやはり国産の餌の体制という意味でも大変大事な課題でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 今すんなり答えられたんですけど、これ大変なことだと思いますよ。戦略作物に位置付けて、それを今度拡大していくということになったら、当然、この入ってきている飼料との関係でいえば、そこをやっぱり減らしていくということでやらないと国内で今度また余ってくるわけですし、それから、畜産農家やいろんなところがちゃんと回っていくように支えていかなきゃいけないわけですから、そのことをやるとしたら、しっかり交渉でも日本が態度を表明して、やっぱり理解してもらって、アメリカからの輸入を減らしていくという方向にしないと、これ、回っていかないことですよ。  今のこのTPP交渉なんかをめぐって関税を外してもっと日本は受け入れろという話になっている中で、これ、押し返さなきゃいけない話なわけですから、そんな簡単なことじゃないわけですね。そういう決意があるかどうか、もう一回、大臣、お願いいたします。
  145. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 全体のトウモロコシ等の穀物の貿易の中でのシェアということを申し上げますと、かなりの変動をしておりまして、例えば平成二十四年度、アメリカにおいて大干ばつとトウモロコシの減産、価格高騰ということで、我が国のアメリカからの輸入割合は、実は平成二十三年度八六%だったものが二十四年度は五二%ということで、かなり振れがあるということでございます。  こういう、世界的には穀物需要増加傾向にありまして、供給増加傾向にございます。アメリカを始めとする穀物の輸出国の生産の動向や在庫水準、こうした穀物の需要に応じて供給をされております。こうした世界の中での我が国の飼料用米生産量増加ということを数字として見ますと、アメリカのトウモロコシの生産量は三億五千万トンでございますので、我々の潜在的な四百五十万トンと、こういうふうに言っておりますのは、このアメリカ生産量の一%と、全部潜在的なものが置き換わったとしてもそういうことでございますので、輸出国のトウモロコシ等の生産量輸出量に大きな影響を与えるものではないと、こういうふうに考えております。
  146. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 紙智子さん、時間が来ておりますので、まとめてください。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  飼料米そのものをしっかり強化してやろうというふうになったのは、二〇〇八年のやっぱり穀物が物すごい値上がりしたということが一つ契機になっていたと思うんですね。やっぱり、その時々の情勢でその時々で対応するという今のお話なんですけど、やっぱり基本姿勢としてしっかり国内の計画に基づいてそれを進めるということを確立をしながら、やっぱり必要なところで輸入についてはもうこれは要りませんというふうにはっきりおっしゃるべきだということを最後に申し上げまして、時間になりましたので終わります。
  148. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二十三分散会