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2014-05-22 第186回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年五月二十二日(木曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      岸  宏一君     金子原二郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   後藤田正純君        外務大臣    三ッ矢憲生君        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        小泉進次郎君        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣規制改革        推進室長     滝本 純生君        内閣規制改革        推進室次長    大川  浩君        外務大臣官房参        事官       森  健良君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君    参考人        東京大学大学院        農学生命科学研        究科准教授    安藤 光義君        株式会社勝部農        産代表取締役   勝部 喜政君        北海道農民連盟        書記長      山居 忠彰君        愛媛大学客員教        授        村田  武君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農業担い手に対する経営安定のための交付金  の交付に関する法律の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○農業の有する多面的機能発揮促進に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交  渉に関する件)  (農業協同組合及び農業委員会の見直しに関す  る件)  (食料自給率の向上に関する件)  (農産物の輸出振興に関する件)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、岸宏一君が委員を辞任され、その補欠として金子原二郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、参考人として東京大学大学院農学生命科学研究科准教授安藤光義君、株式会社勝部農産代表取締役勝部喜政君、北海道農民連盟書記長山居忠彰君及び愛媛大学客員教授村田武君に御出席をいただいております。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げたいと存じます。  本日は、皆様方大変御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。  ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方について御説明いたします。  まず、安藤参考人勝部参考人山居参考人村田参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることになっております。  また、参考人皆様の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。  それでは、早速でございますが、安藤参考人からお願いを申し上げます。安藤参考人
  4. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 安藤です。このような発言の場をいただき、ありがとうございます。  本日、机上に配付されている資料に基づいてお話ししたいと思います。とじられているものとは違う資料を用意してございます。  最初にですが、政策をどのように見るかという点から話をしたいと思います。  政策は万能ではございません。農村現場実情が、政策が機能するようなそうした状況政策が想定しているようなそうした状況にあるかどうか、その現実との関係で実際の施策効果は……
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 安藤参考人、お座りになって結構でございますよ。
  6. 安藤光義

    参考人安藤光義君) はい、分かりました。ありがとうございます。  その現実との関係施策効果は決まってくると考えております。馬を水飲み場まで連れていくことはできたとしても、馬に水を飲ませることはできないと言われておりますが、まさにそのとおりだと思っております。  また、東西南北に広く広がる日本地域によって事情は大きく異なります。こうした全ての地域を満足させることのできる政策を策定するのは、私は事実上不可能だと思ってございます。しかし、政策は何らかの決断と決定をしなければなりません。そして、何らかの結果が求められます。そこに私ども研究とは異なる難しさとつらさがあるんだと認識しております。  問題の把握が政策を決定しております。何を問題として認識するかが出発点です。以下では、日本農業現状を簡単に概観することを通じて、求められている政策とはどのようなものかということについてお話しできればと考えております。  日本農業現状でございます。崩壊構造再編か、これが実は二〇一〇年センサスが明らかにした点です。日本農業健康診断に当たるものとして、五年おきに農業センサス調査が実施されております。それに基づきますと、日本農業二つの相異なる側面を示しております。一つは、崩壊、解体の一層の進展という側面です。もう一つは、農業構造再編進展という側面です。  農家数農業労働力減少農業労働力高齢化の勢いは全く止まっておりません。農家数について言えば一〇%以上の減少が続いておりますし、二〇〇五年から二〇一〇年にかけてはその値は一六・九%と非常に高い値となっております。農業就業人口も二〇%以上の減少基幹的農業従事者数も一〇%近い減少となっております。農業就業人口の約半分が七十歳以上、基幹的農業従事者の三割以上が七十五歳以上、こうした状況です。こうした数字日本農業危機が一層深化しているということを客観的に示しております。  そこから導き出される政策対応でございますが、いずれにしても、農業者の数を確保し、その若返りを進めることが必要だということです。新規就農促進し、若手農業者への支援が求められるということです。やる気のある人たちを一人でも多く確保できるような、そうした政策が求められるということだというわけです。  ただ、もう一つ側面ですが、経営耕地面積減少率を見ますと、販売農家のそれには変化は見られず、依然深刻な減少状況が続いておりますが、二〇〇五年から二〇一〇年にかけての農業経営体経営耕地面積減少率は非常に小さい値にとどまりました。  農家数農業労働力は大きく減った一方で、農地面積は減り方は僅かにとどまったということは、農業構造再編が進んでいるということを示しております。実際、借入耕地面積率、これはセンサスたびごと増加しておりますし、農業経営体借入耕地面積増加率も二〇〇五年から二〇一〇年にかけては顕著な増加が見られました。日本農業構造センサスの統計で把握できるほどに大きく転換しようとしているということです。これがもう一つの大きな現状特徴だということです。  それは、すなわち、なかなかこれまで構造改革といっても動かなかった状況が、動く状況が生まれてきた。つまり、馬に水を飲ませることができる状況が、構造政策効果発揮できる状況が訪れているということです。危機をチャンスに転じることができるかどうかが問われているわけです。実際、人・農地プラン、それから農地バンクなど政策整備が進められており、その効果発揮されることが期待されるわけです。  次に、そうした農業構造が変わっていく要因です。それは何なのか。二つでございます。一つは、高齢化、離農によって農地の供給が増加し、それが担い手集積されていくという道筋です。もう一つ集落営農設立でありました。特に二〇〇五年から二〇一〇年にかけての構造変動においては、この集落営農設立が果たした役割は大きいと考えております。  実際、農家戸数減少率が大きい都府県ほど借入耕地面積増加率が大きくなっております。つまり、農家が減ればその農地農地流動化となり、担い手集積されているということです。同時に、農家戸数減少率が大きい都府県ほど経営耕地面積組織経営体、その多くが集落営農と推測されるわけですが、そちらへの集積率が高くなっております。農家戸数減少を起点とした農業構造変動が進んでいるわけですけれども、その農地を集めて大きくなっている、あるいはそうした経営体が伸びている、その中身はかなりの部分が集落営農ではないかというふうに推測されるわけでございます。  以前から中山間地域では地域を守るための、あるいは地域農地を守るための集落営農設立が中山間地域等直接支払制度などの政策的支援を受けて進められてまいりました。旧品目横断的経営安定対策規模要件を課した、そのことへの対応として集落営農設立が進んだことが二〇一〇年センサスの結果に反映されていると考えられます。このような政策対応のために設立された集落営農、これについての評価は様々でございます。その内実が問われるところでありますが、しかしながら、政策を受け止め、現場が知恵を出した結果がこうした集落営農設立だったということも忘れてはなりません。  そういう意味では、せっかくつくられた集落営農、これをどう育てていくか、この支援措置が求められるということでございます。法人化推進、あるいは資本蓄積促進し、経営基盤強化を図る、そのために経営基盤強化準備金が用意されておりますけれども、そうした制度を活用しながら、今ある、今つくられた、せっかくつくられたそうした経営を伸ばしていくような、そういう支援措置が求められるということです。  これは、今までが日本全体の状況でありますけれども、実は非常に地域差が拡大しております。そして、地域実情に応じた政策が必要だということになります。構造再編には実は非常に大きな差があるということです。東北、北陸、北九州は相対的に大規模経営への農地集積が進んでおります。東海もかなり大きな経営農地集積が進んでいる特徴があるところでございます。そうした地域では構造政策の一層の推進を図っていけばよいと考えます。しかし、それ以外の都府県農地集積を見ますと、余り進んではおりません。トータルとして二十から三十ヘクタール規模農業経営に七から八割程度農地集積を図る、こうしたふうな目標を掲げたとしても、なかなか現実的には難しいと私は考えております。都府県ではない北海道では、この構造再編は終了しておりまして、問題の局面はむしろ担い手の数をどう減らさないかに移っているということも申し添えておきたいと思います。  農業地域類型別に詳しく見てみますと、平地農業地域と中山間地域とでは大きな差が存在しております。平地農業地域では構造再編が一定程度進展しておりますけれども、中山間農業地域では、その数字に差はありますけれども、総じて大規模経営への農地集積は進んでおりません。  特に中山間農業地域では大きな問題がございます。主業農家集落営農もいない、そういう農業集落が高い割合を占めております。特に山間農業地域では、その割合は五割を超えております。これはブロック別農業地域類型別に見ても同様です。こうした地域では、構造政策を進めることは現実的とは言い難いと私は考えております。むしろ、中山間地域等直接支払制度を主軸に据えつつ、別の政策目標を掲げるべきではないだろうかと思っております。  以上の数字から、二つ地域に分けて課題を幾つか述べさせていただきたいと思います。  一つは、構造再編が進んでいる、そうした地域課題でございます。  そこでは、一応五点ほど挙げておりますが、集落営農経営発展支援することです。その経営発展支援として、複合化多角化、それから法人化推進になります。これは、農業経営の六次産業化推進といってもよろしいかもしれませんし、そうした経営を伸ばすための、あるいは安定化させるための制度的整備ということになります。  それから二点目ですけれども、個別の大規模経営農地集積してきますと、耕地分散が大きな問題になってきます。その耕地分散を解消するための土地利用調整が求められるということでございます。また、まとまった農地を、圃場を大型化して、そしてその汎用化を図っていくということ、これも非常に重要だと思います。一ヘクタール規模の大区画圃場整備は相当進められましたけれども、それを超えるような圃場整備を進めなければならない、それができるような地域も大分生まれてきているのではないか、乾田直播に見られるような技術革新を普及、定着させるための条件整備ということも求められているのではないかと考えております。  三点目ですけれども、適正な地代水準への誘導が求められます。地代が高いことが農業経営にとってはかなり負担になっている、そういうケースが出てきていると思います。そこをどう引き下げていくか。標準小作料制度は既になくなっておりますけれども、そうした地代誘導施策がなくなっている中で、どうやって適正な地代水準地域でつくっていくか、そうしたことも大規模経営にとっては必要になってきているのではないでしょうか。  それから四点目でございますが、経営耕地の分散している状況の下で、水路の管理はなかなか大規模経営負担になっております。農地・水保全管理支払による下支えです。これは既に政策としても講じられているわけですけれども資源管理労働の軽減という点で重要な意味を持っていると思っております。  それから最後になりますが、経営継承支援であります。せっかくでき上がった大規模経営、これを潰すことなく次世代に引き継いでもらう。息子さんが継がない場合には、それ以外の第三者の方への継承を図っていく、そのための法人化も必要でしょうし、そうしたことを支援するような農業団体あるいは外部機関からの支援も求められると私は考えております。  それから次に、農業危機的な状況にあるような地域課題です。  こちらは四点ほど一応課題として掲げておりますが、一つ農業振興ではなくて農村振興発想を転換していくことが必要だと思います。農業という産業ではなくて農村地域経済全体を発展させていく、そういう意味で、地域経済の六次産業化農商工連携を進めていくことが必要ではないでしょうか。  それから二点目ですけれども、これは集落営農です。しかし、これは農業経営としての発展というよりも、むしろ地域を支える、地域づくりのための集落営農だと思っております。様々な交付金、中山間地域等直接支払制度代表でございますが、そうした交付金をプールして地域のための資金として活用できるような、そういう組織を整えていくことが重要だと思っております。  それから三点目でございますが、都市農村交流を通じて定住者を呼び込んでいくということです。これは人口減少対応する。そして、外から新しい人を入れ込むことによって、新しい動きを、地域活性化の流れをつくっていく。第一ステップとしては、その村を出ていった、都会に出ていかれた他出者への働きかけが重要だと思っております。  最後になりますが、これは私もはっきりとした見解は持っているわけではございませんが、農業生産をとにかく上げて構造改革をしていくんだ、そういうふうな発想から脱却して、もう少し違う政策目標課題を設定していくということがこうした地域では求められているのではないかということでございます。  以上のような問題認識から、今回の法律案の内容、改正方向性は原則として評価できると思っております。担い手経営安定法案については、面積規模要件を設けず、認定新規就農者という用語のようですが、そこを施策対象として追加している点、ソバ、菜種を対象作物として拡大した点が、多面的機能法案については、その拡充が図られ、また農業者のみでの活動を認めて自由度を高めた点が評価対象でございます。  こうした一連の施策を多様な地域実情に合わせてフレキシブルに、どのように運用、実施して効果を上げていくかが今後の課題となっております。そして、このプロセスの中から政策改善のための制度改正方向性を下からの意見をくみ上げながら見付け出していく、そうした作業が行われることが今後望まれていますし、そのことによって、この施策現実に適用された、いいものとして使われていくための条件だと考えている次第でございます。  以上が私からの意見となります。  どうも御清聴ありがとうございました。
  7. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  次に、勝部参考人お願いいたします。勝部参考人
  8. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 御紹介いただきました島根県から参りました株式会社勝部農産代表取締役をやっております勝部喜政でございます。どうかよろしくお願いをさせていただきたいと思います。  本日は、こういった大事な委員会の中で発言の時間いただきまして、本当ありがとうございます。農家をやっておりましてこういった機会で発言をさせていただくこと、本当家族又は社員共々喜んでおりました。仕事のさなか、社員には頑張って今日も仕事をさせて、私も頑張って発言をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをさせていただきたいと思います。  それでは、お手元の資料に沿って御説明なりさせていただきたいと思います。  めくっていただきますと、出雲市ということでございますが、合併によりまして出雲市になったわけですが、その前の斐川町という町で元々おやじの代から農業をやっているところでございます。  出雲市については多くを語りませんが、今、出雲大社の遷宮ということで大変にぎわっている、結構有名な町ではないかなというふうに出雲市、思っております。そういった中の一部の人口三万に満たない町ですけれども、ここで農業をやっております。  実際、斐川町というところでは耕作地二千二百ヘクタールございます。年々減っておりますけれども、今、昨年ベースで二千二百ヘクタール、約、あります。そのうち農地土地改良が終わっているところが九割以上、もうほとんど済んでおります。そういったところで、集積率が今六六%を確保した町ということで今年作付けやっております。  そこまで集積が進んだことにつきまして、私ども経営又は町のこれまでの方針、やってきたことを実際申し述べさせていただきたいというふうに思います。  めくっていただきますと、株式会社勝部農産ということで、二十一年に会社法人化させていただいております。現在、七名の従業員うち二人は臨時ということでございますけれども、私と家内で役員ということでございます。経営面積、これは借りている、小作料を払っているということで、農地集積ということで五十五ヘクタールでやっております。その別で、作業受託ということで、田植だけとか稲刈りをやって乾燥調製とかいう作業受託も別で三十ヘクタールやっております。作物については米、大麦、大豆ということで、昨年ベースでいきますと、米の方が二十八ヘクタール、麦が四十ヘクタール、大豆が四十ヘクタールということで、経営面積としては三桁を超えたというところでやっております。機械については、書かせていただいておりますけれども経営に合わせたような機械装置も備えてきております。  めくっていただきますと、これまでの約十年間、経営変化を捉まえた表でございます。  私、平成十二年から農業の方といいますか、おやじがそろそろやれということで、三十四歳から農業をやっております。翌十三年にはおやじ、分かりませんでしたけれども、がんということで腹を切って手術したということで、それ以来、声だけの現役ということで作業もなかなか余りできませんでしたけれども、そのうち労働力が欲しいということで雇用を始めたというのもその頃でございます。  見ていただきますと、黄色のグラフが水稲の面積でございます。ピンクが麦、大豆の転作、そして青が作業受託面積変化でございます。年ごとに様々な変化が起きて現在に至るわけでございますけれども、やっぱり平成に入って加速していったのが、農業ができない、もうけにならないからどんどんやめていくというのがありました。そして、受皿ということで、やりますよということでどんどん引き受けたというのが実際うち経営の基になっております。やめる人がいるからうち経営が大きくなったというのが実際で、ここまでやろうとは誰も予想していなかったというのが家族の中での話でございます。  ただ、大きくなればなるほどやっぱり効率というのがこれはもう絶対条件でございまして、大区画化というのは、畦畔を取って、あぜを取って大きく田んぼをしたり、そのことによって草刈りがなくなったり、又は管理する枚数を減らすといったこともあります。  草刈りがどうしても、全国視察行きますと、草刈りどうしとる、どげやってやっとるというのがあります。この点につきましては、誰も一緒ですけれども、草は勝手に生えてきますので、うちらもできないことではやっぱり地域の皆さんと渡り合えませんので、建設業の方といろいろ話し合って、十アール五千円という単価で田植以降稲刈りが終わるまでの間、約三回ぐらい草刈りをするようになると思いますけれども、何回やろうが反当五千円という契約で現在二十町、昨年ベースお願いをさせていただいているところでございます。  そして、平成二十一年には、先ほど言いましたように、会社の方、法人化させていただいて、従業員の方も国民年金だけじゃなくて社会保障も充実させるということで法人化しております。  そういったことによりまして、米、麦、大豆、転作、作業受託も含めて一六四%という利用効率をやっております。これにつきましては、もう一枚めくっていただきますと、我が斐川町の土地利用型の作付け体系というのは二年三作ということで、一年目の水稲、そしてそれが収穫したときから麦をまきまして翌年の今頃麦の収穫、そして麦を収穫した後へすぐに大豆をまくということで二年の間に三つの作物を作るという二年三作方式によりまして、町全体で一一六%の利用効率と。島根県では七八%ということで、うちもなるべくこれを上げていこうということで高回転を成し遂げております。  そういったことで二年三作で転作をやっておるわけですけれども、もう一つめくっていただきますと、今度は、現在盛んに田植ということで今年の実りのある収穫を目指してやっておりますけれども、主に作業受託は米の関係が多うございます。というのは、やっぱり、コンバインが壊れたんで高くて買えんけん稲刈ってごさんかとか、トラクターだけ壊れたけん代かいてごさんかと、部分的な作業もどんどん受けるようにしています。だから、兼業農家のかゆいところに手が届くというのがうち経営方針で、作業受託を中心にやってきたというのがおやじのこれまでの主なやり方でした。  そこで、作業受託で品種を作期分散することによりまして皆さんの作業受託を容易に受けるようにしております。平成の十三年頃にはなかてが中心、コシヒカリを主にやっておりましたが、現在ではわせ品種を中心にやりまして、一般農家ではわせ品種はほとんどやられません、なかてとおくてを作って作業されるのが多いので、それに合わせるようにわせを中心に我が社では作って、おくて、なかてを作業受託ということで取り入れております。  めくっていただきますと、先ほど申し上げました畦畔撤去による大区画化又は作業の効率化ということで載せております。  現在お預かりしている圃場百九十五枚、筆数でいいますとなります。一枚の平均が二十五アールということで、これはほぼ町としては平均的なところではないかなというふうに思っておりますが、畦畔撤去によりまして百二十一枚となって、一枚の平均の田んぼの区画が四十アールということで非常に効率の高い大きな面積となっております。ただ、四畝とか五畝とか家の脇とか、そういった田んぼも当然中にはあって受けております。大きくすることだけやっているわけじゃありませんが、とにかく地主さんが出されたものは受けるということでやっております。農家戸数につきますと今百十七戸分に相当するということでございます。  めくっていただきますと、畦畔撤去の例ということで、左側がまだ撤去をしていない、これは二十五アール区画ですけれども、右側が我が社の九十アールの田んぼということで、一枚が非常に大きくなっております。  もう一つめくっていただきますと、これが百二十アールの田んぼでございます。百五十馬力級のトラクターも容易に作業ができるということでやっております。  もう一つめくっていただきますと、畦畔撤去に伴って草刈りも軽減するんですけれども、やっぱり利用権の増加によって先ほど言ったような草刈りが増えた。これについては建設業者がこうやって草刈りをしていただいております。  それで、めくっていただきますと、これが平成十二年に先ほど言いましたように就農したということで、家族経営、当然やっております。ただ、おふくろもおやじも当然年を取って体力の限界もあります。私一人ではなかなかできませんので、労働力をどんどん入れようとするわけですが、うまくそれではいかないということで、次のページの法人化ということで、雇用環境の整備、そして優秀な人材の確保をするべく法人化ということでやっております。時間の方も八時半から五時と、今の田植時分又は収穫時分の農繁期でも日曜日は必ず休みにしております。冬場の時期は十二月から三月までは週休二日ということで、正月と盆も決まった休みを取り入れております。こういったことで、普通の企業と採用に当たって差がないような、働きに来てくれる人も差がないような条件を出してやっております。  次に、我が社では、班体制ということで、最低二人以上で作業をさせています。新人又はベテランの者と組ませたり、多いときは四人体制とか、とにかく長くいる者が下の者を教えるという体制は取り込んでおります。朝のミーティングは、仕事の話は本当短いんですけれども、そこで笑顔が出るような話を約三十分程度やって、実際九時頃から仕事をしております。  ここまでが我が社の話でございますけれども、収穫物は全て農協に出荷しております。販売、販売促進又は資金の回収、販売の回収ですね、これは農協の仕事だと思って一切任せております。ですので、直接販売等はやっておりません。在庫を抱えて販売、インターネットということをやる、それがもうかるよと、よく業者が来て言います。そこまでのちょっと余裕がありませんので、その仕事は農協がやるべきだということでお任せしています。  そして、雇用をすることによりまして、農の雇用を現在使わせていただいて、大いに活用させていただいております。雇用就農をどんどん促進して、今後も斐川町で家族経営しているものが法人化になるよう進めております。そこで、雇用就農によって農業を始める又は雇用の場をつくるということを町と一緒にやっているところでございます。  家族経営がここまでになったのは、次をめくっていただきますと、町で昭和三十八年から農林事務局という体制でやってきたことが核となっております。下の七組織、この七組織が中心となって様々なことを決めております。毎年、右側にありますこういった「営農座談会資料」という分厚い五ミリぐらいの本を今持っていますけれども、こういうのを毎年農家組合員に全て渡して説明に歩いています。  それで、先ほど言いました私が就農してから二、三年したときに、平成十四年、町で、この先みんなどう考えているんだと、兼業農家も専業農家もどう考えているんだということでアンケートを取ったのがあります。ページめくっていただきますと、「斐川農業の明日へ向けて」というアンケートを平成十四年に取りました。そのアンケート結果が抜粋されておりますけれども、とにかく任せるという言葉が非常にパーセントを占めたという結果が出ております。その後、いろんな話合いの中に、このアンケートを中心に、結果を踏まえて、担い手への集積又は集落営農を進めようと、いやいや、そうじゃなくて、生きがいを楽しむ農業もやっぱり守っていこうということで、地域をやっぱり守りながら面的集積を図っていこうということで、一回アンケートを取ったことによって集積が進んだということでございます。  めくっていただきますと、農地調整と頭にあるページでございますけれども担い手農家の調整によりまして、道路をまたいだ、又は効率の良い農地集積が行われて、入替えということでございます。  そして、もう一つめくっていただきますと、担い手マップということで、赤の田んぼで埋めてあるのが専業農家、我らのところでございます。黄色が集落営農がやっているところで、すみ分けがうまくされ集積がかなり進んでいるというのが、これ町全体のマップでございます。  もう一つめくっていただきますと、斐川地域担い手状況ということが載っておりますけれども平成十六年から、集積率が四九%だったものが現在六六%までになったというのが載っております。アンケートを基に、様々な政策、様々な方針、方策を基にいろんなことを変えていきながら集積を進めてもらったことによって、六六%という高い集積又は自分らもやりやすい圃場をつくっていただいたということで現在あります。  済みません、時間の方がありますのでまとめさせていただきたいと思いますけれども、次からあるように、地主さんが白紙委任をしていただきます。誰が作ってもいいよ、畦畔も取ってもいいけど、とにかく私はできませんからやってくださいということで出されます。ただ、それには、ありますように標準小作料というのが評価点方式で決まっております。今、斐川町では最高が八千円ということになっています。誰が見ても八千円又は六千五百円と単価が分かるような評価点方式を導入して、誰に預けようが、誰が農業公社を通して作ろうが同じ、共有だということでやって集積を進めたということでございます。  こういったことで、様々な私も交付金事業を使わせていただいて、ここまで大きくさせていただきました。今後も、様々な事業を使わせていただいて規模をいま一層大きくして、もっと雇用就農で農業者を増やしていきたいというふうに思っております。  至らぬ点あったと思いますけれども、そういった様々なことがあって経営の方を大きくさせていただきましたけれども、今後も地域に見合った作物、体系をつくって頑張りたいと思いますので、どうか今後も御支援の方よろしくお願いをさせていただきまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  9. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  次に、山居参考人お願いを申し上げます。山居参考人
  10. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) おはようございます。北海道農民連盟書記長山居忠彰でございます。  私ども組織は、我が国最大の食料供給基地として重要な役割を担っております北海道の約四万二千戸の農家うち、約二万七千戸で構成しております。農民の経済的、社会的地位の向上を図ることを目的に、自主的な意思に基づき、今日的な食料・農業農村の困難な課題解決に向け、生産現場からダイレクトな政策提言に取り組む運動体であります。私自身は、旭川から北に向かって車で一時間ほどの、農業が基幹産業である士別市で七・五ヘクタールの経営面積を持つ小さな稲作農家であります。  参議院農林水産委員会の先生方には、日頃から我が国の農業発展に高い見識と広い視野で大所高所から御指導賜っておりますことに、この場をお借りして心から敬意と感謝を申し上げます。また、この度は私にこのような機会をお与えいただきましたことに、厚くお礼を申し上げます。  初めに、本連盟が目指している国内農政の基本的な考え方について意見を述べさせていただきます。  本連盟は、平成二十年に、中長期的な農政の基本目標を掲げた、二〇〇八年「真の農政改革」を策定しました。策定の背景には、国際的な農政の潮流を定めることになったガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の合意、WTO農業交渉による関税引下げと国内支持の削減の加速化などがありました。我が国でも、国際協定に基づき、食糧管理制度など価格支持政策を中心とした戦後農政の大転換が迫られ、価格は市場で、所得は政策でを合い言葉に本格的な農政転換へと動き出しておりました。とりわけ、平成十九年には、品目横断的経営所得安定対策が導入され、直接支払への転換が進められた時期でもあります。  農政転換の論議に向けては、農業者の視点で生産現場から政策提言を行い、新たな農政に意見反映をさせることが目標でありました。「真の農政改革」における主要作物に対する直接支払の考え方は、民主党政権下の農業者戸別所得補償制度と軌を一にし、さらに農地に対する多面的機能の直接支払は、平成二十二年に自民党が国会に提案した多面的機能直接支払法案の内容などに如実に反映されたものと自負しております。  その後、国内外における情勢変化や農政見直し等を踏まえ改定作業を行い、昨年八月に二〇一三年「真の農政改革」として内容を一部補強しました。二〇一三年版の骨格は二〇〇八年と同様で、食料の安定供給の確保と多面的機能発揮の両全が図れる農政の確立を目標に掲げています。  我が国農業を支える基礎的な直接支払として、主要農産物の安定供給を図るため、販売価格と生産コストとの恒常的な赤字部分を補填する作物別支払と、これまで無償で提供してきた多面的機能の有償化を求め、多面的機能固定支払の二つを求めております。私は、現在審議されている担い手経営安定法改正案と、多面的機能発揮促進法案は、今後の農政の屋台骨となる重要な法案であると考えます。  初めに、担い手経営安定法について大幅な修正を求める立場から、二点ほど意見を述べさせていただきます。  第一点目は、我が国の主要食糧である主食用米について、再生産の確保と農家の所得確保を図るため、生産条件不利補正対策、いわゆるゲタ対策の対象に加えていただきたいのであります。  米は慢性的な生産過剰が続く中で、米価支持政策の食管制度平成七年に廃止されました。その後、主要食糧法の下で価格形成は民間取引に委ねられましたが、過剰作付けが続き、生産者米価は恒常的なコスト割れの状態に陥っていました。  しかし、平成二十二年産から民主党の農業者戸別所得補償制度が導入され、米の直接支払が行われて以降、過剰作付けは大幅に縮小しました。供給と価格の安定が図られるようになり、農家評価も高まりました。本道への米の直接支払交付金交付総額は、平成二十四年産で百六十億三千万円ほど、交付戸数一万四千五百八十一戸、十アール控除後の交付面積は十万六千八百六十七ヘクタールとなっております。一戸当たり平均交付額は百十万円ほどで、主業的な農家の所得確保と経営安定などに大きく寄与してきました。この間、本道の稲作農家は、交付金を活用して規模拡大や農業機械などへの投資を進めてきました。  しかし、昨年末の農政見直しで米の直接支払交付金が七千五百円に半減され、五年後には廃止される方針が示されました。経営規模の大きな農家規模拡大に向けて投資をしてきた担い手農家ほど経済的打撃が大きいことから、落胆し、将来に大きな不安を抱えています。  改正案では、米には高関税が設定されており、外国との生産条件の格差から生じる不利は存在しないためとし、主食用米をゲタ対策から除外しております。国内支持削減に伴う食管制度の廃止、市場での米価暴落、米の関税化と税率引下げなどは一切考慮されておりません。また、当時与党の自民党の先生方が言われた、価格は市場で、所得は政策でとの方針からも懸け離れています。  国民の主要食糧である米の安定供給と担い手農家の所得を確保するためには、標準的な販売価格と生産費との差額を補填する生産条件不利補正対策、いわゆるゲタ対策の対象に主食用米を是非とも加えていただきたいのです。  二点目は、米、畑作物の収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策について、作物ごとの単品加入と支払が可能となるよう制度の拡充を求めます。  米は、麦や大豆などの畑作物に比べ、収入に占める品代の比率が高く、しかも価格変動が起きやすく、変動幅も大きい特徴があります。しかし、現行のナラシ対策では、対象作物全ての加入が義務化され、支払も加入作物間で相殺され、十分な補填金を受け取れないなどの問題を抱えています。また、土地利用型の畑作農業にとって、連作障害の回避や地力増進等を図る合理的な輪作体系を維持することは重要なことです。  しかし、近年、基幹作物であるてん菜やでん粉原料用バレイショは、天候不順による減収などで作付け意欲の低下を招いています。支払が作物間で相殺されるため、てん菜やでん粉原料用バレイショの収入減少が十分補填されないため、作付けを減らす傾向にあります。畑作物の合理的な輪作体系を維持するためにも、作物ごとに安定的な収入が補償されることが必要です。ナラシ対策において単品での加入と支払が可能となるよう、制度の拡充強化を求めます。  次に、多面的機能発揮促進法案について、三点ほど意見を述べさせていただきます。  私は、今回、農業農村が果たしている多面的機能について、法律において定められることを評価しております。しかし、法律案の内容には一部足りない部分がございますので、修正を求めます。  私は法案の第一条の目的に、これまで無償で提供されてきた多面的機能の有償化を明文化すべきと考えています。今回の法律案は、農業者が行う農地維持や資源向上の地域共同活動を支援する多面的機能発揮促進事業の推進を趣旨としています。多面的機能の有償化などには一切触れないまま、単なる事業経費に対する助成措置にとどめております。これでは農地・水保全管理支払を法制化したにすぎません。  自民党が平成二十二年に国会に提出した農業等の有する多面的機能発揮を図るための交付金交付に関する法律案には、多面的機能の有償化、つまり農業者等への直接支払が明文化されています。第一条の目的では、「多面的機能を維持し、及び増進していくためには農林水産業に対する国等の支援が不可欠であることにかんがみ、農林水産業者等に対して交付金交付し、もって、その多面的機能の適切かつ十分な発揮を図ることを目的とする。」と記されています。こうした趣旨の文言が、法の目的条項に盛り込まれるべきであります。農業農村の持続的発展を期するため、これまで無償で提供した多面的機能について有償化することを法案に明記することが必要と考えます。  また、多面的機能の貨幣評価は、平成十三年に日本学術会議が農業多面的機能の貨幣評価の試算結果として公表していますが、既に十年以上経過しており、諸条件変化を踏まえ、新たな知見による再試算を行うべきです。  続いて、多面的機能の有償化の具体的な考え方について意見を述べさせていただきます。  私は、農地維持支払については、有償化を明記した法の目的に沿って、多面的機能の価値評価に基づく農業者への直接支払として位置付けるべきだと考えております。  言うまでもなく、多面的機能の源泉は農地であり、かつ適切な農業生産活動を行うことによって発揮されます。このため、農業者への支払は適切な農業生産行動を通じて農業が適正に維持されていることが前提となります。さらに、農地農地として活用するためには、農業用排水路や農道などの様々な農業生産資源が一体的に維持管理され、円滑な農業生産活動が行われる条件が整っていなければなりません。  このため、農業者への支払は日本型クロス・コンプライアンスといいましょうか、適切な耕作による農地の維持を前提に、用排水路や農道など農業生産資源の維持管理に取り組むことを支払条件にすべきだと考えております。当然、支払単価は多面的機能の価値評価に基づく地目別の全国一律とし、全額国が負担すべき性格のものと考えます。  最後に、資源向上支払について少し意見を述べさせていただきます。  資源向上支払では、地域共同活動に対して交付金が支払われます。生産現場では、これから新たに事業に取り組む地域や中山間地域等直接支払における共同活動と重なる地域もあります。新たな活動事業メニューの提示などで地域において共同活動に取り組みやすい環境を整えていただきたいと思います。また、農地・水保全管理支払の五年以上継続地区については七五%単価を適用することになっておりますが、新たな取組メニューを追加して共同活動に取り組む場合などには、全額を支払できるよう制度を見直していただきたいことを要望いたします。  いずれにしても、今農村現場は、政府の余りにも唐突で急進的な農政改革に戸惑いと困惑、不安と混乱のさなかにあります。信頼できる安心、安定の農政が今ほど望まれているときはございません。  以上で、私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴に感謝申し上げます。
  11. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  次に、村田参考人お願いを申し上げます。
  12. 村田武

    参考人村田武君) 村田でございます。  私は、平成十八年の六月に本参議院農林水産委員会において、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律案についての参考人意見陳述を行う機会をいただきました。その際に、交付金交付対象農業者を限定するということは日本農業発展にとって有害だということで、反対するという旨の意見を陳述いたしました。  本日のこの意見陳述であります。結論を先取りいたしますと、農政改革二法案というのが構造改革に逆行する施策を一掃するんだと、そういう位置付けの下に出されている限り、特に私は、農業者戸別所得補償制度構造改革に逆行するものでは全くなかったと理解しておる者からすると、今回の農政改革二法案は問題であります。  なお、担い手経営安定法が、担い手経営への農地集積を力ずくで推進するために交付金交付対象を認定農業者に限定するといたしたこと、なるほど、認定農業者基準は面積要件が明文化されておりませんが、現場では事実上、認定農業者というのは目標として四ヘクタール、そして集落営農に関しても二十ヘクタールということが事実上の要件になっておるわけであります。現場では、認定農業者に限定するということは面積要件を掛けたことと余り変わらないんですよね。  そのことをもって、私は、結局またこの担い手経営安定法が農村に差別を持ち込むわけで、もう一つ多面的機能発揮促進法が地域住民の共同活動の発展を求めておると、それと対立するではないかということから、二法案が一緒に出されることが矛盾、対立している関係にあるよということを私は指摘したいわけであります。  さて、そこで、我が国の農業農村のあるべき方向、これを農政はどう考えるかというところからお話しいたしますが、アジア的水田稲作システムと小規模農業に支えられてきた日本農業日本農業の置かれている課題といいますか、地球温暖化と世界食料問題のただ中にあって、食料自給率を向上させることが国民の食料保障にとって不可欠であります。  我が国農業の基幹部門である水田農業には、この食料自給率の向上という国民的課題に応えるために、水田の基盤整備と田畑輪換の推進によって主食用米の完全自給を確保した上で、麦、大豆、飼料穀物や油糧作物等の生産拡大の本格化が求められます。同時に、担い手減少高齢化に直面し、耕作放棄と鳥獣害が深刻な全国の水田の四割を占める農山村地域、集落の再生を担うべき定住人口の就業と農家所得源としての役割がやはり水田農業には期待されておるわけであります。  加えて、輸入飼料に依存した加工型畜産を、地域内での耕畜連携の推進、畑・水田一体的利用の土地利用型・飼料地域自給型畜産への本格的な転換が求められております。  そのような意味で、今我が国の水田農業政策に期待されるのは、平たん地、中山間地を問わず、水田農業の複合的、総合的な発展を支える農政であり、主穀の国家貿易維持、政府主体による主食用米生産調整の継続と用途別の米管理であります。農業改革二法案に見られるように、水田農業全体に担い手農地集積八割といった構造政策と米価下落に対応できる大幅な生産コスト引下げを要求する中では、中山間地向けの日本型直接支払という今回の促進法では、中山間地農業は支え切れないと判断します。  さて、そこで我が国農業の本格的な展開の阻害要因と戦後農政をどう考えるかということをお話しさせていただきます。私は、日本農業構造改革にとっての桎梏を食管制度と農協に求める議論は誤りだと考えております。  我が国の水田農業が多面的な発展をする、それを担う本格的自作農経営の成長を妨げたのは何だったか。これは占領下一九五一年の関税率全面改正に際して、主要農産物の関税の最低限度への押さえ込み、米一五%、小麦二〇%、大豆一〇%、そして五三年の改正MSA法によるアメリカ余剰農産物の受入れ、こういう中で、これら麦、大豆、飼料穀物等の水田作物の低収益性が結果として米単作化につながる、水田利用率低下、食管制度だけで支える以外なくなってしまうと。そういう中で、さらに、農業基本法下の低廉な輸入飼料による畜産の耕種生産と切り離され飼料を自給できない加工型展開でありました。  最後から二枚目に、資料一で、「戦後日本の農産物価格制度経営安定対策の展開」というのをいろんな資料を使って整理してみました。頑張ってきているんですよ、農政は。農業を多面的にどう発展させるかということで、これほどの、とりわけ一九六一年の農業基本法農政下ですね、幅広い価格支持制度を導入しながら日本農業の展開を図っていく。しかし、その前提に、アメリカからの低廉な麦、大豆、トウモロコシの輸入がもう強制されているという中で、水田農業を多面的に発展させることが困難になったわけであります。  戦後日本経済成長が、現在のタイに見られるような都市、農村の対立を激化させなかったのは何なのか。戦後改革を起点に、食糧管理法そして農業基本法の選択的拡大政策の下での本格的な農産物価格支持制度の展開であったわけであります。  水田農業における構造改革の方向が米単作型大経営でしかないかのごとき構造改革論は、それはめちゃであります。アメリカやオーストラリアなど新開国の広大な平たん地と低地価をもって一千ヘクタールを超えるような経営の成立する要件を欠く我が国では、米単作型大経営構造改革の中心に置くというのは、それはめちゃなことであります。  ちなみに旧開国EUでは、本格的な担い手経営の中心は農地面積五十から百ヘクタールで、穀物、デントコーン、牧草など飼料の大半を自給する酪農、養豚などの有畜複合家族経営であります。穀作専門経営で専業的な規模拡大が可能になるというのは、広大な平たん地域に限られておるんですね。ヨーロッパ全体の担い手経営の中心ではありません。  そういった中で、今年二〇一四年、国際家族農業年に当たって、国連が、世界食料問題と飢餓人口の解決に向けて、これまでの食料危機に対するFAOを中心にした提案の中で、途中はしょりますけれども、二〇一二年国際協同組合年に続いて、本年を国際家族農業年に設定いたしました。  なぜそのような事態になっているかといえば、その背景には、グローバリズムと多国籍金融資本主義の下での新自由主義、規制緩和、民営化が各国、日本だけではないわけであります、各国の農村経済の破綻と小規模家族農業経営危機をもたらしております。そして、農林漁業全体にわたって、家族を土台とする小規模経営が世界の食料保障にとって不可欠だと。様々な要因から、家族農業経営の投資拡大と、これが地域を担うということが重要だということがFAOの理論家の中でも理解されるに至って、次のページに行きますけれども、小規模家族農業発展させることが国際社会の課題だという提起をしたわけですね。  欧州連合はこれに直ちに反応したといいますか、FAOのそういう家族経営を守ろうという、家族経営が中心だという、その背景になったのは、やっぱりEUが東欧農業国を加盟国にする中で、今日の厳しいこの財政危機と、そして大量の難民の流入といった中で、農村活性化、農村で就業機会を維持し拡大する以外に、EUの、とりわけ新たに入ってきた農業国の経済発展と活性化はあり得ないということから、しっかりと国際家族農業年に取り組むということを農相理事会は議論をしております。  このEUにおいて、ドイツ、フランスなど先進EU諸国では、一九六〇年代のCAP、共通農業政策、ここで徹底してアメリカ農産物を遮断しました。関税プラス輸入課徴金によって、国境措置によってきっちりと遮断して、域内優先原則によって農産物価格を支えると。まさに太陽政策であります。北風を当てるのではなくて、しっかりと全ての農家に暖かい太陽の光を当てる、熱を与えることによって規模拡大意欲を生み出す、投資意欲を生み出してくると。そういう中で本格的な近代的家族農業経営の成立を見たわけであります。  七〇年代に至って、生み出されてきた牛乳や穀物の過剰生産、これを契機に、マンスホルト・プランという過剰生産対策が取り組まれ、EU型の構造政策が展開されていくわけでありますけれども、それは周辺の農山村地域等に厳しい問題を生み出しましたので、条件不利地域対策等、地域問題を同時に導入せざるを得なかったと。  その中で、EUの中では、ドイツのバイエルンの道といいますけれども、自治体独自の専業、兼業を含む多様な農業経営の存在を目指す農政とそれを支えるマシーネンリンク、農業機械利用仲介組織などの生産者組織、これに農村環境政策の重要性が再認識されると。  ドイツ・バイエルン州では、マンスホルト・プランの構造政策では農村がもたないんだ、バイエルン州のような農山村を多く含んだ地域の中では近代的農業経営体以外に農業経営を諦めさせるというのは間違いだ、大規模な耕作放棄と過疎化につながると。農村と自然環境の荒廃を助長する道、これは取れないということで、バイエルン州が目指すべきは、農家農業による収入だけでなく農外収入を合理的に確保することによっても総体としての所得の増加を図ることだということで、主業・専業的経営経営育成だけではなく、農村地域に非農業の就業機会を創出して、兼業農家にも適切な位置を提供し、農家農地所有を維持することで農業環境、景観の維持に貢献する農家を確保して社会的安定を得ようというものであります。このバイエルン州のこのバイエルンの道は、バイエルン州の農業振興法に法制化されておるわけでありまして。  こういう動きをやっぱり私は、国連の世界食料保障専門家委員会というのを見る中で、二〇一四年国際家族農業年の中で「家族農業が世界の未来を拓く」、これは、私は翻訳者の一人でありまして、農文協編集部が付けたタイトルでありますけれども、今、WTO農業協定で削減対象外とされた農業保護であるいわゆる緑や青の政策の実施に伴って、景観や自然財の維持、生物多様性の保全、保水、エネルギー生産、地球温暖化の緩和等、これを担っているのは家族農業経営なんだと。家族農業経営は全部前はやむを得ず、大型の法人企業に行かないと農業は駄目なんだということでは全くないわけなんですよね。  こういう中で、同報告の以下にも注目しておきたいわけであります。  国内市場を一定期間保護するためには、貿易政策と賢明な輸入規制が恐らく必要であろうと。既存の市場や新規の市場へのアクセスを広げることが競争力と食料安全保障の双方にとっての鍵だと。多くの国際・国内開発機関が輸出市場やニッチ市場に過大な期待を寄せているのは問題だと。このような言わばWTO自由貿易、さらにTPPに対する自由貿易主義型に対してオルタナティブな提案がFAOの路線から提案されておるわけであります。  国際社会が直面する世界の食料・農業問題の解決に我が国が貢献する道は、先進国最低の食料自給率、したがって我が国の食料安全保障問題をないがしろにして強い輸出農業を目指すことではないわけであります。強い輸出農業づくりを農業構造改革だとして零細兼業農家を追い出すことに熱中する農政は、これは二〇一四国際家族農業年にはふさわしくないわけであります。とりわけ、経営安定のための交付金交付対象農業者を限定しなければ構造改革に逆行するという認識は、これは構造改革政策、つまり農産物価格支持政策や直接支払政策で先行してきたEUにもアメリカにもないんです。何で我が国はこのような、限定しなければならないんだというふうなことになるのかということです。  最後に、資料二ですね、今、EUはどのようにして農家を支えているかという資料二、最新のドイツのデータであります。「農業経営が受け取った経営単位の直接支払いと助成金」ですね。  小・副業経営を排除していません。したがって、経営単位で見ると、下から六、七段目ですかね、支払合計額、経営当たりユーロ、一万二千ですね。これで今、百五十万から小・副業経営も二百万円近くの助成を受け取っている。わあっともうすごいことになっています。法人経営、旧東ドイツの大規模経営は、四十六万といいますから、五千万円以上の助成金を受け取っておることになるんですけれども、私の注目したいのは、きちっと、小・副業経営、一番下、直接支払・助成金合計の所得に対する割合八割。これはやっぱり小規模農家を支えて農村を守ってくれるという政策になっておるという、こういうことであってですね。  もう結論は冒頭に申しておりますので、これだけにさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
  13. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 馬場成志

    ○馬場成志君 おはようございます。自由民主党の馬場成志と申します。  本日は、全国から四人の参考人においでいただきましたことをまずもって感謝を申し上げさせていただきたいというふうに存じます。  そしてまた、勝部参考人には島根からおいでいただきましたけれども、来週はこの農林水産委員会でまた島根の方にお邪魔をさせていただくことになっております。またお世話になろうかというふうに思いますが、よろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、担い手経営安定法見直しの規模要件の廃止についてお尋ねをしたいというふうに思います。  これは参考人全員にお尋ねするつもりでございましたけれども村田参考人は先ほどもうはっきりと御主張いただきましたので、大変申し訳ありませんが、ほかの三人の参考人の皆さん方にお尋ねをしたいというふうに思います。  いわゆる認定農業者の全国の統計といいますのは、平成二十五年三月末で二十三万三千二百九十九経営体であります。平成二十四年の新規就農者数は五万六千四百八十人、前年比二・八%減ですが、年齢別では三十九歳以下が一万五千三十人、五・七%増というふうになっております。就農形態別での新規参入者は三千十人、四三・三%増というふうになっております。その上で、三十九歳以下の定着を現在の一万人から二万人になるように増やすためには、今よりもっと多くの新たな人材の育成と確保をすることに着目して検証していく必要があるのではないかということを考えます。  参考までに紹介させていただきますと、私は熊本県の出身でございますが、熊本県では一万九百四十八経営体で全国三位となっており、毎年三百名程度新規就農者など多様な担い手が頑張っておるわけであります。これまでは本制度対象要件を満たす担い手の育成が進んで、麦、大豆では全体の相当割合を本制度加入者が占める状況となっておりますが、稲作については、認定農業者割合が四%程度と少ない現状にもありまして、担い手の育成、規模拡大が課題となっておるところでもあります。  今回の担い手経営安定法の見直しでは、対象者として認定農業者集落営農認定新規就農者を加えたこと、また面積規模要件は課さないこととしておりますが、これによりどのような効果があると考えられるか、三人の参考人にお尋ねしたいと思います。
  15. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、ただいま馬場成志君からの質問でございますが、お三名の指名がございました。まずは安藤参考人からお答えいただきたいと思います。
  16. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 規模要件を見直したことによって、私は地域自由度が高まるというふうに評価しております。  ただ、稲作について言うならば、なかなか新規就農で入っていくのは難しいという実情も実はございます。施設あるいは機械の投資の金額が非常に大きいですから、ゼロからスタートするのはなかなか難しい。  そして、今、馬場先生の方からも御紹介がございましたけれども会社等に就職する形で農業に加わってくる、勝部さんのところもそうですけれども従業員という形で入ってくる、そういうふうな形で土地利用型経営は、最近ですけれども規模拡大しているようでございますので、そうした動きが最近の水田農業構造変化一つの方向だとすれば、そうした方向を阻害するようなそうしたことには間違いなくこの改正はならないだろうと、こういうふうに考えているという次第でございます。  以上で私の方からの回答は終わりにしたいと思います。
  17. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 地域としてはやっぱり地域を守るということで、それが前提になりますけれども、どうしても農業ができないということで土地持ち非農家というのが増えているというのが現実でございまして、そうすることによって集積担い手に集まる、担い手はやっぱり認定農業を受けて、いろんな事業を受け取るということをやっぱり求めていきたいというふうに規模拡大をやりながらやってきております。  先生言われるように、新規就農者というのは現実伸び悩んでいるというのがやっぱり全国的にあると思います。地域的に盛んに後継ぎが豊富にいるというところはたまにありますけれども、私が先ほど言いましたように、県も雇用就農ということで私もお願いをさせていただいているところでございます。現在、農の雇用、先ほど言いましたように手厚い事業もございます。雇用する企業にとって農の雇用で補助を受け取って農業者を増やすと、これも一つの方法ではないかというふうに提言させていただいております。地域をやっぱり守るというのは、農家が土地を守るということでイコールできるんじゃないかなと思います。地域コミュニティーを壊さずに多面的機能も当然守りながらやっていくためには、今回の法改定で私は賛成していいというふうに思っておりますので、どうか進めていただきたいというふうに思います。  以上です。
  18. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 私もこの面積要件を課さないということは非常に良いことだと思います。  北海道も例年七百名ほどの新規就農がございます。また、この人材育成について、法人化の中で経験を積むということもありますし、それから酪農ですと、酪農ヘルパーなどを通して経験を積むということがあります。なかなか北海道の広大な面積を購入して、なおかつ機械装備一通りそろえるということは困難なことであります。そういった意味で、意欲があってもなかなか先行投資するだけの金銭的なものがないとか、あるいは能力があってもやはり周囲の協力が得られないとか、なかなかそういう難しい面もございます。  そういった意味で、意欲と能力のバランスも取るという意味で、面積要件を外しているということは非常に良いことだというふうに思っています。  以上です。
  19. 馬場成志

    ○馬場成志君 それでは、続けて勝部参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。  平成二十一年に株式会社化をされたということでありますが、法人化をされて経営がどのように変化したかということ、特に、先ほどの質問に関わるわけでありますけれども、先ほど御説明をいただいておった中で、参考資料にもありますように、会社法人化によって優良企業並みの雇用環境ということで御紹介されたことはとても印象的でございました。それによって若い人たちの参入に弾みが付くとか、あるいは関心が高まるでありますとかそういったこと、触発、啓発に寄与された部分などがありましたら、またそのことについてもお聞かせいただきたいというふうに思いますが。
  20. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) ありがとうございます。  会社にしたときも、町の役場の人間と県の普及センターとか農協関係全員が集まって、とにかく勝部会社を起こそうとしているからみんなでやろうということで、私は本当会社の名前を考える程度で、あとは皆さんが協力してやってくれました。農林事務局体制がちゃんとしておったということもあると思います。本当有り難いと思って、私が会社を起こした後も続いて二社ほど起こしております。  それもありますけれども、現在会社にしようかと迷っている専業農家も我が町にまだまだおられます。そこが進んでやっぱり前へ行くためには、先やった我が社が魅力ある経営していかぬと、やっぱり会社にしたら、あげなったら駄目だというふうに言われるようでは誰も付いてこないし、やることはマイナスだというふうにイメージを湧かしては絶対いけないということで頑張ってきたわけですけれども、それに付随して制度が、やっぱり会社、法人に対していろんな事業が、メニューが増えたというのが実際あります。それを県も役場も一緒になって、勝部、今度導入するんだったら、今度これがあるよということで紹介していただいて、うち機械化をやっぱり進めていくということができたというのが一つ利点があります。  それと、従業員に対して経費のことで、先ほどから言いますように、農の雇用事業、これが使うことができたということが、大いにやっぱり経費の削減又は雇うという気持ちが前へ出たということがあります。これは引き続きお願いをさせていただきたい制度だと思っております。  会社にすることによってやっぱり身が引き締まったというのも一つあります。これまで家族経営だと、なあなあでおふくろとけんかしながらやっておったというのが本音ですけれども、それじゃもうからぬというのがやっぱりどっかで来ます。ある程度経営面積受け取って自分ではもう見切れないところがだんだん出てくると、やっぱり信頼できる社員にあそこも頼む、ここも頼むというふうにすみ分け、振り分けができるようになったというのも一つ効率的なところが図れたんじゃないかなと思います。  仕事を始めるのにまず会社をつくるというのが普通の感覚のところですけれども農家に至っては、やっぱり昔からやっているから、今更会社というのが正直な皆さんの反応でした。私もそうでしたけれども、後を継いだときから、やっぱりどっかで、どっかで法人化というふうなことは狙っていましたので、やっとほかの産業並みのことができたなというふうに思います。会社にしないのがおかしいというわけじゃありませんが、風習はやっぱり変えていくということが一つの、先にやったところの、私のこれからの責任かなというふうに考えております。  損した点は、やっぱりそれだけ地域に見られていますよというふうに感じるところはありますけれども、それ以外はプラス思考でやっぱり来ております。推し進めたいと思いますので、どうか御協力をお願いしたいというふうにお願いして、回答とさせていただきたいと思います。
  21. 馬場成志

    ○馬場成志君 ありがとうございました。今は周りがしっかりやっていただいたというような話もいただきましたけれども、もちろん御当人の御苦労が一番だったというふうに思います。  そうは言いながら、今お話を伺っておりまして、斐川町の農林事務局、本当にしっかり機能して意欲的に動いていただいている。全国でもやっぱりモデルになるようなところなんだろうというふうに思っておりますが、そういった中で、JAあるいは農業委員会の皆さん方との関わり合いというものも大きかったかというふうに思いますが、その辺にも何か御意見いただければというふうに思いますが。
  22. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 関わりにつきましては、やっぱり自分らは生産する、栽培するのが一生懸命でして、今年幾ら転作しなさいとかそれはやっぱり農協、役場から通じて来るわけで、全体の自分の経営をどうやっていくかというのが、やっぱり数字をいただいてそれから検討して、来年の作付けどうしようというふうに考えていくわけですけれども、全てを農家会社だから、おまえ全部分かるだろうというわけには当然いかないわけで、農地がどういうふうに流れているかというのはやっぱり農業委員会で確認させていただければすぐ反応があるし、昔から農協の方針に従って栽培をやってきたし、虫が出たり病気が出たらやっぱり農協に聞くというのが直接一番聞きやすいところです。  うちらも近くにすぐ販売して売れるような都市があったりすれば、もっと考え方は違うと思いますけれども、いかんせん山陰、島根の米がどこまで高く売れるかという自信は本当ありません。そうすると、やっぱり農協に任せて、一生懸命農協も売っています。そこを通して売った金を必ず集金して入れてもらうという、この関わり合いというか、もう農家がつくった農協なもので、ほかのところでどうのこうの言ってもらう筋合いではありませんので、農家がこうしてほしいというふうに言ったら、やっぱり農協はそういうふうに変わっていくというのが農協の在り方であって、農協が逆に、こういう方向がいいよというふうに指導してもらうのも一つの農協のいいところじゃないかなというふうに、やっぱりなくてはならないところで、資材もいろんなところで、身近なホームセンターで買うんですけれども、大量で買うんだったら農協にお願いしないと、やっぱり長い付き合いのところでやっていますので、信用の置けるものを手に入れさせていただきたいというふうに思っています。  その点では、今後も農協と関わっていくのは、太いパイプでやっぱりお互いやっていきたいというふうに思っております。  以上です。
  23. 馬場成志

    ○馬場成志君 ありがとうございました。  それでは、次は、安藤参考人にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、中山間地域などについては、平地に比べて営農条件が不利なことから担い手農家が見付かりにくい部分が多いかというふうに思います。このため、地域農業の維持発展には集落営農の取組を進めるということが大切でありまして、集落営農組織化、法人化に対する支援が必要であるというふうに考えておりますが、安藤参考人の御見解を伺いたいと思います。
  24. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 今いただいた御意見、そのとおりだと思っております。  中山間地域では、農業構造改革というよりもむしろ地域社会を、あるいは地域にある農地をどう皆で力を合わせて守っていくか、その仕組みをつくることが非常に重要であると、そして、そうした仕組みを体現したものが集落営農であり、そしてその集落営農が安定的に存続していくための一つ制度化が法人化であるというふうに考えております。  そして、そこでつくられた集落営農ですけれども法人化されたとしても利益をどんどん上げていくようなそうしたタイプの経営発展というよりも、皆で所得をどう地域の中に生み出して、それを皆さんでどう分けていくかと、その辺りが運営のポイントになってくるようなそうした集落営農がつくられているのではないかというふうに考えていますし、そういうことを支援することが必要だというふうに考えているということです。  以上です。
  25. 馬場成志

    ○馬場成志君 続けて、安藤参考人にお尋ねをさせていただきます。  また、これからやっていかなきゃいかぬところの中で、限られた財源の中で、我が国の食料自給率を維持し、さらにその向上を図るということが必要なわけでありますが、麦、大豆や飼料用米など外国産が大半を占める中で、今後、国産を拡大していく余地の大きい農産物に支援を行うこと、これに力を傾注していくということが必要かというふうに思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  26. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 御指摘のように、作ったものの需要をどう拡大していくか、その需要があるものを作っていくことが重要だと思います。  今、飼料用米に随分お金が付いておりますけれども、それの需要をどう開拓するか、使っていただくか、そうした仕組みを整えていくことが、結果として水田農業を維持していくことにつながるというふうに考えております。  以上です。
  27. 馬場成志

    ○馬場成志君 それでは、最後の質問になろうかと思いますが、いわゆるゲタ対策につきまして、当年産の数量払いを基本とした内容に改正されるということで、担い手規模拡大や生産性向上意欲を反映させたものになるというふうに期待をしているところであります。  この点につきましては、済みません、どなたに聞くということを申し上げておりませんでしたが、専門家のお立場、農業者のお立場から、安藤参考人勝部参考人に御意見をいただきたいというふうに思います。
  28. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、安藤参考人から。
  29. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 数量払いということは、生産者の努力が生産量の増大となって現れますので、それが収入に反映されるということでは生産に対して刺激的に働くということで努力が報われる仕組みになっているというふうに考えております。また、最低限、内金という形で経費等は支払われるということで、その分での投資に対するリスク負担という機能も持ち合わせているというふうに考えております。  以上です。
  30. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) これはやっぱり、いいものを作ったらそれだけ出るよという方式で、横着したらそれだけ減るよという単純なことですけれども、実際やると、一生懸命やっていても、天候、いろんなことで変化がありまして、いいものができない年もあれば最高にできる年もあるということで、それに見合ったやっぱりそういったお金というものが入ってくるわけですけれども、とにかくできたものに対して見合ったものが出てくるというのは有り難いです。  全くないよということよりは、成果を認めてもらったというお金だと思いますので、横着した者にはやっぱり駄目だよと、頑張った者にはそれに見合ったものは出すよという、単純と言っていいのか分かりませんが、それは成果の受取ということで私はそれでいいと思います。
  31. 馬場成志

    ○馬場成志君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  32. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。貴重な参考人の四名の皆様の御意見本当にありがとうございました。  大変限られた貴重な時間ではありますけれども、質問させていただく前に、私どもの考え方、そして私のいわゆる経歴などを若干説明をさせていただいてから質問をさせていただきたいと思います。  私ども民主党でございますので、直接所得補償を立案をし、法律までには至りませんでしたけれども、大変充実した制度だったというふうに自負をいたしております。そのことは村田参考人からも御説明をいただいて、農村集落の収入をどう確保するのか、きっちりと政府が所得を補償しつつ、我々は、六次産業化でその足らざる点を個人あるいは地域の所得としたい、こういう理念で頑張ってまいりました。  また、私は北海道の出身でございまして、山居参考人の比較的近くの出身であります。離農者をどんどんどんどん見てまいりました。実家は鍛冶屋であります。効率化と規模拡大がふるさとのコミュニティーをどう変えていくのか、山居参考人とともにふるさとの人口減少を見てまいりました。  そして、当委員会で様々な指摘をさせていただいておりますけれども、大変重要な関心事は、全国の農村人口減少、コミュニティーの破壊であります。人口問題研究所や国土交通省、また増田寛也元岩手県知事などからも衝撃的な事実あるいは研究が披瀝をされておるところでありまして、多くの皆さんと認識を共有化しているかと思っているところであります。  まず最初に、勝部参考人にお伺いをしたいというふうに思っています。  法人化の御努力と、そして理想的な雇用形態、しっかりと勉強させていただいて、すばらしい先進事例として全国に波及をさせていただければというふうに思っています。休みのあるサラリーマン的な農業、他産業に引けを取らない所得、やりがい、これは新しい新規参入を若者に求めるとき、必須の条件だと思います。農業というすばらしい名前に基づいて安い労働力で利益を上げるというビジネスモデルは、私たちは賛成をいたしません。どんどん若い人たちがいい待遇で農業に参入いただけるように御努力もいただければというふうに思っています。  そこでですが、私は府県の集落をよく知悉しているわけではありません。作業を委託するその出し手の農業者のところは、多分自分のところに後継者や作業をしてくれる子供がいないから勝部参考人に委託してくるんだと思います。その人は自分がそこの場所で生涯を遂げることになりますけれども、そこの次の世代の方々はその集落に戻ってこられないのではないかと推察をいたします。そうしますと、地域集落がどんどん人口減少させて、あるいは、様々な研究発表が予測されておられるように、将来的にコミュニティーや集落、人口、大変大きな問題を将来抱えるのではないかと推察をいたしますけれども、その人口減少という面ではどう捉えておられますでしょうか。
  33. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 人口減少ということでございますが、私、斐川町、出雲市ではなく斐川町だけ捉まえますと、島根県の中で唯一増えております。人口的には増えているけど、言われますように、どういう形態かといいますと、アパートが軒並み建っています。そこへはどんどんどんどん入っていかれます。若い夫婦、家族で入られますけれども、ただ、農家の家は、お父さん、お母さんといいますか、おじいちゃん、おばあちゃんだけという家が非常にどんどん増えています。  先ほど来、法人化してよかったというふうに申しまして、認定農業者になるとやっぱりいいですよというふうに言っております。ただ、兼業農家は要らないとは一言も言っておりませんで、やっぱり地域を守るためには、兼業農家がいて、専業で私たちが主体にやる者がいて、そして趣味でやっている、畑でやっぱりいる人もいて、集落営農もいて、それがいて、やっぱり地域が守られて草刈りとか溝上げとかいろんなことができるというふうになります。言われるように、いないとやっぱり、いろんな事業があっても使いようが、人間がいないというのがやっぱり言われるように出てきています。ですので、人口は増えていますけれども、集落のコミュニティーというのは本当に守られているかと言われると、本当疑問です。  週末、土日になると、田植、荒起こしとか、結構田んぼ、おられます。平日の、例えば昨日もいましたけれども、田んぼにいるのは私一人です。あっ、いると思ったら、うち従業員です。ですので、もう本当声掛けるのは田んぼではほとんどなくなった。それだけ集積、集約が進んでいるということは、そういったことが逆に出てきています。  町が今どう考えているかというと、やっぱり地域の共同活動、共同作業というのをどうするんだというふうに、やっぱり町も、集積した反対の要因と言っていいのか分かりませんが、集積はある程度やっていって僕は正解だと思うんですけれども、非耕作地をつくっていないけれども人がいないということは、これは地域としてどうなのか、集落としてどうなのかというところは私はやっぱり疑問、先生言われるように私も同じ疑問を持っています。それをどうするかというのは、ちょっと私もここではまだ答えは分かりません。
  34. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございました。  私は、ちょっとエキセントリックな言い方をいたしますと、規模拡大をどうやめるか、これが農政の課題だと思っています。北海道は先んじて規模拡大をして、勝部参考人が耕作している八十五ヘクタールをいわゆる家族経営でやっておられる農家も多数います。その地域は、学校がなくなり、コミュニティーがなくなり、買物も不便です。日本全国をそうしていいとは私は思わないから、こういう発言を繰り返しています。  かといって、昭和三十年代や四十年代のたくさんの農家の方々が低所得であえいでいるという状況が最善だとは思っていません。今、規模拡大や市場原理でどんどんどんどんやっていきますと、際限がない、歯止めがない状況でありますので、いつかオーストラリアやアメリカの経営体に負けるということになります。私たちは日本でありますので、先ほど村田参考人からドイツやバイエルンの例もいただきました。日本的にはどの程度でこの競争をやめるかというその出口が今求められているんだと思います。  安藤参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、この法案では、私は人口減少規模拡大に歯止めが掛からない、こう思います。御意見を伺いたいと思いますし、この私の今どこで歯止めを掛けるかという意味で学術的な立場から安藤参考人から御提言をいただければと思います。
  35. 安藤光義

    参考人安藤光義君) この法案での目的とするところは担い手育成ということですので、なかなかこの法律だけでは今御指摘いただいたような問題の解決は難しいというふうに考えております。  それから、規模拡大についてでございますけれども、今の現行の田植というか移植の体系で考えた場合には、恐らく、農地が面的にまとまっていたとして、家族二人で最大五十ヘクタールぐらいまでであれば何とかなるとは思うんですが、それ以上になってきますと、家族二人、三人ではもうできなくなって、たくさんの人を雇っていかないとできない。そうすると、生産の効率性という点ではなかなか上がっていくのには限界があるのかなと思っております。  それが、条件がいい平場でその程度ですから、更に条件が悪いような中山間地域ではその上限の面積はもっと小さいものに多分なるだろうと、それ以上は努力してもなかなか所得は上がっていかないだろう、そういうふうに考えております。  あともう一つですが、村がなくても経営が成り立つかどうか、そういう過激な疑問の提示になるかもしれませんが、平場の本当条件がいいところではもしかしたら可能性があるかもしれない。そして、その場合には、一ヘクタール区画よりももっと大きいような区画の整備、そのことによって維持管理労働を軽減させ、長期的に持続可能な生産基盤をつくっていく、そうした可能性も、片や、日本全国ではございませんけれども、実現する可能性があるようなところが少しずつ生まれてきているということも目を向けておく必要があるんではないかと思っております。  以上です。
  36. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も、例えば水田を中心とした経営体でありますと、例えば二ヘクタールとか四ヘクタールが最も効率のいい経営体だとは思っていません。しかし、北海道は少し規模拡大が先に進んでいますので、話は若干違うんだというふうに認識をしています。特に、今水田の面積の話がありましたけれども山居参考人の集落には一枚六・九ヘクタールという田んぼがあります。大変大きな田んぼで、作業効率がいいかというと、面積が広過ぎて大変なんじゃないかなというふうに思っています。  そんな中で、今回なぜこんな改革をしたのか。農水省とここにおられる自民党農水の幹部だけで考えたのではないんじゃないかというふうに危惧をしています。産業競争力会議や規制改革会議、別なところの意見が入っているのかなというふうに危惧をしています。  山居参考人から、余りにも急激な改革で不安に思っているというふうにお話がありました。特に、北海道で主業的にやっておられる、水田を数十ヘクタールやっておられる方が一番の打撃を受けます。例えば、二十ヘクタールの水田経営ですと、ざくっと三百万円、一万五千円で入ってきていたわけです。それが半分になり、ゼロになる。これは私はお先真っ暗だと思うんですね。規模拡大をして、田んぼを集めたり借りたり、農業機械を買ったり、息子を、次男坊も戻ってこいや、こういうこともやったりした話も聞いています。  実際、山居参考人農業経営者のお仲間がたくさんおられます。みんなどういう感想をお持ちなのか、そして実際その直接支払でなくなった分の所得の補填はこの政策で可能なのか。その辺のお話をお伺いしたいと思います。
  37. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 今お話があったとおりなんですけれども、一番心配しているのは、今の農政、まあ様々な議論がされていますし、またTPP等もございます。そして、先ほどちょっと野村委員長ともお話ししたんですけれども、いろんな情報が錯綜していて、どれが正しいのか、まあ誤報もありますよというようなことですから、私たちは何を信じていいのか分からないということで、非常に農村現場、混乱と不安、そして将来に対する心配、そしてこれ本当に安心できる政策が出てくるのかというような疑心暗鬼、そういったことが非常に蔓延しているのが今一番心配されます。  そして、今ほどお話があったように、我々の地域に国営農地再編でまあ六・九ヘクタール、約七ヘクタールの大きな水田もございます。これは本当に、どこを起こしているのか、どこで田植しているのか、どこで代かいているのか分かりませんので、これはGPSという今の最新のものを使って、そして機械もそろえて、IT機器をそろえてやっています。まあ、そういったこと、まだまだ実験の段階ではありますけれども、これがかなり実用化してきているということで、将来にこれは大きな希望、夢が持てるというふうに思います。  しかし、これはまあほんの一部であって、実際には、多くの農家というのは私のように家族農業、大体五ヘクタールから十ヘクタールの間ぐらいの人が圧倒的に多いわけですよね。そして今現在、北海道の平均面積というのは二十一ヘクタールということになっていますけれども、これは牧草とかほかの畑作も全部含めての面積ですから、水田ということになりますと大体十ヘクタールぐらいが多いということで、一番多い人は、やっぱりもちろん三十、四十という人もいますけれども、これは点です。実際のでは、ございません。  そして、家族経営で今やっている人たちでは、北海道は様々な制約があります。特に、春の雪解けが遅いとか、秋の雪が早いとか、要するに作付けできる期間が極めて短いということで、適期と言われる時期が非常に少ないということで、これによっても経営面積というのが制限されます。今現在、大体仲間たちでやっている人たちで大体十五ヘクタールを超えると、もう限界というよりも逆に赤字になると、それ以上広げても意味がないという、今まさしく小川先生がエキセントリックと言われましたけど、どうやったら規模拡大やめられるのかという、そこのところにぶち当たります。その壁に当たります。  私もいつもお話しするんですけれども、もう規模を拡大する時代じゃないぞな、やっぱり農業をこれからどうやって地域でみんながお互い一緒になってやっていけるか、そういう将来の希望を拡大する時期だよなという、まあ規模の拡大の話をしているんですけれども。  そういった中で、やっぱり限度というのが必ず、私、特に北海道ですからそういう気象条件等も含めて限度があるということで、やっぱりどこまでもどこまでも風船を膨らませて膨らみ続けることはない、必ず破裂すると。そういうことがあるということで、ただあおって、経済効率一辺倒、あるいは合理化一辺倒、欧米の農業に肩を並べようというような強い農業、攻めの農業、これ一辺倒では大変なことが起きるのではないかなというふうに思います。  以上です。
  38. 小川勝也

    ○小川勝也君 さらに、山居参考人にてん菜についてお伺いしたいと思います。  野村委員長はサトウキビの専門家でありますが、てん菜のことについて知悉をしている委員は多分少ないと思います。私たちは、てん菜の作付けは畑作の輪作体系の中で重要だと思っていますし、山居参考人のお住まいになっている士別市には日本甜菜製糖の砂糖工場があります。このてん菜の作付けが今減っているんで、相当悩んでいます。しかし、この政策でまたてん菜の作付けが確保できないというおそれがあります。そこをもうちょっと、山居参考人、補足をいただければと思います。
  39. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 今、小川先生おっしゃるとおり、今私の住んでいる士別市には日本甜菜製糖の士別工場がございます。てん菜から砂糖を精製するというのは、これは北海道だけです、ビートから砂糖を作れると。まあ沖縄等でサトウキビ等から取るというのもございますけれども。  このてん菜、実は畑作の輪作体系に欠かすことのできない寒冷地作物ということで、どうしてもこれを安定的に増やしたいという、これはもちろんそういう気持ちはあるんですけれども、ただ、いかんせん作業期間が長い。種をまくのはもう三月ですね、雪を割って、ハウスを掛けて、種をまいて、苗を育てて、苗をまたこれ五月頃植えるんですけれども、四月の末から五月に植えるんですけれども、これがまた十月半ば以降、十一月ぐらいにならないと収穫できない。場合によってはもう雪の下で、雪を割って収穫をするというようなことになるものですから、どうしても高齢化した農家がこのてん菜の生産から手を引くといいますか、やっぱりやめていく人が多いんですね。  これは重量作物ということ、そして高齢化にはなかなか難しい。そして生育期間が、ステージが長過ぎるということ。そして最近は天候も異常気象もたくさんありまして、病気の発生などもあって、非常に収量が落ちたと。そういったことからも、この甜菜製糖工場も操業期間も短くなって収益も上がらないというようなことがちょっと続いていまして、極めて厳しい状況に今置かれている。  しかしながら、どういうふうに考えても、北海道だけでできるこのビートをこの輪作体系を守っていく上で何としてもこれを維持していかなきゃならないということで、各市町村、非常に知恵を絞っています。私どものところの牧野市長は、このてん菜を作っている、道内に八工場あるんですけれども、八工場のある町に全部声を掛けて、工場のあるところで協力し合おうじゃないか、こういう委員会をつくりました。  そして、さらには、今現在、工場があるところだけじゃなくて生産しているところ、道内百七十九市町村ありますけれども、大体九十六ぐらい、大方百近いぐらいのところで作ってございます。そういう生産しているところにも声を掛けて、何とかこの生産振興、後退するのを歯止めを掛けようと、こういうことで今努力をしている最中でございます。  以上です。
  40. 小川勝也

    ○小川勝也君 村田参考人には、直接所得補償制度の良さについてお尋ねをしたかったんですが、ちょっと時間がなくなりました。  私たちは、先ほど申し上げましたように、集落を維持する、そして適切な規模に維持して営農を続けていただくことと希望を持っていただくためには、やはり農家の方々に直接所得を支払われる制度を根幹とすべきだと思っています。今回のこの法律案は数の力でどうなるか分かりませんけれども、引き続き努力を続けてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は、参考人皆様、大変お忙しい中にもかかわらず足を運んでいただきましてありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に移らせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  まず最初、全員、皆様にお伺いしたいと思っております。  図らずも、安藤参考人資料のこの一番最初に、結局、今大きな問題というのは、農業者の数を確保して、そしてその若返りを進めることが大事なんだ、こういった言及もあったわけでありますけれども、私も本当にそのとおりだというふうに思っております。ただ一方、今、世間を見てみますと、例えば農業に対する関心自体は決して低くない。むしろ、メディアの中での露出ですとかそういったところも大変高いですし、関心自体は高い。にもかかわらず、なかなかその関心が、じゃ就農につながるかというと、そこに大きなちょっと壁があるのかなというふうに思っております。  この点について、いわゆる関心が高いのに、なかなか青年層を含めて就農につながらない、この原因をどうお考えになっているのか。あわせて、もしそれに対する有効な施策の案ですとかアイデアがもしあったら併せて御紹介いただけないでしょうか。
  42. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 確かに農業に対する関心は非常に高まっておりますが、それが本格的な農業経営の実現につながるかというと、御指摘のとおり、そうはなっていないと思います。ただ、実際に関心は非常に高くて、市民農園などを募集しても相当な人たちが応募しておりますし、そうした意味では農に対する関心は間違いなく高まっている。  問題は、それをどう職業として自立させていくか。農業でちゃんと、ある意味でほかの産業に見合うぐらいの所得をどう上げられるような仕組みをつくっていくかが問われているわけです。それについては、やはり技術、それから、そうした新しく入ってきた人たち支援するそうした組織、団体ですね、こうしたものがないと、私はなかなか実際にはうまくいかないのではないかと思います。一人で農村に入って、そして農地を借りて何か作ったとしても、それは売ることはなかなか大変ですし、困ったときの相談相手もいない。実は農業というのは一人で、経営は一人でやっているように見えても、いろんな人たちとの関係の中で情報を交換しながらやっていっている、これが実態だと思います。  そういう意味では、そうした人たちが入っていくための受皿を地域で用意していくこと、そして、その人たちに対する指導あるいは資金の提供、こうしたものを、相当過保護に見えるかもしれませんが、そうしたことをしていかないとなかなか、企業的なとは言いませんが、農業を職業とするような方々を育てていくことは難しいように思っております。もちろん、勝部さんのような会社に就農して人を増やしていくという手もあることはありますけれども農業経営者をつくっていくということでは、これはなかなか、その辺の投資が必要だというふうに思っております。  以上です。
  43. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) やっぱり、いろんなところを視察、私も歩かせていただいております。その中で、米の価格がやっぱり依然と高い地域というのは、担い手という方はしっかりおられます。集積集積ということで大型化するのがいいことだというふうに、私の表現ではそういうふうになりますけれども、ただ、うちの島根県の斐川町の米はどうかといいますと、やっぱりどんどんどんどん価格は下がっている。再生産できないから農業をやめたということで、やっている私どもに集まるようになっていますけれども、やっぱりそれで収益がそれだけあって継続可能であれば兼業でも当然やっていけるということになります。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  ただ、新規でやろうという場合には、言われるように、非常にお金が掛かります。鎌とくわでやれというわけに今の時代できません。やっぱり機械が要ります。ただ、機械一つ田植から刈取りまでできるかというと、そういうわけにいきませんで、全部機械化ということになると、一つ一つが数百万します。投資でまず引っかかるというのがまずもってある。  ですので、新規参入、新規でやるより、先ほど来言うように、雇用就農で頑張って大きくなってもらってのれん分けするとかというふうな感覚で私は思っております。  以上です。
  44. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 農業者の数確保と若返りということですけれども農業に対する関心、確かに高いと思います。北海道でも、首都圏等で農業新規就農のための説明会等を開催しています。これ、かなりの人が関心を持って集まってきます。ですけれども、いろいろ説明を聞いて、実際に北海道に渡ってその現地を見るというふうになると数が少なくなりますし、また現地を見て、冬もあるよとかいろいろ厳しい状況を見るとまた数が減って、なかなか最後までつながるということが少ないように見えます。  でも、幸いにも就農につながった人もいます。私のすぐ近くでもいるんですけれども。しかしながら、何年かやっていくうちに、最初の資金不足、それから技術力不足、それと周囲との、やっぱり異質なんですね、入ってくると。ここのところが調和になかなか時間が掛かるというようなこともあったりして、定着になるのに、いるんですけれども数は少ない。そして、定着したんですけれども、子供さんが大きくなっていったら一緒にやめていったりとか、あるいは奥さんも了解して入ってきたはずなんだけれども、途中から奥さんと意見が合わなくなるとか、なかなか、やっぱり難しいのかなと、そういうような状況にあります。  しかし、確実に成功している人もいます。入ってきて、酪農や何かではむしろ地域の見本になるような、大きく展開している人もいます。ですから、一概に駄目ということではなくて、やっぱりこれは地道に若者にも声を掛けて、そして就農につながるような努力はしていくべきだというふうに思っています。  以上です。
  45. 村田武

    参考人村田武君) 今、農村にIターン、Uターン、Jターンですね、それなりの動きがあるんですよね。私、愛媛県の農山村地域で一番注目しているのは、集落応援隊事業というのが、これは総務省さんですかね、一年間、月十五万円ぐらいの報酬をして、空き家なり学校の、もう小学校廃校になっていますから先生の宿舎なんかを提供して、集落で一年間住んでください、継続は三年までは認めますと。この人が、結局現場、直接就農にまで行かないでも、農業法人の雇用就農につながったり、自治体がやっている農業公社の従業員として非常に重要なんです。一段階そういう、何といいますか、直接就農ということよりも、訓練期間を保障する組織が必要なんだなということをつくづく感じます。  そういった中で、今現場で将来展望の中で一番苦労しているというか何と言っていいのか、先ほど山居参考人の言われたことと全く同感なんですけど、米価なんです、米価。今はとにかく、これは構造改革なりTPPなり、八千円という数字が示されて、もうこれは何年か後に八千円になるなんて独り歩きしていますよね。そういう中で将来展望が見出せないんですよね。これは恐らく、勝部さんの農業法人、あのしっかりとした雇用をやれているのも、今の米価があって、あれが八千円米価になったら、悪いけども勝部さんもブラック企業になるんじゃないかなんて心配しますよ。  やっぱり何とか、一つは、この新しい法案の中で、山居参考人が言われたように、米もゲタを履かせないかぬと思うんですね。これが履かせられないんだったら、何とか生産調整を継続しながら、ありとあらゆる政策で米価を支え切ると。  私は、西日本の非常にコストの高い農山村から見て、愛媛県は全国一コスト高いところでございまして、一俵二万一千円というコストの掛かっているところ、それは要求しないと。しかし、全銘柄、農家手取りで一万四千円を何とか保障してくれないかと。ところが、東京での卸売価格が一万六千円、これであれば手取りが一万三千五百円から流通経費除いても一万四千円に手が届きますから、これをしっかり、固定価格買取り制みたいに、再生可能エネルギー的に、二十年とは言いませんけれども、十年間支えるよという、政治がこれを言ってくれれば私、支えられると思うんですよ。兼業農家も頑張れ、集落営農も頑張れと言えると思うんですよね。そういうふうに思っています。
  46. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  この後は、まず、まとめて幾つか安藤参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  先ほどのお話の中にもございました、特に中山間地域産業政策をそのまま推し進めるにはやはり適さないところが多いんじゃないか、そういう中で、じゃ地域をどう振興していくのかという視点を御提示いただきまして、その一つとして、農業振興から農村振興への転換だという言及がありました。事前にいただいていた資料の中にも、海外の例を通して、例えば農村振興というのにもいろいろな考え方があると。決して、いわゆる農業を守るということではなくて、他業への転換みたいなものも促す、そんな在り方も海外では実際に行われているという、そういった御指摘もあったわけでありますけれども。  日本において、じゃ地域をどう振興していったらいいのか、中山間地域どう振興していくのか、この課題、多くの地域が今直面している中で、実際にいわゆる農業そのものはなかなか難しいんだけれども、こういう形で地域の振興にはつながっている何か独自の取組ですとか、あるいは一つ方向性、そういったものでもし知見等御紹介いただけるものがあったら、お話しいただけますでしょうか。
  47. 安藤光義

    参考人安藤光義君) ありがとうございます。  私も具体的にいい案がないので、これぞというものは御提示できませんが、ただ、いずれにしても、地域の資源をうまく活用して新しい産業あるいは経済活動を興していると、これが共通しているんだと思います。そのときには、農業という狭い一つ産業ではなくて、それ以外の産業との連携を考えつつ、地域経済が全体として有機的につながっていくような、そういう仕組みをどうつくるかという視点が多分重要なのではないかと思います。農村地域経済と言ってよろしいんでしょうか、そうしたものをどうつくり上げていくか、個性のあるものとしてつくり上げていくかということが問われているんだというふうに考えております。  以上です。
  48. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  ちょっと今お答えいただいたところに多分関連してくるんじゃないかと思うんですけれども、特に中山間地域等を振興していくに当たって、集落営農をつくっていけばいい、あるいは集落営農法人化していけばそれで事が済むほど簡単ではないという御指摘もされておりました。ここについて、じゃ、集落営農と違ういわゆる受皿、組織みたいなものをちょっと言及されているんですけれども、ここについて詳しくお話しいただけますでしょうか。
  49. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 一応、農地を守る組織として見ると、集落営農が一番無難な形なのかなとは思っておりますけれども、いろいろな交付金等を受け入れて、そしてそれをそこにプールして地域のために使っていくものとして、例えば社団法人のようなものも考えられるかなと。その辺りについては少し制度的にいろいろと精査して、そして地域をマネージしていくものに一番ふさわしいものを幾つか選んでいく、そんなことをこれから検討していってはどうかなというふうに考えております。  私の方で明確な回答を持ち合わせているわけではありませんが、農事組合法人以外にもいろいろなことを考えていかないと、そうした農村地域経済活動を含めた多様化に対応できる組織をつくっていくのはなかなか大変かなというふうに考えているということです。
  50. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  安藤参考人にもう一問だけお伺いしたいというように思います。  先ほども少し言及がありました、食料自給率の問題についてもいろいろ御発言されているようでありまして、食料自給率しっかり上げていかなければいけない。そこを考える上で、やはり、今お米自体は量的にいうと余ってしまっている。作らなければいけないのは大豆ですとか麦、飼料、こういったものをしっかり作っていかなければいけないんだということでありまして、大豆や麦、作ろうと思うとやっぱり基本的にコスト的に見合わないわけですから、これ国策としてしっかり作っていく、推進していくということであれば、やはりしっかり全面的にこれは支援していかざるを得ない。  ここで、一つ、論文の中にも書かれておりますけれども、問われているのは、自給率を上げるための財政支出がどこまで許されるのかということであるということであります。これ、本当に今の国の農政に一つ大きく欠けている視点だなというように思っておりまして、じゃ、実際にこの自給率を目標まで上げるに当たって一体どこまでだったら掛けていいのかと、ここのやっぱり合意をつくっていかない限り、なかなか力強く推進できないのかなというように思っております。  この点について、自給率自体は、日本ほど深刻でないにしても、他国でも例えば向上の取組等あると思っておりますし、そういった中で自給率を上げる、維持する、向上させる、そういう取組において、いわゆる財政的な支出の一つの物差しというんでしょうか、何をもってこれは多過ぎる少な過ぎる、あるいは、一つ国の予算の中の何%まで充てるですとか、そういったもし目安みたいなもの、紹介いただけるものがあったら御提示いただけますでしょうか。
  51. 安藤光義

    参考人安藤光義君) そこまで私、考えたことが実はなかったですが、一般的には、それぞれの事業についてのコストベネフィットを計算して、それでその事業がよろしいかどうかということを評価するわけですけれども、今御指摘いただいた質問というのは、実は農林水産業そのものをどう国が重視するか、そして、それを支えるためにどこまで覚悟があるのかと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そうしたものが多分予算に表れてくるんだと思います。  全体的なシーリングが掛けられてどんどん予算が一律に削られていくという中で、しかしここは重要だという形で農林水産関係の予算を増やすことがどこまでできるかと、そういうことになるのではないでしょうか。そして、それができない場合には、そこの枠内の予算でのどういうふうな、付け替えですよね。そうすると、どこかが削られどこかが増えると、そういう形になってしまうわけですけれども、そういうものになってしまわざるを得ないだろうということです。  ただ、もう一つ制度設計で考えなければいけないのは、限られた予算の中でどこにどういうふうにお金を付けることによって効果が最大になるかということを、一つの法案、制度だけではなくて、全体を関連付けながら、ある効果が生み出すことができるような、そういう方向付けをしていく必要があると思っております。それは多分、個々の法案の審議ではなくて、トータルとして農業政策をどう仕組んでいくかと、そういう戦略を作る場が必要だというふうに考えています。  以上です。
  52. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  あっという間に時間が来てしまいそうですので、一問だけ勝部参考人にお伺いしたいというふうに思います。  先ほど、今規模の拡大に取り組まれているというお話、あるいは、これまでのいわゆる経営体の在り方、家族でやられていたところから法人をつくられてという流れを御紹介いただきました。今のこの政策として農地の集約を進めていこうというものには、やはり幾つか恐らく天井というか、特に現場農業に携わっている皆様が直面する壁のようなものがあるというふうに思っております。実際に今の経営規模まで拡大されてくる中で、ああ、ちょっともうこれ以上は今の形では無理だな、難しいなと思われたとき、例えば何ヘクタールまで実際に伸ばしてきたときに一つの壁を感じられたのか、あるいは、その他のところでもいいんですけれども、ちょっとこれまでの営農を振り返られて、そういった幾つかのステージ、壁、そういったものを御紹介いただけますでしょうか。
  53. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) まさしく何回か壁はあったように思います。やっぱり三十町、利用権ですね、お預かりする田んぼが三十町を超えた時点でやっぱり家族経営の限界。一方で、三十町というところで、うちは別にやっぱり作業受託も大いに抱えておりましたので、一般的な作業受託がない、経営的に三十町だけのところの農家とはまた違う意味かもしれませんけれども作業受託も年々増えた上でのそういったところがありました。で、法人化というところですけれども。  あとは小作料、これが全国的に話を聞くとやっぱりまだ二万円以上十アール当たり払っておられるところもあります。これは地域間格差ということで、全国一律というわけにいきませんが、農業委員会のこれは管理下のところであります。うちは天井が今八千円というところで払っております。以前まではやっぱり二万円、一万五千円とかで、お互い話合いをして下がってきたというところで、当然これも経費の削減というところでは有り難いところです。  地域間格差でまだまだ二万円以上払っておられるところは、やっぱり米代もそれだけ有利に販売されている地域ではないかなというふうに判断しておりますけれども、まずは、小作料地域又はうちのような町で一律にすると、何というのかな、誰に貸しても同じ金額だよということで、地主さんも安心するし、自分ら耕作する方も一つは安心して、どこの田んぼも明確な金額が出てくるというところで安心しております。  もう一点は、最大のところが農業公社というところがあります、斐川町には。そこが農地の受け払いを全て管理しております。お金の、さっきの小作料の受け払いも全てやっているし、あと苦情は、再契約を自分らとやっていますので、地主さんが一回公社と契約をして、もう一回自分らと農業公社が契約していますので、不平不満は全部公社へ来て、公社からまた自分らに来るわけですけれども。自分らもお金の振り込みとかもまず軽減されますし、農地をどうやって集めようかというところ、又はテリトリーをどうやって決めようというのも全部農業公社が発動してくれますので、まずはそういった機関がちゃんとして動きを小刻みにやってくれるというのが一番、壁が来そうでうまく逃してくれたというところの、本当有り難い一面ではないかなというふうに思うところです。  以上です。
  54. 平木大作

    ○平木大作君 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  55. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会・結いの党の儀間光男でございます。  今日は、四名の先生方、お忙しい中を本委員会へお出ましをいただき、大事な御高話、卓話を賜りまして、ありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。  さて、私は細々としたのは性格上余りできないので常に大上段に構えているんですが、今日、ここも農政についての先生方の御見解を、あるいは農政の立案されていくそのプロセスを先生方あるいは学者の立場、現場の立場から御教示いただければ、今日幸い本委員会農林水産大臣政務官横山務官もおいでですから、きっと役所で法律作りするときに参考になるんではないかと思いながら聞きたいと思います。  まず、戦後の日本農業あるいは農政を見てまいりますと、しょっちゅうこればかり言っているんですが、多くの財政を投入し、そして農業促進し、もうかる農業、生活のできる農業をやっていただきたいということで財政を投資してきましたけれど、どういうわけか、担い手が育ってきていないんですね。その担い手の確保が一番肝要だと思うんです。  作る人、売る人、買う人があって初めて産業が成り立つことは当たり前な話ですから、持続的に農業を担っていける、産業として担っていける担い手、これの確保に、各産業そうかも分かりませんが、人口減の中でそういう現象があるのかも分かりませんが、この担い手をいかに確保するか、そのための法律が今回も出ていますし、戦後の中で多くの法律が出てきたと思うんですが、その担い手の確保の現状とそれから今後について、それぞれ先生方のお立場で、どういうことをやればよいんだという御見解、御私見をいただけたら有り難いと思いますから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  56. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) これは全員に対する、参考人に対する御質問ですね。
  57. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、そうです。
  58. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、先ほどは安藤参考人からでしたので、逆に今度は村田参考人の方からお答えいただきたいと思います。
  59. 村田武

    参考人村田武君) ありがとうございます。  先ほどの私の資料一を開いていただければ有り難いんですが、私、今後の農政の在り方を考えるときに、戦後の農政展開、きちっと整理した上で、価格支持体制から直接支払へと大きな、アメリカやEUの動きを見ながら、日本での政策展開というのをどう理解すべきかということを農政学を専門とする者として考えてきたわけですけど、一つだけポイントとして、今回のゲタにしろナラシにしろ、これは基本的には制度としては不足払い制度と理解したらよろしいかと思います。全体として形成される農産物価格、それでは十分な所得を上げられない、必要なコストが補填できない、コストを補填する意味での不足払い制度だと。  その点で、価格支持制度の時代は、食管法を始めとして、きちっとコストを前提にしながら、どのレベルで価格支持をすれば担い手が確保できるのかという、主たる担い手確保できるのかということで展開してきたのが価格支持政策であります。その典型が、食管制度における、食管法における費用、価格をきちっと計算しての制度であったわけですよね。  問題は、現代、大きく直接支払型に移っていったときに、そこでどういうふうに経営を支えるのかと。担い手にとってみれば、将来的に安定して自分の労働がきちっと価値実現できるのかと、勤労者として同じようにきちっとした所得は得られるのかというのがもう最大のポイントでありますよね。  どうしても、所得補償制度という形で政策を作っていく場合には、それは、どのレベルで所得を支持するのかということを明確に位置付けないといけない。その意味で、戦後の政策、価格支持政策、私は北海道が一番成功したんだと見ています。北海道政策がいっぱい入っているんですね。先ほどのてん菜から、酪農のいわゆる加工原料乳価格安定制度から、北海道農業がこれだけ本格的な担い手が形成されたのは戦後の農政そのものですよ。  今問われているのは、今展開しようとしている農政は、担い手を育てようにも何も、北風を当てて生き残れる者だけ生き残れみたいな政策であります。これじゃ、担い手は生きようがないと。待てと。そうではなくて、アメリカだってWTO体制の中で一旦価格支持制度やめたみたいだけれども、しっかりと所得補償をしているわけです。日本の農政に問われるのは、今どれだけ農家の所得、担い手として生活を維持できるための所得をどう支え切るかというところをきちっと計算してほしいという、それが今、政策のポイントだと思うんですね。
  60. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) この所得のことを考えるときに一つ考えなきゃいけないのは、まず戦後、今儀間先生からもお話ありましたけれども、どれだけこの農業担い手を確保するのにお金を使ってきたかと。  一つこれでも時代背景があって、戦後の荒廃の中で日本人が食料がなくて、とにかく今日食べるものを確保するという、そこから始まったときに、これを、お金幾ら掛かったからというんじゃなくて、これは国策ですから、やっぱり国策で戦争が負けて、そこからはこの日本の国を立て直すために、まず腹ごしらえをしなきゃ高度経済成長もなかったわけですから。そのことを考えると、そこで費用対効果のような計算をするというのはちょっとこれ無理があると思うんですよね。  ですから、担い手についても、戦後の何も仕事のないときにはもう農家には山ほどいたんですよ。後継者もい過ぎて、よく言う分家といいますか、要するに小さく分けて、後継者本当に山ほどい過ぎて、困った。でも、高度経済成長のときに、たまたま次男三男対策で、農家の次男三男はみんな町へ出たんです、都会へ出たんですよ。これがやっぱり日本の高度経済も支えたと思うんですね。だから、そういうことを考えれば、どれだけ農村にお金を投入したかなんていう、そういう論理ではないと思うんですね。  そして、今現在、日本農業がなぜここまで後退しながら後継者がいないかというのは、答えは簡単なんですよ。もうからないからなんですよ。ですから、これ本当に、掛け声は何回もあります、他産業並みの所得を得るという。これ、これだけをやれば農家はもう幾らでも後継者いますよ。このことがあります。  それは特に、これは一九九三年のガット合意以降、世界的に、先ほどから何回も言われていますけれども、価格は市場に任せても、所得はやっぱり政策できっちりと補う、これはヨーロッパもアメリカもどこでもやっていることなんです。日本でもなぜそれができないか。いや、日本型でやりますと。これ何回もやってきて、中山間地域の直接支払等から徐々に始まってきて、品目横断もそうですし、今現在形にはなってきていますけれども、それがまだ不十分だということなんです。  ですから、これを今はっきりと、今農業者が、他産業の人と何も、まあ最近、他産業もちょっと大変でね、ワーキングプアというのもたくさんありますけれども、いわゆるそれに近いんです、今現在の農家の中でどうしようかと迷っている人たちは。大々的にやっている人はちょっと別ですけれども。だから、そこのところをしっかり支える。つまり、やっぱりしっかり農業に将来に展望を持って、夢を持ってやれるような価格を、これを所得の補償という形できっちりとすると。  もうここのところを、何度も言いますけれども、この所得を政策で、まあ価格は市場でもいいです、これ国際市場もあります。ですけれども、今の段階では価格は国際市場で、所得は自己責任でというみたいな感じになっているので、ここのところをしっかり政策としてきっちりと立案するとすばらしいものになってくるというふうに思います。  以上です。
  61. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 言われたところで、担い手確保というところだと思いますけれども、私の資料にもありますが、うちの町は平成十四年のときに全農家にアンケートを取っております。その当時も、多分同じ意味だったと思うんですが、ほんにどれほど百姓やる者がおるかいのというところから始まって、じゃ、みんなに聞こうやというところで町全体にアンケートを出して、今後の町の農業の在り方を見ようとしたと思うんです。その結果が、そのアンケート、いまだに使われて、五年後、十年後どうされますかというのがそれで見えた、だから、いまだにそれは生きています。それを全農家対象にして、町とか村とか、やっぱり実際の農家の声を引き上げて、かみ砕いて、今後のその町全体、村全体の実質的な意見とか数字をつかまえていただいた方がやっぱり近道ではないかなというふうに思います。  それで、実際に担い手はどうやってつくるんだというところになったときに、集積されている、うちらはやっぱり効率が断然良くなっています。その前段で土地改良を、やっぱり九割以上、道路から排水から水の関係から土地改良を物すごく進めてもらって、九十数%、土地改良本当進めてもらったので、区分けをやるだけで自分らは本当やりやすくなりました。ですので、所得、所得と言いますが、売る金額は決まっています。だから、いかに経費を減らすかというのもありますけれども、まずは土地改良をして経営の基盤をつくっていただくというのも担い手を探す一つの方法ではないかなというふうに思います。  あっちもこっちもまだまだ変形で、深いところもあったりするのに、やれやれと言っても、やる人間は、いや、これ俺嫌だ、集めてもらっても嫌だ嫌だということでは、やっぱり基盤がしゃんとしていないと、じゃ、やれと言っても、嫌がるものを押し付けてもやっぱりすぐやめちゃうぞというところになります。  土地改良本当進めてもらってよかったんですけれども、今となっては、先ほど言いましたように、三十アール区画でやってもらったのが当時の土地改良で、四十七年か四十八年ですか、あったそうですが、それが小さくなりまして、とにかく畦畔を取った方が、広くなった方がいいという効率化というところで、元々の土地改良があったものですから畦畔も取りやすいというところもあると思います。ただ、全てが平らじゃありませんで、隣の田んぼが一メートル下とか、のり面も本当、何メーターもあるところも当然やっております。できるところから、できるような環境、まずそれをつくってほしい。そこをやっぱり、過去からずっと投入されたお金というのは本当大事に使わせていただいたんですけれども、それが今生かされているんじゃないかなというふうに思います。  ですので、環境が整えば担い手は自然と生まれてくると思います。僕も金融やっていたんです。三十四からいきなり百姓をおやじの後を継いでやっています。金計算から、今度は泥つかって何とか試行錯誤やってきました。やっぱり基盤がうまくあればやる人間が出てくると思います。  以上です。
  62. 安藤光義

    参考人安藤光義君) 今環境が整っていれば担い手は育っていくんだという話が勝部さんの方からありましたけれども、それは今、物的基盤、土地改良事業の話でしたけれども、それは政策についても同様だと思っております。つまり、政策という経営環境がしっかり安定したものとして余り大きな変化がないように継続しているということがすごく重要だと思っております。  農業というのはプライステーカーです。市場の価格変動を受けざるを得ません。市場が決めた価格をそのまま受け取ってしまう、そういう存在です。非常に不安定というか弱い存在です。にもかかわらず、長期的な投資をしないと経営は成り立たない、そういう非常にリスクを抱えた存在です。そうしたところで他産業並みの所得を上げる、しかもそれなりの経営を確立するにはすごく時間が掛かる、そうした非常に苦しい私は産業的特性があると思っております。  ですから、そうした産業において担い手を育てていくためには、そうした不安定要因をできる限り取り除いてあげる、そして長期的な投資を保障できるような、そういう政策的な枠組み、経営環境をつくることが重要だと思っています。そして、それを一度つくったら五年から十年は、いろいろと政権交代等あって大変かもしれませんが、動かさないようにするということが私は重要だと思っております。そして、そうした経営環境が整うことによって、先ほど議論から出ております希望を経営者の方は持つことはできますし、目標を設定することができると思います。  以前、新しい食料・農業農村政策の下で経営目標を提示されました。十から二十ヘクタールぐらいあれば土地利用型でもそれなりの所得が得られるだろう、そして当時はそういう経営環境にあったわけですね。そうした目標をある程度提示し、そしてそれを支えていくような、そういう経営環境を整えていくための制度を用意していく、政策を用意していく、このことができれば、やる気がある担い手がもしいれば、彼らは、様々な困難はあるかと思いますけれども、打ちかって伸びていくのではないかというふうに考えております。  以上です。
  63. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  私が聞かんとしたところをお答えいただきましたが、実は、この農業関連の政策立案のアプローチの中で、どうも現場の声と法律を作る側の方々の意思の疎通がなっていない。現場が何を思い何を要求しているか、それを吸収するのに労を払っていないのではないかというような気がしてならないんですね。ですから、戦後といっても、集団就職やそれから生まれた三ちゃん農業など、あの時代を通り越えて近年の戦後の話をやるんですが、ここへ来てもなかなかしっかりとした担い手をつくっていけない。  先ほど、山居先生、少し誤解を与えたのかなと思ったんですが、費用対効果を言っているんじゃなしに、ここまでやって成果が上がらないのはどこに原因があるのと、政府にも僕は聞いておるんですよ。だから、それを洗い出してやらないと、例えば山居先生が、ゲタを米にも履かせてというような議論があって、それをどこでどういう議論があってこの法案になったかよく分かりませんけれども、そういうことで、どうも現場と作る側、つまりネクタイ組と現場組がマッチしていないと、どこかにミスマッチが起きているのではないかということを政府側には聞いてまいったのでありますが、そういうことの趣旨であったことをどうぞ御理解をいただきたいと思います。  そこで、もう時間もないんですが、最後の質問になるかなと思うんですが、勝部先生に聞きたいんですが、現場におられて農業法人やられておって、いわゆる雇用就農者を育てて担い手を育成していく、これは育成にもつながっていくんですね。非常にいい形態だと思いますし、昔から、何というんですか、農業は農民のところへ行って聞きなさい、米のことは行って田んぼで聞けという実学的な教えがあるわけですが、僕は、そういう意味では、実践されている勝部先生の事業形態は非常にいいと思って申し上げるんですが。  指摘のあったように、農協さんとの関係、我々が作って、全信頼で農協さんに預けるから、また預かって売ってちゃんとやってくれて頼りにしている、ありがとうと、立派なことだと思うんですね。さっき言ったように、生産、マーケットがなければ何にもならないわけでありますから、そういう意味では、農協とうまくいっているそうでほっとしておりますが、農協さんにも申し上げたのは、営農指導を徹底してマーケットを確保した方がよいと、昨日かおとといの本委員会でも言ったんですが、そういう形をつくっていただきたいと思います。  ここで、実践されていますから、教えていただきたいんですが、日本の若い二十代、三十代の青年農業者たちは、アジアの各国へ行って農業やって、日本の米を作ってマーケットに出しているんですね。大規模でやっていますよ。これを思うときに、日本の農政が彼たちを引き止める、つまり担い手として引き止める魅力がなかったのかと、そういうことからも含めて今日の質問だったんですが、もう時間がないので終わりますけれど、現場でやっておられる勝部参考人にひとつ御見解を賜りたいと思います。
  64. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 何というか、本当、褒めていただいて有り難いんですけれども、たまたまこういった人生を歩まさせていただいておるんですけれども。  私もやっぱり、地域又は農協の政策とか方針とかもあります、当然、町のやり方とかもあります。がっちり農林事務局が、作ったらこうやって売ろう、売り先を決めてから、何を作る、どういうふうに作ろうというふうな方針をうまく支えてくれている。ですから、農協が、行政がいないと自分らはできませんというふうに言ったのは、多分、島根県でもうちの町が多分特異、何か特別強い農協、行政ではあったかもしれませんけれども。  ほかでやろうということは、やっぱり、その地域でうまく組み合わされていない方々が、やる気があるのに地域ではうまくかみ合わない、ですからほかで、行けるところ、やりがいのある場所を求めて行ったんじゃないかなというふうに私は勝手に思うんですけれども。やっぱりその地域で求められるような経営体、方法、考えであれば、その地域、求められているところでやり方を発揮するようなやっぱり地盤であれば出ていくことはないと思います。  私も農業に命を懸けてやろうとかいう気持ちは毛頭ないんですけれども、ただ、人生を懸けてやっています。いつまでもやろうとは思いませんが、感覚的に六十代、六十五歳になったらやっぱり後に継がせたいと思います。ただ、人生の上で、農業に対するやっぱり思い、熱意は、後継者をつくっていくというのはまだまだ年を取ってもやっていきたいなというふうに思っております。  命を懸けてやるような、職業に命を懸けてまでやろうと思っていません。趣味はやろうと思っていますけれども。やっぱり、趣味とか遊びができないような職業では面白くない。地域に根付いた、先生言われるように、出ていくということがどういうことなのかは本人たちが一番よく分かっていると思います。自分は出たくないです。やっぱり地域を守る、そこで金をいただくということが一番最高の恵まれた環境ではないかなというふうに思うところで、回答になるか分かりませんけれども、させていただきたいと思います。
  65. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。
  66. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。よろしくお願いします。  小川先生の方が立場を主張されてから質問に入りましたので、私どももその辺を少しお話ししてから御質問をそれぞれさせていただきたいと思っています。  農業、農政に関しては、我々どちらかというと民間に任せて、できるだけ現場の創意工夫でもって産業化すると。そういう意味で、今回の政策産業政策地域社会政策をしっかり分けるべきだと。産業政策の方は、どちらかというと産業として自立できるというのがやっぱり産業の最終的な在り方だろう、こういうふうに思っております。もちろん、今日の質疑を聞いていて、なかなか農業はそう簡単にはいかないということも理解した上で発言をさせていただいています。  一方で、地域社会政策としては、当然、農業が多面的な機能を持って、この委員会でも、水田の非常に重要な機能ですとか、過疎化、コミュニティーに資するということについては理解はしております。ただ、産業政策としてやはり農業強化ということは必要だというふうに思っておりまして、本委員会をずっと通して、何となく問題点は、担い手、就農の問題、それから農家の所得の向上の問題、それから競争力、これは国際的なものも含みますが、それから総需要不足といった辺りがポイントで、各党考え方が、方向性としては全部良くしていこうということはゴールは合っているんですが、その原因ですとか手段が随分違うなということを感じているところであります。  そんな問題意識を持ちながら、各、今日は参考人の方々、大変参考になるお話伺ったんですが、そこで質問させていただきたいと思います。  まず、安藤参考人の方にお伺いしたいと思っております。  中山間地域の別の政策という辺り、少し触れられていました。もうちょっとそこをお伺いしたいなと思っておりまして、うがった言い方をしますと、中山間地域に関してはお金を出し続けて維持するしかないのかと、こういう議論にもなりかねない。  実は私、長岡の方で棚田オーナーもやっておりまして、ちょっと今年は忙しくて田植行けなかったという、大変この委員会にいて申し訳なかったんですけれども、去年辺り一生懸命稲刈りまでやって、実はその中で語られた話が、山田さん、美しい棚田を守るというのもいいんだけど、それは言い方は悪いけど都会のエゴだよと、やっぱり非常に厳しいんだと、なかなかこれを維持していくのは厳しいのでやめようとかと思っていると、こんな意見まで出たわけであります。そんな棚田を支え続けるのかどうか。  つまり、農業政策、これ国がもし中山間地域のことをやるとするんであれば、本当に国がやる政策なのかどうか。地域、地方にもうちょっと、先ほど産業振興と、農村の振興はこれは平木議員の方にもつながってくる話なんですけれども、必ずしも農業だけとは限らないわけでありますから、国が全てそういった中山間地域についても政策的に決めていくのか。地域、事情によって違うじゃないかと。そんな辺りはどう考えていけばいいのかということを、是非安藤参考人にその点をお伺いしたいと思っております。  二点目、勝部参考人の方にお伺いしたいと思っております。株式会社の意義、それからどれぐらいのサイズが個々の営農の最適なサイズなのか、これは随分他の委員に聞かれましたので納得しました。  もう一つ、直接販売はしないということで、農協さんとコラボでやっているということですが、一方で六次産業化という議論も政策の中では語られています。この後、販売しようとされないのかどうか。もっと踏み込んで言うと、海外にも売れる農作物をということをいろいろ聞きます。もちろん水田ですとか、それから穀物類は国際的に見ると競争力を持つのは厳しいのでありますが、事畑作を考えれば、リンゴであるとかイチゴであるとかマンゴーであるとか、米も一部ですね、非常に競争力が高いものを日本は作れています。そういった次の戦略、三年後、五年後どうされていくのかなと。どの辺りにポイントを置かれて経営されていくのか大変興味がありますので、お伺いしたいと思っております。  それから、山居参考人の方には、減反政策と絡んで高価格維持の問題、価格は市場で、所得は政策でと、こういうふうにおっしゃられておりました。私どもは、価格は、先ほどなかなか村田参考人の方からも米価の維持、八千円ではやっていけないという話がありましたが、私は逆に国際価格である八千円ぐらいにまで米価を下げて、その下がった分を、まさにナラシなのか所得補償制度なのかで補填をすることによって緩和措置をとりながら国際競争力を持つ産業に何とか育てられないか、こんなふうにも考えているわけであります。そういう意味で農作物の高価格維持政策ということが本当にこれからもやっていけるのかどうか。そうなってくると、もう一つ山居参考人の方には、TPP、EPAを含めた態度、対応というんですかね、これをどう考えていけばいいのか。つまり、関税を下げるということに関してどのように捉えていらっしゃるのか、是非お伺いしたいと思っております。  最後に、村田参考人の方には、食料自給率一〇〇%を目指すというのが多分背景にあると思います、ちょっとそこら辺が分からないんですが、一〇〇%を目指すべきなのかどうか。これは平木議員の方の質問にもつながってくるのでありますが、まさに食料自給率一〇〇%を目指そうと思うと、もう農業は国防と同じという考え方になるのでプライスレスということでありまして、もう産業政策どころか、全て社会政策として国家管理というのがいいんじゃないかということにもなりかねないというふうに思っております。  何でこんなことを言うかというと、国もお金がたくさんあるのであればそういったことも一つ可能なのかなというふうに思いますが、御案内のとおり、国費百兆円の予算の中で、社会保障三十兆、いわゆる国債返還に二十兆、防衛、文教云々で引いていくと十兆円ぐらいしか政策投資費用がない中で二・二兆円というお金を農業が使うわけですよね。それでもって現場農業生産額八兆円を支えているという、非常に他産業に比べればいびつといえばいびつなわけであります。これに、自給率をもっと向上させるということを議論していくと、トータルなバランスというものをどう考えていけばいいのかということを、我々、政治家でもありますから、責任を持って発言していかなきゃいけないわけであります。  そんなことを含めて、是非、自給率と国費投入の考え方というんですかね、非常に、今後の農政、方向性としては本質論になるかもしれませんが、是非その辺、各参考人の方々にはお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  67. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、まずは安藤参考人から。
  68. 安藤光義

    参考人安藤光義君) ありがとうございます。  中山間地域等直接支払制度ですけれども、これについては、平場、平地農業地域との条件の格差についての補填ということでありまして、そこの地域を守るためにその農地に対して確かにお金は出ていますけれども、そのために相当大きなお金がわあっと出ているというわけではないというのがまず制度の理解でございます。  そして、私がこの制度について評価したいと思っていることは、そのお金が一旦、集落というか、そうした組織の中にプールされて、そして地域を守り、かつ発展させるために使われていると、この点を評価したい。つまり、ただ単にお金が流されているのではなくて、そのお金が地元の創意工夫に基づいて有効に活用されている、この点がこの制度一つのポイントだというふうに思っております。  ただ、いつまでこういうお金を流し続けていいのか、そういう点については確かに疑問なしとせざるを得ないかもしれませんが、しかし、国土を保全する、そういう機能を果たしている、そしてそれを地域人たちの、なかなか大変だという話が今先生からございましたけれども、そういうやる気をそれなりに引き出して守っている、その効果は私は大きいと思っております。ですから、これは、実際には農業予算の中から出ておりますけれども、相当かなりの部分、国土保全という、そういう貢献をしているんだと思います。  それから、もう一点でございますが、国と地方との関係です。  これは実は、私が思うには、両方が相対立する存在ではなくて、つまり二者択一的に考えるのではなくて、国と地方とは補完する関係、つまり、国ができないことを地方、いや、むしろ地方ができないことを国に対して求め、そして両者の間で双方コミュニケーションしつつ、最適な解答をお互い力を合わせて見出していく、これが本来あるべき地方分権、地域主権であって、どちらに権限を譲ってそれで後は終わりということでは私はないと思っております。そこの関係をどうつくっていくか、それが恐らく今後の地方への財政投資、これからも続くと思いますけれども、それをうまく使っていくための鍵になるのではないかというふうに考えている次第です。  以上です。
  69. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 直接販売又は六次産業化等の話だと思うんですけれども、直接販売に関しまして、六次化産業推進と多分同じ意味合いも入ってくると思います。  よくいろんな業者が精米機を託して、直接販売をしたらどうかと、高く売れますよということで来られます。ただ、倉庫を建てて精米機入れるとやっぱり数千万また掛かって、金額的に高く売れるかもしれませんが、また回収するのに全てが回収できないという農家もやっぱりおられるそうで、そうした場合、回収率も考えていかなければいけない、投資も考えていかなければいけないという場合、やはり直接販売には踏み切れないというのがここ数年考えた結果でございます。  そうした意味で、当然、農協には物を言わせていただいて、本当に売ってくれと、高く売ってくれというふうには当然言っています。その代わりといってはなんですけれども、六次化産業、これは、これを作れと言った農協がやっぱり施設を考えて、農協が六次化して販売する、やっぱりこれが結び付きの、何といいますか、一番離れないで一緒に行こうというところだと思います。  本当、六次化のことはよく言われます。これもいろんなところで、米、麦を使って、また大豆を粉にしていろんな開発されてやってはどうかという話もあります。でもやっぱり新規、新しくということで、こっちも不慣れなところがありますから、そこを手間を取られたり時間も取られたりすると、本当は軸足はやっぱり生産というところなんで、そこを主とした場合に、余りにも大きい新しい産業への踏み切りではないかなというふうに懸念しております。ですので、うちも含めてやっぱり体力とか、農家としての労働力、資金的なところの体力がやっぱり大変だなというふうに思うところで、それはやっぱり農協が開発して、その資源を作れと、生産してくれというところで今、斐川町農協にはお願いをさせていただいているところでございます。  もうちょっと先の将来については、やっぱり地域から出されるものは受け止めて、みんなが苦労して作られているところもなるべくやっています。中古の機械を買いながら、いろんなところもできる限り受け取って耕作するようにしておりますけれども、どんどんそういうところが加速して、今、兼業農家がやめるとやめた者に協力金が出るということで、どんどんやめておられます。資料にもありますように、去年一年間でうちの町では三十八町やめられました。今年もやめると、もっと五十町以上のものが出てきたら、またうちらに、当然、手挙げて、やりますよと受け止めます。また大きくなります。やめる人がおられればうちはどんどん大きくなりますので。  それをいかに止めると、それは無理です。地元のものをあいつは受け取らぬようになったというふうに言われたら、もうそれは会社としてもやっていけませんし、私も、地域のやっぱりコミュニティーというか、おまえたちがおるけんやっとる、何でもやってやるけんのと今言ってくれています。ですので、従業員本当地域の皆さんにかわいがってもらっているのはやっぱりお互いさんだなというところであるので、限界でもう受け取れませんと言うのはやっぱりなかなか、これは数字上では簡単になるんですけれども、顔を見てそれはなかなか言い難いところでございます。  多分、今後もやめる農家が増えていけば、やっぱりもう少し経営の方向というか、作期分散とか適期分散とかいろんなことをやりながら、多分大きくさせていただくしかないんじゃないかなというふうに考えております。  以上です。
  70. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 減反政策、特に八兆円の生産を上げるのに二兆二千億お金掛けているよと、高価格維持政策いつまで続けるのかというようなことと、もう一つはやっぱり国際貿易の話だというふうに思います。  これは、なかなか北海道と府県とでは全くちょっと違うんですね、話が、事情が違いまして、減反は北海道は確かに多かった。これは、何のことはない、昔は、北海道の米はもうおいしくないと、猫またぎ米というふうに言ってなかなか売れないということで、北海道が率先して減反をしたというようなことから減反が多かったということはあるんですけれども、最近は、やっぱり技術も良くなって、北海道の米は、ゆめぴりかとかななつぼしとかおいしくて、そして価格も値頃感があるということで非常に売行きも良くなって、減反よりもむしろ水張り面積を守りたいという動きの方が今強くなっています。そういうことも一つあります。  それで、究極的には、やはり国が補助をしなくても農業が自ら産業として自立するというのが、これが一番望ましいです。だけど、それは望ましいということであって、これは様々な、気象条件もそうですし、他国との格差だとか全て考えるとそうは簡単にはならないということ、こういうどうしようもならない部分について、これは国策としてやっぱり一つ政策お願いしたいという部分がございます。  そういう国内の基盤がきちんと整った中で海外との貿易、TPPなりEPAをどんどん進めると、これは一向に構わないと思うんですが、はっきり言ってまだ国内の基盤というのができていない。そして、しかも今不安だけが、先ほどから申し上げていますけれども、将来どうなるんだろうという、国のゴールが見えていないんですよね。途中のパーツは見えています、いっぱい見えています。ですから、そのパーツが見えるばっかりにかえって不安をあおっているんですね。ですけど、先が見えないことによって担い手に後を継がせようという気が起きないんですよ。したって、過剰投資になって倒産が目に見えるわけですから。そっちの方ははっきり目に見えるわけですね。  これは、大きく言えば年金政策なんかと同じなんですよ。年金つくったときに、将来は掛金を掛ける人がもらう人より少なくなるということは分かっていたはずなんですよ。これ、日本だって食料増産、増産していったら必ずどこかで余るということは分かっていたはずなんですよ。  だから、それを今持ち上げて、今、いかにも何か農業者が悪いと、農業者が悪いからお金掛けているのにそれだけ生産性上げられないんではないかと言われているのは、ちょっと違うかなというふうにも思いますけれども、確かに、あとはもうバランスだと思いますね。これは産業政策としていく必要もないですし、もちろん地域政策としていく必要もないですし、これをいかにやっぱり車の両輪で同じ大きさで育てていくかという、片一方小さいと違う方向に回りますので、そこのところを考えていただければ有り難いなと。  それで、価格は市場で、所得は政策でというのは我々が言い出したことじゃなくて、自民党の先生方が言われた言葉です。  以上です。
  71. 村田武

    参考人村田武君) まず、自給率の関係。私、食料自給率一〇〇%、残念ながらそのような目標は持てません。  今日お配りいただいているこの関係資料の冊子の私の最後のところに表七の五がございます。表七の五を御覧いただきますと、米、麦、大豆の国内収穫量と穀物、大豆の輸入量が農業基本法段階からどう変化してきたかというのですね。  私は、何とかこの二〇二〇年、これは、現行の食料・農業基本計画は十年間で食料自給率五〇%と言っていますが、これもなかなか大変ですが、少なくとも穀物について、二〇二〇年、米一千十五万トン、これは当然飼料米、ホールクロップサイレージ米含めてです、麦二百五十万トン、大豆百万トン、この生産を実現するならば、輸入量は一九六五年ないし七五年の、小麦も三百万トン台から四百万トン台、大麦も多くても二百万トン、大豆も三百万トン、トウモロコシを現行の半分に減らすことができるだろうと、飼料穀物としてのね。  そうすると、目標としては、穀物自給率、穀物生産は農業の基礎ですから、日本農業の基礎である穀物自給率を五割まで回復させようという、まだこれ五割にならないんです、五割まで回復させようといったような目標を持つべきではないかというふうに考えています。  そして、もう一点補足したいのは、今日も出てきましたけれども産業政策地域社会政策でしょうか、これを区分すべきだという議論がいつどこから起こってきたのかというのが、私は大変疑問に思っております。  ドイツを始めEUでやっている条件不利地域対策だとか、あれは地域政策ではありません。産業政策としての農業政策の一環として、平たん地と中山間地、条件不利地域のコスト差があるから、このコスト差を平衡させようと。平衡給付金なんですね。社会政策としてやっているわけでも何でもないんですよ。本来の農業政策の一環です。  今、日本に求められているのは、全農地において、中山間地においても、産業政策としての農業政策ちゃんとやって、集落営農のオペレーターも、法人の雇われている人もきちっとした所得を上げられるように産業政策を貫くべきであって、農山村に今必要なのは国土保全政策なんですよ。イノシシ、鹿を始め鳥獣害被害がもう物すごいことになってきていますよね。国土保全政策をプラスしないことには、農業政策だけでは無理だろうと。それから、私が今取り組む必要があると思っているのはエネルギー政策です。農村のバイオマス、バイオガス発電、これで酪農経営を支えられます、相当。  こういう国土保全政策、エネルギー政策、従来の農業政策以外の部分はそういうものを上乗せすべきであって、地域社会政策なんというものを持ち込んだって、それは支え切れないわけでありまして、是非とも、産業政策と何か地域社会政策みたいなものを分離して議論するというのはやめられた方がいいというふうに私は思います。
  72. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 時間です。
  73. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりましたので。ありがとうございました。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、四人の参考人の皆さんのそれぞれのお立場からの非常に深い、大変参考になる御意見を聞かせていただいておりまして、本当にありがとうございます。  それで、かなり皆さん質問されているので重なるところもあったんですけれども、まず最初は勝部参考人からお聞きしたいと思うんです。  斐川町で家族経営からスタートをされて、それで経営体強化、それから従業員の待遇改善を目指して法人化をして、現在五十五ヘクタール、三十ヘクタールを作業受託されているということですよね。ここに来るまでというか、そうせざるを得なかったということもよく理解できましたし、それから本当に大変な試行錯誤、御努力があって今があるということを改めてお聞きして思ったわけです。  その上でなんですけれども、私、実は出されている資料の中で一番注目したのが最後のところで、今後の課題と取組方針というところがあります。その中で、一つ目の農業集積の拡大に伴う農家数減少、土地持ち非農家増加平成十六年から二十五年でいうと七百戸もこれ個人農家が離農していって、農業に支えられた集落、地域社会のつながりの希薄化という問題が提示されていて、この点というのは実はすごく私も気になっていることなんですね。  それで、やっぱり、何というのかな、地域全体で、もちろん後を継ぐ人もいなくなって任せたいと、やってほしいと、なくすわけにいかないのでということで、それを受けてやってこられたという関係だと思うんですけれども、やっぱりこれから先でいうと、そうやって離農された方も含めて地域全体でといったときに、今回出されている政策でいうと、やっぱり今まででいうと生産活動を伴っていたからこそ、あぜ草刈りだとか水路の管理だとか、こういう農業農村の持つ多面的機能という問題が成り立っていたんじゃないかと思うんです。生産活動と切り離して、じゃ集中したところを支えましょうという形でやっていくということが、果たして本当に意欲を持ってずっと位置付けられるかどうかというのはやっぱりちょっと気になるわけですよね。  それで、この中で書かれているんですけれども、やっぱり地権者と担い手農家の協力体制などをどう構築するかというのが一つ課題ということなんですけれども、この辺のところでどうしていったらいいかというところをどうお考えかなということを一つ聞きたいということ。  それからもう一つは、勝部さんは以前から、町全体で、一体でやっぱり農業にやる気を持っていきたいと夢を抱いていたと。しかし、TPPに参加すると、農産物の価格が暴落した場合に、国から所得補償されて生活が成り立ったとしても農業に意欲を持たなくなるんじゃないかとか、地産地消や安全、安心な食料を求める傾向が広がっていることなんだけれども、このTPP参加でもって例えば外国産米がなだれ込んできて、根付いてきたことが、風習が消えてしまうんじゃないかとか、そういう不安も言っておられるわけですよね。  ですから、まだTPP決着しているわけじゃないですし、私たち何としてもこれ止めたいと思っているんですけれども、そういうことで関税が外されるということになったときに、せっかく築いてきたこれまでのこの設計が崩れてしまうんじゃないかという心配も持っておられるんじゃないかということをめぐっては率直な御意見を伺いたい、この二点、まず伺いたいと思います。
  75. 勝部喜政

    参考人勝部喜政君) 私の資料のところで、今後の課題というところの取上げと、それとTPPに関わる問題でございます。  今後の課題というところで、土地持ち非農家が増えているということ、これはもうどうしても避けて通れない状態になっています。うちの町は平均一町百姓というふうによく言われてきたそうです。当然、五反、五十アールの農家又は一町五反持っている農家がいます。うちは、元々一町二反持っていた農家でございます。  ただ、そういう農家が十軒やめれば十町出てくるかというと、平場に関し余計出てくるようなところがありまして、十軒やめるともう二十町近く出てくるという状態もあります。それだけ、例えば、私も平野と山手のちょうど間頃に家がございます。奥の方は、五反でも十枚、頑張ってやっているところはやっぱり頑張ってやっておられます。平場に関しては、やっぱり全部機械がないとできないよというところは一気にやめられます。隣の者がやめたらもう俺もやめるわという感じで、どんどんやめられたというのがここ十年でよくあったんじゃないかなと思います。  その上、やっぱり先ほど言いましたように、若い層が家から出ていってしまったというのがあります。アパートが建ってどんどん増えていますというのは、出雲市と松江市というのが県庁所在地、その中間がちょうど斐川町でございまして、結婚された両市へ勤めている方がたまたま斐川町の間で、交通の便がいいということで結構住みよい町ということで移り住んでおられるのが多いというのはあります。あとは、若い世代がすぐに一緒に同居しないで、別居したままそのままずっとというのがよくあるパターン。  ですので、先ほど来言われるように、地域コミュニティー、もうどんどん薄れてしまって、今のこの課題を取り上げているのは、これ行政が書いたものですけれども本当、書いてあるとおり、反対の農地集積による問題がどんどんこういった形で浮き彫りに出てきたというのがここ近年でございます。ですので、集積本当進めるというのは私は経営的には賛成ですが、反対にこういったこともマイナス要因としてあるよというところがうちの、集積をかねがねやってきたところの今の問題ですよというところで受け止めていただけたら幸いではないかなというふうに思います。  ただ、持ち主が相続がまだしていないとか、いろんな農地があります。その上、土地への執着心が、皆さんの出身のところではどうか分かりませんが、異常なほどうちら辺はありました。でも、農地を出されて、預かって、次は買ってくれです。金にしたいとかじゃなくて、もう疫病神のような感じで、土地を持っているのがですね、とにかく売ってほしいという農家がやっぱりおられます。毎年のように購入はさせていただくようになっています。  というのは、利用権をやっているところが売りたいというと、やっぱり第一購入者はうちになってしまうというのがありまして、うちも蹴れないという面もあります。価格をなるべく余り下げないように、農業委員会と相談しながら価格を決めた適正価格で購入をしているところですが、そういったところにも、どう言っていいのか分かりませんが、私は本当にこれでいいのかという、農地を、国土をこういう感覚で今の世代は考えているんだなというふうに少し受け止めておるところです。  できるだけ買わないという意味じゃありません。私も、うちに、勝部家にとって資産が増えることは、長い間のちょっとした私が期間の世代を請け負っているだけなので、後に渡せられるものが増えるということはこれは歓迎したいと思っていますけれども、ただ、そういった土地への執着心の変化というのもあるというところでございます。  TPPにつきましては、約三年半たつと思います。ずっと反対してまいりました。ここの部屋に入る道路の反対側でよく座込みもさせていただいたのは、もう何遍となく座って、応援していただいた先生方もよく声を掛けていただいたと思います。それだけ反対しております。どうなるかは、もうこれ、説明のところは皆さん御存じのとおりだと思います。対抗はできません。相手が余りにもでか過ぎます。  これが、国と国のけんかとか、できるだけ日本農業に構わないでほしいです。日本の中で一生懸命食べようと思って作っています。見ているだけでは何もできません、手間を掛けたほどいいものができるんで。いろんな政策とかは先生方にお任せします。作るのは任せてくださいと断言できるような、安定した政策、安定した、もう任せろと、海外のことはもう俺らが全部止めると、そうしてもらわないと、本当の五年後とか十年後を話せと言われても話せません。  自分の近所にも、倉庫とか農機具を新規とか増設しようと思っているんだけど、三年ぐらい前から止まっています。入れたって価格が下がったらどうしようもない。返済ができない。でも僕は、座込みをしながら、絶対に止められると、だから更新するんだ、規模拡大するんだということで、誰かやらないと全員が止まってしまいます。一歩をやっぱり出さぬと、日本の百姓、これほどかいと思われたくないんで、頑張りますんで、どうか引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。
  76. 紙智子

    ○紙智子君 本当にしっかり受け止めて、頑張らなくちゃというふうに改めて思いました。  それから、山居参考人にお聞きしたい。  先ほどちょっと小川議員からもお話があってかなり答えていただいているので、北海道にとって、私は輪作体系というのは本当に大事な崩してはならないもので、これがやっぱりTPPとの、EPAも関わるんですけれども、との関わりでやっぱりどう影響があるのかということ。  それから、私、ずっといろんな秋田だとか山形、東北回ったりしますと、いつも、いや北海道はいいよねと、規模が大きいから北海道はもうすごく楽じゃないかというふうに皆さんに言われていて、そうじゃないんだよと、私は、大規模なところほど今回のやっぱり政策で大きな痛手を受けるんだということを話をするんですけど、その辺のところ、ちょっと分かりやすくお話しいただけたらと。
  77. 山居忠彰

    参考人山居忠彰君) 紙先生のおっしゃるとおりであります。規模が大きいところほど大変ということで、規模が大きいところで単一のものを作れるというのは水稲だけなんですね。これ、水稲は連作が利きます。これは毎年水で洗うから。しかし、これは畑作物というのは、同じ作物を作っていくと収量が減るんですね。そしてまた、病気に弱くなります。そして、様々なほかのまたいろんな弊害も出てきます。それと価格も、同じものだけ作っていると変動したときに対応できません。ですから、リスク分散のためにも幾つかの種類を作ることがやっぱりこれ大事です、経営としては。  そんな中で、北海道の場合は、先ほどもお話ししましたけれども、春、雪解けが遅い、秋は雪が早いというふうに、北海道はいいよねという逆のことがあります。先ほど、勝部さんのところでは二年で三作できると言いました。一年で二作できるところもあります。でも、我々のところは一年一作しかできないんです。その一年の一作、しかもその限られた期間の中でどうやっていいものを作っていくかとなると、この輪作体系というのは極めて重要になります。  特に、豆類と麦類と、それから先ほど言いましたてん菜ですね、ビートと、それからでん原バレイショ、バレイショと、この大体四つぐらいを回していく、輪作体系をつくっていくと、大体上手に収量が落ちないで進めていくことができます。これは今、十勝地方、北海道の道東の中でも十勝地方でかなり実施されています。これがオホーツクの方になると、北見の方になると、実は豆の生産が余りできないものですから、これを三年輪作でやっています。  だけど、この輪作というのは極めて大事だということは、先ほど言われましたように、これ輸入の自由化になってどれかが入ってくると、この輪作体系崩れますよね。崩れるということは同じものしか作ることができなくなる。それはイコール、病気にもなる、収量も落ちる、価格も所得も上がらない。もう農家離農が目に見えてくるわけです。だから、これは何としてもこのTPPは、我々も反対するというのはもうそういうことにもあります。  この北海道、特に従来でいう政府管掌作物ですけれども、やっぱり主要作物北海道には余りにも多過ぎます。そして、この多いものがTPP等、一番影響を受ける。この受けるということは、北海道農業は要らないと言っているのに等しいことになりますので、何としてもこのTPPは止めていただくように先生方にお願いしたいと思うんです。  以上です。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  それじゃ、村田先生に伺います。  先生の最初の冒頭のところで、これは構造改革に逆行する施策の一掃というような位置付けというお話があって、今回の安倍政権の下でのこの政策というのは、日本再興戦略で、十年間に全農地面積の八割を担い手集積して、担い手の米の生産コスト現状を四割削減をして、法人経営体数を五万法人とするということで二法案出されているわけですけれども、この企業参入の加速化ということと構造改革に踏み込むということを強調しているわけです。  その中で、戸別所得補償は構造改革に逆行するものではないというふうに先ほど村田先生言われて、それと交付金対象を絞り込むということでは差別を持ち込むという話も指摘をされていたわけですけれども、ずっと述べられた中で、我が国の農業農村のあるべき方向の中で、我が国の水田農業政策に期待されている内容ということで三つ話されていますよね、資料の中にもあるんですけれども。このことがやっぱり何で大事なのかということを一つお話しいただきたいということ。  それからもう一つ、国際家族農業年の話をされて、やっぱり大きな、何か大局からというか大きな視野で、今どういう方向に向かうべきなのかということを示唆されるような話だったというふうに思うんです。特に、ドイツなども行かれたということでもありまして、そこで、先生自身が実感された、それを日本の中でどう生かすのかというところの話を御説明いただきたいというふうに思います。
  79. 村田武

    参考人村田武君) いろいろありましたが、簡潔に、途中落ちるかもしれませんが。  一つ、やはりこの構造改革、今、日本農業改革という中で、まさにアベノミクスの第三の矢という焦点で、農業改革ならんかったらアベノミクス潰れるのかというふうなところまで、うわっと重点化されていっていますけれども、これは国際的に見れば、遅れてやってきた新自由主義なんですね。もう、いわゆる新自由主義的構造改革は、アメリカでいえばレーガノミクスに始まってイギリスのサッチャリズムから大きく、農業政策も価格支持から、従来のまあ言ってみればケインズ経済政策の一環としてのような、そういう政策から新自由主義的、したがって直接支払と。何のことはない、直接支払というのは、あれは価格支持を下げた、そこで所得が落ちる部分の補償ですからね、だから、どんどんどんどん下げていっているんですよ。  その中で、農家が苦しむということで、今ドイツを始めヨーロッパでは家族農業経営、とりわけ酪農経営減少のスピードすごいですよ。乳価がもう日本の半分以下なんですよ。内地、今、都府県、飲用乳百円のところで何とか維持できている。もうドイツは五十円切っているんですね。こういう中で、家族経営を維持できない中で、必死になってやっている中で、エネルギー、バイオガス発電から太陽光から風力から、必死に、地域のエネルギー資源を地域の所得へということで、これを取り込むことによって経営を支えるというような動きになっているんですね。  今頃になって、本格的な担い手経営が成立していない、まだ、そういう日本において何でこんな新自由主義的な政策をやるような余裕があるのかと、そんな余裕は全くありませんと。自給率は基本的に一定、回復させることが農政の最大の目標課題ではないですか。担い手を育てるというのは二番目、三番目であって、自給率を上げるという政策をやっぱり邁進すべきなのが今の日本の農政に置かれた課題だと思うんですよね。  そこのところが揺らぐと、もう大変なことであって、私は、国際社会への貢献、国際家族農業年といったときに、これは忘れてはならないのは、二〇一二年の国際協同組合年に続いて、農村を、多様な農家と、基本的には家族農業経営とそれを支える生産者組織、農協を始めとして、これを一体で何とか農村を活性化しようではないかと。そうしないと、このリーマン・ショック以来の不況から地域経済の破綻は克服できませんというのが、あの国連から発せられた提言だと思うんですよね。  これをやっぱり我が国の農政、もうちょっとしっかり考えてほしいというのが、私の言いたかったことであります。
  80. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) もう時間が参りました。
  81. 紙智子

    ○紙智子君 最後一つだけ、安藤先生にお聞きしたいのが、やっぱり中山間地域の問題で、実は今まで面積支払七割、品質、生産量に応じて交付三割という交付の仕方だったのが、数量払いを基本としてやっていくというふうになってきたときに、私は今回、中山間地域のような条件不利地では結局面積ということにならないわけですよね。そうすると、生産が厳しい条件のところでは生産量ということで支払ということになると、結局今までよりずっと減っちゃうんじゃないかと。そうすると、本当に維持できなくなるじゃないかという不安を持っているんですけれども、その辺についてどうかということを一言だけ、じゃ、伺います。お願いします。
  82. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 安藤参考人、もう時間が参っておりますので、短めにお願いします。
  83. 安藤光義

    参考人安藤光義君) はい、分かりました。  都府県の水田地帯については、面積そのものがそれほど大きいというわけでもございませんし、それほど、麦、大豆等を作るに際してもそれほど影響は出ないかなとは思っております。ただ、北海道についてはどういう影響が出るかについては、ちょっと私の方では答えられない、可能性があるかもしれないということでお返ししたいと思います。  ありがとうございました。
  84. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆さん方に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして御出席をいただき、そして大変示唆に富んだ、また貴重な御意見をいただきましたことにつきまして、この委員会代表いたしまして心から御礼を申し上げる次第でございます。誠にありがとうございました。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  85. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  87. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農林水産に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  88. 山田修路

    山田修路君 自由民主党の山田修路です。  本日は、まずTPP交渉についてお伺いをしたいと思います。  今週の月曜、火曜、十九、二十日ですけれども、二日間、シンガポールでTPP交渉の閣僚会合が行われました。新聞などで報道されておりますけれども、交渉の状況、結果はどうであったのか、また今後の予定はどうなっているのか、どのように評価しているのか、お伺いをしたいと思います。
  89. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。  五月の十九から二十、シンガポールでTPPの閣僚会合が開催されました。今回の閣僚会合では、四月の日米の協議の進展を踏まえまして、各国間の二国間交渉を加速し、また閣僚間で交渉全体の進捗を評価するということを目指しまして、市場アクセス、さらにはルールの双方で残された論点について、どういう形で交渉を前に進めていくかということについて、全体会合で議論を行ったものでございます。  その結果、今後の作業につきましては、分野ごとに事務レベルで決着すべき論点と閣僚レベルで決断すべき論点、これをきちんと仕分をして、交渉官にしっかりとマンデートを与えて、できれば六月中になるべく論点を少なくする。その上で、七月に首席交渉官会合、これまだ日にちも場所も決まっておりませんが、それなりの日程をきちんと確保した上で首席交渉官会合を開催をして、そこで間合いを詰めて、閣僚に上げるべき論点が絞り込まれるかどうかというところをこの段階で評価するということが、共通認識が得られたところでございます。  また、全体会合に加えまして、閣僚が出席していた八か国とのバイの会談を行いました。これまでバイの会談は何度もやりましたが、いろいろお互いに問題認識を共有するだけで終わったところですけれども、やはり日米が一定の進展を見せたということもありまして、具体の問題について、これとこれはもう首席で任せようじゃないかと、もう一定の期限を切って解決しようじゃないかということをかなり具体の話をして、そこはかなりスイッチが切り替わったような印象を受けたところでございます。  なお、日米の協議でございますが、甘利大臣とフロマン代表は全体会合が始まる前に一時間ほど会談を行いました。そのうち四十分ほどが、今申し上げましたような全体の進め方の議論でございました。  その後、一対一の議論がなされましたが、日米の物品の市場アクセスの協議について、四月の首脳会議の後しばらく止まっていたわけですけれども、再開をしようということで、シンガポールでは大江大使とカトラー次席との間で数時間協議が行われまして、また来週の木曜日、大江大使がワシントンに赴いて本格的な事務レベル協議を再開するというところが決まったところでございます。  交渉はそういう状況でございまして、我が国としては引き続き関係国とともに努力をしていきたいというふうに考えております。
  90. 山田修路

    山田修路君 先週、この委員会でTPPについて、私、質問をしたわけです。その際には、三つのことをお話をしました。一つは、情報の開示をしっかりしてほしいということ、それから二つ目は、衆参の両院の農林水産委員会の国会決議があるので、これをしっかり踏まえて交渉してほしいということ、それから三つ目は、アメリカ政府がTPA、貿易促進権限を取得していないという状況の下で、やはり慎重に交渉に当たっていくべきではないか、この三つでございました。  今回、閣僚会議が終わって、七月には首席交渉官会議があるということでございますけれども、今後どのように交渉していくつもりなのか、改めて大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  91. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今、澁谷審議官からお話がありましたように、今回のシンガポール閣僚会合、交渉全体の進捗を評価し、さらに市場アクセス、ルール分野の残された論点について交渉が前進するように議論を行われたということでございます。  共同プレス声明でも記述をされておりますように、今後の議論の進め方については、閣僚は最も困難な課題を解決するため二国間の交渉に関与する、こういうふうにされておりまして、首席交渉官が七月に会合を開催するということになりました。  残された課題の解決に向けて、各国と精力的に交渉を進めていくということになりますが、いずれにせよ、この交渉に当たっては重要五品目などの聖域の確保、これを最優先するという衆参両院の農林水産委員会決議を踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くす考えでございます。
  92. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 澁谷審議官は、この後の質問はありますけれども山田委員の質問はこれで終わりだそうですから、御退席いただいて結構です。
  93. 山田修路

    山田修路君 澁谷さん、どうもありがとうございます。そして、大臣もまた丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。  今日は、規制改革会議の農業ワーキンググループの農業改革に関する意見というのが十四日に発表されているということがありますので、これについて、これとの関連で御質問をしたいと思います。  提言はお手元にお配りをしておりますけれども、このワーキンググループではどのような検討を経てこの提言が取りまとめられたのかについてお伺いしたいと思います。
  94. 滝本純生

    政府参考人(滝本純生君) お答え申し上げます。  農業ワーキンググループでは、競争力ある農業、魅力ある農業をつくる、成長産業化を実現していくと、そういう観点から、専門委員といたしまして、農業者それから農業経済学者の方々にも加わっていただいた上で、大規模農業者、それから若手の新規参入者、それから全国組織、それから地域農業団体、また学識経験者など様々な農業関係者からのヒアリングや意見交換などを行いました。また、農業現場の視察も実施いたしまして、現場農業関係者との意見交換も行ったところでございます。  具体的には、農業委員会の在り方につきましては、主として農地の利活用、保全ということを中心に、全国農業会議所、それから三つの農業委員会からヒアリングを行っております。  それからまた、農業協同組合の在り方につきましては、主としては農業者に貢献するといった観点から、全中、全農、全共連、それから農林中央金庫、それからホクレン、それから八つの単位農協、この中には一県一農協というところも二つ含まれておりますけれども、八つの単位農協からヒアリングを行っております。このほか、新規就農者を含む若手の農業者の方々などからもヒアリングを実施したところでございます。  こういった農業関係者とのヒアリング、意見交換などを踏まえまして、農業ワーキングの議論におきましては、将来に向けて農地を守ることや、それから農業者の所得向上につなげることなどを重点とする農業改革の基本的視点を定めた上で、今回の提言がまとめられたものと、そのように認識しております。
  95. 山田修路

    山田修路君 今いろんな方の意見を聞いたというお話でございましたけれども本当にこの農業の実態なりあるいは制度の内容についてよく分かっている人の話をお聞きになったのかもしれませんけれども委員の方々、それをよく分かって、理解してこういうおまとめをされたのかどうか非常に疑問があるところです。  現場の実態を十分本当に踏まえているのか、また今言いましたように現行の法制度についての理解が本当に十分なされているのか、それから、ここに書かれているその見直しの理由が本当にこういう結論になるのか非常に疑問の点が多いわけでございます。専門家の意見、そういったこともよく聞く必要があると思うんですけれども、この提言の策定過程で農林水産省がどのように関与してきたのかということについてお伺いしたいと思います。
  96. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 農林水産省に対しましては、第八回目の規制改革農業ワーキンググループで、二月三日だと承知をいたしておりますけれども農業委員会現状等に対しまして一度だけヒアリングが行われました。その後、先ほど滝本室長がお答えになられましたように、単協あるいは農業者農業界全体のヒアリングを行われたと承知をいたしておりますが、このワーキンググループの取りまとめに関しましては、農林水産省としては関与をいたしておりません。
  97. 山田修路

    山田修路君 今農水省と具体的にいろいろ話をするというようなこともやっていないと、ヒアリングを一回やったということなんですけれども、先ほど言いましたように、制度的な問題とか、あるいはメリット、デメリットいろいろ検討する上で、専門家の意見をよく聞いて、よく物が分かっている方の意見を聞いてまとめないと、一方の意見だけで書いていくと非常に方向を間違うと思うんです。  そこで、今後、これを取りまとめていく最終的な報告とし、案を作っていくということになると思うんですけれども、どういう予定になっているのか、お伺いしたいと思います。
  98. 滝本純生

    政府参考人(滝本純生君) 今後、政府におきましては、与党との御議論や、それから農林水産省との調整を踏まえまして、その上で、六月に向けて具体的な農業改革の推進について規制改革実施計画に反映をさせていきたいと思っております。これから農林水産省の御意見ども十分踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  99. 山田修路

    山田修路君 今、農水省やあるいは与党あるいは国会ということかもしれませんけれども、そういった方々との調整も必要だというお話がありました。  現在、農政について御存じと思いますけれども、農政改革ということで国を挙げて取り組んでいると。中間管理機構で担い手への農地集積していくですとか、あるいは米政策について大胆な見直しをやる、また日本型直接支払といった政策、そういった政策の改革もめじろ押しということでございます。こういう大改革を行おうとするときに、第一線で改革に当たってもらう、あるいは協力をしていただく農協の方あるいは農業委員会の方々が不安を持つようなことになっては、この農政改革も進まないというふうに思うわけです。規制改革という名の下に本当の農政改革がかえって阻害されるということがあってはならないと思います。改革は必要だというふうには思いますけれども本当農業発展やあるいは農政改革の推進に資するようなもので、農業者が困るようなものであってはならないというふうに思うわけでございます。  先ほど、農水省ともこれから調整をしていくというお話がありました。対応を誤ると大変なことになると思いますけれども、今後の対応について、農林水産省としての方針について、大臣にお伺いしたいと思います。
  100. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今まさに山田委員からお話がありましたように、昨年、四つの改革ということで、この改革を盛り込んだ農林水産業・地域の活力創造プラン、これ官邸の本部で決定をさせていただきました。実はそのときに、残った課題ということで、農協、農業委員会等の改革について考え方を記した上で、六月を目途にこの活力創造プランの改定ということでここに盛り込んでいくと、こういうことになっていたわけでございます。  したがって、今お話がまさにしていただきましたように、この農協や農業委員会の改革、農業者それから特に担い手農業者から評価をされまして、農業の成長産業化にも資するものでなくてはならないと、こういうふうに考えております。  したがって、先ほど、内閣府の方からありましたように、六月を目途にこの改革案を早急に検討しまして、活力創造プランの改定等に盛り込んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  101. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございました。六月に向けてということなので、余り日がないわけですけれども、是非困らないような、あるいは農業発展につながるような改革にしていただきたいと思います。  少し具体的にお話をしようと思っております。これは例示ということでございまして、全てを網羅するわけではありませんけれども資料をお配りしておりますけれども一つ、農協についてまずお聞きをしたいと思うんですけれども、四ページ目に、三として、農業協同組合の見直しというのがあります。この中で二番目の項目に中央会制度の廃止という項目があります。まあ中央会というのは非常に大事な組織でいろんな役割を担っているというふうに私自身は評価をしておりますけれども、現在、都道府県の農協中央会、そして全国農協中央会がどのような役割を担っているのか、お聞きをしたいと思います。
  102. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農協中央会でございます。農業協同組合法に基づきまして、農協や農協連合会、これの健全な発達を図ることがこの農協中央会の目的でございます。法律の七十三条の十五というところに書いてございまして、この中央会は、全国段階、都道府県段階にそれぞれ一つに限り設立されるということになっております。  この中央会の事業でございますが、農協法上、七十三条の二十二というところでございますが、組合、これは農協と連合会併せた表現でございますが、組合の組織、事業それから経営の指導ということ、それから組合の監査、組合に関する教育及び情報の提供、組合の連絡及び組合に関する紛争の調停、組合に関する調査及び研究、そのほか、中央会の目的を達成するために必要な事業というふうに書いてございます。  このうち、特に組合に対する指導につきましては、中央会は、これまで特に合併の促進ですとか連合会の再編を進めることによる農協と連合会の経営基盤強化、それからJAバンクシステムの下での経営不振農協の処理等の農協の健全性の確保、こういったものに取り組んできたというふうに承知をしております。
  103. 山田修路

    山田修路君 今、奥原局長からお話がありましたように、中央会、合併の促進ですとか農協の経営基盤強化、こういったことに非常に積極的に取り組んできているというお話もありました。非常に重要な役割を担ってきております。  以前に比べて農協の数が減ったりしてきて、大分、中央会の役割も異なってきているというふうに思いますけれども、そういった中にあって、依然として都道府県の中央会あるいは全国農協中央会の役割は非常に重要なものがあると思っております。  この規制改革会議のワーキンググループの提言では、あたかも中央会が単協の独自性、自主性を阻害しているかのような記述があります。しかし、本当にそうなのか、一方的な記述なのではないかというふうに思います。例えば、優良事例を全国あるいは県内に広げていくというようなこともありますし、あるいは今の条文で言いますと、監査の条文がありますけれども、監査、これは会計監査だけでなく業務監査もやって、事前にいろんな問題のチェックをしていく、問題が大きくならないように指導していくというような、まさに行政の手を煩わせずにこの系統の中でいろんな改善措置を講じていく、こういった役割も非常に果たしているというふうに思います。  したがって、一方的に単協の独自性、自主性を阻害しているという記述ではなくて、もうちょっと中央会が果たしている役割もきっちり評価して対応していただきたいというふうに思っております。  それから、同じ農協系統の話の中で、全農の株式会社化ということが、その次の項目として、この四ページにあります。  全農については、皆さん御存じのように、農協系統の組織として今存在しているということですけれども、これがどうして、ここに言われている株式会社化というような話もある中で、どうしてその系統の組織として今全農が活動しているのかということについてお伺いしたいと思います。
  104. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農協は農業者の協同組織でございます。農産物の有利販売、それから生産資材の有利調達、これによりまして、農業者の所得を向上させて地域農業発展させていくと、これが最大の使命でございます。  全農は、個々の農協が単独では行うことが難しい、例えば、量販店や食品産業等の大口の需要者への農産物の有利販売ですとか、あるいは大手の資材メーカー等からの生産資材の有利調達、こういった農協の経済事業を補完する目的で農協が農協法に基づいて自主的に設立をした連合組織であるということでございます。
  105. 山田修路

    山田修路君 今お話がありましたように、先ほど奥原局長から中央会については七十三条の十五ですか、規定があるというお話で、ただ、全農については、今お話がありましたように、農協法上特別な位置付けがなされているわけではなくて、まさに連合会の一つとして、単協などが発起人となって自主的につくっていくというようなことでできているわけです。  こういった民間で、法令に基づいて、法令で規定される法人の在り方の一つのタイプとして自主的に組織した団体、それについて、法人格の在り方についてこうしろああしろというようなことを国として言うのが本当に正しい在り方なのかということについて非常に疑問があります。また、仮にその在り方を検討するにしても、株式会社とすることのメリット、デメリット、これが本当に十分検証されているのかどうかという点についても疑問があります。  この報告書では、農業者の利益増進に資する観点からというふうに書いてありますけれども、利潤を追求するというのが株式会社の基本でありますので、収益性の低い例えば中山間地域などの条件不利地域に対する対応本当に利潤確保という観点から十分に行われるのか、不十分にならないのかというような点も非常に危惧されるところでございます。是非ともこれについても慎重に検討していっていただきたいというふうに思います。  次に、その下の項目、これでいうと四番目ですか、単協の専門化、健全化、四ページの四番目ですけれども、その中に、信用事業、共済事業の代理店化というようなことも含めた提言があります。  そこで、まず、この単協の営農指導といった面も含めた経済事業、そして信用事業、共済事業、それぞれ収支はどうなっているのか、経営全体の中でどのような位置付けがあるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  106. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農協の部門別の損益でございますが、これを全国平均で見てみますと、平成二十四事業年度でございますが、信用事業が三億五千万円の黒字、それから共済事業が二億一千万円の黒字、それから経済事業が二億三千万円の赤字ということになっておりまして、これトータルで見ますと、農協全体では三億三千万円の黒字と、こういう状態でございます。  ただ、これは全国の平均値でございますので、これ地域別に見てみますと、例えば北海道の平均は経済事業部門では黒字になっております。それから、個々の農協ごとに見てみますと、経済事業の部門が黒字の農協が全国で百四十三、それから赤字の農協が五百七十四と、こういった状況になっております。
  107. 山田修路

    山田修路君 今お話があったように、地域ごとにあるいは単協ごとに状況は異なるということなんですけれども、今の制度、そしてあるいは実際に行われている内容を見ますと、経済事業、信用事業、共済事業が総合的に実施される組織になっている。こういう組織になぜなっているのか。それから、こういう総合的に行うということで、先ほど答弁がありました経済事業の赤字がカバーされるような形で単協が成り立っているのではないかと、総体としてですね、そういうふうにも考えるんですけれども、その辺についてどのようなお考えでしょうか。
  108. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農協がどの範囲で事業を行うかということでございますが、農協法の中で農協の行える事業というのが列記をしてございます。その中から、それぞれの農協ごとに農家組合員の選択によりましてその農協の事業範囲、これを決めております。  多くの農協では、組合員の利便性を考えまして、組合員が必要とするサービスを総合的に提供すると、こういう観点から、経済事業、信用事業、共済事業を総合的に行っているものというふうに承知をしております。  先ほど申し上げましたように、一方で、現在の農協経営の平均的な姿、これを見ますと、経済事業のところが赤字で、これを金融、要するに信用と共済事業の黒字で補填をするという形になっておりますが、この金融事業が黒字であるということで、農産物の有利販売とかこういった経済事業の改善につながらないということではいけないというふうに考えておりまして、農協がこの農産物の販売等に最重点を置いて積極的に取り組むにはどうしたらいいかということはきちんと考えていかなければいけないというふうに考えております。
  109. 山田修路

    山田修路君 今お答えがあったように、今の経済事業が、このまま信用事業、共済事業におんぶをしていていいかというのは確かにあって、そこは考えていかなければならない問題だと思いますけれども、これ、今ほどの答弁にもありましたけれども、どういう事業をやっていくかというのは各単協で決めていっていることであります。全農のところでも指摘をしましたけれども、そういった協同組合が自主的にやって対応していくということを決めているものについて、国の方がこうすべきだ、あるいはこうしろというようなことを言っていくのは本当にいいのだろうかという疑問があります。  また、ここに書いてあるような代理店化ということで本当に信用事業、共済事業が効率的に行われるのかどうか、あるいは単協の経営としてそれでいいのかどうか。いろんな意見があって、やはり代理店方式ではJAの主体性が失われちゃうんじゃないかとか、あるいは共済事業の共同元受けによってJAの主体性が発揮されて事業が運営されていると、そういうことを言われる方もおられます。  そういう点も十分考慮して、単協が本当に単協として成り立っていけるような改革にしないと、結局、農協が潰れてしまったんでは、先ほど言いましたけれども、農政改革もやっていけないということだと思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。  農協関係はまだ幾つも問題点があると思うんですけれども、時間の関係もありますので、農業委員会等について、二、三、お話をしたいと思います。  農業委員会については、この提言の中では一ページ目になります。農業委員会、そもそも現在どのような業務を行っているのかという点についてお伺いしたいと思います。
  110. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農業委員会でございます。農業委員会等に関する法律、これに基づく市町村の独立行政委員会でございまして、原則として市町村ごとに一つ設置をされております。  その業務でございますが、この農業委員会法に基づきまして、農地法その他の法令によりその権限に属された農地等の利用関係の調整に関する事項、典型的には農地法三条の権利移動の許可でございます。それから、農地等の利用すべき土地の農業上の利用の確保に関する事項、あるいは農地等の利用の集積その他農地等の効率的な利用の促進に関する事項、それから法人化その他農業経営の合理化に関する事項、それから農業及び農民に関する意見の公表、行政庁への建議、こういった事務を農業委員会法に基づいて行っております。  そのほか、農地法に基づきまして、これは遊休農地対策でございますけれども、毎年一回、その管内の農地の利用状況、これをきちんと調査をいたしまして、遊休農地ということであれば、その農地の所有者に対しまして利用の意向調査を行うと、こういった業務もございますし、それから、これは農地中間管理機構のときに規定の整備をしたところでございますが、これも農地法の中で、この農地についての台帳、これを整備をして、電子地図の形で見られるようにして整備をし公表するといった業務も入っているところでございます。
  111. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。  農業委員会、様々な本当に大事な業務を行っているわけでございます。その中で、この提言の中で、行政庁への建議、意見公表というような話もこれも廃止をしたらどうかというような提言があります。これについてはちょっと時間がないので質問はしませんけれども、この提言も含めて非常に重要な業務があると。  こういう重要な業務をやっている農業委員会委員さんについて、どういう人が委員になっていただくのがいいのか。これは農業委員会仕事が公正にあるいは公平に行われていく上で非常に重要な点だと思っております。農業委員には、選挙委員、選任委員があります。この提言でも、一ページのところに農業委員の選挙、選任委員の選任、あるいは選挙やめて選任委員でやっていったらいいんじゃないかというような提言がありますけれども、まず選挙制度が採用されている理由についてお伺いしたいと思います。
  112. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) この農業委員会は昭和二十六年に設置をされたものでございますが、このときにそれまで存在しました三つの委員会、これを統合する形で設立をされております。  一つ農地解放による農地の売渡しを行った農地委員会、それからもう一つ農業者から食料の供出を行った農業調整委員会、それから農業者への技術指導を行った農業改良委員会、この三つの委員会を統合して新たにこの農業委員会という組織設立をされております。  農業全般にわたる問題を農業者が自主的に解決をしていくという趣旨でこういった機関を地方自治体の組織として設置をしたと、こういうことでございます。当時は、農地解放の直後でございまして、どの農家の方もおおよそ同じ経営規模、まあ大体当時〇・八ヘクタールぐらいだと思いますが、そのくらいの規模の同程度農業者であったということ、それから母体となりましたこの農地委員会あるいは農業調整委員会、ここが元々選挙制を取っていたということもございまして、この農業委員の選出に当たりましては選挙制を採用したものというふうに承知をしております。
  113. 山田修路

    山田修路君 この選挙制度も非常に、さっき言いましたように、農業委員会の業務との関係で大事な仕組みだというふうに思います。  歴史的経緯もありますけれども、現在でも権利義務の移動について農業委員会が許可をしたりあるいは意見を述べたりするということがあるわけですけれども、そういう場合に、やはり公平に、公正に業務を行っていくということで、それを担保するための一つの方法として選挙制度というのもあると思います。実際に選挙が行われているのが一割程度だという話もありますけれども、やはり、人の公平さ、公正さを確保する上で選挙制度があるということがその担保になっているとも思います。その辺も十分考えていただきたいと思います。  そして、選任委員がもう一つありますけれども、法令上どういう人が選任委員になることに今なっているのか、また、具体的にどのような人が選任委員になっており、そしてその選任委員制度の意義というのはどういうものなのか、これについてお伺いしたいと思います。
  114. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) この農業委員会の選任委員でございます。この選挙の委員とは別に、現在の法律上、この選任委員が決められておりまして、一つは農協、それから共済組合、それから土地改良区、このそれぞれが各一名その組合員等を推薦をする団体推薦委員というものがまず一つございます。これとは別に、市町村の議会が四名以内の学識経験者、これを推薦する議会推薦委員というものがございまして、この二つから成っております。議会の推薦委員といたしましては、市町村議会の議員の方ですとか、あるいは女性農業者、こういった方々が選任をされているというふうに承知をしております。  これらの選任委員制度でございますけれども地域農業関係団体、あるいは幅広い分野の学識経験者、こういう方々の参画を得てこの農業委員会の事務の円滑な遂行を図ると、こういう観点から設けられているというふうに承知をしております。
  115. 山田修路

    山田修路君 選任委員についても、やはり農業関係の専門家なりあるいは学識のある方ということで選ばれているということでございます。この選挙委員と選任委員が、両者が相まって今の農業委員としての、農業委員会の決定に関与していくということになっております。農業委員会の事務が非常に重要でかつ公平性が求められる仕事であるだけに、この委員の選び方についても十分な検討が必要であると。選挙によって一定のクリアを経た方がその業務を行っていくということも極めて重要であるというふうに思っております。  そこで、農業委員の、委員会の業務は委員会の業務ということで今ほど説明があったんですが、委員さんも、そこで委員会の議決に加わるということだけでなくて、いろんな仕事を実際にやっておられるということだと思います。具体的な仕事、そしてそれに対する報酬はどうなっているのかということについてお伺いします。
  116. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 個々の農業委員の方々でございますが、定期的に開催をされますこの農業委員会出席をして農地の権利移動の許可等について審議をすると。これは当然ございますが、これのほかに、農地のあっせんですとか、それから先ほど申し上げました毎年一回全農地対象に実施をしております農地の利用状況調査、これは耕作放棄地になっていないかどうかという確認でございます。それから、その場合に遊休農地を持っていらっしゃる所有者に対する指導、それから二十四年度からやっております地域の人・農地プランの話合い、この作成に向けた関与、こういったことで、地域において様々な活動を行っていただいているところでございます。  この農業委員の方々の報酬でございますが、それぞれの市町村の条例で決められておりまして、平均値で見ますと月三万円という水準でございます。
  117. 山田修路

    山田修路君 このワーキンググループの提言の中、余りいいなと思うものはないんですけれども農業委員さんに対してふさわしい報酬を支払うという一項目がありまして、これはなかなかいい提案だなというふうに思います。皆さん御存じのように、農業委員さんの仕事というのはなかなか大変で、いろんな地域の合意に関わっているわけで、兼業農家の方のところにも行かなくちゃいけない。そうすると、夜やはり出かけていっていろいろお話をするというようなこともあるわけでございまして、非常に献身的に仕事に励んでおられるということなので、もう少し経済的にも報われるというようなことも必要だというふうに思います。  それから、この提言の二ページ目の二つ目の事項に、都道府県農業会議あるいは全国農業会議所の廃止ということが出ております。私は、農業会議あるいは農業会議所、大変重要な、あるいは意義のある活動をしているというふうに思っているんですけれども、これについての概要、あるいは具体的にどのような仕事、業務を行っているのか、お伺いしたいと思います。
  118. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農業委員会等に関する法律におきましては、この市町村段階の農業委員会のほかに、県段階に都道府県農業会議、それから全国段階に全国農業会議所を設けるということが規定をされております。  まず、都道府県の農業会議でございますが、ここの業務は、農地法に基づく農地転用の許可に係る都道府県知事への答申ということがございますが、これのほかに、農業、農民に関する意見の公表、行政庁への建議、それから農業及び農民に関する情報提供や調査研究、それから農業委員会への助言、協力と、こういったものが法律上規定をされております。  それから、全国の農業会議所でございますけれども、こちらも、法律上の業務といたしましては、農業、農民に関する意見公表、行政庁への建議、それから都道府県の農業会議の業務に対する指導、連絡、それから農業、農民に関する調査研究、情報提供と、こういったものが法律上規定をされております。  また、この都道府県の農業会議、それから全国農業会議所は、この法律上の業務に加えまして、実態上は新規就農ですとかあるいは企業の農業参入の相談窓口の業務を行うといったことで、担い手の育成確保に向けて活動していただいているところでございます。
  119. 山田修路

    山田修路君 今お話がありましたこの農業会議、そして全国農業会議所は、新規就農あるいは企業の参入などの担い手の育成、そしてまたその組織化を行ったり、あるいは農地の移動、これが取得する人が非常に広い範囲で出てきていますので、広域化するようなそういう農地流動化側面、あるいは耕作放棄地対策などで様々な優良事例を広めていくとか、大変重要な役割を果たしているというふうに思います。  この提言では、この農業会議や全国農業会議所が農業委員会の自主性、主体性を阻害しているかのように書いてあるんですけれども、一体それはどういう根拠でそういうふうに書かれているのか。法律的に考えても、農業委員会は市町村の行政委員会なわけですから、それが農業会議や農業会議所によって簡単にその自主性が阻害されるということは普通に考えてもあり得ないし、現実に見てもそんなことはないんですね。それをあたかもそうであるかのように書いているというところが本当におかしい。  先ほど言いましたように、この報告書全体が結論ありきで、そのためにつじつま合わせでちょっと理由を書いてみましたというような印象を非常に受けるわけです。本当に真面目にしっかり議論をして結論を得ていただきたいというふうに思います。  更にひどいなと思うところがあるわけです。法令についての誤解あるいは無理解というのがあるように思います。二ページ目で下から三番目ですかね、権利移動の在り方の見直しというところがありまして、これは、聞いたところでは、農地法三条の許可の件数が少なくなってきて余り重要でなくなってきているので、届出でいいけれども、法人はやはりちょっと厳重にチェックしなくちゃいけないので許可制だというような説明をお聞きしたことがあるんですけれども、この農地法三条の許可、それから農業経営基盤強化促進法十八条による農用地利用集積計画の決定、これについて農業委員会がどのように関与しているのか。そして、ついでに次のことも併せて聞きますけれども、その農地法三条の許可と農業経営基盤強化促進法の十八条の決定でチェックする項目が具体的に違うのかどうかについて、お伺いしたいと思います。
  120. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) まず、農地法の三条でございますけれども、ここは農地についての権利移動について農業委員会が許可をするという仕組みでございます。それから、もう一つ農業経営基盤強化促進法、こちらの方では、簡易な手法によって農地利用権の集団的な移転を進めるという観点で、市町村が主体となってこの農用地利用集積計画を決めます。決めるときには農業委員会の決定を経て市町村が決めるということになっておりまして、この計画を公告することによって利用権が設定をされると、こういうスキームでございます。  農地法の三条の許可と農業経営基盤強化促進法、これの農地利用集積計画、これが同じか違うかということでございますけれども、いずれについても権利移動をどういうふうにするかということでございまして、不耕作目的の権利取得を排除する、農地を効率的に利用する者による権利取得を促進すると、こういう観点から、農地を効率的に利用する者に権利取得を認めると、こういう考え方に立っておりまして、受け手が満たすべき要件は基本的に両制度で同じものが定められております。具体的に申し上げますと、取得後の農地の全てを効率的に利用すること、必要な農作業に常時従事すること、こういう共通の要件でございます。  なお、農地法三条の許可に当たりましては、取得した後の経営面積が一定規模以上に達すること、それから周辺の農地利用に支障がないことというものが要件になっておりますけれども、一方の基盤強化法の方の農地利用集積計画につきましては、市町村が計画を作成するということで、地域の自主性を尊重して、この要件については掛けられていないところでございます。
  121. 山田修路

    山田修路君 今お話があったとおり、基本的に農地法三条の許可と農業経営基盤強化促進法十八条の農業委員会の決定は同じことをチェックをしているということなんです。  それで、これも農地制度に少し関わった方ならばみんな知っていることですけれども農業経営基盤強化促進法十八条の決定というのは、農地法三条の許可権限があって、それがあるからこの決定という行動ができるという、そういう論理的な関係にあるというのはもう皆さん御存じのとおりのところです。そういう意味で、許可の部分と決定の部分を違うように扱うというのは極めて法律を無視したことだと思いますし、それからもう一つお聞きしたいのは、農業委員会がチェックをするときに、個人と法人で、もちろん法人であるということから違うこともあるんでしょうけれども、同じ部分、違う部分、これについてどういうことになっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  122. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の権利移動につきましては、この農地法上、不耕作目的の権利取得等を排除する、農地を効率的に利用する者による権利取得を促進するという観点から、農業委員会の許可制になっております。  この許可を行う際の基本的な要件といたしましては、これは個人、法人共通でございまして、取得後の農地の全てを効率的に利用する、それから取得後の経営面積が一定規模以上に達する、それから周辺の農地利用に支障がないことと、こういった要件で、個人、法人共通でございます。
  123. 山田修路

    山田修路君 個人の場合、法人の場合、基本的に本当にちゃんと農業をしっかりやっていただけるのかということをチェックする必要があるということなんです。それで、個人は届出でよくて、法人は許可制にするというのは、やはり農地をしっかり農業として使っていただくという意味では同じことなんですね。個人もちゃんとチェックしなくちゃいけないし、法人もちゃんとチェックしなくちゃいけない。  そうすると、法人だけは許可制で個人は届出制でいいんだというのも、これまた極めておかしい話で、以上言いましたように、今は農地法の許可の話で言いましたけれども本当に法令的にちゃんと理解がなされてこの提言がまとめられているのか、本当に疑問なところが多いわけです。  もう一つ農業生産法人の要件の見直しについても、三ページのところにずっと、事業要件、役員要件、構成員要件の見直しが書いてあります。この要件、本当にこう簡単に見直していいのかということでございます。  農地中間管理機構によってリースによる規模拡大を進めていこうというふうにしているというときに、この農業生産法人は現状ではもう所有の部分でしか今利いていないわけですね。そうすると、せっかくリース方式でどんどん規模拡大をしようという政策推進しようとしているときに、法人のリースでなくて所有による取得を進めるということが全体としての政策の整合性があるのかということもあると思います。  現在の農業生産法人、事業要件、役員要件それから構成員要件についてどうなっているのか。それから、その次の質問も併せてしてしまいますが、全体としてこういう個人とは違う要件を定めているのかということについても併せてお伺いします。
  124. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 法人による農地の所有につきましては、当該法人が継続的に農業を営む法人であるかどうか、これを確認するために農業生産法人の要件を設けておりまして、具体的には、事業要件、構成員要件、役員要件、こういったものでございます。  まず、事業要件でございますけれども、法人の売上高の過半が農業及び農畜産物の加工、販売等の関連事業であることというふうになっておりまして、その法人が農業を主に行う法人であるということを担保するためにこの要件は設けられております。  それから、構成員要件でございますけれども農業者以外の構成員の議決権が総議決権の原則四分の一以下であることというふうになっておりまして、農業者の意向によって法人の経営方針の決定が行われるということを担保しているものでございます。  それから、役員要件でございますけれども、その法人の役員の過半が販売、加工を含めて農業の常時従事者であることというのがまずございまして、その過半の方の更に過半が農作業に従事することということが更に要件として付いております。  これは、その法人が農業を主に行う法人であるということを担保するために設けられておりますが、昨年の臨時国会で成立をいたしました国家戦略特区の法律の中ではこの役員要件につきましては特例が置かれておりまして、農業生産法人の六次産業化推進するという観点から、役員のうち一人以上が農作業に従事すればよいということになっております。  それから、個人と法人でこの制度について差を付けているのはなぜかという御指摘でございました。  法人の場合には、特定の目的のために設立をしたり、あるいは法人を分割したり、あるいは解散したりということもできる人為的な人格でございます。他方で、個人の場合には、兼業をしても自然人たる個人を分割することはできませんし、相続による権利の取得を否定することもできませんので、法人と同様の規制にはなじまない部分があるというふうに考えております。  特に、企業による農地の所有につきましては、参入した企業が農業から撤退した場合に、その企業の所有する農地が耕作放棄地、場合によっては産廃置場になってしまうのではないかと、こういった農業現場の懸念がございます。  このため、法人の農地所有につきましては、個人と共通の基本的な要件を満たしていることに加えまして、農業を主たる事業としてやっている、農業者経営方針を主導すると、こういった形で、農業を継続的に真剣に取り組んでいくことが担保される農業生産法人要件を満たしている法人に限って農地の所有を認めていると、こういうことでございます。
  125. 山田修路

    山田修路君 もう時間がそろそろなくなりますのでまとめますけれども、今の農業生産法人の要件にしても、先ほど言いましたように、リースで規模拡大を進めていこうとする政策の中で整合性が取れているのかという問題もありますし、リースで参入した場合には、経営を行わなくなった場合の対応策もしっかり取られているわけですけれども、今のこちらの提言の方では、やめようとするときには許可制にするというんですが、本当にそんなことが実際あり得るのか、可能なのかということを考えてみればすぐ分かることだと思います。  いずれにいたしましても、この提言については、先ほど言いましたように、関係者の意見あるいは専門家の意見あるいは法令というものについて十分踏まえずに、取りあえずまとめているような印象を強く受けます。是非とも、これから農林水産省とも協議をしながらまとめていくということでありますので、是非正しい方向にこの改革が進むように、改革は、必要なものはどんどんやっていけばいいと思いますけれども、是非道を間違えないようにお願いをいたしまして、私の質問といたします。  ありがとうございます。
  126. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆さん、お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  午前中は四名の参考人の方から大変に貴重な御意見を賜りましたし、それから今、山田委員からも様々問題点の御指摘がありました。改めて、今政府が進めようとしている農政改革、本当にこれでいいのかという思いが大きく膨らんでおります。午前中も与党の皆さんの表情も拝見しておりましたけれども、皆さんも、ううん、そうか、困ったなという表情をしているように私としては見て取れたんですが、いかがでしょうか。本当に、もっともっと現場の声をしっかり聞いて、やっぱり農政改革というのはじっくり時間を掛けて考えていかなければいけないなということを強く思いました。  それともう一つは、やはりTPPは農業にとって何もいいことがないと。やっぱりこれ、TPPも何としてでもやめてもらうと、参加しないという方向にできないものかなということを強く思っているところであります。  本日は、TPPに関して、それから北海道農業はちょっとほかの府県の農業とは違うんだと、北海道の特別な事情というところでお話をさせていただきたいと思うんですけれども、決して私の地元が北海道だから北海道をひいきして言うということではなくて、やっぱり日本の食料基地としての北海道の位置付け、北海道農業を守っていかなければいけないんだという大きな意味というのも皆さんに御理解いただきたいなというふうに思います。特にTPPに関しては、もう北海道経済界も含めてオール北海道で反対しているということで、これもどうしてかというと、非常に経済界にとっても大きなマイナスがあるということで、何としてでも守っていきたいという思いが非常に大きいということであります。  今日は、澁谷審議官にまたお越しいただきました。審議官、お疲れさまでございます。  十二日から十五日まで開かれました首席交渉官会合、そして十九日、二十日に閣僚会合が行われました。日米二国間では、共同声明で、TPPに関する二国間の重要な課題について前進する道筋を特定したと、これはTPP交渉におけるキーマイルストーンを画し、より幅広い交渉への新たなモメンタムをもたらすことになると言及されていました。交渉への弾みが付いたということでありましたが、今回のベトナム、シンガポールでどのような進展があったのか、なかったのか。それから、この交渉について、甘利TPP担当大臣から総理に御報告した際に、総理から、今回は非常にいい進み方で良かったというお答えがあったやに聞いております。果たして本当にそうなのか。この交渉について御報告をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  127. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) まず、先週のベトナム・ホーチミンシティーでの首席交渉官会合、それから今週月、火と開かれましたTPPの閣僚会合、いずれも進捗状況を確認するということが中心であったわけでございますけれども、やはり日米が先月一定の進展を見せたということが各国にそれなりの影響を与えたということでしょうか、若干スイッチが切り替わったような形になっておりまして、これまで日米がどうせまとまりそうにないからということで議論が進んでいなかった日米以外の二国間の交渉、それからルール分野の交渉について、そこが加速化というのが見られたというところが成果だったのではないかなというふうに思います。  ただ、閣僚会議の場では、全体会合の場で、中身の話をするというよりは、むしろ段取りの話がメーンでございまして、これまで十二月、二月、そして今回と閣僚会議を行ってきたわけですけれども、閣僚会議の場で細かい論点について議論するということよりも、むしろ、交渉官レベル、その上の首席交渉官レベル、その上の閣僚と、それぞれのレベルがあるのだから、まずは事務方でしっかりと論点を詰めて間合いを縮めて、首席で更に間合いを縮めて、その上で閣僚という、これは甘利大臣はもう十月くらいからそういうことをおっしゃっていたんですけれども、ようやくそれについて共通の認識が得られたと。六月いっぱい掛けて市場アクセス、それからルールについても分科会なり事務方も含めて徹底的に議論を行って、七月にどこかのタイミングで首席交渉官会合というところまで決まったということでございます。  なお、共同声明に必ずしも明記されていないんですけれども、甘利大臣がバイの会談、それから二日目の全体会合の場でもお話をされたということで、毎回、閣僚会合をやりますと、共同声明の最後に、日本が入る前のホノルルで行われました首脳会議の宣言、ホノルル宣言について言及をされるわけですけれども、野心的でハイスタンダードで包括的でという、関税でいいますと一〇〇%の関税撤廃というのがそこから言われたわけですけれども、甘利大臣が全体会合の場でも、今回もそういうことを言う閣僚もおられたようですけれども、もうまとめモードに入っているんだから、そろそろスイッチを切り替えて、いつまでも原理原則を言うんではなくて、じゃ、長く時間を掛けて議論すればいずれその一〇〇%というのが実現するということではないんだからと。どうしてもできないことというのがどの国にもあるんだと。これは関税だけではなくて、途上国によっては例えばルールの分野もそういうことがある、これはどの国にもそういうことがあるんだ、お互いにそういうことがあるんだということを認め合わないと本当のまとめというのができないんじゃないかということを大臣発言をして、それ、実はかなりの国の大臣が甘利発言という形で引用をして、そこではかなりの共通認識、アメリカのフロマン代表も賛意を表明したということでございまして、そこが共通認識、共同声明で交渉を妥結させるために何が必要かについて共通の見解を確立したというのは、事務方の作業を加速させるということがメーンでありますけれども、今申し上げたようなことも含まれているのではないかなというふうに思います。  そういう点について、今回、共通認識が得られまして、甘利大臣は閣僚が来られている八か国の大臣とバイの会談を行いました。その中では一〇〇%の関税撤廃ということを主張している国も何か国か当然含まれておりますけれども、かなり具体的な話、しかも実務的に詰めていきましょうという、そういうかみ合った議論ができたということは大きな成果であったんではないかというふうに思います。
  128. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 これまでに新聞報道で、例えば知財は合意したとか、いろんな報道がありました。今回の交渉会合で、なかなか具体的には言っていただけないとは思いますけれども、何か合意をしたことというのはあるんでしょうか。
  129. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 段取りについて合意したということはありますけれども、中身については、先ほどお話ししましたように、全体会合の場でほとんど中身の議論はされておりません。知的財産と国有企業と環境というのが現時点で最も難航している三分野と言われていまして、この三分野については現状の報告がございました。ただ、それについてこうすればいいとか、そういうことは議論なく、引き続きこれは事務方にどんどん議論をさせて間合いを詰めさせようと。  今言いました難航三分野、これは全然終わっていない、一部報道によると終わった分野もあるようになりますが、全く終わっていないわけでありまして、それよりもまだ妥結が近いと思われるその難航三分野以外の分野についても、どのぐらい論点が残っているかということをベトナムのホーチミンシティーでこれはいろいろみんなで確認をしたんですが、難航分野以外だけでも百以上の論点が残っているということでありまして、そういう意味では相当これは気合を入れて事務方が頑張らないとなかなかうまくいかないなという、そういうことが確認されたということでございます。
  130. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  七月の首席交渉官会合に向けて、ワシントンで二国間協議を軸に関税の分野の事務レベルの協議を進めるということでありますけれども、例えばニュージーランドとか、それからシンガポールなんかは関税撤廃をずっと求めていたわけですが、日米でどういう話になったのか、私たちはよく分かりません。ただ、日豪では、EPAで関税が削減にはなりましたけれども残った、撤廃ではなかったということで、今、ニュージーランドやシンガポールは、関税撤廃を求めるという姿勢を少しは柔軟化させているんでしょうか、それともこの姿勢は変わらないんでしょうか。
  131. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) こういう公の場でそういう国々が柔軟化しているということを私が申し上げると、その国はかなりその国内でいろいろ困ったことになるということもありますので、あえてどの国がということは申し上げませんが、どの国がということは申し上げませんが、今回閣僚が来ていた国とバイの会談を行いましたが、原理原則というよりは、かなり実際の解決に向けた議論ができたというふうに申し上げたいと思います。
  132. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 分かりました。あとは、アメリカの中間選挙が十一月にあるわけです。ですから、この七月の会合というのが、私は今年最後の山なのではないかというふうに思っています。  毎回毎回申し上げておりますけれども、あくまでも国会決議を守る姿勢を崩さずに粘り強く交渉をしていただきたいと。延びれば延びるほどいろんなリーク情報も出てくるわけで、やっぱりこれはまずいという声もどんどん上がってくる。実際に、新興国などでは、どんどん市民レベルでの反対運動が大きくなっているということも聞いておりますから。もちろん、政府は一日も早く妥結したいという思いで、我々と方向性は全く違うとは思いますけれども、新興国などは、以前も申し上げましたけれども日本が新興国側に立って協議をできるだけ延ばしてもらいたいんだという声もありますので、何とか延ばしていただいて、最終的にはTPPが漂流するということがあればいいなというふうに、希望だけ申し上げておきたいと思います。  それから、豚肉の差額関税制度の撤廃又は関税による養豚業への影響に対する支援策の検討を政府が始めたなど、いろいろとこのところも気になる新聞記事が続いています。  林大臣は会見で、検討している事実はないと否定されたということですが、道新では、事実があると言って、その否定もまたあったわけですけれども、林大臣がどこまで交渉の内容について御存じなのかということなんです。農水省としてレッドラインを出したとしても、それが交渉の中でどうなっているのか、果たして全て報告を受けておられるのかということなんです。  三月の十九日に予算委員会で甘利大臣に、TPP交渉の情報にアクセスできるのは何人くらいかと私から質問をさせていただきました。甘利大臣からは、全体を俯瞰して承知しているのは極めて少数であると、私以外の担当閣僚で全体を見ている者はいないという御答弁がありました。  また、昨年、西川TPP対策委員長は、政府側で全部を知っているのは四人しかいない。鶴岡首席交渉官、大江首席交渉官代理、佐々木国内調整統括官、そして澁谷審議官です。  林大臣は、農林水産物の関税又は農林水産省に関わりのある非関税障壁も含めて交渉の状況について、全て報告を受け、知っておられるのでしょうか。確認させていただきたいと思います。
  133. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) このTPPは、御案内のように、マーケットアクセス以外に二十分野でルール作りもやっているということで、大変幅広い交渉でございまして、政府においても、TPP政府対策本部の下で政府一体となって交渉しておりますが、農林水産省としても、農林水産業を所管する立場で主体的に交渉に参加しているところでございます。  私も担当大臣として、農林水産物の市場アクセス交渉、これを始めとして当省の所管事項に関する交渉については、逐一報告を受けて状況を把握した上で交渉方針に関する判断を行っているところでございます。
  134. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 いずれにせよ、日本国民の生活に大変に大きな影響があるTPPであります。日本の国のこれからの在り方にも懸かってくるわけです。  そういうTPP交渉に関して、甘利大臣と政府側の四人、合わせて五人だけしか全てを知らないというのは、秘密主義にも程があるんではないかと思います。米国議会もTPA法案の審議に関しては秘密主義がひど過ぎるということで、議員の多くは反対をしているということでありますけれども日本でも国会決議にもあるように、交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うように措置すること、決議の七項目めにこういう約束があるわけですから、この約束を守るためにも、政府は徹底的にできる努力をするべきだというふうに考えます。  改めて、国会議員あるいは国民に対して情報を提供するための技術を検討するおつもりがあるのかないのか、あるいは情報提供する努力はできるのかできないのか、お伺いをしたいと思います。
  135. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 恐らくは同じことを各国がかなり悩んでいるんではないかと思います。徳永先生も幾つかの国の実情を御存じだと思いますけれども、かなり国によっては真剣に悩んでおられる、いろんな取組をされているということでございまして、私どもも七月にマレーシアで初めて参加をいたしまして、相当厳しい情報規制にかなり戸惑ったのも事実でございます。  例えば、九月にワシントンDCで首席交渉官会合が開かれましたが、当初はほかの国は、その会議が開かれるという事実すら一切公表しないと、もう言っては駄目だと、要はこっそり出張に行けという、そういう話なんですけれども。それは幾ら何でもということで、これは我が国がかなり主張をして、我が国はそういう交渉が開かれるということは公表をすると、かつ、当然交渉の中身は言わないわけですけれども、どんなテーマについてどんな雰囲気の議論がされているかということぐらいは毎日これは私の方から記者会見するという、これ去年の九月でございます。  その後、毎回毎回そういうことをやっているわけですけれども、最近は同じようなことをする国が幾つか増えてきたということでございます。交渉の中身をダイレクトに言えないまでも、せめてそういう、いつ会議があって、当たり前とおっしゃるかもしれませんが、どんなテーマについてどのぐらいの議論がされているかということはお話しするように、これは我が国がかなり主導をして、各国の理解を得ながらそういうことをしてきているということでございます。  ただ、それでも当然不十分だという声があるわけでございまして、ほかの国も、今後、署名が正式にされた後でないとテキスト類は一切公表しないというのがこれまでのルールなわけでございますが、大筋合意をいずれした後、署名までの間というのは数か月あるわけでございます。この間何も情報がないということが本当にいいのかと、あるいは、大筋合意をする前も本当に今のようなことでいいのかという、こういう問題意識は実は各国も持っているわけでございます。  これまでの首席交渉官会合あるいは閣僚会議でもこの手の議論はかなりされてきております。実は、今回のシンガポールの閣僚会議でも最終日にそういう議論がなされまして、各国、いろんな取組あるいは問題意識述べ合ったということでございます。これといって、こうだという解決策が出たわけじゃありませんが、各国いろんな取組がされているようだと。それで、各国のグッドプラクティスをお互いにこれから紹介し合って、いいものを取り入れて、それを各国の共通認識として、コミュニケーションという言い方をしていますが、コミュニケーションの在り方の改善をということは各国で共通認識が得られたので、私どもとしても、そういう意味では、その分野については是非各国をリードしていくような形で努力していきたいというふうに考えております。
  136. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 情報公開のための努力をしていただけるというふうに受け止めてよろしいですね。はい、ありがとうございます。  これ毎回申し上げますけれども、民主、みんな、結い、生活、社民、野党五党共同で提出させていただいたTPP情報提供促進法、このつるしを是非下ろしていただいて審議を始めることが国民に対する誠意だというふうにまず思っています。今政府が決議を守るとおっしゃるのならば、まずはやらなければいけないことの一つだと思います。是非とも与党議員の皆さんにも頑張っていただいて、何とか情報提供への道筋をつくっていただきたいというふうに思います。  昨日の東京新聞に、「TPP交渉 守秘義務4年間」という記事が掲載されていました。発効後四年間はテキストの内容は公開しないというものですが、こんなものはもう三年前から私たちずっと言ってきていることなんですね。やっと新聞はこれを一面に書いてくれたかということで、ある意味感慨がありました。  なぜこうした徹底した守秘義務が掛かるかということを考えなければなりません。交渉の過程で知られては困る、だんだん分かってきて影響を実感して、これは困ったと、取り返しが付かないようなことになってももう元には戻せないわけですから、反対運動がどんどん大きくなるということもあって守秘義務を掛けているんでしょうけれども、企業の利益のためにも、国民生活を犠牲にしかねない内容だからということもあるんだと思います。  しかも、米国では、TPPの諮問委員を務めている大企業の幹部はパスワードを持っていて、USTRのホームページに入っていってTPPのテキストにアクセスすることができるんですね。これを聞いたときに、若干そこに日本の企業らしき名前もあって、日本の企業ももしかしたら情報を得ているのかなということを疑わざるを得ないような感じもありました。  また、日本でも国会議員に情報の内容等を開示することは完全に不可能というわけではないと考えます。ニュージーランドの外務貿易省のページに二〇一一年十一月のマーク・シンクレア当時のTPP首席交渉官の発言が掲載されていて、これによりますと、交渉の過程において取り交わされた交渉文面やその他の文書について、これらを機密文書として扱うことが合意でなされているとのことです。その上で、シンクレア氏は、この合意内容をレターを交換することで正式なものとすることに合意したとし、そのレターのひな形を公開しているんです。  このひな形には、交渉文書は、政府関係者、政府以外の人間で政府が行う国内協議プロセスに参加する者及び交渉文書の情報を検討し、通知される必要のある者にのみ提供されることが許されるとの文言がありますので、これ、読みようによっては国会議員を含む関係者に開示を許すというふうには読めるのではないかというふうに思います。  だとすれば、是非とも守秘義務を掛けてでも国会議員に情報を提供する、その努力もしていただきたいというふうに申し上げたいと思います。交渉に影響するから言えませんという一点張りでは混乱と不信を招くばかりだと思いますし、この委員会でもみんなの党の山田委員からお話がありましたけれども推進している党も内容が分からないと大丈夫だろうかと疑心暗鬼の声が上がって当然であります。是非とも検討していただきたいということを改めて、重ねて申し上げたいと思います。  さらに、インサイドUSトレードの最近の記事によりますと、先ほど澁谷審議官からも各国いろいろと努力をしているというお話がありましたが、チリ政府も新しい透明性の高い制度を確立し、ステークホルダーに対してより多くの情報を共有できるようにしているということで、チリの交渉官はベトナムでの協議については毎日ブリーフを行って、ウエブサイトでは投資、環境、知財、市場アクセス、原産地ルールについて情報を公開したということでありますので、是非ともお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。  さて、一昨日の農林水産委員会で、この委員会で、平木委員からニュージーランドのフォンテラの戦略についてお話がありました。  私は、北海道へのフォンテラの事業参入というのは大変に心配をしています。ニュージーランドの乳業最大手、年間売上高が世界第四位、乳製品の世界輸出シェア三割を占めるフォンテラが、北海道の酪農業に技術協力するプロジェクトチームを今年の秋にも発足させる計画を明らかにしたという新聞記事が掲載されました。プロジェクトチームは、日本の酪農業の収益性の向上を目的として、技術協力によって指導料収入の獲得を見込んでいるということであります。また、道内の酪農家と協力して、モデル牧場の運営を模索するという記事が新聞に載っていたわけですが、林大臣に伺います。これは事実なんでしょうか。
  137. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 事務方の方でお答えいたします。  今先生の方から、農場をつくるといったような報道があることについては承知しておりますが、フォンテラ社が具体的に北海道で農場を設けるかどうかについては私ども承知しておりません。  昨年九月にニュージーランド政府から酪農の技術協力についての提案を受けておりまして、ニュージーランドですので放牧技術といったものが発達しておりますものですから、我が国の酪農、とりわけ北海道酪農の発展のためのものというふうに受け止めておりまして、必要な協力等は行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  138. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 技術協力によって指導料収入の獲得を見込んでいるということで、新聞記事によりますと大臣もこのことは承知なさっているということでありますけれども、そこで終わるわけがないですよね。世界で非常に大きな企業のフォンテラ社でありますから、やはり北海道で酪農をして、フォンテラは低コストの酪農を追求していくと。中国の乳製品需要の拡大を見込んで、他国での原料確保、製品製造に意欲を強めていて、これも新聞記事ですけれども、三月には内閣府の対日投資に関する有識者懇談会でこうした事業展開、日本との連携の構想を説明したというふうになっていますので、大変に私は心配しているんです。  実は、去年の八月にブルネイ交渉会合に行ったときに、ニュージーランドの首席交渉官と直接お話をさせていただく機会がありました。そのときに、私の方からは、もしTPPによって関税が削減されたり、撤廃されることになると、北海道は大変に大きな影響を受けるんです、日本がほかの参加国と違うのは、もうとにかく少子高齢化、もう人口減少が著しいんだ、北海道では農業が基幹産業ですから、農業が駄目になると地域の関連産業とか経済に大きな影響があるので、仕事がなくなれば若い人はどんどん都会に出ていく、高齢者だけ残ったのではもう町や村が成り立たないんだというお話をしました。  そうしたら、そのときに、大丈夫ですよ、私たちが北海道に行きますからと。北海道に行って、工場を造る、あるいは牧場をつくる、そして雇用を生み出しますというお話をしていました。北海道ブランドというのは、非常に信頼が高い、安全、安心で品質も高いということで、北海道という付加価値を付けた製品を作ってということなんでしょうか、どんどん世界に出していきますよというようなお話がありました。  私、これを委員会の中で言うと非常にインパクトが強くて、私とその交渉官だけのお話でしたから、ほかの方に聞いているわけではありませんから、地域に帰ったときには、そんな話をブルネイ交渉会合で聞いたんですよとお話をしていましたけれども、新聞記事が出て、やっぱりそうなのかと思いました。  何人かからの農業者の方に聞いてみたら、ニュージーランドの貿易相とかいろんな方が北海道にいろいろ入っておられていろんな方と意見交換をしているんですけれども、そういう中でも、北海道から世界に打って行くんだというお話を実際にされていたということも聞きました。そうなると、一体北海道のこれからの酪農はどうなっていくんだろうと考えるわけですね。  このフォンテラ社のホームページを見てみますと、日本が事業環境、投資環境として優位な点という項目がありまして、そこに、成熟化しかつ高度に洗練された日本の食のマーケット、先端を行くアクティブシニアマーケット、品質の高い製品をベースとした高付加価値市場、それから高い技術と熟練した経験を持つ労働市場というふうにあるんですね。  これはちょっと考え方としては発展し過ぎかもしれませんけれども、今酪農家がどんどん離農している中で、フォンテラが北海道に入ってきて牧場経営を始める。そうすると、今まで一人親方としてやってきた酪農家の方々、農家の方々を、一労働者としてというか社員としてというんですか、雇用するという形になっていくのかもしれません。それはそれで地域の雇用を守っていくという意味ではいいのかもしれませんけれども、今までずっと代々自ら酪農経営をやってきた人たちが企業に雇用されるという形で果たして本当に大丈夫なんだろうかという心配があります。  それともう一つは、北海道に入っていくとはいいますけれども、現行の法律で果たして、海外企業が日本の国内の農業に参入する、北海道に入ってくるということは可能なのかどうかということが非常に気になるんですけれども、この点をお伺いしたいと思います。
  139. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農業に参入するときに、農地を取得するということが一つのケースとしてあると思いますが、先ほどの農地法でございますが、農地の所有権を取得するということになりますと、これは農業委員会の許可が当然必要になります。それから、さらに法人の場合には、これも先ほど御議論になりましたが、農業生産法人の要件を満たしていないと、これは取得できないということになってしまいます。農業生産法人と認められるためには、構成員のうち農業関係者が総議決権の四分の三以上を占めるということが要件でございますし、それから法人の形態としても、株式会社であれば株式の譲渡について制限がなければいけません、あるいは農業者組織する農事組合法人でなければいけないと、こういうことになっておりますので、外国資本の法人が農地の所有権を取得することは実際上は非常に難しいというふうに考えております。
  140. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ただ、これから農政改革を進めていく上では、規制も緩和されていきますし、農地法の改正ということもあるかもしれません。あとは、TPPでどんなことが決まるかもよく分からないという中でこういう話が出てくると、ああ、もうまさにそういう方向に動いているのかなと、日本の企業だけではなくて、海外の企業までもが日本農業をターゲットにしているんだと。これをいいと判断するのか、いや、こんなのは駄目だと判断するのか、それぞれ考え方はあると思いますけれども、私たちはあくまでも農業を守るということよりも農家を守っていくんだと、今農業を続けている農家の方々をしっかり守っていくんだというスタンスで農業改革をしていくべきだと思っていますから、大変に心配であるということをお話ししておきたいというふうに思います。  済みません、澁谷審議官、もう終わりましたので。ありがとうございました。
  141. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 澁谷審議官、質問はないそうですから、御退席いただいて結構です。
  142. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それから、北海道の事情についてお話をさせていただきたいと思います。  北海道は、経済団体や連合もオール北海道でTPPに反対しているというお話をさせていただきました。それは、農業が駄目になったら北海道地域経済崩壊するということもありますけれども、あとは、半年近くも雪に閉ざされているという厳しい気候条件、ハンディキャップの中で長い間掛けて築き上げてきた農業、農産物の品質、それから味、安全、安心というところも含めて、これを何としてでも守っていかなければならないという強い思いがあるからなんです。  例えば稲作では、昨年、北海道のゆめぴりかが初めて卸値で新潟産のコシヒカリを超えました。品種改良を重ねた努力が報われて、ゆめぴりか、ななつぼしという特A品種を作ったんです。以前もお話ししましたけれども、十五年ぐらい前までは、もう本当北海道のお米はおいしくなかったんですね。北海道民ですら、スーパーに行っても北海道のお米は買わずに、やはりコシヒカリとかあきたこまちとか、そういうお米を買っていたんですが、もう今はシェアは九割を超えるということで、道民が本当北海道の米はおいしくなったと。やっぱり農家の方々の努力なんだなというふうに思いながら、うれしい思いでお米をいただいているわけであります。  それから、北海道が全国一の生産量を誇る農産物は数多くあります。午前中もお話がありましたけれども、砂糖の原料となるてん菜は、これ今もう北海道でしか生産しておりませんから一〇〇%です。それから、小豆やインゲンなどは九〇%を超えています。また、本当においしいおいしいと大変評価の高い北海道のジャガイモ、これは七八%であります。小麦も六八%。そして酪農も、全国の生乳生産の五二%、頭数規模ではEU水準を抜いてカナダに並ぶ世界第四位の規模となっています。最近は生鮮野菜の生産も増えて、この生鮮野菜に関しても生産量は全国一というふうになっています。  それから、これも午前中お話がありましたけれども北海道の輪作体系です。大臣北海道に足を運ばれて現場を御覧になり、農業者からこの輪作体系について何度もお話を聞いたことがあると思いますが、北海道にとってこの輪作体系というのがいかに重要であるかということに関して、大臣の御認識をまずはお伺いをしたいと思います。
  143. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この麦やてん菜、豆、バレイショ、これは北海道の畑作において輪作体系を維持する上で不可欠な作物というふうに理解をしておるところでございます。  農林水産委員会の決議でも、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの重要品目の聖域を確保するとされておりまして、聖域として確保すべきものはこの重要五品目などでございますので、五品目に限定されないと、こういうふうに理解をしております。この決議を踏まえて、しっかりと交渉に当たりたいと思っております。
  144. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 やはり、ほかの地域と比べて雪というハンディキャップがありますから、一年一作しかできないという中で、北海道の十勝では四年輪作体系を確立しています。この輪作というのは、言うまでもないですけれども、毎年同じものを同じところに作ると起こる病原菌や有害線虫、それから地力の低下など、連作による障害を克服するために、ジャガイモとか、それからてん菜、豆、麦の四年輪作を確立しました。輪作の本場のヨーロッパでも、この北海道の輪作体系はすばらしいということで視察に来るほど世界に誇れるものなんですね。  TPPによって、大臣からもお話ありましたけれども、この輪作体系の中にあるジャガイモ、てん菜、豆、それから麦、これ重要五品目の中に位置付けられているものでありますから、この一つでも欠けてしまったら輪作体系は成り立たないし、ほかのものを何か作ろうと思っても、もう作るものがないんですね。もう二十年、三十年という長い間この輪作体系を続けていますから、本当にこの輪作体系を守っていくということは重要なことであります。  また、実は先週、この時期ですけれども、雪が降りました。寒冷地のオホーツクなどは、白物三品と言われていますけれども、でん粉用のバレイショ、麦、砂糖の原料のてん菜、これを主に生産しています。このオホーツクでは三年輪作体系が確立していますから、十勝と同じように、一つでも欠けてしまうと、その影響というのは大変に大きいわけであります。  今、政府は高収益を得られる作物を自分で選んで自由に作れというふうにおっしゃいますけれども北海道にとっては特に雪のハンディとか、環境のハンディのあるところでは簡単なことではないんですね。結局は、作りたくても作れないということで競争力の弱い作物しか作ることができなかったと。  さらに、砂糖の関税が撤廃されたら、安い原料糖や砂糖が製品で入ってくることになりますから大変に影響が出るということと、それと、砂糖の関税が撤廃にならなくても、加工品や調製品が大量に輸入されれば、国産の砂糖が使われなくなっていって、てん菜の生産に影響が出るということであります。  北海道では、輪作だけではなくて、てん菜が作れなくなるといろんな影響が出まして、てん菜の生産額四百九十二億円、関連産業が九百八億円、地域経済一千三十一億円が減少し、一万九千人の雇用に影響するというふうに見積もられています。  例えば、先ほども製糖工場が北海道には八か所あるというお話がありましたけれども、製糖工場のある美幌町というところがありますが、この美幌町では、農業生産額百三十六億円の二〇%近くをてん菜が占めているんです。てん菜が作れなくなると、全町民約二万一千人のうち一割以上の雇用が失われる、約四百五十戸の農家うち三百戸以上が離農するのではないかという分析を町がしています。さらに、この製糖工場に勤める方々とか、それからてん菜を畑から工場に運ぶ運送業、あるいは工場機械の部品や故障を修理する業者など、こういった関連の産業地域経済は大きな打撃を受け、町が崩壊してしまうということであります。  こういった、北海道は他の地域と違った事情を抱えていることから、オール北海道で、とにかくTPPは北海道には大変に大きな影響があるんだと、何としてでもTPPは止めなければいけないんだという声が大きくなっているわけであります。  それから、午前中の参考人村田先生のお話にもありましたけれども、自給率の問題というのもあります。この自給率をどこまで上げることができるかということも政策の非常に大きな課題だというふうに思っております。このところ、この委員会でも何度か自給率のお話がありましたけれども、最近は、この自給率に対してどういう議論しているかということも新聞によく載っております。  この自給率に関しては、お手元に資料を配らせていただきました。カロリーベースとそれから生産額ベースの自給率であります。  これを見てみますと、北海道の自給率、カロリーベースでいいますと一七四%ということであります。二十三年は一九一%。生産額ベースで二〇〇%であります。十勝はカロリーベースで一一〇〇%ということでありまして、東京や神奈川などを見ると一%、二%ということで、いかに首都圏の食料を地方の町や村が支えているかということがよく分かると思いますし、カロリーベースの自給率の高いところは、北海道、秋田それから新潟ということでありますから、やっぱり米どころなんですね。  日本の今食料自給率が全体では三九%ということでありまして、これがなかなか上がらないというふうに言っているのにもかかわらず、高い地域の自給率を下げてしまうようなことに、今の政策方向性あるいはTPPはなってしまうのではないかということを大変に心配しているわけであります。  TPPで関税が撤廃されれば自給率は一三%まで下がってしまうということで、現行の自給率五〇%まで引き上げるという目標は非常に重要だというふうに思いますが、この点に関して大臣にお伺いしたいと思います。
  145. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えをさせていただきます。  委員御指摘のとおり、我が国の食料供給におきましては、地方の農業が大きな役割を果たしているというふうに認識をしております。したがいまして、TPP交渉におきましては、重要五品目などの聖域を確保するとの衆参農林水産委員会の決議をしっかりと守り抜くよう全力を尽くす考えでございます。  一方、我が国の農林水産業は、従事者の減少高齢化などが急速に進展する中、これはTPP交渉のいかんにかかわらず、その活性化を図ることは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。現場の実態を重視しながら、昨年十二月末に策定をいたしました農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、農林水産業の活性化を図り、食料自給率の向上を目指してまいりたいと考えております。
  146. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 現行の食料自給率を五〇%まで引き上げるという目標は、国際情勢、農業農村状況、それから、課題克服のための関係者の持てる資源の全てを投入して初めて可能となる高い目標ということでありますけれども、果たして最大限の努力をしてきたのかということでありますが、まだまだ努力は足りないと思いますし、できることもたくさんあると思います。そういった努力をしっかりとしていかなきゃいけないということを改めて申し上げたいと思いますし、それから、五〇%の目標を守るためにも、TPPにおける農産物の関税を最大限の努力をして守らなければいけないということも改めて申し上げたいというふうに思います。  来年の食料・農業農村基本計画の改定に向けて、農政審が五〇%を目指す現在の食料自給率目標が過大な設定という認識で一致したという新聞記事がありました。来年三月の決定を目指す新たな計画で目標を引き下げる見通しになったということでありますけれども、その方向性で検討していくんでしょうか。今の横山務官のお話では、自給率を引き上げるためにしっかり努力をしていくというお話でしたが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  147. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 将来にわたりまして食料の安定供給を確保することは、国家の基本的な責務でございます。国内農業生産の増大を図り、食料自給率、食料自給力を共に向上させていくことは重要というふうに考えております。  ただいま委員御指摘のとおり、次期の食料自給率目標におきましては、現在、食料・農業農村政策審議会において検討作業が進められているところでございますので、この検証結果を踏まえてしっかりと検討してまいりたいと思います。
  148. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 カロリーベース食料自給率、カナダが二二三%、オーストラリアが一八七%、アメリカが一三〇%ということで、日本は僅か五〇%ですから、先進国ではもう最低の自給率ということになっています。  今年の二月二十日に、全国の二十歳以上の者、三千人を対象に三年ぶりに実施された農林水産省の食料の供給に関する特別世論調査の結果の概要によると、有効回答数千七百八十一人中、カロリーベースの自給率が低いと考える人は約七割だということであります。生産額ベースの自給率を高めるべきだと考える人は約八割。食料又は少なくとも米などの基本食料は国内で生産する方がよいと考える人は約九割。食料自給力を高めるための取組が必要であると考える人は九割以上ということであります。この調査結果に関するお考えはいかがでしょうか。
  149. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 御指摘の特別世論調査におきましては、ただいま御指摘をいただきましたように、国民の食料に対する関心の高さが示されたものというふうに認識をしております。  一月二十八日に、食料・農業農村政策審議会におきまして、この食料・農業農村基本計画の見直しの検討を諮問したところでございます。三月の二十八日に、同審議会企画部会に特別世論調査の結果を報告もさせていただきました。今後の検討におきまして、この調査結果も活用してまいりたいと考えております。
  150. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 自給率の低下の要因でありますけれども、パンやそれから麺の普及で輸入依存度の高い麦類の消費が増大したこと。それから、肉類の消費量は一九六〇年に比べ五倍になり、牛乳の消費も四倍になりました。それにしたがって、トウモロコシを始めとする飼料穀物の輸入が増大。それから油脂類の消費が増大し、二〇〇四年の消費量は一九六〇年に比べ三倍以上になり、それに伴って油脂原料である大豆、菜種の輸入が増大。輸入自由化にも十分な対応をすることができずに、そこに高齢化担い手不足もあって日本農業は弱体化してしまったというわけであります。  これ、もっと早く、例えばパンや麦の普及で輸入依存度が高くなったといいますけれども、じゃ、どうやって米の消費を減少させないようにするのか、そういった政策努力をもっと早くするべきだったと思いますし、それから飼料穀物にしても、もっと自給率を高める、飼料穀物の自給率を高めるという努力だって、もっと早くやろうと思えばできたんじゃないかと思います。そういったやはり政策的な対応というか努力というのが足りなかったんではないかなということを改めて感じます。  そういうことでも、今のこの政策方向性ですけれども本当にこれからそういった政策方向性でいいのかどうかということを、もう一回この自給率という点からもじっくりと考えて検討した上で次のステップを踏み出すということが必要なのではないかというふうに思います。  そして、まずは、自給率の低い、小麦一二%、トウモロコシ〇%、大豆八%、こういった作目の自給率を上げる、この取組をまずはするべきだと思います。それから、一番今自給率の高い、ほぼ一〇〇%というこの米、米をしっかり守っていくこと。さらには、牛肉四二%、豚肉五三%、牛乳、乳製品六五%、こういったところにやっぱり自給率を下げないという努力をしていく。  自給率を上げるための努力をしっかりなさるということでありますから、やっぱり五〇%が高い目標であっても、こういう低いところの自給率をしっかり上げていくということは、取り組もうと思えばもう今すぐにでも取り組めることもたくさんありますから、ここをしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣のお考えいかがでしょうか。
  151. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) まさに、食料自給率、これまで低下傾向で推移してきた背景、今委員がおっしゃったように、食生活が変わってきて自給率の高い米の消費が減少する、自給率の低い畜産物等の消費が増加するということで、こうした食料消費の変化に国内生産の体制が対応し切れなかった、こういうことが原因であろうというふうに思っております。  したがって、我々、昨年の暮れにプランを決めさせていただきましたけれども、その中で、水田という生産装置をフル活用しながら、より、今まさにおっしゃっていただいた麦や大豆への転作を図っていこう、それから畜産物の自給率を高めるためにまさに餌米というものをどんどんと広げていこうと、こういうことをやらせていただいて、主食用の米に限定した一万五千円というのを振替拡充することによってより需要に見合ったものを皆さんにつくっていくという一連の改革、まさに今委員が御指摘のとおりの方向で改革を進めようとしておるところでございます。
  152. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 本当に言っていることはごもっともですし、そうしていただきたいと思いますけれども、じゃ、言っていることと実際がどうなのかというふうに考えますと、例えば、TPPにこだわりますけれども、TPPに参加をすることになって、関税が撤廃あるいは削減ということになればこういったところに影響が出ることはもう間違いないわけで、牛肉・豚肉もそうですよね、麦は大丈夫なのか、米は大丈夫なのか、雑豆は大丈夫なのかということを考えると、幾ら自給率を伸ばしていこうと思っても、もうTPPに参加してしまって、そして国会決議を守れないということになれば、守ろうと思ってもこれは守れないわけですから。ですから、これ、どうやって整合性を付けていくのかなというのがどう考えても理解できないんですね。  じゃ、やっぱりこの整合性を付けるためには、果たして今やろうとしている農政改革で本当に大丈夫なんだろうかと。もっと一つ一つ具体に、この自給率を上げるためにはTPPのことも考えた上でこういう支援が必要なんじゃないかということをもっともっとじっくり練り上げていくべきだというふうに思います。  先ほどの調査の話がありましたけれども、食料の生産、供給の在り方に対する意識は、外国産の方が安い食料について輸入する方がよいという方が五・一%。外国産よりも高くても、食料は生産コストを引き下げながらできる限り国内で作る方がよいという人は五三・八%。安ければいいと輸入食品を望む人はごく僅かであるということも国民の声ですし、それからまた、米の過剰生産のことを皆さん随分気にしておられますけれども、異常気象とか、それから紛争による混乱や輸出規制、あるいは人口増による食料不足も考えられます。やはり食料自給率をしっかり上げていって、食料安全保障を守るということをないがしろにしない、そういった強い農業をつくっていくということが大事だと思っています。  その観点からも、改めて申し上げますけれども、やはりTPPやこれからの農政改革ということをしっかりと考えなければいけないということ。そして、今の方向性が間違っていないのかどうかということもじっくりと検証しなければいけないというふうに思っております。  それと、もう一つ、先ほど確認すればよかったんですけれども、例のフォンテラの北海道の参入に関しても、これがもし具体的になっていくとしたらですが、例えばニュージーランド政府がお金を出して北海道の酪農家をニュージーランドで研修させるということですけれども、その研修の費用を何でニュージーランドに出してもらわなきゃいけないんですか。日本の政府が出して研修をしっかりさせて、その技術を広めていけばいいじゃないですか。
  153. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 徳永エリさん、時間が来ておりますのでまとめてください。
  154. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 はい。  是非、日本の政府がしっかりと、非常に日本で事業環境、投資環境として優位な点をフォンテラが指摘をしているわけですから、ここを日本の政府がしっかり生かしていくと、そういう姿勢で臨んでいただきたいということをお願い申し上げまして、時間になりましたので終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  155. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方から、まず一昨日、実は質疑の途中で積み残してしまった質問がございまして、是非その点からまずスタートさせていただきたいというふうに思っております。  法案の中身ですとか、そういったところではなくて、実は今日の午前中の参考人質疑にも大変関係のしてくるところでございます。一昨日、私、新たな農業担い手育成に関していろいろ御質問をさせていただきました。最後は、農業高校に在籍している方でも五%しか就農しない、そんなことも指摘させていただいたわけでありますけれども農業高校に在籍されている、また大学農学部にいらっしゃる方というのは、農業現場との距離は、実は一般の大多数の国民の方々からすれば相当近いところに実はいらっしゃるわけでありまして、そういう方たちを引き続き後押ししていく、これはこれで当然必要なわけですけれども、その他にももっと世間一般として今農業に対する関心が高まっている。  実際に、私のかつて銀行で働いていたときの上司ですとか同僚の中にも、早めにもう銀行は辞めてしまって農業に行こうと思っていると、こんなようなことを言っている人間は実は一人や二人ではありませんで、そういった方たち、これ実際に市民農園までは行くんですね。小さなところを借りて、何かまず作るところから始めてみようというところまでは足を踏み出される。でも、その先がやはり遠いんだなと。この関心をいわゆるなりわいとしての農業につなげていくところのハードルというのは大変高いんじゃないか。  そういった意味で、今日の午前中のこの質疑の中でも多々御指摘いろいろいただきました。初期投資に大変負担が掛かる、ここについてどうにかいわゆる支援していけないのか。あるいは、地域コミュニティーの中に結局一人っきりで入っていくということが大分壁が高い、ここをどうスムーズにつなげていくのか。様々、本当に有益な御指摘をいただいて、ここは引き続き、この就農者、新たな担い手をつくっていくというところ、自分自身でもよりまた研さんして、質問の中でも取り上げさせていただきたいなというふうに思っております。  そこで、まず一つ確認させていただきたいんですけれども、こういったいわゆる縁故がない、自分の親戚を見渡してみても農家ではない、そういった方たちが、またあるいは農業教育を受けてきたわけでもない、そういう本当に一般の方たちが、じゃ、実際に農業をやってみようかと思ったときに、基本的な農業技術あるいはこういう知識、経験、学ぶために、一般的にどのような手段があるのか、御答弁いただけますでしょうか。
  156. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 非農家の出身の方ですとか、農業教育を受けたことのない就農の希望者の方々、この方々につきましては、一般的には各県に置かれております農業大学校等の研修コース、これを受けるという方法がございますし、それから先進的な農業者あるいは農業法人のところで研修を受けると、こういった方法もございます。こういったことを通じて農業技術を習得していただいているということでございます。  こういった就農を希望されている方々の相談の窓口といたしまして、各都道府県では新規就農相談センター、これを設置をしておりまして、技術を習得するための教育機関ですとか、研修を受け入れる農家等の情報の提供を行っております。それから、就農希望者ですとか地方公共団体、農業法人等一堂に会した就農相談会、こういったものもやっておりまして、非農家の方々が農業に参入しやすいような、そういうことをいろいろ工夫をしております。農林省では、こういった就農相談窓口の設置等に対して支援を行いますとともに、実際に就農を目指して各県の農業大学校ですとか、あるいは先進的な農業者のところで研修に専念をしていただいている方には、青年就農給付金準備型というもので、一年間に百五十万円、最長で二年間お払いをするといったこともやっているところでございます。  今後とも、青年新規就農者が増大するように、新規の就農希望者に対しましてこうした情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
  157. 平木大作

    ○平木大作君 準備金の制度ですとか、様々実は支援する制度があるということでございました。農業大学校ですとかそういったところも動き出していて、実際にかなりの数の応募者があるところもあるようでありまして、本当にいい動きだなというふうに思っております。  一方で、基本はこれ行動の単位は各県であると。これ各地域性を生かして当然やっていくという意味でいいと思うんですけれども、一方で、各地域とのつながりのない人たち、いわゆる東京で生まれ育ってしまってそういったものが全くないという方もたくさんいらっしゃるというのも事実でありまして、何か一つ、各県の取組みたいなものをまた国がもう一つ窓口のようなものをつくって是非各県につなげていく、そんな動きも検討していくことをちょっとお願いしたいというふうに思っております。  こういういわゆる窓口、この広い底辺の部分をつくっていく、大きな今の国民の農業に対する関心を実際に就農につなげていくというところも当然大事で、もう一方で、既に就農されている方たち、ここのいわゆるスキルの底上げですとか更なる生産性の向上のため、これ何も農地を集約しなければいけないと、それだけではないというふうにやっぱり思っておりますので、こういう実際にもう就農されている方たち、これが、例えば昨今言われておりますようないわゆる経営感覚を学びたいですとかマーケティングの手法を学びたい、こういうときにも、実際に自分で今耕している田んぼがあったりするわけで、なかなか学校に行くということ自体が難しいというふうに思っております。  こういう既に就農されている方たち、彼らがスキルアップするための手段としてどのようなものがあるのか、御答弁お願いいたします。
  158. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。  既存の農業者が新しい作物の新品種に関する知見あるいは新技術等を習得するということは非常に重要なことだというふうに考えております。これにつきましては、これまで協同農業普及事業ということで国と都道府県が行っておるわけでございますが、都道府県に全国で七千四百五十七人の普及指導員といったものを置きまして、この方々によりまして農業者に対する技術、経営指導を行ってきているところでございます。昨今では農業者も非常に経営といいますか向上してまいりまして、二十四年度からでありますが、普及指導員のうち研究、行政との連携、あるいは先進農業者からの相談に十分応えられるようにするといったようなことで、高度な普及指導活動を行う農業革新支援専門員といったものを全国で六百二人ほど都道府県に配置しまして、協同農業普及事業の実施体制の一層の強化に今努めているところでございます。  また、革新的な技術の導入というものは非常に大事ですので、これは平成二十五年度の補正予算でございますが、研究者が農業者と連携して現地実証を展開する、攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業、大変長い名前でございますが、この事業を二十五年度の補正予算により新たに措置しているところでございます。  先ほど先生の方からお話ありましたが、これ以外に、経営感覚を養う観点から、やはり農業者が自らの経営改善に取り組むためのツールとして経営改善のためのチェックリスト、こういったものから成る経営指標といったものを農水省で公表しまして、自己点検を促すといったような諸活動を実施しているところでございまして、今後ともこうした取組について多方面にわたりましてしっかり推進していきたいと、このように考えているところでございます。
  159. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。こういう指導員の方がもう既に七千人以上も実際にいらして動いていらっしゃると。しかも、その中でもまたスキルの高い方たち、更に指導できるような方たちも輩出して今取り組まれているということでありました。  やはり、昨今、例えば田んぼの真ん中でスマホの画面見ながら生産管理していたりですとか、そういったすごく特徴的な、非常に先進的なものがどうしてもメディアに取り上げられると。現場の方は、実際ああいったものを見て、何か大分遠い星の話みたいだなというやっぱり受け止め方の方も大勢いらっしゃるわけでありまして、そういったときに、従来のやり方を頑張るということも一つの選択肢としてあるわけですけれども、そういったところに手が届く、やる気があってその能力もある方たちについてはどんどんこの先進的なものを学べるようにしていくという体制を国としてもしっかり整えるべきであるというふうに思います。  そういう意味では、今この指導員の皆さん頑張っていらっしゃると思うわけですけれども、日進月歩でまさに今技術革新が行われている分野ですから、指導する側も常に研さんをし続けて、またスキルアップしていかないと、今度、先進的な方からの要望に応えられなくなってくると。ここについては、是非とも今後とも力を入れてお取組をお願いしたいというふうに強く要望いたします。  以上で先週の積み残し、一旦ここで終わらせていただきまして、これからは私も、先ほども質疑の中にございましたが、規制改革会議の提言に関して幾つかお伺いをしていきたいというふうに思っております。  この改革会議の提言書ですね、公明党の中でも実は今大変波紋を呼んでおります。実際にこの提言の内容をどう受け止めるべきかということをまさに議論している最中でありまして、そういう意味では、なかなかこの一つ一つの内容について是とすべきか非とすべきかというところ、大分党内でも難しいなというところで今意見が割れていたりするわけですけれども、全般として、受け止め方としては、やっぱり大分急進的な提案だなということ、ここは一同に思っているところであります。  私自身は、規制改革というのは、これは農業の分野も含めてしっかりやるべきところはやっぱりやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますし、また、アベノミクスの第三本目の矢、これ本当にいろんな説明の仕方があるわけですけれども、私は規制緩和がやっぱり中心なんだというふうに思っています。  そうする中で、大いにこれ議論をしていけばいいなというふうに思っている反面、やっぱり改革案というのは、大胆であればあるほど、特に今の、既存の秩序をある意味がらがらぽんと変えてしまうような案であればあるほど、それはやっぱりそれが降ってくる現場の方の納得感がなければいけませんし、大きな改革をしようと思ったら、やっぱりそれは慎重に漸進的に進めていかなければいけないというふうに思っておりまして、この出てきた案についても、そういった意味でよりそしゃくが今必要なんじゃないかというふうに考えております。  そういった意味では、一つ一つの内容について今日その是非を問うというよりは、一体どういう議論の経緯であったり話合いの結果この結論に至ったのかと、そういったところを順次確認をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、一つ目の問いなんですが、この規制改革、この法的な位置付け及びその権限がどのような形で定められているのか、また提言の内容について、これは先ほどもちょっとありましたが、今後どのように議論を進めていくのか、この点について御説明をお願いいたします。
  160. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) お答え申し上げます。  まず、規制改革会議の法的位置付けでございますが、規制改革会議は内閣府本府組織令に基づき設置されておりまして、同令第三十二条の規定により、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革について基本的な事項を調査審議し、内閣総理大臣意見を述べることとされております。  それから、今後の取扱いでございますけれども、今後、政府におきまして、農林水産省や与党との議論、調整を踏まえまして、六月に向けて具体的な農業改革の推進について規制改革実施計画に反映することとしたいというふうに考えておるところでございます。
  161. 平木大作

    ○平木大作君 しっかり法令の中に定められた会議であるということを今確認させていただきました。  これ、要するに私的な懇談会とは違うわけでありますよね。昨今はこの私的な懇談会の報告書自体も大分世論をいろいろ喚起しているわけですけれども、公的な、法律の中にも定められた上でのこの審議会で、あるいは諮問会議でありますので、これ当然、メンバーの人選ですとかそういったところは非常に公正中立を期したものが求められるというふうに考えるんですが、この点はいかがでしょうか。
  162. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) お答え申し上げます。  規制改革会議の委員及び専門委員につきましては、規制改革会議令第二条第一項及び第二項の規定により、委員については優れた識見を有する者のうちから、専門委員については当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命することとされておるところでございます。  農業ワーキンググループを構成する委員及び専門委員につきましても、上記の規定に基づきまして、企業経営者、弁護士、それから農業者農業経済学者等の方々にメンバーとなっていただき、幅広い観点から御議論をいただいたものと認識しております。  ちなみに、農業ワーキンググループは、委員五名と専門委員五名で構成されておりますけれども、専門委員五名のうち三名が農業者、それから一名は食品会社農業経営部門の役員の方、もう一名は農業経済学者の方でございます。それから、委員五名のうち一名は農業経営者育成等を行う一般社団法人の理事長の方でございます。そのような構成になっております。
  163. 平木大作

    ○平木大作君 この提言の中で、これ、先ほども山田修路委員の方から提言自体が配られております。この頭書のところ、例えば最初の三行を読んでいきますと、我が国の農業を取り巻く環境は厳しい状況にあり、農業者高齢化や次代の後継者問題、受け手を必要とする遊休農地や耕作放棄地の増加など、農業をめぐる環境は危機状況にあると言えると。この課題認識が三行にまとめてありまして、ここについて多分異論のある委員というのはこの委員会の中にもいらっしゃらないんじゃないかというふうに思っております。  次の四行が恐らく一つのゴールについて示したものでありまして、この中では、こういった課題を克服して、競争力ある農業、魅力ある農業をつくり、農業の成長産業化を実現するんだと、このようなこともいろいろ書いてありまして、ゴールについてもさほど違和感がないんですね。  この課題認識があって、こういうところを目指していこうという方向感も合っていて、その上で、じゃ結論が何だったのか。出てきているものが要は非常にはっきりクリアでありまして、農業委員会、それから農業生産法人、農協、この三つの改革が必要なんだという結論であります。  ここがちょっと、いわゆる最初の課題認識からどうするとこの結論に至るのかという部分が分からない。この提言書の中に要は書いていないだけですということもあるんだとは思うんですけれども、この辺、いわゆるこれまでの議論も踏まえて、どうしてこの三つが最終的に解になるのか、経緯を御説明いただけますでしょうか。
  164. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) お答え申し上げます。  規制改革会議農業ワーキンググループは、昨年九月から、競争力ある農業、魅力ある農業農業の成長産業化の実現を図るとの観点から農業に関する検討を開始してございます。具体的には、農業関係団体や学識経験者からヒアリングを行うとともに、過去の累次の農業に関する規制改革の答申の整理や分析を行ったところでございます。  これを踏まえまして、昨年十一月には規制改革会議として、今後の農業改革の方向性についてというものを決定していただきまして、既存農業者や新規参入者、農業団体や企業等の意欲ある主体が、地域や市町村の範囲を超えて精力的な事業展開を図る必要性などの基本認識が示されたわけでございますけれども、その今後の農業改革の方向性についての中で農業委員会農業生産法人、農業協同組合の三つを柱として早急に農業改革に取り組むべきとの提言が行われたという経緯でございます。  その後、農業ワーキンググループは、農業関係団体や農業者からのヒアリングを引き続き行いまして、先般、本年五月十四日に、農業ワーキンググループとして農業委員会農業生産法人、農業協同組合の三つを柱にした農業改革に関する意見の取りまとめに至ったと、こういう経緯でございます。
  165. 平木大作

    ○平木大作君 今のお答え自体は、なぜという部分よりは、どちらかというと、これまで議論してきた中で、もう半年ほど前でしょうか、にある程度この三つに絞り込んでいたんだという話でありました。  ちょっと時間の関係で、いろいろお伺いしたいところもあるんですけれども、次に移らせていただきます。  この三つの提言のうちでも、やっぱり今一番波紋を広げているのは農協改革の話なのかなというふうに思っております。提言の内容は、農協の改革というよりはもう解体に近いような話でありまして、やはり一番まず心配するところは、これ農協のいわゆる今関係している方たち、組合員の方たち、こういう方たちがどう受け止めているのかというところであります。  これ、そもそも、先ほどもございました、会議の中に実際に農協の方もいらしていろいろヒアリングをしているということでありましたけれども、実際にこの改革案自体、こういった声というのは、ヒアリングをされたその当事者の方たち、JAの組合員の方々や農業者の方たち、こういったところから出てきているものなのかどうか。また議論に対して、こうした当事者はどの程度、いろいろ呼ばれているということでありましたけれども、どの程度参加して、またこの改革案に対してどのような反応があったのか。これについてお答えいただけますでしょうか。
  166. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) まず、ヒアリングをいろいろしてきておるわけでございますけれども、ヒアリングの当事者から、例えば中央会制度の廃止等の意見があったかということにつきましては直接そのような御意見はございませんでしたが、規制改革会議農業ワーキンググループが意見を取りまとめるに当たりましては、先ほども申しましたように、現場農業者や若手の新規参入者、独創的な取組を行っている単協等に対するヒアリングを行ってまいったところでございます。  その上で、中央会制度の廃止につきましては、各農協が地域の多様な実情に即してそれぞれの独自性を発揮し、自主的に地域農業発展に取り組むことができるように、中央会主導から各農協、単協を中心に系統を再構築することを狙いとして、ワーキンググループとして御提言をいただいたものというふうに理解してございます。  それから、全農の株式会社化につきましては、農業者の利益増進を実現するため、全農がグローバル市場における競争に参加する必要があると農業ワーキンググループにおいて認識されておられまして、全農がグローバル市場に進出するためには株式会社化することによりバリューチェーンの中でより大きな付加価値を獲得できる組織とすることを狙いとして御提言をいただいたものというふうに受け止めております。
  167. 平木大作

    ○平木大作君 ここまで伺ってきまして、基本的に今日は議論の経緯だけお伺いしますよというふうに申し上げたわけですけれども、ある意味、メンバーの構成は非常にバランスが取れているんですと、広く学識経験者なり様々各界の方に参加していただいて議論しました、課題認識についても方向性についてもある程度一緒ですということでありました。そして、今後の目指すべきところ、農協の在り方についても、様々問題はあるわけでありますけれども、例えば各地域の特性を生かしていきましょうという話、あるいはグローバルサービス市場の中でどういう存在感発揮していくのか、そこまで全くずれていないと。それでいて、出てくる結論は大分やっぱり我々と違うなというのを正直にまず思った次第であります。  この点について、例えば私も農協の現場の方にいろいろお話を伺う中で、資材費が高いんだとか、そういう様々具体的な声みたいなのをよく伺うわけですけれども、やっぱりもう一度この改革案を持っていって、これで本当現場は大丈夫なのかということ、ここについてはしっかりと私たちのこの委員会の中でも検証させていただきたいというふうに思っております。  もう時間がなくなってまいりました。最後に、じゃ一点だけ、ちょっと質問を幾つか飛ばしましてお伺いしたいというふうに思っております。担い手の将来像について、最後、お伺いしたいというふうに思っています。  結局、提言の全体像として、いわゆる企業などの新規参入者を担い手の中核と位置付けているように私には見受けられます、読めてしまいます。そうじゃないというふうには書いてあったりもするんですけれども。最終的に、いわゆる農業委員会を改革して農地を取得しやすいようにしていこう、農業生産法人については敷居を低くして株式会社ですとかそういったところが入っていきやすいようにしよう、そして今の農業の流通の核を担っている農協を解体して、また新しい秩序をつくっていこうと。この三つを併せて読むと、やっぱり今営農されている方たちというところの視点がすぽっと抜けているんじゃないかというのが正直なところであります。  こういったところ、いわゆる、私は株式会社の参入も含めて結構前向きに基本的には考えている方だとは思うんですけれども、一方で、既存の農業者担い手の議論というのは一体どういうふうになされたのか、この点最後、教えていただけますでしょうか。
  168. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) お答え申し上げます。  規制改革会議農業ワーキンググループが意見を取りまとめるに当たりましては、これまでも申し上げておりますように、いろいろ精力的な取組を行っております単位農協ですとか、それから市民団体等と連携をして耕作放棄地対策に精力的に取り組んでいる農業委員会、それから新規に農業に参入した若手農業者等、多くの農業関係者との意見交換を行ってお取りまとめいただいたものでございます。  これらの意見交換を踏まえまして、今回の意見に先立ちまして、四月八日に同ワーキンググループにおきまして農業改革の基本的視点についてという文書を取りまとめていただいておりますけれども、その農業改革の基本的視点についての中におきまして、「農業全体の生産性を維持・向上させるため、農地農地として活用できない状態で将来に渡さない」ですとか、「土壌から食卓まで、現場から世界までのサプライチェーンに存在する付加価値を最大限現場に取り込みつつ、コストを見える化し、農業者の所得向上につなげる」ですとか、あるいは、「多様な主体の新規参入を取り込み、大先輩と若者、地域と域外参入者や農外企業といった多様なコラボレーションを実現させ、経営革新と技術革新を目指す」といった農業者の所得の向上や農村の将来像に関わる視点も書かれているところでございます。  今回出されました意見は、こうした視点を踏まえましたものでございまして、企業を担い手の中核と決め付けているわけでは決してございません。既存の農業者の方も含めまして、もちろん、農業者の所得を向上させ、農村を繁栄させるためにいかなる政策が適切かという視点からお取りまとめいただいたものであるというふうに考えております。
  169. 平木大作

    ○平木大作君 時間が参りましたのでもう終わりますが、やはりこの農業、当然規制改革会議ですから規制についていろいろ提言されているわけですけれども、最終的に、農業を論じる上で、この担い手の顔が見えない、将来像が見えないような形の提言であるとなかなか現場に実際に受け入れられないんじゃないかと。この視点はとにかく忘れずに今後の議論を引き続き是非検討いただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  170. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会・結いの党の儀間でございます。  私も先日の質問を少し残しておりまして、そのままパスして今日の質問に入ろうかと思ったんですが、今日実は午前中に四名の参考人の先生方をお招きして、ちょっと議論いろいろ聞いてみたんですが、あっ、やはりこれやっておこうと、こういうような気持ちに変わりましたので、残された最後のものを質問させていただきます。  なぜなら、この二法案についてかなり手厳しい意見、あるいは要求したけど通らなかったというような話等々含めて、横山務官おられたから後で逐一お聞きいただければいいと思うんですが。  農業の有する多面的機能発揮の法案に関しては、今朝の質問は主に担い手の方だったんですが、政策立案のプロセスで、これまでも何回か私指摘をしてまいりましたが、その法案は、地域の活動を支援する地域コミュニティーの法案です、地域政策ですね。これも含めて、担い手も含めて、法律を作るときの導入のときのプロセス、これを少ししっかりやってほしいなというふうに思ってのことであります。  つまり、法律現場で生かされ活用されなければ生きた支援政策にならないわけですよ、これはもう知ってのとおりでありますが。今日の指摘にもありましたね、価格は市場で、所得は政策でというようなこともございましたが。そういうことで、どうしても現場対象にならなければなりませんが、こういうことに少し欠けたのかなというような思いが午前中いたしました。  そこで伺いますけれども、同法案が現場で十分に機能し現場で十分に効果を上げられるように、これからは政府、地方自治体、現場も含めた皆さんが一体となって取り組んでいかないというとどうも政策が生きてこないのではないかというような心配がありました。もちろん、現場から要求のある、申入れのある一〇〇%吸収することはないにしても、次に担い手が就けるような、今回はできなかったけれども、次に頑張ってもらって、次に結果が出なければまた手当てもしますよというような、現場側と法律を書く皆さんとがコミュニケーションを密にしていかなければ、これはなかなか現場も大変ですよと。  一〇〇%オーケーという法律はないのでありますが、地域によって異なりますから、ないのでありますけれども、やはり、次、頑張れば次何とかできるよという、夢と希望の持てることをやっておかないというと担い手がなかなかやってこないというふうに思うんですが、これについて少し御答弁をいただければと思っています。
  171. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 多面的機能法案の観点からお答えいたしたいと思います。  多面的機能支払制度についてでございますけれども、今、現場とのコミュニケーションというお話が先生からございましたが、私どもこの立案の過程で、地方自治体等に対する説明会等の開催に加えまして、現場からの御質問等に対しましてQアンドA集を作成して配付すると。またこれも、それを配付したその反応といいますか、現場からのお問合せ等も踏まえて、逐次改定をして作成して配付をするといったようなことを行いまして周知を図るとともに、お問合せの窓口を設置して、農業者の方あるいは県市町村の方、関係団体等からの御質問への随時の対応を行うといったことをやってまいりました。このような形で農村現場への制度の丁寧な説明に努めてまいったところでございます。  また、今回法案を御提出申し上げておりますので、この二十七年度からの法制化に当たりましても、こういった地方自治体の担当者ですとか農業者の方々を対象に、現場でこの制度の運用、事業の申請等に当たって参考になるようなそういう資料を更に作成をする、あるいは制度の仕組みや考え方等について改めて丁寧に説明をする。それから、都道府県や市町村の方で実施されるような説明会等に国の職員を御要請に応じて派遣をして丁寧に御説明をするといったようなことを行いまして、広く現場制度を御理解いただいて、適切な円滑な運用が図られるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  172. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  多面的機能関連についてはさほど指摘もなかったし問題はないんですが、担い手の方でかなりの指摘がありました。例えば、なぜ米はゲタを履かさなかったんだとかというようなこと等も具体的に指摘がありましたし、ある学者は両方否定的な面もありましたしということで、鈍感力のたくましい私でさえ、少し危機感を持ったというような感じがいたしてならなかったのであります。  さて、質問は今日の方にいよいよ移ってまいりますが、ずっと、二法案出てから、米だけの、海外市場展開だけを追っかけてまいりましたが、今日は少し別の視点からやっていきたいと思うんです。果樹関係の、これもまた、私、海外マーケットについての話になっていきますけれども、関連をお聞きしていきたいと思います。  これまで長年にわたり、私ども日本人が育んできた食文化に対する熱意や取組が高く評価をされまして、メード・イン・ジャパンのブランドイメージは諸外国に本当によく定着をしております。ずっと言い続けてまいりました。それは、おいしさ、安全性、見た目の良さなど、高く評価されていることは全ての皆さんが御案内のとおりであります。私もこれまで、今申し上げたように米ばっかりでしたが、今日からは少し視点を変えて、特に青果物について触れていきたいと思いますから、どうぞひとつこれからの質問に御見解をいただきたいと存じております。  問い一でありますが、農林水産省が定めた農林水産物・食品の輸出総額、一兆円戦略を拝見いたしましたが、戦略として承知をいたしました。また、よく希望を持てるなと、こういうふうにもなりましたが、ただ、その戦略としての目標の達成には、よく資料でもって分かりましたけれど、今度は戦術面でいかにして市場を獲得していくか、海外でですね、それにつけてはもう一つ戦術としての細かさに欠けているんではないだろうかと。大まかな数字は出てまいりました。あるいは、二〇二〇年度、オリンピックの年でございますが、それまでの数値目標は出てきたんですが、具体的に何年からスタートして、量で幾ら、金額で幾ら、どの国々というのがちょっと見えてこないことから、それは一体どうなっているのかをひとつ聞かせていただければと思っています。
  173. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。  輸出促進のための戦略につきましては、前回の御質問にお答えさせていただきましたけれども、この戦略の中で、例えば水産物、それから米、米加工品、青果物、牛肉、茶といった、こういった日本食を特徴付ける品目を重点品目と位置付けまして、これらの食品、食材を食市場の拡大が見込まれるASEAN、EU、ロシア、中東等の重点国・地域へ輸出することによりまして、二〇二〇年までに輸出額一兆円を達成していくという、そういった目標を立ててございます。  また、この目標達成に向けては、品目やその輸出先国・地域によって状況は異なるものの、大きくは、まず原発事故に伴い導入された各国の輸入規制の緩和、撤廃に向けた働きかけや、EU、HACCPやハラール認証取得等の相手国が求める基準や認証の取得を行うことによりまして、輸出したいものを輸出したいところへ出せるようにする。また、ジェトロ等との連携強化を通じまして、輸出に取り組む事業者への情報提供ですとか、国内外での商談会、見本市等を開催することで事業者のサポート体制を強化するとともに、産地間連携による周年供給体制の構築など、商流の確立を図っていくこととしているところでございます。  また、この輸出戦略につきましては、毎年、実施状況評価して改善していく、いわゆるPDCAサイクルに基づいて検証していくこととしているところでございます。  このため、農林水産物・食品の輸出の促進に向けて関係者一体となった取組を推進するために、平成十七年度に立ち上げられた農林水産物等輸出促進全国協議会の下に品目別マーケティングの在り方や輸出の取組の検証を行うために、関係府省や輸出に取り組む事業者の団体等により構成される輸出戦略実行委員会を本年六月に設置をする予定でございまして、こういった取組で、先生おっしゃいました戦略の下の戦術もしっかりと掲げて、一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  174. 儀間光男

    ○儀間光男君 輸出主要品目、八品目、このうちで、一二年度で四千五百億円、二〇年度で一兆円と、こういうことであって、個別のものがまた出ておりまして、私は、冒頭申し上げましたように、今日は青果物、その中のリンゴ、これを取り上げてちょっと市場への展望を試みたいなと、こういうふうに思っておりますから、どうぞ御答弁の方もよろしくお願いしたいと思います。  リンゴ、恐らく国内の自給率は一〇〇%でしょう。しかも、日本のリンゴは、いつも言うんですが世界一、日本のものは全部世界一と僕威張っているんですが、リンゴも世界一ですよ。  それで、日本のリンゴの主要輸出国は台湾とシンガポールで、その輸出総額の九割を占めております。したがって、ここはなぜここまで、九割を占めるまで台湾やシンガポールに日本のリンゴが受け入れられるようになったのか、その主たる要因は何だということで理解されているか、その辺をお示しいただきたいと思います。
  175. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 今、儀間先生からの御質問にございましたリンゴでございます。  我が国のリンゴの輸出量でございますが、これは台湾も含めまして全世界でございますが、平成二十二年が二・一万トン、二十三年が一・八万トン、二十四年が九千トン、二十五年が一・九万トンということで、二十四年に一万トンを割ったわけですが、二十四年は国内でのリンゴが不作だったということで一万トンを割りましたが、二十五年はまた一・九万トンということで、二万トン台に近づいておるといったような回復傾向にあるところでございます。  先生お問合せの輸出量が回復している要因でございますが、一つは、やはり産地におきまして輸出向けの安定供給が図られるよう産地での作柄の安定技術の徹底を図ったということ、それともう一つは、東南アジアといいますか、台湾や何かでそうなんですが、新しい需要の掘り起こしということを進めていまして、従来から人気がございますサンふじあるいはふじといった赤い品種に加えまして、現地の方でやはり縁起がいいというようなことで評判が高まっております黄色い品種、品種名トキと申しますが、こうしたものの販路拡大を進めてきたといったこと、それと台湾で需要が高まる旧正月に向けまして業者や輸出関係団体が一体となりまして販売促進活動を徹底したといったこと、それと二十五年からはやはり為替相場が円安基調に転じたといったようなことが回復要因というふうに考えているところでございます。
  176. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  とにかく台湾、シンガポールで、皆さんの戦略を見ますというと、東南アジアを中心に、あるいはEU、それからロシアなどなど海外に多くの戦略目標を持っておるんでありますが、これは、特に東南アジアなど赤道の上下の国々はいわゆる落葉果実はできないわけでありますから、これは非常に季節的なものとしても市場としては大きく望めるところなんですよね。したがって、私は、戦術をしっかり持って、戦略はできましたから、トライする戦術をきちっとやっていけば大変なものになると思うんです。    〔委員長退席、理事猪口邦子君着席〕  そういうことで、これにはマーケットリサーチして戦術を組んでいかなければなりませんが、このリサーチをされて、市場へ乗り込む場合の先導役は一体どこがやっているのか。リサーチは恐らくジェトロだと思うんですが、含めて、この辺をちょっとお示しいただきたいと思います。
  177. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今まさに委員がおっしゃっていただきましたように、世界の食市場が三百四十兆から六百八十兆、十年で倍増と、こういう推計がされる中で、アジアは三倍ということでございます。  先ほどの目標額でも触れていただきましたけれども、実際の我が国の農林水産物・食品の輸出額も、この十年で三千六百九億から昨年は五千五百億まで五割増加しておりますが、今お話のあったASEAN、これは二〇〇四年の三百五十五億から二〇一三年の千億ということで、三倍に増えております。更なる市場拡大が見込まれるということでございますので、更なる促進のためにマーケティングをしっかりとやるという視点が重要だと思っております。  したがって、二十五年度から、ジェトロを通じてマーケティング調査等を実施した上で、海外で実際にビジネスを行っている方、これを海外のコーディネーターということで主要な海外事務所に配置をしまして中小企業からの相談対応等を行うこととしております。二〇一三年に二十一か所で三十名ですが、アジアは十一か所に十四名ということでございます。  それから、商社のOB等、私なんかも商社のOBであるわけですが、輸出プロモーターということで国内に配置をしまして有望事業者の発掘、育成等を行うと、こういうことをやっておりまして、従来より商談会やったり見本市に参加したりということをやっているわけですが、これに加えて、今みたいな、まさに先兵とおっしゃっていただきましたけど、具体的に切り込んでいく、こういう方を加えて、総合的なビジネスサポート体制、これを組んで積極的に進めておるところでございます。
  178. 儀間光男

    ○儀間光男君 今大臣おっしゃられたジェトロも含めて商社OBなど、いわゆるプロモートする方々が十一か所で十四名もつくられたと、こういうことでありますが、これは直接の雇用は商社になるんですか、あるいは何かプロジェクトチームを政府がつくって派遣をしていくとか、そういう形になっているのか、その辺、ひとつお示しいただければと思います。
  179. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、これはジェトロの主要な海外事務所に配置をし、また、この輸出プロモーターもジェトロの、どういう形態になっているかちょっと詳細あれですが、ジェトロとしてやっていただいている、ジェトロと連携強化を通じてやっていっていると、形式的にはそういうことでございます。
  180. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  この辺をきめ細かく、それからタイムスケジュールを作ってやっていかないというと、後ろが二〇二〇年と決まって、一兆円と決まって、青果物では二百五十億と決まっておりますから、これを達成するプログラムを作るべきだと思いますが、これへの準備など、あるいは作られているのかどうか、この辺はどうなんでしょうか。
  181. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 先生御指摘のプログラムとかという話でございますけれども、今後は、この輸出促進、今オールジャパンでやろうとしていますけれども、輸出促進の司令塔を設置して、品目別のマーケティングの在り方とか輸出の取組の検証を行いつつ輸出戦略を速やかに実行に移して、日本食文化の普及ですとか、それから輸出環境の整備、こういったことを進めてまいりたいと思っております。
  182. 儀間光男

    ○儀間光男君 国家戦略、これ見てみますというと、食文化、食産業のグローバル展開の戦略を見てみますと、過日、林農林大臣が説明のありましたFBIですね、メード・フロム・ジャパン、それからメード・バイ・ジャパン、メード・イン・ジャパンというFBI戦略が出ておって、これ、全国の協議会の枠組みを利用してこれをやるんだというようなことのように印象として受けるんですが、そうだとすると、協議会なるものはどういう形のものが置かれているのか、ちょっとお示しいただけませんか、それを御説明をいただきたいと思います。
  183. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 既に全国協議会というのはできておりまして、私も輸出促進協議会というものの総会、昨年行ってまいりましたが、その下に戦略実行委員会というものをつくりまして、これはこの委員会だったか衆議院の委員会だったか忘れましたけれども、例えば先ほどリンゴのお話がありましたけれども、青森のリンゴというのがもう先にブランドになっているわけですが、まずオールジャパンとして、日本のリンゴということで取り組むということも大事でございますし、それから産地別に、日本は南北東西に長いので、周年の供給体制なんかを組むとサプライが一定してくると、こういうこともございまして、品目別に全国協議会をつくって、それぞれの品目の中でも、県別に競争するのももちろんやめろというわけではございませんけれども、その中で、全国が一つになって、ジャパン・ブランドとしてそれぞれの品目をどうやっていくかと、これをやっていこうということを今度新しくつくっていこうと。  こういうことで、まさに、政府がまず、先ほど輸出できる体制ということがありましたが、その次に、実際に商流につながっていくということをきめ細かくやってまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  184. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう時間がありませんから、これが最後になると思いますが。    〔理事猪口邦子君退席、委員長着席〕  やはり、こういうことを成功させていくには、生産者あるいはそのバックボーンたる農協、農業協同組合、あるいは政府が指導する部署等々含めてバランスよく進めていかなければなりませんが、ここをちょっとチェック入れてほしいと思ったら、資料見ましたらありますから少し安心しましたが、プラン・ドゥー・アクト・チェック、PDAC、やはり、プランニングをして、それを何というんですか、行動して、あるいは検証を加えて更にプランニングをしていくというようなことが大事なことであることから、是非ともその目標目標年度まで……
  185. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 儀間光男さん、時間が来ておりますので、おまとめください。
  186. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、終わります。  目標年度までに達していただきますように期待を込めて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  187. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。よろしくお願いします。  今日は、TPPそれから農協改革ということで、私の方が一番これまで力を入れて一生懸命やってきたことを質疑させていただきたいと思います。  この問題、非常に質疑するには複雑でありまして、こちらの政府側を見ると推進という立場で、我々も一致しておるんですが、やっぱりこちらの委員の御意見を聞いているとなかなか厳しい意見が多いということで、同じ与野党でありながらという、ちょっと複雑怪奇な私にはなかなか理解しにくい状況にあるなと思いながら、しっかり大事な問題ですので質疑していきたいと思っております。  まず感想から、規制改革会議に関しては、いろいろ厳しい意見出ましたが、私からしますと、これまでの委員会で、いわゆる農業委員会の件、それから法人、農業生産法人の件、農協の件、ずっと質疑してきた内容ですので特段違和感はないんですが、農協に関しては、特に中央会の廃止ということに関しては私も見てびっくりしたということでありまして、是非これは、一つ意見として政府まとめ上げられるんであれば推進していただきたいなということを最初申し上げておきたいなと思っております。  さて、中身に入っていきますが、まずTPPに関して触れていきたいと思います。  今回のシンガポール閣僚会議、先ほど澁谷審議官の方からも随分触れられましたんで、ちょっと別の観点でいろいろお伺いしていきたいと思いますが、チェックインミーティングということで呼びかけがあったということで、大筋合意は予定されていなかったということでありますが、この閣僚会議の評価ということになりますと、新聞でまたいろいろ、まちまちであります。夏には大筋合意だということがまたもや載っておりますし、まだまだだという意見もあります。  今日はちょっと視点を変えて、海外ではどう受け止められているのかといった辺りについてもお伺いしたいと思いますが、海外のマスコミの論調ですとか、あるいはこの委員会の中でもTPPの問題についてはほとんど情報が出ないということで、我々、逆に推進派としてもちょっとこれでは農政の現場が混乱するんではないかということを述べさせていただいているんですが、海外の受け止め方等含めて内閣府としてどのように情報を把握されているのか、考えていらっしゃるのか。よろしくお願いします。
  188. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) TPPの海外でどのような評価を受けているかということですが、大変難しいのは、日本のようにTPPの交渉で一面に毎日出るような、そういった報道ぶりはほかの国では見られません。特にアメリカにおいても、TPPというその言葉自体が一般的に浸透していないということもありますので、新聞記事になるときもTPPではなくて、例えば一般論的な表現の仕方で、アジア太平洋地域における十二か国における自由貿易交渉だとか、そういった形での表現ぶりもよく見られるぐらい、恐らく日本での報道の過熱ぶりと、また毎回の閣僚級の会合、また首席交渉官の会合が外国、シンガポール等で行われるときに、現地に取材に行く報道陣の数、こういったことも日本側は突出をしている状況であります。  そういった中で、例えば今回のシンガポール会合の後にオーストラリアのロブ大臣におかれましては、日米協議の前進を評価をして、日米協議が前進したことはTPPの道筋に明確化をもたらすものであると。そして、この二日間というのは、シンガポールでの二日間ですけれども、意義のある前進があったし、モメンタムが感じられたと、甘利大臣とフロマン代表の協議の結果はこれらの会合に大きなモメンタムをもたらしたと思うと、そういった発言をされていたり、また、フロマン代表におかれましても、ホーチミンのCN会合、首席交渉官会合で前向きな議論が行われ、全体の交渉にモメンタムが生まれていると、そういった記者会見での発言もあったところでございます。
  189. 山田太郎

    山田太郎君 私も海外のメディアは少し見ているんですが、ほとんど触れられていなくて、逆に言うと日本から見ていると盛り上がりに欠くというようなところも正直見ています。安倍総理は最終局面だということをおっしゃられるわけですが、本当に最終局面なのかどうかということはこの質疑の中でも何度もたださせていただいています。  今、小泉政務官の方がおっしゃいました、共和党やフロマン代表の議会証言ということを言っているんですが、一方で、オバマ大統領のお膝元の民主党が実は反対しているんじゃないかと、こういった報道もございまして、一体全体どうなっているのかと。まさにこのTPA法案が結ばれるかどうかというのがセットでこのTPPは非常に重要だというふうに私ども考えておりまして、混乱の中で、もしかしたら結ばれないような内容で、我が国が通商交渉において振り回されるというのは、これ賛成であれ反対であれ結果はよろしくないと、実は非常にそこを危惧しているわけでございます。  そういった意味で、これは外務省にお伺いいたしますが、アメリカ連邦議会での民主党のTPA法案に関する動向について状況をどういうふうに把握されているのか、お答えいただけますでしょうか。
  190. 三ッ矢憲生

    ○副大臣三ッ矢憲生君) お答え申し上げます。  このTPA法案、貿易促進権限法案でございますが、一月の九日に米議会に提出されまして、その後十六日、上院の財政委員会において公聴会が行われた後、実は審議が行われておりません。審議はこれからであるというふうに理解しておるところでありますが、先生、今、民主党のことに言及されましたが、実は共和党の中でもいろいろ意見があるようでありまして、この法案の行方についてはなかなか今の段階でどういう方向に行くだろうということは私どもも申し上げられない状況であります。特に民主党の中では反対も含めて様々な意見があるということは承知しておりますが、これは五月に委員の方にも資料を提出させていただいておりますのであるいは御承知かもしれませんが、非常に複雑な状況の中でこれがどうなっていくのか、他国の法案のことでございますのでこれ以上のコメントは差し控えさせていただきますけれども、なかなか状況は把握しにくいということだけ申し上げておきたいと思います。
  191. 山田太郎

    山田太郎君 もしかしたら結べない交渉相手とやっているのではないかと。澁谷審議官の顔を見ていますと、さすがポーカーフェース、何か結ばれそうな安定感があるのでありますが、どうも情況証拠をいろいろ聞きますと、何となく厳しいのではないかというようなことを我々推進をこれまで主張してきた側も感じ取るわけでございまして、そこは政府一生懸命頑張っていただくということと、これ、仮になんですけれども、難しいようであれば仕切り直すということも視野に入れて考えなければ、通商交渉、国内における影響が非常に大きいということは我々自身も危惧しているということを申し上げておきたいと思っております。  もう一つ、TPPに関して、まさにこの後なんですね。これも何度かこの質疑で議論させていただいていますが、結ばれた後の例えば関税が下がった後の緩和措置とか、いろいろ議論せにゃいかぬということは前回も質疑させていただきました。  ところで、それに先行する日豪EPAというのは結ばれて、大筋合意ということで中身も発表されているかと思います。このTPPをにらんだ上で、日豪EPAに対してどんな対策を打つのか。そろそろ六月、七月になってきますと来年度の予算概算要求の準備ということになるわけでありますから、素案はある程度持っていらっしゃるのではないかと、こういうふうに思っております。  TPP後ということもにらんで、日豪EPA、その後どのようにいわゆる国内政策あるいは予算、対応されていくのか、お答えいただけますでしょうか。
  192. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) まず、TPP交渉に当たりましては、我が国の農林水産業、その関連産業に与える影響に留意しながら、決議を踏まえて全力を尽くしてまいると、こういうことでございまして、今いろいろと委員もおっしゃっておられたように、まだ交渉途中と、こういうことでございますから、交渉結果を予断した上での国内対策等の議論は時期尚早であると、こういうふうに考えております。  日豪EPAについては、今回の合意内容は、度々ここでも申し上げているように、豪州側から一定の柔軟性を得ることができました。その結果、我が国農林水産業の存立及び健全な発展が図っていけるような内容だと、こういうふうに考えております。丁寧に現場の不安を払拭するために説明をして、もう既にしておりますし、これからもしてまいりますが、また現行のセーフティーネット対策ございます、しっかりと対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。  その影響に留意しながら、必要に応じて、来年度予算、概算要求も含めて、新たな対応というものも必要に応じて検討してまいりたいと思っております。
  193. 山田太郎

    山田太郎君 その点でもう少し突っ込んでお伺いしたいんですが、それでは、林農林大臣としては日豪EPAの影響というのは軽微であるというような御見解なのか、その辺り、どのように農水省としては捉えていらっしゃるのか、少し教えていただけないでしょうか。
  194. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これもこの委員会でも御議論いただいたところだと思いますが、先ほど申し上げましたように柔軟性、例えば牛肉では冷凍と冷蔵を分ける、それから長期間にわたっての削減、さらにはセーフガードと、こういうものが得ることができたわけでございます。  実際にこの内容で一体どういう影響が出るのかというのは、ここでも何度か申し上げましたように、貿易の動向、それは経済の動向にも大きく左右されるわけでございますし、それから、実際の価格という意味ではその時々の為替、これも大きく影響するわけでございまして、そういった意味ではそういうものの影響をきちっと見極めていかなければいけませんので、現段階で将来的にどういうふうな影響になるかというのを定量的に予断するというのはなかなか難しいと、こういうふうに思いますので、先ほども申し上げましたように、留意しながら必要に応じて新たな対応も検討してまいりたいと思っております。
  195. 山田太郎

    山田太郎君 何となく今の答弁だと不安になってしまったんですけれども、まさにTPPももしかしたらその後の対策に関しては出たとこ勝負というような感じも否めません。  是非、私どもとしては推進、推し進めていますし、仮に関税が下がった場合にその影響の緩和措置ということは絶対に農政としては重要だという観点も持っていますので、併せてきちっと政策立てて進めていただきたい、こう思っております。  ちょっと時間がありませんので次に進みますが、小泉政務官の方、ここで関連終わりますので、ありがとうございました。
  196. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 山田委員、こちらの方から申し上げますので。  小泉政務官、答弁終わりましたので退席されて結構でございます。
  197. 山田太郎

    山田太郎君 済みません。委員長の権限、失礼いたしました。  さて次に、農政改革で、農協改革について少し質疑触れていきたいと思っております。  委員の中からは、農協は民間団体であるので余り国が関与するのは云々という議論がありましたが、確かにそういう側面もありますが、ただやはり、協同組合としては独占禁止法の適用除外を受けているという観点、それから税制的にも公益法人と同じだけの要は特例を受けているという観点等、あるいは公共性の重要性と、こういうことを考えると、やはり法律でも農協は農協法によって規定されているわけですから国会でしっかり議論する対象ではないかなと、こういうふうにも思って今日質疑も進めていきたいと思っております。  まず、今回の規制改革会議で、先ほど申し上げましたが、全中の、中央会のいわゆる廃止というようなことに関しては我々もびっくりしたということでありますが、もちろん、こうなると農協さんの方も多分黙っていないということで、大きな抵抗もされるのかなというふうにも思っております。非常に全中さんは政治的にも大きな発言力を持っていらっしゃいますので、いろいろと今回関連で調べさせていただきました。  政治資金という部分でも特別な取組をされているということでありまして、それが全国農業者農政運動組織連盟、いわゆる農政連という農協がつくった政治団体であります。この農政連なんですけれども、政治資金パーティーを開催しておりまして、資金集めを行っています。この団体が総務省へ提出された収支報告書を見ますと、平成二十三年に一千百四十万円、平成二十四年にも一千百四十万円、パーティー券を全中さんが買われているということであります。  政治資金規正法の観点では、一回の政治資金パーティーの券を購入できるのは一団体百五十万円までということに制限されていますので、農政連さんの方が十回以上に分けてパーティーを開催していると、パーティー券の形で政治資金を受け入れているということになっております。  そこで、全中の監督官庁は農水省でありますので、こうした政治資金パーティーのチケット購入はこの農協法の七十三条の二十二に定められた一号から六号の全中の事業、これ、お手元の資料を今日配らせていただいていますが、ちょっと順番を変えていますので一番最後の紙になります、どこに当たるのかということなんですけれども、これをお答えいただけますでしょうか。
  198. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この全国農協中央会が各種の政治団体から幾らパーティー券を購入しているかと。これは調査することは、各種政治団体の収支報告書を網羅的に確認する必要があり、作業が膨大でございますので困難だということでございますが、まず、法人として、最高裁の判例において、公共の福祉に反しない限り、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附、パーティー券購入の自由を有するものと、こういうふうにされております。  法人は法令等で定められた目的の範囲内で権利能力を有しておりまして、農協中央会について言えば、組合の健全な発達を図る上で政治的行為が必要であればパーティー券を購入することができると、こういうふうに解されるわけでございます。  農協法に列記された今御指摘のあった農協中央会の事業ですが、これはあくまで反復継続して行う活動でありまして、特定の政治団体からのパーティー券の購入は農協法に列記された事業と結び付ける必要はないものと、こういうふうに考えられるというふうに解しております。
  199. 山田太郎

    山田太郎君 農協法では、全中さんの役割というのは、組合の事業指導とか組合事業の監査、先ほども質疑ありましたが、農協という組織の公正さを担保する重要な事柄を任務としているかと思います。それで、法律でもってそういった任務を担っている団体というのは政治的中立というのは求められないのかどうかと。  ちなみに、我が国の場合、医師会さんとか、例えば税理士連合会さんなどありますが、業界団体、総務省に届けられた収支報告書をほかもちょっとチェックさせていただきました。年間一千万円を超えるパーティー券を団体本体で購入している団体は、実は見当たらないんですね。パーティー券は自分の、例えば医師会さんのケースは、日本医師連盟とかの政治団体をつくって、そちらで別口の会費も集めて、そのお金でパーティー券購入など政治活動を行っていると。農協以外は、誤解を得ないように、業界団体の活動、政治活動は分けていると。そうなってくると、全中さんだけが特別扱いなのかどうかというようなことにもなりかねないと思っております。  先ほど、大臣の方も、確かに法律違反じゃないんじゃないかというようなことをおっしゃっていましたが、逆に、一般の会社の会計の方では、普通パーティー券は交際費として処理されますので、事業や目的性が認められるものではないというのが会計上の解釈にもなっているということでありまして、そうなってきますと、実は、農協の目的や事業を規定している農協法との関係が非常に気になるということになるかと思います。  そういった意味で、今、農協改革、今回日が当たっています。農政に関しても極めて重要な状況だと思いますが、世間からの誤解を招かないように自粛していただいた方がいいような気もいたしますが、大臣、御見解いかがでしょうか。
  200. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 一般論として申し上げますと、農協中央会は農協の健全な発達を図ることを目的とする団体でございまして、このような目的の達成に資する限りにおいて行う政治的行為については、一般の法人と同様に、公職選挙法、政治資金規正法、これらに抵触しない限り認められるものと、こういうふうに認識をしております。
  201. 山田太郎

    山田太郎君 念のためにお伺いしたいんですけれども大臣の方は、まさか農協団体から献金とかパーティー券の購入というのは受けていないのかどうかということも、済みません、こういう時節柄ですから、改めてお伺いしたいと思います。  また、もう一つ、農協法の趣旨に反さないと考えれば、パーティー券購入を認めるという今日は御発言なのかどうか、それも改めて確認させていただきたいと思います。
  202. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) まず、私の方の関係ですが、これは、政治資金につきましては、法令に従い適正に処理し報告しているところでございますので、収支報告書以上の詳細については、法令の趣旨に鑑みまして、回答は差し控えさせていただきたいと思っております。  それから、二番目の御質問でございますが、パーティー券を購入するか否かについては、全国農協中央会、先ほど一般論は申し上げましたとおりでございますが、購入するか否かについては農協中央会が自主的に判断すべきものと、こういうふうに考えております。
  203. 山田太郎

    山田太郎君 それでは、次、また規制改革ワーキングチームの改革案で取り上げられた内容に少し触れていきたいと思います。信用事業と共済事業の農協本体からの切離しということが出ております。  まず、内閣府副大臣にお伺いしたいんですが、信用、共済事業の切離しという案がまとまった背景と趣旨について御説明いただきたいというふうに思っております。
  204. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) お答えいたします。  信用事業また共済事業、いずれもポイントは、単協の経済事業の機能強化、そしてまた役割、責任の最適化を図る、こういう観点から不要なリスクまた事務負担を軽減すると。こういう考え方の下に、本業にしっかりと専念していただくという環境をつくっていただいたらどうかという考え方でございまして、信用事業につきましては、農林中央金庫に信用事業を移管をいたしまして、単協は信用事業に関わる業務を行わない、そしてまた、農林中央金庫に信用事業を移管をし、単協は農林中央金庫の統括の下で窓口・代理業を実施し、契約に基づいた業務に応じた報酬を得ると、こういう案でございます。  一方で、共済事業でございますけれども、これも、今までは共同引受けということで単協また全共連が契約の当事者ということでございましたけれども、これも全国のいわゆる全共連の統括の下で窓口・代理業を実施をいたしまして、契約に基づいた業務に応じた報酬を得る、こういう方向性でございます。
  205. 山田太郎

    山田太郎君 農林中金さん、それから全共連ということで、全国組織で一元的に信用事業をやられるわけですから、金融検査も金融庁がやるというのが自然な流れになるかなというふうにも思っておりますが、改革案の中ではそこまでは触れられていないんですが、その辺りいかがなんでしょうか。
  206. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) この度の規制改革会議の中では確かに触れられておりませんが、信用事業につきましての事実関係でございますが、金融検査の考え方は農業改革の中で触れられていないんですけれども、現在の農林中央金庫法に基づく主務大臣による監督が適切にされることが期待されるということでございますし、今の農林中央金庫法の八十二条を見ますと、主務大臣農林水産大臣及び内閣総理大臣となると、なお、内閣総理大臣の権限は同条第九項により金融庁長官に委任されていると、こういうことになっておりますので、今でも金融庁の立入りは単独で入れると、こういう状況でございます。  また、共済につきましてでございますけれども、これもワーキンググループの意見には記載されておりませんが、現在の法律に基づく主務大臣による監督が適切にされることが期待されるという意見でございまして、農協法の九十八条でございますが、主務大臣農林水産大臣ということになっております。
  207. 山田太郎

    山田太郎君 その見解は初めて聞きましたので、画期的であると思います。是非、今回の改革も含めて、やはり農水省も農政に全力投球するということで、例えば金融検査はプロの金融庁に任せていくと。やっぱりこれまで農協さんも、農林中金さんが発表されていましたが、非常に不祥事とその金額が大きい。都道府県の、農林水産省さんが、実際に現場で検査していてやっぱり限界があったのではないかと、こんなふうに思っております。  まさに、今回、農協さんが、農政にというか全力投球することも含めて、農水省さんもこの辺の金融検査、金融庁に任せると、こういうお考えはないでしょうか。
  208. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今、内閣府の方からもるる御答弁があったところでございますが、現行の制度、今までそれでやってまいりまして、いろんなことに対応してまいったところでございますので、その前提でしっかりといろんな御意見を受けて、まあ今回の改革の御提案の中にはそういうことも含まれておりません。したがって、我々としては昨年の十二月に、実は、よく申し上げているように官邸のプランというのを決めさせていただいて、あのときに残った課題ということで農協、農業委員会、生産法人と、このことを六月の官邸プランの改定ということでやっていこうと、こういうことで残った課題について今議論を始めたところでございますので、この議論に集中していきたいと、こういうふうに思っております。
  209. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりましたのでこれぐらいにしたいと思いますが、我々自身、農協さん、農業協同組合としてやはり現場のサポートをするという本来の趣旨に立ち返っていただいて、特にこの信用事業に関してはいろいろ批判等もあるようですので、是非しっかり改革ワーキングチームの意見も含めて農水省さんの方で受け止めて、改革案に盛り込んでいただければというふうに思っております。  本日はありがとうございました。
  210. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、十九日の産業競争力会議で安倍総理が、農業委員会の見直しと農地を所有できる法人の要件見直しの具体化を図りたい、農業協同組合の在り方についても抜本的に見直し、三点セットの改革をセットとして断行するというふうに述べて、今が農政転換のラストチャンスだと強調したということが報道されていますけれども、これは間違いないかどうかということ、それから、この会議に同席をされた林大臣はそれをどう受け止められたのかということをお聞きしたいと思います。
  211. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 五月十九日の産業競争力会議課題別会合の場で、安倍総理から以下の御発言がありました。農業委員会の見直し、農地を所有できる法人の要件見直しについて具体化を図っていきたい、また農業協同組合の在り方について、地域の農協が主役となりそれぞれの独自性を発揮して農業の成長産業化に全力投入できるように抜本的に見直していきたい、以上の三点の改革をセットで断行していくと、こういう御発言がございました。  私といたしましても、今後与党と協議しながら、農業者、特に担い手農業者から評価され、農業の成長産業化に資する改革案を早急に検討したいと考えております。
  212. 紙智子

    ○紙智子君 私もこの規制改革会議の農業改革に関する意見というのを拝見いたしました。率直に言って、この間もずっと議論されておりますけれども、例えば農業委員会制度の中立で健全な運用を担保するために農業団体等からの推薦制度を廃止する、中立で健全な運用のために廃止するとかですね、そのほかいろいろあるんですけれども、全くこれは身勝手なひどい暴論だと。これが実行されれば農業農村の解体につながると言わざるを得ません。  そこで、規制改革会議にお聞きしますけれども、このような改革案を取りまとめるのであれば、当然関係団体やJA、全中や全国農業会議所の意見を聴取したはずだと思います。その経緯について明らかにしてください。
  213. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) お答えをいたします。  事実関係を申し上げます。当グループでは、競争力ある農業、魅力ある農業をつくり、農業の成長産業化を実現するという観点から、専門委員として農業者、また農業経済学者の方々にも加わっていただいた上で、大規模農業者、若手の新規参入者、全国組織及び地域農業団体、学識経験者等々、様々な農業関係者からのヒアリングや意見交換会を行ったほか、農業現場も何度となく視察を実施をし、現場農業関係者との意見交換を行ったところでございます。  具体的には、農地の利活用、保全における農業委員会の在り方については、全国農業会議所及び三つの農業委員会からヒアリングを行いました。群馬県、埼玉県、長野県のそれぞれの委員会からのヒアリングを実施をいたしました。  農業者、消費者に貢献する農業協同組合の在り方については、全中さん、全農さん、全共連さん、農林中央金庫、ホクレン、農業協同組合連合会及び八つの単位農協からヒアリングを行いました。静岡県、岐阜県、山梨県、富山県、新潟県、宮崎県、奈良県、佐賀県に立地する単位農協からのヒアリングを実施したわけでございます。このほか、新規就農者を含む若手農業者の方々などからもヒアリングを実施したところでございます。  これらの多くの農業関係者の方々とのヒアリング、意見交換等を踏まえまして、限られた時間ではございましたが、今回の提言がまとめられたものと認識をしております。
  214. 紙智子

    ○紙智子君 今、数々の皆さんから話を聴取したということで調査もされたということが語られたんですけれども、それでは農業関係者からこの中央会制度の廃止とか全国農業会議所の廃止というような要望、意見というのは出されたんでしょうか。
  215. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 先ほども申し上げましたワーキンググループの議論におきましては、新規就農者を含む若手農業者の方々からのヒアリングを行ったほか、様々な視察も含めて意見交換を行いました。そして、ワーキンググループの場におきましては、農業者からは直接的に中央会制度や全国農業会議所制度に対する廃止要望は出されなかったと認識をしております。  しかしながら、様々な意見を集約をし、我々、規制改革会議は総理大臣の諮問を受けて、まさに規制改革会議、そのワーキンググループは意見を提出しなくてはいけませんので、その中で意見を伺った上での回答をしたということでございます。
  216. 紙智子

    ○紙智子君 今お話あったように、たくさんの方から聴取したけれども、直接は出されていないということですよね。農業関係者からそういう要望も出されていない中で、このような改革案を取りまとめるような規制改革会議の在り方というのは極めて乱暴じゃないかと、正さなければならないんじゃないかと思うんです。  林大臣農業関係者から要望も出されていないような改革案を推進するということになるんだったら、一体何のための農林水産省なのか分からない。農林水産省の本来あるべき姿ではないんじゃないかと思いますし、農業関係者の信頼をこれ大きく損なうんじゃないかと思われますけれども、いかがでしょうか。
  217. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 推進するということをどこで誰がおっしゃったかちょっと記憶が曖昧でございますが、我々としては、規制改革会議農業ワーキンググループ、今副大臣から御説明がありましたように、多くの農協、農業委員会農業者のヒアリングを行った上でワーキンググループとしての農協、農業委員会等に関する改革案を取りまとめられたと、こういうふうに承知をしております。  我々としては、農協、農業委員会の改革、これは農業者、特に担い手農業者から評価をされ、農業の成長産業化に資するものでなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。したがいまして、今後与党とも協議をしながら改革案を早急に検討し、農林水産業・地域の活力創造プラン、これ昨年十二月に決めさせていただいたものでございますが、この改定に改革案を盛り込んでいきたいと考えておるところでございます。
  218. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、たくさんの聴取をやって、それで、農業者からは出なかったけれども、一応それを行った上でワーキンググループの議論の中から出てきたものをまとめたんだと。農業者の声が反映されていないんじゃないですか。ワーキンググループの会議の中でということは、一体どなたがそういう発言をされているのかというふうにも思うんですけれども、いかがですか。
  219. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 今委員が、その我々ワーキンググループが出した結論をヒアリングをした人が直接に言ったか言わないかということではなくて、我々の課せられたミッションは、まさに総理大臣の諮問を受けて、農協の在り方、そしてもっと言えば農業者の、まさに農協法の一条にあります、農業の生産性を高めて農業者経済的社会的地位を向上させ、もって国民経済に資すると、こういう目的を達成するためにどのような改革をするかということをいろんな方々からのヒアリングをした結果、その中でどういうことをすればそういう方々にとってプラスになるかということを結論を出したということでございますので、その中の結論のエキスとして、いろんな方々から出た意見を総合するとそういう結論を出させていただいた。何もしないことが農業者や農協さんの未来を守ることではないと、こういうふうに我々は考えて出させていただきました。
  220. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、何度も言いますけれども、直接農業者じゃない、農業者のところから出てない、第三者から出ている意見を要はまとめてやろうという話になっていて、これは非常におかしい話だなと思うんです。  それでは、林大臣にお聞きしますけれども大臣本当にこのJAの中央会制度や全国農業会議所を廃止したら農業振興になると思われますか。
  221. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この全中の廃止についていかがお考えかと、こういうことでございますが、農協は農業者の協同組織であります。担い手農業者のニーズに的確に応えて、農産物の販売を有利に行う、また資材の調達等を有利に行うことで農業者の所得を向上させて地域農業発展させていくと、こういうことが何よりも重要だと、こういうふうに思っておりまして、したがって、農協が農産物販売等に最重点を置いて積極的に取り組む、それからそれぞれの農協が自らの創意工夫で経済事業を展開すると。そのためにこの連合会、中央会がどう農協をサポートしたらよいかということを真剣に検討していく必要があると考えておりますので、そういう意味で問題意識は共有ができていると、こういうふうに思っておりますので、具体的な内容は今から与党と協議して検討していきたいと思っております。
  222. 紙智子

    ○紙智子君 今のではちょっと私の質問に答えたというふうに思わないんですよね。廃止したら農業振興になるかどうかというふうにお聞きしたんですけど。
  223. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この中央会は、農業協同組合法に基づきまして、農協や農協連合会の健全な発達を図ることを目的として、全国段階、都道府県段階にそれぞれ一つに限り設立されると、こういうことになっております。  中央会の事業ですが、農協法の七十三条の二十二で、組合の組織、事業及び経営の指導、組合の監査、組合に関する教育及び情報の提供、組合の連絡及び組合に関する紛争の調停、組合に関する調査及び研究、前各号の事業のほか、中央会の目的を達成するために必要な事業と。こういうふうにされておりまして、このうち農協や連合会の指導については、この農協中央会が合併の促進、連合会の再編を進めることによる農協連合会の経営基盤強化、それからJAバンクシステムの下での経営不振農協の処理等の農協の健全性の確保、これずっと取り組まれてきたところでございます。  そういう努力もあって、昭和二十九年に中央会制度がスタートしたときは一万を超える農協があったわけですが、したがって農協の経営基盤も非常に脆弱であったと、こういうふうに思っておりまして、中央会の指導の意義というのは大変大きかったと、こういうふうに思っております。現在、合併等によって農協の数が七百程度となりまして、経営基盤や財務内容、強化されてきて、状況変化をしてきているということも事実でございますので、農協をサポートする中央会の在り方についても真剣に検討していく必要があると、こういうふうに思っております。
  224. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろお話しになったのは、農協がこれまで果たしていた役割ですとか指導してきたという意義については話をされたんですよ。  私も、もちろん農協中央会が今のままでいいというふうには思いませんよ、やっぱり改革しなきゃいけないことはあると思うし。しかしながら、今お話しになったような農業協同組合としての積極的な役割というのは果たしてきたわけですし、実際果たしている場面というのもあるわけですから。だから、正すべきは正すけれども、しかし、これまで果たしてきた役割を本当に重視しながらそれを発展させるという見地が大事なんじゃないのかと。それを何で廃止しなきゃいけないのかというふうに思うわけです。これ、中央会制度や全国農業会議所を廃止するというだけではないんですね、ここで言っていることというのは。企業の農地所有を認めようという財界の長年の念願を実行しようということがここに込められているわけですよ。  それでお聞きしますけれども、これまで企業の農地所有を認めてこなかったという理由はどういうことだったんですか。
  225. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 企業といいますか、法人による農地所有の問題でございますが、参入した企業が農業から撤退した場合に、当該企業の所有する農地が耕作放棄地になったり、場合によっては産廃置場になったりしてしまうのではないかと、こういった農業農村現場の懸念がございます。こういったことから、農業を継続的に真剣に取り組んでいくことが担保される農業生産法人要件を満たす法人、これに限って農地の所有を認めてきたところでございます。  この農業生産法人制度、これは昭和三十七年の農地法の改正によって設けられたものでございまして、農業生産法人でなければ農地を所有することはできないようになっております。
  226. 紙智子

    ○紙智子君 今のお話でもはっきりしているように、やっぱり農地農地としてちゃんと持続させていくというために、やっぱりそれが荒らされたり、もうけの理由で、それで違う方向に行ってしまわないように、ちゃんと歯止めを掛けてきたというのが今までの経過だと思うんですよ。それを今回、一定の期間、農業生産を継続して実施していることを要件として認めようとしているわけですね。一定の期間というのは一体どのぐらいの期間なのかなと思うんですけれども、この一定の期間を経過した後に利益が上がらないとして撤退することもありますし、それを防ぐことができないわけです。  一定の期間中に当該企業が倒産した場合は、これ、債権を持っている企業に当該農地が売却されることになると。それから、農地を所有している企業が買収されることによって、買収企業が仮に外資系の企業だった場合には、これ、地域の営農自身が困難になりかねません。いずれにせよ、これまで企業の農地所有を認めてこなかった根拠がそのまま適用されるんじゃないですか、この改革案というのを見ますと。いかがですか。
  227. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 今の農地の話でございますけれども、様々な施策を国と農協組織、また農業関連組織等取ってきたわけでございますが、しかしながら、私の地元もそうですが、耕作放棄地が増え、黄色いセイタカアワダチソウが生え、こういう状況は止まりません。やはり、それをしっかり課題を克服するという意味では、長年従事した農業者の方の豊富な経験を、まさに新しい世代や、また異業種の知恵、技術、ノウハウでつないでいくというチャレンジをしなきゃいけないし、またチャンスを与えなければなかなか今の現状を克服することができないんだろうと思います。  今のお話でございますが、農業委員会のやはり許可を得た法人に、しっかりと退出に農業委員会の許可を要する等の規制を設けた上で、先ほどの条件緩和というものを付与をすると、こういう内容になっております。いわゆるその要件でございますけれども、一定の期間、農業生産を継続して実施していること、また地域農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること、これをしっかりとした枠組みでやっていく。繰り返しますが、退出する、出ていくときにも農業委員会の許可を要するということの歯止めも規制改革会議の案では示されております。
  228. 紙智子

    ○紙智子君 今申し上げましたように、農地所有を認めてこなかった根拠ということが何か変わったんじゃなくて、そのままの状態で、何らこれはこうだから変えるんだということはなしにそのまま適用されるんじゃないかと、今回のは、というふうに思います。これ中身をめぐっては更にまたこの後も質問したいと思います。  私、もう一つ、TPPの問題も質問したいと思います。  二十日の東京新聞に、四月二十三日の安倍総理とオバマ大統領との銀座すし会談というのがありました。豚肉の差額の関税制度の撤廃をオバマ大統領から要求をされて、安倍総理がその要求を受け入れたということが報じられているわけです。このすし会談は、すしを食べながら激しい議論をしたと。おすし屋さんの主人は疲れ果てたという報道もされているわけです。それ自体、否定されていないんですね。すし職人がいる中での会談ですから、これ秘密の保持もままならないわけです。  もし豚肉の差額関税制度を認めたとするのであれば、これ極めて重要だと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  229. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 私はすし屋に行っておりませんでしたが、日米協議に関して様々な報道があることは承知をしておりますが、ここで私何度も申し上げておりますように、日米間で合意している事実はないということであります。  オバマ大統領が訪日された際に、安倍総理とオバマ大統領との間で、おすし屋さんもそうですし首脳会談もそうですが、日米の様々な協力関係について議論が行われたと、こういうふうに承知をしております。  総理御自身も、国会において、衆参の農林水産委員会の決議をしっかり受け止める、守るべきものは守ると答弁をされております。私としても、決議を踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くしたいと考えております。
  230. 紙智子

    ○紙智子君 おすし屋さんも含めて周りにいっぱいいたわけですから、実際どういう話だったかというのは分かると思うんですよ、聞けば分かると思うんですよ。今ちょっと否定されましたけど。  大臣、この豚肉の問題を含めTPP交渉については、基本合意したとか合意に至っていないとか、この間本当にいろんな情報が飛び交っているわけです。そのたびに、農家はもちろんですけれども、業界や国民というのは振り回されているわけですね。何でこんなに国民が振り回されなきゃならないんでしょうか。
  231. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 我々は一貫して、先ほど申し上げたように、決まったことはないということを国会できちっと正式な場で申し上げ続けておりますし、また、共同声明というものも日米首脳会談の後に出されておるわけでございますので、それについて、この間もここの場でもいろいろやり取りがございましたけれども内閣官房の方でしょうか、いろいろと情報公開については工夫をされ、マスコミとのやり取りについても大変に苦労されておられるということがここのやり取りでもございましたけれども、報道の自由や表現の自由ということがきちっとある国で我々として最大限の努力をしてまいりましたし、今後も続けていくということだと思います。
  232. 紙智子

    ○紙智子君 ごめんなさい、確認しようと思ったんですが、澁谷さんもそこにいらっしゃっていたんでしたっけ。
  233. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) そことはどこですか。
  234. 紙智子

    ○紙智子君 すし屋の。
  235. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 私はその店には全く一度も行ったことはございません。
  236. 紙智子

    ○紙智子君 行っている方いらっしゃいますよね、たしか。私、それでお呼びしたと思うんだけど。どなただっけ、森さん。(発言する者あり)外務省は行っていたんじゃない。
  237. 森健良

    政府参考人(森健良君) 外務省の森でございますが、行っておりません。
  238. 紙智子

    ○紙智子君 そうですか。(発言する者あり)
  239. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) いや、鶴岡首席も行っておりません。あんな高いおすし屋さん、まだ誰も行っていないんじゃないかと思います。
  240. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしても、情報がいろいろと振り回されると。何でこんなに振り回されるのかといえば、これは政府がちゃんと情報を出さないからですよ。なぜ出さないのかといえば守秘義務があるからだというわけですよね。  だけど、秘密交渉については、先ほど徳永エリさんもやりましたけれども、これ各国で今非常に不満と問題になっているわけですよね、おかしいと、こういう秘密のやり方というのは。昨日の東京新聞でも報じています。情報開示をするべきだということでの要求が高まっているわけです。  大臣、これは農業、国民の利益に反することが突然決まればこれはもう大変ですよ。やっぱりこういう交渉の在り方というのはおかしいんじゃないですか。いかがですか。
  241. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) せっかく外務省、内閣官房から来ておられますので、このTPP交渉、本部で甘利大臣を中心にやっております。したがって、先ほど、マスコミとのやり取り、それから情報公開、中でも各国で情報公開についていろんな議論があると。ベストプラクティスをたしかやっていこうじゃないかということになったというお話も先ほど澁谷審議官からあったとおりでございますので、そういう努力は絶えずやっていくということだと思います。
  242. 紙智子

    ○紙智子君 二十日にTPPのシンガポール会合が終わりました。結局、大筋合意にはならなかったようですけれども、二国間の協議で、例えばニュージーランドから関税撤廃を求められ、ベトナムからも米の関税撤廃を求められたということが報じられています。加えて、知的所有権や国有企業の分野ではまだ見通しが立っていないと。しかし、交渉を続ければ続けるほど農産物の関税引下げの報道だけがどんどんと出てくると。日本農業の打撃が大きくなるというのはこれ間違いない話で、これはもう本当に許されないというふうに思うんです。  ですから、やっぱり早く撤退すべきだということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  243. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会