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2014-05-20 第186回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年五月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      金子原二郎君     岸  宏一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 岸  宏一君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        内閣府副大臣   後藤田正純君        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣規制改革        推進室長     滝本 純生君        内閣規制改革        推進室次長    大川  浩君        法務大臣官房審        議官       杵渕 正巳君        文部科学大臣官        房審議官     藤原  誠君        農林水産大臣官        房総括審議官   荒川  隆君        農林水産大臣官        房総括審議官   松島 浩道君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        経済産業省通商        政策局長     鈴木 英夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○農業担い手に対する経営安定のための交付金  の交付に関する法律の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○農業の有する多面的機能発揮促進に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、金子原二郎君が委員を辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣規制改革推進室長滝本純生君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 皆さん、おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。  今日は岸先生もお見えということで、またいつもと違う緊張感の中で質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  先週、当委員会で今回の二法案について一巡目の論戦が展開されたというところでございますけれども、今日はそういった質疑もまた踏まえながら、私なりに議論を深めさせていただきたいというふうに思っております。  私もこれまでいろんな仕事といいますか、中央官庁であったり地方自治体で仕事をしてまいりましたけれども、やはりその仕事をする中で常に気を付けていたことというのがございまして、それは常に、そもそも何のためにやっているのかというような根本的な問いかけを常日頃から忘れないようにしようというふうに思ってやってまいりました。  特に、行政仕事、いろんな利害が錯綜するような案件も間々ありますので、そういったときに自分なりの判断基準として原点に立ち返るというようなことは、恐らく皆さん方もそうだと思いますけれども、そういった考えでやってきたつもりであります。その結果、判断をしていく、マル・バツを付けていくということをやってきたわけでありますけれども、特に行政仕事というのは次から次に新しい課題が乗っかってまいりますので、どんどん複雑になるということで、特に、何の政策を行うにしても、何を最も優先すべきであるのかということとか、あるいは何が本質なのかというようなことは常にやっぱり問いかけていくと。一丁目一番地という言葉もございます。そういったものを是非意識しないと、そうしないと、いつの間にか尻尾が胴体を振り回していくということにもなりかねないなというふうに思っております。  そういった観点から、実は先月の当委員会でも、森林政策本質は何だろうかという問いかけから実は質問を展開させてもらったんですけれども、今回も、やや大上段とは思いますけれども、農政本質というのは一体何だろうかというところから問いかけをさせていただきたいと思っております。  この点については、今回のこの法案衆議院審議の際にも、なぜ二兆円以上も掛けて農業を保護しなければならないのかといったような趣旨の問いかけもあったようであります。こういった基本的な、根本的な問いかけにどう応えるのかと、それがまさにこの農政本質というものを表現するものではないかなというふうに思っております。  確かに、考えてみますと、ほかの産業でここまで税金に支えられているといったものはないわけでありますし、産業政策といいますと基本的には融資でありまして、せいぜい低利融資ということだと思います。もちろん、農業多面的機能というのもありますけれども、それだけでここまでの税金投入説明し切れるものではないんだろうなというふうに思っているところです。  そういった意味からしますと、私は、やはり農政本質というのは、いかなる状況下でも国民を飢えさせない、いわゆる食料安全保障、これが国民全体にとって、まさにこれは究極的な公益だろうと思うわけでありますけれども、そういう状態を確保するということがまさにその目的、本質ではないのかなというふうに考えております。  現在、政府が車の両輪として推進しておられる産業政策あるいは地域政策も、また今回の二法案についても、究極はそこにつながっていくものであるというふうに思うわけであります。こういう考えについては、林大臣衆議院質疑の中でこのようにおっしゃいました。食料安保をきちっとやるということは国民全体の要請であり、それを反映して基本法ができ、それに基づいて基本計画があるというような話でありました。そういったことからしますと、恐らくこういったお考え、基本的なお考えをお持ちじゃないのかなというふうに私も思っております。  これは先週の質疑の中で、これは紙委員からだったと思いますけれども、日本再興戦略では食料自給率について全く触れられていないという御指摘がございました。ここは私も実はちょっと感じたところでありまして、実は今回のこの法案の基になっております農林水産業地域活力創造プランにおいても、その原案段階においては、食料安定供給でありますとか、あるいは食料安全保障といったようなことについては全く記述がなかったわけであります。党の部会でプラン原案説明があったときに私も非常にこの点ちょっと違和感を感じまして、思わずちょっと手を挙げまして何とか書き込んでほしいというふうにお願いを申し上げまして、一部記述を加えていただいたという経緯もございました。  私は、さっき申し上げました先月の森林政策でも感じたんですけれども、どうもその一丁目一番地というものがともすればちょっと忘れられやすいという傾向にあるんじゃないかなというふうな感じを持っておりますので、是非、当局におかれましてはその点に御留意をいただきたいというふうに思います。  さて、そういう観点で今回の二法案を含めて一連の改革というものを見てみますと、生産数量調整配分廃止をするんだ、そして生産者生産意欲を刺激して、水田もフル活用して作れるだけ作っていきましょうというこの基本的な方針というものは、まさに作らされる農業から作る農業への転換だというふうに理解をしておりまして、食料自給力、これを極大化することに通じるものであるというふうに思っております。  そういった意味で大いに私も賛成でありまして、ただ、この食料自給力については、食料農業農村基本計画見直しの中で取扱いは検討されるということのようでありますが、先月の当委員会で、これは山田修路委員が御指摘をされたんですけれども、真の自給力を付けていくためにはやはり平時からの農業生産力を強化をするということが不可欠だと思います。それが食料自給率にも反映されていくと、そういった関係になるのかなというふうに思っております。  ただ、その一方で心配もあるわけでございまして、生産数量調整配分廃止をした場合に、主食用米を作り過ぎて米価が急落しないかということであります。政府は、生産者作付け判断するための詳細な情報を提供する一方で、飼料用米等転作作物については主食用米遜色ない収入になるように補助するというふうにはおっしゃいますけれども、本当にそれで、いわゆる神の見えざる手といいますか、そういった市場メカニズムが適切に働いて適当な米価に落ち着いていくんだろうかということについてはやはり若干の不安というものは付いて回るんだと思いますが、まずこの点について政府のお考えをお伺いできればと思います。
  7. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の米政策見直しでありますが、まず水田活用の直接支払交付金、これを充実しまして、今委員がおっしゃっていただいたように、数量払いの導入など、飼料用米等インセンティブを高めると。それから、産地交付金を充実して、地域地域によっていろいろ創意工夫を生かせるように産地づくりをしていただけると。さらには、これもお触れいただきましたが、きめ細かい需給価格情報、それから実際に販売がどれぐらい進捗しているか、また在庫がどういうふうになっているか、これを提供すると。  こういうことを行っていくことによって、五年後をめどに、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、農業者自らの経営判断によって需要に応じた生産を行える環境を整えていくと、こういうふうにしておるところでございまして、まさに今年がその五年後の姿へ向けての一年目ということでございますので、説明会も度々答弁しておりますようにかなり回数を重ねてきておりますけれども、やはり実際にやってみるということが非常に大事だと思っておりますので、しっかりとそういうふうになるように、また現場とのキャッチボールと申し上げておりますが、もうこういうふうに決めたからそれは動かないんだということではなくて、その目標に五年掛けてやっていく中で、常に現場とのキャッチボールをしながら、運用改善というものも意を用いながらしっかりと進めていきたいと、そういうふうに思っております。
  8. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  今、キャッチボールというお言葉ありました。まさにそこは重要なポイントだと思います。こちら側の意図、それから生産者側の悩み、そういったものをお互いに交換し合って、本当にまさに政府現場も一体となって、こういった新しい制度趣旨を双方がよく理解をして進めていくということが重要だと思います。  やはり農家の側に立ってみたときにどう思うかなというふうに思ってみますと、どうしてもこれまで主食用米を作ってこられた農家というのは、やっぱり食べる米を作っているんだというプライドもお持ちでありましょうし、どちらかというと、補助金で支えられている作物よりも、やっぱり主食用米を作って自分で売っていくんだというような、そういった気概を持っておられる方もいらっしゃると思います。  そういったことで、本当にきちんと適当な需給バランスが取れていくのかということが、当初はやっぱりいろんな試行錯誤はあると思います。だから、まさに先ほど大臣がおっしゃったように、準備期間の中できちんとそういった試行錯誤を調整しながら最終的には円滑にスタートできると、そういうやり方を是非つくっていただきたいというふうに思っております。  一方で、今回の新しいシステムが適切に機能するかどうかというのは、言わば比較的競争力の弱い主食用米生産者主食用米市場から撤退するということを通じて需給が新しい均衡に達する、そして適切な価格水準に落ち着くんだという、こういう市場メカニズムが働くかどうかというところに懸かっているというところでありますけれども、そうした観点から少し気になっていることはナラシ対策についてであります。  そもそもこのナラシ対策は、凶作あるいは豊作によって生じた収入減少補填するための制度でございまして、現行は、米については生産数量目標に応じた生産をする、これが交付要件となっていますのでよいわけですけれども、今後この生産数量目標廃止していくというわけでありますから、そういった場合に一体どうなるのだろうかという点であります。  過剰作付け米価が下落した場合にまで収入補填すれば、今申し上げた市場メカニズムが働かなくなってしまって、ひいては米価の低落が常態化するということも考えられなくもないというわけでありますから、この点について政府のお考えをお伺いしたいと思います。
  9. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) まず、国民に対する食料安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営農業生産相当部分を担う農業構造を確立することが重要であると考えておりまして、そのために、規模要件は課さないものの、認定農業者認定新規就農者集落営農といった今後の地域農業を支える担い手対象ナラシ対策を実施をしてまいります。  委員御承知のとおりに、このナラシ対策に関しましては農家の拠出を伴います。さらに、二番目に、減収分全額ではなくて一定割合、九割でありますけれども、補填をするという、そういう設計図になっております。  なお、加入者にも応分の負担を求めるスキームとなっておりますので、米価変動補填交付金のように国が米価下落分を全面的に補填するものではないとしておりまして、ナラシ対策は自らの経営に責任ある担い手対象に措置をされているものでございまして、対策対象とならない担い手以外の者が主食用米生産から撤退することを阻害するものではないと考えておりまして、御懸念のないようにしっかりと対応してまいりたいと思っております。
  10. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  ナラシ対策というのは担い手をそもそも対象としているんだから、そこは心配ないんだよということでありました。担い手需給バランスのきっちり取れる量を作っているという前提であれば恐らくそうだと思うんですけれども、その辺の量のボリュームが需給とちゃんと合うかというところをきちんと見ておかなきゃいけないのかなと。担い手であっても市場から撤退をしなきゃいかぬ場合もひょっとしたら出てくるかもしれない、そこはもうもちろん主食用米需要の量がどう変動するかによるわけでありますけれども。  いずれにしても、このナラシの問題については、これから検討されていくであろう収入保険の問題も絡んでくると思いますので、是非適切な市場メカニズムが働くようなシステムということを念頭に置いて今後検討を進めていっていただきたいというふうに思います。  それから、次の質問に移りますけれども、主食用米から撤退していく生産者が次にどういう作物転作していくかということについてでありますけれども、これは麦、大豆でありましたり、あるいはトウモロコシ、あるいは今回のように飼料用米などの非主食用米というようにいろんな候補があるわけでありますけれども、政府は今回特に飼料用米、それから米粉用米生産についてインセンティブを与えて推進しようとされているわけです。  ただ、転作奨励に必要な交付金は、麦、大豆トウモロコシについては十アール当たり三万五千円ということで、これに対して飼料用米は十アール当たり八万円プラスマイナス二・五万円ということで二、三倍の交付金の差があるというわけでありますし、食料自給率向上という観点から見ても、飼料用米は当然家畜に食べさせるものでありますから自給率向上の効率はよろしくないというわけでございまして、これは農水省自身も試算されておられますけれども、食料自給率を一%向上させるために必要な増産量というのは、主食用米小麦大豆はいずれも三十万トン前後という状況であるようですが、飼料用米は三百万トン以上ということで、ここに十倍ぐらいの開きがあるということのようであります。  そこで、お伺いしたいんですけれども、今回、数ある転作作物の中で特にこの飼料用米生産インセンティブを与えて推進しようとされている理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) お答えいたします。  まず、我が国の今の食生活の変化によりまして、一人当たり主食用米消費量でございますが、昭和三十七年に百十八キログラムであったものが平成二十四年では五十六・三キログラムといったことで、大幅な減少傾向が続いているところでございます。  他方で、貴重な生産装置でございます水田有効活用を図るという観点から、主食用米ではなくて飼料米加工用米といった多様な米の生産振興を図るとともに、また大豆あるいは小麦といった、固定的な国産需要がありながらその多くを海外に依存しているといった品目についてその作付けを拡大するといったようなことが非常に重要かというふうに考えております。  また、平成二十年産以降でございますが、全国ベースの水稲の作付面積、いわゆる水張り水田と言われるものでございますが、これにつきましては、主食用米需要減少に伴う作付面積減少分飼料米を始めとした非主食用米作付け拡大で補われまして、ほぼ一定の百六十四万とか百六十万ヘクタールというふうに相なっているところでございます。  このような中で、今先生指摘のこの飼料米でございますが、飼料自給率濃厚飼料自給率でございますが、これは我が国が二十四年では一二%ということで、一千万トン近いトウモロコシ海外に依存しておるということで、非常に飼料自給率が低い我が国におきましては、水田における飼料用米生産増加ということは、飼料安定供給につながるといったようなメリットがあるほか、また、農家側からとってみますと水張り水田主食用米と同様の栽培方法あるいは農業機械生産することができるといったメリットがございまして、その生産を拡大していくということは食料自給率食料自給力向上につながるというふうに考えているところでございます。
  12. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  余りにも低い飼料自給を高めていくといったような御趣旨だったと思います。  それに加えて、これもおっしゃいましたけれども、水田水田として使っていくためにやっぱり飼料用米というのが転作のしやすさというのもあるからと、そういうような趣旨なんだろうなというふうに受け止めたわけでありますけれども。確かに、現行食料農業農村基本計画においても、確かにこう書いてあるんです。「飼料用米については、主食用米への転換が容易であることから、実質上不測時の食料安全保障にも資するものである。」というようなくだりもございました。できるだけ水田水田として使うんだと、いざというときには主食用米をどんどん作って増産するんだと、こういった狙いがその背後にあるのかなと、そういうふうに理解をいたしたいと思います。  次に移りますが、この飼料用米へのシフトが推進されたらされたで、今度はこれが、この飼料用米が現実にきちんと買手が付いて需給バランスが取れるんだろうかという問題が生じるわけであります。  この点、現在、畜産農家あるいは配合飼料メーカーが使っている量というのがつまり今現在顕在化している需要だと思いますけれども、これが五十六万トン程度というふうに聞いております。  ただ、今後どれだけの飼料用米を追加で消化しなければならないかということを考えていきますと、今年の主食用米生産数量目標が七百六十五万トンというのに対して、昨年の実生産量が八百十八万トンという状況でありますから、単純に考えて差引きで五十三万トンが主食用米から飼料用米シフトをしてもらわなきゃいけないんだろうかというふうな状況だと思うんですけれども、これに加えて、主食用米需要が毎年八万トンずつぐらい減っていくというようなトレンドであるということが予想されているわけですから、足下におきましても、今使われている量と同じぐらいの新規需要が必要だという計算になると思いますし、また、毎年新しい新規需要を開拓していかなきゃならぬと。  この点については、政府は以前から潜在需要は四百五十万トンあるんだというようなことでございましたけれども、これはあくまでも理論的にその可能性のあるという数字でありますから、これをどうやって顕在化させていくかということが重要なわけであります。  農水省におかれても、畜産農家に直接、飼料用米供給するためのマッチングに御努力をいただいているというようでありますけれども、先月の段階で、約七万トンの利用希望のうち、マッチングできたのが約一万トンという状況であると聞いておりますので、この増産されていく飼料用米に対して円滑に買手が付いていくかどうかということが、やっぱりそこの辺はよくよく検証しなければいけないのかなというふうに思っております。  この点について、飼料用米のだぶつきが起こるのかどうか、そういうことがないのかどうか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  13. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今先生の御質問飼料米でございますが、先ほど申し上げましたように、畜産では今約一千万トンのトウモロコシを輸入しているわけでございますが、これと同等の栄養価と評価されておるわけでございまして、輸入トウモロコシ遜色のない価格での供給ができれば、先ほど先生からお話ございましたように、無理なく潜在的には四百五十万程度需要があると見込まれているところでございます。MA米等を含めた現在の飼料米使用量というのは平成二十四年度で五十六万トンということになっておりますので、これに比べてかなり大きな潜在需要量があるということが言えるかと思っております。  そういう中で、この餌米につきましては、地域で直接近くのところで供給してほしいという畜産側の要望がございまして、これが、二十六年産におきましては約七万三千トンの利用希望が寄せられておりまして、今このマッチングを農水省では進めているというような状況に相なっているところでございます。また、この飼料米の新しい米政策見直しに伴いまして配合飼料メーカーからも利用希望が寄せられてきておりまして、こうした配合飼料メーカーへのマッチング活動も、これも今併せて推進しているところでございます。  また、いずれにいたしても、このマッチングを行うに当たりまして、流通経費等の低減を図るといったことが非常に大事になってまいりますので、耕種側における乾燥調製貯蔵施設の整備、あるいは畜産側で必要となる加工・保管施設の整備、あるいは粉砕機、混合機といったような機械導入などにつきましても耕畜双方にわたり支援を行っているところでございまして、今後とも、この餌米の生産利用拡大に向けまして産地の流通体制の整備をより一層推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  14. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  いろんな努力はされておられるということでありますけれども、最後は実績を出していかなければいけないということで、今後、ますますねじを巻いてそのマッチング等々を頑張っていただきたいと思っておりますけれども、やはりこの飼料用米がだぶつくような状態になってしまいますと最終的な出口が行き詰まっちゃうということでありまして、そうなってしまうと、水田フル活用はおろか、主食用米競争力のない稲作農家は最悪の場合離農してしまうというような、引き金を引いてしまうようなそういう心配もあるわけでございまして、そんなことにならないように十分に万全な対策の準備をお願いしたいというふうに思います。  次に移りますけれども、この飼料用米生産、流通について確認しておきたい点が今度浮上してきたということでございますが、これは、先週、政府規制改革会議が打ち出した全中制度廃止との関係であります。  この問題については、この後、同僚の中泉委員も御質問されると思いますので、私の方からは飼料用米の問題という点からお伺いしたいと思いますけれども、この飼料用米は全農による全国的な集荷・流通体制が確立しているというふうに伺っておりますけれども、もしこういう規制改革会議が言うような全中制度廃止をされることとなってしまったら、この流通システムに支障が生じることはないんだろうかというところは非常に気になるところでございまして、この点についての農水省の御見解をお伺いしたいと思います。
  15. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今先生お尋ねの、規制改革会議の意見のお話かと思いますが、これにつきましては、今後、具体的な内容については与党とも協議しながら検討するといったようなことになっているところでございます。  今先生指摘の点について事実関係を申し上げますと、全国農業協同組合連合会、いわゆる全農が地域飼料米を集荷して配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給するといった仕組みとなっているところでございまして、現段階において、これについて具体的な更なるコメントについては差し控えたいというふうに考えているところでございます。
  16. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 確かに、まだどういう状況になるのか、中身もつまびらかになっているわけではないだろうというふうに思いますので、今後、いろいろと中身をよくよく議論をしていく中で見えてくるのかも分かりませんけれども、いずれにしても、そういう実際のシステムにどういう影響が及ぶかという機能論をきちんとやっぱり検証していく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。この点については、また大きな、これから与党との協議という話もございましたので、議論になっていくと思いますので、引き続きこの点は注視をしてまいりたいと思っております。  次に、麦、大豆に対する取組であります。  この麦、大豆についても、先ほど佐藤局長の方からも答弁の中で触れられました。需要は大いにあるのに自給率が低いんだということでございますので、これはまだまだ増産に取り組むべき作物であると私も思います。  この麦、大豆については、いろいろ克服しなければならない課題も私自身も伺っておりますし、いろんな課題があるようでございますけれども、逆に言えば、やっぱりこの麦、大豆を増産するということも、またこれは必要性があるわけですから、これからそういう課題をどういうふうに克服していこうとされておられるのかというところが重要だと思うんです。そういった点で、政府の取組をお伺いをいたしたいと思います。
  17. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 先生指摘の麦、大豆でございますが、これにつきましても、水田を有効に活用して自給率あるいは自給力向上を図るといったことが重要な戦略作物というふうに考えておりますが、現在の自給率について言えば、小麦が二十四年でございますが一二%、大豆が八%というようなことに相なっているところでございます。  この水田における麦、大豆生産につきましては、どうしても水田作付けする場合には湿害等によりまして収量が不安定になるといったこと、あるいはロットごとの品質のばらつきが出てくるといったような課題を抱えておるところでございます。  このため、農水省といたしましても、このような課題を解決するということで、今回、水田フル活用ビジョンといったものを各都道府県、市町村に作っていただくという中で麦、大豆産地づくりを支援していくといったようなことを考えているところでございまして、その裏打ちとなります予算につきまして、従来、産地資金と申しておったのですが、五百三十九億円のものを、これを二十六年度産地交付金につきましては八百四億円といったことで予算を増額しているところでございますが、これと併せまして、大豆・麦・飼料用米等生産拡大支援事業という事業によりまして、生産向上に資する機械の導入、あるいは、やはり何としても排水対策といったものが大事でございますので、こうした生産拡大に資する技術導入への支援、それと、強い農業づくり交付金によりまして、ロットごとの均質化に資する乾燥調製施設の整備を行うこととしているところでございます。さらに、二十六年度からは、新品種・新技術活用型産地育成支援事業という事業を創設いたしまして、やはり生産者と実需者と行政が一体となりまして、生産性あるいは加工適性に優れた新品種の導入を進めるといったようなことを開始したところでございます。  このような支援などを活用いたしまして、現在、産地では、収量性あるいは加工適性に優れた小麦の新品種や、倒れにくく大粒で良質な大豆の新品種の導入等を図る、こういった動きが出てきているところでございます。
  18. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  現状、小麦は一二%、大豆は八%の自給率ということで、これはまだまだやはり取り組んでいかなければならないポイントだと思います。ともすれば飼料用米の陰に隠れてしまいがちなものですから、現場農家とやっぱりコミュニケーションを取る場合には、餌米だけじゃないんだよと、これもやっぱり必要なんだと。もちろん、湿害対策でありますとか、それから品質の確保という、これからいろいろ対策が必要な課題もあると思いますけれども、この麦、大豆についてもお忘れなきように、是非ともその取組を強化していただきたいと思います。  需要に応じて作れるだけ作るんだと、それによって生産者収入も増えるし食料自給力も高まると、マクロの農政としては大変私は良い方向というふうに思っております。ただ、その成否の鍵を握るのは、やはり生産者の意欲をどれだけ引き出すことができるかということではないかと思っております。そういった観点からいたしますと、今回の見直しでは、米の直接支払交付金の削減、廃止というところにスポットが当たりがちなんですけれども、しかし、そうなったとしても、生産者にとっては明るい展望が開けていくんだと、こういう感じを、イメージを持ってもらうということが大変重要なポイントじゃないかなというふうに私は思っております。  この点に関しては、先週も同僚の堀井委員が、今回の見直し生産者にとってプラスになる政策であることを説明していくことが重要だというふうな指摘をされました。私も全く同感であります。この指摘に対して奥原局長は、四つの改革をトータルで捉えればプラス効果は非常に大きいといった趣旨の御答弁をされましたけれども、いま一つこのイメージが湧きにくかったというのが私の率直な印象でございました。  この米の直接支払交付金が一万五千円から七千五百円に半減した場合については既にシミュレーションが示されているというところでございまして、平均的な集落を想定した上で飼料用米転作したり、あるいは不作付け地を解消したりという一定の努力を行えば一三%増、集落全体で一三%の増というようなお話でございました。  そういった状況でありますから、交付金廃止した場合でもこれは将来展望は明るいと、こういうふうに感じてもらえるように具体的なイメージが描けるような、こういった定量的な説明をしていくということも大変私は重要だと思っておりますけれども、この点について農水省のお考えをお伺いしたいと思います。
  19. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お話があったように、直接支払交付金、これはいわゆる諸外国との生産条件の格差が、米は麦、大豆と違って十分な国境措置があるためにそういう格差から生じる不利がないということと、それから、全ての販売農家交付するということで農地の流動化のペース、これが遅れていると、こういう面があったこと、こういうことを踏まえまして、今お話があったように、二十六年産米から半減、二十九年産までの時限措置ということで三十年産から廃止にしたところであります。  その一方で、今シミュレーションにも触れていただきましたけれども、まず多面的機能支払というのを創設すると。それから、先ほど来御議論いただいておるような主食用米等への支援の充実など、水田をフル活用するための対策の拡充。加えて、農地中間管理機構、これを法律でつくっていただきましたので、こういう構造政策の拡充でやっていく、そのための支援策の拡充と。与党で御議論いただいたときも振替、拡充ということでやってきていただいたところでございます。  まさにそういう考え方で今から、先ほど申し上げたようにキャッチボールでやっていくわけでございますが、三十年産から米の直接支払交付金が半減からゼロになると、このときまた財源が出るわけであります。したがって、キャッチボールをやっていきながら、その時点で担い手がどういう状況になっているかと、これをよく踏まえた上でその財源というものをしっかりと適切に活用していきたいと、こういうふうに思っております。
  20. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  決して剥がすだけじゃないんだと、本当に生産者のためになるような使い方をして、そして生産者の所得が上がっていくんだと、こういう対策を是非講じていただきたいと思うんです。  この中長期ビジョンは、これから食料農業農村基本計画見直しを行われるということでございますので、その中でも恐らく大きな議論になってこようかと思います。そういった中で、是非、現場生産者皆さんがこれから将来は明るいんだよと希望が持てる、キーワードはやっぱり希望だと思いますので、その点を是非具体的に描けるようなイメージを持っていただける、そういう見直しを行っていただきたいと思います。  さて、冒頭、農政本質ということで、いかなる状況下でも国民を飢えさせないことだと私は思っていると申し上げましたけれども、当然、今回の一連の改革、そういう方向に向かうものでなければならないというふうに思っております。  これは先週の質疑の中で、山田太郎委員だったと思いますけれども、農政目標がないと評価のしようがないというような御指摘がありまして、その点について私が感じたのは、いかなる状況下でも国民を飢えさせないという、そういう状態になったかどうかというのが恐らくはその評価の基準ではないのかなというふうに感じました。  具体的には、農水省で策定をされておられます緊急事態食料安全保障指針でも示されておりますけれども、少なくとも国民が一人一日当たり最低限必要となる二千キロカロリー、これを国内農業生産で確保できる状態となったかどうかというところが評価の分かれ目じゃないのかなというふうに私自身思っております。  この点について言えば、今日お配りしております配付資料の二枚目になって申し訳ないんですけれども、現行基本計画では、平成三十二年度に食料自給率目標が達成された場合に熱量効率を最大化すると国内農業生産力国民一人一日当たり二千百三十五キロカロリーは確保可能とされていますけれども、これは自給率目標五〇%を達成するという前提でありますから、非常に高いハードルであるわけであります。加えまして、利用する農地についても四百六十一万ヘクタールとどうも想定されているようでありますので、足下、これは今四百五十四万ヘクタールほどの農地ということでありますから、既に足りないという状況であります。したがいまして、これから耕作放棄地をどんどん再生していかなければ追い付かないという厳しい状況にあるというわけであります。  そこで、ちょっとこれは質問通告の順番と変わりますけれども、さきの臨時国会でもお伺いしながらちょっと時間切れで中途半端で終わってしまった質問なんですけれども、遊休農地の所有者が不明の場合であるとかあるいは所有者との協議が不調に終わった場合に県知事が裁定によって利用権を設定できるという制度について、これは利用権の設定の上限が五年間ということなんですね。  これ、さきの臨時国会では奥原局長の御答弁は、強制的な利用権の設定であるから必要最小限の期間でなきゃならないんだと、そこで民法の短期賃貸借制度の五年に合わせたという趣旨の御答弁でありましたけれども、農水省自身の調査によりましても、担い手の希望する賃貸借期間というのは十年以上が三分の一を占めておりまして、六年以上となりますと七割以上を占めているという状況でありますので、この五年間ということで立法目的を十分達成できるんだろうかというのが非常にやっぱり疑問なわけです。  また、法律上の手続に従って借り賃でありますとかあるいは補償金というのはちゃんとお支払いするわけでありますから、憲法で保障された財産権を不当に侵害するということにはならないのではないかなというふうに思っているところでありまして、一般法である民法を農地法という特別法で修正することも十分可能じゃないかというふうに思うわけでありますが、この点について改めて御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 都道府県知事の裁定による農地中間管理機構の利用権の設定という、こういう問題でございます。  昨年の法案審議のときにもお答えしたかと思いますけれども、このリース期間をどうするかということでございますが、当事者双方の合意に基づいて契約を締結するという場合には、これは法律上、五十年以内ということであれば合意で自由にリース期間を設定することができるわけでございます。借りる方からすればできるだけ長い方がいいと、こういうことにも当然なってくるかと思います。  一方で、都道府県知事の裁定で利用権を設定する、このケースは、当事者の意思に反しまして強制的に権利を設定をするということになりますので、その間、この所有者の方の処分が制限されると、こういうことになりますので、期間は必要最小限にする必要があるというふうに考えております。  このため、裁定によって強制的に設定するこの農地中間管理機構の利用期間、設定期間につきましては、民法上の短期賃貸借の上限である五年を限度にしているところでございます。御指摘のように、長い方がいいというのは受け手の立場からすればよく分かるわけでございますが、この点、内閣法制局とも相当議論した上で、やっぱり私有財産制との関係もあって現在こういう法制度に落ち着いていると、こういうことでございます。  これ、実際五年間で設定してやってみまして、期限が切れそうになる、四年ぐらいたった、その時点でもう一回この都道府県知事の裁定による利用権の設定に向けた手続を進めることができるわけでございますので、そういう時点でもう一回その方に利用権が設定できるように、実務的にはいくように、そこは工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  更新は可能だというお話でございました。ただ、やっぱり担い手の方が手を挙げようとするときに、保障されているのが当初五年というわけでありますから、やっぱりそこは手を挙げにくくなってしまうという状況はあると思うんですね。  それで、内閣法制局とも十分議論をされたということでありますけれども、そういう憲法に抵触するおそれがあるという、まあ判例があるのかどうかはちょっと私もよく分かっているわけではないんですけれども、本当にその上限、許容範囲が五年がマックスなのかというのは、やっぱりその疑問は払拭できない部分があるんです。これからこの五年というのをやってみて、法律の施行状況を見ながら、やっぱり立法目的が達成されなければもうそれは元も子もないわけでありますから、さっき言ったように、耕作放棄地をこれからどんどん、やっぱりもう一回使えるものはどんどん使っていこうということが求められておりますので、是非法律の施行状況を見ながらやっぱり改めてまた検討していただきたいというのが私の気持ちでありますので、よろしくお願いしたいと思います。  このように農地の確保というのは大変厳しい状態というわけでありますので、主要作物の単収、特に米の単収はこれからも上げていくということが重要になってくるんじゃないかというふうに思います。  この点について、私もちょっと教えていただいて驚いたんですけれども、お配りした資料の一枚目なんですが、我が国の米の単収は世界第五位ということのようでありまして、一位は、これは私も意外だったんですがエジプトということのようであります。このエジプトよりも我が国は三割も低いという状況で、四位の韓国よりも一割ちょっと低いということで、中国と同じような現状だということのようであります。  これまで、どうしても作り過ぎないように作り過ぎないようにということだったんではないかというふうに思われるんですけれども、自給力を強化していこうという観点からすれば、やはりもう考え方を変えていく時期に来ているんじゃないかなというふうに思っております。そこでお伺いしたいんですけれども、単収の問題について農水省は現状をどのように評価をして、今後どういうふうにしていこうと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  23. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今先生の御指摘の水稲の単収でございます。資料にも出ておりますように、これはFAOが公表した資料から試算しまして、水稲の生産量の上位三十か国のうち第五位というふうに相なっているところでございまして、全世界の平均収量は十アール当たり三百五十三キログラムということに相なっているところでございます。  この我が国の世界第五位という単収の順位でございますが、一つには我が国の気候風土の特質からまいります日射量、あるいは病害虫の発生の多寡等の生産環境といったものが単収の高いエジプトや何かに比べまして不利であるといったようなこと、また、消費者のニーズに応じまして単収よりも食味を重視してきたといったことで、コシヒカリ等の良食味の品種が作付けされたといったようなこと、あるいは、より食味を高めるために肥料を与える施肥量を抑える栽培方法が全国的に普及したといったようなことから、どちらかといいますと量よりも質を重視してきた生産が行われてきたといったことがこのような結果になっているというふうに考えられているところでございます。  他方、実は近年は一定の品質で値頃感のある価格帯での米の供給が求められているといったようなことが出てきておりまして、とりわけ中食でありますとか外食用の業務用米に対応した品種の開発が求められておるところでございます。  このようなニーズに対応するため、これまで、例えば、あきだわらというものがございます。これは十アール当たり七百三十九キログラムの単収がございますが、こうした収量性が高い新品種の開発や、あるいは多収性品種の特性を生かす施肥体系、あるいは直播栽培などの省力・低コスト栽培技術の確立、こういったことを支援するということを今始めたところでございまして、今後とも新品種の開発普及を図ってまいりたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  24. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  これまでは量より質だという話でありました。先ほど申し上げたように、やっぱりこれから食料自給力、いざとなった場合にきちんと国民が食べていける、飢えない状態にするためには、農地の確保が厳しい状態の中でやっぱり単収の問題というのはクローズアップされてくると思います。もちろん需要を無視して作り続けるというわけにはいきませんので、そこは需要を横目で見ながらということになるわけでありますけれども。しかし、単収の向上については、やはり私は、先ほどの世界の状況を見てもまだまだ日本はこれは単収を上げることは十分可能であると、むしろ世界第一位になってもおかしくないんだというぐらいな感じは持っておりますので、是非これからもそういった取組を強化していただきたいと思います。  次に、最後の質問になりますけれども、今こうしていろんな課題を私もお尋ねしたわけでありますけれども、これまでの以上の状況を踏まえまして、やはり冒頭申し上げたように、こういった改革を通じて、最終的には我が国国民が、どんな状況になっても最後は国内農業生産力によって国民はきちんと食べることができると、こういう一人一日当たり二千キロカロリーの供給について確保するんだということが必要なわけでありまして、今後、これから一連の改革をやっていく中でこういう状況が達成可能かどうかという見通し、あるいは決意も含めて農水省考えをお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  25. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 農水省の決意と言われますと大臣からお答えをした方がいいのかもしれませんけれども、私の方から簡潔にお答えを申し上げさせていただきます。  大変重要な御指摘を頂戴をいたしました。食料の安全保障を確保する観点から極めてただいまの古賀委員の御意見重要だと、こう思っておりまして、そのために、今般の改革におきまして、産業政策地域政策を車の両輪として、農地中間管理機構の制度化や米政策見直し、日本型直接支払の創設などを推進をするということになりました。  これらの推進はどれも農地担い手などの食料自給力を構成する要素の維持確保に資するものでございまして、これらの施策の実施によりまして食料安全保障の確保に全力を挙げて努めてまいりたいと存じております。
  26. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  今後も続く世界の人口増加、それから発展途上国の生活水準の向上、こういったことを考えれば、必ずや熾烈な食料争奪の時代は到来すると思います。折しも集団的自衛権の議論が本格化してきておりますけれども、私は、軍事的な安全保障とともに非軍事的な安全保障、これは非常にやっぱり重要な課題だと思うんです。エネルギー、水、そして食料、この三本柱は特にこれから極力外国に依存しないような、そういう体制を取っていくことが重要だと思っております。  そういった意味で、是非ともこの食料自給力そして食料安全保障の推進について農水省としても真剣に取り組んでいただきますようによろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 中泉松司

    ○中泉松司君 おはようございます。自由民主党の中泉松司でございます。  今回のこの法案の審査ということでありますけれども、自民党でももう四人目ということでありますし、全体でも一巡した後ということでありまして、大変質問で聞くべきところは先輩の皆さんしっかりと聞いていただいているということを感じておりますので、質問を作るところで非常に悩みました。  先週末、地元に帰りまして、私は農家のせがれでありますけれども、久しぶりに田植をしました。質問をする前に米作ったという話なんですが、田植をさせていただいて、二町五反歩ぐらいの田植をさせていただいて、そのときに一服をしながら、家族ですけれども農業者である父と話をしたり、集落を形成されている農家皆さん、そういった方々と田んぼを見ながらお話をさせていただいたり、またそういう話の中からいろいろありましたので、各市町村の農業関係者の方々や様々な方にお話を伺って現場の声というのをできるだけ集めたいなという思いがあったんですが、聞いてみると、農業者自身の理解を深めようという努力も足りない部分もあるのかもしれませんけれども、ですけれども、やっぱりその中で我々政治の側、行政の側ももっともっと丁寧に説明をしていかなければいけないんだろうなと。先ほど、その時点その時点ごとにしっかりとキャッチボールをして現場の声を酌み取っていくんだというお話がありましたけれども、そういったことをしっかりこれからも大切にしていただきながらやっていく必要があるんだなということを改めて感じさせていただいた次第です。  それでは、質問に入りますけれども、まず初めに、前回の委員会でやり取りがありました規制改革会議の農業ワーキンググループから提出された意見について触れさせていただければと思います。副大臣におかれましては、大変お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございました。  先日の、規制改革会議農業ワーキンググループから農協改革農業委員会制度改革などに関する意見が出された件について、みんなの党の山田議員とのやり取りがありました。その中で、今後の取扱いについてということで伺われた際に、答弁、暫定版で拝見をしたんですけれども、いわゆるワーキンググループからの意見の結論についての説明というものは丁寧にされていたように思いますが、今後この議論をどのようにして取り扱っていくのかという点についてはお答えが薄かったように感じております。  今日も農協改革を断行するんだですとか、農業改革はもう進めなければいけないというような報道がなされておりますし、この意見が出されてからはかなり報道も過熱をしております。そういった中にあって、この意見というものが今後どういった性格を持つものなのか、そして、今後どのようにして議論を進めていくことになるのかについて確認をさせていただきたいと思います。
  28. 大川浩

    政府参考人(大川浩君) お答え申し上げます。  規制改革会議は、内閣総理大臣の諮問に応じ、社会経済の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革について基本的な事項を調査、審議し、内閣総理大臣に意見を述べることとされておる組織でございます。今回の農業改革に関する意見もその一環として行われたものと認識しております。  今後でございますが、政府としましては、規制改革会議から出される答申を受けまして、六月に向けて議論を深め、具体的な農業改革の推進について規制改革実施計画に反映することとしたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 中泉松司

    ○中泉松司君 今後議論をしていってその計画に反映させるということなんだと思いますけれども、そういった中にあって、若干前のめりといいますか、若干そういった姿勢が最近見られるなというような気がしております。  先日の委員会では、後藤田副大臣は、意見の結論として内容に立ち入ったお話をされた上で、農協の中央会制度廃止や全農の株式会社化などについて、聞いていると、賛成支持をもうされているんだというようなスタンスで答弁をされていたように私には受け止められました。そういったことでいいのか、それとまた副大臣としてそのような姿勢ということでよろしいのか、その辺について真意を伺いたいと思っております。
  30. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) ありがとうございます。  まず、規制改革会議の位置付けでありますが、先ほども事務方からお話ありましたが、これは、内閣総理大臣の諮問に応じて、まさに規制改革会議のメンバーがいわゆる改革案につきまして審議、調査して、それを内閣総理大臣にお示しするということ。私の立場は、まさに特命大臣として稲田規制改革大臣の下の副大臣ということでございます。そこのワーキンググループの現状につきましての事実関係を、先般、山田委員からの御質問をいただいたので、その事実関係を内閣府の副大臣の立場で述べさせていただいたことでございます。  私自身どうかというお話でございますけれども、これはもう農業の専門家の皆様方を前にして釈迦に説法でございますが、やはり共有すべき点というのは、ここは一致していると思うんですね。それはやはり農協法のまさに第一条ですね。これはまさに、農業者の協同組織の発達を促進することにより農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与することを目的とすると。この目的を共有する、共有すべきであるという立場で、じゃ今現状はどうなっているかということをまた同時にこれから委員会の皆様方、また与党の皆様方と共有しながら、そしてあるべき姿を前に向けて議論していくという点においては、皆さん、一致しているんではなかろうかと思います。  もちろん、農協さんの今までの、また政府だとか政治の世界、地方自治体との協力関係ですね、先ほどの目的達成のために大きな役割を果たしてきたということは紛れもない事実だと思います。その中で、一方で言われておりますのは、その相互依存関係の中でいろんなことをやってきましたけれども、現状はどうかと。当然、まさに地域政策、この前も山田委員の話の中ででも、いわゆる社会政策産業政策、二つに分かれますねと。もちろん共通する部分もあるかと思いますが、やはり国土保全の問題だとか生産調整、また治水の問題、利水の問題、またURの当時の六兆円も使った構造改善事業につきましての検証も含めて今現に行われております。  また、政策もそうでございますし、自給率向上、また担い手、また所得の向上という、そういう政策的なことももちろんでありますが、やはり産業的な部分においても、輸出だとか、私も当時、松岡農林大臣、亡くなられた大臣と三回中国に行きまして、検検総局という検疫のトップと交渉しまして、そこから輸出をさせていただく、自民党で初めて輸出の議員連盟をつくったときの事務局長をさせていただきました。また、やはり生産性と技術革新だとかこういったことも進めていく上で、農協さん、政府、一緒にやってきたと思います。また、食育もそうでございます。食育基本法も私は初めての議員立法でございました。十年前ぐらいでございましたけれども。  また同時に、食品安全の問題、こういう様々な政策課題を一緒に協力してきたことは事実でございますが、今現在は、まさに先ほど来議論が出ております担い手不足の問題、高齢化の問題。また、昔は小さな単協が一万を超えてあったわけでございますが、今七百になっているという現状、また、多数の兼業組合員の現状、また農業者以外の准組合員の増加。また、信用事業に依存をする部分も高くなってきまして経済事業がなかなか難しくなってきた。また、他業種のいろんな展開による民業圧迫の問題。また、没個性、没アイデア、そういう現場の声もございます。また、責任の不明確、危機意識の問題、競争原理の問題。また、食生活もどんどん変わってきましたし、サービス業のいろんな環境も変わってきました。  そういうやはり責任を私ども政治も担いながら、もちろん農協さんも担いながら、本来の主役である農業者、そして国民生活に資する改革を是非やるべきだという思いは私自身思っておりますし、先般、農林大臣からも真剣に受け止めるという御発言もあったようでございます。我々のやはりしなくてはいけないことは、第一条の目的を国内外の現状を踏まえてそれを達成することが求められている、私はそういう立場だと思っております。
  31. 中泉松司

    ○中泉松司君 丁寧な御答弁ありがとうございます。  いわゆる課題、乗り越えなければいけない課題という意味では大変危機感を持たれているということもよく分かりましたし、そこは共有すべきところというのは我々もみんな共有しなければいけない点であると思います。  ただ、その課題を乗り越えるに当たっては、議論をした上で様々な道筋があるというふうに思います。今回の農業ワーキンググループで出された意見というものはその一つの道筋を示すものであると思いますし、かなり大胆なものではありますけれども、議論を喚起するという意味では私も意味が大変あることだと思っておりますが、そんな中にあって、最近の、先ほども申し上げましたけれども、報道等を見ていますと、その意見というものがさもこの方向でもう進んでいくんだと、この道でいくんだというような印象を受ける方も多いと思いますし、私も実際そういう印象を受けております。  そういった今後の議論の幅を狭めるような話ではなくて、先ほど副大臣もおっしゃっていただきましたけれども、変えなければいけないところは変えなければいけない。ただ、その変える方法や、どのような方向を目指すのかという点について様々議論があるということは是非御理解をいただきたい点であると思っております。  そして、ましてや今後、この後与党内での議論も経てということになろうかと思っております。今後は今回の意見を受けて関係省庁や与党内で議論を進めていくことになると考えておりますけれども、そういった点に関して、こういった今の現状を踏まえてどのような手続、どのような入り方で議論を進めていくのか。そしてまた、今盛んに議論の準備をしている最中だと思いますけれども、自民党内でも与党内でも議論の準備をされているところだと思います。そういったところを踏まえて、どのようにいわゆる議論を受け止めていくおつもりか。我々はあくまでやっぱり様々な議論を経た上で結論を出していただきたいというふうに思っておりますので、しっかり受け止めていただきたいと思っておりますけれども、お考えをいただければと思います。
  32. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 委員おっしゃるとおりでございます。  何事も立法府のやはり御意思をしっかり反映して執行するのが行政府でございますので、その中での様々な提案については、当然のことながら、委員会、また与党のいろんな方々の御意見をいただきながら、また同時に主体者である農家の方々の意見ももちろん聞く必要があるし、農協さんの改革案も先般お示しをいただいているところでございますけれども、そういうことも踏まえて、先ほども事務方からの答弁ありましたけれども、六月という一つのタイミングを見て、具体的な農業改革の推進につきまして皆様方の意見を集約した中で規制改革の実施計画に反映できればと、このように考えております。
  33. 中泉松司

    ○中泉松司君 今、うがった見方をすると結論ありきで議論を進められているのではないかというふうな御意見を伺ったりもいたします。是非とも、そういったことではなくて、今後の与党内の議論、そして様々な議論をしっかりと受け止めていただいて、その上で方向性を見出していくということを肝に銘じて議論を進めていただければと思っております。  お忙しい中来ていただいた後藤田副大臣には、ここで結構でありますので、退出していただいても結構です。
  34. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 後藤田副大臣には御退席いただいて結構でございます。
  35. 中泉松司

    ○中泉松司君 それで、もう一つ、規制改革会議農業ワーキンググループの意見には様々触れられておりますけれども、その中で一つ気になったところをちょっと御確認をさせていただければと思っております。  農業委員会のいわゆる選挙制度廃止、いわゆる指名等の廃止についても、今回の改革の意見ではうたわれております。これは様々、今までも与党内、いわゆる自民党内でも農業委員会等を考えるPT等で議論がなされてきたところでありますし、関係団体からも様々御意見を伺ってきたところでありますけれども、私、個人的に思いとしては、やはり選挙で選ばれた人間、私たちが選挙で選ばれているから偉そうにするわけではないんですが、選挙で選ばれた人間というものがその地域のことをしっかりと担って、そしてその地域皆さんの思いを受け止めて仕事をしていくというのは非常に大切なことなんだと思っております。  だからこそ、地域の信頼を得て、農地の監視や様々な仕事ができると思いますし、今後、中間管理機構のサポート等々をしっかりとやっていただかなければいけないと私は感じておりますが、今までの農業委員会の役割というものを踏まえて、今回の意見というものをどのように受け止めておられるのか、本来であれば岸先生がいるときに聞けばいい答えが聞けたのかもしれませんけれども、ちょっと今席を外していらっしゃいますが、是非ともここに岸先生がいらっしゃるものだと思って、前向きな御答弁をいただければと思います。
  36. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この規制改革会議のワーキンググループは、五月十四日に意見を取りまとめられたということでありますが、農業委員会は、やはり農地に関する市町村の独立行政委員会でございます。したがって、担い手、農地の利用、集積、集約化をすること、それから新規参入の促進をすること、耕作放棄地の発生防止、解消をすること、こういうことを積極的に進めていくというのが非常に大事だと、こういうふうに思っております。  今回の規制改革会議の改革の案も、農業委員会農業者のヒアリングも行われて、生産現場を改善して農業を成長産業とすることを旨として検討されたと聞いておりまして、問題意識は共通であると、今委員と副大臣がやっていただいたとおりでありますが、具体的な内容については今後与党とも協議をしながら検討したいと思っております。  なお、自民党の農業委員会農業生産法人に関する検討PTというのが御案内のようにありまして、座長は西川衆議院議員ですが、座長代理が岸宏一先生と。さらに申し上げますと、事務局次長には山田修路先生舞立昇治先生、それぞれ御就任をいただいていると、こういうことでございますので、そういうPTを中心に議論がされるものと、こういうふうに承知しておりますので、よく政府と与党連携して検討を深め、成案を得てまいりたいと、こういうふうに思っております。
  37. 中泉松司

    ○中泉松司君 ともすれば、農業委員会地域によっては機能していないところがあるというのはこれは認めなければいけないと思いますけれども、しっかり機能しているところというものもあるというのも認めなければいけないんだと思っております。  昨年になりますか、群馬県に農林水産委員会で視察に訪れた際も農業委員皆さんとお話をちょっと雑談の中でさせていただいたんですが、これ、どこに行っても同じようなことを言われるんですが、いいよと、我々が要らないのであればいいよと、じゃ、やってみればいいじゃない、できっこないよというふうにやっぱり言われるんです。  それは、たかをくくっているというふうな見方もできるかもしれませんが、事実、それだけの自負、それだけの自信があってその仕事に関わっておられるということの裏返しでもあると思います。そういった声というのは、現実にいなくなったときのことを考えると、私もいわゆる現場がどうなるんだろうかという心配もありますし、そういった中にあって、やっぱりしっかり機能しているところの意見というものを踏まえて、是非とも、これは私は個人的には維持してほしい制度だと思っておりますけれども、しっかりと機能するような制度として議論の末に方向性を出していただきたいと思っております。  次に、多面的機能支払についてお伺いをいたします。  多面的機能法案というのは、今回は産業政策と車の両輪を成す地域政策として日本型直接支払を法制化するものであって、法制化することによって農業者等が望む制度の安定的な運用ができることになるということで、私は高く評価をしております。  多面的機能法案では、まず国が基本指針を定め、次に都道府県が基本指針に即して基本方針を定めることができます。そして、その次に市町村が促進計画を作成することができるということで規定をされておりますけれども、平成二十七年四月の法施行に向けた基本指針、基本方針、促進計画の策定スケジュールについてお伺いをいたします。
  38. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。  国の基本指針、都道府県の基本方針、それから市町村の促進計画についてでございますけれども、これらはいずれも、法が施行されれば、法が施行される来年四月以降に定められるということになります。しかしながら、これらは現場農業者等の皆さんが作成される事業計画の基礎となるものでございまして、法の施行後、速やかにこれらが定められて滞りなく事業計画の作成及び認定が行われることとなるように、都道府県や市町村との連携を密にいたしまして、都道府県の基本方針や市町村の促進計画の準備作業が本年度中に完了できることとなるようにしたいというふうに考えております。  このため、具体的には、国の基本指針の案の作成、それから都道府県の基本方針、それから市町村の促進計画、こういった方針、計画のひな形を提示するといったこと、それから、これらの作成に当たりましての事前の御説明ですとか相談に応ずるといった事柄、こういったことにつきまして、法律を成立させていただきましたらできるだけ早い段階から取り組んでまいりたいと考えております。
  39. 中泉松司

    ○中泉松司君 成立したらという前提だとは思うんですけれども、是非速やかに進めていただけるようにお願いいたします。  また、国では現在、新たな食料農業農村基本計画策定に向けた議論を行っておりますが、国の基本指針は基本計画との連携がしっかり図られるものになるのか、その基本的な考え方について大臣の御見解を伺います。  また、法の第四条で基本指針が定めると規定する多面的機能発揮促進目標とはどのようなものを想定しておられるのか、併せてお伺いをいたします。
  40. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農林水産省におきましては、現在、食料農業農村基本計画、この見直し作業を進めておりまして、来年の三月ぐらいにこの新たな基本計画を策定する予定であります。多面的機能発揮促進法案に基づく基本指針、これは、来年の四月の法の施行を予定をしておりますので、これを待って策定をするものであるために、この新たな食料農業農村基本計画見直しの議論を踏まえてこの基本指針の策定ということになると、こういうふうに考えております。  この基本指針において、多面的機能発揮促進するために必要な目標、例えば、多面的機能発揮促進するための地域の共同活動、これが将来にわたって適切に実施されること、それから中山間地域等における農業生産活動の継続的な実施が今後とも適切に図られること、それから自然環境の保全に資する農業生産活動、今後これが地域において広く普及すること、こういうような多面的機能支払や中山間地域等直接支払、若しくは環境保全型農業直接支援、こういうものの適切な実施を通じて実現を目指すべき事項、こういうものについてこの基本指針に定めていきたいと、こういうところを検討しているところであります。
  41. 中泉松司

    ○中泉松司君 基本的な押さえるべきところについて規定をしていただくということであると思いますけれども、特に将来にわたってしっかり安定的にやれるかどうかというところは、やっていただけるんだろうなと思っていながらも、ちょっと不安を持っている方々というのは結構いらっしゃるように見受けられます。実際に現場を回ると、本当にこれは続くのかいみたいな話があったりもしますので、そういったところは是非とも気を遣っていただきたいところだと思います。  また、この申請をするに当たって、農業者が申請をして取組をするに当たっては手続が負担になるというのは前からも触れさせていただいておりますけれども、事実であると思います。要綱、要領の内容を一字一句正確に捉えて農業者だけで手続を進めるというのは現実的には難しく、国や県の指導の下、市町村などと相談をしながらやっていくというのが実際のところであると思います。  そんな中で、過疎の進む地域や十分な知識、見識を持った従事者がいない地域などでは対応をするということが非常に難しく、支援をすべきだというのは以前も質問で取り上げさせていただいたところです。農水省としても地域の声を踏まえてかなり手続を簡素化していただいて、取り組みやすい状況をつくっていただいていると認識をしておりますが、実際に、農水省でオーケーと言われても最終的には検査員のチェックを受けなければいけない、そして、そこで要綱、要領に基づいて厳格に指摘がされるときっちりとした書類を再提出しなければいけなくなる、そういったことが今までのこういった施策でもあったやに伺っておりますけれども、そういった心配がないのかということを危惧しております。それらに対する対応についてお伺いをいたします。
  42. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。  先生のお話にありましたように、多面的機能支払の実施に必要な事務手続につきましてはいろいろ簡素化等を図ることとしておりまして、交付金交付手続や書類の簡素化ですとか、作成書類のひな形を示したり、該当項目をチェックする様式を取り入れたり、あるいは市町村の確認事務の簡素化、それに必要な提出書類の簡素化といったことを行って、農業者等の事務負担の軽減を図ることとしております。  こういった手続、書類等につきましては、要綱、要領に定めるほか、QアンドAとか説明資料を用いまして、現場の活動の根拠となるような文書を明確に定めて通知、配付いたしまして、農村現場まで徹底されるように周知を図っていくこととしているところでございます。  また、制度趣旨に即して適切な執行が行われることが必要でございまして、地方自治体等に対する説明会の開催ですとか問合せ窓口の設置等によりまして、現場への制度の丁寧な説明に努めてきているところでございます。  また、会計処理でございますけれども、活動組織が作成する金銭出納簿を市町村長が確認して交付金の使途をチェックするとともに、地方農政局が毎年度、活動組織の中から抽出して証拠書類等の検査を行うといったことをすることとしております。  こうしたことによりまして、活動の実施に際して丁寧に説明する、それから農業者等の理解促進に努める、地方自治体や国によるきめ細かな確認や指導を行うといったことを通じまして、御指摘のような事態が生じないように未然の防止に努めまして、適切な執行が確保されるように対応してまいりたいと考えております。
  43. 中泉松司

    ○中泉松司君 実際に、農業者の方々が頼るべきは多分、基礎的な自治体、市町村等になるんだと思いますけれども、そういったところでやり取りをさせていただいていますと、各市町村も実際かなり財政状況が厳しい中で人員の確保というものが難しい、マンパワーが実際かなり低下をしてきているという中で何とかかんとかやっているというのが現状であるというふうにもよく伺います。  そういった中にあって、各市町村もなかなか大きい負担になって、やりくりができないといったようなことになったり、そういったことでその辺がおろそかになってしまうということが生じてしまうと、この、いわゆるせっかくやっていただく制度なんですけれども、かなり実際は最終的にそれは農業者の負担になってくるわけですから、そこが非常にうまくいってくれないと困るなというふうに感じております。  是非ともそういったところを、しっかりとその声に応えていただきたいと思いますし、また、様々な団体のOBさんを雇っていわゆるそういう処理をしていただく、事務処理的なことをしていただくということも可能だというふうに以前から伺っていますけれども、実際のところ、人口が少ない地域だとなかなかそういう人材が集まらないし、そういう人材の人に声を掛けても余りいい返事が聞かれないというような地域もあるというふうに伺っています。そういったところで将来的に負担にならないように、将来的にというか、農業者の負担にならないように、そういった声に応えていかなければいけないと思っております。  そういった声にしっかりと応えていただきたいと思いますが、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、御答弁をお願いいたします。
  44. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。  市町村が厳しい状況、人材不足等、マンパワー不足といったような状況にある中で負担が大きいと、それが農業者等の負担になっていくのではないかという御趣旨だと思いますけれども、先生のお話にありましたように、この委員会でもお答えを一度申し上げておりますけれども、この多面的機能支払における地方公共団体の事務負担につきましては、推進事務に要する経費を定額助成する推進交付金を、平成二十五年度の前身である農地・水保全管理支払の際の約十億円から三倍に増額して約三十億円を二十六年度予算に計上しております。こういった予算の活用を図っていただくということが一つございます。  それから、この交付金の推進を図るために、都道府県、関係市町村、それから農業者団体等から構成されます地域協議会というのをつくっていただいております。都道府県等に設置されておりまして、そういう地域協議会は、活動組織への制度説明ですとか、あるいは活動に関する指導や助言といった推進事務を担える仕組みとなっておりますので、こういった地域協議会の御活用を図っていただくというのも一つの考え方だろうと思います。  また、これは若干三月にお答えしたこと等の繰り返しになりますけれども、市町村、活動組織が行う事務につきましては、JAですとか土地改良区、そのほか農業生産法人等の団体等、こういう事務処理を適切に行えるところに委託をする、あるいは旧市町村等の広域的なエリアを対象として組織を設立することによりまして複数の集落に係る事務を一本化して行うといったようなやり方もございます。こういったやり方で事務負担を軽減するということも可能でございます。  こういったことにつきまして、地方自治体あるいは現場まで周知徹底いたしまして、事業の円滑な推進が図られるように努めてまいりたいと考えております。
  45. 中泉松司

    ○中泉松司君 規模の大きいところであれば比較的やりやすいといった声も聞かれるんですけれども、いわゆるそういった支援策に網の目からこぼれ落ちるようなところがないように、是非ともしっかりやっていただきたいと思っております。  次に、米政策についてお伺いをいたします。  今回の米政策見直しの背景には、人口減少、高齢化や食生活の変化などを踏まえ、主食用米需要が年間八万トン程度減少するといったトレンドが見込まれておりますけれども、それに伴って生産調整も拡大し続けなければいけない、拡大せざるを得ないという状況が背景にあるんだと思っております。  そういった点を踏まえて我が国の将来を考えると、農地利用の集積、集約化、あるいは営農組織の強化など、担い手を育成、確保し、農業を魅力ある産業としていくことが不可欠であると私も考えております。  戸別所得補償制度というのは全ての販売農家さんを対象にしておりましたので、農家さんにとっては評判の良かった制度であるというふうに思いますけれども、人口減少社会、高齢化が進んでいて需要も減ってきているというこの社会において我が国農業の将来を考えたときに、農業構造の固定化というものが生まれてしまうものであるとも言わざるを得ない点があると思っております。  これまでの議論でも答弁はありましたが、改めて、米政策において直接支払交付金廃止する理由について、特にこの人口減少主食用米需要減少といった観点を踏まえて、その理由について改めてお伺いをいたしたいと思います。
  46. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 米の直接支払交付金につきましては、米、麦は大豆等とは違いまして、大臣も何回も答弁をされておりますように、十分な国境措置があるため諸外国との生産条件の格差から生じる不利はないこと、さらに、全ての販売農家対象とすることは農地の流動化のペースを遅らせる面があること、そしてまた、人口減少主食用米需要減少などによりまして潜在的生産力が需要を上回っている状況にあることなどの政策的な問題があったために廃止をすることとしたところでございます。  一方では、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってきた農業者もいるために、平成二十六年産から単価を削減をした上で、平成二十九年産までの臨時措置とすることといたしたところでございます。
  47. 中泉松司

    ○中泉松司君 いろんな見方はあろうかと思いますけれども、農業のいわゆる構造を変えていく、時代に即した農業構造をつくっていくという意味では、そのスピードが鈍化してしまった点もあるのだと私は感じています。いわゆる時代を切り開くための農政というものをつくっていくためには、いわゆる集約、集積といったところ、担い手づくりといったところにもっともっとスピード感を持たせるということは必要であると私は考えています。  その中で、今回の交付金対象者の要件として、新たに認定新規就農者を加え、規模要件は課さないといった、そういった変更が加えられることになりました。以前の答弁でもありましたけれども、小規模でも複合経営にしっかり努める農家等に配慮をしてやられたものだと理解をしています。  これ、私のイメージが強過ぎるのかもしれませんが、以前の集積を図るための施策というのは、これから集落営農組織なんかを組んでいかないともうやっていけませんよというような色が強くて、我が家も含めてなんですけれども、危機感を持って、じゃ、これは組んでいかないともうやっていけないんだということでかなりの集積、集約が一気に図られたという点はあったんだと思っています。現に我が家もそれで集落営農を組んだという点もあるんですが、我が家だけでなくて、地域でも全国的にも、これはデータを見れば分かることでありますけれども、それによって集積が進んだという点もあると思います。  今回のいわゆる規模要件を課さないといった点であったり、新規認定就農者を認めるという点であったりというところは、以前に比べると多様性を認めた上で集積、集約を図っていくということを同時に進めていくというような考え方であるのだと、私の受け止めとしてはそういうふうに感じさせていただいているんですが、これをどのようにしてしっかり両立して、いわゆる強い農業づくりを進めるということとしっかりそのフォローアップをしていくということを両立していくのか、そこら辺の考え方についてお考えをお伺いさせていただければと思います。
  48. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 我が国農業を発展をさせて国民に対する食料安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営農業生産相当部分を担う農業構造を確立することが重要であると考えております。  この経営所得安定対策見直しにおきましては意欲と能力のある担い手対象を明確化をすることといたしたところでありますけれども、その際、小規模であっても複合経営や六次産業化に取り組むことで所得を上げていこうとする意欲と能力のある農業者に対しましては、今回の担い手経営安定対策の改正案では規模要件を課さないとしたところでもございます。こうした者も担い手でございますので、規模要件を外したことは構造改革を進めることと両立をするものと考えているところでございます。
  49. 中泉松司

    ○中泉松司君 どれぐらいの人数が認められることになるのかというのはちょっと私も見てみないと分からないと思うんですが、そこら辺を見据えながら、しっかりと今後の状況を見ながらそういったところは目くばせをしていただいてお考えをいただければというふうに思っておりますし、そこら辺しっかり進むように、その視点を持って取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  次に、飼料用米の活用についてお伺いをいたします。  政府は、今回の生産調整の見直しに伴い、麦や大豆飼料用米など、需要がある作物生産振興に大きくかじを切ろうとしています。特に、潜在利用可能量が四百五十万トン程度、四百五十三万トンというふうに前見たような気がしますが、試算される飼料用米への期待は大きいものがあります。  このため、飼料用米については収量に応じた数量払いを導入しインセンティブを高めようとしているのは、これは御案内のとおりでありまして、収量を得る努力をした上で積極的な活用をすることが求められているんだと思います。特に、飼料用米数量払いによる助成には数量の確認というものが不可欠になりますけれども、JA等、農産物検査機関による数量確認が義務付けられることになると思います。  この農産物検査法に基づく検査によって主食用米と同程度の検査費用、もし一キログラム当たり一円等を負担することになりますと、量が増えれば増えるほど検査費用の負担も大きくなりますので、飼料用米増産の足かせになるようなこともあるのではないかというふうな指摘がされていたりしております。  そこで、この検査の必要性、そして費用負担についての考え方について見解をお伺いをいたします。
  50. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) お答えいたします。  今先生から御指摘いただきましたように、平成二十六年度から餌米につきまして数量払いを導入するといったことになるわけでございますが、この際、十アール当たり最大で十万五千円の高い交付金が支払われるということになりますものですから、やはり納税者の理解を得るためにもしっかりと支払の根拠となる数量につきましては客観的な確認が必要だというふうに考えておりまして、農産物検査機関による数量確認、これを要件とすることとしたところでございます。  また、今後飼料米生産量が増加して広域かつ恒常的に取引されるということが見込まれますことから、事業者が現物を一々確認することなく効率的な取引ができるようにするといった、こういった必要性が出てきておるところでございます。  また、畜産サイドからも、やはりこれは畜産物の品質や何かにも影響を与えるものでございますから、水分の含有量の問題でありますとかあるいは異物混入がないといったような、こうした品質あるいは規格といったものが求められるような情勢になっておりまして、こういうことを踏まえまして、飼料米につきまして農産物検査規格の設定を行うこととしているところでございます。  なお、今先生から御指摘ございました検査手数料でございますが、我々が把握しているところでいきますと、大体キログラム当たり一円を下回るような登録検査機関が大宗を占めているような状況でございますので、飼料米数量払いの助成単価、これキログラムにしますと百六十七円でございますので、この中で賄えるんじゃないかというふうに考えておるところでございますが、いずれにしても、よく今後現場の動向といったものを十分注視していきたいと、このように考えておるところでございます。
  51. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございました。  今、人口減少社会、そして需要が減ってきている中での米政策ということでちょっと質問をさせていただきましたが、何としても私たちの次の世代にバトンを渡せるような農政というものを今構築しなければいけないと考えております。  そこで、飼料用米以外の作物も戦略作物ももちろん大切なんでありますけれども、新たな選択肢としての飼料用米というものは期待が大きいものがあると思います。ただ、その一方で、飼料用米には、多収性品種の種もみの確保やその栽培に係る技術的な課題、貯蔵・輸送体制の未整備、需要先とのマッチング等、課題も多く指摘されているのが事実でもあります。  先般の質問でも、何人かの委員からそれらの課題に関する質問がされております。私も以前、飼料用米への誘導をするためには日本海側への配合飼料の必要性というのも訴えさせていただきましたし、先日、舞立委員の方からも同様の質問がされておりました。これについては改めて触れることはしませんけれども、ただ、方向付けをしていく上で、やっぱり誘導、農家皆さんがイメージしやすい誘導というものは必要になってくるんだと私は思っております。  例えば、秋田県では比内地鶏というのが日本三大地鶏として……(発言する者あり)ありがとうございます、日本三大地鶏として人気を、北海道の小川先生からも人気を博しておりますけれども、そういうふうな地域、たまたま比内地鶏の地域というのは秋田の県北部の地域でありますけれども、大型の養豚業者も多くございます。そういったところではやはり地域で消費するんだというような意識も高いと思いますので、順調に作付けが拡大していくような傾向にあるというふうに県からも伺っております。  一方で、それ以外の地域、そういったところが盛んでない地域と言ったら失礼かもしれませんが、それ以外の地域では、価格が低い点であったりこれから安定的にやっていけるのかという点であったり、そういったところで不安を抱えて、実際静観をされているというようなそういう地域も一方でありまして、かなりそういった差が大きいなというふうなのを実際感じさせていただいております。  今回のこの政策転換というのは絶対に成功させた上で成立する農業というものをつくっていかなければいけないと思うんですが、米価の下落の可能性というものは全く否定できるというものではないと思います。狙いどおりに需給バランスが取れるような状況というものをつくられるのがベストだとは思いますけれども、そういった状況に必ずしも一〇〇%なるとは限らない中で、もし万が一そういった危惧するような状況が生まれてきた場合の、いわゆるセーフティーネットではありませんけれども、いわゆる保険でもありませんが、しっかり主食用米米価の変動に左右されないような農業という意味では、飼料用米可能性というものはそういう意味でも大きいと思っておりますので、是非、むらというものをある程度解消した上で進めていくべきだと私は考えております。  そういった中で、やっぱり農家がイメージしやすいものをつくるというのが大切だと思っておりまして、その一環で私も配合工場なんというものを出させていただいたんですが、要は、しっかりと飼料用米を新たな可能性として農家皆さんに認識をしていただいて、その上で積極的に活用していただくという意味では、やはり自分たちが作っている米というのが例えば日本の畜産を支えているんだですとか、自分たちの作った米というのがこういうふうに使われることによって新たな農業可能性というものが切り開かれているんだというような実感を持っていただくということが非常に大切だと思っております。そして、その実感を持っていただいてやっていただいてこそ初めてこの飼料用米の活用といいますか、新しい米政策といいますか、そういったところが開かれていくんだと私は考えておりまして、是非ともそういったところの農家皆さんがイメージしやすい後押しというものをしていただきたいというふうに思っております。  これは強く私は個人的に思っているんですが、そういった点を踏まえてどのように振興を図っていかれるおつもりなのか、お考えを、そして決意をお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただければと思います。
  52. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御質問だと、こういうふうに思っております。  やっぱりイメージを持っていただいて、先ほどどなたかがおっしゃったように、古賀先生だったかな、主食用の米を作っているプライドというのがちょっとあったと思いますが、やはり餌米を作るときに畜産に役立っているということをやっぱり認識をしてもらうという意味で非常にそういうことは大事だと思っておりまして、私も時々行きますが、平田牧場ですね、米を使った豚の方がいい豚ができるということでブランド化をされておられますし、それから卵でも、こめたまとか、豊の米卵、こういうのが出てきておりまして、やはり日本で畜産をやるという意味で米で畜産をやっていくということがこういう付加価値につながるということをどうやって後押ししていくかと、これが大変に大事だというふうに思っております。こういうケースがどんどんどんどん増えていくということに合わせて、こういうことを使って、生産者畜産農家に餌米というのはこういうことがありますよということを十分に認識していただきながら、需要に応じた生産、利用、こういうことが増えていくと需要も増えていくと、こういうことであります。  よく我々が申し上げる四百五十万トンというのも、現行のいろんな研究、実験ベースだと四百五十万トンということですが、いろんなやり方を工夫していくことによってこれは上がる可能性もあると、こういうことでございまして、そういった意味で、先ほど来キャッチボールと言わせていただいておりますけれども、都道府県、市町村、JAの皆さんと一緒になって推進体制をつくって、生産者、これは耕畜両サイドということですが、しっかりとキャッチボールをしながら、地域の実情に応じてしっかりと取組が行われるように支援をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  53. 中泉松司

    ○中泉松司君 プライドという話がありましたけれども、主食用米を作るプライドというのはやっぱり私も感じます。農家皆さんと話していても、なぜ我々が米を作ってそれを鳥や豚に食わせなきゃいけないんだというふうなことをおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、ただ、先ほど大臣からもお答えいただきましたように、しっかりと畜産を支えるというプライドというものも一方であるんだと思っておりますので、是非ともそういったところは農業者がそういった意識を持っていただいて積極的に取り組めるように後押しをしていただけますように心からお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  54. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 午後零時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ─────・─────    午後零時四十分開会
  55. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党の郡司でございます。  今日は、今委員長からありました経営所得安定、そして日本型直接支払、多面的機能の関係でございますけれども、政府は一貫して新しい農業・農村政策ということで、これまでも農地中間管理機構の創設、そして経営所得安定対策見直し、さらには水田フル活用と米政策見直し、そして日本型直接支払制度の創設ということを一体でうたってきておるというふうに思いますので、それらを含めた質問をさせていただければなというふうに思っております。  まず、大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、衆議院審議が行われまして修正がなされました。そのことについての御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 政府提出法案担い手経営安定法の改正案に対しまして、衆議院におきまして、収入変動に対する総合的な施策の検討を求める修正が行われたところでございます。  農林水産省としても、平成二十六年度の当初予算、これに収入保険の調査費を計上しております。これでもって収入保険の導入に向けた検討を進めておるところでございまして、衆議院農林水産委員会において全会一致でこの修正案が可決されたということは今後の収入保険の導入の検討を円滑に進めていく上でプラスになるものと、こういうふうに考えております。
  58. 郡司彰

    ○郡司彰君 午前中の議論でも古川副大臣の方からございましたけれども、この経営所得安定対策というのは、これまでの戸別所得補償に変わり得る制度、それをより効果をあらしめる制度だということでございましたけれども、改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは再々御答弁を申し上げてきたところでございますが、所得補償をやってきた、名前だけは経営安定対策ということで一年現場の混乱を招かないために継続させていただきましたが、その間検討を重ねまして新しいこの制度にしたわけでございます。  したがって、選挙での公約等も踏まえた検討ということでこれに変えてやるということでございますので、委員が変わり得ると言うのがどういう定義かにもよるわけでございますが、より安定的に効率的にやっていく農家の方が大宗を占める方向という意味で、一段とその方向で進んでいくものというふうに考えておるところでございます。
  60. 郡司彰

    ○郡司彰君 これまでの議論の中でも、例えば構造改革を若干後退させる要因が含まれているとか、あるいはまた国境措置があるということによって支障が生じないというようなお話もございました。私は、この後の議論でまたちょっとさせていただきたいというふうに思いますが、このことに関して言えば、そもそもが狙いが違うんだろうというふうに思っておりまして、この主要食糧というのは安全保障の関係も含めて安定供給するというのが国の責務であって、その主要な食糧について恒常的な差額が生じているものについて経営を安定させるためにこのような制度を入れたということも大きな眼目であったんだろうということでありますので、国境措置そのものというような言い方だけになるとちょっと違和感を感ずるというふうに思っております。  さらに、いろんなばらまきなどという批判もございましたけれども、今回の、また来年から変わるわけでありますけれども、例えばナラシの関係でいいますと、対象の人数というものも限られてきております。百二十万ぐらいといわれる農家の中で二五、六%というような数値も言われておりますけれども、一体このように対象を限定をしているような政策というものはほかの国であるんでしょうか。欧米の中でもそのようなものがあるんだとすれば教えていただきたいと思いますが。
  61. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) お答えいたします。  アメリカやEUの直接支払制度対象者について申し上げますと、原則としまして、アメリカにおきましては、対象面積が十エーカー、約四ヘクタールでございますけれども、それ以下の農業者は支給対象外という形になってございます。また、EUにつきましては、対象面積が一ヘクタール未満又は直接支払受給額が百ユーロ未満の農業者は支給対象外とされているところでございます。
  62. 郡司彰

    ○郡司彰君 今それぞれの話をなされましたけれども、それぞれの国の平均的な生産農家が所有をしている例えば広さというものは、これは日本と全然違うわけでありますね。  そういう意味では、そこのところの問題もあるし、欧米なんかは逆に言うと大きなところに抑制して支払うと、こういうような仕組みも持っているんだろうというふうに思いますけれども、全体を含めて、先ほど申し上げましたように、いわゆる岩盤としての戸別所得補償というものと、今おっしゃっているような中身というものというものは、私は若干理念が違うところの議論をしているんではないかなと。  そういう意味では、この戸別所得補償の関係、余り今日時間がありませんので細かくは言いませんけれど、例えば農地の利用率でありますとか、それから実際の数字として規模拡大というものが阻害をされるというような言い方をなされましたけれども、これまで農地バンクを含めて三十数年間やってきて、それまでの総予算を含めて絶対的に集積をされたのがどれだけの面積だったのかというのはこれまでも何度も議論をしてきました。私は、そのような観点からしても、余り戸別所得補償というものが言われるようなマイナス面ではなかったんだというふうな思いを持っておりますけれども、改めて大臣、もし何かありましたらばお願いします。
  63. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変本質的な御質問だと、こういうふうに思いますし、実は衆議院委員会でも、そこの部分について、衆議院の場合は野党案の提出者からもいろいろ御答弁もあって議論は深まったと、こういうふうに思っておりますが、よく野党案提出者がおっしゃっていたのは、静かな構造改革と、こういうふうにおっしゃっておられまして、確かにそういう部分が、私もお聞きをしておりまして、おっしゃるようなことがあるのかもしれないなと思いながらも聞いておりましたが、一方で、選挙で公約をしたことに従って法律を整理していくということに加えて、何年ぐらいを目途にこれを実現していくのかということがこの静かな構造改革ということになりますとなかなか見えにくいというところ、一方で、耕作放棄地や、今日午前中の御質疑にもありましたように高齢者というのは待ったなしの状況にあると、こういうことでございます。  それからもう一つは、人と農地プラン、民主党政権時代に始めていただきまして、ここの中で、農地中間管理機構のようなものがあって、これを促進していただくと有り難いと、人・農地プランの話合いの中からそういう御要望も出てきたと、こういうこともあって農地中間管理機構なるものも先国会でお認めいただいてやっていこうと、こういうことになってきたということでございまして、そういうことを併せ持ってしっかりと積極的に担い手への集積というものを進めていこうというのが我々の考え方であるということでございます。
  64. 郡司彰

    ○郡司彰君 これは、大臣は経済的なことについては私よりもお詳しいわけでありますけれども、私は、いろんなことを、経済の関係について、上部が決定をしたからといって下部までは決定できない、つまり、逆に言えば、下部のその実態というものが上部を規定するようなことというのが実際の経済の動きだろうというふうに思っているんです。そういう意味では、理屈からいうと、構造改善に後れを取るというような話をよくされますけれども、実態としては私は戸別所得補償の方がこれまでよりもいろんなものが動いてきていると、こういうような感想を申し述べたいというふうに思っております。  次に、戦後の農政改革史の中で、今回のこの四つを含めた新しい農業・農村政策というのは、例えば六一年のときのあの基本法、それから一九九九年のときに議論をされました新基本法、それらも含めてどういうような位置にあるんでありましょうか。どの程度の重要性を持っているとお考えでありましょうか。
  65. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業政策につきましては、これは前大臣にお話しするのも釈迦に説法だと思いますけれども、その時々の政策課題に応じて様々な施策を講じてきたところでございまして、先ほど申し上げたように従事者の高齢化や耕作放棄地の拡大、こういう課題が顕在化してきておるわけでございますので、EPA、TPP等々にかかわらず、構造改革を加速させるということが農業の活性化にとっては非常に大事だと、こういうふうに考えております。  こういう意味から、急ぎ着手すべき政策改革の内容、これは安倍内閣として農林水産業地域活力創造プランとして十二月に取りまとめさせていただきまして、いわゆる四つの改革と言っておりますが、中間管理機構で集積を加速化し、コストを削減する、それから、経営所得安定対策見直し、これには米の直接支払交付金見直しも入ってくるわけですが、それから、自らの経営判断需要のある作物を選択していただくようにしていくという米政策見直し、同時に、地域政策として更に構造改革も後押しする日本型直接支払制度ということで、四つの改革ということを決めてやっていこうということにしたわけでございます。  構造改革を加速化するために、施策の実施手法を変更したり、新たな仕組みを創設するということでございますけれども、一方で、食料農業・農村基本法の基本的理念に即したものであるということも申し上げておきたいと思いますのは、法の二十一条に規定します効率的かつ安定的な農業経営農業生産相当部分を担う農業構造の確立、それから法の三十条に規定しております消費者の需要に即した農業生産を推進するための市場評価を適切に反映した価格形成と経営安定対策の実施、それから三条の農業多面的機能の適切な発揮と、こういうふうに基本法の基本的な理念に即したものであるということでございまして、農政史というほどのことでもございませんが、この新基本法に基づく農政の一環であるということも併せて申し上げておきたいと、こういうふうに思います。
  66. 郡司彰

    ○郡司彰君 これまで、例えば古い方の基本法は、私たちの国が戦後の、何というんでしょうね、歩みの中から、ガットというところに加盟をする、そして、そのための国内の農業の在り方というものを規定をしたという側面は強いんだろうというふうに思っています。一九九九年のときには、これはWTOというものが新たな形で発足をすることについて、それに対応するような部分というのも相当あったんだろうというふうに思っております。  先ほど大臣の方からは、現在の基本法に沿った形の中の改革なんだということでございますけれども、特にTPPその他のことに鑑みての改革ではないんだということでございましたけれども、私は、これはTPPがうまくいこうが、日豪の問題は一定の合意を得ております。それから、今年の夏にはRCEPの問題の作物別の交渉も入るわけであります。FTAAPも長い目で見れば一定の射程に入ってきているということからすれば、今回のTPPいかんにかかわらず、新しい経済連携の在り方、それはWTOとはまた異なった仕組みというような中で、日本の農政というものを考えるということはあってしかるべきだろうというふうに思いますし、特に大臣が熱を入れております、これまでと違って、日本の例えばお米も含めて、国内で消費をするというような建前ではなくて打って出るんですよというようなことからすれば、私は場合によっては新たな基本法ということも含めてやるような時代に差しかかっているのが林大臣のときではないかなというような感覚を持っております。  それはまたそれぞれの考えの中でこれから議論をさせていただきたいと思いますが、今回の改革に伴いまして、今出されている二法案、そして中間管理の法案は既に成立をいたしておりますけれども、これ以外にも改正をする法律というものが何か準備をされているのでしょうか。流れの中でそうしたものはあるのでしょうか。
  67. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 今回のこの四つの改革を推進するために、臨時国会におきまして農地中間管理機構関連の二法案を成立をさせていただきました。また、さらに、この通常国会におきまして農政改革関連二法案を提出し、現在審議をいただいておりまして、大変有り難く存じております。米政策見直しにつきましては、既に平成二十六年度予算を措置をさせていただきました。  御指摘をいただきましたけれども、四つの改革以外に新たな法案考えているのかということでありますが、現時点でこれら以外の法改正は全く検討をいたしておりません。
  68. 郡司彰

    ○郡司彰君 その言葉を頭に留めながら、これからまた別な議論をさせていただきたいというふうに思っております。  この四つの改革の以前から、安倍内閣になってから特にでございますけれども、攻めの農業、強い農業という言葉が度々出てまいります。攻めるということについては何から何を攻めるのか、強くというのは何を強くして結果としてどういうことを言わんとしているのか。情緒的ではないお考えがあるんだと思いますので、どういうお考えか、お聞きしたいと思います。
  69. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 我が国農業、農村、これは、再々申し上げておるように、従事者の減少、高齢化、耕作放棄地の増大という課題が山積する一方で、非常に大きな潜在力を有しておると。例えば、持続性に優れた生産装置である水田、それから無形文化遺産にもなりました和食、それから美しい農山漁村の風景と、こういうものをしっかりと生かして農業を活性化するということが非常に大事だと思っております。  攻めの農業というのは、この農業、農村の潜在力、これを最大限に引き出していく政策の方向と、こういうふうに考えておりまして、そのために、いつも車の両輪と言わせていただいておりますが、産業政策として強い農業、成長産業にしていくという部分と、それから美しく活力ある農村を実現する地域政策と、これを車の両輪としてやっていかなければならないと、こういうふうに考えておるところでございまして、今回の改革では、生産現場を強化する取組として農地中間管理機構でございますとか米政策改革をやる一方で、需要拡大の取組として、今お触れいただきましたけれども、輸出促進等による国内外の需要拡大の取組、それから、その需要生産現場供給サイドをつなぐ、バリューチェーンと言っておりますが、六次産業化等によって高付加価値化を図っていくと、この三つが産業政策ということになりますが、もう一つ、地域政策として農業、農村の持つ多面的機能の維持、発揮を図るための日本型直接支払の創設と、こういったような四本柱で改革をつくらせていただいたところでございまして、まさに今年がその実行元年ということでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  70. 郡司彰

    ○郡司彰君 私は、攻めるということ、そして強くするというのは、私自身の考えを申し上げれば、攻めるというのは、消費者のニーズに合致をしたようなものをきちんと供給をするというようなことなのではないかなというふうに私自身は理解をしております。そして、強いというのは、食の安全、安心の体制が整備をされているというようなことが私は結果としては強いという農業なのではないかなというふうに思っておりまして、そこのところも今後、私自身が理解をするというのと政府が使うのはもちろん違うわけでありますけれども、私は、強いということも攻めるということも対象は消費者なんだと、生産者から見るんじゃなくて、消費者から見て強くなっているのか、攻めるということはきちんとそういうようなニーズに合ったということがあるのかと、私はそのように思っておりますので、ここのところがこれまでの農水省考え方の発想としては若干転換が必要なのではないかということを申し上げておきたいなというふうに思っております。  それから、先ほど基本法の話をさせていただきましたけれども、それの関連でお伺いをいたしますが、一九九九年の基本法を作りましたときに三点の修正を行ったというふうに覚えておりまして、その一点は二条の二項、簡単に言えば、国内農業生産の増大を図ることを基本にし、というような文言に改めたということだろうというふうに思っております。  その当時も何度か議論をさせていただいて、また自給率等の話も出ておりますので改めてお聞きをしたいと思いますが、国内農業生産の増大を図ることを基本、この基本というのは、例えば置き換えれば何割ぐらいが国内の生産によって賄われるというような認識でございましょうか。
  71. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) お答え申し上げます。  今先生からお話ございました基本法制定当時の修正の関係でございます。自給率の関係、食料安定供給の関係では二か所ほど修正をされたというふうに認識をしております。  食料安定供給でございますけれども、二条の二項にございますが、基本は国内生産、それから輸入、それから備蓄というものから構成されるということになっておるわけでございますけれども、その中でも国内生産というものを基本とするんだということをもう少し明確にしようという議員間でのお話があって改正になったというふうに承知をしております。  今お話ございましたように、では、その国内生産の基本とする、どの程度を国内生産の割合にするのかということにつきましては、まさに食料自給率目標という形でこれを表させていただいておるところでございます。  現行の二十二年に策定されました基本計画におきましては、カロリーベースで五〇%、生産額ベースで七〇%という自給率目標を設定いたしておりますので、まさにこれが国内農業で何割供給しようとしているのかというものの数字だという認識をしております。
  72. 郡司彰

    ○郡司彰君 当時の中川大臣の御答弁は、今の日本の食生活は国内の食料が基本になっていないという認識でありますと、だからして増大を図るということに修正をしたということでございますので、今の答弁も含めて、この後、少しまた自給率の話もさせていただきたいと思いますが。  その前に、十五日の答弁で、どなたの質問に対する答弁かちょっと失念をいたしましたけれども、年平均で八万トンぐらいお米が下がっているトレンドがあるんだというお話がございました。それに加えて、今から二〇五〇年ぐらいまでに、一年間で平均で八十万ぐらい人口の減少が続くだろう、しかし、これまでは減り始めてから合わせて八十万でございます。ということは、平均で八十万ということは、これはピークにかかりますと百万を超えるような人数が、人口がこの国で減っていくような時期を迎えるということになるんだろうというふうに思います。それを単純に計算をすると、六万トン近くの量が減ってきてしまうと、合わせますと十四万トン減るというような計算が成り立つわけでありますけれども、これ、現在の生産量でこのような時期がもし五年、あるいは十年と続いたときに、現在の生産量自給率というものへの影響、どれほどになるんでありましょう、何%に該当するようになるんでありましょうか。
  73. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) お答えいたします。  カロリーベースの食料自給率の計算に当たりましては、今先生御発言ございましたが、その人口減少等で食料の総消費量が減っていくという部分につきましては、それは分母分子でいいますと分母の方が小さくなっていくということでございますので、自給率向上要因になるということは事実でございます。  一方で、需要サイドといいますか、米の場合ですと需要が年々八万トン程度ずつ減少していくというようなことがございますし、それから、その他の作物につきましても甘味資源作物などで最近不作といったようなことがございまして、今四〇%前後で推移をしております。  仮にでございますけれども、今後人口が減少していくということが続き、かつ、その一方で国内生産がどうなるのかということに仮定を置いて計算をすることになるわけでございますけれども、これは、生産量一定だといたしましても需要が落ちていけば結果的にそこは消費に回らないという形で、自給率にどういう影響があるかというのをアプリオリに上がる、下がるということを申し上げるのはなかなか難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  74. 郡司彰

    ○郡司彰君 おっしゃっていることは分かります。そして、先ほどの大臣の戦略の中に、打って出ますよと、世界に打っていくんですよと、これは日本のお米でもそういう可能性はまだ非常に私は潜在力はあるんだろうというふうに思っておりまして、今現在の生産量で、もし、よしんば人口が減り続けた場合にどのぐらいになるんだというのは、一つの頭の体操としてはやっておいてもいいのではないかなというふうに思っております。  その次に、十五条の三項の、自給率目標はその向上を図ることを旨としというような文言にこれも修正をされました。  当時、どうだったんでありましょうか。それよりも以前かもしれませんけれども、穀物の自給率というのが普通一般的な自給率というようなことで語られていたというふうに思っております。現在はカロリー、そして生産額というようなことも併用しておりますけれども、自給率の議論が今されておりまして、自給率だけではなくて自給力とかというようなこともありますけれども、私は依然として国際的には穀物の自給率というのが一般的ではないかなというような感じがしておりまして、これを、先ほどの午前中の議論もありましたけれども、食料安全保障、危機管理の関係からいうと、自給率というものは何で表すということが一番分かりやすく、分かりやすいというのは、国民にとってではなくて、この国にとって一番必要なものを表すということになるんでありましょうか。
  75. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) お答え申し上げます。  食料自給率につきましては、現在はカロリーベースでの数値、それから生産額ベースでの数値というものをそれぞれ目標値として設定をさせていただいておるところでございます。  十一年の基本法の制定以来、これまで三度、自給率目標を設定させていただいておるわけでございますけれども、最初の年の十二年はカロリーベースのみ目標値としておりましたが、生産額ベースについては参考値として示しております。その後、十七、二十二と、どちらも目標として設定させていただいておるわけでございます。  カロリーベースの自給率でございますけれども、これはやはり生命、健康の維持にはカロリーが不可欠だということでございまして、供給カロリーのうちどの程度が国内で賄われているのかを示す数値ということでございます。一方、生産額ベースにつきましては、国内農業の経済的価値を表す指標でございまして、まさに高度な生産管理で高品質な農産物を生み出すといった我が国農業の強みを表す、そういった数値ということになっておるところでございます。  一方、今先生お話しございましたが、食料自給力という概念が別途ございまして、これも言葉としてはかなり古い、昭和五十年ぐらいの政策文書の中で使われておる、その頃から使われておる概念でございますけれども、農地ですとか担い手農業技術などといったものから成る我が国生産力、潜在的な生産能力を表すものというふうに整理をされておりまして、私ども、今、このカロリーベースの自給率生産額ベースの自給率、それから自給力というものはいずれも大事なものでございまして、平常時なり不測時に対応した安全保障の観点からそれぞれ役割があるというふうに認識をしております。
  76. 郡司彰

    ○郡司彰君 それぞれ役割があるんだろうということは分かりますが、この国の安全保障、危機管理上からいって、何をベースにした自給率というものが一番必要だというふうなお考えでしょうか。
  77. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) まさに今申し上げましたように、それぞれ三つの数値なり概念につきまして、それぞれの役割があるわけでございます。特に、自給率につきましては結果としての出てくる数字ではないかというような御意見ですとか、それから潜在的な危機においてはやはりその自給力というものが大事ではないかといったような御意見もございまして、その辺の概念整理ですとか考え方につきまして、現在、食料農業・農村審議会の方で御議論をいただいて、次回の基本計画の改定に概念整理をして間に合わせたいと思っておるところでございます。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 これ以上余りやりませんけれども、つまり、穀物自給率でいうと二十数%なんですよ。カロリーですと四〇%ぐらいになるわけですよ。生産額ですと七〇%に近いような数字になるわけですよ。どんどんどんどん見やすい、言いやすい、聞きやすい数字ということに変わるような形でこの国の根幹を決めていっていいのだろうかというような思いは私にもございますので、その辺のところを含めてしっかり基本計画見直しの中で議論をしていただきたいなというふうに思っております。  それから、十五条の六項でありますけれども、修正の三点目、基本計画、これを作るということになっておりますけれども、遅滞なく国会に報告し、公表しなければならない。この時点では、農政の進路、物事の基本を決めるのは、大体、農政審議会だったんですよね。だから、こういうようなことで、基本計画については国会にすぐに報告しなさいよ、公表しなさいよと。  しかし、今、午前中の議論にもありましたように、現行政策そのものは、例えば日本再興戦略でありますとか、産業競争力会議でありますとか、それに関連をする規制改革会議などが決定をしていると言っても私は過言ではないのではないかなというふうに思っておりまして、また、今行われているEPA、TPPの影響などについて、あるいは交渉の内容についても、これはこの十五条の六項とは関係ないんだというようなことではないんだろうと思うんです。  私は、その当時の農政の基本は審議会で決める、今は違うところで決まっているのならば、もしかしたらばこの基本法を改正をした方がいいんじゃないかと思うんですよ。内閣府が農政の基本を決めるというような形にする方が大変分かりやすいと思いますけれども、御意見がありましたらお聞かせください。
  79. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 我が国農林水産業、農山漁村の現場を取り巻く厳しい状況を克服をして本来の活力を取り戻すことが待ったなしの課題であるとの認識の下、昨年の十二月、安倍内閣として急ぎ着手すべき政策改革の内容を示した農林水産業地域活力創造プランが策定をされたところでもございます。  この活力創造プランにつきましては、規制改革会議や産業競争力会議における検討を踏まえまして、必要に応じて、本年六月を目途に改定を行うこととされておりまして、まず規制改革会議におきましては農業委員会農業生産法人及び農業協同組合の在り方など、さらには、産業競争力会議におきましては企業ノウハウの活用、六次産業化の推進、輸出の促進等を論点として検討が進められていると承知をいたしております。  また、御指摘がありました、一方では、食料農業農村基本計画におきましては食料農業・農村基本法に基づきまして農政の中長期的なビジョンを示すものでございまして、その策定、見直し当たりましては、食料農業・農村政策審議会の意見を聞くこととされております、もう御承知のとおりかと存じますが。この次期基本計画平成二十七年の三月頃に策定する予定でございまして、審議会におきましては、活力創造プランで示される方向性も踏まえて、将来の農業、農村のあるべき姿や食料自給率施策の方向性について、根本に立ち返った御議論をいただきたいと考えているところでもございます。
  80. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、十八条の関係についてお尋ねをしたいというふうに思いますが、基本法の十八条は、簡単に言うと、農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合においては緊急に必要な施策を講ずるものとするというような内容であります。  日豪のEPAの合意がなされたというようなことをお聞きをしておりますけれども、日豪EPAの影響試算というものを公表していただきたいと思います。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の日豪EPAの合意でございますが、牛肉については効果的なセーフガードを確保するなど、今委員が御指摘いただきました基本法の十八条、農産物の輸出入に関する措置について規定をしてあるところでございますが、その趣旨にも沿った内容となっておりまして、我が国の農畜産業の存立及び健全な発展、これを図っていける内容と考えております。  影響ということでございますが、これも何度かここでお答えをしてきたところでございますけれども、一般論として、景気動向それから為替の変動、様々な要因が貿易に影響を及ぼすために、EPA締結による影響について貿易額の変動を予測するということが大変難しいところでございまして、そういった意味で仮にいろんな数字を仮置きしまして試算をした場合に数字が独り歩きをしてしまうと、こういうことも考えられることから、こういう仮の試算ということは不適切であるというふうに考えております。
  82. 郡司彰

    ○郡司彰君 今の御答弁、以前にも同じような答弁をお聞きをしているのでありますけれども、ちょっと別なところで使おうと思っておりましたが、お配りをしております資料の一番最後のページを御覧になっていただけますでしょうか。  これは地域における食品製造業の関係を記した表でありますけれども、食品産業はその九九%は中小零細、これは卸、小売、外食でも同様であるというのが農水省の調査の結果であります。例えばこの表を簡単に言うと、製造品出荷額のうち全製造業に占める割合というのが一位が鹿児島、二位が北海道、三位が沖縄、それから、従業員の関係でいうと、全製造業に占める割合が一位が沖縄、二位が北海道、三位が鹿児島というような形で、例えば北海道だけを一番上ですから見やすいとすれば、七万四千人ぐらいの方がこれは従事をしているわけでありますよ。  それで、今の大臣が、私は大臣が大変交渉に当たって相当御努力をいただいたとか、物すごくやり合いをきちんとやっていただいたということは承知をしております。しかし、この日豪EPAの影響試算が予測が難しいから出せないということで本当にいいんでしょうか。このことによって、例えば今見た表だけでも、北海道の生産者だけではなくて、製造業に関わるような人たちの、中小企業の人たちのところに影響が及ぶということはお考えにはならないのでありましょうか。  その辺のところについて、これまで農水省は日豪でEPAが締結されたらばこんなふうになるんですよという試算を以前は求めなくても出していたんですよ。なぜ今回は、予測が付かない、難しい、出せないということに変わったんですか。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 以前のことを前大臣ほど詳しく承知していないかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、まずは実質合意をいたしました。これに基づいて正式な調印ということになって、それから、御案内のように、その後、いつ発効するかと。発効したときに、決めた手順に従って関税率とか変わっていくわけでございますが、どの時点でどれぐらいのものと。  特に、今お示しいただいたのは製造業、加工業でございますので、今度はそういう直接的に一次産業に及ぼす影響がその後こういう製造業、加工業にどういう影響が出るか、また加工品の輸入というのもあるわけでございますけれども、いろんな要素がかみ合ってくるわけでございますし、特に輸入の場合は先ほど申し上げました為替、これはここ二年ぐらいでございますか、アベノミクスが始まって八十円から百円ということで、これだけで二割動いておるわけでございますので、そういったことを全て仮置きをして出すというのは大変に難しいといいますか、なかなか、どの数字を使うかということが非常に難しいところもございますので、そういう意味で、先ほど申し上げたように、仮定でいろいろ仮定をたくさん置いて出しても、農林水産省がこういう数字を出しているというのが独り歩きをするということがございますので、非常に難しいことではないかなというふうに申し上げたところでございます。
  84. 郡司彰

    ○郡司彰君 無用な心配をさせるということもこれはしなくてもいいことだと思います。しかし、何ら対策を打たないで、いつの日かじわじわと真綿でいつの間にか苦しくなってきたというようなことでも、これは行政の不作為と言われても仕方がないような部分が出てくるんだろうというふうに思っておりまして、先ほどちょっと、以前のということのお話を申し上げましたが、農水省が試算を出したんですよ。そして、これは皆さんが大変だということで、EPAに対しては、日豪のものに対しては歯止めを掛けようというのが国会でのあの委員会の決議になって、それと同じほぼ内容の案文というものが今回のTPPにも使われていると。  こういうことでございますので、私は、一定の幅があって、もしかしたら予測よりは助かったな、予測よりはそんなに厳しくなかったなということもあるかもしれないけれども、しかしながら、これを全然出さずにやっていくというのは、これは大変それぞれの地域の方々にとっては不安だけをいつまでも持つことになる、そして農政への不信だけを持つことになるというようなことになると思いますので、考慮をいただきたいなというふうに思っております。  さらに、その上で、今日は経産省の鈴木局長においでをいただいておりますけれども、生産減少地域崩壊というものを想定をした施策というものを、私は、これからTPPだけではなくて、先ほど言ったようないろんな経済連携を含めてやっておく必要があるんだということを十何年前から申し上げてまいりました。しかし、経産省の方は、ほかの国はやっているけれども日本ではそういうようなことはということでこれまでは来ておりましたけれども、私はもうそろそろ本気でそういうことを考えに入れたことをやっておくべきだというふうに思っております。  経産省の方から、NAFTAが導入をされましたとき、つまり今のWTOとは異なる経済連携の仕組みが始まったときにアメリカが取った移行調整支援プログラム、簡単に言うと協定に基づく失業の給付その他に当たるわけでありますけれども、この内容と、今現在のアメリカの政策としてまとまったものがあれば、そしてまたそのことについて国内での検討というものがなされているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  85. 鈴木英夫

    政府参考人(鈴木英夫君) お答え申し上げます。  まず、米国における貿易調整支援プログラムでございますけれども、その中身は、これはNAFTAの発効に備えるために一九九三年の十二月に成立をしているものでございますが、対象はカナダとメキシコからの輸入や両国への製造拠点移転に伴う失業を対象としておりまして、具体的には、労働者に対する支援措置、現金支給や職業訓練など、企業に対しましては生産管理、品質保証、マネジメントなどへの支援、そして農家に対する支援措置としては、輸入の増加により価格一定程度下がった場合の代替作物の栽培に関する技術支援、現金給付などを行ったというふうに承知をしております。  なお、現在、経済産業省として、こういった包括的な貿易支援措置については現在のところはまだ検討していないということでございます。
  86. 郡司彰

    ○郡司彰君 以前からであります。私は、国益にかなった形で経済連携を進めるということがもしあり得るんだとすれば、そのことについてどうこうということにはならない。しかし、必ず国益に対して損益を被るような産業地域というものが出てくるわけでありまして、そこのところに対して何ら手を打っておかない、それは出てからの話ですよというのは余りにも無責任でありますし、これまでも、例えば層として、あるいは絶対数として多くないけれども、農産品の輸入に関してもいろいろなものがあったんです。例えばそれ以外の産業でももちろん、私なんかよりもよっぽどお詳しいわけでありますけれども、撚糸工連や何からを含めて、いろいろなことをその都度対策を取ってきた。産炭地振興法ももしかするとそういうことかもしれませんけれども、しかし、今後の経済連携、この国がそれを基本としてやっていくんだというときに何にもまだ検討していませんよというのは、私はおかしいと思います。  それから、もしよろしければ、大臣、私はもう十数年来このことを言ってきておるんですが、農水省も直接私どもの担当ではないというような感覚をお持ちだったんだと思いますけれども、これは正直言って、検討していただくということが当たり前じゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  87. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まず、先ほどの影響試算、昔は出ていたということですけど、多分委員がおっしゃっておられるのは十八年の十二月に出しております、これはTPPでも似たような試算をして全体で出しましたけれども、全て即時撤廃という前提でやればどうなるかというのは出したところでございます。そうなってはいけないという意味も込めて出しておるわけでございまして、そうならないようにということで、先ほど少し触れていただきましたけれども、柔軟性を引き出すべく鋭意交渉を進めて、セーフガード、それから長年掛けてやる、さらに牛肉については冷凍、冷蔵について分ける、こういうようなことをいろいろやりまして結果を得たところであると、こういうことでございますので、そういった意味で、この試算というのは、全部ゼロになればもうセーフガードも何年というのも即時撤廃でございますのでないわけでございますが、実際には、大筋合意した内容はこの間のようなことになっておりますので、その一つ一つの要素について全ていろんなことを仮置きしますと、なかなかこういうふうにすっと全部あしたからなくなるというような前提でやった試算というのは難しいんだろうなと、こういうふうに思っております。  あわせて、まさに今委員がおっしゃっていただきましたように、影響に留意しつつ必要な場合には対策を検討すると、こういうことも併せて申し上げておるところでございまして、特に畜産の分野ではいろんな対策制度を持っておるところでもございますので、こういうものも含めてしっかりと将来に向けて持続的に生産者の皆様がやっていけるような体制というものを影響を留意しながら検討するということは常に考えておかなければいけないというふうに認識しております。
  88. 郡司彰

    ○郡司彰君 鈴木局長、ありがとうございました。十数年前からWTOの交渉に直接関わっていた方でございますので、省内、国全体として今後ともちょっとそういうような検討というものを行っていただければなということを御要請しておきたいなというふうに思っております。  別な観点から質問させていただきますが、担い手、この中には集落営農、新規就農の認定者も含むというような意味で使わせていただきますけれども、農地を集積をしていこうというようなことでございます。併せて多面的機能に注目をした政策も行っていこう、こういうようなことが今回の二法案の柱でございますけれども、これ、農政の重点というのは簡単に言うと産業施策になるんでありましょうか、地域政策になるんでありましょうか。
  89. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、攻めの農政ということで、大きな潜在力、農業、農村が有しております、これを引き出していく、そして農業の活性化を図っていくという意味で待ったなしの課題であると思っております。  施策ごとにその目的、対象、内容、こういうものを明確にして、貴重な国民の皆様の税金をお預かりして施策をやるという意味からも、こういうことを明確にして効果的に推進していくということで、産業政策地域政策、これを車の両輪としてやっていこうと、こういうことにいたしたところであります。  農業はもう地域に密着した産業でありますので、どちらかに重点を置いて実施するというものではなくて、地域地域の実情に即して有機的に組み合わせながらあらゆる政策を総動員すると。まあ車の両輪でございますので、どっちかが回らないと車は先に進まないと、こういうことでございますので、まさに両輪としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  90. 郡司彰

    ○郡司彰君 昨日今日の新聞を読んでおりますと、農業も成長戦略の大きな柱であるというようなことでございますので、両輪よりは大きな一輪車で成長戦略に資するものだけやっていくのかなというふうに思っておりましたが、一応承って、ほかの質問に移らさせていただきたいと思いますが。  四十万経営体の就農者数ということでございます。四十万の経営体が担い手であろうと法人であろうと何人かの方々をお使いになるというような形というのは当然あるんだというように思いますが、現在は二十万経営体で、今後十年間で平均すると二万人ずつ、二万経営体というんでしょうか、増やしていくということでございますけれども、現在の二十万経営体でその雇用をしている方というのは総数でどのぐらいになるのでありましょうか。分かりましたらお答えいただきたいと思います。
  91. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 今言われたのは、認定農業者の方が雇っておられる雇用者の数という御趣旨でございましょうか。ちょっと今手元にございませんので、またちょっと調べさせていただきます。
  92. 郡司彰

    ○郡司彰君 済みません。大ざっぱな数字でもと思ったんですが、ないようでありますので、今日お配りをした資料の一枚目、二枚目を見ていただきたいなというふうに思っております。  これ、農業分野での外国人技能実習制度の受入れ状況ということで、私の居住は茨城県でございますから、茨城県のことを見ながら、全国的に同じようなものかと思って農水省から資料をいただきましたら、茨城県だけが多いのでちょっとびっくりしたんでありますけれども、次に長野県とか北海道というようなところが多い県ということで、総数でいいますと一年間に一万弱ぐらいの方々が実習生として受け入れているというようなこと。それから、全体ですね、それ以外の産業の方々も含めると、全職種ということで、左下の方に小さな数字でありますけれども、研修生が一として八万二千人、それから実習移行数が四万五千人ぐらいということで書いてあります。  この数字というものが、例えば四十万経営体ということになりましたときにはどのぐらいの数を見込むというようなこと、これについても特に数字的なものはお持ちではないでしょうか。
  93. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 技能実習の関係で将来どのくらいの数が必要かということは、特に試算はしておりません。
  94. 郡司彰

    ○郡司彰君 試算をしていないということでありますけれども、別なところで、オリンピックを迎えて、建設の労働者を労働力として受け入れるようなことを国としても考えていこうというようなことがございました。私どもの県がちょっと特異なのかもしれませんけれども、どこに行っても、今、外国の方の力を抜きにしてほとんど成り立たないような販売の形態になってきております。  そういう中で、これも私も何度もお願いをしてきたんでありますけれども、この実習生の今後の在り方、外国人労働者の受入れの検討というもの、このことについては法務省の管轄ということに聞いておりますけれども、法務省としてのお考えをお聞かせいただければと思います。
  95. 杵渕正巳

    政府参考人杵渕正巳君) お答え申し上げます。  外国人の受入れにつきましては、専門的、技術的分野の外国人は、我が国の経済社会の活性化に資するという観点から積極的に受け入れることとしております。  他方、専門的、技術的分野以外の受入れ範囲の拡大につきましては、我が国産業、治安、労働市場への影響等、国民生活全体に関する問題として、国民的コンセンサスを踏まえ、政府全体で検討をしていく必要があるものと認識しており、そうした検討に法務省も積極的に参画しているところでございます。また、政府全体の検討によりまして、現行の外国人の受入れ範囲を拡大することとなった場合には、適切に対応してまいる所存でございます。  また、先生が今御指摘いただきました技能実習制度につきましては、昨年の十一月から、法務大臣の私的懇談会であります出入国管理政策懇談会の分科会におきまして、先生指摘農業分野を含めまして制度見直しについて検討をいただいているところでございます。制度見直しにつきましては、技能等の開発途上国への移転による国際貢献というこの制度の意義を踏まえつつ、まずは不適正な受入れを防止し、技能実習制度を適正化する措置について検討をいただくとともに、あわせて、例えば、優良な受入れ機関につきましては、従来より一段高い技能等を習得するために技能実習期間を延長することや、再技能実習を認めるといったようなことの可否についても御検討をいただいているところでございまして、分科会の議論等を踏まえまして、近々一定の方向性を目指すこととしているところでございます。  以上です。
  96. 郡司彰

    ○郡司彰君 私の感触からすると、以前よりはかなり柔軟に受け入れるということを検討をいただいているんではないかなというふうに思っております。  実際に行きますと、その二枚目のところに国別の人数書いてありますけれども、これまでずっと中国が多かったです。今はインドネシア、それからベトナムが急激に増えつつありますけれども、ベトナムなどは、勤勉性あるいは発展のスピードを見ますと、なかなか長期的な実習生の対象となり得るかどうかというのはあろうかと思います。また、インドネシアの方になりますと、例えばハラールの食べ物でありますとか、いろいろな問題も出てくるんだろうというふうに思いまして、これまでのように、研修生というのは技能の研修のために来ているんだということだけではなくて、実態としての労働力としての任用、例えば、ならば労働法の適用であるとか社会保険についても適用をきちんとするとか、そういうようなことについても検討をいただきたいと思いますし、今実際のお願いをしているところの一番の悩みは、せっかく技能を付けた人が一旦お戻りになってもう一回というときの再入国が大変厳しい現状だという話を聞いておりますので、この辺のところについて適正な御検討をお願いをしたいと思います。もし何かございましたらば、よろしくお願いします。
  97. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 技能実習の問題でございます。  実際に農業の関係ではこの技能実習の方々がかなり入っておられるわけでございまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、県別には偏りございますけれども、園芸作物が多い茨城県ですとか長野県、熊本県、あるいは酪農が多い北海道、こういったところでかなりの方々が入っておられます。  農業分野の実習生の現在は七割が中国人の方ということになっておりますが、これにつきまして、現場の特に農業生産法人ですとか農協の関係の方からはいろんな御要請もいただいております。在留期間に制限があるために、せっかく技術や技能を身に付けても継続した雇用ができないですとか、それから、出入国を繰り返して行うことができませんので、農繁期等の期間を限定しての雇用等、柔軟な活用ができないですとか、あるいは職種ですとか作業項目、あるいは農家、法人ごとの受入れ人数、こういったものは制限がございますので、こういったものは何とかならないかと、こういった雇用するサイドからの要請がいろいろ出ております。  ただ一方で、この技能実習生の監理団体というものがございますが、これによります実習生への人権侵害といった問題も指摘をされているところでございまして、人権の確保をきちんと図りながら農業現場できちんと技能実習生がもっと使えるようにするという観点でいろんな検討が必要だというふうに考えております。そういう意味で、法務省とも連携を取りながら更に検討を深めてまいりたいと考えております。
  98. 郡司彰

    ○郡司彰君 今までは若干玄関のところで議論に入れないようなところがございましたけれども、それぞれ連携を取って検討をしていただければなというふうに思っております。  ちょっと聞き忘れました。農水省の中の担当部局だけ教えていただけますでしょうか。
  99. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 担当部局は経営局の就農・女性課でございます。
  100. 郡司彰

    ○郡司彰君 委員長、経産省そして法務省の方々については、私の方はこれで質問を閉じますので、もしよろしければ御配慮ください。
  101. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 鈴木局長並びに杵渕審議官につきましては、御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
  102. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、農地の集積について、その推移の予測、取りあえずそのことをお聞きをしましょうか。集積については十年間で百四十万ヘクタール、今年が初年度で頑張りまして十五万ヘクタールという見込みで来ているわけでありますけれども、この今年の十五万ヘクタールは見込みどおりに進んでいるのでありましょうか。
  103. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) まず、担い手が利用する農地面積でございますが、この十年間で全体の農地のうちの三割から五割まで増えてきたところでございます。農業を成長産業にするためにこの構造改革を更に加速していくということで、今後十年間で担い手が利用するものを五割から更に八割まで増やすということを目標にしております。これでまいりますと、今後十年間で約百四十万ヘクタール、これを担い手のところに更に集積をすると、こういうことになってまいります。  現在、昨年の秋につくっていただきました中間管理機構が各県でだんだん立ち上がってまいりました。現時点では四十二の都道府県のところで立ち上がっておりますので、これを本格的に稼働していただきまして農地の集積を更に加速させていきたいというふうに考えているところでございます。
  104. 郡司彰

    ○郡司彰君 極めて単純に、十五万は何とかなるということでよろしいんですか。
  105. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) これは今年この中間管理機構を使ってどのくらい本当に動くかということでございますので、これから各県の機構のヒアリングとかいろんなことをやりまして実績を上げるように努力をしていきたいと思っております。
  106. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、残念ながら人口の減少が続くということが予測をされております。お配りをした資料の三枚目と四枚目を御覧になっていただきたいと思いますけれども、三枚目と四枚目が一緒になった地図がもちろんございますが、分かりづらいので別々に付けておきました。赤い方が二〇五〇年の人口の増減となっておりますけれども、薄い赤がこれは増ではなくて一〇%以下の減少にとどまりますよ、濃い赤が増加のところだということで、関東、名古屋というのがほとんど二極の形で、大阪やなんかも若干ありますけれども、そういう状況が出されております。その次のページですけれども、これは五〇%以上減少する地域、簡単に言うと無居住化を含んだ地図でございます。北海道なんか白いところが多くてそんなに減らないのかと、これは初めから人がいないところでございます。  したがいまして、こういう状況の下で集積を行うというようなことを今盛んに行ってきているわけでありますけれども、それはそういう条件のところもあるでありましょう。しかし、このようなところ、特にこれは国交省のグランドデザインとしての予測。この予測というのは今までの統計の中では一番当たる統計になっていて、この前、日本創成会議というのが出したところのは社会的な要因が多く含まれるということでございましたけれども、この地図を見て、これ本当に、集積をするとか担い手にとかと言う前に、農村そのものの維持そのものは何とかなるというようなことになるんでありましょうか。ざっと御感想でもございましたらば。
  107. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えをさせていただきます。  昨年の十一月に本委員会で私が答弁させていただきましたので、その続きということでお話をさせていただきますが、今後十年間で約二千五百の農業集落が減少するということが推計をされているわけでございます。ただ、農業は集落共同で行う水路、農道等の地域資源の保全管理の基礎の上に営まれているものでございます。そういう意味では、集落の減少や機能の低下というのは農業の振興にとって重要な影響を与えるというふうに考えております。ですから、農業集落を維持するということは非常に重要なことでございまして、その意味で、農村を活性化するために農業経営基盤の強化、そして六次産業化を進めてまいります。  この場合、担い手への農地の集積、集約化に当たっては、一つ目として、地域内の農地をできるだけまとまった形で農地中間管理機構へ貸し付けること等を通じて農地を任せられる者を見出していくこと、そしてまた地域住民が役割分担をして共同活動や六次化に取り組む環境を整備することが効果的というふうに考えております。こうした取組を通しまして農業振興の基礎となる集落の維持につなげてまいりたいと考えております。
  108. 郡司彰

    ○郡司彰君 昨年、横山務官からお答えをいただいたときは、平成二年が約十四万集落、二十年たって二十二年には十三万五千で五千減ったと、だからトレンドでいくと今後十年間で二千五百ぐらい減るだろうと。  私は、この予測はそれの倍ぐらいのスピードで多分消滅をしていくというような予測になっているんだろうというふうに思いまして、ちょっと時間が余りありませんので今日はとどめますけれども、この政策が、先ほど一番最初に大臣の方にお聞きをした、産業政策地域政策をやるんですよ、地域政策の方は多面的な日本型支払でやるんですよと、これで本当に可能な集落の存続ということになるのかどうか。そのことだけちょっと、今日はちょっと時間の関係でほかの質問に移らさせていただきたいというふうに思いますが、こういうことを脇に置きながら、企業の参入、これ大変増えてきておりまして、農地法の改正以降、約七倍ぐらいに増えたというようなことで伺っております。この企業の参入というのは、農地を集積をしていく、その面積のうちのどの程度の面積ということを想定をしていらっしゃるんでありましょうか。
  109. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 先ほど申し上げました担い手の農地利用を全体の八割まで引き上げていくというときのこの担い手の中には、リース方式で参入する企業というものも入ってくるというふうに思っております。  ですが、この八割というのは、国全体として担い手の農地利用の目標そのものでございまして、全体目標でございまして、個々の担い手の方の経営面積、これにつきましてはその経営内容によって規模が決まってまいります。そういう意味では、法人経営ですとか家族経営ですとか、あるいは企業ですとか、その経営形態別の数ですとか規模につきましては特に目標を決めておりません。
  110. 郡司彰

    ○郡司彰君 今まで七倍増えてきて今後はこういう形で集積をしますよと。そうしますと、これまでの流れとこれからのやろうとしていることをやれば、おおよそどのぐらいの企業が参入をするというようなことは予測を立てておくべきなんじゃないかと思うんですよ。そのことによって私は、行う施策というものも一定程度限られてくるというか、選択の部分というものができてくるんだろうと思いますので、その辺の予測はしっかり出していくべきだろうなというふうに思っております。  そして、場合によっては、企業だけではなくて担い手もそうでありますけれども、例えば企業ならば思わぬ倒産に見舞われるとか、あるいは参入に意欲的だったリーダーの方が不慮の事故やその他でもって続けることができなくなった、こういうようなときの場合の撤退の条件というものは何かお決めになっているんでしょうか。
  111. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 二十一年の農地法改正によりまして、企業はリース方式であれば農業に参入することができるようになったわけでございますけれども、そのときの条件は、この農地法上、参入企業は、いざというときには、不適正な利用があった場合には所有者側からリース契約を解除をして所有者が原状回復をきちんと行えると、最終的な担保手段がきちんとあるということが前提でございます。  平成二十一年の改正の後、約四年間で千三百九十二の法人がリース方式で参入しておりますが、一方で百四十三の法人は既に撤退をしているところでございます。ただ、撤退した場合には、今申し上げましたように、リース契約を解除をして、ほとんどのケースでは新たな権利移転先において農地が適正に管理、利用されているという状態になっております。  今後は、この農地利用の集積につきまして、農地中間管理機構、ここを主として使って進めていくということになりますけれども、この機構は農地の出し手の方から一旦これを借りまして、担い手、これは企業の方を含めてですけれども、転貸をしていくということになります。  したがいまして、企業の方が農業から撤退をするという場合には、一旦機構に農地は戻ってきますので、機構が別の方を受け手を探して貸していくということになりますので、農地の適正利用はきちんと確保されるというふうに考えております。
  112. 郡司彰

    ○郡司彰君 今のところの疑問のところがありますけれども、それは後ほどちょっと別なところでお聞きをしたいなと思います。  四十万経営体の移行を先ほど十年間で行っていく、今が二十万で、それから年々二万人ということの予測でありますけれども、こういう中で、昨年の、これはどちらでしょうね、副大臣の方のお答えだったでしょうかね、四十万で三百六十四万ヘクタールをやるんですよ、八割というのはそういう数字なんですよと。  もうこれ、単純に割り算すると九十一ヘクタールというのが出てまいります。九十一ヘクタールというのは単純な割り算でありますので、もっと多いところ少ないところが出てくるんだというふうに思いますが、農水省考えている担い手、あるいは法人も含めてですけれども、適正規模というのはどのぐらいだというふうにお考えですか。
  113. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 担い手の方々に農地利用のどのくらいを担っていただくかということにつきましては、十年間で八割にしようという目標を決めております。ですが、個々の経営の規模、これにつきましては、適正なものがどのくらいかという目標は特に決めておりません。と申しますのは、経営の中身によって、経営の仕方によってもこの規模というものは相当変わってまいります。そこはむしろ自由に経営を展開していただいて、創意工夫でやっていただいて適正な規模をどんどん追求をしていただくと、こういう考え方でございますので、特にその数字は決めておりません。
  114. 郡司彰

    ○郡司彰君 住専のときの金融の問題がありましたときに、例えばいろんな市中銀行の自己資本比率や何かということが出ました。JAバンクの関係もいろいろ数字が出されたりしましたけれども、それ、負債の中身が全然違うんですよ。JAの場合の負債というのは、ほとんどあの時点では酪農関係の負債だったんです。規模拡大をして規模拡大をして潰れたところの負債というものが大体JAの負債だったんですよ。  今度は、これ、今の答弁でおっしゃることは分かるんですよ。大きいか小さいかはそれぞれのその力量に応じてそれは決まっていくんだということは、それはあり得るんですけれども、一方で、同じように、規模拡大ということはいざ何かあったときのダメージも一つごとに大きくなるということですよ。  これは例えば、別な議論でありますけれども、農協改革をしましょう、中央会は要らないとか信用の関係は切り離せとかといういろんな議論がありますけれども、少なくても、酪農その他が潰れたときに何とかそれを地域の中で持ちこたえるようなことができたのは、これはJAの信用業務のところで支えているようなことがあったんですね。  それは切離しになるのは、それは政府が決めることではなくてJAが決めることかもしれませんけど、いずれにしても、酪農と同じように一つが潰れ、二つが潰れたことによって大変な負債を背負うようなところが出てくるという可能性は、この検討の中にいつも頭に置きながらやっていただきたいなというふうに思っております。  それから、昨年のことで、これは副大臣の答弁が、四十万は三百六十四万ヘクタールなんですよ、そうすると残りは幾らですかと言ったら、九十一万ヘクタールですよということだったんです。これは何万人が担うんですかというときに、そのときの答弁は、それは予測しておりませんということでありますが、今現在の平均的な耕地の面積からいえば、これは四十万か四十一万ということになるわけですね、単純な割り算をすると。というようなことでよろしいんでしょうか、それとも相当違うんでしょうか。
  115. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) そこにつきましては、特に試算をしているわけではございません。
  116. 郡司彰

    ○郡司彰君 これは地域の方々にとって大変大きな数字なんですよ。四十万戸というのは、これはもうずっと前から言われています。先ほど言った一九九九年の基本法のときも、四十万戸でこれからやっていきましょうというのはその当時も言われていましたよ。しかし、なかなか現実的なものではなかったというような思いも正直言ってありました。でも、これからは本格的に現実的なものともしなってくるんだとすれば、残りの九十一万ヘクタールというのは四十万という数字しか今出てこないんですよ。  もっと極端なことを言えば、しかし、その中でも何とか少ない面積で生き延びようとする人たちは、五ヘクタールとかそういうところまで努力をする人たちが当然出てくるんですよ。だとすると、普通の考えからいうと、四十万経営体と四十万を切るようなそれ以外の農家というようなことに当然なってくるんだろうと思うんですよ。今、二百五十三万戸あるうちのそういう数字になるんですよということはなぜ言えないんですか。
  117. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) ちょっと十分理解ができていないかもしれませんが、四十万戸という数字を随分言われておりますけれども、現在政府目標としている数字で、経営体の数、四十万という数字は特にございません。  若い方の人の数を増やしていって、現在、四十代以下の方が二十万人いらっしゃるのを、これを十年間で四十万人にしようという、こういう話はございます。世代別の年齢構成が相当ゆがんでおりますので、新規就農者の方、現在定着ベースで年間一万人ですけれども、これを二万人に増やしていって、トータルでは十年間で四十代以下の方を現在の二十万人を四十万人に増やす、これは目標として掲げております。  それから、法人経営の数を、現在の一万二千五百から、これを四倍の五万にするということも決めておりますし、それから、担い手の農地利用を全体の八割にするということも決めておりますけれども、特に経営体の数として担い手の分を四十万戸とかいうことを決めているわけでもございません。  実際にその八割を担い手のところに集積をすることになりますと、この担い手と言われる方が利用するものが大体三百六十四万ヘクタール、それから担い手以外の方が九十一万ヘクタールという、こういう区分になってまいりますけれども、この九十一万ヘクタールの方は担い手でないいろんな方々が、小規模あるいは零細な方々がやられるということになるかと思いますけれども、こういう方々は、農地の出し手になっていただくですとか、あるいは、野菜とか果実とかそういったものを生産をしていただいて地域の直売所等で販売をするですとか、あるいは、担い手と連携をしていただいて地域の特産物の生産ですとか加工、販売に取り組んでいただくと、こういった選択肢があるものというふうに考えております。  人・農地プランの中では、担い手の方とそれ以外の地域の方々、関係の方々がきちんと話し合ってその地域の将来展望をきちんと立てていただくということになっておりますので、この中でやっていただきたいと思っております。
  118. 郡司彰

    ○郡司彰君 もしかすると、四十万戸というふうに言ったんだとすると、四十万経営体と言おうとしていたので、それは直させていただきたいなというふうに思います。  今のところだけでもちょっと議論したいんですけれども、済みません、ちょっと質問が残りそうなのでちょっと急がせていただきますが、消滅する地域というのは大体二千五百ということで、それより増えるんじゃないかというお話をさせていただきましたけれども、これはこれでそのぐらい減るんだろうなということでありますけれども、この消滅をする集落の農地の面積というのはどのぐらいになるというふうな予測なんでありましょうか。
  119. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 先ほど政務官から御答弁いたしましたように、平成二年から二十二年までの間の農業集落が約五千集落減少しております。このトレンドによる計算をすれば、今後十年間で約二千五百の農業集落が減少すると推計されるということでございます。  この推計でございますけれども、これは、農林業センサスの結果を基に、平成二年から二十二年までの農業集落数の動向を見るために、組替え集計によって推計を行ったものでございます。この推計では、減少する農業集落、どの集落が減少集落に当たるかということを特定できない方法でございますので、それらの集落に存在する農地面積というのを計算することもできないということを御理解いただきたいと思います。
  120. 郡司彰

    ○郡司彰君 言わんとすることはよく分かります。しかし、全体のイメージの中でいろいろなことを行っていくということも必要なんでありまして、例えば、集落がなくなる、それには多分このぐらいの面積が出てくるかもしれない、それは全体の農地が必要だと言われる面積の中でどういうような数字に当たるんだ、そこをどうするんだというのは、私は、イメージでもやっぱりやっておくということは必要なのかなという感じがしております。  これもちょっと時間の関係で次に移らさせていただきますが、多面的機能の関係でございますけれども、以前に、多面的機能というような言葉がきちんと定義をされたり、あるいは基本法の中にうたわれるということになってきたわけでありますけれども、このときに、私の理解では、その前段で環境三法という法律を成立をさせました。そのときの簡単なことを言えば、これまでの農業というのは化学肥料を多用することによって土壌、地力というのが弱まっているんだと、だから、それが回復をさせるためには多面的機能というものをきちんと生かしていくんだということがその前提にあったわけです。  この頃の議論を聞いておりますと、それはそれで結構なんでありますけれども、息をのむような美しい景観になるというのは、それはそれでいいんですが、その前段のところの、この国の行ってきた農法に対する反省とかというものがどこにも見えないで、地域政策でお金をきちんと補助しますよという形だけのイメージになっているというのは私はちょっと不自然だなというような感じがしております。  その中で、まず最初にちょっとお聞きをしたいというふうに思いますが、改めてでございますけれども、この多面的機能というのと、世界の国々が普通に使っている非貿易的関心事項ということの違いについてはどういうことでしょうか。
  121. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 多面的機能発揮促進法案第三条におきましては、農業の有する多面的機能につきまして、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能と規定しております。これは、食料農業・農村基本法第三条の規定を踏まえたものでございます。  一方、お話にございましたWTO農業交渉におきまして我が国が提案した非貿易的関心事項でございますけれども、これは、農産物の貿易問題を議論するに当たりまして、関税水準等の貿易的側面のみではなく、食料安全保障ですとか国土の保全などの非貿易的側面も考慮することが重要であるという点に着目した概念でございまして、多面的機能を含んだ広い概念として整理をされているものであると承知しております。  したがいまして、多面的機能発揮促進法案多面的機能は、概念としてはWTO交渉等において用いられる非貿易的関心事項に含まれるということであると考えております。
  122. 郡司彰

    ○郡司彰君 このこともまた次の機会に今のを承った上で議論をさせていただきたいと思いますが、当面、この多面的機能の関係で、先ほど言ったような環境三法のときの理念というものが少し欠けているんじゃないか。  それからもう一つは、このときの議論で、当然、そういうような農法に切り替えればコストが高くなるということは、これは分かり切っているわけですよ。高い農産物になる生産者の所得を安定させるためには、これは消費者の負担ではなくて財政負担で行っていくんですよということを決めてきたはずなんですね。そういうことからすると、この多面的機能というような形の中に、例えば有機農法を促進をするとかというようなことに対しても少し取組が弱いんではないかというような思いを持っております。  それからもう一つは、自然環境の保全、それから生態系は調和ということで保全というのと調和というのをそのときに相当議論をして、法制局の話や何かも入れてそのようにしました。そのときに、生態系の調和ということでいえば五原則がありますよと、そのうちの一番目の回避ということ、それから三番目の修正ということ、このことについてもきちんと行っていきますよということでございました。  私は、正直言うと、こういう関係については農水省はよくやっていると実は思っているんです。私どもの県でも、冬場に水を張ってオオヒシクイが飛来をするようなところをきちんと手当てをしていただいたり、実はいろいろやってくださっているというふうに思いますけれども、では、改めて伺いますが、このミティゲーションの一番目のアボイダンスとか、それから三番目の修正ということについて、今までどこが評価をしていたんですか。そして、これに対して、何か回避をしたり修正をしたりというようなことはこれまではあったんでございましょうか。
  123. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) 土地改良事業におきます、今先生のお話にありました五原則、ミティゲーション五原則と言われておりますけれども、これにつきましてでございますが、まず、平成十三年に土地改良法を改正いたしまして、環境との調和に配慮することというのを事業の実施に際しての原則として位置付けました。それで、それを踏まえまして、可能な限り農村の二次的な自然ですとか生態系等への負荷や影響を回避、低減する事業への転換を図ってきているところでございます。  この改正を契機といたしまして、まず、国におきまして、このミティゲーション五原則を含む環境との調和への配慮の基本的な考え方ですとか、調査、計画、設計といった各段階で検討すべき事項等を示しました調査計画・設計の手引というのを出しております。また、生物の生息環境や移動経路にも配慮した工法等を示した生態系配慮の技術指針というものを整備しております。こういったものを整備いたしまして、各事業実施主体による生態系への配慮の取組に対する技術的支援を行ってきているところでございます。  この事業が生態系に与える影響の評価につきましては、こういった国が整備いたしました手引等を踏まえまして、事業の施工に先立って各事業の実施主体が評価を実施しているということでございます。  これに従って行われました回避、修正の事例といたしましては、回避の例といたしまして、貴重な自然が残るため池ですとか土水路等を現状のまま保全をしたという例、それから修正の例といたしまして、水田農業用排水路を接続するいわゆる水田魚道、これを設置いたしまして魚類の移動経路を確保した例といったものがございます。  今後とも、こういった各事業主体による生態系に配慮した事業の推進が図られるように努めてまいりたいと思います。
  124. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございます。  先ほど言いましたように、実はよくやってくださっているなという思いはありますので、ただ、多面的機能という言葉が使われるときに、そうした観点が余り出てこないで、何か地域の存続のための補助金というような思いのような文章が多いものですから、ちょっとそのことについてお聞きをいたしました。  もう当たり前の話でありますけど、植物が育って、それを食べて、その排せつ物を微生物が分解をして、そしてそれがというこの循環を耕畜連携で行おうというのがそもそものことであったというふうに思いますので、そういう意味では、飼料用米のところについても、例えば保管をする場所をきちんと造るとか集めて集荷をするとかというようなことではなくて、できるだけ小さい地域で循環をするようなことというのを基本にやっていただきたいなというふうに思っております。  それから、中間管理機構と農地法の関係について、残された時間で若干お聞きをいたします。  二十一年に、耕作者主義ということの議論もあった上で、農地法が改正をされました。この後、五年間でありますとかあるいは十年間でありますとか、農地の集積が行われてまいります。それが今後十年以上も続くようなことも含めて、私は、規定からいえばそういうようなこともあり得るということはよく分かるのでありますけれども、十年以上二十年というようなことになってきたときに農地の所有者がずっと地代をもらい続けるというのは、これはちょっと考えた方がいいんじゃないかな、農地法というものをもう一度考え直すということが必要なんじゃないかなというふうに思いますが、よろしくお願いします。
  125. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) まず、農地法の目的でございますけれども、平成二十一年に改正が行われまして、この目的規定が変わっております。それ以前は、農地は耕作者自らが所有することを最も適当とするというふうに書いてございまして、これがいわゆる耕作者主義と言われておりますが、これを変えまして、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を効率的に利用する者による権利取得を促進すると、こういう考え方に大きく転換されたわけでございます。  このことを踏まえまして、昨年の臨時国会で農地中間管理機構の関連法律を通していただきまして、担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造をつくるために、この中間管理機構が農地の所有者から借りて、これを担い手の方に転貸をすると、こういうスキームが整備をされてきているところでございます。  したがいまして、この農地中間管理機構のスキームは、この二十一年の改正によります農地法の目的に即したものというふうに我々考えておりますけれども、昨年の臨時国会の農地中間管理機構の法案審議に際しまして、これは附帯決議もいただいております。この附帯決議の中には、「長期にわたり耕作しない不在地主による農地所有を耕作者自らによる農地所有へと誘導するための施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」という条項も入ってございますので、そのことは十分踏まえて我々も検討させていただきたいと思います。
  126. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっと質問の項目が相当残りそうなので先に進ませていただきますが、配りました資料の五枚目と六枚目を見ていただきたいと思います。  これ、私の県内の極めて普通の農家の方の実際に掛かっているものを書き出していただいて、五枚目の委託費の合計というのは八万三千五百九十八円というふうになっておりますが、これ、県が出しているものよりも千円近く安い金額、全体として物財費としては安いといいますか、低い金額になっております。その次のものを見ていただくと、加えて維持管理費というのでこういうものが掛かっているよというようなこともございまして、これに関連をしてちょっとお聞きをしたいというふうに思いますが。  この中間管理機構のところで預かります、それで一定のまとまりをつくるために簡易な基盤整備を行う、それで貸出しをする、貸し出すときは預かったときの地代に相当するものを貸した人に渡して、まとまったところによって地域の中での、何というんでしょうね、地代はこのぐらい高くなるようなことになったよというようなものを借りる人にはお願いをする、その差額でもって銀行の方にお支払をする、こういうような形ですけれども。  借りたものを貸し出すまでの期間について、一定のまとまりというのが一年か二年か、借り手の関係ではもうちょっと時間が掛かるかもしれません。そのときには、維持管理の関係についてはこれ中間管理機構がお支払をするということでありますけれども、この六枚目の紙を見ていただいて、維持管理費としてこのような幾つかの項目みたいな形になっておりますが、このうちのどれとどれを中間管理機構は支払うんでしょうか。
  127. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の中間管理機構は、担い手の農地利用の集積、集約化を図るための農地の中間的な受皿ということでございます。したがって、出し手から農地を借りて担い手に転貸するまでの間はその機構自身が管理をすることになりますので、この機構の業務を円滑に運営するためにはこの管理に要する費用、これは国と都道府県が負担をすると、こういう設計でございます。  そのときにどこを見ているかということでございますけれども、管理作業の委託料といたしましては、予算積算上入っておりますのは、これは春と秋に二回耕起をするということと、それから草刈りをやる、これが管理費の中身として積算されているところでございます。
  128. 郡司彰

    ○郡司彰君 それを、新しく借りる方が決まったらば、それまでのものは中間管理機構が払いっぱなし、新しく借りる人に請求することはないというようなことでよろしいんですね。
  129. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地中間管理機構が借りて、これを担い手の方に転貸するまでの間の管理につきましては、これは機構自身が負担をいたします。
  130. 郡司彰

    ○郡司彰君 それはどういう理由で負担ができるんですか。
  131. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) これは先ほど申し上げましたが、農地中間管理機構は農地の中間的な受皿として整備をしたわけでございます。ある程度農地をプールする形で、それをまとまった面積にして担い手が使いやすいように集団的な、集約化された面積にしてお渡しをすると、これが一つの目的でございますので、この中間的な受皿として機能させるための支援は当然必要であると、こういう考え方で、これにつきましては国のお金も投入をしております。
  132. 郡司彰

    ○郡司彰君 一応答弁をお聞きをして、また時間がありましたらばそのことについて詳しく質問をさせていただきたいと思いますが、ちょっと時間の関係で、これは地代分を払っていただけるんですよね、要するに、貸したという人に対しては地代として現金を払うと。普通は今どこのところでも相対でやっている場合には物納なんですよ、大体、二俵とかとここのところにも書いてありますけれども、一ヘクタールだったら大体二十俵ぐらいを現物でもらうんですよ。その中から自分のうちで食べる自家飯米というものも消費をするんですね。  今度は、規約上からいえば、現金をもらって田んぼを貸している人はお米を買って食べるということでよろしいですか。
  133. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) この地代の払い方でございますけれども、この機構がない場合の実際の地代の支払の仕方、これは地域によっていろいろあるかもしれませんが、確かに一部の地域では米などで物納している実態はあるというふうに承知をしておりますけれども、この機構の地代の徴収、それから支払の事務、これにつきましては効率的に行っていく必要がございますので、これにつきましては基本的に現金、銀行振り込みにより対応することを基本としております。
  134. 郡司彰

    ○郡司彰君 まとまりをつくるというときに、田んぼが田んぼということもあると思います。田んぼと畑が田んぼということももしかするとあり得る。逆なこともあり得るというふうな想定というのは、この例示のものを見てもそういうものが書いてあります。  そのときに、評価額は、今、田んぼと畑だと三分の一ぐらいになりますけれども、これは上がったときはまあそうかと思うかもしれませんが、下がったときは借りた人に対してはどういうようなことになるんですか。
  135. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 田んぼと畑の間の相互の転換というのはそんなにあるというふうには我々は思っておりませんで、そのパンフレットを見ていただいたときに色分けになっているのは、所有者で色分けしておりますので、田んぼと畑という区分でそこが変わっているという、こういう話ではございません。
  136. 郡司彰

    ○郡司彰君 それはないということ。
  137. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) それは基本的にはないと思います。
  138. 郡司彰

    ○郡司彰君 あぜをなくしていきます、一定程度、何人かの筆が集まって大きな田んぼになりました。それは、よもやそういうことがなければいいんですけれども、途中でもう一回自分でやりたいとか、いろんなことが起こったときには、それは持分の確定というのは誰が責任を持ってやるんですか。
  139. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) そこはもう両当事者ですけれども、特に農地中間管理機構は公的な組織としてそこへ入っておりますので、そこについてはきちんとやっておきませんと将来困ることになりますから、機構は相当責任持ってそこは取り組むことになると思います。
  140. 郡司彰

    ○郡司彰君 機構が責任を持ってそこは相当やるというふうに思うんですが、農家の日常、ふだんの争い事というのは大体そんなものなんですよ。そういうところが一番もめ事になって、行く行くは結局あいつがやるのかとかというところが問題なんですね。その辺のところは機微に応じて現実的な対応をこれからなさっていただきたいなと思います。  時間がありませんので、最後にちょっと大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、生産調整の見直しを行うということであります。  私は、生産調整の見直しを行っていいと思いますし、これまでのことを言えば、逆に言えば、ほかの国ではないような、お米以外のものにも関係するような形のものをやっていた。そして、結果としてはペナルティーというものを掛けるような形の政策を取っていた。そこに関わらない自主的に作っている人たちが最大で四割ぐらいまでになったんですよ。それを戸別所得補償その他では一定程度取り戻すような形ができたんですけれども、今後は生産調整を見直しをしていくということになれば、当然そういう問題もまた出てくるのかもしれません。  しかし、問題は、その人たちが増えたことによって何が一番問題かというと、結局は最後は政治的な圧力やその他でもって余った過剰米を買い上げたわけですよ。結局はそれをやったんですよ。お米がたくさん余ったらば、いろんなことはあったかもしれないけれども、北朝鮮やインドネシアに食糧援助を行ってきたんですよ。その処理が去年まで掛かったんです。  今度、例えば作付けが自由になったと、それはいいと思いますよ、自分で売れる販路を確保するという、これもやってもらわなくちゃいけない。しかし、そのときに、いざとなったらば、さあ、お願いしますよ、それをさせないために、民主党の政権では備蓄米ということでもって、もう最初から播種前で契約して備蓄米ももう買いませんよということをやらせていただきました。  今後、このことは絶対約束をしていただきたいんですが、大臣、この出口対策ということで過剰な在庫があったらば国が買い上げて在庫を膨らませてというようなこと、これは今まで十兆円以上使ってきたんですよね。これは絶対やらないということを御確約いただけますか。
  141. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員がおっしゃるように、今まで米が国民の主食として重要な位置付けにあることを踏まえて、食糧法に基づき、大不作などの事態が生じた場合に国民に米を安定供給できるように百万トン程度備蓄をやっておるところでございますが、まさに今おっしゃっていただいたように、棚上げ備蓄ということになっております。  豊作や需要減少によって米の供給が過剰となった際に国が直接市場に介入して政府買入れを行うこと、これは、食糧法上、政府買入れは備蓄の円滑な運営を図るために行うものでありまして、需給調整のために行うこととなっていませんので適当ではないと、こういうふうに考えております。  米については、消費者のニーズに即して需要に応じた生産が行われることが重要でありまして、豊作や需要減少による需給緩和については、民間主導による対応、これが基本であると考えております。
  142. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございました。  質問が大分残ってしまいましたので、また時間があれば質問させていただきたいと思います。  終わります。
  143. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  先週に引き続きまして、農政改革関連二法案質疑をさせていただきたいと思います。  こうやって、私自身は一つのテーマについて日を改めてかつ時間を掛けながら審議させていただくのが初めてで、先週の議論を受けて議論を続けていくと、本当にやはり議論が深化していくなと、改めて有意義な今審議の時間を持たせていただいているなというふうに思っております。  そうする中で、特に前回の議論を振り返ったときに、幾つかやはり焦点になった議論というのがあったと思っております。そのうちの一つ、まず初めに、私の方からは、食料自給率食料安全保障、これについてお伺いをしたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  今日もここまでの時間でも多々言及あったかというふうに思っておりますけれども、この食料自給率、一貫して農政において重要な指標だと、この政策目標であるというふうに掲げられてきた政策でありながら、もうある意味、長年にわたって目標達成への道筋が見えてこない。あるいは、先週の議論を振り返ってみますと、達成できないんだったら下げることも検討すべきだ、こんな話もあったかと思えば、いやいや、もっとずっと上げなきゃいけないんだと、こういうある意味方向感ですらいまいち広く認識を共有できていない、こういうちょっと不思議な指標なのかなというふうに思っております。  これ、一つは、食料自給率の中でもいわゆる総合食料自給率、この数字の性格といったものもあるのかなと。やはり、これもう全部ひっくるめてという指標になりますので、そういった意味ではなかなか、重要な指標であることは論をまたないわけでありますけれども、例えばこの数字を一%上げることでどういう効用があるのかとか、そのいわゆる変化の意味付け、それが捉えにくいといったようなことも多々あるというふうに思っておりますし、また一方で、これは生産者の側から見てみますと、食料自給率自体は一貫して下がってきている、また底をはってきているわけですけれども、日本人の食生活自体は大変豊かになってきている。こういったこともあって、単純に上げる、単純にこの数字だけ追いかけるということ自体はやはり私としては余り意味がないんじゃないかなというふうに思っております。  その上で、今日改めて前回の復習の意味も込めてお伺いをしたいわけですけれども、カロリーベースで自給率五〇%を目標とする、このことの意味を、この五〇%に決まったまず経緯も含めまして御説明いただけますでしょうか。
  144. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この現行食料自給率目標の五〇%でございますが、平成二十年以降、新興国の経済発展によりまして、こういう国で農産物の需要が拡大すると、そういうこと等がございまして穀物の値段が非常に高騰したと。そういう中で、国民皆さん食料輸入本当に大丈夫かという不安が高まっていたと、こういう状況が実は背景にございまして、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標ということで設定をされたということでございます。  自給率は、国内の食料消費が国内の農業生産でどの程度賄われているかということを示す指標でございますので、平常時に、今委員がいみじくもおっしゃっていただきましたように、自給率が下がったからといって食生活が豊かでなくなったわけではないというような御趣旨のお話がありましたが、まさに平常時の食料自給率と、それから不測の事態における国内の農業食料供給力、必ずしも一致をしないと、こういうことであります。  しかしながら、目標を設定して、常に平常時からその達成に向けて、農地、農業用水の確保、それから人的支援の確保、育成、農業技術水準の向上と常に図っておくことが、よってもって食料安定供給の確保につながると、こういうふうに考えておるところでございます。
  145. 平木大作

    ○平木大作君 今、様々な経緯も含めて御説明をいただきました。  この五〇%といったものと、じゃ、六〇%になったときどうなのか、あるいは現状の四割を切るような水準どうなのか、なかなか一口で比較が難しいというのがこの食料自給率の話なのかなというふうに思っております。ただ、やはり基準とすべきは、平常時の話、いわゆる我々の平常時の食生活の話ばかりではなくて、やはり今後の食料安全保障、こういったところも含めて検討していかなければいけない数字なんだと、このような御答弁でございました。  この食料自給率意味付け、意味につきましては、一連の問いの後にもう一度ちょっと触れて言及したいなというふうに思っておりますので、次の質問に移らせていただきます。  この食料、じゃ、もう一方の安全保障の話であるわけでありますけれども、食料を国内に安定的に供給していくんだ、この基本的な考え方については、既に現行食料農業・農村基本法の中に定めてございます。内容を改めて紹介いたしますと、国内の農業生産の増大を図ることを基本として輸入と備蓄を適切に組み合わせて行わなければならないと、このように定めてあるわけであります。国内の農業生産、まずしっかり増やしていかなきゃいけないんだということでありますから、やはり最初に議論されるのは自給率なんだろうと、これも納得がいくところでございます。  しかしながら、一方で、もう一つ、輸入とか備蓄の適切な組合せの在り方ですとか、こういったものというのは余りなかなか議論として少なくとも国民の皆様には届いていないんじゃないかと。実際に農水省政府でどのような形で今検討されているのかと、ここは大変関心を逆に持たなければいけないところかなというふうに思っております。  特に昨今、東日本大震災の後、民間におきましては、いわゆるBCP、事業継続計画といったものが大変重要であるということで注目を集めております。農政と直接関係はありませんけれども、いざとなったとき、何かあったときにどうやってその事業を継続していくのか、あるいは国内への食料安定供給を確保していくのか、どの部分を諦めてどの部分はしっかり守らなければいけないのかと、こういった点でしっかり対策を打っていかなければいけないという、こういう認識は今国内にも広がっているのかなというふうに思っておりまして、私の個人的な関心としては、今後、農業食料安全保障を語る上で、BCPでも大変重要な一つの概念であります複線化ですとか重畳化、こういったところをちゃんと軸に議論をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。  そういった文脈の中で、まず、次、お伺いしたいんですけれども、現在、大手の総合商社、こういったところが海外における農業投資というのを大変進めております。大臣ももうお読みになったかもしれませんが、先週の日経ビジネスには、大臣も一時在籍をされました三井物産の飯島社長が、農園を経営する唯一の大手商社トップが語るということで、「商社が拓く日本農業海外展開」という形でインタビュー記事に答えられております。  この中では、例えば日本国内に植物工場のようなものをどんどん展開されていたりということも言及されているんですけれども、一方で、御関心の中身、もう一つは、今注目しているのはミャンマーだということでミャンマーに精米工場を立ち上げられたり、あるいは今度、ブラジルにトウモロコシとか大豆を栽培していくんだと、このノウハウを緯度がほぼ同じモザンビークで五年以内に水平展開するんだと、このようなことを語られております。  これ、大手の総合商社だけではなくて、例えば、国内で元気な自立した若手の農業生産者、例えばイチゴ農園を経営されているところですとか、そういったところでも海外にどんどん出ていくんだみたいな話は実はよく聞く話でございます。  こうした取組、大手総合商社あるいは小さな元気な農業者海外への農業投資、これについて、今政府としてどの程度一体把握をされているのか、またどう評価されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  146. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 実は、私も三井物産に在籍しておったときにたばこの葉っぱの輸入をしておりました。農産物でございます。当時、物産のみがタイで、たばこの葉っぱの乾燥工場というのがございます、メーカーさんに出す前の葉っぱを育てる方から買って、これをシュレッダーして原料として輸出すると、こういう形態でございますが、チェンマイでオペレーションをやっておったということで、昔からそういうところは関心が強かったのかもしれませんが。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  農林水産省では、平素からこういう総合商社の皆さん等との定期的な面談、それから国内外の各種の報道、今のこのインタビューなんかも報道の一種かもしれませんが、それから在外公館による情報収集と、こういうものを通じて、我が国の企業による海外農業投資、これに関する情報を収集をしております。  カントリーリスク、それから天候リスク、こういうものがございますので、一般的に言いますと、今まで海外農業生産に対する投資というのは消極的でございましたが、最近では新たな海外投資によって穀物等の集荷・販売能力の強化をするとともに、直接、農業生産を行うという企業も出てきております。これは大企業に限定されず、先ほど委員がおっしゃったような方も含めて出てきていると、こういうふうに承知をしております。  まさに冒頭おっしゃっていただいたように、食料安全保障の確保のために国内生産の増大、これが基本になりますが、これに備えて備蓄と輸入の確保、これが非常に大事になっております。安定的に輸入をするということになりますとやはり輸入先の多角化、これが非常に大事になるというふうに認識をしておりまして、そういう意味で、近年のこういう海外農業投資の取組の多くはこういう我が国の基本的考え方に沿っていると、こういうふうに考えております。
  147. 平木大作

    ○平木大作君 今、大変注目をされている、またこの現状をしっかり把握をされているということでございました。  今、一部もう次の質問の答えもいただいたのかなというようにも若干思っているんですけれども、こういったいわゆる商社が例えば海外農業投資を行っていくときというのは、必ずしも、海外で作ったものを別に日本に入れていく、安定的な輸入ルートをつくるということを主眼としているわけではない。先ほどのあのインタビュー記事でも、いわゆる大きなアジアの市場に向けてこれからどう出していくのかですとか、いわゆるビジネスでやっているわけですので、これはマーケットのあるところに今は出していくんだ、向けてこういう投資をしていくんだと、こういう言及があるわけでございまして、単純に日本から海外農業投資を進めていく、あるいは政府農水省としても推し進めていく、これ自体は必ずしも日本への輸出、食料安定供給にはつながらないというように思っております。  この点について、いわゆる食料安全保障観点から何か具体策、これ政府として講じているものございましたら紹介いただけますでしょうか。
  148. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 我が国食料供給の多くは言うまでもなく海外に依存しております。そういう意味では、国際的な食料需給が逼迫基調にある中で、国民への食料安定供給のためには、海外からの食料輸入について安定化、そして多角化を図る必要があるというふうに考えております。  平成二十一年でございますけれども、関係省庁・機関が一体となって、食料安全保障のための海外投資促進に関する指針というのを取りまとめました。特に、今後有望な輸入先となり得る中南米、中央アジア、東ヨーロッパ等を対象にして、商社等との定期的な面談で得たニーズを踏まえて情報収集、提供を行うとともに、投資を促進するための事業、そして投資企業に対する公的金融による融資等の支援を実施をしております。  今後も、農業生産、集荷、輸送、輸出等の各段階に対する我が国からの海外農業投資の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
  149. 平木大作

    ○平木大作君 こういった海外からの食料安定供給、輸入、こういうのを考える上でやはり検討のポイントとして幾つか星があるかなというふうに思っております。不測の事態が発生したとき海外から安定的に国内に持ってくることができる食料、これを産品ごとにやっぱり定量的に一つは把握をしっかりしておく。一体国内需要の何%が手当て、めどが付くのかどうかと、こういったところも当然大事だと思いますし、また、先ほど大臣から御答弁いただいたとおり、いわゆるカントリーリスク、大事な食料、幾ら国数を分散しておいても、この海峡がふさがってしまった、この海域がふさがったときに全部持ってこれないということではいけませんし、また同じ地域でありますと同じ天候の要因を、影響を受けてしまうというようなこともあると。こういういわゆる複線化、重畳化、これはコスト効率だけ考えてやれば一点集中で国内で全部できればいいとか、いろんな別の考え方も当然できるんだとは思うんですけれども、こういった観点からもしっかり、今の安定輸入の弱いところは一体どこなのか、ここを見極めていただいて、また継続的に施策を打っていただきたいということをお願いしたいというように思います。  次の質問ですけれども、この食料安定供給、ここに関連して、先日大筋で合意をされました日豪EPA、ここにおいては初めて食料供給章というのが設けられたということが話題になりました。この中では、重要な食料について輸出国内の生産が不足した場合にも輸出規制を新設、維持しないよう努力するという、こういう努力規定が盛り込まれたわけでありますけれども、努力するというだけではなかなか安心できないなというふうにやっぱり思っております。  今後、この合意事項をどうやって実効性を高めていくのか、どう担保していくのか、御答弁いただけますでしょうか。
  150. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 食料供給章の規定が今回の日豪EPAについて大筋合意をされたということでございます。  これにつきましては、輸出規制を導入する場合には必要な範囲に限定をすること、そしてまた輸出規制の理由、性質、適用期間についての事前通報をすること、また他方の締約国の要請による輸出規制に関する協議等についても規定をしているところでございます。  この大筋合意につきましては国会等の承認が必要になってくるわけでございますが、その後、この協定が発効された後でございますけれども、仮にこのような条件というか、この規定を適用しなければならないようなことが生じた場合、事前通報、そして協議を活用してこの合意事項を実効性のあるものにするように努力をしてまいりたいと考えております。
  151. 平木大作

    ○平木大作君 最終的なステートメントも含めて、まだこれから文言にしていくという部分も多々あるかと思っております。是非ともここをひとつ、努力というところから一歩でも二歩でも目に見える形の安全につなげていっていただきたいというふうに思っております。  もう一つ、ちょっと今日あえてお伺いしたいんですけれども、日本から海外へのいわゆる農業投資ということだけではなくて、今、逆の動きもちょっとあるのかなというふうに思っております。先日、ニュージーランドの大手酪農生産者メーカーであるフォンテラ社が北海道で事業参入すると、こういった報道がございました。  大臣もこの件について記者会見等でいろいろ述べられておりましたけれども、これ、この場でこの一社がどうこうということは大変言及しにくいのかなというふうに思っておりますので、一般論でも結構です。こうした海外から日本への農業投資、これをまたどう評価されているのか。担い手を今後拡充していくという意味で、今後、海外からの農業投資、積極的に呼びかけていくようなそういった御意向があるのかどうか、御答弁いただけますでしょうか。
  152. 林芳正

    国務大臣林芳正君) フォンテラ社の話は報道で承知しておりまして、北海道を訪ねられた、こういうことでございますので、先端的な技術を提携していただいてノウハウを共有して、よってもって北海道の畜酪良くなると、こういうことになればいいなと思って私も見ておりますが、一概に投資をしていただくということが全て百点満点かというと、農地を持たれるというところ等のことも考えていかなければなりませんので、そういうこともいろいろ考えた上で、どういうことが一番望ましいのかということはしっかりと見ていかなければならないと、こういうふうに思っておるところでございます。
  153. 平木大作

    ○平木大作君 多々リスク、いわゆる農地を持たれる、あるいは水でも同じような議論が昨今あったかというふうに認識をしております。また、ニュージーランドは今TPPの交渉の相手国の一つでもあって、ある意味交渉のカードの一つに何か使われてしまう、こういったこともあるわけですから、この件については重々慎重に当然取り組みいただきたいなというふうに思っているわけでありますけれども。  一方で、ある意味選別、相手を選別した場合に、やはり海外にもし高い技術力を持っているところ、学ぶべきところがあるパートナーですね、こういったものがあったときに積極的に今後国内に招致していく、こういったところも一つの必要な方向性なのかなというふうに私は思っております。  フォンテラ社のホームページへ行きますと、いろいろ日本での事業について今検討しているプレゼンテーションも置いてありまして、中を拝見しますと、例えば日本において事業を行う事業環境、投資環境としての優位な点として幾つも挙げてあるんですけれども、例えば、イノベーティブな競争力を持つ国内事業パートナーがいるということ、そして、日本で、じゃ今後どういう展開を考えているのかというところで、高品質の日本製品で、日本で作れば基本的に品質もいいし、安心、安全であるというブランドも得られると、こういうことを利用しながら成長著しいアジアのハイエンドマーケットをターゲットにしたいと、このようなことも書いてありまして、日本の地理的なものも含めて、農業投資していく上でのアドバンテージもある意味外から指摘をしてもらっているという点があるというように思っています。  これは当然、国内の農業者、我々もしっかりそういったところをもう一度見直さなきゃいけないなという点はあると思いますし、また意欲的でまた一緒にこの仕事をできるなという海外の有力な事業者と組むときにも、招致するときにも、こういったところを是非使っていけるんじゃないかなというふうに思っております。  次の質問でありますけれども、ここはちょっと確認をさせていただきたいと思っております。  結局、不測の事態が起きたときにどうなるのかと、これをしっかり定めておくというのが大変重要であるというふうに思っております。  食料農業・農村基本法、この中では、第二条第四項、それから第十九条の中で、凶作、輸入の途絶等の不測の要因によって国民が最低限度必要とする食料供給を確保するため必要があると認めるときには、食料の増産、流通の制限その他必要な施策を講ずるものとすると、ここまでは法律の中にもう法文としてしっかり書いてあるわけでありますけれども、現時点でこうした一連の措置を発動する、措置をとる際のガイドラインのようなものというのはしっかりもう整備されているんでしょうか。
  154. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) お答え申し上げます。  今御質問ございましたように、食料安定供給を確保していくということは大変大事な責務でございます。国内農業生産の増大を図ることを基本としつつも、輸入と備蓄等を適切に組み合わせて安定供給を図っていくという方針を明らかにいたしております。  その際、特に農業生産というものは自然条件の影響を強く受けるものでございます。また、世界の食料需給がタイトだというようなこともございますので、食料農業・農村基本法の中では、凶作ですとか輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が著しく逼迫するような場合にも、国民が最低限必要とする食料供給が確保されなければならないという規定になっておるところでございます。  こういった考え方に基づきまして、農林水産省においては、不測の要因により食料供給に影響が及ぶおそれがある事態に的確に対応するために、その事態の深刻度に応じまして政府として講ずるべき対策の基本的な内容ですとか根拠法令ですとか実施手順というものをお示しいたしました、緊急事態食料安全保障指針というものを策定をいたしておるところでございます。
  155. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  ちょっと私もその指針について余り認識しておりませんでしたので、また後日、内容をしっかり確認させていただきたいというふうに思います。  この食料自給率、そして安全保障というところですけれども、ちょっと次のテーマに移る前に、改めて自給率の問題に立ち返ってお伺いをしたいというふうに思っております。  冒頭で確認をさせていただいたとおり、食料自給率、カロリーベースで五〇%というこの目標達成、なかなかまだ見通しが立たないという状況があります。その要因の一つとして、これも先ほど少し申し上げましたけれども、やはり五〇%を達成するとどういうことになるのかと、そのいわゆる意義が分かりにくい、達成することでどんなメリットがあるのか具体的にイメージしにくいというところもあるんじゃないかなというふうに考えております。  現行の三九%というのが、数字だけ聞くと確かに低いんだけれども、何と比べて低いのかと。諸外国と比べてというのは一つの軸でありますけれども、そこも含めて、低過ぎるのか、どの程度低いのか、なかなか議論が難しいというふうに思っておりますし、また、全般、いわゆる総合食料自給率で見ると三九%であるけれども、主食であるお米についてはほぼ一〇〇%が自給できている、だからいいんじゃないか、そんな議論もあるわけでございます。こういったこともあって、なかなか議論が深化していかない、進まないなというふうに思っております。  私は、いわゆるいろんな課題、特に大きな課題にぶつかったときに、以前先輩から教えていただいた一つ格言を常に思い出すようにしておりまして、それは、ドント・ボイル・ジ・オーシャン、海を煮炊きしてはいけないという格言があります。海のように大きな、しかも重要度の高い課題に向き合ったときに、取りあえずこの大きなものを全部ひっくるめて煮炊きしてみよう、温めようとしても、やっぱり海全体はなかなか温まらない。この中で、しっかりと課題を幾つかにまず分けてみて、一つ一つ重要度の高いものから取り組んでいく、有効な解決策を見付けていく、こういうふうにやっていくんだということを教えていただいて、私もこの問題も一つその考え方というのが使えるんじゃないかなというふうに今思っております。  どういうことかと申しますと、じゃ、大きなこの食料自給率という問題を扱うに当たって、幾つか課題を切り分けるに際して、やはり一つガイドになるのが、まさに今般改正に取り組んでおります担い手経営安定法、この中で対象作物として挙げている、お米も入れると七つの品目というのが一つあるんじゃないかなというふうに思っております。  これ先週の議論の中でも、私、何でこの六つなり七つなりが品目として選ばれているんですかという質問をさせていただきまして、それは国内に安定的にカロリー供給をしていく上でも重要な作物であると、そういうふうに政策的に判断をして、政治的に判断をして取り上げた品目であるという御答弁がございました。そういう意味では、この食料自給率なり安全保障というのを考える上でやはり重要度の高い品目としてあえて列挙してあるわけでありますから、まずこの六つ、あるいはお米も入れて七つについてしっかりと課題を解決していくということが大事なんじゃないかなというふうに思っております。  具体的には、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、ソバ、菜種とそれにお米ということになるわけでありますけれども、現行のいわゆる基本計画の中にも品目ごとにいわゆる食料自給率目標はやっぱり立ててあるわけであります。目標は立ててあるんだけれども、達成できないというところは実は総合自給率と同じところにはまってしまっていまして、まずはこの六つあるいは七つについてしっかりと自給率を達成していく、これが優先順位としては先に来るべきなんじゃないかなというふうに思っております。  これまで、この自給率達成できなかったことの一つの要因として、数字だけがやはり総合の数字と同じように提示されてきて、そこに対するいわゆるコミットメントがなかったということがあるんじゃないかと思っております。  じゃ、どうやってコミットメントをつくっていくのか。この自給率目標、数字とともに、やはり目標達成の意義、効用、これ全体でいくと、日本の食料自給全般を語ろうとするとやっぱり一言で語るのは難しいわけですけれども、じゃ、大豆について例えば五〇%を目標にするということはどういうことなのか。より具体的で語りやすいんじゃないかなというふうに思っておりまして、このいい効用をしっかり目標の数値とともに出していくということ。  それから、もう一つは、達成に要するコスト、これも先週ちょっと議論になっておりましたけれども、実際に今四〇%のものを五〇%に上げる、五〇%が確かに必要であるという議論をした後に、じゃ、その一〇%上げるには一体どのくらいのコストが今のところ見込まれるのか、ここも併せて提示しない限り、なかなか腹落ちのする数字というのはできないというふうに思っておりますし、またそこに対するコミットメントも生まれないんじゃないかと、このように考えています。  このいわゆる自給率の数値目標、それと併せて達成の意義、効用、そしてまた要するコスト、これを併せて提示して今後精緻な議論を喚起していくべきだと考えているわけですが、この点、御答弁いただけますでしょうか。
  156. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 重要な御指摘をいただいているというふうに思っておりますが、農林水産省の予算はそのほとんどが食料自給率向上に関係するものでございまして、特定の品目を対象にしていないものも多いということから、品目ごとの生産数量目標の達成に向けた厳密な政策コストを示すことは難しいという状況にございます。  ただ、現在、食料農業・農村政策審議会の企画部会において、現在の自給率目標や品目ごとの生産数量目標等の検証を行っております。次期の食料自給率目標や品目ごとの生産数量目標については、この検証結果を踏まえまして、生産面、消費面の課題と併せて、政策等も含め、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
  157. 平木大作

    ○平木大作君 コストについてやはり出すのは難しいというのは先週にもあった議論でありました。正確なものを出すとかそういったところよりも、やはりこれから幾ら掛けてでもやらなきゃいけないんだというところ、そこのやっぱり議論の土台が必要であるんじゃないかなというふうにはやはり思っております。  これまで、長年にわたって食料自給率目標が達成できなかった、その責任の一端というのはやっぱり政治、国会にあるんじゃないかなというふうに私は思っています。ここの部分についてやはり腹落ちするいわゆる目標値をしっかり設定できなかった、その理由とともに設定できなかったということと、何が何でもやるんだということを結局突き詰められなかったという意味では、これは政治の責任だなというふうに思っております。  コストについて、本当に全部厳密にということではなくて、世間でも例えばABCアカウンティングのような、いわゆる使っている農地の面積に応じて数字を振り分けるですとか、いろんな数字の立て方というのはあるというふうに思っておりまして、是非そこら辺も、いわゆる今後のこのまさに農水委員会において議論を活発化させていくという意味でも検討いただきたいなということをお願いいたします。  ちょっと時間がなくなってまいりましたので、次のテーマに移らせていただきます。  先週の議論においてもう一つ焦点になっていたのがやはり担い手に関する議論であるというふうに思っております。議論の中では、農業において喫緊の課題、一番の課題は何なのかと。突き詰めると、やはり担い手が高齢化してしまっている、次の中心的な担い手がいなくなっているという話じゃないかということも言及されておりましたし、またこの担い手経営安定法においても、担い手規模要件外したという経緯についていろいろ議論があったわけですけれども、ここについても、意欲とそして能力がある農家については次の地域営農の中心的な存在になってもらうためにどんどん支援していくんだと、こういうお話もございました。  そこで、一つちょっと問題提起的にまたお伺いしたいんですけれども、これはさきの参院本会議において我が党の谷合議員の方からも質問の中で言及させていただきましたが、若者の就農についてであります。  農業高校の卒業生のうち、実におよそ五%ぐらいしか就農していないと。農業分野の人材育成というのは実はまだまだ改善の余地がたくさんあるんだなというふうに今思っております。専門技術ですとか知識、こういったものを習得した若い世代が進路として農業分野に進まない原因、どう考えていらっしゃるのか。  これ、是非、基礎的な情報として、現在農業科を置く農業高校というのは実際どのくらい学校数としてあって、そこに生徒は今どのくらいいらっしゃるのか。また、農学部を置く大学数がどのくらいあって、そこの在籍生徒数、何人なのか。それぞれについて、卒業生の就農率、これも併せてお答えいただけますでしょうか。
  158. 藤原誠

    政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。  まず、高等学校の関係でございます。平成二十五年現在、全国の農業高校の数は三百七校、それから生徒数は八万三千九百二十一名でございます。  この農業高校の卒業後の進路につきましては、平成二十五年三月卒業者のうち、進学者が四三・三%、就職者が五一・九%となっております。就職者を産業別で見ますと、製造業が三四・五%、卸売・小売業、飲食店、宿泊業のカテゴリーが二〇・七%などとなっておりまして、農業、林業の割合は四・九%になっております。  いわゆる就農者の割合が約五%にとどまる理由につきましては個々の生徒の進路選択の結果によるものと私どもは認識しておりますが、就農以外につきましても、専門的な知識や技術を更に得るために農業大学校とかあるいは農業関係学科を置く大学などに進学したりする者、あるいは農業高校で学んだ専門知識などを踏まえて農業関連産業に就職する者も多く見受けられるということと受け止めております。  続きまして、農学関係の学科を置く大学の数でございますが、全国で六十五大学でありまして、その在籍学生数は七万五千七百四十一名でございます。  農学関係の学科の卒業生の就職者に占める農業、林業の就職者の割合は五・〇%となっております。このほか、製造業には二一・二%、卸売業、小売業には一八・五%、公務関係が一〇・一%、それから学術研究、専門・技術サービス業で九・五%などが主な就職先となっておりますが、具体的には、食品などの製造販売、あるいは行政農業関係部門や獣医療など、農業関係分野への就職者が一定程度いるというふうに認識しております。
  159. 平木大作

    ○平木大作君 大分、高校、大学を含めて、まず人数がすごくいるんだなということは改めて認識をさせていただきました。その上で、農業関連分野もあるんだということでありましたけれども、やはり就農されるのが高校、大学共に五%前後しかいないというのはちょっと低いなという気がいたします。  今お答えいただいたように、その原因のところですね、結局、進路選択によると言われてしまえば、それまでかもしれません。また、これは文部科学省の視点から見ると別に農業をえこひいきする必要はないんだということかもしれませんけれども、一方で、農業高校なり農学部を持っている大学というのは確実に次の国内の農業担い手を輩出していく、特にリーダーを輩出していくという重要な使命を持っているというふうに思っておりまして、この点について、やはりどうやったらここの比率を増やしていけるのかと、こういった視点からも是非見ていただきたいなというふうに今答弁をお伺いして思いました。  ちょっとこのまま次の質問に移らさせていただきますが、じゃ、ちょっと農業高校に話を絞りまして、農業高校のこのカリキュラム、一体どういうふうに決まっているのか、教えていただけますでしょうか。
  160. 藤原誠

    政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。  学校教育につきましては、全国的に一定の水準を確保するとともに、教育の機会均等を実質的に保障することが要請されております。このため、教育課程につきましては、文部科学大臣が定める学習指導要領におきまして国として大綱的な基準を示しておりまして、これに基づいて各学校で具体的な教育課程を編成して実施をしているというところでございます。  平成二十五年度の入学生から実施をされています新しい高等学校学習指導要領の農業科の学習につきましては、まず第一に生産、流通、経営の多様化や技術の高度化への対応、第二に環境保全の必要性の高まり、第三に安全な食料の安定的な供給への要請への対応など、農業に関する近年の動向を踏まえた改善を図ったところでございます。  例えば、農業情報処理につきましては、栽培環境制御システムや自動搾乳システムなど、生産、加工、流通、経営システムについての知識や技術を習得させることとしているほか、農業経営におきましては、農業生産工程管理を取り入れて経営管理の改善を図る能力と態度を育成するなど、ICTの活用や経営感覚の育成に関する学習が行われているということでございます。
  161. 平木大作

    ○平木大作君 今、農業情報処理ですとかそういった新しいテーマも扱っていますよということでありましたけれども、ちょっとこれは済みません、通告していないんですけれども、私も事前にカリキュラムの一覧をぱっといただいて、いわゆる野菜とか内容がいまいち分かりにくいものも多くて、また、ちょっといわゆる一般的な名称過ぎたということもありまして、これ、実際にカリキュラムというのは例えばどのくらいのいわゆるサイクルで更新をされているのか。毎年一割入れ替えているですとか、どういった、いわゆる見直しの頻度みたいなものをもし分かれば教えていただきたいんですが。
  162. 藤原誠

    政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。  従来、私ども文部科学省におきましては、国が定める学習指導要領につきましてはおおむね十年に一回程度のサイクルで見直しを行ってきております。  ただ、先ほど御説明申し上げましたとおり、それぞれの学校においてはその学習指導要領に基づいて具体的な教育課程を組んでいるわけでございまして、その時々の新しいニーズに応じての対応というのは十分可能になっているということでございます。
  163. 平木大作

    ○平木大作君 個々の学校の判断でということでございましたけれども、やはり十年に一度というのは、何か、今まさに岐路に立っていて、また大きな変化のときを迎えている農業にしてみるとちょっと遅いんじゃないかなという気も正直いたします。  この点について、今、ICTの活用ですとかそういったところも御紹介いただきましたけれども、カリキュラムあるいは教育内容について農水省として何か関わっている、そういった点ってございますでしょうか。
  164. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農林省といたしましては、農業高校は、青年が基礎的な農業技術を習得をして、農業を職業として意識付けるための重要な教育機関というふうに考えております。就農率の現状は非常に低いわけですけれども、できるだけ高くなっていただくことが我々も望ましいというふうに考えております。  このため、農林水産省といたしましては、農業高校の教育カリキュラムがより良いものとなりますように、全国の農業高校の校長の協会がございます、ここに対しまして、攻めの農林水産業の展開の方向ですとか最新の農政情報の提供、こういったものを行っておりますし、それから、農業界と産業界が連携いたしまして、農業経営者を育成するためのセミナー、これはアグリフューチャージャパンといったところがやっておりますが、こういったセミナーに農業高校の学生にも参加していただくように呼びかけを行っております。  それから、農業高校と各県の農業大学校等との連携を進めるようにこれは都道府県に対してもお願いをしておりまして、こういった努力をしているところでございますが、今後とも、文部科学省とも連携をして、農業高校の教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
  165. 平木大作

    ○平木大作君 ある意味、先ほどお伺いしたように、本当にまだ多くの若者が実際に農業科で学んでいる、あるいは農学部で学んでいるという実情がありまして、是非とも、文科省そして農水省としても、若者に更に農業のすばらしさについて気付いてもらえるような、あるいはこれからやはりどんどんまた成長していけるんだと、そういった可能性に気付いてもらえるような教育内容、是非これは省庁の垣根を越えて取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。  また、こういった実学に近い学問というのは、やはり実際に触れてみる、営農してみるというのは一つの教育の在り方だと思うわけですけれども、同時に、例えば学期に一度ぐらい、一週間ぐらい授業はそのときは持たずに、新しく若くて優秀な新規就農者を採用したい農業生産法人ですとか、あるいは株式会社として最近新規参入しているような企業が学校を回ってリクルーティングフェアすると、こんなことも含めて、もっともっと現場の魅力を伝える、こういった取組、是非お願いしたいというふうに思います。  質問をちょっと残しちゃいましたが、時間が参りましたので、私からの質問は以上とさせていただきます。  ありがとうございました。
  166. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会・結いの党会派の儀間光男です。  本日の本委員会は、先週に引き続き、担い手あるいは多面的機能、二法案についての委員会でありますから、これに関連する質問をしていきたいと思います。  毎週やっていますと、いろんなところでオーバーラップしたりいたします。最近のはやり言葉じゃないですが、どうぞ、オーバーしたところはグレーゾーンと認識をしていただいて、そこに重なった部分はお答えをいただくというふうにお願いをしたいと思います。  残念ながら、戦後我が国農業は著しく衰退してきたと指摘されても致し方あるまいと思います。確かに、担い手の高齢化や減少、耕作放棄地の増加、もうからない、産出額の減少生産性の低下、食料自給率の低下などなど多くの問題を抱えていることはそのとおりでございます。  私は、将来に向けて我が国農業を真に発展させるためには、過去の農政の在り方を冷静かつ客観的に分析の上、反省すべきところは謙虚に反省をし、いわゆる農政のスクラップ・アンド・ビルドを進めないと、いつまでたっても上向きの農業に転ずることはなかなか難しい。したがって、海外に進出することもこれまた難渋をするのではないかと思っております。  去る五月十四日の参院本会議や、本委員会においても、我が国農業、農産物は海外を視野に入れ、有力な輸出品目として積極的に展開させるべきだと持論を申し述べてまいりました。本日も海外市場にこだわってのみの質問になりますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  そこで、近年の我が国の農産物輸出高を見てみますと、世界では五十位前後に位置をしております。上位はアメリカでありまして、一位はですね。二位がオランダ、三位がドイツ、四位フランスと続いておって、申し上げたように我が国は五十位前後に位置をすると、こういう状況にございます。  時系列的に見ますというと、一九七〇年代前後から世界は食料過剰な状態を迎えた経緯がありますが、もっとも今日的には世界の人口増において将来の食料不足が心配が取り沙汰されておりますが、先ほど申し上げました国々は農産物の海外マーケットにいち早く進出をしております。しかしながら、我が国は同時期に米の過剰在庫を抱えており、生産調整あるいは価格支持を取る対策に終始してまいりました。  世界では農産物の過剰対策として輸出イコール市場開拓を推進し、各国は意識的に市場の開発、それに見合うというか、それに乗れる商品開発戦略に当たってきたものと理解をいたしております。例えば、戦後の日本の自動車業界、これが市場に合うように、あるいは需要者のニーズに合うような、柔らかな、しなやかな思考、発想、デザイン、それからコストダウン、そういうことで世界で自動車業界は成功したものだと思っております。  反面、我が国は、農産物の生産調整をしてきたために市場開拓、商品開発に後れを取ってしまい、輸出が伸びずに輸入だけの片務的な国になったものと理解をいたします。一〇〇%そうとは言いませんが、傾向としてそういうことが指摘されておる。近年、世界の農産物の貿易額は輸出、輸入共に毎年六兆円強ずつの増加傾向であることは、先日来、林大臣が示したとおりであります。我が国の産出総額に値する状況であり、このことから判断いたしましても、我が国は世界の潮流に乗り遅れたと受け止めていいのではないかと思ったりいたしております。  そこで、質問させていただきますが、大臣は、我が国の農産物の輸出について品目別にそれぞれ目標数値を挙げて設定し、その実現に努力を払う旨のたしか答弁をなさったと思いますが、具体的に品目別に目標数値をお示しいただき、いつまでに目標数値を達成されるか、雑駁でいいですからお知らせいただきたいと思います。  また、我が国が国際市場への参入を実現するためには、競争力のある農産物を作っていかなければなりません。輸出促進を図るための具体的な政策とはいかなる政策なのかを併せてお示しをいただきたいと思います。  先ほど申し上げましたが、世界の人口が急激に増加するに伴い、食料不足時代がやってまいりますけれども、それにシフトすることも不可欠であると思うことからお答えをいただきたいと思います。以上お答えいただいて、次に入りたいと思います。
  167. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 儀間先生の御質問にお答え申し上げます。  農林水産物・食品の輸出につきましては、現場の声や実態を踏まえつつ、重点品目ごとに目標額や重点地域を定めた国別・品目別輸出戦略を昨年八月に策定、公表したところでございます。  この戦略におきまして、五月十三日でございますけれども、大臣の方から御答弁申し上げましたように、米の輸出につきましては、精米だけでなく包装米飯、日本酒、米菓を含めた米加工品の輸出に力を入れることとして、現在百三十億円規模の米、米加工品の輸出額を二〇二〇年に六百億円規模にする目標を立てているところでございます。  また、米、米加工品以外の日本の食を特徴付ける品目につきまして、例えば青果物、これにつきましては、台湾に加え東南アジア等の新興市場の戦略的な開拓や卸売市場の活用など、周年供給体制の確立などによりまして、現在八十億円規模のものを二〇二〇年までに二百五十億円規模にする。それから、牛肉につきましては、焼き肉などの日本食文化と一体的なプロモーションの実施、さらにはロシアやインドネシアなどへの輸出解禁に向けた検疫協議などにより、今現在五十億円規模のものを二〇二〇年には二百五十億円規模にするという意欲的な目標を立てて取り組むこととしているところでございます。  今後も、二〇二〇年の輸出一兆円目標の達成に向けて、動植物の検疫協議を含め、輸出環境の整備など、国別・品目別輸出戦略の着実な実行に努めてまいりたいと考えております。
  168. 儀間光男

    ○儀間光男君 我が国のこれらの農産物の輸出促進を図る上で参考になる事例を一つ挙げてみたいと思いますが、オランダですね。御承知のように、オランダの国土面積は四百十五万ヘクタールで九州とほぼ等しい面積だと言われております。人口は一千六百四十万人にしかすぎません。しかしながら、オランダは農産物貿易においては輸出額あるいは純輸出額とも世界第二位の位置にあることも御承知のとおりであります。それを支えているのは農産振興のための国の総予算に占める研究費にありますが、その比率は極めて高く、近年の資料によりますと、単年度を取ってみても、オランダの研究費は一千百九十六億円で、我が国と同額以上と言われ、農業政策に対する並々ならぬ決意が感じられるのであります。  先ほど申し上げましたように、面積が四百十五万ヘクタール、九州程度、あるいは人口が一千六百四十万人といいますから、日本の一億三千万になんなんとする人口から見て、一人当たりに対する研究費の高さは圧倒的に高いものがあり、オランダの農業が効率的で生産性が高く、またそれを実現していく背景の一つに、この研究費を使った農業教育、あるいは農業の普及、あるいは研究システムなどということに徹底した力が注がれて今日があると言われておりますが、比べて我が国の研究費等についてお知らせいただければ有り難いと、こう思います。所感を賜りたいと思います。
  169. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今、先生の方から御指摘いただきましたように、オランダでは狭い国土でありながらも、ICTを活用した施設園芸による花卉、野菜等を中心に高収益型の農業を振興しているところでございます。  このオランダにつきましては、昨年、大臣がオランダの方に視察されまして、その施設園芸も参考に、日本版の次世代の施設園芸の新しい事業を検討するようにといった御指示をいただきまして、日本では木質バイオマス等の脱化石エネルギーに着目して、ICTを活用した高度な環境制御を行う全く新しいタイプの施設園芸産地の育成を図ることを目的とした次世代施設園芸導入加速化支援事業、こういったものを新たに創設いたしまして、二十五年度の補正予算と二十六年度予算において合わせて五十億円を措置したところでございます。  また、これ以外に、強い農業づくり交付金におきまして、輸出国の需要に見合った果実を選別する選果施設、あるいは青果物の長期保存が可能な低温貯蔵施設、こういったものの整備を支援しているところでございます。  研究費につきましては、ちょっと今資料がございませんので、また整理させていただきたいと思います。
  170. 儀間光男

    ○儀間光男君 後でいただければ有り難いと思いますが。  このように、我が国の農産物が海外市場を求めるときにおいて、効率的で生産性の高い農産物を作り出さなければなりません。  それは、ここでは米だけやりましたが、そうではなしに米以外の、そのためには生産から海外市場の開拓まで一貫した対応が必要だと考えますし、また、その際の政府の施策はどうあるべきだと思っているのかも聞きたいんですが、例えば、今申し上げたように、米のみならず、餌米であるとか、あるいは麦であるとか大豆であるとか米粉であるとか、はたまたリンゴを始めとする果樹類であるとか果菜類であるとか、あるいは根菜類、あるいは蔬菜全般、こういう農産物を全て含めて海外市場を狙っていくべきだと思っておりまして、それについて、今申し上げたようにどのような施策を展開していこうとされておるのか、含めてお答えいただければ有り難いと思います。
  171. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 先ほど国別・品目別輸出戦略について御答弁をさせていただきましたけれども、こうした輸出拡大を図るための様々な環境整備も併せて行っていかなければいけません。例えば、原発事故の発生に伴う輸入規制の緩和の働きかけですとか、あるいは検疫協議による日本が誇る産品が輸出できるような環境整備、こうしたことを含めた上で、輸出先国の基準、認証に応じた生産に取り組む事業者への支援を行ってまいります。  平成二十五年度から、国内外に幅広いネットワークを有し、公益性と中立性を有する我が国唯一の貿易促進機関でございますジェトロを輸出に関わる情報窓口として活用しつつ、ジェトロとの連携を通じて、従来の商談会の開催や海外見本市への出展に加え、輸出に取り組む事業者のサポート体制の構築等を積極的に進めているところでございます。  輸出国の需要等を満たす国産農産物を生産供給できる体制整備の支援と併せて、これらの取組を通じてマーケット・インの発想で輸出に取り組めるよう、更に努力してまいります。
  172. 儀間光男

    ○儀間光男君 今、ジェトロの話が出ましたけれど、ちょっと通告していないで申し上げるのは失礼かと思いますが、御承知だと思いますから、ついでに教えていただきたいんですが。  ジェトロの機能と世界貿易センターの機能、両方が海外マーケットへの機能として大きな力を占めていると思います。したがって、ジェトロ、そして世界貿易センター、こういうところ、ジェトロは今お話がありましたからやっていらっしゃると思うんで結構でありますが、世界貿易センターとの関わりが、農産物の海外市場へ出ていくときの関わりはあるのかないのか、通告外で恐縮ですが、教えていただければと思います。
  173. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 先生おっしゃいました世界貿易センターというのがどういうものなのか、ちょっと済みません、分かりかねますが、教えていただければ有り難いんですが。
  174. 儀間光男

    ○儀間光男君 通告にないもので議論するのも恐縮ですが、教えてくださいなどと言わず、きっと知っていると思うんですよ。浜松町にありますし、北海道にありますし、大阪にありますし、沖縄はビルはないんですが事務所はあるんですね。ここは、世界七十数か国が参加をしておって、あの九・一一でニューヨークでぶっ壊されたビルが二つありましたが、あれが本部ですね。  そういうことで、多くの商社、多くの企業が資本を出し合って参加をして、そこで海外への物流だけじゃなしに医療、保険、あるいは観光、こういうものを総合的にアレンジし、供給していく立派な国際機関がありますから、どうぞそれを契機に、これをもう手段にして更なる市場開拓に幅を持っていただけたら有り難いと思います。大変失礼をいたしました。  さて、今、ジェトロを通じての海外市場を拡大しているということのお話がありまして、そのとおりひとつ頑張っていただかなければならないと思いますが、私は本委員会の冒頭にも、我が国農業は衰退したと失礼ながら言い切っておりますが、その要因の一つに、池田内閣時代に始まりますが、所得倍増計画の中核を成した二次産業、戦後の産業構造の切替えによって重工業を中心にやってまいりましたから、戦後は二次産業が飛躍的に発展していきました。  その二次産業偏重に起因しているのではないかと思ったり考えたりをいたしておりますが、多くの企業がその労働力を確保するため、地方からの就労者を精力的に集めましたね。記憶に新しいところです。俗に言われている集団就職です。古い言葉で、もう死語になっているかも分かりませんが。この集団就職によって、地方から将来農業担い手になれたはずであろう若い人々が全て都会、つまり東京や、あるいは大阪や愛知や福岡やということで、特に東京を中心に各地方から労働が中央に集約された。この結果が農業担い手を失わせた大きな要因であったのではないかと思います。  しかし、それが必ずしも悪かったということは言いません。そのおかげで戦後日本は大変な復興をしてまいりまして、経済大国で二位だの三位だのになっておりますから、この政策がまずかったとは言いませんが、農業担い手を失ったスタートであろうと考えておるのであります。  つまり、この言葉もちょっと古い言葉で恐縮でございますが、三ちゃん農業と言われた始まりではないかと思うんですね。三ちゃん農業、お若い方はちょっと耳慣れないんですが、お父さんが出稼ぎに東京や大阪へ出かけていって、国にはじいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんが畑をし、山をし、川をしということで残ったと。つまり、今この法案で出ている地域社会への地域政策の必要性はこのときから始まってきたということでありまして、六十数年を経て、きょう今日この政策が出たということに大変な喜びを感じていて、今わざわざ古い言葉を持ち出して申し上げた次第であります。  現在でも構造的に後継者不足をしておりまして、農業従事者の高齢化が進んでおります。これもそれが一端だと思います。専業農家減少の一途をたどっておりますし、あるいは土地持ちの非農家が増えた。しかも、都市近郊においては混住化率が上昇した。兼業者がおって、農家とサラリーマンが農業用の畑の中で混住する中で都会地では農家の姿が推移をしてきた、それが上昇をしていったと。つまり、農業労働者の確保がいよいよ困難になってきたことだと思っております。  そのため、ちょっと古い資料で恐縮でございますが、二〇〇〇年の統計資料を見てみますと、農業用水路の集落管理では中山間農業地域、都市的地域においては農家のみの出役義務が増加したと。つまり、中山間の農業地域においては、人手不足になった、三ちゃんの方々が、今言う多目的の、今の法律趣旨にかなう、いわゆる農業水路から、あるいは周辺の草取りとかあるいは道普請とか、そういうものに人手が必要ですが、残った農家のみがその出役をしてしまった、役が回ってきたということでコミュニティーが衰退をしていって今日になったということが指摘されると思うのであります。もちろん、オランダは農産物貿易において輸出額、純輸出額とも世界第二位の位置にはあります。また、それを支えているのは農業の振興のための、失礼いたしました、これはさっきやりました。いわゆるコミュニティーが崩壊したことの原因がここにあったわけです。  その意味では、多面的機能発揮促進法が有効に機能することに期待をするものでありますし、先週の本委員会で言いましたが、実に時宜を得た、いや、むしろ遅かったというぐらいの法案ではないかと思っております。  ただ、これもこの前指摘をさせていただきましたが、本会議でも指摘をさせていただきましたが、この政策は恒久的な問題の解決策にはならないと指摘をさせていただきました。恒久的には、今言う農業の集約化や、あるいは量産化や、あるいは世界市場、国際市場を狙ってもっともっと量産が外にさばけるよと、そういうことになったときに本当の農家の解決策が訪れると思っております。  我が国農業が抱えている構造的な課題で、いわゆる後継者育成、よく言われているマンパワーの育成が喫緊の課題の一つであることは言をまちません。その後継者の育成を推し進める上でも、将来を見据えた場合、真に農業経営者になり得る人材の育成が不可欠であります。このことは、農林水産各部門においても共通の課題としてどうマンパワーを呼び戻すか、大事なことだと思います。  そこで伺いますが、政府はいかなるシステムで、あるいはいかなる方策を持って農業経営者たるマンパワーの呼び戻しを図っていくのか、お示しいただければ有り難いと思います。
  175. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 御指摘のとおり、この農業後継者の育成が極めて重要な課題だというふうに認識をしております。特に、農作業をするというだけではなくて、御指摘がありましたように、輸出含めて、本当に経営マインドを持って経営を発展させていける、そういう方々を養成していくことも非常に重要なポイントというふうに考えております。  このため、農林水産省におきましては、就農前の段階から、経営発展の各段階において経営力を身に付けるためのいろいろな研修教育、これを支援しているところでございます。  具体的には、農業界と産業界の連携によりまして、産業界のいろんな経営ノウハウも含めて農業経営者にマスターしていただくと、こういうものについても支援をしておりますし、それから、農家の方々が自分経営をいろんな形でチェックをする。例えば販売先の選定をきちんとやっているか、あるいは資材をもっと有利な方から仕入れているかどうかとか、いろんなチェック項目を設けまして自分経営を点検して改善をしていただくと、こういった経営指標の作成、公表といったこともやっております。  それから、農業法人の職員を当該法人の次世代の経営者として育成するために他産業に研修で派遣していただくための支援ですとか、それから、トッププロの経営者、これを目指して優れた経営感覚を身に付けていただくための研修とか、こういったものを含めまして、いろいろな研修制度でここのところを支援をしているところでございます。  それから、先ほどございました、特に輸出、海外に出ていってということを更に視野に入れた研修といたしましては、海外農業ですとか市場について学ぶ海外農業研修の研修生、これにつきましても青年就農給付金、これの対象にしておりますし、それから、農業研修教育機関における研修教育のカリキュラムの一部といたしまして、例えば輸出を行っている先進的な農業経営者の方々の経営戦略についての講義、こういったものを入れていただくとか、そういった取組を進めているところでございます。  今後とも、そのニーズに応じた研修機会の提供等を行いまして、経営感覚のある後継者の育成に努めてまいりたいと考えております。
  176. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  我が国農業を、状況を振り返ってみますと、農政は時として、この前も御指摘がありましたが、時として政局に振り回される。時の政局の強い方々が、農業に対してのばらまきとは言いませんが、農民受けする政策を感覚的にやってきた経緯が指摘されております。そのことが、関係者に十分な説明のないままに方向性が変更されたことなど、反省していかなければならないと思います。民主党さんも自民党さんも、政権が替われば、みんな相手にばらまきだとおっしゃる。そういうことをおっしゃっていくものですから、農家がどこを向いてその政策を受けたらよいのか、本当のところよく分からないということだと思うんであります。つまり、政策に一貫性がないとも指摘され、猫の目のような農業であるとかというようなことが言われてきておるのもまた事実でございます。  オランダとは、立ち位置というか、地理的、あるいは条件が全然違うわけですから、オランダの例をそのまま取れる、そのまままねるということは当然できることではありませんが、しかし、目標とするところの海外市場を多面的視点から捉えて、我が国が世界の市場で勝ち抜くための農政の方向性を明確にしていく、官民が一体となって取組が必要なことは言をまちませんが、そのことについてもどのような対策で臨もうとしているのか、政府はどうお考えなのかをお示しいただければ有り難いと思っております。
  177. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 御指摘のとおり、輸出拡大に当たりましては、官民一体で取り組んでいくことが大変重要だというふうに考えております。  このため、平成十七年度に、関係府省、民間団体等から構成をされます農林水産物等輸出促進全国協議会を立ち上げて、輸出の取組促進に向けた情報交換等を行っているところでございます。  また、本年六月でございますが、輸出戦略実行委員会を設置をする予定でございます。輸出の取組の検証や品目別マーケティングの在り方の検証をこれによりまして行っていく考えでございます。
  178. 儀間光男

    ○儀間光男君 ただいま、輸出関係の実行委員会、正式名は何でしたか。書き留めるまでに終わってしまいました。
  179. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 今現在ございますのが農林水産物等輸出促進全国協議会というところでございまして、これは既に情報交換を今行っているところでございますが、今年六月に設置を予定しておりますのが輸出戦略実行委員会という組織でございます。
  180. 儀間光男

    ○儀間光男君 事のついでですから、その構成メンバー、団体というか、こういうものを示していただけませんか。
  181. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 今後検討してまいることでございまして、今言及することはできません。
  182. 儀間光男

    ○儀間光男君 特定保護ですか。TPPみたいに情報が出ていないところも苦しいところですが。  そんな中で、我が国農業は、戦後、多くの税金というか予算を入れてきましたよ。五十兆になんなんとする多くの予算をつぎ込んでまいりましたが、膨大な予算を入れてまいりましたが今日の状態にあると。毎回毎回言うんですが、その原因を是非究明していただきたいと思いますね。何でこれだけ入れて衰退するのか。決して政府がその努力を怠ったなどなどは言いませんけれども、農業従事者の高齢化や後継者不足、あるいは耕作放棄地の増加等々の現状を見ていますと、農業政策に欠陥若しくは問題があったのではないかと。前回も指摘をしてきましたけれども、それについていかがお考えかをもう一度お答えいただきたいと思います。
  183. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 一般的に予算をずっと使ってきてやってきたと、こういうことでございますが、まさにそれぞれの時代の農政の課題に対応してそれぞれやってきたと、こういうことであります。  この間、委員からは本会議のときに、米政策見直しのときの総理は岸総理と佐藤総理と安倍総理だったと、こういうお話があったわけでございますが、そういう御縁みたいなものも感じさせていただきながら聞かせていただきましたけれども。  やはりそれぞれの時代に応じた政策というのが必要になってくるということでございますが、今その課題としてよく申し上げている高齢化、それから担い手、そして耕作放棄地というのは、若干そういう時代の流れ、変化に対応するのが満足にできなかったとか遅かったと、こういうこともあったんではないかと率直に反省をしながら、しっかりと対策をやらなければいけない、スピード感もある意味では必要になってくると、こういうことで昨年の十二月にプランを作らせていただいたところでございます。  このプランを作るときに、私は非常に心を砕きましたことの一つは、現場で実は、例えばお地元の浦添であればこういう事例とか、この間御紹介いただきましたけれども、全国の現場ではうまくいっている例というのが結構ございます。それを全国の農政局経由で多少粗削りでもいいから集めてこいと、こう言いまして、千を超える事例が集まってまいりまして、これを三百程度に整理をして、こういう現場の宝と呼んでおりますが、うまくいっている事例はどういうことでうまくいっているのかという分析の下に、そういううまくいっている事例をほかに横展開していくためにどういうふうな施策があるべきかと、こういう順番で施策の検討をさせていただいたところでございます。  今回、今年が実行元年ということでやっていくわけですが、今度は、一度決めたからもう変えないということではなくて、やはり現場の意識、よし、これならやっていこうと、こういうふうに思っていただくということが大事でございますので、まずしっかり説明をして、説明した上でやってみて、どこか合わないところがあればしっかりとそういう御意見をいただいて、そういうものを運用改善等々につなげていくと、キャッチボールと呼んでおりますけれども、こういうことを大事にしながら地域の実態にそれぞれ合ったものをしっかりとやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  184. 儀間光男

    ○儀間光男君 いつかも申し上げましたが、すなわちしなやかな思考としなやかな姿勢、これは一番大事だと思いますから、今大臣自らおっしゃったように、一度決めたからといって固定するんではなしに対応したいと。  私は、農業は、今、平木さんもおっしゃっていましたが、農業のみじゃないんですが、生産現場は実学の現場だと思うんですね。例えば、農業でいいますというと、昔から農業のことは農家に聞きなさいと、米のことは行って田んぼに聞けと。つまり、実学ですね。したがって、農業の基本政策を立案する折にも、それも今おっしゃいましたけれども、行って現場の意見をより集約をして、それを政府やあるいは地方自治体、農村、農家、あるいは農業団体等々がそのプロセスを経て実態を掌握して立案すれば、農家担い手も多く付いてくるんではないかと思っております。  さて、この今回提出の両法案に対して農協が蚊帳の外にあるとは思えないんですね。一体、農協はこの法案にどのように関わってくるのかお聞かせいただきたいのと同時に、農協は農業を振興するための牽引車でなければならないと思いますし、またやってきたと思いますが、昨今の農協の事業形態を見ておりますと、冠婚葬祭の事業を始めガス販売、デイケア、旅行業、スーパー、給油所等々、見事に多角経営をしておられます。そのおかげで、営農指導が遅れたとは申しませんが、非常にイメージがダウンしている、そのことも農業担い手の不足を促進しているのではないかと。山田俊男先生に叱られそうでありますが、どうぞお許しを得て、農協を思い農家を思うから言っていることでありますから、その辺を疑問を呈しておるんでありますが、それについての御所見を賜りたいと思います。
  185. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 今回の経営所得安定対策法案によります農協の役割について、私からまず答弁をさせていただきたいと思います。  農協には、今、地域農業再生協議会の構成員として、対策の普及や推進、対象作物作付け確認などの役割を果たしていただいております。  経営所得安定対策におきましては、この加入推進等が円滑に行われますように、地域農業再生協議会と連携協力した推進体制を構築をして実施をしてまいりますので、この日本型直接支払制度におきましても、地域における様々な主体の参画や協力の下で取組を進めることが望ましいことから、農協には地域の共同活動に積極的に参画をしていただくことが期待をされておりまして、儀間委員の御懸念にならないように、しっかりと参画をしていただくように我々も期待をいたしております。
  186. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 儀間光男君、時間が参っておりますので、おまとめください。
  187. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、もうまとめますけれども、事ほどさように、こういうことで、本来農家で跡取りで農業担い手農業をしようと思っていた子弟が農協の経営するこのいろんな事業に魅力を感じて農家を後にしたなどとなると大変な不本意なことになりますし、また、だからといって責めることでもないんですが、責める立場にもないし、責められるものでもございませんけれど、いずれにしても、農協さんはもっともっと表に、営農を指導しているよ、そしてそのための販売先としてのマーケット拡大に尽力をしているよというイメージを国民に与えていただければ有り難いなということを思い、それを期待をして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  188. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。よろしくお願いします。  私とあと共産党の紙議員で最後二人務めます。何とか頑張って、六時間コース、かなり長いんですが、ただ、本当に、我が党、今日ちょっと発表させていただいたんですが、三十年後の日本というものをちゃんと考え政策をやっていこう、こういう実は発表を代表の方からも今日記者会見をさせていただいていると思います。三十年後、本当に日本の農業はこのままあるんだろうか、どんな形になっているんだろうかと本気で考えなければならない。だからこそ、今回、大きな改革として、総理入りも含めて、農業にこれだけの大きな変革をもたらすような政策が出てきてこの議論をするわけでありますから、我々担当の農林水産委員、最後まで気合を入れてやっていかなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いします。  さて、今日、珍しくここまで全く今日はTPPの話がなかったんでありますが、少しこれについても、タイムリーな問題でありますので触れていきたいと思っております。  昨日からシンガポールで閣僚会合が始まっておりますが、今回はアメリカのUSTRからチェックインミーティングということで各国に呼びかけがあったと、こういうふうに聞いております。  そこで、大筋合意は予定されていないということでよろしいのか。ただ、ブルネイと各国は大筋合意していたという報道が、これ五月十七日の日経なんかにも出ておるんですけれども、本当なのか。この辺り、内閣府副大臣、お答えいただけますでしょうか。
  189. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 今、ちょうど閣僚会合、全体会合の最後の場面だと思います。日本時間で十六時、あと十五分ほどですけれども、共同声明、プレスカンファレンスをやるべく、最終の今協議を、交渉を行っているところだと思いますけれども、アメリカ側が今回、御指摘のようにチェックイン会合というふうに位置付けておりました。直前に首席交渉官の会合も開かれたと。首席交渉官の会合では、これまでの議論を整理をすると、それを閣僚会合に上げるという目的で開かれて、今回、論点の整理を閣僚間で確認し合っているという状況だと思います。  その意味では、早期妥結に向けて日米で日米協議が進展をしましたので、そのことを各国にも報告しながら、全体として早期妥結に向けて加速をしていこうと、まさにモメンタムとして、日米の協議をモメンタムとして進めていこうということでありますので、最後、どういうふうに今回共同声明になるか、もう少しのところで発表されると思いますけれども、いずれにしても、昨日今日の話はそういう形で論点を整理をして、今後の道筋について方向性を出していくというふうに今のところ認識をしております。  それから、あわせて、今回、全体会合と同時に、我が国も、閣僚が来たところとは甘利大臣、精力的にバイの会談を積み重ねられておりまして、それぞれ日米の様子、状況などを報告しながら交渉を続けております。まだ個別の国、それぞれの国々でどこが終わった、どこが合意に達したということは今のところ承知をしておりません。
  190. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、ちょっと確認なんですが、ブルネイと各国は大筋合意というふうにした報道は間違っているということなんでしょうか。
  191. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 国ごとにセンシティブな品目があるところとないところはあると思いますので、当然交渉には濃淡が、二国間の交渉も濃淡があると思いますけれども、今のところ特定の国で終わったということは報告を受けておりません。
  192. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、四月の日米首脳会議後、農業分野におけるカトラーUSTR代表補と我が国の大江首席交渉官代理との会談というのは、日米交渉は開かれていないというふうに伺っているんですね。また、五月の十二日から十五日なんですが、ベトナムで開かれた首席交渉官会合でも、日米の首席交渉官の協議は行われたんだけれども農産品に関する協議は行わなかったと、こういうふうに伺っております。  日米間の、事農産物に関してはもう詰めることがないのかどうか。何となく一生懸命やっているように見えるんですけれども、外ではそう見えるんですが、実際、会合の中身を見ているとそういう形で接触していないということなんですけれども、その辺り、いかがなんでしょうか。
  193. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 日米間で協議が終わったとか合意に達したということはありませんので、かなり間合いは詰まってきておりますが、引き続き詰めなきゃいけない点は残っております。  現地でも、昨日、我が方の大江とカトラー代表代行との間で、三時間ぐらいと聞いておりますけれども、交渉を行っておりますし、恐らく今日も、まだ報告を受けておりませんけれども、交渉しているものというふうに思います。
  194. 山田太郎

    山田太郎君 では、今後の日程についてもお伺いしたいんですが、今回のシンガポール閣僚会合では、先ほど申し上げたようにアメリカから声が掛かったということです。今後の日程もアメリカ次第なのかどうか、アメリカから声が掛かるのを待っているという状況なのか、その辺りも教えていただけますでしょうか。
  195. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 全体としてアメリカがこれまでも交渉をリードしてきたのは事実でありますので、それはアメリカもいろいろ考えはあると思います。ただ、開催国、どこで開くかということでありますので、今回シンガポールで開かれておりますけれども、それはその場合にはシンガポールがやはり主催をする、受入れ国として我が国でやるということを宣言しないと始まりませんので、その間の調整は日本も含めて各国で行われるということであります。
  196. 山田太郎

    山田太郎君 日米の共同声明とか安倍総理の御発言を伺っていますと、何となくTPPについて積極的なような気もしますが、実際、個別の交渉等を見ているとアメリカペースという感じもしまして、非常に我が国、受け身のような感じがします。  これは、TPP賛成、反対のいろいろ議論があると思いますが、いずれにしても、国際交渉ですから、反対するなら反対するで積極的にやらなきゃいけないですし、進めるなら進めるで積極的にやらなきゃいけないと思います。そういった意味で、もう一度、副大臣の方、今後の取組姿勢といったところを確認していきたいんですが、いかがでしょうか。
  197. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 我が国としても、TPPは成長戦略の大きな柱として位置付けておりますし、早期妥結に向けて交渉を加速するという方針で臨んでおります。もちろん、国会決議もありますので、守るべきところは守り、攻めるべきは攻めるという姿勢で交渉に臨んでおりますが、アメリカとの違いをあえて申し上げれば、やはりトップダウンの国というか、閣僚が集まれば全て決着するという思いをアメリカ側はこれまでも持ってきた。残念ながら、十二月、二月、そして今回と、まあ今回は元々チェックイン会合という位置付けではありましたけれども、閣僚が集まって分厚いページ、私も行きましたけれども、それを一枚一枚めくりながら、これはどうだ、あれはどうだとやり合っても、事務的に詰まっていないものは政治的に決められないわけでありまして、だからこそ甘利大臣は二月のシンガポール会合の後に、後半ですけれども、残りの十一か国の閣僚に対して、事務的に詰めないと何回閣僚会議をやってもなかなか決まらないという趣旨のことを主張されて、事務的にまず詰めて、閣僚会議先にありではなくて、事務的に詰まったところで論点が絞られたら閣僚会議を開こうという、そういう方針を主張されて、それがほかの国に受け入れられたということでありますので、これまで事務的な交渉を優先してやってきたということであります。  今回、先ほど来お話の出ているとおり、これまで、それぞれの分野についてどこまで整理がされて、どの論点が政治レベルに上げなきゃいけないのかという整理をかなり首席交渉官レベルで行ってきたと、それを今回の昨日今日の閣僚会合で確認をしているというふうに聞いておりますので、最後、どういう形で共同声明出るか、もうしばらく待たなきゃいけませんが、今後の進め方について、その詰まってきた論点、かなり論点は詰まってきておりますので、その論点についてどういう作業スケジュールでやるのかというところを今回詰めている、最終的に合意をしようということになってきているんだと思います。  ですから、全体としての妥結とか大筋合意とかということはこれはもう極めて難しい状況にもう既にあると思いますけれども、今後の道筋を決めるという意味で、今後につながっていく、早期妥結につながっていくということを期待しているところでございます。
  198. 山田太郎

    山田太郎君 またお伺いしていると、何となく最終コーナーとか、もう最後、詰めのところですという感じなんですけれども、我々野党の方は、知るところは結局新聞報道というところでありまして、何となく直接政府から出てこないのにいらいら感が募るというところでありますので、是非決まったところからしっかり発表していただいて、それから、この委員会でも何度か議論をしておりますが、仮に関税が下がることになれば、その対処を急いでしていかなければいけない、国内あっての国民のための政府でありますから、是非その辺り、引き続きよろしくお願いします。  西村副大臣、この質問はこれで終わりますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
  199. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 西村副大臣は御退席いただいて結構でございます。
  200. 山田太郎

    山田太郎君 さて、担い手法案について伺っていきたいと思いますが、今回の法律改正について、現行制度を、どんな効果があったのかということをもう一度整理したいと思っております。  どういうふうにこれまでの現行制度を分析されて、そのために準備をしていたのか、この交付金を、今までの農家経営に対する経営安定という形でどういう効果が認められたのか。やっぱりこの委員会でも、多くのお金を入れるにはそれだけの、投資対効果じゃないですけれども、そういうものも重要だというような指摘も何人かの議員からあったかと思います。その辺り、是非まず聞かせていただけますでしょうか。
  201. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成十九年度に施行した担い手経営安定法におきましては、認定農業者等の担い手に対して、諸外国と生産条件格差から生じる不利を補正するための交付金、いわゆるゲタ対策、それから収入減少農業経営に及ぼす影響を緩和するための交付金ナラシ対策、これを交付してきたところでございます。  ゲタ対策については、十分な国境措置がないので諸外国との生産条件の格差でコスト割れが生じている麦、大豆、こういうのを対象にしておりますので、もしこれがなかったと、こういうふうにすれば、こうした農産物の生産はほとんど維持できなかったと、こういうふうに考えております。現実に平成二十五年産の作付面積でいいますと、麦で約二十七万ヘクタール、大豆で約十二万九千ヘクタールとなっておりまして、平成十二年が二十三万七千と十二万三千でございますので微増と、こういうことで推移をしております。  また、本対策一定規模以上の認定農業者等を対象としていたわけでございます。したがって、経営規模の拡大にも貢献したと考えられまして、平成十七年と平成二十二年の農林業センサスで比較しますと、まず小麦については、一経営当たり作付面積が二・二ヘクタールから四・四ヘクタールに増加をしております。それから、大豆については、一経営当たり作付面積が〇・六ヘクタールから一・二ヘクタールに増加しておるところでございます。  それから、ナラシの方でございますが、米価の下落等によって収入減少した場合に九割補填ということで、農業者の拠出を伴うセーフティーネットとして機能しているものであります。したがって、常にこれが交付されるということではございませんが、大規模にやっていらっしゃる方にとっては特に収入変動が大きなリスクでありますので、このセーフティーネットがあることによって安心して農業経営を展開することができたと考えております。現実に、五ヘクタール以上層の平成二十四年産のナラシ対策加入率、これ七五・三%となっておるところでございます。
  202. 山田太郎

    山田太郎君 農業を何とか壊滅しないで済んだというのはこの法律があったからだというふうに、この予算があったからだというような感じの御答弁だったと思うんですが、ただ、担い手をこれから増やしていこう、維持していこう、こういうことになりますと、個々の担い手の方々の喜びというか、そういったことが政策の中に組み込まれているのかどうか、こんなところも重要かと思っております。  実は、前回のときも少し質疑でお話ししたんですが、この間、認定農業者というのが大変減少しております。ちょっと数字を口頭で申し上げますと、平成二十二年二十四万九千三百六十九人から、平成二十三年二十四万六千人、平成二十四年二十三万七千人、平成二十五年二十三万三千人と、三千人、九千人、四千人とどんどん減っておりまして、なかなか担い手が増えないといったところがあるかと思っております。  そういった意味で、この政策、やっぱり担い手が安定しないというか、もうその数は減らさない、できれば増やしたい、そういうふうにも思うわけでありますが、根本のところ何がその原因なんだろうか、そんなところも考える必要があるんですが、その辺の御認識はいかがなのか、教えていただけますでしょうか。
  203. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 代表的な担い手である認定農業者について、今お話がありましたように減っているということでございます。六十五歳以上の方が二割ということで、高齢化も進んでいるわけでございます。  一つの減少している理由ですが、今申し上げたように高齢化が進んでおりますので、農業経営改善計画、この五年で終了いたしますが、もう一回更新してやる再認定申請というものをやらない人が増えている一方、新たに認定農業者の認定を受ける農業者が減っていると、こういうことが大きな要因の一つではないかというふうに思っております。  青年新規就農者、これが毎年大体一万五千人ほどいるわけですが、生計のめどが立たないということの理由等で数年内に大体三割やめておられるということで、結果として、一万五千人就農された中で定着しているのが一万人という数字にとどまっていると、こういうことが原因であると、こういうふうに考えております。  したがって、昨年の臨時国会で農業経営基盤強化促進法、これは農地中間管理機構のときに一緒にやらせていただきましたが、このときにこの法律の改正をいたしまして、市町村を認定主体とする認定新規就農者制度、これをつくりまして、就農してから認定農業者になるまで一貫して支援をしようということにいたしたところでございます。  また、今回の担い手経営安定法の改正において、ゲタ、ナラシ対策対象者にこの認定の新規就農者を追加することといたしたところでございます。
  204. 山田太郎

    山田太郎君 まさに、どうやって担い手を増やしていくのか。先ほど平木議員の方からも、農業学校の卒業者が就農するのは僅か五%と、衝撃的な事実も聞きましたが。  実は、私もこの間、東京にも元麻布農園というのがございまして、ちょっとそれにも私絡んでおりまして、あんな元麻布に農園があるのかというと、あるんですね。若い子たちを集めて一生懸命農業をやるわけであります。私も実はそこで講師なるものをやっておりまして、行ったら、ちょっと衝撃を食らったんですが、小学校の低学年だと農業とか農民という言葉を知りません。私、非常にびっくりして、いや、おじちゃんは何やっているのと、国会で農業について一生懸命議論しているんだよと言ったら、農業って何と、こういう状態でありまして。  何が言いたいかというと、担い手はもしかしたらそこから教育し直さないとどうしようもない状況なんじゃないかということでありまして、下手をすると、ちょっと言い方は悪いですが、もちろん都会と田舎では随分状況が違うものの、やっぱり教科書なんかも、最近の若い子の教科書、私も大学の先生でありますが、十四年間ぐらい学校で教えていましたので、いろいろ小学校、中学校の教科書なんかを見ますと、社会科のほとんど一部にしか出てこないだけで、知らないんですね。なので、勝手にちょっと逆提案させていただくと、学校もすごく今生徒が減っていますし、校庭も生徒対比では余ってきていますから、畑等を作って、ダンスが必修科目になっているぐらいだったら、畑を一週間に一時間ぐらいやってもいいんじゃないかと。  今日も、農業が非常に安保だという、安全保障だという、そこまで踏み込むのであれば、それぐらいの認識を高めていくというところから抜本的に考えないと、残念ながら、今御答弁いただいていたような、新規就農者に対して、言い方は悪いですけれども、お金で釣るようなやり方をしても入ってこないんではないかと。そもそも認知、認識されていないといった中で難しさがあるんじゃないかなというふうに思っております。これは私の私見でしかないので、しっかりなぜこの担い手が減るのかということをもっと根本的に考え直して政策を打たないと、今後幾らお金を突っ込んでも、本当にこの日本の農業、三十年後立て直っていくのか、こんなふうに思っていますので、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っております。  それから、この法案とちょっとWTOとの関係についても少し懸念を持っておりますので、質疑していきたいと思います。  少しこの件に関しては私が本会議の代表質問の方で取り上げさせていただきましたが、現行法では、WTO農業協定上、経営安定交付金は緑の政策に分類されるということでありますが、今回の法改正後は黄色の政策になるというふうにお伺いしております。本会議での質疑では総理の方から、まだ約束水準に天井が届くまでには余裕があるので大丈夫だというような御答弁がありましたが、私の質問の実は趣旨は、天井まで確かに余裕はあるにせよ、どうしてWTOの政策の方向と逆のことを我々日本が主導して法律で行う必要があるのかといったところであります。その辺りの見解を大臣の方にお伺いしたいと思います。
  205. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このWTO農業協定でございますが、それぞれの国ごとに黄色の政策の合計額があらかじめ定められた約束水準を超えてはならないと、こういうふうに定められております。  総理が御答弁していただいたように、黄色の政策の合計額が今六千億で、この四兆円という約束水準に比べると相当の余裕があるわけでございまして、それぞれの各国の政策を認め合いつつもやっていこうというのがWTOでございますので、この黄をゼロにしていこうということではなくて、それぞれの事情に応じてやっていこうと、ただ、許容している水準がこういうことですよと、これがWTOのルールだということでございますので、その範囲内でやっていくということでWTOルールとの整合性が確保できると、こういうことでございます。
  206. 山田太郎

    山田太郎君 私は、中長期的な政策としてこれからこういったものを置いていくということでありますから、経営規模、生産の拡大は補助金以外の政策手段で行うべきだというWTOに則しながらも国際ルールの規範に積極的に我が国が関わろうという姿勢を見せていかないと、やっぱり国際的に長続きしないのではないかと。一時的に今こういう状況だからということでの政策ではいいんですが、担い手等を含むこの法案は、長い間日本がどういうふうに国際的にも持っていくのか、ちょうどTPPであれ国際通商を各国と議論している最中でありますから、是非その辺も考慮してこれから国際交渉に当たっていただきたい、こういうふうに思っております。  さて、多面的機能法案について少し質疑を移っていきたいと思います。  この法案は、担い手政策的効果以上に、私自身は正直、政策効果が不明瞭だと、こういうふうに思っております。先日、その辺りをこの委員会でも大臣の方に質疑させていただいたんですが、大臣の方は都会の公共事業と同じだという御答弁をいただきました。これも分かりにくい御説明だなというふうにお伺いしていたんですが。  そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、都会の住民ボランティアによる河川とか公園の草むしり、美化活動といったものに国費が投入される例というのはあるんでしょうか。市町村の単独事業では例がないわけではないですが、国費投入というのはあるのか、大臣、お答えいただけますでしょうか。
  207. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この農村地域の水路、農道等の維持は、これ従来からの慣習で集落の共同活動として行われてきているわけですが、例えば町、町というか都会に来ますと、東京都においては、都が管理する道路の側溝それから排水升のしゅんせつ等については都が実施しておりまして、そういう意味で、都会では道路、水路の管理費用を公的負担をしていると、こういう趣旨で申し上げましたので、必ずしも国か地方公共団体かという厳密なことで申し上げたというわけでもないわけですが、いわゆる、要するに、地方公共団体が管理する公園においても地域住民が草刈りをやったことに対して公共団体が公費によって支援していると、こういう例もあるというふうに承知をしております。  多面的機能支払はまずこの共同活動に着目して支援を行うわけでございますが、その地域の住民だけでなくて、この多面的機能というのは広く全体として国民が利益を享受しているものでもありまして、そういった意味もあるということでございます。  もう一つは、この間も申し上げたように、担い手がこうした施設の維持管理に係る負担が軽減されるということで規模拡大もしやすくなるということで、構造改革も後押しする効果、これも持っていると、こういうことでありまして、したがって、多面的機能支払では、国と都道府県、市町村が連携して交付金交付する仕組みと、こういうところにしたわけでございます。
  208. 山田太郎

    山田太郎君 法律の中身についても少し確認をさせていただきたいんですけれども、この制度は市町村長と農業者地域住民から成る活動組織が協定を結んで市町村の行政財産である水路やのり面の手入れをすると、こういうことだというふうに承知しています。  この市町村と活動組織の協定は、水路とかのり面に対する管理責任がどうなっているのかなと。市町村の管理責任を活動組織に委任する契約になっているのか、又は請負契約となるのか、又は委任契約か請負契約でなければ民法上どのような性格の契約になるのか、その辺りを教えていただけますでしょうか。
  209. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この多面的機能発揮促進法案におきましては、多面的機能支払の対象となる取組を行う活動組織、これは事業計画を作って市町村の認定を受けた上で、水路の泥上げ等の地域における共同活動に取り組むと、こういうことになっております。  したがって、このような共同活動の対象施設の管理責任、これは民法の七百十七条によりますと当該施設の占有者又は所有者にあると、こういうことになっておりますが、通常、共同活動を行う活動組織はそのいずれにも、すなわち占有者、所有者いずれにも該当しないということでございまして、管理責任を問われる可能性は小さいと考えております。市町村が事業計画の申請を受けて認定するという行為は当事者双方の合意によって成立する契約ということには該当しないと、こういうふうに考えております。
  210. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、例えば市町村とそうした契約を結んだ場合に、活動組織の水路ののり面とか水路を手入れをおろそかにした結果、例えば子供がその水路に落ちてけがをしたというような場合、市町村が国家賠償法に基づく損害賠償を行うと、こういうことでよろしいでしょうか。
  211. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは市町村と活動組織の間で協定を締結することになっております。したがって、双方の合意に基づいて双方がそれぞれ行うべき事項について定めると、こういうことでございます。  この協定は、特段の定めがない限り、草刈り、泥上げ等の作業を行う権限を活動組織に付与するにとどまるものですので、施設を占有する権限までを付与するものではないということで、活動組織の方が施設の管理責任というものを問われることは一般的には少ないと、こういうふうに考えております。
  212. 山田太郎

    山田太郎君 ちょっと、多面的機能法案、まだまだ質問を用意していたんですけれども、今日は後藤田副大臣来ていらっしゃいますので、ちょっと次に移らさせていただきたいと思います。また多面的機能法案、まだ質問の機会はあると思いますから、引き続きやりたいと思います。  それでは、後藤田副大臣に来ていただいておりますので、農協改革について、前回に引き続き少し御質問させていただきたいと思っています。  その前に、まず林大臣の方にお伺いしたいんですが、大臣は、農協改革は、当委員会などで、自己改革に任せるとおっしゃっていました。その考え方が今も変わらないのかどうか。多分、規制改革会議との整合性ということにもなると思っておりますので、ちょっと前回、これ参議院の予算委員会の方で林大臣の方が御発言した内容を少し資料でお出ししておるんですけれども、その辺り、お考えを教えていただけますでしょうか。
  213. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 昨年十二月に農林水産業地域活力創造プランで、農協の果たすべき役割は極めて重要でありますのでその自己改革を促すと、こういうふうに書いておりまして、六月までに結論を得ると、こういうことでございます。  全中は四月三日に自己改革案を決定、公表しておりまして、これを受けて規制改革会議農業ワーキンググループで、四月八日には全中からヒアリングも実施した上で今回の意見を取りまとめられたと、こういうふうに承知しております。  我が省として、やはり、いつも申し上げているんですが、販売に最重点を置いて農協が取り組む、農協がそれぞれ自ら創意工夫で経済事業を展開することはどうしたらよいかと、これを検討する、そして、これに合わせてそれをサポートする連合会、中央会はどうしたらよいかと、こういうことで検討していく必要があると思っておりまして、規制改革会議の意見も出ましたので、与党とも協議しながら検討してまいりたいと思っております。  自己改革が基本ということは変わっておらないわけでございますが、必要な場合には法改正等によって自己改革の加速化も求めることも当然あり得ると、こういうことでございます。
  214. 山田太郎

    山田太郎君 法改正に基づく自己改革という、非常に微妙な、うまい御答弁だなと思いながら今お伺いしましたが、後藤田副大臣の方にもお伺いしたいと思っています。  規制改革会議の方では全中の制度廃止を打ち出されたということですが、ということは、問題点が全中の中にあるんだろうというふうに推察されます。  読売新聞、ちょっとこの委員会では何かと話題になる読売新聞でございますが、今日の社説なんかでも、「全中は経営指導が画一的で、生産現場創意工夫を阻んでいる、」という手厳しい記事が載っております。  どんなところに問題があるというふうにお考えなのか、御答弁いただけますでしょうか。
  215. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) これまでの委員とのやり取りの中でもお話ししましたけれども、やはり基本は、農協法の第一条の、まさに農業生産力の増進、そして農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与することを目的とすると。また一方で、七十三条には、まさに中央会の目的として、組合の健全な発達を図ることを目的とすると。そして二十二項には、中央会はいわゆる組合の組織、事業及び経営の指導、組合の監査、組合に関する教育及び情報の提供等々、役割をうたっております。  当時、昭和二十九年だったと思いますが、中央会の発足当時には農協も一万を超える組織であったと思います。そのときには、中央集権的な形で、政府とまた地方自治体との協力の下、大変大きな役割を果たしてきたものと思っております。ただし、今やもう約七百になってしまった中で、各農協も、独自にいろいろなチャレンジをしているところもあれば、改革をしているところもあれば、そうでないところもあると。今までの全中の全国一律の経営指導が、各農協の独自性の発揮に全中が必ずしも対応してきたのであろうかという疑問の指摘がなされたところでございます。  そのため、各農協が地域の多様な実情に即してそれぞれの独自性を発揮して自主的に地域農業の発展に取り組むことができるように、まさに中央会制度自体をもう一度見直して、中央会主導から各農協中心に系統を再構築するということを狙いとしまして、その提言がなされたところでございます。  いろいろな議論の中でも、個別の農協さんが特徴的な取組として、農協自身がリスクを負って系統出荷を縮減したり、そして農業者の所得増加に寄与したり、また購買コストの低減等々、農業者の利益を確保する努力をしているところだとか、また消費者目線に向けました女性役員の登用など多様な人材の確保等々、こういったことを挑戦的にやられている。  先般も福井のたけふ農協の話もしましたし、私の地元でも、「いろどり」という葉っぱのビジネスをおばあさん方がやられている。これをまず提案したのは農協の職員でございましたが、農協に最初提案したところ、受け入れていただけませんでした。そして、独自に自分で一から努力をしてあのようなビジネスをしたり、先般も私どもの地元で梅酒の特区も全国で初めてやらせていただきました。これは数量の規制があったわけでございますが、これも農協さんに言われたわけではなくて、独自に農家と我々で一つ大きな規制改革という中でチャレンジ、また改革をした例でございますので、それはそれとしてしっかり独自性をこれから持ってしていただく。そして全中さんには、新たにシンクタンク的な、大所高所にわたっての中央集権的な今までの役割ももちろんでございますが、そういうお立場で再構築できればよろしいんではないかと、そういう提言がなされたところでございます。
  216. 山田太郎

    山田太郎君 全農の方も株式会社化されるという提言がされています。そうなってくると、独禁法の適用除外というのがなくなると思います。今、農協さんの方は協同組合として独禁法の二十二条の適用を受けていますが、それでも特別に、生協さんなんかと違って、いろんな多角的な事業、それから構成員も准組合員も入れられるということで、農協法九条という、本来独禁法で規定されている生活協同組合に対してもうちょっと自由な権限が農協法九条によって付与されております。  その辺り、特に農協さんが農業協同組合として共同購買、それから共同販売ということに集中するんであれば、もはや農協法九条を見直すというような議論もあるかと思いますが、そんなことは規制改革会議等では出ていたんでしょうか。
  217. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 農協法九条については特に議論は出ておりませんでした。
  218. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございました。  もう一つ、全農が株式会社化されるとなると、もしかしたら、農作物の輸出入にも積極的に関与されるのかなというふうにも思っております。それでお伺いしたいんですが、これは農水省になりますが、全農の農産物の輸出入状況についても教えていただけますでしょうか。
  219. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 平成二十四年度の全農による実績でございますが、輸出が三十億円、輸入が二百四十二億円となっているところでございます。
  220. 山田太郎

    山田太郎君 事前に情報をいただきまして、全農さんは、輸出よりもどちらかというと輸入に御執心でございまして、牛肉七十九億とか果実五十億とか、結構な金額を輸入されています。  私としては、是非、全農さん、今後の在り方として、やっぱり今日の委員会でもありましたように、輸出を伸ばしていっていただきたいなと、こんなふうに思っておるわけでありまして、そんな辺りも是非我々、国民目線としても、内部の改革ということであれば注視していきたいというふうに思っております。  時間がなくなっちゃいましたので少しまとめに入りたいと思いますが、今日、本当に大変いい委員会だと思っておりまして、いろんな議論がされたと思います。ちょっと私としては気になることを最後にまとめとしてお話しさせていただきたいんですが、産業政策地域社会政策、これをしっかり分けましょうということが議論で、少しその辺りの議論が深化してきたと思います。ただ、もう一つ、食料自給率の問題というのは、これはまたもう一つ別の三本目の柱なのかなと。  ちょっと、食料自給率を中心に産業政策を唱えたり社会地域政策を唱えていくとゆがむ可能性があるかなと。なぜならば、今日の質疑の中でも多くの議員が語っておりましたが、食生活の変化によって、この自給率の構造というのは例えばお肉を食べるようになれば変わってきてしまうということでありまして、有事の際にどうしても最終的なカロリーが必要ということになれば悠長に輸入のお肉なんて食べていないでしょうから。そういった意味では、本当にこの食料自給率ということが安全保障議論なのかということは、しっかりそれはそれでやっぱり議論し直さないと、それによって産業政策がゆがむというのもどうなのかなと。  もちろん、日本の農業は決して私は卑下する必要はないと思っておりまして、例えばマンゴーであったりだとかイチゴであったりだとかリンゴであったりだとか、品目を見れば非常に強いいわゆる作物というのはあるわけであります。こういったものを個別に、全体というよりもしっかり一つずつ捉えて輸出産業として育てていくと、これは非常に重要だと思っております。  そういった意味で、今回の農水省さんの御発言の中で、個別品目については余り政策を個別に取っていませんというような御発言があったんですが、それは輸出をしていこうということであれば、産業政策としてしっかり個別に捉えていく必要があるかなと。経済産業省においても、自動車を伸ばすのであれば自動車課というのがあったわけでありますから、農業においてもどんな辺りを伸ばすのか、逆にどの品目は保護しなければいけないのか、もうちょっときめの細かい産業政策という観点があっていいのかなというふうに思っています。  最後に、社会政策地域政策でありますけれども、これ、どちらかというと過疎の問題とかコミュニティーを農業でもってどう維持していくかという議論だと思っておりまして、ちょっと正直申しますと、多面的機能の議論を使って地域政策だという形で、確かにこれによってのり面の保護とかいうことをコミュニティーでもってやるというのはいいんですが、そもそも、郡司議員の方からも衝撃的な資料をいただきまして、多分三十年後以降、人口というか五〇%減ってしまうと言っている状況下の中で、残念ながら過疎とかコミュニティーの問題は、のり面を三十年間、一生懸命予算を付けて確かにコミュニティーを確立したとしても、もしかしたら局面としては難しいのかなと。もっと抜本的な政策を社会政策地域政策として、これは農業を超えて考えていく必要があるのかなと。  やっぱり委員会も国会も縦割りで議論している以上、この問題は我々、三十年後まで、我々国会議員としてやっていて責任があったということでありますから、今の時代に。何とか議論を広く変えていきたいと思っておりますので、また引き続きやらせていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  221. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、農政改革で農産物価格がどうなっていくのか、とりわけ米価について質問したいと思います。  米の直接支払交付金は今年度産から半減ということですね。私は、政府農政改革について、各地ずっと回っていましていろいろお話を聞いてきましたけれども、富山のある大規模生産者は、米六十キロ当たり一万五千円ないと採算取れないと言うんです。価格がちゃんと出ていれば補助金に頼らなくてもいいんだけれども、今の価格水準では経営できないというふうに言われました。  米の価格、相対取引価格がどうなっているかということでいいますと、これ平均ですけれども、二〇一〇年産が一万二千七百十一円、二〇一一年産が一万五千二百十五円、一二年産が一万六千五百一円、一三年産は一万四千円台というふうに落ちてきているわけですね。一方、六十キロ当たり生産費はどうかと、生産費。こっちは、二〇一〇年産が一万六千五百九十四円、一一年産が一万六千一円、一二年産が一万五千九百五十七円と、これも落ちてきているんだけれども、しかし、取引価格よりも生産費の方が上回っている。逆を言えば、生産費の方が取引価格よりも高いわけですから、これは赤字になると。だから、農産物価格だけでは再生産できない状況ということですね。  直接支払交付金を半減すると、そういう中で。半減するというのであれば、これ価格対策を何かすべきではないですか。いかがですか、大臣
  222. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この主食用米価格でございますが、基本的に需給動向等に応じて民間取引の中で決定されるということだと考えております。二十六年産米から水田活用の直接支払交付金を充実しまして、数量払いの導入など飼料用米等インセンティブを高める、それから産地交付金を充実して地域創意工夫を生かした産地づくりを進めていただく、それから国によるきめ細かい需給価格情報、販売進捗・在庫情報等の提供を行っていくということでございます。民間取引の中で米の価格が決定されるわけですが、こうした今申し上げたような取組を通じて引き続き米の需給価格の安定を図っていきたいと、こういうふうに思っております。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  また、あわせて、米や畑作物価格低下等に伴う収入減少、これが農業経営に与える影響を緩和して安定的な農業経営ができるように、農業者の拠出に基づくセーフティーネットとして、引き続き収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策、これを行っていきたいと、こういうふうに思っております。
  223. 紙智子

    ○紙智子君 現在の米の需給状況についてちょっとお聞きしたいと思うので、ちょっと御説明をお願いいたします。
  224. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 平成二十五年七月から平成二十六年六月までの一年間の米の需給関係を申し上げますと、二十五年六月末の民間在庫量が二百二十四万トンございまして、二十五年産の主食用米生産量が八百十八万トンということで、全体の供給量につきましては千四十二万トンということに相なっております。  これに対しまして、需要につきましては七百八十七万トンというふうに見通しておりまして、今年の六月末の民間在庫量につきましては二百五十五万トンと相なるというふうに見込んでいるところでございまして、この二百五十五万トンにつきましては、近年の中では高い在庫量と相なっておるところでございます。
  225. 紙智子

    ○紙智子君 今御説明いただきましたけれども、二〇一二年産の価格は高めで需要減少と、二〇一三年産の作況が一〇二あって、二〇一四年の六月末の民間在庫、今お話あったように二百五十五万トンということで、在庫水準が上がっているということですよね。  民間在庫量がこれ二百五十五万トン、米はちょっと過剰ぎみかという感じだと思うんですけれども、米穀安定供給確保支援機構というのがありますよね。ここが、販売の見込みが立たなくなった二〇一三年産の米の主食用米約三十五万トンを買い入れたと、非主食用米として販売することを決めたということなんですね。これはなぜ市場から隔離しているのか、お答え願います。
  226. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 先ほど申し上げましたように、この在庫量が二百五十五万トンということになっていまして、その前は二百二十四万トン、その前は百八十万トンというふうなことで、まあ二百万トン台程度かなという感じでありますが、それが二百五十五万トンということで、やはり販売業界におきましても在庫圧力といったものが高まってきたということで、先ほどございました機構におきまして三十五万トンの主食用からの非主食用への処理を行うといったようなことが決められたところでございます。
  227. 紙智子

    ○紙智子君 報道では、全農が、二〇一三年産の持ち越し米ですね、これが十月末で六十万トン発生するというふうに見込んでいたと。今回の過剰米対策で三十五万トン市場から離すということですから、隔離するということですから、そうすると、六十万トンということでいうと二十五万トンの持ち越しが発生すると。供給過剰感というのは解消されないんじゃないかと。ですから、過剰米対策決定も効果は限定的というふうに報じているわけですね。  米の過剰感というのは解消されないというふうに思うんですけれども、このことについての御認識を伺います。
  228. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この平成二十五年産米の直近の相対取引価格ですが、銘柄の加重平均で六十キロ当たり一万四千四百四十九円ということで、二十四年産米の同時期の価格に比べてマイナス二千八十五円と、こういうことでございます。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  これは、二十四年産が比較的高めに推移していたということもあって、それとの比較ということもあるわけでございますが、その前の年の二十三年産が一万五千三百三円ですから、これと比べるとマイナス八百五十四円。さらに、二十二年と比べますと、一万二千七百五十円でございますので、プラス千六百九十九円と。  こういうことで、やはり先ほど来から御議論ありますように、各年において様々な状況がございますのでプラスになったりマイナスになったりということもあるということでございまして、そういう意味でも、民間取引の中で、先ほど郡司委員にもお答えをしたところでございますが、米の価格については取引で決定されるということでございまして、国が今後の見通し等について言及することは適切ではないと、こういうふうに考えておりまして、動向について引き続き注視をしてまいりたいと思っております。
  229. 紙智子

    ○紙智子君 二〇一三年産の相対取引価格が一万四千八百七十一円で始まって、今お話あったように、今一万四千四百四十九円と下がってきているわけですね。その年その年でいろいろプラスマイナスあるという話なんですけれども、今年の秋には過去最低だった二〇〇九年産の再来の可能性もあるという指摘もあるわけです。米の過剰状態が続いて生産者米価が低下してもやむを得ないという御認識になるんでしょうか、大臣
  230. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 繰り返しになりますが、米の価格、これは民間取引で決定されるということでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、価格低下等に対しては、収入減少するということが起こった場合に農業経営に影響が出ますので、これを緩和して安定的な農業経営ができるように、農業者の拠出に基づくセーフティーネットとしていわゆるナラシ対策、これがございます。これを引き続き行っていくことにいたしたいと思っております。
  231. 紙智子

    ○紙智子君 生産者の拠出がされるということがあるわけなんですけど、私、いろいろ価格が上がったり下がったりという中では、アメリカでも市場価格融資保証価格を下回った際にはその差額を補填する制度があるわけですけれども、日本ではもう市場に任せるという考えになっているわけですね。  日本の場合、備蓄米というのがありますけれども、これは米の不作に備えるということになっているわけです。二〇一三年の買入れ数量が備蓄米でいうと十八万トンだけというふうになっているわけですね。農水省市場から米を買って価格調整はしないと、一貫してこの間そういう立場できているわけですけれども、しかし、米穀安定供給確保支援機構が買い入れた三十五万トンというのは、これは既に市場からは隔離された米で価格に影響が出ることはないわけですよね。政府の備蓄米としてこれ機構から買い上げるということも検討したらどうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  232. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 御指摘のあった米穀機構の事業でございますが、通常年の月別の販売数量から見て今後の主食用としての販売の見込みが立たないということで、三十五万程度を加工用、飼料用等に販売するということでございます。こうした取組は、集荷業者や販売業者の皆さんがこの米穀機構のメンバーでございますので、まさにこういう民間の皆様の間で対応することが適当だと、こういうふうに考えております。  豊作や需要減少で米の供給が過剰となったときに国が直接市場に介入しまして政府が買入れを行うこと等については、食糧法上、政府買入れは備蓄の円滑な運営を図るために行うと、こういうふうになっておりますので、需給調整のために行うこととはなっておりませんので適当ではないと、こういうふうに考えております。
  233. 紙智子

    ○紙智子君 そういう、何というんですか、備蓄はあくまでも不測の事態のときにとなっているんだけれども、過去に、そういう仕組みであるけれども備蓄を買い入れるという、そのやっぱり範囲の中で本当にひどく下がったときに国としてそのまま放置できないので対応したことがあるわけですよね。  それで、市場から隔離された米をやっぱり備蓄米として買う、こういうことも一切やらないということでいいのかというのがあるわけです。機構が隔離した米というのは、これは二〇一三年産米なわけですよね、一番新しい方の米なわけです。備蓄米として政府が買い取って保管している古い米を出せばいいんじゃないかと。大分もう古くなっている、五年前のお米もあったりするわけですから、やっぱり主食用じゃなく加工なり飼料なりに回すということになるんだと思うんですけれども、市場に影響を与えないわけですから、そういうこともやっていいんじゃないかと。  生産者、とりわけ専業農家は、再生産できる農産物の価格があってこそ経営を続けることができるわけです。  米が過剰で価格が低下しているのに、これは民間任せだからということで政府が全くそれに対してどうともしないということではなくて、やっぱり全体を考えて何らかの責任を持つというふうにするべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  234. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今の御質問を聞いておりまして、昔、かつて三Kと、国鉄と米と、もう一個は健保だったと思いますが、その話を思い出していたわけですが、先ほど郡司前大臣からも、これだけはやらない方がいいと、こういうふうに言っていただいたわけでございますけれども、一度それをやると、またそういうことがあるだろうということで価格が形成されて、それに頼るようになってというのが我々が歴史から学ばなければならないことではないかと。私もそういうふうに思っておりますので、先ほど御答弁したとおり、しっかりと対応してまいりたいと思っておるところでございます。
  235. 紙智子

    ○紙智子君 ここはこの後ずっと議論しても多分平行のままだと思うので、次に主食用の需給見通しについてお聞きします。  農水省は、平成二十五、二十六年の主食用米需給見通しを発表しています、その注というふうに、注意の注と書いてあるところに、平成二十五、二十六年においては、需給事情から見て、販売の見込みが立たなくなった主食用米需要が期待できる加工用、飼料用に販売されることが想定されると書いてあるわけですね。これ、需要が期待できる加工用、飼料用に販売されるということが想定されるとあるんですけれども、これはどういう意味なのかと。始めからもう決まっているかのような書き方なんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  236. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今の紙先生のお問合せでございますが、米の需給状況につきましては、昨年秋の段階でございますが、需要減少や豊作等により平成二十六年六月の民間在庫数量が、先ほど申し上げましたように、これまでにない高水準となるということが見込まれていたところでございます。こうした中、昨年十一月の初旬でございます、十一月の八日でございますが、米穀機構におきまして、保有する資金を活用した対策の実施について検討するといったことが決定されたところでございます。  これを受けまして、二十五年十一月の米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針におきましては、こうした米穀機構における取組を念頭に、平成二十五、二十六年においては、需給事情から見て、販売の見込みが立たなくなった主食用米需要が期待できる加工用、飼料用等に販売されることが想定されると明記したところでございます。
  237. 紙智子

    ○紙智子君 農水省需給見通しを受けて、全農が、今年の加工用米の売渡価格を九千円、これは六十キロ持込み税別ということですけれども九千円、農家向けの概算金は七千円に決めたというふうに言われています。前年よりも、これ三千円も下回る水準なわけです。  それから、関西地方の農業者から訴えがあるんですけれども、経営所得安定対策説明会で、昨年まで続いた減反政策廃止された、TPP交渉の懸念事項がほぼ合意に達していくような様子だと、今年度の農協の米価買取り価格が大幅に低下するということで、概算払は従来の三十キログラム当たり六千円、今年は三十キロ当たり三千五百円にするという話が出ているんですね。これ、現場ではこういう話が出ているわけです。  ですから、政府のメッセージや情報農政改革あるいはTPPの動きが価格の下落をあおっているんじゃないかというふうにも思うんですけれども、大臣、これどう思われますか。
  238. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに私が注意して先ほど来答弁をしておりますように、需要供給価格は決まると。政府が何か先ほどの御提案があったようなことをするとか、逆のことをするということでやはり市場に影響を与えてはいけないということで、これは米以外の農産物もそうであるように、しっかりと需給によって価格が決まっていくと。  ただ、それを、市場で決めますからというのではなくて、需給が安定するように需要に応じた作物を作っていただくように、そういう環境を整備していこうということで、今度の改革を打ち出しているところでございます。
  239. 紙智子

    ○紙智子君 安定していくようにとおっしゃるけれども、安定しないですよ、こういうやっぱり現場の動揺が繰り返されているわけですから。  それで、TPP交渉をめぐる情報も影響を与えているというふうに思うんですね。  昨年末、政府はTPP交渉でアメリカから輸入している米の輸入枠を広げる方向で検討に入ったという報道がされました。無関税で今輸入しているミニマムアクセス米というのは七十七万トンなわけですね。このうち、アメリカからの輸入は約半分の三十六万トン。アメリカからの輸入というのは入札なんだと言うんですけれども、量はなぜか三十六万トンと固定しているんですね。この枠を広げるという報道なわけです、更に。  それから、アメリカの通商代表部が発表した二〇一四年外国貿易障壁報告書、この中では、日本の米の輸入制度は極めて規制的で不透明だというふうに指摘をしています。アメリカ産の輸入米はほとんどが加工用や飼料用などに仕向けられている、アメリカ産の米が日本の消費者に届くのはごく僅かだというふうに不満を言っているわけですね。アメリカは主食用米の輸入をもっと日本にやれということを求めているわけです。しかしながら、この主食用米の輸入量が増えれば日本の米生産の多大な影響が出てくるわけです。  そこでちょっと確認をしたいんですけれども、農水省は日本とアメリカの米の生産コストを比較していると思うんですけれども、これについて説明をお願いします。
  240. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) まず、我が国の水稲の平均の作付面積でございますが、これが一・二ヘクタールでございまして、平成二十四年産米の六十キログラム当たり生産コストが約一万六千円というふうに相なっております。内訳といたしましては、物財費が九千七百円、労働費が四千百円、その他が二千二百円となっております。また、これは平均でございますが、十五ヘクタール以上層の大規模経営では、それよりも生産コストが三割程度低い約一万一千円となっておりまして、物財費が七千円、労働費が二千五百円、その他が千九百円と相なっているところでございます。  他方、アメリカでございますが、まず水稲の平均の作付面積でございますが、これが百六十ヘクタールでございます。二十四年産米の六十キログラム当たり生産コストにつきましては、我が国の十分の一程度の水準でございます約千七百円。内訳といたしましては、物財費が九百円、労働費が百円、その他が六百円と相なっておるところでございます。  このような生産コストの格差の要因でございますが、先ほど申し上げましたような規模の問題でありますとか、あるいは、アメリカでは航空機によりまして播種あるいは防除等が行われている、あるいは外部委託を行うことによって労働費が安いといったこと、あるいは、日本の米に比べまして、やはり単収が大きく影響する日射量あるいは病害虫の発生の多寡等の環境要因というものが相なりまして、このような結果に相なっているところでございます。
  241. 紙智子

    ○紙智子君 今お話しされたように、生産コストの差は、今十分の一と言われたように十倍なわけですよね。六十キロ当たり生産費はアメリカで千七百円ですよ。日本で十五ヘクタール以上の経営をしている大規模農家でも一万一千四百円という話ですよね。農水省農政改革でコストを四割削減するというふうに言っているんですけれども、実際、これ、アメリカと競争になるかといったら、とても太刀打ちできないことは明らかだと思うんです。報道では、アメリカの輸入枠を増やす代わりに、タイですね、タイ産などの輸入を減らすというふうにも言われています。  TPP交渉でアメリカに譲歩すれば、これは当然オーストラリアも、それから世界第二位の米の輸出国であるベトナムも黙っていないわけですよね。今日の日本農業新聞を見ると、現にTPPの交渉でベトナムからは日本に対して輸入拡大を求めるということになっているわけですよ。だから、こういう報道も結局価格の下落をあおっているんじゃないかと。そういう自覚はおありですか。
  242. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私は報道機関でございませんので、報道機関のやっていることについての自覚ということはなかなかお答えしにくいわけですが、ここで前回も、報道機関がこういう報道があって、特に内閣官房からこういう対応をしたということはございましたので、これ以上私から申し上げることはございませんが、繰り返し申し上げているように、まだ特定の関税ラインで合意をしたというものはないということだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。
  243. 紙智子

    ○紙智子君 合意はしていないと言うけれども、こういう話がどんどん出てくれば、やっぱり本当に下落につながるし、生産者の方は意欲を失っていくわけですよね。  関西の説明会を先ほども紹介したんですけれども、生産調整の廃止価格の下落に影響を与えているわけです。生産調整を廃止すれば、今でさえも下落を続けている生産者米価は更なる下落を招くんじゃないかと。いかがですか。
  244. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今回の米政策見直しでございますが、先ほどから大臣の方からるる御答弁させていただきますように、やはり水田活用の直接支払交付金を充実しまして、数量払いの導入といったようなことで飼料米等のインセンティブを高めると。それと、産地交付金も充実しまして、従来五百三十九億円であったわけでございますが、二十六年度では八百四億円ということで、かなりの予算の増額をしておるところでございます。  また、国によりまして、これまで以上にきめ細かい需給価格情報あるいはお米の売行き情報、こういったものをきめ細かく提供することにしておりまして、こうしたことによりまして、五年後を目途に、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、農業者自らの経営判断によって需要に応じた生産を行える環境を整えていくということにしているところでございます。  具体的には、今、紙先生の方からいろいろお話あったわけでございますが、やはり米につきましては、いろんな種類の米があるわけでございまして、もう単一のコモディティーというわけじゃないというふうに考えております。家庭用のブランド米でありましたら、需要の三割を占める中食あるいは外食用米の需要等がありまして、こうした多様なニーズに応じた生産、流通を進めるということで、私ども、業務用に適したお米を欲している外食事業者のためにマッチングといったようなことも現在やっているところでございますし、さらに、集荷業者あるいは卸業者の皆さんでできるだけ複数年契約といったものを提携していただくような試みも今進めているところでございまして、こうしたことによりまして安定的な生産、流通の実現を図っていくというふうに考えているところでございます。
  245. 紙智子

    ○紙智子君 安定的な生産、流通と言うんですけれども、いろいろなことをやって餌米作ったり多様な用途に基づいてと言うんだけど、私が一番言いたいのは、生産者米価が下落するでしょうと、全体として低くなっていくでしょうということですよ。それはもう絶対止められない流れになっているんじゃないですか。  昨年、生産調整の廃止が突然打ち出されて衝撃が走ったと。きっかけは、産業競争力会議の新浪さんですね、ローソンの会長の意見ですよ。新浪氏は、減反は価格を維持する仕組みだ、価格コントロールすることがあったら徹底的に究明しようと思っていると。ちょっと何か聞くと脅しに聞こえるような話なんですよね。生産者価格安定を求めているんですよ。やっぱり少しでも高く売りたいわけですよね。だけど、どんどん下がっていくと。上げちゃ駄目なんだという話をしているわけですよ。もっと下げなきゃいけないと言っているんですよ。これは圧力を掛けていると。  十月二十四日に出した意見書では、三年後に生産調整を廃止すると要求しているわけです。これを受けて、結局五年後に廃止することを決めたわけじゃないですか。国民の主食である米の需給価格の安定をどう図るのかという国民的な議論だってないわけですよ。  大臣、なぜ、まともな国民的な議論もすることなく、生産調整を廃止せよという、こういう要求を取り入れたんですか。
  246. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 二十四年の十二月の衆議院選挙の選挙公約とも関連しまして、これは自民党の選挙公約ですが、経営所得安定対策見直し、それから多面的機能に着目した日本型直接支払、これを公約をしてきたわけでございますので、昨年二月から時間を掛けて議論が進められてきたところでございます。この検討は当然米の生産調整を含む米政策と大きな関係がございますので、我が省においても与党と一緒になって時間を掛けて検討をずっと重ねてきたところでございます。  産業競争力会議での御議論は今お触れになっていただいたわけですが、そこのみならず、政府・与党における今申し上げたような時間を掛けた議論、慎重な検討を踏まえて生産調整の見直し、正確に申し上げますと、五年後を目途に、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政生産者団体、現場が一体となって取り組むと、これが正式な決定でございますが、こういう生産調整の見直しを決定をさせていただいたところであります。
  247. 紙智子

    ○紙智子君 ともかく国民的な議論もなしに規制改革会議で議論して、それをやっていくということ自体が本当にひどい話だなと思うんです。  農水省は、生産調整を廃止して、今後は麦、大豆飼料米など需要がある作物生産を振興するとしているわけです。そして、主食用米需要量が平均して約八万トンのペースで減少していると。飼料米主食用米からの転作作物として有望で、潜在的な利用可能量は四百五十万トン程度あるというふうに言っているわけですよね。  そこで、主食用米需要が年間八万トン減少しているという理由をちょっと簡潔に説明してください。
  248. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 減少の原因でございますが、一つは、やはり食生活が欧米化あるいは多様化したほか、あるいは単身世帯の増加などによりまして食の簡便化志向が進展したこと。それと、やはり高齢化等によりまして一人当たりの摂取熱量が減少傾向にあるといったようなことによるものと考えているところでございます。
  249. 紙智子

    ○紙智子君 私は確かにそれもあるかもしれないと思うんだけれども、言っていないこともありますよね。外食の関係は全然触れておられないんですけれども、約八百万トンある主食用米のうち、三百万トンを外食・中食産業が占めているんですよ。八百万トンのうち三百万トンを外食・中食産業が占めているわけですよ。家庭用が六割で、外食、中食が四割と言われていますよね。  日本べんとう振興協会は、仕入れる精米価格というのは一キロ三百円前後から三百五十円前後に値上がりすると経営が赤字になると。それで、日本炊飯協会の会長さんは、二十三年、二十四年産の米の高騰を受けてコスト高に対応しなきゃいけないというので、個食量、一人一人が買う、消費する量ですね、この個食量の減量に追い込まれたと。節約した米の量は年間八万トン、外食産業が年間で三十万トンと推測されているということなんですね。  外食産業で年間三十万トン、需要減少というのは外食、中食の影響が大きいということなんじゃないですか。いかがですか。
  250. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今先生の方から御指摘ございましたように、中食、外食向けの米の需要量につきましては、現在では全体需要量の約三分の一程度というふうに考えております。  それで、今先生の方からお話ございましたように、平成二十四年産米が価格が高いといったようなことから、中食あるいは外食事業者の中には米の使用量、弁当の量を少し減らすといったような動きも見られたというふうにも聞いておりまして、これが主食用米需要減少の一因になったというふうには考えているところでございます。  このように、やはり中食あるいは外食のニーズに合ったお米の供給といったものが非常に大事かというふうに思っておるところでございますが、外食のお米につきましても、こだわりの高品質、高価格帯の米のニーズから、やはり業態やメニューに応じた一定の品質を有して手頃な価格の米に対するニーズが出てきておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、こうしたニーズに的確に応えるよう現在いろいろなマッチング等の諸事業を行っているところであります。
  251. 紙智子

    ○紙智子君 外食、中食は米価が上がると一品当たりの米の使用量を減らすわけですね。報道では、回転ずしに使う米は一貫二十グラムから十八グラムに減らしたといいます。  それから、ふるさとネットというところがコンビニのおにぎりの量目調査をしているんですね。これは、例えばセブンイレブンとかローソン、ファミリーマート、デイリーマート、シーチキンマヨネーズのおにぎりで調べているんですけれども、これで見ますと、米価が高騰するとおにぎりの量目を減らして、価格が下がると元に戻すコンビニが多いようです。  ところが、ローソンは違うんですよね。ローソンの会長の新浪さんは産業競争力会議で農政改革を主導しているんですけれども、ローソンの量目は、二〇〇五年が百十一グラム、米価が上がった二〇〇九年には百六グラムにして、今年は米価が下がっているんですけれども百四グラムと。ちょっと細かいようですけれども、ちりが積もれば山となるんですね。更に減らしていると。  これ、ちょっとどうかと、感想を、大臣、いかがですか。
  252. 林芳正

    国務大臣林芳正君) よくお調べになったなと、こういうふうに思いますが、個社のそれぞれの戦略といいますか、どういうものを作って、どういうふうにお出しして、どういう値段にして、それをどういうふうに流通させて、最終的に消費者がそれをどういうふうに評価をされるかと、こういうことであろうかと、こういうふうに思いますので、私の立場からそれがいい悪いというような評価は避けさせていただきたいと思います。
  253. 紙智子

    ○紙智子君 いや、それじゃちょっと困るんですよね。それでもって、だから、さっきから言われているように、八万トンずっと減り続けているということを理由にしているわけですけど、実際にはこういうことがあるわけだから指導しなきゃいけないですよね。米の需要減少を自らつくり出しながら、自分たちの都合がいい農政改革を要求しているんじゃないかと思うんです。企業の社会的な責任が問われているというふうに思いますよ。農水省は、米の消費が減っている原因を食生活の変化などに一般化せずに、こうした実態も含めて国民にしっかり知らせて、企業の社会的責任を問うことが大事だというふうに思います。  農水省は、生産調整を廃止して、生産者生産数量目標に頼らず自らの判断需要に応じた生産が行われるように環境を整備するというふうに言われるんですけれども、この環境とは、環境整備というのはどういうことをいうのでしょうか。
  254. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今回の米政策見直しにおきまして、昨年十一月に農林水産業地域の活力創造本部で決定いたしました制度設計の全体像というのがございまして、その中で、需要に応じた生産を推進するため、水田活用の直接支払交付金の充実、中食、外食等のニーズに応じた生産と安定取引の一層の推進、きめ細かい需給価格情報、販売進捗・在庫情報の提供等の環境整備を進めるというふうにしたところでございます。  この環境でございますが、この意味するところは、五年後を目途に、行政による生産数量目標配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行われるような環境を指しており、こうした環境が整うよう各般の施策を講じながら生産者現場の取組を強化していくというものでございまして、具体的には、先ほども申し上げましたが、水田活用の直接支払交付金の充実、数量払いの導入、また産地交付金も充実しまして地域創意工夫を生かした産地づくりを進めるほか、国によりますきめ細かい需給価格情報、販売進捗・在庫情報等の提供等のこうした環境整備を進めることとしているところでございます。
  255. 紙智子

    ○紙智子君 きめ細かい情報を流してということを言うんですけれども、生産調整を廃止をして、農業者は年末から春先にかけて国の情報に基づいて農業者判断で自由に作付けできるようになるというふうに言われるんですけれども、同じ情報を基に、例えばどこそこ産の、北海道だったら北海道のゆめぴりかが幾ら幾らになりそうだという話を聞いて、どこにシフトするかということを考えているときに、その情報を見て同じ方向に切り替えるということだってあり得るんじゃないかと。そうすると、そこに殺到してしまったらなかなかうまく調整することだって難しいんじゃないかと思うんですよ。  つまり、数万人もの農業者が米作りに走れば過剰になるし、ほかの作物に向かえば不足するし、自由にといっても、これ生産者市場競争に駆り立てることになって大きなリスクを負うことになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  256. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) そこは、まさに先ほど大臣からの答弁がありましたように、それぞれの生産者におきまして、需要に応じた、価格動向等も踏まえた生産というものが大事かと思っておりまして、一つには、自信のある農家でありましたら自分での直接販売といったこともあるでしょうし、なかなかそうした情報や何かを取りにくい、あるいは判断しにくいというようなところはまさに農協系統の出番といったようなことがありまして、そうしたものがいろいろと交ざり合わせながら需要に応じた米の生産というものが実現していくんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  257. 紙智子

    ○紙智子君 いや、そういうふうに言われるんですけど、本当にうまくいくというふうに確信持って言えます。自信持っていますか。本当にそういうふうになると思いますか。
  258. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) まさに今回の米政策見直しにつきましては、五年を目途ということで一定の期間をいただいております。その間に我々といたしましては、毎年毎年情報提供のあれを進化させまして、しっかり生産現場が対応できるようにフォローしていくと。先ほど大臣から話がございましたように、生産現場キャッチボールをしながらこうした理念を実現していくと、こういうふうに考えているところでございます。
  259. 紙智子

    ○紙智子君 生産現場キャッチボールしながらと、とてもすごくいい言葉なんですけれども、今まで国は生産目標数量を配分して国、自治体、団体挙げて生産調整しても、米の需給価格は不安定で混乱しているわけですよね、今までだって。昨年の三月の食料農業・農村政策審議会の食糧部会で、委員からは、加工用米が不足して輸入米や古米の使用につながる、一部企業は外国産米の調達をしているなどと意見が出ているわけです。農水省は、一番大事なのは生産者サイドと需要サイドのより安定的、長期的な関係をしっかりつくっていくことだと、そのために役所としても支援するというふうに言っているわけですよね。  農業は気候条件に大きく左右されるわけですよ。その時々、毎年毎年違うわけですね。それなのに農業者判断で自由に作れと言われたって、価格が安定する保証があるとは思えないんですね。ですから、私は国がしっかりやっぱり需給についても価格についても安定するような責任を持たなきゃいけないだろうというふうに思います。  そのことを最後に強く申し上げまして、ちょっと時間になりましたので、今回また終わって次にということで、終わります。  ありがとうございました。
  260. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  261. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能発揮促進に関する法律案の審査のため、島根県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会