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2014-03-17 第186回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年三月十七日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 儀間 光男君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     有松 育子君        文部科学大臣官        房審議官     藤原  誠君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       新村 和哉君        農林水産省消費        ・安全局長    小林 裕幸君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        農林水産技術会        議事務局長    雨宮 宏司君        林野庁長官    沼田 正俊君        水産庁長官    本川 一善君        経済産業省通商        政策局長     鈴木 英夫君        国土交通省道路        局次長      谷脇  暁君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十六年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十六年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房審議官有松育子君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 去る十二日、予算委員会から、本日一日間、平成二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  林農林水産大臣から説明を求めます。林農林水産大臣
  5. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十六年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成二十六年度農林水産予算総額は、関係省計上分を含めて二兆三千二百六十七億円、その内訳は、公共事業費が六千五百七十八億円、非公共事業費が一兆六千六百八十九億円となっております。農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業地域活力創造プランに基づき、強い農林水産業、美しく活力ある農山漁村の実現に向けた施策予算重点的に措置したところであります。  以下、予算重点事項について御説明申し上げます。  第一は、担い手への農地集積集約化担い手育成等による構造改革推進であります。  担い手への農地集積集約化を加速するため、農地中間管理機構による事業運営農地の出し手に対する協力金交付等支援してまいります。あわせて、農地の大区画化等基盤整備耕作放棄地再生利用を進めてまいります。また、担い手育成するため、就農前後の青年就農者経営継承者への給付金給付、法人での実践研修等支援してまいります。  第二は、新たな経営所得安定対策実施であります。  従来の経営所得安定対策を見直し、飼料用米、麦、大豆等戦略作物の本作化による水田フル活用推進するため、飼料用米等については数量払い導入するとともに、産地交付金を大幅に拡充し、多収性専用品種導入や麦、大豆を含む産地づくりに向けた取組支援してまいります。  第三は、強い農林水産業のための基盤づくりであります。  水田の大区画化汎用化、老朽化した農業水利施設漁港施設等長寿命化耐震化対策山地災害対策等を進めてまいります。また、農畜水産物安定供給のための施設木造公共建築物整備等支援するとともに、産地構造改革を進めるため、新たに次世代施設園芸導入、加工・業務用野菜安定生産等施策を講じてまいります。  鳥獣被害対策については、捕獲の抜本強化に向けた取組などを進めてまいります。  第四は、農林水産物食品の高付加価値化等推進であります。  農林漁業成長産業化ファンド活用や医療、福祉など多様な異業種との連携による六次産業化を進めてまいります。また、生産者実需者連携した新品種、新技術開発普及薬用作物産地形成等、強みのある農林水産物づくり支援してまいります。  第五は、日本食食文化魅力発信輸出促進であります。  和食ユネスコ無形文化遺産登録を契機として、国内外における催事の開催等により日本食食文化魅力国内外に発信してまいります。あわせて、国別品目別輸出戦略を着実に実行するため、輸出促進に関する司令塔を設置するとともに、輸出対応型施設整備等支援してまいります。  第六は、生産振興対策であります。  畜産・酪農、野菜、果樹・茶、甘味資源作物について、品目ごとの特性に応じた対策を講じてまいります。  第七は、日本型直接支払の創設であります。  農業農村多面的機能の維持、発揮を図るため、農地農地として維持する地域活動地域資源質的向上を図る共同活動支援する多面的機能支払交付金を新たに創設します。あわせて、中山間地域等直接支払交付金環境保全型農業直接支援対策を引き続き講じてまいります。  第八は、活力ある農山漁村構築であります。  都市農山漁村の共生・対流等促進する取組に加え、新たに棚田、疎水など将来に残すべき農村景観資源保全、復元する取組支援してまいります。  また、農山漁村に豊富に存在する土地、水、風、バイオマス等地域資源活用した再生可能エネルギー導入等を進めてまいります。  第九は、食の安全、消費者信頼確保であります。  国産農畜水産物安全性向上や家畜の伝染病発生予防等取組推進してまいります。また、食育推進により食や農林水産業への理解を深めるとともに、食品ロス削減のための国民運動等実施してまいります。  第十は、新たな木材需要の創出と強い林業づくりであります。  中高層建築活用できるCLT、直交集成板など新製品、新技術開発普及等支援してまいります。また、森林における二酸化炭素吸収量確保するため、間伐や路網整備等森林施業を進めてまいります。さらに、森林の有する多面的機能発揮山村地域活性化のための取組支援するとともに、人材確保育成を進めてまいります。  第十一は、強い水産業づくりのための総合対策であります。  資源管理に取り組む漁業者に対する収入安定対策燃油価格高騰対策等を講じるとともに、人材確保育成を進めてまいります。また、水産業漁村が有する多面的機能発揮のための取組に加え、新たに漁村課題解決策等を示した浜の活力再生プランの作成を支援してまいります。さらに、漁業取締り船増隻等により、外国漁船取締り体制を強化してまいります。  次に、特別会計については、先般の臨時国会で成立した特別会計法の改正を受けて、食料安定供給特別会計等に所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、株式会社日本政策金融公庫による財政融資資金の借入れ、株式会社農林漁業成長産業化支援機構への出資など、総額一千九百八十三億円を予定しております。  以上で、平成二十六年度農林水産予算概要説明を終わります。
  6. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 猪口邦子

    猪口邦子君 林芳正大臣は、この転換期の難しい時期の日本農林水産業改革と発展に果敢にそして積極的に取り組んでくれていますし、また関係各方面との合意形成にも意を用いてきてくれています。大臣の非常に穏やかなお人柄や人の話をよく聞くという、そういう政治姿勢もあって、普通であればはるかに多くの年月を要すると思われる数々の政策も、前向きに進めようという機運が今みんなにあります。先般の大臣所信も、また本日伺いました予算説明にもその機運の反映が見られます。非常に良い内容だと思っています。また、この機会に、国家公務員皆さん官僚機構、そういうところにも私は敬意を表します。大臣の将来を見据えた思い、判断力、これを更に誠実に支えてくれるようお願いしておきます。  本日は、委嘱審査でありますので、農政全般観点から幾つか、長期的に我が国農村農業を豊かにするであろうと思われる課題について大臣議論させていただきます。  まず、農産物輸出積極戦略についてなんですけれども、日本農産物の高品質、この通念をつくるブランド性を確立、こういう課題です。  多くの商品工業製品と同様に、農産物というのはどの国でも作られるものですから、国際貿易競争力、これを考えれば、その価格品質だけでもなく、その品質については、目の前の商品そのもの品質を超えて、より広範な全般的な品質への信頼、これが今の時代、非常に重要です。その全般的な品質への信頼、これこそがブランド性ではないかと思います。  農業でそういう日本イメージをどう確立していくかということですけれども、国家方針として、系統的に全ての農産物の安全を守るという方針、これは規制緩和の中でも譲れないものとして非常に必要であると考えます。また、農業従事者の現場の誇り、これが守られることがそのようなことへの最も大事な担保ではないかと思います。  さき臨時国会で成立しました、今、予算説明にもありました中間管理機構の設立等々の法案はまさにそういうことを目指していることでありますし、今国会でもそのような考えの下で更に議論がされることと期待しております。  さらに、そういうことと併せて、日本の高品質イメージ、これを世界舞台に上げていかなければならない。世界市場にそういう日本農産物ブランド性というものをアップロードしていく、ステージにのせていくという、こういう戦略が必要だと思います。  大臣所信にもございましたとおり、そして今の予算説明にもありましたとおり、昨年は和食ユネスコ無形文化遺産登録がありました。それから、来年はミラノ万博もございます。これは所信にたしか入っていたと思います。イタリア日本言葉は別ですけれども、食の文化性について非常にフォーカスある表現を使ってこのところ政策を進めてきています。例えば、イタリアであればスローフードという観点我が国であれば食育という観点。新鮮な魚介類野菜たくさん使って新しいタイプの食事の新しい伝統をつくろうという、そういう考え共有点としてありますので、こういう世界的なステージ農産物観点から積極的に利活用してもらいたい、ミラノ万博是非そういう積極戦略を持っていただきたいと。言うまでもなく、二〇二〇年には東京オリンピックパラリンピックがあります。いろいろなそれまでの間の世界舞台というのは、それに向けてのリードアッププロセスであるような感じがします。  よくマーケティングで、イベントレッドプロセスという言葉がありますけれども、そういうイベント主導で、そういうところに自分の考えやメーンストリーム化したいものを巧みに織り込んでいく、そういうふうにブランド性というのは確立するものだと思いますので、世界で提供されているいろんなイベントの場面というものを積極的に活用すると。  私たちの歴史考えてみますと、かつて工業製品も、例えば自動車なども世界で販路を探すのが大変だった時代もありますけれども、この国はそういう困難を克服して、まれなる水準でのブランド性を確立することに成功した歴史を持っています。例えば経産省との関係でもジェトロがございます。世界各地事務所がありまして、かつては日本工業製品輸出拠点で、その後、世界から投資を呼び込む拠点ともなったと。これからは農産物輸出する、そういう拠点として大規模活用してはどうだろうと。  そしてまた、経産省、長年、輸出育成力を培ってきたわけですから、例えばジェトロ海外事務所に、やはり専門性農水の場合は非常に高くありますので、そういう専門性を持つ方々、是非大量に出向してもらって、そしてそういう輸出育成力などについてもどう農水の分野で応用できるか、そういう大量の人事交流が重要ではないかなと考えておりますので、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  8. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  今、猪口委員がおっしゃっていただいたように、イベントレッドプロセスと。こうやっておっしゃっていただきましたが、まさにお触れになっていただいたように、今年、ユネスコ和食無形文化遺産登録を受けて一生懸命やるということ、そして来年の二〇一五年、ミラノ万博に向けてやっていく。そして何といっても二〇二〇年は東京パラリンピックオリンピックでございますので、ホップ・ステップ・ジャンプということでしっかりとイベントを見ながらやっていきたいと。こう思っておりまして、今後十年間で世界食市場、倍増すると、こういうふうに言われておりますので、しっかりと食文化普及を行いながらやっていきたいと思っております。  FBI戦略と名付けておりまして、メード・フロム・ジャパンメードバイジャパンメードインジャパン、頭文字を取ってFBIですが、それぞれ日本食材世界の料理で、イタリアでもフランスでも中華でも活用してもらうというフロム・ジャパン食文化日本食展開していくというメードバイジャパン、そしてそれと一体的に農林水産物食品輸出メードインジャパン展開をしていきたいと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味で、昨年の八月に国別品目別輸出戦略を公表させていただきました。  今、ジェトロのお話もありましたが、農産物については動植物検疫などテレビや自動車にないところもあって、そういうところの環境整備等、当然必要になってくるわけですが、今まさに委員がおっしゃっていただいたようなブランドを確立してそこへやっていくという意味では工業製品と共通するところもあるわけでございますので。そういった意味で、平成二十五年度からこのジェトロ、これは大変に国内外に幅広いネットワークを持っておりまして、公益性中立性を持っている唯一の機関であると、こういうことでありますので、ここと連携を強化して、まず輸出しようとしている事業者の方を育成する、それから海外見本市へ出す、それから国内外商談会開催すると。こういうような取組を通じて、マッチングを含めて総合的なビジネスサポート、こういう体制構築をしていこうと、こういうふうにしておるところでございます。  そういう意味もあって、農林水産省からはジェトロへ十名出ておりまして、東京本部二名、海外事務所に八名ということで、さらに、これに加えて農水省から在外公館にも人が出ておりますので、そういう方も併せてしっかりと展開をしていきたいと思いますし、さらにまた農林水産省からの出向についてジェトロとも相談してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  9. 猪口邦子

    猪口邦子君 大臣、ありがとうございます。  私も昔、まあそれほど昔でもないですけれども、大学教員を務めていた時代に、ジュネーブに二年間ほど大使として言わば出向したような経験があります。そういう人事交流は様々な効果を私自身に対してもたらしてくれたと思います。その後の考え方、発想、政策決定にこうして関わるようになってからのことも含めて、非常に私には有意義だったと思います。是非そういう経験を多くの農水省皆さんに開いてはどうかと思うんです。八人、十人、二十人という規模では少し足らないのではないかなと。  もう本当に世界的な水準我が国農産物ステージオンしていくのであれば、本当に積極的な受入れをジェトロの方にもやっていただきたいし、農水の方でもそういう多様な世界的な経験をして、そして我が国の国策としての農産物輸出に携わっていただくということを考えますが、経産省の方からもそのことについて御意見いただけますか。
  10. 鈴木英夫

    政府参考人鈴木英夫君) お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおりでございまして、ジェトロといたしましては、まず平成二十四年一月に農林水産物食品輸出促進本部を立ち上げまして、先ほど大臣から御答弁ございましたとおり、平成二十五年度より農林水産省とも連携をしながら、また農林水産省予算からも御支援をいただきながら、海外における食品等見本市への出展支援国内外における商談会開催など、農林水産物輸出支援に取り組んでいるところでございます。  御指摘ネットワーク活用につきましても、平成二十一年度に十五か所の海外事務所農林水産物輸出支援ができます海外コーディネーターを配置をしておりまして、農林水産物関係海外現地情報の提供や現地における商談サポート等実施をしております。平成二十六年度におきましては、世界二十七都市に三十八名の海外コーディネーターを配置する予定でございます。こうした取組を通じて、海外事務所を通じた農林水産物輸出促進を強化していく所存でございます。また、私も付けておりますけれども、ミラノ万博も、経済産業省としても全面的にバックアップし、農林水産物輸出促進に努めてまいりたいと思っております。  また、国内におきましても、ジェトロ本部及び地方事務所農林水産物食品輸出相談窓口というのを設置をしておりまして、各地農林水産物輸出に係る相談を受け付けておりまして、平成二十六年二月までに一万三千十二件の相談に対応しております。  今後とも、農林水産省との連携をしっかりと行いながら、農林水産物輸出促進に取り組んでまいりたいと考えております。
  11. 猪口邦子

    猪口邦子君 今までも連携はしてくださっていると思いますけれども、異次元的な連携、そういう抜本的な努力を大臣によろしくお願いしたいと思います。  次ですけれども、今度は生産性向上についてでございます。我が国気候変動の問題でありますとか、いろいろな問題がありますけれども、施設園芸抜本的強化、これを推進してはどうかという質問でございます。  大臣オランダ視察されたというふうに伺っておりますけれども、例えばオランダのように低地で塩害もある、およそ農業には不適切な条件不利国家であっても、革新的技術や手法によります大規模施設型の園芸によってそれを可能にしているわけですね。食料生産に大成功しています。次世代型の施設園芸振興策ともいうのでしょうか、そういうことにつきましての大臣のお考えオランダ視察のことも少しお話しいただければと思います。  その際に、燃料ですけれども、予算説明にもありましたが、バイオマスチップ、ペレットなど再生可能燃料、それはカーボンニュートラルとも言われるものでございますけれども、そういう新しい総合的な生産パラダイムとして研究して投資してみてはどうだろうかと思います。  私は、さき予算委員会で、アベノミクスの効果が浸透しているしていないという議論のほかに、浸透したところにおいては何にそれを使うのか、その経済的な余力を何に投資するのかということを問いました。つまり、異次元的金融緩和は異次元的な抜本的な大規模投資につながらなければ、せっかくの政策も、もう手段はあっても目的がはっきりしないということになると。是非、今申し上げたようなところですね、再生エネルギー投資先投資ということもありますので、お願いしたいと思います。  ただ、そのときに、農業の、先ほどの予算説明にもありました、多面的機能発揮、これと生産性向上ということを少し分けて考えてもいいのではないかと。さき大臣所信への質疑の中でもそれを指摘する委員がいらっしゃいましたけれども、多面的機能というのはまた非常に大事なものでありまして、農林水産業地域活力創造プラン、これに基づいて長年多面的機能議論があったんですけれども、ついにその位置付けがはっきりしてきたわけですから、そちらへの振興策と、もう一つ、そういう生産性に非常に重点を置いた振興策と、この双方をお願いしたいと思いますが、大臣のお考えを伺います。
  12. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 昨年の五月にオランダ視察をいたしました。いろんな方から、一見の価値ありと、こう言われまして、パリでOECDの閣僚理事会があった際に足を延ばして行ってまいったわけでございますが。  本当に百聞は一見にしかずということで、大体敷地面積が一棟のハウスで四ヘクタールぐらいある大きなところに、高さ八メートル、大きなガラスでできたハウスがございまして、その中にもう一面ずっとパプリカをそこのハウスは植えておられました。少し危ないからよした方がいいんじゃないかと、こう言われたんですが、エレベーターみたいなのに乗って上まで行って、上から見るとまさにもう遠くの方はかすむぐらいで一面にパプリカが生えていたわけですが。これを全部機械化ICT化をして省力化をしたことによって、全ての段や列に全部番号が付いて、どの列でどういうふうになっているというのが全部、水や、これ多分肥料の供給機械化されていると思いますが。そして出荷するときも、収穫をやって、機械化をされたものでやって、そして、選果のところだけは少し人手が掛かるということで、選果のときだけ隣の、近所の方にお手伝いに来てもらうというようなことをおっしゃっておられましたが、それ以外は、こん包して出荷してそのまま輸出のところに行くまで全部家族で、四、五人ぐらいでやっておられると、こういうことでございました。  これが輸出競争力につながっているのかなと、こういうふうに思いましたけれども、こういうものを参考にさせていただいて、日本では、台風もございますのでガラスで全部造るというのがどういうことになるのか、少しアレンジしなきゃいけないということもあります。  それからオランダの場合は、ロッテルダムからパイプで二酸化炭素を引いてきて、それで使って、この二酸化炭素を多めに供給して光合成を促進させると、こういうことをやっておりましたが、我が国の場合は、まさに今おっしゃっていただいたように、カーボンニュートラルということで木質バイオマスなどの脱化石エネルギーを使えないかと、こういうようなことでアレンジをいたしまして、新しいタイプの施設園芸産地育成していこうと、こういうことを新しい予算として、平成二十五年度補正、それから二十六年度の当初予算案も合わせますと五十億円を計上させていただきました。  既に補正の方はどういうところでやっていただくかというところももう決まってきているわけでございますが、まさに、申し上げたように、高い生産性確保するためには、ICT等々の他産業の知識、ノウハウ、こういうものの活用が必要になってくると考えまして、昨年の十月ですが、この次世代施設園芸推進に向けまして農業界と経済界の関係者を参集した全国的なセミナー、大変盛況でございましたが、ふだん農水省に余り来られないような会社の方たくさん来ていただきまして、この周知を図ったところでございます。こうした次世代施設園芸産地を全国的に展開することによって構造改革推進していきたいと、こういうふうに思っております。  まさに今委員がおっしゃっていただいたように、これはある意味で産業政策の部分でございますが、同時に、この産業政策と並んで地域政策というものが大変に大事であるということは常々申し上げておりまして、車の両輪であるということを常々申させていただいておりますが、この多面的機能、水源の涵養ですとか良好な景観の形成、CO2の吸収、こういった視点は大変に大事でございますので、昨年の農政の改革においても多面的機能支払というものを新たに位置付けまして、この今やっております中山間地域等の直接支払環境保全型の農業の直接支援、これに加えて三本柱、多面的機能は更に二つに分かれるわけですが、こういうものから成る日本型の直接支払制度、これを創設をいたしました。  まさにこの日本型直接支払制度はこの国会に関連法案出して御審議をいただくことにもなっておりますので、またよろしくお願いいたしたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  13. 猪口邦子

    猪口邦子君 ありがとうございます。  施設園芸との関係では異分野融合研究という言葉大臣所信にありましたので、それをお伺いしたいとも思いましたけれども、また別の機会にいたしたいと思います。  我が国は高齢化、高齢まで行きますといろいろな生活習慣病も出てきますので、それに対応するには、もちろん薬剤ということもありますけれども、生活改善、そして食生活の改善、そして介護現場などとの連携考えれば、いろいろな農産物の今後の開発の余地というのもあるんではないかと思っております。  そして、今日、最後にどうしてもこれだけは大臣にお願いしておきたいと思いましたのは、子供にとって良い農村とはどういう農村かという観点から政策を強化していただきたいということです。  先回、農村におきます男女共同参画についてお伺いしましたけれども、新規就農人口、これ中間管理機構などうまくいけば増えてくる可能性があるんですが、これを増やすのに最も根本的にみんなが一人一人最後本当に考えることは、農村に住むことが子供にとって良いことかどうかということだと思うんです。良いことにしなければならないし、現に今農村に住んでいらっしゃるお子さんたちが大丈夫にしなければならない。  じゃ、どういうことが心配なのかというと、やはり子供の数も少ないから、登下校の安全性是非スクールバスを導入してほしい、通学路の安全のためにも歩道をきちっと設置してほしい、そういうことをお願いしておりますが、そういうふうにしてもらいたいと思います。  それから、学業の水準、機会、これが十分かということで、私は自分が少子化を担当しておりましたときに、小学校の施設区域内に放課後子どもプランというものを導入して、そこでもちろん預かりもするし、あと補習や才能教育、お稽古などを幅広く親が迎えに来るまできちっとやると。そういうシステムがヨーロッパでは多くの国に確立しているので、どういう過疎のところからも才能を持った子供たちが雄飛していくという構造がありますけれども、やはり塾に行く機会とか農村に行ったらないんじゃないかとか、そんな不安がきっとあるんではないかと思うんです。  それから、やはり農業、天候に左右されるということもこの数週間の中でも分かったわけですが、やはり家計急変で突然学業を諦めなければならないようなことがないよう、給付型の奨学金の公的制度、これをずっと、与野党でみんな意見が一致しているんだけれども、財源が十分じゃないのかうまくいかないんですが、農村からそういうのも始めたらいいんではないかと、こういうことに焦点を当てて私は大臣にその観点から視察をしてもらいたいと思うんです。  例えば、先ほど申し上げましたスイス、あとフランスもそうですが、ポーランドもそうだったと思いますが、こういう子供の農村という観点からの充実したものがあったと思います、私も若干見たんですけれども。いろいろな専門の視察があるんでしょうけれども、子供にとって良い農村はやはり若い家族がそこに移り住むきっかけになると思いますので、是非大臣のように、非常に先見性がある、また幅広い調整力のある大臣、こういう観点からの農村の充実ということをやっていただきたいんですが、お願いします。
  14. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お褒めにあずかって大変恐縮しておりますが。  やはり自分自身の体験に照らしても、私は、小学校三年生から四年生になるときに父親が選挙に出ましたので、東京から下関に引っ越しまして、随分遊び方が変わったなと。山で虫を捕ったり、その辺の小川みたいなところにザリガニがいたりとかいうようなことは全く東京ではなかったことでございまして、やはり命とか自然を大切にするというのは、実際にそういうところに囲まれていると自然に育まれるというところもございますので。そもそも非常に農村というのはそういう場として重要な役割を果たし得るというところがあるんではないかと、こういうふうに思っておりますが、そこに、更に今委員がおっしゃっていただいたような教育上の配慮や安全上の配慮といったものがどういう工夫で組み合わさっていくともっと良いものになるかというのは大変大事なテーマであると。こういうふうに思っておりますので、大変貴重な御示唆をいただきましたので、何かの機会に、そういう先進的な事例のところに行ける機会があれば是非トライをしてみたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  15. 猪口邦子

    猪口邦子君 ありがとうございます。  国交省には歩道の設置をお願いします。それから、文科省には子ども放課後プラン等についてお願いしますが、一言ずつお願いします。
  16. 有松育子

    政府参考人有松育子君) 農村に暮らす子供を含めまして全ての子供たちの放課後等の安全、安心な居場所を確保して豊かな教育環境づくりを推進していくという観点から、文部科学省の放課後子ども教室と厚生労働省の放課後児童クラブを一体的あるいは連携して実施します、先生御発言ございました放課後子どもプランを推進しております。全ての子供を対象として、放課後等に小学校などを活用して様々な学習や体験、交流活動の機会を提供しているものでございます。  この放課後子ども教室につきましては、現在、全国でおよそ一万の小学校などで実施しておりまして、例えば小学校の特別教室等において、平日の放課後や土曜日などに、地域のボランティアの協力を得て、学習活動ですとか、茶道、そろばん、パソコン教室など多様な活動を実施している例がございます。  都市部、農村部にかかわらず、全ての子供に充実した学習活動の機会を提供することが大変重要なことだと思っておりまして、放課後子どもプランの更なる充実のために、学校の施設の一層の活用を促していくとともに、学習プログラムの質の向上等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  17. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 谷脇国土交通省道路局次長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。
  18. 谷脇暁

    政府参考人(谷脇暁君) はい。  歩道の整備についてでございますけれども、大変重要であるというふうに考えてございます。  特に、通学中の児童の安全確保につきましては、平成二十四年の京都府の亀岡市での事故等がございました。こういうものを受けまして、農村地域を含む全国の小学校において、道路管理者と学校、警察などによる緊急の合同点検を実施をいたしました。こういう点検を踏まえまして、道路管理者といたしましては歩道整備など約四万五千か所の対策実施しておりまして、今年度末で大体八割が完成するという見込みでございます。  今後とも、国、地方公共団体、地域の皆様方と連携いたしまして、歩道整備などの歩行者の安全確保を着実に進めてまいります。
  19. 猪口邦子

    猪口邦子君 終わります。ありがとうございます。
  20. 金子原二郎

    金子原二郎君 林大臣に対しまして、我が国の漁業に関連して質問をさせていただきます。  大臣は、先日の農林水産委員会での所信表明におきまして、本年は攻めの農林水産業の実行元年である、あらゆる施策を総動員し、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村をつくり上げてまいりますと述べ、特に水産業におきましては、かつて世界一だった日本の漁業を復活させると決意を述べられておりまして、全国の漁業に関係する皆さん方は、かつてこういう大臣の発言はありませんでしたから、大変な期待を持っていると思います。  かつて日本の漁船は、遠くスペイン、西アフリカ、ニュージーランド、北米、南米の世界の漁場に千五百トンから三千トン型の大型トロール船で出漁しまして、モンゴウイカ、タコなどを漁獲して日本に運び、消費をしていました。  お手元にあるグラフを御覧になっていただきますと、一九七〇年代から一九九〇年代の初めまで日本は一千万トンから約一千二百万トンの水揚げをしていたわけでありまして、まさに日本水産業世界の漁業を制覇していた時代でありました。ところが、一九七六年に米国が二百海里法を成立させると各国もそれぞれに追従しまして、日本の漁船が操業するためには入漁料を払わなければならなくなってしまい、その入漁料が年々高くなっていって、最終的には日本の漁船は世界の海から撤退をせざるを得なくなったわけであります。  また、日本の東シナ海で操業する底引き、巻き網などの漁船も、東シナ海での操業が、中国との漁業協定で暫定水域が認められたことによって中国の船が大量に操業することになり、暫定水域の中に何百隻という中国の船が押しかけてくることになって、結果的には日本の漁船が操業できない状態になり、お手元にお配りしている長崎県の水揚げの漁獲量の推移というのを御覧になっていただければ、以西底引きというのがかつて長崎県にとっては大きな漁業、産業でございましたけれども、かつては以西底引きで約十二、三万トンの水揚げをしておった、そして大体百四十隻ぐらいの船が操業しておったのが、現在では五隻なんです。しかも、四千トン未満というような大変な厳しい状況に置かれておりまして。また一方、巻き網船団も大体六十万トンぐらい捕っておった、それが今日では十四、五万トンというような厳しい状況に置かれておりまして、日本全体で見てみましても、この配付した資料を御覧になっていただいても、かつては千二百万トンから千万トンあった水揚げが、二〇一二年では養殖業含めて約四百七十万トン、海面漁業で約三百七十万トンというような落ち込みになっているわけでございまして。  この漁業をこれから復活させるということであるならば、漁業に対してどのようなビジョンを持って取り組むのか、そしてまたどの水準までこれを引き上げようとしているのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに金子先生はこの分野の権威でいらっしゃいますので、今資料にお配りになっていただいたような状況、一番御存じなのではないかと、こういうふうに思いながら聞かせていただきました。  まさに今お話しいただいたように、この漁業・養殖業生産量は、昭和三十一年から三十六年、それから昭和四十七年から昭和六十二年、この間世界一位を誇っていたわけでございます。昭和五十九年のピーク時は千二百八十二万トンという生産量があったわけですが、その後中国が一位となって、平成二十三年では四百七十七万トン、世界八位と、こういうことでございます。  今まさにお話しいただいたように、一つは二百海里の設定によって遠洋の漁場から撤退をせざるを得なくなったということと、もう一つはマイワシ漁獲量、これが減ったということ、そして日中のお話をしていただきましたが、ほかの国も含めてアジアの漁業、養殖業、こういうところが増加して、そういうところとの調整ということが起こってきたと、こういうことが歴史的に振り返ると主な要因であると考えておるわけでございます。  しかしながら、振り返って、我々の領海、それから排他的経済水域、いまだに世界六位の面積を実は持っております。それから、深さまで入れて体積で見ると、世界一、二位になると、こういうふうにも言われておりまして、大変豊富な水産資源に恵まれた、しかも海流の関係もあって好漁場であって、資源は非常に恵まれているということがあると、こういうふうに考えております。  それから、ここへ来て、世界人口の増加で水産物需要が世界的には増大をしていくということでありますから、マクロで考えますと、水産日本の復活というための環境は整っているのではないかと、こういうふうに思っております。かつてやってきたときのノウハウ等々がいろいろあるわけでございますので、こういうものと水産資源を合わせることによって、この水産業を成長産業化して、もう一度水産業漁村に活力を取り戻していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  22. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 今、具体的な目標というお問いかけがございましたので、それについてお答えさせていただきます。  水産日本の復活を目標に掲げております農林水産業地域活力創造プランにおきましては、漁業生産金額とか漁業種類ごとの目標というのは設定しておりませんが、漁業生産量に関しまして、二〇一二年に食用魚介類の生産量は三百七十六万トンでありますけれども、これを二〇二二年までに四百四十九万トンに向上させるという目標値を定めております。また、国産水産物の輸出額を二〇一二年の一千七百億円から二〇二〇年までに三千五百億円に倍増する、それから魚介類の消費量を二〇一二年の二十八・四キログラム、一人当たり一年間でありますが、これを二〇二二年までに二十九・五キログラムに向上させるという具体的な目標を設定をいたしております。
  23. 金子原二郎

    金子原二郎君 世界の中での好漁場ということで評価なされているわけなんですが、先ほどのお配りした資料を御覧になっていただきますように、沖合漁業ではマイワシが捕れるときには約四百トンぐらい捕れておった、それが現時点ではほとんどゼロに近いという中で、それでも日本の、残念ながら沖合漁業もまた沿岸漁業も養殖業も以前よりは非常に厳しくなっていっているんです。  だから、この厳しい状況が続いている中で、今大臣がおっしゃったように、これから本当にこれをチャンスと捉えてやっていくということであるならば、じゃ、具体的にどのような目標を立てて、その目標に到達するためにはどのようなビジョンでやるかというものを持っていないと、なかなかこれは難しいと思うんです。  しかも、漁業というのは非常に複雑です。沖合があれ、沿岸があれ、遠洋は正直言って今のところはカツオ、マグロ、大型の巻き網ぐらいですから、これからは沖合漁業とそれから沿岸漁業をどうこれからいろんな施策をもって、そしてできるだけ漁獲量がアップするような体制をつくっていくかと。そういった具体的なものを、例えば沖合でも巻き網があれば、一本釣りがあれば、またサンマの棒受けがあると。もう非常にいろいろなそういった漁法によってそれぞれの漁船があるわけなんでして、それぞれの漁法と漁船の対応をどうするかというものを考えておかないと、なかなか私は今言った目標を達成することは非常に難しいと思うんです。  そこで、当然その目標を達成するためにいろいろな施策をやらなきゃいけないんですが、先ほどの大臣説明を聞いておりましても、この説明の中で、農業関係は大体一から八ぐらいまで述べているんですよ。漁業はただ一か所だけ。しかも、この予算案を見てみますと、二兆三千億のうちに水産予算というのは公共事業等を入れて一千四百億ぐらいですよ。  この差を考えていったときに、確かに農業のウエートと水産のウエートはいろいろな面で違いますけれども、地域にとっては大変、特に離島にとっては、これがなくなることによって人口がどんどん減少しているというのは、皆さん方に今お配りしておる長崎県の対馬の状況を見ていただければ、漁獲が減るとともにどんどん人口が減っていっている。これはもう、離島の場合は漁業しかないんですよ。  そういう状況の中で、果たしてこれだけの予算で、そしてそういった今後の対策をやることができるのかどうか、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  24. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 昨年の十二月に農林水産業地域活力創造プラン、決めさせていただきましたが、まさに今おっしゃっていただいたように、水産日本の復活ということを目標に掲げて、先ほど水産庁長官からも答弁をしたような具体的な目標を定めて、これに向けてあらゆる施策を総動員していこうと、こういうことを明記させていただいたところでございますが。具体的には、計画的な資源管理、漁場改善の取組推進する、それから省エネ等による漁業生産コストの削減、国産水産物の輸出促進、漁業の六次産業化と、こういうことを書かせていただいております。  予算も、二十五年度補正、二十六年度当初の予算案でございますが、まさに与党での御折衝をいろいろいただいた上で今の額を措置をしたと、こういうところでございまして、もう少しこのシェア、額等もキープをしろという強いお言葉がたしか与党の御議論でもあったということを私も承知をしておりますが、そういう中でこの案を決めさせていただいたところでございます。  やはり、私の地元もそうなんでございますが、浜、浜によっていろいろとそれぞれ違いがあると。離島のお話がありましたし、また日本海側、太平洋側、いろんな違いがございますので、やっぱりそれぞれの浜の実情を踏まえて、その浜、浜でまた地域ごとにどういうことをやっていくかということを、全体としてのメニューは作ったわけでございますが、結果としてその浜、その地域漁業者の所得が向上する、これにつながっていかなければいけませんので、そういう意味で、それぞれの浜の実情を踏まえた総合的かつ具体的な取組を浜の活力再生プランということで作っていこうと。こういうことによって、これは言わばミクロの政策になると思いますけれども、いろんなメニューを用意しながら、いろんなものを、それを活用していただいて、結果として浜の元気が出る、こういうふうに取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  25. 金子原二郎

    金子原二郎君 浜の活性化ということなんですけれども、浜といってもいろいろな漁業形態によって違うわけなんですよね、地域が。だから、確かに今大臣がおっしゃっているような浜というのは、ある意味じゃ非常に狭い意味での浜であって、例えば沖合漁業というのはどちらかというと浜よりもある意味じゃ広い、広範囲にわたった中での操業というのが行われているわけなんですから、私は、沿岸は浜でいいけれども、沖合はやっぱりそれぞれの種類ごとに対策考えていかないと、なかなかこれを復活させるというのは難しいし、ますますこれからもじり貧していくと思うんですよ。  したがって、やっぱり当然、目標、ビジョンを持つためには、沖合のどういう船の場合はどういうふうにこれからやっていく、それを、やっぱりそれぞれの目標を示して、そのためには、こういう施策を打っていくためにはどれだけの金が掛かる、そういった具体的な話をしていかないと、私は、今までと同じようなことをやっておってはなかなかこの水揚げ高を上げることは非常に難しいと思うんです。  特に資源管理型漁業の話が出ましたけれども、これはなかなか難しいんですよ。ノルウェーとかニュージーランドは非常に漁民の数も少ないし限られた中でやっておりますが、日本の場合、これだけ大きい水産国であって、資源管理をやるというのは非常に難しい。しかし、いずれはやらざるを得ないというふうに私たちは見ております。  そういう中で少し最近TAC制度を設けてやっておるんですが、本当にTACと、それから今TACの場合はオリンピック方式でやっていますけど、これを個別方式でやるということになってくると、今水揚げしている人たちは、それぞれ巻き網についても、底引きにおいても、これだけの水揚げでどうにか経営が成り立っているんですよ。それをあしたから幾らって決められてしまうと、正直言って、漁業というのは競争なんです、農業と違って、今そこにある資源をどう捕るかと。要するに、各船よりもたくさん捕ることによって、そしてどうにか経営がうまくいっているんだ。だから、随分格差があるんですよ、同じ漁場の中でも。  そういう格差の中でこの個別方式を取り入れるということになれば、ある一定期間は漁業補償せざるを得ないと僕は思うんですよ。そういう具体的なものを考えながらやっていかないと、今のままで、ただ意気込みだけあってこうやりますと言っても、ますます日本の漁業はこれからじり貧していくというふうに私は思っております。是非その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
  26. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のように、資源管理の問題について検討が急がれているといったような状況だと認識しております。  そのような状況を踏まえて、今月の二十四日に第一回目を予定しておりますが、資源管理に関する検討会を設けさせていただきまして、今、資源的に非常に問題になっておるクロマグロの問題でありますとか、それから日本海のスケソウダラの問題でありますとか、資源的にいろいろ問題になっているようなものを取り上げながら、まさにおっしゃるように、資源管理をどのようにやっていくのか、IQ制度というものを我が国でどのように考えていくのか、そのようなことについて議論を深めてまいりたいと思っております。  その過程でいろいろと議論を実現していくことになりますと、まさにおっしゃるような関係の業種、業態にいろいろと影響が生じる可能性がありますので、そのような影響につきましても、私ども、関係者の意見をよく聞きながら状況を見極めて適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 金子原二郎

    金子原二郎君 是非、どうしてもやっぱり思い切ったことをやるためにはお金が必要なので、そこはなかなか、水産庁長官も一生懸命にやっていただいているんですよ、燃油対策でも本当によくやったし。水産庁の皆さん方がやっても限界があるんですよ。これは日本の国全体で水産業をどう考えるか、地域の問題としてこの水産業をどのように捉えながら、どのような金を投入してやっていくかという大きな考え方でやらないと、正直言ってこれは水産庁だけでできるような問題じゃないです。  だから、私はあえて今日は林大臣にお尋ねをしておる。うちの部会でも絶えず言ってきましたけれども、なかなか部会だけでも簡単にいかない。やっぱり思い切った政策を打つためには、特に財務省の皆さん方が何か資源管理型をやれば簡単にできるように思っているんですよ。ところが、なかなかこの手続上難しい日本の漁業の実態というのを余り御存じない。役所が説明しても理解しない。そういう中で今日この日本の漁業の政策が行われてきているわけなんですから。  これはもう、林大臣、さっき猪口先生も随分褒めたでしょう、私も期待していますから。かつてのお父さんたちもみんな漁業を一生懸命やった方なんですから、是非これは思い切った政策を打っていただきたいということをお願いしたい。  そこで、たまたまマグロの未成魚の漁獲の制限が出ましたけれども、これだって地元と十分打ち合わせてやってもらわないと、大上段に構えて五〇%削減しますと言ったら、これで生計立てている人はどうしますか。その点、私は、農業と差があるのは、農業は今回減反やるにしても、減反のための政策をちゃんと打ち出してからやっている。漁業は政策を打ち出さないで一方的に物事を押し付けてしまうわけですから、ここもやっぱり改めてもらわなきゃいかぬ。これだけのものを削減したら、実際養殖している人たちも困るんですよ。そしてまた、そこを捕っている、また一般の漁船の方々も困る。だから、そこは十分に話合いしながらやって、そのための対策をどういうふうに具体的に打つかということを示してから本当は先を言わなきゃいけないんですよ。どうも水産業の場合はその辺について少し農業とは違うなというふうに、ひがみかもしれませんが、そういうふうに思っております。  それで、もう一つ、今一番やらなきゃいけない問題は燃油対策なんですよ。いろいろな政策を打ったって、だって漁船が操業に出なきゃどうしようもないんですから。盛んに水産物の輸出といって大臣もおっしゃっていますけれども、輸出する魚が捕れなかったら何もないんですから。そのためには、この燃油対策というのが今一番緊急の課題なんです。本当に長官始め皆さん方の努力で、今回新しい対策を打っていただきました。しかし、これは十分じゃない。  特に、今セーフティーネットで、皆さん方にお配りしている表を見ていただくと、これ補填額の価格の設定が、要するにだんだんだんだん輸入単価が高くなっていくと漁民の手取りが少なくなっていくんですよ。漁民の手取りが少なくなっていくので、せっかく今ここまでこういった対策を打っていただいているのが、もう二十六年になったら逆に漁民に対する補填額が減っていくわけなんですよ。これはどんどんどんどん燃油が上がっていけばますます減るわけなんですよ。この仕組みでは、正直言って漁船漁業は救えない。だから、例えば五万円なら五万円に設定して、それから上がった分については補填するという考え方で財務省を説得しないと。  こういう状況が続いていったら、恐らく日本の漁船は壊滅的な打撃を受けますよ。もういろいろな政策なんかは必要ないんですよ、ある意味では、今。今一番やらなきゃいけないのは、もう漁港も造らなくていい、港も要らない、ほかの政策も要らない。燃油対策なんですよ。思い切った燃油対策を打たないと、恐らく沖合漁業は全てもう漁に出られなくなってしまう。この辺を是非考えていただくように、大臣、最後に一言お願いします。
  28. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさにこの燃油対策につきましては、この漁業経営セーフティーネット構築事業をやらせていただいて、さらに二十五年の七月から、これは与党でも随分御議論いただいて、価格上昇分の四分の三を国が補填する特別対策、二十五年度補正でさらに省燃油活動推進事業、こういうものを含めた新規事業をやらせていただいておるところでございます。  今委員がおっしゃったように、七中五というのをずっとやっていきますと、だんだんだんだん張り付いてきますので、値段がどんどんどんどん上がっている局面では、七中五、前のところが効いてきますから、ある程度の額が出るわけでございますが、ずっと高止まりしていきますと、だんだんだんだん近づいてくると。  こういうところは、もう与党の御議論でもいただいておったところでございまして、そういうところも併せて、この間新規事業ということで構造改革に対する支援ということも新たに打ち出したところでございますが。今委員がずっとおっしゃっていらっしゃったように、漁業者の皆様が安心して漁に出かけていただくように、これが大事だと、こういうふうに思っておりますので、今の仕組みも一定の評価をいただいておりますし、それから加入者もどんどん増えてきているということも聞いておりますが、さらにこの燃油の動向、それから為替の動向もあると思いますので、こういうものを見守りながらしっかりと政府・与党で議論を続けていきたいと、こういうふうに思っております。
  29. 金子原二郎

    金子原二郎君 最後に一言。
  30. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) もう時間が来ておりますので、まとめてください。
  31. 金子原二郎

    金子原二郎君 セーフティーネットの加入者が増えているというのは、今回の八十億の対策があるから増えているんですよ。ところが、結果的には、これが本当に単価が少なくなっていきますと大変なんですから。これはもう長官はよく分かっているんだよ。でも、財務省が対応できないんだから、大臣がやらなきゃ。大臣がやっぱり本当に日本の漁業を守るという気持ちでやっていただくことを強く要望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  32. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  ただいま、水産に関わる金子先生の発言を、あるいは質問を大変興味深く聞いておりました。大臣のいわゆる予算に関わる説明、そして予算額も少ないという、そういうお話でございましたけれども、実は、私も長年参議院の農林水産委員会に所属をしておりまして、議事録の水産に関わる部分も少ないということを大変気にしておりました。今国会、どこまでできるか分かりませんけれども、山田筆頭理事とも工夫をさせていただいて、関心の高い議員において、漁業、水産、しっかり議論させていただければというふうに思っているところであります。  私の地元の北海道も大変水産も重要なところでありまして、また、今日御示唆をいただいたのは、漁業と一口に言っても大変多種多様にまたがっていて、一言で言い表せないのが漁業だ。養殖、沿岸、沖合、そしていわゆる国土をしっかり守っていただく多面的機能としての漁業者、あるいは離島、大変重要な中身でありますので、今後しっかり議論をさせていただければというふうに思っています。  今日は私は、この説明の中でいうと九番から、第九からスタートをさせていただきますが、一から四、あるいは六、七、これは今国会には大変大きな法案がかかっていますので、我が国農業農村の根幹に関わる法案でありますので、しっかりと腰を据えた議論を後の法案のときにさせていただきたいというふうに思っています。  予算説明がありました。二兆三千二百六十七億円、これは決して少ない数字ではありません。国民はこの大きな数字に何を期待をしているのでしょうか。私は、国民が我が国においての食料安全保障と食の安全に対する期待を農林水産省に対して持っているから、これだけ大きな予算農林水産省に使っていただいてもいいと国民が理解をしているのだと思っています。そういった意味合いから、食料安全保障、食の安全は、その期待とニーズはますます高まっていかなければならない、そういう情勢だと認識をする次第であります。そんなところから議論のスタートをさせていただきたいと思います。  食の安全を脅かすイシューといえば、やはりTPPの議論だと思います。毎度毎度この委員会でも議論させていただいているとおり、TPPの議論農産物の関税の話ではありません。食の安心、安全に関わる重要なファクターがこのTPP交渉の中に、あるいはその先に含まれています。衆参の農林水産委員会でも、TPP交渉に際してはそこに着目をして、多分二項だったと思いますけれども、食の安全に留意するべく、いわゆる政府に対しての委員会決議を項目立てしているところであります。  そんな中で、私たちもよく演説で使うのは遺伝子組換え、ポストハーベスト、これはいわゆるところの決議の項目に入っておりました。しかし、なじみのない言葉かもしれませんし、まだ科学的、学術的に解明をしておられない分野かもしれませんが、いわゆるところの畜産、酪農においての牛の成長ホルモン、特に消費者団体の方々や子供を育てるお母さん方から大変高い関心と懸念が私どもの方にも多数寄せられています。  食品安全委員会や厚生労働省や複数の行政機関が関わる案件だということは承知しておりますけれども、我が国農林水産省において牛の成長ホルモン等についてどういう現在までの認識をお持ちなのか、そして日本における規制やヨーロッパにおいての規制やアメリカ合衆国での規制など、どういった特徴があるのか、御認識を伺えればと思っています。
  33. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 牛の成長ホルモンについてお尋ねをいただきました。  申すまでもなく、安全な食品を安定的に供給するというのは国の責務ということでございます。成長ホルモンに関しまして各国での規制状況ということでございますが、EUでは使用が禁止されております。アメリカでは使用が認められております。日本の場合には、薬事法に基づく承認申請というのがあれば認められる可能性はありますが、現時点では申請がございませんので、成長ホルモンは国内では使用されておりません。  それから、食品のホルモン剤を使用した牛肉の安全性ということでございますが、これにつきましては、厚生労働省におきまして、食品衛生法に基づいて、安全性を評価した上で残留ホルモン剤の基準を設けているというふうに承知をしております。  以上でございます。
  34. 小川勝也

    ○小川勝也君 日本国内では使用されていないということでありますけれども、米国では使用されているということになります。そうしますと、米国産の牛肉等が輸入されるわけでありますので、あるいは米国産の牛肉あるいは乳製品ということで、日本国民が成長ホルモンを含んだ食品を食べるケースはあるということで認識してよろしいでしょうか。
  35. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 米国産の牛肉を育てる際に成長ホルモンは使用されている場合がございますので、その結果、それによって育てられた牛肉を日本人が食べるということはあり得ることでございます。  ただし、最初に申し上げましたとおり、残留に関しましては厚生労働省が基準を決めております。例えば、ホルモンの中でも、天然型といいまして、自然に牛が自分の体内でつくるホルモンというのもございます。こういったものにつきましては、その自然な状態と同水準というふうな基準を決めたりしておりますので、それも含めて、識別はできませんけれども、そういったホルモンを間接的に摂取する可能性というのはあり得るというふうに考えます。
  36. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、アメリカ産の牛肉が一概に悪いと言っているわけではありません。そして、薬事法というのはしっかり国民の安心、安全を守ってくれているというふうに確信をする次第でありますけれども、いわゆる科学技術がどこまで進歩していくのか、そして資本主義がどこまでいわゆるビジネスを加速させていくのかということを考えたときに、私たちは、効率、あるいはもうける、あるいは豊かな暮らしをどこまでしていいのか、そして何かを犠牲にする必要があるのかないのかということに常に気を遣いながら生きていかなければならないということを共通認識にこの委員会皆さんにしていただきたいので、こういう話題を提供させていただきました。  遺伝子組換え、ポストハーベスト、成長ホルモン、そして様々な添加物、これがいわゆるところの食をどんどん変えてきた歴史であります。私たちの国は世界に冠たる長寿国であります。しかし、私たち、あるいは次の世代、日本の平均寿命はどうなっていくのか、様々な有識者がいろんな議論をしています。当然のことながら、iPS細胞だとかいわゆる医療の進歩も科学技術の進歩も期待できます。がんに対する治療法も画期的に進んでいくのかもしれません。  しかし、大臣の御説明の中にもありましたように、日本食文化はすばらしいんだ、だからこれを輸出するんだと、こう書いてあります。その食文化によって今長寿を享受しておられるのは我々の大先輩であります。しからば、私たちの次の世代やその次の世代はどういう食を今しているんでしょうか。様々なおいしいもの、誘惑にあふれています。その中には様々な添加物等が含まれていると言われています。かつて、先輩方は砂糖あるいは甘さに飢えていた時代がありました。しかし、今の現代の食文化は、油、甘いもの、これをたくさん摂取する食文化に変わってまいりました。  やはり、安心、安全というキーワードからつかさどる、そう考えたときに、この分野は、冒頭申し上げましたとおり、他省庁との様々な関わりがある分野でありますけれども、私たちの国の国内で安心、安全の農作物が、そして水産物が作れるんだ、捕れるんだ、提供できるんだということをしっかり国民に告知をしつつ食の安全の関心を高めていただき、そして国内の農産物や水産物がいかにすばらしいかということを国民に再認識をいただくために、農林水産省においてはもう一段の大きな仕事をしていただきたいと期待をさせていただく次第であります。  そして、もっと心配なのは遺伝子組換え大豆の案件です。実は、大豆はいろんな側面があります。一つは、聞きかじりですけれども、大豆というふうに聞いたときに、ああ、家畜の餌だなというふうに思っておられる国民も多いと思います。しかし、私たちの国民は大豆とともに生きてきました。米、みそ、しょうゆという言葉があって、その三大食べ物のうち三分の二を大豆が占めています。米と同じぐらい大豆を大事にしてきたのが私たちの国であります。  そして、食料の安全保障ということを冒頭申し上げました。まずは、いわゆる炭水化物、熱源を考えるのが当たり前ですし、そのことを中心に農林水産省も政府も我々も考えてまいりました。餌米の政策などというのはまさにそのとおりだと思います。餌米があれば国民はいつでも食べることができる、だから食料安全保障の最たるものです。これは同僚議員の聞きかじりですけれども、シンガポールではやはりたんぱく質も食料安全保障の大事なアイテムだと位置付けている、こういう話を伺いました。冒頭申し上げましたとおり、諸外国やほかの国の人たちに比べても、我々の国にとって大豆は重要です。ですので、やはりもっと大豆の自給率も上げていくべきだと私は考えているところであります。  これは、二つの質問に分けてお聞きしたいと思います。まずは遺伝子組換えの大豆、これはどのぐらい輸入しているのか、あるいは食用油の原材料としてあるいは製品として入ってきているのか。農林水産省としてどのぐらい把握しているのか、お尋ねしたいと思います。
  37. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。  食用油の原料として、大豆が約二百万トン、それから菜種が約二百四十万トン使用されております。これは平成二十四年の数字でございますけれども、そのほとんどが輸入をされた遺伝子組換え作物となっていると承知しております。
  38. 小川勝也

    ○小川勝也君 この遺伝子組換え食品の問題も、いわゆるTPP交渉の中ではどういう議論がなされているか分かりませんけれども、科学的知見に基づいてということで、いろんな議論が水面下でなされているのかと拝察します。特に今申し上げましたように、遺伝子組換えによらないもので食を満たすことができれば、なるべく我が子にはアクセスさせたくないなと思っている親御さんは多いんじゃないかなというふうに思っているところであります。  しかし、飼料といわゆる食用油の原材料、これは我が国のいわゆるアキレス腱でありまして、一番国産自給率が低い分野であります。すぐさまこの食用油の全てを国産にということには大変高いハードルが待ち受けていると認識をする中で、せめて、みそ、しょうゆ、納豆、豆腐、この部分ぐらいの大豆は、先ほど申し上げました理由から、自給率を上げてなるべく国産のもので賄えたらいいなと私は思っているわけであります。  民主党政権でも麦と大豆のいわゆる自給率向上政策、しっかり対応してきたと思いますけれども、林大臣農林水産省大豆の自給率向上についてどういう工夫をなされるつもりか、お尋ねをしたいと思います。
  39. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 小川先生の御質問にお答えいたします。  今先生から御指摘いただきましたように、この大豆につきましては、我が国水田を有効に活用して食料の自給率あるいは自給力の向上を図る上で非常に重要な戦略作物だというふうに考えておりまして、需要を確保しつつ本作化を進めていくことが大事かというふうに思っているところでございます。  この国産大豆でございますが、いわゆる国内の食用の需要に対する使用割合というのは、これは二割にとどまっておりまして、ただ、実需者の間からは高く評価されておりまして、我が国の食生活に欠かせない豆腐あるいは納豆、みそ、しょうゆといった和食文化を形成する各食品食品加工用原料として使用されているわけでございますが、いかんせん湿害やあるいは連作障害、こうしたものによりまして生産が不安定、あるいはロットごとの粒ぞろいを見ますと、やはりなかなか課題があるといったような状況になっております。  このため、平成二十四年度の補正予算でございますが、大豆・麦等生産体制緊急整備事業というのを措置しまして、この大豆の本作化を進める上で必要となります生産性向上に資する機械の導入、あるいは圃場条件の改善、土壌改善といったものについて積極的に支援してきているところでございます。  また、今後でございますが、今回、米政策の見直しの中で、水田フル活用ビジョンといったものをまた作っていただきまして、大豆産地づくりをするといったことを考えているほか、二つほど新規の予算を計上しておりまして、一つは、新品種・新技術活用産地育成支援事業というものでございますが、これは、生産者、そして実需者、そして試験研究機関、あるいは地方公共団体等がコンソーシアムを形成いたしまして、新品種等の特性、有用性の分析評価、あるいは現在普及している主要な品種より生産性が高くかつ加工適性が優れた品種、こうした品種の栽培実証、こういうことを行うこととしているところでございます。  また、もう一つは、大豆・麦・飼料用米等生産拡大支援事業といったものも、これも二十六年度予算案の中で計上しておりますが、先ほど申しました機械化体系や排水対策、あるいは生産拡大に資する技術導入等、こういったようなものを今回の予算の中で措置しているところでございまして、さらに、強い農業づくり交付金によりまして、ロットごとの粒ぞろいの均質化や大ロット化による品質の改善のための乾燥調製施設の整備、こういったものを積極的に推進していく考えでございます。
  40. 小川勝也

    ○小川勝也君 やはり、今御答弁の中にもありましたとおり、日本食文化世界の人に広めよう、理解していただこうというときに、日本食文化をつかさどる大豆が輸入大豆だと、これはしゃれになりませんので、やっぱり自給率は高めていくべきだと思いますし、また、数年前からアマゾンの開発で大豆を生産しているという、そんな番組も見せていただきました。まさに世界戦略作物の一環に大豆が組み込まれていることと、我が国は少子化でありますけれども、世界の人口は引き続き増えているということを考えると、やはり大事なアイテム、大豆を含む自給率を高めていく、これは大事な施策だろうというふうに思っているところであります。  さて、大豆の自給率も上げる、それから、飼料用米のいわゆる増産体制を政府が決めました。これは先ほど申し上げましたとおり、二法案の審議の中で餌米対策の話はしっかり議論させていただこうと思っています。これも大事なことだと思います、飼料の自給率の向上。しかし、私は自虐的にいつもこのネタを使うんですが、どれだけ頑張っても、いわゆるところの中東等からの原油、石油が運ばれてこないと、私たちの国の農業はほとんど機械化ですので、農業用機械が動かなければ自給率はほとんど維持できない。これが私たちの国のもう一つのアキレス腱であります。  いわゆる、一九七〇年代のオイルショック以降、大変備蓄ということでいうと世界で最高水準の国であります。しかし、私は、自分が小学生の頃から、世界の原油はあと何年で枯渇するというふうに習ってまいりました。すぐさまなくなるとは思っていませんけれども、未来永劫、化石燃料に依拠する農業、ましてや、私たちの国では原油生産ができないわけであります。これはいかがなものかと私は思うわけであります。  技術開発関係のセクションの方にもお伺いをしたいと思いますけれども、例えば私たちの国は、この間申し上げましたように、石油は掘れないけれども、日本列島に木が生えている、昔は木炭バスも走っていたわけでありますので、いわゆるところの木質で農業機械や移動用自動車、あるいは林業用機械が動かないわけはない。  それともう一点併せてお伺いをいたしますが、北海道の十勝地域バイオマス産業都市構想の中に組み入れていただきました。ここには、木質バイオマスの振興と相まって、いわゆる家畜ふん尿を生かしたエネルギー開発、これは発電、売電含むであります。ここも、木質からのエネルギーあるいは家畜ふん尿からのガスを移動用手段あるいは農業用機械に利用する、大変困難が伴うかもしれませんけれども、夢のある私は開発だと思います。  農林水産省技術開発予算の中で、そういった分野ではどういった扱いを受けているのか、どのぐらい可能性が高い分野だと認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  41. 雨宮宏司

    政府参考人(雨宮宏司君) お答えします。  化石燃料に頼らないバイ燃料などの技術開発についての御質問でございますけれども、これまで廃食用油からのバイオディーゼル燃料、あるいは糖質、でん粉からのエタノールの製造技術の研究開発が行われてまいりまして、技術的にはこれらの分野では一定の成果が得られたものと認識をしております。  御質問の木質系バイオマス等地域資源活用する燃料開発でございますけれども、委託プロジェクト研究におきまして、間伐材などの林地残材を熱分解をしまして、バイ燃料等を林地内で製造できる可搬型の装置の研究開発に現在取り組んでいるところでございます。引き続き、化石燃料に依存しない技術の開発を進めてまいりたいと考えております。
  42. 小川勝也

    ○小川勝也君 引き続き、可能性がある分野であれば、しっかりと対応していくべきだと思っています。  もう一つの家畜ふん尿の方はどうでしょうか。
  43. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 小川議員が御指摘のとおりに、この家畜排せつ物の利用を推進するということに関しましては、いわゆる畜産農家の経営安定に資すると私どもは考えておりまして、エネルギー源としての有効活用の面からも極めて重要な取組だと認識をいたしております。  この家畜排せつ物並びに木質、食品廃棄物等の地域バイオマスを活用した産業創出と地域循環型エネルギーシステムの確立を目指すバイオマス産業都市につきまして、先ほど十勝地方と御指摘もいただきましたけれども、今年度から七府省で共同で構築推進をしておりまして、昨年六月には北海道十勝地域を始め全国で八地域バイオマス産業都市として決定をさせていただきました。  今後も、地域段階のバイオマス活用の構想作りや、地域における家畜排せつ物の利用施設整備への支援を行いまして、家畜排せつ物をエネルギー源として活用する地域循環型の取組推進してまいりたいと存じております。
  44. 小川勝也

    ○小川勝也君 副大臣から御答弁をいただきましたとおり、これ畜産といわゆる排せつ物は切っても切れない関係でありますし、これは様々な悩みを抱えておられる方が全国におられると思います。牛にかかわらず、豚を飼育しておられるところにつきましても大変大きな悩みであります。そして、その悩みは全世界共通であります。ですから、何とかその家畜排せつ物、臭いの問題も含めてでありますけれども、環境に配慮してエネルギーを取る、そしてそのことが輸出戦略になれば一挙両得をはるかに超えるかと思っています。  ましてや、この国会には養豚振興に係る議員立法の法案も準備されているようであります。この養豚業の悩みも家畜ふん尿であります。これがエネルギーに変わるようになれば、私は、様々な革命が起き、そして輸出振興にもなると思っておるところであります。  そしてまた、お答えをいただけませんでしたけれども、いわゆるメタンガスを利用して自動車を動かす、あるいは発電をする、そういったエネルギー利用についてはどういうところまで研究がなされているんでしょうか。
  45. 雨宮宏司

    政府参考人(雨宮宏司君) 家畜排せつ物のバイオマス利用に関しての研究の現状でございます。  家畜排せつ物などの廃棄物をガス化をして発電あるいはその熱利用を行う、農林バイオマス二号という研究が、成果がございます。また、地域でのバイオマス循環として家畜ふん尿からのメタンガスを車両燃料等へ活用する研究というのも行ったところでございます。
  46. 小川勝也

    ○小川勝也君 これはまだ実用段階の相当手前だと認識をしておりますけれども、各府省が、今、副大臣から御答弁をいただきましたようにバイオマスに関わっていただいております。すなわち、農林水産省だけが家畜排せつ物をバイオマス利用するという関係ではありませんので、私はそういう省庁の連関から、例えば、特区という言葉は私は余り好きではありませんけれども、この特区という考え方を生かして、そういう地域であれば、まだ開発途上であるけれども、安全性を確認した上でメタンガスを利用した自動車等を走らせ実験をするというような場所があっても私はいいのではないかなというふうに思っているところであります。  未来、輸出に係ることと、いわゆる、再三の発言になりますけれども、家畜排せつ物は、日本のみならず世界の共通の悩みでありますので、最も合理的な再利用、そして化石燃料に頼らない世の中に一歩でも近づくということは人類社会に対する貢献だと思っています。今後ともしっかりと開発予算等、お願いをしたいところでございます。  次に、いわゆるところの三・一一、東日本大震災からの復旧復興に係る質問をさせていただきたいと思います。  多分、議員の方々の中には定期的に被災地を訪問されておられる方が多数おられると思います。安倍内閣総理大臣もその一人だと思います。また、私も、様々な関わりを持った方々にいろいろな相談を受けていた関係もあり、定期的ではありませんけれども数度にわたって被災地を訪問させていただきました。また、三年が経過をいたしましたけれども、少し福島県も落ち着いてきたのかなというふうに感想を持っているところでありました。しかし、一年目は本当に大変でした。  農林水産省に関わる案件で申し上げますと、特に森林分野のバーク、丸太、チップ、それからいわゆるところの立っている木ですね、どういった形でその業が停滞したものをどうすればいいのか、どう処理すればいいのか、そして東電からいつどういう補償を得られるのか、大変沈痛な中に相談を受けたわけであります。  言うまでもなく、放射性物質で汚染されたものを簡単に処理できるわけはありません。その後、一つ一つ全てウオッチしたわけで私はありませんので、今の現状をお伺いしたいわけでありますけれども、いわゆるところの三年前に放射性物質で汚染された野積みされていたバークやチップやあるいは丸太、あるいは立っている木、その後、林業や木材産業がどうなり、あるいは、いわゆる原賠法に基づいて賠償がどの程度進んでいるのか、そして、その間にあって農林水産省や林野庁がどういう働きをしてきたのか、御答弁をお願いをしたいと思います。
  47. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 小川議員が御指摘のとおりでございまして、この森林所有者等が事業量の減少などによりまして、営業損害や森林の財物価値、今もるる申し上げていただきましたように、減少による損害を受けております。  このために、農林水産省は、今まで森林所有者が早期に損害賠償が受けることができますように、今県や関係団体への情報提供や、あるいは東京電力を交えて意見交換を行う連絡会議の開催を東京電力へ働きかけを行ってきたところでございます。  そして、この林業、木材関連全体の現時点での営業損害、これは森林組合が事業ができなかった部分、この営業損害に対する賠償請求額が三百億円程度でございます。これに対する支払率は八割となっております。主にこの三百億円の中でシイタケでございます。  一方、森林の財物価値の減少についての賠償基準でありますけれども、現在も東京電力と地元関係者の間で調整中の段階にありまして、引き続き、森林の財物価値、ただいま御指摘をいただきましたように、立木、さらには不動産等々でありますけれども、この賠償基準の早期策定を東京電力に強く今後とも働きかけてまいりたいと存じております。  以上でよろしゅうございますか。
  48. 小川勝也

    ○小川勝也君 ちょっと副大臣に難しい質問をさせていただきたいと思いますが、鋭意御努力いただいてここまで来たのは十分承知をしています。数字でお答えをいただくというのは大変難しいと思うんですけれども、いわゆるあるべき完成形、ゴールを一〇〇としたときに、現在までのところ何%ぐらいまで進捗したというふうに表現できますでしょうか。難しい質問だと思いますが。
  49. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) その数字をお示しするのはかなり難しいと思いますけれども。例えば分野ごとの損害賠償の進捗状況を見ますと、森林組合等の林業に係る営業損害関係につきましては、事業量が減少するなどの損害につきまして約二十九億円の損害賠償請求が行われて、現在の支払率が八割程度。さらに、先ほど言いましたけれども、原木シイタケの出荷規制等の影響により生じた損害について約二百二十三億円の損害賠償請求が行われているということであります。  そしてまた、先ほど申し上げましたように、財物価値の減少についての賠償基準が、今後とも東京電力に強く働きかけてまいりたいと思っておりますが、この点が賠償基準の早期策定を急がなければならない部分でありまして、これも含めると何割進んだかということはなかなか難しいかなと思っております。
  50. 小川勝也

    ○小川勝也君 ここでちょっと大臣にお伺いをいたしますけれども、というか、お答えと決意だけいただきたいと思いますが、大変な三年を経て、今、吉川副大臣から御答弁をいただいたように、少しずつ明るい兆しが見えてきています。そして、本当に木を切って出荷したかった方々もその仕事ができませんでした。しかしまた、福島の木がどれだけ安心、安全なのかという消費者からの疑念もあったでしょう。しかし、それをしっかり乗り越えなきゃいけないと思います。  福島の森林・林業・木材産業をしっかり三・一一の前に戻すんだと、それを、林大臣、しっかりやるんだということを御答弁をいただきたいと思います。
  51. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今、副大臣と小川委員の間でいろんな数字のやり取りをしていただいたわけでございまして、おっしゃっていただいたように進んでいるところもあると。こういうところでございますが、まだまだ風評被害も含めますと三・一一の前という状況には至っていないということであろうかと、こういうふうに思いますので。復旧という言葉と復興という言葉がありますが、復旧する、旧に復するだけではなくて、これを一つの契機としてそれ以前よりも新しい段階に行くというのが復興の意味だと思っておりますので、そういうところを目指していけるようにしっかりと努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  52. 小川勝也

    ○小川勝也君 続いて、酪農、畜産や耕地農業についてもお伺いをしたいと思います。  センセーショナルに報道もされたので多くの委員皆さんも御承知おきだと思いますけれども、汚染された稲わら、堆肥、牧草の処理が全然進みませんでした。私たちも政権をお預かりしていたときでありますので、様々な働きかけをさせていただきながら大きな困難に直面をし、大変つらい思いを共有化した思いでございます。  当時、放置された稲わらや堆肥や、あるいは餌、牧草、これどういうところまで今処分が進んだのか、処理が進んだのか、御答弁をいただければと思います。
  53. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。  汚染牧草等の処理状況でございますが、まず汚染牧草でございますが、これまで約十二万トン発生しております。そのうち約五・六万トンをいわゆる農地にすき込む、あるいは焼却等により処分しておりまして、残り六・四万トンが一時保管されていると、このような状況になっております。  また、汚染稲わらにつきましては、これまで約七千百トン発生いたしまして、そのうち約三百トンを、これを焼却等により処分しております。また、残り六千八百トンにつきましては一時保管されているという状況に相なっているところでございます。  そして、汚染された牛ふんの堆肥でございますが、これまで約十五万トン発生しておりまして、そのうち三・五万トンを還元利用や焼却等により処分いたしまして、残り十一・七万トンにつきましては一時保管されていると、このような状況に相なっているところでございます。
  54. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは福島の原子力発電所事故に遭った大変な地域だけではなく、宮城県においても、あるいは岩手県においても復旧復興が思ったように進んでいないと私は思っています。しかし、一生懸命やっていただいているのは分かっておりますので、いたずらに進んでいないじゃないかというふうに批判をするつもりは毛頭ありません。  しっかりといろんな意見に耳を傾けていただいて、地域皆さんが目指したい方向性をしっかり加味して一日も早いやっぱり復旧、そして大事なことは、農業の方々は農業をやっていただくということだと思うし、漁業の方は漁に出ていただくということ、水産加工場があったところは早く一日も再開してもらうということが大事だと思います。ですので、これは福島県地域においても大変な困難がまだ横たわっているのは重々承知しておりますので、その困難を一つ一つしっかりと解決に向けて御助力をいただきたいと思います。  さて、民主党のメンバーで福島にもお邪魔をしてまいりましたし、郡山で党大会を開催をした関係から、私たちもいわゆる福島県の農業の回復傾向にも接してまいりました。郡山から、もう全袋検査で安心にお墨付きをいただいて出荷される米、これも見てまいりました。しかし、私がかつてお邪魔をした南相馬市などではまだまだ風評被害があるというのが事実であります。そしてまた、お米も含めて、やはり福島県産だからということで、風評被害がゼロではないので価格を足下を見られていまだ回復できていない、価格を取れていないという話があります。  福島県においての野菜や生産物の風評被害、どこまで回復したという御認識なんでしょうか。
  55. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 手元に資料がございませんが、今、先ほど先生の方からお話ありましたように、お米につきましては全袋検査ということで二十五年産につきましてはほとんど、出ているものは二桁台ございますけれども、二十袋か三十袋程度だと思いますが、かなり減ってきておるというのが事実でございます。  それと、また、畜産物価格につきましても、どうしてもほかの東北の県に比べまして一定の価格差が現在生じておるといったものがございますが、以前よりは少なくなっておるというふうに考えているところでございます。  野菜等につきましては、値段的に、これも野菜類につきましては超過割合でございますけれども、二十五年度につきましてはゼロ%というようなセシウムの検査結果に相なっているところでございまして、以前に比べればよりだんだんとそうしたものが実態的には少なくなっておるという事実はございますが、ただ、さりながら、先ほど申し上げましたように、畜産類を中心といたしましてまだまだそこの部分について風評被害的なものはあるといったようなことは事実としてあるというふうに考えているところでございます。
  56. 小川勝也

    ○小川勝也君 結局、生産が再開しているところもありまして、当然、放射性物質は基準検知以下なんですけれども、思ったほど値段が他産地と同じだけ取れないという、こういう悩みがある。共通だと思います。  そんな中で、地元からの要望も多分あると思います。いろいろな取組が必要だと思います。一つは、やはり施設型のいわゆる園芸作物ですね。そうしますと、セシウムがハウス内の土には全くフリーというか、別なところから持ってきた土によって栽培するということを表に訴えるとか、あともう一つは、地元に関心がある方がおられました、エネルギー作物を、これは風評被害が出ない分野であります、ですから、エネルギー作物を作ることによって農業を再開する、これをいろいろと意識して運動されていた方もおられるかと思います。  こういったハウス施設を使った施設園芸や、あるいはエネルギー作物の振興について、被災地に対して農林水産省としてどのような配慮をしてきて、これからはどのように取り組もうと考えておられるんでしょうか。
  57. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、必ずしも福島ではございませんが、私が見に行きました、これは宮城県だったと思いますけれども、やはり塩害で、水田、なかなかこの除塩が難しいということで、その上にイチゴのハウスを建ててやっていこうと。こういうような工夫もされておられて、そこはたしか実証実験ということで農水省予算が入ってかなり先端的な取組をやっておられると、こういうこともございましたが。いろんな現地の要望、今委員がおっしゃっていただいたように、一年目、二年目、三年目とずっと同じ要望かというと、だんだんだんだんこのフェーズに従って要望の変わってくるところもございますので、こういうところをきめ細かくお聞きしていきたいと、こういうふうに思っております。  今お話のあったエネルギー作物についても、風評被害がどうしてもゼロにならないという御懸念から資源作物の取組を検討されているということを聞いておったわけでございまして、一度委員会で小川委員からもお話しをいただいたこともあったと思いますが、福島県では、バイオマス活用検討委員会、こういうものをつくっていただいて、二十四年の十一月に第一回、二十五年の五月に第二回、昨年の十月に第三回開かれまして、避難指示区域における農地活用した資源作物の生産及びエネルギー化に関する方針、こういうのを一応出されておられます。あるいは御覧になっておられるかもしれませんが、ここでは、事業採算制、それから作物残渣の処理、こういう課題があるということが分かってきたということで、この方針そのものは、なかなかそういうところがあって対象地域での実用可能性は低いと、こういうふうなレポートになっておりますが。  さはさりながら、この全体の再生、復興、我々全体として取り組んでいかなければならないと、こう思っておりますので、さらに、じゃ、ハードルがあれば、どういうことをやればこのハードルを越えていけるのかということも含めて、こういう資源作物を含めたいろんな可能性について、引き続き県や地元の関係者の皆さんと意見交換をしながら対応可能な方策を探っていきたいと、こういうふうに思っております。
  58. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございます。  何でもかんでもやればいいというものではありませんので、やはり実証試験をしていただくについても可能性の高いものをやっていただくのがこれ当然筋だと思います。しかし、大臣からもお話がありましたように、除染に効果があるという話もいろいろ有象無象あります。これはちょっと難しい話が多いなと私も理解しています。しかし、今、津波に浸食された農地の除塩に効果がある作物も、いろんな情報があるわけであります。そして、一番申し上げたいのは、やはり農業者の方々は、農業をして体を動かして作業をしていただいて、いわゆるお金を稼いでもらう、このことが非常に大事だということを申し上げたくてこの質問をさせていただきました。  当然のことながら、有象無象いろいろ切り捨てなければならないのは分かっています。しかし、地域農業関係者がこれを取り組んでいこうということであれば、なるべく間口を広げていただいて、地域の方々が目をらんらんとして取り組んでいただけるような、そういった御配慮と施策の提示をお願いをしたいと思います。  そんな中で、今大臣にも御答弁をいただきました資源作物、エネルギー作物は大変条件が整えばいいプランだと思っておりますので、知恵を絞っていただければと思います。  私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
  59. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方からは、まず、本日の予算説明の中でも第五番目の柱として挙げていただきました日本食食文化魅力発信について、私としても大変個人的な思い入れが強いプロジェクトでございまして、御質問させていただきたいと思います。  先週の大臣の御答弁の中でも、おすしがこれだけ世界中で売れるようになった、食べられるようになったということを実感を持ってお話しになってくださいました。私も全く同感でございます。  私が初めて海外に行きましたのがおよそ二十六年前、一九八八年のことになるんですけれども、中学二年生のときにロサンゼルス近郊にホームステイに二週間行ってまいりました。その最後に、このホストファミリーの皆さんに、お世話になった十家庭ぐらいがあるんですけれども、そこにフェアウェルパーティー、お別れパーティーということで、私たち日本人の学生が手巻きずしをみんなでたくさん用意して、皆さんに食べていただこう、ホストファミリーの方たちに、十家族ぐらいでしたけれども、そういう準備をしたことがあるんですけれども、実はこの二十六年前、用意した手巻きずしにほとんど手を付けていただけませんで、作ったものが全部残ってしまった。何でだ、作った腕が悪かったのかなと思っていろいろ聞いたわけですけれども、結局、私たちには生の魚を食べる文化がないんだ、私たちはそもそも試してみようと思わないというように言われてしまいました。大変残念に思ったのをすごくそのとき強く思っております。  それから本当に月日が流れまして、もう今や世界中本当にどこに行ってもおすしが食べられる、日本食が食べられるようになりました。また、私も見付けるたびにちょっと寄ってみて試してみるわけですけれども、日本食あるいはおすしのレベルは本当に上がってきております。本当に時代が大きく変わりつつあるんだなと。そしてまた、昨年のユネスコ世界無形文化遺産、和食登録ということ、さらには健康食ブームといったものも受けて、日本食に関する関心が今大変高くなっております。  そこで、実はこれはもう昨年一度お伺いしていることでもあるんですけれども、改めて確認の上でお伺いしたいと思います。  現在、海外における日本食レストランの数、一体どのくらいあるのか、また最近どの程度のペースで増えているのか。そしてさらには、私、この日本食レストランの数といったものは、今後、農水省としてもしっかり日本食魅力を知っていただく上での重要な指標としてしっかり推進していく、追いかけていくものだと思っているんですが、指標として使っているのかどうか、御答弁をお願いいたします。
  60. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員の貴重な体験をお聞かせいただきまして、二十六年前でございますでしょうか。私はちょうど二十年ちょっと前ぐらいに留学をしておったときに、まあこれはボストンでございましたけれども、日本人が手巻きずしを作るので、それを買ってくる、需要があるものですから、港の近くにはそういうものの専門のカットをしていただくお店があったので、ああ、なるほど、あれ買ってきてうちでは食っていたけれども、外国人にもう少し勧めてみれば良かったなと、こういうふうに思って聞かせていただいておりましたが。その後、今の状況は、先生がおっしゃるように、もうどこへ行ってもおすし、この間もベルリンでレセプションをやったらもう長蛇の列ができて非常に皆さん重宝がられているということで、隔日の感があるわけですが。  お尋ねのレストランの店舗数ですが、これはあくまで推計でございます、外務省の協力を得て農林水産省が推計したところでは、海外における日本食レストランの店舗数、二〇〇六年に約二万四千店であったのが、二〇一三年三月には約五万五千店と七年間で倍になっていると、こういうことでございます。日本農林水産物食品輸出環境の整備、食の関連企業の海外展開、こういう意味からは、この日本食レストランの店舗数の増加は日本食の裾野が広がっているという意味で歓迎すべきことであると、こういうふうに思っておりますが。  冒頭申し上げましたように、猪口先生の質問のときに、FBI戦略で一体として水産物・食品輸出食文化普及を進めていこうということにしておりまして、政策の指標という意味では、店舗数そのものではなくて、平成三十二年、この輸出額を一兆円と、これが政策の指標、目標ということになっておるところでございます。
  61. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  この指標として、ゴールとしては一つ設定する上で一兆円あるわけですけれども、そこに至る中間指標として是非この日本食のレストランの数、追いかけるだけではなくてある意味どうやって伸ばしていくのかという戦略を描いていただきたいというのが私の要望でございます。  時々によりまして、例えば最近でも少し前ですと海外で居酒屋がはやっているというお話がありました。最近ですと、ラーメンですとかあるいは日本式のカレーライス屋さんが増えているというような話も伺います。こういったものをどんどんどんどん逆に増やすような施策を打っていくというのは一つ大きな日本食魅力を知っていただく上での武器になると思いますので、御検討をいただきたいというふうにお願いをいたします。  そして、知っていただく上では量的な拡大もそうなんですけれども、一方で、これも以前お話ししたことありますけれども、その質の部分、いわゆる日本食がブームだということで、見よう見まねでいわゆるなんちゃって日本食レストランみたいなものも大分増えているというのもございます。そういった意味では、しっかりと正しい日本食の作り方をまず知っていただいて、またそれを展開する、こういった施策が大変重要。この量の部分掛ける質の部分がそろって初めて魅力自体がより広く伝わるのかなというふうに考えております。  そうする中で、来年度の予算の中にも、このプロジェクトの中に、例えば日本食文化週間ですとか、あるいは日本食レストランウイーク、こういったいわゆる取組も列記されているわけでありますけれども、どうしてもイベントを中心の取組なのかなという感想を持ちました。これ、もう少し、例えば日本食の作り手、担い手人材交流ですとか、あるいは教育、そういったところに力を入れていただけないでしょうか。御所見をお願いいたします。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに委員おっしゃっていただいたように、イベント、我々が出かけていったときのレセプションも含めて、トップセールスも含めてやるということは大変大事でありますが、一方で、やはり日本食食文化魅力、こういうものを正しく普及していくということも大変重要だと思っております。  クールジャパン推進会議で、食の伝道師というのが提言をされまして、日本人料理人が海外の料理人、だしの取り方を始めとして調理技術ですとか、それから衛生管理ですね、こういうものを教える講習会、こういうことをやって食の伝道師ということを育成していこうということ、これに加えて、海外の料理学校で日本食講座の開設、こういうことをきちっとやっていこうと、こういうところに取り組んでおるところでございます。  さらに、これは主に法務省さんといろいろ協議をいたしまして、外国人の調理師の在留要件の緩和というのをいたしました。これによって、外国人の料理人が料理学校来た後、その後、国内で働きながらOJTみたいな形、トレーニングのような形でやる場合に、この日本食食文化を学べるように少し長くいられるような在留要件の緩和と、こういうこともやったところでございまして、こういうことを総合的にやることによって、やはりこれが本当の日本食食文化であると、こういうものをきちっとお伝えをしていく努力を続けていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  63. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  こういった、本当にいわゆる店舗をつくる、お店をつくるといったこと、それから人をつくるといったこと、多面的に手を打っていただいて施策効果が高まるというふうに考えております。  一点だけ蛇足なんですけれども、私スペインにいたときに日本人のすし職人の方とお友達になりました。この方、スペインのバルセロナでおすし握っていた方なんですけれども、何年か前にスペインに来て握るようになりましたと。スペインで今おすしを握っていて一番何に驚きますかという質問をしたときに彼が答えたのが、いわゆるこれまで、スペインに来るまでというのはすしというのは日本人しか握れないものなんだと、こうかたくなに思ってずっと自分は修行してきたと。ところが、スペインに来ていざいわゆる海外から来た方たちに現場ですしの握り方を教えてみたら、結局、ちゃんと教えてあげたら、すしというのは世界のどこの人でも握れるんだということが分かったとおっしゃっていました。これは職人ならではの肌感覚なんだろうとは思うんですけれども、やっぱり正しいやり方で教えていくということで正しい日本食というのは伝播することができるんだなということを感じましたので、一点蛇足ですが付け加えさせていただきます。  続きまして、これから強い農林水産業、またあるいはもうかる農林水産業、こういったものを一つ目指していく上で大きな指標になると思っているのが、いわゆる各業種にどれだけ新規参入が起きているのかと、ここはある意味一つのバロメーターになるんじゃないかというふうに思っております。  そこで、まずお伺いしたいんですけれども、農業に対する新規参入、法人の参入をちょっと見ていきたいんですけれども、二〇〇九年、農地法の改正によりましてリース方式が大きく解禁になりまして、ここ以降、特に法人の新規参入というのが大変増えているというふうに伺っております。法改正直後の二〇一〇年六月には二百に満たなかったこの法人の参入といったものが、三年後には千二百を超えるところまで来ていると、このようなデータもお伺いいたしました。  この新規参入、これだけ法改正以後増えたその要因というのは一体どうお考えになっているのか、あるいは今後また更に増えていく見通しなのかどうか、ここをお伺いできますでしょうか。
  64. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 企業の農業参入の関係でございます。  リース方式によります企業の参入につきましては、平成二十一年の農地法の改正によりまして全面自由化されております。その後四年間で現在も続けているところ千三百九十二法人入っておりまして、この参入ペースは改正前に比べますと約五倍ということになっております。  こういった企業が農業に参入した理由につきまして、平成二十四年に日本政策金融公庫、ここが行った調査によりますと、一つは、本業の持つノウハウを活用して新たな農業経営のモデルを確立をしたいということ、それから二つ目に、本業で取り扱う原材料を安定的に調達したいということ、それから三つ目として、従業員の持つ能力を農業で生かしたいと、こういった理由が挙げられておりまして、この農地法の法改正もございますけれども、農業にビジネスチャンスを見出したことが企業が参入をした一つの要因になっているというふうに思っております。  実際に参入をしました法人の業種を見てみますと、二十一年の改正前は食品関連産業とそれから建設業、これが過半を占めておりましたけれども、改正後の四年間を見てみますとそれ以外の業種が約六割を超えておりまして、食品以外の製造業、卸売業、小売業、それから医療、福祉、教育、こういった分野の占める割合が増えております。こういった意味でも、参入企業の多様化が進んでいるというふうに考えられるというふうに思っております。  今後、昨年の臨時国会で通していただきました農地中間管理機構、こういった制度を活用することによりまして、意欲のある企業が希望内容を踏まえて農地を借り受けることも可能になりますので、更にこのリース方式での企業の参入、これは増えていくものというふうに考えております。
  65. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  単純に数が増えているということだけではなくて、やっぱりかつて建設ですとかいわゆる食品関連のみであった参入といったものが徐々に裾野が広がってきている。製造業ですとか流通ですとか他の分野にも大きく広がってきているというのは、大変力強い、心強いデータじゃないかなというふうに考えております。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  やはり、企業が参入を実際に検討するときに何が一番念頭にあるか、それは当然本業の強みというのが生かせるのかどうか、自分たちが行ってもうかるのかどうかというところをやっぱり考えるわけでございます。そうするときに、一つは、生産技術そのものに関してはノウハウというのは絶対的に不足しているはずでありますし、また、これまで参入した企業というのは、ある意味、今のところ条件不利なところ、あるいは狭小なところでやっていたりする場合も少なくないわけでございます。こういうところで頑張る企業というのは是非今後も見ていただきたいなというふうに思うわけですけれども、農水省として、今、これまで参入してきた企業をどう評価されているのか、一言いただけますでしょうか。
  66. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、局長から答弁いたしましたように、農地法改正後の約四年間で千三百九十二法人参入していただいておりますが、百四十三法人、九%が撤退をされておられます。撤退した場合でも、リースでございますので、契約を解除して、ほとんどのケースで新たな権利移転先において農地を適正に管理、利用されておられると、こういうことでございますので、いなくなっちゃってトラブルになったと、こういうケースは聞いておらないところでございます。  農村地域の方もアンケートを取ってみますと、これは平成二十四年でございますが、参入前はやはり周辺の農業者の方は五割以上から否定的な捉え方があったわけでございますが、参入後はそういう見方は一割以下になっているということで、実際に入ってきてやってみると一緒にやっていけそうだ、やっていけている、こういうことではないかと。こういうふうに思っておりまして、いわゆる農業界というところの皆さんも、リース方式での企業参入、受け入れていただいておりまして、農業界、産業界が連携して前向きに推進している状況に今なってきているんではないかと思っておりまして、今後は農地中間管理機構活用して、このリース方式での企業参入、更に増加をしていくものと考えております。  参入企業、この地域農業担い手になり得る存在でありまして、地域農業の発展に大きく貢献できることから、特に担い手が不足する地域において企業がリース方式で参入していただくということを期待していきたいと考えております。
  67. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  先ほどの、参入前というのは否定的な声というのが大半だったわけですけれども、そこがすごく小さくなってきている。これはいろいろ要因があるかと思うんですけれども、一つはやはりリスクを取って入ってきた企業がしっかりとこの地域連携しよう、その方たちとともに共生して一緒に農業を守り立てていこうという努力の一つはたまものであるのかなというふうに考えております。そういう意味では、今後も、やはり企業である限り、また収益が上がらなかったら撤退を検討しなければいけないですとか様々なことがあるかと思いますし、また、まだまだ生産技術追い付いてこないところ、多々あると思います。  是非、ちょっと農水省の方にお願いしたいのは、今後、特に異業種から入ってきたところ、新規参入したところとコミュニケーションをよく取っていただいて、新規に営農してみたんだけれどもどういったところが一体課題になったのか。これ、既に撤退したところも先ほど九%ほどあるというふうにお伺いしましたけれども、こういうところからもヒアリングしていただいて、どういったところが壁になるのか、課題になるのか、そこをしっかりノウハウとしてまた農水省の中に蓄積をして、施策に利用していただきたいなというふうにお願いを申し上げます。  引き続き、次の質問に移らさせていただきます。水産業の再生に関して少しまとめてお伺いしたいというふうに思っております。  これは先週の質疑の中でもお伺いしたかったポイントなんですが、この水産業、復活の手というのはなかなか大きくは見えてこないなという中で、一つやはり今回柱の中にも据えてあります浜の活力再生プラン、これが一つ大きな柱に今後なるんじゃないかなというふうに期待をしております。これはやはり浜ごとに、例えば魚種も違えばその漁業の在り方も違う、また背後に控えている加工業ですとか流通も違う、様々な浜の様態に合わせて、実際に現場の皆さんが知恵を振り絞って浜を良くしていくというプランを考えていく大変意欲的な取組だというふうに認識をしております。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  これはまだ二十五年度の補正予算からスタートしたばかりということでございますけれども、現時点で、これ実際に申込み、申請がどのくらいあるのか。また、現場の反応、もし分かりましたら教えていただけますでしょうか。
  68. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のように、浜の活力再生プランは、漁業者の所得向上などを目標に、浜のまさに実情を踏まえて総合的かつ具体的な取組を行っていただくと。策定していただいたものに対して、私どもいろんな施策支援を申し上げていくという予定の対策でございますが、現在、約百の地区が浜の活力再生プラン策定に具体的に取り組んでいただいております。  都道府県からは、さらにそのほかに百以上の地区が来年度にプラン策定に取り組みたいという要望をしておられると聞いておりまして、これを策定し浜の改革を進めていきたいとの声が各地から上がってきておると、そんな状況でございます。  私どもとしても、各都道府県、漁業団体とともにその積極的な策定に向けて推進を図ってまいりたいと考えております。
  69. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  これだけ短い間に百ぐらい既に手が挙がり始めていると。さらには、来年度についても更に百ぐらい検討中であるということで、最初伺ったときはちょっと意外だなという感じも実際にいたしました。これ、やっぱり、なかなか漁業の抱える、また各浜の抱える課題を解決するというのは本当に簡単ではないというふうに考えておりまして、現場でまずアイデアを出せと言われてもなかなか難しいというのが正直な声じゃないかと思っていたんですけれども、既にそれだけ意欲的な取組をされようとしている、本当にすばらしいことであるかなというふうに思っております。  それを受けて、さらに、じゃ、その百プラス百、もう一歩先ですね、ここに全国的に更に大きな作成のうねりというのを出していくのはどうしたらいいのかと、ここが一つの課題であるかなというふうに思っております。  この浜の活力再生プラン、実際にちょっとプランの中身を見たときには、既に認定されたプランをホームページなどで公表して、それを参考に他の浜にも作ってもらいますと、こういった紹介がありました。もう少し具体策広げていくために何か検討されているものはございますでしょうか。
  70. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 浜の活力再生プランの策定に当たりましては、先進地区の成功事例や専門家の意見などを踏まえて幅広く検討するための費用として五十万円を限度として支援を行っているところでございます。また、プラン策定地区に対しまして、強い水産業づくり交付金などの各種事業を優先的に採択することとしております。さらに、浜の活力再生プランの策定、実施に当たり、関連する他業種の方々に広くサポートしてもらえるよう、浜の応援団の募集を始めたところでございます。  浜の応援団の情報や先行して策定された浜の活力再生プランの内容については、これらの取組を全国に波及させる意味でも、先ほど御指摘のございました水産庁のホームページで公開をしていくということでございます。このような取組を通じまして、浜の活力再生プランが全国の浜で策定され、プランを通じて浜の改善が着実に推進されるよう全力で取り組んでまいります。
  71. 平木大作

    ○平木大作君 今、浜の応援団ということで御紹介をいただきました。やはり、一つ漁業を再興していく、再生していく上での難しさというのが、この個々のやっぱり現場の実情が大分多種多様で異なる。当然、この浜の活力再生プランについても、そういった意味でいくと、成功例というのが恐らくこれから二十例、三十例とかいろいろ細かく出てくるのかなというふうに思っております。  やはり、これをある意味一方向的に、ホームページで載せているので関心があったら見てくださいと例えば大きなメニューリストをつくったとしても、これやはり現場の皆さんなかなか、じゃ自分のところに一番近いのはどれなのか、二十とか三十のうちから一つ選ぶというのは大変難しいと思いますし、ぴったり合うものがなかったら、それぞれからいいところを探していかなければいけない。  そういった意味では、これ一つ一方向ではなくて、この応援団ですとか、もう少し人的なリソースを張って、実際に現場に行って、ある意味、浜の活力再生プランの引き出しを十も二十も持った専門的な知識を持った方が実際に現場に行かれて、相談の中で、双方向のコミュニケーションの中で具体的な解決策を練る、こういったことにも是非今後取り組んでいただきたいなというふうにお願いを申し上げます。  次の問いになるわけでございますけれども、この漁業を再生する上で、水産業を再生する上での一つの目標というのは、やはりもうかる漁業にしていく、やはり収益性がしっかり確保できて今後の担い手も続いていく、新規参入も興っていく、そういった循環をつくっていくことがやはり大事だというふうに思っております。  このもうかる漁業の取組の中で、一つ私気になっているのが、いわゆるその取組として、高性能漁船ですとか高度な品質管理手法、こういったものを入れて実際に目指せるということがちらっとありまして、これ具体的にどういう取組なのか、教えていただけますでしょうか。
  72. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 漁船漁業の収益性の向上、今お話があったように、それぞれいろんなタイプ、地域によっても区々だと、こういうふうに思っておりますが、このいわゆるもうかる漁業事業、正式には漁業構造改革総合対策事業、それから省エネ機器等導入推進事業と、こういったものによって漁船の小型化、船団の合理化、省エネ化と、こういうことで燃油の使用量、それから経費の削減、こういうものを推進していただいているところでございます。  例えば、この巻き網で、船団のスリム化、省コスト化によって燃油使用量が二〇%以上削減をできて、逆に鮮度保持によって販売単価が一・五倍に上昇した事例というのがございます。また、沖合底引きですが、漁船の小型化によって水揚げ金額を維持しながら燃油費を四六%削減したと、こういう事例も出てくる。結果が得られているところもあるところでございまして、こういういい事例を更に広げていくことを含めて、この構造改革推進に向けて積極的に取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  73. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  絵に描いた餅ではなくて、しっかり一つ、これまでの取組の中でも具体例が出てきている、成功例が出てきているというお話でございました。この燃油の二〇%の削減あるいは四〇%以上の削減ですとか、あるいは鮮度を保つことによって実際に売値が上がっていくと、これは本当に希望の持てる数字であるかと思います。  ただ、それをやはり何か、漁業、水産業が一つ、設備産業であるというのは間違いないとは思うわけですけれども、最新鋭のものですとか、いいものを入れればうまくいくというほど単純なものでもないというふうに同時に考えております。そういった意味では、こういった実際に具体的に目に見える成果、これを展開できるように是非今後とも御指導いただきたいというふうに考えております。  あわせて、やはりこういったいわゆる設備ですとかノウハウといったものを新しくするときというのは当然経費が大変掛かるわけでございまして、なかなかその新規の設備投資まで考えが及ばない、あるいは資金の調達ができないというところも現場の声として実際にあるかと思います。こういったところの、例えば金融面での支援ですとか、設備更新をする際の御支援、そういったところも併せてお願いをしたいというふうに思っております。  最後になりますが、やはり最終的にはこの水産業を再生をするために、新たな担い手人材をどう確保するかというところが一つの大きなポイントになるかというふうに思っております。現在、水産庁の方では毎年度二千人のこの新規の就業者の確保、これを目指しているというふうにお伺いしておりますけれども、現時点でのこの達成状況、今どうなっているのか、またこの達成に向けてどのような工夫をされているのか、教えていただけますでしょうか。
  74. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 水産庁では、新規漁業就業者総合支援事業によりまして、希望者が経験ゼロからでも円滑に漁業に就業できるように、就業準備段階におきましては漁業学校等で学ぶ若者に対する資金の給付、就業相談会等の開催支援するとともに、就業定着促進段階におきましては漁業現場での実地による長期研修、漁業活動に必要な技術習得を支援をしているところでございます。  最近の新規漁業就業者数は、平成二十二年度では千八百六十七人、二十三年度では千七百七十六人、二十四年度では千九百二十人となっておりまして、昨年度では年間二千人という目標に近づいている現状にございます。目標達成まであと僅かという状況にございまして、今後とも将来の漁業の担い手確保に努めてまいりたいと考えております。
  75. 平木大作

    ○平木大作君 直近では千九百二十人、あと八十人という惜しいところまで来たというふうに教えていただきました。一つ、この目標に対して着実にアプローチ、近づいていっているという力強いデータであるかというふうに思います。やはりこういった新規の人材獲得についても、これはやっぱり、特に高度な専門性が必要なわけでございまして、全くこれまで就業したことのない方が入っていく上では相当ハードルが高いのかなというふうに思っております。そういった意味では、採った後にしっかり育てていくような体制づくり、そういったところまで目を向けて、是非今後とも施策を打っていただきたいというふうに思っております。  また、私も、漁協ですとか、お伺いをいたしますと必ず、若者がなかなか、実際に採ってもすぐ辞めていっちゃうんだよみたいな話をお伺いします。じゃ、何したらいいですかというお話をするときに、割と、実は漁業あるいは水産業そのものの課題というよりも、例えばいただく声の一つとして、実際に若い方船に乗っけてみると、あっ、海の上出るとやっぱり携帯だとかスマホって使えないんだということに気付いて辞められちゃうと。だから沖に出てもスマホが使えるように是非電波飛ばしてほしいとか、そういった要望をいただくことがあります。  そういった意味では、思わぬところの施策が、ある意味、新規就農ですとか若者の就業につながるということもあるんじゃないかなということを感じる次第でありまして、是非、いわゆる採る側の声だけでなくて、実際に応募しようとしている方ですとか、あるいは就業してみたんだけれども数か月で辞めてしまった、そういった方からも声を聞きながら、今後ともこの就業の支援に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  以上で私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  76. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。  今日は、平成二十六年度予算に関する概要ということで幾つか質問を進めていきたいと思っています。  今日は、冒頭から大臣べた褒めでありまして、猪口先生からは要はお人柄と、それから小川先生からも今までにない大臣というふうに聞いています。私も、大変な経済通だということでございまして、まさに農政を前向きに変化させていく大臣ではないかと期待しております。そういう観点から、今日、実はシリーズでやっておるんですが、農協に関して、それからもう一つ、新たな経営所得安定策ですね、新減反方式ではないかと言われるようなところ、ちょっとその辺り、突っ込んでやらせていただければと思っています。  まず、その前にちょっと予算ということで、これもしつこいようですが、前回、花粉について少しお話ししたんですが、これ、山田俊男先生も結構大変だということで、先ほど理事会のところでもお話ししたんですけれども、まさに国民病というところでありまして、二千万人がかかっていると。医療費だけで二千二百億円掛かっているという試算もありまして、観光業なんかも打撃でございまして、経済損失は六千億とも一兆を超しておるとも、こういう数字がございます。  残念ながら、予算を見てみますと、苗木を新たに植えるというところと拡散予測の推進というところで合計約一億円程度しか付いていないんですが、是非この辺、拡充というか、もちろんお金を付ければいいというものじゃないと思うんですけれども、もう一度改めて農林水産省の今後の取組について、ちょっと質疑通告していなかったんですが、お答えいただければと思います。
  77. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 苗木の安定供給推進事業、この間お答えしたかもしれませんが、八千二百万ということでございます。これ植え替えていくと、こういうことでございまして、この少花粉杉等苗木の供給量の増大、これを二十三年度の百四十二万本から一千万本、これは平成二十九年度に向けて増やしていこうと。それからもう一つは、被災した森林がございますので、そういう再生の進捗に合わせて必要な松を供給していこうということでございますので、単年度の予算としては確かに今委員がおっしゃったようにそれほど大きな額でないかもしれませんけれども、中長期的な目標に合わせてしっかりと取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  78. 山田太郎

    山田太郎君 まさに一兆円規模の経済損失というような対策でありますので、できるだけ予算措置も含めて今後検討していただければと思います。  さて、農協に関してお話ししたいと思いますが、予算委員会でもやりました、これは独禁法と農協について実はやらせていただきました。前回の一般質疑ということでは経済事業と農協改革ということ、本日は農協の少し競争状態と農協強化という辺りに触れていきたいと思っております。  先ほど平木議員の方も新規参入の必要性と、こんな話を農業に対して持っているという御質疑されていました。私も、生産性向上ですとか又は現場の自立といったところも含めて、保護ばかりではないと、ある程度の市場原理、競争ももたらしながら自立を促していくという側面もやっぱり議論する必要があります。  そんな中で農協の役割が大きいということは前回の一般質疑の中でもさせていただいたんですが、ちょっとその中身を少し見ていきたいと思っておるんですけれども、まず農協の設立認可の基準について少しまず質疑スタートしていきたいと思います。そんな中でも、地域が重複する農協の問題です。  農協、ある程度私自身は切磋琢磨をしていただいて、組合員のサービス向上のためには市場の中でのある程度の競争ってあっていいんじゃないかと、こんなふうに思っております。そういうことも踏まえてでしょうが、平成十三年に言わば規制緩和議論がありまして、農協法六十条が改正されたと。それによって、設立認可がされるようになったということでありますが、平成十三年以降、地域重複型農協というのは幾つできたか教えていただけますでしょうか。
  79. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成十三年に農協法改正がありまして、地区の重複する農協の設立、これ総合農協であるかないかにかかわらず認められると、こういうふうになりまして、これ以降、これまでの間に地区が重複する農協の新設が十二件、それから地区変更に係る定款変更七十七件、合計で八十九件ございまして、全て認可をされているところでございます。
  80. 山田太郎

    山田太郎君 ちょっとその数は新たに認可がされるようになったとはいえ少ないような気もするんですが、更に農協法は改正されておりまして、平成二十五年の改正では関係農業協同組合中央会に協議しなければいけないという条項も取って、基本的に自由に農協がつくれるというところまで踏み込んで、農協の自由化というんですかね、そういったことが議論されております。そのこと自身は大変評価できることでありますが、ただ、今日ちょっとテーマにしたい、もう一つ、お手元に今日、資料を配らせていただいているんですけれども、農業協同組合、農業協同組合連合会、農業協同組合中央会及び農事組合法人向けの総合的な監督指針という、これ農水省さんが平成二十六年、今年の一月に発表した文書の中に幾つかまとめられている指針がございます。  これを見ますと、この審査要領の主要な着眼点というところを見ていただきたいんですが、中央会からヒアリングを行うなどにより、事業を行うために必要な経営的基礎を有しているか否かなどを十分調査検討すると書かれているんですね。こういうものが指針として出されていますと、せっかく法改正をして農協の中央会の協議ということが法律から削除されたということになりますが、逆に指針では、農協中央会の方針にそぐわない経営方針の農協は立ち所にNGになってしまうんじゃないかと、こんな嫌いもあると思うんですけれども、この中央会のヒアリングという趣旨はどのような内容なんでしょうか。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員が御指摘があったように、農業協同組合法においては地区が重複する農協の設立認可を行う際に中央会の協議を義務付けておりましたが、これを法律改正で廃止をしたところであります。  農協に対する監督指針では、この農協の設立認可の審査に当たって必要に応じ中央会からヒアリングを行うことを例示をしております。これは重複するということではなくて、全体にそういうヒアリングをするということで、有無にかかわらず、農協法の六十条二号というのがございますが、農協をつくろうという要するに認可の申請ですね、この申請主体が事業に必要な経営的基礎、これを有しているかという審査が非常に重要であるわけでございまして、これを判断する上で、必要な場合には農協の経営指導を事業として行っている中央会の知見を活用することも一つの方法であるということを示したものであります。  監督指針のこの部分は、平成二十五年六月十四日に、先ほど中央会協議事項を廃止された、失礼しました、廃止されたのが二十五年の五月十五日、六月十四日に廃止をして、この今御指摘のあったこの部分はその後六月十四日に規定をしておりますので、この廃止の方をやったんだけれどもこっちで残しておくということではないということを申し上げておきたいと思います。
  82. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つちょっと指針の中を見ていきますと、当該組合が対立する方針に基づいて事業を実施する場合に、まさに認可できるかどうかということについてもしっかり見るという指針が出ているんですが、これもやっぱりその法律の方の改正の趣旨からいきますと、いろんな農協がつくれるようにしようということから相反する指針ではないかなと、こんなふうにも思うわけでございます。そういった意味で、この対立する方針というのはどんな方針の対立を想定されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっと先ほどの答弁で、五月十五日がこの部分で、廃止が六月十四日と、こういうふうに申し上げたと思いますが、確認のため、もう一度確認しておきたいと思います。  このお互い対立する事業はできないということに対するお尋ねでございますが、農協法六十条三号で、地区が重複する農協の設立を認めながら、行政庁が当該地区の農業の振興を図る上で支障があると認められるときは設立認可をしないことができると、こういうふうになっております。これを受けて、監督指針においては、当該組合が相対立する方針に基づいて事業を実施するなどによりかえって当該地区の農業の振興を図る上で支障が生じるおそれがないかということを審査する旨を監督指針において定めております。  これは例えば、余り例がないんですけれども、ある農協が農薬の使用量を極力抑制していわゆる自然栽培みたいなものを生産しようとしているときに、別に農協ができて農薬使用を前提として収量増大を目指そうと、こういうものができますと、その地域農業振興上支障を生ずるということも考えられると、こういうケースがあるだろうと。こういうことが考えられるわけですが、今申し上げた例からも分かるように、この規定に該当するということは実際には非常にまれであると、こういうふうに考えておりまして、この重複農協、地区重複農協の設立が認められた平成十四年以降の実績を見ても、先ほど申し上げましたようにここのところが理由になって認可されないというケースはないと、こういうことでございます。
  84. 山田太郎

    山田太郎君 今大臣がまさに事例に挙げたケースなんかは非常に重要なケースになると思うんですが、例えば、それでは、農薬を使わない有機をやりたい農家と、それから農薬を使っていきたい、ややもすると農協さん農薬を売りたいというところもあるでしょうから、そういったところを含めてこの辺どういうふうに、じゃ、これは障害になるとして精査していくのか、ちょっとその辺も突っ込んで教えていただきたいんですけれども。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今申し上げましたように、具体的に例が出てきて審査をしたということで申し上げたわけではないんですが、例えばこういうことがあるだろうと、こういうことでありまして。やはり今の例でいうと、せっかく農薬を余り使わずにやっていこうという農協がそこにできていたところに、いや、我々は農薬を使うんだというような、収量増大やっていくんだという農協が同じ地区にできていきますと、いろんなところでつながっておったりして地域農業をやっていく上で支障が生じるんではないかという例で、言わば頭の体操的に例を申し上げましたけれども。  実際に今こういう例が先ほど申し上げたように出てきていないということもありまして、こういう例がもし出てくれば、またどういうふうに六十条三号の中でやっていくか。農業の振興を図る上で支障があると、こういうふうに認められるということでありますので、振興上支障が生ずるかどうかと、これを判断をするということですから、違うことが二つが全く駄目かというと、お互いにすみ分けがもし利くというようなことができるようなことがあれば、これは支障があると認められるときに該当しない場合も当然出てくると、こういうふうに思いますけれども。いずれにしても、具体的な例に即して判断していくと、こういうことになろうかと思います。
  86. 山田太郎

    山田太郎君 ちょっとそこも興味深いんですけれども、更にちょっと時間がないんで進めていきますが。  監督指針の中でもう一つ、認可申請のあった組合定款の内容が全国中央会の模範定款と同じなら速やかに認可されるということになっているんですね。農協法の七十三条の二十二では、中央会は、組合の定款について、模範定款例を作ることはできるというふうには書いているんですが、決して農協は皆同じ定款にしなさいということまでは法律では作っていません。  そんな中で、指針の書きぶりというのは、中央会の模範定款どおりにするとほとんど審査もされずに認可されるような書きぶりなんです。中央会の模範定款を推奨するような感じなんですけれども、これはどういった趣旨からこういうふうになっているんでしょうか。
  87. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農協の模範定款例でございますが、十三年の法改正以前はそもそも行政庁が定めるということになっておりまして、各都道府県は農林水産省が策定した模範定款例を基準として認可を行っていたと、こういうことでございます。平成十三年の農協法改正で行政が模範定款例を作ってまで手取り足取り指導することはやめようと、こういうことで、農協法上、農協に対する指導機関として位置付けている農協中央会が模範定款例を決めることができるというふうにしたわけでございます。  その際、今聞いていただきました監督指針の前身である事務ガイドライン、これは通知ですが、において、認可申請のあった定款の内容が全中の定める模範定款例と同じ場合には速やかに認可する旨を規定をしておりましたが、これは都道府県の事務を効率的に行うということを意図したものでございます。  現在の監督指針では、全中の模範定款例と異なる内容の定款変更等の申請がなされた場合でも、模範定款例に比べて農協運営の健全性がより高まる場合には速やかに認可することも併せて規定をさせていただいております。それからもう一つ、この全中の模範定款例というのは公開されておりますので、全中の会員じゃなくても、これは公開情報を見てこれを利用して定款を作るということは可能であるということも申し上げておきたいと思います。
  88. 山田太郎

    山田太郎君 法律が全部中央会の会員になるようになっているのであれば分かるんですが、少しそうではない改革をやっているわけなので、萎縮効果等を含めて、ちょっと何となく農水省さんの監督指針が法律以上に踏み込んで重複農協を抑制しているとか、何か中央会に入らない組合がなるべくできないようにしているというふうに取られかねないように是非この辺は配慮していただきたいと。できればこういった指針を見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  89. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今言ったように、これは中身であくまでも判断をしていくと、こういうことでございますので、委員が今おっしゃっていたようにそういうふうに見えかねないと、こういうことの御指摘がありましたが、今申し上げたように、監督指針そのものが競争制限的であるというふうには考えておりませんが、この見直しに際してはいろんな角度から検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  90. 山田太郎

    山田太郎君 是非、ある程度の農協さんは、これは農業と農家は守る対象ですが、農協はあくまでも組合であり一つの組織体でありますから、是非競争して、その競争した結果が農協組合員にサービスという形で還元できるようしていただきたいので、農協を守るということよりも、農協にも切磋琢磨していただけるような農政を是非前提としていただければなというふうに思っております。  もう一つ、農協法に関しては踏み込んで九条の問題なんですけれども、いわゆる独禁法二十二条では協同組合の独禁法除外規定というのがありまして、その中で主にその事業体をやっている人、それから農協でいうところの准組合員みたいなものは実は独禁法では認められないんですが、九条の規定によって例外的に認められているという、生協なんかにもない特別な地位に実は農協がございます。  前回のちょっと答弁等も含めて、信用事業とそれから経済事業、信用事業と共済、それと経済事業ということを例えば分離して、信用事業と共済事業を、これももしかしたら地域にとって重要であれば地域協同組合と、こういうような形に改組し直して、農協の経済部門の方は本来の農協の協同組合の趣旨である共同購買、共同販売を行う自主的な農業協同組合として原点に立ち戻ると、こういうふうにしていくのも手なんではないかなと。  確かに厳しいようであるかもしれませんが、そうなってくると、地域協同組合でありますので、これはいわゆる准組も正組もなくなると思っておりますし、いわゆる経済事業にある残った自主的な農協は全て組合員ということで、いわゆる独占禁止法から見た場合の協同組合のゆがみということも解消されていくと思っております。その辺、是非大臣の所見いただけますでしょうか。
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは前に、ここか若しくは予算委員会だったかちょっと記憶が曖昧ですが、委員から御質問いただいたところだと、こういうふうに思います。  いろんなところで私も申し上げておるように、農協は農業者が自主的に設立した協同組合ということで、事業範囲も農家の組合員の選択によって決められておりまして、信用事業とか共済事業というのは必ずやらなきゃいけないということになっていないわけですね。したがって、組合員がどういうサービスを必要とするかということがやはりメーンにあって、そういう観点から経済、信用、共済と、こういうのを総合的に今行っていると、こういう立て付けであろうかと、こういうふうに思っております。  これももういつも申し上げていることですが、農産物の販売を行って、コストをなるべく安くなるような購入事業もやって、結果として農業者の所得を向上させるということが何よりも重要なことであることはもう間違いないことでありますが、信用事業等の分離をいきなり強制ということになりますと、この経済事業の強化に必要な投資ができなくなったり、農村地域社会における金融サービスの提供が難しくなったりすると、こういう懸念もあるところでございますので慎重に検討する必要があると、こういうふうに考えております。
  92. 山田太郎

    山田太郎君 是非、慎重であっても検討はしていただければというふうに思っております。  ちょっと時間がなくなってきましたので、もう一つの新しい経営所得対策実施というところで、今年の予算の極めて重要な部分でありますので、触れていきたいと思っております。  これ、要は、簡単に言うと、かつての生産調整、まさに減反を廃止してこれを飼料用米等に振り向けていきましょうと、こういう政策だと思います。これ、農水省さんがいろんなところで発表されているんですが、餌米の需要というのは四百五十万トンぐらい、面積にすると六十五万ヘクタールというふうになるそうでありまして、実はこれに今予算を付けている前提であります十ヘクタール当たり十・五万円というのを掛け合わせていきますと、最大六千八百億円という予算が必要になってしまいます。そういう意味では、どこまで今年やるのかなということがよく分からないんですが、ちょっと予算農水省さんがいろんなところで発言されている枠組みというのが少し差がある。もちろん、すぐに全部が転作されるわけじゃないんで、そうかもしれませんが、将来的には八千億円弱ぐらいのコストが毎年掛かっていくというような実は考え方であります。そうなってくると、今の減反補助金が二千五百億程度ですから、プラス五千五百億円という財政が負担になるということであります。  一方、これも結果論としては米の値段は下がらないと。要は主食米のお米がこれによって作る人が減るので、結局はお米が大体一俵当たり一万四千円前後というのが下がらないというようなお話もしていますが。ここからはちょっと政策的な違いなんですが、私は、米の値段は下げても、競争力があるマーケット価格にできるだけ近づけていくと。ただ、そうすると農家がもちませんので、その分は直接例えば補填をしていくという形は考えられないだろうかと、実はこういうふうにも考えているわけであります。  例えば国際価格、今中国での買取り価格と、何をもって国際価格かというのは難しい側面があるんですが、主食米としては大体国際価格で九千円から八千円ということでありまして、一万四千円ということを想定されているものから比較しますと、六千円ぐらいをいわゆる助成していくと何とか今の収入が維持できるということであります。  そうなってくると、じゃ、どれぐらいそれは補填すればいいかということなんですけれども、主業農家に対して補填すると。主業農家が今二百四十万トン、大体全体のお米の四〇%ぐらい作っておりますから、ここを中心にいわゆる補填をしていけば二千四百億で済むと。あるいは、もうちょっと膨らませて準主業農家まで高めていきますと、ここが百五十万トンぐらい作っておりますから、一千四百億円と。合計三千九百億円程度で済むと。こうすることによって、我々国民も高いお米を食べなくて済むと。できるだけ安く買うこともできますし、国際競争力もお米に対しては出てくるだろうということでありまして、必ずしも高価格維持というのが本当にこれからのお米の作り方、農政のポイントなのかどうかということは疑問があるところだと思っております。  これは実はすごく議論があるところだと思っておりまして、今日の質疑だけでは結論は出ないのかもしれませんが、ただ、この予算案で今年度かじを切り出しますと、結局またそういった形でお米を、飼料用米を作っていくと。  私も、昨日、おとといと実は北海道、それからその前は四国を回っておったんですが、今更、主食米を作っているのに餌米を作るのかという現場のプライドの問題もありまして、本当にそういうことが果たして現場のモチベーションにもつながるのかどうか。いろんなことが重要な問題だと思っております。是非、またやってみて失敗してしまったら、猫の目農政だなんていうふうになったらまた取り返しが付かない、二度と、今度は農政に対する信頼を失うと思います。  そういった意味で、何のプランが今正しいかというのは、私は一年ぐらい掛けてしっかりこういう委員会なんかも含めて議論をして、その上で、納得した上で、確度が高いいわゆる農政の再生ということを議論した方がいいんじゃないかというふうに思っておりますが、ちょっと長くなりましたが、是非大臣の御所見いただけませんでしょうか。
  93. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今回の農政改革の非常に核心的な部分でございますので、あと一分ぐらいで答弁するのはなかなか難しい問題でございますが、まず財政負担は、この四百五十万トンというのは潜在的な需要がそれぐらいあると。これは今、畜産の飼料の中でトウモロコシを輸入しておりますが、これを何割ぐらいは餌米に置き換えられるかというのをいろいろ試験的にやっておるわけですが、それをベースにして全部換わった場合に最大でこれぐらいあると、まあこの数字もいろいろ動いていくと思いますが、そういう数字でございます。一方、今年の畜産農家からの新たな利用希望というのは大体約七万トンぐらいのペースでございます。  今日は詳細になかなか入れないと思いますが、その次のテーマで、私は一番大きな状況というのは、やはり日本人が食生活の変化によって米を食べなくなったと。昭和三十七年の百十八キロからここ直近では五十数キロということで約半減していると。じゃ、もう米を食べなくなったので米を作るのをやめるかと、こういうことではなくて、水田をフル活用して、多面的機能を維持しながら水田をフル活用して主食用以外の需要のある作物をどう本作化していくかと。こういう基本的な理念に基づいていろいろ議論を賜ってまとめさせていただいたわけでございまして、細かいところはいろいろございますが、そういうところを前提に置いて考えると、やはり今のお決めいただいたこの農政改革プランに従って地道に一歩を踏み出していきたいと考えておるところでございます。
  94. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 山田太郎君、時間が参りました。
  95. 山田太郎

    山田太郎君 はい。時間になりました。いろいろ前向きに検討するという今日は声をいただきましたので、是非前向きに検討していただければと思います。  ありがとうございました。
  96. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、先日の所信に対する質問のときにやり残した問題がありまして、農業委員会の公選制の廃止論について最初にお聞きをしたいと思います。  三月二日付けの日本経済新聞で、政府の規制改革会議などで議論をして六月にまとめる農政改革の柱の一つに農業委員会法改正案が提出されようとしています。いわゆる公選制の廃止という報道がありました。  私は、そもそもこの農業委員会というのは農地の権利移動や転用などについて許認可の権限を持つ行政委員会でありまして、農地の番人と言われて重要な位置付けを持つ存在だというふうに認識をしてきました。委員の大半が農民の選挙で選ばれ、国や自治体の意見を反映させることが法律でも認められた、農民の代表の機関として大きな実績を積んできたというふうに思っています。それに対して、農業委員会は利害関係者の集まりだなどという攻撃がされて、その存在と役割を否定する改革論が唱えられています。  農業委員会日本農業を支えて、苦労している農家の利益を守って地域を守るために活動するというのは、これは当然のことだと思っていて、その本来の役割を果たすことで一体何が悪いのかなというふうに言いたくなるわけですけれども、農水大臣としてこの農業委員会攻撃に対して見過ごせるのかというか許せるのかなというふうに、まずそのことについてお聞きをしたいと思います。
  97. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは日経新聞の報道でございます。私もその報道は見ましたけれども、農業委員会の在り方についてはまだ規制改革会議で検討が行われている途中でございます。自民党においても、農業委員会農業生産法人に関する検討PTが設置をされまして、西川衆議院議員が委員長、それから、ここにおられます野村委員長山田俊男理事が常任幹事ということで御検討を始めていただくと、こういうことでございまして、今から検討が行われるということでございますから、報道にあるような方向性が定まっているというわけではないということを申し上げておきたいと思います。  農業委員会の在り方は、農業の発展に、今委員からもお話がありましたが、資するということが旨でありますから、やはり農業者等の関係者の御意見を伺って検討していくと、これが第一であるというふうに考えております。
  98. 紙智子

    ○紙智子君 当事者や関係者の意見をしっかり踏まえてということだというふうに今おっしゃいましたけれども、それであれば、やはり規制改革会議で企業を代表する委員の身勝手な改革論に対しては農水大臣としてはきちっと批判するところはするべきじゃないかなと思うんです。  農水省の調査もやられているようで、いろいろアンケートも取られたようですけれども、それも見ましたけれども、やっぱり体制が弱まっていて本来果たすべき機能を果たせていないというところもありますし、一定のやっぱり改善が求められる側面もあるということは事実だと思うんですね。  しかし、農業委員会がこれまでも農業者のための農地制度を守ってきたと、これは確かだというふうに思うんですね。私も何人かの方、知っていますけれども、ここの委員会でも、農業委員の方に来ていただいていろいろ努力を報告していただいたことありますけれども、やっぱり、地域を守って、いかに農地農地として存続し地域を成り立たせていくかということでは、本当に頑張っておられる姿もあるわけです。  ところが、それが、農業委員の活動があたかも農業を悪くしたかのように描いて変更するというようなことが言われているわけで、それに対しては、やっぱり偏見や誤解を招くような乱暴な議論については黙認せずに、むしろ農水大臣として農業委員会の役割、意義をしっかりアピールするべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  99. 林芳正

    国務大臣林芳正君) おっしゃるとおりだと思います。  アンケート調査に触れていただきましたが、確かに委員がおっしゃるように、この農業委員会の活動状況に対する評価というのは、農業委員会の事務局は七割がよく活動しているということになっているんですが、それに対して、農業者は三割しかよく活動しているというふうなお答えがないと、こういうことでございます。いろんなところによって、やはり御意見のある方はいらっしゃいますので、やっぱり基本は現場の御意見を踏まえて、現場のために何がベストなのかということをしっかりと議論してもらうと、これが一番大事だと思っておりますので、そういう観点で対応していきたいと思っております。
  100. 紙智子

    ○紙智子君 今農水大臣も触れられた、行われた調査アンケートで、農業委員会の在り方に対する農業者の意見というので、おおむねよく活動しているという農業委員会事務局とか市町村、JAとか都道府県の出先の機関とか、こういうところはよく活動していると言っているんだけれども、確かに農業者のところは見えないという意見が多いというのが東京新聞でも書かれていますけれども。  私、農業者がやっぱりよく見えないということは、それはあると思うんですね。実際に、やっぱり地域で自分の農業経営そのものだけでももう精いっぱいなわけですよ。そういう中で農業委員の人は自分の経営もやるけれども、同時に全体の立場にも立ってもやるんだということですから、農業委員やられている方は大変な忙しさの中で努力をされているわけですけれども、やっぱり一人一人が精いっぱいやっている農家から見ると、確かに見えづらいというのはあるんだと思うんです。  だけど、このアンケートを見ても、おおむね機関だとか農業委員会事務局なんかはよく活動していると言っていて、その意見の中で、不満があるというところがあって、その不満の理由のところで一番最初に出てくるのが、農地の集積などの農家の働きかけが形式的だというのがあって、何でそういうふうになっているかというのが次にあって、それを見ていきますと、その一番多い理由のところが、農業委員会事務局の人が人手が不足しているというのが出てくるわけですよ。やっぱりこれ手が回っていないという。東京新聞がまとめて書いてあるのを見ると、全国で農地転用だけでも年間六万件以上の申請が出されていて、業務の処理で手いっぱいと人員不足を課題に挙げているというふうになっているわけですね。  だから、やっぱりそういうところがもっとちゃんと手が入れられなきゃいけないんだけど、この間は何というかな、削減してくる方向に来たということがあって、やっぱり本来の役割を果たせていないというところに大きな問題があるんじゃないかということを感じているわけです。  もう実際、私なんかも北海道で、何というか、砂利か何かの取る業者が来て、勝手に掘って、それで埋め戻ししないと。それで、そこの地域にいるからこそ気が付くから、農業委員の人がパトロールして、ここ本来、誰がやったのか、埋め戻さなきゃいけないじゃないか、それで責任者は誰なんだということで意見を提示してちゃんと元どおりにさせるということをやったりとかですね。産廃業者がある場所で不正に申請を上げて、ここでトマトを作るから土地を借りるんだといって入ってきたけれども、一向に作らないでごみを捨てていくということなんかを放置することできないわけだから、それで、そこにいるからこそ気が付いて意見を申し立てるということで、やっぱり非常に大事な役割、いなければ困る役割を果たしているというのがその実態だというふうに思うんですね。ですから、是非、そこのところはもっとアピールをする必要があるんじゃないかと思っていると。  それで、昨年の臨時国会で成立をした農地中間管理機構では、農業委員会農地に関する権限の一部を奪う改革が既に具体化をされました。公選制を基本とする農業委員会制度の解体というのは、これ戦後民主主義の措置に対する重大な攻撃だというふうに思っています。むしろ、やっぱり農地の番人、耕作農民の代表としての農業委員会の本来の役割が発揮できるようにすることこそが、今後、農水省としても政府としても欠かせないことじゃないかというふうに思うんですけれども、一言、大臣、お願いします。
  101. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まずは、このアンケートよく読み込んでいただきまして、本当にありがとうございます。  これを見て分かるように、いろんな立場の人がかなりいろんな質問について答えが違っているんですね。したがって、こういうことも参考にしながら、どの立場で見るとどういうふうに見えるかということも重々頭に置いて検討していかなきゃいけないと、こういうふうに思っております。  農地中間管理機構のお話はここで委員から御質問をいただいてお答えをしたところでございますが、農地中間管理機構というのはいわゆる公的主体でございますので、民と民というか、公的主体じゃない人同士の間の権利の移転ということとは別の性格のものであるという整理をさせていただいて、農地法の基本原則と整合性を取ってやらせていただいたということをそのときも御答弁させていただいたと、こういうふうに思いますが、そういう考え方でしっかりやっていきたいと思っております。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 私は実質的には、現場ではやっぱりいろいろ計画を作る際にも、実際上よく分かっている農業委員皆さんの意見を聴かないとやっていけないということが実際には現場にはあって、やっぱりこれ、中間管理機構のときに、今までは意見を聴くのは必須だったやつを外して、聴くことができるというふうにしたわけですけれども、これ自身はやっぱり元に戻すべきだというふうに思っているということを申し上げておきたいと思います。  その上に立ってちょっと話、今日の質問の中身として、本来しようと思っていた中身についていたしますけれども、海獣被害、とりわけトド被害についてお聞きしたいと思います。  今年の二月に北海道でトド被害の対策緊急集会が、主に日本海側の十九の漁協から百名以上の方が参加して行われました。ちょっとこの大規模にやられたというのは私も初めてだったんですけれども。それで、駆除頭数の拡大、強化網実証試験の継続などを要求しています。隣の小川委員も参加をされていたし、今いらっしゃらないけど横山務官も参加されていました。(発言する者あり)あっ、ごめんなさい。そこにいた。  それで、漁協からは、ニシン漁で一隻の船がトドのおとりになって走ると、海の上を。それで、そこを狙ってトドが行くところを合間を縫って二隻の船で魚を捕るというような、いろいろ学習能力が高いのでいろんなことを工夫しながら取り組んでいて、とにかく必死なわけです。で、トド被害に苦しむ訴えが続きました。以前私も石狩湾に行ったんですけど、トドは水揚げ量の三分の一以上も魚を食べると。それで、被害に遭うことが分かっていて漁に出られないという訴えを聞きました。海獣被害額は約二十四億円で、後継者もこのままだったら育たないと。漁業者にとっても漁村にとっても大変な問題だということなんですね。  絶滅危惧種ということで捕獲頭数を設定をして駆除しているわけだけれども、この駆除数が少なくて漁業被害が収まっていないと。それで、環境省が平成二十四年に絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に変更しました。ランクダウンをしたわけで、それを受けて、水産庁の対応について、どうしているかということをお聞きしたいと思います。
  103. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) トドにつきましては、資源の減少を受けて平成六年より捕獲頭数の上限を設けて保護を図ってまいりました。この捕獲頭数の上限につきましては、私ども、有識者の意見を踏まえて毎年の目視調査などに基づき来遊個体数を推定いたしまして、PBR法と言われる非常に保護的な方法により設定をしております。  保護的なと申しますのは、例えば個体数を推定して、それに一定の計算式の下で捕獲頭数を出すんでありますが、例えば幅で五千頭から八千頭というふうに目視をされておられる資源量の、その一番下の五千頭を使うといったようなことをやったり、あるいは保護されている状況に応じまして一定の係数、〇・一、〇・五、一・〇といったような係数を掛けるといったようなことで、非常に保護的な方法で設定をしておりまして、その結果といいますか、四千頭から八千頭推定されている個体数に対しまして二百五十七頭の捕獲枠ということになっております。  御指摘のように、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧Ⅱ種から準絶滅危惧種にダウンリスティングされたわけでございまして、平成二十四年ですね。他方、近年、漁業被害が大きくなっているということでございますので、今後は、トドの保全に加えまして、漁業被害の低減も重視をして捕獲頭数の上限が設定できるよう計算方法の見直しを行い、捕獲頭数が増加できるように見直してまいりたいと考えているところでございます。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 漁業被害を見るという立場でやっていくということだと思うんですね。  それで、北海道ではニシン漁が盛んだったわけですけれども、大きく減少して、それで資源回復をするための稚魚放流事業がずっと行われてきました。漁業者は、稚魚を放流しても成長して帰ってきたニシンをトドに食べられてしまうと。漁網に掛かったニシンをまとめて捕食するということが言われているわけです。  陸上の鹿などの被害を防止して個体数を管理するための技術が確立されているんですけれども、トドは海の中なんですけど、技術は確立されているんでしょうか。
  105. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のとおり、海生哺乳類でございますので、海の中を自由に泳ぎ回るということであります。したがって、鹿やイノシシなどの対策で使われている侵入防止柵といったようなものをなかなか使うことにはまいらないということでございます。このため、これまで被害防止のために、追い払うということ、それから駆除をする、それから漁具被害が出たときにそれを軽減する、この三点について対策を講じてきております。  具体的には、追い払いにつきましては、音や光による忌避手法の開発を行ってきておりまして、十分な効果が得られなかったために、今年度からは地域漁業者連携して一斉に花火弾などで威嚇して追い払う取組とか散弾銃を使った追い払いを進めているところであります。  それから、駆除につきましては、今年度から離島と本島側で広域的かつ同時にハンターによる駆除を行うということで、トドに逃げ場所を与えない。従来は、本島側でハンターがやると離島の方に逃げると、離島に行くと今度は本島に逃げるといったような、非常に御指摘のように学習効果の高い動物でございますので、そこを一斉に駆除するというようなことをやろうとしておりますし、先ほど御指摘のあった捕獲頭数についても見直していきたいというふうに考えております。  それから、三点目の漁具被害の軽減対策につきましては、今年度から強化刺し網、これの大規模実証試験を行っているところでございまして、漁業者の方から御希望のある刺し網全てを配付、差し上げることによって実証を行い、トドが網を破るといったようなことの被害が少なくなるように努めてまいりたいと考えております。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 漁業者が水産資源を管理しようと思っても、トドに食べられてしまうために管理できない実態だと、このままでは漁業経営が成り立たない、漁村の将来も危惧されているわけです。  今ずっとお話しいただいたように、水産庁として、この駆除の拡充策や強化網の実証試験などで努力されているわけですけれども、やっぱり産業も地域も大きな打撃を受けている状態ですよね。所得の減少などトド被害に対する所得補償や漁業の多面的な機能を重視した所得補償を検討するべきではないかと、そういう要求も、要望も出されているんですけれども、いかがでしょうか。これ、大臣にお願いします。
  107. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このトドによる被害、これは北海道の日本海側の漁業者の方が最も受けていらっしゃるわけでございます。昨年、大臣に就任してすぐの頃に、それこそ横山務官がまだあそこにいらっしゃって質問を受けて、一度見に行きたいなと思っておりながらなかなか行けておられないわけですが。この漁業被害に加えて、トドによるですね、サケの来遊量の低下、それからスケトウダラやホッケの資源の悪化と、この辺がつながっているのかつながっていないのかということもあるわけですが、いろんな意味で大変厳しい状況にあると認識しております。  したがって、今長官からありましたような、被害防止対策として捕獲等の対策を進めるとともに、捕獲頭数の見直しも行ってまいりたいと思います。さらに、北海道、地元漁連とも相談しながら、浜の活力再生プランによる漁業・漁村再生プロジェクト、それからもうかる漁業創設支援事業沿岸漁業版、水産多面的機能発揮対策、こういう施策を有機的に使って地域漁業の活性化に向けて努力をしていきたいと思っております。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 陸の被害と違って、海獣の被害を防止する技術というのはまだ確立されていないと。漁業共済、積立ぷらす、共済の枠組みなので、これを出るものにはならないわけですよね。北海道で緊急集会をやってまで訴えなきゃいけなかったということを踏まえて、是非対策を求めておきたいと思います。  続きまして、鳥獣被害のうちの鹿対策についてもお聞きしたいと思います。  鹿の被害は全国的に増えているんですけれども、北海道でも生息数は高くて、鳥獣被害で六十三・六億円のうちエゾシカによる被害は五十八・七億円なので、ほとんど鹿の被害です。エゾシカは天敵となるオオカミが絶滅をして暖冬で雪が少ないために自然死の率が減っていると。耕作放棄地の増加などが生息数が増加している要因だというふうに指摘されています。エゾシカの生息数を抑制する対策として個体数管理が行われているんですけれども、ハンターの減少や高齢化が課題になっていると。それから、被害防止策として侵入防止柵の改良などが行われているわけです。  私、先日、十勝に行って話を聞いたときに、駆除後の支援課題になっているということなんですね。つまり、エゾシカは鳥獣保護法で持って帰るか埋葬することになっているんですけれども、百キロ以上のすごく大きなものです、重いものです。ですから、不法投棄もあるということなんですね。それで、緊急捕獲活動への支援として、一頭当たり八千円、交通費等が支給されているわけですけれども、少なくてなかなか意欲にならないということなんです。  被害を防ぐ防止策を強化するということと、駆除後の死骸の速やかな運搬への支援も強化する必要があるんじゃないかと。一頭当たり八千円という駆除への支援額を引き上げるということや、駆除後の速やかに処理する体制整備を強化すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  109. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 紙先生の御質問にお答えします。  今、先生の方から御指摘ございました緊急捕獲でございますが、平成二十四年度の補正予算で計上したものでございまして、全国で三十万頭の追加的捕獲を目標として措置したものでございまして、捕獲活動に要した経費ということで、日当、捕獲資材費、移動や捕獲鳥獣の運搬に要する燃料代等として大体一頭当たり一万七千円というふうに見込んでおりまして、この半分を支払うということで八千円以内の支払を捕獲頭数に応じて行うこととしておるところでございます。  今先生御指摘ございましたように、八千円以内の単価の引上げでございますが、実はこれにつきましてはこの二分の一相当を国が持つわけでございますが、それを上乗せをするところにつきましては特別交付税措置で措置しておるところでございまして、実態的にも、北海道でおきますと、百二十三の市町村がこの緊急活動経費を使っておるわけでございますが、九十一の市町村で上乗せを実施しておるところでございまして、参考までに申し上げますと、北海道の場合、国費による支払が一頭当たり七千四百円、これにつきまして市町村で上乗せが約六千円がなされていると、このような状況になっておりまして、こうしたものを活用しながらしっかりとこういうものに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 今後も相当数の駆除が計画されていますので、しっかりした支援をお願いしたいと思います。  それから、駆除後の有効活用についての支援も必要です。北海道では有効活用対策としてエゾシカを食肉にしたりペットフードの原料にして活用する取組、シカの日という設定をして行っています。しかし、捕獲したエゾシカの食肉処理施設への売却が一三・二%、ペットフード製造業者への売却割合は〇・三%ということで、本当に僅かです。今、駆除の対策が先行していますけれども、エゾシカを有効利用する取組、出口対策が遅れていると思うんですね。農水省として有効活用に力を入れるべきじゃないかということが一つ。  ちょっと時間がなくなったのでもう一つ併せて質問するんですけれども、鹿肉を商品として流通させる場合に衛生管理をしっかり行わなきゃいけないと。それで、衛生管理の基準は都道府県が独自に作成しているガイドラインで対応しているんですけれども、鹿肉を有効利用するために国としてルールを策定すべきではないかと。これは厚生労働省に質問したいと思いますけれども、二つお願いいたします。
  111. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) まず最初に、私の方から。  今先生の方から御質問ございましたように、おっしゃるとおり、食肉としての利活用というのが大事かというふうに考えておりまして、これにつきましては、鳥獣被害防止総合対策交付金ということで、二十五年度の補正予算で三十億、二十六年度の当初予算案では九十五億計上しておりまして、これによりまして、捕獲鳥獣の処理加工施設の整備、それと商品の開発あるいは販売流通経路の確立などの販売面での強化を目指す取組や、鳥獣肉の衛生管理及び品質管理に関する研修会の開催等について支援しているところでございまして、こうした支援活用していただきまして、例えば北海道の鷹栖町におきましては、捕獲されたエゾシカ、大体年間三百五十頭でございますが、これを食肉として有効活用しているといったような事例も出ておりまして、こうしたものにつきましてしっかり各種支援を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  112. 新村和哉

    政府参考人(新村和哉君) 食肉処理のガイドラインにつきまして私の方からお答え申し上げます。  食用に供される肉につきましては、エゾシカなどの野生鳥獣でありましても、食品衛生法に基づき、食肉処理業として営業許可を受けた施設において処理を行う必要がございます。一方、野生鳥獣は飼育環境が管理されておりませんし、また、屠殺される場所が屋外であるということなど一般の家畜とは異なる独自の衛生管理が求められるということがございます。このため、北海道を始め野生鳥獣の利活用が盛んな一部の都道府県におきましては、野生鳥獣処理の衛生処理に関するガイドラインを作成していると承知しております。  厚生労働省では、野生鳥獣の安全確保のため、現在、厚生労働科学研究におきまして、野生鳥獣の病原微生物による汚染実態調査等を実施しているところでございます。これらの研究成果などを踏まえまして、厚生労働省としてもガイドラインの作成など野生鳥獣肉の安全性確保対策を進めていきたいと考えております。
  113. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 時間が来ております。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 はい。引き続き、是非省庁をまたがってというか連携しながら対策を取っていただきたいということを述べまして、質問を終わります。
  115. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会の儀間でございます。  私も、先週も林業関係をお尋ねいたしましたが、あの時間では少し残したのがありまして、それを続けていきたいと思います。山田先生おっしゃったように、シリーズ化できるかどうか分かりませんが、できたらシリーズ化していって年間を詰めてやっていけたらと、こう思っております。  我が国の林業は、世界第三位の森林国であることから、多くの木材に関する商品等が出ております。そこで、林業について、前回少し時間がなくて聞き逃した部分があったりいたしましたから、改めてそれを拾いながら次への展開をしたいと思います。  まず、緑の雇用、時間切れでどうなっていますかで止まってしまったんですが、これについて伺いたいと思いますが。  この制度によって十五年度以降は増加傾向にあるんですね、就業者が。有効な施策の一つとして受け止めてはおりますものの、予算面から少し見てみたいと思うんですが、平成二十六年度の当初予算でも森林・林業人材育成策として六十六億円が計上されております。また、同事業を導入してから今日まで同事業を推進するための十分な予算額になっているのかどうか、あるいはなっていくのかどうか。これまでと比較して少し比較検討をお聞きしたいと思います。  また、同制度を活用して新規就業を希望しても、予算、財源の手当ての不足から足切りをしなきゃならない環境などもあるのかどうか、併せて実情を聞きたいと思います。
  116. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、林業をきちんとやっていくために、いわゆる現場の担い手確保というのが大変大切なことというふうに思っております。私ども、そのために緑の雇用事業ということで取り組んでいるところでございまして、予算的には、実は、平成二十六年度の予算、そして二十五年度の補正予算活用しておりますけれども、現在合わせますと六十七億という水準でございますけれども、それできちんとした事業を実施、これからもしていきたいと思っております。  内容を申し上げますと、新規就業者が必要な技術を習得するため三年間の基本研修がございまして、あとは作業班長の養成に向けたキャリアアップ研修というものがございます。そういったことと、あと新たに新規就業者を確保するために二年間の給付金の事業というものがございますけれども。こういったものに取り組んでいるわけでございますけれども、具体的な要望がそれぞれ各都道府県からございますけれども、そういった要望につきましては今のところその予算でもって何とか対応しているのかなというふうに思っております。  前回もちょっと答弁させていただきましたけれども、林業従事者、過去、昭和五十五年のときには十五万人おりまして、それがだんだん減少いたしまして、最近では五万人というような状況になっておりますけれども、緑の雇用事業が始まりましてからほぼ五万人で横ばいというような状況が続いてきておりますので、私どもとしては何とか苦しいながらもきちんとした担い手確保できているのかなというふうには感じているところでございます。
  117. 儀間光男

    ○儀間光男君 そのことは前回も聞いて分かっておりますが。  ここで、林業者といろいろ話をしてきたんですが、新たな問題として、いわゆる希望する数と予算の手当てで、なかなか足切り状態があったりして思うほど確保できない、できていないというようなこと等があると同時に、毎年の予算が、まあ後でやりますけど、大体二千億ぐらいですね、林業関係。二千億ぐらいされておるんですけれど、そのうちほとんど補正でやってくるものですから、トータルで今回一千九百五十ですが、二千億のベースを漸減しながら守っているんですけれど、補正で来たりするものですから、計画的に安定的に雇用の確保がなかなか現場において難しい。あるいは、その三年間の訓練を受けて現場へ届く間に多少欠陥が生じたりして、なかなか思うことができない。  願わくば、補正の分を当初予算で組んで、関係者の雇用やその他の施策に、経営に安定したものができたらなおいいなと、こういうような話を関係者は言っておったんですが、その辺りはどうなんでしょうか。
  118. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) まず、緑の雇用事業に関してでございますが、本年の補正予算とそれから二十六年度の当初予算、合わせて六十七億ということを申し上げましたけれども、そういった事業規模でやっておりますけれども、少なくとも平成二十五年度においては、現場から上がってきた要望について、いわゆる足切りをしたとかということはございません。そういった希望の方々につきましては、ほぼといいますか、完全に緑の雇用の対象事業として実施させていただいているという状況がございます。  それからもう一点、林野庁関係予算全体でございますけれども、御指摘いただいておりますけれども、二十六年度の当初予算予算案でございますけれども、林野庁関係全体で二千九百十六億円でございます。こういった予算と併せて、実は二十五年に補正も措置させていただいておりますので、そういった補正予算と組み合わせた形で二十六年度においては必要な事業を実施してまいりたいというふうに思っております。  御指摘いただいておりますように、林野関係予算につきましては補正予算というものがあるわけでございますけれども、これまでいわゆるその時々の状況でありますとか課題に対応するため、補正予算活用しながら必要な予算確保に努めてきたわけでございますので、私どもとしても、こういった森林整備なり地域の雇用の確保に必要なものという位置付けにおきまして、今後とも必要な予算はいろんな形も含めまして確保していきたいというふうに考えているところでございます。
  119. 儀間光男

    ○儀間光男君 これはまた後でやるとして、どうぞひとつ関係者の期待に応えて頑張っていただきますようにお願いをしたいと思います。  それから、過日に行われました所信表明、第五の林業の成長産業化、これに関連して少し伺いたいんですが、今のことも含めて、林業経営についての実態を皆さんがアンケートしてあるんですね、調査してあります。それを見ますと、大変気になるのがあるんですよ。平成二十三年の農林水産省の林業経営に関する意向調査、アンケートされておりますが、一ヘクタール以上二十ヘクタール未満の山林保有者の七七%は林業経営を行っていく予定はないと、こういうようなことに回答されております。さらに、五十ヘクタール以下の方々もそういうふうな回答があって、全体で五一%の山林保有者が経営に極めて否定的な皆さん方の統計があるんですよ。  これについて非常に危惧するわけでございますけれども、林業の成長産業化には、これは何か非常に今言ったように危惧してしようがないんですけれども、現状でこの危惧に皆さんはどういう戦略を持って当たろうとしているのか、伺いたいと思います。
  120. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) 御指摘いただきましたように、私ども、日本のいわゆる林業経営、かなり所有自体が小さいというのが基本的にございまして、森林、一旦植栽いたしますと、最初のうちは手が掛かるわけでございますけれども、それが例えば二、三十年して間伐を一回やると、その後五年ないし十年はそんなに手が掛からないというような状況になってきております。ただ、私どもとしては、森林所有者それぞれがきちんとした林業経営ができるように努力しているところでございます。  こういうふうに、林業経営に対する意欲といいますか、そういったものが低下してきたというのは全体的な傾向にあるわけでございますけれども、やはり木材価格が長期にわたって低迷してきたというのが最大の要因だろうというふうには思っております。  そういった、私どもとしては、ことを踏まえながら、やっぱり木材需要を大きくしていかなければいけない、また林業経営をやるに当たって必要となるコストも縮減しながらやっていかなくてはいけないと。そういったところでいわゆる林業経営から得られる収益を少しでも大きくしていきたいというふうに考えているところでございまして、私どもとしては、昨年末に取りまとめました農林水産業地域活力創造プランの中で林業の成長産業化ということを実現しようということでうたわさせていただいておりまして、そういった林業の成長産業化を実現する意味でも、新たな木材需要の創出なり適切な森林整備の推進ということに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  121. 儀間光男

    ○儀間光男君 皆さんが目標とするところと、実際の山林保有者、林業を経営する方々がこういう状況では、行く末が大変心配なんですね。ということで、この辺、何かミスマッチでもあるのかどうかよく分かりませんが、この辺を検証してしっかりとしてやっていただきたいと思っております。  次に、予算を少し見てみたいんですが、平成二十六年度、今年度の農林水産省予算総額二兆三千二百六十七億。さっきもお話がありましたが、決して多くはないというような感じ、私もするんですね。経済も何もかもが促進して進めていくには、農が基になって、農林水産が基になっていかなければいけないという基本的な考え方があることから、そんなに取り立てて取り過ぎるなどということはないんでありますが、ただ、林業に占める割合を見ますというと、まあ他の産業もあってのことでしょうけど、たったの八・三%、さっき言った二千億ぐらいなんですね。  このことを見ても、私は成長産業の戦略はどうも組みづらいのではないか、マーケットに対する拡大していくということへの配慮が少し足りていないのではないかというような気がしてならないんですね。どうしても成長産業戦略を取っていくには、マーケットの確保が、あるいは商品価格がそのコストと合っていくような、生産コストにペイするような、そういうことをやっていかなければならないと思うんでありますが。こういうことから考えますというと、毎年しかも減額をされてきている、そういうようなことから、私どもはこれをどう読み込んでいったらよいのか。いわゆる毎年漸減してきているわけですよ、二千億台へずっと落ちてきて。  就業者が減って、五万人に減ったから、その事業量もそんな程度だとおっしゃっているのかどうか分かりませんが、この辺をどう読んでいけば成長産業への符合が見付けられるのか、ちょっと説明をしていただきたいと思います。
  122. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) この林業の成長産業化というのは、私ども、日本森林資源が先人の努力によりましてようやく豊かになってきた、そういった豊かになってきた森林資源をこれから使うんだ、有効に活用していくんだと、そのポテンシャルがあるということでございまして、じゃ、どうして、どう使っていったらいいかということでございますけれども、やはり国産材と外材を比べますと、質量共に安定供給という面で問題があるというふうに思っております。そういった意味で、川上から川中、川下への安定供給体制、きちんとやっていくんだということが一つございます。  それから、やはり国産材の木材利用の範囲を広げていくんだということがございまして、一つは合板が今までほとんど外国産の木材で作られていたんですが、技術革新もございまして、直径が一センチ、二センチまでむけるようになりまして、国産材の利用量というのは大変増えました。今三百万立方近くになっております。そういったことで、実は自給率も十年前の一八%程度から今二八%ぐらいに上がってきたという構造がございます。  そういった意味で、これから成長産業化をやっていく上でも、木材の利用の拡大というのは必要なことというふうに考えているところでございまして、やはり国産材のマーケットをきちんと確保していくんだということをキーに置きながら安定供給を進めていって林業全体を成長産業化させていこう、そして森林所有者の方々に少しでも関心を持ってもらって森林経営、林業経営ができるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  123. 儀間光男

    ○儀間光男君 この前も本委員会で申し上げましたが、戦後六十年、七十年近くなって、十齢級、十一齢級が出てきまして、あと十二齢、十三齢と、があんと減っていくんですよ。一方、一齢級を見たら、作付けは幾らかといったら、たった七万ヘクタールから始まるんですね。徐々に上がるので、そんなに上がっていない。したがって、林業の安定供給、木材の安定供給という意味では、この作付けの面積のバランスからすると、少し持続的に供給できるかなという心配があるわけですね。そこで、マーケット戦略について心配が少しあるわけでございますが。  ここで、マーケットについてちょっと見ますというと、我が国の、国内はいいと、需要率かなり高いんですが、マーケットを国外に求めるという観点から見ますというと、我が国の木材の輸出額は、皆さんの資料からすると百億円弱ですね。ピーク時が平成十九年、二十年、二十一年とありますが、後はどんどんどんどん減ってきているわけですよ。そういうことで非常に心配される。輸入総額のたったの一%を輸出しているというんですね。それでは、将来の林業のマーケティング戦略というのは国内のみで圧縮されて、なかなか戦略的に産業として持っていくのは厳しいような気がするんですね。  したがって、国外へのマーケット、それをどうするか。皆さんおっしゃるように、攻める農林水産業が攻められっ放しの業になってやせぬのかというような気がしてならないんですね。もっと、そうであるならば、いろんな方法を講じて、コストカバーもできて、輸出でもマーケットを広げるというような政策、ダイナミックな政策課題があっていいと思うんですよ。ところが、輸出に対する輸入とのバランスから改善されてこれでいくんだという戦略的な政策が見えないんですよ。その辺、どう判断されるか、聞きたいと思います。
  124. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) 木材の輸出関係でございますけれども、我が国からの木材輸出、最近は百億円ぐらいでございますけれども、実は平成二十四年が九十三億でございます。平成二十五年が百二十三億となってございます。円安の影響等もあったかもしれません。中国における日本産丸太の需要の増加というものもあったんだろうというふうには思っております。  私どもとしても、昨年八月まとめました輸出戦略の中でも、木材を始めとする林産物の輸出額を倍増していくんだということを掲げております。そういった意味で、中国、韓国に重点を置きまして、現地での日本産木材の例えば利用実証でありますとか見本市への出展と、こういったことを通じて認知度の向上に努めているというところでございます。  現在、例えば、日本の建築基準法に相当いたします中国の木構造設計規範というものがございます。ここに我が国の杉、ヒノキが位置付けられますように関係者一体となって働きかけをさせていただいているところでございまして、今中国の国内でパブリックコメントが終了いたしまして、これからそういった規範に登載すべくいろんな審議会の開催を含めて手続が始まってくるものというふうに期待しております。  また、具体的な製品として、例えば韓国のいわゆるオンドルの仕様に合わせた床暖房のフローリング、ヒノキ材が中心でございますけれども、こういった輸出を志向している大変優秀な企業さんもいらっしゃいます。  こういった各国のニーズに合わせた木製品の開発をしていくということが必要だろうというふうに考えておりまして、今後とも私どもとしては、ジェトロを始めといたしました輸出関係団体等と連携して、このような我が国の木材の輸出への取組ということを一層推進してまいりたいというふうに考えております。
  125. 儀間光男

    ○儀間光男君 時間も余りないことから、簡潔に、ひとつシンプルにお答えいただきたいと思います。  今も含めて、国内需要はもとよりでありますが、日本の木工材の質の良さ、先ほど食の話もありましたが、それも含めて、外国産と比較にならぬぐらい木工材の質の良さと、あるいは日本の木工細工の質の高さ、そういう意味からすると、国外でも十分に戦えると思うんですよ。  ここで今、中国の話がありましたが、中国がピーク時が、ずっと昭和三十四年から来て、ピーク時が平成二十年辺りまで横ばいしてきて、後、落ちてきているんですが、ここは端的に言って木材を使わなくなったのか、あるいは中国が他の外国から入れて落ちたのか、あるいは中国国産の木材が供給されるようになったのか。その辺を端的に、時間余りありませんから、端的にひとつ。
  126. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) 木材の輸出自体は、それほど量的には確かに多くはないと思っておりますけれども、そういった中国の関係につきましては、例えば円高で振れた部分もございますし、そういったいわゆる民間企業ベースのそれぞれの取引の振れが大きかったのかなというふうには思っております。  私どもとしては、せっかく伸びてきましたので、一昨年から去年にかけて伸びてきましたので、また更にそれを加速させていきたいというふうに思っております。
  127. 儀間光男

    ○儀間光男君 一番たくさん輸入していた中国がそういう状態で、気になっております。  来年、イタリアで、猪口先生からお話がありましたが、ミラノで国際博覧会がありますね。私は、その歴史的な観点から考察しても、我が国食文化と木工文化、これは非常にハイレベルな文化であって、また表裏一体を成すものだと認識をいたしております。この我が国のすばらしい木工技術を各国に紹介していく、極めていいチャンスだと思うんですね。もちろん皆さんが言っているCLTを始め、日本の国産材、木工製品、こういうものを是非取り入れていただきたいと思います。  そして、さっき言ったような攻める農林水産業、これの国際競争、経済はグローバル化されていっておりますが、我が国の制度がなかなかグローバル化されていない。TPPも一緒ですよ。そういうことで、攻められる、守る農林水産業よりは、大臣おっしゃっている攻め込む農林水産業是非とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。  最後の質問になりますが、あわせて、今日、水産庁にお願いしてあったんですが、金子先生がかなりお話がありましたし、さらに日台、日中、これもシリーズ化してやっていきたいと思いますから、今回は次にしていきたいと思いますので、今申し上げたことに対する大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。
  128. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今日は林業について専門的に御質問いただきましたが、まさに私も、かなり小さいんですが、森林組合の一員でございますけれども、やはりいろんな方と地元でも話しますと、切り出すときのコストと見合うだけの収入というのがなかなか出ないんじゃないかと言う人もいらっしゃいます。  やっぱり需要と供給、両方をきちっと見ていくことによって、需要には国内、国外両方あるわけですが、まさに無形文化遺産登録日本食はさせていただきましたし、来年はミラノ万博がございます。二〇二〇年にはパラリンピックオリンピック東京開催ということでございますので、こういうところをしっかりと林業の成長産業化に取り込んでいくように努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  129. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。終わります。
  130. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 以上をもちまして、平成二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会