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2014-06-19 第186回国会 参議院 総務委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年六月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十七日     辞任         補欠選任      堂故  茂君     木村 義雄君  六月十八日     辞任         補欠選任      木村 義雄君     堂故  茂君  六月十九日     辞任         補欠選任      礒崎 陽輔君     太田 房江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 香苗君     理 事                 二之湯 智君                 丸川 珠代君                 吉川 沙織君                 若松 謙維君                渡辺美知太郎君     委 員                 井原  巧君                 石井 正弘君                 礒崎 陽輔君                 太田 房江君                 小泉 昭男君                 島田 三郎君                 関口 昌一君                 柘植 芳文君                 堂故  茂君                 藤川 政人君                 石上 俊雄君                 江崎  孝君                 難波 奨二君                 林 久美子君                 藤末 健三君                 片山虎之助君                 寺田 典城君                 吉良よし子君                 又市 征治君                 主濱  了君    衆議院議員        総務委員長    高木 陽介君        総務委員長代理  石田 真敏君    国務大臣        総務大臣     新藤 義孝君    副大臣        総務大臣    上川 陽子君    大臣政務官        総務大臣政務官  藤川 政人君    事務局側        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        総務省情報流通        行政局長     福岡  徹君        文部科学大臣官        房審議官     義本 博司君        厚生労働大臣官        房審議官     鈴木 俊彦君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  浜田健一郎君        日本放送協会経        営委員会委員(        監査委員)    上田 良一君        日本放送協会会        長        籾井 勝人君        日本放送協会専        務理事      塚田 祐之君        日本放送協会専        務理事      吉国 浩二君        日本放送協会専        務理事      板野 裕爾君        日本放送協会理        事        井上 樹彦君        日本放送協会理        事・技師長    浜田 泰人君        一般社団法人日        本民間放送連盟        専務理事     木村 信哉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○行政書士法の一部を改正する法律案衆議院提  出)     ─────────────
  2. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省情報流通行政局長福岡徹君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会会長籾井勝人君外八名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは質問させていただきます。  この長い通常国会ももう事実上大詰めになりまして、実質、総務委員会は今日でおしまいですよね。いや、よく総務委員会というのは仕事をするなと思って私は感心しているんですが、この総務委員会審議の中で、やっぱり籾井NHK会長記者会見での発言問題が大変大きなテーマで議論されてきました。まあ積み残しということもないんだけど、もうちょっと聞いておく方がいいような私は思いがありますので、厳しくやるつもりはありませんから、温かくやります、是非そのつもりで。  まず一つは、籾井会長は、これからは個人的見解と公の発言、立場はこれは峻別すると。しかし、個人的見解は変わらないと言われましたよね。私は、どう折り合いを付けるんだろうかと思っているんですよ。  そうすると、あなたと違う報道の仕方や、報道内容もあるのかもしれぬけれども、そういうときには一切もう何も言わないわけですか。自分個人的見解と違うことを、NHKのその報道の姿勢、方針が、そのときの調整、折り合いはどう付けられるんですか。
  8. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) お答えいたします。  度々私は国会審議などで個人的な見解放送に反映させることはないと、本当に再三申し上げてきております。放送法放送ガイドラインにのっとって今後とも放送を行っていくということを改めて明確に申し上げたいと思います。  一方で、NHK番組が外からの圧力や働きかけによって左右されることはあってはならないということは当然でございますけれども、これにつきましても、放送法にのっとり自主自律確保していくことが極めて重要だと考えております。  協会運営に当たりましては、これは私の民間での経験等を生かしながら、効率的でかつ風通しの良い自由闊達な職場づくりに努めていきたい。つまり、私は、放送に関していえば放送法にのっとって事を進め、なおかつ経営については、私の経験も生かしながら、やはり自由闊達な雰囲気の職場づくりをしたいというふうに考えております。
  9. 片山虎之助

    片山虎之助君 経営については経営委員会がありますよね。それから、会長の下には副会長以下理事や皆さんおられるので、そこで大いに議論してもらって、いろんな審議会なんかもあるのかもしれぬけれども、それに従うということですね、自分意見は一切出さないと。簡潔に。
  10. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) それは、私も意見は申しますが、よくみんなと話し合った上で決めていきたいというふうに、方針は決めていきたいと思っております。
  11. 片山虎之助

    片山虎之助君 私の意見というのは個人的見解じゃないんですね。
  12. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 経営に関しては当然個人的な見解もあることはお分かりいただけると思います。放送に関してはそういうことは全くありません。
  13. 片山虎之助

    片山虎之助君 その点は分かりました。それじゃ、それやってください。  それから、次は人事ですけれども、あなたは理事辞表を取ったわね、日付が書いてない。返しましたよね。これ、あれだけ返せ返せと我々は言ったのに、それを一つも返答なくて、勝手に返しちゃ駄目じゃないですか。返すなら返す前に言わないと。どうして返したんですか。何で返したの。
  14. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 辞表につきましては、最初にいただいた辞表につきましては、私もうこれも何度もお答えしておりますが、やはり緊張感を持って仕事をしていただきたいということでいただいたわけですが、ちょうど役員改選を機に新しい体制に入っていきますので、一応役目は終わったというところでお返ししたわけでございます。
  15. 片山虎之助

    片山虎之助君 緊張感を持たせるために辞表を取るというのも困ったものですよね。しかも、あなたは、返した前後かどうか知らぬけれども、二月に再任した二人の専務理事に辞めろと言っているんだね、新聞報道ですよ。そうしたら、二人は拒否したんですよね。そうしたら、はい、分かりましたと引っ込めて、またこれも権威のない話だと私は思うけれども、何でそんなあれがあるんですか。辞表を取っておいて、返して、辞めろと言ったら断られて、それじゃ残ってください、担当は変えますと、一連のこれはどういうことなんですか、会長
  16. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 人事のことでございますので、それが決まるまでのプロセスについては私は会長としてコメントを控えさせていただきますが、私が経営委員会に上げたことは、要するに今の体制人事人事案として同意を求めたわけでございます。
  17. 片山虎之助

    片山虎之助君 人事というのは、安心感というのかね、受ける人が、安定感というのかね、お互い信頼関係というのかね、それがなきゃみんな不安になるんですよ。そこのところは、あなたも民間のいろんなことをやられているんだから、トップにおられたんだからよく分かっていると思うけれども、また、うそか本当か知りませんが、不定期人事異動やるというんですか、これから。不定期人事異動というのはあって悪いわけじゃないけれども、またこれは不安になるわね、やりようによっては。いかがですか。
  18. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 今回、六月十三日付けで大幅な千人に近い人事異動を行いました。やっぱりこれをやるについては相当のエネルギーを人事で使っているわけでございます。同時に、御想像いただけると思いますが、これが恒例の人事でありますからして、職員の間でやはりうわさであるとか何だかんだということが付きまとうわけでございます。これはNHKのみならず、どの会社においても人事の季節になりますとそういうことがあります。  よって、前の会社でもそうですが、私は人事は随時ということに戻しましたし、今回もそれによってみんなが安心して仕事をできる、なおかつ人事弾力性ということで仕事にフレキシビリティーを持たすというふうな意味でやりました。恣意的な人事やそういうことは全くございません。
  19. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、どんな団体や役所組織でも、やっぱりいろいろやってみて、定期異動がまあいいかなということなんですよ。あなたの言われるように、定期異動というのもいろいろ問題ありますよ。しかし、これが定着しているのは、それが大多数まあいいかなということなんです。あなたみたいに、いつやるか分からぬ、抜き打ちにやったら人事当局大変ですよ、それは。  それから、受ける方も大変だわね、いつどうされるのか。大体二年周期で回るとか三年周期で回るとかあるんだから、そういう一種の安心感があるのでね。私はNHK人事のことは言いませんよ、言いませんけれども、安心感というか安定感というのか、お互い信頼というのか、あなたの求心力もそれによって私変わってくると思うんだけれども、どう思われますか。あなた、ほかの会社でそういうことやったの、不定期、随時。
  20. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 恣意的な人事というのは、これはどういう人事異動体系を取ろうとあってはならないことだと思います。しかし、えてしてあることであることは間違いない。  しかしながら、私は、今後NHKとしてはいろんな新しいことをやっていかなくてはいけないところで、人事の配置の問題についてもやはり弾力性を持たせなければいけないというふうに思っております。そういう中で、今人事部の方でどういうふうな形態が、どういうふうにしてこれを行うのが一番いいかということを検討させております。
  21. 片山虎之助

    片山虎之助君 NHK人事は一会社や一法人人事じゃないんですよ。公共放送なので、国民みんな見ていますから、そこは慎重にひとつしっかりとお願いします。我々、見ているから、そういうのが我々の仕事だから。
  22. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) しかと承りました。
  23. 片山虎之助

    片山虎之助君 しかと受け止めてください。シカが増えているんだよ、最近。  放送法の話ですけれども、この放送法平成十九年の放送法改正を受けての五年後の見直しのあれなんですね。十九年の前に、十八年に政府と与党で今後の通信・放送政策の基本を決めたんですよ。私は自民党のその関係委員長か何かやらせていただいて、安倍さんが官房長官で、竹中さんが総務大臣で、副大臣が菅さんだったんですよ。そのとき大議論して、放送だけじゃありませんよ、NTTなんかの組織形態を含めていろいろと取決めをしたのに基づいて十九年の法改正ができたんだ。それを受けての今度の改正なんですよ。だから、この今回の改正のいろんな萌芽はその政府・与党取決めの中にあるんですよ。その一つ国際放送であり、その一つオンデマンドというかアーカイブスであり、それからマスコミの集中排除原則なんですよ。  そこで、国際放送はもっと強化しろと、中国や韓国と競争をするわけでもないけれども、あれなんかと比べて守勢じゃないかと、そういうことでNHKに子会社をつくれと、民間出資も仰げと、自由にやれということで、JIBですか、あれができて今日に至ったんですよ。この簡潔な経過とその業績を言ってください。
  24. 板野裕爾

    参考人板野裕爾君) お答えいたします。  JIB株式会社日本国際放送は、外国人向けテレビ国際放送業務を円滑に遂行するために六年前に設立をされたものでございます。  現在、JIBでは、NHKからの委託業務と、民間企業等スポンサーを得て自主事業の二つの柱で業務を行っております。  NHKからは、NHKワールドTV番組制作アメリカなどでの受信環境整備委託をしております。NHKJIBとの連携によりまして、国際発信力強化が進んでいると考えております。一定の成果が上がっていると評価をしているところでございます。一方、独自番組制作などの自主事業につきましては、厳しい環境の中でスポンサー確保に尽力されていると聞いております。  今後、オールジャパン体制の幅広い支援を一層いただくことで安定した業務が継続できるよう期待しているところでございます。
  25. 片山虎之助

    片山虎之助君 そのワールドTVNHKの、それは今アメリカ主戦場になっているんですよ。いろんな国が全部、アメリカでのマーケットというのかな、どれだけ売り込むか、見てもらうかということなので、どうも、私の乏しい経験ですよ、アメリカに行ってホテルに泊まって、しゅっと簡単に見れないわね。いや、どうもおかしいんじゃないかと思う。あれだけ日本人がたくさんいて、アメリカとの関係があるのに。  何かその辺はいろんなネックがあると思うんだけれども、改善は考えているんですか。
  26. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 委員仰せのとおり、海外に行ってぱっとNHKワールドを見ようと思ったらなかなか見れないということは、本当によく私も分かります。  今まで、NHKとしましては、いわゆる受信可能世帯というものに注力をしてきました。そして、今二億七千万世帯まで来ております。あとは、どれだけ見てもらえるかということが非常に大事なことだと私は思っております。そのために、今後、番組を大幅に見直して、それで見ていただく人たちに興味を抱かせる。やっぱりNHKワールドを見たいという、そういう番組を作るために今から本当に我々は全力を尽くしてまいります。ちょっと時間が掛かるかもしれませんけれども、それは何年ということではなくて、やはりもうできるだけ早くそういうことをやっていきます。その上で、今度は見ていただくようなキャンペーンをしていきたいと思います。  是非、委員、この次アメリカに行かれたら、ぱっと見れるようにできるだけしたいと思っております。
  27. 片山虎之助

    片山虎之助君 期待しますよ。一番会長の得意なところじゃないの、こういうことが。  それで、国内の今度はあれを広げるんでしょう、今ケーブルテレビかなんかにしか出していないのを。それは相当需要があるんですか。どういうことになるんだろう。国内で、時限でなくて、対象の業者も広げるんでしょう。どうですか、見通しは。
  28. 板野裕爾

    参考人板野裕爾君) 今回の放送法改正案では、外国人向けテレビ国際放送国内ケーブル局等への番組提供が新たにNHK任意業務となって、更なる普及につながると受け止めております。また、国際放送に関連した行政手続などもこれまでよりも簡素になる、より柔軟で迅速に業務に対応できるようになると期待をされているところでございます。  法改正を受けまして、NHKとしましては、内外のより多くの視聴者の方々に国際放送を視聴していただけるよう、認知度の向上や受信環境整備に一層力を入れまして、国際放送充実強化に努めてまいりたいというふうに思っております。
  29. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、オンデマンドだけれども、オンデマンドは昨年度黒字になったんですね、やっと。そして、今度はあれですか、過去の番組じゃなくて、現在これから放送するものを流すんですね。そういう方針ですね。これについての見通しを教えてください。
  30. 井上樹彦

    参考人井上樹彦君) 今回の放送法改正の趣旨は、近年のメディア状況変化を踏まえまして、NHKインターネット活用業務を拡大するものというふうに承知しております。  同時再送信というのがありますけれども、これについては、ヨーロッパの公共放送では既に実施されておりまして、インターネット活用が進むことは時代流れというふうに認識しております。一方で、放送を受信できる方からお支払をいただく受信料制度との関係をどう整理するか、そして著作権の処理、そして配信コストなどの課題も存在しております。  今回の法律改正を踏まえまして、どのようなサービスを実施するのがふさわしいのか、実施基準を検討していく中で具体化を図っていく考えでおります。
  31. 片山虎之助

    片山虎之助君 今まさに理事が言ったとおりなんですよ、受信料との関係ですよ。テレビを見ている人は受信料を払っているんだから。インターネットに流した場合に、有料と無料と両方あるんだろうと思うけれども、その境をどうするのかというのと受信料を払っている人の関係ですよ。無料にするなら、みんなインターネットを見るよ。  その辺の整理はこれからですか。いつまでに結論を出すんですか。
  32. 井上樹彦

    参考人井上樹彦君) そこのところは非常に重要な問題だというふうに認識しておりまして、これから、その辺も含めて、どのようなサービスを実施していくか、実施基準を作りながら考えてまいります。  いずれにいたしましても、NHK使命は、社会の変化を的確に捉えて視聴者国民のニーズに応えるということにあります。様々な先ほど御指摘の課題がありますけれども、公共放送としての使命を果たしていきたいというふうに考えております。
  33. 片山虎之助

    片山虎之助君 NHK番組は、ある意味では国民の資産ですからね。私は、インターネットに大いに流す、活用するというのは賛成ですよ。ただ、不公平では困るんだよ、国民が、公共放送受信料ということを言うと。  これについては、大臣、お考えありますか、今のインターネット利用
  34. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) これは、まさに今NHKがお話をされましたように、時代流れであります。一方で、受信料制度の根幹に関わることでもありますから、様々な検討をしなければならないと。私とすれば、前向きに取り組みながら良い知恵を出す、これが必要ではないかと、このように考えております。
  35. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、マスメディア集中排除原則緩和ですね。今度、出資緩和しますよね、二分の一を三分の一に。  これは、民放連の方がおられたら、ローカル局賛成なんですね、望ましいんですね。
  36. 木村信哉

    参考人木村信哉君) お答えいたします。  日本民間放送連盟、従来から会員各社要望、それからメディア環境変化を踏まえまして、民放経営の選択肢を広げるという観点からマスメディア集中排除原則緩和は求めてまいりました。今回の認定放送持ち株会社に関します規制緩和民放連要望事項一つでございますので、賛成しております。
  37. 片山虎之助

    片山虎之助君 ただ、余りキー局というか中央の力が強くなると、地方番組自主性というのかな、コンテンツを含めて、そういういろんなもののあれが私は相対的に低下するんじゃないかと思うんですよ。  今、一極集中がもっとひどくなる、大都市圏優位がどんどん拡大しているんですよ。そういうときにこういうことをやってキー局影響力がどんどん強まっていくということは、報道におけるそういう地方自主性がなくなるんじゃないかといって心配なんですよね。  それは、経営ではいいでしょう。経営基盤は私は強固になると思うけれども、緩和する方が、しかしどうなのかなという感じがするんですけれども、お考えがあったら、これは、どうぞ。
  38. 木村信哉

    参考人木村信哉君) 今回の規制緩和、実際に活用するかどうかは、これは各社経営判断ということになりますけれども、法律上も今回のその認定放送持ち株会社関連会社には、地域向け自主制作番組確保に関する努力義務がございます。また、当然、基幹放送事業者として地域情報を発信していくということは極めて大事なことであるというふうに考えておりますので、資本の率が変わったからといって、直ちにそれが、ローカル放送がへたっていくということにはならないかなというふうに思っております。  民放事業者は、放送地域性確保重要性、これはもうしっかり認識しているところでございます。
  39. 片山虎之助

    片山虎之助君 地方の活力、地方再生ということは総務省の大きな役所テーマですよね。それとの関係で、もっと、今も大変考えていると思うけれども、深刻、真剣に、大臣考えてもらわにゃいけません。特に、報道というのは強いんですよ、このメディアの力というのは、我々が思う以上。尖閣もそうでしょう。まあ大臣はよく分かっているわ。  そういう意味では、総務省として基本的な政策打ち出してくださいよ。いかがですか。
  40. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) これは既に打ち出しておりますし、平成十九年の法改正において、放送多元性多様性地域性確保するということで様々な措置がとられております。また、放送会社がそういう独自性を失えば、それは自らの経営基盤を弱めることになるとも思います。ですから、持続的にやるわけでありますが、私どもとしても、これは、地域性はきちんと確保できるようにしっかりと指導、監督してまいりたいと、このように思います。
  41. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、もう最後の質問にしますけれども、4K、8Kの時代になるんで、NHKが先導的な役割を私は果たさないかぬと思うんです。それについての簡潔な見通しと決意を言ってください。
  42. 浜田泰人

    参考人浜田泰人君) お答えいたします。  NHKは、8Kスーパーハイビジョンについて、二〇一六年の試験放送、二〇二〇年に本放送の開始を目指して、コンテンツ制作あるいは設備の開発、整備を積極的に進めているところでございます。  現在、ブラジルサッカーワールドカップが開催されておりますけれども、NHKは、このうち九試合を8Kスーパーハイビジョン制作する予定でございまして、日本国内の四か所、ブラジルの三か所でパブリックビューイングも実施しております。その高い臨場感が多くの観客から評価をされております。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックでも、最先端の放送サービスといたしまして、8Kスーパーハイビジョンを世界の人々に体験していただけるものと考えております。  今後、国及びメーカーあるいは通信事業者を始めとする幅広い産業界と連携いたしまして、オールジャパンで8Kスーパーハイビジョンの実用化とその国際展開を進めていきたいと考えております。
  43. 片山虎之助

    片山虎之助君 終わります。
  44. 寺田典城

    ○寺田典城君 寺田でございます。よろしくお願いします。  ラジオの放送局の売上高がピーク時に比べまして半減しております。ラジオ離れの原因をどのように考えていらっしゃるか、ラジオ放送の魅力を高めるためにどのような施策を考えていらっしゃるか、経営者としての籾井会長考えを聞きたいと思います。
  45. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) おっしゃるとおり、ラジオに対する聴取率ですか、これは確かに下がってきております。  これはいろんな理由があると思いますけれども、例えば電波が入りにくいとか、マンションが増えていますから、そういうこともあると思いますが、そういうことの対応のために、「らじる・らじる」といういわゆる同時再送信、これをやることにしておりますので、今後、これは始めたばかりでございますので、これを充実させまして……
  46. 寺田典城

    ○寺田典城君 ラジオ放送の魅力を高めるためにはどう考えておるかと聞いているんですよ。
  47. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 今答えていますが。  じゃ、もう一度お答えします。  若者向けの番組を開発するなどいろいろやっておりますが、要するに、電波が届かないとか、あるいは若者はラジオを聴かなくてパソコンでやるとかタブレットでやるとか、そういうことのために「らじる・らじる」という同時再送信を始めました。これによって、新たな魅力を開発し、若者を引き寄せることができると思っております。
  48. 寺田典城

    ○寺田典城君 ラジオにも若者を引き付けるとか、まあ端々の、経営的にもっとトータルな話を私は聞きたかったんですよ。ラジオの魅力というのは何かということなんですが。  私たちはラジオ時代に生まれていまして、例えば「君の名は」というのは、真知子と春樹、それから数寄屋橋が見たかったです、夢があったんです。片山先生は多感なときだったと思うんですが、よく分かっていると思うんですが。  あとは、要するに何というんですか、こんなこともありました。調べてきたら、名文があるんですよ。例えば、オリンピック開かれる明治神宮の森ですか、夕闇迫る神宮球場、ねぐらへ急ぐカラスが一羽、二羽、三羽、これが十五万枚SPレコードも売れたそうなんですね。名せりふで名アナウンサーですね。メルヘンがあるんですね。  そして、例えば、前畑頑張れ、前畑頑張れ、勝った、勝ったとかというのは、あれはベルリン・オリンピックですから昭和十一年です。  そういう名せりふ、名文とか、夢を喚起させるような、そういうことが今力入れていないんじゃないかと、私はそう思うんです。  あれなんですがね、毎日新聞の発信箱という中で、情報あふれ返るネット時代にその居場所はなくなりつつあるという、ラジオのことなんですね、ラジオの日々の方々がずっと豊かな情報を得ていたように思えるのは錯覚だろうかというようなことも出ているんです。  それで、大臣から、確かに4K、8Kも大事だと思います、お金も掛けていますね、NHKさんは研究開発費で百億とか、総務省は三十億とか、それでハイブリッドキャストだとか、ICTイノベーションとかってあるんですが、もう少しモチベーションというんですか、ラジオのモチベーション、動機付けとかインセンティブを与えることを何か考えられませんか、行政として。
  49. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) まさにその問題意識から、ラジオの強靱化に関する研究会というものを昨年開催をさせていただきました。  今委員がおっしゃったように、時代を反映させますね。ラジオにかじりついて相撲中継であるとか、それからオリンピックも含めて皆さんが夢を求めた時代もあったと思います。私の頃は深夜放送が盛んでございましたから、いろんな思い出がございます。しかし、やはり時代とともに社会環境変化していけば、役割もおのずから変わるわけであります。  ラジオが今見直さなければいけないのは、こういう難聴対策、それから防災対策であります。災害時にどれだけ役に立ったかは私どもの誇りとするところでございます。ですから、そういった機能を強化するとともに、新たな、これからV—Lowの新しいラジオサービスというものも始まってまいります。様々な時代のニーズを捉まえて、ラジオの役割というものをしっかりと位置付けられるように我々も後押しをしていきたいと、このように考えております。
  50. 寺田典城

    ○寺田典城君 私、山登りするんですが、よくラジオは持っていきます。熊が来ないようにだとか、何かあった場合は情報入るとか、震災のときなんかみんなラジオに頼っていたことは事実でしょうから。  だから、難聴地域とかいろいろあるでしょうけれども、ただ、要するに、ラジオによって昔はよく朗読とかありました。そういうことで、やっぱり教育的な人間形成の面で音を活用するというのは大事だと思うんです。例えば今、「花子とアン」とかやっていますけど、あれラジオ番組で、生番組で、ラジオでするとか、BGMだって生でやるとか、「おしん」なんかも、そういうのはひとつ、豊かに、空想が豊かに、人間性、なるんじゃないのかなと思ったりすることもあります。  そんなところで、次に移らせていただきたいと思います。  今日は籾井会長にも聞かなきゃならぬものですから、ちょっと今度、NHK受信料のことについてなんですが、今よく貧困と格差とも言われています、教育格差もあります。就学援助、一五・六%。これ、就学援助というのはお分かりだと思います、学用品だとか、それから給食代だとか、いろいろそういうものを。それと、貧困値が一六%ぐらいだという。  だから、それによってNHKが二万五千円ぐらいの受信料は、あれ母子家庭が払うのに困難だということは、ある面ではどうなっているかというと、住民税非課税の中で、何か障害を持っている方とかは免除したり半減したりいろいろ条件あるようなんですが、中で、ちょっとNHK受信料というのはもう少し考え方変えたらいいんじゃないのかなと思うんです。貧困というか、所得の低い、住民税非課税の世帯に対して、二千四百万人いるんですよ、あるんですけれども、その辺をどうお考えになられます。
  51. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 受信料につきましては、そういうふうな貧困者であるとか、低所得世帯あるいは被災地等々につきましては、そういうふうな除外といいましょうか、エグゼンプション、要するに支払対象からやっぱり外すということは私は必要だと思っています。  それから、それ以上に、通常払える人たちに対してやはり公平の観点から支払を勧めていくということが一つと、もう一つ、衛星放送がまだ五〇%に行っていませんので、この辺を懸命に我々は比率を高める努力をしていきたいというふうに思っております。
  52. 寺田典城

    ○寺田典城君 衛星放送五〇%、数字をもっと上げていかなきゃ、それはNHKさんの経営努力なんであれなんですが、いずれにしましても、情報格差にならない、教育格差にもならないという形の視点で、日本の将来を背負って立つ子供たちのいる家庭だとか何かについて、やはり私はもっと考えるべきなんですよ。具体的にそれを行動するつもりありますか。
  53. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 現状ではそういうことに対して対応ができていると思いますし、ある程度、それからこの観点は今後とも続けていきたいというふうに思っております。また、今委員がおっしゃったことについては、しっかり受け止めて努力を続けていきたいというふうに思います。
  54. 寺田典城

    ○寺田典城君 ある程度対応しているというのでNHKさんに聞いたら、全額免除が六・九%、半額免除は一・三%とかとなっているようです。それで、私は、そちらの方から聞いたからその数字を言いますけれども、ところが、貧困格差とかそういうあれは、貧困率、相対的な貧困率が一六%で、それこそ就学援助というか、そういうのが一五、六%あるということ、事実を、もう少しやっぱり強く踏み込むべきだと思うんです。それがNHK公共放送の在り方だと思うんですよ。それを、意気込みを聞きたいんですが。
  55. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) そういう社会格差があるということについては、引き続きウオッチを続けて、もし必要であればそれなりの対応を取るべく検討したいというふうには思っております。
  56. 寺田典城

    ○寺田典城君 公共放送として、先端技術で七、八十億も調査研究費を重ねることもいいんですが、同じように、そういうその格差の社会の中で取り組んで国家国民のために公益的に役に立つかというのは、一番公共放送の基本だと思いますので、ひとつ鋭意取り組んでいただきたいなと、率直にそう思います。  それでは、公共放送の在り方について、これまでの籾井会長の発言、それから会長の在り方について問いたいと思います。片山先生よりもおとなしくやりますから。  籾井勝人会長の入局式の訓示をちょっと読ませていただきます。職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった一人の行為がNHKに対する信頼の全てを崩壊させることもありますと。自らの行為の、NHKや日本の社会に与える影響や責任の重さは昨日までとは全く違うことをしっかりと自覚していただきたいと思いますと、こう言っています。  これ、原稿、どなたさん書きました。
  57. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 会長のことですから会長が書きました。
  58. 寺田典城

    ○寺田典城君 どういう思いで書きましたか。
  59. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 本当に、何回も国会に来て釈明をし、謝罪もし、いろいろ説明し、その間において公共放送NHKの重みというものを実感し、私はそれを新入職員に伝えたくて、申し上げました。
  60. 寺田典城

    ○寺田典城君 それは自分に対してじゃないですか、これは。いかがですか。それを言うということは、自分に対して私はお話ししているんじゃないかと。もちろん、これ入局式ですから、訓示ですから、あれなんですが、どう思いますか。
  61. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 本人がそう自覚したから、それをやはり新入局員にも理解してもらいたいと、同じことを経験する必要はないよということで申し上げました。
  62. 寺田典城

    ○寺田典城君 よく理解できました。  その後、人事異動なんかの話もして、あれは脅しですよ、人事異動というのは、ああいう言い方は、随時人事異動しますと。人というのは、やっぱり安定して安心して目標を持って頑張るというのが人ですから。ただ、災害があったときとか何かあったときは、会社のためというか、どこのためにという人事異動はそれは受けざるを得ないというような形なんですが、あんな言い方で人事異動するというのは、片山さんも言ったんですけれども、私はそれこそ別の精神を持っている方だなと思っているんです、あなたを。  会長、それで、この前、籾井会長が、政府が右と言っているのに我々が左と言うわけにいかないという、これ、右向け右というと、どういうところでそういうのをやりますか、直れと、あと言うのはどういうところですか、それは。どういう組織ですか。
  63. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 私は、その右向け右のことは国際放送について申し上げたわけでございます。
  64. 寺田典城

    ○寺田典城君 ずっと流れを見てみますと、これ尖閣諸島から何から含めて全部進めていって、あなたの性格は右向け右と。  要するに、そういう人が人事権持って、あなた、恐らく籾井会長という人は、上司に言われた場合、右向けと言ったら直れと言われるまで右向いている方だと思うんです。そうなんですよ。そして、よく言われているんですけど、アップルポリッシャーってありますが、リンゴを磨く人とよく言われます。あれは、何というんでしょう、おべっかをするとかごますりをよくアップルポリッシャーと。私は、籾井さんを見ると、そういう生き方をしてここまで来た人だなと思うんですよ。だから、使われる人は、そして右向け右でしょう、これ自衛隊とか警察だとか消防署だったらそれが当たり前なんですけれども。  それで、こんな人をトップに持ってくるのはいいんでしょうかということを鈴木さんという参考人に聞きました。何と言っておったか。NHKにおいて確かに会長番組の最終責任者であるのですけれども、実際には、番組を作っているのは現場の人たちなわけでして、よほどのことがない限り、会長どころか局長クラスの人たちでさえ番組作りに口を出すということは普通ないことのはずですということも言っているんです。どう思います。
  65. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) まず、私に対する個人的な見方についてはコメントを差し控えますが、どこからどういうふうな情報を得られてそういうことになったのかは分かりませんが、それ以上のことはコメントを差し控えさせていただきます。  NHK番組編集権は会長にございます。具体的な編集権の行使というのは、放送担当の役員に分掌させて、その下で現場の管理者に執行させております。  私は、国会審議などで会長の個人的な見解番組に反映させることは断じてないと再三御説明してきております。現場の管理者がそれぞれ責任を持って職務を遂行しているというふうに信じております。NHKのニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されることがあってはならず、放送法に沿って番組編集の自由を確保し、放送の自由、自律を堅持することが公共放送の生命線であると強く認識いたしております。
  66. 寺田典城

    ○寺田典城君 自分会長として放送法の良識を守るというような形は取りますと、だけども、しゃべっていることは人を要するに萎縮させるような発言が多々あるわけです、人事異動でも何でも。だから、私はおかしいと言うんですよ。  それで、本来、会長の責任というのは、現場の自律と放送人の内部的自由を対外的な圧力から守っていく、もし圧力が外から掛かったら自分が矢面に立って防いでいくという、これが本来の会長の役割だということを言っています、その人は。  是非、籾井会長、こういうことを形で行動していただきたいと、そう思うんです。やれるでしょうか。守れるでしょうか。
  67. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 今申されたことについては、全く同感であります。
  68. 寺田典城

    ○寺田典城君 とにかく、私はよく思うんですが、籾井会長のその行動パターンというか頭の構造というか、普通よりちょっと外れている、離れているというふうな形で、私は率直に言ってそう捉えています。ですから、社会でこれだけ話題にもなるでしょうし、発言録見てもこういう形に出てくると思うわけですから。  いずれにしましても、会長の行動は、今後とも、何というか、一つの趣味として私は聞いて、注視していきたいと思いますので、何とぞひとつ、権力を持った人間は、謙抑的というか、それにならなきゃならないわけですから、ひとつよろしくそういう行動をしていただきたいと思います。  以上でございます。
  69. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 みんなの党の渡辺美知太郎です。今国会最後の質問となりました。  今回の改正案については、私も賛成の立場でありますので、将来性を確認するという方向でいきたいと思っております。私は、主にちょっと規制緩和について、この観点から質問していきたいと思っておりますが、まずNHKインターネット活用業務について質問したいと思います。  NHKは、これまで、有料オンデマンドなどを除きますと、「らじる・らじる」、それからオリンピックにおいて放送されない競技の放送をいわゆる試行的業務として行われておりました。今改正案でこれらについてもNHKオンデマンドと同様に恒常的な業務として実施可能になります。  私、ちょっと特に注目しているのがハイブリッドキャストでありまして、これ、ハイブリッドキャスト、放送政策に関する調査研究会の取りまとめにおいても、やはりNHKが今回先導的な役割を果たすことであると書いてあります。まだこのハイブリッドキャスト、民放では手探りの段階でありますので、まずはしっかりとNHKが率先してやっていただきたいなと思っております。  ハイブリッドキャストが進みますと、当然これ、NHKテレビで見る方、それからインターネットで見る方が出てくると思うので、本当は受信料について質問したいと思ったんですが、ちょっと片山先生がもう質問をされているので、一方で、私自身はハイブリッドキャスト、賛成の立場ではあるのですが、懸念をする声もあります。そのハイブリッドキャスト、市場への影響はないのか、民放が入る余地がなくなってしまうのではないかと、そういった懸念する声が確かにあるわけであって、これらについて何か担保する対策などはありますでしょうか。
  70. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のハイブリッドキャストサービスというものをより柔軟に行っていくということも念頭に置いて、今回放送法改正を提出をさせていただいているところでございます。  御指摘の民放等との関係ということでございますが、まず、現状認識としては、今委員が御指摘のとおり、やはり今はまずNHKが非常に先導的な役割をしっかり果たすべき時期であろうというふうに考えてございます。  今回のこの制度におきましては、総務大臣が認可をする実施基準の範囲内において、NHKインターネット活用サービスを始終提供するという形になってございます。したがいまして、ハイブリッドキャストサービス、今後どう展開されていくかということはNHK、民放さん含めて、私ども、今明確に分かっているわけではございませんが、そういう中で、既に、例えばでございますが、民放、あるいは民放に限らず、民間ベースで様々なハイブリッドキャストサービスといったものが非常に提供されるような状況になり、片やNHKが行っているサービスが例えばもう陳腐なものになってしまっているとか、そういったようなものはNHKの役割としていかがなものかということが当然出てくるわけでございまして、そういった点を実施基準の中でしっかり見ていきたいというふうに考えてございます。
  71. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 私も、ハイブリッドキャスト、是非見守っていきたいと思っております。  次に、マスメディア集中排除原則についても質問したい、ちょっとざっくりした質問をしようと思っております。  この集中排除原則、三つの特質、地域性多元性多様性とあります。私も規制緩和はやっていくべきだと思います。もちろんこの地域性というのは非常に重要なものだと思っております。防災の観点もそうですし、やっぱり地域の特色を出していただきたい。これはちょっと違う観点かもしれませんが、我々が提言している地域主権に関わるものだと思っております。やっぱり地域の色を出していく、これは非常に重要なことだと思っております。  もう一つは、多元性というのがありますが、これは多様性を実現するための一つの手段であると思っております。  私がちょっと指摘をしたいのは多様性の観点でありまして、確かにこの多様性の観点、マスメディアが集中をしないようにして多元性をつくっていくということでありますが、一方で、一定程度の規模の事業者が集中した方が規模の経済によって質の良い番組が作られるのではないかという声もあります。それと、これはちょっと日本の事情とは違いますが、アメリカみたいにメディアコングロマリットみたいな形で、一つの事業者が性格の違う多数のチャンネル運営をする方法もあるのではないかという意見があります。  私は別に今すぐ何でもかんでも規制緩和をすべきだということは言いませんし、やっぱり日本の放送というのは公共性が強いと、私もそれは思っております。しかし一方で、今、ちょっと前まで言われていた放送と通信の融合、連携なんて言う方もいらっしゃいますが、そういった試み、それから、もう本当に今多様なメディアがあります。インターネットで動画配信もたくさんされているわけでありますし、多チャンネルの問題もあります。そういった背景を見てみますと、将来的には、もちろん公共性を残してやる部分もありますが、市場アプローチでもっと集中排除原則についても見直しあるいは規制緩和をすべきじゃないかという意見もあると思います。  ちょっとざっくりとした質問なんですけど、総務省が今この規制緩和についてはどのように捉えているか、見解を伺いたいと思います。
  72. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答えを申し上げます。  このマスメディア集中排除原則につきましては、やはり現状で放送の持つ社会的影響力、これはやはり今でも大きいものがございます。そういったものを考えてまいりますと、この原則といいますか、そのものあるいは大本と申しますか、そういったものをしっかりと堅持していくということは必要だというふうに考えてございます。  ただ、これまでも、御指摘のような、メディアが非常に多様化をしてきておりますとか、あるいは放送会社経営の実情といったようなことも踏まえまして、随時見直しを行ってきたところでございます。放送持ち株制度といったようなものというのは、ある意味で非常にグループ経営を可能にするといったようなことの新たな観点も含めて措置をしてきているところでございます。  したがいまして、今後もこのような社会の状況等はしっかりウオッチしつつ、国民の御意見なども幅広く伺いながら、引き続き適時適切に見直すということは考えてまいりたいと思っております。
  73. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 総務省さんからもしっかりと状況を踏まえて見直していくということでありました。  やっぱりテレビというのはなかなか難しくて、夢のような話をしても、実際は、なかなか現実としては従来と変わらない方向もあると。アンケートを取ってみましても、かなりテレビを使っている方でも、将来のテレビ像はどうなっていますかと言うと、意外とインターネットを使って見るようになるというよりも、高画質、高品質なテレビが、今の従来どおりのテレビができていくだろうという回答が多かったように思いますので、是非私もその辺りをしっかりと見ていきたいと思います。  放送法に関しては以上でありまして、私、毎月一回必ず被災地に赴いております。ちょっと気になったことがあったので、質問させていただきたいと思っております。  被災地において、子供の虐待が今深刻になっているという状況を聞いております。この子供の虐待、主に岩手、宮城、福島について聞きたいと思うんですが、今この子供の虐待、非常に、震災というストレスでついつい大人が子供に手を上げてしまう、それから子供が心の傷を負っているという問題があります。  一応、政府見解として、震災前と比べるとどのぐらい増えたか、ちょっと厚生労働省に伺いたいと思います。
  74. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 被災地におきます平成二十四年度の児童相談所の児童虐待相談の対応件数でございますけれども、震災前の平成二十二年度との比較で申し上げますと、宮城県が六百五十一件で百二件の減少、仙台市は四百四十二件で三十五件の減少、岩手県は三百七十六件で十五件の増加となっております。また、福島県につきましては、二十二年度の数値が震災の影響により存在いたしませんので、対前年で比較をいたしますと、平成二十四年度三百十一件で五十二件の増加といったことになっております。このように、被災地であっても増えているところもございますし、減っているところもございます。  全体として、国全体の相談対応件数は増加しておりますけれども、被災地以外でも大きく増加している自治体もございますので、必ずしも被災地であるといった事情のみで増加しているといったことは言い切れないのかなというふうに分析をいたしております。
  75. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 確かに、児童虐待相談対応件数で見ますと、宮城などは減っていますが、多分、震災前と比べると高止まりの段階であると思っております。あと、やっぱり福島ではいまだに虐待が増えているということで、それも懸念していることなんですが、これ、集計方法、今、児童虐待相談対応件数ということでありますが、民間団体から何か子供の虐待について、民間団体、行政が入るより先に被災地を訪れて子供を中心に支援をするという取組を行っているNPO団体、ボランティア団体もあるんですが、そういった民間団体から何か情報を収集していらっしゃいますでしょうか。
  76. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 被災地におきます子供や子育て家庭に対しましては、現地の事情に通じます支援団体が様々な支援を行っております。こういった民間団体からの情報収集あるいは連携といったことは、虐待の早期発見、適切な対応のために大変重要であるというふうに考えております。  私どもも、民間支援団体も含めまして、関係者が情報共有や対応協議を行う場を設けております。そういった場におきまして、民間団体等からは、被災地においてやはり虐待が増える要因はあるのではないか、あるいは虐待が発見しにくくて内にこもるといったことにも留意が必要ではないかといったようなリスク増大の心配の声も聞かれております。そういった声も踏まえまして、また私どもとして適切に対応を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  77. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 こういった民間団体からの情報を収集したり、あるいは虐待相談対応などで、平時のときの虐待と被災地における虐待で何か質が変わっている、相談する例えば内容が変わっている、質が変わっているようなこと、何か把握されていますか。
  78. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 被災前後で虐待の内容について何か変化があったかということでございますけれども、結論から申しまして、現時点で他地域との大きな違いはないのではないかなというふうに分析をいたしております。虐待、御案内のように、身体的な虐待、性的な虐待、心理的虐待、それからネグレクトといった種別で一応把握をしておりますけれども、特に被災地におきまして震災前後で際立った変化というのは見られないのかなと思っております。  また、被災自治体に対しましてもそのような変化について認識をしているかどうかということをお聞きをいたしておりますけれども、自治体の担当者の方からも特段の変化があったという認識は今のところはないというふうに伺っているところでございます。
  79. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 チャイルドラインとかの報告書を見ると、被災地ではちょっと質が変わっているみたいな報告も上がっております。是非、民間団体からもより聴取をして、迅速な対応をしていただきたいと思います。  今年度から子ども健やか訪問事業を始めるということを聞いておりますが、どの地域を中心にどのぐらいの人員、それからどういった資格を持った方が被災地を訪れて支援をするか、ビジョンがある程度決まっていたらちょっと教えてください。
  80. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 今お尋ねのありました子ども健やか訪問事業でございますけれども、これは震災によります避難の長期化に伴いまして子供の健康面にいろいろな影響が生じていると、被災地の方々からこういった要望の声が上げられているところでございます。そういったものを踏まえまして、この事業、今年度から予算化をいたしました事業でございます。具体的には、仮設住宅の子育て家庭などを訪問いたしまして、心身の健康に関する相談、あるいは生活・育児援助などの支援を行う、こういった事業でございます。  この対象地域でございますけれども、岩手県、宮城県、そして福島県、被災三県が中心でございますけれども、この被災三県以外で避難生活を余儀なくされている被災者、この方々も対象とする場合がございまして、そういった場合には民間団体に事業を委託するといったことによって実施することも可能といたしております。  それから、ただいまお尋ねのございました訪問者、訪問するスタッフでございますけれども、これは地域の人材活用の観点から、保健師さん、看護師さん、そういった有資格者を活用いたしておりますけれども、それ以外でも、児童委員でございますとか、あるいは一定の研修を受講していただいた子育て経験のある方にも担っていただくこととしておりまして、地域の実情に合った形で実施をしていただいているところでございます。
  81. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 仮設住宅なんですけど、私も何回も訪れておりますが、非常に仮設住宅というのは壁が薄いんですね。つまり、すごく人目を気にしなきゃいけない環境でありまして、虐待の一つは、子供が騒いでしまうと人目をすごく気にされるというか、静かにしなさいと、なかなかでも子供が静かにしないのでついいらいらして手を上げてしまう、そういう現状があると思います。  つまり、私が言いたいのは、被災地における虐待というのはなかなかより表面に出てこない。つまり、世間体を気にされるというか、やっぱり避難されている、あるいは仮設へ、避難はもうないですけど、仮設でいろいろと移られている方々がやっぱりすごいお隣を気にされていると。だから、なかなか、周り、コミュニティーの間ではすごくいいお母さんに見えても、つい家の中ではいらいらしてしまうということでありまして、結構これ踏み込んだ対策をちょっと考えていかなきゃいけないのかなという気もいたしております。  この子ども健やか訪問事業や、それに限らずなんですけど、そういった被災地で虐待を対応する方々というのはどこまでその権限を持っているかというのを聞きたいなと思っております。例えば、児童虐待防止法に基づく、これ臨検ですか、臨検というのは彼らには認められているのか、それとも、彼らには認められていなくとも、ちょっと特例的に通常の手続よりも例えば臨検しやすいような環境になっているか、そういった対応、法制度についてちょっと伺いたいなと思います。
  82. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘のありましたように、虐待が内にこもって発見しにくくなるといったようなことがあってはなりませんので、ただいま申し上げました子ども健やか訪問事業ということで、アウトリーチ型の事業を始めさせていただいているわけでございます。  この事業は、必ずしも児童相談所の職員ではなくて、いろいろな人材を活用して訪問をしていただいているわけでございますけれども、ただいま御指摘のありました臨検とか捜索ということになりますと、これは虐待防止法上、都道府県の職員あるいは児童相談所の職員がこれを行うということになっております。具体的には、出頭要求を保護者にいたしまして、応じない、更に出頭要求をしてもまた応じないといった場合に、裁判官の許可状の請求をいたしまして、それが出た場合に、これに基づきまして臨検、捜索を行うといった手順でございます。  したがいまして、こういった児童相談所の職員でない方々が虐待を発見する、あるいはその端緒に気付くということになりますと、これは直ちに児童相談所に通告、相談をしていただくといった手順になろうかというふうに承知をいたしております。
  83. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 是非、臨機応変に取り組んでいただきたいと思っておりまして、私は、ちょっと一番質問したかったのは、やっぱり被災地における避難所のノウハウとか、あるいは今日質問をした子供に関する支援について、民間団体がいろんな、個々別々な団体がいろいろと情報を集めているわけですよ。そういった情報やノウハウの蓄積というのは行政の方でやられているのか、ちょっと聞きたいなと思っております。こういった民間団体のせっかく集めた情報というのは是非有効活用していただきたいなと思うんですが、そういった情報の蓄積やノウハウの共有というのはされているのでしょうか。
  84. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 二つ局面がございまして、一つは、例えば個別の相談あるいは訪問等のケースでこういったものをつかんだ場合につきましては、こういった訪問をした方々、それから医療関係者、行政関係者が参画をいたしますケース対応会議というものを設けることになっておりまして、その場で個別案件についての情報共有と対処方針の検討、協議が行われるという仕掛けになってございます。  それから、一般的に、被災地におきます子供あるいは家庭に対する支援、そういったものの取組の蓄積の共有ということからいたしますと、先ほども申し上げましたけれども、各種の団体、これは福祉団体、医療団体、あるいは保健の団体も含めまして、それから行政関係者も入りました情報共有と協議の場を設けておりますので、その場での情報共有とこれからの施策の展開に当たっての協議、こういったものを実施しているところでございます。
  85. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 そういう協議の場というのはいわゆる有識者会議になるのでしょうか。それとも、平場の議論である程度いろんな団体が自由な意見を述べることができるのでしょうか。
  86. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 基本的に決まった形があるわけではございませんので、定期的にこれを開きまして、逐次自由にいろいろな情報の提供あるいは共有をしていただくということになりますし、それから、先ほども申し上げましたように、極めて個別性のあるケースについての解決を関係者の間で相談をして解決をしていくといったような持ち方もございます。その辺は臨機応変にやらせていただいているということでございます。
  87. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 できればこのノウハウの共有というのは非常に、そんなにしょっちゅう大震災は来るわけじゃないですから、やはりこのノウハウの蓄積というのは非常に重要だと思うんですよ。  例えば、ちょっと身近な例を挙げますと、避難所に百人の人が避難していました、ところがパンが九十九人分しかありませんと。行政だとこれもう配れないわけですよ、一人足りないからと。ただ、やっぱり民間の団体がやると、だったらじゃ百人分切って配ればいいじゃないかと、そういった、これは分かりやすい例ですけれども、民間団体が知恵を絞って対策を考えている事例というのは結構多いと思うんですね。  そういった情報を是非行政でまとめていただいて、何か次にあったときに、ある程度認定されている団体には情報を共有する、こういう場合にはこういう問題が起きたから、そういうときはこういう対応策で乗り切ったと、そういった質の向上といいますか、ボランティア団体全体、あるいはNPO法人民間団体や我々行政の方でもしっかり情報を共有していただきたいなと思っております。  質問をちょっと変えますが、今福島県でスクールカウンセラーが今年度から増員されるということでありまして、既に補正予算が平成二十三年から組まれていますが、全国的にスクールカウンセラーというのは、非常勤で一校当たり全国平均で一週間で四・二時間しかいられないと。スクールカウンセラーというせっかく専門性を持った方が一週間に四・二時間だとちょっと足りないんじゃないかなという気もします。ましてや被災地ですから、せっかく専門家の方にお越しいただいても、一週間で四・二時間しかいられないんじゃ余り変わらないなと思うんですが。  被災地において、特に福島県においてこのスクールカウンセラーがどのぐらい学校にいられるのか。非常勤なのか、それとも常勤で同じ人にずっと来ていただけるのか。ちょっとそこら辺、もし決まっていたら教えてください。
  88. 義本博司

    政府参考人義本博司君) お答えいたします。  被災地における児童生徒の心のケアの充実を図るため、被災地に対しましては、緊急スクールカウンセラー等派遣事業としまして、全国的な事業とは別建ての事業としまして、スクールカウンセラーを被災地の学校等に派遣する経費を全額国庫負担という形で行っているところでございます。  福島県におきましては、委員今御指摘いただきましたように、震災直後の平成二十三年においては三百五十八名でございますが、実数ベースでは、平成二十五年度においては四百名のスクールカウンセラーを配置しているところでございます。  それから、実際上の勤務する時間でございますが、予算上の対応としましては、今お話がありましたように非常勤の対応をしておりますけれども、学校によりましては、そのニーズに応じました形で、例えば月曜日から金曜日までの期間において配置するとかいう形でも対応しているところでございますが、全国的な状況としましては、平成二十四年度の配置のベースでございますが、四・二時間でございます。一方、今申し上げました被災地におけます心のケアのための緊急スクールカウンセラー事業においては、福島県においては週当たり配置時数については五・八時間という形でやっているところでございます。  平成二十六年度におきましても同事業の経費を計上しておりまして、今後とも被災地の要望をしっかり踏まえまして、引き続き支援をその実情に合う形でやっていきたいと思っております。
  89. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 是非、ニーズに合った対応策を考えていただきたいと思っております。  スクールカウンセラーが足りない、必要であればもっともっとスクールカウンセラーについて手厚く考えていただきたいと思いますし、いや、もうスクールカウンセラーはいいと、それよりも別なことをやってくれというのであれば、その対応に合わせていただきたいと思っておりますので、引き続きちょっと私もこの被災地については見ていきたいなと思っています。  被災地における子供の虐待なんですが、やっぱりこれは将来にわたって、これから被災地で虐待を受けた子供たちが、これが今後の人生でどういうふうに影響出てくるか全く未知数であります。是非、長期的に取り組んでいただきたいなと思います。  今国会、これで私の質問は終わりますが、臨時国会でもしっかりと質疑をしていきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  90. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  まず、放送事業者の経営基盤強化計画について伺います。  本改正案で計画作成の対象とされるAM、FMラジオローカル局では、自社番組制作比率が五〇%と高く、放送ネットワークの強靱化に関する検討会中間取りまとめでも述べられているように、ラジオが今後も国民生活に欠かすことのできないメディアであり続けるための支援が求められています。中間取りまとめの中で、ラジオネットワーク、とりわけ県域ネットワークについて課題が指摘されていますが、どのようなものでしょうか。総務省、お願いします。
  91. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答え申し上げます。  御指摘の検討会の中間取りまとめで整理をされました当面の課題としては大きく二つございます。  まず一つは、AMラジオの送信所は、全面にアース線を地べたに埋設する必要性があるということから、広大かつ平たんな敷地が必要であるということのために、多くの場合、海や河川の近くに設置されているということから、津波や洪水などの被害を受けやすいという課題一つでございます。  もう一つは、ラジオ放送につきましては、山間部や離島における地形的な要因による難聴、あるいは外国からの電波との混信による難聴、これは従前からもございましたが、これらに加え、特に近年は、これもAMラジオが多いわけでございますが、電子機器の普及や、建造物の高層化、堅牢化といった理由によりまして都市部における難聴が増加をしてきている。こうしたラジオ放送の難聴の解消ということが二つ目の大きな課題でございます。
  92. 吉良よし子

    吉良よし子君 二つとおっしゃいましたけれども、中間取りまとめには三つ掲げられていたと思いますね。ラジオ放送設備、AMラジオ送信アンテナの老朽化、それからラジオ難聴ということだったと思うんですが、これらの課題の解決に向けた総務省の対応はどうなっているか、お答えください。
  93. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答えいたします。  まず、津波や洪水等の被害を防ぐという観点からは、災害対策といたしまして、予備電源などのバックアップ設備の整備を推進するということが必要でございます。  総務省におきましては、二十五年度の補正予算によりまして補助金を措置させていただく、あるいは今年度から適用される税制上の特例措置を通じましてラジオ事業者の災害対策を支援することとしております。  また、難聴解消につきましては、これは、AMに比べまして電気的な雑音に強いといったこと、あるいは設備の費用が低廉であるということなどから、FM方式の中継局の整備を推進するということが適当であるということを踏まえまして、このFM方式の中継局施設整備を可能とするために、本年の四月に基幹放送用周波数使用計画の一部を変更いたしまして、これらの中継局用の新たな周波数を確保するといった制度整備を行い、さらに、この難聴解消を集中的に進めるために、電波利用料財源を活用して民放ラジオ難聴解消支援事業を実施をして、FM方式の中継局整備を支援するというようなことの取組をしているところでございます。
  94. 吉良よし子

    吉良よし子君 予算を付けるなど対策も進められているということですが、本当にこういう課題掲げられているとおり、ラジオ、重要な問題ですから、是非今後も支援を続けていただきたいと思うんですが、今回、災害時のラジオの役割というものが強調されています。その役割を発揮するためにはラジオのローカル性の維持というものが極めて大事だと考えますが、番組や施設の統合によりそのローカル性が失われかねない点が本改正案での問題だと考えます。  本改正案では、災害時では当該地域向けの放送を行う体制確保を求めるとしていますが、その体制を維持できるという担保はありません。とりわけ経営基盤強化計画には人員の削減も盛り込まれており、ローカル局番組制作能力が低下しかねないという懸念があります。  そこで、今回、KBS京都の取組を紹介します。一九五一年にラジオ局として開局したKBS京都は、一九八九年に起きたイトマン事件で局が丸ごと担保となり、存続が危ぶまれました。しかし、京都の放送局、地元の放送局を守ろうと四十万もの市民の署名に支えられ、地域、市民とともに再建を進めて、二〇〇七年には会社更生手続終結宣言が出された、そういう局です。  この過程の中で、一九九八年に発足したのがKBSアクセスクラブです。これは、アクセスクラブの会費を資金として市民がKBS京都ラジオの番組枠を買い取って、市民の企画した番組放送するという取組です。例えば昨年は、福島から京都に避難してきた被災者の暮らし、京都市の敬老乗車証制度に関する市民の取組、丹後の市民ミュージカルの取組など、今何を報道すべきかを議論した上で企画、制作放送しており、反響も大きいと伺っています。市民と事業者が共に番組に関わるこの取組により、局と市民との信頼性の向上はもちろん、放送多元性多様性地域性が発揮され、民主主義の発展に貢献していると評する研究者もいるそうです。  お話伺ったアクセスクラブの事務局長でKBS京都で番組制作に携わっておられる方は、多額の借金を背負いながらここまで頑張ってこられたのは自社制作番組をきちんと作り放送し続けることで放送局の火をなくさないでとの市民の声や思いに応えたかったからだと。経営が大変なら他局から番組をもらえばいいというのはコスト削減にしかならない、制作部門はもう要らないということになるし、何よりもリスナーはそんなことは望んでいないと話されていたのが印象的です。  大臣、こうしたKBS京都の取組についての、いかがお感じか、感想をまずお聞かせください。
  95. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) まず、先ほども申しましたが、それぞれの放送事業者が、また特にローカル局において地域の特性を出すこと、それがあって初めてこのローカル局の存在意義というのはあるわけでございます。また、私どもも承知しておりますけれども、それぞれの地域住民において自分たちの地域放送局に対する愛着というのは非常に強く高いものがあるとも思っています。  ですから、今のような取組をどんどん続けていただくことが放送の活性化につながることは言うまでもありませんし、そのことができなくなったローカル局は存在価値を失うわけでございますから、私どもとすれば、ラジオの放送全体の経営基盤を安定させながら、そういった地域性やまた地元住民からの愛着に応える、そういうより良い地域に密着した放送、こういったローカル局ならではの放送を続けていっていただきたいと、このように期待をしておるところでございます。
  96. 吉良よし子

    吉良よし子君 地域に密着した放送を続けていただきたいというお話でしたけれども、でも、できなくなったら存在価値がなくなるとか、だから統合だというのはやはり暴論じゃないかと私は思うんですね。  こうした自主制作番組を数多く持つことこそ、大臣もおっしゃられたとおりに、放送多元性多様性地域性という理念の具体化であるわけですから、これはKBS京都に限らず全国各地の地域ローカル局に求められていることなのではないでしょうか。だからこそ、地域ローカル局経営が困難だからといって他局から番組をもらってコストのみ削減して、局の統合、合理化のみを進めることで地域性を失わさせかねないような、そういう形ではなくて、自社制作番組をこれからも作り続けていけるような経営支援策こそもっとより多く検討していくべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  97. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) まさにそのとおりなんです。ですから、そういった意味で、今回の改正法案におきましても、地域向け番組の自主制作努力義務というものを認定放送持ち株会社傘下の放送事業者に課しているわけでありますし、経営基盤強化計画の認定に際しましても、地域性確保措置を講じることを求めると言っているわけであります。  そして、何よりも、そうしたものをやりながら、経営が成り立たなくては全ての番組放送できなくなります。ですから、言わば経営を成り立たせながら地域の独自性をいかに維持していくかと、そこに工夫が求められておりますし、地域の独自性のない、そういった良い番組のない放送局は、これは地元の聴視者から果たしてどういう評価を受けるのかということも考えれば、当然、制度として確保しつつ、それはやはり放送事業者の矜持を持って是非地域の特性を発揮していただきたい、我々はそれを期待しているというところでございます。
  98. 吉良よし子

    吉良よし子君 ローカル局では、多元性多様性地域性の原則にのっとり、視聴者のための番組をと頑張っているわけですから、やはりそういう取組を後退させないように、単に経営コスト削減だというところだけにとどまらず、そういう自主的な取組を大いに支援していくための様々な検討を重ねていただきたいということを述べて、次にNHKの問題に移ります。  本改正案には、NHK業務に新しくインターネット業務国際放送国内事業者への提供などが追加されることになっています。その是非については検討すべき議論がたくさんありますが、何よりも問題なのは、そうした業務を現在の籾井会長執行部の下でやることが妥当なのかということです。  浜田経営委員長に伺います。  四月二十二日開かれた経営委員会への籾井会長からの人事案の提出の仕方について、先日、吉川委員からも指摘があったように、放送法施行規則に反しているのではないかと疑念が持たれています。人事案というものは予算案に次いで重要案件ですが、事前に十分な時間的余裕を持って付議すべき事項、その他参考となるべき事項を明確にしないままで提案されたという話ですが、こういう提案の仕方は浜田経営委員長の判断で行ったのでしょうか。
  99. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 御指摘の役員人事案は、経営委員会の当日に示されました。これは、会長から、情報の漏えいを避けるために氏名は経営委員会の当日まで示さないことにしたいとの提案がその前の三月二十六日の経営委員会の場であったことを受けたものであります。  これまでは、理事の任命につきましては、付議すべき事項の具体的な名前まで事前に通知する慣例がありました。今回の手順については、経営委員からも様々な意見があり、今後は情報管理を徹底しつつ十分な審議時間を確保できるような改善が必要だというふうに考えておりますので、執行部とも話し合っていきたいというふうに思っております。
  100. 吉良よし子

    吉良よし子君 議事録を読ませていただきましたけれども、その二十六日の場であった、事前にそうやって提示しないということが確認されたとありましたけれども、委員の皆さんからは、いやいや、そんな話は今日初めて聞いた、何で事前に資料が提出されなかったんだと異論が出たというお話だったと思うんです。大体、浜田経営委員長自身も、私も理事の担当案を今日初めて見ましたとおっしゃっていると、その上で、やはり二十五日に任期切れの方々が二十二日に付議されるのは日程的に無理があったかなと思いますと発言されているというわけであり、結局、二十六日に提案が事前にあったというお話があったけれども、でも、やっぱりこれは委員長の判断ではなかったんじゃないかと疑われるわけなんです。  放送法施行規則の主語は委員長ですから、経営委員長が事前に資料を提出するかどうかというのは最終的に判断するべきであるはずなのに、この議事録を読む限りは、結局のところ、籾井会長人事を漏れるのを防ぐためにぎりぎりまで会議に付さない方がよいと勝手に判断して、その原則がゆがめられたということになるのではないでしょうか。  これは単なる手続の問題ではありません。本来、自らが監督を受けるべき経営委員会の上に自分を置く、自らがルールだと言わんばかりの大変権力的な振る舞いをしているということが問題なんです。籾井会長は、本委員会でも繰り返し、法令遵守、述べられていましたが、その法令を自分の都合の良いように勝手にねじ曲げているのでは、籾井会長が何度法令を遵守しますと約束しても、到底信用できないではありませんか。退任させられた理事の一人の方は、経営委員会で、本日、私からは、経営委員会こそが責任を持って事態の収拾に当たってほしいと申し上げたい、述べられたと書かれています。  経営委員長経営委員会として断固たる判断、決断、下すときが来ているのではないでしょうか。
  101. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 経営委員会は、法令にのっとり粛々と委員会業務を行っているというふうに思います。現時点で、今委員の御指摘のような状況にはなっておらないというふうに思っております。
  102. 吉良よし子

    吉良よし子君 なっていないじゃなくて、やはり先ほども申したとおり、放送法施行規則に反するような事態が経営委員会の中で行われているということを指摘しているのですから、そういう事態になっていないというのは明らかにおかしいですし、大体、法令遵守と何度も言っているのに、結局はこう言って経営委員会の場でもそれを軽視しているような会長の姿勢は、私は到底認められないと思います。  何よりも、今回、一連の会長による放送法に抵触する発言で一番苦労している、足引っ張られているのが現場であるわけです。特に、視聴者国民とじかに接する受信料の契約、集金業務に従事する労働者の苦労は並大抵ではありません。籾井会長は、経営委員会受信料について、やはり今の七割五分前後の支払率、これをいかに高くしていくのかというのが我々の仕事の一部と述べていますが、その業務に長年中心的に携わっているのが地域スタッフと呼ばれる人たちです。  では、これらの地域スタッフと呼ばれる人たちは何人くらいいるのか、その推移を、NHK、お答えください。
  103. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) 地域スタッフの人数についてのお尋ねですけれども、平成二十一年度が四千六百五人、二十五年度は二千八百八十五人というふうになっております。
  104. 吉良よし子

    吉良よし子君 二十一年度には四千六百五人、二十五年度には二千八百八十五人と、およそ半減していると。その一方で何が起きているかというと、これらの業務法人委託するという改革が進められていると。  また、この地域スタッフという方は、一人一人は雇用関係ではなく個人事業主扱いで、委託契約という形で仕事をなさっていると伺っていますが、その皆さんの実際の仕事は一体どういうふうになっているか、私は直接お話を聞きました。  契約開発スタッフの場合、二か月を単位として、その一つの期の目標、その七割五分の支払率の維持向上という会長の言の下、例えば地上契約百三十件、口座六十件、衛星契約六十件など設定させられ、達成しないとペナルティー、挙げ句の果ては解約という名の解雇におびえて働いているというのです。  実際、それぞれの地域スタッフの方は、NHKから交付された専用の携帯端末におよそ二万世帯ほどの対象地域の世帯の衛星や地上契約者の氏名、住所、電話、支払方法、未契約者、空き家、空き室を落とし込み、それを更に住宅地図に一軒一軒落とし込んで、そこを一軒一軒回って未契約の人や空き家に入居された人に契約のお願いをすると。大体一日平均七十軒から百軒訪問し、実際に会えるのが三十軒くらい、契約できるのは二軒か三軒がいいところで、一軒も契約に至らないこともよくあると言います。昼間留守のお宅もあるから、朝から夜まで断続的に訪問を続けなければならないと。  地域スタッフの方は、こうした全ての行動を携帯端末で記録して、夜のうちにNHKの本部に送信するということが義務付けられていると。そしてNHKでは、何時何分にどこの誰を訪問したのかも含め、一人一人のスタッフの行動を全て集約して、グラフ、一覧表を作って、業績の良くないスタッフに指導を行うと。そうやって、ノルマに届かなければ月二十八日間とか、場合によっては休みも取れなくなるような働き方を事実上強制されているのが実態です。  こうして、極めて不安定な契約と過酷なノルマで心の病に陥るスタッフが続出し、他方では、詐欺まがいの契約や不正、視聴者とのトラブルも発生していると伺っています。  地域スタッフを減らす一方、法人委託でこの業務を丸投げされた民間法人でも実態はもっとひどいものになっているんじゃないかということは容易に想像できます。  こうして、会長が強調する支払率の向上の掛け声とは裏腹に、NHK自ら受信料制度信頼を取り崩していっている、掘り崩していっているのではないでしょうか。それを示すのが受信料に関する視聴者からのクレームの増大ですが、この間のスタッフの契約に関するクレーム件数の推移を述べてください。NHK、お願いします。
  105. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) 訪問スタッフへの意見要望についてのお尋ねですけれども、二十一年度はコールセンター等に一万四千件寄せられました。二十二年度が一万六千件、二十三年度が一万九千件、二十四年度が二万二千件、二十五年度は三万件となっております。
  106. 吉良よし子

    吉良よし子君 年々増え続けていると。NHKがまとめたものでも、玄関先で大きな声で名前を連呼され怖かった、チャイムを何度も鳴らされたなどの声が紹介されています。先ほど紹介していただいた五年間の間に何があったかというと、法人委託ということも行われているわけです。  こうしたことは、実際、本来であればスタッフの方も誰もやりたくないはずなのに、過酷なノルマと、それを達成できなければ自らの職を失う恐怖から、こんなやり方に駆り立てられている人も出てくるのではないでしょうか。支払率向上のために下請や委託にノルマを課して歩合で成果を求めるやり方は既に限界に来ています。それはクレーム増大という結果にはっきり出ています。視聴者が納得の上で受信料を払えるようにするためには、NHKの職員として、番組内容と公共放送を支える受信料の在り方を丁寧に説明し、視聴者との信頼関係を構築しながら進めるやり方への転換が今求められていると思います。  その意味で、先日、地域スタッフは事実上の雇用関係にあると認めた神戸地裁の判決がありました。これは画期的であり、NHKとしても謙虚に受け止めるべきと思いますが、まず、この神戸地裁が下した判決で、地域スタッフが労働契約的性質を有すると判断した根拠は何か、挙げていただきたい。お願いします。
  107. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) 神戸地方裁判所における判決の概要として、次のように述べられております。  地域スタッフの業務内容はNHKが一方的に決定しており、勤務場所もNHKが一方的に指定し、事実上スタッフには交渉の余地がないことなどの理由から、これらの事情を基礎として総合的に評価すれば、地域スタッフとの契約は労働契約的性格を有すると解するのが相当であるというのが神戸地方裁判所の判決の概要です。  一方で、地域スタッフの労働者性につきましては……
  108. 吉良よし子

    吉良よし子君 結構です。そこまでで大丈夫です。
  109. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) はい。
  110. 吉良よし子

    吉良よし子君 先ほど紹介いただいたように、総合的に判断して、どこから見てもNHKと地域スタッフとの関係は雇用関係であるというのが神戸地裁の判決です。  私は、この判決を契機に、NHKがこれらの契約スタッフを直接的に雇用して安定した働き方を保障して、視聴者NHKを第一線で結ぶにふさわしい処遇へと改めていくべきだと思いますが、NHK、いかがお考えでしょうか。
  111. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) 先ほど申し上げようとしましたけれども、地域スタッフの労働者性につきましては、これを否定する複数の高裁判決が出ております。東京高裁や仙台高裁で出ております。今回の神戸地裁の判決は、その判断とは異なるものと認識しております。  NHKとしましては、地域スタッフの労働者性につきましては、このように既に複数の高裁で否定する判決が出ていますので、NHKは地域スタッフの労働者性を認める立場にはないということを申し上げたいというふうに思います。
  112. 吉良よし子

    吉良よし子君 いや、幾らそういうふうにおっしゃっても、実態として、先ほど紹介したとおり、もうノルマも定められており、逐一自分の行動を管理されており、ノルマが達成できなければそうして指導まで行われているというのは、やはり労働者性があるとしか言いようがない事態だと思うんです。  しかも、やはりそういった過大なノルマを課される中で、視聴者NHK、そのスタッフとの間での信頼関係が揺らぐような事態が起きているのが問題であるわけで、やっぱりこれを、労働者性を認めないというNHKの対応は全然認められませんし、これからでも遅くはありませんし、受信料信頼性向上のためにも、是非ともこの点、再考を求めて、質問を終わります。
  113. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  まず、放送事業者経営基盤強化計画について伺ってまいります。  今回の改正理由は、地域経済の低迷等に起因した民間放送事業者の経営状況の厳しさということが説明をされています。改正によって、総務大臣が、放送系の数、つまりチャンネル数の目標達成が困難な地域を指定放送対象地域と指定をし、そこの基幹放送事業者が作成した経営基盤強化計画が総務大臣の認可を受けた場合、放送法及び電波法の特例措置を受けられるということのようです。  改正案では、メディアの種類についてラジオとは限定をされておりませんけれども、今年度の営業収入が一%の伸びを見込むテレビであるとか〇・四%を見込むFMも、近い将来、これ一体、経営的には困難になるというふうに見ておられるのかどうかということをまず一つはお聞きをしますが。  二つ目に、この提出された計画を認定するかしないかについての客観的な指標みたいなものを総務省はお持ちなのかどうか。その認定が恣意的だと、こう批判をされても困るわけでしょうから、例えば計画に記載すべき内容としての経営基盤強化による収益性の向上の程度というのが書かれておりますけれども、これの目安みたいなものはあるのかどうかですね。また、特定放送番組の同一化等の放送法電波法の特例措置がどの程度経費節減になり、収益性の向上につながるというふうに見積もっているのかなどなどいろいろとあると思うんですが、この点はいかがか。  この二点をお聞きをいたします。
  114. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答えを申し上げます。  この経営基盤強化計画認定制度の対象につきましては、今御指摘がございましたように、総務大臣が指定放送対象地域としてチャンネル数の数の目標を達成することが困難となるなどの事由があるかどうかといったことを判断して指定することとしてございます。したがいまして、法律におきましてはテレビについても対象になり得るというものではございますけれども、私ども、改正法の施行時点では、収入の現状、先行きの見通し共に厳しいと認識してございますAMラジオとFMラジオに係る放送対象地域を指定放送対象地域に指定するということで考えているところでございます。  これは、これも委員御指摘ございましたように、テレビはリーマン・ショック後、最近少し収入が上がっているわけでございますが、AMにつきましては、およそ、平成五年度と比べまして約半分、FMにつきましても七〇まで落ち込んできていると。さらに、今後の見通しにつきましても、これは民間放送連盟研究所さんの予測によりましても、AM、短波あるいはFMにつきましてもおおむね一貫した右肩下がりが予想されるというようなことを前提に考えさせていただいているものでございます。  続きまして、認定の要件でございます。この認定の要件といたしましては、改正法の百十六条の三第三項におきまして幾つか掲げてございますが、主なものといたしましては、基幹放送業務を維持するため最大限の努力をするものであること、あるいは、放送番組の同一化を行う場合には、各放送対象地域の地域性確保するために必要な措置の内容が適切なものであることといった記載を規定をさせていただいてございます。  これの要件に係る基準につきましては、個別の事業者の経営状況や放送対象地域の実情とかいろいろございますので、求めるべき措置の水準や内容等というものは異なってくるというふうに考えてございます。そういう意味では、一律に詳細かつ具体的に数量的な基準をあらかじめ定めるということは個々の事業者の実情に沿わなくなるおそれがあるということで、法律等におきましてはそういったものを明確にはしておりません。ただ、今後、審査の予見可能性、透明性を確保するということは必要であるかなというふうに考えてございますので、今後、施行まで、法案の成立後、パブリックコメントなどを経まして、ガイドラインといった審査基準を作っていきたいというふうに考えてございます。
  115. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、経営基盤強化計画の認定を受けると、異なる放送対象地域において放送番組の同一化が可能になっていくわけですね。このことについて、放送多様性地域性が失われるんではないか、こういう懸念が当然のこととしてあるわけですが、そういう懸念に応える意味もあってのことでしょうけれども、経営基盤強化計画に地域性確保措置を盛り込むことが定められておりますが、資料によると、具体的には災害時に当該放送対象地域向け放送を行う体制確保が挙げられているんですが、これだけだと何か緊急時だけの話かよというふうに見られるわけで、通常番組でも地域性は当然確保される必要があるわけでありまして、総務省はこの地域性確保措置の具体的な中身、その他、どのようなことをお考えなのか、お伺いをします。
  116. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) 委員のおっしゃるとおりでありまして、地域性確保をしっかりと担保しながら、これ経営の安定をしていただきたいと、このような我々も望みがあるわけであります。  その中で、例示といたしましては、今の委員がおっしゃいました災害時に向けた放送設備の確保というのがございます。これは送信設備の問題です。  一方で、やはり取材拠点というものは、これは非常時にかかわらず平時においても、地域のいろいろなものを紹介できる上でも、平時における各放送対象地域ごとの取材拠点を維持してくださいと、こういったことも出てくると思います。また、この放送番組審議機関の委員の構成に地域のバランスをきちんと取り入れてもらいたいと、こんなようなことも我々とすれば想定するわけでありまして、様々な事情によりまして、手法はあると思いますが、いずれにいたしましても、その放送地域性確保するということ、そして、併せてそれを経営状態の好転に反映できるような、そういう番組にしていただきたいと、こんなことを期待をしておるわけでございます。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 特にラジオ放送にとっては、地域性というのは生命線というか、そういうことだと思うんですが、中央からの放送を流すだけだったらこれはもう存在意義そのものが問われるわけでありまして、総務省としてもその点は十分留意して対処いただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、二〇〇七年の放送法等の一部改正では、複数の地上基幹放送事業者の子会社化を可能にする認定放送持ち株会社制度が導入をされました。改めて伺いますが、この制度の目的はどういうことだったのか、そしてそれがどの程度達成をされたというふうに総括されているのか、なかなか難しいと思いますが、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  118. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答え申し上げます。  認定放送持ち株会社制度導入の目的でございます。幾つかございます。まず一つは、資金調達を容易化させるということ、持ち株会社を通じてグループ全体の資金を調達できる。あるいは、二つ目、経営資源の効率的な運用ができる、一般管理部門やコンテンツ著作権処理を持ち株会社へ集中する。あるいは、業界横断連携への柔軟な対応ということで、インターネットを通じたコンテンツ配信事業の展開なども容易になる。あるいは、経営の安定性の確保に資する、それによって競争力の強化が図られるといったようなことを目的としているものでございます。  評価でございますが、これにつきましては、今回この法案を提出させていただくに当たって検討のために開催いたしました放送政策に関する調査研究会で、既にございます持ち株会社からヒアリングをいたしました。その際の評価といたしまして、例えば業務執行の迅速性、あるいは人的移動の自由度を高めるといったようなことができた、それから、地上波、BS、インターネットなどにコンテンツを効率よく出すことが可能になったといったような評価が示されているというところでございます。  そういう意味で、これまでのところは制度導入の目的に沿って有効に活用がされているのではないかというふうに考えてございます。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 民放連の資料によりますと、テレビ局はラジオ局と違い、ここ数年営業収益は僅かながら伸びているということです。そうしたテレビ局の株を持ち株会社が買い増しできるようにするという意味は一体何か。地方における景気低迷により地方局の経営状態は今後更に悪化するので、規制緩和が必要だということなのか。  ただ、今回の規制緩和を求めているのは一部のキー局の持ち株会社だけだとも聞きます。言い換えるならば、関連会社を抱えるだけの経済力を持っている持ち株会社はそう多くはないんだろうと思うんですね。しかし、総務省が一部の持ち株会社の意向のためにもちろんこんな法改正やるわけはないわけでありますけれども、総務省としては今回の規制緩和によってどの程度この地方局の株が持ち株会社によって買い増しされるというふうに見通しをされているのか、また、総務省が意図しようがしまいが、今回の規制緩和地方局のキー局への統合が進むんだろうと思うんですけれども、その点についてはやむを得ないというお考えなのか、いや、そうはならないというふうに判断されているのか、その点、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  120. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) 改正の目的でございますけれども、これも御指摘ございましたように、地域経済の低迷等々の変化を踏まえて、現在、地方において放送事業者の既存の株主が株式を手放したい、売却したいというような意向、ニーズがあるわけでございますが、そういったことを踏まえて、認定放送持ち株会社がその引受手となりやすくするということを目的とするものでございます。  御質問の、どの程度これが活用されるかということにつきましては、これは、申し訳ございませんが、個別の社の経営判断に関わる事項でございますので、私どもとしてあらかじめ予見できるというものではございません。ただ、この改正につきましては、日本民間放送連盟から要望が寄せられているといったようなことなどから、様々な事業者の要望を踏まえた制度改正であるというふうに認識をしてございます。  それから、やむを得ないのかということでございますが、この今回の制度改正は、現行の放送持ち株会社制度と同様、関係会社とすることができる放送事業者を既にあります子会社と合わせて最大で十二の放送対象地域まで限定していると、これはいじっておりません、従来どおりでございます。また、従来どおり、関係会社である放送事業者に対しても地域向け番組の自主制作努力義務を課すといったような枠組みを維持する中で措置をしているものでございますので、制度として放送多元性多様性地域性等が損なわれるという位置付けのものとは考えておりません。
  121. 又市征治

    ○又市征治君 いずれにしましても、地方局がこの持ち株会社の傘下にあるということはいずれもキー局の影響が非常に強くなるということでありますから、そういう意味で、地方局としての存在意義が失われないようにその配慮というのは是非ともしっかりとやっていただきたい、こう思います。  そこで、先ほど地域性確保措置について触れましたが、この認定放送持ち株会社の傘下にある子会社の地上基幹放送事業者国内番組の編集に当たっては放送対象地域向け放送番組を有するように努めるという努力義務が課されておりますけれども、この放送法百六十三条の規定の趣旨と、先ほどの経営基盤強化計画に盛り込まれている地域性確保措置の趣旨というのは同じだというふうに思いますけれども、しかし、百六十三条は努力義務であって、今回、この努力義務関連会社に拡張されても依然として努力義務にとどまるということでありまして、これで放送対象地域向けの放送番組が維持できるのかどうか、あるいは、それ以外にも放送対象地域向け番組確保を求めるような何か施策があるのかどうか。  事前にいただいた資料によると、ローカル局の他からの供給を受ける番組の比率は平均して七八・九%ということでありまして、持ち株会社の傘下に入りますとこの数字は更にぐっと増える、こういうことになるんではないのか、この点についてはどのように見ておられるのか、お伺いします。
  122. 福岡徹

    政府参考人福岡徹君) お答えを申し上げます。  認定放送持ち株会社制度の下におけます地域性確保につきましては、御指摘の百六十三条の自主制作努力義務、それから、この制度、基幹放送事業者であるキー局ローカル局が親と子の関係になるということはならないようにするといったような制度上の担保措置を講じております。  これまでのところ、キー局ローカル局を共に子会社とする実例がないということもございまして、現在あるこの努力義務といった制度的な担保が機能しているのかどうかということをちょっと実証することはできないわけではございますけれども、ただ、御指摘のとおりの懸念というものは私どももあるのかなというふうには考えてございます。  したがいまして、今後、キー局ローカル局を共に関係会社とするような実例が生じた場合には、今申し上げましたような既存の担保措置が有効に機能するのか、あるいは、それ以外に何か新たな制度的対応を考えなきゃいけないのかどうかといったようなことはしっかり注視をしてまいりたいと思っております。
  123. 又市征治

    ○又市征治君 それでは、NHKに伺ってまいりたいと思います。  会長、私も長い間この総務委員会にいるんですが、会長の言動、人事の問題などでこんなにこんなに問題出ている委員会は初めてですよ。そういう意味では、もう是非しっかりと出されている意見は受け止めていただくように、まず冒頭お願いしておきますが。  一昨日も吉川さんから、四月二十二日の経営委員会理事人事案件問題、取り上げられました。先ほど吉良委員からも出ました。私も、五月の二十九日にこの当委員会でその問題についてただしました。そのとき浜田委員長は、あるいは先ほども答弁がありましたけれども、三月の経営委員会会長より二十二日まで氏名を明かさないとの提案があったので、会長の一存でルールが曲げられたという認識は持っておりませんというふうに答弁されたんですが。  問題、ここで上田委員に今度は監査委員の立場でお聞きをしてまいりますけれども、一体全体、じゃ、その前、何か人事の漏えいなんかあったのかどうか。何かそのおそれがあると、どこかで今盛んに言われておる話ですけれども、おそれがあると思ったら何でもそういうふうに一存でやられるのかどうかですが、上田委員会長の一存ではなかったが、ルール、つまり放送法施行規則十九条が曲げられたという認識があるのかどうか。  仮に、経営委員会全員が同意、二十二日にそれはやむを得ないというふうにそのときは思ったかもしらぬけれども、ルール違反はルール違反ですよ。その事実は消えないのではないのかということなので、極めて安易に、そういう意味で、何か申出があったら経営委員会側が認めてしまったのではないか。この理事の同意案件についての委員会の協議について、監査委員会は事情聴取をされたのか、また監査委員会として意見表明をされたのか。この点について、上田監査委員、お伺いします。
  124. 上田良一

    参考人(上田良一君) お答えいたします。  まず最初に、放送法施行規則第十九条二項、御存じのように、「委員長は、経営委員会の招集の通知を行うときは、原則として、事前に十分な時間的余裕をもってそれを発出するものとし、付議すべき事項その他参考となるべき事項を明確にするものとする。」と定めております。委員長は、経営委員会開催に当たりましては、この施行規則にのっとりまして、付議すべき事項その他参考となるべき事項の通知を行っておりまして、四月二十二日の件につきましても、施行規則第十九条二項に違反するということは言えないと考えております。  しかしながら、これまでは、理事任命について、付議すべき事項の具体的な名前までを事前に通知する慣例がありまして、今回はこの慣例と異なる取扱いが行われたということは間違いありません。経営委員会は、このような慣例や経営委員会からの指摘を踏まえ、今後改善を行うとしておりまして、また、委員長会長へもこの旨を伝え、対応していく方針を明らかにしております。監査委員会といたしましては今後の対応を注視してまいりたいと、このように考えております。
  125. 又市征治

    ○又市征治君 問題は、一体全体、今まで何回か漏れたことがあったのかどうかということなんですよね。それもないのに、勝手な思いでそういう話をされたら困ると。  私は、改めて皆さん方にも、何か籾井さんはすぐここに、国会に何度も何度も呼ばれてと、何か呼び付けられてけしからぬみたいな物言いに聞こえてしようがないんだけれども、NHK公共放送であって、政治からも独立したものじゃなきゃなりません。したがって、我々政治家たちも、NHKが不偏不党、公平公正な姿勢を堅持をして国民信頼される、そして発展をすることを求めて、ここでいろんなことを指摘をしているということですよね。  問題は、今この件について言うならば、NHKが自浄作用を果たしているのかどうかということが問われているんですよ。つまり、そういう意味で、会長から申出があったらルールがどうあろうと、それはそれで通っていきましたなんということがあってはならぬのではないのか、そこは監査委員もしっかりとやってもらわにゃいかぬ。上田さん、さっき申された、そういう視点をしっかりと堅持してもらわにゃいかぬ、こういうことを私たちは言っている。そのことを指摘しているんですね、この間から。やっぱり、どうもなれ合い、もたれ合いみたいなことがあるんではないのかという懸念をこの委員会で指摘をされているということをしっかりと受け止めてもらいたい。  さっきも申し上げましたが、籾井会長就任以来、前代未聞のそういう意味では状況にNHKは置かれているということを監査委員会は十分に認識をされ、その職責を全うされるように強く私からも求めておきたいと思うんです。  先ほども寺田さんからもありましたが、先日の参考人質疑のときに、繰り返して恐縮ですけれども、参考人お二人から、NHKのこの会長の言動等についていろいろと意見がありました。その中での鈴木参考人からの話がさっき出たんですが、もう一度繰り返して要点だけ申し上げさせていただくならば、現場を萎縮させるような発言は本来会長は差し控えるべきでして、むしろ会長としては、現場の自律、内部的自由、放送人の内部的自由を対外的な圧力から守っていく、もしも圧力が外から掛かったら自分が矢面に立って防いでいくというのが会長の本来の役割だというふうに考えております、こういうふうに述べられております。  問題は、そのとおりでありますというふうに多分会長は答えられるんでしょうが、そのことを踏まえて、しっかりと、もう一度改めて決意をここで申し述べていただきたいと思います。
  126. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) まあ、私が答えようと思ったことを委員が先に申されたので、その部分ははしょりますが、NHK番組編集権は会長にございます。具体的な編集権の行使は放送担当の役員に分掌させ、その下で現場の管理者に執行させております。  私は、国会審議などで、会長の個人的な見解番組に反映させることは断じてないと再三説明してきております。現場の管理者がそれぞれ責任を持って職務を遂行していると信じております。NHKのニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されることがあってはならず、放送法にのっとって番組編集の自由を確保し、放送自主自律を堅持することが公共放送の生命線であると認識しております。
  127. 又市征治

    ○又市征治君 会長会長に対するNHK職員の皆さんの信頼というのは、人事政策をちらつかせることでは決して得ることはできませんよ。二日前にも、随時人事異動なんという話が飛び出してきました。これは職員をむしろ萎縮させたり混乱をもたらすだけですよ。考え直すべきだと思います。そのことは申し上げておきたい。  会長は、やっぱり報道に携わる者として真摯に活動する現場職員を自らの地位をなげうっても守るんだという、そういう姿勢を示して職員の信頼を獲得をする、そういう努力を改めて申し上げておきたいと思いますし、あなたの言動によって随分といろんな批判がたくさんあった。だけど、だからこそ職員の皆さんが頑張って頑張って頑張って、営業収益は今、そういう意味では下がることが心配されたけれども、上がったと。あなたの言動じゃないんですよ。いや、結果としてはあなたがその役割を果たしたのかもしれない、客観的にはね。職員が努力したんですよ。そういう人々に応える、そういう努力というものを改めて求めておきたいと思います。  次に、今回の放送法改正によって、任意業務の中で附帯業務又は個別に総務大臣の認可を得た上で業務として実施されてきたラジオ、テレビ国際放送、ラジオのインターネット同時配信等のインターネット活用業務が恒常的な業務として実施可能となります。今後、このような放送と通信、インターネットとの融合は進んでいくんだろうと思うんですが、現在でも、特に規制がされていない放送法の下で、民間放送の中では部分的にいろんな取組が行われているというのもお聞きをします。  そこで、放送法とネットの融合、一体化の流れにどのように対応、対処していこうという考えなのか。具体的に言えば、この流れの後追いをしていくのか、あるいは流れを適切に掌握、コントロールをし、その中で公共メディア放送機関としての役割を積極的に果たす方法を検討し実践していこうというのか。これは時間がなくなってしまいましたから、総務省からこの点についてはお伺いをしておきたいと思います。
  128. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) これはまさに時代流れを捉まえて、そして適切に、私たちはまた新しいチャンスというものもつくっていきたい、また社会のニーズに応えられるように様々な取組をしていきたいと。その際には、今受信料の問題であるとか、それから権利処理の問題ですとか、そういった懸案がございます。こういったものも含めて議論を前向きに進めていきたいと、このように考えております。
  129. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  130. 主濱了

    ○主濱了君 生活の党の主濱了であります。  早速質問に入ります。  まず、これは放送法、今度の法案の百五十八条第二項あるいは百五十九条第一項関係でありますけれども、厳しい経営環境ということでお伺いをいたしたいと思います。    〔委員長退席、理事二之湯智君着席〕  本法律案の提案理由の中で、新藤総務大臣の方から、地域経済の低迷等により、既存の株主が放送事業者の株式を保有し続けることができない事態が発生していることを踏まえ、認定放送持ち株会社の下で放送事業者の議決権保有が可能な範囲を拡大することとしておりますと、こういったような説明がありました。  厳しい経営環境につきましては、一般的に日本全体としては、確かにGDPとかあるいは可処分所得が減少しているとか、そういったようなことで見れますし、また地方経済、ちょっと見れば納得をできるものであります。最近見ますと、アベノミクス効果による経済指標が改善してきているといったような宣伝もなされてきているところであります。  大臣からお話のありました地方放送局の現実の経営環境の厳しさ、これについてどのように認識をされているのか、これについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  131. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) まず、この長期にわたる経済の低迷、これにつきましては我々全員がその認識をしているところだと思っております。その意味で、逆に言えば、今アベノミクスによって反転そして上昇の兆しが見えている、このことも事実でありまして、それらは経済を自律的に成長させる、また新しい様々な取組によってこれを持続可能なものにしていきたいと、この願いがあり、あらゆる分野でこれから成長は今までとは違う形になっていくと思われます。  しかし、その中でも、やはりこの十一年から二十四年まで、この十三年間で見ますと、放送事業者の経営というのはやはりトレンドにおいて非常に厳しいものがあるということであります。テレビは、三大広域圏が〇・七%の落ち込みにとどまっておりますが、系列ローカル局は一三・四%の落ち込みであります。一方で、AMラジオは三大広域圏、ローカル局共に約四〇%の落ち込み、FMラジオは全国ベースで三六%ということでありまして、特にラジオの経営のローカルの低迷、そして広域圏も含めてのそういった落ち込みというものは、これは指標の中から我々は推測できるわけでございます。
  132. 主濱了

    ○主濱了君 次、放送のマーケットのグローバル化とそれから地域放送確保、こういう観点からお伺いしたいんですが、今の御答弁にありましたとおり、地方放送局を守るためには、認定放送持ち株会社の下で放送事業者の議決権の保有が可能な範囲を拡大することについては今の時点では確かに検討せざるを得ないのかなと、こういうふうに思われるところであります。    〔理事二之湯智君退席、委員長着席〕  一方、少数の者により複数の基幹放送事業者が支配されることを防ぎ、多くの国民が表現の自由を享受できるようにするため複数の基幹放送事業者に対する出資を制限している、いわゆるマスメディア集中排除原則であります。これがあるわけですけれども、平成十九年の認定放送持ち株会社制度の創設でこの原則が大幅に緩和された、緩められたというふうに思っております。  先日の参考人からの御意見、長谷部参考人は、放送は今グローバルなマーケットで競争していると、メディア集中排除という形で分断をしてしまうと日本の放送マーケットは撃破されてしまうと、こういったような御意見がありました。  確かに、そのとおりでありますと、日本経済や地方経済、この低迷にかかわらず、放送経営基盤強化あるいは系列化、これは優先しなければならない、こういうことだというふうにも考えられるわけであります。  質問なんですけれども、放送のマーケット、これがグローバル化していった、どんどんどんどん進んでいった場合に、日本の放送業界の経営基盤強化といいますか、系列化、これはどうなってくるかというふうなことを想定しているのか。まず、これ第一点であります。  もう一つは、放送のマーケットのグローバル化が更に進んだ場合であっても、そのマスメディア集中排除原則あるいは地域の放送という、これはいろいろな委員の皆さんからお話ありましたけれども、この地域の放送というのは確保されなければならないというふうに思っておりますけれども、これ併せて伺いたいと思います。
  133. 上川陽子

    ○副大臣(上川陽子君) 放送国内市場が大変厳しい状況の中で、メディア多様性も進んでいるということでございまして、売上高の落ち込み、大変厳しいラジオを始めとして、今後大きな成長が望めなくなっていると。先行きに対しまして不透明感が増しているという状況、こうした市場環境を踏まえまして、放送事業者の経営基盤強化が求められているというところでございます。  その方法の一つといたしまして、このマスメディア集中排除原則規制緩和ということが考えられるわけでございますが、それによりまして、結果として、ローカル局の系列化が進行し、また放送地域性を後退させるおそれがあるということから、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。  このマスメディア集中排除原則でありますが、御指摘のとおり、放送多元性多様性地域性確保のための大変大事な重要な制度であるということで、今後ともしっかりと堅持をしていかなければならないというふうに考えておりますが、仮に、また規制緩和を行う場合につきまして、ローカル局の系列化あるいは放送地域性の低下といったマイナスの効果が生じるおそれがあるということから、このマイナスの効果をできるだけ小さくするための措置ということにつきましては、併せて講じていく必要があるというふうに考えております。  今回、改正案で創設をいたします経営基盤強化計画の認定制度におきましては、異なる放送対象地域における放送番組の同一化を言わば手放しで認めるのではなくて、地域性確保措置を適切に講じるということを条件として認めるということにしたところでございます。  今後の規制緩和の検討におきましても、こうした工夫をできるだけ講じていくことによりまして、マスメディア集中排除原則の目的であります放送の多元化、多様性及び地域性の適切な確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  134. 主濱了

    ○主濱了君 系列化については慎重にと、こういうふうな基本的な考え方があるようですけれども、まさにそのようにお願いをしたいなというふうに思います。  一方、グローバル化にも、これもきちっと対応していくと。要するに、世界の各放送局と競争をしなければいけないと、こういう事情もあるわけですので、そちらの方もしっかりと対応をしていただきたいなというふうに思います。  次は、NHKの方についてお伺いいたします。これ、恒例の質問でありますので、一月二十五日以降のNHKに対する意見の総数、そのうちの批判的な意見の数、これ、前回伺っているのは五月二十九日ですので、約一か月弱たっておりますが、動きがどうなっているのか、お知らせをいただきたいと思います。
  135. 吉国浩二

    参考人(吉国浩二君) お答えいたします。  記者会見がありました一月二十五日から寄せられました視聴者意見ですが、昨日の夕方まででおよそ四万四千二百件となっております。月ごとの推移ですけれども、記者会見から二月末までがおよそ二万七千件あったんですが、三月、一万件、四月が四千四百件、五月、千八百件ということで、今月は、昨日、十八日まででおよそ五百件となっております。その内訳ですけれども、批判的意見がおよそ二万八千六百件、六五%、肯定的な意見がおよそ七千二百件、一六%ということです。  以上です。
  136. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。まだ動いておりますね。  それで、四月十九日、佐賀放送局で開催された視聴者と語る会で出された批判的な意見、厳しい御意見が寄せられたと、こういうふうな御認識はあったようでございますが、この厳しい御意見に対して経営委員会としてまずどのように対処されたのか、これが第一点です。  それから二点目、作成することとしていた開催報告書、それから視聴者の皆様への公開、これはどのようになされているか。  まず、この二点についてお伺いしたいと思います。
  137. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 今御指摘の四月十九日の佐賀放送局で開催されました視聴者のみなさまと語る会につきましては、四月二十二日の経営委員会出席した委員から報告を受けました。先ほど委員の方からございましたように、参加した視聴者の方から、会長の発言、辞表問題等について厳しい意見もいただいたという報告でございました。このような意見経営委員会としては真摯に受け止めながら、地道に信頼回復の努力を続けていきたいというふうに考えております。  それから、今ございました佐賀放送局の視聴者の皆様への公開でございますけれども、去る六月十日に開催されました経営委員会において正式な議題として報告を受けました。また、開催報告を六月十三日に経営委員会のホームページに掲載し、視聴者の皆様に公表をしております。
  138. 主濱了

    ○主濱了君 分かりました。  それでは、五月二十四日に、今度は青森放送局で同様の視聴者と語る会、これが開催されたわけですが、この概要はいかがだったんでしょうか。これを簡潔にお願いいたします。
  139. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 五月二十四日に青森放送局で開催した視聴者のみなさまと語る会には三十名の視聴者が参加され、様々な御意見をいただきました。当日の状況については、会長に関する意見のほか、受信料の公平負担、番組の民放化の問題、それから災害報道に関する意見など、様々な意見が寄せられたというふうに聞いております。
  140. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、ちょっと先を急がせていただきます。今度は百田経営委員関係についてであります。  経営委員の百田さんは、五月二十四日、岐阜市内で開かれた政党の定期大会で、軍隊を持たない南太平洋の島嶼国二か国の国名を挙げて、家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らないなどとやゆする発言をしたと報じられております。百田さんにつきましては、皆さん御存じのとおり、さきの東京都都知事選挙で特定候補の応援演説をし、そして南京虐殺を否定、そして加えて対立候補を人間のくずと、こういうふうに指摘した方であります。  さらに、十八日、昨日ですね、昨日、まさに昨日、静岡市内での講演会後に行われた参加者との質疑応答で、南京大虐殺はなく、従軍慰安婦はうそなどと発言をしたと、このように報道をされております。この報道では、はっきりとNHK経営委員で作家の百田尚樹氏がと、こういうふうに表示をされているところであります。  私が一番心配しているのは、NHKなんですよね、問題は。このNHKをどうするか。ここにいる委員の皆さんはみんなNHKに頑張ってもらいたいと思っている者なんですが。これまで百年もの長年にわたって築き上げられた国民NHKに対する不偏不党あるいは中立公正という信頼、さらには平成十六年の不祥事に関して非常に大変な問題が起きました。その再発防止策として、NHK倫理あるいは行動憲章、それから行動指針、毎年度全職員の誓約署名、こういったような非常に努力を重ねてきていると、こういうことであります。  このような中で、国民やそれから諸外国のNHKへの信頼、その信頼を失墜させるような言動をしている百田氏を経営委員会としては不問に付した格好となっていると、こういうふうに報道もされているわけです。  質問でありますけれども、まず、百田氏の一連の言動について経営委員会としてどのように御認識をされているか、一点目。二点目、報道のとおり不問に付そうとしているのか、不問に付す、付そうとしているのであれば、その理由。この二点について、まずお伺いをいたします。
  141. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) まず、六月の十八日の発言につきましては、報道があることは承知しておりますが、まだ本人に真意を確認しておりませんので、それ以前の言動についての考え方を述べさせていただきます。  御質問の発言は、経営委員として発言されたものではないと認識しておりますので、個々の発言に対するコメントは差し控えたいというふうに思います。  経営委員の発言に対する経営委員会の認識としては、今年二月十二日に行った一定の節度を持って行動するという申合せに尽きるというふうに思っております。それから、先ほど申し上げましたとおり、二月の申合せは、経営委員の言動に対する厳しい御意見があった中で経営委員会が自律的に行ったものであります。経営委員の発言につきましては、二月以降、経営委員会でも触れることがありましたが、二月の申合せについて異議があるという意見はなく、私といたしましては、今後も各委員はこの申合せを受けて行動していくべきものと考えております。  議論すべき問題があれば、今後も経営委員会として取り上げていきたいというふうに思っております。
  142. 主濱了

    ○主濱了君 失望しました。本当に失望しました。  特定の政党の定期大会で外国をやゆするような発言など、これのみならず一連の言動があるわけですよね。こういうものがあっても、結局、NHKは何もしない、あの程度のことはNHKでは許されるんだと、こういうメッセージを国民に与えることになるんですよ。  これについてどう考えますか。
  143. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 私としては、各委員一人一人が経営委員会の申合せを踏まえ、一定の節度を持って自律的に行動していただくことが原則であるというふうに考えております。  委員長として、今後もこの申合せの趣旨が徹底されるよう努力していきたいと考えております。場合によっては、経営委員会の場で話し合っていくこともあるというふうに考えております。
  144. 主濱了

    ○主濱了君 場合によってはというよりも、それ以降、申合せ以降、こういうふうな事態がもう二つも、少なくても二つは起きていると、こういうことなので、早急にお話合いをしていただきたいというふうに思います。  これらの問題は百田氏だけではないんですよ。籾井会長も長谷川経営委員も、NHKへの国民信頼あるいは諸外国の信頼を失わせ続けているというふうに思っております。経営委員会として早急にけじめを付けるべき課題だというふうに、こう思っております。時間の都合上、先を急ぎます。  次は、受信料関係についてお伺いをしたいと思います。  受信料関係で、まず、これは吉良委員から先ほどお話があったんですが、支払率を見ますと、平成二十五年の支払率が七四・八%と、平成二十四年度と比較して一%上昇しているということであります。これはもうまさに職員の御努力のたまものであると、これについては敬意を表するものであります。  その支払率上昇の主な理由は何かということが第一点。それからもう一つ平成二十五年に新たな受信契約を結んで受信料を支払った世帯、要するに新規の、今まで払っていなかった新規に払った世帯はどのくらいあって、その世帯が支払率の上昇にどの程度寄与したのか、この点について伺いたいと思います。
  145. 塚田祐之

    参考人(塚田祐之君) お答えいたします。  今御指摘のように、二十五年度末の放送受信料の推計世帯支払率ですけれども、全国値で七四・八%となりまして、二十四年度末に比べて一・〇ポイント向上いたしました。この世帯支払率の向上ですけれども、法人委託の拡大等による営業活動の強化とともに、全局体制視聴者の皆様への理解促進活動に取り組んだものと考えております。  それから二点目の件ですが、平成二十五年度につきましては、世帯の受信契約数が四十二万件増加しました。世帯支払率の向上につきましては、受信契約数が四十二万件増加したことに加えまして、受信契約があってもお支払が滞っているいわゆる未収の数を十八万件削減したことによるものでありまして、受信契約数の増加が大きな要因になっております。
  146. 主濱了

    ○主濱了君 分かりました。改めて職員の御努力に対して敬意を表したいと思います。  次、NHK放送時間について伺いたいと思います。  現在のテレビ放送時間はおおむね、総合テレビジョンがこれは二十三時間五十三分、それから教育テレビが二十時間三十一分、それからBS、プレミアムとも二十四時間もう全部流していると、こういうふうなところであります。これは、生活の多様化、あるいは日本が昼夜を問わず活発に活動をしていると、こういうことだろうというふうに思っております。  一方において、やはり省エネルギーの問題とか早起きは三文の徳なんという、とにかく早寝早起き、生活習慣というのもあるわけであります。それから、今、高齢化の加速が予測されておりまして、高齢者への配慮、高齢者というのは私が知っている限りは早くお休みになるんですよね、で、早く起きる。こういうふうなものにも配慮しなければいけないし、さらに少子化、この少子化にも歯止めが掛かっていない状況なので、将来日本を背負う学童への例えば放課後辺りの時間帯での放送、これにもやっぱり配慮しなければいけないというふうに思っております。  二つ伺いたいと思います。一つは、現在の放送時間についてどう考えているのか。ほぼ、かなり一日中流しているということについてどう考えているのかということ、それからもう一つは、高齢者や学童に対する配慮はある程度はなされていると思うんですが、その時間帯あるいは放送内容についての工夫がもしあればお伺いをしたいと思います。
  147. 板野裕爾

    参考人板野裕爾君) お答えいたします。  公共放送としまして、視聴者の安全、安心に関わる緊急災害報道に万全を期すために、総合テレビ、BS1、ラジオ第一放送は二十四時間速報体制を取る必要がございまして、終夜放送、終夜で放送しております。また、BSプレミアムにつきましては、平成二十三年度にNHKが衛星放送を三波から二波に変更になった際に、放送内容の質、量共にサービス低下を来さないように配慮して二十四時間化をしているところでございます。一方、教育テレビは、省エネルギーに向けた取組としまして、平成十八年度から夜間の放送時間を短縮しております。  今後も緊急報道対応と省エネルギーに向けた取組の両立を図っていきたいと考えておりまして、現行並みの放送時間の確保を継続していきたいというふうに考えております。  二番目の質問に対するお答えでございます。  NHKでは、国民生活時間調査、あるいは番組総合調査等の世論調査を実施いたしまして、年代ごとの起床在宅時間、あるいは要望を把握した上で番組編成を行っているところでございます。  例えば、総合テレビでは、子供から高齢者まで在宅している夜七時台や八時台、幅広い年代に向けたニュースや番組放送しているところでございます。一方、主に五十代以下の方々が御覧になっている夜十一時台は、その年代のニーズに対応した番組の編成をしております。幼児や子供向け番組につきましては、子供の発達や就学の状況に合わせまして多様な番組制作して、在宅率が高い朝と夕方の時間帯に教育テレビで集中的に編成をしているところでございます。
  148. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  もう一つ実は質問を用意しておったんですが、NHKのニュースに関してであります。インターネットをどう活用していくのかと、こういうことなんですが、時間の都合でちょっとかないませんでした。これを昨年放送されました「あまちゃん」流におわびを申し上げますと、じぇじぇじぇ、おもさげがんせと、こういうことになります。  本当にありがとうございます。
  149. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  150. 吉良よし子

    吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  本改正案は、認定放送持ち株会社による放送事業者の株式保有拡大を可能にするものです。これは、マスコミ集中排除原則緩和であり、問題です。  二〇〇七年に認定放送持ち株会社制度の特例が認められて以降、系列局の議決権保有の上限などの見直しが行われてきましたが、本改正案では更なる地方局の議決権保有範囲の拡大が行われます。これによって関連会社化や系列化が進められかねません。こうしたマスメディア集中排除原則緩和認定放送持ち株会社の資産要件緩和は、キー局経営戦略からの要望に応えるためのものにほかなりません。  そもそも、マスコミ集中排除原則は、戦前、戦中の反省に立ち、憲法二十一条に保障された放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにすることにより、放送多元性多様性地域性確保を目的とするものです。この原則を緩和し、持ち株会社経営戦略、経営強化策を優先することは、視聴者国民の知る権利の後退につながるものであることから、反対します。  また、経営基盤強化計画の認定制度を創設し、認定を受ければ、違う放送対象地域の放送事業者が全て同一の放送番組放送を行うことも可能となります。計画が認定された地域の視聴者国民は、地域の情報を恒常的に得られなくなり、ひいては民放系列ネットワーク全体の番組制作機能を低下させる懸念があります。  地方局が放送事業者として事業を継続していくには、地域に密着した自主番組制作を通じて、視聴者、地域に欠くことのできない放送局となっていく必要があります。ローカルラジオ局は、AM、FM共に自主制作番組の比率は五〇%を超えていますが、こうした日頃からの密着こそが災害時にも役割を発揮することができます。  そもそも、放送の普及計画で、放送は地域社会を基盤にし、情報の多元的な提供及び地域性確保を求めており、こうした放送の在り方をも覆すものです。  なお、NHKインターネット業務の拡大は受信料で行うものであり、放送外の業務として留意が求められるものであることを指摘して、討論とします。
  151. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  152. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、吉川沙織さんから発言を求められておりますので、これを許します。吉川沙織さん。
  153. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 私は、ただいま可決されました放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・結いの党、みんなの党、社会民主党・護憲連合及び生活の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  今国会、閣法が一番多い総務委員会で最後の附帯決議になります。  案文を朗読いたします。     放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び日本放送協会は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。  一、民間放送事業者の経営状況が厳しい環境にある中で、我が国の放送が、今後とも持続可能な経営環境の下、放送地域性多元性等が適切に確保され、災害情報の提供等、国民視聴者に対し、重要な公共的役割を果たしていくことが可能となるよう、特段の配慮を行うこと。  二、特定放送番組同一化を行うに当たっての地域性確保措置については、事業者の自主自律により、適切な措置が講じられるよう、政府は、放送番組に対する住民のニーズを十分見極めつつ、透明性・予見可能性を高めるための取組を行うこと。  三、認定放送持株会社の認定要件の緩和については、マスメディア集中排除原則放送多元性多様性地域性確保等に大きな役割を果たしてきたことに鑑み、同原則の趣旨が損なわれることがないよう十分に配慮すること。特に、要件緩和によるグループ経営基盤強化後においても、引き続き放送地域性確保されるよう、系列ローカル局における自社制作番組比率の維持等に留意すること。また、同原則については、特定事業者による情報メディアの複数支配により、表現の多様性が損なわれることがないよう、今後の通信と放送をめぐる環境変化に応じて、総合的な検討を行うこと。  四、協会のインターネット活用業務については、その実施基準の認可及び認可基準の策定に当たって、利害関係者はもとより、広く国民視聴者意見を聴取し、寄せられた意見等に適切に対応すること。また、協会は、同業務について、事業計画及び業務報告書への明記や同業務の勘定に係る財務諸表の公表などにより、その透明性を確保するとともに、少なくとも三年ごとに行う実施状況評価を着実に実施し、評価結果に基づき業務改善に取り組むこと。  五、海外における協会のテレビ国際放送については、協会は、その認知度向上に向け、番組の質の向上や受信環境整備等に一層努めるとともに、政府は、我が国の情報発信強化のため、協会の行う受信環境整備の取組に対して一体となって必要な支援を行うこと。  六、放送コンテンツについては、日本文化等の海外への発信が、海外需要の開拓や我が国の国際的地位向上に資することから、放送局や番組制作会社と周辺産業の連携の推進、コンテンツ二次利用に係る権利処理の円滑化、海外における「放送枠」の確保等、放送コンテンツの海外展開の促進のための措置を講じること。  七、災害放送を始めとする地域情報の更なる充実を図るため、周波数逼迫地域等における新たな周波数確保など、コミュニティ放送の一層の普及を図るとともに、ラジオ放送事業者と地方公共団体の連携の推進に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  今国会、誠にありがとうございました。
  154. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいま吉川沙織さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 多数と認めます。よって、吉川沙織さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、新藤総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。新藤総務大臣
  156. 新藤義孝

    国務大臣新藤義孝君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  157. 山本香苗

    委員長山本香苗君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  159. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、礒崎陽輔君委員辞任され、その補欠として太田房江さんが選任されました。     ─────────────
  160. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院総務委員長高木陽介君から趣旨説明を聴取いたします。高木陽介君。
  161. 高木陽介

    衆議院議員(高木陽介君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  行政書士は、依頼を受けて、官公署に提出する書類を作成すること等を業務とし、行政に関する手続の円滑な実施に寄与してまいりましたが、今日、行政書士を取り巻く社会環境変化する中にあって、一層、国民のニーズを適確に把握し、国民の利便を図ることが求められております。  このため、行政に関する手続の円滑な実施及び国民の利便向上の要請への適確な対応を図る見地から、特定行政書士制度を創設することとし、本案を提出した次第であります。  次に、本案の内容について御説明申し上げます。  日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することを業とすることができることとするほか、特定行政書士の付記に関する規定その他所要の規定を整備することとしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することとしております。  以上が、本案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  162. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  行政書士法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会