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2014-06-03 第186回国会 参議院 総務委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年六月三日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
香苗
君 理 事
二之湯
智君 丸川 珠代君 吉川 沙織君 若松
謙維君
渡辺美知太郎
君 委 員 井原 巧君 石井 正弘君 礒崎
陽輔君
小泉 昭男君 島田 三郎君 関口 昌一君 柘植 芳文君 堂故 茂君 藤川 政人君 石上 俊雄君 江崎 孝君 難波 奨二君 林 久美子君 藤末 健三君
片山虎之助
君 寺田
典城
君
吉良よし子
君 又市
征治
君 主濱 了君
国務大臣
総務大臣
新藤
義孝
君 副
大臣
総務
副
大臣
上川 陽子君
大臣政務官
総務大臣政務官
松本 文明君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 哲君
参考人
東京大学大学院
法学政治学研究
科教授
宇賀
克也
君
弁護士
・
立命館
大学法科大学院
教授
斎藤
浩君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
国政調査
に関する件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
行政不服審査法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
行政手続法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
山本香苗
1
○
委員長
(
山本香苗
君) ただいまから
総務委員会
を開会いたします。
国政調査
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきまして、
行政制度
、
公務員制度
、
地方行財政
、
選挙
、
消防
、
情報通信
及び
郵政事業等
に関する
調査
を行ってまいりましたが、先般の
参議院規則改正
に伴い、
調査事件名
を
行政制度
、
地方行財政
、
選挙
、
消防
、
情報通信
及び
郵政事業等
に関する
調査
と変更いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本香苗
2
○
委員長
(
山本香苗
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
山本香苗
3
○
委員長
(
山本香苗
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
行政不服審査法案外
二案の
審査
のため、本日の
委員会
に
東京大学大学院法学政治学研究科教授宇賀克也
君及び
弁護士
・
立命館大学法科大学院教授斎藤浩
君を
参考人
として
出席
を
求め
、その
意見
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本香苗
4
○
委員長
(
山本香苗
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
山本香苗
5
○
委員長
(
山本香苗
君)
行政不服審査法案
、
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及び
行政手続法
の一部を
改正
する
法律案
、以上三案を一括して議題といたします。 三案について、
政府
から順次
趣旨説明
を聴取いたします。 なお、
行政不服審査法案
は
衆議院
において修正議決されましたので、この
修正部分
につきましても併せて
政府
から
説明
を聴取いたします。
新藤総務大臣
。
新藤義孝
6
○
国務大臣
(
新藤義孝
君) 本日は閣僚かりゆしデーでございますので、どうぞ御
理解
をお願いいたしたいと思います。
行政不服審査法案
、
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及び
行政手続法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
行政不服審査法案
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
行政庁
の
処分
又は不
作為
に対する
不服申立て
の
制度
について、
公正性
及び
利便性
の
向上等
を図る
観点
から、その抜本的な
見直し
を行うものであります。 次に、
法律案
の
内容
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
審理
の
公正性
の
向上
を図るため、
原処分
に関与した者以外の者の中から
審査庁
が指名する
審理員
が
審査請求
の
審理
を行うこととするとともに、
裁決
に当たっては、
原処分
又は
裁決
のいずれかの
段階
で他の
第三者機関
が関与する場合や
審査請求人
が希望しない場合等を除き、
法律
又は
行政
に関して優れた識見を有する者で構成される
行政不服審査会等
に諮問することとしております。また、
審査請求人等
が
証拠書類等
の
写し
の
交付
を
求め
ることができることとするなど、
審理手続
における
審査請求人等
の
手続保障
を拡充することとしております。 第二に、
国民
の
利便性
の
向上
を図るため、
不服申立て
をすることができる
期間
を
現行
の六十日から三か月に延長することとしております。また、
審査請求
及び
異議申立て
を
審査請求
に一元化するとともに、
個別法
における特別の
定め
により、再
調査
の
請求
及び再
審査請求
の
手続
を設けることができることとしております。さらに、
審査庁
は、
標準審理期間
を
定め
るよう努めなければならないこととするとともに、
審理
を計画的に進める必要がある場合に
事前
に
争点等
を整理するための
手続
を設けるなど、
審理
の
迅速化
のための
措置
を講ずることとしております。 なお、
行政不服審査法案
は、
衆議院
において一部修正されており、その
内容
は、「
政府
は、この
法律
の
施行
後五年を経過した場合において、この
法律
の
施行
の状況について
検討
を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて
所要
の
措置
を講ずるものとする。」ことであります。 次に、
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
行政不服審査法
の
施行
に伴い、三百六十一の
関係法律
について、
審査請求
及び
異議申立て
を
審査請求
に一元化すること等に伴う
規定
の
整備
を行うとともに、国税、
関税等
について、
審査請求
の前
段階
で
処分庁
が簡易に
処分
を見直す
手続
である再
調査
の
請求
を、
社会保険
、
労働保険等
について、
審査請求
の後に更に
第三者機関等
が
審理
を行う
手続
である再
審査請求
を設けることとしております。また、
不服申立て
に対する
裁決
を経た後でなければ
訴訟
を提起することができないこととする、いわゆる
不服申立て
前置について、
不服申立て件数
が大量にあるもの等を除いて廃止するとともに、二
段階
の
不服申立て
を経なければ
訴訟
を提起することができない仕組みは全て廃止するなど、
所要
の
規定
の
整備等
を行うこととしております。 次に、
行政手続法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
行政不服審査法
の
改正
に併せ、
国民
の
救済手段
を充実、拡大させる
観点
から、
不服申立て
の
対象
とならない
処分
前の
手続
や
行政指導
に関する
手続
について
所要
の
規定
の
整備
を行うものであり、
法令
に違反する事実の
是正
のための
処分
又は
行政指導
を
求め
ることができる
処分等
の
求め
の
手続
や、
法令
に違反する行為の
是正
を
求め
る
行政指導
の相手方がその
中止等
を
求め
ることができる
行政指導
の
中止等
の
求め
の
手続
を新設することとしております。 以上が、これらの
法律案
の
提案理由
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。
山本香苗
7
○
委員長
(
山本香苗
君) 以上で三案の
趣旨説明
及び
衆議院
における
修正部分
の
説明
の聴取は終わりました。
速記
を止めてください。 〔
速記中止
〕
山本香苗
8
○
委員長
(
山本香苗
君)
速記
を起こしてください。 これより
質疑
に入ります。 本日は、三案の
審査
のため、
参考人
の
方々
から御
意見
を伺います。 この際、
参考人
の
方々
に
委員会
を代表しまして一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ、当
委員会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人
の
皆様方
から忌憚のない御
意見
を拝聴し、今後の
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分
程度
で、
宇賀参考人
、
斎藤参考人
の順に御
意見
をお述べいただきました後に、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 また、
発言
の際は、挙手をしていただきまして、その都度、
委員長
の
許可
を得ることになっておりますので、御承知おきください。 なお、
参考人
、
質疑者共
に
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
宇賀参考人
にお願いいたします。
宇賀参考人
。
宇賀克也
9
○
参考人
(
宇賀克也
君)
東京大学
の
宇賀
と申します。本日は、
行政不服審査関連
三
法案
について
意見
を述べる
機会
を与えていただきましたことに御礼申し上げます。
行政不服審査法
は、その
前身
である
訴願法
に代わるものとして一九六二年に
制定
されました。
行政不服審査法
の
制定
は、
訴願法
と比較すれば画期的な
改革
であったと言えると考えておりますが、その後、半
世紀
以上が経過し、
行政不服審査法
の抱える様々な
問題点
が明らかになり、その抜本的な
改革
の
必要性
は
行政法学界
ではほぼ共通の
認識
となっております。
政府
におかれましても、
行政不服審査法
の大幅な
見直し
の
必要性
を
認識
され、長年にわたる
検討
を積み重ね、二〇〇八年に
行政不服審査法
の全部
改正案
を
国会
に提出され、その後、前
政権
の下におきましても同法の抜本的な
見直し
の
検討
が行われ、さらに現
政権
の下におきまして、二〇〇八年
法案
を基礎にしながら、前
政権
の下での
検討
結果や各界からのヒアリング、
パブリックコメント等
の結果を踏まえて、更に改善された
法案
を今
国会
に提出されました。
現行
の
行政不服審査法
と比較して、多くの点で
国民
の
権利救済
を
向上
させる
内容
になっていると評価しております。 以下、
行政法
の
研究者
の
立場
から、
行政不服審査関連
三
法案
による
改善点
について述べさせていただきます。 第一に、一九九三年に
制定
されました
行政手続法
における
手続水準
との
格差
を解消する
措置
が講じられている点でございます。
行政手続法
は
行政過程
における
事前手続
の
一般法
であり、
行政不服審査法
は
行政過程
における
事後手続
の
一般法
と言うことができます。
行政不服審査法制定時
には
行政手続法
は存在しませんでしたので、
事前手続
との比較という視点は存在しませんでした。しかし、
行政不服審査法制定
から約三十年後に
制定
されました
行政手続法
は、その間の
適正手続
についての国内外の
認識
の
向上
を反映して、
行政不服審査法
と比較して
手続水準
を
向上
させております。その結果、
行政手続法
と比較して、
行政不服審査法
の
手続水準
の不十分さが明確に
認識
されるようになりました。 そのため、今
国会
に提出されました
行政不服審査法案
におきましては、
行政手続法
の
聴聞主宰者
の
制度
を
参考
にした
審理員制度
を採用し、
審査請求
に係る
処分
に関与した
者等
は
審理員
となれないこととすることとされております。 また、
行政手続法
の
標準処理期間
の
制度
に範を取った
標準審理期間
の
制度
を設け、
行政手続法
が
申請
に必要な
情報
の
提供
の
努力義務
を
行政庁
に課したことを
参考
にして、
不服申立て
に必要な
情報
の
提供
の
努力義務
を
不服申立て
につき
裁決等
をする権限を有する
行政庁
に課すこととしております。
行政手続法
が
定め
る
文書等閲覧請求権
に比較して
対象
が大幅に限定されておりました
審査請求人等
による
文書等
の
閲覧請求権
も拡充することとされております。 なお、この点につきましては、
行政手続法
においては
閲覧請求権
にとどまり、
写し
の
交付請求権
は認められておりませんが、
行政不服審査法案
におきましては
写し
の
交付請求権
まで認められており、単に
行政手続法
との
手続水準
の
格差
を解消するにとどまらず、むしろ
行政手続法
の
手続水準
を超える
内容
になっております。 第二に、二〇〇四年に大幅に
改正
されました
行政事件訴訟法
との
救済水準
の
格差
の解消を図る
措置
が講じられていることが挙げられます。
行政不服審査法
と
行政事件訴訟法
は共に一九六二年に
制定
されており、
行政救済
二法と称され、密接な
関連
を有しております。したがいまして、二〇〇四年に
行政事件訴訟法
の大幅な
改正
が行われました際に、併せて
行政不服審査法
の大幅な
見直し
を行うことも考えられました。 しかし、この時期が
行政手続法
の重要な
改正
の
検討
時期と重なり、
行政管理局
としては
行政手続法
の
改正
に優先的に取り組む必要があったため、
行政事件訴訟法
の一部
改正法附則
による
行政不服審査法
の
改正
は、
執行停止
の
要件
の緩和と職権による教示を書面で行うことの
義務付け
にとどまりました。
他方
、今
国会
に提出されました
行政不服審査法案
には、二〇〇四年の
行政事件訴訟法改正
を
参考
にした重要な
改正内容
が含まれております。二〇〇四年
改正
前の
行政事件訴訟法
におきましても、
法令
に基づく
申請
に対して不
作為
の
状態
が継続している場合の
救済
のために不
作為
の
違法確認訴訟
が法定されておりましたが、この場合、不
作為
が違法であるので何らかの
処分
をせよという
判決
が出ましても、
許可処分
せよという
判決
を出すことはできません。そのため、不
作為
が違法であることを確認する
判決
が出されましても、その後、
拒否処分
がされる
可能性
があり、そういたしますと、
申請者
は改めて
拒否処分
の
取消し訴訟等
を提起しなければならず、
救済制度
として迂遠なものでございます。このような場合、
申請
を
許可
することを
義務付け
る
訴訟
を一定の
要件
の下に提起し得ることは学説、
裁判例
の認めるところでございましたが、法定されていない
訴訟類型
でしたので、かかる
訴訟
を提起しても認容される
可能性
は実際にはほとんどございませんでした。 二〇〇四年に
改正
されました
行政事件訴訟法
におきましては、いわゆる
申請型義務付け訴訟
が法定され、
法令
に基づく
申請
に対し不
作為
の
状態
が継続している場合、直接
許可処分
を
義務付け
る
判決
を
求め
ることができること、そしてその
要件
が明確になりました。 今
国会
に提出されました
行政不服審査法案
におきましては、この
申請型義務付け訴訟
を
参考
にして、不
作為
についての
審査請求
がなされた場合には、不
作為
が違法又は不当であり、かつ
当該申請
に対して
許可処分
をすべきものと認めるときは、不
作為庁
の
上級行政庁
である
審査庁
は
当該
不
作為庁
に対して
許可処分
をすべき旨を命じ、また不
作為庁
である
審査庁
は
許可処分
をすることとされております。すなわち、
現行制度
の下において、不
作為
についての
審査請求
に対して不
作為
が違法又は不当であるから何らかの
処分
をせよという
裁決
の後、
拒否処分
がなされ、さらにその
取消し
を
求め
る
審査請求
をしなければならないという事態が生じ得る不備が
是正
され、
救済
の
実効性
が
向上
することになり、大変望ましいと考えております。 同様に、
申請拒否処分
がなされた場合におきましても、二〇〇四年
改正
前の
行政事件訴訟法
の下におきましては、
申請拒否処分
の
取消し訴訟
で
請求
が認容されましても、別の
理由
で再度
拒否処分
がなされる
可能性
があり、その場合、改めて
拒否処分
の
取消し訴訟
を提起しなければなりませんでしたが、二〇〇四年の
改正
により
取消し訴訟
と
許可処分
の
義務付け訴訟
を併合提起することによって
紛争
の一回
的解決
を図る道が開けました。 御
審議
中の
行政不服審査法案
におきましても、
申請拒否処分
の
取消し
を
求め
る
審査請求
がなされた場合、
審査庁
は、
申請許可処分
をすべきものと認めるときは、
処分庁
の
上級行政庁
である
審査庁
であれば
処分庁
に
許可処分
をすべき旨を命じ、
処分庁
が
審査庁
であれば自ら
許可処分
をすることになり、
紛争
の一回
的解決
が可能になりますことは大きな前進であると考えております。 二〇〇四年の
行政事件訴訟法改正
は、環境を汚染している企業に対して
改善命令
を出すことの
義務付け訴訟
を
周辺住民
が提起するような場合を
念頭
に置いた非
申請型義務付け訴訟
も法定いたしました。これを
念頭
に置き、今
国会
に提出されました
行政手続法
の一部
改正案
におきましては、
処分等
の
求め
の
制度
を設けることとされております。 また、二〇〇四年の
行政事件訴訟法改正
は、
行政庁
が一方的に
国民
の
権利
を制限し、又は
国民
に
義務
を課す
処分
を
対象
とした
訴訟
である
抗告訴訟中心主義
への
反省
から、
処分
に当たらない
行政作用
に対する
救済
の受皿として公法上の
当事者訴訟
としての
確認訴訟
を明記して、その活用を促しております。 このことも踏まえまして、
行政手続法
の一部
改正案
におきましては、
行政指導
の
中止等
の
求め
の
制度
及び
処分等
の
求め
の
制度
において、
法律
に根拠のある
行政指導
を
対象
としております。このように、
行政不服審査法案
及び
行政手続法
一部
改正案
におきましては、二〇〇四年の
行政事件訴訟法改正
の成果を踏まえて、
救済
の拡充を図ろうとする姿勢を見て取ることができます。 最後に、今
国会
に提出されました
整備法案
につきましても
意見
を述べさせていただきたいと存じます。
整備法案
の
内容
も多岐にわたりますが、実質的に見て最も重要なのは、
不服申立て
前置の
見直し
であると言ってよいと思われます。一九六二年に
制定
されました
行政事件訴訟法
は、その
前身
である
行政事件訴訟特例法
が取っておりました
訴願
前置主義、すなわち、まず
行政
上の
不服申立て
である
訴願
を提起し、その
裁決
を経てからでないと
訴訟
を提起できないとする原則を廃止し、
行政
上の
不服申立て
と
訴訟
を
国民
が選ぶことができる
自由選択主義
を採用し、例外的に
個別法
で
不服申立て
前置を認めることといたしました。
行政事件訴訟法
の
立法過程
におきましては、いかなる場合に例外的に
不服申立て
前置を認めるかについての
指針
も設けられておりました。
不服申立て
前置を認める
法律
は、
行政事件訴訟法制定時
は五十一でしたが、その後、半
世紀
の間にほぼ倍増いたしました。 今回、この
不服申立て
前置の例外を認める
指針自体
を
見直し
、新たな
指針
が策定されましたことは
大変意義
深いことと存じます。今
国会
に提出されました
整備法案
におきましては、
不服申立て
前置を
定め
る九十六
法律
のうち六十八
法律
で
不服申立て
前置を廃止又は縮小し、二重前置は全て廃止されることになります。
不服申立て
前置は憲法で保障された
司法救済
を遅らせる面がございますので、真に合理的な
理由
がある場合に限り限定的に認められるべきものと考えております。 また、
不服申立て
前置が廃止され、
訴訟
と
不服申立て
の
自由選択
が認められますと、そこで
制度間競争
が生ずることも考えられます。このことを再
審査請求
を例に取って
説明
させていただきます。
行政不服審査法案
におきましては、個別の
法律
に
定め
がある場合には再
審査請求
を認めておりますが、再
審査請求
の前置は廃止することとされておりますので、再
審査請求
と
訴訟
を選択することができることになります。 もっとも、再
審査請求制度
の利用の場合には
手数料
は掛からないのに対し、
訴訟
の場合には
手数料
が掛かること、
訴訟手続
の
理解
が困難な場合には
弁護士
に委任する費用が掛かること等、
制度間競争
と申しましても両者は完全にイコールフッティングにあるわけではございませんが、
救済
の見込みのない
制度
は、たとえ安価であったとしても、
国民
から選択されなくなる傾向が強まることは明らかと思われます。したがいまして、
国民
が再
審査請求
するよりも
訴訟
を提起する方が
救済
の
実効性
が相当に高いと考えれば、
訴訟
を選択する者が増加することが考えられます。 こうして再
審査請求制度
が利用されなくなれば、当然、
当該
再
審査請求制度
の
存続意義
が問われることになり、廃止すべきとの
意見
が出てくるものと思われます。したがいまして、
国民
から選択されるように、再
審査請求制度
による
救済
の
実効性
を
向上
させるインセンティブが再
審査請求制度
の
所管省庁
や再
審査請求
の
審理
に携わる
委員
にも付与されることになると考えられます。 このことも今回の
不服申立て
前置の
見直し
の大きな
意義
であることを指摘いたしまして、私の
意見陳述
を終わらせていただきます。 御清聴どうもありがとうございました。
山本香苗
10
○
委員長
(
山本香苗
君) ありがとうございました。 次に、
斎藤参考人
にお願いいたします。
斎藤参考人
。
斎藤浩
11
○
参考人
(
斎藤浩
君)
斎藤
でございます。
意見
を述べる
機会
を与えられまして、本当に感謝いたします。 私、
平成
十六年六月一日、今、
宇賀先生
が述べられました
行政事件訴訟法
の
改正
のときにも
参議院
の
法務委員会
に呼ばれまして、
参考人意見陳述
の
機会
を与えていただきました。
行政事件訴訟法
、
行政不服審査法
という我が国の
行政争訟法
の二本の柱につき、大
改正
の是非の
意見
を述べさせていただくことは大変名誉なことであります。 私の
意見
は、どちらの
機会
にも
政府提案法案
の賛成の
立場
からのものであります。
改正
前の
行訴法
の下での
行政訴訟
はほとんど死に体でありましたが、
改正
後は、まだまだ不十分でありますものの、
積極的判決
も現れております。
他方
、
現行法下
の
行政不服審査
は、
国レベル
の
救済率
が一〇・六%、
地方レベル
が二・八%でありますから、
国民
も我々
実務家
もほとんどこれに期待することはありません。
衆議院
での
政府答弁
の中で、
救済率
が低いのは日本の
行政
がしっかりしているからだとの
趣旨
のものもありましたが、それは
国民
的な評価とは懸け離れたものではないかと考えます。裁判所での
行政訴訟
の
救済率
が一〇から一七%でありますから、本来は旧
制度
、
現行制度
の下でも
行政不服審査
での
救済率
は二〇から二七%
程度
は行くべきであったものであり、そうなっていなかった原因を取り除き、
改正法
の下では三〇%以上
程度
になることを期待するものであります。 さて、今回の
行政不服審査法等
の
改正案
につきましては、
衆議院
で
質疑
と
参考人陳述
が行われ、かなりの
程度
その
内容
の
審査
が行われております。また、今日は
宇賀克也先生
の
包括的意見陳述
も今ございまして、私の
改正案全般
の
内容
についての
意見
は四月二十五日の読売新聞「論点」欄に詳しく開陳しておりますから、以下、私は一点に絞って申し上げることといたします。 それは、私が
行政不服審査法
の体系の中で最も重視する点、すなわち事案の
判断者
の
独立性
のことであります。
衆議院
での
政府答弁
の中で
審理員
の
自己反省機能
に力点を置くものもありましたが、
国民
にとりましては、これまでも
行政
による
自己点検
の結果、
救済
されていなかった歴史でありますから、
自己点検
より
公正性
の方に
軸足
を置いていただきたいものであります。この点での今回の
改正案
は、
審理員
、
行政不服審査会
という二重構造で
公正性
の
担保
を図るもので、
現行法
からの大きな
改革
であります。この一点を取りましても早期の
法案
の成立を望むものであります。 私がこれから申し述べる
意見
は、この
担保
をより強力にするための運用の構築のためであります。すなわち、
審理員
は
原処分
に関与した者以外の者であり、
衆議院
の
政府側答弁
では、国については
原局
でない
官房系
、
総務部門系
の
管理職クラス
になるであろうと言われております。
地方
にあっては、その
公共団体
の力量に応じ、
外部
からの
弁護士
、税理士などをもって充てることも考えられるのではないかと言われております。また、
行政不服審査会
では、国の九名の
委員
は三
チーム
に分かれて、各
チーム
に一名
常勤委員
が当たり、
非常勤委員
は
行政OB
や
外部
の
専門家
をもって充てる、
地方
にあっては
委員会
の設置も含めて柔軟に対処し、
総務省
からマニュアルや
サポート体制
を
改正法実施
までに徹底すると言われております。 私は、
審理員
については、国の
レベル
でも、まして
地方
の
レベル
でも、次のような
問題点
が残ると考えております。それは、
審理員
が
原処分
に関与した者以外の者であっても、その人々が
大臣
や首長の
当該
行政
分野における方針、政策から独立して判断できるものとは残念ながら思えない点であります。
国民
もそのように見ているだろうと思われます。 そこで、
審理員
も国、
地方
を問わず任期付
公務員制度
を活用するなどして、
外部
からの人材を登用することに充てるべきだと考えます。最近の法科大学院は
行政法
が必須科目となっておりますから、その修了生などをもってこれに充てることも社会的財産の活用という点では考えられないものではないと思われます。 次に、
行政不服審査会
です。
国レベル
の
委員
の数が九名であることは、過去の実績から
審査
会に来る案件を年間二百件
程度
と想定してのことだと思われますが、
衆議院
ではそのように答弁されておりますが、この度
改革
をして多くの案件が来ることを期待する
改正法
の構えとしては少な過ぎ、将来の
改正
の
機会
に増員されるべきであると考えます。また、常勤、非常勤を問わず、
外部
の
専門家
、学者、
弁護士
などを中心とする選任が期待されます。 日弁連では、二〇〇七年韓国、二〇〇九年台湾、二〇一一年アメリカと、二年ごとに
行政
争訟
制度
の
調査
団を出し、いずれも私が団長を務めてまいりましたが、その中から今日は韓国とアメリカの
制度
を御紹介してみたいと思います。 まず、韓国ですが、かの国の
行政
審判法の下では、
不服申立て
があれば
裁決
は最終的な
裁決
庁が行うものの、原則として、全ての案件は、
国レベル
では国務総理
行政
審判
委員会
に送られ、
委員長
を含む五十人の
委員
が判断します。
地方レベル
では、
裁決
庁に各十五人の
委員
から成る一般
行政
審判
委員会
が置かれ判断します。
裁決
庁は
委員会
の
意見
に拘束されます。
委員
は
弁護士
、副
教授
以上の学者、
行政OB
から選ばれ、
弁護士
、学者が圧倒的であります。認容率は二〇%を超え、統計によっては三〇%を超えております。我が国の二倍から三倍であります。 アメリカは、
行政法
審判官、ALJによる準司法
的解決
です。審判官は法曹資格を持つ準裁判官で、完全に
行政
から独立しています。
国レベル
では全国で千七百人以上が採用されています。
国レベル
では各省ごとに置かれ、私たちが
調査
できた三つのALJ、労働省関係ですけれども、労働安全
審査
委員会
というところのALJは三千件以上を扱い、労働関係
委員会
と言われるところでは三百件以上扱い、その他の労働省本体では六千件以上の案件を扱っています。これに加えて、
地方レベル
の様々なALJが存在します。 なお、来年、日弁連が
調査
を
検討
しておりますドイツでは、税務の
異議
審査
手続
で、国及びほとんどの州において執行部門とは別の法的
救済
部門が設けられております。
社会保険
関係の
異議
審査
手続
で、被保険者及び雇用者の代表から成る
異議
審査
委員会
が設けられております。多数決によってそこでは決められて、法分野ごとの多様な
救済制度
となっております。 以上述べましたように、
判断者
の
独立性
は非常に重要であり、その信頼性を得てこそ
国民
は
不服申立て
の意思を持ち得、自らの
権利
を守り、
行政
の適法性を目指していきます。したがいまして、
審理員
においても、
審査
会
委員
においても、
行政
外部
から独立した
専門家
を得ることが適切である旨の附帯決議などを是非考えていただきたいと思います。 最後に、
行政不服審査
が
国民
のために成功裏に運用されるために、
改正法
成立後、
総務省
におかれて多くの力が注がれますことをお願い申し上げまして、私の陳述といたします。 ありがとうございました。
山本香苗
12
○
委員長
(
山本香苗
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
の
方々
の
意見陳述
は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
石井正弘
13
○石井正弘君 自由民主党岡山
選挙
区の石井正弘と申します。よろしくお願いいたしたいと思います。
宇賀参考人
、そして
斎藤参考人
には、大変貴重な御
意見
、御提言をいただきました。厚く御礼を申し上げる次第でございます。大変
審議
の
参考
になった思いがしているところでございます。 この度の
行政不服審査法
の
関連
三
法案
は、本当に、お話がございましたけれども、五十年以上たちまして、
国民
の皆さんに対してしっかりとこの
権利
を
救済
していこうと、様々な課題がある中で三つの大きな
観点
、すなわち
公正性
を
向上
させていく、あるいは使いやすさ、これも
向上
させ、
国民
の
権利
救済手段
を充実、拡大していく、こういう大きな目的でということであるわけでございます。こういった
観点
から、今回提案されている
法案
でございますけれども、まず
宇賀参考人
にお伺いいたしたいと思います。
参考人
は、民主党
政権
時代にありました
行政救済
制度
検討
チーム
、このメンバーの一人として議論に参加されたと、このように関係資料から、私、拝読させていただきながらそのようなお話をお聞きしたわけでございますけれども、そのときに、
独立性
が強い
審理
官
制度
、これを創設するような、そういう
行政不服審査法
の
改革
というものも取りまとめられたやに承知をしているわけでございます。そして、その後様々な経緯を経てこの度の
法案
の提出というふうに至ったと承知しているわけでございますが、そういった経緯の中で今回のこのような
法案
の形になった、その経緯の中におきまして、この
法案
につきましての思いとかあるいは評価、さらには課題といったものにつきまして考えがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
宇賀克也
14
○
参考人
(
宇賀克也
君)
行政救済
制度
検討
チーム
の取りまとめでは、
審理
官
制度
というものを提言しておりました。この当時は、言わば政治主導ということで、
事前
に共同座長の方から案が示されまして、もうその中で
行政不服審査会
制度
というものは取らないという前提でございましたので、そういたしますと、
審理員制度
だけでは公正中立性にはとても十分ではないということで、
独立性
の高い
審理
官
制度
が必要であるということになったというふうに
理解
をしております。 私は、
審理員制度
と
審査
会
制度
、
行政不服審査会
制度
がセットであれば、
行政不服審査会
という
第三者機関
によって公正中立性というものがかなり
担保
されますので、
政府
案のような考え方でも大きな改善になるというふうに考えております。
他方
、この
審理
官
制度
につきまして、
審理員制度
と用語が似ているために、これは
審理員
と同じような補助機関であるという、そういう前提から
審理
官
制度
に対して疑問が提起されることがあるんですが、私の
理解
では、
審理員
というのは
大臣
の補助機関ですけれども、
審理
官の方はこれは諮問機関であると。ちょうど難民
審査
参与員という独任制の
審査
機関がありますけれども、それと同じであるということで、そしてまた、府省横断的なものを、これをいわゆるセントラルパネルと言うんですけれども、これも、府省横断的な諮問機関というものは、内閣府の
情報
公開・個人
情報
保護
審査
会、公文書管理
委員会
、そしてこの
法案
の
総務省
行政不服審査会
など全てそうであるわけで、府省横断的な諮問機関を設けるということは全く問題ないわけで、それが合議制の機関か独任制の機関かの違いだけであると考えておりますので、このような
審理
官
制度
というものも法制的に十分可能だと考えておりますので、
国会
、この
委員会
におきましても、こうした
審理
官
制度
につきましても今後の
検討
課題として位置付けていただければ大変うれしく存じます。
石井正弘
15
○石井正弘君 ありがとうございました。 今回の
法案
の形であれば、やはり具体的な人選、公平公正な運用ができるような、そういったところにこの
法案
が、運用がしっかりと
国民
の
権利救済
に結び付くかどうかの一つの大きなポイントがあるというふうに考える次第でございます。大変ありがとうございました。 それでは続きまして、
斎藤参考人
にお伺いいたしたいと思います。
斎藤参考人
は昭和二十年岡山県生まれということで、私と全く同じということで、何か不思議な御縁も感じるような感じがしておりますけれども、今、先ほど御
意見
をお聞かせいただきました。まず、読売新聞、私も拝読させていただきました。御紹介一部ございましたけれども、認容率について、国の方が認容率一〇・六パー、
地方
公共団体
が認容率二・八パーと御紹介がございまして、本来、もっとこの数値が高まるべきではないかと、このようなお話もあったわけでございます。 こういった中で、
政府
の方におかれまして、この
平成
十七年以降の大体の傾向を見ても、やはり大体の傾向としては国の方では一〇%強、それから
地方
公共団体
は五%
程度
で推移していると、このような答弁を私は見たわけでございますけれども、こういった認容率の違いというものにつきまして、いろいろこれも事情があろうかと思いますが、
参考人
はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
斎藤浩
16
○
参考人
(
斎藤浩
君) 国の方がやや高い、私が申し上げている点ではどちらも低いんですけれども、やや高いというのは、
衆議院
でも
審議
がありましたように、
情報
公開とか税金の関係でその傾向が現れております。逆に、
地方
の方は、
地方
税は国税不服審判所のような
制度
ではなくて、もうまさにこの
行政不服審査法
がそのまま適用される
制度
で、なかなかこの認容率も上がってこないというような違いもございまして、どうしてこのように大きく、低い中でも国と
地方
の数字がこんなに大きく違うのかというものの研究は私自身もできておりませんし、今まで小早川、
宇賀先生
を中心とする研究会がいっぱい行われましたが、なぜかということは余り研究がなされておりませんで、すぐに答えられる力量はございません。
石井正弘
17
○石井正弘君 ありがとうございました。 具体的に
行政
事件
訴訟
の裁判の方の事例の数値と比較しながら御紹介、御
説明
がございましたので、やはり大変これは
参考
になる御
意見
だというふうに私も考えているところでございますが。 一方で、今、
斎藤参考人
がおっしゃられました、
外部
人材を
審理員
あるいは
第三者機関
へ積極的に登用し、
独立性
を更に高めるべきであるとの御
意見
でございます。それは、考え方としてはうなずけるものがございますけれども、一方で、全国知事会が、昨年の五月三十一日付けで
意見
書が出ておりまして、これを見ると、
審理員制度
につきましても、やはり行革等でいろいろ
公共団体
によっては課題があると。その事務の効率性、迅速性を損なうおそれがあるんではないかと、さらには、
第三者機関
につきましては、これは
審理
の長期化につながって、簡易迅速な
救済
という
観点
からは目的に相入れないのではないだろうかとか、行革等の問題も併せ、懸念材料として指摘しているわけでございます。 国の方については、確かに御
意見
はよく分かるんですが、
地方
公共団体
も、非常に大きな都道府県、そして市町村におきましても規模が様々であるわけでございまして、小さな
地方
自治体ということを考えますと、なかなか理想的に御
意見
どおりにはいかないという面も実態上あるんではないかと思いますが、そういった中におきまして、
外部
人材登用も含めた
地方
公共団体
に対しての何かアドバイス、御
意見
がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
斎藤浩
18
○
参考人
(
斎藤浩
君) 私がつまらない
意見
を申し上げてこの
法案
が通らないのは一番困りますので、極力控えなければならないわけでありますが、知事会が言われることは当然のことであります。それは、自らの方に不服
審査
が向いて矢が飛んでくるわけでありますから、それはなるべく飛んでこない方がいいのに決まっておるわけでありますから、そのような御
意見
になろうと思いますけれども、やはり国際水準ということを考えていただきたいと。それは、韓国、台湾、アメリカと続き、ドイツ、来年行きますと、その場その場で恥ずかしい思いを私どもは
訴訟
についても不服
審査
についてもするわけでありまして、なぜこのような立派な国でこのような
審査
体制しかないのであろうかというのが、もうこのような国、立派な国というのは日本のことですけど、諸外国を回ると思うのであります。 今日御紹介したのは一端でありますけれども、そのような先進国あるいは先進国を目指そうとしている国が、先生方の中には、それを重装備とおっしゃいます、重装備の装置を抱えて、やっぱり
国民
の
権利救済
と、その結果として
行政
の適法化、適正化のために構えをつくっているという、やっぱり国際水準というのがありますから、今回の
法案
は是非通していただいて、その
審理員
と、構えられております
審査
会というものの中でできる限り国際水準性を取り入れていただきたいというのが私の願いでありまして、通していただきたいということはもう最初の願いでありまして、その次に運用の改善で今日申し述べましたので、その点御
理解
をいただきたいと思います。
山本香苗
19
○
委員長
(
山本香苗
君) 時間が来ておりますので。
石井正弘
20
○石井正弘君 どうも貴重な御
意見
ありがとうございました。 これで終わります。
難波奨二
21
○難波奨二君 民主党の難波奨二でございます。 お二人の
参考人
、大変貴重な御
意見
ありがとうございました。時間がもう十分という短い時間でございますので、端的に質問をしてまいりたいと思いますが、まずお二人にお伺いいたします。 ただいまもございましたように、法ができまして半
世紀
がたっておると。そして、先ほど
宇賀参考人
の方からもございましたけれども、この
法律
に関する、取り巻くこの間の具体的な事象も御
説明
いただいたわけでございますが、なぜ半
世紀
にわたって
見直し
がなされなかった、その要因というのはどこに大きいものがあるか。先ほどから諸外国の話もございますけれども、あわせまして、我が国の
問題点
、どこにあったかと、お二人に御
認識
をお伺いしたいと思います。
宇賀克也
22
○
参考人
(
宇賀克也
君) この
法律
に限らず、我が国では一般的に
行政
通則法の根本的な
見直し
というのはなかなか行われません。ようやく最近になりまして、
法律
を
制定
する際に、あるいは全部
改正
の際などに一定
期間
後の
見直し
規定
というものが入れられるようになり、今回も
衆議院
で五年後の
見直し
規定
が入ったわけでありますけれども、やはり公務員も日常の業務に追われていますので、やはり
国会
から一定
期間
を目途に見直せと言われないと、なかなか
見直し
の契機を自ら見出していくということは難しいんではないかなと考えております。 したがって、私の考え方は、五年後の
見直し
という
規定
が入ったのは大変結構なんですけれども、これはこの
法案
に限らず一般論といたしまして、
行政
通則法的な
法律
というのは大体もう十年ごとに見直すと。こういう五年後の
見直し
ということになりますと、そこは一生懸命やるんですけれども、その後また長
期間
たってしまうということが予想されますので、やはり
情報
公開法にしてもそうですし、
行政手続法
にしてもそうですが、こうしたやっぱり社会経済情勢、非常に急速に変化していく時代ですので、決して不磨の法典ではなく、十年ごとに見直すというようなことを入れておけば、附則に入れておけば、附則といえども
法律
の一部ですので、随分その辺りは変わってくるのかなと考えております。
斎藤浩
23
○
参考人
(
斎藤浩
君)
行政
に対して
国民
が不服を申し立てる
制度
として二つあって、
行政不服審査
と
行政訴訟
と。 まず、先に三十七年法が大きく変わったのが
行政事件訴訟法
であります。そのときもほぼ全党派の先生方の御賛成を得て可決されたと記憶しておりますけれども、それは裁判所が、どの先生の目から見ても、もちろん
国民
の目から、その背景におられる
国民
の
方々
の目から見ても機能を果たしていないと。
国民
が
行政訴訟
を起こしてもほとんど敗訴するというのでは、また諸外国ですけれども、諸外国水準を全く満たしていないというので、塩野座長の下で
検討
会が行われて、立派な
改正
、我々はまだそれでも足らないと言っておりますけれども、行われたと。 それで、今、
宇賀先生
おっしゃった、五年
見直し
の
規定
が入っておりましたので、五年
見直し
の四年ぐらいたったときに法務省に行きまして、当時の
審議
官が対応され、いつも
審議
官が対応されますが、申し上げますと、そろそろ五年目ですねというふうに言いましても、いや、まあ五年目ですが、法務省、またこういうことを言うのがいいのかどうか分かりませんが、法務省というのは小さい省庁である、外の風が吹かないと一切この
改正
などは無理なんですと、こういうことを自分らが言うのはおかしいですけど、日弁連さんを始め
国会
議員の先生方が
改正
しろという世論を起こしてくださいよとおっしゃいました、
行政事件訴訟法
については。 世論を起こすにもなかなか、元々負けているわけですから、
国民
はほとんど関心がございませんので、一部の大
訴訟
は別として。世論はなかなか起こりませんで、一部の熱心な先生方と共にお願いをいたしまして、やっと五年
見直し
のときに運動を構築したんでありますが、そこでまた研究会が行われまして、五年
見直し
をする必要がないということになりまして、もう約十年近くたっていくということになります。 これは、裁判所がどうするかということを決めるところでありますから、そういうことでありますが、この
行政不服審査法
は
行政
が
行政
を裁くわけでありますから、
行政
にそれだけの意欲、熱情があるのかということになりますよね、結局は。裁判所はどうするかということじゃなくて、自分のところがどうするかということですから。 ですので、先ほどの
委員
の御質問は、非常に私は申し上げたいこともう山ほどございますけれども、それをここでぶちまけたらまたマイナスの効果になってもいけませんので、もうこの
程度
にさせていただいて、意のあるところを察していただきたいと。
難波奨二
24
○難波奨二君 それでは、またお二人にお伺いしたいと思いますけれども、確かに、
救済率
を上げることが目的ではなくて、
国民
の皆さんがやはり利用しやすい、納得感のある、こうした
制度
が重要なんだろうというふうに思いますけれども、
行政不服審査
の
情報
公開の在り方、これについてどのような御見識をお持ちか、お伺いしたいと思います。
宇賀克也
25
○
参考人
(
宇賀克也
君) 大変重要な点だと思います。 裁判所の
判決
につきましては、全部ではありませんけれども、かなりのものが公開されるわけです。これに対しまして、
行政不服審査
の場合には、その
裁決
とか決定で公開されていないものがむしろ圧倒的に多いわけです。もちろん、公開する場合に、その当事者がおりますので、その個人
情報
とかあるいはその法人等
情報
については十分注意する必要があるわけですけれども、そうした部分を削除した上で積極的に公開をするということが是非重要だというふうには考えております。
斎藤浩
26
○
参考人
(
斎藤浩
君) 今の
宇賀先生
の御
意見
、全く異論がございませんので、付け加えることだけ申し上げますと、
衆議院
の
審議
の中でもそのことが問題になって、国の
レベル
ではやはりできる限りの公開ということがもう既に答弁されておりますけれども、問題は
地方
でございます。 先ほどの自民党の先生に対する質問の答えがちょっと抜けていた点もあるので、それも含めて申し上げますと、今回の
法案
のいいところ、すばらしいところは、
地方
についての配慮が私の目から見たら非常によく行き届いている点だと思います。それは、
地方
の力量に応じて
審査
会もやればいいんだよということになっておりますから、
審理員
もそうだというふうになっておりますから、委託も可能だし、共同でも可能だという、非常に柔軟な案になっておりまして、大変立派な
法案
だと思います。 そうはいいましても、その場合に、臨時で設けられるそういう
制度
だとか、ほとんど案件がないときにぽっと出てきたやつについての対応についてどのように
情報
公開していくかという点についての、こういうふうに全国の
地方
公共団体
ですべきであるという
意見
はまだ強い
意見
が述べられていないと思いますので、今後の
参議院
の
審議
の中でその辺りも是非先生方の御
質疑
をいただきまして、
地方
における配慮に基づいたもう一つの配慮で、やはり
国民
が
情報
公開されてどういう案件があるのかということを知ることができるようにしていただいて、万全を期していただきたいというふうに思います。
難波奨二
27
○難波奨二君 もう一分ほどしかございませんけれども、最後は
斎藤参考人
にお伺いいたしますけれども、日弁連の方では、今回の
行政不服審査法
改正
に伴いまして、出入国管理及び難民認定法の
改正案
につきまして御懸念を表明されておられますけれども、簡単にその中身をお教えいただきたいと思います。
斎藤浩
28
○
参考人
(
斎藤浩
君) 日弁連会長が五月二十三日付けで会長声明まで出しておりますので、是非、先生方におかれましても、入管当局におかれましてもそれを
参考
、尊重していただいたら有り難いと思いますが、その
内容
は、今日も
審議
されます
整備
法の七十五条、これは入管法の
改正
のところでありまして、口頭
意見陳述
について
定め
た
行政不服審査法
の今度の
法案
の三十一条についての入管法の読替
規定
が
定め
られております。 口頭
意見陳述
を行わなくてもいいとする場合について、本体の
行政不服審査法
の三十一条一項ただし書の範囲は明確でありますけど、それに加えて、入管法の方では更に拡大する
規定
を法務省がお入れになっております。入管分野は、国家高権、広い裁量権の考え方が強い分野でありますが、そうであればあるほど
手続
規定
は
整備
し、その上に立って国家意思を示す必要があると考えます。その意味からは、この
整備
法の読替
規定
には私は疑問を持っております。 しかし、その一点をもって
整備
法に反対することはできません。どうすればよろしいかということを簡単に申し上げて終わりますが、
衆議院
の
審議
で入管局長は、運用で現在より後退することはないと答弁されておりますけれども、その姿勢を多としつつ、それではやや心もとないので、次のようにできないかということを申し上げます。 入管分野で日々頑張っている同僚
弁護士
や入管実務に直面している当事者の皆さんが納得でき、その
方々
も含めて本
法案
全体に賛成していただくために、この読替
規定
については、
参議院
での附帯決議などをうたっていただき、現状より後退せず、
行政不服審査法
改正
の
趣旨
を踏まえて、より前進的に運用されるような
国会
の意思を表明していただければ大変有り難いというふうに考えております。
難波奨二
29
○難波奨二君 終わります。済みません、ありがとうございました。
若松謙維
30
○若松
謙維君
公明党の若松謙維です。
宇賀参考人
、
斎藤参考人
、大変御苦労さまです。 まず、私と同じ年に生まれました
宇賀参考人
にお尋ねいたします。 先ほど
斎藤参考人
が諸外国のお話をされましたが、同じような
観点
で恐縮ですけれども、
宇賀参考人
から見て、この
法律
が
改正
されることによって、いわゆる諸外国との比較なんですけれども、結局は
利便性
、あとスピード、そうしたいわゆる運用の公開、透明性というんですかね、ここら辺がポイントとなると思うんですけれども、どう改善が期待されるでしょうか。
宇賀克也
31
○
参考人
(
宇賀克也
君) 先ほど
斎藤参考人
からもお話ございましたように、現在の我が国の
行政不服審査
の
制度
というのは、諸外国と比べますとかなり見劣りがするということは事実でございます。今回の
改正
により、
審理員制度
と、それからそれとセットで
行政不服審査会
の
制度
が設けられるということによって、かなり諸外国とのギャップといいますか、
格差
というものを解消することができるのではないかというふうに考えております。 私はアメリカに留学しまして、三十年ほど前に
行政法
審判官について研究し、さらに
行政法
審判官のセントラルパネルシステムについても研究しまして、非常にそのときに強く思いましたことは、アメリカではそういう
行政
手続
を主宰する者というのがプロフェッションとして確立をしております。そして、そのプロフェッションとして確立した方たちの団体もできているわけですね。それに比べまして、我が国ではその
手続
を主宰する者についての関心が余りにも薄かったというふうに思います。ようやく
行政手続法
で
聴聞主宰者
の
制度
ができ、今回、
審理員
の
制度
ができて、
手続
の主宰者についての関心が高まってきたということは大変結構なことかなと思っております。
若松謙維
32
○若松
謙維君
今のプロフェッションですか、
専門家
ということですけれども、じゃ、これは
斎藤参考人
にお尋ねしますが、
弁護士
、プロフェッションですけれども、私も実は公認会計士をやっていまして、いわゆる公会計という必ず議論が起きるんですが、実際にやはり公会計の会計の考え方とか理論ですね、民間ですか、営利企業とは大分違うんですね。ところが、同じ公認会計士でも公会計を勉強している
専門家
はおりません。ですから、結局なかなか改善されないと、これが現実で、今おっしゃったプロフェッションですか、
弁護士
として、例えば同じ業界内にしっかりと研究会なり、認定
制度
とか、何というんですかね、そういうものをつくってやっぱり
審理員
というのを充実させるとか、何かそんなお考え、おありでしょうか。
斎藤浩
33
○
参考人
(
斎藤浩
君) 私、日弁連の
行政訴訟
センターの前の
委員長
をしておりまして、その関係を構築しようと今、日々努力しておりますけれども、まず単位
弁護士
会においても、そういう専門
制度
を設けている単位会も出てきておりますけれども、日弁連では、むしろ今度の
行政不服審査法
の
改正
に合わせて、中央は立派な国家公務員の
方々
が知恵をこれから絞られるでしょうから、成立してから、やはり
地方
に対して何らか援助を我々でできないだろうかということで、
地方
のそういう事件があったときだとか、共同でだとか、県に委託してだとかやられるときにも、この
行政不服審査法
のことを熟知した
弁護士
を派遣しますよというような
制度
も設けて、なかなかアメリカのようにはすぐにはいかないんですけど、我々が提案しております
行政不服審査
院のような重装備、今回の
法案
でも重装備だという批判がある方面からあるように、我々の日弁連はもっと重装備ですけど、それは韓国、アメリカのいいところを全部寄せた重装備案でありまして、どうして、そういうプロフェッショナルなものを常時用意しておいて、案件が来たときにはそれを活用するという
制度
がこの国で取れないのかなということを常々考えておりまして、今実践しておりますので、今先生のおっしゃったことを更に持ち帰りまして研究したいと思っております。
若松謙維
34
○若松
謙維君
今、重装備と、何ですか、
斎藤参考人
がいわゆるこの日本の文化的なところまで今触れられたと思うんですが、ちょっと考えながら今質問作っておりますので、ちょっと御両人どちらに質問するか分かりませんが。 実は私の問題意識は、特にこの
行政手続法
です、いわゆるノーアクションレターですか、こういうものが導入されたということで、ちょうど私は
平成
十年のときに
衆議院
にいたんですけれども、中央省庁
改革
基本法、これができました。 そのときの議論は何かというと、結局、各省庁に設置法がありますと。設置法は何々省というのはこれこれをやるということです。これはあくまでも権限
規定
はないと。こういうことを私も三代の総理に確認したんですけど、結局、実際に実行すると、
行政
は細かい、マニュアルというんですか、
手続
と通達を作って、やっぱりそれを業界なり
国民
に、何というんですか、本当にメッシュのようにどこも隙間なく網を掛けると。 そういう中で、
国民
がこの
行政不服審査法
を活用するんですが、結局、最初から、何ですか、非常に防衛というんですか、そういう、この
行政
側の方が問題指摘されないように重装備をするというんですか、そういう文化に対して、ある意味で、普通は、例えばアングロサクソン系ですと、裁判所を使ってかなり議論をしてそこを開けていくというか、空白っていっぱいあるんですけど、日本は最初からそういう文化を
国民
が受け入れるということもあって、恐らくこの
行政不服審査法
が
改正
されても、本当に
国民
に使いやすいものにできるかどうかというのが、文化というんですか、
制度
面からなかなかハードルが高いんじゃないかという問題意識があるので、それについてちょっと御両人に聞いてよろしいでしょうか。いいですか。
宇賀克也
35
○
参考人
(
宇賀克也
君)
行政不服審査法
の
改正
が実現したときのその後の運用の問題ということかと思います。 おっしゃるとおり、いかに
制度
が
改正
されましても、実際にそれが適切に運用されていかなければ意味がないわけで、そのためには、今回の
改正
の
趣旨
について、全ての公務員に対して徹底的に研修を行っていく。そしてまた、国だけではなくて
地方
公共団体
においても、今回の
改正
の
趣旨
を徹底して、そして
国民
がこの
行政不服審査
制度
というものを利用するということに対しての抵抗というんでしょうか、それを官の側でもなくしていくということが重要だと思います。 不服
審査
をするということは、決して官にあらがうとかという、そういうふうな受け止め方ではなくて、
国民
の当然の
権利
の
救済
であると、そのために
行政不服審査
制度
というものを使いやすくするという、そういう意識ですか、それを広めていくような、そういう広報活動とかあるいは研修というものを充実していただきたいというふうに思います。
斎藤浩
36
○
参考人
(
斎藤浩
君) 若松先生の御質問で、本当に勉強になる御質問をしていただきました。 それを私の頭で整理しますと、
行政
のための重装備はもう日々行われているけれども、
国民
のための重装備は行われていないというふうに私は取りまして、これは諸外国と後者において大いに違う。
法案
を作るのも、日本では官僚の方が作られるわけですから重装備は徹底しておりますけれども、
国民
救済
、そして
行政
の適法化のための重装備は消極であるというのが、現
法案
でもまだその傾向は日弁連案と比べますとありますけれども、随分と改善されて、
審理員
、
審査
会
制度
を設けていただきましたので、その点がもう随分と大きな前進でございますから、その
程度
にとどめたいと思います。
若松謙維
37
○若松
謙維君
すごく適切な反応、ありがとうございます。
斎藤参考人
に、もうこれ最後の質問になりますが、
独立性
ということを強調されたと思います、さっきですね、
斎藤参考人
ですね。実は、これも、済みません、公認会計士という
観点
から、監査をする際にやはり
独立性
が
求め
られます。そのためのチェックリストをかなり埋めて、それでオーケーならば監査できると。ですから、監査している会社の株を持っていないかとか、親戚がいるかどうかとか、そういうのがあるんですけど、私はこの
審理員
の
独立性
を
担保
するかなり大事なことじゃないかと思っています。そのためのまず運用マニュアル、そして案件ごとに、チェックリストっていうんですかね、これが最低必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
山本香苗
38
○
委員長
(
山本香苗
君) 簡潔にお願いいたします。
斎藤浩
39
○
参考人
(
斎藤浩
君) これから
総務省
において御努力をされると思いますけれども、もうすぐ分かることは、特に
審理員
について、その今先生がおっしゃったようなチェックリストが案件との関係ではできると思いますけれども、それ以外の点でのチェックリストというのは、もう
衆議院
での答弁に表れておりますように、先ほど私が申し上げたような
方々
が
審理員
になるわけですから、そういうチェックリストというのはなかなか難しい、
地方
においてはもっと難しいと思いますので、その点はこれから先生方においての運用のチェックを
国会
においてしていただきたいと思います。
若松謙維
40
○若松
謙維君
ありがとうございました。
寺田典城
41
○寺田
典城
君 寺田でございます。よろしくお願いします。
宇賀先生
、
斎藤
先生、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。 国の
情報
公開法というのは一九九九年に
施行
されましたけれども、
地方
の
情報
公開条例というのは、それこそ一九八〇年代から
施行
されて条例ができてきて、私の場合は、一九九五年に、
地方
の市役所だったんですけれども、
情報
公開条例を出させていただいたんです。 なぜかというと、要するに、役所というのはある面での強者というか、後ろに
行政
権持って、みなし
規定
という公定力というんですか、みなしを
規定
して物を進めていっちゃうという。だから、
国民
的には主権は在民といえども、ある面では、何というんですか、それに従わざるを得ないと。だから、徹底した
情報
公開になると、そういう点では、ある面では明らかにされてきて、役人もある面では助かる面もあるし、しゃきっとしてきたというのは私の
地方
行政
から見たあれなんです。 その中で、先ほども話、話題になりましたけれども、国の認容率は一〇・六、
地方
の団体は認容率は二・八とかになっているんですね。役所の
行政
手続
優れているからこの
程度
だよなんて言う人もいるんですけれども、外国の
救済率
、韓国は三八・四って先ほど出ておったんですけれども。 私は、これをもっと、要するに公正にするためには、できれば可視化と録音、全てとは言いません、これを
検討
してみる必要があるんじゃないかなと思っている。録音なんか、今これでしゃべっていることがすぐ文章になって出てくる機械ありますから。その辺どう思いますか、お二方に。
宇賀克也
42
○
参考人
(
宇賀克也
君) 昔は、国におきましても、
審議
会等様々な会合につきましてはこれは非公開で、議事録は内部では作っていても公開されなかったわけです。この点につきましては今大きく変わりまして、多くの
審議
会等が今公開で行われておりますし、議事録もその
発言
者名入りでホームページに載るということが一般化してまいりました。 このことは大きな改善であろうというふうに思いまして、やはりおっしゃられたように、
審議
過程の透明化ですね、これがやっぱり非常に重要だろうというふうに思いますし、また、
情報
公開法ができまして、その辺りも随分、
施行
されて既にもう十年以上たっておりますので、意識が変わってまいりました。 今後の課題といたしまして、例えばアメリカにありますような連邦諮問
委員会
法とかサンシャイン法とか、そういったことは課題かと思いますけれども、やはりその
審議
過程をできる限り透明化して、そして
国民
に公開していくということを一層進めていく必要があるというふうに考えております。
斎藤浩
43
○
参考人
(
斎藤浩
君)
宇賀先生
のお答えに付け加えることは一切ございません。
寺田典城
44
○寺田
典城
君 確かに、
審議
会では意思形成過程まで
情報
開示するところも、自治体もたくさんありますよ、それはだからいいことだと思うんですが、それはそれとして。先ほど、可視化はいかがですか、録音はいかがですかと聞いているんですよ。それ、どう思います。
宇賀克也
45
○
参考人
(
宇賀克也
君) 録音というのは、
審議
会については当然録音をしているわけですよね、
発言
を。そして、それをテープを起こして公開しているわけですけれども、ほかの例えば職員の会議とか、例えば職員だけで行っている会議とかいうのは、確かに今はそこまでは録音はされていません。 そこをどこまでやる必要があるのか、これはもちろん内部の会議であっても非常に重要なものというのはあると思いますので、そういったものについてはそういうことも当然考えられるかと思います。
斎藤浩
46
○
参考人
(
斎藤浩
君) これも余り付け加えることないんですけど、論議をしておりますのは、
国レベル
で、
行政事件訴訟法
の次の
改正
などで今先生のお尋ねのようなことも少し議論をしておりまして、例えば
処分
をするときの
処分
の経過のところを、議論を録音しておいて可視化してそれを発表させるような方法をするのはいかがかということを
検討
は日弁連でしておるんですけれども、これは
行政
出身の
弁護士
もそこにはいっぱい入っておりまして、またこれも言葉が過ぎてはいけませんが、そのようなことをするとますます
情報
が出にくくなるように頭のいい人たちがやる
可能性
があるので、その
制度
構築にはもうよほどのこと、考察が必要だと。今警察との関係でやっておりますあれとはまた別でございまして、一般
行政
についてのものはまだ私ども固まった
意見
がございませんで、本当に申し訳ございません。
寺田典城
47
○寺田
典城
君 ですから、
行政不服審査
の事案で、役所という、役人というのは独特なんですよ、とにかく時間も考えないしコストも考えないという。それから、不
作為
な不利益与えてみても、けろっとしていますし。それと、
作為
的な不利益もあるんですよ。もう書類の数こんなにして、これ読んでから来てみろとか、例えば私が質問しても、一分でできる質問を十分も掛けて長く長くやってほかの方に逃げてしまうとか、全てがあるんです、そういう役人の習性というのは。 だから、ある面では、録音とか可視化することによって一番すっきりするのが、緊張するのは役人の方なんですよ。役人がみんなデータも持っているし、組織もあるんです。 それで、
審理員
の話なんですが、
弁護士
会さんの方では別の人が第三者的に任期付採用でもいいんじゃないのかなんて言っているんですが、確かにあのNHKの人事なんていうのはお友達人事みたいなもので、籾井会長なんか自分の支持以外の人は使いたくないなんてはっきり言うぐらいのことなんで。 やっぱり
審理員
の
独立性
というと、これはやっぱり役所というのは上下関係、内部の中って独特の感覚なんです、役所というのは。私だって市長をやったとか知事やっておったが、つかみ切れないからですよ。秘書はどこから持ってくるかというと教員の方から持ってきたりしていましたから、そうすると市長部局の人事権が及ばないのでね。そこまでしなければ物を変えていけないと。でなきゃ第三者を連れてくるとかね。 だから、そういう点も含めて、
審理員
の在り方についてももう少し
検討
した方がいいんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。お二人に。
宇賀克也
48
○
参考人
(
宇賀克也
君) 私も、
審理員
については
外部
から任期付きで例えば
弁護士
の方を採用するというようなことを積極的にやるべきでないかと思っております。 最近、いろんな仕事をしておりますときに、任期付きの
弁護士
の方が
行政
の内部で活躍されているのを拝見する
機会
が多く、非常に立派に仕事をされております。外から来られて、
行政
についての専門的な知識が欠けているんじゃないかというような、そういうことが言われることもありますけれども、見ている限り決してそういうことはなくて、立派にそういう任期付きのその職員の方が仕事をされていますので、
審理員
につきましてもそういう方たちの積極的な採用は重要ではないかなと考えております。
斎藤浩
49
○
参考人
(
斎藤浩
君)
意見
でも申し上げましたように、提案者の方でこの
審理員
が独立しているんだということを胸を張って言われるときに、
原局
でない
官房系
、
総務部門系
の
管理職クラス
だから大丈夫ですとおっしゃる感覚がまず分からないですね、私には。そういう方こそ
大臣
の御意向を見て判断されるわけでありますから、答弁自身に矛盾があると思いますけれども、しかし、今までは
処分
していた人が起案したという、それと比べたらまあいいのかなというので、日弁連で賛成するかどうかは、もう大変な議論をした上で賛成しているわけでありまして、やっぱりそういう運用はもっともっと知恵を出していただいて、今、
宇賀先生
もおっしゃって、私も
意見
で申し上げましたように、なるべくなら外の方を
審理員
の方も取り入れていただきたいというふうに思っております。
寺田典城
50
○寺田
典城
君 組織の中で
審理員
は活動しなきゃならぬのですから、本当に
立場
上はやはり、何というんですか、非常に厳しい
立場
に置かれると思います。だから、役所はいい面もあるんですが、基本的にはやはり仲間というか、その流れの中でやってしまうということだけは
認識
していただきたいと思います。それを
理解
している人は、ここの中で首長さんやったことある人はおりますので、もしよかったら、そのとおりだと思う人は手を挙げてみてください。 まあ、質問を終わります。
渡辺美知太郎
51
○
渡辺美知太郎
君 みんなの党の
渡辺美知太郎
です。 今日は、
宇賀先生
、
斎藤
先生、お忙しいところお時間いただきまして、ありがとうございます。 今ちょうど質問をしようと思っていたことを
宇賀先生
に言われてしまいまして、ちょっと続きの質問をしたいと思っていまして、
外部
の
行政
審理員
のお話ありました。
法律
関係の学者や
弁護士
を中心に任命するということで、私、純粋にちょっと興味を持ったのが、実務面での
担保
ということで今、
宇賀先生
がおっしゃっていましたけど、例えば学習院の櫻井先生などは、やっぱり
行政
のことは
行政
マンじゃないと分からないだろうという指摘があるのですが、今ちょっと
宇賀先生
のお話を聞いていると、別に
行政
の経験がなくてもこういった
審理
はしっかりできるとおっしゃっていました。 この
審理員
の場合は、そういった実務面での
担保
というのはどのようにして行われるのかなと思ったのでちょっと私興味を持ちまして、例えば
斎藤
先生がさっき韓国の例を出していまして、韓国では
行政OB
が
審理員
にもいると。そういった例えば
行政OB
を就けることによって実務経験の知識や経験を
担保
する、あるいは、そういったものがなくても、
外部
の独立した第三者であっても適正な判断が行われる、それとも、
行政
マンの常識にもうとらわれないで柔軟な発想をするためにあえてそういった
行政
の経験者とは関係ない方を就けて柔軟な
審理
をするといったことも考えられると思うんですが、ちょっと実務面についての
担保
はどのようにされるのかなと興味を持って、別にこれはけちを付けるわけではなくて、純粋にちょっと興味を持ったものですから、
宇賀先生
と
斎藤
先生にちょっと伺いたいと思います。
宇賀克也
52
○
参考人
(
宇賀克也
君) 確かに、
審理員
として
審理
を行う場合に、法的な知識だけでなくて
行政
実務に関する知識というのも重要だと思います。 その点に関しましては、一つにはその
審理員
を補佐する体制ですね。その中で、そうした補佐する職員によって、そうした実務面で仮に足りないところがあればそこでサポートしてもらうということも考えられるかと思います。それからまた、事案によりましては例えば
外部
の
弁護士
の方とそれから例えば
行政
のOBの方というのが、その
審理員
というのもこれ複数ということが否定されているわけではございませんので、場合によってはその両者で
チーム
になって補い合うというようなことも考えられるかと思います。
斎藤浩
53
○
参考人
(
斎藤浩
君) 櫻井先生がそのようにおっしゃっていることは私も重々知っておるんですけれども、少し
認識
の違うところもあって、勉強すれば分かるという話です、我々の
立場
は。 それで、ALJに行きまして、私もその質問を随分ぶつけまして、ALJは全ての
行政
分野を分かるのかということをやっぱり言うわけですね。そうすると、それは全て分かるわけではないと、しかし勉強すれば済むと。しかも、ALJの研修
制度
を設けてそこで勉強して専門性に対処すればいいので、専門性がないから
行政OB
でないと駄目だとか、
行政
マンでないと駄目だとか、そういうことは考えたこともないという答えが返ってきましたので、それは
参考
にすべきだと思います。日本の
行政
マンは非常に優秀ですから、その方が意欲を持ってそれに当たられることは反対はいたしませんけれども、それに加えて
外部
の力も借りる方がいいというふうに思っております。
渡辺美知太郎
54
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 最初から実務が分からないからやめるべきだという話ではなくて、やっぱり第三者の公平性を
担保
すべきというところだということはよく分かりました。 それで、
宇賀先生
にお聞きしたいのは、今後の課題についてちょっと伺いたくて、先ほど
行政
通則法の例えば十年ごとの再
検討
をやはりすべきだということをおっしゃっていましたけど、ほかに何か今後の話で、
斎藤
先生のお話はもう聞いたので、ちょっと
宇賀先生
からも今後の課題点について、是非、もしありましたら御指導いただければなと思います。
宇賀克也
55
○
参考人
(
宇賀克也
君) これは、
行政不服審査
制度
の
検討
会の報告書でも指摘されておりますし、また日弁連の
意見
書の中にも含まれていたというふうに
理解
しておりますけれども、アメリカのALJですね、
行政法
審判官につきましては資格
制度
というものがあるわけでございます。このような審判官の資格
制度
というものがやはり将来の
検討
課題ではないかなというふうには考えております。
渡辺美知太郎
56
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございました。 ちなみに、
行政
通則法の
見直し
規定
で、先生は十年ごととおっしゃっているんですが、十年でよろしいものなんでしょうか。何か、長いとか短いとかちょっと思ったものですから。ちょうどいい
期間
になるんでしょうか。
宇賀克也
57
○
参考人
(
宇賀克也
君) 最初の
法律
を
制定
した際、それから全部
改正
した際ですね、そのときはやはり、その
法律
がどういうふうに運用されるかということについて未知な部分が多いものですから、四年とか五年ぐらいの
見直し
が適当だと思います。今回は五年後の
見直し
というので、それはそれで結構だと思うんです。しかし、その後また五年後というのもなかなか大変かと思いまして、しかし、十年たったところでやっぱり社会経済情勢の変遷に対応した
見直し
が必要ではないかということの
検討
は重要だと思います。 例えばアメリカの場合ですと、
情報
公開法を大体十年ごとに大きな
改正
、重要な
改正
をしているんですね。ですから、やっぱり日本でも大体、通則法については十年たったらやはり見直すということで、五年後の
見直し
ですとその後が続きませんので、やはり十年ごとの
見直し
、最初は五年、その後十年ごとの
見直し
というのが適切ではないかなと考えております。
渡辺美知太郎
58
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 今、海外の事例もおっしゃっていましたけど、十年ごとにその
見直し
だけではなくて、大きな例えばもうがらっと変えるといったことも視野に入れられているんでしょうか。
宇賀克也
59
○
参考人
(
宇賀克也
君) そうですね。
見直し
をした結果、かなり大きな
改正
が必要になる場合もあるでしょうし、あるいはそれほど大きな
改正
でなくて小さな
改正
で済む場合もあるでしょうし、場合によっては運用の
改正
で済む場合もあると思います。それはケース・バイ・ケースかなと思います。
渡辺美知太郎
60
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございました。終わります。
吉良よし子
61
○
吉良よし子
君 日本共産党の
吉良よし子
です。
参考人
の皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。 まず最初に、
審査
制度
の一元化に関わって、
斎藤参考人
にお伺いいたします。 本
改正案
により、
異議申立て
制度
がなくなり、国税通則法や公害健康被害の補償に関する
法律
などに再
調査
の
請求
を導入することとなっています。
政府
によりますと、
異議申立て
に代わって再
調査
の
請求
を置くことで大量の
異議申立て
が直接
審査請求
先に行くことを避けることや、より簡便で迅速に
処分
を見直すことで
救済
を図ろうというものであるということですけれども、本
法案
を見ると、
異議申立て
で認められていた
参考人
の陳述や
処分庁
による検証、
審理
関係人への質問などが再
調査
の
請求
になると行われなくなると。これは
国民
の
権利
利益の
救済
についての後退につながってしまうのではないかと考えるのですが、この点について
参考人
の御
意見
を伺いたいのですが。
斎藤浩
62
○
参考人
(
斎藤浩
君) 申し上げます。 二重の
救済制度
がいいのか悪いのかというふうにまず
制度
を見直す場合には考えますと、その場合に、
審査請求
と
異議申立て
の二重の
制度
というのが本当に必要なのかということを大半の法分野で考えまして、これはもう一本化して
審査請求
だけでいいんじゃないかというふうにまず考えました。我々も考えました。
総務省
も研究会もお考えになったと思います。それで、
異議申立て
は全廃されるかと思うと、再
調査
というちょっと言葉が適切でないネーミングの言葉になって登場はしておりますけれども、それは残ったと、こういう全体の流れであります。 その中で、今先生がお尋ねの、幾つかの法分野において今まで
異議申立て
手続
であればできていたものが再
調査
手続
ではできないということがあれば、それはもう
法律
の再
改正
の課題か、各
法律
のそれか運用の課題として
審査請求
と同様に当然その
手続
は認めるべきであるというふうに私は考えております。
吉良よし子
63
○
吉良よし子
君 ありがとうございます。 関わってなんですけれども、本
法案
では、再
調査
の
請求
を申し立てるか
審査請求
を行うかどうかというのは申立て者の
自由選択
とされますけれども、再
調査
の
請求
は、先ほど述べたとおり、
異議申立て
と比べ、より簡便な
手続
、簡易な
手続
となっており、丁寧な
審理
を
求め
るのであれば
審査請求
を選択するしかないと。しかし、それは、例えば公健法などに係る申立て者らにとっては上京しなければならないような事態になるなど、相当に大きな負担が強いられるのではないかと考えられます。 そこで、
宇賀
、
斎藤
両
参考人
に伺いたいんですけれども、この場合、再
調査
の
請求
だけではなくて、従来の
異議申立て
を残して
審査請求
と自由に選択できるような方法を取ってもよかったのではないかなというふうに考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
宇賀克也
64
○
参考人
(
宇賀克也
君) 今回、基本的には
審査請求
に一元化するということで、再
調査
の
請求
というのは、もうその事実の認定に関わるようなものに限定して例外的に残したということだと思います。それについては、その迅速な
見直し
をそこでするということで、それで、そのような
手続
では物足りないということであれば、おっしゃるとおり
審査請求
ですね、これを自由に選択することができるということで対応したものというふうに
理解
しております。 ただ、先ほど御指摘ありましたように、
審査請求
ということになりますと、これは基本的に最
上級行政庁
ということで、かえって不便になってしまうんじゃないかなというその御懸念は大変よく分かります。 ですから、そこにつきましては
審理
の在り方というのにいろんな工夫が必要だと思います。上京することが困難な場合には、むしろ
審理員
の方が現地に出向いて
審理
をするとか、あるいはテレビ会議を行うとかということで、上京することによるその不便さというものを解消する努力が必要だというふうに考えております。
斎藤浩
65
○
参考人
(
斎藤浩
君)
宇賀先生
の答えに付け加えることはありません。
吉良よし子
66
○
吉良よし子
君 ありがとうございます。 それでは、また
斎藤参考人
に伺いたいんですけれども、二〇〇七年に日弁連の方で出されました
行政
活動
是正
請求
法案
の第二節第八条においては、この
異議申立て
に相当する
制度
として再考の申立てができるとされていますけれども、この再考の申立てと
異議申立て
とはどのように違うのかという点、御
説明
いただければと思います。
斎藤浩
67
○
参考人
(
斎藤浩
君) 日弁連も、
審査請求
、
異議申立て
二本主義よりも
審査請求
一本主義の方がいいという、この点は先ほどから申し上げましたように変わりません。 それで、
異議申立て
を直ちになくしてしまうというのは、特に強調を日弁連内部でされたのは税金の分野ですけれども、税法の分野などでは、直ちに廃止するということについては、日弁連は大きい組織ですから異論がありまして、
法案
を作るときにもなるべく多数で一致できるように作るものですから、再考の申立てというのを入れまして、それと同じ発想法だと私は考えているんですけど、今度の再
調査
の申立てというのが入ったと。 再
調査
の申立て、再考の申立てというネーミングについては、私は再考の申立ての方がはるかにいいと思っておりまして、大分
意見
を
総務省
に申し上げたんですけど、その点は聞き入れていただけなかった。聞き入れていただけなかったからといって反対はしないという
立場
でございます。
吉良よし子
68
○
吉良よし子
君 ありがとうございます。 先ほど来、そのネーミングについてちょっと問題があるのではという点が指摘されていますけれども、その点、
斎藤参考人
に是非お願いします。
斎藤浩
69
○
参考人
(
斎藤浩
君) それはもう、税金の
訴訟
をやれば、その他もそうでしょうけど、すぐ分かりますけど、再
調査
というふうなことをやられますと中小零細企業はもう震え上がってしまいまして、そのこと自身で、
弁護士
が何を言いましてももう恐れおののくというのが弱い
立場
の業者のお
立場
でありますから、私は、なるべく再
調査
というふうなことは使わずに、いろんなネーミングの提案がございましたが、日弁連では再考の申立てとかその他を提案申し上げたということで、やや軽い話です。
吉良よし子
70
○
吉良よし子
君 ありがとうございます。 それでは、ちょっと話を変えまして、
審理員
の話になるんですけど、先ほど来、
独立性
などの問題で
外部
の方、活用も必要ではないかという両
参考人
からの御
意見
もありますけれども、こうした中で、
処分庁
や
審査庁
などからの自立性も
求め
られますし、その
担保
に必要なことは何だと考えておられるか。同時にまた、この
審理員
として職務に当たっていくことになる職員の皆さんの育成というものも必要になっていくと想定されますが、そのためにどのような
整備
を進めていくべきとお考えか、両
参考人
に御
意見
を伺えればと思います。
宇賀克也
71
○
参考人
(
宇賀克也
君)
審理員
の
独立性
を確保するためのその方策ということですけれども、今回、
審理員
とそれから
行政不服審査会
とセットになっております。したがって、その
審理員
の
審理
の後、そこに不服があって
第三者機関
の判断を得たいというときには、御本人が希望すれば
行政不服審査会
の方でチェックをしていただけるという、そういう仕組みになっています。 そういたしますと、そこで
審理員
の判断が
行政不服審査会
によって否定されるというふうなことがあれば、そこで
審理員制度
のかなえの軽重が問われるということになりますので、そうしたところの
行政不服審査会
での判断というものが、どんどん
情報
が公表されていきますと、おのずとそこで、その
審理員
につきましても、後で
審査
会のチェックが待っているということで、
独立性
を確保して公正中立な判断をしようということで、そこでおのずとその
独立性
を確保しようという方向でのインセンティブが付与されるのではないかなと思っております。 それから、研修等の話、これも非常に重要であると考えておりまして、
審理員
として必要な要素というのは大きく分けると三つあるかなと考えております。 一つは、法的な素養ですね。様々な
行政法
を解釈していく上での法的な素養の問題。それから二つ目が、
行政
の実務についての知識でございます。それも必要ですし、それから三つ目が、まさに
審理
を主宰して
手続
を進めていくという上でのノウハウですね、この三つがあるかなというふうに思っております。 それぞれについて必要な研修というのは、例えば
外部
から来られた
弁護士
の方であれば
行政
実務に関する研修というのが重要になってくると思いますし、例えば
行政
のOBの方のような場合であれば、例えば争訟の
審理
の
手続
のノウハウとか、あるいは
行政法
についての研修とか、そういうふうに人に応じてどこが重点かということは変わってくると思いますけれども、そういった三つの
観点
からの研修が重要ではないかと考えております。
斎藤浩
72
○
参考人
(
斎藤浩
君) くどいですけれども、
原局
でない
官房系
、
総務部門系
の
管理職クラス
が中央では
審理員
におなりになると、この
方々
が、
大臣
の影響なくして、今の官僚
制度
の下で独立して、あるいは自主的に判断されるということは私はあり得ないと思っております。 したがいまして、もしもどうしても公務員系を使いたいのであれば、ノーリターンルールといいますか、先ほど挙げました
方々
は上位に向かって上っていく
方々
でありますから、そんな方に期待することはできませんので、もうそれ用の方、
審理員
用の方をつくっていただくということしかないんだと思います。それか
外部
から登用すると、その二つしかないと思います。
吉良よし子
73
○
吉良よし子
君 どうもありがとうございました。 終わります。
又市征治
74
○又市
征治
君 社民党の又市です。 大変、お二方、今日はありがとうございます。 実はこの
法案
については、私ども社民党も民主党さんなどと
衆議院
においては対案を出しました。その
内容
の一つが、今もありましたように、今日かなり議論になっておりますように、
審理
官
制度
の創設ということを出したわけであります。 今もお話がございましたけれども、
政府
案の
審理員制度
でいえば、基本的には各省庁の職員が担うということになっているわけですから、これは公平さの
担保
が不十分だと。極端に言えば、
地方
なんかへ行きますと、それこそ公務員の天下り先みたいな格好に、まあ天下りにはならないな、その次の名誉職みたいな格好にされたりという、こんなこともあって、必ずしもこれが目指していることが
担保
されるということにならない。そういう意味で、私たちの対案は、公平性を
担保
するためには
独立性
、専門性の高い
審理
官
制度
の創設というものを盛り込むということを申し上げてきたわけですが、残念ながらそうなっていないということがあります。 これはお二方、先ほど来からのお話では、私どもと考え方が同じだというふうに拝聴させていただきました。もし後ほど若干補足いただくところがあればいただきたいと思うんですが。 そこで、まず一つは、
宇賀先生
にお伺いをしますが、今回の
改正
では
不服申立て
適格については
現行制度
が維持されておるわけですね。また、団体争訟
制度
の導入については今後の
検討
課題ということになっております。これらの点について先生はどのようにこれは改善をしていった方がいいと、こういうふうにお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
宇賀克也
75
○
参考人
(
宇賀克也
君) 大変重要な論点だというふうに思います。
不服申立て
適格につきましては、現在の判例では
取消し訴訟
の原告適格と同じ
法律
上の利益のある者というふうになっております。しかし、この原告適格につきましては、最高裁の判例では、
法律
上の利益を判断する際に、単に根拠法規によって保護されている範囲に入っているというだけではなくて、その人の利益を個別的に保護しているという個別保護
要件
があり、この個別保護
要件
のためになかなか
救済
が得られないということがあります。特に消費者の利益、あるいは環境的な利益、あるいは文化的な利益、そうしたものについてはなかなか原告適格が認められない。そうすると、この
不服申立て
の適格も認められないという同じ問題が出てまいります。 この問題についての一つの解決策としては、先ほど御質問の中にもありましたような団体争訟
制度
ですね、これを消費者保護の分野とかあるいは環境保護の分野で導入していくということが非常に重要な課題であるというふうに考えております。
又市征治
76
○又市
征治
君 どうもありがとうございました。 それじゃ、
斎藤
先生に次にお伺いをいたしますが、
事前
に読ませていただいた資料では、今回の
改正案
は、
国民
救済
拡充の一歩と位置付ける一方で、
他方
では日弁連の主張と比較すると極めて初歩的な改善にすぎないという御評価をされているようですけれども、先ほども出ましたが、日弁連は二〇〇七年五月に
行政
活動
是正
請求
法案
(仮称)を発表されておるのが基本なんだろうと思うんですけれども、この日弁連の案と今回の
改正案
との大きな違いの点、これを幾らか御
説明
をいただきたいと思います。
斎藤浩
77
○
参考人
(
斎藤浩
君) 先ほどの
宇賀先生
への質問へのあれも含めてちょっと申し上げたいのは、先生方の対案と申しますか、そういうものについてももちろん勉強させていただいております。 それで、前
政権
時代にも案が出てまいりましたときに、日弁連はそれにも賛成しております。もちろん二十年
法案
にも賛成しております。全て、全部、今の
現行法
よりも前進であることは間違いないから賛成するわけでありますが、今度は現
政権
案になって出てきたものと前の
政権
案のときと比べてどっちがいいかということをもちろん問われるわけですけど。 別にどっちがいいかと言わなくても日弁連はいいわけで、今の現
政権
案の本
法案
に賛成だと言えばいいんですけど、議論をいたしまして、今先生がおっしゃった
審理
官
制度
についても、非常に優れたよく考えられた案でございますけれども、遺憾ながら
審査
会が付いていないというのは、やはり二重のチェックというのを、現
政権
案は二重のチェックでやろうとしているのについて、あえて重装備だと言うんですね、中心的、理論的支柱の先生は。重装備と違うでしょう、そんなものは。
審理員
と
審査
会
制度
が重装備だったら、日弁連案はもちろんそうですし、アメリカや韓国のは何ですかと、こう言いたいということでありますので、
審理
官
制度
よりも今の二重チェックの方が私はいいと考えております。 それで、今の御質問については、世界を巡って考えた重々装備案から比べまして、本件のこの二重チェック
制度
については、
現行制度
よりもはるかに優れていますけれどもまだまだ足りないところがあって、今日
意見陳述
で申し上げた最も足りない点は、
審理
する者、判断する者の二重の構えのそれぞれがまだ不十分であるという点に尽きると思います。
又市征治
78
○又市
征治
君 一番初めのやつは、話は大体お聞きするまでもなかったですから、私の方はこれで終わります。
主濱了
79
○主濱了君 生活の党の主濱了であります。 お二人の
参考人
には、貴重な御
意見
を賜り、本当にありがとうございます。早速質問に入ります。 まず、
審理員
について伺いたいわけですが、
宇賀参考人
にまず伺いたいと思います。 第九条の第一項に
規定
しております
処分
に関与しない職員というのは、要するに、単に
当該
事案を担当していなければよいのか。あるいは過去に類似の事件をたまたま担当していた、要するに方向性がもう決まっていると、そういう方をどうするんだと、こういうふうなことも考えなければいけないので、過去において類似の事案を担当していないことをも
要件
とするのかと、こういうふうなちょっと疑問を感じております。 公正な
審理
確保の
観点
から、この度の
改正案
の妥当な解釈としてどの辺がいいのだろうかと、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
宇賀克也
80
○
参考人
(
宇賀克也
君) ただいまの御質問につきまして、この
法案
の中での九条の
審理員
の除斥事由に関しましては、まさに
当該
処分
というふうに書いてありますので、そこで問題になっている具体的な
処分
、これに関与したか、あるいは関与するかという、そういうことというふうに解釈されますけれども、確かにその事案には関与していないけれども過去に類似の事案に関与して、そこで一定の例えば予断を持っているとかという方を
審理員
として指名していいのかという、そういう御懸念だろうというふうに
理解
いたしました。 そのような方を指名することは、
現行法
上、この
法案
では違法にはならないと思うんですけれども、しかし、やはり運用としてできる限り避けていくべきだろうというふうには考えます。
主濱了
81
○主濱了君
公正性
の確保という
観点
からは本当に様々なことが、過去に担当されている方が今回その事案については担当していないんだ、そこでやるということについてはいささかちょっと疑問を感じるものですからお伺いした次第であります。 次は、同様に
宇賀参考人
に伺いたいんですが、
審理員
の養成をいかになすべきかと。これは、各
委員
の皆様、随分出ておりました。中央省庁はもちろんのことですけれども、特に
地方
公共団体
におけるその
審理員
の養成をどう進めたらいいかと、こういうことであります。 御存じのとおり、
地方
公共団体
は行革でぎりぎりまで人員を削減をしているんですよ。この中で法
改正
に伴って
地方
は対応しなければいけないと、こういう状況にあります。
地方
の
行政
機関がそれぞれ
審理員
を養成する何かいい方法がないものかと、こういうことなんですね。 本来、これは
総務省
に考えてもらうべきことなんですけれども、この辺、いいアドバイスがあればお聞かせをいただきたいと思います。
宇賀克也
82
○
参考人
(
宇賀克也
君) 大変重要な点だと思います。 一つは、
地方
公共団体
におきましても
行政手続法
が適用される部分とそれから
行政
手続
条例が適用される部分がございますけれども、そこで
聴聞主宰者
という
制度
がございます。これは
事前手続
ですけれども、
地方
で大体
総務
系の方がされていることが多いようですけれども、そうした
聴聞主宰者
としての経験を積まれた方というのがこうした
審理員
としても同じようなノウハウというものが必要になってくると思いますので、そうした方を活用しつつ研修を進めていくということが適切ではないかなと考えております。
主濱了
83
○主濱了君 次に、
斎藤参考人
にお伺いをいたしたいと思います。 今度は、
不服申立て
に関する
救済率
についてであります。これも石井
委員
始めずっと皆さん聞いてこられたわけですが、
斎藤参考人
は、日本の
行政不服審査
請求
の
救済率
がアメリカとか、それから韓国であるとか、あるいは台湾と比べて低いという御
認識
があられると、こういうふうに
認識
をいたしました。 私は、様々な
処分
の
申請
に対して、
法令
の遵守はもちろんのことであります、
法令
の遵守はもちろんのことなんですが、様々な事情も十分考慮した上で、妥当な
処分
を目指してずっと
処分
をしてきているものと考えているわけなんですよ。
総務省
によりますと、不服
審査
法に基づく
不服申立て
の処理
内容
、これ容認率という格好で出しておりますけれども一〇・六%と、こういうふうなことであります。
地方
においては二・八%、非常に低いということであります。 この辺の、日本の容認率と諸外国の
救済率
について御所見があれば再度お伺いをいたしたいなと、こういうふうに思います。
斎藤浩
84
○
参考人
(
斎藤浩
君) 私の
意見
を、例えば
救済率
が高まるということは、
行政
が誤るか不当な
処分
をしているからなので、そういうことがない方がいいじゃないかというふうに取るお考えと、それはアメリカも韓国も、日本の
行政
官庁の公務員と比べて、日本の公務員は非常に優秀で全体を見回して妥当な
処分
をしておるのであるから低くて当たり前だと取る、両方の考えがあろうと思います。 私は、どうこうする、どういうことを申し上げる能力はございませんけれども、それぞれの国でそれぞれが努力をして、日本の公務員の
方々
が本当に日々努力しておられることは私も本当によく存じ上げております。その中で、一〇・幾らとか二・幾らなどということはやはり余りにも低いと。何と比べているかというと、あの裁判所でさえ十数%、平均が、これもまた全世界から比べたらえらい低いですなというのでありますが、裁判所より低いなんてことは普通ちょっとあり得ないんじゃないかと。
衆議院
の質問の中で面白かったのは、ある先生が、こういう事例について裁判所では
救済
されているけど、それは
行政不服審査
の中ではどうだったんだねと聞かれたら、全部棄却されておりますと答えておられます。ということは、何だったんでしょうかということになるので、私はやっぱりもうちょっと
救済率
を上げた方が、それ誤っているよ、不当だよと言われたことによって、
行政
は適法化、適正化するんですよね、今後の
行政
が。私どもは、原告だとか不服
審査
申立人の
救済
の率ばかり言っているんじゃなくて、
行政
の適法化、適正化のためにも
救済率
はもっと上げた方がいいと私は考えております。
主濱了
85
○主濱了君 最後の質問になります。
斎藤参考人
にお伺いしたいと思います。
行政救済
というのは、
処分
の諾否、
処分
が間違っていたとか何とか、その
救済
だけではないというふうに思われます。経済的なものも含めて幅広くその
救済
システムが機能するべきであろうというふうに思っております。
処分
関係について
救済
された事案について、仮に経済的な不利益が生じていた場合、併せて経済的な不利益が生じていた場合、その回復はなされるべきであろうと思いますが、どう図られるべきなのか、もしその辺、お考えがあればお伺いをいたしたいなと思います。
斎藤浩
86
○
参考人
(
斎藤浩
君) それは
法律
の
行政不服審査
の
裁決
の効果のところの問題とも今の御質問は考えられますし、
裁決
が出たらそれに従って
行政
はやり直すということでありますから、当然だと。 私がやった事例では、奈良県の大きなゴルフ場で、二つの自治体にまたがっておりまして、一方の方の固定資産税がえらい上がりまして、片一方の方はそのままと。随分上がったものですから
不服申立て
をして、そのことを知らなかったのかどうか、隣の自治体は、分からないんですけど、ちゃんと申し上げたら、それはそうですねということで、妥当なところで折り合って、ゴルフ場、非常にうまく経営できるような
状態
にしていただいたということがありますから、
法律
の問題の効果の問題と、それからやっぱりそれを、
裁決
なりを得たときの自治体の職員の柔軟性といいますか、あるいは
裁決
に至るまでにもう既にそういうことを柔軟に
是正
していくというような能力の問題がこの
法案
では試されると思います。
主濱了
87
○主濱了君 終わります。ありがとうございました。
山本香苗
88
○
委員長
(
山本香苗
君)
参考人
に対する
質疑
はこの
程度
といたします。
参考人
の
方々
には、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして心より厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十七分散会