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2014-06-19 第186回国会 参議院 財政金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年六月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     林  芳正君      三宅 伸吾君     山谷えり子君      森屋  宏君     山本 一太君      金子 洋一君     江崎  孝君      井上 義行君     中西 健治君  五月二十二日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     石田 昌宏君      山谷えり子君     三宅 伸吾君      江崎  孝君     金子 洋一君      中西 健治君     井上 義行君  五月二十三日     辞任         補欠選任      林  芳正君     長峯  誠君  五月二十六日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     牧野たかお君      三宅 伸吾君     森 まさこ君      金子 洋一君     野田 国義君  五月二十七日     辞任         補欠選任      牧野たかお君     石田 昌宏君      森 まさこ君     三宅 伸吾君      野田 国義君     金子 洋一君  五月二十八日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     田中 直紀君  五月二十九日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     大沼みずほ君      田中 直紀君     風間 直樹君  五月三十日     辞任         補欠選任      大沼みずほ君     石田 昌宏君  六月二日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     森 まさこ君      長峯  誠君     宮沢 洋一君  六月三日     辞任         補欠選任      熊谷  大君     大家 敏志君      宮沢 洋一君     長峯  誠君      森 まさこ君     石田 昌宏君  六月四日     辞任         補欠選任      大家 敏志君     熊谷  大君      金子 洋一君     前田 武志君  六月五日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     白  眞勲君      前田 武志君     金子 洋一君  六月六日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     礒崎 哲史君  六月九日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     山崎  力君      三宅 伸吾君     森 まさこ君      金子 洋一君     田中 直紀君  六月十日     辞任         補欠選任      森 まさこ君     三宅 伸吾君      山崎  力君     石田 昌宏君      大塚 耕平君     白  眞勲君      田中 直紀君     金子 洋一君  六月十一日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     大塚 耕平君  六月十二日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     滝沢  求君  六月十三日     辞任         補欠選任      滝沢  求君     石田 昌宏君  六月十七日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     石井 準一君  六月十八日     辞任         補欠選任      石井 準一君     長峯  誠君      礒崎 哲史君     藤田 幸久君  六月十九日     辞任         補欠選任      藤田 幸久君     礒崎 哲史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         塚田 一郎君     理 事                 鶴保 庸介君                 古川 俊治君                 尾立 源幸君                 西田 実仁君                 中山 恭子君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 片山さつき君                 熊谷  大君                 伊達 忠一君                 長峯  誠君                 長谷川 岳君                 三宅 伸吾君                 礒崎 哲史君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 安井美沙子君                 山本 博司君                 川田 龍平君                 井上 義行君                 大門実紀史君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        内閣府副大臣   岡田  広君        財務大臣    愛知 治郎君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       田中 良生君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局官房総        括審議官     山田 昭典君        金融庁総務企画        局長       桑原 茂裕君        金融庁総務企画        局総括審議官   三井 秀範君        総務省自治税務        局長       米田耕一郎君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        香川 剛廣君        厚生労働大臣官        房審議官     藤井 康弘君        経済産業大臣官        房審議官     高田 修三君        資源エネルギー        庁廃炉基盤整備        総合調整官    藤原 正彦君        国土交通大臣官        房技術参事官   清水  亨君        国土交通省航空        局次長      甲斐 正彰君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (総合取引所の実現に向けた取組に関する件)  (自動車関連税制在り方に関する件)  (法人実効税率引下げに関する件)  (消費税率引上げの景気への影響に関する件)  (国際連帯税に関する件)  (インフラの老朽化対策に関する件)  (日本銀行による国債の大量保有に関する件)     ─────────────
  2. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、森屋宏君及び礒崎哲史君が委員辞任され、その補欠として山本一太君及び藤田幸久君が選任されました。     ─────────────
  3. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房総括審議官山田昭典君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁黒田東彦君出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 古川俊治

    古川俊治君 では初めに、自由民主党の古川俊治から質問をさせていただきます。  国会もいよいよ会期末を迎えてきたわけですけれども、この通常国会を通して、やはりアベノミクス、第一の矢、金融緩和、第二の矢、財政出動に比べて、やっぱり本当に重要なところであります成長戦略がいま一つ力、弱いんではないかという意見が多かったと思います。確かに、昨年度は、経済大分回復をいたしましたけれども、本年度になって株価も一服をしておりまして、上下しておりまして、なかなか成長戦略といっても目新しいものはないんじゃないかという意見がかなり出ています。  私も、その項目を並べることよりは、やはり着実に実行していくことが成長戦略として大事だと思っておりまして、かつ、その結果というのはやはり時間が掛かるものです。ですから、すぐには出てこないとは理解しているんですけれども、ここからいろいろな方策を打っていかなきゃいけないと思っています。  その一つがやはり法人税の減税というお話につながってくるんだろうというふうに理解しておりますけれども大臣も、法人税、二〇%台まで実効税率を引き下げるということに合意されたというふうに伺っておりますけれども、この目的というのは、やはり日本立地競争力を高めて企業競争力を高めるということが目的というふうに書かれているようであります。  ただ、日本のことを考えると、何で日本がこの立地競争力がないかと考えた場合には、まず賃金が高い、それから電気料金もいろんな事情があって高い、あるいは少子高齢化が進んでいき人口が減少してくる、こういう背景がいろいろあるわけでございまして、法人税が、二〇%台にしても、一〇%台の国たくさんあるわけですよね。その中で、どの程度本当にこの企業の誘致が見込めるのか、その根拠はどういうことに基づいてお考えなのか、ちょっとそれをお話しいただきたいと思っておりますが。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 法人税率の、法人実効税率引下げというものが、いわゆる今御指摘のありましたように、いろいろな形で、企業国際競争力とか立地競争力とかいろんなものを高める一環としてやっていくという大前提があるんですが、基本のこの改正の主なるところは、いわゆる企業の持っております稼ぐ力のある企業のところの税負担はなるべく軽減して、広く薄く課税をこれ掛けるということによって、法人税体系そのもの競争力成長力をつくり上げるようにしていきたいというのが基本的な考え方の一番の基に、ここにあります。  いずれにしても、これ立地競争力というのは法人税を改革したらいいというだけの話じゃありませんで、日本起業を求めてくる、いわゆる投資に当たっての阻害要因の中でいきますと、法人税負担が高いというのは上から数えて七番目ぐらいの話でして、ほかの話としては、いわゆる給与報酬が高いとかいう、ずらっとほかにもいろんな理由がありますので、そういった意味ではこれは七番目ぐらいというのが一つ我々としては頭に入れておかないかぬので、これ安くしたから途端に法人投資が増えるとか起業が新しく増えるというような簡単な話ではないと、私どもそう思っております。
  10. 古川俊治

    古川俊治君 ありがとうございます。  ただ、法人税を下げれば恐らくマイナスにはならないんだろうと、立地競争力、魅力から見てですね、それはよく分かります。ただ、今から二〇%台に下げるというときに、財源が二兆円から三兆円掛かりそうだというお話なんですね。このためには、我が国も二〇二〇年までにプライマリーバランスを黒字化するという目標を掲げていますので、代替的な恒久的な財源がやはり必要になるというふうに思います。  その中で、お話に聞くところによりますと、研究開発税制の措置が引き当てになっているというお話をちょっと聞いておりますけれども、これ、企業法人税実効税率が下がって内部留保がたくさんたまってもしようがないわけですね。やはり投資をしていって、そして雇用をつくって、そして日本経済成長させていくと、ここに意味があるわけでございまして、やはり投資をしてくれるところに優遇をしていく、これはメリットがあると思っておりますけれども、この研究開発税制をなくすぐらいだったら、これは法人税を下げない方がいいと私は思うんですね。  この点について、財務大臣、どうお考えでしょうか。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) おっしゃるように、企業にとりまして、研究開発税制等々が仮に引き下げられたとして、その分で研究開発投資に回ればいいですよ。しかし、現実問題として、この数年間を見た場合に、企業は得た利益の多くを内部留保に充て、少なくとも、いわゆる配当に回さない、設備投資を含む研究開発には回さない、労働分配率は上げないということによって内部留保はあんなものになって、今、昨年の九月で三百四兆円ぐらいまでの内部留保がたまっておる。三百四兆円といったら、日本の持っております対外純資産が三百二十五兆ですから、これはえらい額のものがたまり込んでおるという実態がありますので。  今おっしゃったように、この研究開発税制というものをやって、日本における技術というものが確実に先端のものをというものを確立させておく努力、そのために税制優遇ということは政府としてせねばならぬところだとは思いますが、それを受けた企業がどう対応するかというのは、かかって民間企業の対応の仕方なのであって、これは第三の矢には、これは第一、第二と違って政府でやれる部分民間がやらねばならぬ部分の、その民間でやらねばならぬ部分が極めて大きくなってきているという実態が忘れられておって、政府がやれば自然と第三の矢が増えるなんて、そんなことはあり得ないんだと、私は基本的に最初からそう申し上げてきましたので。  第一、第二は日銀とか財務省である程度やれる部分はありますが、第三は違いますよということをかねがね申し上げてきておりますので、少なくとも、コーポレートガバナンスという言葉を今度入れさせていただいておりますけれども、こういったものは、企業の中において、その金は今までと違って、デフレであった場合はじっと持っていた、金を持っていれば、世の中物価が下がってきますので、間違いなく企業はその分だけ純利益が増えていくということになりましたので、二十年弱、そういったことで楽々企業というものは利益を出し切れたという企業もいっぱいあるんだと思います。いわゆるキャッシュフローのあった会社は特にそうだと思います。  ところが、今回は二%のインフレ目標というのを立てておりますので、企業は仮に持っていれば二%ずつ目減りすることになりますので、その分は何らかの形でそれを金を稼ぐものに投資していかねばならぬという方向に環境がそうつくり、かつそれをちゃんとそういったところに回すんですよと。二十年間こびり付いた意識というのはそう簡単には変わるものじゃありませんから、それを変えていってもらわないかぬという話をやるためには、コーポレートガバナンス等々のものがきちんとされて、ちゃんとこういったものをやるべきだという話を社外重役が言うとか、いろんな形でのものをやっていかなきゃいかぬことになっていくんだと。  私どもは、そうしていかない限りは、これは第三の矢というのは、笛吹いたり鐘たたいてもなかなか踊らぬという結果になるんだと、私どもはそこが一番懸念をいたしておるところでもあります。
  12. 古川俊治

    古川俊治君 ですから、今までこの研究開発税制を利用して投資をしてきて、それで税制のその分優遇を受けてきた企業はやはり努力をして今まで研究開発を行ってきたわけですね。これがターゲットに、研究開発税制部分ターゲットにして法人税を下げるということになりますと、いたずらに内部留保、また投資をしない企業を利することになります。やはりしっかりと投資をしてくれる、そういう企業を応援していただき、これが最終的にはアベノミクスの三本の矢につながっていくことだと思いますので、今大臣がおっしゃった御認識、そのとおりなんですけれども、是非これは忘れずにしっかり研究開発税制部分は守っていただきたいというように思っております。これはお願いいたします。  この度、ちょっと我々、新潟県を視察をしてまいりましたけれども、商工会の皆様あるいは地域金融機関皆様お話を伺いました。やはり日本経済成長考えた場合には、地域企業がどれほど元気になっていくか、このことも極めて重要でございまして、その観点からは、やはり地域金融機関の役割をもう一度これ考えなければいけないというように考えております。  やはり、大臣も度々おっしゃっていますけれども銀行というのは土地の担保さえあれば貸すよと、それが一番簡単なわけでございまして、そうすれば、ほとんど誰でもできるような融資をするわけですよね。ただ、やはりこれから先は、企業の新陳代謝を促し新しい産業をつくっていく意味でも、それぞれの地域企業事業性をしっかり判断をして融資を決めていく、財務状況だけではなくてやはり事業性判断をしてリスクを取って融資をしていく、こういう姿がやはり本来の地域金融機関に望まれている姿である。これはもう大臣も御認識いただいていることだと思うんですけれども。  この点が、今、今回の我々の成長戦略でも事業性判断をするようにというふうに書かれていますけれども、その中で、やはり地域金融機関だけじゃなかなか難しいと思いますけれども、何らかの事業性判断をする評価の枠組みを国の方でも助けてあげる、そして融資を促す必要があるんじゃないかと思うんですが、この点について政府取組はいかがでしょうか。
  13. 岡田広

    ○副大臣岡田広君) 金融機関が確実な担保なしには融資しないという姿勢を改めて、財務状況だけでなく事業性を重視した融資判断を行う必要があるのではないかというお尋ねかと思いますが、金融機関におきましては、目利き能力コンサルティング機能を高め、担保保証に過度に依存することなく、借り手企業事業価値を的確に見極めるとともに、事業価値向上につながる取組を行っていくことが重要であり、委員指摘のとおりだろうと考えております。  金融庁といたしましては、例えば、金融モニタリング基本方針に基づき、金融検査におきまして、金融機関事業に対する目利き能力を強化し、企業経営改善に資するファイナンスやアドバイスを提供するよう促しているほか、金融機関目利き能力向上にもつながるABL、動産・売掛金担保融資活用のための環境整備等を行うとともに、経営者保証に関するガイドラインを踏まえた経営者保証に依存しない融資の一層の促進のための監督指針改正等を行っております。  金融庁といたしましては、今後とも、金融機関に対して、目利き能力向上融資先企業事業性を重視した融資等に積極的に取り組んでいくよう検査監督を通じて促してまいりたいと考えております。  以上です。
  14. 古川俊治

    古川俊治君 新潟県では、商工会議所コンサルティングをやって、そこのコンサルティングを受けた企業には商工会議所から融資をしていると、そういうシステムがあるというふうに伺ってきましたけれども、本来それは金融機関がやるべき機能なんですね。  是非、政府の方でも、これ、そういった民間取組とともに支援していただいて、中小企業、なかなかその中だけでは事業がうまく組み立てられない場合もあると思いますし、また金融機関の方も、目利き目利きといってもなかなか簡単じゃない。何か基準が欲しいというのは、多分、金融機関として一番よりどころになるその基準が欲しいわけでありまして、是非そういうサポートをしてあげていただきたいというように思っています。  これは、地域経済というのがいろんな意味日本の本当に国民の隅々までアベノミクスの恩恵を行き渡らせるためには極めて重要だと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。  もう一つの問題としまして、起業大国を目指すという日本目標がございます。諸外国に比べてやはり日本起業率は今低調でございまして、このためにどういう新しい形をつくっていくか、これがこれからの重要な点だというふうに思っております。  実は、私は、もう十年ぐらい前になりますけれどもバイオベンチャー起業した経験がございます、当時の新しい再生医療技術を使いまして。残念ながら、その会社は、治験まで行ったんですけれども、そこで資金が、市場が悪くなって資金がショートしてなくなってしまいましたけれども、いろんなことを見られて非常に勉強になったというふうに思っております。  そのときに、やはり私ども研究者でございましたから、全くビジネスについて知識がないんですね。ただ、投資をしてくれたベンチャーキャピタル、これいわゆるハンズオン型のベンチャーキャピタルというんですけれども、これがもう手取り足取り全部教えてくれるんですね。まず人の集め方、そしてファンディングの仕方、それから投資家への説明の仕方、これ全部やっていただきまして、そして今の法規制に合ったビジネスを次々に展開させていくと。これで随分、数十億のお金を集められました。もう本当にこのベンチャーキャピタル皆さんのおかげだというふうに思っているんですが。  また、彼らの仕事というのが本当に泥臭い。まさに赤ん坊を育てていくような感じで、何にも知らない人に手取り足取り全部教えていって、そして育て上げていくと、そういう仕事で、本当に労力が要る大変な仕事でございます。日本でもやっぱりこれから起業大国を目指して、そして成功事例をつくっていくためには、こういうハンズオン型のベンチャーキャピタル、そこで働く人材を育成していくことが非常に必要だというふうに思っております。  ただ、今のベンチャーキャピタル在り方というのを見てみますと、多くはそうしたハンズオン型ではなくて、横並び、例えば銀行の子会社ベンチャーキャピタルなんというと、どこどこ銀行さんが出しているからいいでしょうとか、政府系ベンチャーキャピタルが出しているからいいでしょうみたいな話で、全く自分でリスクを取らないんですね。人と同じなら許されるという考え方を取っていまして、かつ一回一回が小口ですから、本当に必要とする供給ができない状況になっています。今ちょっと、私も当時からハンズオン型の皆さんとよく話すことがあるんですけれども、その中で、なかなかそうしたハンズオン型のベンチャーキャピタルというのはリスクが大きいので大きな資金が集まってこないということが言われております。  アメリカ、米国なんかでは、機関投資家なんかでも一部そうした新しい型のベンチャーキャピタル投資してくれるんですね。実は、小さい会社スタートアップはすごく小さい、スタートアップベンチャーはみんな小さいですから、その中だと大きな企業に比べると資金需要はとても小さいんですね。それだけあれば何とかやっていけるんです。その中で、言ってしまうと、機関投資家にとってはもう本当に市場の揺れでカバーできちゃうような小さなお金でも、そうしたスタートアップベンチャーとか、あるいはそうしたハンズオン型のそうしたものを育てているベンチャーキャピタルにとっては物すごい有り難い融資なんですね。欧米諸国では本当に、機関投資家のうち〇・何%はそこにちゃんと投資してくれるというふうに聞いております。  ただ、今の日本の現状を伺いますと、機関投資家は全くそういうところに目もくれないということですね。先頃、日本型のスチュワードシップ・コードも金融庁から出されまして、しっかりその企業成長させる視点でやる、責任ある機関投資家を育てていこうと、こういうことが言われまして、資産の保有者たる機関投資家であっても、やはり資産、いわゆる運用者である機関投資家についても、しっかりこうした企業と話して企業成長させるような取組が是非必要だと思うんですね。  その意味から、今回のスチュワードシップ・コードも、基本、上場株式と書いてあるんですね、あそこに。やはりこうしたスタートアップベンチャー、ハンズオン型のベンチャーキャピタルを育てるという意味からも、こうした本当にリスクが高いんだけれども伸びる、そうした企業投資できる、そういう枠組みを是非つくっていただきたいんですけれども、まさにこのハンズオン型のベンチャーキャピタルというのはこのスチュワードシップの原点となるような株式会社との対話を日々行っているんですね。その観点からどうお考えか、ちょっと政府のお考えを聞きたいと思っています。
  15. 岡田広

    ○副大臣岡田広君) 起業大国を実現するためにも機関投資家ハンズオンベンチャーキャピタル投資を促す必要があるのではないかという御指摘だと思いますけれども、昨年、金融審議会のワーキンググループにおきましても、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進策について議論が行われました。この報告書におきましても、ベンチャーキャピタルが果たす役割についても議論がされており、ベンチャー企業の有する技術に対する目利きを利かせ、企業を育てる観点から、古川委員指摘ハンズオン型のベンチャーキャピタルを育成することの重要性が指摘をされました。  機関投資家がどのような投資行動を取るかは一義的には機関投資家判断によるわけでありますが、リスクマネーの供給促進という観点からは、古川委員指摘のように、ハンズオン型も含めたベンチャーキャピタルへの投資が増えていくことは望ましいと考えております。  金融庁といたしましては、ベンチャーキャピタル在り方ベンチャーキャピタルへの投資の促進などにつきましては、関係省庁とも連携しつつ、引き続き議論をしていきたいと考えております。  以上です。
  16. 古川俊治

    古川俊治君 是非、大きな資産を保有している機関投資家にも一部そうした本当にこれから育っていく企業への融資をお願いしたいというふうに思っております。  今日は向こうで本会議もあるようですけれども、最後に一つ、これ大臣にお聞きしたいんですが、総合取引所の問題でございまして、私、昨年度もこれ大臣に伺って御答弁いただいているんですが、第一次安倍政権の頃ですから、二〇〇七年、もう随分、七年ぐらい前のお話になります。その頃から総合取引所の実現というのは、政権交代時代も通じての、本当、国のずっと何度も何度も閣議決定されてきたことでありまして、極めて重要な国家的な基本方針だというふうに思っておりますけれども、残念ながら七年たってもまだ実現をされていないわけでございます。昨年の三月二十六日のこの委員会麻生大臣に伺いまして、昨年度中の具体的合意について大変前向きなお話を伺っております。ただ、残念ながら今までできていません。  この本当に大事な国家的政策、もうそのうちに、どんどんどんどん世界の商品先物市場は伸びていくのに日本は衰退したままであると。この現状、ずっと続いているわけでありまして、何とかこの日本成長という意味からも総合取引所をすぐにでも実現する必要があると思っているんですけれども大臣、そろそろ経産省と、どういう一体項目を上場させるんだ、これはJPXに、今の日本取引所グループに商品先物を上場させるわけですけれども、今ある例えば金、白金、あるいはゴム、砂糖、トウモロコシなんか全部やっていますけれども、具体的な項目のもう協議に入った方がいいと思うのですが、この点については、大臣、どうお考えでしょうか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、これは金融庁だけの話じゃないのは御存じのとおりだと思いますので、これ聞かれるなら経産省にも聞いていただかぬと、いかにも財務省だけが問題かのごとく議事録に残されると甚だ迷惑しますので、その点だけはお断りしておきます。  今回の私も副総理として参加しておりました産業競争力会議におきましても、政府成長戦略である日本再興戦略の改訂作業が進められておりまして、今週の十六日に公表されましたその素案の中におきましても総合取引所を可及的速やかに実現すると記されておるところであります。したがいまして、金融庁としてはこれは速やかに実現することが重要だと思っておりますので、これは御指摘のあった日本取引所グループや経産省を始めとする関係省とこれは協議を進めておるところでして、実現に向けてはかなり積極的に取り組んでおります。  何が問題かといったら、もう別にこれ、ざっと長くなりますので、いろいろ意見が違うところが幾つかありますのをあげつらっても意味がありませんので、そういった意味では、私どもとしては、垣根を取り払うという総合取引所構想という話がよく出てくるんですが、これは為替先物とか金利の先物とかああいったものにつきましては、これは証券、金融と商品取引の垣根を取り払うといういわゆる総合取引所構想とは直接関係がないということだけはもう御存じのとおりでして、いずれにしても、投資者に、投資をする側にとりまして多様な投資機会が提供されるということは、これは重要なところだと思っております。  また、よく御指摘のありますデリバティブ取引につきましても、これは金融取引所の所得課税の一体化という話がこれはくっついてきますので、この件につきましては、総合取引所の実現というのに資する意味からもこれは引き続き検討するとされておりまして、平成二十七年度の税制改正の要望の具体的な内容を固める際にこうしたところも詰めていかねばならぬところだと思っております。  いずれにしても、これは実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと、基本的には金融庁としてはそのように考えております。
  18. 古川俊治

    古川俊治君 おっしゃるとおりで、経産省も呼ばないと公平じゃないというのはよく分かっておりますけれども、何回も何回も可及的速やかにと閣議決定されているんですね。もう七年たっちゃったんですよ、同じことを繰り返しながら。これはやはり異常な状態だと私は思うんですよ。  いろんな抵抗がある。彼らが言っているのは、今の流通に問題があるというふうに、起こり得ると言っているんですけど、何も流通に問題が起こり得るんなら東京商品取引所に上場させるわけがないんですね。ですから、言っていることに理屈が全くないということでございまして、これは是非やっていただかなきゃいけないというふうに思っています。  私ども与党の方では秋に議員立法をするということをもう決めておりますので、こういった異常事態に陥らないように、是非、麻生大臣、もうこれは麻生大臣がやっていただきたいと私も思っていますので、麻生大臣のお力で何とかお願いをしたいというように思っているところでございます。  御答弁いただきましたけれども税制改正は是非お願いをしたいと思っておりますし、また、先にお話しいただきました今の東京金融先物との統合、これはもっと先の話になると思いますけれども総合取引所における商品の多様化という観点からは最終的にはこちらも統合することが本来の姿であろうというふうに考えておりますけれども、また、そうしたいろいろな障害を乗り越えて、是非日本の本当の成長戦略のために頑張っていただきたいというように思っております。  これで質問を終わります。
  19. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。  三十分時間をいただきましたので質問をさせていただきますが、今、古川委員が最後に質問をしておられた総合取引所の件ですが、麻生大臣にも私からも御報告もしておきますけれども、安倍第一次政権のときにやろうとしておられたこと、我々が政権をお預かりしたときには、あの話はもうほこりをかぶって、もう誰も役所の人は真面目に取り組もうという感じはなかったです。横に先ほどいた金融庁の桑原企画局長とかに聞いていただくと分かりますが、私が最初金融担当副大臣にしていただいて、内閣府の副大臣ということですから、やはりこれやらないと駄目だよということで、関係省庁全部呼んでもう一回エンジン掛け直したんですけれども、今、古川さんがおっしゃったとおりの状況で、これはやはり副総理として相当強力に御指導をいただいた方がいいと思いますので、是非私からもお願いを申し上げておきます。  それから、冒頭、副総理のお立場でひとつ御発言をお願いしたいんですが、石原大臣の発言が物議を醸しております。副総理として一言苦言を承りたいと思います。
  20. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 言葉が足りなかったというところはあるんだとは思いますけれども、御本人からいろいろ真意について御発言をされておられるようなので、私はそれはそれなりに了としておるんですが、やっぱり被災地というところへ行かれているんだとは思いますけれども、復興優先で取り組んでいくというこの安倍政権の方針に従ってやっぱり閣僚として対応していかなければならぬものなんだと、私はそう思っております。
  21. 大塚耕平

    大塚耕平君 苦言にはなっておりませんでしたけれども、率直に言って軽率で問題ありということを多くの国民が感じていると思いますので、これも副総理として御指導をいただきたいというふうに思っております。  今日は二つ大きくは御質問させていただきますが、一つは基金の問題、もう一つは自動車の税制の問題であります。  今国会、予算委員会の筆頭理事を務めさせていただいたので、麻生大臣にもいろいろ質問させていただいたんですが、物価連動債、個人にも買えるようにしていただきたいと申し上げたところ、間髪を入れずに三か月で実現をしていただいた、そういう方針を決めていただいた。大変感謝もしておりますし、政府とはかくあるべしというふうに思います。理にかなったことはしっかり御対応いただける、そうすれば長期政権になります。本当にそう思います。  したがって、理にかなった野党の主張は受け入れていただくということで、もう一つ、基金、この問題も予算委員会では愛知大臣にパネルまで持っていただいて、大変御協力をいただいて恐縮でございましたが、今日もお手元に予算委員会のときの資料を改めてお配りをしておりますが、もうあえて論点は申し上げません。  我々も政権担当時代に基金はもちろん使っておりましたので、基金の全てが問題だとは申し上げませんけれども、今回、各委員会あるいは衆議院でも議論になった結果、基金の類型というのも財務省も改めておやりになって四つの類型があるということも分かったと。そして、各省庁の下にぶら下がっている基金の全貌は大体分かってきたと。しかし、地公体や独法の下にぶら下がっている基金は相変わらずよく分からないわけですね。  私としては、塩川元財務大臣に敬意を表して、一般会計、特別会計のことを塩川さんは、母屋でおかゆ、離れですき焼きと称したわけですが、基金は、幾ら特別会計、一般会計の改革をしても、その下の基金がずさんであっては地下室で宴会をやっているようなものだというふうに申し上げたわけであります。  そこで、この基金の改革をしなくてはいけないと思っておるんですが、もちろん私のところでもう議員立法も用意しております。さりながら、これは議員立法で対応するというよりは、やはり過去累々と続いているものもありますので、その実情をしっかり財務省で把握をされて、今後の運営が的確に行われるような方向の改革案を、やはり閣法として出すか、あるいは政府としてお示しをいただきたいというふうに思っておりますが、改革案の検討状況について承りたいと思います。
  22. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 大塚先生から度々御指摘をいただいている基金について、改めて改革案の検討状況等々について御質問をいただきました。  この基金については、国が支出した資金が年度を超えて保有されることになるため、それを設けることの必要性について十分に精査をするとともに、所管大臣の監督の下、執行状況等を適切に管理していくことがやはり重要だと考えております。  このため、これまでも基金シートの作成等を通じ、執行状況等を公表してきたところであります。改めて申し上げますが、基金シートでは、事業概要、基金設置年度及び基金残高といった情報を公開しているとともに、この公表内容等について、適宜、行政改革推進会議が点検を行うこととなっております。  さらになんですが、今般、これまで公表してこなかった地方公共団体に造成された基金について、これまさに予算委員会大塚先生が大臣と御議論をしていただいていたところなんですが、私も聞いておりました。この地方公共団体に造成された基金について、本年十月よりこれも公表するところとなりました。さらに、今後、基金の適正な管理運営を図る観点から、様々な御指摘を参考にしながら適切な対応を検討してまいりたいと考えております。  ちなみになんでありますけれども、六月十三日に経済財政諮問会議に提出された骨太の方針、これはあくまでもまだ素案でありますけれども、基金については、その予算措置を厳に抑制し、使用実績も踏まえながら使用見込みの低い基金については返納を検討するとの記述が盛り込まれているところであります。まだ素案でありますけれども。  いずれにいたしましても、御指摘いただきながら、これからもしっかりと検討していきたいと考えております。
  23. 大塚耕平

    大塚耕平君 愛知大臣におかれては、是非これが決着するまでずっと在任していただいて頑張っていただきたいなと思いますが。  麻生大臣にお伺いしますが、新しい法律を作らないとすると、例えば、基金は補助金かどうかという観点から補助金適正化法を適用するという考え方もあるんですが、基金は補助金であるかどうか、そして補助金適正化法を適用する余地はあるのかということについて、私見で結構ですので、御見解を承りたいと思います。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは大塚先生よく御存じのとおりなんだと思いますが、その上で聞いておられると思います。  まず、基金について、財政法上の問題があるわけではないということだけははっきりしておかないと、いかにも財政法上に問題があるということはないということは、これはもういろいろな方が言われますけれども、これ財政法上別に問題があるわけじゃありませんからねと、財政法上は間違いなく。  問題は、適切な管理運営を行うという観点からの問題点なんだと思いますので、いろいろ様々な御意見をいただいておりますが、何が必要なのか、何ができるかということについては、これは少々多角的な検討をしないと、法律がいろいろ重なっておりますので、検討していかねばならぬところだと思っております。
  25. 大塚耕平

    大塚耕平君 基金についてはこの発言でもう終わりにしますけれども財政法上問題がないというふうにおっしゃられましたけれども、問題がないという意見もある。そして、問題がないという立場で今の政府・与党、我々ももちろん政権側だったときはそういう立場で物を言わざるを得ないんですよ。だって、予算案の中にそれを入れて国会に上程するわけですから。  ところが、あのときも申し上げましたけれども財政法上は最長五年までを認める継続費という制度はあります。しかし、それはあくまで例外であって、原則は単年度主義なんですよ。ところが、基金は五年超でやっているわけですよね。  だから、本来は財政法上瑕疵があるかもしれない仕組みを入れて提案をしているんですが、予算も法律ですから、国会で予算案が通れば、それによって法的根拠が付与されていると、こういう構造なんですよ。だから、提案の段階から問題ないという考え方もありますけれども考え方によっては、実は財政法上疑義のあるものが提出をされているんだけれども、最終的に国会を通っているので、過去に存在する既存の基金については法的根拠があると、こういう理屈なんですよね。  だから、入口のところで強行突破さえしてしまえば、あとは地下室にざっくり財源があるので、目が行き届かないと知らないうちに随分使い方がずさんになると、こういうことでありますので、是非御検討をよろしくお願いしたいと思います。  さて、次に自動車についてちょっとお伺いをしたいんですが、今年の通常国会では、予算成立前には自動車の税制について消費税引上げと絡んで随分話題になりました。そういう観点から、現状を再確認し、来年度の税制改正に向かっての議論を、言わばちょっとキックオフをさせていただきたいというつもりでございます。  まず、お手元の資料の二枚目に国内自動車販売台数の推移がお示しをしてありますが、これは自動車工業会の資料であります。消費税率引上げ、そして今年の四月からの自動車税制の一部変更に伴って、自動車の販売台数、とりわけ軽自動車についてどのような影響が出ているかということについて、まず簡単に経産省からお伺いしたいと思います。
  26. 高田修三

    政府参考人(高田修三君) 本年四月の消費税率引上げ後の自動車の新車販売台数は、対前年同月比で、四月は五・五%減、五月は一・二%減で推移しており、これまでのところ、一九九七年の消費税増税後と比較して落ち込み幅は小さくなっております。  他方、受注の動向としては、四月、五月は対前年同期比ベースで弱い動きが見られ、自動車業界からは先行きを不安視する声も聞いております。  経済産業省としましては、自動車産業地域経済で果たす役割の重要性を踏まえ、引き続き自動車の販売、受注動向を注視してまいりたいと考えます。
  27. 大塚耕平

    大塚耕平君 四月、五月の販売台数というのは、登録ベースで考えると年度末前に言わば約定まで行ったというものも含まれていると思いますが、今のお話ですと、その後の受注はかなり影響が出ているというふうに聞こえました。実際、私のところでも軽に至っては三割、四割の受注減だと聞いておりますが、そういう理解でよろしいですか。
  28. 高田修三

    政府参考人(高田修三君) 軽につきましては三割落ちているものもございます。また、車種によっても違っておりまして、新しくモデルチェンジなどした非常に人気が出ているようなものにつきましては売れ筋が出ているということもありますが、先ほど申し上げましたとおり、受注の動向としましては対前年同月比ベースで大体約二割ぐらい減っているというように伺っております。
  29. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣、御承知のような状況なんですよ。  それで、もう一つ、三枚目、実質実効為替レートの推移というグラフをお付けしておりますが、これもちょっと御覧いただきたいんですけれども、このグラフは日銀が作っておりまして、私も日銀時代にその作業の一部をやっておりましたので、この見方についてあえて御説明しませんが、上が円高、下が円安ですね。この丸とか三角は私が付けたんですけれども、結局、日本の景気はやはりある程度輸出に左右されているというのは、もうこれは否定できない事実であります。もちろん内需も大事なんですけれども。  ところが、例えばこの実線で付けた丸のところ、プラザ合意の頃と、ちょうど小泉さんの最後の局面で戦後最長の景気と言われた頃は、実は実質実効為替レートベースではほぼ同じ円安で、やはりその効果が出ていたわけですね。プラザ合意の頃と同じぐらいの円安ですから、それは景気良くなるに決まっています。  それから、その間の九二年とか九六年の頃、これ九二年はちょうどバブルの真っ最中ですね。そして、九六年はアジアバブルになるちょっと前ですけれども、これ、やはりこの点線のところもまあまあ景気が良かったわけですね。ところが、その八九年から九〇年にかけてのバブルの頃、そしてアジアバブルの頃とほぼ同じ水準に、大体そのリーマン・ショックの前後は、円高方向に行ったけれども水準としてはそういうところにいたわけですね。  ところが、その頃から、御承知のとおり、日本の貿易収支、さらには経常収支もちょっと兆候に変化が現れて、そして今やプラザ合意とそしてリーマン・ショック直前の頃よりも実質実効ベースでは更に円安になっているんですが、貿易収支、経常収支を含む国際収支の状況は、大臣もそして委員会の先生方も御承知のとおり、日本のやはり経済がもう構造的な変調を来していると。  さて、そういう中にあって、自動車産業にどういうふうに向き合うかというのが、来年度の税制改正や、あるいは、古川さんも成長戦略のことを触れていただいていましたが、成長戦略上の重要な検討ポイントだというふうに思います。つまり、何を申し上げたいかというと、この為替の方では、これは輸出競争力の問題ですから、自動車産業には輸出競争力を維持できるように是非頑張ってもらいたいと思うんですが、そのためにも、実は国内で基本的な企業の経営基盤が確保されることがまず大事なんですけれども、しかし、国内の販売台数はその前のグラフで御覧いただいたとおりの状況なわけであります。  そこで、自動車産業も、これから電気自動車だ、燃料電池自動車だ、あるいはガソリン車でもいろんな工夫をして、海外でも性能面でも価格面でも競争力を維持してもらわなきゃいけないんですが、国内で過重な負荷を課すことによって経営の基盤である国内の営業基盤を政府が邪魔をするようなことがあってはならないだろうなというふうに思っております。  そこで、消費税引上げを決めたあの例の平成二十四年の法律第六十八号の第七条の第一号のカにはこう書いてあるんですね。これは今年の前半、予算委員会の前半でも随分議論になったところですが、「自動車取得税及び自動車重量税については、国及び地方を通じた関連税制在り方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から、見直しを行う。」と。まあ、いかにも工夫して作られているんですが。  大臣、これは、総合的には最終的に自動車に増税をすることになるんですか、トータルで。それとも、減税を念頭に置いて自動車産業の国内基盤を守るということを目指しておられるんですか。財務大臣としてお伺いしたいと思います。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろな前提条件をざっと言っておられますけれども、まず、基本的に、日本の場合、貿易立国なんという話ではもうこの何十年間ありませんで、GDPに占める貿易の比率は一五%、大体そんなものですから、貿易立国と言われるドイツなんかの四〇%とか、韓国なんかの三十何%なんかと比べると全然違うと思っておりますので、依存率としては今年で多分一五、一六%ぐらいになっていると思っております。  その上で、自動車の場合ですけれども、今回は自動車の輸出が円が安くなったのに関して増えなかったではないかという説はよくありますけれども、それは、増やした場合は、アメリカにおいて日本車の占めるシェアがこれ以上大きくなるということはアメリカにおいて新たな貿易摩擦を生じかねないということを懸念すれば、価格はそのまま据え置いて日本の中における利益を拡大する。結果として、トヨタは今、お地元なんでしょうけど、トヨタは去年まで税金を払っておりませんから、それが今年からやっと払えるようになりましたということなので、そういった意味では税金を払っていかれるという形のところまで私どもは来たんだと思っております。  今、平成二十七年度の税制改正の中で、環境性能の割合を導入するとか、取得税を廃止する一方でというような話がいろいろ今二十七年度の税制改正で検討を予定されているところですけれども、いわゆる現行のエコカー減税の期限の到来は来年の四月だと思いますので、そのエコカー減税の基準の見直しを行うということにされておりまして、それに伴って税制改正というものも二十七年度に改正をすることになるんですが、基本的に自動車というものは物すごく大きく変わりますので、エンジンがなくなって電気に変わりますと、それだけで部品だけでどんと三分の一ぐらい減りますので、そういった意味では下請の業者が減る、当たり前の話ですけれども、そういった形になる。いろんな意味で、自動車の中の取り巻く環境というのは、自動車に使うエネルギーが水素に変わってみたり電気に変わってみたり、いろんなものに変わる段階でエンジン自体の構造も変わりますから、猛烈な勢いで自動車自体の内容が変わってきているという現状も踏まえた上で考えないといかぬ問題だと思っております。
  31. 大塚耕平

    大塚耕平君 最終的に第七条第一号のカが総合的に自動車増税するのか自動車減税するのかについては明言していただけなかったんですが、もちろんそれは検討中だということであります。  ただし、自動車産業は、雇用という意味でも、それから日本産業の基礎技術という意味においても、これを日本が守っていくかどうかというのは、百年先は分かりませんけれども、当面は非常に重要なポイントであるということを申し上げた上で、例えば、御認識いただきたいのは、自動車税は、各国を比較すると、これは自動車工業会の言い分ですけれども日本の自動車税はドイツの二・四倍、イギリスの一・四倍、フランスの六倍、アメリカの十四倍という重課税になっている中で、この自動車税については、与党の皆さんの、自民党さんと公明党さんの、今年度、平成二十六年度税制改正大綱でこういうふうに記載されております。平均使用年数を考慮した期間において、他に確保した安定的な財源を合わせて、地方財政への影響を及ぼさない規模を確保するものとすると、環境性能課税についてこう書いてあるんですけれども、この中にある、ちょっと今お手元に文がなくて恐縮ですが、これはただ与党の皆さん税制改正大綱ですから、他に確保した安定的な財源、これは自動車関連税制の中でそれを確保するということを念頭に置いた文章なのか、自動車関連税以外で他に確保した安定的な財源ということを意味しているのか、どちらでしょうか。
  32. 米田耕一郎

    政府参考人米田耕一郎君) ただいま大塚委員の方から読まれた文章のところはちょうど自動車税、地方税の部分でございますので、お答えをさせていただきます。  今のところの文章を少し読ませていただきますと、自動車税についてはという、平成二十五年度末で期限切れを迎えるグリーン化特例について、新たな重点化、拡充を行った上で二年間延長すると。後の文章で、自動車税についての文章でございます、その中で、環境性能課税というものを現行の自動車取得税のグリーン化機能を維持、強化する観点から導入をするということが述べられた上で、その環境性能課税の税収規模について、平均使用年数を考慮した期間において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさない規模を確保するものとすると、このような文脈の中でのものでございます。  私どもといたしましては、この他に確保した安定的な財源というのは、どこにも注釈が付いてはございませんけれども、全体といたしまして、やはり自動車税のこの議論というのは消費税を八%から一〇%へ引き上げる時点の議論でもございます。そういう意味で、消費税、国民皆様に負担をお願いをするという中で、自動車のところだけでこれを引き下げるというのも良いのかどうかといった点も当然あると思います。今回の消費税の引上げは、広く薄く福祉のための財源を国民に求めようと、そのような観点からのものだと理解しております。そういう意味では、この他に確保した安定的な財源というのは、まず自動車の関連の税制の中で見付けてくるというのが我々に課せられた義務だというふうに思っております。
  33. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣、今の答弁、聞かれましたか。二つ問題があります。一つは、与党の税制改正大綱について僕は伺ったんです。だから、やっぱりこれは自民党の大臣であられる麻生大臣にお答えいただきたかったですし、やっぱりこの問題を総務省に振ると今のような答弁になるんです。つまり、これは総務省の所管だから、総務省の中で処理するためには、片方で自動車に関して負担の軽減するけど、自分たちの中で工夫をして結局自動車に対する重課税は変えないということになるわけで、そういう観点でお伺いをしたわけではなくて、短い時間ではありますが前半で申し上げたように、自動車産業をどうするんだというふうにもしお考えになられて、これが国としてまだしばらくの間守っていかなければならない重要な基幹産業だと思えば、他の財源というのは、自動車関連税制の中でずっと処理していたら、自動車に対する重課税の状況は変わらないということです。ということは、競争力も落ちてきて、国内の販売台数も減ってきているこの自動車産業に対して、政府は何も工夫をしないということになっちゃうわけですね。  だから、総務省としては真面目にお答えいただいたのでそれはそれで受け入れますけれども、今のとおりですから、来年度の税制改正の御議論の中でも、まず総務省の中で考えて持ってこいよと言っていたら、これは自動車産業税制面から置かれている状況には何の変わりもない。むしろ、コンペティターが世界に増えてきている中で何やらむしろ突き放しているような、こういう感じになると思いますので、是非、あえて僕はだから財務省にお伺いしたいというふうに昨日もお願いしたら、いやこれは総務省ですからといって総務省の方に入っていただいたわけですが、そういう御検討のロジックで対応していると来年度の結果も目に見えているなというふうに思いますので、引き続き我々もしっかり議論をしたいと思います。  もう時間も限られておりますので、税制についてもう一点だけお伺いしますけれども、当然、さっき成長戦略企業の自助努力だというふうにおっしゃっておられました。自動車産業も、そうすると、新しい製品、それから、これからメジャーになっていくかもしれない分野に日本が後れを取らないようにしていかなくてはいけない。  そういう意味でいうと、例えば電気自動車はもう大分普及し始めていますけれども、燃料電池自動車は二〇一五年から市場投入される予定で、今、燃料ステーションも整備が進んでいるわけでありますが、そうすると、EV、PHVあるいはFCVについては相当優遇する。つまり、政府としても、そこに重課税をして何か邪魔をするような検討は与党においても政府においてもしないというふうに理解してよろしいですか。
  34. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) どの企業を育てていくかというのは、はやらないから、一九八〇年代にあれはやめたという話を、野党の方々の御意見を採用して、あの当時は通産省からは産業政策はもう立案しない方向でいって、御存じのとおりにこれまで来た。しかし、今になってみたら、やっぱり産業政策は持った方がいいんじゃないかという話がこのデフレになってから出てきたというのが全体的な流れですよね。長いこといましたから、そんなことばっかりやらされましたので、よく分かりますよ。  だって、考えてみてくださいよ。昭和二十年代は、まだ生まれていないかもしらぬけど、二十年代は間違いなく石炭政策ですよ。それから、繊維、鉄鋼、造船、自動車、コンピューターと、これは全部産業政策を立案して成功したんですよ、間違いなく、日本政府として。当たり過ぎて、おまえら関税障壁だ非関税障壁だ、何だかんだ言われて、結果的に一九八〇年に通産省は産業政策を立案するというのを基本的にはやめて、格好よくやめたんだ。新聞はえらい勢いで褒めていましたよ。  しかし、結果的にはどうなったかといえば、それでもまだいったものですから、八五年にはいきなりプラザ合意をやられて、二百四十円から百二十円に円は暴騰したというのが経緯でしょう。それ以後も、ずっとしていなかったら、五年たったら、御存じのように株が三万九千八百円からいきなりどんと下がっていくことになりました。土地は二年ぐらい上がりましたけど、さらに九二年から土地も下がった。で、長いことデフレに悩むことになった。やっぱり、産業政策をきちんとやった方がいいんじゃないかという話になって、最近改めてまた出てきたというのが僕は流れなんだと思っていますよ、全体の。  そのときに、この自動車というものをどうするのかというときには、これまた政府が立案していいんですねという話はもう一回考えてもらわないかぬところだと、これは与野党で考えてもらわないかぬと。政府だけでやらせると、また政府だけでやってというようなことを言うネタにしかなりませんからね。だから、これ、みんなで考えないと、これは正直申し上げて、それが自動車なのか、電機なのか、ほかのものなのかというのをちょっと真剣に考えないと、何で日本が食っていくかということは考えていかなきゃならぬと私どももそう思いますので、これは真剣に考えておかねばならぬ大事な問題だと、私もそう思います。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 考え方の組立てについては全く一致をしましたので、是非よろしくお願いします。  安井さんの持ち時間に若干食い込んでいて大変恐縮なんですが、最後に一問だけ。資料の四枚目に、これも予算委員会でお示しをした公正取引委員会からいただいたデータを整理した、自動車関係のカルテル事件で米国で拘束をされている日本の自動車関係者の人数をお示ししております。こういうことも、もろもろの問題と無関係ではないと私は思っております。断言はしませんけれども。  今、集団的自衛権でいろんな議論がされておられて、日本人の命を守ると、それは当然のことでありますが、こういうことに関しても関心を持って対応をしないといけないと思って予算委員会でも取り上げたんですけれども、その後、余り動きもないようであります。更に事態は悪化しているというふうにも聞いております。  最後に、現状に変化があるかどうかということだけお伺いして質問を終わりにさせていただきたいと思います。公取に簡単にお願いいたします。
  36. 山田昭典

    政府参考人山田昭典君) 米国におきます自動車部品カルテル事件につきまして私どもが把握している限りでは、大塚委員がお示しの資料の後の状況を申し上げますと、十四名が起訴され、収監されたかどうかという点までは確認はしておりませんけれども、そのうち七名の方はいわゆる司法取引によりまして有罪の答弁を行っているというふうに承知しております。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 終わります。     ─────────────
  38. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として礒崎哲史君が選任されました。     ─────────────
  39. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。  今日は、二十分の質問時間の中で、できれば三分野についてお伺いしたいと思っております。  今、安倍総理がダボス会議やそれからG7などでも法人税の減税ということに対する非常に強い決意を表明していらっしゃいますので、これが今国民の関心を非常に呼んでいる最重要課題の一つだと思っておりますので、このことについてお伺いしたいと思っているんですけれども、この代替財源、恒久的な代替財源ということになりますと、まだこれが全然決まっていない話だと思いますので、何をお伺いしても基本的には禅問答のようになってしまうのかなと思いまして、あえてその話以外のことをしようと思っております。  ただ、今、大塚先生の質問を聞いておりまして、当初は中小企業にまで及ぶ外形標準課税についてお伺いしようと思っておったわけです。このことについて財務省の方と話をしていたときに、これはやはり総務省の話であると、地方の税の問題であって総務省の話であるからこれは麻生大臣には答えさせられないということで、さんざんこれもやり取りがありまして、今のは自動車産業の話でしたけれども、私はこの外形標準課税がもし拡大された場合には中小企業の持続可能性にも及ぶし、さらにベンチャーの芽を摘むことになりはしないかということで非常に心配しているものですから、このことについて是非麻生大臣のお考えも伺いたいと思っていたんですが、最初に申しましたように、今日はこの代替財源の話よりは、まずこの法人税減税の前提となります現在の法人税状況についてお伺いしたいと思っております。  甘利大臣も三〇%の大台を切ることに意味があると記者会見でおっしゃっているんですけれども、総論として、国際競争力を高めることや投資の拡大、賃金向上、雇用の維持に資するのであれば法人税率を軽減することについて異論はないのですけれども、そのためにはまず現在の企業の納税状況を正確に踏まえるのが大前提であります。それをもって国民の納得のいく制度設計の必要があると考えております。  資料を御覧いただきたいと思います。  資料の一ですけれども、これは政府税調資料でございます。業界トップ五社を見てみますと、法人税の実質負担率、これは税引き前利益に対する法人税の割合ですけれども、例えば機械・電気機械製造業では三・三%、輸送用機械製造業では五・五%、卸売業では四・九%と極めて低くなっております。これは、繰越欠損金控除や受取配当益金不算入、租特などによる減税措置を企業が十分に活用しているからであります。これでは法人税が高いことが国際競争力を阻害しているとは言えない、こういう前提が崩れるような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先生の御指摘になりました点に関して、一桁台ではないかということに関しましては、これはもうここに書いてある数字のとおりなので、これは上位五社の法人税負担の実績の分析だと理解をいたしておりますが、企業の実質的な税負担というものをよく見ていく必要があるんだということははっきりしておると思っております。  したがいまして、単に税負担を引き下げるというだけではなくて、稼ぐ力のある企業税負担というものはこれは軽減をさせていかないと、国際競争力という点があります。また、それをより広く課税を行うというのは、法人というものは、いわゆる設立されております法人のうち三〇%しか税金を払っておりません。残り七〇%は払っていない。しかし、その払っていない企業でも、道路は使い、何は使い、いろんな形でいろんなインフラを、税金を使って造られているインフラを使っているわけですから、それなりの応益負担を払っていただいてもおかしくはないんではないかということも考えられるところでありますので、我々としては、今後この税制在り方というものを、成長志向に向けたような方向で税制改正を変更していくという必要があるということには思っております。  また、立地競争というものを高めるということは、これは、企業競争力を高めるためには、やっぱり企業の中の法人税の構造改革と同時に、先ほど古川さんだったか、どなたかの御質問にありました、その企業の中の構造改革、いわゆるコーポレートガバナンスというものを強化していかないと、ちゃんと税金は下げたが、その下がった分だけ何に使ったのかといえば、たらたらまたため込んだでは何の意味もありませんので、いろんな形でこの問題は取り組んでいかなければならぬ問題を含んでいるんだと、そう思っております。
  41. 安井美沙子

    安井美沙子君 この実際の法人税の負担率というのが、これはトップ五社ではありますけれども、非常に低いという事実は余り知られていないと思います。このことが私はこの法人税減税の議論をする中で非常に問題だと思っています。どの企業がこれらの減税制度を使い幾ら納税したかというのは、もちろん守秘義務の問題もありまして、個社の情報は開示されていません。分かるのは、個別措置の適用概況一覧という資料がありますが、適用件数であるとか総額、それから業種別割合と、それから上位十社の適用額合計、これだけなんですね。それから、法人税関係特別措置別適用額という資料がありますが、これで各措置の適用額ベストテンの企業が、個社の名前は伏せてある、コードで表示されたものがあります。  こういったものしかない中でこの法人税の減税の議論をするということに限界があると、透明性が低過ぎるんではないかと思っているんですけれども、この情報開示の問題についてどのようにお考えでしょうか。
  42. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 個社ベースでの税負担実態を公表すべきではないかという問題意識だと思うんですが、申告納税制度の下で税務執行を円滑かつ適正に行うに当たり、これは納税者の信頼と協力を得るために税務職員には守秘義務が課されているところであります。そのため、個社ベースの税負担実態について公表することはできないということを改めて御理解いただきたいというふうに思います。
  43. 安井美沙子

    安井美沙子君 その範囲までは理解しております。  先ほどお示ししました資料ですけれども、これもかなり今までに比べると踏み込んだ情報開示だというふうには理解しておりますが、今回のこの法人税減税の議論をする上で、現在、企業がどのぐらいの法人税を納めているのか、その割合がどのぐらいなのかということは、これ以上に、個社とは言わなくても、もう少し綿密な分析結果を開示するべきだというふうに思っております。  次の資料を御覧いただきたいんですけれども企業の実質的な負担を考える場合には、法人税のみを考えるだけでなくて社会保険料も含めて考えなければならないと思うわけですが、この法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査というのを見ますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四か国との比較において、ここでは四つの業種が出ていますけれども、どの業種においても日本はほぼ中位に位置していると思います。  これを見る限り、日本国際競争力阻害要因は、日本企業負担が他国に比べて重いことだと政府がいかにも喧伝しているような向きがあるわけですけれども、こういうふうには思えないわけですけれども政府がそう主張されるからには、この資料にはない業界あるいは国を比較した上での発言をされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  44. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 先生御指摘をいただいたとおり、我が国の企業負担というのは必ずしも外国と比べて高いものとなっているわけではありません。御指摘のとおりだと思いますが、これは先ほど大臣が答弁していただいたんですけれども、繰り返しになって恐縮でありますけれども法人税については、単に企業の負担を軽減するだけが目的ではなくて、成長志向型の体系に変革をしていくことが重要だと考えております。日本立地競争力を強化するとともに、企業競争力を高めるためには、こうした法人税の構造改革とともに、コーポレートガバナンスの強化などを通じ、企業が収益力の向上に向けて積極的に取り組む環境をつくっていく必要があるものと考えております。その際、法人税のみならず、企業が直面する様々な負担、コストについてもよく見ていくことが重要と考えております。  いずれにいたしましても、法人税改革の具体的な内容は年末に向けてしっかりと議論をしていきたいと考えております。
  45. 安井美沙子

    安井美沙子君 答弁になってはおりませんし、そもそも副大臣には通告をしておりませんので、二回答弁されましたけど、これは約束違反だと思います。大臣の御見解をお伺いします。
  46. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもの話では副大臣が御答弁をさせていただくということになっておりましたのでそのとおりさせていただいたんですが、連絡の間にそごがあったのかもしれません。  繰り返しになろうと思いますが、少なくとも法人税について、これは、私どもとしては成長志向型の体系に変革していくというのは重要なんだと思っております。  加えて、今御指摘のあったように、日本に出てくる企業を見た場合、他国から見た日本の立地環境という資料がありますけれども、その資料を見ますと、日本における投資阻害要因、外資系企業の声という中で、いわゆる社会保障費の高いという点につきましては、法人税よりそちらの方が問題としている企業の方が多いというのは事実です。  したがって、こういったものを含めて我々としてはいろんなことを、企業を、成長産業というものを考えていくに当たってはこういった点も考えていかねばならぬというので、多くのことが、コミュニケーションは極めて難しいとか、立地確保が難しいとか、いろいろ条件がいっぱい出てきておりますけれども、そういった中で私どもとしては考えておかねばならぬところだと思っております。
  47. 安井美沙子

    安井美沙子君 いずれにしても、この社会保険料を含め企業負担というものを直視して、実際の負担率というものの情報をもっと開示して、国民的に正しい議論に導いていただきたいと思います。  恒久的な代替財源ということは今日はお聞きしないと言ったんですけれども一つ、今まで取るべきなのに見過ごしていた、目こぼれになっているものという意味一つだけ選んでお聞きしますけれども、インターネット課税です。  インターネットで音楽、書籍、ゲームなどのデジタルコンテンツをダウンロードしたり、インターネット広告、クラウドサービス、法務、コンサル等の役務の提供を受けることに対して、本邦居住者がこれらの役務を提供する場合に八%の消費税が課されるが、非居住者の場合には非課税となります。そのため、わざわざインターネットサーバーを海外に移したり、あるいは海外事業者で消費税が掛からないと宣伝して競争上優位になろうとしたりする事例があります。  これ、国内外の課税の公正化の観点から、国内外のインターネット役務提供者に消費税課税を課す必要があると、こう考えまして、我が党でも、我が党を中心に議員立法を提出させていただいておりますけれども、これ、代替財源、規模はともかく、必要だと思います。このことについて政府はどう対応されるおつもりでしょうか。  大臣、お願いします。(発言する者あり)
  48. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  49. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 速記を起こしてください。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御質問のあっておりました、国境を越えております、これ主にアマゾン・ドット・コムの話をしておられるんだと思いますが、ほかにもいろいろあって、アマゾン・ドット・コムに楽天が食われておるとか、そういった具体的な例というのは幾つもある話を前提にしてしゃべっておられる、でよろしいんですね。質問の意味がよく分かりかねますので、そういうことを聞いておられるんですね。  国境を越えたいわゆる役務の提供等に関する中で消費税の在り方につきましては、これは国際機関や欧州諸国において、これは今BEPS、ベース・エロージョン・プロフィット・シフティングという通称BEPSという問題とこの話は一緒になって今欧州のOECDなんかで特にこれやられているところなんですが、欧州機関や諸外国におきまして、この平成二十七年度の税制改正に向けて具体的な検討をするということにされております。  それに沿いまして、国内外の事業者の事務負担に与える影響、これは膨大な事務負担が掛かることになろうと思いますので、その納税事務は負わせることが適当であろうかどうかという点に関して、また適正な税務の執行の確保ということで、執行管轄権の及ばない国外のことに関してどうやってやるんだということに関して、適正な申告納税というものがきちんと作動しますかという点等々、これは幅広い観点から、昨年の秋以降だったと思いますが、あの政府税制調査会においてもいろいろ検討がされているところでして、四月でしたか、四月の初め頃に政府税制調査会において、これは事務方より具体的な対応案のたたき台というのを既にお示しをしております。したがいまして、今後更なる案の具体的な検討に向けて検討を行うことになろうと思っております。
  51. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございます。前向きな検討を期待しております。  次に、話題は変わりますが、貸金業法の規制緩和についてお伺いいたします。  自民党の税調で貸金業法の規制緩和が検討されているという話が出ております。いろいろなデータを見る限り、高金利規制、数量規制と相談窓口の拡充などの取組により成果は着実に現れていると思います。政府はこれらの取組をどう自己評価しているのでしょうか。また、規制緩和をする必要性についてどうお考えでしょうか。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この多重債務問題につきまして、これは具体的かつ抜本的な対策の一環として、平成十八年に上限金利の引下げ、総量規制の導入等々を内容とする貸金業法の改正が行われたのはもう御存じのとおりです。  したがいまして、多重債務の相談窓口を全国に設置すること等々につきまして、これは全会一致で決まった話ですが、その後の状況を見ますと、貸金業者から五件以上の借入れのある多重債務者の数は平成十九年三月末の百七十一万人から平成二十六年三月末の十七万人に減っておりますので、十分の一ぐらいに減少しておるということだろうと思います。これ内容は洗いませんとよく分かりませんから、これ単に数字を申し上げただけですから、これが同一人物かまた別の人物かというのはまた別の話です。  多重債務者として相応の効果があったものだと私どもは認識をしておりますので、したがって、政府として現時点で現行制度を見直すということは考えておりません。
  53. 安井美沙子

    安井美沙子君 それを聞いて安心いたしました。自民党のこれ公約になっているんですね、規制緩和の見直しというのが。この公約は実現しないと考えてよろしいのかと思って安心いたしました。ありがとうございました。  次に、消費税の軽減税率についてお伺いいたします。  平成二十六年度与党税制大綱でこれ税率一〇%時に導入するということが決定しており、今もこの検討が続いているわけですけれども、これ、平成二十四年の六月の消費税増税における逆進性対策として自民党、民主党、公明党の三党合意で決まったものなんですけれども、そのときは軽減税率と給付付き税額控除の両方を検討するということになっておりました。しかし、この給付付き税額控除については一向に聞こえてこないのですけれども、これの検討というのはどうなっているんでしょうか。また、そのための前提となるマイナンバー制度も二十八年一月から導入されることが決まっております。  この給付付き税額控除の検討状況、現時点での評価、特に軽減税率との比較においての評価を教えていただきたいと思います。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 給付付き税額控除と複数税率、まあ軽減税率とも言いますけれども、共に検討課題とされておりますのは御存じのとおりで、お尋ねの給付付き税額控除につきましては、昨年二月の自公民の三党合意において、低所得者については引き続き協議を行うということとされておりまして、三党合意の議論や、与党における軽減税率に関する検討の状況などを踏まえながら必要な検討を行ってまいりたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、昨年二月の三党合意において低所得者対策については引き続き協議を行うとされております。私自身が与党の議論に直接関与しているわけではありませんけれども、お尋ねの給付付き税額控除につきましてはこの合意にのっとって取り扱われるものだと承知をいたしております。
  55. 安井美沙子

    安井美沙子君 済みません、時間ですけれども、検討状況は分かりました。現時点でのこの評価、特に軽減税率との比較における評価について最後によろしくお願いします。
  56. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
  57. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 正確に今お答えするほどの資料を持っておりません。
  58. 安井美沙子

    安井美沙子君 通告してあるんです。  はい、結構です。
  59. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  先日、塚田委員長の下、新潟に視察に私も参加をさせていただきました。この際、やはり消費税の引上げの影響等について様々各方面からお話もお聞きできまして、大変有意義な視察でございました。御協力いただきました皆様に感謝申し上げたいと思います。  まず、私、一番目に、この消費税八%への引上げによるデフレ効果についてお聞きしたいと思います。  お手元にお配りをしましたのは、財務省が第四十一回法人企業景気予測調査としてこの平成二十六年四月から六月期調査を先般、今月の二日であろうかと思いますけれども、発表をされました。この件につきましてお聞きしたいと思います。  私が尊敬するある専門家の方からも御指摘をいただきまして、私も気付かなかった点でございましたけれども、この法人企業景気予測調査によりますと、表には貴社の景況ということ、あなたの会社の景況がどうなのかということを前回調査、現状判断、また今後の見通しということで調査をしておられます。そして、裏を見ていただきますと、会社、自社の景況ではなくて国内全般の景況がどうなのかということをそれぞれ同じ現状判断等が調査されているわけであります。  注目をいただきたいのは、この二十六年四月から六月の現状判断というところでございます。表の貴社の景況を見ますと、例えば大企業の全産業を見ていただきますとマイナス九・八という景況判断、すなわち下降している会社の方が多いというのが前回の調査でございました。六月二日に発表されました今回の調査、現状判断というのはマイナスの一四・六というふうに、すなわち景況感が、貴社の景況、あなたの会社の景況はどうですかと聞くと悪化をしているという調査結果になってございます。  大企業の全産業がそのような結果になって、では中堅、中小企業はどうなのかと申しますと、これも全産業で見たところ、中堅企業の全産業はマイナス一五・四からマイナス一九・五、また中小企業におきましてはマイナス一七・九からマイナス二一・五、すなわち大企業、中堅、中小にかかわらず現状判断というのは前回調査よりも悪化をしていると貴社の景況では言っておられます。  しかしながら、裏を見ていただきますと、国内の景況はどうかというふうに聞きますと、大企業、中堅、中小企業、いずれの全産業を見ましても前回調査とほとんど数字が変わっていないということが分かっていただけるのではないかというふうに思います。  つまり、貴社の景況、つまり自分の会社の景況がどうかと聞くと、やはり現状判断は悪化をしていると答えているにもかかわらず、国内の景況はどうかと聞くとほとんど変わらないと答えているということは、これはやはり、これは推測でありますけれども、明らかにマスメディアの影響を受けているんではないかというふうに思われるわけでございます。  今回、視察に行きましても、消費税増税による影響ということが想定内であるということが随分聞かれました。マスコミ等でもそうした報道がどちらかというと多いというふうに私も感じて、想定内で何とか推移しているんだろうなというふうに安心する部分も正直私自身はあったわけでありますけれども、実際にそれぞれの個社の、貴社ということでここではなっておりますけれども、自社の景況を見ますと実は足下で悪化をしているという、こういう声でございます。  是非、まず、大臣にはこの消費税の影響ということでお聞きをしたい。財務省が調べておられます法人企業景気予測調査、そうしたことを意図してこういう貴社の景況と国内の景況を分けて聞いているんではないとは思いますけれども、私の推測も含めまして、この数字の違いということについてどう見ておられるのか、大臣からお話をお聞きしたいと思います。
  60. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ今いただいた資料ですけれども、これ大企業のところを見ていただくと、西田先生、七—九は回復して一三・四、それが十月になったらマイナスですものね、下がっている。製造業、同じ、一六が一三。非製造業は一二が八と、みんな下がる。ところが、中小になると、今度は逆に九が一二に増える。どうしてですかね。私、資料の取り方というのは、これはかなり差がはっきり出ていますから、こういうのはなかなか、中堅企業中小企業ではこうなっているというのは、ちょっと今までの資料とは少し感じが違うなというのはこれ見た感じの正直な実感です。  いずれにしても、四—六の現状判断というのはこういった形になっておりますので、駆け込み需要の反動のある中にあって、これは当然のこととしてこれ下降ということになったんだと思っております。  ただ、七—九の見通しというのは、これは皆今申し上げましたように上がっておるのと下がっておるのといろいろなんですけれども、いずれも上昇に転じておりますので、十—十二の見通しも引き続き上昇ということになっておりますので、今後ともこういった企業の動向というのは注視をしていきたいとは思っておりますけれども、いずれにしても、今、四—六の部分がいろいろなところで出てきておりますけれども、四月に比べて五月はかなり回復してきた、数字が上がってきておるのはもうはっきりしてきておりますので、そういった意味では、この傾向が六月以降ずっとつながっていくと、七—九の回復が、四—六の落ち込みが浅い分だけ七—九の伸びも高くなる、ベースが高くなりますので、そういうことになるだろうなという期待はしております。
  61. 西田実仁

    ○西田実仁君 まさにこの見通しを見ますとそういうふうに私も思いますが、今お話し申し上げたように、現状判断が前回の調査したときよりも実際は、四—六の足下、よく言われる、想定内だからというやや楽観的な見通しがよく語られますけれども、必ずしもそうではないのかもしれないということにはやはり我々は注意をしなきゃならないというふうに思っておるわけであります。  そこで、次に、大きなテーマとして二つ目でありますが、消費税一〇%の再引上げによります待ち構えているデフレ効果につきましてお聞きをしたいと思います。  これも視察での話を御紹介申し上げます。  新潟縣信用組合におきましては独自の指標を調査されておられまして、小規模企業の景況感を調査をしているということのお話がございました。そこで理事長からコメントがございましたのは、小規模企業においては、デフレからの脱却あるいはプラス成長への確信というものがないと新規の設備投資は出てこないと。一昨年、安倍政権が誕生し、いわゆるアベノミクスへの期待感から、小規模企業の景況感は、現状よりも先行きの方がいいというのは大変珍しいそうであります。常に先行きに、ずっとデフレが続いてきたせいか、悲観的な景況感が調査として出ていたにもかかわらず、新しい政権が誕生して、それへの期待感ということから、昨年の九月までは、現状よりも先行きの方が良くなるんではないかということが結果として出てきたと。  しかし、昨年の十月以降、そうした景気マインドは低下していて、小規模企業においては、通常どおりというか、今までのデフレがずっと続いてきたときと同じように、現状よりも先行きに対して悲観をしているという結果になっているというお話がございました。また、北越銀行からも、この足下の四月から六月につきましては新規の投資案件が足踏み状態という報告もございました。資材の値上がりとかあるいは人手不足ということが原因ではないかという見立てもあったわけであります。  私がここで申し上げたいのは、いずれもデフレから脱却するという最優先の課題に対しましては、やはり景気の先行きに対する不安解消がいかに大事かということを物語っているのではないかというふうに思うわけであります。  しかし、来年、今法律上は消費税の再引上げということが決まっているわけでございますが、御判断を最終的には総理がされるということでありますけれども、こうした再引上げがあった場合の待ち構えているデフレ効果ということはやはりよく注意をしなければならないんだろうというふうに思うわけであります。  そこで、マクロの数値上、財政あるいは国民負担ということで分かっている範囲で申し上げますと、来年度、平成二十七年度におきましては、まず、今年度には消費税八%に引き上げましたけれども、しかし経過措置として平年度ベースとは異なる消費税収、すなわち差額があるというのは経過措置の部分だろうと思います。これが、マクロ経済的に見るとそれだけ民から官へ、民からお金を吸い上げると、消費税増税というのはそういうことになるわけでありますけれども、それの吸い上げる分がそれだけ減る、経過措置によって減っているということになろうかと思います。  その今年度の経過措置というのによる税収減というか、それがどのぐらいあるのか、副大臣にお聞きしたいと思います。
  62. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 単純な数字の部分もありますので、私からお許しをいただければお答えさせていただきたいと思います。  国民の負担増が幾らになるかという御質問だと思うんですけれども、消費税率八%への引上げに伴う反動減を乗り越え、早期に成長軌道に復帰するよう、五兆円規模の経済対策を策定し、その早期実施に努めているところであります。  このうち、例えば所得の低い方や子育て中の方の負担の影響を緩和するため、臨時福祉給付金、簡素な給付措置でありますけれども、これについては三千四百二十億円、子育て世帯に対する臨時特例給付金については千四百七十三億円などの予算面での対応をしており、これらの施策が国民負担増の緩和につながっているものと考えております。  一方で、平成二十七年度における国民負担への影響に係る対応について、今後でありますけれども、今後の予算編成、税制改正の議論において検討がなされていくことになるものと考えております。したがって、消費税率引上げに伴う措置が平成二十七年度に失効することにより幾らの国民負担増になるかというのを現在においてお答えすることはやはり困難だというふうに言わざるを得ません。
  63. 西田実仁

    ○西田実仁君 私の質問は、今年度の消費税収が、じゃ幾らに見込みを立てておられるのかという数値を教えてください。そして、本来、平年度ベースだとこのぐらいの消費税収が入るということ、その差額が幾らかということをお聞きしたかったわけであります。
  64. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっと正確なところじゃありませんが、平年度で約八兆円が今年度は五兆ぐらいだったと記憶しています。
  65. 西田実仁

    ○西田実仁君 私もそう認識しています。平年度だと八兆円ぐらいなのが今年度だと六兆円ぐらいですので、いわゆる二兆円分が、平年度ベースですと本来は八兆円入ってくるのが今年度は六兆円ということですから、二兆円分が、私が言うところの経過措置によって、本来入ってくるものが入ってきていないという、デフレ効果という意味ではその分だけデフレ効果になっていないという、こういうことを言いたかったわけであります。  そして、じゃ明年十月に消費税を再引上げ、一〇%にした場合、来年度は当然十月以降ですから半分、半年ということになるわけでありますが、その半年間の消費税の増収分というのはどのぐらいになるんでしょうか。これは数値の話であります。
  66. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 内閣府の数字なんですけれども、本年四月からの消費税率引上げ、五から八%によるマクロ経済全体で見た家計の負担増は六・三兆円と試算をされております。  仮にこの試算値を用いて来年十月に二%引き上げた場合に、半年間における家計の負担増をこれは機械的に計算しますと、二兆円程度、二・一兆円になるものと考えております。
  67. 西田実仁

    ○西田実仁君 二兆円ぐらいという話でございました。  今、与党では軽減税率の導入について制度設計を検討していると。軽減税率を導入すればそれだけ消費税収は減りますから、マクロ経済的にいえばお金を吸い上げないということになって、それが消費者の手元に残るということになるわけでありますが、取りあえずそれはまだ検討中ということでありますので、今の試算だというふうに思います。  そこで、私は、平成二十七年度、来年度は、今申し上げた消費税八%段階での経過措置がまずなくなるという、つまり、二兆円、経過措置で増収になっていなかった分は来年度は平年度ベースになりますよという意味で、二兆円はそのまま政府の方にお金が行きますよという話。それから、一〇%に再引上げした場合に、先ほど二兆円ぐらいじゃないか、半年分でという話でしたけれども、それも当然デフレ効果になります。さらに、平成二十五年度の補正予算五・五兆円、これはもう一巡するのは間違いありません。今年度で終わりです。つまり、五・五兆円分は財政支出が減るということ、これはマクロ的にいえばそういうことになってしまいます。  そして、平成二十八年度どうなるのかということになりますと、ここで更にデフレ効果で加わるのは、いわゆる復興の集中復興期間、これが五年間で二十五兆円というものがなくなる年が二十八年度ということになるわけであります。そして、消費税一〇%、来年再引上げしますと、再来年度はそれがフルに効いてくる。軽減税率等が導入されなければ、これだけで多分六兆円近い負担増になるんだろうというふうに思うわけであります。  つまり、こういうものを積み重ねてまいりますと、平成二十八年度には概算で十八兆円ぐらいのデフレ要因が待ち構えているということを、数字上はですね、数字上、もちろん税収は社会保障に使われるとか、いろいろ支出の分もありますから、そこもよく考えなきゃいけないんですけれども、数字上はそういうことになってしまいます。  そこで、こうした待ち構えるデフレ要因をどう克服するのかということが問題になるわけでありまして、中には消費税の一〇%への再引上げを先送りすべきではないかという論もあるんだろうというふうに思います。もちろん、これは総理が御判断することでございますけれども。ただ、そうなりますと、国債の信認あるいは株式や円安リスクということも予想されるでありましょう。社会保障の安定、充実、これも使える財源がなくなってしまうという問題もありましょう。  一方、一〇%への再引上げを急ぐと景気が失速してしまって、景気浮揚のために財政出動を、じゃ、しなきゃいけないとなりますと、今度はプライマリーバランスの赤字脱却がかえって一層困難になってしまう、将来見通しも不透明になると、日本売りが加速してしまうんじゃないか、こういう大変難しい問題が待ち構えているわけでありますが、こうしたジレンマということでしょうか、大臣として今のお考えを是非お聞かせいただきたいと思います。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) デフレ要因という言葉を使われて、西田先生としては、いわゆる将来の総需要というものの低下というものを懸念しておられるというように理解しているんですが、これは持続的な経済成長というのを維持していくためには、これは財政出動だけに頼っているというのはこれは明らかに限界がありますので、そういった意味では民需主導の経済に変えていかねばならぬということはもうはっきりした全体の流れだと存じます。  その上で、六月十六日の産業競争力会議に提出されております、日本再興戦略の素案というのが示されておりますけれども、これは生産性を向上させて稼ぐ力を強化していくこと、また成長の成果、賃金の上昇を含めまして、そういったものを国民の暮らしに反映させて経済の好循環を引き出していくことなどなどが重要なんだと思っておりますが、これらに関して、私の方からも、これは企業がそうなった場合は、その企業が持っておる金を外に出してもらう、設備投資に使ってもらうということを、一つの例に挙げれば、賃金でもいいです、配当でもいいです。間違いなく設備投資、それに先立ちます機械受注が一—三月ぶわっと伸びておりますけれども、それなりに伸びている割には、間違いなく言えることは、いわゆる金融機関の貸出しがそんなに伸びておりません。ということは、企業は、コーポレートガバナンスの立場からいえば、内部にためていた内部留保の金を設備投資に充てているというように言わないとちょっと数字が合わないというふうに、そうやって理解をしておるんですけれども。  いずれにしても、エクイティー等々民間資金を活用した中長期の成長資本というものを、これは供給促進というものを提案して、これらをどう、この案に盛り込まれることになっておりますが、これは議員の御指摘になりましたとおり、これは社会資本整備等々に民間資本を充てる、例えばPPPとかいろいろありますけれども、そういったものを適切に活用するというようなことも含めて、二〇一六年度までの三年間を集中強化期間としてこういった取組を続けるようにしていきたいということで、いずれにいたしましても、民需主導というものを主なものにしていかないと、基本的には今言われたような御懸念に対応するのは難しいということだと存じます。
  69. 西田実仁

    ○西田実仁君 まさにその成長戦略を通して経済のパイを拡大して、そしてコンセッション方式等による民間資本の活用ということもしていかないと、単に財政が負担増、今も私が申し上げた、積み上げれば数字上は十八兆円ぐらいのデフレ要因というのが待ち構えているわけでありますので、それにどう抗していくのかということが大変重要になるという御指摘、そのとおりだと思います。  今日は、わざわざお忙しい中、田中務官にはお越しをいただきまして、ありがとうございます。  その成長戦略一つでもありますが、特に非製造業の競争力強化に的を絞った国家戦略の策定ということについて、是非、現状考えておられることを御紹介いただければというふうに思います。  非製造業の全産業の付加価値に占める比率は、もう既に八割近い、七割を超えているというのが法人企業統計であります。また、非製造業の就業人口比率ももう八四%、昨年度ですが。新陳代謝も大変進んでおりまして、七つの業種、インターネットとか宅配とか介護、金融、情報通信、流通、学術、専門・技術サービス等では生産性の向上も始まっているということでありますので、こうした例えば今の七業種で生産性の向上に見合った賃上げがあるだけでも相当消費も押し上げられるだろうということであります。  しかし、全体としては、やはり非製造業の生産性をいかに上げるかということがないと、なかなか、もちろん製造業は大事なんですけれども、非製造業のこうした戦略産業群を早急に立ち上げていく必要性があるのではないかと、こう思いますが、現状でどのようにお考えか、御紹介をいただきたいと思います。
  70. 田中良生

    大臣政務官田中良生君) 今委員指摘のとおり、この非製造業の競争力強化、これを国家戦略に盛り込んでいくということはもう大変重要な課題であると考えております。  産業競争力の強化に当たっては、これまで大胆な投資減税ですとかあるいは産業競争力強化法等を措置いたしまして、民間投資の拡大、また産業の新陳代謝の促進など、製造業あるいは非製造業、これを問わずに業種横断的な取組を今まで進めてまいりました。それに併せて、医療分野ですとかあるいはエネルギー分野の非製造業分野を成長産業化するための制度改革、こうしたものも取り組んできたところでございます。  そして、現在検討中の成長戦略の改訂でありますが、これにおいても、サービス産業全体のまず生産性の向上のためのITですとかデータ、こうしたものを活用した革新的な経営の促進、あるいは産学が連携した実践的な人材育成プログラム、こうしたものを開発普及を取り組んでいくということ、またさらに、戦略的な成長分野として、例えば健康ですとか医療分野について、健康ですとかまた予防管理の促進ということにおいて、公的保険外のサービス産業化、これを活性化させていくということ等々、非製造業分野の産業競争力、また戦略市場創造のための施策を是非とも新たに盛り込んでいきたいと考えております。  まずは、成長戦略の改訂に向けた閣議決定に向けて、しっかりと最終取りまとめに向けて取り組んでいきたいと、そのように考えております。
  71. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  72. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  73. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  74. 川田龍平

    ○川田龍平君 日本維新の会・結いの党の川田龍平です。  今日は三つの項目について質問をさせていただきます。  まず初めに、汚染水対策ですが、六月二日、福島第一原発で地下水が流入するのを防ぐ凍土壁の建設が始まりました。研究開発の名目で三百二十億円もの国費が投入をされます。技術的に確立していないこの凍土壁よりも、私は高尾山などのトンネル工事でも使っているセメントミルクによる地下水の流入防止というものが確実ではないかと考えますが、なぜこういった工法を検討しなかったのでしょうか。
  75. 藤原正彦

    政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。  福島第一原発における地下水の流入を抑制するための対策につきましては、有識者で構成される汚染水処理対策委員会において、昨年の四月から幾つかの方法について議論をしてまいりました。  具体的には、凍土遮水壁、粘土遮水壁、さらには深い溝を掘って地下水をくみ上げて地下水を遮るといった方法について、遮水の効果、それから施工性、工期、費用、ほかの発電所の中で行っている工事への影響などの評価を行って、どの方法が適切かを議論いたしました。  その結果、凍土遮水壁につきましては、ほかの方法に比べて水を遮る遮水効果が高い、工事に使用する重機が小型であるために発電所の建屋の近くで重機を設置をするのに有利である、工期が短い、それから壁を造るエリアが最も小さくなって雨水の影響が少ない、またほかの工事への影響が最も少ないと、そういった理由があることから、昨年五月の汚染水処理対策委員会において、遮水効果、施工性等に優れる凍土方式が適切という結果をまとめたものでございます。  現在実施されております凍土遮水壁の設置につきましては、地下水対策として極めて重要であると考えておりまして、経済産業省、資源エネルギー庁といたしましても、東京電力が進める凍土遮水壁の設置作業についてしっかりと進捗状況を確認するとともに、本年度中の凍結開始を目指して適切に指導をしてまいりたいと考えております。
  76. 川田龍平

    ○川田龍平君 この工法については、まだ規制委員会の許可が全面的には下りていません。多額の国費、税金を投入するこの凍土壁の建設に当たって、なぜ見切り発車をしてしまったのでしょうか。
  77. 藤原正彦

    政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。  福島第一原発の廃炉・汚染水対策の中で、凍土遮水壁につきましては、その規模の大きさあるいは凍結をする期間という点においてなかなか困難性が高いということで、これは国費をもって支援をしているところでございます。  現在、着工そのものについては、規制委員会の方でも特段の異論はなく議論がされていることも踏まえまして、ともかく一刻も早く汚染水の増加を止める、地下水の流入を抑制するということが大事であるという観点に鑑み、着工がされたものでございます。
  78. 川田龍平

    ○川田龍平君 汚染水タンクからの水漏れというのも昨年来ずっと相次いでおりますが、同じく六月二日には、原子力規制庁のパトロールによって雨水のノッチタンクというところからの漏えいが発見されました。これは汚染水タンクに降り注いだ雨水を一時的にためておく仮設タンクですが、昨年三百トンの漏れた汚染水が混じったことで、このタンクの水までもがストロンチウム90の濃度が高くなっています。  この雨水のノッチタンクには現在約四千トンの汚染された雨水が保管されていますが、いつまでにこの水の処理は終えるつもりでしょうか、見通しをお示しください。
  79. 藤原正彦

    政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。  委員指摘のノッチタンクで貯留をしております雨水につきましては、雨水の処理設備を用いた浄化処理を行いまして、原子力規制庁に認められた暫定排出基準以下の放射線レベルになった水を福島第一原発の敷地の中に散水するという取組を五月の二十一日から開始をしております。  これでノッチタンク内の水の浄化処理、散水を行っているところでございますが、どのぐらい期間が掛かるのかという御質問につきましては、これから降る雨がどのぐらいあるのかということや、散水箇所がどのぐらい確保できるのかといった点によって変動し得るところでございますが、数か月程度を要する見通しでございます。  散水箇所を増加させることなどによって、雨の増加に備えてできる限り早急に処理を進めるように東京電力を指導してまいりたいと考えております。
  80. 川田龍平

    ○川田龍平君 また、地下水のバイパス計画というのもありますけれども、これは一時貯水タンクから海に流す前にセシウムや全ベータ、ストロンチウム90などやトリチウムの測定をしてから流しているとのことですが、その水源となっている十二本の井戸のうちの一本は基準値をもう既に超えているということです。なぜこの基準値超えの井戸からもくみ上げ続けるのでしょうか。なぜでしょうか。
  81. 藤原正彦

    政府参考人(藤原正彦君) 御指摘のとおり、地下水バイパス用の井戸十二本あるうちの一つから運用目標以上のトリチウムが検出されていると承知をしているところでございます。  これを踏まえて、その井戸からのくみ上げを先月一旦停止をして、水質の傾向の監視を強化いたしました。その結果、値の上昇が続くことによって一時貯水タンク全体への影響がないということを確認した上で、井戸のくみ上げを再開しております。  十二本の井戸からくみ上げた水を合わせて排出する地下水は運用の目標を十分下回っているものでございますが、水質の監視等の適切な対応を引き続き取っていくように私どもからも東京電力に指導してまいりたいと考えております。
  82. 川田龍平

    ○川田龍平君 この決めた基準値を超えても、十二本まとめて貯水タンクで、この段階で計るということは、汚染された地下水が混ざって結局薄まっているということでこれを放出しているわけですが、これ批判されても仕方がないと思います。  地下水の流れは大変複雑でして、全て山側から海側へ流れているわけではありません。この地域の地下水の流れを完全に把握していないのであれば、この敷地の下を流れる地下水がほかの土地を流れることで将来的に土地を広く汚染する、飲料水や農業水なども汚染してしまう可能性も否定できないのではないかと考えています。  結局、この汚染水対策というのはまだめどが立っておらず、多額の国費をここに、東電ではなく国費を投入することによって今処理することになっておりますが、こういうやり方を続けていきますとモラルハザードが起きるんじゃないでしょうか。特に、万一ほかの企業が同じような原発事故を起こした場合に、また国がいつまでも面倒を見るということになっていくのでしょうか。国有化をすればかえって東電が救済されてしまうという意見もありますが、株主や金融機関に徹底的に責任を求めずに、取らせずに、この原因企業に多額の国費を投入し続けるというのはやはり国民としては納得いかないのではないでしょうか、いかがでしょうか。
  83. 藤原正彦

    政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ありましたとおり、技術開発について国費を投入しているのは事実でございます。他方、その原子力発電所の廃炉は誰の責任で行うのかということに関しましては、これは原子炉を造った事業者、今回の事故でいえば東京電力であるという原則は何ら変えておりません。私どもが国費を投入しておりますのは、世界でも前例のない困難な事業を行うに当たり、関連する技術開発のうち、技術的な難易度が高く、国が前面に立って行うことが必要であるものに関して予算措置を講じているところでございます。したがいまして、昨年十二月の福島の復興に関する閣議決定の中でも、政府として廃炉や汚染水対策などの事故収束は東電が責任を持って取り組むことが基本であるというふうに私ども考えを明確にしているところでございます。  東京電力が現在廃炉を始めとする事故の収束対策を行っているところでありますが、今年の一月に認定をされた新・総合特別事業計画において、株主に対しては無配当の状態を継続すること、ホールディングカンパニー制への移行を了承すること、原子力損害賠償支援機構が保有している東京電力の株式が売却された際に、株式の一層の希釈化がされることを容認することなどの形で協力を取り付けております。また、金融機関に対しましては、電力システム改革の流れの中で、子会社が連帯債務を負うことなく、東電が分社化等の取組ができること、主要行を中心に一般担保が付されている私募債方式についてできるだけ早期に見直していくことなどの面で協力を取り付けることとしておりまして、株主、金融機関にも協力を求めながら、現在廃炉を取り進めているところでございます。  仮に、ほかで事故が起きた場合について御質問がございましたが、冒頭申し上げたとおり、事故を起こした、起こさないにかかわらず、原子力発電所の廃炉というのは基本的に事業者が責任を持って行うというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、この考え方は今後ほかの原子力発電所で廃炉を行っていく場合にも同様に取られていくものと考えております。
  84. 川田龍平

    ○川田龍平君 東京電力の役員報酬であったり賃上げだったり、本当にこういったことが行われている中で、国費がこれだけ大量に投入されているということはやっぱり国民としては納得いかない点もあるということを申し上げておきます。  次の質問に入りますが、国際連帯税についてですが、去る五月五日に日仏首脳会議が行われた後にオランド大統領主催の晩さん会がエリゼ宮で開催されましたが、その冒頭で大統領が、航空券税について安倍総理に関心を持っていただけていることに感謝するとスピーチしたと伝え聞いております。大統領が航空券税と言ったのは事実でしょうか。
  85. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  川田先生御指摘のオランド大統領の発言でございますけれども、五月五日の安倍総理大臣歓迎晩さん会の乾杯の挨拶におきまして、同大統領は安倍総理が航空券連帯税に関心を寄せていることに感謝する旨発言したと承知しています。
  86. 川田龍平

    ○川田龍平君 同時に発表された日仏共同プレスリリースを読むと、革新的資金調達の重要性について一致し、日本国における国際連帯税に関する検討を歓迎したとあります。これは六月十一日に国会内で開かれた国際連帯税創設を求める議連の勉強会でも、フランスのマセ駐日大使が、昨年、大統領が十月に安倍総理に親書を送っていることも明らかにし、安倍総理への大きな期待感を示しました。  大統領のスピーチや共同プレスリリースにも言及された航空券税について、安倍総理はオランド大統領にいつ、どのような内容の返事をしたのでしょうか。
  87. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  航空券連帯税に触れましたオランド大統領からの書簡に関しまして、これは本年の三月二十四日のハーグでの日仏首脳会談におきまして、安倍総理から書簡に対する感謝を述べるとともに、日本として、課題も多くあるが、引き続き検討していきたいという趣旨の御発言をされております。  それから、安倍総理が五月に訪仏した際の、その訪仏に関するオランド大統領への礼状におきましても、これまでオランド大統領からいただいた親書についても忘れていないという旨触れた返書をお返ししております。
  88. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、この国際連帯税、とりわけ航空券税についての検討というのはこれ半ば国際公約になっていると思います。五月の当委員会において財務大臣は、別件に関してでしたが、今年は例年より早く税制議論が始まっていると歓迎するような答弁をいたしましたが、この国際公約について、いつまでも関係省庁の押し付け合いの状態で進まないということではなく、是非官邸のイニシアチブを国交省などに指示を出して実質的な検討に入るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  89. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) ミレニアム開発目標、MDGの達成など、世界の開発需要に対応するためには、やはり幅広い開発資金の調達というのが必要になってくるというふうに思います。国際連帯税を含む革新的資金調達についても、国際的な議論を推進することが非常に重要だと認識しています。具体的などういう資金調達メカニズムにするかについては、各国がそれぞれ可能な形で選択肢を検討していくことが必要だと考えます。  国際連帯税については、もう既に平成二十四年に成立をしております税制抜本改革法において、国際的な取組の進展を踏まえつつ検討することと、こう記載をされているわけでありますから、そのことも踏まえて、我が国としては、課題もたくさんありますけれども、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
  90. 川田龍平

    ○川田龍平君 今朝、衛藤征士郎会長、超党派議連の会長をされていて、税調副会長を務めておりますが、衛藤さんからもこの航空券税に絞って八月にも税制改正要望を提出することになったということで、官邸としてもこの問題に一層関心を持って是非取り組んでいただきたいと思います。  前回の質疑では、国交省に、導入している国での観光客や飛行機利用客数への悪影響があるかと。調査をしていないということで答弁をされていましたけれども、それでは航空業界の導入反対の要望を丸のみしているだけになってしまうのではないでしょうか。何度も言いますけれども、フランスでも韓国でも導入国ではそのような悪影響はないと聞いています。そういったことをフランスの大使も強調していましたけれども、業界の要望に根拠や合理性があるのか、国交省として精査をするべきではないでしょうか。
  91. 甲斐正彰

    政府参考人(甲斐正彰君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、航空券連帯税につきましては、我が国航空業界からは導入に反対する要望が出されているところであります。その主な理由は、課税に関します受益と負担の関係が不明確であること。それから、我が国の航空企業国際競争力強化あるいは地方航空路線維持のために、今、着陸料等公租公課の引下げを順次行っているところでございます、その取組に逆行するということ。それから、観光立国の実現、広い意味ではその取組にも逆行するという理由でございます。  航空券連帯税の影響につきましては、現在、我が国では、先ほど、要望にありますように、着陸料を引き下げております。これを旅客一人当たりに置き直してみますと、国内線で旅客一人当たり約四百円、国際線で旅客一人当たり約六百円の引下げを行っているところであります。既に導入済みのフランスの例ですが、航空券連帯税は国内線で一・一三ユーロ、約百五十八円、国際線で四・五一ユーロ、約六百三十一円が課税されておりますので、仮にフランス並みの課税を掛けたと仮定しますと、我が国では国内線では四割程度、国際線では全ての着陸料の引下げの効果が減殺あるいは失われることになると考えております。  また、昨今、円安による燃油費の増加を踏まえまして航空各社が今運賃値上げを実施している中で、航空券に対して新たな課税が掛けられることになりますれば、消費者の消費意欲にも少なからず影響があるものと考えております。  いずれにせよ、航空券連帯税につきましては、米、英、独といった欧米主要国がまだ未導入ということでありますし、全体でもまだ十一か国にとどまっておりますので、今後の各国の動向には注視して、導入の動きなどにつきまして、そういうことがあれば情報を把握するよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  92. 川田龍平

    ○川田龍平君 この航空券連帯税は、特に飛行機を使う人が三百円、四百円の額でもって行くのをやめようということになるかというと、そうではないと思うんですね。やはり、今、この航空券連帯税、特にUNITAIDなどの必要な医薬品、特にエイズ、結核、マラリアなど、そういった医薬品に必要な、今もう時間がないわけですね。これをいつまでもこういったずるずると議論している場合ではなく、やはりこういった、今、ODAの予算も減らされていく中で、なかなか予算が厳しい中で、新たな財源としてしっかりこういった航空券税をやっぱり是非検討していただきたいと思います。  特に外務省にお願いしたいところがあるんですが、今年の政府税制改正大綱には是非航空券税というものを明記していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  先ほど官房副長官から答弁いただきましたように、一昨年の税制抜本改革法におきまして国際連帯税については検討していくということがうたわれておりますので、外務省としても検討してまいりたいというふうに考えております。
  94. 川田龍平

    ○川田龍平君 次に、金融取引税についても質問いたします。  五月六日、欧州十か国が遅くとも二〇一六年一月一日までに金融取引税を導入するということを合意しました。前回の質疑麻生大臣からは、金融商品というのは次々と新しいものが出てくるので、そういった意味で取引自体がすぐ海外にシフトしてしまうので、よほどきちんとやらないと難しいということを答弁されていました。しかしながら、三つの国でも、実は一昨年の八月に金融取引税を導入したフランスや、昨年三月、フランスに似た金融取引税を導入したイタリア、さらには金融取引税の一種と言える印紙税を五十年前から導入しているイギリスなど、いずれの国からもこの株取引を行う金融機関が海外にシフトしたとは聞いたことがないんですが、いかがでしょうか。  是非これは大臣にもお聞きしたいんですけれども、海外へのシフトが起きるということを考えているのかどうか。それから、大臣、事務方がこのシフトが起きたことは確認できなかったと言っていましたけれども、是非大臣にこの国際連帯税また航空券税について一言いただきたいと思います。
  95. 三井秀範

    政府参考人(三井秀範君) 欧州におきまして、イタリア、フランスなどにおきまして、今年の欧州十か国の五月六日の共同のステートメントを受けまして議論が進んでいること、それからイギリス、フランスなどにおいてその金融取引税があるということについて私どもも強い関心を持って注視しているところでございます。  一般的には、金融取引はボーダーレスに国境を越えて行われるということから、新たな課税などによって取引コストが増えますと国外への取引シフトが生じやすい特徴を持っていると、こういうふうに言われてございます。もっとも、グローバルな金融市場におけるこの取引のシフトというのは、市場自体の価格形成や取引状況が様々な要因によって起こり得るため、具体的に、フランスが金融取引税を導入した平成二十四年八月の時点、イタリアですと平成二十五年三月の時点、イギリスですとかなり古い時期になるかと存じますが、それぞれの時点でどのような原因で取引が増えたか減ったかというのを特定するのはなかなか困難ではないかと思います。  とりわけこの平成二十四年、二十五年という時点では、欧州債務危機やアメリカの債務上限問題などがありまして、市場が非常に不安定な状況にあった中で、ECB、欧州中央銀行が国債の買入れプログラムを二〇一二年の九月に公表したり、あるいはアメリカの連邦公開市場委員会が量的緩和の第三弾を二〇一二年の九月にちょうど公表した時期などと相前後していまして、一部のマーケット関係者の指摘によりますと、こういった政策などを受けて市場が活発になった時期と重なるということから、なかなかその金融取引税、この一つの要因がこれらのマーケット全体にどのような影響を及ぼしたのかは必ずしも分析し難いところがあろうかということを御理解賜れば有り難いと思います。
  96. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、最後になりますが、成長戦略の目玉として公的年金の資金運用の見直しが挙げられています。年金資金の株式運用比率を高めるとのことですが、基礎年金のリスクが拡大することについて非常に懸念をしております。  政府の有識者会議報告では、海外でも株式運用をしているという国があるとのことですが、そのいずれもが上乗せ部分、二階部分の年金の積立金の運用であって、全国民の最低保障機能を担う基礎年金のための積立金ではありません。日本の場合は、もし運用実績が長期にわたって悪い場合は将来の基礎年金の水準に影響があるのではないでしょうか。
  97. 藤井康弘

    政府参考人(藤井康弘君) お答え申し上げます。  現行の年金制度におきましては、将来の保険料を固定した上で、その固定された財源の範囲内で長期的な給付と負担の均衡を図るという仕組みになってございまして、将来に向けて給付水準を自動的に調整するような仕組みとなってございます。  したがいまして、運用利回りなど短期的な実績が直ちに給付水準に影響を与えるというものではございませんけれども、長期的な平均値が高いか低いかによりまして将来の給付水準が相応の影響を受けるということは考えられるところでございます。  そうしたことも併せ考えましても、やはり年金積立金の運用は専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に行うことということが重要だと考えておりまして、資金運用に関し一般的に認められております専門的な知見に基づきまして、GPIFにおいて年金財政上必要な利回りを最小限のリスクで確保するように運用しているところでございます。
  98. 川田龍平

    ○川田龍平君 そもそも今回の話というのは成長戦略の目玉として盛り込まれており、基礎年金を犠牲にしてまで経済成長のための株価引上げを狙ったものとの批判を免れません。是非、国会は間もなく閉会をしますが、全国民の虎の子の資金を、これは十分な国会での議論もなく有識者の論議だけでリスクの高い投資に回すということをまた政府・与党が国会が開かれない中で次々に決めていくという、そういう拙速な判断をせずに、是非この秋の臨時国会でしっかり議論する場、それから閉会中の審査も含めて、長い長期の休みに入るのではなくしっかり議論する場を持っていただきたいということを要望して、最後に大臣、一言お願いいたします。
  99. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じなんだと思いますけれども、この年金積立ての管理運用の目的は何です、目的は何かとはっきりして法律に書いてありますので、専ら被保険者の利益のために行うものということになっております、事実。それが法律に書いてありますので、それが大事なので、もうける、もうからないより、被保険者のためにやる、もうけるためも。三年前まで赤字ですからね、何内閣かは別にして。赤字だったんですから、一兆五千億かなんか、六か月間で、この十五か月で二十四兆円ぐらい黒になっていると思いますけれども。これはすごく大きいですよ、赤字になるか黒字になるかって。そこのところをよく考えていただかないかぬのだと思っておりますけれども。  株価維持を目的とするものではなくて、この利益がきちんと確保されて、よって被保険者のこれに資するというところが一番肝腎なんだということを、えらく引っかかったような言い方で質問されますけれども、そこのところは勘違いされていただいては困るので、この法律に書いてあるとおりに私どもはきちんとやらせていただいていると思っておりますので、長期的な健全性の確保というのは当然のことだと思っております。
  100. 井上義行

    井上義行君 みんなの党の井上義行でございます。  今日は、財政状況の厳しい状況の中で、今まで社会保障の問題を議論してきました。今、その社会保障に代わる、もっとそれに匹敵する案件があるインフラの老朽化について今日議論をさせていただきたいというふうに思います。  その前に、前回、内閣に対する警告決議が行われたわけでございますけれども、その指摘が二十三年度においては四百九十一件、指摘金額も五千二百九十六億円と過去二番目、二十四年度の指摘金額も四千九百七億円と非常に多額になっているわけですね。また、その中に、ODAの不正資金やあるいは大学、研究の不正経理、あるいは厚生労働省の業務委託の企画競争の不適切な手続とか、あるいは独立行政法人の入札談合とか、様々ないろんな指摘をされたわけですけれども、今回の内閣に対する警告決議を踏まえて、来年度予算に反映するために麻生大臣はどのように指示をされたのか、あるいはその目標はいかなるものなのか、教えていただけますでしょうか。
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 六月十一日の参議院の本会議において、平成二十三年度及び二十四年度の決算に関して内閣に対して七本の警告決議というのが出されております。  これを受けまして、これは正確には参議院議長から内閣総理大臣内閣総理大臣から官房長官、官房長官から財務大臣と、私の方から各大臣と、こういった流れになるんですが、私の方から各大臣に対して、本議決を十分に尊重し、その警告事項に対して今後の事務事業に当たり速やかに是正改善を行うとともに、今後の予算執行、予算要求に適切に反映させるなどの万全を期すよう各大臣に指示をしたところであります。  また、国会における決算審議などの結果は次年度以降の予算に反映させていくというのは極めて重要なことでして、予算の効率化ひいては財政健全化の観点からも極めて重要だと思っておりますので、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
  102. 井上義行

    井上義行君 是非、この参議院の決議を踏まえて、限られた貴重な予算を有効に使っていただきたいというふうに思っております。  次に、インフラ老朽化対策についてお伺いしたいと思いますが、これ、私が生まれたのがちょうどオリンピックの前の年でございまして、それからもう五十年たちました。その頃、高度成長期で、次々高速道路やいろんな整備がされたんですが、それが徐々に老朽化して耐用年数が近づいてきているということがございまして、例えば、今後二十年で建設後五十年以上になる道路や橋が全体のその割合の、現在の一六%から六五%、これは非常に極めて高い数字だと思うんですが、こうした高齢化が進む中で、今後十年後に全国の橋、道路、ダム、公共建築物などの耐用年数はどのぐらいになるんでしょうか。
  103. 清水亨

    政府参考人(清水亨君) お答え申し上げます。  先ほど耐用年数というお話がございましたが、これは物の使われ方によっていろいろ変動しますので、建設後五十年以上経過した施設数の割合でお答えしたいと思います。  国土交通省が所管しており、建設年度が判明している施設数で整理いたしますと、長さ二メートル以上の道路橋は約四十万橋ございますが、建設後五十年以上経過する施設の割合は、平成二十五年三月時点で一八%であったものが十年後には四三%になると推定されます。  また、同様に、ダムや堰など約二万三千あります河川管理施設につきましては、現在の六%が十年後には二〇%に、二百十七万戸ございます公営住宅につきましては、現在の三%が十年後には三〇%になるというふうに推定されております。
  104. 井上義行

    井上義行君 耐用年数が来る建物、あるいは道路、公共物が非常に多いということが数字上でもよく分かると思います。  そして、もう一つ、建物を建てる、あるいは道路を建てる、そのときの建設材料の高騰というものがあるんですね。この高騰というのは、例えばバブルで、ちょうど六十一年から平成三年の単価を今現在と比べますと、例えば平成元年では一平米当たり四十四万だったのが、今現在、平成二十四年で四十五万です。つまり、ほとんどバブルと同じような建設コストが掛かっているということですね。  そして、H形鋼材、これが平成二年、バブル絶頂のときに、一トンにつき七万三千円だったのが、平成二十六年五月ですと一トンにつき八万三千円なんですね。今の方が高いんですね。そして、建設業の労働者一人当たりの月間給与でいいますと、平成二年が三十三万九千円、平成二十四年が三十六万五千円なんですね。こうしてバブルのときよりも今現在の方が非常にコストが高い。このことに対して、どういうような、老朽化したインフラの維持管理等に関し、現在の資材高騰、そして労働費用の高騰に対する抜本的な対策はどう考えているのかを、麻生大臣、お願いいたします。
  105. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公共事業の円滑な施工というのを確保するために、これは国土交通省等において、資材に限らず人材の状況等々も注視して機動的な対策を講じているものと承知しておりますが、具体的には、建設資材については需要と供給の適切なバランスの確保というのを目指さないと、これは地域ごとに違っていますので、一概に、小田原と飯塚じゃ全く違いますからね、そこのところを一律にやろうなんて言ったってうまくいかないんですから。そういったところもきちんと各地方建設局が把握して情報共有を進めておるところでもありますでしょうし、また労働者の人件費につきましても、これは昨年の四月と本年の二月の労務単価を引き上げたのは御存じのとおりです。そういった意味で、本年二月にたしか七・一%だったと思いますが、引き上げさせていただいております。  また資材費、また労務単価の上昇に対応するため、これは工事契約額が、これ成立しないという状態にもなってきておりますので、スライド条項の活用等々を進めていろいろやっておるんですけれども、いずれにしても、こうした対策を通じて、今後とも公共事業というものが、いわゆる入札不成立とかいうような形で工事が全く進まない、補強も進まない、補修も直らないというようなことになりますと、これは大きな問題を残すと思いますので、施工の確保というものはきちんとやっていくように配慮せねばならぬと思っております。
  106. 井上義行

    井上義行君 まさに今大臣がおっしゃったとおり、いわゆる今この時期に非常に集中しているわけですね。オリンピック、あるいは復興、そして今回のインフラの老朽化、これ集中的な時期にどうしても重なってしまう。しかも、老朽化、そして復興もオリンピックもみんな大事ですよね。そこをどうやって、ならしながらという言い方は変かもしれませんけれども、見ながら、そしてコストを抑えながら、そして安全、安心に交通網を守っていく、こういうことが必要だろうというふうに思っております。  それを支えるには、やはり財政というものが非常に重要になってくるんですけれども、この老朽化したインフラの補修あるいは維持管理、あるいは新設、変更のためにどのぐらいの財源が必要なんでしょうか。麻生大臣、お願いします。
  107. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年の十二月でしたか、国土交通省の審議会の下に設置をされております小委員会の答申において、国土交通省が所管をいたします社会資本の今後の維持管理・更新費用の推計がされております。それによると、平成二十六年度約三・六兆円であるのに対し、平成三十六年度では四・三兆円から五・一兆円、平成四十六年度には四・六兆円から五・五兆円となるという推計結果が示されておるものと承知をいたしております。  いずれにしても、一昨年の十二月でしたか、笹子のトンネルの事故を契機にして、これはいろいろな意味で、前々からこれは国土交通省としては全国にあります十六万七千に及ぶ橋の内容に関しては大変な問題があるといろいろ言っていたんですけれども、なかなかそういった対策が打たれない、予算は組めない等々でなっているうちに笹子のトンネル事故というのが起きました。これは老朽化が進んでおりますインフラへの関心を一挙に高まらせた大きな事故だったと思って、亡くなられた方々に大変申し訳ないという感じがしておるところなんですが。  この高度経済成長期以降、特にオリンピック前に造られたような社会資本の老朽化というものは、これは進んでいることははっきりしておりますので、今後とも社会資本の機能性と安全性が確保されていくと、これはもう文化的な生活を営む上でも極めて重要な課題だろうと思っております。したがいまして、平成二十六年度の予算におきましても、社会資本の老朽化対策のための予算というのは重点的に拡充をさせていただいたところです。  今後とも、厳しい財政状況でありますが、片や人口は減少していっておりますから、そういった意味で更新すべき社会資本というものを厳選をすることと、維持管理業務というものをきちんとやると、同じ橋が老朽化しているといっても、年度は来ているといっても、うまく補修することによってそれが十年延びるとか十五年延びるとかいうことになりますので、そうした取組を通じて限られた財源というものを効率的、効果的に使っていくというようなことで持続可能性を確保していくというのが、今後我々にとりまして極めて、技術的な問題を含めて大いに研究、努力をせねばならぬところだと思っております。
  108. 井上義行

    井上義行君 そこで、財源を少しでもやはり出す工夫が必要なんじゃないか。  そこで、我々はいつも言っているんですけれども政府が持っている株式、これを売却をすると。既に復興予算で、郵政とかメトロとかいろいろ混ぜると、復興を除くと大体一兆円ぐらいという試算になるんでしょうけれども、例えば、我々はNISAについて、今は百万円ですけれども三百万円ぐらいに上げたらどうかということを言っておりまして、多分財務省では二百万ぐらいに落ち着くんじゃないかというふうに思いますけれども、例えばこのNISAを、例えば郵政の株の放出とか、政府の保有している株を放出する際に個人が持てば、数多くの個人が持てば株式としては安定をするので、やはり値上げもするんじゃないかというふうに思いますので、例えば、例えばですけれども、このNISAを活用して、政府保有株を放出した際には、例えばNISAの上限を百万から五百万円ぐらいにするとかというような工夫をしてしっかりとした財源をするということの、一部の考えですけれども、この考え方について、財務大臣、どうでしょうか。
  109. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、リスク資産への投資に親しみがなかった方々を株式市場に呼び込んで継続的な資産形成のインセンティブを与える、お題目だけは立派なものなんですけれども、これがNISAの趣旨に基づいて制度設計をしているんですが、まず百万と。何で百万なんですかと誰も質問されませんでしたけれども、私は不思議に思っていました。何で百万なんだと。月々みんな出されますから、月々十万だったら最初は百二十万でスタートすべきなんじゃないのかと、次は二百四十万と。そういう発想が議員から出てこないから不思議なんですな。  私は役人が言わないのはよく分かりますよ。何で議員が聞かないんだろうね、こういう質問を。あのとき何で聞けって、もう決まっていますから余計なことは俺から刺激しないようにしてくれと言われて、私は言われたのは今でも覚えていますけれども。  みんな、出す人の気持ちから考えたら、月々だったから五万ということになったわけですね、あれ。七万何千円でやらないと百にならないからということになって、計算するのは面倒くさい、じゃ五万ということになって、六十万円とかいうのが非常に増えたんです、総額、全部で四百七十四万件ありますけれども。そういった意味では、やっぱり売りやすくするというのは極めて大事なことだとは私どももそう思っておりますので、この拠出限度額についての考え方というのは今後考えていかねばならぬものと思っております。  ただし、今言われましたように、何というか、政府の持っております株、例えば総額で政府保有株式全体二十七兆円ありますけど、その中で政府保有義務になっておりますものが十八兆円ありますし、それ以外でも復興財源に充てます分が約八兆五千億等々ありますので、残りは約一兆円ぐらいしかないという計算にはなるんですが、いずれにしても、これをNISAをやるということで充てるという話はどうかという話ですが、政府保有株式の売却について、これは一定のルールの下でどなたにでもということをやらない限りは、特定のNISAの方だけに政府保有株式の売却に限定して投資家優遇と、そんな危なっかしい話はとてもじゃないけど、私やりますと言った途端に、いきなりあなたの方から、そんな特定の話があるかといちゃもんが付けられると私は立場がなくなりますので、そういう言葉に引っかからないようにしなきゃいかぬなと思いながらも、こういった限定した投資家向けにこの優遇措置を考えてはおりません。  ただ、このNISAというものは今後とも私どもとしてはもっと、いわゆる金融資産といっても、そのうち寝ているのは現預金が八百七、八十兆あろうかと思いますので、そういったようなものがこういった投資に向かうことによって使われる範囲が広まる、じっと寝ている金から投資、景気、経済活動に資するような形でこの金が動いてくるような方向に持っていきたいというのは率直に私も同じ考えであります。
  110. 井上義行

    井上義行君 まさに我々がNISAをもっと上限を上げて、全体の二十七兆あるいは三十兆円のお金の流れを大きく変えていく、そしてマーケットを動かしていく、こういうような考え方大臣に賛同していただいたというふうに思います。  そして最後に、この老朽化に当たって今現在、内閣官房に連絡会議があるんですが、これは役人に任せることなく、やはり政治主導でしっかりと国民に安全安心を与えるということをやるべきだというふうに思っていまして、例えば関係閣僚会議、官僚の役人から例えば閣僚級に上げるなど、やはり政治主導でこの問題をしっかりとやるという決意を最後、世耕官房副長官からいただきたいと思います。
  111. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) このインフラ老朽化対策については、委員指摘のとおり、昨年十月に官房副長官補をヘッドにする関係省庁連絡会議を設置しました。ここには参議院の事務局もオブザーバーで入っていただいています。そこがインフラ長寿命化基本計画というのを決めております。  これからは、この基本計画に基づいてそれぞれのインフラの管理者が行動計画の策定やいろんな取組を進めていくことになります。この点は、しっかり政治もウオッチをしながら、リーダーシップを持ってやっていきたいというふうに思います。
  112. 井上義行

    井上義行君 最後に、こういうインフラの老朽化というのは、本当に、一たび橋が折れて国民の生命を奪われてしまったり、あるいは私が住んでいる神奈川県では流通が止まってしまう、こういうような、余計にお金が掛かってしまう、経済が悪化してしまうということもありますので、十分に勘案をして進めていただきたいというふうに思います。  以上です。
  113. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門実紀史です。  黒田総裁、お忙しいところ、ありがとうございます。今日は、日銀が、昨日、資金循環統計も発表されましたけれども、異次元緩和政策について久しぶりに質問をさせていただきます。  その資金循環統計、昨日発表されたものによりますと、一三年度末の国債発行残高に占める日銀の保有割合は、これは短期も含めてですけれども、とうとう二割を超えて、保険会社抜いて最大の国債の保有者に浮上したと。これは、戦時中を除けば、先進国の中央銀行が国債の最大の保有者になるというのは大変異例なことだということでございます。  ちなみに、配付しました資料の三枚目に、これは長期国債の保有状況ですけれども、この長期国債においても日銀の保有額というのは増えておりまして、これは短期は除いておりますが、長期だけですけれども、これですと、数字は出ておりませんが、保険という点でいくと百九十兆らしいので、まだ日銀が長期国債の保有ではトップということにはなっておりませんけれども、年間五十兆積み増していくということですから、長期国債でも保有割合のトップになるのは時間の問題になってきているということだというふうに思います。  私は、去年の三月、四月のこの委員会あるいは予算委員会で、最初からこの日銀の異次元緩和政策は大変危険だということを指摘させていただいてきました。まさに異次元の領域に、昨日の資料を見ても、踏み込まれたんだというふうに思います。とても大変危険な領域に入ったと思っているんですけれども、一年前にそういう指摘をして、一年たったわけですけど、戦後、誰も踏み込んでいない領域に黒田異次元緩和が踏み込んでこられたわけですが、どうですかね、一年少したって、何らかの、黒田さんとしても危機感といいますか、心配といいますか、時々夜寝られないとか、そういうふうな、そろそろここまで来ると不安を感じられるということはないんでしょうか。
  114. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御指摘のとおり、昨年の四月に量的・質的金融緩和を導入いたしたわけでございますが、その後、一年二か月ほどたちまして、所期の効果を上げているというふうに思っております。  いわゆる生鮮食品を除く消費者物価の最近時点の四月の上昇率も、消費税の直接的影響を除いたところで一・五%、あるいはエネルギーや食料を除いたところで〇・八%程度ということでございまして、まだ二%の物価安定目標を達成するという目標との関連でいいますと道半ばだとは思いますけれども、着実に目標の達成に向けて進んでいると。もとより、金融資本市場の動向につきましては、内外のいろいろな要因が影響を与えることは事実でございますので、引き続き十分注意しつつ、また必要に応じて市場関係者との対話を重ねつつ、現在の量的・質的金融緩和が適切な効果を十分発揮できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  115. 大門実紀史

    大門実紀史君 デフレ克服をしちゃいかぬとか、そういうことを言っているわけじゃなくて、その方法としてこういう方法はいかがなものかということを申し上げてきたわけでございまして、異次元緩和を取られて、海外の様々な要因もあったと思いますが、海外マネーを呼び込むことにもなって、急激な円安、株高を招いて輸出大企業は潤っておりますし、株をたくさん持っていらっしゃる方も潤っていると。  私は、実体経済が良くなって、それの反映で為替が是正されるとかあるいは株が上がると、これは大変いいことだと思っているんですけれども、こういう金融政策で、去年も申し上げましたけれど、予算委員会で申し上げましたが、やっぱり海外の投機的な意図を持ったマネーを呼び込んでこういうことをつくり上げるとその反動は必ず来るのではないかということと、やっぱり誰かがもうけて誰かが今潤っている分のリスク、ツケは結局日銀がしょい込んでいるのではないかと、それはいずれ国民負担になってくるのではないかということを危険性という点で指摘してきたところでございまして、具体的に申し上げますと二つありまして、一つは、やっぱり財政ファイナンスとみなされないかどうかですね。みなされてしまったらどうなるかということと、もう一つは、出口戦略とよくおっしゃいますけれど、ここをこういう踏み込みの仕方をすると出口なんかないんじゃないかと、出られなくなるのではないかということも去年指摘をさせていただいたわけでございます。  その財政ファイナンスという点では、要するに日銀が国の借金を肩代わりしているとみなされたら大変なことになると。国債の信用が低下をして金利が上がっていくということになるわけでございますので、財政ファイナンスの問題も去年議論いたしまして、今までは日銀の銀行券ルール、日銀券ルールというのがあって、あれもいろんな評価はありますけれど、そうはいっても、日銀として国の借金を肩代わりする上限を示すようなものが、そういうような意図があったわけですが、それも黒田さんになって棚上げするというようなことがあったときに、ちょうどこの委員会で、三月の二十八日だったと思いますけれど、議論させてもらったのは、肝腎なことは、日銀が財政ファイナンスしておりませんと口で言うことではなくて、周りがどう見るかという点でいくと、この財政ファイナンスはしていないんだということを何らかの物差しで示していくというか、周りが見てそう思うようなものをつくる必要があるのではないかということを申し上げたときに、黒田総裁は、具体的にどういう形で示すかは政策委員会において議論をしていきたいというふうにおっしゃったわけでございますが、どういう議論になってきたか教えていただけますか。
  116. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 昨年四月に量的・質的金融緩和を導入した際、既に日本銀行の長期国債保有額は銀行券発行残高を超えておりまして、先行き大規模に国債を買い入れていくという上で、この銀行券ルールを遵守するということは難しい状態にあったわけでございます。そこで、政策委員会でもいろいろ議論いたしまして、この基本的な考え方は維持しつつも、その運用を一時停止するということにしたわけでございます。  その際、長期国債の買入れはあくまでも金融政策目的で行うものであって、財政ファイナンスではないということを引き続き丁寧に説明する必要があるということ、また、財政ファイナンスではないかという議論をそもそも惹起しないためにも、政府が今後財政健全化に向けた道筋を明確にして財政構造改革を進めていくことが重要であるといった議論が政策委員会でございました。  こうした考え方は、先ほど申し上げた量的・質的金融緩和を導入した際の決定会合の公表文にも明記されておりますし、私もその後の様々な場面で申し上げているわけでございます。
  117. 大門実紀史

    大門実紀史君 今のお話ですと、当たり前の議論をされているだけのことだと思うんですよね。  私は、そもそもここまでの異次元の緩和というのは、物差しなんか示しようがないんじゃないかと、そんなレベルの話ではないんじゃないかと。したがって、逆に言うと、日銀の中でいろいろ議論しようが何をコメントしようが、みなされるときはみなされてしまうと、そういう問題ではないかと思うんですね。  二つ目の危険性の、申し上げました、これは出口があるのかと。出口戦略の話をよく質問されて総裁は時期尚早だとおっしゃいますけれど、時期尚早も何も、そもそも出口戦略立てられるような話なのかということを指摘しましたけれども、最近の、この配付資料一枚目、見てもらって分かるとおり、何が起きているかというと、抜け出せるような話になってきていない、出口が見えるような話になってきていないということですね。結論を先に言うと、日銀は国債の信用維持のためにずっと国債を買い支えていくしかないのではないかと。自縄自縛のそういう政策ではないかということがいろいろ最近も出てきているかと思います。  資料の一枚目は何を示しているかというと、この間の新規国債の発行額の約七割を日銀が購入されていると。そのことによって市場に流通する国債の量が減って、銀行などが取引をしづらくなっているということですね。国債の売買高そのものも、二〇一一年度をピークに、ずっとこの二年間で三割ぐらい売買高そのものが減っております。これは、やっぱり日銀が大量に国債を購入するから取引するエリアが狭くなっているということになってきているわけですね。銀行の売買高そのものも前年度比で五割も減っておりましてということですね。  そもそも、銀行とか生保は、先ほども指摘しました、将来の国債リスクを回避するためにできるだけ国債から撤退しようとしているときに、日銀が大量に国債を買うので、マーケットそのものも小さくなっているというところで、どんどんどんどん実際、市場取引される国債の量が減ると。  これはどういうことかというと、つまり、普通なら、大きな市場だったら市場の中でのいろんなことが働いてバランスが取れるわけですけれども、市場取引の量が減りますと、それだけ何かの拍子に金利が、去年の四月頃にもありましたけれど、急に乱高下するというような金利上昇リスクを抱えてしまうわけですね。広い池を日銀が埋めちゃって、魚が泳ぐ部分が狭くなって、何かの拍子にもう一遍に浄化作用が働かないというふうなことになっているわけで、やっぱり異常な事態になってきて、これは私が申し上げているだけじゃなくて金融界の方々も指摘をされてきておりますし、明治安田生命なんかは、この日銀の大量国債買入れで市場の取引量が減っているので、これから金利が上がるか、急騰するかどうかを判定する水準を下げて警戒するというふうな疑心暗鬼まで広がっている状況でございます。  したがって、何が言いたいかといいますと、日銀が大量に国債を購入しているということが、そのものが、いざとなれば何かのきっかけで何が起こるか分からないというような金利上昇リスクを生み出していて、じゃ日銀が買うのをやめるかと、引いたら引いたで金利が上がっていくというような、何といいますか、行くも地獄、戻るも地獄みたいな、本当に抜けるに抜けられないようなところに行きつつあることを、この間のこの流動性の低下が示しているのではないかというふうに思うんですけれど、そういう認識は、総裁、お持ちですか。
  118. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行では、この量的・質的金融緩和の導入の当初から、巨額の国債買入れの市場取引への影響については十分問題意識を持って対応してきておりまして、この点は、昨年四月の決定会合の公表文でも言及しておりまして、市場参加者との間で金融市場調節あるいは市場取引全般に関して密接な対話を行いながら国債買入れを進めてきております。また、日本銀行が保有する国債を市場参加者に一時的に貸し出す国債補完供給制度についても実施要件の緩和などを行ってきたところでございます。  そうした下で、債券市場、国債市場について全体として見ると流動性が極度に低下しているといった状況にあるわけではないと思っておりますけれども、今後とも、引き続き注意深く点検し、かつ市場参加者との対話を続けていきたいというふうに思っております。
  119. 大門実紀史

    大門実紀史君 今言われた国債補完供給制度とか、そういう小手先の話をしているわけではありませんし、極度に流動性が低下したら大変なことですよね。私が申し上げているのはそういう話ではないんです。低下の方向に向かっていることを申し上げているので、その辺はもう少し危機感を持たれた方がいいんではないかなと思いますし、配付資料の二枚目ですけれども、これは財務省の審議会で、海外の投資家の国債保有が増えてきていることについての懸念が示されております。  この海外保有の国債というのは、もしも何らかの理由で国債を売るということになりますと、その売ったのを円のまま持っていてくれて国内の銀行に預金してくれるならいいですけれども、外貨に替えるということになりますと、これは外貨準備に大きく穴を生むということになりまして、海外保有というのはいろんな意味で、ただ逃げるだけじゃなくて、いろんな意味リスクを抱える問題でありまして、その点も含めて財務省の審議会ではこの国債保有の割合が増加していることに懸念を示されております。  配付資料の三枚目がそういうことの全体を示すものなんですけれど、手書きで、昨日出たばっかりの数字をちょっと修正して書き加えておりますけれども。要するに、長期国債の保有状況なんですけれども、日銀の保有割合が増加して、ほかは減少か横ばいでございます。  これからどうなるかというと、日銀への国債購入圧力は、今申し上げたことも含めて、高まることはあっても低くなる要因は何一つありません。例えば、金融機関は、今日申し上げたとおり、将来の国債リスクを回避するために撤退していっていると。しかも、流動性が低下して、マーケットでは売買が減っていると。海外保有は今申し上げたように余り増やしたくないというのがやっぱり本音だと思うんですね。そうすると、どこが代わりに海外保有させないために買うかというと、日本銀行が出ていくしかないと。さらに、先ほどもございましたけれど、とうとう公的年金も国債から株式にシフトすると。こうなると、またまたその穴を誰が埋めるのかというと、日本銀行が埋めていかざるを得ないと。  ですから、申し上げたいことは、黒田総裁は物価目標を掲げてデフレ退治をやってきましたけれども、ところが、世の中は物価云々よりも金利を上げないでくれ、株を下げないでくれということで、日銀に対して、これからは物価とかいうよりも、金利上げるな、株下げるなということで、更に国債を買い続けろとか、金利一%上がれば大変なことになりますよね、国の財政も含めて、金融機関の含み損も含めて大変なことになりますから、そういう圧力がどんどん掛かると。結局、そういうことでいくと、日銀が幾ら、二%はもう間もなく達成しますからやめますと言ってもやめられない、政治圧力が掛かって。私は、結局、申し上げたように、出口なんか見えないところにもうはまり込んでおられるんではないかというふうに思っているんですけれども。  ですから、日銀の向かっているものとは違う圧力がそもそも最初から掛かるような政策に踏み込まれたんだと思いますけれども、今の時点でどういう危機意識を持っておられるか、お願いします。
  120. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、この量的・質的金融緩和というものは、十五年続きのデフレに陥っていた日本経済を、二%程度の物価上昇の下で生産、所得、消費、そういった経済の好循環が続けられるようにしようということで、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、二年程度の期間を念頭に置いて実現を目指すということで導入されたわけでございます。  その中で、金融資本市場への影響その他も十分配慮しつつやっておりますし、諸外国の例あるいは我が国の金融政策の過去の例等を見ましても、伝統的金融政策であれ、非伝統的金融政策であれ、引締めあるいは緩和が行われるときに、経済あるいは金融資本市場にどういう影響が出るかということは十分認識して適切な政策の調整を行うということが常でございますし、私どももそういうことを十分認識して、委員がおっしゃったような問題が生じないように適切に対処していく所存でございます。  なお、御案内のとおり、金融政策は九人の政策委員会のメンバーで議論をして、その議決によって決定されるということで、金融政策の決定につきましては独立性が保たれるようになっておるということを付言したいと思います。
  121. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  122. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時六分散会