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2014-04-23 第186回国会 参議院 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月二十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      徳永 エリ君     田城  郁君  四月二十二日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     斎藤 嘉隆君      山田 太郎君    渡辺美知太郎君  四月二十三日     辞任         補欠選任      斎藤 嘉隆君     大塚 耕平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鴻池 祥肇君     理 事                 西田 昌司君                 松村 祥史君                 江崎  孝君                 石川 博崇君                 辰已孝太郎君     委 員                 高野光二郎君                 舞立 昇治君                 松山 政司君                 宮本 周司君                 山本 順三君                 吉川ゆうみ君                 渡邉 美樹君                 石上 俊雄君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 広田  一君                 藤末 健三君                 河野 義博君                渡辺美知太郎君                 藤巻 健史君                 真山 勇一君                 吉田 忠智君    事務局側        第二特別調査室        長        山内 一宏君    参考人        株式会社東芝取        締役会長    佐々木則夫君        株式会社小松製        作所相談役    坂根 正弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関  する調査  (デフレからの脱却財政再建在り方など経  済状況について)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日までに、徳永エリ君、大塚耕平君及び山田太郎君が委員辞任され、その補欠として田城郁君、斎藤嘉隆君及び渡辺美知太郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。  本日は、デフレからの脱却財政再建在り方など経済状況について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、株式会社東芝取締役会長佐々木則夫参考人及び株式会社小松製作所相談役坂根正弘参考人でございます。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  御多用の中、本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  本日は、皆様方から忌憚のない御意見を承りまして今後の調査参考にしたいと存じております。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず佐々木参考人坂根参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、佐々木参考人からお願いいたします。佐々木参考人
  4. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) ただいま御紹介いただきました佐々木でございます。  本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。  早速、御説明に入りたいと思いますので、ちょうどお手元パワーポイント資料があると思うんですが、それを御覧いただきたいと思います。成長戦略課題財政健全化、こういう題で、その次のページに目次がありますけれども、アベノミクス成果進捗、それから企業から見た成長戦略重点課題、それから財政健全化に向けた道筋という、この順番で御説明を差し上げたいと思います。  次の三ページを御覧いただきたいと思うんですが、まずはアベノミクス成果進捗というお話ですが、既にこれは御案内のとおりでお話しするような内容ではないと思うんですが、例えますと、為替、これ二一%の円安と書いてありますが、せっかく会社の役員が来ておりますのでその視点からちょっとお話をすると、この為替効果はダイレクトに、大体売上げで一〇%内外増えております。利益は大体二〇%内外増えていると。やはり、本当に為替効果というのは非常に大きいかなというふうに思ってございます。実質GDP二・六ということ自身は、まだこれからどういうふうにその売上げの中で出てくるかというのはちょっと評価をしなきゃいけないんですが、悪い方向ではないと。それから、株価、ここでプラス四五%と書いてあります。当社は大体プラス五〇%内外、ちょっと日によって株価ですので違いますのでなかなかどれとは言いづらいんですが、大体五、六〇%ぐらいは上がっていると、そういうところだと思います。  消費者物価指数にしても失業率にしても、みんな基本的にはいい方向数字としては出ておりまして、昨今のあの賃金引上げ政労使会議も含めて、当社の場合、大体妥結したのは、ベア二千円プラス、それから元々定期昇給はこれずっとやっていまして、それが大体六千二百円ありますので、大体八千二百円ほど実は賃金としては平均的には上がっていると。これ、大体二・七%ぐらい上がるという感じになります。うちの場合、賞与は業績連動ですので、多分、まだ今決まっていませんけれども、プラスの一〇%ぐらいのところで、あと業績次第と、そういう感じになると思います。  次の四ページお願いしたいんですが、これは内閣府の方で作成した資料ですけれども、企業業績改善改善を通じた経済の好循環、これをどう回していくかと、そういうことだと思います。  まずは、我々産業としては、競争力強化する、生産性上昇させる、それから企業収益拡大させて、更なる賃金上昇雇用拡大をしていきたい、それで、それによって消費拡大して投資が増加をすれば更なる企業収益上昇という、こういう好循環是非実現をしたいというふうに思ってございます。そういう意味では、労働市場改革、これも必要で、政府による環境整備ですとか労使による新しい働き方、こういうものもやっぱり我々としては模索をしていく必要があるだろうと、そのように考えております。  五ページお願いします。  これは成長戦略実行における重要テーマということで四つほど挙げさせていただいていますが、一つは、もう言わずもがなで、産業競争力強化をしていかなきゃいけない。このためには、規制改革法人税改革、いろいろあると思うんですが、そこに挙げた五項目、とにかくこれによって企業活動活性化をしていくと。  それから、グローバル化、今TPPなんかいろいろ調整をしているところでございますが、外に向かって又は外から日本に向かって、やはりこの流れを活性化をしていかなきゃいけない。それから、やはり日本マーケット、なかなか伸びにくいところもありますので、やはり海外市場そのものを取り込んでいかなきゃいけない。そういう意味ではいろいろな形でグローバル化を進めていかなければいけないと、こういうことでございます。  それから、その基礎になるのはやはり人材でございますので、人材活躍強化というようなことで、労働市場、これを活性化しなきゃいけないし、やっぱり少子高齢化のうちの少子化、ここのところを本当にどういうふうに対応していくか。外国人材の話もありますし、女性活躍の問題もあると思いますが、当面の労働人口を確保しているうちに出生率とかそういうものをどう上げていくかと、多分そういうことだというふうに認識してございます。  それから、新規市場、やっぱりこれは新しいところを攻めていかなきゃいけない。それには、やはりICTあとはこれから成長産業である医療、こういうものを本当にハイブリッドにフォローしていく必要がある、そういうふうに思っております。  次の六ページを御覧いただきたいんですが、まずは規制改革ということで、これは経団連規制改革要望というものですね。実は、経団連の百四十七社、そこから大体集めると八百件ほどの要望が集まってまいりました。これを重点分野十二分野、二百二件に取りまとめて、そこにありますような健康・医療、それから雇用労働、それから農業、創業・IT等、貿易・投資と、こういうようなフィールドに合わせていろいろ政府の方にも要望をしているところでございます。  次の七ページを御覧いただきたいと思うんですが、今回、産業競争力も含めて企業実証特例制度を採用いただきまして、誠にありがとうございました。  早速第一号で東芝は採用させていただいて、そこの題のところに書いてありますように、半導体製造に用いるガス容器先進的検査方法導入ということで、従来、旧来のやり方をしていた水圧を掛けて目視で見ると、そういうものが、やはり欧米のやり方、既に導入済みの超音波を使ったいわゆる非破壊検査、こういうものを具体的に採用しているというところでございます。これ、そこの効果のところにも書いてございますが、これ従来の方法でいきますと、数週間検査に掛かる、その間、工場その他、結構いろいろ不便なことが起こるんですが、これを大体一時間ぐらいで済ませられますし、年間で一、二億ぐらいはこういうもので経費が落ちると。非常に競争力にも本当に寄与できる、そういうものだと思います。  中身は八ページに書いてございますが、現状、中身目視で見て水圧を掛ける。それを、いわゆるガスで圧力を掛けて音波で見る、それから超音波でもって傷を見ると、こういうような方法企業特例で認めていただいて非常にメリットが出ていると、こういう例でございます。  それから、九ページ目、御覧いただきたいと思うんですが、まずはどういう形で、企業から見た成長戦略、本当にお願いをしたいし、自分たちもやっていかなきゃいけないと、そういうことだと思うんですが、まずは持続的成長を促す労働市場、これをどう改革していくか、それから法人税、こういうものをどう改革していくかと、そういうことだと思います。  法人税的に見ますと、やはり諸外国と比べて相対的に高い法人実効税率、これは、やはり我々は戦っているのは日本の中だけではございません、海外企業と戦っているわけですので、ここを本当にイコールフッティング是非お願いをしたいというふうに思います。それから、労働需給、これも大分もうタイトになってまいりまして、失業率もそうですし、有効求人倍率ももう一を超えて一・〇四とか〇五とか、そういう数字になってきております。やはり今後、賃金もそれにつれて当然上がっていくと思いますし、物価も上がっていく。そういうようなときに、やはりどういうふうに労働力を確実に確保していくか、それから生産性をどう向上させていくか、このことに注力をしないと日本産業というのは行く末が不安になると、そういうことだと思います。  労働市場そのものについては、やはりこれから先、どういう人材をどういうふうに強化をしていくか、特に生産性向上と結び付けた形で具体的にどうするか。それから、法人税改革については、先ほど来お話をしていますように、国際競争力という観点が非常に重要だと。それから、あとは対内直接投資日本に向けた外からの投資というのが非常に少のうございます。これは、OECD諸国から見てももう五分の一とか十分の一とか、そういうオーダーで少ない。ここを税金だけで解決できるとは私は思っておりませんが、ワン・オブ・ゼムを一つずつ取り除いていく、このことが必要だと思っております。  それから、十ページを御覧いただきたいと思うんですが、今度は人材生産性向上に向けた人材力強化というお話なんですが、やっぱり労働市場そのもの構造変化をしているというふうに思います。非正規の問題、それから長期失業、それから高齢化若年失業者の問題。あとは、雇用そのものが結構ミスマッチができてきている。それから、やはり日本の場合は一つマーケットに非常に数多い会社がいるというふうなことで再編が必要だという、よく言われるわけですがそれが遅れている。それから、サービス業、特に今第三次産業というのは全体の就労者の七割方、実際に第三次産業に就労されているわけですが、生産性がやはり低いということが挙げられております。  それから、働き方についても、やはり日本労働慣行も含めて、システム的にはかなりフレキシビリティーが少ないのではないかというようなことで働き方の柔軟さというような話と、やはり雇用そのものについてどういう形でセーフティーネット整備をしていくか、こういうことが大切だと思います。それから、長時間労働、これも常態化している部分は逆に生産性を下押ししているんじゃないかと。それから、男性の長時間労働女性就業をもう阻害しているんじゃないか。百三万円、百三十万円の壁の話ももちろんあるにしても、やはり解決をしていかなきゃいけない。  その右の方にグラフが出ておりまして、上のグラフ、これ実は若年就業者、非常に日本、少なくなってきております。これはその次のページ、次の次のページでまた御紹介しますが、非常に年齢構成が高年齢側シフトをしている。  それから、その下のグラフを御覧いただきたいんですが、有効求人倍率、一・〇幾つだからいいじゃないかという話ではなくて、例えばこれ一番上の建設労働者、約三ぐらいあるわけですね、だから三倍求人の方が多いと。これが実際には復興の妨げになっているわけですので、だから本当に必要なところにミスマッチなく人材をどう投入できるか、これがこれから先の成長に結び付くというふうに考えております。  それから、十一ページを御覧いただきたいんですが、今言った人材力と働き方、どういうふうにしていくか。若者、高齢者外国人も含めてなんですが、どう活躍を推進をしていくか、こういうところ、非常にこれからの大きな課題だと思います。それから、アンマッチミスマッチ、その話も先ほど来いたしております。ただ、いろいろそのミスマッチに対応する職業訓練、これもなかなか、日本というのは公的職業訓練への支出というのはOECDの五分の一ぐらいですので、そういう意味ではやはりいろいろ解決をしていく必要があるのではないかなというふうに思います。  それから、働き方。これ、多様な正社員の普及というのでジョブ型の正社員とか短時間正社員とかいろいろ書いてございますが、単純に無制限の、無期間で無制限の働き方というよりは、やっぱりもう少し多様性を持たせた方がいいのではないかと、そういうことだと思います。  とはいいながら、長時間労働そのものは抑制をしていかなきゃいけない。そういったときに、いろいろな上限規制ですとか有給休暇を取らせるとか労働時間そのもの貯蓄制度ですとか、いろんなやり方があると思うんですが、働き過ぎそのものをどういうふうに、生産性を落とさず実現をするかと、働き過ぎを抑制することをですね、やはり課題だというふうに思ってございます。  それから、その中で海外人材の話も含めてちょっとお話をしたいのは、十二ページでございます。  これ、製造業における海外人材活用ということをお話をしたいんですが、これ、現場技能者、非常に確保が難しくなっております。先ほど、建設のところが三倍有効求人倍率があると言ったのと同じような状況なんですが、例えば、現場技能者に比較的多い高卒の方々の人材の数は、平成四年の団塊ジュニアの時代、百八十一万人いたわけですけど、現在では百九万人ぐらいで、約四割実は減少しています。さらに、進学率が上がったということで、就職者としては六十万人いたものが十八万人にまで減っていて、これ七割減ってございます。やはりこういうところも含めてなかなか難しい。高卒製造業への就職者数というのは十二万人減っておりまして、国内で工場生産設備、そういうところに労働力を確実に供給するという意味でなかなか難しい環境にはなってきているというふうに思います。  そうすると、いわゆる空洞化の話とか海外での地産地消の話、それ以外にも、やはりこの労働力の問題での海外シフトというものも加速されつつあるのではないかなというふうに思ってございます。  それから、そのときに、今、製造業海外にいろいろ工場を持っていったりしますけれども、その人数、正式な従業員の数というのは、日本企業の子会社、子工場といいますか、四百四十三万人ほど正社員でおります。これを本当にいろいろな市場変化に合わせて活用できないかなと。  なお、この四百四十三万人というのは、二次産業、それの国内外全体の人のうちの二二・四%。だから、製造業の四分の一はもう海外工場での、海外の人員で成されている。こういうものを本当は規制緩和それから戦略特区とか、そういうようないろんな仕組みの中でフレキシブルなローテーションができると非常にいいかなというふうに私企業としては思ってございます。  それから、十三ページお願いします。  今言ったお話が、まあ技能者だけのお話だったわけですけど、もう本当は事務、営業、技術職とか技能職生産職、そういうのも全部含めてボーダーレスなローテーションができますと、本来の補完関係もできて非常によろしいのではないかと。  処遇については、もうホームカントリー処遇にしっかり海外勤務手当と、海外というのは日本が今度は海外になりますけど、それから生計費とかハードシップも付けながら、その国である処遇に確実に合わせてやる。そのことで世界各地の拠点における人的リソース相互活用ができればというふうに思っております。国によって生産の季節変化ありますので、そういう負荷の平準化にも役に立つというふうに認識しております。  それから、次、十四ページお願いしたいんですが、産業活性化に資する法人税制ということで、ちょっとここで三つほど挙げさせていただいております。  一つは、やはり先ほど来ちょっとお話をしている国際競争力、これを強化と書いてありますけれども、今は実際には日本は相対的に法人税率高いのでなかなか、せめてイコールフッティングにしてほしいと、そういうことでございます。その意味では、アジア近隣諸国というのは、海外で、輸出先でもっていろいろバッティングしておりますので、そこ並みの法人税率をやっていかなきゃいけない。  それから、法人課税の中で、今課税ベース拡大の話、もちろんしているわけですけれども、全てではないんですけれども、ネット減税を確保しないとなかなかその先難しいだろうというようなこともあります。  それから、対日直接投資、この話もありますし、あと経済活性化の話、いろいろ賃上げですとか、そういう好循環を維持をしていくというような話も含めて成長下での税収増、これを活用していって法人減税ができればと思っております。  次に、十五ページ、御覧いただきたいと思います。  ただ、その税率だけではなくて、繰越制限、例えば欠損繰越制限みたいなもの、それから租税特別措置のようなもの、そういうようなものも全部含めて、やはり海外の、他国では本則に入っているものが例えば租特に入っているとか、海外では無期限な欠損の扱いが日本では九年だとか、やはりそういう意味でもイコールフッティングではございませんので、是非その点をお願いしたいと思います。  十六ページお願いいたします。  今、一番下の水色の線については、これは内閣府の試算ケースなんですが、平成二十五年度の税収経済が大分立て直ってきて、法人税収八・七兆円から今十・一兆円ぐらいのところ。さらに、その先、上振れが多分この六月ぐらいで確認されるというふうに思っております。そのおかげをもちまして、二十六年度のプライマリーバランス改善、四兆円から五・二兆円へ行けて、新規の国債も、発行も一・六兆円削れたと、そういうことは御案内のとおりですが、それをずっと上積みしていくと茶色の線になって、それでも多分二〇二〇年のプライマリーバランス黒字化というのはなかなか難しい。やはり追加の成長戦略をしていかなきゃいけない。  そういう意味では、その幾ばくか上に上がった利益法人税引下げその他いろいろ使っていったときに、緑色の線のように、当初は戻りが低くてもその先では更なる成長を期するというようなことで、法人税引下げ財政健全化経済活性化、これも三つ合わせて三方一両得を実現するのが我々としてはよろしいのではないかということだと思います。  それから、十七ページを御覧いただきたいんですが、やはり今日お題いただいていますその財政健全化という意味では、中期的な目標、先ほど来ちょっとお話ししましたように、二〇年度は今の内閣府の試算でもマイナス一・九%残ってしまいますので、新たな施策をしなきゃいけない。そういう意味では、法人税改革産業活性化もしていかなきゃいけない。それから、あとは全てを成長でやろうというのは無理ですので、歳出の重点化効率化をしていかなきゃいけない。特に、一番伸びの大きいのはやはり社会保障ということで、ここのところをターゲットにしっかり考えながら二十七年度予算の方を是非よろしくお願いをしたいというふうに思っております。  十八ページお願いします。  社会保障制度改革というような意味で非常に問題になっている医療費について、その下のコラムのところに書いてあると思うんですが、これ右の表があると思うんですけれども、これ日本スウェーデンって、医療費支出GDP比って、日本が九・五でスウェーデンが九・六という、ほぼGDP比では同じですので比較をしました。これ、人口千人当たりでいくと医師数は約半分ですね、これ、二・二と三・八で約四人ですので。ところが、ベッド数、五倍あります。それから、外来数、六倍。薬剤費、それについては倍ぐらいあると。それから、ここにちょっと載っていないんですが、入院している入院患者も実は六倍います。だから、半分の医者で、五倍のベッド、六倍の外来、六倍の入院、二倍の薬剤費と、そういう形でございます。やはりここは少しいろいろ考えどころかなというふうに思ってございます。  最後のページ、十九ページお願いいたします。  とにかく財政健全化に向けた道筋としては、財政質そのものを上げていかなきゃいけない、そのためには透明性を確保しなきゃいけないというようなことで、OECDにもいろいろ指摘されていますけど、財政ルールですとか目標遵守状況の監視をしていく、それから中期計画をしっかり策定をした上でそれをフォロー、どういうふうにPDCA回していくかということだというふうに思っております。  そういう意味では、いろいろそれをフォローする体制の強化、そういうことも含めてこれからしっかりと諮問会議も通じてチェック機能強化をしていこうと。若干人的なリソースについては課題があるので、これからシステム的にどういうふうに見ていくかというのはこれからの検討だというふうに認識してございます。  以上でございます。
  5. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、坂根参考人お願いいたします。坂根参考人
  6. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 今日はお呼びいただいてありがとうございます。  私の今日の話は──手元資料でやりますから、電気つけていただけますか。パワーポイントをやっていると時間を食っちゃいますから、手元資料でやりたいと思いますので、電気をお願いします。  私が今日お話しする中身というのは、かなり基本的なスタンスのお話をしますので、本来なら、私が先にしゃべって佐々木参考人の方が後の方が具体策があってよかったかと思います。  私の今日の話は、デフレの原因がどの辺にあって、その結果どうなったかということと、企業の例として私どもの会社のコマツがどう取り組んできたか。それから、私は、この国はドイツに非常に似たところがあるのでドイツに学んだらどうかということをずっと主張しておりますので、この話。結果として、国としてどう取り組んだらいいか。私は産業競争力会議と国家戦略特区のメンバーをやっていますから、その中で私が主張している話を最後にしたいと思います。  まず、二ページを御覧いただきたいんですが、デフレが続いた原因は、何といっても需要サイドの社会構造が、東京一極集中がもう限界に来たと。地方は一次産業を含んで疲弊して、何をやっても無駄な投資というふうになっちゃう、少子化は東京一極集中でどんどん進む、女性活用も進まないということだと思います。一方の供給サイドは、この国の一番大きな問題でして、どの業界もプレーヤーがいっぱいいて、かつては切磋琢磨、今やもう消耗戦であります。  意外とみんな議論になっていないのが、ここに書いている、私は、この間接金融の問題、結構日本は大きくて、日本も直接金融、直接金融と言ってきたんですけれども、振り返ってみますと、デフレの期間というのは九七年のあの金融機関がおかしくなり始めた機能不全の期間と一致しているわけでして、金融機関がリスクを取れなくなった、金融機関だけではなくて、この国全体、国も民間もリスクを取らなくなった、攻めを忘れたということだと思います。  攻めというのは、自分の強みを認識しない限り絶対に攻めの戦略は取れないわけでして、自分たちに物すごく大きな強みがあるにもかかわらずその強みを忘れたということが、私どもの企業の例でお話を後でします。  それから、立法、行政の問題ですが、私ははっきり言って、総理大臣や外務大臣、財務大臣が一年のうち百二十日国会に拘束されて、毎年一回総理大臣が替わっている国がデフレ脱却できるわけはないと、私ははっきりそう申し上げたいと思います。政治の安定というのは、今日は与野党の方おられますけれども、安定というのはなかなか難しい部分ありますが、それにしても、毎年毎年総理大臣が替わっていてデフレ脱却できるのかということをあえて申し上げたいと思います。  その次に、デフレの結果がどうなったかということを、これは私のオリジナルな分析なんですが、この三ページであります。  左の二十年間というのはバブルまでの二十年間、一九七一年からです。右がバブル以降の二十年間なんですが。横軸が一人当たり総資本形成、民間投資、公共投資、あらゆる設備投資とかいろんなものを入れた総資本投資を一人当たりどれだけ使ってきたか。縦軸は、その結果、最後の年のGDPが一人当たりどうなったかということなんです。  左のグラフは見事に、ジャパンと書いてあるところを見ていただきますと、世界とほぼ同じような相関に乗っておりますが、右に行きますと、一人離れたところにおります。ノルウェーもちょっと離れていますけれども、日本が特に離れております。この差はどれだけあるかといいますと、一人当たり総資本を十万ドルたくさん使っています。その結果、GDPを二万ドル出せなかった。十万ドルというのは、一億二千七百万人だと千二百七十兆円、一ドル百円として千二百七十兆円たくさん使って二百七十兆円ぐらいGDPを出せなかったということを表しております。  この下のグラフを見ていただきますと、左がよく政府・日銀が発表する実質GDPでありますが、過去二十年間、日本は一・二一倍、ドイツ一・三二倍、アメリカ一・六三倍、あれだけのバブルを経験したこの国にとってはまあまあやっているなというふうに見えますけれども、右の名目を見ていただきますと、日本一・〇八、ドイツ一・九四、アメリカ二・五ということで、これが我々の生活実態であります。  この一・〇八が一・六とか七に本来なっていたはずなんですね。さっきの二百七十兆円というのは、GDPを五〇%、六〇%アップしてくれたわけです。ですから、私は、投資した割にGDPが出ていない、物価デフレでこういうことになっちゃったということだと思います。    〔会長退席、理事西田昌司君着席〕  次に、企業お話をしますと、コマツの例でありますが、何といっても我々の場合にはバブルが、最も恩恵を受けた業界であります。建設機械というのは、バブルの頃は世界の建設機械の四割がこの島国に売れておりました。それがどんどんどんどん右肩下がりで、もう今国内販売が一五パーから一七パーです。東京一極集中ですから、私が会社へ入る前から本社は東京にありました。私が経団連で会うと、月に何回石川から出てくるのと聞かれますけれども、そんなことはありません、もう東京にずっとおります。みんな東京に集まっちゃった。  もう一つ産業構造でして、この国の国内の業界再編、進みません。私どもの建設機械メーカー五社、みんなで激しく競争していますが、ほかの業界と違うのは、我々はアメリカの第二位のメーカーを買収し、ドイツも二社、イタリー、スウェーデンも買収して、海外の業界再編を自らリードしてきました。ほかの日本のメーカーもやっています。それでまあ何とか生き延びているということだと思います。  それから、私どもは日本では少なくともトップメーカーですが、私が二〇〇一年に社長になって、どれだけ値段競争しても誰もやめないのならもう値段を上げるということで、この十年間で二〇%の値上げをしてきました。一時シェアを落としましたけれども、今また復活しております。  それから、何といってもこの国はボトムアップで成り立った国で、トップダウン力がなくて、事業をやめることができない。私は、世界一位か二位になれるもの以外全部やめたという宣言をして、今売上げの半分が一位商品、二位まで入れて八八%になります。  それから、世界の競争で勝つためには、欧米の後追いでずっと来たわけですが、我々はビジネスモデルで先行するということで、ICTを使ったビジネスモデルで世界に先駆けて今走っております。ビジネスモデルで先行して現場力勝負に持ち込んだら、我々日本勢は負けないという自信を私は今持っております。    〔理事西田昌司君退席、会長着席〕  そうはいっても、二〇〇一年に私は国内二万人の人全員に手紙を送って希望退職を募りました。子会社への出向者も全部、賃金差額を払って転籍をしていただきました。雇用は物すごく大事なことです、この国にとって。というのは、労使の信頼関係があるから、二か月後からアメリカに行けと言われたら、はい分かりましたと行く、国内のこの工場に行けと言われたら行くわけですが、それをとことんまで我慢したら全員で沈没することになる。だから、私は、一回だけ雇用に手を付けさせてくれということで、一回二万人が一万八千五百に減りますが、今、日本に自信を取り戻して新工場日本に造っています。したがって、今二万二千まで人が増えております。終身雇用はいいことがいっぱいあるんですけれども、ぎりぎりまで頑張っちゃうと全員で沈没することになる。この辺がこの国の難しいところだと。  それから、この国の最大の問題点は、雇用に手を付けられないので、コストというと全部をひっくるめてコストというんです。アメリカでは、コストは変動費、その上にキャパシティーコスト、固定費がどれだけ乗っているか。できるだけ固定費は少なくして現場はしっかりしようというのがアメリカ流ですけれども、この国はそれを丼勘定で見るものですから、本来は間接部門、本社部門が肥大なのに、工場競争力がないかのごとく思っちゃう。私は、日本の変動費だけで見たときには競争力はあるということで、日本に自信を取り戻して、その代わり本社をスリムにし、無駄な事業を全部やめるということでやってまいりました。  結果的に、その次の五ページを見ていただきますと、二〇〇一年に私が社長になったときの、左上が固定比率、売上高に対する固定比率、下が営業利益率なんですが、この固定費が私どもがベンチマーキングしているアメリカの競争相手に比べて六ポイント高かったんです。常に六%重かったんです。その分だけ営業利益が六%少なかったんですね。  ですから、私は、固定費さえ下げれば我々は収益出せるということで取り組んできて、その後、二〇〇七年度、二〇〇六年度で私が社長を退きますけれども、ここには競争相手のデータは書いてありませんが、逆転をします。その後の、私の次の社長がその差をずっと維持しておりまして、最後の年はほぼ一緒になりましたが、一ドル七十九円であります。今の百二円ですと、彼らはもう、つい最近決算発表していますが、営業利益率において我々が五、六ポイント上回っています。  問題は、下のグラフを見てください。日本に自信を取り戻して、生産を今、日本で四八やっています。海外に逃げ出しましたが、もう一度日本に帰ってきて、今、生産四八、このうち国内に売っているのが一七、そこから出た利益が一二、日本から輸出したのが三一、出てきた利益が一一、これ一ドル七十九円です。今の百二円ですと、恐らく国内よりも圧倒的に日本からの輸出が利益がいいという状況になります。  問題は、この一七が、デフレあと五年続いたら一桁になります。そのときに、日本の四八の生産を頑張れるか。それがノーですね。ですから、一回自信を取り戻して日本に帰ってきた私どもが、このままデフレが続いたら日本を脱出せざるを得なくなる、これが私はこの国にとっての基本問題だというふうに思います。  次に、国としての状況でありますが、私はドイツに学べと言っておりまして、あのドイツが、九〇年代、疫病神と言われた国が見事に復活した最大の理由は、あの経済圏をつくっちゃった。決してまねできませんけれども、通貨統合をした。一方、我々にはアジアというもっと大きなポテンシャルがあります。もちろん通貨統合は無理ですけれども、通貨だってもう少し安定させる方法があるんじゃないのか。  それから、産業についても、労働市場改革をドイツは思い切ってやりました。法人税の話も、同じようなことを彼らは先行してやっております。ただ、三番に書いてありますように、お金が回らなくなったと、債務超過になりそうならもう、倒産申請という部分は、これ一見して倒産件数がアメリカの倍以上、日本の五、六倍ということで、ひどいことになっているように見えるんですが、お金さえ注いだら健康体に戻れる状態で出ますから、私どももドイツの会社を買収したのはこういうときに買収しております。どちらがいいかといったら、もう長い目で考えたら答えははっきりしていると思うんですが、恐らく日本の場合には相当議論を呼ぶところだと思います。  それから、今、高付加価値商品・技術、これがドイツは産官学。国のお金で研究開発を使うときは必ず民間から三分の一お金を取れと、民間がお金を出したものには国もお金を付けてやるというようなやり方を取っております。  それから、最後まで日本がまねができないのが地方主権だと思います。あの国は、第二次世界大戦のあのヒトラーの反省から、最初から憲法は地方主権でスタートし、我々は中央集権でスタートしました。高度成長期は中央集権の方が圧倒的に効率良くて一回我々が勝ったように見えましたけれども、今になってみると、各地方都市に大きな企業の本社が点在してそれぞれの町が強くなっているあの状況というのが最後の姿なんだろうなというふうに思います。  それから衆議院、参議院の話も、彼らは参議院の方は各州政府代表で成り立っております。これはまねできるのかどうか分かりません。  いずれにしても、私はドイツから再生エネルギーも含め学んだらどうかなと。一次産業も、六〇年代は日独同じ自給率でありましたが、今や我々は四〇%、彼らは八〇%と差が付きました。森林面積も日独ほぼ同じでありながら、木材供給量は日本の三倍になっております。  次に、じゃ、国としてどういうところに取り組むべきかということでありますが、私は、自信を失ったことに対して、第一、第二のアベノミクスの矢というのは民間サイドにもう一度自信を取り戻そうよというメッセージでは非常に意味があったというふうに思いますが、何といっても、民間がリスクを取る、これがない限りデフレ脱却できません。それから、先ほども申し上げましたが、毎年政権が替わるというのは、本当に国はどんなことを考えてもうまくいかないんだろうなと。財政再建の話は、最後にちょっとお話を申し上げます。  それから、イコールフッティングについては、多くの要素が良くなってきております。労働規制だって悪くはなっておりません。ですけど、エネルギーがそれを全て打ち消すほど非常に大きな問題になってきているというふうに思います。  私は言いっ放しが一番嫌いなものですから、私どもは石川県の小松市出身ということで、石川にもう一回帰ろうということで、今、新工場を造ってみたり、農業、林業を手伝ってみたりやっていますが、日本には四十年以上たった古い工場が、コマツの場合には日本に全部で八十、建屋がありますが、そのうちの四十が四十年以上たっていまして、一回この工場というのを電力をどこまで削減できるかやってみようじゃないかというので、三・一一の後取り組みました結果、自信を持って今、新工場を造り始めましたが、何と電力削減九割です、九〇%減。エアコンは全部地下水、太陽光を使う、それから、四十年前の工場は七メーター置きに柱がありますけれども、今は三十二メーター置きに柱ができるので、工場内がもう本当に変わります。  多くの伝統的大企業日本に古い工場を、償却し終わった工場でやっていますが、私どもがやってみたら、結構日本も、新しい工場でゼロからスタートしたらいけるなというふうに思いますが。実は、私どもは電力多消費型の産業じゃありません。したがってこういうことができましたけれども、電力多消費産業は、恐らくこんなに電力料金が高くなった国にゼロから投資をするという気にはならないというふうに思います。  それから、下の方に行っていただいて、下から二つ目です。まず、業界再編の前に企業内の事業の選択と集中、これぐらいやれよというのが、私は産業競争力会議経団連の中でも言っております。企業内の選択と集中ができない会社が業界再編できるわけないと。  それから、この後お話ししますが、社会保障費とかいろんな業務効率。会社もそうですけれども、およそ業務に掛けるコストを考えない国です。マイナンバーを導入することによっていかに業務が簡素化されるかということだと思います。  最後、私は、この国の改革のキーワードは、ここに書いておりませんが、二つだと思います。何といってもボトムアップで成り立ってきた国です。あとはトップダウンだと言われているのが民間であります。国は逆なんですね。トップダウンで来た国で、今や本当に地方がしっかりしてボトムアップをする国に、来ております。もう一つは、縦社会と自前主義、これがこの国の特色で強さだったんですが、この縦社会、自前主義は知恵の結集ができません。ですから、個々には力を持っていても、結集できないからこの国は今弱っているということだと思います。  私が産業競争力会議、国家戦略特区で強調している点をここに八つ挙げましたが、六番目を見ていただくと、私は、社会保障費も、国家予算が九十五兆円で社会保障費が百十兆円ですから、国民みんな、社会保障費、もうとんでもない金額だなとは思っていますけれども、いざ選挙になると、みんなプラスアルファを要求するのはなぜか。  私は、出身地の島根県の浜田市と石川県の小松市の社会保障費を尋ねました。おたくの市では社会保障費幾ら使っているのと。まずびっくりしたこと、データを出すのに一か月掛かりました。要するに、常時分かる仕組みになっておりません。浜田市、年間一般会計予算三百六十億に対して年金総額三百三十億、医療、介護を入れて四百五十億。小松市、一般会計予算四百六十億、年金、医療、介護を合わせると六百六十億です。  私は、そういう数値を各市町村が見せられたら、これは大変だなというふうに思うはずなんですね。ですから、私は、見える化させることで国民の意識を変えることがまず第一歩だと、急がば回れだというふうに思います。  それから、私は今少子化対策会議にも出ておりますが、私がここでつくづく思ったのは、我々はつい社会保障費の話ばかりしますが、有限な財源があって、この財源を、消費税をちょっと上げるだけでこれだけ議論を呼んでいるわけですが、財源は有限なんですよね。それを人のために使うとしたら社会保障費が圧倒的なんですが、それは中高年向けです。もう一つ、次世代のために使うお金があるじゃないですか。少子化対策、子育て、教育、このバランスがいかに大事かということを申し上げたいんですね。  スウェーデンが必ず出てきます、社会保障費になると。うちはスウェーデン会社を買収して持っていて、日本人を何人か派遣しています。彼らは絶対にこんな国にいたくないと言っています。何だと思いますか。予防保全の、人間ドックなんかで病院に入れてもらえないんですね。がん患者も、初期なら一か月、二か月待ちは当たり前。要するに、もう命に関わることだったら徹底して面倒を見てくれるけれども、いざとなるまではそんなに面倒を見ない。一方で、少子化、子育てにはお金を使うということですよね。  ですから、私は、この国の今の財政問題の中で社会保障費だけ議論するんじゃなくて、余りにも次世代に対するお金の使い方がこんなにひどくていいのかと、どんな国も民族も次世代にお金を使わない国が発展するんでしょうか。  私は、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。
  7. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言をいただけるよう整理してまいりたいと思います。  質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。  質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようにお願いを申し上げます。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会が得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内になるよう御協力をお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  西田昌司君。
  8. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田でございます。  参考人のお二人の方、本当にありがとうございます。また、アベノミクスを評価していただきまして、ありがとうございました。  それで、まず最初に、佐々木参考人にお伺いしますが、お話の中で法人税減税の話をお触れになっていたんです。その一方で、プライマリーバランスが、今税収が上振れしたとはいうものの、現実にはなかなか二〇二〇年で達成するのは難しいということもお話しになっておられたんですね。  そうしますと、まず一つは、私たちが一番ちょっと疑問なのは、法人税減税してそもそも経済成長するのか、GDPが伸びるのかと。つまり、この何年間の間、減税は、実は法人税はどんどん減税しているんですよね。しかし、投資は余り伸びていないと、そして内部留保が増えているという実績がございます。その状態で今法人税減税、これは企業方から言われるのは当然なんですけれども、しかし、それが果たしてそもそもGDP伸びるという、そういう確証といいましょうか、なぜなるのかというのをちょっとお聞きしたいということです。  それからもう一つは、今言いましたように、プライマリーバランスが今赤字で行っていて、それを何とか改善しなければならないという御意見のようでありますから、そうすると、減税するといっても、結局はプライマリーバランス改善できるという仕組みをつくってその仕組み以上にやらないと法人税減税はできないと、そういう意味でおっしゃっているのか、その二点をお聞かせ願いたいと思います。  それから、坂根参考人にお聞かせいただきたいのは、おっしゃっていましたように、デフレの原因は東京一極集中だと。これは本当に全くそのとおりだと思っています。そこで、じゃ、どうすれば一極集中が直るのかということなんですが、私は、地方分権とかというよりも、これは結果として地方にお金が回るようにするのは大賛成なんですが、そのためには実は逆に中央の政府の予算で国土強靱化なり地方に直接お金を出していくと。  つまり、地方分権論というのは、結局一番大きな地方である東京にお金がどんどんどんどん吸収される仕組みになっているんですね。ですから、結局はどんどん東京に高いビルが建って、エレベーターでつないで小さな面積でたくさん積んでいると。それを建てさせずに、例えば新幹線網を政府が造っていくと。その代わりに、エレベーターでつなぐんじゃなくて鉄道でつないで、各大きな地域が交流圏となって経済が動く方が東京一極集中を排除できるし、経済も大きくなると思うんですね。しかし、それはいわゆる地方分権論とはちょっと違う話だと思うんですが、その辺の御認識につきまして御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 御質問ありがとうございました。  法人税減税で、本当にこれで、例えば本当に良くなるのか、それからPB改善されるのかと、そういうようなお話だったと思うんですが、まず、法人税そのものが今の形の中で、実質は本当は結果としての税収というのは年々リーマン・ショック以降増えているわけですね。一番欠損企業が多かったのは、一億円以上の欠損法人割合というのが今いろんなところで取り沙汰されていますけど、リーマン・ショック直後は大体五三%、一億円以上の大企業であってもあったわけですね。それが二十三年で四七・三%、それから二十四年で三七・六%。だから、同じ税率で、もちろん途中で一度法人税率変わっていますけど、同じ税率のままでずっと行っても、欠損法人、それも大きい方の欠損法人が減っていけば税収増えるわけです。  その証拠にと言うのはおかしいですけれども、昨年度、基本的には八・七兆円の法人税予算に対して、今のところ補正までを含めて十・一兆円まで行っていますよね。多分六月にはもうちょっと上振れをして、だから八・七から二兆円ぐらい上がるというようなときに、その二兆円を全て法人税に使えと言っているわけではなくて、やっぱり財政健全化、今回の二十六年度の予算においては、本来四兆円返せばよろしかったプライマリーバランスのところで、それで五・二兆円返したわけですね。だから、そういうような形で、少し二〇一五年半減のところをもう少し上に上げて、ローンチをするところを高くしておくと、そのままの成長でもマイナス一・九という二〇二〇年度の赤字をもうちょっと減らすことは当然できるわけですね。  だから、その形でやっていったときに、それでも届かないかもしれないので、例えば今やっている五・二兆円と、今回は補正で大分使われちゃっていますけれども、それを、そういうのをずっとためていったときに、実績が出たときに本当にどれだけ削れるかというのをやって、法人の方の負担が軽くなればそれは投資にも回るでしょうし、いろいろな国際的な競争力にも影響が出てきますので、いろいろな海外マーケットでの競争でも勝てると。そうすると、また実際には売上げが上がるという、そういう形ですので、あらかじめ先を読んで法人税を下げるのではなくて、今の実績で見たときに、既に今回、六月に出るであろう数字、それの実績から見て本当にどれぐらいできるのかとか、そういうことを考えていけばいけると思います。  それで、なおかつ、そこで浮いたもののうちの一部は公共投資ですとか、それから一部を財政健全化、それから一部を法人税減税、それを一回で全部一〇%削れとか、そういうことを言っているわけではないので、今と同じような、あるパラメーターを決めて、それをフォワードガイダンス的に使いながら確実に二〇二〇年まで進めていくと、こういうことでございます。  以上です。
  10. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 地方を活性化させるというのは簡単な道はないんだと思うんですよね。  それで、私は、大企業会社の名前を聞いて出身地が分かるというのは本当に少なくて、日立とコマツぐらいなんですよね。トヨタは後で町の名前ができたぐらいなんだと思うんです。だから、私は日立の川村会長にも話ししているんですが、我々が地方活性化できなくてどこがやるなんて言っているんですが、石川の活性化に我々がどう寄与できるのかなということで、じゃ考えてみたら、石川から逃げ出した歴史なんです。要するに、石川で物を作っても輸出に不向きだから、神戸に近い大阪に工場を造り、横浜に近い関東に工場を造ってきたんですね。一時は石川のイメージが強いからいい人材が来なかった時期もありますが、今やそんなことは全くありません。  じゃ、石川で物を作って輸出できればいいんだというので、金沢の港に工場を造ったわけです。ただし、金沢の港は水深十メーターしかないから、我々のような重機を運ぶ大型船着かないというので、急遽十二メーターに下げてもらって、今、九〇%韓国の釜山港経由で輸出できております。  私は、最大のその動機は、いろんなところで申し上げているんですが、コマツの既婚女性の子供の数、東京本社〇・七人、大阪と関東一・二から一・五、日本の平均。石川、何と一・九。しかも、石川に管理職の女性が五人おられて二・八人です。  だから、少子化問題というか、子供をつくらないという話は東京論理なんですよね。だから、石川みたいなところに我々のような大企業がしっかり根を下ろして、極端なことを言えばコマツの本社が全部丸ごとあそこにあったら、少なくともあの地域は少子化問題というのは相当少なかったはずなんです。それがドイツやアメリカなわけですよね。各地方に大企業があるわけです。  だから、コマツが本社を戻すというのは大変です、はっきり申し上げて、これだけ中央集権ですと。ですけど、本社の中に、東京にいる必要がない購買本部それから教育グループを全部移しました。それから、工場建設して結構元気になったので、考えてみたら、石川で働いている人、十人に一人は兼業農家です。したがって、農家が、農業が元気にならないと我々の若い人の供給元がないということで農業をお手伝いする。農業をお手伝いすると、何をやってほしいと言ったらイノシシ退治してくれと言われるから、今は林業にお手伝いをしている。  やってみた大きな印象ですが、今うちの会長も全く同じ印象なんですが、どうしてこれだけ知恵を出さない世界が存在し続けたんだろうか。本当に知恵をどうしてこんなにみんなで結集しなかったんだろうか。我々のセンスからいくと、もういっぱいあるわけですよ、知恵が。だから、知恵出しさえすればもっといろんなことはあるんですよね。  ですから、私は、昨日も全国知事の各地方競争力協議会との意見交換がありました。甘利大臣が出られて、私も出ました。私が申し上げたのは、特区とか規制もいいんだけれども、それは一部であって、本当に自分のところは成長しようと思うことを本気で考えましたかと。民間の知恵も借りながら、どうしたらうちの県は成長できるだろうかと。それを考えた結果、規制がここを邪魔している、特区にしていただくともっとこれが進むという話なんでしょうというふうに思いまして、各地方の話を聞くと、物すごくよくやっておられるところとそうでないところの差があることが分かりました。  ということは、逆に言うと、本当によくやられた方は必ず成果が出せると思いますし、私どもの出身地の知事も来ておられて、もう我々は一緒にやっていますから当然知っていますけれども、何とか一つでも成功例をつくり上げていくということで、さっき西田先生おっしゃった公共投資も、今のように金沢の港は自分たち工場を造ったから初めて投資が始まったわけですが、本当に生きた投資のところまで行けば、地方には公共投資をするテーマはまだまだあるでしょうし、是非一つ一つ成功例をつくっていきたいなというふうに思います。
  11. 西田昌司

    ○西田昌司君 ありがとうございました。
  12. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 広田一君。
  13. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  本日は、佐々木参考人坂根参考人におかれましては、大変お忙しい中御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。また、貴重なお話を頂戴して、心から感謝を申し上げます。  まず、お二人にお伺いをしたいと思います。  実は、本日、午前中の参議院本会議におきまして港湾法の一部を改正する法律案、これが成立をしました。この港湾法なんですけれども、先ほど来、坂根参考人と西田理事との方で議論ありました。この国は中央集権というふうに言われておりますが、この例外の一つが港湾政策でありまして、これについては、戦後のGHQの占領政策の関係等々あって、地方分権、地方自治体中心で港湾政策といったものが進められているのが現状であります。  しかしながら、昨今の現状を見たときに、京浜、阪神中心に非常に国際競争力が落ちている、コンテナの取扱量が少なくなっている、国際的な基幹航路も減っているというふうなところで、今回の法改正の主な内容といたしましては、国の出資といったものを京浜、阪神がつくる港湾運営会社に資金を投入する、そういったところが主な内容になっておりまして、こういったことを進めることによって、今、坂根参考人の方からもお話があったように、釜山に行っている荷物、今、日本の地方港というのが釜山のフィーダー港になってしまっている、これをもっと阪神、京浜に荷物を集めよう、こういうふうな誘導策を進めようとしているわけでございます。  こういったことにつきましては、確かに今の現状を考えると、国が前面に立って強い港を造っていく、その心意気については私も共感するところはあるんですけれども、一方で、政府の出資といったものは必然的に政府の関与といったものを高めます。そのことによって、民間の持つ柔軟な発想であるとか迅速性、そういったものが妨げられるというふうな懸念があるわけでございますけれども、いずれにしましても、今国交省は、地方に渡している様々な権限といったものを中央集権に持っていこう、そういう港湾政策が大きな大転換になる今回の法改正だったというふうに私は理解をしているわけでございます。  そういったことを踏まえまして、メーカー、荷主さんの立場から、この現状の港湾経営の在り方とか物流の在り方国際競争力を高めるためにどういった観点が必要なのか、御所見をお伺いをしたいというふうに思います。  そして、もう一点は坂根参考人にお伺いをしたいと思います。  私と自民党の高野議員は高知県出身でございます。コマツの創業者は高知県宿毛市出身の竹内明太郎先生でございまして、竹内先生の御功績たくさんあるわけでございますけれども、その一つが、これからの日本は物づくりだということで、そのためには人材育成が非常に大事であるということであります。よって、この高知県に百年前に工業学校をつくりました。今も高知県立高知工業ということで、有為な人材をたくさん輩出をしているわけであります。また、自分の母校であります早稲田大学の理工学部の創立のためにも尽力をしてくれました。これも同じ宿毛出身の小野梓先生との御縁等もあったんだろうというふうに思います。  そういった観点で、今、コマツの憲法であるコマツウェイ、この中でも人材育成といったものは大事な柱であるというふうに位置付けられているというふうに思います。ただ、その一方で、先ほど坂根参考人の方から、終身雇用の難しさであるとか、人員削減に取り組んだ経緯等のお話もあったわけでございますけれども、こういったことも踏まえまして、コマツにおきます特徴的な人材育成、こういった方法について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  14. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず、港の部分は非常に答えが難しいテーマなんですよね。というのは、これだけ細長い国ですから、仮に日本海側にどこか中枢港、スーパー港ができたとしても、そこにみんなで陸上で運ぶのかと。この場では私は非常に微妙な問題を抱えている内航船問題には一切触れませんけれども、何といっても、韓国の場合なんかに釜山港があれだけ大きくなれたのは集約したということなんで、日本の場合には本当にそれがうまくいくのかなと。陸上輸送ばっかり盛んに多くなる、これは大変なCO2を無駄に発生させるわけだし、陸上輸送のコストって高いんですよね。  だから、私は、港問題については、例えば今言ったようなことで、金沢港がやったら隣の富山と福井も同じようにやりたいとおっしゃる。これ、やっぱりこの国は、一つ何かが成功してやったらそこを、それはこういう特色の港、こちらはこういう港の特色という何か差別化戦略で考えていかないと、みんなが同じことをやりたがるわけですよね。これは何としても私は政治、行政の方でリーダーシップを取るべき問題だと思いますが、非常に難しい、港の問題は難しい問題だと思います。  それから、人材育成については、私は、雇用問題に物すごく絡んでいまして、結局、この国の労使の信頼関係が世界競争をする上でチームワークを生み、私は現場力という話ししましたけれども、現場力というとすぐ物づくりの現場ばっかり言うんですが、そうじゃないんですね。お客さんのところへ届けるサービス、あるいはお客さんのところで起こっている問題を解決するというソリューションの現場は全部現場なんですが、現場力を高めようとすると、みんなのチームワークみたいなものだとか、会社に対するある意味忠誠心みたいなものというのは物すごく大事で、アメリカでも中国でも、ルール上はすぐレイオフすることを許されていても、何とか私は雇用をしっかり、できるだけ頑張っていこうと。日本も一回これだけ大手術したけれども、二度とやらなくて済むようにしようと。  ただし、日本がそれが今頑張れている最大の理由が、非正規という方がおられるからなんですよね。ですから、私どもの経営者から見たら、非正規の人をどれだけ手厚くしてももう採算が取れる、もう十分あの人たちが、まあ言葉を選ばないといかぬのでしょうけれども、雇用調整になっているんです、事実、だから正社員が安定していることになるんですけれども。ならば非正規の人にもっと待遇良くしてもいいじゃないかというので、私ども、今回、ベアの話がありましたが、対外発表していませんけれども、相当非正規に対して手当を変えております。  それから、人材育成は、この国は、会社へ入る前に教育を受けて入ってくるというあのアメリカ型じゃなくて、早く入ってもらって会社の中でいろいろ人材育成して、適材適所を見付けてはローテーションするわけですから、それはアメリカでも中国でもできるだけそうしようというふうに思っています。社内教育というのがやっぱり我々の競争力を維持する上で一番大事な点だというふうに思っています。
  15. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 港湾についてということでお答えをしたいと思うんですが、この国の特徴というのは、必ずしも港湾だけではなくて、国立大学でも飛行場でもどこでもみんな同じだと思っております。国立大学、今四十七あるわけですよね、そうすると県ごとにもう必ず何とか大学が欲しい。飛行場もジェットが飛べるやつが大体四十七あるんですね。だから、その形で今港湾をやったって、幾らやっても駄目だと思います。とにかく集中をどこかでしなきゃいけない。  それから、やはり集中ができてハブができたにしても、サービスがしっかりしなきゃいけない。コストが高いと駄目です。それから、二十四時間で通関ができなきゃ駄目です。だから、そういうことを全てやって、港湾の規模だけがたまたま釜山より大きくなったって、サービス悪くて日数が掛かったらアウトですので。だから、そういうことを全てイコールフッティングにした上で、それでもって今度は確実にPRをしていくと。そのことがなければ、どんな大きな設備造っても多分アウトだと思います。やはり、そういうことをまた売り込んでいくような形。  それから、あともう一つは、大きなもの造ったときの償却の仕方も含めて、どういうふうに国が支援をしていくかとか、相当ちゃんと考えた上で、とにかくばらまきじゃなくて集中をしていくこと、それからサービスを確実にすること、このことが重要だと思います。
  16. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 石川博崇君。
  17. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。  両参考人の先生方、今日は本当にお忙しい中、貴重な御意見、大変ありがとうございました。  私は、両参考人に対して同じ問いを二問お問いかけし、お聞かせいただきたいと思います。  一つは、佐々木参考人からもありましたとおり、アベノミクス、それから政労使の協議を経て久方ぶりにベースアップを含めた基本給、大企業を中心に進んできているところでございまして、これをいかに順調に軌道に乗せていくのか。まだまだ始まったばかりという私自身認識でございまして、これを、好循環を本格的な軌道に乗せていくためにも、今後、東京から全国、地方へと、先ほども地方の話も少し坂根参考人からありましたが、いかに届けていくのか。  それから、特に中小企業の取引先等に対してどのように好循環の流れを、取引先の基本給、人件費の分も含めて考えていくのか、そこに目をやっていかなければならないのではないかと思っておりまして、こうした中小企業への好循環について、両参考人から御意見をいただければということが一点目でございます。  二点目は、これも両参考人から御指摘があった点ですが、特に坂根参考人から若者に力を注ぐべきだと、私、全くそのとおりだというふうに思っております。そういう意味で、昨日、産業競争力会議労働時間についての新しい動きが出て、今日の新聞でも様々取り上げられているところでございますが、今後、柔軟な働き方ということはしっかり考えていかなければいけないんだと思うんですけれども、その一方で、先ほど佐々木参考人からありましたとおり、セーフティーネットをどうしていくのか、働き過ぎに対する対応をどうしていくのか、そういったことも検討していかなければならないと思っております。この点について、両参考人から御意見をいただきたいと思います。
  18. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 中小にどうやってこの好循環をもたらしていくかと、そういうお話だったと思うんですが、まず、中小企業は中小企業だけで全体を、仕事をしているわけではなくて、やはり我々みたいな大企業と一緒になりながら仕事をしている状況でございます。その中で、やはり全体的に経済が上がってきたときに中小まで行き渡るまでにやはり時定数というものがあると思うんですね。  ただ、先ほど来ちょっとお話ししましたように、欠損企業も大分減ってきて、収益が上がってきて、それでなおかつイコールフッティングで基本的に国際競争もちゃんとできる形になれば、これで規模が上がれば確実に中小まで回る。だから、そこのところの基本的な大きな流れを止めないようにしないと中小までなかなか回り切らないというのが、そういうふうな感じを持っています。  それから、やはり、何というんですか、中小というんですけど、中小の人たちでも逆に言うとすごい力を持っておられる方がいるわけで、ただし、そのときに、先ほど私の資料の中でも御説明差し上げましたように、少子化での人材、ここのところが最大のネックになって、景気が回ったとしてもそれを受ける受け手がいないと、そのことだけは先に解決をしていかなきゃいけない。  基本は短期的な、トランジェントとしては女性高齢者という形になるにしても、それで賄える人間の数というのは数百万人なんですね。だから、そこで、そのトランジェントが生きている間に、やはり二十年たたないと子供は大人になりませんので、長期的な計画で、二十年後を目指した形での少子化対策というのを確実にやっていく、そのこと全体の基本があってこその中小だと思います。  それから、あともう一つは、働き方の問題、セーフティーネットの問題というのがあるんですが、さっき坂根参考人の方からもちょっといろいろあって、日本は業界再編もできていないじゃないかと、そういうお話、もちろんあるわけです。  その一つの原因が、実は労働法制のフレキシビリティーのなさというのがあって、例えば当社の場合の例を幾つかお話をすると、私、社長時代に四十四件のMアンドAやっているんですが、買うのはやっぱり海外会社を買うんですね。売るといっても、今度、日本会社を自分で例えば日本のどこかの企業に売ろうとすると、それは業界が過密にあるからこそ再編をするわけで、そうすると、合理化をして独り立ちできる形でカーブアウトしなきゃいけない。そのカーブアウトするときに、本体にもうその事業がなくなってもその事業の関係者が残る、やっぱりここに対するセーフティーネットがないので日本の中での業界再編がなかなか進まない。  こういう一因もあると思いますので、セーフティーネットそのものの本当にどういうふうに充実、拡充をしていくかということがやはり全体的な肝になるというふうに思ってございます。  以上です。
  19. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず、中小企業の話なんですが、実はこの問題を突き詰めて考えると、自分たちの問題なんですよね。ですから、私たちは下請と絶対呼んでいないんですけど、協力企業さんと呼んでいるんですけど、一体なわけですよ。本来、中でやるものを外にたまたま出しているだけで、力を付けようと思ったら、一緒に頑張らない限り絶対競争に勝てないわけですよね。だとしたら、取っているお金の配分にしかならないわけで、そうすると、稼がないと回せないわけですよ。  だから、先ほど、私は十年前から値上げをすることを決心したと申し上げたのは、国内でこんなに競争してもうからなかったら回せないじゃないですか。したがって、値上げをして、一回はシェアを落としても、稼いだら回す。常に我々の協力企業さんの収益状況を社内の取締役会に報告して、我々が赤字でも、あの人たちは、やっぱり小規模ですから二、三%の利益は確保せにゃいかぬ。ですけど、我々のように、今利益率一二、三%になってきても、彼らは六%とか七%は確保している。そういう、何といいますか、バランスの問題なんですね。  ですから、考え方が、下請だなんと言っている関係だと、多分一緒に、このセイムボートに乗っているという考えにならないと思いますね。ですから私は、これは考え方次第だなと思うんです。  気を付けにゃいかぬのは、日本の話というのは大企業からいきなり中小に飛んじゃうんです。私、ちょっと大事な話を言い忘れたので申し上げますと、各地方には五百億から一千億の中堅企業ってあるわけですよ。これは、それぞれの地方に本社を構えておられるんですね。石川県だって六社か七社かあるわけです。その人たちと地方大学が一緒になって産学連携で強くなる道があるんですね。これは、地方活性化の大きな私は一つの着眼点だと思います。だから、みんなの話は大企業からいきなり中小に飛びがちですけれども、地方の中堅企業にもう一回目を当てるべきじゃないかなということを申し上げたい。  それから、働き方の問題は、チョイスはたくさんあった方がいいに決まっているんですね。ホワイトカラーエグゼンプションというのも、私はアメリカに八年いましたから経験しましたけど、彼らは入ってくるときからもうこれを選ぶかどうかと決めているわけですけど、我々も、裁量労働制というのを今研究開発部門が取っています。本人が、自分はいわゆるホワイトカラーエグゼンプション、残業時間は三十時間ぐらいになるんですかね、その時間を、手当をもらえばあとは自分で好きなようにやりますと。それを取っている人もおります。どちらかというと、まだ少ないですね、取る人は。  我々企業側でそれが一番困るのは、この国というのは何か心身の問題が出ると働き過ぎということを常に言われますから、労働時間を物すごくトレースできるように管理しているんですね。そうすると、裁量労働制、ホワイトカラーエグゼンプションというのは、そのことを一方でやらない限りこの国では続けていけません。アメリカはそんなことをやらなくていいんですよ。そうやって働き過ぎなんということで裁判で問題になることはまずないわけですから。だけど、日本の場合はこの問題がありますから、我々企業経営者としては、もう皆さんが考えられる以上に神経払っているわけです、働いている時間をいかに後でトレースできるようにしっかりやるか。  そうすると、今のホワイトカラーエグゼンプションというのは、本当にそっちがしっかりしていなかったら、もうそれこそ、いざ何か問題が起こったら大変なことになるという悩みもあることをちょっと頭に入れておいていただきたいなというふうに思います。
  20. 石川博崇

    ○石川博崇君 ありがとうございました。
  21. 鴻池祥肇

  22. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 みんなの党の渡辺美知太郎です。今日は、佐々木参考人坂根参考人、お忙しいところ本当にありがとうございます。  まずは佐々木参考人に伺いたいのですが、法人実効税率についてであります。  先ほどのお話からもありましたが、近隣諸国と同様にイコールフッティングにすべきだというお話がありました。また、これは今日ではないのですが、もしちょっと私と認識が違えば違うとおっしゃっていただければと思うんですが、研究開発減税などの租税特別措置について見直しをすることに反対であるとおっしゃっていたことをちょっと記憶はしております。あるいは反対というか、見直しではなくて現状を維持すべきといった立場でおっしゃっていたような気がいたします。私どもみんなの党は、もちろん佐々木参考人と同様に、法人税率の引下げをすべきであると申しておりますし、また、実態に合わない様々な税制の特別措置については見直しをすべきだと申しております。  そこで、この租税特別措置の見直しの反対についてですが、例えば、現行の租税特別措置は、産業界の立場からは、実態に合わないわけではなくて非常に使い勝手がいいという御認識でおっしゃっているのか、それともそのほかに理由があるのか、もし教えていただければなと思います。  また、ちょっとトピックな話題なんです、ちょっと最近の話題で、今月二十一日に発表した貿易収支が十三兆円を超える赤字だったということでありまして、これについては液化天然ガスの輸入が増えたとかそういった理由が様々あると思うんですが、佐々木参考人の御認識を、原因と、それからもし対策がおありであるならば是非御指導いただければなと思います。  次に、坂根参考人に伺いたいのですが、御社は、先ほどのお話からもありましたが、新興国を中心として世界に活路を見出すべきだとおっしゃっていたような気がいたします。ただ、新興国についてもチャイナ・シンドロームやそれから新興国の通貨についてフラジャイルなどの問題があると思うんですが、そういったリスクを考えてもやはり国内やその他の先進国よりも新興国に可能性があるのか、ちょっとお聞かせいただければなと思います。  それから、先ほどドイツの事例をお話しされていました。そこで、エネルギー政策についても日本は見習うべきだとおっしゃっていたと思います。  坂根参考人は、これは別な話で、今原発の問題で、日本は今九〇%の化石燃料を使っていて、今すぐ廃止をするということに関してはちょっと反対であるという立場だったと思います。しかし、この再生エネルギーの可能性についてはいかがお考えなのか、是非お聞かせいただければと思います。
  23. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 法人実効税率お話だと思うんですが、基本的には我々、先ほどもお話ししましたように、我々が戦っている外国企業と本当に五分の、がっちり四つで勝負ができるか、そのレベルまでまず下げるということをしていかない限り日本の国内の産業って生き延びられない、こういうことだと思います。その中でやはり、じゃ、ただ下げるだけというのは難しいので、課税ベースを見直しましょう、拡大しましょうと、この議論そのものについては別に異論はないわけですね。  本当に政策目的に合わない古くなったものについて、例えば租特をやめるということについて反対をしているわけではないですし、だからそういう意味で、今いろいろ議論をされている中で、先ほど研究開発税制の話が出たんですけど、見直し反対とは私は言ってなくて、見直してもらってもっと増やしてもらいたいと思うんですけど。それはなぜかというと、基本的に諸外国、これ、例えば米国でいきますと、法人税額の七五%ぐらいが控除上限、それから英国無制限、韓国なんかも無制限日本法人税額の三〇%しか見ないですよね。もう全然イコールフッティングではないですね。  それから、繰越しの期限も日本は一年しかないと、ところが米国二十年、英国無期限、韓国五年。だから、本当は見直すべきは、日本が科学技術立国でやろうとするんだったらもう少しここはちゃんと拡充を更にしていかないと全然駄目だと思います。  控除を一%この研究開発税制でやると、基本的には投資そのものを二・三三倍上げるという実際の研究成果も出ていますので、そういうことを本当は成長戦略一つとして確実に一個一個やることによって日本成長を確保していかなきゃいけない。  それから、日本はやはり資源が足りないですね。ところが資源税制、これも非常に日本の場合は時限でもって石油、ガス、鉱物対象にしているんですけど、米国、英国、フランス、スペイン、豪州、こういうところは恒久措置です、租特じゃなくて恒久の本則側に入れているわけですね。だからそういうような、本来は資源小国の日本が時限で入れていて、資源を持っている国が恒久で入っているという、この格差がどういうふうに、日本産業の手足を縛っているかということは確実に言えると思うんですね。だから是非、逆に言ったら租特の部分は今の政策に照らしたら強化をしなきゃいけないところ、それから古いところはやめる、そういうめり張りを付けて本来やるべきだというふうに思ってございます。  それから、貿易収支の話、確かに十三兆円という非常に大きい赤字が出るわけですけど、これはもう言わずもがなで化石燃料の輸入が増えている分だけでも四兆円ありますので、本当はやはりそこのところを確実に減らしていくことが大切だと思います。  ただ、その貿易収支そのものの赤字で済んでいるうちはよろしいんですけれども、経常収支で、国際収支でトータルで赤字になると、いろいろな意味で、国債の信認とかそういうのも全部含めて問題になってくると思いますので、一つはやはりGNI、海外での実際の収入とか、そういうのも全部含めて国際収支的に赤字にならないようにまず頑張っていくことだと思います。それは、海外マーケット日本で取り込む場合と海外マーケット海外で頑張る場合、それも全部含めた形で日本企業が大きくなっていってGNIを大きくすることによって、貿易収支だけ改善するのではなくてトータルで国際収支を改善すると、そういうことが必要だと私は思います。  以上です。
  24. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず新興国の話なんですが、私どもの建設機械を見ると本当に世界の動きははっきりしていまして、二十世紀の終わりで先進国時代が終わっていますね。世界の建設機械の八割はずっと先進国が占めてきた時代が続いて、その後もうどんどん新興国時代に移っていって、それは自動車も電機も基本的に一緒なんですけど、我々の場合速いわけです、その変化が。リーマンで極端に中国が、あの一か国でバブルを起こしちゃったためにすごいことになったわけですけれども、大きな波は必ずもう新興国時代になっている、その波を絶対に忘れたら駄目だと。  一方で、リーマンの後には余りにも先進国が悪くなり過ぎました。八割が六割まで落ちて、リーマンの後で一気に三〇まで落ちて、先進国がですよ、今、四五に戻っているわけですけど、私は向こう三年、五年は先進国時代が来るというふうに思っています。したがって、向こう三年、五年は私は先進国に期待しますが、ですけど、新興国は、トレンドはずっと続いているということを絶対忘れては駄目だというふうに思います。  それから、再生エネルギーについてですが、誤解なきようにお話ししますと、私は地球温暖化会議に、鳩山さんが出られたあの二五%削減のときのコペンハーゲンから毎年出ています。私は、人一倍この再生エネルギーには関心を持っています。  理想的なことは、とにかく化石燃料がなくても生きれる時代を早く見付けるべきなんですが、残念ながら、今のような再生エネルギーにそんな期待をしたら絶対駄目です、これは幻想ですよ。再生エネルギーが化石燃料を全てカバーできるようなことはあり得ないんですから。もっと革新的な技術開発を日本が率先してやろうじゃないかと、だけどそれにあと二、三十年掛かるというのならば、その間とにかく原子力を、まあドイツは三十五年使ってやめると言っていますけれども、日本だってそれで時間を稼いでいる間に何とかやろうというのなら分かります。ですけど、今は世界一化石燃料を使っている国になっちゃったわけじゃないですか。だから、これはおかしいということを言っているんです。  再生エネルギーの中でも太陽光について非常に否定的になったのは、私ども実は、屋根の上に置く太陽光のあのシリコンを薄くスライスする機械は世界一のメーカーです。圧倒的に中国に売れています。あれは、補助金を出してこれだけ普及させるということは、補助金出して普及させたら技術開発をみんなやってくれるだろうということで期待して今やっているわけですが、私たちは今、太陽光、これ続けていっても駄目だと思っています。全く、中国に出したって、みんな採算無視でやっていますから、もう、もうかりません。もうからないものに技術開発投じられないじゃないですか。もし日本勢が買ってくれていたら、それならいいですよ。ところが、日本勢が買ったって商売にならないんです、中国勢に対して。  一方で、もう一つのタイプの太陽光も、私はたまたま社外役員をやっている会社が大手でして、これも、太陽光に対して今回、もう事業から手を引こうと言っています。そうやって、製造装置がみんな太陽光はこれは駄目だと思っているのに、一方では太陽光に今膨大なお金を使って普及させようとしている。その結果、中国にお金が流れて、彼らが技術開発してくれるんならいいんですよ。だから、私は、これは大きな技術開発に直接お金を使うべきだというふうに申し上げたいんですね。
  25. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 ありがとうございます。
  26. 鴻池祥肇

  27. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  デフレ脱却をどうするのかということでいいますと、私はやはり、九〇年代後半の日本の人件費、給料ですね、給料ピークにしたときからやはり七十万円ほど下がっていると、一人一人の個人所得が引き下げられてきたことそのものがやはりデフレを、物が買う力がなくなった、デフレが続いてきたという一番大きな要因だと思っております。それが出発点になってきたという認識なんですね。  先ほども話がありましたが、昨日、経済財政諮問会議産業競争力会議の合同会議において、労働時間の規制を撤廃する制度導入への検討を求める文書、これが提出をされました。私も文書を読みましたけれども、本当に、何といいますか、戦慄を覚えるほどの内容になっておりまして、マスコミなどでは残業代ゼロというふうにも言われておりますけれども、やはり私は、働く人の労働時間をきちんと、先ほど坂根参考人の方からもありましたけれども、企業が把握をすること、余りにも日本では、特別条項付きの三六協定があればどれだけでも働かせることができると。労働時間の短縮という方向に向かわなければならないにもかかわらず、こういうものが導入されてしまうと、結局成果を上げるためにどれだけでも残業するということになるわけで、しかもそれは企業の責任の範疇外だということになるわけで、これはやはり導入するべきではないという立場であります。  冒頭に、デフレの原因がやはり人件費の抑制ということに、これが原因だとするならば、今回の残業代ゼロということが結局総人件費の抑制ということにつながるのであれば、これはデフレ脱却にはならないと私は思うんですが、このことを佐々木参考人にお聞きしたいと思います。
  28. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 給料が下がっているという、マクロでいうとおっしゃるとおりだというふうに思います。  日本産業界の構造変更というのがたしかあったと思うんですが、例えば一九六〇年代ぐらいだとすると、実は一次産業、二次産業、三次産業というのは大体三〇%ずつで三分の一ずつあったわけですが、昨今でいきますと、一次産業従事者というのが四%ぐらい、二次産業はいいところ二五%ぐらいですかね、三次産業が七一%ぐらいですかね。  だから、こういう実際の業種のシフトがこの五十年の間に起こった中で、結果的に、例えば製造業に勤めている人たちというのはベースアップもあれば定期昇給もあって、そこに働いている人は実は給料は下がっていないんですね。ところが、比較的相対的に高い給料を払っている製造業から第三次産業の方のサービス業に移ったときに相場が下がっている。なおかつ、第三次産業に七一%もいても、かなりの範囲が非正規だったりするわけですね。  だから、そういう意味で、本来はパートの給料もこの数十年の中ではちゃんと上がってはいるんですが、全体のサービス産業生産性の低さも含めて高く給料が払えない。それから、そういうところでパートで働いている方というのは、例の百三万円とか百三十万円の壁も含めてある制限を持って働いていますので、マクロでいって下がっていることと個別に相応に維持又は上がっていることは若干違うかなというふうに思ってございます。  それから、あと労働時間制限の撤廃の話、確かに昨日合同会議の中で出ているわけですが、ちょっと、産業競争力会議の方から出ていますので、私は諮問会議ですので、若干、何といいますか、いろいろポジションが違うんですが、彼らが言っているAタイプ、Bタイプというのがあって、例えばBタイプだと、もう一千万円以上の給料をもらうような方々でかなり自律的な仕事をされている、自己責任で基本的にはペイ・フォー・パフォーマンスという形で頑張ると、そういう言い方のところ、これは比較的海外でもどこでもそういう感じだと思います。  それから、あともう一つはAタイプというのがあって、ここはなかなか会議の中でも議論があったんですけど、ある職種について、お互いに上長とすり合わせをした上で目標を決めて、その目標を達成するに当たって、ある時間の上限制限はちゃんとある中で働いていくという、そういうたしか説明だったと思います。  だから、そういう意味ではまだまだ、それがすぐシステム化されるという以前に、例えばそういう業種はそういうことで本当に具体的にどうなるのかというようなことも含めてこれからの議論だと思いますので、即あしたからどうのという話ではございませんので、その点、是非よろしくお願い申し上げたい。
  29. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 この間、長時間労働ということでいえば過労死を生み、また、最近では労災認定で精神疾患の増加というのが見られてきておりますし、産業界の中で成果主義賃金というのがもてはやされた時期がありましたけれども、しかし、結局、成果主義賃金で何が起こったかといえば賃金の抑制というのが行われたわけで、賃下げの道具に使われてきたということは私はもう周知の事実だと思います。  過労死が社会的な問題となって、今、国会でも超党派で過労死防止法、防止基本法の制定の動きというのもありますので、私は、やはり日本経済成長の軌道に乗せるためには、やはり雇用を守る、日本型の雇用を守るやり方であるとか、非正規、これが増えていますから、これをなくして安定した働き方、先ほど坂根参考人の方もありましたけれども、少子化をなくしていくということを考えない限り、先ほど法人税の話がありましたけれども、大企業にとっては法人税下げてほしいと、だけど、私は実際は日本の大企業というのは法人税というのはさほど負担していないと思っていますけれども、人件費を抑制すると、海外に逃げていく、逃げていくというわけですよね。  私は、本当に日本企業の社会的責任って何なんだと、本当にそれで社会的責任果たせているのかというふうにも思いますので、是非、働く人の命を守る、そういう方向でなければデフレ脱却できないというふうに一言申し付けて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  30. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 藤巻健史君。
  31. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。よろしくお願いいたします。  佐々木参考人の方から、この二十数%の円安で売上高が二〇%、そして純利益が一〇%上がったというお話がありました。また、坂根参考人の方から、坂根参考人が社長を辞めてからの円安で営業利益率が競争相手よりも五、六ポイント上向いている、上振れているというお話も聞きました。  為替というのは非常に重要な問題だと思いまして、私自身はバブル崩壊以降のデフレ日本経済低迷の七割から八割の原因は円高のせいだと思っているんですが、円高、円安になったときの御社への影響、そして日本人社会への影響、デフレとかインフレを含めて、それについてお聞きしたいと思います。  もちろん、一言先に申し上げておけば、例えば一ドル五十円の円高になっても、東芝であれコマツであれ海外に逃げられますからいいんですけれども、日本人とか日本政府は大変なわけですよね。要は、人間が生きていくためには働くか若しくはお金に働いてもらうかどちらかしかないわけで、御社等の大企業海外へ逃げてしまえば日本人は働く機会がなくなって全員がそれこそ沈没と、インフレ、デフレどころではない沈没という話になってしまうということで、為替会社以上に日本人並びに日本政府にとって重要だと思うんですが。  まず、一ドル例えば七十六円の最高値を更新して一ドル七十円の円高が定着した場合、この場合、まず、坂根参考人が五年間デフレが続いたら全員沈没だとおっしゃいましたけれども、一ドル七十円でデフレから脱却できると思われるかを一つ。  それから、御両名からいろいろな御提案をいただきましたけれども、一ドル七十円のときに御提案のことを全部実行してもデフレから脱却できるのかどうかが一つ。  それからもう一つ絡めて言いますと、一ドル七十円になったときに、今のところ、佐々木参考人の方から、二二%ほどが今海外での労働人口だというふうにおっしゃいましたけど、それが、どのくらい日本人の労働者が減って海外に、労働者に仕事を移すのかどうかということ。一方、逆に、百五十円、私は実際、適切な為替レベルは百七十、百八十円ぐらいだと思っているんですけれども、それはちょっと極端なんで、百五十円になった場合、日本経済はどうなっているのか。インフレなのか、デフレなのか、そしてまた御社の業績はどうなっているのかということをちょっと、七十円の場合と百五十円の場合について、お二方にどうなるかということをお聞きしたいと思います。
  32. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 非常に答えにくい難しいことなんですが、まずそういう状況を想定して考えたこともないんで、はっきりストレートにそのまま答えになるかどうか分かりませんが。  私ども、一円で今五十五億円ぐらい利益が変わると言っていますが、八三%海外売上げですから、これの換算差が大きいわけですよね。十億ドルは、百円なら一千億円だし、八十円なら八百億円。これが利益海外の方で稼いだとしたら、ドル圏で稼いだとしたら、それの換算差で物すごく円で膨らんで見える。ですけど、うちの四割は海外投資家ですから、彼らはドルで見ているとしたらそれは全く変わっていなくて、日本の部分の利益が大きければ、それはドル換算したときには円安が少なく見えるということで、極めて難しいんですけど、我々日本にいての経営のマインドとしては、この換算差というのは結構大きな意味がありまして、日本での投資家ミーティングでももう円で話ししますから、だから、その部分というのがもう随分マインドとして大きいなというふうに思っております。  ですから、うちのように八十数%が海外売上げという会社は特殊な例なんでしょうから、今の質問にストレートにうちだけが答えてもこの国全体のお話にはならないんじゃないかなというふうに思いますが。  私は、そういう為替の問題はありますけれども、一ドル七十九円で、さっき私はコストを変動費で見るということを申し上げました。変動費だけで見たら、七十九円でもアメリカやヨーロッパに比べて一〇%安かったんです。結局、この国は生産性が高いし、いろんな、もう全てが日本で調達してできますから、本当に変動費だけで見たときは結構この国は力があるぞというふうに確信持っていまして、ですから、大事な付加価値の高いものは日本でずっと作ろうと、マーケットの大きいところで、付加価値の少ないものはそれぞれ海外で作るというふうに今やっておりまして、私は五十円でも何とかやると思いますが、百五十円になったときは、私たちはやれたとしてもこの国が多分もっていないと。百五十円でとどまってくれたらいいですけど、百五十円になるということは二百円になるリスクもはるかに大きいでしょうから、そういう状態はちょっと想像しにくいし、そうなったらこの国はもう多分、何といいますか、破滅の道を歩んでいる途中だというふうに思います。
  33. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) ちょっと先ほどお話当社の影響について、売上げ一〇%で利益が二〇%ですね、逆でございます。そこだけちょっと直していただいて。  やはり、円安、円高というのは、為替の問題は非常に大きい、それが今の数字に表れているというのはそういうことだと思います。五十円になったら逃げられるとかそういうことで我々を見ていただくこと自身は非常に不本意でありまして、そうではなくて、五十円になっても頑張るし百五十円になっても頑張る、これはもう変わらないわけですね。その中でどうやってサバイブしていくかということを、その構造でもってどういうふうに、事業構造をどう変えていくかと、そういうことでやらなきゃいけないと、そういうふうに思っています。  私、リーマン・ショック直後に社長に就任しまして、その年はまだ九十五円ぐらいはあったんですけれども、そのときに、七十円になっても大丈夫かどうかという実はストレステストを当社でやりました。七十円プロジェクトと呼んで、九十五円のときにそんなこと言ったんでもうとんでもなく怒られたんですけど、そうはいっても、この工場は大丈夫か、あの工場は大丈夫かって一応全部コスト的にチェックをしました。ただし、みんな駄目なんですよね。だから、急激に七十円になったらもうやっぱり駄目ですね。じわじわといけばそこはそれなりに対応はできますけど。  ただ、そのときに準備をしておいたので、逆に言ったら、七十六円とかいうあの一番安いときというか高いときになったときにちゃんと営業利益が出るようになっていると、そういうことだと思いますので、あらかじめ想定をした上で、普通のコスト改善だけでは超えられないものについてはオリジナルの設計から何から全てコンセプトを変えた上で対応していけば相応に、五十円でいいかどうかというのはいろいろあると思いますけれども、相場観的に五十円というのがいいか悪いかというのはちょっと問題ありますけれども、相応のスピードでいけば我々は対応していくと思います。  百五十円も多分同じだと思うんですが、ただし、百五十円になった場合には、今のエネルギーコストも含めてとんでもなく、貿易収支側でアウトになると思います。そうなったときに、逆に今の日本そのものの二百何十%あるような債務が、国債の利率とかそういうものが表面で変わってきたときに、日本の今の予算そのものが、仕組みが先に崩れてしまうと、私はそう思っています。  以上です。
  34. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ありがとうございました。
  35. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 真山勇一君。
  36. 真山勇一

    ○真山勇一君 結いの党の真山勇一です。  お二人の参考人、今日は本当にありがとうございました。  私は、大分いろんな御意見も出ているので、その中でちょっと重なるところもあるかもしれませんけれども、消費税というのをちょっとお伺いしたいというふうに思っています。  四月から八%に上がって、そして来年は一〇%という声もありますけれども、まずお伺いしたいのは、お二人にお伺いしたいと思います。  まず、今のところ景気の回復順調というふうに言われていますけれども、やはり物価にはじわじわ影響も出ている。生活がどうなるかという不安もあります。一つ、今この八%の消費税の段階での経済状況というのをどういうふうに御覧になっているか、そして来年一〇%に上げることは可能なのかどうか、上げるべきなのか、その辺りのまず現状をお伺いしたいというふうに思っています。  それからもう一点は、消費税の在り方ということなんですけれども、お二人からもお話が出ておりますけれども、やはり日本消費税は、一般的な、今回でもいわゆる国民からいえばまた値上げかというような意識がありますけれども、欧米から比べますとやはりまだかなり低いという、これはもう実際の数字がそういうことになっておりまして、欧米だとやっぱり二〇%とか二五%というところもあります。  将来的に日本消費税というのはどうあるべきか。今回も消費税の値上げ分というのは社会保障の財源にするというふうに言われておりますが、お話ではやっぱり社会保障費というのは経済の中でもずっしりと重くのしかかってきているわけで、この財源をどうするかということがあるんですが、消費税が社会保障費の財源ということでよろしいのかどうか。そして、例えば社会保障費の中でも、先ほどお話が出ましたような少子化あるいは子育てなどの次世代のために使う、こういうことの考え方、もう一回改めてお伺いしたいというふうに思っています。  そして、日本消費税というのは将来的にどのぐらいなら許されるのかというか、このぐらいの消費税であるべきだという、そういう将来の一つ消費税の形というものをお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。お二人で、佐々木参考人からお願いいたします。
  37. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 消費そのものは非常に難しい問題でありまして、今回の八%でどういう経済状態になっているかという話に、まだちょっと評価するには実は時間がそれほどたっておりませんので難しいんですが、余り、もちろんその駆け込み分の分だけは影響を受けるということは受けますし、あともう一つは、相応に値段も上がっているというふうなこともあって、価格転嫁はちゃんとできているんじゃないかなと、そういうふうに思います。そういう中でもって、この多分第一・四半期ぐらいのところでやっぱり様子を見るということだというふうに思います。  じゃ、将来的に上げるべきか下げるべきかというのは、やはり今、要するに目的、税と社会保障の一体化でやっていますので、あちらの給付がどれだけ増えていくかという話とのやっぱりバーターだと思うんですね。だから、あちらを本当は歳出削減も含めていろんな効率化重点化をした上で、その伸びに合わせて足りなければいずれ消費税上げていかないといけないと、そういうふうに思っております。  だから、そういう意味でどのくらい、例えば二〇%とか二五%と言うのは簡単なんですけれども、本来我々がこれから努力をしていかなきゃいけないのは、歳出をどういうふうに削減する、又は給付そのものについての重点化効率化をどういうふうにするかという、そういうものとセットでもって考えなきゃいけないので、今この時点で欧米並みに、欧米といいますか、特にヨーロッパですよね、ヨーロッパの二十数%のところを狙って先に消費税の値上げありきで話すこと自身は多分間違っているんだというふうに思います。  それから、ヨーロッパの基本的に高福祉の国の消費税の在り方と、日本というのは多分中福祉とかそういうふうな形になったときに、その中負担でもってできる消費税の額というのが幾らかというのは、実はまだ算定されていないですよね。  だから、そういうことも含めて、日本高齢化によって給付が増えていく部分と、アメリカって結構、変な話ですけれども、高齢化が余り進んでいないのに医療費が相当上がっている。これはなぜかというと、肥満率が全然違っていて、そうすると、社会保障だ何だってマクロでいうことではなくて、日本人の特性の中で、肥満率が下がっていることによって本来給付を下げて、先ほどGDP比で九・五とか九・六ぐらいで済んでいて、アメリカが一七・幾つあるって、そういうところを、そういう方向に持っていかないその前段階のことをしっかりやっていくと消費税で上げなきゃいけないことに対する加速度が下げられると思っていますので、そういう手を尽くした上で、本当に足りないところをしっかり消費税で幾ばくか上げて対応していくと、こういうことだと思います。
  38. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず、消費税の八パー上げた後の四月の状況は、我々建設機械の場合は一般経済の動きと結構違いますから参考にならないかもしれませんけれども、心配したほど落ち込みはないです。建設機械は三・一一の前の二〇一〇年度に底を打っていますね。というのは、日本の公共工事とか民間工事、いわゆる工事に係るものはバブルの後はひたすら右肩下がりで、私から見るともうこれ以上下げようがないぐらい使わなくなってきた状況だと思います。  今は本当にもう三十年物、四十年物を直さにゃいかぬ時期に来ていて、公共工事というか、工事をもう減らせない状況まで落ち込んできたという状況を、建設機械の販売動向を見ているとよく分かります。といいますのは、バブルの頃は世界の四割売れましたが、二〇一〇年度、何と建設機械、新車を百売ると百四十中古車が海の外へ出るという、そういう状況がずっと続いたわけです。要するにマイナス需要ですね。国内にある建設機械総台数はどんどんどんどん少なくなってきて、そこに三・一一が来たために、もう機械が全く足らなくなった状況がその後です。  今、相当な値上げになりました。というのは、消費税だけじゃなくて、我々は排気ガス規制というのがあって、これで一気に一〇%値上げです。ですから、十数%値上げしたにもかかわらず、四月、そんなに落ちておりません。というのは、もう足らなくなってきております。  私は、一〇%の是非については、これは私がどうこう言う話じゃなくて、先ほど言いましたように、この国の財政はとてももう議論の余地がないほど危機的な状況になってきている中で、社会保障費だけじゃなくて次世代のためのお金を余りにも使わなさ過ぎる国であるわけじゃないですか。その両方を考えたときに、財源が足らないということはもう明らかなんですけれども、その財源を、百何兆円も使っていて、どうしてもっとそれを効率よく使えないのか。  先ほど言いましたように、島根県の浜田市では、もう新しい市長は、この市の予算より大きい社会保障費をいかに、経済活動にうまく効率よく回すためにはどうしたらいいかという発想で物を考え始めています。そのときに彼に、今、次世代のためにお金を幾ら使っていると聞いたら、彼も改めてびっくりして、これは大変なことだなというふうに思っていまして、私は、そういう議論が各地方で国民が分かった上で、消費税がどこまで上げないとやっていけないのかというふうに結論が出てくるんだというふうに思いますが、マクロでいえば、私は、この国は明らかに消費税の比率というのは低いわけですから。  それから、ちょっと長くなりますが、先ほど賃金の話があったんで、私は回答の順番じゃなかったですから触れなかったんですが。賃下げ、賃下げとおっしゃっているんですが、我々のような大企業は毎年二%上がっているんですよね、一人一人は。ただ、全体で見ると何で下がっているかというと、団塊の世代が二〇〇八年からどんどん定年退職で高所得者がいなくなる。一方で、我々も経営のために非正規というのを雇う。ということで、一人一人は毎年二%上がっていて、それが全て社会保障費の負担増に食われています。だから、私はこの国のサラリーマンがよく我慢しているなと。消費税になるとみんな分かるんですけれども、毎年天引きされているものはもうこの十年間二%ずつ上がっているんですよ。この声が全く出てこないんですが、もうそろそろ私は限界に達しているんじゃないかなというふうに思います。
  39. 真山勇一

    ○真山勇一君 どうもありがとうございました。
  40. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 吉田忠智君。
  41. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  佐々木参考人坂根参考人には大変貴重なお話をありがとうございました。勉強になりました。  まず、両参考人に同じ質問をさせていただいて、後で一問、また佐々木参考人にさせていただきたいと思います。  今の日本全体の雇用労働者の現状をどのように認識をされておられるかということがまず一点。それからその上で、今、日本政府成長戦略の一環として、成熟産業から成長産業へ失業なき労働移動ということを掲げて、労働者の保護ルールの見直しも様々な形で今検討をしているわけでありますが、日本の今の様々な仕組み、システムからいって、そう簡単なことでは私はないと思っています。  労働者の保護ルールを余りにも見直しをし過ぎますと、不安定労働者を、解雇だけが進んで不安定労働者が増えていくことにもなりかねないと思っておりまして、そのことについて、じゃ政府が言うように進めるためにはどういうことをすることが必要なのかということについてお聞かせいただきたいと思います。  それから佐々木参考人東芝として、もう簡潔明瞭にお尋ねしますが、これから原発部門から撤退する選択肢はあり得るのかどうか、それをお伺いします。
  42. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 私でいいですか。じゃ、御質問をいろいろいただきましたので。  雇用労働者をどう見ているかという、ちょっと問いとしては漠然としていてなかなか分かりにくいのでなかなか難しいんですが、先ほど、その後に言われた成熟産業から成長産業へ転換という話があったと思います。この中で、転換するときに、やはり雇用そのものの、何といいますか、ミスマッチが起こるわけですね。半導体のところから例えば社会インフラ、社会インフラから何とかとか、その企業によって違うと思うんですが、だからそのときに、先ほど最初の陳述のときにもお話ししましたけれども、日本という国は公的な職業訓練、質も量も非常に低いんですね。だから、そういうことをもうちょっと充実させた上で、ある技量を持って転換しやすくするということ自身を確実に進めていけば、全部がうまくいくとは思わないんですけれども、あるギャップを縮めることはできるというふうに思います。  だから、そういう意味では、雇用労働そのものについては、先ほどの働き方のフレキシビリティーということもあるんですけれども、ただフレキシブルだからそこで切っておしまいということではなくて、やはり次のステップに向けたミスマッチをなくすような、本当に公的職業訓練も含めて確実にやっていくことでそのギャップを埋めていく、これが非常に重要だというふうに思っています。  それから原発については、さっき言いましたように、原発の中で、なしで今やっているからこそ十三兆の赤字が出ているわけですね。そのうちの四兆ぐらいが赤字、化石燃料の追加分ですので、それ以外には本当は元々の部分ももちろんあるわけですけれども。本来は、そういうところを確実にやっていかなきゃいけない。なおかつ、我々、原発、中国で四基とアメリカで四基、今建設をしているわけですけれども、今の建てているものの安全基準というのは世界標準の基準で安全基準守れるような形になっています。だから、そういう新しくて安全度の上がった原子力を確実に技術を持っている先進国が供給をしていかないと、新興国の経済成長に合わせて化石燃料を燃やしたら地球全部が駄目になるわけですね。だから、そういうことを考えたときに、今、東芝がすぐ原子力をやめるという選択肢はないというふうに思ってございます。
  43. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 雇用問題、本当に悩ましいところですけれども、結論から申し上げたら、成長しない限りどんな議論をしても答えが出ないんだというふうに思います。成長は、近くにアジアがありますから、長い目で見ると物すごく期待が大きいんですけど、当面はアジアも結構弱いですから、私さっき言いましたように、この三年、五年は日本とアメリカが強いというふうに、大きな流れを見ているとそう思いますので、今、日本が良くなる中で、何とか日本の強さに自信を取り戻して、今まで海外に出よう出ようと思っていたやつが結構日本でもいけるぞということで戻ってくるというか、それを思いとどまるというか、これが非常に大きいというふうに思います。  雇用については、私が社長時代からずっと言い続けてきたのは、六十歳は余りにも定年は早過ぎますよね、もうこれだけ高寿命になっている。だけど一方で、悩ましいのは、定年再雇用したら新人の若手の採用をもし制限するようなら、私はどっちを取れと言われたら若手を取ると。定年再雇用の人には、我慢してくれと、こういうことで、あなたにもし子供がいたとしたら自分の子供を優先的に採用してくれと言うでしょうということできたんですが、幸い両方ともできるような状態に今なってきていますからいいんですけど、結局それは国内の仕事量を増やさない限り答え出てこないんですよね。  そのためには、日本での力を、本当に自信取り戻さない限り私はそのことは起こらないと思うし、日本は今まで過度に自信を失い過ぎてきていたということだと思います。だから、自信を取り戻すためには、私が一回やったように、結構重荷の部分がありますから、その重荷を取り除くということは雇用が関係しているんですけど、一回だけ、経済が良くなり始めたところで雇用の受皿が多少でもあるときにやらないと、もう本当にじり貧になっちゃうだけだということで、この向こう三年ぐらいはそういうこと、それができるチャンスが来ているんじゃないかなというふうに思います。
  44. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。
  45. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 以上で各会派代表しての一巡目の質疑は終了いたします。     ─────────────
  46. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、斎藤嘉隆君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君が選任されました。     ─────────────
  47. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 他に質疑の御希望のある方、挙手を願います。  山本順三君。
  48. 山本順三

    ○山本順三君 自由民主党の山本順三と申します。  両先生方、貴重なお話をいただき、なおかつアベノミクス成功への先頭に立っていただいておりますことを心から感謝を申し上げたいと思います。  まず、坂根参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今、産業競争力会議等々で様々な議論が出ておりまして、特に、第一、第二の矢で政府、日銀がリスクを取って、第三の矢はこれは民間がと、民間がリスク取るためにはそれなりの規制緩和あるいは規制改革というものもしていかなければならない、そういう議論が我々の耳に伝わってくるわけでありまして、当然の話だと思うのでありますが。  一方では、競争力ということを前提に議論したときに、東京一極集中という話がありました。そして、地方との格差というものが現実に我々目の前にございます。高知の人もおれば、私、愛媛県なんですけれども、大変厳しい状況にある。そのときの競争主義だけで果たしてやっていけるのかどうかということに対しての不安感が実はいつもあるんですね。  そして、企業でも大企業とそれから中小ないしは小規模事業、そういった企業との間の格差の中で、一つ規制緩和だけで物が解決できるんだろうかどうなんだろうかということを常々思っておりますけれども、産業競争力会議の中の様々な御意見、我々も触れることが多いのでありますけれども、その辺のところの若干の違和感があります。  ただし、今ほどおっしゃったように、コマツが石川に帰っていく、そういったことを実行されている坂根参考人だけに、そういった産業競争力会議の中での議論にどういうふうにお感じなのか、教えていただければ有り難いと思います。  それから、佐々木参考人にお伺いします。  実は先般、私の地元は造船のメッカでありますけれども、そこの社長が参りまして、もう人がいないんだと、大変なんだということでございまして、建設関係では外国人労働者を入れるときの研修制度を特例で何とかしようではないかと、もしそれが建設関係だけに偏ってしまうともう造船なんかに来る人が全然いなくなってしまう、そういうふうな話で泣き付かれてこられました。  一方、人口動態考えてみますと、もうあと五十年、百年たったら働く人がいなくなってしまうぞというような状況の中で、今考えられていることの一つに、先ほど言った外国人労働者、その研修制度を拡充していこうとか、いやいや、移民政策を取っていかざるを得ないのではないかというような話。もちろん、これは少子化対策が成功すればそんなこともないのでありましょうけれども、なかなか難しい状況。そんな中で、将来の労働力確保に対しての考え方、特に外国人労働力に対しての考え方をいま一度お教えいただきたいと思います。  それともう一点、最後にお二人に端的にお伺いします。  先般、商船三井の船が中国で差し押さえられました。これは日本経済界にとっては物すごく大きな事態であろうかというふうに思うのでありますけれども、日中戦争前後の賠償請求権の放棄云々ということから始まったああいう中国の対応を目の当たりにしますと、企業の論理からいったら、これちょっと大変だなと、政府、しっかりしてくれよという気持ちにもなりましょうし、政府側からいけば、いや、そうはいってもチャイナ・リスクを分かった上で出ていっているんだから、国の考え方といいましょうか、そういったことに対しては協力してくれよというようなことに相なろうかと思いますが、この問題についてどうお考えなのか、これお二人にお伺いしたいと思います。
  49. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず規制緩和ですけれども、産業競争力会議の中で私は少数意見かもしれませんが、規制緩和をしてくれたらやるという人は多分何も実現できないと思いますね。自分で穴空けて突破することは幾らでもできるわけです。  例えば、具体的なお話をしますと、今の建設機械のブルドーザーというのは手を離していても自動的に本当に人間業でできないぐらい正確に土を平らにするんですね。それ、日本で開発して、アメリカ、ヨーロッパで売っていたんです。日本で売れないんです。それはなぜかというと、日本はそういう工事をして精度を上げても、アメリカは三次元の図面で、ディスプレーで、はい、今日は工事は予定どおり終わったと言えばそれで検収は上がるんですけど、日本はあの水糸張って丁張りしてレーダーで調べない限り検収しないと。これ、おかしいだろうと、アメリカで売っていて何で日本で売れないんだと言ったら即やってくれました。  だから、規制の話というのは、一方で突破したら必ずやってくれるというふうに私は信じています。だから、安倍さんおっしゃっていますけど、穴を空けると。だから、穴を空ける人がいない限り、なかなかいないんじゃないかな。ただ、今のような法人税みたいなこういう話というのはまるっきり、一人で穴を空けろという話ではありませんから、また別のことだと思います。  それから、地方の話ですが、私は、最後は生活コストの安いところに集まらざるを得ないというふうに思って、石川なんかは、結局同じ給料をもらっても、石川ならさっき言いましたように豊かな生活をしているわけでして、それを豊かと感じるかどうかの問題ですが、ただ私は、石川に帰ることを決心できた最大の理由がインフラが整っていることですよね。  小松空港は、これも韓国経由ですけど、仁川経由で世界中から幾らでも来れるから、世界からの研修生が年間三万人集まるんですが、東京なんかに行くよりよっぽどこっちの方がいいと言っています。それは、小松空港にアクセスが全く問題ないというのが最大の条件ですね。あれがもし私の出身地の島根県なら、私はとてもじゃないけど石川にセンターをつくったようなことはできなかったと思います。港も、さっき言いましたように、これも韓国ですけれども、九〇%もう出せるようになった。  最後の商船三井ですが、私が常に、日中経済協会も今私は関わっていますけど、申し上げているのは、中央政府の動きを見るのと地方政府を見るのを分けないと、我々は山東省と江蘇省に工場を持ってやっていますけど、地方政府は必死ですよね。雇用を確保して税収を上げないとやっていけないわけで、本当に必死です。何でも言ってくれという状況ですから、余り中央の動きに翻弄されて過度に動かない方が、我々実際にもうビジネスやっていますから、いいんじゃないかなというふうに思います。
  50. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 人がいないという話と外国人労働者をどうするかと、そういうお話だったと思うんですが、確かに、先ほど来ちょっと、最初の説明お話ししましたように、我々が本当に欲しい人材というのはなかなかこれから得られなくなる。そのときに、じゃ、どういうふうにするか。そうすると外国人労働者と、単純にいくとそういうふうになるんですけれども、今の技能研修制度はなかなかいろいろ課題もありまして、その課題を本当に解決した形でやらないと、かなり海外からも評価が悪いシステムでございます。  だから、そういうことを考えたときに、余り受皿の方がしっかりしていないときにああいうやり方をすると、賃金不払ですとか過重労働とか、結局そういう話になって、結果的に海外からの評価も落ちていますし、あとは具体的に、本当にやってもスキルが上がった頃には帰らなきゃいけない。だから、ちょっと本当は今の技能研修制度そのものについては確実に見直しをしていかなきゃいけない。  その一環として、私、諮問会議でもちょっとお話をしたのは、例えば東芝海外で九万人、実は従業員雇っています、正規でちゃんと雇っています。そうすると、その九万人のうち、例えば当社の京浜の工場でタービンを造っている、発電機造っている。それと同じような形で、インドの工場で同じようなものを造るわけですね。これ、なぜかというと、インドの国というのは、やっぱり地産地消をちゃんとしっかりやってください、大体IPP以外は国営の発電会社、それからそれ以外のところはIPPでやるわけですけど、やっぱり何といいますか、国産優先みたいな形にどうしてもなるわけで、バイ・インディアンといいますかね。だから、そういうふうな形になったときに、どうしても、工場二つあったときに当然、京浜の工場、神奈川の工場とインドの工場だと負荷が違うわけですね。だから、そういうふうにもう身元がはっきりしていてちゃんと正規で雇っている者同士をどうしてもうちょっとフレキシブルにローテーションできないのかと、そういうお話を差し上げたことあります。  だから、受ける身元がしっかりしている中で、そういうローテーションを認めていくことによって、これ社内、もう今ボーダーレスの時代に、国が違っていて同じ仕事をしている社員がローテーションできないという、この形がもう既に古いんだと思いますね。技能研修のあの形が、もうちょっと受皿側をしっかり整備することも含めて監督側も強化することによって、まあいろいろ、これから東京オリンピックの話もありますので、それなりに拡充はしなきゃいけないにしても、やっぱりいろんなバリエーションがあっていいと、そういうふうに思います。それによって解決できることが幾つかあるというふうに思います。  それから、商船三井はちょっと、私のところも三万人近く実は中国人雇っていまして、いろんな拠点も数十ありますので、そういう意味では、同じようなことが起こって例えば工場が接収されちゃったとかそういうことになったら、とても耐えられないというふうに思っています。  それで、坂根参考人が言っているように、地方政府で我々とやっているところは非常にフレンドリーにやっていただけている部分もありますので、やっぱり政治的なリスク、今回みたいないろいろ続いてきている、戦前といいますか戦中も含めた、ああいうものの要するにリスクを本当にあちらの中央と日本政府とどういうふうにふだんからすり合わせをしておくかということがやっぱり大切だと思います。それができないで、ある日突然、じゃ、あったから、じゃ、これ接収と言われると、我々自身この先中国でビジネスしていくことはしにくくなりますよね。  だから、是非そういう意味では政府にいろいろお願いをしなきゃいけないかなというふうに思ってございます。  以上です。
  51. 山本順三

    ○山本順三君 ありがとうございました。
  52. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 石上俊雄君。
  53. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 石上俊雄でございます。  本日は、佐々木先生、坂根先生、本当に貴重なお話を伺いまして、本当にありがとうございました。  それぞれのお二人の参考人に二問ずつ、大きくちょっと質問をさせていただきたいと思います。  まず、佐々木参考人に御質問したいと思いますが、やはり先ほど、企業が元気にならないと経済の好循環につながらないということについては本当に同感でございまして、企業が元気になれば雇用が安定し消費拡大につながるのではないかなというふうに思います。  そんな中で、先ほどちょっとこの資料には出てこなかったんですが、事前にいただいた資料の中を見させていただきますと、スマートコミュニティーという言葉がございました。スマートコミュニティーというのは様々な産業の元気になる活力の一つになるというふうに思うんですが、そこのスマートコミュニティーのアライアンス、言わば国際標準を取りに行かないといけないということで、そこのまとめ役を佐々木先生はされていたりということでございますので、そこのところの今課題がどんなものがあるのか、さらには、このスマートコミュニティーに対するビジネスモデルというのをどういうふうにお考えなのかをお聞きしたいと、そういうふうに思うのが一点。  さらには、経済諮問会議の中で、世界で一番企業が活動しやすい国ということ、やりやすい国というのを、今アベノミクスでも日本もそうやって言っていくんだというんですけど、現状で、今一番佐々木参考人としては、どこが今そんな形に、どこの国がそういうふうに今なっているのかというのをちょっとお聞きしたいというのでお願いしたいと思います。  さらに、坂根参考人には、先ほどから御説明をいただいたような次世代の人材育成が本当に重要だとか、あとは労使関係、この信頼関係によって企業は本当に力になるんだという、本当に同感でございます。  そんな中で、さらにはもう一つ、先ほど言った、事前にもらった資料の中にも書いてありましたが、今が本当に最後のチャンスというか、企業の再編というか、やっぱり調子がいいときに再編というか改革をしていかないといけないと。本当に同感でございまして、坂根参考人から見て、今どの、特定の企業というのはちょっと問題があるので、日本産業を見たときに、ここのところはもうちょっと手を掛けた方が良くなるなといったところがありましたらお聞きしたいなというのが一点と。  さらには、先ほどコマツさんのところのICTを駆使したビジネスモデルで先行できるんだというお話がありましたが、その辺についてもう少し具体的に御説明をいただけると助かるなと思います。  以上でございます。よろしくお願いします。
  54. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) スマートコミュニティーについて御質問ありましたけど、やはりこのビジネスモデルというのはスマートコミュニティーといって非常に漠然としております。  実はそれは、そこを構築したいと思っておられる自治体だったり企業だったり、そういうところが何をしたいかによって大分違いますので、そこをコミュニティーとして全体で実現をしていくには、実は単一企業で単一技術でやろうと思ってもこれなかなか難しいわけですね。  だから、スマートコミュニティーの中でスマートグリッドだけでいいのかというとそうじゃない、HEMSもBEMSも、それから環境の問題も全てあると。そういうものを組み合わせた上でスマートコミュニティーとしてやらなきゃいけないときのビジネスモデルというのは、少なくとも一社でできることではない。できれば、本当はジャパン・イニシアチブみたいな形で、みんなで出ていって頑張ってやりたい。それからあともう一つは、これはかなり地域的な話にも関わりますので、相手国の企業とのアライアンスもしっかりやっていかなきゃいけない。だから、こういう形で複合的なパートナーシップによってしっかり解決していくようなビジネスモデルだというふうに認識をしております。  これを実際に具体的に実現をするにはやっぱりファイナンスの問題が非常に大きくて、大体、開発途上国へ行きますと、ODA込みでやってくださいみたいなそういう話ももちろんあるわけで、だからこのときにODAでやるのか、もちろんJBICなりNEXIなりのファイナンスでやっていくのかはなかなか難しいんですけど、そのファイナンスを確実に付けた上で日本の技術を採用したい国は幾らでもいるわけで、だからここを本当にしっかりとした、今政府の方でもインフラ輸出について大分力を入れていただいていますので、確実にそれを実現をしていきたいと、そういうふうに思います。  それから、世界で一番どこがビジネスしやすい国かと。そしたら日本に決まっていますよね。そう思っていないとすると、もう今ここにおりませんので。だから、日本だというふうに、ある前提の中でやはり我々は六重苦を解決しなきゃ、競争力がやはり付いていかないと駄目だと、やっぱりそういうことだと思います。  要するに、この前、対日直投のワーキングという有識者会議みたいなのをやったんですが、その中で、既に日本に来てしまった会社の人たちに話を聞くと、やっぱり日本というのはGDP三位で大きいマーケットだと、それから教育も行き届いている、法整備もしっかりしている、商慣行もちゃんとフェアであると。そういういいところをちゃんとしっかり持った上で、やっぱり法人税が高いよねとかいろんなことを言われるわけですね。そういうことではない、普通にアンケートを取るとビジネスコストが高いとかいろんなことを言われるんですけれども、来てしまった方々というのはやっぱり現実的なところを見ている部分があると思います。  だから、そういう外から対日直投をしてきてくれている人たちがすごいなと思う日本にすればよろしいわけで、だからそのために本当に、世界で一番に本当の意味でするためには、その環境を整えていく必要がある。私は日本だと思っています。
  55. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まず一つは、業界再編の話のお尋ねがありました。  私はよく言うんですが、アメリカ、ヨーロッパを我々が駆逐してと言ったら言葉は悪いですが、要するに追い落としてきて、我々が、何といいますか、トップになったというか、我々の方が勝っている業界というのは、いずれ我々が追い上げられて落とされる宿命にあると思います。テレビなんかまさにそうですが。私たちは幸いなことに、まだ我々より二倍も大きい会社がアメリカに存在しています。自動車も、まあ苦戦していますけれども、あれがビッグワンならば多分相当強いあれだと思いますね。ですから、欧米で立ち行かなくなっている業界というのは我々にもその波は来るんだという前提で業界をまず見てみるのが一つ。  それから、みんなが低収益なら、これ何とかしないといかぬですね。どこか一社高収益上げてあとは成り立っていないのなら、ほっておいてもできますけれども、みんなが低収益なら国が関心持たないと恐らくうまくいかないと思います。  それから、ICTの話がありましたけれども、いろんなメディアで取り上げていただく、GPSを搭載した世界中に三十四万台あるという、これはもう十数年間やっていますけれども、今オーストラリアとチリでやっている無人ダンプのお話しますと、ダンプトラックを無人にしたいとか自動車を無人化したいというのは、これは日本人が一番好きな世界なんですね。だから、多分日本が一番先を走ると思いますが、無人化しただけでビジネスにならないわけですよ。  それで、私がアメリカにいるときに聞かれたのが、どんなビジネスしようと思っているんだと聞かれて、はたとなって、私は、じゃ世界の鉱山にダンプトラックを無人化したものを入れようとすると、通信インフラが要りますね。そうすると、LANを敷いている会社はどこなんだと調べたら、アリゾナにある会社があって、ベンチャーだったんですね。これをうちが買っちゃったわけです。私は、ああ、これを手に入れたらすごい大きな財産になるなと。ベンチャーを買って、今世界の鉱山の六割から七割がうちの一〇〇%子会社の情報通信LANが入っています。そこに無人ダンプを今入れていますから、当社だけが今ビジネスになっているんですが。  無人ダンプトラックを実現する上で、実は日本だけの技術ではできなくて、アメリカとロシアの技術使っています。というのは、プーチン大統領にも言ったんですが、肝腎なところを握っているのはロシアなんです。アメリカのGPSとロシアのグロナスを両方を解読して、世界どこでも、常にスイッチングしながら、あっ、ここはグロナスとやって使い分ける技術がロシアにありまして、それを使って今、無人ダンプが実現できています。  何を申し上げたいかというと、日本の中の知恵の結集もそうですけれども、世界中の知恵を結集する力、恐らく日本企業に一番足らないのがその知恵を結集するマネジメント能力だと思いますね。グローバル人材なんて言われていますけれども、そういう、何といいますか、ロシアの人も使いアメリカの人も使うというのが物すごく増えていて、それがどちらかというとアメリカの人が結構うまくて、今うちがアメリカで買った会社がそういうロシアの人と連携を取ってやってくれたりしております。  いずれにしても、私は、ICTというのは日本が最先端を走るべき大事な分野だなというふうに思います。
  56. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。
  57. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 渡邉美樹君。
  58. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。  今日は、お話、ありがとうございました。お二人の話、大変共感いたしました。いろいろとお聞きしたいんですが、時間もありますので、三つだけ絞ってお聞きしたいというふうに思います。  まず一つは、この会は財政再建に関する調査の会でございますから、お二人は、この日本財政再建が可能だと思われているかどうかというのをお聞かせください。二〇二〇年まで、プライマリーバランス、どうプラスにするのかというのが全く見えない状況であります。それが実態の中で、その財政再建が可能かどうかというところについてのコメントをいただきたいと思います。  二つ目は、そうはいいながら、恐らく両社は日本が破綻したときの準備をしっかりされているというふうに思います。デフォルト、ハイパーインフレのときの両社の、どのような形で準備をされているのか、これもお聞かせ願いたいと思います。  それから三つ目は、これはチャイナ・リスクであります。商社、メーカー、何千億まで、何百億まで等々においてのしっかりとリスクを定めているというのはよく私も知っておりますし、私の会社も実はそうしておりました。両社において、チャイナ・リスク、どのように捉えていらっしゃるのか、そしてそれに対する上限金額は幾らなのか、どのようなときにそのチャイナ・リスクを発動させるのかということで、この三つについて質問させていただきたいと思います。  まず、佐々木参考人からお願いいたします。
  59. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) まず、財政再建が可能かと言われると、私、諮問会議の議員もやっておりまして、これを目標に何をこれからやっていくかという話をしていますので、再建が可能なような施策をしていかなきゃいけない、追加施策も含めてですね。  そのときに、さっき言いましたように、今回の法人税収にしても何にしても、相応に回復期にありながら、それをまた利用できるいろいろなやり方があるわけです。だから、二十六年度予算では、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、PB、赤字半減化のための、四兆円でよいところを五・二兆円できたと。だから、そういう仕組みをやっていって、とにかく二〇一五年、二〇一六年といって、二〇年までで発進していくところの発射台を高くしておけば、少なくともその後の追加施策が負荷を受ける程度が変わってきますね。だから、そういう意味では実現可能性が増えてくると、そういうことだと思います。  だから、そういう意味では、財政再建可能かというよりは、財政再建をしなきゃいけない、じゃないと本当に将来日本はないわけですね。そこをちゃんとしっかりやるために今いろいろな検討がされていて、第三の矢、第四の矢と、そういうようなお話だと思いますので、だから、東京オリンピックの景気なんかも含めて、本当にどうするか。  それから、あともう一つは、東京オリンピックが終わった後のポスト東京オリンピックと。なかなかまたこれがいろんな影響が出てくると思うんですが。だから、まずそのポスト東京オリンピックみたいなものを考えたときに、オリンピックで終わらない仕組みというのをつくった方がいい。財政をいろいろ使うわけですね、ああいうオリンピックに対しても。そのときに、例えば民間PFIとかPPPみたいなことをやりながらやって、オリンピック後も例えばしっかり民間が運営ができるような仕組みを先に埋め込んでおくとか、やっぱりそういうものをかなり工夫をしながらやっていくことで、できるかという議論じゃなくて、しなきゃいけないと、そういうふうに思っております。  それから、日本が破綻したときの準備って、そんなに今東芝でやっているかというと、それほどそういうことについて、今確定的な、確定論でもって破綻しますなんということで我々は計画をしてはおりません。破綻したときに何が起こるか、為替の問題とかそういう問題が結構あるわけですね。そのときに、為替の問題そのものは、元々、七十円とかそういうようなお話も全部含めていろいろ考えていったときに、ハイパーインフレみたいなのが起こったり、すごいめちゃくちゃな乱高下が起こったときにどこまで対処できるかは別ですけれども、例えばドルでの売り買いの入りと出をバランス取っておくとか、それはもうこの破綻の問題とはちょっと違う、為替対応の問題でちゃんとしっかりやっていますので、そういうものの延長線上で、もしこういう仮定をビジネスとしてしなきゃいけないんであれば、それはまた別途、その兆候が出たときに考えたいというふうに思っております。  それから、チャイナ・リスクについては、元々チャイナ・リスク二つあって、一つは今回みたいな強制的なお話がもちろんあるのと、あと、シャドーバンキングの問題とか、やはり今度はコストが上がってきてしまっている部分がありますよね。そういう意味では、やはりポスト・チャイナというのはもう大分前からいろいろ考えていますので、一極集中チャイナということ自身はもう既に脱却はしていますので、そういう意味では、そういう、何といいますか、地域の多様性を持たせるようなことで、今のコスト高、だから、マーケットとして魅力のある中国というのと製造箇所として魅力ある中国というのは違いますので、そういう観点からの地域の多様性についてはもう既に進めているところでございます。
  60. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 財政破綻、中国リスク、いずれも最悪を想定したら経営できませんので、そんな最悪は考えないようにしています。  私は、日本財政破綻はないと思いますね。というのは、日本人はぎりぎりまで追い込まれたら何とかするというふうに思いますし、これだけの個人金融資産とか、海外に国がいろいろ持ったり民間が持っていることを考えると、韓国とは違うというふうに思いますし、これ大変不謹慎な発言ですけど、雑談の中では、韓国みたいになったらどうするかなんというのは、韓国のあの事態の後でサムソンは強くなったと、我々は絶対そういう事態になったらもっと強くなるチャンスだってないことはないんだと言いますが、だけど、あんなことにさせたら、あの私は韓国の社会というのは決していい社会じゃなくて、本当に、何といいますか、偏った社会になったと思いますから、絶対に財政破綻は起こさせちゃいかぬし、それだけの力はこの国にはあるというふうに思います。  それから、中国リスクについては、答えからいうと、過度な期待はもう程々にしようというのが、あれですね。私どもは、もう中国で作って中国の国内だけで売っていますから、輸出を当てにして作ったわけじゃありません。  皆さんが大きく誤解されている点が、中国のバブルがはじけたのは、あの三・一一の後の二〇一一年五月からはじけまして、建設機械なんか、売った機械がどんどん引き揚げないかぬ、ローンは払わないという状態が起こりました。去年の四月、五月ぐらいから、ちょうど二年間悪くて、去年から良くなってきています。  私は、中国のシャドーバンキングというのは相当前からもう破裂し始めていて、問題は、日本は結局、金融機関が破綻したわけですけど、中国というのは金融機関がおかしくなるんであろうかと。私はむしろ、自治体の破綻は出ると思うんですけど、金融機関というのは破綻をしないで、日本のようなことにならなくて何とか続くんじゃないかなというふうな、半分期待ですけれども、期待しています。もしそうなら、そんな極端な、私はバブルがはじけた後の悲惨な状況にはならないというふうに思っています。
  61. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 どうもありがとうございました。
  62. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 藤末健三君。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。  私は、一点、産業団体の在り方につきましてちょっとお二人の先生にお聞きしたいと思っております。  実は、昨年ですけど、ドイツの産業の団体のトップとお会いして話をさせていただいたんですが、非常に印象的だったのが、そんな大きな企業じゃなく、まさしく坂根先生がおっしゃったように、地域の中企業のトップなんですね。いろいろお話しさせていただいたら、いや、ドイツはすごく調子いいぞと。何が調子いいかというと、俺たちみたいな、小さいとは言いませんけれど、技術力を持って世界で活躍できる企業がいっぱいあるんだよねと、集まっているんだと、活動しているのは俺たちの力だぞということをおっしゃっていました。  聞いていると、日本でいうとそれが経団連に当たるという説明だったんですよ。産業界の集まりのトップが中規模企業のグローバル企業だったというのが非常に印象的でございまして、これはちょっと佐々木先生と坂根先生のお二人にお聞きしたいのは、まず佐々木先生にお聞きしたいのは、先ほど研究開発税制の深掘りというのができなかったのはちょっと問題だということをおっしゃったんですけれど、私自身、政権にいるときにRアンドD税制を深掘りしましょうねという話をしたんです。そのときに何が起きたかというと、じゃ、法人税、一般的な法人税は少し諦めてくださいねという話が出たんですよ。  じゃ、どうなったかというと、簡単に言いますと、なぜか知らないですが、私は、あくまでも投資をして国内に雇用をつくる、と同時に国際的に活動する企業に対して手厚くすべきじゃないかと、なぜなら国内だけで活動している企業外国に行けないから減税しなくてもいいと言ったんですよ、私。こういうことを議事録に残ったら大変かもしれませんが、私は言いました。ただ、実際に産業団体の答えは何かというと、全体を下げてくれという話だったんですよね。  じゃ、それは何かなというのはちょっと思いまして、結局は日本にある産業の団体というのは、いろんな大企業の集合体であることはまず一つありますし、大企業の代弁者でもあるし、また同時に、みんな同じ、納得しなきゃ駄目ですよという話になっちゃう。ついでに言うと、外国企業も数少ないですよね、はっきり言って。  その中で、産業の団体が発言していろんな政策に影響を与えることについては、僕は日本の国にとってはマイナスじゃないかなということを思っておりますが、多分お答えにくいと思いますけれど、何かちょっと一般的な話で佐々木先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。私は、今、そういう古い大きな企業が集まることによって、新しい企業が生まれ、国際展開を逆に足引っ張っているんじゃないかということを、一つの仮説ですけど思っております。  そして、もう一つございますのは、坂根先生の方にはちょっと前向きな話をさせていただきたいと思っておりまして、ドイツの話を申し上げますと、ドイツは今から二十年前頃に政策としてヒドゥンワールドチャンピオンという、隠れた、ヒドゥン、隠れた世界チャンピオンという企業を発掘する、それも地方に根付き、地方で技術を持ち、そして国際的に展開するという企業を選び出して、国際的な展開、そして研究開発を支援するという制度をずっと続けているということをちょっと教えていただき、これを実際に役所の人たちと議論したんですよ。そうしたら、ちょっと日本じゃできないなと言われたという状況でございます。  ただ、私は諦めておりませんで、一つチャンスがあるとしたら、やはり先ほど申し上げましたように、大企業だけの集合体である産業団体ではなく、また中小企業と言われている、余り顔が見えない組織ではなく、地方で技術力を持って国際展開できる企業だけの集合体、恐らく三百社ぐらいあると思うんです、我が国にも。そういうところを集まっていただいて、政策を提言していただくことによって日本産業力、経済力がドライブ掛かるんじゃないかなと思っているんですが、是非御意見いただきたいと思います。  以上でございます。
  64. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 経団連は古い企業の集まりで日本の重荷になっているんじゃないかと、そういう御発言だったと思うんですが、まず、産業政策そのものについての提言をしながら、その産業そのもの競争力を付けていきながら、国際的に戦って日本利益をもたらすということについて意見を言うこと自身は非常にいいことだと思うんですよね。それを一律でやるかというと、必ずしも一律ではなくて、どの産業のどこの部分をどういうふうにしてくださいと、かなり細かい要望集を作っていますので、それはそれでもって、その中の重点でどこへ行くかと、そういういろいろな要望を出していますので、必ずしも全部みんなで仲よくいいことやりましょうねなんという、そういう我々は談合はしておりませんので、ちょっとそこの点お断りをしておかなきゃいけないと思います。  それから、古い企業と言われると、当社はもう百三十八年の歴史もありますので古いものの典型だと思いますが、創業の事業がそのまま今ずっと続いているかというと、そうではないですよね。今もう先期の、一番稼ぎ頭といいますかね、そういうものというのは半導体の中でもNANDフラッシュメモリーという、そういうところです。そういう新しい事業に企業内で新陳代謝をしながら生き延びてきているのが今のしたたかな会社であって、もう何百年間神社の目の前でビジネスしていますみたいなそういうこととは全然違いますので、是非そういう企業内新陳代謝をするに当たっても、研究開発をして次の新しいものをやっていかなきゃいけないのに、やはり本来対象となる部分とか期間が、先進国、特にOECD全体で見たときにかなり劣後しているわけですね。その部分を逆にしっかり確保しないとただの古い企業の集まりになってしまうと、そういうことだと思いますので、是非研究開発税制をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  65. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) まさに私がドイツに学べという話の一つの大事な例だと思います。  今、産業競争力関係絡みで、大臣もそれから官の方もドイツやオランダの農業だとかヨーロッパをいろいろ勉強されるようになりましたし、うちも会長はもうドイツ相当詳しく調べております。  私は、経団連、今度の総会で副会長を引きますけれども、内部でもうはっきり申し上げているし、今度の新会長の榊原さんにももう申し上げているのであえて申し上げますが、私は、各地方の経済団体との経団連の会合がありますよね。地方も大企業なんですよ、大きな鉄道会社だとか。私は、地方は中堅企業がやるべきだ。ただ、ドイツと違うのが、ドイツは各地方に大企業があります、中堅と中間みたいな。だから、いろんなことをサポートする余裕があるんですね。  ですから、この国は、じゃ、いきなり地方に行ったときに、中堅企業の人に経団連といろいろやる、そういうサポート力というか、が期待できるかというと難しいと思うんですが、私はせめてそういう意識で地方と経団連の会合を、地方は中堅、それから経団連委員会にも中堅企業の集まりの委員会をつくるとか、是非お願いしたいということを榊原新会長お話をしております。  それから、産官学の連携のやり方ちょっと触れましたが、日本は自前主義ですから何でも自分の中で研究開発しようと思っているわけですけど、これだともう限界があるわけですね。  一番いい例が医療ロボットです。医療ロボットでどうして日本は後れを取るか。医療ロボットを作ろうと思ったら医学と理学と工学が力を結集しなきゃいかぬわけですけど、それをみんな持っている会社なんかありません。だから、アメリカみたいにみんなで知恵出しをする連係プレーで医療ロボットは成功するわけですね。  だから私は、社内の研究開発費のインセンティブももちろん私も有り難いんですけど、大学に出したりベンチャーにお金を出すときの研究開発、いわゆるオープンイノベーションと呼んでいますが、これの方を国としてはより優遇すると、外部に出す。先ほど言いましたように、公的な研究機関は、大企業に補助金を出すよりも、大企業からお金をもらって、それで一緒になって人も出してもらってやるというような方向の方が国全体としては知恵を結集できるんじゃないかという話を産業競争力会議の中で言っていますし、この話はもう議事録に出ていると思いますから、あえてここでもお話を申し上げます。
  66. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。
  67. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 河野義博君。
  68. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博でございます。  両参考人、ありがとうございました。  私の方から、時間も限られておりますので端的に、両参考人に二点、法人税減税に関しまして同じ質問をさせていただきます。  私も商社で働いておりまして、日本法人税高いなと常々思いながら仕事をしておりまして、また肌感覚としては法人税下げてほしいなという感覚を持っております。その観点から、まず一問目は、法人税を下げた場合、その代替財源をどこに求めていくのか伺います。  二点目が、私も含めて、法人税下げた方がいいんじゃないかと言っている方々は、法人税を下げれば、外に出ていった、海外に出ていった日本企業が、特に製造業日本に帰ってきてくれるんじゃないのかなと、そこで法人税、帰ってきてくれれば設備投資が起こって雇用を増やして経済活性化できるんではないかという理想を描きながら提案をしていると思うんですが、一方で、本当に法人税を下げたら製造業回帰、日本に回帰してくれるのかなという疑念が、私は常に持ち続けております。それ以外にも様々な課題がございます。グローバル企業の、日本を代表する世界の企業の元トップとして、法人税が下がったら日本製造業を戻すのかどうか、まあ仮説になりますけれども、そういった観点からアドバイスをいただければと思います。
  69. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 代替財源というのは、今いろいろ検討をこれからしていかなきゃいけない最大の課題だというふうに思っております。  一つは、アベノミクス成長していきながら出てきた、特に法人税の部分で出てきている部分があるわけですね、先ほどもちょっとお話ししたように。先年度でいくと、八・七兆円の当初予算に対して十・一兆円ぐらいで補正のところまで行ったんですけど、多分もうちょっと、十・七兆とか八兆とか、それぐらいまで多分行くと思うんですよね。本当の意味欠損企業が、一億円以上の欠損企業がここのところ四七%、三七%、何とかと下がってくるだけで、実際には、税収中立でやろうとすると、逆に言うと法人税下げないと税収中立にならないんですよね。だから、そういうことも含めて考えるのと、やはり歳出の方をしっかり見ていかなきゃいけないだろうというふうに思います。  だから、ちょっと本当に何が無駄かというのはなかなか難しくて、今の予算の立て方というのは各省庁が縦で割りながらいろいろ予算分捕り合戦をしていますので、そこのところを適正に、本当に必要なものを優先順位を付けて本当は出させるとか。全部優先順位一番ですよと出されると本当にどうしようもないわけで、だから、やはり予算の立て方。  それから、あともう一つは、決算をしたときに本当に有効に使われたかどうか、それをしっかり確認をすることをPDCAを回すと言っているんですけど、それを少し諮問会議でもフォローしていこうかというようなことで、そういうところを、全部一つの財源ではなくていろいろなところの財源からひねり出していって法人税減税を実現していきたいというふうに思っています。  それから、あともう一つは、じゃ、そうしたら日本に帰るのかという話がもちろんあるわけですが、一つは、税金だけですか、労働力はどうでしょうか、いろんなことがあるわけですね。それで、あともう一つは、外に出たのも日本が駄目だから出たというわけではなくて、地産地消で相手の政府との関係も含めて出ていっている部分もありますので、必ずしもそんなに単純な問題ではないというふうに思います。  だけど、例えば当社の例でいきますと、今これから四千億円ぐらい、四日市の工場にパートナーと組みながら投資をこれからするというふうにもう方向性決めているわけですね。だけど、この投資は、じゃ、やっぱり投資減税の話もあるし、その投資をするためには、半導体の場合には研究開発もずっとパラにやらなきゃいけない。だから、そういう意味では、そこをサポートしてくれるような税制がしっかりフォローしてくれれば、その四千億の投資というのは確実にやるようになるわけですね。  だから、戻る戻らないより、日本企業日本でちゃんと投資をできるようにするためにもこういう下地をつくらなきゃいけない、そのための法人税減税だというふうに我々は捉えております。
  70. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 私は、今の御質問は、国の財政をどう考えるかということと、企業を元気にしなくて個人収入もあるのかという、この二つの視点なんだと思いますね。  まず、企業お話ですが、ほかの国ではトップリーダーがそこを割り切ればもう議論なしに入れる話が、この入口のところでこの国は必ず議論するんですけど、ちょっとデータは古いんですけど、二年前で、この国が、企業が生み出した付加価値総額は二百七十五兆円で、それが百七十兆円ほど個人の所得に回っている。法人税なんかはこのほんの一部ですよね。だから、企業を元気にして付加価値を高めない限り、個人にも収入は入らないんだというのはどの国でももう当たり前の原則だけれども、そこを議論せないかぬというのが本当に不幸なことだと思います。  それから、国の財政を考えたときに、私は、全く個人的な考えですが、消費税一〇%に上げるのを、法人税を減税するのに上げるのはとんでもない話だといってもし消費税をやめるぐらいなら、私は消費税上げてほしいですね。この国全体の財政のことを考えたら消費税は待ったなしだし、それが法人税減税が足を引っ張るのなら、それは私は国民に、もう本当に国民がみんなそういうことを言うんなら、消費税の方を優先させるというのがこの国にとっての正解だというふうに思います。  それから、法人税お話は、特に外資にとっては分かりやすい話なんですね。これは、外資が投資しようと思ったら、こんな法人税たくさん取られる国に投資するかともう思うわけですよ。ですから、今回のアベノミクスの一番分かりやすさというのは、特に外資に対して、法人税というのが、あるいは雇用の問題が分かりやすいから議論しているんでしょうけれども、我々のように長年この国でやっていると、はっきり申し上げて、法人税を払っている企業が全体の三割ですか、じゃ、払っていない企業をもっともうかるようにして税金払えよと、こういう話を一方でしていただきたいですね。
  71. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。
  72. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 舞立昇治君。
  73. 舞立昇治

    舞立昇治君 自由民主党の舞立昇治でございます。本日は両先生、ありがとうございました。  二点、まず、やっぱり諮問会議佐々木先生にお伺いしたいと思います。  先ほどもいろいろと法人税率の引下げの話がございました。やはり、私としても、地方の全体の景気回復、そして来年十月の消費税一〇%の確実な移行という観点からは、まだちょっと法人税の引下げというのは時期尚早だと思っていまして、やはり二十八年度ぐらいに一律引下げについては結論を得るべきだと思っております。  そうした中で、あくまでも今は投資促進税制の拡充で対応していくべきだと思いますけれども、そもそも、今、日本が高いという話があるんですけれども、アメリカとかは実効税率が四〇%ぐらいで、今の日本の三四%に比べてかなり高いということなんですが、アメリカで実効税率高くても結構活発化しているということのちょっと原因が、もしもお知りでしたら教えていただきたいというのが一点と。  最後に、今日の資料の十四ページ佐々木先生のですね。先ほどいろいろと代替財源の話とかでなかなか難しいという話の中で、やはり歳出をチェックしていかないといけないというふうにおっしゃられていたと思いますが、いつも諮問会議の歳出削減の議論というのは非常にエッジが利いていてあれなんですが、基本的に、社会保障を除く歳出については、GDP対比でいうと日本はもうOECDで最低水準というのはよくお分かりだと思います。  そういった中で、一つ提案なんですが、私は、数年前に地方団体に出向していたときに、その地方団体というのは要はバランスシート運営をやっていたんですよね。そのときに、貸付金ですとか有価証券、数百億、五百億以上あったわけです。その中で、とにかく首長から、財政厳しい、税収も少ないと、とにかく資産の流動化で未来への投資を、捻出してくれというので、一生懸命資産の流動化、一つ一つ資産をチェックして五十億の財源を捻出したわけでございますが。  今、国は有価証券なり貸付金等、数百兆なり五百兆近い資産を有しているわけですが、その辺のもっとチェックを、むしろ、なかなかトップがこれ強い思いにならない限りは実現していかない案件で、是非そういった面も諮問会議で議論していただきたいなと思っておるんですが、その辺の見解について教えていただければと思います。
  74. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 法人税率を本当にじゃ、時期尚早であると、そういうお話なんですけれども、私が御説明差し上げた、十六ページにあるように、今のままほっておくと、成長といいますか、実際にアベノミクス成果そのものを、本当は法人税で下げて、それで更に活性化をしていくことによって二〇年PB黒字化していくと、そういう理屈ですので、やはりそのところを先に行ってしまえば、その先に行った分だけ成長が進まないわけですので、是非そういうところを御理解をいただきたいかなというふうに思います。  それから、先ほどの、七〇%税金払っていないで三割で払っているという、そういうお話ももちろんあるんですけれども、日本の場合は、法人成りという特殊なタックスプランニングをするちっちゃい会社があって、それを数に数えるから七〇%という話になるわけですね。だから、もうリーマン・ショックから癒えてきて、三〇%台になっているわけですね、一億円以上の資本金のところはですね。だから、そういう意味では、何というんですか、税金かなりちゃんと払っているからこそ八・七兆円の予算に対して十・数兆円の法人税を払っているということですので、ちょっとそこの点、誤解のないようにということと。  あともう一つは、法人の所得税を払っていない企業は、欠損企業は税金を払っていないかというと、そうではなくて、地方税その他も含めて外形課税でされているようなところは確実に納めています。そういう意味では、欠損企業が払っていないということではなくて、例えば、余り言っちゃうとあれなんですけれども、会社の名前は出さないですけれども、四千億円ぐらいの欠損があっても七百億円ぐらい実は払っている会社が数社あります。千七百億円の欠損がまだ残っている会社で四千五百億円ぐらい税金払っている会社があるわけですね。だから、欠損企業が税金払っていないということは絶対ないということはちょっと御理解いただければ有り難いと思います。  それから、じゃ、米国はなぜうまくいっているのか。これも我々、本当は研究課題としてしっかりやっていかなきゃいけないと思うんですが、米国って、あれだけダイバーシティーのある、何というんですか、社会ですね。ああいうダイバーシティーのある社会の中で、出生率も非常に相応にありまして人口もまだ増えている、そういう若い国ですよね。だから、そういうところはある重荷があってもその先に進めるということですが、日本の場合は少子高齢化の真っただ中の中で、リーマン・ショックからの傷が癒え始めたところ。だから、そういうところですので、若干その環境も実際の成り立ちも基盤も違うんだろうなと、そういうふうに思ってございます。  それから、有価証券どうのこうのというのは、ちょっと私は詳しくはないので、いろいろチェックというお話がありましたけれども、ちょっと私自身ではお答えできる素養がございませんので、失礼させていただきたいと思います。  以上です。
  75. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 坂根参考人は御発言ございますか。
  76. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) 私もアメリカで八年、四年、四年、八年いて、こんな税金の高い国、所得税も高いですし、やっていられないなと思いましたけれども、一方で、もうけないと駄目だということになります、みんな。ですから、無駄な消耗戦、価格競争には入りません。だから、もうけないと税金も払えないし、赤字を何年も続く会社が存続できないわけですけれども、日本はそこが不思議と存続できるわけですね。  ですから、私はこの国は、間接金融が本当にかつて、厳しいところにはお金貸さない、この事業は伸びそうだからここにお金を貸そうとやってきたのがこの国の一番強かった時代なわけですよね。その間接金融がおかしくなったからデフレになったという面もありますから、私は、ちょっと変な視点ですけれども、間接金融のスチュワードシップ・コード、イギリスでスチュワードシップ・コードというのは大手機関、投資機関にやっているコードですけれども、この国は、間接金融の人に、もう少し企業に対して厳しく言うところを言い、育てる事業を思い切って育てるというふうに変わってもらうと、結構この国は効果があるんじゃないかなというふうに思っております。
  77. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) ちょっと一言。
  78. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) はい。佐々木参考人
  79. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) ちょっと坂根さんに、大先輩ですので逆らうわけではないんですが、赤字を何年も続けているというのをどう、欠損金がずっと、その処理をしているというのは違いまして、赤字は例えばリーマン・ショックですぽんと何千億出てきたもの、それでもう次の年には黒字転換をして少しずつ返しているわけですよね。それから、あともう一つは、新しい会社を立てるときには必ず最初の投資があって、必ず欠損が起こるわけですね。それを年度を掛けて返していくわけで、欠損企業イコール赤字連続企業であるという、ちょっとそれも誤解でありますので、是非その点よろしくお願いしたいと思います。
  80. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 坂根参考人、御発言ございますか。
  81. 坂根正弘

    参考人坂根正弘君) だから、今、佐々木さんがおっしゃったのはまさにそのとおりなんですが、実際に決算上赤字をもう何年も続けている会社がこの国では存続できますよね。あるいは社内で赤字をずうっと続けている事業が存続している、そういうものに対する私はガバナンスということを申し上げたつもりです。税金の関係は、今、佐々木さんがおっしゃったとおりだと思います。
  82. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。
  83. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  それでは、予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこれで終了したいと思います。  一言御挨拶を申し上げます。  佐々木参考人坂根参考人におかれましては、長時間貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。私どもの調査に大変資する御発言でございました。心からお礼を申し上げる次第でございます。御両人のますますの御活躍を祈念申し上げまして、お礼の御挨拶といたします。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会