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2014-04-10 第186回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      和田 政宗君    薬師寺みちよ君  四月九日     辞任         補欠選任     薬師寺みちよ君     和田 政宗君  四月十日     辞任         補欠選任      河野 義博君     杉  久武君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤本 祐司君     理 事                 赤池 誠章君                 渡辺 猛之君                 田城  郁君                 広田  一君                 魚住裕一郎君     委 員                 青木 一彦君                 江島  潔君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 酒井 庸行君                 豊田 俊郎君                 中原 八一君                 野上浩太郎君                 森屋  宏君                 田中 直紀君                 野田 国義君                 前田 武志君                 杉  久武君                 田中  茂君                 和田 政宗君                 辰已孝太郎君                 室井 邦彦君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        国土交通大臣  野上浩太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       中原 八一君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    政府参考人        法務大臣官房長  黒川 弘務君        国土交通省都市        局長       石井喜三郎君        国土交通省鉄道        局長       瀧口 敬二君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        国土交通省国際        統括官      稲葉 一雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省国際統括官稲葉一雄君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 太田房江

    太田房江君 おはようございます。自由民主党の太田房江でございます。  今日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。質問に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。  去る三月三十日の朝、沖ノ鳥島工事現場で痛ましい事故が起こりました。現在も行方不明のお二人の捜索が続いておる状況です。お亡くなりになった五人の方々と御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、行方不明のお二人の御無事をお祈り申し上げたいと存じます。また、原因究明再発防止、これに万全を期していただきたいと存じます。  それでは、質問に入ります。今日の議題となっております株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案の審議に当たって、まず私の問題意識を申し上げたいと存じます。  我が国資源小国です。これまで競争力のある物づくり産業が生み出したものを輸出して、エネルギーや食料などの資源海外から買い、経済成長を支えてまいりました。しかし、この基本的な構図が今大きく揺らいでいます。すなわち、三・一一以降、輸入するエネルギーの総価格は増加をし、二〇一三年で約二十七兆円、エネルギーを買っている。原発停止に伴う想定を超えた増加分は三・六兆円と言われております。  一方で、物の輸出は、円安にもかかわらず、物量ベースでは伸びておりません。結果として、年間の貿易収支は十一・五兆円の赤字に陥りました。二〇一一年に三十一年ぶりに赤字に転落をして以降、三年連続で赤字幅は拡大を続けております。我が国製造業海外生産比率は既に二〇%を超え、グローバル化は更に進むということを考えますと、当面この傾向は続くと考えざるを得ないでしょう。  したがって、今大事なことは、アベノミクスの成長戦略を成功させ新しい輸出産業をつくること、実力あるインフラ産業などは海外展開をして現地ビジネスをして日本国内利益を還元すること、さらに、観光産業のように、海外から人を呼び込み日本利益をもたらす産業を振興すること、これらの総合力海外の活力を我が国に呼び込み我が国外貨獲得の力を充実させることであると考えます。今回の法案は、このような問題意識に沿ったものであり、こうした観点から幾つか質問をさせていただきます。  まず、民間企業との関係です。  海外においてインフラが充実すれば、その国の発展のために大いに役立つでしょう。けれども、私は、それだけではなく、同時に、日本企業がこれまで蓄えてきた技術ノウハウを生かして海外市場獲得していくというウイン・ウインの視点が大切だと思うのです。そして、これを支援しようとする施策は、民間ニーズに合ったものでなくては効果が期待できません。  そこで、お尋ねをいたします。この法案検討に先立って国土交通省では当然民間企業の声を把握されていると思いますが、どのような内容だったでしょうか。お願いをいたします。
  6. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  本法案検討に当たりましては、平成二十四年五月から民間企業代表者にお集まりいただきまして有識者懇談会を開催するなど、幅広くインフラ輸出関係企業、具体的にはインフラ企業であり、あるいは銀行であり、あるいは商社でありますけれども、これらの企業皆様の御意見を伺ってまいりました。  その結果、多くの企業皆様運営型プロジェクトリスク対策、これを課題として挙げられまして、政府によるプロジェクトへの出資事業参画を求めていらっしゃいました。具体的に申し上げますと、まず第一に、民間のみで出資するにはリスクが大きい、したがって国も出資してリスクを分担してもらいたい。第二に、トラブル発生時の相手国との交渉力を高めるためにも国の参画を望みたい。第三に、国の参画によって海外進出をちゅうちょしている日本企業も踏み出せるようになる。このような御意見が多くございました。  これらの御指摘も踏まえまして、インフラシステム海外展開促進観点から、今般、機構設立検討し、予算を要求し、法案を提出するに至ったものでございます。
  7. 太田房江

    太田房江君 お答えのとおり、民間企業の方はインフラ海外展開に当たって支援を必要としていると、こういうことであったと理解しましたが、一方、この分野では、円借款を始めとするODAJBIC国際協力銀行、さらにはNEXI日本貿易保険などが大きな役割を果たしてまいった分野です。国による支援としてはこういった既存の機関で十分であるという声もあると思います。  そういう中で、今回、新たな機構をつくる意義はどこにあるのか、大臣にお答え願えれば幸いです。
  8. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) かなりインフラシステム輸出状況が変わってきたという感をしております。  私自身も海外東南アジア諸国、ミャンマーやタイやベトナムインドネシア等に行かせていただきましてトップセールスを進めてきたところでありますけれども、技術力は評価する、高いと、しかし値段がまた高いという声が出ておりまして、なかなかこれをクリアするということが困難な上に、我が国企業参画が期待されているというのは、今までは下物といいますか、インフラ自体を造るというのをODAによってやってくるということが多かったんですが、その上の、果実とは言いませんけれども、一体となった運営という面ではほかの国に実はそれを取られてしまってきているということで、激烈な競争が今世界で行われているという状況にもございます。  我が国のこのノウハウが生かすということが大事なんですが、整備長期にわたるということ、そして運営段階需要リスクがあるということ、政府影響力現地で大きいものですから、これらに対応していわゆる政治リスクというものを少しでも少なくしなくてはいけない、商業リスクということを少なくしなくちゃいけない、その上に自然災害リスクというものもこれを極度に抑えなくちゃいけない。リスクを抑えるには、国がかなり前面に出て相手国政府という人たちとも話合いをしながら、そして仕事を取って安定して、今度はシステムの問題もありまして、なかなか商慣行、制度の問題も違いますものですから、私もベトナム等に行ったりして、具体的に政府の要人に支払が遅延しているとかいろんなことについてはそれを打ち込む、そうすると、その人が初めて手を打っていただいて、困り果てている現場企業というのは大変助かって仕事ができるというような状況もございます。  そういう意味で、今までのJBIC、そしてJICA、そしてNEXI、これらについてはずっと経験も豊富でやってきたんですが、今申し上げました政治リスクや、あるいは自然災害リスクや、あるいは商業リスク、そして激しい競争、こういう中で、この体制だけでは極めて不十分であると。JBICは融資を、JICAは主にODAを、NEXI民間企業による輸出や投融資のリスクを補填する保険業務をというそれぞれの立場を生かしながら、この今回成立させていただきます機構連携を取って我が国インフラ海外展開促進したいというのが今の私たち考えでございます。
  9. 太田房江

    太田房江君 大臣は実際に現場に行かれて、そして激烈な競争の中で官民一体となってこのリスクを軽減する必要があるということで今回の機構設立に立ち至られたと、こういうお話でございました。  言わばリスクマネー官民一体で供給していこうと、こういうことであるわけですが、もう少し突っ込んでその性質を考えてみますと、長期継続というキーワード、これは大臣もおっしゃったとおりですけれども、この言葉が浮かんでまいります。つまり、機構出資するときには、短期的に利益を上げて売り抜ける、こういう従来のファンドとは異なるわけで、長期に及ぶ事業期間を通じ現地での事業を継続して支援するということで、民間企業と共同でリスクを分担、軽減するということであると思います。そして、それができるなら、この機構の本質的な価値になり得るのではないでしょうか。  また、あらゆるビジネスにとって、今日、意思決定迅速性も重要だと考えます。とりわけインフラ市場では地域独占的なプロジェクトが多い、平たく言えば、ある事業を一旦ある国が取ってしまうともう別の国は入れなくなる場合が多いと、こういう特徴がございます。そのような分野我が国企業の参入を促進しようとするからには、一緒にプロジェクトを支える金融機関に対しても迅速な意思決定を促していく、それくらいの覚悟が要るのではないでしょうか。  すなわち、この機構が担うべき役割として、長期継続という視点迅速性という視点が重要というふうに考えますが、この点についてどうお考えでしょうか。また、国土交通大臣が定めることとなる支援基準にどのように反映することになるのでしょうか。
  10. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 先生指摘のとおり、機構交通都市開発運営型プロジェクト対象としておりますので、まず、整備に要する期間が非常に長いということ、それから、その後の運営に関する資金回収前提としますので、長期にわたる継続的支援が不可欠と考えております。また一方、他国との激しい競争ということもありますので、投資判断を行う海外交通都市開発事業委員会迅速性という視点も極めて重要になります。  また、今お話のありました国土交通大臣が定める支援基準につきましては、政策的必要性、それから民業補完性、それから長期収益性の三つの観点を盛り込む方針といたしております。  今先生指摘の点、極めて重要な点だというふうに思いますので、この長期継続的な支援迅速性という視点について反映するように、関係省庁とも相談をしながら検討してまいりたいというふうに思います。
  11. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございます。  今度は別の角度から、実際のプロジェクト組成の過程に即して考えてみたいと思います。  インフラ海外展開分野では、物を造ったり売ったりする川中で勝負をするだけでは勝てません。つまり、現地政府プロジェクトを具体化して発注に至るまでの川上も大切、さらにはインフラによるサービスの提供や料金の徴収、メンテナンス、つまりOアンドM、オペレーション・アンドメンテナンスといった川下に食い込んでいくことも大変大切というわけです。  この機構川下支援を主な目的としておられると思いますけれども、ここでは川上に関連して二点お尋ねをしたいと思います。  一点目は、国際標準化についてです。そもそもインフラというのは現地の生活に深く根差して展開していくものでありますから、こちらの価値観をそのまま持ち込むだけではなくて、必要があれば相手国ニーズに適合させるということが重要です。一方で、相手国国際競争を行おうとしても、我が国が不利な基準スタンダード前提とされたのでは勝負になりません。この点、今までのところでは欧州勢に一日の長がありそうな気がいたします。我が国技術システム国際標準化というこの川上部分についてどのようにこれまで取り組んでこられ、今後どうしていかれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。  川上に関して二点目。企業の目からいたしますと、この川上というのは相手国政府企業に対するプロモーション段階であります。もちろんこの段階に力を入れることも大切ですが、その後に続くプロジェクト開発段階、これも大事なわけです。この段階では用地取得を含めて相当の費用も掛かってまいりますので、ここをどう乗り越え、そしてプロジェクトファイナンスが組成できるかというのがこのプロジェクト受注できるかどうかの鍵になってくると思います。  例えば、JR東海が現在テキサスプロジェクトと称して展開をしている新幹線システム輸出でございますが、このプロジェクトも現在開発段階にありまして、コンサルティングそのもの長期多額資金を要するというふうに伺っています。そこで、新機構支援により受注に成功すれば、新幹線システム、つまりジャパン・ブランドの輸出が実現できると、こういうことになるわけです。  今回設立しようとしておられる機構は、このプロジェクト開発段階についてどのように支援をしようとされておられるのか、さきに申し上げた国際標準化と併せてお答えいただきたいと思います。
  12. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  まず、我が国技術システム国際標準化について御質問がございました。先生指摘のとおり、インフラ海外展開におきましては、我が国規格国際標準化などソフトインフラを積極的に展開することが極めて重要であると考えております。  国土交通省ではこれまで、まず国際機関標準化団体参画いたしまして、我が国の提案への支持者を増やす努力、それから相手国でセミナーを開催したり、あるいは相手国専門家を派遣いたしまして、相手国において日本規格が普及するように努力すること、このようなことを進めてまいりました。我が国技術システム国際標準化、あるいは相手国でのスタンダード獲得、このようなことを目指して進めてきたわけでございます。今後につきましても、このような技術システム国際標準化は、政府の果たすべき役割といたしまして引き続きより積極的な展開を図ってまいりたいと、このように考えてございます。  また、川上に関する第二点目といたしまして、プロジェクト開発段階における支援について御質問がございました。  インフラシステム輸出の推進に当たりましては、プロジェクト構想段階案件形成段階実施段階のそれぞれにおきまして適切な措置を講ずることが重要と考えております。案件形成段階やあるいは実施段階におきましては、日本技術規格標準化あるいは事業リスク軽減方策等日本企業進出支援する措置等を進めてまいります。また、日本企業が直接出資する案件、これを前提といたしまして、このような案件に対しまして、本法案に基づきまして、民間企業等とともに機構による出資事業参画を通じた支援を提供することも想定しております。  また、先生指摘テキサスプロジェクトについては承知してございます。このテキサスプロジェクトも含めて、個々のプロジェクトに対する機構による支援の可否につきましては、今後、国土交通大臣が定めます支援基準や、この支援基準に基づく機構支援委員会判断等によって決定されることになると、このように考えてございます。
  13. 太田房江

    太田房江君 今後の検討による部分も多いということですけれども、是非ともリスクを取って、海外市場に飛び込む民間企業支援するという視点を大切にしていただきたいと存じます。  さて、関係省庁との連携について少し伺います。  この機構支援しようとしているのは海外案件で、伸びていく市場に向かっていくとき一番大切なことは、日本チームが目標に向かって得意技を持ち寄り、連携、団結することだと思います。ところで、この法案では機構支援決定の認可に当たって、国土交通大臣外務大臣財務大臣経済産業大臣協議をするということが規定されております。この支援スキームが有効に機能するためには、この協議が、これまでのように消極的権限争議というものをやるのではなくて、連携、団結を促す協議ということになることが鍵になると考えます。  こうした関係省庁間の連携について、国土交通省のお考えお尋ねいたします。
  14. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) インフラシステム海外展開促進には、我が国外交政策対外経済政策が密接に関連する上に、複数の関係プロジェクト間の連携が必要となる場合がありますが、このため、関係省庁間が連携して取り組むことが重要でございます。  本法案におきましても、委員指摘のように、支援決定等に関する関係大臣への協議行政機関の長による相互連携協力が規定されているところでありますが、既に関係省庁間では様々な場を通じて情報共有連携の確保が図られております。また、官房長官が主催する関係閣僚会議である経協インフラ戦略会議インフラ分野ごと海外展開を推進するための協議会、個別のプロジェクト、それぞれのレベルにおいて関係省庁間にて情報共有連携を図っております。  これらの枠組みも十分に活用しつつ、関係省庁間の連携を確保してまいりたいと考えております。
  15. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございました。  これまで繰り返し申し上げてまいりましたように、新しい機構我が国未来のために役立つには、民間企業を的確にサポートしていくという方向性が大前提となります。さらに、必要があれば支援対象を拡大する。下水道の話も出ているようですが、大臣がお得意の相撲でいえば、土俵を広げるということを含めて、大臣自らが先頭に立ってしっかりとリードをしていただきたいと考えております。ちなみに、私は土俵には立てませんでした。済みません。  例えば、鉄道で今インフラ受注が大変激烈な競争下にございますけれども、この分野ではフランスやドイツといったライバルに水を空けられているのが現状です。今後は韓国や中国といった競争相手の動きも活発化してくるでしょう。  さらに、今日は時間の都合で立ち入りませんけれども、本来、インフラ海外展開は文化の輸出という側面もございます。例えば、日本鉄道システムというのは、単にA地点からB地点に人や物を運ぶということではなくて、そこに安全性信頼性、きめ細かなサービスが織り込まれております。これらを実現するのは人であって、人材の育成も大切な課題になってまいります。  折しも先週、四月三日には、JR東日本グループ会社イギリス高速鉄道新幹線計画HSプロジェクトコンサルティング契約締結にこぎ着けました。HS2、ハイ・スピード・ツー・プロジェクトは、ロンドンとバーミンガムを新幹線で結ぶ総額八兆円に上る大計画であります。元々、日本鉄道技術イギリスから輸入されたということを考えますと感慨深いものがあるわけですけれども、このように、日本インフラ技術ノウハウ世界をより良い場所にするために今後様々な分野で大きく役立つものと考えます。  そこで、最後に大臣にお伺いをしたいと存じます。新しい機構存在意義を発揮するためにも、何といってもまずは成功事例を早急に具体化すること、これが大切だと思います。未来を明るくするための御決意お願い申し上げます。
  16. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) おっしゃるとおり、日本の例えば鉄道におきましても、高い技術を誇るハードに加えまして、極めて正確な運営という、東京駅に新幹線が着く、そうすると、ばっと掃除の方たちが乗る、そして全部シートを替える、そして僅かの、もう瞬時にそれをやり遂げる、そして一礼して去っていくと。これ自体を実は見に来る方たち海外にはいる。そうしたことも含めて、技術とともに運営、そしてまたそこに行われる礼儀、そうしたことも含めて日本の優れたものというのが海外展開をしていくという、いよいよ大事な大事な攻防戦といいますか、チャンスが巡ってきたというふうに思っています。  この機構を活用して、このように優れた日本インフラ海外展開して相手国にも喜んでいただけるというものを造る、そして、さすが日本と、こういうふうに言われるようなものを造り上げるということにつなげていきたいというふうに思っております。私もその先頭に立ちたいと決意をしております。
  17. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  18. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、河野義博君が委員辞任され、その補欠として杉久武君が選任されました。     ─────────────
  19. 田城郁

    田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。よろしくお願いをいたします。  沖ノ鳥島では、いまだに二名の方々が行方不明となっております。改めて亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたすとともに、行方不明の方々の早期の発見と、被害を受けられた方へのお見舞いを申し上げます。  沖ノ鳥島港湾工事事故原因究明再発防止検討委員会も設置をされました。二度と同種事故を起こさないために、真の原因究明をしていくことが重要であります。国交省には、万全の体制でよろしくお願いをしたいと思います。  さて、株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案について質問をいたしますが、その前に一点だけ、JR北海道の安全確立に向けてということで大臣にお伺いをいたします。  新年度に入りまして、JR北海道は、須田会長、島田社長、西野副社長を始め、新たな執行体制でスタートをいたしました。この間、安全性への信頼を失ったJR北海道ですが、安全の再確立に向けて議論をされてきました。厳しい自然条件、改革のスキーム崩壊に伴う脆弱な経営体質、労使の向き合う姿勢について、現場の声を聞く姿勢についてなど、克服すべき課題が山積をし、経営陣が替わったからすぐに結果が出るという生易しい環境ではない、そのような状況で、国交省としてJR北海道をどのように指導していくのか、現場第一主義の太田国土交通大臣に改めてその御決意をお聞かせ願えればと、そのように思います。よろしくお願いいたします。
  20. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR北海道に対しましては、昨年九月十九日の貨物線脱線事故以来、改ざんが発覚をしたり様々なトラブルがあったりということで、国民全体に大きな不安を与えてきたと思いますし、北海道の方たちにとりましても、一番柱であったわけでありますので、大変不安といいますか、落胆をした半年だったと思います。  三回にわたる特別監査を行い、それをまとめて一月二十四日に鉄道事業法に基づく事業改善命令、そしてまたJR会社法に基づく監督命令を発して、これが具体的に展開されているかどうか、何よりも実行が大事だということを踏まえまして、常時の監査体制を取るということと同時に、三月十一日から第一回目の特別監査もやらせていただいたりして、その実行状況を監査をさせていただきました。  とにかく、日々の輸送の安全を確保するということと同時に、体質ということが問題になりましたから、企業陣と現場との対話、そして意思の疎通、そうしたことを十分にやり、現場の声を受けて、安全にはこれをやった方がいい、あれをやった方がいいということを全面的に受けてやるということが大事だと。これらのことにつきまして、新しい会長、そして新しい社長、そして副社長になりました西野さん、三名にも、先日私の方から直接そうした物の考え方と、JR北海道が安全で再建されるということが大事であると、そこの中で企業を担うということは大変なことだから、緊張して、そして安全ということを最大限にしてスタートをするようにということを指示をさせていただいたところです。  JR北海道が四月一日から新生北海道として体制的にも新しいスタートを切ったということでありますけれども、同時に、置かれた状況が依然として厳しいものであるということには変わりはございません。新しい社長、会長の下で、経営幹部はもちろん、現場社員一人一人に至るまで、結束して全社一丸となって再生に全力で取り組んでいくことが不可欠だというふうに思います。島田新社長と須田新会長においては、新生JR北海道として再生を着実に果たしていくことを強く期待し、また、そのことを直接お話をさせていただいたところでございます。  国交省としましては、JR北海道の取組を今後とも監視するとともに、強い指導、支援体制を行っていきたいと決意をしておるところでございます。
  21. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  二〇二〇年には外国人の観光客を二千万人を目指すと、そういう目標もございます。北海道には大活躍をしていただかなければいけないと、そのようにも思っておりますし、この海外インフラ輸出の面に関しても、例えばJR北海道、DMVという、道路も走れてそのまま線路も走れる、そのような車両の開発などもしております。このようなものも海外の需要など恐らくあるのではないか、そういうようなときに活躍をしていただかなくてはいけない。何としてもJR北海道の安全性をもう一度再確立してしっかりと信頼を取り戻すために、私も微力ではありますが頑張っていきたいと思いますので、是非国交省の皆さんもよろしくお願いをいたします。  では、法案質問に入らせていただきます。機構設立に至る経緯ということで、重複する部分もございますが、お聞きをいたします。  インフラ海外展開のために株式会社海外交通都市開発事業支援機構設立をされることになりました。私は元JRマンとして、日本鉄道の優秀な、車両を含めた運行管理システムあるいは保守点検システムを新興国や発展途上にある国々に海外展開できれば大きな国際貢献になるなとかねてより思っておりました。その観点から、この法案には大いに期待をしているところでございます。  一方で、海外で難民支援や復興支援を私自身が経験をしてきた立場からいたしますと、とにかく外国人の皆さんとの交渉はタフだということも体感をしております。その経験も踏まえて、この機構を成功させていくために幾つかの懸念事項について指摘をさせていただきまして、国交省を始めとした政府には成功に向けて万全の体制を期していただきたいと、そのように思います。  衆議院での議論、経緯も承知しておりますが、改めて、機構設立に至った経緯と、JBIC法を改正して業務の範囲を拡大するという道を選択しなかったことも含めて、機構の必要性、設立に至った経緯を太田国交大臣にお伺いをいたします。
  22. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 現在、海外では、交通ですとか都市開発分野での多くのプロジェクトが具体化しつつありまして、関係業界の機運が非常に高まっております。  しかしながら、このプロジェクトは、整備長期にわたるということ、それから運営段階需要リスクがあるということ、それから現地政府影響力が大きいなどの特性がありまして、民間だけでは参入がなかなか困難な状況もございます。このため、新しい機構設立をして、これらの分野海外市場に飛び込む企業支援するということにしたものであります。  例えば、具体例を挙げますと、タイ、バンコク地下鉄ブルーラインの案件ですが、これはいわゆる下物は、トンネルですとか駅等はODA日本整備をしたということなんですが、いわゆる上物の車両機器及び運行システムの調達につきまして、日本企業を含む企業グループが優先交渉権を獲得をしていたんですが、これは最終的には受注をできなかったという案件がございます。仮に機構であれば、現地との交渉がスムーズに進んで受注できる可能性が高まったのではないかということを考えております。  それから、御指摘のとおり、インフラ輸出支援する機関としてJBICですとかJICAがございます。プロジェクトファイナンスでは出資者と融資者は利益相反が生じやすく同一機構が両者を兼ねることは望ましくないということ、それから、インフラ分野事業参画に精通した人材を確保してノウハウを蓄積するにはその分野に専門化した組織が有利なこと、それから、迅速な意思決定、機動的な対応という観点からは簡素な組織の方が有利ということから、新しい組織を設立をするということに判断をいたしました。  いずれにせよ、機構運営に当たりましては、JBICJICA等との関係機関との連携をしっかり取ってまいりたいというふうに思います。
  23. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  次に、機構設立経費及び情報収集の体制についてということでお伺いをいたします。  機構設立経費として見込まれておりますのが三十億という金額に上りますが、どのような根拠によってこの金額が算出されたのか、その根拠についてお伺いをいたします。機構の人員は二十から三十人程度というふうにもお伺いをしておりますが、その規模を考えると、そこまでの費用が掛かるものなのだろうかというふうにも思います。例えば、東京本社だけではなく海外にも情報収集のための事務所を置くなどを見込んだ数字なのか、そういうことも含めて、できれば、その辺りの海外展開、情報収集の体制などをどう考えているのかも含めてお答えいただければと思います。
  24. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  機構の組織の人員規模につきましては、先生指摘のとおり、設立当初は二十人から三十人程度を想定してございます。  一般的に申し上げまして、交通都市開発プロジェクトは配当を得られるまで、収入を得られるまでに大変時間が掛かるものでございますので、少なくとも機構設立当初は組織の規模も最低限にとどめ、支出も可能な限り抑制することが必要になると、このように考えてございます。そのようなことから、当初は二十人、三十人程度で発足することになると。これは、ほかの同様の組織等を見た上でこのように考えてございます。将来、事業が拡大するに応じて、また組織の拡大についても検討するような段階が来るのであろうと考えております。  また、当初の設立経費につきましては三十億円を見込んでおりますけれども、機構設立経費としましてどのようなものを考えているかと申しますと、大きく三つございます。  まず第一は、ただいま申し上げましたような人員に関する人件費でございます。このほかに、二つ目といたしまして、事務所の賃料でありますとか管理費、備品あるいは事務所の事務用の消耗品、通信費、水道光熱費、交通費、出張費、こういう細々とした事務所の開設、運営に係る経費を含むような経費、これが二番目のものでございます。それから三番目は、これは機構が業務を行う上で欠かせないものでありますけれども、具体的な事業を行うに当たりまして調査、いわゆるデューデリジェンス、これを行いますけれども、このような適切な業務実施に必要な調査経費、このようなものを見込んでおります。  また、先生からは、現地事務所、海外の事務所の開設についてどう考えているかというような御質問もございましたけれども、現地事務所の開設は現段階では考えてはおりませんが、大使館あるいはJICA、商社、その他現地に存在する関係機関の皆さんとの連絡を密にしまして情報収集についてはしっかりと行っていきたいと、このように考えてございます。
  25. 田城郁

    田城郁君 商社の方やJICAJBICの情報、あらゆる情報を得てそこからいろいろな判断をしていくということでありますが、やはり現地の慣習なども含めて、非常にそれぞれの地域で価値観が違う中で交渉を進めていくということについては、本当にいろいろなタフな状況がございます。自らが体感をして、価値観を体に、何といいますか、たたき込むというか、そういうようなことが的確な判断をできる、そういう私は条件にもなると思いますので、是非積極的な情報収集の展開をされることを期待をいたします。  次ですけれども、本法案では、国の認可法人で財投による出資を仰ぐということなども考え合わせると、出資をしてから配当を得るまでに時間が掛かるというお話もございました。その間赤字になるということだろうと思うんですが、財投による出資、当面赤字になってしまうのではないかと見込まれることなども含めて国民の厳しい目があると、そのように思います。  聞くところによると、クールジャパンの事務所などは例えば六本木ヒルズのようなところに構えられているということもお聞きしておりますが、運営については、厳しい目を考えればそのようなところへの事務所の入居などは控えるなど、先ほども抑制的な運営というお話ありましたが、そのような運営を心掛けるべきだと思いますが、再度、そこら辺のところをお伺いいたします。
  26. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、この機構支援対象といたしますプロジェクト、すなわち交通都市開発プロジェクトは、まず初期に大きな費用が要すること、それから整備長期の時間が要すること、それからその後運営をしながら徐々に当初の投資を回収していくわけでありますけれども、そのような意味で利益が出るまでに大変時間が掛かります。  そのようなことから、先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、機構設立当初は大きな収入はなかなか期待できないというのが正直なところであろうかと考えております。そのようなことから、少なくとも設立当初は組織の規模等も最低限にとどめまして、支出も可能な限り抑制すると、このように考えているところでございます。  なお、当初の経費につきましては五百八十五億円の国からの出資をいただくわけでありますけれども、それに加えて民間からも出資を募りたいと、お願いしたいと、このように考えておりまして、その出資の額につきましては取りあえず四十億円という金額を想定しているところでございますけれども、このような四十億円につきましても、当面の間の組織の維持運営、このようなことの経費を念頭に置いて考えているものでございます。
  27. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  四十億円民間からの出資を募って、事務所費などはそこから捻出する、財投のお金はその事務所には使わないと、そのような整理になっていることは理解をしておりますが、一般的な国民はそこまでは詳細には承知していない中で物を見ると思うんですね。ですから、そういう意味も込めて、是非無駄遣いのないようにということでよろしくお願いいたします。  六番、諸外国の組織と取組に関する、今度は諸外国の情報収集ということで、韓国、中国、シンガポールなどのインフラ海外展開における競争国においては機構と同様の公的ファンドが設立されているようでありますけれども、政府としては、そうした公的ファンドの動向、組織の内容、取組などの調査を実施し、その実情を把握するとともに、機構の組織の在り方を五年ごとに見直すだけでなく、諸外国の動向次第ではいつでも政府全体としての組織の在り方を見直せるような変化に適応できる体制づくり、そういうものをしておくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
  28. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  委員から御指摘ありましたとおり、競合国の事例を見てみますと、韓国、中国、シンガポール及び欧州諸国には、海外インフラ事業出資を行う政府出資機関、このようなものが存在しております。これは、今回我々が調べたり、あるいはジェトロ等の調査したものを整理したものでありますけれども、具体例を若干申し上げれば次のようなことでございます。  まず、韓国につきましては、二〇〇九年に設立されました官民それぞれ五〇%出資インフラファンドがございます。このインフラファンドは海外インフラを投資対象としております。設立時の規模は四百億円でありまして、現に拡充を計画していると、こういう状況でございます。  他方、中国を見ますと、中国には官一〇〇%出資対象地域別のファンドがございます。例えば、二〇〇七年設立のアフリカ開発ファンドを見ますと、アフリカにおける交通、都市整備、物流、工業団地等に出資できるようになってございます。設立時の資金の規模は三千億円ということでございます。  また、シンガポールには、政府一〇〇%出資のテマセクと呼ばれます会社がございます。この会社は、多くの子会社を通じまして世界各地のプロジェクト出資しております。その子会社の中には、港湾の分野で大変有名な港湾会社のPSA、あるいは地下鉄会社なども含まれております。ちなみに、このテマセク社の投資残高は十七兆円であると、このような状況にございます。  このほか、更に申し上げれば、世界各地の地下鉄など都市交通事業出資事業参画しているパリのメトロ公社、これがありますが、これは国営企業でございまして、このような国営企業が我々の競争相手として前面に出てくることがございます。  このような現状にございますけれども、私ども引き続き、競合各国の動向も十分注視し、その動向に応じて、必要があれば政府全体で協議の上、必要な強化策などの見直しを行ってまいりたいと、このように考えてございます。
  29. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  国交省、もちろん中心になりますが、各省庁、横断的にスクラムを組んで、是非、一日も早くこの機構が実績を上げられるようにということで、柔軟な体制の構築、変化に適応できる、そういう機構にしていただきたいと、そのように思います。  七番で、平成二十六年度における機構予算の根拠と対象案件関係についてということで、機構は、平成二十六年度において、国の公的資産である財投から五百八十億円の出資を仰ぎ、五百十億の債務保証契約ができることとされておりますが、具体的にはどのような事業支援することを見込んでこれだけの額が認められているのか、機構予算と対象事業との関係はどうなっているのか、お伺いをいたします。また、機構の存在により我が国受注案件はどのくらいまで拡大できることが見込まれるのか、この点についてもお伺いいたします。  例えば、インフラ海外展開は、海外経済成長我が国にも取り込んでいくことが大きな目的というふうになっておりますけれども、そのイメージとしては、やはり資本力の大きな大企業が中心で地方の企業には縁遠い感じもいたします。しかし一方で、鉄道、バス、フェリーなど全国津々浦々で展開されている我が国の公共交通は、安全性や定時性の確保に向けた努力が日々行われておりまして、これらの事業者及びその従事者の知識、技術、経験は、諸外国においても類を見ないものがあると私は思っております。こうした地域公共交通そのものが海外展開においても我が国の比較優位性を発揮できる分野はないのかと、そのようにも考えます。  海外経済成長を大企業だけではなく地方の企業にも取り込むことができれば、地方の公共交通で発生する様々な問題を食い止めるきっかけづくりにもなるのではないかというふうにも考えます。しかし、地方の交通事業者は、資本力あるいは語学力など、いろいろと壁が存在をしておりまして、容易に海外展開などができるような現状にはないということも事実であります。  機構には、海外プロジェクトを探すだけではなくて、国内に眠る案件を掘り起こして海外に積極的に展開する活動分野も私は期待されるのではないかと、したがって、国として地方の交通事業者が積極的に海外展開できるような支援体制をしっかり構築していくなどということも目指すべきではないかと思いますが、この点についてお伺いをいたします。
  30. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この機構が、五百八十五億円の出資ということになるわけですが、これ一遍に五百八十五億の枠を出していくというのではなくて、案件が具体化したものから順次それについては出していくということになっていきます。具体化した段階から、優良なものがあれば機構から出資をしていくということになっていきます。現実に日本チームが競合国を退けて受注するか否かは、企業の熱意と積極性、我が国技術、経験の適合性などによって決まってくるものだというふうに思っているところです。  また、大きいところばかりという、大企業が中心となるということには、現実にはそういうふうに、交通分野あるいは都市計画分野ですから、建設会社やあるいは不動産会社、あるいは鉄道でも大きい会社ということが中心なんですけれども、私、現地に行ってみますと、例えば、この間、一月にラオスの公共事業運輸大臣が来まして、日本のバス会社が首都ビエンチャンのバス公社に出資して運営に参加してもらいたいという要請がありました。日本から四十台ほど渡したわけですが、それを運営するのは難しいと、更に拡大してお願いしたいということがありまして、地域のバス会社のノウハウということも生きるというふうに思いますし、ミャンマーなんぞに行きますと、鉄道といっても日本鉄道というんじゃなくて、バスは昔懐かしい、ああ、こんなバスに昔乗っていたなというバスが現実には動いていると。それを替えるにしても、その次の段階ということになったりします。  あるいは、この間、三陸鉄道が全線開通ということになりましたが、あれ、ディーゼルです。なかなか日本は地方はディーゼルということであるわけですが、そうしたことの要請も、東南アジア諸国のこれは発展状況に応ずるんですけれども、出てくるということもございます。  そういう意味では、大企業のみならず意欲ある中小企業を応援をするということが極めて重要だというふうに思っておりますし、また、トラックにおきましても、日本の冷凍事業者がトラック事業者とともにバンコクでは、タイですね、コールドチェーンの構築を計画しているということもあります。タクシー会社からも海外展開に向けての問合せを受けていると。  それぞれの国において、その発展状況に応じて、バイクというところもあるし、タクシーということも、次の段階もあるし、バスもありますし、鉄道ということもありますから、何も最初から新幹線というわけではありませんものですから、いろんなところがそうした海外交通都市開発分野においては、中小企業運営主体となるケースが想定をされるわけです。  機構支援対象には、そういう意味で中小企業が行うようなプロジェクトも含まれてくるというふうに考えておりまして、その辺は大企業ばかりということではない、発展状況ということをよく踏まえて、現地ニーズというものに即したものを提供するということをしていきたいというふうに思っているところです。
  31. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  例えば、JR貨物、なかなか収益が上がらない中で、新しい車両の更新などもなかなかできないと。HD300でしたか、ちょっと型式忘れましたが、ハイブリッドディーゼルなどの導入も徐々には進んでいるようではありますけれども、臨海鉄道なども含めて物すごく古いディーゼル機関車で作業を行っているなどというものを、海外展開をすることで量産効果でコストを安くし、それを今度国内に配置していくなどという展開なども考えられるのではないかと思います。  あるいは、これは企業に融資をするのがこの機構の基本的な性格ですから、この話は夢の段階、アイデアの段階なんですが、私は沖縄に鉄軌道を実現するという市民のグループの方とお付き合いさせていただいております。幾つもあります。その方々のアイデアの中には、昔、戦争でなくなってしまったんですが、軽便鉄道という、JRの車両から二回りぐらい小さい、要するに島嶼型、島の狭い地域に合ったそういう軽便鉄道、この現代版を沖縄で開発し、生産をし、そして世界の島々に島嶼型の交通システムとして輸出していきたいんだと、そのような夢を持って活動をしている市民団体などもございます。  まあ、アイデア段階ですから、機構がそこを引っ張り上げるなどということには現段階ではならないのかもしれませんが、是非そういうような、全国でいろいろ夢を持って活動している情報なども積極的に情報収集をして、そして、こことこことを組み合わせれば売っていけるのではないか、結果として日本の国内にもそれが安く展開できるのではないかと、そのような夢も膨らむわけでございます。是非、そういう視点も持って国交省としても機構を指導していただければと、そのように思いますので、よろしくお願いをいたします。  八番ですね、経協インフラ戦略会議インフラシステム輸出戦略の達成の見通しということについてお伺いをいたします。  経協インフラ戦略会議が昨年五月に、二〇二〇年までに海外インフラシステム受注額を二〇一〇年の約十兆円から三十兆円に拡大するという目標を立てております。日本再興戦略にも同様の目標が掲げられていますが、特に交通分野においては、二〇一〇年の受注額が四千五百億円、それが二〇二〇年では十五倍の七兆円にまで拡大すると、六年間で七兆円というふうな成長を見込んでいると。この七兆円というのはどのような根拠ではじき出されているのか、御説明をいただきたいと思います。
  32. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  ただいま委員から御指摘ありましたとおり、昨年五月に、関係閣僚によって構成されております経協インフラ戦略会議インフラシステム輸出戦略という文書を決定してございます。この中で、政府は、我が国企業による海外インフラシステム受注額を現在の十兆円から二〇二〇年には三十兆円に増やすということを目標として設定してございます。そして、この三十兆円の前提となります交通分野の推計値は七兆円とされているところでございます。  この交通分野の将来推計値についてでございますけれども、どのように算出したかと申しますと、それぞれの分野市場動向、それに成長率、これらのものを基に算出したものでございます。その内訳を申し上げますが、少々細かくなって恐縮でございますけれども、内訳を申し上げますと、鉄道分野で約三千五百億円、次世代自動車分野で約五・五兆円、先進安全自動車分野で約二千億円、道路分野で約二千二百億円、港湾分野で約千九百億円、航空分野で約千六百億円、このようになってございます。
  33. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  六年でこれだけの成長が見込めると。実現できれば本当にすばらしいことなんですが、焦ることが逆にうまくいかなくなるというようなこともございますので、その辺はしっかりと、もちろんスピードを求められますが、慎重な運営も含めてよろしくお願いをいたします。  九番で、我が国交通事業安全性の確保ということについてお伺いをいたします。  我が国交通事業安全性を見ると、例えば新幹線システムにおいては、開業以来大きな事故もなく運営をされております。一方で、在来線は、最近では京浜東北線の脱線事故やJR北海道の事案、少し遡れば福知山線事故あるいは信楽鉄道事故など、会社の運行管理や保守点検時の安全確保の不備等の問題で不幸にも多くの死傷者を出してしまった事故や、あるいは重大事故につながる危険性のある事故等が発生をしております。  こうした事故は、国内のみならず、そのまま海外での信用失墜にもつながります。海外インフラ展開後の輸出先の事故等でも、その後、同様のシステム輸出拡大しようとしたときの場合に大きな障害になると、そのようなことも考えられます。  そういう意味では、新幹線のみならず、在来線を始めバス、トラック、船舶、航空機など様々な交通事業海外展開をしていくことも前提といたしまして、まずは国内において、安全技術の開発や運用面、保守点検面における安全性の更なる向上に向けて、日本の信頼が揺らぐことのないよう十分に取り組んでいただきたいと思いますが、太田国交大臣の御所見をお伺いをいたします。
  34. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR北海道について私も取り組んできましたが、JR北海道自体ということだけでなくて、これが全国の方々に不安を与えるということを大変懸念をしておりましたが、あわせて、それは海外の方から見て、安全な鉄道であったはずの日本でこんなことが起きるのかというようなことにならないようにということを大変危惧をしていたところでございます。  波及ということは大変大きなものだというふうに思っておりまして、我が国で今まで確立されてきた安全ということについて、そして正確性ということについて、世界トップの鉄道事業であるという、ここの評価を揺るがすものではあってはならないというふうに強く思っているところでございます。  新幹線は、一九六四年十月に開業以来五十年、乗客の死者はゼロ、列車の平均遅れ時間は全て一分を超えるものはないという極めて正確なものであり、これがそのまま海外に発信をされてきたというふうに思います。  インドのデリーメトロなんかでも、大変、日本が造ってくれたこの鉄道というもので、従来インドの社会の中にはなかった鉄道が正確に一分一秒ぴたっと止まって来るということ自体に、日本への信頼というのが高まってきて、インド自体の文化自体を大きく変えるということに大きく寄与しているということを聞くわけでありますけれども。  引き続き、国交省としては、陸海空の交通事業の安全確保に万全を期して国民が安心して利用できる交通ネットワークの維持、改善に努めてまいるとともに、これが諸外国に、安全なそして正確な鉄道であると、あるいはクールであるということについて、日本交通システムというものはすばらしいということを発信することが大事だというように思っているところです。
  35. 田城郁

    田城郁君 先日、羽田空港を国交委員皆様とともに視察をしてまいりまして、管制官の皆様、レーダーを管理している皆様は、本当にいい意味での緊張感の中でしっかりと航空機の安全を保つと、その姿を見て本当に私は感動いたしました。また、私はJR東なんですが、新幹線の指令室、全く同じような雰囲気で、いい意味での緊張感の中で、本当に過密ダイヤの中、それで前後が違う車両、それが秋田新幹線や山形新幹線など高架から今度は在来に入る、こういうものの非常に複雑な制御、これをやり遂げている中で定時運転を確保していると、そういうことは本当に世界に誇るべきだと思っておりますし、是非そういうノウハウも含めて安全なシステムを売っていくと、そういうことから自然にそれがもう拡大していくというか、世界に拡大していくというような状況をつくっていきたいと思いますので、是非御指導をよろしくお願いをいたします。  十一番で、知的財産保護についてということで、今回機構として海外展開を推進していくに当たっては、我が国海外で有利に展開できるのは、安全性が高く技術や製品の品質が優れているという点であり、技術情報の管理や知的財産の保護をおろそかにするとその優位性は根底から覆されます。諸外国の事業者と協力して事業展開を図ることは重要なんでありますけれども、技術流出をどのように守ろうとしているのか、そのお考えをお聞かせ願えればと思います。
  36. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) 委員指摘のとおり、インフラ事業海外展開におきましては、製品だけではなくて土木工事のノウハウなども含め技術の流出を防ぐことは大変重要であると考えております。このため、まずは民間レベルでは、機構我が国企業と共同して現地企業体に出資をして現地において事業運営する、その際には、各企業の知財戦略に基づいて相手国の合弁事業者と適切に契約を結ぶことが必要でございます。  また、必要に応じまして、政府間におきましても個々のプロジェクトに係る知的財産の取扱いに関する協議、これをしっかりと行うなど、技術流出が起こらないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  37. 田城郁

    田城郁君 是非よろしくお願いをいたします。  十二番で、インフラ海外展開事業が失敗した場合の責任の所在についてお伺いをいたします。四点ほどまとめてお伺いいたしますので、一気にお答えいただければと。この質問が最後になりますので、よろしくお願いいたします。  機構海外長期案件に対して出資等を行うこととしておりますが、対象国の経済成長が停滞をし、赤字化し、資本金が欠損する可能性など、当初の想定どおりの進捗状況になく欠損を招いた場合に、責任の所在は認可を出した国になるのか、又は機構になるのか、お伺いいたします。これが一点。  撤退する場合の判断についても、第二十七条で、株式等の譲渡その他の処分を行うということで、機構大臣の認可を経て判断することとなりますが、国としては機構の撤退についてどのように判断をしていくのか、お伺いいたします。これが二点目。  また、二十六条には支援決定の撤回が規定されておりますが、例えば紛争や大規模自然災害などが原因で事業が行えなくなるなどのケースもあります。この場合には、災害の復旧の進捗度合いによって対象事業支援が可能となるケースも考えられます。このように、事業者の不可抗力によって対象事業を行えなくなった場合であっても、速やかに支援決定を撤回することになるのでしょうか。これが三点目です。  二十八条では国の援助等について定められておりますが、機構支援している対象事業について、紛争や大規模自然災害などによって被害を被った場合は、国は機構を援助してその継続を可能とするような措置はできるのでしょうか。  四点についてお伺いをいたして、最後の質問といたします。
  38. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  事業の継続が困難になった場合の対応について御質問がございました。  まず最初の御質問は、機構に欠損が生じた場合、すなわち機構が大きな損害を抱えた場合であろうと理解いたしましたが、そのような場合の責任はどこにあるのか、国にあるのか、あるいは会社、経営陣にあるのかと、こういう御質問でございました。  仮に、この機構支援した事業が失敗しまして、それが重なりまして機構が多額の損失を被ったと、このような事態が発生いたしますと、この機構は株式会社でございますので、基本的には経営陣が株主総会で経営責任を問われる、そして株主総会におきまして経営陣の選任、再任等の是非が議論されると、このようなことであると理解しております。  また、国の関わり方についてでございますけれども、国は、この法律に基づきまして、取締役及び監査役の選任等の認可、それから個別のプロジェクト支援決定に係る認可、毎年のこの機構事業の実績の評価、このような監督権限を行使すると、このようになっております。国といたしましては、このような監督権限を行使し機構の経営を適切に監督していくと、このようなことであると考えてございます。  それから、撤退の判断、これは国が行うのか、あるいは機構が行うのかということでございます。  出資した事業からの撤退につきましては、事業が順調にいって目的を達成した場合の撤退、それから、当初想定したとおりに事業が進まなかったがゆえの撤退と、このような場合があろうかと思います。いずれの場合につきましても、撤退をするかあるいは事業を継続するか、これは重要な経営の判断でございますので、まず基本的には機構の経営陣が状況を判断し決定すると、このようなことであると理解しております。  また、先生から、二十六条の条文を御指摘の上、不可抗力が生じた場合の撤退について御質問がありました。  二十六条が定めておりますのは、機構がある事業者について支援決定をした場合に、その後のことでございますけれども、その後、その対象事業者が対象事業を行わないとき、あるいは対象事業者が法的整理の手続に入ったとき、このような場合には撤回しなければならないと、このような規定になってございます。これは、すなわち、明らかに当初支援決定をしたときの目的が達せられないということが明白な場合でございますので、これは機構にとっては選択の余地がなく、撤回しなければならないと、このように法定しているものでございます。  なお、もう一つ、二十八条について御指摘がございました。  この二十八条は国の援助について定めておりまして、国土交通大臣及び国の行政機関の長は、機構及び対象事業者に対し、これらの者の行う事業の円滑かつ確実な実施に関し必要な助言その他の援助を行うように努めなければならないと、こういうことでございますけれども、これは、この機構が行う業務は国の政策の観点から見て極めて重要な意義あるものでありますので、国土交通省はもとより、政府を挙げて、関係省庁を挙げてこの活動を支援し、それから助言を与えようと、こういうことを規定しているものでございまして、この規定に基づきまして、状況に応じその形は様々であろうと思いますけれども、関係省庁から助言なりあるいは支援なりが与えられると、このような趣旨の規定でございます。
  39. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。困難は数々立ちはだかるとは思いますが、是非とも成功させて日本のためになっていただければと、そのように思いますので、よろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  40. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  各国が激しく競争し合う海外インフラ市場において我が国事業者のマーケットへの参入の促進を図ると、こういう目的で今回この機構が審議されているところでございますが、両面からあって、何で今頃といいますか、これをつくっていなかったのかといいますか、そもそも物を売るんじゃなくて、システム輸出していこうよという、そういうような段階になったというふうにずっと言われている中で、今、遅きに失するんではないのかという思いがいたします。  一方で、いや、これ、でも類似の組織がありますねと、そこに新たな機能をくっつけて、JBICとかいろいろありますけれども、そういうふうにやった方が今までのノウハウを含めて活用できるのではないのか、何で今から一からつくるのかという観点について、この必要性とそれについてのいきさつについて、先行者とダブる面があろうかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  41. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) おっしゃるとおりであろうと思います。  企業に委ねてきたということがあり、そして国の方は、これ、どちらかといいますとJICAに動いていただいたりJBICの力を借りたりということなんですが、特にODA案件というものが多かったものですから、それを具体的に展開をしていくということが今までであったと思います。しかし、そうしたどちらかというと下物を造っていくというようなことだけではない、運営ということも相手国も望んでいるし、我が国の優れているそこをまた売り込んでいくということが大事であるという時代を迎えてきたということがあろうと思います。  そうして見ますと、大きいところだけ、ODAでやっていくというようなことだけではない。そして、現実に企業が出ていて、システムが違うものですから、法制度も違うものですから、なかなかお金払ってくれないから困るとか、契約した案件が実は違っているんだとか、そうしたことを、後ろには向こうは政府がいて、きちっと判断をしたり、あるいは談判したりというようなこと自体がなかなかできないというようなことがいっぱいあります。  私も、去年ある国に行きましたときに、なかなか払ってもらえないという案件がありましたものですから、何月までにどういうふうに今進んでいるのか、いや国会でも諮る必要があるというようなことを言っていたわけでありますけれども、きちっと言いますと払ってもらえるという状況が生まれたりしたということもございます。  相当これは国も関わって、政治的リスク、そして商業的なリスク自然災害リスクと、これリスクは付き物なんですけれども、それを低減していくには国も関わっていくということを是非ともお願いをしたいという声もあり、また、そうあらねば仕事が取れないなということもありまして、今回この法案を出させていただくということにさせていただいたという状況でございます。  この法案によりまして、機構設立して現地事業体に対して民間との共同出資、役員、技術者の派遣、事業に関する相手国との交渉、こうした支援を行い、そして、必ず結果としては、我が国企業の当該市場への参入が促進され、また、関連日本製品の受注機会が拡大をする。そしてもう一つ、インフラ事業が推進されることによって日本企業海外事業環境が改善される。そして、国同士の信頼がさらに増進していく。こうした様々な効果を生むための今回は措置をとらせていただいているということでございます。
  42. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 日本システムというのは外国から見て非常に快適というふうに受け取られていると思うんです。先ほどあった鉄道の規定時間どおりにぴしゃっと来るというようなこと、あるいは日常生活においても、何かテレビで見たんですが、上海か何かでスーパー銭湯が受けていると、お風呂ですね。お風呂の底が見える、きれいなお湯の中に入っていること自体がすばらしいということで、だけれども、あのスーパー銭湯というのは大変な技術システムの塊なわけであって、そういうことがウエルカムという状況になっている。だから、しっかり売り込んでいけるんだろうというふうに思っているわけでございます。  そこで、この機構の組織体制のことでございますが、支援内容の決定に当たっては、取締役の中から任命された委員で構成される委員会で行われるというふうなことでございますが、この取締役とか委員の力量で大きくその運営が変わってくるのではないのか。国土交通省として、発起人、役職員をも含めて、具体的な人選等、どのような組織体制を描いているか、お示しをしていただきたいと思います。
  43. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ありましたように、機構設立した後、そこにどのような人を得てこれをどのように運営していくかということは、この機構の目的を達成できるかどうか、この事業が成功するかどうか、この点に関しまして極めて重要なことであると、このように考えてございます。  この機構は株式会社でございますので、組織としては通常の株式会社、すなわち株主総会があり、取締役会があり、代表取締役がおりと、このような組織体制を取っております。ただし、通常の株式会社と異なっておりますのは、この取締役会の中に包含されるような形で支援委員会海外交通・都市事業委員会という委員会を設けまして、この委員会機構として支援する事業を選ぶあるいはどのような支援を行うかを決めると、このような重要な役割を果たします。そのような意味から、役員と同時にこの委員会にどのような人を得るか、それからその職員にどのような人を得るかということが極めて重要なわけでございます。  まず、発起人ということでございましたけれども、発起人につきましては必ずしも一般の人である必要はないそうでございまして、団体でもよいそうでございますけれども、交通都市開発に関する事業の発達を目的とする一般社団法人、このような方が、このような団体がなるものと、このように想定しております。そして、組織の役員につきましては、インフラプロジェクト、それからファイナンス、法務、このような分野に明るい専門知識を持った方、このような方に御就任いただくと、このようなことを想定してございます。
  44. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっとはしょって質問をさせていただきます。  次に、インフラ海外展開において、先ほどもありました、リスクということがございましたけれども、知的財産の話もあったわけでございますが、昨年の四月に経団連がインフラシステム海外展開の機動的かつ戦略的な推進を求めるという、そういう意見書の中で、我が国の法制度を基礎とする技術支援の積極的な推進、あるいは我が国企業技術力や品質等の非価格的要素を適正に評価する、そういう入札制度の整備を掲げているところでございます。  政府も新興国の法制度整備支援を行っているようでございますが、これまでの実績、また、本機構設立を機に投資相手国において日本方式の法制度支援へ加速をしていく、させるべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  45. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 先生指摘の趣旨は、入札制度の改善等を図るべきであると、このような……
  46. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それは次に。
  47. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 失礼しました。じゃ、次にお答えさせていただきます。
  48. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、もう一度整理をさせていただきます。法務省大臣官房黒川官房長。
  49. 黒川弘務

    政府参考人(黒川弘務君) 失礼いたしました。  法務省が取り組んでおります法制度整備支援の現状について御説明いたします。  法務省では、東アジアを中心とする諸国に対し、外務省、最高裁、日弁連、JICA等の関係機関協力させていただきながら、対象国の実情、ニーズも踏まえつつ、基本法令の起草とその運用、人材育成までも組み込んだ法制度整備支援を実施しております。  これまで法務省が支援を実施してきた国といたしましては、ベトナム、カンボジア、ラオス、インドネシア、ミャンマー、ネパール、東ティモールなどがございます。実績といたしまして、ベトナムでは平成十七年に改正民法、平成二十三年に改正民事訴訟法が成立いたしました。カンボジアにおいても、平成十八年に民事訴訟法、平成十九年に民法が成立し、法務省が支援、育成した人材がそれぞれの国の動き始めた司法の現場等で活躍している現状にございます。
  50. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、そういう立派な法令が整備しつつあるとも言えるけど、だけど、このインフラ整備といった場合、例えば日本でいえば、法務局に行ったら地図があるよと、だけどあるんだろうかと、こういうところに。そういうところもしっかり見ていかなきゃいけないなと思います。  それと、やっぱり入札の仕方も、日本もこの間、品確法を改正案通しましたけれども、やはり日本のような入札制度とはちょっと違うんではないのか。もう価格だけで全て決するようになっていくと、日本技術とかそういうものが優れているといっても、結局価格だけが中心になってしまっているような、そこでは対応できないんではないのか。やっぱり相手国の入札制度も変えていく、そういう努力も必要ではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  51. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 先ほどは大変失礼いたしました。お答えさせていただきます。  先生指摘のとおり、我が国の品質の高いインフラ輸出する、それから我が国事業者が競争力を発揮しつつ安心して海外インフラ事業に参入する、これらを実現するためには入札制度、特に公正かつ透明で、我が国技術、知見の優れたところが適切に評価される、そういう入札制度の整備を促していくことが重要であると、このように考えてございます。  このような観点に立ちまして、国土交通省では、公共事業につきまして、ベトナムやミャンマーなどにおいて入札制度についての情報収集や、あるいは総合評価方式を始めとする我が国の入札制度を紹介し、それから相手国の入札制度改正に対する助言を行うと、このような取組を行っているところでございます。引き続き、このような努力を進めてまいりたいと考えてございます。
  52. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 以前に、この参議院にODA特別委員会というのがございますが、そこでJICAの横浜の拠点にお伺いをすることがございました。そのときに、ベトナムのある市の水道局の方が研修にお見えになっておりまして、その横浜の水道のシステムについて大変すばらしいと、漏れる率がすごく少ないと。だけど、これは上水道の場合は各地方自治体、それぞれノウハウ、塊みたいな世界になっておりまして、それを海外展開するというのは非常に実は大事だなというふうに思っているところでございますが、これはある意味では自治体の海外展開支援型のODAということになるんだろうというふうに思います。  ところで、この法文の第二条第二項、都市開発事業、ここには道路、公園、下水道その他となっているわけで、それに上水道は入っていないわけでございます。インフラというと上水道もあるし、また都市生活においては廃棄物の処理、これもある意味では地方自治体が中心となる、そういうインフラだというふうに思っているわけでございますが、地方自治体の海外展開において機構とはどういうような協力関係を取られていくのか。また、この定義、第二条の中でいろいろ書いてありますけれども、今言ったような上水道とか廃棄物処理施設はどういうような形で関わっていけるのか。さらに、要するに地方の上水道事業といえば地方の中小企業ですよね、水道屋さんとかですね。そういう人たちもやっぱり海外展開をしていただくという形になるわけであって、その点における機構の関わりはどのように考えているのか、お示しをしていただきたいと思います。
  53. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 横浜とか北九州、実は、政府の経協インフラ関係閣僚会議というのを随時開いておりまして、そこでは、東南アジアについてこういう案件があるということを整理したときもありますし、ミャンマーだけかなり集中しておりますから、そういう会議が行われたりしておりまして、この上水道問題について、特に地方自治体がやっているということで協議が行われたりしました。  本当に日本の上水道は漏水が少ない、そしてもう一つは飲めると、そのまま。水道の水をそのまま飲めるというような国はなかなかない、これを広めていこうということになって、現実には横浜市とのタイアップがあったり北九州とのタイアップがあったりというところで、接触するごとにそれを、技術をいただけないかという要請がございます。  これをどうするかということで、今回は交通都市開発ということで、案件がここにかなり集中したものですからここでスタートをさせていただくということにしたんですが、これから上水道や下水道、あるいはまた地方自治体というのがどういう協力をし、これは現実には技術協力等が行われ始めているわけですが、それをどうバックアップしてより大きなものにするかというのが今後の将来的な課題として機構としても検討していく課題だというふうに受け止めているところです。
  54. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 インフラというふうなことでいうと、やはり一方で日本は災害大国でもあるわけでございまして、防災に関する技術というのはやはり世界に類を見ない、そういう技術大国であると思われるわけでございます。  この法案といいますか機構は、交通事業とか都市開発事業対象事業として支援していくことになっていくわけでございまして、るるこの二条で書いているわけでございますけれども、こうした事業、この二条に書いてあるような事業においても我が国の防災技術を発揮していくべきであると考えるわけでございまして、ここの条項に書かれている国土交通省令で定められる施設において防災関係施設についても定めていくのか、お伺いをしたいと思っております。  また、機構支援する都市開発事業においては、例えば地球温暖化による集中豪雨あるいは海面の上昇などの水害が頻発する地域への水害対策施設の整備、あるいは地震多発国における耐震設計の普及、津波対策施設の整備等も実施していくべきではないだろうかと考える次第でございまして、この防災インフラ海外展開についてインフラシステム輸出戦略においても定められているところでございます。防災インフラ海外展開について機構の果たすべき役割について御説明をしていただきたいと思います。
  55. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 我が国の地震、水害、頻繁に起こる自然災害ということに対するハード、ソフト両面にわたる防災・減災技術というのはかなり蓄積をされていると思います。  それで、この一年間の中で、私、いろんな国々と防災協働対話というシステムを始めまして、話合いが始まり、覚書等も締結させていただいたりして、行ったり来たりということで、年に一回、二回ということで会議を行わせていただくというシステムをつくり上げてきました。  ミャンマーに行きますと、水害で、向こうの台風でもう大勢の人が亡くなったというようなことがあったんですが、それすごく衝撃的な事故であったわけですが、気象予報とか気象情報ということが、海岸の船ではほとんどやられたんですけど、それが全然伝わらなかったし伝えられなかったといって、興味というか一番の焦点になったのは、気象関係情報共有ということの連携、連絡システムということを是非とも、普通の防災とか河川計画とかいろんなことの上に是非ともそこを対話をしたいという話がありましたし、タイでは、何といっても水害ということで、サプライチェーンがいっぱいありましたから、そこの現場のどうこれを防いでいくかということについての防災協働対話でもございました。また、ベトナムということからいきますと、台風がそのまま日本のように直撃するということが一番大きな課題であると。しかも、山の中にも大勢、民族もいろんな民族が住んでいたりしまして、そこが川を渡れなくなって大変孤立するというような案件が出されました。そうしたことを非常に強い期待を持っているわけでありまして、この防災協働対話を随時展開したいというふうに思っています。  この防災分野につきましては、ODAによる支援がどうしても中心ということにはなりますけれども、そこに人材育成や技術協力などの面で貢献してきたところではありますが、まちづくりと一体的に整備する、排水、水をはかなくてはいけませんから、排水施設など都市交通プロジェクト一体の防災施設についてはこの機構による支援ができる場合がありますので、具体的な案件に応じて対応を検討していきたいというふうに思っているところです。
  56. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これで最後にいたしますが、先ほどリスクという話がございました。確かにドバイ・メトロやアルジェリア東西高速道路等、海外では法制度や商習慣の違い、契約手法の違いから、設計仕様の変更による受注者側への負担の押し付け、あるいは代金の未払、そういうトラブルによる投資リスクというものが存在しているわけでございますが、そういう事態に対応するために海外投資におけるトラブルについての知見の蓄積、また共有するということが大事だ、大切だというふうに思っているわけでございます。  政府として、こういう知見あるいは情報を収集し、また機構も含めた我が国企業に対して情報提供や助言等を行っていく必要があると思うわけでございますが、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  57. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  海外企業進出いたしますと、当然我が国と法制度それから商慣習が違いますので、契約をめぐるトラブル等、多々ございます。先生今御指摘ございましたような代金の支払の問題等は既に何件も生じて、それは問題となってございます。従来から、そのような場合につきましては、その被害を受けた企業とそれから省庁、我々との間で情報交換をし、政府が後押しをして問題の解決を図るというようなことを行ってきてございます。  今後もそのようなことを進めてまいりますけれども、例えばこの機構ができましたならば、機構はそのような事案に数多くかつ深く関与をすることになりますので、その知見、経験はこの機構の中に蓄積されることになります。また、同様の知見、経験は、同じような業務に関わっている国の機関、例えば国際協力銀行でありますとかJICA等にも蓄積されることになります。このような関係機関に蓄積されました情報、経験を共有し、これを民間企業と交換することによって日本全体として契約のトラブルを減らすと、そのような方向に持っていきたいと考えております。
  58. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。大成功することを祈っております。  終わります。
  59. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  60. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 田中茂

    田中茂君 みんなの党の田中茂です。  つい一週間前に私、議員になりまして、今日初めて質問させていただきますが、このような機会を与えていただきまして本当にありがとうございます。  まずは、沖ノ鳥島でお亡くなりになられた皆さんに御冥福をお祈りしたいと思います。また、沖ノ鳥島は非常に重要な、戦略上も安全保障上も極めて重要な拠点でありますが、あのような場所で事故が起こったということは本当に残念に思っております。まずは、行方不明になられているお二人の方の早期発見をお願いしたいと思います。  次に、株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案に関する質問をさせていただきます。  私自身、我が国の悠久の歴史の中で培われたたくみの技、技術力、豊富な知識と経験を活用し、インフラ整備が必要な国や地域を始めとした海外へ普及させることは極めて重要であると、そう思っております。さらに、他国も官民一体となって海外でのインフラ整備支援を推進している現状を見ると、このような施策を早期に進めることの趣旨はよく理解できますし、その規模や長期にわたる事業という点で、政府支援する方針にも基本的には賛成しております。  ただし、今回の法案に関しては、三点につきお尋ねしたいことがあります。  まず一点でありますが、政府出資の株式会社という設立形態についてであります。この法案によれば、民間出資を募るものの、政府が常に半数以上の株式を保有する政府出資の株式会社として設立するとなっています。会社法に基づく株式会社という形態で民間出資を募るのであれば、採算性を考慮するのは当然であります。交通インフラ等の整備都市開発事業に対する投資額は極めて大きく、長期にわたる事業リスクが生じることも理解しますが、民間では手に負えないリスクがあるから政府がコミットするというのであれば、そのような事業は株式会社という形態で求められる採算性とは相入れない可能性があり、整合するのは難しいのではないでしょうか。  その辺りをどうお考えか、果たしてそのようなスキームが機能するのか、どのようなビジネスモデルで株式会社としての利益を創出するとお考えであるのか、これらの観点から御意見をお伺いしたいと思います。
  62. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 一番まず難しいのは、民間に委ねていて難しいのは、案件を見る、その案件を情報収集して発掘する。そして、それを今度は入札やそうしたことに持っていくというまでに、相当相手の政府が関わっていることが極めて多いということもありまして、民間だけでは現実にはなかなかその決定権のあるようなところとの率直な対話ができないというのが私が関わってきた一番大事なポイントだと思うんですね。  そういう意味では、JICAさんや大使館や商社、そこが案件を発掘する、そしてそれが、上物と下物とに分けて、こちらはODAでやっていく、そして運営というのは今度は入札していくという、このシステムがかなり長期にわたり大きいということもありまして、一社とかあるいはJVというだけでは、民間の、なかなかそこのリスクというものを回避し難いということがあります。そのし難いことによって、ちゅうちょして、ほかのところがかなり、世界競争の中でアグレッシブですから、そこで劣後するというようなことが多いということがございます。  政治リスク自然災害リスク商業リスク、これは見込みの問題でもありますけれども、こうしたことを縮小しながら、そして事業をまさに株式会社として民間主導でやっていただくというところまで常に持っていきながら、裏で政府としてもサポートしているということを相手方にも見せていくということが極めて重要だということだと思います。  ですから、民業を圧迫したり、民間が入ってくるのを嫌がるということがほかの事業にはあるわけですが、逆に、今回の件は、民間企業のみで出資できる場合は出資いたしませんし、支援する場合であっても民間と共同での出資前提としていて、本邦企業との関係で最大出資したとならないというふうにしている上に、リスクがあるものですから、民間企業の方が是非ともサポートしてもらいたいという声が非常に多いということの中から今回のこういう措置をとらせていただいているということでございます。
  63. 田中茂

    田中茂君 大臣、ありがとうございます。  ただ、結局、政府出資というものは、最終的には税金や財投からの資金、すなわち国民の税金から成ると思います。そういうことになれば、コーポレートガバナンスというか、そういうものを明確にしておいていただきたいと、そう思っております。  次の質問に移らさせていただきます。  支援対象企業事業に関する監視及びリスク管理についてであります。  支援基準については国土交通大臣が定めるものとなっていますが、支援対象とする企業の選定、監視、そしてリスク管理等については機構内にどのような体制を構築しようと考えていらっしゃるのか、出資後の事業のモニタリングやリスク管理についてはどのような体制で臨むことを考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。  また、社債発行、借入れなどの資金調達には大臣の決裁が必要とのことですが、機動性に欠けるだけでなく、ますます政府主導に偏るのではないでしょうか。以上、御質問させていただきます。
  64. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  まず、機構体制について御質問がございました。どのような仕組みによって出資をするのか、その後のリスクの管理をするのかということでございます。  機構は株式会社でございますので、原則としては通常の株式会社のガバナンスが適用されます。すなわち、株主総会の下に取締役会があり、代表取締役がいるわけでございますけれども、この機構に特有の組織といたしまして支援委員会というものが設置されます。すなわち、これは取締役会の実質的にはその内部に設置されるものでありますけれども、社外取締役一名、代表取締役一名及びその他の取締役から成ります海外交通都市開発事業委員会というものが設置されまして、この委員会のメンバーが、どのような事案に対して支援するか、そもそも支援すべきか否か、支援するとしてどのような内容の支援を行うか、あるいは撤退する場合にでもこの委員会が撤退すべきか否かと、そのような判断を行うということになっております。  この委員会のメンバーでございますけれども、この委員会のメンバーは、出資あるいは機構による支援という判断を行い得るだけの専門的知識を持った皆さんになっていただくと、こういうことでございまして、このメンバーの皆さんは、委員はそれぞれ独立して判断をすると、このような体制になっております。これは法律が定めているところでございます。  このような体制を取ることによりまして、また、そこに適切な人を得ることによりまして、機構としてリスクの管理、それから出資の判断、モニタリング等を適切に行うことができると、このように考えてございます。  それから、この機構が行います社債の発行、借入れについての国の監督でございますけれども、機構は国が発行済株数の二分の一以上を必ず保有するという意味で国が責任を持つ株式会社でございます。そのような意味におきまして、機構の財務の健全性を確保するために、借入れを行ったりあるいは新株を発行したり、そのような場合には国がこれを監督すると、このような仕組みになっております。  ただし、必要な資金需要が生じたときにその資金の調達に支障が生じるようなことがないように、監督業務それからそのほかの手続につきましては迅速を旨として対応したいと、このように考えております。
  65. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。  金融機関でもないので、できれば事業の選定や資金拠出をどういうふうにするのか、今後も皆さんに明確にしていただきたいと思います。  もう時間がありませんので最後にさせていただきますが、私最初に言いましたように、本来この企画そのものに対しては、我が国の知識や技術及び経験を生かし海外市場への参入の促進を図ることにはもちろん異論はありません。長いスパンで見た場合、優れた日本交通都市開発事業を途上国へ輸出し、その国民の生活向上に大いに寄与すれば、単なる経済上の利点より、日本に対する当該国の国民の信頼醸成の高まりにも役に立つと思います。鉄道、バスなどの交通機関は学校に通う子供から病院に通院する老人の方々まで広く利用され、日本の知識や優れた技術を長い期間にわたり国民が生活環境の中で知っていくこと、また、日本のイメージが高まっていくということは、これはある意味で、周辺諸国が台頭している中である意味では安全保障上にも極めて重要であると、そう思っております。  ただ、これはあくまでもろ刃の剣であり、交通機関及び都市開発である限りは安全、安心、信頼が最も大切なポイントであります。単なる一企業ではなく、日本政府がバックアップした企業により、もし仮に事故が生じた場合、また、負債があり倒産をした場合、反対に日本企業のみならず日本政府に対しても信頼が大きく傷つくことになると思います。また、税金を財源とする多額の政府支援が損失した場合、国民への説明責任が果たせなくなることも懸念されます。  その点のリスクマネジメントを厳重にお願いし、私の質問を終わりにします。
  66. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 答弁はよろしいですか。
  67. 田中茂

    田中茂君 はい。
  68. 和田政宗

    和田政宗君 みんなの党の和田政宗です。  海外へのインフラ輸出意義については大いに認めたいというふうに思います。私はプライベートで途上国の野球支援に携わってまいりましたけれども、アジアやアフリカの各地で、この道路は日本が造ってくれた、この橋は日本が造ってくれたとよく感謝をされます。そのほかにも、台湾新幹線については、昨年私も乗りましたけれども、台湾の方々からすばらしいと感謝をされました。また、台湾においては、日本統治時代に八田与一が開発した嘉南大センは台湾南部の農業を飛躍的に発展をさせました。八田与一については日本よりも台湾の方で有名であるというような事実があります。  海外へのインフラ輸出は大いにやっていただければというふうに思うんですけれども、我が党の問題意識は、なぜ政府出資の株式会社でやるのかという点であります。質問をしていきます。  この機構、株式会社ですので、事業で収益が出た場合、出資企業に配当を出すことになるというふうに思うんですが、実質国が事業の安定性を保証するような形ですので、利益が出て配当を受けられる可能性が極めて高いというふうに考えます。出資できるなら出資したいという企業が多く出るというふうに考えますが、どういうふうに機構への出資企業を選定するんでしょうか。これだけ安定的なら私も出資したいというふうに思うぐらいですけれども、どういうふうに出資企業を選定するんでしょうか。
  69. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  この機構出資者に関する御質問でございました。  この機構設立時の出資者としては、まず発起人とそれから引受人がございます。発起人に関しましては、交通それから都市事業に関する事業者、業界の皆さん方によって構成されます一般社団等、こういう団体に発起人になっていただくことを想定して考えてございます。また、引受人についてでございますけれども、これにつきましては、やはり同じく海外業務に関心をお持ちの金融機関等、そのような関係業界の方々にお引き受けいただくと、そういうことを想定しております。  いずれにいたしましても、この機構は国のお金が入りますある意味では公的な色彩の強い株式会社でございますので、特定の企業の影響を受けたりすることがないように、中立性が確保できるような株主構成になるように常時留意していきたいと、このように考えております。
  70. 和田政宗

    和田政宗君 この法律を作る背景になった有識者懇談会の取りまとめなんですけれども、お手元の資料にありますように、懇談会のメンバー、ほとんど全てゼネコンや商社、鉄道会社の幹部なんですね。こうした企業や業界が安定的に収益を得られるようにこの事業法案を後押ししているという疑問すら生じるんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  71. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) お答えをいたします。  本法案は、海外交通都市開発分野における運営型のインフラ事業支援対象としております。これらの事業は新興国を中心に増加しておりまして、我が国企業参画が大変期待をされているところでございます。  その一方で、再三御答弁させていただいておりますように、整備長期にわたること、運営段階での需要リスクがあること、現地政府影響力が大きいことなどの特性があり、民間だけでは参入することが困難な状況でございます。  これらの分野への日本企業進出を通じて、三つの幅広い経済効果が期待されると考えております。第一に、プロジェクトからの事業収益が日本国内へ還元されること。第二に、関連部品や機器といった日本製品の受注機会の拡大が期待できること。三点目でありますけれども、相手国交通、都市インフラ整備が進むことで、現地進出している日本企業事業環境が改善されること。  このように、機構支援を通じたインフラシステム海外展開は、特定の企業それから業界のみならず我が国の幅広い企業に好影響をもたらし、我が国経済全体の持続的な成長に寄与できると考えております。
  72. 和田政宗

    和田政宗君 それでは、リスクについてお聞きしたいというふうに思うんですけれども、事業が思いのほか効果が得られない、何か問題が発生したときの撤退の判断ですが、過去にイランの石油事業で三井物産が中心のグループが清算金を支払って事業を撤退するなど大きな損失を負った事例があります。そういった問題が生じるリスクがあると考えるんですが、莫大な清算金などが生じた場合はどうするんでしょうか。
  73. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 事業が想定どおりうまくいかなかった場合についてのお尋ねがございました。  仮に、機構出資した事業に関しまして損失が発生した場合でありますけれども、これは民間企業と共同ではありますけれども、出資でありますので、可能性としては、リスクマネーでありますから毀損する可能性は当然あるわけでございます。可能性としてはあるわけでありますけれども、国のお金をお預かりして出資しているわけでありますので、そのような事態が発生することをまず避けるために、機構としては万全の手だてを尽くすわけであります。  具体的には、必ず民間と共同出資する、機構単独で出資することはしないということが一つ。それから、出資するに当たりましては、その案件につきましていわゆるデューデリジェンス、客観的な調査をきちんと行うということ。それから、先ほども申し上げたところでございますが、機構に設けられます委員会におきまして、専門的な観点から、中立的なまた観点から支援決定をしていただくということ。それから、出資した後も、その現地の合弁企業に人を派遣するなどいたしまして、継続的な事業参画を行うことにより合弁企業の経営がきちんと行われるようにコントロールする、監視すると、このようなことでございます。このような手だてを講ずることによりまして、個々のプロジェクトの収益性確保に万全を期すこととしております。  もちろん、これらに対しまして国土交通大臣出資に関する認可を行うわけでありますけれども、その際は今申し上げましたような措置が講じられていることを確認するということによって念を押したいと考えております。  その上で、万が一出資金の一部が毀損する事態になったと、こういう場合でございますけれども、この場合、機構は株式会社でございますので経営責任の問題が発生いたします。その毀損の規模、内容にもよりますけれども、あるいはその内容に応じて株主総会等においてその問題が御議論されると、こういうことがあるものと考えております。
  74. 和田政宗

    和田政宗君 事業が立ち行かなくなったときに国のお金が際限なく入ってくる懸念というのを私は持っておりますので、その点はしっかりと運営をしていかなくてはならないというふうに思っております。  もう一つリスクについて聞きますけれども、機構出資する事業体、現地事業体ですけれども、例えばその事業体が入札において現地の高官に賄賂を実は贈っていたなど不正があったと事後に判明した場合、これについての対応はどうなるでしょうか。
  75. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 機構が関連した事業に関して不正が行われた場合どうするかと、こういう御質問でございました。  まず二つに分けて御説明申し上げたいと思いますが、まず一つは機構の役職員自身でございますけれども、これにつきましてはこの法案の四十一条に規定を置いておりまして、賄賂の供与、申込みあるいは約束をした者は罰せられる旨定められております。また、これらの犯罪につきましては外国人についても処罰する、さらに日本人が国外で犯した犯罪についても処罰すると、このように厳格な定めを置いております。  次に、では機構の役職員ではなくて機構出資した現地企業の役職員が不正を働いた場合はどうなるかと、こういう問題であります。これは、その法人がどこの法人であるかということにもよるかと思いますけれども、その法人に適用される関連法規によって厳正に処理されると、これがまず基本であろうと思います。  そのような事態になりました場合に機構自身がどう対応するかということでありますが、それは、その事案の内容、規模、深刻さ、そのようなものに応じまして適切な対応を考えると。その際には、その事業に関与している関係者、共同出資者、そのような方々とも協議しながら適切な対応を考えると、このようなことかと承知しております。
  76. 和田政宗

    和田政宗君 では、海外インフラ展開の重点地域などについて聞いていきたいというふうに思いますが、我が国海外インフラ展開で優先すべき地域はどこだというふうに考えているでしょうか。私は、過去日本がアジアの解放と発展を目指し大東亜戦争を戦った観点からも、アジアを重視すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。また、そのアジア重視に当たっては中国や韓国との競争になってくるというふうに思うんですが、優位に展開するためのポイント、どんな点であると考えるでしょうか。
  77. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) まず基本的に、その仕事が、案件がどこにあるかということの見極めが一番大事なものですから、そういう点では、アジアあるいは東南アジア、そして中国から中東、こういうところが基本だと思います。  ただ、日米首脳会談、去年二月二十二日に行われましたが、アメリカにおいていわゆるマグレブということが話題になって、その後もかなり高官の行き来がございます。  今朝、太田房江さんからお話がありました、イギリスにおいても新幹線ということについてシステムをつくり上げるということについて動きが開始され、あるいはまたオーストラリアも新幹線、あるいはスウェーデンの鉄道、こうしたことが案件として挙がっておりまして、これらきちっと要求があったり要望があったり、最近は首脳会談も多いものですから、あった場合にはきちっと対応できるという姿勢を見せることが我が国の外交案件という上からも大事だというふうに思いますが、一番多いのはやはり東南アジアを中心にした地域だと思います。  そこを、この地域全体をどうするのか、この国づくりをどうするのかと。それは、日本のある意味では三十年前、四十年前、五十年前の状況ということからいいますと、課題先進国、今、日本でありますけれども、そうした経験が既にあって、どういうことに留意していかなくちゃいけないかということもよく分かった上で、技術も優れて、そして国家間の交流もあるということからいきますと、アジアということは注目すべきところであろうというふうに思います。  中国と韓国、ヨーロッパのドイツを始めとするかなりの企業との争いになるということがありますけれども、ここは競争原理の中ですから、留意するというよりは、日本は少し穏やかな、何となく踏み込みが足りないと私は思ったりしますが、かなりアグレッシブに仕事を取りに来るという激しい競争が行われているものですから、日本の良さを丁寧に一生懸命、日本が、口がとか行動がアグレッシブというよりは、丁寧に日本の良さを示していくということが、一番最初の段階からずっと継続的にやってくるということが我が国にとって心得べきことであるということを私自身がトップセールスを行う中で感じていることでございます。
  78. 和田政宗

    和田政宗君 終わります。
  79. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  本法案は、海外へのインフラ輸出に国が関与して支援するものであります。インフラには新幹線やリニアなども含まれてまいります。  私は、三月の十三日の質問でもこの国内のリニア問題について取り上げました。リニアは路線の多くがトンネルですから、残土の問題ですね、六千三百五十九万立米、これ東京ドーム五十一個分出てくると。しかし、行き先が決まっているのはそのうち六%ほどだということであります。また、騒音問題、振動、日照、大気汚染、磁場、磁界、景観、動植物への影響の不安がいまだに払拭をされておりません。  三月の二十五日に、沿線の七都県の知事がJR東海に対して意見書をまとめて提出をいたしました。各県の意見書が、騒音、振動、地盤沈下等々の影響でJR東海の準備書は過小評価の可能性があると、また、事業計画の具体的な内容が明らかじゃないということで根本的な問題を厳しく指摘したものにこの意見書はなっております。  そこで、大臣に、改めてこのような知事の意見をどのように受け止めておられるのかをお聞かせください。
  80. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) リニア中央新幹線の環境影響評価準備書に対して関係都県知事からの意見につきましては、環境影響評価法に基づいて、長野県及び山梨県から三月二十日、東京都からは二十四日、神奈川、静岡、岐阜、愛知からは二十五日、これが全て調ったというふうに承知しています。  これらの知事の意見を踏まえたアセス結果が今後JR東海によって作成されて、国土交通大臣及び環境大臣に提出をされてくるという予定になっています。なお、各知事からの意見及びこれに対するJR東海の見解は、環境影響評価書の中で示されることになります。  現段階ではまだ国に環境影響評価書が提出されていないために各知事からの意見に対するコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、国土交通省としましては、JR東海からの環境影響評価書の提出を受けまして、知事の意見が環境保全対策にどのように反映されているかを含めまして、また環境大臣意見等も勘案いたしまして、環境影響評価法など関係法令にのっとって対応していくこととしていきたいというふうに思っています。十分ここは注視をし、見ていかなくてはいけないというふうに思っているところです。
  81. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 JR東海は、この間、各地で説明会も開いておりますが、どこでも出されている声というのは、JR東海が自治体や周辺住民の声を聞く姿勢が感じられないと、こういうことでありますし、今回の意見書の中で、山梨県の知事意見を見ますと、こう書いてあります。環境基本法第十六条に定められた環境基準というのは、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められたものであり、現在の環境が環境基準を下回っているという地域において、対象事業による環境影響を当該基準値まで地域住民等に許容させることを定めたものじゃないと。今いい環境が、これが少しでも悪くなる、でも許容されると、そういうことではないんだよと。公害問題で非悪化原則ということが言われましたけれども、これをちゃんと踏まえてほしいということで、JR東海の不誠実な対応というのを批判をしております。  私は、JR東海のまともにこの説明しない、資料も明らかでないというのは、手続の大前提に関わる根本的な問題だと思いますし、リニアの採算性ですね、人体、環境への影響も含めて議論が尽くされていない問題だと思っておりますので、今からでもリニアはストップさせるべきだということをまず訴えておきたいと思います。  それでは、本法案質疑に入りたいと思いますが、そもそも政府自身が海外へのインフラ輸出の推進をしなければならない理由をお聞かせください。
  82. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 日本は一国だけで経済活動ができるわけじゃありません。企業海外に、優れた技術があれば展開するということは、私は当然だと思います。  アジアということについて進出と言う方がいらっしゃいますが、私はむしろ、アジアはもう国内であるというぐらいの肺活量で経済活動を展開すると、こういうふうにしないと、これからの世界には生き抜いていけないというふうに思います。  その中で、日本の非常に大事なこの技術を保持している、そしてまた現実にODAなどで様々相手国に対して供与をし、そして具体的に大変喜ばれるインフラ整備というものが、下物が中心でありますけれども行われている。海外では、これから運営という点も含めて、日本のやり方というものは大変優れている。世界運営も含めてという、そうした激しい争いになっているということからいきまして、その運営面も含めたセットとしての、あるいはまたODAで下物をやり、上物は、今度は運営面というのは民間でやる、あるいは民間との合同でやる、合弁でやるというような動きがかなり主流になっている中で、日本が今までのような国内だけの企業展開ということだけでは当然生きていけないというふうに私は思っています。  その上で、非常に不安的な要素も企業は持っていまして、政治的な大きな変動があったり、あるいは話合いをしたいと思っても、なかなかその中枢の人に会ってくれるということが、フランクに打合せができないのであるとか、あるいはまた決定したことが変わってしまう、法令が整備されていない、慣行、システムが違う、習慣も違う。いろんな中ででき上がっているものに対してきちっと見てもらうということがなければ、なかなかこの激しい競争に踏み込んでいくにちゅうちょしてしまうということがある。  リスクを少なくして海外展開ということを大いにやっていただいた上で、ああ、日本からすばらしい技術と、すばらしい橋梁でも道路でもまちづくりでも、展開していただいたなということがその国の人々に言っていただけるようなことがあれば、非常に日本の外交という点でも、これからの大きな展開という点でも必要になる。そのために、リスクを低減させながら、この機構というものができ上がって支援をするということは私は極めて大事で、政府は今回、この交通と都市計画だけにとどまらず、経協インフラという会議を行って、こうした貿易の輸出というものを十兆円から、現在の、三十兆まで持っていって、大きく行くということが大事だというふうに思います。  分配するということも大事なんですが、稼がなければ分配はできないと、私はそのように思っていまして、稼ぐという分野を失った経済戦略は私は取るべきではないと思っています。
  83. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 民間企業は、国内でも、また海外でも稼ぐというのは、これはもう当然です。私はそれを否定するつもりは全くありません。ただ、じゃ、なぜ政府機構をつくって、民間企業リスク政府が受け持って応援しなければならないのかという理由というのははっきり述べられなかったと私は思います。  大体、このインフラ輸出、お聞きしますけれども、先ほどの質疑などでも国内の需要や雇用にも影響するという話がありましたけれども、じゃ、どれほどこのインフラ輸出を進めることによって、それらの需要、国内の需要、雇用に影響が出ると試算をされているんでしょうか。
  84. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  インフラシステム輸出の推進は、優れたインフラシステム相手国輸出することによりまして相手国経済発展に資するのみならず、相手国の国民生活の向上にも役立つと、このような意味で相手国にとって有益であります。それのみならず、我が国企業事業展開につながるという意味で、我が国相手国との間のいわゆるウイン・ウインの関係を形成すると、そのようなものであると考えております。  御指摘の点でございますけれども、そのようなインフラシステム輸出を進めることによって我が国にどのような経済効果があるかという点でございますけれども、三つの経済効果があると考えております。  まず第一に、我が国企業海外の優良な交通都市開発プロジェクトに参入することによりまして、これらの事業の収益が日本国内に還元されます。第二に、これらのプロジェクト我が国企業参画いたしますと、関連部品や機器、例えば鉄道事業で参入すれば鉄道車両というようなものでありますけれども、このような日本製品が受注する機会が拡大すると、このようなことが期待できます。第三に、相手国交通や都市インフラ整備されますれば、現地進出しようとしている日本企業あるいは既に現地進出している日本企業の活動環境、事業環境が改善されます。  このように、インフラシステム輸出は、世界インフラ需要を積極的に取り込むことで我が国経済成長を通じて国内産業の生産や雇用の誘発が期待できると、このように考えてございます。
  85. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 私は具体的な試算を聞いたんですけれども、具体的な試算についてはお答えにならなかったということであります。  私、ちょっと実態を紹介したいんですね。これ政府のデータですけれども、この間、大手の自動車又は家電メーカーを中心に海外への生産移転というのがもうこれ進んでいると、これ御承知のとおりだと思います。  かつて、一九九〇年度というのは、日本国内の製造業の従業者数というのは一千五百五万人でありましたが、二〇一二年度というのは一千三十二万人、これ七割以下になっているんですね。一方で、海外の従業者数というのは、九〇年度は百二十四万人でありましたけれども、二〇一一年度は四百十一万人、これ三倍以上に増えているわけですよ。海外進出した企業事業所が日本から材料などを仕入れする、調達する割合というのは、これ二割台なんですね。この間、ずっと低下をしているんですよ。  ですから、インフラ海外輸出といって海外に道路や港を整備すれば、これ進出企業というのはますます現地生産を増やすことになると。これが結果として、日本経済や雇用にいい影響を与えるどころか、これ逆に日本産業の空洞化というのをより一層進めることになるんじゃないかという見方が私はできると思っているんです。  やはり、今回の法文の中にも支援基準というのがありますね。改めて、この支援基準について、どういう基準なのかというのをちょっとお答えいただけますか。
  86. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 先生指摘支援基準でありますが、法の二十四条に規定してございます。  これはどのようなものかと申しますと、国土交通大臣は、機構対象事業支援、これを行う場合の対象者、それから当該対象事業支援の内容を決定するに当たって従うべき基準、これを定めると、こういうものでございます。  この基準の中にどのような内容を定めるかということでございますけれども、これにつきましては、まず第一に、その対象となるプロジェクトにつきまして政策的な必要性があるかどうかということが一つ。それからもう一つは、そのプロジェクトに関しまして、民間企業との関係でございますけれども、民業補完性があるかどうかということが一つ。それから三つ目は、プロジェクトの収益性に関わりますけれども、長期的な観点から見て収益性があるかどうかという観点、このような観点を盛り込もうと考えております。  なお、もう一言付け加えさせていただきますが、昨年九月に官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議の決定というものがございます。それは、官民ファンドの運営に係るガイドラインというものでございますけれども、これも官民ファンドの運営に関する重要な事項を定めておりますので、これらも参照した上で、また関係省庁ともよく相談しながら、この支援基準の内容については検討し、定めていきたいと考えております。
  87. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 民業補完という話がありましたけれども、結局、民間企業事業を行うときにはリスクが付き物ですよ。しかし、そのリスクを国が面倒を見ましょうというのが今回の法案で、こんな都合のいい話はないと思うんですね。  こんなことを誰が提案しているのかといいますと、日本経団連なんです。二〇一〇年の十月には東アジア・サミットに向けたメッセージでこう言っています。インフラ整備は莫大な資金を要することから、基礎インフラ部分我が国ODAを始めとする公的資金整備をし、採算性の見込まれる部分への投資や運用を民間で行う手法を活用していくと、こういう話ですよ。  私は、成長戦略の掛け声の下で、例えばODAも、元々は発展途上国の支援のためという目的がありましたが、今では日本企業利益が尊重されるようになっている。JBICも、元々は途上国向けに限定されていたものを二〇一〇年には先進国まで広げられた。貿易保険のNEXIも……
  88. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 申合せの時間が来ていますので、まとめてください。
  89. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 今国会の貿易保険法の改正で、国内の損保会社も再保険の対象になるということで可決をされました。民間損保会社のリスクまで国民に背負わせるものであり、本当になりふり構わずだというふうに思います。  この法案は、一部の大企業のもうけのために、もうけは民間企業、一方でリスクは国民の税金というもので、絶対に賛成することはできないということを申し上げて、私の質疑を終わります。
  90. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会の室井です。よろしくお願いいたします。  まず最初に、三月三十日に発生をいたしました転覆事故におきましては、尊い五名の命が失われました。心から哀悼の意を表したい、このように思います。また、二名の方々がまだいまだに行方不明ということでございます。全力を挙げ捜索の方をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  御案内をいただき、八日に再発防止検討委員会が設置されたようでありまして、それぞれ実績のあるすばらしい経験者の方々委員に指名されたようであります。少し気になったのが、四番の議事概要の中で、二、三か月後をめどに中間取りまとめを行うことが了承されたと。この二、三か月が長いのか、これでも短縮されているのか私にはよく分かりませんが、ひとつしっかりとした議事の進行をまたよろしく取り計らっていただきたいと、このように御要望をしておきます。  それでは、早速でありますけれども、時間がございませんので質問をさせていただきます。  今回のこの法案で、創設する目的、これはいろいろと御案内の中で私も読ませていただきまして、その中で直接に大臣からのお言葉をいただきたいなと、このように思っておりまして、まず質問させていただきますが、各先生方も表現をしておられましたけれども、もちろんこの日本技術力日本企業というのは私は世界に冠たるものである、このように思っておりまして、このビジネス環境の整備を更に強化をして、日本の大企業や中小企業、そして自治体が海外において積極的に事業展開がしていけるように進めていく、こういうことが大きな目的だと、このように私は解釈をしておるところでありまして、なぜもっと早くというような思いもあるわけでありますけれども、今このように粛々と進めておられると。  今日もちょうど十二時のNHKのニュースでしたか、JR四社が共同で新しい会社を設立して、今新幹線受注を取るために事業展開を進めておるというようなことをNHKで、今日十二時のニュースで報道をされておりました。そこで大きなネックとなっているのは、それぞれの、世界のいわゆる標準の規定というものがあります。それにどう、基準にどう合わせていくかということが大きな問題になっていくというようなことが報道されておりました。私もそこは気になるところでありますが、後の質問で触れさせていただきますけれども。  こういう中で事業展開していく海外事業支援機構、これについて大臣にお聞きをしたいんですが、なぜこの時期にこういう機構の創設ということになったのか、また、このインフラ海外展開を推進するために日本が克服すべき課題はどこであるのか、どういうところにあるのかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  91. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 政府としては、まあアベノミクスと言われますが、円高、デフレを克服して経済成長を再び図るという基本方針があり、その中で日本再興戦略というものが掲げられ、その中で海外輸出という、このインフラ輸出というのを、現在十兆円であるのですが、何とか三十兆円まで持っていこうという大方針がされています。今度は、受ける側の世界状況からいいますと、世界インフラ需要が極めて高まっています。そして、その中で積極的にそれを取り組む、日本の強みのある技術ノウハウを最大限に生かす、そして官民一体となってインフラ海外展開を推進したいということで、これに応えていこうということが一番の基盤にございます。  品質はいい、技術は優れているけれども高いんですよねということを、どの国に行っても私言われます。その地域に即して欲しいものを、いきなり新幹線という国もあれば、そうじゃなくて山手線型のああいうものをもう少し楽に造りたいんだというところもあり、いろんな要望に即して、よく話合いをして、案件を見詰めてきちっと対応していくということが大事だと思いますが。  日本の場合は、今まで、率直に言いまして民間に全て委ねてやらせているだけで、ほかの国は物すごい政府と一緒になってこの競争に加わってきているのに、日本民間に委ねてきているという傾向がありました。ここについては特に不安があって、政治のリスクというものもあり、商業リスクもあり、そして自然災害リスクというものもありますから、さっき辰已さんが、ここでリスクが起きたのを国で補うというような趣旨の、イメージの話をしましたが、そうじゃなくて、リスクがあるんですけれども、それをこの機構が出ることによってリスク自体が低減をされるということが大事なポイントだというふうに思っていまして、それは不安を払拭するということにこの機構が大きな役割を果たすということでございます。
  92. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  この世界インフラ需要、売上高ベースで二〇一一年にこれ約一兆二千億ドル、これ円に換算しますと、一ドル百円としましたら百二十兆円、特にアジアにおいては二〇一〇年から二〇二〇年で約八兆ドル超、日本円で八百兆円、これを年間に換算しますと七千五百億ドル超、日本円、まあ一ドル百として七十五兆円という、これはもう膨大なインフラ市場と申しますか、需要が存在をするということでありますから、無論、こういう中で私も少し心配のところが幾つかありまして、もちろん、先ほど申し上げたように、日本技術力とか企業世界の冠たるものであると。そういう中で、今、川上から川下ですか、こういう表現を使っておられますけれども、そういう川上の面に関しては日本は非常に弱いということを、大臣、盛んにおっしゃっておられます。私もそう思っております。そういう事情で欧州勢に押し切られているということ、中国、韓国は、これは単純に価格競争力で非常にかなわないというような状況があるようであります。  そういう中で、非常にそれぞれが価格競争で、法的ルールをしっかりと守っていかなくちゃいけない。エスカレートしてしまって、ちょっと嫌な記事を私も目を通したんですけれども、鉄道コンサルタント会社日本交通技術がこれ不正リベートを提供したということで、東京地検が入って捜査に入られたと、このようなことを聞きました。この海外事業支援機構が不正の温床にならないように、しっかりと国土交通省が指導をしていただかないといけないんじゃないのかな、このように思うところであります。  もう一点は、私も親しい友人でありますので、北橋健治北九州市長からメッセージがありまして、皆さん御承知のとおり、この北九州市は、中国の大連市、そしてサウジアラビア、ベトナムのハイフォン、カンボジア、こういうところに上下水道の強力な事業展開を行っておりまして、彼のメッセージは、新たに支援機構設立事業者への金融支援や人材派遣を行うことは、海外ビジネスを推進する北九州市にとって追い風になり、大変心強いというような彼はメッセージを私に送ってくれました。どうか、しっかりと更なる指導を行っていただきたい。これが日本経済の再生、成長につながっていく、私はこのように信じております。  続きましての質問でありますが、我が国企業海外市場で存在感を示し、相手国と柔軟に対応できる人材育成についての質問をいたしますけれども、やはりこの人材育成ということが非常に重要な部分を占める、このように思っております。そういう、対応できる人材育成のいわゆる強化が急がれる、このように感じております。  これまでの人材育成支援により、AOTS、そして泰日工業大学のような親日的なネットワークが世界に構築されていると聞いておりますが、海外支援機構によるこの民間活用型事業への支援はどのような仕組み、また体制であるのかをお聞きをいたします。
  93. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  機構海外インフラ展開を行うに当たりまして、人材をどのように活用していくのか、あるいは場合によってはどのように育成していくのか、そのような御趣旨の御質問であると理解いたしました。  人材育成の重要性は、幾ら強調しても足りないところであると思います。海外民間活用型事業を推進するためには、現地長期仕事をする中で、場面に応じてではありますが、外国人と交渉し、協調し、協力すると、こういう能力を有する人材を得ることが理想でございます。  これは、まだ現時点では、機構もそれからこの日本もまだ達成できていない水準であると思いますけれども、例えば平成二十五年二月に取りまとめました有識者懇談会の最終取りまとめにおきましては、勝てるチームづくりのための人材育成が必要だと、このような提言をしておられまして、幾つか具体的施策が提言されております。簡単に申し上げますと、まず一つは、専門知識を有する人材を確保し育成しなくちゃいけない。二つ目は、相手国現地人材を育成するのがよいのではないか。それから三つ目は、もう既に実はある程度日本に人材がいるんだ、それをデータベース化することが必要だ、あるいは外国の人材も積極的に登用することが必要だ、あるいは今、日本の大学にアジア諸国から大勢留学生が来ておりますから、これを企業が積極的に採用することが人材育成のために有効だと、このような指摘でございます。  このような提言に基づきまして、実際に行われていることでございますけれども、例えば日本への留学生のための日本企業の就職説明会やあるいは日本インフラの見学会、このようなものを実施してございます。また、日本に留学経験のあるアジア諸国の建設技術者との交流会を開催したところでございます。  いずれにしましても、人材育成には長い時間を要しますけれども、今後プロジェクトを重ねていくことによりまして、民間活用型のインフラシステム事業を推進する人材が官民に育成、蓄積されていくことを期待しているところでございます。
  94. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 もう一つ質問あったんですけれども、申し訳ないです、ちょっと飛ばさせていただきまして、最後の質問をさせていただきたいと思います。これは、いわゆる、先ほど冒頭に触れましたけれども、国際標準化整備についてお伺いをしたい、このように思っております。  まず、WTO政府調達協定閣僚会議へ私は出席させていただきました。稲葉統括官と御一緒に行動させていただきまして、その節には何かとお世話になりました。ありがとうございます。  日本が、先ほど来いろいろとお話が出ておるわけでありますが、イギリスへ高速鉄道車両を売り込むため攻勢を掛けていた時期に私は重なってWTOの会合に出席をいたしました。そこで、日本の安全基準が高過ぎるため、この鉄道分野においてはEU諸国から総攻撃を受けました。日本市場への参入が難しいのは市場の閉鎖性によるものではないのか、このようなことを言われました。フランスのバルニエ欧州委員から安全注釈の削除を要求をされたことがありました。  また、羽田空港、この間、先日、羽田空港の視察をさせていただきました。そのときに、この羽田空港の国際線定期便の就航が可能となるD滑走路の供用開始に際して、フランス、ジャンボ機が桟橋部の僅かな重量制限に掛かり羽田空港のD滑走路を使用できない状況に対し、フランス政府がD滑走路の使用許可を強く申し入れてこられました。
  95. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 申合せの時間が来ておりますので、まとめてください。
  96. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 そうですか。はい。  で、その安全性を犠牲にして日本は許可をすることはしなかった、こういう現状でありまして、今後こういう対応について、安全基準、これ世界レベル、世界標準化に今後どう歩調を合わせていかれるのか、その点を総括してお聞きをしたいと思います。  これで質問を終わります。
  97. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) お答えをいたします。  我が国インフラシステム海外展開を図る上では、委員指摘のように、日本技術規格国際標準化の取組が大変重要でございます。その際、日本基準等の世界への展開を進めること、また、国内の基準等を国際標準に適合させていく、言わば両方からの取組が必要であると考えております。  このため、国土交通省では、国際機関標準化団体参画をし、我が国の提案への支持者を増やすこと、また、セミナーの開催や専門家の派遣等を通じて相手国での日本規格の普及を図ること、三点目は、我が国基準と国連など国際機関による基準との調和を図ることなどの取組を行っております。  今後とも、国際標準化に関するこれらの取組を進め、官民一体となりましてインフラシステム海外展開促進してまいりたいと考えております。
  98. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。  昨年二月のこれからのインフラシステム輸出戦略において、相手国が真に求め、真に役立つインフラ整備協力し、現地経済社会の安定や発展に貢献すると同時に、環境の保全にも資するような良い仕事をすることによって、日本世界で尊敬される国であり続けることができると提言をしています。これは、相手国の持続可能な開発に貢献するという原則、あるいは貧困の撲滅や人権擁護、保健衛生の確保などベーシック・ヒューマン・ニーズ支援するという人間の安全保障の側面もあろうかと思います。それぞれの考え方については太田大臣も公明党さんも重視してきたと承知をしております。  我が国インフラ輸出あるいは株式会社海外交通都市開発事業支援機構事業にも持続可能な開発への支援、人間の安全保障の推進の考え方は重要ではないかと考えますが、まず大臣の御所見を伺います。
  99. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 当然、現地、各国の状況、あるいは環境への影響、そしてその国の文化を、様々なものを破壊しないで調和するものというのは、現地と合弁会社を基本的にはつくっていくものですから、更にそこは留意してやっていかなくてはいけないというふうに思っています。  あわせて、その国からの要望に応えるという場面がこれまでも多く、昨年の十月にはトルコのいわゆるボスポラス海峡で大成建設が水深六十メートル、水流の激しいところの下をトンネルを造りました。大変な日本の水準であるということと、トルコとの関係はかなり良くなってきているということがございますし、インドのデリーメトロも同じでございます。  そういう意味では、環境、CO2の排出削減に寄与するという持続可能な開発を実現、そして、個々の人の生命、生活、生存、衣食住、こうしたことのアクセスを可能にする人間の安全保障の実現という、そうした理念というものは常に持っていかなくてはならないというふうに思っています。そこに逆に信頼が得られるのではないかというふうに思います。
  100. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 我が国において、こうした持続可能な開発への支援、人間の安全保障の推進を担ってきた機関としては、国際金融等業務を担う国際協力銀行JBICや、技術協力及び無償資金協力の調査などを担う国際協力機構JICAがあり、既に融資のみならず出資業務も行っているところです。  先ほど来、議論がありましたけれども、今後、機構JBICJICAとどのような関係になるのでしょうか。機構設立しなくてもJBICJICAの業務を拡充すればよいのではないかという意見もあるわけですが、その点について伺います。
  101. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) お答え申し上げます。  機構JICAJBICとの関係につきまして二点お尋ねがございました。  まず最初の点は、機構の業務と国際協力機構JICA及び国際協力銀行JBICとの業務の関係でございました。機構は、現地事業体、合弁企業出資をいたしまして、そこの事業参画する、このような形態を主な業務といたしております。これに対しまして、JBIC現地事業体に対しまして融資、出資ではなくて融資をするということを主な業務としており、またJICA円借款などのODA業務、これを主な業務としております。そのような意味で、この三者は相互補完の関係にあるものと考えてございます。  典型的な事例で申し上げますれば、典型的な事例、すなわち機構による出資円借款とを組み合わせて行う、上物、下物を組み合わせて行うプロジェクトについて見ますと、JICA相手国政府に対しまして下物整備資金円借款として供与する、それに対してJBIC現地事業体、上物に対して融資する、機構は同じく現地事業体、上物に対して出資をした上で事業参画すると、このような関係になります。実際のプロジェクトに当たりましては、機構は、我が国企業チーム、日本チーム競争力が強化されますように、JICA及びJBICとよく連携して対応してまいりたいと、このように考えてございます。  もう一点、JBICJICAを拡充すれば機構をつくらなくて済むのではないかと、このような御指摘がございました。一般的に申し上げれば、新しい仕事を行おうとするときに、その対応として、今まである組織を拡充するという方法と、先生指摘のとおりそういう方法と、それから新しい組織をつくるという方法と、二つの方法が考えられようかと思います。私どもは、これから申し上げますような事情を考慮いたしまして、新しい組織が必要ではないかと、このように考えた次第でございます。  どのような事情を考慮したかと申しますと、三点ございますが、まず第一は、一般のコーポレートファイナンスとは異なりまして、プロジェクトファイナンスにおきましては出資者と融資者は利益相反が生じやすい。例えば、出資者は低金利での借入れを志向いたしますけれども、融資者は高金利での貸付けを志向するというような意味で、利益相反が生じやすい関係にあると。このために、同一機関が両者を兼ねることは望ましくないと、こういう考え方が一般的でございます。また、第二に、インフラ分野事業参画に精通した人材を確保しノウハウを蓄積するにはその分野に専門化した組織が有利であると、このように言えようかと思います。また、第三に、迅速な意思決定、機動的な対応という観点からは、簡素な組織が有利ではないかと、このように言えようかと思います。このようなことを考えまして、新組織の設立が必要であると、このように判断した次第でございます。
  102. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ODAについては、環境破壊や住民に対する強制的な立ち退き、非自発的住民移転等に対する南北の市民社会からの抗議、メディア報道、国会での議論を経て、二〇〇二年にはJBICが、〇四年にはJICAも国際的にも高い水準の環境社会配慮ガイドラインを策定し、その後、同ガイドラインに基づいた異議申立て手続も整備をしています。機構が目的とするビジネスJBICJICAでは目的が異なる面もあるでしょうが、いずれにしても、持続可能な開発への支援、人間の安全保障の推進という、先ほど大臣からも御答弁いただきましたが、大きな目的は共通をしております。政府出資をする機構においては、現地での人権擁護、排気、排水、騒音等の公害規制など、単なるコンプライアンスやCSR、企業の社会的責任を超えた環境社会配慮が不可欠であると考えます。  機構としても、JBICJICAを参考に、環境社会配慮ガイドラインや異議申立て手続、情報開示手続を支援基準に盛り込む必要があるのではないか。機構支援基準は何を定めることになるのでしょうか、伺います。
  103. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、JICAJBICとは機構役割が異なるわけでございますけれども、海外インフラプロジェクト支援する際、実施する際、環境面及び社会面への配慮を適切に行うことはひとしく重要であると、このように考えております。むしろ、これは普遍的な取扱いであると理解しておりまして、例えば世界銀行におきましては、環境面や社会面の配慮について定めた一連のセーフガード政策と呼ばれる文書を策定しておりまして、これに沿って支援対象事業の評価を行っていると、このように承知してございます。また、我が国では、先ほど先生からも御指摘ありましたように、国際協力機構JICA国際協力銀行JBICが環境社会配慮に係るガイドラインを作成しておりまして、これに基づきまして適切な社会環境配慮がされた取組を支援しているところでございます。  機構におきましても、これらの機関の取組も参考としながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
  104. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 そこで、更に伺いますが、JBICJICAの環境社会配慮ガイドライン策定に当たっては、関係省庁のみならず、研究者、NGO、民間団体等を交えた議論が行われました。基準の策定に当たり、こうした第三者を交えた開かれた会議を行うべきではありませんか。少なくとも、単なるパブリックコメントを超えて、NGOを含めた第三者からの意見を聞いて、実質的に反映させるべきであると思いますが、いかがですか。
  105. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) この法律が定めます支援基準の策定手順についてお尋ねがございました。  支援基準は、先生御承知のとおりでありますけれども、この機構対象事業支援対象となる事業者及びその対象事業支援の内容を決定するに当たって従うべき基準を定めるものであります。その内容としては、先ほど申し上げたところではございますけれども、三点、主に三点、一つは政策的な必要性、二つ目は民業補完性、三つ目は長期収益性等の観点を盛り込むと、このように考えております。  この支援基準の策定に当たりましては、既に同様の官民ファンドが設立されておりますので、これらの例等も十分に研究し、参考にしながら必要な手続を踏んでまいりたいと、このように考えております。
  106. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 NGOを含めた第三者からの意見を聞くということについての明確な答弁はありませんでしたが、大臣に改めてお伺いします、意見を。
  107. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) ここは、この趣旨からいきまして意見を聞くということは私はあっていいと思いますが、基準作りということについての中心は関係しているところが組む方が望ましいのではないかというふうに私は感じています。意見を聞くということは、私は必要なことだと思います。
  108. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 そのことはそういう必要があるということを申し上げておきたいと思います。  民間交通関連企業やゼネコンなどは、単なるお付き合いではなくて、経営判断に基づいてリターンを期待をして機構出資をいたします。事業参画出資等について海外交通都市開発事業委員会が判断するとされていますが、事業委員会は、利害関係のある役員を排除して名称を変えただけで、実質的には取締役会と同等の機関であり、機構出資企業に有利な判断が下される事態も想定されるわけであります。結果として、機構出資できるような大企業のみが機構からのメリットを享受することになるのではありませんか。
  109. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) ただいま先生から、機構、とりわけ海外交通都市開発事業委員会が行う判断の適正さあるいは公正さについて御質問がございました。  実は、この海外交通都市開発事業委員会をなぜ設けたかと申しますと、今先生が御懸念を表明されました中立性それから公正さを確保するために設けた制度でございます。この委員会の構成を申し上げますれば、代表取締役と社外取締役を含む上限七名の取締役によって構成されております。しかしながら、取締役会と違いますことは、この現地事業体に出資するか否か、そういう判断を行うために必要な知見、経験、そのようなものを持ち合わせている方のみに参画していただくと、そのような仕組みになってございます。  またさらに、この法律も定めているところでございますけれども、委員はそれぞれ独立してその職務を執行しなければならない、すなわち他人から指示を受けたり影響を受けたりしてはならない、自分の判断でやらなくちゃいけないということを法律に明記してございます。  また、もう一つ申し上げれば、特定の案件で仮に利害関係がある委員が出てきましたとすれば、その方は利害関係人ということでその決定に参加できないと、このような仕組みも設けてございます。  このように、海外交通都市開発事業委員会そのものの構成に加え、つくりに加えまして、その公正さを損なうことがないような仕組みを二重、三重に設けてございますので、この仕組みの下でこの委員によき人を得て正しい公正な判断をしていただきたいと、このように考えております。
  110. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 それでは、最後の質問をさせていただきます。  衆議院の委員会でも、本日の委員会でも、需要リスク相手国の政治的リスクなどるる御議論がございました。こうしたリスクが現実化した際に、機構に存続期限の定めがないこともあり、国民の税金が垂れ流されるおそれがあります。JICA海外投融資には撤退条件の定めがありますが、国民負担最小化の観点から、機構事業についてもあらかじめ事業撤退等の条件を定めておくべきではないかと考えますが、いかがですか。
  111. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) 機構出資した事業が期待したとおりに進まなかった場合の撤退についてのお話がございました。  機構支援する事業につきまして、様々な事情から期待したように進捗しない、そのために継続が困難になるという場合が現実にあり得ると思います。具体的にどんな場合があるかと申しますれば、交通事業の場合でありますと、周辺地域の開発が予定どおり進まないために利用者が想定をはるかに下回る、そのために赤字が累積する、そういうことはあり得ると思います。また、都市開発事業の場合、現地政府の開発政策の変更により人口の集積が進まない、そのために十分な住宅分譲やオフィスへの入居が見込めないと、このような場合もまたあり得ようかと思います。また、現地合弁相手との間で紛争が発生し合弁企業の維持が困難になると、このような事態もあり得ようかと思います。  このような場合の機構の対応につきましては、個別の事情に応じて判断する必要がありますけれども、まず、一般的に申し上げますれば、まず機構は、他の株主、共同出資者でありますけれども、他の株主、銀行団、相手国政府等と協議をしつつ、まずは事業の改善と継続のために努力を尽くすと、これが通常の対応であろうと思います。
  112. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 時間が過ぎていますので、コンパクトにまとめてください。
  113. 稲葉一雄

    政府参考人稲葉一雄君) はい、済みません。  その上で、他に方法がなければプロジェクトからの撤退についても検討すると、このように考えております。
  114. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 以上で終わります。ありがとうございました。
  115. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  116. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  海外交通都市開発事業支援機構法案に対する反対討論を行います。  本法案は、海外交通都市開発分野の大規模開発事業日本企業受注しやすくするため、インフラ整備に掛かる莫大な費用や、整備運営に伴うリスクを軽減するなどの支援を行う機構設立しようとするものであります。  反対する第一の理由は、海外インフラ事業に参入する大企業利益を保障するための支援策であり、インフラ整備に掛かる莫大な費用やリスク日本政府が引き受け、国民の負担を拡大することになりかねないからであります。  この海外インフラ事業に参入する企業は、ゼネコン、鉄道会社や総合商社などの大企業です。大規模開発事業が持つリスクが軽減されれば、事業に参入する大手企業受注機会が増大し、受注した企業は開発工事や鉄道車両などの販売により確実に大きな利益が得られます。一方、大規模開発事業が持つリスク日本政府が負うことになります。  日本経団連は、採算性の見込めない基礎インフラ部分は公的資金整備し、採算性の見込まれる部分への投資や運用は民間で行うといった身勝手な要望を表明しています。本法案は、それを正面から受け入れ実施するものにほかなりません。  反対する第二の理由は、機構が行う支援には、海外での大規模開発事業を行う際に、自然環境と現地住民に与える影響に配慮する視点が全くないからです。  開発途上国への支援は、大規模開発によって環境破壊と住民の貧困化が起こることがないことを前提にすべきです。しかし、機構の業務にはこうした視点はありません。ただ大規模開発事業受注支援を推し進めるばかりです。  反対理由の第三は、日本企業海外生産拠点づくりを支援し、日本産業空洞化を加速することになるからです。  海外インフラ整備は、当該対象国のみならず、日本の自動車産業などの海外進出企業にとっても利用しやすい基盤を整備することになります。結果として、海外への生産移転を一層進め、日本産業空洞化、雇用の減少、経済悪化につながることは明らかです。  以上、反対理由を申し述べ、討論を終わります。
  117. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合を代表して、株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案に反対の討論を行います。  本法案は、政府出資による株式会社海外交通都市開発事業支援機構設立し、機関や財政上の措置等を定め、海外での交通都市開発事業に関わる大規模インフラ事業におけるリスク企業に代わって政府が引き受けるというものです。  反対理由の第一は、露骨な大企業支援であるということです。現状でも既に、大臣を始め政府によるトップセールス現地政府機関による相手国への働きかけ、進出企業への後押しが行われています。海外進出計画しているのは世界的な大企業であり、基本的に自己責任で事業を進めるべきです。  理由の第二は、国民負担の懸念があることです。事実上、取締役会に等しい事業委員会によるリスク評価が厳正になされる保証はなく、機構出資事業参画等を行った条件が不調になったり共同する企業が撤退等した場合に国民負担が増大する懸念があります。  理由の第三は、相手国の自然環境保全や人権擁護、公害規制などのいわゆる環境社会配慮や、それに関連する情報開示、異議申立てなどが法文上明確に保障されていないことです。機構支援基準に環境社会配慮等を盛り込むべきです。環境社会配慮について一定水準のガイドラインを既に備えたJBICJICAの業務拡大で対応せず、新たな株式会社を設立する真の理由もここにあるのではないかとの疑念が生じています。  そのほか、インフラシステム輸出戦略の達成見通しや、海外インフラ事業において機構支援すべき事業民間が独自で行うべき案件との線引きが曖昧な点、発起人のめども立っていない点、国交省の現役出向先確保ではないか、国交省による海外交通都市開発事業に関する統計情報の不備等の指摘もあります。  最後に、我が党は決して言われるほどアンチビジネスではありません。企業が適切に社会的責任を果たしながら自己責任でビジネスを行うことを妨げるものではありません。しかし、本法案は、官民ファンドを設立して、リスクは国民に、メリットは企業にという、モラルハザードを後押しするものです。新自由主義的な経済政策を支持する皆さんに訴えたい。小さな政府、自由な経済活動という理念と対極にあるかのごとき法案に果たして問題はないのでしょうか。  以上申し述べ、本法案に対する反対の討論といたします。
  118. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、田城君から発言を求められておりますので、これを許します。田城郁君。
  120. 田城郁

    田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。  私は、ただいま可決されました株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。  一 株式会社海外交通都市開発事業支援機構海外における交通又は都市開発事業支援を行うに当たっては、民業補完の観点から、民間ニーズを適切に把握し、我が国事業者の参入促進に資するよう努めるとともに、事業の進捗に応じた適時的確なモニタリングを行い、支援の効果の把握に努め、所期の目的が達成されたと判断したときは、民間に引き渡す等適切に対応すること。また、機構の将来的な在り方について適宜検討を行うこと。  二 機構支援する対象事業については、交通都市開発分野における我が国の知識・技術・経験が十分活用され、投資事業全体として長期収益性の確保が図られるものとなるよう配慮すること。また、これらの考え方を明らかにした支援基準を早急に定めること。なお、対象事業の範囲については、関係省庁間で協議の上、柔軟に検討し、必要な場合は拡充を行うこと。  三 機構対象事業支援を適正に行う上で、支援対象となる事業者及び支援の内容の決定等を行う海外交通都市開発事業委員会役割が極めて重要であることに鑑み、同委員会の客観的・中立的な判断や運営が確保されているかを含め、機構に対し必要な監督を行うこと。  四 機構がその機能を十分に発揮できるようにするため、民間の専門的な能力を有する所要の人材の確保及び積極的な活用等が図られるよう必要な支援に努めるとともに、人材育成や相手国との人的ネットワークの構築に積極的に取り組むこと。  五 対象事業相手国におけるインフラ関連法制や入札制度等の整備を積極的に支援するなど、我が国事業者の投資環境の一層の整備に努めること。また、法制度や契約手法の相違から生じる投資リスクの低減に資するため、知見の蓄積・共有、情報収集等に努めること。  六 インフラ海外展開を戦略的に推進する観点から、機構と他の類似機関との機能分担を明確にするとともにそれらと同様の環境社会配慮を行い、関係省庁間及び関係機関との間で密接な連携協力を図ることにより、施策の効果的な実施に努めること。また、海外インフラ市場において我が国企業の直面する課題や諸外国の取組、組織の実情等を把握し、機構を含めた支援体制の在り方について適宜必要な見直しを図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  121. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいま田城君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  122. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 多数と認めます。よって、田城君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、太田国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。太田国土交通大臣
  123. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 株式会社海外交通都市開発事業支援機構法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。ここに、委員長を始め理事の皆様、また委員皆様の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  誠にありがとうございました。
  124. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十六分散会