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2014-03-13 第186回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年三月十三日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月十三日     辞任         補欠選任      藤巻 幸夫君     寺田 典城君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤本 祐司君     理 事                 赤池 誠章君                 渡辺 猛之君                 田城  郁君                 広田  一君                 魚住裕一郎君     委 員                 青木 一彦君                 江島  潔君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 酒井 庸行君                 豊田 俊郎君                 中原 八一君                 野上浩太郎君                 森屋  宏君                 田中 直紀君                 野田 国義君                 前田 武志君                 河野 義博君                 和田 政宗君                 辰已孝太郎君                 室井 邦彦君                 寺田 典城君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        国土交通大臣  高木  毅君        国土交通大臣  野上浩太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       坂井  学君        国土交通大臣政        務官       土井  亨君        国土交通大臣政        務官       中原 八一君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    政府参考人        文化庁文化財部        長        山下 和茂君        国土交通大臣官        房長       武藤  浩君        国土交通大臣官        房危機管理・運        輸安全政策審議        官        染矢 隆一君        国土交通大臣官        房技術審議官   森  昌文君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  鈴木 千輝君        国土交通省国土        政策局長     花岡 洋文君        国土交通省土地        ・建設産業局長  毛利 信二君        国土交通省都市        局長       石井喜三郎君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        森北 佳昭君        国土交通省道路        局長       徳山日出男君        国土交通省住宅        局長       井上 俊之君        国土交通省鉄道        局長       瀧口 敬二君        国土交通省自動        車局長      田端  浩君        国土交通省北海        道局長      関  博之君        観光庁長官    久保 成人君        気象庁長官    羽鳥 光彦君        海上保安庁長官  佐藤 雄二君        環境大臣官房審        議官       奥主 喜美君        環境大臣官房審        議官       鎌形 浩史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (国土交通行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文化庁文化財部長山下和茂君外十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 赤池誠章

    赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  まず、昨年の臨時国会の本委員会審議され、去る三月十一日太田大臣所信にもございましたJR北海道問題についてお伺いをいたします。  昨年の審議の過程で、JR北海道問題の解決に向けて、私は次のような三点を指摘させていただきました。第一は経営責任の取り方、第二は組合問題、第三は警察などの外部機関との連携であります。そのような視点から見れば、国土交通省JR北海道への一連指導監督評価できると考えておる次第でございます。  第一に指摘した経営責任の取り方として、本年四月一日よりJR北海道会長及び社長の二人のトップが交代することとなりました。新しく選任される二人のトップには、安全最優先JR北海道再生に向けて全力を尽くしていただければと考えております。  そして、ツートップ以外の取締役役員人事については六月の定時株主総会で決定されるとのことですが、新トップとともに安全最優先の確立に向けた人事になるとの認識でよろしいでしょうか。
  6. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR北海道に対しましては、本年一月二十四日に鉄道事業法に基づく事業改善命令JR会社法に基づきます監督命令を出しました。  特にJR北海道に対しましては、今雪が降ったり大変なところがありますから、毎日毎日の安全ということに徹底して注力するようにということを言い、そして毎日報告を国交省にいただいて、そしてスタートを切っているという状況にございます。  こうした状況を踏まえまして、四月一日から新しい事業年度が始まることでありますものですから、この機会JR北海道代表取締役である社長会長を一新して、新たな体制の下で新生JR北海道としてのスタートを切ってもらうこととしたものでございます。  今御指摘のような三点については、きちっとそれをやり遂げるということが大事だというふうに思っておりまして、ほかの役員につきましても、JR北海道が新しい体制の下で判断をしていくことだというふうに思っています。  JR北海道の置かれた状況は、人事が行われて、そして一変するという状況以上に厳しいものがあるという認識を私は持っておりますが、新しい社長会長の下で、これまで半年間にわたって我々も指導してきたことに対しまして、しっかりと遂行し、経営幹部から現場社員の一人一人に至るまで結束して、全社一丸となって安全ということを中心にしながら再生全力で取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
  7. 赤池誠章

    赤池誠章君 答弁ありがとうございます。  新トップを支えるにふさわしいかどうか、是非JR北海道自体の問題とはいえ、国が株主であるわけでありますから、個別の役員評価もしっかりした上で株主総会で御承認をいただきたいと思っております。  経営責任以外にも、改めて三点要望させていただきたいと思っております。  第一は、組合問題であります。昨年の当委員会でも要望を受けて、安全確保に向けた労使の協議会が四半期に一度開催されるということで、昨年十二月に第一回目が開催されたということは聞いております。第二回目の開催に向けて、新トップ就任後速やかに開催されるべく、指導お願いをしたいと思います。  第二番目は、メンタルヘルス面についてであります。役員社長方々メンタルヘルス面大変心配をしているところでございます。新トップの下で悲劇を繰り返さないためにも、メンタルヘルス充実強化指導していただければと思います。  第三番目は、利用者、北海道の利用者への不安の払拭についてであります。異常事態続発に対して利用者は大変不安を抱いているというふうに聞いております。新トップ就任直後に、不安払拭のために、安全への決意を利用者にしっかり伝わるようにあらゆる機会を利用して表明していただくべく、以上三点、国交省としての指導監督お願い申し上げます。  次に、昨年の臨時国会でも質問をさせていただきました、我が国領土領海を守るための取組についてお伺いをしたいと存じます。  大臣所信表明で、チャイナ公船尖閣諸島周辺領海侵入が繰り返されているとの発言がございました。大臣所信表明のさなかにも、チャイナ公船我が国領海に三日連続して接近をするという報道もございました。  その領海侵入現状はどうなっているのか、量と質の両面から御教示をいただければと存じます。そして、その現状を踏まえて、今後の海上保安庁体制をどうするか、新たな対応策についてもお聞かせください。
  8. 佐藤雄二

    政府参考人佐藤雄二君) お答えします。  平成二十四年九月の尖閣三島の取得、保有以降、尖閣諸島周辺海域においては中国公船による領海侵入が七十七件発生しております。また、平成二十五年七月以降は中国公船船体表示海監漁政から新たに海警となっていることを確認しております。  海上保安庁では、相手隻数を上回る隻数巡視船を配備し、領海接近した外国公船に対し領海に侵入しないよう警告するとともに、領海に侵入した場合には退去要求進路規制を行い、領海外へ退去させているところであります。  なお、尖閣諸島周辺海域領海警備に万全を期すため、平成二十七年度末までに専従体制を構築すべく巡視船整備などを進めているところであり、また、中国公船の増加など、更なる情勢の変化などが生じた場合に備え、老朽化した巡視船代替等を進めてまいります。
  9. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  補正予算、また来年度予算含めて体制強化ということで、予算面におきましてもしっかり与党の一員、国会議員の一人として支援をしていきたいというふうに考えている次第でございます。  私は、チャイナ領海侵入尖閣諸島国有化以来大変続発をしているということの中で、ここ数か月の動きというのは若干そのときから比べると鎮静化と言っていいのかなというふうにも感じているところもあります。ただし、鎮静化したから、これでチャイナが矛先を収めるということではなく、逆に次のステージ、更に危険な段階に移っているのではないかとも懸念をしている次第であります。  来年は、さきの大戦から戦後七十年の節目を迎えます。チャイナは全世界反日キャンペーン展開をしておりまして、尖閣諸島核心的利益ということで、識者の中には尖閣諸島不法占拠、侵略を確実に実行してくるという見方も、おられる方もいらっしゃるということであります。今後は水上だけではなく水中、空中、つまり潜水艦などの往来又は航空機の領空侵犯など多方面の展開に移っているのではないかという懸念であります。  是非防衛省、外務省、新設された国家安全保障局始め関係省庁との連携を密にして、我が国の固有の領土であります尖閣諸島を守るために、引き続き、海上保安庁を始め国交省の御努力、御尽力を心よりお願いを申し上げます。  また、海上保安庁広報についてもお願いがございます。  全ての行政活動がそうなんですが、特に国民に直接目に触れる機会がほとんどない海上保安庁活動につきまして国民理解、支持を得るために、広報活動が大変重要であるというふうに考えている次第です。今回質問させていただきました尖閣諸島周辺海域におけるチャイナ公船等の動向という資料に関しましてもなかなか、海上保安庁のホームページからデータが掲載されているということなんですが、そこにたどり着くまで視認性が悪くてなかなか見付けにくい状況ということもございます。是非トップページからそのものずばりで尖閣周辺海域領空侵入状況というのが分かるような是非工夫お願いをしたいと思います。  続きまして、去る二月十四日から、山梨県、長野県、群馬県、埼玉県、関東近辺観測史上最大豪雪がございました。それに対する政府初動体制について被災地から評価の声をいただいているところであります。今回の災害を踏まえてしっかり検証して今後の防災対策に生かしていくということが大変重要だと考えております。  そこで、今回の雪害に対する一連国土交通省取組災害対策についてこれから質問をさせていただきたいと存じます。  まず、気象庁にお伺いをいたします。  なぜ今回の観測史上最大級豪雪被害気象予報が当たらなかったという、そういう評判、言われ方をしている部分がございます。それはなぜか。そして、このような最大災害のために創設された特別警報、これをなぜ出さなかったのか、そしてその特別警報基準について見直す意向があるかどうか、お聞かせください。
  10. 羽鳥光彦

    政府参考人羽鳥光彦君) お答えいたします。  大雪予報について三点御質問をいただきました。  まず、予報自体でございますが、今般の大雪予報につきましては、気象庁では、南岸の低気圧接近に伴いまして、十三日の段階から関東甲信地方を含む広い範囲で大雪になるだろうという予想をしてございましたが、その段階で、例えば山梨県では十四日の午前十時頃に警報発表してございましたが、その時点においても、十五日朝方にかけて南から暖かい空気が入るだろうということで、次第に雪から雨に変わるというような予測をしてございました。しかしながら、低気圧予想よりもやや南を通過したということで気温がやや低く経過し、記録的な大雪になったということでございます。  次に、大雪特別警報でございますが、これは基準につきましては、昭和三十八年あるいは五十六年の大雪豪雪被害を踏まえて基準を作成したものでございまして、具体的な基準としましては、五十年に一度程度の積雪があり、更にその後丸一日大雪が続くというような基準を定めていました。今回の場合につきましても、十四日夜、山梨県等では五十年に一度の雪の量になったわけなのでございますが、その後は十五日の昼前には降雪は終わるだろうということを予想してございまして、基準に照らして大雪特別警報については発表しませんでしたということでございます。  いずれにしましても、気象庁では、今回の大雪事例、これをしっかりと教訓としまして、注意報警報を含めた一連防災気象情報について、まずは予測技術の向上、これが第一でございますが、それにつきましても、その適切な発表防災気象情報の適切な発表自治体等との連携強化、これについて改善を進めたいと考えています。その際、特に重要な点は、やはり危機感をいかに迅速に効果的に共有するかということと、自治体や住民の方々注意報警報段階から早め早め対応を取っていただくということと考えてございます。  このような観点から、今回の事例を含め、科学技術的な評価というものをしっかりやっていきたいんですが、さらには自治体等関係機関における対応状況、これを実際に聞き取り調査等調査しまして、さらに災害対策の見地から御意見、御要望を伺ってまいりたいと考えています。  いずれにいたしましても、大雪特別警報基準見直しにつきましては、まずはこのような検証と調査、これをしっかり自治体等とも連携して、十分な時間をいただいてやっていきたいと思ってございます。  以上です。
  11. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。  太田大臣の先日の所信でも、国民の命と暮らしを守る取組として、災害時の確実な避難等に資する気象情報の迅速かつ正確な提供ということを表明しております。  気象情報は、言うまでもなく、単なる情報ではなく、国民の生命や財産に直結するものであります。今回の豪雪被害で二十六名の方々の命が失われ、家屋農業被害、大変な被害が出たわけであります。これに交通事故などを入れれば、もっと多くの命や財産が失われたということであります。被害の中には、事前の情報があれば防止できたものもあったのではないかというふうに考えております。  三年前の東日本大震災、そして台風十二号の紀伊半島中心とした大雨被害、そういった教訓から、昨年、平成二十五年八月から、直ちに命を守る行動を取るということで特別警報が創設されたわけであります。是非気象庁が先ほどお話しいただいたとおり、地方の声をしっかり踏まえる中で、特別警報、当然、注意報警報を含めた上で基準見直し広報の周知の徹底をお願いをしたいと存じます。  今回のような異常気象というのは日本だけではなく世界各地で起こっております。地球温暖化の影響ではないかとも言われているわけであります。今回のような雪害は今後も起こると考えた方がいいというふうにも感じているところであります。気象庁としてのより一層の迅速かつ正確な情報提供取組お願いをしたいと存じます。  次に、緊急災害対策派遣隊、いわゆるテックフォースについてお伺いをしたいと存じます。  今回の雪害におきましてもテックフォース除雪支援などに大変効果を発揮し、被災地から感謝の声が上がっている次第であります。テックフォース現状と課題、そして今後の強化策についてお聞かせいただきたいと存じます。
  12. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) お答えをいたします。  テックフォースでございますが、大規模な自然災害被災をいたしました地方自治体に対し技術的な支援を行うというものでございます。全国地方整備局等職員を主体にいたしまして、現在約五千六百名任命をいたしております。災害発生時に被災地に迅速に派遣する、そういう体制を取っているところでございます。  このテックフォースでございますが、平成二十年五月に創設をいたしまして、これまで約四十の災害に対して延べ約三万五千名被災地派遣をいたしました。今般の雪害におきましては、除排雪技術に優れた北陸地方整備局中部地方整備局テックフォース及び除雪車等派遣をいたしまして、山梨県等の地方自治体除雪支援を行いました。  テックフォース充実強化策の一環といたしまして、全国地方整備局等からテックフォース隊員災害対策機械、これを被災地に迅速に派遣するために、関係機関連携をいたしまして、広域的な実動訓練、日頃から行っているところでございます。また、隊員技術力を向上させるため、研修、訓練、また災害対策機械等の装備の充実等を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも被災した地方自治体支援のため、テックフォース充実強化、努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。  災害は残念ながら頻発をしております。そのような中で、テックフォースというのは大変な威力、効果を発揮し、今後も大変期待されるものというふうに考えております。  国土交通省職員方々通常業務を行いながら訓練し、いざというときに災害時に派遣されているというわけでありまして、その活動大変敬意を表する次第でございます。  職員方々には負担が当然重くなるわけでありまして、どのような支援とかケアとか必要かということも是非共検討し、バックアップをしていけるような体制を考えていきたいというふうに考えている次第であります。また、機材の充実強化に向けましても、是非予算面での確保に全体として取り組むべく、私も応援をさせていただきたいと思います。  今回の災害を目の当たりにしまして、実は雪だけではなくて、私は富士山噴火ということが思わず頭をよぎりました。雪でも大変なのに、これが火山灰であったらどういうことになるのかと。富士山火山灰は大都市である神奈川や東京にも襲ってくるわけでありまして、その被害は更に甚大ではないかと考えている次第です。テックフォース充実強化に向けて、是非その辺の備えも御検討いただければと存じます。  また、海上保安庁質問の際にも要望いたしました広報という面に関しましても、このようなすばらしい活動国民にしっかり周知され、理解を深める上でも、是非広報強化お願いをしたいと存じます。  続きまして、次に建築基準についてお伺いをいたします。  今回の豪雪によって倒壊する家屋が多数発生いたしました。そして、体育館など災害時の避難所にもなるそういった公共施設も、屋根が落ちるなどの被害がございました。雪に対する建築基準がどうなっているのか、そしてその見直しのためのワーキンググループ設置をされたとも聞いております。その検討状況をお伺いいたします。
  14. 井上俊之

    政府参考人井上俊之君) お答え申し上げます。  建築基準法におきまして、おおむね五十年に一度生ずる積雪の深さを各地域ごとに所管の行政庁が設定をいたしております。その際の雪の重さでございますけれども、積雪深さ一センチメートル、面積一平米当たり二キログラム、水の比重の五分の一ということで決めておりまして、これを基に建築物に掛かる積雪荷重を算定して、建築物が損傷しないような計算で求めるということとなってございます。  今回の大雪は、積雪がふだん余りないところで大変な記録をし、また、大きな被害が生じたということで、今御指摘ございましたように、社会資本整備審議会の下に専門家から成る建築物雪害対策ワーキンググループ設置をいたしまして、昨日、第一回の会議を開催いたしました。  ワーキンググループにおきましては、大雪による建築物被害原因の究明、これは積雪量はもちろんでございますけれども、設計、施工の関係でありますとか劣化等維持管理問題等を含めましてしっかりと調査をする必要があると思います。この原因が分かりましたら、積雪荷重改正必要性構造基準改正必要性、あるいは維持管理の在り方、こういった面についてこのワーキングでしっかり方向を出していただこうというふうに思っております。おおむね三か月をめどといたしております。中で基準改正が出ますと、これ当然また新たに作成作業をし、各方面の意見を聞くということ出てまいりますが、その場合にはできるだけ早期に結論を得るようにしっかりやってまいりたいと思います。
  15. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。是非精力的な御検討お願いをしたいと思いますし、是非速やかな基準見直しお願いをしたいとも考えております。  今後、建築基準が見直されるとなると、耐震化と同様に建物のチェックとか、基準を満たさない建築物、特に避難所となります公共施設について必要な構造上の対策というものも取っていかなければならないということも予想されます。是非、そういう面では予算面も含めてしっかりバックアップをさせていただきたいと思っております。  次に、道路についてお伺いをいたします。  今回の豪雪によりまして、高速道路幹線道路で立ち往生する車両が多数発生をいたしました。その原因と今後の対応策についてお聞かせください。
  16. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今回の降雪は、甲府を始め各地観測史上最高となります記録的大雪でありまして、高速道路では東名高速中央道を始め五十八区間直轄国道では二十四区間が通行止めになりました。  今回の大きな特徴としては、ふだん雪が少ない地域における大雪だったということ、それから道路管理者除雪対応能力自体が不足をしていたということ、あるいはドライバーの冬装備が不十分であったということなどが挙げられますが、例えばノーマルタイヤのままで峠道に入ってスタックしてしまったということがありましたり、そのスタック車を処理する道路管理者の能力自体も限られていたということもあって大規模な立ち往生につながるということの事例などもございました。  今回の立ち往生に対しては、人命優先の観点から、高速道路会社、地元自治体連携をしまして、ドライバーに対する安否の確認、食料、燃料、休憩所を提供するとともに、官邸とも連携をしまして、ホームページ、ツイッターで情報発信をしつつ、除雪作業を急ぎました。  今後の方向としては、早い段階で通行止めを行って集中的、効率的な除排雪を実施をするとか、あるいはドライバーに対して的確に情報を届けることなどを実施をしてまいりたいというふうに思っております。  ただし、早い段階での通行止めということになりますと、これはノーマルタイヤ装着車両のスタック防止にはなるんですが、一方で物流が滞るなどの影響もあるということになりますので、安易に早く通行止めを行うということにも課題があります。  このように様々な観点からの検討が必要だろうというふうに思っておりますので、今回の経緯をよく分析をして、先生の御指摘も踏まえてしっかり対応してまいりたいというふうに思っております。
  17. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。  先ほども述べさせていただきましたが、今回の雪害のみならず、是非富士山噴火ということも想定した上での対応策も練っていただければと思います。  次に、鉄道についてお伺いをいたします。  今回の豪雪によりまして、鉄道に、車両の中に閉じ込められた被害状況及びそのときの対応策、今後の対策についてお聞かせください。
  18. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) JR東日本の中央線におきましては、二月十四日から一メートルを超える大雪によりまして除雪が追い付かないということが起こりました。二月十七日午前の時点で、山梨県内の八つの駅におきまして九本の列車が取り残され、約六百八十人の方が避難をしていたと、こういったような状況でございました。  これらの乗客に対しましては、JR東日本が自治体等連携をいたしまして、食事などの提供や駅周辺の公民館や民宿の案内などの対応をいたしました。また、除雪作業の進捗に併せまして、順次、鉄道、バス等による輸送を行いまして、二月十八日十七時頃には全ての乗客が救済されていると、このような対応でございました。  今後の豪雪対策でございますが、現在、JR東日本におきまして今回の豪雪における除雪方法などを検証いたしまして、豪雪が見込まれる際の効果的な除雪体制あるいは運行管理について検討を進めておるところでございます。  国土交通省といたしましても、JR東日本に対しまして、必要な対策が適切に講じられるよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  19. 赤池誠章

    赤池誠章君 何度もくどいようでありますが、今回の雪害だけではなく、是非富士山噴火ということも想定して対応策検討していただければと存じます。  今回の雪害によりまして、先ほど質問をさせていただきました道路、鉄道の陸上交通網が麻痺をいたしまして、陸の孤島化というような状況もございました。そんな中で、空の交通、特にヘリコプターが大変活躍をしていただきました。特に、空港のない地域におきましてはヘリポートの存在というのは大変重要でございました。現在、全国各地に空港やヘリポートのネットワークができております。防災対策面からも、引き続き維持管理指導支援国交省としてお願いをしたいと存じます。  次に、建設業についてお伺いをいたします。  今回の雪害におきまして、災害協定に基づきまして、地元の建設業の方々が除雪などに不眠不休で当たって大変活躍をしていただきました。被災者から評価そして感謝の声が上がっているところであります。地元に建設業者の方がいれば速やかに災害対応、復旧ができる、ところが、いないと遅れてしまう、そのことが改めて明確となったわけであります。建設業者の存在が地域防災の決め手と言っても過言ではないかと存じます。  しかしながら、現在、地方自治体災害協定を結ぶ全国の建設業者の数が近年三分の二に激減をしているということもございます。また、災害対応に必要な重機を自分の会社で保有しない、そんな業者も出てきております。全国の約一割の自治体災害対応できる建設業者自体がいなくなっているという、そんな言われ方もしているところであります。災害対応空白地帯が生まれているということになってしまうわけであります。  改めて、災害時に活躍する建設業者への国交省としての支援策をお聞かせください。
  20. 森昌文

    政府参考人(森昌文君) お答えいたします。  災害時の対応等に対しまして、地域の建設企業が地域の守り手として重要な役割を担っているというふうに私どもの方も認識をしております。特に、地域の建設企業がその役割を今後ともしっかり担っていただくためには、災害時に活躍する企業を適切に評価するということも重要だということでございまして、私どもの方もそういう方向で考えているところでございます。  このため、国土交通省の方で、先導的な取組といたしまして、私どもの方の発注工事におきましては、工事の内容に応じて、一般的には総合評価方式というもので業者を決めるという方法を採用しておりますが、その際に、災害協定の締結、今まさに委員がおっしゃった災害協定の締結、あるいは協定に基づく活動実績といったようなものを評価してきているところでございます。また、先ほど御指摘のありました資機材の、しっかり持っているかどうかといったようなことについても、どのように評価をしていくのかということを今検討を進めているところでございます。  今後とも、災害時に活躍する企業をしっかりと評価をしていくということで、特に自治体とも連携をしてこのような取組を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  21. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  是非、資機材を持って災害協定を結んで災害対応できる、こういった建設業者とだけ公共事業の契約を結ぶぐらいの思い切った検討の上での実施をお願いをしたいと思っております。  建設業支援といいますと公共事業拡充ということでありまして、そうしますと、私ども政治家との癒着とか腐敗と結び付けられまして、国会やマスコミで批判をされてきたわけであります。その結果が防災対応空白地帯となって、逆に国民の生命や財産を失うという悪循環になっているのではないかと感じているところでもございます。東日本大震災もございました。様々な異常気象災害、そして今後様々な災害予想されているわけでありまして、そろそろ建設業、公共事業悪玉論から脱する時期に来ているというふうに感じている次第でございます。  次に、観光についてお伺いをしたいと思います。  今回の雪害は、富士山、軽井沢などの観光地を襲いまして、観光客が当然激減をして観光産業への被害も出ているわけであります。観光庁の災害時の対策、特に風評被害などの対応策についてお聞かせください。
  22. 久保成人

    政府参考人(久保成人君) お答えいたします。  今回の大雪に伴います災害に関する、また一般的に災害に関する観光面での御指摘の風評被害を防止するためには、何よりも正確な情報を集め発信をするということに万全を期すことが重要だと考えています。  観光庁におきましては、今回も被害発生直後より関係団体からの情報収集を随時行っているところですが、被災した地域の御意向、県、市町村の御意向も踏まえた上で、現地に関する正確な情報の発信、そして、今回の大雪に当たりましては、旅行業団体への情報収集・提供依頼と、被害を受けた各県へのツアー造成等、送客への特段の配慮を傘下の会員各社への周知依頼をするといった取組を通じて観光に関する風評被害の防止に努めておりますし、今後も努めてまいりたいというふうに考えております。  以上です。
  23. 赤池誠章

    赤池誠章君 東日本大震災被災地もそうでありますし、是非被災地支援のために、気象情報と同様に、迅速で正確な情報提供、そして観光キャンペーンなどの関係機関への支援要請をお願いをしたいと存じます。  特に、今回、災害発生した地域の観光地の状況ということが観光庁のホームページに掲載をされているわけでありますが、ちょっと私も見せていただきましたが、もう少し観光庁でありますからビジュアル化をしたり、また、観光庁のサイトだけではなくて様々な旅行、観光の、大変アクセス数の多い著名な観光サイトにしっかりそういったものをリンクしていただいて、是非より一層の工夫をお願いをしたいと存じます。  次に、公共事業の在り方についてお伺いをしたいと存じます。  先ほどの建設業支援の際にも述べさせていただいたんですが、国民の安全、安心、防災・減災につながる公共事業計画の現況というものがどうなっているのか、是非お聞かせください。
  24. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 何よりも防災・減災というのは東日本大震災以来大事になり、また先生のところの今回の豪雪、あるいはまた笹子トンネルの天井板落下事故等によりまして、とにかく一番のこの公共事業におけるメーンストリームを、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化というところをメーンにということでやらさせていただいています。  今年の、今参議院で審議をいただいております全ての国交省関係の公共事業予算の中で、この防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化という点では、全部の五三%がその項目に当たっておりまして、そこをまずしっかりやって、命の公共事業というものを推進する姿勢というものにしていくということが重要だと考えているところでございます。
  25. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。  公共事業の計画といいますと、平成十五年から、現在三次にわたって社会資本整備重点計画という形で行われているというふうに承知をしております。それまでの旧長期計画が九つの事業分野に分かれ、予算配分が硬直化をして、計画が縦割りで、相互連携が不十分で、予算獲得のために手段にすぎない、事業の重点化や効率化が図られないで地方自治体国民の声を十分に反映されていないという、そんな批判から現行の計画に変更されたというふうに聞いております。  現在、平成二十四年度から五年計画ということで社会資本整備重点計画、実施されているわけでありますが、防災に関する重点目標として三十二の指標、数値目標が掲げられております。  以前の計画の反省があるというのは分かるわけでありますが、残念ながらこの五年計画の中には事業量や予算規模というのは明記をされておりません。これで果たして計画と言えるのかなということをちょっと若干疑問に思っておりますし、それが具体的にどのような単年度予算に反映されるかというのも不明瞭ではないかというふうに思っております。結果的にどれだけ数値が上がったかという、そういう面では目標ではなくて結果の産物ではないかというふうに思っておりますし、公共事業を減らすきっかけ、根拠にもなっているんではないか。これでは防災対策が不十分で、国民の生命や財産が失われかねないのではないかということも心配をしているところであります。  社会資本整備重点計画、数値目標を見ますと、例えば道路による都市間速達性の確保、この割合が五年間で四六%から五〇%、また重要交通網に係る土砂災害対策実施率ですね、これが五年間で四六%から五一%にするという、これ自体大変低い数値目標になっているわけでありまして、これどちらも一〇〇%にするのに六十年以上掛かってしまうということでありまして、その間、災害が起きたらどうするのかというふうに思わざるを得ないわけでありまして、改めて、是非、社会資本整備重点計画、この計画自体のやり方を見直していただきたいというふうにも考えている次第であります。数値目標の設定の仕方もそうですし、それがどう予算や事業量を計算をした上で単年度予算に反映をするというような仕組みがなければ計画とは言えないのではないか。そのような計画的な公共事業、是非検討をいただきたいというふうに思っているところであります。  以上、今回の雪害を通じて防災対策について質問意見を述べさせていただいております。太田大臣におかれましては、大臣所信にありましたとおり、現在、新しい国土のグランドデザインを作成をなさっているわけであります。改めて、今回の雪害を通じた防災対策質問を通じて、大臣の新しい国土のグランドデザインに向けての決意の一端をお聞かせ願いたいと存じます。
  26. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 公共事業は悪玉であるということが続けられ、そして、確かに指摘されても致し方ないというような事業が幾つかあったんではないかというふうに思います。それは、物事に対して、災害なら災害が起きてからの対応型になっていたということが一つあったと思います。もう一つは、五か年計画といういわゆる五計で、道路はこうする、何はこうするということでいったということが自己増殖するということで批判があって、数値目標が立てられていなかったということがあると思います。  それが何%の比率ということで社会資本整備重点計画という形になったわけですが、これらの経緯も踏まえて、私は、持続的に、安定的に公共事業が行われ、そして、それを担う建設業者も急に増えたり急に減ったりということではないということを一番望んで、それがなければ建設業はますます疲弊していくというふうに思っています。  そうしたことから、今年は、私は、新しい国土のグランドデザインをつくると。こういう日本にする、こういう国土にする、この地方はこういうふうに持っていく、高齢社会になる、人口減少になってくる、ITが重要になってくる、グローバリゼーションがある、エネルギーの制約がある、いろんな予見というものを踏まえて、二〇五〇年を目指してこういう日本にするということを示して、そしてその中で私たちは社会資本整備重点計画というものを考え、そこで持続的、安定的な予算というものが必要だという必要性をより国民理解をいただけるようにしていくということがまず今年は大事なことだというふうに考えているところでございます。
  27. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。大臣の決意を聞かせていただきました。  私ども自民党は国土強靱化、友党であります公明党は防災・減災ニューディールということを掲げて、衆参二回の選挙で国民からの多数の支持をいただきまして政権を担っているわけであります。大臣所信にありましたように、東日本大震災からの復興の加速、国民生活の安全、安心の確保、防災・減災、老朽化対策全力で傾注をしていただければというふうに存じます。  今日は本当にありがとうございました。
  28. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  質問に入ります前に、東日本大震災発生してから三年がたちました。改めまして、亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様、そしていまだに不自由な生活を強いられている皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を祈念をいたします。  当時、私は、防衛大臣政務官としまして、自衛隊の皆さんとこの国難に立ち向かってまいりました。自衛隊員諸官、本当に我が身の危険を顧みず任務に精励をしてくれたこと、本当に心から誇りに思うところでございます。  その一方で、自衛隊の皆さんも国民から支えられました。ここに一枚の手紙がございます。大川小学校、悲劇の小学校というふうに言われた学校でございますけれども、そこで生き残ったうみちゃんからの手紙であります。ここには、「日本をたすけてください。いつもおうえんしています。じえいたいさんありがとう。」という手紙がございます。隊員はこの手紙をコピーをして胸のポケットにしまって、本当に過酷な厳しい任務に就かれておりました。  この大震災によって私たちは多くのものを失いましたけれども、一方でこのようなきずなというものがより一層強まったのではないかな、このように思うところでございます。  こういった中で、自衛隊が担う安全保障について、我が国は今重大な局面に立とうとしております。本日は、皆様方のお許しを得まして、外交防衛委員会にならないように、バランスを取って、今のこの安全保障問題について太田大臣の御所見をお伺いをしたいというふうに思っております。  まず、私の安全保障に対する基本的な考え方でございますけれども、私は、安全保障の目的は、日本の独立、国民の皆さんの生命、財産、そして基本的人権を守ること、これが安全保障の目的だというふうに思っております。この目的を達成するためにいわゆる集団的自衛権の行使が必要ということであれば私は行使をすべきだというふうに思いますし、その必要がなければもちろん行使をする必要性もないわけであります。  よって、安全保障問題を考える場合は、我々は徹底した現実主義に立って物事を判断していかなければなりません。我が国周辺を取り巻く環境、安全保障環境というものを十分に踏まえた上で、今後どういった事態が想定をされるのか、このことを十分に踏まえた上で私たちは議論を展開をしていかなければならない、このように思うところでございます。  ただ、この集団的自衛権の行使を可能とする場合、今政府中心検討されております、現行の憲法第九条を中心とする憲法の解釈を変更して集団的自衛権を行使可能とするということについて私は反対であります。もし行使可能とするのならば、堂々と憲法改正をしていく、これが私は王道だというふうに思っているところでございます。そういった考え方をお示しをさせていただいた上で、以下、質問させていただきたいと思います。  この点につきましては、昨年の十一月五日、太田大臣について質問させていただきました。本当に率直な御答弁を頂戴したというふうに思っており、ほぼ私と同じような御認識を持たれているというふうに思うところでございます。  その上で、確認の意味で何点か御質問をしたいと思いますが、太田大臣は、かつて、平成十七年の二月三日の衆議院憲法調査会において、憲法九条と日本の安全保障問題について意見表明をされております。その中で、例えば、九条の精神は軍事力や武力の行使について極めて抑制的であると、ほぼ私と同じ考え方を示されているわけでございますが、その考えは不変なのでしょうか。
  29. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 九条の精神、憲法三原則を守るというのは私は大事なことだというふうに思っておりまして、九条一項、二項を通じて、武力行使ということについて、自衛権の発動ということにつきましても抑制的であるという憲法の構成になっているというふうに承知をしています。それ以上は私は申し上げませんが、その点はそういう構成だという認識はしております。
  30. 広田一

    ○広田一君 今、九条一項、二項の構成についての御見解があったところでございます。これについて、ちょっと若干視点を変えてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、いわゆる安保法制懇の報告書、来月に出るというふうに思うところでございます。これでどのような憲法解釈の変更がなされるのか、これは分かりません。全て正面から否定をされるのか、また、部分的条件を付して行使というものを認めていくのか、これは分かりませんけれども、ただ、実は既に、平成二十年六月、今の安保法制懇と同じメンバーの方々が報告書を提出をしているところでございます。  その報告書によりますと、憲法九条の解釈変更につきまして、十九ページのところで、若干長くなりますけど読まさせていただきますと、特に、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄するという文言は、我が国として国際関係において実力の行使を行うことを一切禁じているように見えず、この規定の意味するところは、むしろ、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使を国際紛争を解決する手段としては永久に放棄するものであって、個別的自衛権はもとより、集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではないと読むのが素直な文理解釈であろうというふうに言われております。  素直な文理解釈であろうというふうに、あろうというふうな言い方して、本来自信があれば、であるというふうに断言すればよさそうなものですけれども、自信なさそうに述べているわけですが、この文理解釈につきまして、先ほどの太田大臣の御答弁と踏まえて、御所見があればお伺いしたいと思います。
  31. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これは、かつての内閣におきます私的懇談会の報告内容でございまして、その私的懇談会のかつての報告内容について私が国土交通大臣としてお答えをするということは差し控えた方が適切だと思っております。
  32. 広田一

    ○広田一君 本来であれば、政治家太田大臣としての御答弁を頂戴したいというふうに思っておりました。これ以上突っ込みますと外交防衛委員会になってしまいますので、今日は控えさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、いずれこの点についての御見解も述べていただく機会もあろうかというふうに思うところでございます。  そして、もう一点、先ほど御紹介しました平成十七年二月三日の衆議院の憲法調査会において、太田大臣、専守防衛についても若干触れられているわけでございます。  この専守防衛についてなんですが、民主党の政権時代に策定いたしました防衛大綱、これについて私も携わらせていただいたわけでございますけれども、安全保障の基本理念として、専守防衛に徹するというふうに明記をしてあります。  実は、安倍政権で策定をしました防衛大綱にも同様の規定がございます。御承知のとおり、専守防衛というのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢というふうに規定をされております。  この姿勢は引き続き我が国の安全保障政策の理念として私は堅持すべきというふうに考えますけれども、太田大臣の御所見をお伺いします。
  33. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 現在、この安全保障を巡る問題、そして憲法との関わり方ということについては、政府は安保法制懇の論議を見守っていくというのが基本的な立場であり、政府と、また閣僚はその一員として安保法制懇の論議を見守るというのが基本でございます。そして、そこで、総理も含めて、私もでありますけれども、何らかの発言をいたしますと、専門の方に任せた論議に予見性を与えるということは慎むべきであるという、あくまで見守るということで今いるというのが政府の姿勢でございますので、私はその点についても、この安保法制懇の論議を見守っていきたいというのが私の基本的な現在の立場でございます。
  34. 広田一

    ○広田一君 見守るというふうなことでございます。  ただ、安保法制懇は御承知のとおり私的諮問機関でございまして、非常に位置付けも弱いところでございます。そこまで御配慮をされる必要はないのではないかなというふうに思いますし、あわせて、それらと関係なく、専守防衛に対する考え方というのは、これはこれでやっぱり現時点でどのように考えているのかということについては示していただくのが妥当ではないかなというふうに思っております。  閣僚という立場、国土交通大臣という非常に制約された立場だというふうに思いますけれども、いま一度この専守防衛について、太田大臣、何か御所見があればお伺いをしたいと思います。
  35. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) あくまで安保法制懇で論議をしているということを見守るというのが立場であるということを是非とも御理解いただきたいというふうに思います。
  36. 広田一

    ○広田一君 繰り返しの答弁でございますが、また、そうすれば安保法制懇の報告書が出た暁にはこの問題についてもお話をしていただけるというふうな理解でよろしいのでしょうか。
  37. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) その点については、安保法制懇の論議、そしてその後がどういう経過をたどるかということの中で判断をしたいというふうに思っています。
  38. 広田一

    ○広田一君 このほかにも四問ほど太田大臣には質問通告をしているところでございますが、全体のバランスを見ましてこれで終わらさせていただきたいなというふうに思っておりますが、ただ、十一月五日の御答弁と比べて、また衆議院の予算委員会等々の議論を通じて、非常に太田大臣、全体を見て、また慎重に言葉を選んでこの問題に対処されておりますことについては敬意を表するところでございますが、ただ、前回申し上げましたとおり、この安倍内閣にとって太田大臣の存在というのは平和のとりでの最後でございますので、そのお立場、是非とも十分に自覚をしていただいて、いざというときにはがぶり寄りを示していただいて安倍総理を寄り切っていただきたいなというふうに思っておりますので、この点に対する決意をお聞きをいたしまして、次に移りたいと思います。
  39. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 御期待をいただきまして、感謝申し上げます。
  40. 広田一

    ○広田一君 是非とも頑張っていただきたいと思います。  次に、大臣所信に基づきまして御質問をしたいと思います。  まず、領海警備についてお伺いをいたします。  先ほど来質問してまいりました集団的自衛権の議論、これも非常に大事ではありますが、より一層現実的な課題、喫緊の課題として我が国が早急に対処しなければならない問題が、先ほど赤池理事の方からも御指摘がございました領海警備であるというふうに私は思っております。領海警備はとても奥が深い分野であり、私自身もより一層理解を深め、認識を高めていかなければならない、このように思っています。  さて、海上保安庁の皆さん、本当に過酷な環境の中で我が国領海を守るために日々御尽力そして御努力くださっておりますこと、国民の一人として頭が下がります。心から敬意と感謝を申し上げます。また、佐藤長官は制服組として初の長官就任でございます。現場の士気も大変上がっているというふうに推察をするところでございます。  こういったことを受けまして、昨年の十一月二十一日、我が参議院国土交通委員会といたしまして現場の視察、激励に行ったところでございます。今後とも、正義仁愛、この精神の下、厳しさを増す領海警備により一層精励されますことを期待をするところでございます。  その上で質問をさせていただきたいと思います。  近年、尖閣諸島周辺の中国そして台湾の動きは、私は看過することができない状況になっていると思います。特に中国は、先ほどの質疑でもございましたように、中国海警局を新設し、海洋活動を活発化しております。巡視船の乗組員の方の寄稿にございますように、尖閣諸島周辺海域は緊迫の海であり、一つのミスが大きな国際問題に発展しかねない、まさに国境警備の最前線であります。現場は非常に極度の緊張の中、任務に精励されているわけでございます。  そういった中で、大臣所信において領土領海の堅守というふうに述べられております。堅守とは辞書的な意味で一体どういう意味なんでしょうか。これは城や陣地等を敵から文字どおり堅く守るという意味であります。現在のこの尖閣諸島周辺海域の堅守について、どのような状態を示して堅守しているというふうにお考えなのか、御所見をまずお伺いします。
  41. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) お答えをさせていただきます。  海上保安庁では、領海接近した外国公船に対しまして領海に侵入しないよう警告するとともに、領海に侵入した場合には退去要求進路規制を行い、領海外へ退去をさせているところでございます。  いずれにいたしましても、尖閣周辺の領海警備、先生が御指摘していただきましたように、大変緊張感の中でございますけれども、関係各省と緊密に連携しながら万全を期してまいりたいと思います。
  42. 広田一

    ○広田一君 今政務官の方から、海上保安庁の現場がどのように対応しているのかというふうな御答弁はいただきました。すなわち、退去要求とか進路規制をしているということであります。  私が質問しているのはそうではなくて、皆さんが、この大臣所信で述べられている堅守、堅守をしているというふうにおっしゃっているわけです。この尖閣諸島の今の状況において何をもって堅守をしているというふうに定義をして、どういう実態を指しているのか、お示しをしてください。
  43. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 今、中原務官が述べたことと同じなんですけれども、我が国領土領海、特に領海ということであるわけですけれども、そこに外国の公船等接近をするという場合に、侵入しないようにとにかくこれは排除する、退去をさせるということも含めて我が国領土領海を守り抜くという姿勢を示したものであるというふうに御理解いただければと思います。
  44. 広田一

    ○広田一君 確認なんですけれども、これは姿勢であって、実際は、実際とは違うということなんでしょうか。あくまでもこういう堅守という姿勢で海上保安庁の皆さん、尖閣周辺の領海警備に当たっているという理解なのか、実際問題、堅く守って、堅守をしているということを実効性を担保しているというふうに考えているのか、いずれなんでしょうか。
  45. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 私はその二つにそう変わりはないというふうに思っておりますが、堅守をするということは守り抜くという断固たる姿勢を示す、そしてその行動も示すということだと思います。
  46. 広田一

    ○広田一君 姿勢と実態は私は違うというふうに思っておりますので、以下、これらに関連してお聞きをしたいというふうに思います。  まず、本当に、今日の国土交通委員会の皆さんと今の尖閣周辺の状況について認識是非とも共有をしていきたいなというふうに思っておりますので、事実についてお伺いをしたいと思います。  まず、過去も含めてこの尖閣周辺の最大領海侵入隻数最大領海侵入時間、あわせて、最も尖閣諸島接近した距離は幾らなのか、これについてお伺いをしたいと思います。対象は中国の公船についてであります。よろしくお願いします。
  47. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) ただいまお尋ねがありました尖閣諸島周辺海域における中国公船領海侵入件数、それから一日当たりの最大侵入隻数、最長侵入時間及び最接近距離でございますけれども、平成二十四年の九月の十一日以降につきましては、領海侵入件数が七十七件、一日当たりの最大侵入隻数が八隻、それから一件当たりの最長侵入時間でありますけれども、二十八時間十五分、魚釣島への最接近距離でありますけれども、約四百五十メートルでございます。
  48. 広田一

    ○広田一君 それぞれ御答弁をいただいたわけでございますけれども、例えば領海侵入最大隻数、これいつ起きたのか。また、領海侵入最長時間、これいつ起きたのか。さらには、魚釣島に最接近、これは四百五十メートルということでありますけれども、これはいつ発生したんでしょうか。
  49. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) 一日当たりの最大侵入隻数になりましたのは、平成二十五年の四月の二十三日と九月の十日でございます。それから、最長侵入時間でございますけれども、平成二十五年八月七日から八日にかけてでございます。それから、最接近距離でございますけれども、平成二十五年の七月の一日でございます。  以上でございます。
  50. 広田一

    ○広田一君 確認ですけれども、これは全て安倍政権になってからということでよろしいでしょうか。
  51. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) 安倍政権になってからでございます。
  52. 広田一

    ○広田一君 そうすると、先ほど申し上げたような、るる最悪の事態といったものが安倍政権が誕生してから発生をしている事実というふうな理解でよろしいでしょうか。
  53. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) そのとおりでございます。
  54. 広田一

    ○広田一君 このように、安倍政権、非常に強い日本というものを御主張されている割には、確かに尖閣の国有化というものはございましたけれども、安倍政権になってから中国公船による領海侵入が飛躍的に増加して、そして悪質化し、常態化をしているという現状を確認をすることができたわけでございます。  現在、政府は、尖閣諸島の領有権につきまして、尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、現に我が国はこれを有効に支配しているとの基本的な見解を持っております。  平成二十二年とか二十三年の領海侵入状況だったらまだしも、先ほどお話があったように、一日八隻もの中国公船の侵入を許し、二十八時間十五分も領海内に居座られ、そして魚釣島までは四百五十メートルも接近をされている。本当にこれで有効支配をしているというふうに言えるんでしょうか。私は、有効支配が脅かされている、いわゆる先ほど来議論している堅守が揺らいでいる、こういった強い危機感を持っておりますけれども、皆様方はいかがでしょうか。
  55. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) 委員認識とほぼ同じようでございます。大変尖閣諸島周辺につきましては緊張感が高まっておりまして、私も大変危機感を有しているところでございます。今後、引き続き関係省庁と緊密に連携しながら情報収集に努めますとともに、その時々の情勢に応じ哨戒体制強化するなど、領海警備に万全を期してまいりたいと思います。
  56. 広田一

    ○広田一君 一点、危機感の共有というものがなされたわけでございますけれども、更に申し上げますと、私は、このような状態がまさしく常態化をすれば有効支配の実態というものを失ってしまうんじゃないか、こう思うんですけれども、この点についての御見解をお伺いします。
  57. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 有効支配をしているという事実は全く変わりなく、我が国領土であり、そして国際法的にも我が国領土であるということは間違いない事実だと思います。
  58. 広田一

    ○広田一君 それは、どういう根拠をもってそういうふうに言われるんでしょうか。
  59. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これは既に政府、そして外務省からも明確にそうした根拠は示されていると思います。
  60. 広田一

    ○広田一君 有効に支配をしているというふうなこと、先ほど申し上げたとおり、平成二十二年、二十三年の実態であれば私もそう思います。しかし、安倍政権になってから先ほど申し上げたような最悪の事態が続いているわけです。全く状況が大きく近年変わっているわけであります。だから、この実態を踏まえて、我々は危機感を共有して物事に対処しなければならないと思います。有効支配ができている、堅守ができているというふうなこの前提に立ってしまうと、そこから先、打ち出す政策、考え方というものが百八十度違ってくるのではないでしょうか。  だから、私が申し上げたいことは、今この有効支配を続ける、続けたい、その思いは同じであります。しかし、それが大きく揺らいでいる。そして、これが放置すれば大変なことになってしまう。そういった危機感を共有した上で、じゃ、これから何をしなければならないのかということをまさしくこの場で議論しなければならないのではないかなというふうに思います。  有効支配をしているというふうに言われますと、じゃ、今までどおりでいいのかということになってしまいます。決してそうではないというふうに思いますので、この点についてはやはり、まさしく今の現状、現実を直視をしていただいて私は対処すべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  61. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 我が国がここを有効支配をしているということは、私は事実であろうというふうに思います。また、そこの、今示された危機感というのは当然持っていなければならないというふうに思っているところです。
  62. 広田一

    ○広田一君 それでは、視点を変えて質問をいたしますけれども、今、なぜこの安倍政権になって中国はこれほどまでに領海侵入を繰り返し、そのレベルも上げてきているのか、この中国の意図についてどのように考えているんでしょうか。
  63. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 通告していますか。  通告されていると思いますので、お答えください。
  64. 中原八一

    大臣政務官中原八一君) 中国の公船が度々日本の近海に来ていることは事実でございますけれども、中国の正確な意図というものは測り得ていないと思います。
  65. 広田一

    ○広田一君 いや、これは驚くべき答弁でございます。  これほどまでに頻繁に領海侵入をされている中で、中国側の意図について分からないというふうに皆さんが言えば、これは本当にゆゆしき問題だというふうに思います。本当にこれで領海を守れるんでしょうか。今、海上保安庁の現場の皆さんがどんな思いで領海警備に当たっているというふうにお考えなんでしょうか。  このようなことをされて、なぜ中国がこういった行動に出るのか、その意図さえ皆さん政務三役が議論されていないというのは、私は到底信じ難いことだというふうに思っております。今のこの中国の意図というものをしっかりと私は認識をしなければならないのではないでしょうか。  恐らく中国は、今の自分たちから見た執行管轄権、この実績をつくって尖閣諸島に対する自国の領土主張を強化すると同時に、先ほど来議論しております日本の有効支配を崩そうとしているんだと思います。今、領海侵入をされているときに、先ほど政務官の方からお話がございましたように、退去要請をする、そして進路規制をする、そういうふうなこと以上何もされないんだろうということを、様々な手段を使ってこれを確認をしているわけであります。  本当に、中国の意図が分からずに皆様方政務三役が主導して、この我が国領海の警備、できるんでしょうか。これは大いに反省をしていただいて、この中国の意図については是非とも考えていただきたい、このように思うところでございます。  意図が分からないということであれば、次に行きたいというふうに思いますけれども。  こういった中で、私の認識では、今の現状のような二つの柱、侵入規制とかまた退去要請、命令等々では十分に今の中国公船領海侵入というものは防げないというのが私は実態だろうというふうに思っております。こういった中で、海洋法に関する国際連合条約の第二十五条、沿岸国の保護権の第一項で、「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。」、こういうふうに規定をされております。  現状を鑑みれば、今行っている対策に加えて、領土領海をまさしく堅守するための実効的な必要な措置について検討されているのかどうか、お伺いします。
  66. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 海上保安庁では、これまでも議論がありましたとおり、領海接近した外国公船に対しては領海に侵入しないよう警告するとともに、領海に侵入した場合には退去要求ですとか進路規制を行って領海外へ退去させているところであります。  今お話のありましたその他の具体的な対処の方法につきましては、国際法上許容される範囲内で必要な措置をとり得るよう、政府全体で検討をしているところであります。
  67. 広田一

    ○広田一君 具体的にどのような措置を検討しているのでしょうか。
  68. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 具体的な措置については、これは警備手法を明かすことになりますので、お答えをすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  69. 広田一

    ○広田一君 差し控える理由がよく分かりません。相手に手のうちが分かるというふうなことでございますけれども、これはむしろ、やはり日本がどのような措置をこの二十五条第一項に基づいて対処するのかということを検討し、示していくということが、これが非常に重要なことだろうというふうに思っております。  どういったことを検討するのかということを国民の皆さんと一緒に共有すること、これが私は抑止にもつながっていくことだろうというふうに思っております。無論、防衛関係で様々な警戒監視であるとか、そしてどのような態勢を組んでいるのか、これはまさしく手のうちを明かすことになります。実際の運用をどうしているのかということについてつまびらかに言うのは、それは確かに問題があります。しかしながら、どういった手段を講じることができるのか、必要な措置といったものはどういうことなのかということを示すことは、むしろ逆の意味で私は大事だというふうに思っております。  検討していることさえ示されないというふうなことであれば、領海警備についてこれから議論を深めていく際の私は支障になるというふうに思っておりますので、この点については明らかにしていただきたいと思います。
  70. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今も申し上げましたとおり、必要な措置をとり得るよう政府全体で検討をしておるということでありますが、その手段等について明らかにするということは、それは警備手法を明らかにするということにつながりますので、それは差し控えさせていただきたいということは御理解を賜りたいというふうに思います。
  71. 広田一

    ○広田一君 警備手法を明らかにしないことが、なぜ日本の領海警備にとって重要だというふうに思われるんでしょうか。
  72. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) それは、警備手法を明らかにしないというのは、領海警備においてそれは重要なことだというのは当然のことだろうというふうに思います。
  73. 広田一

    ○広田一君 例えば、じゃ、一般的に、一般論で結構です。一般的に言われているこの種の領海警備にはどういったものがあるというふうに認識されているんでしょうか。一般論で結構です。
  74. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) それはまた繰り返しになって申し訳ありませんが、これまで対応してきた退去要求ですとか進路規制を行ってきたということでございます。
  75. 広田一

    ○広田一君 これ以上やると、ちょっと止まるんで、真面目に答えてもらいたいんですけれども、一般論として私は聞いております。  国際法上、このような領海警備をする場合に、二十五条第一項に規定されている必要な措置として、一体どのようなものが一般論として考えられるのか、これは私は示さなければならないというふうに思います。今現在検討している中身を聞いているんじゃないです。一般論として国際社会においてどのようなことが考えられるのかということをお聞きしております。
  76. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 一般論としてということでありますが、例えば外国公船への対応ですね。これは、それは領海に侵入しないよう警告を実施をする、あるいは領海に侵入した場合、退去要求等々を実施をするということでありますし、活動家船舶への対応についても警告や進路規制を行う、あるいは放水規制等必要な措置を実施をするということであります。あるいは、外国漁船への対応につきましては法令に基づいて厳正に対処をするということであります。
  77. 広田一

    ○広田一君 その必要な措置の一般的な中身は何でしょうか。
  78. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 必要な措置につきましては今政府全体で検討しておりますが、その具体的な中身については、先ほどから申し上げているとおり差し控えさせていただきたいということであります。
  79. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 今、広田一君の質問は、一般論として必要な措置というのは何ですかということを言っているんだというふうに認識をしておりますが、もう一度お答えいただけますでしょうか。
  80. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) だから、何回も繰り返しになって申し訳ありませんが、一般論で申し上げて必要な措置というのは、先ほど申し上げた、外国公船への対応ですとか活動家船舶への対応、外国漁船への対応ということを先ほど申し上げたとおりでございます。
  81. 広田一

    ○広田一君 逆に言えば、それ以外ないということでしょうか。
  82. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) いや、それ以外ないといいますか、一般論として今申し上げたことをやっておるということでございます。
  83. 広田一

    ○広田一君 いや、質問に答えていただきたいと思います。それ以外ないんでしょうか。
  84. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) あるかないかということですか。
  85. 広田一

    ○広田一君 いろいろ考えられると。
  86. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 先ほど申し上げたような事例、幾つか申し上げましたが、それらのことをやっているということでございます。
  87. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ほかにあるかないかという質問のようなので。あれが全てですかという質問ですか。
  88. 広田一

    ○広田一君 そうです。
  89. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今申し上げたことは主なところではございますが、それ以外のことについては、今申し上げたとおり、警備手法のことを明らかにするということにもつながりますので、そこは差し控えさせていただきたいということであります。
  90. 広田一

    ○広田一君 それでは視点を変えて聞きますけれども、外国ではどのような対応をしているというふうに認識しているんでしょうか。
  91. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) これは各国の具体的な事例を全て承知しているわけではありませんが、例えば近隣諸国である中国、韓国におきましては、領海を通過する外国公船が沿岸国の法令に従わない場合には領海からの退去を要求することができるものというふうに承知をしております。
  92. 広田一

    ○広田一君 それ以外に必要な措置ということについては御認識をされていないという理解でよろしいんでしょうか。
  93. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今申し上げたとおり、全て明確に分かっているということではございません。
  94. 広田一

    ○広田一君 るる議論をさせていただきました。  このような非常に尖閣周辺が厳しい状況の中において、今後必要な措置といったものが一体何が必要なのかということを我々国会としても議論しなければならないというふうに私は認識をいたしております。そういった場合に、今のような進路規制等々だけではもはや中国公船領海侵入といったものを防ぐことができないというのは明らかになっているわけであり、これを踏まえてどうするのかというふうな議論さえ皆様方がやる気がないということが今回のやり取りで分かったわけでございます。これもまた非常にゆゆしき問題であろうというふうに私は思うところでございますが、もっとかみ合った議論、誠実な御答弁をいただきたかったなと、このように思います。でなければ、今のこの厳しい我が国尖閣周辺の安全を守ることはできない、このように指摘をさせていただきます。  その上で、若干具体的にお伺いをしたいというふうに思っておりますけれども、ちょっと武器使用についてお伺いします。  確認でございますけれども、現状海上保安庁法第二十条二項の一の規定によりまして、いわゆる外国公船に対して無害通航でない航行を阻止するために武器を使用することはできない、こういう理解でよろしいでしょうか。
  95. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今お話ありましたとおり、海上保安庁法第二十条第二項第一号におきまして外国公船が除外されていることから、武器使用をすることはできないということであります。
  96. 広田一

    ○広田一君 逆に言えば、その海上保安庁法第二十条二項の一に規定している外国船舶として除外されている、「各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業的目的のみに使用されるものを除く。」、これを見直せば武器使用ができるというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  97. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 海上保安庁法第二十条第二項は、立入検査を確実に実施することにより重大凶悪犯罪の予防を図ることを目的としております。一方で、外国公船は国際法上の管轄権の免除を有しているため、立入検査をすることはできないということであります。したがいまして、外国公船に対して同条同項の規定に基づく武器の使用はできないということであります。
  98. 広田一

    ○広田一君 つまり、現行法上でのこの対象として取り除くことはできないというふうな理解でよろしいでしょうか。
  99. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) そのとおりです。
  100. 広田一

    ○広田一君 外国公船の管轄権に関する議論、これはまた改めてしなければいけないのではないかなというふうに私は個人的に思っております。外国の軍艦といわゆる各国の公船に対する位置付け、これは国際法上もいろいろ議論があろうかというふうに思いますので、これについて今のようなちょっと断言をされるのはいかがなものなのかなというふうに個人的には私は思いますけれども、現状での政府の御認識ということでこれは理解をいたしておりますけれども。  逆に、今後の論点として、無害通航でない航行を阻止するために武器を使用することができるようにする、この必要性についてどのような認識をされているんでしょうか。
  101. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 具体的なことは差し控えますが、様々な検討は必要なんだろうというふうに思います。
  102. 広田一

    ○広田一君 それでは、検討をしていただけるという理解でよろしいんでしょうか。
  103. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) この件についてはやはり政府全体での検討ということになるんだろうというふうに思います。
  104. 広田一

    ○広田一君 次に、無害通航でない航行をした上で、大変遺憾ながら仮に不法上陸を試みた場合、海上保安庁の現場として具体的にどのような対応で阻止をされるおつもりなのか、お伺いします。
  105. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) これも、具体的な対応につきましては、それは警備手法を明かすということにつながりますので、どう具体的に対応していくのかということはお答えを差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、今までのようにまずは退去要求進路規制等を行っていくということであろうというふうに思います。
  106. 広田一

    ○広田一君 そうすると、中国公船の乗組員が不法上陸を試みた場合に海上保安庁の現場として具体的にどのような対応をするのかということは、これまた手のうちを明かすことになるので申し上げることができないということでしょうか。というふうなことになりますと、我々国会はこの非常に蓋然性が高いと思われる事態について議論できないということですよね。そうですよね。それでいいのかどうか。  まさしくこの点について、皆さんとして、一体どのような対処をしてこの不法上陸を阻止するのかということが本当に腹に入っているのかどうかって、すごい疑問なんです、お話を聞けば聞くほど。ここはしっかりとお示しをする私は皆さんに責任があるのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  107. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) これについては、繰り返しになって申し訳ありませんが、しっかりと守っていくということについては、それは具体的な警備手法を明かすということがあってはならないというふうに思っておりますので、ここは御理解をいただきたいというふうに思いますが、一方で、外国公船の乗組員が尖閣諸島に上陸した場合にどういう対応になるかということでございましょうか。  そういうことであれば、例えばこれは一般的にでありますが、海上保安庁は、海上保安庁法第二十条第一項において準用する警察官職務執行法第七条に基づきまして、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認められる相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要とされる限度において、武器の使用が認められているものと承知をしております。  なお、一般論を申し上げれば、国際法上、一般に公船は旗国以外の国の管轄権からの免除を有しておりますが、公船の乗員が領域国の同意なく上陸した場合には、当該乗員はもはや管轄権からの免除を有していないものと考えられております。
  108. 広田一

    ○広田一君 済みません。もう一度、ちょっと武器使用基準関係について、再度御答弁をお願いします。
  109. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 繰り返しになりますが、再度申し上げますが、一般に海上保安庁は、海上保安庁法第二十条第一項において準用する警察官執行法第七条に基づいて、武器の使用が認められているものということであります。
  110. 広田一

    ○広田一君 それでは、確認しますけれども、その警察官職務執行法第七条には、公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認められる相当な理由がある場合においては、その事態に応じ合理的に必要とされる限度において武器を使用することができるというふうにあります。よって、仮に、あってはならないことなんですけれども、中国公船乗組員が尖閣に上陸をした場合に、この第七条の規定を満たす場合は武器を使用することができるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  111. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) そういうことでございます。
  112. 広田一

    ○広田一君 はい、分かりました。  その上で、そういったことを積み重ねながら、先ほど手のうち云々というふうなお話がございましたけれども、国民の皆さんとこの問題について私はしっかりと議論を深めていかなければならない、このように思うところでございます。  そういった場合に、これはちょっと質問通告していないのでお答えできるかどうか分からないんですけれども、この現行法の限界をどういうふうに認識をされているのか。例えば、海上保安庁の皆さんが適切に対処できるようにするために、相手船舶の侵害対応において、比例原則に基づいてどのような実力行使が可能かというふうなことを規定をした、これは仮称でありますけれども、領海警備法の制定の必要性、これについてどう認識をされているのか、お伺いをいたします。
  113. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) お答えできますでしょうか。通告がないので、お答えできる範囲でということでございますが。  よろしいですか。
  114. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) その必要性をしっかり検討していかなければならないと、そして、必要であれば政府全体で検討していくということだろうと思います。
  115. 広田一

    ○広田一君 領海警備法制定の必要性について認識をされているというふうなことでございますので、あわせて、先ほど来議論がございますような種々の事態等々を想定をして、現行法の限界というものを踏まえた上でどのような対処ができるのか、これについては不断の検証と検討をしていただくように強く要請をしたいというふうに思います。  尖閣諸島周辺のような問題のように、現在、公船の海上での直接対峙というものが各地域で頻発をしているというふうに認識をしているところでございます。こうした対峙が実力の行使を伴う、いわゆる衝突に拡大することを防止する方策についても、私たちは十分に検討すべきだというふうに思っております。  こういった蓋然性の高い事態について備えると同時に、外国公船との衝突回避のためにどうすべきと考えているのか、御所見をお伺いします。
  116. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) これは、海上保安庁としましては、関係省庁と緊密に連携をしながら、外国公船との不測の事態を防止するために今後も引き続き冷静かつ毅然として対応していくということに尽きるというふうに思います。
  117. 広田一

    ○広田一君 よくこの手の話では危機管理メカニズムの構築を図っていかなければならないというふうな議論があるというふうに承知をしておりますけれども、これについての御見解をお伺いします。
  118. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) あらゆる状況を想定をして対応方針の決定をしていかなきゃならないと思いますが、エスカレーションしていかないような、そういう対応が必要なんだろうというふうに思います。
  119. 広田一

    ○広田一君 今各国で議論されている危機管理メカニズムについて、どういった見解をお持ちなんでしょうか。
  120. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 御通告はないんですが、これも政府全体で検討していくべき事項だろうというふうに思います。
  121. 広田一

    ○広田一君 これらの問題についても、私も昨日質問通告するときに、一体どういうふうに衝突回避のために策を講じるのか、これについて聞くと。それを受けてまた、二の矢、三の矢じゃないですけれども、質問するというふうに言っております。当然この種の議論をする場合には出てくる問題、恐らく部内の中においてもこの危機管理メカニズムの構築について私はもう既に十分な議論をされている、理解が進んでいるというふうなことを思ってお聞きをしたわけでございますけれども、ちょっと御答弁を聞いていると必ずしもそうではないというふうなことも分かりましたので、今後ともこの議論についても詰めていかなければならない、このように思っているところでございます。  ちょっと積み残し等々もございますけれども、以上で領海警備についての質問を終わりたいというふうに思いますが、今日の御答弁等々を聞いたときに、率直に、これ、議事録に残るわけでございます。これを読んだ国民の皆さん、本当に不安に思われるというふうに思います。こういったことを踏まえて、我々としても、この領海警備、先ほど申し上げたように、この国の尖閣周辺を取り巻く環境が厳しいときだからこそ現実的かつ具体的な対応をしていかなければならない、このことを強く申し上げたいというふうに思っております。  最後に、ちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、JR北海道社長会長人事に関連してお伺いをしたいと思います。  今回、お二人とも、会長社長、替わったわけでございますけれども、この二人を起用した理由についてお伺いしたいと思います。
  122. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 島田社長は、JR北海道の発足以来、財務、営業、人事管理、鉄道運営など、同社の鉄道事業の実務と経営全般に携わってきました。JR北海道が鉄道事業者としての再生を果たしていくためには、その陣頭指揮を執る代表取締役社長としてJR北海道の鉄道事業の実務と経営の全般に精通しているということでございます。  須田会長につきましては、JR東日本におきまして鉄道の現場の管理業務や本社の常務取締役、鉄道本部設備部長などを歴任をするとともに、退社後は東鉄工業の代表取締役社長会長として鉄道の保守業務の最前線に関わってこられた方でございます。我が国の鉄道の保線、敷設分野での第一人者として、鉄道事業の安全技術分野での長年にわたる豊富な経験と幅広い知識を生かして、島田社長とともにJR北海道の技術陣の指導支援や人材の育成を進めることが期待されます。  JR北海道の置かれた状況が依然として厳しいものであることは変わりはありませんが、新経営陣には、JR北海道利用者国民の皆様から信頼される輸送機関として再生できるよう、全力を尽くしていただきたいと思っているところでございます。
  123. 広田一

    ○広田一君 今大臣の方から両氏を起用した理由等についてお話があったところでございます。このJR北海道社長会長人事、これは非常に国民の皆さんの関心が高いところであります。これほどの不祥事、事故を起こした上で、しかもこの時期になぜ社長が、会長が替わるのか、非常に唐突感がありました。御説明では、四月一日、新しい年度から心機一転云々というふうなお話があったわけでございますけれども、ここでお伺いしたいんですが、野島社長は、七日の記者会見で、二月中旬頃辞任の意向を固めた、国にも伝えていたと述べて、更迭には当たらないんだというふうな認識を示しております。この事実確認と同時に、いつ頃から国交省はこの会長社長人事に着手したのか、お伺いします。
  124. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 時間が来ておりますので、早めにお願いします。
  125. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR北海道の脱線事故、九月十九日以来、日々の輸送の安全をいかに確保するかという経営体制や企業風土の改善も含めて問題意識を持ってきたところでございますが、現にJR北海道が安全や信頼性を確保する努力を怠ってきた事実につきましては、一貫して私は、経営陣の責任は重いと、こう申し上げてきました。  一月二十四日に事業改善命令監督命令を出し、二月十日には北海道警に刑事告発を行っており、現在、JR北海道は今後の安全対策の策定に向けた作業を進めているという状況にありまして、これらを踏まえて総合的に勘案をさせていただきまして、四月一日から新しいスタートをということで、この今回の決定になったということでございます。
  126. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 広田一君、申合せの時間が来ておりますので、手短にまとめてください。
  127. 広田一

    ○広田一君 時間も参りました。この問題含めて、その他質問通告をさせていただいた事柄につきましては、後日、委嘱審査等々でまた質疑をしたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  128. 田城郁

    田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。よろしくお願いをいたします。  私からも、東日本大震災から三年が過ぎたに当たりまして、改めて、お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りしますとともに、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。  全体的な実感として、被災地の復旧復興は、小泉復興政務官もおっしゃっているとおり、復興が進んだなんて言えないと、私も同様の実感を持っております。難題は山積をしておりますが、被災地方々がしっかりと復旧そして復興が実感できるように取り組まなければならないと決意も新たにしているところでございます。  では、質問に入らせていただきます。  交通政策基本法の附帯決議に関わる課題についてお伺いをいたします。  参議院の附帯決議の一つ目には、交通政策基本計画の策定及びその施策の推進に当たっては、国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者、住民その他の関係者による効果的な相互連携が図られるよう配慮するとともに、利用者目線に立ちつつ、国民意見が反映されるよう努めること。また、社会資本整備重点計画の内容やその計画期間等の整合に留意すること。さらに、新たな国土のグランドデザインの構築においては、本法の基本理念等が生かされるようにすることというふうにございます。  これはまさに、陸海空のそれぞれの交通網とまちづくりが有機的に結合し、想定される首都直下や南海トラフ大地震の被害も最小限にとどめ、緑豊かな国土が維持されて、その中で人々が安全に安心して暮らすために、思うように移動し、輸送でき得る国土を目指すことだと、そのように私は考えております。  最重要課題は安全イコール人の命がいかに守られるかだというふうに思いますが、国土のグランドデザインを構築することと人の命を守ること、このことについて太田大臣の思いをお伺いをいたしたいと思います。
  129. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 国土のグランドデザインにつきまして、その骨子を今月中にということで準備を進めてきました。いろんな与件がありまして、二〇五〇年には、人口減少、そして高齢化が急速に進む、そしてグローバリゼーションの進展の中で都市間競争が激化すること、そして首都直下地震や南海トラフの地震を始めとして巨大災害が切迫をしているということ、そしてエネルギーの制約があるということ、そしてICTなどの技術革新の急速な進展は予測を超えて行われるであろうということ、こうしたことを考慮に入れて、二〇五〇年、どういうふうに国土を形成していくのかという、そうしたことをやらさせていただいているところです。  今後の国土形成ということで大事なことは、今御指摘のありました、一番のある意味では基礎となるものとして、命を守る公共事業ということはその一つではないかというふうに思っています。私は、去年から防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、これが公共事業のメーンストリームだと言ってきたのはそうした意味でございます。また、私は、生命、生活、生存を守る人間主義というのが政治信条としてこの二十年骨格に置いてきました。そういう意味では、生命と生存と、そして生活というこの三点を基本としてやるということは極めて重要だというふうに思っているところです。  そういう意味では、今御指摘のありました人の命を守るということは、国土のグランドデザインにおきましても中核を成すものでなければならないという認識をしているところです。
  130. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  交通政策基本法が成立し、恐らく我が国では初めて国土の総合的な設計が、グランドデザインがなされるということであると思います。そういう意味では非常に国民の期待するところでもありますし、是非大臣には大いにその知見を、経験を発揮されてすばらしいグランドデザインを描いていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  太田大臣は、大臣所信の中で、鉄道、自動車、航空、海上交通などにおいて、安全の確保は何よりも優先されるべきものですとおっしゃられております。安全第一だということだと私は捉えておりますが、JR西日本のあの百七名の死者を出した福知山線事故、あるいは関越道の高速ツアーバス事故、七名の死者を出した事故、JR北海道現状、JR東日本の先日起きました京浜東北線事故等、この間の事故の傾向を見ますと、行き過ぎた規制緩和による競争に勝ち抜くために、あるいは脆弱な経営体質の中で、あるいは利益追求の価値観が優先し、全体としては常にコスト削減圧力が掛かる環境の中で、安全投資不足や安全教育、指導訓練の不足、さらには交通労働者への過酷な労働環境が重なり、重大事故やインシデントが起きていると私は考えております。結果として、安全第一がどこかに置き去りにされているのではないか、私はそう考えております。  競争一般は否定しませんが、少なくとも公共交通を担う、お客様の命を預かる者の使命として、競争ではなく、むしろ切磋琢磨、お互いを鍛え合う、磨き合うという価値観の方が安全文化を醸成し、乗客と働く者の命を守る、また荷主の方の大切な財産を守るという目的には合致するのではないかと私は考えております。太田大臣の御所見をお伺いをいたします。
  131. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今御指摘がありましたとおり、公共交通におきましては輸送の安全の確保最大の使命でありまして、何よりも優先されるものだというふうに思っております。  鉄道事業法等の各事業法におきましても、事業者は輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚して、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならないという趣旨の規定を盛り込んでいるところであります。事業者が様々なコスト削減をする際にも、やはり安全第一の考え方を忘れることなく、日々、安全施策について、今お話がありましたとおり、切磋琢磨して取り組んでいくことが重要になると考えております。  国土交通省といたしましても、例えば安全確保取組に関する優良事例をホームページで紹介するなど、安全確保に関する事業者の意識の底上げですとか共有化を図っているところであります。  今後とも、陸海空の公共交通の安全の確保最大限努めまして、国民が安心して利用できる公共ネットワークの維持、改善に努めてまいりたいというふうに思います。
  132. 田城郁

    田城郁君 先日、JR東日本の京浜東北線で脱線事故が起こりました。記憶に新しいところだと思います。  JR東日本の京浜東北線で起きた脱線事故は回送電車でありました。旅客が乗車していなかったこと、運転士と車掌が奇跡的に命に関わる大事に至らなかったこと、これが不幸中の幸いでありました。最終電車が遅れるなどということはよくあることなんです。そのとき、もしこの事故に遭遇をしたというような想像もしたくないような事態、これが起こり得たかもしれないということであります。また、翌日の通常運行は確保できずに、社会にも多大な影響を与えました。二度と同種事故を起こしてはならないと私は考えます。  直接の事故原因は運輸安全委員会調査中でありますから言及はいたしませんが、関連会社への責任施工ということで発注をしているとはいえ、全体を把握しているはずのJR東日本の本体から工事の現場に立ち会って監督をしていない現状は、制度的には問題はない現状がありますが、やはり私は問題ではないかと考えます。ここのところのお考え、国交省、いかがでしょうか。
  133. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) お話しいただきましたように、二月二十三日に川崎駅構内におきまして、回送列車が線路内に進入した工事車両と衝突し脱線をするという事故が発生をいたしました。  工事車両が線路内に進入する場合、当該区間に列車を進入させないための線路閉鎖という手続を行う必要がありますが、当該事故では線路閉鎖手続が行われていない路線に過って工事用車両が進入したことが判明いたしております。  本件につきまして、今御指摘いただきましたように、現在、運輸安全委員会が事故原因調査中でありますけれども、一方、JR東日本においてもソフト面やハード面にわたる再発防止のための対策について検討中であります。JR東日本におきましては、今回の事故を受けた当面の措置として、工事用車両を線路内に進入させる方法について請負会社の社員とJR東日本の社員との間で事前に相互確認を行うこと、当該事故現場のような三線以上の線路においてはJR東日本の職員を立ち会って監督をすること等々を行うことといたしております。  また、国土交通省といたしましては、本件事故等を踏まえ、明日十四日、各社の運送の安全を確保するための管理業務を統括管理している安全統括管理者を招集をして会議を開催し、改めて全国の鉄道事業者に運送の安全確保について徹底をするよう指示するということにいたしております。  JR東日本に対しましては、このような事故が二度と生じないような、的確に指導してまいりたいと思っております。
  134. 田城郁

    田城郁君 私がJR東日本の社員であった頃、山手貨物線というところに、まあ今回はビルの建設の工事でしたけれども、線路の保線工事をやっていた保線作業員五人のところに、線路閉鎖をせずに、線閉が完全でなかった中でやはり貨物列車が突っ込んで五人の命を亡くすと、関連会社の仲間を五人、命を亡くすという大事故が起きまして、そのとき以来、線閉なくして作業なしということで、現場から声を上げてその徹底をお願いするという経緯の中で、今線路閉鎖ということの徹底ということに至っているわけですが、今回、残念ながらそれが、まあ調査中ですから分かりませんが、守られていなかったのではないかという報道などもあります。  是非、これを機会に二度と同種事故が起きないような、そういう対策是非国交省も真剣に考えていただいて、対策を打っていただきたいと思います。  現場の声を生かした経営判断の重要性ということについて、関連ですけれども、質問をいたします。  この乗務員二名が奇跡的に命に別状のない状態だったということは本当に不幸中の幸いなんですが、その要因の一つに車両の前面を強化していたということがあると思います。これも私が社員時代に経験したことなのですが、少し経緯をお話しいたします。  一九九二年の九月の十四日、千葉県の成田線大菅踏切におきまして、遮断機を無視して進入してきたダンプカーに電車が衝突し、運転士は潰れた運転台と後ろの壁に圧迫されながらも、車両の切断による脱出を待ちましたが、レスキュー隊の努力もむなしく四時間後に亡くなるという、これも悲惨な事故がございました。  この教訓から現場の意見が反映され、車両が強化されたはずですが、その経緯について国交省にお伺いをいたします。どのような経緯だったでしょうか。
  135. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 御指摘いただきましたように、車両の衝突の安全性を確保するということは大変重要なことでございまして、過去の事故等々を踏まえて、国土交通省では平成十四年十月から研究機関や事業者、車両メーカー等、関係者から成る会議を開催をし、研究成果や技術開発の状況等の情報を共有し、安全性の向上を図ってきたところでもございます。  例えば平成二十年一月には、衝突した場合の車体の壊れ方の評価方法、衝突時のエネルギーを吸収するための構造、手すりや肘掛けの構造など、安全な車両の設計に資する最新の研究成果を取りまとめ、全国の事業者に周知をいたしてまいりました。  また、平成二十二年四月には、これらの研究成果等を踏まえ、実際に導入される車両について、衝突時における乗務員及び乗客の生存空間の確保などの先進的な事例を取りまとめ、全国の事業者に周知をいたしてまいったところでもございます。  今後とも、国土交通省といたしましては、引き続き国内の技術動向を把握し、また海外の知見の収集、分析等を行い、鉄道輸送の安全の確保に努めてまいります。
  136. 田城郁

    田城郁君 その車両の強化策が今回の事故の当該二三三系電車にも引き継がれておりまして、当該電車の運転士は横転した電車の運転席で、けがを負いながらも列車火災や感電事故を防ぐためにパンタグラフを下げるという行動、あるいは新たな列車衝突を防ぐために防護無線、半径一キロに無線を発信し列車を止める、そういう装置ですけれども、防護無線を発報するというでき得る限りの安全行動を取っております。命が守られたからできた行動であります。今回、現場の声を生かして車両の前面強化対策最大効果を発揮した好例であると私は思っております。  今回も、どういうことが教訓になるのか、是非現場の声も生かしていただきたいと思いますので、同種事故をなくすための具体的な提言ということでお話をさせていただきますが、現場の声として、今回の事故、過去の事故の教訓から、同種事故を防ぐために、保守や建設工事をする側の作業員の皆さん、あるいは保守用車などの車両、工事請負側の車両にもソフト面、ハード面における対策が必要だという意見がございますが、国交省のお考えをお聞かせください。
  137. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 先ほどお答えをさせていただきましたとおり、現在、本件につきましては運輸安全委員会が事故原因調査中であります。  一方、JR東日本におきましては、ソフト面やハード面にわたる再発防止のための対策について検討中でございます。鉄道事業の運営に当たっては、保線等の作業について外注よりも請負業者を活用することが広く行われているところであり、鉄道事業の安全性を確保するためには、これらの請負業者との関係を踏まえた安全対策を講じることが大変重要であると思っております。  このため、今回の事故を受けまして、JR東日本は当面の措置として、請負会社に対して指揮命令系統の明確化等のソフト面での対策、工事用車両が線路内に在線している間に表示をする回転灯の装備等のハード面の対策を実施しているところでもございます。  また、先ほど申し上げましたとおり、国土交通省として、明日、安全統括管理者を招集して会議を開催し、全国の鉄道業者に安全確保に対しての徹底をするように指示をいたしたいと思っておりますし、この中で、請負業者が関わっている今回の事例についても関係者間で情報共有を行うことといたしております。  先ほど申しましたとおり、JR東日本のみならず、鉄道事業者に対しましては、今回の事故を踏まえ、再発防止の対策、しっかり取り組んでまいりますよう指導してまいります。
  138. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  先ほどもお話ししましたが、半径一キロ以内の列車を止めるために防護無線という装置がございますが、こういうものを工事側の車両にも装備する、あるいは携帯用のそういう防護無線を列車見張り員などに装備をするというようなことなども検討してみてはいかがかと、そのように思いますし、これは技術的にというか踏切との関係で非常に難しいということは承知でありますが、工事用車両の側にも軌道短絡の機能を持たせて、防護する区間の信号が停止現示を現示できるようなシステム化が必要ではないかと、そのような声が現場にはございます。  グループ会社の作業員にも、異常時に列車を止める意識と具体的な行動を取る手法を是非教育をしていただきたい。連携を取るとかそういうことも必要ですけれども、その前に、工事している方々が、鉄道とはどういうものなのかということも含めた概略のことを、まあ現在やっているのかもしれませんが、恐らく余り感覚していない中で工事をしているのではないかという、これは推測ですから断定はできませんけれども、そういうようなことも含めると、教育の充実ということなどもやはり必要なのではないかと、そのようにも思いますので、そこの辺りの検討国交省としては是非検討していただければと、そういうふうに思います。  先ほども申しましたけれども、最終電車が遅れることはよくあることです。ここで想像もしたくないことが起こる可能性があったということを是非危機感を持っていただいて、命とコストとどちらを取るか、国交省や企業や、もちろん私たち国交委員にも価値観が問われているのだというふうに私は思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  続きまして、JR北海道現状ということでありますが、いろいろと人事の問題、あるいは国交省の精力的なJR北海道への関わりということも含めて、今大きく変化をしているところであります。  そういう中で、JR北海道の働く方々から現状を聞く機会がございました。二〇一三年の十一月一日からのダイヤの修正で減速減便が実現をし、それによって予備車が確保され、運行ダイヤや車両運用全体に余裕ができて、思うように車輪の研磨を始めとした車両の修繕ができるようになって、これは現場の数字ですが、十一月から一月までの三か月間のデータということで、明らかに振動が減少し、車両故障が大幅に減少したというような現状を聞いております。これは組合が提言した具体策を経営陣が熟慮し、採用する判断をするということで得られた、まあ現時点で、三か月というところの結果ではありますが、それなりに良い方向に進んでいるのではないかと私は考えております。  現場の実感と経営陣の乖離についてお伺いいたしますが、このような現状を踏まえた中で、現場の声を聞けば全てうまくいくと言うつもりは私はありません。しかし、交通労働者は、現場で仕事をしている過程であらゆる危険や矛盾、問題点を実感しながら働き、そこから悲痛な声を発しているのであります。  一般論としてお話をいたしますが、最近の一部経営者はこの現場の悲痛な声に真摯に耳を傾けず、現場から発信される貴重なシグナルを酌み取ることができていないと聞きます。あるいは、ミスに対して厳罰で臨む姿勢があるとも聞きます。これでは現場を萎縮させ、物を言わない風土をつくり、ミスや失敗が隠される構造ができ、ひいては大きな事故に発展するという構造に陥ります。事故の芽を摘むためには、ミスや失敗を隠さずに言える職場環境、何でも話し合い、共有化をし、蹴落とし合うのではなくてお互いがフォローし合い事故を未然に防ぐ好循環をもたらすという安全哲学を職場の隅々までに広げるためにも、責任追及よりも原因究明が重視される企業風土、これをつくらなければならないと私は考えております。  そのためにも、職場の声を是非、現場の声を是非もっと尊重していただけるような状況をつくり出していただきたいと思いますが、太田大臣、お考えをお聞かせ願います。
  139. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 全く同感です。  去年の十一月一日、減速減便、それから予備車がということで、事故というか故障というか、いろんなことが減ったということは、現場の声を聞くということがいかに大事かということの証左ではなかったか、また、安全ということを最大に、第一優先順位にしなくてはいけないということの表れではないかというふうに思っているところです。  現場に入って、JR北海道でも話を聞いているようであるけれども、幾ら言っても結果的には何も現実には応えてくれなかったというような声も随分聞いたわけで、現場と経営陣との遮断というものがいかにトラブルを発生するかということを思い知ったと思います。  ノルマ主義とか厳罰主義で安全をということで厳しくやればいいというだけでは、当然厳しくしなくては、誤ったことがあったら厳しくしなくちゃいけない、厳しさがあると同時に、厳罰主義とかノルマ主義ということに行くのではなくて、かなり自発的に安全ということについて現場がやる気が出てくるということに向けていくということもまた大事なことだというふうに思っています。  失敗学の畑村先生おっしゃっていますが、三現主義ということが安全には大事だと、こういうことを言って、現場、現物、現人という、現場に足を運ぶ、そして直接現場を見る、そして現物を見る、そして現場にいる人の話を聞くと、この三現主義ということを言われておりますが、そうしたことは極めて重要で、そうしたことに、鉄道のみならず全体的に交通を預かる国土交通省としてはそこにしっかり視点を置いて安全を確保することに努めたいというふうに思っているところです。
  140. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  減速減便については、現場でもやはり、お客様の利便性を損なうのではないかとか、そのようないろいろな議論のある中で、しかし、いや、まずは信頼回復だということの中で、その方向でいこうじゃないかという議論がされたというふうにも聞いております。  是非、全て現場のことを聞けばうまくいくと言うつもりはありませんが、そういう聞く耳を持つ経営というものが、JR北海道だけに限らず、JR全体あるいは公共交通を経営する、運営する、そういうところに携わる者の価値観として是非持っていただければと、そのように思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。  JR貨物を取り巻く厳しい現状と物流の再構築ということについて質問させていただきます。  先日、釜山港、仁川港など、韓国の物流拠点の現状視察に行ってまいりました。船と鉄道とトラックが融合し、効率的に荷役が行われ、また背後には倉庫群が整備され、工場群建設の計画もあるなど、機能的な配置が効率的な物流を生み出しておりました。  また、船から直接貨車にコンテナを積んで、四百五十キロ離れた内陸部で、ソウル近郊の儀旺貨物ターミナル駅まで一気に運び、そこで通関手続をし、トラックによる中短距離輸送で各地に運ぶという、そういうシステムも視察してまいりました。儀旺貨物ターミナルの駅長は、国土が南北に二千キロと長い日本なら更に鉄道貨物の特性を生かせますねというふうに話をしておりました。  一方、国内の物流を取り巻く環境は厳しい状況がございますが、必ずしも効率的なネットワークが築かれているとは言い難い状況がございます。大手術が必要ではないかと、そのようにも思います。  船舶と鉄道とトラックを有機的に結合し、効率性の高い物流システムを構築するべきだと私は考えますが、国交省の御所見をお願いいたします。
  141. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 貨物鉄道は長距離大量輸送に優れた特性を有しており、港湾からの海上コンテナの国内フィーダー輸送、このような鉄道の特性を発揮できる一つの分野だと考えております。  国土交通省といたしまして、港湾と鉄道の連携強化にしっかりと取り組んでまいりますし、今年一月に取りまとめられた国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会でも最終取りまとめの中に、鉄道を活用した輸出入コンテナの長距離輸送の促進が挙げられております。具体的な施策としては、二十六年度において、輸出入コンテナ貨物の鉄道輸送の促進に向けた課題や対応策についての調査を実施するとともに、機関車、貨車に対する税制特例措置などの支援を行ってまいっております。  委員指摘のとおり、大変重要な課題でありますので、港湾と鉄道との連携強化をしっかり図るためにこれから取り組んでまいりたいと思っております。
  142. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  交通政策基本法の中にもモーダルシフトの観点が盛り込まれておりますし、総論として、今答弁いただいたように、前向きに取り組んでいただいているというふうには思っておりますが、具体論になってくると、なかなかそれはお金の要る話でもありますから、現状進まないなという気もいたしておりますが、是非そこは、JR貨物、二十八年たとうとしておりますけれども、私からすれば、手足を縛られながら、利益を出せ、黒字化しろと尻をたたかれている二十八年ではないかと、私はそのように思っておりますので、是非、力強い国交省の後押しをよろしくお願いをいたします。  最後の質問になります。鉄道員への暴力の根絶に向けてということで質問させていただきます。  昨年五月の国交委員会において、鉄道員への暴力問題について質問させていただきました。国交省は、暴力根絶に向けて、まず現実把握のための調査をすべきだと指摘をし、昨年十一月に調査結果が報告をされました。調査していただいたことにまず感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。  報告をいただいた場でも指摘をいたしましたが、やはり九百三十二件という数字は氷山の一角だと私は思っております。地方鉄道では、件数の把握そのものをしていないという現状もお聞きをいたしました。  また、いまだ暴力行為の件数が高止まりであるということを証明するように、二月の二十四日には、JR東日本管内の上野駅で駅員が一人の乗客に胸ぐらをつかまれて、それを見ていたもう一人の乗客に線路に蹴り落とされるという事件、電車が落とされた社員の九十メーター手前まで迫っていたという中で、殺人未遂事件ということで、こういう事件が起きております。是非、次回からの調査内容の充実と、警察庁や事業者と協力し、鉄道に従事する係員への暴力の根絶に向けて尽力をしていただきたいと思います。  個人への暴力という、個人への痛みもそうなんですが、やはりその後の対処という中のことで必要以上に人員が割かれるという中から鉄道そのものの安全性が低下する、あるいは定時運転が確保できない、そういうような社会的に大きな影響にも発展するということでありますから是非よろしくお願いしたいと思いますが、太田大臣の御決意、よろしくお願いをいたします。
  143. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 最近、暴力行為が鉄道駅員だけでなくてタクシーとか、それから病院、医療関係、救急病院等でも多く、そして、本当に危険な状況にあろうというふうに思います。  鉄道については、去年の五月だったと思いますが、先生から指摘をいただいて、直ちに鉄道係員に対する暴力行為の実態調査を実施して、さっきのようなデータを出させていただいた上に、これを踏まえて、もっとこれが多いだろうということも思いまして、特に発生件数の多い地域につきまして、警察関係者等とも連携しまして、年末年始にかけまして防止対策キャンペーンを実施したり、研修をさせていただいたところです。  来年度におきましても実態調査を継続をしまして、データをしっかり付けて蓄積していきたいというふうに思いますし、昨年暮れから正月にかけてやりました防止キャンペーンの実施なども積極的にやっていきたいというふうに思っています。  社会全体がというと拡散をしてしまうものですから、鉄道あるいはタクシー、病院等もそうでありますけれども、そうしたことも含めてこの暴力ということについて、特に鉄道は大事だという認識をしておりまして、対策に積極的に乗り出したいというふうに思います。
  144. 田城郁

    田城郁君 大変ありがとうございます。  最近は、タクシーに引き続きバスにもアクリル板が付いたものに最近乗りました。バスの運転手への暴力もあるのかもしれません。  今後とも、是非、交通の安全を保つためにも、交通労働者全体への暴力の根絶ということでよろしくお願いをいたします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  145. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 午後一時二十分に委員会を再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  146. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 野田国義

    ○野田国義君 民主党の野田国義でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  太田大臣を始め、本当に毎日御苦労さまでございます。  最初に、本当に地震、津波、そして原発の事故からはや三年がたったということでございます。被災者の皆様方に改めてお見舞いを申し上げますとともに、これは与野党問わずに本当に心を一つにして復興に努めていかなくてはいけない、そのように思っているところでございます。  それで、私、ちょっとそのことで気になりますのは、今ずっといろいろな形で、三年ということでメディアがアンケート調査などをしてきております。その中で約八割の方々が、復旧が、復興が進んでいないと、非常に満足度は低いということであります。しかしながら、何か総理を始め、非常に進んだ進んだということばかりおっしゃっている。これは余りにも被災者の方々政府側との認識の乖離と申しますか、受け止め方が離れているんじゃないかなと。私は、ここのところは非常に大切なところでございますので、是非とも被災者に、被災地に寄り添う気持ちを忘れることなく頑張っていただきたいと思います。  そこで、私、まず独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構についての対応状況をお聞きをしたいと思います。  二月の十四日の記者会見で、太田国土交通大臣は、北陸新幹線の談合問題についての所感と国土交通省としての対応について、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し、関係当局の捜査を協力するとともに、機構としても調査を徹底的に行って、不正な入札行為が二度と発生しないよう再発防止策を早急に取りまとめるよう指示をしたと答えられております。  大臣による指示に対する機構側の対処状況についてお伺いするとともに、今回の事件に対する国土交通大臣としての素直な感想をお伺いをしたいと思います。
  148. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この鉄道・運輸機構が発注した北陸新幹線の融雪・消雪設備工事につきまして、三月四日、機構職員二名が官製談合防止法違反の容疑で東京地検から起訴されました。入札談合等の不正行為はもちろんあってはならないことだというふうに思います。この談合防止に全力国土交通省としては挙げなくてはならないし、機構職員が起訴される事態になったということは極めて遺憾だというふうに思っています。  今御指摘がありましたように、二月四日でありましたが、この事件が明らかになったときに、徹底した調査の実施そして再発防止策の早急な取りまとめを指示をいたしました。これを踏まえまして、機構において三月四日にコンプライアンス体制強化、そして入札・契約監視機能の強化など当面の再発防止策を取りまとめました。さらに、今後、有識者から成る第三者委員会設置して、今回の事案の背景等の分析や再発防止策の検討を進めることにしております。  国交省としては、機構に対しまして、今回の事態を重く受け止めて、一刻も早く国民の信頼を取り戻すよう、日々体制強化し、対応を急ぐよう重ねて指示をしたところでございます。
  149. 野田国義

    ○野田国義君 ありがとうございます。  三月四日、鉄道・運輸機構は、北陸新幹線の設備工事の入札に関する当機構職員の在宅起訴等について、その再発防止策の一つとして、外部事業者等との接触の制限、外部からの不当な働きかけに対する報告の徹底、発注に係る秘密情報などへの情報接触者の限定など、情報管理の徹底を掲げておられます。このような対処方法は談合事件のたびに目にするのでありますけれども、新幹線の建設費には国の補助金、地方公共団体の負担金なども含まれていることから、今回の事件につきましては国土交通省として厳正に対処することはもとより、国民に対する重大な説明責任が生じていることは言うまでもございません。  鉄道・運輸機構については、鉄道建設等限定された事業範囲の中で、国土交通省から機構へ、機構から国土交通省へ、機構から関連業界へと人の流れが恒常的に行われているのであるならば、これは当然官製談合の温床となりかねません。このような実態が改善されない限り、今回のような事件が今後も発生することは容易に想像できるのであろうか。この問題の第一歩は、天下り人事等の実態の解明が不可欠であると考えますが、談合根絶に向けた真に実効性ある取組に着手するために、国土交通大臣として同機構に係る実態を把握し、それを踏まえて今後どのような対策を講じようとされているのか、お伺いをしたいと思っております。  そして、この支援機構、経常収益で九千九十九億円ですか、全体にいたしますと、そういった事業を行っているということでございますので、官製談合にかかわらず、また政治家が関わったいろいろな問題等も、これ関わる可能性もあるということでありますので、しっかりと大臣の監督をお願いをしたい。そういう意味で、ある意味では、公明党の太田大臣大臣になられている意味だと思いますので、しっかりと引き締めてお願いをしたいと思っております。  対策についてお聞きいたします。
  150. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) まずは事実関係について御説明を申し上げます。  人の流れという御指摘がございました。委員お尋ねの点につきましてでございますが、本日時点で国土交通省から機構への出向者は九十名、それから機構から国土交通省への出向者は四名ということになっております。また、機構の工事を受注している事業者における機構からの再就職者の状況については、機構において網羅的に把握をしていないということでございます。  なお、今回起訴された人間がおります。今回の事件において、官製談合防止法違反で起訴された機構の人間は二名でございますが、これはいずれも国からの出向者ではございません。それからまた、独禁法違反の疑いで設備工事関係事業者の方の社員八名が起訴されておりますけれども、これら八名はいずれも国土交通省や機構からの再就職をした者ではございません。こういったようなものが事実関係でございます。  なお、委員また、機構の剰余金、利益剰余金のことだろうと思いますが、ことについての御指摘がございました。機構における利益剰余金は、いわゆる旧国鉄職員の年金の支払といったことのために計上されているものでございます。それから、もう一点がいわゆる新幹線の売却代金の関係のものでございまして、たしか八千億円余りだったというように記憶しておりますが、そういったものが、現金として持っているわけではございませんで、こういった貸借対照表上に計上されているということでございまして、あくまでもこれは現金ではなく、そういったものが計上されているということでございます。
  151. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 率直に言いますと、北陸新幹線というのは、物すごい期待をされて喜びを与えている、もう完成が待たれているという中に、本当に今回は泥を塗ったという感を非常に深くしています。三月四日に、コンプライアンス体制強化や入札契約監視機能、当面の再発防止策ということを出したんですが、私が再三、いつもいつもいろんなことで思うんですが、事件があった、あるいは事故があった、こういたしますということをやるんですが、それが本当に実行されるかどうかということが一番大事だというふうに思っていますので、幅広く、それらが決意に終わらないように、きちっと監視、指導したいというふうに思っています。
  152. 野田国義

    ○野田国義君 皆さんも御承知のとおり、厚生労働省の方でも事件が起きておるようでございます。今言いましたように、どうしても人事の交流があっておる、天下りとかそういうものの中で癒着とかなれ合いになっているんじゃないか、緊張感なしでやっているというようなことがあると思いますので、そこも含めて大臣指導力をお願いをしたいと思うところでございます。  それから、引き続きまして入札の不調問題について、公共工事予算の執行についてということでお尋ねをさせていただきます。  公共工事について入札不調は発生するものの、最終的には再発注等によりほぼ契約ができているとしております。しかしながら、東日本大震災被災地を始めとしていまだに入札不調の発生が報じられているのが現状でございます。  ところで、公共事業関係費について、各年度の決算を見ますと、以前は八割、九割の執行率であったものが、平成二十二年度以降急低下して、平成二十四年度は五六・九%まで低下している。この数字を見ますと、本当に予算が消化されているのかなと非常に疑問であります。  平成二十五年度について、補正予算も含めて、現時点での公共事業関係費の執行率はどのくらいになっているのか、平成二十五年度補正予算成立に合わせて、翌年度への繰越しの柔軟運用について通知がなされておりますけれども、これこそ公共事業予算を積み上げても消化できないことを示しているのではないかと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  153. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 平成二十四年度補正予算とそして今年度当初予算を合わせました、去年の二月に成立させていただいた補正と現在の予算、これを足し合わせた国土交通省の公共事業予算、これが一体どれだけ執行されているかということを申し上げますと、十一月末の時点で約七〇%が契約済みということになっています。  本予算は、去年、たしか四月の終わりぐらいの成立だったというふうに思いますが、かなりの執行率になっています。そういう意味では、昨年度の同時期を上回る水準で執行されている、十一月で七〇%ですから、現在はもうかなりのところまでいっているというふうに思います。  先生御指摘の五六・九%というのは、ちょうど震災があった後でありまして、これはもう何よりも震災対応ということで、これは国土交通省自体という以上に予算が積まれたということがありまして、しかもこのデータは決算ベースの支払が完了したものの支出率ということがありましたものですから、データはその年はかなり少なくなっているんですが、昨年の補正と今年度の当初というのは今そういう実態でございます。  そういう意味では、ただ、それは当然全部が執行されるわけじゃありませんので、そこは繰越し、そしてその繰越しについては繰越明許の手続が簡単になるようにという簡易な措置をとらさせていただいているということでございます。
  154. 野田国義

    ○野田国義君 しっかりやっていただきたいと思います。  それから、大都市圏への事業の集中の是正について、これはこれから恐らく大きな問題になっていくと思われますが、安倍政権の進める国土強靱化に加えまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に備えた競技会場等の建設、首都圏三環状道路整備などがめじろ押しとなり、資材価格、労務単価の高騰が進み、その結果、単価が相対的に低い地方の工事よりも単価の高い東京へ一極集中することが懸念をされているということであります。  実際に地元でも、一昨年の九州北部豪雨により多大な被害を被り、復旧に向けて懸命に取り組んでいるところでありますけれども、技術者等が不足していることもあり、入札不調が三割と多発をしており、復旧工事への支障が懸念をされているところでもあります。  太田大臣は、予定価格と実勢価格が乖離していることが入札不調の原因であると指摘し、予定価格を実勢価格に近づけていくことが必要であると述べられております。最近、築地市場の移転事業について、元の予定価格では応札者がおらず、何と一・六倍に予定価格を引き上げて何とか落札をされたということであります。  東京都のように交付税の不交付団体で財政が豊かな自治体であれば予定価格の元の一・六倍とか引き上げることもできましょうけれども、財政力が乏しい地方では予算の制約などもございまして、一・六倍も予定価格を引き上げることは困難であります。地方においても、待ち望まれている多くの事業を抱えていることから、地域の発注状況を把握し、労務単価等が比較的高い都市部に事業が集中しないよう国土交通省において適切に調整するような対応検討すべきではないでしょうか。よろしくお願いいたします。
  155. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 非常に入札不調が東北三県、そして全国もそうしたことが増えてきているという話があったりして、よく調べてみますと、東北の三県は、去年の四月から昨年の暮れまでの、十二月までの実績を見ますと、大体その前の年と同じぐらいのレベルの入札不調ということで、この間も東北に行って三県の中心者と、そして仙台市、そして業者の方とも加速化会議を二月一日にやったんですが、結論的には、積み残しはないと、こういう答えでございます。それから、全国的には、同じ去年の四月から十二月の時期まで、今まで四、五%であったのが七%ぐらいに若干上がってきているという状況です。  土木よりもどちらかというと建築に不調が多い、そして、大きい国直轄、県、前線の市町村に行くに従って不調が多い、そして、非常に地方自治体のどちらかというと建築に不調が多い、そして、大きな工事よりも手間の掛かる仕事に不調が多いと、こういう傾向がございます。  今、東京都も私心配しまして調べましたところ、東京都の場合は築地市場、こういうことになると、本当に市場というふうに思って発注側と意識が変わっていたようでありまして、相当、二階、三階ともう大変なモールのようなすごい市場を造るということで、その点の試算ができていなかったりというようなことがありまして、建築関係はどうしても民間需要と比べましてそれが争い事になるというようなこともありまして、そしてまた、各市町村の建築工事というものに十分価格がどうも合わないという傾向がありまして、そうした不調が起きているという傾向がございます。  我々としては、そうした状況には指導をするわけですが、実勢価格に合うようにということで、労務単価の引上げであるとか、発注側のロットを拡大をしていくんだとか、あるいは単品スライドさせて徐々に上がっていくというものも実勢に合うように手を打つとか、そういうことをさせていただいているという状況にありまして、ここは大事な問題でありますので、常に注視しながら、工事が順調に行われるようにということに更に努力をしたいというふうに思っているところです。
  156. 野田国義

    ○野田国義君 この問題は本当に、ここにも新聞ちょっと記事持ってきておりますけど、復興住宅の問題とか、本当に地方も影響を受けるということでございます。恐らく、ここにもずっと書いてありますけれども、相当社会問題化するであろうということが予想されますので、国土交通省として本気になってこの対策しっかりと取り組んでいただくことを要望をさせていただきたいと思います。  入札不調の大きな原因といたしましては、建設現場に欠かすことのできない型枠工、鉄筋工等の技能労働者、技術者の不足があると考えられます。技能労働者は何年も掛けて技能を向上させていくことが求められており、必要数をそろえるには長い期間を必要とするため、雇用を増やせば解決するものではございません。  現在は、政府の公共事業偏重、東日本大震災からの復興、東京オリンピック・パラリンピックに向けての建設需要が極めて旺盛であり、しばらくは技能労働者は更に不足することが予想をされますが、その後については人口減、高齢者社会の中での建設需要が急減するなど不安視もされており、事業者も積極的に人材を確保しようとする動きが見られないと言われているところであります。国土交通省では外国人の技能実習生を活用する案も検討されているようでありますけれども、一時しのぎにしかならず、若年の技能労働者が増え、技術の伝承がなされない限り、根本的な解決につながらない。技能労働者の問題が解決しない限り、入札不調の問題の解決も厳しいのではないか。  建設産業において積極的に人材育成が進められるようにするためには、計画的な工事が確保でき、将来の見通しが立てられるようにすることが必要と考えられますけれども、国土交通省大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  157. 毛利信二

    政府参考人(毛利信二君) 建設業の人材の確保、育成のお尋ねでございますけれども、建設業につきましては、これまで現場の技能労働者が減少いたしまして、その上で更に高齢化進行、若年入職者が減少するという、これは構造的な問題が発生をいたしております。  人材の確保、育成のためには、まずは何といいましても処遇改善が重要でございます。このため、労務単価の引上げによります技能労働者の賃金引上げ、社会保険加入の徹底など労働条件の改善を進めているところでございまして、この労務単価の引上げなど処遇の改善は労働市場の実勢価格を反映させたものでございますので、入札不調の改善にも大きく寄与するというふうに考えております。  また、建設投資の急激な減少、あるいはこの間のダンピングなど競争の激化によりまして、企業の経営環境が非常に悪化いたしました。そして、地域の建設産業は疲弊いたしております。今後は、インフラの維持管理などの仕事を含めまして、やはり持続的、安定的にこういった仕事が確保されていくことを示すこと、これが非常に重要であると考えております。これによりまして将来の見通しを立てられるようになれば、企業は人材を確保、育成していくことにつながるというふうに考えております。  そもそも建設産業は、防災や減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化など大変重要な役割を担っておりまして、その誇りと自信を持って仕事に取り組んでもらうようにすることも人材の確保、育成にとって非常に大事だと考えております。今後、こうした取組を更に強化することを通じまして、建設産業の中長期的視点に立って人材の確保、育成にしっかり取り組んでいきたいと思います。
  158. 野田国義

    ○野田国義君 よろしくお願いをしたいと思います。  それで、ちょっと指摘しておきたいと思いますが、先週、福岡の方、大牟田市だったと思いますが、帰っていましたときに、大工さんや左官屋さんたちとちょっと一緒になりました。それで、話しする機会がございまして、単価を上げていただいておりますよね、二回、そのことも御存じでした。それで、どうですかということを聞きましたところ、何が俺たちが上がろうかと。じゃ、どうなるんでしょうかね。それは中で取られているんでしょうと。いや、もう恐らく来ないよと、自分たちのところまで。確かに、仕事は少し増えてきたということをおっしゃっておりましたけど、このことが一番ですよね。  ですから、その下請の単価がアップに至っていないということ、これは非常に大きな問題だと思いますので、だから、国土交通省としてちゃんと行き渡っているのか、職人さんたちまで、その辺りのところのフォローアップもお願いをしたいと思います。  それでは、次に参りたいと思います。  社会資本の老朽化対策に関してということで、大臣もメンテナンス元年ということで位置付けていただいております。それで、これは私が市長時代にちょっと取り組んだ事業でございますけれども、このことをちょっと紹介しながらやらせていただきたいと思います。  我が国の社会資本の多くは高度成長期に集中的に整備されてきたことから、建設後既に三十年から五十年が経過をし、今後急速に老朽化が進行すると懸念をされているところへ、一昨年の十二月に中央自動車道笹子トンネル事故が発生したことを踏まえて、太田大臣は昨年をメンテナンス元年と位置付け、老朽化対策に取り組んでいく姿勢を示しているところであります。  昨年末、社会資本整備審議会交通政策審議会でまとめられた「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」によると、維持管理・更新費について、現在の技術や仕組みを前提とした現在は年間三・六兆円掛かるものが、二十年後には五兆円強が必要となるとの試算が示されております。  道路を例に取りますと、高速道路ネットワークもそろそろ完成に近づきつつあること、また、国、地方とも財政が厳しくなっていることを考えますと、新規整備に多くの期待ができない中、発想を転換をし、これまで造り上げてきた社会資本を少しでも長く健全な状態を保つことが私は重要であるということだと思います。  今後、社会資本の維持更新が増えていくことを考えますと、建設産業も新規の建設中心からメンテナンス中心へと体質改善を進める時期に来ているのではないか、国土交通省においても建設産業をメンテナンス中心の産業へ転換を促していくための取組を進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) メンテナンス元年ということは、高度成長時代に造った構造物が四十年、五十年たって劣化を始めてきているということを本当に実感しているからでございます。  一九三〇年代にアメリカがいわゆるニューディール政策で取ったものが、五十年たちました一九八〇年代、荒廃するアメリカということで橋梁が落下したり、そうした事態があったんですが、日本はそういうことをしてはならないと、そこの構えを昨年はやるということで、まず点検作業からやらせていただいたのが去年でございます。  そういう意味では、この防災・減災という首都直下を始めとする、南海トラフを始めとする巨大地震対策ということと同時に、メンテナンスというものは両輪のような非常に大事なことだと思っておりまして、それを財政制約の中でメンテナンスにしっかり力を入れて、そして技術力も増して、そして、三・六兆ということを今お話がありましたが、三・六兆というのがそのままずっと五兆を超えるというのではなくて、それを少しでも技術力を増したりすることによって下げて、早めに手を打って長寿命化を図るということが今一番大事なことだというふうに思っているところです。  そういう意味では、御指摘のように、新規の建設中心からメンテナンス中心へということについては、防災・減災ということは新規ということもあるわけなんですが、防災・減災、メンテナンス、そうしたことにかなり力点を置いた公共事業を推進していくということが大事だというふうに思っております。
  160. 野田国義

    ○野田国義君 スクラップ・アンド・ビルドではなくて、そういったメンテナンスをしっかりやっていくという時代、発想の転換をお願いしたいと思います。  そこで、老朽化が進んでいるのは社会資本だけでなく、公共の建築物についても同様の状況がございます。昔であれば、あらゆる分野で施設が不足していたので、次々と新しい建物が建てられていったわけでありますけれども、現在は民間も含めて床が余る時代を迎えており、建物を新築し続けることが不可能になりつつございます。一方、老朽化を抑え、公共建築物を建て替えると、まず既存の建物を取り壊すだけでも膨大な費用が掛かり、加えて、建物を取り壊した後に大量の廃材が発生するのが、その処分方法もさることながら、環境に悪影響を与えることとなります。  資料二を見ていただきたいと思いますが、これは私が市長時代に取り組んだものでありますけれども、古くなった建物を取り壊すだけでなくて、既存の建物の八〇%を再利用するリファイン建築の方法を取り入れております。リファイン建築は、解体に伴う建築廃材を大幅に削減できるので、地球環境に優しく、解体撤去費も大幅に削減することができる。その結果、建て替え、新築の場合と比較して三〇%から四〇%コストを抑えることができます。それから、耐震性能にも著しく劣る築後二十年から三十年の建物であっても軽量化と補強によって耐震性を強化することができる、そしてまたデザインも一新することができる、また増築することもできるということで、現在のニーズに合った建物に変身することができるなど特徴を挙げることができると思います。  リファイン建築は財政的な面からも老朽化対策として有望であるとともに、建築廃材の大幅な削減により環境への負荷を軽減する効果が期待できるものと考え、公共建築物の建て替えに際しリファイン建築を積極的に導入していくことに対し、国土交通省の見解をお伺いしたいと思いますが。  これをやるときには、本当に議会、それから職員、業者の抵抗に遭いました。新しいものを造った方が早いと、もう一級建築士までそういうことを言って、業者はこれを落札しませんでした。こういうことがあれするとなかなか自分たちのもうけが少なくなるということでしょうね。ですから、こういうことでは、私はやっぱりコストはなるべく抑えていくということが大切だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  一言、よろしくお願いいたします。
  161. 鈴木千輝

    政府参考人(鈴木千輝君) リファイン建築を積極的に導入すべきではないかとのお尋ねでございます。  公共建築の老朽化対策は喫緊の課題となっており、国土交通省といたしましても、既存建物を最大限利活用することが財政的、環境的な面からも大変重要だと考えております。この点で、先生御指摘のリファイン建築等の手法は、既存建物を活用しつつ新たなニーズにも応える手法として大変有効であると考えております。  国交省といたしましても、今後とも、このような考え方を積極的に取り入れつつ、適正かつ計画的に官庁施設の長寿命化を推進してまいる所存です。
  162. 野田国義

    ○野田国義君 よろしくお願いしたいと思います。  それでは、もうちょっと時間がございませんので、もう一つ、町並みですね、ちょうど実を言いますと渋谷で上映があっておりまして、この間からちょっと私も見に行ったんですけれども、要約いたしますと、先ほど申し上げましたように、この中でも、ここ一番、左官さんがやっている姿あるいは大工さんが働いている姿が写っているわけでありますけれども、まさしくこの技能職、このところが非常に伝承がなかなかできていないのが今現状であろうと思っております。  それで、地元の有志が、一級建築士とか集まって、この勉強会なんかも立ち上げて、また全国的にも伝建地区でそういった勉強会をしようということで立ち上げているということでございます。その辺りのところもしっかりと国土交通省認識をいただきまして、技能者の育成ということでお願いをしたいと思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。  そして、太田大臣が昨年の三月十二日の衆議院の予算委員会におきまして、太田大臣平成二十年度以降に学識者や実務者により検討委員会で出された検討成果を活用しながら、伝統的構法の木造建築物が円滑に建築されるよう努めていきたいとの答弁がなされておりますが、その後、検討状況はどうなっているのでしょうか。  また、今、国会に提出をされております建築基準法改正案は、木材利用促進のための木造建築関連基準見直し構造計算適合性判定制度の見直しなどを行うものと承知いたしておりますが、伝統構法との関係ではどのような改正となるのか。さらに、伝統構法による木造建築を拒む要因として、長期優良住宅法や省エネ法において、歴史が証明する伝統構法、木造建築の良さが考慮されていないことを指摘する声もございます。国土交通省としてどのように考えているか、お聞きをしたいと思います。
  163. 井上俊之

    政府参考人井上俊之君) お答え申し上げます。  まず、伝統的構法の基準検討状況でございます。委員の御指摘にもございましたとおり、平成二十年度から複雑な構造計算を要さずに簡易な設計基準を作れないかということで検討をしてまいりました。二十四年度に、一応その委員会の報告書というのがまとまってございます。現在、この報告書を基に簡易な設計基準の策定のための作業を始めているところでございますけれども、委員会の側は非常に、例えば伝統構法で代表的な石場建て、これを通常の石場建てそのままで何とか使えないかというような意向をお持ちなんですけれども、それに対してはちょっと科学的知見、E—ディフェンスの大実験もやりましたけれども、が足りないのではないかということで、今そういう技術的なやり取りをさせていただいているところでございます。いずれにしても、安全性と伝統的構法の継承とをできるだけ両立させられるような基準作り、進めてまいりたいというふうに考えております。  それから二番目、今度の建築基準法改正との関係についてのお尋ねでございますが、この伝統的構法、主に構造基準が問題になると思いますが、構造基準は法律では二十条というところに大きな方針だけ定めてございまして、その余の部分は政令、省令、告示に委任をしてございます。伝統的構法の設計法はそのレベル、法律によらないレベルで作成可能だというふうに考えてございます。今度の改正は直接の関係がないということでございます。  それから、阻害している要因があるんではないかということでございます。どうしても良い家を造るための近代的な数値基準と、それから伝統に裏打ちをされました、あるいは経験に裏打ちをされた伝統的構法がなかなか基準という形には相入れないところがあるのは事実でございまして、先ほどの構造もそうでございますし、それから自然材料で作る土塗り壁、これも伝統構法の非常に大きな要素だと思いますけれども、これについても断熱性ということでいえば、何らかの断熱材を入れるようなことをしない限りはかなり期待できないというような面がございます。そういう意味で、ここの整合をできるだけうまく取っていくということが御指摘のように求められているんだと思います。  いきなり伝統構法全部を基準に合わすというのはなかなか難しいんですが、例えば長期優良住宅について、地域型住宅ブランド化事業というような助成をしていまして、いろんな事例が挙がってきていますから、こういうところで得られた知見を次の基準作りに生かしていきますとか、あるいは今般改正をしました省エネルギー法の基準につきましては、断熱性、これをある程度緩和できるようにして、その代わりに機器の省エネルギー性能も含めた総合評価ができるような仕組みに変えてございまして、多少そういう意味では伝統構法の後押しにもなるのかなというふうに思っております。  今後とも、伝統構法というのを大事にしながら、安全性、住みよさと両立できるような形で努めてまいりたいというふうに思っております。
  164. 野田国義

    ○野田国義君 この町家には若者が移住してくるというか住み始めて、またお店なんかも、モダンなお店なんかが増えております。観光という面でも非常によみがえっているということでございます。  よろしかったら、これ、国土交通省の皆さん、本当に、非常にスローライフを描いたような映画になっておりますけれども、見ていただければ今の現場の問題点も分かるんじゃなかろうかなと思いますので、よろしくお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  165. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。  今日は順番を繰り上げて質問をさせていただきます。各会派の皆様の御配慮に感謝を申し上げます。  あの大地震、大津波、あってはならない原発事故から三年が経過をしました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお困難な生活をされておられる方々に心からお見舞いを申し上げます。  当国土交通委員会は、住宅の再建、インフラ、交通、防災対策など極めて重要な役割を担っておりますので、先輩、同僚議員の皆さん、国土交通省の皆さんとともに、復興の加速に向けて私自身も全力で取り組んでいく決意をまず申し上げたいと思います。  それでは、早速質問をさせていただきます。  まず、国土のグランドデザイン、そして関連をしてリニア中央新幹線の問題について質問をします。  大臣所信で、今月末には、二〇五〇年という長期の視点に立って新たな国土のグランドデザインの骨子を示すと表明されました。私も、本格的な人口減少、高齢化、切迫する巨大災害世界的な都市間競争の激化などの問題意識には同意するものですが、有識者懇談会から出された新たな国土のグランドデザインの骨子の方向性を見て、大変驚かされました。上記の問題意識にもかかわらず、相も変わらぬ旧来型の成長戦略、競争強化策が並び、その中心的施策がリニア中央新幹線による世界最大のメガリージョン形成だったからであります。  リニア中央新幹線に対しては、既に新幹線用不動産取得に係る登録免許税、不動産取得税の非課税措置がとられております。しかし、政府の基本姿勢は、あくまでリニアはJR東海の全額自己負担というのが大前提であります。  大臣にお尋ねしますが、今後は、老朽化するインフラの維持更新や生活交通の維持確保などが急務であります。人口が増加するなどのよほどの社会情勢の変化がない限り、リニア中央新幹線についてはさほど緊急性も高くなく、したがって、政策的優先順位、財政支出の必要性も相当に低いと言わざるを得ないと考えますが、大臣の御認識をお聞かせください。
  166. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) リニア新幹線は、最速で東京—名古屋間を四十分程度、東京—大阪を一時間強で結ぶことによりまして三大都市圏の人の流れを劇的に変えて、国民生活や経済活動にも大きなインパクトをもたらす重要な事業だというふうに思っています。  この事業についてはJR東海が全額自己負担で整備する意向を示したことを受けまして、交通政策審議会において計二十回、有識者の幅広い議論をいただいた上で、平成二十三年、建設主体の指名、そして整備計画の決定等の手続を行ったところです。したがって、JR東海が全額自己負担により整備を進めることを前提に、国土交通省としては、本事業が着実に進むよう必要な支援をしてまいりたいと考えているところです。  来年度税制改正案においても優遇措置を講ずることとしているところですが、あくまでそれはJR東海が全額自己負担で整備するということの前提というものがあることは踏まえなくてはならないことだというふうに思っています。
  167. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 そこで、静岡の例でありますが、現在、静岡市を挙げて大井川上流域をエコパークにしようと活動しています。また、大井川流域は川の霧が育む良質なお茶の産地でありますし、名産のサクラエビも大井川と富士川の河口に近い海のみが産地であります。  昨年提出された環境影響評価準備書においては、リニアのトンネルによって大井川の河川流量予測結果が毎秒二トン程度の減水となっています。このようなトンネル掘削に伴う減水は、河川法第二十三条に言う流水の占用に当たるのでしょうか、あるいは河川法二十九条及び河川法施行令第十六条の四第一項第一号に禁じられた河川の損傷に当たるのでしょうか、伺います。
  168. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) 流水の占用、そして河川の損傷についてのお尋ねでございます。  河川法第二十三条におけます流水の占用は、かんがい、発電等の特定の目的のために、その目的を達成するのに必要な限度におきまして、河川の流水を排他的、継続的に使用することを言うものでございまして、御指摘の事業による減水は流水の占用には該当しないものと考えております。  また、この減水が河川の損傷に当たるかについてでございますが、河川法施行令第十六条の四第一項では、みだりに河川を損傷することを禁止しておりまして、このみだりにとは、正当な権原等に基づかないということを意味しておりまして、河川を横断するトンネル、これは一般に河川法第二十四条の土地の占用の許可、二十六条の工作物の新築等の許可等の正当な権原を得た上で設置することになりますので、御指摘の禁止規定には該当しないものと考えております。
  169. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 では、毎秒二トン程度の減水は何に当たるのでしょうか。一級河川の地下を掘削することにより流量が減水するという事態は、およそ法の予定するところではないわけでありますけれども、自然環境に壊滅的な被害を及ぼすこのような事態は防止すべきだと考えますが、いかがですか。
  170. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) JR東海が公表いたしております東京—名古屋間のリニア中央新幹線に関わります環境影響評価準備書がございますけれども、この中で、委員指摘の大井川上流部の流量について、トンネル工事による影響といたしまして、対策を講じない場合のものとして、トンネル内への湧水によりまして毎秒約二トンの水量が減るというふうに予測しているものでございます。  このため、JR東海では、工事中の対策といたしまして薬液注入工法、あるいはトンネルコンクリートの内部への防水シートの設置などの対策を講ずることにより湧水を抑制するということといたしております。また、工事の着手前、工事中、工事完了後におきまして、地下水の水位などの状況を定期的に監視をいたしまして把握をするということにいたしております。こういうことによりまして、地下水位の低下などの変化の兆候を早期に発見いたしまして、必要であれば適切な対策を実施をするということで、水環境への影響を低減できることとしております。  国土交通省といたしましては、今後、このような対応が適切になされるようJR東海を指導してまいりたいというふうに考えております。
  171. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 リニアの問題については、今後もまたお聞きをしたいと思います。  次に、熊本県の瀬戸石ダムについて質問をいたします。  瀬戸石ダムは、球磨川にある完成後五十五年経過した老朽ダムであります。九州地方整備局は二月十二日、電源開発、Jパワーが持つ発電用水利権について二十年の更新を許可しました。瀬戸石ダムについては、二〇〇二年から昨年まで、国土交通省による計六回の定期検査でも、ダムと河川の安全管理上重要な問題があり、早急な対応が必要な総合判定Aとされ、堆積処理、水質対策、洪水被害対策、護岸補修等について対応を求められております。  国交省は、定期検査でダムと河川の安全管理上重要な問題があり早急な対応が必要と判定しながら水利権の更新を許可されましたが、それ、許可して本当によかったのでしょうか、伺います。
  172. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) 熊本県の瀬戸石ダムの水利権の更新についてのお尋ねでございます。  今回の水利権の更新許可に当たりましては、河川法第二十三条の許可の審査基準に基づきまして審査を行い、経済産業大臣及び熊本県知事への意見聴取を行いました。これに対しまして、当該更新の許可につきまして、経済産業大臣からは異議はない旨の回答が、また、熊本県知事からは支障はない旨の回答がなされたことから許可をしたものでございます。  ダムの定期検査につきましては、ダムの施設設備の状況、貯水池の堆砂状況を定期的に検査しているものでございまして、河川管理者といたしましては、今後ともこういった定期検査の結果を踏まえて適切に指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  173. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 適切に指導と言われたわけでありますが、では、定期検査の指摘問題の解決の実効性を具体的にどのように図っていかれるのか、伺います。
  174. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 先ほども話がございました熊本県知事の回答文書に記載のありました附帯意見についてですが、九州地方整備局から電源開発株式会社に対しましてしっかりと伝えておるところでございます。  また、国交省といたしましては、これまでも瀬戸石ダムの施設設備の状況や貯水池の堆砂状況について定期的に検査を実施して、必要な指導を行ってきたところでもありますし、今後とも瀬戸石ダムが適切に管理されるよう、電源開発株式会社に対して必要な指導、助言を行ってまいります。
  175. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ダムの周辺の住民は、長年、洪水の危険や振動被害、護岸の崩壊、赤潮やアオコ、水質汚濁や異臭、ヘドロの発生などの苦難を強いられており、ダムの撤去を希望しているわけであります。また、地元の球磨川漁協も、アユ漁に被害が出ているなどとして更新反対を決議をしていました。こうした地元の声を受け、熊本県は、意見照会に対して異例の四つの附帯意見を、先ほどお話がありましたけれども、提出をいたしました。  許可権者である国土交通省としては、熊本県の附帯意見が確実に実施されるようJパワーに必要な指導監督をすべきと考えますが、いつまでにどのように取り組んでいかれるのか、大臣にお伺いをします。
  176. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) 瀬戸石ダムにつきましては、先ほども申し上げましたように、定期的に検査を行っております。その定期検査に基づきまして、必要な対応を取るようにということで電源開発株式会社の方に指導をしておるところでございまして、確実にそういったものが行われていくこと、そういったものについて私どもについても注視してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  今後とも適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  177. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 Jパワーと地元住民の協議の場を仲介するなど、国土交通省としても許可権者としての責任を果たしていただくようお願いをいたします。  次に、設計労務単価の実態についてお聞きします。  国土交通省は、昨年四月に全職種平均で一五・一%、今年二月に更に七・一%公共工事の設計労務単価を引き上げ、民間工事においても職種別賃金を引き上げるよう業界団体等に要請し、業界側も努力を約束していると聞いております。しかし、以前から建設現場で実際に働く労働者に設計労務単価どおりの賃金が支払われていないのではないかという問題が指摘をされているわけであります。  例えば、鉄筋工の設計労務単価は、二年前には一万五千五百四円だったのが、今年二月から日額一万九千七十円になりました。この設計労務単価を基に、年間休日九十三日、一か月三十時間程度の残業で働く場合に、ボーナスなしでも年収は六百二十六万円であります。建設現場の重機やコンクリート圧送作業といった高度な熟練を要するオペレーターも同様に試算すると、年収は六百二十二万円以上となります。  しかし、二月に公表された厚生労働省の毎月勤労統計調査平成二十五年分結果確報を基に試算すると、建設業の賃金は年収で四百四十五万四千五百五十六円ですし、現場の労働者の皆さんの実感としては平均で五百万円未満ではないかと聞いております。  この差を国土交通省は何だと認識しておられますか。
  178. 毛利信二

    政府参考人(毛利信二君) 公共工事の設計労務単価につきましては、先生御承知のとおり、公共工事に従事します技能労働者約十六万人の賃金を調査いたしまして、これを更に賃金台帳等でどの程度年間実働されているかということを調べた上で、一日当たりの単価として決定をいたしております。  二度のこの度の引上げにつきましても、こういった調査の結果、技能労働者の不足等に伴う賃金動向を的確に反映させるために引上げを行ったところでございます。  毎月勤労統計調査との比較でございますが、これは必ずしも両方が同じ対象ではございませんで、毎月勤労統計調査は、企業ごとに、例えば技能労働者に限らずその企業に勤める方、管理職から事務員まで含めて建設産業全体の就業者全体の賃金の調査を行っておりますので、その点でまず単純に公共工事設計労務単価と比較することはできないということが一つございます。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、公共工事設計労務単価自体は賃金台帳等で就業規則まで確認をして実働日数で調査をいたしているものですから、御指摘のような数字とも乖離があるというふうに理解をいたしております。
  179. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 いや、その数字の乖離があるという説明は分かったんですけど、どうして適正に現場の皆さん、働く皆さんに支払われていないかという根本原因のところをお伺いしたいと思います。
  180. 毛利信二

    政府参考人(毛利信二君) お答えいたします。  建設業におきまして、やはり担い手を将来にわたって確保していく上で賃金を適正な水準に引き上げるということは大変重要でございます。このため、設計労務単価の引上げについて、建設業団体等に対しまして繰り返し、適正な水準の賃金を支払うよう繰り返し要請をいたしておるところでございます。  この結果、賃金水準を引き上げると回答した企業が徐々に増えておりまして、最近の民間調査、これは今年の一月でございますけれども、約五〇%を超えてきたという状況にありまして、賃金改善の動きは確実に広がってはきているということでございます。  この動きが実際に重層の下請構造の中で下請も含めて技能労働者に確実に行き届くようにということがこれから特に重要でございまして、引き続き機会あるごとに要請して、適正な賃金水準の確保取組を推進していかなきゃいけないというふうに考えております。
  181. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 局長が言われたように、重層的な下請構造の下でダンピングや賃金の中間ピンはねが行われていた、その防止が課題ということでございます。まさに、その重層的な下請構造改善ということが求められているわけでございます。  お隣の韓国でも同様に建設産業の重層的下請関係の問題を抱えているわけでありますが、近年、累次の建設産業基本法等の改正によって、一定額以下の工事の直接施工の義務化、一定の工事における下請制限などが導入されていると聞きます。我が国でも検討に値すると考えますが、大臣の御所見を伺います。
  182. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 労務単価を上げて、二回上げたんですが、重層的な、そういうことで、最前線に本当に賃金、あるいは社会保険が加入ということについて、これも相当言ったり調べたりということを繰り返していかないと駄目だというふうに思っておりまして、そこは去年の四月、上げさせて以降、随分調べさせていただいてきています。私も直接いろんな方とお話をしたりしまして、また会合においても、ゼネコンからそうした技能者に至るまで一緒に集まっていただいてその場でやったりということでさせていただいているので、ここは更に努力をしたいというふうに思っているところです。  韓国の建設産業基本法について、現在のところ、これによって労働者の賃金が上がっているという評価では必ずしもないというふうに聞いています。日本と韓国の仕事の構造が違うという、業態が異なるという点もあろうと思いますが、そうした下請みたいなものを全くないように思っている韓国の状況というものと、日本と業態が異なっているという点もあるんですが、必ずしも本当に評価、賃金が上がっているという状況ではないという報告もありまして、更にここは調べてみたいというふうに思っているところです。  いずれにしても、今労務単価を引き上げたりしているという措置をとり、また建設業において入札不調というものが、なかなか技能者がいないというような状況ですから、そういった点では、今までの、赤字でも仕事を取る、そして泣いてもらって仕事をしてもらうという状況とは変わったというふうには思いますが、さらにここは賃金の引上げにつながるように、関係者一体となった取組になるよういろいろ工夫して、きめ細かくといいますか、私から言うと執拗にそうしたことを調べ、求めていきたいというふうに思っているところです。
  183. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 各会派の皆さんからも現場の専門技能者の後継者問題については指摘をされているわけでありまして、簡単な課題ではないと思っておりますし、様々な複合的な要因もあるというふうには思います。外国人の皆さんの当面お手伝いをいただくかみたいな議論も国土交通省の中ではされているかと思いますが、短期的、中期的、そして長期的にどういうふうにこの専門の技能労働者を確保していくのか、そうしたことについて国土交通省としてもより踏み込んだ検討が必要であると考えておりますけれども、その点についてもう一回、大臣、見解をお願いします。
  184. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 雇う側からいきますと、安定的、持続的に仕事があるということなしには、人を雇ったり、あるいは設備を整えるということはできないので、できるだけ、公共事業を景気ということのみで見ていくのではなくて、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化も含めて、そうしたことを安定的、持続的にという基本をしっかりと出して、そして財政制約を踏まえてそうしたことをやっていく。そして、見通しが企業が利く上に、この仕事は非常に誇りある仕事であるということを思っていただかなくては入ってこない、若い人は。そして同時に、もう一つは、やっぱり処遇が改善されないとなかなか入ってこないと。そうしたことをよく見て、まあ工業高校がなくなったり専門学校が少なくなったり、いろんなことでありますから、これは将来、建設業界だけでなくて、十年、二十年、三十年というのを考えますと、いわゆる作業員といいますか、電気でも機械でも、いろんなところで作業員で真面目でしっかり働いてもらえるという、ここの現場の強さというものがこれまでの日本の強さだったというふうに思っています。そこはまたいろいろ考えながら、また皆様にも御意見をいただきながら、何としても現場で働く労働者は強いぞと、処遇も改善されているぞという方向に向けていきたいというふうに思っているところです。
  185. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  建設労働者の収入が向上して建設産業が魅力ある職場になるように、特段のまた御努力をお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  186. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今日は大臣所信に対する質疑ということでございますが、先般、三・一一、三年目迎えました。私も、亡くなられた方々の御冥福を祈り、また、被災された方々、また今なお避難されている方々に心からお見舞いを申し上げるものでございます。  くしくもといいますか、あの三・一一に大臣所信があったわけで、聴取したわけでございますが、復興加速、あるいはメンテナンス元年含めて力強い抱負を述べられたなというふうに実感をしております。実は、この大臣所信の中で実感という言葉が四回ほど出てまいりまして、私、数えたんでありますが、二回目は何かかぎ括弧付きだったという、そんなこともございまして、本当に実感を大事に、国民の皆さんに実感してもらおうという、そういう意欲が本当にあふれた所信だったなというふうに思っているところでございます。  先行の委員の皆様の質問と重複するところありますけれども、若干質問をさせていただきたいと思います。  今国会へ入って初めてこの国土交通委員会質問させていただくわけでございますが、昨年の臨時国会JR北海道関係で集中も二回ほどやらせていただいたわけでございます。昨年の九月十九日に発生したJR函館本線貨物列車脱線事故等を踏まえて三回の特別保安監査をしたわけでございますが、本年一月の二十一日、「JR北海道安全確保のために講ずべき措置 JR北海道再生へ」と、このように国土交通省によって取りまとめられたところでございます。  その中の第三章では国土交通省が講ずべき措置が記されておりまして、今回の安全確保のためにJR北海道が講ずべき措置について、JR北海道のみにその実行を委ねるのではなくして、例えば、具体的な実施状況について定期的な報告を求め、その都度、国として必要な助言、対策の指示を行う、また、国による常設の監査体制を整えて、五年程度定期的また随時に監査を実施するというふうにされているところでございます。  そこで、このように決定された事項について今後その実効性をいかに確保していくつもりなのか、国土交通省の決意といいますか、方針をお伺いをしたいと思います。
  187. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) 委員指摘のように、JR北海道に対する問題点を洗い出すために三回にわたる特別監査を行い、その結果を一月二十一日にJR北海道安全確保のために講ずべき措置として取りまとめ、さらにこれを一月二十四日に事業改善命令あるいは監督命令ということでJR北海道に対してその確実な実施をまず命じたということでございます。  言うまでもなく、こういったものの実効性を担保するためには、まずJR北海道において、この命令に基づきまして企業体質を改善し、本社トップから現場の一人一人までが結束をして鉄道事業者としての徹底的な再生に向けた努力、取組というのが必要だろうというふうに考えております。  それを前提にいたしまして、国土交通省として、委員指摘の三の国が講ずべき措置というところで報告などを求めるということと併せまして、常設の監査体制を設けたということでございます。これ自体非常に異例なことでございまして、また期間も五年間という程度を考えるということで、短期的な取組ではなく、これだけ長期の視点でJR北海道再生が進んでいるかどうかということを私どももしっかり見て、必要な指導をしていく必要があると、このように考えたものでございます。  なお、この常設監査体制大臣の方から一月の二十一日にこういった体制を取るということを発表をしていただいたところでございますが、今週、三月十一日から最初の監査に入ったところでございます。本社及び現場に入っております。今回は一応十四日までということで明日までの予定でございますが、この講ずべき措置を命じた内容がどのようにその実施に向けて取組が進んでいるかというところを主眼にいたしまして、現在監査を行っているところでございます。  このように、JR北海道につきましては、まずJR北海道の自らの取組ということと国土交通省による指導監督を行うと、この二つの取組をしっかり進めることによりまして今回命じましたJR北海道における講ずべき措置を着実に実行していく、そういうふうなことが必要だろうというふうに考えております。
  188. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その取りまとめの中にこういう記述がございました。「JR北海道が安全で信頼される鉄道事業者として再生するため、個別の対策に止まることなく、企業体質・組織文化を含めて構造的な問題について改革することが必要である。」と、このような記述があるわけでございますが、先ほども質問にあったわけでございますが、今般、人事会長、また社長が、須田さん、島田さんという形で紹介されているところでございますが、このJR北海道に対する関わりについて、もうちょっと御説明をしていただきたいと思います。
  189. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR北海道に対しましては、先ほどから申し上げております、一月二十四日に事業改善命令、そして事業監督命令というのを出させていただきました。  毎日毎日の輸送を安全にということについては、毎日報告をもらって、かなり鉄道事業というのは大変だなという思いを毎日報告聞く中で思っていまして、夜に保線をしたりとか、短い時間で夜中にというようなことをしたり、今状況、雪が降っていて非常に凍っているとか、いろんなことで車両にも相当整備をしていかなくてはいけないというようなことを奮闘しているという状況がうかがわれます。  そうしたことを毎日毎日監視をするとともに、四月一日から、新しい事業年度が始まるというときでありますものですから、社内の処分等が行われたりあるいは道警が入ったということも後を受けまして、四月一日からは新しい、新生JR北海道としてスタートを切ってもらおうということで会長社長人事ということをさせていただき、そして、先ほど申し上げましたが、須田会長は鉄道事業の技術面において大変経験と幅広い知識があるということ、そして島田社長は鉄道事業の実務とJR北海道自体の経営全般に精通しているということで、今回そうした人事を行わせていただくということにいたしました。  なかなか困難な作業だというふうに思いますが、この新しい社長会長の下で経営幹部から現場社員一人一人結束して、JR北海道がよみがえったと、信頼感が得られるというところまで持っていくということが大事なので、国交省として、また私としては常に目を注いでいきたいというふうに思っているところです。
  190. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほども御紹介ございましたけれども、東鉄工業社長会長もやられ、また一般社団法人日本鉄道施設協会代表理事もされているということであった方でございます、須田会長は。そういう意味では、本当に本腰入れた人事をされているなというふうに思うところでございます。  さて、話は変わりますけれども、コンパクトシティーに関連して質問をさせていただきたいと思います。  人口減少時代における新しい時代の都市が目指すべき方向としてコンパクトシティーを推進をするということで、これに関連する法律案も予定されているところでございます。  ただ、現実に多くの都市は既に拡散型の都市構造になっているんではないのか。だから、人口が減って、投資力が低下しておりますものですから、その傾向を逆転させて短期にコンパクトシティーにつくり変えるというのはかなり難しいんではなかろうかというふうに思っております。  そのコンパクトシティーづくりのためには、中心市街地の活性化あるいは公共公益施設の町中回帰、あるいは町中への居住人口の誘導、郊外の新規開発の抑制、土地利用規制の強化など、様々な施設、施策を総合的に取り組む必要があるというふうに考えているわけでございますが、そのような中、コンパクトシティーを具体的な計画、施策として推進する場合、既に拡大して郊外にあるものを、その在り方をどう考えるか、大きなテーマになろうかと思っております。  この平成二十六年度都市局の概算要求を見させていただきますと、持続可能な都市構造への再構築のため、町の拠点へ居住者の移転を促すコアとなる施設に教育文化施設等を追加して、これらの施設の除却、郊外にある施設の除却等に掛かる費用を支援することで都市機能の町の拠点への移転促進を図るというふうにあるわけでございますが、一方で、移転した後、除却した後、郊外が荒廃化するんではないのか、その辺はどういうふうに、荒廃化を防ぐための手だてをどういうふうに検討されているか、国土交通省、お示しをしていただきたいと思います。
  191. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これまでは国土の均衡ある発展という言葉が出ておりますが、その均衡ある発展はそれはそれで結構なんですけど、ミニ東京というような都市が全国にばらまかれるということであれば、これは均衡ある発展と言えないのであろうというふうに思っています。  人口減少と高齢化ということは、二〇五〇年には一平方キロメッシュで見ますと六割の地域で人口が半減すると。そして、人口がなくなるというところが二割も出てくるということからいきますと、地方都市消滅という言葉が出たりしていますんで、私は、今までのような中心市街地を活性化したり、まあ私も携わったんですが、大店法、中心市街地活性化法、都市計画法、まちづくり三法と言われる、そういう手法であったならば、もう間に合わないと。魚住先生言ったように、広がったものを無理やりというよりも、コンパクトシティーを目指して、そして誘導をしていって、そして同じバスならバスも、今まで全部、都市部もそうですが、駅に向かって、夕方には駅から帰るというようなそういう交通体系でありましたが、昼間、高齢者が多くなってきて、病院へ行きたい、いろんなことになりますと、都市部においてはコミュニティーバスって、回るバスだし、集落ということにおきましては、あしたここに行きますよということの要望を受けるディマンドバスとか、そういうような体系で、今まで直線的なバスというのが回っていくというような、そういう交通も含めて、交通政策基本法というのはそこに大きな意義が一つあると思うんですけれども。  そうした交通体系といい、あるいは医療とか介護とか、そうした包括ケアシステムという、そしてまた、都市部におきましての郊外におきましては、柏の豊四季団地にありますように、ニュータウンがオールドタウン化しているというのを、もうどうやってこれをよみがえらせるかという、そして医療と介護、そして七十歳以上にも仕事があっせんできるというような、そんな高額な賃金じゃなくてもできるというような、それを併せてやるというのは、町の再生、プラスしてエネルギー制約、いろんなことに向けて、新しい全体的に都市をどうつくるか。  集落という場合に、コンパクトシティーといっても、集落の場合はどちらかといいますと拠点ということになると思いますが、拠点があって集落がある。そして、中小の都市になったら、全体像を交通も含めて考えて、そして、これからこれなら生きていけるというまちづくりをしていく。そして、大都市は今度は世界の経済間の競争に耐えるような勢いのある都市にしていく。  いろんな意味で、規模に応じて、地域においてその個性を生かしたまちづくりを今やらないと、二〇四〇年、二〇五〇年になったら間に合わないと、私はそう思って、今年はそういう、全国の都市をどうするか、交通体系をどうするか、そうしたことをスタートさせる、そうした年にしていかなくては間に合わないなというふうに思っているところです。  そういう意味では、真ん中に入れて郊外が荒廃するということも当然考えなくてはいけないんですが、そこはそこで、また誘導型に、どういうふうに誘導していくかという、無理やりにコンパクトシティーというと切り捨てろと言うような学者さんもある意味ではいるんです。そうではなくて、私は、自分が長年住んでいたところはふるさとであり、そこの中で切り離してはならないというふうに思っていまして、どういうふうに誘導しながら町自体をつくり替えていくかという、今年は大きなスタートを切っていかなくてはならない年だと、その意味で、さらに全体的な方向性の国土のグランドデザインというものをつくる必要があると、このように考えているところでございます。
  192. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これから二十年、三十年、また二〇五〇年という話がございますけれども、やはり多くの人口は都市に住むんだろうというふうに思います。これは世界的な傾向でもあろうかと思っておりますが。  ただ、よくマスタープランと言われますけれども、マエストロが作ったプランに全部従えみたいな話になってくると、それは限界があるよというのがまちづくりなんだろうなというふうに思っておりまして、三・一一の前に二・二二というニュージーランドのクライストチャーチの地震がございました。中心市街地ががあっと崩れたわけですね。その後、市民がみんなで議論をして、アンケートも取って、そしてやったことは、高層ビルを建てるのではなくして、せいぜい六階ぐらいまでにしてもらいたいと、全体として。経済効率からすればもっともっと高いものにしたいとニュージーランド政府で引き上げたんだけれども、結果として二十八メートルまで、そして七階までと、こう決めて、具体的に、市民の皆さんは空き地になったところでいろんな、ギャップ・フィラーとかいってNPOを立ち上げて、いろんな催物をやりながら町中のにぎわいを取り戻そうとしている。  今、なぜ言いたいかというと、人と人と出会って人間がにぎわいを持つには、やはり公共の空間というのが一番大事ではないのか。我々が例えばイタリアがなぜ好きなのかというと、町中を時速五キロぐらいで歩いて旧市街地を回れるね、だけど郊外に行ったら時速六十キロの世界なんだから、人と出会うことができないんだというようなこと、だけど町中だと本当に人間を取り戻して顔を突き合わせていける、こういうようなことが言われている。  一九六〇年代に機能主義の都市づくりつくって、ニューヨークも本当に便利に、高速道路を造って郊外にびゅうっと飛んでいけるようなのを造った。だけど今、自転車専用道路も造ったりして、タイムズスクエアもそういうふうに変えてきているという側面がありまして、やはり都市づくりにこの公共空間というものをどうやってつくっていくのか。  コンパクトシティーでよく取り上げられる富山市も、じゃ、その公共空間、町中でLRTで回れるようになっていて、今大臣がおっしゃったように、施設に行けるネットはあるわけだけど、みんなが寄り集まって町中でコーヒーを飲んだりするような、そういう空間をやはりつくっていくような日本の都市の在り方もあってもいいんではないのか。ただ、それを上からマスタープランのような形でやらなくても、各市民が、各市町村がやっていくんじゃないのか、各都市がやっていくのではないのか、そんなふうに思うわけでございますが、都市における公共空間の在り方について、所感がございましたらお示しをしていただきたいと思います。
  193. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 今、町をいろんな形で、小さな集落あるいは地方都市、そして大都市、それぞれの地域が取り組んでいかなくてはならない特性といいますか、特性というよりは、これから我が町はどうやって生き抜いていくのかという知恵が上からばさっと国から出るというよりは、そこで市長さん中心にして知恵が集約されて一緒に考えていくという、そうしたことが私は極めて重要だというふうに思っています。  その場合に、人が生きるという場合には、ある距離感、そして空間というものが物すごく必要だというふうに思います。自分の子供を育てる場合でも、ついつい勉強しろと怒ってしまうんだが、学校の先生だと人と人との間でちょっと距離感が、愛情を持ちながらの距離感がありますから教育というものが成り立つ。だから、近い人間関係とちょっと離れているけれども愛情が感じられると。  いろんな距離感とか空間というものは、人間は一番恐ろしいのは、これから高齢社会になって、孤独だと思います。そういう意味から、人が幸せだなと思うのはやっぱり人との接触、コミュニケーションというものが得られるという、これは職場でもそうですし、そうした空間とか距離感というのは非常に幸せということに直結するものだというふうに思います。  富山の話をされましたが、私も行きまして、見ましたら、商店街があってアーケードがあって、そして、大きなデパートがあったところの横のところに大きな空間でイベント広場というのを造って、椅子を出したりいろんなこと、それは片付けたりいろいろするんですが、それが実に生き生きとして使われているということを私は見させていただきました。  新宿三丁目でも道路上にオープンカフェを常設して、にぎわいの場の創出に貢献をしていると。せわしなくみんな歩いてばかりではなくて、そこで語らうというような場というものの設定は極めて重要だというふうに思っておりまして、コンパクトシティー・プラス・ネットワークを推進するという中で、空間という、あるいは広場という集いの場をどうつくっていくかということは当然まちづくりの中で考えていかなくてはならないし、あるいは自転車とか、歩いて暮らせるまちづくりというようなことは極めて重要なことを取り入れていかなければならないというふうに思っているところです。
  194. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 続いて、先ほどもございましたが、東北新幹線融雪・消雪基地機械設備工事における入札談合について……(発言する者あり)あっ、北陸新幹線だな、失礼しました、について質問をさせていただきます。  官製談合防止法ということでございまして、この官製談合防止法提案者の一人として、ああ、機能しているなというふうに思うところでございますし、また、この入札談合、言語道断であるというふうに言わざるを得ないところでございまして、地元を含めて大変な大きな期待のあるこの北陸新幹線でございます。再発防止もしっかりやっていただきたいなということと、ただ、二十六年度末に開業だということで、もうあと一年という形になるわけでございます。  ただ、やっぱり担当者は、期待のプレッシャーというのは相当あるんではないのかなと。もし入札不調になったらどうするんだろうか、それだけで開業が遅れるんじゃないかという、そういうようなことも考えられるわけでございますが、その辺もやはり過度の負担を負わせないことも大事ではないのかな。つまり、入札不調が起きないような対策是非講じていただきたいというふうに思うわけでございますが、その辺りについての御答弁をいただきたいと思います。
  195. 毛利信二

    政府参考人(毛利信二君) まず、いかなる理由があっても不正は許されないということが基本でございますけれども、一般的に申しましても、御指摘ありましたように、期限が決まっておりますプロジェクトの発注担当者というのは、期限を守るために実際いろんな苦労をしているというのが実態だろうと思います。  最近、私どもで公共団体発注の大型建築工事の入札不調の事例を調べましても、その原因は予定価格がなかなか市場価格に追い付いていないということが一番の原因でございました。このため、最新単価の適用や、業者や資材メーカーから見積りを徴収する方法の活用など、市場実態を的確に反映した予定価格の設定がまず重要であること、それに加えまして、あらかじめ適切な工期を見込んだ工事の発注も重要であるということ、こういった総合的な対策を一月に取りまとめて、繰り返し周知徹底を図っているところでございます。大切なことは、こうした対策の重要性がその発注組織の中でしっかり共有されることであると考えております。  例えば、予定価格を事前公表している場合でございましても入札日前に価格見直しができるということ、これにつきましても、発注担当者の円滑な事務遂行に配慮しまして、国として地域ごと会議等でしっかり説明を行って浸透に努めているところでございます。また、発注事務の担当者が入札手続を進めるに際しまして、その負担軽減を図る観点から、地方整備局等の公共建築相談窓口におきまして相談の受付を開始しておりまして、この二か月で約二百件の相談に対応いたしております。  御指摘を踏まえまして、引き続ききめ細かい対応をしてまいりまして、公共工事の円滑な施工確保や発注担当者の負担軽減を図って、併せて公正な入札の確保ということに努めてまいりたいと考えております。
  196. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 また次に、雪害対策についてお聞きいたします。  先ほどもお話ございましたけれども、二月の半ばに大雪が降りました。私も二月十五日、富山に出張していたわけでございますが、帰り「はくたか」に乗れないで、JR上越線も動いていなかったという形で、「サンダーバード」と「しらさぎ」で名古屋まで戻ってきたんでございますが、テレビ見ていたら本当に山梨が埋もれていたといいますか、そんな状況になっていたというような報道があったわけでございます。  ただ、JR中央本線の復旧が遅れたという理由として、元々除雪用の車両がJRに配備されていなかった、また、貨物列車を牽引する機関車で除雪作業を進めたが、雪に乗り上げて脱線して除雪作業ができなくなった、また、長野県から移動するよう手配した除雪用の車両も長野県でも大雪となったため到着が大幅に遅れた、こういうふうなことがニュースで流れていたわけでございますが、ふだん豪雪地帯でない地域における豪雪対応、こういうものについて、国土交通省としてどのような対策をこれから講じていくのか、御見解をお伺いをしたいと思います。
  197. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) 御指摘をいただきました鉄道関係でございます。  委員指摘のように、JR東日本の中央線につきましては、二月十四日からの大雪で、当日の二十三時過ぎから中央線高尾駅と塩尻駅間で運転を休止をしたということでございます。  その後、今お話のございましたような、本来山梨などには置かれておりません除雪用の車両、モーターカーと言っておりますけれども、こういったものを近傍から取り寄せるといったようなこと、その間は重量の重たい機関車を使って雪を何とか取り除くといったような作業、あるいは人力での作業と、こういったようなことをやっておりまして、結果的には順次除雪を行い運転を再開されましたが、二月十九日の始発から全線で運転を再開し、翌二十日から始発より平常ダイヤと、このようになっております。  今回非常に異例の大雪ということではございましたけれども、このように豪雪対策が取られていなかったというのはまた一方では事実でございます。このため、JR東日本におきまして、今回の豪雪における除雪方法などを検証しながら、豪雪が見込まれる際の効果的な除雪体制、これは除雪用の車両の配備といったことも入るだろうというふうに考えておりますが、このような除雪体制や運行管理について検討を進めるということで、現在検討を行っているところでございます。  私どもといたしましても、必要な対策が適切に取られるよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  198. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 鉄道はまだ駅で止まっていたから、お客さんも駅のトイレ使ったりできたと思いますけど、同じく、道ですね、道。例えば中央高速道路がありますけど、大月から先を通行止めにしていた、だけど大月のところで二十号の方に降ろしたと。だけど、あの二十号、動いていたんだけど、やがて通行止めになって、その渋滞が発生して中央高速までずっと渋滞になってしまった。しかし、八王子はどんどんどんどん通過させていたということがあって、結局、二十号だけじゃなくて、中央高速自体でもう大渋滞というか、身動き取れない自動車の状況になってしまったということでございまして、この道路管理者降雪に関する情報の共有化、そしてそれに対する早め早めの手の打ち方ということが必要かと思っておりますが、国土交通省、改めてこの点についての御所見をいただきたいと思います。
  199. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) お答えを申し上げます。  委員指摘のとおり、道路はネットワークを形成しておりますものですから、各道路管理者間でこういう大雪に際しましても情報連絡を密にしてやらなければならないわけでございます。しかしながら、今回の降雪におきましては、高速道路では東名高速中央道などの五十八区間直轄国道では二十四区間が通行止めになるなどの大きな影響を与えました。  今回の大きな特徴といたしましては、ふだん雪の少ない地域大雪であったこと、したがいまして私どもの除雪対応能力を大きく超過もしておりましたこと、そしてドライバーの冬装備も不十分でございまして、例えばノーマルタイヤのままで峠道でスタックをし、私どもの能力も不十分で大規模な立ち往生につながるというようなケースだったわけでございます。  しかしながら、理由はともかく、先生御指摘のとおり、これらの改善点を早急に講じていかなければならないということでございまして、国交省内でも大臣の指示を受けて議論を進めているところでございます。  今後の方向といたしましては、これは早い段階で通行止めを行って、集中的、効率的な除排雪を実施していくこと、そして、今御指摘にもございましたドライバーに対し的確な情報を届けること、これは直接もございますし、ネットなどを使って機敏に届けることが必要だと思いまして、こういうことを実施してまいろうと考えております。  いずれにいたしましても、今回の対応の経緯等をよく整理、分析をして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
  200. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その大渋滞の中で透析患者を乗せた救急車も動けなくなってしまっているという、そういうようなこともあったというふうに報道されていたところでございますが。  今、道路管理者という話がありましたけど、やはり交通はネットワーク、地域のネットワーク、国道であろうと県道であろうと市道であろうと、一つだけが除雪されてもほかが雪に埋まったら全然機能しないわけですね。やはりそこの道路管理の権限とは別に、やはりその地域丸ごと、とにかく車を動かせるような状況をつくっておくということを計画をしていく必要があろうかと思っておりますけれども、もちろん放置自動車の移動ということも、これについても考えなきゃいけないわけでございますが、その辺に関しての、地域ごと豪雪対応をしていくということについてはいかがでしょうか。
  201. 野上浩太郎

    ○副大臣野上浩太郎君) 今回の降雪各地観測史上最高となるような記録的な大雪でありまして、お話あったとおり、山梨県内ではほとんど全ての主要道路が雪により通行止めになるなど、広域的な孤立状態が生じたということであります。  こういう中で大事なのは、やはり地域ごと、あるいは国と自治体との連携ということが重要になってくるというふうに思っておりまして、今回の大雪でも、高速道路、国道、県道など、道路管理者間において降雪状況情報交換ですとかあるいは通行止めの事前連絡など、連絡を密にしながら対応してきたところであります。  また、自治体に対しては、リエゾン百六人を六道県、十一市町村に派遣をして連絡調整を図ってまいりました。また、国土交通省より四十一台の除雪車を派遣をして自治体の除雪作業について支援を行ったところでありますが、今後ともこのような豪雪の際には自治体とよく連携をして調整をして進めてまいりたいというふうに思っております。
  202. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。終わります。
  203. 和田政宗

    ○和田政宗君 みんなの党の和田政宗です。  冒頭、通告はありませんが、午前の答弁にあった中国公船の魚釣島への接近問題についてお聞きしたいと思います。  去年、魚釣島への中国公船の最接近が四百五十メートルだったと。これ、四百五十メートルというのはもう目と鼻の先です。これはもう中国による意図を持った侵略行為と言わざるを得ません。しかしながら、国交省中国公船接近の意図を分析していない。中国公船の乗組員がもし武器を携えて島を占拠したら、これどうするんでしょうか。これは当然取り返すわけですけれども、最悪の場合、交戦状態になります。  こうした中国公船接近問題は、領土の危機、ゆゆしき事態だというふうに考えております。太田大臣認識と、どうやってこうした行為を阻止していくのか、お考えをお聞かせください。
  204. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この我が国領土を守るということについて、海上保安庁領海、領域を守るということで、尖閣につきましては従来からいろんな管区も含めて応援の体制を取ってまいりましたが、専属体制を取るという体制をしかせていただいて、そして政府全体挙げて体制を取っていくという方向でございます。
  205. 和田政宗

    ○和田政宗君 この事実、一部新聞報道ではあったようですけれども、これをもっとしっかり認識をしていれば国会でも取り上げ方も違ったでしょうし、海上保安庁がしっかり発表なさったのかということ、事実関係、私把握していないのでこういった言い方はあれなんですけれども、これはもう午前の審議でもありましたように、政府、国会合わせて領土を守るということはこれ明確なわけですから、しっかりと国土交通省の方でも領土を守るということで打てる手を打っていただきたいというふうに思います。  では次に、インターネットによる不動産取引について聞きます。  この件は政府のIT総合戦略本部により規制改革を行う方針が示されていますが、国交省取組などについて確認をしたいと思います。  現在の不動産の契約手続については、消費者からすると手間になる部分が多くあると考えます。例えば不動産取引の契約に際する重要事項説明、対面で行うこととされています。わざわざ不動産会社に足を運んだり、日中に時間をつくらなくてはなりません。そして、毎年二百三十万人が他都道府県に転居するというデータがありますが、そういった人も事前に契約しに現地に行かなくてはならないわけです。さらに、不動産会社にとっても、重要事項説明は言った言わないというトラブルが出ますので、時間を掛けて何度も説明しなくてはならないといった事例も生じています。  これをインターネットを活用して、例えばメールでやり取りをすれば記録に残りますし、スカイプなどのテレビ電話機能を活用すればわざわざ足を運ばなくても済みます。また、動画などで分かりやすい説明を受けることで、消費者は契約内容を正確に理解できることにもなります。  政府のIT総合戦略本部が取りまとめましたIT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプランによれば、このように不動産取引における重要事項説明に際しては対面原則の見直し等を行うとしています。この中で具体的には、インターネットでの重要事項説明の解禁については必要な方策を講じるということとなっていますし、電磁的方法による契約書面の交付については検討を行って結論を得るということになっておりますが、私は認めることが必要であると考えています。そして、これらの解禁については、消費者の利便性からも、賃貸と売買を区別することなく一括で行うべきだと考えます。  この規制改革を進めることには大きな意義があると思いますが、国交省としてもどのような意義があると考えるのか、またどう進めていくのか、取組を、大臣、お示しください。
  206. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 不動産の取引におきましては、消費者保護の観点から、宅建業法に基づいて、消費者への重要事項説明の実施や契約内容等を記載した書面の交付が必要となっております。  昨年十二月に、IT総合戦略本部におきまして、対面書面交付が前提とされている制度を見直すという観点から、IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革アクションプランが決定をされています。  我が国情報通信技術の向上や普及状況というものを見ますと、不動産取引においては、遠隔地に居住する消費者の負担軽減、今御指摘のあったとおりでございます、その観点から、インターネット活用の可能性を検討する意義があると私は考えています。  一方、いろんな意見がありまして、実施するとなるとですね、高齢者を始めとする消費者の保護、よく紛争になるとか、今も高齢者に対して特殊詐欺事件が発生するなどということもありまして、そうしたことも含めて取引の公正が確保されるということが重要だという指摘する向きもございます。この指摘された方向というものを踏まえながら、国交省としては、様々な観点というのを踏まえながらアクションプランに従って検討を更に進めていきたいと思っているところです。
  207. 和田政宗

    ○和田政宗君 解禁するということは現行制度と併せてということになりますので、それをうまく活用していけばというふうに私は思うわけですけれども、これ、政府のIT総合戦略本部によりますとかなり前向きに見直し等を行うということですけれども、国交省もその方針に従うということでよろしいでしょうか。
  208. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) そこに書かれている文言というものは、IT総合戦略本部で我々も加わって決定しておる文言でございます。その文言、かなり言葉がいろいろ書いてございますが、文言のとおり、それについて検討をするということでございます。
  209. 和田政宗

    ○和田政宗君 では次に、宮城県沿岸の巨大防潮堤の見直しについて聞いていきます。  まず、前提としてですけれども、宮城県沿岸の住民も私も、防潮堤は全く必要がないと言っているわけではありません。最低限命を守るための防潮堤は必要だと言っている方が多くいます。しかしながら、防潮堤が高過ぎる、宮城県や自治体の住民合意のやり方が強引過ぎるということで反発をしているわけです。  お手元の新聞記事、資料を御覧いただければと思いますけれども、気仙沼の小田の浜では十一・八メートルの計画を震災前の三・五メートルの高さへの復旧に変更するということです。防潮堤に防潮林を組み合わせれば、総合的にレベル1の津波を防げるということです。しかも、コスト三分の一です。これは、住民が結束して反対しなければ、そのまま十一・八メートルで造られていました。しかもコストは三分の一になるわけですから、初めからこうした計画にすればいいわけですけれども、そうなっていないわけです。こうしたところ、宮城県沿岸に幾つもあるというふうに認識をしています。  そこで、質問なんですが、安倍総理は月曜日の予算委員会で、巨大防潮堤について見直しを考える必要があると答弁を行いましたけれども、事業主体である宮城県の村井知事は計画を変更しないと言っています。総理が見直しについて言及したということは極めて重大で、昨日の予算委員会の答弁でも、総理は県に必要な助言を行っていくと発言をしています。総理、このような発言をしておりますが、国交省、具体的にどのように助言をしていくんでしょうか。
  210. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 防潮堤につきましては委員御案内のとおりでございますけれども、中央防災会議の報告を踏まえて、東日本大震災のような千年に一度の最大クラスの津波ではなく、比較的発生頻度の高い数十年から百数十年に一度程度の津波、すなわちL1を基に高さを設定することを基本といたしておるところでございます。このような基本的な考え方は国から海岸管理者に示しておりますけれども、これはあくまで基本的な考え方でありまして、具体的な防潮堤の計画というのは、市町村によるまちづくりの議論などを踏まえ、海岸管理者である県などが適切に定めるものというふうに認識をいたしております。  宮城県におきましては、地元の意見を踏まえて防潮堤の高さ等を変更することとしたところや、あるいは砂浜を残してほしいとの地元の要望を踏まえて防潮堤の位置を変更する予定のところなど、見直すべきところは見直して地元の合意形成を図ってきているところだというふうに認識をいたしております。  これまで、国土交通省として、海岸管理者であります県に対して幹部職員を現地に派遣し、まちづくりなどの議論を踏まえ丁寧に対応するよう助言をいたしておりますし、また、こういった助言を引き続き行うとともに、県から相談があれば、環境保全、あるいは周辺の景観との調和、地元市町村のまちづくりとの整合性などについて必要な助言を行い、合意形成がなされた海岸については速やかに復旧が進むように国土交通省として最大限の支援をしてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  211. 和田政宗

    ○和田政宗君 この巨大防潮堤の建設ですけれども、例えば人口千五百人の地区で、百数十人の住民集会において異論が出なかったということを根拠に合意とされた地区もあるわけです。これ、何をもって住民合意とするのか、国の考えを示してください。
  212. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) お答えをいたします。  防潮堤の復旧につきましては、どういう計画が地元にとって望ましいかについて十分に話し合っていただきながら合意形成を進めていくことが大切であるというふうに考えております。どのように合意形成を行うかにつきましては、海岸管理者である県において適切に判断されるものと考えております。  例えば委員指摘の中島海岸につきましては、平成二十四年七月から十一回にわたりまして地元説明会を行ったというふうに承知をしております。こういった住民説明会等を通じまして合意形成を進め、多くの地元住民が事業計画に賛成しており、七地区全ての地元振興会、これは自治会でございますけれども、早期の事業推進についての要望がなされております。また、気仙沼市長から宮城県知事に対しましても早期の事業促進について要望があり、宮城県知事からは地元の合意形成がなされているというふうに聞いております。  県には引き続き丁寧に対応していただくとともに、合意形成なされた海岸につきましては速やかに復旧が進むよう、国土交通省といたしましても最大限の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  213. 和田政宗

    ○和田政宗君 その合意形成なんですけれども、防潮堤ができなければまちづくりが進まないといって強引に集約しているようなところもあるわけですね。それで、小泉は合意というふうに認識をされたということですけれども、その合意とされた住民集会、私も映像で見ましたけれども、最後まで異論を何人も手を挙げて発言を求めているのにそれを封殺しているというようなことがありました。それで、拍手の承認を求めるわけだったんですけれども、その数も半数ぐらいでした。  それをもってなぜ合意というふうにできるのかというふうに私は思うわけですけれども、これ、住民の合意を集約する場合、まず全戸アンケートなどを行って議論する方法があるというふうに思いますけれども、そうした方法というのは取られていないんでしょうか。
  214. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたけれども、どのように合意形成を行うか、その合意形成の方法等につきましては、海岸管理者である県において適切に判断し、その上で合意を図ってきているというふうに認識をいたしておるところでございます。
  215. 和田政宗

    ○和田政宗君 では、お聞きしますけれども、住民が合意したとされた地区でも、もう防潮堤を造らなければまちづくりが進まないなどと強引に合意形成が行われた地区があるんですね。もう泣く泣く合意というものをのんだという地区もあります。  これ、総理の巨大防潮堤見直しの発言を受けまして、今から見直しが可能であれば私たちの地区も見直してほしいという声、実際に上がっています。今からでも見直すべきだと思いますが、大臣のお考えをお示しください。
  216. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) 防潮堤の計画は、市町村によるまちづくりの議論などを踏まえまして、海岸管理者である県などが適切に定めるものでございます。  例えば、宮城県では気仙沼市の亀山磯草海岸、ここにおきまして、L1に基づく高さである七メーターではなくて、従前の堤防高三・二メーターで復旧することで県と地元が合意をしております。また、気仙沼市の大谷海岸につきましては、砂浜を残してほしいと、そういう地元の要望を踏まえて防潮堤の位置を変更するというふうに予定として聞いております。  このように、海岸管理者である県が地元住民の考えを十分に聞きながら、各海岸ごとに合意形成を図ってきているというふうに認識をしております。合意形成……
  217. 和田政宗

    ○和田政宗君 これ、質問は、その合意とされた地区についても見直しの声が実際に上がっているわけです。今からでもこれ見直すことを私はやるべきだと思いますが、その考え、国交省としてお示しください。
  218. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 度々申し上げているとおり、この合意形成というのは港湾管理者である県が行うものであります。私どもは指導、助言をしていくと、そして地元で合意形成された場合、その海岸につきましては、国交省として速やかに復旧が進むように最大限の支援を行っていくということでございます。
  219. 和田政宗

    ○和田政宗君 私もこの審議でも申し上げていますけれども、国は柔軟な姿勢であるということは重々分かっているんです。ただ、県が合意形成等をかなり強引に、自治体も含めてやっているというふうに思っているんですね。  この巨大防潮堤の建設、国が予算を付けて県が事業主体となっているわけですけれども、国の助言ですとかそういった意向に反して県が計画を見直さない場合、これ予算を付けないことは制度上可能なんでしょうか。
  220. 森北佳昭

    政府参考人森北佳昭君) お答えをいたします。  防潮堤の計画につきましては、高さ等の基本的な考え方、これを国から海岸管理者に示しておりまして、具体的な防潮堤の計画、これは、市町村によるまちづくりなどの議論を踏まえまして海岸管理者である県などが適切に定めるということになっておるところでございます。また、海岸管理者である県におきましては、地元住民の意見を十分に聞きながら合意形成を図った上で適切に事業を進めていただいているというふうに考えておるところでございます。  このような手続を経て実施されている防潮堤の建設について予算を措置するというのが適切であるというふうに考えておるところでございます。
  221. 和田政宗

    ○和田政宗君 この巨大防潮堤を宮城県が進めてしまったことについて、土井亨政務官、「震災学」という雑誌にこう書いているんですね。  タイムリミットを強く意識させてしまったこと、要は、復旧復興事業に集中して財源を投入する期間を震災から五年間の二〇一五年度までと設定したことを国は深く反省しなければなりません。復興交付金は二〇一五年度内に消化しなければならないという理解を浸透させたことに矛盾があるのです。膨大な業務に追われる自治体はその縛りに不安を抱き、防潮堤問題にじっくり取り組む余裕をなくしたというふうに寄稿していますね、これ。  私も、こういうふうに県が焦って計画を立案したという部分はあるというふうに思っています。私はもう当然見直すべきだというふうに思っておりますし、是非国からも県に強力に助言等をしていただいて、もし宮城県が合意されたところでも住民の意見を聞いて見直しをするという柔軟な姿勢になりますれば、一層国の方からも助言や支援をしていただいて、住民が納得する形でこれ造らなければ、本当にもう国土の保全以上に破壊につながるというふうに私は思っておりますので、これは是非そういった考えで国に進めていただければと思います。  この土井政務官が寄稿しています「震災学」第四号、「霞が関からみた防潮堤問題」、これ極めていい、いいと言ったら僣越かもしれませんが、内容だというふうに思います。ですので、是非これに基づいて国も進めていただければというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。  では、次の質問に行きます。  被災地の鉄道再建について聞きます。  被災地の鉄道再建に当たりまして、ルートの変更が生じる場合があります。その場合、いざ津波警報が出たなどというときに、海側から陸側に逃げるのに使用する道路が鉄道の新ルートによって寸断される例が起きております。  このような場合には、踏切の設置やより安全な立体交差を造るべきだというふうに考えますが、自治体によっては予算がなく、諦めようかというような場合もあるというふうに思います。こうした際に、国として支援できることはどんなことがあるでしょうか。
  222. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) 委員指摘のような典型的な事例の一つといたしまして、津波で被災をいたしましたJR東日本常磐線の浜吉田—相馬間というものがございます。この復旧につきましては、JR東日本、そしてまた地元自治体、そして私どもの東北運輸局などから成ります復興調整会議という場におきまして、どのように復旧をするのかということを話合いを行ってまいりました。この浜吉田—相馬間の例で申し上げますと、この復興調整会議検討の結果、平成二十四年十月に、鉄道ルートを安全を考えまして陸側に移設をした上で平成二十九年春頃の運行再開を目指して復旧に着手をすると、このような合意がなされたところでございます。  これを受けて、JR東日本におきましては、現在、地元の協力を得ながら用地の買収を進める、新たなルートでございますので用地の買収が必要でございます、用地の買収を進めると同時に、鉄道と交差する道路、これは委員指摘のところだと思いますが、こういった道路、あるいは水路なども実はあるわけでございまして、こういった個別の問題につきましては、個々の地元と、生活道路としての活用などを考えながら、高架化するだとか、あるいは踏切を集約をするとか、そういったようなことを協議を行いまして、そして、その上で了解を得まして付け替え工事に着手をしていると、このように理解をいたしております。  したがって、このような経緯で、例えばこの浜吉田—相馬間につきましては、踏切の設置場所、もちろんこれは、それぞれの地域ごとに、避難のための通路としての高架を考えて自治体と協議をした結果そのような合意が得られたというふうに承知しておりますが、こういったような合意を得た上で作業は進んでいると、こういうような理解でございます。  仮に、今後新たな要望が出てきた場合ということでございますが、まず御指摘のような費用負担もございますので、どのような費用負担になるのかならないのか、これは基本的には、まずJR東日本と地元地方公共団体の間で十分御相談をいただく必要があるだろうというふうに考えております。
  223. 和田政宗

    ○和田政宗君 では次に、慶長遣欧使節四百周年を活用した観光戦略について聞きます。  仙台藩祖伊達政宗公が、今から四百年前、一六一一年に起きた慶長の大津波の二年後、ヨーロッパに派遣した通商外交使節が慶長遣欧使節ですが、復興のために貿易を行おうというものでした。仙台藩士の支倉常長が日本の外交官として初めて太平洋を渡って、メキシコ、キューバを経て、スペイン国王、ローマ法王に謁見して、ヨーロッパで日本で初めての貿易交渉を行うという壮大な事業でした。  この慶長遣欧使節をきっかけとして日本との交流が始まった国もあります。これは世界史の中でも冠たる事業で、使節団一行のみやびできらびやかな姿はヨーロッパ各地で評判になりましたし、持ち帰った品々は国宝ですとかユネスコの世界記憶遺産にも指定されています。  こうした歴史、日本への観光誘客にも生かせるというふうに思います。四百年前に倣いまして、例えば平成の遣欧使節を同じルートで送るなどして、日本への観光の誘客に活用してはどうでしょうか。また、二〇一五年にイタリアでミラノ万博が行われますけれども、ちょうど四百年前の一六一五年には支倉常長がローマ法王に謁見をしています。そうした機会を捉えてプロモーションを行えば観光誘客につなげられると思いますが、いかがでしょうか。
  224. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 私、これ、初めて聞かせていただきました。  徳川家康が利根川を、東京湾に通じた利根川を太平洋側に付け替えるという利根川の東遷、そして荒川の西遷、あるいは大阪の大和川改修、そして伊達政宗の北上川改修、一六〇〇年前後というのは我が国の土木においても極めて重要なときだったと思いますが、これを聞きまして、これは観光庁とも連携取って、地震があった後なんですよね、これ、非常にそういう意味からいきまして意義のあることだと思います。  観光庁ともよく連携取って、これがより大事な、復興についてかなり、目の前の復興だけじゃなくて、希望が持てるとか歴史を持つとか、そういうことの中で、いいイベントやプランということで実っていくというのは非常に大事なので、観光庁とも、私もよく言って、少し研究させていただければというふうに思います。
  225. 和田政宗

    ○和田政宗君 時間が来ました。  そのほかにも、歴史遺産を生かした全国の城郭やお城の再建ですとか、あとは宮城県の貞山運河という、これ日本最長の運河があるんですが、こちらを生かした観光活用などについてもお聞きしようと思ったんですが、これはちょっと次回以降の国交委員会に回させていただければと思います。  政府参考人も今日お越しいただきましたが、質問できず、申し訳ありませんでした。  私の質問を終わります。     ─────────────
  226. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、藤巻幸夫君が委員を辞任され、その補欠として寺田典城君が選任されました。     ─────────────
  227. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  三月三日、富山県内の北陸自動車道サービスエリアにおいて、高速乗り合いバスが停車中の大型トラックに衝突し、乗客乗員二名が亡くなりました。二十四名が重軽傷を負う重大事故が発生いたしました。心からお悔やみとお見舞いをまず申し上げます。  大臣にまず聞きたいと思います。  今回の事故については、運転手が何らかの病気により意識を失った可能性が指摘をされております。また、事故まで十一日間連続勤務していたと、過酷な勤務実態も報道をされております。こうした中で、バスの安全に対する国民の不安が広がっております。実際、運転手の病気を原因とするバスの重大事故が二〇一二年には五十八件も発生をしております。これ、十年間で三倍以上にも増えております。  私は、バス運転者の長時間労働の改善、過労運転の防止へ抜本的な取組強化を図ってバスの安全を確保するべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  228. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この度の事故において被害に遭われた方々に対しまして、心からお悔やみを申し上げたいと思います。  直ちに現地に職員派遣したり、あるいは高木副大臣を本部長とする事故対策本部を設置したりしまして、これは重大な事件であるということで調査をさせていただき、東北運輸局が事故を起こした事業者に監査を実施したりということをさせていただいております。事故原因は、今御指摘のありましたようなことは報道では言われておりますが、ここは大事な問題でありますので、調査分析を更に進めさせていただきたいというふうに思っているところです。  この数年というお話がありましたが、例の、二十四年四月二十九日だったと思いますが、関越道における高速ツアーバスの事故がございまして、体制を変えて、昨年から、高速・貸切りバスの安全・安心回復プランという中で、高速ツアーバスの新高速乗り合いバスへの移行、一本化や交代運転手の配置基準改善措置を定めて、二十五年、二十六年度の二年間にわたって集中的に実施するということをさせていただいているところでございます。  十一日間連続勤務ということも指摘をされましたけれども、これは労使間の協定があれば十三日間連続での勤務も認められるという決まりもあったりするんですが、いずれにしても、過重労働とか、あるいは何らかの病気とかいうようなことが引き金になって重大な事故が起きるということの現実をよく見まして、何ができるかということを考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  229. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 私は、バス運転者の過酷な長時間労働の背景には深刻な運転者不足があるというふうに思うんです。  国交省は昨年の十二月に、地域の生活交通を支えるバス輸送の維持や安全の確保の観点から、バスの運転者の安定的な確保と育成は喫緊の課題だと、こうしまして、バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会、これを立ち上げております。今回事故を起こした宮城交通の社長はこの検討会のメンバーでもありました。第一回検討会で、運転手不足による影響として、高速路線の運休や休日出勤率の高止まり、これをこの委員会でも報告をしているんですね。  事故を起こした運転者だけの問題ではないと思うんです。会社全体で休日出勤、長時間労働が常態化していることを国交省は知っていたのかどうか、これ、局長、どうですか。
  230. 田端浩

    政府参考人(田端浩君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、昨年十二月にバスの運転者の確保、育成に向けた検討会ということを立ち上げまして、今後の労働者不足問題に対応してまいろうと考えておるところであります。学識経験者、教育関係者、労働組合のほか、ただいま御指摘ありました宮城交通の社長も含めて、バス事業者五社に参加をいただいてございます。ここで現場の実情をよく、きめ細かく把握しながら検討を進めているところであります。  データにつきましては、この五社の社長さんからデータなどについて御紹介をいただきました。私どもも、こういうデータとともに私どもで把握できるデータを分析をしながら、今後の安定的な運転者の確保についての効果的な対策を進めてまいりたいと、このように考えております。
  231. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 先ほど大臣の方からも過重労働の問題ということがありましたが、私、これ、この会社だけの問題ではないと思うんですね。バス事業者共通の問題だと思います。労働基準法や改善基準告示違反があれば厳正に対処するというのは当然ですが、同時に、仮に改善基準告示を守ったとしても、最大十三日間の連続勤務や過労死基準、これ残業八十時間以上ですね、これを上回る長時間労働が可能ということになっておりますから、私はこの改善基準告示自体の見直しというのが必要になっているというふうに思っております。この問題、また次の委員会で改めて議論をしたいと思います。  今日は、リニアの問題、ここを突っ込んで議論をしたいと思うんですね。  二〇一一年の五月に、当時の国交大臣が、全国新幹線鉄道整備法に基づいて、リニア新幹線の営業主体及び建設主体にJR東海を指名いたしました。建設の指示が出ました。最近は、災害のためとか代替のためとかいうことで、高速道路がもう一本必要だとか、いろいろ、橋が必要だという議論が横行していると思うんですが、このリニアの建設に関しても、リニアでは二重系化ということまで言われております。もう一本リニア新幹線必要だと、代替、二重系化でですね、これがリニア建設の理由の一つに挙げられているわけでありますけれども、この東海道新幹線老朽化に伴う大規模改修工事があって、そしてそのときには東海道新幹線を長期間止めなければならないので、日本の経済に影響を及ぼすんだというふうにJR東海は説明してきたわけでありますが、その点はこれで間違いないでしょうか。
  232. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) 一般的に、鉄道施設の老朽化対策というものは日頃の維持管理の中でまず対応がなされ、そしてまた、やや規模が大きくなりますとそれに応じた対応というのがなされます。そしてまた、運休をしないようなレベルでの改修工事というものがなされることがあります。しかしながら、例えば鉄橋の本体構造物などがかなり老朽化してさびているとかいう場合、これ自体を取り替えなきゃならぬということが仮に生じてまいりますと、当然そのような場合には運休する必要性といったことを検討する必要があると、こういったことになると思います。  そこで、御指摘のリニアでございますが、リニアについては、当然のことながら、リニアの開通前に東海道新幹線を止めるということは、現在東海道新幹線が担っております東京—大阪間を中心とする高速鉄道の機能を大きく阻害することになります。そこで、リニアができれば、リニアが開通いたしますと、その開通した区間、東京—名古屋あるいは東京—大阪につきましては、東海道新幹線についても運休を含めたような非常に大掛かりな構造物の取替えといったことが行えると、こういったような問題意識をJR東海は持っているというふうに考えております。
  233. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 JR東海がトンネルや橋の大規模改修工事を、これ昨年から実は始めましたね。JR東海いわく、新幹線史上最大の改修工事だと。工事の対象は、鉄橋二百三十三か所、トンネル六十六か所、あと高架橋などで、これ通常の補修ではなくて老朽化を未然に防止する変状発生抑止対策といいまして、鉄橋を鉄板で囲ってその中にモルタル、これを流し込んでCO2との接触を防いで未然に老朽化を防ぐと、こう言っているんですね。これ、十年今後続くと、この工事では運休はもう必要ないとJR東海は言っております。  もう一つ驚いたのは、この老朽化対策によって今後何年ぐらい使えるのかと、これが物すごく延びるということをJR東海は言っているんですよ。これ、実は五十年延びると。百五十年延びると報道しているところもあるぐらいなんですね。このことを認識されておられますでしょうか。
  234. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) 御指摘のように、JR東海は今年度からいわゆる大規模改修工事に着手をいたしました。これは、本来であれば平成三十年度から着手をする予定でございましたけれども、笹子トンネル事故がありましたので、私どもの方から大規模改修工事の前倒しを検討するように指導いたしまして、その結果、二十五年度から大規模工事に着手したわけでございますが、当然のことながら、この大規模改修工事で東海道新幹線を止めるということはできません。したがいまして、止めない範囲内でできる最大限の大規模改修工事を現在行っているということでございます。具体的には、橋梁の接合部の補強であるとか、橋桁の部材の取替えであるとか、こういったことは、現在、運行には支障を与えない範囲内で実施をできると、こういったものでございます。  その上で、これが一体何年もつのかということでございますが、これについては確たる見通しというのは誰も多分持っていないんだろうと思います。というのは、老朽化というものは日々の維持管理を行うことによって寿命が延びてまいります。言うまでもなく、明治時代に造られたれんが造りのトンネルというものが維持管理をしっかり行いますと現在でも使えているというような例がございます。  ただ、場合によっては、どうしても鉄橋の取替えであるとか、あるいはトンネル自体の造り直しをしなきゃならぬというふうな状況、地形などによっては生じてくるということでございます。したがいまして、日々の維持管理と一緒に併せて検討する必要があるというふうに考えております。
  235. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 そのほか、JR東海は独自に開発した脱線防止ガードというのを設置をしておりまして、東海地震での揺れに匹敵する千三百ガルでも効果があると、こう言っております。東海会長の葛西氏は、ある雑誌のインタビューの中で巨大地震への備えはと、こう聞かれて、東海道新幹線は施設の補強などの地震対策を行っており、想定される地震で長期間止まることはないと、こう答えているんですね。  私言いたいのは、二〇一一年の時点で想定されていないような、答申を行ったときに想定されていないような新技術というものがJR東海で開発されて行われていると、だから当時の議論とは少し違った様相になってきているということを私は改めて言いたいと思うんですね。それでも大地震が来たらどうするんだと、バイパスで必要なんだという方がおられるんですけれども、しかし、リニアだって大地震が来れば本当に安全、安定なのかというのは誰だって分からないわけですよ。  公益財団法人の日本自然保護協会は、南アルプスを横断するこのトンネルは常に断層変位や隆起による地殻変動、変位によって破壊される危険を有しているとして、幾つもの活断層を横切るリニアは人命を軽視していると、このリニア事業の凍結を求めているわけであります。私は、このリニアの建設、そもそも採算が取れるのかというところも疑問たくさん出されていると思うんですね。  これから、大臣、よく言われるように人口減少時代、入ってまいります。最新の日本の将来推計人口によりますと、今年二〇一四年と二〇四五年、つまり東京—大阪間ですね、この比較では、総人口一億二千六百万人から一億二百万人へと減少すると。私、次が大事だと思うんです。十五歳から六十四歳までのいわゆる生産年齢人口、これ現在では七千七百万人でありますけれども、これが五千三百万人、つまり二千四百万人減少すると。一方、六十五歳以上の人口というのは現在の三千三百万人から三千八百万人、五百万人増えると。二〇六〇年までこれ見ますと、人口そのものが八千六百万人、生産年齢人口が四千四百万人、つまり今よりも三千三百万人、四三%も十五歳から六十四歳までの人口が減少をするということになっているんですね。  ところが、JR東海の試算ですね、収支の試算では、名古屋の開業時で一〇%、大阪開業時で一五%の収入増が見込めるというふうになっております。  このJR東海の試算、人口の構成ですね、これをきちんと加味した上での試算になっているんでしょうか。
  236. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) リニア中央新幹線につきましては、交通政策審議会の中央新幹線小委員会におきまして二十回にわたりまして有識者の皆様に幅広く御議論をいただいております。この中で、経済社会情勢について様々な前提条件を設定して需要予測を実施をしているということでございます。  まず人口の方でございますが、国立社会保険人口問題研究所の日本の都道府県別将来推計人口などに基づきまして、将来における人口の減少を前提としております。御指摘の生産年齢人口の割合の変化に特化した分析につきましては特段行っておりませんが、一方で、JR東海の経営状況に関する長期試算見通しの検証につきましては、経済成長率が〇%という最も厳しい想定に基づいた需要予測に基づいて試算を行っているところでございます。  したがいまして、いろいろな条件の設定の仕方はあろうかと思いますが、この交通政策審議会における検証については十分慎重な手堅い見通しに基づいて行われているというふうに理解をいたしております。
  237. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 人口の中身は試算していない、加味していないということでありました。  交通政策審議会の中央新幹線小委員会でも独自に別のまた調査をしておられますね。それではどうですか、人口の中身、構成、これ加味してやっているんですか。これ簡潔に。
  238. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) ただいま申し上げましたのが交通政策審議会における需要予測の問題でございまして、これは、先ほど申し上げましたように、生産年齢人口の割合の変化に特化した分析というのは行っておりませんが、経済成長率については非常に慎重な手堅い見方をしているということでございます。
  239. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 行っていないということなんですね。  新幹線の利用というのは、これ誰が見てもビジネス客が大半なんですよね。そのビジネスで、十五歳から六十四歳までの人口が三千三百万人、二〇六〇年までに減るということを加味していない試算というのは、私はあり得ないと思います。  甘い見積りで失敗した事業というのは、もう言いませんけれども、数知れません。ずさんな需要予測で採算が取れないことが想定される。これだけ大きな事業で、JR東海が独自でやるんだからと言いますけれども、これ一企業に任せる、私はこんな危うい事業というのは絶対推進してはいけないと、見直すべきだというふうに言いたいと思います。  リニアに関してはこれだけではありません。環境に与える影響、これも重大であります。  昨年、環境アセスの準備書がJR東海から出されました。事業予定地の周辺自治体から意見がたくさん出ております。その後、アセスの結果の修正、評価書、が行われる予定になっております。  環境省並びに国交省はこのアセスの評価書に関わっていくということになろうかと思いますが、どういうふうに関わっていくのか、簡潔にお願いします。
  240. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、今準備書の手続中であると承知してございます。  その後、まず事業者は関係知事等の御意見を踏まえていただいて評価書を作成いたします。その評価書は速やかに許認可権者である国土交通大臣に送付をされます。さらに、その評価書は国土交通大臣から環境大臣へ送付されると、こういう手続になってございます。  その後、環境大臣は四十五日以内に環境の保全の見地からの意見国土交通大臣に申し上げて、さらに国土交通大臣は環境大臣意見を勘案して事業者に対して環境保全の見地から意見を述べる、こういう手続になろうかと思います。
  241. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 様々な自治体からの意見が出されております。  水枯れ問題、先ほど大井川の話がありましたが、私、山梨県の御坂トンネルというところに行ってまいりました。これ実験線が通っているところなんですね。年間の湧水量、これが六百六十万キロリットル出てきたと。山梨県というのは全国一のミネラルウオーターの生産県で、年間九十三万キロリットルなんですよ。それ以上の湧水量が出てきているということであります。大井川は先ほど毎秒二トンの水量減少になると。しかし、JR東海はこういった影響は少ないという、そういう環境評価の準備書を出しているんですね。  一月に静岡県静岡市の意見書というのが出ておりまして、大井川についてはこう言っております。河川上流部での毎秒二トン程度の水量減少は小さくない、大きな変動値であり、自然環境や下流域の生活、経済活動を始め様々な影響が懸念される、こう言っているんですね。  私は、この水がれ問題だけではないと思います。一番大きな問題の一つは、残土問題だと思うんですね。  リニアは総延長で四百三十八キロでありますけれども、これ相当量の発生土、残土が出てきます。六千三百五十九万立米ということになりますけれども、これ東京ドーム五十一個分の量であります。このうち、この残土、発生土置場が決まっているのはどれぐらいですか。
  242. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 私ども、まだ評価書が送付されておりませんが、準備書、公開されている準備書で見る限りの状況をお伝えいたします。  先ほど、全体で六千三百万立米余りの残土ということでございますが、このうち私どもがお聞きしておるのは、山梨県の一部と、それから静岡県についての発生土の置場の候補地が示されているというふうにお聞きしてございます。
  243. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 これ、きちんと候補地が決まっているのは静岡の三百八十二万立米だけなんですね。これ全体の六%しかまだ決まっていないんですよ。この残土の置場が決まっていないものですから、実は環境影響の評価のしようがないじゃないかと、決まっていない、どこに行くか分からないわけですから、そういう声も出されております。  これから環境影響評価意見を環境省、国交省が出した後に、工事実施計画の申請が行われて、国交省が認可という運びになるんでしょうけれども、しかし、この残土の処理の問題、この問題が解決しないと私は建設できないというふうに思うんですが、これ大臣、どうでしょうか。
  244. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) ただいま委員指摘の建設発生土につきましては、環境衛生評価準備書の中で各都県ごとの発生量の予測が今なされているところでもございます。そして、その中に、実行可能な範囲内での再利用及び再資源化を図る、再利用及び再資源化ができない場合は、関係法令を遵守をし、適正に処理、処分をすると、対応を講じる旨が述べられております。  今後、JR東海からは沿線自治体からの意見を踏まえた環境影響評価国土交通大臣及び環境大臣に提出される予定であり、JR東海に対して建設発生土を含め、適切に対応するよう指導してまいりたいと思っております。
  245. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 結局、人ごとのような話になっているんですね。  静岡市が今年一月に提出したこの準備書への意見書では、世界自然遺産で求められるクライテリアは非常に高い、これからエコパーク申請、自然遺産に登録しようという話になっているけれども、この本事業と世界自然遺産登録との両立は難しい、こう言われていますと。ユネスコのエコパークについても同様に、阻害要因となる可能性が高いと考えますというふうに指摘をしているわけであります。  私は、このリニア建設に関しては、建設そのものの大義、収益性、環境問題、中間駅の乱開発の計画等々、問題が私は多過ぎるというふうに思っております。  三・一一の東日本大震災から三年がたちました。東日本の震災、福島第一原発事故以降、自らのライフスタイル、とりわけ電気の消費を見直さなければならないと考える人が少なくありません。東海道新幹線の三倍の電気の消費を伴うリニアは本当に必要なのかと、速いことはええことだと、これだけで巨費を投じるリニアの建設、これ意義、必要性は私は薄弱だと言わなければならないと思います。  総工費は九兆三百億円であります。これを夢の超特急とかアベノミクスだと、オリンピックだとあおることが私は政治の責任、仕事ではないと思います。人口、とりわけ生産年齢人口が減っていくことを受け止めて、経済成長偏重の政策を見直して、そして何よりも大自然に対して謙虚になること、私、重要だと思います。  大臣は、リニアの建設、人の流れを劇的に変えるとおっしゃいました。しかし、人口減少時代に備えようと、四十年、五十年先の国土のあるべき姿を論じておられる大臣が、人の流れも働き方も、また航空行政もライフスタイルも都市の在り方もがらりと変えてしまう、それも多数の方々が望まないような方向に変えてしまうおそれのあるこのリニアに関しては余りにもビジョンが欠落していると私は思います。  こんな大変な大事業がほとんど国会で審議がされておりません。私はこのリニアの建設には反対の立場でありますけれども、推進の立場の皆さんも、実際にどのような問題が起きるのか、国会として話を聞く場をちゃんと持つ、調査をもう一度し直すということを提案して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  246. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会の室井でございます。よろしくお願い申し上げます。  早速質問に入りますが、私は、社会資本ストックの関係質問を二問、まずさせていただきたいと思います。  高度成長期以来に蓄積してきた膨大な社会資本ストック、これが更新時期を迎えております。その老朽化対策が喫緊の課題になっております。社会資本ストックを管理している都道府県、また市町村には、人口減少を考えたとき、厳しい財政制約を考慮し、地域経済への影響等も踏まえ、社会資本ストックの規模や施設数を見直す必要が出てきたのではないか、このように思っております。  残すべきインフラの選別に当たっては、社会資本ストックを管理している都道府県や市町村において検討することが基本となっておりますが、国土交通省指導力を発揮してインフラの選別に向けた検討を早急に開始すべきと考えますが、今後の取組についてお聞きをしたいと思います。
  247. 坂井学

    大臣政務官(坂井学君) 委員指摘のように、社会資本ストックの戦略的な維持管理、そして更新を進めていくことは極めて重要でございます。  そのためには、まず、それぞれが管理する各施設が果たしている役割、機能を再確認をすることが必要であり、その上で、その施設の必要性自体を再検討して、そして社会経済情勢の変化に応じ、機能の転換でありますとか、それから複合化、集約化などを、これを戦略的に進めていくということになろうかと思います。  その具体化に向けて、それぞれの自治体地域づくりと一緒にその中身を考えていくということでございますが、国土交通省といたしましても、その指導力を発揮をしてということの御指摘の中で、まず一つはコンパクトシティーという概念がありますが、地方自治体に対して、中心部への必要な機能の集約、公共交通の活性化、こういったやり方があるとか、こういった施策、制度を整えてコンパクトシティーを推進をするという方法や、それから施設ごとの管理の方向性を位置付ける個別施設ごとのインフラ長寿命化計画というものを策定をすることになっておりますが、これに関わる助成、そして助言というようなことによりまして御指摘指導力を発揮してまいりたいと考えております。
  248. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 引き続き二問目の質問をさせていただきますが、小規模な地方公共団体においては、その管理する社会資本ストックを適切に維持管理し得るだけの人材が不足しているというような問題がございます。  国土交通省平成二十四年七月に全市町村を対象に橋梁管理に携わる土木技術者の人数を調査した結果、土木技術者職員がいない自治体が、市区では一四%、町では四六%、村では七〇%に上ることが明らかになっております。  維持管理、更新に関する専門知識を持つ人材を確保するために、国土交通省としては、そのような自治体に対してどのような対策、また指導検討しているのか、お聞かせをください。
  249. 坂井学

    大臣政務官(坂井学君) お答え申し上げます。  まず一つの方向性といたしまして、これら地方自治体職員の能力を引き上げるということを考えておりまして、そのためには、国土交通省が実施をいたします研修の充実強化ということ、そしてその中で受講者の数を拡大をし、そして地方自治体職員の一層の受入れを図るということを考えております。  二つ目が、それでもなお喫緊の課題でございますので、技術相談に対する窓口を各地方整備局に設置をいたしまして、技術的助言を行う体制を充実させるとともに、維持管理に係る基準やマニュアル、これは判断ができる職員を増やすということのためにこの基準やマニュアルを明らかにし、そして提供していると、こういうことをさせていただいております。  これらの施策を充実をいたしまして、各地方自治体がインフラを確実に維持管理できるように支援を続けていきたいと思っております。
  250. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 体力の弱っているまた地方自治体もございます。その点はしっかりと見極めながら、無理に押し付けるというか、そのような細かな気配りをしながらひとつ指導をしていただきたい、このように願っております。よろしくお願いいたします。  次に、観光庁関係質問を二問させていただきます。  震災から三年を迎え、被災された方々に復興を感じていただける、様々な課題にきめ細かく対応し、復興の加速に全力で取り組むことが更に必要であると、このように考えております。  宿泊旅行統計調査によると、観光客中心の宿泊施設は、平成二十五年に入っても、平成二十二年時と比較をいたしますと、東北六県、この中にもちろんあの三県、岩手、宮城、福島入っておりますが、いずれも二割ほどのマイナスになっております。被災前の水準に戻っておらないということであります。  東北地方の観光需要の回復などを通じた観光振興が被災地域復興の一つのバロメーターになると考えられるが、観光の振興としてどのような取組が行われているのか、お聞きをいたします。
  251. 久保成人

    政府参考人(久保成人君) お答えいたします。  大震災によります風評被害等を含めまして減少した観光需要、御指摘のとおり、一定程度は回復はしてきておりますけれども、震災後の落ち込みから完全に回復しているわけではございません。関係者が全力での取組が求められているところであります。うち観光は、やはり復旧復興をしていく上で私どもとしては大変重要な役割を担っておるというふうに考えております。国交省全体で観光需要の回復に向け、様々な取組を行ってきております。  国内観光につきましては、当初の平成二十四年度には、まず東北地域全体を一つの博覧会場と見立てて、東北地域の様々な取組連携させて情報発信を統一的に行って旅行需要の喚起を行う、東北観光博と称しておりましたけれども、実施をいたしました。  本年度、二十五年度でございますけれども、太平洋沿岸エリアを中心に、情報発信体制の確立、それと地域ならではの旅行商品の造成、復興ツアーの実施、それと震災の語り部という形のガイドの育成だとか震災学習プログラムといった形で来訪者に震災の記憶を伝承をしてもらうと、そういう取組もやってまいりました。こういった取組に対する支援を行っております。  また、福島県におきましては、県さんが企画立案し実施される風評被害対策、あるいは災害復興に資する観光関連事業、これに対しては補助を行っております。二十六年度においても、これらの支援を引き続き実施してまいりたいというふうに考えております。  一方、訪日外国人旅行者向けには、放射線量等についての正確な情報発信を続けておりますが、これは引き続ききちんと行っていきたいと思っております。  加えて、海外のメディアだとか旅行会社を招請いたしまして、実際に来て見てもらうと、こういうことを、これは結構効果的でございますので、実施しており、また今後も続けていきたいというふうに思っております。  これらの取組を通じて、一刻も早い観光需要の回復に向けて各種対策に今後も取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上です。
  252. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 もう一点、観光に関わる質問をさせていただきたいと思います。  観光立国実現に向けたアクションプログラムについてお聞きをいたします。  観光は裾野の広い産業であり、観光庁の所管以外にも観光立国実現のために重要となる施策分野が多数存在をしております。東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に向けて、二千万人の訪日外国人旅行者数を目標とするアクションプログラムを改定する方向で現在検討が進められると聞いております。  これまでの観光立国政策において、今後どのような施策を重点に置かれていくのか、お聞かせをください。
  253. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 昨年六月に策定をいたしました観光立国実現に向けたアクションプログラムでございますけれども、今議員御指摘の、二〇二〇年、訪日外国人旅行者数二千万人の高みを目指しまして、現在、政府一丸となりまして観光立国を推進するため改定作業を進めているところでございます。  現行のアクションプログラムの主要項目として、日本ブランドのつくり上げと発信、ビザ要件の緩和等により訪日旅行の促進、外国人旅行者の受入れの改善、MICEの誘致や投資の促進、この四点を強力に推進するべく、現在、必要な各種の施策を盛り込んでいるところでございますけれども、一方、今回の改定に当たりましては、これらの四点に加えまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催国としての国際注目度を生かした訪日プロモーションの強化など、オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興、そしてまた、訪日外国人旅行者増大の効果を首都圏や一部の主要観光地のみならず日本の各地に波及させるため、私は東京プラスワン、東京プラスツーというふうに表現しておりますけれども、各地域での魅力ある観光地域づくりといった点につきましても新たな重要な柱として位置付けまして、これらを推進するための施策を盛り込んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  254. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  いろいろと目標を立てておられ、前向きな姿勢で真剣に努力をされておられる皆様方に敬意を表する次第でありますが、目標は簡単には立てられます。実際、今、日本に対する外国人の旅行者、入国旅行者ランキングという、釈迦に説法でありますけれども、今現在、日本の国が世界で三十三位だと。今度、一千万人から二千万人というと、そう簡単なものではありません。二千万人で目標を達したとしても、世界十六位ぐらいの順位になるのかなということでありますが、もちろん、我々も真剣に協力し、皆さん方の努力を評価しておりますけれども、よっぽど腹をくくって取り組んでいかないと、二千万人、非常に厳しい状況である、私はそのように思っております。どうかしっかりといろんな情報を取り入れながら、これほどすばらしい四季のある国というのは珍しい国だと私は思っております。是非そのすばらしいところを海外に発信できるように、更なる御努力をお願いを申し上げます。  続きまして、復興関係質問をさせていただきます。先ほど来、各先生方と本当に重複して申し訳ないんですが、御辛抱いただきたいと思います。  国はこれまで、被災地において人手不足、資材不足に対応するため、復興JVの導入、またさらに、公共工事設計労務単価の引上げ、発注規模の大型化、生コンの増設、入札不調対策に当たって本当にきめ細かく気配りをしながら努力をしていただいております。また、二月の二十四日の予算委員会におきましても、安倍総理は、復興の加速化に全力で当たっていると答弁をされております。  しかし、残念ながら、建設現場においては、足場を組むパイプが足りない、外国から輸入を考えている、こういう話や、全国平均より建設労務単価は高く設定しているにもかかわらず人が集まらない、このような問題をそれぞれ先生方は捉えておられました。  そういう中で、このような状況に輪を掛けてオリンピックの開催が決定され、そろそろ会場の建設が進められようとしております。オリンピックについて、被災地の約六割の首長さんの皆さん方が、復興復旧にマイナスの影響がある、このようにも感想を述べられております。  さらに、追い打ちを掛けるように、先ほど来質問いたしました社会ストック、これが建築五十年をもう経ております。今大臣も、しっかりと社会資本の老朽化に対して対応していきたい、またさらに、そういうことになると、土木技術者の職員の不足、またそういうものが覆いかぶさってくるのじゃないのかなと、こんな心配をしております。これまでどおりに国の入札不調対策を進めても問題の解決にはならないのではないかと私は心配しております。  国土交通省として、更に今後どのように取り組むおつもりなのか、御所見をお伺いをしたいと思います。
  255. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 入札不調を始めとして、いろんな現場の声を聞きながら対策をしています。復興は何が何でも加速をしなくてはなりません。そして、全国の首都直下地震やあるいは南海トラフの地震、これも相当切迫しているという観点でそれぞれ対応していかなくてはなりませんし、災害が激甚化、局地化、集中化しているという昨今の状況対応するということも必要です。  ただ、オリンピックということについては、私はオリンピックをゴールにはしない、また、してはならないと。昭和三十九年型の、いろんなものを造るというだけのオリンピックにはしないと。むしろあのときには四十年に逆に不況が来ました。  私は、二〇五〇年というグランドデザインということを考えているのは、オリンピックでいろいろ造って終わってということであってはむしろならなくて、二〇五〇年が高齢社会ということであるならば、バリアフリーのまちづくり、そしてパラリンピックもありますから、そうしたことの先鞭を着けるというモデルをつくるということが大事だと。  また、江東区中心に建物ということになりますけれども、ここもコンパクトなオリンピックということを考えたり、あるいは日本の国産材の木材を使うとか、様々工夫をしながらやっていくということが大事であるというふうに考えておりまして、その意味では、二〇二〇年というのはこれからの全国のグランドデザインの助走、そして外国人が大勢来るということもまた、これに対応するということから考えますと、それは二〇四〇年、二〇五〇年は相当外国の方が来ているという、そういう日本をつくるという先駆けにしていかなくてはならない。そういう長期的な展望の上に乗っかった、二〇二〇年ゴールではなくて助走期間、一里塚にするという位置付けを崩さないでオリンピックに向かっていきたいというように思っているところです。  室井先生がおっしゃったように、いろんなことで、そうしたら、若い人がいないんじゃないか、技能者がいないんじゃないか、足場組む人はどうなんだと。これ構造的な問題で、そうしたことは長期的に本格的にやっていかなくてはいけないということもよくにらみながら、ただ、今言われていることについては、私はもう本当に毎日のようにそういうことを心配しながら、現地にも行ったりして手を打っているところでございますので、生コン難ということを去年ずっと言われて、今年は余り言わなくなりましたが、宮城県が四つの生コンプラントを造っていただいたり、九月には宮古、釜石で私どもが国で造っていったり、あるいは現地で造るというよりも、二次製品を使って、山形県とかいろんなところからも運ぶということで、現地の建設業者は我慢をしてもらうというようなこともさせていただいたり、ありとあらゆるできることを、労務単価はもちろんでありますけれども、やらせていただいて、何としてでもオリンピックもパラリンピックも成功させなくちゃいけない、全国の防災もちゃんとしなくちゃいけない、災害にも耐えなくちゃいけない、やらなくちゃいけないことは山ほどあり、しかも財政的な制約がある中でそれをどうやるかということで、今本当に一生懸命私やっているという状況でございます。  本当にいつもいつもそういうことを注視してやっている状況で、新聞などに、ここが何回も入札不調だとこういったら、直ちにそこはなぜかということで全部調べ上げて、先ほど築地市場のことも言いましたし、また福島県の門田地区という、会津の方にありますが、そこ、三つのうち一か所が入札不調になりました。なぜだと聞いてみますと、一緒の発注でやっていくけれども、三つに区切りましたものですから、そこの真ん中のところが入札不調になった。それじゃ、この入る通路のお金が積算されていなかったということが原因だということで、そこを積算するという措置をとって落札をしたというようなことがありまして、一つ一つ注視しながら、私は予算が執行され、やっていくことが大事だというふうに日々思っているところでございます。
  256. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 いや、本当に大臣のすばらしい熱弁を聞かせていただきまして、ちょっとほろっとしてきたような感がございます。  一点だけ、野田国義先生から質問の中で、これだけ国交省が努力している中で、建設労務者の単価は高く設定しているにもかかわらず人が集まってこないと。たまたま現場の従事している方と会えたと。実際、こういう現場の、まあ底辺という言葉は失礼でありますけれども、現場で働いておられる建設労務者の皆さん方に、せっかく単価を上げても中抜かれているんじゃないかというような、そういう心配もありました。私も同じようなことを思うわけであります。また、そういうきめ細かなところも一度しっかりと調べていただいて、そういう建設労務者の方に、単価を上げているにもかかわらず御本人たちには伝わっていないというか、受け取っていないということがどうも心配になります。どうかその点もよろしく御指導お願いしたいと思います。  大臣の熱弁のおかげで時間がなくなってきまして、十六分までということでありますので、あと大臣の御答弁いただける分もあるんですけれども、先生に御迷惑掛けたらいけませんので、私は一分ほど、あっ、ちょうどですね、これで終わらせていただきます。
  257. 寺田典城

    寺田典城君 結いの党の寺田典城でございます。よろしくお願いいたします。  相当昔の話になるんですが、地方分権と言われまして二十年になります。あの当時は、私、市町村行政携わっておったんですが、その後、小泉改革の中で三位一体の改革とかいろいろ打ち出されまして、二〇〇五年には、平成十七年なんですが、要するに町村合併、合併特例法ができまして、三千二、三百から千八百ぐらいまでになりました。その後、第一次安倍内閣のとき、地方分権改革推進法ができて、地方の出先機関は統廃合しますよという話になっています。  当時、二〇〇五年は、北東北三県は二〇一〇年になったら合併するだろうねという、そこまで三県の知事と話はしておりました。ところが、さっぱりこの頃はその話も立ち消えになっておりまして、要するに、この出先機関を廃止するという、国土交通省地方整備局を廃止するという考えはまだお持ちですか。
  258. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 国の出先機関につきましては、第一次安倍内閣というよりも、平成二十年十二月の麻生政権時の地方分権改革推進委員会の第二次勧告におきまして、これは正式に、廃止ではなくて統廃合などが初めて盛り込まれたというのが経過でございます。  御質問になりました地方整備局は、根幹的なインフラの整備、管理や大規模災害時における被災地の早期復旧などに不可欠の役割を果たしてきているというふうに思っております。実際に東日本大震災国交省東北整備局が果たした役割というのは、今更私がここで述べるまでもなく、大変評価をされているところでもありますし、先般の大島の災害というときにもそうでありますし、様々な機会に、今回の大雪でもそうでありますが、全国地方整備局が緊急災害対策ということについて一体となって被災地に応援に入ってきているということ、そして、現場でやっぱり、災害は現場で起きていますから、技術力やノウハウが不可欠であるということからいきまして、私は国レベルで一元的に蓄積、管理、分析、フル活用することが重要だというふうに考えているところであります。  また、昨年十一月に閣議決定された法案に盛り込まれました、国の出先機関の広域連合への移譲に関しまして、市町村からも、国民の生命、財産の安全の確保に直結する地方整備局等については移譲対象機関から外すべきだという強い意見が表明されたところでもございます。  国交省の出先機関は、大規模災害時の危機管理、全国組織としての防災・減災対策など、国民の安全、安心に直結する重要な役割を担っており、引き続きその役割を果たしていく必要があると考えております。
  259. 寺田典城

    寺田典城君 東日本大震災では、東北整備局の大活躍というのは、それはそのとおりでございます。緊急災害にも対応しなきゃならぬということもそのとおりでございますが、私から言わせると、例えばですよ、自治事務の中にあります消防、ありますね、全国で十六万人おります。これ、大震災のとき同じような、地方が要請受けて、それで活動しているんですよ。  ですから、国土交通省が物の考えの中で、今まで地方支分局統廃合するとか地方分権をするという考えの中で、それを思考停止して進まないという形、私、これ、鳩山内閣でも分権というのは一丁目一番地とかってずっと言われてきました。それ進まないのはなぜかというと、例えば東北整備局、私、秋田県でしたから、東北六県に三千人おりますね。それが例えば支分局が廃止されると、恐らく各県に分ければ五百人ずつその人方を分けてやるというような形はなれるのかなれないのかとかって知事たちと話をしたことがあるんですが、恐らく必要な人は十分の一もいない、特殊な人だけでいいだろうということで、あと何かの大きな組織をつくったらそれでいいんじゃないのというような話だった。  だから、分権ができないのは、要するに国土交通省地方整備局の人方の行き先が例えばはっきりしていない面もあると思うんです。だから、計画の立て方がやはり悪いのかなと。だから、私はこういうことをした方がいいと思うんですね。国家戦略として、今、日本は国際化対応もしていかなきゃならぬ時代ですから、あれ、昔からも私言っているんですけれども、国家戦略として国土交通省のそういう持っているノウハウ、これは地方にだって海外青年協力隊にも行きたい人もたくさんいますし、そういうこと、例えばASEANでもどこへでも行ってノウハウとかそういう、相手の国を豊かにすれば日本の国というのはある面では、日本の国だって仕事がたくさん出てくると。  だから、私はいつも地方分権のことで唱えているのは、霞が関と国会は地方が自立するためのサポーターになって、自分たちは、もうはっきり言って、あとは地方は自立してやりなさい、私たちがサポーターになると。あとは国家戦略として国会とか霞が関は打って出るべきだと思うんです。出ない限りは、日本の国というのは私は立ち行かなくなると思うんです。エネルギーはそちらの方に向けると。  ですから、そういう点では、私は、これからも出先機関の廃止だとかそういう形、自治事務には大分なりました。だけれども、どこまでも法定受託事務だとか権限、直轄事業を持たなきゃならぬとかというもう時代でもないと思うんです。それをひとつ考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  260. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 分権ということについては、方向性、また道州制、地域主権型道州制ということについては私も推進をしてきた者でありますけれども、特にこの地方整備局ということについては、現在の災害ということを中心にして、これを廃止するということについては、私は廃止すべきではないというふうに思っていますが、分権ということについて具体的にこれはこうした方がいい、あれはこうした方がいいということについては十分論議をしていかなくてはならないことだと思います。
  261. 寺田典城

    寺田典城君 結局、道州制とかそういう形になってくると、恐らく国土交通省ばっかりじゃなくて、農林省でも通産省でも厚生労働省でも含めて、どういう形になるかともう一回議論されると思うんです。自治事務だって、消防を見れば分かるとおり、対応できるんです、行政で。行政システムというのはそうなんです。ですから、そこら辺りは思考停止せずに考えていただきたいなと、そう思います。  時間が四十分までですから、あとは次に移らせていただきたいと思います。  復興と防災と減災についてなんですが、東日本大震災の復興を現在一生懸命行っているわけです。去年ですか、北海道南西沖地震の被害から二十年ということで、二十年になったらどうなんだろう、どうなるんだろう、どうなっているんだろうということで、条件は違うんでしょうけれども、同様に津波被害を受けた奥尻島を視察というか、自分で見てまいりました。  要するに、奥尻島の当時の復興・防災対策をどのように評価していらっしゃるか、お答えになっていただきたいと思います。
  262. 関博之

    政府参考人(関博之君) お答えいたします。  奥尻島の当時の復興・防災対策といたしましては、再び悲惨な被害発生させないよう、生活再建、防災まちづくり、地域振興の観点から被災した社会資本の整備などが行われました。これらの整備に当たりましては、奥尻町が地域住民との時間を掛けた話合いを踏まえまして計画を策定いたしまして、それに沿って事業が進められました。被災発生から五年後の平成十年に復興宣言が出されまして、一連対策が終了したところでございます。  現在、奥尻町につきましては、人口減少ですとか少子高齢化などの課題を踏まえつつ、豊かな資源を生かした地域振興の取組を行っているところでございまして、国土交通省といたしましても、そのような取組に対して支援してまいりたいということで考えております。  以上でございます。
  263. 寺田典城

    寺田典城君 私、三月九日、宮古、それから山田町、大槌町、釜石と見てまいりました、隣が岩手県ですから。それを見て思い出したのが奥尻島のことでした。確かに、国の事業としては道路だとか橋だとか、それから海岸に対する防潮堤だとか、今一生懸命、工事盛んで、ああ、巨大なものを造っているんだなと。  奥尻島を思い出したのは、巨大なものを残していったんだなと。四千五百人おった人口が三千人になっております。高齢化率四〇%です。奥尻島の方々に聞きました。当初は大きい堤防造って命を守ろうと思ったけど、やっぱり海浜の方がよかったと、そっちの方に住みたいと言うんです。住んでいる人もいるんです。人が住んでいるところを主に防潮堤造ったんですが、そこには人がいなかったりするところ、たくさんあるんです。  だから、私は、海には海の危険があるんですけれども、やはり海を見て生きるというのが生きがいだと思うので、その辺はやはり柔らかく考えて、それから、やはり一番あれなのはなりわいというか、仕事をどうするかということだと思うんです。だから、そういう点では、要するに、特区をつくるとか何かするか分からないけれども、地方税も入れて、全体的な法人税を半分にするとか、そういうことで職業を残すとかですね。  それから、復興完了後五年したら、もう五年ももたなかったと、復興完了後ですね。だから、これは恐らく東日本大震災でも、復興終われば、後、人がみんなさっと引き揚げていくという形もあり得るんです。  ですから、そういう点では、国土交通省、どうお考えになっているのか、もう少し突っ込んでお聞きしたい。大臣でも結構です、考えていること。
  264. 関博之

    政府参考人(関博之君) 防潮堤の高さについてのお話ございましたけれども、防潮堤の高さにつきましては、地域や産業の振興といった観点も踏まえまして、再び同じような被害を起こさないという考え方の下に、地域住民の皆様と話合いの中で高さが決められていったものと認識しております。  先ほどと同じ繰り返しになりますけれども、現在、人口減少とか少子高齢化などの課題を踏まえつつ、豊かな資源を生かした地域振興の取組を奥尻町の方で行っておりまして、それに対しまして国土交通省といたしましても支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  265. 寺田典城

    寺田典城君 物とか建物だとか防潮堤だとかでは、はっきり言って地域は残れないということだけは覚えてください。それだけは言っておきたいと思います。  それからもう一つ、次に移ります。  ですから、今からでも遅くないんですから、はっきり言って、国土交通省では、防潮堤だとか道路の在り方とか、これから二十年したらどうなるんだろうというそのことを考えて、二十年後になったら、また奥尻島みたいに誰も住んでいなくて、堤防とあれだけ残っておったというんだったらどういうことになりますかということですよ。その辺をひとつ考えていただきたいなと、率直に私はそう思います。  あとは、条件不利地域についてなんです。これ一つの例なんですが、離島とか半島とか勉強しなきゃならぬということで個人的に隠岐の島の海士町に行ってきまして、あそこは離島でも元気なところです。ところが、旅費が九万七千六百円掛かるんです、東京からだとすると。私は文書交通費で行ったんですが、普通の人は行けないですよ、これ、離島だとかそういうところですね。沖縄でも、この前も、安倍さんが毎年三千億の沖縄振興の金を出すと。どうやって使うんだろうということも見てきたんですが。  それで、離島の中では、島の人方に対してはある程度の何かのサービスというんですか、それはあるようなんですが、出たりしているようなんですが、やはりこれから観光だとか、よそから人が来るとか、島から出るとか、やはりもう少し、ローコストキャリアじゃないけれども、安くというか、所得がそんなに上がっていない時代ですよ。これ下がっているんですよ。もう、だから、これをもっと政府が工夫すべき時代に来ているんじゃないのかなと。行政的な指導等とかそういう協力をお願いするとか、その辺はいかがなものでしょうか。
  266. 花岡洋文

    政府参考人(花岡洋文君) お答え申し上げます。  委員指摘の離島、半島といったような条件不利地域の振興を図る上では、人の往来に関しまして、ほかの地域との格差の是正を図ることが重要であると考えております。特に、地域における公共交通機関の運賃の低廉化といったものが課題だというふうに認識をいたしております。  このため、現在、国土交通省におきましては、まず、離島の住民につきまして必要な交通を確保するという観点から、地域公共交通確保維持改善事業といったものを使いまして、航路、航空路に対する運営費補助、さらには島民向けの運賃の割引に対して支援を実施しているところでございます。平成二十六年度予算におきましても、制度の拡充、予算の増額等を図っているところでございます。  もう一方、これも御指摘ございました外から来られる観光客といったような点については、ちょっと……
  267. 寺田典城

    寺田典城君 短く答えて、時間ないから。
  268. 花岡洋文

    政府参考人(花岡洋文君) 済みません。  こういった制度のあれは現在のところいたしておりませんが、そういった点、今後、地元の方の御意見も踏まえながら関係部局と連携し、検討をしていきたいというふうに思っております。
  269. 寺田典城

    寺田典城君 消費税が四月から、一日から上がるんです。それで、住民税とか納めていない人方が二千四百万人プラス、それから生活保護をいただいている方、二百万人を超えている、二千六百万人、まあそういう形ですね。給付金一万円。それが三千億予算が付きました。これはしっかりとそれをしなきゃならぬと思うんですね。三百万円以下の所得の方が四〇%なんですよ。それから、年金で二百万円以下が八〇%を超えているんですよ。こういう格差がある社会を認めざるを得ない時代になってきている。  だったら、もう少し国土政策で、例えば新幹線だって、やはりもう少し移動するのに安くできることはないのか、あるのか。いろんなものを検討しなきゃやっていけない、低所得者の方々。だから、普通の人方の給料をもらっている視点で物を考えたってできないでしょうということですよ。それを一つ国土政策として、交通政策として大きなものを考えていただきたいなと率直に思います。昔のままではもういかないということを一つ御理解賜りたいなと、率直にそう思います。  あと、高速道路料金、これは私、知事時代から、全国画一的な料金水準で今費用を決めているし、長距離走れば三割だか、二百キロ以上走れば三割値引きしますとか、それから私は、電力だって夜間料金あるんだから、高速道路だって夜間料金あるんだろうとかといろいろやってきましたけれども、非常に、例えば東名高速で東京から名古屋でも大阪へ行くんだったらそれだけの価値あるんでしょうけれども、北海道だとか東北走ってそれだけの価値あるかというと、それだけのお金払えないですよ。だから、全国画一的な料金というのは私はおかしいと思うんですよ。  それで、聞きたいのは、はっきり言って、日沿道とかそれから第二東名、道央道だとか、キロ当たりの建設単価がどのくらいになっているか、まず教えてください。
  270. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) お答えを申し上げます。  高速道路の建設単価でございますけれども、第二東海自動車道、新東名でございますが、キロ当たり単価で約百七十億円でございます。北海道縦貫自動車道は一キロ当たり約三十億円、日本海沿岸東北自動車道は、これは車線数も二車線とか違いますが、一キロ当たり約四十億円と、このようになっております。
  271. 寺田典城

    寺田典城君 だから、百億を超える、それから北海道、東北なんか三十億、四十億でできる道路も同じような画一料金で、可処分所得のない人方も多いんです、田舎の方は。そして、そういう人方は移動することによって、ある面ではじいちゃん、ばあちゃんが一緒に乗って温泉にも行くとか孫を見に行くとかというんですね、高速は安全性があるんだから。  そういう点については、この料金体系というのは、私は、一国二制度を考えてみた方がいいんです。私は今から三、四年前からそれを訴えてきているんです。いつかの道路局長さんに言ったら、頭ぷつんと切れてしまって、そんなことできないよ、なんて言っておったようなんですが、それは大臣、ひとつ、特別あれしてください、それが現実なんです。  だから、JRの新幹線だってグリーン車と普通車と、あんな立派な普通車、もっと狭くたっていいから料金半分にしてくださいという人だってたくさんいるんですよ。だから、その辺をやはり安全性確保すれば考えられることたくさんあるんで、やはりそういう社会を迎えていかなきゃならぬと思うんです。だから、そういう人方に、低所得の方々にやはりチャンスだけはみんな与えてやらなきゃならぬと思うし、特に教育とかそういうものも含めて、ひとつ大臣の思い切った考え言ってください。
  272. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 寺田先生からも前その話をお聞きしまして、一つの説得力あるお話だというふうに思いました。  ただ、現在は新しい料金体系に、やっと有識者の会議も終えまして今回させていただくということになりまして、今後、また検討するとしたら、その後の段階でどういう料金体系がいいかということは研究をしていくということの一つではないかというふうに思っています。
  273. 寺田典城

    寺田典城君 要するに、有識者とか学者というのは現場を分かっていないと思うんですよ。だから、有識者というのはどういう人方を集めてやっていくかということになるんで、まあ御用学者だとか御用有識者とかというのは、私も県庁入ったときそういうような人たくさんおりましたけれども、そこ辺りは国土交通省ももうそろそろ新しい、ギアチェンジしていかなきゃならぬと思います。まあそういうことです。  あとはもう二分しかないので、海上保安庁に行きます。  日本の国はこれ大変に広いんです。警察官二十七、八万人おったかな、海上保安庁は一万二千人しかいらっしゃらないですね。よくこれでこんな広い、世界でも何番目だっけ、六番目の海域をというか、排他的経済水域も入れればそうなんですが、守っているということで、私は知事時代、警察とか自衛隊とか海上保安庁の部長さんだとか入れて、同時多発的な避難民みたいなのが来た場合どうやって対応するとかいろんな話したことがあるんですが、今日は特定秘密保護法のあれというのはもう時間ないからこれ聞けないんですが、海上保安庁の、何というか、これからこういうことをしたいと、頑張っていきたいとかという一つのメッセージを伝えていただきたいんですが。
  274. 佐藤雄二

    政府参考人佐藤雄二君) まず、尖閣諸島周辺海域領海警備が今非常に重要な業務でございますので、それについてお答えさせていただきますと、現在、大型巡視船十四隻相当による専従体制整備平成二十七年度末までに完了するよう進めているところであり、このうち四隻が平成二十六年度中に就役する予定となっております。  また、尖閣専従体制以外の整備につきましても、全国の老朽化した巡視船、航空機の代替により、監視能力、災害対応能力などを向上させることとしており、海上保安業務全般にも的確に対応できるよう体制強化を図ることとしております。  このように、海上保安業務をめぐる様々な情勢にしっかりと対応するため、適切に体制整備を進めてまいりたいと考えております。
  275. 寺田典城

    寺田典城君 もう時間でございます。  私たちが地方でおったときは、今尖閣諸島だとか出たんだからあえてしゃべるんですけれども、北朝鮮からロケット飛んだとき、あちらから、もし内乱みたいなことが起きて、テロ的な難民来た場合どうするの、対応はどうするのというようなことで、警察だとか、あの当時平成十六年には国民保護法がもう完成しましたから。ところが、今回、特定秘密保護法でそれが、海上保安庁はどういう立場になるのかというのを聞きたかったが、何かのチャンスのとき呼んで聞きますので、ひとつ勉強しておいてください。  以上です。私からは終わります。どうもありがとうございました。
  276. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会