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2014-03-11 第186回国会 参議院 国土交通委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年三月十一日(火曜日) 正午開会 ─────────────
委員氏名
委員長
藤本
祐司
君 理 事
赤池
誠章
君 理 事
渡辺
猛之君 理 事
田城
郁君 理 事
広田
一君 理 事
魚住裕一郎
君
青木
一彦
君
江島
潔君
大野
泰正
君
太田
房江
君
北村
経夫
君
酒井
庸行
君
豊田
俊郎
君
中原
八一
君
野上浩太郎
君
森屋
宏君
田中
直紀
君
野田
国義
君
前田
武志
君
河野
義博
君 藤巻 幸夫君
和田
政宗
君
辰已孝太郎
君
室井
邦彦
君
吉田
忠智
君 ─────────────
委員
の
異動
二月七日
辞任
補欠選任
大野
泰正
君
水落
敏栄君 二月十日
辞任
補欠選任
水落
敏栄君
大野
泰正
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
藤本
祐司
君 理 事
赤池
誠章
君
渡辺
猛之君
田城
郁君
広田
一君
魚住裕一郎
君 委 員
青木
一彦
君
江島
潔君
大野
泰正
君
太田
房江
君
北村
経夫
君
酒井
庸行
君
豊田
俊郎
君
中原
八一
君
野上浩太郎
君
森屋
宏君
田中
直紀
君
野田
国義
君
前田
武志
君
河野
義博
君
和田
政宗
君
辰已孝太郎
君
室井
邦彦
君
吉田
忠智
君
国務大臣
国土交通大臣
太田
昭宏
君 副
大臣
国土交通
副
大臣
高木 毅君
国土交通
副
大臣
野上浩太郎
君
大臣政務官
国土交通大臣政
務官
土井 亨君
国土交通大臣政
務官
中原
八一
君
事務局側
常任委員会専門
員
田中
利幸君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
国政調査
に関する件 ○
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
調査
(
国土交通行政
の
基本施策
に関する件) (
派遣委員
の
報告
) ─────────────
藤本祐司
1
○
委員長
(
藤本祐司
君) ただいまから
国土交通委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る一月二十三日、
山口那津男
君及び
有村治子
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
河野義博
君及び
青木一彦
君が選任されました。 ─────────────
藤本祐司
2
○
委員長
(
藤本祐司
君)
国政調査
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきましても、
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
調査
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤本祐司
3
○
委員長
(
藤本祐司
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
藤本祐司
4
○
委員長
(
藤本祐司
君)
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関する
調査
を議題といたします。
国土交通行政
の
基本施策
について、
国土交通大臣
から
所信
を聴取いたします。
太田国土交通大臣
。
太田昭宏
5
○
国務大臣
(
太田昭宏
君)
国土交通行政
につきまして、私の
所信
を述べさせていただきます。
国土交通大臣
として、二年目を迎えました。昨年は、
社会資本メンテナンス元年
として
老朽化対策
を進めるなど、新たな
取組
を始めました。 二年目は、これらの成果を目に見える形で示す必要があります。
被災地
の
復興
の
加速
、
防災
・
減災
、
老朽化対策
、それらを踏まえた持続的な
経済成長
の
実現
を
国民
の
皆様
に実感していただけるよう、
総力
を挙げて取り組んでまいります。 また、今年は、三十年、四十年後を見据えた
長期
的な
取組
も本格化させる時期だと考えています。今月末には、二〇五〇年という
長期
の
視点
に立った新たな
国土
の
グランドデザイン
の骨子を示します。 本格的な
人口減少
、
高齢化
、切迫する
巨大災害
、世界的な
都市間競争
の激化などの構造的な変化には、目の前の
状況
に
対応
するだけでは問題は解決しません。
長期
的な
視点
に立って、
地域
や
暮らし
をどのように発展させ、豊かにしていくのかを構想し、その上で、今、取り組む
施策
の
優先順位
を決定していく必要があります。 このような未来を見据えた総合的かつ
長期
的なビジョンを
基本
とした上で、
施策
の前進を実感していただけるよう、
全力
を挙げて各般の
取組
を展開してまいります。 まず、
被災地
の
復興
の
加速
です。
基幹インフラ
の
復興
は着実に進めておりますが、
住宅建設
や
高台移転
などの
まちづくり
も、工程表どおり
加速
していく必要があります。 震災から三年を迎えました。被災された
方々
に
復興
を実感していただけるよう、様々な隘路にきめ細かく
対応
しつつ、
復興
の
加速
に
全力
で取り組みます。 そして、
国民
の命と
暮らし
を守る
取組
です。 私は、
防災
・
減災
、
老朽化対策
を
国民
の命と
暮らし
を守る
社会資本整備
として
政策
の重点に位置付け、
総力
を挙げて
対応
してまいりました。
発生
が懸念される大
規模災害
への
対応
、
インフラ
の
老朽化対策
は、急務の
課題
です。今後も、
国民
の
皆様
に安全、
安心
を実感していただけるよう、
耐震化
や水害・
土砂災害対策
、
災害
時の確実な
避難等
に資する
気象情報
の迅速かつ正確な
提供
、
社会資本
の
メンテナンス
など、
ハード
、
ソフト
の両面から
全力
で取り組みます。 特に、今年の冬は、各地で
豪雪
となり、
国民生活
や
経済
に大きな
影響
が出ました。
国土交通省
としても、迅速な
情報提供
や
道路等
の
除排雪
など、
雪害対策
をしっかりと講じてまいります。 安全、
安心
に関する
取組
の
一環
として、
海岸法
を
改正
し、緑の
防潮堤
の
整備
など
海岸
における
防災
・
減災対策
や、
海岸保全施設
の適切な
維持管理
を進めます。 また、
マンション
の
建て替え
に関する
法律
の
改正
により、
耐震性不足
の
マンション
を売却する際の
要件
を
緩和
するなど、
建て替え
を促進する
仕組み
を導入したいと考えております。 さらに、老朽化した
高速道路
の
計画
的な更新を進めるため、
道路法等
の
改正
を行いたいと考えております。
鉄道
、
自動車
、航空、
海上交通
などにおいて、安全の
確保
は、何よりも優先されるべきものです。
JR北海道
では、
基準
を超える
軌道変位
の放置、
検査データ
の
改ざん等
、
鉄道事業者
として、あってはならない異常な
事態
が相次いで明らかになりました。これを受け、同社の
問題点
を洗い出すため、三回の
特別保安監査
を実施いたしました。その結果を踏まえ、日々の
輸送
の安全を
確保
するとともに、
安全管理体制
の再
構築等
、
JR北海道
の徹底的な
再生
のために必要な
措置
を速やかに講じるよう、
鉄道事業法
に基づく
事業改善命令
及び
JR会社法
に基づく
監督命令
を行いました。
国土交通省
としても、これらの
命令
が確実に実行され、
輸送
の
安全確保
、
利用者
の
信頼回復
が図られるよう、本年一月から五年程度の間、常設の
監査体制
を
整備
するなど、徹底した
指導監督
を行ってまいります。 また、今月三日、
北陸道
において重大な
バス事故
が
発生
いたしました。現在、
監査等
を通じ、
事故原因
の究明を進めており、その結果等を踏まえ、
安全確保
のための万全の
措置
を講じてまいります。 なお、
さき
の
臨時会
で成立した
タクシー
の
適正化
・
活性化
に関する
改正法
に基づき、
タクシー
の
サービス向上
や
安心
な
利用
に関する
施策
も推進してまいります。 子供や
高齢
の方も
利用
する
通学路
やエレベーター、
高齢者施設等
の
安全確保
も重要です。 このため、
安全面
で特に重要な
防火設備等
については、国が
検査対象
を指定するとともに、国も自ら
事故調査
を行うことができるよう、
建築基準法
の
改正
を行いたいと考えております。 四方を海に囲まれた
我が国
において、
海洋
の主権を
確保
し、
海上
の治安と安全を守ることが極めて重要です。
尖閣諸島周辺海域
においては、今年に入っても
中国公船
による
領海侵入
が繰り返されています。
我が国
の領土、
領海
を堅守するため、
海上
保安庁では、
状況
に応じ適切に
対応
していますが、
体制
を
強化
し、引き続き、
領海警備
に万全を期す所存です。 次に、持続的な
経済成長
に向けた
取組
です。
消費税
の
引上げ
に伴う
反動減
を抑制し、
成長力
を底上げしていくためには、
公共事業
の
早期
の執行と円滑な
施工
を
確保
することが重要です。 このため、実勢に合った
労務単価
の
引上げ
や、
資材価格
の上昇に応じた
最新単価
の適用、
発注ロット
の
大型化
、柔軟な工期の設定など、
現場
の
状況
に即した
対策
を講じます。 その上で、
日本経済
の持続的な
成長
に向けて、
基盤
となる
社会資本整備
や
成長
を支えるシステムを構築し、
国際競争力
を
強化
していく必要があります。 そのため、
国際空港
や
国際コンテナ戦略港湾
、
高速道路
や
整備新幹線
などについては、真に必要な
基盤
の
整備
や
機能
の
強化
を着実に進めます。 また、
さき
の
臨時会
で成立した
交通政策基本法
に基づき、
交通政策基本計画
を策定し、
地域
の
活力
の
維持
、
国際競争力
の
強化等
の
課題
に対し、
交通政策
を総合的に推進してまいります。 その
一環
として
港湾法
を
改正
し、
国際コンテナ戦略港湾
の
運営会社
への
政府出資等
により、
我が国
の
港湾
の
競争力
を
強化
してまいります。 さらに、空の
競争力強化
に向けて、
空港経営改革
、LCCの
参入促進等
に、引き続き、精力的に取り組みます。 また、これまで蓄積されてきたストックを有効に
活用
していくことも重要です。
社会資本
については、ICTの
活用等
による
機能
の
高度化
や、
インフラ空間
の多面的な
活用等
による
機能
の
多様化
、
機能
の転換や廃止も選択肢に入れ、
有効活用
を図っていく必要があります。 そして、
国民
の貴重な資産である
住宅
についても、
中古住宅
・
リフォーム市場
の
活性化
などにより、
有効活用
を図ってまいります。
建設産業
は、
我が国
の
経済成長
や安全な
基盤づくり
に不可欠な存在です。
社会資本
などの
整備
や
維持管理
は
長期
にわたることから、
建設産業
が、将来にわたり、その役割を果たしていくために、
現場
の
技能労働者
の
処遇改善
や
人材育成
による担い手の
確保
に取り組んでまいります。 また、ダンピングの
防止
や適正な
施工体制
の
確保等
のため、
建設業法等
の
改正
を行いたいと考えております。 昨年、
訪日外国人旅行者
が初めて一千万人を超えました。 しかし、道はまだ半ばです。
我が国
でオリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に向けて、二千万人の高みを目指します。 本年は、そのスタートの年として、
外国人旅行者
に不便な
規制
や障害の徹底的な洗い出しや、現行の
観光立国実現
に向けた
アクションプログラム
の改定を検討してまいります。 特に、
ビザ要件
の
緩和
、
災害
時の
外国人旅行者
の
安全確保
、多
言語対応
、
無料公衆無線LAN
の
整備
、
出入国手続
の
迅速化等
の
施策
につきましては、
取組
を
加速
させていきます。
経済成長
のためには、
海外市場
を開拓していくことも重要です。
日本再興戦略等
を踏まえ、
我が国
の質の高い
インフラ
を
海外
に展開してまいります。 そのため、私自身を始め、省を挙げて
トップセールス
を行うとともに、
海外
において
交通事業
や
都市開発事業
を行う
事業者
に対して、
資金面
や
運営面
の
支援
を行う機構を設立するための
法案
を提出いたしました。 また、
海洋産業
の
育成
や世界的に拡大する
海洋開発市場
の獲得に向けた
取組
も進めます。さらに、船舶の
バラスト水
の
規制
に関する
国際条約
を踏まえ、
海洋汚染等
の
防止
に関する
法律
の
改正
も行いたいと考えています。
地域
に目を向けると、まず、東京を始めとする
大都市圏
においては、世界的な
都市間競争
を勝ち抜いていけるよう、
都市
の
競争力
の
強化
を図る必要があります。 このため、
大都市圏環状道路
や
都市鉄道
などの
基盤整備
、
首都圏空港
などの
機能強化
、ビジネス・
生活環境
の
整備
などに取り組んでまいります。 その際、PPP、PFIや
官民ファンド
を
活用
し、
民間投資
の喚起に努めます。 一方、
地方都市等
において、
人口減少下
でも
都市
や
地域
の
活力
を
維持
するためには、コンパクトな
拠点
と、これを結ぶ
地域公共交通
の
ネットワーク
を形成することが、一つの
基本
的な考え方となります。 その
実現
のため、
都市
の
再生
に関する
法律
と
地域公共交通
の
活性化等
に関する
法律
を、それぞれ
改正
したいと考えております。 これにより、福祉や商業などの
生活サービス機能
と居住を一定の区域に誘導し、コンパクトな
まちづくり
を進めます。そして、これと一体となった
地域公共交通ネットワーク
の形成に向けた
計画
を自治体が策定し、これらを国が応援する
仕組み
を導入したいと考えております。 離島や
半島
、
豪雪地帯
など、
生活条件
の厳しい
地域
においては、引き続き、
生活
や
地域産業
に対する
支援
を行います。 特に、
奄美群島
、小笠原諸島につきましては、それぞれの
振興開発法
の
改正
により、その期限を延長するとともに、
地域
の発展に向けた
支援措置
を拡充してまいりたいと考えております。 以上、
国土交通行政
について私の
所信
の一端を申し述べました。 今
国会
におきましては、これまで御
説明
した
法案
を提出し、御審議をお願いしたいと考えております。
委員長
、
委員各位
の格別の御
指導
をよろしくお願い申し上げます。
藤本祐司
6
○
委員長
(
藤本祐司
君) ありがとうございます。 以上で
所信
の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
速記
を止めてください。 〔
速記中止
〕
藤本祐司
7
○
委員長
(
藤本祐司
君)
速記
を起こしてください。 ─────────────
藤本祐司
8
○
委員長
(
藤本祐司
君) 次に、先般、本
委員会
が行いました
委員派遣
につきまして、
派遣委員
の
報告
を聴取いたします。
広田一
君。
広田一
9
○
広田一
君 それでは、
委員派遣
について御
報告
申し上げます。 去る一月十六日、十七日の二日間、
静岡
県を訪れまして、
国土
の
整備
、
交通政策
の
推進等
に関して、
防災
・
減災
と
観光
の
観点
から実情を
調査
してまいりました。
派遣委員
は、
藤本委員長
、
渡辺理事
、
赤池理事
、
田城理事
、
江島委員
、
酒井委員
、
豊田委員
、
森屋委員
、
和田委員
、
辰已委員
、
室井委員
及び私、
広田
の計十二名であります。 以下、
調査
の
概略
を御
報告
いたします。 初日は、まず、
静岡市内
にある
静岡
県
地震防災センター
に赴き、
川勝静岡県知事
及び森山副
知事
から、
防災
・
減災
の
地域づくり
に向けた県の
主要施策
について
説明
を聴取しました。
南海トラフ巨大地震
の
被害想定
などを踏まえ、
静岡
県では、
ハード対策
と
ソフト対策
を組み合わせ極力
被害
を軽減する
地震
・
津波対策アクションプログラム
二〇一三を
官民連携
により推進するとともに、内閣府から
地域活性化総合特区
の指定を受け、新
東名高速道路
を
活用
して
内陸部
への
産業集積
を誘導するなど、
防災
・
減災
と
地域成長
が両立する
地域づくり
のための
取組
を行っているとのことであります。また、
富士山静岡空港
においては
防災拠点機能
の
整備
を進めており、同
空港
を国の
基幹的広域防災拠点
として位置付けることについて県として要望したいとのことでありました。
派遣委員
との間では、
総合特区
の
取組内容
、
津波被害想定
の公表による
影響
と
対策
、
公共交通機関利用者
の
避難対策
、
歩道橋等
の
津波避難場所
としての
活用
、県と市町村の
連携等
について活発な
意見交換
が行われました。その後、
地震防災センター
内にある
体験学習施設
を視察しました。 次に、
車中
にて
中部地方整備局
から管内における
防災
の
取組等
について
説明
を受けた後、
三保松原
のある
清水海岸
を視察しました。
三保松原
は、美しい
砂浜
と背後の松林が織り成す白砂青松の
海岸
から
富士山
を望む
景勝地
でありますが、その
砂浜
に
土砂
を供給してきた安倍川において、
高度経済成長期
に大量の
砂利採取
が行われたことにより、
海岸
の著しい浸食が進みました。このため、
越波被害
が生じるとともに、
三保松原
の消失も危惧されるに至ったことから、
海岸
を管理する
静岡
県において、消
波堤
を設置するなどして
保全
が図られてきております。 一方、昨年六月、
三保松原
を含む
富士山
が
ユネスコ
の
世界文化遺産
に登録されるに当たり、
諮問機関
であるICOMOSより、消
波堤
が
景観
上望ましくないとの指摘がなされ、二〇一六年二月までに
ユネスコ
に提出する
保全状況報告書
に、具体的な
景観改善対策
を反映させることが
課題
となっています。このため、
景観
と
防災
が両立する新たな
海岸
の姿を
実現
すべく、現在、
静岡
県において、国や
学識者
を交えて
改善策
の検討が進められているとのことであります。 次いで、
国際拠点港湾
の清水港を主として
車中
から視察した後、
静岡
市
由比地区
にある
地すべり対策地区
を視察しました。
由比地区
は、
太平洋沿い
の極めて限られた
エリア
に、
日本
の
大動脈
である
東名高速道路
、国道一号、
JR東海道本線
が集中する
交通
の要衝であります。こうした
交通網
のすぐ上に大
規模
な
地すべり地形
が存在し、豪雨や
地震
に伴い
地すべり
が
発生
した場合には、これらの
重要交通網
が寸断され、人命や
経済活動
に甚大な
被害
が及ぶおそれがあります。このような
事態
を未然に防ぐため、
平成
十七年度から
直轄地すべり対策事業
が実施されており、
地すべり
の
原因
となる
地下水
を排除するため二十三基にも及ぶ
集水井
や
排水トンネル
の設置、そしてすべり面の下まで百本以上のくいを差し込む工事が進められているとのことでありました。 二日目は、まず、新
東名高速道路
について、
東名高速道路
に連絡する
清水ジャンクション
から
新富士インターチェンジ
までの
区間
を
車中
から視察した後、
富士山西山麓
の標高約八百メートル地点にある
大沢扇状地
において、
富士山砂防事業
を視察しました。
富士山西斜面
にある
大沢崩れ
は
日本最大級
の
崩壊地
であり、
観測開始
以降の過去約四十年間では十五回の
土石流
が
発生
し、
大沢扇状地
を経て
下流
の市街地に幾度も
被害
を与えてきました。そこで、
大沢扇状地
において
土石流
を捕捉するため、昭和四十四年から
直轄砂防事業
が行われており、遊砂地や
砂防樹林帯
が長さ四キロメートル、幅一・一キロメートルの
広域
にわたり
整備
されています。これにより、近年
発生
した
土石流
は
下流
へ流れることなく捕捉されており、また、堆積した
土砂
は除去した後、選別して
公共事業
に
活用
されているとのことでありました。 続いて、新
東名高速道路
の
駿河湾沼津サービスエリア
に赴き、
中日本高速道路
の
担当者
から、
休憩施設
の
防災拠点化
の
取組等
について
説明
を受けました。新
東名高速道路
では各
サービスエリア
にヘリポートや
自家発電装置
が設置されるなど、
事故
や
災害等
が
発生
した際の
緊急活動
を速やかに実施するための
防災支援機能
が
強化
されているとのことであります。
最後
に、
東駿河湾環状道路
を視察しました。
沼津
・
三島都市圏
に位置する
東駿河湾環状道路
は、
沼津
市と
下田
市を結ぶ
伊豆縦貫自動車道
の一部を構成するものでありますが、本年二月十一日に
三島塚原—函南塚本
間が
開通
することにより概成し、
都市圏内
の
渋滞緩和
や
伊豆半島
への
アクセス向上
による
観光振興
の効果が期待されています。現地においては、今回の
開通区間
に当たる
函南
町の
森町長
から、
開通
を歓迎し
地域振興
に
活用
する旨、また、
楠山下田市長
から、
伊豆縦貫自動車道
の未
開通区間
に関して、医療、
防災
、
観光振興等
の
観点
から
早期開通
が必要である旨、それぞれ
説明
がありました。 以上が
調査
の
概略
であります。
南海トラフ巨大地震
の
発生
も想定される中、
我が国
の
大動脈
とも言える
静岡県内
の
基幹インフラ
が一旦被災すれば、
日本
が東西に分断され、
国民生活
、
経済活動
に重大な支障を来すおそれがあります。
日本
全体を守る
観点
を含めて
静岡
県の
防災
・
減災
に取り組んでおられる
方々
の御尽力に敬意を表するとともに、国としても必要な
対策
を講じることが極めて重要であると認識した次第であります。
最後
に、私どもの
調査
に御協力をいただきました
川勝知事
を始めとする
静岡
県、
国土交通省等
の関係の
皆様方
に対し、厚く御礼を申し上げまして、
報告
を終わります。 以上です。
藤本祐司
10
○
委員長
(
藤本祐司
君) ありがとうございました。 以上で
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十二分散会