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2014-04-02 第186回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十六年四月二日(水曜日) 午後一時五分開会 ─────────────
委員
の
異動
四月一日 辞任
補欠選任
江田
五月君
石橋
通宏
君 東 徹君
清水
貴之
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
武見
敬三
君 理 事 岡田
直樹
君
片山さつき
君
宮沢
洋一
君 風間
直樹
君 谷合 正明君 井上 義行君 倉林 明子君 委 員 有村 治子君 井原 巧君 衛藤 晟一君 酒井
庸行
君
高階恵美子
君 柘植 芳文君 堀井 巌君
石橋
通宏
君 尾立
源幸
君 徳永 エリ君 森本 真治君 吉川 沙織君 杉
久武
君 江口 克彦君
清水
貴之
君 浜田
和幸
君
事務局側
第三
特別調査室
長 宮崎 清隆君
参考人
元
内閣官房副長
官
一般財団法人地
方自治研究機構
会長
石原
信雄
君 ───────────── 本日の
会議
に付した
案件
○国の
統治機構等
に関する
調査
(「
時代
の
変化
に対応した国の
統治機構
の在り 方」のうち、
議院内閣制
における
内閣
の
在り方
(
内閣
の
総合調整機能
及び
国会
との
関係
)) ─────────────
武見敬三
1
○
会長
(
武見敬三
君) ただいまから国の
統治機構
に関する
調査会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨日、
江田五月
君及び
東徹
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
石橋通宏
君及び
清水貴之
君が選任されました。 ─────────────
武見敬三
2
○
会長
(
武見敬三
君) 国の
統治機構等
に関する
調査
を議題といたします。 「
時代
の
変化
に対応した国の
統治機構
の
在り方
」のうち、「
議院内閣制
における
内閣
の
在り方
」について
調査
を行うに当たって、本日は前回に引き続き、「
内閣
の
総合調整機能
及び
国会
との
関係
」について元
内閣官房副長
官・
一般財団法人地方自治研究機構会長石原信雄参考人
から
意見
を聴取いたします。 この際、
参考人
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本
調査会
に御出席いただきまして誠にありがとうございます。 忌憚のない御
意見
をお述べいただき、
調査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしく
お願い
を申し上げます。 議事の
進め方
でございますが、まず
石原参考人
から二十分
程度
御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
からの
質疑
にお答えをいただきたいと存じます。 なお、御
発言
は
着席
のままで結構でございます。 それでは、
石原参考人
に
お願い
をいたします。
石原参考人
、どうぞ。
石原信雄
3
○
参考人
(
石原信雄
君) 本日は、
参考人
としてお招きいただきましてありがとうございます。 私は、
竹下内閣
から
村山内閣
まで七代の
内閣
にお仕えいたしましたが、その当時の
状況
を申しますと、
官房
副
長官
は
政務
と
事務
の二人でございました。したがって、
国会対応
といいましょうか、
与党
、野党の
関係
との連絡は主として
政務
の副
長官
が行っておりまして、
各省
間の
調整
は主として
事務
の副
長官
が
担当
するという形で
役割分担
が比較的明確になっておったと思っております。 それから、当時は、御
案内
のように、いわゆる
政府委員制度
というのがありまして、
国会審議
の場でも
各省
の
政府委員
、具体的には
局長級
その他の
幹部
が
政府委員
に
任命
されておりますが、
政府委員
がかなりの
程度国会審議
に参画させていただいておりました。 それから、当時は、御
案内
のように、衆議院については、いわゆる中
選挙
区制でありまして、今の小
選挙
区制と少し変わっておりましたので、
与党
との
法案調整
その他が今日とはかなり違っておったように感じます。 いずれにいたしましても、そういう
状況
の下で、私は主として
各省
の
事務方
の
総合調整
に当たらせていただきました。御
案内
のように、
我が国
の
内閣制度
はいわゆる
議院内閣制
でございまして、
国会
の
指名
によって選ばれた
内閣
が
行政権
をつかさどると、
行政権
は
内閣
に帰属すると、
内閣総理大臣
じゃなくて
内閣
に帰属すると、ここのところ非常にポイントになっていると思います。そして、この
内閣
に帰属した
行政権
は、具体的には
内閣
を構成する各国務
大臣
が、それぞれ
法律
の定めるところによりまして、主任の
大臣
としてそれぞれの
行政事務
を分担管理すると、これは
内閣法
に規定されておるわけでありますが、
分担管理原則
というものが、メリットもあるしデメリットにもなるという点をはらんでいると思います。すなわち、それぞれの
大臣
の
担当
する
行政事務
については最終的な
行政責任
はそれぞれの
大臣
にあるということで
責任体制
がはっきりしていると、それだけに、それぞれの
行政分野
について
責任
を持って対応するという意識が非常に高くなっていると、これはまあプラスの面であると思います。 しかし、同時にまた、今日の
行政
は、多くの場合、特定の
省庁
だけでは収まらない
内容
を含む場合が多いわけであります。いわゆる
省庁
間の
調整
というのが必要な
場面
が近年ますます増えていると思います。その場合に
省庁
間の
意見
が往々にして対立すると、いわゆる
縦割り
の
弊害
というんでしょうか、
省益優先
というんでしょうか、そういった傾向がなきにしもあらずであります。その際は、
内閣
としての
方針
に基づいて
省庁
間の
意見
を
調整
する必要が出てくるわけでありますが、第一義的には
省庁
間の
意見
の相違はそれぞれの
省庁同士
でまず話し合って
調整
をすると、しかし、
調整
が付かない場合には、
内閣
が、
官邸
がその
調整
に当たるという
場面
がしばしば生じてまいります。私
自身
もそういった
場面
はたくさん
経験
させていただいております。
省庁間調整
で特に苦慮した例としては、たくさんあるんですけれども、代表的な例を申しますと、
一つ
は、
海部内閣
当時、
日米
構造
協議というものが行われました。これは、当時、
我が国
の対
米輸出
が非常に盛んでありまして、
日米
間の
貿易インバランス
が、極めて
日本側
の
輸出超過
になっているということで、
アメリカ国内
、特に
アメリカ議会
においてこれに対する一種の
危機感
というものがあり、その大きな
貿易インバランス
というのは
日本
の
市場
の
閉鎖性
が
原因
ではないかというのが
アメリカ議会
の
関係者
の言い分でありました。それに対して、我が方は、当時の
我が国
の産業の
競争力
が勝っているから、その結果として
日本側
の
輸出超過
になっているんだと。ですから、この問題を解決するんであれば、まず
アメリカ側
が
生産性
を高めるための
努力
をすべきだと主張しましたが、
アメリカ側
は、いや、それは
日本側
の
市場
の
閉鎖性
が主たる
原因
なんだと、だから、その
市場
の
構造
を直さなければこれは
改善
されないという認識でありまして、まあ大変激しい
議論
がありました。 当時、
ブッシュ大統領
の
時代
でしたけれども、
ブッシュ大統領
から
海部総理
に対して、もう直接、
日米
間の将来を
考え
て何としてもこの
インバランス
を
改善
するための協議を成立させたいということで、具体的には、
アメリカ側
が
日本側
に対して六
項目
の
市場構造
の
改善
を要求してまいりました。我が方は
アメリカ側
に対して七
項目
の
改善努力
を指摘いたしまして、その
議論
をしたわけですが、途中では、主として当時の
我が国
の
商慣行
とか
国内
のもろもろのしきたり全体を根っこから見直すようにというふうな要求でありましたので、大変これは難航し、各
省庁
とも初めは強い
拒絶反応
を示したわけですが、やはり
日米
間の将来を
考え
て何としても
合意点
を見出さなきゃいけないということで、初めは
各省
それぞれ、あるいはそれぞれの
交渉担当官
に任せておったんですが、全体として
官邸
が
調整
に乗り出す必要があるということで、最終的には
官邸主導
の下に最終的な
合意
にこぎ着けたわけであります。もちろん、その間、これは単に
事務ベース
だけではありませんで、
議会側
との
調整
も並行して行われたところであります。 それから、もう
一つ
の例は、これは
村山内閣
のときに
地方分権
の推進に関する
大綱方針
というものを
閣議決定
したわけです。この
内容
は、
我が国
の
政治体制
というんでしょうか、国、
地方
の
行政
の
在り方
を根本的に変えると。具体的に言いますと、
機関委任事務制度
を全面的に改めるという
内容
を含んだ
大綱方針
を決めたわけですが、その
決定
に至る
過程
では、各
省庁
とも、それまでありました
機関委任事務制度
を変えるということは、
国政運営上
、重大な支障が起こるんではないかということでこぞって反対でありまして、なかなか
閣議
に
案件
を提出できない
状況
が続きました。これに対して、
内閣
として
事務
的な
調整
が付かないものですから、
閣議
の場で
自治大臣
から、
内閣
としての大きな
方針
が決まっているのになぜ
案件
が上がってこないんだという御指摘があり、それを受けて私は、当時は総務庁が主管でありましたけれども、なかなか
案件
が上がってこないということで、
各省
の
事務
次官を督励して
閣議決定
に持ち込んだという
経験
がございます。 ほかにもたくさん
ケース
はあったんですけれども、いずれにいたしましても、
内閣
としてどうしてもまとめなきゃいけない
案件
につきましては、
個々
の
省庁
の立場を超えて
協力
してもらわないかぬということがしばしば生じたところであります。そしてまた、大きな
案件
になりますと、どうしてもこれは、
省庁
の
事務ベース
だけではなくて、それぞれ
関係
の深い
国会筋
の御理解もいただかなければ
結論
が出せないという
場面
が多かったように思っております。 それから、
内閣自身
と
与党
との間で
意見
が合わないために苦慮した
ケース
もございます。 例えば、
海部内閣
の当時ですが、いわゆる
湾岸戦争
の際に、各国は、御承知のように、イラクのクウェートに対する侵略に対抗するために
国際平和協力部隊
というものをつくったわけです。それに対して、
我が国
は憲法の制約がありますから
自衛隊
を直接参加させることはできないということで、
我が国
は当時は、
経済制裁
なり
財政協力
あるいは
物資協力
はいたしましたけれども、
人的貢献
は控えておったわけであります。しかし、
国際社会
の要請もあり、何らかの
人的貢献
が要るんではないかということで、そのための
法整備
を行うということになったんですが、しかし、その
国際平和協力活動
に従事する人員につきまして、やはり詰めていきますと、
組織
的に
協力
できるのは
自衛隊
しかない、
自衛隊
を使うしかないという
結論
になりまして、しかし、当時、
内閣
としては、特に
海部総理
としては、
自衛隊
を海外に使うということは何としても避けたいというお
考え
が強く、また当時、
与党側
は、そういっても現実問題として
自衛隊
を使う以外に方法はないじゃないかということで、大いに
議論
がこれは分かれたんでありますが、最終的には、
自衛隊
を
国際平和協力隊
の隊員として身分を
併任
すると、
自衛隊そのもの
ではなくて、任務を
併任
するというふうな形で参加させるということで
法律案
をまとめた
経験
がございます。このときは
与党
と
内閣
の
意見
が違いまして、その
調整
に大変苦慮したということを思い起こしております。 それから、
内閣
と
各省
との
調整
でもう
一つ
大きな問題は、
各省
の
幹部人事
の
在り方
であります。 御
案内
のように、現在は、
国家公務員法
の規定によりまして、各
省庁
の
職員
は
幹部
を含めて全てそれぞれの
大臣
が
任命権
を持っております。これに対して
内閣
がどう関わるかということでありますが、
国家公務員法
以前は、
各省
の
幹部人事
は
閣議
で
決定
してそれを上奏するという仕組みになっておりました。それを、
国家公務員法
によって
各省
の
大臣
が
人事権
を持つと、
任命権
を持つということに変わったんですが、その際に、やはり
内閣
として
各省
の
幹部人事
については
一定
の
関わり
を持つ必要があるということで、私が在職中は、あらかじめ発令する前に
内閣
に相談していただきまして、いわゆる
閣議了解
という形で進めるということをやっておりました。その後、
内閣
の
関わり
を強める動きがありまして、現在では御
案内
のように
閣議承認
という形になっております。 今回、本日、
参議院
にも付託されたそうでありますが、
国家公務員法
の
改正
によりまして、
各省
の
幹部人事
については
内閣
が大きく関わるように
改正
されるようであります。すなわち、
内閣総理大臣
による
幹部職員
の
適格性審査
というものを前提にして、
候補者名簿
を
内閣
が作成すると、そして、その
内閣
が作成した
候補者名簿
の中から
各省大臣
は
幹部
の
任命
を行うと、その際、
内閣
と協議するということで、従来に比べて格段に
内閣
の
関与
が強まる
改正内容
になっていると思います。 私は、このような
改正
について、いろいろ各
省庁
それぞれに
意見
があるんだと思いますけれども、私
自身
は、やはり
幹部人事
について
内閣
の
関与
を強めるということは、これは
内閣機能
の
強化
の面からも必要なことではないかと、このように
考え
ております。 以上、私が在職した当時の
経験
を踏まえまして、まず
意見
を申し上げさせていただきます。
武見敬三
4
○
会長
(
武見敬三
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見聴取
は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。 本日の
質疑
はあらかじめ
質疑者
を定めずに行います。
質疑
及び
答弁
の際は、
挙手
の上、
会長
の
指名
を受けてから
着席
のまま御
発言
いただくよう
お願い
をいたします。 なお、できるだけ多くの
委員
が
発言
の機会を得られますよう、
答弁
を含めた時間がお一人十五分以内となるように御
協力
を
お願い
をいたします。 それでは、
質疑
のある方は
挙手
を願います。
宮沢洋一
君。
宮沢洋一
5
○
宮沢洋一
君
自民党
の
宮沢洋一
でございます。 今日は、尊敬すべき
石原参考人
に
質問
をさせていただく機会いただきましたこと、誠にありがとうございます。もう
官邸
で御一緒したのが二十年以上前でございますし、
役人
の先輩としていろんな御指導を受けてまいりました。 その中で、幾つか
質問
したいわけでございますが、まず、
最後
に
内閣人事局
についてのお話がございました。私も
自民党
の
行革本部
でずっと
公務員制度改革
をやってきておりまして、ともかく
国家
のために働く、
各省
のために働く
役人
ではなくて、
国家
のために働く
役人
がどうしても必要だろうと。何か起こったときに必要な
人材
を
内閣
に集めるのではなくて、やはり
それなり
の目配りを
内閣
がして、本当に
仕事量
が多過ぎて人が足りない
役所
には人を派遣するぐらいのこともどんどんやっていくためには
内閣人事局
をつくるべきだと思っておりまして、ちょうど
国家公務員基本法
の
改正
で書かせていただきましたけれども、当時の
松井民主党
の
参議院議員
と
最後議員修正
を大幅にやって作り上げました。 それで、実は、
内閣人事局
というのはある
意味
で使い方が大変難しいと思うんです。やはりそういった
意味
で
国家
のための
人材
をどう役立てていくかということもありますし、一方で、
政治家
におもねるような
役人
ばかりが出世するというわけにはいかないわけでありまして、その辺の
政治
と官の
距離
というものをどう取っていくのか。逆に言えば、
内閣
が
交代
したときにでも、そんなに大幅に人が替わらないというようなことにしておかないと、
国家
の
行政機能
としては大変なことになると思っておりまして、その辺の、
人事局
に絡む政と官の
距離感
といったものについてどうお
考え
か、まず聞かせていただけますでしょうか。
石原信雄
6
○
参考人
(
石原信雄
君) 政と官の
関係
、特に今回は、
内閣人事局
ができまして、そこで従来以上に
内閣
が深く関わるということに
改正
されるようでありますけれども、私は、
各省
の
職員
はもちろん
国家国民
のために全体の
奉仕者
として
全力
を尽くしてもらうわけで、それぞれの
省庁
に属しておりますけれども、
基本
は
国民
に奉仕するということでありますから、そこは一致しているはずですけれども、やはり、しかし具体の話になりますと、それぞれの
担当
する
省庁
の
考え方
でいく、これはある
程度
必要なことですが、ただ、しかし、物によっては
省庁
の枠を超えて時の
政権
の示す方向に
協力
してもらわなきゃいけないことであろうと思います。 そういう
意味
で、今回、
内閣
が
幹部人事
について大きく関わるというのは私は必要なことだと思います。ただ、私
自身
が長い
間公務員生活
を続けた
経験
からいたしますと、
組織
を束ねる、多くの
職員
を束ねていくという、そういう
管理能力
というんでしょうか、これは長い間その
人物
を見ていないとなかなか分からないと思うんです。ですから、
内閣
は
交代
が常にあり得るわけですから、
交代
した
内閣
がどこまでそれぞれの
省庁
の
幹部
の素質というのを、
資質
というものを把握できるかということが私はある
意味
では
心配
な面でもあります。 したがって、私は、
基本
的には
内閣人事局
が
資格審査
をし、
資質審査
をして
候補者名簿
を作るとしても、その
名簿
を作る原案の
作成過程
ではやっぱりそれぞれの
省庁
の
意見
をよく聞いていただく必要があると思います。いわゆる
思い付き
で
人事
をされるということになると、適材でない人が選ばれる
可能性
も出てくる
心配
がありますし、また、何よりも各
省庁
の
職員
が安心して職務に精励できるという
状況
が損なわれる危険がありますから、私は、
基本
的には
職員
の
資質
については長くその
職員
を見てきたところの
意見
をまず
ベース
にしていただきたいと。しかし、同時にまた、特に
幹部
ともなれば、そのときの
政権
の目指す
政策
に
協力
していただく必要がありますから、物の
考え方
、
進め方
について違った人では困るわけです。そういう
意味
では、新しい
政権
に常に
協力
していただくということが大切ではないかと思います。 一番
心配
なのは、
政権交代
があった場合に、
幹部
が前の
政権
に
協力
したがゆえに更迭されるということになると、常に不安におびえることになります。戦前の
政党政治
の頃、そういうことがあったと言われておるんですけれども、やはり
公務員
は本来は中立でありますし、
国民
の全体の
奉仕者
として
全力
を尽くしているわけですから、あくまでもそれぞれの
能力
、
資質
というものを
基本
にした
人事管理
をやっていただく必要があると思います。 しかし、同時にまた、
幹部
になればなるほどそのときの
政権
の
政策目標
というものを理解し、これに
協力
していただくということは必要であろうかと思います。
宮沢洋一
7
○
宮沢洋一
君 長く
行政
にいられて、
各省
にわたって、
幹部
について、
それなり
に
各省
の
幹部
の
能力
を把握している人というのは、今の
政府
に何人ぐらいいらっしゃると思いますか。
石原信雄
8
○
参考人
(
石原信雄
君) これはどこまで個別に、
個々
の
人物
の特性というか
能力
というか、それを把握できるかというのは、これは私も
人数
で何人とは言えませんけれども、ただ、今後、
人事関係
の
担当
は
事務
の副
長官
になるのか
政務
になるのか知りませんが、やはりある
程度
知っている人がいないと非常に不安になってしまうと思うんですね。 私は、まあ、幸か不幸か長く
官邸
におったものですから、
各省
の
幹部
になる人というのは課長ぐらいから付き合っていたんで、大体誰がどういう
考え
であり、どういう
能力
があるかというのを見てまいりましたけれども、今後、こういう制度的に
官邸
が
幹部人事
を管理するとなると、その
各省
の
幹部
の本当に
資質
を十分知った
人間
が関わらないと、替わった人、ちょっと来た人がまたそのときの
思い付き
で
人事
をやるとなると、これは非常に
弊害
が起こると思うんですね。 そういう
意味
で、今回、何か六百人ですか、対象にするのが。しかし、その場合でも、本当に
各省
の
最高幹部
になる人というのは数が限られておりますから、やっぱり
官邸
が直接把握できる
人数
というのは各
省庁
の数の二倍か三倍かぐらいじゃないんでしょうかね。本人が、
責任者
がどれだけ
各省
の
幹部諸君
と接触しているかということも
関係
があると思います。
宮沢洋一
9
○
宮沢洋一
君 ありがとうございました。 それでは、次の
質問
に移らせていただきますけれども、二〇〇一年に
行政
が大幅に変わって今の
体制
になったわけですけれども、まあ、
橋本内閣
でいろいろ
議論
した。恐らく
石原参考人
もその
議論
に深く関わった
部分
がおありだったと思うんですが、
内閣機能
の
強化
ということが一番の
目標
として新しい
体制
で発足しましたけれども、それから十三年たちますと、我々の
政権
のかつての
政権
の
時代
、また
民主党政権
の
時代
合わせて
肥大化
に次ぐ
肥大化
をしているわけであります。
最初
にできたときでも、それはその
内閣
府の中で誰が何やっているか、いま
一つ
分からない
部分
がありましたけれども、その後は、もう誰がどこに何やっているのか、
併任
に次ぐ
併任
があって、
会議
に次ぐ
会議
があって、大変
肥大化
してきた。 これ何とか整理しなきゃいけないということで、これから作業を始めようと思っておりますけれども、大変深い
経験
を持たれている
参考人
としては、何か、どういう観点からどう切り込んでいったらいいか、いろんなアドバイスをいただければ有り難いと思います。
石原信雄
10
○
参考人
(
石原信雄
君)
内閣
府の現在の
状況
については、私もかつて
官邸
におった
人間
として見ているんですが、率直な
感想
は非常に
肥大化
し過ぎていると。それぞれ理由があってそうなったんでしょうけれども。ただ、その時々の
状況
に応じて
一定
の
組織
をつくる、
省庁
横断的な
組織
をつくるというのはこれは必要だと思うんですが、ただ、その問題がほとんどもう山場を越してもその
組織
そのままが、そのままになっているという
ケース
が多いんじゃないかと思うんですね。だからやたらに増えちゃうんで。やはり問題が起こった場合には、その
問題解決
のために集中的に
各省
の力を結集する
意味
で
内閣
府に
一定
の
組織
をつくるということは必要ですが、できればそれは二年か三年の時限的なものにして、それで、
一定
の期間が過ぎたら自動的にそれは消滅すると、そこの要員は元に戻るという、そういうふうにすることがいいんじゃないかと思います。やはりああいう
総合調整機関
というのは、望ましい形であれば、
意思決定者
というのは少ない方が早く
結論
が出ますから、
余り数
が多くなるというのはやっぱり
決定
を遅らせる
原因
になるんじゃないかと思う。 そういう
意味
で、率直な
感想
としては、今の
内閣
府はちょっと
肥大化
し過ぎていると、だから
機能
をもう一回見直して整理されたらいいんじゃないかというのが
感想
です。今
責任者
ではありませんので、ちょっと無
責任
なことは申し上げられないんですけれども。
宮沢洋一
11
○
宮沢洋一
君 ありがとうございました。
最後
の
質問
になりますけれども、
民主党政権
の三年三か月というのは、ある
意味
で、我々は今
政権
に就いて、
統治機能
といった
意味
で反面教師として実はやっている
部分
があります。例えば、
鳩山内閣
のときは大混乱でありましたし、そして
菅内閣
になって、
仙谷官房長官
というのは結構よくやられていたと思うんですけれども、かなり空回りをされてしまった。
野田内閣
になってかなり良くなったなと思っていましたけれども、
社会保障
と税の
関係
等々で主にもめた。 この
民主党政権
の三年間の印象といったものを伺いたいんですけれども、私なりに整理してみますと、例えば、
最初
は最低でも
県外
というようなことで、ある
意味
じゃ
役所
の
組織
と全然違うことが独り歩きしてしまうといったような問題があったし、また
政務
三役
会議
というものがあって、
省庁
によっては全く官の方に情報が来ないというようなこともあったり、また
大臣
によっては
幹部
の
訪問先
を全部報告させるというようなことがあったりということで、大変官が萎縮してしまったんだろうと思っているんです。 それからまた、先ほどの
社会保障
と税の一体改革について言えば、決まったはずなのが決まらないということが三回ぐらいあって、私もあの三党協議、参加をしておりましたけれども、結構大変な目に遭いましたけれども。 その辺、ある
意味
では恐らく部外者としてこの
状況
を見ながらいろんなことを思われたと思うんですけれども、
感想
を一言だけ、簡単で結構でございますので、
お願い
いたします。
石原信雄
12
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は
政治家
ではありませんから、
政権
の対応の問題について批判する立場にありませんけれども、ただ、
内閣機能
の発揮の仕方というか発揮の
在り方
として申し上げますと、
事務
次官
会議
で
省庁
間の
意見
調整
をするというのは非常に貴重な場であったわけですが、これを廃止するということは非常に
行政
全体の円滑な推進のためにいかがなものだったかという率直に
感想
を持っております。 それからもう
一つ
は、私の
時代
は、
事務方
の
省庁
間の
調整
は
各省
の
事務
次官、それと
事務
の副
長官
というレベルで最終的にはできるだけ
調整
して、その
調整
した結果について
政治
の判断を仰ぐという形が多かったと思うんですけれども、いわゆる
政務
三役が
省庁間調整
を
担当
して、
事務方
はここから排除されるという形は、外から見ておりまして、やはり非常に時間が掛かるし、結局うまく
調整
ができていなかったんじゃないかという
感想
を持っています。期間が短かったから、まだ評価をするには時間が短過ぎるんでしょうけれども、そういう
感想
を持っております。
宮沢洋一
13
○
宮沢洋一
君 どうもありがとうございました。終わります。
武見敬三
14
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、風間
直樹
君。
風間直樹
15
○風間
直樹
君 民主党の風間です。 今日はありがとうございます。
石原参考人
のインタビューをまとめた本を読ませていただきました。九七年十月に初版が発行されております「首相
官邸
の決断」という、御厨貴教授と渡邉昭夫教授がインタビュアーをお務めになったようであります。この中で
石原参考人
は、
内閣総理大臣
の権限が
法律
上思ったより弱いというふうにおっしゃっています。この本の二百十八ページにそういったインタビューが出てまいりますが、私も全く
参考人
の御認識と同感でありまして、この総理の権限が
法律
上弱い、じゃ、どの
法律
上弱いのか、どの
法律
にそういった根拠があるのかを調べていきますと、いわゆる三大
基本
法に行き当たると私は感じております。
一つ
は憲法、憲法の七十二条、それから
内閣法
の六条と七条、そして平成十一年に定められた
内閣
府設置法、この三大
基本
法がまさに
我が国
の総理の権限を縛りに縛りに、がんじがらめに縛っているまさに根拠法だと私は思っております。 今日は、まずこの点について
参考人
と
質疑
をさせていただきたいと思います。 当
調査会
は、御
案内
のとおり、
統治機構
の
在り方
を審議をするわけでありますが、今年のテーマとして
内閣機能
の
強化
を議題としております。五月の連休明けまでにこのテーマに基づいて、いかにして
内閣
の
機能
を
強化
すべきかということを話すわけですが、とりわけ最大のテーマは、私は、総理
大臣
の権限をいかに
強化
をして、そのリーダーシップを充実させるかだと思っています。当然、総理のリーダーシップを充実させれば、その
行政
府の強大化した力をチェックする今度は
国会
の
行政
に対する
行政
監視の権限、チェックの権限、これも拡充が必要でありますので、このテーマはまた次回の、恐らく来年度のテーマになるのではないかと私は感じているところです。 先ほど挙げましたいわゆる三大
基本
法に戻りますが、
参考人
御承知のように、憲法第七十二条の条文では総理
大臣
の権限を定めております。「
内閣総理大臣
は、
内閣
を代表して議案を
国会
に提出し、一般国務及び外交
関係
について
国会
に報告し、」、ここからが問題ですが、「並びに
行政
各部を指揮監督する。」と、このように規定をされています。よく
国会
で問題になりますのは、この
最後
の「並びに
行政
各部を指揮監督する。」というところに「
内閣
を代表して」という文言が係ってくるのかこないのか、これがよく
国会
では問われるところであります。 同じことが
内閣法
の六条、七条でも問われるわけでありまして、いずれも総理が何かをするときに
閣議
にかけて総理はすると、こういう規定をしているわけであります。例えば
内閣法
の七条ですと、主任の
大臣
の間における権限の疑義は、総理が
閣議
にかけて裁定すると、こういう文言になっておりますし、六条でもそういった規定がなされております。 まず、
最初
のお尋ねですが、私は、やはり総理の権限をいい
意味
で解き放つには、この
閣議
というものの制約をある
程度
緩める、あるいは外す必要があるのではないかと感じています。これは理由がありまして、
閣議
というものは、今お話しした
内閣法
の六条、七条等には、総理のこの
行政
各部に対する指導を言ってみれば縛るという
意味
で出てきますが、実は、憲法上、この
閣議
ということは何ら規定をされていません。ですので、この
内閣法
の六条ないし七条を
改正
することによって、私は総理
大臣
の権限をいい
意味
で非常に
強化
できるのではないかと感じるんですけれども、この点について
参考人
の御所見を伺いたいと思います。
石原信雄
16
○
参考人
(
石原信雄
君) 現実問題として、総理
大臣
は
内閣
を代表するわけですし、それから閣僚は
内閣
が
任命
し罷免することもできるという権限が与えられているんですが、しかし同時に、今御指摘のように、憲法上、
行政権
は
内閣
に帰属すると、
内閣総理大臣
ではなくて合議制である
内閣
に帰属するという大前提があるわけですね。 そのことが
ベース
になっておりまして、総理
大臣
が閣僚、各主任の
大臣
を指揮監督する場合に、自分で
任命
した
大臣
であり、それぞれに
一定
の役割を、分担を決めて、何
大臣
を
担当
しなさいということを総理
大臣
が決めるわけですから。そういう権限を持っている総理
大臣
がその主任の
大臣
の
行政
執行について指揮監督できるんじゃないかという
議論
がもちろんあるわけです。実態的には、私はその必要性はあると思うんですが。 ところが、この憲法六十五条の
行政権
は
内閣
にあるというその規定は、総理
大臣
ではないんだよと、合議制の
内閣
にあるんだというところから、それから、
行政権
は
閣議
で、
閣議
が行うというんですね。
行政
の権限というのは、
行政権
の執行は、
内閣
の権限は
閣議
が行うと、総理
大臣
って書いてないんですね。そういうことがありまして、これは私も法制局と随分
議論
したことがあるんですけれども、総理
大臣
の各
大臣
に対する指揮監督権というのが常に
閣議
の
決定
を経てということが関わっていると。
閣議
は全員一致ですから、そうすると、その指揮を受ける
大臣
が不満であれば
閣議
で
方針
が決まらないわけですね。そうすると指揮監督できないじゃないかと、こういうことを
議論
したことがあるんですが、それはそうかもしらぬけど、憲法上そうなっているんだからこれはやむを得ないんだというのは法制局の見解でした。 したがって、そういう
意味
で、憲法並びに今の
内閣法
の規定によれば、総理
大臣
の指導権というのは、常に
閣議
という合議制の
閣議
の枠の中でしかこれは行使できないということになっておるんです。しかし、私の
経験
というか、あれは、実際は、そういう建前論はともかくとして、総理
大臣
の
考え方
、国政を預かっている
内閣
の代表としての総理
大臣
の
考え方
というのは、形式的な
閣議決定
というのを経なくても、それぞれの
大臣
がそれを踏まえて実行するということが常にあり得るわけです。ですから、法的、手続上の権限が制約があるということは事実なんですけれども、実際の
政権
運営においてそれがどこまで障害になっているかというと、私は、
内容
にもよるんですけれども、総理
大臣
の
考え
というのは実態的には各国務
大臣
がこれを理解して実行に移すという
ケース
が多いんじゃないかと思います。 ただ、
内閣法
のこの
閣議
の議を経て指揮監督するとか、いろいろ
閣議
という枠をはめているのは、法制局の見解では憲法の六十五条のところからきているんだということでありますので、これは法制的には大いに
議論
していただく必要があると思います。
風間直樹
17
○風間
直樹
君 ありがとうございます。 今
参考人
おっしゃった法制局とのやり取りなんですが、先ほど御紹介したインタビューにも出てまいりまして、大変興味深く拝見をしました。二百二十四ページに、しかし、ここの
部分
は
内閣法
制局が非常に固いんです、総理
大臣
の権限をそんなに強くするのは憲法違反だというんですと、こういうインタビューが出てまいります。 私、今日拝見して思い出したんですが、この
調査会
の初回に
参考人
として成田憲彦さんをお招きしました。このときにも同様のお尋ねを私したんですけれども、そのときの成田さんのお答えが非常に興味深いものでありまして、戦後、
日本
国憲法ができたときに、その後、恐らく時を経ずして
内閣法
の
改正
をやったと思うんですが、当時のこの
内閣法
の
改正
に携わった人たちが、官僚の人たちがその原案をGHQに持っていったそうなんですね。そのときにGHQの
担当
者が言ったのは、我々が憲法七十二条で想定したものとこの
内閣法
の規定は違うと。つまり、
閣議
でこれだけ総理を縛るということはGHQとしては
考え
ていなかったと、こういうコメントをされたということを成田
参考人
はおっしゃっていまして、非常に関心を持ちました。 このテーマは、
武見
会長
に御提案ですが、五月の最終のこの
調査会
で議員間討議をします際に、是非、総理の権限の
強化
の一環としてこの問題をどう
考え
るか、また
議論
させていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいを
お願い
します。 続きまして、
参考人
の御著書を拝見していまして、大体出版された年次が一九九七年前後かと思います。私が拝見したものはその頃のものが多くございました。 実は、先ほど申しました
内閣
府設置法というものが一九九九年ですから、その少し後にできておりまして、御著書の中でいろいろと指摘をされている、いわゆる総務省の
機能
というものをもう少し大きくしたらどうかというような御見識、御指摘が
内閣
府設置によって幾分か実現したのかなと、このように推察をしたところであります。 ただ、
内閣
府設置法を詳細に読んでまいりますと、当初、これ橋本行革のときだったと思いますが、総理の権限をバックアップする、
強化
する一環として
内閣
府という
組織
を設置したものの、実際この条文を見てみますと、総理の権限
強化
というよりもむしろ
官房
長官
の権限を
強化
したことになったのではないかと私は感じております。 そこでお尋ねですが、幾つもの御著書で必要性を指摘されていらっしゃいましたこの総理
大臣
の権限
強化
について、
内閣
府設置法がもたらした
意味
あるいは意義についての御所見を伺いたいと思います。
武見敬三
18
○
会長
(
武見敬三
君) ただいま風間君から提案がありました件に関しては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。 それでは、
石原参考人
、どうぞ。
石原信雄
19
○
参考人
(
石原信雄
君) 今の
内閣
府が設置されたのは橋本行革のとき、
省庁
再編成の
過程
でああいうものができたわけですけれども、やはりああいう
各省
横断的な
総合調整機能
を主として
担当
する
組織
をつくったというのは、それまでは、何というか、
官房
長官
なり
官房
副
長官
なり、そういったところの判断で
総合調整
をやっておったのをもう少し制度的に担保しようという
意味
合いがあったと思います。 ただ、私は、そういう
組織
をつくってそれだけでうまくいくのかなという気はしておりましたが、最近の例を見ますと、率直に言いまして、
内閣
府というものができたんですけれども、じゃ、総理なり
官房
長官
なり
官房
副
長官
なりが実際に動いて
調整
しなきゃいけない
場面
というのは余り減っていないんじゃないかと。ということは、やっぱり今の
内閣
府の規定の仕方、
調整
の
在り方
について、今実態との
関係
どうなのかなという疑問は持っておりますけれども、ただ、私はもう現役でありませんので、この点については。少なくとも、ああいう制度、ああいう
組織
をつくったというのは、
官房
長官
なり
官房
副
長官
なりがそれぞれの人的な
努力
で
調整
したものを
組織
的に制度的にある
程度
バックアップしようという
意味
があったのではないかと理解しております。
風間直樹
20
○風間
直樹
君 ありがとうございます。時間になりましたので、以上で終わります。
武見敬三
21
○
会長
(
武見敬三
君) それでは、谷合正明君。
谷合正明
22
○谷合正明君 公明党の谷合です。 今日は、
石原参考人
におかれましては、大変貴重な御
意見
を賜りましてありがとうございます。 私の方からは、まず、
閣議
並びに閣僚懇談会、この議事録がこの四月一日から作成、公表されるということについてお尋ねしたいと思います。 私も、
閣議
、中に入ったことはございませんので、どういう
議論
をされているのかというのは全く分からないわけでありますが、この議事録がこれまで作成されてこなかったと、明治の
内閣制度
が発足されて以来、作成されてこなかったわけでありますが、今回の
決定
につきましては、
内閣
の最高の意思
決定
の場である
閣議
の透明性の向上であるとか、あるいは情報公開、そして
内閣
の意思
決定
過程
の
国民
への説明
責任
というような観点で、私は、また私ども会派といたしましては画期的なことだと評価をしております。 そこで、まず、この度の
閣議
並びに閣僚懇談会の議事録作成、公表の
決定
についてどのように評価をなされていらっしゃるのかという点と、あと、
参考人
は、先ほど風間
委員
からも御紹介があった御厨先生とのインタビュー記事の本の中にも
閣議
の中身について触れられている
部分
がございました。 それを引用いたしますと、
閣議
の中で問題があった場合には、
官房
長官
は各閣僚に対して、この場限りにして外に出さないようにと言う場合があると。それはそのとき限りの、それぞれの閣僚なり総理の記憶、私たちの記憶、非常に重要な問題は私はよく覚えていますけれども、記録として残すことはしないと、
各省
を拘束するようなものは
案件
としてちゃんと残りますからというような一文がありました。 そこで、この度公開されるに当たって、情報公開という観点でまだ課題となるようなものがあるのかと、この点についてお伺いしたいと思います。
石原信雄
23
○
参考人
(
石原信雄
君) 私が在職中も、
閣議
の議事録というものを作っていないのかというお尋ねを受けたことは何回かあります。しかし、伝統的にこれは議事録は作っていないということを申し上げてきたんですが、ただ、誤解があってはいけませんけれども、
閣議
で審議されて答えを出したもの、
結論
を出したものは全て記録が残っております、政令にしても
法律案
にしても、それとか条約にしても。要するに、
閣議
で、
閣議
としての意思
決定
になったものは全て記録としては残っております。 問題は、
閣議
の
過程
で閣僚の
発言
、どういう
発言
があったかということですけれども、今引用されたように、これまでは
閣議
の模様は
官房
長官
が
閣議
後の記者会見で発表しております。その際に、
官房
長官
の判断で
閣議
の
発言
の中で記者会見で述べた方がいいと思うものは述べていると、必要なものは述べていると、しかしそれ以外のことは控えているということ、取捨選択を
官房
長官
の判断でやってきたというのが実態であります。 しからば、今回、
政府
は
閣議
の議事録を作成して公表するという
方針
に踏み切られたようでありますけれども、それは確かに、情報公開といいましょうか、
閣議
の場でどういう
議論
が行われているかということを
国民
が知るということは大変
それなり
の意義があることであろうと思います。 ただ、私の
経験
から申しますと、公表されるという前提になりますと、閣僚の
発言
がかなり限定されるんじゃないかと。というのは、従来の
閣議
では公表されないということがあったものですから、比較的フリーというんですか、国政万般についていろんな
発言
がありました。しかし、その中には
官房
長官
が発表するものもあるし、しないものもあると。そういう
意味
で、
官房
長官
が
政府
全体の立場で取捨選択して発表しておったわけですけれども、今後公表されるということになると、全ての閣僚が自分の
発言
が公表されるという前提で
発言
するようになるという、そういう
意味
での
閣議
の雰囲気というか模様は変わってくるのではないかなというふうに思います。
谷合正明
24
○谷合正明君 率直な御
意見
、ありがとうございます。 むしろ、
閣議
に至るまでのこのプロセスを今後どう、知る権利との
関係
でどこまで情報公開できるかということだと思うんですが、まず第一回目がスタートすると。第一回目のその
閣議
の議事録の公表は、今回の防衛装備品の移転三原則というのがまず第一号として公表されるということでございますので、今後とも、我々としてもこの公表について、この
在り方
については更により良いものとなるように検討してまいりたいと思います。 次の
質問
ですけれども、非常時、例えば震災等の非常時における
内閣
の
機能
について
質問
をさせていただきたいと思います。
参考人
は、
村山内閣
のときに阪神・淡路大震災を
経験
されております。当時の危機管理
体制
を振り返っておられまして、特に情報管理
体制
、情報伝達
体制
が弱かったというふうに指摘をされております。 三年前、東
日本
大震災また原子力発電事故がございました。このときも、初動が不十分ではないのか、時の総理の個人プレーが目立ったというような御指摘も
参考人
からあったように伺っております。そして、そうしたことを踏まえて、最近、
政府
に強い権限を与える
国家
緊急権の創設を求める
意見
もあります。 一方で、総理
大臣
が命令を出して速やかな復旧を図るというのは今ある
法律
でもほとんど可能である、ですから別に新しい
法律
を作らなくてもいいんじゃないかという
議論
もあるんですね。 今後、南海トラフ、首都直下型地震が想定される中で、我々としては、この非常事態において十分
機能
する
内閣
というのをつくっていかなきゃいけないんだと思いますが、東
日本
大震災のときに
参考人
はどのようにこの
内閣
の
機能
を見ていらっしゃったのかと。不十分であったとすれば、それは憲法に問題があったのか、
法律
に問題があったのか、あるいは運用に問題があったのか、あるいは属人的な問題だったのかと、そのような論点があろうかと思いますが、御
意見
を賜りたいと思います。
石原信雄
25
○
参考人
(
石原信雄
君) まず、大災害の発生等の非常事態に備えて
内閣
はどう対応するかということですが、私は阪神大震災を
経験
したわけですけれども、それまでも伊勢湾台風だとか、災害は常に起こっております。災害のたびに、それを
参考
にしながらいろいろな特別立法を含めて立法が行われておりますが、それでも新しい事態になるとやはり足りないということで、更に立法措置を講ずるということがあります。 私は、どんなに
考え
てやっても、大きな災害への対応もその都度変わってきますから、どんなに
考え
てもあらかじめ準備した
法律
で万全ということはなかなかないんじゃないかと。そうすると、一応の想定された事態に対する対策はつくっておく必要がありますが、それを超える問題が起こるということを常に
考え
ておかないかぬ。そのときはどうするかということですが、私は、その場合は、
内閣
の最高
責任者
である総理
大臣
あるいは
内閣
に当面の対応を認めて、それを後で追認するということが必要になってくるんじゃないかというふうに思います。 阪神大震災のときも、情報伝達の問題について申しますと、実は当時も、伊勢湾台風のときの
状況
など
参考
にしながら防災無線というものを準備しておったんですが、その防災無線が地震で倒れちゃったわけですね、兵庫の。そのために震災発生直後、情報が
内閣
に入ってこないわけです。それで、後で警察電話なり消防の電話なりでだんだん全貌が分かってきたんですけれども。今、情報伝達手段もかなり
機能
的にいいものができているそうですけれども、やはり
状況
把握を正確に行う、なるべく早く把握する
体制
を整備するというのが一番
基本
だと思います。 それから、その後の
内閣
の対応ですけれども、私は、阪神大震災のときと今回の東
日本
大震災と両方見て、やはり緊急
体制
をつくるときは総理
大臣
を中心に極めて小
人数
の人で意思
決定
できるような仕組みが必要ではないかと。大勢の人が集まって
議論
するというと、どうしても
結論
が遅れます。 それから、
責任体制
を明確にすると。どういう分野については誰が最高
責任者
になるかということを明確にしておくということが大切なんではないかなという感じを持ちました。 特に、今回は、東
日本
大震災では、原子力発電所の災害について、外から見ていますと、最終
責任者
が総理なのか特命
大臣
なのか経済産業
大臣
なのか、そこのところがちょっと曖昧だったような気がいたします。ああいう大災害のときには
案件
ごとに
責任者
をはっきり初めから決めておくと、それを
内閣
全体がその
責任者
をバックアップするということが必要なんではないかなと思います。
谷合正明
26
○谷合正明君 ありがとうございます。 そうした非常時に十分に
機能
する
統治機構
というのをつくっていかなきゃならないということだと思いますが、非常時に適切に対応するためには、つまり、通常時においても
統治機構
が円滑に
機能
するように仕組んでいかなきゃならないんだと思っております。 これは、私も前回の
調査会
でも訴えたところではありますが、強い
内閣
をつくっていくと同時に
国会
の方も
機能
を
強化
していかなきゃならないんだろうと。強い
内閣
と強い
国会
を同時に目指すべきではないかと。 そこで、これはこの
調査会
の来週のテーマにもなるんですが、二院制において
参議院
の役割というのは常にいわゆる監視
機能
だとよく言われております。この
参議院
の
行政
監視
機能
の
強化
というのがこれからもますます重要になってくるんだと思います。 そもそも、この国の
統治機構
を
考え
る
調査会
自体が衆議院にはなくて
参議院
にあるということだと思っておりまして、
参考人
が実際に長くこの
政権
の中で歴代の
内閣
を支えてこられたときに、この
参議院
の役割ということについて、何か御所見なり具体的な御提案みたいなことがあれば御教示いただきたいと思っております。
石原信雄
27
○
参考人
(
石原信雄
君) 衆議院と
参議院
の
役割分担
あるいは
機能
というか、それはどうなのかとしょっちゅう
議論
されるのを聞いております。私も、まあ
政府
の中におったものですから関心がありますが、現状では、やはり
法律
については全く、特別な
法律
以外は衆議院、
参議院
対等ですし、ですから衆参の連携がうまくいかないと国政がうまくいかないという面がしばしばありますから、そういう
意味
で、やっぱり
内閣
が
機能
しやすくするためには衆議院と
参議院
の連携というものがうまくいくということが大切ではないかなという気がいたします。 直接、
参議院
がどうあるべきかということを、私はまあ申し上げる立場にはありませんけれども。
谷合正明
28
○谷合正明君 時間になりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
武見敬三
29
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、江口克彦君。
江口克彦
30
○江口克彦君 みんなの党の江口克彦です。 先生とは、もう十数年前になると思いますけれども、ある経済団体で私が講演したときにわざわざ聞きに来ていただいて、その後いろいろと親しくお話しいただいたと。改めてお礼を申し上げたいと思いますし、それと、今日も非常にお元気で御出席いただいているのは、大変私うれしい限りだと思っております。 そこで、ちょっと幾つかお教えいただきたいということでお尋ねしたいんですけれども、なぜ、各
省庁
ですけれども、その出先機関は、出先機関ございますよね、運輸局だとか財務局だとか、各、それぞれありますね、それが、都道府県単位ではなくて広域ブロック単位になっているわけですよ。近畿財務局はありますよね、だけれども大阪財務局なんてないわけですよね。それから、東北経済産業局はありますけれども、宮城経済産業局なんていうのはないわけですよね。これはまあ、もう全てのそういうブロック制に各
省庁
の出先機関はなっているんですけれども、このことは、既に都道府県の区域を超える
行政
需要が
行政
単位じゃないとやっていけないというふうに、官僚の方がそういうふうに
考え
てそういうブロック制を取っておられるのではないだろうかというふうに思いますし、それに対応するための何らかの
体制
が必要であるということでそういう
体制
を取っておられるということも
考え
られるわけですね。 そういうことを
考え
ると、その
意味
しているところ、なぜ四十七都道府県単位でそういう出先機関をつくらないのか、ブロック制にしているのかということについて、先生はどのように
考え
ておられるんでしょうか。どうしてそういうブロック制にしたというふうにお
考え
になるんでしょうか。
石原信雄
31
○
参考人
(
石原信雄
君) 今のブロック機関が整備されたというのは、主として戦後だと思うんですね。当時、ブロック機関がそれぞれの権限配分を行ったその当時の時点では、それまでの戦前からずっと見ていまして、都道府県が、以前はやはり都道府県が
それなり
にその範囲での広域
行政
を
担当
してきたと思うんですが、戦後、特に交通・通信手段が飛躍的に発達してまいりまして、経済活動も都道府県単位じゃなくて、もう、物によってはもちろん全国単位ですけれども、各ブロック単位で経済活動が行われる
ケース
が多くなってきたんじゃないかと。だから、
行政
の面でも、やはり都道府県単位でこれ対応するには限界があるからブロック単位で把握するようにしようと、こういうことで私は、ブロック機関ができ、それぞれの権限配分が行われたと思います。 ただ、今、現状でいいますと、やはり何というか、実施権というか、実行、実際の
行政
の執行権は都道府県で、ブロック機関というのは非常に中途半端な存在になっていますね。大きな方向付けはどこの省でも本省が決めておりまして、ブロック機関というのは言わば取次機関、中間機関的な存在ですから、私は、最近の
行政
の実態あるいは交通体系とか通信体系とか、こういうものをいろいろ総合勘案いたしますと、いずれにしても、今の都道府県制度を前提にした場合のブロック機関というのは非常に中途半端な存在になっていると思いますね。
江口克彦
32
○江口克彦君 中途半端な存在になっているということであるとするならば、それを何らかの形で変えるとか、変えなければならない、そういう喫緊の必然性というものはあるのでしょうか。
石原信雄
33
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は、その
一つ
の
調整
手段として、やはり執行単位を、
行政
執行単位を、広域
行政
については率直に言って今の府県単位では狭過ぎる。広域
行政
の単位としては、府県は狭過ぎると思うんですね、北海道は別ですけれども。通常の県の場合ですと、その地域だけで処理するものはもう大きな都市では市ができるわけですね。あと、県というものが、今、県単位が、全ての
行政
が県単位になっていますけれども、中途半端だと思うんですね。だから、やはり執行単位も、望ましい姿とすれば、社会や経済の実態に合うようにするためにはブロック単位に変える方が合理的じゃないかと思います。そうすれば、今の中途半端な各ブロック機関の存在というのが、これは執行機関と一緒になるわけですから、中途半端でなくなると。その代わり、その場合は中央
省庁
が持っている権限がかなり
地方
に下ろせると、執行機関が広域で行われますから。 だから、どっちにしても今の府県制度の下ではブロック機関は中途半端な存在ですけれども、それをいわゆる道州制のような形で
行政
単位を道州に再編成すれば、これは府県の広域
行政機能
をもっと円滑にできますし、それから中央
省庁
の役割をもっと減らせると思うんです、ブロックに任せられますから。そういう
意味
での道州制というのが、私はこれから向かうべき方向ではないかなと思います。
江口克彦
34
○江口克彦君 新しい
統治機構
というか、国の形を
考え
るときに来ているんだろうというお
考え
だというふうに私は理解していますが、明治維新後や戦後の復興など、
国家
を挙げての新しい国づくりを目指す場合には中央集権
体制
がやっぱり
一定
の成果を上げたというふうに私は評価しているわけですけれども、ある
程度
成熟した社会となりまして
国民
の価値観も多様化してきているわけですね。 様々な
考え方
というものが生まれてきているという今日においては、中央集権というのはちょっといささか国の形としてはどうかなと思ったりしているわけでありますけど、改めてこの中央集権
体制
というものについて、これからの
日本
にとってこのまま続けて有効に
機能
するものだろうかということですね。成果を上げる
体制
だというふうに、先生の方は御理解というか御認識というか、主張をされるということになるんでしょうか、どうでしょうか。
石原信雄
35
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は、いわゆる道州制のような、今の府県の単位から各ブロック単位に
行政
組織
が再編成されるならば、いわゆる通常の産業経済
行政
とか通常の民生
行政
というのは、人の面も含めてかなり道州に移せるんじゃないかと。 したがって、中央
政府
というのは、外交とか防衛とか中央
政府
ならではの
機能
というのがありますから、それと全国的な制度設計とか、そういう面は中央
政府
以外は
担当
できないと思いますけれども、地域単位で処理できるものは、もう
行政
能力
からいっても各ブロック単位の
組織
というものが
担当
できるんじゃないかと。その方が各地域がそれぞれ地域で
責任
を持ってやっていくという形になっていくと。今、東京一極集中がやはり進んでいるわけですけれども、多少なりともそれに歯止めが掛けられるんじゃないかという、そういう感じがいたします。 この辺は大いに
議論
があるようですけれども、私
自身
は、長い間
地方
行政
担当
した
経験
からいたしますと、いずれにしても、今の府県単位の
行政
というのはもう広域
行政
としては限界に来ているなと。市町村は非常に育っておりますから、市町村の行財政
能力
高まっておりますから、それとの兼ね合いで府県という制度の
在り方
というのは再検討する時期に来ているんではないかなと私個人は思っております。
江口克彦
36
○江口克彦君 ありがとうございます。 サブシディアリティーというか、補完性の原理というものを働かせるべきときが来ているという、そういう御認識だというふうに理解をさせていただきましたけれども。さはさりながら、なかなか中央集権というものを変えるということが難しいという状態でありますけれども、もう中央集権というのは、見方にもよりますけれども百四十年間ぐらい続いているというような
状況
であるわけですね。百四十年も続けば、官僚制というものも様々な
弊害
が起こってくるということは、もう先生も十分いつも御指摘されておられるとおりだと思いますけれども。 アメリカの社会学者のマートンでも、規則万能だとか
責任
回避だとか前例主義であるとか画一主義だとか、いろいろいろいろ、初めはいいけれど、官僚主義というのは様々な問題が起こってきて
国民
にかえって不幸をもたらすものだと。それから、パーキンソンの法則なんかも極めて有名で、官僚はライバルではなく部下を、その増えることを望むとか、あるいはまた官僚は相互に仕事をつくり合うとかって、そういう面白いことが並んでいる。皆さんも、先生も十分に御存じだと思いますけど。 そういうふうに、パーキンソンやマートンが言っているように、初めはいいですけれども、長くなると、先ほど申し上げましたように、
国民
の生活を損ねていくというふうにこの学者たちも言っているし、私も実感としてそういうようなことを感じ続けている。 だから、この官僚制というものを何とか変えなきゃいけないんではないか。官僚
体制
というもの、新しい官僚
体制
ということも
考え
られますし、また別の、先ほど先生がおっしゃった道州制というような、そういう方向というものも、要するに地域ができるものは地域だというふうに、そういうふうに持っていくという国の形、統治の形にしていかなければいけないというふうには思うんですけれども。 取りあえず、中央集権
体制
というのが今行われている。この中央集権
体制
の
弊害
というものがもう存在している。しかし、それを取り除く方法というのはあるんでしょうか。先生、どういうふうにお
考え
になりますか。
石原信雄
37
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は、やっぱり中央で徹底的に権限を集中したいものと、例えば防衛
政策
なんかはこれはもうその最たるものだと思いますが、防衛とか外交というのは各地が違うことをやったんじゃ困るわけで、やっぱり中央が
責任
を持って中央に権限集中する方がいいと思うんですね。 ただ、一般の民生
行政
とか産業経済
行政
などについては、やはり各地域は地域の
考え
でやる分野が広いということの方がいいんではないかと。だから、今中央
政府
が持っている
機能
の中で、徹底的に中央に残して
強化
すべきものと、それからなろうことなら
地方
に、各地域に任せていった方がいい
機能
と両方あるんではないかと思います。 いずれにしても、道州制のようなものをつくるときは、これは当然、今
国家
公務員
が
担当
している事業の相当
部分
が道州
担当
になる
可能性
がありますから、そうすると中央の官僚
組織
というものも相当根本的に変わってくるのではないかと思います。
江口克彦
38
○江口克彦君 今先生のお話をお聞きして、十数年前に親しくお話をさせていただいたときも先生ほとんど同じことを言われていまして、大変私としては心強いというか、先生がそういうふうにおっしゃるんだったら、やっぱり国の
統治機構
というものを中央集権からサブシディアリティーというか、補完性の原理を前提にした国の形に変えていかなければならないというような、そういうことについて改めて大変私は重ねて強い御示唆をいただいたというふうに感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。
質問
を終わります。
武見敬三
39
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、倉林明子君。
倉林明子
40
○倉林明子君
日本
共産党の倉林明子でございます。 今日は、
参考人
、御出席いただきましてありがとうございます。
最初
に、先ほど来、強い
内閣総理大臣
の権限についての御
発言
がありました。今ほど
内閣総理大臣
が強い権限を発揮しているときはないんじゃないかと私は思っておりまして、逆に憲法が求める抑制と均衡、三権分立の下での抑制と均衡、ここにこそ本当に注目して
議論
が必要ではないかと思っているということを冒頭申し上げておきたいと思います。 この
調査会
は、「
議院内閣制
における
内閣
の
在り方
」ということで、自由に
意見
交流をしようということで始まったと思っておりますので、改めて深めていけたらと思っているところです。 そこで、
内閣
の執行権について御
発言
がございました。
内閣総理大臣
にはなくて、
行政権
は
内閣
に帰属すると。 そこで、
閣議決定
で最近は様々な動きが強引に進められているんじゃないかというふうに思っているんですね。昨日、
政府
は、新たな武器輸出三原則を
閣議決定
ということになりました。これまでの原則禁止を四十七年ぶりに見直して、原則輸出容認ということになっていくのではないかと思っています。とんでもないことだと思っているんですが、
日本
国憲法の理念である平和
国家
としての立場を踏まえ、原則禁止としてきた歴代
内閣
の
方針
を大転換するものだと思うんです。 一
内閣
が
国会審議
も
国民
の
合意
もないままこれは実施すべきことではないというふうに
考え
るんですけれども、お
考え
はいかがでしょうか。
石原信雄
41
○
参考人
(
石原信雄
君)
内閣
そのものが
内閣
に与えられた
機能
をいかにスピーディーに効率的に発揮できるかというお話と、ただいまの御指摘は、むしろ
国会審議
を経て、あるいは
法律
その他によって規制すべき分野まで
内閣
が
決定
するということはいかがなものかというふうな、そういう視点からのお尋ねだと思いますが、私は今、問題意識としては、私どもが
議論
している
内閣機能
強化
というのは、今の現行憲法なり
内閣法
なりで与えられた、
内閣
に期待された
機能
がいかに効率的に発揮できるようにするかという、そういう問題だと思うんですね。 したがって、そのことは当然、本来、
法律
その他で
国会
の審議にまたなきゃならない分野にまで
内閣
が権限を広げるという話とはちょっと違う問題、これ、ある種、立法
政策
の問題というか、いわゆる
国会
と
内閣
の役割、
機能
の分担の話ではないかと思います。 一般論として、もちろん
我が国
は法治
国家
でありますから、
法律
で規定すべきものまで
内閣
が
内閣
の
決定
で決めるということはできないわけですから、この問題は
個々
具体の
ケース
について判断されるべき問題であろうと思います。
倉林明子
42
○倉林明子君 憲法は、
内閣
は
国会
に連帯
責任
を求めているという以上、衆参で本
会議
での全会一致の決議があるというのがこの武器輸出三原則だと思っているんですね。その場合、
国会
の決議を無視したような一方的な
閣議決定
というのは、憲法上も認められるものではないというふうに思っております。 今の
議論
は
国会
のことだということで御指摘もありましたので、次の
質問
に移りたいと思いますが。
参考人
が、第一次安倍
内閣
の
国家
安全保障に関する
官邸
機能
強化
会議
、この座長として報告書をまとめられております。その中身を見ますと、第二次安倍
内閣
で
国家
安全保障
会議
の設置法、特定秘密保護法という形で成立をしております。そこで、とりわけ特定秘密保護法に対して、可決前も可決後もですが、反対の世論というのは大変大きく広がっているというふうに思っておりますが、こうした民意について、
参考人
は今どんなふうに受け止めておいででしょうか。
石原信雄
43
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は第一次安倍
内閣
のときに、その安全保障
機能
についてどう
内閣
の
組織
を
考え
るかという、そういう視点で御下問があったものですから、
関係
の有識者の方々とともに
議論
したわけですが、それは主として、国の安全保障に関わるいろいろな問題が起こった場合に、それまでの安全保障
会議
というのは、何というか、諮問機関的な、
内閣
が例えば防衛計画大綱を変える、変えようとするときには安全保障
会議
の議を経て決めるというふうに、要するに
内閣
の
決定
にチェック機関として安全保障
会議
があったんですけれども、それより、それももちろん必要ですけれども、さらに、危機が発生した場合に
内閣
として直ちに行動に移れるような
体制
をつくる必要があるんじゃないかと、そういう
意味
での危機管理に対する
内閣
の
体制
強化
という視点で
議論
をいたしました。やっぱりそのときにアメリカにある大統領直属のNSCですね、
国家
安全保障
会議
というものが非常に
参考
になりまして、
我が国
の場合も、そのような機動的に直ちに対応できる
体制
が必要ではないかという見地から
議論
し、その
意見
を答申したわけです。 したがいまして、あの懇談会では特定秘密保護法のような
議論
は直接はしておりません。それはそれに付随して出てきた問題でありますから。私
自身
は、
内閣機能
の
強化
の一環として、安全保障
体制
を整えるためにはアメリカのNSCのような
組織
が
我が国
にも必要ではないかという視点であの
意見
を取りまとめたところでございます。
倉林明子
44
○倉林明子君
一定
の付随したものとして特定秘密の保持ということでの記載になっていたかと思うんです。セットとして提案されて、それが成立したということだと思うんですが、民意を得られないまま私は強行されたというふうに思っておりまして、これに対して、戦争できる国づくりにつながるんじゃないかと、こういう大きな懸念が表明されているということだと思うんです。これは、前回もここに御出席いただきました野中廣務元
内閣官房
長官
や古賀誠元
自民党
の幹事長さんなども、我々のしんぶん赤旗にも御登場いただいて懸念の声を上げられているということだと思うんです。 私は、改めて憲法改定、この問題が一昨年の総
選挙
、昨年の
参議院
選挙
でも大きな争点となりました。
日本
共産党は、
日本
国憲法の全ての条項が遵守されるべきであり、改定には反対と、態度を明確にしておりますが、
参考人
の、憲法改定についてどうお
考え
か、伺いたいと思います。
石原信雄
45
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は
政治家
ではありませんので、憲法
改正
問題について
意見
を申し上げる立場にありません。
倉林明子
46
○倉林明子君 これは
参議院
選挙
後の
参考人
のコメントがありまして、憲法
改正
についてのコメントです。
国民
的なコンセンサスを得る
努力
が必要だというタイトルが付いております。いずれの日か、
日本
国民
の手による憲法
改正
が必要ではないかと思いますが、この問題は単なる
改正
手続に終始するのではなくて、憲法の
内容
を
我が国
の実情にふさわしいものに変えるということについての
国民
的なコンセンサスを得る
努力
が必要であると思いますということなんですね。 私、この
国民
的なコンセンサスを得る
努力
というのが現状では本当にされているんだろうかというふうに思うし、そういう点でのこのコメントを出されたときとお
考え
、お立場というのは何か
変化
がおありでしょうか。
石原信雄
47
○
参考人
(
石原信雄
君) 憲法問題については、私もう
政治家
ではありませんから、今の争点になっているようなことについてどうこうということはありませんが、ただ、私
自身
は個人的には、
日本
国憲法が制定された当時、当時は私はまだ大学生でありましたけれども、その経過というものは私も承知しております。占領下において、占領
政策
の枠の中で、当時、
日本
国憲法が
議論
され、制定されたということは御
案内
のとおりであります。ですから、私は個人的には、独立
国家
として、やはり
日本
国民
の手で根っこから
日本
国の
在り方
としてどうあるべきかを
議論
して憲法が作られることが望ましいんじゃないかという
考え
は持っております。 いずれにしても、
内容
がいいか悪いかではなくて、今の憲法は、占領下で非常に限られた、
日本側
の
国会
その他の
意見
というものが制約される形で制定されたことは間違いありません。ですから、
内容
がいいからそのまま、このままで未来永劫いいじゃないかという
意見
もあるでしょうけれども、私
自身
は、やはり独立
国家
として、その
基本
法である憲法がああいう
一定
の制約条件の下で制定されたということは大変大きなこれもう事実でありますから、望むらくは、やはり
日本
国民
自身
の発想で望ましい法体系をつくるということがいいのではないかという
考え
は持っております。しかし、これは我々の年代の
人間
と最近の人たちとは違うでしょうけれども。 いずれにしても、私は九条が争点になると思いますけれども、九条だけではなくて、全体の
法律
構成そのものが
日本
国民
の主体性の下につくられるということが望ましいのではないかという
考え
を持っておりますけれども、私は今の
改正
論でどちらかをサポートするという立場にはありません。
倉林明子
48
○倉林明子君
国民
が主体的に、
国民
主権と、ここがやっぱりスタートになっていくんだというふうに思います。 今、現在の安倍
政権
が、
内閣
の
閣議決定
でこの憲法九条を事実上踏みにじってしまうような集団的自衛権の行使に踏み切ろうという動きもございます。私は改めて、憲法が定めました三権分立の
統治機構
の原則、これを乱暴に踏みにじるようなやり方は認められるものではないと強調をしておきたいと思います。 国権の最高機関であり、連帯
責任
を負う
国会
との
関係
、これについて、改めて御
意見
があれば伺っておきたいと思います。
石原信雄
49
○
参考人
(
石原信雄
君) もちろん
内閣
というものは、もう申すまでもありませんけれども、
議院内閣制
であります。
国会
によって
指名
された首班が
内閣
を構成しているわけですから、その
内閣
の行動というものは常に国権の最高機関である
国会
との
関係
を配慮しながら行われるべきことは当然であろうと思います。
倉林明子
50
○倉林明子君 やっぱり現行憲法は、二度と再び戦争はしてはならないと、この反省の下に
統治機構
も権力を三権に分立している、抑制と均衡を求めて縛りを掛けている、この原点を
国会
もしっかり思い出さなければならないなと、改めて
議論
を通じて感じたということを申し上げまして、終わります。 ありがとうございます。
武見敬三
51
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、
清水貴之
君。
清水貴之
52
○
清水貴之
君
日本
維新の会の
清水貴之
と申します。 本日は、お忙しい中、本当に貴重なお話、
経験
談、お聞かせいただきましてありがとうございます。 私は、まずは、先ほど谷合
委員
からも
質問
がありましたが、
閣議
の議事録の公開の件について重ねて
質問
をさせていただきたいと思います。 先ほどのお話ですと、やはり公開が前提ということになりますと、閣僚の皆さんも
発言
に気を遣ったりとか控えたりすることも出てくるんじゃないかと、ちょっと雰囲気も変わってしまうんじゃないかというお話でした。となりますと、そういった
内容
の
閣議
を今度公開しても余り
意味
がなくなってしまうわけでして、とすると、どういった形が一番いいのかなと。やっぱり公開する
意味
もあると思うんです。これは、
内閣
とか
政府
と
国民
との付き合い方とか接し方にも関わってくると思うんですけれども。 としますと、今の形のように、ある
程度
内容
を要約したりとか必要だと思うところを
官房
長官
が
発言
するのがいいのか、そもそも公開しない方がいいのか、いや、それともやっぱり全てオープンにする方がいいのか、この辺り、一番いい形というのはどのような形だとお
考え
でしょうか。
石原信雄
53
○
参考人
(
石原信雄
君) 従来のような形がいいのか、それとも今回
政府
が決めたような
閣議
の議事録を取ってそれを公表する方がいいのかという、どちらがいいかというお尋ねになると、やはり今の御時世ですから、情報公開の
時代
でありますし、
閣議
でどういう
議論
が行われたかということを
国民
が知るということは大変いいことですから、そういう
意味
での、何というか、建前論というか原則論からすれば、私は、今回の
決定
というのは
国民
の目線から見れば前進というか
改善
だと思います。 ただ、私は、実態論として、私
自身
が多くの
内閣
の
閣議
に出席させていただいた
状況
からいたしますと、やはり閣僚の皆さんが、国務
大臣
として自分の所管以外のことを、国政万般について比較的自由にいろんな
意見
を交わしておったように思います。もちろん
発言
される場合には、後で困るようなことは
発言
されないという、皆心掛けてはおられるんでしょうけれども、しかし、公表されないという雰囲気の中で非常に自由な
発言
がなされたと思うんですが、それが全て議事録として記録され、公表されるとなると、そこがやはり、閣僚の皆さんもそれぞれ
人間
として心理的な影響はあるんではないかと。これは制度論じゃありません。だから、どちらがいいかといえば、そういう建前論というか、並べてどっちがいいかとなれば、それは公表した方が今の御時世に合うという
意味
で前進だということだと思いますね。
清水貴之
54
○
清水貴之
君 となりますと、本音は余り出なくなってしまって、じゃ本音で話す場所がほかで、例えば閣僚懇談会なのか
関係
閣僚
会議
なのか。
石原信雄
55
○
参考人
(
石原信雄
君) ですから、そこは閣僚の皆さんが自分の所管を超えて国政万般について
意見
を述べる場として今まで
閣議
というのがあったわけですが、そこが少し制約されるというのか、影響が出てくるんではないかと私は自分の
経験
から申し上げたが、制度論じゃありません、これは。もちろん、やはり閣僚は国務
大臣
として国政万般について
責任
があるわけですから、やっぱり自由な
議論
は大いにやってもらいたいと思いますね。
清水貴之
56
○
清水貴之
君 そういった
意味
を踏まえまして、今度、
政府
とか
内閣
の広報全般についてお聞かせいただきたいなというふうに思っているんですけれども。
内閣官房
には
内閣
広報室というのがありまして、
政府
の広報室というのもあります。いろいろ今メディアも多様化していますので、インターネットを通じたりとかメールマガジンを発行したりとか、いろんな手段を取ってなるべく情報発信をしようとしているというのも非常によく分かります。さらに、例えば東
日本
大震災のような災害時、今回はやはり情報公開が余りうまくいかなかったんじゃないかとも言われていますので、ああいう緊急時の情報発信というのも非常に大事になってくると思うんですけれども、いかがでしょうか。
政府
の今の広報
体制
というものに対して何か御
意見
、
改善
点などありましたら、どう思われるでしょうか。
石原信雄
57
○
参考人
(
石原信雄
君) もちろん、
内閣
の広報官もおりますし、広報室もありまして、
内閣
の
考え
ていること、やろうとしていること、やったこと、
国民
になるべく早く、分かりやすく知らせるという役割を果たしております。 ただ、災害時、特に大災害の発生のときというのは、通常の広報というセンスよりも、やっぱりその起こっている事態を一刻も早く
関係者
に、住民一般、その他
関係者
に知らせるということが使命ですから、通常の広報とは違った、いわゆる危機管理の世界で
考え
られるべきじゃないんでしょうかね、正確な情報を早く伝えるということがもう最優先ですから。
清水貴之
58
○
清水貴之
君 そういった
意味
で、災害のときにどう対応すべきかと、先ほども
質問
ありまして、緊急
体制
をつくるときには小さい
人数
で決めていくべきだと、
責任体制
を明確化していくべきだというお話がございました。 これは、震災直後、一か月後ぐらいに
日本
記者クラブで恐らく
参考人
がお話しされたこれは
内容
かというふうに思うんですけれども、そのときにもお話をされておられまして、まず、どんな
政府
の、今後、復興に対してどう取り組んでいくべきかという話なんですけれども、まずはやはり時間との勝負だということをおっしゃっています。総理と
関係
閣僚がスピーディーに物事を決めていくべきだということをおっしゃっています。に加えまして、復興の実施主体は県、市町村が当たるべきだというふうにお話しされています。復興院を新設するのは窓口を二つつくることになる、
政府
直轄は新憲法の
地方
自治にはなじまないということで、もっと
地方
にということ。 私もそのように、同じように思っておりまして、もっと
地方
主体で、
地方
に権限、財源渡して、復興も、それこそ先ほど江口
委員
からもありましたように、
地方分権
もそうですけれども、もっともっと進めていくべきだというふうに思っているんですけれども、今、このお話をされてから、震災が起きてから三年がたちました。この三年間を御覧になっていまして、このような、その当時おっしゃった復興の実施主体、もっと
地方
にというようなお話しされておられましたけれども、この三年間を御覧になってどのように今は思われるでしょうか。
石原信雄
59
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は阪神・淡路大震災のときに関わったものですから、そのときのことと今回の東
日本
大震災とを比べていろいろ
意見
も申し上げたりしたんですけれども、率直に言いまして、今回の東
日本
大震災は、御
案内
のように、被害の
程度
が阪神大震災と比べ物にならないくらい大きなものでありました。範囲が広いと。それから、何よりも原発事故というものが絡んでおりますから対応が難しいということは、もうこれは間違いないと思うんですね。ですから、一概に今の事態の遅れを、今の人たち、
関係者
を批判するようなことを私は申し上げるつもりはありません。 ただ、今回、復旧復興が全体として遅れていることは間違いないですから、それについては、震災直後の段階で、こちらで
内閣
の諮問機関として復興対策懇談会などがやっておりましたが、やはりあのときの判断と、今、最近になって現地で起こっている事態と比べると若干食い違いがあるようですね。だから、やっぱり現地に対する認識、現地の人たちの気持ちの把握にちょっと若干問題があったのかなという気はいたしますね。 例えば、あの当時、大きな津波が来たので、千年に一度という津波が来たわけですから、次に千年に一度の津波がいつ来ても耐えられるようにするにはどうしたらいいかといったら、山の上にみんな移った方がいいということで高台移転というのが提案されたようですけれども。やっぱり地域によっては、高台といっても、実際問題として用地の確保が難しいとか、それから移ってしまったら、後、じゃ生活をどうするんだという問題が起こってきているようでありますから、やっぱり地域地域ごとの
状況
に応じた対策というものがもっと早めに
議論
されたらよかったんじゃないかなという感じを持っています。
清水貴之
60
○
清水貴之
君 としますと、実際に、もちろん当時は本当にああいう状態でしたから、皆さんが一生懸命やって、非難するつもりはないとおっしゃいましたので、もちろんそうだとは思うんですけれども、ただ、やはり次もし同じようなことが起きた場合に、この教訓を生かすためにもお話をいただけたらなと思うんですが、地域地域でやはり話を聞いていくべきだ、くみ上げるべきだというお話でしたが、それをするためにはどういった
組織
でどういう
体制
をつくったらよかったんでしょうか。
石原信雄
61
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は、阪神大震災のときの
経験
で申しますと、阪神大震災は東京から離れたところで、都市直下型地震で大変大きな災害になったんですけれども、ただ、現地がどういう
状況
になっておって、また、後、どう対応するのがいいのかというのは東京ではなかなか分からないわけですね、
各省
それぞれ
努力
されても所詮限界がある。 そこで、あのときは
責任
大臣
として小里国務
大臣
に
お願い
して現地に行ってもらって、それで、小里
担当
大臣
に
各省
のナンバーツークラスの実力者全部付いていってもらって、それで現地で必要性を判断して、そして、現行法令その他で対応できない
部分
は現地でどうしたらいいかを
考え
てくださいと、そして、後でその
状況
を
内閣
としてフォローすると、制度的にも予算的にもフォローするという
体制
で臨んだわけです。 ですから、私はそのことが、幾つか後で
法律
的な手当てをして、むしろ実行が先行したようなこともありましたけれども、ああいう大災害のときにはそういうことがあっていいんじゃないかと。法治
国家
だから
法律
ができるまでは何もしちゃいかぬというんじゃなくて、人命救助のために必要であれば、まずその
責任者
が現地に行って、現地判断で、ここはどうしてもこれが必要だと思ったらそれをまず進めるという前提で準備をして、それで後で、あのときも
国会
は緊急な立法措置もやってもらったわけですけれども、後からそれをフォローするという
体制
があってもいいんではないかと思いますね。これは立法
政策
と緊急事態への対応の問題になりますけれども。
清水貴之
62
○
清水貴之
君 大変貴重なお話、本当にありがとうございました。 以上で
質問
を終わります。
武見敬三
63
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、浜田
和幸
君。
浜田和幸
64
○浜田
和幸
君 新党改革・無所属の会の浜田
和幸
です。
石原参考人
に幾つか
質問
をさせていただきたいと思います。 まず、冒頭のお話の中でもございました
日米
構造
協議を振り返って、当時大変取りまとめに苦労されたと。
参考人
の当時の回顧録を読ませていただきますと、業界、
日本
のですね、大変な強い反対があったと、
日本
の各
役所
もこれに反対だったと。特に外務省が力不足というか、
各省
の説得が全然できなかったということをおっしゃっていて、実質、
石原参考人
が
責任者
になって
各省
それぞれを説得して
構造
協議の取りまとめをしましたということを述べておられます。 それで、私、なぜ
我が国
の外務省が
各省
の取りまとめができなかったのか。そして、
石原参考人
が、その外務省ができなかったことをどういう手段、どういう方法で
各省
の説得ができたのか。その結果、
日米
の
構造
協議がうまく進むことになったんですね。結果的に
日本
の消費者のためにもなったという評価があるわけですけれども、今現在、TPPの交渉もなかなか難しい局面に達しています。そのTPPに関しても何らかの
参考
になる御示唆がいただければと思いまして、当時を振り返って、なぜ外務省にはそういうまとめができなかったのかということについてお話をお伺いできればと思います。
石原信雄
65
○
参考人
(
石原信雄
君)
日米
構造
協議のときだけじゃなくて、その前にも、例えば牛肉・オレンジ問題とかいろんな問題がありまして、もちろん、そういう外交問題ですから、第一義的には外務省がその衝に当たるんですけれども、私が就任してから
各省
から聞こえてくるのは、外務省は我々の立場を全く理解してくれていないというような声を、特に当時は非常に問題になったのは、建設省とか農水省とか現場を抱えている
省庁
の置かれた立場、苦しさというものを外務省が余り理解していないんじゃないかと、それでもう対外的に格好のいいことばかり言っているんじゃないかという不信感がありまして、ですから、その不信感を取り除かないと実際の詰めがうまくいかなかったんです。 特に
構造
協議の場合には、先ほど申しましたように六つの分野にわたって
議論
するということでしたので、初めは外務省の外務審議官と、それから通産審議官と、それから財務官と、この三人が言わば
政府
の代表という形で
アメリカ側
とやっていたんですけれども、結局、詰めていくと、
各省
の現場を納得させないと話が詰まらないということになって、その段階では、外務省だけではもう手に負えない、要するに
官邸
が
調整
役やってくれということになってやったわけです。 その場合は、もちろんそれぞれの
省庁
も
政府
の置かれた立場というのは
それなり
に理解していただいているんですけれども、やはりそれぞれの業界の反対、それから更に言いますと、業界の立場を代弁されております
国会
議員さんですね、当時は
自民党
政権
ですから、
自民党
政権
でいいますと例えば商工族だとか農林族だとか建設族とかという、そういうところほどベテラン議員さんの御了解をいただかないとなかなか話が進まないという面がありました。 ですから、そういう面では、単に
事務方
だけでは話が進まない、やっぱり
与党
の
幹部
とも連携取りながら最終的な落としどころを決めていくということがしばしばありました。 典型的な例がいわゆる大店法問題というので、これは議員立法でできた
法律
ですので、いわゆる当時の商工族と言われる人たちは絶対これは修正まかりならぬという立場でしたので、当時の通産省も間に立って非常に苦慮をされたんですが、しかし、これを何とかしないと前に進まないというようなこともあって、この点については、
与党
とも連絡取りながら、
関係
議員の理解、
関係
業界の理解を得て、最終的には
一定
の修正をすると。 御
案内
のように、この
法律
は今はもう廃止されておりますけれども、初めは、もう一字一句たりとも修正まかりならぬというような空気からスタートしたわけですけれども、やはり最終的な
結論
に至るまでには、
関係
省とそれから
政府
・
与党
と一緒になって
結論
に持っていくという
努力
をいたしました。
浜田和幸
66
○浜田
和幸
君 ありがとうございます。 それで、翻って、その当時のことを思い起こしていただいて、今現在進行中のTPP、これの交渉に関してどういう今
感想
をお持ちでしょうか。
石原信雄
67
○
参考人
(
石原信雄
君) 現在は、もちろん、今の
内閣
もTPPの妥結というものを非常に重視して臨んでおられるようでありまして、直接的には鶴岡さんですか、
担当
交渉官が、
責任者
が、
役所
側の交渉官決まっておりまして、そこを中心に
議論
し、さらに
担当
大臣
も決まっておられますから、まさに
政府
とそれから官僚
組織
と一体になってこれは進めているんだと思います。 この種の話というのは、やはり
関係
の、それによって利害
関係
のある業界の理解をどうやって得るかということが非常に大事になってきますから、その場合も、
関係
業界の方も一歩たりとも譲らないというのでは
結論
は出ませんので、そこは御理解をいただく必要があるんじゃないでしょうか。 実は、
日米
構造
協議だけじゃなくて、私は細川
内閣
のときにウルグアイ・ラウンド交渉というのを、あれを取りまとめしたわけですけれども、あのときも
関係者
は大変な苦労をして、御
案内
のように、あのときは米の問題が一番ネックになったんですが、
国会
では何遍も米は一粒たりとも輸入まかりならぬという趣旨の決議がありましたので、その
国会
の御理解を得るのは大変な苦労があったわけですが、しかし、最終的にはいわゆるミニマムアクセスという形で決着して、まあ今はそれが良かったか悪かったか、御批判はあるわけですけれども、当時としてはそこまでこぎ着けるのに大変な
努力
が要ったと。 しかし、そのときに私は感じましたのは、単に
内閣
だけじゃなくて、当時の農水省の
幹部諸君
ももう一体となってこの取りまとめに奔走したと。もちろん外務省は窓口ですからなんですけれども、そういうその
関係者
の一体となった
協力
、
努力
というのが妥結に至った
原因
ではないかと思っております。
浜田和幸
68
○浜田
和幸
君 ありがとうございます。 次に、中国とのことについてお聞きしたいと思います。
参考人
は、中曽根元総理との対談の中で、中国に対しては批判を恐れずもっと自信を持って、
日本
の首相、これは安倍総理を前提にのことですけれども、というコメントをされているんですけれども、今の日中間の
状況
を踏まえて、批判を恐れずもっと自信を持って中国と向き合うということの具体的な
意味
、総理はいつでも自分は対話の窓を開けているとおっしゃっているんですけれども、それだけでは不十分ということでしょうか。
石原信雄
69
○
参考人
(
石原信雄
君) これはまさに今ホットな問題ですから、私のような過去の
人間
が評論家的なことを申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいと思いますが。ただ、要は、これは日中両国に、それぞれに相互不信感というのが根っこにあるんじゃないでしょうか。だから、その不信感をどうやって、まあ完全になくすわけにいかないんでしょうけれども、その不信感を和らげる
努力
をどうしたらいいのかということじゃないかと思いますですね。ただ、これは外交問題ですから、私のような
人間
が評論家のようなことを申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
浜田和幸
70
○浜田
和幸
君 それと同じ中曽根元総理との対談の中で、
石原参考人
は
政治
主導ということに触れておられて、その
政治
主導という言葉は
政治家
だけの
政治
という
意味
ではないはずだと。やはり、専門知識を持つ官僚
組織
を排除して
政策
決定
するのは無謀ですということをおっしゃっています。今、ちょうど
国家公務員法
の一部
改正
審議始まったところなんですけれども、この
政治
主導ということの
意味
、これを
石原参考人
はどういう具合に捉えておるんでしょうか。
石原信雄
71
○
参考人
(
石原信雄
君)
社会保障
分野の問題でも、あるいは産業経済
政策
の問題でも、あるいは財政問題でも、やはり大きな方向付け、大きな
方針
というのはもう
政治
が決めるべきものだと思います。ただ、それぞれの
政策
決定
に至る
過程
で現実がどうなっているか、そしてまたその選択した結果がどういうことになるのかという、そういう点については、やはりそれをライフワークとしている官僚
組織
というものを使わないと適正な
政治
決定
はできないんじゃないかというのが私の
経験
からくる
感想
です。 したがって、
政策
を
議論
する場合には、やはりその
政策
に関わる
行政
を専門にやっている官僚
組織
の
意見
は聞いてもらいたいと、
決定
はもちろん
政治
がすべきものですけれども。もう
役人
の言うことは信用ならぬということで
政治
だけで決めるんだという行き方は、格好はいいんですけれども、私は
結論
は余り良くないんじゃないかという、
経験
から申し上げます。
浜田和幸
72
○浜田
和幸
君 ありがとうございます。
最後
に、マスコミとの
関係
について、
石原参考人
、いろいろと長年マスコミの取材対象として、官の側の一員としてずっと接触してきたと。そういう立場を踏まえた上で、
役所
の立場ですとか
行政
上の課題について正確かつ分かりやすく
国民
に知ってもらうことがとても重要なんだけれども、
参考人
も、私がびっくりするほど勉強をしていない若い記者が多く、そのときのテーマについて取材に来て、その本人の理解の範囲で記事を書いたり報道するということはよくあると、そうすると大変な誤解を
国民
に与えてしまうこともあると。
役所
の側とすると、その時々のテーマについてその事柄の
内容
を正確に分かりやすく
国民
に知っていただくように記者諸君に丁寧に説明するんだけれども、なかなかそれが伝わらないということを振り返っておられて、新聞社によってはかなり色合いも右寄り、左寄りと分かれていると。 そういう中で、きちんと
内閣
あるいは国の
方針
を正確に分かりやすく
国民
に伝えるという
意味
でいろいろと苦労をされてきた、そういう
経験
を踏まえて、マスコミへのアプローチの仕方あるいは情報提供の
在り方
、そういうことについて御示唆をいただければと思います。
石原信雄
73
○
参考人
(
石原信雄
君) これは、
政府
と官僚の
関係
、あるいは官僚
組織
とマスコミの
関係
、これは
基本
的な問題だと思いますが、私も長い間
官邸
生活しておりまして、本当に誤解に基づく報道で苦慮したということはもう少なからずありました。 ですから、今、じゃ、具体的にどういうことがあったかというのを、具体例といってもちょっと適切なものを思い浮かべられないんですけれども、いずれにしても、記者の皆さんの中には非常に専門に詳しい人と、それから比較的
経験
の浅い人と両方おりまして、しかし彼らは浅い人でもやはり長くやったような形で取材に来ますから、事柄にもよりますけれども、やはり影響することが大きいようなテーマについては、まさに念入りに過去の経緯とか事実
関係
を説明すると同時に、やはりそれのよってもたらす影響などについても説明するということが必要ではないかと思いますね。
浜田和幸
74
○浜田
和幸
君 ありがとうございました。
武見敬三
75
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、堀井巌君。
堀井巌
76
○堀井巌君 自由民主党の堀井巌でございます。
質問
の貴重な機会をいただきましてありがとうございます。 私は昭和六十三年に
参考人
と同じく自治省という
役所
に入省いたしましたが、もうその当時、
参考人
におかれては、官僚
組織
のトップであるとも言える
内閣官房副長
官を務めておられました。私にとっては非常に雲の上の存在の
石原参考人
にこのような
国会
の場で御
質問
をさせていただきまして、そして、けいがいに接することができることを大変光栄に存じます。よろしく
お願い
いたします。 私の方からは
内閣人事局
の件について御
質問
させていただきたいと思います。
参議院
に本日付託されて、趣旨説明、
質疑
が本
会議
でも行われております
国家
公務員
の制度改革でございますが、先ほど来、もうお話ありましたように、一元管理、各
省庁
の
縦割り
ではなくて一元管理をしていこうということについては私も肯定的に
考え
ているところでございます。そういった中で、より一層適材適所、またそれぞれの
公務員
の方の
能力
の発揮がなされれば、これは官僚
組織
の活性化にもつながるであろうと期待もするところでございます。他方で、今それぞれの
役所
に属して仕事をされている方からすれば、もちろんこの法案が通れば受け入れるということを積極的に
考え
つつも、やはり一抹の不安もあるのが事実だろうと思います。 それは、やはり
人事
というのは
組織
の要諦でありますので、六百人というものを、どういうふうに自分は
人事
されるんだろう、これまでだったら、それぞれの
役所
の中で、長年の勤務の中で自分
自身
の
能力
や何かについては、実績については見てきてもらった、ある
程度
のコンセンサスを得られてきた、そのような思いがあったところで、今度は六百人というと、
政治家
の方からもなかなか自分のことは全然、まあ面識もないなと、知られていないだろうなと、どんなような仕事をしてきたかもなかなか直接は感じてもらっていないなと。あるいは、
内閣人事局
で実際のその
人事
の作業をされる、
事務
をされる例えば他の
省庁
の出身の様々な方々からすれば、自分
自身
は全くこれまで一緒に仕事をしたことないので、どのように判断されるんだろうかというようなこともあろうかと思います。 やはり、これ、この不安というのは、単に
縦割り
のそれぞれの
省庁
ごとでやってほしいという、そういう
縦割り
意識ということだけではなくて、やっぱりそれぞれの
役所
で適材適所で適切な
人事
が行われて、いい仕事ができるようにするためにも、やはりこの
人事
というのは一番の
組織
の要諦でもありますから、本当にうまく
機能
してほしいという、そういう思いが
公務員
の方々の中には強いんだろうと、このように思うわけでございます。 そこで、仮にこの
内閣人事局
というものができまして、特に、この各
省庁
の中で意思形成に中核的に参画をされる
幹部
の方々、この六百名というものが、
人事
が
人事局
を中心に行われていくという中で、どのようなことに留意をしながら
人事
というものが行われれば適切に
機能
していくのかということについて御見解を、また御示唆を賜れればと存じます。
石原信雄
77
○
参考人
(
石原信雄
君) 先ほども申し上げましたが、私は、今回の法
改正
によって、
各省
の
幹部人事
に対する
内閣
の
関与
の度合いが強まるということは
基本
的に賛成です。というのは、やはり
各省
の
縦割り
の
弊害
とか
各省
の割拠主義とか、まあいろいろ言われますけれども、私の在職中でも、
内閣
の
方針
に
協力
してくれる
幹部
と、それから、それぞれの省の立場を徹底的に主張して、協調、他の
省庁
との協議になかなか応じない
幹部
もおりました。もう人によって随分差があります。 ですから、私は次官
会議
を主宰する
過程
で、
人事
異動
で新たに
事務
次官に就任される諸君には必ず、次官というものはそれぞれの省を束ねる
事務方
のトップですから、それぞれの省の立場を
考え
て行動するというのは当然ですけれども、ただ同時に、次官
会議
は
閣議
の補佐機関でありますし、
事務
次官というのは、やはり国政をサポートする
内閣
の補助機関である
事務
次官
会議
のメンバーとして国政万般に対する思いも頭に入れてほしいと。言うなれば、半分
各省
代表、半分
内閣
の一員というぐらいの気持ちで対応してほしいということを常に申し上げてまいりました。
経験
からいいますと、多くの方はやはり
内閣
の一員として、それぞれの
省庁
の言い分はあるけれども、
内閣
の
方針
であればということで
協力
してくれる人が多かったんですが、中にはやはりいろんな事情で
調整
に応じないで
最後
まで頑張る次官もおりました。結局そういう人たちというのは、最終的には
任命権
はその
大臣
であって
内閣
にはないものですから、そういうことが意識の面で多少影響しているのかなという感じすら持つことがありました。そういう
意味
で、
幹部人事
については
内閣
の
関与
が強くなるということはやはり、個別の具体の
人事
がどうということではなしに、
各省
の
幹部
の心構えの上で
一定
の影響があるんじゃないか、効果があるんじゃないかと、そう思います。そういう
意味
で私は今回の法
改正
には賛成であります。 ただし、先ほど申しましたように、そうかといって、六百人の
幹部人事
について時の
内閣
のスタッフがどこまで一人一人のことを把握できると、これは限界があると思います。ですから、やはり適格審査を行い、
名簿
を作るときの、何というか、基礎作業というか基礎データというか、それはその
個々
の
幹部職員
を採用のときからずっと見てきたそれぞれの
省庁
の御
意見
というものを
参考
にして作られるべきだと思うんですね、知らない人が作るということはもう非常に危険ですし、
弊害
がありますから。したがって、私は具体的な
名簿
作成の
過程
ではそれぞれの
省庁
の
意見
を十分
参考
にしていただきたいなと思います。 六百人といいましても、そのポストによって、国政全体に影響を及ぼすような例えば
事務
次官とか主要局長というのとそれからそれ以外の
幹部
とはかなり現実に違いますから、やはり少なくとも次官なりそれに次ぐようなトップになる人たちについては、
官房
長官
なり
担当
する
官房
副
長官
なり、あるいはこれに当たる人たちが相当
程度
一人一人の特性、
能力
、
考え方
というものを把握する必要があると思います。そういう
意味
で、私は、具体の、これ
内閣
と協議して
人事
の発令が行われるようになるわけですから、協議に応ずる場合には相当
程度
個々
の
幹部
の
資質
について十分把握してもらうということが大事だと思います。もうくれぐれもそのときの
思い付き
でこれが行われるということはあってはならないと思います。そこら辺が
各省
の官僚諸君が一番恐らく気にするところではないかと思います。 要は、官僚諸君が国政に
全力
で取り組むことができるような環境をつくるということがどの
内閣
にとっても必要なことでありますから、
内閣
と官僚
組織
との信頼
関係
が失われないように、信頼
関係
がしっかり継続されるような
人事管理
をしてもらいたいなと思います。
堀井巌
78
○堀井巌君 貴重な御
意見
賜りまして誠にありがとうございました。
武見敬三
79
○
会長
(
武見敬三
君) それでは次に、有村治子君。
有村治子
80
○有村治子君
石原参考人
、本日は貴重なお話をありがとうございます。今日、私は初めて
石原参考人
のお話を直接お伺いする機会をいただいたんですが、さすが歴代の
内閣
で本当に必要とされて右肩を担ってこられた
事務方
エースの御見識だなというふうに改めて感動いたしましたし、また、このお話を伺うこと自体が戦後
日本
の
政治
史の貴重な一面を議事録に残すということで
意味
のあることだなと改めて敬意を持つ次第でございます。 そこで、限られております十五分の中で四問
質問
をさせていただきますので、お答えをいただければ有り難いと思います。 この二月に
石原参考人
は河野談話について
国会
の招致をお受けになられました。そのときの
答弁
というのはかなり引用もされているんですけれども、河野談話が発表をされてから二十年以上たったこの時期に、大変御
発言
慎重な
石原参考人
がなぜこの時期に
国会
の招致に応諾をされて、そして
国会
にいらしたのか、なぜこの時期にお受けになられたのかということについてお伺いしたいと思います。
石原信雄
81
○
参考人
(
石原信雄
君) 実は、衆議院の予算
委員
会の方から
参考人
に出てもらいたいというそういう希望があるということを
官邸
の方から私は受けたんですが、私も二十年も前の話ですし、記憶が必ずしも正確でないおそれもあるから、なろうことなら御辞退したいということで申し上げたんですけれども、再度、
国会審議
の都合上どうしても
参考人
として是非出席してほしいという再度要請があったものですから、それでは国政万般に私が断ることで悪影響が出るのはいけないと思ってお受けした次第です。
有村治子
82
○有村治子君 慣例ということから
考え
ると非常に大きな決断を双方がしたんだなというふうに私も印象として持っておりますが。 そのときに御
発言
された
石原参考人
の御
発言
の中で、
日本
の善意というのが生かされてこなかった、日韓の
関係
の中で、河野談話のときに掛けた
日本
の善意が生かされなかったということで、これは後に菅
官房
長官
も引用をされていらっしゃるところなんですが、
日本
の善意というのはどういうものを指されるんでしょうか。
石原信雄
83
○
参考人
(
石原信雄
君) 善意という
意味
は、御
案内
のように、あの河野談話を出す前に、その前に加藤談話という加藤
官房
長官
の報告というのがあるわけですけれども、それは、当時のいわゆる従軍慰安婦とされた人たちの募集とか管理とかその他の問題についてどういうことがあったのか、客観的な資料、当時の通達とか連絡とかいろんな資料を全
省庁
を挙げて探したわけですが、その結果は加藤談話として発表いたしました。 ですから、いわゆる慰安所なるものがあって、それの運営管理について当時の軍が
一定
の
関わり
を持ったということは通達その他で立証されたものですから、その限りのことは談話として発表したんですが、やはり韓国側は、慰安婦とされた人たちが自分たちの意に反する形でされたということを非常にこだわっていると、その点が明確にならなければこの問題は収まらないということで、何とかそこはその問題を明らかにしてほしいという再三要請があったわけです。それで、再度その点について
調査
、
国内
の資料その他を調べたんですけれども、どうしてもその資料が出てこなかったわけです。 そこで、韓国側の要望がありまして、慰安婦とされた人たちの証言を聞いてもらいたいと。その証言の結果で、どうするかという、強制性があったかどうかの認定をしてもらいたいという要望がありまして、その点についてどうするかということを
内閣
の中でも
議論
いたしました。 慰安婦とされた人たちというのは
日本
国内
にはいないわけですね。全て韓
国内
にいるわけですから、どういう人か、どういう
状況
にいるというのは当方は確認のしようがないわけです。そこで、そうかといって、私どもは初めから反日運動をやっているような人から聞いたって、それではバイアスが掛かっていますから客観的な事実というものは立証されないということで、だから、言わばバイアスの掛からない、しかし自分の過去について真実を語り得るような人を集めるからその人たちの話を聞いてほしいと、そういうことであの十六人の方を選んできたわけです、そのヒアリングを行うということについて。これは、ですから身元
調査
その他は当方はそれをする手段がないわけですね、
国内
にいないわけですから。 ですから、言わば韓国側の、そういう
日本側
の希望に、注文に沿った人選をするから、そしてまた、この人たちには外部からプレッシャーを掛けない形で真実を語ってもらうという環境の下でヒアリングに応ずるから是非やってほしいという、そういう要望で、じゃ、それに応えてやりましょうということになったわけです。ですから、そこが、やはり日韓両国がいつまでも過去の問題にこだわっているのは良くないと、未来志向でいきましょうという、そういう
状況
の中で、それならば本人の、当事者の
意見
をヒアリングしましょうということになったわけです。 ですから、その
最後
のヒアリングに踏み切り、その後ヒアリングを行ったということ、それはもう
我が国
としては大変な、日韓
関係
のために善かれという気持ちでこれは決断したわけですから、そこのところを私は申し上げたわけです。
有村治子
84
○有村治子君 大事なことなので確認をさせていただきます。 そうすると、ヒアリングをするということ自体、韓国の主張を受け入れたということが善意であること、そして、その韓国からは、いわゆる慰安婦とされる方々あるいは主張される方々が意に反して強制性があったというところをそのとおりに受け止めようという善意があったということですか。
石原信雄
85
○
参考人
(
石原信雄
君) あの十六人の方々はそれぞれ、それぞれの立場でそれぞれの
状況
をこちらの
担当
官に陳述していただいたわけです。それらの陳述を全部報告を受けて、トータルとして、この十六人の方々の中にはやはり意に反する形で慰安婦とされたという人がいるということは否定できないという
結論
になったわけです。それがあの河野談話の表現になったわけです。
有村治子
86
○有村治子君 河野談話によって当時の
日本
は何を得ようとされていたんでしょうか。
石原信雄
87
○
参考人
(
石原信雄
君) 何を。
有村治子
88
○有村治子君 河野談話を発することによって当時の
日本
は何を得ようとされていたのでしょうか。
石原信雄
89
○
参考人
(
石原信雄
君) 日韓
関係
がやはりこの問題でいつまでもこだわっていては未来志向の
関係
に移行できないということで、河野談話を発出することで、言わば彼女たちが、意に反する形で慰安婦とされた人たちがいるということを認めるということで、韓国側も、これでこの問題は、過去の問題は一応区切りを付けると、未来志向でいきましょうという条件ができるというふうに韓国側も言っておりまして、我々もそれを信じてあの談話を出したわけです。 ですから、御
案内
のように、あの談話を出した後は、少なくとも韓国
政府
は慰安婦問題というのは一切持ち出すことはなかったわけです。
有村治子
90
○有村治子君 それが今再燃するような形になってきていて、今回の二月の招致になったと思うのですが、現在、
官房
長官
が、見直しはしないけれども検証はするということを証言、
国会
で何度も
答弁
されているんですけれども、そのときに引用されるのが
石原
先生の二月の
発言
で、韓国とのすり合わせが当時あったと思われるという。これは随分強いお言葉だなと、証言だなというふうに私
自身
も受け止めているんですが、韓国とのすり合わせがあったと当時思われるというふうに
国会
でおっしゃった、その根拠というのはどこに当たるんでしょうか。
石原信雄
91
○
参考人
(
石原信雄
君) 河野談話の原案作成は、当時の外政審議室の
事務方
で案を作ったわけですけれども、その
過程
で、韓国側でいろんな要望を言っているということは私も耳にしておりましたから、だからその文案、よく外交
案件
のようなものは相手方納得させなきゃ
意味
ないわけですから、そういう
意味
で、向こう側の
意見
も念頭に置いて文案を
調整
するということはよくあることなんです。 ですから私は、河野談話の場合も、どの
部分
をどういう形でというのは知りませんけれども、よくあることですから、あの場合も韓国側がそういうことを言っているということは耳にしておりましたから、そのすり合わせというのはあったのではないかという
答弁
をしたわけです。
有村治子
92
○有村治子君 ありがとうございます。貴重なコメントをありがとうございます。 私は、菅
官房
長官
として役目を果たすということでは、見直しはしないけれども検証はするとおっしゃっていますが、真実を明らかにするというのは
国民
の知る権利に応えることになりますし、その真実を明らかにすることは
日本
の立場を強くすることになる、つながっていくと私は思っております。 以上で私の
質問
を終わります。
武見敬三
93
○
会長
(
武見敬三
君) 井原巧君。
井原巧
94
○井原巧君
自民党
の井原でございます。この七月に国政に参画したので
経験
浅いんですけれども。 この
参議院議員
になる前に首長をしていたんですけれども、よく
地方
自治を預かるときに、
地方
自治から国を見るときに、ダーウィンの進化論じゃないですけれども、今これだけ世界の情勢が動いている中に、できるだけ
時代
の
変化
に対応できるやっぱり国政をということを特に
地方
の首長さんなんかは望んでいたと思うんですね。 それは、やっぱり
地方
は首長制度ですからある
程度
リーダーシップが発揮できる、そういうシステムなんですけれども、国の場合は
議院内閣制
ということでありますから、これはある
意味
、セーフティーネットという
意味
ではすばらしい機構なんですけれども、やっぱり
地方
が求めていたのは、立法権に縛られながらも、しかし
行政権
のリーダーシップというものをすごく期待していたものですから、今回の
改正
というのは、
一つ
、
内閣人事局
ができて
官邸
の
人事
のグリップ力が強くなるわけですから、ある
意味
リーダーシップが少し前進するのかなということで、私も非常に賛成はいたしております。 先ほど堀井先生から話あったように、
一つ
気になっているのは、同じように、六百人の審議官から上を今回は
任命
をするということですから、現場に下りてみたら、俺のことを余り知らないのになぜあいつがなったんだとか、そういう直接的な
人事
の納得感のところに審議官から上の方々に不満感が出ないかという
一つ
心配
は少しあります。 恐らく実際問題は、各
省庁
からの寄せ集めという言い方は大変失礼かも分かりませんが、そういう中の
内閣人事局
という、少しその辺の不安は私も持っているんですけれども、
一つ
前進したことは私も評価したいというふうには思っているんです。 ただ、これは先生の御見識を聞きたいんですけれども、素人の
考え
だとよく言われますけれども、私、ちょうど合併したところの市長だったんですね。そうしたら、どうしても元々の出身
省庁
を引きずりながらの新しい市
役所
だったんですね。その前に、僕は議員の秘書を、代議士の秘書をしていたんですけれども、ちょうどそれこそ
湾岸戦争
の頃の
海部内閣
の
大臣
の秘書もさせていただいたんですが、そのときにも
省庁
のライバル意識というのをすごく感じて、
縦割り
行政
の
弊害
というのはすごく私も感じた一人なんですけれども。 六百人の審議官級以上の
任命権
というのもすごく大事なグリップだと思うんですけれども、逆に、やっぱり
役所
の方の官僚のお話聞くと、本籍地をすごく大事にするわけですね。どんな
役所
に出向しようとも、採用された本籍地というか、三つ子の魂百じゃないですけれども、総務省から外務省に行ってもやっぱり総務省が本籍地となっているというのが、すごくいいことでもあるし、しかしある
意味
弊害
もあったのではないかなというふうに感じるところあるので、私個人の
考え
ではあるんですけれども。 キャリア官僚の採用も年間五百人とか六百人
程度
だと思うんですけれども、例えば、キャリアの採用をやっぱり
官邸
というか
内閣
の方でされて、そしてその赴任先を
内閣
が
任命
して逆に各
省庁
に行かせるような、そういう
人材
の
国家
全体を見る意識を
最初
に植え付けることによって、もう少し結果的には、
総合調整機能
とか
官邸
のグリップ力の
強化
とか、そういう
人材
を育成することが非常にできやすいのではないかと。 官僚の方の研修というのは、もちろん
人事
院がやったり各
省庁
がやったりしますけれども、
省庁
横断的なそういう機会というのは余り採用された後はないので、私は、どちらかというと、採用の入口の方にもう少し
官邸
の
任命権
、採用権というのを置けばもっともっと
官邸
の
機能
が
強化
するのではないかなというふうに
考え
るんですけれども、先生のお
考え
を教えていただけたらなというふうに思います。
石原信雄
95
○
参考人
(
石原信雄
君) 今おっしゃるとおり、
各省
の
縦割り
意識、
縦割り
の
弊害
、その根幹には
各省
の
人事権
が
各省大臣
にあって
内閣
にはないと、それはもうよく言われることで、私もそれは全く否定できない現実だと思います。 ですから、これまでも
公務員制度改革
のたびに、少なくとも、いわゆる上級職というんでしょうか、
幹部職員
たるべき者は
内閣
で一括採用して、それでそれぞれの省に配属させるというふうにしたらどうかと。これ何回か
議論
があるんですけれども、やはり、じゃ、一括採用した場合に、
職員
が自分はどこの
役所
に行くか分からないと、
政府
の
役人
になるということは分かっているけれども、どこの
役所
に行くか分からないというのでは、何というか使命感が出てこないと。やっぱり
社会保障
がやりたいとか、経済がやりたいとか、自治をやりたいとかという、そういう
目標
があって
幹部職員
の試験を受けて入ってくる人が多いので、その動機というのか、そういうものが
内閣
一括ではなくなってしまうという反対が強くてこれまでは実現していないんです。 その点は、
地方
自治体の場合は、御
案内
のとおり、全くもう部ごとの採用というのはありませんで、全て一括採用、
幹部
も一括採用です。また、多くの場合は、自治体の場合には、
幹部職員
になるような人はもう若い頃から市長なり知事と接触する機会がありますから、
人事
をする場合にもある
程度
市長なり知事は知っているということがあるんですけれども、中央
政府
の場合には非常に
組織
が大きいものですから、なかなかそこはできないと。 そこで、一括採用はできないけれども、それに近い形で何か方法はないかというようなことは今までも随分
議論
されてきております。ですから、私は、今回、制度
改正
で
人事局
が少なくとも
幹部人事
は
名簿
に登載した中から選ぶというふうになるわけですから、その
過程
でいわゆる
省庁
帰属意識というのを少しでも弱めるというか、そういう工夫はあり得るのかなという気がいたします。
井原巧
96
○井原巧君 なかなか難しいことだと思うんですけれども、せっかく
内閣人事局
をしたら、やっぱり
縦割り
行政
の
弊害
をなくしてできるだけグローバルに、
国家
のために、
国民
のために目線が据わるような方が育てばなというふうに思います。 いいお話、ありがとうございました。終わります。
武見敬三
97
○
会長
(
武見敬三
君) では、
片山さつき
君。
片山さつき
98
○
片山さつき
君 ありがとうございます。
議院内閣制
における
内閣
の権限の絡みの中で、
内閣官房
長官
の談話という極めて
日本
的な性格のものについてお伺いしたいと思います。 今、有村議員から関連の
質問
が出たんですが、私
自身
も官僚を二十三年やっている間に
内閣官房
長官
談話の起案をする立場のところにいたことがございます。外交・安全保障
関係
が多いですが、各
省庁
がそれでは手に負えず、かといって
閣議決定
や総理ということになるといろいろ禍根が生じるだろうなというときにこの形式を使っておりますが、はっきり言って、他の
議院内閣制
の国にほとんど例がない。
官房
長官
は副総理ではない場合が多いですよ。 それで、今回のこの河野談話は、その数ある
官房
長官
談話の中でここまで、どういう御
意見
の方もこの場にいらっしゃいますが、要するにここまで引っ張っちゃっているということは事実ですよ、一
官房
長官
談話がね。 最近、この外務省アジア局の内部文書ということで報道されたものによると、平成五年の二月に従軍慰安婦問題の今後のシナリオというタイトルのアジア局の文書があって、元従軍慰安婦への聞き取りについて必要最小限の形で言わば儀式として実施することを検討と。その理由としては、一部には軍又は
政府
官憲の
関与
もあり、自らの意に反した形により従軍慰安婦とされた事例があることは否定できないことであり、なぜそこまでアジア局が言うかということについては、この文書によれば、韓国側が
日本
が何とか
関与
したことを認めてくれないと要は収まらないというのに近いことを言っているというような文書が報道されておりまして、先ほどの有村議員に対する
石原参考人
のそのお話を伺っていると、まあ、ある
程度
タイミング的には合っているお話なのかなと思ったんですが、このアジア局の内部文書が情報公開によるものかどうかは知りませんが、情報公開によって外に出ても不思議はないものですが、これ、ほかの国だったらこれは外務
大臣
がやることですよ、
責任
持って。その外交が失敗したら、もうそれはそれだという話ですよね。ところが、
内閣官房
長官
が背負ってしまったと。 この手の話や、それからアジア基金の話が持ち上がったときに、私は当時主計局にいましたから、当時の大蔵省は非常に強くて、およそ新聞に出るようなことは全て入ってくるんですよ。はっきり言って、どう思っていて、どう解していたかというと、とんでもないと、およそ国の金が出るような話は
基本
条約で全部終わりなんだから、当然ないんでしょうというスタンスだった記憶がありますが。 なぜこのアジア局の上奏を半ば認める形で
内閣官房
としての
調整
が恐らく行われたのかというのは、
官房
長官
談話の中身がこのアジア局の内奏、上奏の形に非常に近い形になっておりますので、もしお答えに差し障りがなければ、なぜそのように思われたのかと。 それから、先ほど浜田議員がおっしゃっていましたが、
我が国
の外務省がなぜ内政をまとめられないかの理由は、簡単なんですよ。各
省庁
の中で国益を正面に挙げずに仕事している唯一の官庁だからです。相手の国見ているからですよ。これは、私はほかの国の外交官がいっぱいそろった学校におりましたが、ほかの国の外交官はうるさいぐらい自分の国の弁護だけ言うんですよ。
日本
だけはまあまあと言うんですよ。この差は非常に大きいんですね。そこは変えない限りはあらゆることはうまくいかないし、そこができるんだったら、外務省が外交の難しい交渉を
一つ
上の外交の一元化としてまとめることは、ほかの国でもよくそういうことが行われているように、できないことはないと私は思いますが、いかがお
考え
でしょうか。
石原信雄
99
○
参考人
(
石原信雄
君) まず、
内閣官房
長官
談話というものの性格というか位置付けというかですけれども、これは御
案内
のように、
閣議決定
したものではありません。ただし、その
内容
については、閣僚の皆さん方には納得していただいて発表しております。そういう
意味
で、
内閣
の全体の気持ちを代弁したものだということは間違いありません。 今の片山
委員
の御指摘の、なぜ外務
大臣
談話でなかったのかということですが、これは、先ほども申しましたように、いわゆる従軍慰安婦問題というのが提起されて、この実態を
調査
しようという段階から、これは初めは戦後処理の問題の一環という
意味
で厚生省、当時の厚生省に
調査
その他をやってもらおうということであったんですけれども、厚生省だけではとても
調査
できないし手に負えないということで、そこで、
関係
する
省庁
に次々と範囲を広げて、結局もう
最後
は
内閣
が、
内閣官房
が直接
担当
する形で、
各省
の
協力
を得て資料の収集を行うという形になったわけです。ですから、この問題の取りまとめそのものが
内閣
がやってきたものですから、当然、その延長線でこの談話というものを発出することになった場合に
官房
長官
談話という形になったと私は理解しております。当時の
状況
では、やはりこの問題は日韓
関係
全般に響いてまいりますから、外務
大臣
レベルではなかなか対応が難しかったと思います。もう初めから、ですから、これは外務省からも
官邸
で対応してもらいたいということであったわけです。 そういうことで、外務省に対する批判というのは、私はそれをする立場にありませんけれども、やはり御
案内
のように、外交というものは
基本
的には
内閣
が行うわけであります。そして、その一翼を担って、
担当
大臣
、主任の
大臣
として外務
大臣
が
一定
の役割を果たしているわけですが。もうそもそも外交というのは
内閣
が行うということでありますので、どこの省というわけにいかないようなテーマについてはやはり
内閣
が
一定
の行動をすると。そういうことで、あの場合は
官房
長官
談話という形に自然になっていったということではないかと思います。
武見敬三
100
○
会長
(
武見敬三
君) ほかに
発言
は。 それでは、衛藤晟一君。
衛藤晟一
101
○衛藤晟一君
石原
先生に是非、今道州制の問題だとかいろいろな問題が起こったり、あるいは大阪都構想というような話もありますけれども、今
内閣
の
総合調整機能
と
国会
の
関係
というお話でございましたけれども、特に、私、今重要なのは、さらに国の
在り方
の中で、国と
地方
における
統治機構
、それを入れて、道州制の問題も
議論
されていますけれども、それについてどうお
考え
なのか。 少なくともやっぱり、
我が国
は四十七都道府県を持ち、そしてそういう中で二十の政令指定都市を持ち、それからまた三十万前後の中核市を持ち、そして小さな市から小さな町村、まさに限界集落を持っているような
状況
の中での全体としての、
日本
の国全体の
統治機構
に関する、どういう形がいいのかということについて、ずっと
地方
自治を研究していらっしゃるわけでございますから、それについての御
意見
を是非いただきたいという具合に思っているんですね。 まあ、大阪の問題も起こってきた、極めて大きな問題は、大阪府とそれから政令市である大阪市あるいは堺市という問題と、それからまた、全国で見ると、それにかてて加えて大変な大きな過疎地を抱えていると。 私は大分の出身ですけれども、大分市を除く地域は、ひどいところは人口が、
日本
の人口が終戦のときは八千万ぐらいだったのが一億二千七百万になったにもかかわらず、大分の
地方
の人口は大体三分の一とか、平均して大体三分の一になっていますので、この大きなアンバランスを抱えている中で本気で
議論
しなきゃいけないと思っているんですが、極めて軽く流れ過ぎているという感じがするものですから。そういう
意味
で、ずっと
地方
自治をタッチされてこられた
石原
先生にそれについての御
意見
をお伺いできればという具合に思っているんですが、どうぞよろしく
お願い
します。
石原信雄
102
○
参考人
(
石原信雄
君)
地方
行政
の
在り方
の
基本
の問題ですけれども、御
案内
のように、各地域の
行政
というのは、いわゆる広域的な問題は府県ですけれども、住民生活に関わる問題は市町村が
担当
することが望ましいという
考え方
に立っておりますね。しかし、残念ながら、従来は、市町村によっては行財政
能力
が非常に限りがあるので、その分はやはり府県が補完せないかぬということで、現実には府県というものがかなりの
部分
を
担当
してきたのが実態です。 しかし、明治二十一年の市制町村制以来、市町村の行財政
能力
の
強化
というのは一貫して
政府
が努めてまいりました。ですから、当時、二十一年当時は、ちょうどその頃、四十七府県というのが確定したわけですけれども、その頃の市町村というのは一万五千以上あったわけですね。それがその後、昭和の合併、平成の合併を経て、現在は千七百ぐらいになっている。約もう一割
程度
になっておりまして、市町村というものが非常に行財政
能力
が多くなっております。 もっとも、その背景には、交通体系の整備とか通信手段の発達とかあるいは経済の広域化というものがありまして、それに対応するために、市町村については、ずっと引き続き、その
強化
のための
努力
が重ねられて今日の状態になっております。その結果どうなったかというと、従来府県が
担当
しておった仕事の相当
部分
は市町村が
担当
できるようになっております。現に政令市の場合は、府県が
担当
するのはもう警察官の人件費と教員の人件費ぐらいで、実際の市民生活の
関係
の
行政
というのはほとんど市が
担当
しております。 ですから、私は、そういう
変化
を
考え
ますと、市町村については今のように十分の一まで再編成したのに、府県は四十七のままなんですね。これ結局、府県がそのままであるということは、いろんな
意味
で問題を提起している。例えば
選挙
制度の場合でも、やはりいわゆる一票の格差の問題というのは府県制度というものがかなりネックになっているということもあるんだろうと思います。 いずれにいたしましても、私は、今の
行政
の実態からするならば、市町村の行財政
能力
が飛躍的に大きくなったということを踏まえまして、府県というものはいわゆる補完
行政
、広域
行政
を
担当
するわけですけれども、その後の過去百年の
変化
にほとんど対応していないんですね、制度的には。ですから、やはりここで、少なくとも
国内
行政
、住民
行政
に関わるものは、今の府県単位からブロック単位ぐらいに広げた方が実態に合うんじゃないかと、効率化にもなるんじゃないかと。そして、そうすれば、当然、中央
政府
が持っているいわゆる産業
政策
とか民生安定
政策
とかというのはかなりの
程度
各ブロック単位の例えば道州なら道州に任せることができるんじゃないかと。そうすれば、中央
政府
はもう外交とか防衛とかという問題に専念できるんじゃないかと。 したがって、私は、道州制の中身をどう構築するか、いろいろ御
議論
はあるんでしょうけれども、大きな流れとしてはそういう再編成の時期に来ているのではないかと思います。
衛藤晟一
103
○衛藤晟一君
地方
自治から見るとそのとおりなんでしょうけれども、現実に私ども、ずっと
地方
を見ていましても、実力でそういうことが、県にあった
機能
が全部やれるというような市の規模というのは、これは市長
経験
者もおられますけれども、さて、どれぐらいなんでしょうかね。できればやっぱり二十万前後ぐらいあってもらいたいと思うけれども、田舎ではそれはまた無理かもしれないけど、そのぎりぎりのところというのがやっぱりまだ全然統一もされていなくて、そっちの方のイメージを先に明らかにしながらいかないととても進まないんじゃないのかなと。 ですから、いわゆる
地方
自治体の規模とか単位とか広さとか、それをどの
程度
にして、どの
程度
持つのかということをしないと。だから、そういう
意味
では、もう一回、第二の廃藩置県をやるぐらいの覚悟でやらなきゃいけないんだろうと。ただ、何か道州制やればうまくいくみたいな余り軽い
議論
はしない方がいいんではないのかという感じが正直言ってしているんですね。 今、一万五千あったものが今一万六千前後ですか、ぐらいにということですけれども、これが本当にどれぐらいの規模であったらやれるのかと。現状における市町村でも、私もいろんなところを見ても、本当に三万や五万というのはやれないですよね、やっぱり。二、三万というところでも。ところが、現実の
地方
は、今、私どもの大分県も相当合併をしたわけですけど、やっぱり
一定
の規模は最低要るねという感じを持つんですが、そこのところはどうですかね。
石原信雄
104
○
参考人
(
石原信雄
君) 私は、市町村が住民に最も身近な自治体としていろんな
機能
を果たすということが望ましいわけですが、その人口規模はやはり三十万
程度
でないといろんな
行政
をやるということは無理だと思うんです。 ですから、現実問題として、道州制の問題というのは御
案内
のように非常に強い反対があることも承知しております。現在の府県というものを撤廃することについては物すごい反対があることは事実ですが、それと同時に、今のそれ以下の小さな規模の市町村をどうするかという問題を同時にこれは
考え
ていかないと、単に道州にすれば済むという話じゃないわけです。 だから、私はもう
経験
的に言いまして、今、御
案内
のように、中核市は三十万以上が中核市になっておりますが、その辺以上は市単位でもう相当のことをやれると思います。しかし、それ以下の町村なり、小さな二万、三万の市になりますと、これはやっぱり
能力
に限界がありますから、それを補完する
組織
を今の府県単位にするのか、どこか要するに、いわゆる対等の立場での連合
組織
にするのか、やはり補完する
組織
を同時に
考え
ないと、大きな都市だけを頭に置いて再編成するというのは無理だと思います。やっぱり補完制度をどう構築するかがポイントではないでしょうか。
衛藤晟一
105
○衛藤晟一君 ありがとうございました。
武見敬三
106
○
会長
(
武見敬三
君) それでは、以上で
参考人
に対する
質疑
を終了いたします。
石原参考人
におかれましては、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本
調査会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十分散会