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公述人(前原正明君) このような機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。私は、今日、特定行為に係る
看護師の研修
制度の法制化と今後、チーム
医療の
推進ということでお話をしたいと思います。
一ページ、一枚目のスライドから御覧ください。
診療
看護師、ナースプラクティショナー、それから
医師助手、フィジシャンアシスタント、PAというふうに言います。この職種は
医師と
看護師との中間職種でございまして、ノンフィジシャン・ヘルスケア・プロバイダーというふうに言われております。この
制度を日本に導入し、チーム
医療を
推進していきたいというふうな
活動をしております。
今日私が述べたいことは、次に書いてありますように、グローバルスタンダードの
医療職種、NP、PAを導入すると。そしてチーム
医療を
推進する。そして三番として、
医療の質、効率、安全性が向上します、そして
労働環境が
改善するということと専門性の向上。各
医療職種のキャリアパスの向上と早期離職低下ということに関しては、
看護師の早期離職ということは、
一つの要因としてキャリアパスというところが非常にプアで達成感がないというようなことから早期離職がありますので、そのようなことに関してNP、PAが有効であろうと。そして、本研修
制度の欠陥と未熟さということについても少し言及したいと。
次のページをおめくりください。
三ページのスライドですけれ
ども、
医療崩壊の
原因としては、二〇〇〇年頃からこのようなことが種々
原因として言われておりますけれ
ども、それを救う
一つの方法として、中間職種の導入というチーム
医療が必要であろうと。
四枚目のスライドですけれ
ども、私の経歴としましては、田林晄一先生のグループで新しいチーム
医療体制確立のための
活動をやってきておりまして、二〇〇七年から、七年前からやってきておりまして、二〇一〇年の五月には厚労省のチーム
医療推進のための看護
業務検討ワーキングで働かさせていただいております。
五枚目のスライドで、そのチーム
医療の
中心的な存在というのはNP、PAで、ここであえて特定
看護師と呼ばせていただきますけれ
ども、特定
看護師が
中心となりまして、
医療従事者間、
患者と
医療従事者との間の伝達者、潤滑油、それから接着剤、私は、あえて言いますと、触媒体となって
医療を促進していくということだと。
そして、次の日本版NP、PA
制度の導入の必要性というのは、もうこれは明白なんですけれ
ども、現在の高度、専門化、それから
高齢化、複雑化する日本の
医療を
医師だけで担うことは非常に不可能でございまして、また弊害が生じるということで、中間職種のNP、PAを導入し、チーム
医療を行い、そして
医療成果を最大限に得て、そして専門性、それから施設の集約化等々を同時に行いまして、チーム
医療の充実を図りたい。これは、取りも直さず
医療の質、安全性、透明性、効率性を上昇させるということでございます。そして、結果的には、
国民、
患者に
安心、安全、希望の
医療を与えるということになると思います。
次のページをおめくりいただきまして、七枚目ですけれ
ども、そのNP、PAというのは、米国では八万人、PA、NPは十五万人ほどおります。日本ではほとんどいませんので。
医師数はそのぐらいがいる。そして、人口千人当たりにしますと、
医師数はアメリカと日本でほぼ変わらないですけれ
ども、その
医療従事者、NP、PAを加えますと、三対二として、少ないということになります。
八枚目のスライドですけれ
ども、これは昭和二十三年にできました
医療法の
看護師の
業務範囲に関する法的整理ということですけれ
ども、皆さん御存じだと思いますけれ
ども、赤い枠が
医師の
業務、そして青い枠が
看護師の
業務でございます。その間に交わるところの診療の補助というところのグレーゾーンのところが、なかなかやってもらえるというところがはっきりとしていないというので、このところを研修
制度を設けて、
看護師さんに自信を持って診療の補助ということをやっていただきたいということだと思います。
そして、次のスライド、九枚目ですけれ
ども、チーム
医療の
推進検討ということで、そのチーム
医療をするに当たっては、特定
看護師の創設というところで、赤いところで書いてありますけれ
ども、一定の医学的教育、実務経験を前提に専門的な臨床実践能力を有する
看護師、特定
看護師が、従来、一般的には診療の補助に含まれないものと理解されてきた特定の医行為、これを
医師の指示を受けてできる新たな枠組みですね、
構築する必要があるというのを二〇一〇年に提言されております。そこにも書かれておりますけれ
ども、そこでも、ナースプラクティショナーとフィジシャンアシスタントについては引き続き検討を要するであろうと。
そして、その次のスライドですけれ
ども、特定
看護師と、それから現在ある専門
看護師、認定
看護師との違いは、そこに
役割、教育
内容等々書いてありますが、要は、特定
看護師というのは看護と
医療の両方が
中心であると、そのほかのものは看護が
中心であるということです。厚労大臣が認めるか、そしてそのほかは日本看護協会です。
次のページをめくっていただきますと、特定
看護師と専門・認定
看護師の違いというのは、どこが違うのかといいますと、特定
看護師というのは臨床実践能力の優れた
看護師を
養成する
制度でありまして、専門
看護師というのは教育、研究、実践、それから相談、
調整等々のもので、特定
看護師とは違うものでございます。そして、
医療参加型の
看護師であるということ。特定
看護師はバイリンガルで、
医療も看護もできて、母国語は看護であるということ。救急、周術期、クリティカル、在宅、慢性外来等で喫緊に要求されておりまして、志望者、志願者も多いということです。
次の十二枚目の、これは日本外科学会雑誌に、認定
看護師であった
看護師さんが特定
看護師を受けて卒業し、どこが違ったかというと、一番下に赤で書いてありますけれ
ども、特定
看護師というものは
医師と
看護師の思考の溝を埋める役目を担えると。
医療安全等から考えまして、
医療事故の防止、それからエラーの防止等々になると。
次の十三枚目のスライドですけれ
ども、これも先ほどの論文と同じで、これは何が違うかといいますと、教育課程が違います。時間も違うし
内容も違う。医学の勉強を特定
看護師はしますので、臨床推論だとか病態生理とか、それから薬理とかということを行うということです。
チーム
医療推進の検討というのは、厚労省とともにこのように行われてきておりますけれ
ども、二〇一〇年の五月から、右側のチーム
医療推進のための看護
業務検討ワーキングで同時並行し、特定
看護師の
養成調査試行
事業それから
業務試行
事業を同時に行っています。
次のページをおめくりいただきまして、特定
看護師の
養成調査試行
事業というのは、そこに書いてありますが、七大学の十一
病院で行われております。その下のものは、卒業して、二年間の修士課程を卒業した人が
業務をするところで、現在で六十施設、それ以上で行われております。
その中のうちに、代表的な東京
医療保健大学、東京
医療センターの
養成業務課程を行われている国立
病院機構では、そのような
看護師さんを診療
看護師と、ジャパニーズNPと称しております。これは米国のNPとは違うということでございます。東京
医療センターのその研修課程では、二年間勉強したその後に、四か月間のローテーションで外科系、救急、そして内科を行うということでございます。
次のページをめくりまして、この
仕組みは、主治医、レジデント、そして研修医のところにありまして、研修医とほぼ同様のことを行うということであります。
そして、この特定
看護師がもう卒業して二年たちますけれ
ども、その
人たちが、
医療現場でどんなことが変わったかというと、そのスライドに書いてあるようなことが起こっております。看護の心と
医師の思考を持った特定
看護師さんが現場で働いているということ。そして、
患者そして家族、そして他の
医療従事者の満足度が非常に上昇しているというデータがあります。
次の二十一ページにつきまして、日野原先生も、聖路加の
理事長でございますけれ
ども、
医師不足のときに、二〇〇九年のときに、提言として、
医師を増やしても余り益はなく、中間職種、保助看法を変えて、中間職種のNPの創設が非常に有効であろうということで提言されております。
次のページをおめくりください。
そして、福岡の
医師会のアンケートでも、質が担保でき、
医師との従属関係がはっきりすれば、
医師と
看護師の中間職種導入には賛成であるというふうなことが書かれています。
次の「
医療ルネサンス」のあれですけれ
ども、これは、大分県立看護科学大学のNPコース、二年間の修士課程を卒業した方が大分県の老人保健施設で働きまして、聴診器を持って、そして、
患者さんが熱が出て、そして胸がちょっとゼコゼコしているということで、いち早く察知し、
医師に連絡をして早く抗生物質の投与等々を行うということで重症化を防いだということが書かれております。
それから、次の二十五ですけれ
ども、看護協会の機関誌ですけれ
ども、ここでも、その卒業生が在宅の場で働いておりまして、閉塞状況の
在宅医療の現場に大きな風穴が空いたというふうに述べております。
それから、次の二十六番ですけれ
ども、これも日本外科学会雑誌で、東日本の災害で、被災地で、日本人のNP、PAというのがアメリカで活躍していますけど、その方が三月十五日に来ていただいて、共に働いた
医師からのレポートで、
是非ともそういう中間職種のNP、PAというものを日本に導入すべきであろうということでございます。
次のページでございます。
厚労省でチーム
医療の
推進の検討会議が行われておりますけれ
ども、三年半にわたり、いろんな問題があり、紆余曲折ありましたけど、二十九のスライドを見ていただきますと、骨抜き・変容の歴史というふうにあえて書かせていただきましたけれ
ども、
最初、特定
看護師という新しい職種、名称独占はしないということで、それは新しい職種ではなくなり、それから認証
制度となり、現在の特定行為に係る
看護師の研修
制度ということで、だんだんと国家資格ではなくなり、研修
制度になったということに関して私は不満を持っております。
次の三十それから三十一、三十二は、現在の研修
制度のことの概要が書かれております。
三十三のスライドを御覧いただきたいと思います。
これはアメリカのNP、PAの推移の予測ですけれ
ども、二〇〇八年のときの予測ですけれ
ども、二〇〇三年に研修医の勤務時間制限ということでこれが課されまして、週八十時間以内ということで、そこからNP、PAの数が上昇しております。
これは何が起きたかというと、長時間の過重
労働でレジデントが処方ミスをして、亡くなってはならない
患者さんが亡くなってしまったという事件からそのようなことが起きております。日本でも外科学会として
調査を三回ほどしておりますけれ
ども、一週間当たりの平均
労働時間は八十時間を超える、それから過労死に認定されるようなものを超えております。
次のページをおめくりいただきまして、三十五ですけれ
ども、外科医の当直明けの手術参加についてもこれは大きな問題でありまして、七五%は当直明けに手術に参加していると。その八八%は当直が手術に影響を与えている、余りいい手術ができなかったというふうに申しております。
そこで、外科学会としましても、関連協議会と合同で記者会見しまして、このような声明文を出させていただきました。NP、PA、特定
看護師といった
医師と
看護師の中間職種を創設、
養成する必要があると。これは、
医療安全上問題となっている外科医の当直明けの
業務、さらには外科医の環境問題、そして外科医の
労働短縮ということで、
是非とも必要であろうということでございます。
そして、チーム
医療の、
看護師の
業務拡大ということを行いますと、その後も、その三十七に書いてありますように、各種の
業務もだんだんと拡大していくということです。
三十八のスライドは、これはアメリカのジョージア州のアトランタのグローバルスタンダードとして、PA、NPというものに関してはこれは国家資格でありまして、また再認定のことも行われるという
制度でございます。
次の最後のページですけれ
ども、チーム
医療にとってはそういうNP、PAというものを日本にも
是非導入していただきまして、チーム
医療の
推進を
是非図っていただきたい。
まとめの三番ですけれ
ども、これは何がいいのかというと、そのNP、PAが加わりますと、二〇一七年から開始される専門医
制度にとっても、専門医の手術の数は増えますし、施設の数が減ってハイボリュームセンターということになりますと、その後を埋めるところにはどうしてもNP、PAが必要でございます。そのためにも、
医療の質が上がるためにもNP、PAというのは必要だと。
それから、本
制度の未熟さのことについてですけれ
ども、このことに関しては、教育
内容、研修
内容がまだ不明であるということ、そして国家資格ではないということ、それから新しい職種ではないということ、そしてあえて申しますと、不適切な附則の存在というのは、一般
看護師さんも努力義務も
目標もなく、
医師の
命令の下に特定行為が
実施できるということに関しては再考を願いたいというふうに思っております。
以上でございます。ありがとうございました。