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2014-06-12 第186回国会 参議院 厚生労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年六月十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月十二日     辞任         補欠選任      大家 敏志君     宮本 周司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井みどり君     理 事                 高階恵美子君                 西田 昌司君                三原じゅん子君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 大家 敏志君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 島村  大君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 羽生田 俊君                 宮本 周司君                 足立 信也君                 相原久美子君                 小西 洋之君                 西村まさみ君                 森本 真治君                 浜田 昌良君                 東   徹君                薬師寺みちよ君                 山口 和之君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   田村 憲久君    副大臣        厚生労働大臣  土屋 品子君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       赤石 清美君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       村中 健一君        文部科学大臣官        房審議官     佐野  太君        厚生労働省医政        局長       原  徳壽君        厚生労働省健康        局長       佐藤 敏信君        厚生労働省医薬        食品局長     今別府敏雄君        厚生労働省労働        基準局長     中野 雅之君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       安藤よし子君        厚生労働省職業        安定局長     岡崎 淳一君        厚生労働省社会        ・援護局長    岡田 太造君        厚生労働省老健        局長       原  勝則君        厚生労働省保険        局長       木倉 敬之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域における医療及び介護の総合的な確保を推  進するための関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井みどり

    委員長石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域における医療及び介護の総合的な確保推進するための関係法律整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長原徳壽君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 地域における医療及び介護の総合的な確保推進するための関係法律整備等に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 西村まさみ

    西村まさみ君 おはようございます。民主党・新緑風会の西村まさみでございます。  今日はトップバッターでございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  まず、六月九日の決算委員会で、田村大臣より、大変有り難く、私がこの委員会で常々申し上げてまいりました歯科口腔保健に関するものの推進室、いつまでたっても開かれないじゃないかというお話をしました。そうしましたら、大臣の方から、しっかりと私の方からも事業を進めるよう申し渡していきたいと、今週、全体会議を開かせていただくという御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  早速、実は昨日、全体会議が開かれたと伺っています。私は何度も言っています。健康寿命延伸にいろんなことが関わると思いますが、歯科もその中の一つの大きな役割があるということ、この点において全体会議を開いていただいたことは心から感謝をいたしますが、局長お尋ねいたしたいと思います。  昨日の全体会議、一体どんな内容で、どのような方が出席して、何を目標に持ってお話をされたか、その内容についてお聞かせください。
  6. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答えいたします。  昨日、今年度第一回目の歯科口腔保健推進室会議を開催したところでございます。  一応室員は、子供のところの歯科雇用均等児童家庭局メンバーから、あるいは働く世代労働基準局労働衛生課メンバー、あるいは老健局メンバー、それから成人世代健康局メンバー、様々おります。一応、当局の歯科保健課の者も合わせまして十八人中十一人の出席の下で会議を開かせていただきました。  内容につきましては、省内の会議ですので詳細についてはちょっとつまびらかにすることは控えたいと思いますけれども、歯科口腔保健推進室中心に、この歯科検診受診者の割合についてどうするのかとか、そういうような議題について議論をしたというふうに聞いているところでございます。  今後とも、この推進室中心取組を総合的に進めていきたいと考えております。
  7. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  せっかく第一回を開いていただきましたので、これはもう定期的にしていただきまして、前回もお示ししましたように、すっぽりと抜けている部分、一番重要な部分でしっかりと進めていかなきゃならないところ、そしてそれは受けるのも国民の責務でありますし、また勧奨することは国のやるべきことでございますので、健康寿命延伸ということからも、しっかりとやっていただきたいということをお願いしたいと思います。  それについて、歯科口腔保健法、これはやはり具体的に進めていって検診事業をやっていかなければならない。そして、何よりも、幾ら私が委員会で、そして歯科医師医師があちこちで検診事業が重要といっても、国民皆様が御理解いただけなければこれは受診率は上がるわけがありません。各自治体取組、例えば私のクリニックがあります東京中野区でも様々な取組をしています。ただ、これ各自治体によって本当に大きな差があります。  ここのところをしっかりと法整備していくことが大事だと思うんですが、改めまして大臣に、この歯科口腔保健推進室拡充を期待する意味も込めまして、大臣からの御見解お尋ねしたいと思います。
  8. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 先般の決算委員会委員にも御答弁をさせていただきました。歯科口腔保健推進法、この中の第八条に、今言われたとおり、国及び地方公共団体は、定期的に歯科検診、これを勧奨をしていかなきゃならぬわけでございます。  そういう意味からいたしまして、目標というものを、その次の年でしたか、整備させていただいた基本的事項の中でしっかりと設置をしていくということでございまして、これに向かって我々は努力していかなきゃならぬわけでありますが、具体的には、予算がちょっと低落傾向委員大変お気になさっている部分があろうと思います。予算上、非常に厳しい財政状況だというところはあるわけでありますが、やはり口腔保健推進事業という形の中で、予算、ここは徐々にでありますけれども増やさせていただいてきております。まさに法律にのっとってこれは進めていかなければならない事業であろうというふうに我々も思っておりますので、この予算を更に我々としては要求をしっかりとしていく中において、委員がおっしゃられるその部分というもの、我々も進めてまいるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  9. 西村まさみ

    西村まさみ君 力強い御決意、心から感謝をします。  何度も言いますが、歯というのは、今までは歯科医師役割が虫歯の治療歯周病治療予防、そして歯を失った方へ入れ歯を入れると、いわゆるそういった治療から、毎回言っておりますが、糖尿病歯科の関わりですとか、例えばしっかりと専門的な口腔清掃をすることによって、入院しているがんの患者さんたち入院日数が減るですとか、例えば、様々なことがあるということも度々申し上げてまいりました。  こういったことも踏まえまして、是非とも、予算、大変厳しいことは重々承知していますが、やはり厚生労働省としては、国民の健康を守り、安心、安全な生活が送れるようにすることが何よりも大切なことだと思いますので、予算確保と同時に人員の拡充に関しましても、そして何よりも、毎回言っておりますが、歯科口腔保健推進室、全員が専任でありませんので、何より一人でも専任の方をおつくりいただくように心からお願いをしたいと思います。  それでは二つ目に行きますが、やはりちょっとその口腔ケア関係して、今、日本人死因の第三位は肺炎となりました。その肺炎について、厚生労働省としては、日本再興戦略一つとして、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、健康寿命延伸、そして持続可能な社会保障制度をつくり、それを目指すということで、国民健康寿命延伸する社会に向けた予防健康管理に係る取組推進を二〇一三年八月に策定、公表しているわけです。  この中で、いわゆる高齢者肺炎予防というところの中に、高齢者肺炎予防推進、大体約八千億円、八千億円が掲げられている中で、具体的な取組は、高齢者の誤嚥性肺炎予防に向けた口腔ケア、そしてもう一方で、成人用肺炎球菌ワクチン接種推進と、その二点を挙げていらっしゃいます。  このうち、専門的な口腔ケアについてはもうさんざんお話ししましたので、どなたも御理解いただけたと思うんですが、成人用肺炎球菌ワクチン推進というもの、これについて、非常に私もよく言っています。私は、予防接種をしてなるべく防げる病気というものは防いでいくべきだというお話をしてまいりましたが、田村大臣の御答弁においても、大変興味深いことであると、しかし、厚生労働省としてもしっかりと取り組んでいくという中で、いわゆるこの八千億円という掲げられた中で、口腔ケアはまだしも、今度十月には肺炎球菌ワクチン定期接種化が決まっていると聞いていますが、それに向けた取組と現在の準備状況についてお知らせください。
  10. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) お答えをいたします。  今御質問いただきました成人用肺炎球菌ワクチンでございますけれども、厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会などにおきまして技術的に検討を行っていただきましたし、また財源の確保にも一定のめどが立ちましたことから、今御質問の中にもありましたように、本年十月から、予防接種法に基づき定期接種とするということになっております。  厚生労働省におきましては、そこに向けまして、ワクチンを製造販売する企業に対しましてワクチン安定供給確保お願いするなどしまして、本年十月という施行に向けた準備を進めているところでございます。
  11. 西村まさみ

    西村まさみ君 是非これは前向きに進めていかなければならないことですし、経済効果も非常に高いと言われているわけです。  そして、その中で、例えば子宮頸がんワクチン、また違った意味お願いをしているところであります子宮頸がんワクチンも、いろいろありますが、二種類選択肢があります。そして、小児の肺炎球菌ワクチンも二種類あります。  やはり、これは選択肢を広げるということは非常に重要だと私は考えているんですが、今、我が国においても、新しく成人用肺炎球菌ワクチンが六月中に薬事承認が見込まれるという報道もありますから、是非とも、一種類に限らず、今現在使われているもの、これは一九七七年に承認されたワクチンではありますが、是非とも、新しいワクチン薬事承認が取れることが確定したならば、十月の施行に合わせるべきだと思うんですが、局長はどうお考えですか。
  12. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) お答えをいたします。  今御質問いただいたのは、恐らく沈降十三価肺炎球菌結合型ワクチンのことについてだろうと理解いたします。  現在、聞いておりますところでは、五月二十六日の薬事食品衛生審議会におきまして、高齢者使用について承認しても差し支えないという結論が得られたものの、現時点ではまだ薬事法上の製造販売承認に向けた手続を行っているところと、こういうふうに聞いております。  そういうことでございますので、現時点では、当該ワクチン高齢者使用するということについて、薬事法承認が得られるという前提の下でワクチン有効性安全性、それから費用対効果に関するデータというのを可能な限り収集することとしまして、その上で、予防接種ワクチン分科会等において、科学的な知見に基づいて定期予防接種に位置付けるかどうかということについて評価及び検討をしていただく、こういう段取りで考えております。
  13. 西村まさみ

    西村まさみ君 承認の予定は大体いつ頃なのか、教えてください。
  14. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) 承認につきましては医薬局所管になりまして、ちょっと私ども健康局の方で把握をしておりませんで、現時点では五月二十六日の、先ほどの薬事食品衛生審議会における高齢者使用についてを聞いているところでございまして、恐らくこの審議会の中での議論、あるいは出されてきたデータということで時期が決まっていくものだと承知します。
  15. 西村まさみ

    西村まさみ君 六月中にはと聞いているんですが、その点について局長御存じですか。
  16. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) ワクチン行政を確かに私ども所管をしておりますが、個々のワクチンでありますとか医薬品それぞれにつきまして、どういうふうに議論が進んでいくかという、それぞれのワクチン医薬品について承知しているわけではないので、ちょっと今日この時点では見解を持ち合わせておりません。
  17. 西村まさみ

    西村まさみ君 政務官御存じでしょうか。
  18. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 私も健康局長と一緒で、中身についてはまだ承知しておりません。
  19. 西村まさみ

    西村まさみ君 もう六月という、六月中という報道があったり、六月中と聞いている中で、もう六月も大分半ばに近くなってまいりました。  是非とも、本当にこれ、一種類というよりかは、やっぱり選択肢を広げるということ、これは医療を提供する側も予防接種を受ける側もやはり必要なことだと思います。是非とも六月中に承認されることを願いますし、必ずやっていただきたいと思いますし、十月の定期接種化に向けて必ず、やはり一種類ということじゃなくて二種類となるようにしていただきたいと思いますので、六月中に承認が下りるかどうか、是非確認をいただきましてお答えをいただきたいと思います。
  20. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 今の指摘を受けまして、しっかりと確認して御返事したいと思います。
  21. 西村まさみ

    西村まさみ君 六月中のことですから、是非早急にお願いをしたいと思います。  ワクチンギャップの解消というのは、これは日本は非常に、ワクチンギャップというものがあるわけですから、必ずそのギャップを埋めるためにも、六月中と聞いたら、もう六月半ばなんですから、是非とも六月中に承認をしていただきまして十月の定期接種化に向けて、何といったって日本人死因の第三位が肺炎なわけですから、是非ともその肺炎球菌ワクチン、多くの皆様に御理解いただいて、周知していただいて、受けることができるように心からお願いをしたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから次に、今回の法律に関わることについて質問をしていきたいと思います。  国保組合国庫補助引下げについてお尋ねしたいと思うんですが、定率国庫補助率見直しというのは、民主党政権のときの事業仕分で出てまいりました。そのとき、要は、皆保険制度実施以前からこの国保組合というものは業種別母体組織を軸とした民間活力ある効率的な事業運営をして、設立以来、例えば医師国保ですとか歯科医師国保ですとか薬剤師の国保ですとかは、自家診療保険請求を認めずに一〇〇%近い保険料収納率を達成しているわけです。自助努力をしながら組合運営を続けていて健康管理に努めている、そんな組合であるわけです。  一律に所得水準が高いからということでカットしていってしまう、その補助率のカットをするということは大変いかがかと思うんですが、その組合定率補助率保険者機能の安定的な維持のために非常に必要なことであって、その補助率というものは市町村国保を含めた国保制度全体の設計、運営、そして高齢者医療制度そのもの見直しに伴う保険者間の財政調整など、総合的に総体的に勘案されて設定されるべきだと思います。  例えば、いろいろな試算があると思うんですが、医師国保からの試算を見ますと、今このまま補助率が下がって解散なり何かしなければならなくなったとき、そういったことが余儀なくされたとき、いわゆる市町村国保に加入するようになるんですが、そうなると結果的に、市町村国保公費負担は現在の医師国保全体の定率国庫補助金の総額の百五十九億六千百三十五万円より九十九億九千二百七十七万円多くなり、社会保険適用者分を除いても四十八億、四十九億円近く多くなるわけです、これは平成二十二年度の決算からなんですが。  ですから、是非とももう一度よく検討されて、どっちがいいのか悪いのかということではなくて、この組合が一生懸命運営してきたこと、自家診療もしていませんし一〇〇%の収納率を誇っているわけですから、この国民健康保険組合国庫補助率引下げについては不安を感じずにいられない皆さんがたくさんいるわけですから、その取組をどのように進めていくか、お答えいただきたいと思います。
  22. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  国保組合でございますが、御指摘のように、国民保険市町村国保に義務付ける前から同業同種方々保険組合構成をしていただいておるものでございます。市町村国保が立ち上がりましてからは原則新設はされていないわけですが、それでも今、百六十四組合、三百万人余りの方々構成員として維持をされておるわけでございます。  この国庫補助仕組みでございますけれども、これは全ての国保組合に同じ三二%、定率国庫補助と、それに乗せてその財政力に応じた補助調整交付金の上に乗っておると、こういう仕組みでございまして、所得水準にかかわらずに全ての国保組合にあります定率国庫補助についてどう考えるか、これについて御議論がありまして、プログラム法の中でも、保険料負担の公平を図る観点からは、所得水準の高い国保組合に対する補助見直しについて検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという規定は入っておるところでございます。  こういう点も踏まえまして、今、国保制度被用者保険制度、全てについて議論をさせていただいておりますので、国保組合補助の在り方、この見直しによるそれぞれの国保組合への財政影響、それがどういうふうに出てくるのかよく分析もさせていただく。それから、保険者機能、今のように発揮をしていただいているわけでございますから、その機能をどうすれば維持しながらより効率的にできるのかというような御意見も伺わなきゃいけないと。そういうふうなことを社会保障審議会の中でもしっかり承りながら、丁寧な議論を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 西村まさみ

    西村まさみ君 定率で今補助をしているわけですが、それを段階的にとか、いろいろな幅の広がりというものは必要だと思うんですね。だから、一律にこうだからこうということではなくて、もう一度よくその機能も含めまして、様々なところを検討していただくということを是非お願いしたいと思うので、それはお約束いただけますか。
  24. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) これは、今のように段階的な議論も、既に幾つかの議論も見ていただきながらも、議論ありますが、更に丁寧に議論をさせていただきたいというふうに思っております。
  25. 西村まさみ

    西村まさみ君 是非よろしくお願いしたいと思います。  次に移りたいと思います。合意形成のプロセスについて、その問題についてお尋ねしたいと思います。  五月二十六日、時事通信マスコミ報道なんですが、二十六日に政府ブラック企業取締り強化方針を固めたと報道しています。翌日、二十七日の田村大臣定例記者会見の中で以下のやり取りがあったと聞いています。記者皆さんが、ブラック企業について政府問題企業社名公表等取締り強化を決めたと報道されていますが、事実関係をというお尋ねに対し、大臣は、何か新しい方針を出したということではない、昨年からずっと継続、例えば若者使い捨てが疑われている企業はしっかり指導労働条件相談ダイヤル等相談に乗る取組予算化、しっかりとブラック企業には対応してまいりたいと、そういうふうに大臣お答えになっていらっしゃいます。  この報道関連お尋ねしたいのは、この報道厚生労働省発表に基づいているものなのでしょうか、それとも違うところなのか。こういう報道がなされると、次、心配なことがあるものですから、その最初の段階でお尋ねをしたいと思います。
  26. 中野雅之

    政府参考人中野雅之君) 産業競争力会議では、成長戦略の課題の一つとして労働時間制度検討が行われておりまして、四月二十二日には法令の趣旨を尊重しない企業取締り強化民間議員から提案されまして、総理からも働き過ぎ防止の強化が指示されたところでございます。  御指摘の五月二十六日の報道は、厚生労働省からの発表に基づくものではございません。四月以降の検討進捗状況を独自に取材され、報道されたものではないかと受け止めております。  現在、成長戦略の改訂に向けて調整が行われているところでございますが、若者使い捨てが疑われる企業等に対する対策が実効あるものとなるよう、厚生労働省としてはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  27. 西村まさみ

    西村まさみ君 安倍政権成長戦略の一環として検討している労働時間規制を一定条件に合う労働者に限って撤廃するいわゆるホワイトカラーエグゼンプション、この導入に向けた環境整備が狙いだともその時事通信は言っているんですね。  取締り強化では、厚生労働省が全国の労働基準監督署職員の増員とか、企業監視指導の方法の見直しに取り組むとか、ブラック企業に加えて、劣悪な労働環境が言われる、いわゆるグレーゾーン企業も含めた問題企業社名公表検討すると、そのようにも言われています。  今の厚生労働省意見といわゆる産業競争力会議との意見が違うというところは分かりましたが、やはり厚生労働省として、このブラック企業対策ホワイトカラーエグゼンプション導入環境整備策なんじゃないかと、やっぱりそう取られると思うんですが、決してそうではないということ、働く人たちを守り、特に若者使い捨てにするような企業を徹底的に指導して取り締まっていく、是正していくというものが妥当だと私は考えますが、厚生労働大臣としてはどうお考えでしょうか。
  28. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) ホワイトカラーエグゼンプションというような考え方は我々は持っておりません。昨日も大臣間で一定の合意を得たわけでありますが、一定の収入以上ということが前提、これは数字や少なくともという形で示させていただきました。あわせて、以前から総理から指示をいただいておりますとおり、職務の範囲が明確であって更に高い職業能力を有する労働者にこれ絞り込むという形の中で、新たな労働時間制度というようなことをいろいろと検討させていただいておるわけでありますが、いずれにいたしましても、労働政策審議会でこれは御議論をいただくことになっておりますので、そのような形でこれから御議論をいただきたいというふうに思っております。  それとは別に、いろんな議論産業競争力会議の中で、やはり若者使い捨てにするような企業、これに対してやっぱり徹底監督、指導しなきゃならぬということで、これは我々から提案をさせていただきました。また、働き過ぎということがございますので、そういうものに対しての対応でありますとか、また朝型の働き方、こういうものも、残業をするぐらいならば朝早く出て働いた方がいいのではないかと、こういうような提案もさせていただいたわけであります。民間の議員の方々も、働き過ぎである、日本人はと、こういう思いといいますか考えはこれは一致しておりまして、そこは何とかしていかなきゃならぬねというような、そういうお考えでございました。  いずれにいたしましても、若者使い捨てにするような、そのような企業は我々は許さないわけでございまして、これからも若者がしっかりと意欲を持って将来に向けて希望を持ちながら働ける、そういう環境整備、これをしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。
  29. 西村まさみ

    西村まさみ君 田村大臣労働時間制度、紛争解決システム、多様な正社員についてと、五月二十八日に発表された厚生労働省のこの資料では、今おっしゃったように、若者使い捨て云々と、朝型の働き方の推進とか、働き過ぎの改善とか書いてあるんです。今おっしゃったように、朝型の働き方、やむを得ない残業は朝に回して夕方に退社する取組を、それは大変有り難いんですが、これ、朝方から仕事をすると、夜残業をしないのではなくて労働時間が長くなるという、そういう心配は当然出てくると思うんですよ、現場では。  幾らこういう取組をしてくださいといって、会社には一定時刻以降の残業は原則禁止と書いてありますが、なかなかその中で今までやってきた仕事が果たして全て朝に回せるかとか、いろんなやはり疑問や、結局労働時間が増えるんじゃないかと、そんな心配は当然あるわけですし、この大臣の、これの中にも、成果で評価できる世界レベルの高度専門職、時間ではなく成果で評価できる仕事というんですが、時間ではなく成果で評価できる仕事って、これは非常に少ないと思うんです。  例えば、これがいい例か悪い例かは分かりませんが、例えば私みたいな仕事、歯科医師としての仕事は、診療報酬という公的な価格が決まっていて、患者さんが来て、いわゆるお客様が来て、この時間こういう診療をしたらこれだけの対価、診療報酬が算定できるとかということがあります。しかし、役所の皆さんはなかなか、いつまで、何時間も仕事をしてもそれがすぐ成果として出てくるわけではないと。  だから、一律、時間ではなく成果で評価できる仕事に関する労働時間制度の構築を検討といっても、やはり具体的なものを出していかないと、結局心配するのは労働時間が長くなって残業代がなくなるんじゃないかと、そういう心配、まさに報道はそういうふうに書きますから、そうではないんだということをやはりしっかり厚生労働省としては打ち出していくべきだと思うことを私の一つの例として御提案申し上げたいと思います。  次に、総理の発表なんですが、総理は、これは一昨日、慶応大学の視察の後に、患者療養申出制度、仮称ではありますが、なるものを発表されています。新たな保険外併用の仕組みの創設だということをおっしゃっているんですが、これ、まずちょっとお尋ねしたいんですが、今まで言われていた、稲田大臣の下で言われていた選択療養制度とこの仮称ではありますが患者療養申出制度、これ違いは何ですか。
  30. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 今、西村委員指摘の患者申出療養制度というのは総理から発言があったわけですけれども、その前に、我が国における国民保険の理念の下、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療としてきております。その上で、保険適用されていないものの将来的な保険収載を目指す高度な医療等については、一定のルールの下、安全性有効性を確認する等により保険外併用療養費制度として保険診療との併用を認めております。  ただ、この制度につきましては、現在、医療機関から先進医療会議に申請して併用開始までおおむね七か月ぐらい掛かっていることがあります。それからさらに、先進医療会議というところで、もっと早くしようということで先進医療保険併用開始ということでやっていますが、これでもおおむね三か月。だから、非常にやっぱり長い期間掛かるという前提で、もう少しそれをスピードアップできないかというのが総理の言っている狙いだろうというふうに思います。  今般、六月十日に総理から創設の指示のあったのは、仮称でありますけれども、患者申出療養として、困難な病気と闘う患者から申出を行うことができる点、そして評価療養よりも迅速に審査を行うという点などは規制改革会議の提案内容を踏まえた仕組みとなっております。  一方で、国におきまして、その治療方法の安全性有効性を確認するという点、そして保険収載に向け医療機関が実施計画を作成し、国において確認するとともに、実施状況等の報告を求める点を明確にして厚生労働省としては進めていきたい。引き続き、具体的な制度内容につきましてはこれからも安全確保を前提として進めていきたいと、このように思っております。
  31. 西村まさみ

    西村まさみ君 結局、選択療養制度とこの患者療養申出制度は同じなんですか、違うんですか。
  32. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 六月十日、総理から指示があったところでありまして、これから、じゃ、実際に今、半年から七か月という問題と、三か月掛かっている問題と、この安全性と将来保険収載にどう結び付けるかという、そういう具体的な仕組みをもっとスピードアップしてできないかということをこれから省内で検討させていただきたい、このように思っています。
  33. 西村まさみ

    西村まさみ君 ということは、今言われている選択療養制度と一昨日総理が話しました患者療養申出制度は、これから検討して、例えば両方生かすのか一緒にするのか分かりませんが、これから検討するということでよろしいですか、大臣お答えください。
  34. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 選択療養というものがありました。ありましたというか、そういう御提案がありました。中身、いろいろと話をさせていただく中で幾つか我々と考え方として合わない部分がありました。そこで、そこを調整をさせていただく中において今般のような新しい患者申出療養というようなものを意見の一致を見て、今般そのような方向で検討をするということになってきたわけであります。  これは、今までコンパッショネートユースでありますとかいろんな方法があるわけでありますが、そういう治験をやっている薬に対してたまたまその治験のやる範囲、プロトコールなんかで求められているものに対象にならない方々は、これはコンパッショネートユースのような形で使えたわけであります。今回の場合は、そもそも治験を日本の国でまだ始めていないと、つまり、海外では一般的に承認されて使われているような薬であるけれども、国内ではまだ治験が始まっていないというような薬に関しては、これを早くする方法というものはなかったわけであります。  でありますから、抜けているところをなるべく早くできないかということで、しかし一方で、一定程度のこれ安全性有効性が認められなきゃならないということ、それから保険収載というものをやっぱり外してもらっちゃこれ困るわけでありまして、ちゃんと保険収載に浴するそういうデータというものは挙げていただきたいということで、実施計画等々を含めてこういうものをしっかり作っていくということで、臨床研究中核病院と、ここが中心でありますけれども、ここが一定程度責任を持ちながらそのような形でなるべくスピードを速めていくということで提案をさせて、今検討をさせていただいておるということでございます。
  35. 西村まさみ

    西村まさみ君 私が昨日、厚生労働省皆様から質問をするに当たってレクチャーを受けたときは、この選択療養制度というものがもうなくなって、新しく患者療養申出制度になったというふうに聞いているんですが、局長、どうですか。
  36. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 当初、規制改革会議で昨年から議論がありまして、我々もその議論にも対応してまいりましたが、三月の時点で一度出ましたもの、三月末でしたでしょうか、それは仮称ではあっても選択療養という言葉を使っておられて、それから、それは患者さんと主治医さんの説明と同意だけで、例えば保険者へ届出をするだけでもう実施ができる、併用ができるんだというふうな御議論がありましたが、その後、私ども、それでは安全性有効性が担保できない、あるいはどういう実施体制の病院でもそれは実施というわけにはいかないんじゃないかと、それから、保険にちゃんとつながってどなたでも保険の下で使えるような道を開くべきだということを繰り返し主張してまいりました。  そういう中で、五月段階にかけての規制改革会議の途中の検討あるいは意見書というのは、その辺の三月の段階とは変わってまいりました、御指摘も。それで、やはり安全性有効性もちゃんと確認をしなきゃいけないし、それからそのデータというものをきちんと残して、しかもそれが評価に堪え得るデータとして残されて保険収載につながっていくという仕組みが必要だろうと、それから、できるだけ身近なところで実施を求めていきたいけれども、しかしそれで安全性確保されないと駄目だから、そこの実施体制もよく検討すべきだろうということがございました。  そういう中で、この間、両大臣にも調整をいただきまして、一昨日のような形、これからの詳細の制度設計はこれから詰めなきゃいけない点がありますけれども、当初の選択療養の考え方とは変わってきておるということは明らかだろうと思っております。
  37. 西村まさみ

    西村まさみ君 じゃ、最後に確認しますが、選択療養制度の今まで議論されていたことはこの数か月で変わってきて、そしてより良い、有効性安全性も踏まえた上で迅速に薬なり治療法なりができるということで患者療養申出制度になったということでいいですか。詳細が、検討はこれからということは分かりましたが。
  38. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) まさにそのとおりでございまして、安全・有効性を担保しながら実施をいただく。それを、まず前例がないものは、国外で承認されても日本で治験も始まっていないものについては、臨床研究中核病院とその協力病院からのそれを受け止め、患者さんからの申出を受け止めてもらった臨床研究中核病院等から国の方に出していただいて、国の専門家のチームで確認をさせていただく、それでなるべく早くにということで実施に移させていただく。それから、その実施計画に基づいた内容についても、その後の経過、結果ということをちゃんと報告をいただくということ。それから、同じ薬剤を使ってやりたいという二号目以下については、その臨床研究中核病院の方、前例を取り扱ったことのあるところでその実施を認め、なるべく更に早くしていくという、こういう点で調整をしていこう、具体的な制度設計をこれから調整をしていこうということでございまして、その点を担保しながら今後、詳細を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 西村まさみ

    西村まさみ君 これ、先ほど政務官も、困難な病気と闘う皆さんとか迅速とかいうお言葉おっしゃいましたが、その安全性有効性の確認というのはどこがするんですか。
  40. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  対象として考えておりますのは、例えば海外で承認はされておるけれども日本ではまだ未承認、それも、大臣が申し上げましたように、治験届が出て治験に入っておりますと、今も、足立議員からも御指摘がありましたようにコンパッショネートユースを進めようということで今取組を始めておるところでもございます。  しかし、まだ日本で治験が始まっていない、あるいは適応を拡大するための治験も始まっていないというようなときについて、そのようなことの安全性有効性につきましては、海外の承認状況、これはPMDAの方でもアメリカやヨーロッパの承認状況等を常に把握をして公表もしておりますが、こういうものについてきちんとそのエビデンス、使用のガイドライン等を確認をいたしまして、国の方でその実施計画に基づいて専門家のチームの下で確認をするという仕組みを前提としております。  二号目以降については、その臨床研究中核病院の方でその同じ実施体制の下でやってもらうことを承認をして、なるべく早く行うと、こういうふうな仕組みで考えております。
  41. 西村まさみ

    西村まさみ君 じゃ、その追跡はどこがやるんでしょうか。
  42. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 実施計画の報告、それについては実施をされた病院、これは臨床研究中核病院とその協力病院の下でその状況を確認していただきますが、その実施の結果につきましては、国のまたチームの方に報告をいただいて国としてその結果も判断をしていくということになると思います。
  43. 西村まさみ

    西村まさみ君 じゃ、ちょっと細かいことをお尋ねしますが、まだそのいわゆる選択療養制度とこの患者申出制度というようなもの、そもそもそこの選択療養制度自体からそもそもおかしいと言っている私とすると、非常に聞きたいところはたくさんあるんですが、そのうち、今回のいわゆる新しい患者申出療養制度、困難な病気と闘う患者からの申出を起点としてという、趣旨の一番最初に書いてあるんですが、困難な病気とはどんな対象疾患ですか。
  44. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) この間の規制改革会議議論におきましても、困難な病気の患者さんたちからの申出ということでありますが、典型的にはがん治療を続ける患者さん、あるいは難病で治療を続ける患者さんというようなことが想定はされると思いますが、これは、日本でまだ治験にも入っていない薬剤を是非安全な体制の下で使っていきたいということ、それについてでございますから、疾病名や症状そのものを限定するような考え方ではないというふうに考えておるところでございます。
  45. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありとあらゆる疾患でいいということですか。
  46. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 薬剤の方につきまして、やはり今、アメリカFDA、あるいはヨーロッパEMEAの方で承認をされて、こういう条件の下で使えば安全、有効に使えるという承認の出ているデータ、そういうものがありますから、そういうものを確認しながらやるところ、そういうところからスタートを切るべきものだというふうには考えております。
  47. 西村まさみ

    西村まさみ君 それでは、今おっしゃいました臨床研究中核病院、日本全国で十五医療機関あると思うんです。そして、そのほか患者に身近な医療機関、協力予定医療機関、これは大体どのくらいの数を見込んでいるんですか。
  48. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 臨床研究中核病院、予算事業として、早期・探索型も含めて十五の病院で、国際的にも基準にのっとった臨床研究を進めていただくということで今進めていただいております。また、医療法の改正案の方では、これを法律の根拠に基づく承認を与えたものとして実施していただくと。またさらに、それと共同で研究を進める協力病院につきましては、今も治験のときにも治験の協力病院から治験の親元の病院の基準にのっとった患者のデータを出して、協力病院も協力して出していただいていますが、臨床研究中核病院のほか、その臨床研究中核病院が安全、適切に診療ができるという体制を確認した協力病院において実施が進められることができると思っております。  数についてというよりも、その実施体制をきちんと確認をした上で協力病院、実施を認めていくというべきものだろうと思っております。その程度というのは、医療の技術の難易度、あるいはリスクの難易度というものをちゃんとエビデンスに基づいたものとして実施が可能ということを判断をしていくべきものだろうというふうに思っております。
  49. 西村まさみ

    西村まさみ君 私がお尋ねしたいのは、私はよく質問させていただくことでありますが、日本はやはりこれだけ平均寿命が伸びてきたというのの一つの要因に国民保険制度、これはどこの国にもないような国民保険制度がしっかり徹底してきたこと。まあ、いろんな問題点はあるでしょうし、これから変えていかなきゃいけないところもあるのかもしれません。しかし、今回の例えば選択療養制度にしても患者申出制度にしても、私は心配するのは、それじゃ、中核病院なり関係する共同研究病院なりでも地域格差ができるということがあるんじゃないかということ、そして、患者の申出によって、今のところ対象疾患はがんなり難病なりと言ってはいるものの、ありとあらゆる疾患で苦しんでいる患者さんたちに、より有効だ、安全だと思うものを患者が申請するということ、果たして広く患者さんたちが、どの治療法が、どの薬が自分にとって有効なのかということをどこで判断するのかということが非常に分かりにくいと思うんですね。かといって、医療機関側から提供するだけだと、また幅は逆に言って狭くなるでしょうし。  患者さんにとって、苦しんでいる患者さんにとって、がんだって難病だってそれ以外にだって、病名が付かなくたって苦しんでいる患者さんは日本全国にたくさんいる。その皆さんたち安全性有効性の担保が取れて、それができるだけ迅速に承認されて、それを使うことができるようになるシステムというものに対しての否定をする気持ちは全くありません。ただ、心配なのは、国民保険制度が揺るがされるんじゃないかということ、そして先ほど申し上げました、地域によって、苦しんでいる患者さんですからそう遠くには、どんなにいい治療ができる、いい診療ができる、いい薬があるといっても行かれないことが当然出てくるわけです。そういう意味での地域格差があるんじゃないか。  そしてもう一方で、しっかりと、患者申出制度というならば、患者の皆さん国民皆さんがどういう治療方法があるのかということをどの場所で知るかということ、そこにも差ができるんじゃないかということ。そして、何よりも、いわゆるこれは混合診療の解禁につながるんじゃないかと書かれているように、いわゆる経済的に豊かな人じゃないとその診療が、治療が受けられないんじゃないかと。そこのところが非常に大きな心配であり、疑問なんですが、その辺について厚生労働省はどのようにお考えでしょうか。
  50. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  地域格差の問題ということでございますが、確かに臨床研究中核病院、今予算事業で進めておりますものも十五か所ということで限定をされております。今後、ICH―GCP基準等にのっとったものとして承認を進められた中ではその数も増えていく可能性はあると思いますが、その下で、共同研究を進める協力病院、そういうものについては増やしていく。その実施体制をよく確認しながら、臨床研究中核病院の指導の下に協力をして実施できる病院というものは増やしていくことを考えなきゃいけない。それができるだけ身近なところでも安全、有効に実施できる病院として増やしていくことは考えなきゃいけないというふうに思っております。  他方で、それをなるべく広く格差なく皆保険の下で使っていただくということが大事でございますから、その結果のデータにつきましては、やはり日本で早く治験を、アメリカやヨーロッパで治験も進み承認も出ているということであれば、日本で適応がなかなか広がらない、治験が広がらないというような実態がある中ではありますが、なるべく早くそういう実施例を基に治験に進んでいただく、きちんとした申請に進んでいただくということを我々も促していかなきゃいけないというふうに思っておりまして、やはり保険収載につなげることによって、皆さんが経済的格差ということなく受けられる形を目指していくべきものだろうというふうに思っております。  また、その治療法、どういうものがあるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、まず、今もアメリカFDAの承認情報、それからヨーロッパEMEAの承認情報というものは、直近、今ですと、PMDAの方で国の事業として二月までこの二年間程度のものが掲載されておりますけれども、そういうものをきちんと我々も踏まえながら、臨床研究中核病院の方でもそのエビデンス等も確認を従前からしておいていただきながら、その申出のあった患者さんや申出のあった医療機関とよく相談をしてもらいたいというふうに思っております。
  51. 西村まさみ

    西村まさみ君 余りこの問題ばかり取り上げているとこればかりで終わってしまうんですが、国民はその情報を、患者さんである国民はどこで知るのかということがよく分からなかったんですが、これ非常に一番重要なところであるし、何よりもそこが先にないと、どんなにいい制度であっても、選ぶ側、申請する側の患者さんにとってどういう方法があるのかというのは非常に心配になることであります。  何よりも、苦しんでいる患者さんのためには一日も早い、迅速というのは大切だと思いますが、それ以前にきちっと公表でき、きちっと知る場をつくることの方がよっぽど先だと思いますし、何でこんなに急ぐのかがよく理解できませんし、短い時間で有効性安全性承認が取れるのであれば、なぜ今までやらなかったのかというところにも行くと思います。  是非とも、もう一度原点に戻って、地域格差をなくすこと、そして何よりも患者さんたちが、患者さん、国民が情報を知る場をもっともっと広げることと、正しい情報が行くように、私、毎回、周知の仕方が厚生労働省は下手くそと言うのと同じように、やはり苦しんでいる患者さんたち、その御家族が、ああ、こういうのがあるんだ、今回これを自分から希望することができるんだというのが分かるように是非ともしていただきたいというお願いをさせていただいて、次に移りたいと思います。  前回もお尋ねしました。介護職員の人材確保の処遇の改善について、この問題は私、ずっと取り組んできましたし、取り上げてまいりました。  今回、安倍総理は、四月四日の経済財政諮問会議産業競争力会議の合同会議で、決算委員会でも言いましたが、女性の活躍推進の観点から外国人材の活用について検討してもらいたいと。女性の就労を増やす、そのために家事分野、育児分野、介護分野などで外国人労働者の受入れを検討するように指示されたということで、輝ける女性をと言われたんです。  決算委員会のときにも申し上げましたが、輝ける女性、そして外国人の家事労働者を自宅に入れることができる女性より、私は、もっともっと毎日の暮らしに困っている女性、女性という問題でいえばたくさんいるわけです。特に、一人親、母親の一人親家庭の貧困率は五〇%を超えている、こんな国はないんです、先進国の中で。  だから、私は、まず外国人労働者を使うということ、これは国際貢献とか今までの経緯を踏まえれば当然大事なことだと思うんですが、ここでちょっと医療介護の分野に行かせていただくと、福祉職の皆さん、いわゆる介護分野にも外国人労働者が入ってくるという心配がありますというお話をしました。  介護の現場は、これは単純労働ではないんです。介護福祉士の皆さん、そして病院や介護の場で働いている皆さん、これは皆さん、単純労働をしているわけではないわけです。ですから、研修期間を短く、そして日本で様々なことを学んでいただいて自国へ持って帰っていただいて、その技術、研修した成果を自国でしっかりとやっていただくという、その取組はまさに正しいと思いますが、新たな看護補助者とか介護従事者の医療介護分野に技能実習制度を対象とすること自体、そもそも私は間違っていると思うんですが、技能研修制度と異なる新たな制度を設けて、介護支援人材として外国人を招き入れるということをされようとしていますが、それについては大臣はどうお考えですか。
  52. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) ちょっと何を対象におっしゃっておられるのか、ちょっと私は理解今できていないんですが。  技能実習制度は、御承知のとおり、学んだ技能を自国で生かしていただこうという制度でございますから、一定期間でお帰りをいただくという制度であります。この中に今介護分野は入っていないわけでございまして、これを議論の中で、いろいろと今議論をされているわけでありますが、やはり重要なことは、対人サービスでございますので、その点、やはり日本語能力というものが一定程度ないことにはこれは対応ができないと。  それから、EPA等々で、これは介護福祉士を目指すということでございますので、これは有資格者になって日本で残っていただいて、これは日本の中において御貢献をいただくという制度でございますから、これは有資格という中においての話であるということであって、これは若干別な話であります。  でありますから、技能実習制度においてはそのような検討がなされているわけではございません、ございません。  あわせて、その他の制度というのは、もしあるとすれば、言うなれば、日本に教育を学びに来られて、その後、試験を受かって介護福祉士になった場合はどうなのかということであろうかというふうには思いますが、これに関しては、幅広く、有資格者という観点から考えれば、資格をしっかり取っていただく限りは、日本語においてもちゃんとしたコミュニケーションが取れるだけの能力を持っていることが大前提でありますから、これはいろんな議論がこれからあるんであろうというふうに思います。  看護補助者に関しましては、そもそも資格制度ではございません。技能実習制度では、これ、公的な技能の評価制度がないことにはこれは対象にならないわけでございます、基本的にはでありますけれども。でありますから、そういう意味からいたしますと、そのような評価制度というものが今ない中において、我々検討しているわけではございませんし、また、そのようなことが団体から御要望があるというわけでもないわけでございまして、一部そういうような報道ですかね、何かあるようでございますけど、具体的に我々検討は今始めておるわけではないという状況であります。
  53. 西村まさみ

    西村まさみ君 じゃ、厚生労働省としては、今私が申し上げました看護補助者とか介護関係する人のことは考えていないということでよろしいですね、厚生労働省としては。
  54. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) というよりかは、まだ議論もしていないということでございまして、我々、どこに要望があるのかということも含めて把握をいたしておりません。  いずれにいたしましても、仮に看護補助者が入る、入るということを検討していないわけでありますが、あと介護の従事者の方にいたしましても、仮に日本の中で働かれるということになれば、当然のごとく、一つ日本人と同じ待遇でなければならぬということ、それからそれによって日本人の給与が下がるということがあってはならない。今、アベノミクスでどちらかというと介護人材も含めて給料は上がり基調であります。そういうものの腰を折ってはならないということ。それからさらには、それによって日本人が駆逐されるなんということがあっては絶対にならないということ。こういう観点は、我々としてはしっかりと認識をしていなければならないというふうに考えております。
  55. 西村まさみ

    西村まさみ君 まさにそこをお願いしたいところであって、厚生労働省としては検討していないし、検討することもないとおっしゃったので大変安心しているんですが、介護や看護の現場というものは、先ほども申し上げました、単純労働ではないんです。生きている人間を、それをコミュニケーションを取りながら、その人その人に合ったケアやキュアをしているわけです。そこへやはり、もうないことを想定してお話ししてもあれですが、言葉がなかなか通じない、コミュニケーションが取れない方が来て介護や看護の現場に入ってくるということは、これはやはりその現場にはなじまないと思いますし、何よりも、大臣おっしゃいましたように、介護職、介護福祉職そして看護職の皆さんの処遇を改善して、今の日本人の若い人たちがその職に就きたいと思うような環境整備をしていくことが何よりも大事だと思っています。  依然として人材確保難は続いているし、私は毎回、寿退社という残念な退社の仕方を男性介護職員が持っているといったお話もさせていただいていますし、何よりも今必要なことは、介護福祉士なり介護職に就いている皆さんの職の安定と安全な職場をつくり上げること、これが大事だと思うんですが、その環境づくりに対しましては、大臣、どうお考えでしょうか。
  56. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 重ねて申し上げますが、看護補助に関してはそもそも技能実習というものの前提にそぐわないというか合っていない、今の中においてですよ、公的な技能評価をする制度はありません、資格もありませんから。そういう意味では、そぐわないということで、これは我々は検討は一切していないと。介護に関しては、いろんな御議論があるのは事実であります。ただし、それは永住され、永住といいますか、そのまま仕事を持っていただいて、介護福祉士になられて日本でずっと働き続けられるというふうなことは、これは技能実習制度の中においては制度が違うわけでございますので、そのようなことに関しては我々は一切検討いたしていないということであります。  あわせて、今おっしゃられたことによれば、それはまさに介護で働く方々、また看護職の方々含めてしっかりと処遇が改善されて、若い方々介護職の中でしっかり頑張っていける、そんな希望が持てるような処遇でありますとか、これは、処遇はただ単に今の時点の給料だけじゃありません、キャリアアップができるようなキャリアパス制度をつくっていかなきゃならないでありますとか、そもそも勤務の環境自体も余りよろしくないというような今いろんな声があるわけでありまして、そのようなイメージアップも含めながら、一方で実際問題の環境改善というものもこれも進めながら、まさに若い方々が誇りを持って働けるような、そんな職種にしていかなければならないと、このように考えております。
  57. 西村まさみ

    西村まさみ君 まさにそのとおりであります。ですから、私は前回のときも、いわゆる国家資格等も含めました一本化の話をなぜ一年先延ばしにするのかと、今までさんざん先延ばしにしてきたんだから来年度から実施するべきだということもお話をしました。是非ともそこの取組も含めてお願いしたいと思いますが。  現状、教育の現場では、例えば理学部や法学部、看護学部とか、僅か二、三十人の中でも、福祉介護系に進みたいと、その道に行って福祉分野に進みたいという人の数はうんと少ないんですね、残念ながら。教育の現場、高校の例えば三年生の担任の先生であるとか、様々な専門学校の先生方にしても、なかなか若い人が進みにくいというのがある。  それはなぜかというと、やはり大変厳しい、厳しいとしか聞いていないし、長く勤められない、すぐ辞めなければならない、辞めざるを得ないという状況があるということ、これはやはり改善していかなければならないでしょうし、例えばで申し上げると、臨床心理士を目指す若者は非常に増えていました。しかし、臨床心理士は国家資格ではありません、これだけ社会で必要だと言われている職種でありながらも。そうすると、せっかく四年間の大学を経て臨床心理に関係する勉強をしたとしても、卒業したときに一般の企業に勤めたり、また全然違うアパレル業界に勤めたりと、そういった人材も、たくさん若者がいるわけです。  ですから、教育というものは、何度も言いますが、非常に重要なことであって、やはり介護の分野、これから絶対必要になるんだと。そのためには、こういう労働環境を整えて、こういうきちっとした資格を担保させてあげて、そして働きやすい環境づくりというものを、これは国を挙げて私たち大人がやる、社会仕組みをつくり上げるのは私たちの役目だと思っていますので、引き続きお願いをいたしまして、もっと今日は介護のケアラーとかいろいろなことをお尋ねしたかったんですが、済みません、時間となりましたので、これで終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  58. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  私の方から、この医療介護総合確保の法案につきまして、この法律でございますけれども、前回の厚生労働委員会の場で少し申し上げさせていただきました。平成十九年の医療制度改革からちょうど五年たった二十四年のときに消費税の法案などをやりまして、そこで社会保障と税の一体改革の端緒が切られたわけでございますけれども、平成十九年の医療制度改革からちょうど五年たった医療制度改革の見直しのとき、そこでなされた様々な改革、その改革が今度、平成三十年の新しい改革、例えば医療計画ですと、今、第六次計画が走っているわけですけれども、それが第七次に引き継がれると。そのときに、今回の法律で新しく措置されました総合確保方針あるいは地域医療構想といったような仕組みと連携をして、何とか、人口減あるいは超高齢化を迎える日本社会の中で日本社会保障の地域の立て直しをやっていくと、そういう大きな制度の趣旨があるというふうに理解をさせていただいております。  私の方からは、今申し上げました、平成二十四年度になされた改革が平成三十年にうまく引き継がれなければいけないんですけれども、その平成二十四年度になされて二十五年度から実行されている、その基盤となる様々な改革の実施状況などを中心質問をさせていただきます。  まず、今申し上げました医療計画についてでございますけれども、第六次医療計画、抜本的なPDCAの強化が図られました。ある疾患についての課題を掲げた場合に、その疾患の課題解決のためには様々な政策が必要なわけでございますけれども、その個々の政策の実施状況、あるいはその個々の政策が総合的にどういう効果を上げているのかというようなところまでつっついて、ストラクチャー、あるいはそのプロセス、アウトカムといったような指標を何とかうまく評価をして地域医療を前に進めていくというような取組がなされました。  また、医療計画を作るプレーヤーとしても、私なりの考えでございますけれども、私、脳卒中の患者の遺族でございますけれども、ただ一方で、私自身、かつて、卒業はしませんでしたけれども医学部に在籍をしていたことがございます。やはり地域医療というのは、医師を始めとする医療従事者を中心に、しかし、医療の受け手である患者やあるいは住民、あるいは重要な医療に関わる法律上の責任者である、医療計画でしたら都道府県の職員、あるいは、やはり医療制度の中で重要な位置付けを求められております医療保険者、そうした様々な関係者が豊かな協働関係をつくっていく中において、様々な医療の現場の問題が解決、初めてされるし、かつ前に進んで行くと、そのようなものであるというふうに理解しております。  つまり、第六次医療計画の改革というのは、PDCAの強化と、それを実行していくための、言わば医療の民主主義といいますか、そうしたところの改革でもあったわけでございますけれども、厚労省として、今、第六次医療計画のPDCAの実行状況とその課題についてどのような認識でいらっしゃいますでしょうか。
  59. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答え申し上げます。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  平成二十五年度からの第六次医療計画におきまして、医療機能の分化、連携を推進するために、また医療計画の実効性を高めるために、疾病、事業ごとのPDCAサイクルを効果的に機能させていくことを都道府県に対して求めているところでございます。また、毎年、都道府県が行った目標項目の数値の年次推移や施策の進捗状況の評価などにつきまして厚生労働大臣に報告することとなっております。  私ども厚生労働省におきましても、この医療計画に係るPDCAサイクルを効果的に機能させるため、平成二十五年七月からPDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会を設置いたしまして、都道府県が医療計画を自ら評価し、必要な見直しを行う方策、また必要な支援について検討しまして、平成二十六年の三月に報告書を取りまとめていただいております。この成果につきましては、PDCAサイクルを効果的に実施していただくために都道府県にも提供したところでございます。  また、各都道府県が医療計画を策定し、さらに進捗管理を行う手助けとして、既存統計等から必要なデータを収載した医療計画作成支援データブックというものを作成いたしまして、都道府県に提供して、このデータブックの利用方法等について三月に研修を行ったところでございます。  いずれにしましても、このPDCAサイクルがうまく回るように支援をしていきたいと思いますが、二十五年度の実績についてはこれから出てくるということで、その報告内容も分析しつつ、将来の課題を整理した上できめ細かな支援を検討していきたいと考えております。
  60. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  今局長が御答弁をいただきました、その厚労省で置かれましたPDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会、その研究会に出された各都道府県の今の医療計画の策定状況、配付資料に配らせていただいている一枚目の紙でございます。ちょっとこれを御覧いただきたいんですけれども、左の図はがんでございます、少し上の方に小さな字で書いていますが、その都道府県の中でがんで亡くなられた方の人口を、人数を記載している件数が三十七件、右が脳卒中でございまして、三十三件でございます。次のページめくっていただきますと、急性心筋梗塞は三十四、一番上の箱ですけれども、右は糖尿病でございますけれども、上から四つ目でございます、十四の都道府県だけが記載をしているということでございます。  これ、東京大学のある学者の方が調べられた、これ厚労省が発表しました、あ、政府ですね、平成二十二年人口動態統計の調査を基に、大きな疾患についての各都道府県の十万人人口当たりの男女の死亡率、どれぐらい格差があるかという分析がございます。ちょっと御紹介させていただきますけれども、例えば、がん、一番たくさんの方が亡くなられている県と一番数が少ない県、男性は一・四五倍の格差がございます。女性は一・三二倍。心筋梗塞は、男性が一・八七倍、二倍に近い、女性は一・六〇倍でございます。脳卒中でございますけれども、男性が一・八二倍、これも二倍に近い、女性も一・八〇倍でございます。また、脳梗塞は男性が二・〇二倍、女性が一・九一倍、糖尿病は男性が二・五七倍、女性が二・三六倍でございます。  つまり、同じ日本国民なんですけれども、各都道府県において、こうした重要な疾患で十万人当たりの死亡の人数が二倍以上の差がある。もちろん、疾患ですので、脳卒中など、そういう寒い地域、あるいは塩分の多い食生活の地域というようなことも言われておりますけれども、一定地域差はあるのは分かる、あり得るものだと思うんですけれども、しかし二倍以上の格差というのが果たしてあるものかどうかというのがまず一点でございます。  そうしたときに、やはり各都道府県でこの重要な、その医療計画の中で特別の計画を作ることになっているいわゆる五疾病というものについて、こういう一番基本的な数字を記載していない県がまだあられると、こういうので本当に二十五年から始めたPDCAサイクルが平成三十年に向けて大丈夫なのかということでございます。  このPDCAサイクル、私も強力なものになるようにするのに、前任の立派な局長様と意見交換をさせていただいて、本当に優れたPDCAサイクル、言葉の上ではなっていると思いますので、是非厚労省、今局長がおっしゃられていた、医療法上、各都道府県の医療計画を報告していただく、この地域主権にあって、各自治体に報告義務を課しているというのは特別の法律の根拠が必要なわけでございます。それは、厚労省において、全国の格差などをちゃんと分析し、あるべき都道府県に、一般的な意味ですけれども助言や指導を行う、あるいは広く日本国民の命や健康を守っていくという、そういう使命の法律の根拠ですので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  では、ちょっと質問を重ねさせていただきますけれども、今申し上げましたように、しっかりした仕組みはできたんですけれども、それを実現していくにはまだまだ課題があるということだと思います。これを平成二十九年度までやって三十年から新しい計画になるんですけれども、一応その新しいルールの中で一年ごとに各都道府県がPDCAサイクル見直して、検討していくことになっていますけれども、医療計画をですね、私なりの理解なんですけれども、やっぱりこれ、五年間の医療計画であると、毎年見直すだけではなくて、真ん中の年で中間評価というものが必要ではないかというふうに考えているところでございます。  ちょっと先に健康局長に御紹介いただきたいんですけれども、がん対策基本計画の中で中間評価の仕組みがあると思うんですけれども、ちょっと御紹介していただけますでしょうか。
  61. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) お答えをいたします。  平成二十四年の六月に閣議決定をされましたがん対策推進基本計画の中では、国は基本計画に基づきますがん対策推進状況について三年を目途として中間評価を行うということになっております。したがいまして、先に結論的なことを言いますと、二十七年六月に最初の評価をするということになります。  この中間評価に向けた取組としまして、どのように評価していくかということで、例えば平成二十五年中に厚生労働科学研究補助金などでも検討していただいて、どういう評価がいいのかということで検討も並行して進めておりました。本年四月にがん対策推進協議会に提出して御了解をいただいた内容で見ますと、がん対策全般に関する評価項目九十五項目、そしてちょっと毛色が違いますけど、緩和ケアに関するものが十五項目ということで、これらの項目で評価するのがよかろうということで今年の四月に御了解をいただいたところです。  したがいまして、今後、二十七年六月を目標にしてそういう指標に基づいて評価をし、御検討をいただくということになると思います。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
  62. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  平成二十四年度に新しく厚労省で出されたがん対策基本計画の体系ですね、都道府県計画を作るに当たってのガイドライン、課長通知なんですが、こういうことが書いてあるんですね。基本計画に基づくがん対策進捗状況について計画期間全体における政策循環、つまりPDCAです、五年間の計画期間全体における政策循環を確保するため三年を目途に中間評価を行う。今のその取組は、健康局長から御答弁をいただいたところでございます。  そこで、医政局長に伺いたいんですけれども、がん以外の脳卒中や心筋梗塞、五疾病、重要な疾患を担当されておりますけれども、第六次医療計画の中間評価、私はこれをやらないと駄目だと思います。その基本的な指標をまだ都道府県として策定していないようなところもある。かつ、策定すらしていないわけですから、分析もできていない。あるいは、採択していてもきちんとした分析、取組ができているかどうかというのはまた分からない。  そういう中間評価、二十七年度辺りにちょっと三十年度を見据えたそういうことをやってみると、あるいはやるに向けてのちょっと検討をしてみますと。いかがでしょうか。
  63. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 今回の法案で医療計画の策定サイクルを五年から六年、少し延ばすということにしたわけでございます。在宅医療などの介護関係する部分については、その間、介護保険事業支援計画との同時改定が可能となるように中間年の三年で見直すということにしております。  その上で、在宅医療だけではなく、在宅医療にも関わりますけれども、在宅医療と入院医療というのは不可分の部分がございます。そういう意味では、こういう在宅医療見直しに当たって、入院医療部分についても当然ながら見直す、点検をする必要があると考えております。  また、その上で、様々な指標、ここ出ているもの、決めていない都道府県がございます。県によっては、やはり死亡率で見ないで検診の受診率を見ているところとか、それぞれの視点が少しずつ違うような気がいたします。これを全て一律にやるのがいいのかどうか、医療計画は都道府県にお任せする部分がございますので、そういう視点でそれぞれの指標について点検をしながら、それを、進捗状況の管理をしていただきたいというふうに考えております。
  64. 小西洋之

    ○小西洋之君 今局長答弁されましたように、この新しい法律の中で、介護、在宅医療に関するところですね、それは三年の中間評価を入れると。医療計画全体を六年にすると同時に三年の中間評価を入れて、かつ、別の同じ条文の中で、在宅医療に関する医療計画の事項についてはやっぱり三年の中間評価をするということなんですけれども、やはり医療計画全体について一定の中間的な検討をやっぱりしていただく必要があるのではないかと私は思いますので、また、じゃ、ちょっとそこについては意見交換をさせていただきたいと思います。  では、ちょっと次の質問に移らせていただきます。  前回、武見先生がすばらしい御質問をなさって、私も本当に勉強させていただいたんですけれども、各都道府県が医療計画を作るに当たって、その政策人材をどのように育成確保していくか、私も様々この医療計画の政策に関わらせていただいている国会議員として、これがやはりボトルネックの大きな一つであるというふうに、ボトルネックって悪い意味ではなくて、前に進んでいかなきゃいけないんですけれども、いかなきゃいけないということだと思います。  つまり、私もかつて総務省の官僚でございましたけれども、総務省のIT分野で私働いていたんですけれども、例えば何か電気通信ですね、これ電話の世界から放送の世界に行くと、もうそれだけでやっぱり言葉が変わるんですね。特に、ITの場合は日々いろんな片仮名用語が生まれてきますから、着任したての頃はもう言葉が分からないと。自分より年次も若い係員とか係長とかが何かべらべらしゃべっているのを、課長補佐の私は言葉も分からないと。ぐっと我慢して、一週間、二週間もう必死に何か徹夜のような勉強を重ねてまず言葉を覚えて、そこから入っていくんですけれども。  そういう経験からすると、この医療の政策、これはやはり公共政策の分野でも相当難しい分野だと思います。一般の都道府県の職員の方ともお話を伺っていると、いや、自分は去年まで何か農業についての仕事をしていたのに今年から医療計画を作る部署に行って、しかも脳卒中計画を作ると、今年が一番大事な年だから頑張れと言われて途方に暮れていますとか、そういう話をよく聞くところでございます。  つまり、そうした、今まさに日本の様々な国政分野の中でももう最重要と言っていい分野であろうと思います、こういう医療介護、福祉という分野は。そうした分野をまさに担うのは、厚労省の官僚の皆さんと、医療については都道府県の職員の皆さんでございますので、そうした方々をどうやって戦略的に育成確保していくか。  まず、厚労省の取組について、どういう取組を考えている、やっていらっしゃいますでしょうか。
  65. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) まさしく都道府県でしっかりと仕事をしてもらうためには、人材、必要だと思っております。  その上で、私どもとしての取組ということでございますけれども、今年度は、医療計画のPDCAサイクルの事業に関する研修会、これを保健医療科学院で二回、計六日間になりますけれども、開催をさせていただく、そこに都道府県の職員の方に来ていただくことになろうかと思います。この研修会では、医療計画を策定するためのそういう実務者を対象と考えております。かなり内容的には密度の濃い形で、いろいろな、身に付けられる、知識だけじゃなくて実際にどうするかというグループワークとか、そういうことも考えていきたいというふうに計画をしております。  さらに、来年度以降ですけれども、地域医療構想、これをまた作っていくと。これまた医療計画そのもの、本体のPDCAサイクルを回すというだけの話だけではなくして、更にもうちょっと政策的な視野も必要になる。あるいは、特に地域医療構想、やはり病院の機能とかそういうことも出てきますので、その研修会についても来年度に向けて、私どもの地域医療構想の策定のためのガイドライン策定後に、保健医療科学院を考えておりますが、政策立案ができるような形の研修を実施していきたいと考えているところでございます。
  66. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  今、厚労省が御紹介いただいたような研修、私も実は平成二十四年度の段階から前の医政局長に、是非研修をしてくださいということで、実は研修をお願い、やっていただいたりもしていたんですけれども。そういう厚労省がやる研修のほかに、前回、武見先生から御紹介いただいておりました国立保健医療科学院ですとか、あるいは六本木の政策研究大学院での優れた研修プログラムなどがあるところでございます。あと、自治大学校でもそういうものがございますけれども。  ただ、先ほどの、私の配付資料の一番目、これ、その医療計画で検討するような指標のごく一部なんですけれども、こういうデータを取り、そのデータ意味を見出すような分析をし、かつ、そういう机上の上の作業だけではなくて、羽生田先生のような立派な地域医療を支えられる大先生とも、住民、患者のために御指導いただきながら共にこの共同作業をやっていくような医療政策の人材を育成するためには、やはり各都道府県にそういう様々な研究をすると同時に人材育成を同時に行っていくような仕組みが必要だと思うんですね。  それはひとえに、一言で言ってしまえば、都道府県の人事政策というものをもう少し戦略的に、もちろん各都道府県も重要な政策を様々抱えて、やっぱり人事ですから二年か三年に一度は替わっていくわけですけれども、厚労大臣に伺わせていただきたいと思うんですけれども、是非医療法を所管し、各都道府県に医療計画をお願いする立場の大臣として、もちろん地方自治ではありますけれども、是非、全国の知事に対して、医療は非常に本当に重要な分野であるので、是非そういう政策人材を、各都道府県の中で戦略的な人事政策を講じていただきたいと、そういう希望をおっしゃっていただくというようなお考えはありますでしょうか。
  67. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 先生おっしゃられますとおり、これから地域医療構想等々もお作りをいただかなきゃいけないと、様々医療計画も作っていただくわけでありまして、そういう意味では、やはり地方、都道府県は特にでありますけれども、政策能力の高いといいますか、そういう職員というものが必要になってくるわけであります。ましてや、医療ということになると、もう専門的な知識はある程度は必要になってくるわけであります。  今局長からも話がありましたとおり、厚生労働省ではそのような方々に対する研修等々、これは今言いました保健医療科学院というものも含めていろんなことが学べるような環境はつくっておるわけでありまして、そういうところに、もちろん言われるとおり、一義的には職員の配置でありますとか教育、育成というものは、これはもう都道府県の自治の話ではありますが、しかし、是非ともそういうところでお学びをいただきたい、こういうことを私の方からもお伝えをさせていただきたいというふうに思います。  何よりも、非常にこの保健医療分野という分野、幅広い視野でありますとか、また知識でありますとか経験、こういうものが必要な分野でありますし、何よりもこれから医療に対する知識の、知識といいますか説明といいますか、そういうものも必要でありますし、あわせて、ある程度知識を持つ中において調整する能力みたいなものが、特に地域医療構想等々を含めてこれからやっていかなきゃなりませんので、こういう能力も必要であるわけでありまして、そのためには継続してある程度学んでいただかなきゃならぬと。  これ、是非とも各自治体、都道府県、キャリアパス等々も配慮をいただきながら、是非ともそのような方向で育成をいただければ有り難いわけでございまして、私の方からも各都道府県知事さんにお願いをさせていただいてまいりたいと、このように考えております。
  68. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  まさに、大臣日本国の医療政策の最高経営者でございますけれども、都道府県知事は各県の医療政策の最高経営者でございますので、やはり知事が経営という視点を持って、かつその政策を担う人材をどうやって戦略的に育成確保していくかという、そういうマインド、そういう根本的な考え方をまず持っていただくところからだと思いますので、しっかり大臣の方からもお願いをいたします。  どうすれば各地域に、そのデータを集め、意味を見出すような分析をし、あと、また大臣が今おっしゃられておりましたようなそういう大切な難しい調整などをやっていく、一種のプロジェクトマネジャーのような方だと思うんですけれども、それはやはり法律制度上は県の職員が中心になる、あるいは医師会の方でもいろいろそれは構わないと思うんですけれども、つくっていかなきゃいけない。  いろいろ考えたときに、そういう基盤を本当に都道府県でできるのだろうかということを思って、実は私、これ政権にいた時代なんですけれども、各都道府県に医学部がございますので、医学部の中に、単なる人の体を診る診療科だけではなくて、講座だけではなくて、医療政策、一言で言うとその地域医療計画について分析をし、例えばそこに都道府県の職員と併任を掛けると一種の人材育成もできるわけでございます。あるいは、市民に開放したり、あるいは医学部の学生もその講座で学ぶことによって医療を人を診るものと同時に一つの公共政策として考えるような機会もできると。  実は、文科省にも御相談をして、ちょっとそこを打ちかけ始めたところで政権交代になってしまって心残りのところではあるんですけれども、私の地元の千葉県で、千葉大の医学部なんですけれども、高齢社会医療政策研究部といいまして、在宅医療や認知症の研究などを、これ時限的なもので今はもう研究報告書を出して終わられてはいるんですけれども、そういう取組をやられたようなこともございました。  是非大臣、あと局長もそうしたことを、これは私、いろいろカードが必要だと思います。それぐらいやらないと、各地域で政策人材を確保していく、まさに医師会を始めとする医療従事者と豊かな連携をしながらの政策人材というのは育成確保できないと思いますので、是非積極的に検討お願いを、いつでも文科省も私の方はお手伝いをさせていただきますので、お願いをいたします。  では、次の質問に移らせていただきます。  この医療計画を作る方々ですけれども、医療従事者の方を中心に、この第六次医療計画の中で、従前に増してより一層、医療を受ける当事者である患者あるいは市民というものが位置付けられているところでございます。今回の法律でも、医療を受ける立場の者というような言葉だったと思いますけど、ありますけど、そういうふうに理解しておりますけれども、そうした住民あるいはまさに患者ですけれども、そういう人たち医療計画の策定評価の参画状況というのはどうでしょうか。
  69. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 医療計画の策定に関しては、都道府県医療審議会でいろいろと議論していただきます。その中で、医療法の施行令では「医師歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者及び学識経験のある者のうちから、都道府県知事が任命する。」と、こういう形になっております。  その中で、取りあえず、審議会の本体ですね、本審議会委員について調べさせていただきましたが、少なくとも四十六の都道府県ではその参画を、いわゆる一般市民の方々が参画していただいております。残り一県なんですが、ちょっと確認はできませんでしたけれども、計画を策定やあるいは評価する際には、その本体の審議会ではなくて、例えばワーキンググループとか検討部会とか、いろいろな形でやっておられますので、その部分についてちょっと詳細まで把握しておりませんけれども、先ほどの一県につきましても意見募集などを行って住民の意見反映をしているというふうには聞いております。
  70. 小西洋之

    ○小西洋之君 分かりました。  今、局長答弁いただいたように、医療計画で様々な、五疾病五事業全体を最後、審議、評価する医療審議会ですね、そこには四十七のうち四十六いらっしゃると。ただ、その下で、実際の個々の疾患のをつくる作業部会と言われるものですけど、そこへの参画状況は分からないと。がん対策基本法、つまり特別法がありまして、がんについては各都道府県、がん対策基本法の計画を医療計画の方に準用している例が多いというふうに考えておりますけれども、がんの、都道府県でつくる、その協議会ですね、そこでの患者あるいは市民の参画状況はいかがでしょうか、健康局長
  71. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) 今お話がありましたように、都道府県がん対策推進計画の見直しに係る指針というものを平成二十四年の九月に出しております。それに先立ちまして、がんの患者さんなどが委員としてどういうふうに参画されているかということについては調査を実施しております。そのときの回答によりますと、四十六の自治体におきまして少なくとも一人の患者委員が参画するということでございまして、中には患者委員が三人入っている、四人入っている、五人入っているというところもありまして、全体の状況ということではそういうことであります。
  72. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  つまり、五疾病五事業のうち、がんは特別法があって、今局長が御紹介いただいたように、特別の通知がありまして、がん患者さんの関係者は必ず入ってくださいと、国の法律の国の協議会でもそうなっていますので、なってくださいというような通知があって、だから本当は四十六ではなくて四十七でなければいけないんですけれども、ただ、四十六いると。  それじゃ、脳卒中やほかの疾患、糖尿病などのそういう疾患はどうなのかというのがデータがないということでございます。先ほど申し上げましたように、医療法上の報告権限をお持ちで報告いただいているはずだと思いますので、局長、しっかりそういうことも集めていただいて、何とか、本当に非常に疾病構造の大きな転換がある、困難がある中で日本医療を前に進めていただきたいと思います。  大切なことですけれども、そうした、私も脳卒中の遺族の一人でございますので、当事者がそういう議論の場に入るということはとても大事なことだと思うんですけれども、そこで何かむき出しの思いをぶつけるだけではやはり駄目で、やはりその当事者が参画するというのは、当事者でなければ持てない視点、あるいは当事者でなければ訴えることのできない切実なそういう声を公共政策の担い手として発揮していただくことが必要だと思います。  そういう意味において、ただ単に患者さんがそういう議論の場に参加するだけでは、普通の市民の方でいらっしゃいますから、やはりその患者さんがそういう公共政策の担い手として医療従事者を始めとする方々と豊かな協働関係をつくっていかなきゃいけないんですけれども。そういう患者さんが委員として参画するためのその支援を、医療計画のガイドラインではちゃんとそうした支援を行うことというふうに書いてあり、先ほど御紹介申し上げましたがんの通知でも、特にがん患者等の参加に当たっては十分な情報提供と解説などの支援を講じる必要があるというふうに書いているわけでございますけれども、医政局長医療計画の方ではそういう支援、どういうことを都道府県がやられているか、把握されていますでしょうか。
  73. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) この地域医療構想を策定するに当たって私どもでガイドラインを作っていきますけれども、その中で、どのような形で患者や市民の方々の御意見を吸収していくか、あるいは構想の策定に参画していただくか、具体的なところはこれから検討はいたしますけれども、様々な方法があろうかと思います。委員になっていただくのも一つでございましょう。ただ、その委員になっていただくにしましても、実はかなり専門的な内容になるということで、資料を十分に事前に御説明をするとか、そういうことは実は国の検討会でもいろいろございます。  そういう意味では、そういうきめ細やかな、その委員になる、ならないにかかわらず、患者や住民の方々がこの地域医療構想とは何かとか、ここで言っている機能報告制度の報告内容が何かとか、そういうようなことが十分に分かるような、そういうような形でのデータの公表等々考えていきたいというふうに思います。
  74. 小西洋之

    ○小西洋之君 地域医療構想の方も答弁いただきましたけれども、医療計画の一部でございますので。やはり、その当事者の参画を確保していく。がんの政策分野はそれで本当に前進をして日本医療を引っ張るような先進分野に、まだいろいろ課題はございますけれども、なっておりますので、まず現状を把握していただいて、かつ専門性が高いから難しいというわけではなくて、やはり専門性が幾ら高かろうが当事者でなければ持てない問題意識ということはあるわけでございますので、しっかりとした支援をしていただきたいと思います。  それで、さっき申し上げた各地域の大学にそういう講座をつくったらいいんじゃないかというのは、それと、やはり市民講座的にも開放して、そういう当事者の人たち、あるいは市民の皆さんも、医療って一体何なんだろうと、あと医療政策というのは一体何なんだろうと、そういう仕組みにもできるんじゃないのかというのが私の考えていた構想でございました。文科省の官僚も何か感動していましたので、是非、厚労省頑張ってください。  では、次の、もう一つのプレーヤーの方でございますが、保険者についても伺わせていただきます。  この新しい法律で、医療保険者地域医療構想あるいはその医療計画の策定、評価プロセスに法律の上でも明示されるようになっておりますけれども、こうした医療保険者のその役割、位置付けについて、どのように厚労省として認識されておりますでしょうか。
  75. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  保険者機能役割でございますけれども、そもそもの基本的な加入者の方々の資格管理、あるいは保険料を設定をし、きちっと徴収をして給付を行う、審査してから行うという運営の問題もありますけれども、一方で、やはり加入者の方々、その健康の状況、疾病の状況をちゃんと把握をし、その医療費の分析を行った上で、更に健康になっていただく、病気を防ぐというような医療費適正化を進めていく、保健事業を進めていって健康づくりを更に進めていく、そういうその調査分析を踏まえて、更に地域での医療の質あるいは効率性向上のためにもいろいろ提言をしていく。そういう役割も期待されるということは、我々の方でもいろいろ検討した中でも指摘をされておるところでございます。  これを保険集団の中だけということではなくて、市町村の国保等もございますので、地域の単位で、協会けんぽの事務もございますので、地域の単位で保険者が連携をして発揮していくことが必要じゃないかということで、今も都道府県単位での保険者協議会、これは特定健診等を進めるというような観点から、事実上の設置は進んでおりますけれども、そういう地域医療の供給の体制についてもしっかり提言もしていこうということで役割を果たしていただきたい、そういうことを今回の医療法改正に基づきます位置付けを明確にして、しっかりと県と一体になって役割を果たしていく、そういうふうに思っているところでございます。
  76. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  じゃ、ちょっと先進分野のがん対策基本法の、がん、都道府県のものですけれども、医療保険者のそういうプロセスの参画の状況はどのようになっていますでしょうか。
  77. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) 先ほど都道府県のがん対策推進計画の中でのがん患者の参画の状況を御質問になりましたけれども、今度は保険者ですけれども。  やはり、先ほどこれも御紹介をいたしました見直しに係るこの指針の中で、参画する方について羅列がしてあります。
  78. 小西洋之

    ○小西洋之君 結論だけ、結論だけで。数字だけ。
  79. 佐藤敏信

    政府参考人佐藤敏信君) はい。  医療保険者ということもその参加者となっておりまして、今私どもが把握しておりますところでは、少なくとも十の自治体におきまして都道府県のがん対策推進協議会等に参画していただいていると承知しております。
  80. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  この医療保険者役割ですけれども、やはり医療従事者を中心とする皆さんと豊かな協働関係の下に地域医療づくりに頑張っていただくということだというふうに理解しております。  また、我々保険料を払っている立場からすると、払った保険料を、ちゃんと保険料を払っているのに、いざ病気になったときにちゃんとした医療を受けられないというのでは、これは一種の保険詐欺でございますので、やはりそういう被保険者の代理人として行政や医療従事者の皆さんとしっかり必要な調整議論をしていただく、そういう位置付けとして頑張っていただきたいと思います。  ちょっと時間が押してまいりましたので私が御紹介させていただきますけれども、平成二十四年の高齢者医療確保の法の大臣告示にこういうことが書かれているんですけれども、医療計画において、医療関係団体等に加え保険者が、五疾病五事業及び在宅医療それぞれについて、医療計画を作成、評価する構成員として新たに例示されているところ、これらの関係者において、医療計画における良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保について各種データの分析等を踏まえた協議等を行っていくことが医療保険者中心に期待されるというようなことが書かれているというふうに思います。まさに今回の制度改正の全体に流れる考え方だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  ちょっと同じこの高確法の大臣告示に入っています、ジェネリック医薬品推進が改革として入ったんですけれども、ちょっと結論だけで結構なんですけど、今我が国のジェネリックの使用量がどれぐらいの数値で、それを欧米の先進国、ドイツなどにすると、国民負担医療費、国民負担としてどれぐらいの削減がなされるということになりますでしょうか。
  81. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) この医療費適正化計画の中で第二期の方の計画につきまして、後発医薬品、ジェネリック医薬品でございますけれども、その使用促進の環境整備を図っていこうということで、その地域医療費の、都道府県が策定します計画の中でも、後発品の理解を広めてその使用促進を図っていこう、それを保険者の方でもしっかりまた加入者にも周知をしていこうということでございます。  国全体では、去年の春までの五年間で、ちょっと分母が変わりましたけれども、三〇%の目標値で進めてまいりまして、ほぼそれに近いところまで来たんですが、諸外国、その分母を変えて考えますと、フランス等で後発品があるものだけの比較でそれがどこまで置き換わっているかと見ますと、六〇%置き換わっているんだけど、日本はたしか、ちょっと済みません、ちょっと手元にデータを持っておりませんが、まだ四〇%、五〇%近いところまでしか行っていないということでございました。  これを何とか次の五年間で六〇%、あるいはそれ以上に引き上げていこうということで、後発品使用促進ロードマップを作って国でも取組を進めております。それに基づきまして、地域の方でも後発品についての信頼性、きちっと担保されているんだと理解を進めるということ、そういう啓発も必要でございますので、そこをしっかり進めながら取り組んでいきたい。それ自体の医療費削減効果というところまでは今まだ達しておるところではございません。
  82. 小西洋之

    ○小西洋之君 実は、この平成二十四年の改革で、ジェネリック医薬品使用促進について、今までは厚労省がロードマップという関係者の連携の仕組みの体系があるだけだったんですけれども、実は各都道府県計画ですね、医療費適正化計画の都道府県計画の三つ目の柱でジェネリックが位置付けられて、しかもそこに初めてPDCAサイクルが入ったと。  これ、実は、私がある学会のプレゼンの準備をしている夜中の一時ぐらいに、医療費適正化計画にジェネリックを入れることができると気付いて、前任の立派な局長の方と御議論させていただきながらやっぱり入れていただいた。つまり、ジェネリックを単なる頑張ろうスローガンじゃなくて国策にしたというすさまじい政策のはずなんですけれども、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  厚労省から事前にいただいた資料ですと、仮に我が国のジェネリックの使用量をヨーロッパの先進国並みにした場合は一・九兆円、一・九兆円の国民負担の削減があると。もちろん、医師の方を始めとする方々の御理解の下ではございますけれども、これはやっぱり前に強力に進めないと、しかもそれを実現する仕組みをつくらせていただいているわけでございますので、もう一・九兆円あったらどれだけこの社会保障分野により豊かな政策が実現できるか。しっかりこれ、局長、もうジェネリック局長として奮闘していただきたいというふうに思うところでございます。  ちょっと時間が押してまいりましたので、かつ都道府県がどういうジェネリックの推進を取り組むかということで、ガイドラインも作っていただくことに通知ではなっているんですけれども、大臣告示は。まだ作られていない、ロードマップができてそれを受けてということですので、しっかり立派なものを作って前に進めていっていただきたいと思います。  もう一つ、同じくPDCAで伺わせていただきたいんですけど、歯科口腔について伺わせていただきたいと思います。  お手元に資料を配らせていただいた一番最後のページでございますけれども、歯科口腔保健法、西村先生を始め与野党の先生方、あと何より石井委員長始め皆様のお力で実現させていただいたものでございますけれども、私も脳卒中の遺族でございまして、父親は倒れて右半身麻痺だったんですけれども、右利きでしたので自分で歯が磨けなくなったんですね。そうすると、父親が倒れたのはもうかれこれ三十年以上前ですから、まだ介護保険もできる前ですので、残念ながら日本医療あるいはそういう介護の分野での環境は余り良くなかったと。そうすると、まず歯が駄目になってしまっていろいろな、最後はまさに誤嚥性肺炎で亡くなりましたけれども、そうしたこともございました。  そうしたもので、実は私も歯科政策少しお手伝いをさせていただいたんですけれども、この歯科口腔保健法基本的事項の中に、国とあと都道府県、それぞれPDCAサイクルが入っていて、これは私も歯科の先生方、また歯科医師会の皆様とも御相談しながら、御了承の下、入れていただいたものなんですけれども、その都道府県のPDCAサイクルの今の実施状況について、簡潔で結構ですので、どういう指標をつくっているか、もう簡潔で結構ですので、答弁お願いいたします。
  83. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 済みません、都道府県のデータをちょっと探していたものですから。  PDCAサイクルでやる、しっかりと書いていただきました。合計、あるところが二十五の都道府県、二十五の都道府県でPDCAサイクルのことが記載されているということです。
  84. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  つまり、今、皆様お手元に御覧いただいているこれは国の基本的事項で、まさにこの歯科で頑張ろうという分野でございますけれども、例えば一番右の要介護高齢者における歯科検診の実施率、これは国全体として一九・二から計画期間の間に五〇%まで行こうと。こういう数値を各都道府県の基本的事項の中に盛り込むことができるんですけれども、かつ、盛り込んで各地域歯科の先生方が大いに連携していただいて、もうみんないいことばかりでございます、国民、患者は救われるし、歯科の先生方は御活躍をいただけると。  こういうすばらしい仕組みが入っているのに、なぜまだそんな二十幾つというような実施状況であり、是非、厚労省、しっかり、先ほど西村先生の質問で全体会議が置かれたということでございますので、早速その全体会議のテーマとして、国のこのPDCAの実施状況と、あと各都道府県のそういう策定状況をしっかりデータを出して、御議論をいただいて、もう歯科というのは重要な健康のまさに基盤だと、口腔は基盤だと思いますので、その取組は前に進めていただきたいというふうに思います。  ちょっと、一応御紹介させていただきますと、都道府県の取組ですけれども、今申し上げましたように、例えば、要介護高齢者の検診ですと、そうした設定した目標については、継続的に数値の推移等の調査及び分析を行うとともに、計画及び諸活動の成果を適切に評価し、設定された目標の達成に向けて必要な施策を行うように努めるというふうにされているところでございます。  あと、歯科口腔保健基本的事項は十年で、それだったら足りないというので、中間評価を入れていただいておりますけれども、さらに中間の中間ですね、中間の中間、さっきと同じです、五年の半分、同じです、そうしたことも是非取り組んでいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。  では、次の質問に移らせていただきます。医師不足問題に移らせていただきたいと思いますけれども、ちょっとこれ時間が難しくなってきましたので、先に国民の責務の方に移らせていただきたいと思います。  今回の法律で、医療を受ける立場である国民に向けての医療についての考え方、あるいは接し方についての条文が置かれているところでございます。つまり、かみ砕いて申し上げますと、医療というのは限られた資源を有機的な連携、協働の下に実現しているものであって、それは急性期から在宅までいろんな医療の分野があって、そういうもう限られた資源を限られた使い方をしているものであると。なので、医療を受ける立場の国民も、そうしたものを理解して、何でもかんでもどこの病院でも行っていいものでもないし、そうしたものをみんなで国民負担の下に維持していくんだと、そういうふうな趣旨だと私は理解しておりますけれども、考え方はまさにそのとおりだと思いますし、こういう条文を置かれることは大賛成なんですけれども、じゃ果たして、医療とはそういうものだというものを、どのようにして厚労省として国民に対して理解を求めていくか。  元々、厚労省の取組もありますし、厚労省が都道府県にお願いする、あるいは医師会を始めいろんなところにお願いする、一緒にやる取組もあろうかと思いますが、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  85. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 以前、東議員からも御質問をいただいた件であります。  もちろん、これ、おっしゃられますとおり、今回、責務という形で入れさせていただきました。これは、まさに医療機能が分化、連携するわけでありまして、医療提供体制を見直していくわけでありますから、その狙いはといえば、まさに必要な方々、その必要量をしっかりと各地域地域で御把握をいただきながら、そういう提供体制を整備していただくということであります。ということは、逆にそのとおりお使いをいただかなければ意味がないわけでありまして、まさに国民皆様方が自分が必要である医療というものをしっかり必要なところで受けていただくということが重要であるわけであります。  具体的には、まずはかかりつけ医制度というもの、これが大変重要でありまして、これをしっかり整備していくということが我々必要であろうと思いますが、それをお分かりをいただくということでは、国民皆様方に、例えば好事例といいますか、例でありますとかそれから資料でありますとか、そういうものをしっかりと分かりやすい形で収集して作成してそれを提供をさせていただくということ、それから、あとホームページ等々、まあこれを言うと、また厚生労働省のホームページをどれだけ見ているんだというふうに言われますが、しかし、やることは必要でございますので、そういう形でやること、シンポジウム、セミナーというものを細かく各地域でやっていくということも重要であろうと思いますが、先般も申し上げましたけれども、医療機関等にポスター等々、これ分かりやすいポスター、全て細かい項目を書いたってそんなことは見ていただけないので、大きくこのような形で制度が変わりますというようなお話をそこに書かせていただいて、その中でちゃんと必要なところに行ってくださいみたいな、そういうものが分かりやすいポスターを作って、とにかくまずは興味を持っていただかないと、その後、次の一歩に、国民皆様方も、ああそうなのということで興味を示していただけないので、医療機関にそういうポスターを貼らせていただいて、大きく変わるんですよということを御理解をいただくということをさせていただきたいと、このように考えております。
  86. 小西洋之

    ○小西洋之君 大臣一つ御提案をさせていただきたいんですが、内閣府の予算政府広報という政策がありますので、是非、これ十分政府広報に値するような事柄だと思いますので、二〇二五年に向けて是非そうしたことも御検討いただければというふうに思います。  では、次、ちょっと在宅医療介護の方に、ちょっと時間が押してまいりましたので二つ一遍にお願いさせていただきたいと思うんですけれども。  お手元の資料で、下から三枚目に、前回、石井委員長を先頭にみんなで参りました視察ですね、柏市の資料を入れさせていただいているところでございます。柏市の医師会の副会長であられる方の長瀬先生の資料をそのまま使わせていただいておりますけれども、まさに地域で在宅医療の連携をつくっていくために、柏市の例では、複数の、幾つかの、三つのワーキング、あと十病院、大きな病院の、機関等の病院の会議体、あるいは当時、長瀬先生が一番強調されていましたのは、顔の見える関係会議と、つまりお医者様から様々な医療従事者の方々、下に書かれていますけれども、ケアマネの方あるいは管理栄養士の方、理学療法士の方始め、作業療法士の方も、そういう皆さんが同じ立場でみんなでその地域医療構築について御議論をし合うと。  実は、私も経験があるんですけれども、自分もかつて医学部にいたときに父親の病院に行って、父親が診察を受けているわけですね。すると、そこの診察をしている医師は私の大学の先輩なんですけれども、私がそこの学生というふうに知らないわけですよね。そうすると、医学部の学生であってもお医者さんにはなかなか口の利きにくいみたいな、最近はそういう環境も、雰囲気も変わってきているのかもしれませんけど、また個人差もあるでしょうけど、そういうこともございました。まさに医師、お医者さんというのは、その地域医療の担い手の一番のリーダーであられるんだと思うんですけれども、そういう方とそういう豊かな連携関係をつくっていくのは、まさに顔の見える取組というのが本当に必要だと思います。  また、先日の参考人の中で、介護でございますけれども、地域ケア会議の持ち方で、やはりそこでも様々な関係者が集まって、どういうケアが必要かというのをもう個別具体に徹底的に議論をしていくというような取組が必要だというふうなことを学ばせていただきました。  厚労省として、例えば先ほど申し上げた柏のような在宅医療取組につきまして、次のページでございますけれども、在宅医療介護連携推進事業というのを今までやっていて、これが今度新しい法律介護保険制度の方に引き継がれる。医政局長から老健局長に引き継がれるわけでございますけれども、そうしたときに、まだ現状三百ぐらい、全国の数で三百ぐらい厚労省のモデル事業としては取組が続くわけでございますけど、これを平成二十九年までに全市町村までやっていくと。しかも、ただ単に数だけでは駄目で、実効化させないといけないと。そうすると、やっぱりその成功の秘訣、かつ、そのために厚労省が頑張ることというものをしっかり取り組んでいかなければいけないと思うんですけれども、そうした全国の在宅医療をつくっていくための関係者の連携の枠組みをどうやってつくっていくか、そのことについて、ちょっとポイントだけ簡潔に答弁お願いできますでしょうか。
  87. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) お答え申し上げます。  まさに、在宅医療介護連携というのは多職種が協働してやっていかないとうまくいかないということで、議員の方からございました柏市も、医政局の方でこれまでやってまいりましたモデル事業を使いながら、大変いい事例として取り組んでいただいているものと承知しています。また、千葉県で私承知しているところでは、松戸市なんかも非常に熱心にやっていただいているということでございます。  したがいまして、こういうものの秘訣という意味では、やっぱりそういう好事例をやはりいろいろと全国に紹介をしてあげると、それぞれの地域でそれを見ながらその地域の実情に合った形でやっぱりやっていただくということも大事だと思います。  また、あわせまして、こうしたものを推進するための一つの手段として地域ケア会議の話がございました。今回これを、今までは市町村が任意に実施をしていただいておりましたけれども、法律努力義務という形で、全市町村でこの地域ケア会議を実施していただこうと思っています。  この地域ケア会議は大きく二つ役割がございまして、一つは個々のケースについてのケアマネジメントについて、特に処遇困難事例みたいなものについての多職種で検討していただくというもの、それからもう一つが、そういう地域における課題を把握して、そして、あるいは地域の資源を開発する、地域のネットワークづくりですね。ここで例えば医療との連携みたいなもののネットワークみたいなことも、この地域ケア会議を活用していただいてつくっていただければいいんじゃないかと。  いずれにしましても、今回、法律を改正いたしまして、地域包括支援事業という枠組みの中で在宅医療介護連携あるいは地域ケア会議の開催、こういったものを市町村の仕事として位置付け、国としても財源的な面も含めてしっかりと支援をしていきたいと考えております。
  88. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございます。  先ほどからPDCAとかいろいろ申し上げていますけど、結局はこういう、どれだけ密接な、もう顔を突き合わせた連携の取組、人間くさい取組がどれだけ各地域でやるか、それにもう全て懸かっていると思いますので、是非厚労省、頑張っていただきたいと思います。  ちょっと残りの時間で、医療事故の法律、今回こんな法律をこんな短い審議回数だけでやってくれというのは本当にもうとんでもないことだと思うんですけれども。まあ根本的ないろいろな問題もございますけれども、それ以前に。  医療事故について伺わせていただきます。  医療事故の条文でございますけれども、病院の管理者が当該事案の発生を予期しなかったものに限るという条文の規定となっております。これの解釈なんですけれども、実は私、昨年、子供の学校のいじめの法律を作ったんですけれども、いじめというのは、皆さんもいろいろ新聞報道等で御案内のように、その子がいじめられているかどうかというのはなかなか、じゃ、どうやって判断するのか。結局、結論としては、もうまずはその子の主観を優先する、もういじめを自分は受けていると、つらいと、それをまず聞くというのにしました。ただ、それだけではなくて、その本人をめぐる客観的な状況ですね。つまり、本人が知らない場合もあります。いじめを受けていると知らずに物を取られたり、インターネットで書き込みを受けたりすることがありますから、そういう客観的な状況、つまり主観と本人をめぐる客観的な状況の総合判断というふうに法律上の整理とさせていただきました。  ちょっとそうした発想で伺わせていただきたいんですけれども、発生を予期しなかったというのは、この管理者の主観だけに限らなくて、様々な客観的な状況も入ると。今後は省令というふうに書いていますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  89. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 御指摘のとおり、今回の医療事故の定義の中で、その管理者が最終的に予期しなかったものとして判断することになっております。ただ、病院の管理者につきましては、安全管理上の様々な役割が求められております。そういう意味では、安全管理体制全般についての責任があるし、あるいは、いわゆる病院内で起こった様々な安全管理に関する事柄については当然ながら把握する必要があると、その上での判断ということになろうかと思います。  具体的に、更にどうすればいいのかという問題については、ガイドラインの中で具体的な、標準的な例とかそういうものを示しながら、管理者が適切に判断できるような形で進めていきたいと考えております。
  90. 小西洋之

    ○小西洋之君 全般的な責任、管理責任等々ということでしたら、主観以外のものもガイドラインで検討されるということなんでしょうけれども、しっかりした制度をつくっていただきたいと思います。  やはり原因究明をしっかりして再発を防止していくと。私も医者にかつてなろうとした人間であると同時に、遺族として、やっぱり医療の現場、困難な中に、やはりどうしても過失という、あってはいけない過失というのも、それは場合によっては起こり得るものだと思いますので、それをもうみんなで何かを罰するとかいうのではなくて、みんなで解決をしていく、当事者のために、私どものために解決していく、そうした取組の法制度をつくる、意見交換を私も今後引き続きさせていただきたいというふうに思います。  あと一分ございますので、じゃ、最後、話だけさせていただきたいと思います。  この度の改革でございますけれども、今申し上げましたように、その基盤となる仕組みが、なお十分取り組まれていない状況にあるわけでございますので、そこを含めてしっかりと、今既に進んでいる基盤となる仕組みと、また今回、法律に入れ込んだ新たな仕組みを両方しっかり実現していくように、田村大臣を先頭に頑張っていただきたいというふうに思います。  最後に、昨日、私、憲法審査会で、政府が憲法の解釈変更をする場合には、その解釈変更の案と解釈変更についての考え方について国会答弁がなされたんですけれども、その適合性について国会の審議を受けることという附帯決議を実は成立させていただきました。なので、ちゃんと憲法改正の案を出して、閣議決定だけではしない。なぜこんなことを言うかというと、これだけいろんな医療介護の政策を私も微力ながら頑張らさせていただいて……
  91. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
  92. 小西洋之

    ○小西洋之君 はい。失礼いたしました。  なお救えない命や尊厳があるんです。それをまずしっかりやって、同時に外交と防衛もしっかりやっていく、そういう大臣として頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  93. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  94. 石井みどり

    委員長石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地域における医療及び介護の総合的な確保推進するための関係法律整備等に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 木村義雄

    ○木村義雄君 今日は、医療の方と介護の方のそれぞれでちょっと質問させていただきます。  まず、医療の方なんですが、今や医療費が高過ぎて財政の圧迫をしているとか、様々な課題が指摘されているところなんですけれども、その原因の一つが、日本医療は病床が多過ぎる、病床過剰だと、こう言われている問題であります。過剰病床が入院医療費を押し上げていると、こう言われているんですが、ちょっとこの問題について今日は取り組んでまいりたいと思っています。  一方で、そうは言われても、医師不足あるいは医療不足、これが大変言われており、特に地方では著しいこの状況が続いているわけでありますが、この原因の一つに、実は、地域によっては医療への新規参入が当局によって阻止されていると、こういう現状があります。  しかし、過剰地域といっても実は空きベッドがたくさんあるんですよ。そして、それが開放されないという実態があるんです。つまり、これは都道府県の医療計画によって、特に二次医療圏なんかはベッドが規制されているわけでありますけれども、これはまさに参入規制であって、地域医療の新陳代謝が行われていないと、結果としてこれが地域医療を崩壊させているのではないかと、こう思われてならないので、そこで、まず原医政局長に、今、休眠病床というんですか、この辺、定義は何か難しいと言われているんですけれども、医療法に基づいて把握している病院のいわゆる許可病床と、健康保険法に基づいて診療報酬の届出を行っている病院の病床、また実稼働病床、それぞれ今現状はどのようになっているのか、お示しいただけますか。
  96. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) いわゆる休眠病床は、御指摘のようになかなか定義が難しいということで、医療法上の病院の許可病床数、これについては、平成二十六年三月現在で百五十七万一千六百九十八床となっております。  一方で、実際使われている病床ということになりますと、先ほどの、看護師をしっかりと配置した診療報酬上の届出と、これが分かりやすいと思いますが、届出病床数のうち稼働病床数については、平成二十四年七月現在で百四十五万七千百九十一床となっております。
  97. 木村義雄

    ○木村義雄君 そこで、今日は、要するに医療計画を実際立てているのは都道府県なんですね、都道府県がそういう権限を持っているんですね。要するに参入規制の権限を持っていると。その都道府県は、実は権力者でありながら、今度は自分で自分のところの病院を持っているわけですね。  そこで、今日は総務省の方からお越しをいただいていますが、厚生労働省とは必ずしも同じ定義である必要はないんですけれども、総務省は自治体病院のいわゆる休眠ベッド、休眠病床をどの程度把握しているのかと。幸いに資料を皆さんに、お手元に縦長の資料二枚をお届けさせていただいたので、ちょっとこれを基に、簡単で結構ですから説明をしていただけますか。
  98. 村中健一

    政府参考人(村中健一君) 御説明を申し上げます。  まず、先生お配りいただいた資料の一ページ、①の資料でございますけれども、これは許可病床数と稼働病床数を比較した表でございます。稼働病床数につきましては、これまで統一的な基準に基づく調査、統計というのがなかったところでございますけれども、総務省におきまして、今般、公立病院につきまして、過去一年間、患者の収容を行っていない病床数を除いたものを稼働病床というふうに一定の定義を置きまして、前提を置きまして調査したものがそのお配りいただいた一ページの資料でございまして、平成二十四年度末での稼働病床数は、そこにございますように約二十万一千病床でございまして、同じく平成二十四年度末の許可病床数は約二十一万七千床ということで、比較いたしますと、稼働病床の方が約一・六万床、率にしますと七%ほど少なくなっているということでございます。  続きまして、お配りいただいた二ページの方でございます。  これは、許可病床と今度は病床利用率を比較したものでございます。この病床利用率というものは、分母に許可病床数を持ってまいりますが、分子の方は一日平均当たりの入院患者数を持ってまいります。したがいまして、これが一〇〇%ということは、三百六十五日、全くベッドに空きがないという状態を意味するわけでございます。この病床利用率で見ますと、平成二十四年度、公立病院については七四・一%ということになっているというのがお配りいただいた資料でございます。
  99. 木村義雄

    ○木村義雄君 今御説明いただいたんですけれども、実際はベッド空いているんですよね。それで使っていないということが現状にあるわけであります。  一方で、さっきも言いましたように、都道府県は、民間病院から申請上がってきますとどんどんどんどん過剰ベッドだ、過剰ベッドだといって追い返していると、他方で自分のところは抱え込んで開放しないと、こういうことが現実にあるということはこの資料でもお分かりでしょうし、ある意味で実非稼働病床というのは五、六万床ぐらいあるということであります。  そこで、厚生労働省にお聞きをしますけれども、現行の法律においても都道府県知事は公立病院の休眠病床の返還を求めることは可能であると、こういうことなんですが、厚生労働省がこの命令を出した、あるいは都道府県知事がこういう命令を出した、こういうことはあるんでしょうか。
  100. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 医療法の第七条の二の中に、いわゆる公的病院等について病床の削減等を求めることができることの規定がございます。  これにつきまして、私どもにおいてそのような事例があったかどうかについては、あったというふうには承知しておりません。
  101. 木村義雄

    ○木村義雄君 本来であれば、このような病床を速やかに返還することによって民間病院の新規参入を促し、地域医療の崩壊また医師不足等を解消させることが考えられるわけでありますが。  そこで、総務省にお伺いしますけれども、総務省は、自治体病院が民間病院の経営を圧迫したり新規参入を阻害したりすることがないように、これは都道府県を指導しているんでしょうか。
  102. 村中健一

    政府参考人(村中健一君) 今の御質問お答えする前に、若干先ほどの説明の補足をさせていただきたいと思います。  まず、公立病院と民間病院を比較した場合に、許可病床数と稼働病床数の差は、これ民間病院も公立病院も余り差がございません。約七%の差ということでございます。  一方で、病床利用率を見ますと、確かに公立病院の方が民間病院よりも病床利用率が若干低くなっております。先ほど言いましたように、公立病院の方は七四・一%、民間病院を含む全病院の病床利用率は八一・五%ということでございますので、まさにそこに開きがあるわけでございますが。  ただ、その要因といたしましては、公立病院につきましては、どうしても民間病院の立地が困難でありますへき地等におきます医療を担っておることや、あるいは救急、周産期、災害などの不採算、特殊部門に係ります医療を提供するという役割を担っていることから、どうしてもそういう病床のバッファー部分というものが民間病院と比べて大きくなる傾向があるということをどうか御理解いただきたいというふうに思います。  その上で、ただいまの先生の御質問お答えしたいと思いますけれども、総務省といたしましては、公立病院の効率的な経営の必要性という観点から、平成十九年に公立病院改革ガイドラインというものを策定いたしまして、公立病院の経営改革に取り組んできたところでございます。その中で、特に病床利用率が低い公立病院に対しては、病床の削減であるとか、あるいは診療所化等も含め抜本的な見直しを促してきているところでございます。  例えばということで申し上げますと、平成二十一年度から平成二十四年度までで許可病床数を削減した公立病院は二百四十一病院ございまして、この中には民間病院に営業譲渡した病院も十三病院含まれております。また、同じく今の二百四十一の内数になりますけれども、診療所化した公立病院の数も二十七病院あるところでございます。こうした取組によりまして、公立病院の許可病床数は近年減少傾向にあるところでございます。  また、先生の御質問の方で、民間病院の経営を公立病院が圧迫しているのではないかという、あるいは新入を阻害しないように総務省どういうことをしているかということでございますけれども、同じくこの公立病院改革ガイドラインの中でこういう記述をさせていただいております。  ちょっと長くなりますが御紹介させていただきますと、公立病院の果たすべき役割の明確化ということで、公立病院を始めとする公的医療機関の果たすべき役割は、端的に言えば、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにあると、明確にこれは言っておりますし、その上で、このような観点からすればということで、特に民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院については、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性がなくなっているものについては廃止、統合を検討していくべきであると、こういうふうに記述をさせていただいているところでございます。
  103. 木村義雄

    ○木村義雄君 審議官そうおっしゃるけど、あなた、まあそれは表向きはそういうふうに言っているのかもしれないけど、実態は全然違うんじゃないの。  例えば、地域医療再生基金ってありましたよね。あれ、都道府県が配賦しましたよ。それで、実際に地域医療再生基金でどんどんどんどん公的病院は新しく改築しましたね。あのときの地域医療再生基金というのは民間病院も全くイコールで使える資金でした。これ、平等に使われたんですか。お答えいただけますか。
  104. 村中健一

    政府参考人(村中健一君) 済みません、基金の所掌は厚労省の方でございますので、どういう配賦になっているかは厚労省の方にお聞きいただければというふうに思いますが。
  105. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) ちょっと今手元には資料もございませんが、先生御指摘のとおり、いわゆる建設等に係るそういうような事業につきましては、設備整備等につきましてはいわゆる公的な方が多かったというのは前回にも先生にもお答えしたとおりでございます。
  106. 木村義雄

    ○木村義雄君 地域医療再生基金は、ほとんどが公的病院で、しかも県立中央病院とか大病院ばかりにたくさんのお金を使って、残念ながら民間病院の方にはもうスズメの涙も行かないぐらいで、これで随分公的病院は救われたよね、あなた知っているでしょう、だけど、知らないといったって、そんなわけにいかないよ。  そこで、地域医療再生基金というのは本当に不公平な使われ方をして、都道府県によっては、九九%が公的の方に回されて一%が民間だったとか、こういうところもあります。それから、いかにも何か政策医療で、地域の、ほかに医療が届かないところでやっているんだというけれども、むしろ逆で、そういうところが撤退しちゃって、さっき撤退したというのはほとんどが不採算地域中心だと思うんですよ。さっき、県立中央病院とか市民病院のところはみんな立派に建て直して、どんどんどんどんこれは民間の医療機関との競合をしているわけであります。  だから、お題目はいいけれども、あなたはよく実態をこれから勉強して、今日はみんないるからそんなに大きな声を出さないけれども、これが部会だったらこういうわけにいかないからね。そのことだけは言っておきます。  次に、せっかくだから大臣にもちょっと。大臣大臣はずっとこういうのに携わっていたから、公的病院と民間病院、非常に格差があって、民間病院が非常に経営が圧迫している、また新規参入がこういう形で止められていると、こういうことが現実にあるわけですよ。それで、私が指摘したように、公的病院がベッドを抱え込んで開放しない、それで、いつも地域医療は過剰、過剰で新規参入がなかなか果たせないと、こういう現実があるんですが、知事が命令を掛けられる権限を持っていながら、自治体病院等には命令をした事例がないと。何か自主的にはやっていると言ったけれども、自分たちの都合ばっかりでやっていると、こういうふうに私はどうしても感じられるので、新しい法案では、この法案では休眠病床の削減をどのようにして図ろうとしているのか。  厚労省は、大臣として、都道府県をどのように指導していこうとお考えですか。
  107. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 木村先生の下で事務局長やいろんなお役をいただきながら仕事をさせていただいたことを思い出しながら、いつも鋭い突っ込みをされる木村先生の今日の御質問、私も大変緊張させていただきながら答弁をさせていただきます。  今般、新しい提案させていただいておる制度では、今まで、先生おっしゃられましたとおり、公立病院等々公的な病院、これに関しましては命令が掛けられるということでありましたが、民間病院に関しましても要請が掛けられると、これは審議会の御意見を聴いてということでありますけれども、そういうような形になっております。  元々、今般、地域医療構想を作る上では病床機能の報告制度を入れているわけでありまして、その中には許可病床数でありますとか稼働病床数でありますとか、そういうものも含めて御報告をいただいてくることになろうと思います。その中において、いわゆる先生がおっしゃられる休眠病床というものが一定程度把握ができるであろうと。  そういうものが把握できた上で、当然のごとく将来に向かって必要な病床数というものをこれを割り出してくるわけでございますから、機能等々も考えた上で、例えば今持っておる急性期ではどうもよろしくないということになれば、そこは病床の転換をしなさいというような形になるわけでありますし、一方で、もうそこで持っている必要がないということになれば、ほかの民間病院も含めて、そういうところにその機能というものを病床数とともに変えるべきであると、こういう話になるわけであります。  あくまでも、これ、県が地域医療構想を責任としては作るわけでありますが、そこは地域医療審議会がかむわけでございますので、そこでの御意見というものをしっかりいただく中において、そして関係者の方々からもいろんな御意見をいただきますので、そういうような方々のお声というものをしっかりと聞いていただく中において、正しいといいますか、必要なといいますか、そのような構想をお作りをいただきながら、いろんな形で必要な病床というものを整備をいただくというようなことになろうというふうに考えております。
  108. 木村義雄

    ○木村義雄君 今、地域審議会とかそういう話が出たんですけれども、これは、審議会って知事が主宰するわけですよ。言ってみれば、知事の都合のいい人だけ集めてきて、いや、現実にそうだから。厚生省だって審議会はそうじゃない、みんな。知事がそういう不適切な運用をしている場合にどういう指導ができるんでしょうか、どういう指導をまたするつもりなんでしょうか。例えば休眠病床の削減について、今大臣は言わなくてもいいような、民間の医療機関の方も何か削減できるようなことを言っているけれども、むしろ公的な医療機関がたくさん抱え込んで放さない方が私は問題だと指摘しているんで、この公的な医療機関に対して命令を行使せず民間の医療機関だけを削減をしようということが知事主導の下に行われる可能性だってあるんじゃないですか。医政局長、どうですか。
  109. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答え申し上げますけれども。  公的であれ民間であれ、これから必要な医療機能を担っていってもらう必要があります。それにおいても、その地域において使われていない病床をどうするかという問題はやはり大きな問題になってくると思います。それをどう有効に活用していくかについては、先ほど来出ておりますように、医療審議会にかけて、どのような形をやっていくかを考えていただきたいと。  その上で、医療審議会というのは、当然ながら都道府県知事はその結論について尊重する必要がございますので、恣意的なそのような運用がなされるというふうには考えてはおりません。
  110. 木村義雄

    ○木村義雄君 それはちょっと甘いんで、大体、事務局がみんな差配して、出席している人は名誉職みたいなものだから、お上ごもっともといってやっちゃうケースが圧倒的に多いんじゃないんですか。私、県議会に出たときに、県の会議に出ましたよ。座っているだけで、結局、時間が来たら終わりですよ。私も出た経験からして、ある種、今の厚生省の審議会といったって、それは意見がいろいろと、行われているけれども、議事録見ているうちに、前の回と後の回で急に話が飛んで、いつの間にかみんな反対していたのが賛成になったり、そういうような議事録をしょっちゅう見ることがあるんで、審議会というのが、私は、そんなに公明正大、公平なものかというのは、それはもうとても信用ができないなという感じがしてなりません。  そこで、総務省にお伺いしますが、今回のこの改正で知事はまた権限が強化されるんですよ。先ほどから申し上げていますように、知事は県立病院の経営者なんですよ。自分のところで病院持っているんですよ。それで、今度はその病院のある意味で監督官庁でもあるわけですな。今後、法改正がされれば、国民健康保険法なんかも今度は県の方に任すというようなこともあると、保険者にもなるんですよ。病院の経営者でもあり、それから監督権限を持っているし、また今度保険の方も保険者としてやると。みんな、変な話、ちょっと品の悪い人が十手持っちゃったようなことにもなりかねないと、こういうことになる。まあ、一言で言うと、やっぱり利益相反なんですよ。これ、利益相反が生じるんじゃないんですか。  総務省は、今回の医療法の改正の目的が達成されるように、地方分権の名の下において知事が権限を濫用しないための手だてをどのようにお考えになっているか、御答弁ください。
  111. 村中健一

    政府参考人(村中健一君) お答え申し上げます。  今回の法案によりまして、県知事が従来以上に大きな権限を持つという御指摘はそのとおりかと思います。他方で、都道府県知事というのは、公立病院だけではなくて民間病院、あるいは国立病院機構など、あらゆる設立主体の病院が、医療機能の在り方を検討して、連携協力して地域における効率的で質の高い医療提供体制を確保できるように適切に役割を果たすべきものだということも私どもは認識しておるところでございます。  先ほど厚労省の方からも御説明がありましたように、本法案に基づきます知事の権限の強化の適正な執行につきましては、まずもって厚労省の方におかれまして法改正の趣旨であるとか制度内容等について説明や研修をされるというふうに伺っておりますが、総務省といたしましても、法案の趣旨に沿って都道府県が適切に役割を果たしてまいりますよう会議等の機会を捉えて助言してまいりたいというふうに考えております。
  112. 木村義雄

    ○木村義雄君 何か余り納得のいくような答弁じゃなかったんですけど。  実は今、さっきの許可病床、稼働病床の話に戻るんですけれども、公立病院には交付税で一ベッド当たり約七十万円交付されていますよね。これは実働病床や稼働病床じゃなくて、実際は許可病床に配賦されていますよね。特に稼働病床は実際に運用されていないから稼働病床ということで届け出させているんですが、これは、この交付税措置は元の許可病床に出させていますよね。これはある意味で、もしこれ保険の分野でこういうようなことをやったら、これ返還請求の対象になるとか不正請求の対象にもなりかねない話なので、これを放置していて今のようにちゃんとやりますといったって本当に信用できるのかなというふうに感じてならないんですけど、どうされますか。
  113. 村中健一

    政府参考人(村中健一君) 先生御指摘のように、現在普通交付税の算定につきましては、許可病床数を使って算定を行わせていただいておりますけれども、これは、普通交付税の算定に当たりましては、公信力のある客観性の高い数値を用いるということが必要であります中で、都道府県知事が許可する病床数を用いているということでございます。  他方で、稼働病床数についてはこれまで統一的な基準に基づく調査、統計というのがなかったということもあって、従来は許可病床数を使わせていただいているということが一つ。それからまた、あわせまして、稼働していない病床の中には本来稼働されることが望ましいものの、へき地等にあってなかなか医師不足、看護師不足等の状況によりましてやむを得ず稼働していないものもありますし、あるいは、感染症病床あるいは結核病床のように本来、未稼働あるいはどうしても稼働率が低くなることが制度上想定されているものもあることから、こういう両方の理由があって許可病床数を使わせていただいておるところでございます。  この許可病床を用いるということにつきましては、普通交付税に関する省令ということで法令で規定をさせていただいているものですから、仮に地方公共団体から報告のあった許可病床数の中に稼働していない病床数が含まれていたとしても、それによって地方公共団体が不正を行っているというものではございません。したがって地方交付税の返還を求めるということはできないものというふうに考えております。  ただ、いずれにしましても、今御審議いただいている法案の趣旨であるとかあるいは地方公共団体の実情を踏まえて、今後の交付税の算定に当たって何を、どういった数値を基礎として使用していくかということについては、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  114. 木村義雄

    ○木村義雄君 要するに、カラスは白いといったって、やっぱり黒いのは黒いんだから。  普通交付税以外にもっと、不採算地区病院には幾ら、百二十万とか、周産期医療では三百九十万とか、小児医療では百四十六万とか、救急施設では幾らとか、もう結核病床とか精神病床、ありとあらゆるところに出しているのは事実なんですよ。その中で、やっぱりもう少し、民間病院には適切な運営を求めるといって厳しくやって、身内ばかり甘いような、まさにイコールじゃない取扱いをする、アンフェアな取扱いをして本当にいいのかというように強く感じてならないわけであります。  そこで、大臣お尋ねをさせていただきますけれども、厚生労働大臣といたしまして、このような公立病院の稼働しない病床により地域医療を後退させている実態があるにもかかわらず、種々の知事の権限を強化を図ろうとしていると。これはゆゆしき問題ですから、今後、知事が不当なこの運営を行った場合にどう所管大臣として対応されるのか、お話をいただきたいと。
  115. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) なかなか難しい問題でありますが、地域医療構想をお作りをいただくときには当然のごとく協議の場をつくっていただいて、関係者の方々に入っていただいていろんな御意見をいただくわけであります。ただ、その中でまとまらないという場合に関しては、先ほど来委員もおっしゃられました、私も申し上げましたけれども、知事に一定の権限というものが今回法律の中に書かれておるのも事実であります。  病床の削減でありますとか、いろんな場面におきまして、先ほど医療審議会の話もございました、信用はできないというお話もございますが、一定程度、医療審議会というものが正常に機能すれば、そこで出される意見に関して知事はやはり従わざるを、事実上でありますけれども、従わなければならないんであろうというふうに思います。  しかし、それも無視をするなどというようなことが仮に起こるのか起こらないのか、ちょっと私もどう想像していいのか分からないわけでありますが、その場合にどのような手だてがあるのか。  病床機能の報告制度というのがありますから、今どんな医療が行われているのかというのはその病床機能を報告する中においてある程度把握ができます。一方で、それに沿って今度は地域医療構想を作って、どのような形だというものもお作りをいただいて出していただくわけであります。中身を見て、これはちょっとおかしいと、このような医療ニーズの中においてこのような病床がこのような形で残っておること自体がおかしいなどというようなことがある程度分かる中で、例えば地域医療構想、医療提供体制を整備していくために新しい財政支援制度をつくっておるわけでありますが、これに対しても一定の要望というものはそういうものの積み重ねの中で来るわけでございますので、そこに明らかにおかしな場合がある場合は、これは厚生労働省として知事の方にどういうことなのかというような御意見をお伺いする中において一定の対応を促していくと、正しくなければでありますけれども。そういうことはあり得るんであろうなと、そのように制度上は考えております。
  116. 木村義雄

    ○木村義雄君 とにかくやっぱり大事なのは、実際に地域医療を担っている大部分は民間の病院なんですよ。それで、さっき公的病院の方も地域医療を担っていると、こう言っていましたけれども、実際は不採算部門からどんどんどんどん出ていって、逃げていって、本当に今、地域の最前線で一番苦労している民間病院、もちろんそうじゃないところもありますよ、しかしこの民間病院とやっぱりイコールフッティングじゃないといけないと。  ところが、先ほど言ったように、監督権限が知事が持っていると、それからもう今度は保険者にもなろうとしていると。そういう中で、余りにも知事に権限を集中させるということになってそういう弊害が出ないように、しっかりと厚生労働大臣としても、恐らく地方自治法でも厚生労働大臣が知事を指導できるようなことができるんではないかと、こう思われますので、今後もしっかりとやっていただきたいと、こう思います。  それから、医療の方はちょっとここまでにしまして、次に、介護の方で質問させていただきます。  総務省、ありがとうございました。どうぞお引き取りいただいて結構です。
  117. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 総務大臣官房村中審議官、御苦労さまでした。
  118. 木村義雄

    ○木村義雄君 今、日本の核家族化が進んできて、そこで、なかなか要するに介護の方も大変だから社会化だと、こういって介護保険ができたとかいって、この委員会でもよく議論をされているところでございます。  その中で、介護保険ができてもう約十五年が近くなってまいりますが、この十五年間で家族の介護負担は減ったのか、あるいは依然として家族介護に頼っているのか、この辺の現状をちょっと、今度は原老健局長の方から御答弁願います。
  119. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) お答えを申し上げます。  介護保険制度ができましてから、高齢者介護ニーズ、これを支える中核的な制度として、間違いなくこれは介護保険制度役割を果たしております。しかし一方で、家族等による介護というものにもまだまだ依拠しているという現実もあろうかと思っております。  どの程度十四年間でその辺が変わってきたかということのお尋ねでございますけれども、国民生活基礎調査というのがございまして、これの主たる介護者の割合について、介護保険制度創設時、これは平成十三年の数字になりますけれども、それと平成二十二年度をちょっと比較しますと、子の配偶者が介護者であるというものが二七%から平成二十二年には一八%、それから事業者が介護者であるというものが平成十三年一〇%から平成二十二年が一五%ということで、子の配偶者が減ってきているということは間違いない事実でございますけれども、まだ一八%がそういう方が担っているというのも一方の現実としてあろうかと思います。  また、介護サービス全体の給付費が増加しているところ、特にレスパイトの観点から有効であると考えられるデイサービスの給付費、これも実は大変増えてきております。  また、ショートステイもレスパイトの機能を持っておりますけれども、通所、訪問、泊まりを組み合わせた小規模多機能型居宅介護も含めまして、この利用も着実に増加をしておりますので、そういう意味では家族の介護負担軽減という視点でも一定の成果は上がっているのではないかと考えているところでございます。
  120. 木村義雄

    ○木村義雄君 実は、今から十五年ぐらい前に、介護保険制度を創設するときに大議論になった項目がありまして、それは、日本で今度の介護保険導入されるに当たって、家族介護への給付を行うか否かと大議論があったんですね。これは、そのときは結論が出ずに、五年後の見直しのときにもう一回やりましょうということになったわけでありますが、どのような見直し検討が行われているのか、その点御説明いただけますか。
  121. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 御指摘のとおり、介護保険制度創設時におきましては、家族に対する介護の評価ということで、高齢者や家族の選択の重視と外部サービス利用との公平性などから、現金給付の導入に積極的な意見もあったわけでございますけれども、現金給付は必ずしも適切な介護に結び付かず、家族介護が固定化するおそれがあるんではないかと、あるいは、高齢者の自立を阻害するとともに、家族の負担が過重となるおそれがあるのではないか、現在最も必要なことはサービスの充実ではないかといったような観点から消極的な意見もありまして、結論といたしましては、家族に対する現金給付というものについては見送られて、現物給付でサービスを提供していくというのが現行の制度でございます。  その法律制定時に、今議員からもお話がございましたように、法施行後五年後の見直しという検討規定がございまして、これに基づきまして、平成十五年から平成十六年にかけまして、社会保障審議会介護保険部会で制度全般の見直しについて議論が行われました。  その中で、現金給付につきましては、現にサービスが普及してきており、制度施行時に心配された利用者がサービスを利用できないんじゃないかという場合の見返りとしての現金給付の意義というのは薄れてきていると。また、国民の意識も、家族だけに介護されたいという割合が低下してきた、それから費用の増加が懸念されるんじゃないかと、こういったような指摘がございまして、結果としては審議会としては現金給付を導入することについては見送られたという経緯がございます。
  122. 木村義雄

    ○木村義雄君 皆さんのお手元に横長の資料をお配りさせていただいているんですが、三と四を見ていただきたいんですけど、最初の方は、本人の希望は、自宅で家族の介護と外部の介護のサービスを組み合わせて介護を受けたいという方が二四%、家族中心で受けたいというのは四%なんですね。  ところが、本人にとっては有り難いことなんですけれども、四番のページの介護の希望で家族の希望の方を見ますと、自宅で家族中心介護を受けたいという人はやっぱり四%なんですけど、自宅で家族の介護と外部の介護のサービスを組み合わせて介護を受けさせたいという人が四九%いて、割合、家族の方が自宅でもって介護を受けさせたいというのがある意味で半数以上もあると、こういう現状があります。  そこの中で、ちょっと話がそれますけれども、日本介護サービスというのは、手当てよりも施設整備中心になったことで、例えば立派な施設の整備がどんどん進んで、これによって結果的に大変高コストな構造になってしまっているんじゃないかと、こう思えてならないわけですね。  それで、一方で、コストが高いということは、施設が収入を結構得ていまして、この間、政府の方で社会福祉法人が二兆円程度の内部留保を持っているというような話もありましたけど、この二兆円程度の内部留保の業態別の内訳はどういうことになっているのか、どこが要するに留保を抱えているのか、お教えいただけないでしょうか。
  123. 岡田太造

    政府参考人(岡田太造君) 平成二十四年の財務省が行いました予算執行調査によりますと、特別養護老人ホーム一施設当たりの平均の内部留保、この場合の内部留保は貸借対照表にあります次期繰越活動収支差額とその他積立金を足し合わせたものでございますが、千八十七施設を調査して、その平均が三・一億円ということでございまして、全国の施設六千百二十六施設を掛け合わせますと約二兆円の内部留保が存在しているというような推計がございます。  障害福祉の分野につきましても、同様の財務省の予算執行調査におきまして、施設入居支援サービスを営みます事業所一法人当たりが、同じような形で計算しますと、約五・八億円の内部留保があるという推計をしておりまして、これに調査対象の法人であります五百七十九法人を掛けますと全国で約三千四百億円の内部留保が存在しているという推計がございます。  児童福祉の分野については、内部留保に関する推計はございません。  なお、この内部留保につきましては、今お示しした内部留保は、借入金の返済であるとか、土地、建物の取得の場合に法人外に資金が流出した場合でもその額は変わらないことから、実際に手元に残っている内部留保が別途計算できるんじゃないかというようなこともございまして、現預金相当額などを基にしまして実際の内部留保を推計してみますと、一施設当たり約一・六億円という推計も行っているところでございます。
  124. 木村義雄

    ○木村義雄君 ちょっと時間のためにこちらから言ってしまいますと、一・六億円というと、六千施設あるんだから、やっぱり一兆円ぐらいは現金で持っていると、こういうことですね。そして、その大部分がある意味高齢者施設だと、こういうことも言えるわけですよね。  そこで、余りにも施設の方ばかりに行っているんじゃないかというような感覚をどうしても私どもも持たざるを得ないんですが、今この介護施設というと、大体特養とか老健なんですが、この頃、サ高住とか高専賃とか出てきておりますが、これは在宅の方に分類なんですけれども、実際は施設と言える、私はそのように思えてならないんですね。  ですから、この施設、特養や介護保険施設のほかにも在宅中心、在宅中心といいながら、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、純粋に在宅とは言えない類型がどんどん増えているわけですね、現在。  そこで、これがどんどん進んでいくと、自分のところで家があるのに活用せずに外を頼ってしまう、外の施設に頼ってしまう。これも高コスト構造につながっていくふうに思えてならないんですけれども、実際には、本当の純粋に在宅というのは、自分の家で見ているというのは、先ほどのアンケートでも五割ぐらいありましたけれども、今現状では、これはどの程度の数字になっているんでしょうか。
  125. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 正確な数字というものはないわけでございますけれども、ちょっと粗い試算といいますか、推計をしてみますと、まず介護サービスの利用者のうち介護保険三施設、それから特定施設入居者生活介護、それからいわゆるグループホームといった、いわゆる施設居住系サービス、狭義の施設というんでしょうか、これにつきましては二七%、介護サービス利用者のうちの二七%になります。したがって、残る約七三%がいわゆる居宅サービスということで、広義の自宅というふうにお考えいただきたいと思います。  そのうち、議員からお話がございましたようなサービス付き高齢者向け住宅のような高齢者向け住まい、この方々がどのくらいいるかということでございますけれども、給付のデータからは分からないわけでございますが、サービス付き高齢者向け住宅の戸数や有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームの定員などを用いて極めて粗い推計をいたしますと、この約七三%のうち約七%程度がこれらの高齢者向け住まいに現在居住しているというふうに見込まれますので、そういう意味では残る六六%の方がいわゆる御自宅にお住まいではないかというふうに考えております。
  126. 木村義雄

    ○木村義雄君 実は、今新しいそういう施設、サ高住とか有料老人ホームとか、もう地域によってはでき過ぎちゃって空きがどんどんどんどんできてきて、料金のダンピングが起こっていると、こういう実態ももう出てきております。  利用者側にとって安く入るのはいいのかもしれませんけれども、これ事業者側にとってはやっぱり経営を継続していくためには高い請求をしなきゃいけないから、どうしたってケアマネと組んでできるだけサービスを受けさせて、本人にとって不必要なサービスまで提供するおそれが、ここから発生する可能性だってもう大いにあるわけですね。  それで、日本では、日本介護保険というのは高齢者一人一人が保険料負担しているんですよ。それで、一方で現物給付しか選択肢はありません。サービスを、現物給付しかできないものだからサービスは使わなきゃ損だというので、ケアマネから言われたとおりに何でもいいからどんどんどんどんと不必要なサービスまで利用申請をしていると、こういうことも十分に考えられるんじゃないかということがあるわけでありまして、私はこの今のケアマネの仕組み、これも今後大いに検討していく必要があるんじゃないか。そして抜本的にこの辺も見直す必要があるんじゃないかなと、このように思っています。  そこで、今の問題でもう少し、ちょっと敷衍したいんですけれども、医療保険はお金払って、大体皆さん、若い人はほとんど使っていないという人がいるかもしれないけれども、大体皆さん使うんですよ。ところが、介護保険は八割以上の人たちが実際は介護保険の恩恵にあずかっていない。高齢になればそれは率は上がってきますけれども、八割ぐらいの人が使っていないという現状があります。それで、今は四千九百円、約五千円ですね。一家で四十以上の人が夫婦二人と、あと老親が二人いたら、これ二万円ですよ、二万円。  ところが、この介護保険をスタートのときから見ますと、今から十四年前の西暦二〇〇〇年、このとき介護保険は三兆円でスタートしました。十四、五年で今十兆円になっています。あのとき医療費は三十兆円だったんですよ、二〇〇〇年の医療費は三十兆円。今、大体三十八兆円でしょう。だから、三十数%上がったと言える。ところが、介護保険の方はもう三倍以上、今は十兆円になった、三倍以上の伸びをしているわけでありまして、異常なある意味制度としては私は伸び方じゃないかと思っています。それで、二〇二五年にはこの数字が二十兆円になって、しかも一人当たりの保険料が八千二百円になると。これ、さっき言ったように夫婦二人と老親二人で四人家族だったら、一家で保険料だけで三万幾ら負担しなきゃいけないということ。  こういうことを考えると、一体どういうような制度になるのか、これ一人一万円、一家で四万円を超えるような時期はいつ頃になるんですか。それ、計算したことがあるのか、ちょっと教えていただけますか。
  127. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) そういう長期的な推計は、二〇二五年は試算をしてお示しをしております。先ほど議員おっしゃいましたように今一人当たり八千二百円程度ということでございますが、その先まではまだ実はやっておりません。  おっしゃるように一家のことを考えますと、四万円という保険料負担、大変でございますので、そうならないためにも今から持続可能な介護保険制度というものをつくっていかなきゃいけませんし、共助である介護保険制度だけではなくて、個人の介護予防でありますような自助とか、あるいは地域の中での支え合いといったようなものも併せて取り組んでいくということで、今回もその法案をお願いしているところでございます。
  128. 木村義雄

    ○木村義雄君 二〇二五年以上はちょっと見通しが立たないということになるんですな。  そこで、岡田社会局長にも来てもらっているんで、二〇二五年と今数字を出しましたけれども、百万人の介護人材が今必要だということを言われているんですけれども、これ、どうやって確保していくんですか。この百万人の介護人材を確保するには、先ほどからちょっと私も言っておりますように、家族の介護の活用などをしなければ人材を確保することはできないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  129. 岡田太造

    政府参考人(岡田太造君) 介護ニーズの高まりによって介護人材が必要とされているということで、我々も強い危機感を持って当たっているところでございます。  具体的には、介護イメージアップによります若年層へのアピールやきめ細かい求職求人マッチングなどの参入促進、それからキャリアパスの確立などによる資質の向上、介護職員の処遇改善や雇用管理改善などの環境改善という取組を一体的に講じてくることが必要だというふうに考えております。  今後、今、介護人材全般につきまして有識者にお集まりいただいて検討会を開始しまして、幅広い観点から検討を行って、早急に一定の方向をお示しをいただきたいと考えております。  また、二十七年の介護報酬改定におきましても、財源を確保しつつ精力的な検討を進めることとして、あらゆる施策を総動員して全力で取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  130. 木村義雄

    ○木村義雄君 今、局長は、あらゆる施策を総動員すると、こういうお話がありました。私は、あらゆる施策を総動員し、あらゆる人材を総動員するんであれば、退職した高齢者方々、それから女性ですね、これをやっぱり介護の担い手としてしっかりと位置付けて活用すべきではないかと。  その場合に、さっきもちょっとお話がありましたけど、家族介護には、ほっといたらいいんだ、どうでもいいんだと。要するに、何の手当てもしないというので本当にこういう人たちが真剣に取り組んでくれるのでしょうか。また、やっぱり、少しでも私はその中で、今言った退職した高齢者方々や女性の方々が家族の介護に活躍できるのであれば、そういう人たちに給付があれば、さっき言ったように三万円も四万円もする保険料負担してサービスが受けられない、あるいは受けても外部サービスが使えない、自分たちのせっかくの家庭での介護の労力が報われない、こういうことに対して、少なくとも保険料負担感の軽減にもつながりますし、理解も進むと思いますし、そろそろ家族介護、家庭介護の無報酬労働についてもう一度議論をして再検討して、私は実現していくことが、そういう時期に来ているのではないかと、このように思えてならないんですけれども、局長としての御意見をまず伺いたいと思います。
  131. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 家族等による介護というのは大変これ大事なことでございまして、私も、そういった介護に対する社会的な評価というんでしょうか、あるいは制度としての評価というのはやっぱりあるべきだと思います。  問題は、その手段の問題だと思います。先生は現金給付というのが一番いいんじゃないかという御意見だろうと思いますけれども、我々としては、やはり介護保険制度が現物給付ということでこれまでやってきまして、我々としては、今現在やっていますのは、やはりショートステイだとかデイサービスみたいなものをもっともっと、まだ足りずにおりますので、そういったものを増やして家族のレスパイトをしてあげるとか、特にこれからは認知症対策ということで、やっぱり認知症に対する家族の介護というのは大変なものでございますので、例えばそういうものに対して初期集中支援チームで早期対応するでありますとか、あるいは認知症カフェというものを町中にたくさんつくっていって、家族の精神的、身体的な負担の軽減につなげてあげるとか、そういうようなことを一生懸命取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  132. 木村義雄

    ○木村義雄君 そこで、皆さんのお手元にドイツの介護手当についてという横長の資料一と二をお配りさせていただいております。  ドイツの介護、これは、日本は現物給付ですが、向こうは、ドイツでは現物給付よりも現金給付の方が多いんですね。しかも、介護保険の本体だけじゃなくて、もっと民間介護保険も非常に活用しながら今取り組んでいるわけでありまして、ドイツの介護手当は、ちょっと数字を見させていただくと、現金給付と現物給付、それからハイブリッド、両方をちゃんとうまく組み合わせることもできるわけですね。  せっかく先進国にこういういい例があるので、ドイツの介護保険を十分に参照しながら、参考にしながら、私は、これは日本制度として導入しても決しておかしくないと、このように思えてならないんですが、いかがお考えでしょうか。
  133. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) ドイツは、私ども日本に先立ってできた介護保険制度の国でございまして、そういう意味では大変貴重な先進事例だと思います。  ただ、ドイツの場合には、この資料にもありますように、給付の制度設計が大分日本と違っておりまして、かなり中重度の方を対象にした給付になっておりますし、また給付の支給額も日本に比べると少し低いと。そういう中で、現金給付と現物給付をうまく組み合わせた制度になっているということでございます。  したがって、単純に今のまま、今の日本制度設計のままドイツと同じような仕組み導入しますと、実はかなり財政的には非常に厳しい結果になるんじゃないかと思っていますので、木村議員の御指摘一つの貴重な御意見だと思いますけれども、これはやっぱり議論するときには、現在の日本介護保険制度全体の制度設計等をよく踏まえながらやっぱり考えていかないとうまくいかないのではないかなという気がしております。
  134. 木村義雄

    ○木村義雄君 いや、私はむしろ逆に、今の日本介護保険導入のときに混乱がありました。ドイツは利口だったんですね、先に保険料を取って後からサービスを開始したと。日本は、あのときの政調会長に変わった人がいて、サービスを先に提供しちゃって後から料金をいただくというようなことがあったりして、相当スタートのときに混乱して、特に、お話にもありましたように、保険あってサービスなしという大問題から大分大盤振る舞いした、あるいは先ほどから申し上げているように、高コスト構造になってしまったんですね。だから、どこかで今それをやっぱり修正していくというか、その中で私は現金給付というのは一つの、これはドイツの例で見ても、現物給付よりは半分以下でもって結構皆さん方は納得されているわけですね。  実は私、これはなぜこの横長の二を皆さん方に見ていただきたいかと思ったら、これ日本は要介護の五から始まって、下は要支援の一、二まで入っていますね。ドイツと韓国は、どういうわけだか要介護一、二、三は日本の三、四、五になっていますよね。  今回、率直な話、要支援の一、二がなくなるわけですね。将来、この要支援の一、二が、あのときに、最初のときに議論したんですけれども、これ、入れるか入れないかでも、これももめたんです。結局今になって、十四、五年たってやめちゃおうということになったと。このままでいくと、日本もこれ、次には要介護の一、二も削られるんじゃないかなって、これ、うまい資料を厚生労働省作ったなと、私はある意味で感心して見ているんですが、この話が数年後、現実になるのかならないか、それは分かりませんけれども、こういうことも考えているんじゃないかなと、このように思えてならないところであります。  そこで、やっぱり日本でも給付の在り方を見直すことは非常に必要なことでありますし、今の仕組みでは、新しい類型のサービスを入れようとしても制度的な縛りがあって、なかなか無理なんでね。だから柔軟に対応することが難しいと。むしろ、自分で自由に使えるようになれば、現金給付をもらってお金を自由に使えるようになれば、オーダーメードのような多様なサービスを受けることができるし、新しい介護分野に資金が投入されることによって、またその分野でも広がりが出てくると思うんですよ。  ですから、ドイツと同じような、家族の介護負担を正面から評価して、サービスの利用状況に応じて介護の手当が出せるようにし、また高コスト構造じゃない、無駄なサービスを減らすようにすれば、現在の制度の枠に縛られないような多様なサービスが実現でき、介護給付費の増加を抑えて負担可能な水準に私はできるんじゃないかと、このように思えてならないところであります。  そこで、最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、家族手当というと、昔からジェンダーの人なんかは家族を介護に縛り付けるのはけしからぬとか言ってすぐに反論されるんですが、必要に応じた家族サービスを使いながら、一定条件の下で選択的ということであれば、ハイブリッドだということであれば、家族の介護負担の適切な評価や今後の介護費用の増大対策、そして人材の不足対策、この有効な手段として私は家族介護現金給付、これはその対策になり得るんではないかと、こう思えてならないところでありまして、大臣に最後、お伺いさせていただく次第であります。
  135. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 委員がおっしゃられましたお話でありますが、制度設計をどうするかという大きな課題もあるんだと思います。一つ制度設計を間違えば逆に増えてしまうと、制度設計の問題はあると思います。  それから、今言われたとおり、家族介護を助長するのではないかという心配が当初あって、私もこれ導入するときにいろんな議論をさせていただきました。それからさらには、入った収入といいますか、それを本当に介護に使うのかというようなお話もあったわけでございます。  たしか、あれ家族慰労金とかいって、四以上で一年間家族介護をして介護保険を使わなきゃ十万円か何か年間いただけるというような制度があったような気がしますし、あと、二分の一家族ヘルパーで、二分の一以上ほかのところでやって二分の一以内で家族をヘルパーした場合には介護報酬が出るなんというような、そんな制度もたしか導入したような覚えもあるわけでありますが、持続可能であるということ、これ、介護、大変重要であります。いろんな問題点もあろうと思いますが、あらゆる角度から今後とも検討させていただきたいと、このように考えております。
  136. 木村義雄

    ○木村義雄君 済みません、時間ですので、薬務局長、わざわざお越しいただいたのに、残念ながら、次回にお願いしたいと思いますので、今日はお許しをいただきたいと思います。  それでは、以上で終わります。
  137. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明です。  今日は、医療関係介護関係それぞれの側面から、確認も含めまして質問させていただきたいというふうに思います。今、木村委員質問されたことに随分かぶる部分もありましたので、そこは外した上で質問させていただきたいというふうに思います。  冒頭、かぶった部分とは申し上げましたけど、先ほど木村委員指摘をされた都道府県での地域医療構想を実現していく上で様々な問題、うまくいかなかった場合の知事の権限、これは一定の措置を講ずることができるということにされているわけですけれども、それがもう全く問題意識、先ほどの木村委員の問題意識と全く一緒で、いわゆる、中には知事が、こんなことはあってはいけないことですけれども、特定の民間の医療機関を狙い撃ちにする、あるいは強権的に何かを押し付ける、こういうようなことがないような仕組みというか、そういうことをきちんとやっぱりやらなければいけないと、そこへの配慮はこれからも必要ですよということは私も申し上げたかったことで、先ほど大臣も発言をされていましたので、これについては私は今申し上げただけにしておきたいというふうに思います。  人材確保ということで少し確認をさせていただきたいと思います。  先日、参考人質疑で、多職種連携ということを進めていく地域ケア会議をどう充実させるかということで、参考人の方からも御意見を伺いました。その際、地域ケア会議を充実させて多職種連携をうまく進めていくために国からの支援をすべきことは何かありますかと、こういう問いかけをしたところ、参考人の方から、例えばという話で、いろんな職種の方が地域ケア会議に参加すると、例えば薬剤師さんが参加するには、その地域ケア会議のときに薬局を離れなければいけないと、それぞれの職場を離れて地域ケア会議に出て活発な議論をしなければならないと、こういう問題について理解をしてもらえるような、そういう仕組み、そういう応援が是非必要ではないか、こういうようなことを様々おっしゃっておられました。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  在宅医療を担う人材というのは、医療介護、様々な分野の方々にそれぞれやっぱり力を出していかなければならない分野でありますので、そういう分野に総合的に人材を確保するための基本方針、これに基づいて積極的な応援、必要だと思います。  在宅医療の人材を確保すると、こういう点については、基金を活用するということになると思うんですが、この基金を活用してどのように人材を、この基金の活用がどう人材の確保につながるのか、具体的な説明をいただければと思います。
  138. 土屋品子

    ○副大臣(土屋品子君) 先生のおっしゃるように、まさに今回の医療介護の中で、在宅医療の提供をする人の人材確保というのは本当に重要なことだと考えております。  その中で、財政支援制度、新たに置かれます新たな財政支援制度において、在宅医療に取り組む医師、病院関係者、在宅医療介護連携のコーディネーター等のための研修を行うとか、在宅療養患者に対する歯科保健医療を実施するための研修、薬局の薬剤師が在宅療養患者を訪問して薬剤の管理指導を行うことに関する研修、又は訪問看護の質の向上のための研修や人材確保を図るための事業など様々な取組をしっかりと支援していくこととしているわけでございます。  今後、地域包括ケアシステム構築に必要な在宅医療の人材確保をしっかりとこの新たな財政支援制度を活用して行っていきたいと思っています。
  139. 長沢広明

    ○長沢広明君 今副大臣から御説明がありましたとおり、これまでは補助金というふうになっていたものを、これからはその都道府県の基金の中で、新たな財政資金である基金として対応するようになるということなので、対応が可能になるということですが、すなわち、特に医療提供体制推進事業補助金とこれまでなっていた中から、例えば人に、人材ということに光を当てた事業だけでも、今副大臣が挙げられた、例えば在宅歯科医療連携室整備事業、あるいは例えば女性医師等就労支援事業、小児救急地域医師研修事業、産科医等確保支援事業とかいろんな事業が、人ということだけでも二十近い事業が全部並んでいるんですが、逆に言うと、こういうこれまでの補助金の事業がこの基金の中に押し込められた形で終わっちゃうようなことのないようにしなきゃいけないと。基金にしたことによって柔軟な形で対応が可能になるということがありますので、こういうメリットをしっかり生かしたやり方をしてもらいたいなということを申し添えておきたいと思います。  この人材の確保ということでは、都道府県の中でも、これ私、何度もずっとこだわってきていますけれども、離島とかへき地とかそういう農村地域、人材確保といっても現実的には困難だと、近辺に医療機関がないというようなところには、一言に在宅医療推進と言っても、その医療が近くにないというところもあると。  こういうところについては、こういう一律の補助事業ではなくて、基金を活用してやはり柔軟な形でやれるようになるわけなので、地域ごとに対応を検討できるような、在宅医療推進に向けて人材を確保するために地域ごとに対応を検討をしていくことができるようにする、そういう工夫が必要だと、こういうふうに思いますが、お考えを伺いたいと思います。
  140. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答えします。  地域地域によって事情が異なりますので、どのようなやり方がいいかはそれぞれの地域で考えてもらう必要がございます。このため、平成二十四年度の事業でございますが、在宅医療連携拠点事業というものを全国で百か所余り行いました。その中で、五つの類型を決めまして、例えば人口の少ないいわゆる農村地域というところも十九か所選んだところでございます。  こういう、それぞれの課題や取組状況などについて類型化をしてまとめたところでございますが、例えば農村地域でありますと、医療機関が周りにいっぱいあるわけじゃございませんので、中心となる病院などから訪問看護なり、あるいは在宅医療への、実際に病院の医師が出ていくとか、そういう形の活動が中心であったというふうに今報告が出ております。  どのような形で在宅医療を進めるかという、非常にそこはやり方の問題もありますし、またそのためには、先ほどから出ておりますような関係者がしっかりと一堂に会して議論ができるような、そういう在宅医療推進協議会ですね、そういうものを設置したり、あるいは場合によってはICTを活用した遠隔医療などの活用も必要になるかも分かりません。  このような事業につきましては新たな財政支援制度の中で対応できるように考えておりますので、地域の工夫をできるだけ酌み取れるような形で支援をしていきたいと考えております。
  141. 長沢広明

    ○長沢広明君 医療人材の確保という点ではこれまで随分指摘をされてきています。例えば小児科とか産科、いわゆる訴訟リスクが高いということが非常になり手の少ない要素の一つにもなっていると。この訴訟リスクが高いことでなかなか人材確保が難しくなっている、そういう診療科ということの人材を増やしていくという意味で、今回の医療事故調査の仕組み、これが医療機関と国民との間の信頼関係を高めるという効果が発揮できるようになれば、ある意味では人材確保にもつながっていく、そういう面もあるのではないかとは思います。  ただ、今回の制度は、医療事故か否かということを判断するのは医療機関の側で判断すると。この間の参考人質疑でも随分そのことが話題になり、テーマとなって議論が参考人質疑でもされました。その際、参考人の一部の方からは、もうそれはある意味非常にガイドラインということを重視した意見が随分出ました。ガイドラインが非常に重要だなということを改めて認識をしました。  医療事故調査制度の信頼性を確保すると、このためにも、医療機関の管理者が調査対象となる事故か否かを判断すると、これを適切公正に判断するためのガイドラインの策定というのは非常に重要なことであるということを認識を新たにしましたけれども、このガイドラインの策定できちんと信頼性を確保していくという点について、大臣、今後の対応について何かお考えがあれば確認をしておきたいと思います。
  142. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 先生おっしゃられますとおり、管理者が死亡又は死産を予期しなかったものというものが今般の医療事故の対象になってくるわけであります。でありますから、その判断というものが大変重要であるわけでございまして、そのような意味では、まさに届出事例の標準化、これに向かって具体的な基準や例というもの、これを整備していかなければならぬわけでありますし、また医療に携わる方々の研修をしっかりやっていく、こういう意味でのガイドラインというものを整備をしていかなければならぬわけでございまして、しっかりと医療現場の方々が判断できる、理解できる、そういうガイドラインというものを作ってまいりたい、このように考えております。
  143. 長沢広明

    ○長沢広明君 このガイドラインの重要性というのはこの間の審議の中でも非常に大事なポイントになりましたので、是非公正な形でお願いしたいというふうに思います。  この医療事故調査に関して、やはり参考人質疑の中でもテーマになりました遺族側の費用負担の問題がございます。この仕組みでは、遺族から第三者機関である医療事故調査・支援センターに対して調査を依頼することができると、こういうふうになっておりますが、しかしながら、その調査費用の負担については、検討の過程では、遺族にも負担を求めるものの、制度の趣旨を踏まえ、申請を妨げることとならないよう十分配慮しつつ、負担の在り方について検討すると、こういうふうになっております。  この点は、医療事故の原因究明、再発防止、こういうことを強く求める患者、遺族の側にとっても大変重要な部分でございます。参考人の陳述意見の中からは、当初は無料からスタートしてもらいたいと、こういうお考えも提起をされました。遺族側の費用負担について、その考え方、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
  144. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 検討段階におきましては、今御指摘のとおり、遺族側から申出があった場合の調査については遺族に一定負担を求めるということになっております。  ただ、御指摘のように、その負担が申請を妨げることとならないように十分配慮するということになっております。現時点で具体的にどういう水準を考えているか申し上げられませんけれども、こういう考え方にのっとって、その負担によって遺族からの必要な申請が妨げられることがないように配慮するという視点でしっかりと検討していきたいと考えております。
  145. 長沢広明

    ○長沢広明君 よく分からないお答えでございました、正直言って余りよく分かりませんでした。これはちょっと、おいおいまた確認したいと思います。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕  人材確保ということについて言いますと、地域医療支援センターについて伺います。  医療従事者確保に関する医療法の改正ということで、地域医療整備を進めるに当たって医師確保と、それから確保だけではなく偏在の解消と、こういうことが大変重要な課題になっています。様々にこの委員会でも議論が今まで続けられてきました。平成二十二年度からは地域枠を活用した医学部入学定員の増加、平成二十三年度からは都道府県が設置する地域医療支援センターへの運営費の補助という形で進められております。  地域医療支援センターの運営は、今度、新しい二十六年度からは、今回の改正を受けて新たに設ける基金の対象事業となるということですが、都道府県に設けられる基金の対象事業となるということで、地域の実情に応じた医師確保支援が行われるようになればいいなというふうに期待をしますが、では、地域医療支援センターについての支援はこれまで二十三年度からも具体的に運営費の補助が行われてきましたけれども、これまで医療機関への医師の派遣、あっせんの実績、それから現在の設置数、今後の拡充の見通し、これについて伺いたいと思います。
  146. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 地域医療支援センターにつきましては、平成二十五年度で都道府県四十七のうちの三十か所に設置をしております。平成二十五年七月末までに、累計でございますが、千六十九名の医師をそれぞれの県内の医療機関にあっせん、派遣をしているところでございます。  今回の医師確保のために、医療介護総合確保推進法案の中において、地域医療対策協議会と連携して、このセンターの機能を法的に位置付けることとしたところでございます。二十六年度からは、新たな財政支援制度の中で、全都道府県においてこのセンターの運営をしていただきたいというふうに考えているところでございます。  現在、様々な形で事業を実施されているところがございまして、センターによって、派遣数はトータルでは千人余りということですけれども、実績はそれぞれでございますので、いろいろな工夫を共有しながら実績を上げていっていただきたいというふうに期待をしております。
  147. 長沢広明

    ○長沢広明君 医師の偏在、そして医師の不足ということは地域によって格差がありますので、地域の実情に応じた運営というのが必要になってくるのは当然のことでございますので、全都道府県に設置をした上でしっかり充実をしていくという方向に進めてもらいたいと思いますが。  今回の法案で、地域医療センターの機能医療法に位置付けるというふうにしております。地域医療支援センターを法律に位置付けた場合、それによって医師地域偏在の解消という点にどういう効果が見込まれるんでしょうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  148. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 今回の提出した法案の中において、地域医療支援センター機能を都道府県の事務として位置付けたわけです。  それに加えまして、地域医療対策協議会での協議を経て定めた医療従事者の確保の施策、これに関して、都道府県知事が同協議会を構成する医療機関の開設者などに対して医師の派遣など必要な協力を要請できることとしたこと、また逆に、この協議会を構成する医療機関の側は、あるいは医療従事者は、協議会で定めた施策や知事からの要請への協力に努めなければならないという規定を設けていることでございます。  これによりまして、都道府県が行う医師確保あるいは派遣のこういう対策について関係者からの協力が得やすくなるということ、また、新たな財政支援制度も使えることから安定的な運営ができると、このようなことが法定化することの効果だというふうに見込んでおるところでございます。
  149. 長沢広明

    ○長沢広明君 今ありましたとおり、地域医療支援センターの機能医療法に位置付けることによって、この機能を更に発揮しやすくなるようにできるようになると、そういう効果が見込まれると、こういう御説明ですので、この御説明のとおりしっかり機能を発揮できるように進めてもらいたいというふうに思います。  勤務環境の改善策について伺います。  医師確保を図るためには、こうした都道府県からの様々な機能の発揮、いろいろな機関の協力ということが必要です。ただ、個々の病院レベルでも、医師の定着率を高めるための試み、こういうことを進めていくことが必要だというふうに思います。  今回の法案では、PDCAサイクルを活用して計画的に勤務環境の改善に取り組む医療機関、これを支援すると、こういう仕組み制度化されました。この医師確保そして定着、これに向けて、この法案の仕組みを生かして、国、都道府県による効果的な支援が行われるように期待をするわけでございますが、むしろPDCAサイクルを活用して計画的に勤務環境の改善に取り組める医療機関というのは大きな機関ではないかと、地方の中小の医療機関、中小病院というのはなかなか勤務環境の改善と言われても大変なのではないかと思います。  医師の偏在という問題はそういう地域に比較的多く見える問題でもあり、医師の偏在を解消するために、都市部の大規模病院だけではなくて、地方の中小病院でも勤務環境の改善が計画的に行われることが重要だというふうに思いますので、こうした勤務環境改善のための取組が中小の病院も実施可能なのかどうか、どう考えていけるのか、どう進めていくのか、お考えをお願いします。
  150. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 規模によってどうかという問題もございますけれども、医師の場合はなかなか一つ医療機関に一生いるというのがいいのかどうかという別の問題がございますけれども、バーンアウトして辞めていくことがないように、それは非常に重要な視点だろうとは思います。  そういう意味で、勤務環境の改善は大病院にとっても、また逆に中小病院にとっても非常に重要なことだと思っております。また、実際に、その中小病院が主として加盟しておられる病院団体の方でもこういう制度を積極的に活用したいというふうに聞いているところでございます。  具体的にどういうことをやっていけばいいのかということですが、厚生労働省におきます調査研究事業において、例えば短時間正職員制度導入でありますとか、あるいは医療クラークなどをやって事務的な作業を任せる人を増やすとか、そういうような効果的な事例も報告されておりますし、このような成功事例について広く周知広報を図り、またそういう個々の医療機関の状況もございますので、都道府県からその中小の病院も含めて医療機関にアドバイスができるような勤務環境改善支援センターを、都道府県にそういう機能を持っていただくということも考えているところでございます。  これらにつきまして、新たな財政支援制度も積極的に活用できるようになっておりますので、そういう意味での支援をしっかりとしていきたいと考えております。
  151. 長沢広明

    ○長沢広明君 地方の中小病院でも勤務環境の改善が進むように、細かな配慮、特に都道府県に適切な対応ができるような、そういう指導お願いしたいというふうに思います。  現在、医師の中に占める女性の割合は約二割、医学部の学生だと三分の一が女性という傾向にあるようです。今後、女性の医師も増加していくということが見込まれますし、女性医師に対する様々な角度からの支援の重要性、これ非常に高くなってくると思います。これまでは女性医師等就労支援事業というのが行われて、平成二十五年度の予算にも盛り込まれておりますけれども、今回の法改正でこの女性医師等就労支援事業もやはりこの新たに設置される基金の中に入る、やはり基金に入ると。  先ほど来ずっと重ねて申し上げていますが、基金の中に押し込めることによって取組が弱くならないようにしなきゃいけないんですね。より柔軟な対応ができて、かつしっかりした対応が取れるようにしなければいけません。女性医師の定着とか、そういうあらゆる面からの支援について力強い取組を願いたいと思いますが、どのようにお考えか、お願いします。
  152. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 従来までも、補助事業として、出産、育児の離職後の再就業、これに不安を抱える女性医師に対する相談窓口や復職研修など、また院内保育所の運営など、これは従来の補助事業でやってきたものでございます。これにつきましては、御指摘のとおり、今回、新たな財政支援制度の中で対応していただくことになります。また、そのほかの、全国的な女性医師バンクについては、これは全国規模でございますので、その女性医師バンクによる就業あっせん等については引き続き補助事業でやっていきたいと考えております。  この中の、今回の法案の中で特に一番効果があると思いますのは、やはり勤務環境改善の促進が一番関係があろうかと思います。先ほど申し上げましたように、例えば短時間の正規労働のような形でありますと、やはり復職段階における女性医師の働きやすさということが備わるのではないかと思っております。そういうような形のものを支援をしていきたいと。  また、そのほか、都道府県によって様々な相談をやっておられるような形のところもございます。そういう先進的な事例も御紹介しながら、基金の中で都道府県で工夫をしていただけたらというふうに考えております。
  153. 長沢広明

    ○長沢広明君 重ねて申し上げますが、補助事業から基金になって柔軟な対応ができるということですので、ただ、何か手放しになるのではなくて、しっかりチェックをしながら進めてもらいたいというふうに思います。  医療の人材確保、人ということでずっとここまで質問させていただいてきました。最後に一つだけ、潜在看護師の復職支援ということについて伺いますが、必要な看護職員を確保すると、それで、今現在、潜在看護師の方々が七十万人を超えるとも推定されております。高齢化と少子化が同時に進行していく中で、この潜在看護師の方の復職、またもう一度活躍してもらうということは非常に大事な視点だと思いますので、看護師に再就職、また復職してもらえるようにしなきゃいけないと。  ただ、一回辞めて、離れて家庭に入ってしばらくたったと。そして、またもう一回看護師として復職する、就職するとなると、例えば最新の看護の知識に付いていけるかどうかとか、そういう不安がどうしても付いてくると。当然、子育てが完璧に終わっていればですが、まだ完全に家事そして子育てと両立できるかということを考えると、復職しようにも戻れる先というのが結構限定されるという問題が起きてくるんですね。  潜在看護師の復職支援を効果的に進める、そのためには離職されている看護師、いわゆる免許を持っている方のそれぞれの状況をきちんと把握した上でそのニーズに合った対応が必要になると。例えば、最新の看護技術に対する研修とか、それから相談、紹介、もちろん、あなたの場合はこういう看護の道の復帰の仕方、十分幅ありますよというような情報提供も含めて復職支援をしっかりしていく仕組みが必要だというふうに思いますので、どう対応するか、お願いします。
  154. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) この問題は私よりも高階理事の方が専門家でありますけれども、所掌している関係で説明したいと思います。  先生御指摘のように、少子化が進展する中で今後必要とされる看護職員を確保するためには、先生御指摘のように、平成二十二年末において七十一万人と推計されている潜在看護職員の復職支援が非常に重要であると認識しております。このため、今回の法改正では、看護師等が離職する際に各都道府県にありますナースセンターに届出させる制度を創設するとともに、サービス充実等を含めたナースセンターの機能強化を図ることとしております。  具体的には、御指摘のように、より身近な地域で支援が受けられるようナースセンター業務をサテライト展開できる仕組み導入するなど支援体制の強化を図るとともに、離職中の看護師等に対して、求職者になる前の段階から魅力的な情報提供を行うなどによりニーズに合致した復職研修の提供を行うなど、提供するサービス内容を充実させることとしております。  今後、厚生労働省としましては、ナースセンターの運営について地域医療関係団体との連携強化を図りつつ、新たな財政支援制度、つまり基金でありますが、これも効果的に活用しながら、地域のニーズに合致した効果的な看護職員確保につながるようしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  155. 長沢広明

    ○長沢広明君 今私が申し上げたことは都道府県のナースセンターでしっかりと進めていくということですので、地域医療介護の連携を進めていくためにはやはり潜在的な看護職員の方々にもう一回その中で力を発揮してもらうというのは非常に有効な手段であるし、であれば、地域医療介護の中にその地域の潜在的看護職員の方々が入ってこれるような、そういう地域にしっかり光を当てた対応が必要だというふうに思いますので、その工夫を是非お願いしたいと思います。  次に、介護の側面からの確認を幾つかしたいと思います。  生活支援の担い手をどう広げていくかというのも、これも一つの論点になっております。専門職とボランティア、こういう関係もあると思います。  そのうち、ちょっとボランティアの方を少し見たいと思いますが、元気な高齢者方々地域で自らが介護支援のボランティアを行った場合、その人にポイントを付与すると。介護予防につなげようとする制度として、介護支援ボランティアポイント制度、これ昨年十二月のこの委員会でも私質問させていただきまして、そのときには九十弱の自治体導入しているという答弁でしたけれども、その後調べますと全国で二百を超える市町村で導入が進んでいると。非常に加速して実は行われています。この委員会で視察した埼玉県の和光市でもこのボランティアポイント制度導入をされておりました。  あくまでも、私、介護の世界というのは専門職の皆様が主役であるべきだと思います。それは、専門職がしっかりと専門的な立場から介護のサービスを提供し、それによってサービスの質を落とさない、それから安全を確保する、これがまず基本だと思います。ただ、ボランティアポイント制度のような工夫を通じることで、生活の一部、生活支援のサービスの一部というものを元気な高齢者が行うということで、高齢者自身も元気な人が生きがいを維持できるし、介護の重度化も予防できるし、あるいはもっと心理的にも地域の一体感というものを高めていくと、こういう効果もあるわけでございます。  そういう意味では、専門職の活用によって質を確保する、その上で介護支援ボランティアポイント制度、こういうような普及に向けてどのような考えをお持ちか、伺いたいと思います。
  156. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 長沢委員指摘のように、今後、独り暮らしの高齢者及び認知症高齢者等が急速に増加をし生活支援ニーズの高まりが見込まれる中、多様な生活支援サービスが地域で提供される体制の構築が非常に重要だと思っております。一方、六十代、七十代の高齢者が増える中、地域の中で役割を持って社会参加する機会を増やしていくことも、生きがいや介護予防の観点から重要と考えております。  このため、今回の法案では、生活支援サービスの基盤整備について地域支援事業の包括的支援事業に位置付け、市町村が中心となって、例えばごみ出し、買物、見守り等の日常生活上の困り事への支援や、住民主体のサロン活動といった地域社会への参加を進めることとしておりまして、高齢者の参加もいただきながら地域の実情に応じて支え合いの体制づくりの充実強化を図っていきたいと思っています。  具体的には、高齢者等を対象としたボランティアの養成や、その活動の場づくりなどを市町村と連携して行う生活支援コーディネーターの配置や、多様なサービス提供体制間のネットワークを構築するための協議体の設置等を通じて、市町村による取組推進を図っていきたいと思っております。  また、今先生が御指摘のような、高齢者がボランティア活動を行った場合にポイントを付与するボランティアポイント制度については、高齢者社会参加を推進介護予防につなげる仕組みとして地域支援事業介護予防事業等を活用しながら、先ほど先生から数字が出されましたけれども、現在二百程度の自治体取組が行われているところであります。  今般の制度改正も踏まえながら、高齢者社会参加を一層促進し、支援を必要とする高齢者を元気な高齢者が支え、その高齢者介護予防にもつながるような地域づくりの全国展開をボランティアポイント制度などを活用し推進していきたいと思っています。  ちなみに、このボランティア制度を実施している例ですけれども、例えば稲城市の場合は年間五千円、そして横浜市の場合は年間八千円を上限にポイント換金制度などを導入している、こういう事例もあるようでございます。  以上です。
  157. 長沢広明

    ○長沢広明君 今政務官が触れられましたので、ちょっとこれ局長でも結構なんですが、いわゆるこのポイント、五千ポイントまで行ったら例えば商品券、あるいは八千ポイントまで行ったら例えば八千円いわゆる換金できるという、これ現場ではお金に換えられるということについてどう説明しているかというと、やっぱり保険料の還元であると、こういう説明をしているわけですよ。これは国として、厚生労働省として認められる範囲内ですか、どうか、ちょっと確認したい。
  158. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) ボランティアポイント制度についてのインセンティブということで、どういうふうに評価をするかというのは、いろんな市町村によって工夫がございまして、おっしゃいましたように、そういう地域振興券と交換をしたり、あるいは一定以上たまったときに保険料を少し低くしてあげるとかいうような、現金を直接配るというのは余り聞いたことはございませんけれども、そういういろんなやり方があろうかと思いますので、できないというようなことではないと思っております。
  159. 長沢広明

    ○長沢広明君 できないということではないということですので、ある意味一つの現場からそういう工夫も出てきているものですから、それを生かしてこの裾野を広げるということも大事ではないかなというふうに思います。  介護保険財政について、当たり前のことをちょっと聞かせてもらいますけれども、介護保険制度、持続可能性を高めていくためには、介護費用の増大が見込まれる中でも、サービスの維持を図りながら保険料の上昇も可能な限り抑えていくという、大変厳しいバランスの取り方しなきゃならなくなっていくわけですね。  まず、介護保険財政の現状と今後の見込み、先ほどの議論の中でも触れられておりますが、ちょっと簡単に説明をいただきたいと思います。
  160. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 介護保険財政ということでございますので、自己負担を含む介護総費用ベースでお答えを申し上げたいと思います。  制度創設時、平成十二年度は約三・六兆円でございましたけれども、平成二十四年度で八・八兆円、今年度予算ではもう十兆円ということになっております。一定の仮定の下で、これ平成二十四年三月に行った試算でございますけれども、二〇二五年には約二十一兆円に達するという推計をしております。それ以上先はまだやっておりませんので答弁はできませんけれども、そんな推計を持っています。  これに伴いまして、費用が増えることも問題なんですけれども、やはりそれを支えていくためには保険料負担が大事でございますので、この保険料が当初は約二千九百円でございましたけれども、現在は一人当たり約五千円、これが二〇二五年には八千二百円というふうになると見込んでいるところでございます。
  161. 長沢広明

    ○長沢広明君 保険料の上昇というのが当然見込まれていくわけですけれども、こうした中で、低所得者の負担を抑えるためには、保険料段階、今標準は六段階、収入に応じて六段階の設定がなされていますが、保険者によっては最大で十八段階までしているところもあるんですね、段階刻んでいるというところもあります。今回の法案の見直しで、低所得者に対してより一層きめ細やかな軽減を行うということをこの見直しの中に盛り込まれておりますが、この点について国民に向けて簡単に説明をお願いしたいと思います。
  162. 土屋品子

    ○副大臣(土屋品子君) 現在も低所得者に対しましては〇・五から〇・七五倍を標準として軽減されておりますが、二十七年度に向けては新たに今回の法案で公費を投入し、所得の低い方の保険料について現在の軽減割合を更に引き下げて、〇・三から〇・七を制度化することとしております。
  163. 長沢広明

    ○長沢広明君 市町村民税、世帯全員が非課税のところ、六十五歳以上全体の約三割になりますが、この部分でこの段階を少しずつ下げて保険料の軽減を行うということが盛り込まれているということで、その分は公費によって補填するということで、一定の評価をしたいというふうに思います。  こうやって保険料の多段階化というのが進んでいくのであれば、多段階化が進むということは要するに簡単に言えば所得比例じゃないかと。でも、もう医療保険じゃないけど要するに所得比例の保険料にするというのがはっきりしていいんじゃないかと、こういう指摘もあるんですけれども、この点、私そうしろと言っているんじゃなくて、どう考えるかだけ伺いたいと思いますが。
  164. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 議員が御指摘のように、負担能力に応じた保険料負担ということで、応能負担という医療保険のような仕組みも当然一つの案としてはあろうかと思いますけれども、制度創設時の議論といたしましては、本来同じ給付を受ける以上、保険料一定額であるべきである中で、負担能力の低い方でも負担できるようにする必要があるということ、それから介護保険の給付は定型的なものである中で、一定の者の保険料負担を著しく高額とすることは給付と負担の均衡の観点から適当ではないと考えられたこと、また、被保険者が理解しやすい、分かりやすい制度とすることなどから、現在のような所得段階別の定額保険料の方式が採用されたものでございます。  また、それでは今後新たに所得比例方式を採用したらどうかということでございますけれども、現行制度がここまで定着していく中で、現行の負担とのバランスをどう考えるか、かなりこれ変えますと負担の増減が出てまいりますので、その辺はちょっとよく慎重に考えていかなきゃいけないと思います。  いずれにしましても、今後も保険料水準の上昇が見込まれる中では、保険料の在り方については常に検討してより公正な制度仕組みにしていく必要があろうと考えております。
  165. 長沢広明

    ○長沢広明君 私、所得比例にしろと言っているわけではなくて、そういう声も当然出てきますねということで、現段階の考えを伺ったまででございます。  最後にちょっと、最後というか二点ほど認知症の問題について伺いたいと思います。  大変大きな課題だと思います。ちょっとデータを伺おうと思ったんですけれども、これはやめます。最後もう一問だけ、大臣にちょっと伺いたいと思います。先日、認知症の高齢者が列車にはねられて死亡した事故に関連して、振替の輸送費など損害賠償をその妻に命じたという名古屋高裁の判決がありました。これはもう認知症の高齢者介護する家族には多大な負担を与えるものだと思います。  我が党の井上幹事長も談話を出しまして、大変残念だと、介護の実態を反映しない極めて残念な判決であると。この判決を契機に、認知症を抱える、認知症の方がいらっしゃる家族においても、安心して在宅介護ができる仕組みをどうつくるか、見直しを進めていかなければならない。これをやっぱり一つの契機にして、老老介護というか、在宅で住み慣れた地域で住み続けられる国の認知症対策、こういうことをきちんと組み立てるべき大事なきっかけにすべきであると、こういうふうな会見で意見を述べておりました。  認知症の高齢者介護する家族の苦労の大きさというのは、これはもうただでさえ日常的な疲弊というか、その苦しみは大変な、外からも見えないものがたくさんあると思います。更に負担を掛けるようなことがあってはならないと思いますし、地域包括ケアシステムの推進に当たって、この認知症を有する方々への対応と、そしてその家族に対する支援と、こういうことも充実させていく必要があります。  これも、先日の参考人質疑の中で、私も関係者の方にあえてお伺いをしました。その際、その関係者の方からは、認知症に対する社会全体の理解が深まることがまず大事だと思いますと、こういうふうにおっしゃっていたのが非常に印象的でございました。  政府としては、認知症を有する方の家族の支援について今後どのような策を進めていこうとされているか。ちょっと、現場で結構いろいろ工夫されている中では、認知症の家族がいらっしゃる方々、家族が語り合えるような認知症カフェなんというのを持って、家族がお互いに、うちはこうです、こうです、こう語り合いながら、そこで一つのネットワークを新たにつくっていくような、認知症カフェみたいなことをつくる取組なんかも現場では始まっているんですね。  こういう認知症を有する家族の支援について今後どのような考えでいらっしゃるか、確認したいと思います。
  166. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) おっしゃられますとおり、認知症の方々が増えてこられておられるという中において、当然、介護をされておられる御家族も含めて家族の支援というものも重要なわけであります。  基本的には、地域包括支援センターで総合的な相談は受けるわけでありますが、ほかにも家族の方々が電話相談を受けておられたりでありますとか、あとは、例えばいつも申し上げておりますが、初期集中支援というような形で、チームを組んでまず情報収集から、その後、観察、評価といいますか、アセスをしながら、訪問した時点でやはりいろいろと心理的なサポート、家族に対する、こういうこともこの集中支援チームの中で進めていくという中において、最終的に医療への勧奨でありますとか、またどのような介護体制がと、こういうところまでつなげていくわけであります。あわせて、グループホーム等が相談事業等々、こういうこともやられ出してきておりますし、今委員がおっしゃられました認知症カフェ、これは家族だけではなくて専門職の方々も入っておられる中においていろんな相談ができるというような形もあるわけであります。  いずれにいたしましても、認知症サポーターの養成も今六百万人に向かって進めておるわけでございまして、本当に総力を挙げて、認知症に対する対策、そして家族への支援、こういうものを進めてまいりたい、このように考えております。
  167. 長沢広明

    ○長沢広明君 今大臣が挙げられた様々なこと、それから認知症の方を抱えている、でも、それでどこかに相談行けない、そういう家庭に対して、あえて積極的にきちんと伺いに行くというか、アウトリーチをしていくというのも地域では非常に効果が上がっているという面もあります。  そういうことも含めて、この認知症対策というのは、ある意味政府一つのやっぱり柱に据えて、認知症の方がいらっしゃる家族の安心、そして地域が一体になっていけるように、いざ何かあったときには行政、警察、そういうところがすぐちゃんと協力できるような体制、こういうこともきちんとできるような、大きなやっぱり柱にするだけの大事な施策にすべきであるというふうに思いますので、是非そのことを御検討いただきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  168. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  木村委員の話を私も聞いておりまして、高齢者専用住宅、高専賃とかそれからサービス付き高齢者住宅、それから有料老人ホーム、こんないろんな出てきておりますけれども、やっぱりここはしっかりと今都道府県でどれぐらいの数ができてきているのかというのはきちっと厚生労働省としても把握をしておかなければならないなというふうに思いました。たしか、高専賃とかサービス付き高齢者住宅、これなんかは都道府県ではどこが所管しているかというと、住宅関係のところが所管をしておりまして、非常にこういう医療とか介護とか、こういった福祉分野のところは余り所管をしていないんですよね。  だから、きちっとやっぱり厚生労働省としてもこの辺はしっかりと把握しなきゃいけないというふうに思っておりますので、是非実態、一体どれぐらい数字ができてきているのか、是非ともそこは調査していただきたいし、サービス付き高齢者住宅なんかはいろいろと問題起こってきていますよね、過剰な介護が。やっぱり誰からも見られていないわけですから、サービス付き高齢者住宅というのは。家族もほとんど来ないところが多いですからね。だから、やっぱり非常に問題があるというふうに思っていまして、やっぱりここは厚労省としても是非実態を把握していくことに努めていただきたいというふうに思っております。大変そういったことを感じました。  六月三日の厚生労働委員会の方で、診療報酬に関連して、病床のところですけれども、七対一のところの診療報酬を下げて、地域に密着した病床については診療報酬を高くするというイメージかというふうにちょっと質問しましたところ、田村大臣の方からは、地域包括ケア病棟、こういう新しい概念の中において診療報酬として設定しており、そういうものも含めて誘導を進めていく、診療報酬等々で評価をしていくというような形も含めて、七対一は厳格化して点数を取れないようにするというような形の中で誘導していくというふうな答弁をいただいていまして、非常に分かりにくいなというふうに思いまして、もう一度、再度、この診療報酬体系の見直しについてお伺いいたしたいと思うんですが。
  169. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 七対一の入院基本料というものは変わらないわけであります。ただ、この中で、患者さんの重症度、それから医療や看護等々の必要度、こういうものを厳格に見ていくわけでありますので、そういう意味では、そうでなければ点数が取れないという形になってくるわけであります。  一方で、そういうような形で点数が取れなかったら、これ病院として病床がなかなか運営できていかないわけでありますので、そこで地域包括ケア病棟というものの入院料というものを設定いたしまして、そこに誘導をしていくという形、これは十三対一を基本といたしております。  でありますから、もっとも、看護師の皆さんの配置を若干高めにしていただきますと加算はあるわけでありますけれども、そういう中において、七対一から地域包括ケア病棟の方に誘導をしていくというようなことを申し上げたわけであります。
  170. 東徹

    ○東徹君 じゃ、七対一のところの診療報酬というのは変えないということですか、診療報酬はですね。
  171. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 点数は変えないということであります。
  172. 東徹

    ○東徹君 分かりました。  七対一のところの診療報酬は変えなくて、そこに入れる要件を厳しくしていくというようなことだと思うんですが、その下の、じゃ、十対一のところは恐らくそんなに変えないのかどうなのか。やっぱり十三対一とか十五対一、ここが病床が非常に少なくなってきているわけで、ここのところはやっぱり診療報酬を上げていくというようなイメージなんだろうというふうに思いますが、そういうことですかということと、先ほど、この地域包括ケア病棟というのになると、ある程度の診療報酬が高めになるという理解でよろしいんですね。
  173. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 十対一は今回変えておりません。これからどうするかというのは、様々な要因を踏まえながら、それぞれの医療報酬改定の中において考えていくわけであります。  地域包括ケア病棟入院料、これに関しましてはそれに適した基本料を設定して、その中で運営いただくということであります。若干、看護師を配置を厚くすれば、それに対して加算というものは今回見ておるわけであります。
  174. 東徹

    ○東徹君 そうなってくると、七対一の入院基本料を減額して点数を取れないようにする。今まで高い診療報酬を得るために医療機関によって奪い合いになっていた看護師が今度余ってきてしまうというような現象になっていくのではないのかなというふうに思うんですが、在宅医療の提供体制を整える意味でも、これから看護職をうまく訪問看護を担っていってもらうというふうに促す必要もあるんじゃないのかなと思うんですが、この辺の対策はどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  175. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 在宅医療を進めていくという方向性がもう一方であるわけでありまして、そのためには看護師の皆様方の御活躍というもの、これは我々も大変大きく期待をさせていただいております。  今回、例えば重症度の患者さんでありますとか、それからまた二十四時間型でありますとか、ターミナルケアを見ていただく、そういうような訪問看護ステーション、これは機能強化型ということで新たに評価をさせていただくわけであります。あわせて、機能強化型の訪問看護ステーション等々を整備していく、若しくはその下で仕事をしていただく看護師の皆様方の養成といいますか、研修ですよね、こういうような意味も含めて、この新たな財政支援制度の中から使っていただきながらこの整備を進めていただくというようなことも考えておるわけであります。
  176. 東徹

    ○東徹君 分かりました。  じゃ、次に、六月五日の厚生労働委員会では、今回の法案の医療事故調査制度において、民間の第三者機関である医療事故調査・支援センターをどこにするかはこれから検討するもので、日本医療機能評価機構も対象になり得るというふうな答弁がありました。  先日も、この厚生労働委員会で参考人として日本医療機能評価機構の方が来ていただいて、もうすごい分厚い資料をいただきまして、もう本当に持って帰るのも大変重たいなと思うぐらいの資料でございまして、中身を見ると、やっぱり確かに今までの医療事故の情報というものがかなり蓄積された中身になっておりましたけれども。  現在の日本医療機能評価機構は、前回、赤石政務官の方から答弁がありましたように、単に事例の収集、分析を行う医療事故情報収集等事業を行っているだけであって、調査能力というのは有していないというふうに思われるというふうにありました。  仮に、日本医療機能評価機構が今回の法案の医療事故調査制度における全国で一か所しかない民間の第三者機関に選ばれた場合ですけれども、この機構は調査能力がないため医師会などの全国の支援団体に調査を委託するしかないというふうに思います。その結果、医療機関といろんな関係のある地元の医師会が医療事故を調査するとして、本当に第三者としての中立性、いろいろと参考人の方が一番心配していたのは、中立性があるのかどうか、公正性があるのかどうか、この辺のことを一番心配されておりましたけれども、やっぱり私もこの辺のところが一番疑問に思うところでありまして、今回の法案の医療事故調査制度における調査の第三者性や中立公正性、これをどのように確保していくのか、伺いたいと思います。
  177. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 私も、先週ですか、参考人の質疑の非常に分厚い資料を持って帰ってずっと見ましたけれども、かなり膨大なデータを保有しているなということは分かりました。  今は、厚生労働省として考えておりますのは、この医療事故調査・支援センターというものを考えておりまして、医療事故調査を行うこと及び医療事故が発生した病院等の管理者が行う医療事故調査への支援をここが行うことによりまして、医療の安全の確保に資することを目的としております。  院内調査結果等の収集した情報の整理、分析、報告、そして管理者又は遺族の依頼に基づく調査及びその報告、そして医療事故調査従事者への研修、医療事故調査への相談、必要な助言、それから医療事故の再発防止に関する普及啓発といった業務を行うことを想定しております。  この医療事故調査・支援センターは、第三者性、中立性、公平性、専門性を担保する観点から、これらの業務を適切に行うことができる社団又は財団をその申請に基づき厚生労働大臣が指定することとしております。  現在、医療事故に関する業務を行っている機関として、医療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業を実施している日本医療安全調査機構や、医療事故情報収集事業等を実施している、先ほど指摘ありました日本医療機能評価機構がありまして、この医療事故調査・支援センターに求められている業務の趣旨を踏まえ、中立性や専門性等の観点を踏まえつつ、これらの法人を含めて検討することとしております。
  178. 東徹

    ○東徹君 医療事故調査・支援センターということでありますけれども、ちょっと次の質問になりますが、一般社団法人日本医療安全調査機構というのがございますよね。これ、厚生労働省のモデル事業として、現在も診療行為に関連した死亡の原因を調査し、その評価結果を遺族や医療機関に提供するとともに、同様の事例が再発しないための対策検討の上、周知する事業を実施しているということなんですね。  こういう医療事故の調査しているところが既にあるというわけですけれども、医療事故調査制度における医療事故調査・支援センター、先ほど赤石政務官の話がありましたが、同様の事業を既にこの日本医療安全調査機構は実施しているというふうに思われるんですが、この機構も医療事故調査・支援センターの候補というふうに考えることができるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  179. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) それは、先ほど言いましたように、いずれもそういう可能性を持っている団体であろうと思っておりますが、これからの検討課題になるというふうに思います。
  180. 東徹

    ○東徹君 日本医療機能評価機構と日本安全調査機構、現在果たしている機能と今回の法案の医療事故調査・支援センターの果たす機能とは非常に似通っているわけですけれども、とすれば、この二つの機構を併せれば、今回の医療事故調査・支援センターとして指定したらいいんじゃないのかなと思うんですが、いかがなんでしょうか。
  181. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 事業そのものの趣旨としましては、今回の医療事故調査制度につきましては、医療機関又は医療事故調査・支援センターによる調査を前提としている点でありまして、単に事例の収集、分析を行う医療事故情報収集事業とは異なり、また医療機関からの自主的な調査依頼により初めから第三者が調査を行う診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業とは異なる制度でありまして、本制度の創設がこれらの事業の廃止には直結しないものというふうに考えております。
  182. 東徹

    ○東徹君 まあ廃止まではちょっと言っていなかったんですが。いつもいつも次のところまで御答弁いただいて、もう本当に丁寧で有り難いんですけれども。  廃止とまでは言っていないんですけれども、それだったら、そういう機能を果たす意味がやっぱりなくなってくるんじゃないのかと思うんですよね。同じことをやっぱりやっているわけですよ。今でも医療機能評価機構というところは、確かに限られてはいますけれども、医療事故の情報収集をしっかりとやっていっている、日本安全調査機構というところはそういう医療事故の調査をしているわけですから、これ本当に、実際これまでやってきた、この間の資料を見ればやっぱりそれなりの実績があるわけですから、そういうところを活用することが、本当に何かこの事業がスムーズにスタートするんじゃないのかというふうに思うわけであります。  次の質問でありますけれども、今回の法案の医療事故調査制度における民間の第三者機関、いわゆる医療事故調査・支援センターですけれども、まず、医療機関において医療事故が起こったと判断したものでなければ、遺族から調査の依頼があっても調査しないということでありますけれども、まずこの一点、これでよろしいんですよね。
  183. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 本制度におきましては、医療事故とは、医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該医療機関の管理者が死亡又は死産を予期しなかったものとしておりまして、医療機関の管理者が医学的にその対象と判断しない場合には調査が行われないこととしております。  したがって、医療機関の管理者が医療事故を適切に判断することが極めて重要でありまして、届出事例を標準化するための具体的な基準や例を示すこと、さらには医療事故調査に関わる者に対する研修を実施することなどについて、今後、厚生労働省においてガイドラインを策定することとしております。
  184. 東徹

    ○東徹君 じゃ、端的にお答えいただきたいんですが、もう一度、前にもここのところは質問にもありましたんですが、亡くなられた患者さんの遺族の方から、今回どうもやっぱり腑に落ちない、医療事故じゃないのか、調査してほしいという依頼があっても、病院の方が、医療機関の方がこれは事故じゃないと言えば調査してもらえないということですね。
  185. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) あくまでも、今政務官が申し上げましたとおり、管理者が死亡又は死産、これを予期しなかったものでありますので、そうでなければ、これは患者側から申出があったと、患者側といいますか遺族の方から申出があったといたしましても、そのような、どこに責任があるのかだとか誰が悪かったのかだとか、そういうものを今回は調査する、そういう制度ではないわけであります。  ただ、いろんな、そういうふうな問題に関しましては、医療安全支援センターで、こちらの方が各都道府県にございますので、こちらの方にいろいろと御相談をされるということはあろうと思いますし、先ほど政務官からも話を申させていただきましたけれども、日本医療安全調査機構、こちらの方のモデル事業、こちらの方に申し出ていただければ、医療機関の方に機構の方からこういうのがありましたよというふうな話がある中で、医療機関が同意があれば、モデル事業として調査、分析というような形に入っていくということであります。
  186. 東徹

    ○東徹君 やっぱりそこは、本当にこの制度そのものがちょっとおかしいんじゃないのかなと思うんですよね。患者、家族の人たちがこれは医療事故だ、やっぱり疑わしいと思っても、医療機関が、いや、これは事故じゃないと言ってしまえば、これは調査してもらえないんですよ、ここでは。これはちょっとやっぱり腑に落ちない仕組みだと思うんですが、本当、それでいいんですか。
  187. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これは、前回、平成二十一年度、これは自民党・公明党政権でありましたけれども、このときに、医療事故に関しての大綱というふうな形で示させていただいたものがあるわけでありますが、このときの議論も各関係者といろいろやりました。やりましたが、最終的には意見の合意を得られなかったわけであります。  それは、やはり医師法二十一条の問題等々絡んで、原因究明という話になってまいりますと、なかなか関係者の調整が付かなかったということがございまして、ごめんなさい、平成二十年ですね、その後、いろんな議論を経る中において、原因究明、これをする中において、次の言うなれば事故を防止する安全対策だということならばこれに対しては今般のような形で関係者が合意をするという形の中において、今回こういう形で提出をさせていただいておるわけであります。  でありますから、誰が悪いでありますとか、そういうような話ということになってきますと、なかなか関係者の合意が得られてこないという中において今般はこのような形でやるということを御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
  188. 東徹

    ○東徹君 誰も、責任追及とか、誰が悪いとか、そういうことを僕もこれは目的としているものじゃないというのはよく理解しているんです。  この間からの、遺族の方もお話もされておりましたが、参考人の方でしたけれども、やっぱり原因を追求して、原因を探って、そして再発防止をしていく、原因究明と再発防止、こういったことをやっぱり目的としているんですよというふうにおっしゃっていました。  死亡事故が生じた場合に、医療機関がこれは医療事故ではないというふうに判断すれば、そもそもこれ調査の対象にすらならないんじゃないんですか。
  189. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) ですから、誰が悪いでありますとかそういう話ではなくて、これが純粋に次の再発防止につながっていく調査であるというような形の中においては、当然のごとく管理者は、責任追及ではないわけでありますから、この医療事故調査・支援センターの方に報告をする中において、届出をする中において調査に入るわけであります。調査に入った結果を報告をするわけでありまして、その報告に対して家族の方々がこれに更に調査をしてほしいということであれば、そのときには医療事故調査センターの方におっしゃっていただく中において、医療事故調査センターが次の調査を行った上で、そして報告、説明をするということでございます。  でありますから、言うなれば、誰が悪いとかそういう話でなければ、当然のごとく医療機関はそのような中において、これは管理者が判断される話でありますけれども、予期せぬ死亡が起こった場合には、この医療事故に対する院内調査をまず始めていただくということでございますから、まずそういう流れの中において事実といいますか問題点等々が解明をされ、それに対してのいろんな対応という形で医療の安全というものが確保されていくと、こういう制度であるわけであります。
  190. 東徹

    ○東徹君 全く今回のこの仕組みはその目的に合っていないですよ。これ、医療事故情報の提供と再発の防止という目的に合わないです。  本来、調査されるべき医療事故が、医療機関の管理者の判断一つでこれは調査の対象外というふうになってしまうわけですよ、そうでしょう。これでは、医療事故かどうかの判断が微妙な事案ほど医療機関の管理者の判断によって調査対象外というふうになってしまうということがこれは懸念されるわけです。そうなると、結局、医療事故情報の提供と再発の防止という目的にそぐわない結果になるというふうに思いますが、いかがですか。
  191. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) ですから、医療機関側の責任追及とかいう問題でなければ、当然医療機関は、管理者は、何か問題があった事象で事故が起こった場合にはそれは調査をするわけでありまして、医療機関が悪ければ、常に何か隠してやろうというような、そういう悪意の下で運営をされる医療機関であればそれは何でも隠すという話であると思いますが、言うなれば、自ら医療機関が過度に責任を追及される制度でないというふうに理解をされれば、当然これは報告すべき話であるというような事故に関して、事象に関しては、これは報告した上で調査に入っていくわけであります。  でありますから、そこはちゃんとこれが医療事故であるかどうかということを判定できるような、先ほど政務官から申し上げましたが、届出事例、これに関しての基準でありますとか例というものをしっかりと整備する中において、それぞれ携わる方々が研修を受けられれば、こういうような案件であればこれは医療事故として報告、調査すべきものであるということを正当に管理者の方が御判断をされるわけであります。  でありますから、私が申し上げておるのは、あくまでもこれは原因究明した後に、次、医療事故を防止するものでありますから、責任を第一義に追及するものではないという前提でありますので、当然、医療機関というものはそのような御判断をいただけるのではないかということを申し上げておるわけであります。
  192. 東徹

    ○東徹君 それはやっぱり駄目ですよ。この制度は、患者の遺族からもこれは調査してほしいと言ってきたら調査する仕組みにやっぱりこれは変えるべきですよ、これ、大臣。これは本当にそうじゃなかったら何のためのこれ医療事故調査・支援センターか分からないですよ、これ。誰のためにあるんですか。
  193. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) いろんな思いが家族にはあられると思います。全ての家族からの調査というものを受けておれば、今度は医療機関は大変な費用負担というものが掛かってくるわけであります。でありますから、医療事故であるかどうかという判断は誰かが下さなければならぬわけであります。  医療機関にしてみれば、それによってもしかすれば将来的には訴えられるということがあるかも分からない。いろんな不安の中で実はこの議論というのはやってきたわけでありまして、今般、そのように御意見をおっしゃられる方がもちろんおられることも我々も理解いたしておりますが、一定の御意見をそれぞれの団体の皆様方からお受けをする中において、医療事故の遺族の皆様方等々の御意見も、それは思いの中では十分ではないかも分からないですけれども、一定程度、今般の制度がスタートするにおいては、このような考え方というものの中において御理解をいただいたという中において法案を提出をさせてきていただいておるわけでございまして、これは一定程度やはりそれぞれの関係者の意見というものが一致をしないとなかなか法案提出というものが今までもできてこなかったという中において、今回一定程度の一致を見て提出させていただいたということでございまして、それぞれいろんな御意見があるのは承知でございますけれども、今般はこのような形で提出をさせていただいたということで御理解をいただければ有り難いと思います。
  194. 東徹

    ○東徹君 こんな中途半端な法案じゃ駄目だと思いますよ、はい。やっぱりこれは患者の遺族の方から調査できる仕組みに変えるべきです。  時間がないので次の質問に入らせていただきますけれども、医療情報データベース事業についてでありますけれども、平成二十三年に実施された拠点病院等選定条件として、募集要項では、「医薬品等の安全性に関する疫学調査・研究の実施、疫学調査・研究の人材育成の取組みを全部又は一部行っており、かつ、今後も継続、発展させていく予定があること。」が掲げられており、募集要項上は、これを含む全ての条件を満たす病院を拠点病院として選定することになっております。  例えば、千葉大学の中の一部の研究室が、今回ノバルティスファーマの元社員の方が逮捕されましたけれども、製造業者と癒着してデータの改ざんなどを行ったとしても、根本となる大学全体の情報データベースが侵されているわけではないというふうに、前回、赤石政務官の方からは答弁をされておりましたが、情報データベースへの信頼というのは全くそういう話ではないと思います。  そもそも、募集要項上、千葉大学などは適正な研究ができていないことから、拠点病院として条件を満たさないというふうに思われるんですが、先日の委員会では、既にシステムを構築しているから再編成するにはコストが掛かるとの答弁もありましたが、募集要項に反するデータベース事業について、千葉大学、東大、徳洲会含めて事業を継続する理由にはならないというふうに思うんですが、いかがですか。
  195. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 前回も同じような答弁多分したと思いますけれども、今委員が御指摘の臨床研究での不正の事例というのは、一部の研究者が患者情報を集計、解析する過程でデータの改ざん、捏造を行った疑いが指摘されているものであります。こうした不正はあってはならないものであるというふうに、私も大変遺憾に思っております。  しかしながら、この本事業は、データの集計や解析の過程での改ざんは難しく、データベースの情報に問題が生じているわけではありません。  御指摘の点をもって各病院での事業の実施に支障があるというふうには考えておりませんで、今後ともしっかりと検証しながら実施していきたいと、このように思っております。
  196. 東徹

    ○東徹君 そもそも募集要項に合わないんじゃないですかということを言わせていただいているんです。  もう時間がないので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。     ─────────────
  197. 石井みどり

    委員長石井みどり君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、大家敏志君が委員を辞任され、その補欠として宮本周司君が選任されました。     ─────────────
  198. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。  東先生が大変いい調子で事故調のところ、まず最初の一歩というところで長沢先生に引き続きやっていただきました。  今日は、私、五十分使いまして医療事故調査制度について詳細を確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  先ほど来、東委員もおっしゃっておりました、こんな制度では、この事故調査の制度の目的と違うじゃないか。そもそもこの目的というものがどこに書き込まれているか、私、条文一生懸命探しましたけれども、ないんですけれども、大臣お願いできますでしょうか。
  199. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 第三章、医療安全の確保というところの第一節、医療の安全の確保のための措置、そして第二節に医療事故調査・支援センターという規定があるわけでございます。ここに書かれておるわけでございます。
  200. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これは、医療事故調査・支援センターのものであって、今回の医療事故調査制度全てに係るものではないですよね。いかがですか。
  201. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 今ほど大臣お答えしたように、第三章、第一節に医療安全の確保のための措置というのがございまして、その中の条文にも当然ながら医療機関からの報告ということが出てまいります。  第二節については、先ほどのセンターについての規定ということになります。
  202. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、本法案において、先ほどから再発防止ということが何度も言葉として出てきておりますけれども、再発防止について法的にはどのように位置付けられているか、御説明いただけますでしょうか。
  203. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 先ほど言いましたけれども、第二節ですね、第三章医療安全の確保の中の第二節、医療事故調査・支援センターというところでございます。ちなみに、第六条の十六の六、医療事故の再発の防止に関する普及啓発を行うこと、ここに書かれております。
  204. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  その再発防止をどうやってやっていくということが結局ここの中では語られずに、最後にはガイドラインで示しますと、落としどころはいつもそこに求められております。これでは議論ができないんですね。  この間の参考人の皆様方からもお話がございました、ガイドラインの作り込み方によってどれだけでもこの制度、左右されてしまうんだ。やはり私ども、こうやってこの十九本の大きな法案の中の一つの法案ではございますけれども、これは本当に医療の信頼性に関わる問題です。ですから、しっかりとそのガイドラインが一つ一つどのように位置付けられていくのかということをこれから確認をさせていただきたいと思っております。  まず、皆様方、資料の一、資料の二を御覧いただきたいと思います。  この資料の一というのは、日本医療機能評価機構、産科医療補償制度、再発防止の取組の中で医学的な観点から原因分析をして、そしてその御家族にも開示された後というのにも全くこの訴訟件数が増えていないよという根拠に使っていきたいんですけれども、平成二十一年度を見てください。再発防止の取組というものが、二十一年度、ここで始まったんです。医療者の皆様方が今一番怖がっていらっしゃるのは、このように情報が開示されると訴訟が増えるんじゃないか。しかし、これ二十一年から見ましても減っていっております。こうやって調査を行って御家族に説明をしても、御家族は納得して大きな訴訟にはつながっていない可能性がこれであるのではないか。  資料二を見ていただきます。この資料二は、日本医療安全調査機構の中でモデル事業を行っておりました。このモデル事業の中で、調査後の御遺族の皆様方の感想でございます。モデル事業で調査して良かった、どちらかというと良かった、七一%と一九%。こんな多くの皆様方が、調査をしたことによってかなり満足度が高かったということにもなってまいります。  ですから、私自身の願いとして、今回この医療事故調査の制度ができることによって、今まで大きな壁が医療者とそして御遺族の間にはあった、その壁を打ち破らなければならないと思っております。御遺族からしてみると、医療者というものはいつも事故を隠蔽するじゃないか、医療者からしてみると、御遺族そして患者様方というのはクレーマーじゃないか、そこの壁が取っ払えないからこそ今までなかなかこの話が法案にまで結び付いてこなかった。だからこそ、私は、今回のこの法案、本当に一つでも多くの事故が解決でき、そして本当に多くの皆様方が御納得いただけるような制度にしていきたいと思っております。  ですけれども、この事故調査に係るようなこの仕組み、同じようなものが消費者庁にもございます。消費者庁に既に設置されております消費者安全調査委員会というもの、今後、この医療事故調査に係る仕組み、どのように連携をしていかれるのか、大臣、御意見伺えますでしょうか。
  205. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 消費者安全調査委員会は我が省の所管ではありませんから、あえて私から申し上げるのがいいのかどうかちょっと分かりませんが、消費者の生命身体に係る消費者事故について原因究明を行い、同種、類似の事故の発生、拡大防止を図るため、関係大臣に対して必要な助言を行うと、これが消費者庁の消費者委員会の目的であるわけであります。  今般のことを申し上げますと、個別の事案は消費者調査委員会には事例として上がりません。それは、今般、医療事故調査・支援センターは報告というような形を行政に出すわけではないわけでございますので、そういう意味では、厚生労働省自体にも来ませんし、そしてまた消費者調査委員会の方にも行かないと。  ただ、年報というような形になるかどうか分かりませんが、例えば通年通じてこのような類型がありますよというようなものは出していただける可能性はあるかも分かりません、これからの制度設計次第でありますが。そうなってきた場合には、そういうものを共有しながら連携というものはできるのであろうと、このように認識いたしております。
  206. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  実際に、私ども問合せをいたしますと、やっぱり医療事故に関して調査をしてほしいという問合せが消費者庁にも行っているんですね。ですから、結局、先ほどから東委員もおっしゃられますように、予期をしていたんだということで管理者が調査も行わないと、やっぱりこういうところに通報が行ってしまう、何とかしてくれと御遺族の皆様方からお願いがされてしまう。  ですから、しっかりここは連携をして、医療側で解決できるべきことということはしっかり今回の医療事故調に一本化をしていく方針なのか、それともやっぱり窓口は二つにして、しっかりと消費者庁は消費者庁で医療消費者としての調査をするのか、そこは今後お考えをいただきたいところでございます。
  207. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 今申し上げましたが、今度の制度の中において個別のものがどういう扱いになっていくかといいますと、今度の制度の中では行政には個別案件の情報は行かないわけでありますので、これは医療事故調査・支援センターの中で完結していただいて、遺族の皆様方には説明という形になるわけでもあります。  先ほどの話で申し上げれば、全ての患者、遺族からの要望を調査に結び付けろというお声、東議員もございましたが、これはお気持ちとしては分かるんですが、これ、費用は、今制度では医療機関が全て、医療機関内でやる調査に関しましては費用を持つわけでありまして、今いみじくも委員がおっしゃられましたが、遺族には遺族の皆様方の思いがあって、病院には病院の思いがある。何かあったときにはもう全て調査だという話になれば、医療機関側の負担というものはこれは莫大になるわけでございまして、そのような中で、なかなかそのような立て付けというものが今回はつくれなかったということは御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
  208. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  費用負担につきましては後ほどお話をしていきたいと思うんですが、既に日本医療機能評価機構の中で産科医療補償制度というものが行われております。当該事案の発生というものを予期できたか否かというものにかかわらず、広く分娩時の脳性麻痺の事例情報というものが収集された結果、共有する背景というものが次第と明らかになってくる、これが再発防止につながっていくということもございます。  一方でいうと、死亡という結果がごく僅かでも予期できたかということになると、届出は不要だよねというような誤解を受けないとも限りません。単に死亡の可能性が完全に否定できないというだけでは当該事例の発生を予期していたとは言えないと、ガイドラインでは明記すべきではないのかなと私は考えています。  先ほどから同じ質問でございますので、一問飛ばさせていただきます。  資料の三を見ていただきたいと思います。  大臣は、先ほど東委員質問に対しまして、事故が起こったら医療機関は調査をしているよね、それが当たり前ですよねというふうにおっしゃいました。この資料三、医療事故情報収集事業の中で千床以上のところを見ていただきたいと思います。千床以上は、事故報告を義務付けられている病院が二十七施設ございます。そのうちに、二〇一三年は二十五施設しか届出がないんです。二施設は事故もなかったと、届出もないんですよ。  でも、皆様方、これを御覧いただいて分かるように、千床以上の規模がありながら、報告がゼロが二施設という一方で、報告がある二十五施設からは五百五十二事例が報告されたということは、一施設当たり二十二例の事故が報告されているんです、年間に。事故ってやっぱり確率的なものでございますので、そのぐらいは起こって当たり前だよねと医療者の皆様方、ここにいらっしゃる皆様方も考えていただけるかと思うんですね。  じゃ、その二施設は、ないわけがないんですよ、でも届け出ない。これがやっぱり医療現場の現状なんですね。ですから、こういう数値を見て、御遺族の皆様方若しくはそういうヒヤリ・ハットに遭われたような皆様方にとっても、やっぱり医療側の皆様方は隠蔽するんだよね、そういう体質が染み付いているね、そう思われてもこれ仕方がない資料なんですよね。  ですから、しっかり今回ガイドラインで、大臣が先ほどから何回も御答弁いただいておりますように、どういう症例については報告すべきかということを明示しますということでございますけれども、一方で、やはり医療事故調査・支援センターというものもこの医療機関の監視をする必要があるのではないかと思いますけれども、局長、いかがでしょうか。
  209. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答え申し上げます。  今回の制度は、どこを起点にするかというのはその検討段階でいろいろございました。御指摘のような遺族側からの発議といいますか、発端があってもいいのではないかという議論もございました。そういう中で、今全く何もない状態、こういう情報収集等事業がございますけれども、全ての医療機関に対してのものではございませんし、今何もない状態から一歩進んでいくために、そのために、今回のように、医療機関側ではありますけれども、管理者の責任の下にその医療事故の判断をしていくと、そういう仕組みにしたわけでございます。  その中で、そこは恣意的に起こらないようにというのは非常に重要な点でありますので、先ほどから大臣からも申し上げていますように、具体的な事例を示すとか、あるいは医療事故、安全に関する研修を行うとか、そういう形の中で対応していきたいと思います。また、この医療事故調査・支援センターからも、いろいろな医療事故調査の実施に関する相談には応じることとしておりますので、その辺りについて適切な助言を医療機関側に行うような仕組みなどについて検討していきたいと考えております。
  210. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しかし、もう何もない何もないとおっしゃっても、モデル事業もございますし、産科医療の補償制度もございます。ですから、そういう数値をきっちりと分析した上で何が必要なのかということは、既に皆様方の方がよくお分かりになっていらっしゃるんじゃないでしょうか。ですから、今回も、義務付けられたにもかかわらず、やっぱり報告さえもしていないという、こういう中で、やはりそれは報告をしなさい、どういうものが報告しなければならない事例ですよと、指導が行われてもいいと思うんですね。でも、そういうこともやっぱり行われていない。形骸化してしまうような医療事故調ではいけません。ですから、今回ガイドラインを作成するに当たっても、やはりこの調査結果だけではなく、ほかの調査結果も全て見直した上でしっかりと制度化していただきたいと思います。  その上でお伺いしたいんですけれども、御遺族から医療事故調査・支援センターへの報告を受け付けないという仕組みの中で、本当に適切な事例が抽出できるのかということは、先ほどからも申し上げておりますように、私も疑問に思っております。ですけれども、一昨日、参考人の方からお話を伺いました。既に医療機関と患者、遺族間の信頼関係が破綻しているというケースも多く存在すると思うんですね。そういうケースの場合には、やはり院内事故調査の内容自体も信頼性が置けないという、そういう感情が起こっても仕方がないと思います。そういうケースに対してはどのように対応をするのかということ。  もしかしたら、医療事故調査・支援センターへ直接調査依頼があって、そこがしっかりとした調査をして、中立公平な中で報告書を提出すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣お願いいたします。
  211. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 院内調査の手続に入ったものに関しては、遺族の皆様方が、その後、説明を受けた後に更に調べてほしいという思いがあれば、それは医療事故調査・支援センターの方に申し出ていただければ、そこで医療事故調査・支援センターの調査が始まるわけであります。  先ほど申し上げました、そもそも、まず院内調査が始まらない場合に関しましては、医療安全支援センター、これ各都道府県にございます、こういうところに相談をいただければ、医療機関の方にこのような話がありますよというようなことを伝えていただく。さらには、モデル事業、先ほど来言っております日本医療安全調査機構、ここに相談いただければ、これはもちろん医療機関が納得した上ででありますけれども、モデル事業というものがあるわけであります。  いずれにいたしましても、この制度が、委員、犯人捜しをする制度じゃないんだということが、これだんだんやっているうちに各医療機関分かっていただけるようになれば、もう隠すだとかという話じゃなくて、ここで必要な医療事故に値するものは調査しようというような、そういうような思いを持っていただけるようになってくると思うんです。  ですから、とにかく犯人捜しじゃなくて、これはあくまでも医療の安全を守るためのものなんだということでスタートをさせていただくことによって、今委員が思っておられることというのが一定程度解決されてこられるのではないかと私は思っております。
  212. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私も大臣と同じ思いで、やっぱり走りながらも考えていくしかないということも一点あるかと思います。しかし、私どもからしてみればそうかもしれません。でも、御遺族にとっては大事な命なんですよ、一つしかない命なんですよ。ですから、そこはしっかり肝に銘じて議論をしていかなければならないと思うんですね。ですから、いつかは一〇〇%になるだろう、でもその場でやっぱり失われた命を戻すわけにはいかないんです。私も一人の医療者としての責任がある立場として、しっかり一刻も早くこれ完成形に近づけて、皆様方が納得いく制度に高めていく、そのためのやっぱり今回は議論だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  では、次の質問に移らせていただきたいと思います。  この死亡事例というものの、どうしてこんなことが起こってしまったんだろうということを考えると、一番有効なのがやっぱり解剖ということになってまいります。私どもも、患者様が亡くなられたときに何度もその解剖にも立ち会わせていただきました。中立性、透明性、そして公平性、専門性の確立された方法でやっぱり解剖というものが実施される、これは本当に重要なことだと思います。解剖の時機を失してしまうようなことがあれば、やはり原因究明というものにも至らない可能性もございます。  資料の、済みません、ちょっと飛びまして、七と八を御覧いただきたいんですけれども、死亡究明にどのくらい解剖が有効であったのか、これは日本医療安全調査機構で既にモデル事業の中で行われております。資料七で見ていただいて分かるように、解剖によって死亡の原因が決定した、若しくは解剖が役に立ったと、これ八八%もあるんですね。  資料の八を見ていただきます。  診療関連死に関わる背景因子というものをここでは考察していらっしゃいますけれども、今のこの高齢化社会の中におきましては、患者側の因子、これはたくさん、今までにないようなものまで含まれてまいります。体力、抵抗力が脆弱化してまいりますし、もちろん複数の合併症になっていらっしゃる方もいらっしゃいます。こういうことから考えましても、原因究明の中で解剖の意義は以前よりも増していっているんだということをこの木村先生もおっしゃっております。  こういった解剖の重要性を考えましても、一刻も早くその御遺体を確保し、そして解剖に至るまでということを考えましたら、第三者機関の解剖の方法等の適切な助言を得るためにも、事例発生から遅くとも二十四時間以内には届けるということを医療機関に義務付ける必要があるかと思いますけれども、局長、いかがでしょうか。
  213. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 亡くなられた方の死因をはっきりさせるための病理解剖というのは非常に重要なことだとは考えております。ただ、今回の制度の中で医療事故として認識されるものについて全てが病理解剖が必要なものかどうか、ここはよく分からないところがございます。そういう意味では、法律の文言では遅滞なくやるということにしたわけでございます。  具体的にどういう基準を設けるかどうかについては、なかなか、先ほど言いましたように本当に解剖が必要な事例ばかりでもございませんので、どういうような形でやっていくかも含めて、これ、またお叱り受けるかも分かりませんけれども、医療事故調査・支援センターの体制も踏まえながら検討していきたいと考えております。
  214. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それから、一昨日の参考人の話にもございました院内調査結果の報告書、ここが一番問題であると。その報告書が余りにもプアなものであると、一体これは何をやってしまったんだと更に不信感を得てしまう結果にもなってしまうということなんですね。  既にモデル事業などでも報告書の内容の項目が定められております。産科医療補償制度の報告書、表現も標準化されて、そして相互に比較可能性があるということももう既に視野に入れ、報告書作成のためのマニュアルももうあるんだと。やっぱりこういうものを利用して次につなげていかなければなりません。報告書の項目のばらつきをなくすためのガイドライン、何をどのように記載する必要があるのか、現在検討が進んでいるのか、教えていただけますでしょうか。
  215. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) この中で医療事故の対象と判断される事例についての再発防止のためにどのような調査をしていくか、あるいは届出の範囲も先ほどから繰り返し申し上げていますが、そういうようなことも含めてガイドラインに書いていくと。  具体的には、例えば医療事故調査をする際の具体的な調査の項目でありますとか、あるいは調査結果を報告をいただくわけですけれども、その報告書の具体的な事項あるいはその様式、こういうようなものをガイドラインには定めていきたいというふうに考えております。
  216. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  そして、この報告書ができ上がります。しかし、遺族には説明ということでいいわけですよね。しかし、御遺族の皆様方は、やはりその報告書、しっかりしたものをもらいたいという思いがございます。  報告書の提出というものを義務付けるという考えについて、大臣、どのように思われますでしょうか。
  217. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) まず、医療事故が起こった場合に医療事故調査・支援センターに、これ医療機関が届出をいたしまして、その後、事故調査というものを実施するわけであります。そして、その後に、御遺族に御説明をされた後、医療事故調査・支援センターの方に報告をするということでございます。  遺族の皆様方へ説明というもの、これは納得をいただくような形での説明が必要だというふうに考えておりますので、その方向の中で検討させていただきたいというふうに思っております。
  218. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 是非お願いをしたいと思います。  現在のモデル事業調整看護師をしていらっしゃる方からもお話を伺いました。カルテ開示だけでは全く意味が分からないんだと。ですから、そのカルテの記載内容と、そしてどのような検査をしたのか、それにプラスアルファ、看護日誌のようなものも時系列でしっかり作り直して、それで検討して、ようやく専門家でも理解ができる。  ですから、そういう全てのものをやっぱり御遺族の皆様方にも分かりやすい形で開示をし、そして報告書として提出をしていく、これは当たり前のことだと私は考えておりますので、よろしく検討の方をお願いいたします。  このように、難しい様々な院内調査でございますけれども、ほとんどの病院でやはり初めての経験になるのではないかと考えられます。院内調査において、医療関係者以外の外部委員を含めた方々の関与もなければ公正中立な調査というものは不可能だと考えられます。公正で中立な外部委員医療機関自ら選出することというのも本当にできるのかどうか、ちょっと疑問が残るところなんですね。選任も、プロセスの透明性の確保のために、御遺族、そして医療事故調査・支援センターへの報告等も必要になるのではないかと考えますけれども、局長、いかがでしょうか。
  219. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) この点も検討段階でいろいろと議論がありました。その中で、今回の法案の中では、調査に当たって医療事故調査等の支援団体に必要な支援を求めることにすると、こういうことになると、求めなければならないではなくて、必要なことを求めることとするという、そういう表現にとどまったわけでございます。  いずれにしましても、やはり今回の制度、院内での調査をどうしっかりするか、それをまた御遺族にどうしっかりと説明をして納得していただくか、ここが根幹でございますので、その結果、例えば報告書がいいかげんであったりとか、そういうことがあるとこの制度自体が崩れてまいりますので、そのための担保として遺族からその後に第三者機関に申出をしていただく制度もつくっておりますので、そういう意味では院内調査がしっかりする、そのためのサポートをいろいろとやっていきたいと考えておりますので、そういう意味で、調査のメンバーについてもどういう者がいいのか、その辺りの、御遺族の納得を得るためにどういうメンバーが必要か等々につきまして、義務ではなくて自ら考えていただく、またそのための支援を、第三者機関等々含めて支援をしていきたい、そういうふうに考えております。
  220. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ということは、外部委員というのは過半数を占める必要があるというようなことまでお考えでいらっしゃいますでしょうか。現在、医療安全調査機構のモデル事業の中でもやはり外部委員というものを大変重要視しているんですね。でないと、仲間内で固まってしまいましたよということの中で、なかなか知り合いの方をお願いをしてしまうような場合、本当にこれは公平性保てませんですよね、いかがでしょうか。
  221. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたけれども、義務的にどうしろということはちょっと今考えておりません。ただ、御遺族に説明するときに、当然ながら、どういうメンバーで調査をしたかというのは当然明らかになっていくわけでありますので、その中に、ああ、何だ、院内の院長と副院長だけでやっているのかという話では御遺族の納得も得られないかも分からない。そういう意味では、しっかりとした調査体制が組んでいただけるものというふうに考えております。
  222. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。しっかりそのガイドライン等でもお示しをいただきたいと思います。  また、被害者の御遺族の方のことについてもお伺いしたいと思います。  御遺族の方というのは、一番その被害を受けられた方の身近な存在として、どういう経緯でその事故が起こってきたのかということも説明し得る立場にはあるかと思います。医療機関から被害者、説明に同席する場合において、被害者に代わって重要な説明と同意ということも関与することも少なくないと私は考えております。ということは、その御遺族の皆様方、もし御希望があれば院内調査を傍聴する、若しくはしっかり院内調査でヒアリングを受ける、そういう機会も必要かと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  223. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 院内調査に当たっては、院内調査をすることを決めるわけでありますが、遺族の方々に調査をするということは説明をいただいた上で、実行した後にはその結果というものを御説明をまたいただくと。紛争処理ではありませんので、そういう意味では、調査の結果、これを整理して分析をして次の医療安全につなげていくということでありますので、なかなかヒアリングといいますか傍聴というものは難しいんであろうなというふうに思います。  ただ一方で、必要があれば当然ヒアリングということは行われるわけでございますので、ヒアリング自体を我々は否定しているわけではございませんから、必要に応じていろんなお話をお聞きになられ、若しくはお話しをいただくということはあるというふうに考えております。
  224. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  是非お願いをしたいと思うんですね。と申しますのも、報告書が出てくるのはもう数か月後なんですよ。そのときなんか、もう記憶が薄れていますよね。しかし、医療者側が本当に言っているその時刻に何が行われていたのかというのは、やっぱり一番身近にいる御遺族の皆様方が分かります。実際に今までの紛争に至ったものも、私、何例か調査票を見せていただきましたけれども、やっぱり御遺族が見ていらっしゃる光景と、医療者がその場で説明をして報告書になった、突き合わせをしても合わないというような事例も多くあるんですね。  ですから、やはり正確な院内事故調査というものの中にも、しっかり時系列的に並べ直す時点で、御遺族の皆様方の、その現場での何が起こってきた、何を見たかという意見もしっかり反映をさせる必要があると思いますので、よろしくお願いをいたします。  次の二問というのをまとめて質問させていただきたいと思います。  やはり今回、先ほど局長からも御説明いただきましたように、支援団体の関与というのはすごく重要になってまいります。その支援団体というもの、管理者が任意に選択できることになるんでしょうか。その場合、透明性はどのように担保されていくんでしょうか。また、その支援団体を管理者が求めない、自分たちは必要ないよというような場合には一体どうなってしまうんでしょう。教えていただけますでしょうか。
  225. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 今回、一つは、医療事故調査、全ての医療機関にお願いするということで、それを具体的に実効あらしめるためには、サポートする周りの環境をつくる必要がある。そういう意味で、医療事故調査について知見を持った団体を指定をして、その中から医療機関の管理者によって支援を求めていってもらおうと、そういう仕組みを考えたわけでございます。  そういう意味におきまして、医療事故調査・支援団体につきましては、一定のどういうものかについて厚生労働省の方でリストアップをするといいますか、その地域で例えばこういうようなところがありますよというようなリストアップをさせていただくと、そういうような仕組みを考えております。その中で、医療機関側でどの団体に支援を求めるかということを判断をしていただくことになろうかと思います。
  226. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しかし、その支援団体、資料の五を見ていただきたいんですけれども、これは日本医療安全調査機構の木村先生が今までモデル事業の中で感じられたことです。  どのような支援を行うべきか。業務的な支援と評価的な支援と、二通りの支援が必要なんだと。そこに書いてあるように、業務的な支援というのはまさにキャディーの役割なんですよね。中立公平というものではなく専門性が求められる。じゃ一方で、評価支援というものはどういうものなのか。専門性と中立性、公平性が求められる。全く別物なんですよね。ですから、同じ支援組織というものが両方これ担うことは難しいだろうと。  であれば、しっかりこれは役割を分担をしながら支援をするんだというマニュアルも必要かと思いますけれども、局長、いかがでしょうか。
  227. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) お答えいたします。  今回考えておりますその支援団体は、どちらかというと、調査そのものの業務の支援というところを中心に考えております。どちらかというと、評価をする部分といいますか、については、いわゆる第三者機関である医療事故調査・支援センターの役割というふうに一応分けて考えておりまして、医療機関からお願いを、支援を求めるというのは主として業務の支援のところだろうというふうに思っております。
  228. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ちょっと羽生田先生がいらっしゃるので聞きづらいんですけれども、申し訳ありません。  都道府県医師会というものは、医師損害賠償という保険運営主体でございます。この都道府県医師会というのが支援団体として関与するのかもとも言われております。そういうことがあれば、やっぱり利益相反となるんじゃないかなという心配の声も一方でございますので、ここのところをどのように切り分けをしていくのか、教えていただけますでしょうか。
  229. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) もう何度も申し上げておりますが、今回の制度医療事故の再発防止を目的といたしておるわけでありまして、そういう意味では過失があるとかないとか、こういう問題を紛争処理というような形で調べる、そういう調査ではないわけであります。  今おっしゃられました医師の損害賠償責任保険、これは過失があった場合に支払われると、保険金がという話でございますので、直接的には目的が違うということでございますから、利益相反にはならないというふうに考えております。
  230. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しかし、やっぱりもしその後ということを考えまして、損害賠償に至った。そのときに、じゃ、調査の過程でもう医師会が入っていたではないかというクレームが来る可能性はありませんか。大丈夫でいらっしゃいますか。
  231. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) まず、この調査自体の内容は、もちろん個人名も含めて、過失の有無等々を含めて、責任の所在等々書く話ではありません。保険会社が絡んでおりますから、多分その報告自体も読む話ではないわけでありますし、保険会社独自のやはり調査をしないと保険金が下りないわけでございますので、直接的に医師会が入ったからといってどうのこうのという話にはならないというふうに認識いたしております。
  232. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  医師会が、いけないと言っているわけではなくて、そういうこともやっぱり可能性があるのでしっかり制度設計上その辺りも加味すべきではないかということでございます。  医療事故調査・支援センターの件について何点か伺わせていただきたいと思います。  今試算されても、千若しくは二千近く報告されるのではないかという試算でございます。このような年千件を超えるような報告書を十分に分析できる組織として発足するのか、分析が形骸化するおそれはないのか、局長、教えていただけますでしょうか。
  233. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 現在やっておりますこの医療事故情報収集等事業における数とか、あるいはその研究班でやっていただいたものとか、いろいろなところから、今御指摘のように、死亡事例は恐らく千数百件から二千件程度と予測しております。その中で今回の対象になり得るのがその半分程度かということで、約千件ぐらいはこの対象になり得るものかなというふうにも、そこも推測はしているところであります。この中で、これを医療事故調査・支援センターがしっかりとやっていただく必要がある。  ただ、この全ての業務を一つの法人で全部賄うわけでもなく、一部の事業については先ほどの支援団体等にお願いすることもございます。そういう中で、この千件程度の対応がしっかりとできるところに委託といいますか、指定をしていきたいと、そういうふうに考えております。
  234. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、ちょっと視点を変えまして、今日は文科省からもいらしていただいておりますので、診療録の記載についてお伺いしたいと思います。  これまで、やはり報告書を作るに当たりまして、なかなかカルテが書き込まれていなかったり、うまく読み取れなかったりということでトラブルが多発しております。現在、医学教育、看護教育の中において、その診療録の記載方法、どのようになっていらっしゃるのか、教えていただけますか。
  235. 佐野太

    政府参考人(佐野太君) お尋ねがございました診療録の記載方法につきましては、現在、他の科目と同様に、学生が卒業時までに履修すべき学習の到達目標を定めました医学教育モデル・コア・カリキュラムというものがございます。その中におきまして、診療記録の特徴と要件をきちっと列挙できるようになることといったことですとか、診療記録改ざんの違法性についてきちんと説明ができることなどといったことが明記されてございまして、各大学におきましては、これを踏まえて医学部において教育が行われているところでございます。  また、看護記録につきましても、同様に、学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標というものがございまして、この中におきまして、看護記録の目的と法的意義について説明ができるようになることなどということが明記されておりまして、各大学の看護学部においてそのような教育が行われているところでございます。
  236. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、診療録及びその他の病院日誌、処方箋、手術記録、エックス線写真等の保存義務について教えていただけますでしょうか。
  237. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) いわゆるカルテ、診療録につきましては、医師法の中に定めがございまして五年間保存することになっております。その他の病院日誌や処方箋、手術記録等々に関する、診療に関する諸記録については、医療法の中で施行規則二十条の規定により二年間保存することになっているところでございます。
  238. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 じゃ、病院畳んだらどうなるんですか。病院を畳んでしまった場合にはどうなりますか、閉鎖した場合には。
  239. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) この診療録の管理につきましては、いわゆる勤務医さんの書いたカルテは管理者がしっかりとやるということになります。じゃ、もう医療機関を畳んでしまいますと、その管理者が責任を持って引き続き管理者でなくなった後もお願いをしたいというところではございます。  ただ、管理者が亡くなられる場合もございます。そういう場合は県や市などの行政機関で保存するのが適当であるというふうな見解を昔の医政局長通知で示しているところでありまして、具体的にちょっとそれがどうなっているかについて把握しているわけではございません。
  240. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 問題があるんじゃないでしょうか。手術記録についても二年で、やっぱりこうやって事故調査というものをしっかり制度化するのであれば、いわゆる診療録その他の医療記録についての保存というものも考えていただきたい。  大臣、いかがですか、ちょっと一言いただけますか。
  241. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 以前の医政局長がいろいろと言っておったようでありますが、記録の保存というものの、言うなれば膨大な記録をどのような形で保存していくかという話にも関わってくるんであろうと思います。現場の御意見もお聞かせをいただきながら、どうあるべきかということは議論はしてまいりたいというふうに考えます。
  242. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 是非お願いをいたします。  私も、様々な研究をするときに、地下に潜りまして何十年前のカルテなどを調べ直すこともございます。これは大きな病院だからできることであって、やはりちっちゃな医院にとってはなかなか難しいですけれども、今データ化すること容易でございますので、やっぱりそういったことも厚労省の中でもこれから検討していっていただきたいと思います。  では、医療安全に係る本年度の予算というものもちょっと教えていただきたいんですけれども、政務官お願いできますでしょうか。
  243. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) この医療安全というのは非常に幅広い言葉でありまして、どこまで捉えるかという問題がありますけれども、いわゆる厚生労働省におきましては、医療安全に係る予算といたしまして、医療事故情報収集事業に八千二百万、それから医療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業に一億二千万、そして医療安全支援センター総合支援事業に二千三百万などについて平成二十六年度予算に計上しておりまして、引き続き必要な予算確保してまいりたいと、このように思っております。
  244. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほど出ておりますように、大臣もおっしゃいました、やっぱり病院の負担が大きいということでございます。それはもちろんです。参考人からお話を伺いましたら、一件調査するのに百万掛かると。先ほども試算をいたしましたけれども、もしかしたら二千件年間に出るかもしれないということは二十億必要なんですね。  私もちょっと、済みません、ない頭をひねり出しまして考えました。平成二十三年患者調査というものがございます。一日に外来七百二十万人受診をいたします。もし一円ずつその医療安全のための診療報酬をお払いいただくと一日で七百二十万円、そして三百六十五日のうちの平日の中の二百三十日その病院が稼働していることになれば、十六億円というものが積み上がってくるんですね。もしその方々が二円積み立てようということになれば三十二億円その基金として積み立てるような、そういったことも考えられます。  診療報酬上、これは、医療事故というのはいつ誰が起こるかもしれない、そういう危機がございます。ですから、公的にしっかりとした財政的な裏打ちも必要になってくると思うんですね。ない袖は振れないんだったら、診療報酬上こういったことも考えながら、是非、病院の支援、そして、なるべく御遺族の方が第三者機関に訴えるときに、再調査をお願いするときに自己負担額が少なくなるような、そういう仕組みづくりというものもこの中に組み込んでいただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  245. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 一円という診療報酬がないものでありますからなかなか難しい部分なんだろうと思いますし、国民的に本当に御理解をどこまで得られるかということもあろうと思います。  ただ、これ、今委員がおっしゃられましたとおり、第三者委員会に調査を依頼するときに遺族の方々負担というもの、あるわけでありますけれども、これによってその申出ができないような形にはならないようにということで、我々もその趣旨を踏まえて今後制度設計をしていかなければならないというふうには考えております。
  246. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 一方で、院内調査の百万というものも捻出できない病院があるかもということでセーフティーマネジャーの参考人からも話がございました。本当に重要なところでございますので、お願いをしたいと思います。  それで、やっぱり人材というものも欠かせません。現在、医療安全管理者というものの資格がございます。医療安全管理者の研修というものの中にも医療事故を起こした際を想定したような項目が含まれているんですが、ちょっと局長、教えてください。
  247. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 医療安全管理者につきましては、医療法において、特定機能病院の管理者の行うべき事項としての専任医療に係る安全管理を行う者の配置の義務付け、そういう中での位置付けがございます。  また、診療報酬においては、医療安全対策加算の算定に当たって、専従の看護師等がこの医療安全管理者として配置されていることを要件としての評価をしていると、そういうようになっております。
  248. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  やっぱり、医療安全管理者というものが更に医療事故に関して活躍していっていただかなければならない、更にグレードアップしたマネジメントコースというものも必要かと思われますが、いかがですか。
  249. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 済みません。先ほどのお答え内容についてお答えしませんでしたけれども、内容については様々な実習といいますか、そういうものも含めて研修をしているということでございます。  その上でマネジメントコース等が必要ではないかという御質問でございますけれども、取りあえず今はベースの部分をしっかりとするということが大事になっていると思いますし、また、これから医療事故調査・支援センターができましたら、そこでの医療機関における実務を担うべき調査従事者への研修等も行うこととしておりますので、それらも含めながら、全体として研修の階層化とかも含めて検討していきたいと考えております。
  250. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  やはり、医療安全管理者だけではなく、私も登壇のときに申しました医療対話推進者というものも重要な役割を担ってくると思うんですね。しかし、この医療対話推進者、有資格者に対しては研修を修了していることが望ましいとだけ文言がなっておりまして、ほとんどの有資格者の皆様方がトレーニングを受けていないような状況もございます。  局長、ちょっと通告にはございませんけれども、やはりこういったシステムが立ち上がるに当たって、研修を努力義務にする等々の文言をいただけませんでしょうか。
  251. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 私の言葉で言うとなかなか影響が大きいわけでありますけれども、どういう形が望ましいか、あるいはそういう院内調査なりそういうものをどういう体制でやるべきかというのはガイドラインにもしっかり考えていきたいので、そういう中でちょっとどういう表現ができるか検討していきたいと思います。
  252. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  最後に、短く一問、大臣お願いしたいと思います。  やはり、医療事故に係る仕組みというものは、これは医療者にとってもこれは大きな変革なんですね。やはり、公平性、透明性求められると。小西委員も先ほど申しました国民の義務というものが今回この医療法上定められます。ですから、こういった法案の中にも、しっかり医師としてこういう調査に協力し、透明性が高いものを得ていかなきゃいけないというような責務についても本来であったら書き込むべきではないかと思うんですけれども、お言葉いただけますでしょうか。
  253. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 医療事故の原因を明らかにするためには、それこそ診療録でありますとか、それからまた画像所見でありますとか、さらには証言等々いろいろなものがあるわけであります。そういう意味からすると、医療に従事する方々、これ責務という形にはしていないわけでありますが、しかし一方で、管理者の方々からしてみればしっかりと監督義務があるわけでありまして、その中にはしっかり検証させなければならないというようなことも含まれてくるわけであります。  そういう中において、その他医療安全等々をしっかりと認識をいただくということが重要であろうというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、責務としては書き込まれておりませんが、その精神というものはそこにあるわけでございまして、医療従事者の方々含めてしっかりと御協力をいただきながらこの医療事故調査というものを進めていただきたいと、それによって医療の安全というものをこれからもしっかり追求していっていただきたいと、このように考えております。
  254. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 時間になりましたので終わります。本当にありがとうございました。
  255. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  昨日、また新しい資料が厚労省から提出をされました。今お配りをしていただいているものですが、これは先日の質疑で津田理事が求めたものなんですが、僣越ながら、ちょっと私取り上げさせていただきたいと。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  この新しい資料によりますと、要支援者の訪問介護、通所介護に対する専門的サービスと多様なサービスについて、制度施行の当初は専門的サービスの比率が比較的高いけれども、その後多様なサービスの割合が高くなるということで、二〇二五年度には五割程度という試算が、これは初めて出た数字だと思いますが。  大臣はおとといの質疑で、これは民主党の櫻井委員質問に対して、ボランティアサービスが大半なんてあり得るわけがないというふうに言ったわけですけど、これ、全てが多様なサービスはボランティアではないかもしれませんが、しかし、十年後には半分になって、さらにこの比率がこれから更に下がっていくということになれば、まさに大半になるんじゃないですか。あの答弁と違うじゃないですか、厚労省が想定していることは。
  256. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 多様なサービスがボランティアではないと言っているんです。ボランティアが全部多様なサービスなんかできるわけないので、そこはちゃんと雇用という形態で、例えばNPO等々で雇用されて働かれる元気な高齢者という形もあられると思います。  ですから、ボランティアの方々が無償で多様なサービスを全て賄うなんということはあり得ない話で、私は、ボランティアは多様なサービスの一部を担っていただくということはあろうと思いますけれども、あくまでも雇用形態という中においてのサービスというものがこのうちのかなりの部分を占めるというふうに認識いたしております。
  257. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、多様なサービスが半分になり、さらにその後はどんどん減っていくという想定を明らかにされたわけですね。  これを見ますと、専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持というふうに書いてありますね。ということは、厚労省、今後新たに要支援者としてサービスを受ける場合には、現状維持だという以上は、これは専門的サービスを受けることはもう想定していないということになるんじゃないですか。
  258. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) お答えを申し上げます。  この資料を見ていただければ分かりますけれども、津田議員からのお求めに応じまして、一つの仮定ということで出させていただいております。  この仮定は、ここにございますように、仮に専門的サービスのサービス量を現状維持とし、今後サービス量が増える分、これは要支援者の認定率、伸び率七%で伸ばしておりますけれども、これを多様なサービスとして計算した場合には、二〇二五年の専門的サービスと多様なサービスはそれぞれ五割程度と計算されるということでございますので、したがいまして、新たにサービスを利用する者は全て多様なサービスになるんだというようなことをここで申し上げているわけではございません。今後、新しくサービスを利用する者については多様なサービスの利用を促していくことは重要だと考えておりますけれども、あくまでも地域包括支援センター等のケアマネジメントを通じて、この専門的サービスが必要な方にはそういった専門的なサービスにつなげていくということでございます。  仮に、仮にです、専門的なサービスの量が現状維持であっても、既にサービスを受けている要支援者は、時間の経過の中で要介護となったり、あるいは自立して要支援でなくなっていくことから、そういう意味では出入りがあるわけですので、そこで新しくサービスを利用する者も専門的なサービスの利用は可能であるということです。  ただ、これはあくまでも仮定でございますから、現実には現状維持というふうになるかどうかは、これは分からないということでございます。
  259. 小池晃

    ○小池晃君 仮にと書いていないですよ。丸の三つ目見てください、「専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持」となっているじゃないですか、仮にというのはその後の試算で言っているだけで。だから、専門的サービスが現状維持なのは仮にじゃないでしょう。  これだけ、イエスかノーかで確認してください。これは前提でしょう。「多くとも現状維持」、これは前提でしょう。
  260. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) これは、ある種、私たちの希望みたいなものがあるのかもしれませんが、あくまでも専門的なサービス量については、これはやはりいろんな要素がございますので、これははっきりとこうなるということはなかなか申し上げにくいと思います。
  261. 小池晃

    ○小池晃君 希望なんという、そんなことで文書を出していいんですか。おかしいですよ。希望ですか、これ。「多くとも現状維持」とはっきり書いているじゃないですか、仮になんて一言も書いていないんだから。こんな文書、駄目ですよ。おかしい。おかしいですよ、これ。
  262. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これからこの事業が始まる中において、地域でケアマネジメントを行うことによってどのようなサービスが必要かということがそれぞれ分かってくるわけであります。でありますから、まだ始まっていないものを、一定程度何らかの紙をお出しをさせていただくとすれば、何らかの前提を置かなければならないわけであります。これが絶対こうなるという下での我々は紙を出したわけではなくて、こう前提を置いた場合にはということで出させていただきました。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕  もし将来どうなるかということであれば、それは我々も分かりません。これから、例えば本当にこの事業が非常に効いて、要するに、専門的なサービスを受けなくてもいい方々が増えてこられれば、それはそういうことになられますでしょうし、またそうでない場合には一定程度専門的なサービスも増えていく。ただ一方で、高齢者自体は増えていくわけでありますから、一定程度専門的なサービスが必要な方々というのは潜在的には増えていくことは間違いないわけであります。
  263. 小池晃

    ○小池晃君 おかしい。仮にと書いていないんです、これ。仮定は、その後の変動の幅でしょう。「変動の幅については、様々な仮定が考えられる。」と言っているけれども、「専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持」だと言っている、これは仮定じゃないですよ。これはこういうふうになるんだと言っているんですよ。うんとうなずいているじゃないですか、老健局長だって。そういうことでしょう。  これは仮定じゃないじゃないですか。文書は仮定と書いていませんよ。でたらめなごまかし。希望だとかいって、またこの間の利用料みたいに、ごまかし駄目ですよ。
  264. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) ちゃんと読んでくださいよ、これ。「専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持であり、基本的には一定程度減っていくことが考えられ、変動の幅については、様々な仮定が考えられる。」と。  これは様々な仮定が考えられるので、我々だって、必要な方には必要なサービスを提供していただかなきゃいけないのがケアマネジメントであるわけでありますから、ケアマネジメントが必要だと言っているのに、これは、国がこういうことを言っているからこれ以上はサービス提供できませんなんという話にはならないわけであります。全国的に全ての数字を、仮定を置かずして今から我々として精緻な数字を出せるわけがないわけでありまして、そこは御理解をいただきますようにお願いいたします。
  265. 小池晃

    ○小池晃君 おかしい、おかしいですよ。これ、どう読んだって、日本語で読んだって、「仮定」は「変動の幅」に係るんですよ、これ。だって、「専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持であり、基本的には一定程度減っていくことが考えられ、」、ここまでは仮定じゃないですよ。「変動の幅については、様々な仮定が考えられる。」ということでしょう。それをちょっと否定するような、またでたらめなごまかしをやっちゃいかぬ。  結局、これが今回の仕組みのやっぱり重要な部分だと私は思うんですね、要支援者の数を減らしていくんだと。問題は、良くなって減るんだったらいいんです、良くなって減るんだったら。本当に状態像が改善して減っていくだけなのか、それとも行政的に強制的に外していくことになるのだろうか。ここが問題なんですよ。減らすんですよ、これ。  実際に、ここで言っているように、専門的サービスのサービス量はもう減らすということを宣言している。既に今、先行事業がやられています。今回の法改定というのは、今既にやられている自治体での総合事業とか地域ケア会議の枠組みを、これを全自治体に広げるものだということだと思うんですが、私言ったように、要支援、要介護と認定されて介護サービスを受けている人が地域支援事業からも様々なサービスを提供されることは当然だと思うし、その中で良くなっていくんであればこれは問題ないわけです。本人も納得して良くなってサービス終了するんだったら問題ないんです。  それから、地域ケア会議についても、医師など多職種が参加してケアの在り方を検討するネットワークづくり、私否定しません。しかし、実態今どうなっているのかということなんですね。  例えば、東京の荒川区の要支援の女性ですが、つえがないと歩けずに段差をまたぐと転倒の危険がある、掃除も布団干しもできないということで、四、五年前から介護保険のホームヘルプサービスを受けています。今年初めの認定更新で再び要支援一になったんですけど、そのときに地域包括支援センターの職員が自宅に来てこう言った。介護保険使う人が多くなっているから自立を考えて生活してください、デイサービスの風呂の代わりに区の福祉センターの風呂に行ってはどうか、早く卒業してそっちへ行ってくださいと。何度もこの人のお宅に訪問して、それだけ元気なんだったら、あなたは利用者として使うんじゃなくてボランティアをあなたがやったらどうかと、こういう話もあったと。ケアプランの変更も求められたというわけです。  また、荒川区の別の要支援者ですが、この方も腰の手術をして家事ができなくて、介護サービスが頼みの綱だった。ところが、今年二月に、認定更新の期限直前に地域包括支援センターの職員が来て、介護サービスの生活援助はやめてボランティアの支援に切り替えるようにと言われた。いや、今のサービス続けてほしいと言ったんだけれども、職員の人はもう困った困ったというふうにずっと言い続けるんで、もう本人余りにしつこいのでそれならもういいですというふうに言ったらば、本当に三月から介護サービス切られたそうなんですね。今、介護サービスの利用料一回三百円程度だったのが、ボランティアサービスになって一回七百五十円から八百五十円、しかも利用料とは別に二千円の年会費も払わなくちゃいけないと。本人収入ないので非常に苦しんでいる。  形式上は、これ本人同意取ったと多分区は言うんだと思うんですよ。しかし、実際には、行政が来て、あるいは地域包括支援センター、委託されている人が来てこういったことを言われれば、やっぱり利用者は弱い立場だから、泣く泣くのまされるということはあるわけですね。こんな事例が今いろんなところから出ているわけです。  しかも、大臣、この荒川区というのは全国十三の厚労省の予防モデル事業の実施自治体でもあるわけですね。私は、この新しい事業導入されたらば、しかも給付費は後期高齢者の伸びの範囲に抑えなければいけないという、こういう抑制が掛かる中で、結局こういう事態が全国に広がることになりませんか、いかがですか。
  266. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 個別事案は私は存じ上げませんので、どのような状況の中でそのような話になっておられるのかというのは、これはコメントは差し控えさせていただきます。  ただ、地域ケア会議は、ケアマネジメントの支援であります。基本的にはケアマネジャーを支援することであります。地域ケア会議でのいろんな話合いの内容というのは、あくまでもこれはサービスを受ける内容を決定するものではないわけでありまして、その中においての話合い、これはまさに自立に向かって、要支援者なのか要介護者なのかはあると思いますけれども、その方々に対してこういうメニューであればどうだというような話があるわけでありまして、それをもってしてケアマネジメントを行っている方がこれは要支援者若しくは要介護者と話をしていただいて、そして御理解をいただいた上で決定するわけでありまして、御理解をいただかなければそれはそのような形にならないわけでございますので、個別事案は私は存じ上げませんけれども、一応制度はそうなっておるわけであります。
  267. 小池晃

    ○小池晃君 一応制度はそうなっているというけれども、実際にモデル事業で先行している自治体でそういう声が上がってきている、こういう実態があるわけですね。  個別、個別と言うけれども、これモデル事業ですからね。単なる個別自治体じゃないですよ。厚労省がやはりモデルとしてやっている実施自治体でこういう事態が起こっているわけですよ。実際に、じゃ、私はこういう仕組みによって本当に改善しているんだったら別だけれども、実態はどうなのか。  今日お配りした資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、モデル事業の結果を厚労省が成果をまとめているんですけれども、予防サービスを行った介入群と、同じ一年間に介護保険給付を受けた比較群と比べて、要するに介入群の方が良くなったというふうに厚労省おっしゃるわけですね。介入した群、モデル事業予防サービスを行ったところでは三六・七%が介護サービスを卒業できたというわけですよ。しかし、この中身見るとどうかというと、結局この三六%の中で要介護認定をきちっと受けて非該当とされた人というのは、これは余り変わらないわけですよ。比較群でも一年後にはこれは一・八%である、介入群では二・七%、四人です。結局、非該当になる比率と人数というのは、これはモデル事業予防サービスを受けてきた人も普通に保険給付を受けてきた人もほとんど変わらないというのが実態なわけですね。何が変わっているかというと、更新しなかったという人が増えているということなんですよ。ここの違いなんですよ。  これは結局、要介護認定で改善が認められたということではなくて、要介護認定を受けなかったということですよね。もちろん、その中には状態が改善して受けなかった人もいるとは思います。しかし、私は、このグラフをもって介入群の方が効果があったというエビデンスとは到底言えないと思いますけれども、局長、いかがですか。
  268. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) この介護予防モデル事業でございますけれども、目的が、リハビリテーション専門職等による予防サービスとボランティア等による生活支援サービスを提供して可能な限り自立した生活に近づけることを目指すというのが一点。それからもう一点は、自分で行うことが増えるにつれて生活支援サービスの量が必要最小限に変化し、その後は徒歩圏内に運動や食事を楽しむことのできる通いの場を用意して状態を維持するということを目指して、そのためにはどういうやり方がいいのかということを取り組んでもらいました。したがいまして、この予防モデルの事業事業開始に当たりましては、自分でできることを増やしていくことが目標であり、利用する支援メニューは少しずつ少なくなることということをあらかじめ利用者の方によく説明をしてございまして、その同意を得た上でサービスの提供を開始しております。  したがって、何か、本当は必要なのに無理くりサービスを打ち切るとか、それはもちろん全部の事例を当たっているわけでは、私個々に確認しておりませんけれども、そういうことはないと考えております。
  269. 小池晃

    ○小池晃君 私が言ったことに答えてくださいよ。  この比較で改善したというこれがエビデンスと言えるんですかと聞いているんですよ。改善したとはっきり言えるのは、非該当になりゃ、それは改善したと言えますよ。でも、それはほとんど変わらないじゃないですか。これで改善したとなぜ言えるのかと言っているんですよ。
  270. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 先ほど申し上げましたように、この予防モデル事業の実施手引にも書いてございますけど、対象者を選定するに当たりましては、最初から自分でできることを増やしていくことが目標であるということと、利用する支援メニューは少しずつ少なくなっていくということを十分に御説明しながら、その同意を得た上で提供を開始しておりまして、当然そういうことがある程度そういう状態で改善されれば、そういう通いの場とかにつながっていったということだということでございますので、もちろん全てのケースを全部確認しているわけではございませんので一律には申し上げられませんけれども、大方の方はそういうことだと理解しております。
  271. 小池晃

    ○小池晃君 だから、これは結局、今回のやり方が状態像を改善するなどということの証拠にはならないわけですよ、これは。前提が違うわけだから、この二つの群は、だとすれば、全くね。  しかも、同意同意とおっしゃるけれども、実態としては、じゃ、どうなっているかというと、長寿社会開発センターが出した地域ケア会議機能と実施拡大に関する調査報告書というのがあるんですよ。そこで、この間委託事業として全国で地域ケア会議やった教訓まとめているんですが、そこに何と書いてあるか。成果を得る大前提として、要介護や要支援であっても、生活機能が向上すればサービス提供は終了するということを利用者に納得してもらう必要がある、サービスを受けないと損なわけではない、介護保険法の趣旨は自立支援にあることなどについて利用者に納得してもらうための説明・説得能力、合意形成能力が介護支援専門員や事業者には必要であるというふうに言っているわけですね。  状態像が本当に改善して私はもう介護保険サービスを受ける必要ないというふうに本人が思えば、説得する必要なんて全くないわけですよ。何で説得するのか。結局、状態が良くなってなくても無理やり説得して、あなたはもう卒業だということでやる能力を身に付けることが必要だというふうに言っているじゃないですか。同意同意といいながらも、多少強引なやり方であっても、結局同意という形だけ取って、要介護認定抜きでサービスやめる方向に持っていくと、これが実際にモデル事業ではやられているし、厚労省の報告書だってそんなことを言っているわけですよ。  大臣、これ卒業ですか。私はこれは卒業じゃないと思います。強制退学ですよ。だって、状態良くなってやめるんだったら卒業だけど、本人納得していないところを説得してやめさせる、退学じゃないですか。こんなことが全国でまかり通ったら、私は介護保険壊れると思いますよ。保険料を流用して措置制度をやるようなものですよ、これじゃ。こんなことは許されないと思いますが、いかがですか。
  272. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 状態像が良くなっていないのに無理やり卒業させれば当然のごとく後は悪くなるわけで、その後、介護保険、大変なことになっちゃうと思いますね。そんなことは言っていないわけで、ここでは。  状態像というか、要するに、ケアマネジメントをしたら、要は必要がないというような状況であれば当然専門的なサービスは必要はないわけであります。一方で、状態像が良くなればそれは要支援から抜けることもあるわけでありまして、だから、要はサービスが必要であるかないかということをやっぱり判断していくわけであります。  そして、その中において御本人は、そうであってもいろんな思いはあられると思います。あられると思いますけど、御本人に必要なものに対してしっかりと説明する能力は必要であるでありましょうし、本来自立して生活できるにもかかわらず、そうではなくて、何らかの手助けをするがために自らの能力自体が衰えていくということもあるわけでありますから、そこはでき得る限り自立を促していくというのは、それは当然のことであります。ただし、自立できないのに、それはいきなり要支援から外してしまってサービスが受けられないというようなことがあれば、それは問題でありますから、そのようなことは我々はやっていかないということであります。
  273. 小池晃

    ○小池晃君 何のためにケアマネジャーがいるんですか。その人に必要なサービスをきちっと相談しながら進めていくケアマネジャーの役割があるわけじゃないですか。それで十分できるんですよ、今のような形は、それをこういった形で保険から外してしまう。結局、だって木村委員が、何かお休み中だけど、木村委員も言っていたけど、これ要支援を外すことになるんだってはっきり言っていた。あれが本質なんですよ。それも、強制的にこれやめさせていくということになってしまうと私思う。こんなことを本当に日本中に広げる、大臣おっしゃったように、こんなことが始まっていったらば、どんどん状態像悪くなって、逆に財政は悪化すると思いますよ、私。逆にそういったことが起こるというふうに思う。  それからさらにもう一つ、基本チェックリストというのがあるわけですよ。  これ、ちょっと確認しますけれども、今後、新たに介護サービスを受けたいと自治体の窓口に申し出て、対応した職員が、この新たな総合事業が適当だというふうに判断した人については、日用品の買物していますかと、この一年間に転んだことありますかというような基本チェックリストで二十五項目の質問をやって、それで地域支援事業のサービスを割り振る、その場合は要介護認定も省略できる、間違いありませんね。簡単に答えてください、イエスかノーかで。
  274. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 例えば、要支援の状態像の方でも、訪問看護とか福祉用具等の予防給付に残ったサービスというのを利用しないようなケースでございますが、その残ったサービスを利用する場合は当然認定申請をしていただきますけれども、そうでないようなケースで要支援認定を受けずにチェックリストを活用して対面での支援の必要性を判断して、その後ケアマネジメントを通じて利用者の状態像や置かれている環境に応じてその人にふさわしいサービスというものを迅速につなげていきたいというのがこの基本チェックリストでございますから、当然それにふさわしい場合、総合事業にふさわしい場合と判断された場合には当然そういったサービスにつながるということでございます。
  275. 小池晃

    ○小池晃君 これ、やり方、私ひどいと思うんですよ。ちゃんと保険料を払って保険に加入しているにもかかわらず、医療保険でもしこういうことをやるとすると、例えば、病院に行ったときに、受付で問診票を渡されてこうやって書き込んだら、この程度の症状だったら病院診察する必要ありませんと、売店へ行って薬局で薬買ってくださいって、そういうようなものに近いですよ、これ、はっきり言って、例えれば。  今の制度であれば、これ、要介護認定を受けて要支援と判定されるはずの人が認定を受けずにサービスを割り振られていく、その人はもはや要支援者とも扱われない。私、確かに、この厚労省が昨日配った文書にあるように、これは結局、要支援者の数を減らしていくというふうにはっきり書いてありますが、確かにこんなやり方をしたらば要支援に至らない人が増加して、要支援者の数の伸び率が低下していくということになると思う。  これ、明らかにこの基本チェックリストというのを、要支援者の数の伸びを低下させるということにこれは使われることになるんじゃないですか、局長、いかがですか。
  276. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 先ほど申し上げましたように、この基本チェックリストで一定程度該当された場合には、今度はケアマネジメントを行うわけです。これはもう地域包括センターの専門職が専門的な観点からケアマネジメントをして、御本人の御意向だとか状態像だとか、あるいは置かれている環境というものを総合的に判断してやりますので、必要な方についてはきちんと確保されると考えております。
  277. 小池晃

    ○小池晃君 必要な方には確保されるというけれども、本当にそうなんですか。  香川県の高松市では、地域包括支援センターの職員が体の状態が悪くなってきた高齢者地域支援事業を勧めながら、このサービス早く受けたいんだったら要介護認定を受けない方がいいというアドバイスをしていると、こういう実態は広がっているわけですよ。要介護認定を受けることは保険料を払ってきた加入者の権利じゃないですか。それを窓口で、水際で、この基本チェックリストによって受けさせないようにする、こんなことがまかり通っているんですよ。いいんですか。
  278. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これ、ケアマネジメントをされますよね。そのときに、仮に専門的なサービスを受けなくてもいいというふうに判断されれば、当然のごとくチェックリストの方がサービスは受けられるのが早いわけですね。もちろん、チェックリストだけだと専門サービスは受けられません。これはケアマネジメントする人がそれをいろいろと勘案するわけでありまして、もし本当に専門サービスを受けなければならなければ、その時点であなたは要介護認定した方がいいですよと、これは言います。それは言わないだろうと、予算を抑えるために。そんなことはありません。先ほど来言っているとおり、それをやれば、後々悪化して保険財政が厳しくなるわけでありますから、そこは自治体も含めて分かっておられると思います。  ですから、今、香川の例はどういう例か分かりませんが、多分、専門的なサービスはあなたは受けるような状態ではないと、それ以外の多様なサービスを受けるのであるならばチェックリストでやった方がすぐに受けられますよという意味合いでおっしゃられたのであろうと思います。もしそれ以外で不適切な個別事例があれば、我々お教えいただければ、また助言を個別にさせていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
  279. 小池晃

    ○小池晃君 もう既にモデル事業で不適切事例がいっぱい出ているんですよ。それを法律にしてしまったらどうなるのかということを言っているわけですよね。  いろいろおっしゃるけれども、去年の十二月に、厚労省の老健局の振興課長が都内で開かれた集会でこの制度改定について語っている。これはちゃんと文書にもなっています。インターネットで公開されている中身です。  ここで、課長さん、こう言っているんですね。今の要支援者の認定は認定申請を出すと九〇%以上で認定が出ていると、今後は訪問・通所系サービスしか使わない人はあえて認定を受けなくてもいいのではないか、そうすれば名前の呼び方は要支援者ではなくなる可能性があると、こう言っているわけですよ。はっきりしているじゃないですか。  結局、その基本チェックリストを使うという理由は、これ早くするなんて言っているけれども、できるだけ認定、もう要介護認定受けさせないと、要支援者にすらしないと。認定申請出したら九割以上が要支援者となると、これを問題視して、なるたけ認定を受けさせないようにして、そのことで要支援者というカテゴリーをどんどんどんどんなくしていく。その結果がこの文書ですよ。結局、要支援者を減らしていくと、もうどんどんどんどん今の半分以下にまで専門的サービスを減らしていくと。厚労省の課長が率直に言っているじゃないですか。  大臣、これでもこういう今回のやり方が要支援者を減らすための手段ではないというふうにおっしゃるんですか。
  280. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 要支援者、要支援状態の方、その方々が要支援者と呼ぼうが呼ぶまいが、我々は、状態像が悪化しない、若しくは改善する、状態像が悪くなるなり方を緩やかにしていく、こういうことが目的です。要支援者を数の上で減らしても、その後、要介護者が爆発的に増えたら、これは何の意味もないです。  ですから、我々はそんなことをやるわけもないし、やったところで我々自ら首を絞めるだけで、介護財政が悪くなるだけでありますから、そしてまた、それに応じられた方々も自ら体の状態を悪くされるわけであります。そんな何の意味のないことを我々はやるわけがないわけでありまして、我々はそうならないような制度設計を今検討させていただきながら提案をさせていただいたわけでありまして、いろんな勘ぐりはあろうと思いますが、どうか我々の思いというもの、この真意というものを御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
  281. 小池晃

    ○小池晃君 いや、駄目ですね。やっぱり、これやったらば、本当に大臣がおっしゃるように悪化しますよ。良くなったというエビデンスないんですよ。これは、この数字をもって良くなったと言えませんよ、これは。  結局、そういう点でいうと、全くエビデンスのないことを根拠にして、こんな形で介護保険給付から外していく、こんなことをすれば、もう大臣おっしゃるとおりですよ、ばかなことになるんですよ。状態像が悪化して、介護の費用が逆にかさんで財政を悪化させるということにこれはなってしまうと私は思います。  この間、この委員会でもこのことは何度も取り上げられて、地域支援事業にしても、今までどおりのサービスは保障されるんだと、切捨てじゃないんだというふうにおっしゃったけれども、結局、厚労省が新たに出した数字を見ても、専門的サービスは最初もう五割、今の水準が出発点で、これはっきりこう言っているわけですから、多くとも現状維持だと。基本的にはこれからどんどん減っていくんだとはっきり言っているわけで、紛れもないこれはサービスの切捨てですよ。  そうでしょう、だって、専門的サービスは今より減るとはっきり言っているんだから、多くとも現状維持だとはっきり言っているんだから、減るじゃないですか。これは今よりも低下することは間違いないでしょう。こう書いてあるじゃないですか。
  282. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) どういう状況が生まれるかということは分からないわけですよね。いろんな世の中は状況が生まれるわけで、専門的なサービスを必要な方が仮に爆発的に増えるということが起これば、それは当然のごとく、それに必要なだけのサービスを提供いただかなければ困るわけであります。それをケアマネジメントでしっかりと見ていただく、その必要な分だけ専門的なサービスというものはやはり整備しなきゃならない。しかし、そうでなければ、当然専門的なサービスというのはだんだん減っていくわけでございまして、我々は専門的なサービスが減っていく方がいいと思っています。それはそれだけ、要支援の方々の状態像が良くなるわけでありますから、そういう意味での減っていくという意味ならば我々はいいと思いますが、必要な方々がおられるのに減っていくということでサービスが受けられないということは、我々としては断じて防いでいかなきゃならぬと考えております。
  283. 小池晃

    ○小池晃君 終わりますが、減っていくじゃないですよ、減らしていくんですよ、今度の制度改定で。結局切捨てだということをはっきりこの文書で認めたと私は思います。これはもう廃案しかないと、改めて申し上げます。  終わります。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  法案に入る前に一問お聞きをいたします。大牟田労災病院廃止問題についてです。  この委員会でずっと取り上げ、かつ質問主意書も出してきました。厚労省労働基準局労災補償部と大牟田労災病院廃止反対連絡会議との間で二〇〇六年三月九日に締結された確認書のうち、多くの事項について厚労省は履行しておりません。なぜ約束を守らないんでしょうか。
  285. 安藤よし子

    政府参考人安藤よし子君) お答え申し上げます。  厚生労働省といたしましては、これまで御指摘の確認書の内容の実現に向けまして、CO中毒患者に係る特別対策事業予算確保、大牟田労災病院廃止反対連絡会議との現地での協議、また神経内科を始めとした四つの診療科体制の確保などについては実現をしてきたところでございます。  しかしながら、社会保険大牟田吉野病院の全ての診療科にそれぞれ常勤医師を配置すること、また病床を百床体制とすることなどにつきましては、主として医師確保が困難であるといったような事情によりまして、現時点では実現ができていないところでございます。  医師確保につきましては、厚生労働省といたしましても、地域の主要な大学に対して直接医師派遣要請を行うなどしているところでありまして、引き続き確認書の内容の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 確認書の中で不履行となっている事項に関して、早期履行に向けた具体的スケジュールを盛り込んだロードマップを早急に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。ロードマップをいつ示すのでしょうか。
  287. 安藤よし子

    政府参考人安藤よし子君) 確認書の実現がなかなかかなわずに、私どもといたしましても、患者や御家族の方々、御不安を抱かせているということについては大変心を痛めているところでございますが、しかしながら、一方で、医師確保については非常に困難であるという状況の中で、時期を定めた計画をお示しするというのは現実的に大変厳しいと申し上げざるを得ないというのが実情でございます。  厚生労働省といたしましても、今後とも誠実に努力を重ねてまいりたいと考えております。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは、二〇一二年八月二十九日、私の質問主意書に対して、政府は百床体制実現や各診療科への配備が実現できていない理由として、医師確保が困難である等の事情と答弁しています。答弁書が出てから既に二年近くたっておりますし、確認書を取っているわけですから、これはしっかり厚労省として履行してくださるよう、強く求めておきます。これは御存じ、全会一致で請願も採択されておりますので、しっかり取り組んでくださるようお願いいたします。  では、法案、まず介護についてお聞きをいたします。  予防給付の市町村事業への移管について、厚生労働省は当初、介護保険部会に予防給付のメニュー全体を移行させることにしておりました。資料をお配りしておりますが、この介護予防のうち今回は通所とそれから訪問だけが、だけがというか、二つは大きいんですが、地域包括センターに移行するという提案がされています。今回、予防給付のうち訪問介護、通所介護のみを市町村に移行させることにしたのはなぜでしょうか。
  289. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これは、当初、通所介護また訪問介護以外に関しましても提案をさせていただきましたが、各関係者といろいろと議論をさせていただく中において、事務作業等々も大変煩雑になるということもございましたし、何よりも、例えば訪問看護でありますとか福祉用具の貸付けでありますとか、こういうものに関しましては、要は多様なサービスというような意味でいいますと工夫のしようがないわけでありまして、今の形態のままでも変わらないのではないか、つまり、通所介護や訪問介護のようないろんなサービス提供ができるような分野ではないというようなお話がございまして、お話をお聞かせをいただく中において我々もそのとおりであるというふうに認識をいたしましたので、今般これを予防給付の中に戻したわけでございまして、今回の地域支援事業という形にはしなかったわけであります。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回、訪問介護、通所介護を市町村事業に移管させるのは当面の策で、将来は予防給付全体を保険給付から外していこうとしているのではないでしょうか。それとも、訪問介護、通所介護のみの移管は恒久的なものなのか。いかがでしょうか。
  291. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) その時々の必要性に応じて、今回このような形で判断をさせていただきました。現時点では、今委員がおっしゃられたようなことは考えておりません。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 介護予防・日常生活支援総合事業は二〇一一年の介護保険法改正により創設され、二〇一二年度から各市町村の判断により実施されております。しかし、二〇一二年度においては、全国で二十七の保険者、市町村等でしか実施されておりません。  そもそも、この事業は今回の法改正により全市町村に義務付けられる新しい総合事業の言わば先行事業と言えるわけですが、全国に普及していない。無理なんですよ。これ、全国に拡大してやれるんでしょうか。
  293. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これ、市町村の任意事業でございました。でありますから、マストでやってくださいという話ではございませんでした。メリットが十分に説明できなかったことも、我々は反省はあるというふうに考えております。  あわせて、やはり、そうはいっても事業が現状あるわけでありまして、そういう意味では、予防給付等々の事業を受ける中において事足りるという部分もあったわけでございます。当然、やっていただこうと思えばそれなりに各自治体の御努力というものが要るわけでございまして、ですから今般は、その今あるサービス自体も提供いただけるという形の中においてということと、もう一つは、経過期間というものを置かせていただいております。  我々は、以前から申し上げておりますとおり、一斉に全ての地域が全て多様なサービスになるというふうには考えておりません。それぞれの自治体においてもいろいろと、先進的に進んでいくところ、後から追いかけていくところ、そういうものがある中において、一定期間の中において最終的には全国的に多様なサービス等々が提供いただければ有り難いというふうに思っております。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 いいものだったら、自治体やるじゃないですか。今まで二十七しかやれていないんですよ。だとしたら、やれない、あるいは今大臣おっしゃったとおり地域に格差があって、介護予防・日常生活支援総合事業をやれといっても、任意で二十七しかない。  何でこれ普及しなかったと思われますか。
  295. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 比較的意欲のある先進的なところはスタートされたんだというふうに思います。結果見ておりますと、やはり成果が出ているわけでありまして、良くないものではないと思います。事実上、それによって成果出ているところがあるわけでありますから、良くないものではないと思います。  ただ、そのノウハウでありますとか、当初スタートするのはいろんな御苦労もあるわけでございまして、新しいことをやろうと、しかも任意でやろうとすれば、それはかなりその自治体も踏ん切りを付けていただかなければならなかったんだというふうに思います。それは我々も、十分にメリットを御説明できなかったところも我々は反省ありますが、しかし、そういう好事例というものが出てきた。そしてそれを、我々もいい事例としてお示しをさせていただきながら、いろんなお手伝いをさせていただきたいと思います。  あわせて、今回は、今度地域支援事業に移りますから、その中において、それぞれの自治体のスピードに合わせていただきながらこの新たな事業といいますか多様な事業というものを、サービスというものを提供いただけるように御努力いただければ有り難いと思っております。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 全国に自治体が千八百ほどあるのに、今までやったのが二十七しかないんですよ。結局、ごくごく、うまくいっていますという自治体はあるかもしれない。でも、ほとんどやらなかったし、やれなかったんですよ。今度、地域にこの訪問介護と通所サービスの部分を要支援で下ろして、本当にできるのか。私、正直言ってできないと思います、できない。やっぱりこれは、介護を切り捨てる、要支援切捨てとしか思えない。  先ほどから議論になっている、これは津田理事が要求して出てきたものなので、私も敬意を表し、しかし、これは私は実は大変ショックを受けました。これについて質問をいたします。  事業移行後の専門的サービスと多様なサービスの利用割合について、「専門的サービスのサービス量については、多くとも現状維持であり、基本的には一定程度減っていくことが考えられ、変動の幅については、様々な仮定が考えられる。」。その次の部分です。「仮に、専門的サービスのサービス量を現状維持とし、今後サービス量が増える分を多様なサービスとして計算した場合、二〇二五年度の専門的サービスと多様なサービスは、それぞれ五割程度と計算される。」。  つまり、要支援一、二の訪問サービスと通所サービス、今ある部分ありますよね、もっと拡大するかもしれない。あと十年後には、専門的サービスと多様なサービスが半分ずつ、つまり専門的サービスを受けられない、受けない、受けられないと言った方がいいですね、半分いるということじゃないですか。
  297. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) まさに、ここに書きましたことは我々が目指している姿であります。つまり、専門的なサービスが受けられないんじゃなくて、専門的なサービスを受けなくてもいい方々にしていかなきゃならないんです。つまり、それは状態像を悪くしないということであって、要支援は全て専門的なサービスを受けなければならないというわけではないんです。要支援の方々の中においても専門的なサービスを受けなくてもいい方々一定程度たくさんおられるわけであって、そういう要支援の方々、もっと言えば、要支援から更に自立をいただければもっといいわけでありますが、そういうようなことを我々は目指しておると。  つまり、こういうような状況をつくっていかなければ、つくっていかなければ今回の我々の提案している法案は成功しないわけでございますから、我々はこの世界を目指すべく、この新しい制度というものをしっかりとスタートをさせていただきたいという思いの中でこれを示させていただいております。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚労省の本音は、これから高齢社会になる、たくさん高齢者が生まれる、要支援一、二で訪問サービス、介護サービスを専門サービスでばっちりやっていたら経費がどんどん増えていく、こんなの困るから地域移管にして、できるだけNGOやNPOも活用して専門サービスを受けないようにして経費節減したい、以上、これが本音じゃないですか。これが本音ですよ。でも、これはひどいですよ。  というのは、ここに、「新たに事業を受ける者のうち専門的サービスにつながる者の状態像」、これは厚労省のペーパーですからね、例えば日常生活に支障があるような症状、行動を伴う認知症の場合、二、退院直後で集中的に自立に向けた取組が必要な場合、三、自らの生活管理が困難、地域社会との関係の構築ができない場合などは専門的サービスを利用することが想定される。  専門的サービスを利用する場合、極めて限定されているじゃないですか。極めて限定している。つまり、これから年を取り、要支援でなるような人は、軽度の人は頑張ってくださいというメッセージですよ。でも、これは間違っていると。何のために四十歳から介護保険、強制徴収を保険料されるんですか。  私は、自分の母は、近所の人が本当に親切で、ごみ出しとか手伝ってくれたり、生協をやっているのでよく様子を見てくれる。でも、介護サービスの通所サービスと訪問サービスがあるから本当に助かっています。プロが見てくれるから、義理の母は女の独り暮らしですが、だから安心して、介護保険があるから本当に安心して女の独り暮らしができている。これを、専門的サービスが受けられない、いや、現状、今受けている人はともあれ、それも削減されるかもしれないけれど、これから年を取っていく人が要支援一、二の介護と通所サービスを本当に専門的サービスとして受けられない。半分にしますよというか、半々ですよとこれは書いてあるわけじゃないですか。結局、やっぱり切捨てでしかない。どんなにごまかしてもそうとしか見れないですよ。  でも、ある人は急に要介護五になるわけではない、要支援一、二から始まるんですよ。高齢者も、特訓したり運動したり筋トレすれば元気になる人もいる。しかし、残念ながら人間は徐々に加齢していくんですよ。残念ながらやっぱり加齢をしていく、年取っていく。やっぱり弱っていくんですよ。  それに支援が必要なのが介護保険のサービスじゃないですか。だから、私たちはこういう制度をつくった。にもかかわらず、これから介護保険給付から外しますと言われることは、介護保険給付を壊すことですよ。これ、やめてくださいよ。
  299. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 介護保険から財源は出ますけれども、同じ財源構成で。  委員がどういうサービスをイメージされているかというのはちょっと私はよく分かりませんが、専門的なサービスを受けなければ状態が悪化する、そういう方は専門的なサービスを受けていただきます。そうではなくて、状態が悪化しない、それは、例えば専門的なサービスではなくても、NPO等々が例えば労働者として地域でお元気な高齢者をお雇いになられて、その方々が生活支援サービスをやられても大丈夫だと、認知症の程度も大丈夫だとか、いろんなことを判断してケアマネジャーがそういうことを提供するわけであります。もし委員がおっしゃったようなことが仮に起これば、我々はこんなことをやっていること自体が、本当に我々はばかなことをやっている話になるわけであって、介護保険がパンクしますよ、そんなのは。どんどん状態が悪くなるから、我々は、いろんな事業の中でそうではないという一定の自信を持って今回これを導入しようとしているわけであります。  同時に、本来専門的なサービスを受けなくても十分に、要するに専門的以外の生活支援サービスを受けても大丈夫な方に、全部専門的支援サービスを受けていれば、これからただでさえ百万人以上、介護従事者足らないんですよ。これ、生産年齢人口どんどん減っていきますからね。これからまだまだ若い方々が減っていく中においてこの百万人をどう確保するか、これ大変なんです。ですから、地域の元気なお年寄り、そういう方々にもお力をお貸しをいただこう。そして、それぞれの市町村の知恵というものにも、我々は、やはりそれは地方自治でそれぞれみんないろんなノウハウを持っています。それは、今、任意事業には手を出さなかったけれども、しかし、こうやって国が方向性出すのなら俺たちもやろうという気概を持っている自治体はいっぱいあると思いますよ。そういうところにオールジャパンでこれからの介護というものにお力をお貸しをいただかないと、この介護という大きな問題、課題、解決できませんよ。だから、我々は、そこは地域方々とともに今般この介護というものに対しての問題に一緒に取り組んでいただこう、こういう思いの中で提案をさせていただいているわけであります。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 地域包括支援センターで活動している人たちに話を聞いても、できないと言っていますよ、できない。  オールジャパンでやるといっても、結局、このお金が掛かる部分やこの部分を経費削減で介護保険給付から外して地域に投げていくというのが厚労省じゃないですか。厚労大臣はそれをやるんだったらばかですよと言うけれども、本当にばかだと思いますよ。だって、こんなことやったら、介護、どんどん悪化する、認知症の人たちだってどんどん。だから、軽いうちにケアをすることが必要ですよ。  私は、母や周りやいろんな人たちの例えばデイサービス、ショートステイ、皆さんたちもそうでしょうが、いろんな現場に行きます。専門の人が足をさすってくれたり、やっぱりいろいろ本当にケアをしたり、よく見てくれている。これがボランティアやNPOで半分やることになりますよとなったら、やっぱり良くないですよ。準備できない自治体はどうなるんですか。  少なくとも、介護保険給付から外すということは間違いですよ。だって、今まで介護保険給付でやってきたことを外すわけだから。このことは根本的に問題がある。とりわけ六月十一日に出たこの資料を見たら、これでは今までとは絶対違うものが出現する。半分はNGOでやると言われて安心する人がいるでしょうか。  また、都会はまだいいかもしれない。でも、地方都市や一軒ごとに離れていて、北海道や地域が離れているようなところでNPO、NGOがきちっと準備できなかったらどうするんですか。
  301. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) だから、それぞれ地域、事情があると私も言っているわけでありまして、いきなり全てのところが全部あっという間にできるなんて思っておりません。これから二〇二五年にかけて、これ、後期高齢者世代にまさに団塊の世代方々全員がなられるわけであります。大変なこれは人口の塊です。このときに介護保険をどう支えるんだ、介護をどう支えるんだというのは、オールジャパンでやらないととてもじゃないけれども私はもたないと思っています。  そんな中において、今からもう準備を始めていただく、二〇二五年に向かって。そのためには、各自治体がいろんな知恵を出しながら、我々もいろんなまたお手伝いもさせていただきます。そんな中において、それぞれの地域に合うサービスを徐々にでもいいですからつくっていただきたい。全てが業者の、今の専門職の方々のサービスということは、私はとてもじゃないですけれども、今からこの大介護時代に向かって、人数、介護従事者、全て私は賄えないというふうに思っています。だから、それだけに、本当に地域方々にもいろんなお知恵やお力をお貸しをいただきたい、そんな思いの中で今回提案をさせていただいたということを御理解ください。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、大介護時代が始まるので費用抑制しないともたないというのが本音じゃないですか。何のために消費税を上げたんですか。本当に何のために消費税を上げたのか。社会保障のためといって、まず真っ先にやるのが介護保険給付から外しますでは、こんなの納得いかないですよ。実際、私も、周りがやっぱり介護保険給付にお世話になってきているし、これが果たしてきた役割を理解するからこそ、今回の改悪には断固反対、廃案にすべきだというふうに思います。  介護はいろいろ問題もあるんですが、医療も問題があるので、医療についても話をさせてください。  これは、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の四つの医療機能について、どのような割合になると考えているのか、また、どのような割合が適正であると厚労省は考えているんでしょうか。
  303. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) この四つの医療機能について、当初は、どのようなものを急性期と考えるとか、そういう定性的な基準をまず初めは考えておりまして、その中で様々な情報を、病棟ごとの医療機関の情報をいただく、そういう全体像を、それを全国的に分析をして全体像を定めていく中で、その各医療機能ごとに具体的な、いわゆる定量的な基準でもってそのボリュームをどれぐらいにしていくかを推定していこうということを考えておりますので、現段階においては、確たる数字を持っているわけではございません。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 どのようにするかというビジョンがなくて、病院側に四択選べというんですか。
  305. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) ですから、今現在どのような患者さんが入っているかというのを中心に、今現在どういう機能を担っているかということは示していただこうと思っております。  現在、どのような患者さんを例えば急性期機能の主たる患者として考えるか等々につきましては、具体的に分かりやすく示していきたいというふうに考えております。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、厚労省は、現在の姿でどういう病床がどれだけの割合かというデータをお持ちなわけじゃないですか。病院側に四つのうち、四択の中から一つ機能を選べと言われても、病院側は困るでしょうし、それから厚労省がどういうビジョンで、どういうこれを割合で将来やろうとしているか分からなければ、それは病院側も判断できないと思います。ニーズに応じてやるんだというんだったら、ニーズに任せればいいじゃないですか。
  307. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) 医療機能について今現在お持ちだというような、例えば七対一の入院基本料を算定している病棟というのは、これは分かります。ただ、これは今考えている七対一の入院基本料の算定病棟の中に、じゃ、真に例えば高度な急性期の患者がどれだけいるかというのが全く分からないわけであります。  だから、これからやろうとしているのは、外形的な看護師が何人いるかというわけではなくて、中にいる患者さんがどういう状態かをしっかり見ていこう。そういう中で、その全体の病棟の機能を考えた上で、そこの機能に例えば看護師をどれぐらい配置すればいいかというのは、その後に考えていくと、こういう流れになっていくので、今現段階でどういうふうに分けるかということを規定しているわけではないということです。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 病院側にこの四択の中から選ばせるというのはどの段階でやるんですか。
  309. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) これは法案が通りましたら、できるだけ早期にこの報告制度というのを、まずは報告をしていただくという段階で選んでいただきます、現状が何かということですね。  それまでに、だからどういうような患者さんを主として見ているかということは明確に分かるように、判断しやすいようなものは示していきたいというふうに考えております。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、やっぱり分からなくて、この委員会の中でも、お医者様が質問、足立さんや様々な方も質問されていますが、四つの中から選べと言われても、兼ねているところや病棟の中でいろいろあるわけじゃないですか。だから、四つの中から選べと言われて、それは現実を反映するんでしょうかね。  それから、後ほどというか、診療報酬で絶対に厚労省は誘導していくわけじゃないですか。つまり、どれを選んだ方が病院が生き残りができるかとか、そういうふうについつい思うかもしれないし、何のためにこれ選ばせるのかよく分からないんです。  この間も質問をしましたけれども、結局上から目線の、上からのビジョンと上からの押し付けになるんじゃないか。つまり、これは都道府県知事は強力な権限を持つ、医療機関が都道府県知事の要請又は命令、指示に従わない場合、都道府県知事は地域医療支援病院、特定機能病院の不承認承認の取消しを行える。また、融資についてもこれはできるわけですよね。実質的に医療機関が廃院になるような権限を都道府県知事に与える。  しかし、都道府県知事がとんでもないかもしれない、県庁の職員がとんでもないかもしれない、勝手なビジョンを押し付けるかもしれない、こういうときに廃院を含む強力な権限を知事に与えていいのかどうか。つまり、病院側の判断が正しくて、県知事の判断が間違っているかもしれない。県知事が助言をして、私がそれに従わなかったら、病院がお取り潰しになる、こんな制度おかしいですよ。
  311. 原徳壽

    政府参考人原徳壽君) いきなりお取り潰しになるわけじゃなくて、それまでに、まず医療ビジョンを、構想を作る段階で十分に話をしていただきます。共有していただきたいのは、将来、どういう患者さんがいて、どういう機能の病床をこの地域にどれぐらい必要かは共有してもらう。その上で、それぞれの医療機関がどういう機能を担っていくか、そこに極端に言えば当てはめていくわけですね、最終的に。そういうのが地域医療構想としてでき上がってくる。それは、皆さんの話合いの中で、地域の中で決めていっていただくわけであります。その上で、なかなかその機能がうまく当てはまらないとか、そういうものはできるだけその協議の場をつくって、当事者同士も含めて議論をしていただくと。その上で地域医療構想が出てくるということになります。  その上で、みんなで合意した上でも、なおかつ、いや、私のところはこうしたいというようなのが出てくる場合も可能性としてはあります。そういう場合は、じゃ、なぜそうするのかという十分な説明を求めた上で、最終的にいろいろな措置をするにしても医療審議会等々でしっかりとした意見を聞いた上でやるわけでありまして、知事がもう恣意的に何かをやるというようなことは毛頭考えていないわけでありまして、ましてや、最終的な何々の取消し、あるいは何々の指定の取消しや削減というようなところは最終段階であって、それまでに十分な話合いをしていただくというプロセスが重要だというふうに今考えております。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 話合いの結果、両方が対等で結論を出すのであれば、こういうペナルティーや強力な権限、付与しなきゃいいじゃないですか。  結局、意見が対立した場合、あるいは、逆に言うと、県知事が、このように廃院まで、助言に従わない場合はお取り潰しできるという権限をあらかじめ与えれば、そもそも従わなければならないというのが出てきますよ。だって、最後にはお取り潰しになるんだったら、言うことを聞かなくちゃというふうになるじゃないですか。  例えば、全国の病院数は、二〇〇〇年の九千二百六十六から二〇〇九年の八千七百三十九まで五・七%減少しています。また、公立病院の病院数も、二〇〇三年の千三から二〇一二年の九百十一へ九・一%、約一割減りました。これに伴い、公立病院の病床数も、二〇〇三年の二十三万八千四百八十九床から二〇一二年の二十一万七千三百九十二床へと減少しています。  お医者さん、医者が減っているために、病床がやっぱり空きベッドということもあると。そうすると、悪循環で、医者が減って空きベッドがある、だったら公立病院のこの割合をもっと減らせとか、公立病院減らせとか、そういうふうにまさに拍車を掛けていくんじゃないですか。これで、地域医療構想、ビジョン策定によって病院の統廃合が更に進んでしまうのではないですか。これはどうですか。
  313. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) まず、前段の知事さんが何かむちゃくちゃやるというようなお話ですが、基本的には知事さんも有権者に選ばれて知事になられておられますから、余りむちゃくちゃなことは、さすがにそれはやれないんじゃないかなと。医療審議会やいろんなところが、それは待ってください、知事、と言っているのに、そんなことは普通はないとは思いますが、もし余りひどい場合があれば、先ほども申し上げましたけれども、我々は、新たな財政支援制度等々、それに合わせてこれは査定をするわけでありますから、その中においてひどいことがあれば、それは、これはどういうことですかということは聞いていくという形になろうというふうに思います。  その上で、今ある病院を減らすなんということを我々は目的にやっているわけじゃなくて、その地域、例えば二次医療圏にほぼなるんでありましょうけれども、この新しい圏域の中においてどれぐらいのニーズがあるであろうかと。そして、今ある、言うなれば医療資源はどうであろうかということを考えた上で協議の場をつくっていただいて、その中でうまく、その必要な病床というもの、病床機能というものを当てはめていくということを考えるわけであります。  でありますから、その結果、本当に医療のニーズがないというならば、それはなくなる医療機関があるかも分かりません。しかし、普通に考えれば、これから高齢化がどんどん進んでいく中で、やはり医療というものに対してニーズが増えてくるわけでありますから、どんどん減っていくというようなことはまず起こらない、よほどの特異なところ以外は起こらないのではないのかなと、このように考えております。
  314. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、高齢化が進む中で、さっき私が挙げたとおり、公立病院もどんどん減っているし病院も減ってきているんですね。やはりこれは、病院の統廃合を進める形でこれが進んでしまうのではないか、あるいは、やっぱり入院数を減少する、介護社会化といいながらどんどんやっぱり入院数を減らして、介護難民とかというのが病院どんどん転々としなくちゃいけないような状況がよりひどくなるというふうにも思っています。  医療についてのこれが何が間違っているかというと、私は、徹底的に上から目線の上からの改革なので、医療を壊すんだと思うんですね。例えば全国の病院、産声の聞こえる街づくりプロジェクトで、社民党として全国何年間か掛けて回りました。長野の佐久病院や、例えば飯田における医療の、地域でどうするかとか、地域でボトムアップでどうここで医療をやっていくのか、例えば岩手の遠野のモバイル健診や大船渡病院との連携とか、地域に根差して地域でこうやりましょうというならいいんです。でも、厚労省が丸投げして、都道府県でビジョン作らせて十年単位でやって、そして四つの中から選べと四択迫ってやっていくという上からの改革が、やっぱり地域医療を逆に壊していく。従わない者は言うことを聞けと、だって、お取り潰しまでの権限を持っているわけですから、こういう上からの医療の改革がうまくいくわけはないと。  今日、そんなばかなことをやるわけがないじゃないかと大臣おっしゃったけれども、介護についてもばかやるんじゃないか、医療についてもばかやるんじゃないかということを心配し、この法案はやっぱり極めて問題があると申し上げ、私の質問を終わります。
  315. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会