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2014-05-12 第186回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年五月十二日(月曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      酒井 庸行君     滝波 宏文君      川田 龍平君     柴田  巧君      和田 政宗君     山田 太郎君  四月三十日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     風間 直樹君      大門実紀史君     山下 芳生君  五月九日     辞任         補欠選任      島村  大君     宇都 隆史君      相原久美子君     石橋 通宏君      難波 奨二君     大野 元裕君      平木 大作君     山本 香苗君      柴田  巧君     小野 次郎君      藤巻 健史君     儀間 光男君      山口 和之君     和田 政宗君      山田 太郎君     中西 健治君      山下 芳生君     吉良よし子君      又市 征治君     福島みずほ君  五月十二日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     島村  大君      山谷えり子君     長峯  誠君      石橋 通宏君     相原久美子君      山本 香苗君     平木 大作君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         金子原二郎君     理 事                 井原  巧君                 江島  潔君                 熊谷  大君                 神本美恵子君                 西村まさみ君                 杉  久武君     委 員                 宇都 隆史君                 島村  大君                 滝波 宏文君                 長峯  誠君                 馬場 成志君                 古川 俊治君                 堀内 恒夫君                 舞立 昇治君                 柳本 卓治君                 山谷えり子君                 吉川ゆうみ君                 若林 健太君                 相原久美子君                 石橋 通宏君                 江崎  孝君                 大野 元裕君                 風間 直樹君                 小西 洋之君                 平木 大作君                 山本 香苗君                 小野 次郎君                 儀間 光男君                 中西 健治君                 和田 政宗君                 吉良よし子君                 田村 智子君                 福島みずほ君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        財務副大臣    愛知 治郎君        文部科学大臣  西川 京子君         ─────        会計検査院長   河戸 光彦君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  小松 一郎君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   中村  愼君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡  拓君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       由木 文彦君        内閣官房内閣審        議官       山崎 和之君        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣審        議官       藤山 雄治君        内閣法制局第一        部長       近藤 正春君        内閣大臣官房        審議官      佐々木克樹君        警察庁長官官房        審議官      塩川実喜夫君        法務省入国管理        局長       榊原 一夫君        外務大臣官房国        際文化交流審議        官        齋木 尚子君        外務大臣官房審        議官       新美  潤君        外務大臣官房審        議官       金杉 憲治君        外務大臣官房審        議官       和田 充広君        外務大臣官房参        事官       下川眞樹太君        外務大臣官房参        事官       丸山 則夫君        外務大臣官房参        事官       河野  章君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省国際協力        局長       石兼 公博君        文部科学大臣官        房審議官     藤原  誠君        防衛大臣官房長  黒江 哲郎君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君        防衛省運用企画        局長       中島 明彦君        防衛省人事教育        局長       豊田  硬君        防衛省経理装備        局長       伊藤 盛夫君        防衛省地方協力        局長       山内 正和君    説明員        会計検査院事務        総局次長     鈴木 繁治君        会計検査院事務        総局第一局長   田代 政司君        会計検査院事務        総局第二局長   山本  泉君        会計検査院事務        総局第五局長   藤崎 健一君    参考人        株式会社国際協        力銀行代表取締        役総裁      渡辺 博史君        独立行政法人国        際協力機構理事        長        田中 明彦君        独立行政法人国        際協力機構理事  植澤 利次君     ─────────────   本日の会議に付した案件国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (会計検査院法第三十条の二の規定に基づく報  告に関する件) ○平成二十三年度一般会計歳入歳出決算平成二  十三年度特別会計歳入歳出決算平成二十三年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十三  年度政府関係機関決算書(第百八十一回国会内  閣提出)(継続案件) ○平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十一回国会内閣提出)(継続案件)  (外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機  構有償資金協力部門の部) ○平成二十四年度一般会計歳入歳出決算平成二  十四年度特別会計歳入歳出決算平成二十四年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十四  年度政府関係機関決算書(第百八十五回国会内  閣提出) ○平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十五回国会内閣提出) ○平成二十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十五回国会内閣提出)  (外務省防衛省株式会社国際協力銀行及び  独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の  部)     ─────────────
  2. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る九日までに、川田龍平君、酒井庸行君、大門実紀史君、郡司彰君、島村大君、平木大作君、又市征治君、藤巻健史君、難波奨二君、相原久美子君及び山口和之君が委員辞任され、その補欠として滝波宏文君、風間直樹君、宇都隆史君、山本香苗君、吉良よし子君、福島みずほ君、儀間光男君、小野次郎君、大野元裕君、石橋通宏君及び中西健治君が選任されました。     ─────────────
  3. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、会計検査院法第三十条の二の規定に基づく報告に関する件を議題といたします。  会計検査院から説明を聴取いたします。河戸会計検査院長
  4. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十六年四月二十三日に「地方財政計画及び地方公務員特殊勤務手当等状況について」の報告書を提出いたしました。その報告書概要を御説明いたします。  地方財政状況について、平成十七年に参議院から国会法第百五条の規定に基づく検査要請を受けて、十八年に検査結果を報告した事項のフォローアップとなりますが、総務省は、一定の修正を行った上で地方財政計画額決算額との比較を行い、乖離状況公表していますが、決算額地方財政計画額を上回る要因等の有用な情報は提供されていませんでした。また、地方公務員特殊勤務手当等状況について何らかの開示、公表を行っていますが、その内容には特殊勤務手当別支給額等といった情報が含まれていない状況となっていました。  検査状況を踏まえた会計検査院の所見といたしましては、総務省において、地方財政計画額決算額との乖離状況公表に当たっては、決算額地方財政計画額を上回る要因等の有用な情報の提供を行うことで、より透明性の確保を図ることが求められ、また、各地方公共団体において、地方公務員特殊勤務手当等の具体的な内容実施状況等を住民に対して、より一層積極的に開示して公表することが求められると考えております。  会計検査院としては、地方公共団体決算状況について引き続き検査していくこととしております。  これをもって報告書概要説明を終わります。
  5. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  6. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 平成二十三年度決算外二件及び平成二十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに平成二十四年度のうち株式会社国際協力銀行決算について審査を行います。     ─────────────
  7. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  9. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  10. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 宇都隆史

    宇都隆史君 おはようございます。自由民主党宇都隆史です。  今日は、この決算委員会質問をさせていただく機会を得まして、委員長を始め各理事皆様方にも感謝を申し上げます。  与えられた時間が三十分と非常に短い時間なものですから、多岐にわたりいろんな省庁にまたがって質問したいところはやまやまでございますが、今日は特に防衛部門特化をさせていただいて、その中身について審議をさせていただきたいと思います。  今日は、平成二十三年と二十四年、この二つ年度決算ということを審議するわけなんですけれども、そもそもこの二十三年度、二十四年度予算がどういう予算であったのか、大前提のところを私なりに認識として前提に置いた上でこの議論を進めていきたいと思います。  まず、この二十三年度予算、二十四年度予算というのは、一つは、民主党政権になってから策定をした予算であるというのが一つ。それで、政権交代に伴って、政権交代当時から、これは民主党先生方には若干耳が痛いかもしれませんけれども、本当に財源があるんだろうかと言われるようないろんな政策を大っぴらに有権者の皆さんに出すことによって、非常に、財源の根拠のないようなばらまきとも呼ばれるような予算になったんではないか、こういう懸念一つありました。  二つ目に、さはさりながら、非常に大きく膨らんでいく国家財政を何とかしようということで、事業仕分というのも行われた。非常にいろんな形で無駄を省くということで、ある意味、削り取られたところは大なたを振るわれた予算でもあったんではないかと思います。  三点目に、事防衛に関しては、二十一年度に実は新しい大綱を作る予定自民党政権で策定しておったんですが、それを一年後ろ倒しをして二十二年度末に新大綱を作り、この新大綱に基づいた予算というのが二十三年度以降の予算であった。こういう三つの特徴があるんではないかと思います。  防衛予算というのは、その他の省庁予算と違いまして、非常に特殊性一つ持っている。防衛大綱というのが、約十年間の長期的なスパンを見据えながら、どういうような整備、どういうような我が国自衛隊の守るべき体制をつくっていくかというのを見据えた上で、五年ごとの中期計画で、どういう買物をするかというのが中期防で決まっていきます。この五年間で幾らまでの支出をするという天井が決められるわけですね。これを各年各年のベースで予算ということで積み上げてそれを執行していく、こういうちょっと特殊性を持っているのが防衛予算ではないかと思います。  この防衛予算の本予算、数千億、前年度比に対して上げるだけでも苦労しますよね、大臣安倍政権になってから、平成の二十五年、二十六年、少しずつではありますけれども、約数百億円ずつ元に戻し、我が国防衛予算基盤を拡充するということでやってくる。これでもやはり大変な努力を傾注して防衛予算を上げていっているわけなんですけど、この二十三年度、二十四年度の当初予算額を見ていきますと、二十二年度が四兆六千八百億円程度、二十三年度が四兆六千六百、二十四年度が四兆六千四百ということなんで、大体二百億円ずつ減、減で来たのがこの平成二十三年、二十四年の防衛予算なわけですね。  ある意味、ほかにいろんな必要なものがあってそちらに回すという考えもあり、あるいは、この民主党政権下で作った大綱、特にこの防衛大綱は、動的防衛力ということで、運用でもって、部隊の運用を活性化させることによって防衛力を維持しようという構想になったわけなんですけれども。  一問目として、私が何に焦点を当てて質問したいかというと、数百億円、一千億円上げるだけでも大変な予算防衛予算にもかかわらず、実は相当返しているんですね。積み上げた予算がそのまま執行されずに不用額となって国庫に戻している額というのが非常に大きい。  平成の十九年程度からずっと順を追って見ていくと、十九年というのはこれは自公政権時代ですね、平成の十九年で国庫に返している不用額防衛予算だけで三百十五億円。平成の二十年が四百六十三億円。これ、二百億円、二百億円と二年にわたって減額した分をこの平成二十年、単年だけで返しているわけですね。平成二十一年、六百九十一億円ということで、数百億円単位で返しています。  これが、民主党政権になってから、平成二十一年から額が、桁が変わってくるんですね。平成二十一年に返している額は一千百七十八億円、ごめんなさい、二十二年がですね。平成の二十三年が一千八百億円。平成の二十四年が一千二百八十億円。  それで、これ確かに、どうしてこういうふうに額が膨れ上がるんですかという質問をしたら、まあ考慮される回答もある程度あると思うんですね。一つは、為替変動が大きく変わりました、民主党政権になってから、というのもあるでしょう。それから、震災の影響で非常に見積りがしにくいような事業というのが大きく出てきたんだ、それによって実際に発注してみたらそれほど掛からなかったりであったりとか、あるいは、施設関係のものを発注しようとしても事業者自体がなかなかそれを請け負うことができなかったという影響もあるのかもしれません。  しかしながら、ここには見積りの甘さであったり執行の不手際の問題というのがあるんではないかなということをやっぱりしっかりと詰めていき、評価をしなければならないと思っています。  防衛大臣、まずこの一問目、この三年間にわたって非常にこの不用額国庫返納額というのが多いわけなんですが、ここの原因がどこにあるというふうに評価されているのか、御答弁をお願いします。
  12. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 事実関係でございますので、不用額原因につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  二十二年度でございますが、先生御指摘のとおりでございますけれども、主な原因は、例年どおり不用額原因というのもございますが、二十二年度につきましては、人事院勧告におきまして給与の引下げ、見直し、人件費所要減少というのが生じましたが、それを不用に立てております。それから、二十三年度につきましては、東日本大震災に伴います救援活動被害復旧のための経費が見込みより少額にとどまったということで、これの所要の額をその不用額に立てております。それから、平成二十四年度につきましては、在沖縄米海兵隊のグアムへの移転事業等の変更に伴います所要減少、こうしたことが主な要因になっております。  通常、予算の計上に際しましては見積額を計上せざるを得ない状況でございますので、予算執行段階である程度不用が生じることはございます。契約実績額状況とかそのようなことがございますので、通常見込まれるそのような恒常的な要因以外にも、特徴的に二十二、二十三、二十四はそうした要因があるということでございます。
  13. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございました。  今、事務方からの御答弁によると、人件費部分給与が大幅に削減されたということで、それの余剰分が出たんではないかという部分と、それから米軍再編に伴う部分ですね。これは、国外あるいは県外ということですったもんだしたああいう沖縄米軍の絡みもありますし、あるいは米国側の問題で、議会が了承せずに再編がうまく進まなかったので執行する予定予算執行されなくて国庫に返したというのがあるんでしょう。  でも、今のお話を聞いていて、やっぱり腑に落ちない部分があるんですね。  人件費のところからちょっと先に話をすれば、人件費って防衛費の中で非常に大きいですね。四兆八千億、毎年大体本予算で計上していますけれども、この三分の一はほぼ人件糧食費、隊員の給与に係ってくるお金ですから、ここの部分変動したことによって余剰が多かったんですよという説明は、ぱっと聞くとそうなのかなというふうに思うんですけれども。  でも、ではこの不用額を実際に見てみると、人件費で返しているのは一・九億円だけですね、それから自衛官給与費で返しているのも五十二億円、そう大した額ではない。だから、先ほどおっしゃったみたいな変動要因というのは確かにそれはあるんでしょう。ただ、額からいえば、それが大きくて返納額がこんなに大きく跳ね上がったというのはやっぱり考えにくいんではないかと思います。  もう一つ、それにちょっと突っ込んでといいますか、より踏み込んで質問の二に行きますけど、じゃ、どこの額がそんなに跳ね上がっているのか、大きく国庫に返しているのかというのをこの額面の実際の中身の数値で見ていきますと、武器車両等整備費、これ平成二十三年の部分ですけど、武器車両等整備費で返しているのが四百二十七億円、それから航空機整備費で返しているのが三百七十二億円、それから油もちょっと大きいですね、油も二百億円程度返していますけれども、この辺りが非常に大きいというのが非常に気になるところなんです。  なぜ気になるかというと、大臣、これ整備費というのは、要は購入費です。購入して整備をしていくという意味で、いわゆるメンテナンスの整備じゃないですね。購入するというのがこの整備という意味なんですけれども、この武器車両等整備費が返す額が多い、あるいは航空機整備費が返す額が多いというのは、運用に直結する執行部分お金を返しているところが非常に大きい。つまりは、本来この年度、二十三年度、四年度で必要として我が国を守るための防衛省自衛隊としての運用基盤、これとして計上していたにもかかわらず、ここを担保できてなかった。つまり、我が国を守るべき、二十三年度、二十四年度予定していただけの能力をここに構築できてなかったんではないかという懸念も残るわけなんですけれども、もう一度、この武器車両等整備費、それから航空機整備費、この辺りの額が非常に大きくなっているところに対する説明をお願いいたします。
  14. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) お答え申し上げます。  平成二十三年度について先生触れられました。  それで、平成二十三年度決算不用額武器車両等整備費でございますが、その不用につきましては、第一に、当初予算額よりも契約した金額が下がったということによります契約のその余剰分、それから、概算契約額に対する精算を行った結果として、契約確定額が下がったことによるその精算余剰分と、それから、東日本大震災に伴う津波により冠水しました損傷航空機通信機材修理費につきまして、被害状況を確認したことによりまして所要が減ったこと、そうしたことが主な要因でございまして、実際の運用に大きな影響を与えているという状況ではございません。  それから、航空機整備費不用額でございますが、航空機整備費不用額につきましても、第一に、外国為替相場変動による影響、それから、概算契約額に対する精算を行った結果、確定額が下がったことによる精算余剰、それから、松島基地で被災した航空機について、当初の予想よりも再利用可能な部品等が多かったというようなことが主な原因でございました。
  15. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございました。  為替変動等は十分これはもう考慮され得るべき内容ではありますね。それから、東日本大震災で、先ほども申しましたけれども、非常に見積りが難しいような状況、あるいは松島基地等々でもありましたけど、当初は、何機、水没してしまったF2訓練戦闘機、あれは訓練戦闘機ですから、これを直す、所要見積りしてみたら、実際には使える部品が非常に多かったので額は減った、こういうことは確かにあるんでしょう。  しかしながら、これだけ我が国防衛というのが国民に対しても非常に注目を集め関心事の高い状況になり、年間数百億円、数千億円の予算を取るのに非常にシビアになっている状況下の中で、一千億円以上もやっぱり国庫に返納しているというのはなかなか国民の理解を得られないんではないかと思うんですね。  やっぱり、今おっしゃったような為替変動、あるいは実際に事業者に発注してみたらより安く済んだというだけではなくて、やっぱり当初の積み上げの時点からの見積りをもう少し真剣に捉えて、つまり、これ、防衛予算というのは、安く済めば安く済んだだけそれで終わりという話じゃなくて、先ほど冒頭に申しましたように、五年間で使える所要額という天井が決まっているわけですから、ほかのところで、しっかりとした見積り予算を組んでおいてそれで執行できるのであれば、その一千億円分はほかに回せたかもしれないわけですよね。もう少し人を雇って充足率を上げることもできたかもしれない。もう少し今老朽化しているいろんな装備品を更新することができたかもしれない。ある程度余剰額が出るのは、これは予算執行の差はやっぱり出てくるのは仕方がないと思います。しかし、それをやっぱり少しずつ減らす、適正値に持っていく、できればほかのものに回して防衛力を上げる努力をするというのは必要なんではないかなと思います。  これは最後の方の質問でももう一度申しますけれども、三つ目のちょっと質問をさせていただきます。  この当初予算というのだけ見ると、ここ数年防衛予算は十年近くずっと減らしてきたわけですね。これは決して民主党さんの政権時代だけの話じゃなくて、我々自民党政権がまずは減らしてきたわけですから、これは大いに反省しなければならない。第二次安倍政権になって少しずつ増やしてきたからといって何ら威張れるものではないと思うんですね。  これは予算委員会の中でも言いましたけれども、防衛予算というのは、決して昨年より上がったからいいとか下がったから駄目だという話ではなくて、各国の、我が国が置かれた周辺環境においてどれだけの装備品が、どれだけの体制が必要なのか、それに応じた額が決まってくるわけですから、その額が上がった下がったというだけで見るのではやっぱり片手落ちなんではないかというふうに思います。  しかしながら、もう一つ別の視点からこの予算我が国防衛の装備品の在り方、体制というのを見ていきたいんですけど、予算だけでいうと、十九年、二十年とずっと減っていきながら、第二次安倍政権で二十五年、二十六年と少しずつ盛り返してきてはいるんですね。しかしながら、当初予算にプラスしての補正予算、そして最終的にその年間で執行した支出済みの歳出額ということで見ていくとまた別の視点が見えてまいりまして、平成十九年からは、これ、自公政権からですけど、四兆七千億からずうっとずっと減らしてきているんですね。  しかしながら、支出済みの歳出額という形で見ていくと、平成十九年が約四兆五千億、平成二十年が四兆七千八百億、二十一年四兆七千九百億と上がってきているんですね。平成二十二年四兆六千億、平成二十三年四兆八千、平成二十四年が四兆七千億と、非常に大きな予算をここに吐き出しているといいますか、執行している。当初予算よりも執行しているのなんかは、平成二十三年、二十四年は、当初予算四兆六千億に対して実際の支出済みの歳出額というのは四兆八千、四兆七千と膨れ上がっているわけなんです。  これ、内訳をよく見ていくと、補正予算の中で当初は認められなかったような正面装備品を買ったりとか、非常に大きな額をこの補正で組んだりしてカバーしていっているんですけど、ここも何か見ていくと非常に粉飾のような気がしてならないんです。当初予算は非常に無駄を排除して削りました、防衛予算も圧縮をしているんですと見せかけながら、実は補正で非常に大きな額を使って、本来認められるべきではないような正面装備品もそこに入ってきている。防衛省からしてみたら、削減の非常に厳しい波の中で補正予算で認めてもらう、これは本当に有り難いという気持ちはあるんでしょうけれども、やっぱり国会として、この予算執行あるいは予算国民の血税の中で認めてもらう側としては、必要なものであれば、それは本予算の中でしっかりとお願いをし、国民の理解を得た上で購入していく、計上していく、これが当然なんだろうと思います。  この二十三年、二十四年、非常にこの支出済歳出額が大きく膨らんでいるわけなんですけれども、本予算とこの補正予算の在り方、これはやっぱり決算ベースから見直していく必要性が非常にあるんではないかと思うんですが、これは、防衛省、どのようにお考えですか。
  16. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 防衛予算が増える、減るというのは、これは安全保障環境、様々なことで考慮して行うべきだと思っております。  当初予算につきましては、各年度防衛力整備、維持及び運用等に必要な所要額を計上しております。補正予算については、当初予算成立後に生じた事由に基づき、緊急度の高い事業に関わる所要額を計上しております。  当初予算と補正予算においては、このようにその時々に必要な所要額の計上を行っており、今後とも適切な予算計上を行うことにより、厳しさを増す安全保障環境に適切に対応してまいりたいと思いますが、委員が御指摘のありました平成二十三年度は、東日本大震災がございまして、その後の補正の中で、これは防衛予算についても補正として増えたというふうに認識をしております。また、平成二十四年度につきましては、これは補正予算が付いた中で、特に安全保障環境が厳しくなっているという状況の中での補正予算での状況ということでありますが、いずれにしても、これはそのような特異的なときということで、基本的にはやはり当初予算からしっかり予算要求をすることが適切なことだと思っております。
  17. 宇都隆史

    宇都隆史君 例えば航空機に例を取ってみると、購入するときに、これを年間でどれぐらい飛行運用するのか、運用していけばやっぱりがたが出てきますから、何年に一回修理に出す、そうすると全体の飛行時間で大体何年で用廃というのが決まってまいりますよね。だから、この平成の二十三年度、二十四年度、補正が非常に大きく跳ね上がったのは、ある意味東日本大震災等で本来であれば運用する予定のなかったような輸送活動であったりとかいろんなものが出てきて、そこで膨らんでしまった、これは仕方がないことであろうとも思います。  ただ、今大臣がまさにおっしゃっていただいたように、やはり必要なものは本予算でしっかりと認めてもらう。ある意味、何というんですか、補正で最近少し認めてもらえるようになったから、ちょっと本予算では我慢をして補正の方で認めてもらおう、やっぱりそういうスタンスではなくて、大臣がおっしゃったように、本予算の中でしっかり認めてもらう、そして、変動分については補正でもこれはしっかりと面倒見てもらう、この姿勢は崩してはならない最後のとりでのラインではないのかなとやはり思っています。  しかしながら、全体を見ると、やはり防衛予算というのは非常にまだ低過ぎる。特に私が重点的に今後考えていただきたいのは、いろんな委員会でも、予算委員会でも申しましたけれども、人の部分です。ともすると、民主党政権時代の動的防衛力、それから今回、自民党でも策定しました統合機動防衛力、どうしてもこの機動運用、何か装備品の質だったりとか機動力だったりが表にともするとクローズアップされがちですけれども、結局それを運用するのは人ですから、人が本当に足りているんだろうか。充足の部分です。  充足率、今、陸海空全体で九〇%近くですね。九〇という数字だけ見ると、十分あるんじゃないのというふうに言われる方もおりますけれども、これ予算委員会でも言いましたけれども、三つの部隊があって、それぞれが九〇%の充足、比較的優先をしなければならない部隊にその一〇%減っている部分を寄せ集めていくと、三つの部隊でも一つの部隊はもう七〇%近くになるわけですよね。護衛艦一隻を約四百人ぐらいで運用しようとしたときに、七〇%の充足で運用しようと思ったら、一体何人で運用になるのかと考えていただければ、非常にこれが危険なこと、危ないこと、現場のストレス、あるいは一人に掛かる負荷が大きいことだということがよく御理解いただけるんだと思います。  自衛隊というのは、現場で守っている一人一人の隊員に我が国の存続と国民一人一人の生命、財産が懸かっている。非常にこれは国民全体の福祉に資する活動でもありますので、この人件費、人をどうやってカバーしていくのか、そのための予算をどうやって付けていくのかというのをやはりこういう決算の中から真剣に捉えて、また来年度、二十七年度予算の概算要求等、この後、国会終わればまた夏の辺りにも出てくると思うんですが、もう今、今からそういうことを頭に置きながら防衛予算の構築に努力していただきたいと思います。  最後の質問になりますけれども、今るる第一問目から第三問目に対して、この決算の中で考え得るべきポイントというのを質問させていただきました。それを基に、やはり私は、先ほど事務方の方にもお願いをしておきましたけれども、見積りというのをもう少し適正にしていかないと、この不正額、せっかく国民に理解をいただき、国会に認めていただいた予算であるにもかかわらず、もったいない使い方をしているなと思えてならないわけです。  昨年策定された自民党の防衛大綱中期防の中では、非常に大きな額をこの五年間で認めてはいただきました。その大きく認めていただいた額の中でしっかりとした防衛力整備所要の体制を構築しなさいというふうにうたわれているわけですけれども、同時に、防衛省単体としてこの五年間で七千億の削減努力をいたしなさいということが書かれているわけです。五年間で七千億ですから、非常にこれは苦しいといいますか、本当に乾いた雑巾を絞るような活動ではあると思うんですけれども、まだまだ、こうやって決算を見ると頑張れるところがあるんじゃないかなと思うんですね。  平成の二十六年で、防衛省単体でこれだけ切り込みました、削減努力をいたしましたという額で上っているのは約六百億。七千億五年間で削らなきゃいけないわけですから、単純計算、五年間、五で割れば一年間で一千二百億程度は努力をしていかなきゃいけないわけで、あと六百億足りないわけですよね、これだけでも。しかしながら、国庫返納金を見てみると一千億近く返している。そのうちの半分を何とかこういう見積り計算を適切にやったりしながら削る中で、この中期防防衛大綱でうたわれたものを実現する、きっちりこれだけやるんだということが防衛省に課せられた使命、責務だと思います。  最後の質問ですけれども、もう一度この見積り、それからそういう不正額を圧縮して適切な見積額にすることで、より防衛費をうまく使っていきながら、本来返さなくていい部分を装備品の維持整備あるいは充足率の向上、こういうのに使っていく、そういう努力が必要だと思われますが、防衛省の見解を最後にお伺いいたします。
  18. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員が御指摘ありましたように、予算の計上に関しては見積額を計上せざるを得ないということで、予算執行段階である程度不用が生じることはやむを得ない面はありますが、契約実績額の反映等できる限り精度の高い見積りを行うということが大切だと思います。今後とも、予算の効率的な使用に努力をしてまいります。  他方、新中期防におきましては、おおむね七千億程度の実質的な財源の確保という高い目標を掲げております。このために、防衛省としましては、数年度分の装備品の整備を一括して行うまとめ買い、あるいは安全性を確保しつつ定期整備の間隔を延伸するなど、様々な効率化、合理化を取り組んで一層の削減に努力をしていきたいと思っております。
  19. 宇都隆史

    宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。まとめ買い等でより適切な購入の仕方を求めていく、その努力を是非ともお願いします。  それから、もう一つ防衛大臣にお願いしたいのは、この防衛費というのが、中身の質が非常に変化してきていて、防衛技術が前に進めば進むほどこの単価が物すごく実は上がってきているんですよ。あるいは、単価が上がっているものを買えばこれを維持整備するコストというのもこれすごく上がってきますから、そういうことをいろんなところで是非発信していただいて、防衛費が伸びているからといって、決して、何というんですかね、軍事大国になっているとかそういう懸念は当たらないんですよと、技術が進歩し軍事力が進歩すればこれは必然的に伸びてくるものなんだというこの御理解をいただくための活動、発信というのも併せてお願いをしておきたいと思います。  委員長、最後でございますけれども、質問の中で私、不用額を不正額と間違って申し上げておりましたので、不用額というふうに訂正をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 大野元裕

    ○大野元裕君 おはようございます。民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  今日は、決算委員会議題になりました二十三年度、二十四年度にまたがります、後ほどODAの話について取り上げさせていただきたいと思いますが、その前に、ゴールデンウイークにおきます安倍政権の危機管理体制についてお伺いをしたいと思っています。  ゴールデンウイークに合わせては、多くの閣僚、政務の方々が外遊をされました。特に防衛大臣には私は感謝させていただきたいんですけれども、私も防衛大臣政務官としてPKOを担当させていただきましたが、ジュバのあの本当に厳しい中、ジブチの厳しい環境の中で一生懸命仕事に邁進されておられる隊員の方々を訪問いただいたことは心より感謝をさせていただきたいと思っています。  しかし、その一方で、ゴールデンウイークの最中であったとはいえ、政府の危機管理の体制というものはしっかりとバランスを取らなければいけないことも、これもまた事実であろうと私は考えております。  多くの政務の方々が外遊をされたようです。資料にも配付をさせていただいておりますけれども、世耕長官にお伺いをさせていただきますけれども、この体制、そして、済みません、二つ目質問と併せてお伺いをしますけれども、その資料では、いわゆる国家安全保障会議設置法での九大臣、この外遊について、四大臣についてはオレンジ色、それ以外については別な色で示させていただいておりますが、九大臣のうち六大臣が二十九日には日本を離れておられました。危機管理上、これは適切とお考えになられて御許可を出されたんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  21. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 二つ質問を受けましたが、まず最初に、内閣全般の危機管理についてまず説明をさせていただきます。  これは、何段構えかで危機管理の体制というのをつくっておりまして、まず全般論として、内閣法第十条に基づいて国内に残る閣僚がそれぞれ臨時代理を指定をされるということであります。  次に、平成二十四年十二月、これ第二次安倍内閣の発足時の初閣議でありますが、このときに、内閣としての危機管理の観点から、各閣僚はいかなるときにも連絡が取れる体制、そして緊急事態への対応に関しては、官邸との連絡調整はもとより、速やかに必要な情報が伝達できるような体制整備をしっかりと行っておくこと、そして各閣僚が東京を離れる場合には必ず副大臣又は大臣政務官が在京することということを指示をしております。  その上で、さらに、今回のゴールデンウイーク、御指摘のように、どうしてもこの時期を使ってということがあるものですから、閣僚の海外出張が非常に多く検討をされておりました。そのことを踏まえて、ゴールデンウイーク前の四月四日の閣僚懇談会で内閣官房長官から、危機管理の観点から、改めて閣僚不在時における連絡体制と在京体制をもう一度再点検をして万全を期するということと、そして国家安全保障会議における九大臣会合や四大臣会合のメンバーにも留意をしながら、総理を除く半数の閣僚、総理を除くと閣僚は今十八名ですから、九名は国内に残るよう出張日程、これ、かなり何人かの大臣には日程を変更していただきました。あるいは、もうどうしようもない国際会議を除いては少し断念をしていただくということもやった上で、九名は残るように調整をいたしました。その上で、連休中の官邸内の体制としましては、官房長官を始め、当時、総理外遊中でしたから、加藤副長官は同行しておりましたので、私と事務の杉田副長官、そして内閣危機管理監がいかなる事態にも対処できるように初動体制を整えて万全を期していたところであります。これがまず第一点へのお答えであります。  第二点の、いわゆる国家安全保障会議大臣が多数出張していたではないかということであります。  今、四月二十九日に九大臣中六大臣が出張中という御指摘でありましたが、実はこれも、経済産業大臣はこの日の早朝、六時台には帰京をしていただいております。これも日程変更してもらって、帰京をしていただいております。  その上で、それぞれの大臣については、例えば外務大臣外遊中は官房長官が、総務大臣については稲田大臣がという形で全部臨時代理を指定をしておりますし、さらに、外遊中に万が一、九大臣会合やあるいは四大臣会合が開催されることになった場合は、まず臨時代理の大臣が出ていただくということと、そして各省の副大臣、政務官も、これNSC法上、代理出席的なことができるようになっておりますので、その副大臣、政務官にも出ていただくという形でダブルで体制を整えているところであります。  四月二十四日、連休直前に四大臣会合を一度開いていただいておりまして、臨時代理を誰にするかとか、あるいはその場合に各省の関係政務の出席体制をどうするか、あるいはその間の大臣本人の海外との連絡体制をどうするかといったところをもう一度確認をしているところであります。  以上であります。
  22. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうすると、二十九日並びに三十日には、この場合にはまさに緊急な事態に対処するとされている四大臣のうち三人が国外に出ておられますけれども、これも同様に適切な対応であったというふうにお考えでしょうか。
  23. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) この四月三十日は、総理、外務大臣防衛大臣が外遊中でありました。そのときの大臣については、先ほど、臨時代理で対応をさせていただいておりますし、それぞれの外務大臣防衛大臣の代わりとして副大臣、政務官が出席できる体制になっておりましたし、外遊中の外務大臣防衛大臣、そして総理とは確実に連絡取れる体制も確保できておりましたので、一応、危機管理上の問題はなかったというふうに認識をしております。
  24. 大野元裕

    ○大野元裕君 ならば、防衛大臣にお伺いします。  防衛省では、副大臣以外の政務、これ全員出張ということになっておられましたけれども、これも適切というふうにお考えでいらっしゃいますか、大臣にお伺いします。
  25. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 防衛省としましては、御案内のとおり、大臣一人、副大臣一人、政務官二人ということで、四名おります。  私どもとしまして、十六日間のこの期間中に、副大臣はずっと日本におりました。そして、その十六日間のうち、二人が海外に出ているのは六日間、残りの十日間は三名が国内におりましたので、いずれにしても、万全、何かあったらしっかりできる体制を取っていたというふうに承知をしております。
  26. 大野元裕

    ○大野元裕君 それではお伺いをしたいんですけれども、これ二〇一二年の四月二十六日に、ブログなんですけれども、これは民主党政権時代です。ゴールデンウイーク中の大臣等の海外出張に関してもお粗末ぶりが判明をした、これ全部読めませんので簡単に申し上げますけれども、外務省では政務三役が全く不在のタイミングが発生する、加えて総理以外に九名いる安全保障会議メンバーのうち七名が不在になるタイミングも発生している、ゴールデンウイークの海外出張の設定一つ取ってもこの内閣には国家国民を守るという強い気持ちが全くないことがよく分かる。  これ、どなたのブログだか、世耕長官、教えてください。
  27. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 私のブログであります。今日も聞かれるだろうと思って全部読んできております。
  28. 大野元裕

    ○大野元裕君 私は、政務の方々の出張が悪いというふうに申し上げているのでは決してございません。この質問も実は最初は官房長官にしようと思っていたわけなので、読んではいましたけれども、これ改めて取り上げたのは、何を申し上げたいかというと、緊張感というものはやはり絶対に必要だというふうに思っています。そして、それは政権を担う以上必要なことだし、その当時の立場、自民党は野党として党利党略にかまけていたと、しかしながら立場が違えば違うんだよ、連絡体制が付けばいいんだと。私も政務やっていましたので、その連絡体制は当然ゴールデンウイーク中もそれぞれに総理の下でしっかりとつくり上げてまいりましたし、やはりそこは立場が違えばという話では、私は国益から考えればないというふうに思わざるを得ません。  緊張感をしっかりとお持ちいただくことを改めてお願いをしたいと思いますが、もしコメントがあればお願いいたします。
  29. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 御指摘のとおり、我々は緊張感を持っています。  今ブログは抜粋して読まれましたが、私、まず、外務省については、私が当時国対の代理として把握をしたときには、政務三役誰もいなかったんですね。今回、我々はそういう状況はつくらないように、きっちりやらせていただいています。  また、九大臣のうち七名が不在ということ、これ裏返すと、お二人しか残らなかった。当時、防衛大臣、これ、我々は危機管理上問題があるということで、問責決議案を院として可決をされた大臣でありました。それと官房長官。この直前に、この防衛大臣と官房長官のやり取りで、北朝鮮のミサイル発射事案で大混乱が起こったんですね、この二人しか残っていないというのはどうなんだと。  単に私は人数のことを申し上げたわけではない。これは私のブログですから、そこだけはちょっと補足をさせていただきますが、いずれにしても、大野委員と、危機管理に関してはゴールデンウイーク中であっても万全を期さなければいけないという意識は共有をさせていただきたいと思います。
  30. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、そうおっしゃるのであれば改めて申し上げさせていただきますが、昨年のゴールデンウイーク中は、防衛省においては大臣、副大臣がゼロのタイミングがございました。そういったことはやはりしっかりと調べていただきたいと思っています。  さらには、昨年のときには、いわゆるミサイル、北朝鮮のミサイル事案に関して、大臣の、これは以前取り上げさせていただきましたけれども、発射をめぐって部隊が展開しておりました。今回も、五月の二日には、アメリカのハーフ副報道官が記者会見において、ICBMの北朝鮮の燃焼実験に関して、引き続き極めて深刻な事態であり注意深く見守っている、こうおっしゃっているさなかだったんです。  そういった意味では、当時、書かれたのは平時でございます。そして、今回は、そういった様々な緊張が高まっている時代ですから、私はどうのこうのということではなくて、やはり六人がいいか七人がいいかという話ではなくて、そこはきちんと検討していただきたい。  それから、冒頭、ゴールデンウイーク中でありますからというお話がございましたが、これは岸田大臣覚えていらっしゃると思いますけれども、私、外交防衛委員会、予算委員会ですか、で申し上げましたが、野党にはなったけれども、外務大臣は一生懸命、外、出てくださいと、そこは野党だけれども御協力しますということを改めてここで、公の席で私、申し上げております。  そういった、国益をやはり語るという意味では与党も野党もないということを改めて申し上げるとともに、安倍政権、これも繰り返すのは嫌ですけれども、アルジェリアのときにはアラビア語を話す要員一人もいなかった、この間の大雪のときには、三十八回の非常災害対策委員会の中で唯一ですよ、被害が出てから六日後に立ち上がったと。こんな危機管理内閣だからこそ私は改めて指摘をさせていただいているわけですから、そこについては真摯に御検討をいただきたいと思います。  さて、本題に入らさせていただきたいと思いますけれども、本委員会で議題となっている二十三年、二十四年、両方の年度におけるODAに関する件について質問をさせていただきたいと思います。  外務大臣にお伺いをさせていただきますけれども、報道によれば、ODAをめぐる不正なリベートの問題が報じられております。これ、日本交通技術社が関わる問題でございます。  同社が委託をした第三者委員会の調査では、少なくとも一億六千万円がベトナムなどの三か国の政府関係者十三人に提供されたということであります。現時点では国税による追徴課税という問題にとどまっていますけれども、もしも第三者委員会の報告が事実であるとすれば、これ、外国公務員に対する贈賄、あるいはキックバックを前提とした不正な見積りは私は詐欺にすら当たるのではないかと考えています。特に深刻なのは、これ、元手が単なる贈収賄じゃなくて血税なんです、ODAという血税なんです。  このような事態が発生したことについて、外務省はこれまでしっかりと調査をし、把握をし、問題点を洗い直しているのか、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
  31. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、本件報道を受けまして、直ちに当該企業から聞き取りを実施し、あわせて、関係相手国政府に対しまして事実関係の確認に協力するよう申入れを行いました。  そして、委員御指摘のように、まず、この当該企業からは、同社の第三者委員会が発表した報告書という形で一・六億円のリベート提供が認定をされております。  そして、相手国政府に対しましては、様々な協議を申し入れております。ベトナムについては四月三日、このODA交通案件に関する不正防止のための日越対策協議会を開催、ウズベキスタンとの間では四月二十一日、日・ウズベキスタンODA不正腐敗防止協議会を開催、そしてインドネシアとの間においては五月八日、同様の協議会を開催したということであります。  引き続きまして、しっかりと情報提供を受けながら、捜査当局の動きも注視しつつ、実態解明、努めていきたいと考えております。
  32. 大野元裕

    ○大野元裕君 捜査当局のお話がございましたが、実は私も何回か外務省、JICAの方にお話をお伺いをいたしました。ところが、現実の問題として、JICAそれから外務省共に、当局の捜査中ということで、JTCから確定的な情報を得られたのは国税当局に対して申告をしたこの事実以外はないというふうに私は聞いております。  報道からの情報での事態は当然把握をしている、それからその先般の第三者委員会の報告書、これ、ただ別な民間の報告書でございますので、そういったものは見ていますと、それを基に相手国と協議をしているというふうに聞いているんですけれども、これ、実施機関や相手国政府との間で問題が生じた場合の情報の共有というのは、私、体制としていま一つ弱いのではないかと思いますけれども、外務省としてもう一度考え直すお考えというのはございませんか。
  33. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 相手国とのこの情報共有においては、円借款の交換公文及び借款契約において、不正行為の疑義が生じた場合、相手国政府が関連情報を提供すること、こういった規定を行っております。そして、その上で今回のケースの場合は、先ほど申し上げましたように、様々な協議会をそれぞれの関係国との間に立ち上げて実態把握に努めているということであります。  今回、まだ引き続き実態解明の努力を続けている最中であります。こうしたしっかりとした実態解明を行った上で、それをしっかり検証し、今後必要であれば更なる対応も考えていかなければならない、このように認識をしております。
  34. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、お答えの中で、それぞれの政府と協議会を立ち上げたとおっしゃる。これ、ベトナムだけではないんですか。インドネシア、ウズベキスタンもですか。
  35. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたが、ベトナムとも四月三日、ウズベキスタンとの間においても四月二十一日、そしてインドネシアとの間にも五月八日、それぞれ協議会を立ち上げております。
  36. 大野元裕

    ○大野元裕君 分かりました。  外務省とJICAがなすべきことというのは、私、現時点でもたくさん実はあると思っています。血税を不正な形で搾取したというのが結論としてはこういった不正事件ですから、国民に対する説明責任というのはしっかりと行わないとODA全体に対する疑問符が付いてしまうということは、政府は真剣に認識していただく必要があると思います。  そこで、改めてお伺いしたいんですが、パシフィックコンサルタンツの以前問題があったことを大臣も御記憶にあろうかと思っています。当時、外務省は二〇〇九年四月に、円借款事業に対する不正腐敗の再発防止策の導入という文書において、在外公館で不正に関する情報提供や相談を受ける窓口を設置すると、まあ、したんだろうと思います。二〇〇九年以来、この窓口に寄せられた情報提供及び相談の件数実績を国別、年度別に教えていただきたいんですけれども。
  37. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 委員御指摘のとおり、二〇〇九年、ODA事業における不正腐敗に関する情報を把握するための窓口といたしまして、外務省国際協力局の中、また在外公館及びJICAに不正腐敗情報通報窓口を設置いたしました。  以来、昨年末までの間、外務省及びJICAの不正情報受付窓口に寄せられました情報提供、相談の件数は、二〇〇八年度三件、二〇〇九年度六十五件、二〇一〇年度三十一件、二〇一一年度二十二件、二〇一二年度三十六件、二〇一三年度三十二件の計百八十九件でございます。  また、国別で申し上げますと、ベトナム十七件、インド十三件、バングラデシュ十件、スリランカ九件、インドネシアで八件等となっております。
  38. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。  そのうち、局長、これらの情報提供に基づいて具体的に何らかの措置がとられた件数は何件なんでしょう。また、もし、詳細について可能な範囲で教えていただきたいと思います。
  39. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) お答え申し上げます。  これまで、不正腐敗情報受付窓口への情報提供に対しましてはしっかりと調査を行ってまいりました。その結果、ODA事業からの排除措置をとるに至った海外における事業が一件ございます。この案件は、契約において不正行為がなされようとしている旨の情報提供があったものでございますが、詳細につきましては、通報者保護の観点もございますので、これ以上については差し控えさせていただきたいと存じます。
  40. 大野元裕

    ○大野元裕君 それで結構です。一件だけなんです、百八十九件あって。しかも、すぐに措置がとれば何とかなったものも私はあるような気がする。  というのは、これ、皆様に配付を、先ほど石兼局長からお話がございました情報提供や相談の件数についてこの詳細を配付をさせていただきましたが、実は、今回問題になっているベトナム、インドネシア、ウズベキスタンは、上位というか下位というか、ワーストファイブのうち三か国全部入っているんですよ。つまり、火のないところに煙は立たないと申し上げますが、どうも件数だけ見ても、詳細についてはそれぞれの個別の案件があるでしょうけれども、どうも件数についても随分悪い方に入ってきていることもこれ事実なんです。  そういった中で、これらの情報提供が外務省やJICAあるいは在外公館の窓口においてしっかりと対応されていたかということは私は見直す必要があると思いますけれども、外務大臣、それともう一点、この日本交通技術社、これ今回問題になりましたが、これ報道ですけれども、この窓口の存在すら社長は知らなかったと言っているんです。これ、周知の体制についても私問題があったのではないかと思いますけれども、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  41. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の不正腐敗情報提供窓口につきましては、外務省ですとかあるいはJICAのホームページを通じまして周知を行うとともに、企業、NGOとの意見交換会、さらには海外における現地日本企業の商工会との意見交換会、こういったものを通じましてこの広報あるいは周知、行ってきたところでありますが、しかし、今般の事案について申し上げるならば、通報窓口への相談、なかったわけです。こういったことはまず極めて残念なことだと認識をしております。  外務省としましては、この通報窓口の広報、周知、これを更に徹底しなければならないと考えます。是非、通報者保護の仕組み等も含めて、一層の改善を図ることができないか検討したいと考えます。
  42. 大野元裕

    ○大野元裕君 問題はコンサル会社だと思っています。例えば現地に職員を派遣している商社とか、そういったところは知っているとしても、コンサル会社はそこをリエゾンとして入ってきて、しばしば分かっていない場合も、もちろんODA事業についてはよく分かっているんだけれども、そういった措置について、特に彼らの立場に立てば、こういったことを通報すれば我々に不利益ではないか、この分野についてなくなれば、まさにこの報告書に書いてありますけれども、会社の存立に関わるのではないか、そういった不安が先に立つということもお考えになられた上での周知徹底をお願いしたいと思うんですが。  ちょっと済みません、時間がないので一問飛ばさせていただいて、第三者委員会のこの調査報告書を拝見しますと、国税の調査が二〇一三年の四月十六日にJTCに対して行われました。ところが、リベートの支払は、この調査が行われた後も約一年間、JTCから各方面に何度も行われているんですね。これ血税が元手です。これらを踏まえると、政府の初動体制や時期によってはリベートの支払の拡大を食いとどめ血税の流出を防止できたのではないかと、そういうふうに私は可能性あると思っているんですけれども、なぜ国税調査の段階で情報を把握できなかったのか、教えていただきたいと思います。
  43. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 国税庁からは、三月二十日、本件の報道がなされたわけですが、その前に本件に係る情報提供はありませんでした。外務省としましては、同日のこの報道を受けて本事案について承知し、対応を開始したということでありました。  この報道を受けて国税庁の方に確認いたしましたところ、個別にわたる事柄については、税法上の守秘義務の観点から、税務調査の実施の有無も含め対外的な公表は行っていない、こういった回答があった次第であります。
  44. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、そうすると、これ、今回、ウズベキスタン、インドネシアもありますが、特にベトナムについては、二〇〇九年二月に両国の政府の合同委員会の報告書ということで合意の文書があります。そこでは何と書いてあるかというと、日本政府、JICAにおいて、ODAにおける贈収賄を中心とした不正腐敗に関する情報を受けた際に、これを一元的に把握し、情報を精査し、必要ある場合には通報する等、情報の取扱いを制度化すると書いてあります。日本政府、これ国税庁とか書いていません、外務省とか書いていません。一元的に、相手国政府にこういう約束をしたにもかかわらず制度化はできていなかったと、そういうことなんじゃないんでしょうか。  やはりここは私は、こういった情報を把握すると相手国に対してお願いをし義務を課した以上、向こうからその言質を取った以上、こちらも日本国政府として一元的な制度をつくるべきだというふうに思いますが、この制度化というのは掛け声倒れに終わったという評価でよろしいんでしょうか。
  45. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 国税庁との関係については、まず、国税通則法第百二十六条において、事務に関して知ることができた情報についての取扱いあるいは処罰が規定されております。一方、御指摘のように、二〇〇九年の日越ODA腐敗防止合同委員報告書の中においては日本政府と規定をされております。  このように、この点につきましては、関連法令を踏まえて、日本政府の中での情報共有の在り方についていま一度これ検討する必要がある点ではないかと認識をしております。御指摘も踏まえて是非検討したいと考えます。
  46. 大野元裕

    ○大野元裕君 そのようなお答えであれば、是非よろしくお願いをしたいと思います。そこについては我々も、途中またがったのは民主党政権もありますので、御協力をさせていただきたいというふうに思っています。  さて、もう一つお伺いしたいのは、血税が外国という国民から見えにくい場所で使われている、これはもう事実でございます。そういったところで不正事件が発生すれば、その信頼は回復するということもまた困難であろうということも私は想像をさせていただいています。  PCIの事件に際しては、当時、実は外務省局長が、この事件が発覚し、その後事実関係が明らかになるに際し、日本の対ベトナムODAに対する信頼を揺るがす事件というふうに国会答弁でもおっしゃっていますけれども、と位置付けられた上で、外務省の国際協力局長がベトナムをすぐに訪問をして相手方大臣を始めとする関係者と協議を行い、その後、腐敗防止合同委員会の立ち上げに合意し、そしてこれがこの再発防止策にまとめられたと、そういう経緯があります。  今回の事件が報道された極めて早い時期でベトナムの副大臣はお越しになっています。インドネシア、ウズベキスタンについては、外交ルートを通じ大使館からおやりになっているということも聞いていますが、前回の規模に、もし今回の事件が本当に起こったとすれば、規模としては多分PCIに続くような事件になると思いますけれども、外務省のアクション、私、若干遅いんではないかと思いますけれども、あるいは規模にしてももう少し真剣に取り組んでいただく必要があると思いますが、大臣の御決意を聞きたいと思います。
  47. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 本件の不正疑惑に関する日本とベトナム両政府間のこの情報共有については、まず、御指摘にもありました三月下旬にベトナム交通運輸副大臣が訪日をし、我が方、木原外務大臣政務官を始め外務省、JICA関係者との間で今後の対応に関して協議を行い、そして現地におきましても緊密にやり取りを行ってきております。報道直後に在ベトナム大使館幹部がベトナム政府ハイレベルと対応を協議し、四月三日に先ほど御紹介させていただきました協議会を開催をいたしました。  その後も随時情報交換を行っているところですが、今後、引き続き実態把握に努めています。事態の進展を踏まえつつ、現地へしかるべき責任者派遣するということについては考えたいと思っております。是非、今後の先方の対応ですとか、あるいは事態の進展、これを踏まえながら検討していきたいと考えます。
  48. 大野元裕

    ○大野元裕君 我が国にとって外交の重要なツールであるODAについて、これはもう与党、野党関係なくしっかりと守っていただくとともに、不正があった場合には厳しい対応をお願いしたいと思っています。  ちょっと時間の関係でJICAの方に質問を移らさせていただきたいんですけれども、今回の第三者委員会の報告書、これは民間企業がお願いした報告書ですから、これが全部本当のものかどうか、私には正直判断する能力はございません。しかし、そこによると、第三者委員会の調査報告書では、入札価格の算定の根拠が判然としない、あるいは入札価格を決定するために必要十分な原価計算が行われている形跡もない、こう書いてあるんです。これでコンサル会社をやっているって僕は正直信じられないんですが、しかし、その過去を遡ってみると、原価計算の根拠すら見えないような会社を十分な有資格のコンサルとJICAさんが認定をされて、時にはFSさえ任せてきた、これは相手国政府からの契約ですけれども、任せてきた。これ問題ではないかと私は思うんですね。  第三者委員会の報告のみならず、外務省、JICAとして個別に、あるいは一緒でもいいですけれども、日本交通技術社の見積り作成状況を改めて調査する、あるいはほかのコンサル会社についてのしっかりとした基準を設けて調査をする必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  49. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 今、大野先生がおっしゃったように、この第三者委員会の報告書には、応札価格について算定根拠が判然としないとか価格決定のための原価計算は十分なされた形跡がないという記載があるということは私どもも認識しております。そこで今、当該部分の記載に係る見解についてJTCに対して照会をしておるところで、現在回答を待っておるといったところでございます。  こういう業者とどういう関係を今まで取ってきたのかということですが、JICAから受注しているその十一件の調査事業等というのは私どもで把握しております。それを見る限り、これまでの能力や調査の成果物には特段問題は見られなかったということであります。  私どもとしてみると、この見積りについては今問い合わせているところなので、その結果を待って判断したいというふうに思っております。
  50. 大野元裕

    ○大野元裕君 個別の案件についてもそのとおりだし、FSの委託事業や入札有資格事業者の選定方法というのもやはり私はもう一度見直してしかるべきではないか。なぜならば、この第三者委員会の報告書が正しいか否かは分かりませんけれども、読む限りはすごい業者なんだなというイメージを持たざるを得ないような報告書だったものですから、そこについては全体としても是非お考えをいただきたいと思っております。  ちょっと時間がないので、次は会計検査院にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、第三者委員会の調査報告書では、このリベート提供は歴代のプロジェクトマネジャーと駐在事務所長との間でノウハウとして脈々と引き継がれてきたとされています。ところが、この第三者委員会の報告書は、対象を、遡ること五年間、二〇〇九年四月からに限定をしています。この脈々と引き継がれてきたノウハウ、不正のノウハウがあるとすれば、JTC及びこの当該国、特にベトナムはいろいろ御言及がございましたがまだいい方かもしれません、ほかはまだ全くブラックボックスですから、そういった当該国について、会計検査院として二〇〇九年以前の事実解明を行う必要があるのではないかと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
  51. 田代政司

    説明員(田代政司君) お答えいたします。  会計検査院といたしましては、過去のODA不正事案を踏まえまして、相手国政府やあるいは相手国政府と契約を締結しております企業に対しては検査権限は及ばないものでありますけれども、外務省等の援助実施機関が再発防止のために法令及び体制の整備、民間業者、被援助国に対する趣旨の徹底、情報開示等に関してどのような取組を行っているかにつきまして検査し、報告してきたところであります。  ただいま委員から御指摘のあった点につきましては、日本交通技術株式会社が設置いたしました第三者委員会の調査報告書内容なども参考にしながら、外務省等がこれまで取ってきました再発防止策が確実に実施され機能していたかなどにつきまして、外務省及び国際協力機構に対する検査において取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  52. 大野元裕

    ○大野元裕君 この話、実は取り上げたのは、もちろん血税、そしてODA全体に関わる問題、それももちろんそうなんですが、実はこの二〇一一年十二月に出されましたOECDのフェーズ3レポートというのがあって、いわゆる不正に関するレポートで、何て書いてあるかというと、日本に関しては、外国公務員贈賄事件の探知、捜査に積極的に取り組んでいないと書いてあるんです。これは外務省の所管ではないと承知はしておりますけれども、しかし、こういう評価を受ける、我が国は世界に冠たる経済協力に関する大国でありますし、我が国の外交の柱であるODAに、こういったいちゃもんが現在議論されている二十三年度の会計年度にも関わるところでまだなおかつやられているということに鑑みれば、いま一度真剣に本件を捉えていただきたいと思います。指摘させていただいて、次の質問に移らさせていただきたいと思っています。  実は、防衛大臣に行っていただきましたジュバに関する、南スーダンに関してお伺いをしたいと思っていますけれども、これは外務省にお伺いいたしますが、南スーダンの情勢、昨年から随分流動化しているなという報道を見ております。  つい最近も米国政府が、大統領側のは護衛隊司令官及び反体制派勢力の一部の勢力に関して、両方に対して人道の罪の疑いによって制裁を掛けるという独自の制裁措置を講じました。我が国はこの南スーダンに部隊を派遣する等、積極的にコミットをしている最中ですけれども、しかしながら、人道に及ぼす影響、これも深刻なものがあろうと思っていますけれども、我が国として何らかの措置を講ずる必要があると大臣はお考えでしょうか。
  53. 河野章

    政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、米国政府が先般南スーダンの政府側及び反政府側それぞれ一名に関しまして個人を対象とする制裁というのを決定したというふうに承知しております。  現下の南スーダンの情勢に関しましては、米国あるいは周辺のアフリカ諸国、さらに我が国も含めて、国際社会の多くの国が人道状況の改善あるいは情勢の安定化に向けた様々な取組というのを行っておるところでございます。  我が国について申し上げれば、昨年十二月に現地での衝突というのが発生しまして以来、人道支援を始めとして約二千五百万ドルの支援というものを表明し、これを実施してきておるところでございますが、それ以外にも南スーダンとその周辺国に対して様々な働きかけを行ってきております。  最近では、先週でございますけれども、五月四日に岸田大臣にアフリカ訪問いただきましたときに、カメルーンのヤウンデで南スーダンの外務・協力大臣とか、あるいはエチオピア、ウガンダ、スーダンといった周辺国の閣僚級を集めた会合というものを主催いたしまして、岸田大臣から、我が国として、問題解決に向けたアフリカ諸国自身の取組を支援するということを表明しますとともに、南スーダン及び近隣国の努力というものを促したところでございます。  我が国としましては、引き続きこのような人道支援あるいは外交的な働きかけというものをできる限り続けて、そういった努力を続けてまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  54. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 私も八日の日にキール大統領とお話をしまして、和平についての積極的な活動をするようにというふうに申入れをいたしました。翌日でありますが、キール大統領と反対派の前副大統領が会談をエチオピアで行ったということになりました。
  55. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうなんです。人道的に非常に厳しい状況があって、我が国を含めた国際社会が対処しなければいけないような深刻な状況があって、南スーダンの特に北部情勢の悪化に伴い、大量の国内避難民、IDPが発生をしています。  本来、そのマンデートを見ると、IDPはUNHCRが所管でございますけれども、彼らを管理しているのはOCHAという、いわゆる緊急人道支援を行う、そういった組織でございます。UNHCRはオフィスを持っていますけれども、何で緊急援助をマンデートとするOCHAが継続的に難民に関する支援を行っているのか、外務省の理解を教えていただきたいと思います。
  56. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 現在、南スーダン情勢につきましては国連において大規模人道危機に認定されておりまして、UNHCRのほかにもWFPあるいはIOMなど複数の人道支援機関がOCHAの人道支援調整メカニズムに従いまして、国連人道調整官の下、それぞれの知見を活用して、協調して支援活動を行っているところでございます。すなわち、OCHAは国連における人道支援活動の調整役として、UNHCRもこの人道支援調整メカニズムの下、支援活動を行っている、こういう整理でございます。
  57. 大野元裕

    ○大野元裕君 ところが、このOCHAは、実はこういった非軍事組織というんでしょうか、難民とかあるいはNGOとか、それと軍事力を持っているPKOとの関わりに関する基準を持っています。これはMCDA、複合緊急事態における国連人道活動を支援するための軍隊と民間防衛資産の使用に関する指針、あるいはそれ以外にも、シビル・ミリタリー・ガイドライン・アンド・リファランスという、国連のIASCという基準があります。  これらの基準におきましては、OCHAが少なくとも定めているところによれば、中立性を非軍事組織が保つために、これらの避難民、NGO等も含めてですけれども、が軍事組織の下に入る場合には、緊急避難的であってほかに代替措置がなく、しかも継続的であってはならないというふうに定めています。それが、自衛隊の宿営地の横でPKOの部隊から継続的にこれらの支援を受けているというのは、私、法的な整理というものが若干やはり必要ではないかと思っています。  なぜならば、我が方の部隊がこれ中立性を侵しているというふうに見られたときには、我が方の部隊が危ないんです。もちろん、法的に整理ができてもそう見られることが非常に危ないことであることは事実なので、その辺のOCHAの基準と、それからこのIDPというか国内避難民のステータス、そして我が方のPKOの継続的にコミットしている関わりというものをどのように外務省は整理をされているんでしょうか。
  58. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) お答え申し上げます。  まず、我が国自衛隊部隊が所属しておりますUNMISSにつきましては、文民の保護の任務が安保理決議によって与えられておりまして、避難民の保護は当該任務の一環で実施していると、このように理解しております。  また、OCHAにつきましては、委員御指摘のとおり、国連は、国連人道活動を支援するための軍の能力使用に関するガイドライン、御指摘のとおり、MCDAガイドラインを定めておりますが、本件につきましてはOCHAにも照会をいたしましたが、OCHAとしては、UNMISS、国連南スーダン共和国ミッション施設内における国内避難民支援に関しては当該ガイドラインと整合性が取れており、UNMISSと協力することは問題がないという回答を得ております。
  59. 大野元裕

    ○大野元裕君 ニューヨークにおいて、そういう整合性が取れているという、こういう法解釈はそれはそれでありです。しかし、その一方で、中立を維持するというこの原則というのは何かというと、我が方部隊が行って、そしてもちろん我が方部隊が十全にその能力を発揮し、なおかつ国内の中で片方にくみしないということによって我が方部隊の安全も確保されるという実は我が方の国内の問題もあり、そして、防衛大臣、それ発令されているわけですから、そういった責任も私はあると思います。  そこで、余り時間がないので、外務大臣に一問、防衛大臣に一問お伺いしたいんですけれども、中立性を侵したPKO部隊というものは、これはゴランでも一部ちょっと事件があったようですけれども、逆恨みした勢力の攻撃の対象になる可能性すら否定できないと私は感じております。そういった意味では、まず外務大臣、法的なステータスというものをしっかりとした上で整理をきちんとして、そして、いわゆるPKOとの一体になるような事態というものを、継続的にならないような措置を申し入れるべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  60. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 南スーダンに関しましては、昨年十二月、情勢が悪化した後、多くの文民が保護を求めてこのUNMISSの施設内に避難をし、そして現在も数多くの避難民が施設内にとどまっております。  まず、このUNMISSですが、UNMISSはマンデートとして文民の保護の任務、これをまず与えられております。その上で、特定の部族を利するような行動は現在のところ取っていないと考えておりますし、あくまでも国連PKOの基本原則である不偏性を遵守した上で、避難民の保護あるいは人道支援、これを促進する活動を行っていると認識をしています。今後もこうした方針をしっかり守っていくこと、これは重要な点だと思っています。  加えて、我が国のこのPKO要員の安全確保ということに関しましては、まずはこの南スーダン政府に対して治安状況の改善の申入れを行うとともに、国連に対しても安全確保につき引き続き十分な対応を求めてきております。実際に様々な安全確保措置が国連によってとられてきていると承知をしております。  いずれにしましても、こうした要員の安全確保には引き続き細心の注意を払いつつ、この南スーダンの国づくりのために貢献をしていきたいと考えています。
  61. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、そのとおりなんです。UNMISSはマンデートとして文民保護のマンデートを与えられているんです。  しかし、保護を受ける方のOCHAの方は、こういった非軍事組織がいわゆるPKO等の庇護を受ける場合は、緊急避難的で、なおかつ継続的ではなくて、しかもそれらが警護のような任務を受けることを実はこのガイドラインでは禁止しているんですよ。緊急避難じゃなきゃ駄目だと言っているんです。つまり、そこにその整合性が取れていないということを私は申し上げていて、ただ、先ほどの話のとおり、ニューヨークではあるかもしれない。  しかしながら、これ防衛大臣に最後お伺いしますけれども、防衛大臣としては、これ、その下令をされた、命令を下令された大臣として非常に大きな責任を私は負っているというふうに考えます。そういった中で、きちんとした法的ステータスをもう一度整理をして、我が方の、あるいはUNMISSの関わりというものを、ニューヨークと、現場と、そして我が方の日本政府の間でしっかりと確保することが必要ではないかと思いますし、大臣はそれを提言されて外務省の方に動いていただくという責任が私はあると思いますけれども、いかがでしょうか。
  62. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 国会の御理解をいただきまして、五月八日に初めて防衛大臣として南スーダン・ジュバに行ってまいりました。現地の施設を見、丸一日様々な難民の状況も確認をいたしましたが、非常に状況は複雑だと思いました。例えば、難民として宿営地のそばにいる部族が、これがヌエル族かディンカ族か、あるいはそれが混在しているか、そういうかなり様々な状況がカオスのような状況になっております。  いずれにしても、委員がおっしゃるように、どちらかに明確に加担をするということは、これは本来あってはならないことですので、中立性を保つことが大切だと思っております。  また、私どもとしては、現地のヒルデ・ジョンソン、UNMISSの代表でございますが、と様々な議論をしながら、このような今委員が御指摘されたような不安がないようにしっかり対応していきたいと思っております。
  63. 大野元裕

    ○大野元裕君 防衛大臣、もちろん向こうで御苦労されている方々もそうですし、反体制派と呼ばれる方々が今、マシャール副大統領の方の一派だけではない、いろいろ分かれてしまっている、誰が敵か分からないという状況ですから、是非、防衛大臣として、そして外務大臣として、世耕長官来ていただいていますけれども、三つの共管でございますので、PKOについては、是非彼らの、南スーダンの状況についてしっかりと把握をしてフォローしていただけるようお願いを申し上げて、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  64. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、宇都隆史君が委員辞任され、その補欠として島村大君が選任されました。     ─────────────
  65. 石橋通宏

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。  同僚の大野委員に続きまして質問させていただきたいと思いますが、大野委員も取り上げられましたけれども、今日私も、とりわけ政府開発援助、ODA決算について集中的に質疑をさせていただきたいと思います。  まさに国民の貴重な税金を使って進めておりますこのODA、これが本来の目的に沿って実施をされているのかどうか、また本来の目的を果たすべく貢献しているのかどうかと、そういう観点で、今日は具体的な事例として、アフリカのモザンビーク、それからアジアのミャンマーの案件を取り上げて質疑をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、モザンビーク案件について質問させていただきます。  このモザンビーク案件、とりわけプロサバンナ事業につきましては、昨年来、様々、本会議予算委員会等々でも取り上げられておりますし、岸田外務大臣も様々答弁をいただいておりますので、この間の進捗、さらには、問題、課題についてはずっとフォローをいただいているというふうに理解をしております。  そこで、残念ながら、私自身の理解では、昨年来様々に外務省そしてまたJICAの方でも取組をいただいていると理解はしておりますが、現時点に至っても、プロサバンナ事業、とりわけマスタープランの策定事業については暗礁に乗り上げているというのが私の理解であります。  そこで、まず、JICAの今日は田中理事長にお忙しい中おいでをいただいておりますが、田中理事長に、このプロサバンナのマスタープラン策定支援事業、当初は昨年の三月までに策定完了をする予定でありましたが、現時点に至っても策定のめどは立っておりません。この根本的な理由について、簡潔に御説明をお願いします。
  66. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 御案内のとおり、プロサバンナ事業、研究・技術移転能力向上事業と、それからマスタープラン策定支援事業、それからコミュニティレベル開発モデル策定事業、三つありまして、今、石橋先生からお話ありましたのはマスタープランの案件でありますけれども、当初想定していた時期にマスタープランを完成させるという事態にはまだ至っていないということは御指摘のとおりでありますが、これは、私どもできる限り、このプロサバンナ事業というのは、現地の小農の皆さんあるいは関係者の皆さん、こういう方々の御理解をいただいた上で最も効果的な形のプロジェクトをつくっていくということが大事であるというふうに判断しており、そのことを累次にわたってモザンビーク政府にもJICAからもそれから外務省からも伝える活動をやっており、その結果、各種の市民社会の団体の皆様方との協議というのも進んでおりますけれども、委員御案内のとおり、ナンプラ州の市民団体との間の調整といいましょうか、そういう機会を、今、政府、そういう機会が与えられるということを要請しておるところでございます。    〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕  できる限り早い機会に調整といいましょうかコンサルテーション行って、この事業を進めてまいりたいと思っております。
  67. 石橋通宏

    石橋通宏君 今、市民社会グループ、この本事業の最大の裨益者であります、当事者であるいわゆる小農民の方々、組織の皆さんですね、先ほど理事長も言っていただきましたように、このプロジェクトの最大の目的は小農の支援ということであります。まさにその最大の裨益者たる小農の当事者の皆さんが、本事業に対して懸念の声というか反対の声を上げておられるわけです。  今、理事長、協議が進んでいるとおっしゃいました。協議、本当に進んでいるんですか。私の理解では、現地からの、市民社会グループからの情報によれば、昨年の秋段階から協議は全くストップしています。これが進んでいるという理解にどうやったらなるのか理解に苦しむわけですが、今年に入ってから協議は進んでいるんですか。
  68. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) コンサルテーションということでいいますと、この協力開始以降、各州の農民組織や市民社会団体と今まで五十回以上にわたって対話を行っておりますし、昨年の九月以降もそのときに作りましたコンセプトノートをベースに対象の三州で協議を実施して、そのうちの二州、ザンベジア州、ニアサ州では農民組織、市民社会団体と協力の上で郡レベルでのワークショップを実施して、参加者から私どもは一定の理解を得たと思っております。  残りの一州、ナンプラ州、先ほど申し上げた件でありますけれども、ここでは、市民社会団体との対話においてそのコンセプトノートへの意見、コメント等が提起されておるので、その意見、コメントの計画への反映について検討を行ってきました。現在はその結果を基に対話の再開を呼びかけているところという、こういう段階でございます。
  69. 石橋通宏

    石橋通宏君 三州のうち二州で対話が進んでいるということですが、これについても実は現地からは疑義の声が出ております。確かにワークショップをやったと、でもワークショップに参加しただけだと。ワークショップに参加したけれども、実質な議論は行われていないし、何の合意もしていないという二州の方々からも意見が寄せられています。  今触れていただいたナンプーラ州市民社会プラットフォームの皆さん、今呼びかけをされていると言われましたが、呼びかけには応じておられますか。具体的な協議の日程が設定されておられるでしょうか。
  70. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 私どもから呼びかけ、それから政府から呼びかけをしていただいて、私の理解では、現在その日程調整をしている最中だというふうに伺っております。
  71. 石橋通宏

    石橋通宏君 実は先週のレクでそういう話を聞いたものですから、改めてナンプーラ州市民社会プラットフォームに確認をしたところ、一切対話には応じていないという返事を今朝いただいております。  その最大の理由は何かといいますと、これは外務大臣もよく御存じのとおり、昨年の五月、もう一年前になりますが、モザンビークの現地の二十三団体、また世界四十二団体、大変多くの当事者、関係組織の皆さんから、安倍総理大臣を含む今回のこの関係三か国首脳に事業の緊急停止を求める公開書簡が発出をされております。安倍総理に手渡されております。しかし、一年たった今なおこの書簡に対する回答がありません。外務大臣国会答弁で、この遅れている件については懸念を持っていると、モザンビーク政府との調整において早急に回答できるようにという国会答弁も出されておりますが、しかし、結局のところ現時点に至るまでこの書簡に対する回答がないと。これに対してナンプーラ州市民社会グループも、そして現地の最大の農民組織であるUNACも大変、懸念というよりは、これが最大のストップしている要因であると、この書簡に対する明確な真摯ある対応、回答がない限り一切の対話には応じないというふうに現地からは言っております。  これ、なぜこの書簡に対していまだに回答がなされないんでしょうか。これは、理事長若しくは外務大臣答弁をお願いします。
  72. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の公開書簡につきましては、従来から委員会等で答弁させていただきましたように、本事業はモザンビーク政府が中心となり進めている事業であり、これに日本及びブラジルが支援を行っているというものであります。よって、この公開書簡に関する返書については、その対応につきモザンビーク政府について検討中であるという答弁をこれまでも繰り返しておりましたが、今日までこういった状況が続いておりました。  しかしながら、政府としましては、この書簡はしっかりと真摯に受け止めなければならないということから、モザンビーク政府に対して、可能な限り早く回答すべきであるという認識の下に、累次にわたって照会、働きかけを行ってきました。その結果、今般ようやく、この書簡には、モザンビーク政府から、適切に回答すべく鋭意調整しているという連絡がモザンビーク政府から我が国政府に届いたということであります。是非速やかな回答が行われるよう、しっかりとモザンビーク政府に一層働きかけを行って、書簡に対する返書、返事がしっかりと発せられるよう努力をしていきたいと考えています。
  73. 石橋通宏

    石橋通宏君 外務大臣、これ、いつまでに回答されるということは、今、時期の約束をしていただけるでしょうか。
  74. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げましたように、ようやくモザンビーク政府から、この問題、我が国からの照会に対して返事が、連絡があったところであります。まだ具体的にいつまでというところまで確認はできておりませんが、是非、こうしたモザンビーク政府への対応に対して、更に我が国から働きかけることによってできるだけ早く返書を発するべきだと考えております。そのことによって事業を進めていくべきであると考えております。
  75. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、いつということも大変重要ですので、今できるだけ早くということですが、これ是非、期限区切って、モザンビーク政府にはきちんといつまでにということで確認をいただきたいと思いますが、もう一つ重要なのは、いつだけではなく中身です。  具体的に、これ私の手元にも公開書簡あります、外務大臣も御覧になって、理事長も当然御覧になっていると思いますが、これは緊急停止を求める、つまり内容について多くの懸念がこの中に書かれて示されておりまして、要は先ほど、小農のためといいながら小農のためにならないということを当事者の小農の皆さんが表明をされている内容でありまして、じゃ、これら累次の多くの懸念点が示されておりますが、これらに対してどのような回答、中身をしていただくのかということが、それからのまさに市民社会グループの皆さんが実際にこれやっていこうじゃないかというふうに対話に応じていただけるのかということにも絡むと思いますが、外務大臣、これ内容は御覧になっている、若しくはモザンビーク政府がどのような内容を検討、用意をされているというのはもう御存じなんでしょうか。
  76. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 今般ようやくモザンビークから受け取った連絡、適切に回答すべく鋭意調整をしているという内容でありますので、モザンビーク政府自身が今調整中でありますので、私自身、その返書の中身についてはまだ確認の段階には至っておりません。
  77. 石橋通宏

    石橋通宏君 そういうことのようですので、これ、外務大臣中身がやっぱり大事だと思います。どのような真摯な回答をこの書簡に対してされるのかどうか、それ次第で、繰り返しますが、これからの市民社会との対話、当事者たる農民の皆さんとの対話がこのままデッドロックなのか若しくはきちんと進めていくのかどうか、それが大きく左右されると思います。現地からはそういうお話が来ております。是非この件につきましては、時期とそれから中身をしっかりと、政府そしてJICA、責任を持って対応いただきたいと思いますし、私も引き続きフォローしていきたいと思います。    〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕  その上で、結局、この書簡が一年近くたなざらしになっていたと、これに対して市民社会、大変懸念を持っている。一方で、関連事業がこの一年間の間にも進められてきたじゃないかということについても現地からは大変心配の声があります。対話が大事だといって対話が進んでいないのに、しかし関連の事業、とりわけ、先ほど理事長、三本柱とおっしゃっていただきましたが、皆さんのお手元の資料の二に三本柱が表でありますけれども、この三つの下の、一番最後の三つ目ですが、コミュニティレベル開発モデル策定プロジェクト、我々一般的にPEと呼んでいますけれども、このPEの事業が先行して進められているということについて大変な不信感が渦巻いております。なぜマスタープランの進捗が止まっている、対話が止まっているのに、この三本柱の一つのPEの事業はその後進められているのか、これは話が違うじゃないかということで、これも対話が進まない一つの大きな要因になっておりますが、理事長、これ何でPEは進捗、事業進めておられるんでしょうか。
  78. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 今、石橋先生おっしゃったように、このプロサバンナ、私どもはPEMと言っておりますが、この事業は二〇一三年五月から開始しております。  コミュニティレベル開発モデル策定プロジェクトということでありますが、これは、地域の特性に応じた農業開発モデルを確立して、またそのモデルの普及を担う農業普及員の育成や体制整備を行い、将来的な小農の生計向上を目指すことを目的としております。私ども、このプロジェクトを行うこと自体がマスタープランと並行して実施されることは問題ないというふうに思っております。このプロジェクトにつきましても、地元関係者についてはできる限り十分説明を行い進められてきていると私は認識しております。  今後も、要は小農中心のための様々な農業普及員やモデルの普及ということでございますので、今後とも、引き続き地元で丁寧に話合いを行いつつ進めていくことが必要じゃないかなというふうに思っております。
  79. 石橋通宏

    石橋通宏君 理事長、当初は、先ほど話がありましたように、マスタープランは昨年の三月までに完了する予定でした。PE、まあPEM、当初これ名前が違ったわけで、途中で名前変更されておりますね。最初は農業支援のプロジェクトだったのが、途中からコミュニティー支援という形に名称を変更されております。これ、当初は、先ほど言いました三月までにマスタープランが完了をして、その後このPEが、PEMがスタートするという段取りになっていました。つまり、当初は、マスタープランが策定をされて、それに基づいてこの三本目の柱であるPEMも行われるという、それがブラジル政府との協議の中でも段取りとして決まっていたのではないかと思います。  ところが、マスタープランの策定が遅れてしまった。今なおマスタープランの策定は、要はめどが付いていない状況です。なので、マスタープランの策定を待っているとこのPE、三本目の柱も実行できないので、後付けで理由、名称を変えて五月からこのPEMを実施している。これはマスタープランに資するもので、マスタープランに基づくものではないと、当初の予定を変更して行っているという指摘がありますが、そうではありませんか。
  80. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) マスタープランの最終的な完成が時間が掛かっておるのはそのとおりでございますが、これは、基本的にはモザンビークの小農の皆さん始め農民組織、市民社会の皆さんのその御意見をできる限り丁寧に反映して、そして、その結果、農民の方々に受け入れられるようなマスタープランを作っていこうと、そういうことで延ばしているわけでございます。目的は、延ばしたくて延ばしているというよりは、より良いものを作るために延ばしているわけでございます。  そして、私どもとしてみますと、このより良いものを作るためという対話と、具体的な、かなり部分的なものですけれども、モデルの普及とか農業普及員の育成などを行う事業というのは、始められるところから始めていった方が将来的により良いプランもできるし、それからより良い農業開発ができると思ってこのように進めているわけです。
  81. 石橋通宏

    石橋通宏君 今、理事長、答弁で、より良いものを作る、これはもちろん現地の皆さんのために本当により良いものを作っていくということ、外務大臣、これはもうもちろん外務大臣としても同意されると思います。そのために、できる限り丁寧に、当事者、ステークホルダーの皆さんとの対話を行うということも、これ全くそのとおりです。  しかし、今し方まで答弁をいただきましたように、その丁寧にすべき市民社会グループとの対話はデッドロックです。最大の原因は、書簡に対して真摯ある回答がいまだ一年たってもされていないという状況だということも確認をさせていただきました。その中で、三本の柱の一本であるこのPEMが、現地との対話なきままに、現地との同意なきままに、丁寧な対話なきままに実際に進められているところに対して、当事者の、まさにステークホルダーの皆さんが大いなる不信感を持っていらっしゃるということ、この事実を理解していただかないと、幾ら対話を進めようとしても、これ決して住民の皆さんは対話に応じてくれないというふうに思います。  外務大臣、これ最後にしますが、やっぱり私は、そもそもボタンの掛け違えといいますか、本来、最初の段階で丁寧にやっていただくべきだった当事者、ステークホルダーの皆さんとの対話が、残念ながら事実として今現在こうやって暗礁に乗り上げてしまっているということから、まずやっぱりここをまさにもう一回丁寧にやっていただかないと、恐らくこの事業、今後更に難しい方向に行ってしまう懸念の方が強いと私自身は心配をしております。  外務大臣、是非、外務大臣の責任において、先ほどの書簡への真摯ある回答と、それから市民社会グループ、当事者、ステークホルダーの皆さんとの、まさに今回の事業の最大の裨益者たる小農民の皆さん、農民組織の皆さんとの対話、これをしっかりとJICAとの連携において進めていただく、そのことを確約いただけないでしょうか。
  82. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 本件につきましては、ただいまの委員からの御指摘もしっかり受け止めながら、ただいま田中理事長から答弁がありましたように、丁寧に作業を進めていかなければならないと認識をしております。地元の関係者との対話等につきましても、是非丁寧に進めるべく努力をしていきたいと考えます。
  83. 石橋通宏

    石橋通宏君 よろしくお願いします。  というのは、アフリカに対しては、外務大臣もいろいろアフリカへ行かれて、安倍総理もアフリカを訪問されて、今後更に農民の皆さんへの支援、農業支援拡大をというふうに言っておられます。まさにこのモザンビークのプロジェクトは大きな試金石になるというふうに思います。ここで頓挫してしまったら、今後のアフリカ支援に対しても相当にアフリカの中でも懸念が広がるのではないかということも心配されますので、是非、このモザンビークの案件、丁寧に進めていただくよう重ねてお願いをさせていただきたいと思います。  続きまして、ミャンマーの案件に移らせていただきたいと思います。  ミャンマーの案件につきましても、この間の民主化の進展、さらには少数民族との停戦合意等々の進捗を受けて大きな支援の拡大が行われているわけであります。そして、その最大の事業一つとしてティラワの経済特区開発事業というものがございます。  実は私もこの連休中に現地に行きまして、久しぶりに、二年前に一度、ティラワの開発区、お邪魔をしてきましたけれども、その後の進捗を見るために今回改めて訪問をしてまいりましたが、今回は事業地を見るのではなく、今回の強制移転の対象となった住民の皆さんの生活環境を見させていただきに行ってまいりました。  お手元に資料として、皆さんの御参考までに資料の四に、経済特区開発事業概要ということで、フェーズ1からクラスA、そして今後の進んでいく二千ヘクタール、影響住民、世帯のところを見ていただきますと、今回の開発に伴って住民のいわゆる非自発的移転というものが伴います。これについて、現地に行ってまいって、資料の五に写真、実際に私が撮ってきた写真であります。御参考までにということでお付けをしておりますが。  これ、理事長、今回、住民の皆さんと、移転の対象となって既に移転地におられる皆さんと二時間ほど車座になって話をしてきました。そこで一番言われていたのが、JICAはなぜ我々の書簡に回答してくれないのかということでした。これも資料にお付けをしております。先ほどの四の一番下のところ、二に書いてありますが、過去、これだけの書簡がJICA理事長宛てに住民の皆さんから出されております。一切、一向に書簡による回答がないということのようです。  理事長、これ、なぜきちんとした対応がなされていないんでしょうか。
  84. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 今委員御指摘のように、JICA理事長宛てに書簡が六回送付されているということは、そのとおりでございます。ただ、私どもJICA事務所からは、書簡をいただくたびに口頭では対応させていただいております。  ただ、この書簡に対してどのように対応するのかということは、やはり私どもの国際協力を行うときの相手国政府、当該国政府が現地ステークホルダーとの協議を主体的に行うというその原則、そして、その相手国政府が主体的にステークホルダーと行う内容がより適切なものになっていただくということを重視しており、現在の段階では口頭での対応にとどまっているということでございます。  このような状況であるということはミャンマー政府にも私ども伝えておるところでございまして、ミャンマー政府もまた直接住民との対話の用意があるというふうに言っておるわけでございますので、私どもとしてみると、今の形の、JICAが何でも前に出てということではなく、ミャンマー政府との対話を今までは見守ってきている、あるいは、特にJICA専門家を私ども派遣しておりますので、そのJICA専門家がミャンマー政府に働きかけることによって適切な対話が行われるということを重視してきておりましたが、今後、先方政府とも相談して、対話の可能性も含めて、今後の対応は検討してまいりたいと思っております。
  85. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、資料でも示しておりますけれども、書簡があったのは昨年からずっとです。昨日今日の話ではありません。直近では四月の三十日にも書簡が送られております。つまり、現地政府に幾ら言っても何の進展もないと。もう移転は昨年の秋段階から段階的に進められておりますので、最初の段階に移転した住民はもう半年近く現地に住まれているわけですが、何の対応もされていないと。だからJICAに、日本に、日本だったら何とかしてくれるという思いで書簡を出されているんだけれども、結局何の返事もない。  理事長、今、その都度電話で回答があったと。これ、事実ですか。住民の皆さん、ちゃんと記録をされております。電話が、JICAから回答めいたことがあったのは一月二十七日と四月七日の二回だけであると。失礼しました、二月の三日と四月の二十八日の二回だけであると。それも、住民側からJICAのヤンゴン事務所に電話をして、書簡に対する返事はないのかということに対して、どなたか分からないが、事務所の女性の方が回答をしたということです。これ、理事長、JICAとしての責任ある回答なんでしょうか。  今日、資料の一に、環境社会配慮ガイドラインを参考までに改めてお付けをしております。この環境社会配慮ガイドラインにこう書いてあります。ステークホルダーの参加を求める、ステークホルダーの意見を意思決定に十分反映する、ステークホルダーからの指摘があった場合は回答する。これ、どういう意味なんでしょう。ステークホルダーからの指摘があった場合には回答すると。一切これまで書簡に対する真摯ある回答がなされず、電話も、事務所のどういう立場の方か分からない方が、電話があったときに対して回答を二回されている。住民からは、JICAと是非、昨年十月十五日に一度会合を持ってもらったけれども、その後移転してからは一切会合も持ってもらえないので、会合を是非持ってほしいと、我々の声を聞いてほしい、これにも全然応えてもらえないと。  これ、ガイドラインに違反していませんか。理事長、もう一回答弁お願いします。
  86. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 今委員から御指摘のそのJICAからの電話での回答というのは、委員おっしゃるような形で行われているというふうでありますが、それに加えて、もう一回ほどやっておるということでございます。  ただ、まず、このJICAの環境社会ガイドラインに沿っているかどうかということでありますが、二つの側面ございまして、一つは、まずその移転、この最初のクラスAの地域における移転住民に対する対応として、ミャンマー政府の取った対応が環境社会ガイドラインに適合しているかということであるとすると、私どもは、これは適合する形で行ったというふうに思っております。  補償年数、これは稲作農家、野菜農家への補償年数の増加とか、移転地の区画面積、その他幾つかのことをやっておりますが、そのような対応に加えて、今の移転された方々のところとの対話については、JICA専門家は全てそちらを訪問して対話を継続しているというふうに私は認識しております。ただ、石橋先生、現地にお出かけになって実際にお話伺っておるということで今そういう御発言でありますから、私どもとしても更に一層丁寧な対応をしなければいけないというふうに思っておるところでございます。
  87. 石橋通宏

    石橋通宏君 理事長、ちょっと質問に対してちゃんと答弁いただいていない。私が言っているのは、これだけ累次にわたる書簡が、もしよろしかったら、現地語と英語と一部翻訳版、全部いただいてきました。これは本当に切実な訴えがこの中に書かれております。これに対して、私、全然回答がなされていないということは本当に問題だと思います。  電話も、繰り返し言いますが、JICAのヤンゴン事務所のどなたか分からない女性の方が対応したときに電話で答えたと、それだけです。これがJICAの回答なんですか。それに対してどうかと質問させていただいていますが、環境社会ガイドライン、そこの部分について、ちゃんとしたお答えをいただいていませんけれども、それがもしJICAの真摯ある回答だとすれば、これは私は大問題だと思いますよ。こんなことで、それぞれの国々との信頼関係築けるかどうか、これは大きな問題があるということを是非指摘をさせていただきたいと思います。  理事長、JICAの専門家が現地訪問、これ、私が訪問したときにも話出てくるんです。JICAの訪問者の、固有名詞は言いませんが、○○さんという人が来たと、来るたびに我々は現地の問題をお話をしていると、しかし何も起こらないというふうに言われているんです。理事長、これが実態なんですよ、そこまでお聞きになっているかどうか分かりませんが。JICAの人に訴えるんだけれども、現地、何も起こらないから書簡も出すんだけれど、何も返事が来ないと。一体どういうことなのか。  これ、写真で一部、今日ちょっと全部出せませんので、興味ある方はまたお見せしますが、これは移転前の様子、これはちょっと一部で、既に移転された方々のところはもう既に整地が始まっているので、これは現在、この次に移転対象になる二千ヘクタールにある住居、こういう感じの、家は確かに古いです。しかし、非常にスペースのある住環境で暮らしておられます。移転後は、土地が、私も百聞は一見にしかずで現地行ってみてよく分かりました、狭いです。密集しています、家が。で、農業はできない、家畜も持っていけない。これ全部、家畜を持っておられる方、それによって日々の生計立てられていた方も全部処分をせざるを得ないという状況が見て取れます。  右側の上、これ、水がひどいです。井戸があるんですが、井戸に藻が大量に発生をしております。ポンプがあって、ポンプを出すと、これはちょっと見にくいかもしれませんが、バケツの中に泥水がある。これ、ポンプから出てきた水です。何の操作もありません。これ、何に使えというのかというふうに住民は憤っておられます。  下の方は、これ、政府のさっき補償額、今日は補償額の中身に突っ込みませんが、家の補償額は二・五ミリオンチャットだそうですが、それによって政府が建てるとこういう家を建ててくれたそうです。既に何か月かで家の中、私も入ってごろんとしてみましたが、隙間だらけ、大変ずさんな建築です。土台がもうこういう、ちょっと見えにくいね、土台が、金具がもう外れたりひびが入ったりしております。半年たたないうちにこういう状況です。これが補償額で、多くの住民の皆さんは、この補償額で政府が造ったらこういうことになるというのが分かっているので、自分たちで補償の中から補填をして自分たちで家を建てられている。だから、補償額はもう全然十分じゃないということのようですが。  左の下の、移転後の様子の下の写真で、これはちょっと見にくい、こういう状況なんですけれども、舗装されていないんですね。で、家の部分が道路より低いんです。これからミャンマーは雨季になります。雨季になって大変なことになるのではないかとすごく心配をされていて、実際、今朝届いた写真で、週末に大雨が降ったそうです。大雨が降ったら、既にその一回の大雨で水浸しになったそうです。これ、雨季になったらどんなことになるんだろうと住民、懸念をされております。  学校の問題もしかりです。これJICAに言ったら、学校の問題どこまで把握されているのか。それもそのJICAの専門家には伝えていると言いましたが、六月に学校を再開しますけれども、学校に通えていない子供がいるというふうに私は聞いております。  こういった問題に対して、JICAがきちんと、ミャンマー政府が対応するんだと。しかし、対応されていないからこの問題が今なお残っていて、住民の皆さんはJICAに対して何とか対応してほしいと書簡を送っているんじゃないでしょうか。  理事長、これ責任持ってもう早急に対応いただきたい。それ約束していただきたいと思いますが、いかがですか。
  88. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) 今委員おっしゃったように、移転先の状況の中には大変課題を抱えているものが多いというのは、それは私も認識しております。この点についても、更にミャンマー政府に必要な働きかけを行って改善できるような形に持っていきたいというふうに思っておりますし、それからまた、先ほど来お話しのその対話の在り方ですね。これについても、繰り返しになりますけれども、ミャンマー政府の主体性と私どもの要求とをうまく合致させるような形で望ましい対話の在り方、これは書簡も含めてですけれども、そういう形を含めて追求してまいりたいと思っております。
  89. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、ガイドラインに沿ってきちんと進められているのかどうか。内部のモニタリング、第三者に、これは是非私は第三者によるモニタリングを実施すべきだと思いますが、第三者によるモニタリング、これ実施するということを約束していただけないでしょうか。これは、ガイドラインに沿って、ステークホルダーの参加、住民との対話、住民への真摯ある回答、こういったことを含めてきちんと行われているのかどうか、第三者によるモニタリングを是非要求したいと思いますが、理事長、いかがですか。
  90. 田中明彦

    参考人(田中明彦君) この環境社会ガイドラインに沿っておるかどうかについては、ミャンマー政府が第三者によるモニタリングを実施するというふうに承知しております。
  91. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、住民は全くこの件については知らないと言っておりますので、第三者モニタリングが幾らやられようとも当事者たる住民の皆さんが含まれていなかったら全く意味がありませんので、これ、もしミャンマー政府がやるということであればJICAもしっかり関与していただいて、第三者、これ勝手に政府がやるのではなく、きちんと住民の参加に基づくモニタリングが行われるように、これは是非確保をしてください。  外務大臣、今質疑聞いていただいたと思いますけれども、これから次なる、この先ほどの三つのフェーズでいけば二千ヘクタール、より多くの農民の皆さん、住民の皆さんが非自発的移転の対象になる、ここに協議が移ってきます。今回私もそこの皆さんとも対話をいたしましたけれども、既にそこの皆さん、今のクラスAの状況を見ておられるので、本当に心配をされております。  例えば既に、まだ農民の皆さん農業をやっていらっしゃるにもかかわらず、二年前に農業用水のかんがいが止められてしまって、施設が取っ払われてしまいました。乾季に農業ができなくなってしまって、収入が半減になっております。こういったこと。さらには、先日、四月の二十七日に行われた最初の住民との協議では、どうも現地の農業省は住民の皆さんに農業を停止せよというような指示を出した。これ移転がまだ数年先になるかどうかも分からないのに、今年もう農業を停止せよという指示まで出しておられると。  これは大変な問題だと思いますが、こういったこれからの協議に向けて、改めて、外務大臣、JICAは今理事長はしっかりやるという答弁されましたけれども、外務省としても責任持って、住民の皆さん、ステークホルダーの参加、これを真摯にしっかりとやっていくということで確約をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  92. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、本件、ティラワの経済特区開発事業ですが、これは海外からの直接投資を通じてミャンマーの持続的経済成長を実現し、そして雇用の創出等を通じて貧困削減にもつなげていく、こういった意味で大変有意義な事業であるとまず認識をしております。そして、この事業を進めるに当たりましては、御指摘のように、住民移転等が生じる場合には移転後の生計回復支援も含めて住民の意思等に十分配慮した適切な措置が確保されること、大変重要だと認識をいたします。  そして、JICAの対応につきましては、先ほど田中理事長から説明がありましたように、丁寧にそしてしっかりと進めてもらわなければならないと考えておりますが、我が国政府としましても、是非、ミャンマー政府に対しまして、国際基準に基づいた対応を住民移転においても行うよう働きかけていきたいと存じます。国際基準、要は世銀にガイドラインがあると聞いておりますが、こうした国際的な基準に基づいてしっかりとミャンマー政府に対応してもらうべく、日本政府としましても直接働きかけを行っていきたいと考えます。
  93. 石橋通宏

    石橋通宏君 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますが、モザンビークとミャンマーの事例、これ実は共通の話です。ステークホルダー、市民社会の対話、これがしっかり行われていなければやはり正しいODA推進できないということですので、今大臣答弁いただきましたので、是非政府としても責任持って対応いただくようお願いをして、質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  94. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  本日の外務、防衛、両省庁省庁別審査に当たりまして、平成二十三年、二十四年度のその該当年次の両省の取組を踏まえつつ、会計検査の合規性の観点、すなわち憲法適合性の観点を中心に質疑をいたします。  まず、冒頭、会計検査院に伺います。  会計検査院法第二十条三項の合規性の解釈として、法律違反のみならず、憲法違反の行政の支出に対しては会計検査院検査対象となり得ると解してよろしいでしょうか。
  95. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 仮に憲法に違反する行政の支出があった場合は、合規性の観点からの検査対象となり得ると考えているところでございます。
  96. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  会計検査院は憲法上の独立の機関でございますので、もし行政府が憲法違反の支出をする場合は、その固有の憲法解釈により断固として国民のために検査をしていただきたいと思います。  では、その肝腎の憲法解釈について少し確認をさせていただきます。  内閣法制局に伺います。  今日、配付資料を二つお配りさせていただいておりますけれども、日本国憲法の前文という紙でございます。この前文でございますけれども、通告した三つのうちの二つをまずまとめて伺わせていただきます。  一つ目ですけれども、網掛けの「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」という文言は、日本国民として新憲法に国民主権主義を採用する理由、すなわち憲法制定の立法事実としてこれを位置付けているものと解してよろしいでしょうか。  また続けて、続く文章ですけれども、下線部分、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。」という文言におけるこの「かかる原理」という言葉ですけれども、さきに申し上げました、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意した主権者である日本国民の憲法制定意思、すなわち平和主義に立脚する国民主権及び代議制の原理を意味するものと解してよろしいでしょうか。このかかる原理、ほかにも含まれる概念があるのでありましたら、具体的かつ網羅的に含めてお願いいたします。
  97. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お答えいたします。  ただいま資料で御指摘されました日本国憲法の前文の部分につきましては、かつて昭和五十一年五月七日の参議院の予算委員会で当時の吉國内閣法制局長官が同じような箇所についての見解を求められておりまして、ここの趣旨につきましては、憲法制定の当時における考え方は、従来の、過去の戦争が国家機関の手によって行われ、その惨禍を日本国民がひとしく受けたというところに着目をいたしまして、どうしてもそういうことが起こることがないように、そこで国民主権ということを確立するということによって過去のそのような例が起こることがないようにするという固い決意を表明したものであるということが大方の憲法学者の解釈でございますというような答弁をしておりまして、御指摘のような理解、可能と思っております。  さらに、かかる原理というところでございますけれども、条文上を見ますと、かかる原理というのは、その前にございます「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」という部分を受けているということでございます。したがって、基本的にはそこの、日本国憲法は、その後、「この憲法は、かかる原理に基くものである。」というような形で、日本国憲法が国家意思を最終的に決定する主権が国民にあるという国民主権の原理でございますとか間接民主制を採用しているということを明らかにしているというふうに理解しております。
  98. 小西洋之

    ○小西洋之君 今のお答えの前半で、我が日本国憲法が国民主権を採用した理由はまさに平和を実現、確保するためである、二度と戦争の惨禍を政府、この政府というのは、今御紹介いただいた五十一年のその内閣法制局長官答弁によりましたら、いわゆる行政府ではなくて、立法、司法全てを含んだ国家機関だという意味だというふうにされておりますけれども、そのかかる原理ですけれども、かかる原理というのは、単なる国民主権や民主制ではなくて、平和主義、平和を実現、確保するための国民主権と理解してよろしいでしょうか。
  99. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) ここの原理についてのいろいろな、ちょっと学説の方も御質問がございましたので、いろいろ文献を見ておりましたけれども、狭義に国民主権と解するようなものでございますとか、あるいは日本国憲法の中での他の原理でございます平和主義ですとか、あるいは基本的人権の尊重ですとか、そういったものもここで含まれるというふうに読まれる学説の方もおられて、そこは必ずしも一様ではないというふうに理解をしております。
  100. 小西洋之

    ○小西洋之君 私が問うたのは、確実に含まれると言われた国民主権とその民主制が、それを実現するために、その平和主義を実現するために日本国民国民主権を採用したと憲法前文に書いてあるというふうに先ほど答弁いただきました。そういう意味関係性があるはずでしょうと申し上げたんですけれども、もうそこは揺るぎないことだと思いますので、差し控えさせていただきます。  資料二ページを御覧いただきますと、今、法制局が御説明いただきました、これ元法制局の、本物の、小松法制局長官とは違う本物の、法制局のキャリアも務められました佐藤功先生というすばらしい日本を代表する憲法学者の書かれた解説ですけれども、憲法のその制定の基礎に存する原理、平和主義も当然このかかる原理に含まれるというようなお考えを示されているところでございます。  つまり、何を申し上げたいかといいますと、我が日本国民の、日本国憲法のこの国民主権はただの国民主権ではないわけでございます。二度と国家の行為によって戦争の惨禍が起こることのないように、それを実現、確保するために、平和を実現、確保するために国民主権という仕組みを採用したものでございます。ただの国民主権ではないわけでございます。そのことをまず御確認をいただきたいと思います。  では続いて、重要な質問をさせていただきます。  この憲法の前文の続きでございますけれども、「われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」というふうにあります。法制局に伺います。我らはこれに反する一切の憲法を排除するとは、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」との平和主義を決意した主権者である国民の憲法制定意思に立脚する国民主権及び代議制の原理に反する憲法を主権者国民として排除する、すなわち許容しないとの主権者意思を示したものと解してよいでしょうか。  具体的には、行政府において、現在憲法解釈の変更の余地すらない、すなわち憲法の条文を変えない限り不可能とされ、日本国憲法にその概念がかけらたりとも包含されていないと確立した政府答弁を行っている集団的自衛権の行使、また、それは戦後の世界史においても濫用の歴史を積み重ねてきたことが否定できない、つまり戦争の惨禍の危険が否定できないものでございますけれども、そうした集団的自衛権の行使を可能とする解釈改憲を行政府が主権者国民国民投票によることなく、すなわち国民に問うことなく強行した場合には、そうした解釈改憲による新しい憲法、すなわち第九条を主権者国民は許容しない、排除するとの主権者意思を示したものと解してよろしいでしょうか。
  101. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 今御質問の中で集団的自衛権の問題が大分言及されまして、ちょっとそういう個別の問題について私ども今お答えを持っておりませんで、安保法制懇でいわゆる検討をしてこれから政府で行うということでございますので、そういう具体的な当てはめということについては少し答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ここのところの、まさしくお示しになりました佐藤先生もこういう解釈をされていますが、いろいろ学者の方で、この一切の排除をするというところの理解についてはいろんな議論があると思いますけれども、もちろん、こうした文言に着目をして国民主権あるいは間接民主制を否定するような憲法の改正は許されないというような学説というのもございます。  いずれにしましても、憲法の改正は憲法九十六条に定めがございますので、その憲法の規定の改正はこの憲法改正手続によって本来行われるべきものというふうに承知しております。
  102. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、第一部長から冒頭御説明いただいたその学者が認めていることは、つまり九十六条でも変えられないものが憲法にはあるという、つまり憲法の限界というものでございまして、日本国憲法のその制定の理由そのものである、しかも国民主権を採用した理由そのものである、その平和主義というものは憲法の改正によっても変えられないと、これはもう圧倒的な学説の通説であり、また、私も文理解釈を今法制局にお願いしましたけれども、この前文を読む限りそうとしか解せないと思います。  個別の集団的自衛権のことには答えられないというふうにおっしゃいましたけど、通告はしておりましたよね、通告はしておりました。ただ、残念ながら、小松法制局長官の下の内閣法制局ではもうこういう質問をしても答弁は返ってこないわけでございます。また後でこの問題は検査要請についてもさせていただきますけれども、まさに日本の法治主義、それが今崩壊しているということでございます。  今法制局からいただいた答弁、もう一度御説明をさせていただきますと、日本国憲法の国民主権というのはただの国民主権ではないと。なぜ日本国民が日本国憲法を採用するに当たって国民主権を採用したかというと、二度と政府の行為によって戦争の惨禍が国民に及ぶことがないように、その絶対の平和を確立し実現するために国民主権を採用したわけでございます。  そうすると、その国民主権によって行わなければいけない究極の実行は国民投票でございますけれども、国民投票なき憲法の解釈変更、すなわち解釈改憲によって新しい戦争行為、しかもそれは政府の確立した答弁によれば日本国憲法には概念としてかけらも入っていない、なぜならば条文を変えるほかないわけでございますから、そうしたものを可能にするということはこの憲法の前文に違反するわけでございます。つまり、解釈改憲は立憲主義や法の支配をじゅうりんする行為であると同時に、我が日本国憲法においては、国民の日本国憲法においては、実は憲法の明文に違反する行為なわけでございます。このことをこの国権の最高機関の決算委員会の場で確認をさせていただきたいと思います。  つまり、国民投票の手続があるのにそれをしない、立憲主義や法の支配を滅ぼす仕方、これはまさにワイマール憲法を滅ぼしましたナチスの手口そのものでございます。そうした手続的な問題があるということ、それが一点。  そしてさらに、今申し上げました、日本国憲法は実はもう一つ高いハードルがあるわけでございます。つまり内容面でございます。  我が国民主権というのは、平和を守るためにわざわざその国民主権を採用したという主権者国民の立法意思によるものでございます。それをじゅうりんして、その国民に問うこともなく、しかも解釈改憲は憲法九条を削除すると同質であるというふうに、真の内閣法制局長官阪田雅裕先生、私の尊敬する方ですけれども、おっしゃっております。憲法九条の解釈改憲をして集団的自衛権を可能にするというのは、憲法九条を削除するということと同じ、すなわち憲法九条が憲法規範として実効性、実質的な法規範性を失われるということでございます。そうしたような、そんな内容を持つ憲法の改正というものは、先ほど申し上げました憲法のその前文の趣旨、平和を守るための国民主権、そしてそれを守るための日本国民がそれに反するものを排除するというこの原理、それに全部反するわけでございます。なので、あえてもう一度重ねますけれども、立憲主義、法の支配に反する行為、解釈改憲は反する行為であるとともに、憲法前文の明文規定にも違反する行為であるということを確認をさせていただきます。  それで、先ほど申し上げました、こうした残念な法制局の答弁が繰り返されているという事実でございますけれども、資料三を御覧いただけますでしょうか。ちょっと小さな字で恐縮でございますけれども、一つ目は、昨年の十一月二十五日、この決算委員会で、委員会の場で私は小松法制局長官に、憲法九条の条文を変えない限り集団的自衛権の行使はできない、条文を変えない限りできないと日本語で言ってくださいと四度言って、政治的な理由をもってはぐらかしたという。もう法制局長官としてこんな答弁をした、私も元官僚ですけれども、空前絶後の答弁でございました。  二つ目は、安倍総理の答弁でございます。憲法九条の条文を変えない限りできないという政府の確立した答弁があるのに、安倍総理はついに、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらない、解釈の変更によってできるという空前絶後の答弁を参議院の予算委員会で二月五日にやっております。  さらに、その下でございます。これは参議院の本会議における安倍総理の答弁でございますけれども、これも確立した政府答弁で、政府がその政策のために従来の憲法解釈を変更するということは、憲法を頂点とする法秩序の維持という観点から見ても問題がある、これは集団的自衛権のことですけれども、という内閣法制局長官答弁があるのに、仮に憲法解釈の変更が行われても、法律を、自衛隊法などの改正をするんだから、このような方法が法的安定性を損なうとは考えていないという、これまた本当に我が国の立憲主義や法の支配を打ち砕く、破壊する空前絶後の答弁でございます。  委員長、こうした答弁等につきまして、合規性の観点から、会計検査院に対し、小松内閣法制局長官の職務の内閣法制局設置法違反、また国家安全保障局の設置法違反等、日本国憲法も含めた法令違反の有無及びそれに伴う国庫支出の当否について、国会法第百五条の検査要請を求めます。
  103. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
  104. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  少し御説明、最後の二つ説明しましたその答弁は、実は、そのうちの二つ目、真ん中なんですけれども、これ、小松法制局長官が入院していたときに行われた総理の答弁でございます。これは、上を見たら分かるように、普通は内閣法制局が作る答弁なんですけれども、実はこれを作ったのは国家安全保障局でございます。つまり、今、安倍政権において行われていることは、正しい客観的な、あるいは論理的な法解釈をもう作ることは組織としてやらないと。さすがに小松法制局長官がいないときは、本物の法制局の官僚の皆さんはこういう空前絶後の、解釈変更で集団的自衛権の行使が可能などという答弁は作れないわけでございます。それを、小松法制局長官がいない間に別の部署が作っているというのがその実態でございます。  では、こうしたゆゆしき合規性の観点を踏まえまして、まず外務大臣から伺わせていただきます。  外務大臣、次のページをおめくりいただきまして、資料の四番でございますけれども、ございますでしょうか。これ、済みません、通告をできていなかったんですけれども、これ、報道でも有名な、憲法九条にノーベル賞をという動きについての、ノルウェーのノーベル委員会から申請者に届いたメールでございます。一行目ですけれども、ノーベル委員会は二〇一四年のノーベル平和賞の候補としての提案を受け取りましたというものがございます。  被爆地を選挙区に持つ代議士として、また外務大臣として、いかがでしょうか。この憲法九条、日本国民にノーベル賞をということでございますけれども、つまり憲法九条の改正発議をする国会議員を選んでこなかったという、日本国民の総体として受賞することも私は可能だと思いますけれども、憲法九条についてノーベル賞、日本国民にふさわしいと思いませんでしょうか。いかがでしょうか。
  105. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 憲法九条について、このノーベル賞委員会ですか、の方でこうした判断をされたということについては、これはもう委員会の判断だと思います。  いずれにしましても、憲法九条も含めて、日本国憲法、我が国の憲法でありますので、日本国民としてこの憲法を尊重し、そしてこのありようについてしっかりと認識を深めていく、こういった態度は重要だと認識をいたします。
  106. 小西洋之

    ○小西洋之君 是非ノーベル賞を期待したいということをおっしゃっていただきたかったんですけれども、次はちょっと控えさせていただきます。  では、重ねて質問させていただきます。通告をさせていただいたものの二つ目のものから先に伺わせていただきます。  アメリカが日本国政府に、日本が憲法上、集団的自衛権の行使を可能とするように要求をしたことがこれまであるかということでございますけれども、三月十二日の予算委員会で安倍総理もそういうことはありませんというふうに言っておりますけれども、そういうアメリカから、アメリカ政府から要求等を受けたことはないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  107. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 集団的自衛権と憲法の関係につきましては我が国自身が判断する問題であり、米国政府から集団的自衛権行使容認を求められたことはございません。
  108. 小西洋之

    ○小西洋之君 要求等を受けたことがないというふうに理解してよろしいでしょうか。そういう意味ですね。──そういうふうに答弁いただきました。失礼しました。  では、通告させていただいた質問の一番目なんですけれども、資料五を御覧いただけますでしょうか、おめくりいただきまして、日米安全保障条約第三条の解釈について伺います。  この上の部分は、外務省のホームページのこの三条の説明をそのままぺたっと貼付けをさせていただきました。この日米安全保障条約第三条の趣旨、特に下の条文で重ねて引かせていただいておりますけれども、「憲法上の規定に従うことを条件として、」との文言について、日本国憲法の下の集団的自衛権の行使の関係も踏まえつつ、その趣旨と制定の経緯について答弁をお願いいたします。
  109. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えいたします。  先生の配られた資料を読み上げるような形で御答弁させていただきたいと思いますけれども、この規定、すなわち日米安保条約第三条の規定は、我が国から見れば、米国の対日防衛義務に対応して、我が国も憲法の範囲内で自らの防衛能力の整備に努めるとともに、米国の防衛能力向上について応分の協力をするとの原則を定めたものでございます。  これは、沿革的には、米国の上院で一九四八年に決議されたバンデンバーグ決議を背景とするものであり、NATOその他の防衛条約にも類似の規定がある。同決議の趣旨は、米国が他国を防衛する義務を負う以上は、その相手国は、自らの防衛のために自助努力を行い、また、米国に対しても、防衛面で協力する意思を持った国でなければならないということであると。ただし、我が国の場合には、相互援助といっても、集団的自衛権の行使を禁じている憲法の範囲内のものに限られることを明確にするために、憲法上の規定に従うことを条件としていると。  以上でございます。
  110. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  この今読み上げていただいた解説が意味するものは、実は、これ目からうろこの同僚議員の皆さんも多いと思うんですけれども、日米安全保障条約上、日本はアメリカのために集団的自衛権を行使しなくてもよいということが明文で規定されているわけでございます。日本とアメリカの二国間関係において日本が憲法上集団的自衛権を行使しない、できないということだけではなくて、主権国家同士、日米の主権国家としての国際条約の取決めにおいて、その明文において、日本はアメリカを守るために集団的自衛権の行使をしなくていいということがこの一九六〇年安保のときに日本からの申入れにより明文の規定が入っているわけでございます。  つまり、申し上げたいことでございますけれども、次のページを御覧いただきますと、日米安保において、日本が集団的自衛権の行使をしないと日米の同盟は著しく毀損されるあるいは日米同盟が危機的な状況になるというような安倍総理の答弁があるわけでございますけれども、岸田外務大臣に伺わせていただきます。  日米安保条約の条文の解釈上、今申し上げました日米同盟が毀損されるあるいは危機的な状況になるというようなことは、条文の解釈上、日本政府はそうした解釈には立っていない、また当然アメリカ政府においてもそういう解釈に立っているはずだということでよろしいでしょうか。
  111. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、日米安保条約ですが、これは規定の中で憲法上の規定に従うことを条件としている、要は憲法の範囲内に限られるということを明確にしている、これは当然のことだとまず認識をしております。  その上で、集団的自衛権と憲法の問題については我が国自身が判断すべきことでありますが、我が国国民の生命、財産、自由を守り、そして国の主権を守るためにこの日米同盟を強化していく、これは我が国として絶えず考えていかなければならないことだと思っていますし、こうした我が国の姿勢については米国も支持、歓迎しているということであります。そうした基本的な考え方に基づいて、ただいまこの集団的自衛権と憲法の問題も含めて安保法制懇で議論が行われているわけですが、その中において個別具体的な事例を挙げて、こういった場合において我が国として対応していかなくていいのか、こういった問題意識が提起をされていると承知をしております。  こうした議論もしっかりと確認し、そして最終的な報告書も受けた上で、政府・与党としての方針を決めていかなければならないと考えています。
  112. 小西洋之

    ○小西洋之君 岸田大臣は栄光の派閥、宏池会を率いられる方で、私も尊敬する政治家でございまして、是非この解釈改憲を止めていただきたい。  残念ながら、私が今伺ったのは日米安保の条文の解釈を伺っただけなんですけれども、お答えいただけませんでしたけれども、同僚の委員の皆様はもう御理解いただいているとおり、つまり条文の明文規定にあるわけでございます。仮に何らかのケースにおいて日本がアメリカのために集団的自衛権の行使ができなかった場合があったとしても、それはアメリカとしては、条文上、条約上、日本はアメリカのために集団的自衛権を行使できないのだから、それはしようがないと。しかも、先ほど御答弁いただきましたように、日本にそのために集団的自衛権の行使ができるようにというふうにアメリカが要求したことはこれまで一度もないというわけでございますから、よって、私は、日米安保が壊れると、それは極めて国民をだます非常に卑劣な政治家としての言説である、これは安倍総理に対してですけれども、指弾をさせていただきたいと思います。  じゃ、次に移らせていただきます。次の資料七を御覧いただけますでしょうか。非核三原則でございますけれども、ちょっと時間が押してしまいましたので、この非核三原則、まさに国会、衆参でこれは国是として累次の、右側にありますけれども、決議が積み重ねられて、この左側は外務省のホームページ、字が小さくて恐縮でございますけれども、歴代内閣、つまり安倍第二次内閣も含め、これらの国会決議を尊重し、非核三原則を堅持しているということで、外務大臣も、また防衛大臣も異存がないと思います。もし異存があれば手を挙げていただけますか。ないようでございます。答弁は結構です。では、異存がない、尊重するということでございます。  では、その上で防衛大臣に伺わせていただきます。資料、もう一つの組みのですね、防衛大臣自衛隊法上の役割と書いた紙を御覧いただけますでしょうか。自衛隊法上、安倍総理大臣自衛隊法七条によって自衛隊の最高指揮監督権を有する者になっておるわけでございますけれども、じゃ、小野大臣はどういう役割かといいますと、下線を引かせていただいた部分でございますけれども、個別の戦闘に当たってまさにその戦闘行為を指揮する司令官そのものでございます。自衛隊員が自衛権の発動の際に命懸けで、まさに命を懸けて戦う、その戦闘行為を指揮する。まさに自衛隊員の命を預かる司令官そのものが小野防衛大臣でございます。また、その下、自衛隊法三十一条は、そうした命を預かる自衛隊員を小野大臣は自らの権限において任用、つまり採用されているわけでございます。  次の資料二を御覧いただけますでしょうか。平成二十五年の募集案内を付けさせていただいておりますけれども、真ん中に今の自衛隊が使っているキャッチフレーズですね、「平和を、仕事にする。 自衛官募集」。戦後の世界史において濫用の危険が排除されていない集団的自衛権の行使を仮に可能にした場合に、平和を仕事にすることになるんでしょうか。私はそうは思いませんけれども。平和を仕事にすると言えるのはあくまで専守防衛、自衛のためであって、他衛、集団的自衛権の行使を行う、そういう実力組織ではないということだと私は考えさせていただいております。  ちょっと次のページ、では、おめくりいただけますでしょうか。これ、さきの予算委員会で安倍総理に出させていただいた、小野大臣もいらっしゃいましたけれども、資料でございますけれども、自衛隊、二十五万人の今自衛隊員でございますけれども、一人残らず全員、この服務の宣誓というものをしていただいているところでございます。自衛隊法五十三条に基づいて、署名捺印を行って、法的な義務を背負ってしていただいております。下の行ですけれども、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」。つまり、いざ有事の際には、命の危険を顧みず、身をもって、命を懸けて、命懸けで戦い抜く、こうした誓いをしていただいているところでございます。次のページにかつての保安隊やあるいは今の消防隊、警察官の宣誓がありますけれども、誰一人こんな、身をもって責務の完遂に務めるというような宣誓をしている国家公務員は日本にはおりません。まさに命懸けで戦う、そうした責務が自衛隊が背負っているものでございます。  小野大臣に伺います。こういう命懸けの戦闘を行う自衛隊員を、よろしいでしょうか、国民投票を行わずに、国民投票を行わずに内閣の解釈改憲だけで集団的自衛権の下で戦死させてよろしいんでしょうか。命懸けの戦闘を強いてよろしいんでしょうか。閣議決定の署名にサインされる立場である小野大臣としてお答えください。
  113. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 集団的自衛権の今議論が少しございましたが、安保法制懇の報告書が提出された後に政府としての対応を検討していくということであります。一般論として言えば、自衛隊員は常に服務の宣誓を行った上で職務を遂行することになります。  いずれにしても、自衛隊員が日本国憲法及び法令に従って職務を遂行することは当然であり、服務の宣誓の中においても日本国憲法及び法令を遵守すべきことは明記をしております。
  114. 小西洋之

    ○小西洋之君 ちょっと答弁、真っ正面からいただけませんでした。  それでは、重ねて聞きます。この服務の宣誓、小野大臣が採用された二十五年の募集によると一万人余り、二十四年だと約五千人前後を採用されているかのように推察もされますけれども、二十五万人全員の方がこの宣誓をされています。しかし、誰一人として、当たり前ですけれども、集団的自衛権の行使の下で命懸けの戦闘をすることを宣誓はしていないわけでございます。なぜなら、憲法違反でございますから。  では、重ねて聞きます。仮に解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にした場合、この二十五万人の自衛隊員全員から宣誓書を取り直す必要がございますか。この宣誓は法的に有効ですか無効ですか。いかがですか。
  115. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員も私も同じ認識だと思いますが、私どもとして国家国民国民の生命、財産を守っていくということが私どもの役割であります。そして、そのためには、私どもとして日本国憲法及び法令を遵守すべきことというのは職務の宣誓に記載をされているということであります。この基本的な考え方というのは、私どもは変わらないと思っております。
  116. 小西洋之

    ○小西洋之君 私が伺ったのは法解釈ですので、それはもう、集団的自衛権の行使を解釈改憲するかしないかは答えられるんですけど、答弁をいただきませんでした。  では、伺います。自衛隊員の皆さんは日本国民です。自衛隊員の皆さんに立憲主義は及ぶでしょうか。
  117. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 済みません、質問の趣旨がよく分かりませんので、もう一度質問をお願いいたします。
  118. 小西洋之

    ○小西洋之君 かつての日本軍、赤紙一枚で召集された日本国民の市民あるいは元々のプロの軍人の方々、内閣の決定あるいは法律によって無残な戦争で死んでいきました。いかに日本国民の皆さんを守ってくださる自衛隊員とはいえ、その自衛隊員の皆さんのその命を懸ける、その行為をお願いをするのは、本来、国民による国民投票、つまり国民主権によらなければそうしたことはお願いできないんです。それが立憲主義の考え方なんです。分かりやすく言えば、自衛隊は日本軍と同じなんですかということです。  重ねて聞きます。自衛隊員の皆さんに立憲主義は適用されますか。
  119. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 立憲主義とは、主権者たる国民がその意思に基づき憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となっている考えであり、日本国憲法も同様の考え方に立って制定されているものと承知をしております。  集団的自衛権の取扱いについては、安保法制懇の報告書が提出された後に政府としての対応を検討していくものと考えておりますが、一般論として申し上げれば、自衛隊に対して任務を付与することとなる場合には、立法府において適正な手続を経て成立した法律に基づき実施されることとなると考えております。このため、こうした法律に基づき自衛隊が任務を遂行することがあったとしても、それが自衛官の人権を侵害するとは考えておりません。
  120. 小西洋之

    ○小西洋之君 私が問うているのは立憲主義ですから、閣議決定や法律ではなお奪うことができない自衛隊員の命というものがあるはずだということを私は伺っているんです。そのことをまさに自衛隊法に基づいて自衛隊員の命を預かる防衛大臣が答えられないというのは、全国二十五万人の自衛隊員にとって、これは率直に申し上げます、非常に残念なことだと思います。  私、小野大臣は実は尊敬する政治家でございます。私の地元の習志野第一空挺師団、一月十二日の初降下に一緒に、一緒にというか、私が行かせていただいただけでございますけど、させていただきました。冒頭、初めに隊長と一緒に落下してきた自衛隊員は十八歳でございました。ああいう人たちを、日本の国民や日本の領土を守る戦争ではない集団的自衛権の行使で戦死させていいのか。そのことを国民投票をやらずに、しかも国会審議すらせずに、閣議決定だけで決めていいのか。それは、先ほど申し上げましたように憲法の前文にも違反しますし、そして何より自衛隊員の命、我が国の憲法の基本にある立憲主義等々を考えたときに絶対に許されない行為です。  そのことを小野防衛大臣はどの大臣よりも、当たり前でございますけれども、非常に苦しいお立場だと思いますけれども、小野大臣は閣議決定の署名に拒否をする。むしろその前に、こうしたばかげた空前絶後のナチスの手口の手段というものを体を張って止める、そのために戦っていただきたいというふうに思うところでございます。  資料五、六に、安倍総理がこの服務の宣誓、安倍総理、実は服務の宣誓、これが大好きでございまして、いろんなところで言っております。もう国防軍をつくりたい、あるいは自衛隊の観閲式でも、この服務の宣誓を取り上げた後に、集団的自衛権の行使をやるんだと言っております。  端的に言います。安倍総理は、自衛隊員の皆さんを、人間ではなくて、また大切な家族がある我々と同じ市民ではなくて、戦う道具として見ているんですよ。戦う道具として見ていないんだったら、自衛隊員の皆さんにそうした今禁止されている新しい戦争の下で命懸けの戦争をお願いできるのは、我々国民が同じ仲間の市民である自衛隊員に国民投票によってお願いする、その手続以外にそんなことは許されないんですよ。そんなことすら感覚的に分かっていないのが安倍総理であるというふうに厳しく指弾をさせていただきます。  じゃ、残りの時間、小野大臣、資料七、次の質問を伺わせていただきます。  これも三月十二日、安倍総理に予算委員会で示させていただいた資料でございますけれども、実は我が参議院には、集団的自衛権の行使を、これを許さないという本会議決議がございます。一九五四年、自衛隊法を作ったときに全会一致で定められた決議でございます。  この決議の意味でございますけれども、平成十七年、下でございますけれども、イラク特措法の審議のときに当時の安倍晋三官房長官が、自衛隊を海外に派遣して武力行使を行う、すなわち集団的自衛権の行使を禁じたものだというふうに答弁をしているところでございます。  また、次のページをおめくりいただけますでしょうか。この一九五四年、昭和二十九年に全会一致で採択されたときのその提案者の趣旨説明でございますけれども、二重線の一番下の方を御覧いただけますでしょうか。「条約並びに憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。故にその危険を一掃する上からいつても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。」というふうに述べているところでございます。つまり、憲法九条の拡大解釈、集団的自衛権による拡大解釈を許さないという国権の最高機関の決議でございます。  そして、次の資料九でございますけれども、これ実は一九五四年に一度やられただけではございませんで、御覧いただけますでしょうか、平成二十一年から、これは重立ったものを拾っただけです、これ検索を掛けると三十、四十、五十、平気で出てきます。重立ったものを拾っただけでございますけれども、先ほど両大臣がお認めいただいたように、非核三原則の国会決議を守って内閣は非核三原則を遵守する、それと同じことを繰り返し繰り返し、自衛隊法の新しい法案審議の際などに政府は答弁をしているところでございます。  つまり、内閣国会の間において積み上げられてきた確立した法規範にも値する本会議決議でございます。この本会議決議があるのに、国会で閣議決定の変更案、また集団的自衛権行使の政策的な必要性などを示さずに、つまり、審議を一切行わずに、集中的な特別委員会を設けた何百時間にも及ぶ審議を行わずに、閣議決定だけで集団的自衛権の行使はしてよろしいんでしょうか。  小野大臣、いかがでしょうか。参議院を否定されるということでしょうか。閣議決定のみで行うということは否定されることだと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) まず、委員には、習志野駐屯地を始め、様々、直接部隊視察をしていただきまして隊員に激励をいただき、感謝を申し上げます。  今お話ありました参議院での決議でありますが、累次にわたる決議については承知をしております。議会の決議でありますので、政府としての対応については、解釈その他についての発言は差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしましては、この決議の趣旨について考えさせていただければ、今自衛隊国会で立法いただきました法律に基づき、海外においてPKO、国際的なテロ対策、イラク人道復興支援など参加して国際社会の平和と安定のために大きく貢献する、そのような時代になっているということを考慮する必要はあると思います。  いずれにしても、現在、委員が御指摘のような内容については安保法制懇の中で今議論されており、その報告書が出た後に政府としての対応を検討していく今状況にあると承知をしております。
  122. 小西洋之

    ○小西洋之君 この本会議決議をもし違反して閣議決定だけで解釈改憲を強行したら、それは、安倍内閣は参議院を否定する、今日ここにいる全参議院議員を否定する、そしてその背後にいる国民を否定する。そして、この本会議決議は、先ほど申し上げましたように、小野大臣にとっては自衛隊員を守る、そうした決議でもあるということを是非御認識いただきたいと思います。  ちょっと時間が押してしまいましたので、ちょっと検査要請をさせていただきますけれども、委員長、今申し上げましたように、今、安倍内閣においては、防衛省外務省、また国家安全保障局を中心に憲法の合規性に反する、会計検査院法の合規性に反する解釈改憲という動きを進めております。これに伴うその職務、またそれに伴う国庫の支出について検査要請をお願いいたします。
  123. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 後刻理事会で協議いたします。
  124. 小西洋之

    ○小西洋之君 笑っている人がいらっしゃいますけれども、私は、集団的自衛権の行使の下で、国民投票を行わない戦争によって自衛隊員の皆さんの体が砕け散って、真っ黒焦げに焼けただれて死んでいく、そうしたことをやっていいのか。また、申し上げる余裕はありませんでしたけれども、集団的自衛権の行使で日本が武力行使をすれば、相手国から日本は反撃を受けるわけでございます。国民が今度は死ぬわけでございます。そうしたことを国民主権によらずして絶対やってはいけないというのが、冒頭の憲法の明文の規定でございます。  最後に外務大臣に伺わせていただきます。被爆地出身の代議士であり、また今外務省を率いられる大臣でございます。  被爆者の祈り、この資料の、初めの資料の一番最後に、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という碑文、広島市の資料がございますけれども、この広島市の解説によれば、戦争という過ちを再び繰り返さない、悲しみ、憎しみを乗り越えて真の世界平和を実現するという、その祈りだというふうにされているところでございます。
  125. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 小西君、時間が来ております。
  126. 小西洋之

    ○小西洋之君 はい。失礼いたしました。  被爆者のこの祈りを国民に問わずに、国民がこの被爆者の祈りを思うことなく、被爆者を無視して、解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にしてよろしいとお考えでしょうか。
  127. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 外務大臣、簡単に。
  128. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) はい。  政府として国民の生命、財産、自由を守り、そして国の主権、独立を守るためにしっかりと努力をしなければいけない、当然のことであります。そして、そのために、平和というものは誠に尊いものであります。そのためにしっかり努力をしていかなければならないと思いますが、その中にあって今現在、集団的自衛権と憲法の関係につきまして有識者懇談会において議論が行われています。そして、ここで最終報告を受けた上で、政府・与党としての結論を出すことになります。そして、その上で、具体的な法律が必要であるならば、また国会で議論が行われることになります。  こういった手続につきましては、是非丁寧に議論を進めていかなければならないと考えています。
  129. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  130. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、石橋通宏君が委員辞任され、その補欠として相原久美子君が選任されました。     ─────────────
  131. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 休憩前に引き続き、平成二十三年度決算外二件及び平成二十四年度決算外二件を一括して議題とし、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに平成二十四年度のうち株式会社国際協力銀行決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  132. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  まず最初に、平成二十三年度、二十四年度を含みます過去五年間、海外子女教育関連の予算執行状況につきまして、外務省、文科省より説明をお願いします。
  133. 河野章

    政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。  外務省予算に計上されております海外子女教育関連予算は、海外の日本人学校あるいは補習授業校の校舎の借料援助、あるいは現地採用の教員、講師に対する給与の援助などから成っておりますが、過去五年間、決算がございますのが平成二十四年度でございますので、平成二十年度から二十四年度までの五か年についての執行状況をお答え申し上げます。  平成二十年度予算額が約二十三億八千二百万円に対しまして、執行額が約二十三億七千六百万円でございました。二十一年度につきましては、予算額が約二十一億六千八百万円に対しまして、執行額が同額で二十一億六千八百万円でございます。平成二十二年度につきましては、予算額が約二十一億三千二百万円に対しまして、執行額が約二十一億一千八百万円。平成二十三年度に関しましては、予算額が約二十二億四千四百万円に対しまして、執行額が約二十億八千八百万円。平成二十四年度予算額が約二十億二千四百万円に対しまして、執行額が約十八億四千万円。  以上のとおりでございます。
  134. 藤原誠

    政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。  文部科学省における海外子女教育関連予算のうち、特に在外教育施設教員派遣事業を中心とした予算執行状況につきましては、まず平成二十年度につきましては予算額約二百十六億五千六百万円に対しまして執行額約二百十六億五百万円、二十一年度につきましては予算額約二百十六億六千六百万円に対しまして執行額約二百二億八千二百万円、二十二年度予算額は約二百八億五千六百万円に対しまして執行額百八十四億五千九百万円、二十三年度予算額百九十七億一千万円に対しまして執行額百七十億九千万円、平成二十四年度予算額は百八十億二千四百万円に対しまして執行額は百五十九億七千九百万円となっております。
  135. 山本香苗

    山本香苗君 海外子女教育におけます政府の基本的なスタンスを端的にお答えください。
  136. 西川京子

    ○副大臣(西川京子君) 山本先生、御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。  近年、やはり企業のグローバル展開、世界進出が、その動きとともにやはり海外で学ぶそのお子さんの数は増えております。そういうことに鑑みまして、平成二十五年四月時点で、義務教育段階である六歳から十五歳、この子供たちが七万二千人いるという状況でございます。その中で、当然、憲法二十六条で義務教育を受ける権利、受けさせる義務、両方、義務と権利があるわけですが、それは当然、執行権の及ばない海外ではありますけれども、それに近い状況にしなければいけないと、そういう認識で私どもは頑張っているところでございまして、義務教育段階では国内に近い教育が受けられるよう最大限援助を図っていきたいと思っております。  高校段階でも、基本的には小中ですが、高校段階でも今回の私立高校に対する無償化、これも適用されていることでございます。  以上です。
  137. 山本香苗

    山本香苗君 今おっしゃっていただいたとおり、海外においたとしても、義務教育については国内と同様、それに近い教育ができるよう最大限支援を行うのが基本的なスタンスだということなんですが、実態は不十分であることはよく御承知だと思っております。  この海外におけます、国内の小中学生一人に対しては公費が八十九万円、それに対して海外のお子さん一人については二十八万円、約三倍以上の差があります。また、必要な教員数、充足数もどんどんどんどん下がっていって、先ほどの御説明のとおり、予算も減っていって七割、そこまで落ち込んでいるわけでありますが、この教員の派遣の状況はちょっとこの五年間激しく厳しい状況になっておりますけれども、これはなぜなんでしょうか。
  138. 藤原誠

    政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。  日本人学校及び補習授業校に対する派遣教員につきましては、主として各都道府県教育委員会からの推薦を受けた教員の中から文部科学省におきまして選考して派遣をしているところでございますが、先生御指摘のとおり、最近の派遣教員数につきましては減少している状況でございます。  その理由といたしましては、まず第一に、厳しい財政状況の中で在外教育施設への教員派遣に係る予算減少している、それから第二に、教員の年齢構成の偏り、あるいは学校の繁忙化などを理由として各都道府県から推薦される教員の数の減少傾向が見られること、こういったことが考えられるところでございます。
  139. 山本香苗

    山本香苗君 一つの理由といたしまして派遣教員の人件費が削減されていると、これ国内と違って裁量的経費の扱いになっているということだと伺っているんですが、これを義務的経費にすることを検討されたらいかがでしょうか。
  140. 西川京子

    ○副大臣(西川京子君) 先生の今の御質問と、前の質問にもちょっと関してですが、要は、各県から推薦された人材を今派遣しているわけですね。そうしますと、各県の方の高齢化ということはもちろんありますけれども、県自体の教員数の中でやっぱり一人減っていくということの不利益というんでしょうか、実際国内の方がそれによってなかなか厳しい状況であると。そういうことがあるんですが、それに対応した施策として、実は引退したシニアの先生たち、これを文科省の方で直接採用して今送るという事業を展開しております、十九年度から。これで少しその部分を補っていっているという部分もちょっとありますので、御説明させていただきました。  それと、今先生がおっしゃいましたこの裁量的経費である部分を義務的経費にしろということですね。要は、各県から派遣されていますから県で見る教員の普通の給与部分は義務的経費なんですが、在外勤務手当、手当と旅費に関する部分が裁量的経費になっています。当然、これ何も別にせずに一緒にして義務的経費にすればいいじゃないか、私もそのとおりと思っております。ただ、これは文科省だけでできることではございませんので、議連等の動きもあるように聞いておりますので、是非先生も御一緒に御支援いただけたらと思います。
  141. 山本香苗

    山本香苗君 通告しておりませんが、恐らくこれ財務省のマターになると思うんですが、愛知副大臣、何とか御検討いただけないでしょうか。
  142. 愛知治郎

    ○副大臣(愛知治郎君) お答えを申し上げます。  基本的には文科省でしっかりと議論をして方向性を示していくと思うんですけれども、これからお互いに情報交換をしながらしっかり議論していきたいと考えております。
  143. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  そもそも私は、都道府県から上がってこない、上がってこないということを理由にされているんですが、海外の日本人学校の先生の文科省枠みたいな形で、文科省が直接責任持って採用して養成して派遣するぐらいの制度があってもいいと思うんです。シニアの分はあるとおっしゃいましたけれども、これ対象は非常に限定されていますので、もうちょっとこの対象を広めにして運用の仕方を柔軟にするとかして、早くここの充足率を上げることに御尽力いただけないでしょうか。
  144. 西川京子

    ○副大臣(西川京子君) もう本当、先生と思いは一緒でございますので。  実は、この間のゴールデンウイークのときにマイアミで、高等教育のグローバル化ということで、国際会議に出席してまいりました。そのときにも、現地のマイアミの補習校の校長先生からの御要望で日本の伝記の全集が欲しいということで、それは文科省の方から貸与するという形でお送りしてきたんですけど、本当に頑張っていらっしゃいます。  そういう中で、やはり海外の現地校に通っている子の方が結構多いわけですから、そういうやはり日本人としての当たり前の教育、日本人としての道徳その他そういうことは国策としても非常に大事だと思っておりますので、是非その方向で頑張りたいと思います。
  145. 山本香苗

    山本香苗君 引き続きなんですが、実は、日本人学校については加配という制度もありません。また、生徒が百人いないと先生は派遣されないんです。百人以上で一人なんですよ。一人というか、校長先生ぐらいしかならないわけでありまして、こういう加配だとか基準だとかということも同時に見直していただけないでしょうか。
  146. 西川京子

    ○副大臣(西川京子君) 確かに今そのとおりでございますが、言わば補習校は百人に一人ということで、この辺がいかがかなという御意見なんだろうと思うんですが、補習校に限りましては、やっぱり土曜だけということ、じゃ、その間、ほかのときはどうしているんだという、細かい話ですが、そういうこともございますので、今、日本人学校の先生と連携して、日本人学校の先生の時間の少しでもある方に来ていただくとか、そういうことで今やりくりしておりますけど、どだい日本人学校の先生自体が七割ということで足らないわけですから、まずそこを充実するところから始めていきたいと思います。
  147. 山本香苗

    山本香苗君 本当に、日本人学校、補習校、課題がたくさんあるわけです。ただ、グローバル人材の育成といったときにこういった子たちは大きな予備軍になりますし、また企業のグローバル展開といった意味では大変重要なものであります。特に、海外赴任先に日本人学校がないということが一番大きな企業の悩みになっております。  そこで、是非、外務大臣にもお願いしたいんですけれども、いわゆる日本人学校等だけではなくて、海外子女教育全体の在り方、もちろん文部科学省が中心になってではありますけれども、外務省と文科省、また関係、例えば経産省とか、そういったところとしっかりと検討する場を立ち上げていただいて抜本的に見直すような場をつくっていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  148. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 私自身も、小学校時代ですが、ニューヨークの補習授業校で授業を受けた経験があります。やはり海外に居住している者にとりまして、その子女の教育というもの、これは医療ですとか安全と並んでもう最大の関心事の一つだと認識をしております。ですから、在外教育施設を充実させるということは、やはり海外で活躍する日本国民が充実した活動をする上で、環境整備という意味で不可欠であると認識をいたします。  そういった視点で、これまでも外務省としましては文科省と様々なこのテーマにつきましての意見交換、議論は行ってきましたが、今後ますます海外で日本国民の活躍が期待されるわけでありますから、今後の在り方につきまして、是非一層、文科省と意思疎通を図っていかなければならないと考えます。具体的にどういった場を設けてどういった検討をするか、これにつきましてもこれから是非検討していきたいと考えます。
  149. 山本香苗

    山本香苗君 是非、西川副大臣、今の外務大臣の御答弁を受けて、文科省が中心となって一緒に外務省と協議をしていただければと思います。  海外に一年以上滞在して日本に帰国しているお子さんたちというのは年間約一万人ぐらいいらっしゃいます。五月四日付けのジャパン・タイムズでは、そういったグローバル人材を政府は推進しながら、帰国子女の経験を生かし切れていない我が国の実態というのが大々的に掲載されておりました。記事の指摘どおり、我が国の教育におきましては、海外子女の海外での経験だとか長所とか、そういうものを生かす仕組みがありません。  是非、海外から優秀な外国人留学生を受け入れるということも大事なんですけれども、その前に、もっと大事な我が国民であります日本人の帰国子女の方々についてもグローバル人材の一つの柱としてしっかりと位置付けていただいて充実をしていただきたいと思いますが、西川副大臣、いかがでしょうか。
  150. 西川京子

    ○副大臣(西川京子君) 今、安倍内閣の教育再生の大きな柱が学校のグローバル化、大学教育のグローバル化ということで、もうまさに政府の大きな柱の一つであります。その中で、せっかく海外で様々なグローバルな知識を身に付けた方が帰ってきて日本でどれだけ活躍していただくかと、これ最大の大きなポイントだと思うんですね。  一つは、私は、ちょっとマイナス面で一つ言いますと、例えばテレビ局のアナウンサーは帰国子女の方がほとんどだと思う。これが日本語としてイントネーションその他がいかがなものかなということ、よく気になるところがあります。そういう点も含めて、帰ってきていただいて、日本人としてのしっかりしたものを根に持ちながら、そういうグローバル感覚を身に付けた方が活躍することが大事と思う。  貴重な人材だと思っておりますので、外務省としっかりとした具体的な検討を始めたいと思っております。  ありがとうございました。
  151. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございました。  ちょっとがらりとテーマを変えまして、間もなく安保法制懇の報告書が提出されると伺っております。そこで、今日は、国民的な議論に、前提として現時点での安保法制懇の検討状況等を伺わせていただきたいと思います。  まず最初に、内閣法制局に伺います。  憲法第九条一項におきます国際紛争を解決する手段としての武力行使を九条一項では禁じられていますが、ここに言う国際紛争とは何でしょうか。
  152. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お答えをいたします。  お尋ねの憲法第九条第一項の国際紛争につきましては、金田誠一衆議院議員が提出されました質問主意書に対する平成十四年二月五日の政府答弁書等において以下のとおり答弁しております。  憲法第九条第一項の国際紛争とは、国家又は国家に準ずる組織の間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立している状態をいうと考える。  以上でございます。
  153. 山本香苗

    山本香苗君 要するに、全ての国際紛争ということですか。
  154. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 憲法九条の解釈の中で、私ども武力の行使についての考え方をこれまで政府として述べてきておりまして、ちょっと今お尋ねの全ての国際紛争という趣旨、必ずしもよく理解をしておらなかったわけでございますけれども、憲法九条の下においては、武力の行使は、いわゆる自衛権発動の三要件が満たされる場合以外は我が国の行為として行うことは禁じられているというふうに解しているところでございます。  したがいまして、例えば国連の安保理決議等が存在する多国籍軍等の場合であっても、参加する各国の主権に基づく活動であるということが否定されるわけではないということであると考えられますので、我が国から派遣された自衛隊の活動は我が国の意思に基づき我が国の行為として行うものである以上、仮にそれが武力の行使に当たるものであれば憲法九条の下では許されないというふうに考えてきております。
  155. 山本香苗

    山本香苗君 いや、全ての国際紛争という理解じゃないんですかと聞いているんですが。
  156. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 九条について、政府はこれまで九条の一項、二項全体の条文としての解釈をしておりまして、その個々の言葉ごとに細かい議論ということではなくて、これまでも九条一項、二項全体の考え方、九条一項、二項の考え方全体を総合して、国際関係において我が国としてはそうした武力の行使というものが基本的には一見全て禁じられているように読めるけれども、一部、自衛権の発動の三要件の場合には例外的に認められるということで、そういう意味では憲法九条一項全体から理解をしておるところでございます。
  157. 山本香苗

    山本香苗君 私は、根拠のところは次に質問しようと思っていたので、そこを聞いているんじゃないんです。  ちょっと議論が前に行かないので次聞きますけれども、内閣官房の方から来ていただいていると思いますが、安保法制懇の北岡座長代理が、憲法九条一項の国際紛争の指し示す内容の解釈を変えなければならないと、国際法の歴史を踏まえれば日本が当事国である国際紛争と解すべきだと発言されておりますけれども、安保法制懇ではこの九条一項の国際紛争の解釈、これを変更する方向で議論が進められているんでしょうか。
  158. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会では、集団的自衛権等と憲法との関係について、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から検討が行われているところでございます。  その上で申し上げますと、今御指摘の北岡座長代理の記者ブリーフィングにおいては、懇談会における議論について次のように紹介をされているところでございます。以下、その内容ですが、憲法第九条第一項において、武力による威嚇又は武力の行使によって解決してはならないとされているのは、国際紛争一般ではなく、歴史的に見ても、日本が関わっている日本と他国等の関係における紛争のことを言っていると解釈すべきであるというものである。現在、あたかもこれが国際紛争一般におけるように理解されていることが多くあるが、委員の皆さんがそこはおかしいと強く主張したところである。  以上、記者ブリーフィングからの引用ですけれども、いずれにしても、集団的自衛権等と憲法との関係については今週にも懇談会から報告書を提出していただく予定でございまして、現時点で報告書内容を予断するということは差し控えたいと思います。政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、これを参考に政府としての基本的方向性を示した上で、内閣法制局の意見も踏まえながら、与党とも相談の上、対応を検討していくということにしてございます。
  159. 山本香苗

    山本香苗君 現行のPKO法では、同じPKO活動に従事している他国の部隊又は隊員が攻撃を受けている場合、その場に駆け付けて武器を使用することは禁じられていますが、その憲法解釈、どういう憲法解釈で禁じられていますか。
  160. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) PKOにおけるいわゆる駆け付け警護の問題についての御質問でございました。  先ほども申しました憲法第九条第一項の武力の行使というのは、基本的には我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと。この国際的な武力紛争とは、国又は国に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いというものをいうものと考えておりまして、その同条、九条の下におきましては、このような武力の行使は、先ほども申しましたように、いわゆる自衛権発動の三要件が満たされた場合以外は禁じられているものと解しております。  PKO活動は、国連安保理決議等に基づいて国連が組織し、国連の統括の下で行われるものではございますけれども、これに参加する各国の主権に基づく活動であるということは否定されず、我が国自衛隊の活動については、それが武力の行使に当たるのであれば憲法九条の下では許されないと解してきております。その上で、自衛隊による海外における駆け付け警護のための武器の使用につきましては、その相手方が国又は国に準ずる組織である場合には憲法九条の下で禁じられる武力の行使に当たるおそれがあるというふうに考えてきております。
  161. 山本香苗

    山本香苗君 国又は国に準ずる組織でない場合はどうなるんですか。
  162. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 相手方が、例えば山賊であるとか単なる物取りであるとか、そういう意味で、いわゆる国又は国に準ずる組織でないことが明確な場合、そういう場合にはその武器使用が武力の行使に当たるというおそれがないというふうに言えると思いますが、そういう枠組みというのは、なかなかこれまで非常に難しいということでいろんな慎重な検討がされてきております。
  163. 山本香苗

    山本香苗君 要するに、国又は国に準ずる組織でなければ可能な場合もあるかもしれないけれども、現行の憲法解釈上、それを判断することは難しいので、どちらにしても一切やらないということですね。
  164. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) PKO法の当時の国会の議論の中でも、そういう武力の行使に当たるような状態になることをどういうふうに制度的に回避するような枠組みを用意するかということが当時も議論がされ、PKO五原則等に基づき、非常に謙抑的に、ある程度そこはそういったおそれがないような形で仕組んできたということでございまして、今この辺の問題についても、先ほど官房からお答えございましたけれども、安保法制懇でこうしたPKO活動等踏まえた海外での自衛隊の活動についての議論は今されておるというふうに承知しております。
  165. 山本香苗

    山本香苗君 もう一点確認ですが、駆け付け警護が認められないのは集団的自衛権の行使になるからという理由ではないということですね。
  166. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 駆け付け警護の問題につきましては、従来、我が国がそこで国又は国に準ずる組織と相対応して武力の行使をし合うという、そういう意味での我が国自身の武力の行使、いわゆる集団的自衛権ということではないというふうに私ども理解しております。
  167. 山本香苗

    山本香苗君 九条一項の国際紛争の解釈を変更した場合に、PKOでの武器使用は国際紛争を解決する手段としての武力行使に当たらなくなると北岡座長代理は主張されておりますが、国際紛争の憲法解釈を日本が当事国である国際紛争とすることによってPKOにおける武器使用に憲法解釈上制約がなくなる、駆け付け警護ができるようになる、こういう理論の整理が安保法制懇でなされようとしているんでしょうか。
  168. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  安保法制懇におきましては、いわゆる駆け付け警護については例えば以下のような議論が行われております。PKOへの参加、駆け付け警護や妨害排除に際する武器使用については、少なくとも国連PKOの国際基準で認められた武器使用が国連憲章で禁止された武力の行使に当たると解釈している国はどこにもなく、自衛隊がPKOの一員として駆け付け警護や妨害排除のために国際基準に従って行う武器使用は、そもそも武力の行使に当たらず、憲法九条の禁じる武力の行使に当たらないと解すべき、一つの例としてそういう議論が行われているということでございますが、いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、集団的自衛権等と憲法との関係については今週にも懇談会から報告書を提出をしていただくという予定でございまして、現時点で報告書内容を予断することは差し控えたいと思います。  政府としては、懇談会から報告書が出された後にこれを参考に政府としての基本的方向性を示した上で、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討していくということにしてございます。
  169. 山本香苗

    山本香苗君 審議官、最後の、後段のところはもう後の質問のときにお答えしないでいただいてよろしいでしょうか。  小野防衛大臣にお伺いしたいんですが、外遊先で駆け付け警護を認めることが必要との考えを示されておられましたけれども、憲法解釈をどういうふうな形でお考えになって駆け付け警護を容認する発言をなされたのか。要するに、国際紛争のこの解釈変更によって駆け付け警護を認めるという考え方を念頭に置かれつつこういう発言をなさったのか、お伺いできますでしょうか。
  170. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員の御質問は、四月二十九日、マレーシアでの議論だと思いますが、そこで私がマレーシアのナジブ首相、そしてヒシャムディン国防相とのお話の中で、今の日本の安全保障環境の議論をする中で、安保法制懇の議論、こういう議論が行われておりますという、そういう安保法制懇の議論の紹介をしたことでありまして、特に政府の方針等はまだ決まっていないということでの説明であります。
  171. 山本香苗

    山本香苗君 特に、では防衛大臣御自身が必要という話をされたというわけではないということですか。
  172. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) マレーシアもアフリカ等にPKOの部隊をかなり出しておりますので、そういう中で、今、日本の中でそういう議論が行われているというようなことで説明をさせていただいたということであります。
  173. 山本香苗

    山本香苗君 分かりました。  ちょっと問いを飛ばさせていただきまして、内閣官房にお伺いしますが、安保法制懇では自衛権発動の三要件についてはどういう議論がなされていますか。
  174. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 安保法制懇におきまして、三要件の議論そのものではございませんけれども、自衛権発動に関して議論を御紹介いたしますと、例えば、憲法が放棄しているのは国際紛争を解決する手段としての戦争や武力の行使であり、自衛権は放棄していない。自衛権を放棄していないならば、その自衛権の中に個別的自衛権も集団的自衛権も当然入る。あるいはまた、別の意見として、集団的自衛権については、集団的自衛権は必要最小限度に入らないというのは、まさにその時点での判断だと考えれば、その後の状況の変化、軍事技術の問題等を考えれば、現時点では、集団的自衛権まで含めて考えないと自衛が全うできないということで、当然、必要最小限度の中に入ってくるという判断ができるのではないかと。  後段は省略させていただきますが、先ほど述べたとおりでございます。
  175. 山本香苗

    山本香苗君 内閣法制局の方にお伺いしますけれども、現行の憲法解釈においては、自衛権の行使というのは、我が国防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきとされて、自衛権発動の三要件、すなわち、我が国に対する急迫不正の侵害があること、そして、それを排除するに他の適切な手段がないこと、また必要最小限度の実力行使にとどまる、この三要件に該当する場合に限定するという形になっているわけですが、この一番目の、我が国防衛するために必要最小限度の範囲という現行の憲法解釈をそのままにした上で、自衛権発動の三要件に日本と密接な関係のある国への攻撃の発生というのを加えることというのは、法制上可能なんでしょうか。
  176. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お尋ねにつきましては、まさに憲法九条の下で集団的自衛権の行使を可能にすることができるかどうかという問題についての基本的な御質問だと私どもも理解をいたします。  したがって、先ほど内閣官房からもお答えございましたように、集団的自衛権の問題につきましては、今政府として、いわゆる安保法制懇から報告書が提出された後に対応を改めて検討していくということでございまして、法制局としては、その後検討に参画をしていきたいと思いまして、今の段階で何か見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
  177. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、ちょっと角度を変えて聞かせていただきますが、現行の我が国防衛するため必要最小限度という自衛権の範囲と、昭和四十七年十月十四日参議院決算委員会に提出された集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料における自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置の範囲は同じですか。
  178. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 今、先生が御指摘されました昭和四十七年十月十四日の参議院決算委員会の提出資料でございますけれども、集団的自衛権と憲法との関係という表題でお出しした資料でございますけれども、まさしく、憲法九条の下でいかなる場合に武力の行使が許されるかということについての考え方を述べたところでございます。  その中で、るるございますけれども、憲法九条の文言は、我が国として、国際関係において実力の行使を行うことは一切禁じているように見えるが、政府としては、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や、憲法第十三条が生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えると、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは到底解されないと。今おっしゃいましたその自衛の措置ということが出ておりまして、その後に、憲法が自衛のための措置を無制限に認めていると解されず、それは、あくまでも外部からの武力攻撃によって国民の生命、身体が危険にさらされるような場合に、国民を守るためやむを得ない措置として初めて容認されるものであるから、その措置は、これを排除するために必要最小限度の範囲にとどまるべきものであるという趣旨を述べておりますけれども、そういう意味では、あくまでも自衛のための措置というのは、今おっしゃいました自衛権の行使と基本的には同じ、両者は実質的に同じ趣旨で用いられているのではないかというふうに思います。
  179. 山本香苗

    山本香苗君 とにかく、安保法制懇の報告が出てからまたしっかりと議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、愛知副大臣にお伺いしますが、来年の一月から相続税の課税ベースが拡大します。これによって、自分には全く無関係だと思っていた方々も対象になるケースが出てきます。  そこで、二点お願いしたいんですが、まず一点目は、相続税の申告ってむちゃくちゃややこしいんです。で、結局自分が対象になるかどうかもよく分からないケースがありますが、相続税の課税対象になるかどうかを自分でチェックしたいと思っている人は結構いらっしゃいまして、是非そういうことができる仕組みをつくっていただきたいというのが一点。  二点目が、ちょうど同じ来年の一月一日から、小規模宅地等に係る減額特例制度の緩和措置も一緒に適用になります。これは、この特例によって、自宅だとか事業用の敷地評価額が八割減額されて、非課税となる場合というのが出てくるわけです。しかし、この場合、相続税財産が基礎控除以下である場合とは異なって、申告しない限り課税されてしまうと、非課税であったとしても申告しないと駄目だということなんです。  この申告のために例えば税理士など専門家の手を借りると大体三十万ぐらい掛かるというふうに言われているわけですが、この特例を使って非課税になる人というのは富裕層というよりも都市部の中流層になると思われるんです。だから、税理士とも縁が余り濃くないというか、薄いような方々だと思いますので、そういう方々から、特例を使って納税額をゼロにするだけで三十万も払うのはもったいない、何とか専門家の手を借りることなく自己申告できるような仕組みをつくってもらいたいと、そういう声があるんですが、是非そういった申告書を自分で作成して申告できるような仕組みだとか体制をつくっていただけないでしょうか。お願いいたします。
  180. 愛知治郎

    ○副大臣(愛知治郎君) 重要な点を御指摘いただいたと考えております。国税当局といたしましては、平成二十七年度以降の課税ベース拡大を見据えまして、相続税になじみのない方々も相続税の仕組みや申告手続などを理解していただけるように様々な対応策を検討しているところでございます。  まず、相続税の申告の要否、これを納税者自身がチェックできるように、国税庁のホームページに相続税の仕組みの分かりやすい解説、また遺産が基礎控除額を超えるかどうかを御自身で計算するのに参考となる簡易な計算様式を掲載することを考えております。また、次に、御自身で申告書を作成して申告できるように、小規模宅地等の特例の解説や申告書の記載例を盛り込んだパンフレットの作成や税務署における相談体制の充実などを検討しているところでございます。  今後とも、どのようなことができるか、御指摘も踏まえて更に検討してまいりたいと考えております。
  181. 山本香苗

    山本香苗君 終わります。
  182. 儀間光男

    儀間光男君 皆さん、こんにちは。私は、最近できたてほやほやの会派でありまして、日本維新の会・結いの党の会派を代表して質問させていただきますが、日本維新の会・結いの党ってちょっと長いですから、これをどう略して呼称として使おうかといろいろ知恵絞ったところ、失礼ですがローマ字を貸していただいて、これは、維新の会のEと、ローマ字のEと結いのUでEU会派と、こういうふうに呼称させていただければ有り難いなと、こういうふうに思っているところであります。  さて、今回は、外務、防衛一つずつの二問について通告をしてございますし、質問させていただきます。  まず、外務でありますが、日中漁業協定、日中ラインです。外務大臣、この件については去る三月十一日の予算委員会でも大臣とはやり取りしておりまして、大臣答弁も聞いて知っておりますが、その後にいろいろと尋ねなければならない問題が惹起いたしました。あえて通告をしてありますから、どうぞ御理解いただいて、丁重なる、しかも前向きな御答弁をいただきたいと、こういうふうに思います。  御承知のように、日中漁業協定は、平成十二年の六月、発効いたしております。その前に、日中協定をやろうという現況は、平成八年の国連海洋法条約の締結によって日中でもそれをしなきゃならないということで、当時の外務大臣、小渕外務大臣の書簡でもって翌年十一月に発効するようになりました。  ところが、この書簡を見ますというと、どうも片務的な条約ではないか、締結ではないかというのは、特に南西海域、ここで示されたのは、北緯二十七度線以南が新協定に含まれたんですね。委員の皆さん御承知だと思うんですが、北緯二十七度線というのは、沖縄本島のマックス北、復帰前の日本政府と琉球政府あるいは米国、USCARですね、民政府、これとの境界ラインなんです。これからずっと南、与那国の先に至る、波照間の先に至る海域を言います。それから、東経は百二十五度五十分ですから、沖縄本島と宮古島を真っすぐ結んで、それ、南に直角に下ろしたライン、これから以西のいわゆる東シナ海、ここを協定ラインにいたしまして、外務大臣書簡でここを日中漁業協定といたして、中国の船が我が国のEEZで自由に操業してもいいですよと、もちろん我が国の船も中国のEEZでやっていいのかも分かりませんが、いいですよという形になっている。つまり、北緯二十七度以南百二十五度五十分以西、この広域にわたる海域は、広大な海域を、どうぞ中国の漁船その他の船が御自由にお使いください、しかも我が国の国内法は適用しませんよと、こういうふうな法律になっているんですね。  そもそもそういう協定ができた背景は、今法的背景は言いましたけれども、こういう協約になった背景はそもそも何が原因だったか、教えていただきたいと思います。
  183. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) お答え申し上げます。  日中漁業協定は、日中両国が国連海洋法条約を締結したことに伴いまして、日中両国の排他的経済水域全体を対象水域としまして、資源の保存や合理的利用を図るために締結されたものでございます。本協定の締結によりまして、日中両国の排他的経済水域全体として見れば、当時、中国漁船の操業が増大していた我が国の周辺海域におきまして、それまで我が国による規制、取締りの下に置かれていなかった中国漁船を我が国管理下に置くことが可能となった、そういうものでございます。  今委員から御指摘のありました北緯二十七度以南水域でございますが、これにつきましては、日本漁船、台湾漁船、さらには中国漁船が併存する形で操業を行っており、これらの漁業実態が複雑かつ錯綜しているという事情がございます。このようなこともございまして、中国側との間でぎりぎり交渉する中で、外務大臣書簡により、資源の維持を図るため、両国が協力関係にあるということを前提にいたしまして、互いに相手国に対して自国の漁業法令を適用しないこととしたものでございます。  一方、当該水域においても、資源の適切な保存、管理を図るという共通の立場に立って、日中漁業共同委員会で協議していくということになっているところでございます。
  184. 儀間光男

    儀間光男君 まあ、それはそう申して決まったとおりでありますが、現状を見ますとそうでもないんですよね、現状行われているのは。つまり、海洋生物資源の保存及び合理的な利用などと今答弁ありましたが、現状はそうじゃないんですよ。  沖縄島と宮古島の間、中間点に宝山曽根という曽根があります。ここは宝石サンゴの宝庫で、しかも、海洋生命の連鎖をし、多くの海洋資源を育む海域なんです。ところが、今おっしゃったのとは違って、中国のサンゴ船、底引き網はおびただしい数ほど来るんですね。多いときは百五十杯、百トンから百五十トンの船で百五十隻ぐらいここへ入って根こそぎサンゴを引き揚げるものですから、ここで生息するその他の魚介類が壊滅状態になる。保存どころか資源の枯渇に至っているということなんですね。これは一体そのままでよいのかどうか、非常に疑問に思うんです。  ちょっと話は変わりますけれど、去る三月三十日に沖ノ鳥島環礁で大きな事故が起こりましたね。要するに、あの鳥島を守ろうとする桟橋建設をやるんですけれど、そこで人命を落とす悲しい事故がありました。今や、その命をなくした方の悔しみ、遺家族のむなしさ、悲しさ、わびしさ、切なさ、こういうものを共有すること以外になく、冥福を祈るわけでありますが、そもそもああして命を賭して懸けるあの一帯に施工する工事、それは一体、背景何ですか。聞きたいと思います。
  185. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘のあった我が国の努力も含めまして、これは我が国の国土、領土、領海を保全し、排他的経済水域を含む我が国の利益を増進するためであるというふうに認識しているところでございます。
  186. 儀間光男

    儀間光男君 そのとおりなんですね。沖ノ鳥島ではああいう命を懸けて領土を保全し、領海を守り、EEZを確保しようというのに、いとも簡単にこの北緯二十七度線から東経百二十五度五十分の以西は譲ってしまう。どういうことなんでしょうかね。先ほど説明がありましたが、よく分からないんです。しかも、それ以南の、南の方の中国のEEZはこれには含まないとあるんですよ。残されているんですね。我が国のはほとんど、百二十五度五十分から以西、北緯二十七度以南空けておって、中国のものは残してあるんですよ。まあそれは触らぬ方が本当はいいとも思っているんですが、その代わり絶対触らせちゃならないということを約束しなければならぬと思うんですね。  ですから、いろんな背景があったと思うんですが、ここは、この海域は、中に尖閣を含めて、更に日台漁業協定が入ってすっぽり中国と台湾に囲まれて、ここで操業する日本船はもういないんですよ。排除された形でいなくなったんですよ。ここは、九州、熊本や鹿児島や宮崎の船団も行っていた海域なんですが、とうとう行かなくなった。四月から、ここはマグロ、本マグロの最盛期に入っているんですね。ところが、日本漁船は行かなくなった。  去る四月十二日の台湾の馬総統の所感発表がありました。日台漁業協定が締結し、スタートされたおかげで、台湾の本マグロの漁獲高が、今まで、対前年度の三・六倍も増したと。日本に感謝をする。しかも、尖閣の領有権は譲らないけど、漁業の共同管理はこれからも協力していくと。台湾では良くなったんですが、比較して、我が国では駄目になったんですね。  なかんずく、私は沖縄県出身で、あの海域を言いますから、聞く皆さんでは沖縄のエゴイストじゃないかというのかも分かりませんが、明らかに向こうは国境ラインですね。国土、領海、領空に接する場所なんですよ。したがって、日本の財産、国益が損なわれる危険性があるんであって、南西海域だけの話じゃないと思いますね。全国民がこの問題に関心を持っていただき、あの不平等協定を改定してもらわなきゃならない。沖縄県からも再三にわたって陳情があったと思いますが、外務大臣、承知しておられると思いますが、あの陳情に関しても所見をいただきたいと思います。
  187. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 日中漁業協定に対する沖縄県の漁業関係者の皆様方懸念につきましては、四月の十六日にも沖縄県知事あるいは沖縄県漁業協同組合連合会、沖縄県漁業協同組合長会、こうした皆様方連名の要請書、私に直接、受領しております。これは非常に重く受け止めております。その中にあっても、特に先ほど委員からも御指摘がありました中国船によるサンゴの不法採捕、この問題につきましては、これはもう漁業資源にとりましても深刻な影響を与えかねないと考えており、何とか解決しなければならない、強い思いを持っているところでございます。  こうした思いの下、まずは昨年八月に日中漁業共同委員会におきまして中国側に問題提起を行い、そして具体的な方策として、このサンゴ船を視認した場合に通報し調査する仕組み、これを導入いたしました。我が国の方で視認をして通報した場合に中国側がサンゴ船の検挙、摘発を行う、こういった仕組み、これは既に機能をしているわけですが、ただ、それでもおっしゃるように依然として沖縄県近海において中国サンゴ船の活動、活発に続いている、これは現実だと認識をしております。  ですから、今申し上げました具体的な方策、これ是非しっかりと実行しなければならないと思っていますが、それでは不十分ではないか、より実効性のある方策を追求するべきではないか、こういった認識を持って今中国側と既にやり取りを始めております。是非このやり取りの中で追加で何ができるのか、これをしっかりと検討したいと考えています。
  188. 儀間光男

    儀間光男君 外務大臣、今非常に重要なことをおっしゃいました。と同時に、我が国にとって非常に危険なことを答弁になりましたね。いわゆる中国との協定の中で、違反船は我が国の法は適用しないけれども、中国側は取締りできるから、中国側に取締りを頼むというと。これ、やっちゃ駄目なんですよ。理由は、沖縄島と宮古の間のサンゴ船を取り締まる、百杯から百五十杯、中国の公船がそこをうろちょろしてごらんよ、実効支配されてしまいますよ。こんなことも要請できない、国益を損なう状況にあるからこれ駄目ですよと申し上げている。中国公船あの辺うろちょろされたら、ましてや、後で防衛大臣に聞きますけれども、ゴールデンウイーク中に沖縄本島と宮古の間、中国艦船が横行、航行しておるんですよ。だから、そういうことを余りしない方がいいと。それよりは、もっと外交交渉でもって中国公船もこっちに来ないように摘発していくような方法を考えていただきたいと思いますし、また、日韓条約見ても、どうも日本は不利に立っている、日韓漁業協定見ても。  中国も韓国も、あれダブルスタンダードなんですね。二つの規範を持つんですよ。中国側は沖縄の本島の西海域まで経済水域をやっておりますけれども、これは大陸棚なんですね。大陸棚があって、日本は中間水域を取っている、EEZ同士の間の中間を取っている。ところが、中国と韓国は、自分たちは大陸棚を主張しておいて、中国が今やっているベトナム、ASEANにおいては逆に中間ラインを主張しているんですね。あそこの大陸棚あるものですから、中国の大陸棚向こうへ及んでいないから中間ラインを主張して交渉して、今ドンパチ始まった。韓国もそうです。黄海側には中間ラインをやるんですが、日本海側には大陸棚で交渉するんですね。  両国とも二つの規範を持つけれども、我が国は大陸棚ないですから中間ライン一本ですよ。だから、それは不利であることは不利であるんですが、どうぞ交渉の中で一本ずつにしましょうよと、我が国は材料ないんだから、中間水域でやりましょうよと、中間ラインでやり取りしましょうよというようなことの交渉をしていただきたいと、こう思いますが、時間ないので短くおっしゃっていただけますか。
  189. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、前半の御指摘の日中協定につきましては、先ほど申し上げました仕組み、これ我が国が視認をして通報した場合に、これ中国側が対応するわけですが、これ現場水域で公船が対応するんではなくして、その当該中国の、中国船が本国に帰った場合に免許の取消し等、そういった対応をするということでありますので、先ほどの御指摘は直接心配には当たらないのではないかと思っています。  それから、後半の日韓の協定については、御指摘を受け止めさせていただきまして、一度この現状につきましてちょっと考えてみたいと存じます。
  190. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございます。  防衛大臣に伺いたいと思います。  島嶼防衛、日米安保条約に基づいて日米が合同訓練の中で、もう時間ないですから余談はやめます、直接行くんですが、島嶼奪還共同訓練がありますね、島嶼を取り返す。つまり、その前提は侵攻を受けたが仮定ですよ、侵攻を受けたら奪還をする、その共同訓練はカリフォルニア辺りに行ってやっておりますけれども、その前の防衛の合同訓練なるものはおやりになっていると思いますが、実態はどうですか。
  191. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 御指摘ありますように、島嶼防衛については様々な事態を想定した共同訓練を実施していくことになっております。これは日米でやっておりますし、また、自衛隊単独でも島嶼侵攻対処に対する訓練を実施しておりまして、例えば、国内における統合訓練では着上陸作戦についての訓練、自衛隊統合演習では海上優勢及び航空優勢を確保するための航空、海上作戦や地対艦ミサイル部隊の機動展開等、島嶼への侵攻を阻止、排除するための訓練ということも行っております。ですから、奪還ということだけではなくて、逆に島嶼への侵攻を阻止する、そういう訓練も併せてさせていただいております。
  192. 儀間光男

    儀間光男君 なぜそう言うかといいますと、漏れ伝わってくるのは全部、奪還合同訓練なんです。だから皆さん、国民にうんとアピールしないと、防衛訓練していないように受け取られるんですよ。なぜそう言うかというと、奪還の前提は侵攻です。奪還しに入ったら戦争をしなきゃならないんです、ですね。侵攻を受けたら、そこへ行くんだったらもう戦争ですよ。これは、遠くはフォークランドでアルゼンチンとイギリスがやりました。近くでは、ウクライナがそうでしょう。今やロシアも入らない、EUも入らない、おかげでウクライナは内戦状態でしょう。侵攻を受けて行動する場合は戦争以外にないんですよ。だから、それを先に食い止めるという公海上での訓練を皆さんやって、国民に知らして安心させなければならないですね。  なぜそう言うかというと、去る四月十九日から二十一日まで、いわゆる国境離島という観点から、対馬は前にやりましたから、石垣市と竹富町と与那国町、ちょうど十九日は防衛大臣も与那国町で基地の起工式やりましたね。その翌日入ったんですが、そこは国境防衛ラインにあって、尖閣も隣にあって、中国の艦船や不審船があるいは南シナ海へ横行するときに最接近される島々なんですね。非常に島の人たちは脅威を持っている。  少なくとも、国防に関することであれば、あるいは自衛隊基地の周辺、米軍基地の周辺、あるいは水源地の周辺、電力の周辺、こういうことは国防上大事だということで土地の取引を規制する必要があるというような観点から国境離島へ行ってみました。地域の人々、みんな共感でいっぱいでしたよ。不審船が通っていて、いつ、船浮って旧軍港がありますが、これは最高の港なんですね。今は国際避難港になって、どこの船がどういう形で、漁船で武装してきたって受けなきゃならない。この港口の内離島というのがあるんですが、ここがほとんど外国人に買い取られていて、この方、台湾の人、亡くなったんですが、中国の人がその人に買いに来たんですけれども断って、不思議なことに、二か月、三か月後、この台湾の方は、資産家は淡水河で死体で上がるんですよ。この背景はよく分からないですけれども、その後に屈強な、どうもあの辺の人らしき人が五、六名しょっちゅう出入りがあるということで、地域住民がおびえ抜いているんですね。  そういうこと等も含めて、国境離島をどう防衛していくかと併せて、そのための土地の管理を、動きを、防衛の立場から防衛大臣いかがお思いかを教えていただきたいと、聞かせていただきたいと思います。
  193. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員御指摘のように、まず国境離島、これは日本の大切な領土、そしてまた、それに連なる領海でございます。  今回初めて与那国島に自衛隊の警備部隊を配置することを地元の御了解を得て進めさせていただいておりますし、私がこの仕事に就いてから、対馬もそうですし、福江もそうですし、国境あるいは国境離島に近いところをなるべく回らせていただき、現地の状況を聞かせていただいております。  様々な外国人の土地所有につきましては、現在、自衛隊として特に防衛施設の周辺をしっかり調査をさせていただいております。政府全体でこの問題を取り組む姿勢ということで、安倍内閣としては領土問題の担当大臣を設置をしたということも表れだと思っております。今後ともしっかり対応してまいりたいと思います。
  194. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございます。  しっかりひとつやっていただきたいんですが、地域の方からこういう話が聞けました。船を持って、観光船を持っている人たち数名ですが、海上保安庁の取締りが手薄になる未明と夕暮れ、ひどい話だそうですね。海上保安庁の協力員としてこの人たち協力体制にあって、不審船があるときに双眼鏡でのぞくんだそうです。ところが、先方も双眼鏡でこっちをのぞいておって、船名、船ナンバー確認したいんだけど消されていると。こっちのは透け透けですから報復が怖いということで、どの程度報告していいのやら分からないと。これぐらい恐怖心を持っているんですよ。  したがって、何とか、防衛、外務そろって外交交渉と、あるいは防衛がスクラムを組んで国境離島を維持し、国土を維持していくという強い決意に燃えていただきますように、再度お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  195. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 我が国を取り巻く安全保障環境、厳しさが増す中にありまして、まずは我が国としまして防衛力を適切に整備する、万全の体制をしかなければならないと存じますが、あわせて、日米安全保障体制の下、しっかりとした抑止力を確保しなければならないと考えます。その中にあってこの外交の役割大変重要だと認識をしております。是非、外交の立場から努力をしたいと考えます。
  196. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 国境離島への部隊の配備はそうでありますが、さらに、今御指摘ありましたように、例えば海上については、常に哨戒活動を行い、様々な情報を収集し、関係省庁と共有し、自治体と協力をしていきたいと思っています。
  197. 儀間光男

    儀間光男君 終わります。ありがとうございました。
  198. 小野次郎

    小野次郎君 日本維新の会・結いの党、統一会派できまして、二番手として私から質問させていただきます。  まず、JTCというんですか、日本交通技術の、容疑の段階でしょうけれども、ODAに関する国際贈賄事件についてお伺いします。  三月二十七日の私の質問外務大臣は、事実関係の確認に努めて、それに基づいて適切に対処するという趣旨の答弁されました。  その後、四月の二十五日には、JTCの第三者委員会がリベート提供の事実を認める報告書公表し、それを前提にして同社の社長は引責辞任の意向を表明しました。さらに、今月六日付けの報道では、ベトナムの鉄道公社副総裁ら四人が逮捕されたという報道もあります。  こうした中、外務省とJICAは、先月三十日付けで、同社に対して一定期間のODA事業からの参加排除というんでしょうかね、国内でいうと入札排除なんですけれども、参加排除の処分を行っています。ただ、この疑惑をめぐっては、我が国の捜査当局が今も国際贈賄容疑で捜査中であるとも報じられています。  さて、お伺いしたいのは、同僚議員が先ほどちょっとこの件について質問しましたので具体的に入ってまいりますが、まず一点目は、事務方にお伺いしますけれども、このベトナム側四人の拘束というのは贈収賄容疑と考えていいのか、それともいわゆる別件による身柄拘束と考えた方がよろしいんでしょうか。
  199. 和田充広

    政府参考人和田充広君) お答え申し上げます。  先生御指摘の報道については我々も承知してございますが、ベトナム政府の方はまだ本件について最終的な結論めいたことを出しておらず、引き続き調査中だというふうに了解をしてございます。
  200. 小野次郎

    小野次郎君 最終的なことを聞いているんじゃなくて、身柄が拘束されたかどうかの事実と、何罪で拘束したのかぐらいは聞いていないんですか。
  201. 和田充広

    政府参考人和田充広君) ベトナム側との情報交換、意見交換をやっておるところでございますが、ベトナム政府の方からはまだ正式に本件について対外発表もございませんで、拘束の具体的な事実関係についても詳細についてお答えできる状況にございません。
  202. 小野次郎

    小野次郎君 それでは、しっかりその辺の事実関係を確認していただきたいと思います。というのは、我が国での対処についてのやっぱり前提にもなるわけですからね。そこは是非続けていただきたいと思います。  じゃ、その次にお伺いしますが、この四月三十日付けの事業への参加排除、ODAへの参加排除というのはベトナム一国分なんですか、それとも、ほかに出てくる国二つありましたね、ウズベキスタンとインドネシアも含めた処分なんですか。
  203. 和田充広

    政府参考人和田充広君) 四月三十日、外務省及びJICAは、同社が第三者委員会の報告書で外国公務員に対する贈賄行為が行われたものと認定されたことを受けまして、全ての国に対する新規事業から排除する措置を実施いたしました。  具体的には、外務省は、外務省実施分の無償資金協力への参加を十八か月間排除をすると。JICAは、JICAが実施する資金協力及び技術協力について、三十六か月間、JICAの契約の相手方になること及び資金協力事業における調達契約の当事者になることを認めないとする措置を実施したところでございます。
  204. 小野次郎

    小野次郎君 ですから、私が聞いているのは、この処分というのはベトナム一か国との関係についての処分なのか、それとも、まだ事実関係私どもはよく分かっていないインドネシア、ウズベキスタン、三国まとめての処分なのかと聞いているんです。
  205. 和田充広

    政府参考人和田充広君) 三国に関する第三者評価、第三者委員報告書を受けてのものでございまして、ベトナムに限るものではございません。
  206. 小野次郎

    小野次郎君 それはちょっとおかしいと思うんですよね。  さっきベトナムの話も、拘束された事実も確認されていないし、何罪で現地で訴追というんでしょうかね、捜査されているかも確認できない。今度民間の報告書が出たからって、それで一定期間の参加排除をしたけれども、インドネシアとウズベキスタンについてはベトナムほども分かっていないわけじゃないですか。それで、これでいわゆる何とかの尻尾切りで終わりということですか。
  207. 和田充広

    政府参考人和田充広君) 現状におきましては、その企業側が依頼した第三者委員会の報告書に基づいて措置をとってございますが、外務省、JICAといたしましては、今後、相手国政府との協議等を通じ、また日本の捜査当局の動きを注視しつつ、新たな動きや事実が判明した場合には、措置期間の更なる延長を含め厳正なる対処を更に行っていくという考えでございます。
  208. 小野次郎

    小野次郎君 そうでなきゃいけないと思いますよ。  だから、ベトナムについても日本政府自身がしっかりともっと事実解明しなきゃいけないし、そこから新たな事実が出てくる可能性もあるわけだし、まして、そのインドネシア、ウズベキスタンについては、麻生副総理が行かれたときに適切な対応を先方に要請してはいますけれども、少なくとも我々日本にいる人間にはよく分かっていないわけですから、それであれで終わりですよというのは誰も納得しないと思いますよ、本当に。  もう一度申し上げますけれども、同僚議員の先ほど午前中の指摘でも私は驚きました。OECDでは、我が国は国際贈収賄の防止について熱心でない国だと評価されていると。これについて、外務省、どう認識しているんですか。
  209. 和田充広

    政府参考人和田充広君) 外務省といたしましては、関係条約にもきちんと参加をし、またそれに基づいて国内法整備もきちっと取っているところでございます。  いずれにしても、そのような指摘を受けることがないよう、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  210. 小野次郎

    小野次郎君 では、外務大臣にお伺いしますが、ODA事業における不正再発防止、これ前にも、二〇〇八年か九年にもありましたね、ベトナムでも。そのときにも外務省は防止対策をまとめられている。しかし、そしてまたこういうことが起きてくるということについて、防止するための具体的な御決意をお伺いしたいと思います。
  211. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、ODA事業における不正腐敗対策については、平成二十年に円借款事業をめぐる不正行為の発生がありました。これを受けて様々な不正腐敗の再発防止策講じてきたところですが、にもかかわらず、今般再び同様の不正が強く疑われる事態に至ったこと、これはODA事業に対する国民の信頼を著しく損ねるものであり、これは極めて遺憾であると認識をしております。  再発防止の具体的な内容については、まず、今回の案件につきまして、事実関係の更なる解明、あるいは関係相手国との協議、今引き続き続けております。この結果を踏まえて、処分等ももちろん御指摘のようにしっかりしなければいけませんが、再発防止策についても上乗せの策が必要なのかどうか、しっかりと検討しなければならないと思っています。
  212. 小野次郎

    小野次郎君 同僚議員の指摘を何か使わせてもらうのは、ちょっとお礼を申し上げつつですね、使わせていただくなら、その二〇〇八年、九年のときにもいろんな改善を図ろうとして不正情報提供という制度を、保護するという制度をつくっているわけですね。今朝ほど議論を聞いていたら、これらの三つの国も含めてみんなやっぱり何らかの情報提供があるわけですよね。そうすると、疫学的な推測じゃないんだけれども、じゃ逆に、五件とか八件とか九件とかあって、まだ事件になっていない国については何らか特段の、本省から出先に行ってちゃんとしっかりチェックするとか何かしないと、その結果が出てきているわけじゃない、次々と。  そういう手だて、事務方で結構ですけれども、ないんですか。情報提供が出ていて、まだ事件としては露見というか発覚していないところについても、重点的にやっぱり指導に行くべきなんじゃないですか。
  213. 和田充広

    政府参考人和田充広君) 先ほど申し上げたとおり、今回の事案を受けて、外務省、一連の措置をとってございますが、それに加えて、全てのODA対象国大使館に対して改めて不正腐敗防止に関して緊張感を持って取り組むように注意喚起を行ったほか、日本の経済界に対しても不正腐敗防止に向けた注意喚起等を改めて行っております。  外務省としましては、こういった事態が起きないように更に適切に対応を取ってまいりたいと思います。
  214. 小野次郎

    小野次郎君 今言ったのは小野じゃなくて大野の方なんですけれども、私の方も同じことを言いたいです。  一番再発を防止するためにインパクトのある措置というのは、大臣にも聞いていただきたいんですけれども、簡単なんですよ、収賄容疑が出た国にODAを中止しちゃうということです。あるいは、贈賄と名前が出たこの会社なんか、十八か月でいいのかということなんですよ。この前も指摘しました、私、国内官庁出身ですけれども、年度の途中でこの処分が切れると、年度途中で処分が切れた途端に発注したりするんですよ。だから、やるんだったら、会計年度ですぱっと三月三十一日までというふうにやらないと、一年なのか二年なのか切らないと、悪い考えの人って結構いまして、結託している人がいて、期限が切れたら十一月一日か何かで発注したりするので。  だから、そういうことを考えても、もっと贈賄企業に対しては、長期のこの分野からの排除をする処分があるんだよということを外務省からもっと厳しく言うとか、あるいは、収賄の疑いが出た国については、これ国際的にもスキャンダルなんですから、少なくとも日本はODAの事業を続けられませんよというぐらいのことを言ってやることが一番、一罰百戒、再発防止になるんじゃないかと思いますが、少しちょっとこわもてかもしれませんけど、そういう措置をお考えになる考えはありませんか。
  215. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) こうした不正事案の発生はODA事業国民の信頼を損ねる大変重大な事案であり、こうした発生は極めて残念なことであります。そして、再発を防止するために何が効果的なのか、こういった視点で、御指摘の処分等についても、これは不断の検討をしなければならない課題であると認識をいたします。
  216. 小野次郎

    小野次郎君 その点は、じゃ、よろしくお願いいたします。  話題を変えまして、外務省にお伺いしますが、頭の整理のために教えていただきたいんですけれども、最近よく耳にしますマイナー自衛権の問題というのはどのような範囲のものを指すのか、改めて御教示いただきたいと思います。
  217. 新美潤

    政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。  今委員から御質問ございましたいわゆるマイナー自衛権と申しますのは、武力攻撃に至らない侵害に対する自衛権の行使を一般に指すものと承知しております。  国連憲章の第五十一条は、自衛権の行使が認められるのは武力攻撃が発生した場合であると規定しております。政府は従来から、武力攻撃に至らない侵害に対し自衛権の行使として実力を行使することは一般国際法上認められておりまして、このことを国連憲章が排除しているものではないと解してきております。これは国際法上のいわゆるマイナー自衛権と言われるものについての基本的な考え方でございます。
  218. 小野次郎

    小野次郎君 済みません、その武力攻撃に至らない自衛権の行使というのは、例示としてはどんなことなんでしょう。
  219. 新美潤

    政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。  国連憲章五十一条などに言います国際法上の武力攻撃と申しますのは、一般に一国、一つの相手の国に対する組織的、計画的な武力の行使と解されますが、それ以外の侵害については、例えば一つの例でございますけれども、国境における偶発的な撃ち合いのような、組織的、計画的なものには至らない武力の行使などというのが例えば考えられると思います。
  220. 小野次郎

    小野次郎君 次に、マイナー自衛権とは別に、一般的にグレーゾーンと呼ばれる問題にはどのような案件が含まれるのか、内閣官房にお尋ねいたします。
  221. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) マイナー自衛権については今外務省からお答えいただいたとおりのことでございますけれども、他方で、御指摘のグレーゾーンの事態についてですけれども、これは、国家安全保障戦略や防衛計画の大綱においては、純然たる平時でも有事でもない事態というものを言わばグレーゾーンの事態と表現をしているところでございますけれども、これは必ずしも法的な概念ではございません。  こうした武力攻撃に至らないような事態に対して自衛隊が、現行法でも治安出動とか海上警備行動、対領空侵犯措置等、警察権の行使として対応できることにはなってございますが、どのような事態においてそういった対応を行うか、これはもう個別的、具体的な状況によるものでございまして、一概にお答えすることは困難でございます。
  222. 小野次郎

    小野次郎君 そこでちょっと私がまた分からなくなって、武力攻撃に至らない事態というので質問を作るときに、片っ方は外務省です、片っ方は内閣官房ですということで、わざわざ答弁書まで分けたんですけど、その違いがまた分からなくなるんですけど、もう一遍、そのグレーゾーンと呼ばれるものにはどのような案件が含まれるのか、教えていただきたいと思います。
  223. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) グレーゾーンというのは、今申し上げましたように、法的な言葉ではございません。国家安全保障戦略あるいは防衛計画の大綱、ここでは、純然たる平時でも有事でもない事態を言わばグレーゾーンの事態と表現しております。そういう武力攻撃に至らないような事態に対して、これ自衛隊の対応で申しますと、現行法上は、例えば治安出動が出されるようなこと、海上警備行動、対領空侵犯措置等、そういう警察権の行使として対応できるという場合がございますが、具体的にどういう事態においてどういう対応を行うか、これは個別的な状況によるものというふうに考えてございます。
  224. 小野次郎

    小野次郎君 よく私にはのみ込めませんが、大臣にお伺いしますけれども、マイナー自衛権とかグレーゾーンと呼ばれる分野について防衛省として今後どのように対処していくのか、法制面、対応能力、双方について問題認識をお伺いしたいと思います。
  225. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 今御指摘がありました武力攻撃に至らないような事態に対しての自衛隊の対応というのは、これは治安出動や海上警備行動、対領空侵犯措置など、こういう形で法整備を行っております。現在、こういう形で日本の安全をしっかり守る体制にはありますが、今安保法制懇等で議論されている内容というのは、それで十分なのかどうかということを専門家の中で議論が行われているということは承知をしております。  また、平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態でありますが、これに対しても、例えば昨年でしょうか、北朝鮮が日本の具体的な地名を挙げて威嚇的な発言をしました。弾道ミサイルの実験を累次行っている、こういうような平時でも有事でもないような状況、こういうことも実際、最近の安全保障環境の中では起きているというふうに承知をしておりますので、こういう部分に関しても現在この懇談会の方で議論がされているというふうに承知をしております。
  226. 小野次郎

    小野次郎君 何か、民間の方の懇談会で議論しているからって、防衛の最高責任者がそっちに投げちゃうとちょっと不安になるんですが、話があと続きますので、またほかの、次の答弁のときにまたお答えいただければ結構ですけれども。  次に、我が国に対する武力攻撃、急迫不正の侵害行為と判断される行為の開始時点についてお伺いします。例を挙げて御説明いただきたいと思うんですが、まず、今大臣のお話にもちょっとありましたけれども、例えば武力攻撃開始の予告、例えば東京を焦土にすると国営放送で予告するなんというのは開始の時点になるんでしょうか。
  227. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  自衛権発動の三要件のうちの第一要件、我が国に対する急迫不正の侵害あるいは我が国に対する武力攻撃の発生ということでございますけれども、これにつきましては、攻撃のおそれがあるというだけではもちろん足りないわけでございますけれども、現実にその被害が発生するということまでは必要とはなっておりませんで、あくまで先生おっしゃるように武力攻撃に着手をしたということが要件であるということでございます。  そして、ではどういう場合にその着手があったと認められるかということでございますけれども、例えば、あくまで例えばということでございますけれども、我が国を攻撃するということを明示して攻撃のためのミサイルに燃料の注入その他の準備を始めた場合、それから、東京を火の海にしてやる、灰じんに帰してやるといったような表明をして、かつ弾道ミサイルに燃料注入を開始し、あるいは屹立させたという場合が考えられるということは、これは従来から国会でも答弁がなされておるところではございますけれども。  しかしながら、現実の事態においてどの時点で相手が武力攻撃に着手したかということにつきましては、当然のことながら、そのときの国際情勢でありますとか相手国の明示された意図、それから攻撃の手段、態様といったような様々な事情を勘案して総合的に判断をする必要がございますので、仮定の事例について限られた要件のみに基づいて論ずるわけにはいかないということで、あくまで個別具体的なその時々の判断によるものと考えております。
  228. 小野次郎

    小野次郎君 今、話も出ましたけれども、ミサイルを燃料を注入し屹立させるというふうなことも例示で挙げられました。  それじゃ、そのミサイルを積んだ攻撃機が出撃するという事態、これも同じような例と考えていいんですか。
  229. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 繰り返して恐縮でございますけれども、もちろん、いろいろな事態というものは考えられます。いろいろな例というものは考えられるわけではございますけれども、あくまで、そのときに現実に国際情勢がどうであって、我が国を取り巻く状況がどうなっているか、それから相手国のその時々の意図あるいは攻撃の手段、態様といったものを勘案して総合的に判断をする必要がございますので、先生おっしゃられたような例だけでこれが着手に当たるかどうかということを直ちに論ずるということは難しいものと考えております。
  230. 小野次郎

    小野次郎君 法学部で習う授業で、毒まんじゅうの送り付けという事例が必ず出ますよね。第三者にこれを小野さんのところへ届けろと言ったのでは、第三者が途中で気が変わって怖くなってやらないかもしれないと。そうすればならないというんですね、着手に。だけど、郵便局に頼んだり宅急便に頼んで必ず届くとなれば、もうお店に出した瞬間にそれは未遂になるというような話もあるんですけど、そういう次元のことなんですかね。
  231. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 今先生がおっしゃられたような例というもの、それはまさにどういうような侵害を行うかということによりまして、しかも今議論になっておりますのはまさに国対国の間の武力攻撃の問題でございますので、直ちに国内法上の議論と同一視するというわけにはいかないとは思いますけれども、いずれにいたしましても、その時々に我が国の置かれた状況、それから相手国の明示された意図、それから攻撃の手段、態様といったものを総合的に勘案する必要がありますので、個別具体的にその時々に判断していく必要があるものと考えております。
  232. 小野次郎

    小野次郎君 さっき僕が冒頭に申し上げた武力攻撃開始の予告があったという前提で例示を置きますと、さらにグレーゾーンというさっき大臣も答えられた形での攻撃、侵入というのが、どこかの時点からはやっぱりこれは武力攻撃開始の時点とみなすことができるということもあるんじゃないでしょうか。
  233. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) いわゆるグレーゾーンというもの、これは先ほど内閣官房の方からも御答弁ありましたとおり、法的な概念ではございません。あくまでいわゆるグレーゾーンということで、防衛計画の大綱等に使っている言葉ではございますけれども、純然たる有事でも純然たる平時でもないということで、そのこと自体は我が国に対する武力攻撃には至っていないということを意味しているものでございますけれども、もちろんそれは、その後事態がどういうふうに深刻化するか、あるいは進展するかということに懸かっているものでございますので、まさにこれも具体的な事例に即して考える必要はあるかと思っております。
  234. 小野次郎

    小野次郎君 局長の話を聞いていると、何かギリシャの詭弁の飛ぶ矢は飛ばずという話を聞いているような話なんですよね。  それじゃ、領域の周辺、領域の外に弾がどんどん着弾しても、それはまだ着手がないということになるんですか。
  235. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) もちろん、一つ一つの例によりましておのずと濃淡というものはあるかとは思います。したがいまして、そのグレーゾーンにつきましても、かなり黒に近いグレーから白に近いグレーまでいろいろあるんだろうとは思いますけれども、あくまで個別の事態に即して議論する必要があるかと思いますので、特定の仮定された例だけに基づいて議論することはできませんし、また今先生の御指摘につきましても、相手国がどういうような意図を持っているかと、そういうところにもよるかとは思っております。
  236. 小野次郎

    小野次郎君 そこだと僕は思うんです。やっぱりその相手国、国準も入ると思うんですが、侵害意思というか攻撃意思というのが確認されるかどうかが一番、局長が何回も答弁されている、ケース・バイ・ケースだとおっしゃっている大事な基準なんじゃないかと思うんですね。  私は、今話題になっている日米共同で行動しているときの米軍艦に対する攻撃というものについても同じような視点があるんだと思うんですよ。まるっきり何の意図があって誰が攻撃したか分からない状態のときに共同で反撃するということはできないと思うんです、物理的にも。だけど、やはり、その攻撃意思、侵害意思が日本に対するものであるかどうかが確認されれば、それはもう海におっこちて誰にも当たらなくたって、それはもう攻撃があったとみなすこともできると思うんです。それは、共同で行動している米軍艦に当たった場合であってもそれは同じことが言えると思うんですけれども、局長、そうお考えになりませんか。
  237. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 時間が来ておりますので、徳地防衛政策局長、簡潔にお願いします。
  238. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 我が国に対する武力攻撃があって、既に日米で共同対処をしている際の米軍ということにつきましては、これは我が国防衛するための必要最小限度のものである限り我が国としてその攻撃を排除することができるという答弁は過去にございますけれども、それ以前の場合につきましては、これはまさに我が国に対する武力攻撃があるかどうかと、そこの判断に関わるものと考えております。
  239. 小野次郎

    小野次郎君 防衛省局長に聞いても仕方ないのかもしれませんが、あなたの答弁は下位法令である自衛隊法や何かの解釈に基づいて憲法上の話をしようとしているから、下から上を見ているんですよね。私たち聞いているのは、憲法上どうなんだと聞いているわけで、そこはちょっともう少し答弁を工夫していただく方が説得力があるんじゃないかなと思います。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  240. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山谷えり子君が委員辞任され、その補欠として長峯誠君が選任されました。     ─────────────
  241. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  今週は集団的自衛権の議論について政府側で動きがあるというふうにお伺いしておりますので、決算に即した質問の前に、通告した順番を変えて質問の方をさせていただきたいと思います。  まず、集団的自衛権に関する政府方針についてお伺いしたいと思います。  確認ですけれども、安保法制懇から今週報告書が出た後、官房長官は記者会見で、今週、週内に政府方針を出すということをおっしゃられております。この政府方針の策定に、外務大臣防衛大臣は当然参画されるということでよろしいでしょうか。簡単なというか、短い答えで結構です、是非確認したいと思います。
  242. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、今現在行われております安保法制懇の議論が最終報告書という形でまとめられた後、政府・与党として議論を行うことになっていますが、当然のことながら、その段階から私自身としましてもしっかりと議論に参加していくことになると存じます。  御指摘の基本的な政府の方針、方向性を示すという部分につきましては、報告書の提出を待ってそうした方針が示されるとされておりますが、まだ現状、内容とかその手続ですとか、そういったものについては明らかになっておりませんので、今の段階では私の方から何か申し上げるのは差し控えたいと存じます。
  243. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 外務大臣と同じく、一定のプロセスの中で参画をしてまいります。
  244. 中西健治

    中西健治君 当然、安保に関わることですから、外務大臣防衛大臣というのは参画されるということだろうと思います。  内容について今申し上げられない、それもそうなんだろうというふうに思うんですが、ただ、ちょっと私が奇異に感じるというか驚くというのは、報告書があしたないしあさってということで言われていますけれども、週内に基本的な考え方を示す政府方針が出るということになると、その間が二、三日しかないというようなことになってまいります。その中で、大臣が参画された上で政府の考え方というのが本当に出せるのだろうかと。  これまで、この集団的自衛権について質問をしますと、今安保法制懇で議論の最中ですと、議論の内容というのは、ある程度承知しておりますけれども、全てはそれが受け取ってからだと、こういうようなお答えを政府はずっとされてきたかなというふうに思います。二、三日の間で政府方針を出すということですが、内容の細かいところは結構ですけれども、内容まだ決まっていないわけですから、イメージとしてどのようなものなのかというのをお伺いしたいと思います。  私が申し上げているのは、お聞きしたいのはどういうことかというと、菅官房長官は政府の考え方というふうにおっしゃいましたけれども、これは、政府が報告書を受けてどのように対応するかという指示を各府省に、関係組織に出していくと、それが政府方針なのか、それとも、これまで従前から言われていた、報道などで言われていた、いろんな事例も含めた上である程度包括的な考え方を示すものが政府方針なのか、どちらなのかということについてお伺いしたいと思います。
  245. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 安保法制懇の最終報告書がなされた後に、政府としては基本的な方向性を示すとしております。そして、それを受けて政府・与党で議論を行い、そして、もし憲法解釈の変更を行うとしたならば、その議論を踏まえて政府の最終的な方針を決定する、閣議決定等で決定するという手順が想定されていると承知をしております。  ですから、報告書が出た直後のこの方向性というのは、その一連のプロセスの中で、今申し上げたように、報告書が出て、そして、与党、政府として議論を行う前に位置付けられておりますので、これはその後に最終的な政府の方針が確定されることが予想されているわけですから、それと比較してどの程度踏み込んだものになるのか。  いずれにしましても、これは政府としての方向性とまさに言っているわけですから、この考え方の大きな方向性を示すという内容になると想定をしておりますが、いずれにしましても、これはまだこれから最終報告書が出されるわけでありますから、今の段階で具体的な内容について申し上げるのは控えなければならないと思っています。
  246. 中西健治

    中西健治君 基本方針というのは、申し上げたとおり、今まで私どもが理解していたのは、かなり個別類型なども含めて、十類型だとかいろいろ言われていますけれども、事例を付したものであるというふうに考えておりましたので、相当細かい内容、包括的なものが出てくるんだろうなというふうに考え、それをもって、また与党、政府、さらには各党がいろいろと話をする材料になるのかなというふうに思っておりました。しかし、今回の時間的な短さを考えると、そうしたものが本当に出せるのか、出せるとすれば、それはあらかじめいろんな情報があって議論をされていたということになるので、これまでの政府の答弁とは違うことで推移してきているのではないかというふうに思わざるを得ないということでありますが。  あと一点、ちょっとスケジュールについてお伺いしたいと思いますが、この報告書が出て、報告書はあくまで総理の私的諮問機関からの報告書だというふうに理解しております。ですので、閣僚の方々でこの情報を共有する、報告書を共有するというプロセスというのがきっとなければ共有できないということになると思いますが、それは報告書が出された後の初めの閣議になるであろう、閣僚懇になるであろうということでよろしいかどうか、岸田外務大臣にお伺いします。
  247. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 五月七日に安倍総理が行いました内外記者会見を見ますと、先ほど申し上げました基本的方向性を示すとした上で、政府としては、報告書が提出された後に、その内容も踏まえ、安全保障の法的基盤の再構築に関して政府がどのように検討を進めるかについての基本的な方向性を示す考えである、こういった説明をしております。先ほど来御指摘があります基本的な方向性というものはそういったものであるということであります。    〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕  そして、それに向けて具体的にどういった手続、閣議なのか、どういった手続を踏むかということにつきましては、具体的なものは私自身もまだ承知をしておりません。いずれにしましても、今後のこの議論、政府がどのように検討を進めるかについて基本的な方向性を示すということであると認識をしております。
  248. 中西健治

    中西健治君 政府が基本的な方向性を示すのであれば、当然政府の間で報告書は共有された上でなければ出すことはできないだろうというふうに私は考えます。となると、もし、手続の方は決まっていないということでありますけれども、閣僚の方々の間で今週の金曜日の閣僚懇でこの報告書が共有されるのであれば、金曜日中に政府方針が出されるというのはやはり何か奇異に思えるということでございます。これは私の意見として申し上げておきます。  あともう一つ意見として申し上げますと、外務大臣防衛大臣参画されるということでありますけれども、これは、例えば防衛大綱を作るとき、安全保障の基本的考え方を策定するとき、こうしたときもNSCというものが開かれたと思います。そうしたものが開かれなければならないだろうというふうに思いますので、そうした時間がこの数日の間にあるのかどうかということについても私自身は見ていきたいというふうに思っています。  じゃ、続きまして、防衛省防衛大臣にお伺いしたいと思います。決算に即した質問をさせていただきます。  まず、総論的な話としまして、防衛装備品に関しましては、これまでに何度も付け替えですとか水増し請求などが指摘されてきているところでありますけれども、一向になくなるということにはなっておりません。こうしたことを撲滅するためにどのように防衛省として取り組んでいくのか、防衛大臣にまずこの総論的なことをお伺いしたいと思います。
  249. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 平成二十四年一月に判明しました、これは三菱電機事案、これは過大請求事案ということでありますが、これを始め防衛調達に関する事案については誠に遺憾であります。  私も大臣就任後、これら一連の過去の事案についての説明を受けまして、大変深く重く受け止めました。直ちに私は指示を出しまして、大臣政務官を長とします部外の有識者を含めた過大請求事案調査・検討委員会を、これは平成二十五年二月に設置をいたしまして、このような事案の撲滅のために省全体で取り組む体制を組みました。  具体的には、抜き打ち調査、査察の拡大強化、過大請求会社に対する違約金の見直し、指名停止措置要領等の再発防止策を策定、平成二十五年四月以降に締結する契約からこれらを適用するとともに、企業に対しても周知を図りました。また、実はこのような契約業務は全国の各駐屯地で行われ、場合によってはその駐屯地に通達がしっかり行き渡らない場合もあります。今回、全国十四か所の駐屯地等に本省担当課の課員を派遣をいたしまして、約千九百名の調達関係業務に従事している隊員に対して、この新しい制度、そして再発防止策の徹底をしております。
  250. 中西健治

    中西健治君 各論的にお伺いしたいと思いますけれども、アメリカとの間でFMS調達というのがあります。このFMS調達というのは、まず米政府に前払金を支払って、そして実際の費用が前払金よりは少なかったという場合には差額の精算を行うという仕組みになっているものでありますけれども、平成二十四年度においても約五百十八億円も前払金が未精算のままになっていたということが会計検査院検査で明らかになっております。  この精算手続を一年以上懈怠していたということでありますから、当然厳しく責任が問われなきゃいけないと思いますけれども、関係者、担当者の人事上の処分についてお伺いしたいと思います。
  251. 吉田正一

    政府参考人(吉田正一君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘受けました件につきましては、特定の職員が職務を行っていたというような事案ではなく、FMS調達に関わる、精算に関わる手続、こういったもの全体が不備であったというふうなことで改善の処置をするようにと検査院に言われているものでございまして、人事上の処分については行っておりません。
  252. 中西健治

    中西健治君 全体として不備があったということでありますけれども、実際には当然、担当すべきである部局というものが存在すると思います。これに関しては、当然その部局の責任者というものはやはり厳しく責任を問われなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。  もう一つの例、これは大臣の方からも先ほど言及があったものでありますけれども、過大請求があった場合の企業へのペナルティーとして指名停止措置というものが行われておりますけれども、防衛装備品というものは、その特殊性によって、真にやむを得ない契約の場合には指名停止中の企業との間でも契約が行われてしまうということになっております。それが実際、多数締結されてしまっていて、実態としてこの指名停止措置というのは実効性のあるペナルティーになっていないのではないかというふうに思いますけれども、政府の認識をお伺いしたいと思います。
  253. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 防衛省では、過大請求企業に対して指名停止措置や違約金等を科していますが、指名停止措置を受けることにより当該措置期間中の新規事業への参入から排除され、また当該措置が公になることにより社会的批判を招来する等、違約金制度と併せて実効的なペナルティーとして機能しているものと考えております。  また、代替品及び代替会社の有無について精査をした結果、代替がないものであって、同社との契約を行わなければ自衛隊の任務遂行に重大な支障を生じるものについて行う契約、いわゆる真にやむを得ない契約の締結に当たっても、一つずつ厳正な審査を行い、必要最低限のものについてのみ契約を行うこととしております。  この違約金がかなり過大なものになりますので、これはその当該企業に関してはかなりの大きな制裁措置に機能していると思っております。
  254. 中西健治

    中西健治君 違約金がかなり巨額になるということでありましたけれども、これまでは二倍、最近見直しを行って、二倍、悪質なものは四倍、こうしたような形にはなっていますけれども、二倍でも四倍でもほかから調達できないんだからという意識が企業側にあるのかもしれないということで、二倍、四倍では実は余り怖くはない、こんなようなことになっている可能性もあるのではないかなというふうに思っています。  例えば、アメリカの裁判では何十倍、何百倍、こんなような莫大な違約金なんというケースもあるわけですけれども、違約金なわけですから、そうしたペナルティーを科すということについての御検討はされないんでしょうか。
  255. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 防衛装備品については、委員御指摘のように非常に難しい実は契約内容になります。通常、幾つもの同じような製品がたくさんあり、そしてそれを競争して入札するというような、私どもが常識的に考えるいわゆる公共調達とは違い、かなり特殊で、しかも場合によってはその一社しか生産をできないような、そういう場合もございます。そういう中で、私どもとして、公共性を担保するために、再発防止の一つとして違約金の額の金額をこれまでの金額から二倍、あるいは悪質な場合には四倍に引き上げるという金額になります。これは当該企業にとっては相当大きな状況になりますので、私どもとしては、抑止効果が相当期待できると思いますし、実はこれだけではなくて、今回、契約の中の条項で、こちらが自由に調査、査察ができるという、そういう条件も新たに付与させていただきました。  これからもこの問題についてはしっかり目を光らせていきたいと思っています。
  256. 中西健治

    中西健治君 しっかりやっていくということでありますけれども、実はこの過払いがあった場合の違約金条項、それは二倍、四倍入っていればいいんですけれども、そもそも契約の中に入れ損ねちゃったと、こんな事案すら存在しているということであります。  そうした契約の事例として、違約金が結局請求できなかったということになりますけれども、三菱電機、三菱スペース・ソフトウエア、こちらは防衛省情報本部が契約を行っているかと思います。それから三菱電機特機システム、こちらは海上自衛隊の航空補給処管理部との契約でこうしたことが起こっております。  違約金の条項を入れなかったということですから、これは当然職務上、これもやはり懈怠があったということになるのではないかと思いますが、各々の事案に関して、関係者の人事上の処分がどのように行われているか、お伺いしたいと思います。
  257. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 御指摘の事案につきましては、平成二十四年度決算検査報告におきまして、会計検査院より、三菱電機特機システム等との調達に関する契約におきまして、海上自衛隊航空補給処及び情報本部の違約金の賦課を定めた資料の信頼性確保に関する特約条項、いわゆる信頼性特約の取扱いにつきまして適切ではなかったことから、是正改善の処置を求められたものでございます。  このうち海上自衛隊との契約分に関しましては、契約行為に関する責任を有します海上自衛隊航空補給処管理部長として平成二十年度から平成二十四年度までの間に勤務していた四名に対し、口頭注意の処分を実施いたしました。また、情報本部との契約分に関しましては、現在調査を実施しているところでございまして、判明した事実に基づいて適切に対処してまいる所存であります。
  258. 中西健治

    中西健治君 海上自衛隊の方は処分が行われているということですが、口頭注意ということのようですが、口頭注意ということでは、少し再発防止という観点からは軽過ぎるのではないかなというふうに思います。また、防衛省本省の方はいまだに検査中ということでありますけれども、それでは遅過ぎるのではないかというふうに思います。    〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕  そうしたことをしっかりともっと早く、そして厳しめにやっていく必要が再発防止には必要なのではないかと思いますが、一つちょっとこれお聞きしたいんですが、先ほどのFMS調達については、防衛省全体として懈怠があったというか、そうした制度自体を変えていこうということのようでしたけれども、これは明らかに契約の条項を見落としたということになりますから、部長レベルだけではなくて担当者にも不注意あったと思いますけれども、担当者の処分というのは一切行わないのでしょうか。
  259. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 本件につきましては、海上自衛隊航空補給処管理部長の確認、それから担当者に対する周知が徹底されていなかったことが主たる要因であるとの調査結果を踏まえまして、その他の関係者につきましては、契約に関する事務に関わっていた者の懲戒処分等を行うまでには至らないというふうに判断したものであります。
  260. 中西健治

    中西健治君 結局、この違約金条項を入れないことによって国に損失が生じてしまっているということであります。  こうしたやり取りをお聞きになられて、防衛大臣は、こうした事案がまだ終わらないというか止まらないということについて、どのようにお考えになられるでしょうか。
  261. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) やはり全体として防衛調達の部分は、これはその都度様々な不祥事事案が出てくるということ、これは本当に遺憾に思っております。今回、対策についてかなり綿密には指示をしたつもりでありますが、これは常日頃からやはり様々な情報収集を行って、そして企業側からも、あるいは本省、省内からもおかしな事案のもし情報があれば、速やかに私のところに上げろという指示を出させていただいております。  いずれにしても、特に防衛省の場合、大変部隊等が多く存在しておりまして、調達もそれぞれの場で行う場合もあります、契約もあります。したがって、本省で決めた新しい体制、今回のような倍返しとか四倍返しとか、そういう厳しい内容についても、先ほどお話ししましたように、末端までしっかり周知する必要があるということで、今回は多分初めてだと思いますが、この会計に関わる、契約に関わる本省の職員を全国の部隊に出し、そしてまた研修を行う。通常の多分役所であればこういうことをやっているんだと思いますが、防衛省はそこはまだ不十分だったと私は認識しておりましたので、とにかく末端まで周知をするような努力をこれからもしっかりしていきたいと思います。
  262. 中西健治

    中西健治君 外務大臣にお伺いいたします。  中国に対するODAということでありますけれども、これも時々指摘されることだと思いますけれども、額は縮減しているものの、無償の資金協力もあります、技術協力もまだやっているということでありますけれども、日本を抜いてGDPの規模で世界第二位になっている中国に対して、こうしたODAを続けることの是非についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  263. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、中国は経済的に発展しました。また技術的な水準も向上しております。よって、ODAによる中国への支援、これもう既に一定の役割を果たしたということが基本的な認識であります。  こうした認識に立ちまして、この対中国ODAについては、その大部分を占めていました円借款あるいは一般無償資金協力、こういったものにつきましては新規供与、既に終了いたしました。現在の援助は技術協力、草の根無償資金協力などごく限られたものとなっております。  そして、中身につきましても、我が国への越境公害ですとか感染症ですとか食品安全など、日中両国が直面する共通の課題であり、また我が国国民の生命や安全に直接影響するもの、かつ我が国のためにもなる分野、こういったものに絞って実施をしている、これが現状であります。
  264. 中西健治

    中西健治君 環境等についてということでありますけれども、さらには限定的ということでありますけれども、もうやめていいんじゃないかなというふうに思いますが、そこら辺の、そこまでの見直しというのはするお考えはないかどうか、最後にお伺いいたします。
  265. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 基本的には、もう中国に対するODA、一定の役割を終えたという認識に立っていますが、その中にあって、先ほど紹介させていただきました事例は我が国にとりましてもこれは役に立つ分野でありますので、そういった視点に限っては我が国として考えていくことはあってもいいのではないか。これにつきましても引き続き状況をしっかりと確認しながら、この対応についても検討を続けていきたいと思っています。
  266. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 中西健治君、時間が来ました。
  267. 中西健治

    中西健治君 ありがとうございます。  PM二・五とかを考えれば技術協力というのはすべきだと思いますけれども、ただ、それを無償でやる必要はないんだろうというふうに思っているところでございます。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。     ─────────────
  268. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本香苗君が委員辞任され、その補欠として平木大作君が選任されました。     ─────────────
  269. 和田政宗

    和田政宗君 みんなの党の和田政宗です。  まず、大型連休中に防衛大学山岳部の滑落事故により二名の方が亡くなり、また別の自衛隊員も休暇中に山の滑落事故により亡くなったことに対して、心から御冥福をお祈りいたします。  さて、自らの命を国にささげ、国防の任に当たる自衛隊員の皆さんには日頃から絶大なる感謝をしております。そして、幹部自衛官を養成する防衛大学もすばらしい教育をされていると感じています。しかしながら、私が得た情報では、防衛大学校において一部問題と思われる事案があるとのことで、まずそれについて聞いていきます。  まず、防衛大学生が海外に無断渡航をしているのではないかという件について聞きます。  防衛大学生が海外渡航をする場合には大学に届出が必要なはずですが、無断で海外に渡航をしている学生がいるという話があります。これは事実でしょうか。
  270. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) まず、この連休中に、防衛大学校の山岳部、そしてまた隊員が、事故がございました。大変国民の皆様には御心配をお掛けしております。二度とこのようなことがないように、しっかり私どもとしても対策に努めてまいりたいと思っております。  今御指摘がありました防衛大学校生が海外渡航をする場合ということですが、これは、海外渡航承認申請書を防衛大学校長に提出し、承認を受けることが必要ということになります。防衛大学校学生については、かかる手続が適正に行われていると承知をしており、無断で海外渡航した学生の存在を確認できないという報告は受けております。  今後とも、このようなことがないようにしっかり対応してまいりますが、もし委員の方でそのような事案が実際あるということがありましたら、これはこの防衛大学の規則に照らして違反ということになりますので、厳正に対応していきたいと思います。
  271. 和田政宗

    和田政宗君 これは、大臣、学生がしっかり届け出ているかどうかパスポートのチェックを行っているんでしょうか。例えば、帰国時に届出と同じような国に行っているのか、定期的にパスポートをチェックをすれば無断で行っているというのはもう即座に確認できると思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  272. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) まず、海外渡航をする場合は、防衛大学校生は、これは渡航申請を行うことになります。そして、許可を得てから海外に行くということになります。そして、帰国時には一般旅券の確認をその都度行っているというふうに報告を受けております。  ただ、申請を出していないで例えば行った場合、申請を出した学生だけはパスポートはチェックをしますが、全ての学生のパスポートを定期的にチェックをしているということは行ってはおりません。
  273. 和田政宗

    和田政宗君 帰国時にはやっているということで、それも事実というふうに私は信じたいですけれども、しっかりとそのチェックをやっていただいた方が私はいいと思いますので、改めて要望という形でお願いしたいというふうに思います。  こうした疑惑がありますので、私、まさか事実ではないだろうということで関係者に話を聞いたのですけれども、そうすると、こんな話も出てきたんですね。  ある防衛大学生が大学の外に一人でアパートを借りて、そこに不特定多数の人物が出入りしているという話です。大学の外にアパートを借りることは、これは旧軍からの伝統でして、学生が外出する際の着替えなどの必要性から、そのままやってもらって一向に構わないというふうに思うんですが、通常は県人会や出身高校ごとに複数の学生で借りるわけです。  防大生の給与、手取りで八万円であることを考えますと、一人で借りるというのは難しいはずなんですね。しかも、この学生は中国に何度も渡航しているという話があります。しかも、無断で行っているのではないかという懸念もありますが、これは事実でしょうか。
  274. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 外出の際の着替えなどの必要性から外にアパートを借りている学生のほとんどは、先生御指摘のとおり、複数名でアパートを借りておりますけれども、両親からの金銭的な援助を受けるなどの理由によりまして一人でアパートを借りている学生もいるというふうに承知しているところであります。  防衛大学校として学生が借りたアパートの利用実態について細部、詳細に至るまで把握しているわけではありませんが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、防大学生は海外渡航申請を適切に行っておりまして、無断で海外渡航した学生の存在は現時点で確認できないというふうに承知しているところであります。
  275. 和田政宗

    和田政宗君 警察庁、こうした事実は把握しているでしょうか。
  276. 塩川実喜夫

    政府参考人塩川実喜夫君) 警察では、我が国の国益が損なわれることのないよう、対日有害活動に係る各種情報の収集に努めているところではございますが、今後の警察活動に影響を与える可能性がありますことから、その具体的内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。
  277. 和田政宗

    和田政宗君 防衛大学生は、研修や実習の際に基地の管制室の内部など国防上の秘匿性が高いものにも触れることができるわけです。もし学生が無断で海外に渡航しているということがあれば、そうした秘密を漏えいしているんではないかという懸念も起きますけれども、これ、全くないと言えるんでしょうか。
  278. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 先生御指摘のとおり、防大の学生につきましては、一定のクリアランスを取るといった所定の手続を踏めばある程度秘匿性の高い分野についても接することはできますけれども、研修等の際、防大の学生が国防上秘匿性が高いものに接し、かかる秘密を漏えいしたとの事実については把握しておりません。  防大学生に対しましては、従来より、保全、情報保障に関する教育、それからコンプライアンス教育を実施してきておりますけれども、学生による保全事故の防止のため、今後ともかかる教育を徹底してまいりたいと考えております。
  279. 和田政宗

    和田政宗君 現状ではという話ですとかやっているはずだということをしっかりとやっていただいて、そういった事実がないということを確認していただきたいというふうに私は思います。絶対に防衛上の秘密が流出することのないように引き続き対処をお願いしたいというふうに思います。  次に、防衛大学の正規授業に取り入れられているワンアジア財団の寄附講座、アジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来について聞きます。  この講座、アジア共同体創設に寄与することをうたっておりますが、防衛大学の授業でアジア共同体創設と聞きますと、これ何なのかというふうに思います。この講座の趣旨、過去日本が建設に向かって邁進しました大東亜共栄圏について改めてその意義などを研究しようというものでしょうか。
  280. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 御指摘のアジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来という講座につきましては、昨年十月から今年二月までの間、ワンアジア財団の助成を得まして、第三学年及び第四学年を対象に開講され、三十八名の学生が受講いたしました。この講座の趣旨は、アジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえて、主として非伝統的な分野、人道、災害救援、平和構築といった分野における安全保障協力の現状及び将来の可能性と課題を多角的に考察させるというものでございまして、先生御指摘のような、いわゆる大東亜共栄圏について改めて考えさせるといったようなものではございません。
  281. 和田政宗

    和田政宗君 私が聞いているのは、これは、例えば過去日本が大東亜共栄圏の建設を目指したというようなことで、それを改めてその意義などについて研究しようということであれば、まあ講座としては分かるのかなと思うんですが、そうでなくて、アジア共同体創設について考えるというのは、これ、どんな意図があるのかという疑問が湧きます。  防衛大学生にとりましては、国を守るということや日本国とは何かということをまずはしっかり教わらなくてはならないのに、アジア共同体創設に寄与することを教えられれば防大生の考えを惑わすことにならないか。これ、大臣、いかがでしょうか。
  282. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員が御指摘ありました防衛大学校におきましては、国家や国防の概念について全学生が必修科目として学んでおります。ですから、大切なことはしっかり学ばせております。  その中で、今、アジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来というこの講座でありますが、これはこうした基礎を身に付けた学生を対象に、国防や国家の概念をしっかりと身に付けた学生を対象に、外国人との考え方や感じ方の違いなどを知る中で国際的な視野を育てるという目的で開講されていると承知をしております。ですから、しっかりとした国防の基本的なスタンスは持ちながら、やはりどのような外国からの視点があるのかということも併せて知ることは、幅の広い自衛隊員を育成する上では重要な役割かと思っております。
  283. 和田政宗

    和田政宗君 この講座のある回で、学生から近隣諸国との関係改善に対する質問が出ましたけれども、その質問の答えとして、講師が、竹島に関しては、行き過ぎたナショナリズムによって国益を損なわないことが重要だと発言をしており、さらに、日中関係に関しては、尖閣諸島を海洋保護区にするという提案を中国側にしてみてはどうかと発言しています。尖閣を海洋保護区にするというのは一つの考えですけれども、これ、日本の領土、領海ですから日本が決めればいいわけで、中国に提案する必要は全くありません。  このような講義は政府の姿勢に疑問を持たせる内容だと思いますが、大臣、どのように考えるでしょうか。
  284. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 私もこの講座に出たわけではないので、どのような講師がどのような話をしたかというのはつぶさには承知をしておりませんが、基本的には、外国人の様々な方が講師として話をする中でいろんな意見を言うことは、これはあるんだと思っております。その意見に私どもあれこれ注文を付けること自体、それは一つの教育の場として必要があるかないか、ないことではないかと思っておりますが、いずれにしても、やはりこの問題が直ちに何か大きな学生教育に対して問題がなるとは承知をしておりません。
  285. 和田政宗

    和田政宗君 御発言のとおり、例えば一人の講師ですとかがそういった意見を述べたということであれば、百歩譲ってまあそうなのかなというふうなことを考えているんですが、私もですね。  この講座の別の回では、別の講師が、なぜアジア共同体が必要なのかということを解説しまして、アメリカに依存しないアジアを形成するべきであると述べているんですね。これも政府の考え方に反します。一般の大学であればいいかもしれませんけれども、幹部自衛官を養成する防衛大学校の授業です。さらに、この講師は、国境にとらわれるなとか、ほかの民族や異文化に対する内なる壁を取り壊せといった我が国の自主性だとか独立性を超えた考えを持つべきだと言っております。  これ、私は問題だと思いますけれども、大臣、どのように考えるでしょうか。
  286. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) まず、この講義、講座を私は聞いておりませんが、今委員からの御指摘がありますので、どのようなことがこの中で議論されたかというのは改めて確認をしたいとは思っております。  ただ、委員もそうだと思いますが、当然我が国防衛を担う重要な人材を育成するその基本はしっかり学ばせた上で、そして、やはり世界には様々な意見があるということ、これを聞くこともこれは幅の広い人間あるいはその教育の中では重要なことだと思っております。防衛大学校は教育機関であります。幹部自衛官を育成する教育機関ではありますが、他国の考え方、どのような考え方を相手は持っているのかということを知ることもこれは重要なことではないかと思っています。
  287. 和田政宗

    和田政宗君 もう一点だけお聞きしたいんですけれども、これ、講座のこういった質問をするということはこの質問の案文どおり実は通告しておりますので、大臣、御多忙だとは思いますけれども、できれば目を通していただきたかったなというふうに思うんですが。  さらに、別の回では、自己に疑問を持てだとか、自己の否定についても講義されているんですね。将来幹部自衛官となる学生には、確固たる自己を持って公に尽くして、いざというときには瞬時に最善の判断を下す能力の形成が必要だと考えますけれども、自己に疑問を持てといったら、いざというときに判断に迷うと思うんですね。こうした教育、これ、ゆゆしきことじゃないかなと私は思うんですが、大臣、どう考えますでしょうか。
  288. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 済みません、改めてその文脈を全てよく把握をしなきゃいけないとは思うんですが、例えば幹部自衛官、あるいは防衛省自衛隊の将来幹部として活躍する人材については、私ども、日本国憲法そして各種法令を守り、日本国民を守るというその崇高な役割をすること、これはもうみじんたりとも揺らいではいけないと思っています。そういう考え方と、それから私自身もそうですが、本当に今日一日過ごしたことが自分としてちゃんとできたのかどうか、そういう自己を見詰め直すというのは、通常の私ども社会人として、あるいは学生としてもするべきことだと思います。  ちょっと全体の文脈が分からないので、この一文だけを見てそれが非常に不適切な教育のカリキュラムかどうかというのは直ちには判断できませんので、恐縮でありました、再度どういうことが行われたかということについて私自身フォローしたいと思っています。
  289. 和田政宗

    和田政宗君 防衛省からしっかり資料も出てきておりますので、本当にこれ、どういった講義が行われているのかということを見て判断をしていただければというふうに思います。幹部自衛官、国防において礎となる方々ですので、確固たる愛国心を持った教育となるよう、一層しっかりした教育をお願いしたいというふうに思います。  次に、硫黄島における御英霊の遺骨収集について聞きます。  いまだに一万柱を超える御英霊が硫黄島に眠っております。三月の国土交通委員会の際にも、全員の御遺骨を丁寧に掘り起こしてふるさとにお返しすべきだと質問いたしました。先日、硫黄島の遺族会会長の永澤庄一郎さんにお会いをいたしました。御遺族の方々も高齢になっていますし、御遺骨を発掘しようとすると、もう土に返らんばかりになっている御遺骨もあるというお話を聞きました。  これ、海外の遺骨収集ではなくて、硫黄島、日本の紛れもない領土でございます。であれば、なぜ御遺骨を速やかに収集してお返しすることができないんでしょうか。硫黄島には自衛隊の滑走路がありまして、飛行機が離着陸しているわけですけれども、考え方によっては、これ御遺骨が眠る場所を踏み付けているということにもなりかねないわけです。もう速やかに滑走路を引き剥がして全島での御遺骨の収集を行うべきだと考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
  290. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 私も大臣に就任してからも、それ以前も硫黄島に行きまして、この御遺骨の収集事業について現地で説明を受けております。  防衛省は、硫黄島に係る遺骨収集帰還推進に関する関係省庁会議の方針に基づき、滑走路の下にあります御遺骨や地下ごうの存在を確認するために、高性能の地中探査レーダー等を用いた調査を実施しました。まず、調査を実施させていただきました。その結果、滑走路地区に未探索一か所を含む三か所の地下ごうを確認し、また、御遺骨である可能性のある地中物の反応を約千八百か所確認をいたしました。私、これ、現地で報告を受けました。  一方、滑走路を移設した上で滑走路の下の遺骨収集を行うこととした場合、実際に滑走路下の遺骨収集に着手するまで長い年月を要することになります。現時点で滑走路を使っておりますので、これをすぐに壊してしまうと、逆にそこに人が行けないということになってしまいます。  こうしたことを踏まえまして、本年三月に官邸で開かれました当該関係省庁会議におきまして、滑走路地区の遺骨収集帰還は、直ちに着手が可能なごう及び探査レーダーの反応箇所の掘削をまずは行う、そして、平成二十六年度から二十九年度までの四年間でごう及び探査レーダーの反応箇所の掘削工事を行い、遺骨が確認された場合にはその収容を行う、そして、この作業終了後、その結果も踏まえて現滑走路の移設に着手をするという方針が決まりました。  ですから、まず滑走路の現在のごうの調査を探査レーダーで調べ、そしてそこで御遺骨をまず着実に、現在、滑走路を使いながらできることは速やかにやるということ、そして、一定の結果が出た中で、今度は新たにまた滑走路を造り移設をする、そういうことが今後検討する必要があるかどうかというのを確認することが必要だと思います。  ただ、委員が御指摘がありましたように、既に御遺族の皆さんは御高齢になっています。一日も早い作業が必要だとは私どもも思っております。
  291. 和田政宗

    和田政宗君 大臣おっしゃるように、政府はしっかりと計画立ててやっているというのは分かるんですけれども、やはりそのスピードを速めていただいて、予算投入ですとか人員投入が更に必要でありましたら、これは与野党一致していることだと私は思いますので、しっかりと進めていただければというふうに思います。  次に、北方領土の返還についてお聞きいたします。  返還は日本国民の悲願でありまして、歯舞諸島の元住民の方とも先日お話をいたしましたけれども、六十八年も帰れない状況が続いておりまして、旧島民の方、御高齢の方が多くいて、残された時間少ないというふうに私は思っております。この硬直状態を打破して、何としても返還に向けて行動していかなくてはならないというふうに思っております。  その前提としてお聞きしますけれども、樺太千島交換条約、これいまだに有効だと考えてよろしいでしょうか。
  292. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 樺太千島交換条約、一八七五年に結ばれた条約ですが、我が国は樺太に係る我が国の権利をロシアに譲り渡し、千島列島に係る権利をロシアから譲り受けた、こういった条約ですが、その後、我が国はサンフランシスコ平和条約第二条(c)によりまして、千島列島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しております。よって、この樺太千島交換条約に基づいて千島列島の返還を求めること等はできないものと考えています。
  293. 和田政宗

    和田政宗君 サンフランシスコ平和条約でということが今大臣答弁でありましたけれども、これはソ連、ロシアとの二国間のことではなくて、海外の連合国に対してそのようなことを条約として結んだ、公に明らかにしたということでありましたら、これ規範としての意味というのは有しているのかもしれないですけれども、二国間としては、これ条約としてはまだ有効なんではないかなというふうに思うんですけれども、もし仮にそうであれば、不法占拠というようなとんでもない状態が続いているわけですから、使える手段はあらゆるものを使っていただきたいなというふうに思いますが、大臣の見解、いかがでしょうか。
  294. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) いずれにしましても、北方領土返還、我が国国民の悲願でありますが、この返還において、御指摘の樺太千島交換条約、これを使うということはできないと認識をしております。  戦後六十九年目を迎えて、北方領土問題が存在し、そして平和条約を締結できていないということ、この指摘については重く受け止めなければならないと思っていますが、是非、我が国はロシアとの間においても、昨年来、五回の首脳会談を積み重ねてきました。こうした昨年来積み重ねてきた二国間関係に基づいて、しっかりとロシアに対して北方領土問題解決、平和条約締結に向けて働きかけていかなければならないと考えています。ウクライナ問題を通じて難しい局面にはあると存じますが、是非、昨年来の二国間関係に基づいて政治対話は続けていきたいと考えています。
  295. 和田政宗

    和田政宗君 外交努力は当然続けるべきだと思います。ただ、硬直しているような状況ですので、もうあらゆる手段を使っていかなくてはならないなというふうに私は思っているんですが、北方領土、竹島については不法占拠されているということになります。そうしますと、北方領土、竹島について上陸している人物、これ不法入国に当たるわけですけれども、入国管理法などで対処できないのか、もしできない場合は、どういった要件をそろえれば不法入国で摘発し、強制送還できるのか、その点の見解をお願いします。
  296. 榊原一夫

    政府参考人(榊原一夫君) 一般論から申し上げますと、外国人が上陸の許可を受けずに上陸する目的で我が国の領域に立ち入ることは不法入国になります。ただし、これは上陸に関する入管法上の手続を取ることができることを前提として上陸の許可を受けないことを問題とするものであり、北方領土につきましては、領土問題が存在し、我が国の施政が及んでいない状況にあり、そうした手続を取ることのできない地域であることに照らしますと、不法入国等の入管法適用の前提を欠くものと考えております。  第二番目の点につきましては、先ほど申し上げましたように、北方領土につきましては、領土問題が存在し、我が国の施政が及んでいない状況にあり、上陸に関する入管法上の手続を取ることができない地域であるところ、入管法上の手続を取ることができるという条件が整えば不法入国等で対処できるものと考えております。
  297. 和田政宗

    和田政宗君 もしその手続ができるんであれば、是非やっていただければ、これは返還に向けて実効的な態度を取れるんではないかなというふうに思っておりますので、是非御検討をよろしくお願いいたします。  次に、最後の質問になりますが、途上国などへの野球支援についてお聞きしたいというふうに思います。  今、台湾で「KANO」という映画が大ヒットしております。これは、戦前の台湾の嘉義農林学校が甲子園で準優勝するまでの軌跡を描いたもので、監督の近藤兵太郎の指導のすばらしさですとか日本統治時代のすばらしさについてしっかりと描かれているという映画です。台湾ではいまだに野球において日本は先生だとして感謝されておりまして、両国の友好関係にも大きく寄与しております。  実は、私は途上国の野球支援に六年ほど関わっているんですけれども、日本人による野球指導、これは全世界でとても感謝をされております。これは、親日国を増やしたり、東京オリンピックでの野球の正式種目としての復活などを考えた場合に、青年海外協力隊の野球隊員を増員したり、JICAの職員に野球隊員のOBが採用されている事例もございますので、そうした野球指導歴のある人物を戦略的にしっかりと活用するべきではないかと考えますが、大臣の見解いかがでしょうか。
  298. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の映画につきましては、私もテレビで取り上げられているのを拝見した記憶があります。我が国の得意分野である野球を活用して親日国を増やしていくとか、あるいはスポーツ普及を目指す、こういった視点、大変有意義であると認識をいたします。  そして、この野球を職種とする協力隊員については、平成二十五年度までに二百六十一名、三十一か国に派遣し、JICAが国際野球連盟から表彰されるなど、国際的に高い評価を得ております。今後とも、野球を職種とする協力隊員を各国に積極的に派遣するとともに、JICA職員による活動支援あるいは広報、こういったものを推進することによって、我が国との友好親善の強化、野球の国際的な普及、しっかりと努めていきたいと考えております。
  299. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 和田君、時間が参っております。
  300. 和田政宗

    和田政宗君 はい。  これは極めて有効な外交資源になるとも思いますので、引き続き積極的な活用を検討をお願いしたいと思います。  終わります。
  301. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  在日アメリカ軍に関する問題について質問いたします。  今年三月二十五日、日米合同委員会施設調整部会は、神奈川県横浜市内にある深谷通信所を今年六月末までに、同じく上瀬谷通信施設を来年六月末までに返還する、そのための手続を開始することを合意いたしました。  これらの施設の返還は二〇〇四年十月に既に合意をされており、横浜市はこれを受けて、二〇〇六年には返還跡地利用指針を、翌二〇〇七年には返還跡地利用計画をまとめていました。ところが、返還の手続が進まないままに十年近くが経過したことになります。しかも、米軍は返還合意の前からこの施設は使用していませんでした。土地も建物も長きにわたって遊休化をしていたことになります。日米地位協定では、使用されなくなった施設・区域は直ちに日本側に返還することになっており、この地位協定さえも踏みにじられていたことになります。  このように地位協定も返還合意もないがしろにするというやり方は本来あってはならないことだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  302. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 委員御指摘がありました神奈川県横浜市に所在します深谷通信所及び上瀬谷通信施設につきましては、二〇〇四年、平成十六年十月の日米合同委員会におきまして、これらの施設・区域における現在の使用が終了し、その必要性がなくなった時点で返還に向けた手続が開始される旨、返還方針が合意されております。この返還方針を踏まえ、これまで早期返還の実現に向けて日米間で真摯に協議が重ねられてきた結果、これらの施設・区域の必要性がなくなったことについて日米間の認識が一致したことから、今年四月の日米合同委員会において返還時期に関する合意に至ったところです。  防衛省としましては、今後とも日米間での協議を継続しつつ、着実な返還の実現に向け努力をしてまいりたいと思います。
  303. 田村智子

    ○田村智子君 真摯に協議とおっしゃいますけれども、全く使われていないまま、市民が使っていないところはもう荒れ地の状態でずっと置かれていたんですね。これは全く返還のやり方として、こういうやり方では日本側の権利というのが本当に侵されたままだなということは強く申し上げておきたいと思います。  この二つの施設は、通信施設そのものはフェンスで囲まれていますが、周囲の広大な敷地に囲いはありません。米軍も長きにわたって使用していないこともありまして、アメリカ軍と民間との協議によって既に市民は野球場とかゲートボール場、農場など土地を整備をして利用してきました。そうでなければ広大な荒れ地になったままという状態でした。  深谷の通信所を見ますと、大小十か所以上の野球場がありまして、少年野球チームの練習や試合に活用されております。基地に隣接する幼稚園は畑としても活用していて、多くの園児たちが自然と触れ合う大切な場所ともなっています。  今年六月の返還に伴ってこうした利用が突然できなくなるのではないかと、こういう不安が今広がっています。既に農地として個人が利用してきたところというのはもう利用ができなくなっているんですね。突然に返還の合意が、手続に進んだのが突然行われて、突然使えなくなるということが起きているんです。  こうした返還を理由に、野球場とか幼稚園の畑などを更地にして返しなさいということを強制することのないようにしていただきたいと思っています。是非、横浜市の跡地利用計画も見ながら、市民の要望に応える土地の活用ができるよう、政府としても丁寧に使途の協議や、あるいは住民、利用者への説明、話合いを行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  304. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 深谷通信所及び上瀬谷通信施設における農耕等については、日米地位協定第三条に基づく在日米軍管理下での農耕等が認められているものと承知をしております。  したがって、返還後は在日米軍の施設・区域でなくなることに伴い、農耕等の土地の使用の根拠が失われることとなります。このため、返還後の土地の適正な管理及び速やかな跡地利用に資するとの観点から、耕作者等に当該施設の返還までに農耕等の終了及び原状回復を実施していただくよう求めていくことになります。  しかしながら、深谷通信所については、本年六月末目途の返還まで二か月という短い期間であることから、事情や、やむを得ないと認められる場合には、個別の事情に応じて一定の猶予期間を設けて丁寧に対応していきたいというふうに思っております。
  305. 田村智子

    ○田村智子君 是非、利用が既にされている、公共的に利用されているところは本当に丁寧にやっていただきたいというふうに思うんです。  上瀬谷の敷地というのは二百四十二万平米以上、深谷も七十七万平米以上と大変広大な土地になります。上瀬谷はしかも民有地が四五%あるということで、今後、土地活用を検討する上で大変複雑な課題が出てくることが考えられます。深谷通信施設の土地は全て国有地ですけれども、これを横浜市が取得する場合は、公共施設で利用するという場合でも、例えば緑地とか公園で利用する場合であっても、三分の一の土地については時価で買ってくれというような規定防衛省の取決めの中であるわけですね。しかし、広大な土地であるということ、また首都圏の土地であるということで、大変土地の値段が高いということも考えられるわけです。これを取得するに当たっても様々な困難が考えられます。  沖縄県の米軍基地返還の場合を見てみますと、歴史的な経緯も踏まえて、民有地については跡地利用のめどが付くまでは所有者に対して土地代を支払うということを特別措置法で定めています。また、横須賀、佐世保、呉、舞鶴については、旧軍港転換法、軍転法ですね、これで定めによって、地方公共団体に対しては無償で提供するということがやはり法律で決まっています。  今回の返還について横浜市は、是非、市が公共利用する場合には土地を無償で譲渡してほしいという要望を政府に出されていると思います。横浜市や市民は長年にわたって広大な土地を軍によって接収されてきたわけで、是非、沖縄県や旧軍港への特別措置の法律を踏まえた対応を今回の場合にも検討いただきたいと思いますが、財務副大臣にお願いいたします。
  306. 愛知治郎

    ○副大臣(愛知治郎君) お答えを申し上げます。  在日米軍に提供中の深谷通信所及び上瀬谷通信施設に係る国有地について、在日米軍から返還後、これは先ほど防衛大臣から御答弁していただきましたが、防衛省において原状回復等を行うこととなります。その後なんですが、深谷通信所については平成二十七年度中、上瀬谷通信施設については平成二十八年度中に防衛省から財務省に引き継がれる予定であります。  今後については、そういうことなので、財務省としてお答えをさせていただきます。  これらの財産の利用計画については、現在横浜市において検討中であると承知をしております。財務省としては、横浜市が策定した利用計画に沿って、利用用途に応じた処分条件に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。  この処分条件なんですが、そもそもなんですけれども、財政法第九条において、国の財産は、法律に基づく場合を除くほか、適正な対価なくしてこれを譲渡若しくは貸し付けてはならないとされておるところでございます。国有財産の譲与については、この法律に基づく場合として、国有財産法第二十八条等に規定をしております。ちなみに、参考として、これによりますと、火葬場、ごみ処理施設、し尿処理施設、市町村道などの公共施設について無償譲渡できるとされておるところでございます。  御指摘いただきました例えば公園については、一般の国有財産については三分の一が無償貸与できる、三分の二については時価で売り払うこととしておりますが、このような返還財産については三分の二が無償貸与で、三分の一が時価売払いということで、特別の扱いをしているところ、最大限配慮をしているところではございますが、いずれにせよ、様々な要件が定められておりますので、横浜市にしっかりと検討をしていただいて、申請を受けた後、対応していくということになると思います。
  307. 田村智子

    ○田村智子君 単なる国有地ではないんですね。やはり米軍基地として様々な不利益を地元の皆さんは受けてきたわけで、是非、横浜市の要望をよく聞いて、土地の活用が進むように御協議いただきたいということを重ねてお願いをしておきます。  次に、昨年十二月十六日に発生をいたしました米軍ヘリ墜落事故についてお聞きいたします。  この事故は、神奈川県三浦市三崎の埋立地に在日米軍厚木基地所属のMH60ヘリコプターが墜落をしたというものです。資料の一でその事故を報道する神奈川新聞の報道記事を付けました。事故現場は市役所まで一キロ圏内で、三浦市民ホールまで六百メートル、三崎小学校まで八百メートルという場所です。市民が犠牲になりかねない重大事故だったというふうに考えますが、本件事故について日本政府としてはどのように認識し、どういう対応をしているか、簡潔にお答えください。
  308. 山内正和

    政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。  平成二十五年十二月十六日に神奈川県三浦市に米海軍第五空母航空団所属のMH60ヘリが不時着、横転した事故につきましては、周辺住民の方々に多大な御不安を与えたものとして、極めて遺憾というふうに考えておるところでございます。  防衛省におきましては、事故発生後直ちに防衛大臣の指示で、私、地方協力局長から在日米軍司令官に対し、また南関東防衛局長から在日米海軍司令官に対し、原因究明、再発防止などについて強く申し入れたところでございます。  現在、米側におきまして事故原因を調査していると承知しており、防衛省といたしましては、米側に対し早期の情報提供を働きかけるとともに、航空機の飛行に際しましては周辺住民の方々への安全に最大限配慮を求めるとともに、安全管理の徹底等を引き続き求めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  309. 田村智子

    ○田村智子君 この事故が、不時着し横倒しになったと。これ、報道の方も、そういうふうに政府の側が言うので不時着というふうになっているんですけれども、私はそのことに強い違和感を持っています。  目撃者からの通報を受けて三崎警察署が現場に駆け付け、十五時三十二分に第一報を出しています。資料二でお配りをいたしました。ここには米軍ヘリコプター墜落事故の発生についてと書かれているんです。その後、十六時二十分に不時着と手書きで訂正をされています。警察庁に説明を求めたところ、慎重を期すための訂正だということでしたけれども、事故機は大破しています。目撃者や現場に駆け付けた警察官は墜落というふうに認識をしたのだと思います。神奈川新聞十二月十七日付けでは目撃者の証言も書かれていますが、ヘリは低空を飛行、地上約十メートルの高さで円を描くように二回転して落下、電柱に接触し、メーンローターや尾翼が大破し、壊れた部品が道路に飛び出したとあります。  防衛大臣、これが不時着事故ということなんでしょうか。
  310. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 不時着事故だと思います。
  311. 田村智子

    ○田村智子君 その感覚が私はおかしいと思うんですね。不時着というのは、コントロールができて、ふだんちゃんと着地しなきゃいけないところではないところに何らかの現象があってコントロールしながら着陸したと、それが不時着だと思うんですよ。  米海軍は航空機事故を三段階で評価していますが、今回の事故は最も重大なクラスAと発表しています。これは損害額が二百万ドル、日本円にすると約二億円以上の場合、死者が発生した場合、あるいは機体が永久的に使用不能になった場合に相当するものをクラスAと呼ぶわけです。この事故機の破損が相当に大きかったということを米海軍は認めているわけです。  事故後、パイロットは救急隊員にテールローターが停止したと説明したとの報道があります。アメリカ軍からも、テールローターが海上で脱落したという説明があったのではないでしょうか、確認します。
  312. 山内正和

    政府参考人(山内正和君) お答えを申し上げます。  本件事故機のテールローターが紛失していたことにつきましては、本年三月七日、在日米海軍司令部から南関東防衛局に対し、本件事故の調査の一環として紛失しているテールローターの回収が必要であるため、米海軍は三月十九日から二十八日までの間、三浦半島南部の海域の捜索回収活動を行う旨の説明を受けた際に承知したところでございます。
  313. 田村智子

    ○田村智子君 テールローターというのは、ヘリコプターの尾翼部分の重要な部品です。進路をコントロールするために不可欠のもので、テールローターがなければ機体はメーンローター、上にあるプロペラですね、この回転と逆方向にぐるぐると回ってしまう、うなずいていらっしゃいますが、これ操縦不能、そういう状態だと言えるわけです。  このテールローターが機能しないだけでなくて脱落をした。もう一度大臣にお聞きします、これが不時着ですか。
  314. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) この機体は不時着をして、そして横転をしたというふうに私ども報告を受けております。米側のプレスリリースにおいてもエマージェンシーランディングという表現で公表されておりますので、この当事者であります米海軍の発表では不時着という表現ということでありますので、私どもとしてこの表現を使用しているということであります。  いずれにしても、米側として今テールローターの脱落等の事故原因があったかどうかについても調査をしておりますので、この調査結果がまとまり次第、こちらとしても速やかに情報提供をもらうように働きかけてまいりたいと思います。
  315. 田村智子

    ○田村智子君 重大事故だという認識が本当に欠如していると思うんですよ、不時着だとアメリカ側にそう言われたからそう説明するというのは。  沖縄県の基地被害というのは県民の限界を超えるものだと思いますが、神奈川県も同様です。米軍機墜落事故、部品落下、爆音、米軍人による犯罪など、在日米軍による県民の犠牲というのは何度も繰り返されてきたわけです。  墜落事故でいえば、一九六四年九月、大和市の鉄工所にクルーセーダー戦闘機が激突をして五人が死亡、三人が負傷と。この事件から今年はちょうど五十年となります。一九七七年九月には横浜市にファントム偵察機が墜落をし、幼い子供二人が全身やけどで死亡、母親も苦しい治療に耐えながら四年後に死亡し、慰霊碑には市民の皆さんが今も花を手向けておられます。  今回の事故も、一歩間違えれば同じような事故になったということなんです。テールローターの故障、脱落、この原因が解明され、徹底した対策が取られるまでは、少なくとも同型機の飛行の停止ということを求めるべきではないでしょうか。
  316. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、本件事故の発生、これは誠に遺憾なことだと認識をしております。  事故の発生を受けて、米側はこの事故機以外の同型機について安全点検を行うとともに、隊員に対する教育といった安全対策を徹底したものと承知をしております。政府としましては、米軍の訓練、これは日米安全保障条約の目的達成のために極めて重要であると考えており、この発生を受けて取られた対応、米側における安全対策等を総合的に勘案すれば、同型機の飛行停止を求めることまでは考えてはおりません。  しかしながら、米軍が公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきこと、これは言うまでもないと思っておりますし、この調査結果の提供につきましては米側に明確に申入れを行っております。是非、しっかりと情報提供を受け、地元の皆様には丁寧に説明をしていきたいと考えております。
  317. 田村智子

    ○田村智子君 これ、同型のヘリコプターは、昨年八月、沖縄米軍基地内で墜落、炎上しています。そのときも、事故の原因究明もないままに同型機の飛行は再開をされました。今回ももう飛んでいるんですよね。今回は、機体に重大な問題が生じたということは間違いないんです、テールローターの脱落ですから。これ、飛行停止を求めるべきですよ。真剣に検討していただきたい。  このテールローターの故障、脱落の原因追及には損傷した機体の検証が必要です。ところが、米海軍がテールローターの捜索を開始したのは事故から三か月以上がたった三月十九日のことだと先ほど説明がありました。これ、自衛隊への協力要請もあったと聞きますが、この捜索の結果、テールローターは見付かったんでしょうか。
  318. 山内正和

    政府参考人(山内正和君) お答えを申し上げます。  本年三月七日、在日米海軍司令部から南関東防衛局に対しまして、本件事故の調査の一環として、紛失しているテールローターの回収が必要であるため、先ほど申しましたとおり、海域の捜索回収活動を行う旨の説明があり、私ども南関東防衛局からは関係自治体に対し情報提供を行ったところでございます。  その後、さらに三月十九日、在日米海軍司令部から南関東防衛局に対し、テールローターの捜索回収活動の時期を三月二十一日から二十六日までに変更する旨の通知があったところでございます。この通知につきましても、南関東防衛局から関係自治体に対しまして情報提供を行ったところでございます。  他方、米海軍は、同海域におきまして広範囲の捜索を行ったものの、事故機のテールローターの発見には至っておらないというふうに聞いておるところでございます。また、今後の再捜索等の予定についても未定であるとの説明を受けておるところでございます。
  319. 田村智子

    ○田村智子君 五日間捜したけれども見付からなかったと。海に落下したものを三か月も経過して捜索するなんというのは、まともに事故原因の究明をするつもりがあるのかと疑問を抱かざるを得ないわけです。テールローターって、MH60の場合、相当大きいんですよ、プロペラだから。ないなんということすぐに分かるんですよ。それを、捜索が三か月たって行われる。防衛大臣米軍に、なぜテールローターの捜索がこれほど遅れたのか、説明はありましたか、なかったならば説明求めるべきではないですか。大臣
  320. 山内正和

    政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。  今般の事故機のテールローターの捜索回収活動は、米軍において行われております調査の一環として実施されたものであるとの説明を受けたところでございますが、私ども防衛省におきまして、当該調査に至るプロセスの逐一について米側から説明を受けているわけではなく、また、事故原因等の調査については現在米側において適切に行われているものと承知しております。  いずれにしても、私ども防衛省といたしましては、周辺住民の方々の御不安を払拭すべく、米側に対しまして引き続き徹底した原因の究明と再発防止策を強く働きかけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  321. 田村智子

    ○田村智子君 米軍に抗議すべきですよ。  これ、在日米軍による過去五年間の事故を防衛省にまとめてもらいました。資料の三を見てください。二〇〇九年度から順に、五件、十八件、十一件、十二件、昨年二〇一三年度は二十一件と急増しているわけです。これは、米軍から防衛省報告を受けたものだけをまとめてあります。このほか、米海軍安全センターのクラスAの航空機事故報告書によれば、今年三月二十日、厚木基地所属の早期警戒機E2Cが厚木基地の西方約百六十キロの上空で右翼エンジン発火、機体に穴が空く損傷を受けたというふうにあります。三浦市への墜落事故から僅か三か月間です。  こうした事故が起きるたびに日本政府は再発防止を要請したと言いますけれども、これ、外務大臣にお聞きしますけど、まさに再発の繰り返しというのが現状ではないですか。
  322. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、米軍による事件、事故はあってはなりません。外務省から米側に対しましては、事故等が発生した場合、原因究明、再発防止、申し入れてきているのみならず、平素から折に触れ、米軍活動に際しては安全の確保と地元住民への配慮を図るよう求めてきております。  引き続き、米側に対し地元の方々の懸念、これを十分伝えながら、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めていかなければならないと考えております。日米合同委員会等、様々な場を通じて引き続きしっかり申入れをしていきたいと考えています。
  323. 田村智子

    ○田村智子君 もう、いつ市民の命が犠牲になってもおかしくないという事態なんですよ。再発防止ということを真剣に求めるならば、事故原因の解明と再発防止の徹底した対策を、アメリカ側からの報告を受けるだけではなくて、日本側が検証すべきだと思うんです。  三浦市でのヘリ墜落事故は、二〇〇五年に作られたガイドライン、日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン、正式名称です、これが初めて適用になった事故でもあります。このガイドラインは、二〇〇四年八月の沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件の翌年、日米間で取り決められました。沖縄国際大学への墜落事故では、事故直後に米軍が現場への立入禁止措置をとり、日本の警察、行政、大学関係者が事故現場に近づくことも許されず、大きな怒りが広がりました。事故機汚染が疑われる土壌も事故機も全て米軍に持ち去られて、沖縄県警は乗員だった海兵隊軍曹四人を氏名不詳で書類送検せざるを得なかったんです。  ガイドラインでは日本による警察業務がこれからは行われるということが明記をされていますが、それでは、三浦市でのこの事故について、日本の警察がこれまでよりも踏み込んだ捜査ができるということになるんでしょうか。
  324. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  御指摘のガイドラインでございますけれども、このガイドラインは、日本国内において米軍の施設・区域外で米軍機による事故が発生した場合の事故現場における統制の改善を念頭に置いて作成されたものでございます。したがいまして、同ガイドラインにおきましては事故の検証についての規定はございません。  他方で、事故現場の統制は日米両当局で共同で行うという基本原則がございますので、その下で明確な役割分担が定められているわけでございます。これによって、米軍機による事故が発生した場合に適用される様々な方針や手続、これらが迅速かつ効果的に実施されることが期待されるものでございます。今般の事故の現場においても、日米が協力してガイドラインに沿い、適切な対応が取られたものというふうに認識をしております。
  325. 田村智子

    ○田村智子君 ガイドラインが無意味だとは言いませんが、住民や通行人が事故現場に近づかないよう日本の警察が規制を行うというルールを決めたにすぎないわけですね。  今回の事故では、事故発生の翌十七日には米軍の合意を得て神奈川県警と米軍による合同の現場検証が行われました。この点は沖縄の事故よりも大きな前進です。しかし、これは僅か九十分間で終了したという報道もあります。東京新聞では、県警は機体の差押えを米軍に求める方針というふうに報道されましたが、実際には十九日の午前中に米軍によって事故機は解体をされて厚木基地に持ち去られてしまいました。  地位協定では、強制捜査はアメリカ側の同意なしには執行できません。これでは日本側による事故の検証は不十分にならざるを得ません。昨年度の事故発生が二十一件というこの頻度を見ても、これまでと同じ対応では国民の安全を守れる保証はないと思います。日本による原因の解明、再発防止策の検証、これが行われるように検討が必要だと思いますが、大臣、いかがですか、外務大臣
  326. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、米軍による事件、事故はあってはならないと考えていますし、政府として、地元の方々の懸念を十分に踏まえて、日頃から米側に対し万全の安全対策と地元住民への配慮を図るよう求めてきております。  一方、この米軍機の事故についてですが、一般に米軍の財産はその性質上高度な軍事性や機密性を有する場合があることや、その捜索、検証が徹底的かつ綿密に行われるためには、当該財産を所有し、それを熟知した米軍が取り扱うことが適当であるという背景から、日米間では原則として米側がこれを取り扱う、こういったこととされております。しかしながら、その際、徹底した原因究明と迅速な情報提供、公表、こういったものがなされること、これは当然のことであります。先般の三浦市における事故においても、その事故原因や調査報告等の情報提供を既に米側に明確に申し入れており、今後、調査結果についてしっかりと情報提供を受け、地元の皆様に丁寧に説明をしていきたいと考えております。  こうした我が国の考え方そして姿勢につきましては、日米合同委員会等を通じてしっかりと働きかけをしていきたいと考えております。
  327. 田村智子

    ○田村智子君 今までと同じことをやっていたら再発防止にならないんですよ。米軍の機密と日本国民の命、どちらが大切かということです。  私が求めているだけじゃないんです。神奈川県と県内九市で構成する基地関係県市連絡協議会は、相次ぐ米軍機の事故について、外務省防衛省に対して具体的な要望を繰り返し行っています。抜粋しますが、施設・区域外で発生した米軍機事故の現場管理について、日米双方の役割分担を定めるだけでなく、現場検証についても、日米が共同で行えるよう速やかに取り決めること、米軍航空機、艦船の事故や周辺住民に影響を及ぼしかねない基地内の事故等については、日米合同調査委員会を設置し、調査内容等を公表すること、再発防止の安全対策が講じられるまで同型機の飛行を中止することと。  やはり、こういう要望にまともに応えるということがなければ、もう再発防止にならないと思うんですよ。これまでと違った対策をアメリカと検討する、このことは必要だと思いますが、どうですか、もう一度。
  328. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の神奈川県基地関係県市連絡協議会からの要請につきましては、私自身報告を受け、重く受け止めております。  こうした地元の方々の思いはしっかり受け止めなければならないと存じますが、その思いをしっかり受けて、先ほど米軍機事故についての基本的な対応の考え方は御説明させていただきましたが、こうした基本的な方針はあるものの、最大限の配慮を払う、あるいは地元住民に対する影響を最小限にとどめる、こういった観点から、日米合同委員会等の場においてはしっかりと働きかけ続けていきたいと考えております。
  329. 田村智子

    ○田村智子君 原因究明までの飛行中止、それから日米合同による事故原因の究明、これは絶対必要だということを重ねて要望しておきたいと思います。  次に、原子力艦の原子力災害対策についてお聞きをいたします。  東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故によって、原子力災害対策指針が大きく見直されました。防災対策を重点的に充実すべき地域として、原子力施設、これは原発のみですけれども、原発から五キロ圏、五から三十キロ圏、三十キロ以遠に区分をして、それぞれについて事前対策、緊急事態の応急対策というのが示されました。原発立地県や自治体では、この指針を踏まえて原子力災害への対応が検討されています。  ところが、原子力軍艦の原子力災害への事前対策、応急避難などの対策を示した原子力艦の原子力災害対策マニュアル、これ以下マニュアルと略しますが、これについては二〇〇九年に改訂が行われたままになっています。このマニュアルは政府の防災基本計画の具体化であり、今年一月に策定をされた防災基本計画では、原子力艦の災害対応は原発事故への対応を参考にすることというふうにされているわけです。ということは、災害時に避難が必要な範囲など、抜本的な見直しが行われることは当然だと考えます。  三・一一以降、いまだに改訂をされていないこのマニュアルはいつ改訂をするんでしょうか。検討状況どうなっていますか。
  330. 佐々木克樹

    政府参考人佐々木克樹君) 原子力艦の原子力災害対策マニュアルの見直しにつきましては、現在、政府内で行っております東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえました原子力安全規制の見直しの検討が引き続き行われているところでありまして、その結果等を踏まえまして、関係省庁におきまして適切に対処してまいりたいと考えております。  まだこの検討が継続中である中、政府内での議論や調整にはなお一定の時間が必要であるということで、現時点で具体的な見直しの時期等を示すことは難しいことを御了解いただきたいと思っております。
  331. 田村智子

    ○田村智子君 これ、三・一一から既に三年がもう経過してしまっているんですね。余りにも無責任だと思います。  米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが係留する横須賀市では、市長が原子力艦の原子力災害について避難基準を明らかにするよう外務省に重ねての要望をしています。外務省はどのように回答されているんでしょうか。
  332. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  横須賀市との関係でございますけれども、本年一月に横須賀に前方展開をしております空母ジョージ・ワシントンがロナルド・レーガンに交代をするということを米側から通報がございました。そのことの御報告を兼ねまして、岸外務副大臣が横須賀市長を往訪いたしました。その際に、先生御指摘の原子力艦の原子力災害対策についても御説明したところでございます。  御説明内容でございますけれども、先ほどの内閣府からの御答弁とも重なるところでございますけれども、原子力艦の原子力災害対策の見直しについては、現在行っている東京電力福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえ、関係府省において適切に対処していく考えであること、また原子力艦の原子力災害対策の見直しに関する政府内での議論や調整にはなお一定の時間が必要であるが、この間の万が一の事態が発生した場合には、政府として現行の原子力艦の原子力災害対策マニュアルに従って対応すること等について御説明をしたところでございます。
  333. 田村智子

    ○田村智子君 マニュアルで対応しなさいというふうに言っているわけですけれども、原発の事故に対応する原子力災害対策指針と原子力艦の事故に対応するマニュアルとでは避難の基準は大きく異なります。  資料でお配りをいたしました、資料四です。  原発については、毎時五マイクロシーベルト、これ通常の百倍ですね、これを検知したときに五キロ圏内の住民は避難、三十キロ圏内は避難に備えるとされています。一方、原子力艦についてのマニュアルでは、毎時百マイクロシーベルト検知で一キロ圏内の住民は避難、一から三キロ圏内は屋内退避とされているんです。  現行のマニュアルで対応するということは、百マイクロシーベルトを検知するまでは何もしなくていいということなんでしょうか。
  334. 佐々木克樹

    政府参考人佐々木克樹君) 原子力災害対策マニュアルにおきまして、まず敷地境界付近の放射線量率が一地点で十分間以上一時間当たり五マイクロシーベルト以上を検出するか、あるいは二点以上で一時間当たり五マイクロシーベルト以上を検出した場合には原子力規制委員会から、また外国政府から通報があった場合には外務省から、直ちに内閣官房内閣府等に通報がなされることとなっております。  これを受けまして、緊急時モニタリングの実施、関係省庁や現地における事故対策連絡会議の開催、国の職員及び専門家の緊急派遣、外国政府への情報提供の要請等を行うなど、関係省庁による警戒態勢を構築することとしております。さらに、百マイクロシーベルトに達しない場合においても、関係地方公共団体が応急対応範囲内の住民に対する屋内退避又は避難のための立ち退きの勧告又は指示に備えた体制整備等を行う場合には、情報の提供等、必要な支援を行うこととしているところでございます。
  335. 田村智子

    ○田村智子君 これね、百マイクロシーベルトなんて基準をいまだに示していることは異常なんですよ。これはあり得ないですよ、福島の事故を得てから。  横須賀基地の周辺自治体では、市民の安全を守るためにこれまでの防災計画の見直しを始めています。横須賀市に隣接する三浦市では、地域防災計画に原子力艦対策を初めて盛り込みました。  これ資料五でお配りをしていますけれども、毎日新聞が、原子力空母から三十キロ圏内の三都県二十市区町にアンケート調査を行い、その結果を報道しています。それによりますと、横須賀基地の対岸の千葉県富津、木更津、南房総の三市が今年度、地域防災計画に原子力艦事故の想定を追加、千葉県と君津市も福島第一原発事故前から加えている、また神奈川県の川崎、逗子、大和、海老名、千葉県の木更津、君津の六市が国のマニュアル、避難基準は見直す必要があると回答、神奈川県平塚市も原発と原子力艦で避難範囲に矛盾があるなら見直すべきだと回答しています。  既に三十キロ圏内の少なくない自治体が原子力艦事故についての対策を検討しています。少なくとも、まずこの避難基準、避難をする準備をする範囲、この範囲を原子力災害対策指針と、つまり原発事故への対応と一致させるというのは当然のことだと思いますが、いかがですか。
  336. 佐々木克樹

    政府参考人佐々木克樹君) 地方公共団体におきましては地域の実態も踏まえつつ地域防災計画を策定しておりまして、原子力艦の原子力災害対策につきましても地域の考え方等に基づきまして検討されている自治体があるということは承知いたしております。  原子力規制委員会におきましては、福島第一原子力発電所における事故を踏まえました安全規制の見直しを継続中でありますので、実用発電用原子炉以外の原子力災害対策重点区域の範囲など、そういったものについても引き続き検討が行われているというものと承知をいたしております。  原子力艦の原子力防災対策につきましては、こうした検討結果等を踏まえまして、内閣府、外務省、原子力規制庁、その他関係省庁において適切に対処してまいりたいと考えております。
  337. 田村智子

    ○田村智子君 これね、いろいろお話聞いていますと、説明に来ていただいたときには、商業用原子炉と原子力艦はいろんな意味で違うからとかと言われるんですね。だけれども、この避難基準で、放射線量五マイクロシーベルトで避難するか、百マイクロシーベルトで避難するか。これ、原発から出される放射性物質と原子力艦から出される放射性物質が違うとでも言うのかという基準になっちゃうんですよ。こういうのを見直すのは当たり前ですし、国の防災基本計画は、原発の事故のときの対応、その指針を参考にして対応しなさいと、マニュアルを作るんだというふうに言っているわけですから、これは避難の基準を統一させるなんというのは当然のことだというふうに私は思います。  自治体にとっては、この防災計画を作ることがマニュアルが示されないがために困難になっているというだけでなくて、実際に避難訓練をどうやったらいいのかという問題になっちゃうんです。横須賀市では毎年、原子力防災訓練を行われていますが、昨年の訓練要綱を見ると、現行マニュアルに基づいて、三キロ圏内にある小学校や訓練地域での屋内退避、通行中の市民を避難所に誘導し、問診票やサーベイメーターを使用した汚染検査訓練というのが行われているんです。子供たちにしてみると、外にいる子供たちが中に入れと、中に入って屋内退避。何の訓練しているのか分からないという声がこれは保護者からも出てくるわけですよ。  一方、この間、原発事故を想定した避難訓練はどうか。五キロ圏内の小学校の児童などができるだけ遠くに避難するという訓練をやっているわけです。そして、あの放射性物質が飛散してきたときに自分がどうしたらいいかということをまさに身をもって体験する避難訓練が原発立地の自治体では行われているわけです。  こういう違いを一体どう考えたらいいのか、内閣府、御説明ください。
  338. 佐々木克樹

    政府参考人佐々木克樹君) 繰り返しになりますが、原子力艦の原子力災害対策マニュアルの見直しにつきましては、現在政府内で行っております福島原発における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえまして、関係府省において適切に対処してまいりたいと考えております。
  339. 田村智子

    ○田村智子君 これね、適切に対処と言っているので、それじゃお聞きしますけれども、原子力艦の中にある核廃棄物、これが拡散したらどうなるか、こういう検証を行っているかどうかなんですよ。原発は、一年ごとに核燃料を交換するので、核廃棄物というのも、死の灰ですね、これはその核燃料を交換するときに運び出すことになります。原子力艦については、原子炉二基が積まれていますけれども、燃料交換は二十五年間行わないので、その間、死の灰もずっとたまり続けるわけです。万が一これが放出されたときには、大変な被害が起こることが予想されるわけです。  今年四月、お母さんたちが横須賀基地の前で二千個の風船を飛ばして、原子力艦から放射性物質が漏れた場合にどこまで飛散するかという検証を行いました。風船は六十キロ離れた千葉県勝浦市まで飛んでいたことが確認をされました。こういう放射性物質の拡散の予測、これ原発については三・一一以降行われました。原子力艦についてはこういう検証は行っているんでしょうか。
  340. 佐々木克樹

    政府参考人佐々木克樹君) 原子力規制委員会は、原子力艦の原子力災害対策マニュアルに基づきまして、原子力艦の原子力災害に関する通報等を受けた場合は大気中放射性物質拡散予測計算を行うこととなっております。  なお、発災時の備えとして具体的な事故を想定した計算は行っておりません。
  341. 田村智子

    ○田村智子君 三・一一以降、何らの検証も行っていないということなんですよ。  アメリカ政府は、米国政府は、原子力軍艦の安全性を説明するとして二〇〇六年にファクトシートを日本政府に示しています。その中で、仮に原子炉に問題が生じても燃料からの放射能は全て艦内にとどまる、艦船から放射能が漏出するという極めて想定し難い事態が発生したとしても、米軍基地の外の地域ではいかなる防護措置もとる必要はないと、こう主張しているんです。  何でマニュアルの改訂が行われないのか、あるいはそういう放射性物質の拡散の検証さえも行われていないのかと考えたときに、これは外務大臣にお聞きしたいんですけれども、こういうアメリカの、原子力艦は安全だと、放射性物質は漏れない、基地の外には漏れないんだと、こういう姿勢に遠慮していて事故想定も行わない、マニュアルの見直しがそれによって進まないということなんではないでしょうか。
  342. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 原子力艦の原子力災害対策の見直しにつきましては、先ほど答弁させていただきましたように、今現在、関係府省において対処をしております。  商業原発に関する原子力安全規制の見直しの検討がいまだ継続中である中、一定の時間が必要とされているということでありますが、米原子力艦の安全性については、秘密保全に関する米国国内の制約がある中ではありますが、可能な限り透明性を確保するように様々な場面で求めてきております。是非、我が国の原子力艦の原子力災害対策の見直しについても作業をしっかり進めていかなければならないと思っていますし、米国の原子力艦の安全性についても、可能な限り透明性を確保するという形で努めているところでありますので、米側に遠慮しているという御指摘は当たらないと考えています。
  343. 田村智子

    ○田村智子君 ならば、このファクトシートに対して意見を言うべきだと思うんですね。私、このファクトシートは安全神話そのものだというふうに思います。  原子力軍艦の事故はこれまでも繰り返されてきました。二〇〇六年から二〇〇八年にかけては、原子力潜水艦ヒューストンは日本の米軍基地周辺に放射能汚染水を垂れ流していたことが分かっています。一九九九年には、原子力空母ステニスが座礁し給水口から砂を取り込んだために、原子炉の冷却水循環ポンプが故障をして二基の原子炉が緊急停止するという事故も起きています。二〇〇八年には、乗組員のたばこの不始末による火災でジョージ・ワシントンの電気ケーブル八十か所が損傷すると、こういう事故も起きています。しかも、三・一一以降はこれまでの想定を超える大地震、大津波が起こり得るという認識の下、新たな災害対応が求められているわけです。  私は、マニュアルの見直しを行うためにも、三・一一の地震、津波で横須賀基地がどういう状態であったのかを把握することが必要だというふうに考えまして、二〇一一年十二月の質問主意書でこのことをただしました。原子力空母ジョージ・ワシントンの乗組員が、三・一一当日、水位は六フィート、百八十三センチメートル下がっていたというふうに証言をしています。だから相当に揺れたという証言があるんです。原子力艦が停泊する十二号バースの水位低下、これ把握すべきではないかというふうに質問主意書でただしたことに対して政府は、水位低下の程度については承知していないという答弁のみだったんです。  その後、水位低下の状況など、横須賀基地が三・一一当時にどういう状況であったのかということは調査を行ったんでしょうか。
  344. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  米側との間では、東日本大震災影響も踏まえた様々な情報交換を行ってきております。その中で米側からは、東日本大震災の発生時、空母ジョージ・ワシントンは横須賀港に停泊していたわけでございますけれども、地震により船体に被害が発生することや停泊に影響を受けることはなかったという説明を受けているところでございます。
  345. 田村智子

    ○田村智子君 だから、説明を受けただけで、何にも検証をしていないんですよ。水位がどれだけ下がったか、着底までに何メートルだったか、どれぐらいの引き波が来たときに危険になるかなんというのを調べるのは、私はイロハのイだと思いますよ。そんなこともやらないでどうやってマニュアルの見直しをやるつもりなのか、本当に怒りを禁じ得ません。  大津波の引き波による着底だけではありません。先ほど紹介したように、それによって座礁する危険性、給水口が砂を取り込んで原子炉が緊急停止したということが現に起きているわけですよ。  それから、これは海だけではありません。大地震による揺れで、冷却のための外部電源ケーブル、これ停泊中のジョージ・ワシントンは外部電源で原子炉を冷やしているわけですよ。これがもしケーブルが切れたらどうなるのか、このことを考えなければなりません。また、陸地側が大きな地震によって電源が長期にわたって喪失してしまった、そのときに一体原子力艦の冷却はどうなるのか、電源喪失にならないのか。こういう通常の原子力軍艦の運航では起こり得ないような事態への対策ということを考えなければならない、それが三・一一の教訓だったと思うんですよ。防衛大臣、うなずいておられますね。  だからこそ、アメリカ軍と、大地震や大津波の被害想定について、そのときにどういう対策をすることが必要なのかということをこれ直ちに協議することが必要だと思うんですけど、大臣、いかがですか。
  346. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、大津波の引き波の影響につきましては、基本的には、米側から、引き波により船体が海底に接触する事態が発生した場合でも、原子炉は船の中で最も安全である船の中心に置かれているため、原子炉の安全は維持されると、こうした説明を受けております。  そして、電源の喪失についても御指摘がありましたが、電源につきましては、東日本大震災後、改めて米側から、米海軍の原子炉は福島第一原子力発電所の原子炉と異なり、米海軍の原子力軍艦の安全性に関するファクトシートにおいて、合衆国原子力軍艦は、電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性のみによって炉心を冷却できる能力を有している、こうした説明を受けています。  しかし、いずれにしましても、政府としましては、引き続き米側に対しまして原子力軍艦の安全性について万全の対策を取るよう働きかけていかなければいけないと思っていますし、その中でこの横須賀海軍施設の津波対策等についても必要な情報交換を行っていきたいと考えます。また、関係地方公共団体に対しては適切な情報提供、努めてまいりたいと存じます。
  347. 田村智子

    ○田村智子君 そういうのを安全神話というと思うんですね。ファクトシートに遠慮していないと言いましたけど、遠慮しているじゃないですか。  横須賀基地のある三浦半島は二つの活断層が確認をされていて、地震の周期からはいつ大きな地震が起きてもおかしくないという状態なんです。こういうときに避難の基準も見直さない、こういう姿勢を私は断じて認めるわけにはいきませんし、そもそも地震、津波が集中するこの日本を原子力軍艦の母港とすべきではないということを申し上げて、質問を終わります。
  348. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  内閣法制局長官にお聞きをします。憲法九条は何を禁じていますか。
  349. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 政府が繰り返し明らかにしております従来の憲法第九条の解釈のポイントは、煎じ詰めれば、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合を例外として憲法第九条は武力の行使を禁止しているということでございます。  この三要件とは、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したこと、第二番目といたしまして、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、第三番目に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。  以上でございます。
  350. 福島みずほ

    福島みずほ君 我が国に対する攻撃がない集団的自衛権の行使は、よって、憲法によって、憲法九条によって明確に禁止されているということでよろしいですね。
  351. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) ただいま申し上げました従来からの政府解釈の基本的考え方でございますが、これは、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や憲法第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えますと、憲法第九条は、外国からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合、これを排除するために必要最小限度の範囲内で実力を行使することまでは禁じていないと解されるという考え方でございます。  そこで、繰り返し述べておりますとおり、集団的自衛権との関係でございますが、これも繰り返し述べておりますとおり、集団的自衛権は国際法上の概念でございまして、憲法には自衛権についての明文の規定はございません。今述べましたとおり、政府が繰り返し明らかにしている従来の憲法第九条の解釈のポイントは、煎じ詰めれば、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合を例外として憲法第九条は武力の行使を禁止しているということでございます。このポイントに照らせば、集団的自衛権を行使することは、従来の政府の憲法解釈において三要件のうちの第一要件、すなわち我が国に対する急迫不正の侵害があることを満たしておらず、憲法第九条、許容されないということでございます。
  352. 福島みずほ

    福島みずほ君 どうひっくり返っても、日本に対する攻撃がないわけですから、今、小松長官が明言されたとおり、集団的自衛権の行使はできません。日本国憲法下でできないということを改めて確認させていただきました。  イラク戦争のときに自衛隊はイラクに行きましたが、非戦闘地域、武力行使はできませんでした。防衛大臣、それはなぜですか。
  353. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) イラク特措法に基づき自衛隊が実施した、イラク戦争のときですが、空輸活動でありますが、それ自体は武力の行使には当たらない活動ということに整理をしております。その活動の地域をいわゆる非戦闘地域に限るなど、他国の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保しており、憲法第九条との関係での問題がないという整理でこのような活動を実施いたしました。
  354. 福島みずほ

    福島みずほ君 改めて確認しますが、集団的自衛権の行使を憲法が禁じているので、イラクに自衛隊を送るにしても、武力行使をしない非戦闘地域ということの憲法のたががはめられたという理解でよろしいでしょうか。
  355. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) イラク戦争においてのイラク特措法に基づき自衛隊が実施した空輸活動の任務におきましては、イラク特措法におきましてその活動の地域をいわゆる非戦闘地域に限るということ、他国の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保しているということの整理の中で、憲法九条との関係で問題がないという整理をしたというふうに承知をしております。
  356. 福島みずほ

    福島みずほ君 私たちはイラク特措法に反対でしたが、小泉総理は、集団的自衛権の行使は憲法上許されない、よって、非戦闘地域、武力行使はしないということで、憲法上のたががはめられているわけです。今の国会、あるいは総理の答弁を聞いていますと、安保法制懇というたかが総理の諮問機関が決めれば幾らでも解釈改憲でできるような、それは国会を冒涜するものだと、戦後の日本政治を冒涜するものだと思います。今までの自民党政治の否定じゃないですか。  ところで、なぜ集団的自衛権の行使を総理は認めたいのか私は分からないんですが、「この国を守る決意」という、二〇〇四年に総理が書いている本があります。ここにこういうものがあります。軍事同盟というのは血の同盟です。日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし、今の憲法解釈の下では、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。実際にそういう事態になる可能性は極めて小さいのですが、しかし、完全なイコールパートナーと言えるでしょうか。  つまり、軍事同盟は血の同盟だ、日本の若者も血を流せ、でないとイコールパートナーとなり得ないというのを総理は表明しているわけです。血を流せって、鼻血を出すわけじゃないんですよ。人が死ぬということで、殺し殺されるということなんですよ。集団的自衛権は、日本の若者が異国で戦争し、殺し殺され、場合によってはひつぎで羽田空港、成田空港に帰ってくるかもしれない、そういうことです。  防衛大臣、この血の同盟、日本の若者が、自衛隊が血を流すことがないことが完全なイコールパートナーと言えるでしょうか、この総理の見解、どう思われますか。
  357. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) ちょっと、今御指摘ありました総理の見解についての判断、内容については、私、よくつまびらかに著書も見ておりませんし、承知をしておりませんが、いわゆる防衛当局の役割というのはそれぞれの国家国民を守るということでありますし、その前提となるのは、紛争を起こさない、紛争を未然に防止する、そのために各国はそれぞれの防衛力整備防衛抑止に努め、そしてまた防衛当局の対話を進めているということが基本的なスタンスだと思っております。
  358. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本が戦争するときは、自衛隊だけではありません、看護師さんやいろんな人たちも行くでしょう。戦争する、人を殺すことが間違っているという社会から、たくさん人を殺すことが正しいという世界にこの社会が変わるわけです。大変なことを閣議決定だけでやろうとしていることは、憲法破壊で許せないというふうに思っています。  それで、アメリカは、集団的自衛権の行使をする場合には大統領と国防長官の同意、そして戦争権限法では国会の承認を、議会の承認を要求しています。つまり、集団的自衛権の行使は、安保法制懇や総理が教室設例で言うファンタジー、フィクションではなく、ベトナム戦争やアフガン戦争をやるときのように、本当にこの戦争をやるのかどうか、大統領と国防長官、そして法律上は国会の承認が要求されている。今攻められたからアメリカの艦船を防ぐために日本が応戦しなくていいのかとか、今瞬間的にミサイルを撃っていいのかという、そういう話ではない。泥沼の長期の戦争をその国が開始をするときに、しっかりアメリカ大統領、国防長官の同意を要件としているわけです。  私は、安保法制懇や総理の言う設例が、いわゆる集団的自衛権の行使とされた戦後の十四例、ベトナム戦争、ニカラグアの侵攻、ソビエトのチェコ侵攻、ハンガリー侵攻などと全く違う事例を言っている。戦争の悲惨さや手続面を全く無視して言っているというふうに思いますが、防衛大臣、いかがですか。
  359. 小野寺五典

    ○国務大臣小野寺五典君) 一般的に武力の行使に至る場合には、いわゆる行使の三要件というのがあります。急迫不正の問題を含めて、あると思います。その際は、武力の行使に関しては当然国内法の様々な手続が行われるということであります。  委員が御指摘ありました集団的自衛権も含めた議論については、今安保法制懇を含めて議論されているということだと承知をしております。
  360. 福島みずほ

    福島みずほ君 集団的自衛権の行使と言われているものと安保法制懇、総理が議論しているものは全然違うんです。本当に血みどろの長期の戦争に加わるかどうかという問題と、今たまたま反撃するというふうに問題を設定していることそのものが、この集団的自衛権の本質、血を流せと言っていることをごまかしているというふうに思います。  資料をお配りしましたが、四月二十一日、東京新聞。北岡伸一さん、座長代理ですが、ここ、びっくり仰天するのは、彼の発言ですが、憲法は最高法規ではなく、上に道徳律や自然法がある、憲法だけでは何もできず、重要なのは具体的な行政法、その意味で憲法学は不要だとの議論もある、憲法などを重視し過ぎてやるべきことが達成できなくては困る。  この発言、どうですか。防衛大臣、いかがですか。
  361. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 御指摘の新聞記事については承知してございますけれども、北岡座長代理が個人として御意見を述べられたものでございまして、政府としてお答えする立場にはございません。
  362. 福島みずほ

    福島みずほ君 だって、彼、座長代行じゃないですか。柳井さんがヨーロッパにいるから、実際は彼が、彼が実質的座長ですよ。憲法を無視していいと言っているんですよ。憲法の上に総理大臣がいるのではなく、憲法の上に政治があるのではなく、憲法の下に政治があるんじゃないですか。こんな発言、おかしいじゃないですか。(発言する者あり)
  363. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 静かに。御静粛に。
  364. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 繰り返しのお答えになりますけれども、御指摘の新聞記事については承知してございますが、北岡座長代理が個人として御意見を述べられたものでございまして、政府としてお答えする立場にございません。
  365. 福島みずほ

    福島みずほ君 憲法を無視していいと言う人が安保法制懇をやっているんですよ。そして、この報告書を有り難くもらうんですか。とんでもないですよ。憲法を破壊していいと言っているんですよ、無視していいと。こんな発言をやって、安保法制懇の結論なんか出すことはできないですよ。(発言する者あり)憲法尊重擁護義務違反です。
  366. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 静粛に。
  367. 福島みずほ

    福島みずほ君 安保法制懇の第一次、第二次で一人追加していますよね。一人追加した理由は何でしょうか。第一次安保法制懇、第二次安保法制懇で、集団的自衛権の行使は違憲だという人は一人も入っていないということでよろしいですね。
  368. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 安保法制懇のメンバーでございますけれども、これは外交防衛政策に関する実務の経験者、それから政治、外交、憲法、国際法等の学界関係者、経済界の民間有識者、そういった幅広い分野の代表の方々に参加をしていただいておりまして、そういう適切な方をお選びするということで、一次についても、基本的には二次も同じメンバーで、御指摘のように一部替わってございますけれども、そういう観点から選ばせていただいているところでございます。
  369. 福島みずほ

    福島みずほ君 第二次安保法制懇に、集団的自衛権の行使を違憲だという人は一人も入っていないというのが質問主意書の答弁ですが、第一次と第二次では一人付け加わっているだけですから、第一次安保法制懇も第二次安保法制懇も、ただ一人も、集団的自衛権の行使は違憲であるという今の政府の見解を持っている人が一人も入っていないということでよろしいですね。
  370. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 質問主意書でお答えしたとおりでございます。
  371. 福島みずほ

    福島みずほ君 入っていないと答えてください。
  372. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) そのような御見解を表明された方はいないと承知しております。
  373. 福島みずほ

    福島みずほ君 安保法制懇なんて、やらせじゃないですか。第一次安保法制懇も第二次安保法制懇も、誰一人として、今の内閣の見解、集団的自衛権の行使は違憲であるという、六十何年間の自民党政治を体現する人、一人もいないんですよ。どういうことですか。  総理が、自分が、血の同盟、血を流せ、集団的自衛権の行使を容認するために自分が仲間として選んで、誰一人反旗を翻さない、右向け右と言えば右の人ばかり呼んだのが安保法制懇なんです。この私的諮問機関をそんなに有り難がる必要は全くない。偏っているじゃないですか。  そして、小松長官は、この第一次安保法制懇でどのような役割を果たされたでしょうか。(発言する者あり)
  374. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 少し静かに。静粛に。
  375. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 私は、第一次安倍政権において開催された安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催されていた間は外務省国際法局長を務めておりまして、オブザーバーとしてこの懇談会の会合に呼ばれていたことがございます。
  376. 福島みずほ

    福島みずほ君 国際法局長としてこの第一次安保法制懇に出席をされていたと。オブザーバーですから発言はできないでしょうが、国際法局長として、あるいは国際法と憲法は同順位、あるいは順位はどうかというのはありますが、憲法に、集団的自衛権の行使は違憲である、問題ではないかという発言などは、小松長官、されたんでしょうか。
  377. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 私がオブザーバーとして参加することのあった第一次懇談会の際は、オブザーバーに発言する機会はございませんでした。  ちなみに、現在は内閣法制局長官を拝命しておりますが、現第二次懇談会におきましては、法制局の次長、横畠次長がオブザーバーの立場で参加をしております。この前、参議院の外交防衛委員会で、横畠次長はオブザーバーとして参加したときに何か発言を求められたり発言をしたことがあるかという御質問がございまして、それに対して、オブザーバーの発言の機会はございませんという答弁をした経緯がございます。
  378. 福島みずほ

    福島みずほ君 第一次安倍内閣で第一次安保法制懇をやり、そのときの外務省の国際法局長は小松長官で、そこにコミット、オブザーバーとして参加をしています。第一次安保法制懇も第二次安保法制懇も、ただ一人も、憲法学者のほとんど全ては憲法下において集団的自衛権の行使は違憲であるという人たちであり、自民党政権もそうでした。しかし、一人も集団的自衛権の行使は違憲だという人はいないんですよ。小松長官そのものが第一次安保法制懇にコミットしている。  山本長官の首をちょん切って、なぜ横畠さん、次長が長官に昇格せずに、小松長官を据えたのか。安倍総理は、全部お仲間じゃないですか。自分に反抗する人間は、あるいは自分と同じ人間じゃない人間は排除して、首をすげ替えて、そして自分のやりたい血の同盟、血を流せ、集団的自衛権の行使容認のためにやっていると。この安保法制懇そのものもインチキだと、やらせだというふうに思います。ぐるじゃないですか。だって、第一次安保法制懇のときにみんな関わっている人間が報告書を出し、また何で第二次安保法制懇をやらなくちゃいけないんですか。  安保法制懇は二月四日が最後です。安保法制懇で議論をしているとおっしゃいますが、議論していないじゃないですか。二月から今五月、三か月以上、一切議論していないんですよ。議事要旨を読む限り、何議論しているか分からないというか、議論が何か詰まっていっているとは全然思いません。三か月間何にも議論していなくて、議論が詰まっていなくて、何で報告書ができるんですか。  今どんな作業をしているか、教えてください。
  379. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会につきましては、直近では御指摘のとおり平成二十六年二月四日に第六回の会合を開催したところでございます。それ以降、委員の間で連絡を取っていただく等して詰めの議論を行っていただいているところでございまして、その進捗状況を踏まえまして、今週にも懇談会から報告書を提出していただく予定でございます。
  380. 福島みずほ

    福島みずほ君 事務局は関与しているんですか。だって会議って、取締役会もそうだけれど、全員いなくちゃ議論できないじゃないですか。持ち回りや、座長と誰かがやるなんという話じゃ駄目じゃないですか。一体どんな議論をしているんですか。事務局は関与しているんですか。報告書はできているんですか。どうやって議論詰めているんですか。
  381. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) ただいま述べましたとおり、委員の間で連絡を取り合っていただく等して詰めの議論を行っていただいているところでございまして、我々もそれをサポートさせていただいているところでございます。
  382. 福島みずほ

    福島みずほ君 だって、会議やっていなくて、どうやって連絡取り合ってやっているんですか。それにコミットしていない人間はどういう結論なんですか。  じゃ、二人か三人で議論しているとして、役所はそこにコミットしているんですか。こういうことを議論しているという提案が文書で出るんですか。どうやってまとめているんですか。
  383. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 今まで六回開催をさせていただきまして、二月四日、第六回の会合を開催いたしましたけれども、今申し上げましたように、委員の間で今連絡を取り合っていただく等して詰めの議論を行っているところでございまして、我々の方もそれをサポートさせていただいているところでございまして、その進捗状況を踏まえて、今週にも懇談会から報告書を提出していただく予定でございます。
  384. 福島みずほ

    福島みずほ君 分からないんですよ。会議開いていない、議事要旨もない、六回しかやっていないんですよ、こんな憲法破壊のことをやるのに。これだけ重要なことをやるのに、事務局はその議論を知らなくてどうやってまとめるんですか。あるいは、この報告書は誰が起案しているんですか。誰が今起案しているんですか。
  385. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 報告書につきましては、ただいま委員の間で連絡を取っていただく等して詰めの議論を行っていただいているところでございます。
  386. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、誰が起案しているんですか。誰が起案しているんですか。座長代理ですか、事務局ですか。誰が起案しているか教えてください。
  387. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 個別具体的に誰がどういうことということは、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、委員の間で連絡を取っていただく等して今詰めの議論を行っていただいているところでございます。
  388. 福島みずほ

    福島みずほ君 インチキじゃないですか。議事録もないけれど、議事要旨もないんですよ。二月四日に終わって、議論しています、分からないじゃないですか。こちょこちょと二人でやっているんですか。じゃ、じゃなくて、役所がもう既に報告書を作って、しかるべきときに出そうと時期を見計らっているんですか。ばかにするなと言いたいですよ。国会、ばかにするなですよ。こんな重要な戦後の、最も重要な戦後の根本を変えるかどうかというときに、議論すら分からない、委員が連絡を取り合ってというのは何ですか。  それで、この費用、費用についてお聞きをします。出所そして金額、日当で払っているとしたら幾らか。個別に連絡を取り合っているとしたら、それはどういう払い方をしているんでしょうか。決算を教えてください。
  389. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) これまで六回開催されました安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関しまして、諸謝金として百三十九万四千七百円、交通費として百六十七万四百八十七円、会議費として一万一千四百四十四円を支出してきているところでございます。これらの経費は、内閣官房平成二十四年度一般会計予算及び平成二十五年度一般会計予算から支出しているものでございます。  日当につきましては、懇談会の開催の都度、座長に対しましては二万九百円、またその座長を除く有識者に対しては一万八千円の謝金をそれぞれの銀行口座に振り込む方法によって支払っているところでございます。
  390. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは、内閣官房から出しているというのは、機密費じゃないですよね。内閣官房のどの予算から出ているんでしょうか。
  391. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) これは、予算上は、項、内閣官房共通費というものから支出されているところでございます。
  392. 福島みずほ

    福島みずほ君 少人数で議論している今の状態に、これお金払っているんですか。起案をもししているとしたら、それにお金払っているんですか。
  393. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 払っているものについては、あくまで会議を開催した場合の諸謝金あるいは交通費、あるいはその会議費、そういったものでございます。
  394. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、実は会議は終わっているんですよ。事務方が勝手にやっているんじゃないですか。だって、お金払っていなくてどうやって議論をするんですか、旅費も。しかも、重要な議論じゃないですか。みんなで頭を突き合わせて口角泡を飛ばして議論しなくちゃいけないのに、それ三か月以上やらずに、お金も払わずにどうやっているんですか。インチキじゃないですか。  で、お聞きします。北岡さんはいろんなことを話していますが、集団的自衛権行使における五要件を言っています。これは、日本と密接な関係にある国が攻撃を受けた、一、二、放置すれば日本の安全に大きな影響が出る、三、当該国から明確な要請がある、第四、第三国の領海通過には許可を得る、第五、首相が総合的に判断して国会承認を得るというものなんですが、これは要件となるんでしょうかね。つまり、放置すれば日本の安全に大きな影響が出る、これはどう解釈できるんでしょうか。
  395. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 北岡座長代理が講演等において御指摘のような発言をされていることは承知してございますけれども、累次にわたって申し上げていますとおり、集団的自衛権と憲法の関係については今週にも懇談会から報告書を提出していただく予定でございますので、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、これを参考に、政府としての基本的方向性を示した上で、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討していくという考えでございます。  集団的自衛権の行使については、懇談会においては、例えば、議論として、集団的自衛権について歯止めなり抑制なりを考えることが妥当である、国会の関与は政治的判断の問題としてあった方がよいではないかといった御意見等もいただいているところでございますが、いずれにしても、報告書を待ちたいというふうに考えてございます。
  396. 福島みずほ

    福島みずほ君 北岡さんが話しているこの五要件、私、議事要旨全部読みましたけれども全然出てこないんですよ。どこでこういうことが議論されて、どうして彼は勝手にこんなことを話すことができるのか。しかも、この要件、分からないですよ。どれも何の歯止めにもならない。明確な要請があるというのは、ニカラグア、国際司法裁判所の事件であることですし、何の歯止めにもどれもならない。放置すれば日本の安全に大きな影響が出る、これ何とでも解釈できるじゃないですか。  「この国を守る決意」で安倍総理は、イラク戦争についてこう言っています。今回、米国のイラク攻撃を支持する理由として、私は二つ挙げました。一つは、大量破壊兵器廃棄の結果を出さなければいけないということ。こんなものはなかったですが。もう一つは、日米の同盟関係の重要性を認識すべきだということです。事実、我々は、東アジアに北朝鮮という脅威を抱えているわけです。でも、北朝鮮という脅威を抱えている、まあ総理の見解ですが、この日米の同盟関係が重要だということであれば、アメリカが戦争をするときには、放置すれば日本の安全に大きな影響が出ると、イラク戦争でもこうだったわけですから、というふうに言われるんじゃないですか。  だから、歯止めになりますか、これ。
  397. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) いずれにいたしましても、集団的自衛権に関しましては、現在申し上げているように懇談会において議論をいただいていますので、政府としては、その懇談会の報告書をいただいた上で、それについて法制局の意見も踏まえつつ、与党とも調整して検討してまいりたいというふうに考えております。
  398. 福島みずほ

    福島みずほ君 北岡さんは何でこんなべらべらべらべら五つの要件とか六つの要件とかいって話して、それが新聞に出るんですか。どこでどう詰められているんですか。この要件について事務方は一切知らないんですか。
  399. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 北岡座長代理が講演等で述べられたものについては承知してございますけれども、それについて政府としてコメント申し上げることは控えたいと思いますが、いずれにしても、懇談会から報告書を提出していただくということでございますので、それを提出された後に、それを参考として検討していきたいと思っております。
  400. 福島みずほ

    福島みずほ君 でたらめじゃないですか。この三か月間、二月四日以降開かれていないんですよ。謝金も払われていないんですよ。でも、北岡座長はべらべらしゃべっている、五つの要件、六つの要件。そして、憲法なんか無視していいというすさまじい発言、もう見たこともないような発言をしています。  これで日本の政治が壊されるんですか。日本の自民党政治が壊れるんですよ。戦後の重要なこの国の在り方を壊すのかどうかというのに、この程度でいいんですか。事務方は把握していないというのも、これもおかしいじゃないですか。何でこんないいかげんな発言がべらべらべらべら容認されるのか分かりません。  しかも、この北岡座長代理の発言では、首相が総合的に判断して国会承認を得るというのもあるんですね、あるとき。国会承認を得るとあるけれど、アメリカの艦船が攻撃を受けてどうする、ミサイルの発射をどうするというような議論で、これも教科書設例、フィクション、ファンタジーだと思いますが、教室設例ですよ。しかし、これだって国会承認なんて取れないじゃないですか。  だから、いいかげんなことを言わないでほしい。こんな、やらなくていいんですかという議論をやって、何か集団的自衛権の行使必要だという雰囲気を醸し出しながら、実際行う集団的自衛権の行使は、まさに自衛隊が海外に行って戦争することなんですよ。それをこんなことで許していいのかというふうに思います。  全部ぐるで、全部でたらめで、全部インチキで、そして誰もチェックできないのがぼこっと出て、それを恭しくもらったふりして閣議決定するんですか。こんなでたらめは駄目ですよ。憲法に関わる、戦後の日本にとって重要なことです。  砂川判決についてお聞きをいたします。  砂川判決が出たとき、これは一切集団的自衛権の行使とは関係ありません。この時点で岸総理大臣は、一九六〇年、集団的自衛権の行使はできないと言っていますし、その前の判決で、これはアメリカ駐留がどうかという問題であって、これから集団的自衛権の行使を引き出すという憲法学者、法律家の見解、政治の見解、自民党政権における見解、一回も聞いたことがありません。  この砂川判決を引き出して、違憲が何で合憲にできるのか。何としても説明ができないから。だって、さっきの長官の発言も、がおっしゃるとおりで、今までの自民党の三要件からいえばできないんですよ。違憲を合憲とする魔法はないんですよ。だから、無理やり、無理くりに砂川判決持ってくるが、砂川判決で言うのは全くこれは無理です。  そして、今日、資料を配付していただきました砂川判決、これは実際公文書が出ていて、私もいただきましたけれども、田中最高裁長官が事前にアメリカの大使に、十五人の評議の中身はこうで、一審の伊達判決は維持されないと思いますよということを言っているんですよ。こんなのあり得ないですよ。最高裁の判決を出す前に長官がなぜ大使のところに行って判決の見通しが言えるんですか。これは最高裁の最高の汚点の判決ですよ。あり得ない政治判決ですよ。  これを持ち出して砂川判決がこう言っているというのは恥ずかしいですよ。この憲法違反、これまさに無効じゃないかと言われていますが、これを持ち出して、砂川判決を出して言うなんて、恥を知れというか、おかしいですよ。ここまで公文書で明らかになっている砂川判決、何で根拠とできるんですか、教えてください。
  401. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 政府が繰り返し明らかにしております従来の憲法九条の解釈のポイント、基本的考え方というのは先ほど御説明したとおりでございます。  砂川事件は、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性があらわれた事案でございまして、これは旧日米安保条約行政協定に基づいて提供された米軍の基地に反対派の学生さんが侵入したと、これが刑事特別法で特別に重い罪を科されているということで、これが違憲であるということが争われた事案でございまして、この最高裁判決の結論を一言で言えば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲、無効であると言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。  この判決の中に、我が国が主権国として持つ固有の自衛と憲法第九条との関係について、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のためとり得る措置をとることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されておりますが、これは、先ほど御説明いたしました、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合を例外として憲法第九条は武力の行使を禁止しているという従来からの憲法、政府の見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えてございます。
  402. 福島みずほ

    福島みずほ君 砂川判決が出たとき、それ以降も政権、自由民主党政権は、集団的自衛権の行使は、それ以降、できないというのを一貫して言ってきました。砂川判決を持ち出すことは、砂川判決をどんなに読んでもできない、だから前提が違うということが一点。二点目は、砂川判決は極めて最高裁が最も汚点とすべき判決であって、こういう政治的な、最高裁のある意味権威と信用を踏みにじるような、これがもう白日の下に資料によって明らかになっているわけですから、これを持ち出すのは根拠とならないですよ。違憲のことは合憲にはならないんです。  驚くべきことに、第一次安保法制懇も第二次安保法制懇も砂川判決を資料として添付しているんですね。どういうセンスをしているのかというふうに思います。砂川判決を理由に、合憲などできません。  それで、総理や安保法制懇でよく議論になる、公海上でアメリカの艦船が攻撃を受けているときに日本がそれを何とかできなくてどうするというのがあるんですが、これは個別的自衛権でできるのではないかという議論もありますが、日米安保条約五条は日本の施政下における共同行動を規定しているわけですから、公海上であればアメリカも日本が攻撃をされているときに日本を守る義務はないということでよろしいですね、長官
  403. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 安保条約の解釈ということになりますと、これは国際法の問題でございますので、私の所管ではないわけでございますが。
  404. 福島みずほ

    福島みずほ君 ごめんなさい。じゃ、外務大臣、済みません。
  405. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 日米安全保障条約五条に基づきますと、我が国の施政下にある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処する、このように規定をされています。
  406. 福島みずほ

    福島みずほ君 ということは、アメリカは守らなくていいということですよね。
  407. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 日米安保条約上は、我が国の施政下にある領域と定めております。
  408. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、公海上でアメリカが攻撃されているときに日本が守らなくていいのかといいますが、アメリカも公海上は日本を守る義務はないんです、日米安保条約上。  先ほど小西委員質問しましたが、日米安保条約は、憲法上、そしてこの規定、五条の規定からは、まさに集団的自衛権の行使は容認できないということを前提としています。まさに日米安保条約の改定が、集団的自衛権の行使を認めるとすれば改定が必要である、そして日米安保条約にも反しているということを強く申し上げ、質問を終わります。
  409. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 他に御発言もないようですから、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに平成二十四年度のうち株式会社国際協力銀行決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る十九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会