運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2014-04-14 第186回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月十四日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月七日     辞任         補欠選任      松沢 成文君     山田 太郎君     薬師寺みちよ君     山口 和之君  四月八日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     山谷えり子君      浜野 喜史君     小西 洋之君  四月十日     辞任         補欠選任      平木 大作君     河野 義博君  四月十一日     辞任         補欠選任      若林 健太君     岩井 茂樹君      相原久美子君     牧山ひろえ君      小西 洋之君     石橋 通宏君      河野 義博君     新妻 秀規君      山口 和之君     松田 公太君      辰已孝太郎君     倉林 明子君      又市 征治君     吉田 忠智君  四月十四日     辞任         補欠選任      柴田  巧君     真山 勇一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         金子原二郎君     理 事                 井原  巧君                 江島  潔君                 熊谷  大君                 神本美恵子君                 西村まさみ君                 杉  久武君     委 員                 岩井 茂樹君                 島村  大君                 滝波 宏文君                 馬場 成志君                 古川 俊治君                 堀内 恒夫君                 舞立 昇治君                 柳本 卓治君                 山谷えり子君                 吉川ゆうみ君                 石橋 通宏君                 江崎  孝君                 風間 直樹君                 難波 奨二君                 牧山ひろえ君                 新妻 秀規君                 松田 公太君                 山田 太郎君                 倉林 明子君                 田村 智子君                 藤巻 健史君                 真山 勇一君                 吉田 忠智君    国務大臣        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      茂木 敏充君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域、地        方分権改革))  新藤 義孝君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     石原 伸晃君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        古屋 圭司君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、科        学技術政策、宇        宙政策))    山本 一太君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        少子化対策、男        女共同参画))  森 まさこ君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      稲田 朋美君    副大臣        内閣府副大臣   関口 昌一君        外務副大臣    岸  信夫君        財務副大臣    愛知 治郎君        農林水産大臣  吉川 貴盛君    政府特別補佐人        人事院総裁    一宮なほみ君        内閣法制局長官  小松 一郎君        公正取引委員会        委員長      杉本 和行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡  拓君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房地域活        性化統合事務局        長代理      富屋誠一郎君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       河邉 有二君        内閣法制局第一        部長       近藤 正春君        内閣府政策統括        官        日原 洋文君        内閣府政策統括        官        井上 源三君        内閣沖縄振興        局長       石原 一彦君        内閣規制改革        推進室長     滝本 純生君        宮内庁次長    山本信一郎君        総務省行政管理        局長       若生 俊彦君        消防庁国民保護        ・防災部長    室田 哲男君        厚生労働大臣官        房政策評価審議        官        山沖 義和君        厚生労働大臣官        房審議官     神田 裕二君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       石井 淳子君        厚生労働省保険        局長       木倉 敬之君        経済産業大臣官        房審議官     後藤  収君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      高橋 泰三君        特許庁長官    羽藤 秀雄君        中小企業庁次長  横田 俊之君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        森北 佳昭君        環境省地球環境        局長       関 荘一郎君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房審議官  山本 哲也君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  櫻田 道夫君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   田代 政司君        会計検査院事務        総局第五局長   藤崎 健一君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長   譜久山當則君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成二十三年度一般会計歳入歳出決算平成二  十三年度特別会計歳入歳出決算平成二十三年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十三  年度政府関係機関決算書(第百八十一回国会内  閣提出)(継続案件) ○平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十四年度一般会計歳入歳出決算平成二  十四年度特別会計歳入歳出決算平成二十四年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十四  年度政府関係機関決算書(第百八十五回国会内  閣提出) ○平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十五回国会内閣提出) ○平成二十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十五回国会内閣提出)  (皇室費内閣内閣府本府、経済産業省、消  費者庁及び沖縄振興開発金融公庫の部)     ─────────────
  2. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十一日までに、松沢成文君、薬師寺みちよ君、浜野喜史君、山下雄平君、平木大作君、若林健太君、又市征治君、辰已孝太郎君及び相原久美子君が委員辞任され、その補欠として山田太郎君、山谷えり子君、岩井茂樹君、新妻秀規君、吉田忠智君、倉林明子君、石橋通宏君、牧山ひろえ君及び松田公太君が選任されました。  また、本日、柴田巧君が委員辞任され、その補欠として真山勇一君が選任されました。     ─────────────
  3. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 平成二十三年度決算外二件及び平成二十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、皇室費内閣内閣府本府、経済産業省消費者庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 江島潔

    江島潔君 おはようございます。自由民主党の江島潔です。  二〇一一年三月の東日本大震災から早くも三年の月日がたちました。関係各位の懸命な努力によりまして被災地の復興も着実に前進をしているかというふうに感じておりますけれども、やはりこの震災によって起きた様々なその後の解決にまだ手間取っているところもたくさんございます。特に福島原発事故、これによる多くの教訓等日本には残されているわけでありますが、まずお伺いしたいのは、この事故原因究明がどこまで進んでいるか、それを教えていただきたいと思います。
  9. 山本哲也

    政府参考人山本哲也君) お答えいたします。  東京電力福島第一原子力発電所事故につきましては、これまで国会事故調政府事故調民間事故調などにおきまして事故調査報告書が取りまとめられて、基本的な事象進展についても整理がなされているところでございます。しかしながら、これらの事故調におきましては、引き続き確認すべき技術的論点も残されているところでございまして、私ども原子力規制委員会におきましては、この福島第一の事故分析は重要な所掌の事務一つでございます。  このため、規制委員会におきましては、技術的に解明すべき点について分析し、中長期にわたる継続的な検討を実施するための検討会を設置をいたしまして議論を進めているところでございます。それで、まずは、国会事故調報告書におきまして指摘されております箇所、こういったところから現在検討を進めているところでございます。
  10. 江島潔

    江島潔君 こういう事故を乗り越えて日本経済回復等も取り組んでいかなきゃいけないわけでありますけれども、この度新しく策定されたエネルギー基本計画の中では原子力発電を重要なベースロード電源位置付けることが決定をしたわけでありますが、この位置付けの意義を御説明いただければと思います。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) おはようございます。各大臣お帰りになりまして、私一人だけ何か勝ち残りのような状態で残らせていただきましたが。  全体のエネルギー構成につきましては、各エネルギー源特徴、これを考えますと、これは安定供給は重要でありますし、コストも極めて重要な要因であります。環境負荷はできるだけ低くしたい、更に安全性が高くなければいけない、こういったあらゆる面で優れたエネルギー源というのは残念ながらないということでありまして、現実的かつバランスの取れたエネルギー需給構造をつくっていく、このことが何よりも重要だと考えておりまして、御指摘のように、こういった方針を踏まえまして、先週の金曜日、十一日にエネルギー基本計画閣議決定をしたところであります。  このエネルギー基本計画におきましては、各エネルギー源の特性と、それを電源として使用する際の特徴整理をしております。具体的には大きく三つ電源に分けておりまして、一つが、石炭火力原子力一般水力地熱のようなコストが安く出力が一定のベースロード電源、そして二つ目が、LNGのようなコストは若干それより高くなりますミドル電源、そして三つ目に、まさにピーク時に対応するための石油などコストは高いものの出力変動が容易なピーク電源、こういう区分をしております。  そこの中では、一般的にベースロード電源、これは低廉で安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源のことでありまして、具体的には、それぞれの国でベースロード電源若干違ってはまいりますけれど、我が国においては、原子力石炭一般水力地熱、これをベースロード電源位置付けております。  そして、このベースロード電源の中でも発電量を一定量確保できることに貢献できる電源をここでは重要なベースロード電源位置付けておりまして、原子力だけでなく、石炭一般水力についても同様な位置付けというのを行っております。  原子力、御案内のとおり、発電時にCO2の排出量がゼロということもあります。そして、準国産エネルギーとしての特徴を持つことから、安全性の確保、当然これが大前提となりますが、エネルギー需給構造安定性に寄与する重要なベースロード電源であると、このように考えております。
  12. 江島潔

    江島潔君 この計画の中では再生可能エネルギーについても触れられているわけでありますけれども、この名称は非常に、再生可能というのは何かいいイメージが国民に伝わってくるわけでありますけれども、やはりきちんとその辺は冷静に分析をしなきゃいけないところも多々あるかと思います。  あえてお伺いしたいんですが、この再生可能エネルギー課題点問題点があるとすると、どういう点になるんでしょうか。
  13. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  今回のエネルギー基本計画の中におきましても、この再生可能エネルギーは、有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー位置付けておりまして、その導入を最大限加速化していくということにしております。  しかしながら、委員指摘のように、これらにつきましてもなお多くの課題があるわけでございまして、現状我が国発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、水力を除けば一・六%にとどまっているということでございます。様々な課題一つ目は、コストが非常に高いということでもございまして、このコストをどう克服していくか、二番目が、出力が非常に不安定でございまして、この出力不安定性にどう対応をしていくのか、三番目に立地制約がございまして、これをどう克服していくのか等々の課題があるわけでございます。  私どもといたしましては、この投資回収にしっかりとした見通しを与える固定価格の買取り制度ございますが、これを適切に運用していくということに加えまして、低コスト化、高効率化に向けた技術開発であるとか、蓄電池を活用した出力変動の調整であるとか、送配電網運用技術高度化であるとか、あるいは環境アセスメント迅速化といった規制緩和、こういったことに取り組んでいく必要があると考えております。
  14. 江島潔

    江島潔君 日本が繁栄をしながら生活をしていくということに対してのエネルギー必要性というのは今更もう言うまでもないわけでありますけれども、また、今日ほどどういうようなエネルギーを利用するかということが議論をされているときもないんではないかと思います。  私は昭和三十二年の生まれなんですけれども、ちょうど少年時代高度成長時代に重なりまして、そういう意味では非常に、少年から青年になる過程で夢を持って成長する、そういう時代を送れたかなという気がしております。ちょうど私が東京オリンピックを迎えたのは小学校一年のときで、同じく新幹線も通りましたので、技術立国日本というものを本当に子供心に感じていたわけでありますけれども、同時に、その当時は石油をどんどん中東から輸入をして、全くそれに対する制約というものも、子供ということもありましたけれども、社会の中にも余り意識はそれほど顕在化していなかったと思います。  やはりこの問題が日本の中で非常に大きくクローズアップされたのは、私が中三のときだったんですが、第一次オイルショックのときだったんではないかと思います。このときは、狂乱物価とかあるいは買占めとか戦後初の経済マイナス成長とか、本当に石油というそれまで非常に安価に入っていたエネルギー源がストップをしたあるいは入りにくくなったということによって日本経済構造そのものが揺らいだわけでありますが、それによる学んだところもたくさんあるわけであります。  私は、一つが、エネルギー多様化というものを日本推進をしていったのもこれがきっかけだったんではないかと思うんですけれども、まずその辺を少し再確認をしたいと思いますが、オイルショック直前の当時の日本化石燃料に対する依存度、そしてその後の、このオイルショックを経て多様化をしていった後の東日本大震災が起こるまでの、原子力等も活用することになった暁の化石燃料依存度、そして現在の日本化石燃料に対する依存度、これらの数字を教えていただければと思います。
  15. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 詳しい数字、この後また政府委員の方からお答えできればと思いますが、御案内のとおり、日本エネルギー、一九五〇年代、石炭から石油に大きなシフトが行われまして、そして一九六四年の東京オリンピックを迎える。まさに日本高度成長期、鉄であったり、そしてまた石油、こういったものが基盤として様々な経済成長を支えてまいりました。  それで、第一次石油ショック、第二次石油ショックと二度にわたります石油ショックが七〇年代日本を襲うということでありまして、第一次石油ショック当時の日本のいわゆる化石燃料への依存率、これが七六%であったと思います。その後、一つはやはり相当産業部門を中心にしまして省エネ努力、こういったものを行ってまいりました。  その結果としまして、二〇一〇年、三・一一が起こる前は、この化石燃料への依存度、これが六割台に低下をするということでありますけれども現状、三・一一以降原発が全く稼働しないような状況というのが続いておりまして、石油、さらには特にLNGへの依存度が四五%でありまして、全体的には化石燃料への依存度、八八%まで上昇していると。その分、当然、化石燃料、これは石炭であったりとか、原子力等々と比べますとコストが高いということでありまして、全体的に日本エネルギーコスト、さらには電力コストの上昇につながっている、このように理解をいたしております。
  16. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 補足しますか。エネルギー庁長官上田隆之君。
  17. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 私の方から数字だけ申し上げさせていただきます。  今大臣の御答弁にございましたが、一九七三年度、オイルショック前は七六%、それが二〇一〇年度、震災前でございますが、六二%、それから震災後の二〇一二年度は約八八%となっているわけでございます。
  18. 江島潔

    江島潔君 この震災によって、当時のオイルショックのときの得た教訓というものが全く今はもう数字上では吹き飛んでしまったような形になっているわけでありますけれども。  一方で、原子力エネルギーは、エネルギー源多様化ということにも貢献してきたわけでありますけれども、同時にコスト低減化にも貢献をしてきたわけでありまして、先ほど大臣もちょっと御発言いただきましたが、非常にコスト高LNGが導入されていることは全体のコストアップに相当つながっているかと思料しますが、原発が全停止した後の三年間による経済的損失は、仮にその後事故がなかったとして、原子力発電所が稼働してきたときと比べてどれぐらいのものになるのか、お教えいただければと思います。
  19. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 経済産業省におきましては、原子力発電所停止に伴う、火力発電をたき増すということによる燃料費増加分試算をしております。これによりますと、二〇一一年度が約二・三兆円、二〇一二年度が約三・一兆円、二〇一三年度は約三・六兆円であったと試算をしております。したがいまして、震災以降、原発停止に伴う損失燃料費増加分のみで評価をいたせば、三年間で今の合計約九兆円であったと推計をしております。
  20. 江島潔

    江島潔君 恐らくは、九兆円にプラス老朽化していた化石燃料をたくための施設立ち上げ等で、まだ少しこの数字に加算されるんではないかなというふうに感じているところであります。  ここから少し先は、私が暮らす山口県に関する電力事情について質問したいと思います。  山口県は、これは中国電力によって供給をされているわけでありますけれども中国電力には管内に島根県の原子力発電所が一か所だけでありますがございます。ここには三号機まで、一号機、二号機、三号機と三つ原子炉がございまして、それぞれ建設年次が違いまして、非常に日本原子炉の歴史をかいま見るような、そういう施設でもございます。  まず一号機でありますけれども、これは一九七四年に完成した沸騰水型の原子炉、いわゆるBWRというものでありまして、ちょうど今年の三月に四十年目を迎えました。三十周年のときには非常に盛大に式典等も行ったそうでありますけれども、今年のこの四十年は全く式典も行われず、原子力エネルギーという日本の取り組んできた最新技術が何か非常に、この事故による影響でありますけれども、残念だなという気がしているところであります。  まずお伺いしたいのは、この一号機は、これは福島事故を起こしたのと同じマークⅠというタイプでありますけれども、このマークタイプであるということが今回の原子力発電所福島事故原因とか要因として挙げられているのかどうか、それをまず確認をしたいと思います。
  21. 山本哲也

    政府参考人山本哲也君) お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたように、福島第一の事故原因につきましては、国会政府などいろんなところで報告書がまとめられているところでございますが、これらの報告書の中におきましては、今委員指摘マークⅠ型、これは福島第一の一号機、あるいは委員指摘島根の一号機がそういう格納容器タイプとしてあるわけでありますけれども、このマークⅠ型が事故の起因であると結論付けているということは承知をしてございません。そのような記述はございません。  したがいまして、私ども規制委員会におきましては、この炉型によらず、新しい新規制基準におきましてはシビアアクシデントあるいは電源対策を求めているところでございまして、こういった新しい基準の下で適合性審査をしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  22. 江島潔

    江島潔君 それでは、続いて行います。  四十年たったということで、何か日本ではあたかも四十年たったものはもう全部廃炉にするというような風潮も、論調も時々見られるわけでありますけれども、非常に巨額を投じて造った施設でありますので、これは非常に一般論でありますけれども、やはり長く使うということは、当然、安全を確認した上で長く使うということはもうこれは当然自明の理であります。  このマークタイプ、アメリカではもっと四十年以上きちんと審査、検査も受けながら使っているというふうに聞いているんですけれども、米国基準に照らし合わせるとしたら、四十年たった、例えば島根の一号機等もあと何年ぐらい使えるということを言えるでしょうか。
  23. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  アメリカの制度におきましては、法令に基づきまして、原子力発電所を運転できる期間、これは認可される期間が四十年と定められておりまして、更に最長二十年間の運転の延長が認められることになっているというふうに承知をしております。  それから、島根原子力発電所一号機と同じ型である、今御議論のございますマークⅠ型と言われる原子力発電所につきましては現在今六基運転をしておりまして、アメリカの中でですね、それらの運転年数は四十年を超えて運転しているというふうに承知をしてございます。
  24. 江島潔

    江島潔君 そうすると、運営会社の方がしかるべき手続、申請を取れば、四十年たった後もあと二十年は運転は可能であるというような理解でよろしいのかと思います。  続けて質問いたしますが、今度は島根の二号機であります。これは一九八九年に完成をした、マークⅠの一号機に比べると大体出力が倍の原子炉でありますけれども、こちらはまだまだ築二十五年で若い原子炉でありますので、当然この再稼働の対象になっているわけであります。  私も現地の視察もしたんですけれども、まず津波対策というものは万全なんだろうなと。十五メートル超の防波壁が完全に完成をして、かつそれを乗り越えた場合にも、水密扉で建物の側を守り、そして更にその内側の重要施設を守るという、この水密扉の二重構造になって、それから外部電源も確保も行い、さらにはこの冷却用の貯水槽も新たに造るという体制が整って、いつこれはスタートしても私の目から見るとこれは問題ないと思うんですが、なかなかこれがまだ再稼働に至らないわけであります。  そこの原因がどこにあるのか、その審査が、これだけ整っている施設にもかかわらず、まだそこに着手できない、簡単に一言で言って、それは例えば審査組織に問題があるのか、その辺は見解はいかがか、お伺いしたいと思います。
  25. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  御指摘のありました中国電力島根原子力発電所二号機につきましては、昨年の十二月二十五日、年末十二月二十五日に原子炉施設の設置変更許可申請等が行われております。これを受けまして、原子力規制委員会、原子力規制庁におきましては、これまで計五回の審査会合においてこの発電所についての適合性の審査、これは新規制基準に対する適合性審査でございますが、これを行ってきているところであります。今後も、その事業者の対応にもよりますけれども、これを踏まえて適切に審査を進めてまいりたいと思っております。  一方で、現在、原子力規制委員会におきましては、新規制基準が施行された昨年七月、この直後に、島根原子力発電所とは違う形でございますけれども、加圧水型と言われる発電所について先行して七月に申請を受け付けて、この審査を進めてきております。この中で、九州電力川内原子力発電所の一、二号機につきまして、これは最初の、新規制基準に基づく審査が最初の審査ということで、この審査書案を作成することに取りかかることにしまして、この後続の審査の模範となるような十分に質の高いものを作ろうということで、担当チームの枠を超えて共同作業を行うといった形で進めてきております。  このような取組を進めることによりまして、十分に質の高い模範となるような審査書を作る、それによりまして、結果的には審査全体、この島根原子力発電所も含めまして、審査全体を効果的、効率的に進めることができるようになるのではないかというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、島根原子力発電所につきましても、今後ともしっかりと厳正に審査を進めてまいりたいと考えております。
  26. 江島潔

    江島潔君 それでは続いて、今度は三号機についてお伺いをします。  三号機というのは、これは改良型の沸騰水型原子炉で、いわゆるABWRというタイプでして、言わば最新鋭の施設がもう既に完成をしております。いつでもこれは稼働オーケーという状況になっているわけですけれども、これがまたやはりこの再稼働の審査の影響だろうと思いますが、今のところこれがスタートするめどが立っていないんですけれども、これに関しましては、この電力事情日本全体の安定化のためにも、むしろ政府の方から積極的にこれは早く立ち上げろというような指示を会社に出すべきではないかというふうに私は考えるんですが、なぜもう既に完成している施設がスタートできないのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  27. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 原子力規制委員会からまずお答えいたします。  島根原子力発電所三号機につきましては、今のところ新規制基準に対する設置変更許可申請が提出されておりません。この発電所を運転するということになりますと、改正された原子炉等規制法に基づいて新規制基準に適合しているかどうかということを審査をして、改めて、設置変更許可あるいは工事計画の認可、保安規定の認可、こういったものを取っていただく必要がございます。この申請が行われましたら、原子力規制委員会といたしましては厳正に審査をしてまいりたいと考えております。
  28. 江島潔

    江島潔君 私が申し上げたかったのは、許可が出ていないということではなくて、積極的に、全体の電力事情の安定を考えて早く出しなさいというそういう指示を、待ちではなくて、早くやったらどうかというそういう働きかけを政府としてはしていただきたいという、そういうことであります。  少し質問を変えてお伺いをします。  まず、日本の今、様々なもちろん環境問題というのはあるわけですけれども、私はその中でも最も重要なものは地球温暖化に対する課題ではないかというふうに思っています。海岸線に囲まれている日本ですから、海岸線の浸食とかあるいは台風の直撃とか、これはもう本当にほかの自然災害の比ではないような形で日本に大きい影響を及ぼすわけでありますけれども、地球温暖化という問題に対しては政府はどのように考えているか、簡潔にお答えをいただければと思います。
  29. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 先月、横浜におきまして気候変動に関する政府間パネルという総会が行われまして、これら科学的知見に基づきまして、この場で第五次の気候変動の影響や適応に関する評価報告書が承認されてございます。この報告書におきましては、今まで以上に断定的な書き方で既に気候変動の影響が現れているということが指摘されてございます。また、様々なリスク、将来リスクというのもこの中で指摘されております。  このように、気候変動問題、科学的な観点から非常に深刻な状況であるというふうに受け止めておりまして、政府といたしましては、これに対処すべく低炭素社会の構築に取り組むとともに、適応につきましても来年夏に適応計画というのを取りまとめていきたいと、このように考えております。
  30. 江島潔

    江島潔君 政府がもうはっきりと地球温暖化というものが最大の課題であるという位置付けの下で取り組むのであれば、是非、私は改めて、原子力発電所の早期再稼働、そして既にもうでき上がっているもののスタートボタンを押していただく、さらには今計画されている原子力発電所の新設に向けても積極的な取組を是非お願いをできればと思っています。  今、中国電力の管内では島根原子力発電所が一号機、二号機、三号機と、いずれも止まったままであるわけでありますけれども、今もう一つこの中国電力の管内では山口県の上関というところに原子力発電所が予定をされております。現在ここに計画されているのは島根の三号機と同じABWR、一番新しい改良沸騰水型の原子炉、百三十七・三万キロワットが二基計画されていますので、これが完成すると地域の電力事情というのは相当安定化するんではないかなというふうに思います。あわせて、日本原子力技術というものの世界の事実上の先頭に立ってこれからも様々な取組をしていくというのは、これは技術立国日本を考えるともうこれ以外の道は私はないと固く信じております。  是非とも、原子力エネルギーの積極的な研究、展開を通じて日本の抱える最大の課題である地球温暖化対策に取り組み、あるいはこの姿勢を世界に示すことを通じて日本が地球温暖化阻止のリーダーであるということを是非示していただきたいと思いますが、是非その点に関しましての政府の姿勢をお伺いできればと思います。
  31. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 原子力発電時のCO2の排出がゼロと、世界的な課題であります地球温暖化の観点からも極めて重要だと考えております。同時に、福島第一原発事故教訓、反省、これを世界と共有することによりまして、世界の原子力の安全の向上、また原子力の平和利用、これに貢献していくことは日本の責務であると考えております。  我が国として先端技術立国を目指す、そういった中で、原子力におきましても、技術、人材面、さらには制度面等々におきまして安全性を高め、世界の原子力の安全利用に貢献をしてまいりたいと考えております。
  32. 江島潔

    江島潔君 以上で質問を終わります。
  33. 石橋通宏

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。  今日は初めて決算委員会で質問の機会をいただいております。機会をいただいたことに感謝をいたしながら、早速質問に入ってまいりたいと思いますが、今日は内閣関連、とりわけ沖縄振興の関連に集中して質問させていただきたいと思いますので、山本大臣、今日は是非よろしくお願いをいたします。  今回議題になっております平成二十三、二十四、これは民主党政権下で、私も当時沖北の委員会で審議にも関わらさせていただいておりましたし、そういう観点もあって、是非しっかりとした決算議論させていただければということで、いかにこの沖縄振興関係の決算をより充実したものにできるかという観点で建設的な議論をちょっとやり取りをさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  まず、今日、お手元に資料も若干お配りをさせていただいておりますけれども、皆さんも御存じのとおり、沖縄振興関連、これまで累次にわたる計画があって、第四次までの計画が二十三年度まであって、二十四年度から新たな、現在より沖縄の自主性を高めた形の新たな振興策が実施をされているわけでありますけれども大臣、今回私も改めて第四次の沖縄振興計画、十四年度から二十三年度まで十年間行われたわけでありますけれども、この第四次の計画、十年間というものの総括がいかに行われたのかということをちょっと調べてみたんですけれども、なかなか十年間の決算というのがないんです。やっぱり、それは十年間で相当な国費を投入している、様々な事業が実際に行われた、じゃ、その十年間、第四次でどういう具体的な成果があり、結果があり、そしてそれをまた今次の新たな振興計画の中で生かしていくのかと、そういう決算的な取組が必要なんだと思うんですが、大臣、第四次の総括的な決算、総括というのはどこかにあるんでしょうか。
  34. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 石橋議員、沖振法のときに沖縄特の委員も務められたということで、沖縄に対する取組に大変敬意を表したいと思いますし、今日、沖縄振興の話をここで取り上げていただいて大変感謝をしています。  今言ったお話なんですが、十年間の決算ということで、何か一つ資料があるのかと言われると、まとめた資料はちょっと見たことがないと思うんですけれども、これまでの取組についての政府側の評価、それから課題について少し丁寧に御答弁させていただきたいと思います。  昭和四十七年の沖縄本土復帰以来、初めは主として本土との格差是正を目的として、平成十四年度以降は第四次沖振計画の下で民間主導の自立型経済の構築というものを目指して各種政策を推進してまいりました。その結果、社会資本の整備とか就業者数の増加、観光・リゾート産業、IT産業の成長と、一定の成果を上げてきたというふうに考えておりますが、しかしながら、一人当たり県民所得は全国最下位にとどまるということですし、完全失業率も高い、所得の低い世帯が多いこととか非正規雇用の率が高いと、こうした課題も抱えているというふうに認識をしています。  このため、沖縄振興審議会の報告においても、県民所得の向上に向けて、リーディング産業の発展、高付加価値化とか新たな産業の創出を図るとともに、失業率の改善等に向けて、特に若年層への教育の強化等によって労働市場におけるミスマッチの是正を図ると、こういった対策を検討すべきというふうにしていたところでございます。  更に言うと、平成二十四年に改正された、これ委員よく御存じだと思いますが、沖縄振興特別措置法においては、国が沖縄振興計画決定したスキームから、国は基本方針を定める、沖縄県が沖縄振興計画を定めるという仕組みへと変更いたしまして、国の基本方針においても、一人当たりの県民所得の向上や失業率の改善等、経済面での生活の安定に取り組むことを明記し、こうした施策がより的確かつ効果的に展開できるよう沖縄振興一括交付金を創設をいたしました。  沖縄振興一括交付金により、これも委員よく御存じだと思いますが、産業の振興に加えて、若年層のジョブトレーニングを行うと。こうした事業によって、早期就職を目指す事業、これ戦略的雇用対策事業と呼んでいますが、こういうものとか、あるいは雇用のミスマッチから起こる早期離職の抑制事業とか中高年再チャレンジ事業、こういったきめ細かい雇用対策事業が行われてまいりました。  と同時に、これまで必ずしも行政のサポートが行き届いていなかった福祉分野、これ、親への就労支援とか養育相談を行う子育て総合支援モデル事業とか、教育分野、これは学習支援員の配置なんか挙げられると思いますが、加えて防災分野、これ防災行政無線の整備等に関する事業が実施され、県民の生活にプラスの影響を与えているというふうに思います。  また、これ恐らく委員の御関心の部分だと思うんですけど、雇用の量に加えて働きやすい職場づくりなどの雇用の質、この確保についても一層取り組む必要があるというふうに考えておりまして、沖縄県に誘致した企業が労働条件の改善に取り組み、契約社員の正社員化を図る。これ、昨今、新聞記事にもなりましたが、例えば、コールセンターを展開する保険会社が今年四月から沖縄事務所の契約社員六百五十人を正社員化すると、こういった動きも出てまいりました。  これらの施策を通じて、沖縄県が今委員が御指摘になったような課題への対処を進めることによって、成果を上げつつある観光産業、IT産業、物流産業、こうした振興と相まって更なる沖縄県民の生活水準向上につながるように、内閣府としても沖縄県と連携して対応してまいりたいと。今のがこの十年間の全体の見方でございます。
  35. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございました。  最初にお答えいただいたように、残念ながら十年間の総括的な決算というのがないんです。ですので、これ、今後のことも含めて、是非、今からでも遅くないので、じゃ、そのやっぱり第四次の沖振計画全体でどうなったかというのは、何か国民の皆さんの目にも見える形で、とりわけ沖縄の皆さんの目に見える形で御検討いただけないかと思いますが、そこだけちょっと御検討よろしくお願いします。
  36. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 十年間の取組、それぞれの事業等に対する評価等々はもちろんあると思いますが、今委員のおっしゃったように、じゃ、総括的にどうかということになると、紙としてまとまっているかということについて私も見たことはないので、その点については、どういう形でまとめられるかというのを私の方できちっと検討させていただきたいと思います。
  37. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。  そこで、今大臣にも口頭でいろいろと触れていただきましたけれども、これ、前回の、私も沖北の委員会でかなり当時民主党の大臣に対して質問させていただいたんですけれども、沖振、沖縄振興の目的、究極的な目的は、これはやっぱり県民の皆さんの暮らしを向上させる。今雇用の質のことも言っていただきましたけれども、とりわけ若い世代の雇用の質。やっぱり、みんなが働いて、そして暮らしが向上できると、そこにどういろんな事業が収れん、集約されていくかということだというふうに思っています。  その意味で、大臣、今若干触れていただいて、今日資料にもお付けをしているんですけれども、私も改めて見てみると、例えば資料の四で、これ、非正規雇用比率の都道府県別ですが、圧倒的に沖縄はまだ残念ながら非正規雇用比率が一番なんです。昨年も、今大臣、若干正規化でいいニュースもあるというふうに言っていただきましたけれども、実は昨年一年間見ても非正規雇用の方が増えているんです。  そういう実態があって、資料の五に、例えば最賃、それから給与の状況、県民所得の推移もお示しをしております。若干まだちょっと最新のデータが出ていない部分もありますので、最新の分析、これからやっていただかなければいけないわけですけれども、最低賃金、引き続き平成二十五年度も全国一番低い水準にとどまっておりますし、県民所得を見ていただきますと、実は、私も改めてよく見るとびっくりしたんですが、平成七年、大体二十年前からほとんど変わっていないんです、一人当たりの県民所得って。これを見ると、じゃ本当に、これはやっぱりこれまでの御努力、現場でも御努力があって、国としても様々な支援をいただいてきたわけですが、県民所得はこの二十年間ほとんど動いていないと、一人当たりがということを見ますと、やっぱり改めて、本当にどういう事業が県民の暮らし、雇用の向上に役立つのかということについて改めて総括は必要なんじゃないかなというふうに思うわけです。  その意味で、是非、その前の資料にお付けをした資料の二で、大体内閣府にお願いをするとこういう成果と課題ということで出てくるんです。もう少し県民の暮らし向き、そして雇用という観点で、まさにそういう非正規雇用の比率がどう変わっているのかとか、実質賃金の向上にどう結び付いているのかとか、具体的な県民の暮らし、雇用への影響がどう変化をしているかということをしっかり分析をして、それを指標として公表していっていただきたいと思うんですが、大臣、その辺いかがでしょうか。
  38. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 今、石橋議員のおっしゃったことは大変重要なポイントだと思います。いろんなデータ、いろんな資料は作らせていただいているんですが、今おっしゃったような点にしっかりフォーカスを当てたやはりデータの出し方というのは大事だと思うんで、そこは検討をさせていただきたいと思っていますが。  雇用の質の確保ということでいうと、おっしゃったように県民全体のやっぱり生活水準を上げるということは大事だというのは私もそのとおりだと思うんですけれども、例えば契約社員の正社員化などについては、先ほどちょっと新聞記事紹介させていただきましたが、沖縄県としてそういう動きを評価しているところであるんですけれども、これは基本的には各企業の判断により行われるものということなんですけれども、やはり政府として何ができるのかということをさっきちょっと事務方とも議論をさせていただきました、委員からこういう御質問が出たので。  この雇用の質の確保という問題に対処するために、内閣府としても、先ほどちらっと申し上げましたが、沖縄一括交付金で、若年者において早期に離職する人が多くて正規社員化が進まないという動きがあるので、この若年者の就職率向上に取り組む事業などを行っております。新規学卒者等の未就職者に対しても、在学中から就職活動に必要な基礎知識に関する研修、就職に必要な技術を支援する事業、これ新規学卒者等総合就職支援事業というんですけれども、こういうこともやっております。  さらに、もう一つ要因として、求職者の求める仕事と企業の求める人材が異なると、こういう雇用のミスマッチもございまして、このため、企業での職場訓練の前に、就職後に必要となるビジネスマナーとかパソコンスキル等の座学研修を実施し、さらには、求人企業で職場の訓練を行うことで求職者と企業双方の雇用のミスマッチから起こる早期離職を抑制する事業、先ほどちらっと申し上げましたが、戦略的雇用対策事業、成長産業を担う人材の育成、確保及び企業誘致の促進並びに雇用の場の拡大を図る事業、これ成長産業等人材育成事業というんですけれども、企業が必要とする人材の育成を行っておりまして、こうしたきめ細かい事業を行うことで企業の正社員化の動きを後押ししていきたいと思います。  これも委員御存じなんですが、何で沖縄で非正規社員の割合が高いのかと。これは、非正規社員の割合が低い例えば製造業が少なくて、非正規社員の多いやはりサービス業が主体になっているところもあります。これは一朝一夕ではいかないんですが、やはりいろんな手段を通じて、例えば今申し上げたような人材を育成するとか、企業のミスマッチ、企業とそれから雇用のミスマッチをなくすとか、こういうことを粘り強くやっていくしかないのかなというふうに考えております。
  39. 石橋通宏

    石橋通宏君 その辺の大臣分析正しいんだと思いますが、まさにそういう産業の高度化を狙って様々今取組をされているということでありますので、是非そういう産業の高度化に併せて、やっぱりより質の高い雇用が創出をされる、そのことを念頭に置いて様々な評価分析をしていただけたらと思いますので、今大臣、それ検討いただけるということなので、是非そこのところよろしくお願いをいたします。  その上で、まさに毎年度の決算の中でしっかりとその事業の効果を見ていただくということが、我々しっかり検証させていただくということが必要なんだと思うんです。  そして、その意味で、私も今回改めて、二十三年度、二十四年度、いろいろと決算書、様々見させていただいているんですけれども、これ相当に分かりづらい。というのは、例えば二十三年度、二十四年度で政府全体として、これ内閣府所管だけに限らない部分も当然出てくるわけですけれども政府全体として、じゃ、沖縄にどれだけ振興関連の予算ということで投下があって、それが二十三年度、二十四年度どういう決算になっていて、それがどういう効果を上げたのかという評価になっているかというのが全部で見れるものというのを、大臣、これさっきの十年間がなかったというのもありましたけれども、各年度ごとに全ての事業の決算評価がきちんと見れるというものが逆にあるんでしょうか。
  40. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 石橋議員は揚げ足を取られるようなことをされないので、ちょっと踏み込んで申し上げたいと思います。余り言うと怒られちゃうと思うんですが。  私が担当大臣になって、実は沖縄振興予算を見て初めて思ったのは、今、石橋議員がおっしゃったように、ちょっと全体が見にくいんじゃないかということでした。それについては御存じのとおり、ハードの交付金の方は関係各省に移替えをしてやっているということなんですけれども、これもしばらく担当大臣をやって分かったことなんですけど、やはり実施する官庁じゃないといろいろ分からないことがいっぱいありますし、特にハードの交付金、公共事業なものですから、例えばいろんな事業の要件とかそういうものをどのみち関係各省にチェックをしてもらわなければいけないということもあって、しかも、これも釈迦に説法ですが、決算というのは事業の実施の実績を示したものなので、やはり実施官庁にやってもらわなきゃいけないということで、いろんな意味で、決算は特にもう移替えされた予算なので、これはやはりこういう理由なんだなということは分かったんですが、これは決算制度なので、もう委員御存じのとおり、これ以上行くとやはり私の所管というか財務省の管轄になるんだと思うんですが、内閣府としてもう少し、今おっしゃったように、これもちょっと余り踏み込むと怒られるかもしれませんが、内閣府としてできることというのはあるんじゃないかと。  もうちょっと、例えば決算のいろんな、今おっしゃった、主に沖縄部局とそれから防衛省がほとんどなんですけれども、それにしても移替えのいろんな予算の分も含めて、決算のいろんなデータ、処理のデータを基にもうちょっと分かりやすくプレゼンできる知恵というのを、昨日、実は議員からのこの質問の項目を見ながらも考えていたんですけれども、これはちょっと検討させていただこうかなというふうに考えております。  その上で言うと、それぞれの事業の実施状況の把握、これは私が見てもきちっとやっていると思っていまして、予算計上している全事業については行政事業のレビューやっていますし、特に一括交付金等についてはもう個別に事後評価をやっておりますので、そこはかなりきちっとやっていると思うんですが、もう一回言いますけれども決算のデータがちょっと見にくいというのは、もう率直に申し上げて、私も実は大臣になって以来持っていた問題意識なので、もう一回言いますが、内閣府として少し国民に見やすい形にできるかどうかというのは、ちょっと真剣に検討させていただこうと思います。
  41. 石橋通宏

    石橋通宏君 そこを是非お願いしたいと思うんですけれども、今大臣は一括交付金のハード事業の関係に、これ後ほど触れようと思っていたんですが、先に触れていただきましたけれども、そこの一括交付金絡みだけでもなく、全体の中でも当然各省庁が、各省庁のいろんな事業の中で、一般会計の中でやっておられることもあるんだろうというふうに思うんです。  そうすると、大臣が言われたとおり、内閣府の沖縄部局で管轄、所管している事業については内閣府でやるんだけれども、各省庁がそれぞれの省庁の所管の中で沖縄に対して振り分ける予算とか実施する事業というのは、これ各省庁がばらばらにそれやるんだけれども決算もするんだけれども、やっぱり国全体として沖縄に対してどのような、各年度、総体的に事業があって、決算があるのか、それがどういう効果を生んでいるのか、どこかで誰かがそれ見ないと駄目なんだろうと思うんです。  それを沖縄がやるのであれば、それは沖縄にしっかり全体総括をしていただいて、しかし、それをまた国にも報告が来るわけですから、そこの国が来たところでやっぱり内閣府なりが、大臣がしっかり責任持って国としての責任を果たしていただくと、必要であれば各省庁とも連携をして、そして次の事業に生かしていただくと、そういうやっぱり決算の仕組みというのが私、必要なんだろうというふうに思うんです。ですから、そこのところを是非検討いただいて、具体的に見える形のプロセス、メカニズムを構築していただきたいというふうに思うんです。  その上で、ちょっと一つ、例えば内閣府所管の予算の中でも特別会計に繰り入れている事業が、予算がある、これも、私も決算書を読んで、特別会計に振り分けているのが幾つかあります。特別会計に振り分けた分はどう、これは決算は、大臣、この辺もしっかり見られて、特別会計の中での処理というのもこれ大臣が責任持ってやられているんでしょうか。
  42. 石原一彦

    政府参考人石原一彦君) お答えを申し上げます。  内閣府で一括計上して予算要求しております事業の中で先生がおっしゃるように特会に振り替えて執行しているものがございまして、これの執行及び評価につきましては一義的には所管しております官庁でまず行っておると、我々はその評価の結果を確認をしておると、こういうことでございます。
  43. 石橋通宏

    石橋通宏君 特会の方に振り分けられているのもありますので、これも、じゃ具体的にどういうふうになっているのか、最終的な総括のところを、先ほど言われた、大臣検討いただく中で、特会の方も見ていただけるようなシステムを検討いただければと思いますので、そこは是非よろしくお願いをいたします。  その上で、大臣触れていただいた一括交付金について、これ二十四年度から、より自由度の高い、沖縄の皆さんに、ひも付け、枠付けではなく、沖縄の皆さんに御自身で何が一番有効な事業なのかということを検討いただいて実施をいただくということで導入をしたわけでありまして、実は私も昨年現地へ入りまして、北部の方を視察をさせていただいて、地元の自治体の皆さん、とりわけ市町村の皆さんからは、非常にいい制度で、これから是非しっかり頑張っていきたいという声も聞かせていただいております。  その意味で、このハード事業の方、とりわけ、御存じのとおり、皆さん、ソフトがあってハードがあって、ソフトの方は内閣府で一括で下ろすわけですけれども、ハードの方は各省庁にそれぞれ振り替えて実施をされているというそういうことであります。大臣言っていただいたように、決算見ても、結局、内閣府の中ではそれが分からないので各省庁の決算を見る。各省庁の決算を見るんですが、各省庁の決算見ても、結局、その交付金の推進事業ということで一項目ぼおんとあって、幾ら下りてきて幾ら使ったかということが分かるだけで、じゃ、その中で具体的にどのような事業を各省庁レベルで実施されたのかということは分からない。少なくとも私が持っている資料では分からなかったんです。  そうすると、大臣、確かに各省庁責任持って、専門性がある省庁ですから、それぞれ所管のところ責任持って事業をやっていただく、恐らくやっていただいているんでしょう。しかし、じゃ、それぞれの中で具体的にどのような事業が実施をされて、それがどのような効果を実際に生んだのかということを、やっぱり決算の中で我々も見たいわけです。それ、どこ行ったら、どういうふうにしたら見れるのか、ここが多分すごく問題なんだと思うんです。  なので、大臣先ほど言った検討していただける中で、まさにその各省庁に振り分けて実施をされた、決算の中では是非内閣府にそれをもう一回ちゃんと戻してもらって、全体で具体的にどのような、平成二十三年度、二十四年、一括交付金なら二十四年度以降事業が行われたのかということも分かるようにお示しをいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  44. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 今日の質疑石橋議員がおっしゃっている沖縄関連予算についての決算、少し見やすくしてほしいと、このことについては先ほど申し上げたとおり、少し全体としていろいろ私も勉強し、改めて検討させていただきたいと思っていますけれども。  繰り返しになりますが、このハード交付金も、これもよく御存じだと思うんですが、八百十五億円、二十四年度予算額でいうと。これは、沖縄が自主的に選択した沖縄振興に資する事業を実施し、沖縄の実情に即したより的確かつ効果的な施策が展開されるように創設されたということですけれども、執行については、専門的な知見を有して、実務執行体制の整備されている各事業官庁において執行管理することが適切であると、こちらの方が結局効率的だというふうに判断をして移替えを行っております。  いろいろ今日、どこでチェックしているのかというお話がありましたが、事業官庁であるもちろん各省が一義的に例えばきちっと説明を行うという責任を負っているわけですけれども、その事業官庁がしっかりと執行したものについてはきちっとまた内閣府の方の部局にも報告があって、それも我々チェックをしています。もちろん、一括交付金は県の自主性を尊重するということなので、そこは踏まえながら、我々も一応、まあダブルチェックという言い方が正しいかどうか分かりませんが、それはきちっとチェックをさせていただいているということです。  なかなか、おっしゃった問題意識は、私は本当にやや共有しているところもあってなかなか言いづらい部分もありますが、本来であれば全部一括して決算にものせられればと思うんですけれども、そこは先ほど申し上げたような理由もありますし、やはり実施官庁が責任を持つという点でいうと、それをちょっと変えてしまうと各省のその決算の明確化というところにもつながってくるので難しい問題もあると思いますが、そこも含めて、もう一回言いますが、少し勉強させていただきたいと思います。
  45. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございます。  結局、予算議論するときには、今日、ちょっと済みません、資料としてはお配りしておりませんけど、皆さん御存じだと思うんですけれども、まさにハードの方も、沖縄県の方から事業申請をしていただく、沖縄のそれぞれの市町村含めて地元のニーズに応じて事業申請をしていただいて、しかし、それを内閣府で取りまとめて、そして予算審議をして、振り分けるわけです。つまり、内閣府の予算として議論があって決定するわけですから、振り分けたとしても、やっぱり決算の段階でも、もう一回それを内閣府の中で、全体はどうだったのかということをちゃんと示す、説明するということはこれは必要なことだと思いますので、是非そういう観点で具体的に検討いただきたいということは改めてお願いをしておきます。  具体的な、とりわけ特にハードの方の評価、各省庁でやっていただいているということなんですけれども、ソフトの事業の方については事後評価で、私も今回、県分と市町村分、二十四年度分いただいて、ずっと見させていただきました。ソフトの方はこうして事後評価結果でいただいているんですけれども、これ、ハードの方も事後評価結果って沖縄県の方でソフトと同じくやられていて、国の方に報告が上がっているという理解でよろしいんでしょうか。そうすると、これはどこに行ったらもらえるんでしょうかね。
  46. 石原一彦

    政府参考人石原一彦君) お答え申し上げます。  ハード交付金につきましては沖縄県におきまして評価を行い公表しておりまして、内閣府においては、その評価結果について事業の執行官庁である関係省庁と共有をし、ハード交付金が効果的、効率的な制度になっているかどうかを確認を行っているということでございます。  それで、どこに行ったら……(発言する者あり)
  47. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 答え聞こえないそうです。
  48. 石原一彦

    政府参考人石原一彦君) 失礼いたしました。  それで、評価につきましては沖縄県でまずは作成をして公表しておりますので、沖縄県担当部局に行けば確実にそこは入手できるということかと思います。もちろん、我々のところに来ていただいても当然ございます。
  49. 石橋通宏

    石橋通宏君 そうすると、今回もらったのは、私、沖縄振興特別推進交付金の分だけだったので、これ、ハード事業の方も同じものが皆さんのところにあるということですね。それはいただいてないですけれども、それは言わなかったからもらわなかったということですかね。たまたまミスったんですかね。
  50. 石原一彦

    政府参考人石原一彦君) すぐにお持ちをいたしたいと思います。
  51. 石橋通宏

    石橋通宏君 今日の質疑の前にいただければよかったんですが。是非、ちょっとまた持ってきていただければ、ハードの方も中身を見たいと思います。  なぜ中身見たいかといいますと、これ、全て二十四年度分について各それぞれ評価をしていただいているんです。これは沖縄がやられているので、かなり達成ということで報告をいただいております。これはこれで、各事業が目的、当初の、所期の予定どおり実施をされたという意味では達成という評価になるんだと思うんです。しかし、冒頭のやり取りに返りますと、やっぱりこういう全ての事業が、振興事業が、本当に県民の暮らしの向上なり雇用の質の向上なり、そういうプラスの面で本当にどうなのかと。個々の事業の分析はそれはそれとしてあるんですけれども、じゃ、その総体としてどうなっているのか、一括交付金全体がどうなのかという評価は、やっぱりこれ個別の事業ではなく、総体としての総括的な評価が必要なんだと思うんです。  そこを、県の方でそれはそれで総体としてもやられるんでしょうけれども、やっぱりこれせっかく県でこの事後評価結果でいただくわけですから、繰り返しますけれども内閣府の方でも、じゃ、やっぱり総体として一括交付金という制度が、制度そのものの所期の目的に沿って実施をされ、それなりのちゃんと結果を出しているのかどうかということをやっぱり見ていただかないといけないと思うんです。であれば、ソフトもハードもセットで、評価を一括交付金全体で見るということが必要なんだと思いますので、だから、先ほど来繰り返しているように、各省庁振り替えた分も合わせて、内閣府として、セットで全体の一括交付金自体の効果、評価をしていただかなければいけないんだろうというふうに思っております。  ですので、是非、大臣、先ほどちょっと触れていただいたんですけど、内閣府の方でやられるのは、個々の事業ができたできないではなく、むしろやっぱり一括交付金全体、ハードもソフトも合わせてどういう本当に効果になっているのか、適切な結果を出しているのかどうか、そしてまた、一括交付金も全体の沖縄振興の部分ですから、全体としてどうなのかということを評価をいただきたいというふうに思っておりますので、この点、もう一回大臣確認、全体でそういう評価内閣府の方で御検討いただくということでお願いします。
  52. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 今議員がおっしゃったように、沖縄振興担当大臣としては、全体を俯瞰してやはり県全体の事業を評価するという点が大事ですから、そこはしっかり検討させていただきたいと思います。  一括交付金全体の評価はきちっと内閣府でもやっておりますし、沖縄振興審議会等々のいろんな場面を通じてきちっとそこは評価をし、今後の課題ということについても議論をさせていただいていますので、それは一つ一つ次年度に生かしていきたいというふうに考えています。
  53. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございます。是非しっかりよろしくお願いします。  そこで、一括交付金について、とりわけ市町村への配分について若干ちょっと確認だけさせていただければと思うんですけれども。  これ、県分と市町村分が振り分けられていて、当初、最初の二十四年度は、やっぱり市町村分、とりわけ配分などもどうやって配分するのかということでかなり地元でも議論があって、配分結果についても様々に御意見があったというふうに理解をしております。その後、二年度目、二十五年度は、その二十四年度の反省を踏まえて地元でもまた議論があって改善をされたというふうに理解をしておりますけれども、済みません、最新のこの市町村への配分の基準というものが具体的にどのように改善をされたのかということについて、ちょっと簡潔に御説明をいただければと思います。
  54. 井上源三

    政府参考人(井上源三君) ソフトの方の一括交付金の市町村への配分でございます。  基本的に、これは県と市町村、相談をして決めているというところでございます。元々八百億ございまして、五百億を県、三百億を市町村ということでございますけど、市町村の個別の配分は、人口規模でありますとか財政力とか離島である状況の考慮とか、そういう形で全部割り振っていたというのがこれまででございましたが、二十五年度から、一定のお金、一割ですけれども、それをプールいたしまして、市町村に全部まかないで一割部分をプールして、そして、市町村の、ある意味では手を挙げていただいて、いい事業を市町村間で選んでいただいて、それに重点的、戦略的に配分をするという方法に改めたというところでございます。
  55. 石橋通宏

    石橋通宏君 そのような改善はかなりやっぱり地元でも有り難いという声も聞かせていただいたんですけれども、ただ一方で、これ最初、二十四年度のときに相当に、今人口規模というのが、大臣、ありまして、人口規模で振り分けられたこともあって、結局、規模の大きい自治体に相当に多く分配をされて、規模の小さい自治体はかなり当初地元が考えていられたよりは相当に小さい額だったということもあって、地元では結構、むしろそれが人口規模でやられてしまうと本当に振興が必要な地域には配分が少ない、要は都市の方と地域の方と逆に格差が拡大してしまうじゃないかという、本当に振興目的であれば、むしろ規模の小さい自治体、振興が必要な自治体にきちんと分配がされると、そういうむしろ加重の、そういう意思の入った、思いの入った分配制度がむしろあるべきではないのかという声が相当にあったと聞いております。この点がどうなったかというのをちょっとお聞きしたいのと、もう一つは、その辺、機械的にこれはある種公正公平な分配ということで必要であろうなと思う一方で、むしろやっぱり自治体が本当に自分たちで必要な事業、これはアイデア、創造力というのもあるでしょうし、そうすると、よりその自治体の企画力というかアイデア力というか発想というか、よりいい事業に対してより適正な配分が行われるような、そういう制度も必要なのではないかと思うのですが、この点は、大臣、どうなっているのでしょうか。
  56. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 少し事務的なことは事務方から説明させますが、まさに委員のおっしゃったことはポイントだと思っています。  ただ、もうよくこれも御存じだと思うんですけれども、創設のこともよく御存じなので、あくまでも一括交付金は沖縄県の自主的な判断に基づくということで、我々はその要綱を受け取って、これが果たしてその要綱に合っているかどうかということは判断しますけれども、もちろんいろいろ知恵は出しますが、基本的にはやはり沖縄県側の自主的な判断で決めていただくということで、今言ったその配分についても県と市町村がきちっと相談をして決めていくということなんだと思います。  他方で、この分配についてはいろいろ県内、市町村内でも議論があるということは伺っていますし、今、これはあくまで県が自主的に決めるということを前提に申し上げますが、恐らく委員のおっしゃった振興が必要な地域に例えば持っていくべきではないかみたいなバランス論もあれば、片や、後半おっしゃった、いい事業にという話がありましたけれども、いわゆるボトムアップでやっていくというやり方と、少しもうちょっと全体を見た戦略的な例えばプロジェクトにお金を使うべきではないかというような議論もどうもあるようで、そこら辺のバランスが非常に大事なのかなというふうに思います。  内閣府としては、いろいろ知恵も出し、沖縄県側と協力をしていきたいと思いますが、もう一回申し上げますけれども、あくまでもやはり沖縄県側に自主的に決めていただくと、ここをしっかりと尊重してまいりたいと思います。
  57. 井上源三

    政府参考人(井上源三君) 事務的な点につきまして、補足して御説明させていただきたいと存じます。  先ほど委員の方から、人口規模の小さいところ、なかなか金額が少ない、ここを何とかしてほしいんだというお話があるということでございましたけれども、二十四年度、いわゆる均等割という制度ございますけれども、これは五千万となっておりましたけれども、そういうような議論があるところから、二十五年度は均等割一億円に引き上げたということでございます。これも県と市町村の自主的な判断によってこういう措置をしているというものでございます。
  58. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございました。  この辺の均等割の部分の増額というのは、これは地元でもやっぱり市町村、とりわけ小さいところが有り難いというお話もされておりましたので、是非、今大臣御答弁いただいた方向で、もちろん一義的には地元、県の、そして市町村の地元での自主性、尊重するということだと思いますけれども、全体を俯瞰したいろいろな助言を是非国としてもしていただけたらというふうに思っております。  以上、一括交付金関係、議論させていただきましたので、大臣からそういう方向で検討もしっかりしていくという答弁もいただきましたので、今後、私どもとしてもこういう決算の論議含めてしっかりまたフォローさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  そこで、次に、ちょっと時間がなくなってきましたので、簡潔に経済開発特区の関係でちょっと一つだけ確認をさせていただきたいと思います。  これまで様々な特区、それから振興地域等々、税制上の優遇措置とか組んでいただいて、そして推進をされてきたわけでありますけれども、今回、資料の一番最後に付けて、資料の七で付けておりますけれども、生産額、企業数、雇用数、ある種順調に結果を出している特区、振興地域もあれば、苦戦しているというのもあると。大臣、これはもう御存じのとおりだと思います。例えば物流特区なんかは、元々は特別自由貿易地域ということで進められてきたんだけれども、なかなか所期の予定していた結果が出せず、改めて物流特区として物流に力を入れた形でやっていただいて、これはある種成果が出てきているところだというふうに思いますけれども、特区の絡みは、金融なんかちょっとどうなのかなというのがあったりしますが、やっぱり改めていろんな試行錯誤を現場でもしていただきながら、しかし、やっぱり難しい、現実的にこれこのまま続けてもというものはむしろある段階で決断していただいて、より伸びる、沖縄にとって本当にいい特区、いい産業エリア、こういったところに特化をして、さらに資源を集中しながら伸ばしていくと、そういう取捨選択も恐らく必要なんだろうなというふうに思うんです。  今後、特区推進していく中で、大臣、そういう観点で、いいものはより沖縄の努力に応援してあげられるように組んでいく、ちょっと厳しいものは一定の段階で検討するようなことも必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  59. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 今、石橋議員のおっしゃったアプローチはしっかり私も頭に置いておきたいと思います。  今日もこの特区の件についてちょっと内閣府のスタッフと話をしたんですが、この特区も、ある程度結果の出ているものもありますが、しかし、今おっしゃったように、例えば物流特区でしょうか、所得税控除の認定がすごく少なかった等々あって、やっぱりそこに課題があったと、それをしっかりとまず認めないといけないと思っていまして、課題があったからこそ新しい制度にしたのであって、これも、もう時間がないのでざっと申し上げますが、経済金融特区を新しくつくって今までよりも業種を幅広く認定できるようにするとか、これはほかの特区でも言えることなんですけれども、ちょっと認定の要件が厳し過ぎたので、従業員の人数の話とか、あるいは投資の、税額控除の、何というんですか、少しハードルを下げたりとか、やっぱりちょっと使い勝手が良くなかったところはしっかり変えていかなければいけないということで、この間、なぜ制度を変えなかったのかという御意見もあるんですけれども、それは受け止めるとして、一方、今委員にも言っていただきましたけれども、成果の上がっている部分もあるので、ここはここでしっかり見ながら、おっしゃったとおり、これからいろいろ問題が生じたり、あるいはちょっと方向性の転換が必要だということになったときはやはり迅速にという、言葉が分からないんですけれども、適切なタイミングでやっぱりきちっと判断していくということが非常に大事だと思っていますので、今の御指摘はしっかり胸に置いておきたいと思います。
  60. 石橋通宏

    石橋通宏君 ありがとうございます。  この間も大臣言っていただいたように、かなり、要件の緩和ですとか対象地域の拡大ですとか、具体的な改善をかなりスピーディーに沖縄の地元からの要望に応じて取り組んでいただいた、そういうふうにも私たちも評価をさせていただいておりますので、この辺は是非、まさに先ほど言いましたように、やっぱり具体的にこの特区自体が質の高い雇用の創造ですとか県民の皆さんへの暮らしの向上にどう貢献しているのかいないのかと、そういう形で特区も評価をいただいて、よく言う沖縄の課題一つは、いろんな企業が来ていただくんですけれども、結局、そのつくり出された富がまたほかに行ってしまうと。沖縄の中で循環、まさに今政権が御苦労いただいている好循環を沖縄の中で回していただくと、それによって暮らしが高まり、また消費が高まって地元の地場の企業も成長できると、そういう沖縄の中での好循環をどう生み出されるかだと思うんです。  特区も同じで、やっぱり特区で企業せっかく入ってきていただいても全部富がほかに逃げていったらこれは意味ないわけでありまして、沖縄の中でどう循環が回るのかということを評価の対象として是非見ていただければというふうに思いますので、そこはもう大臣うなずいていただいていますので答弁求めませんが、是非よろしくお願いをいたします。  あと最後に、ちょっと済みません、用意をして準備をいただいたものでも質問できなかった部分があって申し訳ありませんが、沖縄科学技術大学院大学について、ちょっと最後に触れさせていただきたいと思います。  ようやくスタートを本格的にされて二年、一昨年、昨年と入学者もあって、今のところ順調なスタートを切られているというふうに理解はしております。  ただ、これまで大学院設置の前にこの議会でも様々審議、議論させていただいた中で、果たしてこの大学院大学、世界に最高峰の大学院大学をつくるんだとやっていただいた。しかし、それが本当に沖縄の振興になるのか、沖縄県民の例えば人材育成ですとかそういったところにどうそれが結び付くのかについては結構議論があったところだというふうに思います。じゃ、果たして、まあまだ一年半ぐらいですから、実際にもっと、効果を見るのはもうちょっと時間が掛かるんでしょうけれども、一年半、実際にスタートしていただいて、まさに沖縄の人材育成、子供たちの人材育成だとか学生たちのレベルの向上だとか、さらには沖縄の地場の企業への貢献ですとか、そういった沖縄への波及効果という観点で大学院大学、現在どのようになっているのかという、大臣自身の御理解でも結構ですので、御説明いただければ。
  61. 山本一太

    国務大臣山本一太君) 申し上げたいことは山ほどあるんですが、もう時間がないと思うので。  OISTについては議員の問題意識を共有していまして、やはりこのOISTがいかに例えば沖縄経済に貢献をするのか、これはもう知的・産業クラスターをどうやってつくっていくかということも大事ですし、人材育成もいろいろやっていますが、こういう試みを今言ったような視点をしっかり踏まえてやっていくべきだと思いますし、今日質問いただけませんでしたが、ネットを使った遠隔授業、これは与那国で見てきて非常に私は可能性があると思っていますので、一応質問項目に入っているので、今日出てきませんでしたが、このネットの話は単にOIST予算だけではできませんが、ちょっとこれもいろいろ考えてみようかなと、昨日、夜寝る前にそう思った次第でございます。
  62. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 時間が参っておりますので。
  63. 石橋通宏

    石橋通宏君 はい。終わりにしますが、今大臣触れていただいたので、是非、沖縄の離島振興、子供たちの教育、これITで沖縄の離島を全部つなげて振興するんだというのも今回の振興計画の中には入っていますので、例えば大学院大学と全ての学校をつないで公開授業をするとか子供たちから世界の専門家が質問を受け付けるとか、そういうことをやって、子供たちの教育にも資する形を是非検討いただきたいと思いますので、そのことをお願いして、質問を終わりにさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  64. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  まず、環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPに関してお伺いしたいと思います。  甘利TPP担当相とフロマン米通商代表部代表による閣僚会議が先週東京で行われております。その席で、フロマン代表がアメリカの自動車の関税の撤廃を三十年後とする案を提示したと新聞で見たんですけれども、これは本当なんでしょうか。
  65. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) いろんな報道がなされました。新聞見ていると幅があり過ぎて何が何だか分からないということでありますが、具体的に数字がどうこうして決着したということは一つもありません。報道に言われている、のようなことは私の知る限りなかったというふうに承知をいたしております。
  66. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大臣、そういうふうにおっしゃっておりますけど、私の周りでは結構それ見た方が驚いて、大勢の方からそういうことを聞いておりますが、今まで日本の農産物関税をどこまで下げるかですとかどこまで譲るかというアメリカからの要求へのリアクションばかり話題になっていて、肝腎のアメリカ側の自動車関税はどうなっているんだろうと思っていたら、この報道が出てきたわけですね。三十年というのは、関税撤廃までの猶予期間としては、私は異例の長さだと思います。ちなみに、米韓FTAでは最長十年、十年で撤廃とされておりますし、日本は現在でも自動車に全く関税を掛けていないわけです。こういったことを比較し、内容的にはアメリカ側は全く譲歩していないにも等しいと思うんです。  以前の質問の際にも申し上げましたけれども、大統領貿易促進権限、いわゆるTPAですけれども、TPAの法案の問題が解決しないと実質的な交渉が成立しないのじゃないかと私も何度も外交防衛委員会で申し上げたんですが、TPP参加の最も大きなメリットと言われていた自動車関税についての交渉状況がこのようですと、TPP参加の意義自体が問われかねません、問われかねないと思います。そして、自動車関連事業の皆さん、日本中多くいらっしゃいますけれども、本当にこれを聞いてがっかりしていらっしゃると思います。  交渉力ということで言いますと、先日、日本は調査捕鯨についての国際訴訟において予想外の惨敗を喫しました。日本側の証人が日本に不利な証言をするという信じ難い不手際が敗因になったと、そういった可能性さえあります。この国際訴訟の日本側の代理人が鶴岡公二内閣議官です。この方はTPPの首席交渉官でもあるわけです。安倍首相がTPP交渉参加時にあれだけ強調しておられた強い交渉力の正体は何だったのかなと思うんですけれども、TPP交渉を見守っている我々としては非常に不安に思わざるを得ない状況ですが、この交渉力に関する御懸念についてどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  67. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 捕鯨のことはよく存じ上げませんけれども、TPPに関して言わせていただければ、今日まで鶴岡首席交渉官は極めてタフな交渉を現場で指揮を執っております。アメリカからも極めて対処しづらい強豪ということの評価をいただいております。  あわせて、TPP交渉の全体の指揮を執るのは私であります。センシティビティーをしっかり受け止めつつ、この交渉を収れんをさせる方向で努力せよと総理から指示をいただいております。各種衆参委員会での決議あるいは我が党の選挙公約、それをしっかり受け止めた上で交渉してきたつもりでありますし、これからもそうしていくつもりであります。
  68. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 その結果がこういうことですと、やっぱり大丈夫かなってほとんどの方が思ってしまうと思うんですが、先日の外交防衛委員会における質問の際にも申し上げたんですけれども、交渉の失敗や不手際について真摯に受け止めないようであれば、まずは交渉戦術のミスに対する分析と反省ができないという問題もありますし、またもう一つ、一番大きいのは国民の信用を失ってしまうということがあると思います。  このような頼りない交渉力ですと、今月二十三日からオバマ大統領が来日した際に、安倍総理が政治決断などと称してまた大統領来日のお土産代わりに更に大統領直接の要求、いろんなプレッシャー掛けてこられるかもしれませんけれども、大幅な譲歩を行ってしまうんではないかと私も非常に懸念しているんですけれども、これは副大臣にもお聞きしてまいりましたけれども、改めて責任者であられる甘利大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  69. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) まず、二十三日から訪日をされるオバマ大統領、そこで行われる日米首脳会談の席において、具体的に私や交渉官が行うようなTPPの交渉はありません。首脳会談までにできるだけ交渉を加速させよというのが日米首脳からそれぞれの担当大臣になされた指示であります。TPP交渉におきましては、全体会合と、それから全体会合をスムースに進めるためのバイ会談が精力的に行われています。  日米が主要項目で最後まで残っているということには二つの理由がありまして、一つは、やはり日米の経済がTPP十二か国に占める経済シェアの八割を占めている、つまり日米がまとまらなければ全体がまとまるということにはなりづらい、ならないということになることが一つ。それから、やはりアメリカとそれ以外の国が、アメリカの交渉力の強さもあるかもしれませんが、国の大きさの違いもあるかもしれませんが、進んでいる中で、日米がなかなか同等のスピード感を出せないというのはやはりタフな交渉をしているからであります。先方も言うべきことは言いますけれども日本もそれを唯々諾々とのんでいるわけではないと。はねつけるものははねつけながら、しかし最終的に収れんしていく方向で努力をしなければいけないわけであります。そういう方針に従って交渉をしているものでありますから、日米間がなかなかそれ以外の国ほどのスピード感を持って妥結に向かっていかないという点だと御理解をいただきたいと思います。
  70. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大臣、そうおっしゃっても、結果を見るとやっぱり譲りっ放しというふうにしか見えないので、国会決議の原点を踏まえて、是非アメリカに対しては毅然と対応していただきたいと思います。甘利大臣もTPP交渉の責任者でいらっしゃいますので、継続的かつ重大な国益を他国へのお土産とすることがないように総理に御忠告いただければと思います。  この度、日豪EPAが合意に達しました。TPPだけではなくて、複数のEPAですとかFTAの交渉が同時並行的に行われているわけです。これらの複数の経済連携協定同士の関係はどうなっているんでしょうか。  例えば、オーストラリアは、TPPの相手国であるのと同時にEPAの交渉相手国でもあります。オーストラリアと牛肉輸入関税など貿易に関する二国間交渉を行う場合、TPP交渉の一部としての交渉なのか、それともEPAとしての交渉なのか、その辺りの交通整理はどこがどのように、どのような方針で行っているんでしょうか。
  71. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 日豪EPAは、大筋では合意をいたしました。しかし、まだ細部、協議するところはまだ残っているわけであります。つまり、まだ未署名であります。それから、TPPはまさに今交渉中であります。  この両者が発効した場合というのは、今からまだ具体的中身は想定できないわけでありますから、その仮定の質問にお答えするのは非常に難しいんでありますが、その上で、これまで我が国が複数のエリアのEPAと、それからその中での二国間のEPAを締結をしたと、そういう例として挙げますと、日・ASEANEPAと、それから個別のASEANの中の二国間EPAを締結した例があります。この二つの協定は、法的な優先関係が、どっちが優先するということは、存在をしていない全く個別の協定であります。  要すれば、二つの重なる協定があると。それは両方とも有効になるわけですね。そのどっちを取るかというのは、選択するのは事業者がどっちを選択するかということになろうかと思います。
  72. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ちょっと今、私の質問した内容をもう一回申し上げると、どのような方針で切り分けを行っているかということをお聞きしたいんですけれども
  73. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) まず、TPPの交渉方針は、TPP担当大臣であります私が責任者で決定しているわけであります。それから、日豪EPAを始めとしたTPP交渉参加国とのEPAは、TPPと異なる交渉でありまして、これは官房長官が中心に関係閣僚で協議をして交渉しているものというふうに承知をいたしております。  それから、TPP交渉とTPP交渉参加国との二国間の交渉についての調整といいますか関係は、私と官房長官とでよく連携、相談しながら進めているというところであります。
  74. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  今回、オーストラリアとのEPAが合意され、牛肉などの関税交渉も決着しました。この成果はTPPの関税合意の一部ということになるわけでしょうか。
  75. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 日豪EPAは日豪の間の問題であります。TPP交渉はTPP交渉で、それはそれでまた別な交渉になります。TPP交渉における二国間の協議というのはTPP交渉を形成していきますけれども、TPPとは別の二国間の協定というのは、それ独立で存在している関係にあります。  ですから、先ほど申し上げましたように、二国間のEPAと、それからその国を含むその地域の全体のEPAが仮に成立したときにはどちらも適用をされると。そして、それを選択するのは、事業者がこちらを選択する、この場合にはこちらを選択するということになろうかと思います。
  76. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 このままですと、日本市場の牛肉価格競争においてアメリカは不利な立場に立たされると思うんですね。交渉当局としては、それを盾にアメリカ側の譲歩を引き出す狙いと思われます。しかし、今後、アメリカとの牛肉関税交渉において、仮にオーストラリアのケースによって相手方に有利な関税条件、つまり、低い関税率で合意をした場合、日本市場での競争において一転して不利な立場に置かれるオーストラリアが交渉をまた蒸し返す。例えば、EPAでは合意しましたけれども、TPPとしての関税交渉は別だという理屈で、今回の成果が無になってしまうということはないでしょうか。いかがでしょうか。
  77. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) まだ厳密には日豪EPAも締結をしているわけではないです。大筋合意ということで、まだ未処理部分はあるわけであります。これが最終的にどういう姿になるかと。それから、TPPはまさに交渉中で、まだ正直な話、大筋合意にも、全体の大筋合意にもまだまだとても距離がある。その前段の日米の大筋合意もまだ姿形は見えてきていないという現状でありますから、両者がどういうふうにセットされるかというのはまだ断定できないわけであります。  でありますから、先ほど、この日豪EPAとTPPの関係について断定的に申し上げるということはどういう姿になるか分からないので申し上げられませんが、二国間と多国間の関係は、日・ASEANとそれから日・ASEAN内の二国間との関係で申し上げれば、これはもう確定していることですけれども、両方有効でありますから、どう選択するかは、例えば輸出関税に関することであれば輸出事業者がどちらを選択するかということになるのではないかというふうに申し上げた次第であります。
  78. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大筋合意だとしても、オーストラリアとの合意を逸脱する合意となると信義の問題にもなってくるかと思います。基本的には、別の枠組みだとしても、同じ関税というものを扱っている以上、TPPの牛肉関税について日豪EPAのラインが妥当の限度かと思います。  EPAですとかTPPなどの複雑な舞台で両方にあおられて、結局守るべきものを守り切れないという結末にならないかと心配しているんですが、要するに、あっちが下げたらこっちを下げる、こっちを下げたら今度はあっちの方が、こっちを下げたからもうこっちの方も下げてくれというふうにならないかということを心配しているわけです。  ここで、外交防衛委員会で一度お伺いしたことなんですけれども、改めて大臣にお伺いしたいと思います。日本経済成長のため自由貿易の推進が重要であることは私も全く同感であります。ですが、これらWTOですとかTPPが目指す自由貿易の推進よりも、環境問題ですとか健康、食品の安全性など命を守ることに関する問題はやっぱり優先するべきと私は考えますが、この点に関する政府の認識をお示しいただきたいと思います。すなわち、より優先度が高いのは自由貿易なのか、それとも命を守ることなのか、明確にお示しいただきたいと思います。
  79. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 命を犠牲にして経済を進めるということはありません。
  80. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私が副大臣にお話をしたときに、どちらかという答えではなくて、両方みたいなお話を聞いたんですね。それから、私の質問主意書に対しても、質問主意書の答弁書もやっぱりそういうことだったので、是非命の方を優先してもらいたいなと思っております。  続いて、ISD条項について質問をしたいと思います。  TPP交渉に関する懸念の一つがISD条項にあります。御承知のとおり、このISD条項とは、政府や企業が投資先の国の対応で損害を受けた場合に、国連などの仲裁機関を通じてその相手国を訴えることができるというものです。TPP交渉も終盤に差しかかっていますけれども、このISD条項は今回のTPPの合意の中に入る見込みでしょうか。
  81. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 日豪じゃなくて、TPPでの話ですね。
  82. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 はい。
  83. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) ISDあるいはISDS条項というのは、今まで日本が二国間で結んできたときに必ず日本からの要求で入れてきたんです。むしろ、相手から言われて日本が受け入れたというんじゃなくて、日本が主張して、どうしても入れてほしいということでやってきたわけなんですね。  このISDS条項というのは、海外へ事業展開をする日本企業が進出先で不利益を受けた際に相手国政府を訴えることができるというものであると。投資をしようと思ったら、突然新たな規制ができて投資が円滑に進まない、そんな話にはなっていなかったはずだというようなことですね。  これは、このISDS条項を入れるということは、我が国企業の予見可能性であるとか法的安定性の向上に資するというものであります。我が国としては、協定上の投資保護に関する記述を実効的なものとして海外投資を行う日本企業を保護するためにISDS条項は必要であるというふうに考えておりますし、その上で今までの経済連携協定を進めてきたわけであります。でありますから、二国間の協定には必ずと言っていいほどこの条項を盛り込んできたわけであります。  今、具体的に交渉の中身がどう進んでいるかということは、外に申し上げづらい守秘義務に関わることでありますけれども日本としては、政府の方針として、このISDS条項は日本が投資をする際にどうしても必要なものだというふうに認識しておりますし、TPPの中においてもそう主張いたしております。
  84. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 甘利大臣の御答弁を聞きますと、もう、そういうことですと、既にTPP交渉は最終盤に来ており、ISD条項が盛り込まれていると考えざるを得ません、特に今の御答弁を聞くと。  もちろん、ISD条項の有効性を認める方もいらっしゃいます。確かに、先進国と発展途上国の間で締結するべきものとしては私は必要だと思います。ですが、今回はそのISD条項が、先進国同士、特に訴訟大国であり、多くの巨大な多国籍企業の本拠地であるアメリカとの間で締結されることに多くの人々は懸念を持っております。  私もアメリカの弁護士として何年かアメリカで弁護士をしておりましたけれども日本では考えられないほど多くの訴訟が日々起きておりまして、本当に軽いきっかけで訴訟になることがたくさんあるということを、私も実例をたくさん見てまいりました。実際に、ISD条項によってアメリカ政府が外国企業に提訴された訴訟で、これまでにアメリカが敗訴した事例は一件もないんですね。  提訴先である国際投資紛争仲裁センターは世界銀行の傘下なんです。世銀の総裁は普通、恒例上アメリカ人なんです。それから、最大の融資国もアメリカなんです。この力関係は全くの無関係とは私は思えないんですね。  アメリカは、投資協定や経済協定に際して何とかISD条項をいろいろ、いろんなところに盛り込もうと試みております。ですが、NAFTAですとか米韓FTAではISD条項をアメリカは受け入れさせておりますけれども、例えばWTOとかOECD、それから米豪FTAなどではISD条項をアメリカは受け入れさせることに失敗しているわけですね。自由貿易や投資受入れにとって問題なくいいものであれば、このような結果にならないと思うんです。  今回のTPPに際しても、オーストラリアはISD条項を組み入れることに非常に心配して反対していると聞いております。どうしてこういった国々は反対しているのか、大臣の御見解をお聞かせいただきたいんですが、御答弁されるときに、他国のことなのでというふうにおっしゃらないでいただきたいんですね。どうしてかというと、やはり他国のことであったとしても、これは日本に関わる問題なので、当然交渉責任者として把握しておかなくてはいけないことだと思うので、なぜこういった国々は反対しているとお思いでしょうか。
  85. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 恐らく、委員が御指摘されているようなアメリカ企業の濫訴に対する懸念ではないかというふうに思っております。  TPP交渉は、先進国の協定交渉ではありませんで、途上国もたくさん入っているわけであります。そして、実は日本企業が投資のフロンティアとしているのは、まさにそういったこれから発展をしていく国であります。  このTPP交渉というのは、やがてFTAAP、東アジア全体を巻き込んだものにつながっていく可能性があるわけであります。その中には、中国その他、ASEANの残りの国もあるわけであります。そういうこれからのフロンティアに向かって、投資する当事者が予見性が持てるようなことになっていかないと、投資したはいいけれども、しかしそれが頓挫すると、こちらの理由でなく、ということだって懸念されるわけであります。  TPPというのは、今までと違って極めて野心が高いということをうたってスタートした協定でありますし、従来のところでカバーされているものより広範囲にいろんなルールを、国際ルールをつくっていく、国際ルールの基礎になるたたき台だというふうにしているわけであります。でありますから、そういうことに勘案をして我々は入れていくべきであると思っておりますし、オーストラリアの懸念というのは御指摘のようなところだと思いますから、そういう御指摘が当たらないように、濫訴防止のための措置をとる等、いろいろ工夫をすべきだというふうに思っております。
  86. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大臣がおっしゃるとおり、他国の心配というのはやっぱり特にアメリカとのISD条項締結が危険であると認識しているからだと思うんですね。  他国がこれほど懸念しているISDですから、オーストラリアなどと共同歩調を取って、TPPの中にはISDを含めず、日本にとって必要な国とだけ個別にEPAですとかFTA、投資協定などでISDを規定することも検討したらいかがかなと思うんですが、そのような検討をされたことはございますでしょうか。
  87. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 交渉の余り具体的中身に触れないようにしゃべるのは非常に私の頭の中の整理が難しいのでいろんな話をするのでありますけれども。  ISDSについて反対をしている国は、実は極めて少ないんです、TPP交渉国の中で。そこがゆえに、ISDSで懸念されている部分を精査しながら、いいところがきちんと出て、懸念されているところが極力少ないような工夫をしているというところであります。
  88. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 でも、実際にオーストラリアなんかは懸念しているわけですから、そういった国々がなぜこんなにも心配しているのかということも考慮しなくてはいけないと思うんですね。  あと、日本は今回の交渉参加国とほとんどEPAなどの締結をしているか若しくはEPAなどのほかの経済協定を交渉中です。リスクを避ける柔軟な考えも必要だと思いますので、是非御検討いただければと思います。  さて、政府・与党は、TPPへの交渉参加に際して掲げたTPP交渉参加の判断基準六項目について、こういうことを言っております。国の主権を損なうようなISD条項は合意しないとしているんですね。安倍政権は、民主主義制度下の政権としてこの公約を遵守する責任を負っていると思います。交渉の方針として、どのような項目があれば国の主権を損なうISDで、逆にどのような項目があれば国の主権を損なわない安心なISDなのでしょうか、明確に御答弁いただきたいと思います。
  89. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 結論から申せば、ISDSも含めて、党公約で掲げられていること、あるいは衆参農水委員会で決議されていること、そこの中身に最終的にぎりぎり、あるいは余裕を持ってというのが一番いいんですけれども、少なくとも抵触しない範囲であるという判断は最終的には議会でされるわけであります。  党のこの公約、政策担当者がどういう思いでISDSへ、その詳細についてこれとこれとこれとこれということでお決めになったのか、あるいは衆参農水委員会が五項目等についてどこまでの思いでお決めになったかというのは、最終的にはこちらがつくったものとの整合性で判断していただくしかないと思うんですね。  とにかく、これでは主権が損なわれるではないかというのは、ある種、絶対的な要件というよりも、この内容であるならばこの決議に整合性を取るという判断は、最終的にはその判断をつくられたところで交渉結果の中身と見比べて御意見をいただくものだというふうに思っております。
  90. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大変なことになってしまったら終わりなので、リスクを避ける柔軟な考え方も、先ほども申し上げましたとおり、検討していただければと思います。  続いて、国民皆保険についてお話をしたいと思います。  一九六一年に国民皆保険制度が施行されて五十年以上が経過しました。全ての国民に対して医療サービスが提供される、世界に誇る私はすばらしいシステムだと思います。政府は繰り返し国民皆保険制度の堅持を言明されておりますけれども、この皆保険制度がTPP参加後にも維持できるのかという私は根強い不信感を最近持ち始めました。  この国民皆保険に関し、混合診療の問題があります。日本では混合診療の禁止を原則とし、その例外として保険外併用療養費の制度を位置付けております。現政府は、日本再興戦略や国家戦略総合特区などにおいてもこの保険外併用療養を拡充するとしています。また、政府規制改革会議、三月二十七日に行われましたが、保険外診療と保険診療を併用する混合診療の拡大案を厚生労働省に示しております。内容としましては、現行では政府が原則禁止している混合診療を、同会議案は患者と医師の合意で個別に選べるとしたものです。  この方針については、日本医師会、健康保険組合ですとか国民健康保険などの団体も、個別の診療の有効性ですとか安全性を判断するのは困難として反対を表明しております。  専門家の方々による安全性に関する懸念についてはどのようにお考えでしょうか。
  91. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) まず、規制改革会議で提案をいたしております選択療養制度ですが、これは、混合診療の解禁ではなく、現在認められております健康保険法の保険外併用療養の中の一形態として、評価療養、選定療養のほかに、今、選択療養制度を認めてはどうかという提案でございます。  これは、困難な病気と闘っている患者が病気を克服しようとして希望する治療の選択肢を拡大しようというものでありまして、しかもそれは、患者と医師が合意をすれば全て認めるというものではなくて、合理的根拠が疑わしい医療、また患者負担を不当に拡大される医療は除外をする方向で検討が進んでおりまして、単に患者と医師が合意すれば何でも併用を認めるというような混合診療の全面解禁とは全く質の異なるものでありまして、今委員が御指摘になりました国民皆保険制度、これは日本が世界に誇る制度であるということは認識を一致した上で、この国民皆保険制度を損なわない制度として提案をされているものでございます。
  92. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 現在提案されている選択療養制度のように、有効な歯止めもなしに拡充するようですと、保険外診療が飛躍的に拡大し、実質的に混合診療の全面解禁に近い状況になるのではないかと心配しているわけです。すなわち、国民皆保険が形骸化するのではないかという懸念なんです。その辺りの歯止めに関してはどのようにお考えでしょうか。
  93. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) あくまでも、この選択療養制度は、現在の認められている保険外併用療養制度の中で認めるというものであります。  今御指摘の合理的な根拠が疑わしい医療、また保険外診療のみを目的とする場合などはあらかじめ選択療養として認めない方向で、その一定のルールというものを今会議の中で検討しているところでございます。
  94. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私は、それだけでは実質的に歯止めとは思えないんですね。そのような御答弁ですと、国民皆保険の堅持を、維持を願う人々は懸念を拭えないと思います。安全性、有効性が確認された医療であれば保険の対象にしていくという方向性が正しいのではないかと私は思います。  保険診療では診療報酬が制定されていますので、自由診療の方が利潤を獲得しやすい面がございます。TPP参加によって、自由診療を推進する外国人医師と外資系医療機関が参入するのではないかと心配しております。  現に、厚生労働省は、世界でトップクラスの外国人医師が高度な医療技術を日本人医師に伝授したり国際水準の臨床研究を共同で実施したりする場合に、日本人患者に対する診療ができるよう制度を改めると発表しております。そのような参入の自由化の末、高度な医療技術を持つ外国人医師や外資系医療機関に高所得の患者が集中することになって、保険診療を行う病院が減って、国民皆保険が崩れるのではないかという懸念がございます。  こういう懸念はないと言ってよろしいでしょうか。
  95. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) あくまでも、今提案をいたしております選択療養は、評価療養では救えない、国があらかじめ対象を定め不特定の患者に一般に適用されるもの、しかも評価でおおむね三か月ないし六か月の期間を要するものとは別に、国があらかじめ対象を定めるのではなく、困難な病気と闘う患者の個別ニーズに迅速に応えるために短期間で併用が認められるものとして考えられております。  また、一定の安全性、有効性のルールも定められるということでございますので、国民皆保険制度が損なわれるというような懸念はないというふうに考えております。
  96. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 引き続きの交渉努力を期待しております。  次に、防災について幾つか質問があったんですけれども、時間が来てしまいましたので、私の思いだけを聞いていただきたいと思うんですが、私は、防災・減災のための対策として、まずソフト面、ソフト面の対策を優先するということ、それから次に、既存の設備の老朽化対策、耐震対策、既存のものを修理するとか、そういったことを検討する、そして、これらでもどうしても不十分な場合、初めて新規の社会資本インフラに関するコンクリート事業を検討する。私は、財政上の限界をしっかりと踏まえた上で防災対策をするべきだと思います。  時間となりましたので、ここで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  97. 風間直樹

    ○風間直樹君 民主党の風間直樹でございます。  菅官房長官、日々の重責、大変お疲れさまでございます。今日はよろしくお願いします。  今日は、いわゆる安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会について、その費用の拠出と法的根拠を確認させていただきたいと思います。  余り報道等では出ておりませんが、この懇談会には、法的に見た場合、いろいろ問題があるかというふうに考えております。つまり、この名称、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会ですが、冗談のような話なんですが、この懇談会そのものに法的基盤がないんじゃないかと、こういう問題であります。  そこで、お尋ねをします。このいわゆる安保懇に所属する有識者への報酬ですが、一人当たり幾らでしょうか。
  98. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  内閣官房内で定められた諸謝金の使用基準に基づきまして、座長については二万九百円、委員については一万八千円の謝金を支払っているところでございます。
  99. 風間直樹

    ○風間直樹君 つまり、通常の審議会などとは違って、謝金しか払われていないと。非常に高名な有識者の先生方でありまして、私も知人が何人もいらっしゃいますが、この方々の識見に見合った報酬なのかなというと、疑問の残る金額だと思います。  次に、安保懇の開催と運営に関わる予算額は幾らでしょうか。
  100. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  これまで六回開催された安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関して、諸謝金として百三十九万四千七百円、交通費として百六十七万四百八十七円、会議費として一万一千四百四十四円を支出してきているところでございます。
  101. 風間直樹

    ○風間直樹君 今交通費について百六十七万円余りというお話がありましたが、恐らくこれは座長に支給されているものかと思いますが、柳井俊二座長、今ドイツにお住まいのようでありまして、この懇談会の開催のためにドイツから日本に渡航されるやに聞いておりますが、この柳井座長が渡航した回数及び旅費、滞在費の支払額をお尋ねします。
  102. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  柳井座長が懇談会への出席のためドイツから日本へ渡航した回数は二回でございますけれども日本に滞在するための費用は払っていないところでございます。なお、柳井座長に支給した交通費については百四十一万六千三百七円でございます。
  103. 風間直樹

    ○風間直樹君 法律と閣議決定にのっとれば、この懇談会への費用拠出が果たして適法なのか、あるいは違法なのか、こういう問題が実は出てまいります。このことを法律で確認していきたいと思います。  憲法上要請されている行政とは法律の執行のことでありますが、憲法第七十三条の第一号、法律を誠実に執行することは、いわゆる法律による行政の原理を示す規定であると考えます。政府の認識を伺います。
  104. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お答えをいたします。  今お尋ねのございました法律による行政の原理ということでございますけれども、私ども、行政は、法律に基づいて、かつ法律に従って行わなければならないという大原則、基本的な原則のことをお示しだと思いますが、憲法上の規定につきましては、例えば、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と規定する憲法第四十一条というものもそういうものの根拠になると思いますし、また、御指摘の憲法七十三条第一号などもそうした考えを示すものとして承知しております。
  105. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日は、そんなわけで、配付資料として憲法のこれに関する条文をお配りいたしました。  次に、法律による行政の原理とは、当然、重要な行政を担当する組織、これを法律で定めなければならないという憲法上の要請になると考えますが、いかがでしょうか。
  106. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お答えいたします。  今お答えいたしました法律による行政の原理ということからすれば、やはり行政をなす国家機関というものについての法律の縛りというのも必要になってまいりまして、国家行政組織の基幹を成す省庁の設置ですとか、国民の権利を制限する、あるいは義務を課すという処分をするような機関については当然法律に基づくことが必要であるというふうに考えております。
  107. 風間直樹

    ○風間直樹君 こういう考えに沿いますと、いわゆる安保懇というのは、政府から連日、この報告文書を参考に政府方針を決める、あるいは閣議決定すると、こういう声明がなされておりますので、極めて重要な行政を担当する組織であると。したがって、法律にのっとって定めなければならない、その設置を定める必要があると、こういうことになるわけであります。  こうした重要な行政組織について、国民主権の原理に基づいて国会の統制下に置かれなければならないというのが我が国の憲法あるいは他の重要法規の要請するところであります。国家行政組織法や各府省の設置法があるのもそのためだと考えるわけでありますが、政府の認識を伺います。
  108. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) お答えいたします。  先ほど申しましたように、国家行政組織の基幹となる組織である省庁の設置ですとか、国民の権利を制限する、あるいは義務を課する処分を行うような機関については法律に基づいて設置されるということが必要であるという考え方をお答えいたしましたけれども、現在の法体系の中では、内閣の統括の下における行政機関の組織につきましては、国家行政組織法あるいは内閣府設置法等の法令に定める基準に従い、法律又は政令等により設置されるべきものというふうに考えております。
  109. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうしますと、法的根拠なしに重要な行政組織がつくられて、そこで重要な行政判断が行われることは憲法の定める法律による行政の原理に反する不公正行政というほかないと考えるわけですが、いかがでしょうか。
  110. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) ただいまお答えしましたように、行政組織ということでございますので、それは先ほどお答えいたしましたように、国家行政組織法ですとか内閣府設置法等でこういう組織はこういう形でという形で、省庁あるいは委員会、あるいはその内部部局という形で定められておりまして、そこに規定されたようなものが法令に基づく国家の行政組織ということとして今認識をされておるということだと思います。
  111. 風間直樹

    ○風間直樹君 近藤さんでしたでしょうか、大変、法制局で頭がいい方でいらっしゃるので巧みに答弁をされていらっしゃいますけれども、今の答弁、重要な部分をそらされましたね。今日の私の質疑は一貫して、この安保懇が国民主権の原理に基づく国会の統制下に置かれるべきじゃないかと、そのための法制があるにもかかわらず、それにのっとってつくられていないんじゃないかということをお尋ねしているわけであります。  次の質問に移ります。  平成十年に制定されました中央省庁等改革基本法という法律があります。この三十条第四号には、「審議会等の委員の構成及びその資格要件については、当該審議会等の設立の趣旨及び目的に照らし、適正に定めること。」と規定されていますが、この趣旨は何でしょうか。
  112. 若生俊彦

    政府参考人(若生俊彦君) お答えいたします。  審議会等は行政外部の者を構成員として調査審議を行うものでありますので、その結論は委員の構成、資格要件によるところが大きいと、こういうことから、御指摘の中央省庁等改革基本法第三十条第四号において、当該審議会等の設立の趣旨及び目的が達成されるよう、それらを適正に定めるべきことを規定したものでございます。  これを踏まえまして、個々の法令において委員の構成、資格要件を定めているというところでございまして、こうした個々の審議会等の在り方についての基本的な考え方を示したものということでございます。
  113. 風間直樹

    ○風間直樹君 今御答弁あったように、審議会というのは法定機関なわけですね。法定機関ですから、当然、国会の統制の下でメンバー構成などについて国会の監視を受けていると。このことをこの法律は規定をしているわけであります。  次に、配付資料一ページの①の部分を御覧ください。これは平成十一年の閣議決定文書の一節であります。  中央省庁等改革の推進に関する方針というのがありまして、その二番に審議会等の整理合理化に関する基本的計画というのが出てくるんですが、その一の(二)に記されているのがこの傍線部であります。審議会等の運営の改善、審議会等の運営の改善については別紙三の審議会等の運営に関する指針により行うものとするとされていて、傍線部を読みますと、「委員の任命に当たっては、当該審議会等の設置の趣旨・目的に照らし、委員により代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡のとれた構成になるよう留意するものとする」と。  この意見、学識、経験等が公正かつ均衡の取れた構成になるように留意して国の審議会等法定の組織についてはメンバーを選びなさいよということが書かれているわけでありますが、この趣旨について御説明をお願いします。
  114. 若生俊彦

    政府参考人(若生俊彦君) お答えいたします。  委員指摘の指針については、先ほど御説明いたしました中央省庁等改革基本法第三十条第四号の規定について、合議体としての意見を取りまとめるという審議会等の性格に鑑みまして、審議会の整理合理化に併せて、その運営の改善を図るための留意点として適正に定めるとの趣旨をより具体化したものというふうに承知してございます。
  115. 風間直樹

    ○風間直樹君 つまり、安保懇を法定組織にすると、今御答弁いただいた趣旨にのっとって、有識者の意見のバランスに配慮をしてメンバーをそろえる必要が出てくると。つまり、法定組織になると、今御紹介した指針に基づいてメンバー構成を国会から干渉されると、こういうことになるわけであります。  そこで、官房長官、お待たせをいたしました、お尋ねをいたします。  憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を認めるかどうかについて議論する組織が、この安保懇のことですが、法律の根拠を持っていないというのは、今までるる申しましたように、国民主権に基づく法律による行政の原理に著しく反するのではないかと、このように考えますが、いかがでしょうか。
  116. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) まず、今議論になっていますこの安保法制懇でありますけれども平成十一年四月二十七日に閣議決定された懇談会等行政運営上の会合の開催に関する方針に言う懇談会等行政運営上の会合に該当するものとして、平成二十五年二月七日付けで内閣総理大臣の決裁によって開催をすることになったものであります。そして、この懇談会等の行政運営上の会合は、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場として性格付けられたものとされており、政府としては、安保法制懇における議論報告書については行政運営上の参考として扱うことになります。  何回となく答弁もいたしておりますけれども政府としては、こうした安保法制懇から報告書が提出をされた後に、これを参考に政府としての基本的方向性を示し、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後に、閣議決定を行い、国会で御議論をいただくことを考えているということであります。したがって、法律による行政の原理に著しく反し得る、そういうものではないというふうに思います。
  117. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、菅先生、大変重要な答弁をされたと思うんですが、この平成十一年四月二十七日の文書、中央省庁等改革の推進に関する方針ですね、私も随分線を引っ張って読みました。  今御答弁された、このいわゆる安保懇がこの閣議決定の文書にのっとって設立をされたという点ですが、この文書のどこにのっとっているのか御説明いただけますか、政府委員でも結構ですが。
  118. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針では、懇談会等行政運営上の会合というものについて扱うということを定めておりますが、これは行政運営上の参考に資するために、大臣等の決裁を経て、大臣等が行政機関職員以外の有識者等の参集を求める会合であると、同一名称の下に、同一者に、複数回、継続して参集を求めることを予定しているものということでございまして、そのようなものとして安保法制懇も位置付けているものでございます。
  119. 風間直樹

    ○風間直樹君 今御答弁いただいた方は法制局の方ですか。所属はどちらですか。
  120. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 内閣官房の国家安全保障局の審議官でございます。
  121. 風間直樹

    ○風間直樹君 法制局、今の答弁で間違いないですか。
  122. 近藤正春

    政府参考人(近藤正春君) 突然のお答えでちょっと、私ども、その政府の方針に基づいて懇談会等が設置されているということは承知しておりますけれども、具体的に安保法制懇との関係については、実務も全く関知しておりませんので、お答えすることは差し控えたいと思います。
  123. 風間直樹

    ○風間直樹君 内閣官房に申し上げておきますが、内閣法制局と十分すり合わせをされた上で答弁された方がいいですよ。今の御答弁はこの閣議決定の文書に全くのっとっていない答弁ですよ。菅官房長官に対しても、あなたたちがきちんと事前に説明をして、官房長官としてふさわしい御答弁をいただくように努力する必要があると思います。今の答弁は不的確答弁です。  なぜ、この閣議決定の文書にのっとっているんだったら、安保懇が、この有識者の人たちにあれだけの謝金しか出ていないんですか。おかしいでしょう。審議会のメンバーにはもっとちゃんとした報酬が支払われています。なぜかというと、それは法的な組織だからです。国民主権の下で、国会統制の下でそのメンバー構成について国会の監視を受けた法定組織だから、きちんとした報酬が支払われている。この安保懇のメンバーには支払われていないんですよ、違いますか、内閣官房の方。
  124. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 先ほど御答弁いたしましたとおり、この安法懇のメンバーの方には内閣官房で定められた諸謝金の使用基準に基づいて謝金を支払っているところでございまして、これは他の懇談会等も同様であるというふうに認識をしております。
  125. 風間直樹

    ○風間直樹君 こうやって追及されるとそういう答弁で逃げざるを得ないですよね、気の毒ですけれども。完全な違法組織です。ですから、今あなたがおっしゃっていることは、国会でどれだけこの質問から逃れるか、そういう答弁にすぎないということを申し上げておきます。  この平成十一年当時は、たしか橋本内閣だったと思いますが、いろんな審議会や総理の私的諮問機関というのが乱立をした時代です。余りにも増えたので、この審議会が隠れみのになって行政が不公正になってしまった。誰が責任を取っているのか全く分からない状態になった。そこで、この閣議決定の文書を定めて、審議会に任せることで責任逃れが生じるという状態を改善しようとした、それがこの決定文書なんですよ。今御答弁されたことは、このときの閣議決定の精神に完全に違反する内容です。こんな答弁していたら内閣もちませんよ。内閣官房、いいですか。非常に重要な問題です。  次に移りますが、こういうふうに考えていきますと、この法にのっとって正式な審議会の位置付けを安保懇についてすれば、どうしても安保懇というのは、安倍総理ですとか今の政府のお考えに必ずしも一致しない有識者の集まりとせざるを得ないんです。それがこの閣議決定文書の求めるところなんですよ。そうなると、解釈改憲というのはどうしても不可能になる。そのために法的根拠を持たせない単なる懇談会をつくったと私は考えています。それは明白な脱法行為だと考えています。この点について、最初は答弁を求めようとしましたが、今のように迂回答弁が予想されますので、これは答弁求めません。  皆様には配付資料の二ページ目を御覧いただきたいんですが、この二ページ目の資料、懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針、これによれば、審議会等とは異なり、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場にすぎない。そして、その下の傍線部ですが、「聴取した意見については、答申、意見書等合議体としての結論と受け取られるような呼称を付さないものとする。」と、このように定めています。  つまり、安保懇が出す文書というのは答申でもない、意見書でもない、報告書でもない、単なる文書なんです。報告書の扱いを受けることができない文書ですから、法的には無意味な文書にすぎませんが、この点について確認を求めます。
  126. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、これは、平成十一年四月二十七日、これは先ほども申し上げました、正確に言いますと閣議決定をされた審議会等の整理合理化に関する基本計画の中で、別紙として懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針と、こういうものがございまして、その中で先ほど申し上げたように位置付けられているものでございますけれども、この懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針に言う懇談会等行政運営上の会合に該当するものとして、平成二十五年二月七日付け内閣総理大臣決裁によって開催することとなったものでございます。  この指針では、懇談会等行政運営上の会合について、聴取した意見については、答申、意見書等合議体としての結論と受け取られるような呼称を付さないものとするとされておりますけれども、安保法制懇の報告書は行政運営上の参考として扱うということにしてございます。  したがって、政府としては、これまでも繰り返し御説明しているとおり、安保法制懇から報告書が提出された後に、先ほど官房長官からも答弁がありましたように、これを参考に政府としての基本的方向性を示し、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、検討するということになってございます。  いずれにしても、まずは安保法制懇の議論を待ちたいというふうに考えているところでございます。
  127. 風間直樹

    ○風間直樹君 お名前は何とおっしゃいましたっけ、政府委員の方、今の。
  128. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 武藤君です。
  129. 風間直樹

    ○風間直樹君 武藤さんですか。武藤さん、でたらめ言っちゃ駄目ですよ。あなたの答弁は全くこの法にのっとっていない、うそです。事実と異なる答弁です、それは。厳しく指摘をしておきます。武藤さんを責めるつもりは私はありませんけれども、武藤さん、そういう答弁されていると、後々、あなた、法の解釈を曲げるとして歴史に評価されますよ。それを法匪といいます。法匪と言われるような答弁は国会の場でしないでください。あなたがおっしゃっていることは、全く事実と違う。  ですから、私、先週、先日の外交防衛委員会でも世耕官房副長官に同じ問いをしましたが、この問いに対しては政府から明確な答えが返ってこないんです。答えられないんですよ、今の武藤さんのように。この閣議決定の文書の内容をねじ曲げて答弁せざるを得ないから、そういうお答えになる。  国会で、武藤さん、そういう答弁しちゃ駄目だ。もっときちんと、この閣議決定当時の状況をよく踏まえて、この文書の内容にのっとって答弁をしてください。これからも繰り返しお尋ねしますよ。二度とこういう答弁をされないように要請をしておきます。  戻りますが、この安保懇が出す文書は、平成十一年四月二十七日のこの方針にのっとれば、これは報告書の扱いを受けることができないんです。そのことを内閣法制局そして内閣官房は、菅官房長官始め政権首脳にきちんと説明をされていますか。していないから、政府の首脳がちゃんと国会の場で答弁されないんじゃないですか。これは非常に重要な問題です。  この安保懇という組織、すばらしい有識者を集めていらっしゃるんです。私も学生時代に国際政治を専攻していましたので、このメンバーの有識者の皆さんには多大なる薫陶をいただきました。でも、残念な組織になってしまっているんです。法と閣議決定を逸脱している。そして、法的に無効な組織になってしまっている。メンバー構成に十分バランスを取ることに配慮していないから、国会の統制下に置かれない組織が出すペーパーを参考に政府方針を決めると、今政府から繰り返しそういう話が出ていますが、それは国民主権の原理に著しく反する、この点は指摘をしておきたいと思います。  そこで、菅長官にお尋ねをします。  四月十日の報道によりますと、政府は、集団的自衛権行使容認のプロセスについて、安保懇の報告書をまず出して、その後政府方針を決め、さらに与党の協議を経た上で閣議決定するという手順を考えていらっしゃるようですが、これは場当たり的に、これまでの御説明に比べますと段取りが変わっているようにも見えます。このすぐには公表しない政府方針なるものの位置付けは何でしょうか。
  130. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほど私、答弁申し上げましたけれども、まず、安保法制懇の報告書が提出された後に、これを参考に政府としての基本方向性を示して、内閣法制局の意見も踏まえ、与党と相談の上という形の中で対応した後にこの閣議決定を行うということを申し上げております。  今委員から御指摘のありましたこの四月十日付けの新聞報道、どういう形で報じているのかよく分かりませんけれども、すぐには公表しない政府方針ということはあり得ません。その報告書を、というのは、今、会をやっていますから、そうしたものを参考にしながら、今政府としてはその基本的方向性について取り組んでいるところでありますから、すぐに出さないということにはならないというふうに思います。
  131. 風間直樹

    ○風間直樹君 皆様には配付資料一ページ目の③という部分を御覧いただきたいと思います。  内閣法の四条でありますが、総理が閣議を主宰し、傍線部ですが、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を閣議において発議できると、このように定めています。  集団的自衛権の行使を認めるかどうかといった解釈は、これは憲法のいわゆる基本原理、平和主義と戦争の放棄に関わる重大問題であります。ですから、一内閣で決めることができる、ここに定められた重要政策ではあり得ないわけです。よって、憲法解釈の変更を閣議決定で決めるということはこの内閣法四条に照らせば許されないと考えますが、この点いかがでしょうか。
  132. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われております。まずはこの懇談会における議論を待ちたいと思っております。  その上で、その懇談会の中での議論を御紹介すれば、そもそも憲法には個別的自衛権や集団的自衛権についての明文の規定はなく、個別的自衛権の行使についても、我が国政府は憲法解釈を固めることによって認められるとした経緯があると。そうであれば、個別的自衛権に加えて集団的自衛権の行使が認められるという判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにするということによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は当たらないと、そういう意見も懇談会の中では表明されているところでございますが、政府としては、いずれにしても懇談会から報告書が提出された後に、先ほどから申し上げておりますように、これを参考に政府としての基本的方向性を示し、内閣法制局の意見等も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応してまいりたいということで、そういうことでございますので、内閣法第四条二項に言う内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件として、閣議決定を行う場合には行い、国会で御議論いただくということを考えてございます。
  133. 風間直樹

    ○風間直樹君 いや、だんだん私、武藤さんが気の毒になってきた。こういう答弁しかできない、許されない。これ、法制局ときちんと事前にすり合わせをしていれば、こんな答弁、国会でできませんよ。内閣法四条、私が聞いているのに触れない。内閣法の四条は、時の内閣に課せられた蓋なんです、縛りなんです。その上に憲法があるんです。憲法の規定にのっとって時の内閣国民主権に基づいた重要政策を行っていく、そのことを定めているのがこの内閣法四条なんですよ。武藤さん、あなたはそれに全然触れないでしょう。この中継、今インターネットで多くの国民が見ています。その国民に恥じない答弁を、あなた、してください。そんな答弁では、内閣もちませんよ。繰り返しこのことはこれからも指摘してまいります。  内閣法四条の二項は、時の政府が恣意的な解釈によって憲法の規定を曲げないように定めた規定です。繰り返しますが、憲法は内閣を縛るものであり、内閣法四条で内閣の重要政策に蓋をかぶせています。つまるところ、この安保懇の報告書閣議決定という法的根拠がない部分を無理やり通そうとするから、先ほどの政府方針、格式を付けるためにそれをクッションに入れざるを得ないのではないかなと私は感じています。  連日、官邸の中でも官房長官中心に様々な議論をなされていると思いますし、法制局や内閣官房からも説明がされていると思いますが、今多分、内閣官房や法制局は、この憲法や法の規定にのっとらない部分をどう埋めるか、そこに腐心をしているのではないでしょうか。そのことを私はこの政府方針という言葉から感じています。  官房長官、最後に長官と議論をさせていただきたいんですが、我が国を取り巻く安全保障情勢、非常に厳しさを増しております。領土もそうでありますし、朝鮮半島で一旦有事が起きた場合には、確かになかなか現行の法制では対処し切れない部分もあるだろうと私も感じることがございます。  ただ、問題は、この集団的自衛権の行使のようなまさに憲法の平和主義、九条の原則に関わる問題については、我が国に一旦緩急の状況が訪れるだろうと予想する場合、あくまでも国会から発議をし国民の意思を確認した上で変えるなら変えると、このプロセスを経ることが大事なのではないでしょうか。私はその点を、この間、政府の様々な発言を聞きながら強く感じているところでございますが、官房長官の御所見を伺います。
  134. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) まず、この安保法制懇について、位置付けについて先ほど御議論がありました。  民主党政権のときにも、新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会を始め、同じような位置付けの中の懇談会が開催していたということは、私からこの件についても申し上げたいというふうに思います。  さらに、その上で申し上げるならば、総理が、今委員指摘になりましたけれども、これだけ安全保障を取り巻く環境が変化をしている中にあって、国民の皆さんの生命、財産、そして国の安全を守っていく、これについて現状でいいかどうか、そういう中でこの安保法制懇というものをつくらせていただいて、総理決裁で、そしてどのように対応できるかという様々な議論をいただき、そこから報告書、そうしたものを参考にして、これはあくまで決めるのは私たち内閣決定をしますから、そうしたものを参考にした上で、内閣として国民の皆さんの生命、財産、そして安全を守る、そのために必要であれば当然法改正というもの、日本は法治国家でありますから、そうした法律に基づく中で行っていくというのは、これはやはり内閣としての私は責務だというふうに思っております。  その中で、いろんな御議論、今委員からあったわけでありますけれども、私たちの立場とすれば、安保法制懇からの報告を受け、そうしたものを、今日まで何回となく会を開催をしていますので、そうしたものを参考にしながら政府としての基本的な方向性を示して、そしてそのことをまず与党の中に説明をして、与党で了解をいただいて、仮に憲法解釈の必要ということがあればそこは閣議決定をして、そして国会で御議論をする。そして、現にこの法律を施行するとなれば法改正がこれ必要になってきますから、委員御承知のとおり、多くの法律が必要になってきます。  ですから、国会の中で堂々と議論をしながら、方向性をしっかりと打ち出して、国民の皆さんの生命、財産、国の安全を守るという、そこをやはり私たちは政府の責任の下に行っていきたい、その思いであります。
  135. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日は大きく三点の指摘をいたしました。  今、長官、民主党政権時代も総理の私的諮問機関があったという御指摘ございましたけれども、確かにあったと思います。今日私がここで述べましたのは、そうした私的諮問機関を通して憲法の基本原理に関わる変更をするということが果たして国民主権の観点からいかがなものかと、この指摘であります。  安保懇については、平成十一年四月二十七日の閣議決定の文書にやはりのっとっていない、つまり法的な基盤を持たない組織でありまして、法的基盤を持たない組織が安全保障の法的基盤の再構築を御議論するのはいかがなものかなというのが二点目であります。やはりこうした憲法の基本原理を変える可能性がある議論をする場合には、安保懇をきちんと法定組織にする、そして意見のバランスに配慮してメンバーをそろえる、その上で国会がきちんとこのメンバーを、人選を監視して議論を行ってもらう、このプロセスが大事ではないかと思います。  そして、三点目に指摘しましたのは、内閣法の四条、閣議に諮ることができる重要政策とは決して憲法解釈の変更を含むものではないと、この点を三点目として指摘したわけであります。  今日は決算委員会でありますのでお金の話を切り口にさせていただきましたが、会計検査院の仕事というのはなかなか幅広く大変だと思います。このように、総理の私的諮問機関に対する謝金の支払が、果たして法的にのっとって、そこに基づいて行われているかということも、我々国会議員が国民の負託を受けてきちんとチェックをしていかなければならない問題だろうと思います。官房長官には、また後日議論させていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  136. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  137. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十三年度決算外二件及び平成二十四年度決算外二件を一括して議題とし、皇室費内閣内閣府本府、経済産業省消費者庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  138. 新妻秀規

    新妻秀規君 公明党の新妻秀規と申します。  本日は、防災体制と情報収集衛星についてお尋ねをいたします。  最初に、内閣府にお尋ねをいたします。  観測機器に関わる支障対策についての件です。気象庁は、予報、警報を発令する際に、同庁以外の様々な関係機関、例えば大学とかあと研究所とかありますけれども、そうした機関からも観測データの提供を受けておりますが、こうした機関では、観測網の停電などの支障対策について明確な対応方針がありません。事実、東日本大震災などでは、観測データの確実な提供が得られませんでした。  会計検査院は、この問題について、平成二十三年度の検査報告において、総合的な支障対策の検討を国に求めました。具体的には、以下のように指摘しております。  気象庁がデータ提供機関の震度計、津波計で得られる観測データの提供を得られない場合、同庁はきめ細かな観測結果の発表ができない状態になる。そして、各地域における観測結果は、国及び地方公共団体の初動体制の確立や的確な被害状況の把握等に影響を与える重要な情報であることから、この情報が一部でも発表できない状況になることは望ましくない事態である。このように、観測網の支障対策が各機関によってばらばらとなっているのは、国として防災対策の見地からの総合的な調整を行う機関がないことによるものである。したがって、国は、防災対策の見地から、災害発生時等においても各データ提供機関の観測データが確実に気象庁に提供されるよう総合的な支障対策を検討する必要があると認められる。このように指摘をしております。  この指摘に対して、国としてどのように取り組んでいくのでしょうか。防災についての横串の役割を果たすと期待されている内閣府にお尋ねをいたします。
  139. 日原洋文

    政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、東日本大震災におきましては、長期の停電や地上通信回線の断絶等によりまして、気象庁におきまして観測データの収集が十分に行うことができず、緊急地震速報を始めとする地震情報の適時適切な提供に支障を来したところでございます。  これを受けまして、まず気象庁におきまして、停電でも三日以上稼働するバックアップ電源の確保、衛星回線を通じた地震観測データの送信機能の強化を行うとともに、近い将来発生が予測される南海トラフ地震等に備えるため、太平洋側を中心に地震観測点を増設するなど、観測体制の強化を図り、まずは国の初動体制に支障を来すことのないよう、地震情報の提供に必要な基本的な観測は気象庁自ら実施できる体制というものの構築を進めていると承知しております。  ただ、委員指摘のとおり、気象庁におきまして、独自の観測データを補完し、その精度の向上を図るための防災科学技術研究所や地方公共団体等の関係機関からの観測データの利用というものも大変重要だというふうに認識しております。このような関係機関からの観測データにつきまして、より精度の高い地震、津波に係る予報、警報の提供を図るという観点、あるいは非常に重要な情報源として、内閣府といたしましても、気象庁を始めとする関係機関と連携して、バックアップ電源の確保の推進など、まず調査をした上で、必要に応じて適切な対応を取られるよう働きかけてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  140. 新妻秀規

    新妻秀規君 ということは、内閣府がこの問題については責任を持って連携体制をしいてくださる、このように理解してよろしいでしょうか。
  141. 日原洋文

    政府参考人(日原洋文君) 気象庁と連携を取りながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  142. 新妻秀規

    新妻秀規君 気象庁だけではなく、他の機関との連携はどうでしょうか。
  143. 日原洋文

    政府参考人(日原洋文君) 調査をした上で、内閣において進めてまいりたいと思います。
  144. 新妻秀規

    新妻秀規君 この会計検査院の指摘にきちんと応えるような形でのしっかりとした対応をお願いを申し上げます。  次に、観測機器の新設、また更新に伴う連携不足についてお尋ねをいたします。これは総務省の消防庁に質問させていただきます。  同じく会計検査院の指摘によりますと、消防庁からの交付金やその他の補助金によって、平成十八年から二十二年度まで四十五道府県で震度情報ネットワークの更新が行われました。予算の総額は九十八・三億円です。しかし、一部の地方公共団体では、近接する地点に同様の機能を有する気象庁又は防災科学研究所の強震計が既に設置されているにもかかわらず、十分に検討をすることもなく震度計を更新するなどしていた事態が見受けられました。更新された二千四百五十三台のうち、一キロ以内に設置されたものが二百三十三台、そして百メートル未満というものも五十九台、このように指摘をされております。  地方公共団体が整備をする観測機器等の更新に当たって、効果的な予算の執行を求める是正勧告が二十三年度の会計検査院の検査報告にて提出されておりますが、国としてどのように対応されていくのでしょうか。消防庁、お願いをいたします。
  145. 室田哲男

    政府参考人(室田哲男君) 総務省におきましては、平成二十一年度の補正予算におきまして、全額国費により都道府県が行う震度計の整備への支援を行い、老朽化した震度計の一新を図ったところでございます。その際定めました設置基準におきまして、平成の大合併前の市町村ごとに少なくとも一か所整備することといたしましたが、地方公共団体の震度計が気象庁若しくは防災科学技術研究所が設置している震度計と近接している場合には、地方公共団体が設置した震度計を整理し、これらの機関が設置している震度計を用いてもよいこととしたところでございます。  各都道府県におきましては、この基準を踏まえまして、地域の地盤状況等も考慮し、市町村と協議を行った上で震度計を更新したものでございますけれども、会計検査院からは、一部の市町村におきまして、委員指摘のように、震度計が近接して設置されていることなどから、関係機関と十分な連携を図るなどして観測機器の更新等の必要性について十分検討し、効率的な予算執行に努めるよう指摘されたところでございます。  総務省といたしましては、次回の更新時におきましては、会計検査院の指摘を踏まえまして、関係機関の設置状況等を把握するとともに、十分に連携を図りまして、効率的な予算執行に努めてまいりたいと存じます。
  146. 新妻秀規

    新妻秀規君 二度とこのように血税が無駄に使われるようなことがないように、しっかりとした取組を、各関係機関、自治体と連携をしながらお願いを申し上げます。  次に、国土交通省の地震計ネットワーク整備に関わる問題についてお尋ねを申し上げます。  平成二十四年の十月の会計検査院の報告によりますと、国土交通省の地震計ネットワークは、地震直後の初動体制の決定に役立つことを目的としまして、平成七年度以降、計七百五十台の強震計を設置して整備してまいりましたが、故障等によって観測データを取得できない事態が一部に見受けられております。ちなみに、この七百五十台の強震計の取得価値は、二十四年時点では十一・八億円とされております。一方、気象庁が発表する震度観測点の増加によって、気象庁から送信をされる震度情報により、問題なく地震発生時の初動体制を決定している状況も見受けられております。  国土交通省は、二十四年八月に地震計ネットワークの今後の運用方針を策定し、強震計の更新などについて、気象庁の震度観測点と河川・道路施設等の設置場所が離れていて震度観測の精度を向上させる必要がある場合等に限定をし、これに該当しないものを廃止するというふうにいたしました。  平成二十三年度の会計検査院による決算報告指摘では、こうした状況について触れた上で、国土交通省に、強震計の絞り込みに向けた具体的な計画の策定、そして地震計ネットワークの見直しを求めております。現在の取組状況についてお示しください。
  147. 森北佳昭

    政府参考人(森北佳昭君) お答えを申し上げます。  国土交通省におきましては、平成七年の兵庫県南部地震を契機といたしまして、委員指摘のとおり、約七百五十台の地震計から成る地震計ネットワークを整備をいたしまして、国土交通省が管理する直轄の河川、道路等における地震後の初動体制、構造物の揺れの把握、緊急点検の必要性の判断に活用してきたところでございますが、その後、気象庁等における地震計の整備進み、それらによりまして代替可能となる場合もあることから、国土交通省といたしまして、直轄の施設を管理していく上で引き続き観測が必要なものを除いて廃止するという旨の運用方針、これを平成二十四年八月に取りまとめて地震計の要否について精査をいたしました。その結果、約七百五十台の地震計の約三分の二に当たる約五百台につきましては今年度中に廃止するとしたところでございます。
  148. 新妻秀規

    新妻秀規君 同じ国土交通省の中の取組ですので、やはりそうした状況についてはきちんとアンテナを張って、指摘される前に手を打っていただきたかったなということを申し上げておきたいと思います。  次に、全国瞬時警報システム、Jアラートについてお尋ねを申し上げます。これも総務省消防庁にお尋ねを申し上げます。  資料一を御覧ください。このJアラート、これは消防庁が整備、運用しているシステムであり、緊急地震速報や津波の情報、また弾道ミサイルなどの情報などの対処に時間的余裕がない事態に関する緊急情報を、このイラストにありますとおり、人工衛星を用いて国から都道府県、市町村等に送信をしまして、市町村が整備をしている同報無線等の情報伝達用の機器を自動起動して、サイレンを鳴らしたり、また音声放送を行ったりすることによって、人手を介さずに瞬間的に、瞬時に国から住民に伝達するものであります。  このJアラートは、市町村の受信アンテナ、受信機、そして自動起動機などで構成をされています。このイラストの右の方にあるとおりです。このうち自動起動機は、人工衛星などから受信した緊急情報を人手を介さずに瞬時に住民に伝達をするために、同報無線等の情報伝達用の機器を自動起動する非常に重要な装置でございます。  平成二十三年度の会計検査院の報告によりますと、Jアラートは全国ほとんどの市町村に整備はされたものの、その当時の時点では、約三割の市町村では自動起動機などの機器類が整備されていないことから、Jアラートによって受信された緊急情報を住民に伝達する手段がないなど、そうした不備が指摘をされております。  この機器の整備の不良から、機器の整備がまだ三割の市町村で行われていないところから、Jアラートの整備の目的が達成されていないとして、市町村に対しては、同報無線等の情報伝達用の機器の整備や、また多様な情報伝達手段、音声だったりメールだったり、こうした活用を図ることによってJアラートによる緊急情報が住民に適切に伝達される体制の確立を求め、また国に対しては、市町村への支援を求めております。さらに、国や地方公共団体に対し、Jアラートの訓練機会の確保、周知及び広報に努めることも求めております。この指摘の後、自動起動機の整備率が上がりまして、昨年度の末では九二・七%まで上昇をした、このような報告もございます。  そして、一昨年、昨年と全国一斉の訓練が行われました。しかし、残念なことに、この二回の全国一斉訓練を経たにもかかわらず、いまだに多くの市町村で不具合が見られております。昨年の訓練では、Jアラート自体の不具合が八市町村で見られ、また市町村防災行政無線などの情報伝達機器の不具合が四十二市町村において発生している、このように報告をされております。  ここでお尋ねをいたします。不具合の原因究明及び是正の現状についてお示しください。
  149. 室田哲男

    政府参考人(室田哲男君) 消防庁におきましては、Jアラートの信頼性を向上させるため、平成二十四年度から年一回、全国一斉の情報伝達訓練を実施しているところでございます。  平成二十五年度の訓練では、参加いたしました千七百三十一市町村のうち、千六百八十一市町村において正常であることが確認された一方、委員指摘のように、五十市町村において不具合が確認されたところでございます。そのうち、Jアラートの受信機又は自動起動装置に関する不具合が八市町村、防災行政無線などJアラート以外の不具合が四十二市町村で見られたところでございます。  このJアラート機器の不具合の原因は、受信機のハードウエアの故障や設定のミスなどでございました。また、Jアラート以外の防災行政無線等に起因します不具合といたしましては、主に配線ケーブルの接触不良やスピーカーのバッテリー劣化といった事例が見られたところでございます。不具合のございました市町村におきましては、直ちに原因を調査し改善を図った上で、再試験を通じて正常に作動することを確認いたしまして、不具合の改善が図られたところでございます。  消防庁といたしましては、今回の訓練の結果を受けまして、特に不具合を起こしやすいポイントをまとめ注意喚起しているところでございますが、今後も研修会などあらゆる機会を捉え、Jアラートのみならず防災行政無線などの情報伝達機器も含めて、不断の点検、確認を行うよう地方公共団体に要請していくこととしております。
  150. 新妻秀規

    新妻秀規君 いざというときにJアラートの緊急情報が伝わらずに住民の方が犠牲になる、こんなことは本当にあってはならないので、次の一斉の全国訓練のときには不具合がゼロである、これを目指して更なる取組を、今おっしゃったような取組をお願いをしたいと思います。  それでは、続けて問わせていただきます。  Jアラートを通して発出される緊急情報が地域の住民に確実に届くために国としてどのように取り組んでいるのでしょうか。例えば同報無線が聞きにくい、こんなような声も上がっております。それでは、消防庁の参考人の方、お願いをいたします。
  151. 室田哲男

    政府参考人(室田哲男君) Jアラートの自動起動機につきましては、平成二十五年度末に九三・二%、今年度末に九九・七%、そして来年度末には全ての市町村で整備される見込みでございます。これにより、全ての市町村において最低一つの情報伝達手段をJアラートにより自動起動できることになってまいります。住民に対して緊急情報を確実に伝達するためには、この防災行政無線のほか、多様な情報伝達手段を自動起動させることが重要でありまして、市町村へJアラートによる情報伝達手段の多重化を働きかけているところでございます。  こうした市町村を通じた情報伝達に加えまして、本年四月から、Jアラートで配信されます弾道ミサイル情報等を国から直接緊急速報メールにより携帯電話利用者へ配信することが可能となり、これにより、より確実に多くの住民に情報が届くようになったところでございます。  今後とも、多様な情報伝達手段を組み合わせることにより、住民への確実な情報伝達体制の構築を推進してまいりたいと存じます。
  152. 新妻秀規

    新妻秀規君 今御報告いただきました具体的な取組を推進をしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、情報収集衛星についてお尋ねを申し上げます。資料の二を御覧ください。資料の二の上の方に情報収集衛星についてまとめてあります。  情報収集衛星とは、御案内のとおりとは思いますが、外交防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主に目的としている、このように承知をしております。平成十年の北朝鮮によるテポドンミサイルの発射を機に導入が決まったシステムと理解をしております。その平成十年から準備が始まりまして、光学衛星、そしてレーダー衛星、それぞれ二基ずつ、全部で四基の体制を目指して開発が進められ、衛星の打ち上げ失敗などの様々な困難の末、平成二十五年四月、一年前、四基体制が確立をした、このように承知をしております。  この予算の推移ですが、この資料の二の下の方に、下の棒グラフに示しますように、このような推移をたどっており、数百億円レベルでの国費がこれまで投じられてまいりました。  ここで、内閣官房から入手した資料が、一枚おめくりいただきまして資料の三でございます。ここで、内閣官房にお尋ねをいたします。今後の開発計画と費用の見通しにつきまして、この資料三に即して御説明をお願いを申し上げます。
  153. 河邉有二

    政府参考人河邉有二君) お答えいたします。  情報収集衛星につきましては、宇宙基本計画に基づき、光学衛星二基、レーダー衛星二基の四基体制を確実に維持するとともに、その機能の拡充強化を図りつつ、引き続き必要な情報収集を実施するため、衛星の設計寿命や衛星の開発に要する期間を踏まえ、順次研究開発を行う予定でございます。  資料三のとおり、具体的には、平成二十六年度に光学五号機及びレーダー予備機を、平成二十八年度に光学六号機及びレーダー五号機を、平成二十九年度にレーダー六号機を、そしてまた平成三十一年度に光学七号機をそれぞれ打ち上げる予定でございます。  また、宇宙基本計画に基づく情報収集衛星の機能の拡充強化につきましては、情報の量の増加、情報の質の向上、即時性の向上等を図ってまいる予定でございます。  費用につきましては、今後、このような研究開発に必要な額を各年度で要求していく所存でございます。
  154. 新妻秀規

    新妻秀規君 平成十年の開発の開始からこれまでに投じられた国費は、今年度も含めると一兆五百四十八億円、このように計上をされるというふうに計算をいたしました。今後も、この線表を見る限りは、やはりこれまでと同様数百億円レベルで国費が投じられていく、このように理解をしております。莫大な国費を投じ続けるこの事業への説明責任を果たすために、これまでの情報収集衛星の活用実績と成果についてお示しをください。
  155. 河邉有二

    政府参考人河邉有二君) お答えいたします。  内閣星情報センターにおきましては、平成十六年から、外交防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理に必要な情報の収集を目的として情報収集衛星を運用しておりまして、得られた情報に基づいて作成された成果物を官邸また防衛省や外務省等の利用省庁に配付しているところでございます。  具体的に申し上げますと、外交防衛等の安全保障につきましては、北朝鮮のミサイル発射等への対応を行っております。また、大規模災害等への対応等の危機管理につきましては、東日本大震災の際に情報収集衛星の画像情報等を基に作成しました被災状況推定地図の配付を行うなど、情報収集衛星の有効な活用に努めているところでございます。  また、海外の大規模災害につきましても、昨年十一月のフィリピン台風被害の際に、被災状況推定地図を作成しフィリピン政府などに提供したところでございます。さらに、先般のマレーシア航空機の消息不明事案の際には、情報収集衛星による捜索で得られた情報をマレーシア政府などに提供したところでございます。  このように、情報収集衛星は適切に活用されており、引き続きその有効活用に努めてまいる所存でございます。
  156. 新妻秀規

    新妻秀規君 情報収集衛星で撮影した画像についてなんですけれども、これは、昨年公布されました特定秘密保護法、これで保護すべき機密情報である、このように認識をしております。特定秘密保護法の第十条には、公益上の必要による特定秘密の提供が定められており、条文第一項の趣意を示しますと、公益上特に必要と認められる業務においては、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときには行政機関の長は特定秘密を提供できる、このようにございます。  先ほど、この情報収集衛星の情報を活用した事例も紹介をされました。しかし、東日本大震災、先ほどもございましたが、国会のこれまでの答弁では、この情報収集衛星の映像を最も必要とするであろう東京電力などの民間には、この機密保持の理由をもって開示はされず、海外の衛星の情報を購入をして提供した、こうしたことが明らかになってございます。  こうした災害での不十分な対応、これは様々報道でも報じられておりますが、こうした反省を踏まえまして、また、特定秘密保護法を遵守して、大災害などのときには国民の命と財産を守るのに役立つよう、撮像の内容また能力が明らかにならないような加工を施すなどして、防災関係諸機関や地方公共団体、民間などにも迅速に提供すべきと考えます。  ここで、内閣官房長官に、この情報収集衛星に関する情報開示の在り方、基準の設定について検討をお願いしたいと思うのですが、内閣官房長官の見解をお願いをいたします。
  157. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) まず、現在の衛星の活用についてでありますけれども内閣情報調査室において、情報収集衛星の画像等を収集そして分析をしたその結果を反映した被災状況推定地図を作成し公開しており、その例として、先ほど答弁がありましたように、東日本大震災とかあったということであります。さらに、この情報収集衛星の画像そのものを公開することについては、画像を公開することによって撮像対象が隠蔽工作等の対抗措置を講じられることのないよう配慮することが不可欠である、こういうことであります。  実は私、官房長官に就任をして、現場を見に行きました。委員と全く同じ視点です。これだけの国費を投入をして、確かに外交防衛、安全保障に寄与することは非常に大きいわけであります。しかし同時に、災害等についてもっともっと国民に開放することができないのかなという、そういう私自身の疑問もあって現場を視察をいたしました。委員は専門家でありますから、この画像が、見ればどうかというのは判断できるのかもしれませんが、私は素人でありまして、そういう疑問の下に視察をしたわけであります。  いずれにしろ、今委員から御指摘をいただきました。国民にもっと基本的に説明をできる部分が私はあっていいのではないかなというふうに今も思っております。委員からの御指摘を受けまして、ここはどこまで公開することが可能なのか、外交防衛、安全保障に支障を来さないのがどこまでか、そうしたことも含めて検討させていただきたいと思います。
  158. 新妻秀規

    新妻秀規君 官房長官、前向きな御答弁ありがとうございます。国民の命と安全にこの情報収集衛星が役に立つんだ、こうしたことを国民の方々が納得していただけるような仕組みをつくっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、この情報収集衛星についてでございますが、平成二十三年度、二十四年度の会計検査院の検査報告で、契約の実施体制や監査手法等の問題によって、工数の付け替え、過大請求事案に対応できなかった、こうした事例が指摘をされております。会計検査院の指摘をどのようにお受け止めでしょうか。また、今回指摘を受けた事案の根本原因分析及び再発防止に向けた取組についてもお示しをいただきたいと思います。その際、関係機関とどのように連携をしたかについても併せお示しいただきたいと思います。  具体的には、会計検査院から以下のように細かく指摘をされております。  平成二十三年度の検査報告では、三菱電機などの民間との契約八件、総額八・八億円について、事業者に対して行った確定調査が、チェックがチェックになっていない、工数の付け替えが見抜けていない、また随時検査が行われていない、また資料の適正性を確認をする制度調査については規定すら設けられていない。同じ年度の検査報告に、三菱電機等による過大請求事案でも、関係資料の保存義務や監査の在り方について厳しく指摘をされております。  こうした指摘にもかかわらず、平成二十四年度の検査報告では、この同じ三菱電機等による過大請求事案について再度指摘を受け、各調達機関の間で過払い額の算定方法、違約金の算定対象期間や特別調査に関わる費用負担などがばらばらとなっていたり、再発防止策のうち違約金の額がばらばらになっていたりする点を指摘されており、各府省間の連携強化などを求められております。  こうした指摘に対して、現在の取組状況、また、先ほど申し上げましたように、再発防止に向けた取組、原因分析、他機関との連携についてお示しください。
  159. 河邉有二

    政府参考人河邉有二君) お答えいたします。  御指摘の過大請求事案は、上限付概算契約を締結した事業に関し、契約企業が利益を最大化するために、契約時に予定した作業時間の目標値に一致するよう他の衛星に関する実績工数を付け替え、契約金額の返納を回避したことが主たる原因であり、内閣星情報センターとして会計検査院の指摘を真摯に受け止めているところでございます。  このような事案が二度と起こらないよう、事案の根本原因分析し、情報収集衛星の研究開発に関する予算の執行のより一層の適正化を図るため、次のような取組を講じているところでございます。検査院の御指摘は五項目ございまして、資料の信頼性確保、契約に内在する課題、制度調査、原価監査、内部統制ということでございますので、それぞれについて申し上げます。  資料の信頼性確保につきましては、平成二十五年度契約から、作業報告書、出勤簿等の関係資料に五年間の保存義務を課すとともに、虚偽資料に対する違約金の賦課額を過払い額の二倍とする特約条項を追加しているところでございます。  契約に内在する課題等への対応につきましては、情報収集衛星の研究、開発に関する契約における競争性、透明性を確保するため、JAXA等と連携して、企画競争が可能な契約については、より価格面を重視した総合評価とした上で、原則として契約締結当初の段階で契約金額を確定する確定契約に変更しているところでございます。  企業の会計制度の信頼性を確認するための制度調査につきましては、実施要領を定めるとともに、担当官を新たに増員配置するなど、体制の整備強化を図っております。また、これらの実施につきましては、JAXA等、関係機関と連携して行っているところでございます。調査に当たっては、また、フロアチェックによる実際の作業工程、工数の把握を現場で行うなど、調査の充実に努めているところでございます。  原価監査等につきましては、作業現場に赴き作業実態を確認するなどして、形式的な監査にならないよう留意し、必要に応じて抜き打ち監査を行うこととしているところでございます。  内部統制につきましては、契約相手方の内部監査、内部通報制度の整備、コンプライアンス教育の実施等の状況確認するとともに、現場の作業員に対して内閣星情報センターの官側の監査官等がヒアリングあるいはアンケートを行って、再発防止等の浸透度合いを確認することとしているところでございます。
  160. 新妻秀規

    新妻秀規君 一兆円を超える国費を投じたプロジェクトでありまして、こうした指摘が重なっていくと本当に国民の信頼が失われてしまうと思います。この平成二十四年度の検査報告の末尾には、今後とも、人工衛星等の研究、開発が適正、適切に実施されているかなど、多角的な観点から引き続き検査していくこととする、このように明確に記されております。二度とこのような指摘事項がないように、きっちりとした取組を関係機関と連携を取ってお願いを申し上げます。  最後に、日本版NSC、内閣官房国家安全保障局が創設をされました。NSCとして、情報収集衛星の効果的な活用に向け関係諸機関と具体的にどのような連携を図るのか、お示しください。
  161. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  国家安全保障会議において実質的な議論を行い、また国家安全保障局が国家安全保障政策の企画立案、総合調整を行うに当たっては、質の高い情報が必要不可欠でございます。国家安全保障会議の情報監視については、平素から合同情報会議等を通じまして関係機関に適切に伝達をしてきておりまして、情報収集衛星による情報を含め、関係機関から有益な情報が着実に集約されるように引き続き努めてまいりたいと思っております。  国家安全保障戦略におきましても、宇宙空間の安定的利用を図ることは国家安全保障においても重要であるとされておりまして、情報収集衛星の機能の拡充強化といったことも記述をされているところでございますが、国家安全保障局といたしましても、安全保障上の観点から宇宙空間の活用を推進していくことは重要であると考えておりまして、内閣府の宇宙戦略室や関係省等と連携をして戦略的な観点から政策に関する企画立案、総合調整を行っていく考えでございます。
  162. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 新妻君、時間が参っております。
  163. 新妻秀規

    新妻秀規君 はい。  安全保障の司令塔として、国民の命と財産を守る取組をお願いをいたします。  以上で終わります。
  164. 松田公太

    松田公太君 みんなの党の松田公太です。  決算委員会ということで、決算数値に直接関係することから始めたいと思っていましたが、順番を変えさせていただきまして、提出しました質問の五番、ECサイト問題から始めさせていただきたいと思います。  さて、皆さんは、振り込め詐欺といったら、知らないと、聞いたことがないという方はいらっしゃらないのではないかなというふうに思います。この振り込め詐欺は、以前はおれおれ詐欺というふうに言われておりました。なぜおれおれ詐欺と言われていたかといいますと、二〇〇三年に鳥取県警が、俺、俺と身内を装って銀行口座にお金を振り込ませた、そういった事件を摘発しまして、この手口をおれおれ詐欺と言ったことから全国的に広がっていったんだなというふうに思っております。  本来、その手口が、ただ、急増したのは二〇〇一年から二〇〇二年頃だったのではないかなというふうに言われております。しかし、国がそれに対する対策を取ることは当時ありませんでした。おれおれ詐欺という名前が広がったことによって手法が話題となって、警察庁で数字を把握し始めたのが二〇〇四年になってからです。その頃は、二〇〇四年の統計を見ましたら、既に年間二万五千件以上の被害者数となっていたんですね。  非常に残念なのは、その後、各県警での取組はあったと思いますけれども、振り込め詐欺対策室みたいなものが警察庁にできたのが実は二〇〇八年になってからなんです。その翌年から、それまで毎年二万件ぐらいあった件数が、がくっと、七千件、六千件と減ってきたわけですから、非常に効果があったのではないかなというふうに思っております。つまり、もっと国が早く動いていれば、その間、何万人ものお年寄りを中心とした被害、これを防ぐことができたのかなと、このように感じております。  それでは、配付した資料を是非皆様にも御覧いただきたいんですけれども、この左側が有名なブランドの本物のサイトなんですね。そして、右側がそれらに成り済ました偽サイトです、いわゆる成り済ましサイトですね。この右と左を比較していただいたら、どちらが本物だとぱっと見で答えられる人ってほとんどいらっしゃらないんじゃないかなというふうに思うんですね。さらに、その下にそのサイトのURLも表示をさせていただいております。ちょっと小さな字で恐縮なんですけれども、これも見ていただければ分かると思いますけれども、非常に似ております。これも見て、どっちが本物だと分かる方はいらっしゃらないのではないかなというふうに思います。  偽サイトというものは、実在するサイトに成り済まして購入者に偽のブランド品を送り付けたり、場合によっては何も送らずに代金だけを詐取すると、こういったために作られるものなんですね。しかし、このようなサイトによる詐欺というものは、まだ現在は大きな問題として取り上げられていないのではないかなというふうに思っております。  そこで、森大臣にお聞きしたいんですけれども、このような偽サイトの被害、おととしと去年で何件あったのでしょうか。また、被害総額は幾らかということを把握されていますでしょうか。
  165. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 成り済ましECサイトを含む詐欺が疑われるネット通販に関するトラブルですが、全国の消費生活相談センターに多く寄せられております。昨年度は、一万二千百六十九件、前年度比で約二・二倍と著しく増加しております。
  166. 松田公太

    松田公太君 今のお話ですと、含むということですから、そのうちの幾つがこのECサイトによるものかはちょっと分からないということだと思うんですね。ですから、そのEC成り済ましサイトの問題というもの、実はその二倍になっているというのはこのEC成り済ましサイトが大部分ではないかなと私は思っておりますので、まだまだちょっと政府の認識というものが甘いのかなというふうに感じております。  こちらは朝日新聞にも、今年一月に掲載された話なんですけれども日本通信販売協会というところがありまして、こちらに寄せられた偽サイトの被害、届出があったものだけでも、実はおととしで六百四十六件、そして去年は三千四百五十八件と、五倍以上の実は急増になっております。  そこで、もう一度大臣にお聞きしたいんですけれども、このEC偽サイトの問題というものは、従来のいわゆるインターネット通販の問題、先ほどの件数一万九千件の中に含まれていると思いますけれども、そういったものとどこが違うと思われますか。
  167. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 成り済ましECサイトを含む詐欺的なECサイトの多くは、日本語で表記されてはいるものの、商品の発送元が海外であったり、代金の振り込み先名義が外国人名のものが多いため、海外に存在する事業者により運営されているものと思われます。そこで、消費者庁越境消費者センター、CCJで受け付けた海外トラブルの相談のうち、詐欺が疑われるネット通販に関する消費者トラブルも見ますと、昨年度は二千六百七十六件あり、前年度比で約二・七倍と、こちらも急増しております。  こうしたトラブルでは、代金の支払後にサイト運営者と連絡が取れなくなり、商品の返品や返金は極めて困難であるということから、消費者庁では、海外通販サイトのトラブルを未然防止するためのポイントなどを消費者に具体的に分かりやすくお示しをして注意喚起をしております。また、被害拡大防止の観点から、模倣品の販売等が疑われる海外サイトに関する情報を公表したり、警察庁と協力してウイルス対策ソフトを活用した事業といった取組も実施をしているところでございます。
  168. 松田公太

    松田公太君 おっしゃるとおりだと思いますが、こういったケースはやはりほとんどが海外なのかなというふうにも思われているわけですけれども、済みません、私のちょっと質問の聞き方が良くなかったかもしれませんが、消費者からすると、どのような今までのいわゆるインターネット通販の問題と違いがあるんでしょうかということをお聞きしたかったんですが、何点か私あると思っています。  一つは、御覧のとおり、実在するサイトを単純に模倣しておりますので消費者が非常にだまされやすいということが一点あると思っております。  そしてもう一つは、このようなサイトを作る場合、わざわざ、例えば一商品、単価が二千円とか三千円のもので手間暇掛けてということはないでしょうから、大体高級ブランドのものが多くて非常に一商品当たりの被害額が大きくなる、この腕時計のようにですね、ということが言えるのかなと思います。  そしてもう一つは、実在する本物の事業者がこれによってまたダメージも受けてしまうということなんです。偽物が出回ったりこういうサイトが出回っているという話になると、やはり自分たちのイメージダウンにもつながってしまいますし、ある意味売上げ機会の損失にもなってしまうわけですね、自分たちのサイトで買っていただいていればその売上げは取ることができたということになるわけですから。  そしてもう一つ、これは非常に重要なことだなというふうに思っておりますけれども、このコピーのノウハウ、これさえ習得されてしまえば、同じ犯人とかグループでこういったものを作るのが非常に容易になってしまうのではないかなというふうに思いますね。ですから、一つのビジネスモデルというんですか、詐欺モデルというものをつくってしまえば、これは簡単に出回ってしまって一気に広がってしまうという可能性があると思っております。  冒頭でお話ししました振り込め詐欺についても、やはり広がり始めたときにしっかりとした対策を打っていれば被害者数を私は減らすことができたというふうに思っておりますので、この偽サイトも増加の傾向が今まさしく見え始めているわけですから、是非今こそいち早く動いていただきたいなというふうに思っているんですね。  消費者大臣は、このEC成り済ましサイトの対策になるようなことは何か現状では消費者庁でされているという御認識でしょうか、先ほどもちょっと話ありましたが。
  169. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 先ほどお話をしました取組のほか、インターネット消費者取引連絡会という会議体を活用しまして、関係行政機関、事業者団体、消費者団体等による連携を促進をしております。また、先ほど御紹介いたしました消費者庁越境消費者センター、CCJでは、海外の同様の政府の機関と連携をいたしまして、こういった詐欺事犯の取締りを強化しております。
  170. 松田公太

    松田公太君 ところで、特定商取引法、いわゆる特商法ですけれども、これでは、消費者を守るために、このようなECサイトに事業者名と電話番号と住所、これを必ず記載しなさいということを義務付けているわけですが、これはこのECサイトの成り済まし対策として有効だと思われますか。
  171. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 成り済ましサイトの場合は事業者自体が偽物でございますので、その記載があっても、詐欺が起こった後、連絡が取れなくなりますので、なかなか有効な手だてにはなりにくいかと思います。
  172. 松田公太

    松田公太君 そのとおりですね。しかも、やはりこれはコピーですから、そのまま実はその表示義務の部分もコピーされてしまって、いかにもこれが本物だというように見えてしまうんですね。中には、そこに電話番号が書いてあるんだから、電話番号に電話したらそれが偽物だと分かるという方もいらっしゃるんですが、実際、サイトで商品を購入するような方は、わざわざ電話をして確認するということはしないんですね、やはり本物だとだまされてやってしまうわけですから。  成り済ましサイトの対策としてどのようなことが考えられるかなというふうに私も考えたんですけれども、オーソドックスなものでいうと、一つはクレジットカードですね、これをもっと推進すると。クレジットカード会社が御自身で各会社に行って調べるわけですから。それが一つ。若しくは、暗号化通信ですね、いわゆるSSL、これを推進するという方法があると思います。  また、私はインターネット選挙解禁ということを自分が議員になったときから大分動いてきたんですけれども、その際に知った例えば電子証明、これを導入するということも一つの案かなというふうにも思っております。例えば、インターネット選挙が解禁になりましたけれども、その際に各候補者また政党も電子証明というものを貼ることになりまして、それがあったおかげでさきの参議院選挙でも成り済ましというものが非常に少なかったのかなというふうに思っております。これも一つの方法なんですけれども、いかんせん、それ全てやっぱり手数料とか掛かってしまいますから、これは経費が掛かる話なので義務化することはできないと思うんですね。  しかし、このような方法があるんだということも含めて、より政府がやっぱり積極的に偽サイトの問題を周知徹底していかなくてはいけない時期に来ているのかなというふうに思っております。被害を小さく食い止めるためには、やはり初動が私は大切だというふうに思っております。是非それを森大臣にお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  173. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 御指摘の点も含めて、消費者への注意喚起と、それから関係省庁と連携しての新たな防犯取組対策について研究してまいりたいと思います。
  174. 松田公太

    松田公太君 また、私、以前、議員一年目のときに消費者特別委員会の委員もやらせていただいたんですけれども、そのときに感じたのが、ちょっと消費者庁が機能していないのかなということでした。消費者庁が目指すべき消費者行政の司令塔からはちょっと程遠い状況なのではないかなというふうに私は委員のとき感じました。当時、被害者が非常に増えるような事件も多々あったわけですけれども、その際に積極的な行動を都度要求するわけですけれども、なかなかちょっと腰が重いのかなという印象を受けました。そこで、当時の大臣にも、会社でいえば消費者庁というのはお客様相談室みたいなところなんです、ここがしっかりしていないと駄目なんですよという話をした記憶があります。消費者は我々でいうと国民全員になるわけですから、それに対してどれだけ真剣に取り組んでいるかによって、政府国民に対するスタンスというものもかいま見えてくるんではないかなというふうに思っております。  会社では、お客様相談室に権限を与えていろんなことに積極的に関与させる、そういう会社は伸びるというふうに言われているんですね。二〇〇九年にできた消費者庁も、内閣府の外局ですから、ある意味で社長室直轄というふうに言えるのかなというふうに思っております。  ただ、残念ながら力を発揮できていないという状況なんですね。今回のECサイトの問題も、実は今年の二月に私は消費者庁とも話し合ったんですけれども、これはちょっと自分たちにはとか、ほかの省庁に相談してみてくださいというふうに言われてしまって、非常に消極的な印象を受けてしまったわけです。  消費者安全法を見ますと、消費者庁というのは、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置がある場合に措置要求ができるということになっておりますが、今回例に挙げたようなECサイトなど、インターネットなどを中心に新しい問題がどんどん今発生しておりますので、既存の法制度では対応し切れない部分が多々あると思っております。元々、縦割り行政を、そういった弊害をカバーするために消費者庁ができたということもあったわけですから、もう少し積極的な権限を広げるための措置が必要ではないかなというふうに私は思っているんですが、これは菅官房長官にお聞きしたいんですけれども、その件についてどのように思われますでしょうか。
  175. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほど来、委員の御指摘を私は一々もっともだなという思いで聞いておりました。早速、森大臣としっかり連携をしながら、政府のIT本部を中心に、この対策というものを全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思います。  実は私、かつておれおれ詐欺の議員立法を作って、それに努めたことを今思い浮かべています。当時はプリペイド携帯電話あるいは貯金通帳、預金通帳ですか、これが売買が自由だったんです。プリペイド電話の本人確認とか、あるいは貯金通帳の売買禁止、罰則等をこれは議員立法で成立させた、そのことを思い浮かべております。  しかし、残念ながら、そうした手段を取っても犯罪者というのは次から次へと巧妙な手段を考えますので、このECサイトもそういう意味で時世を反映しているんだろうというふうに思います。しっかりと対応して、国民の被害がないように努めたいと思います。
  176. 松田公太

    松田公太君 私も以前銀行員だったものですから、当時の、預金通帳を自由に売れるといいますか、またゼロ円口座がつくれるという、当時非常に不思議な状況にあったわけで、そういったものがマネーロンダリングとか詐欺の一端となってしまったということはよく存じ上げております。  そういったことをしっかり議員立法でやっていただいた官房長官でしたら、是非、このECサイト、成り済まし、これも早い段階で潰していただけるように御尽力いただければと思います。是非ともよろしくお願い申し上げます。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  委員長、菅官房長官と森大臣は以上となりますので、御退席いただいて結構でございます。
  177. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) それでは、どうぞ御退席ください。
  178. 松田公太

    松田公太君 それでは、次は特許庁の業務・システム最適化計画についてお聞きしたいと思います。  特許庁では、平成二十五年三月に特許庁業務・システム最適化計画を改定しまして、新たなシステム開発を進めております。しかし、この最適化計画自体は平成十六年に策定されたものなんですね。それによって二年後の平成十八年度から特許庁運営システムの開発を実施されまして、東芝ソリューションに九十九億円で設計と開発を、そしてアクセンチュアに三十四億円で管理支援を委託しておりました。しかし、二年以上もの遅延が生じたこと、様々なトラブルが発生したことから、その開発は二十四年一月に中断されました。  これは、なぜこのような事態となってしまったのでしょうか、もし大臣御存じでしたら。
  179. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) 中断の原因についてのお尋ねでございますけれども、これは、弁護士、学識経験者等から成ります第三者委員会によって、まず一つには、設計開発業者の技術力、プロジェクト管理能力が不足をしていたこと、第二に、調達手続において設計開発業者の技術力を確認するプロセスが不十分であったこと、第三として、システムを一括更新する大規模開発であったため、技術的に難易度が高かったことなどによるということにされております。
  180. 松田公太

    松田公太君 今のお話を聞きますと、委託をした業者の力不足というものが往々にしてあるのかなという印象ですけれども、一般競争入札のときに、この東芝ソリューション、この技術評価が実は私は一番低かったんじゃないかなというふうにも聞いております。ただ、それもあって当初特許庁で予定していた価格よりも六割以下の安さであったと、それがあったために落札されたのではないかなというふうに思っております。  しかし、やはり重要なのは、これは誰でも分かることですけれども、安いのももちろん重要ですけれども、やはり質も非常に重要なのかなということでございますので、今後はこのようなことが起こらないためにどのような防止策を考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。
  181. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、本件につきましては、二〇一二年の十一月に、両社に対する支出、全額五十四・五億円につきまして、会計検査院から不当と指摘されたことも踏まえまして、特許庁において両社と精力的に協議をしました結果、二〇一三年の八月に契約の解約の合意に至りまして、その年の九月、利息分も含めまして五十六億二千万円、特許特別会計に支払われたということであります。  それで、先ほど政府参考人の方からも今回の問題点につきまして答弁をさせていただきましたが、そういった反省も踏まえまして、システム整備の遅れを取り戻すべく、二〇一三年の三月には新たな情報システムの開発計画、これは二〇一三年度から十年間ということでありますが、これを策定をいたしました。  この計画におきましては、それ以前の開発計画ではシステムを一括して更新することとしておりましたが、こうした方法によるのではなくて、段階的に個別業務システムごとに更新することによりまして、各業務システムの開発規模、これを縮小するとともに、技術的難易度、これを低減をさせました。あわせて、開発能力の高い事業者を選定できるよう、技術審査における審査事項の充実など調達手段の改善を図ったところでありまして、今年度は中国、韓国語の特許文献に対応した機械翻訳・検索システムを稼働させる予定でありまして、さらに国際出願におけるオンライン手続の範囲の拡大などについて順次システムを稼働させていく予定であります。  こういった新たな開発計画に沿って、しっかりとした取組、今後進めてまいりたいと考えております。  ここまでが答弁ですけれども、先ほどのを聞いていて、非常に成り済ましの興味深かったんですけど、写真の偽物の方はこれ自体も偽物なんですか。
  182. 松田公太

    松田公太君 これ自体が全部偽物なんです。
  183. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) これ何でかというと、ティンバーランドの靴はトウがこんなに高くないんですね。それから、下のハミルトンのあれは竜頭にエッジが入っていないんですよ。よく見て買った方がいいですね。
  184. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございます。ただ、全員が全員、消費者大臣のようにそのブランドをよく御存じなわけではないと思いますので、このような問題を提起させていただいている次第でございます。  先ほどお話しいただきました、返還があったと、五十六億円ですね、利息も含めてということですけれども、それはそれで良かったと思いますけれども、私は、ちょっとこれは質問させていただきたかったんですが、時間がありませんので自分の中でお話をさせていただきますけれども、当初の計画ではこの開発されるべきであった新システムの稼働が平成二十三年だったんですね。そのときから稼働できていれば、実は年間で二十七億円の経費削減ができたというふうに言われているんです。二十七億円ですから、一年でですね、今年までそれが稼働されていたと、当初の目標どおりということであれば八十一億円の今既に経費削減になっているのかなというふうに思うんですね。つまり、逸失利益がそこで発生しているんじゃないかなと私感じるんです。  それが実は次の質問なんですけれども、その逸失利益、これを請求しようとは思わなかったのでしょうか。また、調べてみたところ、過去、国が逸失利益を請求しているケースというのはほとんどないので、今後こういった逸失利益をやはりしっかり請求していく、これが必要なんではないかなと、これだけ財政が厳しいという中ですから、これを是非御検討いただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  185. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) 逸失利益に関するお尋ねでございますけれども、事業者との当該契約におきましては、契約履行がされた場合に得られたであろう利益に対する損害については賠償請求、損害に含まない、そういう条項でございました。こういった契約条項は、契約が締結されました平成十八年当時でございますけれども、情報システム開発においては一般的であったということでございます。  なお、事業者との解約の合意に至りまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、事業者からの一定金額の返還を受けたわけでありますけれども、これはそういう事業者との契約、そして関係法令にのっとって、厳正かつ的確に処理したものでございます。
  186. 松田公太

    松田公太君 今後、是非契約の際も含めて、私は逸失利益についても明確にするべきではないかなというふうに思いますが、是非大臣の方からも一言いただければと思います。
  187. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一つのお考えであると思います。ただ、契約の際に実際に逸失利益というものをどう定義するか、若しくは、何というか、受託者といいますか、国との契約の相手先がそれについて十分納得できるかという問題、いろんなものについてあると思います。例えば、国が進めている施策に関連する契約になってきますと、それによって国の施策が遅滞してしまった、その逸失利益は例えば何兆円に及ぶとかいうことも考えられますので、きちんとどう定義するかということから検討してみることが必要ではないかなと思っております。
  188. 松田公太

    松田公太君 是非御検討をいただければと思います。民間企業であれば、必ず逸失利益というものはこれは請求するというのが当たり前のことだと思っております。  済みません、ちょっと時間がないんですが、甘利大臣に御質問させていただきたいと思います。  これはTPP交渉についてですが、この後、私の後に同僚議員が、山田議員がTPPについてはいろいろと御質問させていただくと思いますので、私の質問は触りの部分となるわけですけれども、みんなの党は、民間活力のために、結党以来、自由貿易というものを標榜してきたわけです。TPPについても、真っ先に交渉参加するべきだ、そしてまた推進をするべきだという話をしてきました。しかし、残念ながら、日本はTPP交渉参加国十二か国の最終国となってしまったわけですね。自民党政権になってから比較的早く判断をしていただいたのかなというふうに思っておりますけれども、それにしてもなぜ日本が交渉参加までこれだけ時間が掛かってしまったのか、非常に残念だという気持ちでいっぱいなんです。  そこで、甘利大臣にお聞きしたいんですけれども、今の時点で、もしもっと早い段階で交渉に参加することができていればもう少し違う状況にすることができたのではないかなというふうに思われることがありますでしょうか。もしあるとしたらどういったところか、お答えいただければと思います。
  189. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) TPPに新たな国が参加しようとしますと、既存の国の了解を取る必要があります。そこで注文が付けられたり付けられなかったりするわけですね。ですから、早く入れば入るほど、それ以降に入った国に注文は付けられるし、日本の参加が遅くなればなるほど、既存の国が増えればそれとの調整が必要だということだと思います。
  190. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございました。
  191. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。  松田議員に引き続きまして、私の方から質疑させていただきたいと思います。  今回、集団的自衛権の話、それからTPP、それから食品表示ガイドに関して、少し三点について質疑したいと思っております。中身というのもあるんですが、特に今回、進め方というか情報公開の在り方について非常に三点大きい問題を抱えているかなというふうに思いますので、その辺りを少し集中してやりたいなと思っております。  まず、集団的自衛権の問題に関しては、もう非常に国民が大変注目している問題でありますが、もうちょっと政府は情報を公開しながら進めていただけないかなというふうに実は考えています。  そんな中、先週、新聞等で、政府の有識者会議、安保法制懇でありますけれども、が近くまとめる集団的自衛権に関する報告書に昭和三十四年の最高裁砂川判決が引用される方向になっているという報道を受けております。また、安倍総理も、この砂川事件の最高裁判決は集団的自衛権を否定したものではないという発言をされております。  この最高裁の判例は、判決理由に、憲法九条により我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではない、また、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然であると述べてありまして、これをどう解釈するかということが今後非常に重要なポイントになるかなと思っております。  そこで、法制局長官、今日来ていただいていると思いますが、砂川事件最高裁判決は我が国が集団的自衛権を行使できるということを認めた判決なのかどうか、御答弁いただけますでしょうか。
  192. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) お答え申し上げます。  砂川事件は、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われた事案でございまして、これは刑事特別法という法律が、米軍の、在日米軍の施設及び区域、制限区域に立ち入る行為を軽犯罪法よりも重い法定刑をもって罰していると、これが違憲なのではないかということが争われた法律でございます。  この最高裁判決の結論を一言で申し上げれば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲、無効であるとは言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。  なお、この判決の中に、我が国が主権国として持つ固有の自衛権と憲法第九条との関係について、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されております。これは、従来からの政府の見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えてございます。  砂川事件最高裁判決については今申し述べたとおりでございまして、これが集団的自衛権の行使を認めるものか否かを含め、内閣法制局として同判決を解釈して何かを述べるという立場にはございません。  以上でございます。
  193. 山田太郎

    山田太郎君 もう一度お伺いしたいんですが、法制局でありますから、やっぱり解釈というのは必要だと思うんですが、もう一度伺います。認めているのか認めていないのか、もう一度明確な答弁、その部分で結構です、いただけますでしょうか。
  194. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 裁判というのは司法権の作用でございまして、個別の案件におきまして、その個別の争訟に対して裁判所、さらに、より正確に申し上げると、一つの法廷でございます、それぞれの判決を出す法廷が、大法廷の場合もございますし小法廷もございますし、判決をお出しになるわけでございまして、その判決の解釈というものは、これは純粋に裁判所の権限でございまして、内閣法制局を含めまして、内容の細かな部分につきまして行政府が解釈を申し上げる立場にないわけでございます。
  195. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、法制局は何のためにあるのかということにもなりかねませんので、要は、政府として、この判決を受けた上で、それでは集団的自衛権についてどのように考えるのか、これは法制局又は法制局長官としても極めて重要で、このことについて、裁判所が勝手に言っているんだからということでは今後内閣はどういうこの判決に対して態度を取るのか分からないということになるんですけれども、もう一度お答えいただけないでしょうか。
  196. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 裁判所の判決について、内閣がそれは裁判所が勝手に言っておることであるという立場であるということでは毛頭ございません。  例えば、具体的な争訟におきまして、この砂川判決におきましては刑事特別法は違憲ではないという結論が出されたわけでございますけれども、例えば、つい最近、民法の親族法、相続の問題につきまして、嫡出子と非嫡出子の法定相続分に差を設けておるという、その民法の規定が違憲であるという結論が示されたわけでございます。この違憲であるという判断が示されたという事実はこれは明白な事実でございますので、当然、これは内閣としても、また立法府である国会としてもそれに応じて対応をなされるということは当然のことでございます。  私が申し上げておりますのは、砂川判決で、その判決が述べている結論というものは、安保条約行政協定に基づきます刑事特別法が違憲であるという原告側の主張に対しまして、裁判所はそうではないという判決を下されたということが事実でございまして、これを踏まえて当然行政というのは行われるべきものでございます。  他方、付け加えて申し上げましたのは、その判決文の中で、我が国の自衛と憲法九条との関係について基本的な考え方が申し述べられておりますが、これにつきましては、従来政府が取っております考え方と基本的に軌を一にしておると、こう申し上げている次第でございます。
  197. 山田太郎

    山田太郎君 それでは、もう一つ確認したいんでありますが、お手元に資料を配らせていただいております。内閣法制局は、昭和四十七年十月十四日に参議院の決算委員会に提出した資料でこの砂川判決の一部を引用しておりまして、我が国の自衛権は個別的自衛権に限定されるものであって、集団的自衛権は否定されるという見解をまとめております。今もこのときの委員会での法制局の発言という形でペーパーがあるんですが、変わらないということでよろしいでしょうか。
  198. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) ただいまの御質問の資料につきましては、御通告が事前にございませんでしたので、ここに参ります前に精査しておりませんけれども国会に提出した資料であるということであれば、当然のことながら内閣法制局として、その資料に書いてあることは当然現在もそういう立場を取っているというふうに考えております。
  199. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、総理周辺、これは本当にマスコミでの報道ですので分かりませんが、砂川事件での判決内容に対して、これは砂川事件は昭和三十四年の最高裁判決です、今回のこの集団的自衛権との関係に関しては、法制局ですね、昭和四十七年、その後、砂川事件の内容を引用して、これでもいわゆる集団的自衛権はないんだ、認めないんだと、こういうことをきちっと法制局として言っていると。  今、小松長官の方は、こういう資料を見ていないけれども、もしこれをきちっと法制局として出したのであればそのとおりであるというふうにおっしゃったんですが、確認の上、もう一度その辺り御答弁いただけますか。
  200. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、御指摘の資料については、御通告が事前にございませんでしたので、どういう文脈でどういう資料を出しているかということを、前の、相当以前のことでもございますので、私、来る前に精査することができませんでした。  それから、集団的自衛権の行使と憲法九条との関係につきまして、政府が従来繰り返し明らかにしております従来の憲法第九条の解釈のポイントは、煎じ詰めれば、いわゆる自衛権発動の三要件を充足している場合を例外として憲法第九条は武力の行使を禁止しているということでございます。このポイントに照らせば、集団的自衛権を行使することは、この三要件のうちの第一の要件、すなわち我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしておらず、憲法第九条、許容されないと、これが従来の見解でございます。
  201. 山田太郎

    山田太郎君 では、官房長官にもお伺いしたいと思います。  こうした最高裁の判決に対する在り方等も受けて、五月の連休明けに安保法制懇の報告書がまとまるというふうにお伺いしております。  先週の記者会見で長官は、報告書を基に政府方針をまとめて、それを与党と調整されるということを述べられておりますが、その政府方針、いつ頃まとめられ、出されるのか。また、その政府方針という文書が閣議決定されるものなのか、その閣議決定されるものはまた別の文書なのか。その辺り、明確に教えていただけませんでしょうか。
  202. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 政府としては、安保法制懇から報告書が提出された後に、これを参考に政府としての基本方針を示して、内閣法制局の意見も踏まえながら、与党とも相談の上、対応を検討した結果、閣議決定が必要であれば閣議決定を行って、そして国会で御議論をいただきたい、これが政府の基本的な考えであります。  ですから、まだ提出が、いつ提出されたということが明確になっておりませんので、政府の考え方ということはまだ固まっていないということで御理解をいただきたいと思います。
  203. 山田太郎

    山田太郎君 我が党も、集団的自衛権に関しては党内で真剣な、真摯な議論を実はしております。  ただ、政府政府でしっかりスケジュール感というか、どういうプロセスでもってこれを提示していくのか。一方で、この砂川事件の話を突然出して、それに対するいわゆる法制局の見解はまた別のことがその後にあってというような、ちょっと論理を組み立てるプロセスというのはしっかりしていただいた方がいいかなと。余りここの判決でもって認められているか認められていないということよりも、国民にしっかり分かりやすく説明をしていただいて、正面突破とは言いませんけれども、何が必要で何が駄目なのか、どういう議論をしたのか、特にいつまでにそれを結論付けて国民議論をしていくのか。その辺り、もじもじしないで是非進めていただきたいんでありますけれども、もう一度、官房長官、その辺り御発言いただけますか。
  204. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 全くもじもじしているわけではありません。  この報告書の提出、今の報告書の内容については、安保法制懇の内容については、この会合が開かれた際に、逐次これホームページでアップしていますよね。そういう議論をされている。そして、その議論報告を同時に受けて、政府としてのやはり基本的な方向というのは当然示さなきゃならないと思いますね、これは、まさにこれ参考にするわけですから。そうしたものを、与党の理解を得なければ、これは閣議決定もできませんから。そういう意味で、正面から正々堂々とここは行っていきたいと思っています。
  205. 山田太郎

    山田太郎君 しつこいようですけれども、重要な国民的議題でありますので、特に閣議決定のタイミングというのは、官房長官、ひとつ考えていらっしゃると思いますが、どれぐらいになるか、もう一度御答弁いただけますか。
  206. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 報告書の提出を受けて政府の基本的な方針を示した上で、これ与党の理解を、まずこれは当然閣議決定する前に必要でありますから、それがどういう状況になるのか、そういうこともこれは当然ありますので、今現時点においていつ頃ということを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  207. 山田太郎

    山田太郎君 じゃ、次に行きたいと思います。TPPの話に少し移っていきたいと思います。  甘利大臣の方もお越しであります。今日、甘利大臣、先ほどからお伺いしていると、何となく元気がないのか、お疲れなのか、相当TPPの交渉はタフなんじゃないかなと、こういうふうに拝察しております。特に、今アメリカのフロマン通商代表と精力的に議論されているということですが、フロマン代表はどんな方なのか、まず感想辺りから教えていただけないでしょうか。
  208. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) もう長い付き合いになりますけれども、個人的には悪い人じゃないと思うんですが、交渉相手としては相当タフなネゴシエーターだと思います。元々オバマ大統領のハーバードのロースクールの同級生で、成績は一番良かったようであります。大統領がどのぐらいの成績だったかは多分国家機密になっているのだと思いますけれども、フロマン氏は一番優秀だったというふうに聞いております。分かり合えないほどではないと思いますが、やはり相当頑固な人だと思います。
  209. 山田太郎

    山田太郎君 まさにそのタフガイとのやり取りをされて、まさにお疲れというか、これから元気を出して日本の国益のために頑張っていただきたいと思うんですが。  四月十六日から渡米されるということで、実はオバマ大統領も四月の二十三日から来ます。もう本当に終盤戦、ここが勝負というところなんですけれども、内容のほど、やはり私、先ほど言いましたが、情報公開というのをできるだけしていただきたい。今キャラの辺りは教えていただいたんですけれども、もうちょっと、アメリカはたくさん引き下げよ、日本はそんなに引き下げられない、こんな辺り、どんな押し合いへし合いをやっているのか、出せる限りでも教えていただけないでしょうか。
  210. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 交渉の中身は、やはり双方のセンシティビティーに絞ってやっております。我が方のセンシティビティーは農産品、特に重要五品目です。アメリカのセンシティビティーは自動車、それからそれにまつわるいわゆる並行協議であります。  私の方からは、とにかく党の選挙公約というものがあると、そして衆参農水委員会で決議事項があると、その決議事項の内容は先方はよく知っておりますけれども、それとの整合性を取らなければそもそも国会承認が取れないからという話をいたしております。先方は先方で、自分も議会からいろいろと圧力、圧力というか強い要請を受けていると、特に有力議員がいろいろ懐疑的であり、注文を付けていると。アメリカの上院の院内総務が反対していますですね。議院内閣制の国だとちょっと考えられないことなんで、日本にそのまま引き当ててみると石破幹事長が猛反対しているみたいな話ですからですね、あり得ないと思うんですけど、議院内閣制の国でない特徴なのかなというふうに思っております。そういうお互いの立場、自分も大変だから譲ってくれ、いや、こっちはもっと大変だからそっちが譲ってくれというかなり応酬があります。  私の方からは、とにかく、距離がこれくらいとすると、着地点を求めるのはやっぱり双方が同じような譲歩と努力をしなければ成り立たないと、こういう交渉は一方が一方的に相手の方に寄るということでは成り立たないということを再三申し入れております。
  211. 山田太郎

    山田太郎君 まさに交渉されているという中身を少し聞かせていただいて大変感謝をしておりますが、報道等によると、牛肉関税の方、撤廃はしないが引き下げる用意があると、こういう方針だというふうにも聞いております。  そうであれば、自民党さんの二〇一二年の衆議院選挙公約には、TPP参加の条件として、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加には反対するとされていますが、関税撤廃ではなくいわゆる税率の引下げであれば選挙公約に反しないんだと、こういう考えなのかどうか、この辺りで突破されるのかどうか。国内も大変だという話を今甘利大臣の方から聞きましたけれども、その辺りいかがでしょうか。
  212. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 安倍総理が訪米をいたしまして、TPPに入るかどうかの判断をするに当たって協議をいたしました。その協議の最大のものは、TPPというものが最初から関税を全てなくすということを前提条件に入るというのであるならば日本は入りませんと、ですから聖域なき関税撤廃が入っていくための条件かどうかということを確認したわけであります。オバマ大統領からは、それは条件ではないと、ただしそれは、センシティビティーというのは交渉の結果として残っていくものである、言わば交渉の闘った成果として残るものであるということが確認されたわけであります。そこで日本としては、交渉に参加する、つまり最初から関税撤廃が前提ではないということが確認されたので入っていくと。  そして、その後に衆参農水委員会で決議、たしかあれはその後だったというふうに記憶しておりますが、決議をされました。そこにはより細かい点が書いてあるわけであります。そして、議会に身を置く政府としては、衆参で決議をされた内容と最終妥結をした結果が整合性が取れるかどうか、これは、何であれば整合性が取れるかというのは、あの決議の中に細かい細目が全部入っている、書いてあるわけじゃないですので、交渉責任者の私としては、これならばぎりぎり整合性が取れていると議会が理解をしてもらえるのではないかというところを勘案して、努力をしているわけであります。  恐らく、交渉結果が人によって、これでは合格点に達していないとか、あるいはぎりぎり達しているとか、そこそこだとか、いろんな評価があると思いますが、全体として議会が、まあこれならぎりぎり合格点は与えてやってもいいというか、整合性がぎりぎり取れていると思われるという判断をしていただけるように交渉を今しているところであります。
  213. 山田太郎

    山田太郎君 実は私も参議院の農林水産委員でございまして、そのときの決議の経過はよく知っております。我が党は実はあの決議は反対させていただいたんですが、まさにTPPは、推進というのは我が党の立場ですが、もちろんそこで出た影響は、所得補償等も含めて手当てをしなければいけないと。  ですから、我々としては、TPPの交渉は早く進めると同時に、できるだけ国会国民報告していただいて、その次どういうふうに手を打たないと日本の農業は守れないのかと、守る守り方が関税による高価格維持ではなくて、マーケット価格にできるだけ農産物を対応させて、いわゆる産業政策として農業を所得補償等を含めて守っていくという、こういう立場であります。  そういう意味では、何としてでも、甘利大臣、いわゆる党の、自党の圧力にも屈することなくこれも正面突破を図っていただきたいと思いますが、残念ながら最近ちょっとトーンが、去年末は年内に何が何でも上げるんだという力強い発言を外務省も含めていただいていたんですが、ちょっと今回、何となく、どこでまとめていくのかということが分からなくなってきています。  是非、最後に、質問になりますけれども、これ、いつまでにまとめていくのか、今回の甘利大臣の渡米、それからオバマ大統領が来日する、これを一つもう大きな目標とするのかどうか、少しその辺りの答弁を最後いただけますでしょうか。
  214. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 時間が参っていますので、簡潔にお願いします。
  215. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 結論から申し上げますと、オバマ大統領が訪日されるところは一つの節目ではありますけれども、そこがデッドラインではありません。あらかじめ期限を先に決めてしまいますとそこまでの事務作業が進まないというのが今までの経験でありまして、事務作業が収れんしてきた先に初めて閣僚がみんなそろう会議があると、設定すべきだと提案したのは私でございまして、そうしないと閣僚会議があるからということだけでその間の作業が進まないと思いまして、そういう方式にしたわけであります。  一つの節目に向かって双方の担当大臣ができる限り収れんをさせていくということであります。
  216. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございました。
  217. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  初めに、前回の質疑で残してしまった質問がいっぱいあったんですけれども一つだけ厚生労働省に質問をさせてください。  国民健康保険の保険税・料を滞納して資格証が発行されていても病気の治療が必要な場合には短期保険証の発行は可能であると、これは前回、厚労大臣に御答弁をいただきました。二〇〇八年十月三十日の国保課長通知で、被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合に短期保険証が発行されるという取扱いが示されています。  この通知についてはこれまでも国会議論があって、当時、二〇〇八年十一月ですけれども、舛添大臣は、一時払いが困難であるという申出さえあれば結構で、医療の必要性という要件は必要ではありません、医療の必要性についてはお医者さんじゃないですから分かりません、申出があれば即出すと、こういうことが趣旨でございますという答弁をされています。  ところが、名古屋市では、医療を受ける必要について、三か月程度就労不能な疾病という基準としていて、風邪などの軽微な病気では短期保険証は出せないという説明もしているようです。お医者さんに診てもらう前に三か月就労が不能かどうかというのはどうして分かるんだろうかと。そもそもこんな基準では、相当重篤な状態でなければ短期保険証は出さないと門前払いするに等しいことになってしまいます。  そこで、一つだけ確認をさせてください。本人が窓口で病院に行く必要があるんだということを申し出る、そして医療費の自己負担の一時払いが困難だと、こういう申出があればまず短期保険証を発行すると、こういう取扱いだと思いますが、いかがでしょうか。
  218. 木倉敬之

    政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。  資格証明書、これは先生御指摘のように、市町村の窓口、保険料を納付できない方々に対して、資格証明書で納付相談をきちんとさせていただきながらきちんと納付をしていただくという努力をするためのものでございます。ただし、そういう資格証明書が出ている方につきましても、今御指摘のように、医療を受ける必要があるんだと、今まず自分で払っておいて後から払戻しを受けるということが間に合わないんだ、そういう負担ができないんだと、そういう申出をしていただく、緊急的な対応ということで申出をしていただくという場合には、市町村の方では短期の被保険者証、それで一部負担金だけで受けられるというものを交付ができる扱いを示しているところでございます。  この扱いにつきまして、前の答弁にありますように、医療を受ける必要と、まず、医療費を一時的に払うことが困難かどうかということ、それは申し出ていただきますけれども、その場でそれを事実かどうかを確認するまでのいとまがないということは多々あるだろうと思いますので、やはりそれはまず交付をしまして、それからまた、その納付の期限、その被保険者証の期限の中ではまた少しでも納付できないかというお話合いの機会を持たせていただく、その後においてそういうことは必要だと思いますけれども、まず交付をしながら医療の確保に努めるということも必要だろうというふうに考えているところでございます。
  219. 田村智子

    ○田村智子君 命に関わる問題ですので、済みません、前回の積み残しで一問お聞かせいただきました。  保険局長、御退席いただいて構いません。ありがとうございました。  じゃ、続けます。今日は、待機児童の問題をまずお聞きをしたいと思います。  待機児童、引き続き深刻な状態にあるということは認識同じだと思います。ここはちょっと認識をお聞きしようと思ったんですが、時間の関係で省きます。  都市部での問題の一つは土地の確保であるということはもう明瞭で、だからこそ政府の待機児童解消加速化プランでも国有地の活用ということが挙げられてきました。これは、昨年、私、予算委員会でも取り上げまして、国有地の活用なかなか進まないのは、たとえ定期借地が認められたとしても、その賃料が大変に高い、無償又は低廉にということを求めました。その後、国有地活用が具体に進むような施策が取られているのかどうか、お願いいたします。
  220. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、待機児童の八割が都市部に集中しておりまして、そこで保育所などの保育の受皿を確保していくには、とりわけ土地の確保が重要というのはもうそのとおりだと思っております。  待機児童解消加速化プランでは、支援パッケージの一つとして、賃貸方式や国有地も活用した保育所整備を進めているところでございまして、国有地につきましては、実は財務省さんに大変御協力をいただいておりまして、連携して、利用可能な国有地に関する情報を積極的に自治体に提供いただいているところであります。  すなわち、厚生労働省と財務省財務局から各自治体に対して、具体的な国有地の情報提供、リストをお示しし、また、貸付け等スキームに関する周知を行っているところでありますが、財務局からは、各自治体を訪問をして、今後利用可能となる国有地に関する情報、具体的には、廃止予定宿舎が所在する待機児童五十人以上の市区町村全てに提供いただいているところであります。財務局の個々の照会窓口までその中でお示しいただいているなど、かなり丁寧な対応を行っていただいております。このように財務省との連携によって、国有地の活用は積極的に進めて、一定の実績も上がってきているというふうに承知をしております。  このほかにも、土地を賃借して保育所を整備する場合に、通常の整備費のほかに土地借料を加算して補助することとしているほか、賃借物件によって新たに保育所を整備する場合の賃借料の補助といった取組によって、地域の実情に合わせた保育所の整備が進められるよう支援を行っているところであります。  今後とも、待機児童解消に向けて、国としても全力で努力をしてまいりたいと思っております。
  221. 田村智子

    ○田村智子君 その初期投資の補助の上限も、三百万円から二千万円に引き上げたというふうなことも説明の中でお聞きをいたしました。  これは、世田谷区で国有地を活用して増設した保育所の賃料が、高いところでは年間一千七百二十六万円にもなるということは私も昨年御指摘をいたしましたら、そうしたら上限が二千万円、初期投資で、やれば何とかなるんじゃないかということで御努力いただいたというふうにお聞きしているんですけれども、賃料というのは一回で終わらずに、毎年毎年、一千七百万のこの賃料を払わなければならないというわけで、しかも、そもそも国が算定する保育所の運営費、まあ委託費ですけれども、これは土地代というのが見られていないわけですね、構造上。それで、毎年、世田谷区でいえば、安いところでも四百万近く、高いところは今言った一千七百二十六万という賃料、これを負担できる仕組みにはなっていないわけです。  森大臣にもちょっと認識をお聞きしたいんですけれども、やはり待機児童解決の緊急施策として、公有地の無償又は低廉での貸与、これ、国だけではなくて都道府県も、用地取得費の補助に踏み出すとか、あるいは利子補給を行うなど、その土地の確保に対する直接的な支援ということを検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  222. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおり、平成二十五年度の賃借料、上限を二千万までに上げたんですが、それは一回限りでございます。賃借料は毎年発生するということ、御指摘のとおりでございますので、待機児童解消のために有効な方策を更に検討してまいりたいと思います。
  223. 田村智子

    ○田村智子君 是非御努力を、昨年議論したときも麻生財務大臣はなかなか固い答弁で、どうしてもお金は払ってもらうんだということだったんですけど。土地の活用という点で、やっぱり待機児童の解消と一体に国有地活用されるって非常に大切だと思いますので、森大臣からも是非財務省への働きかけもお願いしたいと思います。  保育所が足りないと、なかなか設置が進まない要因のもう一つは、保育士の確保もなかなか厳しいという問題があります。  安倍総理は、昨年四月十九日の成長戦略スピーチの中で、「保育士の資格を持つ人は、全国で百十三万人。しかし、実際に勤務している方は、三十八万人ぐらいしかいません。七割近い方々が、結婚や出産などを機に、第一線から退き、その後戻ってきていません。」と、こういうふうに述べられました。私、これ大変重要な問題提起だと思います。厚生労働省の調査でも、保育士の退職理由、最も多いのは、保育士自身が家庭との両立が難しいと、これ二五・六%、四人に一人です。次いで、近い将来結婚、出産を控えていると、この方もつまり両立は難しいということだと思います。  こういう仕事と家庭の両立支援を担う保育士が自らの両立が困難で退職せざるを得ない、これは女性の活用という面からも、また直面する待機児童問題の解決という面からも放置できない事態だと思います。保育士自身が仕事と家庭の両立ができるような支援が急がれると思いますが、森大臣、いかがでしょうか。
  224. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおりでございまして、非常に難しい問題がございました。つまり、保育士の方がお子さんができたときお子さんを預ける保育園が見付からないという、まず、自分の子が待機児童になってしまうという問題。もう一つ、一旦離職した後、保育士としての資格を生かしてまた働きたいと思っても、どうしても短時間の勤務しかできない。その短時間の勤務が、保育園が認めている短時間勤務と時間帯がマッチングがなかなか難しい。保育園の方は例えば朝早くとか夜遅くの短時間が足りないわけでございますが、昼間の時間だけの短時間勤務とのマッチングというのが非常に難しい。二つの課題が主にあると思います。  最初の方ですけれども、平等ということで、保育士のお子さんであろうとも、その他のお子さんであろうとも、平等に保育園に入れなければいけないということで、待機児童問題の中で保育士のお子さんが待機することで保育士が仕事を辞めざるを得ないという状況がずっとございました。そこで、今回、平成二十七年度からの本格施行が予定されている子ども・子育て支援新制度の中で、これは市町村の判断により、保育士等の子供、優先的な利用をすることができるというふうにいたしました。そのことによって、保育士のお子さんが保育園に行けば保育士が仕事を続けることができる、そのことによってほかのお子さんも預かることができるということで、国民の皆様の御理解を得てまいりたいというふうに思います。  短時間勤務のマッチングについては、そもそも短時間勤務という制度が使えるようにはなっているわけでございますが、先ほどのような問題点がございますので、更にこの点を解消できるように努力してまいりたいと思います。
  225. 田村智子

    ○田村智子君 自らも母親になって、あるいは男の保育士さんもいらっしゃいますので、父親になって更に保育士として働くということは、やっぱり親御さんの気持ちもより分かるようになるんだ、やっぱりそういう保育士さんが自分の力を本当にどんどん使って日本子供たちを育ててほしいなというふうに私は思っているんです。  ちょっと具体に問題を指摘したいと思うんです。現在、やはり保育士さんたちが自らの家庭との両立が難しいと思っている大きな原因に、長時間保育が当たり前になっているという問題があります。  現在、保育所は十一時間の開所、八時間保育というのを基本としていますけれども、事実上、都市部などでは多くの保育所が十二時間、朝七時から夜七時、あるいは十三時間、朝七時から夜八時など、こういう開所が当たり前のように行われているわけです。これ、もちろん社会全体の労働時間の短縮ということに本当に取り組んでいかなければならないんですけれども、直面する保育士さんのこの長時間保育の負担、その軽減をやっぱり急いで取り組まなければいけないと思います。  ここでは構造的な問題を指摘をしたいんです。  今、保育所の運営費となる保育所委託費、ここでは人件費として基本的に見るのは八時間保育の分だけなんですね。延長分、十一時間やそれを超える分というのは、十一時間分の延長ですね、これは加算で見て、保育所全体では一人ないし二人分の人件費ぐらいにしかならないわけです。  しかも、この八時間というのは、子供たちへの直接の保育の時間がまさにその八時間であって、保育士の皆さんは月間の保育計画を立てたり、保育の記録や保護者へのお便りを作ったり、行事の準備をしたり、会議も行うし、当然休憩時間というのも取ることが求められています。それらの時間を含めた保育士配置の人件費にはなっていないと。当然、お子さんが来る前に準備もあります。帰ってからの片付けもあります。その分が全く人件費として見られていないわけですね。ですから、保育園の園長さんなどからは、八時間保育ならば、子供と関わる時間は六時間、その他の業務に二時間というようにして保育士配置を見るべきだというふうに指摘もされています。これは真っ当な指摘だと思います。  こういう保育所委託費の構造が日常的な、常態的な保育士さんの人員不足を生み、そして一人の保育士さんが担う仕事が増え、保育士さんの長時間労働が常態化してしまう原因になっているんじゃないだろうか。保育士の過度な負担、これを招いていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  226. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。  まず、保育所における保育時間でございますが、フルタイムなどの一般的な就労時間が七時間から八時間であること、そして子供たちは一日の生活リズムの中で一定時間保育所で過ごすことを考えて、まず八時間を原則としているところでございます。ただ、同じフルタイムでありましても、労働者によりまして始業時刻、終業時刻が違ってきますし、また通勤時間なども考慮することが必要なことから、現行の保育所では十一時間の開所を求めているところでございます。  その上で、議員御指摘になられた点でございますが、十一時間開所をして保育を提供するために必要な経費として、まず保育所運営費によって、保育士の休憩時間を確保する観点あるいは長時間開所に対応する観点から、配置基準上の人数を超えて保育士を一名加配をしているほか、開所時間であります十一時間を超えて延長時間を実施している場合には、開所時間の始期と終期における保育ニーズに対応するための保育士一人を延長保育事業の基本分として別途加配するという措置をとっているところでございます。  この考え方は、新制度におきましても、保育必要量として最大で十一時間までとする保育標準時間認定に係る保育必要量でございますが、この考え方は現在の十一時間開所と変わるものではございませんが、ただ、現行におきまして、この十一時間の開所時間については延長保育事業の基本分等によって対応してきたところでありますけれども、これは、やはりその開所時間の範囲内にもかかわらず延長保育の一部とされていては分かりにくいという指摘もございます。また、補助対象とされていない保育所も現に存在しているということがありますので、この新制度の保育標準時間認定を受ける子供の公定価格の設定におきましては、この〇・七兆円の財源をベースとした質の改善の事項としまして現在の延長保育事業の基本分と同等の内容を公定価格の本体に組み込むとともに、保育士の勤務シフトを組みやすくして、かつ保育士の負担軽減など図るために更に三時間分の非常勤保育士の人件費をプラスすることとしております。  このほか、新制度では例えば三歳児を中心とした職員配置の改善なども予定をしているところでございまして、これらによりまして保育標準時間認定の子供の利用に適切に対応することができると考えているところでございます。
  227. 田村智子

    ○田村智子君 これ、ですから、八時間超えた分は保育士さんを一人って、一人は無理でしょうって思うわけですよね。どういう保育所も一人は加配していますって、それは無理なんですよ。現に、昨年、杉並区で昨年開設した保育所で次々と保育士さんたちが辞めていくという事態が起きたんですよ。それは、開所したばかりでいろんな負担も多かった、国基準でいろいろやってみても、とてもじゃないけど人が足りないと、もう担任の保育士さんが燃え尽きるようになってしまって、自分の体がもたないって途中で辞めていく異常事態が発生したりしたんですね。  やっぱり今のこの保育士の国の配置の仕方というのが、先ほど指摘したような八時間保育を基本として人件費を見ているというこのやり方は、これはもう現場とはそぐわないというふうにしか言いようがないわけです。  これ、森大臣にもお聞きしたいんですけれども、今局長からお話あったとおり、来年度からの新制度に向けて今保育所の委託費どうするのかという検討が行われています。先ほど説明があったとおり、基本的には今までを踏襲するわけですね。一応、その延長保育で毎年毎年予算ベースというふうに見てきたものをちゃんと委託費の中に、運営費の中に十一時間分は見ますよというふうにはするんだけれども、それじゃ、新たに保育士の配置が長時間保育に対応するような配置がなされるかといったら、そうはならないわけなんですよ。  これは、やっぱり保育に直接当たる人件費しか手当てしていない。この問題とか、やはり八時間を超えるところはだんだん人が増えてだんだん人が減っていくでしょうというんですけれども、私も夜七時まであるいは八時近くまで子供を預けて働いてきましたけれども、六時以降、たくさんいるのは当たり前なんです。十一時間以降もたくさん子供たちがいるのは当たり前。そういう構造での実態に合わせた委託費の在り方というのをやはり検討していくことが必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  228. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 大変難しい問題であるなと思いながら伺ってまいりました。  子ども・子育て支援新制度におきましては、もちろん現行を踏襲するんですが、その上でさらに、質改善項目ということを現場の要望を勘案して盛り込むこととなっておりまして、委員の御指摘も深刻に受け止めてまいりたいと思います。  社会全体の、また長時間労働、また子育て中の企業での働き方の在り方の見直しとともに、この保育の、目の前の保育士さんの負担ということもしっかりと目を向けてまいりたいと思います。
  229. 田村智子

    ○田村智子君 是非具体の検討をお願いしたいと思います。  もう一点、新制度の下で確認したいことがあります。  保育士さんの処遇の問題も、これ与野党問わず昨年の国会でもいろいろに取り上げられてきました。やっぱり、保育士さん途中で辞めちゃう理由が、これだけ大変な仕事で、こんなに責任が重い仕事をしているのに、これだけの給料なのかという問題もあるんです。もう月二十万円行かないような給料で働いている保育士さんがいっぱいおられます。  私が確認したいのは、保育士さん、やっぱり長く働き続けたらちゃんと給料が上がっていくというシステムが必要だと思うのですが、新制度の下では、民改費のように、平均経験年数に応じて委託単価が上がる仕組みになっていくのかどうか。そして、その仕組みが永続的なものとなるのかどうか。現行の制度でいいますと、保育士さんの人件費というのは十年頭打ちなんですね。それでいいのかと思うんですよ。十年を超えたら、どんなに働いても国基準では給料は上がらない。これ問題だと思うのと、その平均経験年数に応じて単価が上がる仕組みが途中で終わっちゃ駄目、ずっと続いていく、永続的に続いていくということでお約束をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  230. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。  保育の量的な拡充と質の改善を進めていく上で保育士の確保は大変重要でございまして、そのため、処遇の改善を進めていくこと、これは今議員おっしゃったように、与野党問わず一致した重要な問題というふうに受け止めているところでございます。  これまでの保育所の運営費におきましては、民間施設給与等改善費によりまして、常勤保育士等の勤続年数、経験年数に応じて運営費を加算することでベテラン保育士の処遇改善を図ってきたところでございます。子ども・子育て会議検討を進めております新制度の公定価格におきましては、現行の民間施設給与等改善費の仕組みを参考に、職員の確保、定着を促進する仕組みを取り入れていく方向で検討いたしているところでございまして、三月の末に取りまとめていただきました公定価格の骨格案におきましては、処遇改善等加算という項目を盛り込んでいるところでございます。  この詳細な設定に当たりましては、現行の民間施設給与等改善費と同様に、職員の勤続年数やその経験年数に応じて加算額がアップしていく仕組みを維持するほか、加算率の区分の上限であります十年以上よりも長い場合の対応についても検討することとされているところでございます。  今後は、これを踏まえながら、仮単価の設定など、新制度の施行に向けた準備を進めていきたいというふうに考えております。
  231. 田村智子

    ○田村智子君 是非長く働き続けられるシステムになるようお願いしたいと思います。  こうした保育士の不足が指摘される下で、甘利大臣に今度はお聞きいたします。  産業競争力会議では准保育士という提案がされていて、これがマスコミでも大きく取り上げられました。実は、この准保育士は、二〇〇七年にも規制改革会議で同様の提案が行われました。そのタスクフォースの会合はくしくも第一次安倍政権のときで、このときは受験科目などを保育士よりも少なくする、こういうふうにして保育士の資格の簡易化を図るということが二〇〇七年には提案をされ、猛反発に遭ってこれは実現しなかったわけです。今回はといいますと、更に緩和の方向で、民間認証資格でいいんだという提案になっています。  保育については、これまで政府自身が、量の拡大だけではなくて質の向上も求められる、だから一兆円の新たな投入を行うんだということを言ってきたわけです。私も、子育て経験者が保育を協力する、支援するという立場で活用されていくことは、これは否定しませんけれども、准保育士という提案は、これは保育士の代わりに准保育士雇っていいという話になってきますから、これは政府が言ってきた量も質も保障された保育ということとは矛盾していくんじゃないかと思うんですが、甘利大臣、いかがでしょうか。
  232. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 御指摘の准保育士につきましては、三月十九日に開催をされた、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議を開いたわけですが、そこにおきまして民間議員より提案がありました。育児経験が豊かな主婦層の就労機会の拡大の視点から、例えば民間認証の新たな資格を設けることによって、育児経験のある主婦層の就業機会を増やし保育所の質の向上を図るとの御提言があったわけであります。  御指摘のとおり、先ほど来御指摘をいただいておりますが、待機児童に関わる保育士の確保として潜在保育士の活用、再就職支援というのは重要であります。そして、准保育士なるものがそれに取って代わってしまうということであれば、確かに御指摘のような問題が出るんだろうというふうに思っております。  この点、民間議員の御提言は、潜在保育士の活用、再就職支援は進めることを前提として、例えば民間認証による新たな資格を設けることは、将来保育士を目指す主婦層のモチベーションの確保等につながり、結果として保育所における保育の質の向上や保育士不足の解消にも資するという観点からの提案であるというふうに認識をしているわけであります。  いずれにいたしましても、民間議員の提案も踏まえた具体策については、御指摘のとおり、保育の質の確保に十分に留意をしつつ、今後、厚労省とも調整しながら議論を深めていきたいというふうに考えております。
  233. 田村智子

    ○田村智子君 今も保育の支援員など、資格とは違うところで働いている方はいるんですけど、今度は准保育士という別の資格というのを持ち出してきているわけですから、ここに危惧が集まるのは当然なんです。  私は、保護者というのは、預けられれば誰でもいい、どこでもいいなんて思っている方はまずいらっしゃらないと思うんですね。安心して子供を託して、子供の成長に一緒に寄り添ってくれる、そういう保育を求めていまして、育児経験と保育士というのもまたこれは別のものだというふうに言わなければならないと思うんです。  改めて厚生労働省に聞きたいんですけれども、毎年、厚労省は保育所などにおける子供の死亡数の調査を行っていますが、この直近の調査では認可保育所と認可外の施設とで死亡数がどうなっているか、示してください。
  234. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。  平成二十五年に自治体から報告のあった保育施設における死亡事故は十九件でございました。施設類型ごとに見ますと、認可保育所で四件、認可外保育施設で十五件となっております。
  235. 田村智子

    ○田村智子君 これは私も資料でお配りをしました。それがどういう事故だったのかというのを情報開示を、赤ちゃんの急死を考える会が行ったものをまとめていますので、御覧いただきたいと思うんです。  これ、子供たちというのは圧倒的に認可保育所が多いです。認可外の保育所を利用している子供さんというのは恐らく一割にもならないんじゃないでしょうか、認可の保育所と比べると。それでこれだけの死亡事故でいうと違いが出てくるわけですね。資料の中を見ても分かるとおり、無資格者だけで見ていて死亡の事故が起きているというのが何件か出てきているわけです。やはりこういう事故に見舞われた方々は、とりわけ准保育士の提案というのを撤回してほしいというふうに考えてもいるわけです。  四月八日には、保護者の皆さんが意見書を産業競争力会議などに提出をしていますけれども、その意見書を提出されたお一人は藤井真希さんという方で、保育中の事故原因子供さんを亡くされたお母さんです。藤井さんは二〇一〇年十一月に、自分の通院のために生後五か月だったさつきちゃんを大阪府八尾市の事業で紹介された女性に預けました。保育士資格はなかったけれど、育児経験のある先輩お母さんなら子供を安全に預かってくれるだろうと信じてしまったと藤井さんは言っています。預けたのは僅か一時間です。ところが、その一時間で、元気だったさつきちゃんは、なぜか心肺停止になって救急搬送されて、心臓は蘇生したけれども脳死状態となり、意識が戻らないまま昨年十月、三歳で亡くなられました。  死亡との因果関係は現在裁判で争っているところですけれども子供を、さつきちゃんを預かった女性はうつ伏せ寝にしていたと。女性は、講習を受けていたけれども、うつ伏せ寝が赤ちゃんにとって危険だということは知らなかったと藤井さんに話したということです。藤井さんは、女性は子育て経験を過信していたようだった、保育士の勉強量と短期間の講習とでは全然違う、子供を亡くして、一時的な預かりでさえ専門知識が必要だと痛感した、長時間子供を預かる保育所ではなおさら大切だ、資格は重視するべきだと、育児経験と保育の能力は全く別なものであると痛切に感じていると、こういうふうに述べられておられるわけです。  保育中の死亡事例は、今も、悲しいかな、少なくなく、こうして起きています。保育の質の向上が求められているというときに、こういう事故が起こっているのに准保育士の導入というのは、これは進むべき道を逆行することになるんじゃないでしょうか。甘利大臣、もう一度お願いいたします。
  236. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 保育所における死亡事故、あってはならないことであります。そういった意味では、御指摘のとおり、保育所における保育の質の確保というのは極めて重要であります。そして、先ほど来お話が出ております民間議員の提案の中にも保育所の質の向上を図るということが記述されておりまして、保育所の質の確保が前提とされているものと認識をいたしております。  一方で、現在でも、保育士の配置基準は満たして、その上で、その保育士を助けるという意味で保育士資格を有しない者が保育所において働いているという現状があります。このような保育士資格を有しない保育従事者も含め、将来保育士を目指す主婦層のモチベーション確保等のためにこのような新たな資格を活用するということは、結果として、保育所における保育の質の向上であるとか保育士不足の解消にも資すると考えているわけでありまして、言わば、要するに保育士の負担を周りがどう軽減していくか、そして、それを通じて安全と質の確保を図っていくということであるというふうに理解をしておりますが、いずれにいたしましても、保育の質の確保に十分留意をしつつ、先ほど来話題に上がっております民間議員の提案を含めて、今後厚労省とも調整をしながら、いかにあるべきかという議論を深めていきたいというふうに思っております。
  237. 田村智子

    ○田村智子君 これ、じゃ、厚生労働省は、こうした准保育士という提案についてはどのような見解を持たれているんでしょうか。
  238. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) 准保育士の創設に関しては、三月十四日の産業競争力会議雇用・人材分科会において御提案があったところでございますが、四月四日の経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議におきまして、田村厚生労働大臣から准保育士の創設に関して発言があったところでございます。  その趣旨を簡潔に申し上げますと、まず一点としまして、産業競争力会議からの御提案は、主婦等の子育て経験者が広く子育て支援分野で活躍することを推進すべきとの御趣旨であると認識しておりまして、その点については積極的に検討していきたい。二点目でございます。その一方で、准保育士等の資格を創設をして、仮に認可保育所等の配置基準に算入する場合には、保育の量の確保のために質を犠牲にしたとの批判を受け、保育の専門職である保育士を求める保護者の期待には応えられないので、厚生労働省としては、保護者の要望に応えるためにも、引き続き保育士の確保に全力で取り組んでいくということでございました。  実際に、本年四月八日に、保護者の団体から私どもも准保育士の導入を懸念する意見書の提出を受けているところでございます。したがいまして、厚生労働省としては、田村大臣の発言の趣旨に沿って適切に対応していきたいというふうに考えております。
  239. 田村智子

    ○田村智子君 これは、もし准保育士という資格がつくられて、そういう方が保育の現場で働くということになりますと、例えば、先ほど来言っている保育士の処遇の改善にも結び付かなくなっていくんじゃないだろうか。当然、准という立場になれば、これは給料も保育士よりも低いというふうになっていく、それが保育士全体にどういう影響を与えるかということも危惧がされるわけです。  実際、二〇〇七年のときの規制改革会議の中では、恐らく保育士さんたちの給料は多少安くなるでしょうと、そういう代償は払わなければならないけれど、相対的に安い賃金でもいいから働きたいというお母さんたちが働けるようになるという大きなメリットがありますなんていう議論がされて、二〇〇七年当時は准保育士ということが議論されていたわけです。また、この二〇〇七年のときは、子供を育てるのと学歴は関係ないとか、団塊の世代は育児経験を持っている、年を取ると子供はかわいいものだなどと、何というか、保育士という仕事をおとしめるのかと思えるような発言が繰り返された経験があるわけです。こういうことが、政府直属の会議でまた繰り返しちゃうのか、非常に危惧します。  そうじゃなくて、お手伝いに来るんだということであるならば、何も資格化する必要ないです、今だって支援者という形で入っていただいているわけですから。  是非、甘利大臣、これ撤回を求めてほしいと思うんです、森大臣にもね。これは保育の現場に重大な問題をもたらす、撤回すべきだということを求めていただきたいんですが、大臣、いかがですか。
  240. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 名前がそう付いているわけではないですけど、いわゆる准保育士なるものが保育士に取って代わるということであるならば、そういう御指摘はごもっともだと思います。保育士をしっかり補佐してその仕事を助けていくという意味で、要は制度設計という部分もあるんではないかと思います。  もちろん、保育士資格を持ちながら保育の現場に出てこれないには理由があって、それは、自身の子供が待機児童になってしまう、あるいは待遇がいずれにしても低過ぎるという御指摘がありました。この両面、確かに自分の子供を一人預ければ、保育の現場に出ていない保育士経験者の人が見れる子供の数というのは一対幾つという割合で増えていくわけでありますから、その資格を持ちながら保育の場に出てこれない方の環境整備をしていくということももちろん重要だと思いますが、いずれにいたしましても、設計次第でこの御指摘の危惧も当たってしまうことにもなるでしょうし、設計次第で有効にいろいろ活用できるということにもなろうかと思います。  いずれにいたしましても、民間提案も含めて厚労省としっかり議論をしていきたいというふうに思っております。
  241. 田村智子

    ○田村智子君 この問題はまた議論をしたいと思います。  稲田大臣、お待たせいたしました。次のテーマに移ります。  規制改革会議、三月二十七日に選択療養、今度は医療の話です、の創設についてという論点整理を行いました。これ、患者と医師が合意をすれば、保険外診療に対して保険外併用療養費を支払うという枠組みです。しかも、対象とする治療をリスト化しない、個別の治療について極めて短期で保険外併用療養費ができるかどうかということを回答を出すというふうに言われているんです。  国内未承認薬の使用など、対象とする医療は事実上の臨床研究になるわけで、しかも、これを定型化しない、個別だ、極めて短時間で判断だというふうになりますと、通常の臨床研究では、医学的に妥当なのかどうかと、インフォームド・コンセントが適切かとか倫理的に妥当かなどということをきちんと倫理委員会などでチェックすることがやられるんですけれども、こういうことがしっかりやられないままにどんどん保険外併用が広がるということが危惧されるわけですね。  患者の安全や医療の有効性をどのように担保するつもりなのか、まず内閣府室長、お願いします。
  242. 滝本純生

    政府参考人(滝本純生君) お答え申し上げます。  今御指摘ありましたように、選択療養といいますのは、国があらかじめ対象を定める評価療養の制度では必ずしも応えられない患者の個別ニーズに迅速に応え得る改革案として提案されたものだと理解しております。  患者の自己の選択によって保険診療と併せ受ける保険外診療であって、一定の手続、ルールに基づくものと、その一定の手続、ルールの枠内のものとされているところでございまして、安全・有効性をどのように確保するかといったようなことにつきましては次回以降の規制改革会議議論されることになっておりますけれども、今意見として出ておりますことを申し上げれば、例えば患者の疾患、保険診療の内容とか、あるいは併用する保険外診療の目的や内容などを記載いたしました診療計画書を提出させると。それからまた、選択したからといって何でもかんでも認められるというものではございませんで、合理的な根拠が疑わしいような医療でありますとか、あるいは効果がないんだけれども不当に国民の医療負担を増やすようなもの、そういったものについてはチェックをして除外をするというようなことを考えておりますので、当然何らかのエビデンスを添付させるというようなことも考えられておりますので、こういったことについて具体的にどのように安全性などを担保していくか、これは厚労省などとも意見交換しながら今後詰めていく課題だと、そのように考えております。
  243. 田村智子

    ○田村智子君 現在でも、先進医療というところでは保険診療と保険外診療を組み合わせて受けられるようになっています。これは治療を決めたり薬を決めたりしてやっていることなんですけれども、その中の先進Bというものは薬事承認を前提としない評価療養、これは未承認薬とかを使う、そういう医療をやっているわけですけれども、それでさえも、それが適切に行われるかどうかという審査は六か月、今、更に短くして三か月にしようという努力をしているわけです。これぐらいを取らなければ安全性を最低限確保できない、有効性が確認できないと。確からしいかどうかということが見極めができないということで、そういう仕組みになっていると思うんですよ。これよりも短くして、しかもこの治療というふうに決めないというんですね。患者さんが申し出たものについて一件一件、これが保険外の併用ができるかどうかを考える。一体どういう仕組みなんだろうと思うんですけれども。  これは、もう一つ確認したいのは、この選択療養は、保険診療への導入していくんだと、その治療や薬をですね、保険診療にしていくんだということを前提とするということを前提としない制度ではないですか。
  244. 滝本純生

    政府参考人(滝本純生君) お答え申し上げます。  規制改革会議で今議論されておりますことは、今申しましたように、評価療養のように保険導入のための評価を行うものではなくて、評価療養だけでは必ずしも十分に対応できないものに個別に対応していこうというものでございますので、その限りにおいては保険収載を前提とすることを前提としていないということは事実でございます。  ただ、今後の議論でございますが、先ほど申しましたように、合理的根拠が疑わしい医療の助長などを防止する方策なども検討していくことにしておりますし、それから、評価療養に値すると期待される実績が幾つか集まればできるだけ早期に評価療養に移行させていく、そのようなシステムも併せ検討していこうということでありますので、保険収載されない診療をいたずらに増やしていこうと、そういったことを狙いとしているものではございません。  今の規制改革会議状況は以上のようなものでございます。
  245. 田村智子

    ○田村智子君 稲田大臣にお聞きします。  昨年十一月、この問題で公開ディスカッションが行われていて、大臣は、保険適用まで行かなかったとしてもずっと併用して、保険適用の分と自由診療の分と混合でずっと認めていっていいじゃないかという発言をされているんですよ。  ある医療技術、ある薬品、薬剤、これが選択療養制度の下ではずっと保険収載されないでずっと混合診療で続けられていくという意味ではないんですか。
  246. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 御指摘の昨年の十一月の公開ディスカッションにおける私の発言ですが、かなり長い発言をいたしております。  今委員が御指摘の前の部分ですけれども、私は、原則は、いいものだったら保険適用すべきである、それが皆保険制度の趣旨だということは当たり前のことですよ、そんなことは規制改革の人間は誰でも分かっているし、変な治療をどんどんやらせて自由診療、混合診療を認めていけと、そんなことを言っているわけではなくて、評価療養を認めて保険適用されない場合、ずっとそのまま混合診療を認めていく場合、今、このシンポジウムで例になった場合がまさにそうだったわけですが、そういったときには認めてもいい場合があるのではありませんか、そういう選択肢を認めるということはどうなんですかという、そういう質問をしたわけであります。今御指摘のような高額な薬が保険収載されないままになることを一般的に認める趣旨で言ったものでもないし、また全面的に混合診療を認めるべきであるという趣旨で言ったわけでもありません。  また、今回、この公開ディスカッションで挙げられた事例は、保険外で扱う薬剤の価格が非常に安くて企業が治験のコストを回収できないといった理由で薬事承認に至らないケースであって、高額な薬について意図的に保険適用を申請しないというケースでもありませんし、むしろこういう場合に保険外診療を認めないことで一般の方々が治療を受けられないという、そういうケースについて質問したということでございます。
  247. 田村智子

    ○田村智子君 これ、保険外併用の制度で、効果が認められれば当然保険収載されていくわけですよ。先進医療、評価療養の制度というのはそういうもので、ディスカッションの中で問題になったのはカフェイン併用療法のことだと思うんです、私もそれ読みましたので。  これは、あのときなぜか事実誤認があるみたいで、カフェイン併用療法というのは今評価療養の対象となってきましたし、今は第二相試験まで進んでいて、保険適用されるんじゃないかという方向に進んでいるということなんですよ。だから、もし先進医療の中にも入らず、保険外と保険医療との併用がずっと続いていくという治療があるとすれば、有効性がかなり確からしくないというものしか考えようがないんですよ。有効性があるだろうと思うものは先進Bとかにどんどん入れていけばいいんですもの、未承認薬だって。先進Bの在り方を検討すればいいだけであって、何も今ある先進医療とは別個で、保険外の治療がどんどんできるようにしていくということを新しく別の制度としてつくる必要性はないはずなんです。  しかも、これは難病団体の皆さんからも、そんなことをされちゃったら私たちは何の治療を信じていいのか分からない、医師と患者の個人的な話合いで、あなたにこういう薬はどうですかとお医者さんから言われたと、それを信じていいのかどうか分からない、制度としてないわけですから。そういう対等な立場でもないのにってことになっていったら大変なことが起こるんじゃないのかと。難病、慢性疾患の当事者団体は、過去に医師が自由に投薬できることによって多くの難病患者の生命と健康に大きな被害が生じた経験を有しているんだと、だからこのような新たな制度というのはつくる必要はないということを意見表明もされているわけですよね。  これはやっぱり考える必要はないんじゃないですかね。先進医療の方を見直すということでいいんじゃないでしょうか。
  248. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) あくまでも今規制改革会議で提案されているのは、混合診療の全面解禁ではなくて、選択療養制度という新たな制度を提案をしております。  そして、その会議議論として主に想定されているのは、困難な病気と闘う患者が、自分で納得して、自分で費用を払ってでも保険外の治療を受けたいと希望したときに、保険が受けられるはずの診療まで全額自己負担を強いられたり、また、別の病院に移ってくれと言われたりする、そういう患者にとって気の毒な状況を打開をしようということでございます。このため、保険外診療を併用してもできるだけ保険給付がなされ、保険診療に係る経済的負担が治療の妨げにならないように、現行の評価制度では必ずしも応えられない患者の個別ニーズに迅速に応え得る改革案として問題が提起をされたものであります。  もちろん、必要かつ適切な医療というのは基本的には保険診療で行われるべきだというふうに考えております。評価療養に値すると期待される有効な実績が幾つか集まれば、評価療養、先進療養に移行されるシステムが検討されるべきだというふうに考えております。
  249. 田村智子

    ○田村智子君 これ、治療の、定型化しない、医者と患者の個人の契約でその申請を出す、私、非常に危険なものだというふうに思います。現に難病、慢性疾患の当事者団体からは、確かに国内未承認薬がなかなか使えない、それは承認の体制をもっと整えて承認を早くできるようにすればいいことなんだと。私たちが求めているのは、やっぱり保険で自分たちの病気が治してもらえるような、そういう薬を早く開発し、承認をし、そして私たちが使えるようになることなんだと。  保険外との併用というのは、それは保険外の薬って高いですよ。これやっぱり、それができる方できない方、お金がある方ない方の違いというのをつくり出してしまうことにもなりかねない。それから、先ほど言った有効性や安全性のチェックも十分にできない危険性がある。これはよくよく慎重な検討が必要だと思いますし、私は先進医療や未承認薬の承認のシステムなどを検討すべきだということも申し述べたいと思います。またこれも議論したいと思います。  ありがとうございました。
  250. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。よろしくお願いいたします。  今、少子化が、皆さん大いに騒いでおりまして、国難かのごとく騒がれていますんですけれども、まずそういうことで少子化問題についてお聞きしたいと思います。  当然、お医者様もそうですけれども、処方箋を書くためには原因分析が必要なんで、原因についてちょっとお聞きしたいんですが、その前にちょっと、質問通告していなかったんですが、この大変だと騒いでいる少子化に対してどのくらいお金を使っているのか、ちょっと通告していないんで正確な数字必要ないですけれども、一円なのか一千万円なのか一千億円なのか一兆円なのか、その程度で結構ですけれども、ちょっとお答えいただけますか。    〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
  251. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 少子化対策という統計ではないんですけれども、子ども・子育て、そして家庭のための予算ということで先進国と比較した場合に、GDPの一%程度でございます。フランスやスウェーデンなどの出生率が高い国は三%程度を充てております。
  252. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 一%というと大体五兆円弱、四兆八千億とかそんなような感じですね。分かりました。  それだけのお金を使って少子化対策等をやっているわけですけれども、その原因というのはどういうふうに分析されていますでしょうか。
  253. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 少子化の主な要因は、未婚化と晩婚化だというふうに考えております。全ての年代においての未婚率が急激に上昇しております。さらには、結婚した方、夫婦が持つ子供の数も徐々に下がっております。  そこで、なぜ未婚なのか、晩婚なのかということをアンケートを取りますと、独身の方の九割が結婚をしたいという希望を持っておられます。そして、結婚した場合に二人以上の子供が欲しいというふうに述べておられまして、それを単純に掛け合わせますと出生率が一・七五程度になるというふうに、そういうふうにも出ております。  その背景は、なぜ希望しているのに結婚しないかという背景は、一つには若者の雇用など将来の生活への不安感、それから核家族化や地域のつながりの希薄化、子育て中の孤立感や負担、そして家庭生活との両立が困難な職場の在り方などが指摘されております。
  254. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 結婚しない理由が将来の生活への不安とか、子育て時代、子育て期間中の負担とかいうことをおっしゃっておりましたけれども、それじゃ昭和二十二年から二十四年のときのベビーブームは何だったんだと。あの頃は今よりもよっぽど経済事情は悪くて、それでもこれだけの子供を産んでいたわけで、生活が不安だとか子育てのときの経済的な不安だとかいうのはいかにも取って付けたような理由かと思うんですが、いかがでしょうか。  それともう一つでいえば、他国のデータを比べますと、日本平成二十三年の合計特殊出生率は一・四ぐらいだと思うんですけれども、アフガニスタンで五・四、ソマリアで六・七七、アンゴラで六・一、ウガンダ六・〇六、コンゴ民主共和国六・一五ということで、彼らには生活の不安がなくて日本は生活の不安があるんでしょうか。非常に矛盾に感じるんですが、いかがでしょうか。
  255. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) これは意識の問題が大きいと思います。  経済的に不安だから結婚しないというのは、これは独身の方へのアンケートで出てきている答えですので、やはり今の若者、また独身の方は雇用が安定をしているということが結婚の条件というふうに考えているというふうに思います。また、今の方が経済の方が良いという御指摘もございましたけれども、若者の職ということでいえば、安定というものを、今の状態で若者というものが安定感というものに不安を感じているということだと思います。
  256. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 安定感といいますと、昭和二十二年というのは戦後二年目で、このときの出生率は四・五四ですから、二十三年でも四・四、二十四年で四・三二ということで、あの頃の方がよっぽど仕事があるかどうか不安で結婚どころじゃないと思うんですけれども、皆さん子供を産んでいたということで。皆さん、大体、経済が悪いことを少子化の原因にして国のお金をばんばん使っていますけれども、本当にそうなのかということをきちんと分析していただきたいなというふうに思います。  それから、少子化の理由をデフレというふうにおっしゃる方がいらっしゃるんですけれども、そういう識者がいらっしゃいますよね。それについてはどう思われますか。少子化はデフレの原因なのかどうか。
  257. 熊谷大

    ○理事(熊谷大君) どなたに質問でしょうか。
  258. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 どなたでもいいんですけど、じゃ、甘利大臣、いかがですか。
  259. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) デフレの原因が少子化じゃなくて、少子化がデフレの原因という御質問ですか。
  260. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ごめんなさい。デフレになると少子化になるのかですね。
  261. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) デフレになると少子化になるのか。デフレと少子化の関係はいろいろおっしゃる方がいますけれども、デフレになると少子化になるのか、少子化になるとデフレになるのか。両方とも必ずしもそれが原因ではないというふうに思いますけれども
  262. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ごめんなさい、間違えました。識者は、多くの識者は、少子化だからデフレになるという議論をしている方がいらっしゃいます。忘れましたけど、委員会でもそうおっしゃっている方はいらっしゃいましたけれども、それについてはどう思われますでしょうか。
  263. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 少子化だからデフレになる、つまり人口減少、少子化になるとデフレになるというお話はありますけれども、実は必ずしもそうではない。つまり、人口減少になりますと生産力とか消費力は小さくなりますから、経済が後退をしていくということはあるかもしれません。しかし、人口減少でも経済成長をしている国も事実ありますし、必ずしも人口減少、少子化とデフレがきっちり因果関係を持ってつながっているというふうには、明確にそういう論を展開している識者の方が、それが多数を得ているというふうには思っておりませんが。
  264. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 御回答は大体私の認識と同じであって、少子化だからデフレになるというのは間違いで、少子化を何かほかの理由に使いたがっているのかなというふうに思います。  実際、韓国とかシンガポール、景気は非常にいいと思いますけれども日本よりよほど出生率は低いと。韓国一・二四、シンガポール一・二〇ということで、日本の一・四〇よりも低いと。それでも景気はいいし、それから、彼らもデフレどころかインフレなんですね。韓国、二〇一一年度で四・〇%、シンガポール五・二%ということで、インフレであるということで、大臣のおっしゃったように、多くの方じゃないんですけれども、とかく景気と少子化を結び付ける方が多いんですけれども、それは大臣の認識と同じように間違いだと私は思っております。  だとすると、少子化ってなぜ悪いのかということを次にお聞きしたいと思います。  当然、これだけのお金を使っていますから、少子化は悪いという認識の下で政策を打っていると思うんですけれども、何が少子化は悪いのかと、なぜ少子化は悪いと認識しているのかということをまずお聞きしたいと思います。
  265. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 少子化になりますと人口は減ります。これをそのまま手をこまねいていると、消費人口は減るわけですから、百人いたところが五十人になれば五十人分しか物が売れません。あわせて、八十人で生産していたのが四十人になれば生産力は落ちます。ですから、国の経済規模が手をこまねいていたら減っていくということです。つまり、経済成長というのは、投入する労働力の量、それから資本の量、それからトータルの生産性を掛け合わせたものになるわけでありますが、その要素の幾つかが欠落をしていくということになれば、もちろんその他の生産性を圧倒的に上げていくということであればその分はカバーをしていく部分はあると思いますけれども、いずれにしても、人口、資本が拡大していく中で生産性を上げていく方が有利であることは確かだと思います。
  266. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 確かに、人数が減っていくとなかなか経済が縮小していくという議論も分かるんですけれども、別に縮小していってもいいんじゃないかと私は思うんですけどね。一人当たりの生産が増えていけば豊かである、例えばスイスのように一人当たりの豊かな生活もできるわけですし。  私が考えるに、少子化になって困るのは年金だけじゃないか、年金は確かに困ると思うんですよね。ですけれども、別に少子化になれば家だって広くなるし、すくし、別に何が悪いんだと。私は根本的な悪い理由を分かっていません。分かっていないので、私の個人的考えとしては、これだけお金を使って少子化、これは私、子供産む産まないというのは個人の人生観の問題であって、経済のために子供を産めよというのは、これは間違いじゃないかと私は思っています。  これでまた、これだけの金を掛けて少子化を止めるというのは必要なのか。私は逆に、少子化がそれほど止まらないのであるならば逆に日本の社会の仕組みを変えていく方が重要かなと。例えば、年金を確定給付から確定拠出に変えるとか、それから介護ロボットを一生懸命作って介護はロボットにやってもらうとか、それから、円安にすれば海外の市場は、市場はもう世界が市場になるわけですから、別に日本の人口は減ったって世界の人口がもうみんな買ってくれるわけですから、別に経済だって沈滞化しませんし、それから、今のうちに海外資産を一生懸命つくっておけば、人口は減ったって、その配当金、利息で生きていけるわけです。  実際、今の日本の構造というのは、貿易収支は赤、貿易プラス物・サービスは赤字であって、所得収支で生きていくわけですから、所得収支をもっと増やすことによって十分日本人は豊かな生活ができると思うので、まずは、少子化対策少子化対策という金科玉条のようにおっしゃらないで、本当に少子化対策必要なのと、ほかに、逆にシステム、日本のシステム自身を少子化に合わせていった方がいいんじゃないのという議論をきちんとやってから少子化対策をやっていただきたいかなというふうに思います。    〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕  我々が小さい頃というのは、これ以上どんどん人口が増えていくと大変だという話ばっかりだったので、少子化なんというのは夢にも思わなかった。最近少子化になったわけで、これはマーケットと同じで、人口が減るとまた増えていくし、増えていけばまた減っていくんだろうと私はそう思っておりますので、是非考えていただきたいと思います。  最後に少子化についてお聞きしたいのは、私が子供の頃、確かに子供がこのまま増え続けると日本は大変なことになるということで、逆の対策が練られていたと思うんですね。要するに、子供を減らす方法はどうかという方法が練られていたと私は認識しているんですが、そのときの方策というのは何を考えていたのか。少子化が問題だったらその逆やればいいだけの話だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  267. 山沖義和

    政府参考人(山沖義和君) 日本の総人口につきましては、終戦後、外地からの引揚げ等による社会増とベビーブームによる出生数の増加、それから衛生環境の向上等による死亡率の低下、これらが相まって一九五〇年までの五年間で一千万人以上増加しました。このような急激な人口に対応するため、人口増加を抑制する観点から家族計画の普及等が図られる一方、増大する人口を養う観点から産業振興、国土開発、食料増産等が図られてまいりました。  これらを始めとする社会経済状況の大きな変化の中で、合計特殊出生率は一九五〇年代以降急激に低下し、一九五〇年代後半には人口置換水準である二強前後で推移するようになりましたが、出産年齢層が総人口の中で相対的に大きな割合を占めていたことから、いわゆる人口のモメンタム、慣性の法則が働きまして、引き続き総人口は増加し続けました。  その後、高度成長期に入りまして、都市部の労働人口が不足するということで、農村からの人口移動で補う傾向が顕著になったほか、第二次ベビーブーム後の一九七〇年代以降は、合計特殊出生率が人口置換水準を恒常的に下回って推移するようになったことから、我が国の人口問題は、急激な人口増加への対応というよりは地方の過疎化と都市部への人口集中への対応、さらには急激な少子高齢化への対応が大きな課題として受け止められるようになったと認識しています。
  268. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 何はともあれ、少子化というのは国が血眼になってやらなくてもいいんじゃないかと、逆に言えば、システムを変える方に気を付ければいいんじゃないか、人口問題というのは個々人の人生観の違いではないかというふうに思うということで、少子化の問題はここでやめておきます。  次に、甘利大臣にお聞きしたいんですけれども、安倍政権、二%のインフレターゲット達成ということで、インフレ、インフレとおっしゃっていますけど、インフレになると景気は良くなるんでしょうか、お答えください。
  269. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 我が国は、バブル崩壊以降、長年にわたるデフレの中で、現金を持っているということのインセンティブが高まって、企業による設備投資であるとか賃上げといった将来への投資、これが行われてこなかったわけでありまして、そうした中で莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、賃金も伸びてこなかったと。これまでの累次の経済対策によってもデフレから脱却はできなかった。つまり、デフレが何がいけないかというと、政策効果が現れないということなんですね。  緊急経済対策いろいろ打ちました。それは、公的需要をつくるわけでありますし、国の金を出すわけでありますから、そのときは効果は効いてきます。要はそれが、それは種火ですから、それが民間経済全体に火が移らないと意味がないわけでありますけど、片や民間経済は、金は使わない方が価値が上がるという認識のままだったらなかなか着火しないわけですね。デフレからインフレにマインドを変えるということは、お金はチャンスがあれば使った方が得ですよ、置いておくと価値が下がりますよという環境ができるわけでありますから、ここで種火を付ければ点火しやすくなるということだと思います。  でありますから、デフレでは政策効果が現れない、インフレになれば政策効果が現れやすいと。だから、インフレがそっくりそのまま、インフレになれば後は何もしなくていいということじゃなくて、インフレになったときに適切な、インフレにしつつ適切な経済政策を打っていくということだと思います。
  270. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 大臣のおっしゃっていることも分からないではないんですが、先ほどの少子化とデフレの関係と同じでして、確かに景気が良くなればインフレになるんですよ。だけれども、インフレになれば逆、必要十分条件の関係で、景気が良ければインフレになる、だけどインフレになったら景気が良くなるかというと、決して私はそうじゃないと思うんですよね。  大臣、確かにそのときに適切な政策が必要だとおっしゃっていましたけれども、まさにそのとおりであって、スタグフレーションという言葉、要するに景気が良くてインフレーションになっているということがあるぐらいで、決して、政府はインフレ目標だ、インフレ目標だとおっしゃっているけれども、それで国民はいかにもインフレが来れば景気が良くなるかのような、みんな思い込んでいますけれども、決してそうではないと私は思っています。  それは、例えばスペインとかイタリア、イタリア二・八%のCPI、それからスペインなんか三・二%ですよ。南欧諸国って景気悪いですからね。インフレであっても景気が悪い国はあるわけでして、もし本当にインフレにすれば景気が良くなるんだったら、公共料金みんな二〇%上げればいいんですよ、物すごいインフレになりますから。決して景気が良くなると思いませんので、インフレになればいい、インフレになればいい、そうすればいかにも景気が良くなるという夢を、これは私は単なる夢にすぎなくて、決してそういうことはないと思いますが、いかがでしょうか。
  271. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) おっしゃるとおり、インフレが全てを解決する十分条件ではありません。しかし、経済効果を発揮させていくための必要条件であると思うんですね。デフレのままいろんな対策を打っても効いてこなかったと。そのときはいいですよ、でも効いてこなかったと。それが現実でありまして、よく考えてみたら、本体のまきに種火から火を付けると、何度やっても火が付かない、よく見たら湿ったままだったじゃないと、これがデフレだと思うんですね。まず、本体のまきを乾かすという作業が必要で、それから種火を付けて着火させると。乾かす作業というのがデフレから脱却をしていくということだと思いますが、ただ脱却しただけでは、適切な政策効果をしないと、例えば本体に火が付きやすいように石油をまいて着火しやすいようにするとか、あるいは火のもちがいいようなまきに替えるとか、そういう政策、検討効果があって初めて民間経済に火が付くんだと思いますけれども、湿ったままではいろんなことをやっても着火はしていかないということだと思います。
  272. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 大臣はインフレが必要条件とおっしゃいましたけれども、私はあくまでも十分条件にすぎないと思っているんですよ。確かに今湿っているわけですね。湿っている理由というのは、別にデフレだからじゃないと私は思っています。この二十年間、確かに日本のGDPというのは全く上昇していなくて、二十年間逆に言うと下がっちゃったわけですね、GDPというのは下がってしまったわけです。  ほかの国は、例えばアメリカだったらこの二十年間に名目GDPですけれども二・四倍、中国十六・一倍、シンガポール三・七倍、ドイツ一・六倍、イギリス二・四倍ということで、日本の名目GDPというのは全く伸びていないわけですね。これなぜかというと、別にデフレだったからなわけじゃなくて、私は円高のせいだと思っているわけですよ。  要するに、財政政策はもう最大限打っているわけです。千十八兆円という借金を抱えるほどに財政政策を打ってきて、金融政策だって、本来の金融政策というのは、伝統的金融政策というのは金利を上げたり下げたりすることでもうゼロなんですから。あの非伝統的な量的緩和なんというのはもう苦し紛れにやっているわけで、昔の教科書にはどこにも書いていないようなことであって、金融政策も、ですから最大限もうやっているわけですよ。もう苦し紛れの量的緩和でしかないわけですけれども、財政政策をやって、金融政策をやって、それでも日本だけ全くGDPが伸びなかったというのは、それはひとえに、インフレとかデフレだとか、デフレだったからじゃないですよね。それは、先ほど申しましたように、デフレじゃなくて、ひとえに円高のせいだと思っているわけです。円高だからこそデフレだったわけです。円高だったからこそデフレだったわけで、だからこそ日本経済は悪かったわけですね。その原因分析はデフレじゃなくて、原因分析は円高だと私は思うんですけれども、いかがでしょう。円高なら必ずデフレになると私は思っていますけど。
  273. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 委員の御指摘は、この二十年間、確かに二十年間、四百八十兆かそこらから今現状ほとんど変わっていません。しかし、実はデフレというのはこの十五年間くらい、政府が公式文書にデフレを書いたのはたしか二〇〇一年ですが、その数年前からデフレは起きています。それは、九七年のアジア通貨危機から北拓云々、山一倒産、金融危機、それが九七年起きています。  二十年前から、つまり一九九三年から九七年までは名目は上がってきております。そこの九七年が名目のピークになっているはずです。そこから名目が落ちていくんです。ただし、実質は伸びていっています。名目が落ちて実質が伸びていっている、これはまさに物価が連続的に下がってきている、これはデフレだからでありまして、デフレの期間のこの十五年間を見ますと、御指摘のように、アメリカは約二倍の名目で伸びていますけれども日本は〇・九倍ですから減っているわけであります。そうして検証していきますと、やっぱりデフレというのは名目成長には密接な関係があるというふうに私は思っております。
  274. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 いや、私はそのデフレの原因こそが円高だと思っていますので、もうちょっと大本に行かないといかぬのだと思うんですよね。経済の教科書、普通は、世界の経済の教科書によると、経済政策というのは金利政策、財政政策そして為替政策なんですから。それを日本の政治家の方々、官僚の方々は、何か為替というのは触れちゃいけないものだと思って、しゃべっちゃいけないものだと思って、そこ話さない。だけど、ここはこれ一番重要なポイントで、円高のままだったら何やったって良くなりっこないですよ。  こんなアベノミクスの第三の矢を打ったって、一九八六年から、前川レポートから何千本打ってきても一本も成功しないわけですよ、ドラスチックに。そんなの第三の矢なんというのは成功しないわけで、財政政策、金融政策、これだけ打ってしても経済が上がらないということは、為替政策が、円が強過ぎて天井がめっちゃくちゃに低い、だから何やってもはね返されていると私は思っています。  それで、先ほどちょっと大臣がおっしゃっていましたけれども、実質GDPはプラスだったじゃないかとおっしゃいますけれども、それをおっしゃっちゃうと、それは当然、名目がマイナスで実質がプラスだということは、別にデフレだったからなわけですけれども、それを強くおっしゃるとデフレは良かったということをおっしゃることですから、それはやっぱり余り、まずいのかなと思いますけどね。何かコメントがあれば。
  275. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 私が申し上げたのは、九七年から要するにデフレに陥っていて、それから名目が伸びなかったと。名目が伸びなかった、名目が伸びないのとデフレの関係はかなりあるんじゃないですかと。というのは、その時期から実質では伸びているということは、物価がどんどん下がっているから実質が伸びている、で、名目が伸びていないと、そういう因果関係を申し上げたつもりであります。  それから、為替レートとデフレとの関係なんですけれども、これはある種バランスの問題だと思っています。なぜかと申しますと、GDPデフレーターが上がらない理由の一つに交易条件の悪化というのがあります。交易条件の悪化というのは輸入物価の上昇を輸出物価に転嫁できないという、この原因は何かといえば競争力の低下ですね。競争力があれば、しっかりそれを転嫁して海外に輸出できるわけでありますから。ですから、海外に、輸入物価の高い、上がった分を転嫁しないで、つまり利益を削って輸出しないと勝てないからなんです。だから交易条件が悪いわけですね。  これは、やっぱり抜本的には、日本の産業の競争力を引き上げていくということによって輸入物価の高騰を輸出物価にきちんと転嫁できる、そうすればデフレの原因一つである交易条件の悪化というのは防げるんだと思います。
  276. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今の大臣の回答については二つコメントがありまして、一つは、九七年からのインフレだとかデフレだとかとおっしゃっています。それはよく分かるんですけれども、そもそも政府、日銀がインフレ率のみに目を向けていたことが間違いだと私は思っているわけです。  あのバブル、八五年から九〇年のバブルって、あれ何で起こったかといったら、資産インフレですよ。土地と株が上がったので、あのときのインフレ率、別にちょっと私は覚えていないけど、たしかせいぜい二%か三%ですよ。消費者物価指数は安定していたのに、なぜあんなに狂乱経済が来たかというと、あれは資産インフレなんです。バブル崩壊以降、九〇年以降、資産価格がずっとおっこちちゃったわけですね。三万九千百五十円の株価が七千円台までおっこちて、だから駄目だったわけですよ、景気むちゃくちゃ悪くて。だから、それがまた消費者物価指数のインフレに戻っているということ自身、政府の認識の間違いだなというふうに思います。  あのバブルの直後、どなただったかな、ちょっと忘れましたけど、日銀総裁が反省談話出しているわけです。資産価格の上昇を見過ごした。また、資産価格の上昇、今度は下落を見過ごしちゃったからこの長い間デフレが続いたわけで、やはり資産価格というのを、まあ資産価格の上昇と言うとみんな金持ち優遇だって怒るんですけれども、資産価格を上げないとやはり経済って良くならないと思うんですよ。資産価格を上げるためにはまさに円安が必要なんです。それで、あと非常に回転していくということで、政府というのは、二%のインフレじゃなくて、やっぱりインフレをおっしゃるならば資産インフレに目を付けろと。確かに金持ち優遇だって非難されるかもしれない。それは名目上の非難であって、それじゃ日本沈没していいのかという話ですから。そういうことで、もしインフレをおっしゃるのであれば、資産インフレということに注目していただきたいなと私は思います。  それともう一つ、競争力の低下についておっしゃいました、交易条件の低下ということで。これも先ほどの鶏と卵の議論の反対でして、同じ関係でして、私は円高だからこそ日本の競争力ががた落ちだということを申し上げたい。  要するに、為替というのは、皆さんよく分からないかもしれないんですけれども、ひとえに価格ですから。例えば隣の店と私が商売していて、私の売上げが下がったときに値上げしていたら必ず負けるに決まっているんですよ。労働力だってそうで、円高になれば日本人は必ず外国人に負けちゃって、仕事なくなっちゃうんですよ。幾ら雇用対策なんか打ったって、外国人の方が値段半分になればみんな外国に行っちゃうんですから。そんなの、ちょこちょこ上げたってそんなの駄目なので、全て円高に原因があると、多くの今の日本の諸問題は円高にあると思っていますので、デフレだってそうです。  だから、円高を円安にして、デフレをインフレにして全てうまくやっていけばいいと思うのに、全く為替について発言がない。それは他国から非難を受けるかというようなことかもしれないんですけれども、それを、TPPで大臣が頑張っていらっしゃることは非常によく分かります、だったら為替でも頑張ってほしいんですよね。これ、為替で何か言ったって、それは近隣窮乏政策だといいますけど、冗談じゃない、自国民窮乏政策を取る必要はないわけであって、為替についてがんがん大臣は外へ行って言っていただきたいなというふうに思います。  全然方向が、全く質問の方向が違っちゃったので、半分やっているかどうか分からないので、最後に何聞こうかな。じゃ、累積赤字が減り始める、これ、いろんなところで大臣にもお聞きしていますけど、累積赤字が減り始めるのはいつからということを何度でもしつこくこれからも聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  277. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) もう専門家でいらっしゃいますから承知の上で御質問されているんだと思いますが、物にはやっぱり手順があります。  日本の財政赤字、その累積はGDPの二倍になろうとしているわけであります。ですから、手順としては、まずプライマリーバランス、つまり国債費を除いたその年の政策経費はそのときの収入で賄うということがPBを均衡させるということでありますから、それに向かっての第一の手順を進めています。そこが目標が二〇二〇年です。一五年までは、半減まではともかく、二〇年はなかなか正直言って厳しい中でやっております。  PBが均衡しましたら、次は対GDP比率、パーセンテージを下げていく作業が行われます。ですから、委員かねてから御指摘のように、PB黒だと金利と成長との関係で一つ間違うとまた拡散してしまうんじゃないか、ですから少し余計にやっておかなきゃならない、それは事実です。そうやってパーセンテージを下げていって、それから先に実額を減らすという作業があるわけでありまして、私から見るとかなり遠い先のことだなと、積み上げ額の実額を下げていくのはかなりかすんでいる先にあるのかなというふうに思います。
  278. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 時間がないのでこれで終わりますけれども、対GDP比二〇〇%をキープするためにといつも政府の方々はおっしゃいますけれども、これが怖いのであって、これ二〇〇%が保たれているのは金利がひとえに低金利であるからということで、ひとえに日銀のおかげなんですよね。これ、日銀がいなくなっちゃったら、もう極めて財政は危険なんじゃないかなと私は危惧しております。それを最後に申し上げておいて、終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  279. 真山勇一

    真山勇一君 お疲れさまでございます。結いの党、真山勇一です。  私は、この決算委員会福島第一原発の汚染水問題から取り上げさせていただきたいというふうに思っております。  原発事故から御存じのように三年余りがもう過ぎました。しかし、まだやるべきことはたくさん残っています。今も十四万人が避難生活を余儀なくされているということで、除染も進んでおりませんし、原発サイトでは相変わらず汚染水漏れが続いているという、そういう状態です。一日も早くこうした問題含めて復興を誰もが望んでいるわけですけれども、汚染水のサイトへの流入というのはまだ続いているわけですね。不安がありますけれども。  実は今日、私、お昼休みに議員会館へ戻ったら、またニュースが幾つか入っていました。御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、御紹介すると、ポンプ四台が誤作動したということなんですね。これは、汚染水のパイプとは違う原子炉冷却のための循環水が誤作動で建屋の地下に二百三トンが流れ込んだというふうにこの記事では書いております。余り高い放射能は含んでいないようですけれども、建屋の中のまた汚染水がこれで増えてしまうということになるわけですし、もう一つは、こちらは汚染水タンクの横にどういうわけか小型のプラスチック製タンクが置いてあったらしいんですね、それに穴が空いて、やはり汚染水が漏れてしまったということなんです。プラスチックのそのタンクの下から、地面から十センチぐらいのところに穴が空いて、そこから漏れたんだろうということなんですけれども。  まだこれ、こういう話で、どれだけ大事な、大きな話なのか、あるいは取るに足らないことなのかという判断がよく分かりませんけれども、事ほどさようにこうやっていろいろ出てくるわけなんです。本当にこういうことだと不安がなかなか消えない。福島の人はもちろんですけれども、私たち国民にとってもやっぱりどうなっているんだろうという気持ちは強いと思うんですね。  そこで、まず伺いたいのは凍土壁、この汚染水問題に出てくる凍土壁、それからALPS、これは放射性物質除去装置ですけれども、こうした汚染水対策が現在までどんなふうな取組の状況になっているかということをまずお伺いしたいと思います。
  280. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 福島第一原発のような深刻な原子力事故におけます廃炉、そして御指摘の汚染水対策、これは世界にも前例のない極めて困難な作業であることから、現在、国も前面に出て取組を進めているところであります。  特に、汚染水対策につきましては、昨年九月、原災本部におきまして基本方針決定をいたしました。また、十二月には同じ原災本部におきまして廃炉・汚染水に関する追加対策、これを決めたところでありまして、これに基づきまして、基本的には三つの大きな方針がございます。汚染源を取り除く、二つ目には汚染源に地下水を近づけない、三つ目には汚染水を漏らさない、こういった三つの基本方針に基づいて具体策を進めているところであります。  そこの中で、まず、汚染源を取り除く対策につきましては、お話のありました多核種除去装置、東電の使っているものはALPSと呼ばれておりますが、現在、三系統試験運用しているところでありますが、東電は更に三系統の増設を決定して、今年の秋にも稼働に向けた準備を進めております。  一方、国におきましてもより高性能な多核種除去設備の年度内の稼働を目指して開発を進めているところでありまして、これらの能力の増強によりまして、貯水タンクにあります汚染水、これ放射性物質六十三核種あるわけでありますけれども、トリチウムを除きます六十二核種につきまして測定限界値以下程度に低減をさせると、こういった取組を進めているところであります。  次に、汚染源に近づけない、地下水を近づけないということでは、地下水のバイパス、昨年の四月に工事完了しておりまして、その後、地元の漁業関係者の皆さん始め、様々な説明続けてまいりまして、先日、私も地元にお邪魔をいたしまして、漁連の代表の皆さんとも意見交換をしてきたところでありますが、大変厳しい状況の中でこの地下水バイパスの稼働、漁連としても容認をいただいたということでありまして、大変厳しい評価をしていただいたこと、敬意を表したいと思いますし、しっかりこの地下水バイパス、管理をしつつ進めていきたいと思っております。  同時に、この汚染源に近づけない対策といたしましては、凍土方式の陸側の遮水壁を造っていくということで、平成二十五年度の予備費とそれから補正予算で三百十九億円手当てをしておりまして、現在、フィージビリティースタディーを実施してその性能を確認しますとともに、来年春頃の運用開始を目指して、設計であったりとか準備工事、これを開始しているところであります。  さらに、三番目の汚染水を漏らさない対策につきましては、海側の水ガラスによります土壌改良、これは三月の末に既に完了いたしております。また、海側にも遮水壁を付けると、こういう工事につきましても、今年の九月の運用開始に向けて工事を進めているところであります。  さらに、漏らさないという意味でいいますと、タンク、これが今までボルト締め型だったと、これを順次溶接型にリプレースをしていくと、こういったことを進めておりまして、溶接型のタンクを月四万トンのペースで増設をいたしておりまして、今年度中にタンク容量が八十万トンに達する見込みであります。  これらに加えまして、国内外の英知を結集してこの対策を進めるということで、昨年の九月から十月にかけてIRIDによります技術公募を実施をいたしました。得られた七百八十件の技術情報、三分の一は海外からのものでありますが、平成二十五年度の補正予算の事業として、例えば港湾内の海水を浄化する技術であったりとか土壌中の放射性物質の除去技術、こういう技術的に難易度の高いものにつきまして今年三月から実証事業の公募を行っているところでありまして、こういった基本方針に基づきましたアクションプラン、さらには重層的、予防的な対策を取ることによりまして、汚染水問題、しっかりとした取組を進めてまいりたいと考えております。
  281. 真山勇一

    真山勇一君 やはり汚染水というのは大変なもう、言わば言ってみると厄介者という感じがします。本当に原発のサイトの中で様々な対策が立てられているわけですけれども、やっぱり私が素朴に思うのは、確かに大臣おっしゃるように、前例ない極めて困難な作業ということですけれども、何でこのALPSがこんなにまで順調に作動しないのか、故障が多いのかということはやっぱり誰もが感じていると思うんですが、その辺はなぜなんでしょうか。
  282. 後藤収

    政府参考人(後藤収君) お答え申し上げます。  まさに先生おっしゃっているとおり、現在、三つの系統のうち二つが止まっておりまして、今C系統のみで処理の運転をしているということになってございます。そのようなトラブルが多発しているというのは私ども大変遺憾には思っておりますが、その原因を今分析はしておりますけれども、少し分かっているところを申し上げれば、その汚染水のいわゆる放射能、核種を除去するためのフィルターでこすわけでございますけれども、それを取り付けている周りのパッキンが一部壊れていたというようなことが推定されているというふうに今現在聞いてございます。また、それ以外にも要因がある可能性もあるのでまだ断定し切れないわけではありますけれども、そのような原因が特定できればそういうものをしっかりと直して再度動かしていくということをやってまいりたいというふうに思っております。  今お話がありましたように、ALPS自身、相当まだ初期の段階、試験運転でございますので、各種の初期トラブルというのはある程度出てきているというのはやむを得ない面あるとは思っておりますけれども、ただ、国民の皆様にも信頼それから安全性の向上をしっかりやっていきたいというふうに思ってございます。  そういう意味で、今までも単にALPS以外にも予防的や重層的な対策を取るということをやってございまして、これが重大なトラブルにならないように万全の対策は取ってまいりたいというふうに思ってございます。
  283. 真山勇一

    真山勇一君 まさにそうなんですね。小さなミスがやはり大きな、重大なミスにつながるということ、大きな事故につながる、重大な事故につながるということがやはり恐ろしい、不安であるということなので、是非英知を集めてやっていかなければならないというふうに思っております。  かなり今、先ほど少し一部出ましたけれども、これまでに国費も大分投入していると思うんですけれども、これまでに予算措置をした金額、そして今後の見通しどうか。お話伺っていると、どうもまだまだ出費かさんじゃうんじゃないかなという気がするんですが、これまでの予算措置の金額、それからもう一つ、今後出費が増えるのかどうかという見通し、この辺お伺いしたいと思います。
  284. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 事故発生以来、トータルで申し上げますと一千六百六十一億円、廃炉・汚染水対策として使っております。そこの中で、千六百六十一億円の中で、平成二十三年度の補正、二十四年度の当初予算で措置されたもの、これは全体で八十億円であります。これが民主党政権時代であります。我々が政権に復帰をいたしまして、平成二十四年度の補正におきまして、まずは廃炉に関しまして拠点整備として八百五十億、予算措置をいたしました。その後、様々な予算ありますので細かいことを全部は申し上げませんが、平成二十五年度の予備費及び平成二十五年度の補正におきまして、先ほど申し上げた凍土方式によります陸側の遮水壁の関係で三百十九億、それから、より高性能な多核種除去装置、これにつきまして百五十億等々を措置をいたしまして、全体として千六百六十一億円という形であります。  基本的に、この廃炉・汚染水事業の実施主体は東京電力ということになります。ただ、例えば廃炉事業に関しましては、研究開発の観点から今後様々な分野で共通に使えるような問題、そしてまた、汚染水対策につきましては、技術的に極めて難度が高く、事業全体を進めるために国が前面に出ると、こういう観点から進めている事業ございまして、今後の推移を見ながら予算措置というものは考えていきたいと思っております。
  285. 真山勇一

    真山勇一君 今の大臣のお話の中で、補正、それから予備費というのがちょっと気になったんですけれども、普通予備費ということの解釈でいうと、文字どおり予備のために取ってあるお金ということなんで、初めから予見することができなかった、あるいはどうしても急がなければいけない緊急の支出だったということだと思うんですね。それが予備費というふうに思っているんですけれども、今回、二十五年度で予備費というのを出すというのはちょっと何か予算措置の仕方としてはおかしいという感じも受けるんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  286. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 予備費の本来的な性格から申し上げると、真山委員おっしゃるとおりだと思います。そこの中で、この汚染水対策、一日でも早く予算措置をして、一日でも早く準備を進め、一日でも早く事業に着工したい、こういった思いから緊急的な措置として予備費というものを使わせていただきました。
  287. 真山勇一

    真山勇一君 やはり予備費を使うというのは確かにそういう緊急の場合でなければならないと思いますし、今大臣がおっしゃったように、特別な本当に緊急の措置ということで例外的な出費であり、今後こういう出費の仕方はしないということをお約束していただけますか、大事な事業ではありますけれど。
  288. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先ほど全体像をお話し申し上げましたが、これまで予算措置千六百億円以上行っておりますが、前政権時代は八十億だったんです、八十億。我々が政権に復帰をしまして千六百億近いものをやりました。最初やはり緊急に急がなきゃならないものは補正であったりとか予備費という形で手当てをしてまいりましたが、今後は、重層的な対策や予防的な対策、スケジュール感を持ちながらやりますので、基本的には、当初予算であったり、また必要に応じて補正等々で措置をしていくということが基本になってくると考えております。
  289. 真山勇一

    真山勇一君 是非そういうことでスケジュール感持ってやっていただきたいというふうに思っております。  汚染水の状況というのは本当に何ら最初の頃から変わっていないんじゃないかなという、私も現地を視察してそんな印象を受けています。むしろ、どんどんどんどん増えている、汚染水が増えている、タンクも増やさなくちゃいけないというのが、そういう状況ですし、それから場合によっては海水ももしかしたら汚染されるんじゃないかという地元の心配もあるとか、そういうこともまだ続いているわけですから、是非国が前面にということなんですね。これはやはり東電だけではなかなかできない、本当に大きな重大な対策だというふうに私も理解しております。是非そういう方針で進めていっていただきたいというふうに思います。  エネルギー基本計画原発ベースロード電源というふうに言っておりますけれども、私は、まず今やるべきこと何が大事かといったら、その汚染水の処理、これを確実に責任を持って政府が行っていく、それができなければやっぱり原発がコントロールされた状況にあるとはとても言えないんではないかなというふうに思っております。是非よろしくお願いいたします。
  290. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 福島の復興を加速する意味でも、廃炉・汚染水対策、最優先の課題だと思っておりまして、東電だけではなくて国も前面に立ってその対策進めてまいりたいと思っております。  一点修正をさせていただきますが、民主党政権時代八十億予算措置したと申し上げましたが、四十億の間違いでありました。
  291. 真山勇一

    真山勇一君 ありがとうございました。  訂正もありがとうございました。私はちょっとこの数字分からないんで、また何かあったら確認させていただきたいというふうに思います。  次に、中心市街地活性化についてお伺いしたいというふうに思っております。  中心市街地、大都市の一極集中ということが一つ理由があるんでしょうか、地方の都市が非常に弱ってしまって、いわゆる言ってみればシャッター通りという言葉ができるほどの衰退ぶりがあって、それを何とかしようということで中心市街地活性化法というのが平成十年制定されました。これは非常に緩やかな認定だったんですが、平成十八年に改正、見直しがされて、これで事業をより効果的に、選択と集中ということで、総理大臣の認定ということでやっていこうというふうに変わったというふうに理解しております。そしてまた、今回、この中心市街地活性化法の改正案が、更に効率的にということでまた出されているわけですけれども。  今日ここにいらっしゃる委員の方も、一度ぐらいは日本全国出かけて、町おこし、地域のにぎわいを取り戻そうといういろんな計画を御覧になったんじゃないかと思うんですね。私ももちろん何か所か伺いました。本当に、わあ、こんなに人が集まっているんだというところももちろんありますし、先日、実は経済産業委員会で静岡市内の中心市街地活性化地域を見てきましたけれども、にぎわいのあるところもあるけれども、いやあ、これ、やってもやっぱりなかなかいかないなという。これ、うまくいかないのがこの中心市街地の活性化、まちづくりだというふうに思っているんですね。  こういうことで、今回の改正という機会、これを控えた現在、十八年の改正からずっとやってきたこの中心市街地活性化という事業の総括というか、どんなだったんだということを評価を伺いたいというふうに思うんです。
  292. 富屋誠一郎

    政府参考人富屋誠一郎君) お答えを申し上げます。  中心市街地活性化法についてのお尋ねでございますが、まず、中心市街地活性化法の目的でございますが、これは、中心市街地が地域住民等の生活と交流の場として重要な役割を果たすものであるとの基本認識の下に、その活性化を図るために、中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進するというところに目的がございます。  こうした目的を踏まえまして、平成十八年の中心市街地活性化法の改正以降、これまで、全国で百十九市町村、百二十二地区、百五十五計画について内閣総理大臣の認定を行い、各市町村の取組を関係府省が連携して府省横断的に支援をしてきているところでございます。  今後とも、中心市街地が地域における社会的、経済的及び文化的な活動の拠点となるにふさわしいような魅力のある市街地が形成され、ひいては地域全体の活性化につながるように、省庁の縦割りを排して、中心市街地の活性化の各種施策を総合的かつ一体的に推進してまいりたいと考えております。  なお、お尋ねの評価というところでございますけれども、これまで平成二十四年度末までに終了した四十四市、四十四計画につきまして、その市が年間の小売販売額であるとか空き店舗数等経済指標を含めた評価指標全般の達成状況というのを自己評価を行ったところでございますけれども、目標達成が二九%、目標達成には至らなかったものの計画当初より改善している指標が二九%ございまして、合わせて六割程度は改善が見られたというような評価になっております。  こうしたことから、基本計画に基づきまして国がいろいろ予算を執行した各種支援策によりまして、経済効果も含めて一定の政策効果はあったものという評価をしておるところでございます。
  293. 真山勇一

    真山勇一君 改善されたということが約六割ぐらいということで、ちょっと気になるのは自己評価ということなので、やはり自分で自分のやったことを評価すると少し甘くなるんじゃないかなという気はするんですね。  全体の、今おっしゃっていた百十九都市、百五十五計画というのを、こんなにたくさんやっぱりあるということが分かったんですが、なかなかその中で本当に注目を浴びているところというのは少ないと思うんですね。それだけに、やはり地域おこし、まちづくり、元気にするというのはもう本当に大変なことだというふうに思うんですけれども。  実は、今おっしゃったように、いろいろな事業がこのまちづくり、中心市街地活性化ということではあると思うんですが、広い分野のいろんな事業があるので、いただいた資料によりますと、八つの省庁が絡んでいるということなんですね。そして、その八つの省庁がそれぞれいろいろなまちづくり、あるいは地域の地域おこしをやっているんですが、その八つの省庁、これを取りまとめているのが内閣官房というふうに伺っています。  そこでお伺いしたいのは、これだけ国を挙げてということなのでかなりのやはり国のお金が投入されているというふうに思うんですが、この中心市街地活性化法に基づいて支出された国費、国のお金ですね、これどれくらいになるのかということと、それから、それぞれ各省庁によっていろんな事業が、違う内容の事業が行われているということなんですけれども、その各省庁での支出、補助金なり交付金、こういうものがどのぐらい出ているかというような統計というかまとめはございますか。あったら教えていただきたいと思います。
  294. 富屋誠一郎

    政府参考人富屋誠一郎君) お答えを申し上げます。  私ども内閣総理大臣という方に毎年度認定された市から実績報告調書というのを取っておりまして、その中でどれぐらいの国費が出たかという数字は略々把握をしております。ちなみに、平成十九年度から平成二十四年度までの認定基本計画位置付けられた取組に対します交付金や補助金等の国費の総額、たしか、これは特別交付税による措置は除きますけれども、約四千七百億円の国費が最終的には認定市に出たという計算になっております。  ただ、誠に申し訳ないのですが、非常に多くの種類の補助金、交付金がございますので、自治体から実績報告調書を取るときに府省庁別の支出額という形で報告を求めておりませんでしたものですから、各事業別には数字は持っておるのですけれども、ちょっと省庁別にどういうことになっておるかというのは、現時点では申し訳ないんですがちょっと把握をしていない状態でございます。
  295. 真山勇一

    真山勇一君 総額では四千七百億円という額だということは分かりましたけれども、いただいた資料だとやはり省庁いろいろ絡んでいるわけですよね。ですから、その省庁がそれぞれいろんな事業をやってどのぐらい、国土交通省ですとか経済産業省、総務省、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、警察庁、内閣沖縄振興局というふうにあるわけですけれども、やはりそれぞれの省庁がどのぐらい使ったかというのは、やはり国の予算、お金を使っているわけですから、やはりやった事業もあるわけですから、どのぐらい上がったというのがやっぱりないとおかしいんじゃないかなという気がするんですけれども、その辺り、もう一回ちょっとお伺いしたいんですけれども、いかがですか。
  296. 富屋誠一郎

    政府参考人富屋誠一郎君) お答え申し上げます。  御指摘もちょっと踏まえまして、今後必要に応じまして各認定市や各府省庁とちょっと相談しながら、どういった把握を行うかというような点も含めてちょっと検討をさせていただきたいと思います。
  297. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 八つの省庁が関連をしているというお話いただきましたけれども、私の記憶が確かでしたら、まちづくり三法、最初に作ったときは十三の省庁が関連をいたしておりました。そこの中で進めましたけれども、例えば、じゃ、警察どういうことをやっているかというと、例えば町で、例えば中心街でイベントとかをやるときの交通規制とかそういった形でありまして、それほど大きな予算というのは使っていないと思います。恐らくその予算規模で見ますと、経産それから国交省、それから総務省と、これが中心になってくると思っておりますが、委員指摘のように、きちんと全体像がどうなっていくかと、こういう捕捉といいますか集約というのは極めて重要だと思っておりますが、今までの中心市街地活性化の取組、平成十年のまちづくり三法の制定、十八年の見直し、そして今回のまた改正ということでありますけれども、なぜこうなってきたかと。  私は結構厳しい評価をしています。やっぱりそれは、空き店舗が増えているのは間違いないわけでありますし、それから、確かにいい事例というのは全国でありますけれども、全体的に見ると、後継者も不足をしている、そして売上高も減っていると、こういう状況があるわけであります。これは、経済全体がデフレでこの二十年間低迷をしてきた、地方においては特に少子高齢化が進んだ、さらには、商業施設であったりとか病院、公共施設が郊外移転することによって人の流れが変わってしまった、こういう大きな要因あるわけでありますけれども、施策面から私捉えてみると、一つは、やっぱり中心市街地に対する民間投資が十分でなかった、そういう魅力あるプロジェクトを組成できなかった、また、人口が少子高齢化するのにコンパクト化、この取組が十分ではなかったということがあると思います。  一方、町が郊外に広がったと。これは高度成長期以来のことでありますけれども、本来、中心市街地が顧客とすべきそういった居住区域の人たち、こういったものをしっかりと捉えるような形が取れていなくて、また、そういう居住地とそれから中心市街地を結ぶような交通ネットワーク、これが十分につくられていなかったと。  ここら辺に私は政策面での問題があると考えておりまして、今回、経済産業省としては、民間投資、これが喚起されるような、よりやはりプロジェクトとしての有望性が高いもの、こういったものを認定して、今まで以上に重点的な施策、これを行っていく。  一方、国土交通省におきましては、都市再生、居住及び地域公共交通ネットワーク整備に関する法改正といった形でありまして、その居住地域、そしてまたそこと中心市街地を結ぶようなネットワークの形成の方に取り組むということでありまして、もちろん様々な省庁の協力をもらいながら内閣官房の下で全体の総合調整を行っていきますが、経済産業省と国土交通省が車の両輪になって施策を重点的に進める、こういう気概を持って取組をやっていきたいと思っております。
  298. 真山勇一

    真山勇一君 まさにそういう取組が今必要だと思っております。地元の人たちと民間の投資、これを合体させて活力を呼び戻すということだと思うんですが、ただ、大臣、ちょっと私も先日の視察で気になったのは、意外と地元の人から、使い勝手が悪い、権限とか予算がばらばらになっていて、なかなかやろうと思ってもうまくいかないし、あっちへ行かなければいけない、こっちへ行かなければいけない、その辺がどうも使い勝手悪いなという声もあったんですけれども、その辺りの改善というのはこれから是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  299. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) できる限り使い勝手がいい、そしてワンストップで様々なことの御相談に応じられるような形というのは取っていきたいと思っております。  同時に、私は、中心市街地の活性化に取り組む地元の関係者の皆さんにも更にやっぱりコミットメントを強めてもらわないと困ると思っています。場所にもよりますけれども、テナント代が高過ぎるというところがあるんです、見ていて。どう考えても、やっぱりこのテナント代ではとてもじゃないけれどもいいお店が入らないと、こういうところもありますので、そういったやっぱり関係者の皆さんも、この町を、自分のふるさとを良くしていくんだと、こういうコミットメントを持っていただくということも極めて重要だと思っております。
  300. 真山勇一

    真山勇一君 ありがとうございました。  やはり地元の人の元気が一番だし、それから、ふるさとを離れている人たちにとっては、ふるさと、元気な姿を見るのはうれしいんだと思います。今日ここにいらっしゃる委員の方々も、地元が元気だとやっぱりうれしいんじゃないかなというふうに思っております。是非これからも活性化へ向けてひとつ対策をよろしくお願いしたいと思います。  少し早めですが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  301. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  まず、集団的自衛権行使の問題について質問をいたします。  まず、小松内閣法制局長官にお尋ねしますが、改めて、現時点の法制局の集団的自衛権に関する見解をお示しください。
  302. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) お答えを申し上げます。  繰り返し本委員会でも御答弁を申し上げておりますとおり、現時点における憲法九条に関する内閣の従来の政府見解は、従来どおりということでございます。
  303. 吉田忠智

    吉田忠智君 従来どおりとはどういう見解ですか。
  304. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) まず、これは、これも何度も御答弁を申し上げておりますが、個別的、集団的を含めまして、自衛権と申しますのは国際法上の概念でございますので、憲法には自衛権に言及した規定はないわけでございます。  そこで、ポイントは、憲法第九条が武力行使というものを一切禁じているのか、例外的に認める場合があるのかということでございまして、従来政府が繰り返し申し上げておりますことは、憲法第九条の文言を読みますと、一見、どのような場合にも、あらゆる場合に武力行使というのは禁止されているというふうに読めるようなことは、その文言だけを見ますとそういう感じを受けるかもしれないが、いわゆる自衛権発動の三要件に該当をする場合、これ繰り返しになって恐縮でございますが、第一要件、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したこと、第二要件、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、第三に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、この三要件に該当する場合に限って例外的に武力行使が認められると。  それで、いわゆる国際法上、集団的自衛権の行使と申しますことは、この第一要件、つまり我が国に対する武力攻撃が発生したという条件を充足しておりませんので、従来、憲法九条上集団的自衛権を行使することは許容されていないというのが従来の政府の見解でございます。
  305. 吉田忠智

    吉田忠智君 つまり、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利、これが集団的自衛権の定義ですね。確認します。
  306. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 自衛権は国際法上の概念でございますので、今委員がおっしゃいましたことは、国際法上、通常、集団的自衛権はどのように理解されているかという解釈を正しくお述べになったものというふうに理解しております。
  307. 吉田忠智

    吉田忠智君 内閣法制局も、これまでそのようにずっと国会の中で答弁をしていたと思います。私が申し上げて、今、小松長官が確認をしていただきましたこの集団的自衛権の定義は、いつのどのような形で政府内で確立されたのでしょうか。
  308. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) いつ、どの日に確立されたのかということをなかなか申し上げにくい点がございますが、いわゆる安保国会、昭和三十五年の頃でございますけれども、岸内閣総理大臣、それから内閣法制局長官林修三さんという時代でございます。  その頃、外国に基地を提供するというようなことは集団的自衛権の範囲に入るのかどうかという議論が行われたことがございます。そのような議論の中で、集団的自衛権と申しますのは、これは御案内のとおり国連憲章によって創設された制度でございますので、学説上もいろいろな議論があったと。昭和三十五年の安保国会のときには、学者によってはそういう外国に基地を提供するというような行為もこの集団的自衛権の中に含まれるという議論を展開される学者の方もおられるが、しかし、一般的にはこれは実力の行使を中核とした概念であろうということを当時、岸総理も林内閣法制局長官も申し上げている次第でございまして、少なくとも昭和三十五年頃には政府のこの見解というのは固まっていたというふうに理解しております。
  309. 吉田忠智

    吉田忠智君 現時点では、内閣法制局としては、集団的自衛権行使ができないという見解でよろしいんですね。
  310. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 現時点におきましては憲法九条の解釈は従来どおりであると、これは、私のみならず、安倍総理も繰り返しおっしゃっているところでございます。  ただし、ここから先を申し上げるとまたお叱りを受けるわけでございますけれども、これは安倍総理も御答弁になっているのみならず、閣議決定を経た質問書に対する答弁書で内閣が答弁しているところでございますが、安保法制懇の報告書を待って改めて検討をするということも言っているわけでございまして、現時点における政府の解釈は何かということであれば、さきに申し上げたとおりでございまして、集団的自衛権を行使するということは、いわゆる自衛権の三要件の第一要件を充足していないので、憲法九条上許容されないというのが政府の見解でございます。
  311. 吉田忠智

    吉田忠智君 後段のことを言うから、内閣法制局長官としてののりを越えているとみんなから言われるわけでありますよ。それに関わる議論はちょっと後ほどありますので、そのときにさせていただきます。  四月十日の時事通信のインタビューにおいて、安保法制懇の北岡伸一座長代理は、集団的自衛権の論拠として砂川事件最高裁判決に言及するのではないと述べており、砂川事件判決を集団的自衛権の論拠とする、この間、自民党の高村副総裁が自民党内における議論の場で提起をされて、安倍総理の提唱してきた説明はあっさり否定されたわけであります。また、憲法学者の長谷部恭男先生も、砂川事件判決によって集団的自衛権を正当化する余地はおよそあり得ないとおっしゃっておられまして、このような意見は憲法学者のほぼ共通した意見となっております。  先ほども議論がありましたが、改めて、小松長官、内閣法制局はそのことについてどのような見解をお持ちですか。
  312. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 先ほど他の委員の御質問に対してお答えを申し上げたところでございますが、砂川事件と申しますものは、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われたと。これは立川いわゆる米軍基地でございますけれども、ここを拡張するというときに、一部の学生の方が立入りが禁止されているところに立ち入ったということでこの刑事特別法に基づいて有罪判決を受けたということを争われたことで、これ罰則が、法定刑が一般の軽犯罪法に定めておりますのよりもかなり厳しい法定刑になっておりますことから、これが違憲であるということを上告側が主張をされて、大法廷の判決が出たということでございまして、この最高裁判決の結論を一言で申し上げれば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲、無効であるとは言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。  それが結論でございますが、この判決の中に、我が国が主権国として持っている固有の自衛権と憲法第九条との関係について、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されております。これは、私が何度も申し述べております、従来からの政府の見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えてございます。  他方、砂川事件最高裁判決についてはもう既に述べたとおりでございまして、これが集団的自衛権の行使を認めるものかどうかということも含めまして、内閣法制局としてこの判決を解釈して何かを述べるという立場にはございません。
  313. 吉田忠智

    吉田忠智君 もうこれ以上このことを法制局に問いただしても一緒でしょうから、官房長官にお伺いをします。  安保法制懇では、砂川事件判決を集団的自衛権の根拠とするという議論がなされているのでしょうか。議論の実態はどのようなものか、伺います。
  314. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 安保法制懇の中においては、様々な議論がされていることは事実であります。
  315. 吉田忠智

    吉田忠智君 砂川事件についてどういう議論がなされていますか。
  316. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 砂川事件についても、私先ほど申し上げましたけれども、いろんな議論の中の一つだというふうに承知しています。
  317. 吉田忠智

    吉田忠智君 安倍総理は、四月八日のBSフジの番組で、砂川事件判決が集団的自衛権を否定していないことははっきりしている、集団的自衛権の中に制限された形で認められるものがあるのではないかという議論が安保法制懇でも主流的になりつつあると発言をされています。  この点、既に四月十日の参議院外交防衛委員会において、第二次安保法制懇においては二回しか砂川事件判決に言及されておらず、その二回とも集団的自衛権の論拠という文脈ではないことが福山哲郎議員から指摘されております。安保法制懇は二月四日に第六回が開催されてから二か月以上会議が開かれておりません。  官房長官、安倍総理の主流的になりつつあるという発言は何を指しておっしゃっているとお考えでしょうか。
  318. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほども申し上げましたとおりに、安保法制懇の中で、砂川判決を含めて様々な議論があるということは事実であります。そしてまた、それぞれの懇談会の委員の中で、その会とは別に、しっかりとしたそうした情報交換というんですかね、考え方の整理をしているというふうに私は承知しています。
  319. 吉田忠智

    吉田忠智君 こういう国会の場でしっかり言っていただかないと議論にならないじゃないですか。こういったブラックボックスの中での憲法九条の解釈という非常に重要な議論が行われているということが、私は民主主義の破壊であるというふうに思っています。  官房長官、少なくともこれまでの安保法制懇の議事録の公表、そして今後の安保法制懇については会議を公開していただきたいと思いますが、いかがですか。
  320. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 安保法制懇は、その会議のたびに公開をしているというふうに私は思っていますけど。
  321. 吉田忠智

    吉田忠智君 リアルタイムで公開していただけませんか。
  322. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 座長代理の北岡先生のブリーフィングと同時に、またその概略については公開をしているというふうに承知をしています。
  323. 吉田忠智

    吉田忠智君 安倍総理は、安保法制懇で主流的になりつつあると発言されましたが、これは完全な誤解ないし総理御自身の願望を表明したにすぎないと私は考えますが、官房長官、いかがですか。
  324. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) そこについて私から答えることはどうかなというふうに思います。
  325. 吉田忠智

    吉田忠智君 少なくとも憲法上の三権分立という統治機構の下で、私は、総理という行政の長が司法の下した最高裁判決を自説に都合よく歪曲するというのは、私は前代未聞で許されないことではないかと思います。それについて何かコメントありますか、官房長官。
  326. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 是非ここは御理解をいただきたいんですけれども我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然である、このことについて、この砂川事件に関する最高裁判所の判決は我が国のことを今のように認めたものであって、政府としてもこのような見解を従来から取ってきたということであります。
  327. 吉田忠智

    吉田忠智君 それでは、内閣法制局長官に、法制局についてちょっと看過できない報道がありましたので、お尋ねします。  四月十三日の時事通信によれば、内閣法制局は、必要最小限の自衛権に集団的自衛権の一部が含まれること、また、ある国が日本の近隣国を攻撃、占領しようとしていて、放置すれば日本も侵攻されることが明白な場合には集団的自衛権の行使が可能などとする限定容認論の素案をまとめたという報道がありましたが、これは事実ですか。
  328. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これは、ある通信社がそういう報道をなさっているということは私も承知しておりますが、私自身も、また調べてみましたけれども私の同僚も取材を受けたということはございませんで、総理も官房長官も繰り返し御答弁なさっておりますけれども、安保法制懇の報告書が出てから、内閣法制局の意見も聞いて、内閣としての検討を行うと、こうおっしゃっているわけでございますので、報告書が出る前に私どもがそのような案をまとめるということがありようがないわけでございまして、全く事実無根というふうに考えております。(発言する者あり)
  329. 吉田忠智

    吉田忠智君 今、頭の体操という話がありましたが、かつて予算委員会の答弁の中で、小松長官が、内閣法制局としても頭の体操をしていると。私は、火のないところに煙は立たないと思うんですね。それは頭の体操の中身が出たんじゃありませんか。
  330. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) いわゆる頭の体操ということにつきましては、参議院の主に外交防衛委員会で、何をやっているんだという御質問がございまして、資料を委員長の御指示によりまして提出をした経緯がございますけれども、これは、安保法制懇の報告書が出れば内閣法制局から意見を聞くと内閣総理大臣がおっしゃっているわけでございますので、その意見をお尋ねをいただく前に、どういう意見を申し上げるべきかということをいろいろ、過去の答弁との関係等を含めまして、いろいろと勉強をしておくということは当然ではないかと。  私、例えで申し上げましたのは、共通一次試験というのを受けることが分かっているときに、まず最初に過去問というのを勉強するというのはごく当然のことではないかと。そういう過去問の勉強はしております。
  331. 吉田忠智

    吉田忠智君 内閣法制局の長官を、小松さんがフランス大使から着任をされたわけでありますが、小松長官は病気治療があるということで、横畠次長、本来定年でありますけれども、小松長官を支えるために定年を一年延長されたということでございます。これまでの慣例でいきますと横畠次長が長官になられる方向であったのではないかと思いますけれども、そういうこともございますし、小松長官も国際法の権威ではありますけれども内閣法制局というのはあらゆる法律のチェックも行いますし、内閣法制局のスタッフの皆さんとしても小松長官を支えるというのはなかなか厳しいのではないか。そうしたいろんな一連の動揺が私は内閣法制局の中にあって、こういう、火のないところに煙は立たないと言いましたけれども、そういう報道が出たのではないかというふうに思っておりまして、一連の人事が、法の番人である、憲法の番人である、しっかりしてもらわなければならない内閣法制局の本来の業務に支障がないように、この点は強く申し上げておきたいと思っております。  そこで、官房長官、安保法制懇の議論も今日るるございました。法的な裏付けがない組織ではないのかとか、報告といっても報告に値しないのではないかと、そのような議論もございましたが、そしてスケジュールも官房長官から示されましたけれども、改めてもう一回確認をしますが、これからのどのようにスケジュール感を持っておられるのか、それに内閣法制局がどういう形で絡むのか、併せてお伺いします。
  332. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 安保法制懇から報告書の提出を受け、そのことを参考にしながら政府としての基本的な方向性を示して、内閣法制局と、その意見も踏まえながら与党と相談をし、その対応を検討した後に閣議決定を行うと、そういう方向であります。
  333. 吉田忠智

    吉田忠智君 それでは小松長官に伺いますが、小松内閣法制局長官は、今後、安保法制懇のそうした報告が出た場合に、それを受けてどのような対応をされますか。
  334. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これは、もう何度も御答弁を申し上げているわけでございますけれども、総理大臣が、この安保法制懇の報告を受けた上で、内閣法制局の意見も聞き、与党とも相談した上で内閣としての対応を検討するとおっしゃっているわけでございます。  内閣法制局の役割、これは内閣法制局設置法に基づきまして、法律に基づく行政でございますから、その役割を果たすということでございまして、具体的には、内閣法制局設置法第三条のたしか三であったかと思いますけれども、法律問題について内閣総理大臣並びに国務大臣に対して意見を述べることというのがこの内閣法制局の所掌事務でございますので、その所掌事務に従いまして、これは政策的な観点ではなく純粋に法的な観点から恥ずかしくない意見を申し上げなければならないと考えております。
  335. 吉田忠智

    吉田忠智君 是非、のりを越えないように、内閣法制局長官としての職責を、是非法制局としての職責を果たしていただきたいと思います。  官房長官に最後に質問させていただきますが、憲法九条がノーベル平和賞の候補になりました。九条をやっぱり生かし守るべきという主張をしている我々にとっては感慨深いものがありますし、私は憲法九条が日本の平和国家としての礎として大きな役割を果たしたと思っています。もし受賞が決まれば私は安倍総理に是非授賞式に出ていただきたいと思っていますけれども、今回のノーベル平和賞の候補に九条がなったことについての見解をお聞きしたいと思います。
  336. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) まだどうなるかということは分かりませんので、仮定のことに私の立場で答えるべきじゃないと思います。
  337. 吉田忠智

    吉田忠智君 テロ特措法、イラク特措法に基づき海外派遣された自衛隊のうち、在職中に三十五名の方が亡くなった、そして、うち十六名が自殺であったということが我が党の照屋衆議院議員の二〇〇七年十一月の質問主意書で明らかになっております。  安倍政権が進める集団的自衛権の容認は、国民の生命、財産を危うくし、特に自衛官の皆さんの生命を政治の駒として使うことを容認するものでありまして、特に心ある与党議員の皆さんには認めるべきではないと強く訴えたいと思います。  官房長官、法制局長官、以上で私の質問は終わりますので、どうぞ退席されてください。
  338. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 法制局長官も結構です。
  339. 吉田忠智

    吉田忠智君 続いて、日豪EPAとTPP交渉について質問いたします。  去る四月七日、安倍総理とオーストラリアのアボット首相との会談で、両国は七年越しの日豪EPAについて大筋合意を発表しました。最大の争点でありました牛肉について、日本側が現行三八・五%の関税の半減という信じ難い大幅譲歩を受け入れるものでありました。  二〇〇六年十二月、衆参両院の農林水産委員会は政府に対し、牛肉など重要品目について協定から除外、再協議の対象となるよう交渉し、十分な配慮が得られないときは交渉の中断も含め厳しい判断をもって臨むことと決議をしています。  まず、農林水産省に伺いますが、少なくとも牛肉に関しては除外、再協議が関税半減になったわけで、日豪EPA大筋合意は明らかに国会決議に反していると考えますが、農水省に今回の大筋合意の評価国会決議との整合性について伺います。
  340. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 私の方から、少し経緯も含めまして丁寧に御説明をさせていただきたいと存じます。  まず、日豪EPAにつきましては、二〇〇七年四月の交渉開始以来、ケアンズ・グループの中心でもあり、農産物の大輸出国でもあります豪州からの全品目の関税撤廃要求に対しまして、衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえまして、政府一体となりまして交渉の期限を定めずに粘り強く全力で交渉を行ってきたところでもございます。その結果、決議に明記されております米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖につきましては、豪州側からの一定の柔軟性を得ましたために、交渉を中断せずに継続をしてまいりました。そして、今回大筋合意するに至ったところでもございます。これは決議第三号の関係に当たります。  特に、御指摘をいただきました牛肉につきましては、関税撤廃を強く要求する豪州と粘り強く交渉いたしました結果、もう先生御承知だと思いますけれども、冷蔵、冷凍間で四%の税率差、冷蔵に関しましては十五年で二三・五%まで、さらには、冷凍に関しましては十八年で一九・五%ということであります。さらに、現状以上の輸入量となったときには関税を現行水準に戻す効果的なセーフガードも設けさせていただきました。そして、長期の関税率削減期間の確保など一定の柔軟性が得られまして、国内畜産業の健全な発展と両立し得る関税削減の約束となったところでございます。決議の第一号と第三号に関係をしてまいります。  今後は、本協定締結の効果、影響に留意をいたしまして、生産者の皆様が引き続き意欲を持って経営を続けられますように、肉用牛経営を始めとする農畜産業につきましては、構造改革やあるいは生産性の向上による競争力の強化を推進してまいりたいと思います。これは決議の第四号に関係をしてございます。  政府といたしましては、このように、衆参両院の農林水産委員会の決議の各号を踏まえまして、真摯に交渉を行ってまいりました。国内農林水産業の存立及び健全な発展と両立し得る合意に達することができたと考えておりまするけれども、今回の合意内容と決議との整合性につきましては、最終的には両委員会に御判断をいただくものであると考えております。
  341. 吉田忠智

    吉田忠智君 まだこの日豪EPAについて議論したいんですけど、時間が押しておりますので、TPPの質問に移りたいと思います。  吉川大臣の地元は北海道で、北海道はホルスタインの主産地で大きな影響があるのではないかと思っております。是非、日豪EPA大筋合意は白紙撤回するように求めたいと思います。  そこで、TPPですが、九日、十日に行われた甘利大臣とフロマン代表との交渉、十八時間にも及ぶ異例のものでありました。甘利大臣は十六日から十九日に訪米をすると、そのように聞いております。  オバマ大統領来日を前に、両政府が妥結を急いでいるのではないかと懸念しておりまして、この直前ぎりぎりの時期に私は訪米するというのは足下を見られるのじゃないかと大変心配をしているわけでありますが、昨年四月の衆参農水委員会が、重要五品目について、十年を超える段階的な関税撤廃も含め認めない、確保できない場合、脱退も辞さないと、日豪EPA決議よりも更に強いトーンの決議を採択しているわけでございます。  政府は、従来、TPPは聖域なき関税撤廃を前提にしたものではないと説明をして、国会決議を踏まえて交渉する、TPPのデッドライン、期限は決めていないと繰り返し公表されていました。甘利大臣、こうしたTPP交渉に向けた基本姿勢に変更はありませんね。
  342. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) TPP交渉に参加するに当たっては、アメリカと前提条件の確認を安倍総理がされたわけであります。その上で、このTPP交渉に参加するという表明を行ったわけであります。そして、交渉の過程の中で何を踏まえるかといえば、何度も答弁をさせていただいておりますが、我が党の選挙公約、そして衆参農水委員会でなされました決議、それを重く受け止めつつ、今日まで交渉してまいりました。  今週、国会の御了解がいただければワシントンに足を運びますけれども、決議あるいは選挙公約をしっかり受け止めて、受け止めつつ、最終的に整合性を取っていけるように最大努力をしていきたいというふうに思っております。
  343. 吉田忠智

    吉田忠智君 日豪EPAの合意の内容、大変厳しい内容でありましたけれども、農水省は国内畜産業の健全な発展と両立する我が国としてぎりぎりの線というふうに言われているわけですが、このTPP交渉において、日本が死守すべき、これ譲れない一線だというふうに農水省は考えているんじゃないかと思いますけれども、これ、どうでしょうかね。例えば、これまで、あるいはこれからのTPP日米交渉において、これがデッドラインなんだと、日豪EPAの合意内容が日米、アメリカに対しても、そのように主張されますか。甘利大臣
  344. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 今のは農業関係だから……
  345. 吉田忠智

    吉田忠智君 いやいや、だから、TPPの。いいですか。
  346. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) じゃ、もう一回、吉田さん、どうぞ。
  347. 吉田忠智

    吉田忠智君 じゃ、TPPの交渉において、少なくともその日豪EPAの合意内容がデッドラインだと。
  348. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) とにかく、日豪EPAは日豪EPA、二国間交渉であります。TPPは多国間交渉であります。そして、TPPには、我々日本が入る前に、ホノルル宣言というのがございます。そのホノルル宣言では、かつての二国間交渉ではなかったような高い野心に向けて努力するというのが共通合意項目になっている。これはもう既に合意されていることでありますから、我々にはどうしようもないわけであります。  その中で、最初から聖域を設けない、聖域なき関税撤廃を前提とするということではないということを確認して入ったわけでありますし、ただし、センシティビティーというものは交渉の結果として存在をするものである、つまり、力強い交渉力を発揮した結果、そこに残るものであるということであります。  TPPのこの設立をされた意思、ホノルル宣言をしっかりと念頭に置かなければならない一方で、国会決議をしっかり受け止めて、その整合性をどこで取れるか、最終的な判断は国会でしていただくしかないわけでありますけれども、二つの言ってみれば相矛盾するようなこの制約をどう整合性を付けていくか、非常に難しい交渉でありますが、全力で取り組んでいきたいということであります。
  349. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 吉田忠智君、時間が参っておりますので、簡潔に。
  350. 吉田忠智

    吉田忠智君 オバマ大統領の来日前の妥結ありきで拙速に進めるくらいなら、私は甘利大臣の訪米は延期するぐらいの強い姿勢で臨むべきだと考えております。  いずれにしても、TPPは原則関税ゼロ、規制、関税撤廃が原則だと、そのように聞いております。一部の輸出大企業のために、農業のみならず医療や食品安全など国民生活を破壊するTPP交渉からは即時脱退すべきであるということを強調して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  351. 金子原二郎

    委員長金子原二郎君) 他に御発言もないようですから、皇室費内閣内閣府本府、経済産業省消費者庁及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る二十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会