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2014-04-10 第186回国会 参議院 外交防衛委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     堀内 恒夫君  四月十日     辞任         補欠選任      堀内 恒夫君     宮本 周司君      牧野たかお君     井原  巧君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 佐藤 正久君                 松山 政司君                 三木  亨君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 井原  巧君                 宇都 隆史君                 岡田 直樹君                 小坂 憲次君                 堀内 恒夫君                 牧野たかお君                 宮本 周司君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 山口那津男君                 中西 健治君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 小野 次郎君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        外務大臣    岸  信夫君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        亀岡 偉民君        内閣大臣政務        官        小泉進次郎君        国土交通大臣政        務官        復興大臣政務官  坂井  学君        防衛大臣政務官  木原  稔君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  小松 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣参        事官       成田 耕二君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       河邉 有二君        内閣大臣官房        審議官      安田 貴彦君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        高橋礼一郎君        警察庁長官官房        審議官      鈴木 基久君        警察庁警備局長  高橋 清孝君        外務大臣官房審        議官       金杉 憲治君        外務大臣官房審        議官       福島  章君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務大臣官房参        事官       山田 滝雄君        外務省領事局長  三好 真理君        水産庁資源管理        部長       枝元 真徹君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     中山  亨君        国土交通大臣官        房技術参事官   大脇  崇君        国土交通省水管        理・国土保全局        次長       加藤 久喜君        国土交通省海事        局次長      櫻井 俊樹君        国土交通省航空        局安全部長    島村  淳君        防衛大臣官房長  黒江 哲郎君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君        防衛省運用企画        局長       中島 明彦君        防衛省人事教育        局長       豊田  硬君        防衛省経理装備        局長       伊藤 盛夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (国家安全保障戦略平成二十六年度以降に係  る防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に関  する件) ○原子力平和的利用における協力のための日本  国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の  締結について承認を求めるの件(第百八十五回  国会内閣提出、第百八十六回国会衆議院送付) ○平和的目的のための原子力利用における協力  のための日本国政府トルコ共和国政府との間  の協定締結について承認を求めるの件(第百  八十五回国会内閣提出、第百八十六回国会衆議  院送付)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山下雄平君が委員辞任され、その補欠として堀内恒夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外二十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 外交防衛等に関する調査のうち、国家安全保障戦略平成二十六年度以降に係る防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まず最初に、統合機動防衛力におけます部隊展開能力輸送についてお伺いします。  安倍総理は、本会議の報告あるいは答弁の中で、自衛隊部隊を機動的に展開、移動し得るよう、迅速かつ大規模輸送力を確保することが不可欠というふうに述べられております。  防衛大臣統合機動防衛力、これを実現する上での輸送力、これは民間あるいは自衛隊あると思いますが、輸送力の位置付けについてお伺いします。
  7. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 新防衛大綱におきましては、統合機動防衛力を構築し、事態の推移に応じた訓練、演習の戦略的な実施部隊機動的展開を含む対処態勢の迅速な構築による事態深刻化の防止、実効的な対処を行うこととしており、そのためには、自衛隊及び民間による大規模かつ迅速な輸送力の確保は極めて重要と考えております。  このため、新防衛大綱において重視すべき機能、能力として輸送能力を明記し、所要の部隊を機動的に展開、移動させるため、平素から民間輸送力との連携を図りつつ、海上輸送力及び航空輸送力を含め、統合輸送能力強化することとしたものであります。新中期防においては、その実現に向けたティルトローター機の導入など各種事業民間輸送力積極的活用検討等について列挙しているところであります。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに統合機動防衛力を実行する上でやっぱり輸送力というのは非常に重要な要素と、これは前の動的防衛力のときも輸送力は重要だと言われておりましたけれども、前大綱よりも更に踏み込んで強化を明示しているという分野だと思います。  資料一を御覧ください。資料一で、これは陸上自衛隊大綱の体制。右上の方に部隊展開を、これを南西諸島方面展開する絵がありますが、北海道にある全ての師団旅団というものが輸送力によって南西方向展開するという構想であります。これは、言うのは簡単ですが、なかなか実際、北海道は離島ですから、やはり鉄道とかあるいは車両というわけにはいかず、どうしてもこの絵にあるように航空海上というふうになります。  そういう上において、特に七師団機甲師団です。これを運ぶというのは物すごい量の輸送力を確保しないといけない。ましてや、今回は統合輸送力ということも強化しておりますけれども、それを考えた場合、非常にこれは、言うはやすく行うは難しという分野かもしれません。まさに北海道のこの部隊、これを南西諸島展開する上におけるこの機動師団機動旅団というものをつくっておりますが、これを展開する上での特に考慮事項というものについて、あればお伺いしたいと思います。
  9. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今回、機動師団機動旅団につきましては、各種事態に即応し、実効的かつ機動的に対処し得るように即応性機動性を重視した編成装備とする予定であります。  具体的には、機動力と被輸送性を高めた諸職種部隊をあらかじめパッケージ化した即応機動連隊を新設し、今開発中であります空自輸送機C2により輸送が可能な機動戦闘車装輪装甲車、重迫撃砲などの軽火力装備をするということも重要でありますが、今委員がお話がありましたように、特に大規模部隊を派遣する場合には、これは、現在あります海上自衛隊輸送艦、これの活用あるいは民間船舶活用など、あらゆる輸送手段を今後とも検討していく必要があると思っています。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  本当にこれは、非常に民間輸送力を使わないと実際上は多分無理だと思います。  大臣宮城県の気仙沼出身と、選挙区とされておりますけれども、まさに東日本大震災のときも、多くの部隊北海道九州から東北被災地の方に展開をしました。そのとき北海道部隊ネックになったのは、やっぱり海上輸送力。非常になかなか、いきなり言っても民間輸送力を確保できない、それぞれ契約がございます。実際上、一つ民間のフェリーにも、どんなに頑張って積んでも人が五百名ぐらいしか乗らない。このような、南西諸島の場合は、車両とかあるいは弾薬とかいろんなものが付随しますから、もっと多分乗れる人の数は減ると思います。実際上、九州部隊の方が北海道部隊よりも先に岩手宮城の方に到達したというデータもあります。  とりわけ、北海道の五旅団、これは東日本大震災のときに、やっと動き始めたのが、北海道を出れたのが三月の十六日です。発災から五日後にやっと五旅団は動くことができたと。問題は、輸送力がやっぱりなかなか確保できなかったということがありますので、この点については引き続き検討を深掘りしていただきたいと思います。  そういう上において、肝腎の自衛隊の方の輸送力整備なんですが、これが統合輸送力と言われています。ここの資料一の絵にもありますように、これMCV、機動戦闘車というものを機動師団旅団の方に配備するとなっています。これをもって航空自衛隊のC2とかあるいは海上自衛隊輸送艦で運ぶんですけれども、C2といっても、これ、一機に一両しか載りません。機動戦闘車はC130には載りません。C2でやっと一機に一両というものです。C2の、どんなに頑張っても、今のペースだと、この中期の最後の三十末には十機入るかどうかぐらいだと思います。よって、やはりなかなかこの部分については非常に、絵には航空輸送力描いていますけれども、主体はやっぱり海上輸送力にならざるを得ないというのが恐らくこの実態ベースだと思います。そういう上において、この海上輸送力含めた統合輸送力は非常に鍵だと思います。  ただ、実際上、今、これから中央組織見直し統幕運用組織見直しというのはまさに二十七要求でいろいろ入ってくると思います。そういう上において、この輸送という部分は、これは政治リーダーシップでしっかり光を当てていただきたい。これは、統合というのは本当難しいんです。実際、部隊運用であれば、海上自衛隊自衛艦隊とか航空総隊、航空支援集団あるいは陸上総隊あるいは方面隊を入れればいいんですが、民間自衛隊統合しないといけない、まさに兵たんというのは民間が関わりますので非常に難しい。  米軍は、これは統合輸送をやっています。米軍統合輸送コマンド、これについて概要を説明していただきたいと思います。
  11. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 米軍は、軍種横断的に編成された統合軍一つであります輸送軍が、これは平時及び有事における世界規模での陸海空軍輸送任務実施しているということで承知をしています。  輸送軍は、航空機動コマンド海上輸送コマンド陸上展開配分コマンドから構成されており、週平均で千九百回以上の航空輸送を行うとともに、二十五隻の輸送艇運用及び一万回の陸上輸送などの任務を行っているというふうに承知をしています。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 実際に兵員も十五万人いると、非常に大きな組織ワールドワイドでやっている。日本はそこまでいかないにしても、やっぱり日本って非常に広いですから、これを北海道から南西までというスケールで考えないとやっぱり非常に難しいと。  資料二を御覧ください。資料二は、実際に今の現状統合幕僚監部兵たんを扱っている部署です。これは首席後方官とありますけれども、実際上、編成上は幹部二十八名、事務官六名、この三十四名で統合兵たんをやっていると。輸送だけではない、兵たん全部がこの状態です。兵たんというのは民間も巻き込みますから、防衛産業を含めて。比べると、非常にどちらかというとやっぱり弱い部分というふうに言われています。  そのうち輸送を担当しているのが、この三番目の後方補給官、括弧で輸送官と書いていますけれども、ここにいる五名ないし六名なんです。五名ないし六名で東日本大震災のときも実質ここが窓口になったり、あるいは海外にPKOを展開するときの民間輸送機や、あるいはロシアのアントノフのときもみんなここが中心になります。  これはどう考えても非常に弱くて、ましてや今回、大規模災害あるいはこの南西諸島展開のときに、ここが主になります。これについては、やはり次の中央組織見直し統合幕僚監部見直しのときに、この輸送という部分政治リーダーシップでしっかり見ていただいて、これを強化していただきたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いします。
  13. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 委員の御指摘は大変重要な指摘だと思っています。  各幕とも相談をしながら、実際の運用でどのようなことが今後必要になるのか、あるいはもし現在の状況で人員が足りないということであれば、それは幕と相談をしながら検討していきたいと思っています。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今回はいいタイミングなんです。まさに統合機動防衛力をやるんだということを掲げ、さらに中央組織見直しで、まさに内局と統幕をいろんな面で今改革しようという時期ですので、まさにその大綱中期を実現ならしめる上でも今回は非常に大事な部分で、やっぱり移動をしないことには戦力は発揮できません。災害派遣一つ取っても、スコップ一個持っていっただけでは駄目で、やっぱりそこはフル装備を持っていって初めて結果が出ますので、人を運ぶだけではなく装備と物、こういうものを合わせた形での輸送、これを検討をお願いしたいと思います。  次に、大綱中期の方で書かれております隊員の処遇の中での再就職支援、これについて質問をしたいと思います。  今、まさに建設業界、これは日本全国において、オリンピックの問題や東北復興あるいは国土強靱化含めて、非常に人がなかなか足りない、あるいは業界が足らないと言われています。  国土交通省にお伺いします。今、建設業就業者現状のうち、技能労働者減少状況建設業就業者高齢化、これについての現状を説明願います。
  15. 坂井学

    大臣政務官坂井学君) 近年、建設投資が急激に減少する中において、赤字受注やダンピングの横行など競争が激化し、経営環境が大きく悪化をいたしまして、その結果、現場技能労働者が減少し、その上、高齢化が進行、若年入職者が減少するという構造的な問題が発生をいたしております。  具体的には、技能労働者数におきましては、平成二十二年、三百三十一万人を底に、平成二十五年には三百三十八万人まで七万人回復しておりますけれども、ピーク時であります平成九年、約四百五十五万人からは百二十万人減少している状況にあります。  また、平成二十五年には五十五歳以上が約三四・三%、逆に二十九歳以下が一〇・二%となっておりまして、全産業と比較いたしましても高齢化が著しく進行している状況にございます。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  では、被災地岩手宮城福島、この三県の建設関係でいう建築や土木測量者、あるいは建設躯体工事職業関係者建設土木、これにつきまして、それぞれごとにまとめた形での有効求人倍率、これについて説明願います。
  17. 坂井学

    大臣政務官坂井学君) 厚生労働省職業安定業務統計によりますと、平成二十六年、今年の二月末現在、被災三県の平均有効求人倍率は、建設土木測量技術者で五・一四倍、建設躯体工事職業で九・二八倍、建設職業で三・六七倍、土木職業で二・六二倍となっております。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  非常に全国の方でも、実際業界関係者が減っており、高齢化が進んでいる。東北三県においては、防衛大臣、今聞かれたように非常に高い有効求人倍率があります。  今回、大綱中期の方でも、自衛隊若年定年退職者あるいは任期満了退職者を非常に有効に社会に還元しようという発想が述べられております。実際に二十四年度ベースでいうと、約八千人強の隊員自衛隊からまた社会の方に戻っているという状況があります。  そういう中で、実際いろんな職業訓練等をやっているんですけれども、資料三、これを見ていただきたいと思います。これには、自衛隊員の方が再就職するときに、いろいろ職業訓練というものを部内あるいは部外の方、あるいは通信教育という形でやっておりますが、そこに建設関係のものをずっとこれ抜粋させていただきました。  これを見ると、正直言って、今の有効求人倍率状況を考えると、やっぱり昔と同じような発想でやっている。私も政務官のときに、この部分を何とかしないといけないということで、人材有効活用委員会の方でいろいろ議論をしました。特に、真ん中の部外技能大型自動車一種というところで約千六百人くらいありますけれども、これは以前は要らなかったんです、余り、ほとんど。私の場合は、普通免許ありません、大型免許しかありません。初めから大型で試験を受けていました。だから、私はダンプの運転できます。ただ、今、中型というのができたために、自衛隊のトラックで取った免許中型扱いになってしまい、外に建設業界ダンプを運転しようと思うとこの大型一種を改めて取らないといけない。実際、現場では、宮城県も岩手県も物すごいダンプを運転する人が少ないと。  この部分についてはお金が掛かりますけれども、やっぱりここは国策として、非常に予算を取って、この建設土木関係に対する人を供給すると。ほかの業界よりも非常に今年収が上がっていて、結果として物になりますから、非常にやる気も出る業界ですので。大臣、この辺りの仕組み、予算と制度、これについて強化をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛省では、昨年三月、当時政務官でいらっしゃった佐藤委員委員長としまして、国防を担う優秀な人材を確保するため、募集、再就職予備自衛官等の充足その他の必要な施策について総合的に検討を行い、その適正な実施を図るための検討委員会を設置し、現在もその作業を進めております。  就職援護施策につきましては、退職自衛官の知識、技能、経験を社会に還元するという観点から各種施策を推進し、再就職環境を改善する旨中期防にも盛り込まれております。この中で、特に平成二十六年度予算におきましては、職業訓練充実等に係る経費も計上しております。  今委員の御指摘がありましたが、今、建設需要日本国内、とりわけ被災地で高まっているということもありますので、私どもとしては、今後、そのような必要な分野能力が発揮できるよう、隊員の再就職のための様々な施策については取り組んでまいりたいと思います。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。  防衛大臣資料四を御覧ください。  これは防衛省資料なんですが、これまで建設業へ実際どのぐらいの隊員就職援護を使って就職しているか、非常に実際上少ないんです、まだまだ。これは、隊員は実際こういう就職情報をなかなか接する機会が少ないという問題もあります。こういうのを、どんどん情報を教えてやれば、しかも年収のこともあり、やりがいもあれば、絶対これは増える分野だと思います。そこはしっかりお願いしたいと思います。  そのときの一つネックになるのが、資料五を御覧ください。  これは、平成十八年に防衛省事務次官通達ということで、再就職に係る自粛措置というものの通達です。これは、国土交通省の方も同じような、こういう談合事案があったときには要請という形で自粛要請をしておりますが、国土交通省防衛省の違いは、国土交通省は役所としての再就職支援はできません、これは国家公務員法違反関係で。ただ、防衛省の場合は、若年定年任期制ということもあって、組織就職世話をしています。そのときにこの自粛措置があると、実際上、防衛省組織はこれに関係する会社には就職世話をできないという今縛りがあります。  一枚めくっていただいて、資料六、これがこの通達によって縛られている会社です。まさにこの五十六社というのは、日本建設関係大手を含めてほとんどの会社が入っています。大手含めてほとんどの会社が入っているんです。これに就職を今できないと、世話もできないと。しかも平成十八年です。実際調べてみると、この通達に書いてありますように、コンプライアンスの是正というのも相当なされていたり、それから、もう八年間、こういう不正にも一切関係しないという会社もあります。やっぱりここはしっかり見直していただかないと、幾ら就職しなさいといっても、これが縛られてしまうと、大手がほとんどですから、行かないという状況にあります。  実態を見ながらここは緩和をしていただきたいと思いますし、実際にこの自粛措置にもかかわらず自助努力でこの会社に入った場合は、今度は防衛省が発注する公共事業、この総合評価点からマイナス点を付けられてしまうと。その一方で、今多分、木原政務官の下でやっている検討委員会の方では、仮に予備自衛官としてそういう建設関係業界就職をしてくれた場合、しかも予備自衛官になってくれた場合は逆に総合評価方式で加点をするという方向性も、私のときからずっと議論していましたが、あります。  片方でブレーキを踏み、片方でアクセルを踏む、非常にアンバランスな状況に今ありますので、もう平成十八年の話ですから、これについては実態を見ながら緩和措置というものを期待したいと思いますが、防衛省見解をお伺いしたいと思います。
  21. 木原稔

    大臣政務官木原稔君) 佐藤委員防衛大臣政務官当時に、国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会、そこで委員長を務めていただいて、今委員おっしゃったような様々な議論、前向きな検討をしていただいて、今、それを私が引き継いでさせていただいているところであります。  建設業界への再就職については、防衛施設庁入札談合事案の再発防止策として、平成十八年六月から、全職員を対象として談合関連企業への再就職についての自粛措置等を講じているところでございます。  現在、震災復興事業、東京五輪開催に関連した公共事業、景気回復傾向に伴う民間設備投資の増加等により建設業界人材不足が深刻化していると承知をしております。また、退職自衛官については、重機や車両の取扱いといった技能等を有し、高い規律、協調性を備えているため、建設業界から再就職のニーズが高まってきているとも承知をしております。  防衛省としては、退職自衛官の知識、技能、経験を社会に還元することは重要であると考えており、本自粛措置の在り方については、公務の公正性の確保といった観点も踏まえつつ、適切に検討してまいります。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。  これ、自衛隊人材を更に国全体で有効に活用すると、非常に大事な私は視点だと思いますし、実際に技量を持っているということも大事なんですけれども、やっぱり素直で真面目に意欲的に仕事をするという若者が欲しいと、そういう人間であれば来てからいろいろ資格を取らせても伸びるしということもありますので、そういう面でいうと、自衛隊という団体生活あるいは規律という面で訓練をされた隊員というのは建設業界にとっても日本のこれからの成長にとっても非常に大事だと思いますので、木原政務官委員会の方で更なる検討を深化していただきたいということを要望したいと思います。  次に、シーレーン、海上交通路安全確保について質問をしたいと思います。  今回の戦略あるいは大綱中期でも海洋安全保障という面からいろんな提言があります。その一つに、戦略の方にもエネルギー安全保障という側面があります。  外務大臣、エネルギー安全保障におけるホルムズ海峡の意義、これについて御見解をお伺いしたいと思います。
  23. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 資源の安定的かつ安価な供給確保、これは、我が国の活力ある経済を維持する上で不可欠であると考えております。国家安全保障上の重大な課題であると認識をしております。  そして、御質問のホルムズ海峡の意義ですが、我が国は、一次エネルギー需要の大半を輸入に依存しており、我が国の輸入する原油の約八割、そして天然ガスの二割強がホルムズ海峡を通過しております。こういったことから、ホルムズ海峡が我が国のエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路であると認識をしております。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 そういう意味において、実態ベースを数字で押さえたいと思います。  国土交通省にお伺いします。実際、このペルシャ湾から日本向けタンカーの運航状況、これについて承知している範囲で御答弁をお願いします。
  25. 坂井学

    大臣政務官坂井学君) 平成二十五年のペルシャ湾、オマーン湾とインド南端の間の日本関係船舶の油タンカーの航行実績でございますが、一般社団法人日本船主協会に確認したところによりますと、東航五百四十五隻、西航五百五十五隻、延べ千百隻となっております。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 今外務大臣言われたように、まさに数字的にもこのホルムズ海峡の重要性は証明されていると。実際に、湾岸戦争の後、海上自衛隊が掃海部隊をペルシャ湾の方に派遣し、掃海に当たりました。そのときの根拠は、自衛隊法九十九条で、遺棄機雷、これを除去するという形でした。要は、そのときの説明は、遺棄機雷はこれは武力の行使には当たらないという説明で、自衛隊能力をもって、そういう公共の秩序の維持の観点から遺棄機雷を排除したという、これまでの国会での答弁ぶりでした。  防衛大臣、遺棄機雷と敷設機雷の違いというのは何でしょうか。
  27. 木原稔

    大臣政務官木原稔君) 一般論として申し上げると、機雷が遺棄された機雷であるか否かにつきましては、四つの要素があると考えております。一つ目は敷設国の意思の表明、これは他国への通知、通告等の有無であります。二つ目は当該機雷の所在する海域。三つ目は当該機雷の性質、これは浮遊しているか定置されているかなどや、敷設の態様ということでございます。四つ目は戦闘全般の状況や周囲の国際情勢。こういった要素を総合的に勘案して判断すべきものと考えております。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、この国際海峡における機雷の除去については、安保法制懇の方でも一つの類型として議論されています。これは非常に大事な分野で、そこは、ホルムズ海峡が地球の裏側かという議論もいろいろあるようですけれども、これについては、やっぱり実際の今までの法的性質をしっかり押さえないといけないと思います。  要は、遺棄機雷の場合は、相手国が武力の行使の一環として敷設したものではないという理由から、公共の秩序の維持という観点で、それを自衛隊能力をもって排除をするということだと思うんですが、であれば、この公共の秩序の維持という観点を裏返して、ある国が武力行使の一環ではなくて公共の秩序を妨害するために敷設をしたと、公共の秩序の妨害、公共の秩序を乱すために機雷を敷設したというものであれば、これは、自衛隊法の今八十四条ですか、八十四条でもこれは除去できる場合があるというふうに整理できるんでしょうか。
  29. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) いずれにしても、今お話ありましたように、私どもとして、今までは遺棄機雷という形でこの機雷についての掃海活動を行ってまいりました。  委員が御指摘になりましたように、このシーレーン防衛は大変重要だという思いで、今、安保法制懇の中でこの議論の整理をしていただいていると思っております。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは恐らく今後、今の類型の中で非常に、これは法制局も入れて真剣にやらないと、いざというとき日本の経済にも大きな影響を与えかねない分野であります。ほかの国が日本のタンカーを守って、日本の方は知りませんよというわけにはいかないと私は思っていますし、実際に日本のタンカーを守るためにアメリカの海軍等の若者も命を落としておりますので、これについては、法的にどこまでできるのかできないのかという部分を含めて、今後しっかり検討を、この委員会でも議論をし、深めていきたいと思います。  以上、質問を終わります。ありがとうございます。
  31. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  今日は、前回参考人の意見聴取をした上で今日は一般調査ということなんですが、採決を伴う法案ではないですけれども、ある意味、これで戦略、大綱中期防の締めくくりの質疑を行う、そういう日だと思っております。我が会派から、先ほどの佐藤先生に引き続いて、元自衛官としての現場の立場からの質問等を今日はさせていただきたいと思います。  まず一点目に、先日参考人の皆さんのいろんなお話を聞いていて、今回の戦略、大綱中期防、この三セットにはおおむね高評価をいただいていたのではないかというふうな認識をしています。細かいところに関しては更なる要望、更に良くするためにという御意見はいただいたんですが。  その中で、四人の参考人の先生方それぞれに、今日本が置かれている戦略環境であるとか国際情勢、あるいは近隣諸国の中国、北朝鮮、ロシア、同盟国であるアメリカ、この動きを踏まえながら我が国として必要な防衛力いかんというようなお話をされていたかと思います。ある参考人に至っては、それをGDPという数値に表した形で、数年後、我が国の防衛力、それから他国と比較した上でのそれの状況がどういうふうになっていくのか、こういうお話をされていたわけです。  私も先日、予算委員会の集中審議でこういう話をしました。一国の防衛力というのは、前年比でどうだとか、これまでの流れの中で今上昇傾向にあるからいいとか悪いとか、そういう問題ではなくて、周辺国、あるいは我々が対応していかなければならない国家の軍事力、それとの比較によって求められる数値というのは出てくるんじゃないかと、こういうような話をさせていただいたんですけれども。  改めて防衛大臣にお聞きしますけれども、今回の戦略、大綱中期防、これは我が国が置かれた周辺国の安全保障環境、それぞれの国々、こういうものに関して実質的な脅威、これを認識した上で能力見積りの結果に算出された防衛力であると、このように捉えてもよろしいんでしょうか。
  32. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 我が国の防衛力整備は、ある特定の国を脅威とみなして、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておりませんので、これは今回の新防衛大綱についても同様であります。  ただ、他方、新防衛大綱は、二二大綱策定以降、北朝鮮による核・ミサイル開発や軍事的挑発、中国による活動の拡大、活発化など、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していること等を踏まえて、想定される各種事態に十二分に対応できるか、防衛力の能力評価を実施したところであります。その際、これまでのような各自衛隊ごとに能力評価を行うのではなく、統合運用を踏まえた能力評価を行ったということであります。  その結果、新防衛大綱におきましては、各種活動を下支えするための防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保し、抑止力及び対処力を高めていくことが必要という認識の下、今回、防衛力整備について対応しているということであります。
  33. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ここの部分は、やっぱり野党の委員の先生方ももう少し厳しく突っ込んでほしいんですね。  今回の大綱だけではなくてこれまでの大綱もそうなんですけれども、前文の部分は定性的にいろんなことを書いているんです。国際環境はこういうふうに厳しくなってきた、日本はこういう問題点を持っていると言いながら、実際にどういう見積りをして出てきたものかという、一番最後の別表、数値的なものというのは全く示されないのが大綱なんですよ。  これは、本当にこれを例えば五年間、あるいは大綱でいえば十年間できっちりと実現できれば守れるんだろうかというところ、実際これは予算を使うわけですから、その予算に見合っただけの本当に必要な能力なのかというのは、やっぱり真剣にこれ国会で議論すべきだと思うんですね。  もう一つ、冒頭に大臣がおっしゃっていただきましたけれども、我が国は特定の国を脅威としないという防衛戦略をこれまで続けてきたわけなんですけれども、本当にそれでいいんだろうかという部分なんですね。これは憲法の前文にも結局のところ立ち戻っていく話にはなるんですが、周辺国の公正と信義に信頼していさえすれば我が国に対する明確な脅威は存在しないんだ、出てこないんだという防衛戦略をずっとこれ続けてきたわけなんです。  民主党政権の中で、基盤的防衛力、これからはもう脱却する、動的防衛力に移るんだという話で前回の大綱は策定されましたけれども、もし基盤的防衛力から脱却するというのであれば、やはりこういう、我が国には脅威は存在しない、であるからして全国にくまなく必要最低限度の戦力を配置していくんだという基盤的防衛力構想から脱却し、明確な脅威認識をした上での脅威対抗論的な能力見積りをした上での戦力組成、これをやっぱり考えていくのが本来の現実路線にのっとった防衛政策ではないかと、私はやはりそう思います。  そこで二問目で、特定の国を脅威としてはいないという御答弁があったわけなんですが、今回の大綱、ページでいうと二ページから三ページの周辺諸国の動向のところを見ると、北朝鮮のミサイル開発云々に関しては明確に脅威という文言を使っているんですね。しかしながら、中国の軍事力の拡大あるいは現状を力で変更しようとする動きに関しては、安全保障上の懸念というワードを用いて表現しているんですね。この北朝鮮のミサイルは一方で脅威と言いながら、中国のこの様々な動向は安全保障上の懸念、これは、防衛省としてどういう区別をしたというような認識なんでしょうか。
  34. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) まず、先ほどもお話ししましたが、新防衛大綱は、特定の国を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておりません。  その上で申し上げれば、新防衛大綱においては、北朝鮮が大量破壊兵器を含む大規模な軍事力を保有、強化するとともに、関係国に対する軍事的な挑発行為等により地域の緊張を高めていることを踏まえ、北朝鮮の軍事的動向全般について、我が国ひいては地域、国際社会の安全保障にとっての重大な不安定要因と位置付けております。この中で、特に北朝鮮の弾道ミサイル能力の増強及び核兵器開発の進行については、我が国に対するミサイル攻撃の示唆といった挑発的言動も踏まえ、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威と認識をしております。  一方、中国につきましては、そもそも日中関係は我が国にとり最も重要な二国間関係一つであり、個別の問題があったとしても関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくという戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、大局的観点から中国との関係を進めていく必要があります。同時に、中国は、透明性を十分確保しないまま軍事力を広範かつ急速に強化し、東シナ海における活動を急速に拡大、活発化させており、特に海洋における利害が対立する問題をめぐっては、力を背景とした現状変更の試みなど高圧的な対応を示しております。新防衛大綱におきましては、こうしたことを踏まえ、中国の軍事動向等については、我が国として強く懸念するものと位置付けております。
  35. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 要は、切迫の度合いであろうと、今の答弁を聞いて判断をいたしました。  要は、北朝鮮というのは実際的にいろんな行動、アクションを起こすわけですし、軍事力をやはり実際に動かしているわけですよね、特定の挑発的な意図を持ちながら。しかしながら、中国とは互恵関係で、いろんな衝突はありながらも上手にやっていかなきゃいけないんだ、それは理解できます。ただし、それと軍事的な備えをそれぞれにしておくかどうかというのはまた別の問題だと思うんですね。北朝鮮に対するミサイルの対応の備えをしていくことと、もし仮に中国のミサイルが何かあったとき、それに対する備えをしておくこと、これはどちらも軍事的には必要な備えだと思います。  大綱は十年間、この前の参考人の意見では、本当に十年でいいのかという議論もありました。特に戦略等に関しては、もっと二十年、三十年先を見据えた防衛戦略を構築しなければならないんじゃないか、こういう御意見もありましたけれども。例えば、この十年間、二十年間、三十年間で今の北朝鮮のような差し迫った脅威に中国がならないとは誰もこれは断言はできないわけですね。ましてや、防衛省がそこを想定外にすることなんということは許されない。であれば、やはり中国に対しても明確な対応を取っていくべきではないかというのが私の思うところです。  そこで、しかしながら、我が国がこれまでずっと取ってきた防衛戦略、これの流れが政治的な、今まで固めてきた、積み上げてきた我が国としての政治の指針という一貫性があるわけですから、そこについてもちょっと御質問をしたいんですけれども。  今回の大綱でも、改めて専守防衛は堅持するという文言、入っております。もう一度改めてお伺いしますけれども、この専守防衛という防衛スタンスといいますか戦略といいますか、これを掲げることによって自衛隊の活動、行動における具体的な制約、制限というのはどういうのが出てくるんでしょうか。
  36. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 専守防衛といいますのは、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでありまして、我が国の防衛の基本的な方針であると考えております。  その上で、自衛隊が自衛権の行使として我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することのできる地理的範囲について申し上げれば、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではなく、公海及び公空にも及び得るものと考えております。武力の行使の目的をもって自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは一般的に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。  他方、仮に他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではなく、このことについては、いわゆる敵基地攻撃に関する政府の統一見解、これは昭和三十一年二月二十九日、衆議院内閣委員会でありますが、そこによって明らかに既にされているところであります。  いずれにしても、我が国は、専守防衛の下、平素から常続、継続的な情報収集、警戒監視活動を行い、不測の事態の発生を防止するとともに、各種事態が発生した場合には迅速に対応してまいります。
  37. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございました。  要は、専守防衛という、これを掲げることによって大きくは三つの制約が出てくると思うんですね。今、大臣が非常に詳しく御答弁いただきましたけれども、簡素にまとめるとすると、一つ目は、攻撃を受けなければ我が方から武力の行使をすることはしない、それから範囲に関しては、今おっしゃったように、他国の領土、領域の中というところまでは憲法が認められるとは解釈できない、三つ目は、そういう受動的な防衛力整備をするわけですから、より攻撃的な、あるいは他国を侵略するような、そういう兵器については持たないような必要最小限度の防衛力整備にとどめる、この三つの制約が出てくるんでしょうけど、私は、今の軍事力の趨勢、それからこういう高度な状況になってくると、いいかげんこの専守防衛というのも限界が出てきているのではないかなと思います。  それが、今、集団的自衛権の話の中の四類型の中等でも出てきている例えば弾道ミサイルだと思うんですね。かつては、そういう数分間で自分たちの判断をして対応を迫られるような兵器というのはなかなかなかったかもしれませんけれども、現在はもうそれが、例えば、北朝鮮においては日本をくまなくその射程に入れるようなノドンというミサイルが、専門家の言うところでは約四百発ぐらいはもう実戦配備されているのではないかというような話もあるわけですよね。これに対してどう対応していくのかといったときに、ここの専守防衛という考え方、もちろん我が方から先に手を出すわけではないと、我々は最後まで軍事的な行動というのは抑圧的に行動していくんだというスタンスは私は間違っていないと思います、こういう戦略守勢という考え方はですね。  ただ、それによって現場の行動を縛り付けていくことによって、本当に我が国の存続、独立、国民の生命、財産が守り切れるんだろうかということは、これはちょっと真剣に政治としては捉えていくべきなんだと思います。  よって、今回の大綱中期防においても、決定的に欠落している部分と私が認識しているのは、例えばミサイルの保有、我々がですね、保有できるのかどうなのか、それをどう考えるのかということなんかは全く議論なされていませんし、また、これは長らく国会でもタブー視されてなかなか議論が進んでいない核抑止について一体本当にどう考えるんだ、こういう部分ですね。核三原則、作らず、持たず、持ち込ませずというのを我々は掲げながら、いざとなったときにアメリカの核抑止の傘の下にいて守ってもらう。果たしてそれで実効性を担保できるんだろうかという議論等は真剣にやっていくべきではないかと思います。  一問目のまとめでちょっとお話ししたいんですけど、これからまた集団的自衛権の解釈変更の問題、様々に議論を加速化していくとは思うんですけれども、国会答弁の中でも、総理は、集団的自衛権を認めたからといって常にこの行使をするわけではない、しなければならないというわけではない、あくまでこれは権利である、その権利を実行するかどうかというのは時の極めて高度な政治判断であり、政治の意思であるというようなことを答弁されていると私は認識しているんですけれども、そうであれば、まさにこの打撃力、攻撃力というのは全く一緒なんですね。  ミサイルを持ったからといって、それがすなわち相手に対する侵略につながるか。そうではない。相手はそれをもって脅威と感じるかもしれませんけれども、脅威というのはイコール報復能力なんですよね。報復能力というのは、イコールこれは抑止力です。これは当たり前の話じゃないですか、国際社会でも、そしてこの防衛の分野では。その当たり前のことを真っ当に議論できるような政治の体制に、国内の、国会の環境にやっぱりしていかないと、私はいつまでたっても机上の空論、イデオロギッシュな防衛論議に終始してしまうのではないか、そういう不安を感じております。  というところで、一点目の脅威の認識と今回防衛大綱に掲げられた専守防衛の整合性についてという質問は終わって、次の質問に移りたいと思います。  二つ目に、産業力、技術力、これの中長期的な研究開発をどう考えるかという話です。  これは、私、同じく予算委員会集中審議の中で、今後考えていくべき課題だという話をさせていただきました。戦略の中には、今回、外務省、防衛省に関わることだけではなくて、例えば国土インフラの話、国交省、あるいは通信情報関係、総務省ですね、あるいは科学技術推進、文科省であったり経産省に関わるような話も網羅されているわけですけれども、じゃ、これを一体どうやってこの省庁間の協力体制を担保していくのかという話は非常に重要なんだと思います。  先日も、ちょうど二人目に発言をされた参考人の白石参考人の方から、産業力、技術力の中長期的な研究開発は国として取り組むべきであると。特に、例えばという具体例を出していただいたのが、情報通信、ロボティクス、ナノテクノロジー、ブレーン・マシン・インターフェース、地理空間情報、こういったのがこれから非常に軍事分野として重要になっていくだろうと。これは、他国に先駆けて我が国としても独自開発、研究というのを進めていかなければならないという話を意見として陳述されたわけですけれども。これ、今具体的にこれ見ただけでも、防衛省単体ではとてもできるような話ではないわけですね。経産省、文科省、国交省、総務省、それぞれに協力をしてもらわなければならない話になると思うんですが。  防衛大臣に改めて伺います。この他省庁との連携、それから財政負担、予算の負担ですね、今後、これをどういうふうに一体、国としての動きとして、取り組むべき課題として具現化させていったらいいんだろうか、大臣の所見をお伺いいたします。
  38. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 情報通信、例えばロボティクスあるいはナノテクなど先進的な技術分野については、多岐にわたる課題について大学や独立行政法人を含む民間において活発な研究がなされており、防衛にも応用が期待されるというふうに思っております。  このため、防衛省としても、他省庁が推進する研究開発支援プログラム等との連携を模索し、また大学、独立行政法人等との積極的な研究協力などを通じて先進的な民生技術を取り込み、より効率的、効果的な研究開発が実施できる体制の構築に取り組んでいるところであります。  省内においても、防衛生産・技術基盤戦略についての検討の一環として、戦略的に重要な分野において技術的優位性を確保するための研究開発ビジョンの策定や、民生先進技術も含めた技術調査能力の向上、大学等との連携強化、デュアルユース技術を含む技術開発プログラムとの連携、活用などの施策を含む適切な研究開発体制について検討しているところであります。
  39. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございます。  防衛省のこれまでの独自の取組というのは大いに評価しているつもりなんです。ただし、もうこれは防衛省が主体になって、あるいは防衛省側から投げかけていきながらやれるようなレベルではとてもじゃないけどないのではないか。やっぱり国全体として、今言ったような省庁間でもう大臣が集まって何か検討するような、議論するようなやっぱり新たな枠組みというのをつくっていかないと、なかなか末端末端の研究開発分野だけが集まって協力し合いましょうと言っても前には進まないんじゃないかと思うんです。次の質問で航空宇宙産業分野の話をするんですけれども、例えば航空宇宙産業分野の件に関してもそうなんですね。  防衛省としては、防研であったり、あるいは岐阜の技術本部等々で開発をしている、防衛省として独自にしているわけですよね。片や産業総合研究所、経産省下の独法の方ではそういう開発もしている。あるいは文科省系列下でJAXAの方はJAXAの方でやりながら。でも、十分な連携あるいは共同の、何か研究に関してお互いに予算を持ち寄って大きなことができているかというと、果たしてそうではない。現場現場では、いろんな形で協力し合いましょうという協力体制というのは以前に比べては十分進んできていると伺っています。しかしながら、大きな第一歩という、参考人が言われたような、十年後、二十年後につながるような、そういうのには到底なり切れていないんですよね。これはやっぱり政治の力で解決しなきゃいけないと思っています。  是非、大臣には、各大臣とのそういう新たな何か協議するような枠組みというのも検討の課題の一つとして強く御認識いただきたいと思います。  そして、今、航空宇宙の分野での話をいたしましたけれども、それに絡めて、中期防の中で今後のF2の後継機に関わる次期戦闘機の話において、この今回の中期防に関しては、国際共同開発の可能性も含めというふうに記述されているわけです。これは、前回の委員会でも佐藤先生の方からも質問されましたけれども。  やっぱり私は、戦闘機の開発、特にこれはもう国の空を守る重要なアセットなわけですから、それを我が国の独力の技術力でちゃんと保持できるというのは、非常に産業界にとっても、あるいは防衛政策にとってもシンボリックな事業だと思うんです。これを安易に国際共同開発というのに手を出すべきではないと考えるのが私の意見ではあるんですが、しかしながら、国産開発だけで運用要求を満たせるのかどうかというような議論もあるんでしょう。ここの部分の書きぶりについて、原則としては国産化を目指すんだというような強い意思を大臣から是非御答弁でいただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
  40. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛省は、F2戦闘機の後継機について、その退役時期までに、国際共同開発の可能性も含め国産開発を選択肢として考慮できるよう、現在、先進技術実証機等の研究開発を推進しているところであります。私も、今年二月に三菱重工小牧南工場の先進技術実証機の製造現場を訪問しまして、平成二十六年中に初飛行を予定しております旨の説明を受けました。  将来戦闘機については、我が国独自の戦闘機開発技術が重要であるということ、当該技術が民間の他の分野に応用できるという波及効果を有しているところを踏まえ、我が国の防衛に必要な能力を有しているかという点や、コスト面での合理性があるかということを総合的に勘案して検討していく必要があると思っております。  防衛省としましては、今後、先進技術実証機等の研究開発やシミュレーション等を通じて、将来戦闘機の具体的な要求性能や技術的な達成可能性等を明確化するため、戦闘機関連技術の実証研究等を行い、その成果も踏まえつつ、平成三十年度までに国際、国産開発に関わる最終判断を行い、必要な措置を講じていきたいと思っております。
  41. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございました。  是非、国産化を諦めずに粘り強く推進していっていただきたいと思います。  答弁は結構です、二つの要望をここではさせていただきたいと思うんですけれども。  軍事力というのは、あるいは軍事技術というのは、今はもう、民間との垣根が非常に明確に区別が付けづらいデュアルユースの世界になっておりますよね。そうすると、新しい軍事技術の最先端のものをつくっていこう、開発していこうという、これは必ず民間産業を強く牽引していきます。そういう民間波及効果、スピンオフ効果というのは強く意識しながら、安易な国際共同開発に乗っていただかないような、あるいはコストとか合理性だけを追求するようなことがないように要望したいと思います。  もう一つは、せっかくこの共同開発をしていこうと思っても、やっぱり今まで研究開発に掛ける予算というのが余りにも少な過ぎるんですね。今回の先進実証機に関しても、これはステルス性を求めようということで、その形から材料からいろいろ苦労に苦労を重ねて民間検討し、造り上げているわけですけれども、どれぐらいの効果があるのかという評価をするための、電波風洞と言ったらいいんですか、正式には何と言うか分からないんですけど、国内にはないんですね。結局、これはたしかフランスまでわざわざ持っていってフランスで全部データを取ってもらってやっていると思うんですけれども、独立国家としてあり得ないやり方ですね。今から我々が使おうと思う最新技術、そして開発しているもののデータというのが全て他国に取られるわけですから。実はこんなおかしなことが防衛の技術開発、研究分野では起こっているんだよというのは、意外と一般の国民は知らないと思うんです。  お金は確かに掛かります。しかしながら、それを掛けることによって我々の技術というのを流出させない、それはコストでは測れない重要性だと思うんですよね。そういう説明というのをきっちりしながらそこの予算を付けていく努力というのは、私は、防衛に足を踏み入れたといいますか防衛を支える政治家の使命であると思っておりますので、大臣におきましては、引き続き、なかなか日の当たらないそういう分野予算の重要性というのにも声を上げて発信をしていただきたいと思います。  最後に、残された時間で人的な面についての質問をさせていただきます。  これは、先ほど佐藤先生の方から人的な、再就職等々であったりの質問ありましたので、できるだけ重複を避けるような形でやっていきたいと思いますので、ちょっと一問目の質問を飛ばして二問目の方から入らせていただきます。  御存じのとおり、自衛隊というのは定年六十歳ではありません。階級に応じて定年する年齢というのが決まっていきますので、階級の低い下士官で終わられた方々だと五十二歳、五十三歳、高級幹部になれば六十定年までありますけれども、そういうような状態です。六十五歳からの年金まではもう一働き、あるいは人によっては二回ぐらい会社を変わってもう二働きぐらいしないと、ある意味ローンも返せない、子供たちをまだ独立していない方々は独立させられないというような状況にあるわけなんです。  今回、中期防衛力計画で初めて、この自衛隊の再就職に関して国の責務であるということを書き込んでいただいたことに関しては、現場は、非常に喜んでいるのをもう通り越して心強く思っています。我々が国のためにいざとなったら命を懸けるんだ、でも、国はちゃんとそういうのを理解して面倒見ようという意思を示してくれた。現場から、非常にいい声といいますか、頑張りますという士気高い声が上がってきているのを、週末に各部隊等を回りますと強く感じることができます。  しかしながら、文言だけで終わってもらったら困るわけですね。今までは防衛省独自として一生懸命この再就職支援というのをしてきたんですけれども、今回、国の責務であるということを書き込むことによって一体どう変わっていくんでしょうかというような素朴な疑問というのもまた現場から上がっております。  そこで、大臣、これ今後、国の責務とすることによって具体的にどういうような推進を国としてやっていくおつもりなのか、そこを大臣の言葉で御答弁いただきたいと思います。
  42. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 基本的なスタンスについてのお話をさせていただきますと、私ども、やはり自衛隊の精強性を保つためには、現在の若年制の退職ということが、これはどうしても若年退職者が出てくるということは必要なことだと思っております。そして、この再就職をしっかり考えるということが、逆に言えば自衛隊の精強性を保つ一つの大きな役割にもなるんだと思っています。  これは佐藤正久委員からも御指摘がございましたが、やはり社会で活躍できるそういう技能能力を持った、しかもまだまだ働ける隊員がたくさんいるということでありますので、これは、防衛省だけではなくて政府の中で、必要となる様々な役所にこちらからむしろ積極的に協議を持ちかけて、そして様々な分野で活躍できるようにこれは応援することが重要だと思っております。  逆に、自衛隊に対してこういう人材が欲しいという要請があることもございます。先ほど御指摘がありましたが、例えば建設分野におきましては、これは是非、今の建設業界の中の人員の不足、能力者の不足の中で要望する内容でもございますし、あるいは先般宇都議員から御指摘がありましたが、パイロット、この割愛制度の復活ということを指示させていただきましたが、これで民間航空機で例えばパイロットの活躍が多くできる。あるいは防災監という形で各地方自治体が、今、防災担当のこれはノウハウを持っている隊員を是非その責任者として各地方自治体で受け入れたい、こういう御要望もあります。  こういうことに一つ一つ適応できる人材を、逆に言えば再度研修をする中で、私どもとして社会に還元できるようなそういう役割も必要だと思っております。
  43. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 先ほど佐藤先生の方からは、例えば大型トラックのような、中型ではないようなそういうところ、建設業界もニーズがあるんだからそういうところに積極的にというお話ありましたけれども、私はまた別の視点から言わせていただけると、自衛官というのは安心、安全のプロフェッショナルなんですね。だから、まさに大臣が今言われたような地方公共団体で危機管理をするようなポスト、あるいは会社でもそうです、危機管理をするようなポストというのは積極的なセールスをやっぱりやっていって、逆に言うと、地方公共団体なんというのは必ず災害が起こったら自衛隊協力していかなきゃいけないわけですから、まだ採用していないようなところで、かつ災害が頻繁に起こっているところ、あるいは起こることが指摘されているような地方自治体には、ある意味ちょっと強く、何かあったときに防衛省としても協力しなきゃいけないんだからということでやっぱり推進をしていっていただきたいと思います。  今、地方公共団体で、把握している形で、危機管理監のような形で再就職をしているところ、あるいはしていないところがどれぐらいあるか、ちょっと実際的な数値を教えてもらえませんか。
  44. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 地方公共団体の防災関係部局でございますけれども、平成二十五年十二月末現在で、四十六都道府県に七十九名、百八十一市区町村に二百十七名、合計二百九十六名の退職自衛官が危機管理監あるいは防災監として在職しているというふうに承知しております。  私ども防衛省におきましては、こういった地方公共団体の防災関係部局への再就職を推進するため、防災あるいは危機管理能力を一層向上させ、部外においてもその能力を十分発揮できますよう、退職予定の幹部自衛官の皆さんに対しまして防災・危機管理教育を実施するとともに、防衛大臣名で都道府県知事に退職自衛官の再就職の支援について御依頼するなど、地方公共団体への働きかけを強めているところであります。
  45. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 今、二百九十六名がこれまで実績値として再就職しているというお話だったんですけど、もう一つ本当はお聞きしたかったのは、実際に採用していない市町村がまだまだどれぐらいあるかという数値をお伺いしたかったんですが、時間もありますから。多いですよね、まだまだ採用していない市町村も多いと思います。県はほとんど、四十七都道府県、たしか四十七全部入っているんですかね。ほぼですかね。市町村に関しては、まあこれは市町村の財政的な面もあるんでしょう。なかなか新たなそういう危機管理監みたいなものを設けて、財政負担を強いられるというのに及び腰な市町村もありますでしょうが、やっぱり末端の市町村のところにそういう安全保障、危機管理のプロがいるというのは非常に重要なことですので、強く推進をしていきながら、何かしら、例えば積極的に受け入れてくれているところについては防衛省としても表彰するなり、何かのインセンティブを与えるような施策を講じていただきたいと思います。  時間も参りましたので、最後に一点だけ。防衛大臣から航空自衛隊の割愛制度、予備自衛官に関わるところの答弁をいただきましたので、そこだけ質問させていただきますが。  今後、民主党政権下で若干凍結をしていた現職の自衛隊のパイロットを、できるだけ若年の状態で民間のパイロットに割愛をする、流すという制度をまた復活させるというのを今回三月で方針を示されました。と同時に、このパイロットたちはいざとなったら航空戦力としての予備自衛官になっていただくという方針もあるんだというふうに伺っていますけれども、となるとすれば、必ず航空自衛隊運用、まあ戦闘機に乗るなんということは考えられないでしょうけれども、後方で輸送等を手伝ってもらう可能性があるわけなんです。そこの訓練をじゃ一体どうやって担保していくんだというところを今後検討していかなければならないんですが、現状検討状況等々に関して御答弁ください。
  46. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 自衛隊パイロットの民間航空会社等への再就職について、いわゆる割愛ですが、これは、宇都委員から御指摘がございましたが、本年三月十四日に再開を合意いたしました。育成に多額の費用と長期間を要するパイロットについて、割愛制度により退職する際には予備自衛官として任用し、その能力、知見を幅広く活用することは、人的資源の効果的な利用の点からも有意義だと思っております。  今お話がありましたが、第一線部隊の補充要員として用いられる教育部隊等の司令部要員としての活用可能性について検討する中で、今後、どのような予備自衛官としての訓練をするかということは鋭意検討していきたいと思っています。
  47. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 少子高齢化の中で、これから予備戦力の活用というのは非常に重要な議題になると思っています。また、改めてこれは深く掘り下げて議論させていただきたいと思います。  質問を終わります。
  48. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。  今日は、私、持ち時間が少ないのでもう早速行かせていただきます。  国家安全保障戦略、いわゆるNSS、新防衛大綱についての議論でございますが、この新大綱、NSSは、御案内のように国家安全保障会議によって策定をされて、NSCの司令塔機能の下、政治の強力なリーダーシップによって、政府全体としての国家安全保障施策実施をするというふうになっております。これは、日本の安全保障戦略上は画期的なことだというふうに思っております。  しかしながら、残念ながら、安全保障について議論するこの外交防衛委員会に所管の官房長官が御出席をいただけません。今日は、お忙しい中、官房副長官にお越しをいただきましたが、過去の例で、防衛大綱等についての審議では官房長官は出ないという議論がありましたが、それは全く違います。なぜなら、NSCを鳴り物入りでつくり、NSCで策定をしたものが、その所管の官房長官が出てこられないというのは、私は甚だ筋が通らないというふうに思っております。これは政府もしっかり検討いただかなければいけないと思いますし、今日は副長官で私は了解をしましたし、野党の先生方にも了としていただきましたが、与党・政府、そして委員長におかれましても、この問題については、これから先、日本の安全保障上の問題が生じたときに大変大きな課題になってくると思いますし、問題になってくると思いますので、そのことについて、まず官房長官に御出席いただけるように御努力、今後いただけるかどうか、副長官、お答えいただけますか。
  49. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 基本的には、委員長、理事会で御協議をいただいて決めていただくことだというふうには思っております。
  50. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、だから、都合のいいときには鳴り物入りで、都合が悪くなったら委員長、与党で、政府で、国会でと言うんだったら、逆に言うと、委員長並びに自民党の国対の皆様にも、このことについては、どちらが例えば与野党替わったって同じです、日本の安全保障について議論するのは。ルールとして、そこはしっかり議論させてもらわないといけない。  なぜなら、NSCができて、例えば、今の破壊措置命令も出ているのか出ていないのかよく分からない。NSCは開かれている形跡はない。また、北朝鮮のミサイル発射について、すぐに発表したと思えば十七時間後に発表したこともある。いろんな課題が実はNSCを中心に出てきているわけです。ウクライナ情勢もしかりです。そのときにどんな議論をしているのか、今の状況では議事録も出てこない。そして、官房長官もこの外交防衛委員会に出てきていただけないということになると、本当に全てがブラックボックスに入ってしまうと。もちろん、防衛大臣外務大臣は懸命に御答弁いただいていると思いますが、しかし、そこは責任のある官房長官として御出席をいただけるように、これはもう政府・与党に強く要請をして、次の質問に行きたいというふうに思います。  そんな状況の中で、アメリカのQDRが発表されました。そして今、年末に向けて、御案内のように、ガイドラインが策定をされています。もう見直しについて事務方では協議が始まっています。外務大臣防衛大臣は真摯に御答弁いただいて、この委員会で何度も、現行の法体系、法解釈の中で検討を行っていると明確に御答弁をいただいています。  しかし、今回、集団的自衛権の一部限定容認論や法律を個別に出すやの話があちこちで飛び交っております。具体的にこのような議論が出ている中で、なぜNSSと新防衛大綱を去年の十二月の時点で策定したんでしょうか。ガイドラインの策定が今年の年末だということは分かっていたはずです。そして、この集団的自衛権の問題の決着も仕掛品のままでこのプロセスがいくということは、僕は、非常に自衛隊部隊運用としては問題だと思います。ガイドラインは、まさに日米の協力体制を確立し運用していくものです。現場部隊としては、こういう、ある意味でいうと集団的自衛権の行使容認か容認ではないかという議論が飛び交っている中で、一体どのことを起点に日米のガイドラインの見直しをするのか等々について混乱をするし、現場としても非常に私は混乱を来すことを懸念をしております。  このことについて、何で、じゃ、この一連の議論が決着した後に防衛大綱やNSSを作らなかったのか、そして、今のこのガイドライン策定見直しの中でこういった状況になっていることについてどういう認識なのか、副長官並びに防衛大臣にお答えいただきたいと思います。
  51. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 御指摘の点でございますけれども、なぜ国家安全保障戦略を定めるときに集団的自衛権の議論、日米ガイドラインの議論を待たなかったのかという点だと思いますけれども、現在、日本を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増しております。大量破壊兵器とか弾道ミサイルの脅威、非常に深刻度を増しています。あるいはサイバー攻撃のような新しい脅威も増大をしてきています。  そういう中で、日本一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできない、国際社会協力をして地域や世界の平和を確保していくことが非常に不可欠であるということ、そして、そのような認識の下、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、国家安全保障のための方策に取り組んでいくための国家安全保障に関する基本的方針をしっかり示した上で、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、今後の我が国の防衛の在り方に関する新たな指針を示すとともに、特に我が国が保有すべき防衛力の水準の達成に早急に着手すること、これが急務であるというふうに考えて、去年の十二月に国家安全保障戦略、そして防衛大綱中期防を策定をさせていただいたところであります。  一方で、集団的自衛権と憲法の関係については、これは有識者の会議でしっかり議論をしていただきたい。我々は、いろいろ今情報が飛び交っているという御指摘がありましたけれども、あくまでも、政府としては今その答えを、報告書が出てくるのを待っているという状況であります。
  52. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、今副長官がおっしゃられたサイバーの話も弾道ミサイルの話も周辺環境の悪化の話も、いわゆる尖閣の問題も含めて、我々の防衛大綱にも、二二大綱にもしっかりと言及をされています。より悪化をしたというのなら、自民党政権でより悪化をさせたということでしょうか。よっぽど悪化をしたということでしょうか。  つまり、私は、防衛大綱についてこの間の参考人質疑でも一様に評価をいただいたと思います。それは評価をされて当然なんです。現下の状況について、我々の二二大綱に多少文言を変えただけのものですから、そこを、何かを言えば二言目には今の安全保障環境は厳しい、厳しいと言ってオオカミ少年のように危機をあおり、そして、このことの議論を進めることに対する非常に定性的な議論が多いことについて私は非常に懸念をしております。なぜこの時期に作ったかについてもはっきり分かりませんし、じゃ、ガイドラインの見直しについてどのような影響があるかについても、今、副長官の答弁では全くない。  この防衛大綱とNSSは現行法体系の下に作られているということで、副長官、よろしいですね。
  53. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) そういうことだと思います。
  54. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、私は、事の是非はともかくとして、この集団的自衛権の限定容認とかなんとかという議論が一定の決着を見た状況のところでは、またNSSや新防衛大綱、ガイドラインをもう一回作り直す作業をするおつもりなんですか。
  55. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) まだ懇談会から報告書が出てきていない段階でありまして、その報告書がどういう内容か分からない前提では、私としては、これが国家安全保障戦略やガイドラインにどういう影響を与えるかということはちょっとお答えをすることはできません。いずれにしても、懇談会の議論を待ちたいというふうに思っております。
  56. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 防衛大臣現場部隊を預かる大臣として、この状況でアメリカともガイドラインの見直しを交渉している、一方では別の議論が、自衛隊のオペレーション、運用上のオペレーションで変わるかもしれない議論がされている。これ、現場としては非常に混乱をすると思いますが、防衛大臣はどのようにお考えですか。
  57. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛省としましては、憲法の範囲の中で、我が国の法体系の中で許される範囲で我が国の防衛をしっかり守るための様々な施策に取り組んでおります。  今後とも、私どもとしては、政府全体の考え方の中で防衛力整備に努力していきたいと思っています。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、非常に微妙な表現をしました。憲法の中でと言っているということは、防衛大臣現状の憲法解釈、法体系の中でということですね。その後、微妙に、政府全体の中でと言って、実は、今、ダブルスタンダードの答えをされた。  今の法体系、解釈の中でガイドラインの交渉も含めてやっているという今までの答弁と同じということでよろしいですね。
  59. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今までと方針は変わっておりません。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 安保法制懇の議論を待つというのは、私、何度聞いたかよく分からないんですけど、これ、総理にも聞きましたが、はっきり分からないのでもう一度聞きます。  安保法制懇が直近で開かれたのは、副長官、いつですか。
  61. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) いわゆる安保法制懇が懇談会として集まって開かれたのは、直近では、今年の二月四日に第六回の会合として開催をされているというふうに認識しております。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 この間も申し上げましたが、もう二か月近くもやっていないんですよ。安保法制懇の議論を待って、議論を待ってと言うけど、一体どこで何やっているんですか。全く見えないですよ。これ、国民の生命と財産に関わる大変重要な課題なんです。そして、政府は二言目には安保法制懇の議論を待ってと言っているのに、安保法制懇は二か月やられていないんです。全く不透明。  そして、総理がこの間突然テレビに出られて、議論を待つと言いながら、必要最小限の中に含まれる集団的自衛権もあるのではないかと、これは安保法制懇の中でも主流的な議論になりつつあるって、どこで議論になりつつあるんですか。一体どこでやっているんですか。これは総理はどこで確認したんですか。副長官、お答えください。
  63. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 恐らく、総理は懇談会に毎回、過去六回出席をされておりますので、その中の議論を聞いておられて総理なりに認識をされたんだというふうに思っております。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 副長官状況によっては、私、委員会止めますよ、今日は。  私は、安保法制懇の議事要旨見ました。二回しか砂川判決について出てきていません。それもポジかネガか分からない答弁です、答弁というか意見です。それも飛び飛びです。砂川判決について集中的に議論された様子は全く見受けられない。そして、二か月、安保法制懇は全く懇談会開かれていない。どこに議論が主流になるんですか。  なおかつ、高村副総裁がこの話を持ち出されましたけれども、安保法制懇とは別のところの議論です、それは。安保法制懇の議論を待ってと言っているのに、安保法制懇開かれていないのに、主流になっているかどうかなんか誰も外から見えない、国民から見えないのに、それで総理が突然テレビに出て、主流になっている。まして安保法制懇で報告書も出ていないのに、こういった発言をそれもテレビでされる。私は大変問題だと思いますが、副長官、どう思われますか。
  65. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 主流的な議論になりつつあるというのは、総理自身がそう感じられたんだろうと思います。  二月六日に安保法制懇が開かれて以来開かれていない、第六回目が開かれて以来開かれていないというのは事実であります。ただ、総理は、そのテレビの中でも、最後の、主流的な議論になりつつあると思っていますということを言った上で、その後、いずれにせよ、この安保法制懇の結論が出た段階において政府としては法制局を中心に議論を進めていますし、与党、自民党、公明党ともよく相談をしながら、最終的に解釈の変更が必要となれば、与党との協議を経て閣議決定によって変更するということになると考えていますと。あくまでも留保条件を付けておりますから、あくまでも総理自身が、福山委員はその議事録を読まれてそんな結論が主流とは思わないと思われているかもしれませんが、総理は何らかの形で主流だというふうに感じたんだろうと思います。  ただし、それは結論ではなくて、総理は感じただけのことをテレビでおっしゃって、あくまでも法制懇の結論がしっかり出てから政府としての方向性を示していくということを明確におっしゃっているというふうに思っております。
  66. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、だから、法制懇、議論されていないじゃないですか。やっていないんだよ。やっていないのに議論もくそもないでしょう、報告書もくそも。どこから出てくるんですか。どこから出てくるんですか、誰が作るんですか、それじゃ。それで、国民に全く見えないところで法制懇の報告書だけがぽっと出てくるんですか。  それから、総理が二月四日までの議論を聞いてと言うんだったら、私、今日、事実関係確認しますが、本当にこの砂川判決の議論が出たときに総理が出席していたかどうか確認しますよ。途中退室もしているはずですから。  つまり、理屈合わないんですよ。それで、そこまで主流になりつつあると言うんだったら、議事録公開しないと国民に対して筋が通らない。今みたいな議事要旨では筋が通らない。どこで今何をやって、どういう形で報告書を策定しているのか、じゃ、言ってみてください。
  67. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 二月四日、第六回の会合以降は、現在は懇談会の委員の間でそれぞれ詰めの議論を行っていただいているところだと思います。それで、その進捗状況を踏まえて、しかるべきタイミングで次回の懇談会が開かれるというふうに認識をしております。
  68. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 詰めの議論って何ですか。詰めの議論って何ですか。詰めの議論というのは、どういう場でいつ誰がどのようにやっているのかはっきりしないと、これ、審議できないですよ。おかしいよ。懇談会の報告書を待っていると言っているのに、懇談会、まともに表ではやられていない。どこかでやっているということは、裏でやっているということじゃないか。いつやったかはっきりできますか、それじゃ。
  69. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 当然、これは別にこの懇談会だけじゃなくて、例えばいろんな審議会とかで物をまとめるときというのは、委員の間でいろんなすり合わせとかそういうことが行われるというのは、これは普通だと思います。今回は非常に重大な案件でもありますから、委員の間でいろんな意見の調整が行われているんだろうと思います。それを何も黙って出すわけではなくて、それがある程度詰まった段階でもう一回懇談会が開催をされるというふうに私は認識をしております。
  70. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、それは良くないと思いますよ。ちゃんとその議論のプロセス見せないと、国民に、重要な問題なんだから。委員の中で調整していると、委員の中で調整しているプロセスが重要なんでしょう。どういう意見が出て、誰がどんな発言をして、その中で説得できるかどうかが重要なんじゃないんですか。  今、副長官が詰めの議論をしていると言ったのは大問題ですよ。全部アンダーグラウンドでやっているということですよ。国民に見せていないということですよ。詰めの議論のプロセスを見せないと透明性、全然確保できないじゃないですか。国会にその詰めの議論を出してもらわないと、国会でも議論できないじゃないですか。二言目には安保法制懇の報告書を待っている待っているでは、それではできないでしょう。どうですか、副長官
  71. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) そこは福山委員と私、ちょっと見解が違ってくるんですけれども、こういうものをまとめるときというのは、平場でもちろんちゃんと議論することも重要ですけれども、文言のすり合わせとか、そういうことを恐らく報告書へ向けてやっておられるんだと思います。そういう作業は私はあってしかるべきだと思います。  しかし、それを何も黙ってぽんと出すわけではなくて、もう一度ちゃんと懇談会へ出して、きちっとした結論として国民の皆さんに公開をされるわけでありますから、その上でその報告書について議論をしていただければいいというふうに思っておりますので、私は、ここはちょっと見解が異なるかも分かりませんけれども、何も全て、どの委員とどの委員が電話で話したとか、いろいろあると思うんですね、そういうことまで公表という話には当たらないというふうに思っております。
  72. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、電話で話した内容まで出せとは言っていません。詰めの詳細な議論をしている中で当然積み上がっている議論があるから、それはちゃんと、懇談会開くなら開くで、途中の状況をちゃんと示さなきゃいけないでしょう。五十日も一度も懇談会をやらないというのはおかしいでしょう、それは、どう見たって。  それで、詰めのことを知っているから主流になりつつあると言っているわけでしょう。あなた、さっき二月の四日の議論でと言ったんだからね。あなたは、二月の四日の議論で総理は主流になりつつあると……(発言する者あり)いや、言ったんだからね、議事録で。あなたはそう言ったんだから。そうしたら、その後、詰めの議論を委員間同士でしています、議員同士でしていますと。ここの整合性はちゃんと取らなきゃいけないと私は思いますよ。  問題は、砂川判決です。私は、今日いらっしゃいますけれども、山口公明党代表が言われた、日米安保体制や自衛隊が合憲、違憲とかいう論争の中で下された判決であり、集団的自衛権を視野に入れた判決だと思っていないという判断を、私もそのとおりだというふうに思います。  砂川判決は一九五七年に出ています。よく言われていますが、法制局の集団的自衛権の行使に対する見解はその後に出ております。小松長官は、安保法制懇の議論が出るまでは、先ほどの議論のとおり、今の日本の法解釈そして法体系の中で、安倍政権は変わらないと言われています。  現状のこの砂川判決についての法制局の見解についてお述べください。
  73. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 政府が繰り返し明らかにしてきております従来の憲法第九条の解釈のポイントでございますが、これは、煎じ詰めれば、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合を例外として、憲法第九条は武力の禁止を禁止しているというものでございます。このポイントに照らせば、集団的自衛権を行使することは、この三要件のうちの第一要件、すなわち我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃があることを満たしておらず、憲法第九条上、許容されないということでございます。  ところで、砂川事件でございますが、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われた事案でございまして、この最高裁判決の結論を一言で申し上げれば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲無効であるとは言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。  なお、この判決の中に、我が国が主権国として持つ固有の自衛権と憲法第九条との関係について、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されておりますが、これは、冒頭私が申し上げました、従来からの政府の見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えてございます。
  74. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 全くそのとおりです。  実は、集団的自衛権の行使で、私、全部、法制局長官の砂川判決との関係の議事録を確認しました。何か所かありました。  まさに集団的自衛権の行使の問題で、大森当時の法制局長官が言われたのは、池田外務大臣が集団的自衛権の行使ができるのではないかという質問に対して、集団的自衛権の行使は認められないという憲法解釈を変えろという、変えてもいいのではないかというふうな議論に展開するのでございましたら、そこのところは私どもはそういった憲法解釈を変える意図はない、そういった集団的自衛権の行使は認められないという解釈の下で、そしてその現行憲法の枠内でガイドラインの見直し等の作業も行っておると、そういうことでございます。これ、当時の池田外務大臣です。これはまさに九七年のガイドラインの策定の議論の中で起こったことです。その直後の同じ委員会の同じ流れの答弁で、大森法制局長官が、憲法の解釈について、いわゆる政策上の必要性によって変更するということは困難ですということをはっきりと言われています。これは一つ、集団的自衛権とガイドラインと憲法の解釈を変更することに対する考え方です。  この同じ大森法制局長官が、九九年、砂川判決について議論をされています。これは有名な最高裁判所の砂川事件判決においても確認しているところでございます。これはいわゆる個別的自衛権の問題です。次です。確認しているところでございます。したがいまして、我が国に対して武力攻撃があったという場合におきまして、平和と独立を維持回復するために、すなわち換言しますと、我が国を防衛するために必要最小限の実力を行使する、またそのための裏付けとなる自衛のための必要最小限の実力を保持するということは、もとより憲法の否定するところではない、このように解しているところでございますと言っています。つまり、まさに個別的自衛権の問題について砂川判決を引き合いに出して大森法制局長官は当時答弁をされています。  この大森法制局長官が、先ほど申し上げたように、ガイドラインの見直しと集団的自衛権の行使の質問に対して、憲法の解釈変更はできないということをはっきり答弁をされています。  小松長官、このことについて否定はされないし、現状の法制局の立場はこの立場で間違いないというふうにお答えいただけますか。
  75. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これは度々御答弁申し上げておりますけれども、現時点における安倍内閣の憲法九条に対する解釈は従来どおりということでございます。
  76. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それなら、あなたが何回もこの委員会で答弁をされた、設置法に基づいて、法律問題に関し、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べることとあります。今の砂川判決を集団的自衛権の行使を認めるに足るというような議論が出ていることに対して、あなたは、設置法に基づいて、これまで内閣法制局としてはこういう答弁をしていましたと、これ、総理大臣に設置法に基づいて助言をするべきではありませんか。
  77. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) お答え申し上げましたとおり、砂川事件は、旧安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われた事案でございますが、その最高裁判決が我が国が主権国として持つ固有の自衛権と憲法第九条との関係について考え方をお示しになっていると、先ほどちょっと読み上げたところでございますが、この考え方は従来からの政府の基本的な考え方と軌を一にするものでございます。  安保法制懇から報告書が出されまして、私どもがその意見を述べろという局面が来るといたしましたら、こういうことを十分に踏まえて意見を、恥ずかしくない意見を申し上げるという必要があると思っております。
  78. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 具体的に、小松長官、砂川判決については、あなたも今はこの大森法制局長官の答弁と同じ立場だということをここで言明いただけますか。
  79. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 御質問の趣旨が必ずしも私理解できたかどうか分からないわけでございますが、この砂川事件の最高裁判決は何を言っているのかということはもう繰り返し御答弁をしているところでございまして、その上で、いろいろな報道の中で、これが集団的自衛権の行使を認めたものであるのかどうかという議論が行われているということは承知しております。  この砂川事件の判決については、今もう既に申し上げたとおりでございまして、これ以上でもなければこれ以上でもございませんので、内閣法制局としてこの判決をそれ以上に解釈をして何かを述べるという立場にはございません。
  80. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 解釈しろなんて一言も言っていない。小松長官として、今の内閣法制局の立場として、この大森法制局長官の立場でよろしいということを小松長官として言ってくださいと申し上げているんです。
  81. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 既に申し上げましたとおり、砂川事件は、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われた事案であり、この最高裁判決の結論を一言で言えば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲無効であるとは言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。  なお、この判決の中に、我が国が主権国として持つ固有の自衛権と憲法第九条との関係について、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されてございます。これは、何度も申し上げました従来からの政府の憲法九条の解釈に関する見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものでございます。
  82. 末松信介

    委員長末松信介君) 福山哲郎君、確認の意味でもう一度質問してください。
  83. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 基盤であるというのは非常に微妙な表現です。基盤であるではありません。私が聞いているのは、大森法制局長官の言ったこの答弁のとおりで、今の小松内閣法制局長官は従来の解釈、法体系だと言っておられるんだから、これであなたは法制局長官として大森法制局長官の答弁のままでよろしいかどうかを言明してくださいと申し上げているんです。
  84. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 現時点において、内閣の憲法九条に関する考え方、解釈は従来どおりと申し上げているわけでございますから、大森長官の答弁もその一環でございますので、これは内閣見解であるというふうに解釈をしております。
  85. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 内閣法制局の見解ということは、小松長官見解ということでいいんですね。
  86. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 現時点について言えばそのとおりでございます。
  87. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、安倍首相がテレビで言われた、砂川事件について集団的自衛権を否定していないのははっきりしているという安倍総理が言われたテレビでの発言は、今の法制局とは異なるということでよろしいですね。法制局の見解とは異なるということでよろしいですね。
  88. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 私の立場から、内閣総理大臣の発言の一々について、その内容をそんたくして、どういうお考えに基づいて御発言になったかということをそんたくして私の感想ないしその意見を述べるという立場にはございません。
  89. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 違うんですよ。そんたくしろと言っていない。この発言は法制局の立場と違うということは認めていただけますねと。なぜなら、あなたは内閣内閣総理大臣に助言するんです、設置法に基づいて。そのことについて明らかにしてくださいと申し上げて、そんたくしろとは一言も言っていない。
  90. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 砂川事件最高裁判決については、既に繰り返し述べたとおりでございます。これが集団的自衛権の行使を認めるものか否かを含め、内閣法制局として同判決を解釈して何かを述べるという立場にございません。
  91. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 違う、違う。あなた今何と言った、違うこと言ったんじゃない。もう一回言って、今の答弁。  もう一回今の答弁をそのまんま読んでね。さっきの答弁と違うよ。
  92. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 砂川事件判決については、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性があらわれた事案でございまして、この最高裁判決の結論を一言で言えば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲無効であるとは言えない以上、刑事特別法……(発言する者あり)
  93. 末松信介

    委員長末松信介君) 小松長官
  94. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) も違憲ではないというものであります。
  95. 末松信介

    委員長末松信介君) 小松長官、先ほど答弁された内容を正確にもう一度伝えてください。
  96. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 砂川事件最高裁判決については既に述べたとおりでございまして、これが集団的自衛権の行使を認めるものか否かを含め、内閣法制局として同判決を解釈して何かを述べるという立場にございません。
  97. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 違う、違う。あなた、さっき大森長官のことは政府解釈として一緒だと言ったじゃないか。言ったじゃないか。大森長官は集団的自衛権の問題については砂川判決というのは認めていないんだ。あなた、今、これ答弁異なっているよ。今の聞き捨てならないよ、今のは。ちょっと、ちょっと、これ止めてください。
  98. 末松信介

    委員長末松信介君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  99. 末松信介

    委員長末松信介君) 速記を起こしてください。  前の前の答弁をもう一度お話ししていただけますか。小松内閣法制局長官
  100. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 大変恐縮でございますが、大森長官の答弁につきましては、御通告もございませんので、その内容についてあらかじめ私は見る機会がなかったわけでございます。  ただ、繰り返し申し上げておりますように、総理を含めまして、これは閣議決定をした答弁書によりまして、現時点における安倍内閣のこの憲法九条に関する解釈は従来どおりであると、こう述べておられるわけです。  ただ、その上で、法制懇の報告書を踏まえて改めて検討するという部分が付け加わっておりまして、これが内閣の立場でございまして、私は、この大森元長官の答弁について、具体的な文言をあらかじめ御通告ございませんでしたので拝見しておりませんけれども、従来の答弁でございますから、これは従来の内閣の憲法九条に関する答弁は従来どおりであると。  例えば、ほかの委員会でも問題になりましたけれども……(発言する者あり)
  101. 末松信介

    委員長末松信介君) 御静粛に。
  102. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) ほかの委員会でも御質問を受けましたけれども、角田内閣法制局長官が、ある時点で集団的自衛権の行使を認めようとすればこれは憲法を改正しなければならないと、こういう御答弁をなさっているということがございます。それはどうかという御質問も受けているわけでございます。  それに対して私がお答えしているのは、憲法解釈は従来どおりと申し上げているわけでございますから、現時点では従来どおりでございますと、こう申し上げているわけでございまして、ただし、内閣総理大臣が安保法制懇の結論を踏まえて改めて検討すると申し上げているわけでございますので、その検討の結果がどうなるかということについて……
  103. 末松信介

    委員長末松信介君) 答弁、もうちょっと簡潔にお願いいたします。
  104. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 現在予断することはできないわけでございます。(発言する者あり)
  105. 末松信介

    委員長末松信介君) 座席に着いてください。(発言する者あり)着席してください。  質問者が答弁について納得せねばいかぬということが一つの運営上のルールであると私は理解しています。したがって、福山哲郎委員の質問、今の答弁で御理解できますか。
  106. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、できないです。だって、最初の答弁と次の答弁違うんです。
  107. 末松信介

    委員長末松信介君) 再度簡潔に御答弁を。  じゃ、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  108. 末松信介

    委員長末松信介君) それでは、速記を起こしてください。  福山委員が質問をされました。同じ質問を二度されたと思います。答弁、正確に伝えた答弁もう一度伝えてくださいということを申し上げたんですけれども、食い違っているという御指摘がございます。  したがいまして、議事録を精査をさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。──いいですか。(発言する者あり)ちょっと黙ってください。いいですか。  それでは、質問を続けられますか。
  109. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 委員長は公平に議事運営を進めていただいているので、僕は委員長の御努力を多として、ちょっと質問を続けにくいんですけれども、もう一回。  実は、事前通告の話はおかしいです。あなたは何度も、頭の体操で過去の答弁について今勉強しているとおっしゃっているんだから。それと、大森長官というのはまさに今回の集団的自衛権の議論の中では中心的に答弁をされている方です。ましてや、僕は先ほどわざわざ大森長官の議論を紹介をしてあなたに確認をしました。それも砂川判決との関わりについても紹介をして質問をしました。それについて、あなたは何も変わらないと、そのとおりで結構ですと言ったにもかかわらず、その次の答弁では、砂川判決が集団的自衛権についての、何と言われたか分かりませんが、否定をしているかしていないかについて判断できるような状況ではないという類いの発言をされました。  これ、実は全く違う発言なので、しっかりその発言はどうなんですかということを私は確認をさせていただいていたら、何か、また相変わらず長い、関係ない答弁をされたというのが経緯でございます。  本来なら質問をこれ以上続けられないんですけれども、実は、これ肝です。  外務大臣防衛大臣、さっきの池田外務大臣の発言は、まさに集団的自衛権の……(発言する者あり)
  110. 末松信介

    委員長末松信介君) 静粛に。
  111. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 解釈を変更できるかどうかという質疑に対して、それで解釈を変えろ、変えてもいいのではないかというふうな議論を展開するのでございましたら、そこのところは私どもはそういった憲法解釈を変える意図はないと、これはまさに九七年のガイドラインの流れで池田外務大臣が言われて、その次に、実は大森法制局長官が解釈は変えられないと答弁されています。  その大森法制局長官が、九九年にわざわざ砂川判決を持ち出して、個別的自衛権だという議論を展開をされているんです。これ、非常に重要なんです。池田大臣は、御案内のように宏池会の大臣でいらっしゃいます。今日は、防衛大臣外務大臣も宏池会の御出身。  そして、今月号の「世界」においては、村上誠一郎、今の現職の自民党の議員が、安倍さんがやろうとしていることは三権分立や立憲主義の基本を無視し、それを壊す危険性を持っている、だから反対せざるを得ない、これは右とか左とかではなく民主主義や法律を真っ当に学んだ人間であれば誰でも分かるはずですと言われています。  非常に重たいです。そして、なおかつ、安保法制懇は六十日やられていません。やられていないのに、今副長官は、何か内々で議論しているみたいなことを認められました。そして、総理は総理で突然テレビに出て、何らか主流になっているって、どこに主流になっているんだと。そんなアンダーグラウンドで、密室で誰かが電話でやり取りして、主流なんですか。国民に理解を求めるんじゃないんですか。そして、そのことを確認したら、小松法制局長官は答弁を変えられた。  私は、これ、議事録精査してしっかりと議論を重ねたいと思っておりますが、残念ながら時間がありません。  外務大臣防衛大臣、今の議論を聞いてどのようにお考えなのか、村上議員の御発言も含めてお答えいただけますか。
  112. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、九七年、九九年の池田外務大臣、そして大森法制局長官の発言については、政府の方針を述べられたものと理解いたします。  そして、村上誠一郎議員のこうした発言等について御質問をいただきましたが、現在、集団的自衛権とこの憲法の問題を始め、我が国の安全保障に関わる様々な議論が行われております。そしてその中で、与野党問わず様々な立場からそれぞれの見識に基づいて様々な発言が行われています。こうした一つ一つの発言につきましては、我々は尊重しなければならないと思っています。こうした自由な議論が積み重なっていくことによって、丁寧な議論の進め方をこれからも心掛けていかなければならないと考えています。  政府としましては、今後、先ほど来再三申し上げておりますように、安保法制懇の議論を待ち、そして最終的な報告書が出された後、政府としましては、与党ともしっかり議論を重ね、そして政府の方針を確定することを想定しています。そして、政府の方針をしっかりと明らかにした上で、国会においてしっかりとした議論に臨まなければならないと考えています。こうした道筋の中でも、自由な発言はそれぞれ尊重されるものだと考えております。
  113. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 自衛隊という実力組織を担当します防衛大臣としましては、定められた中で日本の安全保障に全力を尽くしてまいる所存でございます。
  114. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 まさに外務大臣言われるように、自由で、しっかりと議論をするためにも、安保法制懇を開くなり議事録を公開する、ないと材料がないんです。材料がない中で突然主流になりつつあると総理に発言されても、何が主流なんだという話です。それも、砂川判決のように、基本的にこの数十年間、日本の政府として、ほとんどが自民党政権です。自民党政権の中で積み上げてきた議論をひっくり返すような議論を突然持ち出されて主流だと言われても、それは納得できません。  そして、しっかりとその議論のバックグラウンドであるべき小松法制局長官がこのような状況の答弁を繰り返されることに対して私は非常に遺憾に思っておりますので、議事録を精査して、またこの議論については続けたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  115. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  今日は、少し時間短くなりましたが、お時間いただいておりますのでいろいろ質問をさせていただきます。まず、前回の積み残しの質問を若干させていただきます。  それは、普天間基地の辺野古移設案についてでございますが、いわゆる緊急時、有事の代替施設として、国連軍をこの辺野古沖、あるいは有事対応の九州の新田原あるいは福岡県の築城基地において活用できるのかについてお答えをいただきたいと思います。
  116. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 朝鮮国連軍につきましては、国連軍地位協定第五条に基づきまして、一つは、我が国における施設で合同会議を通じて合意されたもの、そしてもう一つは、在日米軍の施設・区域で合同会議を通じ我が国政府が同意するもの、こういったものを使用できるとされております。この規定のうちの一につきましては該当する施設がなく、二に該当するのが七か所ということで、その中に普天間飛行場が含まれております。  ですから、現在、この国連軍地位協定に基づいて普天間飛行場を使用することはできますが、その代替施設における扱いについては、今後、この規定の二に従って、国連軍地位協定、当事者間の協議で協議していく、こういったことになります。  そして、二〇〇六年のロードマップにおいて、普天間飛行場の移設に当たって、緊急時に新田原基地そして築城基地、これを緊急時の使用のために整備を行う、こういったことが合意されておりますが、新田原基地そして築城基地につきましては、国連軍地位協定に基づいて、いわゆるこの規定のうちの最初の方の規定に基づいて、国連軍地位協定に基づいて設置された合同会議において合意をすれば使用することが可能である、こういった取扱いになると認識をしております。
  117. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ちょっと何かよく分かりませんが、米軍の場合と米軍以外のイギリス、カナダ等で違うと思うんですけれども、米軍以外の、つまり英連邦系の軍は兵たん基地としてのみ可能だと。そうすると、新しい辺野古では難しくて、かつ、米軍の場合にはいわゆる朝鮮半島有事にも出動が可能なわけですが、米軍以外はそれ難しいんじゃないかと思うんですが、その場合に、辺野古沖と九州の二つの場合に、実際の出動する目的等が変わってくると思うんですが、その点について説明をいただきたいと思います。
  118. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まさに、御指摘の点につきましても、この地位協定、国連軍地位協定の規定に基づいてこれ取扱いが決まるものだと考えております。ですから、普天間基地の代替施設についても、この国連軍地位協定第五条に基づいて決まることでありますし、御指摘の新田原基地、そして築城基地、これにつきましても国連軍地位協定第五条、先ほど御紹介させていただきました規定に基づいて取扱いが行われるものと認識をしております。
  119. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 米軍米軍以外の違いについて、これは既に規定されているわけですが、実態として、普天間から二つに分かれた場合に違いが出てくると思うんですが、それについて答えてくださいと言っているんです。
  120. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御紹介させていただきました地位協定の中には、米軍、そしてそれ以外の軍との違いは何も記載されていないと認識をしております。
  121. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 五条以外も含めて、米軍米軍以外の国連軍の地位協定について違いがあると思いますけれども、それも含めてお答えいただきたいと思います。
  122. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国連軍地位協定におきましては、国連軍という形で定義されております。その中において、米軍とそれ以外の国の軍との違いあるいは区別、こういったものは記載されていないと認識をしております。
  123. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間がないので、その後についてもう一度後で答弁をいただきたいと思いますが。  この辺野古沖の、今現在の建設が予定されている基地ですけれども、津波に対してどのような対策を講じているのか、それから大体何メートルぐらいの津波を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
  124. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 普天間飛行場代替施設建設事業については、平成二十五年三月二十二日、公有水面埋立法に基づく公有水面埋立申請願書を沖縄県知事に提出し、同年十二月二十七日、沖縄県知事から埋立承認を得たところであります。  代替施設の埋立地盤の高さは、埋立承認願書の提出時における沖縄県地域防災計画で示された事業実施区域周辺の津波水位より高く設定しております。具体的には、沖縄県地域防災計画平成二十四年三月修正版での事業実施区域周辺の津波水位の高さ、瀬嵩で三・二メートル、久志で二・二メートルに対し、代替施設の最低地盤高さを四・五メートル、滑走路中心線の高さを八・八メートルとしております。
  125. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 これから幾つか質問させていただきますけれども、私、三月の十九日に硫黄島、それから二十四日に広島、それから三十日からワシントンを訪問してまいりまして、これ全部日米関係に重要な地域でございまして、硫黄島とワシントンにおきましては、特に北米局の外務省の皆さんに大変お世話になりました。  その中で、次に広島について御質問したいと思いますが、明日から岸田大臣が参加をされる、NPDI広島外相会議出席をされると。私どももお役に立ちたいと思って二十四日に訪問してまいりましたけれども、明日からの会合の現在の準備状況と、何を期待されておられるか、まずお答えいただきたいと思います。
  126. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 我が国は唯一の戦争被爆国として、軍縮・不拡散、核兵器のない世界を目指す国際世論をしっかりとリードしていかなければならない道義的責任を負っていると考えております。  その中で、明日から開催されます第八回NPDI外相会議ですが、八回目にして初めて日本で、そして被爆地で開催することとなっております。来年予定されております五年に一遍のNPT運用検討会議に向けて是非しっかりとした政治的メッセージを発出したいと思っておりますが、今回初めて被爆地で開催されるNPDI外相会議ですので、是非、各国の外相、今八か国から閣僚級が出席することが想定されていますが、各国の閣僚には、しっかりと被爆の実相に触れていただいた上で、しっかりとした政治メッセージを発出していただきたいと考えております。  そして、この目指すものですが、もちろんこれは会議の中で決まるものではありますが、是非、こうした広島宣言と言えるようなしっかりとした政治メッセージの中に、核軍縮につきましても、従来の米ロのみならず、他の核保有国にもこうした核軍縮交渉を多角化させていく、あるいは透明化を図っていく、こうした具体的な提言も盛り込みたいと思っておりますし、不拡散の議論におきましても、北朝鮮の問題あるいはIAEAの保障措置システムの強化など、こういったものを盛り込みたいと考えておりますし、また昨今、核兵器の非人道性の議論が国際社会の中で行われています。様々な立場にある国々を結束させる触媒としてこうした議論が期待されているわけですが、こうした議論も是非深めていきたいと考えております。  こういった内容を盛り込んだしっかりとした政治メッセージを発出して、来年のNPT運用検討会議に貢献をしていきたいと考えております。地元の協力もいただきながら、準備に万全を期しているところであります。
  127. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  資料をお配りしております一枚目に、二十四日に、民主党の核兵器のない世界を目指す議員連盟、これはNPDIの生みの親とも言える岡田外務大臣が会長をしております議連で、福山委員と私も行ってまいりましたけれども、その際に、広島県知事、広島市長、それから被爆者の方の代表の方等にお会いをいたしましたけれども、その中でこういう六項目の提案をしてまいりました。  これ全部についてコメントをいただきますと時間が掛かりますので、特に、岸田大臣、一番目の非人道性に関する徹底的な議論、それから四番目のG8広島サミットの開催とアメリカ大統領の広島、長崎の訪問の実現、それから五番目の核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定する唯一の目的にと、この三つが肝かと思いますけれども、この三つについてコメントをいただければ幸いです。
  128. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、民主党のこの非核議連の提言につきましては、大変貴重な御提言をいただいたと受け止めております。是非、こうした御提言も踏まえてNPDI外相会議の議論を充実させていきたいと考えております。  そして、その中で三点御質問をいただきました。  一点目の核兵器禁止条約を視野に入れた核兵器の非人道性に関する徹底的な議論ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、核兵器の非人道性の議論、これは、今、国際社会において様々な国々を結束させる触媒として大変注目をされている議論であります。是非、こうした議論を国境や世代を超えて広げていく、あるいは科学的な見地を深めていく、こうした方向でしっかりと議論を深めていきたいと存じます。  そして、その中の核兵器禁止条約を視野に入れたという部分がありますが、この部分につきましては、核兵器のない世界を目指すという目標においては多くの国が共有しているわけですが、そのアプローチにつきましては様々なアプローチがあります。我が国は、北朝鮮を始めこの厳しい安全保障環境の中でより現実的な、そして具体的なアプローチを考えているわけでありますが、それぞれのアプローチを尊重しながら、是非、核兵器のない世界に向けて全体で前進をしていく、こういった取組を進めていきたいと存じます。  そして、次のこの四にあります、二〇一六年G8広島サミット開催と米大統領の広島、長崎訪問の実現ということでありますが、まず、各国の政治リーダーが被爆地を訪問するということは、国際的な軍縮・不拡散の機運を盛り上げるという意味で大変意義あることであると存じます。アメリカを始め核保有国、そしてそれ以外の国々のリーダーにも是非被爆地を訪問していただく、これは意義あることであると考えております。  G8広島サミットの開催等につきましては、これはまだ何も具体的なものは決まってはおりません。来年は是非国連軍縮会議を開催したいと考えております。こうした様々な日程についてまた議論が行われるものと考えております。  そして三点目、更なる核兵器の役割の低減、特に唯一の目的について踏み込んだ議論をということでありますが、これは、核兵器の重要性を下げていく、低減していく、こういった議論の一環かと思います。  私も、今年一月に長崎大学で軍縮・不拡散につきまして講演をさせていただきましたが、この部分につきまして、やはり多くの国々の中に核兵器を持っている国が現実存在いたします。そして、そうした国の中には核兵器の使用の範囲を広く取っている国があります。こうしたものをだんだんと縮めていくことによって核兵器のない世界という大きな目標に前進していくべきである、こういった考え方を述べさせていただきました。  この唯一の目的という部分につきましては、これはその方向性においては一致するかと思いますが、唯一の目的というこの部分につきましては引き続きしっかりと議論を続けていきたい、こういった課題であると考えております。
  129. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  この間、私参ったときも御紹介したんですが、資料の二ページ目の一番上に書いてございますが、昭和二十五年に広島の浜井市長という方が長崎の市長とかとアメリカに行かれて帰ってこられて、広島の原爆記念碑の碑文ですが、元々は「安らかに眠って下さい」、下に書いてありますように過ちは繰返させませぬからというふうになる予定であったものを、現在のように「過ちは繰返しませぬから」というふうに変えたと。今になってみると、もし繰返させませぬからと書いていたならば永遠に恨みをほかの人に残すものを、繰返しませぬからということで、これは全人類が同じく反省をして平和を誓うというふうに変えてあるということで、大変今になってみると重い言葉だろうと思いますが、その経緯も当時、三月に広島市長、知事等にもお話ししてまいりましたが、是非そんな精神で進めていただきたいと思います。  それから、次でございますけれども、連合軍の元捕虜の招聘についてお尋ねをいたします。  資料の二枚目の方に整理をしてございますけれども、実は外務省は、イギリスからは十五年にわたって八億五千万円近くを投じて九百人以上これまで捕虜の方を招聘しておられる。オランダからも、新しい外務省からの資料によると六百人以上実は招聘がある。それからオーストラリアからは、これやっぱり七十人以上、一億円以上の予算を使っていると。ところが、アメリカからは、始まったのが遅いせいもありまして、この四年間で元捕虜の方が二十四名、未亡人三名で合計二十七名と、一桁少ない状況です。  前も実は質問いたしましたが、この間、アメリカに行ってまいりまして、日系人の方とかあるいはアメリカのいろんな方ともお会いをしてまいりましたけれども、ほとんどの元捕虜の方々が九十歳以上でございますので、桁がアメリカは違いますから、始まったのが、ですから是非、今年と来年、来年が戦後七十周年でございますので、この二倍とか三倍ぐらいの方をお呼びいただいて、一区切りを付けていただくべきではないかと。  参考までに申し上げますと、アメリカの捕虜招聘活動が遅れて二〇〇九年から始まったことになっておりますが、これは民主党政権になってからではなくて、私も関係しておりますMRA議連というのの玉澤徳一郎先生とか谷川和穂先生とか、実は自民党政権の概算要求で決めたやつでございますので、そういう超党派でやってきたこともございますので、是非来年に向けて、桁が違いますから、増やしていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  130. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の元捕虜の招聘事業につきましては、大変有意義な事業であると認識をしておりますし、是非、今の政府におきましても前向きに取り組んでいきたいと考えております。そして、人数について大幅に増やすべきではないか、こういった御質問をいただきました。具体的な人数等につきましては、被招聘者の希望ですとか、あるいは健康状態ですとか、相手側の意向等をしっかりと確認した上で是非丁寧に進めていきたいと存じます。  基本的な姿勢として、この事業の意義は強く感じますし、前向きに検討していきたいと考えます。
  131. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  では、前向きに検討していただいて詰めを是非やっていただきたいと思いますし、いろんな情報を私どもの方からも提供させていただきたいと思います。  次に、資料の次のページですけれども、こんな関係で調べてみました。質問主意書を二回ほど出させていただきましたが、実は、戦後六十九年をたった現在、もちろん最近は韓国や中国の裁判所において日本企業の戦時中の労働に対する賃金支払などの訴訟が広がっているわけですが、それとは別に、日本国内日本関係者の債務処理の現状について質問をしましたところ、このページにあるような資料が出てまいりました。これ、膨大な実は額でございます。それで、これがかなり休眠しているわけでございます。  これは、いろんな形で戦後苦労された日本の国民の債務に対する政治の不作為ではないかと思っておりまして、これはやはり、今後、いろんな意味で日本がいろいろな国々との関係を築いていって、来年の戦後七十年であるわけですけれども、こういう実は質問をしましたところ、各省庁ばらばらでございます。  外務大臣にまとめてお答えいただきたいんですけれども、やはり政府の中にこうしたものを調査検討する機関を設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  132. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の確定債務問題につきましては、外務省として個別の債務の処理状況を把握しているわけではありませんが、未払の債務については、債務の種類に応じて所管の省庁又はその債務を有する機関において債務の履行を行ってきていると承知をしております。  我が国としましては、戦後七十年を迎えるに当たりまして、今日まで平和国家として歩んできたことを振り返り、そして、こうした基本的な立場はこれからも変わらないということをしっかりと示していかなければなりません。こうした確定債務問題についても精力的に取り組んでいくということを通じて、東アジアの平和と繁栄に一層貢献していきたいとは考えております。  ただ、現状は、今申し上げましたように、各省庁あるいは関係機関において対応しているということでありますので、やはりこうした全体をどうするかということにつきましては、内閣官房なりがまた対応するべき課題ではないかと存じます。せっかくの機会ですので、委員からのこうした御指摘については内閣官房に伝えたいと存じます。
  133. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今日、各省庁呼んだんですが、既に質問主意書出したので、取りあえず外務省が答えるということで答えていただきましたが、実は、実際管理しているのは内務省とか旧郵政省とかが多いわけですけれども。ただ、この影響については、今おっしゃっていただいたように、中国、韓国等で起きていることにつながることでございますので、その重さを踏まえて官邸の方に、これは政府の問題ですからやっていただきたいと思います。  その関係で、中国と韓国で今いろいろな裁判が起きております。いわゆる戦争中の労役に関する裁判でございますけれども、韓国においては、今年の夏にも最高裁判所で判決が出る予定だと。そうすると、一人当たりかなり、一千万円とかいうような額も言われております。一旦別の主権国で司法判断が出てしまうと、それを変えることは難しいと思いますので、これやはり法廷外で外交努力をするとすると、やっぱり判決の前しかないと思うんです。  ですから、ただ手をこまねいているだけではなくて、外交努力をする今時期だろうと思いますし、前も申し上げましたが、ドイツの場合に、二〇〇〇年に記憶・和解・未来基金という基金をつくりました。このときは、ドイツもさることながら、アメリカのクリントン政権がかなり後押しをしました。法廷外で外交努力でまとめる方が企業活動にとっていいだろうということからそういう知恵も出たわけですが、私は、そういう意味ではかなり類似性もあるというふうに思っております。  例えば、現在の経団連の会長、住友化学ですね、次の経団連の会長の東レ、一番大きな海外の工場は韓国だと言われておりますし、そういった観点から、やはり外交努力をするならば判決の前かと思うんですけれども、それについて外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  134. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の中国や韓国における動きにつきましては、こうした動きは、日中間あるいは日韓間の戦後処理の枠組みあるいは経済関係に深刻な影響を及ぼしかねない問題だと認識をしております。御指摘の問題につきましては、日本政府として関心を持って注視をしており、また、中国、韓国との間においても様々なレベルで意思疎通を行うなど、対応をしてきているところであります。  中国、韓国、これ実情は、それぞれ裁判における進み具合等も異なりますし事情も異なりますが、是非、引き続き、詳細は明らかにすることは控えますが、我が国企業などとも連絡をしつつ、こうした請求権に関する我が国の一貫した立場に基づいて適切に対応していきたいと考えております。
  135. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 是非、外交努力、やるなら今ですから、お願いしたいと思います。  それでは、本題の国家安全保障戦略、新防衛大綱、新中期防について質問いたします。  四月四日の本会議において北澤議員に対する安倍総理の答弁、あるいは八日の世耕官房副長官外交防衛委員会における趣旨説明において、国家安全保障戦略は我が国で初めて策定したと発言されておられます。基本的には、国家安全保障戦略というのは、昭和三十二年、岸総理のときに決定した国防の基本方針で述べているわけですが、今回のように初めてということで国家安全保障戦略を作成したというのであるならば、そもそもの既にあった国防の基本方針はどこに行ってしまったのかについてお答えいただきたいと思います。
  136. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で国家安全保障のための方策に取り組んでいく必要があります。こうした考えの下、我が国が取るべき国家安全保障上のアプローチを示す国家安全保障の基本方針として、国防の基本方針の内容を包含し、これに代わるものとして国家安全保障戦略を策定いたしました。  したがって、国防の基本方針の政策文書としての有効性は失われることになりますが、その内容は国家安全保障戦略に発展的に包含されるということになります。
  137. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ということは、初めてじゃないですね。
  138. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私が初めてという言葉を使ったかどうかは別として、政府で話をされております国家安全保障戦略、これは言わば戦略としての初めてのことになると思っております。
  139. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ということは、三十二年の岸総理には戦略がなかったということでしょうか。
  140. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) その時点では、その時点の内容として国防の基本方針というのがあったのだと認識をしております。
  141. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それでは、動的防衛力から統合機動防衛力に変わっていったということについて質問したいと思いますが、小野寺大臣は、大臣に就任された当初は動的防衛力見直しについて発言をされておりましたが、その後、動的防衛力には自衛隊を機動的に動かすという意味もあるので、人員、装備の維持や効率的な運用ができるのであれば、言葉の表現には余りこだわる必要はないとおっしゃっておられましたが、それで間違いございませんか。
  142. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) その時点でそのように発言したと承知をしております。
  143. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 でありますけれども、四月四日の北澤議員の本会議での質問に答えては、動的防衛力運用水準を高め、活動量を増加するという趣旨を本会議で答弁されておられるわけですが、ということは、動的防衛力と基本的に同じことではないかと思いますけれども、じゃ、動的防衛力のどこに問題があってその統合機動防衛力という新たなコンセプトを掲げることにされたんでしょうか。
  144. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 動的防衛力というのは、従前の基盤的防衛力構想と比較すれば、これは警戒監視等の平素からの活動の常時継続的な実施各種事態への迅速なシームレスな対応、国際協力への積極的な取組といった運用を重視した防衛力ということで、これは評価できる内容だと私どもも承知をしております。  ですが、その後、二二大綱以降の様々な安全保障環境、これは尖閣国有化以降、中国、尖閣をめぐる様々な動きもありますし、あるいは、昨年は北朝鮮が初めて日本の具体的な地名を挙げて威嚇的な発言を行うなど、安全保障環境は厳しさを増していると私どもは認識をしております。  さらに、その後、東日本大震災等が起きまして、災害対応についてもこれは自衛隊に対する役割が大変必要だということで、私どもとしては、この活動量を下支えする防衛力の質と量の確保が必ずしも十分とは言えないという状況になっておりました。  加えて、今回、新防衛大綱を策定するに当たりまして、従来、能力評価というのを行っておりました。能力評価というのは、従来のやり方は、これは自民党政権下でも同様でありましたが、空対空の場合の能力評価はどうなのか、海対海の場合の能力評価はどうなのか、陸対陸の場合の能力評価はどうなのかという、それぞれ別な形で陸海空が能力評価を行ったことが今までの経緯だったと思っております。  今回は、東日本大震災のときに統合運用という形で初めて陸海空の統合的な運用ができたということの前提を踏まえて、能力評価を行うに当たりまして、今回は統合した形での能力評価をこれは初めて行うことができました。  このような経緯を踏まえまして、今回、この全体としての呼び方という形で、統合機動防衛力という形で表に出させていただいたということであります。
  145. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 私の資料の最後のページをちょっと御覧いただきたいと思います。  これは、昨日大変話題になりました小保方さんのコピペという言葉がありましたが、これ二つ並べてみると、何かコピペのような気がいたします。  上の方が、これ、北澤大臣のときの防衛大綱、二十二大綱、下の方が新防衛大綱でございます。要は、この動的防衛力を形容する言葉として、上の方でいきますと、アンダーラインを引いておりますが、「即応性機動性、柔軟性、持続性及び多目的性」、それから下の方の統合機動防衛力の形容詞が「即応性、持続性、強靱性及び連接性」と書いてあります。これが直接的な形容詞であります。  そうしますと、共通しておりますのは、即応性が両方に入っております。持続性も両方に入っております。違った形容詞は、上の例えば柔軟性と下の強靱性。ところが、英語で読んでみますと、フレキシビリティーとレジリエンシーと書いてありまして、これは両方とも弾力性とかいう意味で、共通をしております。それから、上の方の多目的性と下の連接性というものも、これ英語版を読んでみますと、バーサティリティーとコネクティビティー、これも、上の方は融通性とか汎用性、下の方は接続性、結合性。つまり、英語で読みますと同じ形容詞でございます。  加えて、形容詞以外のところも上と下とを見ておりますと、この二国間・多国間の協力関係国際平和協力活動、より積極的に、あるいはより実効的に、一番最後のところも、高度な技術力と情報能力、これ、アンダーラインしたところ、これだけ共通がありまして、これはコピペじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私ども防衛省、今まで累次大綱を作ってまいりました。これは、それぞれ一つのつながった中で、私ども防衛力整備をしてきていると承知をしております。  その中で、特に二二大綱で示していただきました動的防衛力という考え方は私どもは評価をするところであります。そして、累次お話をさせていただいておりますが、その後、様々な安全保障環境の問題、それから特に大きいのは、初めて能力評価を陸海空を統合運用した形での能力評価で今回大綱を作らせていただきましたので、その統合運用で評価をしたということで今回はこのような名称になったというふうに思っておりますが、私どもとしては、基盤的防衛力から動的防衛力に変わったということは高く評価できる検討ではないかと思っております。  若干補足をさせていただきますと、新防衛大綱におきましては、統合運用を踏まえた能力評価を実施し、総合的な観点から特に重視すべき機能、能力等を検討したところ、強靱性や連接性に新たに着眼したところであります。  そして、今お話がありました二二大綱から新たに加えられた強靱性及び連接性の意義につきましては、強靱性とは、各種活動を下支えする防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保するとともに、幅広い後方支援基盤の確立に配意し、訓練演習、運用基盤、人事教育、防衛生産・技術基盤などに関する各種施策も推進し、防衛力の能力発揮のための基盤についても一層強化をすることを重視すること。連接性とは、総合的な防衛体制を構築する観点から、関係府省、地方公共団体、民間部門等との連携を重視するといった関係機関との連携を重視するということであります。  他方、二二大綱にありました機動性、柔軟性、多様性に関し、まず機動性については、統合機動防衛力の中核概念として、多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとして防衛力構想そのものの要素として説明をさせていただいております。また、柔軟性とは、様々な事態に対して防衛力を活用し得ることであり、多様性とは、装備が複数の任務に対応し得ることを念頭に置いたものでありますが、これらは防衛力の構築に当たって当然踏まえるべき事項であるものの、今後の安全保障環境においては強靱性などを強調すべきと考え、重点すべき特性についてポイントを絞って記述するということでありますが、御指摘がありましたように、私どもとして二二大綱の考え方というのは評価できるものと承知をしております。
  147. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 是非、そういう考え方、苦しいあれでしたけれども、生かしていただきたいと思います。  時間の関係で、ちょっと別の観点から質問したいと思います。  昨年八月五日の隊友会の機関紙「隊友」に、陸上幕僚長をされた冨澤さんという方がこういうことを書いてあります。  安保法制懇の四類型の第一類型、これは公海上で並行して航行する米艦の防護について、日本の個別的自衛権でもないことを集団的自衛で可能にするというのは元々無理な相談だと。日本の現法制では、自分が撃たれたときには正当防衛で撃ち返すことができるが、日本の僚艦が撃たれたとき、それに代わって撃ち返すことは、総理大臣の防衛出動が発令される前にはできないことになっていると。だから、この問題は、まず防衛出動発令前の個別的自衛権の在り方を検討した上での話だと知らなければいけないと。これは、四類型のようにできるのでやってもよいというポジティブリストというけれども、集団的自衛権を持ち、その権利を行使することは世界各国共通のものだから、これだけはやってはいけないというネガティブリストで決めてほしいと。そして、こうした軍事に絡む問題提起に当たっては、問題そのものの妥当性を軍事を知る者に相談してほしいと言っておられます。  これは佐藤さんたちの先輩ですけれども、これについて、防衛大臣、どうお考えになりますか。
  148. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御通告がありましたので、私も見させていただきました。  昨年八月に冨澤元陸幕長が機関紙「隊友」に集団的自衛権に関する自身の見解を掲載しているということであります。詳細については、これは冨澤元陸幕長のお考えということで承知をする内容ではありますが、その上で事実関係について述べさせていただきますと、冨澤陸幕長は平成七年に退官をされております。大変貢献のある方だと承知をしております。  実は、その後、自衛隊は、平成十一年に能登半島沖不審船事案がございまして、初めて海上警備行動を発令しております。また、安全保障環境の変化を踏まえまして、これまで、平成十三年、これは警護出動、治安出動下令前に行う情報収集の創設、あるいは治安出動、海上警備行動時の武器使用権限の強化、これを改正で行っております。また、平成十七年の改正では、弾道ミサイル等に対する破壊措置の創設を行っています。平成二十五年の改正では、在外邦人等の輸送における輸送手段の追加というように、自衛隊法の一部改正が進む中で、自衛隊の権限等の強化一つ一つ努めてまいりました。さらに、自衛隊部隊等が様々な事態において、その時々の情勢や現場の実情に応じて的確な行動を取ることができるように、能登半島不審事案を踏まえ部隊行動基準の整備を進めてきております。  この十数年におきまして自衛隊の役割というのは拡大し、それに適切に対応できるような体制を努めてきておりますので、私どもとしましては、現在の体制でしっかり対応できると考えております。その中で、更に少し述べさせていただければ、このような時代に部隊運用に携わっていた者といない者では、法制度の在り方に関して世代間のギャップというのは当然あるものだと思っております。  私どもとしては、今後ともしっかり安全保障環境を整えるための努力を続けていきたいと思っています。
  149. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ただ、そういうことだけではなくて、基本的に集団的自衛権と集団安全保障の混同についてのことと、それからやっぱりネガティブリストを作るということが現場にとって重要だというものは、今大臣が答弁されたこととは違った意味で普遍的な意味がある、それを是非考えていただきたいということを申し上げて、ちょっと時間がないので次の質問に移りたいと思います。  オバマ大統領が来日をされることになっております。それで、今回の大統領の訪日の準備を日本政府側で主に担当しているのは外務省でしょうか、それとも、先ほどは世耕さんいらっしゃいましたけれども、国家安全保障局でしょうか、どなたが主務の大臣でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  150. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) オバマ大統領訪日の準備を担当しているのは外務省でございます。
  151. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 先週、私、ワシントンに行っておりまして、アメリカの国務省の方とホワイトハウスのNSCの方とお会いをしました。聞きました。答えは、国務省ではなくてNSC、ホワイトハウスがやっておりますと、国務省の方もはっきりおっしゃっておられて。  ということは、もちろん外交関係ですからいろいろなロジその他は外務省あるいは国務省がやると思うんですけれども、こういう複合的な、しかも政治的な意味があることについてはホワイトハウスがやっているわけです、NSCですね。先ほど来聞いても、NSCが機能していないと。本来は日本もNSCがこれ担当していなければいけない。例えば、これからTPPについて質問しますけれども、これは小泉政務官が答えるわけですね、それで、あることについては小野寺さんと。ですから、窓口のロジ等は外務省がやるにしても、戦略的なこと、継続的なことはやっぱり官邸がやらなければいけないと思うんですけれども。  そういう体制ができていないことについて、これ外務省だけが一元外交というんじゃなくて、やっぱりこれから有望な外務大臣でございますから、そういう意味でNSCがやっていかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) NSCにつきましては、我が国の外交あるいは安全保障の司令塔として大きな役割を担うものとして昨年十二月スタートをしました。そして、この我が国のNSCの在り方につきましては、各国のNSCの運用の仕方等も参考にしながら、より良いものに絶えず磨き上げていかなければならないと存じます。  今御指摘の点につきましては、我が国におきましては、オバマ大統領訪日、外務省が担当させていただいておりますが、他の国のありよう等も今後の参考、検討にしていければと思っております。
  153. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間がなくなってまいりました。  小泉政務官にTPPについてお答えをいただきたいと思います。  まず、この間の日豪EPAの関税維持決定というのがされておりますけれども、これ質問通告していないんですがお答えになれると思いますけれども。これは衆参の両院で決議がされております、重要品目が除外又は再協議の対象とすることということですね。それから、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないことという衆参の決議がありますが、この決議に違反しているんじゃないでしょうか。
  154. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) 私は、ここの委員会に来る前にも農水委員会の方で御答弁をさせていただきましたが、民主党の篠原委員からも、今回の日豪のEPAに対しては前向きな評価をいただきました。  今回、日豪で何とかまとまったこの内容を、これから具体的な詰めということになりますが、私は、この決議を十分に踏まえた上で日豪EPAに当たったと思っております。
  155. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 いや、文面からすると決議違反だろうと思っておりますけれども。  それから、この日豪EPAで最恵国待遇が入っているということは、TPPが成立をすると、それがなくなってしまうといいますか損なわれてしまうということはないんでしょうか。
  156. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) TPPは、まさにあと二十分ほどすると甘利大臣とフロマンの交渉が終わりますけれども、今は真っ最中でありますので、その交渉の中身、また日豪EPAとの関係等はお答えすべきではないと思いますが、日豪EPAでまとまったもの、そして今まさにTPPでまとめようとしているもの、それはそれとして全力を尽くして、これからオバマ大統領もいらっしゃいますが、それはデッドラインではなく一つの節目として、交渉は前に進めていくために全力を尽くしていきたいと思っています。
  157. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今朝の新聞で、アメリカの牛肉関税率を一桁台後半に引き下げるという譲歩案が浮上していると報道がありましたが、これは間違っていますか。
  158. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) 全く知りません。
  159. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 アメリカで議員の方とお会いしてきましたら、ファストトラックの件もございまして、いわゆる外交交渉でやっている部分はこれは実質権限がなくて、大統領自身が意思を決めなければこれは動かないというのがアメリカの議員たちの言葉でありました。  としますと、この間のオーストラリアとのやり取りとか、今日その甘利大臣がやっていること以上の、オバマさんの周辺で動かなければTPPは進まないという印象を持ってきましたが、いかがでしょうか。
  160. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) 二月にシンガポール会合がありましたが、その場で甘利大臣から、交渉の閣僚会合において、実務担当者の政治的な指示、そして十分な権限を与えた上で交渉を、実務的に協議を、調整を進めていくようにという、まさに大臣としての政治的な指示を出したところであります。  そういったことに基づいて、今まさに日米のいわゆる重要五品目、そして自動車についてフロマン代表との交渉に当たっているわけでありますが、最終的な政治的なリーダーシップをどのように発揮して妥結に向かっていくのかというのは、委員の御指摘のとおり、様々な段階というのはあるかもしれませんが、今まさにやっていることが政治的なリーダーシップを発揮しなければいけない交渉だと、そういうふうに認識しております。
  161. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 その政治的なリーダーシップの発揮の仕方が、このせっかく作った国家安全保障会議、そこで統合するという政治リーダーシップの発揮の仕方だろうということを申し上げて、時間でございますので、質問を終わります。  ありがとうございました。
  162. 末松信介

    委員長末松信介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  163. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、堀内恒夫君及び牧野たかお君が委員辞任され、その補欠として宮本周司君及び井原巧君が選任されました。     ─────────────
  164. 末松信介

    委員長末松信介君) 休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査のうち、国家安全保障戦略平成二十六年度以降に係る防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  165. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日は、当外交防衛委員会におきまして、国家安全保障戦略、新防衛大綱、新中期防に関する質疑ということでお時間を頂戴をいたしました。  先週も本会議で代表質問に立たせていただきましたけれども、今回、我が国として初めてこの国家安全保障戦略を取りまとめることができたこと、関係者の皆様の御努力、御尽力に高く評価を申し上げたいというふうに思っております。  一九五七年、国防の基本方針が定められて半世紀以上がたって、今回、このような形での国家安全保障戦略の策定となりました。昨年、安倍政権としてNSCを立ち上げ、これまで外務、防衛、それぞれで行ってきた様々な外交政策あるいは防衛政策を政府一体となって進めていく体制ができたわけでございます。  こうした体制ができた中、今回取りまとめられました国家安全保障戦略というものは、これからの我が国の政府が、政権が今後どうあれ、中長期的に我が国の国民の生命、財産を守るためのある意味原点となる、あるいは柱となる、そういう戦略として位置付けていかなければならないのではないかというふうに思っております。今回策定はされたものの、これを生かさなければ単なる紙切れとして終わってしまう、そういうことになっては決してならないというふうに思います。  そういう意味で、今回、安倍内閣としてこれを取りまとめたわけでございますが、単なる一内閣の戦略に終わらせてはならない。まず、これをどう生かすか、そして現場、末端の職員の方々までしっかりと浸透させていくこと、そしてさらには国民の皆様あるいは諸外国に対しまして我が国の国家安全保障戦略というものはこういうものなんだということを中長期的に生かしていく、活用していくということが大変重要なのではないかというふうに思っております。  与党の立場で言うのもあれですけれども、やっぱり今の選挙制度を考えますと、政権交代というものがまたあってもおかしくない状況でございます。しかし、そういった中にあっても、外交あるいは安全保障というものは、政権がどうあれ、国民の生命、財産を守るという意味で、私は継続性、安定性、そして一貫性をきちんと確保しておくということが極めて重要なのではないかというふうに思っております。  その折に、柱となる、また原点となるこの国家安全保障戦略というものをしっかりと活用していただきたいというふうに思っておりますが、その中で外務大臣に一点お伺いをさせていただきたいのは、今回もこの国家安全保障戦略の中では積極的平和主義というものが、国際協調主義に基づく積極的平和主義というものが大きく打ち出されているところでございます。しかし、安倍内閣が成立して一年余りがたつわけでございますが、この積極的平和主義についての国民の皆様の理解が果たして十分なんだろうかということをあえて問題提起をさせていただきたいなというふうに思っております。  様々な本会議やあるいは委員会での答弁で大臣からも、あるいは安倍総理からも、この積極的平和主義につきまして、これまで以上に積極的に貢献するでありますとか、あるいはより一層積極的に貢献するですとか、そういった形での御答弁が多いのかなという印象を抱いておりますが、やはりもう少し具体的に、この積極的平和主義というものはどういうものなのかということを国民の皆様により分かりやすく説明をしていただくということが重要なのではないかというふうに思っております。それがなければこの積極的平和主義について様々な誤解を生んでしまうのではないかという懸念も持っております。  私、ぱっと思うに、二つ誤解があり得るのかなと思いますのは、まず、積極的平和主義というのを今回掲げました。とすると、これまでは積極的ではなかったのか、あるいは平和に対して我が国が消極的であったのかと。我が国は日本国憲法を掲げ、戦後、第二次大戦以降、国際社会の中でこの平和主義を掲げて国際社会の信頼を勝ち得てまいりました。我が国がこれまで戦後、来年で七十年になりますが、取り組んできたことは決して積極的でないような平和主義ではないと私は確信をしております。もう一つは、積極的平和主義という意味合いにつきまして、ともすると、安全保障に軸足が置き過ぎているのではないか、あるいは批判としては、戦争をする国にしていくような方針で進めていく、その概念なのではないかというようなあらぬ批判も受けてしまっているところでございます。  この積極的平和主義について外務大臣から具体的な御説明を賜りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  166. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国は戦後一貫して平和国家としての道を歩んできました。このことにつきましては誇りに思っております。今回の国家安全保障戦略においても、「我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない。」、このように記述をしております。我が国のこれまでの取組が消極的であったということは全く考えてはおりません。  しかしながら、一方、我が国を取り巻く安全保障環境、大変厳しいものがあり、宇宙、サイバー等、容易に国境を越える新しい脅威も登場してきました。こうした環境の中においては、どの国も一国のみでは自らの安全、安定を守ることはできない。こういったことから、国際社会協力して世界の平和と安定にしっかり貢献していく、これが不可欠であると考えております。こうした考え方に基づいて、我が国は、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、そして国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に寄与していくとしたところであります。  そして、今回の国家安全保障戦略の中にも、我が国の外交・安全保障に関する基本的な考え方を示した上で戦略的なアプローチについて記載をしておりますが、そのアプローチの第一に外交手段というものを掲げています。やはり我が国として、外交を通じて我が国にとって好ましい国際環境をつくっていく、そして脅威についても未然に防いでいく、こういった外交の取組が重要であるということ、これはしっかりと戦略の中に明記をしているところであります。  是非、こうした国家安全保障戦略を通じまして、外交の手段を通じてしっかりとした我が国の戦略を進めていきたいと考えております。
  167. 石川博崇

    ○石川博崇君 今回、このような形で国家安全保障戦略を取りまとめたこと、本当に我が国にとっても大きな第一歩だというふうに思っております。来年の今頃になって、そんなものあったっけというようなことにならないように、是非、外務、防衛両省の方々の今後のこの国家安全保障戦略に対する取組、また活用を積極的にお願いを申し上げたいというふうに思っております。  それから、続きまして、新防衛大綱における脅威対抗の取扱いについて防衛大臣にお伺いをしたいと思います。  午前中、宇都委員の方からも、我が国を取り巻く安全保障環境について、脅威認識というものをどう見るかという御質疑、また御答弁がございました。  これまで、御案内のとおり、二二大綱までは、防衛白書にも明記されておりますとおり、大綱は、我が国に対し侵略を行うことのできる軍事能力のみに着目して、これをもって脅威とみなして、このような軍事的脅威に対応できる防衛力を整備するという考え方には立っていなかったとして、脅威対抗の考え方に立ったものではなかったということを明言をしております。  我が国を取り巻く国際環境は大変厳しい状況になっております。中国の不透明な軍事力拡大、あるいは経済力の向上というものにどう我が国として対応していくかということは非常に大きな課題ではありますが、しかしながら、こうした状況に対して対応力ということを考えたときに、私は、日本の持つ総合力を発揮して対応していく必要があるのではないかというふうに考えております。  中国は既に世界第二の経済大国でございます。また、我が国にとっても最大の貿易取引相手先でございます。また、我が国にとって中国は最も重要な二国間関係を持つ国として、この現在置かれている中国の状況というものは所与の環境として我が国は接していかなければならないのではないかというふうに考えております。  そういった意味で、防衛力のみならず、外交力あるいは経済、また文化、こうした様々な総合力で、我が国はこの東アジアの平和、そして安定を守るために対応していかなければならないと考えております。  小野寺防衛大臣は、衆議院の本会議における答弁におきましても、「我が国の防衛体制は、従来から、特定の国を仮想敵国や脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらず、この点は変更しておりません。」と答弁されておりますし、また、午前中もそのような答弁であったかというふうに思っております。  今回の新防衛大綱におきましても、こうした脅威対抗の立場に立っていないということを改めて明確にしていくべきではないかというふうに考えておりますが、防衛大臣の御所見をお伺いいたします。
  168. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 我が国の防衛力整備は、特定の国を仮想敵国や脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想、いわゆる脅威対抗論には立っておりません。この点は、今回の統合機動防衛力においても変更はありません。
  169. 石川博崇

    ○石川博崇君 続きまして、今回策定されました国家安全保障戦略は、冒頭に書かれておりますとおり、昭和三十二年五月二十日に国防会議及び閣議決定で決定されました国防の基本方針に代わるものとして策定をされております。  そこでお伺いをしたいのは、実は我が国はもう一つ文書がございまして、昭和六十二年一月二十四日に安全保障会議及び閣議決定で策定されました「今後の防衛力整備について」という文書が存在いたします。これは、防衛力整備について、それまでGDP一%という枠があった時代がございましたが、それをある意味取り払う中で、我が国の防衛力整備の基本方針が定められた閣議決定文書でございます。  この「今後の防衛力整備について」の中では、平和憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであるが、かかる我が国の方針は、今後も引き続き堅持するとの記述が見られております。  この「今後の防衛力整備について」という文書、現在、政府としてはどのように認識しておられるんでしょうか。有効なものという認識なのかどうか、確認をしたいと思います。これは内閣官房でしょうか。
  170. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) お答えいたします。  御指摘の昭和六十二年閣議決定文書の内容については、その後四回にわたって策定をされた防衛計画大綱にも基本的に引き継がれているものでございます。  いずれにしても、政府としては、御指摘の昭和六十二年の閣議決定文書に明記されているとおり、節度ある防衛力の整備を行うという精神は、引き続きこれを尊重するという方針に変わりないところでございます。
  171. 石川博崇

    ○石川博崇君 今、私の多分次の問いをなぜか期待して御答弁いただいたのではないかというふうに思いますが、私の質問は、この昭和六十二年に策定された「今後の防衛力整備について」という文書が現在有効かどうかという質問でございますが、もう一回お願いできますか。
  172. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 今申し上げましたとおり、その昭和六十二年の閣議決定文書、これは、その後四回にわたって策定をされました防衛計画大綱にも基本的に引き継がれているものでございまして、昭和六十二年のことですから一言一句有効かということはあると思いますが、基本的には、そういった意味で有効性を持っているというふうに理解してございます。
  173. 石川博崇

    ○石川博崇君 防衛計画大綱は、毎回、新しい防衛計画を策定する際に前の防衛計画大綱を廃止するということが明記をされております。今おっしゃっていただいたとおり、例えば、今回の国家安全保障戦略であれば昭和三十二年の国防の基本方針に代わるものとされておりますし、また防衛計画大綱につきましても、前回の防衛計画大綱を廃止する、あるいは代わるものという形で位置付けられておりますが、先ほど申し上げましたこの昭和六十二年の「今後の防衛力整備について」という文書については、その後廃止されたり、あるいは代わるものという位置付けの文書というものはないというふうに理解しておりまして、今御答弁がありましたとおり、現在有効な文書でございます。  そこで、先ほどもう答弁されてしまいましたけれども、本会議でも指摘をさせていただきましたけれども、今回の新しい防衛大綱におきましては、節度ある防衛力を整備するという文言がなくなったことに対して各マスコミ等から批判的な論調がございます。今回の新しい防衛大綱におきましては、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備するというふうになされているところでございますが、先週の本会議でも御答弁いただきましたとおり、今回の新しい防衛大綱におきましても節度ある防衛力を整備するという精神は引き継がれているというふうに認識をしております。  その上でさらに、先ほど申し上げましたこの昭和六十二年に策定されました「今後の防衛力整備について」という文書の中におきましても、今後も節度ある防衛力を整備するという文言がございまして、この文書が引き続き有効であるということであれば、今の現政権あるいは現内閣、あるいは今回の新防衛大綱におきましてもこの節度ある防衛力を整備するという方針は変わりないという認識でよろしいのではないかというふうに思いますが、この点、防衛大臣から御所見をいただければというふうに思います。
  174. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 節度ある防衛力の整備とは、これまでに厳密な定義があったわけではありませんが、一般に、防衛力整備に当たり、経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ経費の抑制に努めることを強調するために用いられた用語と認識をしております。その趣旨は新防衛大綱や新中期防においても引き続き記載してあり、政府としては、今後の防衛力整備に当たってもこのような基本的な姿勢には変わりありません。  昨年十二月に閣議決定いたしました新防衛大綱においては、従来の節度ある防衛力を整備するとの表現から、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備するとの表現に改めておりますが、これは、今後の防衛体制の構築に当たって、実効性や統合運用性を重視していくべきとの方向性を明確に表現したものであります。  いずれにせよ、我が国の防衛力については、引き続き、憲法上保持し得る必要最小限度の実力の範囲内で、その時々の安全保障環境や財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画大綱が定める防衛力の水準を目標として効率的に整備を進めてまいります。
  175. 石川博崇

    ○石川博崇君 続きまして、先ほど、午前中の質疑と重複しますので、次の問いは飛ばさせていただきます。  武器輸出三原則等の見直しについてお伺いをしたいというふうに思います。  今回の国家安全保障戦略及び新防衛大綱におきましては、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分に配慮した上で、移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定及び厳格審査、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとするとされたところでございます。その後、政府、それから自民、公明両党の間で精力的に議論を積み重ねてまいりまして、去る四月一日、新たな防衛装備品の移転に関する原則が閣議決定されたところでございます。  これまで、この武器輸出三原則等の歴史を振り返りますと、佐藤内閣の折に三つの原則地域、すなわち、共産国圏、国連決議の対象国、そして紛争当事国あるいはおそれのある国に対する武器の移転は禁ずるということが答弁され、そしてその後、三木総理から、それ以外の国に対する移転も原則として慎むということが述べられ、これを総括して武器輸出三原則等というふうに定めてきたわけでございますが、残念ながらといいますか、この慎むということにつきましては、これまで例外化が随時行われてまいりました。  計二十一回にわたる例外化がなされてきた中で、この武器輸出三原則等が現実の国際環境に適合、また我が国の安全保障環境にも適合する形ではなかなか運用が難しくなっているという問題、また、平成二十三年十二月二十七日にも防衛装備品の海外移転について包括的に例外化する官房長官談話、これは民主党政権下でございますが、平和貢献・国際協力案件、また我が国の安全保障に資する防衛装備品の国際共同開発・生産に資する案件というこの二案件については包括的な例外化措置をとったわけでございますが、その後もF35の製造に係る国内企業の参画、あるいは昨年年末の南スーダンにおけるPKOに対する弾薬の提供という、さらにまた個別の例外化をしなければならないような事態が相次いでいたわけでございます。こうした二十一回にもわたる例外化が続いてきた状況を見ますと、やはり無原則に例外化を進めていくというやり方はもう原則とは呼べないのではないかというふうに私も考えております。  そういう中で、今回、四月一日に閣議決定に至ったわけでございまして、このことは評価を申し上げたいというふうに思います。今回新たな原則が策定された必要性、それから今回策定されたこの新たな原則に基づいてどのように歯止めを掛けていくのか等、国民に納得がいく説明を、閣議決定されたからそれで終わりということではなくて、引き続き継続的に続けていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、この点につきまして内閣官房見解を伺いたいと思います。
  176. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) お答えいたします。  武器輸出三原則等は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念に基づくものであり、我が国が国際平和協力や軍縮・不拡散等の分野においてリーダーシップを発揮し、他国の信頼を得る上で一定の役割を果たしてきたと考えてございます。  他方、三原則等につきましては、御指摘ありましたけれども、安全保障環境の変化に対応して、平和貢献、あるいは国際協力、国際共同開発等、その時々の必要性に応じて既に二十一件に及ぶ例外措置が講じられてきておりまして、我が国を取り巻く安全保障環境等に鑑みれば、今後も例外措置は増加していくことが予想されたところでございます。  このような状況に鑑みまして、政府としては、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることといたしまして、与党とも御相談しながら検討を進めまして、今月一日、防衛装備移転三原則及び防衛装備移転三原則の運用指針を策定をしたところでございます。  新たな原則の下では、移転を禁止する場合を明確化するとともに、その場合に当たらないことをもって移転を可能とするのではなく、防衛装備の移転を認めるケースを明確かつ適切な形で限定をいたしました。また、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を個別に厳格に審査をすることといたしました。これまでは明らかでなかった審査基準や手続等についても明確化、透明化を図るとともに、国家安全保障会議での審議を含め、政府全体として厳格な審査体制を構築をするということといたしました。さらには、移転された防衛装備が国際的な平和及び安全を妨げる用途に使用されることのないよう、目的外使用や第三国移転についても適正な管理を確保することといたしました。  このように、新たな原則については、あくまでも国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念とこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持した上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理をしつつ、防衛装備の海外移転に係る手続や歯止めを今まで以上に明確化したものでございます。政府としては、新たな原則の考え方を引き続き分かりやすく説明をして、国民的理解が進むように努力してまいりたいと考えてございます。
  177. 石川博崇

    ○石川博崇君 今回の新たな防衛装備品の移転原則の策定に当たりましては、我が党から、やはり国民への情報開示、それから説明責任をしっかりと果たしていくべきという観点から年次報告書の作成についても提案をさせていただき、毎回毎回許可されるもの、あるいは移転されるものについて審議が行われるケースというのはあろうかと思いますが、それを年間でまとめてNSCに報告するという体制も築いていただいたかと思いますが、その点についても併せて御説明いただけますでしょうか。
  178. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 御指摘のとおり、透明性ということも非常に重要なことでございまして、個別のケース、NSCで審査した場合についても情報公開を図っていくとともに、また、そういう年次報告として年間の状況がどうであったかということも報告をしながら透明性を確保していくということにいたしたいと思ってございます。
  179. 石川博崇

    ○石川博崇君 是非、今後運用に当たっては、慎重なまた運用をお願いをしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、中期防について御質問させていただきたいというふうに思っております。  今回、防衛大綱において、現在の我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて防衛力の質及び量の両面からしっかりと確保していくということが盛り込まれて、それが中期防にも反映されているということは御評価を申し上げたいというふうに思っております。  しかし、先般の参考人質疑でも香田参考人からございましたとおり、今回の中期防におきましては、今後五年間の防衛力整備額の水準として二十四兆六千七百億円とされているんですけれども、このうちの七千億円は装備品のまとめ買い等の調達改革により確保するとされているところでございます。  七千億円というと、非常に外務予算を上回る額でございまして、これをどのように実現していくのかということが明確に示されていかないと、せっかく質及び量の両面から現在の我が国を取り巻く厳しい国際環境に対応していくという方向で取りまとめていただいたにもかかわらず、アクセルとブレーキを同時に踏むようなことになってしまっては私は意味がないのではないのかというふうに思っております。  調達改革をしっかりと進めていく、これもコスト削減の観点からは大事でございます。これをどのように実施していくのか、御説明をお願いを申し上げます。
  180. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛省としては、新中期防での決定を踏まえ、これまでの総合取得改革推進プロジェクトチーム会合における取組に加えて、更に厳しく効率化、合理化を徹底した防衛力整備を追求する必要があるところ、大幅な節減を実現するための更なる施策等を講じていく必要があると考えております。  現時点で確かな見込額は申し上げられませんが、例えば、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理の強化装備品のまとめ買いや更なる長期契約の導入、装備品の維持整備方法の見直しなどの施策についての検討を引き続き実施することにより、今次の中期防期間中に約七千億円の節減を目指してまいります。
  181. 石川博崇

    ○石川博崇君 今の段階では明確な道筋ということは示せないのかもしれませんけれども、これをどのように行っていくのかということをきちんと示していただかないと、現場自衛隊員の方々が、結局、質、量共に確保すると言いながらそうならないのではないかという不安を抱えてしまわれるのではないかということを懸念をしております。できるだけ早くこの方向性を示していただきたい。どういう調達改革を行っていくのかという極めて重要な課題だと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  続きまして、防衛省改革についてお伺いをしたいと思います。  新防衛大綱におきましては、文官と自衛官の一体感の醸成、それから防衛力整備の全体最適化、統合運用強化、こうした観点から防衛省の業務及び組織を不断に見直し、改革を推進するとされているところでございます。  今年の二月にも小野寺防衛大臣から防衛省改革に関する大臣指示を発出されまして、防衛省改革検討委員会を設置され、失礼しました、昨年ですね、昨年の二月設置されまして、夏に防衛省改革の方向性を取りまとめられたところでございます。  この中では、部隊運用業務を統合幕僚監部へ一元化すること、内局は、運用に関する法令の企画立案機能等を所掌することにより、実際の部隊運用に関する業務について、国会対応を含む対外説明に起因した内部部局及び統合幕僚監部の間の実態としての業務の重複を改めるとされているところでございますが、現状防衛省の機構におきましてどのような問題点があると認識されているのか。また、防衛省内局の運用企画局を廃止する、あるいは部隊運用統合幕僚監部に一元化するということについては、軍事的合理性のみならず政府としての政策情勢判断が重要な要素となる文官の存在意義という観点から御意見もございます。  これについて、今防衛大臣としてどのような御認識か、御意見を頂戴できますでしょうか。
  182. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) これまで、例えば自衛隊部隊運用に関する情報を官邸等関係部署に通報しなければならない場合、部隊と直接やり取りを行っている統合幕僚監部が直接通報するのではなく、内部部局に伝達した上で内部部局が通報を行ってきました。また、部隊が行動する上で関係省庁や自治体との調整についても、主に内部部局を通じて行ってきました。  このように、実際の部隊運用に関する業務については、内部部局と統合幕僚監部との間に実態としての業務の重複が存在するものと考えられます。しかし、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、自衛隊部隊運用について、的確性を確保した上で迅速性、効率性を向上させる必要があります。このため、今般の防衛省改革において、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化することにより、このような業務の重複を改めることにしております。  その中で、例えば、今委員の方から文民統制のことについての御指摘がございました。我が国の安全を確保する自衛隊を統制する防衛大臣の判断は、国の存亡に関わり、誤ることの許されないものであります。その判断の的確性を担保するためには、内部部局が政策的見地から、幕僚監部が軍事的専門的見地から車の両輪として防衛大臣を補佐することが必要であり、自衛隊運用について、現在、内部部局が担っている行動の枠組みを定める法令の企画立案や現行法令との適合性の検討といった政策的見地からの補佐は不可欠なものと考えております。  今般の防衛省改革では、運用の迅速性、効率性の向上のため、内部部局と統合幕僚監部実態としての業務の重複を改めるべく、実際の部隊運用に関する業務は統合幕僚監部に一元化し、運用企画局の改廃も含めた組織見直しを行う方針ですが、運用に関する法令の企画立案能力等は、行政的、制度的な事務であることから、引き続き内部部局の所掌とすることになっております。  このように、効率性を求めること、そしてまた、企画立案についてはしっかりと関係法令に適合するような形で行う、このような改革を今回行いたいと思っております。
  183. 石川博崇

    ○石川博崇君 続きまして、今回の新防衛大綱では、いわゆるグレーゾーンの事態について何か所か指摘がございます。  純然たる平時でも有事でもない事態としてのグレーゾーンの事態が増加する傾向にある、あるいは我が国周辺においてグレーゾーンの事態が長期化する傾向が生じており、これが重大な事態に転じる可能性が懸念されるという記述、あるいはグレーゾーンの事態を含め、自衛隊の対応が求められる事態が増加しており、かつ、そのような事態においての対応も長期化しつつあるといったグレーゾーンという記述が何か所かあるところでございます。  今、安保法制懇におきましても、この点についての議論が有識者において行われているというふうに仄聞しておりますけれども、今回、この新防衛大綱においてグレーゾーンの事態について言及された理由、あるいはどういった事態防衛省としては指しているというふうに認識をされているのか、さらには、今現在自衛隊が対応しているグレーゾーンの事態ということが記述されておりますが、これはどういう部隊運用のことを防衛省として認識されておるのか、御答弁をお願いできればと思います。
  184. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 新防衛大綱におきましては、我が国を取り巻く安全保障環境における安全保障上の課題の一つとして、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐる純然たる平時でも有事でもない状況をいわゆるグレーゾーンの事態と位置付けております。  グレーゾーンの事態は、法的な概念ではなく、また、その言葉のとおり幅広い状況を端的に表現したものであることから、その具体的な範囲や定義を確定的に定められるものではありませんが、その特徴として、国家等の間において領土、主権、海洋を含む経済権益などについての主張の対立があり、そのような対立に関して、少なくとも一方の当事者が自国の主張、要求を訴え、又は他方の当事者に受け入れさせることを当事者間の外交的交渉などのみによらずして、このような主張の訴えや受入れについて強要を企図して、武力事態に当たらない範囲で実力組織などを用いて問題に係る地域において頻繁にプレゼンスを示したり、何らかの現状の変更を試みたり、現状そのものを変更したりする行為を行うことといった要素が含まれると考えております。  そして、このような事態が長期化する場合、現場における不測の事態の発生等を通じ、より重大な事態へエスカレートする可能性が懸念されるということで、このグレーゾーンについての記載をさせていただいております。
  185. 石川博崇

    ○石川博崇君 続きまして、新防衛大綱で記載されておりますPKO協力活動、国際平和協力活動等についてお伺いをしたいと思います。  今回の新防衛大綱におきましては、幅広い分野における派遣を可能とするための各種課題について検討を行い、必要な措置を講ずるとされております。ここでいうところの各種課題とはどのように政府は認識されておられるのか、PKO事務局から御説明をお願いを申し上げます。
  186. 高橋礼一郎

    政府参考人高橋礼一郎君) 防衛大綱においての言及のお尋ねでございますので、この部分については防衛省の所管というふうに考えておりますけれども、よろしいでしょうか。
  187. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) それでは、防衛省の所管ということですので私の方から答弁をさせていただきます。  防衛計画大綱において言及されている各種課題とは、自衛隊による国際平和協力活動等の円滑な実施を可能にするための輸送部隊展開、要員の安全確保、情報共有、後方支援、教育訓練等に関する体制整備を想定をしております。  具体的な例を申し上げると、人員、部隊の安全を確保しつつ任務を遂行するために必要な防護能力強化、アフリカ等の遠隔地での長期間の活動も見据えた輸送展開能力及び情報通信能力強化、円滑かつ継続的な活動実施のための補給、衛生等の体制整備などの課題があると考えております。
  188. 石川博崇

    ○石川博崇君 この各種課題について、今後検討を深め、必要な措置を講ずるとされております。  今大臣からおっしゃっていただいた各種課題に加え、PKO自体の機能、また任務の変化というものも大きな課題であろうかと思います。伝統的なPKOから複合的な任務を担っているPKOへと今変化している現状に対してどのように向き合っていくのか、これを、済みません、内閣府ですね、御答弁をお願いいたします。
  189. 高橋礼一郎

    政府参考人高橋礼一郎君) 御指摘いただきましたとおり、冷戦の終結以来、紛争解決における国連の役割が見直されますとともに、国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の武力紛争から一国内における紛争へと変わった結果としまして、国連PKOの任務も多様化してきております。すなわち、停戦、軍の撤退等の監視といった伝統的なPKOの任務に加えまして、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰、地雷対策、治安部門の改革、人権の保護と促進、文民の保護といった広い多くの分野での活動が国連PKOの新たな任務として加わってきているわけでございます。  このように多様化する国連PKOの任務に効果的に対応し、また我が国に対する国際社会からの評価や期待を踏まえて、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、今後とも国連PKO等への要員派遣を積極的に実施していきたいと考えております。  このような考え方は昨年末に策定した国家安全保障戦略においても明記し、我が国の基本方針を内外に明らかにしたところでございます。現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会におきまして、国連PKOへの参加等に関する問題についても検討が行われているところでございまして、具体的には、この懇談会の報告を踏まえ対応を検討してまいりたいと考えます。
  190. 石川博崇

    ○石川博崇君 それから、続きまして、今回の防衛大綱におきまして重視すべき機能、能力として、島嶼部に対する攻撃への対応が記載をされております。島嶼部防衛、特に南西地域における事態発生時に自衛隊部隊が迅速かつ継続的に対応できることは極めて重要かと考えておりまして、この後方支援能力も向上させていく必要があろうかと思っております。  それに加えて、今回のこの島嶼部対応について、太平洋側の島嶼部における防空態勢の在り方について検討を行うという記述が書かれております。この部分については防衛省として具体的に何を想定しておられるのか、御答弁をお願い申し上げます。
  191. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛省自衛隊としては、太平洋側も含め、我が国周辺の海域における、必要に応じてP3Cや護衛艦等を柔軟に運用して警戒監視活動を行い、我が国周辺における事態に即応する態勢を維持しております。  他方、小笠原諸島など太平洋側の島嶼部は、これまで固定式警戒管制レーダー等を含め警戒監視に任ずる部隊を設置しておらず、言わば防空態勢の面で空白地域となっております。  このため、新防衛大綱においては、我が国周辺国の軍事的活動が太平洋においても活発化するといった安全保障環境の変化を踏まえつつ、我が国防衛に万全を期すとの観点から、太平洋側の島嶼部における警戒監視態勢を始めとする防空態勢の在り方について検討することとしております。
  192. 石川博崇

    ○石川博崇君 時間がなくなってきましたので、最後の問いに移らせていただきたいというふうに思っております。  今回の中期防におきましては、滞空型無人機三機の導入が記載をされているところでございます。御案内のとおり、無人機につきましては、世界的にいまだ飛行ルールが未整備状況でございます。  今後、自衛隊としてこの滞空型無人機三機の導入に当たってどのような法的な体制を整えていくのか。米軍の無人偵察機グローバルホークが二十六年度中に空自の三沢基地に展開されるという報道もございます。ここも含めて、我が国の航空法上の位置付けにするのか、あるいは自衛隊法上の位置付けにするのか、防衛大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  193. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 我が国周辺の軍事力の近代化や軍事活動等の拡大、活発化がより一層顕著になってきており、状況によっては短期間で事態深刻化する可能性がある近年の安全保障環境においては、各種事態の兆候を早期に察知することが重要となっていることを踏まえ、新中期防において滞空型無人機を導入することとしております。  無人機の取扱いに係る国際的な基準は現時点では定まっておらず、関係各国間での検討が続いていると認識しております。  一方、国内法との関係については、自衛隊機は、その任務の特殊性から、自衛隊法第百七条等、民間航空機とは一部異なる法令に基づいて運航の安全性を確保しているところでありますが、滞空型無人機については、これまで我が国に導入されたことのない新たな種類の装備品であるため、法令上の検討は不可欠と認識をしております。  このため、防衛省においては、これまでも実施してきた米軍基地への現地調査等により得られた滞空型無人機の運航実態等の情報活用しつつ、関係省庁との間で法令上の検討を進めているところです。  今後は、滞空型無人機の導入に向けて、必要に応じて平成二十六年度予算で計上しているより詳細な運航実態に係る調査活用しつつ、関係省庁と国内法に関する検討、調整を加速し、運用に必要な制度改正を行ってまいります。
  194. 石川博崇

    ○石川博崇君 関係省庁との調整を是非精力的に進めていただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  195. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  大綱、そして国家安全保障戦略についての質問をする前に、まず一点、最近報道されております北朝鮮のミサイルに対する破壊命令について、防衛大臣にお伺いしたいと思います。  防衛省はこの命令の発動を公表しないという方針のようでありますが、にもかかわらず各紙で報道がされている。どういうことなのかよく分からないということなんじゃないかと思いますが、防衛省情報管理はどのようになっているんでしょうか。
  196. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘の報道については承知をしておりますが、その内容についてコメントをすることにより、情報収集能力を含む我が方の手のうちが明らかになることでありますので、命令発令の有無を含め、自衛隊の具体的な体制についてのお答えは差し控えさせていただきます。  いずれにせよ、防衛省自衛隊としては、当然のことながら、情報の管理には細心の注意を払うとともに、いかなる事態においても国民の生命、財産を守るべく万全の体制を取るとの観点から、引き続き、情報収集、警戒監視を含む必要な対応に万全を期してまいります。
  197. 中西健治

    ○中西健治君 情報管理に万全を尽くしているというふうには到底この事例は思えないということなんですが、マスコミがどうしてこうした報道をしているんでしょうか。誤報ということなんでしょうか。誤報か誤報じゃないかということをお答えにはなれないと思います、有無を答えるということになりますから。どうしてマスコミはこんな報道をするようになっていると防衛大臣はお考えですか。
  198. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) マスコミのことでありますので、私どもとして特にコメントすることはないと思います。
  199. 中西健治

    ○中西健治君 でありましたら、ちょっと法律的なことを聞いていきたいと思います。  一般論としてです。一般論として、この公表されていないミサイルの破壊命令というのは、特定秘密保護法が施行されたら特定秘密に該当するとお考えですか。
  200. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 命令につきまして、今、政府全体の立場といたしましては、その有無も含め公表できない、公表といいますか、お答えしないということでございますけれども。過去、命令につきましては公表したことがございます、二十四年の四月、十二月がそれに当たろうかと思いますけれども。  基本的には、命令の内容、それから状況いかんによりまして、その命令をどういう秘区分にするかというのは大臣の御判断に懸かるところだと考えております。
  201. 中西健治

    ○中西健治君 私がお聞きしているのは、公表した分について聞いているわけではありません。ちゃんと質問したと思います。公表されていないミサイルの破壊命令発動について、これは特定秘密に該当するレベルのものなのかどうかということをお聞きいたしております。
  202. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 一般論で恐縮でございますけれども、その命令の内容いかんによりまして、その秘密区分の要件に該当するものであれば、その当該秘密区分に該当するような形の秘密の指定がなされるものというふうに考えます。
  203. 中西健治

    ○中西健治君 過去にも行われている例であるかと思います。今回あったかどうかをお聞きしているわけではありません。過去に行われた破壊命令、これについて、公表されていないものについては、特定秘密、まだこれは施行されていませんから、少なくとも防衛秘密には該当するかどうかということについてお答えいただきたいと思います。
  204. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 公表されないものがあるのかないのかといった点につきましても、お答えすることが実際にそのあったかなかったかということにつながりますので、恐縮でございますが、公表をしたものが三件あるということで御理解いただければというふうに思います。
  205. 中西健治

    ○中西健治君 公表されていないものがあるかもしれないというふうに私は思っておりますけれども、公表されているかどうかということについては政府しか知らないということになります。そして、マスコミに流れているかどうかということについても政府しか知らないということになります。  政府がこうした公表していないものについて、これは一般論として聞いていますよ、公表していないものについてマスコミで報道されてしまったら、これは、秘密にしようと思っていたものが出たとしたら、これは内部調査を行わなきゃいけないことになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  206. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) これもあくまでも一般論としてのお答えになって恐縮でございますけれども、仮にそういう秘密に該当する何らかの書類、文書というものがありまして、それが公表されるというような事態になりますと、当然、そういうような調査というのは行われることになろうかと思います。
  207. 中西健治

    ○中西健治君 今回は自衛隊運用に関する公表されていない命令が発動されたのかもしれないと、そういうような事案でございます。そしてそれが、あったかもしれないと申し上げておりますが、それがマスコミの広く知るところになったということでありますので、しっかりと、防衛省内でもしそういう事実があったのであれば調査は行わなければいけないと思います。  そして、仮に調査を行わないということであれば、今回の案件は防衛省の職員がリークしたのではなくて政治家が出したんだから自衛隊法上は罰則規定がないんだ、こんなふうに思っているのであれば、今後、特定秘密になった場合、特定秘密が施行された場合には、それは罰則規定が出てくることになりますから、是非ともそこら辺をしっかりと留意して、調査をするならしていただきたいというふうに思います。  それでは、大綱についての質問をしていきたいと思います。  大綱は十年という期間が念頭に置かれております。しかし、前回、二二大綱から二十五年まで三年間しかたっていなくてこの大綱の改定というのが行われました。そして、昨日の参考人の質疑におきましては、やはり大綱の賞味期限というのは短くなっていると、こんなような御意見が出ました。それと同時に、今回初めて策定された国家安全保障戦略については、これも十年ということが念頭になっていますけれども、これは短過ぎるのではないかという御意見もありました。  この十年、十年とそろえてしまっていることについて、これでいいのかという問題意識、防衛大臣はお持ちではないでしょうか。
  208. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今般、我が国として初めて国家安全保障の基本方針であります国家安全保障戦略を策定するに当たっては、中長期的な見地から安全保障に関する施策を継続的に推進していく必要性を踏まえ、その内容をおおむね十年程度を念頭に置くものとしております。  また、防衛大綱の策定に当たっては、各種防衛装備品等の整備、維持、運用部隊等の練度の維持向上等は一朝一夕に達成するものではなく、長い年月を要するものであることを踏まえ、長期的な指針の下、安定的な防衛力整備等を計画的に行っていくため、その内容をおおむね十年程度を念頭に置くものとしたところであります。  ただし、国家安全保障戦略及び防衛大綱については、各種施策実施過程を通じ、国家安全保障会議において定期的に体系的な評価を行い、適時適切に発展させつつ、情勢に重要な変化が見込まれる場合には、その時点における安全保障環境を勘案して検討を行い、必要な修正を行うこととしております。
  209. 中西健治

    ○中西健治君 先ほど福山理事の質問にもありましたけれども、この策定時期について、集団的自衛権をめぐる議論というのが今年行われることも分かっていたわけでありますし、ガイドラインの見直しも今年中にというのは、期限を区切ったのは日本側が迫ったというふうにも理解しております。そうした背景がありながら、なぜ大綱そして中期防等を一回昨年末に作ったのかということについては、私は大いに疑問があるなというふうに思っております。  そこで、お聞きいたします。  この集団的自衛権をめぐる議論並びにガイドラインの見直しということが今新しく作られた防衛大綱中期防に影響を及ぼすことがないというふうに言い切れるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  210. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 平成二十二年十二月に前防衛大綱が策定されて以来、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しております。北朝鮮は弾道ミサイルの発射や核実験を実施し、また、中国は我が国領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺空海域において活動を拡大、活発化させております。  このため、現政権におきましては、平成二十四年十二月、現下の状況に即して我が国の防衛体制を強化するという観点から、前防衛大綱を見直すとともに、前中期防を廃止し、平成二十五年中に結論を得る旨の閣議決定を行いました。私どもとしては、この閣議決定に従い、新大綱を昨年十二月に策定したものであります。  防衛装備品の取得や部隊等の練度の維持向上は長い年月を要するものでありまして、防衛省としては、現下の状況に即応した防衛力整備を着実に進めていきたいというふうに考えております。  いずれにしても、私どもとしては、この閣議決定の下に新大綱を作らせていただきました。
  211. 中西健治

    ○中西健治君 今の防衛大臣のお答えを前提として、先ほど官房副長官が同じ答えをしておりましたので、私の問いは、集団的自衛権の議論並びにガイドラインの見直しというのが、作ってしまった防衛大綱中期防に影響を与えることがないのかどうかという問いでございます。
  212. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今、集団的自衛権の議論については、安保法制懇を含め有識者の中で議論をされているということで承知をしております。私どもとしては、現行の中で大綱整備し、一刻も早く現在の安全保障環境に対応すべく整備を行っているということであります。  また、ガイドラインにつきましては、今、ガイドラインの議論を、今年末までに策定するということは昨年秋の2プラス2で合意したということですので、その内容で進めさせていただいております。
  213. 中西健治

    ○中西健治君 そこまでは分かった上で、防衛大綱中期防に影響を及ぼす可能性があるのかないのかということについて防衛大臣のお考えをお伺いしているところでございます。  できたものというのは、どうして作ったのかということについては承りました。しかし、今後、ガイドラインの見直し、そして集団的自衛権の議論の帰趨、こうしたことによっては、作ったばかりの大綱中期防見直しが行われる可能性があるとお考えになるかどうか、お伺いしております。
  214. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 集団的自衛権の議論はまだ有識者の中の議論ということで承知をしておりますし、日米のガイドラインについても今作業を進めているというところでありますので、まだ仮定という状況でありますので、その点についてのお答えは差し控えさせていただきます。
  215. 中西健治

    ○中西健治君 可能性があるかどうかということについてお聞きしているわけでありますけれども、お答えはいただけませんでした。  それではもう一つ大綱の中に、「我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」という部分が書かれているわけでありますけれども、今までは基本理念としていたものが、今回の大綱では基本方針というものに変更となっております。この変更の理由は何なんでしょうか。
  216. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 前防衛大綱においては、上位文書となる国家安全保障戦略が存在しなかったことから、我が国の安全保障における基本理念という項目の中で、専守防衛を含む我が国の基本的な安全保障上の考え方について記述をしておりました。  今般、新たに国家安全保障戦略を策定し、この中で国家安全保障の基本理念という項目を設けることといたしました。このため、新防衛大綱においては、国家安全保障の基本理念という項目は設けておりませんが、我が国の防衛政策の基本方針という項目の中で引き続き専守防衛に徹する旨記述をしたところです。  いずれにしても、専守防衛は我が国の防衛の基本的な方針であることは変わりません。
  217. 中西健治

    ○中西健治君 そこは理解いたしました。  菅官房長官が衆議院の内閣委員会で、集団的自衛権を行使することとなった場合でも専守防衛という考えに変更はないのかという問いに対して、基本は引き続き堅持していくと答弁されていますけれども、防衛大臣も同じ考えでよろしいということでしょうか。
  218. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針を堅持してきました。今後とも、このような平和国家としての歩みを引き続き堅持をしてまいります。  その上で申し上げれば、現在、安保法制懇において集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われております。この懇談会の議論を待ちたいとは考えております。
  219. 中西健治

    ○中西健治君 昭和四十七年十月三十一日の衆議院本会議で当時の田中総理大臣は、「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということでございまして、これはわが国防衛の基本的な方針であり、この考え方を変えるということは全くありません。」と、こう答弁されております。  そして、今度の大綱におきましては、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる。」と記載されているわけでありますが、策源地攻撃能力、敵基地攻撃能力検討して必要な措置を講ずるということが書かれているわけでありますが、それを有するということになった場合に、この田中総理の答弁は変更せざるを得ないのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
  220. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 済みません。田中総理の御質問について事前の通告をいただいておりませんが、そのことについてのことというよりは、今お話がありましたいわゆる敵基地攻撃能力、策源地攻撃能力についてのことについて言及をさせていただきますと、政府は従来から、あくまでも法理上の問題としては、他に手段がないと認められているものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは憲法が認める自衛の範囲内に含まれるとの考え方を示しております。  このような見解と、相手からの武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その対応も自衛のための必要最小限度にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢という専守防衛の考え方が矛盾するとは考えておりません。従来より、政府としてこのような考え方を示してきております。
  221. 中西健治

    ○中西健治君 通告をしていないということが言われましたけれども、それは全く異なっておりまして、私は、この田中総理の答弁についても、昨日のレクでは、こうしたものも衆議院で話が出ました、これを引きますよということを申し上げておりました。それに対するお答えがいただけないというのは、大変残念だというふうに思うというよりも大変遺憾ですが、この田中総理の発言について、本会議での答弁について何も小野寺大臣のところには上がっていないんでしょうか。
  222. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) ちょっとどのような委員から御指摘があったかということを私のところには、今の田中総理の発言については上がってきておりませんので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  223. 中西健治

    ○中西健治君 私がどういうふうに説明を行ったかというと、申し上げておる衆議院内閣委員会で我が党の同僚委員、固有名詞も言って、こういう質問をしました、これに対して菅官房長官はこういう答えをされました、さらに田中総理の言葉も引用した上でどうなのかということを聞きました。これについて聞きますよということを私は申し上げているので、はっきりと通告をしているということだと思います。  それを聞いていないというのは大変困るなというふうに思いますが、今、裏方から何か入りませんでしたか。
  224. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) そのやり取りについては確認を再度させていただきますが、通告の中の文書の中にあったのは、本年三月十九日、衆議院内閣委員会においての官房長官の答弁を踏まえてという内容だというふうに私ども承知をしております。  もし、そのやり取りの中で田中総理の発言についての言及が委員の方からあって、それに対して私どもとしてちゃんと上がってきていないのであるとすれば、確認の上、それはしっかりお伝えをしたいと思います。
  225. 中西健治

    ○中西健治君 これ以上はくどくどやりませんが、その官房長官との内閣委員会のやり取りでこの田中総理の答弁がそのままそのときに引用されているんです。ですから、それを聞きますよといったら当然これのことなんですけれども、これは後で防衛省の方からお聞きしたいというふうに思います。  続きまして、七千億円の調達改革についてお伺いします。  今後五年間で七千億円調達改革をするということでありました。具体的なことは決まっていない、まとめ買いをするだとか長期契約をしていくだとか、こういうふうに防衛省の方は言っているわけでありますけれども、これ七千億というのは、先ほど石川委員からも話がありましたが、非常に大きな金額です。五年間というのは長いようで短いということだと思います。  もし、こうしたまとめ買いなどで七千億達成できないという見通しになる可能性は十分あると思いますけれども、そうした場合には装備品の調達の数量を変えるということになるんでしょうか。
  226. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 新中期防実施に関わる必要な防衛力整備の水準の金額は二十四兆六千七百億円ということですが、委員が御指摘になりましたように、私どもとしては、経費を調達改革によって約七千億削減したいと考えております。  これは、財政事情が厳しさを増す中、防衛省においては、例えばヘリコプターなど陸海空自衛隊で共通する装備品について、これを同じような機種であれば陸海空分かれて発注するんではなくまとめて発注をする、あるいは様々な効率化、合理化に取り組んでいくという中で対応していきたいと思っておりますし、平成二十六年度予算においても約六百六十億円の節減を図っております。  今後、この調達改革をしっかりするということの中で、この七千億という高い目標水準も実現可能性のあるものと考えておりますので、現時点では装備品の調達数を減らすということは考えてはおりません。
  227. 中西健治

    ○中西健治君 七千億というのは大変高いハードルですし、今年度は六百数十億しかいかないということですから、来年度以降は更に大きなハードルになっていく、高いハードルということになっていきますから、そこはしっかり早めに計画を立てていただきたいというふうに思います。  続きまして、水陸機動団についてお伺いしたいと思います。  南西諸島島嶼部で事態が起こった場合に、佐世保の相浦の駐屯地から現地まで兵士及び車両、兵器等はどのような輸送機あるいは輸送艦で移動するつもりでしょうか。
  228. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  御指摘の水陸機動部隊についてでございますけれども、まず、隷下に新編いたします水陸機動連隊のうちの一つ、これは西部方面普通科連隊を母体といたしまして新編をし、佐世保の相浦駐屯地に配備をすると。それから、新編する水陸両用車を運用する部隊の配備場所につきましては、海上自衛隊の艦艇との連携も考慮いたしまして、佐世保市の崎辺西地区が適地の一つであると考えておりますけれども、このほかの部隊配備に係る細部の計画、これは引き続き検討を行うということとしておるところでございます。  その上で、水陸機動団の南西地域への機動展開に当たりましては、新たに導入をいたしますティルトローター機などによります迅速な空中機動を通じた展開、着上陸、それから、「おおすみ」型輸送艦に搭載して洋上展開をした後、この輸送艦から発艦した水陸両用車などによる海上機動を通じた展開、着上陸といったような手段を用いることを想定をしておりまして、防衛省といたしまして、可能な限り早期にこの水陸機動団を新編をいたしまして、島嶼への侵攻があった場合に速やかに上陸、奪回、確保し得るように、自衛隊として持てる手段を、輸送手段を最大限活用してまいる所存でございます。
  229. 中西健治

    ○中西健治君 そのようなオペレーションをするのであれば、どうして陸自管轄の部隊としたんでしょうか、何で海自の管轄の部隊としないのか。大変素朴な質問なんですが、これはどうして陸自なんでしょうか。
  230. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) この水陸両用部隊でございますけれども、そもそも航空優勢、海上優勢、これが前提でございます。それから、先ほども申し上げましたように、着上陸を行います陸上部隊海上輸送、それから着上陸に伴い実施する戦闘機などによる近接航空支援というものも必要で、要するに、こうした着上陸侵攻に対応するための作戦というものは、単に陸上自衛隊あるいは海上自衛隊ということだけではなくて、陸海空三自衛隊をまたいだ統合運用ということが前提となっておるところでございます。  その上で、この水陸機動団につきましては、島嶼部へ着上陸を行う普通科部隊というものを中心とする部隊、あるいは水陸両用車を海上陸上において運用する部隊というものから構成されることになっておりますので、この部隊の性格、それからその要員養成というものを考慮いたしまして、元々その陸上自衛隊にあります西方普通科連隊、これを中心として新編をすると、こういうこととしておりますので、したがいまして、陸上自衛隊部隊ということで新編をすることを考えているものでございます。
  231. 中西健治

    ○中西健治君 今日はまだまだ聞きたいことがありましたけれども、時間が迫ってきましたので終わりにいたします。  ありがとうございました。
  232. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  集団的自衛権についてお聞きいたします。  最近の世論調査を見ますと、いずれも行使容認反対が多数を占め、賛成の倍近くなっております。例えば、三月二十四日の共同の世論調査は、反対五七・七%、二月と比べても六・七ポイント反対が増え、むしろ議論をすればするほど反対論が増えている、世論が増えているというのが実情だと思います。  安倍総理は、九十六条の改正の必要性を論じるときに、国民の多数は改正を望んでいるのに、たったの三分の一の国会議員が反対したら発議もできないのはおかしいと、こういう議論を随分されました。そういうことから言えば、国民の過半数が反対しているのに、僅かな閣議で解釈を覆して容認をするなどということはおよそ許されないと思いますが、まず防衛大臣見解をお伺いいたします。
  233. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 集団的自衛権については、様々な意見があることは承知をしております。  その上で申し上げれば、懇談会では、我が国の平和と安全を維持するためにどのように考えるべきかについて個別具体的な事例を念頭に議論をしていただいていると承知をしており、この問題について、どういう議論が行われていて、何が課題であり、何を目指しているのかを個別具体的な事例に即して分かりやすく説明し、国民的理解が更に進んでいくことが重要だと思っております。  いずれにしても、懇談会からの報告書が提出された後に、与党とも相談するなどして政府としての方針を出す過程で、防衛省としても対応を検討していくことになるものと認識をしております。
  234. 井上哲士

    ○井上哲士君 個別具体の四類型とかいろいろ出されました。そういうのが議論をされたけれども、国民は一層反対の声を強めているという状況にあるわけですね。  私は、九十六条のお話もいたしましたけど、世論を御都合主義的に使うべきでないと思います。御都合主義という点では、今日も午前中議論になりました、総理や自民党の高村副総裁がこの集団的自衛権行使容認の論拠と使おうとされている最高裁の砂川判決についても同じだと思います。この判決は、駐留米軍の合憲性が争われた裁判でありますが、今朝の質疑では、政府の自衛権に関する見解の基盤になっていると、こういう答弁でありました。  しかし、この裁判が果たして司法の独立が保障される下で出されたのかどうかと、こういう重大な問題がこの間明らかになってまいりました。第一審は、在日米軍については違憲だという判決が下りました。いわゆる伊達判決であります。この判決を僅か九か月後に取り消したのがこの最高裁判決だったわけですね。  お手元に資料を配っておりますが、二〇〇八年と昨年、この裁判の経緯に関してアメリカの国立公文書館で解禁をされた文書が明らかにされ、大きな問題となってまいりました。この裁判で検察は、高裁に上告するんじゃなくて直接最高裁に上告するという、跳躍上告という極めて異例の対応をいたしました。その経緯が、お手元の資料一の一番上にありますマッカーサー二世、当時の駐日米国大使からアメリカの国務省に対して発信された電報であります。  この中で、これは伊達判決の翌日の朝八時なんです。大使が藤山外務大臣に会って、日本政府が迅速な行動を取って地裁判決を正すことの重要性を強調し、直接最高裁に上告することが非常に重要だと米国大使が外務大臣に述べております。これに対して藤山外務大臣も、全面的に同意すると述べ、今朝九時に開催される閣議でこの行為を承認するよう勧めたいと語ったということが報告をされているわけですね。実際、伊達判決は跳躍上告がされました。  外務大臣にお聞きしますが、日本のこういう個々の裁判の対応方針について外務大臣と駐日米国大使が会談をすると、こういう例はほかにあるんでしょうか。
  235. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 日米両国の間におきましては、平素から二国間の様々な課題につきまして緊密な意思疎通を図っております。戦後六十年以上にわたりまして、両国の間においては様々な意見交換が行われ、意思疎通が図られておりますし、様々なレベルでのやり取りがありました。  御指摘のような内容に関する日米間のやり取りがあったかどうかということについて、一つ一つお答えするのは事実上これ困難であると認識をしております。
  236. 井上哲士

    ○井上哲士君 この判決について、高裁を吹っ飛ばして直接跳躍上告しろというようなことをアメリカ側から言われ、そのようにやるというのは、まさに主権と司法の独立が問われるわけであります。  更に重大なのは最高裁長官であります。二枚目の資料は、同年の四月二十四日、やはりマッカーサー大使から国務長官宛ての公電であります。この中では、大使は、直接当時の田中耕太郎最高裁長官と会って密談をしております。電文の下から五行目にありますように、内密な話合いをして、担当裁判官である最高裁の長官である田中氏が大使に対して判決の日程の見通しを語っております。  そしてさらに、今日はお出ししておりませんが、ほかにも電報がありまして、田中長官はその後、首席公使に対して、まだ最高裁が公判の期日を決める前であるにもかかわらず、判決の期日の見通しを明らかにしております。そして、その公電の中では、裁判長は評議において実質的な全員一致を生み出して、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると、こういう評議をしたいということを裁判長がアメリカ側に言っているという公電もあるわけであります。  実際、判決は全員一致でありました。そして、田中長官、裁判官は、判決後の記者会見で、十五人の裁判官が結論や理由の極めて重要な点について根本的に一致したのは大変喜ばしいことだとわざわざ会見で述べたわけですね。  私は、昨年五月に法務委員会でこの問題を質問いたしました。最高裁長官が駐日米国大使と個別に会うということも、それから一方の当事者のみに期日を明らかにすることも、それから判決の後に記者会見をしてそれの評価を述べるということも、いずれもほかには承知していないと、極めて異例のことが行われたわけですね。  そして、これを受けて、資料の四枚目に、マッカーサー氏からやはり国務長官宛ての電報もありますが、全員一致の最高裁判決が出たことは、田中裁判長の手腕と政治力に負うことがすこぶる大きい、この裁判における裁判長の功績は、日本国憲法の発展のみならず、日本を世界の自由陣営に組み込むことによっても金字塔を打ち立てるものであると、こう言って天まで持ち上げたわけですね。  ですから、高裁を吹っ飛ばした跳躍上告をするという出発点からこの裁判の実際の訴訟指揮まで、アメリカとの密談の下で進んだということがアメリカ側の開示文書で如実に明らかになったわけであります。  私は、司法の独立が脅かされている極めて重大な事態だと思います。アメリカ側が日本の司法の独立をどういうふうに脅かしたのか、様々な密約というものをこの間ただしてまいりましたけれども、この問題も事実が明らかにされるべきだと考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  237. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 司法の独立について御質問がありましたが、お尋ねの件も含めまして、司法府と米国とのやり取りについて行政府としてコメントする立場にはないと存じますが、二〇一三年の五月のこの法務委員会におきまして、最高裁判所は本件について、この田中最高裁長官と駐日米国大使のこの会談記録等は、調査の結果、存在しないことが判明したと、こういった答弁をしているものと承知をしております。
  238. 井上哲士

    ○井上哲士君 五十年以上前のことでありますから資料が残っていないというのが最高裁のことでありますが、これはアメリカの公文書館で明らかにされたものでありまして、まさか駐日アメリカ大使が本国に虚偽の電報を送っていたとは外務大臣は言われないと思います。まさにそういうものだということなんですね。  ですから、政府の自衛権の憲法解釈の基盤だと言われるこの判決がこういう事態の下で出されているものだということは、私は極めて重大なものだと思います。  昨年、この公電が改めて明らかになったときに、マスコミも様々書きました。戦後史を貫く司法の正統性の問題だ、最高裁と政府は疑念に応えなくてはならないと、こういう社説も上がったわけでありまして、こういう判決を国の形、集団的自衛権の行使容認に利用するようなこと自体が間違いでありますし、ましてや中身を御都合主義でねじ曲げることは許されないと思います。  そこで、中身に入っていきますが、総理は二月二十日の予算委員会で、この砂川裁判最高裁判決によって言わば自衛隊は合憲になったと答弁をされましたけれども、この判決のどこに自衛隊は合憲と書かれているんでしょうか。防衛大臣、いかがでしょうか。
  239. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 昭和三十四年のいわゆる砂川事件に関する最高裁判決は、憲法第九条の規定によって、我が国が主権国家として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然であるということを明白に認めたものであります。  このように、同判決は、自衛隊が合憲であるという判断の前提を明確に示したものと考えており、政府としても、このような見解を従来から取ってきているところであります。
  240. 井上哲士

    ○井上哲士君 前半は最高裁判決でありましたが、後半はつまり政府の判断の前提だということなんですね。判決そのものに自衛隊は合憲だということは言われているんですか。
  241. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) この判決の中にありますのは、我が国が主権国家として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然であるということを明白に認めたものであるということ、そして、政府としては従前から、同判決は自衛隊が合憲であるという判断の前提を明確に示したものと考えておるということであります。
  242. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、政府がそう判断したということであって、判決には明確には書いていないんです。自衛のための措置というのはいろいろあるわけで、警察力の動員も含めていろいろあるわけなんですね。判決は、憲法九条二項について、いわゆる自衛のための戦力の保持を禁じたものであるかは別として、同条項がその保持を禁止した戦力とは、我が国自体の戦力を指して、外国の軍隊は、たとえそれが我が国に駐留するとしても、ここに言う戦力とは該当しないと、こう言って、駐留米軍の合憲性について判断をしたんです。  ですから、自衛のための戦力の保持を禁じたものであるかは別としてとわざわざ述べて、自衛隊が合憲か否かの判断をしなかったと、これが砂川最高裁判決なんです。憲法学の間では常識的な話でありますが、この判決を含めて、自衛隊を直接合憲とした最高裁の判例はないということで確認してよろしいでしょうか。
  243. 末松信介

    委員長末松信介君) どなたに。
  244. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛大臣に。
  245. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 繰り返しお話をさせていただきますが、私どもとして、政府としては、砂川判決は自衛隊が合憲であるという判断の前提を明確に示したものであるということは、これは累次、今までこの議論が行われている中で継続した判断だと思っております。
  246. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは政府の判断の問題なんですね。私は判決そのものについて述べております。  これは、実は十三年前に小泉総理が、砂川判決で自衛隊が合憲にされたと、ちょうどテロ特措法の頃でありますが、答弁をされて大きな問題になりました。そして、この参議院の外交防衛委員会で、当時の津野内閣法制局長官が、自衛隊そのものの憲法適合性を直接的に判断した最高裁判例はないものと承知しておりますと明確に答弁されているんですよ。事実上、総理答弁を修正して、政府見解は明確になっているんです。その後、およそこの問題の最高裁判決はないわけで、この津野内閣法制局長官の答弁が維持されていると思いますが、それでよろしいでしょうか。
  247. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 繰り返しになりますが、いずれにしても、この砂川事件の判決、最高裁の判決というのは自衛隊が合憲であるという判断の前提を明確に示したものと考えて政府はおります。
  248. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、繰り返しになりますが、政府判断がそうだというのは繰り返し言われました。しかし、この判決そのものにはないんです。先ほど安倍総理の答弁を引きましたけれども、この判決によって言わば自衛隊は合憲となったと小泉総理も答弁をされて大きな問題になったように、これは違うんです。ですから、御都合主義でそういうふうに使わないでいただきたいと。  そして、司法の独立を脅かすようなアメリカとの密議をやりながら出された判決であっても、駐留米軍の合憲性のみを判断をして、自衛のための戦力の保持を禁じたものであるかは別としてとわざわざ述べて、日本独自の自衛力の保持については判断していないわけですね。ですから、自衛隊の合憲性について直接の判断もしていない判決を、その自衛隊が、日本が武力攻撃を受けていなくても海外で武力を使うという集団的自衛権行使容認のお墨付きに使うのはおよそ間違っていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  249. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 委員のされている議論というのは、恐らく国会において相当長い時間議論されてきていることだと思っておりますし、政府は一貫して、砂川事件の最高裁判決は自衛隊が合憲であるという判断の前提を明確に示したものというふうに理解をしております。
  250. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、聞いていますのは、この判決を、今日も午前中議論になりましたけれども、自衛隊の合憲性の直接の判断をしていない判決を自衛隊が集団的自衛権を行使する根拠に使うのは、これはおよそ筋違い、御都合主義ではございませんかとお聞きしておるんです。
  251. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 集団的自衛権の議論につきましては、今、専門家による安保法制懇等で議論されているというふうに承知をしております。
  252. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、それでまともに答えずにやっているわけですが。  総理が一昨日のBSの番組で、この判決について集団的自衛権を否定していないことははっきりしていると、こう述べております、とんでもない私はねじ曲げだと思うんですが。  そもそも、当時、検察も弁護団も裁判官も、自衛権というのは日本が侵略された場合の個別自衛権であることを当然の前提にしておりましたし、そういう判決ですから触れておりません。そして、そもそも裁判の中でそのことが語られていないわけですよ。だから、この集団的自衛権が入っているというような議論はおよそ私は通用しないと思いますが、そのことは今日も午前中議論がありました。  その後の政府の憲法解釈が、この砂川判決以降も集団的自衛権は憲法上認められないと繰り返しされていることからいっても、私はこれを行使容認の解釈に使うことはおよそ違うと思いますが、外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  253. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、一昨日の総理のBSの番組における発言については、安保法制懇において行われている議論の一つを紹介されたものだと認識をしております。そして、砂川事件の判決が集団的自衛権を念頭に置いたものであるかどうかにつきましては、今、与野党を始め様々な立場の関係者が様々な議論を行っておられると承知をしております。  政府としましては、今後、安保法制懇の議論の結論を待って、政府・与党としてしっかり議論を行い、政府の方針を確定する段取りを想定しております。こうした様々な議論を丁寧に進めながら、国民から理解されるしっかりとした結論を出すべく努力をしたいと考えています。
  254. 井上哲士

    ○井上哲士君 私の地元の京都新聞は社説で、自説に都合のよい部分だけを過去の文章から切り出しては混迷を深くするばかりだという社説を掲げました。朝日の社説は、学説としてまともに取り上げられていない解釈をあたかも最高裁の権威に裏付けられたかのように振りかざすのは国民に誤った判断を与えることになりかねないと厳しく指摘をしております。  こういうことを論拠にした、こういう集団的自衛権の行使容認のような検討は中止をすべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。  残された時間、若干、武器輸出三原則に関して聞きます。  先日の本会議で、従来の三原則の基本理念にあった日本国憲法に基づくというのが消えて、国連憲章遵守に入れ替わっているということを指摘いたしました。すると、総理は、従来の三原則等は国連憲章を遵守するとの平和国家としての理念に基づくものと答弁をされました。しかし、従来の政府見解は、明確に憲法の精神にのっとるということで憲法を挙げているわけであります。国連憲章遵守というのは国連加盟国は当然のことでありまして、日本国憲法はそれ以上の、より高い水準である、それが武器輸出、武器の禁輸政策だったと思うんですね。  政府は、国連憲章と憲法九条は平和という点で同じレベルにあると、こういうお考えなんでしょうか。外務大臣、いかがでしょう。
  255. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、国連憲章におきましては、第二条第三項におきまして、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」、このように定めております。そして、第二条四項におきまして、武力による威嚇又は武力の行使を禁止しております。そして、日本国憲法におきましては、第九条第一項において、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、このように定めております。  このように、日本国憲法の掲げる平和主義の理念は、国際の平和と安全の維持を目的とする国連憲章等の考え方と理念的に軌を一にするものであると考えています。
  256. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、九条一項しか言われなかったんですね。  国連憲章というのは、不戦条約の流れを受け継いで、戦争違法化ということが明記されました。これはまさに今世界のルールですね。憲法九条一項はそのことを定めた上で、二項で戦力の不保持や交戦権の否認まで言っていると。ここに、日本国憲法が国連憲章よりも高いレベルであるということが私は当然の前提だと思いますが、そういうお考えではないんでしょうか。
  257. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 過去の国会における政府の答弁を見ましても、平成五年の一月二十六日、これは宮澤総理の衆議院本会議における答弁でありますが、その中で、我が国の憲法の掲げる平和主義の理念についてお尋ねがありましたが、国際の平和と安全の維持を目的とする国連憲章等の考え方と理念的に軌を一にするものと存じますという答弁をしております。今申し上げました考え方は、この過去の政府の答弁と同じ答弁であると認識をしております。
  258. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本は、単に国連憲章を守るだけではなくて、憲法九条、とりわけ二項で、高いレベルで国際平和を、平和国家としての理念を掲げてきたはずでありまして、それをないがしろにするようなことは絶対許されないということを改めて申し上げまして、質問を終わります。
  259. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、元気があれば夢も持てる。  今日はちょっと遅れてきてしまいました。済みません。  留学生を受け入れた学校でちょっと挨拶をしてまいりました。本当に、若い人たちが覇気がないというか元気がないというか、そんな感じもしましたが、とにかく、我々が今、国会で国民に元気を発信していかなきゃいけない。今日は長い一日なので大臣も大分お疲れじゃないですか、大丈夫ですか。  後でODAの件に関してもちょっと質問をさせてもらいますが、六十年の歴史ということで、いろんな国に支援をしてきたと思います。  ちょっと息抜きで聞いてもらいたいんですが、鶴の恩返しという話がありまして、ある夫婦が朝起きると、田んぼの片隅で鶴がばたばたと飛べなくてあえいでいた。それを捕まえて、羽をけがして飛べなくなっていた鶴なんですが、それを生け捕りにして手厚く看病して、そうしたら傷もよく治りまして、ある日、いよいよ元気になって飛び出せるかなと。そうしたら、見事に大空に舞い上がっていきました。ところが、何も言わないで行ってしまいそうなので、その夫婦が、おい、鶴の恩返しを知らないのかと大きな声でどなったら、鶴が何と言ったかというと、俺はサギだもんと言って飛んでいってしまったという、本当に、著作権の件があるとあれなんで、これはせんだみつおさんが言っていました。  本当にODAもそのような感じで、別に恩義を感じなくてもいいけれども、生きたようなODAであってほしいと思います。  今日は、先日、三月三十日でしたか、沖ノ鳥島で行方不明と。それから工事中に亡くなられた五名の方、御冥福をお祈りいたしたいと思います。  そこで、大変、排他的経済水域というんでしょうか、大陸棚を確保する上で極めて重要な島である。一方、中国や韓国は沖ノ鳥島を島として認めていない。  沖ノ鳥島の整備をこれから進めていってもらいたいと思うんですが、これも尖閣列島のようなこれから問題にならないのか、ひとつ御見解をお聞かせください。
  260. 大脇崇

    政府参考人(大脇崇君) 今の御質問の沖ノ鳥島におきます整備の方につきまして、進捗状況を御説明申し上げます。  去る三月三十日に沖ノ鳥島におきまして、桟橋を台船から引き出す作業中に桟橋が転倒いたしまして、乗っておりました作業員十六名が海に投げ出される事故が発生いたしました。現在までに五名の方々の死亡が確認されました。亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。引き続き、行方不明となられました二名の捜索に全力を尽くしてまいりたいと思います。  本事業は、排他的経済水域等の保全及び利用に関する活動拠点として、沖ノ鳥島の西側に岸壁や泊地などを整備するものでございます。平成二十三年度よりこの事業を開始してございまして、昨年八月に岸壁の一部を構成いたします荷さばき施設が完成、本年三月から岸壁中央部の桟橋の据付けに取りかかっていたところでございます。今般の事故はそのような中で発生したものでございますが、誠に残念でございます。  今後、安全かつ確実に事業が進められるよう、事故原因の徹底的な究明と再発防止策の検討をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えてございます。
  261. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 無人航空機についてちょっと質問をさせてもらいますが、先日、北朝鮮の、あれは何というんですか、無人機が墜落していて、かつてパキスタンあるいはアフガン国境で無人機が飛んで、これはアメリカの無人機だと思いますが、タリバンを集中的にカメラから押さえて攻撃したという、その中に誤爆もあり、子供たちが死んだりと、国連の中でも大分問題にはなりました。  その中で、中期防整備計画において、滞空型無人機三機を政府は導入するとしています。また、これに先立ち、在日米軍は二十六年中にも無人偵察機、グローバルホークを三沢基地に配備すると報じられています。無人偵察機、我が国においてどのように活用されていくか。どなたに質問したらいいでしょうか。
  262. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えいたします。  先生おっしゃられましたように、今回、新しい中期防衛力整備計画におきまして、周辺海空域における安全を確保するとともに、情報収集を強化するために滞空型無人機三機を新たに導入することとしております。  その考え方でございますけれども、基本的に、我が国周辺を広域にわたって常続的に監視する、このことによって相手方との関係情報面での優越を図るということが大変重要なことだというふうに考えているところでございます。そのために、平素から諸外国の軍事動向を常に把握する、それから実際に緊急事態が起きる兆候があった場合にこれを早期に察知すると、こういうことも可能になるわけでございます。  そこで、滞空型無人機でございますけれども、これはまさに無人でございますので、有人機による情報収集と比べますと、当然のことながら、人が乗っていないということから、搭乗員に対する危険というものはまずありませんし、それから、長時間の飛行をいたしましても人の負担ということを考える必要も基本的にはないということでございます。それから、特に高高度において長時間滞空して情報収集するということによりまして、非常に広いエリア、広域における常続的な監視ということができるということになります。  そこで、現有の装備品では十分に実施することが困難なもの、つまり、我が国の領域から比較的離れた地域での情報収集、それから、実際にもうかなり事態が緊迫した際に、空中からそこをずっと常続的に監視をするというようなことが可能になると。そういう意味で、各種の事態における実効的な抑止、対処に必要不可欠な装備であるというふうに考えているところでございます。
  263. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 そのプレデターですけど、この間、専門家にちょっとお聞きしましたところ、今、もうアメリカ大陸までも網羅できるという、何十時間飛び交うことができるというような、そういうものが、物すごい進化していると言っていいのか進んでいるという中で、このような今までの常識が覆されるという、そういうような時代に、正直、今、自衛隊のこの大綱を読ませてもらった中で、専門的ではないんですが、いろいろな人の意見を聞く中で、もうちょっと踏み込んだきっちりした形での考え方も大事かなと。  当然、参考人、いろんな方も来ていますが、実際には日本は戦後一回の戦いもしていませんから、そういう実戦に備えたような意味で、リングの上で戦ったことのない選手がリングで戦うような発想じゃなくて、その辺をどうお考えでしょうか。
  264. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) ちょっと御質問を正確に理解したかどうか若干自信がないところはございますが、いずれにしても、先生、今プレデターのお話をされましたけれども、確かに、諸外国で利用されている無人機の中には、御指摘のプレデターのように攻撃機能を持っているものもございます。  しかしながら、先ほど私が申し上げました、今後、中期防に従いまして導入を目指している滞空型無人機というものは、これはあくまで周辺海空域の常続監視を行うということを目標としているものでございますので、攻撃能力を有する滞空型無人機というものを、こういうものの導入を念頭に置いているものではございません。  いずれにいたしましても、そうした情報収集手段によって事態を早期に察知することによって必要な対処を、あるいは抑止というものを十分に図っていくことが重要だと考えております。
  265. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 ミサイル防衛についてお聞きをしたいと思いますが、新防衛大綱は、弾道ミサイル攻撃対処として、弾道ミサイル発射に関する兆候を早期に察知し、多層的な防衛態勢により、機動的にかつ持続的に対応すると述べています。  我が国にミサイル照準を合わせる国はどこで、どこの程度の数なのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
  266. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  我が国の周辺を含みますアジア太平洋地域におきましては、大規模な核・ミサイル戦力が存在をしております。  そして、このような戦力を有する国などのこうしたミサイル戦力の保有目的あるいは意図といったものについては明らかにはされておりませんので、防衛省として確たることを申し上げるということは差し控えさせていただきますけれども、北朝鮮について申しますと、能力的には我が国のほぼ全域をその射程に収め得る弾道ミサイル、ノドンを始めといたしまして様々な種類の弾道ミサイルの開発、配備、それから核兵器の開発を進めております。さらに、去年などそうでございましたけれども、北朝鮮、周辺国等に対する挑発的言動の一環といたしまして、核兵器の先制使用、あるいは我が国の具体的な個別の地名を挙げまして、そうした北朝鮮の弾道ミサイルの射程の圏内にあるということを強調してきたわけでございます。  したがいまして、防衛省といたしましては、こうした北朝鮮の動向も含めまして、弾道ミサイル等の脅威に関連する動向について情報の収集、分析に努めながら我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいる所存でございます。
  267. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 お答えはいいんですけど、先ほどちょっと言い忘れてしまいまして、かつて、パラオで私がサンゴの養殖じゃなくて増殖を何十年もやってきております、サンゴ礁を守るという。沖ノ鳥島もまさに今サンゴ礁があって、ここをサンゴ礁の島にしようじゃないかという考え方を持っていろいろ動いたことがあります。  本題に入ります。  いろいろ秘書さんが質問文を作ってくれるんですが、もうちょっと余裕がないものですかね。この質問も、役人の皆さんももう必死になって夜中で作るというこのシステムを変えていく必要があるんじゃないかとちょっと思いますけど、いかがでしょうかね。まあ答えはいいんですけど。  それで、昨今のロシア情勢についてお聞きしたいと思います。  クリミアに続き、ウクライナ東部において分離独立、動きが強まっており、ウクライナ首脳や欧米諸国は、ロシアの工作によってそうした動きが扇動されているとロシアを強く非難しています。  外務省としては、ウクライナ東部の情勢をどのような程度把握しているのか、また今後の推移についてどのように分析しているか、お聞かせください。
  268. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 日本政府といたしましても、この東部ウクライナの情勢に対しては深刻な懸念を持って注視をしているところでございまして、鋭意情報収集を進めているところでもございます。  我が国といたしましては、力を背景とする現状変更の試みを断じて認めるわけにはまいりません。全ての当事者が自制と責任を持って慎重に行動し、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重すること及び平和裏に事態を解決することを強く求めております。
  269. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 これは四月八日の新聞でしたか、ウクライナ東部のドネツク州で、七日、州政府と議会の建物を占拠した親ロシア派勢力がドネツク人民共和国の創設を宣言したという。  今、報道は一部しか報道されてこないので、かつて私も、昔、ロシアの関係も随分持っておりましたが、この動きについてどのような今政府は考えでおられるか。
  270. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) ただいまの御質問でございますが、ウクライナ東部の状況につきましては様々な情報がございまして、現在、鋭意分析をしているところでございますが、この場で日本政府として断定的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  271. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 一つは、いつも発想が早過ぎるというか、何事も人が考えていないときに突っ走ってしまって、いろんな仕事でも失敗を繰り返してきました。例えばタバスコなんという、この商品出していいのか知りませんが、私が持ち込んだ、持ってきたということで、町の中ではテレビのクイズにもなりますが。  今、宇宙ごみということで昔考えたことがありまして、輸送というのは大体、飛行機そしてトラック、船、そのほかに、何でしょうかね、まあ大体平行に物を運ぶわけですけど、直角に上に上げるという、ミサイルを持ってきて。これは、当時ちょっと非常識と思われたかもしれませんが、ロシアとの北方領土の問題もありましたので、ひとつ宇宙基地を造ったらどうでしょうかという提案をしたことがあります。あれは、基地は日本があれして、そういうような中での北方領土問題の話もしたことがありますが。  一つは、宇宙ごみということが今大きな問題になっています。これをどうやって回収し、また、その辺は日本が、今本当に差し迫った問題とは別に、百年とは言わず、何十年かの先の大綱というか、その辺を考えながら、日本として世界の支持を得られるような発想で立てたらどうかなと思います。  そういう中で、政府が本年度の予算で早期警戒衛星実用化、不可欠の宇宙用赤外線センサーの開発を開始する方針を固め、初年度の予算として宇宙航空研究開発機構に予算を計上している。地球上を広い範囲で常時監視する早期警戒衛星の導入に関して政府の考え方をお聞かせください。
  272. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 早期警戒衛星についてのお尋ねでございますけれども、これは、ミサイルが発射された場合に、その熱源を探知することによりまして、そのミサイルの発射された地域でありますとか、いつ頃どういうところに落ちてくるかといったようなこと、いわゆる早期警戒情報というものを得られるというものでございますけれども、これにつきましては、まず、現状では日米間の弾道ミサイル防衛についての連携の一環といたしまして、こうしたアメリカからの早期警戒情報を我々は得るというシステムができ上がっております。  そして、我が国に飛来いたします弾道ミサイルにつきましては、これは自衛隊のレーダーによって探知、追尾することが可能ではありますけれども、先ほど申し上げたような早期警戒情報がありますと、我が国の方向へ発射される弾道ミサイルなどについての第一報といたしまして、我が国の弾道ミサイル防衛により万全を期すという観点から有益であるとは考えておるところでございます。  そして、こうした情報を得るための早期警戒衛星を我が国が独自に保有するということにつきましては、我が国の安全保障と防衛力の在り方という大局的な議論も踏まえる必要もございますし、さらにその費用対効果という点もございますので、政府全体で考えるべきものというふうに認識をしているところでございます。
  273. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間が余りなくなってまいりました。  経済連携協定で潜水艦を含む技術の共同研究を進めることで合意がなされたと、オーストラリアのこの間の新聞に出ておりましたが、今後の我が国の安全保障にどのように活用していくか、お聞かせください。
  274. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) オーストラリアとのEPAでございますが、先般の日豪首脳会談におきまして大筋合意を確認をいたしました。  経済的意義に加えて、基本的価値観や戦略的な利益を共有する豪州との関係緊密化について、歴史的な意義があるというふうに考えております。特に、このEPAもそうですが、TPPを含めますアジア太平洋地域の貿易あるいは投資面でのルールづくりにつきましては、この地域の活力と繁栄を強化するものでありますとともに、安全保障面での安定した環境の基礎を強化する戦略的意義も有していると考えております。  我が国といたしましては、こうした点にも留意しながら経済連携協定を今後も活用してまいるとともに、交渉を推進してまいりたいと考えております。
  275. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 二、三問飛ばさせてもらいます。  一つは、前にも委員会、ODAでも申し上げましたが、アマゾンの森林保護という。大気汚染の問題もそうですが、本当に今、東京都の十倍ぐらいの土地が毎年消滅していくという中で、アマゾンにも何回か行きまして、実際にそこに金持ちがまた別荘地を造って、そこにまた広がっていく。一つのアマゾンという大きなものが端からなくなっていくのではなくて、ところどころに、ぽんと金が出るとそこに人が集まり、そしてまたそこから町ができる。  そういう中で、非常に環境破壊、あるいは水銀の汚染の問題とか、今までいろんなところを視察してまいりましたけど、今後、地球防衛隊という名前でも、まあ名称はともかく、日本がその辺の環境問題に交流できるような発想の転換、発想の持ち方についてお聞きしたいと思います。
  276. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 今御指摘のアマゾンでございますが、大切な森林資源がございます。我が国と基本的価値観を共有する親日的なブラジルのような国々との関係ですけれども、我が国の外交にとっても極めて重要でございます。  ブラジルに対しますODAの重要分野一つに、都市問題と環境・防災対策を掲げてございます。その中で、アマゾン地域の環境保全の関連では、科学技術協力を通じた炭素蓄積量の調査、あるいは草の根技術協力を通じた持続的な森林農業の整備をODAとして実施をいたしておるところでございます。また、我が国は、ブラジルに対しまして、国際熱帯木材機関を通じた森林分野への拠出もODAとして行っております。  今後とも、こうした森林分野における支援を行ってまいります。
  277. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 連休後でしょうか、余り正確に言ってはいけないのかもしれませんが、総理もまた南米を回られるという、国は挙げません、大体。ですけど、今言ったもしブラジルに行かれるようでしたら、このようなテーマをひとつ取り上げていただいて、日本として、自衛隊にもまた提携という形で、何かそういうような、お互いにプラスになるような発想で考えてもらったらいいかと思います。  終わります。どうも。
  278. 小野次郎

    ○小野次郎君 結いの党の小野次郎です。  昨年の一月、アルジェリアで十人の日本人が亡くなる人質殺害事件がありました。我が党の林宙紀、当時はみんなの党でしたけれども、宙紀議員が去年の四月三日にも私と同じ質問をしているんですけれども、事件当初に安倍総理自身が、アルジェリア軍の軍事オペレーションによって結果として尊い日本人の命が失われたことは本当に残念だとおっしゃっているんですね。その趣旨のことは城内当時の外務政務官もたしかアルジェリアでもそういうコメントをされていたと思うし、日本へ帰ってきてからもそんな趣旨のことをおっしゃっておられます。それで、我が党の林議員も、その後、犯人は分かったんでしょうかという趣旨の質問をしております。  一年たちましたが、その後のこの事件についての犯人検挙なり捜査状況、どうなっていますか。
  279. 三好真理

    政府参考人(三好真理君) お答え申し上げます。  邦人殺害の犯人の検挙状況につきましては、アルジェリア当局が現在も捜査を継続中であることからお答えはできませんが、捜査状況につきましてはアルジェリア当局より適宜共有されております。  本事案の真相解明は重要との認識の下、事態の全容について、安倍総理、岸田外務大臣も含めて様々なレベルからアルジェリア政府に対して累次説明を求めているところでございます。  外務省としましては、今後とも、アルジェリア政府に対して情報共有を求めつつ、関係国とも連携して、引き続き本事案の真相解明に努めていく所存でございます。
  280. 小野次郎

    ○小野次郎君 それは去年の四月三日の答弁と全く変わっていないんですよね、一年間。だから聞いているんじゃないですか。その後の進展、どうなっているんですか。
  281. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) アルジェリアのこの事件につきましては、今答弁させていただきましたように、捜査は継続しています。そして、情報共有は適宜行われておりますが、今年に入りましてからも新たな情報が提供されている、こうした状況が続いております。こうした状況ですので、我が国としましては、総理、外務大臣、当然のことですが、今年三月にも岸副大臣、アルジェリアを訪問しまして、直接この事件の捜査に対する協力要請した次第であります。  引き続きまして、情報の共有が図られている、捜査に関する情報が提供されている、こういう状況でありますが、是非今後も、しっかりと情報が提供され、事件の全容がしっかり解明されるべく、協力要請していきたいと考えています。
  282. 小野次郎

    ○小野次郎君 手を下したのが誰かということについて予断を持つことはできませんが、しかし、さっき僕が最初に言ったとおり、アルジェリア軍のオペレーションの中で亡くなったということが報道されているから私は聞いているので、そういう外交チャネルでアルジェリア政府と情報共有って、もしアルジェリア政府側に責任があるんだったら何の情報を共有しているのか分からないじゃないですか、それじゃ。  警察当局に聞きますが、警察機関同士は、アルジェリアの警察機関とはこの捜査協力というのは行っているんですか。
  283. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) お答えいたします。  アルジェリアのテロ事件につきましては、十名の邦人の方が殺害されたことを受けまして、刑法の国外犯規定を適用し、現在、神奈川県警において所要の捜査を推進しておりますけれども、捜査の具体的な内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。  いずれにしましても、警察としましては、引き続き、アルジェリアを始めとする関係国と緊密に連携した上で、事件の真相解明を図ってまいりたいというふうに考えております。
  284. 小野次郎

    ○小野次郎君 質問は、だから緊密に連携しているのかと聞いているんです。
  285. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) 緊密に連携しております。
  286. 小野次郎

    ○小野次郎君 御遺体の解剖はされたんですか。
  287. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) 解剖しております。
  288. 小野次郎

    ○小野次郎君 その中には盲管銃創もありましたか。
  289. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) 捜査の具体的な内容については、答弁を控えさせていただきたいと思います。
  290. 小野次郎

    ○小野次郎君 冗談じゃありませんよ。二〇〇三年にイラクで奥参事官、井ノ上書記官が亡くなった。御記憶あると思いますけれども、そのときには、ちゃんとこの委員会で相当細かいやり取りしているし、政府の側もきちんと答えていただいていますよ。警察からも瀬川警備局長出てこられて、何条の線条痕のある弾丸だったとか、そういうことまで話されているんですから、今の局長の答弁は誠意がないと思いますよ。
  291. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) 現在、鋭意捜査中でございまして、現時点におきましては、具体的な内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  292. 小野次郎

    ○小野次郎君 盲管銃創があったということは、停弾状態になっているものもあったということですか。
  293. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) そのことも含めまして、現時点におきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  294. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は本当におかしいと思いますよ。  当時の議事録見ましたけど、極めてお互い質問する方も答弁する方も丁寧に対応しているんですよ、読み上げたっていいですけれども。この事件ではないですが、口径が○○ミリだとか何口径だとか、右回り何条の線条痕があったとかと、そういうことまでこの議会でやっているんですからね。  だから、犯人を断定する、予断を抱かせるようなことは言えない、あるいは亡くなられた方の個人情報を今知られているもの以上に話すことはできない、それは分かりますよ。だけど、具体的にアルジェリア当局と協力しているのかということについてもお答えにならない、どこまで判明しているんだということについてもお答えにならない、それじゃ審議できないじゃないですか。
  295. 末松信介

    委員長末松信介君) 前回、奥さんが亡くなられたときはかなり細かく御答弁をされたわけですね。  一旦、この問題、情報として今御答弁をいただかなきゃいけないわけですけれども、ちょっと理事会で一旦協議をさせていただきたいと思います。
  296. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、理事会でちょっと協議していただくことにして、今日ほかにも聞くことがあるので次に進みますが。  これはまた警察庁ですけど、担当が違うのかもしれませんが、去年も私、聞きました。外務大臣にもお伺いしましたけれども、海外での犯罪被害者に対する犯罪被害者給付の拡大適用というんでしょうか、被害者補償制度を整備するということについて、たしか今年の春頃までには検討が政府部内でできるからということでお答えいただいていたと思うんですが、成案の進捗状況、準備状況をお伺いしたいと思います。
  297. 鈴木基久

    政府参考人(鈴木基久君) お答え申し上げます。  海外での犯罪被害者に対する経済的支援については、犯罪被害者等施策推進会議の下に置かれた有識者会議において論点の一つとされ、これまで議論されてきたところでございます。  本年一月三十日に同検討会の取りまとめが出されまして、その中では、国としての支援の必要性を求める意見が多数出されたということを踏まえ、犯給制度の拡大適用の形でないとしても、社会の連帯共助の精神にのっとり、何らかの経済的支援をスタートさせるべきとの提言が盛り込まれており、具体的には、海外での犯罪事実の調査や認定等の困難性等に鑑み、在外公館の有する情報等、入手可能な範囲の情報を基に行うような単純な制度を目指すべきとされたところでございます。  この提言を受け、三月二十六日に、官房長官を会長とする犯罪被害者等施策推進会議において、同検討会の提言に沿った施策の推進が決定されたところでございまして、現在、その経済的支援の具体化について関係府省とも連携し検討を進めているところでございます。
  298. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう野党の方は、昨年の十一月、野党七党でこの海外での犯罪被害者に対する給付制度のこれは拡大ということで法案まで出しているんですよ。政府の方が今年の春には結果が出るからと言って出てきたのが、じゃ、そのおっしゃっている今の制度は警察が所管するんですか、外務省が所管するんですか。
  299. 鈴木基久

    政府参考人(鈴木基久君) 推進会議決定が出されたのは三月二十六日でございまして、そういったことから、それから現在検討を進めさせていただいておるところでございます。  今議員御指摘の点も含め、制度の具体化に向けて検討を進めているところでございます。
  300. 小野次郎

    ○小野次郎君 内閣府が担当されるんですか。
  301. 安田貴彦

    政府参考人(安田貴彦君) 警察庁からも御答弁があったとおり、私ども内閣府も含めて、関係省庁におきまして今後の具体的な取組について作業を進めているところでございます。
  302. 小野次郎

    ○小野次郎君 同僚議員もお分かりいただいたとおり、役所というのはやっぱりどこがやるとちゃんと決まらなきゃ検討は進まないんですよ。ところが、警察じゃないということにはどうもなったみたいだけど、じゃ外務省がしょうわけでもない、内閣府がつくるわけでもない。結局、そういう制度があればいいですねというのが、案が上がってきただけで進んでいないということです、一年数か月たって。  その後にも、だってグアム島でも被害に遭っている方おられるし、次々事件は起きているわけだから、恐らく、与党も含めてそういう制度を整備するということについて反対する党はないと思うんですよ。ところが、この役所の縄張なのか所管なのかでもたもた回っているだけで、一年数か月たっても担当する部局も決まらないというのが現実なんですね。  外務大臣、まあ所管にならないのかもしれませんが、事の重要性は御理解いただけると思うので、是非、閣内で早く所管の役所を決めるなり、新しい制度にするのであれば新しい制度の、私たちは犯給制度の拡大ということを言って議論しましたけれども、新制度にするのであれば新制度の整備を進めるように是非お尻をたたいていただきたいんですが、御認識をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
  303. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 海外での犯罪被害者に対する経済的支援、これは極めて重要な課題だと認識をしております。そして、先ほど答弁の中にもありましたように、本年三月に犯罪被害者等施策推進会議において今後の方針、決定されたわけでありますので、是非、政府としまして、一体となって具体的な制度構築のために努力をしなければならないと考えております。  外務省としましても、特に邦人保護の観点から、こうした取組において何ができるのか、しっかり貢献をしていきたいと考えております。
  304. 小野次郎

    ○小野次郎君 私自身が発議者として、これ全部の政党を回って、自民党さんに行っても、内容はこういうの必要だけど、まあ政府が案を出すのをちょっと待とうよというコメントでした。公明党さんも、趣旨は大賛成だけれども、政府がつくるだろうからそれを見てというような回答で、いけないという党はないんですよ。だから、政府が出せばいいんだけど、それを出してこない。しかも、どこがそれを準備するかも、いまだに役所が決まらないというのは、同僚議員も怠慢だという話出ましたけど、誰が考えてもやっぱり怠慢だとしか言えないんじゃないかと思うので、是非、閣僚として檄を飛ばしていただきたいと思います。  次の質問に移りますが、法制局長官にお伺いします。  自衛権行使の目的として、よく国の独立あるいは自国の平和と安全とかいう言葉が使われて、それは僕も、皆さんも多分、すっと入るんですが、あるときには今度逆に、憲法十三条なんかを引っ張ってきて、国民の生命と安全を守るというようなことを自衛権の目的として言うことがあるんですが、それではお伺いしますけれども、国内にいる外国籍の方の生命と安全を守ることというのは自衛権行使の目的とはなり得ないということなんでしょうか。
  305. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返し私からも御答弁申し上げているとおり、自衛権は国際法上の概念でございまして、憲法には自衛権についての明文の規定はないわけでございます。  私に対する御質問ということで、憲法九条の解釈との関係でお答えをするんだろうと思いますけれども、政府は従来から、憲法第九条の文言を、一見すると武力の行使をあらゆる場合に禁止しているかのように見えるけれども、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合には例外的に武力の行使を行うことも許容されると解釈してまいりました。  この従来からの政府の解釈は、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や、憲法第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきとしている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条は外国からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合にこれを排除するために必要最小限の範囲内で実力を行使することまでは禁じていないと解されるという基本的考え方に基づいております。  そこで、御質問でございますが、日本に所在する外国籍の人に対して武力攻撃によって危害を加えるということは、すなわち我が国の国民の生命や身体も害されるということでございますので、このような場合に、他の適当な手段がなければ、必要最小限の武力を行使することは憲法第九条上許容されるわけでございます。  なお、一般論として申し上げれば、国際法上、我が国の領域内に存在する外国人の生命や身体を十分に保護することは領域国としての我が国の義務であると理解しております。
  306. 小野次郎

    ○小野次郎君 御丁寧に答弁いただきましたけど、縮めて言えば、我が国内にいる限り外国籍の方と日本国籍の人間とを区別する理由はないということでよろしいんでしょうか。
  307. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 我が国の国内にいらっしゃる外国籍の方を、例えば犯罪行為の一環として危害を加えるということになれば、これは我が国の警察権の領域の中で行われることでございますので、警察権の行使としてこれに対処をするわけでございますが、多分御質問は、武力攻撃によって我が国に居住する外国の方が危害を加えられると、こういう御質問であろうかと思って今のように答弁した次第でございます。
  308. 小野次郎

    ○小野次郎君 よく分かったような分からないような感じですが、じゃ、続けて聞きますが、その反対側にある問いが、邦人に対する侵害の排除ということであれば、外国領域にある日本人の生命と安全を守るための武力行使というのは憲法上自衛権行使の目的となり得ると解されているんでしょうか。
  309. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、自衛権は国際法上の概念でございますので、憲法に自衛権に関する明文の規定はないわけでございます。  そこで、外国領域にある邦人の生命と安全が害されるということはゆゆしき事態でございますが、いわゆる自衛権発動の三要件の第一要件である我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことという要件に一般的には直ちに該当するとは考えられません。したがいまして、武力行使を行うことは憲法上認められないと従来からお答えしているところでございます。  なお、一般論として申し上げれば、外国領域にある邦人の生命と身体を十分保護することは当該外国の国際法上の義務であると理解しております。
  310. 小野次郎

    ○小野次郎君 要するに、この自衛権の行使の要件としては、我が国に対する攻撃という、我が国というのが極めて最も重要な条件だということですね。国籍の問題じゃないということですね。
  311. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、自衛権発動の三要件、第一要件でございますが、これは我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことであるというのが従来からの政府の答弁でございます。
  312. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の質問に対しては、そうだというふうにお答えいただいたものと思いますが。  そうすると、ちょっとここで話余談に入るんですが、駆け付け警護という問題が前から上がっていますけれども、これは通常、その現地へ行った際の現地におられる外国の軍隊とかあるいは現地におられる国籍不明の、まあ中には邦人もいるかもしれないけど外国の方もいるという状態のときに、それを警護するために駆け付けるということですけれども、これも日本の自衛権の行使とは異次元の問題だと考えてもいいんでしょうか。
  313. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これも従来御答弁申し上げているところでございますが、PKO活動に伴って従事している自衛隊員がいわゆる武器を使用するということでございますけれども、従来、PKO法に基づきまして、言わば自己保存のための自然権的権利というべきものとして認めてきたもの、これは、PKO法たしか二十四条にその武器使用権限の規定があると思いますけれども、こういうものを超える武器使用、今御質問のございましたいわゆる駆け付け警護、任務に対する妨害を排除するための武器使用と、こういう文脈で従来議論されてきておりますけれども、このような武器使用を国又は国に準ずる組織に対して行った場合には憲法第九条が禁ずる武力行使に該当するおそれがあると。これを裏から言えば、武器使用の相手方が国又は国に準ずる組織に当たらないことを確保する仕組みを設定することができるのであれば武器使用の権限を拡充することも憲法上許容されるであろうというのが従来の答弁でございます。
  314. 小野次郎

    ○小野次郎君 それは、日本の自衛権行使の三条件から見たときに、この駆け付け警護の問題というのは、日本の自衛権行使の問題とは次元の異なる問題だと考えてよろしいでしょうかという問いなんですけど。
  315. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これも従来から御答弁をしているところで、PKO法の審議の過程、ですから一九九二年頃でございますか、で政府統一見解というのをお示ししているわけでございます。これは、憲法第九条が禁止している武力の行使、これは国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為、こういうふうに定義してございますが、これに該当しない武器の使用があるということを言っております。  全ての武器の、例えば自衛隊等の日本の国家機関による武器の使用が憲法九条が禁じている武力の行使には当たらないであろうという政府統一見解があるわけでございまして、例えば、このような武器使用、憲法上禁止されている武力行使に当たらない武器の使用としてどういうものがあるかということの例として従来政府が挙げておりますのは、具体的に例示しておりますのは、例えば自衛隊法第九十五条の武器使用、これはいわゆる武器等防護の規定でございます。それから、ただいま申し上げましたPKO法第二十四条の武器使用、これは自己保存のための自然権的権利と、こういうことを言っております。そのほかに、例えば自衛隊法第七十八条、八十一条に基づく治安出動が行われる場合の武器使用、これも憲法九条が禁止している武力の行使に該当しない武器の使用であるということを従来から御答弁申し上げているところでございます。
  316. 小野次郎

    ○小野次郎君 自然的権利の行使というのは自衛権の問題なんですか。
  317. 末松信介

    委員長末松信介君) 小松法制局長官、質問時間がもうあと三分を切っていますので手短にお願いいたします。
  318. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、PKO法第二十四条で認めている自己保存の自然権的権利ともいうべき武器使用というのは、一般的には憲法九条が禁止している武力の行使には当たらないと、こういうことを申し上げております。ただ、その上で、先ほども申しましたように、したがって、そういう武器使用であれば、相手が国又は国に準ずる組織であっても憲法上の問題はないのだということも答弁しております。  私が申し上げましたのは、御質問のございました、例えばいわゆる駆け付け警護に伴う武器使用のような、言わば自己保存のための自然権的権利というべきものとして認めてきたものを超えるような武器使用については、国又は国に準ずる組織に対して行った場合には憲法第九条が禁ずる武力行使に該当するおそれがあるというのが従来の答弁でございます。
  319. 小野次郎

    ○小野次郎君 何か何回伺ってもよく意味が分からないんですけれども、ちょっと一問だけ別の質問を大臣にしたいので、恐縮ですが。  日朝政府間協議で、朝鮮総連会館の競売、落札問題に関して朝鮮側から、宋日昊大使からもこれが日朝間の関係前進のためには重要だとおっしゃっているんですけれども、我が方に対してどういう具体的な要請があったのか、そして、答えを一問だけですから伺うならば、この問題と拉致問題の解決に向けた前進とは、日本政府としてはくっつけて、結び付けて考えることはできないべきだと私は思うんですけれども、その点について認識をお伺いしたいと思います。
  320. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先般、三月三十日、三十一日、行われました日朝政府間協議ですが、これは外交上のやり取りであり、そして協議は継続することになっておりますので、具体的な発言について一つ一つ申し上げることは控えさせていただきますが、その協議の中において、朝鮮総連本部不動産の競売問題に関して、北朝鮮側から強い関心、そして懸念の表明があったことは事実であります。そして、それに対しまして我が方からは、これまでの経緯、そして裁判所により進められている手続、こういったものについて説明をした、こうしたやり取りがありました。  そして、拉致問題につきましては、我が国の重大な関心事ということで、この問題とは別途しっかりと我が国の考え方を示させていただいた、こういったやり取りが存在いたしました。
  321. 小野次郎

    ○小野次郎君 この問題と拉致問題の前進とは結び付けて考えないという姿勢をもう一度お答えいただきたいと思います。
  322. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 少なくとも、今回の協議においては、我が国の関心事として拉致問題が示され、先方の関心事として朝鮮総連本部不動産の競売問題が示されたということであり、これをセットで議論するということではないと認識をしております。
  323. 小野次郎

    ○小野次郎君 終わります。ありがとうございました。
  324. 末松信介

    委員長末松信介君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣は御退席をいただいて結構でございます。お疲れさまでした。     ─────────────
  325. 末松信介

    委員長末松信介君) 次に、原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び平和的目的のための原子力利用における協力のための日本国政府トルコ共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  326. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりました原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十一年六月以来、アラブ首長国連邦政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十五年五月二日にドバイにおいて、我が方在アラブ首長国連邦大使と先方国際原子力機関アラブ首長国連邦常駐代表との間で、この協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、原子力平和的利用に関する我が国とアラブ首長国連邦との間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、核物質等の平和的非爆発目的利用、国際原子力機関による保障措置の適用、原子力安全関連条約に基づく措置の実施、核物質防護措置の実施等につき定めております。  この協定締結により、両国間で移転される原子力関連資機材等の平和的利用が法的に確保され、両国間の原子力協力における安定的な基盤の整備に資することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、平和的目的のための原子力利用における協力のための日本国政府トルコ共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十三年一月以来、トルコ政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十五年四月二十六日に東京において私が、及び同年五月三日にアンカラにおいて先方エネルギー天然資源大臣が、この協定の署名を行った次第であります。  この協定は、原子力平和的利用に関する我が国とトルコとの間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、核物質等の平和的非爆発目的利用、国際原子力機関による保障措置の適用、原子力安全関連条約に基づく措置の実施、核物質防護措置の実施等につき定めております。  この協定締結により、両国間で移転される原子力関連資機材等の平和的利用が法的に確保され、両国間の原子力協力における安定的な基盤の整備に資することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  327. 末松信介

    委員長末松信介君) 御苦労さまでした。  以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会