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2014-04-01 第186回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月一日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     白  眞勲君  三月三十一日     辞任         補欠選任      藤田 幸久君     金子 洋一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 佐藤 正久君                 松山 政司君                 三木  亨君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 宇都 隆史君                 岡田 直樹君                 小坂 憲次君                 牧野たかお君                 脇  雅史君                 金子 洋一君                 北澤 俊美君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 山口那津男君                 中西 健治君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 小野 次郎君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  小松 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山崎 和之君        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        法務大臣官房審        議官       杵渕 正巳君        外務大臣官房審        議官       新美  潤君        外務大臣官房審        議官       金杉 憲治君        外務大臣官房参        事官       河野  章君        財務大臣官房参        事官       山田  淳君        厚生労働大臣官        房審議官     神田 裕二君        経済産業大臣官        房審議官     森   清君        国土交通省航空        局安全部長    島村  淳君        防衛大臣官房衛        生監       鈴木 康裕君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君        防衛省運用企画        局長       中島 明彦君        防衛省人事教育        局長       豊田  硬君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (日米韓首脳会談に関する件)  (日韓関係に関する件)  (環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交  渉に関する件)  (ODA大綱の見直しに関する件)  (北朝鮮政策に関する件)  (外務省における秘密文書の保全に関する件)  (我が国資源外交及び経済外交に関する件)  (自衛権の解釈に関する件) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国アラブ首長国連邦  との間の条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国とスウェーデンとの  間の条約を改正する議定書締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課  税の回避及び脱税防止のための日本国とグレ  ートブリテン及び北アイルランド連合王国との  間の条約を改正する議定書締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府オマーン国政  府との間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、藤末健三君及び藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君及び金子洋一君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 宇都隆史

    宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  今日は、一般調査ということで防衛外務大臣にお越しをいただきました。日頃の御政務に対しても心から敬意を表します。  まず、外務大臣の方に外交関係一般調査に係る最近のいろいろな事例も踏まえながら御質問させていただきたいと思いますが、まず一点目は、まさに先日、オランダハーグで行われました最近の日本外交においては課題とも言われている隣国韓国との首脳会談、これが日米韓という三か国で実現したわけですけれども、直近の毎日のアンケート世論調査によると、安倍総理韓国朴槿恵大統領会談したこのことを評価するかというアンケートに対して、六九%の回答者評価するというふうに答えているんだそうです。  ただし、今回の会談をめぐっては、もろもろの例えば河野談話を始めとするいろんな国会答弁も踏まえて、大分日本側が譲歩してこちらから歩み寄りを見せたのではないかという手厳しい意見もあるやに聞いておりますが、まず外務省として、今回このハーグの中で日米韓大統領首脳会談が開かれたことに対する自己評価をお願いいたします。
  7. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 三月二十五日の日にオランダハーグで開催されました日米韓三か国の首脳会談ですが、内容としまして、北朝鮮問題を中心とする東アジアの安全保障につきましてこの三か国が一層緊密に連携していくことを確認したという会議であり、これは大変有意義な会議であったと認識をしております。  そして、今回の会議は、我が安倍総理とそして韓国朴槿恵大統領の初の直接の会談となりました。我が国としましては、この会談第一歩として、大局的な観点から重層的で未来志向日韓関係構築に向けて韓国協力を進めていく考えでおります。  従来から度々申し上げておりますように、我が国対話ドアは常にオープンであります。今日まで日韓間では、新政権になりましてから二度の外相会談次官級あるいは局長級、様々な会議意思疎通を図ってきました。やはり、難しい局面にあるからこそこうした意思疎通が重要だと認識をしておりますし、今後もこうした意思疎通を積み重ね、この二国間の首脳会談も含めて、高い政治レベルでの意思疎通対話実現に向けて努力をしていきたいと存じます。  そうしたことの第一歩に今回の会談がなることを期待しております。
  8. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございました。  恐らく、この会談にこぎ着けるに当たって、外務省現場レベルで非常に水面下でのいろんな努力があったと思うんですね。非常に労を多としたいですし、私もこの三か国の首脳会談に関しては非常に良かったのではないかなと評価している者の一人です。  私が印象に残ったのは二つあって、一目瞭然、百聞は一見にしかずなんという言葉はよくありますけれども、映像に映ったときの与えるインパクトというのはやっぱり大きいですよね。真ん中オバマ大統領を置いて、左右、日韓の両首脳が座った席で、非常ににこやかな表情、温和な態度で安倍総理が、しかも韓国語を用いながら、お会いできて光栄ですとにこやかに手を広げてお話を進めた安倍総理に対して、非常にかたくなな表情を壊すことなく下をうつむいてしまった朴槿恵大統領、この映像を見るだけでも、国際世論の中には、日本としては扉を開いているんだと、我々は常に対話ドアオープンにしていると、ただし、韓国側もそういこじにならずに一歩前に進んでこないか、そういう映像というのはやっぱり国際社会に流れたんじゃないかなというのが一点目ですね。  もう一つは、これは良かったなというよりは気を引き締めなければならないなというふうに思った面なんですけれども、真ん中に映っているオバマ大統領存在感というか、かつて我々、日米韓あるいは日米等で各首脳が映ったときに、アメリカ大統領、我が最大の同盟国大統領存在意義、あるいはこの持っているオーラといいますか、非常に強いものを感じるものがあったんですけれども、今回このオバマ大統領映像を見るに、非常に我々がしっかりしなきゃいけないんだなと、やっぱりアメリカを一緒に守り立てながら、日米韓協力が必要なんだなというのを、私個人としてはそういうのを強く思った次第なんです。  今回のこの三者首脳会談は、私としては評価しているんですけれども、一方で、先ほど毎日のアンケート調査を引き合いに出しましたけど、今度は産経FNNアンケート結果によりますと、では、今回のこの三か国の首脳会談を契機にして今後日韓関係改善が進むと思うかというアンケートに対して、その回答で、関係改善が進むとは思わないと答えた人間の方が七三・七%。別のアンケートでは六九%が良かったと言いながら、別のアンケートではそれを上回る七三%が改善には進まないであろうという評価をしているわけなんですね。  そこで、外務省として今後の日韓関係改善在り方について、大臣としての所信、指針といいますか、お考えがあればお願いいたします。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日韓関係につきましては、言うまでもなく、我が国にとりまして最も大切な二国間関係一つであります。そして、両国関係が安定するということは地域や国際社会の平和や安定にも影響するという点で、両国は大きな責任も共有していると考えております。  日韓関係については、御指摘のように、大変難しい局面の中にありますが、幸い、一九六五年、国交が正常化してから後、経済あるいは市民交流を始め様々なレベルでこの交流は積み上がってきました。人的交流につきましても、一九六五年当時、二国間の人の行き来、一万人程度であったものが、今日五百万人を超える人が行き来をするなど、この人的交流経済交流、そして文化スポーツ等、様々な分野において大変重層的な関係が積み上がっています。  是非、こうした今日まで積み上がってきた両国間の関係、そして両国が共に立ち向かわなければいけない北朝鮮問題を始めとする様々な課題、こういったものを考えますときに、是非この両国間を未来志向でコントロールしていかなければならないと考えていますし、そのために高い政治レベル対話が必要であると考えております。こうしたあらゆる分野、そして様々なレベル交流を今後も積み重ねながら両国間の高い政治レベルでの対話を実現し、大切な二国間関係を安定化させていきたいと考えております。
  10. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございました。  隣同士隣国であって、お互いの国家が存続している以上は、やはり上手な形を取りながら付き合っていかなければならないわけですよね。もちろん相入れない価値観の部分もあり、歴史認識等でもぶつかり合うところもありますけれども、そこでやはりお互いに知恵を働かせていかなければならない、そこに外交の妙があるのではないかと思っております。  その上で、やはりこれまでの日本外交というと、どちらかというと我が方が非常に、何というんでしょう、経済的にもそうですし、いろんな面でも豊かさをまだ持っていた。その面で、日本が何か譲歩をすることでお互い関係を保とうとし、でも実は今になって、その外交はやはり長期的に見ると余りいい外交ではなかったのではないかなというふうにやっぱり反省することも必要だと思うんです。  これは前政権の中で、この参議院外交防衛委員会でも審議をした中身ですけれども、朝鮮発朝鮮由来のものだということで、朝鮮王朝儀軌、これを協定締結することにして返しましたよね。我々自民党としてはもう大反対をいたしました、そういうことをすることで未来関係は築けないと。結果として、今やっぱり蓋を開けてみても、それに対する感謝、敬意、信頼、そういうものは皆無なわけですよね。  やはり、こういう愚を二度と犯さない、自分たちのやはり国益、立場、それから訴えかけなければならないことというのはちゃんと持ちながらも、今大臣がおっしゃっていただいたように、共に手を携えて取り組まなければならない課題、例えば北朝鮮のような、そういうことに関してはお互いに取り組める土壌というのをつくり上げていくのが必要だと思っています。  大臣が今、相互の交流という中で、民間交流の話あるいはいろんな交流レベルの話をしていただいた中に、文化というお話、今していただきましたよね。今、韓国は、非常に対内的にも国際社会的にも、日本をおとしめるような、あるいは日本に対抗するようなメッセージを強く出しながら政治を展開している、外交を展開している状況にあります。特に慰安婦等に絡めながら、いわゆる慰安婦問題等に絡めながら人権というものを前面に出して国際社会世論形成を図ろうというふうな戦略を打っているわけですけれども、なかなか我々が、敗戦国側として、あるいは朝鮮側にこれまでもいろんな形で謝罪という形をつくってきた側としてそれにあらがっていくのは難しいと思います。  であれば、別のフィールドから、やっぱり正規のルール、正しいお互い価値観、そういうものを守っていこうじゃないかという別のフィールドの戦い方を進めていくべきではないかというのが二問目の私の今日は提案なんです。  そこで、長崎対馬市から盗難をされて向こうに渡っている日本のお寺に安置してあった仏像、これ再三にわたって、これは窃盗されたものであるから至急速やかに日本に対して返すべきだという要求外務省からしていると思うんですが、現状においてはどのような状況になっていますでしょうか。
  11. 金杉憲治

    政府参考人金杉憲治君) お答えいたします。  先生から御指摘のありました長崎対馬で盗まれた仏像でございますけれども、盗まれたのが平成二十四年十月、その後、翌年一月になりまして、韓国側から被疑者の確保あるいは文化財を発見したという内報がございました。それ以降、日本政府といたしまして、韓国締約国となっておりますユネスコ文化財不法輸出入等禁止条約、これに基づきまして、盗難に遭った文化財が早期に日本に返還されるよう外交ルートを通じて様々なレベル韓国政府要求、要請を行ってきているところでございます。  残念ながら、今現在、この仏像につきましては韓国で保管されていると承知しておりますけれども、今後とも、速やかに返還が行われるよう韓国政府に対して粘り強く求めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  12. 宇都隆史

    宇都隆史君 これも、韓国だけに返せ返せと言うだけではなくて、やはりどんどんオープンにしていって、こういうのを守れない韓国というのはやはり良くないと、日本側が言っている主張が、いつも何かイデオロギーとか歴史問題で日韓がぶつかっているだけではなくて、韓国側にもこういういろんな国際的なルールというのを守れないようなところがあるんだというのはやっぱりオープンにしていくべきではないかと思っています。  韓国側でも実は、昨年の十月ですか、この盗んだ実行犯三人が実刑判決をもう受けて、実際のその裁判の証拠としての価値はなくなったのであるから即返すべきであるという行政訴訟向こう韓国の僧侶が起こしているというニュースも聞いております。  やはり、これは、韓国側にちゃんと返してくださいというアプローチを外務省としてしていくというのはこれ当然のことでありますけれども、第三国あるいは国際社会を巻き込みながら、やはり対等な国として国際秩序ルール、こういうのはしっかり守っていくことをしなければなりませんよというのを発信していく、日本正当性主張していく、必要ではないかと思いますが、外務大臣、お願いします。
  13. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 韓国は、民主主義あるいは法の支配あるいは自由等、基本的な価値観を共有する国であります。こうした韓国との関係において、国際的な条約ですとか法律、これに基づいて両国関係考えていく、こういった視点は大変重要な視点だと思っています。そして、こうした国際法を遵守するなど法の支配に基づいて両国関係をコントロールしていく姿勢、これは国際社会からも十分に理解される行動であると考えます。  我が国としましては、こうした法の支配考え方に基づいて様々な案件、事柄を処理していく、こういったことを韓国にもしっかりと訴え、そして協力を求め、そして国際社会からも我が国のありようについて理解を得る、こういった姿勢は大変重要な姿勢であると考えます。  よって、御指摘の点につきましても、是非韓国側にこうした国際条約に従って、今後しっかりと対応してもらうよう求めていきたいと考えます。
  14. 宇都隆史

    宇都隆史君 是非向こうが戦いたいという同じ土俵に乗っかっていくのではなくて、我々は我々でやはりいろんな主張日本正当性主張できる土俵の上で戦って、向こうをそちらの土俵に上げていく、そういうのも一つの手厳しい国際社会の中での外交のやり方だと思います。岸田大臣は、必ずこういう厳しい外交をやっていただける大臣だと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。  韓国からちょっと中国の方に視点をずらすんですけれども、中国との間でも非常に外交上のせめぎ合い、今続いております。もちろん、これ、尖閣であったり、いろんな防衛の所掌の現場というのがクローズアップされがちですけれども、やっぱり外交現場でも防衛と一体化になって中国に対していろんな発信をしていくべきだと思うのが私の主張です。  それで、今日質問お話ししたいのは、防衛省が出しておりますスクランブル航跡図中国軍用機が最近どの辺を飛行して、それに対してどういうスクランブルを掛けているかというのをホームページ上で出していただいているんですけれども、ちょうど日中の中間線辺り、そしてお互い油田が重なっている油田地帯、あの上空を飛行している回数というのが実は非常に多いなというのを私は個人的に見て取っているところなんですね。  ホームページの中では尖閣付近を航行する中国機というような表現ぶりをしていたんですけれども、私は、尖閣を目指してというよりは、尖閣を意識しての飛行というよりは、どちらかというと、油田上空、つまり彼らは海洋における自分たちの権力を行使できるエリアの獲得、俗に言う制海権というか海上優勢というものですよね、それと航空優勢、空の支配力というのを絡めてやってきている意識が非常に強いんじゃないかな。その延長上で、この前、一方的に指定をしましたね、ADIZ、防空識別区ですか、向こうに言わせると、その指定したエリアというのはちょうどこの航跡図と重ねてみるとぴったりかぶってくるんですね。彼らは、非常にそういう戦略的に海上と航空と、そしてそこにある資源と絡めながら戦略を描いてきているのではないかと思いますが。  外務省にちょっとお聞きしますけれども、たしか二〇〇八年六月十八日に中国との間で東シナ海共同開発についての了解事項、これを締結しておりますよね。これが今どのような状況になっているのか、中国外交当局との間でどういう今議論が交わされているのかを教えてください。
  15. 金杉憲治

    政府参考人金杉憲治君) 先生指摘の二〇〇八年六月の合意でございますけれども、元々、日中双方は、国連の海洋法条約関連規定に基づきまして、領海基線から二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚に関する権限を有しているということは御承知のとおりでございます。  その上で、日中間では、この東シナ海につきまして平和、協力、友好の海とするということで協力が一致し、そして二〇〇八年六月の合意に至っておりますけれども、その合意につきましては、残念ながら、中国側からの協力が得られず、まだ実施に移せていない状況が続いているという状況でございます。  以上でございます。
  16. 宇都隆史

    宇都隆史君 これは意外と国内一般国民皆さんも勘違いしているところがあって、日中の間で明確な中間線が引かれたというふうな認識でいらっしゃる方も結構多いと思うんですね。一旦、この二〇〇八年六月にお互い協議を繰り返しながら考えていきましょうという合意をしたにもかかわらず、二回目以降、中国側が一方的にこれに対しては履行していない状況にあるわけですよね。  これ、外務省現場皆さんにお聞きしたら、引き続き協議をするようにしつこく向こうにも迫っているんだというお話は聞いていますけれども、これもまた同様、国内向けにも国際社会向けにも、二〇〇八年に実はこういう合意があったんだと、以降、我々は常に対話ドアオープンにしているにもかかわらず、一方的に中国側からそのドアを閉じるような行為をされて現在に至っているという発信が足りな過ぎる。  やはり、どんどんどんどんそういうのは積極的にオープンにしていくべきなんだと思うんですね。向こうから球を投げられてその球を受けるか打ち返すかじゃなくて、こちらが持っているボールについてもやっぱりどんどん投げていく、そういう積極的な外交姿勢、きっとそれが安倍総理が言われている積極的平和主義積極性というのにもやっぱり言葉として出ているのではないかなと思います。  その上で、四点目の質問なんですが、これ最後、外務大臣にお聞きしますけれども、こういう中国韓国との間で、近隣諸国との間で歴史問題も含めたいろんなあつれきが今現在ある状況下の中で、非常に安倍外交は上手にうまく我が国国益を守りながらやっていただけていると私は評価しております。  ただし、このようなまたアンケート結果があるんですね。これは河野談話に関してのアンケート結果、先ほど示した産経FNN調査なんですけれども、新たな談話をやっぱり出すべきだという国内意見が六九・八%、ほぼ七〇%ですね。あるいは、この河野談話調査在り方談話が出された経緯をしっかりと検証すべきであるという意見が六三・七%と、非常に高い値の国民関心事項になっております。  国会の論戦の中で総理も答弁されているように、河野談話はもう見直さないと政府として決心をしたというふうにはおっしゃっていますが、調査はするというふうに言っておりますですよね。  今後、歴史認識に関する新たな総理談話、つまり、この河野談話を否定するとか、あるいはその調査の結果に基づいて慰安婦に対して何かの談話を出すとかではなくて、先ほど言いましたように、一衣帯水、お互いに引っ越しのできない関係地理的特性を持っている国々なわけですから、お互い協力し合う体制として未来志向談話、こういうものを出す予定があるのか、つもりがあるのか、外務省の見解をお聞きしたいと思います。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これまで我が国は、戦後五十周年の機会に村山談話を発出いたしました。そして、戦後六十周年の機会に小泉談話を発出いたしました。まずは、安倍内閣としましては、これらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場、これ全体を引き継いでいるというのが安倍内閣姿勢であります。  これを前提として、三月二十五日に閣議決定された主意書で述べておりますとおり、来年が戦後七十周年となります、この七十周年を念頭に置いて、しかるべき時期に、二十一世紀にふさわしい未来志向談話を発表したいと考えております。こういった考え方をこの三月二十五日に閣議決定された主意書の中で述べている次第であります。
  18. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございます。  戦後七十年、来年来るわけですね。正確に言うと敗戦後、つまり矛を収めてからですね、主権が回復してからではありませんけれども、我々矛を収めてからちょうど七十周年目に当たる来年、しかるべき時期に、前向きな未来志向談話をきっちり出していく。是非隣国からも、何というんでしょう、責める余地のないといいますか、非難する余地のない、誰が見ても非常にすばらしいことを言っているじゃないかと、やっぱり対話ドアオープンにしているのは日本だね、日本はさすがだねというような談話をしかるべき時期に出していただくように心からお願いを申し上げて、外務大臣に対する質問は終わらせていただきます。  防衛大臣防衛省関係質問に移らせていただきますけれども、まず一点目は、先日、護衛艦「あたご」、これにまつわる裁判やっと終了いたしまして、検察が上告をせずに、結論としては、見張りに当時就いていた後瀉三佐、それからもう一名、二佐の二人でしたね、長岩二佐、ごめんなさい、当時三佐ですか、長岩三佐と後瀉三佐、両方とも無罪ということが確定したわけですけれども、これを受けて、防衛省として当時出した処分の変更を行いましたね。このことについて説明をお願いいたします。
  19. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 先生指摘のとおり、両名を無罪とする東京高裁判決が平成二十五年六月二十六日に確定いたしました。防衛省といたしましては、同判決を受けまして新たに検証報告書を取りまとめ、改めて関係者の規律違反の原因、動機、状況及び程度や規律違反者の職責、部内外に及ぼす影響等を考慮いたしまして、平成二十六年三月二十八日付けで本事案の関係者三十八名のうち三十二名の懲戒処分を見直しました。  主な関係者の見直し内容といたしましては、衝突時における当時の当直士官でありました長岩三佐の懲戒処分を停職三十日から停職五日、衝突時前の当時の当直士官であった後瀉三佐の懲戒処分を停職二十日から停職一日、当時の護衛艦「あたご」艦長舩渡元一佐の懲戒処分を停職三十日から停職五日に処分の量定をそれぞれ見直したところであります。
  20. 宇都隆史

    宇都隆史君 防衛省にレクの中でもお聞きしましたら、これをもって現場で頑張っている隊員たちの名誉を回復したんだというような声も出たので私は一喝したんですけれども、停職三十日なんというのは、これは公務員を経験した方にとってみたら分かるでしょうけれども、停職三十日というのを言われたら、これは辞めてくれというのともう一緒なんですね、君はもう継続するに値しない。実際にこの裁判受けた長岩三佐、後瀉三佐にあっては五年間自分たちの海上自衛官としての職責を全うする場所には就けてもらえず、完全にその裁判をするためだけの閑職扱い。五年間ずっと、言ってみたら被告人というか被疑者というんですかね、の状態のままでいたわけですよ。その三十日を五日に減らされたからといって全く名誉回復にはなりません。  五年前、海難審判と、それから海上自衛隊の中での事故調査委員会の中で判断をして、身を切るべきであるとこれだけの重い罰則を与えたと思うんですが、結果として、裁判をしてみたらそれだけの罪を犯しているとは認められなかった、無罪であるというふうな結果が出たわけですよね。それに関する防衛省としての所見、あるいは反省の弁といいますか、どのようにお考えかということをお話し願いたいと思います。
  21. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故については、平成二十年二月十九日に発生したものですが、原処分については、横浜地方海難審判所より、護衛艦「あたご」に避航義務、避けるという義務があるという裁決が平成二十一年一月三十日に確定し、当該裁決に基づく事故調査報告書等を踏まえ、平成二十一年五月二十二日付けで懲戒手続がなされたものであります。  懲戒処分終了後、当時の当直士官二名について、護衛艦「あたご」に避航義務なしとして無罪とする東京高裁判決が平成二十五年六月二十六日に確定し、これを踏まえた検証報告書が新たに取りまとめられ、平成二十六年三月二十八日付けで関係者の懲戒処分等を見直しました。  原処分については、海難審判の裁決を踏まえ、相応の時間を掛け慎重に懲戒手続を行い、関係者の懲戒処分等を実施したと承知をしておりますが、今般、東京高裁の判決、前回とは違い無罪という形になりますが、これを踏まえ、懲戒処分等を見直すこととなりました。  防衛省としては、結果的に関係者に対して不利益を与えてしまったことを大変重く受け止めております。今後とも、このようなことが生じないよう、懲戒処分等の実施に当たっては、より慎重かつ適切な対応を心掛けていきたいと思っております。
  22. 宇都隆史

    宇都隆史君 防衛大臣、なかなか言いづらい答弁をありがとうございました。  ただし、今役所としては言えるのはそこまでなんでしょう。ただ、私の本音としては、ふざけるなというふうに言いたい。関係者の皆さん方だけの不利益じゃないんですね。結局、これは国家の不利益なんですよ。もういろんなところに問題を起こす。  実際に、隊員の士気の低下なんか考えたら、自分たちはいつでも命を懸けて国のためにやろう、事においては危険を顧みずというつもりでやっていたのに、何か事が起こったときには、不注意、現場のいろんな統制あるいは監督責任の不備ということになって現場が首を切らされる。  考えてもみてください。「あたご」という護衛艦を知らない日本人ほとんどいなくなりましたよ。しかしながら、この「あたご」というのは、物すごい何か栄誉をもらって有名になったのではなくて、非常に不名誉なことによって有名になったわけですよね。でも、結果、裁判でオープンにしてみたら、決して「あたご」側だけが悪いというわけにはならなかったというような結果が出たわけなんです。  なかなか役所からは言いにくいとは思いますけれども、当時のことを振り返ってみると、この「あたご」の衝突事故だけではなくて、いろんなもろもろの不祥事が当時海上自衛隊でありましたよね。今のように国民の九十何%が自衛隊に対して非常に評価をするような空気でもありませんでした。防衛省に対しても非常に厳しい世論が形成されている中において、私、防衛省が非常に抑圧的にといいますか、自分たち自分たちを厳しく見詰めることによって、結局こういう非常に重い厳しい、防衛省側にとって余り有利にならないような判決結果をおのずと導き出したんではないかという面が十分に反省していただきたいと思います。  それともう一つは、防衛省として、国を守る自衛官を指揮監督している役所なわけですから、是非真剣に考えていただきたいのは、正規の国家における軍事組織と自衛隊はかくも違うんだという今の法整備の至らなさというのをよく考えていただきたいんですね。国家の命令をもって軍事行動をしていた軍艦であったとしても、護衛艦であったとしても、一度事故を起こせば、そのときにウオッチに就いていた、当直に就いていた見張り義務があった二人が被疑者として書類送検されて裁判にかけられる、こんなことは普通の国の軍隊じゃあり得ませんよ。ちゃんとそこは軍事法廷の中で、時の命令が正しかったのか、命令に基づいた履行がちゃんとあったのか、それを個人に対する刑事裁判にかけられて個人がその罪を償うなんということはあり得ないですよ。そんなことをしていたら、命を懸けて国のために現場を守ろうとする隊員なんか一人もいなくなってしまう。  しかしながら、今はもうそういう法制にならざるを得ないというか、なっているわけですよね。そこはやっぱり真剣に捉えて考えていかないと、個人の不利益を及ぼす云々ではなくて、国家の不利益にこれがつながらないように一つの大きな教訓として次につなげていただきたい、このことをお願いいたします。  時間限られていますので最後の質問に移りますが、ちょっと話題変わりますけれども、現在、各自衛隊において航空操縦者へのレーシック、レーシック技術ですね、レーザーメスで視力を回復させる技術、これを解禁になっているというふうに聞いていますが、実際には、もうパイロットになった人で少し目が悪くなった人がやってもいいですよと言われているだけで、今から操縦者になりたい、自衛隊に入って飛行機に乗りたいという子たちがレーシック手術をして視力を回復させて身体検査を受けようとしても、それは不適になってしまうというのが現状としてあります。  防衛省として、今後、このレーシックの解禁、緩和、どのようにしていくおつもりなのか、御答弁をお願いします。
  23. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) レーシック技術の自衛隊のパイロットについての適用について御質問がございました。  この件については、まさに御指摘のように、既にパイロットになっておられる方については個別事例に検討を行って認めているわけですけれども、これからなろうという方については現在認められていないというのが現状でございます。  現在、実際にパイロットになられてやられた方等について症例を集めて検討をすることにしておりまして、その検討結果を持ちまして、拡充も含めて検討をしっかりさせていただきたいというふうに思っております。
  24. 宇都隆史

    宇都隆史君 是非前向きに検討をしてください。  それから、海外の軍隊はもう既に許可されているところがほとんどです。それから、航空優勢の確保が重要であると大綱、中期防でもうたっておきながら、その戦力であるパイロットというのの門戸を非常に狭めている、これはやっぱり矛盾しています。  それから、今いろいろな検討をしていく、実績を持っていく、ただ、それだけの時間があるんだろうか、悠長にしていていいんだろうかというそこの環境との整合性もよく考えた上で思い切った英断をお願いしたいと、大臣に、思います。答弁は、申し訳ありません、もう時間になりましたので結構でございます。  質問を終わります。
  25. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  前回に引き続きまして、環太平洋戦略経済連携協定、いわゆるTPPについて今日もお伺いしたいと思います。  新聞報道によりますと、米通商代表部のフロマン通商代表は全ての輸入関税の撤廃という原則論を繰り返すばかりで、妥協案を持ち出すのは結局日本側ばかりだというふうな印象を持ちます。私は、それはそのはずだと思うんですね。なぜならば、外交権が政府にある日本と違って、アメリカは議会に通商外交権があって、議会から大統領通商一括交渉権限、TPAを付与されないと結局フロマン代表は交渉カードを切れないわけですね。  実質合意を目指した昨年の十二月のシンガポールの会合が決裂に終わったのは、フロマン代表が結局は通商交渉の締結権を持たない丸腰だったためという批判も出ています。言い換えれば、ラケットを持たないでテニスの試合に臨もうとしているような状況だと思うんですね。  こういったことを考えますと、これまでのアメリカとの関税交渉優先にしていた交渉戦術は失敗だったんではないかと思うんです。現に日本は、これまでアメリカと優先交渉してきたが、隔たりが埋まらないため、今までの交渉方針を転換して、オーストラリアやニュージーランドなどアメリカ以外との関税交渉を加速させるなどという報道も行われています。  今更という感も強いんですけれども、これまでの交渉戦術が適切であったかどうかの評価をお願いいたします。
  26. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) まず、私どもは、全体として野心のあるというか、包括的でレベルの高いこのアジア太平洋に貿易・投資のルールを作っていこう、そういう経済の新しい枠組みをつくっていこうということに合意をして、これは日本経済にとってプラスになるという判断で交渉に参加をいたしております。  ただ、一方で、国会の決議もいただいておりますし、センシティブな分野、品目があることはこれはもう我々も分かっておりますので、こうした点についてはしっかりと主張をしながら、全体として、各国これはセンシティブな分野があるわけでありますので、全体としてできるだけ高いレベルのもので自由な貿易・投資の環境をつくっていこうということで、十二か国が精力的に交渉をしております。  その中で、私どもも日本国益を最大化すべく主張してきております。これはもう国益国益のぶつかり合いですので、様々な途中過程ではいろんなことが起こりますけれども、今ちょうどアメリカから大江大使が帰ってきたところですけど、日米でも、少しずつ差を詰めながらではありますが、そのゴールを目指して交渉を進めてきているところでありますので、これはもう早期の妥結を目指して最後までしっかりと交渉していきたいというふうに思っております。
  27. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ちょっと私の質問に答えていないような気がするんですけど。新聞報道やプレスリリースを見ていても、やはり今まではアメリカ交渉中心の交渉だったのが、ここに来て急にほかの国との交渉の比重が増してきているというのは、これは間違いないと思うんですね。交渉戦術に対する真摯な反省がなく、今みたいな御答弁のようでは、交渉戦術のミスに対する分析と反省もできませんし、また、今おっしゃっていたような答弁を国民皆さん聞いていますから、それを考えるとやっぱり国民の信用も失うと思うんですね。  さて、TPAに関して言いますと、アメリカ議会がオバマ政権にTPPの妥結内容を一任するTPA法案は、一月に提出された後、宙に浮いたままなんです。上院では、与党のトップのリード院内総務がTPA法案の棚上げを実際には表明しております。また、昨年の十一月に、二百名近いアメリカの国会議員がこのTPA法案に反対する書簡をオバマ大統領に提出しているんですね。こういった動きを見ておりますと、法案可決は十一月の中間選挙後に持ち越される可能性が高いんじゃないかと思うんです。  交渉参加前の民主党政権時代からTPAについては答弁などで触れていましたので、今の与党が知らないわけがないと思いますし、また、TPAの問題は交渉参加時には分かっていたことだと思うんです。安倍政権は、交渉参加の準備交渉から今まで、これに対して何か対応策を打たれているんでしょうか。
  28. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) TPAについて御質問いただきましたが、我が国が昨年TPPに交渉参加した時点で二〇〇二年のTPA法は失効しておりました。しかしながら、我が国の交渉参加に当たりましては、米国は二〇〇二年TPA法で定められている議会通知等の手続を踏襲いたしました。要は、新規交渉参加国との交渉参加の少なくとも九十日前に議会に交渉開始の意図を通知する、この部分であります。  そして、本年一月九日、TPA法案が米国議会に提出されたわけですが、米国におきますこの法案の審議については、この審議はまだこれからでありますし、この先行きについて我が国から何か申し上げることは控えなければならないと存じます。米国の国内法案の取扱いということですのでコメントは控えたいと思いますが、それぞれの国において、国内の議会の承認を得、そして国民に説明する、これは各国がそれぞれの責任において行うべきものであると考えております。  我が国としましては、是非国益にかなう最善の道を追求するべく、この早期妥結に向けて全力で取り組んでいく、これが我が国として考えなければならない対応であると認識をしております。我が国としましては、交渉に全力を挙げつつ、米国国内国内法の取扱いについても注視をしていきたいと考えています。
  29. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私は質問通告のときに内閣府に答えていただきたいと言いましたので、是非お答えいただきたいと思います。
  30. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) まず、先ほどのちょっと補足から入らせていただきますけれども、このTPP十二か国の中で、やはりアメリカ日本が二大大国であります。この日米の交渉の動向をほかの国々が見守ってきたという面もあると思いますので、まず、我々は、日米で是非交渉をリードしていこうという姿勢から、日米でまず合意できる点を探していこうということで交渉を進めてまいりました。  一方で、ルールほか、三月のシンガポールでの会合で相当進展をしましたので、最終局面に入ってきたということだと思いますので、私どもとしても、各国との交渉も併せて同時並行的に今行ってきているというのが現状であります。  その上で、アメリカ国内の話については、今外務大臣から御答弁あったとおりですけれども、基本的に、各国十二か国がそれぞれ国内の手続は責任を持ってやるということでありますので、私どもも、国会の決議を踏まえて、最終的には国会で御承認いただけるように、そのことを頭に置きながら交渉を進めているわけでありまして、アメリカアメリカ自分たちの議会との関係を整理しながら交渉をやっている、このTPA法案の扱いについてもアメリカが責任持ってやってもらうということでありますので、これは、今外務大臣から答弁あったとおり、私どもとしてこのことについて答弁は差し控えたいと思いますけれども、これは責任持って各国がやるということであります。
  31. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 今の御答弁ですと、まず、アメリカ以外の国々に日本アメリカが交渉しているところを見せて、それで皆さんにお示しするというか、交渉を見守るとおっしゃったのかしら、そういうふうにおっしゃっていましたけれども、でも、そもそも交渉できる相手じゃないのに交渉を見せるというか、皆さんに披露するというのはどういうことなんでしょうか。ちょっと今御答弁の意味が分からなかったので。
  32. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 最終的に仕上がったときに国内手続をどうするかというところは各国が責任持ってやるということでありますので、アメリカアメリカで今交渉している内容、最終的に妥結をしましたら、その内容をしっかりと国内手続にのせて批准できるようにしてもらうと。我々も我々で、妥結すれば、その内容を国会にしっかりと御審議していただいて承認をいただくということで臨んでおりますので、ここはそれぞれが十二か国お互いの信頼関係の中で国内の手続には責任を持って交渉に臨んでいるということでありますので、そうした前提で、二大大国であるアメリカ日本がまずは全体の交渉をリードしていこうということで、日米の交渉を、ある意味で日本の立場としてはアメリカとの交渉を優先させてきたというところであります。
  33. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 交渉をリードするとか、交渉という言葉をよくお使いになりますけれども、そもそも交渉できないんですね。交渉できる環境整備を交渉相手に要請するのもやはり外交交渉の一部だと思うんです。  このTPAの問題を放置しますとどういうことになるかというと、京都議定書のようなことになると思います。あのときのように、やっぱりお金も労力も物すごくたくさん使って、結局無駄になってしまう。この間も申し上げたように、七割、八割進展してきたということですけれども、結局、最重要国に交渉内容がひっくり返されるかもしれないのでは、七割、八割の土台自体が崩れるどころか、土台が崩れるどころか土台がない状態なのではないでしょうか。どうですか。
  34. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 補足があれば外務省からまた御答弁いただければと、私の理解が間違っていれば御答弁いただければと思いますけれども、アメリカにおいては、おっしゃったとおり議会が外国との通商を規制する権限を有すると、これはアメリカの憲法の一章第八条三項と理解をしております。一方で、政府も幅広い執行権、これは第二章一条一項ですけれども、有しております。その中で通商交渉権限を有しているというふうに解されておりまして、TPAがなくともアメリカ政府はTPPを含めて通商交渉参加をして署名できるものというふうに解されていると承知をしております。  現に、アメリカとヨルダンのFTAにおいても、交渉から署名、議会承認に至るまで、TPAはなかった中でアメリカ政府は交渉を進めて、これを署名をして、議会承認、発効というふうになっておりますので、そういう意味では、政府も一定の権限ある中で、リスクを負いながらだと思いますけれども、責任持って進めているということだと思います。
  35. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ちょっと今のことに関してはまた後ほど触れたいと思いますけれども、佐々江賢一郎駐米大使が、今年の一月二十九日に、結局、TPAがないとTPPは最終的に完結しないと意見をおっしゃっているんですね。この意見にはベトナムとかマレーシアも同調しているわけです。  この両国を始めとして、アメリカ以外の十一か国と団結して、まずアメリカに対し、このTPAの問題を解決するよう強く要請したらいかがでしょうか。
  36. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) アメリカ政府の交渉権につきましては、ただいま内閣府から御説明させていただいたとおりであります。  そして、それぞれの国内の議会の承認を得るという部分につきましては、各国がそれぞれ責任を負うべきものであるということ、先ほども申し上げさせていただきました。そして、その議会の承認等において予定どおりの結果が得られないとしても、日本のみならず他の十か国も同じだと存じますが、基本的に再交渉に応じるということはあり得ないと考えております。  我が国としましても、この交渉において、アメリカ国内の動きがどうであったとしても再交渉には応じない、こういった姿勢でしっかり臨んでいきたいと考えています。
  37. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 もしもこれが逆の立場だったら、アメリカは絶対日本に強硬な要求をしてくると思うんですよ。やっぱり言うべきことを言うのも交渉戦術の一つだと思います。  今後の交渉ですが、アメリカは中間選挙を控えて譲歩しづらい状況にあり、かつ、先ほど述べましたように、先方は交渉者が交渉カードを切れる状況にないんですね。このような状況ですと、交渉と言いつつ、実質的には日本側が一方的に譲るんじゃないかという懸念を拭えないんです。  妥協ができない状況の相手方に対し交渉の成果が上げられるという見込みと根拠を教えていただきたいと思います。
  38. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 私も十二月にシンガポールへ行きまして、実際に日米の交渉もやりまして、全体の交渉もやりました。その中で、アメリカが全く何もカードが切れないというか、何もできない中で交渉をしているとは認識をしておりません。  先ほど申し上げたとおり、政府政府で交渉の権限があり、執行権の中でやっておりますので、その中で交渉が進められているというふうに理解をしておりますし、現に日米で今実務者レベルで交渉して、今、日本に戻ってきましたけれども、これも甘利大臣とフロマン代表の間で、権限をそれなりに与えて交渉させようということで、ほかの十二か国も含めてですけれども、三月のシンガポールでそういう合意をして、事務レベルでの交渉を今それぞれの分野で、あるいは日米交渉も進めているわけでありますので、その中で、確かにまだ隔たりはありますし、なかなか頂上が見えているわけでないという表現を大江大使はしておりましたけれども、実際には具体的にはいろんな議論をしておりますので、それは具体的な中身は申し上げられませんけれども、私は、しっかりと交渉して、お互い主張をぶつけ合う中でゴールを目指して進めているというふうに理解をしております。
  39. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 西村副大臣、また外務大臣、お二人は先ほどから交渉、交渉とおっしゃっていますけれども、やはり実際には交渉できないんですね。だから、できないのが事実なんです。ですから、そういうふうに見えても、シンガポールに行かれて、そういうふうに交渉できるように見えたとおっしゃっていましたけれども、実際には交渉できないんです。  さて、四月、今月の二十二日と二十三日にはオバマ大統領が来日して安倍首相と会談をすることになっております。私は、非常に心配しているのは、また大統領にお土産代わりに何かすごいものを譲ってしまうんではないかという、過去の経験もありますので、そういったことがあるような気がしてならないんですけれども、いかがでしょうか。
  40. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米関係につきましては、昨年来、普天間飛行場の移設問題あるいはTPPの交渉参加など様々な具体的な成果を積み上げて二国間関係の充実に努めてきております。また、中東和平やシリア、あるいはイランの核問題等グローバルな課題においても両国協力関係の実績を積み重ね、日米同盟の強固さを示してきています。  今月、オバマ大統領の訪日が予定されています。その訪日の際には、昨年来積み上げてきた、そして強固なものであることを確認してきた日米同盟の強靱さを改めて内外に示す機会にしたいと存じます。そして、その後の日米同盟の更なる進展の弾みとさせていただきたいと存じます。こうした大きな成果をこの訪日に期待するところであります。  その中で、TPP交渉につきまして、我が国国益を損なうような形の安易な妥協というのはまず考えられないと我々は考えております。
  41. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 西村副大臣も責任者のお一人として、継続的かつ重大な国益を他国へのお土産などにしないように総理を抑えていただければと思います。  次に、TPP交渉妥結後の流れの確認をさせていただきます。  通常の条約と同様、TPPについてもこのような流れと理解してよろしいでしょうか。まず、採択によって協定文の確定がなされ、その後、各国の議会による承認、批准がなされた後に締結、その後効力が発生すると、こんな流れでよろしいでしょうか、副大臣
  42. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 御指摘のとおりでありまして、交渉妥結の後にその協定文、共通の、十二か国で合意したことについて協定文の整理、よくリーガルスクラブ、もうごしごし法律的に整理をするというふうに言いますけれども、同じ単語が同じ意味で使われているかどうかとか、そういう整理をして、その上で、日本の場合は日本語訳、これも整理をし、法制局にしっかりと見てもらって、用語が同じように使われているかというようなことを整理をした上で署名に至るわけであります。その上で、その協定本体、附属書とかそういったものも含めて公表して、国会に御審議いただくということになります。
  43. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 では、TPP妥結後、協定はいつ効力を発揮するのでしょうか。全ての国が批准したときか、あるいは二か国でも批准した場合には効力を発揮し始めるのでしょうか。
  44. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) この協定の発効要件につきましても、交渉の中身、具体的中身に入りますので答弁は差し控えたいと思いますけれども、我が国としては、国益にかなう内容をしっかりと交渉の中で実現をして、できるだけ早期にこれが妥結し、そして発効していくように是非対応してまいりたいというふうに考えております。
  45. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 先日もそうなんですけれども、私、いつも、中身というよりもルールのことをお聞きしているので、そのぐらいは国民に答えていただいてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、やはり今日もお答えできないということで、国民皆さんは残念がっていると思います。  合意後、参加国での批准時に合意事項の一部否認が行われることも考えられます。特に、アメリカの場合、TPAがないままだと政府が結んだ協定を議会が修正できてしまうんですね。すなわち、協定のいいとこ取りになる可能性が非常に高いわけです。その場合どうなるかということを事前に当局に御質問させていただいたところ、一旦合意したものを後でリセットするのは信義に反するものであることから、日本政府としては、基本的に再交渉には応じないという姿勢で臨んでいますという回答をいただいているんですね。  再交渉、再協議がない以上、アメリカに関してはTPPの協定から外れるということになります。それは、否認事項についてのみアメリカがTPPの協定から外れるのか、又はTPP全体についてアメリカが加盟しないということになるのか、そのどちらになるんでしょうか。
  46. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 先ほどからの答弁の繰り返しになりますけれども、基本的に各国が、その妥結した内容について、国内手続、特に議会との関係、議会での承認等については責任持って行うということでありますので、私どもも国会決議を常に頭に置きながら交渉し、最終的にこの国会で御承認いただけるようにという内容を頭に置きながら交渉に臨んでいるわけでありまして、これはアメリカも当然そういうことで交渉しているものというふうに理解をしております。十二か国が当然、各国国内の手続については責任を持つということであります。  仮にこれが何らかのことで国内手続がうまくいかなかった場合にどうなるかということですけれども、先ほど岸田外務大臣から答弁ありましたとおり、私どもとしては、これは中身一部難しいからもう一回交渉をやり直してくれと言われてもこれには応じられないと。全体として、各国のまさに利害が、十二か国、センシティブなところもあれば得意なところもある中で、全体で、パッケージで、お互いに交渉した結果として言わばガラス細工のように恐らくでき上がるんだろうと思いますので、その一部だけを取り出してもう一度再交渉というのは、これは基本的にはもう私はあり得ないというふうに思います。再交渉には応じないという姿勢で臨んでいるところであります。
  47. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ということは、いいとこ取りは認めないということですね。だとすると、TPP交渉におけるTPAの重要性がますます大きくなるということだと思います。  当然余り想定したくないことですけれども、TPPの一括合意がもし失敗した場合、今までに合意された二国間の事前協議ですとか並行交渉で取りまとめた二国間合意、あるいは二十一分野合意に至ったと言われている項目の扱いはどういう扱いになるんでしょうか。
  48. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 交渉中のことでありますので、これも将来どういう形で合意されるかというのは今の段階で予断を持ってお答えすることはできませんけれども、並行協議については、これはTPPが発効する時点で実施されるということになっておりますので、当然、TPP協定が発効しない場合にはそれは実施をされないということになります。
  49. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 事前協議や並行交渉での譲歩した合意などは、今おっしゃっていたとおり、TPPが最終合意に至らなければ発効しないということですね。ということは、自動車ですとかそのほかの交渉で大分もう譲歩を重ねてきたので、多くの皆さんが今日の答弁を聞いて安心したかと思います。ありがとうございます。  次に移りたいと思います。  アジア太平洋の地域経済連携としてのTPPの位置付けについてお伺いしたいと思います。  日本は元来、WTOを中心とする多角的な自由貿易体制を重視してきました。ですが、WTO交渉が停滞し、さらに世界的にFTA締結が活発になってきました。日本も二〇〇一年の一月のシンガポールとの交渉開始を皮切りにFTA交渉を推進してきました。特に、日本のFTAの特徴としては、物品サービスの貿易の自由化だけではなくて、投資ですとか人的交流、知的財産などのいろんなルール作り、いろんな分野でのルール作り、幅広い分野において経済上の連携強化を図るEPAであることです。これは、二十一の交渉分野を持つTPPにもつながる考え方だと思うんですね。  ただし、日本はこれまで二国間EPAを積極的に推進してきました。なぜならば、二国間の交渉によって相手国の事情に即した、かつ日本の事情を勘案することができる、言わばきめ細やかな対応ができる日本の個性に合った方法であるからだと思われます。  二国間EPAだけではなくて、新たに地域経済連携であるTPPを追求していく意義を岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 自由貿易の推進は我が国の通商政策の柱であります。各国の力強い経済の動きをしっかり取り込んでいくためにも、こうした自由貿易を推進していかなければならないと考えております。そのために、TPP交渉、もちろんでありますが、それ以外にも、日中韓FTAですとか、あるいはRCEPなど、合わせて九つのEPA交渉を今、同時並行的に、そして戦略的に、そしてスピード感を持って推進をしているというのが我が国の取組であります。  そして、二国間EPAにつきましては、当該国との貿易投資を促進するこうしたビジネス上のメリットのみならず、これらの国々とEPAを通じて協力関係を深化させることによって、政治ですとか外交、さらには安全保障面でも二国間関係の強化を可能にする、こういったことから、この二国間EPAを我が国としましても重視をしております。  一方、TPPのような地域経済連携ですが、これは、アジア太平洋地域など我が国にとって重要な経済圏において、日本が実現したいルールについて共通利害を有する国々とともにそれを多国間で適用する、こうした体制をつくっていく上で大変重要な取組であると考えております。  このように、それぞれのメリットがあり、こうしたそれぞれの取組を同時に進めることによって、お互いに刺激し合い、そしてダイナミズムが働いていくことを我が国としては期待をしていきたいと考えております。
  51. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  それぞれの状況に合わせてきめ細かく折衝できるEPAなども、是非引き続き積極的に推進していただければと思います。  TPPは、APECによるFTAAP、すなわちアジア太平洋自由貿易圏の構想へと続く道だと広く認識されています。ですが、そもそもAPECは、アジア太平洋諸国の持つ多様性を前提として、先進国と発展途上国による緩やかな地域協定という性格を持っており、ハイレベルの市場開放を求めているTPPとどの程度整合性があるのかなと思うんですよね。  現在、TPP協定の交渉に参加していないAPECのメンバーのうち、米韓FTAを締結している韓国はともかく、例えば中国ですとかロシアなどが本当にTPPレベルの地域経済連携に参加することが可能なのかどうか、現実的にどうなのかなと思うんですが、TPPはFTAAP構想へと続く道とされていますが、その実現の可能性と実現への道筋について岸田外務大臣はどのように認識していらっしゃるのか、その辺をお聞きしたいなと思います。
  52. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のとおり、TPPにつきましては、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現に寄与する地域的取組であり、包括的かつ高いレベル協定を目指して現在精力的に交渉を進めているところです。また、TPPに加えて、現在交渉中の日中韓FTAあるいはRCEP等もこのFTAAPに寄与する取組であり、我が国としてその実現に向けて努力をしているところであります。  二〇一〇年十一月に日本で開催されましたAPEC首脳会議において採択されましたアジア太平洋自由貿易圏への道筋、FTAAPへの道筋におきましても、FTAAPは、TPPと現在進行している地域的な取組を基礎として更に発展させることにより、包括的な自由貿易協定として追求されるべきである、こういった旨述べられております。  よって、APECにおきましても、今申し上げましたようにこのFTAAPを捉え、FTAAP実現に向けて努力を進めていく方針であると承知をしております。
  53. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 アジア太平洋全体の経済連携はもちろん目指さなくてはいけないと思いますし、そういった方向に行くというのも私もいいと思いますが、ですが、今の御説明を聞いていますと、ちょっと具体性が不足しているように思います。具体的な戦略に基づいた着実な推進を是非お願いしたいと思います。  岸田外務大臣はTPPとそのほかの地域経済連携の動きについて、日本はTPP交渉を進めると同時に、RCEPを始め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの間でも高いレベル経済連携交渉を積極的に進めているところであるというふうに述べています。さらに、こう国会で答弁されていらっしゃるんです。こうした様々な取組が互いに刺激し合って、その全てが活性化するというダイナミズムが働いていくことに期待していると。  それでは、TPPがRCEP、日EU・EPA、日中韓FTAにどのような影響を及ぼしているのか、TPPが進展すれば、ほかにどのような刺激を与え、どう活性化するのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  54. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 二〇一〇年三月にTPP交渉は開始をされております。それ以降、我が国が参加している日中韓FTA、あるいは日EU・EPA、さらにはRCEPに加えまして、米国及びEU間のFTAであります環大西洋貿易投資パートナーシップ、TTIP交渉、こういった交渉も開始をされてきております。  これは、TPPのような大型のEPA交渉の進展が他のEPA交渉を刺激し、そして世界規模で貿易投資の自由化を推進することを目的としたEPA交渉の動きが活性化していることを示していると考えております。また、TPP交渉においては、環境、知的財産、競争等の先進的で次世代の通商協定のモデルとなるような二十一世紀型の協定を目指して交渉が進んでおり、他のEPAにも内容面で魅力的な先進事例を提供していると考えております。  こういった形で、交渉の進行においてもまた内容においてもTPP交渉は様々なEPA交渉に影響を与えている、こういった形で互いに刺激し合いダイナミズムが働いていく、こういった成果につながっていると認識をしております。
  55. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  この三月六日、TPP交渉参加を検討する韓国との事前協議が開かれています。韓国が交渉に参加すれば、日本韓国の関税交渉はTPPに舞台が移ると思うんですね。交渉中の日中韓FTAへの熱意を韓国がそうすると失っちゃうんじゃないかなと心配します。  中国ともFTAを結びたい日本にとってはいいことばかりでないと思われますが、この辺りの懸念についてはいかがでしょうか。
  56. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、地域の経済連携、二国間あるいは三国間のEPA、それぞれ特徴がありメリットがあると考えています。そして、内容におきましてもそれぞれ協議が進んでいるわけですので、我が国としましては、同時並行的にそれぞれ精力的に交渉を続けていきたいと考えております。そして、結果として、それぞれの交渉が刺激をされ、そしてそれぞれの成果につながっていくということになることが大事であると考えております。  是非、同時並行的にそれぞれの交渉は進めていきたいと考えております。
  57. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 続いて、食の安全についてですが、昨年の四月、参議院の農林水産委員会が可決したTPP協定参加交渉に関する決議の第二項目には、食の安全について触れています。この食の安全に関し、TPP交渉と並行して行われている日米協議で、昨年の十一月に日本は現在の遺伝子組換え食物の表示や食品の安全基準を変えなくていいことを確認したというふうに報道されています。  この報道は事実なんでしょうか。その報道の一方で、食の安全に関し、二十五年の四月に甘利大臣の記者会見においてこういう発表がありました。遺伝子組換え作物に関しては、アメリカ側として提起する事項に含まれていないとの説明をアメリカ側より受けているということなんです。  遺伝子組換えに関してはいいニュースだと思います。ただ、その反面、食の安全に関し、遺伝子組換えだけがアメリカ側として提起する事項に含まれていないと明示されるということは、もしかしたらほかの食の安全基準や表示基準については論点として提起する事項に含まれているんじゃないかと心配するんですが、いかがでしょうか、副大臣
  58. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 食の安全、安心については、これは我々も、決議もありますし、党の公約もありますし、何より、そういうのがあるなしにかかわらず、日本の社会経済にとって最も大事な一つだと思っておりますので、これは交渉を通じてでもしっかり守っていかなきゃいけないというふうに考えております。  具体的な内容をまた申し上げられないこと、本当に申し訳ないんですけれども、しかし、いや、これはもうしっかりと守っていくということでありますので、御心配のないよう、最後までちゃんと注意しながら交渉していきたいというふうに思っております。
  59. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 日本経済成長のために、もちろん自由貿易の推進が重要であることは私も同意見なんですけれども、ですが、これらWTOやTPPが目指す自由貿易の推進よりも、環境問題や健康、食品の安全性など、命を守ることに関わる問題は優先されるべきと考えますが、どちらの方が重要だと思いますか、優先だと考えますか。自由貿易なのか、命を守ることなのか、明確にお示しいただきたいと思います。
  60. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 両方大事でありますので、しっかりと両立できるように交渉を粘り強く注意をしながら行っていきたいと思います。
  61. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 TPPは国民生活と日本国益に重大な影響を与えることが想定され、国民の関心も非常に高いと思います。何度も申し上げていることですけれども、是非、一刻も早くTPP特別委員会を立ち上げ、国益を守るための議論の場を設定していただきたいと思います。  質問を終わります。
  62. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  岸田外務大臣、先週の金曜日、日本記者クラブにおきまして、ODA大綱の見直しのための有識者会議を立ち上げるということを政策スピーチの中で御表明をいただきました。大変高く御評価を申し上げたいというふうに思います。  先月十七日、予算委員会の委嘱審査におきまして、こちら、参議院外交防衛委員会におきまして、私からも、現行のODA大綱が策定されたのが平成十五年でございまして、ちょうど十年がたった現在、ODAをめぐる国際環境も大きく変わってきております。当然、ODAとしてこれまで進めてきた根幹であります理念、原則、あるいは立案、実施の在り方の根幹となってくるODA大綱でございますので、この見直しというものは、今後およそ十年近く想定されるかと思いますけれども、ODAの政策において極めて重要な見直し作業になってくるというふうに認識しております。  是非、様々なアクターもございます。NGOの方々、あるいは民間のODAに関わる方々、様々な方々の御意見も踏まえつつODA大綱の見直し作業を進めていただきたいというふうに思いますけれども、大臣から、まず、今回なぜこのような形でODA大綱の見直しをすることに至ったのか、それから、これは今後有識者で御議論いただく話ではあるかと思いますけれども、今大臣としてどのような見直しを想定しておられるのか、また、時期としてはどれぐらいの時期をめどにこの見直し作業を終えられる予定なのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現行のこのODA大綱が策定されましたのは二〇〇三年ですので、十一年前ということになります。その間、この日本の国も、また国際社会も大きく変化をしております。そして、ODA自身に求められる役割も変化しております。こういった中でありますので、やはりODAも新たな進化を遂げるべきであるという観点からこの度この見直しを行うこととさせていただきました。  新たな進化ですが、具体的には、第一に、我が国として今後のこの開発協力考えるに当たりまして、この包摂性あるいは持続可能性、強靱性、この三つを新しい開発協力の羅針盤として、女性、国際保健、気候変動、防災、こういった分野協力を強化して国際社会の議論をリードしていくことをまず考えたいと思っておりますし、第二としまして、開発の不可欠の土台となります平和で安定した社会を実現するための支援、これにしっかり取り組んでいきたいと考えておりますし、そして三つ目として、民間企業、NGO、自治体、国際機関といった様々な主体との連携を強化していくこと、これを考えていかなければならないと思っております。  そして、この大綱につきまして、具体的な内容につきましては、有識者懇談会を立ち上げて、六月頃をめどに報告をいただく予定にしております。そして、この議論を踏まえて検討を加え、是非、年内にこの新しいODA大綱、閣議決定を目指したいと考えております。
  64. 石川博崇

    ○石川博崇君 報告をいただいた後、取りまとめまで、今、年内とおっしゃっていただきましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、様々なアクターの方がいらっしゃいますので、是非幅広く意見を聞いていただきながらこの新しいODA大綱を力強く取りまとめていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。  お手元に配付させていただきました資料を御覧いただきたいというふうに思います。  日本のODA、今年がちょうど開始しましてから六十周年の節目を迎えることとなります。その節目の年にODA大綱を見直すということも極めて意義のあることだというふうに思いますけれども、この六十年間、日本のODAが果たしてきた役割、世界各地における、アジア、アフリカを始め、貧困削減、あるいは医療水準の向上、さらには水、女性といった幅広い分野の中でこの日本のODAが役割を果たしてきた、そのことによって国際社会における日本の信頼というものも勝ち得てきたのではないかと確信をしているところでございます。  しかしながら、昨今、ODA予算、一般会計当初予算の推移を見ていただきますと分かりますとおり、政府全体のODA予算としては平成九年をピークに削減の一途をたどってきておりまして、ピーク時と比べますとおよそ半減、政府全体のODA予算としては半減という状況になっております。外務省ODA予算は四年連続微増と書いてありますけれども、やはり政府一体として国際社会経済開発援助をどういうふうに取り組んでいくのかということで、今回このODA大綱の見直しの時期にあって、またODA六十年という節目にあって、いま一度私ども国民一人一人もしっかり認識し、また考えていくべきときなんではないかというふうに思います。  当然、財政状況が厳しい中でございます。なかなかそのODAの予算を増やすといっても難しい面はあるかと思いますけれども、これまで六十年間果たしてきた役割ですとか、あるいはその中でどう日本国際社会の中で信頼を勝ち得てきたか、そうしたことを国民の皆様に広く認識していただく、知っていただく、そういう年にも是非していただきたいというふうに思っているところでございます。  様々なこと、外務省としても御検討いただくかとは思いますけれども、例えばシンポジウムを開催して幅広く国際社会の方々に日本のODAの果たしてきた役割について御議論いただく、御評価いただくような場を設けることも有意義かというふうに思います。  今後、こうしたODA予算をどういうふうに組んでいくのかという意味で、国民の理解を得ていく努力について、外務大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ODA六十周年を迎えるに当たり、そして今後のODAの更なる進化を考える際に、国民の皆様にこのODAの役割をしっかり認識していただくこと、大変重要だと認識をしております。また、ODAの予算の充実を考える際にも国民の理解を得るということ、大変重要なポイントであると考えております。  そういったことから、まず、この六十年間にわたる我が国のODA、国際社会の平和と安定及び繁栄に大きく寄与してきました。こうした我が国の積極的な国際貢献について、六十周年を迎えるに当たりまして、国内外により一層幅広く周知されるよう積極的にアピールに努めたいと考えております。  その一環として、先ほど委員からも御指摘いただきました、先週、私自身も日本記者クラブで講演をさせていただき、そして、この日本のODA六十年の歩みを振り返り、今後のODAの方向性に係る私自身の考えを述べさせていただきました。また、例年、国際協力の日であります十月六日前後に開催しております国際協力のイベント、グローバルフェスタ等の機会も利用して、我が国ODAが果たしてきた役割につき広く知っていただくよう努めていきたいとも考えております。今般、国際協力六十周年ロゴマークを作成いたしました。こうしたものも広報に積極的に活用したいと考えております。さらに、ODA大綱見直しに係る議論も踏まえて、本年秋頃をめどに国際協力六十周年記念国際シンポジウムを開催することを検討しております。  こうした様々な取組を通じまして、是非ODAを広く国民の皆様方に御理解いただけるよう努力をしていきたいと考えております。
  66. 石川博崇

    ○石川博崇君 是非、非常に大きな節目だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  そして、ODAを取り巻く国際環境の中で、ここ十年近く、何が一番大きく変わってきたかというふうに考えたときに、一番大きく変わってきておりますのは、やはりグローバル経済が非常に進展をしたという中で、途上国において民間資金が大きく流入をしているということだというふうに思います。特に開発途上国におきましても、先進国からのODA資金を上回る民間資金が流入している国・地域が非常に増えてきております。そういう意味で、今後こうした民間資金をどう活用していくのか、途上国の開発あるいは発展を考える上で極めて重要な視点と捉えていかなければならないというふうに思います。  先ほどグラフでお示ししましたとおり、政府全体のODA予算は削減の一途をたどっているわけでございますが、そうした中で民間資金、プライベートファンドをどういうふうに活用していくのかというふうに考えたときに、実は経済協力というものはODAだけで行っているわけではないという視点を我々は忘れてはいけないというふうに思います。公的資金の中で、経済協力の中で大きな役割を担っておりますのが、今日は経産省、財務省さんにも来ていただいておりますが、財務省の管轄しておりますJBICが行っている国際金融であったり輸出信用の事業、あるいは経産省さんが所管されておりますNEXIの貿易保険などの事業、こうした、ODAではないですが、経済協力の枠組みとしてOOFというふうに言われておりますその他の公的資金でございますが、このその他の様々な公的資金との連携をいま一度しっかりと見直すことが重要なんではないかというふうに思っております。  なかなか、所管省庁が異なる中で、これらの一体的な協力というものが私自身は余り順調にできてきていなかったんではないかという認識を持っておりますが、今後こうした各国への経済協力政府として一体として進めていく上で、当該国へのOOFをODAとどう組み合わせていくのか。今ODAは、各国ごとに国別援助計画というものを取りまとめ、先方政府とも協議の上で策定しておりますけれども、こうした国別援助計画の中にもOOFというものをしっかりと位置付けていくとか、外交政策の一環の中にこうした各国への経済協力全体、公的資金全体を企画立案できる体制にしていくべきではないかというふうに考えております。  そういう意味で、JBICを所管されている財務省、それからNEXIを所管されております経産省から、今後の連携の強化の在り方について御答弁をいただきたいと思います。その上で外務大臣から、今回のODA大綱の見直しにおいても、こうした各資金との連携強化について御所見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  67. 山田淳

    政府参考人(山田淳君) お答え申し上げます。  日本企業の海外展開支援に関する各省庁の連携につきましては、官房長官を議長とする経協インフラ会議を中心に省庁横断的な体制を取っているところでございます。同会議で取りまとめられたインフラシステム輸出戦略の下、財務省といたしましては、日本企業の海外展開に資する全ての事業を対象とした海外展開支援融資ファシリティをJBICに創設する等、民間資金の更なる動員に向け、公的金融による柔軟な支援策を用意しているところでございます。  財務省といたしましては、先生指摘のとおり、今後とも、省庁の垣根にとらわれることなく、政府一体となった日本企業の海外展開支援に貢献してまいりたいと考えているところでございます。
  68. 森清

    政府参考人(森清君) 今の財務省からの答弁に追加させていただきます。  貿易保険につきましては、我が国企業の海外インフラプロジェクトへの参画を促進するため、民間の保険では提供できないテロ、戦争によるリスクへの更なる対応などを図るべく、今国会に貿易保険法の改正法案を提出しております。  今後ともでございますが、経協インフラ戦略会議を中心に、外務省、財務省を始め関係省庁と連携し、日本企業の海外展開に貢献してまいりたいと考えております。
  69. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ODAの活用につきましては、ODAでない公的支援スキームでありますOOFとの連携にも留意しながら、政府全体として戦略的に経済協力を進めていく考えです。  私自身もこのメンバーですが、政府経済協力インフラ戦略会議においても、関係省庁に加えて、OOFの実施機関である国際協力銀行あるいは日本貿易保険の関与を得て、政府及び政府関係機関が一体となって、我が国企業の海外進出を後押しするための方策を議論してきております。そして、このODA大綱の改定の議論は、これから有識者委員会の議論等を踏まえて行っていくこととなりますが、この官民連携の推進、こうした論点につきましてもしっかりと議論を行っていただけるものと考えております。
  70. 石川博崇

    ○石川博崇君 今、それぞれ各省からお話のありました経協インフラ戦略会議、これは、日本の企業がどのように各地域また国へ進出を図っていくか、それをどう政府として後押ししていくか、これが非常に重要な視点でございます。  私が申し上げたかったのは、これまでODAが果たしてきた経済協力あるいは開発援助という視点から、当該国あるいは当該地域との外交関係、あるいは日本外交戦略、そういった中にNEXIでありますとかJBICの事業というものをどう位置付けていくのかという視点が私は重要なのではないかというふうに思っております。  当然、日本の企業がどういう事業を行いたいか、これを側面的にサポートしていくことも大事なのでありますが、それぞれの国が抱えているニーズ、あるいは日本に対する要望、そうしたものを踏まえて、政府資金としてそこに呼び水となっていくような取組が私はJBIC、NEXIとしてもやっていけるのではないかなというふうに思っておりますので、今後とも密に連携を取っていただいて進めていただきたいということを御要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、別のテーマでございますが、一昨年、二〇一二年、新しい入管法が施行されております。もう間もなく新たな入管法が施行されて二年になるわけでございますが、これまでの外国人登録法に基づく登録が廃止され、在住外国人の方々にとっては、在留カードを保持していただくという大変大きな変換がなされました。一年半近くたちまして、様々現場から、在住の外国人の方々あるいは永住者の方々からも御不便を感じておられる点等出てきているところでございます。  例えば、それまでの外国人登録法に基づきましては、各地方自治体がこの外国人登録の原票、外国人登録原票を基に、それぞれ更新期間が来たときには更新時期の案内通知を送っている地方自治体もございましたが、今後は、在留カードは国が、法務省が管理する、管轄し、発行することになりまして、更新の案内通知が届かなくなるんではないかと。そうした場合、在留カードが更新されないまま放置されて、最悪の場合、懲罰刑を受ける可能性もある、あるいは退去強制事由にも該当することがあるのではないかという心配もありました。  地方自治体によってはこうした更新手続を引き続きやるというふうに考えている自治体もあるようでございましたけれども、これは全国的な課題でもありますので、これまで法務省に対しまして、この在留カードの更新登録の時期において案内通知を発出すべきではないかということを求めてまいりました。これについて法務省としてどのように対応されているのか、御説明をお願い申し上げます。
  71. 杵渕正巳

    政府参考人杵渕正巳君) お答え申し上げます。  外国人登録制度下におきましては、外国人登録証明書の切替えに係る個別通知が行政サービスの一環として各市区町村の判断によって行われてきたものと承知しております。  ただいま先生指摘の新在留管理制度後における更新案内につきましては、多くの方の切替え期限となる平成二十七年七月八日以前に法務省において具体的な通知を実施する予定であり、現在その方法について検討を行っているところでございます。
  72. 石川博崇

    ○石川博崇君 今回、平成二十六年度予算の中で法務省として概算要求をしていただき、今年度、今日から平成二十六年度でございますけれども、今年度予算の中でしっかり全国の在住外国人の方々に対する案内通知、更新時期の案内通知を送ることを盛り込んでいただいたということを御評価申し上げたいというふうに思います。  今おっしゃっていただいたとおり、来年七月がピークを迎えるということでございますので、その前にしっかり案内通知が発出できるよう手続を進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  また、今回の外国人登録法からの改正によりまして、外国人住民の方々は住民基本台帳の適用対象となりました。この住民基本台帳の適用対象となったことによりまして、それまで難しい漢字や、また略字を使用されておられた外国人の方々が、住民基本台帳ではいわゆる正字というものに変更することが余儀なくされているところでございます。そうしますと、自国で使用している略字あるいは難しい、難解な漢字などの字と、それから居住国たる日本での証明書記載の漢字が一致しないということによって、同一人物と認定されなくなるおそれがあるというお声がございます。  このことについてどのように御対応されているのか、法務省の御説明をいただきたいと思います。
  73. 杵渕正巳

    政府参考人杵渕正巳君) お答えいたします。  在留カード及び特別永住者証明書に漢字氏名を表記する場合、外国の簡体字等につきましては、法務省の告示に基づき、正字の範囲の文字に置き換えて表記することとしています。正字の範囲の文字に置き換えることにした理由は、漢字を全てコンピューターで処理すること、また、法務省と市区町村とで相互に通信する必要があるため、住民基本台帳事務において取り扱われている文字と整合させる必要があるためでございます。  先生指摘の同一人性の証明につきましては、入国管理局において正字検索システムを開発し、昨年七月から入国管理局ホームページに掲載しております。このシステムを使いますと、簡体字等を入力して置き換えた文字を容易に確認でき、検索したページを印刷することにより、簡体字等と入管正字の対応関係が明示されるようになっております。印刷いたしましたページには法務省のシステムにより照合した結果であることが分かるように法務省の名称が入りますので、これを御利用いただくことにより同一人性の確認が可能と考えております。
  74. 石川博崇

    ○石川博崇君 時間が迫ってまいりましたので飛ばさせていただいて、最後に一点、先般、私の地元におきましてある御相談をいただいた点を御紹介させていただきたいというふうに思います。  それは民間の語学学校を経営されている方からの御依頼でございますが、英語の教員を雇いたいというときにハンガリーの出身の方を雇おうとされたんですけれども、民間のこういう語学教室において働かれる方の在留資格というものは、今、人文知識・国際業務の資格で滞在することとなっておりますけれども、この在留資格を得るためには三年以上の実務経験を有するか、あるいは大学を卒業していることが条件となっております。しかし、入国審査の現場で使われております審査要領によりますと、この大学を卒業しているということの意味として英語を、英語の教師であれば英語を母国語としている大学の卒業資格が必要というふうになっていると伺いました。  今、ヨーロッパにおきましては、英語を母国語としていない国におきましても、英語を母国語としている国の出身の方以上に流暢に英語をしゃべる方というのは大変多くいらっしゃいますし、もう今や英語はグローバル言語でございまして、その母国語としている国からの出身者でなければ英語を教えられないというような状況というのは、ちょっと時代的に見直していかなければならないのではないかというふうに考えております。  この点について法務省からの見解を伺って、質問を終わらせていただきます。
  75. 杵渕正巳

    政府参考人杵渕正巳君) 先生指摘のとおり、英語を母国語とする外国人の方が民間の機関で英語講師として働きたいという場合には、その方が大学を卒業していれば入国のための基準に適合することとなりますが、英語を母国語としない方の場合には、英語圏の国で長期間生活し、その国の大学を卒業していたといったような事情がある場合を除きますと、英語を専攻して大学を卒業しているということが基準に適合する要件になってございます。  このような対応は、これまで英語を母国語とせず、また大学において英語を専攻しなかった方が英語を教えようとするという場合についてまで入国、在留を認めることに対する要望、必要性というものが大きくなかったためと考えられますが、いずれにいたしましても、英語について一定の能力を有していることが証明される方の取扱いについては、実態を十分確認した上で、これまでの取扱いを見直すことの可否についても検討してまいりたいと考えております。
  76. 石川博崇

    ○石川博崇君 終わります。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
  77. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  まず、国連人権理事会における北朝鮮に対する非難決議についてお伺いしたいと思います。  三月二十八日、先週の金曜日ですが、国連の人権理事会は、日本人拉致を含む北朝鮮による国家ぐるみの人権侵害行為は人道に対する罪であると非難する決議を賛成多数で採択し、犯罪に関与した人物の責任を追及するよう、国連安保理に対し適切な国際刑事司法機関への付託の検討を勧告しました。  これ自体、先般の調査報告書といい、この決議というのは大きな前進である、我が国にとって大きな前進であるというふうに評価したいと思いますけれども、残念なのは、この採決におきまして理事国四十七か国のうち三十か国は賛成したものの、六か国反対、十一か国が棄権ということでございまして、反対した六か国というのが中国、ロシア、キューバ、パキスタン、ベネズエラ、ベトナムということでありました。  安倍政権は積極的に外交日程をこなしているわけでありますけれども、この反対の中で中国やロシアはまあそうかなと、そう出るだろうなというふうにも思いますけれども、総理自らが訪問したベトナム、この間、国家主席も訪日されました、ここが反対をしたりですとか、棄権をした国々、これは総理もそして外務大臣も歴訪されたところを多く含んでいるんじゃないかと思います。インド、インドネシア、クウェート、サウジアラビア、エチオピア等が棄権をしているということになっております。  安倍外交の成果が必ずしも上がっていないのではないかというふうにこの件で思われますけれども、外務大臣の所見をお伺いします。
  78. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 三月二十八日の第二十五回国連人権理事会における我が国とEUが共同で提出した北朝鮮人権状況決議、この決議が賛成多数で採択されましたが、まず、この決議につきましては、この人権理事会での決議は七年連続採択はされておりますが、今回の決議は、特に昨年の同決議で設置が決定されました北朝鮮における人権に関する国連調査委員会、COIが先般公表した報告書の内容を反映させたこれまで以上に強い内容となっております。さらには、本件決議作成に際しては拉致問題の早期解決を求める御家族からも要望書をいただいており、そうした御意見も反映したものと考えております。  こうした内容の決議が採択されましたが、引き続き国際社会協力して、北朝鮮に対し具体的な行動を取るように強く求めていきたいと存じます。  そして、今御指摘のように、この決議に当たりましては反対六票が投じられました。この反対票について御質問をいただいたわけですが、この投票理由につきまして全てを承知しているわけではありませんが、特定国を取り上げ、その人権問題を非難する決議は対象国との対話や対象国の建設的関与を妨げるとして、特定国を取り上げ、そして特定国の名前を挙げて決議をすること自体に反対するという原則的立場を有している国もあるということを承知しております。今回、決議が北朝鮮に対しより強い内容となっておることから、これらの国が反対票を投じたのではないかと考えております。また、賛否が分かれる決議案では棄権国が出やすいという状況もあります。  いずれにしましても、これらの国を含めた各国から、同決議のフォローアップへの理解と協力を引き続き求めていきたいと考えております。
  79. 中西健治

    ○中西健治君 特定国を名指しにするのは原則的にしない、そんな国もあるのだろうと思いますけれども、申し上げたとおり、首相や外務大臣が歴訪された国々、これが棄権などをしているわけでありますけれども、こうした国々との首脳会談あるいは外相会談において、政府としてきちんと北朝鮮に関わることを議題にしたのかどうか、聞かせてください。
  80. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 安倍総理もまた私も、就任以来、各国との二国間会議さらには国際会議、様々な機会を捉えまして拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害を解決すべく各国に働きかけてまいりました。  今回の人権理事会に当たっても、総理そして外務大臣、そして外務省の政務レベル、様々な機会を捉え本件決議の支持要請を行いました。また、政務レベル以外にも、在外公館及び外務省幹部から積極的な働きかけを行ったところであります。  今回の人権理事会の決議ですが、人権理事会理事国四十七か国のうち、決議案の共同提案国を除く全ての国、従来からこうした決議は採択されてきたわけですが、従来の決議反対国及び棄権国に対しましては特に支持要請を行いました。こうした働きかけはしっかりやらせていただきました。  結果は先ほどのとおりでありますし、中には、特定国を挙げること、それが、決議において特定国の名前を挙げることが我が身にも振り返ってくる等、そういった観点から特定国を取り上げた決議に原則的に反対するという基本的な方針を持っている国もあるというようなことで、先ほどのような結果に至ったのではないかと考えております。
  81. 中西健治

    ○中西健治君 外務省の方からも、拉致問題について働きかけをした国々の資料というのはいただいております。積極的に働きかけを行っているということは私も承知しておりますが、その中で、今、岸田外務大臣、従来の反対国、棄権国に対しても強く働きかけを行ったと言っていましたが、それで、この働きかけが功を奏した、国の名前は結構ですけれども、あったのかどうか、教えていただきたいと思います。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
  82. 新美潤

    政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。  まず、今までこの人権理事会における、特に北朝鮮の人権状況決議、なるべく人権理事会、一般としてコンセンサスで採択をするというのが基本的な傾向でございます。ただ、今回は、大臣からも申し上げましたように、内容が、ある意味で非常に北朝鮮、COIの報告書も含めて厳しい内容だということもあって、大臣から御説明申し上げたように、キューバが具体的には投票要求をいたしまして、ルールで一か国でも投票要求をするとこれは投票になってしまいます、ということで投票になったということでございます。  そういうことで、特に過去のパターン、特に大臣から申し上げたような、一般的に特定の国を名指ししてのこういう人権決議に反対している国に対して、当然、彼らは反対するだろうという判断の下に働きかけをさせていただきまして、特にどの国がどうということは控えさせていただきますけれども、それで反対から賛成に回ったというところまで行くのかはともかく、棄権ぐらいに持ってきたというような例は幾つかあると思っております。
  83. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございます。よく分かりました。  次のテーマに移らせていただきます。先回も取り上げましたが、北朝鮮のノドン発射についてであります。  二十六日に、午前二時三十五分から四十二分頃、日本海に向けて中距離弾道ミサイル、ノドン二発を発射したという事案が発生いたしました。この三月二十六日の事案については、かなり早い段階から政府の方は発表したなというふうに私自身は思っております。そして、その発表された文書を読んでみても、追加の情報があればまた速やかに発表すると、こんなような姿勢で貫かれているというふうに思うわけでありますが、じゃ、三月三日はどうしてできなかったのかということをお聞きしなきゃいけないと思います。三月三日のミサイルの発射の際には、午前六時半頃に二発ミサイルが発射されたわけでありますけれども、結局政府発表は午後の十一時四十五分まで十七時間も掛かったということになりました。  この違いは何なのか。どうして三月二十六日にできて、三月三日は十七時間も掛かったのか、できなかったのか。そこについて、それを明確にしていただきたいと思います。
  84. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答え申し上げます。  この種の事案、北朝鮮のミサイル発射事案の公表につきましては、一般的に申し上げまして、当方の情報能力の保全の重要性等々も勘案しながら、個別の事案の対応に応じて具体的に判断をしていくということになるわけでございます。  先生指摘がございました三月三日の事案でございますが、まずは我が国国民の生命、財産に直接の被害が出ていないこと等々はきちんと確認をさせていただいた上でミサイル発射について分析を行う。それから、米国、韓国関係国と連携を図りながら対応ぶりについて検討をするといったことの結果、その日、時間かなり遅くなりましたけれども、その日のうちに公表を行った、こういう経過をたどったわけでございます。  一方で、三月二十六日の事案でございますが、これも同じく、付近を航行する航空機、艦船の被害報告等ないことは、これはまず確認をした上で、まだミサイルの詳細についても分析中ではございましたが、このときの事案は朝鮮半島の西側から発射をされた事案でありました。それから、ピンナップでも書かせていただきましたが、六百キロ以上飛翔をしているといった点がございましたので、こういった点を含めて関係省庁局長級会議協議をいたしたわけでございます。  その結果、二十六日の事案の場合には、ミサイルが発射されたという事実のみでも、付近を航行していた可能性のある航空機、船舶の事業者等に事実関係を提供して注意喚起を行うことが適切であろうと考えまして、そのような事実関係を速やかに発表させていただいたということでございます。
  85. 中西健治

    ○中西健治君 今の説明は多分全然分からないということなんじゃないかと思います。  三月三日の事案にしても、三月二十六日の事案にしても、確認すべきことは同じだというふうに思います。今おっしゃられた、一つ目の国民の生命、財産に直接の被害があったのかどうか、これは三月三日も三月二十六日も確認をすることになりますし、確認したと言っているわけですし、二つ目の当該の区域、海域に航空機、船舶がないか確認をするというようなことですとか、アメリカ韓国等の関係国との連携等を確認する、こうしたことは三月三日、三月二十六日、西側から発射されるどうのこうのという問題では全くないと思いますけれども、本質的に何が違うのか、それを教えていただきたいと思います。
  86. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) ただいまの答弁に補足して申し上げます。  三月三日の事案でございますが、政府としての対応は今申し上げたとおりでございますけれども、その間、この事案に対しましては、既に申し上げておりますけれども、九時三十分、十四時、十七時五十分の三回にわたり、国家安全保障局、それから内閣官房の事態対処・危機管理担当、内閣情報調査室、外務省防衛省の幹部が集まり緊密に連携し、事態の評価、分析を行い、同時に、アメリカ韓国等との連携の在り方についても検討、調整を行ってまいりました。  その結果、公表した時間がただいま御指摘のあったとおりでございますけれども、この間の評価、分析、それから関係国との連携等の段取りがございました、という作業をしておりましたので、それも含めまして公表の時間がその日の夕刻になったということでございます。
  87. 中西健治

    ○中西健治君 夕刻でもないと思います。午後十一時台、十一時四十五分であったというふうに思います。  確認するようなことは同じだと思いますし、関係省庁で集まってということをおっしゃっていましたけれども、片方は十七時間掛かって、片方は六時間、七時間というところで、全く、質的な違いがないのであれば、この差というのは理解できないということになります。  ひょっとしたら、NSCがつくられて、三月三日の時点では不慣れだったというのが理由なんじゃないんですか。
  88. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) ただいま申し上げましたとおり、内閣官房におきましては、国家安全保障局及び事態対処・危機管理担当室を中心に関係省庁との調整を行いました。その際には政府一丸となって適切な対応を努めたところでございますけれども、国民への情報発信という観点からは適切な対応をするよう引き続き努力を続けていきたいと思います。
  89. 中西健治

    ○中西健治君 この問題は次の委員会でもちょっと取り上げたいと思います。  今日は国交省にも来ていただいておりますので、国交省に質問したいと思います。  三月四日にも北朝鮮は多連装ロケット砲弾というものを発射しております。この砲弾が発射された七分後に、成田発中国の瀋陽行きの民間航空機がそこの軌道の下を通過して非常に危険な状況だったと韓国の国防省報道官は翌日の三月五日に明らかにしております。  この案件も含めて、最近の発射事案におけるロケットの軌道、これが我が国の民間航空機が通常使用する航路と重なっているのかいないのか、これについて答弁いただきたいと思います。
  90. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 御説明いたします。  今般、北朝鮮の弾道ミサイルが落下した区域は、北朝鮮が管轄する飛行情報区、平壌飛行情報区内と推定されますが、当該飛行情報区内を通過する国際航空路は、ICAO、国際民間航空機関の資料によれば複数あると承知しております。  なお、本邦航空会社は当該飛行情報区は飛行しておりません。
  91. 中西健治

    ○中西健治君 複数あるけれども、じゃ、日本航空機がそこを通ることはないということでしょうか。
  92. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) はい、本邦……
  93. 末松信介

    委員長末松信介君) 国土交通省航空局島村安全部長、手を挙げて。
  94. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) はい、失礼しました。  本邦の航空運送事業者が運航する航空機は、平壌飛行情報区は飛行しておりません。
  95. 中西健治

    ○中西健治君 最近は北朝鮮発射事例というのが多数あるわけですが、その全てについて日本の民間航空機の航路には掛かっていないということを確認できているということですか。
  96. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 今ほど御説明したとおり、今回のミサイルが落下した区域は平壌の飛行情報区ということになっておりまして、再度申し上げますが、本邦航空運送会社、我が国航空機が飛行するエリアにこの平壌飛行情報区は含まれておりません。この区域内を飛んではいないということでございます。
  97. 中西健治

    ○中西健治君 済みません、確認したいんですけれども、その平壌の飛行何とか区というところ、今回の事案はということをおっしゃいましたけれども、今回のというのは、二月から三月まで多数発射されているんですけれども、それを全て含んでいるということですか。
  98. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 国土交通省が現在事実関係を把握している弾道ミサイルにつきましては、把握をしているところでございます。
  99. 中西健治

    ○中西健治君 済みません、そうすると、国土交通省が把握している弾道ミサイルというのはいつといつということですか。
  100. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 三月三日と三月二十六日の弾道ミサイルでございます。
  101. 中西健治

    ○中西健治君 そこがおかしいんですよ。三月三日と三月二十六日というのは政府が殊更に発表しているミサイルの発射という案件ですけれども、韓国側が言っているのはその次の日の三月四日の案件だったりするわけです。  それだけじゃなくて、多数の報道によれば、北朝鮮はその三月三日と二十六日だけではなくて、ほかの日もたくさんロケットを発射している、ミサイルを発射しているんです。それについて確認は行っていないということですか。
  102. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 今御指摘のございました三月四日の報道については承知しておりますが、航空局は事実関係を把握しておりません。  一方、航空局と本邦航空会社の間では二十四時間体制で連絡可能な体制となっておりまして、この体制を通じて安全確認というのは行っておるところでございます。
  103. 中西健治

    ○中西健治君 今日のところはこれで終わりにしますけれども、三月三日と二十六、公式に政府がミサイルの発射というのを発表したもの以外は、これ政府としては認識していない、承知していない、そのような答弁に聞こえました。それで空の安全性が確認できるのか、確保できるのか、そうした観点からも我々この件については見ていかなきゃいけないと思います。  時間が来ましたので、今日のところはここで終わりにします。
  104. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  昨年十二月に特定秘密保護法が強行されました。審議の中で、日米安保条約に関わって、国民の安全と平和にとって重大な問題が大量に秘密にされてきた、そのことこそが問題だと私ども指摘をいたしました。特に、核兵器の持込みに関する密約文書が外務省内に現に存在していたにもかかわらず、歴代自民党政権が存在しないと国会で虚偽答弁を続けてきたと、この問題もただしてまいりました。  この点について総理は、今年一月三十一日の衆議院の予算委員会の答弁で、ずっと国民に示さずに来たのは間違いだった、政府としてどう考えているかお示ししたいと答弁をして、政府見解を公表するということを約束をされました。当然、なぜこういう隠蔽が起きたのか、その原因や責任が明確にされるものと思っておったわけでありますが、一か月後の二月二十八日の答弁で示された見解は、長期間にわたり国民に明らかにされてこなかったことは遺憾だというものでありました。何で一か月も検討して全く一歩も踏み込めないような、こういう見解になったんでしょうか。
  105. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) いわゆる密約問題につきましては、外務省において調査を行い、平成二十二年三月にその結果を公表しております。この調査結果の発表に際して、当時の岡田外務大臣は、当時の状況については簡単に判断できるものではなく、いわゆる核密約問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性は付き物であるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨述べられている、このように発言されたと承知をしております。  このように、今の政権におきましても同様の認識は持っていますが、しかし一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったことは遺憾であると考え政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えており、その考え方を二月二十八日、衆議院の予算委員会におきまして、安倍総理そして私からも政府の見解として答弁させていただいた次第であります。  今の政府としては、このように認識しており、この答弁につきましては適切であったと考えております。
  106. 井上哲士

    ○井上哲士君 遺憾だという答弁は、実はもう去年の十一月の時点でNSC特で岸田外務大臣が私の質問にも答えているわけですよ。そして、この一月三十一日の安倍総理の答弁の後の、直後の記者会見で菅官房長官が、首相が公の場で発言されたので対応を検討したいと、ここまで言われたわけですね。  ですから、当然一歩踏み込んだ見解が出てくるものとマスコミも報道いたしましたし、国民もそう思ったわけですね。それが全く同じ遺憾ということを繰り返しただけと。なぜこういうことになったのかということをお聞きしているんですね。更に踏み込むことに何か外務省の中で抵抗でもあったんですか、お答えください。
  107. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の問題につきましては、従来から遺憾であると申し上げてきました。そして、総理としましては、一月三十一日、質問を受けていま一度確認をされるということになりましたが、確認した上で、やはり同様にこの問題に関して遺憾であるということを確認し、そして二月二十八日、同様の答弁をさせていただいたものと承知をしております。
  108. 井上哲士

    ○井上哲士君 要するに、何も踏み込んでいないんですよ。遺憾だけだったら原因や責任に何も踏み込まなくて、これ、問題の解消はできないわけですね。そこが今問われているわけで、全く反省というものが私には感じられません。  もう一回、どういう仕組みであの核密約が長期にわたり国民に隠蔽をされてきたのかと。改めて外務省の秘密保全についてお聞きしたいと思うんですが、お手元に資料も配付しております。外務省の秘密保全に関する規則や国会答弁によりますと、外務省の文書の秘密指定は、機密、極秘、秘と区分があって、この機密と極秘については局長等の秘密管理者が指定をすると、それから秘については課長等の秘密管理責任者が指定をするということでありますが、秘密保護法の成立でこの規則は変わったんでしょうか。
  109. 河野章

    政府参考人河野章君) お答え申し上げます。  外務省の秘密保全に関する規則についてのお問合せでございますが、特定秘密保護法が施行されておりません現時点におきましては、ここの資料にございます、秘密区分の指定権者並びに秘密文書等の取扱いを厳に職務上知る必要のある者に限定をするというこの秘密保全に関する規則に関しまして変更はございません。
  110. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは、法律ができても施行されても、基本的にこの内部規則の骨格は変わらないというのが去年の岸田外務大臣の答弁でありました。  今、次のことまで答弁をされましたが、この内部規則では、秘密文書の取扱いは厳に職務上知る必要のある者に限定すると、こうなっておりまして、誰がこの職務上知る必要のある者なのかという判断は、機密や極秘の場合は局長等の秘密管理者が行う、それは変わらないという今答弁もございました。  つまり、この外務省における機密、極秘の指定については、外務大臣は機密保全の規則は承認するけれども個々の秘密指定には関わらない、そして、外務大臣がこの文書を職務上知る必要がある者かどうかというのはこれは局長等が判断をするんだと、この仕組みは何ら変わりがないわけですね。  更に聞きますけれども、政府横断的に設けられている特別管理秘密がありますが、これは極秘の一部に当たるというのが答弁でありましたが、現在何件指定されているでしょうか。
  111. 河野章

    政府参考人河野章君) 特別管理秘密の指定件数についてのお尋ねでございますが、昨年十一月の参議院の国家安全保障委員会におきまして、平成二十四年十二月三十一日時点で外務省が保有する特別管理秘密が一万八千五百四件である旨お答えしております。その後の数字を申し上げますと、平成二十五年六月三十日の時点で一万九千九百五十七件となっております。
  112. 井上哲士

    ○井上哲士君 これも答弁で、特定秘密というのは基本的にこの特別管理秘密の中から指定をするというふうに森担当大臣も答弁をされておりました。ですから、特定秘密の指定が行われましても、大半の機密、極秘、秘など膨大な外務省秘密文書の取扱いというのは基本的に変わらないということが今確認をできました。  この核密約文書については、時の総理外務大臣外務官僚が選別して、この人には伝える、この人には伝えないということをやっていたということが複数の元外務次官の証言で明らかになったわけですが、それを可能にしたのが今のこの仕組みなわけですね。つまり、昨年の答弁では、この核密約文書というのは極秘指定になっていたということでありました。そうしますと、局長がこれは極秘だという指定をして、この文書はそのときの外務大臣総理は職務上知る必要がある者ではないと判断をすれば、伝える必要がなかったという仕組みだったわけですね。ですから、安倍総理自身も、総理のときには自分は聞いていないということも明らかに答弁をされましたね。この仕組みは全然変わっていないわけですよ。  ところが、総理は、昨年の質疑の際の私への答弁でも、それから採決の翌日の産経新聞でのインタビューでも、秘密保護法によって秘密の取扱いの透明性はむしろ増すと述べました。そして、核密約がいつまでも密約であり続けたことについて、新しい法律で同じ問題は起こり得なくなると述べているんですね。  しかし、先ほど言いましたように、あの長い間核密約を隠蔽してきた、この仕組みは何も変わらないんです、新しい法律で。にもかかわらず、なぜ秘密保護法で同じ問題が起こり得なくなるなどと総理は明言できるのか。いかがでしょうか。
  113. 河野章

    政府参考人河野章君) 現時点で外務省の秘密保全に関する規則について変更はないということは申し上げたとおりでございますが、現在、内閣官房におきまして特定秘密保護法の施行に向けた準備というのが進められております。また、特定秘密以外の情報管理の在り方についても検討中であるというふうに承知しております。外務省の内規の秘密保全に関する規則の今後の在り方に関しましても、これらの作業を受けまして外務省として適切に検討をする予定にしております。
  114. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務大臣、基本的にこの内部規則の骨格は変わらないと去年答弁されておりますが、今のと変わるということですか。
  115. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今の答弁の中にもありましたが、内閣官房におきまして政府統一のルールを今作るべく準備を進めております。そのルールに従って、外務省としてもこの秘密の管理について体制を考えていくことになると存じます。そうした明確なルールが作られることによって、この情報管理につきまして透明性が高まっていくものだと考えております。
  116. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、こういう極秘などを局長が判断し、管理をして、大臣が知らないということに対して、例えば第三者の目を入れるとか、そういうことも含めて検討されているということですか。
  117. 河野章

    政府参考人河野章君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、現在、内閣官房で進められておりますいろんな作業の結果が出ましたところで外務省の規則の今後の在り方について検討してまいりたいということでございまして、具体的にどういった内容にするかということについて今の時点でお答えすることはちょっと時期尚早かと思います。
  118. 井上哲士

    ○井上哲士君 政府見解を表明すると言いながら結局遺憾としか言わなかったということにありますように、結局、核の問題についてのまともな責任であるとか、そして原因究明ということがされないままになっているわけでありまして、その上、特定秘密保護法で何が秘密かも分からない、さらにはいろんな重罰でマスコミや一般市民も脅すということになれば、一層私は隠蔽がはびこることになると、こう考えざるを得ないわけです。しかし、総理が、秘密の取扱いの透明性はむしろ増すと、今後同じような問題は起こり得なくなると述べたこと自身は重大でありますから、責任取ってもらう必要があると思うんですね。  そこで、安保や日米地位協定の制定に関わる膨大な文書も大半公開をされておりませんが、その後の日米合同委員会での合意についても合意文書が非公開になっております。これは国民生活の大変重要な中身も含んでいるわけでありますから、国民に直ちにこうしたものは明らかにされるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  119. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米安全保障に関する文書につきましては、政府としましては、可能な範囲でその内容を対外的に説明するよう努力を続けてきております。  例えば、日米合同委員会合意の文書、この合意文書自体は原則として不公表とされていますが、平成八年のSACO最終報告におきまして日米合同委員会合意を一層公表することを追求するとされていること等も踏まえて、政府としては、米側と協議の上、日米合同委員会合意を公表し、外務省のウエブサイト上に掲載してきております。  政府としましては、今後とも、こうした対外説明のための努力は継続していきたいと考えております。
  120. 井上哲士

    ○井上哲士君 日米合同委員会合意についてはウエブサイトで公表するが合意文書そのものは公表しない、何でそうなるのかということなんですね。  お手元の資料の二枚目を見ていただきたいんですが、米兵の犯罪者への刑事裁判の特権を認めた日米密約というのも、これも問題になってまいりました。それと一体の日米合同委員会刑事裁判管轄権分科委員会において合意された事項というのがございます。これは一九五三年から五四年にかけて裁判権密約と同時期に合意をされ、その後、追加されたものであります。この英文は既にアメリカでも解禁されておりますし、法務省の秘密扱いの資料にも掲載をされております。ところが、外務省ホームページには、この日米合同委員会合意の要旨として、刑事裁判管轄権に関する事項しか公表をされておりません。  この二つには重大な違いがあるんですね。例えば二つ目、「合衆国軍隊の構成員の逮捕等」というのがありますが、米兵が罪を犯した際の身柄をどうするかという場合です。公務の執行中に行われたものであるか否かが疑問であるときは米国側に引き渡すというのが日米合同委員会合意、刑事裁判管轄権に関する事項では行われた疑いがあるときにはアメリカ側に渡すと、こうなっているわけですね。  ですから、つまり曖昧なときはアメリカ側に渡すというのが国民には隠されている日米合同委員会合意の中身になっているんですよ。つまり、アメリカ側に有利な中身が正式文書なのにそれは隠されていて、違うものが外務省のウエブサイトに明らかにされていると、こういうことになっているんですね。これは、実際に身柄拘束の運用はこの合意と同じようにやられておりまして、被害者にとっては重大な権利侵害にもなるわけですね。ですから、合意文書を隠すのは、こういうアメリカ側が有利な内容を国民から隠したいからではないかと、こういう疑いもあるわけですね。  国民の権利や安全に重大な影響をもたらすものですから、合意文書そのものを明らかにするべきではありませんか。
  121. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この御指摘の文書につきまして、要旨の差異には、この内容、当時の判断で、要旨という形でどう整理するか、どうまとめるか工夫した結果としてお手元のこの要旨のような文書が出てきたものと承知しておりますが、いずれにしましても、御指摘のこの刑事裁判管轄権に関する合意事項につきましては、米側と協議した結果、既に公表について合意し、現在では全文を公表しております。全文を明らかにしておりますので、実態は明らかになっていると承知をしております。
  122. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、外務省のウエブサイトに出ているのはこの刑事裁判管轄権に関する事項の方であって、全文は出ていないと思いますけれども、違いますか。
  123. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今確認しましたが、現在、少なくとも現在ではこの全文が外務省ホームページに掲載されているということでありました。
  124. 井上哲士

    ○井上哲士君 改めて確認をいたしますが、これは先ほど言いましたように、アメリカの公文書館で英文で明らかになり、そして法務省が秘密扱いをしていた資料の中に掲載されているということを繰り返し研究者が指摘もし、国会でも明らかにしてきたということであるものであって、つまり、全文が明らかになって初めてその要旨や中身が正確なものかと国民が分かるわけですよ。そこに重大な差があることもあると。  そういうことからいっても、私は全てのものについてきちっと合意文書そのものを明らかにするのが必要かと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  125. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども御紹介させていただきましたが、平成八年のSACO最終合意において、日米合同委員会合意を一層公表することを追求する、こうしたことが明記されております。是非今後とも、米側との協議を進め、できる限りこの公表に努めていきたいと考えております。
  126. 井上哲士

    ○井上哲士君 現にこういう差異がこの文書にはあって、これは様々な研究者の努力もあって違いが明らかになったわけでありますが、ほかにもたくさんこういうことがあるということが予想されるわけでありますから、きちっと国民の前にこうした合意文書そのものを公開をすると、そのことを改めて強く求めまして、質問を終わります。
  127. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば挨拶も変えられると。変わりません、済みません。  私はいつもいろんなイベントに招待されます。例えば結婚式だとかいろんなパーティーですね。そんな中でこの挨拶を必ず言われるんですが、先日、困ったことに、お葬式に出席したんです。そうしたら、故人が猪木さんの大ファンだったので、一、二、三、ダーをやってくれって。ちょっと待て、ここでかよと。しかし、たっての願いということで、故人も喜びますというのでやらせてもらいました、声は小声でいきましたけど。そのとき、何を間違えたか、一、二、三、四、ダーと一つ余分になってしまいまして、多分故人も喜んでくれたんではないかなと思います。  今日は四月の一日、エープリルフールですね。私が昔選挙に出たときに、ちょうど消費税が導入されまして、そのときに消費税人形というのを作って、それで、反対だったんですが、消費税に延髄斬りという、人形を蹴ったことがあります。  今、いろんな部分で、私どもの若い選手がかつて相撲の時代にマリファナで捕まったことがあります。消費税が今回は八%になりますが、八%はいいけど葉っぱは良くねえぞと。分かる人は分かってください。でも、今、個人の名誉のためですから、見事に再生してリングの上で頑張ってくれています。  そこで、今日は、先ほども質問が出ましたけど、オランダハーグ日米韓首脳会議が開催されました。オバマ大統領も中に入り実現しましたが、非常に今後難航が予想されると私は思います。  先日、というよりは二十八日、届いた、全部読むわけにいきませんが、朝鮮総連中央会館の土地と建物に対する不法な売却許可決定を下すファッショ的暴挙に出たという、総連、在日朝鮮人の合法的権利を擁護する朝鮮民主主義人民共和国の尊厳高い海外公民団体であり、特に総連会館は朝日両国間に国交のない状態で実際に我が共和国の外交代表部の使命を担い、朝日友好親善、東北アジアの平和のために役割を果たしている、こんなあれが入ってまいりました。朝日改善のために信頼醸成の下に切実に求められている時期に日本当局がむしろ不信な噴火口を意図的に開いた以上、我々もそれ相応の対応策を講じなければならないと。  せっかく、今この会議日韓の中でも始まり、その中で北朝鮮問題の話もこの間報道されたとおりで、何とかここで逆戻りしないような方向に進んでもらいたいと私は思っております。  私がプロレス界に入った当時から、日本韓国、共にプロレスと政治関係は深く、頻繁にプロレスを通じて外交が行われました。前にも申し上げましたが、一九六三年に私の師匠である力道山は、当時日本プロレスのコミッショナーであった大野伴睦さんとともに、日韓国交正常化の一環として韓国を訪れました。また、韓国の英雄であった金一、日本名では大木金太郎といいます。彼は力道山の門下生で、私の兄弟子であり、朴槿恵大統領のお父さんである朴正熙大統領が大木さんの後援会長を務めていました。  また、私自身もかつて、南北会談実現のために、韓国政府から依頼を受けて北朝鮮に親書を持っていったことがあります。以前も申し上げましたが、北に日本の拉致担当大臣の親書を持っていったこともあります。私にとって、北であろうと南であろうが、日本政府から要請がありましたら協力を惜しまないつもりでおります。今までに二十八回の訪朝をしましたが、今回の会談が後戻りしないように心から願っております。そして、韓国のヨンイン大学で講演したことがありますが、引退した後、クリントン大統領がそこで講演をされましたが、私の方がはるかに学生さんが集まってくれたというのが私にとって誇りです。  そこで、日韓、今、外交局長級協議が開催されていますが、韓国側慰安婦のみを議題とする考えであると聞きました。今後の見通しとして、我が国がどのような姿勢で挑むのか、岸田外務大臣の見解をお聞きします。
  128. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、韓国との間において、慰安婦問題も含め、日韓間の様々な課題につきまして様々なレベル意思疎通を図ってきております。しかしながら、今御指摘のような具体的な日韓局長級協議慰安婦問題を取り上げるというような日韓局長級協議については、現在のところ何も決まっていないと承知をしております。  慰安婦問題に関しましては、韓国側が先般の安倍総理国会での発言などをしっかり受け止めていただき、重層的で未来志向日韓関係を築いていくために、より前向きな姿勢を取ることを強く期待したいと考えています。
  129. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 前回も質問させていただきましたが、沿ドニエストル、ロシアに編入される、ロシア軍を送る可能性があるということで、アメリカが警戒してモルドバ国境に十億円ですかね、一千万ドルを支援するということが新聞にも出ておりましたが。  このクリミアをめぐるロシアの行動に対してEUが経済制裁踏み切れない大きな理由の一つに、ヨーロッパのエネルギー問題があると思います。かつて、昔、私が議員やっているときに、赤いガスという、ロシアからヨーロッパへガスが送られておりますが、名付けて赤いガスという表現をしておりましたが、その辺の、今ドイツにおいても、ヨーロッパが思い切った踏み切りができないのが、その辺のエネルギー問題が中にあるのではないかと思います。  このような事態を受けて、EU、安全保障の観点から、ロシアからの資源の依存度を低くするために、アメリカからの天然ガスの供給を求めています。昨年、アメリカの天然ガス生産量がシェールガスによってロシアを抜いて世界一位になったのも、EUが後押しをしています。  一方、我が国では、レアアースの確保において、中国のさじ加減に大きく左右されています。中国のレアアースは、世界全体の生産量の実に九七%を占めている。二〇〇六年から輸出業者に高い税金を掛け、二〇一〇年から輸出量を急に制限したため、日米欧が二〇一二年にWTOに提訴、先週二十六日にもWTOがこの中国の輸出制限に対して協定違反であると認定し、日米欧の主張を認めました。この結果により、遅くとも来年には輸出制限がなくなるということになっています。  このように、資源調達先の多様化は国家の安全保障の観点から極めて重要です。私が北朝鮮に対して資源外交の重要性を主張するのもこの点。北朝鮮は、レアメタルやあるいはそのほか鉱物資源がたくさんあります。一日も早い交流ができれば日本にとってプラスではないかなと思います。  そこで、我が国資源外交についての現状と課題岸田外務大臣にお尋ねいたします。
  130. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 資源の安定的かつ安価な供給確保、これは活力ある我が国経済にとって不可欠であり、これはもう国家安全保障上の課題であると認識をしております。  このため、供給源の多角化を図っていくことが重要であり、外務省として主要資源国との包括的かつ互恵的な関係強化に努めているところです。具体的には、外交日程の戦略的活用、国際的な枠組みの活用などを通じて、資源国との多層的な協力関係の強化と資源の供給確保に努めております。  例えば、今の政権成立後、総理、私、外務大臣も連携しながら、北米、アジア、欧州、中東、アフリカ諸国等の資源国を精力的に訪問し、積極的な資源外交を展開しているところです。また、昨年二月にはエネルギー・鉱物資源専門官制度を創設し、五十か国の在外公館に専門官を指名するなど、在外公館の機能あるいは能力を不断に維持強化しております。  今後とも、関係省庁・機関とも緊密に連携し、様々な外交的ツールを活用して戦略的に資源外交を推進していきたいと考えております。
  131. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 二十四日でしょうか、緊急のG7首脳会議でロシアへの経済制裁とウクライナへの支援が決定したと書いてありましたが、また、二十七日には国連総会の本会議でロシアのクリミア編入の無効が決議され、IMF、ウクライナ支援のために一・八兆円の融資枠を設定しました。  一方、欧米民間企業は政府と異なる動きをしております。報道によれば、ドイツ総合電機大手シーメンスのCEOは、二十六日、ロシアのプーチン大統領会談し、今後ともロシアへの投資を継続する方針を示しました。ちなみに、世界最大の運送会社であるドイツ企業のDHLは北朝鮮においてもビジネスを展開しています。  このようなロシアや北朝鮮など体制の異なる敵性国家と言われる国であっても、領土や安全保障など交渉が必要な国に対して、ビジネスや民間交流は今後の交渉余地を残すためにも奨励すべきだと考えます。  我が国国益追求のために、数十年先を見通した未来志向外交へと発想を転換する必要があると考えますが、岸田外務大臣、お願いします。
  132. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、アジア太平洋地域のこの厳しい安全保障環境を考えますときに、日ロ関係の重要性については変わりはないと考えています。昨年来の日ロ関係に基づいて、今後とも対話を重ねつつ、我が国国益に資するよう日ロ関係は進めていかなければならないと考えています。ウクライナ情勢をめぐるG7を含む各国の動向も注視しなければなりませんし、ウクライナ情勢についてもしっかりと注視をしていかなければならないと考えておりますが、日ロ経済関係については、互恵の原則に基づいて、これは適切に進めていく考えであります。  一方、北朝鮮についてですが、日朝間には、現在、国交が存在しません。また、北朝鮮が核・ミサイル開発を継続し、拉致問題について誠意ある対応を見せていないこと等を踏まえ、我が国は輸出入の禁止を含む一連の対北朝鮮措置を実施しております。御指摘のようなビジネスあるいは民間交流を進めるということは北朝鮮自身の利益でもあると考えますが、まずは、北朝鮮が日朝間の諸懸案の解決に向けた具体的行動を取ることが必要であると考えております。
  133. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 大型連休のときに、小野寺防衛大臣が、これはジブチですかね、それからスーダン、私も昔スーダンに行ったことがありますが、本当にイスラム世界で、大使が気を遣ってくれましたが、町の小さな料理屋さんにわざわざ茶封筒にビールとウイスキーを隠すようにして持ってきて飲んだことがありますが、これから、今自衛隊が行かれているわけですが、是非そういう国に、政治家や、あるいは、まして大臣の方が行かれるということは大変少なかったと思うんですね、是非、そういう国へ訪問して、現地の、そしてまた頑張っている自衛隊の皆さんも励ましていただきたいと思いますが、同時に、私もいろんな、必ず外国へ行くと小学校あるいはJICAの皆さん是非来てほしいということで訪問します。で、例によって元気を付けてくるんですが。  今積極平和外交という話が出ましたが、みんなメッセージをこれからどういうふうに送るかと。総理も世界を回られ、また大臣も行かれるようですが、私どももいろんな、モハメド・アリとの試合のおかげでアントニオ猪木という名前が世界中に知れ渡り、政治的な部分ではなく、その国に行くと必ず、国によって違いますが、ファンが多くて、皆さんが歓迎をしてくれるという。是非日本外交、これからは、今までそれほど重要に思われていなかったような、アメリカの傘の下でという、いろんな世界がこれだけ混乱してきている中で、是非日本の独自の外交をこれから展開をしていただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございます。
  134. 小野次郎

    ○小野次郎君 結いの党の小野次郎です。  小松法制局長官、今日もまたお越しいただきまして、ありがとうございます。私は、別に長官を、毎回質問させていただいて、今この時点で集団的自衛権の行使を小松さん自身が容認するかどうかとか、法制局として容認するかどうかという見解を求めるのは、その時期ではないということは承知していますけれども、しかし、あなたは同時に、今日現在も内閣法制局長官という大変重要なポストにおられるわけですから、私たちが議論をしていく際に、この問題は法的側面から見ればこういう問題点と整理されますよという話はしていただかなきゃ困るので、集団的自衛権という五文字が出てくるとぴたっと何も話はしませんというのでは、現に法制局長官にある者としてその任に堪えるとは言えないと私は思います。ですから、ある種の見解を求めるということはこの時期ではないということは承知した上で、法的側面についてはお尋ねをさせていただきます。  これまた内容については非常に不満があるものですけれども、三月二十日に法制局から資料が提出されましたね、長官から提出された資料。この十六ページ、十七ページにも出ているいわゆる島聡さんの質問主意書、長官自身も答弁の中で何回も引用されているわけですが、その内容についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  この中に、十六ページから十七ページにかけてですが、同盟国の軍隊に対する攻撃が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に当たると認められるならば、我が国として自衛権を発動し、我が国防衛するための一環として当該攻撃を排除することも可能であるとしているんですね。  そこで、お尋ねしたいのは、このような場合に我が国が行う実力行使というのは、国際法上の概念で評価すれば、これは個別的自衛権じゃなくて集団的自衛権の行使に当たると解釈してよろしいんでしょうか。
  135. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) お答え申し上げます。  御指摘平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する答弁書では、「法理としては、仮に、個別具体の事実関係において、お尋ねの「同盟国の軍隊」に対する攻撃が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に当たると認められるならば、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす限りにおいて、我が国として自衛権を発動し、我が国防衛するための行為の一環として実力により当該攻撃を排除することも可能である」とお答えしているところでございます。  この答弁は、同盟国の軍隊に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃であると認められ、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす場合であれば、個別的自衛権の行使として武力を行使することができる旨を述べたものでございます。すなわち、同盟国の軍隊に対する攻撃の全てが我が国に対する武力攻撃に当たるということを述べたものではございません。
  136. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、この場合も、やはり個別的自衛権の行使に当たる場合には対応することが可能だという趣旨だということですね。
  137. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 同盟国の軍隊に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃に当たる場合というのは、基本的には二つ場合があるということを従前から御答弁申し上げているところでございまして、まず第一のケースでございますが、それは我が国国内にある米軍施設・区域、すなわち俗に言う米軍基地でございますけれども、これに対する攻撃があった場合でございます。  これにつきましては、昭和四十三年八月十日参議院予算委員会におきまして、社会党の山本伊三郎議員の御質問に対しまして佐藤栄作総理大臣から、「日本の国土を侵害しないで、日本の領海、領空を侵害しないで、日本にある基地を攻撃することができるかどうかという問題だと思います。私は、アメリカの基地とは申しましても、これは日本の領空、領土、領海を侵害しないでそういう攻撃はあり得ないと思います。そういう場合だと、これは日本が攻撃を受けたということになる。」と、こう答弁をされているところでございます。  それから、第二の場合でございますが、これは米軍基地ではなくて、日本の領域自体に武力攻撃が行われた場合に安保条約五条に基づきまして我が国に来援する米軍、これがまだ我が国の領域の外にとどまっている場合であっても、これに対する攻撃を撃退するということは個別的自衛権の範囲内であるということを御答弁申し上げておりまして、これは昭和五十八年三月八日衆議院予算委員会におきまして、公明党の坂井弘一議員の質問に対しまして谷川当時の防衛庁長官が、「日本が侵略された場合に、わが国防衛のために行動している米艦艇が相手国から攻撃を受けたときに、自衛隊がわが国を防衛するための共同対処行動の一環としてその攻撃を排除することは、わが国に対する武力攻撃からわが国を防衛するための必要な限度内と認められる以上、これはわが国の自衛の範囲内に入るであろう、」と、こうお述べになったわけでございます。  これを受けまして、中曽根当時の内閣総理大臣から、「いま防衛庁長官が答弁しましたことは、私の考えを敷衍して申し述べましたことで、私の答弁といたします。これが政府考え方であります。」と答弁しております。
  138. 小野次郎

    ○小野次郎君 要するに、要約して言うと、一つは米軍基地、もう一つ防衛出動事態というか、武力攻撃が我が国の領域に対して行われたときに来援する米国軍の構成員の場合ということですね。  とすると、さっき私が読み上げた部分というのは、一般的に、別に、同盟国の軍隊に対する攻撃が我が国に対する攻撃とみなすことができて、それに対して自衛権を発動することがあり得ると言っている意味ではないんだということですね。
  139. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 仰せのとおりでございまして、それが従来の政府の解釈でございます。
  140. 小野次郎

    ○小野次郎君 別の聞き方をしますけれども、いわゆる自衛権発動の三条件のうち、外部からの武力攻撃という言葉がありますね。この外部からの武力攻撃というのは、我が国に対する直接の攻撃には必ずしも限定されずに、その武力攻撃は、我が国の独立や国民の生命、身体を危険にさらす場合には、第三国に対する攻撃であってもこの定義に当たる場合があると解することは可能なんでしょうか。
  141. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 従来申し上げておりますことは、自衛権の三要件、これに該当する場合だけ例外的に憲法九条も武力行使を許容していると。その第一要件でございますが、これは、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと、これは我が国に対する武力攻撃が発生したことということでございます。
  142. 小野次郎

    ○小野次郎君 よく分かりました。  次の質問外務大臣にお伺いしたいんですが、私は、集団的自衛権というのは、本来、武力行使へ参加する行為よりも、そうした事態に至ることを避けるための事前の抑止力というふうに、もし意味があるとすれば大変大きい意味があるんだと思っています。その意味で、この集団的自衛権のいわゆるパートナーというんですか、その対象になる自国と密接な関係にある外国というのは、条約などの国際約束であらかじめ特定される必要はないんでしょうか。
  143. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 集団的自衛権ですが、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。  そして、この自国と密接な関係にある外国の部分ですが、これにつきましては条約関係にあることは必ずしも必要でなく、一般に外部から武力攻撃に対し共通の危険として対処しようとする共通の関心があることから、この集団的自衛権の行使について要請又は同意を行う国を指すものと考えられております。  そのような意味におきまして、当該外国は必ずしもあらかじめ特定される性質のものではないと考えております。
  144. 小野次郎

    ○小野次郎君 一般にそういうふうに言われているんですけれども、さっき申し上げたように、集団的自衛権というのが抑止力に重点があるとすると、どことどこが集団的自衛権のパートナーになっているかということがあらかじめよその国に分からなければ抑止力にならないんじゃないかなという疑問がありまして、分かりやすく言えば連帯保証人の関係お互いになっている、どことどこが連帯保証人になっているかが分からないんじゃ抑止力にならないんじゃないかと私は思うんですが。  この事前の国際約束以外に集団的自衛権の対象となる自国と密接な関係のある外国というのは何らかの方法で明らかにしておく必要があるんじゃないですか。
  145. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、国際約束とか同盟関係とか、そうした関係があるということは、対外的にその両国関係そして協力関係を明らかにする一つの材料ではあると認識をしております。ただし、先ほど申し上げました集団的自衛権国際法上、一般的には、自国と密接な関係という要件があり、それについては要請や同意でもその定義に当てはまる、このように解されてはおります。
  146. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の聞きたい点をピュアなケースで言うと、一方の国に武力行使が既にあったと、後になってから首脳会談開いて、ああ、おたくやられたんだったら、うちと密接な関係があるから、うちも集団的自衛権の行使をしますよというようなことは、さっき言った事前の抑止力にもならないし、結果が一部起きてから、その国と友好国ではあるんだと思いますけれども、集団的自衛権の行使の対象になるようなパートナーだということを後になってから認め合うなんというんでは、なかなか周りの国からも理解されないと思うんですけど、その点はどういうふうに考えたらいいんですか。
  147. 新美潤

    政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘ございましたように、確かに集団的自衛権というものが抑止という意味を持つ場合は多くあると思います。  他方、例えば、過去の例を見てみますと、一九九〇年にイラクがクウェートを侵攻した後に、クウェート等の要請を受けましてアメリカやイギリスがペルシャ湾地域へ兵力を派遣することになったわけでございますが、そのとき米国、英国等が個別的及び集団的自衛権の行使として説明する書簡を国連安保理に対して送付したというような例もございます。  したがって、もちろん抑止という場合もあるわけでございますけれども、実際にその武力行使等が発生し、それに対して、その密接な関係にある国同士が、ああ、これは共通して危険として対処する必要があると、そういう共通の関心を表明する場合もございまして、アプリオリに、必ずしもその抑止という観点から事前にそれが分かっていないといけないということでは必ずしもないのではないかと。もちろん個別具体的な例ではございますけれども、一般論としてお答え申し上げました。
  148. 小野次郎

    ○小野次郎君 国際法的に言うとそういうことなんですけれども、今から集団的自衛権の議論を国内でやっていくときに、そういう説明をしていたんではなかなか裾野が切れないというんですか、どの土俵で話しているのか分からないような気がするし、しかも、それは結果が一部発生してからもまた、国民の知らない予期せぬ国と、いや、日本とはそういう関係なんだというふうになり得るというのでは、どこまで広がるかが分からないと思うので、是非政府としてもその議論が本格化するときには、その辺についても何らか、どこまで広がるか分からない議論というのは、議論があるところに収れんするかどうか分かりませんが、すればしないよりはいいと思いますけれども、その際には必要なんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。  次の質問に移りますが、これは防衛大臣にお伺いいたします。  私は、個別的自衛権も、実はある種、他国に脅威を与えちゃいけないのは前提ですけれども、同時にまた、しっかり日本という国は守るんだよと、日本に対して無謀なことを仕掛ければびしっと排除されるんだという意味では抑止力というのはやっぱり重要だと私は思うんです。  その意味でお伺いしますが、我が国防衛上やむを得ない場合に行う外国領域に対する反撃、いわゆる昔から敵基地攻撃と言われていますけれども、について容認される条件をもう一度お伺いしたいと思います。
  149. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) いわゆる反撃力、敵基地攻撃能力につきましては、憲法との関係については、政府は従前から、法理上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは憲法が認める自衛の範囲内に含まれるという考え方を示してきているというふうに承知をしております。
  150. 小野次郎

    ○小野次郎君 憲法上はある種の要件の下に許されるんだけれども、長い間、そういう準備はしていませんというふうに政府はまたおっしゃるんですよね。  私は、その集団的自衛権の議論も排除はしませんけれども、今すぐそこにある検討すべきテーマというのは、そういう憲法上も容認されているし、今だんだん兵器は足が長くなってきて千キロも飛ぶとかいうものが出ているときに、それに対して有効に対処できるかどうかという議論の方が非常に切実な問題ではないかと思うんですが、自衛隊には、そういった外国領域にやむを得ない場合には反撃するための兵器、装備の整備状況ってどうなっているんでしょう。
  151. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘がありましたように、自衛隊は現在、他国の領土に所在する基地等を攻撃することを目的とした装備体系は保有はしておりません。  この点に関して、新たな防衛大綱において、「北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。」ということにはしております。  これは、弾道ミサイル防衛システムについて我が国全域を防御し得る能力を強化するほか、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力を強化するという、そのような内容についてのこととしております。
  152. 小野次郎

    ○小野次郎君 それはミサイルディフェンスの話だと思いますけれども、私の聞いているのは、必要な場合には発射するところに対する攻撃の能力だって備えるべきじゃないかなと思いますけれども、今日は指摘だけにしておきます。  それから、続きまして、同じようにこれも前から言われていることですけど、我が国に対する武力攻撃の重大かつ差し迫った危険が予定される場合に相手方の攻撃を排除するために行ういわゆる先制攻撃、これ憲法上許されるのかどうか、御所見を伺いたいと思います。
  153. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘がありましたが、政府は従来から、自衛権の発動については、先ほど議論があります三要件があります、この三要件に該当する場合に限られるというふうに解しております。  この三要件の第一要件、我が国に対する急迫不正の侵害があることとは、我が国に対する武力攻撃が発生したことを意味するものと解されておりますので、お尋ねの先制攻撃の意味するところが必ずしも明らかではありませんが、我が国に対する武力攻撃が発生していない段階で我が国が武力の行使を行うことを意味するものであれば、この上述の要件を満たさず、憲法上許されないと解しております。
  154. 小野次郎

    ○小野次郎君 この議論ももう何十年も神学論争みたいに行われてきていますけど、しかし、実際、歴史の事実に当たってみると、全く、何というんですかね、武力の行使がゼロの状態から突然本格的な武力行使になるということは極めて例外的というか、なかったと思うんですね。常に最初は何か領海侵犯が起きたり、あるいはもう極めて小規模な小競り合いみたいのが始まっている、そのうちに大規模な武力行使になるというのが普通の展開なんですね。だから、この議論というのは、ゼロか一〇〇かというときになれば、それは日本の方から先に先制攻撃なんてあり得ませんよということを言っているんだと思うんですが。  私が聞いているというか多くの国民も関心があるのはそうじゃなくて、ある、まあ、あってはいけないことですけど、外部が我が国に対して攻撃仕掛けてきていることが明らかだというときに、大事な、その相手の攻撃能力に対してこちらが先制的にそのダメージを与えるということは、別に何もないのに先制攻撃するわけじゃないんですね。実際にはそういうこともあると思うんですが、それは可能なんでしょうか。
  155. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 従前から、政府としましては、先ほどお話しされております自衛権の発動の三要件、この場合に限られると解釈をしております。いずれにしても、我が国に対する急迫不正の侵害があることということであります。それが前提ということであります。
  156. 小野次郎

    ○小野次郎君 内閣官房、今日お見えでしょうか。済みません。  こうした個別的自衛権の範囲に関する外国への反撃とか、あるいは極めて限定的にしても先制攻撃を必要とする場合などについての問題というのは、安保法制懇では議論されないんでしょうか。
  157. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。  安保法制懇では、集団的自衛権等と憲法との関係について、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り我が国の平和と安全を確保するためいかにすべきかという観点から検討が行われております。議論が行われています事例は、集団的自衛権、集団安全保障、武力の行使との一体化、PKO、邦人救出、武力攻撃に至らない侵害に関するものについてが中心でございます。  個別的自衛権につきましては、現行の憲法解釈上認められているということもありまして、その範囲に関する議論は詳細には行われておりません。一般論として、個別的又は集団的自衛権を行使する自衛隊部隊の活動の場所に地理的な限定を設けることは適切ではないといった意見は表明されておりますけれども、個別的自衛権の範囲に関する御指摘のような敵基地攻撃とかあるいは先ほどのその先制攻撃とか、そういったようなことについては議論をされていないところでございます。
  158. 小野次郎

    ○小野次郎君 この議論を聞いていただいた方も分かるとおり、何十年も議論はされているけれども、本当に、こういうケースのときどうするんだ、こういうケースのときどうするんだということについては余り詰められてこなかった。そういう議論には深入りしない方がいいという長年の流れの中で、棚の上に置いてこられたような議論なんですね。  ですから、是非、私は、この集団的自衛権の議論も排除はしませんけれども、今すぐにも、我々国民にとって関心の強い問題である、外国へのどうしても反撃をしなきゃいけない場合とか、あるいは小規模な小競り合いによってある意味では武力行使があったと見てもいいときに、本格的な武力攻撃の前にそれを制するために先制攻撃というのも必要な場合があると思うので、そういう議論についても、国会でもしていただきたいし、政府にも検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  159. 末松信介

    委員長末松信介君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣は御退席いただいて結構です。お疲れさまでした。     ─────────────
  160. 末松信介

    委員長末松信介君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アラブ首長国連邦との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件、所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府オマーン国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  161. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アラブ首長国連邦との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十八年以来、アラブ首長国連邦政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十五年五月二日にドバイにおいて、我が方在アラブ首長国連邦大使と先方財務担当国務大臣との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約は、我が国アラブ首長国連邦との間で二重課税回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。  この条約締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十五年以来、スウェーデン政府との間で現行の租税条約を改正する議定書の交渉を行いました。その結果、平成二十五年十二月五日にストックホルムにおいて、我が方在スウェーデン大使と先方財務副大臣との間でこの議定書の署名が行われた次第であります。  この議定書は、投資所得に対する源泉地国における限度税率の更なる引下げ、税務当局間の徴収共助の手続の整備等の措置を講ずるための規定等を設けることとしています。  この議定書締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、我が国とスウェーデンとの間での課税権の調整がより効果的に行われることになり、両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十五年以来、英国政府との間で現行の租税条約を改正する議定書の交渉を行いました。その結果、平成二十五年十二月十七日にロンドンにおいて、我が方在英国大使と先方国庫大臣との間でこの議定書の署名が行われた次第であります。  この議定書は、事業利得に対する課税に関する新たな規定を導入するとともに、先ほど御説明したスウェーデンとの間の議定書と同様、投資所得に対する源泉地国における限度税率の更なる引下げ、税務当局間の徴収共助の手続の整備等の措置を講ずるための規定等を設けることとしています。  この議定書締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、我が国と英国との間での課税権の調整がより効果的に行われることになり、両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  最後に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府オマーン国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十三年以来、オマーン政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十六年一月九日にマスカットにおいて、我が方在オマーン大使と先方財務担当大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、先ほど御説明したアラブ首長国連邦との間の条約と同様、我が国とオマーンとの間で二重課税回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。  この協定締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  162. 末松信介

    委員長末松信介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  四件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会