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北側委員 憲法解釈の話で、なかなかテレビをごらんになられている
国民の皆様からはわかりにくいところもあったと思いますが、きょうの長官の御答弁は、今後、
法整備をしていくに当たりまして基本となる答弁をしていただいているわけでございまして、私は、非常に重要な
意味を持っているというふうに思っております。
そこで、
総理、
安全保障上の具体的な必要性について、もう少し立ち入って
議論をさせていただきたいと思います。
我が国の防衛のために現に行動している米艦の防護、この例を通して
議論をさせていただきたいと思うんですね。
日本の周辺で
日本の防衛のために現に活動している
米国の船、米艦を
日本の
自衛隊が防護できるのかという
議論があるんですね。これは、実を言いますと、
国会でこれまで何度も
議論されてきた経過がございます。
ちょっとパネルを用意させていただきましたが、私のつくったこの絵は、平素、平時ですね、平時から周辺事態。近隣有事。近隣有事というのは、周辺事態の中の近隣で
武力紛争が起こった場合という
意味で、この近隣有事。そして、
我が国有事というのは、
我が国に対する
武力攻撃が開始された場合ですね。
我が国有事。事態の深刻性が
変化していく、その程度に応じて少し
議論をさせていただきたいと思うんです。
この絵の中で、これまでの
国会の論議の中ではっきりしているのが二つあるんです。それは5。5というのは、
我が国に対する
武力攻撃の開始があった、その場合に、例えば公海上にいる米艦、これは当然守れますよ、これは個別的
自衛権の範囲内として守れますよと言っていますし……(発言する者あり)いやいや、下の場合なんですね。
我が国に対する
武力攻撃が発生、
我が国防衛のために行動する公海上の米艦であっても、
日本海上にいる近海の米艦であっても、それは個別的
自衛権で対処できる。さらに、
我が国の領海にいる米艦への
攻撃は、そのものが
我が国への
武力攻撃の着手ということで、個別的
自衛権で対処できる。5は、従来、
国会で答弁されているんですね。
それから、一番上、これは平時の場合ですが、
自衛隊の武器等防護。
自衛隊法九十五条に、
自衛隊の保有している武器等を守るために、限定的に武器の使用ができるよという規定が今あります。例えば、
自衛隊の船と米艦船が並走している、こんな場合は、仮にそこに実力の
行使、何らかの
攻撃があった場合には、この九十五条を適用して、反射的効果で米艦を守れますよと、これも答弁できっちり言っているんです。
ところが、ほかのところは、
法律がないか、未
整備か、もしくは不明確なんですね。どういう判断なのかというのが不明確なところなんです。
例えば、平時から周辺事態にわたる
部分、事態の
状況のときに、また、
我が国に対しては
武力攻撃がありません、その場合に、
自衛隊と連携して
我が国防衛に資する活動を現に行っている米艦船の防護をできないのかどうか、これは今
法律がないんですね。
自衛隊法九十五条というのは、
自衛隊の保有する武器を守るためにしか武器の使用はできませんので、こういう、
我が国のために、まさしく防衛に資する活動を現に行っている米艦について、何らかの、
武力攻撃に至らない、そういう
実力行使があった場合に、
自衛隊は守ることができる
状況であったとして、その場合に守れないということになっているんです。
今回の
閣議決定では、この
武力攻撃に至らない事態、いわゆる
グレーゾーンの
部分のところで、ここについて、
自衛隊法九十五条と同様の規定を
検討しようじゃないか、
整備しようじゃないかということで、これからまさしく
政府部内で
検討されていくんですが、そのような場合には、極めて受動的かつ限定的な必要最小限の武器使用を
自衛隊に認めていこう、これは新しい
法制が必要なんです、これをやっていこうということを決めたわけでございます。ここは、あくまで広い
意味での警察権の範囲内の問題ですから、
自衛の
措置の問題ではありませんが、そういうことをやっていこうということを決めました。ここで一つ
法整備をやる。
問題は、ここの
部分なんですけれども、
我が国に対しては
武力攻撃の開始がまだない、でも、一方で、
日本近海、
日本海で
我が国防衛のために
自衛隊と連携しながら、例えば警戒監視活動をしている、そういう
アメリカの艦船に対して
武力攻撃があった場合、先ほどのは
武力攻撃に至らない事態ですが、
武力攻撃があった場合に、これはどうなんだという
議論が、
国会で何度も
議論されているんです。
何度も
議論されていて、どういう答弁をされているかというと、これは4のところですね、個別具体の事実
関係によっては、公海上にある米艦への
攻撃が
我が国への
攻撃の着手と認められる。公海上の米艦への
攻撃が、それを捉えて
我が国に対する
武力の
攻撃の着手になる場合も、個別具体の事実
関係によってはあるよという答弁が何度かされています。たしか福田官房長官の答弁にもそういう答弁があったと思うんですけれども。
ただ、この個別具体の事実
関係というのはどんな場合なのかということについては、必ずしも明らかじゃないんです。
確かに、その
攻撃を捉えて、
攻撃国の
意思とか能力がきちんと明示されていまして、
意思なんかが明示されていて、もうこれが、米艦に対する
攻撃がまさしく
我が国に対する
攻撃だというふうに明らかに見られる場合もあるでしょう。また、その
攻撃時点というのは、情報が全てあるわけじゃないですね。後々になってみて、あのときの米艦への
攻撃というのは、振り返ってみれば、情報を総合すると、やはり
我が国に対する
攻撃の開始だったねと評価される場合もあるでしょう。ただ、場合によっては、その辺の判断がなかなか容易ではない場合もあるかもしれないわけです。
しかし、問題は、
自衛隊と一緒になって
我が国防衛のための活動をしている米艦船に対して
武力攻撃があった場合に、
自衛隊が守れるというのが前提ですけれども、
自衛隊が守れるにもかかわらず守れないというのは、これはやはり
日米防衛協力体制の基礎を大きく損なってしまうんじゃないのかという
意味で、ここはやはり
安全保障上の必要性はあるのではないかというふうに私は考えたんです。
総理、いかがでしょうか。