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塩崎委員 ありがとうございました。
次に申し上げたいと思うんですけれども、去年の十二月に、ドイツのシュレーダー前首相を私ども、
日本に招待いたしまして、
講演とパネルディスカッションをやりました。そのときのタイトルは、
アベノミクスへの提言というのでお願いをしたわけであります。
ドイツは、
皆さん御存じのように、九〇年代の後半は、欧州の病人と呼ばれるぐらい、
経済はへたっておりました。それが今や、欧州最強の牽引役というふうになっている、元気な
経済になっているわけでありまして、それがまさにシュレーダー改革によってもたらされた。メルケルさんは、言ってみれば、その
効果を後で享受して、いい割を食っているということであります。
九八年に
スタートしたシュレーダー
政権、たしか二〇〇三年だったと思いますけれども、アゲンダ二〇一〇という構造改革のパッケージを発表しましたが、次々といろいろな改革を打っていきました。労働組合をバックにしていながら非常に雇用
政策についても切り込んでいって、大変大胆な改革をやったことは
皆さん御存じのとおりだと思うんです。
そのとき、
安倍総理へのアドバイスはどうですかということをパネルディスカッションで聞きましたら、彼が瞬時に言ったことは、やはりトップダウンによる改革断行しかないよ、自分はそうしたということで、国益のためにトップダウンでやれということで、ボトムアップでは
議論が堂々めぐりになって成り立たないということであります。
政治家が必要な決断を下すということが必要であって、私からも、ぜひ
総理には、国益のために全てをかけて、ひるむことなくリーダーシップを発揮してもらって、もちろん、各方面の理解は
最大限の理解を得られるように努力を絶えずしながら、しかし、引き続きトップダウンで頑張ってもらいたいというふうに思っています。
もう一点は、去年一年間、
株価が随分上がったのはもう御案内のとおりで、きょうもちょっと上がっていますが、去年一年間で、では誰が株を買ったのかというのを見てみると、御存じかと思いますけれども、実は、外人が十五兆円の買い越し、それに対して
日本の個人の投資家は九兆円の売り越しであります。
日本の
金融機関は、さらに十一兆円の売り越しをしている。つまり、
日本の国内の投資家は、かなりの部分、投信は買っているかもわかりませんが、かなりが売って、そして外人が買ってこれだけ上がってきているということを、我々は忘れてはならない。実は、一月に入って三週連続、外人は売り越しになっています。
ですから、これは非常にこれから気をつけなければいけないのであって、何を
意味するかというと、やはり、外人の投資家に向かっても、
アベノミクスはぶれずに進めていくというメッセージを強く出すこと、それと、国内はまだ慎重になっているわけですから、これなら確実に大丈夫になるなということをわかってもらうようにしていくことが大事なんだろうと思うんです。
この間、
ダボスで初めて
日本の
総理として冒頭の演説をやられました。初日に御案内をいただいたというのは初めてだと聞いておりますけれども、その
講演の中で力強く
アベノミクスについて主に語っていただいたわけでありますけれども、強烈なメッセージだったと私は思います。
とてもよかったと思いますが、一方で、これは
世界に対してメッセージを送ったわけですから、言ったことはやらなきゃいけない。まさに言ったことはやらなきゃいけないのであって、それを念頭に、それもやはりスピード感というのが大事だと思うんですね。発信をして、やるぞということをたくさん言っていただきました。ですけれども、向こうは、じゃ、すぐやるんだなと必ず思いますから、そのスピード感がずれると、買い越しが売り越しに変わってくるということになるんだろうと思います。
これから、法人税の問題、
岩盤規制の問題、コーポレートガバナンス、それからGPIFの問題について
お話をしていきたいと思いますが、まずは法人税であります。
ダボスでのスピーチでは、もう何度も引用されていますけれども、国際相場に照らして競争的なものにするということと、本年さらなる法人税改革に着手をいたしますということでありました。誰しもが、法人実効税率を引き下げるんだな、その
決意だなというふうにとったと思います。
それから、一方で、与党の
税制改正大綱や
成長戦略進化のための今後の検討方針など、あるいは、麻生
大臣が諮問
会議でお出しになったペーパーなどでは、やはり、
政策税制の抜本的見直しを含めた課税ベースの拡大、そして他の税目での増収ということで、税収を考えた上での減税ということをおっしゃって、レベニュー・ニュートラルということなんだろうというふうに思います。
それに対して
総理は、一月二十日に諮問
会議で、法人税の
議論に、レベニュー・ニュートラルの考え方にこだわらないというふうにとれる御発言をされておりましたし、諸外国で、減税をしたけれども、オーバータイムでは、何年かにわたって見れば税収がふえているじゃないかということもあるので、実例を検証しろ、こういうふうに指示をされたというふうに聞いているわけであります。
私も、いつも税調で何年も
議論をしていて、よく単年度の減収額というので
政策を判断していますけれども、これで本当にいいんですかということは何度も言ったことがあります。やはり、ある程度モデル的な、複数年度にわたってダイナミックに、スタティックというか静的にじゃなくて、動的に物事を考えて、その
政策効果をどうするのかということをやるべきじゃないかというふうに私としては主張してまいりましたけれども、まさにそういうことではないかなというふうに思います。
そこで、
総理に御
質問は、今申し上げたような趣旨で、このレベニュー・ニュートラルに必ずしもこだわらずに外国の例なども検証してみろということをおっしゃったのかどうか、あるいは、民間議員の
皆さんは二〇%台のことを言っているわけですけれども、そういった方向について考えていらっしゃるのかということについて少し、いろいろな意見がありますので、この法人実効税率の引き下げ問題について、改めてその肝を聞かせていただきたいと思います。