○岩永裕貴君
日本維新の会の岩永裕貴でございます。
まさに今、田植えの季節となりました。広がる新緑の苗が風になびき、全国の集落では豊作を祈るお祭りが行われ、
地域のコミュニティーが一気ににぎわいを見せる、私の一番好きな季節でもあります。
これから、その若い苗は、時には強い風雨や、時には嵐にも耐えながら、黄金色に輝き、強く、立派な稲穂として成長していきます。
日本の
農政も、取り巻く厳しい環境に合わせて大きな変化が求められるがゆえに、時には困難を伴う道のりではありますが、堂々と根を張り、天に向かって成長する稲穂のように、強く、プライドある
農政の
改革をなし遂げる覚悟を持ち、会派を代表して、ただいま上程されました
政府提出の
農業の
担い手に対する
経営安定のための
交付金の
交付に関する
法律の一部を改正する
法律案及び
農業の有する
多面的機能の
発揮の
促進に関する
法律案に
賛成の立場で、以下、
討論をいたします。(
拍手)
日本維新の会の
農業政策の
基本理念の一つに、
農業を成長産業化し、ひいては今後の世界市場を見据えた輸出産業へと発展させることを明記いたしております。
我々は、これまでの
農政は、余りにも
生産者の視点を過度に意識し過ぎた各種施策が展開されてきたがゆえに、消費者を置き去りにしてきたことが、
日本の
農業を衰退させた最も大きな原因であると考えております。
農業従事者の皆さんの今後のさらなる発展を本気で考え、若者の新規参入を促すためには、質、量、そして価格的に消費者に選んでいただける
農産物を
生産していくことが必要不可欠であり、その実現に向けた施策の実行こそが、今政治に求められている最も大きな役割であることを確信いたしております。
このたびの
法案は、限りある財政の中で、
農業従事者の皆さんに、コストの削減を初め、
経営の視点をこれまで以上に求め、消費者を意識する
内容となっている観点から、評価をいたします。
次に、
多面的機能についての、我々
日本維新の会の考え方。
特に厳しい条件下にある中山間地の
農業は、環境保全という側面をより
強化し、産業とは一定の距離を置いた上で、果たす役割をより明確にするべきであると考えております。
私自身、滋賀の小さな山村集落で生まれ育ちました。
農業には、水源や水路の維持、
担い手の供給、鳥獣からの被害を防ぐといった意味で、集落の維持が大変重要であることを実感いたしております。
しかし、今、少子高齢化が進む時代背景の中で、集落では、都市に先駆け人口が減少し、集落の共同活動
機能を果たすことが難しくなっている状態です。
先日、
委員会の中でも、総理から、美しく活力ある農山村を維持するために、今回の
改革でも、
農地の集積、
多面的機能の維持、六次産業化の支援などを行うのだと述べられました。
大変難しい課題ではありますが、伝統や文化を含めて、一度失うと二度と取り戻すことが難しいのが集落
機能です。
そうした観点からも、このたびの
法案は、環境保全にこれまで以上に予算の配分を充実させている点、また、集落
機能の維持のための要件をより大きく広げたという点においても、評価をさせていただきたいと思っております。
が、しかし、本
法案を含め、今後の
日本農業を発展させる上で、幾つかの懸案事項を、以下、指摘させていただきたいと思います。
まず、補助対象作物に対する
国民の二重負担の問題で指摘をいたします。
我が国の
農業を考えていく上で最も重要な品目である米でありますが、長年の大きな矛盾が解決されないまま今に至っていることは、御案内のとおりでございます。
それは、いざというときのためにしっかりと米をつくる土台となる資源としての水田と技術、そして
生産者を維持する一方で、人口減少、また一人当たりの消費の減少に伴う急激な国内
需要の減少に対応していかなければならないという難題でございます。
これまで、
政府は、供給が過剰になった米に対して、わざわざ補助金を払って、減反や転作による
生産調整により米作を抑制し、
需要と供給のバランスを無理やりずらすことによって、米価を高く維持してまいりました。
日本の消費者は、納税と高い米価の、二重の負担を強いられてきたわけでございます。さらに、余剰米の処理に税金が使われるという、ゆがんだ状況が長年続いております。
今回の
改革によっても、こうした状況が抜本的に解決をされたというわけではございません。
米の
生産基盤を維持しながらこの矛盾を解決するには、
需要をふやすしか手だてがありません。
需要に関しては、
主食用米と非
主食用米がありますが、今回の
改革では、
主食用米から非
主食用米である飼料米への誘導が図られております。
飼料米に関しては、もみ米の不足、価格の問題、対応する設備の問題、顧客である畜産
農家とのマッチングの問題など課題は山積いたしておりますが、国家戦略の方向性としては間違っていないものと考えられます。今後、飼料米に取り組もうとする
農家が安心して作付できるように、しっかりとしたバックアップがとられる方策を緊急に
整備する必要があることを指摘させていただきます。
次に、
担い手については、御案内のとおり、
我が国の
農業従事者は、六十五歳以上が六〇%以上、四十歳代以下がわずか一〇%という状況であり、世代間のバランスを大きく欠いた状況となっております。
これには、ほかの仕事をリタイアした後実家の
農業を継ぐ人が多いといった就農の要因もあり、一概に悲観的になる必要はありませんが、しかし、力強い
農業、成長産業としての
農業を考えれば、若者が積極的に
農業に参入してくれるような環境が望ましいのは、言うまでもありません。
農業高校の就農率の低さは
委員会でも指摘をいたしましたが、女性や若者に魅力ある産業としての
農業にしていくために、管理技術の向上による省力化により投下労働時間が減少しても、しっかりと
所得につながるように、
政府として取り組む必要があると考えております。
最後に、現場を歩かせていただいて最も多くのお声をいただくのが、猫の
目農政への批判です。
一九九八年に稲作
経営安定対策が導入されてより、二〇〇四年に、転作面積から、米の
生産数量目標の導入へ、また、稲作
所得基盤確保対策と
担い手経営安定対策が始まり、二〇〇七年からは、さらに、品目横断的
経営対策の導入により、
担い手中心の
農政を目指す姿勢が示されました。
こうした施策の転換における現場の戸惑いの中で、政権交代が行われたことにより、二〇一〇年から、
戸別所得補償制度による直接支払いが導入されたわけでございます。そしてまた、今回の、新たな
経営所得安定対策への方向転換。
こんなにも
農政を取り巻く
経営の大きな要素がころころと変化をするという、先の見えない不安の中で、
農業従事者は、生き物を相手に、年単位の計画を立てて事業を進めていかなければならないわけでございます。
申すまでもないことではありますが、与野党問わず、
日本農業の発展を願う心は同じであるとするならば、
生産者の目線に立って、十年、二十年、安心して
生産ができる環境をつくっていかなければなりません。
以上、三点を指摘とさせていただきます。
なお、
民主党、
生活の党、社民党三会派共同
提出の四
法案につきましては、方向性としては理解をいたします。ただ、財源の確保、また、成長産業化への積極的
推進という我が党の観点とは考えが異なりますので、
反対とさせていただきます。
しかし、このたびの
法案提出によって、閣法との比較検討が幅広く多角的に行われました。
日本農業の将来について深く
議論ができたことは、大変有意義でございました。その意味については、深く敬意を表するものでございます。
最後に、
日本農業が成長産業として大きく羽ばたき、今後のグローバルマーケットの中で
日本の農産品が大きく伸びていくことを心より期待を申し上げ、
日本維新の会を代表しての
賛成討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)