○坂元大輔君 日本維新の会の坂元大輔です。(
拍手)
質問に入ります前に。
三月三十日に沖ノ鳥島の港湾工事現場にて発生した事故により、工事関係者五名がお亡くなりになり、四名がけがをされ、二名の方が行方不明となっております。お亡くなりになられた御遺族の方々にお悔やみ申し上げますとともに、心よりお見舞い申し上げます。また、行方不明二名の方の捜索活動に全力を挙げていただきますことを、冒頭、お願い申し上げます。
それでは、会派を代表して、ただいま
議題となりました
道路法等の一部を
改正する
法律案について質問をいたします。
私にとりまして、初めての、本
会議での質問になります。関係各位の御配慮に、心より感謝申し上げます。
全ての道はローマに通ず、これは、
目的までの手段や方法は何通りもあるという意味のことわざです。日本経済の好循環のためには、アベノミクス、この道しかないとおっしゃる安倍総理にぜひとも知っていただきたい言葉でありますが、このことわざは、もともと、西洋文明の礎となった古代ローマが、
道路政策を大変重要視し、いかにすばらしい
道路網を誇ったかをあらわす言葉から、意味が転化したものです。
私の愛読書である「ローマ人の物語」の中で、著者の塩野七生氏も、未舗装の道が当たり前だった当時、平坦かつ石によって舗装されたローマ街道は、まさに
高速道路であり、ローマの大帝国への発展を決定的なものとしたと叙述されています。
まさに
高速道路は、国家の成長、発展にとって必要不可欠な、大動脈と呼ぶべきものであります。
歴史の針を現代に戻すと、
我が国でも、一九六二年、昭和三十七年十二月に首都
高速道路一号線京橋—芝浦間が開通し、その後、全国的なネットワーク
整備により、総延長は、もうすぐ一万キロメートルに達しようとしています。物流の主軸として日本経済を支えるだけでなく、
国民生活になくてはならない社会資本として、完全に定着をしております。
しかし、今、日本の
高速道路のあり方は、大きな曲がり角を迎えています。
開通からの
経過年数が三十年を超える区間が、高速自動車国道においては約四割、都市
高速道路においては約五割を占め、老朽化が進展し、大
規模な
改修や
修繕が必要となってきました。
平成二十四年十二月に起きた中央自動車道
笹子トンネルの天井板落下事故以降、ようやく
我が国においてもこの問題が認知されるようになりましたが、特に、オリンピックを六年後に控える東京の首都
高速道路では、
経過年数が五十年を超える箇所もあり、早急な取り組みが求められています。
本
法律の
改正案は、こうした
観点を中心として
提出されたと理解しますが、以下、個別の点において質問をさせていただきます。
二月に就任された舛添要一東京都知事が、就任会見で、首都
高速道路の大
規模改修を東京オリンピック開催の二〇二〇年までに終えたいと言及されました。選挙において、
自民党都連と公明党都本部が推薦を出され、国政与党としても実質的に
支援をされた、舛添知事の発言です。
政府としても、二〇二〇年までの大
規模改修完了に
責任を持って取り組むと捉えてよろしいのでしょうか。明確な御
答弁をお願いします。
さて、今回の法
改正案の中で最大のポイントは、
高速道路の老朽化に対応した大
規模更新、大
規模修繕を
業務実施計画に明記し、
更新費の
償還のため、
料金徴収年限を二〇六五年まで十五年延長することであると考えます。
しかし、そもそも、この
償還主義を抜本的に
見直し、
償還後の維持管理費についても、受益者負担の考えに基づいて、継続的に
利用料金を徴収して充当すべきではないでしょうか。
債務を
償還しても、毎年数千億円
規模の維持費がかかるわけですし、新たに大
規模更新が必要な箇所も当然出てくるでしょう。
利用者から
料金を取らず、そうした費用を全て
国民が税金で負担することに、果たして
国民の理解が得られるでしょうか。
また、
高速道路の
建設費用には、減価償却の不要な土地代が相当程度含まれています。これも含めて
建設債務として四十五年で完済しようとすれば、
料金はどうしても高くなります。実際、同じく有料制のフランスやイタリアなどと比べても、日本の
高速道路料金はかなり割高です。
償還主義を
見直して、継続的に
利用料金を取るようにすれば、三、四割は
料金を下げることができるとも言われており、その方が
利用者にとってもメリットが大きいと考えますが、いかがでしょうか。御
答弁をお願いします。
さきの問いに関連して、
高速道路の
料金政策について伺います。
道路公団民営化以降の
高速道路行政、特に
料金に関する政策を見ると、根源的な問題に手をつけず、人気取り政策に力点が置かれた
高速道路ポピュリズムが横行してきました。麻生
内閣の休日上限千円の
料金割引、
民主党政権の
高速道路無料化実験がその代表例ですが、その他さまざまな割引
制度も乱発されてきました。
しかし、巨額の財源を国費から捻出しているにもかかわらず、こうした
料金政策が、果たして、
利用者、
国民にきちんと理解されてきたでしょうか。極めて複雑でわかりにくい
料金制度の結果、車のナビに表示された正規
料金と、
料金所で表示される割り引き後の
料金が余りに違うことに驚いた経験を持つのは、私だけではないと思います。
いいかげんに
高速道路ポピュリズムから脱して、割引の理念や
実施目的を精査し、それぞれの割引
制度の効果を確認、評価した上で、できるだけ簡素で安定的な
料金を目指すべきだと考えますが、この点について御
答弁をお願いします。
続いて、
高速道路会社のあり方について伺います。
完全
民営化したJRと違い、
高速道路会社六社は、今も、国や地方自治体が一〇〇%出資する特殊会社、つまり公有企業であり、
料金体系や社長
人事も国土交通省が握っていて、会社としての
自主性を発揮できない仕組みとなっています。
民営化によって、サービスエリア事業関係では、新たなサービスを提供して
利用者から好評を得ていますが、本業の
高速道路運営でも、
料金設定も含めて、多様なサービスを提供できるようにすべきではないでしょうか。
我が党の橋下徹共同代表が市長を務める大阪市では、現在、市営地下鉄の
民営化に向けて、職員給与の
見直しなどさまざまな
改革を行い、四月一日から、初乗り運賃を二十円値下げしました。消費税増税の中、値下げは助かるといった
利用者の声をいただいています。
やはり、
高速道路会社も、自主的に弾力的な
料金設定ができてこそ、真に
民営化したと言えるのではないでしょうか。この点について、御
答弁をお願いします。
次に、市町村の管理する
道路の
老朽化対策支援について質問します。
今回の法
改正案により、首都
高速道路等の大
規模更新、大
規模修繕が可能となれば、
高速道路に関しての
老朽化対策には一定のめどが立つわけでありますが、老朽化問題で最も深刻なのは、地方自治体、とりわけ、小さな
規模の市町村が管理する
道路であります。
我が国の
道路延長約百二十万キロメートルのうち約八四%、約百二万キロメートル、
道路橋約七十万橋のうち約七五%、約五十二万橋を市町村が管理しており、高度経済成長期に集中的に
整備された橋梁が急速に老朽化し、通行どめ等が増加しています。
そこで、お伺いいたします。
地方公共団体、特に、小さな
規模の市町村では、財政力不足、専門職員不足などを
理由に橋梁の
老朽化対策が進んでいませんが、国として、どのように
支援していく考えでしょうか。御
答弁をお願いします。
続いて、メンテナンス技術の向上促進についての取り組みについて伺います。
国、地方自治体ともに、非常に厳しい財政状況において、予算の制約がある中で、
道路の維持管理・
更新費用の低減を図るため、革新的な技術の開発が求められています。国として、メンテナンス技術の革新をどう促していくおつもりでしょうか。
具体的には、検査や補修は、小
規模事業として地元の中小企業に優先的に発注され、また、検査結果に応じて個別的、応急的補修がなされる場合が多く、技術力の高い大手企業が
新規建設に集中している現状を改善すべきではないでしょうか。
もちろん、案件に応じて地元中小企業への配慮も行いつつ、性能発注、多種事業の一括発注、広域の施設を
対象とする大
規模発注、コンセッション方式など、技術力の向上をもたらす発注
制度に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。御
答弁をお願いします。
最後に、
道路行政において喫緊の課題を一つ指摘させていただきます。それは、通学路における安全確保です。
平成二十四年四月に、京都府亀岡市、千葉県館山市、愛知県岡崎市で、登校中の児童の列に車が突っ込むという事故が相次いで発生し、この問題が注目を集めました。私の地元である広島県福山市でも、つい先月、下校中の小学生四人の集団に信号無視をしたトラックが突っ込んで横転し、一人が意識不明の重体で、二人が重軽傷を負うという、痛ましい事故がありました。
こうした悲惨な事故を極力起こさないようにするため、通学路の安全確保に関しては国としてどのような対策を行っているのか、具体的に御
答弁をお願いします。
冒頭に御紹介した「ローマ人の物語」の中に、ローマ人は、インフラを、人間が人間らしい生活を送るためには必要な大事業だと考えていたという記述があります。
主要インフラの一つである
道路において、
我が国では、
新規建設から維持管理、
更新へという新しい局面を迎えていることは間違いありません。その新しい局面に対応した
道路行政のあり方について、今後も積極的に提言していくことをお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣太田昭宏君
登壇〕