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2014-01-29 第186回国会 衆議院 本会議 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年一月二十九日(水曜日)
—————————————
議事日程
第三号
平成
二十六年一月二十九日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) 午後二時二分
開議
伊吹文明
1
○
議長
(
伊吹文明
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
伊吹文明
2
○
議長
(
伊吹文明
君) 昨日に続き、
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
を行います。まず、
井上義久
君。 〔
井上義久
君
登壇
〕
井上義久
3
○
井上義久
君 私は、
公明党
を代表して、ただいま議題となりました
安倍総理
の
施政方針演説
に対し、総理並びに
関係大臣
に質問します。(拍手)
安倍内閣発足
から一年が経過し、政治の安定と機敏かつ的確な
政策対応
により、経済を初め、状況は大きく動き出しました。
日本経済
は、三本の矢による
経済政策
により、過度な円高が是正され、株価も上昇、大企業を中心に収益が増加するなど、大きく改善しました。
東日本大震災
からの復興は、瓦れきの処理や
インフラ
の復旧にめどが立ちつつあり、住まい、
まちづくり
を含めた本格的な復興が加速度を増しています。 福島の
原子力事故災害
からの
復興再生
も、国が前面に出て対処するなど、新たな段階に入りました。
社会保障制度
は、
安定財源
を確保するとともに、昨年成立した
プログラム法
に基づく本格的な改革がいよいよ始動します。 さらには、
財政健全化
への
取り組み
も着実に進展しています。 このように、
政権交代
前まで日本の政治、経済、そして社会全体を覆っていた閉塞感を打ち破り、未来へ向かっての展望を開いた、それが二〇一三年であったと確信します。 しかし、これからが正念場です。
安倍総理
が今国会を好
循環実現国会
と銘打たれたとおり、
日本経済
の再生と震災からの復興の加速を最優先の課題として、全精力を傾注すべきです。さらに、安心の
社会保障
の実現や外交・
安全保障
問題など、内外の諸課題にも取り組まなければなりません。
公明党
は、与党として、これらの課題に責任を持って全力で取り組むことをお誓い申し上げます。 以下、
政策課題
について質問します。 まずは、最
優先課題
である
経済再生
についてであります。三つの視点から質問します。 第一に、経済の好循環こそが
経済再生
の目的であるという点です。
安倍内閣発足
により、
日本経済
は着実に回復に向けて動き出しました。長引くデフレからの脱却は、すなわち、失われた二十年からの脱却です。何が何でもやり遂げなければなりません。 これまでは、
金融緩和
による過度な円高の是正と適切な
財政出動
が経済を牽引してきました。それを
民需主導
の
経済成長
につなげ、
景気回復
の効果を、家計へ、地域へ、
中小企業
へと、全国津々浦々まで波及させ、
雇用拡大
、
賃金上昇
につなげていくことが不可欠です。 政府は、引き続き、
経済対策
の実行はもとより、政労使の協議の場を活用するなど、賃上げを確実に実現するための
環境整備
に努めるべきです。 企業、経済界に対しても、賃上げに向けた一層の努力を改めて強く要請いたします。 他方、円安や
デフレ脱却過程
での
物価上昇
や
原材料費
の高騰などが家計や企業に与える影響にも
十分注意
を払い、適宜適切な対策を講じるよう求めます。 第二に、二十五年度
補正予算
、二十六年度当初予算、
税制改正
を含めた
関連法案
の速やかな成立と執行です。 特に
補正予算
は、四月の
消費税率引き上げ
による経済への影響を最小限に抑える観点からも重要です。
補正予算
では、
消費税引き上げ
に伴う負担の軽減策として、
臨時福祉給付金
や、
中堅所得層
、特に
子育て世帯
への給付金などが、また、
駆け込み需要
による反動減の緩和策として、すまい給付金や
被災者
の
住宅再建
のための
給付措置
などが盛り込まれています。 税制面での対応も不可欠です。消費や
民間投資
の拡大を促すため、給与をふやした企業に減税する
所得拡大促進税制
や、
成長力強化
に資する
投資減税
の拡大などが措置されています。 また、二十六年度当初予算には、復興の
加速化
に向けて、例えば、
福島再生加速化交付金
を
補正予算
と合わせて千六百億円へと拡充するなど、
被災地
に寄り添った
復興予算
を十分に確保しています。 そのほか、安心、安全につながる
社会インフラ
の
老朽化対策
や全国的な防災・
減災対策
の推進、さらには、
子育て支援策
として、
高校生向け
の
給付型奨学金
の創設や
保育所等
の
前倒し整備
など、
公明党
の主張を踏まえた予算が数多く盛り込まれており、一日も早い成立と執行が求められます。 第三に、日本の強みを生かした
成長戦略
の着実な実行です。
物づくり
は日本の大きな強みであり、高い技術力や層の厚い
中小企業群
、そして裾野の広い
産業集積
の存在をフルに生かせられれば、日本は世界で勝ち抜くことができます。 元気で強い
中小企業
を守り、育てるためにも、
設備投資
、
技術開発
の促進、金融の円滑化など、さらなる支援策に力を注ぐべきです。 観光も
成長戦略
の大きな柱です。 おもてなし、
世界文化遺産
・富士山、
無形文化遺産
・和食、いずれも、
物づくり
と並ぶ、日本が世界に誇る貴重な財産です。さらに、クール・
ジャパン
と称されるコンテンツや
文化芸術
などとあわせ、日本を一つのブランドとして世界に発信し、魅力を高めていく
戦略的取り組み
が重要です。 昨年、日本を訪れた
外国人観光客
が、史上初めて一千万人を突破しました。オール・
ジャパン
で取り組む二〇二〇年の
東京オリンピック
・パラリンピックに向け、二千万人を目指し、
ビザ発給要件
の緩和や
外国人旅行者
にわかりやすい
案内表示
の整備など、グローバルな
観光戦略
を強力に推進すべきです。 以上、
経済再生
への
取り組み
について、総理の答弁を求めます。 税制について伺います。
車体課税
については、二十七年度の
自動車取得税
の廃止を見据えた
税率引き下げ
と、取得税、重量税の
エコカー減税
を拡充することとしています。 また、
軽自動車
については、二十七年度以降に新規取得される新車に限って税率を
引き上げ
るものの、
軽自動車
が特に地方における大切な生活の足となっていることを重視し、
既存ユーザー
の税負担は、現行のまま据え置くこととしました。 今後は、
公明党
が一貫して主張してきた、簡素化、負担の軽減、そして
グリーン化
を進めるとの観点から、
車体課税
全体の見直しを進めていくべきです。 消費税の
軽減税率
については、二十六年度
与党税制改正大綱
に、税率一〇%時に導入することが盛り込まれました。
公明党
は、飲食料品などを対象に、一〇%への
引き上げ
時に
軽減税率制度
を実施すべきと考えています。 いずれにしても、
与党大綱
に沿い、
対象品目
や
納税事務
のあり方などの詳細な
制度設計
の協議を急ぎ、今年末までに結論を出すべきです。 改めて、
消費税率
一〇%への
引き上げ
の時期、また、
軽減税率
の導入、実施についての総理の認識を伺います。 次に、
社会保障制度改革
についてです。 自民、公明、民主三党で合意した
社会保障
と税の
一体改革
は、昨年の
臨時国会
で
社会保障制度改革
の全体像と工程を示した
プログラム法
が成立し、いよいよ具体化に向けて動き出します。
公明党
は、
一体改革
の基本的な考え方、すなわち、安心の
社会保障
の確立に全力で取り組む決意です。 以下、具体的に伺います。 まずは、
地域包括ケアシステム
についてです。
高齢化
の急速な進行の中で、地域では、医療、介護、住まいなどのサービスが包括的に確保される体制、すなわち、
地域包括ケアシステム
の構築が不可欠です。
公明党
は、党内に
地域包括ケアシステム推進本部
を設置し、
地方議員
との
ネットワーク
を生かし、全党を挙げて推進への
取り組み
をスタートさせました。 今国会に、
地域包括ケアシステム構築
に向け、地域における医療、介護の総合的な
提供体制づくり
のための法案が提出をされます。医師、看護師の確保や、
在宅医療
・介護を推進するための
財政支援制度
が法定化されることの意義は大きいと考えます。 二十六年度予算では、九百四億円の基金が創設され、
地域医療
を支援することとなっており、地域の実情を踏まえた適切な活用が望まれます。 一方、現場からは、
医療提供体制
が本当に充実をするのか、
医療難民
や
介護難民
がふえることになるのではないかとの懸念や、軽度者が切り捨てられる、
介護従事者
の確保も難しいとの切実な声が届いています。
地方自治体
や医療・
介護現場
の声をしっかりと受けとめ、実効性のある改革にしなければなりません。 基金の活用のあり方を含め、
地域包括ケアシステム構築
に向けた総理の決意をお伺いいたします。
難病対策
について伺います。
難病患者
、家族の長年の悲願であった
難病対策
が抜本的に改革されます。 難病の
治療研究
を進め、疾患の克服を目指すとともに、
共生社会
の実現という
基本理念
のもと、
難病患者
の
社会参加
を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられるよう、恒久的かつ総合的な改革とすべきです。
医療費助成
については、法律に基づく安定的な制度となり、
助成対象
の疾患が現行の五十六から約三百疾患へと拡大し、
対象者数
も百五十万人へと倍増する見込みです。 また、
患者負担
についても、
公明党
の提言を踏まえ、検討の過程で、患者の所得や
生活実態
を踏まえた、より一層の
軽減措置
を講じています。特に、ALSなど
人工呼吸器等
を装着している超
重症患者
の方々の負担を大幅に軽減します。 あわせて、
小児慢性疾患
についても、抜本的な見直し、拡充がされます。 実施に向けて、
関係法案
を速やかに成立させるべきと考えます。総理の
難病対策
に対する決意をお伺いします。
がん対策
について伺います。
公明党
が推進した
がん対策基本法
の制定と、同法に基づく
基本計画
によって、
がん対策
は大きく進みました。しかし、なお、目標の達成に向けては幾つかの課題があります。 第一に、検診の
受診率向上
に向け、コール・リコールの徹底や、
特定検診
との
同時実施
、企業の
検診推進
などを急ぐべきです。 第二に、病気だけでなく、命の大切さを育むための、学校等における
がん教育
の
全国展開
です。 第三に、
がん診療連携拠点病院等
における、診断時からの
緩和ケア
の推進です。 がんから国民を守るため、これらの課題に今こそ本腰を入れて取り組むべきと考えます。総理の答弁を求めます。
子育て支援
について伺います。 日本の将来を担う若い人たちが、希望を持って働き、安心して子育てができる環境を整備しなければなりません。 二十七年度から施行される子ども・子育て新制度に向けて、今後、保育所、幼稚園、
認定こども園
などの
公定価格
の設定を初め、
環境整備
が進められます。その際、
関係団体
や
制度運営
を担う
地方自治体
としっかりと連携し、現場で混乱が生じないよう、万全を期すべきです。 また、二十五、二十六年度に、保育所の
受け入れ児童数
を約二十万人拡大するなどの
待機児童解消加速化プラン
を確実に実施するとともに、あわせて、保育士の処遇も改善し、
保育人材
の確保を急ぐべきと考えます。総理の答弁を求めます。 年金について伺います。
一体改革
によって、
基礎年金国庫負担
二分の一の
恒久財源
が確保され、
年金制度
はさらに安定したものとなりました。一方、若者を中心に、非
正規労働者
の割合が高くなるなど、
雇用環境
が変化している中で、無年金者や低
年金者
がふえることが懸念されます。 こうした
若者雇用
への対応としては、
経済成長
による雇用・
所得環境
の改善や、正規化、
均等待遇
への
取り組み
を含め、
雇用対策
を強化するなど、幅広い観点から総合的な
取り組み
が必要です。その上で、
年金制度
についても、さらなる
厚生年金
の
適用拡大
など、無年金・低
年金対策
を着実に進めるべきと考えます。総理の答弁を求めます。
東日本大震災
からの復興の
加速化
について伺います。 間もなく、震災から三年を迎えます。今なお、十万人を超える
プレハブ仮設住宅
の入居者を含め、約二十七万人が、特に福島県では、
県外避難者
五万人を含め、約十四万人の方々が
避難生活
を余儀なくされております。 改めて、被災された皆様に、心よりのお見舞いを申し上げます。
被災者
の方々が一日も早く普通の平穏な生活に戻れるよう、できることは全てやるとの覚悟で、政府・
与党一丸
となって、復興の
加速化
に全力で取り組む決意です。
被災地
では、瓦れきの処理が、福島の一部を除き、三月末で完了する見通しとなり、道路を初め、
インフラ整備
も進んでおります。 いよいよ、これから
住宅再建
、
まちづくり
などが本格的な段階に入ります。一層の
加速化
に向け、住宅の工程表なども、問題があれば積極的に解決策を見出し、適宜見直しを行うべきです。 特に、
住宅再建
や
まちづくり
にとって障害となっている
用地取得
の
加速化
については、昨年十月に、政府が、
土地収用制度
の
運用改善
、
手続簡素化
などの
特別措置
を決定したことは評価しますが、まだ不十分との指摘もあり、今後さらに、
被災地
における実情や当事者の意見を踏まえて、一層の
加速化措置
を検討すべきと考えます。 福島の
復興再生
に向けては、除染や廃炉、
汚染水対策
、賠償、
健康対策
、帰還など、多くの困難と立ち向かっていかなければなりません。特に、早く
ふるさと
に帰り、
ふるさと
を再生させたいという方々の思いにしっかりと応えることが大切です。 今後、
避難指示
の解除が具体化していく中で、帰還を選択する方、新しい生活を選択する方、いずれの場合においても、適切な賠償や放射線の安全、
安心対策
などを含めた積極的な支援策を講じていくべきです。 一方で、
避難指示
が継続し、
ふるさと
に帰還できない状況が長期化せざるを得ない地域もある中で、未来を見据えた
まちづくり
の姿を示していくことが重要です。 先般、福島・
国際研究産業都市構想研究会
が設置されましたが、地元の期待も大きく、官民の英知を結集し、地域の再生、新たな
拠点づくり
に向けた具体像を示すことができるよう、切に要望します。 さらに、復興の
加速化
に当たっては、
地域ごと
の
進捗状況
や課題の変化に即し、
被災地
との連携をより一層図りつつ、これまで以上にきめ細かく対応すべきです。政府においても、現場のニーズに沿った形で柔軟に対応できるよう、万全な体制をしくべきと考えます。
公明党
は、
震災発生
直後から、
国会議員
の
担当地域
を決めて現地に派遣し、
地方議員
や
被災自治体
とも連携をとりながら、日々、
被災地
、
被災者
から寄せられる生の声を政治に届け、
復旧復興
や
生活再建
に全力で取り組んでまいりました。これからも、より
被災者
に寄り添い、党の総力を挙げて復興の
加速化
に取り組む決意です。 復興の
加速化
、福島の再生について、総理の答弁を求めます。 関連して、
インフラ整備
に係る
担い手不足
について伺います。 今後、復興の加速や
東京五輪
に向けて、
インフラ整備
の需要が高まることが想定されます。 しかし、鉄筋工や型枠工などの
技能労働者
を初め、
担い手不足
が構造的な問題としてあります。さらに、
経済回復
による資材の
コスト増等
が重なり、このまま放置すれば、復興や
インフラ整備
が大幅におくれることになりかねません。現実に、
公共工事
の入札不調が頻発しております。 先般、
太田国土交通大臣
は、入札不調に対し
労務単価引き上げ等
の措置を指示されましたが、今後、
担い手不足
や
資材高騰
などの課題にどのように対応されるのか、大臣の見解を伺います。 防災、減災の国際的な
取り組み
について伺います。
公明党
は、今月、昨年の台風三十号により大きな被害を受けた
フィリピン現地
へ二名の
国会議員
を派遣し、
被害状況
や
復興支援
のあり方について調査を行いました。 その中で、
我が国自衛隊
による
医療支援
が大きな役割を果たしていることや、学校や
医療機関
の再建など、災害に強い
まちづくり
に向け、日本の継続的な支援が必要であることを確認いたしました。 人命や
社会経済活動
に甚大な影響を及ぼす大
規模災害
への備えとして、国境を越えた
支援ネットワーク
の強化とともに、
各国政府
の防災、減災への
事前投資
の重要性が国際的に共有されつつあります。 こうした中、来年三月に仙台で開催される第三回
国連防災世界会議
は、我が国のこれまでの経験や知見を世界に発信し、各国の
防災機能
の向上に寄与する絶好の機会です。会議の成功に向けて、政府としても全面的に取り組むよう、改めて要望いたします。 さらに、人間の
安全保障
の観点から、二〇一五年に終期を迎える
ミレニアム開発目標
の
後継目標
に防災を明確に位置づけて開発、
国際協力
を推進するなど、防災、減災を主要な
政治課題
へと高めていくことが重要です。
防災先進国
として日本の果たすべき役割と
取り組み
について、総理の見解を伺います。 次に、外交、
安全保障
について伺います。 昨年十二月、外交、
安全保障
の司令塔となる
国家安全保障会議
が発足しました。これを受けて、政府は、外交・
安全保障政策
の包括的な指針として
国家安全保障戦略
を策定し、同時に、これを踏まえた新
防衛大綱
を決定しました。
安全保障戦略
を進めるに当たっては、これまで日本が歩んできた
国際協調主義
や
平和国家
としての
基本理念
を堅持すること、そして、防衛力や経済力だけでなく、
ソフトパワー
を重視した外交力の強化など、総合的かつ平和的なアプローチによって地域の安定と繁栄に貢献するという姿勢を明確に発信していくことが重要だと考えます。 総理が、就任後一年余りで三十カ国を訪問するなど、積極的な
首脳外交
を展開されていることを評価いたします。 一方で、中国、韓国との
関係改善
は、引き続きの課題となっています。 隣国である中国、韓国との関係は、最も重要な二
国間関係
の一つであり、東アジアの安定と繁栄を築いていく上で、日中韓の連携と役割は極めて重要です。だからこそ、これまで、困難な問題に直面しても、両国が互いに知恵を絞り、粘り強い対話と努力で難局を乗り越えてきた歴史があり、
公明党
もそのために尽力してきました。 現下の
膠着状態
から脱却するため、対話のドアは開かれているという状態から一歩踏み出し、我が国からも具体的なアクションを起こすことが必要だと考えます。 対話のドアは一つではありません。
大局的見地
に立って、政治、経済、文化、環境、防災等の各分野において
未来志向
の
協力関係
を積み重ねていくことが重要であり、
国際社会
もその動向を注視しています。 また、
国家安全保障戦略
や新
防衛大綱
に明記された、日中間における不測の事態の
発生回避
、防止のための枠組みの構築や、
相互理解
を促進する人と人との交流の強化の
早期具体化
を急ぐべきです。 以上、外交の
基本方針
、特に日中、日韓の
関係改善
について、総理の答弁を求めます。 沖縄の
基地負担
の軽減及び振興策について伺います。 日本の
米軍施設
のうち七四%が集中する沖縄の
基地負担
の軽減は、最優先で取り組むべき課題です。在
沖縄米海兵隊
の
グアム移転
の推進を初め、
在日米軍再編
に
取り組み
つつ、基地の
段階的整理縮小
や訓練の
分散移転
など、
負担軽減
を着実に進める必要があります。 また、昨年日米合意された
嘉手納以南
の
土地返還計画
も、前倒しを含めた一日も早い実施に向けて、米国と調整を図るべきです。
普天間基地移設
の問題は、危険性の除去という問題の出発点に立ち返り、
固定化回避
に向けて、県民の理解を得つつ、より慎重に進めるべきと考えます。
沖縄振興策
についても、総理と
仲井真知事
との面談において約束されたとおり、沖縄二十一
世紀ビジョン基本計画
に沿って、所要の予算を確保しつつ、着実に実施していくべきです。 沖縄の
負担軽減
と振興策について、総理の答弁を求めます。
農林水産政策
について伺います。
農林水産業
については、昨年末に
農林水産業
・地域の
活力創造プラン
を決定し、今後十年間で農業、農村全体の
所得倍増
を目指す方針が示されました。特に米政策については、
生産調整
の見直しなどを含め大きく転換しますが、農家には、戸惑いや懸念、不安が広がっています。 丁寧な説明に努めるとともに、安心して経営を続けられるよう、法制化された安定的な制度を構築すべきです。特に農作物の
収入保険
については、
生産調整
の見直しとあわせ導入を実施すべきと考えます。 また、農業の持続的な発展に向け、
担い手対策
や高
付加価値化
の促進などにも一層力を注ぐべきです。
鳥獣被害
や
農作業事故
への
抜本対策
も必要です。 水産業については、豊かな
水産資源
を適切に管理するとともに、国際的な
衛生管理基準
である
HACCP認定体制
の構築や
施設整備
などを行うとともに、
輸出体制
の強化が重要です。 林業については、強度、耐震性、耐熱性、耐火性にすぐれた
集成木材
である
直交集成板
、いわゆるCLTの
利用拡大
や、国産材の安定的な
供給体制
の整備などを進め、
東京五輪
の
関連施設
などに積極的に活用すべきです。 関連して、福島を初め東北三県の
農林水産物
に対する
風評被害
も依然として残っております。正確な
情報発信
や
販路拡大
に向けたPRなど、継続的な対策を強く求めます。 以上、
農林水産業
の課題について、総理の答弁を求めます。
特定秘密保護法
について伺います。
特定秘密保護法
は、国民の知る権利に資する報道や取材の自由への配慮を初め、
特定秘密
への
通常取材行為
の不処罰、
外部チェック機関
である
有識者会議
の設置など、我が党の主張が条文に明記され、大幅な修正を経て成立いたしました。 しかし、国民の間には、今なお、
特定秘密保護法
の運用に対する根強い不安や懸念の声があります。 政府は、このことを真摯に受けとめ、法施行に向けての準備については、より丁寧に進め、かつ、一層国民へのわかりやすい説明に努めるべきです。 国権の
最高機関
である国会も同様です。
特定秘密
にかかわる国会の自主性を確保するためにも、施行までに国会に設置するとしている常設的な機関については、国民の安心に資する、実効ある組織にしていくべきです。 将来的に
第三者機関
への移行、格上げが検討されている
情報保全監察室
については、個別の
特定秘密
の指定及び解除の適否の検証などを行うという運用の根幹的な役割を担うことから、十分な公正性を持った体制にすべきと考えます。 あわせて、
公文書管理法
や
情報公開法
の改正など、
情報公開制度
を拡充すべきです。 特に、閣議や
閣僚懇談会
の
議事録作成等
を義務づける
公文書管理法改正案
は、今国会に提出すべきと考えます。
特定秘密保護法
に係る諸課題について、総理の見解を伺います。 最後に、一言申し上げます。 日本の将来に対し、
高齢化
や
人口減少
などを捉えて、悲観的に見る向きがあります。しかし、
高齢社会
は、長寿の実現であり、世界に誇るべきことです。 私たちには、
高齢化
や
人口減少
を乗り越えて、未来に向かって日本の活力を維持し、安心の
社会保障
、安全で豊かな国土を築く責任があります。そして、一人一人が誇りを持ち、幸福な人生を送れる社会、世界の平和と繁栄に貢献する日本をつくり上げていかなければなりません。
公明党
は、本年、結党五十年の節目を迎えます。 私たちは、結党以来、「大衆とともに」「
生命尊厳
」の立党の精神のもと、一貫して一人一人の庶民の思いを大切にし、その声を政治に届けてきました。 そして、
政治勢力
の
離合集散
など激しく変動する
政党政治
の中にあって、五十年の歴史を刻んで、今日、
公明党
は、与党として国政の一端を担わせていただいている重い責任を自覚し、決意を新たにしております。 これまでの
公明党
に対する多くの国民の御理解と御支援に心より感謝申し上げるとともに、これからも、謙虚にひたむきに、そして真の
国民政党
として公明らしさを発揮し、あらゆる課題に真っ正面から向き合い、日本の現在と未来に責任を持って努力することをお誓い申し上げ、私の
代表質問
を終わります。(拍手) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇〕
安倍晋三
4
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)
井上義久議員
にお答えをいたします。
経済再生
への
取り組み
についてお尋ねがありました。 ただいま
井上議員
に御指摘いただいた
経済再生
に向けた諸
課題
については、十分にその御趣旨を踏まえ、全力で取り組んでまいります。 三本の矢によって、
日本経済
は、長く続いた
デフレ
で失われた自信を取り戻しつつあります。
景気回復
の裾野は着実に広がっています。 こうした中で、
企業
の収益を雇用の
拡大
や所得の上昇につなげ、
経済
の好循環を
実現
することが重要です。 そのために、
政労使
の三者が、
政労使
会議
の共通認識も踏まえた具体的な
取り組み
を進めることが必要であり、
政府
としても全力で取り組んでまいります。 同時に、御指摘のように、物価の動向が家計や
企業
に与える影響については、引き続き注視し、適宜適切に対応していきます。 また、本年四月の
消費税率引き上げ
に対応するため、御指摘のとおり、平成二十五年度
補正予算
等の早期成立と迅速な執行が重要であり、速やかな御審議をお願いいたします。 さらに、
中小企業
、小規模事業者
支援策
として、ものづくり・商業・サービス革新補助金など、
地域
経済
を支える
中小企業
、小規模事業者への
支援
に万全を期すとともに、御指摘の観光への
取り組み
についても、二〇二〇年に向けて、訪日
外国人旅行者
数二千万人の高みを目指し、
観光戦略
を強力に
推進
してまいります。
政府
としては、こうした
取り組み
により、
経済
の好循環を
実現
し、
景気回復
の温かい風を全国津々浦々まで届けてまいります。
消費税率
の一〇%への
引き上げ
の時期及び
消費税
の
軽減税率
についてお尋ねがありました。
消費税率
の一〇%への
引き上げ
の時期については、税制抜本
改革
法において、二十七年十月とされています。この
引き上げ
については、法律にのっとって、
経済
状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。 また、
軽減税率
については、二十六年度
与党税制改正大綱
において、引き続き、
対象品目
の選定や区分経理等のための
制度
整備
を含むさまざまな
課題
について、与党税制協議会において検討するとされております。
政府
としては、これを踏まえた与党における検討を見守ってまいりたいと考えております。
地域包括ケアシステム
の
構築
についてのお尋ねがありました。
政府
としては、
地域
において、効率的かつ質の高い
医療
や
介護
サービスを受けられる
体制
を
整備
するため、新たな
財政支援制度
を創設し、急性期の後の受け皿となる病床などの
整備
、
在宅医療
の
推進
や
介護
サービスの充実、
医療
従事者や
介護従事者
の確保、養成の事業を行うこととしています。 今後、この
制度
をしっかり活用し、地方団体や
医療
・
介護現場
の方々の意見を十分に伺いながら
地域包括ケアシステム
の
構築
を進め、
医療
や
介護
が必要な状態となっても、住みなれた
地域
での暮らしを継続できる
社会
を目指してまいります。
難病対策
についてお尋ねがありました。
難病
に苦しむ方々の視点に立った政策を進めていくことは、私のライフワークと考えております。
難病
及び小児慢性特定
疾患
対策
については、大幅に
予算
を拡充し、対象
疾患
を
拡大
するとともに、公平かつ安定的な
医療費助成
の
制度
を確立し、あわせて
疾患
の克服に向けた
治療研究
を
推進
するなど、総合的な
対策
を講じるべく今
国会
に法案を提出し、速やかな成立をお願いしたいと考えております。
がん対策
についてのお尋ねがありました。
がん対策
については、第一次安倍内閣において初めて策定した
がん対策
推進
基本計画
に基づき、総合的な
取り組み
を進めているところであります。 御指摘のございました、がん検診の
受診率向上
、
がん教育
の
全国展開
、検診時からの
緩和ケア
の
推進
等については、この
基本計画
に基づき、御党の御指導も賜りながら、着実に進めてまいります。 子ども・
子育て支援
新
制度
と待機児童の解消に向けた
取り組み
についてのお尋ねがありました。 子供を
安心
して産み育てられる
環境整備
のため、
地域
のさまざまな
子育て支援
を活用していくことは極めて重要です。 このため、来年四月から施行が予定される子ども・
子育て支援
新
制度
については、
地方自治体
等の
関係
者と丁寧に意見交換を行い、円滑な施行に向けてしっかりと取り組んでまいります。 また、待機児童の解消については、新
制度
の施行を待たず、来年度までに約二十万人分、二〇一七年度までに約四十万人分の保育の受け皿を
整備
してまいります。 保育の
現場
を支える
保育士
についても、処遇改善や潜在
保育士
の再就職
支援
などに総合的に
取り組み
、人材確保に努めてまいります。 若者の
雇用対策
と
年金制度
についてお尋ねがありました。 将来の
年金
給付の確保の観点からも若者の
雇用対策
は重要であり、安定雇用の確保や非正規から正規へのキャリアアップの
支援
など、個々の事情に応じたきめ細かな就労
支援
を進めてまいります。 また、低
年金
・無
年金対策
については、
社会保障
・税
一体改革
の中で、受給資格期間の短縮や低所得の
年金
受給者に対する
給付金
の支給を着実に進めるとともに、短時間労働者に対する
厚生年金
のさらなる
適用拡大
についても検討を進めることにより、
雇用環境
の変化に対応したセーフティーネット機能を
強化
してまいります。
復興
の
加速化
と、
福島
の
再生
についてお尋ねがありました。
復興
の
加速化
は、安倍内閣の最重要
課題
の一つです。 本年は、地震、津波からの
復興
では、
住宅再建
等の工事が本格化するとともに、
福島
の
再生
では、早期帰還や長期避難者の
生活
拠点の
整備
に向けた各種事業が本格化するなど、大変重要な一年となります。 これまでも、
復興
事業を
加速
するため、
用地取得
の迅速化等に取り組んできました。
復興
のステージが上がるたびに見えてくる
課題
については、今後とも、
現場
の声を伺い、
政府
を挙げて一つ一つ解決してまいります。 また、
福島
の
再生
については、昨年末、与党からの提言も踏まえて決定したとおり、第一に、早期帰還
支援
と新
生活
支援
との両面で
福島
を支えること、第二に、
福島
第一原発の事故収束に向けた
取り組み
を
強化
すること、第三に、国が前面に立って原子力災害からの
福島
の
再生
を
加速
させることとの方針に沿って、地元とも十分に協議しながら、全力で取り組んでまいります。 この一環として、赤羽現地
対策
本部長を座長とする
福島
・
国際研究産業都市構想研究会
をスタートし、
福島
県浜通り地方の新たな
拠点づくり
に向けた検討を行ってまいります。
防災先進国
として
日本
の果たすべき役割等についてのお尋ねがありました。 第三回
国連防災世界会議
を仙台市で開催することは、
東日本大震災
を初めとする幾多の災害を通じて得た貴重な経験や知恵を
国際社会
と共有し、国際貢献を行う、極めて重要な機会と考えています。
我が国
は、
ミレニアム開発目標
の後継枠組みの策定を主導し、人間の
安全保障
の観点から
防災
分野の
国際協力
を
推進
し、同
会議
の成功につなげてまいります。 日中、日韓
関係
についてお尋ねがありました。 中国、韓国との間で意思疎通を図っていくことは、アジア太平洋
地域
の平和と安定にとって有意義であり、大局的な見地から、
政治
、
経済
、文化など、あらゆる分野において
未来志向
の
協力関係
を発展させていくことが重要と考えます。 韓国については、ダボス
会議
で朴槿恵大統領の講演を聞きに行き、会場で尹炳世外相を初めとする韓国
政府
幹部の方々と挨拶をし、握手をしました。 中国との間では、第一次安倍政権の際に、日中首脳会談において、防衛当局間の連絡
体制
を
強化
し、不測の事態の発生を防止することで一致しました。その後、防衛当局間の海上連絡メカニズムについて大筋合意しましたが、いまだ中国はその運用開始に合意をしていません。
政府
としては、中国側が運用開始に応じるよう、働きかけを続けてまいります。 このように、私の方からは、中国、韓国には積極的に働きかけを行っております。困難な
課題
があるからこそ、前提条件を付することなく、率直に話し合いを行うべきであります。 また、
相互理解
の促進をするために、青少年交流を初めとする人的交流を促進してまいります。 私のドアは常にオープンであり、中国、韓国にも同様の態度を期待しているところでございます。
沖縄
の基地
負担軽減
と
振興策
についてお尋ねがありました。
沖縄
の
基地負担
を
軽減
するため、海兵隊の
グアム移転
やオスプレイの訓練移転を初め、
沖縄
県外における努力を十二分に行うべきであると考えています。 また、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。地元の皆様の御理解を求めながら、返還に向けて全力で取り組んでまいります。
嘉手納以南
の土地の返還については、既に当初計画よりも早く進捗しているところでありますが、特に地元から強い要望のあった牧港補給地区については、返還までの期間を最大限短縮することを目指します。
沖縄
振興については、二〇二一年度まで毎年三千億円台の
予算
を確保し、
沖縄
の成長を後押ししてまいります。 基地
負担軽減
と
沖縄
振興の両面にわたって、
沖縄
の方々の気持ちに寄り添いながら、できることは全て行うとの姿勢で、
政府
一丸となって取り組んでまいります。
農林水産業
の
課題
についてお尋ねがありました。 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い
農林水産業
とともに、美しく活力ある農山漁村を
実現
していく
決意
であります。 このため、昨年末、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
を取りまとめ、輸出促進や六次産業化の
推進
による付加価値の向上、農地の集積による生産性の向上、多様な担い手の育成、確保、美しい
ふるさと
を守る
日本
型直接支払いの創設と、深刻化する
鳥獣被害
への対応などに精力的に取り組んでいくとともに、四十年以上続いてきた米の
生産調整
の
見直し
を行っていくこととしております。 現在、
現場
に対して丁寧な説明に努めており、今後、やる気のある担い手が
安心
して経営展開を図れるよう、
現場
の声も踏まえ、プランに沿って必要な法
整備
を図ってまいります。 また、
水産業
については、適切な資源管理、水産物の
輸出体制
の
強化
などにより、水産
日本
の復活を目指してまいります。 さらに、林業については、新たな木材需要の創出や
国産材
の安定
供給体制
の
構築
などにより、林業の成長産業化を図ってまいります。 東北のおいしい
農林水産物
が適正な評価を受けないことは残念なことであります。私も、先頭に立って
風評被害
の払拭に努めてまいります。 安倍内閣は、地方の活性化が最重要のテーマであります。地方
経済
の中核をなす
農林水産業
の振興に、今後とも全力を挙げて取り組んでまいります。
特定秘密保護法
に関する諸
課題
についてのお尋ねがありました。
特定秘密保護法
については、さまざまな御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受けとめ、今後とも、同法について
国民
の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、
第三者機関
の設置を含め、同法の適正かつ効果的な運用が図られるよう、施行準備を進めてまいります。 また、公文書管理や情報公開は、行政が
国民
に対し説明する責務を果たすために重要なものであり、今後とも、両者がともに適正かつ円滑に
実施
されるよう取り組んでまいります。 御指摘のございました、閣議議事録の作成等に関する
公文書管理法
の改正法案については、明治以来議事録を作成してこなかった
我が国
の閣議の
あり方
ともかかわる問題であるため、
政府
部内で必要な調整、検討を行った上で提出することとしたいと考えております。 なお、
国会
の関与の
あり方
については、
国会
で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき
国会
運営の全体像の議論の中で、
国会
においてさまざまな観点から検討されるものと考えております。 この
国会
におきましても、友党
公明党
の御指導、御協力を賜りながら、謙虚に、しっかりと
国民
の皆様に説明をしながら結果を出していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手) 〔
国務大臣
太田昭宏君登壇〕
太田昭宏
5
○
国務大臣
(太田昭宏君)
インフラ整備
の担い手
確保
等の
課題
についてお尋ねがございました。 公共事業を円滑に
執行
するためには、人材や
資材
の
状況
をきめ細かく注視しながら
対策
を講じる必要があると考えております。 御指摘の入札不調につきましては、大型建築工事や条件の厳しい工事などで発生しておりますが、予定価格の
見直し
などによりまして、最終的には契約がされているところであります。 さらに、
現場
の技術者を有効に
活用
するための発注規模の大型化や、
資材
価格の
上昇
に応じた最新単価の適用などにより、円滑な
執行
を図ってまいります。 予定価格の積算に用いる労務単価につきましては、昨年、十六年ぶりに、
全国
平均で一五%、被災三県で二一%と大幅に
引き上げ
たところでありますが、
技能労働者
の賃金が
上昇
傾向にあることから、実態に見合う水準への
引き上げ
を来月よりさらに
実施
いたします。 また、建設産業の担い手については、若年入職者の減少や
技能労働者
の
高齢化
といった構造的な
課題
があるため、人材
確保
に向けた中長期的な
取り組み
の検討も進めているところであります。 今後とも、
被災地
の
復興
に万全を期すとともに、
全国
的な
課題
にも対処していくため、
現場
の
状況
を常に注視しながら、円滑な事業
執行
に
努力
してまいります。(
拍手
)
—————————————
伊吹文明
6
○
議長
(
伊吹文明
君) それでは、次の
質疑
者、渡辺喜美君。 〔渡辺喜美君
登壇
〕
渡辺喜美
7
○渡辺喜美君 みんなの党代表、渡辺喜美です。(拍手) まず、冒頭、会派問題で、伊吹議長、逢沢議運委員長初め各会派
関係
各位の真摯な御指導、御助言を賜り解決を見ましたことを、心から感謝申し上げます。 冷戦が終結して二十五年近くがたちました。 フランスの
政治
学者レーモン・アロンの定義では、冷戦とは、平和も不可能であるが、戦争も不可能な時代です。ポスト冷戦時代は、平和も可能となりましたが、戦争もまた可能となったということであります。 そうした時代においては、
日本
が、平和を守るため、一人前のプレーヤーとして国家戦略を持ち、さまざまな
課題
に対処していかなくてはなりません。 算命学の大家、高尾義政氏の言葉をかりれば、人間が生きていくためには、その時代が平和であれ動乱であれ、常に何かに向かって戦い続けることが必要であります。 平和のための戦い、家族を初めとする愛する者のための戦い、時には、黙して語らず、無言の戦いもあります。決して、戦争だけが戦いであり、戦い即破壊なのではありません。本来、生きることそのものが戦いなのであり、ここに登場してくる思想が軍略であります。
難病
と闘ってこられた
安倍総理
は、この東洋の思想がよくおわかりのことと思います。 みんなの党は、結党以来、増税の前にやるべきことがあると申し上げてまいりました。 増税の前にやるべきこと、それは、
デフレ
との戦い、不公平との戦い、
国民
に
負担
を強いる側である
政治
家、公務員の定数削減や報酬カットなど、身を切る戦いです。残念ながら、全て道半ばであります。みんなの党は、今
国会
でもこれらの議員提案をしてまいります。
総理
は、今
国会
を好
循環実現国会
と位置づけられました。そのためには、アベノミクス一丁目一番地である
デフレ
との戦いが不可欠であり、正しい現状認識が求められます。 しかし、
経済
演説
においては、物価動向は、もはや
デフレ
状況
ではない、
デフレ
脱却
に向けて邁進しているという、
デフレ
なのかそうでないのかよくわからない、まさに霞が関文学らしい曖昧な表現となっております。 確かに、消費者物価指数(CPI)はプラスに転じました。しかしながら、エネルギーや生鮮食品を除いた、いわゆるコアコアCPIの動きはいまだ弱く、直近の新興市場に端を発した
世界
的なマーケットの変調を見ても、高度の警戒が必要であります。 ちなみに、IMFのラガルド専務理事は、一月十五日、
世界
経済
の
デフレ
危機を指摘しています。 四月には
消費税
増税が行われることが決定しています。
総理
、
我が国
経済
の現状認識と、改めて、
デフレ
脱却
に向けた強い御
決意
をお聞かせください。 二〇一三年七—九月期のGDPギャップはマイナス一・六%となりました。これは、四—六月期のマイナス一・七%からほぼ横ばいであり、依然として
我が国
経済
が供給過剰状態にあることを示しています。このままでは、
デフレ
から
脱却
する前に
消費税
増税を迎えることはほぼ確実です。
金融緩和
には効果ラグがあることから、私は、昨年秋より、増税に備えた追加
金融緩和
が必要であると指摘をしてまいりました。
総理
が消費増税を最終決断する過程で、それに肯定的な見解を示した黒田日銀総裁には、増税によるマイナスの
影響
を金融政策でカバーする
責任
があります。
総理
、遅くとも、やらないよりはましです。日銀に追加
金融緩和
を求めるお考えはございませんか。 また、金融政策を通じて
我が国
経済成長
を
実現
する責務を持つ
日本
銀行には、物価安定目標に加えて、雇用にも配慮する必要があると考えます。 物価が二%から三%のマイルドインフレになれば、失業率は一%近く下がるはずであります。雇用がふえれば賃金も上がる。こうした好循環を金融政策でつくるには、二年かかります。
日本
銀行の目的や
責任
を明確化し、こうした目標を盛り込んだアコードを
政府
と日銀が締結するなどの日銀法
改正
は、ぜひとも必要です。
総理
の御見解をお伺いいたします。 現在、失業率は四%で横ばいとなっております。また、給与は前年同期比でマイナスが続いております。
総理
は
経済
団体に
賃上げ
を要求され、経団連は春闘におけるベアを容認しましたが、こうした民間
企業
任せで解決できない問題もあります。 今、労働者の最低賃金について、産業ごとの格差が大きくなっています。求人と最低賃金のミスマッチが発生しており、有効求人倍率が高いにもかかわらず、賃金が上がっていない例があるようであります。都道府県別、産業別にもっと細かく見れば、最低賃金を
引き上げ
ることができる業種も必ずあります。 最低賃金は、国の政策として、労働市場の改善や
国民
全体の
所得
向上、
経済
への好
影響
が期待されるものです。 国として、ミスマッチのある最低賃金の
引き上げ
に取り組むことも検討に値すると考えますが、御所見はいかがでありましょうか。 アベノミクスとは全く異質のスケジュールでありますが、来年十月には二回目の増税が控えています。
消費税
を一〇%にしたら、
軽減税率
を導入すべきという議論もあります。 みんなの党は、これは筋の悪い政策だと考えます。どの物品に
軽減税率
が適用され、どれには適用されない、これはまさしく利権の温床となることが目に見えています。 イギリスでは、二〇%の付加価値税に複雑怪奇な
軽減税率
を組み合わせたことにより、国税収入に占める割合が、
税率
五%の
日本
と大差がないという結果に陥っております。
軽減税率
は、逆進性の緩和効果が少ない上に、税務行政上の非効率性をもたらすことが、諸外国の経験から既にわかっているのではないでしょうか。
消費税
の逆進性を緩和するためには、
軽減税率
より給付つき税額控除の方が正しい政策と考えます。いかがでしょうか。 たくさん集めてたくさん配るという歳出権の
拡大
は、大きな
政府
をますます大きくいたします。 増税のダメージ回避のためには、減税をすればよいのです。理想は、家計にダイレクトに反映される
所得
税の恒久減税です。それが難しいのであれば、期限を区切った
所得
税特別減税も考えられます。また、収益の高い
企業
は、短期間で償却できる自由償却
税制
があれば、
設備投資
を積極化いたします。利益調整になるからだめというのは、目先の税収が減るからだめという発想で、中長期的には、税収はニュートラルのはずです。
総理
の御見解はいかがでありましょうか。 みんなの党は、現行の三八%の法人実効
税率
を二〇%に引き下げ、国際競争力の向上と産業構造
改革
の
促進
を目指すことを主張しています。
総理
は、ダボス
会議
の基調講演で、法人税
改革
を国際的にお約束されました。
総理
は、異次元の
税制
措置という言葉で強い
決意
を示されましたが、先日の財政
演説
や
経済
演説
では、法人実効
税率
の大胆な引き下げが盛り込まれていませんでした。
総理
の国際公約がストレートに
施政方針演説
とならないところが、
日本
の
政治
の弱点であります。財務省や自民党税調と戦わなければなりません。 みんなの党は、こうした構造
改革
につながるテーマは真摯に協力をいたします。
総理
の考える異次元の
税制
措置を御説明いただき、その覚悟のほどをお聞かせください。 昨年の通常
国会
で成立したマイナンバー
関連法案
は、さまざまな
改革
の可能性を秘めています。 その一つが歳入庁です。歳入庁の設置を通じて、税や保険料の取りはぐれを解消していくことが可能となります。 税や保険料の徴収窓口が、一体幾つあるでしょうか。ざっと数えただけでも両手に余ります。これは、
国民
のために分かれているのではありません。役所の都合で分かれているだけです。であれば、
国民
の利便性向上のためにも、窓口は一本化すべきであります。 基本的に、こうした
改革
はシステム統合の問題に行き着き、
総理
の言う、やればできる
改革
ではありませんか。税や保険料徴収の不公平是正をするため、各役所の既得権と戦って、歳入庁の設置を考えてはいかがでしょうか。
総理
は、ダボスで、向こう二年間、いかなる既得権益といえども、私のドリルから無傷でいられない、国家戦略特区などを突破口に、岩盤規制を集中
改革
すると表明されました。大変頼もしい言葉であります。 みんなの党は、電力、農業、
医療
の三分野で、戦う
改革
を進めてまいりました。すなわち、電力自由化であり、農協の
経済
事業と金融事業の分離や、農業への株式会社参入
拡大
、混合診療解禁などの
改革
です。
総理
の既得権益打破に向けた
決意
は大歓迎いたします。でも、医薬品のインターネット販売解禁も、厚労省の抵抗で九割を占める処方薬が骨抜きになった現状を見ると、よほどの覚悟と戦略が必要でありましょう。 岩盤規制という言葉が登場したのは第一次安倍内閣のときでありました。そのときの規制
改革
担当
大臣
は私であります。
総理
、岩盤規制とは何でしょう。それを二年で処理するためにはどうすればよいとお考えでしょうか。
世界
の食料・食品産業は、二〇二〇年までに、今の三百四十兆円から六百八十兆円産業になると言われています。和食がユネスコ
文化
遺産に登録された今、
日本
の農産物や食品産業がグローバル市場に乗り出す絶好のチャンス到来であります。 しかし、
日本
には原料問題という岩盤があります。つまり、国内産品も輸入品も、原料のコストが高過ぎるという問題であります。これを一挙に解決していくことが、TPPなどへの参加と、直接支払いへの転換を含めた農政の大
改革
です。米価を高く維持して手数料を稼ぐ農協のビジネスモデルも変えていかなければなりません。 TPPなどへの参加と農政・農協
改革
は、ワンセットでやる必要があります。
総理
の御所見をお伺いいたします。 公務員
制度
改革
に関しては、自公民で三党修正合意していますが、これは、官僚機構と労働組合の意向を酌んだ法案であります。麻生内閣当時のいわゆる甘利法案からも大幅に後退をしています。 現在の法案では、例えば官邸の意向を酌んだ局長をつくったとしても、そのもとの部隊編成が思うに任せないという難点があります。また、一度選んでしまったら最後、局長には身分保障がついて降格されません。天下りも、この法案ではなくならないでしょう。 かつて、野党時代の自民党は、みんなの党とともに公務員
制度
改革
法案を提出しました。人事院や財務省、総務省の人事部門を一元的に統合した内閣人事局や、幹部公務員の身分保障をなくして、抜てきや降格、解任ありの実力主義にするといった強力な法案を
実現
させ、公務員
制度
改革
を進めなくてはなりません。 岩盤規制は公務員
制度
と裏腹の
関係
にあり、国家経営のイノベーションを行っていくためには、公務員
制度
改革
が不可欠であります。 昨年修正合意された法案は、あるべき公務員
制度
の最終的な姿であるとお考えでしょうか。
総理
の公務員
制度
改革
に向けた御
決意
をお聞かせください。 東京都知事選で大きな争点となっているのが原発問題です。 みんなの党は、市場メカニズムを通じて原発ゼロを
実現
していく
経済
的アプローチをとってきました。これは、時間をかけて原発をゼロにしていく考えです。 これに対して、倫理的アプローチをとる論者は、原発即ゼロとなります。 電力が自由化されれば、必ず、コスト高の原発は市場から淘汰され、電気料金の値下げにつながっていきます。 原発事故は、超優良
企業
であった東京電力ですら実質破綻に追い込みました。すなわち、原発は、民間
企業
で扱うにはリスクが大き過ぎる代物であり、原発への公的関与は公共
経済
学の初歩であります。 稼働できない原発は、電力会社にとっては大きな不良資産です。かつて、民間金融機関の手に負えない不良債権を整理回収機構などに集めたように、不稼働原発を、原発整理機構をつくって集約してはいかがでしょうか。お値段は、今後の相談です。 みんなの党は、まず、東電の不稼働原発から国の一括管理としていくことを検討しております。 国鉄民営化の際の清算事業団と同様、新旧分離を行うことで、電力会社のバランスシートも改善されてまいります。国が原発を管理すれば、民意を踏まえて原発の将来を決めることも容易になります。
総理
の御見解をお伺いいたします。
日本
を守るという
観点
からは、集団的自衛権の議論も避けて通れません。
世界
標準のルールでは、個別的自衛権とともに、集団的自衛権が認められるのは当たり前の話です。国連憲章五十一条にも定められた、国家が
国民
の生命や財産、領土などを守るために、当然に有している権利です。
日本
では、集団的自衛権については、戦後、個別的自衛権と集団的自衛権を殊さらに区分して議論を行う神学論争が繰り広げられてまいりました。 現在の東アジア情勢には、緊張感を持って臨まなくてはいけません。戦争を抑止し、平和を
構築
していくためには、すきを見せない一人前のプレーヤーとして、軍略を磨いていかなければなりません。 みんなの党も、現在、党内議論を進めておりますが、改めて、
総理
の集団的自衛権行使容認に向けた
決意
をお伺いいたします。 みんなの党は、当たり前の自由
社会
と、一人前の国家の
構築
を目指します。
日本
のゆがみは、本来民間や
地域
に任せるべき業務を中央
政府
がやり過ぎていることであります。これは、一九四〇年前後の戦時
体制
のもとで完成した官僚統制、中央集権
体制
が、占領時代をかいくぐって戦後レジームに引き継がれたものであり、その劣化が
我が国
衰退の根本原因となっております。 みんなの党は、自由民主主義の原点に立ち戻り、こうした歴史のゆがみを正してまいります。各省割拠主義を排し、真の
政治
主導、すなわち、
総理
官邸主導
体制
を確立して、輝ける成長国家
日本
をつくることを目指します。 政党の使命は、政策の
実現
にあります。政界再編はそのための手段です。
安倍総理
がみんなの党を、政策の
実現
を目指す
責任
野党と正しく御理解いただいていることを心から歓迎いたします。
安倍総理
の戦う覚悟と戦略が我々と共通のものであれば、みんなの党は、真摯かつ柔軟な協力を惜しみません。 みんなの党は、
改革
を
促進
する政策を提言し続けてまいります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇〕
安倍晋三
8
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 渡辺喜美議員にお答えいたします。
デフレ
脱却
に向けた
決意
についてお尋ねがありました。 三本の矢の効果もあり、一年前と比べ、全
地域
で
消費
が
拡大
し、
企業
の景況感も
中小企業
を含め幅広く
改善
するなど、
景気回復
の裾野は着実に広がっています。
政府
としては、本年四月から、
消費税率引き上げ
に
対応
し、五・五兆円の
経済対策
と一兆円規模の
税制
措置
を講ずるとともに、
企業
収益の
拡大
を
設備投資
拡大
や
賃金上昇
、
雇用拡大
につなげていく好
循環
の
実現
を図ってまいります。これらの
取り組み
により、
デフレ
脱却
と
経済再生
に向けた道筋を確かなものとし、
景気回復
の温かい風を
全国
津々浦々まで届けてまいります。 追加
金融緩和
についてお尋ねがありました。
日本
銀行による量的・質的
金融緩和
の効果もあって、
日本経済
は、
デフレ
脱却
・
経済再生
に向けて着実に前進してきています。 具体的な
金融
政策の手法については
日本
銀行に委ねるべきと考えておりますが、黒田総裁は、さきの
臨時国会
でも、今後、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、二%の物価安定の
目標
を
実現
するために必要であれば、ちゅうちょすることなく
調整
を行っていくと
答弁
されているものと承知しております。
日本
銀行が今後とも
デフレ
脱却
・
経済再生
に向けて大胆な
金融緩和
を着実に
推進
していくことを期待しております。 日銀法
改正
についてお尋ねがありました。
安倍内閣発足
以来、
政府
と
日本
銀行の間で緊密な意思疎通を行う中で、
日本
銀行は、
政府
との共同声明において、二%の物価安定
目標
をみずから設定したところです。まずは、この
目標
の早期
実現
に向けて、
日本
銀行が
雇用
についても十分に配慮しつつ、
責任
を持って大胆な
金融緩和
を着実に
推進
していくことが重要と考えています。 なお、私は黒田総裁を信頼しておりますが、日銀法
改正
については、将来の選択肢として、常に視野に入れていきたいと考えております。 最低賃金についてのお尋ねがありました。 最低賃金は、賃金のセーフティーネットとして、
地域
や産業の
実情
等を考慮して適切に定められているものと認識しております。
平成
二十五年度においては、
全国
平均で対前年度十五円の
引き上げ
が行われたところです。 最低賃金をさらに
引き上げ
ていく
環境整備
のためにも、
企業
の収益を向上させ、
雇用
の
拡大
や賃金の
上昇
につなげる
経済
の好
循環
を目指してまいります。 また、こうした
取り組み
とあわせ、
中小企業
、小規模事業者の
支援
を工夫しつつ、労使と丁寧に
調整
するなど、最低賃金の
引き上げ
に努めてまいります。
軽減税率
と給付つき税額控除についてのお尋ねがありました。
税制
抜本
改革
法においては、低
所得
者への配慮として、給付つき税額控除と複数
税率
が、ともに検討
課題
とされています。 このうち、複数
税率
については、法律にも盛り込まれているとおり、財源の問題、
対象
範囲の限定、中小事業者の事務
負担
等の
課題
があるものと認識していますが、一方で、給付つき税額控除についても、
所得
の把握、資産の把握の問題、
執行
面での
対応
の可能性等の
課題
があるものと承知しています。 昨年二月の自民党、
公明党
、民主党の三党合意において、低
所得
者
対策
については引き続き
協議
を行うとされており、三党における議論や
与党
における
軽減税率
に関する検討の
状況
等を踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
所得
税減税と自由償却
制度
についてお尋ねがありました。 個人にかかる
所得
税の減税を行えば可処分
所得
が増加することにはなりますが、持続的な成長を目指す上では、
賃上げ
を通じた自律的な好
循環
を生み出すための総合的な
取り組み
の方がより効果的と考えます。 減価償却
制度
の
あり方
として自由償却
制度
の
導入
の御提言をいただきましたが、
設備投資
の
促進
に関して、二十六年度
税制改正
においては、生産性の向上につながる設備を
導入
した際に即時償却や税額控除を選択できる
制度
を創設することとしたところであります。 なお、
消費税率
の
引き上げ
に当たっては、これに伴う
反動減
を
緩和
し、その後の
経済
の成長力を底上げするため、好
循環
実現
のための
経済対策
を策定しております。万全の転嫁
対策
とあわせ、持続的な
経済成長
を
確保
してまいります。 法人税
改革
についてお尋ねがありました。
平成
二十六年度
税制改正
においては、
賃上げ
につなげるきっかけとするため、
復興
特別法人税を一年
前倒し
で廃止することとしました。これにより、国、
地方
を合わせた法人
税率
は、二・四%下がることとなります。 また、今回の
税制改正
に盛り込んだ、生産性向上につながる設備
投資減税
の創設及び研究
開発
税制
や
所得拡大促進税制
の大幅な拡充などは、
企業
がためたキャッシュを
企業
の競争力
強化
や賃金
引き上げ
へ振り向かせるための、次元の異なる
対応
であると考えております。 法人課税の
あり方
については、引き続き、
与党
の御議論も踏まえつつ、グローバルな
経済
の中での競争力等も考えながら検討していく必要があると考えており、本年、さらなる法人税
改革
に着手いたします。 歳入庁についてお尋ねがありました。 内閣官房副長官及び
関係
省庁政務官による検討チームが取りまとめた論点整理においては、歳入庁に関するさまざまな問題点が指摘されるとともに、
年金
保険料の納付率向上のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な
対策
を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないと指摘されたと承知しています。 論点整理の
具体化
に向けて、先般、厚生労働省の専門委員会で報告書が取りまとめられ、現在、この
実現
に向けた
取り組み
が進められています。現在の
体制
の
もと
で、可能なものから速やかに
実施
されるものと承知しております。 なお、
国民
の利便性向上に関しては、納付手段の多様化や電子申請の
推進
などを行ってきたところでありますが、今後、
社会保障
・税番号
制度
の
導入
を
一つ
の契機として、添付書類の
簡素化
などのさらなる方策について検討してまいります。 岩盤規制の集中
改革
についてお尋ねがありました。 いわゆる岩盤規制とは、
経済
社会
情勢の変化の中で、民間が創意工夫を発揮する上での障害になってきているにもかかわらず、長年にわたり
改革
ができていないために、民間の能力が十分に発揮されていないような規制であると考えています。 こうした規制については、
総理
である私がリーダーシップを発揮し、今後二年間を集中
取り組み
期間とし、規制
改革
の突破口である国家戦略特区を
活用
するなど、
思い
切った
改革
を進めてまいります。 TPPなどへの参加と、農政・農協
改革
についてお尋ねがありました。 TPPは、
世界
の
経済成長
センターであるアジア太平洋に
一つ
の
経済
圏をつくる大きなチャンスであり、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの原則の
もと
、国益にかなう最善の判断をしてまいります。 一方で、TPP交渉のいかんにかかわらず、
我が国
の
農林水産業
の活性化は待ったなしの
課題
であり、あらゆる
努力
を傾け、強い
農林水産業
とともに、美しく活力ある農山漁村を
実現
していく
決意
であります。 このため、昨年末、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
を取りまとめ、輸出
促進
や六次産業化の
推進
による付加価値の向上、農地の集積による生産性の向上、美しい
ふるさと
を守る
日本
型直接支払いの創設などに精力的に取り組んでいくとともに、四十年以上続いてきた米の
生産調整
の
見直し
を行っていくこととしております。 今後、これらの施策を着実に
実行
するとともに、
現場
の声を踏まえ、
農林水産業
を成長産業とするため、農協も含め、さらに必要となる
改革
についても
全力
で
取り組み
、農政の大
改革
を進めてまいります。 公務員
制度
改革
についてお尋ねがありました。 御指摘の
法案
は、
平成
二十一年に
政府
が提出した
法案
を基本とし、国家公務員
制度
改革
基本法の条文に則し、近年の公務員をめぐる
環境
の変化も踏まえ立案したものです。 本
法案
は、内閣の重要政策の
実現
などのための戦略的人材配置を
実現
することや、公務員が
責任
を自覚し、誇りを持って職務を遂行できる
体制
を
実現
することという
改革
の目的を
具体化
するものであり、さきの
臨時国会
における合意内容も踏まえ、本
法案
をできるだけ早期に
成立
させていただきたいと考えております。 国による原発の一括管理についてお尋ねがありました。
我が国
においては、国は、原発の安全性や適切な事業運営を
確保
すべく、
制度
の
整備
や規制の
実施
、そして政策の方向性の決定等の
役割
を担い、原発の運営自体は民間事業者が
責任
を持って行うこととしてきました。 国による原発の一括管理については、行政の肥大化、事業の非効率化等、多くの
課題
があり、現時点で検討しておりません。 集団的自衛権についてお尋ねがありました。
我が国
を取り巻く
安全保障
環境
はますます厳しさを増しており、脅威は、容易に国境を越えてきます。もはや
我が国
のみでは
我が国
の平和を守ることはできません。
国際社会
と協力して、
地域
や
世界
の平和を
確保
していくことが不可欠です。このような
観点
に立って、
安全保障
の法的基盤を再
構築
する必要があります。 このような認識の
もと
、現在、
安全保障
の法的基盤の再
構築
に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との
関係
について検討が行われています。
政府
としては、懇談会から報告書が提出された後に
対応
を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、期限ありきではなく、まずはしっかり議論を深めていただきたいと考えております。 以上であります。(
拍手
) 〔
議長
退席、副
議長
着席〕
—————————————
赤松広隆
9
○副
議長
(赤松広隆君) 次に、江田憲司君。 〔江田憲司君
登壇
〕
江田憲司
10
○江田憲司君 結いの党代表、江田憲司でございます。(
拍手
) 結いの党は、昨年末
結党
し、初めての
国会
を迎えることができました。懸案だった会派離脱問題も、伊吹
議長
、逢沢議運委員長初め各党各会派の皆さんの御尽力のおかげで認められ、衆議院では、晴れて一人前の政党として活動を開始することができました。この場をおかりして、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。 しかし、参議院では、いまだ会派離脱が認められず、
現行
法の枠組みで正当に認められた政党が憲法や法律で保障された
国会
活動、
政治
活動ができないという、前代未聞の異常事態を招来しています。こうした事態を一刻も早く解消するため、参議院が院としての自律機能、自浄作用を発揮していただくことを、党の代表として、強くお願いする次第でございます。 さて、党名の結いには、二つの意味を込めました。(発言する者あり)
赤松広隆
11
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
江田憲司
12
○江田憲司君(続)
一つ
は、政界再編を目指す政党であるという性格づけです。 この一強多弱と言われる
政治
状況
の中で、
政治
理念と基本政策の一致を大前提に、野党勢力を結集し、
与党
自民党にかわり得る政権担当可能な一大勢力をつくっていく、その結節点となるという意味合いが一点。 二つ目は、結いに込められた、助け合いという意味です。 古来、
日本
には、田植えや稲刈りといった農作業に互いに無償で人を出し合うというならわしがありました。今の言葉で言うと、
共生社会
、協働と言っていいかもしれません。
東日本大震災
以降、
国民
の間には、人と人とのきずなや
地域
コミュニティーの大切さが再認識されました。その
思い
を体現していこうという意味も込めています。 そして、結いの党の使命は、脱官僚、脱中央集権、脱既得権益、この三つからの
脱却
で、この国の形を変えていくことです。 脱官僚。官僚主導の
政治
を変えて、
国民
主導、民間主導にしていく、我々が目指す、民間が主役の国づくりです。 脱中央集権。別の言葉で言えば、
地域
主権。市町村を初めとした基礎自治体に、権限、財源、人間、この三ゲンを徹底的に移譲し、
地域
のことは
地域
で決める、
地域
が主役の
政治
です。 そして、脱既得権益。全くしがらみのない立場から、
国民
本位の、既得権益を打破する
改革
を断行していく。 既得権益といえば、その最たるものが
国会議員
や公務員のそれでしょう。 しかし、安倍政権になって、この我が身を切る
改革
がなぜか声高に叫ばれなくなった。
消費
増税を決めた政権であるならなおさらのこと、
国民
にだけ
負担
を押しつけるのではなく、
国会議員
や公務員の定数や給与の大幅カット、天下りの根絶や幹部公務員の身分保障撤廃等の公務員
制度
改革
、さらには、特別会計や独立行政法人を
中心
とした無駄遣いの解消等に率先して取り組んでいくべきでしょう。
総理
の
見解
を求めます。
総理
は、この結いの党の
結党
大会に長文のメッセージをお寄せくださいました。政党の
離合集散
を牽制されながら、安定した、政権担当可能な一大勢力たる政党となって、我が党と、自民党ですが、国家、
国民
のために議論することを望んでいる。 何か、巨大
与党
の余裕すら感じられます。 自民党の皆さん、皆さんも、切磋琢磨できる、自民党に対抗し得る野党がなければ、緊張感もないでしょう。何なら、自民党から出てきて一緒に再編をやりませんか。自民党も含め、基本政策すら一致しない寄り合い世帯の政党を整理整頓することこそ、真の政界再編です。
総理
、何か、この点、お考えがありますか。
総理
は、あらまほしき
政党政治
や政界再編の
あり方
について、どのような絵姿をお持ちですか。 また、さきの
施政方針演説
では、連立
与党
は衆参両院で多数を持っているが私の信念はなお変わらないとした上で、政策の
実現
を目指す
責任
野党とは柔軟かつ真摯に政策
協議
を行うとされました。その上で、憲法
改正
にも触れられています。 これは、一部報道にもあるように、連立の組みかえを意図したものなのか、
責任
野党とは一体何で、具体的にどの政党を指しているのか、お答えいただきたいと
思い
ます。 今の
政治
状況
では、民主主義は死んでしまう。 私は、強い危機感を抱いています。先ほど触れた、一強多弱と言われる
政治
状況
です。これでは、本来あるべき野党のチェック機能も働かない、
与党
の数を頼んだ暴走も許してしまう。 私がこのことを痛感したのは、さきの
国会
会期末、安倍政権が強引に
特定秘密保護法
案を可決に持ち込んだときのことでした。 国の根幹である
安全保障
や
国民
の知る権利という基本的人権にかかわる重要
法案
で、多くの問題点を残し、しかも、野党と建設的な
法案
修正が進んでいたにもかかわらず、安倍政権は審議を打ち切ってしまいました。猛省を促すとともに、今
国会
では丁寧な
国会
運営を強く求めます。 この秘密保護法制について、米国では、公文書館内に設置された情報保全監察局が、
国民
の申し立てにより秘密の指定を
解除
する強制権限を持っています。実際にもこの
機関
は機能していて、申し立て件数の三分の一は全面公開、三分の一は一部公開という結果になっています。
日本
でも、立法府、行
政府
ともに、事前かつ事後のこうしたチェック
機関
、
第三者機関
の創設が必要不可欠です。今のままでは官僚統制を強めるだけです。
総理
、どう
見直し
ていくおつもりですか。
安倍総理
は、ここに来て、これまで隠していたタカ派色を色濃く出し始めたような気がしてなりません。 憲法
改正
や集団的自衛権の行使についての積極的な発言が目立ちます。 そして、昨年末には、突如、控えていた靖国神社への参拝もされた。この
安倍総理
の靖国参拝は、
中国
、
韓国
だけではなく、同盟国のアメリカですら、失望したと厳しく論評し、さらに、EU等からも否定的な評価が相次ぎました。 マックス・ウェーバーの「職業としての
政治
」に、心情倫理と
責任
倫理という言葉があります。私の
理解
するところ、前者は、みずからの信念に基づき行動し、その結果は神に委ねて顧みない、その信念自体がとうといのだという考えです。後者は、起こるであろう結果を想定した上で行動し、その責めを負うという考えです。 今回の
安倍総理
の靖国参拝は、恐らく、心情倫理に基づく行動だったのでしょう。安倍さんにとっては、一度ならず二度まで
総理
になった以上、
実現
できなくて痛恨のきわみとまで表現していた靖国参拝は、信念に基づく行動だったに違いない。 しかし、マックス・ウェーバーは、
政治
家は心情倫理ではなく
責任
倫理で行動すべきだと説きます。私も、
総理
という地位にある方に間近でお仕えしましたが、一
政治
家とは違い、一国の代表である
総理
は、みずからの信念だからと何でも押し通すことは控えなければなりません。四囲の
状況
を慎重に見きわめ、その結果起こるであろうさまざまな事態も総合的に勘案した上で、国益のために何がベストなのか、それを決断しなければならないのです。(発言する者あり)
赤松広隆
13
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
江田憲司
14
○江田憲司君(続) 最近の
安倍総理
を見ていると、これからの幾多の国政の
課題
への対処は、もう、この心情倫理に基づき決断、
実行
していこうと考えているのではとすら疑ってしまいます。
総理
、このマックス・ウェーバーの、
政治
家は心情倫理ではなく
責任
倫理で行動すべきという考えに対する御見識を、あれば御披露ください。 次に、
経済政策
についてお聞きしたいと
思い
ます。 まず、好むと好まざるとにかかわらず、これからは国際大競争時代を勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、国際標準の
制度
、ルールで戦うしかない。
日本
だけ異質な
制度
やルールを
企業
に押しつけることはできないんです。そう、フリーで、フェア、オープンな市場主義が原則なんです。 我々は、
日本経済
のポテンシャルの高さを信じています。その可能性を生かすには、規制
改革
などの
環境整備
が欠かせません。法人税の実効
税率
の引き下げも必要です。 特に、直接の競争相手、
中国
や
韓国
といった国の法人
税率
は二〇%台前半です。したがって、一挙には無理でも、重要なのは、いついつまでにどこまで下げるといった行程表をつくることです。
企業
は、将来の見通しさえ立てば、それに合わせて計画を立て、行動していきます。それにより、
企業
立地や
設備投資
が
拡大
をしていくんです。
総理
、この
段階
的な法人税引き下げの道筋をお示しください。その最終
目標
は何%に置いておられますか。 一方で、市場主義
社会
は、基本的に優勝劣敗の
世界
であります。そのまま放置しては、当然、非効率な衰退産業は市場から退場を迫られ、失業者は生まれ、格差も広がってしまう。そういう
人たち
のために、手厚いセーフティーネットを
構築
していかなければなりません。
政治
は
社会
的弱者のためにあるのです。 こうした考え方、小さな
政府
で大きなサービスのよい例がスウェーデンです。 スウェーデンは
社会
福祉大国だと言われますが、衰退する産業を潰すこともいといません。リーマン・ショックで経営危機に陥った自動車メーカー、ボルボやサーブでさえ救済しなかった。もちろん、大量の失業者もその結果出てきます。そこで、
政府
は三年ほどの時をかけ、職業訓練などを行って再就職先まで面倒を見る。そういうシステムが
構築
されているんです。 この手厚いセーフティーネットの
構築
についての安倍政権の政策は何ですか。具体的にお答えください。 景気に目を移すと、これまで安倍政権の高支持率を支えてきたアベノミクスも、大胆な
金融緩和
というカンフル剤が効いて、今のところ、順調に推移しているように見えます。 しかし、四月からの
消費
増税、
成長戦略
の肝である規制
改革
の骨抜き等で、早晩息切れし、残念ながら、このままでは、年央以降、景気は失速する可能性が高い。この春先には、これまで十五兆円も買い越してきた外国投資家が、先行きを憂え、東京市場で株を投げ売りするという怖い話もあります。 それを回避し、景気を本格的に
回復
させていくためには、お金だけではなくて、実体
経済
、すなわち、物やサービスを動かす
成長戦略
、
安倍総理
の言う第三の矢を力強く飛ばす必要があります。そう、規制
改革
や
地域
主権
改革
を断行していかなければなりません。 しかし、規制で守られた既得権益から多くの組織票や献金をもらっている安倍自民党に、その岩盤を打破する
改革
が本当にできるでしょうか。
地方
に権限や財源をおろすといっても、それに体を張って抵抗する中央官僚や、その背後にいる族議員を、押し切ることができるでしょうか。これまでの自民党政権は、ことごとく、そのしがらみに足をとられ、
改革
の後退を余儀なくされてきました。 安倍政権でも、同様に、我々から見ると、官僚主導、族議員主導の
政治
が頭をもたげ始めた。例えば、
デフレ
下における増税の強行、
国土
強靱化と称する公共事業のばらまき、さらには、
成長戦略
の肝である規制
改革
の骨抜き等々です。そして、その結果、
国民
が置き去りにされつつある。 衆院の解散権や、内閣や党の人事権を持つ
安倍総理
が、身を捨てて、この
改革
に反対するなら俺の首をとれという覚悟を示さなければ、岩盤規制を打ち砕くことも、
地域
主権
改革
を断行することもできません。 よい悪いは別にして、小泉元
総理
にはその覚悟があった。それが結果的に長期政権を導いたんです。 残念ながら、
安倍総理
からは、その覚悟、気迫が感じられません。長期政権狙いで安全運転に徹しようと思った途端に、その政権は短命で終わるんです。
総理
、そうじゃないとおっしゃるなら、ここで、その覚悟のほどをお示しください。 そこで、
成長戦略
の肝、規制
改革
の具体策についてお伺いします。
日本
の将来を切り開く成長産業は、電力、エネルギー、
医療
、福祉、
子育て
、
農業
といった分野から生まれます。しかし、これらの分野はどこも、規制で
がん
じがらめ、新規参入が自由にできない。
安倍総理
は、この規制
改革
に前向きな姿勢に映ります。官邸主導で、霞が関の官僚も抑えているようにも見える。しかし、その実態は、竜頭蛇尾、最初のアドバルーンは高く上がりますが、族議員や官僚の抵抗に遭い、ことごとく骨抜きにされているのが現実です。
一つ
具体例を挙げましょう。 米の減反
制度
の廃止。初めて聞いたときは、いよいよ本気かと私も期待したものです。 ところが、
政府
がまとめた
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
には、減反廃止という言葉はどこにもない。そのかわり、来年度から、飼料用米などに転作した農家への補助金を最大で三割上積みする。結果、農家の
所得
は一三%増になるそうです。結局、税金で賄う補助金が今よりふえ、農地を手放す兼業農家も減り、農地の大規模化も進まない。 これのどこが
改革
なんでしょうか。非効率な農家まで全部面倒を見る、ばらまきそのものです。形を変えた減反政策と言ってもいいでしょう。これでは
日本
の
農業
は弱体化するばかりです。
総理
の
見解
を伺います。 減反を廃止すれば、当然、米の値段は下がります。一時的に農家の
所得
は減るかもしれない。しかし、採算の合わない零細農家から農地が手放されることで、農家を大規模化、集約化できる。また、これからも
農業
で頑張るという人には税金で減収分は補填、直接支払いしてもいい。欧米でもやっていることです。その上で積極的に米をつくってもらうようにすれば、
日本
の米は安全でおいしいので、北京やシンガポールでも飛ぶように売れることでしょう。 このように、
農業
を輸出型の産業にしなければ、将来はない。そのためには、
農業
の担い手に新しい血を入れていく、規制を
緩和
し、新規参入を
促進
していくことです。株式会社の農地取得を可能にしたり、事実上既存農家の協力を得なければ設立できない
農業
生産法人の要件を、役員、出資制限などを緩めて、市場志向型の
農業
へと転換していけばいい。こうした
改革
が進めば、
農業
は成長・輸出産業化できる。
総理
、このような
農業
分野の規制
改革
をどう進めるおつもりですか。 電力の分野も、送電線を分離して民間に開放すれば、いろいろな会社が参入してきます。あたかも、NTTの通信回線を開放したらいろいろな電話・通信会社が参入してきたのと同じです。そして、競争効果で、料金も格段に下がった。そうした機会、チャンスさえ民間に与えれば、
地域
分散型の電源
開発
や電力の地産地消も可能となり、それが
地域
の活性化にもつながるはずです。 総括原価主義のような親方日の丸のコスト算定方式も改め、競争で電気料金も下がっていけば、もう、安くもない安全でもない原発は、市場淘汰で、近い将来ゼロにしていくことができると結いの党は訴えています。 こうした、電力の再編自由化に向けた
決意
と具体的方策、スケジュールについて、
総理
はどうお考えですか。 また、もう安くもない安全でもない原発を、もう米国でも原発は一番高い電源だと位置づけられているんですよ、なぜ、再稼働させないと
国民
負担
が重くなると言って重要なベース電源と位置づけようとするのか、その理由をお聞かせください。 次に、
地域
主権
改革
について伺います。
成長戦略
にもう
一つ
必要なのは、
地方
へ権限、財源、人間の三ゲンを徹底的に移譲していくことです。それにより、各基礎自治体、つまり、市町村が
地域
の
実情
に応じたきめ細かい行政を行うことで
日本
全国
が活性化していくというのが
地域
主権の考え方です。そう、
地域
主権は、
日本
底上げのための切り札になるんです。 ところが、そう簡単にはいきません。既得権益を譲りたくない霞が関や族議員といった抵抗勢力がいるからです。 民主党は、政権末期、国のブロック
機関
の一部である
国土
交通省の
地方
整備
局、
経済
産業省の
経済
産業局、
環境
省の
環境
事務所を
地方
の広域連合へ移管する
法案
を策定しました。 ところが、安倍政権になってから、この程度の
法案
でさえ見向きもしない。一体どうなってしまったんでしょうか。
施政方針演説
でも、この
地域
主権については総論的なことしか触れられておりません。
総理
の
地域
主権にかける
決意
と具体策、あわせて、道州制を
実現
されるのかされないのか、お聞かせください。
国土
交通省の
地方
整備
局は、公共事業のばらまきマシンで、まさに、自民党が推し進める
国土
強靱化計画の手足となる組織です。いわゆる自民党の
国土
強靱化族は、十年間で二百兆円の公共事業を行うと言います。 しかし、一体どこにそんなお金があるのか。何のための
消費
増税だったのか。
社会保障
の財源に充てるはずじゃなかったんでしょうか。こんなことでは、来年秋に想定されている
消費税
の一〇%への増税は取りやめるべきではありませんか。
経済
を本格的な成長軌道に乗せることの方が先決でしょう。
総理
の
見解
を求めます。(発言する者あり)
赤松広隆
15
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
江田憲司
16
○江田憲司君(続) また、この
全国
的な公共事業のばらまきが、東北の
被災地
の
復興
の明らかな足かせになっています。
資材
、人材の不足、そのコストの急
上昇
等がその大きな要因です。
総理
、
日本
の
再生
は
被災地
の
復興
からではなかったのでしょうか。御
見解
を伺います。 最後に、
外交
、
安全保障
についてお聞きします。
日本
を取り巻く
安全保障
環境
は、近時ますます厳しくなっています。 テロやミサイル、サイバー攻撃等、多様な脅威に対する備えには万全を期していかなければなりません。特に、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題については、
国際社会
と
連携
して厳しく
対応
していく。尖閣諸島を初め南西方面の対処も喫緊の
課題
です。 さらに、国連によるPKOや
災害
救助、人道援助等にも積極的に参画し、唯一の被爆国として、核軍縮や核不拡散にも主導的
役割
を果たしていくべきでしょう。 そうした中で、安倍政権になってからクローズアップされているのが集団的自衛権の問題です。 この議論で危惧するのは、対米追従や、普通の国、一人前の国論といった観念論から結論が導かれていくのではないかということです。 この点で、我が結いの党は、
現行
憲法下でまずは可能な自衛権の行使の
あり方
を
具体化
し、必要に応じて法
整備
すべきだと考えています。重要なのは、まずは、今の枠組みの中で、
日本
自身がみずから国を守る
体制
、方途を
整備
していくことです。その上で、日米同盟や国際的な
連携
がどうあるべきかを検討する。そういう手順で議論を進めるべきでしょう。 その意味では、集団的自衛権の前にやるべきことがある、いわゆるマイナー自衛権と称される、武力攻撃に至らないさまざまな危機、事態への対処について万全を期していく必要があります。 例えば、武装漁民による離島占拠や不審船による奇襲、レーダー照射への対処等の具体的ケースに即し、その効果的な
対応
について検討していくべきです。近年深刻な問題となっているサイバー攻撃への対処もそうでしょう。
総理
、こうしたマイナー自衛権についてのお考えと、それに万全を期す具体的な方策についてお答えください。 その上で、集団的自衛権行使の可否については、まずは、
日本
の防衛及び日米同盟の効果的
運用
という
観点
から何が一体支障となっているのか、具体的なケースごとに検討すべきです。その上で、
現行
の憲法解釈で不都合があるのかどうかを慎重に検討していく。初めに憲法解釈の変更ありきという立場はとるべきではありません。 要は、これまで自民党政権を含む
政府
の憲法解釈で長年個別的自衛権と集団的自衛権との間に引いていた一線、ルビコン川、歯どめを越えるには、慎重にということです。当たり前です。 その意味で、
総理
はどのようなケースが支障になっているとお考えか、具体的にお示しください。 その上で、どうしてそれが個別的自衛権ではなく集団的自衛権でないと可能とならないのか、その理由をお示しください。
安倍総理
、結いの党は、これからの
国会
活動においては、
責任
政党として、反対のための反対はしない、常に国家
国民
の立場に立って、政策、
法案
ごとに是々非々で行動していきます。 今一番
政治
に求められているものは何でしょうか。安倍政権が、既得権益を打破して、真の意味での規制
改革
、
地域
主権
改革
を断行し、
景気回復
を本格的なものにしていく。さらには、
社会保障制度
の抜本
改革
にも踏み込み、
国民
の将来不安を払拭していく。
赤松広隆
17
○副
議長
(赤松広隆君) 江田憲司君に申し上げます。申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
江田憲司
18
○江田憲司君(続) 本当に
実行
されるなら、我々も全面的に
支援
します。しかし、それが、自民党の支持基盤、既得権益、さらには族議員や霞が関の抵抗で骨抜きになるようであれば、結いの党は、それをしっかりとただし、それにかわり得る対案を安倍政権に突きつけ、
国会
論戦を通じて、
国民
の皆さんの
理解
も求め、
実現
してまいります。そのことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
19
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 江田憲司議員にお答えをいたします。
国会
改革
、行財政
改革
についてお尋ねがありました。 議員定数の削減については、
与党
がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えております。 公務員の定数や給与については、
我が国
の厳しい財政
状況
に鑑み、定員管理の徹底、給与体系の抜本
改革
などに取り組んでまいります。 国家公務員
制度
改革
については、昨年の
臨時国会
に提出した法案の早期成立をお願いしたいと考えております。また、国家公務員の再就職については、押しつけ等の不適切な行為を厳格に規制し、天下りを根絶してまいります。 無駄の撲滅については、独立行政法人の業務の質と効率性の向上、毎年の
予算
編成過程での特別会計の合理化、効率化を図るとともに、行政事業レビューの徹底により、積極的に取り組んでまいります。
政党政治
や政界再編、
責任
野党の考え方についてお尋ねがありました。 政党同士がおのおのの政策を掲げて切磋琢磨することが民主主義の基盤であることは、言うまでもありません。そうした中で、政界再編が起こることもあるでしょう。しかし、それは、政権獲得だけを目指した政局本位のものであってはなりません。全ては国家
国民
のため、政策の
実現
を目指すものでなければならないと考えます。 自民党と
公明党
による連立
与党
は、基本政策で合意するのみならず、意見の異なる政策に対しても、深い信頼
関係
のもとで、話し合いを行い、結果を残してまいりました。その上で、私
たち
連立
与党
は、政策の
実現
を目指す
責任
野党の皆さんとは、柔軟かつ真摯に政策協議を行ってまいります。
責任
野党とは、特定の政党を想定したものではありません。何でも反対、何でも抵抗ではなく、全ては国家
国民
のため、政策を前に進めるとの方向性を共有し、建設的な提案をしてくださる野党は、全て
責任
野党であります。 ぜひ、結いの党の皆さんとも、建設的な議論をさせていただきたいと考えております。
特定秘密保護法
に関し、
第三者機関
の設置についてのお尋ねがありました。
政府
としては、本
法施行
までに、内閣府に独立性の高い
第三者機関
である
情報保全監察室
を設置し、行政
機関
による個別の
特定秘密
の指定等をチェックすることとしております。 また、
国会
の関与の
あり方
については、
国会
で講じられる具体的な保護
措置
などを含め、あるべき
国会
運営の全体像の議論の中で、
国会
においてさまざまな
観点
から検討されるものと考えます。 マックス・ウェーバーの考え方に対する私の
見解
についてお尋ねがありました。 マックス・ウェーバーは、御指摘の点について、心情倫理と
責任
倫理は絶対的な対立ではなく、むしろ両々相まって
政治
への天職を持ち得る真の人間をつくり出すと述べています。これが、マックス・ウェーバーが述べようとした本質であります。
政治
家として、行動によりもたらされる結果に
責任
を持つべきは当然であります。信念だけに任せて、結果を考えることなく決断を行うようなことが、あってはなりません。一方で、
政治
家として、信念がないままにただ結果だけを案ずるのは、妥協的な、事なかれ
政治
に陥りかねません。 今後とも、私は、マックス・ウェーバーが「職業としての
政治
」の中で最後に説いたように、情熱と判断力の二つを駆使して、どんな事態に直面しても断じてくじけない
政治
家でありたいと考えております。 法人税引き下げの道筋についてのお尋ねがありました。 二十六年度
税制改正
においては、
賃上げ
につなげるきっかけとするため、
復興
特別法人税を一年
前倒し
して廃止することとしており、これにより、国、地方を合わせた法人
税率
は二・四%下がることとなります。 本年は、さらなる法人課税
改革
に着手いたします。その
改革
に当たっては、
与党
での御議論も踏まえつつ、グローバルな
経済
の中での競争力等も考えながら、将来に向けた法人税の
あり方
について幅広く議論してまいります。 失業者などへのセーフティーネットの
構築
に関するお尋ねがありました。 失業者に対しては、これまでも、
雇用
保険や求職者
支援
制度
により必要な給付を行うとともに、公共職業訓練の
実施
、ハローワークでの職業紹介などを行ってきています。 今
国会
には、キャリアアップを希望する非正規
雇用
の
方々
などを
支援
するため、教育訓練給付の充実などを行う
雇用
保険法の
改正
法案を提出することとしており、今後とも、
安心
して働けるよう、重層的なセーフティーネットを
構築
してまいります。 規制
改革
や地方分権
改革
に対する姿勢についてのお尋ねがありました。 安倍内閣の発足以来、
日本経済
の
再生
に向けて抜本的な構造
改革
に
取り組み
、電力市場の自由化や、四十年以上続いた米の
生産調整
の
見直し
など、これまで不可能と思われていたさまざまな
改革
を
実現
してまいりました。 安倍内閣の
改革
に終わりはありません。 ここで歩みをとめることなく、アベノミクスの三本目の矢がさらに
加速
して、壁を打ち破り、
日本経済
を安定的な成長軌道に乗せるよう、規制
改革
や地方分権
改革
を初め、さらなる
改革
を断行してまいります。 農業分野の規制
改革
についてお尋ねがありました。 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い
農林水産業
とともに、美しく活力ある農山漁村を
実現
していく
決意
です。 このため、昨年末、
農林水産業
・
地域
の
活力創造プラン
を取りまとめ、輸出
促進
や六次産業化の
推進
による付加価値の向上を図るとともに、リース方式を活用した農地集積による生産性の向上などに精力的に取り組んでいくこととしております。 農業への
企業
参入については、平成二十一年の農地法
改正
によるリースの解禁で、株式会社のままでも自由に参入できることとなっており、昨年の
臨時国会
で関連法が成立した農地集積バンクの
取り組み
との組み合わせによって、さらに効率的に農業経営を展開できるようになります。 その上で、四十年以上続いてきた米の
生産調整
を
見直し
し、農業者がみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。 今後、これらの施策を着実に実行するとともに、
現場
の声を踏まえ、
農林水産業
を成長産業とするため、さらに必要となる
改革
についても
全力
で
取り組み
、農政の大
改革
を進めてまいります。 電力自由化と、原発の位置づけについてお尋ねがありました。 電力自由化については、昨年成立した
改正
電気事業法で示された内容に基づき、
改革
を着実に前進させます。具体的には、平成二十八年を目途に電気の小売業への参入を全面自由化し、平成三十年から平成三十二年までの間を目途に発送電の分離を行います。 現在、
責任
あるエネルギー政策の
構築
を目指してエネルギー
基本計画
の検討を行っているところであり、その中で原発の位置づけについても議論しています。その際、資源のない
日本
は、昨年、化石燃料の輸入に二十七・四兆円も支払っており、原発がないことにより三・六兆円も多く支払っている点も考慮する必要があります。 いずれにせよ、原子力規制委員会が定めた、
世界
で最も厳しい水準の安全基準を満たさない限り、原発の再稼働はありません。 地方分権
改革
及び道州制についてお尋ねがありました。 地方分権
改革
は、個性を生かし、自立した地方をつくるために不可欠です。 今
国会
に、国から地方への事務、権限の移譲等についての一括法案を提出し、第一次安倍内閣で始めた一連の地方分権
改革
をさらに前に進めてまいります。 また、道州制の導入は、
地域
経済
の活性化や行政の効率化などを目指し、国の
あり方
を根底から見直す大きな
改革
です。 現在、
与党
において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っており、今後、
政府
としても、
連携
を深め、取り組んでまいります。 国土強靱化や
消費
増税、
被災地
の
復興
事業についてお尋ねがありました。 国土強靱化については、公共事業の額ありきではなく、二百兆円といった額を決定したという事実もありません。ハード、ソフトを組み合わせながら、
優先
順位をつけて、災害に強い国づくりを行ってまいります。
消費税率引き上げ
による税収は、全額
社会保障
財源化することとしており、公共事業に充てることはありません。
消費税率
の一〇%への
引き上げ
については、
税制
抜本
改革
法にのっとって、
経済
状況
等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。 また、
消費税率
の
引き上げ
に伴う
反動減
を
緩和
し、その後の
経済
の成長力を底上げするため、好循環
実現
のための
経済対策
を策定しており、
政労使
の
取り組み
などをあわせて進め、持続的な成長を
確保
してまいります。 さらに、
被災地
の
復興
事業については、これまで、人材や資材の不足に
対応
するため、発注規模の大型化や生コンクリートのプラントの増設などを行ったほか、実勢価格を適切に反映させるため、労務単価を
引き上げ
るなどの
加速化措置
を打ち出してきたところであり、今後とも、その円滑な
実施
のため、
対策
をきめ細かく講じてまいります。 いわゆるマイナー自衛権についてのお尋ねがありました。
我が国
を取り巻く
安全保障
環境
は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における
経済
権益等をめぐる、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。このため、御指摘のような武力攻撃に至らない事態を含め、さまざまな事態にシームレスに
対応
することが必要です。 また、サイバー空間の安定的利用の
確保
も、
安全保障
上の重要な
課題
となっています。 現在、
安全保障
の法的基盤の再
構築
に関する懇談会において、御指摘のような問題も含め、さまざまな検討が行われています。 懇談会における議論の一例を申し上げれば、国際法上、外国潜水艦は、他国の領海内では海面に浮上して国旗を掲げて航行しなければなりませんが、
我が国
領海内において、外国潜水艦が水中に潜ったまま航行し、退去の要求に応じず、徘回を継続する場合など、武力攻撃に至らない侵害に際して、どのような実力の行使が可能か検討する必要があるとの問題意識も示されています。
政府
としては、個別的自衛権などにかかわる
課題
については、懇談会の報告も踏まえ、
対応
を検討してまいります。 集団的自衛権についてお尋ねがありました。 現在、
安全保障
の法的基盤の再
構築
に関する懇談会において検討が行われており、
政府
としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えています。 その上で、懇談会において議論が行われた具体的な事例について紹介すれば、例えば、次のようなものがあります。 ミサイル防衛のため公海上で警戒に当たっている米軍のイージス艦が攻撃を受けた場合、
我が国
はこのイージス艦を守ることができないが、それでよいのか。
我が国
の同盟国である米国が武力攻撃を受けて
対応
している中で、攻撃をしかけた国に武器弾薬を供給しようとしている船舶を米国からとめてくれと言われても
我が国
は
対応
できないが、それでよいのか。 懇談会では個別的自衛権を
拡大
解釈していくのは国際的常識に反するとの指摘もあると聞いておりますが、いずれにせよ、
政府
としては、懇談会から報告書が提出された後に
対応
を検討することとなります。 以上であります。(拍手)
—————————————
赤松広隆
20
○副
議長
(赤松広隆君) 次に、志位和夫君。 〔志位和夫君
登壇
〕
志位和夫
21
○志位和夫君 私は、
日本
共産党を代表して、
安倍総理
に質問します。(拍手) 昨年の
臨時国会
は、秘密保護法に反対する一万五千人の人々が
国会
を包囲する中、安倍政権がこの希代の悪法を強行するという幕切れとなりました。 しかし、
国民
の目、耳、口を塞ぎ、
日本
国憲法の基本原理をことごとくじゅうりんする秘密保護法に反対する声は、法案が強行された後も、さらに広がっています。秘密保護法の廃止等を求める地方議会の決議や意見書は、この一カ月余りで百自治体を超えています。 この通常
国会
は、召集日に秘密法反対を求める人々が
国会
を大包囲するという幕あけとなりました。
日本
共産党は、この
国会
に秘密保護法廃止法案を提出いたします。
総理
は、秘密法を強行した翌日、私自身がもっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと反省していますと述べました。この言葉が真実のものであるならば、
総理
は、廃止法案の審議に、丁寧に、時間をとって応じるべきであります。
総理
にその用意はありますか。廃止法案の成立のために、党派を超えた共同を呼びかけるとともに、
総理
の
答弁
を求めます。
総理
は、
施政方針演説
で、
経済
の好循環を
実現
し、
景気回復
の実感を全国に届けると述べました。私は、
総理
が本気で
経済
の好循環を
実現
するというなら、二つの点で、従来の
方針
の根本からの転換が必要だと考えます。 その
一つ
は、四月からの
消費税
の八%への
引き上げ
をこのまま
実施
していいのかという問題です。
総理
は、
景気回復
の裾野は着実に広がっていると述べました。しかし、
日本経済
の実態は、それとはかけ離れたものとなっています。 異常な
金融緩和
によって株価は上がりましたが、庶民への恩恵はなく、円安による燃料、原材料、
生活
必需品の値上がりが、家計と
中小企業
を苦しめています。 二〇一三年七—九月期のGDPの実質成長率は年率換算で一・一%にとどまり、一—三月期の四・五%、四—六月期の三・六%を大幅に下回り、
経済
の減速傾向が明瞭になりました。 しかも、その中身を見ますと、家計
消費
や
設備投資
は低迷し、GDPの伸びを辛うじて支えているのは、
消費税
増税を前にした
駆け込み需要
と公共事業の積み増しという、一時的なものにすぎません。何よりも、働く人の賃金は、十八カ月連続で減少を続け、ピーク時に比べて七十万円も減っています。 このような
経済
情勢のもとで、
消費税
増税で八兆円、
社会保障
の
負担
増、給付減を合わせれば十兆円という史上空前の
負担
増を強行すれば、どうなるか。
国民
の暮らしに大打撃を与え、
日本経済
を壊し、財政も共倒れという悪循環の引き金を引くことになることは、明らかではありませんか。
総理
は、
中小企業
に対して万全の転嫁
対策
を講じると述べました。 しかし、全国
中小企業
団体中央会が一月に発表した景況調査では、多くの
中小企業
から、現状でも、原材料高、燃料高を販売価格に転嫁できないとの訴えがされています。
総理
は、このような実態を御存じでしょうか。現状でも転嫁できずに苦しんでいるのに、この上、増税分を転嫁する保証が一体どこにあるのでしょうか。
消費税
大増税の一方で、大
企業
には大盤振る舞いの減税が行われようとしています。
復興
特別法人税の廃止に続き、
総理
は、ダボス
会議
で、法人税減税を国際公約しました。 国土強靱化の名で、東京外郭環状道路を初め三大都市圏環状道路、国際コンテナ港湾など、巨大公共事業に巨額の税金が投入されようとしています。 今後五年間に二十四兆六千七百億円の軍事費をつぎ込む、大軍拡の道に踏み出そうとしています。
消費税
大増税と一体で
政府
が行おうとしている
社会保障制度改革
の内容は、
医療
、
介護
、
年金
など、あらゆる分野で
負担
増と給付減を押しつけ、その総額は、試算できるものだけで三兆円を超えます。 結局、
消費税
大増税の目的は、財政
再建
のためでも、
社会保障
のためでもない。
消費税
増税で吸い上げた税金を、大
企業
減税と巨大
開発
、軍拡
予算
に流し込む、これこそ事の真相ではありませんか。
総理
が本気で
経済
の好循環を
実現
するというのならば、四月からの
消費税
増税の
実施
は、今からでも中止すべきであります。応能
負担
、
負担
能力に応じた
負担
の原則に立ち、富裕層と大
企業
に応分の
負担
を求める
税制
改革
こそ行うべきであります。
総理
の
答弁
を求めます。 いま
一つ
は、どうやって働く人の
賃上げ
を図るのかという問題です。
賃上げ
が
経済
の好循環を
実現
する鍵であることは、
総理
も認めるところだと思います。であるならば、私は、次の三つの
賃上げ
政策を実行することを
政府
に求めるものです。 第一は、二百七十兆円に上る大
企業
の内部留保の一部を
賃上げ
に活用することを
経済界
に正面から提起することです。 昨年末、
総理
が出席した
政労使
会議
が取りまとめた合意文書には、「まずは
経済
の好転を
企業
収益の
拡大
につなげ、それを
賃金上昇
につなげていく」と記されています。こうした
企業
収益の
拡大
先にありきという姿勢では、
企業
内部に大量の資金が滞留していても、もっともうけがふえなければ
賃上げ
をしなくてもよいということになります。これでは
賃上げ
は、いつまでも先送りされてしまうではありませんか。
総理
は、昨年の
臨時国会
で、我が党議員の質問への
答弁
で、内部留保の活用を
政労使
会議
でお願いすると約束したはずです。ところが、合意文書には、内部留保という言葉さえ出てきません。
総理
は、この約束を果たされたのですか。
政府
として、内部留保の活用を正面から提起し、
賃上げ
の実行を迫る意思はありますか。
答弁
を求めます。 第二は、最低賃金の抜本的
引き上げ
と、そのための
財政出動
を行うことです。
総理
は、
賃上げ
する
企業
を応援する
税制
を拡充すると言いますが、
雇用
の七割を支えている
中小企業
の七割は赤字経営です。法人税を減税しても恩恵はなく、
賃上げ
の
促進
にはなりません。
中小企業
に
賃上げ
を波及させる最も効果的な方法は、
中小企業
への直接
支援
を行いながら、最低賃金を
引き上げ
ることです。 アメリカでは、最低賃金
引き上げ
のために、五年間で八千八百億円の
中小企業
支援
を行っています。フランスでは、三年間で二兆二千八百億円の
社会
保険料の
軽減
を行っています。ところが、
日本
では、最低賃金
引き上げ
のための
中小企業
支援
は、この三年間でわずか九十九億円にすぎません。
総理
、
賃上げ
のための
財政出動
というならば、最低賃金
引き上げ
のための
中小企業
支援
を抜本的に
拡大
すべきではありませんか。
答弁
を求めます。 第三は、
雇用
のルール破壊をやめて、人間らしく働ける
雇用
のルール
強化
を図ることであります。 安倍政権は、
世界
で一番
企業
が活躍しやすい国のスローガンのもと、派遣労働の無制限の
拡大
、解雇の自由化、サービス残業の合法化を進めようとしています。どれも、財界が人件費削減のために要求してきたことであります。こんなことをやって、どうして
賃上げ
になるのか。
政府
主導の賃下げ政策ではありませんか。 今取り組むべきは、労働者派遣法の抜本
改正
、
均等待遇
のルールの確立、ブラック
企業
の規制など、人間らしく働くことを保障するルールの確立であります。それこそが、非正規社員から正社員への道を広げ、働く人の
所得
をふやす道ではありませんか。 以上、三つの
賃上げ
政策について、
総理
の
答弁
を求めるものであります。
政府
は、原発を、基盤となる重要なベース電源として、将来にわたって活用し、再稼働を進めると明記したエネルギー
基本計画
を閣議決定しようとしています。 原発に関する基本姿勢について、二つの点を端的にただしたい。 第一は、安倍政権は、原発ゼロという目標を投げ捨てるのかという問題です。 民主党政権が定めた
方針
には、二〇三〇年代に原発ゼロという
政府
としての目標が明記されていました。ところが、エネルギー
基本計画
には、原発ゼロという目標は影も形もありません。
総理
も、原発依存度の低減は述べても、原発ゼロは一切口にしません。しかし、どんな世論調査でも、原発の今後について、今すぐ廃止、将来は廃止を合わせますと、七割から八割に上ります。 安倍政権の
方針
は、この圧倒的民意に背いて、将来にわたって原発との共存を図るというものなのですか。しかとお答えいただきたい。 第二は、原発再稼働の問題です。 原発事故の
被害
は、今なお深刻さを増し、
福島
では十四万人もの
方々
が先の見えない
避難生活
を強いられています。事故は、収束するどころか、放射能汚染水が制御できない非常事態が続いています。原発事故の原因は、いまだ究明の途上にあります。こうした
状況
のもとでの再稼働など、論外ではありませんか。 再稼働をすれば、核のごみがふえ続けます。エネルギー
基本計画
は、最終処分を将来世代に先送りしないとしています。しかし、一体、
日本
のどこを最終処分の場所にするというのか。全く見通しがないではありませんか。 最近の世論調査で、安全性が確認された原発の再稼働に六〇・二%が反対と答えているのは、当然であります。
総理
自身、再稼働を決断するときには秘密保護法以上に
国民
世論は厳しくなるかもしれないと述べているとおりであります。
総理
に伺います。 仮に、
国民
の
理解
が得られなくても、原子力規制委員会が安全との判定を下せば、再稼働を強行するおつもりですか。 現在、全ての原発は停止しています。このまま再稼働せずに廃炉に向かうことこそ、最も現実的で、
責任
ある態度ではありませんか。 即時原発ゼロを
政治
決断し、
再生
可能エネルギーの思い切った普及と低エネルギー
社会
への転換に力を注ぐことこそ、
国民
の命と安全に
責任
を負うべき
政府
が選択すべき道であります。
総理
の
答弁
を求めます。 米軍の新
基地
建設問題が最大の争点となった
沖縄
名護市長選挙で、辺野古の海にも陸にも
基地
はつくらせないと公約した稲嶺進市長が、新
基地
推進
を主張した自民党推薦候補を大差で打ち破り、圧勝しました。強圧を用い、札束をちらつかせて
基地
受け入れを迫った安倍政権の卑劣なやり方に、
沖縄
は屈しなかったのであります。
政府
は、この結果を重く受けとめて、新
基地
建設をきっぱり断念すべきであります。
総理
は、
施政方針演説
で、名護市長選挙の結果については一言も触れず、新
基地
建設を強行する姿勢を示しました。
沖縄
の地元紙は、選挙という民主主義の手続で示された名護市民の多数意思を完全に無視するやり方は民主主義を否定するものだ、
世界
じゅう探しても民意をこれほど露骨に踏みにじる民主主義国家は存在しないと、そろって、安倍政権の暴走を民主主義への挑戦と指弾しています。
総理
、名護市民が選挙で下した審判を無視し、七割を超える県内移設反対の県民の声を踏みつけにすることが、民主主義を否定する行為だとは考えないのですか。しかと
答弁
をいただきたい。(発言する者あり)
赤松広隆
22
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
志位和夫
23
○志位和夫君(続) 普天間
基地
は、
もと
もと
、米軍の無法な土地強奪の上につくられた
基地
であります。返還に条件をつけること自体、許されないことであります。普天間
基地
の無条件撤去を求めて対米交渉を行うことを強く求めるものであります。
総理
は、昨年十二月二十六日、靖国神社参拝を強行しました。 靖国神社は、戦争中は、
国民
を戦場に動員する道具とされた神社でありました。この神社は、現在も、
日本
軍国主義による侵略戦争を、自存自衛の正義の戦い、アジア解放の戦争と美化し宣伝することを存在意義とする、特殊な施設となっています。侵略戦争を引き起こした罪に問われたA級戦犯が、連合軍による一方的な裁判でぬれぎぬを着せられた犠牲者として合祀されています。 この施設に
総理
が参拝することは、
総理
がどのような意図を持っているかにかかわりなく、侵略戦争を肯定、美化する立場にみずからの身を置くことを
世界
に向かって宣言するものにほかなりません。 第二次
世界
大戦後の国際秩序は、日独伊三国による侵略戦争を不正不義のものと断罪することを共通の土台としています。
総理
の行動は、今日の国際秩序に正面から挑戦するものであり、断じて許されるものではありません。
総理
の靖国参拝に対して、
中国
政府
、
韓国
政府
は厳しい抗議を表明しました。米国
政府
も、失望したと、異例の批判を行いました。さらに、批判は、国連事務総長、欧州連合、ロシア
政府
、シンガポール
政府
などにも広がりました。
総理
、あなたは、みずからがよって立つ特殊な右翼的勢力、靖国派にこびを売る行動によって、
国際社会
の信頼を失い、とりわけ、近隣諸国との友好という国益を大きく損なったのであります。その反省と自覚はありますか。(発言する者あり)
赤松広隆
24
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
志位和夫
25
○志位和夫君(続) 今後、靖国神社への参拝は
もと
より、村山談話の
見直し
など、過去の侵略戦争を肯定、美化する一切の行動、言動を厳に慎むことを、私は厳しく求めるものであります。
日本
共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として、
歴史
問題での逆流を
日本
の
政治
から一掃するために
全力
を挙げて闘う
決意
を表明して、私の質問を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
26
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。
特定秘密保護法
についてのお尋ねがありました。
特定秘密保護法
については、さまざまな御議論を経て
成立
したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受けとめ、今後とも、同法について、
国民
の皆様に丁寧に
説明
を重ねるとともに、その適正かつ効果的な
運用
が図られるよう、施行準備を進めてまいります。
消費税率引き上げ
についてお尋ねがありました。 足元の景気は、
雇用
、
所得環境
が
改善
する中で個人
消費
が増加するなど、緩やかに
回復
しております。
消費税率
の八%への
引き上げ
に当たっては、これに伴う
影響
を
緩和
し、その後の
経済
の成長力を底上げするため、好
循環
実現
のための
経済対策
を着実に
実行
してまいります。あわせて、
賃金上昇
、
雇用拡大
を伴う
経済
の好
循環
の
実現
をしっかりと目指してまいります。 また、
消費税率
の
引き上げ
により、
国民
の皆様の暮らしを支える
社会保障制度
の
安定財源
を
確保
し、国の信認を維持してまいりたいと考えております。 転嫁
対策
についてお尋ねがありました。 現状でも、原材料高、燃料高を販売価格に転嫁できないとの声があることについては、認識しております。
経済
産業省が昨年十一月に
実施
した調査によると、仕入れ価格
上昇
分の半分以上を転嫁できている、または、今後できると見込んでいる
中小企業
は、約半数となっています。 また、昨年十二月の日銀短観によれば、
中小企業
の業況判断が、製造業では六年ぶり、非製造業では二十一年ぶりにプラスに転じるなど、
中小企業
にも
景気回復
の流れがあらわれ始めたところであります。
政府
としては、
経済
の好
循環
を
実現
し、
景気回復
の実感を
全国
津々浦々まで届けていくとともに、万全の
消費税
転嫁
対策
を講じてまいります。 具体的には、転嫁
対策
調査官や
消費税
価格転嫁等総合相談センターの設置、転嫁拒否の疑いがある事業者への立入検査を初め、徹底的に監視、取り締まり等に取り組んでまいります。
消費税率引き上げ
の目的についてお尋ねがありました。 今般の
消費税率引き上げ
は、少子
高齢化
の
もと
、
安定財源
を
確保
し、
世界
に冠たる
我が国
の
社会保障制度
をしっかりと次世代に引き渡すとともに、子ども・
子育て支援
を充実していくためのものです。
消費税率引き上げ
による税収は、全額
社会保障
財源化することとしており、
社会保障
分野以外の財源に充てることはありません。
消費税率引き上げ
を中止し、応能
負担
の原則に立った
税制
改革
を行うべきとのお尋ねがありました。
消費税率
八%への
引き上げ
に当たっては、これに伴う
影響
を
緩和
し、その後の
経済
の成長力を底上げするため、好
循環
実現
のための
経済対策
を策定しており、その着実な
実行
により、
デフレ
脱却
と財政
再建
の両立は可能であると考えております。 また、持続可能な
社会保障制度
を
構築
し、
国民
の
安心
を確かなものとする
観点
からは、税収が安定し、勤労世代など特定の者へ
負担
が集中しない
消費税
が、その財源としてふさわしいと考えております。 内部留保と賃金の
上昇
についてお尋ねがありました。 これまで
政府
が強力に
推進
してきた三本の矢の効果等によって、今まさに
企業
収益は好転しつつあります。 本来、個別の賃金水準は労使間交渉で決められるべきものと考えており、異例なことではありますが、先送りすることなく、この機を捉えて賃金の
上昇
を
実現
すべく、
政労使
会議
等の場において、
経済界
や労働界に対して、
賃金上昇
を伴う
経済
の好
循環
を
実現
することが重要と申し上げてまいりました。 昨年十二月の
政労使
会議
では、
経済
の好
循環
を速やかに
実現
するため、
関係
者それぞれがこれまでの行動にとらわれない新たな
取り組み
を大胆に
実行
していただきたい旨を申し上げたところです。これは、内部留保の
活用
に限らず、長引く
デフレ
でしみついた従来の行動から大胆に踏み出すよう要請したものであります。 いわゆる内部留保については、個別
企業
ごとに事情が異なるものと承知しており、一律の
対応
を求めるのは適切でないと考えますが、ことしの春闘においては、内部留保の
活用
の
あり方
も含め、各
企業
が、それぞれの会社の経営
状況
等を踏まえて、昨年末の
政労使
会議
において取りまとめた共通認識を踏まえ、好
循環
の
実現
につながる積極的な
対応
を行うものと期待しております。 最低賃金を
引き上げ
るための
中小企業
支援
についてお尋ねがありました。 最低賃金を
引き上げ
る
環境整備
のために
中小企業
等への
支援
を行っていくことは重要であると考えています。 このため、
政府
としては、最低賃金を
引き上げ
た
中小企業
等の業務
改善
に要する費用への助成等を拡充するとともに、例えば、ものづくり・商業・サービス革新補助金等において、
賃上げ
や人材育成等の処遇
改善
に取り組む
企業
が
優先
的に採択されるよう工夫を行うなどにより、
中小企業
等への
支援
を拡充してまいります。 安倍政権における
雇用
制度
の
見直し
や
賃上げ
についてお尋ねがありました。 現在検討中の労働者派遣
制度
や労働時間
制度
の
見直し
は、安倍政権が掲げる多様な働き方の
実現
を目指すものであり、御指摘のような目的のために行うものではありません。また、解雇の自由化といったことは、全く考えておりません。 したがって、
政府
主導の賃下げ政策などというレッテル張りは、不適切であります。
政府
としては、労働界や
経済界
と協力して、非正規から正規へのキャリアアップの
支援
を進めることなどにより、若者、女性を含め、頑張る
人たち
の
雇用
を
拡大
してまいります。 今後の原子力政策についてお尋ねがありました。 原発については、徹底した省エネルギー
社会
の
実現
と
再生
エネルギーの最大限の
導入
を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが
基本方針
であります。 しかしながら、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に、原発はもうやめたというわけにはいきません。
福島
の事故も経験し、
国民
の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことです。
福島
の事故の教訓を踏まえ、安全を
確保
することが大前提であります。 その前提の
もと
、独立した原子力規制委員会が、
世界
で最も厳しい水準の安全基準に基づいて徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断していくこととする
方針
であります。 高レベル放射性廃棄物の最終処分については、仮に原発をゼロにしたとしても、必要であることからは逃れられません。むしろ、最終処分場をしっかり
確保
することこそが
政治
の
責任
です。これまでのやり方を
見直し
、
責任
を持って最終処分場を
確保
すべく、科学的根拠に基づき国から適地を提示するなど、国が前面に立って
取り組み
を進めてまいります。 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。
住宅
や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。これは、安倍内閣の基本的な考え方であり、
政府
と地元の皆様の共通の認識であると
思い
ます。
地方自治体
の首長選挙の結果について
政府
としてコメントすることは差し控えたいと
思い
ますが、いずれにせよ、普天間飛行場の
危険性
を除去し、
沖縄
の
負担
を
軽減
するための
政府
の
取り組み
について、民主主義を否定する行為であるとの御指摘は当たりません。
政府
としては、引き続き、地元の皆様の御
理解
を求めながら、また、日米間で緊密に
連携
し、普天間飛行場の速やかな移設、そして返還に向け、
全力
で取り組んでまいります。 靖国神社参拝等についてお尋ねがありました。 私は、靖国神社を参拝し、国のために戦ってとうとい命を犠牲にした
方々
に対して、尊崇の念を表し、みたま安かれなれと御冥福をお祈りしました。これは、国のリーダーとして当然のことであり、
世界
共通のリーダーの姿勢だと考えます。 各国には、謙虚に、礼儀正しく
理解
を求めてまいります。 また、参拝に際して、二度と人々が戦争の惨禍に苦しむことがない時代をつくるとの
決意
を込めて、不戦の誓いをいたしました。 戦後、
我が国
は、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、
平和国家
として歩んできました。その歩みは、今後も変わりません。 以上であります。(
拍手
)
—————————————
赤松広隆
27
○副
議長
(赤松広隆君) 次に、鈴木克昌君。 〔鈴木克昌君
登壇
〕
鈴木克昌
28
○鈴木克昌君 私は、
生活
の党を代表し、
安倍総理
の
施政方針演説
に対し、
生活
の党の
安全保障政策
、
経済
財政政策について、私の所信を申し上げながら、
総理
の御意見を伺います。(
拍手
) まず、
安全保障
についての質問から入ります。
安全保障
とは、諸
国民
、諸国家との平和共存をどのように
構築
していくのかという平和の問題であります。 二十一世紀となった現在、自己
主張
するだけの国家の
あり方
から
脱却
し、
国際社会
が協力して国家間の争いをなくしていかなければいけないというのが、
生活
の党の基本的な考え方であります。これは、第二次
世界
大戦の結果生まれた国際連合の
基本理念
とも合致します。
日本
の安全と平和は、
世界
の平和が維持されて初めて
実現
できるものであります。私
たち
は、戦後の国連の理念と
世界
観に立って
日本
の
安全保障
を展開すべきと考えます。 これに対し、旧来の主権国家の武装独立、軍備
強化
を基本とするのが安倍政権の
安全保障
ではないでしょうか。 二十世紀までの国家と
国際社会
は、主権国家が、それぞれの
国民
と
国土
、そして国益を守るために
政治
を行ってきました。
安全保障
の
観点
で見ると、敵の攻撃から自国を守るということも含めて、軍備の拡充と武装独立がそのかなめでありました。主権国家は、武力をもって敵の武力に対抗するということになります。しかし、これは、必然的に軍拡競争となり、軍備の充実に狂奔し、それが、結果として戦争につながっていきました。二十世紀は、この繰り返しであったと言えます。 安倍政権は、こうした主権国家論に基づいた国家を目指しているようであります。これは、二十一世紀の
国際社会
では通用しない、本当に、間違った、いびつな考え方であり、絶対に平和と両立しないものであります。
安倍総理
は、
国際社会
の協力という新しい
世界
観ではなく、いまだに、旧来の主権国家論に基づいて
安全保障
を展開しようとするお考えでしょうか。 加えて、主権国家論に基づく武装独立の手段である核武装について、
総理
は、かつて、憲法は核武装を否定していないと述べていますが、憲法と核武装の
関係
について、いかがお考えでしょうか。
総理
の
答弁
を求めます。 安倍政権による旧来の主権国家論に基づく
安全保障政策
を憲法上正当化しようとするのが、集団的自衛権について、憲法九条の解釈の変更を目指す動きです。 安倍政権との対比を明らかにするために、
生活
の党の憲法九条の解釈を申し上げます。 国連が行動をとるまでの間、
我が国
の安全をどのように守っていくのかを示すのが、自衛権に関する憲法九条の解釈です。
現行
憲法九条一項では、国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる武力の行使は行わないとし、二項で、そのための戦力は保持しないとしています。 その解釈の前提として、自衛権というのは、自然権として、憲法を超えて、
世界
的に認められています。その上で、九条一項は、国権の発動たる武力の行使である自衛権の発動について、国際紛争を解決する手段として永久に放棄するとしています。 これらを踏まえて九条一項と二項を具体的に解釈すれば、個別的であれ、集団的であれ、自衛権の行使は、
日本
に対する急迫不正の侵害があったとき、あるいは、周辺事態法で言う
日本
の安全を脅かす事態に至ったときに限って自衛権を行使するということであります。 他方で、これら以外の、
日本
に直接
関係
のない紛争については、自衛権を行使せず、国連の決定に従い、国連の行動に参加することで
世界
平和を維持していくべきであると考えます。(発言する者あり)
赤松広隆
29
○副
議長
(赤松広隆君) 静粛に願います。
鈴木克昌
30
○鈴木克昌君(続)
安倍総理
、国連
中心
に
世界
平和を守るという理念に基づき自衛権行使を限定するという
生活
の党の憲法九条の解釈について、いかがお考えでしょうか。明快な
答弁
を求めます。 これに対して、自民党
日本
国憲法
改正
草案では、集団的自衛権を保持していても行使できないとの解釈の重要な根拠となっている、戦力の不保持等を定めた現行憲法九条二項を削除して、新しく二項で、改めて、自衛権の発動を妨げるものではないと規定しています。 これによれば、個別的であれ、集団的であれ、何らの制限もなく自衛権を行使できるようになります。つまり、自民党案によれば、自衛のためと称して、地球の裏側にまで自衛隊を派遣することが可能になります。 二十世紀までの戦争のほとんどは、自衛権の
拡大
解釈で起こりました。
日本
でも、上海で
日本
人が殺された、財産が損なわれたといっては出兵したわけであります。制限のない自衛権を認めることは、戦前において破綻に至った考え方への回帰にほかなりません。
安倍総理
、無制限の自衛権行使を憲法上正当化することが、憲法の平和主義の名に値するのでしょうか。さらには、米軍とともに地球の裏側に自衛隊を派遣して
日本
国民
の安全を
確保
することが、適正な道だとお考えでしょうか。
総理
の
答弁
を求めます。
生活
の党は、
日本
が直接攻撃を受けたり、
日本
の安全に重要な
影響
を与える事態が生じた場合は自衛権を行使し、それ以外の国際紛争については、国連の決定に従い、国連の行動に
日本
が参加することで
世界
平和を維持していくというのが、
日本
国憲法の理念であり、また国連憲章の理念であると考えます。 旧来の主権国家論の繰り返しではなく、国連の
基本理念
に立脚して平和を
構築
するためには、
日本
が率先して国連が機能するように努力することが必要であり、そのための根拠を憲法に明示するというのが
生活
の党の考え方であります。
生活
の党は、憲法九条に
国際協力
の規定を追加すべきだと考えております。 具体的には、国連の平和維持活動に
我が国
が参加する根拠となる規定を設けることと、国連の平和維持活動への参加に際しては実力行使を含むあらゆる手段を通じて
世界
平和のために積極的に貢献する旨を規定することであります。
安倍総理
は、憲法九条について、一項、二項を変更せず、
国際協力
を加憲するという私
たち
の提案を、どう受けとめてみえるでしょうか。
答弁
を求めます。
日本
が国連決定に従って行動することは、日米同盟とも全く矛盾しません。
日本
が他国から攻撃された場合や周辺事態が発生した場合、国連が何らかの行動をとるまでの間、タイムラグが生じます。その間は、日米
安全保障
条約に基づき、日米が共同で反撃して
日本
を守る。しかし、一たび国連で何らかの決定が下された場合は、日米ともにその決定に従って行動するというのが日米
安全保障
条約であります。
日本
国憲法も、国連憲章も、日米
安全保障
条約も、全く明快そのものであり、三つは何ら矛盾していないのであります。
生活
の党は、
日本
国憲法、国連憲章、日米
安全保障
条約は、三位一体であり、相互に補完し合うものと考えますが、
総理
はどのようにお考えでしょうか。
生活
の党は、あくまでも国連を
中心
として
世界
平和を守るという理念を堅持し、国連に積極的に協力すべきであると考えます。 二十一世紀の
国際社会
は、二十世紀までの戦争の時代に終止符を打つべきであります。そのためには、旧来の主権国家論から
脱却
して新しい
世界
観で国連を機能させることこそ
世界
平和への最良の道であると
生活
の党は考えております。
安倍総理
は、施政
方針
の中では、国連の平和活動には一切触れず、そのかわりに、米国との
安全保障
面での
連携
強化
を強調されました。
総理
は、
世界
平和を
構築
していくためには、国連
中心
ではなく、米国
中心
の
体制
を
優先
していこうとお考えなのでしょうか。
答弁
を求めます。 次に、
経済政策
について伺います。
平成
二十五年は、いわゆるアベノミクスと呼ばれる
経済政策
を背景に歴史的な円安が進行しました。安倍政権発足前の
平成
二十四年十一月初めに八十円だったドル・円相場は、
平成
二十五年十二月末には百五円まで急落しました。 このような急激な円安は、輸出
企業
に大きな収益をもたらす反面、当然のことながら、輸入コストが上がる
企業
の収益を圧迫しています。そして、円安による原材料の高騰に苦しんでいるのは、ほかでもない、
我が国
経済
を支えてきた
中小企業
であります。また、物価高で苦しむ多くの
国民
であります。
中小企業
家同友会全国協議会の二〇一三年四月から六月までの景況調査で、円安の進行による仕入れ価格の上昇での利益の
影響
について回答を求めたところ、回答
企業
四百十三社のうち、利益が減少したという
企業
が八六・七%に達しました。そのうち九・七%は、円安によって赤字になったと回答しています。 円安が進めば、販売価格に転嫁できない内需型の
中小企業
は利益が減少することになります。円安の進行をやみくもに歓迎することはできません。 ここで少し、中小の元請、下請
企業
の苦悩をお話しします。つまり、円安で苦悩が増している実態であります。 二〇一三年の輸出総数量はマイナス一・五%ですが、輸出総額は九・五%ふえています。つまり、輸出単価の平均は一一%上がっている。しかし、輸入総数量はマイナス〇・四%ですが、輸入総額は一五%ふえているのです。つまり、輸入単価の平均は一五・四%上がっています。このことは、元請、下請の
中小企業
は、この分だけ原材料価格が上昇して、製造単価当たりの利益が減少しているのです。 このように、
中小企業
は原材料高に泣いています。したがって、輸出大手は、元請、下請に、円安のメリットを工賃として支払うべきであります。そうでなければ、
中小企業
の従業員の給料は上がりません。
総理
は、
政労使
会議
での給料アップのみならず、中小への工賃アップを要請していただきたい。
総理
、円安に泣いている中小零細
企業
に給与
所得
者の七〇%が雇われています。また、
日本
の
企業
の九九・七%がこれら中小零細
企業
であることを御
理解
いただきたいわけであります。
経済
評論家の池田信夫氏も、「アベノミクスの幻想
日本経済
に「魔法の杖」はない」の中で、次のように指摘しています。円が弱くなることは資産評価が減ることであり、本来望ましくない、それが
経済
を改善するのは、貿易黒字が
経済
を支えていた高度
経済成長
期の貿易立国の時代の話であり、いつまでも円安を続けることはできないとあります。 リーマン・ショック後、一ドル七十円台まで進んだ
円高
の
影響
で、多くの
日本
企業
は海外進出を
加速
させました。人、物、金が自由に国境を越える時代になっており、かつてのように、円安が
日本
国内に
経済
的な利益をもたらすことは保証されなくなりました。輸出量が伸び悩む一方で輸入額が膨らみ、
平成
二十五年には過去最大の貿易赤字を記録するなど、安倍政権の
経済政策
のゆがみが徐々に顕在化しています。
我が国
が
経済
の好循環を取り戻すためには、一部の大
企業
や輸出
企業
の利益ではなく、
経済
の構造変化を踏まえ、
中小企業
も含めた、真に内需
拡大
に資する
経済政策
が必要なのではないでしょうか。
総理
の
答弁
を求めます。 次に、
財政健全化
について伺います。
総理
は、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化する
財政健全化
目標の
実現
を目指し、
平成
二十六年度
予算
において、中期財政計画を上回る五・二兆円を改善すると言われました。しかし、これは
消費税
の増税によるものでしかありません。 一方、
財政健全化
に必須である歳出削減については、
社会保障
費だけでなく、公共事業費が前年度比実質二%増など、主要経費は軒並み増額されており、歳出総額が過去最大の九十五・八兆円と、歳出削減どころか、逆に、ふえているありさまであります。 また、一月二十日に内閣府が公表した中長期の
経済
財政に関する試算においては、二〇一五年度の半減目標は、二〇一三年度から今後十年の平均成長率が実質二%程度、名目三%程度という非常に甘いシナリオに基づいて辛うじて達成する程度であり、二〇二〇年度では十一・九兆円もの赤字が残るとされております。このままの歳出規模では、黒字化目標が達成できず、さらなる収支改善の努力が必要であることは明白であると考えます。
総理
は、
経済
の
再生
なくして財政
再建
なしと言われておりますが、歳出削減も
財政健全化
には必要なことであると考えます。 そこで、二〇二〇年度の黒字化を見据えた
財政健全化
への具体的な道筋と歳出削減の必要性について、
総理
のお考えをお聞かせください。 また、報道によれば、
総理
は、昨年十二月の
企業
経営者との懇談で、財政は世間で言われているほど、財務省が言うほど悪くないという認識を示したとされますが、本当にそのような考えをお持ちなのか、あわせてお聞きしたいと思います。 足元、景気情勢は一定の回復を見せておりますが、それと同時に、一部食料品等の価格の上昇などが見られています。このような
状況
の中で
総理
が
消費税率引き上げ
を決められた理由を、ここで改めてお伺いしたいと思います。 また、
国民
の目から見れば、お金に色はないわけですから、
消費税
収が
社会保障
に使われるといっても、結局は、回り回って公共事業などに充てられるのではないかという思いが拭えないと思います。 このような疑念を払拭するためにも、
消費税
での収入が
社会保障
に使われることを明確化するために、区分経理を行い、
社会保障
特別会計の設置を図るなどの
措置
を講ずるべきではないでしょうか。
総理
のお考えを伺います。 また、
消費税率
の
引き上げ
とともに、一体として行う
社会保障
改革
の中身について、具体的にお示しください。 さらに、財政
再建
は、税収増などの歳入
確保
と歳出削減の、両面から考えていくべきであります。
景気回復
による自然増収自体は望ましいことですが、これを、借金の返済ではなく、政策経費に振り向けるようなことでは、財政
再建
などおぼつきません。その点についても、
総理
のお考えをお伺いしたいと思います。 最後に、議会制民主主義における
責任
ある健全野党の
あり方
について確認いたします。 議会制民主主義をよりよく機能させるためには、野党が、
与党
との
政治
理念や基本政策の違いを明確に打ち出し、
政権交代
を目指し、
国民
に自分
たち
への支持を訴え、政権をとった暁には、
責任
を持ってその政策を
実行
していく。これこそが、健全な野党の使命であります。 古今東西の歴史が示すとおり、一強支配
体制
の行き着く先は、
国民
に多大な
負担
や犠牲を強いて、不幸をもたらす悲劇であります。
国民
生活
の向上は、一強支配からではなく、政党同士がよりよい
政治
を目指して切磋琢磨する、健全な競争のある
政治
体制
から生まれるのであります。
政治
に健全な競争があることこそ、
国民
に対して真に
責任
ある
政治
ではないでしょうか。
責任
ある
政治
の
実現
に向け、議員各位の
理解
と御協力をお願い申し上げ、私の
代表質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
31
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 鈴木克昌議員にお答えをいたします。
我が国
の
安全保障政策
及び核武装と憲法との
関係
についてお尋ねがありました。
我が国
を取り巻く
安全保障
環境
はますます厳しさを増しており、脅威は、容易に国境を越えてきます。もはや
我が国
のみでは
我が国
の平和を守ることはできません。
国際社会
と協力して
地域
や
世界
の平和を
確保
していくことが不可欠であります。 このような認識の
もと
に、
我が国
は、積極的平和主義の立場から、これまで以上に、積極的に
国際社会
の平和と安定に寄与してまいります。
我が国
が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは、憲法第九条第二項によっても禁止されていません。したがって、そのような限度の範囲内にとどまるものである限り、通常兵器であるか否かを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではないとの解釈を従来より
政府
はとってきています。 いずれにせよ、安倍内閣としても、非核三原則を守るとの
基本方針
を堅持する立場に変わりはありません。 自衛権についてお尋ねがありました。 今日に至るまで国連軍が創設されていないことを見ると、国連
中心
に
世界
平和を守るという理念は、完全には
実現
されていないと言わざるを得ません。 そのような
状況
の
もと
、
我が国
を取り巻く
安全保障
環境
が一層厳しさを増しており、もはや
我が国
のみで
我が国
の平和を守ることはできず、
安全保障
の法的基盤を再
構築
する必要があります。 このような認識の
もと
、現在、
安全保障
の法的基盤の再
構築
に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との
関係
について検討が行われています。
政府
としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えております。 憲法第九条に
国際協力
の規定を追加すべきとの、
生活
の党の憲法
改正
案についての御提案がございました。 そうした憲法
改正
案については、
国民
的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。まず御党から
国民
の皆様に訴えられた方がよいのではないか、このように
思い
ます。
日本
国憲法、国連憲章及び日米安保条約の
関係
についてお尋ねがありました。 日米安保条約の
もと
、
我が国
の施政の
もと
にある領域における日米いずれか一方に対する武力攻撃に対しては、日米が共通の危険に対処することとなっています。そして、日米のいずれかが受けた武力攻撃及びその結果として日米がとった
措置
は国連安保理に報告され、国連安保理が国連憲章に基づき国際の平和及び安全の
回復
、維持のために必要な
措置
をとったとき終止することとなっています。 なお、
我が国
がとる
措置
は、憲法上許されるものとなることは当然であります。
政府
としては、
国際協調主義
に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟の抑止力、対処能力を
向上
させつつ、国連における国際の平和と安全の維持、
回復
に向けた
取り組み
や、PKO等の国連が主導するさまざまな
取り組み
にも、より積極的に寄与していく考えであります。
経済
の構造変化も踏まえた、内需
拡大
に資する
経済政策
への
取り組み
についてお尋ねがありました。
安倍内閣発足
当時と比べて、
中小企業
を含めて業況が幅広く
改善
するなど、
日本経済
は閉塞を脱し、明るさが広がっていますが、
経済再生
に向けて、ここからが正念場であり、より一層
取り組み
を
強化
する必要があります。 このため、
政労使
の共通認識に基づく
取り組み
や、好
循環
実現
のための
経済対策
を着実に
実行
してまいります。 さらに、
経済
の構造変化も踏まえ、
成長戦略
の
実行
の
加速化
、深化により、新たな市場や
需要
を掘り起こし、
企業
の収益や
雇用
、
所得
の
拡大
、さらには、
消費
や投資といった、内需が
拡大
する好
循環
を
実現
していきます。 こうした好
循環
の動きを
地域
や
中小企業
等にも波及させ、持続的な
経済成長
を
実現
してまいります。 基礎的財政収支の黒字化に向けた
対応
と、
我が国
の財政
状況
に対する認識についてお尋ねがありました。 二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、昨年八月に策定した中期財政計画に沿って、基礎的財政収支と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の
取り組み
を進めてまいります。 この
目標
の達成については、今後、二〇一五年度における財政
状況
等を踏まえて
経済
、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的道筋を描いてまいります。 また、
我が国
の財政については、巨額の公的債務が累積するなど、大変厳しい
状況
にあると認識していますが、
経済再生
がなければ
財政健全化
もできないと考えており、
政府
としては、これらの両立を目指しているところです。 これは狭き道ではありますが、
安倍内閣発足
後一年で
景気回復
の動きが広がり、
平成
二十六年度
予算
では、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の
目標
を上回る五・二兆円の
改善
を
実現
するなど、
財政健全化
に向けて着実に進んでおります。 繰り返し申し上げているように、この道しかありません。
全力
で取り組んでまいります。
消費税率引き上げ
と
社会保障
改革
及び財政
再建
についてお尋ねがありました。 持続可能な
社会保障制度
を
構築
し、
国民
の
安心
や、
国際社会
、市場からの信認を確かなものとする
観点
から、本年四月より、
消費税率
を三%
引き上げ
ることとしました。
引き上げ
による増収分は、全額、
社会保障
財源化します。 一般会計の最大の歳出である
社会保障
関係
費を切り出して特別会計で経理することについては慎重に検討していく必要がありますが、国分の
消費税
収の使途を法律や
予算
に明記するなど、
消費税
収が
社会保障
に充てられることを明確化いたします。 また、
社会保障制度改革
については、昨年十二月に
成立
した
プログラム法
にのっとり、受益と
負担
の均衡がとれた
制度
へと、不断に
改革
を進めます。 財政
再建
については、引き続き、
経済再生
と
財政健全化
の両立を目指し、
経済成長
による税収増を図る一方で、歳出の効率化を進め、中期財政計画に沿って基礎的財政収支の
改善
を進めてまいります。(
拍手
)
赤松広隆
32
○副
議長
(赤松広隆君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。 ————◇—————
赤松広隆
33
○副
議長
(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。 午後五時四分散会 ————◇————— 出席
国務大臣
内閣総理大臣
安倍 晋三君 財務
大臣
麻生 太郎君 総務
大臣
新藤 義孝君 法務
大臣
谷垣 禎一君 外務
大臣
岸田 文雄君 文部科学
大臣
下村 博文君 厚生労働
大臣
田村 憲久君 農林水産
大臣
林 芳正君
経済
産業
大臣
茂木 敏充君
国土
交通
大臣
太田 昭宏君
環境
大臣
石原 伸晃君 防衛
大臣
小野寺五典君
国務大臣
甘利 明君
国務大臣
稲田 朋美君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
根本 匠君
国務大臣
古屋 圭司君
国務大臣
森 まさこ君
国務大臣
山本 一太君 出席内閣官房副長官 内閣官房副長官 加藤 勝信君