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井上義久君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました
安倍総理の
施政方針演説に対し、総理並びに
関係大臣に質問します。(拍手)
安倍内閣発足から一年が経過し、政治の安定と機敏かつ的確な
政策対応により、経済を初め、状況は大きく動き出しました。
日本経済は、三本の矢による
経済政策により、過度な円高が是正され、株価も上昇、大企業を中心に収益が増加するなど、大きく改善しました。
東日本大震災からの復興は、瓦れきの処理や
インフラの復旧にめどが立ちつつあり、住まい、
まちづくりを含めた本格的な復興が加速度を増しています。
福島の
原子力事故災害からの
復興再生も、国が前面に出て対処するなど、新たな段階に入りました。
社会保障制度は、
安定財源を確保するとともに、昨年成立した
プログラム法に基づく本格的な改革がいよいよ始動します。
さらには、
財政健全化への
取り組みも着実に進展しています。
このように、
政権交代前まで日本の政治、経済、そして社会全体を覆っていた閉塞感を打ち破り、未来へ向かっての展望を開いた、それが二〇一三年であったと確信します。
しかし、これからが正念場です。
安倍総理が今国会を好
循環実現国会と銘打たれたとおり、
日本経済の再生と震災からの復興の加速を最優先の課題として、全精力を傾注すべきです。さらに、安心の
社会保障の実現や外交・
安全保障問題など、内外の諸課題にも取り組まなければなりません。
公明党は、与党として、これらの課題に責任を持って全力で取り組むことをお誓い申し上げます。
以下、
政策課題について質問します。
まずは、最
優先課題である
経済再生についてであります。三つの視点から質問します。
第一に、経済の好循環こそが
経済再生の目的であるという点です。
安倍内閣発足により、
日本経済は着実に回復に向けて動き出しました。長引くデフレからの脱却は、すなわち、失われた二十年からの脱却です。何が何でもやり遂げなければなりません。
これまでは、
金融緩和による過度な円高の是正と適切な
財政出動が経済を牽引してきました。それを民需主導の
経済成長につなげ、
景気回復の効果を、家計へ、地域へ、
中小企業へと、全国津々浦々まで波及させ、
雇用拡大、
賃金上昇につなげていくことが不可欠です。
政府は、引き続き、
経済対策の実行はもとより、政労使の協議の場を活用するなど、賃上げを確実に実現するための
環境整備に努めるべきです。
企業、経済界に対しても、賃上げに向けた一層の努力を改めて強く要請いたします。
他方、円安や
デフレ脱却過程での
物価上昇や
原材料費の高騰などが家計や企業に与える影響にも十分注意を払い、適宜適切な対策を講じるよう求めます。
第二に、二十五年度
補正予算、二十六年度当初予算、
税制改正を含めた
関連法案の速やかな成立と執行です。
特に
補正予算は、四月の
消費税率引き上げによる経済への影響を最小限に抑える観点からも重要です。
補正予算では、
消費税引き上げに伴う負担の軽減策として、
臨時福祉給付金や、
中堅所得層、特に
子育て世帯への給付金などが、また、
駆け込み需要による反動減の緩和策として、すまい給付金や被災者の
住宅再建のための
給付措置などが盛り込まれています。
税制面での対応も不可欠です。消費や
民間投資の拡大を促すため、給与をふやした企業に減税する
所得拡大促進税制や、
成長力強化に資する
投資減税の拡大などが措置されています。
また、二十六年度当初予算には、復興の加速化に向けて、例えば、
福島再生加速化交付金を
補正予算と合わせて千六百億円へと拡充するなど、被災地に寄り添った
復興予算を十分に確保しています。
そのほか、安心、安全につながる
社会インフラの
老朽化対策や全国的な防災・
減災対策の推進、さらには、
子育て支援策として、
高校生向けの
給付型奨学金の創設や
保育所等の
前倒し整備など、公明党の主張を踏まえた予算が数多く盛り込まれており、一日も早い成立と執行が求められます。
第三に、日本の強みを生かした
成長戦略の着実な実行です。
物づくりは日本の大きな強みであり、高い技術力や層の厚い
中小企業群、そして裾野の広い
産業集積の存在をフルに生かせられれば、日本は世界で勝ち抜くことができます。
元気で強い
中小企業を守り、育てるためにも、
設備投資、
技術開発の促進、金融の円滑化など、さらなる支援策に力を注ぐべきです。
観光も
成長戦略の大きな柱です。
おもてなし、
世界文化遺産・富士山、
無形文化遺産・和食、いずれも、
物づくりと並ぶ、日本が世界に誇る貴重な財産です。さらに、クール・
ジャパンと称されるコンテンツや
文化芸術などとあわせ、日本を一つのブランドとして世界に発信し、魅力を高めていく
戦略的取り組みが重要です。
昨年、日本を訪れた
外国人観光客が、史上初めて一千万人を突破しました。オール・
ジャパンで取り組む二〇二〇年の
東京オリンピック・パラリンピックに向け、二千万人を目指し、
ビザ発給要件の緩和や
外国人旅行者にわかりやすい案内表示の整備など、グローバルな
観光戦略を強力に推進すべきです。
以上、
経済再生への
取り組みについて、総理の答弁を求めます。
税制について伺います。
車体課税については、二十七年度の
自動車取得税の廃止を見据えた
税率引き下げと、取得税、重量税の
エコカー減税を拡充することとしています。
また、
軽自動車については、二十七年度以降に新規取得される新車に限って税率を
引き上げるものの、
軽自動車が特に地方における大切な生活の足となっていることを重視し、
既存ユーザーの税負担は、現行のまま据え置くこととしました。
今後は、公明党が一貫して主張してきた、簡素化、負担の軽減、そして
グリーン化を進めるとの観点から、
車体課税全体の見直しを進めていくべきです。
消費税の
軽減税率については、二十六年度
与党税制改正大綱に、税率一〇%時に導入することが盛り込まれました。公明党は、飲食料品などを対象に、一〇%への
引き上げ時に
軽減税率制度を実施すべきと考えています。
いずれにしても、
与党大綱に沿い、
対象品目や納税事務のあり方などの詳細な
制度設計の協議を急ぎ、今年末までに結論を出すべきです。
改めて、
消費税率一〇%への
引き上げの時期、また、
軽減税率の導入、実施についての総理の認識を伺います。
次に、
社会保障制度改革についてです。
自民、公明、民主三党で合意した
社会保障と税の
一体改革は、昨年の
臨時国会で
社会保障制度改革の全体像と工程を示した
プログラム法が成立し、いよいよ具体化に向けて動き出します。
公明党は、
一体改革の基本的な考え方、すなわち、安心の
社会保障の確立に全力で取り組む決意です。
以下、具体的に伺います。
まずは、
地域包括ケアシステムについてです。
高齢化の急速な進行の中で、地域では、医療、介護、住まいなどのサービスが包括的に確保される体制、すなわち、
地域包括ケアシステムの構築が不可欠です。
公明党は、党内に
地域包括ケアシステム推進本部を設置し、
地方議員との
ネットワークを生かし、全党を挙げて推進への
取り組みをスタートさせました。
今国会に、
地域包括ケアシステム構築に向け、地域における医療、介護の総合的な
提供体制づくりのための法案が提出をされます。医師、看護師の確保や、
在宅医療・介護を推進するための
財政支援制度が法定化されることの意義は大きいと考えます。
二十六年度予算では、九百四億円の基金が創設され、
地域医療を支援することとなっており、地域の実情を踏まえた適切な活用が望まれます。
一方、現場からは、
医療提供体制が本当に充実をするのか、
医療難民や
介護難民がふえることになるのではないかとの懸念や、軽度者が切り捨てられる、
介護従事者の確保も難しいとの切実な声が届いています。
地方自治体や医療・
介護現場の声をしっかりと受けとめ、実効性のある改革にしなければなりません。
基金の活用のあり方を含め、
地域包括ケアシステム構築に向けた総理の決意をお伺いいたします。
難病対策について伺います。
難病患者、家族の長年の悲願であった
難病対策が抜本的に改革されます。
難病の
治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、
共生社会の実現という
基本理念のもと、
難病患者の
社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられるよう、恒久的かつ総合的な改革とすべきです。
医療費助成については、法律に基づく安定的な制度となり、
助成対象の疾患が現行の五十六から約三百疾患へと拡大し、
対象者数も百五十万人へと倍増する見込みです。
また、
患者負担についても、公明党の提言を踏まえ、検討の過程で、患者の所得や
生活実態を踏まえた、より一層の
軽減措置を講じています。特に、ALSなど
人工呼吸器等を装着している超
重症患者の方々の負担を大幅に軽減します。
あわせて、
小児慢性疾患についても、抜本的な見直し、拡充がされます。
実施に向けて、
関係法案を速やかに成立させるべきと考えます。総理の
難病対策に対する決意をお伺いします。
がん対策について伺います。
公明党が推進した
がん対策基本法の制定と、同法に基づく
基本計画によって、
がん対策は大きく進みました。しかし、なお、目標の達成に向けては幾つかの課題があります。
第一に、検診の
受診率向上に向け、コール・リコールの徹底や、
特定検診との同時実施、企業の
検診推進などを急ぐべきです。
第二に、病気だけでなく、命の大切さを育むための、学校等における
がん教育の全国展開です。
第三に、
がん診療連携拠点病院等における、診断時からの
緩和ケアの推進です。
がんから国民を守るため、これらの課題に今こそ本腰を入れて取り組むべきと考えます。総理の答弁を求めます。
子育て支援について伺います。
日本の将来を担う若い人たちが、希望を持って働き、安心して子育てができる環境を整備しなければなりません。
二十七年度から施行される子ども・子育て新制度に向けて、今後、保育所、幼稚園、
認定こども園などの公定価格の設定を初め、
環境整備が進められます。その際、
関係団体や
制度運営を担う
地方自治体としっかりと連携し、現場で混乱が生じないよう、万全を期すべきです。
また、二十五、二十六年度に、保育所の
受け入れ児童数を約二十万人拡大するなどの
待機児童解消加速化プランを確実に実施するとともに、あわせて、保育士の処遇も改善し、
保育人材の確保を急ぐべきと考えます。総理の答弁を求めます。
年金について伺います。
一体改革によって、
基礎年金国庫負担二分の一の
恒久財源が確保され、
年金制度はさらに安定したものとなりました。一方、若者を中心に、非
正規労働者の割合が高くなるなど、
雇用環境が変化している中で、無年金者や低年金者がふえることが懸念されます。
こうした
若者雇用への対応としては、
経済成長による雇用・
所得環境の改善や、正規化、均等待遇への
取り組みを含め、
雇用対策を強化するなど、幅広い観点から総合的な
取り組みが必要です。その上で、
年金制度についても、さらなる
厚生年金の
適用拡大など、無年金・低
年金対策を着実に進めるべきと考えます。総理の答弁を求めます。
東日本大震災からの復興の加速化について伺います。
間もなく、震災から三年を迎えます。今なお、十万人を超える
プレハブ仮設住宅の入居者を含め、約二十七万人が、特に福島県では、
県外避難者五万人を含め、約十四万人の方々が
避難生活を余儀なくされております。
改めて、被災された皆様に、心よりのお見舞いを申し上げます。
被災者の方々が一日も早く普通の平穏な生活に戻れるよう、できることは全てやるとの覚悟で、政府・
与党一丸となって、復興の加速化に全力で取り組む決意です。
被災地では、瓦れきの処理が、福島の一部を除き、三月末で完了する見通しとなり、道路を初め、
インフラ整備も進んでおります。
いよいよ、これから
住宅再建、
まちづくりなどが本格的な段階に入ります。一層の加速化に向け、住宅の工程表なども、問題があれば積極的に解決策を見出し、適宜見直しを行うべきです。
特に、
住宅再建や
まちづくりにとって障害となっている
用地取得の加速化については、昨年十月に、政府が、
土地収用制度の
運用改善、
手続簡素化などの
特別措置を決定したことは評価しますが、まだ不十分との指摘もあり、今後さらに、被災地における実情や当事者の意見を踏まえて、一層の
加速化措置を検討すべきと考えます。
福島の
復興再生に向けては、除染や廃炉、
汚染水対策、賠償、
健康対策、帰還など、多くの困難と立ち向かっていかなければなりません。特に、早く
ふるさとに帰り、
ふるさとを再生させたいという方々の思いにしっかりと応えることが大切です。
今後、
避難指示の解除が具体化していく中で、帰還を選択する方、新しい生活を選択する方、いずれの場合においても、適切な賠償や放射線の安全、
安心対策などを含めた積極的な支援策を講じていくべきです。
一方で、
避難指示が継続し、
ふるさとに帰還できない状況が長期化せざるを得ない地域もある中で、未来を見据えた
まちづくりの姿を示していくことが重要です。
先般、福島・
国際研究産業都市構想研究会が設置されましたが、地元の期待も大きく、官民の英知を結集し、地域の再生、新たな
拠点づくりに向けた具体像を示すことができるよう、切に要望します。
さらに、復興の加速化に当たっては、
地域ごとの
進捗状況や課題の変化に即し、被災地との連携をより一層図りつつ、これまで以上にきめ細かく対応すべきです。政府においても、現場のニーズに沿った形で柔軟に対応できるよう、万全な体制をしくべきと考えます。
公明党は、
震災発生直後から、
国会議員の
担当地域を決めて現地に派遣し、
地方議員や
被災自治体とも連携をとりながら、日々、被災地、被災者から寄せられる生の声を政治に届け、
復旧復興や
生活再建に全力で取り組んでまいりました。これからも、より被災者に寄り添い、党の総力を挙げて復興の加速化に取り組む決意です。
復興の加速化、福島の再生について、総理の答弁を求めます。
関連して、
インフラ整備に係る
担い手不足について伺います。
今後、復興の加速や
東京五輪に向けて、
インフラ整備の需要が高まることが想定されます。
しかし、鉄筋工や型枠工などの
技能労働者を初め、
担い手不足が構造的な問題としてあります。さらに、
経済回復による資材の
コスト増等が重なり、このまま放置すれば、復興や
インフラ整備が大幅におくれることになりかねません。現実に、公共工事の入札不調が頻発しております。
先般、
太田国土交通大臣は、入札不調に対し
労務単価引き上げ等の措置を指示されましたが、今後、
担い手不足や資材高騰などの課題にどのように対応されるのか、大臣の見解を伺います。
防災、減災の国際的な
取り組みについて伺います。
公明党は、今月、昨年の台風三十号により大きな被害を受けた
フィリピン現地へ二名の
国会議員を派遣し、
被害状況や
復興支援のあり方について調査を行いました。
その中で、
我が国自衛隊による
医療支援が大きな役割を果たしていることや、学校や
医療機関の再建など、災害に強い
まちづくりに向け、日本の継続的な支援が必要であることを確認いたしました。
人命や
社会経済活動に甚大な影響を及ぼす大
規模災害への備えとして、国境を越えた
支援ネットワークの強化とともに、各国政府の防災、減災への
事前投資の重要性が国際的に共有されつつあります。
こうした中、来年三月に仙台で開催される第三回
国連防災世界会議は、我が国のこれまでの経験や知見を世界に発信し、各国の
防災機能の向上に寄与する絶好の機会です。会議の成功に向けて、政府としても全面的に取り組むよう、改めて要望いたします。
さらに、人間の
安全保障の観点から、二〇一五年に終期を迎える
ミレニアム開発目標の
後継目標に防災を明確に位置づけて開発、
国際協力を推進するなど、防災、減災を主要な
政治課題へと高めていくことが重要です。
防災先進国として日本の果たすべき役割と
取り組みについて、総理の見解を伺います。
次に、外交、
安全保障について伺います。
昨年十二月、外交、
安全保障の司令塔となる
国家安全保障会議が発足しました。これを受けて、政府は、外交・
安全保障政策の包括的な指針として
国家安全保障戦略を策定し、同時に、これを踏まえた新
防衛大綱を決定しました。
安全保障戦略を進めるに当たっては、これまで日本が歩んできた
国際協調主義や
平和国家としての
基本理念を堅持すること、そして、防衛力や経済力だけでなく、
ソフトパワーを重視した外交力の強化など、総合的かつ平和的なアプローチによって地域の安定と繁栄に貢献するという姿勢を明確に発信していくことが重要だと考えます。
総理が、就任後一年余りで三十カ国を訪問するなど、積極的な
首脳外交を展開されていることを評価いたします。
一方で、中国、韓国との
関係改善は、引き続きの課題となっています。
隣国である中国、韓国との関係は、最も重要な二
国間関係の一つであり、東アジアの安定と繁栄を築いていく上で、日中韓の連携と役割は極めて重要です。だからこそ、これまで、困難な問題に直面しても、両国が互いに知恵を絞り、粘り強い対話と努力で難局を乗り越えてきた歴史があり、公明党もそのために尽力してきました。
現下の膠着状態から脱却するため、対話のドアは開かれているという状態から一歩踏み出し、我が国からも具体的なアクションを起こすことが必要だと考えます。
対話のドアは一つではありません。
大局的見地に立って、政治、経済、文化、環境、防災等の各分野において未来志向の
協力関係を積み重ねていくことが重要であり、
国際社会もその動向を注視しています。
また、
国家安全保障戦略や新
防衛大綱に明記された、日中間における不測の事態の
発生回避、防止のための枠組みの構築や、相互理解を促進する人と人との交流の強化の
早期具体化を急ぐべきです。
以上、外交の
基本方針、特に日中、日韓の
関係改善について、総理の答弁を求めます。
沖縄の
基地負担の軽減及び振興策について伺います。
日本の
米軍施設のうち七四%が集中する沖縄の
基地負担の軽減は、最優先で取り組むべき課題です。在
沖縄米海兵隊の
グアム移転の推進を初め、
在日米軍再編に
取り組みつつ、基地の
段階的整理縮小や訓練の
分散移転など、
負担軽減を着実に進める必要があります。
また、昨年日米合意された
嘉手納以南の
土地返還計画も、前倒しを含めた一日も早い実施に向けて、米国と調整を図るべきです。
普天間基地移設の問題は、危険性の除去という問題の出発点に立ち返り、
固定化回避に向けて、県民の理解を得つつ、より慎重に進めるべきと考えます。
沖縄振興策についても、総理と
仲井真知事との面談において約束されたとおり、沖縄二十一
世紀ビジョン基本計画に沿って、所要の予算を確保しつつ、着実に実施していくべきです。
沖縄の
負担軽減と振興策について、総理の答弁を求めます。
農林水産政策について伺います。
農林水産業については、昨年末に
農林水産業・地域の
活力創造プランを決定し、今後十年間で農業、農村全体の
所得倍増を目指す方針が示されました。特に米政策については、
生産調整の見直しなどを含め大きく転換しますが、農家には、戸惑いや懸念、不安が広がっています。
丁寧な説明に努めるとともに、安心して経営を続けられるよう、法制化された安定的な制度を構築すべきです。特に農作物の収入保険については、
生産調整の見直しとあわせ導入を実施すべきと考えます。
また、農業の持続的な発展に向け、
担い手対策や高
付加価値化の促進などにも一層力を注ぐべきです。
鳥獣被害や
農作業事故への
抜本対策も必要です。
水産業については、豊かな
水産資源を適切に管理するとともに、国際的な
衛生管理基準である
HACCP認定体制の構築や
施設整備などを行うとともに、
輸出体制の強化が重要です。
林業については、強度、耐震性、耐熱性、耐火性にすぐれた
集成木材である
直交集成板、いわゆるCLTの
利用拡大や、国産材の安定的な
供給体制の整備などを進め、
東京五輪の
関連施設などに積極的に活用すべきです。
関連して、福島を初め東北三県の
農林水産物に対する
風評被害も依然として残っております。正確な
情報発信や
販路拡大に向けたPRなど、継続的な対策を強く求めます。
以上、
農林水産業の課題について、総理の答弁を求めます。
特定秘密保護法について伺います。
特定秘密保護法は、国民の知る権利に資する報道や取材の自由への配慮を初め、
特定秘密への
通常取材行為の不処罰、
外部チェック機関である
有識者会議の設置など、我が党の主張が条文に明記され、大幅な修正を経て成立いたしました。
しかし、国民の間には、今なお、
特定秘密保護法の運用に対する根強い不安や懸念の声があります。
政府は、このことを真摯に受けとめ、法施行に向けての準備については、より丁寧に進め、かつ、一層国民へのわかりやすい説明に努めるべきです。
国権の
最高機関である国会も同様です。
特定秘密にかかわる国会の自主性を確保するためにも、施行までに国会に設置するとしている常設的な機関については、国民の安心に資する、実効ある組織にしていくべきです。
将来的に
第三者機関への移行、格上げが検討されている
情報保全監察室については、個別の
特定秘密の指定及び解除の適否の検証などを行うという運用の根幹的な役割を担うことから、十分な公正性を持った体制にすべきと考えます。
あわせて、
公文書管理法や
情報公開法の改正など、
情報公開制度を拡充すべきです。
特に、閣議や
閣僚懇談会の
議事録作成等を義務づける
公文書管理法改正案は、今国会に提出すべきと考えます。
特定秘密保護法に係る諸課題について、総理の見解を伺います。
最後に、一言申し上げます。
日本の将来に対し、高齢化や
人口減少などを捉えて、悲観的に見る向きがあります。しかし、
高齢社会は、長寿の実現であり、世界に誇るべきことです。
私たちには、高齢化や
人口減少を乗り越えて、未来に向かって日本の活力を維持し、安心の
社会保障、安全で豊かな国土を築く責任があります。そして、一人一人が誇りを持ち、幸福な人生を送れる社会、世界の平和と繁栄に貢献する日本をつくり上げていかなければなりません。
公明党は、本年、結党五十年の節目を迎えます。
私たちは、結党以来、「大衆とともに」「生命尊厳」の立党の精神のもと、一貫して一人一人の庶民の思いを大切にし、その声を政治に届けてきました。
そして、
政治勢力の離合集散など激しく変動する
政党政治の中にあって、五十年の歴史を刻んで、今日、公明党は、与党として国政の一端を担わせていただいている重い責任を自覚し、決意を新たにしております。
これまでの公明党に対する多くの国民の御理解と御支援に心より感謝申し上げるとともに、これからも、謙虚にひたむきに、そして真の
国民政党として公明らしさを発揮し、あらゆる課題に真っ正面から向き合い、日本の現在と未来に責任を持って努力することをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕